(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】インプリント方法
(51)【国際特許分類】
B29C 59/04 20060101AFI20250121BHJP
B32B 38/06 20060101ALI20250121BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20250121BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
B29C59/04 B
B32B38/06
B05D3/12 C
H01L21/30 502D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528568
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2022081817
(87)【国際公開番号】W WO2023084087
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517278185
【氏名又は名称】モーフォトニクス ホールディング ベスローテン フェノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Morphotonics Holding B.V.
【住所又は居所原語表記】De Run 4281, 5503 LM Veldhoven, Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヤン マテイス テア ミューレン
(72)【発明者】
【氏名】イュレス テオドルス アントニウス キアケルス
(72)【発明者】
【氏名】ブラム ヨハネス ティテュレーア
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4F209
5F146
【Fターム(参考)】
4D075AC42
4D075AC44
4D075AC93
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5F146AA31
5F146AA32
(57)【要約】
可撓性のスタンプを介して基材にレリーフ構造をテクスチャリング加工するためのロール・ツー・プレートインプリント方法。スタンプは、少なくとも1つのインプリントテクスチャを備えている。この方法を実施するためには、樹脂もしくはラッカーが、基材もしくは可撓性のスタンプまたは両者に不均質なパターンで不均一に塗布される。樹脂もしくはラッカーの大部分は、可撓性のスタンプの少なくとも1つのインプリントテクスチャの前縁側に位置決めされ、かつ/または樹脂もしくはラッカーの大部分は、基材の、前記スタンプとの最初の接触位置にかつ/または少なくとも1つの有効領域の前縁側に位置決めされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのインプリントテクスチャを備える可撓性のスタンプを介して基材にレリーフ構造をテクスチャリング加工するためのロール・ツー・プレートインプリント方法であって、樹脂もしくはラッカーを、前記基材もしくは前記可撓性のスタンプまたは両者に不均質なパターンで不均一に塗布し、前記樹脂もしくは前記ラッカーの大部分を、前記可撓性のスタンプの前記少なくとも1つのインプリントテクスチャの前縁側に位置決めし、かつ/または前記樹脂もしくは前記ラッカーの大部分を、前記基材の、前記スタンプとの最初の接触位置にかつ/または少なくとも1つの有効領域の前記前縁側に位置決めする、ロール・ツー・プレートインプリント方法。
【請求項2】
前記樹脂をインプリント前に被覆領域に塗布し、前記被覆領域の表面積は前記基材の表面積の50%未満、好ましくは30%未満である、請求項1記載のロール・ツー・プレートインプリント方法。
【請求項3】
被覆領域は、前記有効領域の一部であり、かつ/または被覆領域は、前記有効領域の外側または部分的に外側に位置決めされている、請求項1または2記載のロール・ツー・プレートインプリント方法。
【請求項4】
前記パターンは液滴を含んでおり、かつ/または1つ以上の閉じた線から構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のロール・ツー・プレートインプリント方法。
【請求項5】
前記パターンは不連続のパターンである、請求項1から4までのいずれか1項記載のロール・ツー・プレートインプリント方法。
【請求項6】
前記パターンは、少なくとも部分的に樹脂のランダムな分布を含んでいる、請求項1から5までのいずれか1項記載のロール・ツー・プレートインプリント方法。
【請求項7】
連続的なインプリント方法では、前記樹脂もしくは前記ラッカーを、インプリントテクスチャが前記有効領域の前記樹脂もしくは前記ラッカーにインプリントされる前またはそれと同時に前記有効領域にわたって分配する、請求項1から6までのいずれか1項記載のロール・ツー・プレートインプリント方法。
【請求項8】
分配された前記樹脂もしくは前記ラッカーは、インプリント後に前記基材の表面積の少なくとも70%を被覆している、請求項1から7までのいずれか1項記載のロール・ツー・プレートインプリント方法。
【請求項9】
前記基材は、インプリント方法後、樹脂もしくはラッカーを含まない少なくとも1つの開放領域を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のロール・ツー・プレートインプリント方法。
【請求項10】
分配された前記樹脂もしくは前記ラッカーは、前記基材の少なくとも2つの個別の領域を被覆しており、前記2つの個別の領域は、前記樹脂もしくは前記ラッカーのインプリント後および硬化後、樹脂もしくはラッカーで被覆されずに残された領域によって互いに分離されており、2つ以上の個別の有効領域が前記基材に提供されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のロール・ツー・プレートインプリント方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法によって得られる、インプリントされた基材。
【請求項12】
請求項1から10までのいずれか1項記載のロール・ツー・プレートインプリント方法用の装置であって、前記装置は、樹脂もしくはラッカーの少なくとも1つの塗布装置を備えており、前記少なくとも1つの塗布装置は、樹脂もしくはラッカーの少なくとも1つのリザーバと、前記樹脂もしくは前記ラッカーを塗布するための少なくとも1つの分配手段と、少なくとも1つの監視および制御装置とを備えており、前記少なくとも1つの分配手段は、樹脂を前記基材の少なくとも被覆領域に塗布するように可動に配置されており、前記分配手段は、前記制御装置が樹脂もしくはラッカーの塗布を制御しながら、前記樹脂もしくは前記ラッカーを所定のパターンで前記被覆領域に塗布することができる、装置。
【請求項13】
前記監視および制御装置は、インプリント方法中の重量の値および/またはスタンプと基材との間の距離の値、圧力の値および/またはインプリント速度の値および/または樹脂の位置を監視しかつ制御する、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記監視および制御装置は、塗布された前記樹脂の体積および/または前記可撓性のスタンプと前記基材との間の距離および/または圧力および/またはインプリント速度を調整し、調整は、インプリント後の塗布領域における前記樹脂もしくは前記ラッカーの所望の分布に左右される、請求項13記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、基材のテクスチャリング加工またはパターン形成と呼ばれる、テクスチャリング加工層またはパターン形成層を基材に適用するインプリント方法に関する。
【0002】
基材の機能的なテクスチャリング加工層は、現代の多くの技術分野で重要な役割を果たしている。このような層を賢く使用することにより、性能の向上、費用の削減または製品外観の改善が可能になる。例えば、拡散層はディスプレイに使用されて、より薄いLEDバックライトコンセプトの使用が可能になり、ディスプレイを側方から照射することができる。その他の新しい先端技術の可能性は、機能的なテクスチャリング加工層を、太陽電池パネルに統合して効率を向上させたり、有機発光ダイオード(OLED)照明パネルに統合してより多くの光を3D光学用途のためのマイクロレンズから抽出したりすることである。
【0003】
テクスチャリング加工の場合、基材、スタンプまたは両者が、ラッカー(樹脂またはレジストとも呼ばれ、これら3つの単語は本願を通して同義語として使用される)で被覆される。相互間にラッカーを有するようにスタンプを基材に押し付けた後、スタンプがまだラッカーと接触している間に、テクスチャリング加工されたラッカーが硬化させられて固相になる。このプロセスは典型的にインプリント方法と呼ばれる。硬化は、熱または可視光線もしくは紫外線などの放射線を使用することにより実施することができる。典型的に、テクスチャリング加工プロセスは、輪転印刷機のようなローラあるいは事務用スタンプのような版によりスタンプが基材に押し付けられるか、または輪転印刷機のようなローラあるいは平版印刷プロセスのような版により圧力が基材に加えられるかによって、ロール・ツー・ロールプロセス、プレート・ツー・プレートプロセス、ロール・ツー・プレートプロセスに分類される。ロール・ツー・プレートインプリントは、米国特許第4128369号明細書にすでに記載されている。
【0004】
典型的に、ロール・ツー・ロールプロセスは、新聞の印刷などの大型の可撓性の基材のインプリントに使用されるが、プレート・ツー・プレートインプリントは、典型的に、電子回路のプリントなどの小型の基材に対して実施される。
【0005】
ロール・ツー・プレートインプリントは、典型的に、ディスプレイ、太陽電池またはその他の光電子デバイスを生産するために使用されるガラスプレートもしくは金属プレートなどの大型の剛性の基材にインプリントするために使用される技術である。ロール・ツー・プレートインプリントでは、典型的に、テクスチャリング加工されたローラもしくは可撓性のスタンプのいずれかが使用される。この場合、前記可撓性のスタンプは必ずしもローラの一部である必要はないが、ローラによって基材に押し付けられる。可撓性のスタンプの利点は、圧力を基材全体に同時に加える必要がなく、線状に加えることができること、およびインプリントされるテクスチャのデザインをローラの円周よりも長くできることである。ロール・ツー・プレートインプリントでは、典型的には、剛性の基材は、コンベヤベルトまたは一連の搬送ローラに提供され、実施形態に応じて、任意選択で可撓性のスタンプを間に挟んでインプリントローラの下で搬送される。インプリント方法前、基材もしくはスタンプまたは両者の構成要素は、インプリント可能な樹脂もしくはラッカーで被覆されており、この樹脂もしくはラッカーは、基材もしくはスタンプに接触すると、スタンプのテクスチャのネガ型インプリントでテクスチャリング加工され、典型的にスタンプに接触している間に硬化させられて、樹脂のインプリントされたテクスチャが適切に保存される。硬化後、スタンプは、基材の硬化した樹脂もしくはラッカーのインプリントされた層から分離される。インプリント方法中に樹脂もしくはラッカーがスタンプおよび/または基材に接触すると、相当な量のラッカーが基材から押し出されたり、基材の望ましくない場所に押し出されたりして、多種多様な課題を生じさせる危険性が存在する。第一は、溢れたラッカーによりインプリント方法を実施する装置が汚れることであり、第二は、ラッカーのオーバーフローにより製品の裏側が汚染される可能性があることであり、第三は、基材とスタンプとの間のラッカーの流れが制御されず、不均一になる可能性があるため、インプリント製品の品質に悪影響を及ぼすことである。このラッカーのオーバーフローおよび基材とスタンプとの間への空気の封入は、典型的に、例えば欧州特許第3256907号明細書および欧州特許第3256906号明細書に記載されているようにスタンプを変更することによって処理される。しかし、同明細書で提案されている解決手段は、溢れたラッカーによる装置の汚れの問題であって、付加的な洗浄作業が必要となり、インプリント方法の経済性と環境保護との両方に有害なラッカーの浪費にも繋がる問題を解決するものではない。この課題は、典型的に、有効領域の外側に、より大きなオーバーフロー領域のための空間を確保することによって解決される。有効領域は、インプリント方法によってテクスチャリング加工またはパターン形成される基材の領域となる。有効領域の外側のそのようなより大きなオーバーフロー領域は、基材材料およびラッカーの浪費を増大させ、このため、プロセスの費用が増加する。
【0006】
したがって、本願の目的は、より経済的であり、ラッカーの所要量を減じることにより資源を節約するロール・ツー・プレートインプリント方法を提供することである。
【0007】
課題は、少なくとも1つのインプリントテクスチャを備える可撓性のスタンプを介して基材にレリーフ構造をテクスチャリング加工するためのロール・ツー・プレートインプリント方法であって、樹脂もしくはラッカーを、基材もしくは可撓性のスタンプまたは両者に不均質なパターンで不均一に塗布し、樹脂もしくはラッカーの大部分を、可撓性のスタンプの少なくとも1つのインプリントテクスチャの前縁側に位置決めし、かつ/または樹脂もしくはラッカーの大部分を、基材の、前記スタンプとの最初の接触位置にかつ/または少なくとも1つの有効領域の前縁側に位置決めする、ロール・ツー・プレートインプリント方法によって解決される。
【0008】
本願の文脈では、「主に」という用語は、樹脂もしくはラッカーの量の50%超、ある実施形態では80%超を意味することを示す。樹脂の大部分は、基材の、スタンプとの最初の接触位置もしくはその周囲に、または1つ以上の有効領域の1つ以上の前縁で、つまり、インプリント方法の方向から見て1つ以上の有効領域の手前および/または側方で有効領域の周囲に位置決めされる。付加的または代替的に、樹脂の大部分は、スタンプの、基材との最初の接触位置もしくはその周囲にまたはスタンプのインプリントテクスチャの前縁もしくはその周囲に位置決めされる。樹脂の位置決めはインプリント方法前に実施される。基材の有効領域は、レリーフ構造を形成するために樹脂がインプリントされる位置である。例えば、複数の製品が1つのスタンプに配置される場合、1つの基材に幾つかの有効領域が存在する可能性があることに留意されたい。大型の基材では、樹脂が基材および/または可撓性のスタンプに配置されるパターンは、それぞれ異なる有効領域で繰り返される場合、反復的であってよい。
【0009】
本願によるロール・ツー・プレートインプリント方法は、ローラが、個別のプレート状の基材にインプリントされるインプリントテクスチャに圧力を加え、基材がローラに対して移動するインプリント方法である。ロール・ツー・プレートインプリントでは、圧力は、基材全体に同時に加えられるのではなく、基材がローラに対して移動する方向に対して垂直な線状の領域に加えられる。基材がローラに対して移動する方向は、本願を通して「インプリント方法の方向」または「インプリント方向」と呼ばれる。インプリント方向の存在は、ロール・ツー・プレート(およびロール・ツー・ロール)インプリント方法を、従来の平版印刷機のように圧力が有効領域全体に同時に加えられるプレート・ツー・プレートインプリント方法と区別する重要な特徴である。代替的なプレート・ツー・プレートプロセスでは、圧力は内側から外側に向かって輪状に増加する。したがって、プレート・ツー・プレートプロセスは一方向のインプリント方向を有していないが、ロール・ツー・ロールインプリント方法およびロール・ツー・プレートインプリント方法は、インプリント方法の方向である一方向のインプリント方向を有している。
【0010】
連続的なロール・ツー・ロールプロセスと異なり、ロール・ツー・プレートプロセスは、通常、個別の基材の縁部付近または縁部に始端と終端とを備えた個別のパネルをインプリントする。したがって、樹脂のオーバーフローによる樹脂の溢出などの始端と終端とに対する影響は各々の基材に潜在的に存在していて、ロール・ツー・ロールインプリントのように、プロセスの経済性に無視できる程度の影響しか与えずに、切断して廃棄することができるような極めて長いウェブ状の基材の縁部にのみ存在するのではない。したがって、一定の高品質のインプリントを実現するためには、樹脂のオーバーフローを正確に制御して、このロール・ツー・プレートプロセスでの樹脂のオーバーフローを回避する必要がある。
【0011】
本願を通して、テクスチャリング加工とは、平滑な表面を有する基材に、上面視で、高さ、深さ、サイズが変化する谷および山の、または開口部もしくは凹部および凸部の、レリーフのように見える三次元構造を設けるプロセスを意味している。一実施形態では、テクスチャリング加工は、基材の樹脂層に三次元構造を設けることを意味してよい。
【0012】
本願によれば、スタンプは、テクスチャのネガを、例えば樹脂層の表面に転写するために使用することができる任意の手段であり、この目的のために、スタンプは、以下「インプリントテクスチャ」と呼ばれる三次元テクスチャを有している。インプリントテクスチャは、典型的に、開口部もしくは凹部と凸部とから構成されており、スタンプは、硬化した樹脂からスタンプを簡単に除去することができる非付着性機能を有していてよい。スタンプは2つの基本原則に従って機能する。第一は、スタンプを、インク、ワックス、樹脂またはラッカーなどの任意の種類のインプリント媒体により、スタンプの高さ部分のみを湿らせるレリーフインプリントの原理である。インプリント媒体で湿らせた後、スタンプは基材に押し付けられ、スタンプは、スタンプの凸部のイメージを残す。例えば通常の事務用スタンプの動作原理であるレリーフインプリントでは、凸部のみがインプリント媒体で湿らされ、開口部もしくは凹部は凸部を互いに分離する目的を有している。第二は、スタンプをインプリント媒体で湿らせ、その後、洗浄機またはドクタブレードを使用して、インプリント媒体が開口部にのみ残り、凸部はインプリント媒体を含まないようにする凹版インプリントの原理である。次に、スタンプは基材に押し付けられ、スタンプは、樹脂内または基材に樹脂を完全にまたは部分的に押し退ける凸部として形成される、スタンプの開口部のイメージを残す。スタンプは、また、薄い金属シートであってもよいし、薄いガラスシートであってもよいし、1つ以上のフォイルおよび/または金属シートおよび/またはガラスシートの組み合わせであってもよい。したがって、凹版インプリントでは、凸部の目的は、開口部を互いに分離することである。凹版インプリントの原理は、ラッカーまたはインプリント樹脂などの、基材にすでに存在するインプリント媒体のテクスチャリング加工にも使用することができる。このような場合、スタンプの凸部は基材の開口部に転写され、スタンプの開口部は基材の凸部に転写される。これは、溶融ワックスのスポットをテクスチャリング加工するために使用される従来のシールマトリックスの動作モードから知られている。スタンプは剛性であってもよいし、可撓性であってもよい。本願によれば、可撓性のスタンプは、最大10ギガパスカル(GPa)のヤング率を有するスタンプである。係属中の出願の可撓性のスタンプは、限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)などのプラスチックフォイルであってよい。可撓性のスタンプは、金属シート、ガラスシート、その他の任意のシートまたは複数の材料の組み合わせもしくは積層体であってよい。フォイルもしくはシートは、それ自体テクスチャリング加工されていてよく、またはフォイルもしくはシートは、別個の層もしくは複数の層から構成されるインプリントテクスチャの支持体としての役割を果たすことができる。一実施形態では、インプリントテクスチャは、エポキシド、チオール、ポリビニル樹脂、アクリレート、メタクリレート、ポリエーテル、ビニルエーテル、ウレタンアクリレート、ポリエステル、フッ素化アクリレート、フッ素化メタクリレート、フッ素化ポリエーテル、シロキサン、シロキサンアクリレートまたはそれらの混合物などのモノマー、オリゴマー、またはポリマー成分を含むポリマーを含んでよい。インプリントテクスチャは、固有の非付着性特性を備えていてよい。非付着性特性は、表面自由エネルギーを減少させるための材料への添加剤によって、または低表面自由エネルギー材料(例として、とりわけパーフルオロポリエーテル(PFPE)モノマー、パーフルオロ化モノマー、シリコーンモノマー、および/または脂肪族モノマー)の適切な組み合わせによって、または非付着性被覆などの表面処理によって実現することができる。
【0013】
係属中の出願によるインプリント媒体は、ラッカーもしくは樹脂であってよい。係属中の出願で使用される典型的なインプリント媒体は、硬化性の樹脂もしくはラッカーであり、これらは基材に塗布されるかまたは可撓性のスタンプに接触するとき、液体もしくは粘性であり、熱または紫外線などの放射に曝すことによって硬化させることができる。放射線を使用して硬化させる場合、スタンプもしくは基材または両者が前記放射線に対して透過性である必要がある。一実施形態では、インプリント媒体は、エポキシド、チオール、ポリビニル樹脂、アクリレート、メタクリレート、ポリエーテル、ビニルエーテル、ウレタンアクリレート、ポリエステル、フッ素化アクリレート、フッ素化メタクリレート、フッ素化ポリエーテル、シロキサン、シロキサンアクリレートまたはそれらの混合物などのモノマー、オリゴマー、またはポリマー成分を含むポリマーであってよい。一実施形態では、樹脂は、ラジカル開始剤、カチオン性開始剤またはアニオン性開始剤などの硬化を開始するための薬剤を含んでよい。適切な開始剤は当業者にとって周知である。可能なラジカル開始剤は、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、過酸化ジベンゾイルもしくはペルオキソ二硫酸塩などの過酸化物、ジフェニルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニル-ケトンまたは2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンなどの芳香族ケトン、またはメチルベンゾイルホルメートなどのノリッシュII型開始剤である。可能なカチオン性開始剤およびアニオン性開始剤は、ベンゼンスルホン酸エステル、アルキルスルホニウム塩、またはトリフェニルスルホニウム(カチオン性)、テトラフルオロボレートもしくは2-ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート(アニオン性)などの光塩基発生剤である。
【0014】
本願を通して、「不均一」という用語は、表面に塗布される樹脂もしくはラッカーなどの物質の量が、表面の全ての部分で同じではなく、表面の物質の量に勾配があるかまたは単に物質が表面に均等に分配されていないことを意味している。一実施形態では、前記勾配は、インプリント方向に対して平行であるか、インプリント方向に対して逆平行であるか、インプリント方向に対して垂直であるか、またはインプリント方向に対して-90°~+90°の間の任意の角度で配向される。勾配の数学的な定義によれば、勾配の方向は、量が減少する方向である。一実施形態では、「不均一」とは、50%超の樹脂もしくはラッカーが、基材の有効領域の半分および/または可撓性のスタンプのインプリントテクスチャの半分に位置していることを意味している。一実施形態では、「不均一」とは、70%超の樹脂もしくはラッカーが、基材の有効領域の半分および/または可撓性のスタンプのインプリントテクスチャの半分に位置していることを意味している。一実施形態では、「不均一」とは、85%超の樹脂もしくはラッカーが、基材の有効領域の半分および/または可撓性のスタンプのインプリントテクスチャの半分に位置していることを意味している。一実施形態では、樹脂を含む基材の有効領域の前記半分および/または可撓性のスタンプのインプリントテクスチャの前記半分は、インプリント方法の方向から見た手前半分であってよい。不均一な層の例は、インプリント方向に厚さが増加もしくは減少する樹脂層、または樹脂の特定のパターンが形成された基材である。不均一とは、基材のある部分には樹脂が存在しないが、基材の他の部分には樹脂が存在することを意味してもよい。
【0015】
「不均質」という用語は、表面に塗布される樹脂もしくはラッカーなどの物質が表面全体にわたって均質に分配されていないこと、およびパターンが表面の全ての部分で同じではないこと、つまり、パターンが表面全体にわたって繰り返されていないことを意味している。この定義による不均質なパターンの例は、表面の樹脂もしくはラッカーによって形成される櫛状のパターンまたは「E」、「M」、「W」などの単一文字に類似した形状のパターンである。不均質なパターンの典型的な特徴は、表面が樹脂もしくはラッカーで被覆されている領域と、表面が樹脂もしくはラッカーで被覆されていない領域との両方を含むことである。さらに、典型的に、不均質なパターンが単一の有効領域の表面内またはその周囲で繰り返されることはない。1つのより大きなインプリント表面に複数の有効領域を設けることを繰り返すことができる。樹脂もしくはラッカーは、閉じた線もしくは閉じた領域(例えば、楕円形、長方形、または任意の領域形状)の形態で、または例えば液滴の点状のパターンとして基材に塗布されてよい。さらに、基材もしくはスタンプの表面全体を樹脂もしくはラッカーで被覆する必要はない。
【0016】
本願による閉じた層は、基材もしくはスタンプの表面全体、または少なくとも基材の有効領域全体、またはスタンプのテクスチャリング加工された領域全体が、樹脂もしくはラッカーで被覆されている層である。
【0017】
不均質なパターンは、幾つかの櫛状のパターン、「E」、「M」、「W」などの単一文字もしくは数字の「3」に類似した形状のパターンなどのような、サブパターンが互いに分離されている1つ以上のサブパターンを含んでいてよい。
【0018】
本願による基材は、プレート状の本体、つまり、長さと幅とが両方ともその厚さの少なくとも4倍は大きい本体である。この用途による基材は剛性であり、ヤング率が少なくとも0.5GPaであることを意味している。基材は、剛性の基準を満たす任意の材料、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)もしくはポリカーボネートのポリマーシート、ガラス、銅、鋼、もしくはアルミニウムなどの金属、またはセラミック、または複合材料、またはそれらから製造された積層体であってよい。本願による方法で使用される基材は、典型的には個別の基材である。本願による方法で使用される基材は、方法に供される前に、共に接着されているか、または適切なフレーム内もしくは適切なトレイもしくはキャリアに配置されているなどして、1つのユニットとしてそれらを方法に供することができるように接続することができる幾つかの個別の基材を備えていてよい。
【0019】
本願による基材は、インプリント方法中にインプリントされる領域である有効領域を有している。典型的に、有効領域は基材の中心近くに位置しており、ひいては、有効領域の一部ではない領域(以下では「非有効領域」と呼ぶ)によって基材の縁部から分離されているか、または離れてさえいる。非有効領域は、インプリント方法の平滑な開始を可能にし、過剰な量の樹脂を遮断する領域としての役割を果たし、その結果、樹脂のオーバーフローは、基材または可撓性のスタンプまたはローラの縁部を汚染しない。非有効領域のサイズは、(典型的には、数百ミクロンから数センチメートル以上まで)様々である。基材の有効領域は、可撓性のスタンプのインプリントテクスチャと同じ表面積を有していてよいが、異なる表面積を有していてもよい。
【0020】
本願によるパターンは、樹脂もしくはラッカーで被覆された領域と、樹脂もしくはラッカーで被覆されていない領域との両方を含む、基材および/または可撓性のスタンプの樹脂もしくはラッカーの任意の種類の分布である。前記パターンは、パターンと呼ばれるために美的または図式的な意味を有する必要はない。しかしながら、パターンは、例えば櫛状の形状、1つ以上の直線、屈曲および/または交差した線の形状、または文字「E」の逆さになった形状または類似の形状などの、異なる基材および/または可撓性のスタンプの樹脂の、明確に再現可能な分布であることを意味する規則的なパターンであってよい。パターンは、例えば、スパゲッティの皿と同等のランダムに配向された線のランダムな分布またはランダムな位置および/またはランダムなサイズの液滴の分布であってもよい。幾つかまたは多数の液滴から構成されるパターンは、ランダムに位置しており、かつ/またはランダムなサイズにすることができ、規則的に離間させられた液滴の全体または一部を含んでもよい。
【0021】
さらに、パターンは連続的なパターンであってもよいし、不連続のパターンであってもよい。連続的なパターンでは、樹脂もしくはラッカーで被覆された領域は互いに接続されている。不連続のパターンでは、ラッカーおよび/または樹脂で被覆された領域は互いに分離されており、ひいては、樹脂もしくはラッカーで被覆されていない領域内で島の特性を有している。
【0022】
パターンは、可撓性のスタンプおよび/または基材の被覆領域に位置していてよい。被覆領域は、可撓性のスタンプのインプリントテクスチャまたは基材の有効領域と同一である必要はないことに留意することが重要である。しかしながら、被覆領域は、基材の有効領域内内にかつ/または可撓性のスタンプのインプリントテクスチャに完全にまたは部分的に位置していてよい。被覆領域は、可撓性のスタンプのインプリントテクスチャおよび/または基材の有効領域の完全に外側または部分的に外側に位置していてよい。このような場合、被覆領域は、主に、インプリント方向から見た有効領域および/またはインプリントテクスチャの手前に位置している。一実施形態では、被覆領域は、有効領域の表面積の50%未満である。一実施形態では、被覆領域は、有効領域の30%未満である。被覆領域は、基材の有効領域および/または可撓性のスタンプのインプリントテクスチャの完全に外側に位置してよく、部分的に外側に位置してもよく、または完全に内側に位置してもよいことに留意されたい。被覆領域は、樹脂もしくはラッカーで被覆された領域だけではなく、樹脂もしくはラッカーで被覆された全ての領域の包絡線によって区切られる領域であることに留意されたい。したがって、被覆領域は、樹脂もしくはラッカーで被覆された全ての領域を含むが、樹脂もしくはラッカーで被覆されていない領域も含む。
【0023】
新しい基材でインプリント方法を開始するときには、可撓性のスタンプの前縁と基材の前縁とが互いに接触する。可撓性のスタンプの前縁は、インプリントテクスチャの一部であってよいか、またはインプリント方法の方向から見てインプリントテクスチャの手前に位置していてよい。基材の前縁は、有効領域の一部であってよいか、またはインプリント方法の方向から見て有効領域の手前に位置していてよい。基材および/または可撓性のスタンプの前縁は、被覆領域の一部であるか、またはインプリント方法の方向から見て被覆領域の前に位置している。可撓性のスタンプの前縁と基材の前縁とが互いに接触した後、インプリント方法はインプリント方向に進み、可撓性のスタンプと基材との間の接触領域もインプリント方向に進む。インプリント方向に進む間、樹脂もしくはラッカーは、樹脂もしくはラッカーの不均質なパターンを広げることと、インプリント方向に移動する樹脂もしくはラッカーのフロントを形成することとによって、有効領域内でインプリント方向に分配または再分配される。樹脂もしくはラッカーの分配は、有効領域の可撓性のスタンプによってインプリントテクスチャが樹脂もしくはラッカーに転写される前またはそれと同時に連続的なプロセスで実施される。本願による連続的なプロセスは、ラッカーの分配およびラッカーへのインプリントテクスチャの転写などの2つの異なるプロセスステップの間に明確な差異がないプロセスである。このことは、例えば、可撓性のスタンプの分配部分が、樹脂もしくはラッカーをインプリント方法の方向で表面に分配する一方で、可撓性のスタンプのインプリント部分は同時にインプリントテクスチャの一部を、分配されたラッカーに転写し、これにより、分配部分とインプリント部分との間に明確な差異が生じないことを意味している。したがって、可撓性のスタンプと基材との間で接触すると、スタンプおよび/または基材の樹脂もしくはラッカーの不均質なパターンが、有効領域でテクスチャリング加工される樹脂もしくはラッカーのインプリント層へと転写される。
【0024】
一実施形態では、樹脂もしくはラッカーは、インプリント方法後に基材の表面積の少なくとも40%を被覆している。一実施形態では、樹脂もしくはラッカーは、インプリント方法後に基材の表面積の少なくとも50%、60%、80%または90%を被覆している。これにより、インプリント方法での樹脂による汚れおよびオーバーフローが防止される。
【0025】
インプリント中の樹脂もしくはラッカーの分配または再分配を制御するための重要な要素は、可撓性のスタンプと基材との間の隙間のサイズおよび可撓性のスタンプと基材とが接触する圧力である。隙間が小さいほど、または圧力が高いほど、可撓性のスタンプと接触したときに樹脂もしくはラッカーがより多く広がる。
【0026】
一実施形態では、分配された樹脂もしくはラッカーは、基材の有効領域の少なくとも2つの分離した領域を被覆し、これらの領域は、樹脂もしくはラッカーによって被覆されていない領域によって互いに分離されており、これは、樹脂もしくはラッカーが基材の有効領域に少なくとも2つの島を形成していることを意味している。
【0027】
更なる実施形態では、樹脂の2つ以上の島は、樹脂のインプリント後および硬化後にも分離されたままであり、2つ以上の分離された有効領域を1つ以上の基材に複製する。
【0028】
一実施形態では、インプリント方法後、基材は、樹脂もしくはラッカーを含まない少なくとも1つの開放領域を有している。前記開放領域は、有効領域の外側に位置している。
【0029】
本願は、さらに、本願による方法に従って得られるインプリントされた基材に関する。
【0030】
本願は、さらに、本願によるロール・ツー・プレートインプリント方法を実施するための装置に関する。
【0031】
本願による装置は、樹脂もしくはラッカーの少なくとも1つの塗布装置を備えており、少なくとも1つの塗布装置は、樹脂もしくはラッカーの少なくとも1つのリザーバと、樹脂もしくはラッカーを塗布するための少なくとも1つの分配手段と、少なくとも1つの監視および制御装置とを備えており、少なくとも1つの塗布装置は、少なくとも基材の被覆領域もしくは可撓性のスタンプの被覆領域に可動に配置されており、分配手段は、制御装置が樹脂もしくはラッカーの塗布を制御しながら、樹脂もしくはラッカーを所定のパターンで被覆領域に塗布することができる。
【0032】
樹脂もしくはラッカーの塗布装置は、分配手段として、少なくとも1つの分配器、少なくとも1つのキスロール、少なくとも1つのスプレーヘッドおよび/または少なくとも1つのスタンプを備えていてよい。前記分配手段の少なくとも1つは、例えばデルタロボットなどのロボットのアーム、可動ステージ、レールまたはそれらの組み合わせに、当業者に公知の任意のプロセスで可動に配置されている。一例として、ラッカーの塗布装置は、紙の搬送方向に対して垂直な方向に移動可能な印刷ヘッドの下で搬送される基材にインク滴を分配するインクジェットプリンタと同じ原理に従って動作することができる。
【0033】
本願による装置は、インプリントの前後に樹脂もしくはラッカーの量および/または位置を制御することができる監視および制御装置をさらに備えている。監視および制御装置は、樹脂もしくはラッカーの量および/または位置を、重量、スタンプと基材との間の距離、圧力によって、光学的に、またはマイクロ波、赤外光もしくはUV光などの他の種類の電磁放射線によって監視しかつ制御することができる。したがって、監視および制御装置は、カメラ、赤外線センサ、重量計、マイクロ波検出器、レーザユニットまたはそれらの任意の組み合わせであってよい。監視および制御装置は、樹脂もしくはラッカーの塗布プロセスが監視および制御装置によって監視されて制御されるように、樹脂もしくはラッカーの塗布装置と共にフィードバックループの一部であってよい。前記フィードバックループの一部として、可撓性のスタンプと基材との間の距離、圧力およびインプリント速度を制御することができ、距離は塗布領域の樹脂もしくはラッカーの所望の分布に左右される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】ロール・ツー・プレートインプリント方法の概略を示す図である。
【
図2a】インプリント前の基材に堆積させられた1つのパターンを示す図である。
【
図2b】インプリント後の基材に堆積させられた1つのパターンを示す図である。
【
図2c】インプリント前の基材に堆積させられた1つのパターンを示す図である。
【
図2d】インプリント後の基材に堆積させられた1つのパターンを示す図である。
【
図2e】インプリント前の基材に堆積させられた1つのパターンを示す図である。
【
図2f】インプリント後の基材に堆積させられた1つのパターンを示す図である。
【
図3a】インプリント後の基材表面の樹脂もしくはラッカーの閉じた層の樹脂の液滴を含む1つのパターンの分布を示す図である。
【
図3b】インプリント後の基材表面の樹脂もしくはラッカーの閉じた層の樹脂の液滴を含む1つのパターンの分布を示す図である。
【
図3c】インプリント後の基材表面の樹脂もしくはラッカーの閉じた層の樹脂の液滴を含む1つのパターンの分布を示す図である。
【
図4a】液滴と線とを有するパターンを使用した表面の1つの不連続のパターンの分布を示す図である。
【
図4b】液滴と線とを有するパターンを使用した表面の1つの不連続のパターンの分布を示す図である。
【0035】
図1は、ロール・ツー・プレートインプリント方法の概略を示している。開口部および凸部100Bを備えた可撓性のスタンプ100は、ローラ101を使用して、基材104に存在する樹脂102に押し付けられる。矢印で示すように、一方向のインプリント方向により、樹脂フロント102Bが形成される。基材は、インプリント方向によって決定される前縁104Aと後縁104Bとを有している。検出器105は、樹脂の流れおよび/または樹脂の量および/または樹脂の位置を監視することができる。
【0036】
図2は、インプリント前(
図2a、
図2c、
図2e)およびインプリント後(
図2b、
図2d、
図2f)の基材104に堆積させられた様々なパターン202を示す図である。基材には、好ましいインプリント領域201が存在している。これは、インプリント後に有効領域が位置決めされる位置であり、したがって、有効領域201とも呼ばれる。インプリントによって、樹脂は、可撓性のスタンプと基材との接触により広がり、樹脂層203を形成する。ロール・ツー・プレートインプリント方法後の樹脂層203の形状は、パターン202とインプリント設定とに左右され、ひいては、制御ループによって制御することができる。
図2aでは、パターン202は連続線であり、有効領域201の内側に位置している。
図2cでは、パターン202は、有効領域201の外側の不連続線と液滴とによって形成されている。
図2eでは、パターン202は、部分的に有効領域201の内側にあり、かつ部分的に有効領域201の外側にある2つの樹脂の島である。パターン202の各々について、樹脂の量の50%超は、基材104Aの手前側に位置する、有効領域201Aの手前半分に位置しており、50%未満が、有効領域201Bの後ろ半分に位置している。
図2aおよび
図2eでは、パターン202は有効領域201Aの手前半分に100%配置されている。
図2cでは、パターン202は、有効領域201Bの後ろ領域まで延在している。しかし、樹脂の量の大部分(少なくとも50%超)は有効領域の手前半分に位置している。手前側および後ろ側は、矢印で示されているインプリント方向によって決定される。
図2fは、インプリント方法後、2つの分離した有効領域201が、2つの分離した樹脂層203でインプリントされている状況を示している。
【0037】
図3は、インプリント後の基材表面の樹脂もしくはラッカーの閉じた層の樹脂の液滴を含むパターンの分布を示している。
図3a)には、表面104のパターン301が示されている。一実施形態では、1つの列内の液滴サイズは変化していてよく、液滴サイズは後縁に近づくほど小さくなることが好ましい。更なる実施形態では、液滴は、位置およびサイズにおいて、ランダムまたは不規則であってよい。
図3b)は、より高い圧力が加えられた可撓性のスタンプとの接触により、表面104の樹脂液滴301から形成された樹脂もしくはラッカーの閉じた層302を示している。
図3c)は、さらに高い圧力が加えられた可撓性のスタンプとの接触により、表面104のパターン301から形成された樹脂もしくはラッカーの閉じた層303を示している。閉じた層303は閉じた層302に比べて著しく大きい。インプリント方向は矢印で示されている。
【0038】
図4は、液滴と線とを有するパターンを使用した表面104の不連続のパターンの分布を示している。
図4a)には、樹脂もしくはラッカー401の不連続のパターンが示されている。
図4b)は、ロール・ツー・プレートインプリント方法において不連続のパターン201と可撓性のスタンプとの接触によって得られる樹脂もしくはラッカーの閉じた層402を示している。
【国際調査報告】