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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】放熱素子及び熱サイフォン放熱器
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20250121BHJP
   F28D 15/04 20060101ALI20250121BHJP
   H01G 2/08 20060101ALN20250121BHJP
【FI】
F28D15/02 L
F28D15/02 101H
F28D15/04 A
H01G2/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570374
(86)(22)【出願日】2023-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 CN2023093448
(87)【国際公開番号】W WO2024113682
(87)【国際公開日】2024-06-06
(31)【優先権主張番号】202211501414.3
(32)【優先日】2022-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523429210
【氏名又は名称】シェンジェン エンビクール テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ワン イェ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ リチュアン
(57)【要約】
本出願の実施例は、電子放熱分野で使用される放熱素子及び熱サイフォン放熱器を開示し、互いに接続されて収容室を構成する基板及び蓋板と、毛細層とを含み、基板は、対向する第1の板面と第2の板面を有し、かつ収容室内に収容された液相変化作動媒体の液面の重力方向に沿った平面での投影は、第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最頂部よりも高くなく、毛細層は、収容室に設けられ、毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最底部は、第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最底部よりも高くなく、かつ毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最頂部は、第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最頂部よりも低くなく、毛細層は、液相変化作動媒体を吸引して熱源と相変化熱交換を行うために使用され、かつ毛細層には、相変化により生成された気相変化作動媒体を前記毛細層から排出するための蒸気通路が設けられることにより、凝縮空間が拡大され、熱サイフォン放熱器の性能を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱サイフォン放熱器に適用される放熱素子であって、
少なくとも、毛細層と、互いに接続されて収容室を構成する基板及び蓋板とを含み、前記収容室は、相変化作動媒体の収容及び前記熱サイフォン放熱器のフィン内の作動媒体通路の連通のために使用され、
前記基板は、対向する第1の板面と第2の板面を有し、前記第1の板面は、前記収容室を構成するためのものであり、前記第2の板面は、熱源を取り付けるためのものであり、かつ、前記収容室内に収容された液相変化作動媒体の液面の重力方向に沿った平面での投影は、前記第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最頂部よりも高くなく、
前記毛細層は、前記収容室に設けられ、前記毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最底部は、前記第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最底部よりも高くなく、かつ前記毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最頂部は、前記第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最頂部よりも低くなく、
前記毛細層は、前記液相変化作動媒体を吸引して前記熱源と相変化熱交換を行うために使用され、かつ前記毛細層には、相変化により生成された気相変化作動媒体を前記毛細層から排出するための蒸気通路が設けられていることを特徴とする放熱素子。
【請求項2】
前記毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最底部は、前記第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最底部よりも低く、
前記蒸気通路は、前記毛細層における、重力方向に沿った平面での投影が前記第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最底部よりも低くない部分に設けられることを特徴とする請求項1に記載の放熱素子。
【請求項3】
前記毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最底部は、前記第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最底部と面一であり、かつ、
重力方向において、前記毛細層の底部は前記収容室の底部と当接することを特徴とする請求項1に記載の放熱素子。
【請求項4】
前記蒸気通路は、前記毛細層における前記第1の板面に向かう側に設けられることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の放熱素子。
【請求項5】
さらに、充填管を含み、
前記充填管は、一端が前記収容室に連通し、他端が外部に連通するために使用され、
前記充填管は、前記収容室及び前記作動媒体通路に対して真空引き及び液相変化作動媒体の注入を行うために使用されることを特徴とする請求項1に記載の放熱素子。
【請求項6】
前記蓋板には、連通孔が設けられ、
前記連通孔は、前記気相変化作動媒体が前記連通孔を介して前記作動媒体通路に拡散し、且つ前記作動媒体通路内で凝縮して生成された前記液相変化作動媒体が前記連通孔を介して前記収容室に回流するように、前記収容室と前記作動媒体通路とを連通するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の放熱素子。
【請求項7】
前記基板には、支持構造が設けられ、
前記支持構造は、前記第1の板面における、重力方向に沿った平面での投影が前記毛細層の投影の最頂部よりも高い部分に設けられ、
前記支持構造は、間隔をおいて配置されたいくつかの支持柱を含み、
前記支持柱は、一端が前記第1の板面に接続され、他端が前記蓋板に接続され、前記収容室を支持するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の放熱素子。
【請求項8】
前記支持柱の断面は、円形又は多角形を含むことを特徴とする請求項7に記載の放熱素子。
【請求項9】
前記毛細層は、異なる粒子サイズの金属粉末を焼結してなる毛細製品、多層メッシュ状構造で焼結してなる毛細製品、金属3Dプリントで形成された毛細製品、発泡金属のうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の放熱素子。
【請求項10】
前記液相変化作動媒体は、R134a作動媒体、R22作動媒体、R1233zd作動媒体、フッ素化液体のうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の放熱素子。
【請求項11】
作動媒体通路を有するフィン、及び請求項1~3のいずれか1項に記載の放熱素子を含み、
前記フィンは、前記蓋板における前記収容室から離反する側に設けられ、かつ前記作動媒体通路は前記連通孔に連通することを特徴とする熱サイフォン放熱器。
【請求項12】
前記基板と前記毛細層、前記基板と前記蓋板、及び前記蓋板と前記フィンとは、溶接方式で固定されることを特徴とする請求項11に記載の熱サイフォン放熱器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2022年11月28日にて、中国特許庁に提出され、出願番号が202211501414.3であり、発明の名称が「放熱素子及び熱サイフォン放熱器」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用されることで、本出願に結合される。
【0002】
本出願の実施例は電子放熱分野に関し、特に放熱素子に関する。本出願の実施例はさらに、上記の放熱素子を含む熱サイフォン放熱器に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、熱サイフォン放熱器の内部の相変化作動媒体の循環は、完全に重力により行われる。つまり、熱サイフォン放熱器の内部の液相変化作動媒体の液面を縦方向に熱源の上界面より高くすれば、相変化熱交換により熱源の熱量を十分に吸収することできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明を実現する過程において、発明者は、従来の技術に少なくとも次のような問題点があることを発見し、
現在の熱サイフォン放熱器の内部の液相変化作動媒体の液面は、縦方向熱源の上界面よりも高く、凝縮領域として使用できる空間の一部を占用するため、現在の熱サイフォン放熱器の性能を制限してしまう。
【0005】
本出願の実施例は、熱サイフォン放熱器に適用され、熱サイフォン放熱器の性能を向上させることができる放熱素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の実施例は、さらに、上記の放熱素子を含む熱サイフォン放熱器を提供する。
【0007】
第1の態様において、本出願の実施例は、熱サイフォン放熱器に適用される放熱素子を提供し、
少なくとも、毛細層と、互いに接続されて収容室を構成する基板及び蓋板とを含み、前記収容室は、相変化作動媒体の収容及び前記熱サイフォン放熱器のフィン内の作動媒体通路の連通のために使用され、
前記基板は、対向する第1の板面と第2の板面を有し、前記第1の板面は、前記収容室を構成するためのものであり、前記第2の板面は、熱源を取り付けるためのものであり、かつ、前記収容室内に収容された液相変化作動媒体の液面の重力方向に沿った平面での投影は、前記第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最頂部よりも高くなく、
前記毛細層は、前記収容室に設けられ、前記毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最底部は、前記第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最底部よりも高くなく、かつ前記毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最頂部は、前記第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最頂部よりも低くなく、
さらに、前記毛細層は、前記液相変化作動媒体を吸引して前記熱源と相変化熱交換を行うために使用され、かつ前記毛細層には、相変化により生成された気相変化作動媒体を前記毛細層から排出するための蒸気通路が設けられる。
【0008】
本出願の実施例が提供した放熱素子は、毛細層と、互いに接続されて収容室を構成する基板及び蓋板とを含み、基板は、対向する第1の板面と第2の板面を有し、第1の板面は、収容室を構成するためのものであり、第2の板面は、熱源を取り付けるためのものであり、かつ収容室内に収容された液相変化作動媒体の液面の重力方向に沿った平面での投影は、第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最頂部よりも高くなく、毛細層は、収容室に設けられ、毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最底部は、第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最底部よりも高くなく、かつ毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最頂部は、第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最頂部よりも低くなく、さらに、毛細層は、液相変化作動媒体を吸引して熱源と相変化熱交換を行うために使用され、かつ毛細層には、相変化により生成された気相変化作動媒体を前記毛細層から排出するための蒸気通路が設けられる。収容室内に収容された液相変化作動媒体の液面の重力方向に沿った平面での投影は、第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最頂部よりも高くないため、液相変化作動媒体は凝縮領域として使用できる空間を占用しないようになり、これでは、本出願の実施例が提供した放熱素子を採用した熱サイフォン放熱器における凝縮領域として使用できる空間は十分に利用されることが可能となり、熱サイフォン放熱器の凝縮空間が拡大され、熱サイフォン放熱器の性能を向上させる。
【0009】
放熱素子のいくつかの実施例では、前記毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最底部は、前記第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最底部よりも低く、
前記蒸気通路は、前記毛細層における、重力方向に沿った平面での投影が前記第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最底部よりも低くない部分に設けられる。
【0010】
放熱素子のいくつかの実施例では、前記毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最底部は、前記第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最底部と面一であり、かつ、
重力方向において、前記毛細層の底部は前記収容室の底部と当接する。
【0011】
放熱素子のいくつかの実施例では、前記蒸気通路は、前記毛細層における前記第1の板面に向かう側に設けられる。
【0012】
放熱素子のいくつかの実施例では、さらに、充填管を含み、
前記充填管は、一端が前記収容室に連通し、他端が外部に連通するために使用され、
前記充填管は、前記収容室及び前記作動媒体通路に対する真空引き及び液相変化作動媒体の注入を行うために使用される。
【0013】
放熱素子のいくつかの実施例では、前記蓋板には、連通孔が設けられ、
前記連通孔は、前記気相変化作動媒体が前記連通孔を介して前記作動媒体通路に拡散し、且つ前記作動媒体通路内で凝縮して生成された前記液相変化作動媒体が前記連通孔を介して前記収容室に回流するように、前記収容室と前記作動媒体通路とを連通するためのものである。
【0014】
放熱素子のいくつかの実施例では、前記基板には、支持構造が設けられ、
前記支持構造は、前記第1の板面における、重力方向に沿った平面での投影が前記毛細層の投影の最頂部よりも高い部分に設けられ、
前記支持構造は、間隔をおいて配置されたいくつかの支持柱を含み、
前記支持柱は、一端が前記第1の板面に接続され、他端が前記蓋板に接続され、前記収容室を支持するためのものである。
【0015】
放熱素子のいくつかの実施例では、前記支持柱の断面は、円形又は多角形を含む。
【0016】
放熱素子のいくつかの実施例では、前記毛細層は、異なる粒子サイズの金属粉末を焼結してなる毛細製品、多層メッシュ状構造で焼結してなる毛細製品、金属3Dプリントで形成された毛細製品、発泡金属のうちのいずれかを含む。
【0017】
放熱素子のいくつかの実施例では、前記液相変化作動媒体は、R134a作動媒体、R22作動媒体、R1233zd作動媒体、フッ素化液体のうちのいずれかを含む。
【0018】
第2の態様において、本出願の実施例は、作動媒体通路を有するフィン、及び第1の態様のいずれか1項に記載の放熱素子を含む熱サイフォン放熱器を提供し、
前記フィンは、前記蓋板における前記収容室から離反する側に設けられ、かつ前記作動媒体通路は前記連通孔に連通する。
【0019】
本出願の実施例が提供した熱サイフォン放熱器は、第1の態様のいずれか1項に記載の放熱素子を有するため、出願の実施例が提供した放熱素子と同様の技術的効果を有することが明らかである。
【0020】
熱サイフォン放熱器のいくつかの実施例では、前記基板と前記毛細層、前記基板と前記蓋板、及び前記蓋板と前記フィンとは、溶接方式で固定される。
【0021】
本出願の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下に、実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は、本出願に記載されたいくつかの実施例にすぎず、当業者にとって、これらの図面から他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本出願の実施例に開示された放熱器の構成概略図である。
図2】本出願の実施例に開示された別の放熱器の構成概略図である。
図3】本出願の実施例に開示された毛細層の構成概略図である。
図4】本出願の実施例に開示された蒸気通路のみを含む毛細層の構成概略図である。
図5】本出願の実施例に開示された放熱器の組立後の概略図である。
図6】本出願の実施例に開示された別の放熱器の組立後の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
当業者が本出願の解決手段をより良く理解できるように、以下に本出願の実施例における図面を結合して、本出願の実施例における技術案を明確かつ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本出願の実施例の一部にすぎず、全ての実施例ではない。本出願における実施例に基づき、当業者が進歩性に値する労働をしていないことを前提として得られたの他の全ての実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0024】
本出願の実施例の説明において、説明すべきは、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「縦」、「水平」、「内」、「外」等のような用語で示す方位又は位置関係は、図面に示すものに基づく方位又は位置関係であり、本出願の実施例の説明を容易にし、及び説明を簡略化するためのものにすぎず、示された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され操作されなければならないことを示す又は暗示するものではないため、本出願を制限するものとして理解してはならない。
【0025】
本出願の実施例の説明において、説明すべきは、別に明確な規定及び限定がない限り、「取り付け」、「繋がる」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、一体的に接続されてもよく、機械的に接続されてもよいし、電気的に接続されてもよく、直接的に繋がってもよいし、中間媒体を介して間接的に繋がってもよく、2つの素子の内部を連通させることが可能である。当業者にとって、具体的な状況に応じて本出願の実施例における上記の用語の具体的な意味を理解することができる。
【0026】
電子技術と通信技術の継続的な発展に伴い、放熱器の放熱効率が向上していくことが求められている。従来の通常のダイカストアルミ型の放熱器は、重量が大きいため、放熱効率が低いと現在の放熱要求を満たすことが困難になっている。
【0027】
放熱器効率を高めるための従来の主な手段は、放熱フィンのフィン効率を高め、放熱器の構成を最適化して対流熱伝達係数を高める等の方式を含む。その中に、放熱フィンのフィン効率を高めるのは、直接的、迅速かつ有効な方式であり、ダイカストアルミフィンに代わり、グラフェン-金属の複合材料、表面でグラフェンコーティングを施す等の方式のような、高熱伝導率の材料と複合材料を検討することで、いずれも良い効果を得た。相変化熱交換は、相変化作動媒体の潜熱と気液循環によって放熱能力を高める方式であり、例えば、温度均等化プレート、ヒートパイプ、インフレーションプレートフィン及び熱サイフォン放熱器のように、現在も電子放熱という分野に広く用いられる。
【0028】
しかしながら、現在、熱サイフォン放熱器の内部の相変化作動媒体の循環は、完全に重力により行われる。つまり、熱サイフォン放熱器の内部の液相変化作動媒体の液面を縦方向(重力方向)において熱源の上界面(最頂部)より高くすれば、相変化熱交換により熱源の熱量を十分に吸収することできる。このような設計により、熱サイフォン放熱器の内部の液相変化作動媒体の液面は縦方向(重力方向)において熱源の上界面よりも低くなることはできず、内部の液相変化作動媒体の液面は縦方向(重力方向)において熱源の上界面(最頂部)より低いと、相変化熱交換により熱源の熱量を十分に吸収できず、また、熱サイフォン放熱器の内部に収納されている液相変化作動媒体は、凝縮領域の範囲に影響を与え、その内部に収納された液相変化作動媒体が多いほど、凝縮領域として使用できる範囲が小さくなり、つまり、熱サイフォン放熱器の性能が悪くなることを意味し、現在の熱サイフォン放熱器の内部の液相変化作動媒体の液面は、縦方向(重力方向)において熱源の上界面(最頂部)よりも高いため、凝縮領域として使用できる空間の一部を占用し、即ち、熱源の上界面(最頂部)よりも高い液相変化作動媒体は、凝縮領域として使用できる空間の一部を占用するので、熱サイフォン放熱器が凝縮領域として使用できる空間は、十分に利用されていないため、現在の熱サイフォン放熱器の性能が制限された。これに基づいて、本出願の実施例は、熱サイフォン放熱器の性能を向上させることができる放熱素子及び熱サイフォン放熱器を提供する。
【0029】
まず、本出願の実施例は、熱サイフォン放熱器に適用される放熱素子を提供し、図1に示すように、具体的には、次の通りであり、
本出願の実施例が提供した放熱素子は、少なくとも、互いに接続されて収容室101を構成する基板1と蓋板3を含み、収容室101は、相変化作動媒体の収容及び熱サイフォン放熱器のフィン内の作動媒体通路の連通のために使用され、理解されたいこととして、この収容室101は主に、液相変化作動媒体と気相変化作動媒体を含む相変化作動媒体の流れと相変化のために使用され、即ち、収容室101内には、液相変化作動媒体、及び液相変化作動媒体が相変化することによって生成される気相変化作動媒体が存在し、収容室101内の気相変化作動媒体は、熱サイフォン放熱器のフィン内の作動媒体通路に流通可能となり、液相変化作動媒体になるように凝縮する。ここで、基板1は、対向する第1の板面と第2の板面を有し、理解されたいこととして、この第1の板面は、基板1における蓋板3に近い(又は向かう)面であり、この第2の板面は、基板1における蓋板3から離れる(又は離反する)面であり、この第1の板面は、収容室を構成するためのものであり、第2の板面は、熱源4を取り付けるためのものであり、かつ収容室101内に収容された液相変化作動媒体の液面の重力方向(又は縦方向、即ち、地面に垂直な方向)に沿った平面での投影は、第2の板面に取り付けられた熱源4の投影の最頂部よりも高くなく、理解されたいこととして、収容室101内の液相変化作動媒体の液面の投影は、熱源4の投影の最底部よりも低くてもよいし、熱源4の投影の最底部よりも高いが熱源4の投影の最頂部よりも低くてもよいし、熱源4の投影の最頂部と面一にしてもよく、具体的にはここで限定しておらず、好ましくは、収容室101内の液相変化作動媒体の液面は、重力方向(又は縦方向、即ち、地面に垂直な方向)に沿った平面での投影は、熱源4の投影の最頂部よりも低く、このように、熱サイフォン放熱器の正常な運転を保証する場合に、液相変化作動媒体の充填量を低減させ、熱サイフォン放熱器の質量がより軽くなり、一方で、熱サイフォン放熱器における凝縮領域として使用できる空間を占用しなく、凝縮空間を拡大することができ、熱サイフォン放熱器の性能を向上させることができる。この液相変化作動媒体(相変化作動媒体)は、放熱器の作動条件で気液相変化可能な任意の流体であり、R134a作動媒体(又は冷媒)、R22作動媒体(又は冷媒)、R1233zd作動媒体(又は冷媒)又はフッ素化液体であってもよく、具体的にはここで限定しない。
【0030】
放熱素子は、さらに、収容室101内に設けられた毛細層2を含む。この毛細層2は、毛管力を有し、具体的には、この毛細層2の構成は、異なる粒子サイズの金属粉末を焼結してなる毛細製品であってもよく、これにより、連続した不規則な多孔質媒体を形成して、基板内に必要な毛細動力を提供し、毛細層の構成は、多層メッシュ状構造で焼結してなる毛細製品であってもよく、多層グリッドの間に毛細通路を形成して、毛管力を提供する。毛細層2は、金属3Dプリントで形成された毛細製品又は発泡金属であってもよく、即ち、毛細層2は、異なる粒子サイズの金属粉末を焼結してなる毛細製品、多層メッシュ状構造で焼結してなる毛細製品、金属3Dプリントで形成された毛細製品、及び発泡金属のいずれかを含み、具体的にはここで限定しない。この基板1、毛細層2及び蓋板3は、縦方向(又は重力方向)において対向設置され、理解されたいこととして、この基板1、毛細層2及び蓋板3の3つの部材は、互いに平行に設置されてもよく、いずれの部材が傾斜して設置されてもよく、具体的にはここで限定しない。好ましくは、基板1、毛細層2及び蓋板3は、重力方向(又は縦方向)において互いに平行に設置されている。毛細層2の重力方向に沿った平面での投影の最底部は、第2の板面に取り付けられた熱源4の投影の最底部よりも高くなく、かつ毛細層2の重力方向に沿った平面での投影の最頂部は、第2の板面に取り付けられた熱源4の投影の最頂部よりも低くなく、即ち、液相変化作動媒体が熱源4の熱量を十分に吸収できるように、毛細層2の頂部は、重力方向(又は縦方向)において少なくとも熱源4の頂部と面一にする必要があり、即ち、熱源4の重力方向(又は縦方向)に沿った平面での投影を完全に毛細層2に収め、このように、液相変化作動媒体の液面の重力方向に沿った平面での投影が熱源4の投影の最頂部よりも低くても、毛細層の作用で、液相変化作動媒体は、熱源4の最頂部に対応する高さまで輸送され、熱源4と相変化熱交換(相変化作動媒体が吸収した熱量は熱源4からのものである)することで、液相変化作動媒体が熱源4の熱量を十分に吸収できることが保証され、つまり、毛細層の存在により、収容室101内に収容された液相変化作動媒体の液面の重力方向に沿った平面での投影は、熱源4の投影の最頂部よりも高くなくてもよい。即ち、毛細層2と熱源4との重力方向(縦方向)に沿った平面での投影には重複部分が存在する。理解されたいこととして、この毛細層2の底部は、収容室101内の液相変化作動媒体に浸漬され、毛細層2は、液相変化作動媒体を吸引して熱源4と相変化熱交換を行うために使用され、即ち、毛細層2の毛管力に基づいて、液相変化作動媒体を重複部分における対応する毛細層位置まで吸い上げ、即ち、液相変化作動媒体を熱源に対応する高さまで吸引して、液相変化作動媒体を熱源4と相変化熱交換させて気相変化作動媒体を生成するようになる。
【0031】
さらに、現在の熱サイフォン放熱器について、その内部の蒸発沸騰表面は、滑らかな壁面であることが多く、滑らかな壁面の沸騰過熱度は高くことが多いため、熱サイフォン放熱器の性能も低下する。従って、本出願の実施例では、毛細層2に対して蒸気通路を追加し、図3及び図4に示すように、毛細層2には、相変化により生成された気相変化作動媒体を毛細層2から排出するための蒸気通路201が設けられる。一般的には、毛細層2の頂部は、重力方向(又は縦方向)において収容室101の頂部よりも低く、通常に、熱源の頂部と面一であり、蒸気通路201は、毛細層2の第1の板面に向かう側に設けられることができ、即ち、蒸気通路201は、毛細層2における基板1に近い(向かう)側に設けられ、かつ蒸気通路201は、重力方向(又は縦方向)において熱源4と同じ高さの位置に設けられている。この蒸気通路201は、毛細層2における熱源4と同じ高さの位置にある連続通路であり、この蒸気通路201は、連続した上向きの溝であってもよい。蒸気通路201は、相変化熱交換により生成された気相変化作動媒体を毛細層2の上方の蒸気空間に排出するためのものであり、この蒸気空間は主として毛細層2の頂部と収容室101の頂部との間の空間である。理解されたいこととして、液相変化作動媒体は気相変化作動媒体になるように相変化した後、連続した溝に沿って上方の蒸気空間に迅速に排出されることができる。連続した蒸気通路201(気体通路)がなければ、生成された気体は、毛細層2全体を通過して初めて排出されるようになり、これでは、気相変化作動媒体の運動の抵抗が大きくなり、液作動媒体が毛細層を流れる抵抗も大きくなる。従って、毛細層2における基板1に近い(向かう)側で連続した蒸気通路201を加工することにより、生成される気相変化作動媒体(蒸気)を迅速に上方へ排出することができる同時に、毛細層2(毛細構成)も沸騰表面の強化の一部として、熱源4と沸騰温度との間の過熱度を低下させることができる。
【0032】
理解されたいこととして、本出願の実施例の放熱素子は、作動中に、一般的に縦置きの状態にあり、一部の場合には、所定の角度で斜めに配置することが許可され、具体的にはここで限定しておらず、この所定の角度は、15°又は20°にすることができ、具体的にはここで限定しない。収容室内の液相変化作動媒体の液面は熱源の最頂部よりも低いと、収容室内の毛細層による毛管力を利用することで、収容室の下方の液相変化作動媒体を上方へ吸引し、液相変化作動媒体を熱源4と対応する高さまで輸送して、熱源4と相変化熱交換させる。
【0033】
このように、本出願の実施例が提供した放熱素子は、互いに接続されて収容室を構成する基板及び蓋板と、毛細層とを含み、基板は、対向する第1の板面と第2の板面を有し、第1の板面は、収容室を構成するためのものであり、第2の板面は、熱源を取り付けるためのものであり、かつ収容室内に収容された液相変化作動媒体の液面の重力方向に沿った平面での投影は、第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最頂部よりも高くなく、毛細層は、収容室に設けられ、毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最底部は、第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最底部よりも高くなく、かつ毛細層の重力方向に沿った平面での投影の最頂部は、第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最頂部よりも低くなく、ここで、毛細層は、液相変化作動媒体を吸引して熱源と相変化熱交換を行うために使用され、かつ毛細層には、相変化により生成された気相変化作動媒体を前記毛細層から排出するための蒸気通路が設けられる。収容室内に収容された液相変化作動媒体の液面の重力方向に沿った平面での投影は、第2の板面に取り付けられた熱源の投影の最頂部よりも高くないため、液相変化作動媒体は凝縮領域として使用できる空間を占用しないようになり、これでは、本出願の実施例が提供した放熱素子を採用した熱サイフォン放熱器における凝縮領域として使用できる空間は十分に利用されることが可能となり、熱サイフォン放熱器の凝縮空間が拡大され、熱サイフォン放熱器の性能を向上させる。一実施可能な形態では、収容室内に毛細層が追加されており、毛細層の毛管力により下方の液体を吸引することで、より高い位置にある熱源に対して相変化熱交換を行い、毛細構成による毛管効果により、熱源の最頂部の位置より低い液相変化作動媒体を一定の高さに吸引することができるため、上方の熱源は依然として相変化熱交換の方式で熱量の変換と伝達を行うことができ、相変化熱交換に関与する総面積を増加させ、熱交換効率を向上させ、相変化作動媒体の使用量を低減し、これにより、二相空間(又は凝縮空間とも呼ばれる)を拡張して、本出願の実施例が提供した放熱素子を採用した熱サイフォン放熱器の、より高い位置にある熱源に対する放熱能力を向上させた。
【0034】
さらに、本出願の実施例では、毛細層2は、毛細層2の重力方向に沿った平面での投影の最底部が第2の板面に取り付けられた熱源4の投影の最底部よりも低く、即ち、熱源4の底部が重力方向において収容室101の底部の上方にあり、収容室101内に収容された液相変化作動媒体の液面の重力方向(又は縦方向、即ち、地面に垂直な方向)に沿った平面での投影が熱源4の投影の最頂部よりも高くないように設けられてもよい。毛細層2の対応する蒸気通路201は、毛細層2における、重力方向に沿った平面での投影が第2の板面に取り付けられた熱源4の投影の最底部よりも低くない部分に設けられ、理解されたいこととして、この場合に、毛細層2の底部は、毛管力により液相変化作動媒体を毛細層2の頂部まで上方へ吸引することで、熱源4全体も相変化熱交換の方式により液相変化作動媒体とは熱量の変換と伝達を行うことができ、蒸気通路201は、相変化により生成された気相変化作動媒体を排出ことができるため、液相変化作動媒体と気相変化作動媒体の円滑な流れを保証することができる。
【0035】
さらに、本出願の実施例では、毛細層2は、毛細層2の重力方向に沿った平面での投影の最底部が第2の板面に取り付けられた熱源4の投影の最底部と面一であり、かつ、重力方向において、毛細層2の底部が収容室101の底部と当接するように設けられてもよく、同時に、収容室101内に収容された液相変化作動媒体の液面の重力方向(又は縦方向、即ち、地面に垂直な方向)に沿った平面での投影は、第2の板面に取り付けられた熱源4の投影の最低部よりも高いが熱源4の投影の最頂部よりも高くなくなり、好ましくは、液相変化作動媒体の液面の重力方向(又は縦方向、即ち、地面に垂直な方向)に沿った平面での投影は、熱源4の投影の最底部よりも高いが熱源4の投影の最頂部よりも低い。即ち、熱源4の底部は、重力方向において収容室101の底部と同一高さにある。収容室101内の液相変化作動媒体による液面は、熱源4の最頂部よりも低いが熱源4の最底部よりも高く、このような場合に、毛細層2は、熱源4の熱量を十分に吸収するために液相変化作動媒体を熱源4の最頂部に対応する高さまで吸い上げ、相変化により生成された気体作動媒体は毛細層2の蒸気通路201を介して排出される。
【0036】
さらに、図2に示すように、放熱素子はさらに、充填管6を含み、この充填管6は、基板1に設けてもよいし、蓋板3に設けてもよく、具体的にはここで限定しておらず、充填管6の位置と形態は多様であってもよい。さらに、充填管6は、一端が収容室101に連通し、他端が放熱素子の外部に連通するために使用され、即ち、充填管6は、一端が放熱素子の内部に通じ、他端が放熱素子の外部に通じており、充填管6は、収容室101及び作動媒体通路501に対して真空引き及び液相変化作動媒体の注入を行うために使用され、即ち、充填管6は、放熱素子の内部の全ての連通するキャビティーに対して真空引き、液体注入動作を行うために使用され、即ち、収容室101及び作動媒体通路501に対して、真空引き及び液相変化作動媒体の注入を行うために使用される。
【0037】
さらに、蓋板3は、連通孔301を含み、この連通孔301の形状は、並列した長尺孔又は複数の円孔であっても、具体的にはここで限定しない。連通孔301は、収容室101と作動媒体通路501とを連通することで、気相変化作動媒体が連通孔301を介して作動媒体通路501に拡散し、かつ、作動媒体通路501で凝縮して生成された液相変化作動媒体が、連通孔301を介して収容室101の底部に流す。理解されたいこととして、この連通孔301は、相変化作動媒体が収容室101と作動媒体通路501との間で循環回路を形成することを可能にし、さらに、収容室101と作動媒体通路501は、蓋板3の連通孔301を介して互いに連通し、相変化作動媒体は、放熱素子の収容室101内に注入されるとともに、収容室101と作動媒体通路501を自由に流れることが可能である。
【0038】
さらに、基板1には、支持構造が設けられ、この支持構造は、基板1の第1の板面における、重力方向に沿った平面での投影が毛細層2の投影の最頂部よりも高い部分に設けられ、即ち、この支持構造は、第1の板面に設けられ、かつ毛細層2の上方に設けられた。支持構造は、いくつかの間隔をおいて配置された支持柱102を含み、この支持柱102の断面形状は、円形、三角形、四角形又は他の多角形であってもよく、具体的にはここで限定しない。支持柱102は、一端が第1の板面に接続され、他端が蓋板3に接続され、収容室101を支持するためのものである。理解されたいこととして、収容室101の室内に相変化作動媒体が注入された。相変化作動媒体は、高温作動の場合に大きな圧力を有する。熱源が発熱しない場合に、低温中、及び充填の過程で負圧状態にあると、収容室101が変形しやすい。支持柱102の作用は、基板1と蓋板3との間の収容室101が圧力の影響で変形しないように、十分に強い引張力と支持力を提供することである。
【0039】
本出願の実施例はさらに、熱サイフォン放熱器を提供し、図5及び図6に示すように、熱サイフォン放熱器は、作動媒体通路501を有するフィン、及び上記のような放熱素子を含む。理解されたいこととして、熱サイフォン放熱器は、放熱フィンアセンブリ5を含み、放熱フィンアセンブリ5は、蓋板3における前記収容室から離れる側に設けられ、放熱フィンアセンブリ5は、作動媒体通路501を有する複数のフィンを含み、即ち、フィンは、蓋板3における収容室101から離反する側に設けられ、かつフィンの作動媒体通路501は連通孔301に連通する。理解されたいこととして、放熱フィンアセンブリ5の各フィンは、いずれも作動媒体通路501を有し、相変化熱交換により生成された気相変化作動媒体が作動媒体通路501内で液相変化作動媒体に凝縮するために使用される。この作動媒体通路501は、放熱フィンアセンブリ5のフィンの内部通路として理解することができ、フィンは、2枚の金属を溶接して形成することができ、さらに、2枚の金属の間に内部通路(即ち、作動媒体通路501)を形成する。理解されたいこととして、相変化熱交換により生成された気相変化作動媒体は、熱サイフォン放熱器の放熱フィンアセンブリ5の作動媒体通路501内に入り、液相変化作動媒体に凝縮されることができる。フィンは、拡張された放熱表面として、環境との間で熱量交換を行って、フィン表面温度を低下させ、気相変化作動媒体をフィンの作動媒体通路501内で凝縮させ、重力の作用でフィンの下方に流れて、収容室101に回流させることができる。
【0040】
さらに、本出願の実施例が提供した熱サイフォン放熱器において、基板1と毛細層2、基板1と蓋板3、及び蓋板3とフィンとは、溶接方式で固定され、即ち、基板1、毛細層2、蓋板3及び放熱フィンアセンブリ5のフィンは、溶接により対応する対象物に接続することができる。
【0041】
本出願の実施例では、放熱器は、まず溶接方式で放熱器の各部を組み立てる。充填管6によって、放熱器内の全ての連通するキャビティーの空気を引き出して相変化作動媒体を注入する。熱源4が発熱する場合に、放熱器の内部の液相変化作動媒体は、沸騰により相変化し、気化潜熱により熱源の熱量を吸収し、同時に液相変化作動媒体は気相変化作動媒体に変化する。さらに、液相変化作動媒体の液面は熱源4の頂部よりも低く、収容室101内の毛細層2の毛管力により、液相変化作動媒体を熱源4の最頂部に対応する高さまで上方へ吸引することができ、熱源4と相変化熱交換し、これにより生成された高温の気相変化作動媒体を毛細層2の上方の蒸気空間に排出する。熱源4で生成された高温気相変化作動媒体は、高圧状態にあり、圧力による駆動で蓋板3の連通孔301を介して放熱フィンアセンブリ5の作動媒体通路501内に拡散する。温度の高い気相変化作動媒体が作動媒体通路501で放熱フィンの内面に接触すると、気相変化作動媒体は、冷たい壁面で凝縮して液相変化作動媒体となり、熱量を放出する。熱源4の熱量をフィン迅速に伝達する過程が完了した。凝縮された液相変化作動媒体は重力の作用でフィン内壁面に沿って下方へ流れて、相変化作動媒体の循環が完了した。
【0042】
最後に説明すべきは、以上の各実施例は、ただ本出願の実施例の技術案を説明するものであり、制限的なものではなく、本出願の実施例は、上記した各実施例を参照して詳しく説明したが、当業者は理解すべきは、当業者が依然として上記した各実施例に記載された技術案に対して補正し、又はそのうちの一部又は全ての技術的特徴に対して均等な置換を行うことが可能であり、これらの補正又は置換は、対応する技術案の本質を本出願の実施例の各実施例の技術案の範囲から逸脱させるものではなく、いずれも本出願の実施例の請求項及び明細書の範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】