(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】縮合ピロリジンサイコプラストゲンとその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 487/14 20060101AFI20250121BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20250121BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20250121BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20250121BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20250121BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20250121BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20250121BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20250121BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
C07D487/14 CSP
A61K31/55
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/18
A61P25/20
A61P25/00
A61P25/28
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533214
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 US2022052879
(87)【国際公開番号】W WO2023114320
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522479980
【氏名又は名称】デリックス セラピューティクス,インク.
【住所又は居所原語表記】36 Crosby Drive, Suite 200 Bedford, Massachusetts 01730 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パウエル,ノエル アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ヒチル,ミラン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB11
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA05
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA18
4C086ZC42
(57)【要約】
本明細書に開示される化合物および組成物を用いて神経細胞の成長を促進し、かつ/または神経細胞の構造を改善するための化合物、組成物、および方法が本明細書に開示される。さらに、融合ピロリジンサイコプラストゲンを用いて、神経学的疾患および障害などのシナプスの結合性および/または可塑性の喪失によって媒介される疾患または障害を処置する方法も記載される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物であって、
式中、
Xは、NR
7、O、またはS(=O)
xであり、
xは、0、1、または2であり、
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
1とR
2、R
2とR
3、またはR
3とR
4のいずれかは、それらが結合している炭素原子と一体となって、任意選択で置換された5員または6員の環を形成し、
R
5は、水素、ハロゲン、-OR
a、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
R
6aとR
6bは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
5は、R
6aまたはR
6bおよびそれらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
あるいは、R
6aとR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
R
7は、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、および
R
aは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
ここで、
(i)R
5とR
6aは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
(ii)R
5とR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、または
(iii)R
6aとR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
ただし、XがNHであり、R
6aが水素であり、R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれが水素である場合、R
5とR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、エチルまたはエチリデンによって置換された6員の複素環を形成しないものとする、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
XがOである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
XがSである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
XがS(=O)である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
XがS(=O)
2である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項6】
XがNR
7である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項7】
R
7が、非置換もしくは置換アルキル、または水素である、請求項6に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項8】
R
7が水素である、請求項6または7に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項9】
R
7がメチルである、請求項6または7に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項10】
R
5が水素である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項11】
R
6aが水素である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項12】
R
6bが水素である、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項13】
R
5とR
6aが、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項14】
R
6bが水素である、請求項13に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項15】
R
5とR
6bが、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項16】
R
6aが水素である、請求項15に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項17】
R
6aとR
6bが、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
R
5が水素である、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項19】
R
6aが水素であり、R
6bが、R
5、ならびにR
5およびR
6bが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、式(I)の前記化合物が、式(IA):
【化2】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有し、
式中、
R
8は、それぞれ独立してハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
mは、0、1、2、または3であり、および
nは、0、1、2、3、4、5、6、または7であり、
ただし、XがNHであり、mが2であり、R
1~R
4が水素である場合、R
8はエチルではないものとする、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項20】
nが0であり、mが1であり、前記化合物が式(IA-1):
【化3】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有する、請求項19に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項21】
XがNR
7であり、前記化合物が式(IA-2):
【化4】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有する、請求項19または20に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項22】
R
7が水素である、請求項21に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項23】
R
7がメチルである、請求項21に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項24】
XがOであり、前記化合物が式(IA-3):
【化5】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有する、請求項19または20に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項25】
R
6bが水素であり、R
6aは、R
5、ならびにR
5およびR
6aが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、式(I)の前記化合物が、式(IB):
【化6】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有し、
式中、
R
8は、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
mは、0、1、2、または3であり、および
nは、0、1、2、3、4、5、6、または7である、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項26】
nが0であり、mが1であり、前記化合物が式(IB-1):
【化7】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有する、請求項25に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項27】
XがNR
7であり、前記化合物が式(IB-2):
【化8】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有する、請求項25または26に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項28】
R
7が水素である、請求項27に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項29】
R
7がメチルである、請求項27に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項30】
XがOであり、前記化合物が式(IB-3):
【化9】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有する、請求項25または26に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項31】
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれが独立して水素、ハロゲン、-OR
a、シアノ、またはハロアルキルである、請求項1~30のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項32】
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれが水素である、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項33】
R
1、R
2、R
3、およびR
4の少なくとも1つがハロゲンである、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項34】
R
1、R
2、R
3、およびR
4の少なくとも1つがハロアルキルである、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項35】
R
1、R
2、R
3、およびR
4の少なくとも1つがOR
aであり、R
aがハロアルキルである、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項36】
R
1、R
2、R
3、およびR
4の少なくとも1つがOR
aであり、R
aがアリールアルキルである、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項37】
R
1、R
2、R
3、およびR
4の少なくとも1つがOR
aであり、R
aがアルキルである、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項38】
R
1、R
2、R
3、およびR
4の少なくとも1つが水素、ベンジルオキシ、メトキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシである、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項39】
R
3が、ベンジルオキシ、メトキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシであり、R
1、R
2、およびR
4がそれぞれ水素である、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項40】
【化10-1】
【化10-2】
である化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項41】
請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項42】
哺乳動物の神経細胞の成長を促進する方法であって、請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物、またはその任意の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を前記哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項43】
哺乳動物の神経細胞の構造を改善する方法であって、請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物、またはその任意の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を前記哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項44】
哺乳動物の5-ヒドロキシトリプタミン受容体2A(5-HT
2A)受容体の活性を調節する方法であって、請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物、またはその任意の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を前記哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項45】
5-ヒドロキシトリプタミン受容体2A(5-HT
2A)での5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)の作用によって媒介される、哺乳動物の疾患または障害を処置する方法であって、請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物、またはその任意の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を前記哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項46】
シナプスの結合性、可塑性、またはそれらの組合せの喪失によって媒介される、哺乳動物の疾患または障害を処置する方法であって、請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物、またはその任意の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を前記哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項47】
哺乳動物の神経学的疾患または障害を処置するための方法であって、請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物、またはその任意の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を前記哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項48】
前記神経学的疾患または障害が、神経変性疾患もしくは障害、神経精神疾患もしくは障害、または物質使用疾患もしくは障害である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記神経学的疾患または障害が傷害である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記神経学的疾患または障害が、不安障害、気分障害、精神障害、人格障害、摂食障害、睡眠障害、性欲障害、衝動制御障害、物質使用障害、解離性障害、認知障害、発達障害、および作為症からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記哺乳動物がヒトである、請求項42~50のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2022年12月13日出願の米国仮特許出願第63/387,225号、および2021年12月15日出願の米国仮特許出願第63/290,037号の利益を主張し、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
化合物、上記化合物を作る方法、上記化合物を含む医薬組成物および製剤、ならびに神経細胞の成長を促し、かつ/または神経細胞の構造を改善することから利益を得ることになる疾病、疾患、または障害の処置において上記化合物を使用する方法が本明細書に記載されている。
【背景技術】
【0003】
神経学的疾患および障害を有する個人の脳において、シナプスの結合性および可塑性の変化が観察されている。サイコプラストゲンは、AMPA受容体、トロポミオシン受容体キナーゼB(TrkB)、および哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)の活性化を含む機構を介して、神経細胞の成長を促進し、神経細胞の構造を改善する。これらの生物学的標的のモジュレーター、例えば、ケタミン、スコポラミン、N,N-ジメチルトリプタミン(DMT)、およびラパスチネルは、サイコプラストゲン(精神可塑性促進、psychoplastogenic)特性を示している。例えば、ケタミンは、神経学的疾患および障害に関連する神経細胞の構造の有害な変化を正すことができる。このような構造変化としては、例えば、前頭前皮質(PFC)における樹状突起棘およびシナプスの損失、ならびに樹状突起分枝(dendritic arbor)の複雑さの減少が挙げられる。さらに、PFCの錐体ニューロンは、意欲、恐怖、および報酬を制御する脳の領域にわたってトップダウン制御を行う。サイケデリックサイコプラストゲンは、臨床において、抗うつ、抗不安、および抗中毒の効果を実証している。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態では、式(I):
【0005】
【化1】
の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物が、本明細書に提供され、
式中、
Xは、NR
7、O、またはS(=O)
xであり、
xは、0、1、または2であり、
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
1とR
2、R
2とR
3、またはR
3とR
4のいずれかは、それらが結合している炭素原子と一体となって、任意選択で置換された5員または6員の環を形成し、
R
5は、水素、ハロゲン、-OR
a、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
R
6aとR
6bは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
5は、R
6aまたはR
6bおよびそれらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
あるいは、R
6aとR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
R
7は、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、および
R
aは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
ここで、
(i)R
5とR
6aは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
(ii)R
5とR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
または
(iii)R
6aとR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
ただし、XがNHであり、R
6aが水素であり、R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれが水素である場合、R
5とR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、エチルまたはエチリデンによって置換された6員の複素環を形成しないものとする。
【0006】
一実施形態では、本明細書に開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が本明細書に提供される。
【0007】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、静脈内投与、皮下投与、経口投与、吸入、経鼻投与、経皮投与、または点眼による哺乳動物への投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、錠剤、丸剤、カプセル、液体、懸濁液、ゲル、分散剤、溶液、エマルジョン、軟膏、またはローションの形態である。
【0008】
一実施形態では、哺乳動物の神経細胞の成長を促進する方法であって、本明細書に記載される化合物、またはその任意の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与する工程を含む、方法が本明細書に記載される。
【0009】
別の実施形態では、神経細胞の構造を改善する方法であって、本明細書で提供される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与する工程を含む、方法が本明細書に記載される。
【0010】
別の実施形態では、哺乳動物において5-ヒドロキシトリプタミン受容体2A(5-HT2A)受容体の活性を調節する方法であって、本明細書で提供される化合物、またはその任意の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与する工程を含む、方法が本明細書に記載される。
【0011】
別の実施形態では、5-ヒドロキシトリプタミン受容体2A(5-HT2A)での5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)の作用によって媒介される、哺乳動物の疾患または障害を処置する方法であって、本明細書で提供される化合物、またはその任意の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与する工程を含む、方法が本明細書に記載される。
【0012】
別の実施形態では、シナプスの結合性、可塑性、またはそれらの組合せの喪失によって媒介される、哺乳動物の疾患または障害を処置する方法であって、本明細書で提供される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与する工程を含む、方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、神経学的疾患または障害である。
【0013】
別の実施形態では、哺乳動物の神経学的疾患または障害を処置するための方法が本明細書に記載され、上記方法は、式(I):
【0014】
【化2】
の構造によって表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を哺乳動物に投与する工程を含み、
式中、
Xは、NR
7、O、またはS(=O)
xであり、
xは、0、1、または2であり、
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
1とR
2、R
2とR
3、またはR
3とR
4のいずれかは、それらが結合している炭素原子と一体となって、任意選択で置換された5員または6員の環を形成し、
R
5は、水素、ハロゲン、-OR
a、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
R
6aとR
6bは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
5は、R
6aまたはR
6bおよびそれらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
あるいは、R
6aとR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
R
7は、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、および
R
aは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
ここで、
(i)R
5とR
6aは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
(ii)R
5とR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、または
(iii)R
6aとR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
【0015】
ただし、XがNHであり、R6aが水素であり、R1、R2、R3、およびR4のそれぞれが水素である場合、R5とR6bは、それらが結合している原子と一体となって、エチルまたはエチリデンによって置換された6員の複素環を形成しないものとする。いくつかの実施形態では、神経学的疾患または障害は、神経変性疾患もしくは障害、神経精神疾患もしくは障害、または物質使用疾患もしくは障害である。
【0016】
いくつかの実施形態では、神経学的疾患または障害は、傷害である。
【0017】
いくつかの実施形態では、神経学的疾患または障害は、不安障害、気分障害、精神障害、人格障害、摂食障害、睡眠障害、性欲障害、衝動制御障害、物質使用障害、解離性障害、認知障害、発達障害、および作為症からなる群から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0019】
前述の態様のいずれかにおいて、さらなる実施形態では、有効量の本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩が、(a)哺乳動物に全身的に投与され、および/または、(b)哺乳動物に経口で投与され、および/または、(c)哺乳動物に静脈内投与され、および/または、(d)哺乳動物に注入によって投与される。
【0020】
前述の態様のいずれかにおいて、有効量の化合物の単回投与を含むさらなる実施形態は、化合物が哺乳動物に1日に1回投与されるか、または化合物が哺乳動物に1日の間に複数回投与されるさらなる実施形態を含んでいる。いくつかの実施形態では、化合物は連続的な投薬スケジュールで投与される。いくつかの実施形態では、化合物は、連続的な毎日の投薬スケジュールで投与される。
【0021】
包装材料と、包装材料内の製剤(例えば、局所投与に適した製剤)と、化合物または組成物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物が、神経細胞の成長を促進し、および/または神経細胞の構造を改善するために、あるいは神経細胞の成長の促進および/または神経細胞の構造の改善に関連する疾患または障害の1つ以上の症状の処置、予防、または回復に用いられることを示すラベルとを含む製造品が提供されている。
【0022】
本明細書に記載される化合物、方法、および組成物の他の目標、特徴、および利点は、以下の詳細な記載から明らかとなる。しかしながら、本開示の精神と範囲内の様々な変化と修正が発明を実施するための形態から当業者に明らかとなるため、発明を実施するための形態と特定の実施例は特定の実施形態を示しつつも、一例としてのみ与えられるものに過ぎないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、神経細胞の可塑性を増大させるだけでなく、様々な神経学的疾患および障害の処置に有用な非幻覚性の化合物を提供する。
【0024】
サイケデリック化合物は、重要な回路における構造的および機能的な神経可塑性を促進し、複数の神経精神疾患における治療反応を引き出し、単回投与後数か月間持続し得る有益な神経学的な効果をもたらす。意欲、不安、および薬物探索行動を制御する神経回路を改変することができる化合物は、シナプスの結合性および/または可塑性の喪失によって媒介される神経学的疾患および障害を処置する可能性を持つ。さらに、このような化合物は、例えば、回路における基礎的な病的変化を処置する可能性があるため、持続的な治療効果をもたらすと考えられる。
【0025】
いくつかの実施形態では、5-HT2Aアンタゴニストは、5-HT2Aアゴニスト活性を有する幻覚性の化合物、例えば、DMT、LSD、およびDOIの神経突起生成およびスパイン形成の効果を無効にし、5-HT2Aアゴニズムと神経可塑性の促進との相関を示している(Ly et al.,2018;Dunlap et al.,2020)。しかしながら、このような化合物の幻覚性および解離性の可能性は、例えば、精神神経疾患などの神経学的疾患に対する臨床でのこれらの化合物の使用を制限している(Ly et al.,2018)。
【0026】
加えて、サイケデリック化合物の非幻覚性アナログ、例えば、リスリドおよびスマトリプタンは、限定されないが、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病やパーキンソン病)および頭痛(例えば、片頭痛)などの様々な神経学的疾患および障害に対する処置として検討されてきた。
【0027】
特定の用語
別段の定めのない限り、本出願で使用される以下の用語の定義を下に示す。明細書および添付の特許請求の範囲内で用いられるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、その文脈がそれ以外に明確に指示していない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。本出願では、「または」の使用は、特に明記されない限り、「および/または」を意味する。「含むこと(including)」という用語に加えて、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的なものではない。本明細書に使用される段落の見出しは、組織化するためのものに過ぎず、記載される主題を制限するものと解釈されてはならない。
【0028】
本明細書で使用されるとき、C1-Cxは、C1-C2、C1-C3...C1-Cxを含んでいる。ほんの一例として、「C1-C4」として指定された基は、その部分に1~4個の炭素原子があることを示す(すなわち、基は、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、または4個の炭素原子を含有する)。したがって、ほんの一例として、「C1-C4アルキル」は、アルキル基に1~4個の炭素原子があることを示し、すなわち、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルから選択される。
【0029】
「アルキル」とは一般的に、炭素原子と水素原子のみからなり、例えば、1~15個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖ラジカルを指す(例えば、C1-C15アルキル)。別段の定めのない限り、アルキルは飽和または不飽和(例えば、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を含むアルケニル)である。「アルキル」の本明細書で提供される開示は、別段の定めのない限り、飽和した「アルキル」の独立した詳述を含むように意図されている。本明細書に記載されるアルキル基は通常、一価であるが、二価(本明細書では「アルキレン」または「アルキレニル(alkylenyl)基とも記載されることがある)であってもよい。特定の実施形態では、アルキルは1~13個の炭素原子を含む(例えば、C1-C13アルキル)。特定の実施形態では、アルキルは1~8個の炭素原子を含む(例えば、C1-C8アルキル)。他の実施形態では、アルキルは1~5個の炭素原子を含む(例えば、C1-C5アルキル)。他の実施形態では、アルキルは1~4個の炭素原子を含む(例えば、C1-C4アルキル)。他の実施形態では、アルキルは1~3個の炭素原子を含む(例えば、C1-C3アルキル)。他の実施形態では、アルキルは1~2個の炭素原子を含む(例えば、C1-C2アルキル)。他の実施形態では、アルキルは1つの炭素原子を含む(例えば、C1アルキル)。他の実施形態では、アルキルは5~15個の炭素原子を含む(例えば、C5-C15アルキル)。他の実施形態では、アルキルは5~8個の炭素原子を含む(例えば、C5-C8アルキル)。他の実施形態では、アルキルは2~5個の炭素原子を含む(例えば、C2-C5アルキル)。他の実施形態では、アルキルは3~5個の炭素原子を含む(例えば、C3-C5アルキル)。他の実施形態では、アルキル基は、メチル、エチル、1-プロピル(n-プロピル)、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、1-ブチル(n-ブチル)、1-メチルプロピル(sec-ブチル)、2-メチルプロピル(イソ-ブチル)、1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)、1-ペンチル(n-ペンチル)から選択される。アルキルは、単結合によって分子の残りに結合する。一般に、アルキル基はそれぞれ独立して、置換されるか、非置換である。本明細書で提供される「アルキル」の各記載は、別段の定めのない限り、不飽和「アルキル」基の具体的かつ明示的な記載を含む。同様に、本明細書で別段の定めのない限り、アルキル基は、以下の置換基:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-ORx、-SRx、-OC(O)-Rx、-N(Rx)2、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)N(Rx)2、-N(Rx)C(O)ORx、-OC(O)-N(Rx)2、-N(Rx)C(O)Rx、-N(Rx)S(O)tRx(tは1または2である)、-S(O)tORx(tは1または2である)、-S(O)tRx(tは1または2である)、および-S(O)tN(Rx)2(tは1または2である)のうちの1つ以上によって任意選択で置換され、ここで、Rxはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)である。いくつかの実施形態では、アルキル基は1つ以上のフッ素で置換される。
【0030】
「アルキレン」基は、二価アルキルラジカルを指す。上記の一価アルキル基のいずれかがアルキルからの第2の水素原子の除去によるアルキレンであってもよい。いくつかの実施形態では、アルキレンはC1-C6アルキレンである。他の実施形態では、アルキレンはC1-C4アルキレンである。典型的なアルキレン基は、限定されないが、-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)-、-CH2C(CH3)2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-などを含む。本明細書で別段の定めのない限り、アルキレン鎖は、本明細書のアルキル基について上に記載されるように任意選択で置換される。
【0031】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素炭素二重結合が存在するアルキル基の一種を指す。一実施形態では、アルケニル基は、式-C(R)=CR2を有し、Rはアルケニル基の残りの部分を指し、それは同じこともあれば、異なることもある。いくつかの実施形態では、RはHまたはアルキルである。アルケニル基の非限定的な例としては、-CH=CH2、-C(CH3)=CH2、-CH=CHCH3、-C(CH3)=CHCH3、および-CH2CH=CH2が挙げられる。
【0032】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素炭素三重結合が存在するアルキル基の一種を指す。一実施形態では、アルケニル基は式-C≡C-Rを有し、Rはアルキニル基の残りの部分を指す。いくつかの実施形態では、RはHまたはアルキルである。アルキニル基の非限定的な例としては、-C≡CH、-C≡CCH3、-C≡CCH2CH3、-CH2C≡CHが挙げられる。
【0033】
「アルコキシ」基は(アルキル)O-基を指し、アルキルは本明細書で定義される通りである。
【0034】
「アルキルアミン」という用語は-NH(アルキル)または-N(アルキル)2を指す。
【0035】
「芳香族」という用語は、4n+2π電子(nは整数である)を含む、非局在化されたπ-電子系を有する平面環を指す。「芳香族」という用語は、炭素環式アリール(「アリール」、例えば、フェニル)と複素環式アリール(または「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」)基(例えば、ピリジン)の両方を含んでいる。この用語は単環式または縮合環の多環式(つまり、隣接する炭素原子対を共有する環)基を含んでいる。
【0036】
「炭素環式」または「炭素環」という用語は、環の骨格を形成する原子がすべて炭素原子である、環または環系を指す。したがって、上記用語は、環骨格が炭素とは異なる少なくとも1つの原子を含有している「複素環式」環または「複素環」と、炭素環式とを区別している。いくつかの実施形態では、二環式の炭素環の2つの環の少なくとも1つは、芳香族である。いくつかの実施形態では、二環式の炭素環の両方の環は、芳香族である。特定の実施形態では、カルボシクリルは3~10個の炭素原子を含む。他の実施形態では、カルボシクリルは5~7個の炭素原子を含む。カルボシクリルは、単結合により分子の残りに結合する。カルボシクリルまたはシクロアルキルは飽和している(つまり、単一のC-C結合のみを含む)か、または不飽和(つまり、1つ以上の二重結合または三重結合を含有する)である。飽和したシクロアルキルの例は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを含む。不飽和のカルボシクリルは「シクロアルケニル」とも呼ばれる。単環式のシクロアルケニルの例は、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、およびシクロオクテニルを含む。多環式カルボシクリルラジカルとしては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル(つまり、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、ノルボルネニル、デカリニル(decalinyl)、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。本明細書において別段の定めのない限り、「カルボシクリル」という用語は、以下:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアラルキル、任意選択で置換されたアラルケニル、任意選択で置換されたアラルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたカルボシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキル、-Ry-ORx、-Ry-OC(O)-Rx、-Ry-OC(O)-ORx、-Ry-OC(O)-N(Rx)2、-Ry-N(Rx)2、-Ry-C(O)Rx、-Ry-C(O)ORx、-Ry-C(O)N(Rx)2、-Ry-O-Rz-C(O)N(Rx)2、-Ry-N(Rx)C(O)ORx、-Ry-N(Rx)C(O)Rx、-Ry-N(Rx)S(O)tRx(tは1または2である)、-Ry-S(O)tRx(tは1または2である)、-Ry-S(O)tORx(tは1または2である)、および-Ry-S(O)tN(Rx)2(tは1または2である)から独立して選択された1つ以上の置換基によって任意選択で置換されるカルボシクリルラジカルを含むことを意味しており、ここで、Rxはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)であり、Ryはそれぞれ独立して、直接結合、あるいは直鎖または分岐鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、および、Rzは直鎖または分岐鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、ここで、上記置換基の各々は、別段の定めのない限り非置換型である。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「アリール」という用語は、環を形成する原子の各々が炭素原子である、芳香族環を指す。芳香族単環式または多環式の炭化水素環系は、水素と、5~18個の炭素原子からの炭素のみを含み、ここで、環系における環の少なくとも1つは完全に不飽和であり、すなわち、ヒュッケルの理論に従った環状の非局在化した(4n+2)π-電子系を含む。アリール基が由来する環系は、限定されないが、ベンゼン、フルオレン、インダン、インデン、テトラリン、およびナフタレンなどの基を含む。明細書で別段の定めのない限り、「アリール」という用語または(「アラルキル」などの中の)接頭辞「ar」は、以下:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアラルキル、任意選択で置換されたアラルケニル、任意選択で置換されたアラルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたカルボシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキル、-Ry-ORx、-Ry-OC(O)-Rx、-Ry-OC(O)-ORx、-Ry-OC(O)-N(Rx)2、-Ry-N(Rx)2、-Ry-C(O)Rx、-Ry-C(O)ORx、-Ry-C(O)N(Rx)2、-Ry-O-Rz-C(O)N(Rx)2、-Ry-N(Rx)C(O)ORx、-Ry-N(Rx)C(O)Rx、-Ry-N(Rx)S(O)tRx(tは1または2である)、-Ry-S(O)tRx(tは1または2である)、-Ry-S(O)tORx(tは1または2である)、および-Ry-S(O)tN(Rx)2(tは1または2である)から独立して選択される1以上の置換基によって任意選択で置換されたアリールラジカルを含むことを意味しており、ここで、Rxはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)であり、Ryはそれぞれ独立して、直接結合、あるいは直鎖または分岐鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、および、Rzは直鎖または分岐鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、ここで、上記置換基の各々は、別段の定めのない限り非置換型である。
【0038】
「アラルキル」、「アリール-アルキル」、または「アリールアルキル」は式-Rz-アリールのラジカルを指し、Rzは例えば、メチレン、エチレンなどの上に定義されるようなアルキレン鎖である。アラルキルラジカルのアルキレン鎖部分は、アルキレン鎖について上に記載されるように任意選択で置換される。アラルキルラジカルのアリール部分は、アリール基について上に記載されるように任意選択で置換される。
【0039】
「シクロアルキル」という用語は、単環式または多環式の脂肪族の非芳香族ラジカルを指し、環を形成する原子(つまり、骨格原子)の各々は炭素原子である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、スピロ環状化合物または架橋化合物である。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、任意選択で芳香環で縮合され、結合点は、芳香環炭素原子ではない炭素にある。シクロアルキル基は、3~10個の環状原子を有する基を含む。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、スピロ[2.2]ペンチル、ノルボルニルおよび二環式[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、シスデカリン、トランスデカリン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、およびビシクロ[3.3.2]デカン、アダマンチル、ノルボルニル、ならびにデカリニルの中から選択される。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、C3-C6シクロアルキルである。
【0040】
「ハロ」という用語、または代替的に「ハロゲン」もしくは「ハロゲン化物」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。いくつかの実施形態では、ハロは、フルオロ、クロロ、またはブロモである。いくつかの実施形態では、ハロは、フルオロまたはクロロである。
【0041】
例えば、「フルオロアルキル」という用語は、1つ以上の水素原子がフッ素原子と取り替えられたアルキルを指し、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチルなどがある。いくつかの実施形態では、フルオロアルキルラジカルのアルキル部分は、アルキル基について上に定義されるように任意選択で置換される。一実施形態では、フルオロアルキルはC1-C6フルオロアルキルである。
【0042】
「ヘテロアルキル」という用語は、アルキルの1つ以上の骨格炭素原子がヘテロ原子(適切な数の置換基または価数を有する-例えば、-CH2-は-NH-、-S-、または-O-で置き換えられてもよい)で置換されている上で定義したアルキル基を指す。例えば、置換された炭素原子はそれぞれ独立して、ヘテロ原子で置換され、例えば、炭素は窒素、酸素、セレン、または他の適切なヘテロ原子で置換されている。いくつかの実施形態では、置換された炭素原子はそれぞれ独立して、酸素、窒素(例えば、-NH-、-NS(アルキル)-、または-N(アリール)-、あるいは本明細書で企図される別の置換基を有する)、または硫黄(例えば、-S-、-S(=O)-、または-S(=O)2-)に置換される。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキルはヘテロアルキルの炭素原子で分子の残りに結合される。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキルはヘテロアルキルのヘテロ原子で分子の残りに結合される。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキルはC1-C18ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキルはC1-C12ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキルはC1-C6へテロアルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキルはC1-C4ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキルは1つ以上の環状基であるか、1つ以上の環状基を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に定義されるように、ヘテロアルキルは、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、アミノアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルアルキルを含む。本明細書で別段の定めのない限り、ヘテロアルキル基は、アルキル基について上で定義されるように任意選択で置換される。一実施形態では、ヘテロアルキルはC1-C6ヘテロアルキルである。
【0043】
「ヘテロアルキレン」は、分子の一部分を当該分子の別の部分に連結させる、上で定義される二価ヘテロアルキル基を指す。別段の定めのない限り、ヘテロアルキレンは、アルキル基について上で定義されるように、任意選択で置換される。
【0044】
一般的に、「ヘテロシクリル」、「複素環」、または「複素環式」という用語は、環に1~4個のヘテロ原子を含有する芳香族複素環(ヘテロアリールとしても知られている)およびヘテロシクロアルキル環(ヘテロ脂環式基としても知られている)を指し、ここで、環の各ヘテロ原子はO、S、およびNから選択され、環の各複素環基は、その環系中に3~10個の原子を有し、ただし、どの環も2つの隣接するOまたはS原子を含有していないものとする。本明細書で別段の定めのない限り、ヘテロシクリルラジカルは、単環式、二環式、三環式、または四環式の環系であり、それは縮合した環系または架橋した環系を任意選択で含む。ヘテロシクリルラジカル中のヘテロ原子は任意選択で酸化される。1つ以上の窒素原子は、存在する場合、任意選択で四級化される。ヘテロシクリルラジカルは、部分的または完全に飽和される。ヘテロシクリルラジカルは、飽和(すなわち、単一のC-C結合のみを含有する)または不飽和(例えば、環系において1つ以上の二重結合または三重結合を含有する)である。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリルラジカルは飽和している。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリルラジカルは、飽和かつ置換される。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリルラジカルは不飽和である。ヘテロシクリルは環の任意の原子によって分子の残りに結合される。非芳香族複素環式基(ヘテロシクロアルキルとしても知られている)は、その環系に3~10個の原子を有する環を含み、芳香族複素環式基は、その環系に5~10個の原子を有する環を含む。複素環式基はベンゾ縮合環系を含む。非芳香族複素環式基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、オキサゾリジノニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、ピロリン(pyrrolin)-2-イル、ピロリン(pyrrolin)-3-イル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H-インドリル、インドリン-2-オニル(onyl)、イソインドリン-1-オニル、イソインドリン-1,3-ジオニル、3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オニル、3,4-ジヒドロキノリン-2(1H)-オニル、イソインドリン-1,3-ジチオニル、ベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オニル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オニル、ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-オニル、および、キノリジニルである。芳香族複素環基の例としては、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルが挙げられる。前述の基は、可能であれば、C結合される(またはC連結される)か、あるいはN結合される。実施形態では、ピロールに由来する基は、ピロール-1-イル(N結合された)またはピロール-3-イル(C結合された)を含む。さらに、イミダゾールに由来する基は、イミダゾール-1-イルまたはイミダゾール-3-イル(両方ともN結合された)、あるいは、イミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イル、またはイミダゾール-5-イル(すべてC結合された)を含む。複素環式基はベンゾ縮合環系を含む。非芳香族複素環は、ピロリジン-2-オンなどの、1つまたは2つのオキソ(=O)部分で任意選択で置換される。いくつかの実施形態では、二環式の複素環の2つの環の少なくとも1つは芳香族である。いくつかの実施形態では、二環式の複素環の両方の環は芳香族である。本明細書において別段の定めのない限り、「ヘテロシクリル」という用語は、以下:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアラルキル、任意選択で置換されたアラルケニル、任意選択で置換されたアラルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたカルボシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキル、-Ry-ORx、-Ry-OC(O)-Rx、-Ry-OC(O)-ORx、-Ry-OC(O)-N(Rx)2、-Ry-N(Rx)2、-Ry-C(O)Rx、-Ry-C(O)ORx、-Ry-C(O)N(Rx)2、-Ry-O-Rz-C(O)N(Rx)2、-Ry-N(Rx)C(O)ORx、-Ry-N(Rx)C(O)Rx、-Ry-N(Rx)S(O)tRx(tは1または2である)、-Ry-S(O)tRx(tは1または2である)、-Ry-S(O)tORx(tは1または2である)、および-Ry-S(O)tN(Rx)2(tは1または2である)から選択される1つ以上の置換基により任意選択で置換される、上に定義されるようなヘテロシクリルラジカルを含むことを意味しており、ここで、Rxはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)であり、Ryはそれぞれ独立して、直接結合、あるいは直鎖または分岐鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、および、Rzは直鎖または分岐鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、ここで、上記置換基の各々は、別段の定めのない限り非置換型である。
【0045】
「ヘテロシクリルアルキル」は、式-Rz-ヘテロシクリルのラジカルを指し、Rzが上に定義されるようなアルキレン鎖である。ヘテロシクリルが窒素含有ヘテロシクリルである場合、ヘテロシクリルは、窒素原子にてアルキルラジカルに任意選択で結合される。ヘテロシクリルアルキルラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように任意選択で置換される。ヘテロシクリルアルキルラジカルのヘテロシクリル部分は、ヘテロシクリル基について上に定義されるように任意選択で置換される。
【0046】
「ヘテロシクリルアルコキシ」は、式-O-Rz-ヘテロシクリルの酸素原子によって結合したラジカルを指し、Rzは上に定義されるようなアルキレン鎖である。ヘテロシクリルが窒素含有ヘテロシクリルである場合、ヘテロシクリルは、窒素原子にてアルキルラジカルに任意選択で結合される。ヘテロシクリルアルコキシラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように任意選択で置換される。ヘテロシクリルアルコキシラジカルのヘテロシクリル部分は、ヘテロシクリル基について上に定義されるように任意選択で置換される。
【0047】
「ヘテロアリール」または代替的に「ヘテロ芳香族」という用語は、窒素、酸素、および硫黄から選択された1つ以上の環ヘテロ原子を含むアリール基を指す。ヘテロアリール基の例示的な例は、単環式のヘテロアリールと二環式のヘテロアリールを含む。単環式のヘテロアリールは、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、およびフラザニルを含む。二環式のヘテロアリールは、インドリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8-ナフチリジン、およびプテリジンを含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは環に0~4個のN原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは環に1~4個のN原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは環に0~4個のN原子、0~1個のO原子、および0~1個のS原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは環に1~4個のN原子、0~1個のO原子、および0~1個のS原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールはC1-C9ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、単環式のヘテロアリールはC1-C5ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、単環式のヘテロアリールは5員または6員のヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、二環式のヘテロアリールはC6-C9ヘテロアリールである。本明細書において別段の定めのない限り、「ヘテロアリール」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたアラルキル、任意選択で置換されたアラルケニル、任意選択で置換されたアラルキニル、任意選択で置換されたカルボシクリル、任意選択で置換されたカルボシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクリル、任意選択で置換されたヘテロシクリルアルキル、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたヘテロアリールアルキル、-Ry-ORx、-Ry-OC(O)-Rx、-Ry-OC(O)-ORx、-Ry-OC(O)-N(Rx)2、-Ry-N(Rx)2、-Ry-C(O)Rx、-Ry-C(O)ORx、-Ry-C(O)N(Rx)2、-Ry-O-Rz-C(O)N(Rx)2、-Ry-N(Rx)C(O)ORx、-Ry-N(Rx)C(O)Rx、-Ry-N(Rx)S(O)tRx(tは1または2である)、-Ry-S(O)tRx(tは1または2である)、-Ry-S(O)tORx(tは1または2である)、および-Ry-S(O)tN(Rx)2(tは1または2である)から選択された1つ以上の置換基によって任意選択で置換される、上に定義されるようなヘテロアリールラジカルを含むことを意味し、Rxはそれぞれ独立して水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択でに置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、またはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)であり、Ryはそれぞれ独立して直接結合、または直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンもしくはアルケニレン鎖であり、および、Rzは直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖もしくはアルケニレン鎖であり、別段の定めのない限り、上記の置換基のそれぞれは非置換型である。
【0048】
「ヘテロアリールアルキル」とは、式-Rz-ヘテロアリールのラジカルを指し、Rzは上に定義されるようなアルキレン鎖である。ヘテロアリールが窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、窒素原子にてアルキルラジカルに任意選択で結合される。ヘテロアリールアルキルラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように任意選択で置換される。ヘテロアリールアルキルラジカルのヘテロアリール部分は、ヘテロアリール基について上に定義されるように任意選択で置換される。
【0049】
「ヘテロアリールアルコキシ」とは、式-O-Rz-ヘテロアリールの酸素原子によって結合したラジカルを指し、Rzは上に定義されるようなアルキレン鎖である。ヘテロアリールが窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、窒素原子にてアルキルラジカルに任意選択で結合される。ヘテロアリールアルコキシラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように任意選択で置換される。ヘテロアリールアルコキシラジカルのヘテロアリール部分は、ヘテロアリール基について上に定義されるように任意選択で置換される。
【0050】
「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロ脂環式」基は、窒素、酸素、および硫黄から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルはアリールまたはヘテロアリールで縮合される。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、オキサゾリジノニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジン-2-オニル、ピロリジン-2,5-ジチオニル、ピロリジン-2,5-ジオニル、ピロリジノニル、イミダゾリジニル、イミダゾリジン-2-オニル、またはチアゾリジン-2-オニルである。ヘテロ脂環式という用語は、限定されないが、単糖類、二糖類、および少糖類を含む、炭水化物の環状形態もすべて含んでいる。一実施形態では、ヘテロシクロアルキルはC2-C10ヘテロシクロアルキルである。別の実施形態では、ヘテロシクロアルキルはC4-C10ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環に0~2個のN原子を含有している。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環に0~2個のN原子、0~2個のO原子、および0~1個のS原子を含有している。
【0051】
「結合」または「単結合」という用語は、結合によって連結された原子がより大きな下部構造の一部であると考えられるときの2つの原子間または2つの部分間の化学結合を指す。一実施形態では、本明細書に記載される基が1つの結合であるときに、参照された基は存在せず、それによって、残りの特定された基の間での結合の形成が可能になる。
【0052】
「部分」という用語は、分子の特定のセグメントまたは官能基を指す。化学部分は、分子に埋め込まれた、または分子に付加された化学物質と認識される傾向にある。
【0053】
一般に、任意選択で置換された基はそれぞれ独立して、置換されるか、非置換である。本明細書で提供される任意選択で置換された基の各記載は、別段の定めのない限り、非置換基と置換基(例えば、特定の実施形態では置換されており、他の特定の実施形態では非置換である)の両方の独立かつ明示的な記載を含んでいる。別段の定めのない限り、本明細書中で提供される置換された基(例えば、置換アルキル)は、1つ以上の置換基により置換され、置換基はそれぞれ独立して、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-ORx、-SRx、-OC(O)-Rx、-N(Rx)2、-C(O)Rx、-C(O)ORx、-C(O)N(Rx)2、-N(Rx)C(O)ORx、-OC(O)-N(Rx)2、-N(Rx)C(O)Rx、-N(Rx)S(O)tRx(tは1または2である)、-S(O)tORx(tは1または2である)、-S(O)tRx(tは1または2である)、および-S(O)tN(Rx)2(tは1または2である)からなる群から選択され、ここで、Rxはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで任意選択で置換される)である。他のいくつかの実施形態では、任意選択の置換基は、ハロゲン、-CN、-NH2、-NH(CH3)、-N(CH3)2、-OH、-CO2H、-CO2(C1-C4アルキル)、-C(=O)NH2、-C(=O)NH(C1-C4アルキル)、-C(=O)N(C1-C4アルキル)2、-S(=O)2NH2、-S(=O)2NH(C1-C4アルキル)、-S(=O)2N(C1-C4アルキル)2、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、C1-C4フルオロアルキル、C1-C4ヘテロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4フルオロアルコキシ、-SC1-C4アルキル、-S(=O)C1-C4アルキル、および-S(=O)2C1-C4アルキルから独立して選択される。いくつかの実施形態では、任意選択の置換基は、ハロゲン、-CN、-NH2、-OH、-NH(CH3)、-N(CH3)2、-CH3、-CH2CH3、-CF3、-OCH3、および-OCF3から独立して選択される。いくつかの実施形態では、置換された基は、前述の基の1つまたは2つで置換される。いくつかの実施形態では、脂肪族炭素原子(非環式または環式)上の任意選択の置換基は、オキソ(=O)を含む。
【0054】
本明細書で使用されるとき、製剤、組成物、または成分に対して「許容可能な」という用語は、処置されている対象の健康状態に対して持続的な有害効果がないことを意味する。
【0055】
本明細書で使用されるような「調節する(modulate)」という用語は、ほんの一例として、標的の活性を増強する、標的の活性を阻害する、標的の活性を制限する、または標的の活性を拡大することを含んで、標的の活性を変更するように、直接的または間接的に標的と相互作用することを意味する。いくつかの実施形態では、「調節する」とは、受容体活性を低下または阻害するように、直接的または間接的に標的と相互作用することを意味する。いくつかの実施形態では、調節は、特定の活性、機能、または分子の量、質、または効果の増加または減少である。例示であって限定するものではないが、Gタンパク質共役型受容体(例えば、5HT2A)のアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、およびアロステリックモジュレーター(例えば、正のアロステリックモジュレーター)は、受容体のモジュレーターである。
【0056】
本明細書で使用されるような「モジュレーター」という用語は、直接的または間接的に標的と相互作用する分子を指す。相互作用は、限定されないが、アゴニスト、部分アゴニスト、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、またはそれらの組み合わせの相互作用を含む。いくつかの実施形態では、モジュレーターはアンタゴニストである。受容体アンタゴニストは受容体活性の阻害剤である。アンタゴニストは、受容体に結合し、天然のリガンドによって受容体活性化を防ぐリガンドを模倣する。活性化を防ぐことは多くの効果を有することがある。受容体に結合する天然のアゴニストが細胞の機能の増大に結びつく場合、この受容体に結合して遮断するアンタゴニストは受容体の機能を減少させる。
【0057】
「アゴニズム」という用語は、本明細書で使用されるとき、生体応答を生じさせるためのモジュレーター、すなわちアゴニストによる受容体または酵素の活性化を指す。
【0058】
「アゴニスト」という用語は一般に、本明細書で使用されるように、生体応答を生じさせるために受容体または酵素に結合して受容体を活性化させるモジュレーターを指す。ほんの一例としてのみ、「5HT2Aアゴニスト」は、約100μM以下の5HT2A活性に対するEC50を示す化合物を指すために使用することができる。いくつかの実施形態では、「アゴニスト」という用語は、完全アゴニストまたは部分アゴニストを含む。「完全アゴニスト」とは、アゴニストが受容体を誘発し得る最大の応答で受容体に結合して活性化するモジュレーターを指す。「部分アゴニスト」は、所与の受容体に結合して活性化するが、完全アゴニストと比較して受容体での有効性が部分的、つまり、最大応答未満であるモジュレーターを指す。
【0059】
「正のアロステリックモジュレーター」という用語は一般に、本明細書で使用されるように、オルソステリック結合部位とは別の部位に結合し、アゴニストの効果を向上または増強するモジュレーターを指す。
【0060】
「アンタゴニズム」という用語は一般に、本明細書で使用されるように、モジュレーター、すなわち、アンタゴニストによる受容体または酵素の不活性化を指す。受容体のアンタゴニズムは、例えば、分子が受容体に結合するが活性を生じさせないときに生じる。
【0061】
「アンタゴニスト」または「中性アンタゴニスト」という用語は一般に、本明細書で使用されるように、受容体または酵素に結合して生体応答を遮断するモジュレーターを指す。アンタゴニストは、アゴニストまたはインバースアゴニストの不在下では活性でない場合があるが、いずれかの活性を遮断して、その生体応答に変化を生じさせないようにすることができる。
【0062】
本明細書で使用されるとき、「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」、「投与(administration)」などの用語は、生物学的作用の望ましい部位への化合物または組成物の送達を可能にするために使用され得る方法を指す。これらの方法は、限定されないが、経口経路、十二指腸内経路、非経口注入(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内、または点滴を含む)、局所投与、および直腸投与を含む。当業者は、本明細書に記載される化合物および方法を用いて使用され得る投与技術に精通している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物および組成物は、経口で投与される。
【0063】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、本明細書で使用されるとき、処置されている疾患または疾病の症状の1つ以上をある程度まで軽減する、投与されている薬剤または化合物の十分な量を指す。結果は、疾患の徴候、症状、または原因の減少および/または緩和、あるいは生体系の他の所望の変化を含む。例えば、治療用途のための「有効量」は、疾患症状を臨床的に有意に減少させるために必要とされる、本明細書に開示されるような化合物を含む組成物の量である。個々のケースでの適切な「有効」量は、用量漸増試験などの技術を使用して任意選択で決定される。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「増強する(enhance)」または「増強すること(enhancing)」という用語は、効力または持続時間のいずれかにおいて所望の効果を増加または延長させることを意味する。したがって、治療剤の効果を増強することに関して、「増強する」という用語は、効力または持続時間のいずれかにおいて、系に対する他の治療剤の効果を増加または延長させる能力を指す。本明細書で使用されるような「増強有効量」は、望ましい系において別の治療剤の効果を増強するのに十分な量を指す。
【0065】
「キット」および「製品」という用語は同義語として使用される。
【0066】
「対象」または「患者」という用語は、哺乳動物を包含する。哺乳類の例として、哺乳類のクラスの任意のメンバー、すなわちヒト、チンパンジーなどのヒト以外の霊長類、ならびに他の類人猿およびサル種、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、ウサギ、イヌ、およびネコなどの飼育動物、ラット、マウス、およびモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0067】
「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、または「処置(treatment)」という用語は、本明細書で使用されるとき、疾患または疾病の少なくとも1つの症状を緩和するか、軽減するか、あるいは改善すること、追加の症状を防ぐこと、疾患または疾病を阻害すること、例えば、疾患または疾病の進行を抑えること、疾患または疾病を軽減すること、疾患または疾病の退行を引き起こすこと、疾患または疾病によって引き起こされた状態を軽減すること、あるいは疾患または疾病の症状を予防的におよび/または治療的に止めることを含む。
【0068】
「薬学的に許容可能な」という用語は一般に、本明細書に使用されるとき、化合物の生物学的な活性または特性を抑止せず、比較的無毒である、担体または希釈剤などの物質を指し、すなわち、上記物質は、望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、あるいは上記物質が含まれる組成物のいかなる成分とも有害な方法で相互作用することなく、個体に投与される。
【0069】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は概して、本明細書で使用されるとき、適切なアニオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のカチオン形態、または代替的な実施形態では、適切なカチオンと組み合わせた治療上活性な薬剤のアニオン形態からなる、治療上活性な薬剤の形態を指す。Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use.International Union of Pure and Applied Chemistry,Wiley-VCH 2002.S.M.Berge,L.D.Bighley,D.C.Monkhouse,J.Pharm.Sci.1977,66,1-19.P.H.Stahl and C.G.Wermuth,editors,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA,2002。薬学的な塩は、典型的には非イオン種よりも溶けやすく、胃液および腸液中では急速に溶けやすく、ゆえに、固体剤形に有用である。さらに、その溶解度がしばしばpHに応じたものであるため、消化管の1つまたは別の部分における選択的な溶解が可能であり、こうした能力は遅延放出および徐放の挙動の1つの態様として操作可能である。さらに、塩形成分子が中性の形態と平衡状態にあり得るため、生体膜の通過を調節することができる。神経細胞の成長を促進し、および/または神経細胞の構造を改善する非幻覚性の化合物が本明細書で提供される。
【0070】
5-HT2Aアゴニズムに関して本明細書で使用されるような「有意な」または「有意に」という用語は、10μM未満のEC50で5-HT2A受容体アゴニズムを提供することができる化合物を指す。
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、その幻覚誘発性対応物と比較して、セロトニン受容体(例えば、5HT2A)に対して同等の親和性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、水素結合供与体の喪失、総極性表面積の減少、および中枢神経系マルチパラメータ最適化(MPO)スコアの改善の結果として、改善された物理化学的性質を有する。いくつかの実施形態では、幻覚性の5-HT2Aアゴニストと同様の治療的可能性を示す非幻覚性の化合物が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される非幻覚性の化合物は、神経学的疾患に対して幻覚性5-HT2Aアゴニストよりも優れた治療的可能性を提供する。
【0072】
神経異常
神経細胞の可塑性およびその変化は、多くの神経学的疾患および障害に起因している。例えば、発生期および成人期において、樹状突起棘の数および形態(例えば、長さ、交差、密度)の変化は、シナプスの形成、維持、および除去を伴い、これらの変化は、神経回路内の結合性を確立して再構築すると考えられている。さらに、樹状突起棘の構造可塑性は、シナプスの機能および可塑性と協調している。例えば、突起棘の拡大は、神経回路における長期増強と協調しており、一方で、長期抑圧は、突起棘の縮小と関連している。
【0073】
さらに、樹状突起棘は、生きた動物において経験依存的な形態変化を受け、樹状突起棘の微妙な変化でさえ、神経回路におけるシナプス機能、シナプス可塑性、および結合性のパターンに影響を及ぼし得る。例えば、神経変性疾患および障害(例えば、アルツハイマー病やパーキンソン病)や神経精神疾患および障害(例えば、うつ病や統合失調症)などの神経学的疾患および障害には、樹状突起棘の形状、サイズ、および/または数の疾患特異的な乱れが伴うことから、樹状突起棘は情報処理の障害を含む疾患において共通の基材として機能することが示唆されている。
【0074】
いくつかの実施形態では、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の化合物またはそのような式によってカバーされる任意の化合物、例えば、表1に記載されるいずれかの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を用いて、神経学的疾患および障害を処置する方法が本明細書に開示される。
【0075】
いくつかの実施形態では、神経学的疾患または障害は、個体の中枢神経系(CNS)(例えば、脳、脊椎、および/または神経)の疾患または障害である。
【0076】
神経学的疾患および障害の型としては、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、および痴呆など)、頭痛(例えば、片頭痛)、脳損傷(例えば、脳卒中または外傷性脳損傷)、脳腫瘍、不安障害(例えば、心的外傷後ストレス障害(PTSD)または強迫性障害(OCD))、気分障害(例えば、自殺念慮、うつ病、または双極性障害)、精神障害(例えば、統合失調症または物質誘発性精神障害)、人格障害、摂食障害(例えば、むちゃ食い障害)、睡眠障害、性欲障害、衝動制御障害(例えば、ギャンブル、強迫的な性欲、または窃盗癖)、物質使用障害(例えば、アルコール依存症、オピオイド中毒、またはコカイン中毒)、解離性障害(例えば、癲癇、記憶喪失、または解離性同一性障害)、認知障害(例えば、物質誘発性認知機能障害)、発達障害(例えば、注意欠陥多動性障害(ADHD))、自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症(MS))、疼痛(例えば、慢性疼痛)、および作為症が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物で処置された哺乳動物は、CNSの疾患または障害であるかまたはそれに関連する疾患または障害を有する。
【0077】
神経変性疾患または障害としては、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、プリオン病、前頭側頭型認知症、運動ニューロン疾患(MND)、ハンチントン病(HD)、レビー小体型認知症(LBD)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
物質使用障害としては、物質乱用、中毒、および依存、例えば、アルコール、オピオイド(例えば、ヘロイン、オキシコドン、およびヒドロコドン)、コカイン、アンフェタミン(例えば、メタンフェタミン)、ニコチン、カンナビノイド(例えば、テトラヒドロカンナビノール(THC))、カフェイン、フェンシクリジン、シンナー、接着剤、ステロイド(例えば、アナボリックステロイド)、バルビツレート(例えば、フェノバルビタル)、メタドン、ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパム)などへの中毒および依存が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
衝動制御障害としては、ギャンブル、窃盗癖、抜毛癖、間欠性爆発性障害、放火癖、皮膚むしり、強迫的購買、トゥーレット症候群、強迫的性行動などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
神経精神疾患としては、発作(例えば、癲癇)および注意欠陥障害(例えば、ADHDと自閉症)、摂食障害(例えば、過食症、食欲不振、むちゃ食い障害、および異食症)、うつ病(例えば、臨床的鬱病、持続的なうつ病性障害、双極性障害、産後うつ病、自殺念慮、大うつ病性障害、季節性感情障害など)、不安(例えば、パニック発作、社会不安障害、パニック障害など)、統合失調症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、物質誘発性精神障害、および物質誘発性認知機能障害などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
脳損傷としては、限定されないが、脳卒中、外傷性脳損傷、ボクサー認知症、慢性外傷性脳障害(CTE)などが挙げられる。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造によって表される化合物またはそのような式によってカバーされる任意の化合物、例えば、表1に記載されるいずれかの化合物)、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、神経学的疾患および障害で失われる樹状突起棘の数と樹状突起棘の形態を改善する。
【0083】
5-HT2A
5-HT2Aアゴニズムは、神経可塑性の促進と相関している(Ly et al.,2018)。いくつかの実施形態では、5-HT2Aアンタゴニストは、5-HT2Aアゴニスト活性を有する幻覚性の化合物、例えば、DMT、LSD、およびDOIの神経突起生成とスパイン形成の効果を無効にする。さらに、DMTや他のサイケデリック化合物は、5-HT2A依存性プロセスを介して樹状突起分枝(dendritic arbor)の複雑さ、樹状突起棘の密度、およびシナプス形成の増加を促進する。いくつかの実施形態では、皮質培養物を5-HT2Aアンタゴニストで前処理することで、5-MeO-DMTの樹状突起の成長を増加させる能力がブロックされた。重要なことに、本明細書で提供される化合物の精神可塑性促進(psychoplastogenic)効果もこれらの条件下でブロックされ、それらの作用機序に5-HT2A受容体が関与していることを示している。
【0084】
さらに、いくつかの実施形態では、非幻覚性の化合物(例えば、リスリドおよび6-MeO-DMT)は、5HT2Aセンサーアッセイをアンタゴニストモードで実行すると、5-HTを結合除去する(compete off)。加えて、動物(例えば、ヒト)において非幻覚性である、例えば、6-F-DET、ケタンセリン、BOL148などの化合物は、アンタゴニストモードセンサーアッセイにおいて5HT2Aへの5HTの結合と競合することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、5-HTの5HT2Aへの結合を防ぐ。いくつかの実施形態では、5HT2Aセンサーアッセイは、アンタゴニストモードである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、5-HTの5HT2Aへの結合を防ぎ、非幻覚性のポテンシャルを有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、5-HTの5HT2Aへの結合を防ぎ、非幻覚性である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、アンタゴニストモードで5-HTの5HT2Aへの結合を防ぎ、非幻覚性のポテンシャルを有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、アンタゴニストモードで5-HTの結合を防ぎ、非幻覚性の化合物である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、アンタゴニストモードでセンサーアッセイの応答を阻害し、非幻覚性のポテンシャルを有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、アンタゴニストモードでセンサーアッセイの応答を阻害し、非幻覚性の化合物である。
【0085】
いくつかの実施形態では、アゴニストモードのセンサーアッセイに対する本明細書で提供される化合物の効果は、化合物が5-HT2A受容体の非幻覚性のリガンドであることを示唆している。いくつかの実施形態では、アンタゴニストモードのセンサーアッセイに対する本明細書で提供される化合物の効果は、化合物が5-HT2A受容体の非幻覚性のリガンドであることを示唆している。いくつかの実施形態では、アゴニストモードとアンタゴニストモードのセンサーアッセイに対する本明細書で提供される化合物の効果は、共に、化合物が5-HT2A受容体の非幻覚性のリガンドであることを示唆している。
【0086】
いくつかの実施形態では、幻覚性の5-HT2Aアゴニストと同様の治療的可能性を示す非幻覚性の化合物が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される非幻覚性の化合物は、神経学的疾患に対して幻覚性5-HT2Aアゴニストよりも優れた治療的可能性を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は5-HT2Aモジュレーターであり、神経可塑性(例えば、皮質の構造的な可塑性)を促進する。
【0087】
本明細書に記載される脳障害および他の疾病の処置に有用な化合物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造によって表される化合物またはそのような式によってカバーされる任意の化合物、例えば、表1に記載されるいずれかの化合物)が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本発明で提供される化合物は、5-HT2Aモジュレーターであり、神経可塑性(例えば、皮質の構造的な可塑性)を促進する。いくつかの実施形態では、5-HT2Aモジュレーター(例えば、5-HT2Aアゴニスト)は、脳障害を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される脳障害または他の疾病は、神経可塑性の低下、皮質構造の可塑性の低下、5-HT2A受容体含有量の低下、樹状突起分枝(dendritic arbor)の複雑さの低下、樹状突起棘の喪失、樹状突起枝含有量の低下、スパイン形成の低下、神経突起生成の低下、神経突起の退縮、またはそれらのあらゆる組合せを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造によって表される化合物、またはそのような式によってカバーされる任意の化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物)は、神経可塑性である(例えば、神経突起伸長の増大など、神経可塑性(例えば、皮質の構造的な可塑性)を促進する)。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造によって表される化合物、またはそのような式によってカバーされる任意の化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物)は、5-HT2Aモジュレーターとしての活性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、5-HT2A受容体を活性化することによって生物学的応答を引き出す(例えば、アロステリック調節または5-HT2A受容体を活性化する生物学的標的の調節)。いくつかの実施形態では、本発明で提供される化合物は、選択的な5-HT2Aモジュレーターであり、神経可塑性(例えば、皮質の構造的な可塑性)を促進する。いくつかの実施形態では、神経可塑性の促進は、例えば、樹状突起棘の成長の増加、シナプスタンパク質の合成の増加、シナプス応答の強化、樹状突起分枝の複雑さの増加、樹状突起枝の含有量の増加、スパイン形成の増加、神経突起生成の増加、またはそれらのあらゆる組合せを含む。いくつかの実施形態では、神経可塑性の増加は、例えば、脳の前方部分における皮質構造の可塑性の増加を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造によって表される化合物、またはそのような式によってカバーされる任意の化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物)は、5-HTモジュレーター(例えば、5-HT2Aアゴニストまたは5-HT2Aアンタゴニスト)である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、5-HT2Aモジュレーター(例えば、5-HT2Aアゴニストまたは5-HT2Aアンタゴニスト)である。いくつかの実施形態では、本発明で提供される化合物は、5-HTモジュレーターであり、神経突起伸長の増大など神経可塑性(例えば、皮質の構造的な可塑性)を促進する。いくつかの実施形態では、本発明で提供される化合物は、5-HTモジュレーターであり、神経可塑性(例えば、皮質の構造的な可塑性)を促進し、かつ非幻覚性である。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造によって表される化合物、またはそのような式によってカバーされる任意の化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物)は、5-HT2Aアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、本発明で提供される化合物は、5-HT2Aアンタゴニストであり、神経突起伸長の増大など神経可塑性(例えば、皮質の構造的な可塑性)を促進する。いくつかの実施形態では、本発明で提供される化合物は、5-HT2Aアゴニズムを(有意に)提供することができず、神経突起伸長の増大など神経可塑性(例えば、皮質の構造的な可塑性)を促進する。いくつかの実施形態では、本発明で提供される化合物は、5-HT2Aアゴニズムを(有意に)提供することができず、神経可塑性(例えば、皮質の構造的な可塑性)を促進し、かつ幻覚活性の可能性が低い(例えば、非幻覚性である)。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造によって表される化合物、またはそのような式によってカバーされる任意の化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物)は、5-HT2Aアゴニストである。いくつかの実施形態では、本発明で提供される化合物は、5-HT2Aアゴニストであり、神経突起伸長の増大など神経可塑性(例えば、皮質の構造的な可塑性)を促進する。いくつかの実施形態では、本発明で提供される化合物は、5HT2Aアゴニズムを(有意に)提供し、かつ神経突起伸長の増大など神経可塑性(例えば、皮質の構造的な可塑性)を促進する。いくつかの実施形態では、本発明で提供される化合物は、5HT2Aアゴニズムを(有意に)提供し、神経可塑性(例えば、皮質の構造的な可塑性)を促進し、かつ幻覚活性の可能性が低い(例えば、非幻覚性である)。
【0093】
いくつかの実施形態では、5-HT2Aモジュレーター(例えば、5-HT2Aアゴニスト)は非幻覚性である。いくつかの実施形態では、非幻覚性の5-HT2Aモジュレーター(例えば、5-HT2Aアゴニスト)は、神経学的疾患を処置するために使用され、このモジュレーターは解離性の副作用を誘発しない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の幻覚性のポテンシャルは、インビトロで評価される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物のインビトロで評価された幻覚性のポテンシャルは、幻覚性のホモログのインビトロで評価された幻覚性のポテンシャルと比較される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、または(IB-3)の化合物は、幻覚性のホモログほどインビトロでは幻覚性のポテンシャルをあまり引き出さない。
【0094】
いくつかの実施形態では、非幻覚性の5-HT2Aモジュレーター(例えば、5-HT2Aアゴニスト)は、神経学的疾患を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、神経学的疾患は、神経可塑性の低下、皮質構造の可塑性の低下、5-HT2A受容体含有量の低下、樹状突起分枝(dendritic arbor)の複雑さの低下、樹状突起棘の喪失、樹状突起枝含有量の低下、スパイン形成の低下、神経突起生成の低下、神経突起の退縮、またはそれらのあらゆる組合せを含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、非幻覚性の5-HT2Aモジュレーター(例えば、5-HT2Aアゴニスト)は、神経細胞の可塑性を増大させるために使用される。いくつかの実施形態では、非幻覚性の5-HT2Aモジュレーター(例えば、5-HT2Aアゴニスト)は、脳障害を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、非幻覚性の5-HT2Aモジュレーター(例えば、5-HT2Aアゴニスト)は、神経栄養因子の翻訳、転写、または分泌の少なくとも1つを増大させるために使用される。
【0096】
いくつかの実施形態では、本開示の任意の化合物の神経細胞の可塑性の増加を決定する実験またはアッセイは、表現型アッセイ、樹状突起形成アッセイ、スパイン形成アッセイ、シナプス形成アッセイ、Sholl解析、濃度反応実験、5-HT2Aアゴニストアッセイ、5-HT2Aアンタゴニストアッセイ、5-HT2A結合アッセイ、または5-HT2A遮断実験(例えば、ケタンセリン遮断実験)である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、または(IB-3)の化合物の幻覚性ポテンシャルを決定する実験またはアッセイは、マウス頭部攣縮反応(HTR)アッセイである。
【0097】
化合物
いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、ピロリジンサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、縮合ピロリジンサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、インドール部分を含むサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロアゼピノ[4,5-b]インドール部分を含むサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、ピロリジン部分に縮合した1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロアゼピノ[4,5-b]インドール部分を含むサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、1,2,3,5,6,11,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール部分を含むサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、1,2,3,5,6,7,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,7]アゼピノ[4,5-b]インドール部分を含むサイコプラストゲンである。
【0098】
いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、ベンゾフラン部分を含むサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾフロ[2,3-d]アゼピン部分を含むサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、ピロリジン部分に縮合した2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾフロ[2,3-d]アゼピン部分を含むサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、2,3,5,6,12,12a-ヘキサヒドロ-1H-ベンゾフロ[2,3-d]ピロロ[1,2-a]アゼピン部分を含むサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、2,3,5,6,12,12a-ヘキサヒドロ-1H-ベンゾフロ[3,2-d]ピロロ[1,2-a]アゼピン部分を含むサイコプラストゲンである。
【0099】
いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、ベンゾチオフェン部分またはその酸化(例えば、スルホキシド、スルホン)誘導体を含むサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、2 2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]アゼピン部分またはその酸化(例えば、スルホキシド、スルホン)誘導体を含むサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、ピロリジン部分に縮合した2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]アゼピンまたはその酸化(例えば、スルホキシド、スルホン)誘導体を含むサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、2,3,5,6,12,12a-ヘキサヒドロ-1H-ベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピロロ[1,2-a]アゼピン部分またはその酸化(例えば、スルホキシド、スルホン)誘導体を含むサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、活性代謝物、および溶媒和物を含む、本明細書に記載される化合物は、2,3,5,6,12,12a-ヘキサヒドロ-1H-ベンゾ[4,5]チエノ[3,2-d]ピロロ[1,2-a]アゼピン部分またはその酸化(例えば、スルホキシド、スルホン)誘導体を含むサイコプラストゲンである。
【0100】
いくつかの実施形態では、縮合ピロリジンサイコプラストゲンは、非幻覚性の縮合ピロリジンサイコプラストゲンである。いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載される)縮合ピロリジンサイコプラストゲンは、神経細胞の成長を促進し、神経細胞の構造を改善し、またはそれらの組合せを改善する。
【0101】
いくつかの実施形態では、式(I):
【0102】
【化3】
の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物が本明細書で提供され、
式中、
Xは、NR
7、O、またはS(=O)
xであり、
xは、0、1、または2であり、
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
1とR
2、R
2とR
3、またはR
3とR
4のいずれかは、それらが結合している炭素原子と一体となって、任意選択で置換された5員または6員の環を形成し、
R
5は、水素、ハロゲン、-OR
a、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
R
6aとR
6bは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
5は、R
6aまたはR
6bおよびそれらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
あるいは、R
6aとR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
R
7は、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、および
R
aは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
ここで、
(i)R
5とR
6aは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
(ii)R
5とR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、または
(iii)R
6aとR
6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、
ただし、XがNHであり、R
6aが水素であり、R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれが水素である場合、R
5とR
6bは、それらが結合している原子と一体となってエチルまたはエチリデンによって置換された6員の複素環を形成しないものとする。
【0103】
実施形態のいずれかまたはすべてについて、置換基は列挙された代替物の部分集合の中から選択される。例えば、式(I)のいくつかの実施形態では、XはOである。式(I)のいくつかの実施形態では、XはSである。式(I)のいくつかの実施形態では、XはS(=O)である。式(I)のいくつかの実施形態では、XはS(=O)2である。式(I)のいくつかの実施形態では、XはNR7である。式(I)のいくつかの実施形態では、R7は非置換または置換アルキル、例えば、メチルである。式(I)のいくつかの実施形態では、R7は水素である。
【0104】
式(I)のいくつかの実施形態では、R5は水素である。いくつかの実施形態では、R6aは水素である。いくつかの実施形態では、R6bは水素である。
【0105】
式(I)のいくつかの実施形態では、R5とR6aは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成する。いくつかの実施形態では、R6bは水素である。
【0106】
式(I)のいくつかの実施形態では、R5とR6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成する。いくつかの実施形態では、R6aは水素である。
【0107】
式(I)のいくつかの実施形態では、R6aとR6bは、それらが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成する。いくつかの実施形態では、R5は水素である。
【0108】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物が本明細書で提供され、式中、R6aは水素であり、R6bは、R5、ならびにR5およびR6bが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、式(I)の化合物は式(IA):
【0109】
【化4】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有し、
式中、
Xは、NR
7、O、またはS(=O)
xであり、
xは、0、1、または2であり、
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
1とR
2、R
2とR
3、またはR
3とR
4のいずれかは、それらが結合している炭素原子と一体となって、任意選択で置換された5員または6員の環を形成し、
R
7は、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
R
8は、それぞれ独立してハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
R
aは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
mは、0、1、2、または3であり、および
nは、0、1、2、3、4、5、6、または7であり、ただし、XがNHであり、mが2であり、R
1~R
4が水素である場合、R
8はエチルではないものとする。
【0110】
式(IA)のいくつかの実施形態では、nは0であり、mは1であり、化合物は式(IA-1):
【0111】
【化5】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有し、
式中
Xは、NR
7、O、またはS(=O)
xであり、
xは、0、1、または2であり、
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
1とR
2、R
2とR
3、またはR
3とR
4のいずれかは、それらが結合している炭素原子と一体となって、任意選択で置換された5員または6員の環を形成し、
R
7は、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、および
R
aは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換される。
【0112】
式(IA)または(IA-1)のいくつかの実施形態では、XはNR7であり、化合物は式(IA-2):
【0113】
【化6】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有し、
式中、
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
1とR
2、R
2とR
3、またはR
3とR
4のいずれかは、それらが結合している炭素原子と一体となって、任意選択で置換された5員または6員の環を形成し、
R
7は、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、および
R
aは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換される。
【0114】
式(IA)、(IA-1)、または(IA-2)のいくつかの実施形態では、R7は水素である。式(IA)、(IA-1)、または(IA-2)のいくつかの実施形態では、R7はメチルである。
【0115】
式(IA)または(IA-1)のいくつかの実施形態では、XはOであり、化合物が、式(IA-3):
【0116】
【化7】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有し、
式中、
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
1とR
2、R
2とR
3、またはR
3とR
4のいずれかは、それらが結合している炭素原子と一体となって、任意選択で置換された5員または6員の環を形成し、および
R
aは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換される。
【0117】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物が本明細書で提供され、R6bは水素であり、R6aは、R5、ならびにR5およびR6aが結合している原子と一体となって、任意選択で置換された複素環を形成し、式(I)の化合物は式(IB):
【0118】
【化8】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有し、
式中、
Xは、NR
7、O、またはS(=O)
xであり、
xは、0、1、または2であり、
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
1とR
2、R
2とR
3、またはR
3とR
4のいずれかは、それらが結合している炭素原子と一体となって、任意選択で置換された5員または6員の環を形成し、 R
7は、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
R
8は、それぞれ独立してハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
R
aは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
mは、0、1、2、または3であり、および
nは、0、1、2、3、4、5、6、または7である。
【0119】
式(IB)のいくつかの実施形態では、nは0であり、mは1であり、化合物は式(IB-1):
【0120】
【化9】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有し、
式中、
Xは、NR
7、O、またはS(=O)
xであり、
xは、0、1、または2であり、
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
1とR
2、R
2とR
3、またはR
3とR
4のいずれかは、それらが結合している炭素原子と一体となって、任意選択で置換された5員または6員の環を形成し、
R
7は、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、および
R
aは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換される。
【0121】
式(IB)または(IB-1)のいくつかの実施形態では、XはNR7であり、化合物は式(IB-2):
【0122】
【化10】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有し、
式中
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
1とR
2、R
2とR
3、またはR
3とR
4のいずれかは、それらが結合している炭素原子と一体となって、任意選択で置換された5員または6員の環を形成し、 R
7は、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、および
R
aは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換される。
【0123】
式(IB)、(IB-1)、または(IB-2)のいくつかの実施形態では、R7は水素である。式(IB)、(IB-1)、または(IB-2)のいくつかの実施形態では、R7はメチルである。
【0124】
式(IB)または(IB-1)のいくつかの実施形態では、XはOであり、化合物は式(IB-3):
【0125】
【化11】
の構造、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を有し、
式中、
R
1、R
2、R
3、およびR
4のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、-OR
a、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換され、
あるいは、R
1とR
2、R
2とR
3、またはR
3とR
4のいずれかは、それらが結合している炭素原子と一体となって、任意選択で置換された5員または6員の環を形成し、および
R
aは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、ここで、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルはそれぞれ任意選択で置換される。
【0126】
式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、または(IB-3)のいくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のそれぞれは、独立して水素、ハロゲン、-ORa、またはハロアルキルである。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のそれぞれは、水素である。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のうち少なくとも1つは、ハロゲン(例えば、Fl、Cl、Br、I)である。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のうち1つは、ハロゲン(例えば、Fl、Cl、Br、I)である。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のうち1つは、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)である。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のうち少なくとも1つは、ハロアルキル(例えば、フルオロメチル、フルオロエチル)である。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のうち1つは、ハロアルキル(例えば、フルオロメチル、フルオロエチル)である。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のうち少なくとも1つはORaであり、Raはハロアルキルである(例えば、R1、R2、R3、およびR4のうち少なくとも1つは、ハロアルキルオキシ、例えば、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシである)。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のうち1つはORaであり、Raはハロアルキルである(例えば、R1、R2、R3、およびR4のうち1つは、ハロアルキルオキシ、例えば、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシである)。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のうち少なくとも1つはORaであり、Raはアリールアルキルである(例えば、R1、R2、R3、およびR4のうち少なくとも1つは、アリールアルキルオキシ、例えば、ベンジルオキシである)。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のうち1つはORaであり、Raはアリールアルキルである(例えば、R1、R2、R3、およびR4のうち少なくとも1つは、アリールアルキルオキシ、例えば、ベンジルオキシである)。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のうち少なくとも1つはORaであり、Raはアルキルである(例えば、R1、R2、R3、およびR4のうち少なくとも1つは、アルコキシ、例えば、メトキシである)。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のうち1つはORaであり、Raはアルキルである(例えば、R1、R2、R3、およびR4のうち1つは、アルコキシ、例えば、メトキシである)。
【0127】
式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、または(IB-3)のいくつかの実施形態では、R1、R2、R3、およびR4のうち少なくとも1つは、水素、ベンジルオキシ、メトキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、またはトリフルロメトキシである。いくつかの実施形態では、R1は水素である。いくつかの実施形態では、R2は水素である。いくつかの実施形態では、R3は水素である。いくつかの実施形態では、R4は水素である。いくつかの実施形態では、R1はベンジルオキシである。いくつかの実施形態では、R2はベンジルオキシである。いくつかの実施形態では、R3はベンジルオキシである。いくつかの実施形態では、R4はベンジルオキシである。いくつかの実施形態では、R1はメトキシである。いくつかの実施形態では、R2はメトキシである。いくつかの実施形態では、R3はメトキシである。いくつかの実施形態では、R4はメトキシである。いくつかの実施形態では、R1はフルオロである。いくつかの実施形態では、R2はフルオロである。いくつかの実施形態では、R3はフルオロである。いくつかの実施形態では、R4はフルオロである。いくつかの実施形態では、R1はトリフルオロメチルである。いくつかの実施形態では、R2はトリフルオロメチルである。いくつかの実施形態では、R3はトリフルオロメチルである。いくつかの実施形態では、R4はトリフルオロメチルである。いくつかの実施形態では、R1はトリフルオロメトキシである。いくつかの実施形態では、R2はトリフルオロメトキシである。いくつかの実施形態では、R3はトリフルオロメトキシである。いくつかの実施形態では、R4はトリフルオロメトキシである。
【0128】
いくつかの実施形態では、式(I)の代表的な化合物は、
【0129】
【0130】
【化12-2】
ならびにその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を含むが、これらに限定されない。
【0131】
いくつかの実施形態では、表1で提供される構造を有する、化合物、その立体異性体、または上記化合物もしくは立体異性体の薬学的に許容可能な塩が本明細書で提供される。
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
様々な変形のための上に記載される群の任意の組合せが、本明細書で考慮される。明細書全体にわたって、基とその置換基は、安定した部分と化合物を提供するために当業者によって選択される。
【0138】
化合物のさらなる形態
一実施形態では、本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される任意の化合物は、例えば、本明細書に記載される任意の塩(例えば、本明細書で提供される化合物のフマル酸塩または本明細書で提供される化合物のマレイン酸塩など)などの薬学的に許容可能な塩である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される任意の化合物は、本明細書で提供される化合物のフマル酸塩である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される任意の化合物は、本明細書で提供される化合物のマレイン酸塩である。
【0139】
同様に、同じタイプの活性を有するこうした化合物の活性代謝物は、本開示の範囲内に含まれている。加えて、本明細書に記載される化合物は、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を有する溶媒和形態だけでなく、非溶媒和形態でも存在することができる。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態は、同様に本明細書で開示されるものとみなされる。
【0140】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物を酸と反応させることによって得られる。いくつかの実施形態では、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物(すなわち、遊離塩基形態)は塩基性であり、有機酸または無機酸と反応させられる。無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、およびメタリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。有機酸としては、限定されないが、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳酸(+)、カンフル-10-スルホン酸(+)、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸(D)、グルコン酸(D)、グルクロン酸(D)、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸(DL)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸(-L)、マロン酸、マンデル酸(DL)、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸(-L)、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸(+L)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(p)、およびウンデシレン酸が挙げられる。
【0141】
いくつかの実施形態では、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造により表される化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物(すなわち、遊離塩基形態)は塩基性であり、マレイン酸と反応させられる。
【0142】
いくつかの実施形態では、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造により表される化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物(すなわち、遊離塩基形態)は塩基性であり、フマル酸と反応させられる。
【0143】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造により表される化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物を塩基と反応させることによって得られる。いくつかの実施形態では、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造により表される化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物は酸性であり、塩基と反応させられる。こうした状況では、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造により表される化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物の酸性プロトンは、金属イオン、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、またはアルミニウムのイオンと取り替えられる。場合によっては、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メグルミン、N-メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基と調和(coordinate with)する。他の場合では、本明細書に記載される化合物は、限定されないが、アルギニン、リジンなどのアミノ酸とともに塩を形成する。酸性プロトンを含む化合物とともに塩を形成するために使用される許容可能な無機塩基としては、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、N-メチルグルカミン塩、またはアンモニウム塩として調製される。
【0144】
薬学的に許容可能な塩に対する言及は、溶媒付加形態を含むことを理解されたい。いくつかの実施形態では、溶媒和物は溶媒の化学量論または非化学量論のいずれかを含み、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を用いる結晶化のプロセスの間に形成される。水和物は溶媒が水である場合に形成され、または、アルコラートは溶媒がアルコールである場合に形成される。本明細書に記載される化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセスの間に都合よく調製されるか、または形成される。加えて、本明細書で提供される化合物は任意選択で、溶媒和形態と同様に非溶媒和形態で存在する。
【0145】
本明細書に記載される方法および製剤は、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造を有する化合物のN-オキシド(適切である場合)または薬学的に許容可能な塩と、同様に、同じタイプの活性を有するこれらの化合物の活性代謝物の使用も含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の化合物の有機ラジカル(例えば、アルキル基、芳香環)の部位は、様々な代謝反応の影響を受けやすい。有機ラジカルへの適切な置換基の取り込みにより、この代謝経路は減らされ、最小限に抑えられ、または除去される。特定の実施形態では、代謝反応に対する芳香環の感受性を減らすか、または取り除くための適切な置換基は、一例として、ハロゲン、重水素、アルキル基、ハロアルキル基、または重水素化アルキル基である。
【0147】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物は、同位体で(例えば、放射性同位体で)、もしくは、限定されないが、発色団あるいは蛍光性部分、生物発光標識、または化学発光標識の使用を含む他の手段によって、標識される。
【0148】
本明細書で記載される化合物は同位体標識された化合物を含み、これは、1つ以上の原子が自然界で通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子と取り替えられるという事実を除けば、本明細書で提示される様々な式と構造において詳述されるものと同一である。本化合物に組み込むことが出来る同位体の例としては、例えば、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Cl、123I、124I、125I、131I、32P、および33Pなどの、水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素、塩素、ヨウ素、リンなどの同位体が挙げられる。一実施形態では、本明細書に記載される同位体標識された化合物、例えば、3Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれる化合物は、薬物および/または基質組織の分布アッセイに有用である。一実施形態では、重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボでの半減期の延長または必要用量の減少などの、より大きな代謝安定性に起因する特定の治療上の利点をもたらす。いくつかの実施形態では、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の化合物の1つ以上の水素は、重水素と取り替えられる。
【0149】
いくつかの実施形態では、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、IB-3)の構造により表される化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物は、1つ以上の立体中心を有し、各立体中心はRまたはSの配置のいずれかで独立して存在する。いくつかの実施形態では、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造により表される化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物は、R配置で存在する。いくつかの実施形態では、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造により表される化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物は、S配置で存在する。本明細書で提示される化合物は、すべてのジアステレオマー形態、個々のエナンチオマー形態、アトロプ異性体形態、およびエピマー形態と、これらの適切な混合物を含む。本明細書で提供される化合物および方法は、すべてのシス(cis)、トランス(trans)、syn、anti、entgegen(E)、およびzusammen(Z)の異性体と、これらの適切な混合物を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造により表される化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物のラセミ混合物を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造により表される化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物のラセミ体である。
【0151】
個々の立体異性体は、立体選択的な合成および/またはキラルクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離、あるいは、非キラルまたはキラルクロマトグラフィーカラムによるジアステレオマーの分離、あるいは、適切な溶媒または溶媒の混合物中での結晶化および再結晶化などの方法によって、必要に応じて得られる。特定の実施形態では、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造により表される化合物、例えば表1に記載される任意の化合物は、光学的に活性な分割剤に化合物のラセミ混合物を反応させ、ジアステレオマーを分離して、一対のジアステレオマー異性体化合物/塩を形成し、光学的に純粋な個々のエナンチオマーを回収することにより、その個々の立体異性体として調製される。いくつかの実施形態では、個々のエナンチオマーの分割は、本明細書に記載される化合物の共有結合のジアステレオマー誘導体を用いて実行される。別の実施形態では、ジアステレオマーは溶解度の差に基づいて分離/分割技術によって分離される。他の実施形態では、立体異性体の分離は、クロマトグラフィーによって、またはジアステレオマー塩の形成および再結晶もしくはクロマトグラフィーによる分離、またはそれらの任意の組合せによって行われる。Jean Jacques,Andre Collet,Samuel H.Wilen,“Enantiomers,Racemates and Resolutions”,John Wiley and Sons,Inc.,1981.いくつかの実施形態では、立体異性体は立体選択的な合成によって得られる。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、プロドラッグとして調製される。いくつかの実施形態では、プロドラッグはインビボで親薬物へと変換される薬剤である。プロドラッグは、状況によっては、親薬物よりも投与が容易であるため、有用であることが多い。プロドラッグは、実施形態では、経口投与により生物学的に利用可能であるが、親薬物はそうではない。さらにまたは代替的に、プロドラッグは親薬物よりも医薬組成物中での溶解度も改善されている。いくつかの実施形態では、プロドラッグの設計により有効な水溶性が増加する。プロドラッグの一例は、限定されないが、本明細書に記載される化合物であり、これはエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、その後、代謝的に加水分解されることで活性な実体をもたらす。プロドラッグのさらなる例は、酸性基に結合される短ペプチド(ポリアミノ酸)であり、このペプチドは代謝されることで活性な部分を晒す。特定の実施形態では、インビボでの投与後、プロドラッグは、化合物の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態に化学変換される。特定の実施形態では、プロドラッグは、化合物の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態へと1つ以上の工程またはプロセスによって酵素的に代謝される。
【0153】
本明細書に記載される化合物のプロドラッグとしては、エステル、エーテル、カーボネート、チオカーボネート、N-アシル誘導体、N-アシルオキシアルキル誘導体、N-アルキルオキシアシル誘導体、3級アミンの4級誘導体、N-マンニッヒ塩基、シッフ塩基、アミノ酸コンジュゲート、リン酸エステル、およびスルホン酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、それぞれが参照により本明細書に援用される、Design of Prodrugs,Bundgaard,A.Ed.,Elseview,1985 and Method in Enzymology,Widder,K.et al.,Ed.;Academic,1985,vol.42,p.309-396;Bundgaard,H.”Design and Application of Prodrugs”in A Textbook of Drug Design and Development,Krosgaard-Larsen and H.Bundgaard,Ed.,1991,Chapter 5,p.113-191;and Bundgaard,H.,Advanced Drug Delivery Review,1992,8,1-38を参照。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物のヒドロキシル基はプロドラッグを形成するために使用され、ヒドロキシル基はアシルオキシアルキルエステル、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル、アルキルエステル、アリールエステル、リン酸エステル、糖エステル、エーテルなどに組み入れられる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物中のヒドロキシル基はプロドラッグであり、ヒドロキシルがインビボで代謝されることでカルボン酸基が提供される。いくつかの実施形態では、カルボキシル基を用いてエステルまたはアミド(つまり、プロドラッグ)を提供し、これはその後インビボで代謝されることでカルボン酸基が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、アルキルエステルプロドラッグとして調製される。
【0154】
本明細書に記載される化合物のプロドラッグ形態(プロドラッグは本明細書で説明されるような式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の化合物を生成するためにインビボで代謝される)は、請求項の範囲内に含まれる。
【0155】
いくつかの実施形態では、ヒドロキシル基、アミノ基、および/またはカルボン酸基のいずれか1つは、適切なやり方で官能化されて、プロドラッグ部分を提供する。いくつかの実施形態では、プロドラッグ部分は上記の通りである。
【0156】
追加の実施形態またはさらなる実施形態では、本明細書に記載される化合物は、投与を必要とする生物への投与時に代謝されることで代謝物が生成され、これを用いて望ましい治療効果を含む所望の効果が生み出される。
【0157】
いくつかの例では、本明細書で開示される化合物の代謝物は、化合物が代謝される際に形成されるその化合物の誘導体である。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物の「活性代謝物」は、化合物が代謝される際に形成される本明細書で提供される化合物の生物学的に活性な誘導体である。いくつかの実施形態では、代謝は、生物によって特定の物質が変化するプロセス(限定されないが、加水分解反応、および酵素によって触媒される反応を含む)の合計である。いくつかの実施形態では、酵素は、化合物に対する具体的な構造の変更をもたらすこともある。例えば、シトクロムP450は、様々な酸化反応および還元反応を触媒する一方で、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、および遊離スルフヒドリル基への活性化グルクロン酸分子の移動を触媒する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物の代謝物は、宿主への化合物の投与および宿主の組織サンプルの分析、または化合物の肝細胞とのインビトロでのインキュベーション、および結果的に生じた化合物の分析のいずれかによって、任意選択で確認される。
【0158】
化合物の合成
本明細書に記載される式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の化合物は、本明細書に記載される方法と組み合わせて、標準的な合成技術を用いて、または当該技術分野で知られている方法を用いて、合成される。
【0159】
別段の定めのない限り、質量分析法、NMR、HPCL、タンパク質化学法、生化学、組換えDNA技術、および薬理学といった従来の方法が利用される。
【0160】
化合物は、例えば、March’s Advanced Organic Chemistry,6th Edition,John Wiley and Sons,Inc.に記載されるような標準の有機化学技術を使用して調製される。溶媒、反応温度、反応時間のバリエーション、および様々な化学試薬や他の反応条件などの本明細書に記載される合成形質転換の代替的な反応条件が利用されることもある。
【0161】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、実施例で概説されるように合成される。
【0162】
医薬組成物
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)により表される構造を有する化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物、およびその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物)を含む医薬組成物溶媒和物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、医薬組成物へと製剤化される。医薬組成物は、薬学的に使用される調製物への活性化合物の処理を促進する1つ以上の薬学的に許容可能な不活性成分を使用して、従来の方法で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与の経路に依存する。本明細書に記載される医薬組成物の要約は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995)、Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams&Wilkins1999)で見られ、これらは開示のために参照によって本明細書に援用される。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、単独で、または、医薬組成物中で薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤と組み合わせて、投与される。本明細書に記載される化合物および組成物の投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする方法によって達成され得る。これらの方法は、限定されないが、腸内経路(経口、胃、または十二指腸の栄養管、肛門坐剤、および直腸の浣腸を含む)、非経口経路(動脈内、心臓内、皮内、十二指腸内、髄内、筋肉内、骨内、腹腔内、鞘内、血管内、静脈内、硝子体内、硬膜外、および皮下を含む、注射または注入)、吸入、経皮、経粘膜、舌下、頬側、および局所(上皮、真皮、浣腸、点眼、点耳、鼻腔内、膣を含む)の投与を介した送達を含むが、最も適切な経路は、例えば、レシピエントの疾病または障害に左右され得る。ほんの一例として、本明細書に記載される化合物は、例えば、手術中の局所注入、クリーム剤または軟膏剤などの局所適用、注射、カテーテル、または移植によって、処置を必要としている領域へと局所的に投与され得る。投与は病変組織または臓器の部位での直接注射によるものでもあり得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、経口投与に適した医薬組成物は、それぞれが予め決められた量の有効成分を含有しているカプセル剤、カシェ剤、または錠剤などの個別の単位として、粉末または顆粒として、水性の液体または非水性の液体中の溶液または懸濁液として、あるいは、水中油型の液体エマルジョンまたは油中水型の液体エマルジョンとして提示される。いくつかの実施形態では、有効成分は、ボーラス剤(bolus)、舐剤、またはペースト剤として提示される。
【0166】
経口で使用することができる医薬組成物は、錠剤、ゼラチンで作られた押し込み型カプセルの他に、ゼラチンと、グリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤と作られた密閉されたソフトカプセルを含む。錠剤は、任意選択で1つ以上の副成分とともに、圧縮または成形によって作られてもよい。圧縮錠剤は、任意選択で結合剤、不活性希釈剤または平滑剤、表面活性剤、あるいは分散剤と混合して、粉末または顆粒などの自由流動形態で有効成分を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することによって作られ得る。いくつかの実施形態では、錠剤はコーティングされるかスコア化され、製剤化されることで、その中の有効成分の遅延放出または制御放出をもたらす。経口投与のためのすべての製剤はこうした投与に適した投与量でなければならない。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/もしくは滑石またはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに任意選択で安定剤と組み合わせて、有効成分を含むことができる。ソフトカプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体のポリエチレングリコールなどの、適切な液体中に溶解または懸濁され得る。いくつかの実施形態では、安定剤が添加される。糖衣錠コアには適切なコーティングが施される。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用されてもよく、これは、任意選択で、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒あるいは溶媒混合液を含有し得る。染料または色素は、識別のために、または活性化合物の用量の様々な組合せを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに加えられ得る。
【0167】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、例えば、ボーラス注入または持続注入などの注入による非経口投与のために製剤化される。注入用の製剤は、追加の保存剤とともに、単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数回投与用容器中で提示されてもよい。組成物は、油性または水性のビヒクル中で懸濁液、溶液、またはエマルジョンなどの形態をとってもよく、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの調合剤を含有し得る。組成物は、単位投与用また複数回投与用の容器、例えば、密封したアンプルおよびバイアル中で提示されてもよく、粉末形態で保存されることもあれば、使用の直前に無菌の液体担体、例えば、生理食塩水または発熱性物質を含まない滅菌水の追加しか必要としない冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で保存されることもある。即席の注射液および懸濁液は、上に記載された種類の無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製されてよい。
【0168】
非経口投与のための医薬組成物は、製剤を所望のレシピエントの血液と等張にする抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および溶質を含み得る、活性化合物の水性および非水性(油性)の滅菌注入溶液、懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液とを含む。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、ごま油などの脂肪油、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成の脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水性の注射懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘度を増加させる物質を含み得る。任意選択で、懸濁液は、高濃度の溶液の調製を可能にするために化合物の溶解度を増加させる適切な安定剤または薬剤も含んでもよい。
【0169】
例えば、とりわけ、上で言及された成分に加えて、本明細書に記載される化合物と組成物は、問題の製剤のタイプを考慮して当該技術分野の従来の他の薬剤を含むことがあり、例えば、経口投与に適した薬剤は、香料を含むことがあることを理解されたい。
【0170】
処置の方法、投薬、および処置レジメン
本明細書で開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは立体異性体は、神経細胞の成長を促進し、かつ/または神経細胞の構造を改善するために有用である。
【0171】
シナプスの結合性および/または可塑性の喪失に関連する1つ以上の疾患または障害の処置に有用な非幻覚性サイコプラストゲンが本明細書で提供される。
【0172】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造により表される化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物)を、個体に投与することによって、個体の神経の可塑性(例えば、皮質の構造的な可塑性)を促進する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造により表される化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物)を、個体に投与することによって、個体の5-HT2Aを調節する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)の構造により表される化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物)を、個体に投与することによって、個体の5-HT2Aを刺激する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、個体は、本明細書に記載される脳障害または他の疾病を有するか、脳障害または他の疾病と診断される。
【0173】
いくつかの実施形態では、個体の神経細胞の成長を促進する方法であって、本明細書で提供される化合物または医薬組成物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)によって表される構造を有する化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物)を治療有効量で神経細胞の成長の促進を必要としている個体に投与する工程を含む、方法が本明細書で提供される。
【0174】
いくつかの実施形態では、個体の神経細胞の構造を改善する方法であって、本明細書で提供される化合物または医薬組成物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)によって表される構造を有する化合物、例えば、表1に記載される任意の化合物)を治療有効量で神経細胞の構造の改善を必要としている個体に投与する工程を含む、方法が本明細書で提供される。
【0175】
いくつかの実施形態では、個体の5-ヒドロキシトリプタミン受容体2A(5-HT2A)の活性を調節する方法であって、本明細書で提供される化合物または医薬組成物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)によって表される構造を有する化合物、または、例えば表1に記載される任意の化合物)を治療有効量で5-HT2Aの活性の調節を必要としている個体に投与する工程を含む、方法が本明細書で提供される。
【0176】
いくつかの実施形態では、5-ヒドロキシトリプタミン受容体2A(5-HT2A)での5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)の作用によって媒介される、個体の疾患または障害を処置する方法であって、本明細書で提供される化合物または医薬組成物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)によって表される構造を有する化合物、または、例えば表1に記載される任意の化合物)を治療有効量で処置を必要としている個体に投与する工程を含む、方法が本明細書で提供される。
【0177】
いくつかの実施形態では、シナプスの結合性、可塑性、またはそれらの組合せの喪失によって媒介される、個体の疾患または障害を処置する方法であって、本明細書で提供される化合物または医薬組成物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)によって表される構造を有する化合物、または、例えば表1に記載される任意の化合物)を治療有効量で処置を必要としている個体に投与する工程を含む、方法が本明細書で提供される。
【0178】
いくつかの実施形態では、個体の神経学的疾患または障害を処置する方法であって、本明細書で提供される化合物または医薬組成物(例えば、式(I)、(IA)、(IA-1)、(IA-2)、(IA-3)、(IB)、(IB-1)、(IB-2)、(IB-3)によって表される構造を有する化合物、または、例えば表1に記載される任意の化合物)を治療有効量で処置を必要としている個体に投与する工程を含む、方法が本明細書で提供される。
【0179】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物を投与された個体は、幻覚性の事象を抱えている。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物を投与された個体は、幻覚性の事象を抱えていない。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物を投与された個体は、本明細書で提供される化合物が個体において特定の最大濃度(Cmax)に達した後、幻覚性の事象を抱える。いくつかの実施形態では、個体における特定の最大濃度(Cmax)は、本明細書において提供される化合物の幻覚閾値である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、本明細書で提供される化合物の幻覚閾値未満で、それを必要とする個体に投与される。
【0180】
いくつかの実施形態では、疾患または障害を処置するための方法が本明細書に記載され、疾患または障害は神経学的疾患および障害である。
【0181】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は神経学的疾患を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、例えば、抗中毒特性、抗うつ特性、抗不安特性、またはそれらの組合せを有する。
【0182】
いくつかの実施形態では、神経学的疾患は精神神経疾患である。いくつかの実施形態では、神経精神疾患は、気分障害または不安障害である。いくつかの実施形態では、神経学的疾患は、片頭痛、頭痛(例えば、群発頭痛)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、不安、うつ病、神経変性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神障害、治療抵抗性うつ病、自殺念慮、大うつ病性障害、双極性障害、統合失調症、脳卒中、外傷性脳損傷、および中毒(例えば、物質使用障害)である。いくつかの実施形態では、神経学的疾患は、片頭痛または群発頭痛である。いくつかの実施形態では、神経学的疾患は、神経変性障害、アルツハイマー病、またはパーキンソン病である。いくつかの実施形態では、神経学的疾患は、精神障害、治療抵抗性うつ病、自殺念慮、大うつ病性障害、双極性障害、統合失調症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、中毒(例えば、物質使用障害)、うつ病、または不安症である。いくつかの実施形態では、神経精神疾患は、精神障害、治療抵抗性うつ病、自殺念慮、大うつ病性障害、双極性障害、統合失調症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、中毒(例えば、物質使用障害)、うつ病、または不安症である。いくつかの実施形態では、神経精神疾患または神経学的疾患は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、中毒(例えば、物質使用障害)、統合失調症、うつ病、または不安症である。いくつかの実施形態では、神経精神疾患または神経学的疾患は、中毒(例えば、物質使用障害)である。いくつかの実施形態では、神経精神疾患または神経学的疾患は、うつ病である。いくつかの実施形態では、神経精神疾患または神経学的疾患は、不安である。いくつかの実施形態では、神経精神疾患または神経学的疾患は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)である。いくつかの実施形態では、神経学的疾患は、脳卒中または外傷性脳損傷である。いくつかの実施形態では、神経精神疾患または神経学的疾患は、統合失調症である。
【0183】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくは立体異性体は、5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT)受容体の調節に有用である。いくつかの実施形態では、化合物および方法によって調節される5-HT受容体は、5-ヒドロキシトリプタミン受容体2A(5-HT2A)である。
【0184】
いくつかの実施形態では、5-HT2A活性に関連する1つ以上の疾患または障害の処置に有用な5-ヒドロキシトリプタミン受容体2A(5-HT2A)のモジュレーターが本明細書で提供される。
【0185】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、5-HT2A活性の阻害または低減から利益を得ることになる哺乳動物における疾患または疾病の処置のための薬剤の調製に使用される。
【0186】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩は、神経細胞の成長の促進および/または神経細胞の構造の改善から利益を得ることになる哺乳動物における疾患または疾病の処置のための薬剤の調製に使用される。
【0187】
そのような処置を必要としている哺乳動物において本明細書に記載される疾患または疾病のいずれかを処置するための方法は、本明細書に記載される少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、活性代謝物、プロドラッグ、もしくは薬学的に許容可能な溶媒和物を、治療有効量で哺乳動物に投与する工程を含む。
【0188】
特定の実施形態では、本明細書に記載される化合物を含有する組成物は、予防的および/または治療的な処置のために投与される。特定の治療用途では、組成物は、疾患または疾病の症状の少なくとも1つを治癒するか、または少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、疾患または疾病に既に苦しんでいる哺乳動物に投与される。この使用に有効な量は、疾患または疾病の重症度および経過、以前の治療、哺乳動物の健康状態、体重、および薬物に対する反応、ならびに医療関係者の判断に依存する。治療有効量は、用量漸増および/または用量決定臨床試験を含むがこれらに限定されない方法によって任意選択で決定される。
【0189】
予防的な用途では、本明細書に記載される化合物を含有する組成物は、特定の疾患、障害、または疾病になりやすい、あるいはそのリスクのある哺乳動物に投与される。このような量は、「予防的に有効な量または用量」であると定義される。この使用において、正確な量は哺乳動物の健康状態、体重などにも依存する。哺乳動物に使用される際、この用途のための有効量は、疾患、障害、または疾病の重症度および経過、以前の治療、哺乳動物の健康状態および薬物に対する反応、ならびに医療従事者の判断に依存する。一実施形態では、予防処置は、疾患または疾病の症状の再発を防ぐために、処置されている疾患の少なくとも1つの症状を以前に経験し、現在寛解期にある哺乳動物に、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与する工程を含む。
【0190】
哺乳動物の状態が改善しない特定の実施形態では、医療従事者の裁量で、化合物の投与は、哺乳動物の疾患または疾病の症状を寛解させるか、あるいは抑制または制限するために、慢性的に、すなわち、哺乳動物の一生涯を含む長期間にわたって、投与される。
【0191】
哺乳動物の状態が改善する特定の実施形態では、投与されている薬物の用量は、一時的に減らされるか、または一定の期間、一時的に止められる(つまり「休薬期間」)。特定の実施形態では、休薬期間の長さは、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、または28日を超えるなど、2日~1年の間である。休薬期間中の用量の減少は、ほんの一例として、10%~100%であり、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%を含む。
【0192】
患者の状態の改善が生じると、必要に応じて維持量が投与される。続いて、特定の実施形態では、投与量もしくは投与の頻度、またはその両方は、症状に応じて、疾患、障害、または疾病の改善が保持されるレベルまで減らされる。しかし、特定の実施形態では、哺乳動物は、症状が再発すると、長期間にわたって断続的な処置を必要とする。
【0193】
そのような量に相当する所定の薬剤の量は、特定の化合物、疾患の状態およびその重症度、処置を必要とする対象または宿主の独自性(例えば、体重、性別)などの因子に依存して変わるが、それにもかかわらず、例えば、投与されている特定の薬剤、投与経路、処置されている疾病、および処置されている対象または宿主を含むそのケースを取り巻く特別な状況に応じて決定される。
【0194】
しかしながら、一般的に、成人のヒトの処置に使用される用量は、典型的には1日当たり0.01mg~5000mgの範囲である。一実施形態では、成人の処置に利用される用量は、1日当たり約1mg~約1000mgである。一実施形態では、所望の用量は、単回用量で、あるいは、同時にまたは適切な間隔で投与される分割用量で、例えば、1日当たり2、3、4回またはそれ以上のサブ用量として、好適に提示される。
【0195】
一実施形態では、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容可能な塩の適切な毎日の投与量は、体重1kg当たり約0.01~約50mgである。いくつかの実施形態では、毎日の投与量または剤形中の有効成分の量は、個々の処置レジメンに関する多くの変数に基づいて、本明細書に示される範囲より少なくなるか、または多くなる。様々な実施形態では、毎日の投与量および単位投与量は、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患または疾病、投与の様式、個々の対象の必要条件、処置されている疾患または疾病の重症度、および医療関係者の判断を含む、多くの変数に依存して変更される。
【0196】
こうした処置レジメンの毒性と治療の有効性は、LD50とED50の決定を含むがこれらに限定されない細胞培養または実験動物における標準的な製薬手順によって決定される。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数であり、これは、LD50とED50との間の比として表される。特定の実施形態では、細胞培養アッセイと動物研究から得られたデータは、ヒトを含む哺乳動物で使用するための治療上有効な毎日の投与量範囲、および/または治療上有効な単位投与量の策定の際に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物の毎日の投与量は、最小限の毒性のED50を含む血中濃度の範囲内にある。特定の実施形態では、毎日の投与量範囲および/または単位投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動する。
【0197】
前述の態様のいずれかにおいて、さらなる実施形態では、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の有効量は、(a)哺乳動物に全身的に投与され、および/または、(b)哺乳動物に経口で投与され、および/または、(c)哺乳動物に静脈内投与され、および/または、(d)哺乳動物に注入によって投与され、および/または、(e)哺乳動物に局所的に投与される、および/または、(f)哺乳動物に非全身的または局所的に投与される。
【0198】
前述の態様のいずれかにおいて、(i)化合物が一日に一度投与される、または、(ii)化合物が1日にわたって哺乳動物に複数回投与される、さらなる実施形態を含む、有効量の化合物の単回投与を含むさらなる実施形態がある。
【0199】
前述の態様のいずれかにおいて、(i)化合物が継続的にまたは断続的に、単回投与でのように投与され、(ii)複数回投与の間隔が6時間ごとであり、(iii)化合物が8時間ごとに哺乳動物に投与される、(iv)化合物が12時間ごとに哺乳動物に投与される、(v)化合物が24時間ごとに哺乳動物に投与される、さらなる実施形態を含む、有効量の化合物の複数回投与を含むさらなる実施形態がある。さらなるまたは代替的な実施形態では、方法は、休薬期間を含み、ここで、化合物の投与は一時的に中断されるか、または投与されている化合物の用量は、一時的に減らされ、休薬期間の終わりに、化合物の投与が再開される。一実施形態では、休薬期間の長さは2日~1年で変動する。
【0200】
一実施形態では、本明細書に記載される化合物の1つの治療有効性は、アジュバントの投与によって増強される(つまり、アジュバントはそれ自体では最小限の治療的利点しか有していないが、別の治療剤と組み合わせると、患者への全体的な治療的利点が増強される)。あるいは、いくつかの実施形態では、患者が受ける効果は、本明細書に記載される化合物の1つを、同様に治療効果を有する別の薬剤(これは治療レジメンも含む)とともに投与することによって増加する。
【0201】
特定の実施形態では、本明細書で開示される化合物の様々な治療有効量は、医薬組成物を製剤化する際に、および/または、本明細書で開示される化合物が追加の治療上有効な薬物、アジュバントなどの1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて投与される処置レジメンにおいて、利用される。併用療法レジメンで使用される薬物および他の薬剤の治療有効量は、有効成分自体について上に明記された手段と類似した手段によって任意選択で決定される。さらに、本明細書に記載される予防/処置の方法は、規則正しい(metronomic)投薬の使用を包含する、つまり、毒性の副作用を最小限に抑えるために、もっと頻繁に、より少ない用量を提供する。いくつかの実施形態では、併用療法レジメンは、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の投与が本明細書に記載される第2の薬剤での処置の前に、最中に、または後に始められ、第2の薬剤による処置の間または第2の薬剤による処置の終了後のあらゆる時点まで継続する、処置レジメンを包含している。併用療法レジメンは、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および組み合わせて使用されている第2の薬剤が、同時にまたは異なる時間に、および/または処置期間の増減する間隔で投与される処置を含む。併用療法はさらに、患者の臨床管理を支援するために様々な時点で開始および停止される定期的な処置も含む。
【0202】
救済が求められている疾患を処置するか、予防するか、改善するための投与レジメンは、様々な因子(例えば、対象が苦しんでいる疾患または障害、対象の年齢、体重、性別、食事、および病状)に合わせて修正されることを理解されたい。したがって、いくつかの実施形態では、実際に利用される投与レジメンは変化し、いくつかの実施形態では、本明細書に明記される投与レジメンから逸脱する。
【実施例】
【0203】
以下の実施例は、例示目的のためのみに提供され、本明細書で提供される特許請求の範囲を制限するものではない。
【0204】
概要
すべての試薬は、別段の定めのない限り、市販のものから得られ、精製することなく使用される。DMSOを、活性化アルミナカラムを介して12psiのN2下で通過させることにより精製する。反応は、減圧下(~1トル)で火炎乾燥されるガラス器具を使用して実施された。クロマトグラフィーによって精製した化合物を、負荷前にシリカゲルに吸着させる。薄層クロマトグラフィーを、Milliporeシリカゲル60 F254 Silica Gelプレートで実施する。展開されたクロマトグラムの可視化を、蛍光消光によって、あるいは、ニンヒドリンまたはセリックモリブデン酸アンモニウム(CAM)水溶液による染色によって行う。
【0205】
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、1Hおよび13Cについて、それぞれ400および100MHzで作動するBruker 400、400および100MHzで作動するVarian 400、または500および125MHzで作動するVarian 500のいずれかで取得され、残留溶媒シグナルに従って内部参照される。1H NMRのデータは以下のように記録されている:化学シフト(δ,ppm),多重度(s,シングレット;d,ダブレット;t,トリプレット;q,カルテット;m,マルチプレット),カップリング定数(Hz)、および積分値。13C NMRのデータは、化学シフト(δ、ppm)で報告されている。液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)は、イオントラップもしくはELSD検出器を備えたAgilient LC-MS、またはUPLC検出器を備えたWaters LC-MSを使用して実施される。
【0206】
化学
一般的な合成スキーム:
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、スキーム1で概説されるように調製される。
【0207】
【0208】
スキーム1では、R1~R5、R8、m、およびnは、本明細書に記載される通りである。
【0209】
ジアゾメタンの調製:
【0210】
【化14】
水(16.1mL、1vol)中のEt
2O(80.3mL)とKOH(16.1g、287mmol、5.28当量)との二相性混合物に、市販のN-ニトロソ-N-メチル尿素(5.6g、54.3mmol、1.0当量)を0℃で7~8回に分けて添加し、反応混合物を0℃でさらに20分間撹拌した。黄色のエーテル層を傾瀉し、精製も濃縮もせずに次の反応へと直接移した。0℃に冷却した15mLの追加のエーテルを水層に添加し、静かにかき混ぜた。エーテル層を傾瀉し、次の反応へと移した。ジアゾメタンの淡黄色が消えるまで、0℃での濃縮酢酸の慎重な滴加によって水層中の残留ジアゾメタンを慎重に中和した。
【0211】
中間体I-2の調製:いくつかの実施形態では、EtOH(10vol)中の市販の中間体I-1(1.0当量)の溶液に、ジエチルエーテル(2.2当量)中のジアゾメタンの溶液を10分かけて0℃で滴加し、反応混合物を室温にゆっくり加温させ、さらに4時間撹拌した。粗製の反応混合物を0℃で酢酸でクエンチし、真空下で濃縮することで中間体I-2を位置異性体混合物として得て、さらなる精製を行わずに次の工程で使用した。
【0212】
化合物AおよびBの調製:いくつかの実施形態では、EtOH(0.1M)中の中間体I-2(1.0当量)の撹拌溶液に、市販の中間体I-3(1.0当量)に続いてHCl(6.0当量、37%水溶液)を添加し、反応混合物を24時間還流撹拌した。粗製の反応混合物を真空下で濃縮し、粗製の残渣をCH2Cl2で希釈し、NaOH(1.0M水溶液)で塩基化し、CH2Cl2中の10%MeOHで抽出した。合わせた有機層をブライン溶液で洗浄し、合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、固形物を濾過によって取り除き、濾液を真空下で濃縮することで、粗製の反応生成物を得た。この粗製の反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2中の5%MeOH)によって精製することで位置異性体混合物を得て、これを逆相HPLCでさらに分離することで、化合物AおよびBを得た。各アナログの化学構造は2D-NMR分光器技術の使用により割り当てられた。
【0213】
9-メトキシ-1,2,3,5,6,7,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,7]アゼピノ[4,5-b]インドール(1)、9-メトキシ-1,2,3,5,6,11,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール(2)、および11-メトキシ-1,2,3,5,6,7,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,7]アゼピノ[4,5-b]インドール(5)の合成:
【0214】
【化15】
EtOH(43.1mL)中の中間体I-2aと中間体I-2bとの混合物の撹拌溶液(600mg、4.31mmol、1.0当量)に、(3-メトキシフェニル)ヒドラジン塩酸塩(751mg、4.31mmol、1.0当量)に続いてHCl(930mg 25.86mmol、6.0当量、水中36%w/w)の溶液を添加し、得られた反応混合物を24時間還流撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、粗製の残渣をCH
2Cl
2で希釈し、NaOHの溶液を添加した(水中1M NaOH)。粗製の反応混合物をCH
2Cl
2(25mL、CH
2Cl
2中10%MeOH)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、固形物を濾過によって取り除き、濾液を真空下で濃縮することで粗生成物を得て、これをシリカゲルクロマトグラフィー(CH
2Cl
2C中10%MeOH)によって精製することで、レジオマー(regiomers)の混合物(480mg)を得た。LC-MSクロマトグラムにより44%、22%、および21%の比が示された。個々の位置異性体を逆相分取HPLCによって分離し、化合物1、化合物2、および化合物5を得た。アセトン(1.0ml)中の化合物2(33mg、0.13mmol、1.0当量)の溶液に、50℃でアセトン(2.0ml)中のフマル酸(12mg、0.10mmol、0.8当量)を添加し、反応混合物を50℃で3時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、固体残渣をジエチルエーテルで洗浄して、化合物2のフマル酸塩を得た。
化合物1フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
【0215】
(S)-9-メトキシ-1,2,3,5,6,11,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール(17)、(R)-9-メトキシ-1,2,3,5,6,11,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール(18)のキラル分割:
【0216】
【化16】
キラルHPLC(Chiralcel OJ-H 250mm(L)x30mm(ID)5μ、ヘキサン/EtOH(50%/50%)中の0.1%DEAの勾配、40.0mL/分)を使用することで、ラセミ化合物2(80mg)をそのエナンチオマーへと分離した。第1の溶出エナンチオマーの保持時間は7.60分であり、第2の溶出エナンチオマーの保持時間は9.41分であった。
化合物17フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
化合物18フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
【0217】
(R)-9-メトキシ-1,2,3,5,6,7,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,7]アゼピノ[4,5-b]インドール(24)、(S)-9-メトキシ-1,2,3,5,6,7,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,7]アゼピノ[4,5-b]インドール(25)のキラル分割:
【0218】
【化17】
キラルHPLC(Chiralcel OJ-H 250mm(L)x30mm(ID)5μ、ヘキサン/EtOH(50%/50%)中の0.1%DEAの勾配、40.0mL/分)を使用することで、ラセミ化合物1(140mg)をそのエナンチオマーへと分離した。第1の溶出エナンチオマーの保持時間は7.560分であり、第2の溶出エナンチオマーの保持時間は9.54分であった。
化合物24フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
化合物25フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
【0219】
(R)-11-メトキシ-1,2,3,5,6,7,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,7]アゼピノ[4,5-b]インドール(26)および(S)-11-メトキシ-1,2,3,5,6,7,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,7]アゼピノ[4,5-b]インドール(27)のキラル分割:
【0220】
【化18】
キラルHPLC(Chiral pak-IG(250
*30)5um、ヘキサン/IPA(90%/10%)中の0.1%DEAの勾配、35.0mL/分)を使用することで、ラセミ化合物5(20mg)をそのエナンチオマーへと分離した。第1の溶出エナンチオマーの保持時間は7.92分であり、第2の溶出エナンチオマーの保持時間は12.35分であった。
【0221】
1,2,3,5,6,11,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール(4)、および1,2,3,5,6,7,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,7]アゼピノ[4,5-b]インドール(7)の調製:
【0222】
【化19】
化合物1および化合物2について記載したように表題化合物を調製したが、出発物質としてフェニルヒドラジンを使用した。
化合物4フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
化合物7フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
【0223】
(S)-1,2,3,5,6,11,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール(19)、(R)-1,2,3,5,6,11,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール(20)のキラル分割:
【0224】
【化20】
キラルHPLC(Chiral pak-IG(250
*20)5um、ヘキサン/IPA(80%/20%)中の0.1%DEAの勾配、32.0mL/分)を使用することで、化合物4(270mg)をそのエナンチオマーへと分離した。第1の溶出エナンチオマーの保持時間は5.45分であり、第2の溶出エナンチオマーの保持時間は6.57分であった。
化合物19フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
化合物20フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
【0225】
(R)-1,2,3,5,6,7,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,7]アゼピノ[4,5-b]インドール(22)および(S)-1,2,3,5,6,7,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,7]アゼピノ[4,5-b]インドール(23)のキラル分割:
【0226】
【化21】
キラルHPLC(Chiral pak-IG(250
*30)5um、ヘキサン/IPA(90%/10%)中の0.1%DEAの勾配、33.0mL/分)を使用することで、化合物7(360mg)をそのエナンチオマーへと分離した。第1の溶出エナンチオマーの保持時間は5.53分であり、第2の溶出エナンチオマーの保持時間は7.41分であった。
化合物22フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
化合物23フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
【0227】
11-メチル-1,2,3,5,6,11,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール(3)、および7-メチル-1,2,3,5,6,7,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,7]アゼピノ[4,5-b]インドール(6)の調製:
【0228】
【化22】
化合物1および化合物2について記載したように表題化合物を調製したが、出発物質として1-メチルフェニルヒドラジンを使用した。
化合物3フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
化合物6フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
【0229】
9-(トリフルオロメチル)-1,2,3,5,6,11,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール(12)、7-(トリフルオロメチル)-1,2,3,5,6,11,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドール(21)、および11-(トリフルオロメチル)-1,2,3,5,6,7,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,7]アゼピノ[4,5-b]インドール(28)の調製:
【0230】
【化23】
化合物1および化合物2について記載したように表題化合物を調製したが、出発物質として3-(トリフルオロメチル)フェニル)ヒドラジンを使用した。
化合物12フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
化合物21フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
化合物28フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
【0231】
9-(トリフルオロメトキシ)-1,2,3,5,6,11,12,12a-オクタヒドロピロロ[1’,2’:1,2]アゼピノ[4,5-b]インドールの調製(13)の調製:
【0232】
【化24】
化合物1および化合物2について記載したように表題化合物を調製したが、出発物質として3-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ヒドラジンHClを使用した。
化合物13フマル酸塩:化合物2について記載したように調製した。
【0233】
化合物Aおよび化合物Bについて記載したように表2の化合物を調製し、式I-2およびI-3の適切に置換した出発物質を使用した。
【0234】
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
医薬組成物
実施例A-1:非経口医薬組成物
注入(皮下、静脈内)による投与に適した非経口医薬組成物を調製するために、本明細書に記載される1~1000mgの化合物の水溶性塩、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を、滅菌水中に溶解させ、その後、0.9%の無菌食塩水10mLと混合する。適切な緩衝液を、任意選択の酸または塩基とともに任意選択で添加して、pHを調整した。混合物を、注入による投与に適した投与量単位形態に組み込む。
【0241】
実施例A-2:経口溶液
経口送達される医薬組成物を調製するために、十分な量の本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容な塩を、(任意選択の可溶化剤、任意選択の緩衝液、および味を隠す賦形剤と共に)水に加え、20mg/mLの溶液を得る。
【0242】
実施例A-3:経口錠剤
20~50重量%の本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、20~50重量%の微結晶性セルロース、および1~10重量%のステアリン酸マグネシウム、または他の適切な賦形剤を混合することによって、錠剤を調製する。直接圧縮によって錠剤を調製する。圧縮錠剤の全重量を100~500mgで維持する。
【0243】
実施例A-4:経口カプセル
経口送達される医薬組成物を調製するために、1~1000mgの本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、デンプンまたは他の適切な粉末混合物と混合する。混合物を、経口投与に適したハードゼラチンカプセルなどの経口剤形に組み込む。
【0244】
別の実施形態では、1~1000mgの本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、サイズ4のカプセル、またはサイズ1のカプセル(ヒプロメロースまたはハードゼラチン)に入れ、カプセルを閉じる。
【0245】
生物学的実施例
幻覚性のポテンシャル幻覚性の化合物5-MeO-DMTは、マウスにおいて強固な用量依存性の頭部攣縮反応(HTR)を生じさせる。しかしながら、等比体積化合物である6-MeO-DMTは、その効力が著しく弱い。薬物識別データから予想されるように、6-MeO-DMTはHTRを生じない。最後に、強力な可塑性促進化合物はHTRを生じさせず、幻覚性のポテンシャルと精神可塑性(psychoplastogenicity)が切り離され得ることを実証している。
【0246】
幻覚剤(例えば、LSDおよび5-MeO-DMT)は、アゴニストモードで5HT2Aセンサーアッセイを活性化し得るが、それらの非幻覚性同族体(リスライド(LIS)および6-MeO-DMT)は、そうではない場合がある。さらに、動物(例えば、ヒト)で幻覚性である化合物、例えば、5-MeO-DMT、LSD、DMT、DOIなどは、アゴニストモードで5HT2Aセンサーアッセイを活性化するが、一方で、例えば、6-MeO-DMT、LIS、6-F-DET、L-MDMA、R-MDMA、ケタンセリン、BOL148などの、動物(例えば、ヒト)において非幻覚性の化合物は、アゴニストモードで5HT2Aセンサーのアッセイを活性化しない。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物の幻覚性のポテンシャルは、インビトロで決定される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物の幻覚性のポテンシャルは、5HT2Aセンサーアッセイを使用して決定される。いくつかの実施形態では、5HT2Aセンサーアッセイは、アゴニストモードまたはアンタゴニストモードである。いくつかの実施形態では、5HT2Aセンサーアッセイは、アゴニストモードである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、アゴニストモードのセンサーを活性化せず、非幻覚性のポテンシャルを有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、アゴニストモードのセンサーを活性化せず、非幻覚性の化合物である。
【0247】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物の幻覚性のポテンシャルは、アゴニストモードの5HT2Aセンサーアッセイにおいて評価される。
【0248】
さらに、いくつかの実施形態では、非幻覚性の化合物(例えば、リスリドおよび6-MeO-DMT)は、5HT2Aセンサーアッセイをアンタゴニストモードで実行すると、5-HTを結合除去する(compete off)。加えて、動物(例えば、ヒト)において非幻覚性である、例えば、6-F-DET、ケタンセリン、BOL148などの化合物は、アンタゴニストモードのセンサーアッセイにおいて5HT2Aへの5HTの結合と競合し得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、5-HTの5HT2Aへの結合を防ぐ。いくつかの実施形態では、5HT2Aセンサーアッセイは、アンタゴニストモードである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、5-HTの5HT2Aへの結合を防ぎ、非幻覚性のポテンシャルを有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、5-HTの5HT2Aへの結合を防ぎ、非幻覚性である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、アンタゴニストモードで5-HTの5HT2Aへの結合を防ぎ、非幻覚性のポテンシャルを有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、アンタゴニストモードで5-HTの結合を防ぎ、非幻覚性の化合物である。いくつかの実施形態では、アンタゴニストモードのセンサーアッセイの応答を阻害する本明細書で提供される化合物は、非幻覚性のポテンシャルを有する。いくつかの実施形態では、アンタゴニストモードのセンサーアッセイの応答を阻害する本明細書で提供される化合物は、非幻覚性の化合物である。
【0249】
いくつかの実施形態では、アゴニストモードのセンサーアッセイの結果は、本明細書で提供される化合物が、5-HT2A受容体の非幻覚性リガンドであることを示唆している。いくつかの実施形態では、アンタゴニストモードのセンサーアッセイの結果は、本明細書で提供される化合物が、5-HT2A受容体の非幻覚性リガンドであることを示唆している。いくつかの実施形態では、アゴニストモードとアンタゴニストモードのセンサーアッセイの結果は、共に、本明細書で提供される化合物が、5-HT2A受容体の非幻覚性リガンドであることを示唆している。
【0250】
いくつかの実施形態では、化合物の幻覚性のポテンシャルは、アンタゴニストモードの5HT2Aセンサーアッセイで評価される。
【0251】
強制水泳試験。脳の前部における皮質構造可塑性の増大が、ケタミンの持続的な(24時間未満)抗うつ様効果を媒介し、5-HT2Aアゴニストの治療効果で一定の役割を果たしていることから、強制水泳試験(FST)行動に対する化合物の影響を用いて、本明細書で提供される化合物の治療的可能性を評価する。まず、抑うつ表現型を誘発するために前試験を行う。前試験の24時間後に化合物を投与し、薬物投与の24時間後と7日後にFSTを実施する。
【0252】
神経突起伸長アッセイ。神経突起伸長のパターンの変化は、神経変性障害だけでなく、外傷にも関与している。神経突起生成に正の影響を与えることができる化合物の発見は、神経学的疾患の新しい治療法を開発するために重要である。いくつかの実施形態では、自動化された画像ベースのアッセイを用いたラット皮質ニューロンの神経突起伸長の測定は、本明細書で提供される化合物の神経可塑性効果を決定するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、神経突起伸長のパターンを増加させる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、対照と比較して神経突起の平均長さを増加させる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、対照と比較して神経突起の分岐点を増加させる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物は、対照と比較して、神経突起の平均長さと神経突起の分岐点を増加させる。
【0253】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される化合物の形成原性な(plastogenic)ポテンシャルは、神経突起の発達における変化を測定することによって評価される。
【0254】
樹状突起形成アッセイ。表現型スクリーニングは、新規作用機序を有する薬物の同定において、標的ベースのアプローチよりも成功率が高いことが歴史的に証明されている。表現型アッセイを使用して、本明細書で提供される化合物は、皮質ニューロンの培養において樹状突起分枝の複雑さを増加させる能力について試験される。処理後、ニューロンを固定し、ニューロンの細胞体樹状突起区画に局在する細胞骨格タンパク質であるMAP2に対する抗体を用いて可視化する。その後、Sholl分析を行い、最大交差数(Nmax)を樹状突起分枝の複雑さの定量的な指標として使用する。特定の化合物間の統計的比較のために、生のNmax値が比較される。パーセント有効性は、ビヒクル(DMSO)および陽性(ケタミン)対照のNmax値を、それぞれ0%および100%に等しく設定することによって決定される。
【0255】
動物。樹状突起形成実験のために、時期指定妊娠したスプラーグドーリーラットをCharles River Laboratories(Wilmington,MA)から入手する。いくつかの実施形態では、オスとメスのC57BL/6JマウスをJackson Laboratory(Sacramento、C.A.)から入手する。いくつかの例では、マウスは、4~5匹のグループ(同じ性別)で、12時間の明暗サイクルで維持される温度制御および湿度制御された部屋に収容される。
【0256】
樹状突起形成-Sholl分析。ニューロンは、96ウェルフォーマット(1ウェルあたり200μLの培地)で、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、10%熱不活性化ウシ胎児血清、および0.5mMのグルタミンを含有するNeurobasal(Life Technologies)中に約15000細胞/ウェルの密度で、プレーティングされる。24時間後、培地を1×B27サプリメント(Life Technologies)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、0.5mMのグルタミン、および12.5μMのグルタミン酸を含有するNeurobasalと交換する。インビトロで3日後(DIV3)、細胞を化合物で処理する。別段の定めのない限り、樹状突起形成アッセイで試験した化合物を10μMで処理する。DMSO中の化合物のストック溶液をまず、Neurobasalで100倍に希釈した後、各ウェルにさらに10倍に希釈した(合計希釈率=1:1000;0.1%のDMSO濃度)。処理は無作為に行う。1時間後、培地を取り除き、1×B27サプリメント、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、0.5mMのグルタミン、および12.5μMのグルタミン酸を含有する新しいNeurobasal培地と交換する。細胞はさらに71時間増殖する。その時点で、80%の培地を除去し、ウェルの作業容量の50%に等しい量の4%水性パラホルムアルデヒド(Alfa Aesar)と置き換えることによって、ニューロンを固定する。その後、細胞を室温で20分間インキュベートした後、固定液を吸引し、各ウェルをDPBSで2回洗浄する。DPBS中の0.2%のトリトンX-100(ThermoFisher)を用いて、室温で20分間、振盪することなく細胞を透過処理する。プレートをDPBS中の2%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する抗体希釈緩衝液(ADB)で1時間室温でブロッキングする。次に、プレートを、ニワトリ抗MAP2抗体(1:10,000;EnCor,CPCA-MAP2)を含有するADB中で穏やかに振盪しながら4℃で一晩インキュベートする。翌日、プレートをDPBSで3回、DPBS中の2%ADBで1回洗浄する。プレートを、Alexa Fluor 488にコンジュゲートした抗ニワトリIgG二次抗体(Life Technologies、1:500)を含有するADB中で室温にて1時間インキュベートし、DPBSで5回洗浄する。最後の洗浄後、1ウェルあたり100μLのDPBSを添加し、ImageXpress Micro XL High-Content Screening System(Molecular Devices, Sunnyvale,CA)で20倍の対物レンズを用いて画像化した。
【0257】
画像はImageJ Fiji(バージョン1.51W)を使用して分析される。まず、各処理に対応する画像を個々のフォルダに分類し、データ解析のために盲検化する。プレート対照(陽性と陰性の両方)を使用して、アッセイが正常に機能していることを確認するとともに、ランダム化した画像の残りに普遍的に適用される明るさ/コントラストと閾値の適切な数値を視覚的に決定する。次に、明るさ/コントラストの設定を適用し、矩形の選択ツールを用いて1画像あたり約1~2個の個々の錐体様ニューロン(すなわち、双極性ニューロンを含まない)を選択し、別々のファイルとして保存する。他の細胞と広範囲に重なったり、視野から大きくはみ出したりしていないニューロンが選択される。その後、閾値の設定を個々の画像に適用する。ペイントブラシツールでアーチファクトや隣接するニューロンに由来する樹状突起を除去し(クリーンアップ段階)、次にポイントツールを使用してニューロンの中心を選択し、画像を保存して、以下のSholl分析バッチマクロを使用して処理する:
run(“Sholl Analysis...”, “starting=0 ending=NaN radius_step=2 #_samples=1 integration=Mean enclosing=1 #_primary=4 infer fit linear polynomial=[Best fitting degree] most semi-log normalizer=Area create background=228 save do”);
Sholl分析円半径=2ピクセル刻み=0.67μm。すべての画像は、処理条件について盲検化された実験者によって撮影および分析される。それぞれの別の半径での各ニューロンの交差回数を平均化することで、各処理の平均的なShollプロットを作成する。Nmax値は、各プロットの最大値を特定することによって単純に決定される。各処理について、ニューロンは、2枚のプレートにまたがる少なくとも6つのウェルから選択される(9部位/ウェル×3ウェル/プレート×2枚のプレート)。各プレートは、独立した妊娠中のメス親から得られたニューロンを用いて調製される)。
【0258】
スパイン形成実験。スパイン形成実験は、細胞をDIV19で処理し、DIV20で処理後24時間固定することを除いて、以前に記載したように実施される(Ly,C.et al.,2018)。画像は、100x/NA 1.45オイル対物レンズを備えたNikon HCA Confocal microscope aで撮影される。DMSOとケタミン(10μM)をそれぞれ、ビヒクルと陽性対照として使用する。
【0259】
セロトニン5-HT2Aインビトロ放射リガンド結合競合アッセイ。5-HT2A放射リガンド結合競合アッセイは、Epics Therapeutics S.A.(Belgium,FAST-0505B)で従来の方法を用いて実施された。簡単に言えば、競合結合は、結合緩衝液(各受容体に最適化)、膜抽出物(各受容体に最適化したタンパク質/ウェルの量)、放射性トレーサー[3H]-DOI(各受容体に最適化した最終濃度)、および試験化合物を含有する96ウェルプレートのウェル(Master Block,Greiner,786201)中で2連で行われる。非特異的結合を、200倍過剰の冷競合物質(cold competitor)との共インキュベーションにより決定した。サンプルを最終体積0.1mlで、各受容体に最適な温度と持続時間でインキュベートし、その後、フィルタープレート上で濾過した。フィルターを0.5mlの氷冷洗浄緩衝液(各受容体に最適化)で6回洗浄し、50μlのMicroscint 20(Packard)を各ウェルに添加した。プレートをオービタルシェーカーで15分間インキュベートし、その後、TopCount(商標)で1分間/ウェルの計数を行った。
【0260】
セロトニン5-HT2Aインビトロ細胞IPOneアゴニズムアッセイ。5-HT2A IPOne HTRFアッセイは、Epics Therapeutics S.A.(Belgium、FAST-0505I)で、従来の方法を用いて実施された。簡単に言えば、抗生物質を含まない培養培地中で対数中期(mid-log phase)まで成長したヒト組換え5-HT2A受容体を発現するCHO-K1細胞を、PBS-EDTAで剥離し、遠心分離し、抗生物質緩衝液を含まない培地に再懸濁した。2万個の細胞を96ウェルプレートに分注し、37℃、5%のCO2で一晩インキュベートした。
【0261】
アゴニスト試験の場合、培地を除去し、20μlのアッセイ緩衝液と20μlの試験化合物または参照アゴニストを各ウェル内に加えた。プレートを、37℃、5%のCO2で60分間インキュベートした。
【0262】
IP1-d2および抗IP1クリプテート検出試薬を含む溶解緩衝液を加えた後、プレートを室温で1時間インキュベートし、HTRFキットを用いて、メーカーの仕様に従って、蛍光比を測定した。
【0263】
セロトニン5-HT2Cインビトロ放射リガンド結合競合アッセイ。5-HT2C編集(アクセッション番号AAF35842.1)放射リガンド結合競合アッセイは、Epics Therapeutics S.A.(Belgium,FAST-0507B)で従来の方法を用いて実施された。簡単に言えば、競合結合は、結合緩衝液(各受容体に最適化)、膜抽出物(各受容体に最適化したタンパク質/ウェルの量)、放射性トレーサー[3H]-DOI(各受容体に最適化した最終濃度)、および試験化合物を含有する96ウェルプレートのウェル(Master Block,Greiner,786201)中で2連で行われた。非特異的結合を、200倍過剰の冷競合物質(cold competitor)との共インキュベーションにより決定した。サンプルを最終体積0.1mlで、各受容体に最適な温度と持続時間でインキュベートし、その後、フィルタープレート上で濾過した。フィルターを0.5mlの氷冷洗浄緩衝液(各受容体に最適化)で6回洗浄し、50μlのMicroscint 20(Packard)を各ウェルに添加した。プレートをオービタルシェーカーで15分間インキュベートし、その後、TopCount(商標)で1分間/ウェルの計数を行った。
【0264】
セロトニン5-HT2Cインビトロ細胞IPOneアゴニズムアッセイ。5-HT2C IPOne HTRFアッセイは、Epics Therapeutics S.A.(Belgium、FAST-0507I)で、従来の方法を用いて実施された。簡単に言えば、抗生物質を含まない培養培地中で対数中期(mid-log phase)まで成長したヒト組換え5-HT2C編集受容体(アクセッション番号AAF35842.1)を発現するCHO-K1細胞を、PBS-EDTAで剥離し、遠心分離し、抗生物質緩衝液を含まない培地に再懸濁した。2万個の細胞を96ウェルプレートに分注し、37℃、5%のCO2で一晩インキュベートした。
【0265】
アゴニスト試験の場合、培地を除去し、20μlのアッセイ緩衝液と20μlの試験化合物または参照アゴニストを各ウェル内に加えた。プレートを、37℃、5%のCO2で60分間インキュベートした。
【0266】
IP1-d2および抗IP1クリプテート検出試薬を含む溶解緩衝液を加えた後、プレートを室温で1時間インキュベートし、HTRFキットを用いて、メーカーの仕様に従って、蛍光比を測定した。
【0267】
本明細書で提供される化合物を、セロトニン5-HT2Aおよび5-HT2Cインビトロ放射リガンド結合および細胞IPOneアゴニズムアッセイにおいて試験した。化合物の結合およびアゴニズム機能的効力(それらのIC50またはEC50によって示される)を、表3に示す。
【0268】
【0269】
セロトニン5-HT2Aインビトロ細胞IPOneアンタゴニズムアッセイ。5-HT2A IPOne HTRFアッセイは、Epics Therapeutics S.A.(Belgium、FAST-0505I)で、従来の方法を用いてアンタゴニズムモードで実施された。簡単に言えば、抗生物質を含まない培養培地中で対数中期(mid-log phase)まで成長したヒト組換え5-HT2A受容体を発現するCHO-K1細胞を、PBS-EDTAで剥離し、遠心分離し、抗生物質緩衝液を含まない培地に再懸濁した。2万個の細胞を96ウェルプレートに分注し、37℃、5%のCO2で一晩インキュベートした。
【0270】
アンタゴニスト試験の場合、各ウェル内に、参照アゴニストa-Me-5HTを添加し、蛍光シグナルを数分間モニタリングし、続いて20μlのアッセイ緩衝液および20μlの試験化合物または参照アンタゴニストのケタンセリンを添加した。プレートを、37℃、5%のCO2で60分間インキュベートした。
【0271】
IP1-d2および抗IP1クリプテート検出試薬を含む溶解緩衝液を加えた後、プレートを室温で1時間インキュベートし、HTRFキットを用いて、メーカーの仕様に従って、蛍光比を測定した。
【0272】
本明細書で提供される化合物を、セロトニン5-HT2Aアンタゴニズムアッセイで試験した。結果を表4に示す。
【0273】
【0274】
神経突起伸長アッセイ。初代神経細胞培養アッセイにおける神経突起伸長。神経突起伸長のパターンの変化は、精神障害と神経変性障害だけでなく、外傷にも関与している。神経突起生成に正の影響を与えることができる新規化合物の発見は、神経学的疾患の新しい治療法を開発するために重要である。自動化された画像ベースのアッセイを用いたラット皮質ニューロンの神経突起伸長の測定を使用して、本開示の化合物の神経可塑性効果を決定した。神経突起伸長アッセイを、以下に記載されるように、Neurofit SAS(France)で実施した。
【0275】
妊娠中のウィスターラット(Janvier;France)を試験に使用した。ウィスターラットは使用の6日前に届けられた。Neurofitの動物施設に到着後、ウィスターラットをケージごとに1匹ずつ収容し、制御温度(21~22℃)と反転した明暗サイクル(12時間/12時間;点灯:17:30~05:30;消灯:05:30~17:30)の部屋で、餌と水を自由に利用できるように維持した。
【0276】
妊娠17日のメスのウィスターラットを頸部脱臼により屠殺し、胎児を子宮から取り出した。その脳をLeibovitzの氷冷培地(L15、Gibco、Fisher bioblock、France)中に置いた。大脳皮質を解剖し、髄膜を慎重に取り除いた。皮質ニューロンを、0.1mg/mlのDNAse I(Roche、France)の存在下、37℃で30分間のトリプシン化(トリプシン-EDTA、Gibco)により解離させた。10%のウシ胎児血清(FBS;Gibco)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Gibco)の添加により反応を停止させた。この懸濁液を10mlピペットでニードルシリンジ21Gを用いてトリチュレートし、350×gで10分間室温で遠心分離を行った。解離した細胞のペレットを、2%のB27サプリメント(Gibco)、0.5mMのL-グルタミン(Gibco)、抗生物質-抗菌剤混合物を補充したNeurobasal(Gibco)からなる培地に再懸濁させた。トリパンブルー色素排除試験(Sigma)を用いて、ノイバウアーサイトメーターで生存細胞を計数した。ポリ-L-リジンをプレコーティングした96ウェルプレート(Costar)に1ウェルあたり10000細胞の密度で、細胞を播種した。異なる濃度の試験化合物を培養物に添加した。ドネペジル(陽性対照)を250nMで試験した。
【0277】
72時間(3日間)のプレーティング後、培養物をPBS中のパラホルムアルデヒド(4%、Sigma)で4℃、30分間固定した。次に、細胞を0.1%のトリトンX100で30分間連続して透過処理し、3%のBSAを含有するPBSで飽和させ、0.5%のBSAを含有するPBS中で1/10 000の抗βIIIチューブリン抗体(Sigma)と1時間インキュベートした。細胞を0.5%のBSAを含有するPBSで3回洗浄し、0.5%のBSAを含有するPBS中で1/1000に希釈したAF488(Invitrogen A11001)と結合したヤギ抗マウス抗体と1時間インキュベートした。最後に、0.5%のBSAを含有するPBS中、1/1000でDAPI 1mg/mlによって核を染色した。PBSで洗浄後、プレートを撮影し、神経突起ネットワークを調べ、High-Content Screening(CellInsight,Thermo Scientific)を用いて分析した。ニューロンあたりの平均神経突起数およびニューロンあたりの平均神経突起全長が、解析された主なパラメータであった。データの解析は、分散分析(ANOVA)を用いて行った。多重比較にはフィッシャーの制約付き最小有意差法(Fisher’s Protected Least Significant Difference test)を用いた。≦0.05のp値を有意とみなした。使用したソフトウェアは、SAS InstitutのStatView 5.0である。
【0278】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、神経突起伸長のパターンを増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、対照と比較して神経突起の平均長さを増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、対照と比較して神経突起の分岐点を増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、対照と比較して、新しい神経突起の数および/または平均神経突起長を有意に増加させる。
【0279】
化合物の形成原性な(plastogenic)ポテンシャル(神経突起伸長手順Bによって測定される)は、表5に示される。
【0280】
【0281】
5HT2Aセンサーアッセイ。HEK293T(ATCC)5HT2Aセンサー安定株(sLight1.3s)を、HIV-EF1α-sLight1.3のレンチウイルス導入を介して生成し、単一コロニーから増殖させる。レンチウイルスは、第2世代レンチウイルスプラスミドpHIV-EF1α-sLight1.3、pHCMV-G、およびpCMV-deltaR8.2を用いて生成される。
【0282】
スクリーニングのために、sLight1.3s細胞を、画像化の24時間前に40000の密度で96ウェルプレートにプレーティングする。画像化の当日、DMSOに溶解させた化合物を、100mMのストック溶液から、DMSO濃度が1%で、1mM、100μM、および1μMの作業濃度に希釈する。画像化の直前に、DMEM(Gibco)中で成長させた細胞をHBSS(Gibco)で2回洗浄し、アゴニストモードでは180μLのHBSS、アンタゴニストモードでは160μLのHBSSを最終洗浄後に各ウェルに添加する。アゴニストモードでは、180μLのHBSSを含有するウェルに20μLの化合物の作業溶液を添加する前後に、画像を撮影する。これにより、最終的な化合物濃度は、100μM、10μM、および100nMとなり、DMSO濃度は0.1%となる。アンタゴニストモードでは、900nMの5-HTを20μL添加する前後に画像を撮影し、5HTで最終濃度が100nM、ならびに、DMSO濃度が0.1%、化合物の最終濃度が100μM、10μM、および100nMとなるように化合物の作業溶液を再度20μL添加した後に、画像を撮影する。化合物を各濃度(100μM、10μM、および100nM)について3連(3ウェル)で試験する。加えて、各プレート内で、100nMの5HTと0.1%のDMSOの対照も画像化する。
【0283】
画像化は、励起460nmおよび放出512~542nmのFITCプリセットを用いて、40倍の対物レンズを備えるLeica DMi8倒立顕微鏡を用いて実施する。各ウェルについて、5HT2Aセンサーが標的とされる細胞膜を、適応型焦点制御を使用してオートフォーカスし、ウェル内の異なる領域から5つの画像を撮影し、各画像を2x2ビニングから処理する。
【0284】
データ処理のために、各画像からの膜をセグメント化し、MATLABで書かれたカスタムアルゴリズムを用いて分析し、単一の生の蛍光強度値を生成する。各ウェルについて、5つの画像から生成された5つの生の蛍光強度値を平均化し、蛍光強度の変化(dFF)を次のように計算する。
dFF=(Fsat-Fapo)/Fapo
【0285】
アゴニストモードとアンタゴニストモードの両方について、HBSSのみでの化合物添加前の蛍光強度値をFapo値として、化合物添加後の蛍光強度値をFsat値として使用した。
【0286】
アゴニストモードについては、データは5HTに対する活性化率としてであり、0はDMSOウェルの平均であり、100は100uMの5HTウェルの平均である。アンタゴニストモードについては、不活性化スコアは次のように計算する。
不活性化スコア=(dFFF(化合物+5HT)-dFF(5HT))/dFF(5HT)
【0287】
頭部攣縮反応(HTR)実験。IACUC承認プロトコルに従ってC57BL/6Jマウス(9~10週齢)を収容する。マウスを試験ケージで少なくとも30分間慣らして、化合物を腹腔内注射し(注射量5ml/kg)、空の試験ケージに戻し、20分間撮影を行う。各映像は、処理条件に対して盲検化された訓練を受けた観察者により、頭部攣縮の回数についてスコア化される。
【0288】
強制水泳試験(FST)。Envigo(Indianapolis,IN)からオスのスプラーグドーリーラットを入手し、IACUC承認プロトコルに従って1ケージに3匹ずつ収容する。すべての実験は、透明なアクリル製の強制水泳用チャンバー(高さ40cm、直径20.3cm)において、明暗サイクルの点灯時間帯に人工照明下で外界温度(20℃および23℃)で実施された。各水泳試験において、一度に1匹のみのラットを水泳用チャンバーに入れる。各動物ごとに水を交換してチャンバーを洗浄する。すべてのラットは2回の水泳セッションを受ける。水深は1回目のセッションでは16cm、2回目のセッションでは30cmであり、水温はすべての水泳セッションで23±1℃に維持される。FSTの間、動物は15分間続く15分間の水泳セッション(事前水泳(pre-swim))を受け、ペーパータオルで乾燥させ、ホームケージに戻す。ラットは馴化セッションの後、生理食塩水、ケタミン(陽性対照)、または試験化合物のいずれかを注射され、ホームケージに戻され、約24時間後に5分間続く2度目のFSTを受ける(2度目の水泳試験)。2回目の水泳試験はスコア化のためにビデオ録画される。体重は両日とも測定する。2回目の水泳試験のスコア化は、訓練を受けた技術者がビデオ録画された試験中の動物を5秒ごとに観察し、見られた行動を記録するタイムサンプリング法を用いて行われる。記録されるのは、不動、登攀、および水泳の行動である。
【0289】
統計分析。処理は無作為に行われ、データは処理条件について盲検化された実験者によって解析される。統計解析はGraphPad Prism(version 8.1.2)を用いて実施された。比較は、各実験を行う前に計画される。
【0290】
本明細書に記載される実施例と実施形態は例示目的のためのものに過ぎず、当業者に示唆される様々な修正や変更は、本出願の精神と範囲、および添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【国際調査報告】