(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】ロボットハンドおよびロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 15/10 20060101AFI20250121BHJP
B25J 17/00 20060101ALI20250121BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
B25J15/10
B25J17/00 E
B25J15/08 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537569
(86)(22)【出願日】2023-05-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 CN2023097055
(87)【国際公開番号】W WO2024113734
(87)【国際公開日】2024-06-06
(31)【優先権主張番号】202211543802.8
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211537972.5
(32)【優先日】2022-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521162399
【氏名又は名称】之江実験室
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 璞
(72)【発明者】
【氏名】顧 建軍
(72)【発明者】
【氏名】朱 世強
(72)【発明者】
【氏名】宛 敏紅
(72)【発明者】
【氏名】厳 敏東
(72)【発明者】
【氏名】高 广
(72)【発明者】
【氏名】鐘 霊
(72)【発明者】
【氏名】黄 秋蘭
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707DS01
3C707ES06
3C707ES08
3C707ET03
3C707EU03
3C707EU18
3C707EV04
3C707EV18
3C707HS27
(57)【要約】
本発明は、ロボットハンドおよびロボットに関する。ロボットハンドは掌部と、機械指と、駆動構造とを備える。掌部は、掌平面および掌平面に垂直な掌側面を有する。機械指は、掌側面に設けられる。駆動構造は、掌部と機械指との間に設けられて、機械指と掌部とを接続方向に接続する。駆動構造は、機械指の、回転軸線周りの回転を駆動するために用いられ、回転軸線が接続方向に垂直に延び、かつ掌平面に平行する。駆動構造は、機械指の、揺動軸線周りの回転を駆動するためにも用いられ、揺動軸線が掌平面と交差する。揺動軸線は回転軸線に垂直する。本発明の機械指は2つの異なる方向への回転運動が可能であるため、人間の指のような運動自由度を有し、ロボットハンドの擬人化の程度を向上させることができる。また、本発明のロボットハンドの設置方法は、簡単な動作の運動自由度のニーズを満たすことができ、ロボットハンドが人間の手の姿勢を模倣し、簡単な手の動作を十分に行うことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットハンドであって、
掌平面および前記掌平面に垂直な掌側面を有する掌部と、
前記掌側面に設けられる機械指と、
前記掌部と前記機械指との間に設けられて、前記機械指と前記掌部とを接続方向に接続する駆動構造と、を備え、
前記駆動構造は、前記機械指の、回転軸線周りの回転と揺動軸線周りの回転との少なくとも一方を駆動するために用いられ、前記回転軸線が前記接続方向に垂直に延び、かつ前記掌平面に平行し、前記揺動軸線が前記掌平面と交差し、かつ前記回転軸線に垂直する
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
前記駆動構造は、前記機械指を前記回転軸線周りに回転駆動するための回動駆動モジュールを備え、前記回動駆動モジュールは、
前記掌部に固定され、回動モータ本体、回動モータベースおよび回動軸を備える回動モータと、
前記回動モータ本体に固定接続される回動主動歯車と、
前記回動軸に固定接続される回動従動歯車と、を備え、
前記回動軸は、前記回動モータベースに可動接続され、前記機械指に固定接続され、
前記回動主動歯車の主動回動軸線は、前記接続方向に延び、
前記回動従動歯車は前記回動主動歯車と噛合し、前記回動従動歯車の従動回動軸線は、前記回転軸線と一致する
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記駆動構造は、前記機械指を前記回転軸線周りに回転駆動する、および前記機械指を前記揺動軸線周りに回転駆動するための揺動駆動モジュールを備え、前記揺動駆動モジュールは、
揺動モータ本体、揺動モータベース、および前記揺動モータベースに固定接続される十字軸を備える揺動モータと、
第1揺動歯車および第2揺動歯車を備える揺動歯車セットと、
前記第1揺動歯車と前記第2揺動歯車との間に設けられ、前記第1揺動歯車と前記第2揺動歯車とにそれぞれ噛合する出力歯車と、を備え、
前記十字軸は、前記回転軸線に沿って延びる第1軸と、前記揺動軸線に沿って延びる第2軸と、を有し、
前記第1揺動歯車と前記第2揺動歯車は、それぞれ前記第1軸に回転可能に接続され、前記揺動モータは、前記第1揺動歯車および前記第2揺動歯車を同方向または逆方向に回転駆動するために用いられ、
前記出力歯車の軸線は前記揺動軸線と一致し、前記出力歯車は前記機械指に固定接続され、前記機械指は前記第2軸に回転可能に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項4】
前記揺動モータは、
前記揺動モータ本体に固定接続される第1主動歯車と、
前記揺動モータ本体に固定接続される第2主動歯車と、を備え、
前記第1主動歯車は前記第1揺動歯車と噛合し、前記第1主動歯車の回転軸線は、前記接続方向に延び、
前記第2主動歯車は前記第2揺動歯車と噛合し、前記第2主動歯車の回転軸線は、前記接続方向に延びる
ことを特徴とする請求項3に記載のロボットハンド。
【請求項5】
前記第1揺動歯車は、固定接続される第1メイン歯車と第1サブ歯車とを備え、前記第1メイン歯車が前記第1主動歯車と噛合し、前記第1サブ歯車が前記出力歯車と噛合し、前記第1メイン歯車の直径が、前記第1サブ歯車より大きい、および/または、
前記第2揺動歯車は、固定接続される第2メイン歯車と第2サブ歯車とを備え、前記第2メイン歯車が前記第2主動歯車と噛合し、前記第2サブ歯車が前記出力歯車と噛合し、前記第2メイン歯車の直径が、前記第2サブ歯車より大きい
ことを特徴とする請求項4に記載のロボットハンド。
【請求項6】
前記機械指は、掌根ユニットと、指ユニットと、を備え、前記駆動構造はさらに、前記掌根ユニットと前記指ユニットとの間に設けられて、前記掌根ユニットと前記指ユニットとを接続し、前記指ユニットを折曲軸線周りに回動駆動するために用いられ、
前記折曲軸線の投影と、前記回転軸線の投影とが交差する
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項7】
前記ロボットハンドは、
指腹パネルおよび指先ベースを有する指先モジュールと、
前記指先モジュールに設けられ、前記機械指の指先の力を検出するための力センサと、を備え、
前記指腹パネルは前記指先ベースに摺動接続され、
前記力センサの少なくとも一部は、前記指先ベースの前記指腹パネルに面する側に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項8】
前記指先ベースの前記指腹パネルに面する側は、ガイドポストを有し、前記指腹パネルは、前記ガイドポストを嵌め込むためのガイド孔を有し、および/または、前記指先ベースの前記指腹パネルに面する側は、ガイド孔を有し、前記指腹パネルは、前記ガイド孔に嵌め込まれるガイドポストを有する
ことを特徴とする請求項7に記載のロボットハンド。
【請求項9】
前記指先モジュールは、前記指腹パネルと前記指先ベースとの間に設けられる弾性部材をさらに備え、前記弾性部材の一端は前記指腹パネルに当接し、他端は前記指先ベースに当接し、前記弾性部材は圧縮状態にある
ことを特徴とする請求項7に記載のロボットハンド。
【請求項10】
前記機械指の数は複数であり、各前記機械指には、対応する前記駆動構造が設けられ、
前記掌側面は、先端面および前記先端面に垂直な側端面を有し、複数の前記機械指は、前記側端面に設けられる第1機械指と、前記先端面に設けられる第2機械指と、を含み、前記第1機械指の延在軸線と前記掌平面との間の角度は10度以上30度以下であり、
前記第1機械指の指腹と前記第2機械指の指腹とは同一平面上に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項11】
前記機械指は、延在方向に沿って設けられる指先と、中間指部と、近端指部と、を有し、前記中間指部が前記指先に回転可能に接続され、前記近端指部と前記掌部との間に前記駆動構造が接続され、
前記ロボットハンドは、
前記中間指部と前記近端指部との間に設けられ、前記中間指部と前記近端指部とにそれぞれ回転可能に接続され、前記中間指部と前記近端指部との間の角度を変えるための関節構造をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項12】
前記駆動構造は、前記機械指を前記回転軸線周りに回転駆動するための回動駆動モジュールを備え、前記回動駆動モジュールは、
前記掌部に固定され、回動モータ本体、回動駆動軸、回動モータベースおよび回動軸を備える回動モータと、
前記回動駆動軸に固定接続される回動主動歯車と、
前記回動軸に固定接続される回動従動歯車と、を備え、
前記回動軸は、前記回動モータベースに可動接続され、前記近端指部に固定接続され、
前記回動主動歯車の主動回動軸線は、前記接続方向に延び、
前記回動従動歯車は前記回動主動歯車と噛合し、前記回動従動歯車の従動回動軸線は前記回転軸線と一致する
ことを特徴とする請求項11に記載のロボットハンド。
【請求項13】
前記指先は、平行に設けられる第1指先軸と第2指先軸とを有し、前記関節構造は、平行に設けられる第1関節軸と第2関節軸と第3関節軸とを有し、
前記近端指部は、第1近端リンクおよび第2近端リンクを有し、前記第1近端リンクの一端は前記回動軸に固定接続され、他端は前記第1関節軸と第2関節軸とにそれぞれ回転可能に接続され、前記第2近端リンクの一端は前記回動モータベースに回転可能に接続され、他端は前記第3関節軸に回転可能に接続され、前記第1指先軸の軸線方向において、第1近端リンクの投影と第2近端リンクの投影とが交差し、
前記中間指部は、第1中間リンクおよび第2中間リンクを有し、前記第1中間リンクの一端は前記第1指先軸に回転可能に接続され、他端は前記第2関節軸に回転可能に接続され、前記第2中間リンクの一端は前記第2指先軸に回転可能に接続され、他端は前記第3関節軸と前記第1関節軸とにそれぞれ回転可能に接続され、前記第1指先軸の軸線方向において、前記第1中間リンクの投影と前記第2中間リンクの投影とが交差する
ことを特徴とする請求項12に記載のロボットハンド。
【請求項14】
前記関節構造は関節モータを有し、前記関節モータは、
前記近端指部に固定接続される関節モータベースと、
前記関節モータベースに回転可能に接続され、かつ前記中間指部に固定接続される関節駆動軸と、
関節主動歯車と、
前記関節モータベースに固定され、かつ前記関節主動歯車に固定接続され、前記関節主動歯車を回転駆動するための関節モータ本体と、
前記関節駆動軸に固定接続される関節従動歯車と、を備え、
前記関節駆動軸は、前記中間指部を回転駆動して、前記中間指部と前記近端指部との間の角度を変えるために用いられ、
前記関節主動歯車の関節主動軸線は、前記延在方向に延び、
前記関節従動歯車は前記関節主動歯車と噛合し、前記関節従動歯車の関節従動軸線は、前記関節主動軸線に垂直する
ことを特徴とする請求項11に記載のロボットハンド。
【請求項15】
前記指先は、平行に設けられる第1指先軸と第2指先軸とを有し、前記中間指部は、
一端は前記関節駆動軸に固定接続され、他端は前記第1指先軸に回転可能に接続される主動リンクと、
一端は前記第2指先軸に回転可能に接続され、他端は前記関節モータに回転可能に接続される従動リンクと、を備え、
前記主動リンクは、前記関節駆動軸周りに回転するように前記関節モータに駆動され、
前記第1指先軸の軸線方向において、前記主動リンクの投影と前記従動リンクの投影とが交差する
ことを特徴とする請求項14に記載のロボットハンド。
【請求項16】
前記主動リンクは、第1サブリンクと第2サブリンクとを有し、前記第1サブリンクの一端は前記関節駆動軸に固定接続され、他端は前記第2サブリンクに回転可能に接続され、前記第2サブリンクの前記第1サブリンクから離れる端部は、前記第1指先軸に回転可能に接続され、前記従動リンクは、前記関節駆動軸に回転可能に接続される
ことを特徴とする請求項15に記載のロボットハンド。
【請求項17】
前記中間指部は、延在方向に沿って設けられる弾性部材をさらに有し、前記弾性部材の一端は前記指先の接続点に固定接続され、他端は前記従動リンクに固定接続され、前記弾性部材は伸張状態にあり、前記接続点は、前記第2指先軸の延在軸線から離れる
ことを特徴とする請求項16に記載のロボットハンド。
【請求項18】
前記機械指の数は複数であり、各前記機械指には、対応する前記駆動構造および/または前記関節構造が設けられる
ことを特徴とする請求項11に記載のロボットハンド。
【請求項19】
胴体部と、上肢部と、請求項1から18のいずれか1項に記載のロボットハンドとを備えるロボットであって、前記上肢部の一端は前記ロボットハンドに接続され、他端は前記胴体部に接続される
ことを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット分野に関連し、特に、ロボットハンドおよびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
人間型ロボットの発展に伴い、人間型ロボットはますます注目されるようになった。人間型ロボットは、人間の動作姿勢を模倣して作業タスクを遂行することができるため、ロボットが日常生活に入って、人間の代わりに日常生活の煩雑な作業を遂行することが望まれている。
【0003】
ロボットハンドはロボットの重要なコンポーネントである。ロボットハンドをできるだけ擬人化し、ロボットハンドの動作の信頼性を高めることは、現在業界内で注目される問題である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は関連技術の不足を解決するために、ロボットハンドおよびロボットを提供する。
【0005】
本発明の第1態様は、ロボットハンドを提供し、前記ロボットハンドは、掌平面および前記掌平面に垂直な掌側面を有する掌部と、前記掌側面に設けられる機械指と、前記掌部と前記機械指との間に設けられて、前記機械指と前記掌部とを接続方向に接続する駆動構造と、を備え、前記駆動構造は、前記機械指の、回転軸線周りの回転と揺動軸線周りの回転との少なくとも一方を駆動するために用いられ、前記回転軸線が前記接続方向に垂直に延び、かつ前記掌平面に平行し、前記揺動軸線が前記掌平面と交差し、かつ前記回転軸線に垂直する。
【0006】
さらに、前記駆動構造は、前記機械指を前記回転軸線周りに回転駆動するための回動駆動モジュールを備え、前記回動駆動モジュールは、前記掌部に固定され、回動モータ本体、回動モータベースおよび回動軸を備える回動モータと、前記回動モータ本体に固定接続される回動主動歯車と、前記回動軸に固定接続される回動従動歯車と、を備え、前記回動軸は、前記回動モータベースに可動接続され、前記機械指に固定接続され、前記回動主動歯車の主動回動軸線は、前記接続方向に延び、前記回動従動歯車は前記回動主動歯車と噛合し、前記回動従動歯車の従動回動軸線は、前記回転軸線と一致する。
【0007】
さらに、前記駆動構造は、前記機械指を前記回転軸線周りに回転駆動する、および前記機械指を前記揺動軸線周りに回転駆動するための揺動駆動モジュールを備え、前記揺動駆動モジュールは、揺動モータ本体、揺動モータベース、および前記揺動モータベースに固定接続される十字軸を備える揺動モータと、第1揺動歯車および第2揺動歯車を備える揺動歯車セットと、前記第1揺動歯車と前記第2揺動歯車との間に設けられ、前記第1揺動歯車と前記第2揺動歯車とそれぞれ噛合する出力歯車と、を備え、前記十字軸は、前記回転軸線に沿って延びる第1軸と、前記揺動軸線に沿って延びる第2軸と、を有し、前記第1揺動歯車と前記第2揺動歯車は、それぞれ前記第1軸に回転可能に接続され、前記揺動モータは、前記第1揺動歯車および前記第2揺動歯車を同方向または逆方向に回転駆動するために用いられ、前記出力歯車の軸線は前記揺動軸線と一致し、前記出力歯車は前記機械指に固定接続され、前記機械指は前記第2軸に回転可能に接続される。
【0008】
さらに、前記揺動モータは、前記揺動モータ本体に固定接続される第1主動歯車と、前記揺動モータ本体に固定接続される第2主動歯車と、を備え、前記第1主動歯車は前記第1揺動歯車と噛合し、前記第1主動歯車の回転軸線は、前記接続方向に延び、前記第2主動歯車は前記第2揺動歯車と噛合し、前記第2主動歯車の回転軸線は、前記接続方向に延びる。
【0009】
さらに、前記第1揺動歯車は、固定接続される第1メイン歯車と第1サブ歯車とを備え、前記第1メイン歯車が前記第1主動歯車と噛合し、前記第1サブ歯車が前記出力歯車と噛合し、前記第1メイン歯車の直径が、前記第1サブ歯車より大きい、および/または、前記第2揺動歯車は、固定接続される第2メイン歯車と第2サブ歯車とを備え、前記第2メイン歯車が前記第2主動歯車と噛合し、前記第2サブ歯車が前記出力歯車と噛合し、前記第2メイン歯車の直径が、前記第2サブ歯車より大きい。
【0010】
さらに、前記機械指は、掌根ユニットと、指ユニットと、を備え、前記駆動構造はさらに、前記掌根ユニットと前記指ユニットとの間にさらに設けられて、前記掌根ユニットと前記指ユニットとを接続し、前記指ユニットを折曲軸線周りに回動駆動するために用いられ、前記折曲軸線の投影と、前記回転軸線の投影とが交差する。
【0011】
さらに、前記ロボットハンドは、指腹パネルおよび指先ベースを有する指先モジュールと、前記指先モジュールに設けられ、前記機械指の指先の力を検出するための力センサと、を備え、前記指腹パネルは前記指先ベースに摺動接続され、前記力センサの少なくとも一部は、前記指先ベースの前記指腹パネルに面する側に設けられる。
【0012】
さらに、前記指先ベースの前記指腹パネルに面する側は、ガイドポストを有し、前記指腹パネルは、前記ガイドポストを嵌め込むためのガイド孔を有し、および/または、前記指先ベースの前記指腹パネルに面する側は、ガイド孔を有し、前記指腹パネルは、前記ガイド孔に嵌め込まれるガイドポストを有する。
【0013】
さらに、前記指先モジュールは、前記指腹パネルと前記指先ベースとの間に設けられる弾性部材をさらに備え、前記弾性部材の一端は前記指腹パネルに当接し、他端は前記指先ベースに当接し、前記弾性部材は圧縮状態にある。
【0014】
さらに、前記機械指の数は複数であり、各前記機械指には、対応する前記駆動構造が設けられ、前記掌側面は、先端面および前記先端面に垂直な側端面を有し、複数の前記機械指は、前記側端面に設けられる第1機械指と、前記先端面に設けられる第2機械指と、を含み、前記第1機械指の延在軸線と前記掌平面との間の角度は10度以上30度以下であり、前記第1機械指の指腹と前記第2機械指の指腹とは同一平面上に設けられる。
【0015】
さらに、前記機械指は、延在方向に沿って設けられる指先と、中間指部と、近端指部と、を有し、前記中間指部が前記指先に回転可能に接続され、前記近端指部と前記掌部との間に前記駆動構造が接続され、前記ロボットハンドは、前記中間指部と前記近端指部との間に設けられ、前記中間指部と前記近端指部とにそれぞれ回転可能に接続され、前記中間指部と前記近端指部との間の角度を変えるための関節構造をさらに備える。
【0016】
さらに、前記駆動構造は、前記機械指を前記回転軸線周りに回転駆動するための回動駆動モジュールを備え、前記回動駆動モジュールは、前記掌部に固定され、回動モータ本体、回動駆動軸、回動モータベースおよび回動軸を備える回動モータと、前記回動駆動軸に固定接続される回動主動歯車と、前記回動軸に固定接続される回動従動歯車と、を備え、前記回動軸は、前記回動モータベースに可動接続され、前記近端指部に固定接続され、前記回動主動歯車の主動回動軸線は、前記接続方向に延び、前記回動従動歯車は前記回動主動歯車と噛合し、前記回動従動歯車の従動回動軸線は前記回転軸線と一致する。
【0017】
さらに、前記指先は、平行に設けられる第1指先軸と第2指先軸とを有し、前記関節構造は、平行に設けられる第1関節軸と第2関節軸と第3関節軸とを有し、前記近端指部は、第1近端リンクおよび第2近端リンクを有し、前記第1近端リンクの一端は前記回動軸に固定接続され、他端は前記第1関節軸と第2関節軸とにそれぞれ回転可能に接続され、前記第2近端リンクの一端は前記回動モータベースに回転可能に接続され、他端は前記第3関節軸に回転可能に接続され、前記第1指先軸の軸線方向において、第1近端リンクの投影と第2近端リンクの投影とが交差し、前記中間指部は、第1中間リンクおよび第2中間リンクを有し、前記第1中間リンクの一端は前記第1指先軸に回転可能に接続され、他端は前記第2関節軸に回転可能に接続され、前記第2中間リンクの一端は前記第2指先軸に回転可能に接続され、他端はそれぞれ前記第3関節軸と前記第1関節軸とにそれぞれ回転可能に接続され、前記第1指先軸の軸線方向において、前記第1中間リンクの投影と前記第2中間リンクの投影とが交差する。
【0018】
さらに、前記関節構造は関節モータを有し、前記関節モータは、前記近端指部に固定接続される関節モータベースと、前記関節モータベースに回転可能に接続され、かつ前記中間指部に固定接続される関節駆動軸と、関節主動歯車と、前記関節モータベースに固定され、かつ前記関節主動歯車に固定接続され、前記関節主動歯車を回転駆動するための関節モータ本体と、前記関節駆動軸に固定接続される関節従動歯車と、を備え、前記関節駆動軸は、前記中間指部を回転駆動して、前記中間指部と前記近端指部との間の角度を変えるために用いられ、前記関節主動歯車の関節主動軸線は、前記延在方向に延び、前記関節従動歯車は前記関節主動歯車と噛合し、前記関節従動歯車の関節従動軸線は、前記関節主動軸線に垂直する。
【0019】
さらに、前記指先は、平行に設けられる第1指先軸と第2指先軸とを有し、前記中間指部は、一端は前記関節駆動軸に固定接続され、他端は前記第1指先軸に回転可能に接続される主動リンクと、一端は前記第2指先軸に回転可能に接続され、他端は前記関節モータに回転可能に接続される従動リンクと、を備え、前記主動リンクは、前記関節駆動軸周りに回転するように前記関節モータに駆動され、前記第1指先軸の軸線方向において、前記主動リンクの投影と前記従動リンクの投影とが交差する。
【0020】
さらに、前記主動リンクは、第1サブリンクと第2サブリンクとを有し、前記第1サブリンクの一端は前記関節駆動軸に固定接続され、他端は前記第2サブリンクに回転可能に接続され、前記第2サブリンクの前記第1サブリンクから離れる端部は、前記第1指先軸に回転可能に接続され、前記従動リンクは、前記関節駆動軸に回転可能に接続される。
【0021】
さらに、前記中間指部は、延在方向に沿って設けられる弾性部材をさらに有し、前記弾性部材の一端は前記指先の接続点に固定接続され、他端は前記従動リンクに固定接続され、前記弾性部材は伸張状態にあり、前記接続点は、前記第2指先軸の延在軸線から離れる。
【0022】
さらに、前記機械指の数は複数であり、各前記機械指には、対応する前記駆動構造および/または前記関節構造が設けられる。
【0023】
本発明の第2態様は、胴体部と、上肢部と、上記第2態様に記載のロボットハンドとを備えるロボットを提供し、前記上肢部の一端は前記ロボットハンドに接続され、他端は前記胴体部に接続される。
【0024】
上記の実施形態から分かるように、本発明の機械指は2つの異なる方向への回転運動が可能であるため、人間の指のような運動自由度を有し、ロボットハンドの擬人化の程度を向上させることができる。また、本発明のロボットハンドの設置方法は、簡単な動作の運動自由度のニーズを満たすことができ、ロボットハンドが人間の手の姿勢を模倣し、簡単な手の動作を十分に行うことができる。
【0025】
上記の一般的な説明および後述の詳細な説明は、例示的または説明的なものであり、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の実施形態における技術案をより明確に説明するために、以下、実施形態の説明において使用する図面について簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとっては、創造的な努力なしに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明のロボットハンドの一実施形態の全体概略図である。
【
図2】本発明のロボットハンドの別の実施形態の全体概略図である。
【
図3】本発明のロボットハンドの第2機械指の一実施形態の全体概略図である。
【
図4】本発明のロボットハンドの第1機械指の一実施形態の全体概略図である。
【
図5】本発明の揺動駆動モジュールの一実施形態の全体概略図である。
【
図6】本発明のロボットハンドの指先モジュールの一実施形態の分解模式図である。
【
図7】本発明のロボットハンドの別の実施形態の正面の全体概略図である。
【
図8】
図7に示すロボットハンドの裏面の全体概略図である。
【
図9】本発明のロボットハンドの機械指の一実施形態の正面の全体概略図である。
【
図10】
図9に示す機械指の裏面の全体概略図である。
【
図11】本発明のロボットハンドの機械指の別の実施形態の全体概略図である。
【
図12】本発明のロボットハンドの機械指の別の実施形態の裏面の全体概略図である。
【
図14】本発明の機械指の一実施形態の関節構造、中間指部の機械構造簡略化図である。
【
図15】本発明のロボットハンドの一実施形態の側面概略図である。
【
図16】本発明の機械指の一実施形態の関節構造、近端指部および中間指部の機械構造簡略化図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、図面に示す例示的な実施形態について詳細に説明する。以下の説明が図面に関連する場合、特に示されない限り、異なる図面における同じ数字は同一または類似する要素を表す。以下の例示的な実施形態で説明する方法は、本発明と一致するすべての方法を意味するものではない。逆に、これらは、添付の特許請求の範囲に詳細に記載された、本発明のいくつかの態様と一致する装置の例にすぎない。
【0028】
本発明で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明を制限することを意図するものではない。特別な定義がない限り、本発明で使用される技術用語または科学用語は、本発明が属する分野において一般的な技能を有する者に理解される通常の意味であるべきである。本発明明細書および特許請求の範囲で使用される「第1」、「第2」および類似する用語は、いかなる順序、数量または重要性を示すものではなく、異なる構成要素を区別するために使用されるものである。同様に、「1つ」や「一」などの類似語も数量制限を示すものではなく、少なくとも1つが存在することを示し、「1つ」だけを指す場合は別途説明する。「複数」または「いくつか」は2つ以上を意味する。特に明記しない限り、「前部」、「後部」、「下部」および/または「上部」などの類似語は説明の便宜上のものであり、1つの位置または1つの空間方向に限定されるものではない。「含む」または「有する」などの類似語は、含まれる、または有される要素または物品が、それを「含む」または「有する」要素または物品にカバーされるまたは同等することを意味し、他の要素または物品を排除するものではない。「接続する」または「連結する」などの類似語は、物理的または機械的な接続に限定されるものではなく、直接または間接的にかかわらず、電気的な接続を含むことができる。本発明の明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形の「1つ」、「前記」および「該」は、文脈が他の意味を明確に示さない限り、複数の形を含むことを意図する。理解されるように、本明細書で使用される「および/または」という用語は、1つまたは複数の関連するアイテムの任意のまたはすべての可能な組み合わせを含むことを意味する。
【0029】
図1および
図2を参照して、本発明の第1態様は、掌部1と、駆動構造2と、機械指3とを備えるロボットハンド100を提供する。掌部1は、掌平面12および掌平面12に垂直な掌側面13を有する。機械指3は、掌側面13に設けられる。駆動構造2は、掌部1と機械指3との間に設けられて、機械指3と掌部1とを接続方向DEに接続する。つまり、ロボットハンド100は人間の手のような構造を形成している。駆動構造2は、機械指3の、回転軸線RA周りの回転と揺動軸線SA周りの回転との少なくとも一方を駆動するために用いられる。回転軸線RAが接続方向DEに垂直に延び、かつ掌平面12に平行する。揺動軸線SAが掌平面12と交差し、かつ回転軸線RAに垂直する。
【0030】
図2に示す実施形態を例にとって説明する。掌平面12の延在平面は、長さ方向Xと幅方向Yが位置する平面に平行する。機械指3が回転軸線RA周りに回転するとき、ロボットハンド100は実際に人間の指の前後揺動、すなわち掌の開閉を模倣している。回転軸線RAは掌平面12に平行するため、機械指3が回転軸線RA周りに回転するとき、長さ方向Xと厚さ方向Zが位置する平面上で機械指3の延在軸線と掌平面12との間の角度を変えていてもよいし、幅方向Yと厚さ方向Zが位置する平面上で機械指3の延在軸線と掌平面12との間の角度を変えていてもよい。
【0031】
揺動軸線SAと掌平面12とが交差する。したがって、機械指3が揺動軸線SA周りに回転するとき、機械指3と掌平面12との間の角度は一定である。しかし、長さ方向Xと幅方向Yが位置する平面上では、機械指3の延在軸線と長さ方向Xとの間の角度が変化する。このため、機械指3が揺動軸線SA周りに回転するとき、ロボットハンド100は実際に人間の指の左右揺動を模倣している。
【0032】
このような設置により、本発明の機械指3は2つの異なる方向への回転運動が可能であるため、人間の指のような運動自由度を有し、ロボットハンド100の擬人化の程度を向上させることができる。また、簡単な動作では、人間は通常、指の左右揺動と前後揺動だけを使う。よって、本発明のロボットハンド100の設置方法は、簡単な動作の運動自由度のニーズを満たすことができ、ロボットハンド100が人間の手の姿勢を模倣し、例えばピアノを弾いたり、キーボードを押したりするなどの簡単な手の動作を行うことができる。
【0033】
ロボットハンド100の運動を明確に説明するために、上記では、基準方向、すなわち長さ方向X、幅方向Y、厚さ方向Zを用いて説明した。なお、長さ方向Xと、幅方向Yと、厚さ方向Zとの間にはそれぞれ垂直であり、ここでは説明を省略する。また、本明細書で説明する左右揺動は、幅方向Yにおいて機械指3の指先の移動と見なすことができ、前後揺動は、厚み方向Zにおいて機械指3の指先の移動と見なすことができる。
【0034】
掌側面13は、先端面131および先端面131に垂直な側端面132有する。機械指3は、先端面131または側端面132に設けられてもよく、本発明ではこれに限定されない。また、ロボットハンド100には、1つ、2つ、またはそれ以上の機械指3が設けられてもよく、本発明ではこれに限定されない。
【0035】
説明すべきことは、機械指3は先端面131または側端面132に設けてもよいため、異なる機械指3の延在方向DCが異なる。
図1に示すように、側端面132に設けられる機械指3と先端面131に設けられる機械指3とは延在方向DCが異なる。また、機械指3の接続方向DEと延在方向DCは同一であっても異なっていてもよい。
図1に示す実施形態を例として、先端面131に設けられる機械指3の接続方向DEおよび延在方向DCは、いずれも先端面131に対して垂直である。側端面132に設けられる機械指3の接続方向DEは延在方向DCに対して垂直である。
【0036】
いくつかの実施形態では、機械指3の数が複数であり、それによって人間の手に近い形態となり、ロボットハンド100の擬人化の程度を向上させる。この実施例において、各機械指3には対応する駆動構造2が設けられ、駆動構造2を介して掌部1に接続されることにより、ロボットハンド100が各機械指3を駆動して運動させ、より複雑な動作を行わせることができるようにしてもよい。あるいは、機械指3の一部にはそれぞれ対応する駆動構造2が設けられ、機械指3の一部が掌部1に直接接続されていてもよい。このうち、ロボットハンド100は駆動構造2が設けられた機械指3のみを駆動して運動させることができ、他の機械指3は掌部1と固定されたままである。人間の複数の指の中には、人差し指、中指などの主導的な役割を果たす指、および薬指などの補助的な役割を果たす指があるため、当業者は、主導的な役割を果たす機械指3を駆動構造2を介して掌部1に接続するように設置し、補助的な役割を果たす機械指3を掌部1に固定接続するように設置することで、ロボットハンド100の機能性を最大限に維持し、生産コストをある程度低減することができる。
【0037】
図1に示すように、複数の機械指3は、側端面132に設けられる第1機械指31と、先端面131に設けられる複数の第2機械指32とを含む。
図1および
図2に示す実施形態では、複数の第2機械指32は、機械人差し指321、機械中指322、機械薬指323および機械小指324を含んでもよい。側端面132に設けられる第1機械指31は、ロボットハンド100の親指であってもよい。このように、ロボットハンド100は、人間の手の指の分布を模倣し、ロボットハンド100の擬人化の程度をより向上させることができる。
【0038】
説明すべきことは、第2機械指32は、機械人差し指321、機械中指322、機械薬指323、および機械小指324のうちの少なくとも1つを含んでもよく、本発明はこれに限定されない。また、前述した実施形態と同様に、第1機械指31および第2機械指32のうちの少なくとも1つと掌部1とを駆動構造2により接続してもよい。第2機械指32の数が複数である実施形態では、一部の第2機械指32に駆動構造2が設けられ、一部の第2機械指32が掌部1に直接接続されていてもよく、本発明はこれに限定されない。
【0039】
図15を参照して、人間の手がリラックスした姿勢を模倣し、ロボットハンド100が掌部1および第1機械指31によって形成される把持空間GSにおいて物をよりよく把持できるようにするために、いくつかの実施形態では、第1機械指31の延在軸線EAと掌平面12との間の角度αが10度以上30度以下である。例えば、第1機械指31の延在軸線EAと掌平面12との間の角度αは、10度、20度、または30度であってもよい。角度αが小さすぎると、ロボットハンド100が緊張した状態、硬直した状態に見え、物をつかみにくくなる。そして角度αが大きすぎると、ロボットハンド100が不自然になり、また、第1機械指31が開きすぎて空間が占有され、把持が不安定になる。さらに、第2機械指32をわずかに曲げる状態にすることができ、それにより、人間の手が自然にリラックスした姿勢を模倣し、ロボットハンド100の擬人化の程度を向上させることができる。
【0040】
また、ロボットハンド100がピアノを弾くやキーボードを押すために使用される実施形態では、この角度範囲により、第1機械指31は、人間の手の親指がキーボードやピアノの鍵に置かれた姿勢を模倣することができる。
図1に示すように、この実施形態では、第1機械指31の指腹と第2機械指32の指腹とが同一平面上に設けられている。このような設置により、ロボットハンド100は、人間の手が自然にキーボードやピアノの鍵に置かれた姿勢を模倣して、ピアノを弾くやキーボードを押すなどの操作を行ってもよい。
【0041】
機械指3を回転軸線RA周りに回転駆動するために、駆動構造2はモータであってもよい。モータは機械指3に直接接続され、機械指3を直接駆動して回転させる。
図3を参照して、いくつかの実施形態では、駆動構造2は、機械指3を回転軸線RA周りに回転駆動するための回動駆動モジュール21を備える。回動駆動モジュール21は、回動主動歯車212と、回動モータ211と、回動従動歯車213とを備える。回動モータ211は、掌部1に固定され、回動モータ本体2110と、回動モータベース2112と、回動軸2113とを備える。ここで、回動軸2113は、回動モータベース2112に可動接続され、機械指3に固定接続される。回動主動歯車212は、回動モータ本体2110に固定接続され、回動モータ本体2110が、回動主動歯車212を回転駆動する。回動主動歯車212の主動回動軸線A1は、接続方向DEに沿って延びる。回動従動歯車213は、回動軸2113に固定接続される。回動従動歯車213は回動主動歯車212と噛合し、回動従動歯車213の従動回動軸線A2が、回転軸線RAと一致する。つまり、従動回動軸線A2は主動回動軸線A1に垂直する。
【0042】
図3に示す機械中指322を例にとると、回転軸線RAは幅方向Yに延びる。主動回動軸線A1は接続方向DEに延び、本実施形態では、主動回動軸線A1は長さ方向Xに延びる。従動回動軸線A2は回転軸線RAと一致し、本実施形態では従動回動軸線A2は幅方向Yに延びる。
【0043】
回動モータ211は、回動主動歯車212を主動回動軸線A1周りに回転駆動し、回動主動歯車212と回動従動歯車213との噛合によって、該回動運動は従動回動軸線A2周りの回動従動歯車213の回転に変換される。回動従動歯車213と機械指3とは固定接続されるため、機械指3を回転軸線RA周りに回転運動することができる。
【0044】
図9~
図10に示すように、いくつかの実施形態では、回動モータ211の回動モータ本体2110には回動駆動軸2111が設けられてもよく、回動主動歯車212が回動駆動軸2111に固定接続される。これにより、回動モータ本体2110は、回動駆動軸2111を介して回動主動歯車212を回転駆動することができる。
【0045】
回動駆動モジュール21を設けることにより、ロボットハンド100は歯車伝達によって運動平面の変換を実現することができる。したがって、回動モータ211は、機械指3の延在方向DCと一致するように接続方向DEに沿って設けられることができるため、掌部1内に隠れ、ロボットハンド100の美観を向上させることができる。モータが機械指3を直接に回転駆動して、モータを回転軸線RAの方向に沿って設置する必要がある実施形態に比べて、回動駆動モジュール21はロボットハンド100の空間をより合理的に利用することができ、複数の機械指3をコンパクトに並べて設置することができ、ロボットハンド100の擬人化および構造のコンパクトさを向上させることができる。
【0046】
さらに、回動主動歯車212の直径は、回動従動歯車213の直径よりも小さくてもよい。このように、歯車の歯車比(ギア比)によってトルクを増大させ、回動モータ211の必要なパラメータを低減することができる。また、主動回動軸線A1が接続方向DEに沿って延び、回動従動歯車213の回転軸線が回転軸線RAに沿って延びるため、機械指3の直径の変化に回動主動歯車212の直径の変化を、機械指3の長さの変化に回動従動歯車213の直径の変化を反映することができる。人間の指の長さは指の直径よりはるかに大きいため、この設置方法は人間の指のサイズを模倣し、トルクを増大させると同時に機械指3の擬人化の程度と軽さを改善することができる。
【0047】
図4を参照して、機械指3は、掌根ユニット311と、指ユニット312と、を備える。回動駆動モジュール21はさらに、掌根ユニット311と指ユニット312との間に設けられて、掌根ユニット311と指ユニット312とを接続し、指ユニット312を折曲軸線FA周りに回動駆動する。ここで、折曲軸線FAの投影と、回転軸線RAの投影とが交差する。
【0048】
本実施形態では、機械指3は第1機械指31であり、人間の手の親指の運動を模倣する。第1機械指31と掌部1との間の回動運動は、掌根ユニット311の指ユニット312から離れる端部の回動駆動モジュール21によって実現される。また、掌根ユニット311と指ユニット312との間の回動駆動モジュール21は、第1機械指31の折曲を駆動することができ、折曲の方向が第1機械指31の回転方向と異なるため、第1機械指31の運動自由度が1つ増える。このように、第1機械指31は、より複雑な動作を行うことができる。ロボットハンド100がピアノを弾くために使用される実施形態では、このような設置方法により、第1機械指31は、上下に動いてピアノの鍵を押したり離したりするだけでなく、左右の移動も可能であるため、ロボットハンド100全体が動かない状態でより多くの異なる位置にある鍵を弾くことができ、人間の手の演奏姿勢を模倣し、ロボットハンド100の擬人化の程度を向上させることができる。
【0049】
もちろん、別の実施形態では、第2機械指32の機械人差し指321、機械中指322などは、掌根ユニット311と、指ユニット312と、を備え、掌根ユニット311と指ユニット312との間が回動駆動モジュール21を介して接続されていてもよく、本発明はこれに限定されない。
【0050】
図5を参照して、駆動構造2は、揺動駆動モジュール22をさらに備える。揺動駆動モジュール22は、機械指3を回転軸線RA周りに回転駆動する、および機械指3を揺動軸線SA周りに回転駆動するために用いられる。揺動駆動モジュール22は、揺動歯車セット221と、揺動モータ224と、出力歯車225とを備える。揺動モータ224は、揺動モータベース2240と、揺動モータベース2240に固定接続される十字軸2244とを備える。十字軸2244は、回転軸線RAに沿って延びる第1軸22441と、揺動軸線SAに沿って延びる第2軸22442とを有する。揺動歯車セット221は、第1揺動歯車222および第2揺動歯車223を備える。揺動モータ224は、第1揺動歯車222および第2揺動歯車223を同方向または逆方向に回転駆動するために用いられる。第1揺動歯車222と第2揺動歯車223は、それぞれ第1軸22441に回転可能に接続される。出力歯車225は、第1揺動歯車222と第2揺動歯車223との間に設けられ、第1揺動歯車222と第2揺動歯車223とそれぞれ噛合する。出力歯車225の軸線は揺動軸線SAと一致し、出力歯車225は機械指3に固定接続される。ここで、機械指3は第2軸22442に回転可能に接続される。
【0051】
次に、揺動駆動モジュール22の駆動過程について説明する。揺動モータ224が第1揺動歯車222と第2揺動歯車223を駆動して横視点VAにおいて同速度で同方向に回転させる場合、時計回りの回転を例にとると、第1揺動歯車222と出力歯車225との噛合によって出力歯車225が反時計回りに回転する傾向があり、第2揺動歯車223と出力歯車225との噛合によって出力歯車225が時計回りに回転する傾向がある。そのため、出力歯車225の両側にかかる力は相殺され、出力歯車225は静止状態を維持する。このとき、出力歯車225と第1揺動歯車222と第2揺動歯車223との間は、相対的に静止した状態にあり、すなわち揺動軸線SA周りに回転しない。したがって、第1揺動歯車222と第2揺動歯車223の回転は、十字軸2244、出力歯車225、第1揺動歯車222、および第2揺動歯車223が共に回転軸線RA周りに回転するように表現される。一方、機械指3と第2軸22442とが回転可能に接続され、第2軸22442の軸線が回転軸線RAに垂直するため、第2軸22442は機械指3を回転軸線RA周りに回転させ、機械指3全体の回転軸線RA周りの回転運動が実現される。
【0052】
第1揺動歯車222と第2揺動歯車223とが横視点VAで同速度で逆方向に回転する場合、第1揺動歯車222が反時計回りに回転し、第2揺動歯車223が時計回りに回転することを例にとると、第1揺動歯車222と出力歯車225との噛合によって出力歯車225が時計回りに回転する傾向があり、第2揺動歯車223と出力歯車225との噛合によって出力歯車225も時計回りに回転する傾向がある。したがって、このとき、出力歯車225は揺動軸線SAを中心に時計回りに回転する。出力歯車225と機械指3とが固定接続され、機械指3と第2軸22442とが回転可能に接続されるため、出力歯車225は機械指3全体を揺動軸線SA周りに回転させる。
【0053】
このような設置により、揺動駆動モジュール22は、機械指3の回転軸線RA周りの回転運動だけでなく、機械指3の揺動軸線SA周りの回転運動も実現することができる。単一の揺動駆動モジュール22は、機械指3に2つの運動自由度を持たせることができることがわかる。揺動軸線SA周りの回転運動と回転軸線RA周りの回転運動とに別々のモータを設ける実施形態に比べて、揺動駆動モジュール22は、揺動モータ224だけで揺動軸線SA周りと回転軸線RA周りの回転運動を駆動することができる。このため、モータの数を減らし、ロボットハンド100の構造のコンパクトさを高め、それによりロボットハンド100内部の空間利用率を高めることができる。したがって、揺動駆動モジュール22は、ロボットハンド100の全体の体積を減少させ、ロボットハンド100の擬人化の程度や美観を向上させるのに有利である。
【0054】
さらに、揺動モータ224は、揺動モータ本体2241と、第1主動歯車2242と、第2主動歯車2243とを備えてもよい。第1主動歯車2242の回転軸線A3と第2主動歯車2243の回転軸線A4は、それぞれ接続方向DEに延びる。第1主動歯車2242は揺動モータ本体2241に固定接続され、第2主動歯車2243は揺動モータ本体2241に固定接続されて、揺動モータ本体2241は第1主動歯車2242と第2主動歯車2243の回転運動をそれぞれ駆動することができる。第1主動歯車2242は第1揺動歯車222と噛合し、第2主動歯車2243は第2揺動歯車223と噛合する。
【0055】
いくつかの実施形態では、揺動モータ本体2241には、第1駆動軸2245および第2駆動軸2246が設けられてもよく、第1主動歯車2242が第1駆動軸2245に固定接続され、第2主動歯車2243が第2駆動軸2246に固定接続される。これにより、揺動モータ本体2241は、第1駆動軸2245および第2駆動軸2246を介して、第1主動歯車2242と第2主動歯車2243をそれぞれ回転駆動することができる。
【0056】
俯瞰視点VBにおける第1主動歯車2242の回転方向と、横視点VAにおける第1揺動歯車222の回転方向とは逆である。つまり、第1主動歯車2242が時計回りに回転すると、第1揺動歯車222を反時計回りに回転させることができる。第1主動歯車2242が反時計回りに回転すると、第1揺動歯車222を時計回りに回転させることができる。
【0057】
同様に、俯瞰視点VBにおける第2主動歯車2243の回転方向と、横視点VAにおける第2揺動歯車223の回転方向とは同じである。つまり、第2主動歯車2243が時計回りに回転すると、第2揺動歯車223を時計回りに回転させることができる。第2主動歯車2243が反時計回りに回転すると、第2揺動歯車223を反時計回りに回転させることができる。
【0058】
上記の説明から分かるように、第1揺動歯車222と第2揺動歯車223が同方向に回転する場合、揺動駆動モジュール22は機械指3を回転軸線RA周りに回転させ、このとき第1主動歯車2242と第2主動歯車2243の回転方向が逆になる。第1揺動歯車222と第2揺動歯車223が逆方向に回転する場合、揺動駆動モジュール22は機械指3を揺動軸線SA周りに回転させ、このとき第1主動歯車2242と第2主動歯車2243の回転方向は同じである。
【0059】
したがって、揺動モータ本体2241は、第1主動歯車2242と第2主動歯車2243の回転方向をそれぞれ制御して機械指3の運動方向を制御することができる。第1主動歯車2242の回転軸線A3と第2主動歯車2243の回転軸線A4が前記接続方向DEに沿って延びるため、揺動モータ224は機械指3の延在方向DCに沿って設置して掌部1内に設置することができ、揺動モータ224を隠してロボットハンド100の美観を向上させるのに有利である。また、揺動モータ224を掌部1内に設けられることは、ロボットハンド100の構造のコンパクトさを高め、ロボットハンド100の体積を全体的に低減するだけでなく、露出している部品の大部分は掌部1と機械指3であるため、ロボットハンド100の擬人化の程度を向上させるのにも有利である。
【0060】
いくつかの実施形態では、第1主動歯車2242と第1揺動歯車222の直径は同じであってもよい。別の実施形態では、第1揺動歯車222の直径は、第1主動歯車2242よりも大きくてもよい。このように、第1揺動歯車222と第1主動歯車2242との間の減速比により、第1揺動歯車222はトルクを増幅させることができ、揺動モータ本体2241の必要なパラメータを低減し、揺動駆動モジュール22の体積およびコストを低減するのに有利である。同様に、第2主動歯車2243の直径は、第2揺動歯車223の直径以下であってもよく、ここでは説明を省略する。
【0061】
さらに、第1揺動歯車222は、固定接続される第1メイン歯車2221と第1サブ歯車2222とを備える。第1メイン歯車2221が第1主動歯車2242と噛合し、第1サブ歯車2222が出力歯車225と噛合する。第1メイン歯車2221の直径は、第1サブ歯車2222より大きい。同様に、第2揺動歯車223は、固定接続される第2メイン歯車2231と第2サブ歯車2232とを備える。第2メイン歯車2231が第2主動歯車2243と噛合し、第2サブ歯車2232が出力歯車225と噛合する。第2メイン歯車2231の直径は、第2サブ歯車2232より大きい。このような設置方法により、揺動駆動モジュール22の横方向(回転軸線RAが示す方向)の空間を利用して、揺動駆動モジュール22の空間利用率を高めるのに有利である。また、比較的サイズの小さい第1サブ歯車2222および第2サブ歯車2232は、回転軸線RA上で互いに対向して近接しているため、第1サブ歯車2222と第2サブ歯車2232とに噛合する出力歯車225のサイズを小さくすることができ、構造のコンパクトさを高める。また、このような設置により、第1メイン歯車2221と第2メイン歯車2231のサイズを増加することができ、第1揺動歯車222と第1主動歯車2242との間の減速比、第2揺動歯車223と第2主動歯車2243との間の減速比をさらに増加し、揺動モータ本体2241のトルクをさらに増幅させるのに有利である。
【0062】
もちろん、別の実施形態では、揺動駆動モジュール22には、第1揺動歯車222のみが第1メイン歯車2221および第1サブ歯車2222を備えてもよく、あるいは、第2揺動歯車223のみが第2メイン歯車2231および第2サブ歯車2232を備えてもよく、本発明はこれに限定されない。
【0063】
説明すべきことは、ロボットハンド100が複数の機械指3を含む実施形態では、機械指3の駆動構造2は同一であっても異なっていてもよい。例えば、すべての機械指3の駆動構造2が揺動駆動モジュール22であり、それによりすべての機械指3が前後揺動と左右揺動を行うことができる。あるいは、一部の機械指3に回動駆動モジュール21が設けられ、他の一部の機械指3に揺動駆動モジュール22が設けられていてもよい。そのため、一部の機械指3は前後揺動のみが可能であり、他の一部の機械指3は前後揺動と左右揺動が可能である。このように、本発明の駆動構造2は汎用性と可搬性に優れ、当業者は実際のニーズに応じて異なる機械指3に異なる駆動構造2を配置することができ、ロボットハンド100に所望の動作を行わせることができる。
【0064】
図2に示す実施形態では、第1機械指31は、側端面132に設けられ、掌根ユニット311と指ユニット312とを備える。掌根ユニット311は、回動駆動モジュール21を介して掌部1に接続され、かつ回動駆動モジュール21を介して指ユニット312に接続される。第2機械指32は先端面131に設けられ、機械人差し指321、機械中指322、機械薬指323および機械小指324を含む。ここで、機械人差し指321は、揺動駆動モジュール22を介して掌部1に接続される。機械中指322、機械薬指323、および機械小指324は、それぞれ回動駆動モジュール21を介して掌部1に接続される。このように、第1機械指31と機械人差し指321はそれぞれ2つの自由度を持ち、機械中指322と機械薬指323と機械小指324はそれぞれ1つの自由度を持つ。このような設置方法により、ロボットハンド100は人間の手と同様の外観を有する。また、ロボットハンド100は、鍵を弾くときの人間の手の姿勢を、少ない駆動構造2を用いながら、うまく模倣することができる。
【0065】
図1を参照して、いくつかの実施形態では、駆動構造2の機械指3の回転軸線RA周りの回転運動を検出するために、ロボットハンド100は、角度センサ5をさらに備える。角度センサ5は機械指3の根元部に設けられ、機械指3と掌部1との間の角度を測定するために用いられる。機械指3の根元部は、機械指3と駆動構造2との接続位置、駆動構造2上、あるいは駆動構造2と掌部1との接続位置であってもよい。このような設置により、駆動構造2の動作が正常であるか否かを監視することができる。例えば、機械指3の回転軸線RA周りの実際の回転度数を監視し、その後、駆動構造2によって駆動される所望の回転度数と実際の回転度数とを比較してもよい。これにより、ロボットハンド100の駆動構造2に故障があるかどうかを知ることができ、ロボットハンド100の監視メンテナンスや調整に有利であり、ロボットハンド100の運動精度を向上させることができる。
【0066】
図2を参照して、機械指3は指先モジュール34を有する。指先モジュール34は作業面に接触するために用いられる。いくつかの実施形態では、ピアノを弾くロボットハンド100、キーボードのキーを叩くロボットハンド100などは、指先モジュール34を介して作業面を押圧する必要がある。本実施形態では、ロボットハンド100は、指先モジュール34に設けられる力センサ4(
図6に示す)を備えてもよい。力センサ4は、機械指3の指先の力を検出するために用いられる。これにより、指先モジュール34が作業面に接触しているかどうかを検出し、力センサ4が戻した数値に基づいて指先モジュール34が作業面を押圧する力を制御することができる。例えば、力センサ4のデータに基づいて、ロボットハンド100がピアノの鍵を押す力を制御することで、ロボットハンド100が柔らかさ、激しさ、哀愁などの音楽的感情を演奏することができ、ロボットハンド100の擬人化の程度やユーザの使用感を向上させることができる。
【0067】
図6を参照して、指先モジュール34は、指腹パネル341および指先ベース342を有する。いくつかの実施形態では、力センサ4は、指腹パネル341の指先ベース342から離れる側に設けられる。つまり、力センサ4は、指先モジュール34の作業面と接触する側に設けられ、それにより、作業面に直接接触することができ、検出の精度を向上させる。別の実施形態では、指腹パネル341は指先ベース342に摺動接続され、力センサ4は、指先ベース342の指腹パネル341に面する側に設けられる。指先モジュール34が作業面を押圧すると、指腹パネル341が指先ベース342に向かって摺動し、指腹パネル341と指先ベース342との間に設けられた力センサ4を押圧する。このような設置により、指先モジュール34は力センサ4を収容することができ、力センサ4に密閉保護を提供し、水蒸気、ほこりなどの物質が力センサ4に影響を与え、力センサ4の感度低下をもたらすことを回避する。また、指先モジュール34が作業面に接触した場合にのみ、指腹パネル341が力センサ4を押圧する。指先モジュール34に力センサ4を露出することによるユーザや外物の誤接触の可能性がある実施形態に比べて、力センサ4を指先モジュール34内に設けることで、検出データの精度を向上させることができる。また、指腹パネル341の移動によって力センサ4を押すことで、力センサ4の測定面積を増やすこともできる。
【0068】
いくつかの実施形態では、指先ベース342は、指先内ベース3421および指先筐体3422を有する。指先内ベース3421は、指先筐体3422に収容され、指腹パネル341は、指先内ベース3421に接続される。指先内ベース3421と指先筐体3422との間の空間は、力センサ4や回路基板などの回路構造を収容するために用いられ、回路構造の封止をさらに実現することができる。力センサ4の一部は、指先内ベース3421に予め設けられた孔を通過し、指腹パネル341と指先内ベース3421との間に露出して指腹パネル341に接触することができる。指腹パネル341と指先ベース342との間は摺動接続であるため、不純物は指腹パネル341と指先ベース342との間の空隙を通して指先モジュール34に入り込み、力センサ4などの回路構造に悪影響を及ぼす可能性がある。固定接続される指先内ベース3421と指先筐体3422とを設けることで、指先ベース342のシール性を高め、回路構造の保護を強化することができる。
【0069】
指先ベース342と指腹パネル341との間の摺動接続は、指腹パネル341の外壁が指先ベース342の外側面を全体的に覆うことによって実現してもよい。あるいは、別の実施形態では、指先ベース342の指腹パネル341に面する側はガイドポスト343を有する。指腹パネル341は、ガイドポスト343を嵌め込むためのガイド孔345を有する。ガイドポスト343とガイド孔345の加工と組み立てが簡単で、嵌合度がよい。もちろん、指先ベース342の指腹パネル341に面する側はガイド孔345を有し、指腹パネル341はガイド孔345に嵌め込まれるガイドポスト343を有してもよい。あるいは、指先ベース342はガイド孔345とガイドポスト343とを有し、指腹パネル341は嵌合するガイドポスト343とガイド孔345とを有してもよく、本発明はこれに限定されない。
【0070】
指先モジュール34は、指腹パネル341の復元を支援するために、指腹パネル341と指先ベース342との間に設けられる弾性部材344をさらに備える。弾性部材344の一端は指腹パネル341に当接し、他端は指先ベース342に当接し、弾性部材344は圧縮状態にある。指腹パネル341が作業面に接触すると、弾性部材344がさらに圧縮され、指腹パネル341が力センサ4に接触できるようになる。弾性部材344は常に圧縮状態にあるため、指腹パネル341が作業面に接触していないとき、弾性部材344は指腹パネル341に指先ベース342から離れる力を与え続け、指腹パネル341が力センサ4から離れる状態を維持することができる。
【0071】
指先ベース342がガイドポスト343を有し、指腹パネル341がガイド孔345有する実施形態では、弾性部材344はガイドポスト343に嵌設され、弾性部材344の力が指先ベース342から指腹パネル341に向かうように維持されることができる。それにより弾性部材344の指腹パネル341に対する復帰効果を確保することができる。もちろん、弾性部材344は、指腹パネル341と指先ベース342との間に直接設置されてもよく、本発明はこれに限定されるものではない。
【0072】
図7および
図8を参照して、いくつかの実施形態では、機械指3は、延在方向DCに沿って設けられる指先331と、中間指部332と、近端指部333とを有する。中間指部332の一端は指先331に回転可能に接続される。近端指部333と掌部1との間に駆動構造2が接続される。すなわち、駆動構造2は掌側面13に設けられ、近端指部333の中間指部332から離れた端部に接続されて、機械指3と掌部1とを接続方向DEに接続する。中間指部332と近端指部333の間には関節構造7が設けられ、関節構造7は中間指部332と近端指部333にそれぞれ回転可能に接続される。関節構造7は、機械指3が人間の手のような指の曲げ動作を行うことができるように、中間指部332と近端指部333との間の角度を変えることができる。
【0073】
このような設置により、ロボットハンド100は、物の形状に対する適応性が高い。ロボットハンド100は、機械指3と掌部1との間の角度や、近端指部333と中間指部332との間の角度を変えることで、異なる物を把持することができる。また、ロボットハンド100の適応性が高いため、機械指3は物の表面にできるだけ密着することができ、ロボットハンド100が物をより安定的に把持することができる。
【0074】
駆動構造2と同様に、機械指3の数が複数である実施形態では、すべての機械指3に関節構造7が設けられてもよいし、一部の機械指3に関節構造7が設けられてもよい。また、機械指3に駆動構造2と関節構造7を同時に設けて、機械指3の柔軟性を高めることができる。あるいは、機械指3には関節構造7のみが設けられ、機械指3の生産コストを低減してもよい。
【0075】
機械指3が延在方向DCに沿って設けられる指先331と、中間指部332と、近端指部333とを有するいくつかの実施形態では、駆動構造2は回動駆動モジュール21を備える。以下、
図7~
図10を参照しながら、機械薬指323を例に具体的に説明する。回動駆動モジュール21は、回動モータ211と、回動主動歯車212と、回動従動歯車213とを備える。回動モータ211は掌部1に固定され、回動モータ本体2110、回動駆動軸2111、回動モータベース2112および回動軸2113を備える。回動軸2113は、回動モータベース2112に可動接続され、機械指3の近端指部333に固定接続される。回動軸2113の軸線は、回転軸線RAに沿って延びる。回動主動歯車212は回動駆動軸2111に固定接続され、回動主動歯車212の主動回動軸線A1は接続方向DEに延びる。回動従動歯車213は回動軸2113に固定接続され、回動従動歯車213は回動主動歯車212と噛合する。
【0076】
回動モータ211が回動駆動軸2111を回転駆動するため、回動駆動軸2111は回動主動歯車212を主動回動軸線A1周りに回転させることができ、回動主動歯車212と回動従動歯車213との噛合によって、該回転運動は回転軸線RA周りの回転に変換される。回動従動歯車213と回動軸2113とが固定接続され、近端指部333も回動軸2113に固定接続されるため、回動従動歯車213の回転によって機械指3を回転軸線RA周りに回転させることができる。
【0077】
図11に示すように、機械指3が延在方向DCに沿って設けられる指先331と、中間指部332と、近端指部333とを有するいくつかの実施形態では、駆動構造2は揺動駆動モジュール22をさらに備えてもよい。揺動駆動モジュール22の構成、および揺動駆動モジュール22と機械指3の近端指部333との接続関係については、上記
図5についての説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0078】
ユーザは、ロボットハンド100を使用して物を把持する際、ロボットハンド100が駆動構造2によって機械指3と掌部1との間の角度を変更した後、近端指部333と中間指部332との間の角度を手動で調整することができ、例えば中間指部332を関節構造7周りに手動で回動させて、機械指3が物の表面に密着して把持できるようにすることができる。さらに、
図11を参照し続け、いくつかの実施形態では、関節構造7は関節モータ74を有する。関節モータ74は、近端指部333の駆動構造2から離れる端部に設けられ、中間指部332を回転駆動して、中間指部332と近端指部333との間の角度を変えるために用いられる。このような設置により、ユーザはロボットハンド100を使用して物を把持する際に、近端指部333と中間指部332との間の角度を手動で調整する必要がなく、関節モータ74を制御すればよく、実用的で便利であり、ロボットハンド100の知能化と自動化を向上させることができる。
【0079】
図11に示す実施形態のように、関節モータ74は、関節モータベース741と関節駆動軸742とを備えることができる。関節モータベース741は近端指部333に固定接続される。関節駆動軸742は関節モータベース741に回転可能に接続され、かつ中間指部332に固定接続される。関節モータ本体744(
図12に示す)は、関節モータベース741に固定され、
図11に示す実施形態では関節モータベース741内に隠れている。関節モータ本体744はウォームギア構造であってもよく、ウォーム構造は関節駆動軸742上に設けられ、関節モータ本体744内のギアの回転が関節駆動軸742の回転を回転駆動し、中間指部332を回転させる。
【0080】
図12および
図13を参照して、別の実施形態では、関節モータ74は、関節主動歯車743と関節従動歯車745とをさらに備える。関節主動歯車743の関節主動軸線A5は延在方向DCに沿って延びる。関節モータ本体744は関節主動歯車743に固定接続され、関節主動歯車743の回転を駆動するために用いられる。関節従動歯車745は関節駆動軸742に固定接続され、かつ関節従動歯車745は関節主動歯車743と噛合する。関節従動歯車745の関節従動軸線A6は関節主動軸線A5に垂直する。
【0081】
実際には、この構造は、駆動構造2の回動駆動モジュール21と類似する。関節モータ本体744は、関節主動歯車743を関節主動軸線A5周りに回転駆動し、関節主動歯車743と関節従動歯車745との噛合により、該回転運動は関節従動軸線A6周りの回転に変換される。関節従動歯車745と関節駆動軸742とが固定接続され、中間指部332も関節駆動軸742に固定接続されるため、関節従動歯車745の回転によって中間指部332を回転駆動し、中間指部332と近端指部333との間の角度を変えることができる。
【0082】
いくつかの実施形態において、関節構造7の構造は、駆動構造2の回動駆動モジュール21と同じであってもよい。
【0083】
関節モータ74について説明した上記実施形態に基づいて、
図11を参照して、指先331は、平行に設けられる第1指先軸3311と第2指先軸3312とを有してもよい。中間指部332は、主動リンク3323と従動リンク3324とを備える。主動リンク3323の一端は関節駆動軸742に固定接続され、他端は第1指先軸3311に回転可能に接続される。主動リンク3323は、関節モータ74によって駆動されて関節駆動軸742周りに回転する。従動リンク3324の一端は第2指先軸3312に回転可能に接続され、他端は関節モータ74に回転可能に接続される。ここで、第1指先軸3311の軸線方向A7において、主動リンク3323の投影と従動リンク3324の投影とが交差する。
【0084】
図14の機械構造簡略化図を用いて説明する。主動リンク3323が関節駆動軸742周りに回転すると、主動リンク3323は第1指先軸3311を関節駆動軸742周りに回転させる。第1指先軸3311と第2指先軸3312とが指先331に接続されるため、主動リンク3323は間接的に第2指先軸3312を回転させ、それによって第2指先軸3312に接続される従動リンク3324を回転させることができる。従動リンク3324と主動リンク3323の長さが固定であり、第1指先軸3311が主動リンク3323に回転可能に接続され、第2指先軸3312が従動リンク3324に回転可能に接続されるため、主動リンク3323と従動リンク3324とは互いに牽制され、指先331が延在方向DCにおいて掌部1に指向する状態と掌部1から離れる状態とを切り替えることができる。このように、ロボットハンド100が比較的体積の小さい物を把持する必要がある場合、指先331は掌部1に曲げ、物が落ちないように物を引っかけることができる。したがって、このような設置方法は、ロボットハンド100の異なる物のサイズに対する適合性を向上させ、ロボットハンド100の適用範囲を拡大することができる。
【0085】
本実施形態では、従動リンク3324の関節モータ74に接続する一端が、関節モータベース741に接続されてもよいため、従動リンク3324と関節モータベース741との接続位置を調整することにより、主動リンク3323と従動リンク3324との角度などのパラメータを調整して、指先331の運動を制御することができる。また、
図12および
図13を参照して、機械指3を第1機械指31として説明する。従動リンク3324は関節駆動軸742と回転可能に接続されてもよい。本実施形態では、主動リンク3323は、第1サブリンク33231と第2サブリンク33232とを有する。第1サブリンク33231の一端は関節駆動軸742に固定接続され、他端は第2サブリンク33232に接続される。第2サブリンク33232の第1サブリンク33231から離れる端部は、第1指先軸3311に回転可能に接続される。
【0086】
関節駆動軸742の回転により第1サブリンク33231を回転させ、第1サブリンク33231が第2サブリンク33232を移動させ、第2サブリンク33232が指先331を移動させることで従動リンク3324を移動させて、指先331が延在方向DCにいて掌部1に指向する状態と掌部1から離れる状態とを切り替えることができる。このような設置により、主動リンク3323は2つの独立したサブリンクに分けることができ、ユーザは、第1サブリンク33231と第2サブリンク33232の長さを調整することにより、第2サブリンク33232と従動リンク3324との間の角度を調整することができる。関節モータベース741上の接続位置を変更する実施形態と比較して、このような設置方法により、主動リンク3323と従動リンク3324との関係を容易に調整し、指先331の運動を調整することができる。
【0087】
第1サブリンク33231と第2サブリンク33232とは、折り曲げられた主動リンク3323を形成するように固定接続されてもよい。主動リンク3323が一体的に形成される実施形態では、従動リンク3324が物に接触したとき、物は従動リンク3324のそれ以上の回動を妨げるため、一体的に形成される主動リンク3323もそれ以上回動しにくい。したがって、いくつかの実施形態では、第1サブリンク33231と第2サブリンク33232とは回転可能に接続される。従動リンク3324が物に接触したとき、従動リンク3324が動かなくなるため、第2指先軸3312の位置が固定される。このとき、第1サブリンク33231は、回転し続けることができ、第2サブリンク33232を指先331に向かって移動させ、第1指先軸3311を第2指先軸3312周りに回転させ、第2指先軸3312周りの指先331の回転を実現させる。
【0088】
このような設置により、ロボットハンド100が物を把持する際に、近端指部333および中間指部332が物に当接してそれ以上動くことができなくなった場合でも、ロボットハンド100は、指先331が
図15に示す把持空間GS内の物を把持することができるように、指先331と中間指部332との間の角度を変更することができ、ロボットハンド100の把持安定性を高めることができる。
【0089】
さらに、中間指部332は、延在方向DCに沿って設けられる弾性部材3325をさらに有する。弾性部材3325の一端は指先331の接続点(図示せず)に固定接続され、他端が従動リンク3324に固定接続され、弾性部材3325は伸張状態にある。ここで、接続点は第2指先軸3312の延在軸線から離れる。指先331が第2指先軸3312周りに回転すると、接続点が第2指先軸3312の延在軸線から離れるため、接続点も第2指先軸3312周りに回転する。以下、指先331が中間指部332に向かって回転することを正回転と呼び、指先331が中間指部332から離れるように回転することを逆回転と呼ぶ。指先331が正回転すると、接続点と従動リンク3324上の弾性部材3325の固定点との直線距離が増加し、このとき弾性部材3325がさらに伸張する。指先331が逆回転すると、接続点と従動リンク3324上の弾性部材3325の固定点との直線距離が減少する。弾性部材3325は伸張状態にあるため、弾性部材3325の引張力によって指先331の復帰を支援することができる。
【0090】
当業者は、実際のニーズに応じて、従動リンク3324における弾性部材3325の固定位置を設定することができる。例えば、弾性部材3325の長さが短い場合には、固定位置を第2指先軸3312に近づけることができる。弾性部材3325の長さが長い場合、固定位置を関節駆動軸742に近づけることができる。
図13に示すように、従動リンク3324は、その延在方向DCにおいて複数の接続孔33241を有し、当業者はロボットハンド100の状態に応じて長さとばね定数の異なる弾性部材3325を交換することができ、あるいは、複数の異なる規格の弾性部材3325を容易に交換することができるため、機械指3が市販の複数種類の弾性部材3325に対応でき、メンテナンスコストを低減することができる。
【0091】
中間指部332は主動リンク3323と従動リンク3324とを備える実施形態では、関節モータ74は上述したウォームギア構造であってもよく、関節主動歯車743と関節従動歯車745が設けられる構造であってもよく、または例えばモータが関節駆動軸742を直接駆動する構造であってもよい。本発明ではこれに限定されない。
【0092】
別の実施形態では、関節構造7に関節モータ74を設けない。この実施形態では、関節構造7と回動駆動モジュール21とが協働して、中間指部332と近端指部333との間の角度の変化を駆動する。
図9および
図10を参照すると、関節構造7は、平行に設けられる第1関節軸71と第2関節軸72と第3関節軸73とを有する。近端指部333は、第1近端リンク3331および第2近端リンク3332を有する。中間指部332は、第1中間リンク3321および第2中間リンク3322を有する。第1近端リンク3331の一端は回動軸2113に固定接続され、他端は第1関節軸71に回転可能に接続される。回動軸2113と第1関節軸71との間には、第1近端リンク3331は第2関節軸72にも回転可能に接続される。第2近端リンク3332の一端は回動モータベース2112に回転可能に接続され、他端は第3関節軸73に回転可能に接続される。第1中間リンク3321の一端は第1指先軸3311に回転可能に接続され、他端は第2関節軸72に回転可能に接続される。第2中間リンク3322の一端は第2指先軸3312に回転可能に接続され、他端は第3関節軸73に回転可能に接続される。第2指先軸3312と第3関節軸73との間には、第2中間リンク3322は第1関節軸71にも回転可能に接続される。ここで、第1指先軸3311の軸線方向A7において、第1近端リンク3331の投影と第2近端リンク3332の投影とが交差し、第1中間リンク3321の投影と第2中間リンク3322の投影とが交差する。
【0093】
図16を参照して説明する。回動軸2113は、第1近端リンク3331を回動駆動する。第1近端リンク3331は第1関節軸71と第2関節軸72とにそれぞれ回転可能に接続されるため、第1近端リンク3331は、第1関節軸71に接続される第2中間リンク3322と、第2関節軸72に接続される第1中間リンク3321とを移動させることができる。第2中間リンク3322は、第3関節軸73および第2指先軸3312にも接続されるため、第2中間リンク3322の移動は、第3関節軸73に接続される第2近端リンク3332を回転させ、指先331を移動させることができる。第1中間リンク3321は、第1指先軸3311にも接続されるため、第1中間リンク3321の移動は指先331を移動させることができる。
【0094】
回動軸2113が第1近端リンク3331を駆動する際に、第1近端リンク3331、第2近端リンク3332、第1中間リンク3321および第2中間リンク3322は、それぞれの長さおよび互いの角度によって制限され、
図16に示すような機械指3が曲がった形になることができる。
【0095】
このような設置により、機械指3は、関節構造7に関節モータ74を設ける必要がなく、近端指部333および中間指部332を駆動構造2に関連付けることで、駆動構造2は機械指3を駆動して延在方向DCと掌平面12との角度を変えることができるほか、近端指部333と中間指部332との角度を変えることができ、駆動構造2の利用率を向上させ、機械指3の構造を簡略化し、機械指3の生産コストを低減する。
【0096】
図7に示す実施形態を例にとると、機械薬指323及び機械小指324の駆動構造2は、機械指3の折曲を行うことができる。人間の手の薬指と小指が手のひらの中心に近づくと、通常、指の折曲も伴う。そのため、このような設置構造によりロボットハンド100の擬人化の程度を向上させる。また、物を把持する際、機械薬指323と機械小指324は通常、主導的な役割ではなく補助的な役割を果たすため、このような設置方式では関節モータ74を設置する必要がなく、少ない関節モータ74でほとんどの把持姿勢を模倣することができ、ロボットハンド100が正常に作動することを確保すると同時に、ロボットハンド100の生産コストを低減するのに有利である。
【0097】
また、
図7に示す実施形態では、第1機械指31、機械人差し指321、および機械中指322の関節構造7には、関節モータ74が設けられているため、第1機械指31、機械人差し指321、および機械中指322の調整の柔軟性を高め、ロボットハンド100が異なるサイズや外面の不規則な物を把持できるようにすることができる。
【0098】
また、人間の手の人差し指と親指の動きの柔軟性と同様に、第1機械指31と機械人差し指321の駆動構造2は揺動駆動モジュール22であり、ロボットハンド100の第1機械指31と機械人差し指321を掌側面13に対して揺動させることができ、物を把持する際に把持位置を調整することができ、ロボットハンド100の異なるサイズの物に対する把持適合性と柔軟性を向上させることができる。
【0099】
なお、
図7に示す実施形態は、例示的なものであり、限定するものではない。当業者は、実際のニーズに応じて異なる数の機械指3を設置してもよく、第1機械指31、機械人差し指321、機械中指322、機械薬指323、および機械小指324の駆動構造2を同じにしてもよく、関節構造7を同じにしてもよく、本発明はこれに限定されない。本発明の関節構造7と駆動構造2は、需要に応じて機械指3に設け、機械指3を異なる運動能力と運動自由度を持たせることができるため、関節構造7と駆動構造2の適応性が高く、可搬性が高い。
【0100】
本発明の第2態様は、胴体部と、上肢部と、上記実施形態に記載のロボットハンド100とを備えるロボットを提供する。上肢部の一端はロボットハンドに接続され、他端は胴体部に接続されて、人体と類似する構造を形成する。ロボットハンド100の機械指3は2つの異なる方向への回転運動が可能であるため、ロボットはピアノを弾いたり、キーボードを押したりするなど、人間の手の運動に似た動作を行うことができ、ロボットの擬人化の程度を向上させることができる。ロボットには、電源素子、ドライバ、コントローラなどの電子部品が設置され、ロボットハンド100の機械運動を駆動するために用いられる。理解できるように、これらの電子部品は胴体部または上肢部に設置することができ、ロボットの構造のコンパクトさおよび完全性を向上させる。あるいは、ロボットの外部に設置してもよく、本発明はこれに限定されない。なお、ロボットハンド100の各実施形態について上述した有益な効果は、本発明のロボットについても同様に説明することができ、説明の簡単化のため、本発明では説明を省略する。
【0101】
本明細書に記載された具体的な実施形態は、本発明の精神を例示するにすぎない。当業者は、本発明の精神から逸脱することはなく、または添付の特許請求の範囲で定義された範囲を超えることはなく、本明細書に記載された具体的な実施形態に対して様々な修正、補足、または同様の方法で代替することができる。
【0102】
上記の実施形態の各技術的特徴は、任意の組み合わせが可能であり、説明を簡潔にするために、上記の実施形態における各技術的特徴の可能な組み合わせはすべて記述されていないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書の範囲内であると考えられるべきである。
【符号の説明】
【0103】
100 ロボットハンド
1 掌部
12 掌平面
13 掌側面
131 先端面
132 側端面
2 駆動構造
21 回動駆動モジュール
211 回動モータ
212 回動主動歯車
213 回動従動歯車
2110 回動モータ本体
2111 回動駆動軸
2112 回動モータベース
2113 回動軸
22 揺動駆動モジュール
221 揺動歯車セット
222 第1揺動歯車
2221 第1メイン歯車
2222 第1サブ歯車
223 第2揺動歯車
2231 第2メイン歯車
2232 第2サブ歯車
224 揺動モータ
2240 揺動モータベース
2241 揺動モータ本体
2242 第1主動歯車
2243 第2主動歯車
2244 十字軸
22441 第1軸
22442 第2軸
2245 第1駆動軸
2246 第2駆動軸
225 出力歯車
3 機械指
31 第1機械指
311 掌根ユニット
312 指ユニット
32 第2機械指
321 機械人差し指
322 機械中指
323 機械薬指
324 機械小指
331 指先
332 中間指部
333 近端指部
3311 第1指先軸
3312 第2指先軸
3321 第1中間リンク
3322 第2中間リンク
3323 主動リンク
3324 従動リンク
3325 弾性部材
3331 第1近端リンク
3332 第2近端リンク
33231 第1サブリンク
33232 第2サブリンク
33241 接続孔
34 指先モジュール
341 指腹パネル
342 指先ベース
3421 指先内ベース
3422 指先筐体
343 ガイドポスト
344 弾性部材
345 ガイド孔
4 力センサ
5 角度センサ
7 関節構造
71 第1関節軸
72 第2関節軸
73 第3関節軸
74 関節モータ
741 関節モータベース
742 関節駆動軸
743 関節主動歯車
744 関節モータ本体
745 関節従動歯車
X 長さ方向
Y 幅方向
Z 厚さ方向
DE 接続方向
DC 延在方向
RA 回転軸線
SA 揺動軸線
FA 折曲軸線
A1 主動回動軸線
A2 従動回動軸線
A3 回転軸線
A4 回転軸線
A5 関節主動軸線
A6 関節従動軸線
A7 第1指先軸3311の軸線方向
EA 延在軸線
GS 把持空間
α 角度
VA 横視点
VB 俯瞰視点
【国際調査報告】