(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】建造物を3D印刷する方法、3D建造物印刷システム及び3D建造物印刷システムで使用するための印刷ユニット
(51)【国際特許分類】
B28B 1/30 20060101AFI20250117BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20250117BHJP
B28C 7/00 20060101ALI20250117BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20250117BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20250117BHJP
【FI】
B28B1/30
C04B28/02
B28C7/00
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024563752
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2024-09-12
(86)【国際出願番号】 DK2023050008
(87)【国際公開番号】W WO2023138742
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】PCT/DK2022/050007
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524268069
【氏名又は名称】コーボズ インターナショナル アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】ミケール ホルム
【テーマコード(参考)】
4G052
4G056
4G112
【Fターム(参考)】
4G052DA01
4G052DB12
4G052DC06
4G056AA08
4G056CA01
4G056CB01
4G056CB15
4G056CB19
4G056CB32
4G056CE01
4G112PA02
4G112PC08
4G112PE02
4G112PE05
(57)【要約】
ホッパー21及び印刷ヘッド22を備えた印刷ユニット2を使用して建造物を3D印刷する方法を開示する。この方法は、結合剤、水及び砂を含む前駆体印刷材料を取得することと、材料ポンプ61を使用して、材料入口パイプ23を通して印刷ユニット2へ向かう前駆体印刷材料の流れを形成することと、材料ポンプ61の下流かつホッパー21の上流で、添加剤チューブ9を介して、前駆体印刷材料に一定量の第1の添加剤を添加することと、任意選択で、1つ又は複数の追加添加剤を添加することと、前駆体印刷材料、第1の添加剤及び任意選択の1つ又は複数の追加添加剤を混合して印刷材料を形成することと、印刷ヘッド22を介して印刷材料を押し出すことと、を含む。本発明はこのほか、3D建造物印刷システム1と、ホッパー21及び印刷ヘッド22を備える印刷ユニット2と、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパーと印刷ヘッドとを備える印刷ユニットを使用して建造物を3D印刷する方法であって、前記印刷ヘッドは、前記印刷ユニットの使用状態においてホッパーの下に配置され、ノズル開口部を介して印刷材料を押し出すように構成され、前記方法は、
前駆体印刷材料を取得することであって、前記前駆体印刷材料は結合剤、水及び砂を含む、前記前駆体印刷材料を取得することと、
材料ポンプを使用して、前記印刷ユニットへ向かう前記前駆体印刷材料の流れを形成することと、
前記材料ポンプの下流において前記前駆体印刷材料に一定量の第1の添加剤を添加することと、
任意選択で1つ又は複数の追加添加剤を添加することと、
前記前駆体印刷材料、前記第1の添加剤、及び、前記任意選択の1つ又は複数の追加添加剤を混合し、前記印刷材料を形成することと、
前記印刷ヘッドを介して前記印刷材料を押し出すこと、
を含み、
前記第1の添加剤は、前記前駆体印刷材料が前記ホッパーに到達する前に、前記前駆体印刷材料に添加される、方法。
【請求項2】
回転要素を使用して、前記混合の少なくとも一部を実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
印刷中に前記印刷材料を前進させ、前記印刷ヘッドを通る前記印刷材料の連続的な流れを生成するために回転要素を使用する、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記前駆体印刷材料、前記第1の添加剤、及び、前記任意選択の1つ又は複数の追加添加剤の混合の少なくとも一部を前記ホッパー内で実施する、請求項1から請求項3の1つ又は複数に記載の方法。
【請求項5】
前記任意選択の1つ又は複数の追加添加剤は、前記印刷ユニット内の前記前駆体印刷材料に添加される、請求項1から請求項4の1つ又は複数に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の添加剤及び/又は前記任意選択の1つ又は複数の追加添加剤は、1つ又は複数の添加剤ポンプを使用して前記前駆体印刷材料に添加される、請求項1から請求項5の1つ又は複数に記載の方法。
【請求項7】
前記材料ポンプは、前記ホッパーへ向かう前記前駆体印刷材料の脈動流を生成し、前記添加剤ポンプは、前記前駆体印刷材料の前記脈動流と同期した前記第1の添加剤の脈動流を生成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記材料ポンプと前記添加剤ポンプとは、任意の時点での両ポンプの体積流量の比が実質的に一定になるように同期される、請求項6又は請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の添加剤は、前記前駆体印刷材料の粘度を増大させるように構成された粘度調整剤(VMA)である、請求項1から請求項8の1つ又は複数に記載の方法。
【請求項10】
前記印刷材料中の前記第1の添加剤の体積パーミルは、少なくとも0.2‰、少なくとも0.5‰又は少なくとも1.2‰である、請求項1から請求項9の1つ又は複数に記載の方法。
【請求項11】
前記印刷材料中の前記第1の添加剤の体積パーミルは、10‰未満、5‰未満又は2.5‰未満である、請求項1から請求項10の1つ又は複数に記載の方法。
【請求項12】
前記建造物は建設現場で建設され、結合剤、水及び砂は、前記建設現場から離れて、前記建設現場に搬送される1つ又は複数の搬送車両によって混合され、前記前駆体印刷材料を形成する、請求項1から請求項11の1つ又は複数に記載の方法。
【請求項13】
前記結合剤はセメントである、請求項1から請求項12の1つ又は複数に記載の方法。
【請求項14】
前記建造物は、建物の基礎、風力タービンの土台又は建物の壁である、請求項1から請求項13の1つ又は複数に記載の方法。
【請求項15】
印刷材料を使用して印刷するように構成された3D建造物印刷システムであって、前記3D建造物印刷システムは、印刷ユニット、ガントリーシステム、材料ポンプ、可撓性チューブ及び添加剤システムを備え、前記印刷ユニットは、ホッパー、印刷ヘッド及び回転要素を備え、前記添加剤システムは、制御機構、添加剤出口及び制御ユニットを備え、
前記ガントリーシステムは、前記印刷ユニットを3次元空間で移動させるように構成され、
前記材料ポンプは、結合剤、水及び砂を含む前駆体印刷材料を受け取り、前記可撓性チューブを介して前記前駆体印刷材料を前記印刷ユニットへ向けてポンプで送り出し、前記前駆体印刷材料の材料搬送方向の流れを形成するように構成され、
前記ホッパーは、前記材料搬送方向において前記材料ポンプの下流かつ前記印刷ヘッドの上流に配置され、
前記制御ユニットは、前記前駆体印刷材料に添加する添加剤の量を制御するために前記添加剤システムの前記制御機構に操作可能に接続され、
前記添加剤システムの前記添加剤出口は、前記材料搬送方向において前記ホッパーの上流に位置付けられ、前記制御機構と前記材料ポンプの下流の前記前駆体印刷材料の流れとの間の流体の接続を提供し、前記制御ユニットは、前記制御機構を制御して前記前駆体印刷材料の流れへの前記第1の添加剤の流れを形成し、これによって、前記印刷ヘッドのノズル開口部を介して押し出すための前記印刷材料の流れが形成されるように構成される、3D建造物印刷システム。
【請求項16】
前記添加剤システムは、前記前駆体印刷材料が前記ホッパーに到達する前に、前記前駆体印刷材料に前記第1の添加剤を添加するように構成される、請求項15に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項17】
前記システムは、前記ホッパー内で前記前駆体印刷材料と前記第1の添加剤を少なくとも部分的に混合するように構成される、請求項15又は請求項16に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項18】
前記添加剤システムの前記制御機構は、制御弁及び/又は添加剤ポンプである、請求項15から請求項17の1つ又は複数に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項19】
前記材料ポンプは、前記ホッパーへ向かう前記前駆体印刷材料の脈動流を生成するように構成され、前記添加剤ポンプは、前記前駆体印刷材料の前記脈動流と同期した前記第1の添加剤の脈動流を生成するように構成される、請求項18に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項20】
添加剤出口が前記印刷ユニット内に配置される、請求項15から請求項19の1つ又は複数に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項21】
前記第1の添加剤は、前記前駆体印刷材料の粘度を高めるように構成された粘度調整剤(VMA)である、請求項15から請求項20の1つ又は複数に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項22】
添加剤容器をさらに備え、前記添加剤容器は、前記添加剤システムの前記制御機構に流体的に接続された出口を備え、前記添加剤容器は、一定量の前記第1の添加剤を含む、請求項15から請求項21の1つ又は複数に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項23】
前記添加剤容器は交換可能な容器、場合によっては、使い捨ての容器である、請求項22に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項24】
前記添加剤システムの前記制御ユニットは、前記制御機構を制御して、前記印刷材料中の前記第1の添加剤の体積パーミルが少なくとも0.2‰、少なくとも0.5‰又は少なくとも1.2‰となるように、一定量の添加剤を前記前駆体印刷材料の流れに添加するように構成される、請求項15から請求項23の1つ又は複数に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項25】
前記添加剤システムの前記制御ユニットは、前記制御機構を制御して、前記印刷材料中の前記第1の添加剤の体積パーミルが10‰未満、5‰未満又は2.5‰未満となるように、一定量の前記添加剤を前記前駆体印刷材料の流れに添加するように構成される、請求項15から請求項23の1つ又は複数に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項26】
前記印刷ユニットは、前記印刷材料を前進させ、前記ノズル開口部へ向かって前記印刷材料の連続的な流れを生成するように構成された回転要素を備える、請求項15から25の1つ又は複数に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項27】
前記材料ポンプはピストンポンプである、請求項15から請求項26の1つ又は複数に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項28】
前記ホッパーには、モータ及び混合アームを備える回転要素が設けられる、請求項15から請求項27の1つ又は複数に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項29】
前記添加剤システムは、前記材料ポンプと前記ホッパーとの間で前記可撓性チューブの延長上に配置されたアダプタを備えて、前記前駆体印刷材料の流れが前記アダプタを通過するようにし、少なくとも1つの添加剤出口が前記アダプタに設けられる、請求項15から請求項28の1つ又は複数に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項30】
少なくとも1つの添加剤出口が前記アダプタの側面に設けられ、前記側面は使用状態において上向きとなる、請求項29に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項31】
前記アダプタは、添加剤貯蔵ユニットに接続する、又は、添加剤出口を備えた添加剤チューブを受容するように構成された1つ又は複数の側面分岐を備える、請求項29又は請求項30に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項32】
添加剤出口が前記アダプタの中心線に位置付けられ、前記中心線が前記材料搬送方向と平行に延びるように、前記添加剤出口を備えた少なくとも1つの添加剤チューブが前記アダプタ内に延在する、請求項31に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項33】
前記添加剤貯蔵部は、使用状態において前記添加剤出口の上方に配置され、添加する添加剤の量を制御するために弁又は添加剤ポンプが設けられる、請求項29から請求項32の1つ又は複数に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項34】
前記材料搬送方向において添加剤出口の上流に位置付けられた材料入口弁をさらに備える、請求項29から請求項33の1つ又は複数に記載の3D建造物印刷システム。
【請求項35】
請求項15から請求項34の1つ又は複数に記載の3D建造物印刷システムで使用するための印刷ユニットであって、前駆体印刷材料及び第1の添加剤を含む印刷材料を使用して印刷するように構成され、前記前駆体印刷材料は結合剤、水及び砂を含み、前記印刷ユニットは、材料入口と、一定量の前記印刷材料を収容するように構成されたホッパーと、前記印刷材料を押し出すように構成された印刷ヘッドであって、前記印刷ヘッドは材料搬送方向において前記ホッパーの下流に配置される、印刷ヘッドと、前記印刷材料を前記材料搬送方向に前記ホッパーから前記印刷ヘッドまで移動するように構成された回転要素と、添加剤出口であって、前記添加剤出口は前記材料搬送方向において前記ホッパーの上流に位置付けられる、添加剤出口と、を備える、印刷ユニット。
【請求項36】
前記ホッパー内に配置された回転要素をさらに備える、請求項35に記載の印刷ユニット。
【請求項37】
前記材料入口は、前記ホッパーの本体から突出する入口パイプを備え、前記材料入口パイプに1つ又は複数の添加剤出口が設けられる、請求項35又は請求項36に記載の印刷ユニット。
【請求項38】
少なくとも1つの添加剤出口が前記材料入口パイプの側面に設けられ、前記印刷ユニットの使用状態において、前記側面が上向きになる、請求項37に記載の印刷ユニット。
【請求項39】
少なくとも1つの添加剤出口が添加剤チューブに形成され、前記添加剤チューブは前記材料入口パイプ内に突出している、請求項37又は請求項38に記載の印刷ユニット。
【請求項40】
少なくとも1つの添加剤出口が前記材料入口パイプの中心線に位置付けられ、前記中心線は前記材料搬送方向に平行に延在する、請求項37から請求項39の1つ又は複数に記載の印刷ユニット。
【請求項41】
添加剤出口を有する添加剤チューブの少なくとも遠位部分が、前記材料入口パイプの中心線に実質的に平行に延在し、前記中心線は、前記材料搬送方向に平行に延在する、請求項37から40の1つ又は複数に記載の印刷ユニット。
【請求項42】
添加剤出口に接続された添加剤貯蔵ユニットをさらに備える、請求項35から請求項41の1つ又は複数に記載の印刷ユニット。
【請求項43】
前記添加剤貯蔵器は、前記印刷ユニットの使用状態において前記添加剤出口の上方に配置され、添加する添加剤の量を制御するために弁又は添加剤ポンプが設けられる、請求項42に記載の印刷ユニット。
【請求項44】
前記材料搬送方向において添加剤出口の上流に位置付けられた材料入口弁をさらに備える、請求項35から請求項43の1つ又は複数に記載の印刷ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物を3D印刷する方法、3D建造物印刷システム及び3D建造物印刷システムで使用する印刷ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートなどの不均質な複合材料を印刷材料として使用する建物などの建造物の3D印刷が以前から知られており、現在では技術開発のさらに進化した段階に移行しており、基本的なプロセスが改良されている。
【0003】
コンクリートなどの不均質な複合材料を、例えば、パイプ又はチューブを通してポンプで送り出すなど、長距離搬送すると、材料の品質が影響を受ける可能性があることはよく知られている。その結果、例えば、骨材がコンクリートのセメントペーストから分離する、又は、不均一に分布する分離が生じる可能性がある。さらに、生産が停止すると、使用を待つコンクリートの粘度が変化する可能性がある。
【0004】
特許文献1及び特許文献2ではそれぞれ、ホッパー内にある印刷材料(コンクリート)の量及び状態に関する情報を制御ユニットに伝達可能なセンサと、水、流動化剤、減水剤及び/又は硬化剤を混合可能な添加剤出口と、を備えた印刷ユニットを開示している。
【0005】
これによって、印刷材料の微調整が可能になり、例えば、印刷材料が硬すぎる又は柔らかすぎる場合に補正することができる。
【0006】
しかし、ホッパーに添加された要素の効果的な混合を確実なものにすることは困難な場合がある。混合が効果的でないと、印刷材料の材料特性にばらつきが生じ、その結果、印刷された建造物に欠陥及び弱点が生じる可能性がある。印刷ユニットにホッパーがない3D建造物印刷システムでは、この問題はさらに顕著になる。印刷ヘッドに添加剤を直接添加することにより、材料特性の小さなばらつきを補正しようと試みられてきたが、実験では、印刷材料との適切な混合を実現するのは非常に困難であることがわかった。
【0007】
さらに、特に、マルチストレージの建物などの大規模な建造物を建設する場合、印刷材料を印刷ユニットに搬送することが困難な場合がある。
【0008】
大規模な建造物を建設するときに発生するもう1つの問題には、計画的な生産停止と計画外の生産停止の両方の数が典型的には比較的多いことが挙げられる。
【0009】
生産停止中に印刷材料で満たされた大規模な3D印刷システムを扱うことは困難な場合がある。例えば、印刷ヘッドに印刷材料を搬送するために使用されるチューブ及びポンプの内部で印刷材料が固まり始めると、非常に問題になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許第2019-0050509号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2021/146573号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このため、本発明の目的は、建造物を3D印刷するための改良された方法及び/又はシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様によれば、本開示は、ホッパーと印刷ヘッドとを備える印刷ユニットを使用して建造物を3D印刷する方法に関する。印刷ヘッドは、印刷ユニットの使用状態においてホッパーの下に配置され、ノズル開口部を介して印刷材料を押し出すように構成される。この方法は、
前駆体印刷材料を取得することであって、前駆体印刷材料は、結合剤、水及び砂を含む、前駆体印刷材料を取得することと、
材料ポンプを使用して、印刷ユニットへ向かう前駆体印刷材料の流れを形成することと、
材料ポンプの下流で、前駆体印刷材料に一定量の第1の添加剤を添加することと、
任意選択で、1つ又は複数の追加添加剤を添加することと、
前駆体印刷材料、第1の添加剤、及び、任意選択で1つ又は複数の追加添加剤を混合して印刷材料を形成することと、
印刷ヘッドを介して印刷材料を押し出すことと、を含む。
ここで、第1の添加剤は、前駆体印刷材料がホッパーに到達する前に前駆体印刷材料に添加される。
【0013】
その結果、印刷材料は、印刷ユニットの近くか印刷ユニット内で前駆体印刷材料と第1の添加剤を混合することによって、印刷ユニットの近く又は印刷ユニット内で形成され、それによって、さらに大きな建造物の構築がさらに簡素になる場合がある。
【0014】
一例として、前駆体印刷材料は、ポンピングを容易にし、場合によっては搬送を容易にする材料特性を有する場合がある。さらに、前駆体印刷材料は、材料ポンプをはじめとするプロセス機器の洗浄を容易にする材料特性を有する場合がある。
【0015】
ホッパーの上流にて、即ち、前駆体印刷材料がホッパーに流入する前に、第1の添加剤を添加する別の利点には、印刷ユニットに移動する前駆体印刷材料の動きによって、添加剤がホッパーに流入する前に前駆体印刷材料と少なくとも部分的に混合されることに寄与する可能性がある点が挙げられる。
【0016】
ホッパーの上流において第1の添加剤を添加すると、印刷ユニットに供給される前駆体印刷材料の量に応じて添加剤がさらに混合可能になる可能性がある。このようにして、ホッパーに流入する材料は常に同じ組成であり、ホッパー内に存在する印刷材料の量の推定値に頼って実際の組成を計算する必要はない。
【0017】
混合の改善と混合物の組成のさらに正確な制御を組み合わせることにより、印刷ユニットが印刷材料の意図された特性からの意図しない逸脱を補正することができるだけでなく、特定の目的に合わせて印刷材料の特性を積極的に変更することも可能になることになるという利点がある。特に、比較的柔軟な前駆体印刷材料が印刷ユニットに供給され、第1の添加剤が粘度調整剤(VMA)であることが想定される。即ち、VMAは添加剤出口で添加され、印刷材料をさらに硬くすることができる。3D印刷では、所望の形状を作成するために比較的硬質の材料が概ね必要であるが、パイプを通して硬質材料を移動させることは困難であり、印刷ヘッドに材料を供給することが困難になる。また、建造物のサイズが大きくなるにつれて、これが現実的な問題になっている。さらに柔軟な材料を使用し、印刷ユニットで硬くすることにより、印刷材料を移動するために必要な機器が少なくなったり、及び/又は安価になったりする可能性がある。さらに、例えば、外部のコンクリート製造業者から購入可能であったり、及び/又は建設現場の他の場所で使用されている可能性があったりする標準的なタイプのコンクリートを前駆体印刷材料として使用することができるため、現場でのコンクリート製造施設の必要性がなくなる可能性がある。
【0018】
印刷材料の一例として主にコンクリートに言及している、即ち、結合剤はセメントであるが、コンクリートを使用した印刷に関連する問題は、結合剤、水及び砂を含む他の種類の印刷材料にも当てはまる可能性があることを理解されたい。代替結合剤の例には、粘土、石灰及びポリマーが挙げられる。
【0019】
「砂」とは、粒径が4mm未満の不活性粒状材料を意味し、地質材料及びガラスなどのリサイクル材料が含まれる。粒径は粉砕によって得られる場合があり、及び/又は材料は洗浄、ふるい分け、あるいは他の方法で選別されて、所望の粒径分布を達成することができる。
【0020】
砂に加えて、前駆体印刷材料は、例えば、地質学的起源の岩石と、粉砕コンクリートなどのリサイクル材料と、を含む他の骨材を含む場合がある。さらに、鋼繊維又は天然繊維などの繊維及び/又は空気連行剤又は可塑剤などの添加剤を含む場合がある。
【0021】
結合剤、水及び砂を混合して、例えば、建設現場又は遠隔地などの現場で前駆体印刷材料を形成することができる。
【0022】
この方法は、建物の壁を建設するために使用することができるが、建物の基礎、風力タービンの土台、橋梁など、従来は建物とは考えられていない他の建造物の製造にも使用可能であることを理解されたい。
【0023】
いくつかの実施形態では、混合の少なくとも一部を、回転要素を使用して実施する。
【0024】
回転要素は、材料ポンプの下流のシステムの印刷ユニット内又は任意の他のユニット内に配置することができる。添加剤を添加した直後に混合することにより、均質な混合物が得られる可能性がある。
【0025】
回転要素は、印刷ユニットのホッパー内に全体的又は部分的に配置することができる。これによって、印刷材料は、前駆体印刷材料、第1の添加剤及び任意選択の1つ又は複数の追加添加剤を混合することにより、ホッパー内で形成することができる。
【0026】
その結果、完成した印刷材料がシステムのごく一部にのみ供給されるようにすることができる。これによって、計画的な生産停止及び計画外の生産停止の両方の処理が容易になる。
【0027】
このほか、あるいはこれとは別に、ホッパー内に回転要素を配置すると、例えば、早期凝結又は分離による印刷材料の劣化の防止に寄与する。
【0028】
ホッパー内の回転要素が、混合アームと、ホッパー内で混合アームを回転させるモータとを備え、これによって、前駆体印刷材料と第1の添加剤のほか、任意の追加添加剤の混合を支援することができる。
【0029】
回転要素を、例えば、ホッパーから印刷ヘッド内に延びる回転スクリューを回転要素として使用することにより、印刷中に印刷材料を前進させ、印刷ヘッドを通る印刷材料の連続的な流れを生成するように構成することができる。
【0030】
印刷ユニットは、例えば、ホッパー内の混合アームを備えた回転要素と、印刷ヘッド内の回転スクリューなど、複数の回転要素を備えることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1の添加剤は、前駆体印刷材料の粘度を高めるように構成された粘度調整剤、VMA、あるいは印刷材料の凝結及び/又は硬化を促進するように構成された促進剤である。
【0032】
印刷材料よりも粘度が低い前駆体印刷材料を使用することにより、印刷材料をポンプで送り出すのが容易になる。これによって、さらに簡素なポンプ装置の使用及び/又はさらに大きな建造物の建設が可能になる。さらに、前駆体印刷材料の粘度が低いため、材料ポンプをはじめとするプロセス機器の洗浄が容易になり、例えば、ミキサー車での搬送が容易になる。
【0033】
前駆体印刷材料は、前駆体印刷材料を印刷材料として使用するには低すぎる粘度を有するように意図的に選択されてもよい。
【0034】
印刷材料に、望ましい速度よりも凝結及び/又は硬化が遅い前駆体印刷材料を使用すると、システム内で材料が凝結する、又は、硬化するリスクが低減され、これは生産停止の場合に特に有利であり、さらに洗浄を容易にする可能性がある。
【0035】
第1の添加剤を印刷ユニットの近くで添加することは、この他、添加剤の消費に関して有利であり、例えば、急速な凝結及び/又は硬化を引き起こす促進剤など、他の方法では適切ではない添加剤の使用を可能にする場合がある。
【0036】
2つの添加剤出口が材料搬送方向に互いに離れて配置されている場合、2つの添加剤を異なる時間に、一方を他方より前に添加することができる。これは、例えば、一方の添加剤の粘度が他方よりも高い場合、あるいは併せて添加した場合に一方の添加剤が他方の効果を妨げる恐れがある場合に、有利である。このほか、3つ以上の出口を設けることが有利である場合がある。これによって、例えば、必要な印刷材料特性に応じて、異なる添加剤に対して異なる時間に異なる出口を使用することができる場合がある。
【0037】
現在、第1の添加剤として促進剤を添加し、その後、補強材の形でVMAを添加することが有利であると考えられている。
【0038】
いくつかの実施形態では、印刷材料中の第1の添加剤の体積パーミルは、少なくとも0.2‰、少なくとも0.5‰又は少なくとも1.2‰である。
【0039】
その結果、第1の添加剤を添加することにより、印刷材料の特性は前駆体印刷材料とは大幅に異なる可能性があり、例えば、印刷材料の粘度は前駆体印刷材料の粘度よりも大幅に高くなる可能性がある。
【0040】
印刷材料中の第1の添加剤の体積パーミルは、以下の式で与えられる。
【数1】
ここで、v‰
faは印刷材料中の第1の添加剤の体積パーミルであり、v
pmは一定期間内に押し出された印刷材料の体積であり、v
faは一定期間内に押し出された印刷材料の体積中の第1の添加剤の体積である。
【0041】
いくつかの実施形態では、印刷材料中の第1の添加剤の体積パーミルは、10‰未満、5‰未満又は2.5‰未満である。
【0042】
いくつかの実施形態では、建設現場にて建造物が建設されるが、結合剤、水及び砂を建設現場から離れた場所で混合して前駆体印刷材料を形成し、1つ又は複数の搬送車両によって建設現場に搬送される。
【0043】
その結果、建設コストは、さらに多くのプロセスことを現場から離れて、例えば、前駆体印刷材料の製造に特化した中央製造施設にて実施する可能性があるため、低減される可能性がある。
【0044】
搬送車両は、トラック又は船などの任意の搬送車両であってもよい。
【0045】
1つ又は複数の添加剤を、1つ又は複数の添加剤ポンプを使用して添加してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、材料ポンプは、ホッパーへ向かう前駆体印刷材料の脈動流を生成し、第1の添加剤は、前駆体印刷材料がホッパーに到達する前に、前駆体印刷材料に添加される。
【0047】
材料ポンプが前駆体印刷材料の脈動流を生成する場合、添加剤ポンプは、前駆体印刷材料の脈動流と同期した第1の添加剤の脈動流を生成することができる。
【0048】
その結果、材料ポンプと添加剤ポンプを同期させることにより、印刷ヘッドへ向かって印刷材料が連続的に流れる、即ち、材料が連続的に消費されるホッパー内であっても、前駆体印刷材料と第1の添加剤との効率的な混合を実現することができる。
【0049】
前駆体印刷材料を送り出す材料ポンプは、脈動流を生成するように構成された任意のポンプであってもよい。一例として、材料ポンプはピストンポンプであってもよい。
【0050】
材料ポンプと添加剤ポンプは、任意の時点での両ポンプの体積流量の比が実質的に一定になるように、同期させることができる。
【0051】
第2の態様によれば、本開示は、印刷材料を使用して印刷するように構成された3D建造物印刷システムに関する。3D建造物印刷システムは、印刷ユニット、ガントリーシステム、材料ポンプ、可撓性チューブ及び添加剤システムを備える。印刷ユニットは、ホッパー、印刷ヘッド及び回転要素を備える。添加剤システムは、制御機構、添加剤出口及び制御ユニットを備える。
ここで、ガントリーシステムは、印刷ユニットを3次元空間内で移動させるように構成され、
材料ポンプは、結合剤、水及び砂を含む前駆体印刷材料を受け取り、前駆体印刷材料を、可撓性チューブを介して印刷ユニットへ向けて送り込み、材料搬送方向に前駆体印刷材料の流れを形成するように構成され、
ホッパーは、材料搬送方向において材料ポンプの下流かつ印刷ヘッドの上流に配置され、
制御ユニットは、前駆体印刷材料に添加する添加剤の量を制御するために添加剤システムの制御機構に操作可能に接続され、
添加剤システムの添加剤出口は、材料搬送方向においてホッパーの上流に位置付けられ、制御機構と材料ポンプの下流の前駆体印刷材料の流れとの間の流体接続を提供し、制御ユニットは、制御機構を制御して前駆体印刷材料の流れに第1の添加剤の流れを形成するように構成され、これによって、印刷ヘッドのノズル開口部を介して押し出される印刷材料の流れが形成される。
【0052】
前駆体印刷材料を印刷ユニットの近くの第1の添加剤又は印刷ユニット内の第1の添加剤と混合することにより、本発明の第1の態様を参照して上記で説明したように、さらに大きな建造物を構築することがさらに簡単になる可能性がある。過度の繰り返しを避けるため、本発明のいくつかの実施形態及び利点を、本発明の1つの態様のみを参照して説明している。そのような実施形態及び利点は、他の態様にも適用されることを理解されたい。
【0053】
いくつかの実施形態では、ホッパーは、印刷材料を前進させ、印刷中に印刷ヘッドへ向かう印刷材料の連続的な流れを生成するように構成された回転要素を有する。
【0054】
添加剤システムの制御機構は、制御弁及び/又は添加剤ポンプ、例えば、第1の添加剤を正確に投与可能な高精度ポンプであってもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、追加添加剤用の添加剤出口を印刷ユニット内に配置する。
【0056】
いくつかの実施形態では、システムは添加剤容器を備え、添加剤容器は添加剤システムの制御機構に流体的に接続された出口を備え、添加剤容器は一定量の第1の添加剤を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、添加剤容器は交換可能な容器であり、例えば、使い切った時点で新たな添加剤容器と交換可能な容器である。
【0058】
いくつかの実施形態では、添加剤容器は単一用途の使い捨て容器である。
【0059】
いくつかの実施形態では、添加剤容器は、満杯のときに少なくとも0.25リットルの第1の添加剤、少なくとも0.5リットルの第1の添加剤又は少なくとも2リットルの第1の添加剤を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、添加剤システムの制御ユニットは、制御機構を制御して、印刷材料中の第1の添加剤の体積パーミルが少なくとも0.2‰、少なくとも0.5‰又は少なくとも1.2‰となるように、前駆体印刷材料の流れに一定量の添加剤を添加するように構成される。
【0061】
いくつかの実施形態では、添加剤システムの制御ユニットは、制御機構を制御して、印刷材料中の第1の添加剤の体積パーミルが10‰未満、5‰未満又は2.5‰未満となるように、前駆体印刷材料の流れに一定量の添加剤を添加するように構成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、システムは、添加剤を供給するための少なくとも1つの添加剤ポンプをさらに備える。
【0063】
いくつかの実施形態では、材料ポンプは、ホッパーへ向かう前駆体印刷材料の脈動流を生成するように構成され、添加剤システムは、前駆体印刷材料がホッパーに到達する前に、場合によっては、前駆体印刷材料の脈動流と同期した第1の添加剤の脈動流を生成するように構成された添加剤ポンプによって、前駆体印刷材料に第1の添加剤を添加するように構成される。
【0064】
その結果、材料ポンプと添加剤ポンプを同期させることにより、印刷ヘッドへ向かって印刷材料が連続的に流れている場合でも、ホッパー内でも前駆体印刷材料と第1の添加剤との効果的な混合を実現することができる。
【0065】
前駆体印刷材料を送り出す材料ポンプは、脈動流を生成するように構成された任意のポンプであってもよい。一例として、材料ポンプはピストンポンプであってもよい。
【0066】
材料ポンプと添加剤ポンプは、任意の時点での両ポンプの体積流量の比率が実質的に一定になるように同期させることができる。
【0067】
システムは、前駆体印刷材料と第1の添加剤をホッパー内で混合するように構成することができ、その場合、ホッパーには、前駆体印刷材料と第1の添加剤の混合を支援するためのモータと混合アームとを含む回転要素が設けられる。
【0068】
一実施形態では、添加剤システムは、材料ポンプとホッパーとの間で可撓性チューブの延長上に配置されたアダプタを備え、その結果、前駆体印刷材料の流れがアダプタを通過する。ここで、アダプタには少なくとも1つの添加剤出口が設けられる。これによって、添加剤システムなしで既存の3D建造物印刷システムの適応を可能とする、又は、3D建造物印刷システムの別の用途への適応を可能とすることができる。
【0069】
アダプタは、アダプタの主要部から延びるパイプスタブなどの1つ又は複数の側面分岐を備えてもよい。側面分岐は、添加剤貯蔵ユニットに接続するように構成される、又は、添加剤出口を有する添加剤チューブを受容するように構成される。
【0070】
一実施形態では、添加剤出口を有する少なくとも1つの添加剤チューブがアダプタ内に延びており、その結果、添加剤出口はアダプタの中心線に位置付けられ、中心線は材料の搬送方向と平行に延びている。以下でさらに詳しく説明するように、これは、充分に混合された印刷材料の実現に寄与する可能性がある。
【0071】
一実施形態では、添加剤貯蔵器は、使用状態において添加剤出口の上方に配置され、添加する添加剤の量を制御するために弁又は添加剤ポンプを設ける。
【0072】
一実施形態では、材料入口弁を、材料搬送方向において添加剤出口の上流に位置付ける。
【0073】
第3の態様によれば、本開示は、3D建造物印刷システムで使用され、前駆体印刷材料及び第1の添加剤を含む印刷材料を使用して印刷するように構成された印刷ユニットに関する。前駆体印刷材料は、結合剤、水及び砂を含む。印刷ユニットは、材料入口と、一定量の印刷材料を収容するように構成されたホッパーと、印刷材料を押し出すように構成された印刷ヘッドであって、印刷ヘッドは、材料搬送方向においてホッパーの下流に配置される、印刷ヘッドと、印刷材料をホッパーから印刷ヘッドまで材料搬送方向に移動させるように構成された回転要素と、添加剤出口であって、添加剤出口は、材料搬送方向においてホッパーの上流に位置付けられる、添加剤出口と、を備える。
【0074】
ホッパーの上流に添加剤出口を設けることは、印刷ユニットに供給される前駆体印刷材料の量に応じて添加剤を混合することができることを意味する。このようにして、ホッパーに流入する材料は一定の組成を有することができ、実際の組成を計算するためにホッパー内に存在する印刷材料の量の推定値に頼る必要がない。
【0075】
材料ホッパーの上流、即ち、前駆体印刷材料がホッパーに流入する前に添加剤出口を設けることにより、材料入口に移動する前駆体印刷材料の動きが、ホッパーに流入する前に添加剤が前駆体印刷材料と少なくとも部分的に混合されることに寄与する可能性がある。
【0076】
特に、時間単位あたりに大量の印刷材料を受け取って押し出すように設計された大型印刷ユニットでは、印刷ユニットがホッパー内に配置された回転要素をさらに備えることが有利である可能性がある。
【0077】
一実施形態では、材料入口は、ホッパーの本体から突出する少なくとも1つの入口パイプを備え、材料入口パイプには添加剤出口が設けられる。
【0078】
材料入口に複数の添加剤出口が設けられる場合、添加剤出口は、材料搬送方向に互いに離れて配置され、上記のように異なる添加剤を異なる時間に添加することができる。第1の添加剤を入口パイプ内又は入口パイプにおいて添加し、別の添加剤をホッパー内に直接添加することによって、ほぼ同じ効果が得られる可能性がある。
【0079】
一実施形態では、添加剤出口は、材料入口パイプの印刷ユニットの使用状態にて上向きになる側に設けられる。このようにして、重力が添加剤の混合を支援することができる。これはこのほか、上記のアダプタに適用される場合がある。
【0080】
混合を容易にする追加又は代替の方法には、添加剤チューブに添加剤出口を形成し、添加剤チューブを材料入口パイプ内に突出させることが挙げられる。
【0081】
その結果、添加剤は、前駆体印刷材料の流れの中央部分に追加される場合がある。これによって、添加剤と前駆体印刷材料の混合がさらに速く、さらに効率的になる可能性がある。
【0082】
添加剤出口を、材料入口パイプの中心線に位置付け、中心線は、材料搬送方向と平行に延びる。これは、添加剤チューブの少なくとも遠位部分に、添加剤出口が材料入口パイプの中心線に実質的に平行に延びるようにすることで達成される場合がある。実験では、コンクリートをポンプで送り出すときに、コンクリートを搬送するパイプの中心線にて骨材の濃度が高くなる可能性があることがわかった。添加剤出口を中心線に配置すると、この影響を軽減するのに役立ち、それによって、充分に混合された印刷材料の実現に寄与する可能性がある。
【0083】
このほか、添加剤出口を、材料入口パイプの中心線と内側との間、例えば、材料入口パイプの中心線と内側との間の中間に位置付けることが有利である可能性がある。これによって、材料入口パイプ内の材料の流れに対する抵抗が低減されたり、及び/又は材料入口パイプが詰まるリスクが低減されたりする。これはアダプタにも当てはまる。
【0084】
添加剤出口のどの実施形態及び位置の方が良いかは、材料入口パイプの直径、添加剤の粘度、前駆体印刷材料の粘度、添加剤が水溶性であるかどうかなどの要因に依存することになり、実験によって判定することができる。
【0085】
一実施形態では、印刷ユニットは、添加剤出口に接続された添加剤貯蔵ユニットをさらに備える。添加剤貯蔵器は、印刷ユニットの使用状態において添加剤出口の上に配置されてもよく、その結果、添加剤が重力の影響下で供給されてもよく、その場合、添加する添加剤の量を制御可能にするための弁を設けることができる。これとは別に、添加剤を添加剤出口にポンプで送り出すための添加剤ポンプを設けてもよい。
【0086】
一実施形態では、印刷ユニットは、材料搬送方向において添加剤出口の上流に位置付けられた材料入口弁をさらに備える。これによって、材料入口から流入する前駆体印刷材料の量を正確に制御できるため、印刷プロセスの開始時又は生産停止後に印刷ヘッドに流入する最初の前駆体印刷材料でさえ、意図した明確な組成を有することになる。さらに、弁により、生産停止の場合及び印刷プロセスの終了時に前駆体印刷材料の供給を迅速かつ正確に遮断できるため、前駆体印刷材料の無駄を低減したり、及び/又はホッパー及び回転要素(存在する場合)を洗浄したりすることができる。
【0087】
本発明のさまざまな態様は、上記及び以下で説明する建造物を3D印刷する方法、3D建造物印刷システム及び3D建造物印刷システムで使用する印刷ユニットなど、さまざまな方法で実装することができる。それぞれが、上記で説明した態様の少なくとも1つに関連して説明した利益及び利点の1つ又は複数をもたらし、それぞれが、上記で説明した態様の少なくとも1つに関連して説明した好ましい実施形態及び/又は従属請求項で開示した好ましい実施形態に対応する1つ又は複数の好ましい実施形態を備えている。さらに、本明細書に記載した態様の1つに関連して記載した実施形態を、他の態様にも等しく適用し得ることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0088】
以下の説明では、本発明の実施形態を、概略図を参照して説明する。
【
図1】
図1は、建造物を3D印刷する方法の実施形態を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、3D建造物印刷システムの一実施形態の概略斜視図である。
【
図3】
図3は、印刷ユニットの第1の実施形態の概略断面図である。
【
図4】
図4は、印刷ユニットの第2の実施形態の概略断面図である。
【
図5】
図5は、印刷ユニットの第3の実施形態の概略断面図である。
【
図6】
図6は、印刷ユニットの第4の実施形態の概略断面図である。
【
図7】
図7は、印刷ユニットの第5の実施形態の概略断面図である。
【
図8】
図8は、印刷ユニットの第6の実施形態の概略断面図である。
【
図9】
図9は、印刷ユニットの第7の実施形態の部品の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
まず、
図1を参照すると、建造物を3D印刷する方法の一実施形態のフロー図を示している。
【0090】
ステップI)では、前駆体印刷材料を取得する。前駆体印刷材料は、現場での混合ユニットで製造されるか、外部の製造現場から供給される。前駆体印刷材料は、例えば、コンクリートであっても、結合剤、水及び砂を含む別の不均質な複合材料であってもよい。
【0091】
ステップII)では、材料ポンプを使用して、印刷ユニットへ向かう前駆体印刷材料の流れを形成する。流れは、例えば、ピストンポンプを使用する場合、連続的又は脈動的であってもよいが、流量は明確に規定され、正確に制御される必要がある。
【0092】
ステップIII)では、一定量の第1の添加剤を前駆体印刷材料に添加する。添加剤の混合は、材料搬送方向の材料ポンプの下流かつ印刷ユニットのホッパーの上流、即ち、材料ポンプと印刷ユニットとの間で発生する。第1の添加剤は添加剤ポンプを使用して添加されてもよく、このポンプは、前駆体印刷材料の流れを形成するために使用される材料ポンプと同期して、任意の時点での材料ポンプと添加剤ポンプの体積流量の比率が実質的に一定になるようにしてもよい。言い換えれば、必要に応じて、所与の量の前駆体印刷材料への添加剤の量は常に同じである。
【0093】
ステップIV)は任意選択であり、1つ又は複数の追加添加剤を混合することからなる。そのような添加剤の一例が、空気連行剤である。
【0094】
ステップV)では、前駆体印刷材料は、ステップIII)及びIV)で添加された添加剤と混合され、それにより、印刷材料を形成する。混合の少なくとも一部を、印刷ユニット内に配置された回転要素、例えば、ホッパー内に配置された回転要素を使用して実施する。
【0095】
ステップVI)では、印刷材料は、押し出された材料に所望の形状を与えるノズルを備える印刷ヘッドを介して押し出される。押し出しの速度は、回転要素の動作によって制御される。
【0096】
ここで
図2を参照すると、3D建造物印刷システム1を示している。このシステムは、ガントリーシステム3に取り付けられた印刷ユニット2を備え、ガントリーシステム3は、X軸、Y軸、Z軸によって規定される3次元空間で印刷ユニットを移動するように構成される。印刷ユニット2は、X軸に沿った水平方向に第1の横梁31に沿って移動できるように取り付けられ、第1の横梁は、Y軸に沿った水平方向に一組の第2の横梁32に沿って移動できるように取り付けられ、横梁の第2の組は、Z軸に沿った垂直方向に4つの垂直柱33に沿って移動可能であるように取り付けられる。このため、4つの垂直柱33の位置及び長さによって、印刷ユニット2が移動可能な空間が制限される。梁31、32の移動は、ここでは、取付ブロック310、320に組み込まれたモータを使用して実現され、印刷ユニット2は、第1の横梁310の取付ブロックに組み込まれたモータによって駆動される(図示しない)チェーンドライブによって移動する。
【0097】
ガントリーシステム3の4つの垂直柱33のそれぞれは、建造物が印刷される表面4上に設けられた基礎34上にあり、建物の第1の壁5を印刷している。表面4は、例えば、地面、基礎又は既存の建造物の上面である。
【0098】
ガントリーシステム3の隣には、前駆体印刷材料供給設備6を示しており、配管システム7が前駆体印刷材料供給設備を印刷ユニット2に接続し、前駆体印刷材料供給ラインとして機能する。
【0099】
前駆体印刷材料供給設備6は、他の場所で製造された前駆体印刷材料を受け取るための回転要素及び/又は緩衝ユニットを備えてもよい。前駆体印刷材料は、例えば、コンクリートであってもよく、前駆体印刷材料供給設備で製造されても、外部の製造現場から供給されてもよい。このほか、外部の製造現場から供給される材料を前駆体印刷材料供給設備で、例えば、1つ又は複数の添加剤、骨材又は繊維を混合することによって変更することができる。
【0100】
前駆体印刷材料を前駆体印刷材料供給設備6から配管システム7を介して印刷ユニットに押し出すために、材料ポンプ61を使用する。図示の実施形態では、材料ポンプは、前駆体印刷材料供給設備6に統合されているが、別個のユニットであることもあり得る。同じように、材料ポンプ61は、ガントリーシステム3内に配置されるか、ガントリーシステム3上に配置された材料ポンプに置き換えたり、材料ポンプを補足したりすることがあり得ることと、そのような材料ポンプは吸引ポンプである可能性があることを理解されたい。現時点では、高粘度材料の移動に充分に適したピストンポンプを使用するのが有利であると考えられている。これは、3D建造物印刷システムの他の部分がどのように具体化されているかに関係なく当てはまる。
【0101】
配管システム7は、ここでは可撓性チューブで構成されており、これによって、配管システムはガントリーシステム3及び印刷ユニットの動きに追従し、前駆体印刷材料の連続的かつ確実な供給が保証される。配管システムはこのほか、パイプを含んでもよい。
【0102】
1つ又は複数の(図示しない)添加剤供給ラインを配管システム7に統合してもよい。
【0103】
図示の実施形態では、印刷ユニット2への前駆体印刷材料の供給を制御するための制御ユニット8を前駆体印刷材料供給設備に組み込んでいる。これとは別に、制御ユニット8は、印刷ユニット2上又は印刷ユニット2内、あるいはガントリーシステム3上又は印刷ユニット2内など、他の場所に配置されることがあり得る。
【0104】
印刷ユニット2の一実施形態を
図3に示す。印刷ユニット2は、ホッパー21と、印刷ユニットの使用状態においてホッパーの下に配置される印刷ヘッド22と、を備える。ホッパー21の側壁からは材料入口パイプ23が延びており、回転スクリュー24の形態の回転要素がホッパーから印刷ヘッド内に延びている。(図示しない)印刷材料をホッパーに供給すると、スクリューは印刷材料を印刷ヘッド内に運ぶ役割を果たす。このため、ホッパーは材料搬送方向Tにて印刷ヘッドの前に配置される。
【0105】
スクリュー24はこのほか、例えば、生産停止中にホッパー内に収容された印刷材料が通常より早く固まらないように、ホッパー内に収容された印刷材料を撹拌するために使用されてもよい。
【0106】
印刷ヘッド22は、印刷材料が押し出されるノズル221と、印刷材料をノズルに導くように構成された胴部222とを備える。そのような印刷ヘッドは当業者によく知られているため、ここではこれ以上詳しく説明しない。
【0107】
添加剤チューブ9の形態の添加剤出口が材料入口パイプ23内に突出しているため、粘度調整剤などの添加剤を、ホッパー21に流入する前の前駆体印刷材料に添加することができる。このため、材料搬送方向Tから見た材料入口パイプ23の上流端は前駆体印刷材料入口を構成し、材料入口パイプ23の下流端は印刷材料出口を構成すると考えられている場合がある。
【0108】
この実施形態では、添加剤チューブが材料入口パイプの中心線Cに突出しており、これによって、添加剤は前駆体印刷材料の流れの中心に添加されるが、他の実施形態では添加剤チューブが材料入口パイプ内にそれほど突出していないことを理解されたい。
【0109】
図3に示す実施形態では、材料入口パイプ23と添加剤チューブ9の両方にピンチ弁231、91が設けられており、ピンチ弁は前駆体印刷材料と添加剤の流れをそれぞれ止めるために使用することができる。これによって、生産停止の場合に供給を迅速かつ適切に制御して停止することができる。
【0110】
前駆体印刷材料が材料入口パイプ23を通ってホッパー21内に流れ込み、スクリュー24が回転すると、添加剤が前駆体印刷材料と混合され、それによって、印刷ヘッドで使用する印刷材料を作成する。
【0111】
ここで
図4に示す印刷ユニットの第2の実施形態を参照すると、
図3と同じ参照番号を使用し、2つの実施形態の相違点のみを説明する。このような参照番号は、ほぼ同じ機能を有する要素の残りの図でも使用する。
【0112】
図4では、添加剤チューブ9は、印刷ユニット2の使用状態において材料入口パイプ23の上方を向く側に配置され、実質的に垂直であるが、
図3の添加剤チューブ9は材料入口パイプの中心線Cに対して実質的に直交して延びている。添加剤チューブ9のこの配置により、重力によって添加剤チューブを通過する添加剤の供給が容易になる可能性がある。さらに、添加剤チューブ9と材料入口パイプ23との間の角度により、添加剤と前駆体印刷材料との混合が改善される可能性がある。
【0113】
添加剤チューブ9はここでは直線の端で示しているが、
図8に示すように、パイプの片側が他方よりも材料入口パイプ内に長く延びるように傾斜させてもよいことを理解されたい。さらに、添加剤チューブ9は材料入口パイプ内に突出する必要はなく、添加剤チューブ9の代わりに材料入口パイプ内の単純な開口部の形態の(図示しない)添加剤出口を使用してもよいことを理解されたい。
【0114】
ここで
図5に示す印刷ユニットの第3の実施形態を参照すると、
図3及び
図4と同じ参照番号を使用し、実施形態間の相違点のみを説明する。
【0115】
この実施形態では、材料入口パイプ23は湾曲部を備え、ホッパー21の側壁から延びる第1の部分230に加えて、ホッパー21の側壁と実質的に平行に上方に延びる第2の部分232を有する。これによって、添加剤チューブ9が湾曲部で材料入口パイプ23内に突出し、材料入口パイプ23の第1の部分230の中心線Cに沿って延びる。これは、材料入口パイプに流入する添加剤が前駆体印刷材料と同じ方向に流れることを意味し、混合が容易になる可能性がある。
【0116】
図6に示す印刷ユニットの第4の実施形態を参照し、
図3から
図5と同じ参照番号を使用し、実施形態間の相違点のみを説明する。
【0117】
この実施形態では、ホッパー21には、モータ251と、ホッパー内で回転するように構成され、回転要素を構成する2つのミキサーアーム252とを含む回転要素25が設けられている。スクリュー24は、ここでは比較的短く、印刷ヘッド22の胴部222内にのみ延びている。この実施形態は、スクリューの動きが前駆体印刷材料と添加剤との充分な混合を達成するのに充分ではない可能性があるため、ここでは好ましいものである。
【0118】
図3から
図6の実施形態では、材料入口パイプ23は、印刷ユニットの使用状態において水平に対して約30度の角度で延びているが、他の角度も可能であることを理解されたい。印刷ユニットの使用状態において垂直に対して20度から50度の角度がここでは有利であると考えられており、45度の角度の追加の印刷ユニットを
図7に示す。この実施形態は、材料入口パイプ23とは別のアダプタ70上に設けられた2つの添加剤チューブ9a、9bを含む点で、
図6の実施形態とさらに異なる。ホッパー21の材料入口パイプ23にはここで、アダプタ70又は配管システム7と相互接続するためのネジ山などのコネクタ27が設けられている。
【0119】
図7では、2つの添加剤チューブ9a、9bのそれぞれが、
図4とほぼ同じように材料搬送方向Tのほか、上記のようにパイプユニットの中心線Cに対して45度の角度で延びている。
【0120】
材料搬送方向Tにおいて互いに離れた位置に設けられた2つの別個の添加剤チューブ9a、9bにより、一方の添加剤を他方の添加剤よりも先に添加することができる。これは、例えば、一方の添加剤の粘度が他方の添加剤よりも高い場合、あるいは2つの添加剤を併せて添加すると一方の添加剤が他方の添加剤の効果を妨げる恐れがある場合に有利である場合がある。2つの添加剤チューブのみを示しているが、これより多いチューブがあってもよいことを理解されたい。
【0121】
図8に示す実施形態は、回転要素25の設計と添加剤チューブ9a、9bの設計を除いて、
図7の実施形態に対応する。
【0122】
ここでは、一方の混合アーム252aがホッパー21内の高めの位置で動作するように
図8のものよりも短くなっており、これによって、印刷材料が適切に処理されないデッドゾーンの形成のリスクを軽減するのに寄与する可能性がある。追加のアームを提供する、又は、別のタイプのミキサーを使用することにより、ほぼ同じ効果が得られる可能性がある。
【0123】
ここでは、添加剤チューブ9a、9bの端部が斜めになっており、その結果、添加剤出口が材料流れ方向Tの下方を向いている。これによって、添加剤チューブがコンクリートによって塞がれるリスクが軽減され、添加剤の混合が容易になる可能性がある。
【0124】
図3から
図8と同じ全体構造の印刷ユニットの追加の実施形態を、印刷ヘッドのない状態で、
図9に示している。ここでは、2つのパイプスタブ71a、71bを備えた別個のアダプタ70を、2つの添加剤チューブ9a、9bを受容するために設ける。ここでの各添加剤チューブは、パイプ部分91と、パイプスタブ及び(図示しない)添加剤供給ラインにそれぞれ取り付けるための一組のコネクタ取付具92、93から構成される。
【0125】
2つの添加剤チューブを含む図示の実施形態はいずれもアダプタを含むが、
図3から
図6の材料入口パイプ23に2つ以上の添加剤チューブを設けることもでき、添加剤チューブのない実施形態でも、互いに離れた2つ以上の出口開口部を設けることが有利である可能性があることを理解されたい。
【0126】
図面に示すアダプタ70はいずれも湾曲部を有するが、アダプタは直線状であっても、複数の湾曲部を有していてもよいことを理解されたい。同じように、アダプタの寸法は異なっていてもよい。
【0127】
図9に示す添加剤チューブ9a、9bの分解図を
図10に示す。パイプ部分91の一端では、パイプスタブ71a、71bに取り付けるためのコネクタ取付具92を、ねじ込み取付部921とガスケット部材922とを備えた状態で示し、他端では、パイプスタブに取り付けるためのコネクタ取付具93を、第2の取付部931と一組の弁部材932、933とを備えた状態で示す。
【0128】
パイプ部分91及びコネクタ取付具92を、
図11にさらに詳細に示している。図示のように、パイプ部分91は、
図8を参照して上述したように、実際の出口を形成する端部94として機能する端部に角度の付いた切断部を有している。
【0129】
アダプタ70でのパイプ部分91の挿入深さは、パイプ部分91上のコネクタ取付具92の位置を調整することによって、調整されてもよい。
【0130】
図面に示し、上記で説明した実施形態は、例として意図されているにすぎず、添付の請求項によって定義される本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【国際調査報告】