(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】オイルポートリソース最適化スケジューリング方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20250121BHJP
B65G 63/00 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
G06Q10/0631
B65G63/00 G
B65G63/00 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528540
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 CN2022100941
(87)【国際公開番号】W WO2023216380
(87)【国際公開日】2023-11-16
(31)【優先権主張番号】202210495035.1
(32)【優先日】2022-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518370596
【氏名又は名称】青▲島▼港国▲際▼股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO PORT INTERNATIONAL CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.12 Jingba Road,Huangdao District,Qingdao Shandong 266000 China
(71)【出願人】
【識別番号】524177129
【氏名又は名称】青▲島▼港国▲際▼油港有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】524177107
【氏名又は名称】青▲島▼国▲際▼能源交易中心有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】524177118
【氏名又は名称】青▲島▼▲実▼▲華▼原油▲碼▼▲頭▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523347497
【氏名又は名称】山東科技大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼素杰
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼玉▲潔▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ケイ▼▲東▼亮
(72)【発明者】
【氏名】薛宝▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼冰
(72)【発明者】
【氏名】于守水
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼献▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】于志涛
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼洋
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】▲カク▼▲為▼建
(72)【発明者】
【氏名】李▲テイ▼▲テイ▼
(72)【発明者】
【氏名】王▲徳▼利
(72)【発明者】
【氏名】宋京▲暉▼
(72)【発明者】
【氏名】王元波
(72)【発明者】
【氏名】王瑾
【テーマコード(参考)】
5L010
【Fターム(参考)】
5L010AA04
(57)【要約】
本発明は、オイルポートリソース最適化スケジューリング方法であって、以下のステップを含む、即ち、下位レベルスケジューリングモデルを確立するステップS11と、上位レベルスケジューリングモデルを確立するステップS12と、多目的進化アルゴリズムを用いて下位レベルスケジューリングモデルと上位レベルスケジューリングモデルとを求めるステップS13と、求めた結果に基づいて、タンカーの目標バースと停泊シーケンスを確定するステップS14と、を含む。本発明によれば、一方では、複数の貯留タンク及び複数のパイプラインの要因条件下で、オイルポート全体の動作を相対的にバランスさせて比較的安定させることができ、他方では、オイルポートターミナルの利益を最大化し、タンカーの在港時間を最小限に抑える制御目標を達成できる。本発明は最適なスケジューリングソリューションであり、従来の手作業による作成方法と比較すると、インテリジェンス化と合理化の両方が明らかに向上される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルポートリソース最適化スケジューリング方法において、
以下のステップを含む、即ち、
下位レベルスケジューリングモデルを確立するステップS11であって、
前記下位レベルスケジューリングモデルは、下記の通りである、即ち、
【数1】
ここで、
kはバースであり、k=1,2,・・・,m、mはオイルポートのバースの数であり、
T
kは設定計画期間内でのバースkの使用時間であり、
【数2】
ここで、
は設定計画期間内の全てのm個のバースの平均使用時間であり、
【数3】
TR
i,j,pはパイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する準備時間を示し、
pはパイプラインであり、p=1,2,・・・,q、qはパイプラインの数であり、
jはオイル種類であり、j=1,2,・・・,u、uはオイル種類の数であり、
iはタンカーであり、i=1,2,・・・,n、nはタンカーの数であり、
TR
i,j,p=w
i,j,pTR
p、TR
Pはパイプラインpを介してオイルを輸送する準備時間であり、w
i,j,pは下記の式を満たし、即ち、
TZ
i,j,pは パイプラインpを介して輸送されるタンカーiのオイルjを輸送する輸送時間を示し、
【数4】
であり、ここで、E
i,j,pはパイプラインpを介して輸送されるタンカーiのオイルjのトン数を示し、v
j、pはパイプラインpを介して輸送されるj番目のオイルの流量を示し、
は、パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する条件を満たすとき、準備時間と輸送時間との和はTR
i,j,p+TZ
i,j,pであることを示し、
は、パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する際に準備時間と輸送時間との和の最大値を示し、
は、パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する際に準備時間と輸送時間との和の最小値を示している、ステップS11と、
上位レベルスケジューリングモデルを確立するステップS12であって、
前記上位レベルスケジューリングモデルは、下記の通りである、即ち、
【数5】
ここで、u
i,jは、タンカーiがj番目のオイルをアンロードするために支払ったトン当たりの料金を示し、
E
i,jは、タンカーiがj番目のオイルをアンロードするトン数を示し、
であり、
L
Pはパイプラインpの長さを示し、
PC
j,pはパイプラインpを介してj番目のオイルを輸送する単位コストを示し、
E
i,j,pはパイプラインpを介して輸送されるタンカーiのj番目のオイルのトン数を示し、
DC
iはタンカーiの滞留期間に対するペナルティ単価を示し、
TL
i,kはタンカーiのバースkでの作業が完了した後の出港時間を示し、
TD
iはタンカーiが許容される最も遅い出港時間を示し、
TA
iはタンカーiの入港時間を示す、ステップS12と、
多目的進化アルゴリズムを用いて前記下位レベルスケジューリングモデルと前記上位レベルスケジューリングモデルとを求めるステップS13と、
求めた結果に基づいて、タンカーの目標バースと停泊シーケンスを確定するステップS14と、
を含むことを特徴とするオイルポートリソース最適化スケジューリング方法。
【請求項2】
前記下位レベルスケジューリングモデルは、以下の制約条件をさらに含み、即ち、
タンカーがバースに停泊する制約条件は、
【数6】
であり、
タンカーの荷重の制約条件は、
【数7】
であり、W
iはタンカーiの積載重量を示し、W
kはバースkの停泊能力を示し、
パイプラインの制約条件は、
【数8】
であり、ここで、sはタンクであり、s=1,2,・・・,r、rはタンクの数、
であり、
アンロード能力の制約条件は、
【数9】
であり、ここで、F
sはタンクsの残容量であり、
であり、
E
i,jはタンカーiに積込まれたオイルjをアンロードするトン数であり、
アンロード目標の制約条件は、
【数10】
であることを特徴とする請求項1に記載のオイルポートリソース最適化スケジューリング方法。
【請求項3】
前記下位レベルスケジューリングモデルは、以下の制約条件をさらに含み、即ち、
パイプラインの制約条件は、
【数11】
であり、
ここで、
であり、
バース承認のための許可制約条件は、
【数12】
であり、ここで、
TB
i+1,kは、i+1番目のタンカーがバースkに接岸する時間を示し、
TL
i,kはバースkで作業が完了した後のタンカーiの出港時間を示し、
アンロード完了の出港制約条件は、
【数13】
であり、
ここで、TL
i,kは、バースkで作業が完了した後のタンカーiの出港時間を示し、TB
i,kは、i番目のタンカーがバースkに接岸する時間を示し、
は、パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する準備時間と輸送時間との和の最大値を示す、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオイルポートリソース最適化スケジューリング方法。
【請求項4】
前記多目的進化アルゴリズムを用いて前記下位レベルスケジューリングモデルと前記上位レベルスケジューリングモデルとを求めることは、以下のステップを含み、即ち、
前記下位レベルスケジューリングモデルの実行可能解に対応するバース番号を2進数で示すステップS21と、
初期個体群の規模を設定し、前記下位レベルスケジューリングモデルの実行可能解において前記初期個体群の個体をランダムに選択し、前記初期個体群をpop1と定義するステップS22と、
サンプル個体のフィットネスを算出するステップS23と、
前記サンプル個体のフィットネスに基づいて選択演算を行い、個体サンプルを選択するステップS24と、
前記選択演算後の前記個体サンプルを交差演算するステップS25と、
前記交差演算後の前記個体サンプルを変異演算するステップS26と、
反復条件が満たされているか否かを判断し、前記反復条件が満たされていれば、計算を終了し、前記下位レベルスケジューリングモデルの最適化個体群pop1-optを取得し、前記反復条件が満たされていなければ、前記変異演算後の個体サンプルを次世代の個体群として、前記反復条件が満たすまで、前記ステップS23から前記ステップS26を繰り返して実行するステップS27と、
前記最適化個体群pop1-optの各個体に対応するE
i,j,pを計算するステップであって、E
i,j,pはパイプラインpを介して輸送されるタンカーiのオイルjのトン数を示す、ステップS28と、
算出されたE
i,j,pを前記上位レベルスケジューリングモデルに代入するステップS29と、
前記上位レベルスケジューリングモデルの実行可能解に対応するタンカーの停泊シーケンスを2進数で示すステップS30と、
初期個体群の規模を設定し、前記上位レベルスケジューリングモデルの実行可能解において初期個体群の個体をランダムに選択し、前記初期個体群をpop2と定義するステップS31と、
前記サンプル個体のフィットネスを算出するステップS32と、
前記サンプル個体のフィットネスに基づいて選択演算を行い、個別サンプルを選択するステップS33と、
前記選択演算後の前記サンプル個体を交差演算するステップS34と、
前記交差演算後の前記サンプル個体を変異演算するステップS35と、
反復条件が満たされていれば、計算を終了し、前記上位レベルスケジューリングモデルの最適化個体群pop2-optを取得し、前記反復条件が満たされていなければ、変異演算後の個体サンプルを次世代の個体群として、前記反復条件を満たすまで、ステップS32からステップS36を繰り返して実行するステップS36と、
前記上位レベルスケジューリングモデルの前記最適化個体群pop2-optを復号して、タンカー目標バースと停泊シーケンスを得るステップS37と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のオイルポートリソース最適化スケジューリング方法。
【請求項5】
前記ステップS23又は前記ステップS32において前記フィットネスの計算を実行する際のフィットネス関数は、
【数14】
であり、
ここで、g
lは前記上位レベルスケジューリングモデルの初期個体群の1番目の個体のフィットネス値を示し、g
lが小さいほど良い個体であることを示し、
は前記上位レベルスケジューリングモデルの前記初期個体群の1番目の個体の目標関数値から前記上位レベルスケジューリングモデルの負の理想的解までの距離を示し、
は前記上位レベルスケジューリングモデルの前記初期個体群の1番目の個体の目標関数値から前記上位レベルスケジューリングモデルの正の理想的解までの距離を示し、
前記ステップS23において前記フィットネス計算を実行する場合、前記目標関数は前記下位レベルスケジューリングモデルであり、前記ステップS32で前記フィットネス計算を実行する場合、前記目標関数は前記上位レベルスケジューリングモデルである、
ことを特徴とする請求項4に記載のオイルポートリソース最適化スケジューリング方法。
【請求項6】
前記ステップS25又は前記ステップS34で前記交差演算を実行する場合、交差確率は下記の式により確定し、
【数15】
ここで、pcが交差確率であり、pc
minが設定交差確率区間の最小値であり、pc
maxが前記設定交差確率区間の最大値であり、f’が交差操作に関与する2つの個体のうちフィットネスが大きい個体であり、f
avgが平均フィットネスであることを特徴とする請求項4に記載のオイルポートリソース最適化スケジューリング方法。
【請求項7】
前記ステップS26又は前記ステップS35において前記変異演算を実行する場合、変異確率は下記の式により確定し、
【数16】
ここで、pmが変異確率であり、pm
minが設定変異確率区間の最小値を示し、pm
maxが設定変異確率区間の最大値を示し、f
minが前記交差演算後の前記サンプル個体の個体群においてフィットネス最小値を示し、f
avgが前記交差演算後の前記サンプル個体の個体群においてフィットネス平均値を示し、fが変異個体のフィットネス値を示すことを特徴とする請求項4に記載のオイルポートリソース最適化スケジューリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、港湾設備の技術分野に属し、特にオイルポートリソース最適化スケジューリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オイルポートとは、原油や石油精製品を積み下ろす専用の港湾である。オイルポートリソーススケジューリングは、スマート港湾の建設にとって重要な意味を持つ。合理的なスケジューリングは、バース占有時間を均等化し、オイルポートの利益を向上させ、オイルポートの作業効率を最適化することができる。
【0003】
現在、オイルポートリソーススケジューリングは、一般的に手作業でアンロード計画を作成する形式を採用している:タンカーが入港する前に、陸側は船舶側に船舶と陸側の接続バースやパイプラインの数などの情報を提供し、船舶側は陸側に航海中に積み込むオイル品種やトン数などの情報を提供し、船舶側と陸側の双方は原油の種類や量、アンロード順序やアンロードレートなどの情報を確認して、アンロード計画を策定して実行する。しかし、アンロード作業中に複数のパイプラインが同時に輸送され、複数のタンクが同時に貯蔵される可能性があるため、従来の手作業によるアンロード計画作成技術は、オイルポートリソース配分を最適化することが難しく、オイルポートリソースを十分に利用することができず、インテリジェント化及び合理化という改善すべき問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、オイルポートの資源配分の最適化が難しく、オイルポートの資源を十分に利用できず、インテリジェント化と合理化の改善すべき問題があるオイルポートの既存の手作業によるアンロード作業計画作成技術に対して、オイルポートの資源を最適にスケジューリングする方法を設計し、提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の発明目的を達成するために、本発明は、以下の技術解決案を用いて実現する。
【0006】
オイルポートリソース最適化スケジューリング方法において、
以下のステップを含む、即ち、
下位レベルスケジューリングモデルを確立するステップS11であって、
前記下位レベルスケジューリングモデルが、下記の通りである、即ち、
【数1】
ここで、
kはバースで、k=1,2,・・・,m、mはオイルポートのバースの数であり、
T
kは設定計画期間内でのバースkの使用時間、
は設定計画期間内の全てのm個のバースの平均使用時間で、
であり、
TR
i,j,pは、パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する準備時間を示し、
pはパイプラインで、p=1,2,・・・,q、qは パイプラインの数であり、
jはオイル種類で、j=1,2,・・・,u、uはオイル種類の数であり、
iはタンカーで、i=1,2,・・・,n,nはタンカーの数であり、
TR
i,j,p=w
i,j,pTR
pで、TR
pはパイプラインpを介してオイルを輸送する準備時間で、w
i,j,pは下記の式を満たし、即ち、
で、
TZ
i,j,p は パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する輸送時間を示し、
であり、ここで、E
i,j,pは、パイプラインpを介して輸送されるタンカーiのオイルjのトン数を示し、v
j、pは パイプラインpを介して輸送されるj番目のオイルの流量を示し、
は、 パイプラインpによるタンカーiのj番目のオイルを輸送する条件を満たすとき、準備時間と輸送時間との和がTR
i,j,p+TZ
i,j,pであることを示し、
は、パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する準備時間と輸送時間との和の最大値を示し、
は、パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する準備時間と輸送時間との和の最小値を示すステップS11と、
上位レベルスケジューリングモデルを確立するステップS12であって、
前記上位レベルスケジューリングモデルは、下記の通りである、即ち、
【数2】
ここで、u
i,jは、タンカーiがj番目のオイルをアンロードするための料金を示し、
E
i,jは、タンカーiがj番目のオイルをアンロードするトン数を示し、
であり、
L
pはパイプラインpの長さを示し、
PC
j,pはパイプラインpを介してj番目のオイルを輸送する単位コストを示し、
E
i,j,pはパイプラインpを介して輸送されるタンカーIのj番目のオイルのトン数を示し、
DC
iはタンカーiの滞留期間に対するペナルティ単価を示し、
TL
i,kはタンカーiのバースkでの作業が完了した後の出港時間を示し、
TD
iはタンカーiが許容される最も遅い出港時間を示し、
TA
iはタンカーiの入港時間を示すステップS12と、
多目的進化アルゴリズムを用いて下位レベルスケジューリングモデルと上位レベルスケジューリングモデルとを求めるステップS13と、
前記求めた結果に基づいて、タンカーの目標バースと停泊シーケンスを確定するステップS14と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
従来技術と比較して、本発明の利点と積極的な効果は以下の通りである、即ち、本発明は、一方では、複数の貯留タンク及び複数のパイプラインの要因条件下で、オイルポート全体の作業を相対的にバランスさせて比較的安定させることができ、他方では、オイルポートターミナルの利益を最大化し、タンカーの在港時間を最小限に抑える制御目標を達成できる。本発明は最適なスケジューリングソリューションであり、従来の手作業による準備方法と比較すると、インテリジェンス化と合理化の両方が明らかに向上される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面から他の図面を得ることができる。
【0009】
【
図1】本発明が提案されるリソース最適化スケジューリング方法に適用されるオイルポート構造の模式図である。
【
図2】本発明により提案されるオイルポートリソース最適化スケジューリング方法のフローチャートである。
【
図3】多目的進化アルゴリズムを用いて下位レベルスケジューリングモデルと上位レベルスケジューリングモデルを解く際のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の目的、技術的解決策および利点をより明確かつ理解しやすくするために、以下において、添付の図面および実施形態を併せて本発明をさらに詳細に説明する。
【0011】
本発明の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内側」、「外側」などという用語の方向又は位置関係を示す用語は、添付図面に示された方向又は位置関係に基づくものであり、単に説明の便宜のためであって、前記装置又は要素が特定の方向で構成され、操作されなければならないことを示すものでも、暗示するものでもなく、従って、本発明の限定として解釈されるものではない。さらに、「第1」および「第2」という用語は、説明のためにのみ使用されており、相対的な重要性を示す又は暗示するものとして理解されるものではない。
【0012】
図1は、本発明が提案されたオイルポートリソース最適化スケジューリング方法に適用されるオイルポートの構造を示す模式図である。
図1に示すように、アンロード作業を実行する場合、オイルポートリソースは、タンカー層とバース層とタンク層とに分けることができ、
図1において、タンカー層は、例えばタンカー1と、タンカー2と、…、タンカーnと、を含み、バースは、例えばバース1と、バース2と、…、バースmとを含み、タンクは、例えばタンク1と、タンク2と、…、タンクrと、を含む。バース層とタンク層との間は、複数のパイプラインを介して連通しており、同一種類のオイルをアンロードする際に、複数のパイプラインが並行して同時に輸送されることができる。アンロードされたオイルは、オイルの種類に応じて設置される対象タンクに貯蔵することができ、各タンクは1種類のオイルを貯蔵するために使用され、各タンクは需要に応じて任意に複数設置されている。
【0013】
本発明が提案されたオイルポートリソース最適化スケジューリング方法は、バースを配分することを意図しており、入港タンカーは効率的な原則に従ってバースを選択し、最適な順序でバースをタンカーに配分してタンカーが接岸してアンロード作業を実行し、タンカーのオイルポートの総滞在時間を制御し、オイルポートの利益を向上させることを目的とする。バースの配分は、オイルポートリソーススケジューリングの基礎であり、最適化スケジューリング方法全体のコアである。
【0014】
バース配分は、以下の特徴を有する、即ち、
(1)タンカーが港に到着した後、空きバースがあるか否かを判断し、空きバースがあれば、次のバース配分を行い、空きバースがなければ、タンカーが停泊地で待機する。
(2)1つのバースには常に1隻のタンカーしか停泊できず、1隻のタンカーは1つのバースしか占有できない。
(3)タンカーがアンロード作業を完了した後に出港を許可され、一回のアンロード作業が終了する。一旦出港したタンカーが再度入港して停泊作業に入ると、次のアンロード作業が実行されると認定される。
(4) 1隻のタンカーに多種のオイルを貯蔵している場合、順次アンロードすることしかできず、多種のオイルを同時にアンロードすることができない。
(5)天候や設備の故障などの不可抗力によるタンカーの到着の遅延の要因を考慮しないものとする。
【0015】
図1のオイルポート構造の模式図とバース配分の特徴から、原油をアンロードする際に、複数のパイプラインは同時にオイルを輸送することができ、複数のタンクは同時にオイルを貯留することができ、異なるタンクは異種オイルを貯蔵することができる。このため、パイプラインによるオイル輸送量は、オイル輸送時間に影響を与え、パイプラインによるオイル輸送量が大きいほど、オイルの輸送時間は短くなる。逆に、パイプラインによるオイル輸送量が小さいほど、オイルの輸送時間は長くなる。一方、タンカーが停泊するバース及び停泊シーケンスは、バース占有期間及びオイル輸送時間に影響を与え、タンカーが停泊するバース及び停泊シーケンスが合理的であれば、バース占有期間及びオイル輸送時間が短くなる。逆に、タンカーが停泊するバース及び停泊シーケンスが合理的でなければ、バース占有期間及びオイル輸送時間が長くなる。一般的に、タンカーの総滞在時間は、タンカーの停泊待機時間と、原油輸送準備時間と、原油輸送時間との合計であり、合理的なバース配分は、タンカー待機時間、原油輸送準備時間及び原油輸送時間を最小化し、タンカーの総滞在時間を短縮し、バースの有効なアンロード作業時間を向上させ、オイルポート利益を向上させることができる。
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明が提供されたオイルポートリソース最適化スケジューリング方法は、以下に詳細に説明するような複数のステップを含む。本発明により提供されたオイルポートリソース最適化スケジューリング方法は、オイルポートリソース管理システムにおいて実行されてもよく、オイルポートリソース管理システムは、プロセッサを有するコントローラによって実現されてもよく、コントローラは、コントローラに接続された記憶装置及び必要な周辺回路をさらに含む。
【0017】
ステップS11:下位レベルスケジューリングモデルを確立するのが、ステップS11である。下位レベルスケジューリングモデルの制御目標には、最大のバース利用均等化率(最小の標準偏差)とパイプラインの最大の輸送時間均等化率が含まれる。
下位レベルスケジューリングモデルは、以下の式で示すことができ、即ち、
【数3】
上記の2つの式において、kはバースであり、k=1,2,・・・,mで、mはオイルポートのバースの数であり、
T
kは設定計画期間内でのバースkの使用時間であり、
は設定計画期間内の全てのm個のバースの平均使用時間である。
pはパイプラインであり、p=1,2,・・・,q、qはパイプラインの数である。
jはオイル種類であり、j=1,2,・・・、u、uはオイル種類の数である。
iはタンカーであり、i=1,2,・・・,n、nはタンカーの数である。
TR
i,j,pは、 パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する準備時間を示す。
TZ
i,j,pは パイプラインpを介して輸送されるタンカーiのオイルjを輸送する輸送時間を示す。
は、パイプラインpによるタンカーiのj番目のオイルの輸送条件を満たすとき、準備時間と輸送時間との和がTR
i,j,p+TZ
i,j,pであることを示し、
は、パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する準備時間と輸送時間との和の最大値を示し、
は、パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する準備時間と輸送時間との和の最小値を示す。
パイプラインpを介してオイルを輸送する際、設定計画期間内でのバースkの使用時間T
kは、以下の式によって計算される。
設定計画期間内の全てのm個のバースの平均使用時間
は、以下の式によって計算し、
パイプラインpを介して輸送されるタンカーiのオイルjを輸送する準備時間TR
i,j,pは以下の式によって計算する。
ここで、TR
pはパイプラインpを介してオイルを輸送する準備時間を示し、その準備時間はパイプラインpに設置されたポンプ、バルブなどの流体制御コンポーネントの起動準備時間を含むが、これに限定されるものではなく、TR
pは検出された履歴データに基づいて生成され、オンデマンドで取り出せるように記憶装置に予め記憶されていてもよい。
パイプラインpを介して輸送されるタンカーiのオイルjを輸送する準備時間は下記の式によって計算する。
ここで、E
i,j,pはパイプラインpを介して輸送されるタンカーiのオイルjのトン数を示し、v
j,pはパイプラインpを介して輸送されるj番目のオイルの流量を示し、
前記した2式においては、W
i,j,pは下記の式を満たす。
タンカーiのj番目のオイルをパイプラインpを介してタンクに輸送する際、W
i,j,pは1である。さもなければ、W
i,j,pは0である。
【0018】
下位レベルのスケジューリングモデルによって実行可能解、即ち理想的なタンカーのバースが得られ、バースの占有時間とパイプラインを介する輸送時間とも平衡状態に保たれ、即ち、複数のタンクと複数のパイプラインの多要素条件において、タンカーと、バースと、パイプラインと、タンクとの間は、相互関連状態でアンロード作業を実行し、相対的な平衡状態および相対的な安定状態にあることを実現できる。
【0019】
オイルポートにおけるアンロード作業の特性を考慮し、下位レベルスケジューリングモデルには以下の制約条件をさらに含む、即ち、
(1)タンカー停泊制約条件は、タンカーはオイルポートに入港したときのみアンロード作業を実行でき、タンカーは1つのバースにしか停泊できないことである。タンカーの停泊制約条件は、以下の式で示すことができる。即ち、
ここで、iはタンカーであり、i=1,2,・・・,n、nはタンカーの数を示す。
(2)タンカー積載量制約条件は、タンカーの積載量が目標バースの停泊能力より小さい場合に限り、タンカーは目標バースへの入港を許可されることである。タンカー積載重量制約条件は以下の式で示される、即ち、
ここで、W
iはタンカーiの積載量を示し、W
kはバースの停泊能力を示す。
タンカー停泊制約条件とタンカー積載重量制約条件では、y
i,kが以下の式を満たす。
(3)パイプライン制約条件は、オイルのアンロード作業を実現するために、目標バースとタンクとの間に少なくとも1本のパイプラインが設置されることである。パイプライン制約条件は次のように示すことができる。
ここで、qはパイプラインの数であり、jはオイル種類であり、j=1,2,・・・,u、uはオイル種類の数であり、sはタンクであり、s=1,2,・・・,r、rはタンクの数である。
(4)アンロード能力制約条件は、設定計画期間中、アンロードされるオイル種類は目標タンクに収容可能なオイル種類と一致する必要があり、タンカー内のオイルの目標アンロード量は目標タンクの残容量より少ないことである。アンロード能力の制約は次のように示すことができ、即ち、
ここで、F
sはタンクsの残存貯蔵容量を示す。
ここで、E
i,jはタンカーiによってアンロードされたj番目のオイルのトン数を示す。タンカーiによってアンロードされたj番目のオイルのトン数は既知の数値であり、タンカー側からスケジューリングすることによって得ることができる。タンクsの残存貯蔵容量は、例えば、レーダーレベルセンサーを用いてタンクsのリアルタイムの液面を検出することによって、リアルタイムで検出することができる。
(5)アンロード目標制約条件は、タンカー内のオイルは完全にアンロードされる必要があることである。アンロード目標制約条件は次のように示すことができ、即ち、
ここで、E
i,j,pはパイプラインpを介してタンカーiに輸送するj番目のオイルのトン数を示す。
【0020】
下位レベルのスケジューリングモデルによって得られた実行可能解、即ちタンカーが停泊するバースと、確定したオイル貯蔵タンクと、パイプラインと、パイプライン輸送量とは、アンロード作業の効果的な実施を保証することができ、同時に、バースの占有時間とパイプラインの輸送時間とも平衡状態に保たれることを保証することができ、オイルポートの運営全体が効果的かつ安定的であり、相対的な平衡と相対的な安定にあることを保証することができる。下位レベルスケジューリングモデルに基づいて、上位レベルスケジューリングモデルをさらに構築する。
【0021】
ステップS12:本発明が提供されたオイルポートリソース最適化スケジューリング方法は、以下のステップを含む、即ち、上位レベルスケジューリングモデルを確立するステップS12、を含む。上位レベルスケジューリングモデルの制御目標は、オイルポートターミナルの収益性を最大化し、タンカーの総滞在時間を最小化することである。
上位レベルスケジューリングモデルは、下記の式によって示される。即ち、
【数4】
ここで、u
i,jは、タンカーiがj番目のオイルをアンロードするために支払ったトン当たりの料金を示し、u
i,jは、設定値であり、可変の定数である。
E
i,jは、タンカーiがj番目のオイルをアンロードするトン数を示す。
L
Pは、パイプラインpの長さを示し、L
pは、設定値であり、可変の定数である。
PC
j,pは、 パイプラインpを介してj番目のオイルを輸送する単位コストを示す。
E
i,j,pは、 パイプラインpを介して輸送されるタンカーIのj番目のオイルのトン数を示す。
DC
iは、タンカーiの滞留期間に対するペナルティ単価を示し、DC
iは、設定値であり、可変の定数である。
TL
i,kは、タンカーiのバースkでの作業が完了した後の出港時間を示す。
TD
iは、タンカーiが許容される最も遅い出港時間を示す。
TA
iは、タンカーiの入港時間を示し、タンカーiが入港手続きを完了した後に入港が許可される時間である。
【0022】
上位レベルスケジューリングモデルから得られる実行可能解、即ちタンカーの停泊シーケンスは、オイルポートターミナルの利益を最大化し、タンカーの総滞在時間を最小化することができる。
【0023】
オイルポートにおけるアンロード作業の特性を考慮し、上位レベルスケジューリングモデルには以下の制約条件をさらに含む、即ち、
(1)パイプライン制約条件は、オイルのアンロード作業を実現するために、目標バースとタンクとの間に少なくとも1本のパイプラインが設置されることである。パイプライン制約条件は次のように示すことができる。
ここで、kはバースであり、
k=1,2,・・・,m、mはオイルポートのバースの数である。
pはパイプラインであり、
p=1,2,・・・,q、qはパイプラインの数である。
jはオイル種類であり、
j=1,2,・・・,u、uはオイル種類の数である。
(2)バースアクセス許可制約条件は、1つのバースには1隻のタンカーしか停泊できないことである。バースアクセス許可条件は次のように示すことができる。即ち、
ここで、TB
i+1.kはi+1番目のタンカーがバースkに接岸する時間を示し、TL
i,kはタンカーiがバースkでの作業を完了して出港する時間を示し、即ち、i+1番目のタンカーがバースkに接岸する時間は、i番目のタンカーがバースkでの作業を完了して出港する時間よりも遅い。
(3)アンロード完了出港制約条件は、タンカーはアンロード作業を完了した後に出港することが許可され,1 回のアンロード作業は完了することである。アンロード完了出港制約条件は次のように示すことができる。即ち、
ここで、TL
i,kはタンカーiがバースkでの作業を完了して出港する時間を示し、
TB
i,kはタンカーiがバースkに接岸する時間を示し、
はパイプラインを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する際に準備時間と輸送時間との和の最大値を示す。
パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送するための準備時間TR
i,j,pは、以下の式によって計算される、即ち、
ここで、TR
pはパイプラインpを介してオイルを輸送する準備時間を示し、その準備時間はパイプラインpに設置されたポンプ、バルブ等の流体制御部品の起動準備時間を含むが、これに限定されるものではなく、TR
pは検出された履歴データに基づいて生成され、オンデマンドで取り出せるように記憶装置に予め記憶されていてもよい。
パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送するための輸送時間は、以下の式によって計算される。即ち、
ここで、E
i,j,pはパイプラインpを介してタンカーiのオイルjが輸送されるトン数を示し、v
j,pはパイプラインpを介して輸送されるj番目のオイルの流量を示す。
上記の2つの式では、
W
i,j,pは下記の式を満たす。
即ち、タンカーiのj番目のオイルを パイプラインpを介してタンクに輸送する際、W
i,j,pは1である。さもなければ、W
i,j,pは0である。
【0024】
ステップS13:ステップS13は、多目的進化アルゴリズムを用いて下位レベルスケジューリングモデルと上位レベルスケジューリングモデルとを求めるステップである。前記下位レベルスケジューリングモデルと前記上位レベルスケジューリングモデルとはソフトウェア、例えばMatlabなどによって求める。
ステップS14は求めた結果に基づいて、タンカーの目標バースと停泊シーケンスを確定する。
【0025】
随意選択的な実施形態では、下位レベルスケジューリングモデルを解くために多目的進化アルゴリズムが使用される。
必要に応じて、多目的進化アルゴリズムを用いて下位レベルスケジューリングモデルを解くことは、以下のステップを含む。
即ち、
ステップS21。下位レベルスケジューリングモデルの実行可能解に対応するバース番号を2進数で示す個体エンコードであるステップS21。
本実施形態では、下位レベルスケジューリングモデルの実行可能解(個体とも呼ばれる)に対応するタンカーの停泊するバースは、唯一のバース番号を有し、2進数で示す。2進数で示されたバース番号は、個体の因子型(即ち、実行可能解の因子型)を構成する。因子型と表現型(バース番号)は、エンコードとデコードのプログラムによって相互に変換することができる。
ステップS22。初期個体群を生成するステップS22。
初期個体群の規模を設定し、下位レベルスケジューリングモデルの実行可能解において初期個体群の個体をランダムに選択し、初期個体群をpop1と定義する。
ステップS23。サンプル個体のフィットネスを算出するフィットネス算出ステップS23。
下位レベルスケジューリングモデルにおける各目標は線形独立性を満たさないため、理想的解に接近する順序付け法(Technique for Order Preference by Similarity to an Ideal Solution 、TOPSIS)を用いてフィットネス関数を構築することが好ましい。
フィットネス関数は以下のように示し、
ここで、g
lは下位レベルスケジューリングモデル初期個体群のl番目の個体のフィットネス値を示し、g
lが小さいほど良い個体であることを示す。
は前記下位レベルスケジューリングモデルの初期個体群の1番目の個体の目標関数値から前記上位レベルスケジューリングモデルの負の理想的解までの距離を示す。
は前記下位レベルスケジューリングモデルの初期個体群の1番目の個体の目標関数値から前記下位レベルスケジューリングモデルの正の理想的解までの距離を示す。目標関数は、下位レベルスケジューリングモデルのモデル関数に選択可能で設定される。
ステップS24。サンプル個体のフィットネスに基づいて選択演算を行い、個体サンプルを選択する選択演算ステップS24。
初期個体群における全個体のフィットネスの総和を計算する。初期個体群における各個体の相対フィットネスを計算し、相対フィットネスは個体フィットネスとフィットネス総和との比である。各相対フィットネスは確率で示すことができ、すべての確率表現の和は1であるので、すべての相対フィットネスに対応する確率値が対応された領域は完全な領域(例えば円盤)に形成できるとみなすことができる。 選択マーカーはこの完全な領域内にランダムに配置され、選択された独立領域は選択された個体である。即ち円盤を回転させると似ているように個体群から個体を選択する。初期個体群から目標個体数の個体が、目標サブディスクを回転させることによって、即ち標準的なルーレットホイール(Roulette wheel)の方法で選択される。
ステップにおいて個体のフィットネスが正規化されている場合、ルーレットホイールの確率として直接用いることもできる。
ステップS25。選択演算後の個体サンプルを交差演算する交差演算ステップS25。
選択された個体サンプルからランダムに2つの個体を選択し、所定の交差確率で交差を行う。ランダムな位置に対応する因子を係数で直線補間し、残りの位置は変更せず、新しい2つの個体を得る。
交差操作に関与する2つの個体のフィットネスに応じて交叉確率は調整される。
まず、交差確率区間[pc
min,pc
max]を設定し、個体群の個体フィットネス、平均フィットネスf
avg、最小フィットネスf
minを計算し、交差確率は以下の式により確定する。
ここで、f’は交差操作に関与する2個体のうち、大きい方のフィットネスである。
ステップS26。交差演算後の個体サンプルを変異演算する変異演算ステップS26。
変動確率に従って、交差後の個体サンプルにおける1つ以上の変動点の値を反転させる。
まず、変異確率の区間[pm
min,pm
max]を設定し、個体フィットネスに応じて変異確率を調整する。変異確率は以下の式により確定する。
ここで、pmは変異確率を示し、pm
minは設定変異確率区間の最小値を示し、pm
maxは設定変異確率区間の最大値を示し、f
minは交差後の前記サンプル個体の個体群においてフィットネス最小値を示し、f
avgが交差後の前記サンプル個体の個体群においてフィットネス平均値を示し、fが変異個体のフィットネス値を示す。
ステップS27。ステップS27は、反復条件が満たされているか否かを判断し、反復条件が満たされていれば、計算を終了し、前記下位レベルスケジューリングモデルの最適化個体群pop1-optを取得し、前記反復条件が満たされていなければ、前記変異演算後の個体サンプルを次世代の個体群として、反復条件が満たすまで、ステップS23からステップS26を繰り返して実行する。
具体的には、選択演算、交差演算、変異演算を経て、次世代の個体群が得られる。さらに、選択計算、交差演算、変異演算の処理を、反復回数が上限に達する(反復条件を満たす)まで繰り返して実行し、計算を終了して、下位スケジューリングモデルの最大フィットネスに対応する最適化個体群pop1-optが得られる。最適化個体群pop1-optの個体の因子型を復号し、即ち、オイルポートの停泊するバースが得られ、オイル貯蔵タンク、オイル輸送パイプライン、パイプライン輸送量を確定する。
ステップS28。ステップS28は、最適化個体群pop1-optの各個体に対応するE
i,j,pを計算する。
E
i,j,pはパイプラインpを介して輸送されるタンカーiのオイルjのトン数を示す。
ステップS29。ステップS29は、算出されたE
i,j,pを上位レベルスケジューリングモデルに代入する。
多目的進化アルゴリズムは、E
i,j,pが代入された上位スケジューリングモデルを解くために使用される。
【0026】
必要に応じて、多目的進化アルゴリズムを用いてE
i,j,pが代入された上位スケジューリングモデルを解くことは、以下のステップを含む、
即ち、
ステップS30。上位レベルスケジューリングモデルの実行可能解に対応するバース番号を2進数で示す個体エンコードステップS30。
本実施形態では、上位レベルスケジューリングモデルの実行可能解(個体とも呼ばれる)に対応するタンカーのバースは、唯一のバース番号を有し、2進数で示す。2進数で示されたバース番号は、個体の因子型(即ち、実行可能解の因子型)を構成する。 因子型と表現型(バース番号)は、エンコードとデコードのプログラムによって相互に変換することができる。
ステップS31。初期個体群を生成するステップS31。
初期個体群の規模を設定し、上位レベルスケジューリングモデルの実行可能解において初期個体群の個体をランダムに選択し、初期個体群をpop2と定義する。
ステップS32。サンプル個体のフィットネスを算出するフィットネス算出ステップS32。
上位レベルスケジューリングモデルにおける各目標は線形独立性を満たさないため、理想的解に接近する順序付け法(Technique for Order Preference by Similarity to an Ideal Solution 、TOPSIS)を用いてフィットネス関数を構築することが好ましい。
フィットネス関数は以下のように示す。
ここで、g
lは上位レベルスケジューリングモデル初期個体群のI番目の個体のフィットネス値を示し、g
lが小さいほど良い個体であることを示す。
は前記上位レベルスケジューリングモデルの初期個体群の1番目の個体の目標関数値から前記上位レベルスケジューリングモデルの負の理想的解までの距離を示す。
は前記上位レベルスケジューリングモデルの初期個体群の1番目の個体の目標関数値から前記上位レベルスケジューリングモデルの正の理想的解までの距離を示す。目標関数は、上位レベルスケジューリングモデルのモデル関数に選択可能で設定される。最大値を取る関数については、数値の形を反転させることで最小値を取るように変換することができ、分母に1を加えることで関数のオーバーフローを防ぐことができる。
ステップS33。サンプル個体のフィットネスに基づいて選択演算を行い、個体サンプルを選択する選択演算ステップS33。
初期個体群における全個体のフィットネスの総和を計算する。初期個体群における各個体の相対フィットネスを計算し、相対フィットネスは個体フィットネスとフィットネス総和との比である。各相対フィットネスは確率で示すことができ、すべての確率表現の和は1であるので、すべての相対フィットネスに対応する確率値が対応された領域は完全な領域(例えば円盤)に形成できるとみなすことができる。選択マーカーはこの完全な領域内にランダムに配置され、選択された独立領域は選択された個体である。即ち円盤を回転させると似ているように個体群から個体を選択する。初期個体群から目標個体数の個体が、目標サブディスクを回転させることによって、即ち標準的なルーレットホイール(Roulette wheel)の方法で選択される。
ステップにおいて個体のフィットネスが正規化されている場合、ルーレットホイールの確率として直接用いることもできる。
ステップS34。選択演算後の個体サンプルを交差演算する交差演算ステップS34。
選択された個体サンプルからランダムに2つの個体を選択し、所定の交差確率で交差を行う。ランダムな位置に対応する因子を係数で直線補間し、残りの位置は変更せず、新しい2つの個体を得る。
交差操作に関与する2つの個体のフィットネスに応じて交叉確率は調整される。
まず、交差確率区間[pc
min,pc
max]を設定し、個体群の個体フィットネス、平均フィットネスf
avg、最小フィットネスf
minを計算し、交差確率は以下の式により確定する。
ここで、f’は交差操作に関与する2個体のうち、大きい方のフィットネスである。
ステップS35。交差演算後のサンプル個体を変異演算する変異演算ステップS35。
変動確率に従って、交差後の個体サンプルにおける1つ以上の変動点の値を反転させる。
まず、変異確率の区間[pm
min,pm
max]を設定し、個体フィットネスに応じて変異確率を調整し、変異確率は以下の式により確定する。
ここで、pmは変異確率を示し、pm
minは設定変異確率区間の最小値を示し、pm
maxは設定変異確率区間の最大値を示し、f
minは交差後の前記サンプル個体の個体群においてフィットネス最小値を示し、f
avgは交差後の前記サンプル個体の個体群においてフィットネス平均値を示し、fは変異個体のフィットネス値を示す。
ステップS36。ステップS36は、反復条件が満たされているか否かを判断し、反復条件が満たされていれば、計算を終了し、前記上位レベルスケジューリングモデルの最適化個体群pop1-optを取得し、前記反復条件が満たされていなければ、前記変異演算後の個体サンプルを次世代の個体群として、反復条件が満たすまで、ステップS32からステップS35を繰り返して実行する。
【0027】
最適化個体群pop2-optの個体の因子型を復号し、オイルポートの停泊シーケンスが得られる。
遺伝的アルゴリズムを2回解き、下位レベルスケジューリングモデルの最適解に基づいて、上位レベルスケジューリングモデルの最適解を得ることにより、最終的にオイルポートの停泊するバース、オイル貯蔵タンク、オイルパイプライン、パイプライン輸送量、及び停泊シーケンスが得られる。複数の貯蔵タンクと複数のパイプラインの条件下で、オイルポート全体の運行が比較的バランスよく安定することを保証することができ、他方、オイルポートターミナルの利益を最大化し、タンカーの在港時間を最小限に抑えるという制御目標を達成することができ、これは最適化されたスケジューリング計画であり、従来の手作業による準備方法と比較して、インテリジェント化と合理性が明らかに向上している。
【0028】
上述の実施形態は、本発明の技術的解決策を説明するために使用されただけであり、限定するために使用されたのではない。本発明は、上述の実施形態を参照して詳細に説明されたが、当業者にとって、上述の実施形態に記載された技術的解決策に修正を加えること、又はその中の一部の技術的特徴に対して同等の置換を行うことは依然として可能であり、このような修正又は置換は、本発明によって保護される技術的解決策の精神および範囲から対応する技術的解決策の本質を逸脱するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルポートリソース最適化スケジューリング方法において、
以下のステップを含む、即ち、
下位レベルスケジューリングモデルを確立するステップS11であって、
前記下位レベルスケジューリングモデルは、下記の通りである、即ち、
【数1】
ここで、
kはバースであり、k=1,2,・・・,m、mはオイルポートのバースの数であり、
T
kは設定計画期間内でのバースkの使用時間であり、
【数2】
ここで、
は設定計画期間内の全てのm個のバースの平均使用時間であり、
【数3】
TR
i,j,pはパイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する準備時間を示し、
pはパイプラインであり、p=1,2,・・・,q、qはパイプラインの数であり、
jはオイル種類であり、j=1,2,・・・,u、uはオイル種類の数であり、
iはタンカーであり、i=1,2,・・・,n、nはタンカーの数であり、
TR
i,j,p=w
i,j,pTR
p、TR
Pはパイプラインpを介してオイルを輸送する準備時間であり、w
i,j,pは下記の式を満たし、即ち、
TZ
i,j,pは パイプラインpを介して輸送されるタンカーiのオイルjを輸送する輸送時間を示し、
【数4】
であり、ここで、E
i,j,pはパイプラインpを介して輸送されるタンカーiのオイルjのトン数を示し、v
j、pはパイプラインpを介して輸送されるj番目のオイルの流量を示し、
は、パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する条件を満たすとき、準備時間と輸送時間との和はTR
i,j,p+TZ
i,j,pであることを示し、
は、パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する際に準備時間と輸送時間との和の最大値を示し、
は、パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する際に準備時間と輸送時間との和の最小値を示している、ステップS11と、
上位レベルスケジューリングモデルを確立するステップS12であって、
前記上位レベルスケジューリングモデルは、下記の通りである、即ち、
【数5】
ここで、u
i,jは、タンカーiがj番目のオイルをアンロードするために支払ったトン当たりの料金を示し、
E
i,jは、タンカーiがj番目のオイルをアンロードするトン数を示し、
であり、
L
Pはパイプラインpの長さを示し、
PC
j,pはパイプラインpを介してj番目のオイルを輸送する単位コストを示し、
E
i,j,pはパイプラインpを介して輸送されるタンカーiのj番目のオイルのトン数を示し、
DC
iはタンカーiの滞留期間に対するペナルティ単価を示し、
TL
i,kはタンカーiのバースkでの作業が完了した後の出港時間を示し、
TD
iはタンカーiが許容される最も遅い出港時間を示し、
TA
iはタンカーiの入港時間を示す、ステップS12と、
多目的進化アルゴリズムを用いて前記下位レベルスケジューリングモデルと前記上位レベルスケジューリングモデルとを求めるステップS13と、
求めた結果に基づいて、タンカーの目標バースと停泊シーケンスを確定するステップS14と、
を含むことを特徴とするオイルポートリソース最適化スケジューリング方法。
【請求項2】
前記下位レベルスケジューリングモデルは、以下の制約条件をさらに含み、即ち、
タンカーがバースに停泊する制約条件は、
【数6】
であり、
タンカーの荷重の制約条件は、
【数7】
であり、W
iはタンカーiの積載重量を示し、W
kはバースkの停泊能力を示し、
パイプラインの制約条件は、
【数8】
であり、ここで、sはタンクであり、s=1,2,・・・,r、rはタンクの数、
であり、
アンロード能力の制約条件は、
【数9】
であり、ここで、F
sはタンクsの残容量であり、
であり、
E
i,jはタンカーiに積込まれたオイルjをアンロードするトン数であり、
アンロード目標の制約条件は、
【数10】
であることを特徴とする請求項1に記載のオイルポートリソース最適化スケジューリング方法。
【請求項3】
前記下位レベルスケジューリングモデルは、以下の制約条件をさらに含み、即ち、
パイプラインの制約条件は、
【数11】
であり、
ここで、
であり、
バース承認のための許可制約条件は、
【数12】
であり、ここで、
TB
i+1,kは、i+1番目のタンカーがバースkに接岸する時間を示し、
TL
i,kはバースkで作業が完了した後のタンカーiの出港時間を示し、
アンロード完了の出港制約条件は、
【数13】
であり、
ここで、TL
i,kは、バースkで作業が完了した後のタンカーiの出港時間を示し、TB
i,kは、i番目のタンカーがバースkに接岸する時間を示し、
は、パイプラインpを介してタンカーiのj番目のオイルを輸送する準備時間と輸送時間との和の最大値を示す、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオイルポートリソース最適化スケジューリング方法。
【請求項4】
前記多目的進化アルゴリズムを用いて前記下位レベルスケジューリングモデルと前記上位レベルスケジューリングモデルとを求めることは、以下のステップを含み、即ち、
前記下位レベルスケジューリングモデルの実行可能解に対応するバース番号を2進数で示すステップS21と、
初期個体群の規模を設定し、前記下位レベルスケジューリングモデルの実行可能解において前記初期個体群の個体をランダムに選択し、前記初期個体群をpop1と定義するステップS22と、
サンプル個体のフィットネスを算出するステップS23と、
前記サンプル個体のフィットネスに基づいて選択演算を行い、個体サンプルを選択するステップS24と、
前記選択演算後の前記個体サンプルを交差演算するステップS25と、
前記交差演算後の前記個体サンプルを変異演算するステップS26と、
反復条件が満たされているか否かを判断し、前記反復条件が満たされていれば、計算を終了し、前記下位レベルスケジューリングモデルの最適化個体群pop1-optを取得し、前記反復条件が満たされていなければ、前記変異演算後の個体サンプルを次世代の個体群として、前記反復条件が満たすまで、前記ステップS23から前記ステップS26を繰り返して実行するステップS27と、
前記最適化個体群pop1-optの各個体に対応するE
i,j,pを計算するステップであって、E
i,j,pはパイプラインpを介して輸送されるタンカーiのオイルjのトン数を示す、ステップS28と、
算出されたE
i,j,pを前記上位レベルスケジューリングモデルに代入するステップS29と、
前記上位レベルスケジューリングモデルの実行可能解に対応するタンカーの停泊シーケンスを2進数で示すステップS30と、
初期個体群の規模を設定し、前記上位レベルスケジューリングモデルの実行可能解において初期個体群の個体をランダムに選択し、前記初期個体群をpop2と定義するステップS31と、
前記サンプル個体のフィットネスを算出するステップS32と、
前記サンプル個体のフィットネスに基づいて選択演算を行い、個別サンプルを選択するステップS33と、
前記選択演算後の前記サンプル個体を交差演算するステップS34と、
前記交差演算後の前記サンプル個体を変異演算するステップS35と、
反復条件が満たされていれば、計算を終了し、前記上位レベルスケジューリングモデルの最適化個体群pop2-optを取得し、前記反復条件が満たされていなければ、変異演算後の個体サンプルを次世代の個体群として、前記反復条件を満たすまで、ステップS32からステップS36を繰り返して実行するステップS36と、
前記上位レベルスケジューリングモデルの前記最適化個体群pop2-optを復号して、タンカー目標バースと停泊シーケンスを得るステップS37と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のオイルポートリソース最適化スケジューリング方法。
【請求項5】
前記ステップS25又は前記ステップS34で前記交差演算を実行する場合、交差確率は下記の式により確定し、
【数15】
ここで、pcが交差確率であり、pc
minが設定交差確率区間の最小値であり、pc
maxが前記設定交差確率区間の最大値であり、f’が交差操作に関与する2つの個体のうちフィットネスが大きい個体であり、f
avgが平均フィットネスであることを特徴とする請求項4に記載のオイルポートリソース最適化スケジューリング方法。
【請求項6】
前記ステップS26又は前記ステップS35において前記変異演算を実行する場合、変異確率は下記の式により確定し、
【数16】
ここで、pmが変異確率であり、pm
minが設定変異確率区間の最小値を示し、pm
maxが設定変異確率区間の最大値を示し、f
minが前記交差演算後の前記サンプル個体の個体群においてフィットネス最小値を示し、f
avgが前記交差演算後の前記サンプル個体の個体群においてフィットネス平均値を示し、fが変異個体のフィットネス値を示すことを特徴とする請求項4に記載のオイルポートリソース最適化スケジューリング方法。
【国際調査報告】