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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】埋め込み電極アレイプレート
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/00 20060101AFI20250121BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
G01N27/00 Z
G01N33/483 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533966
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 US2022081088
(87)【国際公開番号】W WO2023108001
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/286,959
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】520195970
【氏名又は名称】アクソシム, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】カーリー ジェイ. ローリー
(72)【発明者】
【氏名】ラウントリー コーリー
【テーマコード(参考)】
2G045
2G060
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045CB01
2G045FA34
2G045JA07
2G060AA15
2G060AD06
2G060AF15
2G060HC13
2G060KA09
(57)【要約】
細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイ(EEA)を備えている装置は、埋め込み電極アレイ;インターフェースプリント回路基板;応答信号を受信してデータチャネルにサンプリングするために、刺激信号と、インターフェースプリント回路基板内のデータチャネルとを設定するための、試験コントローラ;ならびに処理及び記憶のためにデータセットを受信するためのデータコレクタを含む。埋め込み電極アレイは、組織細胞サンプルを収容するための電極パッドを各々が有する、組織培養ウェル;組織培養ウェルの各々に対する刺激信号を受信しかつ組織細胞サンプルの各々から複数の応答信号を生成するためのコネクタピンを有する、信号コネクタ;ならびにコネクタピンのうちの1つを電極パッドに接続するための、EEAプリント回路基板内に埋め込まれた回路配線を含む。インターフェースプリント回路基板は、刺激信号として使用されるソースからの信号を受信するための信号コネクタと、増幅器-デジタイザ回路とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを備えている装置であって、前記装置が、
埋め込み電極アレイであって、
組織細胞サンプルを収容するための複数の電極パッドを各々が有する複数の組織培養ウェルと、
前記複数の組織培養ウェルの各々に対する刺激信号を受信しかつ前記組織細胞サンプルの各々から複数の応答信号を生成するための複数のコネクタピンを有する、1つ以上の信号コネクタと、
EEAプリント回路基板内に埋め込まれた複数の回路配線であって、前記複数の回路配線の各々が、前記複数のコネクタピンのうちの1つを各組織培養ウェル内の電極パッドに接続する、前記複数の回路配線と
を備える、前記埋め込み電極アレイ;
インターフェースプリント回路基板であって、
取り付けられた埋め込み電極アレイ内の複数の組織培養ウェルへの前記1つ以上の刺激信号として使用するための試験信号を受信するための、1つ以上の信号コネクタと、
前記取り付けられた埋め込み電極アレイ内の前記複数の組織培養ウェルの各々に対する刺激信号を送信しかつ前記組織細胞サンプルの各々から複数の応答信号を受信するための複数のコネクタピンを有する、1つ以上のインターフェース信号コネクタと、
複数のデータチャネルに編成された応答信号のうちの1つ以上を受信しかつ前記複数のデータチャネルの各々に対するデータセットとして送信するために前記応答信号をデジタル化するように各々が構成された、複数の増幅器-デジタイザ回路と
を備える、前記インターフェースプリント回路基板;
応答信号を受信して前記複数のデータチャネルにサンプリングするために、前記1つ以上の刺激信号と、前記インターフェースプリント回路基板内の前記複数のデータチャネルとを設定する、試験コントローラ;ならびに
処理及び記憶のために複数のデータチャネルに対するデータセットを受信する、データコレクタ
を備える、前記装置。
【請求項2】
前記複数の組織培養ウェルの各々が、
細胞を培養して前記組織細胞サンプルにする、細胞チャネル層と、
Cirlexチャネルの2つの端部の各々に配置された、一対の組織培養ウェルと、
Cirlexチャネルにわたって配置された、前記複数の電極パッドのうちの8つの電極パッドと、
前記組織培養ウェルの対の各々の中の、前記複数の電極パッドのうちの単一の電極パッドと
を備える、請求項1に記載の埋め込み電極アレイ。
【請求項3】
前記複数の回路配線を画定するための、前記EEAプリント回路基板内の一対の埋め込み銅層と、
前記埋め込み銅層の対の間のベースポリイミド層と、
前記2つの銅層のうちの一方の表面にある、上部ポリイミド層と、
前記2つの銅層のうちの一方の表面にある、底部ポリイミド層と
を更に備える、請求項2に記載の埋め込み電極アレイ。
【請求項4】
軟質金電気めっき層を更に備える、請求項3に記載の埋め込み電極アレイ。
【請求項5】
前記組織培養ウェルの各々が、前記細胞チャネル層及び前記組織培養ウェル内の前記複数の電極を露出させている前記上部ポリイミド層内にある、請求項4に記載の埋め込み電極アレイ。
【請求項6】
前記試験信号が、外部関数発生器から受信される、請求項1に記載のインターフェースプリント回路基板。
【請求項7】
前記複数のデータチャネルの各々に対する前記データセットが、前記組織培養ウェルの一部からの前記データセットに対応するデータセットのグループにおいて、前記複数の増幅器-デジタイザ回路によって生成される、請求項1に記載のインターフェースプリント回路基板。
【請求項8】
前記複数の増幅器-デジタイザ回路の各々が、16個のデータチャネルを生成するために、前記1つ以上の応答信号のうちの16個を受信する、請求項7に記載のインターフェースプリント回路基板。
【請求項9】
前記インターフェースプリント回路基板が、128個のデータチャネルの2つのグループに編成された256個のデータチャネルを生成するために、16個の増幅器-デジタイザ回路を備える、請求項8に記載のインターフェースプリント回路基板。
【請求項10】
複数の組織培養ウェルであって、前記複数の組織培養ウェルの各々が、組織細胞サンプルに電気的に接触するための複数の電極パッドを有する、前記複数の組織培養ウェルと、
前記複数の組織培養ウェルの各々に対する刺激信号を受信しかつ前記組織細胞サンプルの各々から複数の応答信号を生成するための複数のコネクタピンを有する、1つ以上の信号コネクタと、
前記埋め込み電極アレイ内に埋め込まれた複数の回路配線であって、前記複数の回路配線の各々が、前記複数のコネクタピンのうちの1つを電極パッドに接続する、前記複数の回路配線と
を備える、埋め込み電極アレイ。
【請求項11】
前記複数の組織培養ウェルの各々が、
細胞を培養して前記組織細胞サンプルにする、細胞チャネル層と、
前記細胞チャネル層の2つの端部の各々に配置された、一対の組織培養ウェルと、
前記細胞チャネル層にわたって配置された、前記複数の電極パッドのうちの9個の電極パッドと、
前記組織培養ウェルの対の各々の中の、前記複数の電極パッドのうちの単一の電極パッドと
を備える、請求項10に記載の埋め込み電極アレイ。
【請求項12】
前記複数の回路配線を画定するための、前記EEAプリント回路基板内の一対の埋め込み銅層と、
前記埋め込み銅層の対の間のベースポリイミド層と、
前記2つの銅層のうちの一方の表面にある、上部ポリイミド層と、
前記2つの銅層のうちの一方の表面にある、底部ポリイミド層と
を更に備える、請求項11に記載の埋め込み電極アレイ。
【請求項13】
前記上部ポリイミド層と前記2つの銅層のうちの1つとの間に軟質金電気めっき層を更に備える、請求項12に記載の埋め込み電極アレイ。
【請求項14】
前記組織培養ウェルの各々が、前記細胞チャネル層及び前記組織培養ウェル内の前記複数の電極を露出させている前記上部ポリイミド層内にある、請求項13に記載の埋め込み電極アレイ。
【請求項15】
取り付けられた埋め込み電極アレイ内の複数の組織培養ウェルへの前記1つ以上の刺激信号として使用するための試験信号を受信するための、1つ以上の信号コネクタと、
前記取り付けられた埋め込み電極アレイ内の前記複数の組織培養ウェルの各々に対する刺激信号を送信しかつ前記組織細胞サンプルの各々から複数の応答信号を受信するための複数のコネクタピンを有する、1つ以上のインターフェース信号コネクタと、
複数のデータチャネルに編成された応答信号のうちの1つ以上を受信しかつ前記複数のデータチャネルの各々に対するデータセットとして送信するために前記応答信号をデジタル化するように各々が構成された、複数の増幅器-デジタイザ回路と
を備える、インターフェースプリント回路基板。
【請求項16】
前記試験信号が、外部関数発生器から受信される、請求項15に記載のインターフェースプリント回路基板。
【請求項17】
前記複数のデータチャネルの各々に対する前記データセットが、前記組織培養ウェルの一部からの前記データセットに対応するデータセットのグループにおいて、前記複数の増幅器-デジタイザ回路によって生成される、請求項15に記載のインターフェースプリント回路基板。
【請求項18】
前記複数の増幅器-デジタイザ回路の各々が、16個のデータチャネルを生成するために、前記1つ以上の応答信号のうちの16個を受信する、請求項17に記載のインターフェースプリント回路基板。
【請求項19】
128個のデータチャネルの2つのグループに編成された256個のデータチャネルを生成するために、16個の増幅器-デジタイザ回路を備える、請求項18に記載のインターフェースプリント回路基板。
【請求項20】
前記2つのグループのうちの1つの128個のデータチャネルを一度に外部データコレクタに接続するデジタルスイッチを更に備える、請求項18に記載のインターフェースプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に引用される全ての特許、特許出願、及び刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載され特許請求される本発明の日付時点での当業者に既知の最新技術をより完全に記載するために、これらの刊行物の開示は、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本特許開示は、著作権保護の対象となる、材料を含む。著作権所有者は、米国特許商標局の特許ファイル又は記録に表れているような特許文書又は特許開示をいかなる者がファクシミリ複製することにも異議はないが、それ以外では、あらゆる全ての著作権を留保する。
【0003】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月7日に出願された「EMBEDDED ELECTRODE ARRAY」という名称の米国仮特許出願第63/286,959号に基づいて優先権の利益を主張するものである。この出願全体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
発明の分野
本出願は、概して、生物学的試験デバイスを備えている装置に関し、より具体的には、細胞サンプルを試験することが可能な埋め込み電極アレイ(EEA)を備えている装置に関する。
【背景技術】
【0005】
背景
種々の細胞型内での活性に対する薬理学的薬剤の適用の効果は、ほとんどの研究努力の一部である。試験されるこのような細胞活性の1つは、代表的な神経細胞のサンプルへの薬物導入の末梢神経毒性を含む。この試験は、試験環境において細胞サンプルを増殖させること、電極を細胞サンプル内の種々の位置に接続すること、細胞を電気的に刺激すること、及び感知電極において観察される応答を記録することを含む。
【0006】
現在の試験手順は、1つ以上の電気刺激に対する観察された応答の単一電極記録を取得することを利用する。刺激電極及び感知電極は、細胞サンプルに手動で挿入され、1つ以上の電気刺激が細胞サンプルに印加され、応答が感知電極で記録される。刺激電極及び感知電極は、1つ以上の電気刺激を生成する電子機器と、感知信号において観察された応答をデジタル的にサンプリングする記録電子機器とに電気的に結合される。記録されたデジタルサンプルデータは、後の分析のためにコンピューティングシステム内に記憶され得る。
【0007】
電極を細胞サンプルに手作業で挿入し、細胞刺激及び応答記録を行うことは、多くの欠陥を有する。各単一の記録は、技術者によって手作業で行われる。技術者は、細胞サンプル内の反復可能な位置への電極挿入を実行するように訓練されなければならず、これは訓練及び実行することが困難であり得る。試験プロセスにおいて実行されるステップは、迅速で反復可能な自動化された試験を生じさせず、試験結果のばらつきをもたらし、最終的に特定の試験から得られる結果に影響を与える可能性がある。この試験手順はまた、品質保証のためにサンプルのセットを使用し、薬理学的薬剤の適用からの細胞サンプルに対するより長期の効果を検出する試験の繰り返しを防げる。
【0008】
したがって、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを備えている装置が必要とされている。本発明は、本明細書に開示される原理及び例示的な実施形態に従って、従来の解決策における制限及び欠陥に対処しようと試みる。
【発明の概要】
【0009】
概要
本発明によれば、上記及び他の問題は、本明細書に開示される原理及び例示的な実施形態に従って細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイ(EEA)を有する装置を提供することによって解決される。
【0010】
一実施形態では、本発明は、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを備えている装置である。本装置は、埋め込み電極アレイ;インターフェースプリント回路基板;応答信号を受信して複数のデータチャネルにサンプリングするために、1つ以上の刺激信号と、インターフェースプリント回路基板内の複数のデータチャネルとを設定するための、試験コントローラ;ならびに処理及び記憶のために複数のデータチャネルに対するデータセットを受信するためのデータコレクタ、を含む。埋め込み電極アレイは、組織細胞サンプルを収容するための複数の電極パッドを各々が有する、複数の組織培養ウェル;複数の組織培養ウェルの各々に対する刺激信号を受信しかつ組織細胞サンプルの各々から複数の応答信号を生成するための複数のコネクタピンを有する、1つ以上の信号コネクタ;ならびにEEAプリント回路基板内に埋め込まれた複数の回路配線を含み、複数の回路配線の各々は、複数のコネクタピンのうちの1つを各組織培養ウェル内の電極パッドに接続する。インターフェースプリント回路基板は、1つ以上の刺激信号として使用するための外部関数発生器からの信号を受信するための1つ以上の信号コネクタと、複数の増幅器-デジタイザ回路とを含む。増幅器-デジタイザ回路の各々は、複数のデータチャネルに編成された複数の応答信号のうちの1つ以上を受信し、複数のデータチャネルの各々に対するデータセットとして送信するために応答信号をデジタル化するように構成される。
【0011】
本発明の一態様では、複数の組織培養ウェルの各々は、細胞を組織細胞サンプルへと培養する細胞チャネル層と、細胞チャネル層の2つの端部の各々に配置された、一対の組織培養ウェルと、細胞チャネル層にわたって配置された複数の電極パッドのうちの8つの電極パッドと、一対の組織培養ウェルの各々の中の複数の電極パッドのうちの単一の電極パッドとを含む。
【0012】
本発明の別の態様では、埋め込み電極アレイは、複数の回路配線を画定するためのEEAプリント回路基板内の一対の埋め込み銅層と、前記埋め込み銅層の対の間のベースポリイミド層と、2つの銅層のうちの一方の表面にある上部ポリイミド層と、2つの銅層のうちの一方の表面にある下部ポリイミド層とを更に含む。
【0013】
本発明の別の態様では、埋め込み電極アレイは更に、2つの銅層のうちの1つと上部ポリイミド層との間の軟質金電気めっき層中にある。
【0014】
本発明の別の態様では、組織培養ウェルの各々は、上部ポリイミド層内にあり、細胞チャネル層及び組織培養ウェル内の複数の電極を露出させる。
【0015】
本発明の別の態様では、試験信号は外部関数発生器から受信される。
【0016】
本発明の別の態様では、複数のデータチャネルの各々に対するデータセットは、組織培養ウェルの一部からのデータセットに対応するデータセットのグループにおいて、複数の増幅器-デジタイザ回路によって生成される。
【0017】
本発明の別の態様では、複数の増幅器-デジタイザ回路の各々は、16個のデータチャネルを生成するために、1つ以上の応答信号のうちの16個を受信する。
【0018】
本発明の別の態様では、インターフェースプリント回路基板は、128個のデータチャネルの2つのグループに編成された256個のデータチャネルを生成するために、16個の増幅器-デジタイザ回路を備える。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、組織細胞サンプルを収容するための複数の電極パッドを各々が有する複数の組織培養ウェルと、複数の組織培養ウェルの各々に対する刺激信号を受信しかつ組織細胞サンプルの各々から複数の応答信号を生成するための複数のコネクタピンを有する、1つ以上の信号コネクタと、EEAプリント基板内に埋め込まれた複数の回路配線であって、複数の回路配線の各々が、複数のコネクタピンのうちの1つを各組織培養ウェル内の電極パッドに接続する、複数の回路配線と、を含む、埋め込み電極アレイである。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、取り付けられた埋め込み電極アレイ内の複数の組織培養ウェルへの1つ以上の刺激信号として使用するための試験信号を受信する1つ以上の信号コネクタと、取り付けられた埋め込み電極アレイ内の複数の組織培養ウェルの各々に対する刺激信号を送信しかつ組織細胞サンプルの各々から複数の応答信号を受信する複数のコネクタピンを有する、1つ以上のインターフェース信号コネクタと、複数のデータチャネルに編成された応答信号の1つ以上を受信し、複数のデータチャネルの各々に対するデータセットとして送信するために応答信号をデジタル化するように各々構成された複数の増幅器-デジタイザ回路とを含むインターフェースプリント回路基板である。
【0021】
上記は、以下の本発明の詳細な説明がより良く理解され得るように、本発明の特徴及び技術的利点をかなり広く概説している。本発明の特許請求の範囲の主題を形成する本発明の追加の特徴及び利点を以下に説明する。
【0022】
開示される概念及び特定の実施形態は、本発明の同じ目的を実行するために他の構造を修正又は設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって理解されよう。また、そのような等価な構成が、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨及び範囲から逸脱しないことも、当業者によって理解されよう。本発明の特徴であると考えられる新しい特徴は、その構成及び動作方法の両方に関して、更なる目的及び利点とともに、添付の図面に関連して考慮されるとき、以下の説明からより良く理解されるであろう。しかしながら、各図は、例示及び説明のみを目的として提供されており、本発明の限定の定義として意図されていないことが明確に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
ここで図面を参照するが、同様の参照番号は全体を通して対応する部分を表す。
図1】本発明による、細胞サンプルを試験することができる手動記録態様を使用する細胞サンプル試験の例示的な実施形態を示す図である。
図2】本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを備えている装置を示す図である。
図3】本発明による、細胞サンプルを試験することができる複数の埋め込み電極アレイを備えるプリント回路基板の上に組み立てられた組織培養プレートを示す図である。
図4A】本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイへのコネクタの拡大図を示す図である。
図4B】本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイへのコネクタの拡大図を示す図である。
図4C】本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイへのコネクタの拡大図を示す図である。
図5】本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを複数のコネクタに結合する信号線を有するプリント回路基板を示す図である。
図6】本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを備えている装置を示す図である。
図7】本発明による、細胞サンプルを試験することができる複数の埋め込み電極アレイを備えるプリント回路基板を示す図である。
図8】本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイの拡大図を示す図である。
図9】本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを複数のコネクタに結合する信号線を有するプリント回路基板を示す図である。
図10A】本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを備えている装置内の構成要素を示す図である。
図10B】本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを備えている装置内の構成要素を示す図である。
図11】本発明による、埋め込み電極アレイ100内の複数の組織培養ウェルから収集されたデジタルチャネルデータの例示的なグラフ表示を示す図である。
図12】本発明による、細胞サンプルを試験する埋め込み電極アレイ100の複数の回路配線からデジタルチャネルデータを収集するための自動試験プロセスの例示的なグラフ表示を示す図である。
図13A】本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを結合する信号線を有するプリント回路基板から収集されたデジタルチャネルデータの処理されたセットの例示的な結果を示す図である。
図13B】本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを結合する信号線を有するプリント回路基板から収集されたデジタルチャネルデータの処理されたセットの例示的な結果を示す図である。
図14】本発明による、試験コントローラの特定の実施形態に従って適合されたコンピュータシステムを示す図である。
図15】本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイコントローラのソフトウェア構成要素のコンピューティングシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
本出願は、概して、生物学的試験デバイスのための装置に関し、より具体的には、本発明に従って細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイ(EEA)を備えている装置に関する。
【0025】
本発明の様々な実施形態は、本明細書に添付される上述の図面を参照して詳細に説明され、同様の参照番号は、いくつかの図を通して同様の部品及びアセンブリを表す。しかしながら、これらの図面は、本明細書に説明される装置の選択された実施形態及び要素のみを図示し、したがって、本明細書に説明されるような装置の範囲を限定すると見なされるべきではなく、他の同等に有効な実施形態及び用途を認め得ることに留意されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。更に、本明細書に記載される任意の例は、限定することを意図するものではなく、特許請求される発明の多くの可能な実施形態のうちのいくつかを単に記載するものである。
【0026】
本発明の実施形態を説明する際に、以下の用語が使用される。単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、複数の指示対象を含む。本明細書で使用される場合、複数の項目、構造要素、組成要素、及び/又は材料は、便宜上、共通のリストに提示され得る。しかしながら、これらのリストは、リストの各メンバーが別個の固有のメンバーとして個々に識別されるかのように解釈されるべきである。したがって、そのようなリストの個々のメンバーは、それと反対の指示がない限り、共通のグループにおけるそれらの提示のみに基づいて、同じリストの任意の他のメンバーの事実上の同等物として解釈されるべきではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。
【0027】
「含む」、「含んでいる」、「包含する」、及び「包含している」という用語は、述べられた特徴、ステップ、又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、又は構成要素の存在又は追加を排除しないことが更に理解されるであろう。いくつかの代替の実装形態では、記載された機能及び動作は、図に記載された順序とは異なる順序で行われ得ることにも留意されたい。例えば、連続して示される2つの図は、実際には、関連する機能及び動作に応じて、実質的に同時に実行されてもよく、又は時には逆の順序で実行されてもよい。
【0028】
「個人」及び「ユーザ」という用語は、本発明に従って細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを備えている装置を使用するエンティティ、例えば、人間を指す。本明細書における「ユーザ」という用語は、1人以上のユーザを指す。
【0029】
「埋め込み電極アレイ」及び「EEAプリント回路基板」という用語は、組織細胞サンプルを刺激信号源及び信号記録回路に電気的に結合するアレイプレートのプリント回路基板内に埋め込まれた電極を使用して組織細胞サンプルを試験するための1つ以上の培養ウェルを有する装置を指す。細胞サンプルは、組織培養ウェルから外側に延在するプリント回路基板内の細胞チャネル層内で増殖される。1つ以上の電極は、組織細胞サンプルを刺激信号源に電気的に結合する規定された間隔で細胞チャネル層内の細胞サンプルに露出される。信号記録回路は、組織培養ウェル内の組織細胞サンプルに電気的に結合される。好ましい実施形態では、細胞チャネル層は、Cirlexチャネルを生成するためにCirlex材料から構築されてもよい。「埋め込み電極アレイ」及び「EEAプリント回路基板」という用語は、互換的に使用され得る。
【0030】
「発明」又は「本発明」という用語は、「埋め込み電極アレイプレート」というタイトルの特許出願を介して出願されている発明を指す。本発明という用語は、EEAプレートと互換的に使用され得る。
【0031】
「プリント回路基板」という用語は、制御された方法で電子部品を互いに接続するために電気及び電子工学で使用される媒体を指す。それは、導電層及び絶縁層の積層サンドイッチ構造の形態をとり、導電層の各々は、非導電性基板のシート層の上及び/又は間に積層された銅の1つ以上のシート層からエッチングされた、平坦な表面上の配線に類似したトレース、平面、及び他の特徴のアートワークパターンで設計される。電気部品は、部品の端子を受け入れるように設計された形状の外側層上の導電性パッドに、一般にはんだ付けによって固定されて、電気的に接続するとともに機械的に固定することができる。別個の製造プロセスは、層間の相互接続を可能にするめっきスルーホールを追加することができる。
【0032】
「電極」という用語は、回路の非金属部分、例えば組織細胞サンプルと接触するために使用される導電体を指す。
【0033】
「組織細胞サンプル」という用語は、組織培養ウェル内で培養され、複数の電極と接触する組織培養ウェル内のCirlexチャネルにわたって培養された神経細胞を指す。
【0034】
用語「組織培養ウェル」は、試験される組織細胞サンプルを受容するためのプリント回路基板内の窪んだ空洞をいう。組織細胞サンプルは、Cirlexチャネルに沿って培養され、組織培養ウェル内に配置された信号記録電極から規定された距離だけ外側に延在する。
【0035】
「Cirlexチャネル」という用語は、試験される組織細胞サンプルを成長させるためのプリント回路基板内の陥凹空洞又は細胞チャネル層を指す。組織細胞サンプルは、Cirlexチャネルに沿って、組織培養ウェル内に配置された信号記録電極から規定の距離にわたって延在する。1つ以上の刺激信号電極は、組織培養ウェル内に位置する信号記録電極から規定された距離に配置される。Circlexチャネル及び細胞チャネル層という用語は、互換的に使用され得る。
【0036】
「刺激信号」という用語は、組織培養ウェル内の複数の電極のうちの1つを介して組織細胞サンプルに印加される電気信号を指す。
【0037】
「応答信号」という用語は、組織細胞サンプルへの刺激信号の印加に応答して組織培養ウェル内の1つ以上の電極で観察及びサンプリングされた電気信号を指す。
【0038】
「Intan RHS増幅器チップ」という用語は、複数の独立した刺激装置/増幅器チャネルを有する完全な双方向電気生理学インターフェースを備える、カリフォルニア州ロサンゼルスのIntan Technologiesによって製造された集積回路を指す。各チャネルは、構成可能な低雑音生体電位増幅器と、細胞外微小電極のための刺激パルスを生成することができるプログラム可能な定電流刺激装置とを統合する。
【0039】
「末梢神経毒性」という用語は、毒性物質への曝露によって引き起こされる中毒性神経障害又は神経損傷を指す。末梢神経毒性は、末梢神経障害の一形態であり、脳及び脊髄から離れた神経への損傷である。末梢神経障害は、腕及び手又は脚及び足の神経に生じる。
【0040】
「振幅分布」という用語は、組織神経細胞にわたる様々な距離で組織神経細胞に印加される一連の刺激信号から生成される記録された信号値の数学的分布を指す。数学的分布は、組織細胞サンプルにわたる既知の距離で記録された信号の測定された振幅によって記録された信号値を編成する。
【0041】
「速度分布」という用語は、組織神経細胞にわたる様々な距離で組織神経細胞に印加される一連の刺激信号から生成される記録された信号値の数学的分布を指す。数学的分布は、組織細胞サンプルにわたる既知の距離における記録された信号の計算された信号速度によって記録された信号値を編成する。刺激信号の印加位置から特定の距離で測定される記録信号値の到達時間値を測定することにより、特定の距離を記録信号の到達時間で割ったものとして測定速度を計算することができる。
【0042】
一方、本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語や単語は、一般的な意味及び辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者が最善の説明のために用語を適切に定義することができるという原理に基づいて、本発明の技術的側面に対応する意味及び概念に基づいて解釈されなければならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面は、本発明の好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的側面をすべて代弁するものではなく、本出願時点においてこれらに代替できる多様な同等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0043】
概して、本開示は、本発明による細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイ(EEA)を備えている装置に関する。本発明をより良く理解するために、図1は、本発明による細胞サンプルを試験する装置を使用する細胞サンプル試験の例示的な実施形態を示す。細胞サンプル試験装置100は、外側細胞制限層内を走る内側細胞許容チャネル105内で培養された組織細胞サンプル101を含む。内側細胞許容チャネル105及び外側細胞制限層106は、ヒドロゲル又はポリスチレン若しくは環状オレフィンコポリマーのようなプラスチックのいずれかで作製され得る。信号記録電極103は、印加された刺激信号に対する組織細胞サンプル101内で観察された応答を記録するために、組織培養ウェル104内に配置される。1つ以上の刺激電極102が、信号記録電極103から既知の距離でCirlexチャネル205内に配置されて、印加された刺激信号を組織細胞サンプル101に導入し、信号記録電極103による組織細胞サンプル101内の応答信号の観察を可能にする。組織細胞サンプル101への刺激信号の印加は、1つ以上の刺激電極102の各々で繰り返されて、Cirlexチャネル205に沿って一定間隔のセットで応答を得て、組織細胞サンプル101を通る刺激信号の伝達を測定することができる。
【0044】
組織細胞サンプル101の類似の試験に対する既存のアプローチは、刺激電極102及び信号記録電極103を、内部細胞許容チャネル105内で増殖した組織細胞サンプル101に挿入するが、本発明は、組織細胞サンプル101からの電極の挿入及び除去による位置及び距離の誤差を導入することなく、外部細胞制限層106内の刺激電極102及び信号記録電極103を使用して、試験が繰り返し行われることを可能にする。
【0045】
内細胞許容チャネル105内での組織細胞サンプル101の増殖を含むこのような試験の例は、PCT特許出願第PCT/US2015/050061号(2015年9月14日出願、名称「NEURAL MICROPHYSIOLOGICAL SYSTEMS AND METHODS OF USING THE SAME」)、及びPCT特許出願第PCT/US2018/063861号(2018年12月4日出願、名称「CELL SYSTEMS USING SPHEROIDS AND METHODS OF MAKING AND USING THE SAME」)に詳細に開示されている。これらの出願は、同一出願人によるものであり、参照によりあたかもその全体が本明細書に記載されているかのように組み込まれる。
【0046】
図2は、本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを備えている装置を示す図である。Cirlexチャネル205のいずれかの端部に配置された一対の組織培養ウェル104a~104bを有する単一の組織培養ウェル200が示されている。複数の刺激電極212~219がCirlexチャネル205の中に示され、信号記録電極203、220が組織培養ウェル104a~104bの各々内に示されている。Cirlexチャネル205内に露出された複数の刺激電極212~219の各々は、PCB 206内の回路配線222~229の対応するセットの端部に位置する。同様に、信号記録電極203、220の両方は、対応する回路配線221、230の端部に配置される。
【0047】
組織細胞サンプル101は、組織培養ウェル204a~204bのうちの1つの中に配置され、刺激電極212~219及び信号記録電極211、220の各々に接触しながら、Cirlexチャネル205の長さに及ぶように培養される。回路配線221~230のセットは、図9~10を参照して以下に説明される刺激信号源及び1つ以上の信号記録回路に電気的に結合される。図10に示される自動試験システム1000は、埋め込み電極アレイ100に接続されて、組織細胞サンプル101に印加される刺激信号を自動的に生成し、一方、応答信号は、信号記録電極211、220を介して受信及び取得される。
【0048】
一対の基準電圧電極201~202は、組織培養ウェル204a~204bの各々に隣接して配置される。これらの電極201~202は、ここでは組織培養ウェル200に電圧又は電流を印加して、試験前に組織細胞サンプル101のより速い成長を刺激することができる。これらの電極201~202は、ノイズを低減するために、EEAプレートの接地への外部BNCコネクタ(インキュベータ及び建物接地に接続される)に接続される。
【0049】
図3は、本発明に従って細胞サンプルを試験することができる複数の埋め込み電極アレイを備えるプリント回路基板(PCB)を示す。単一の組織培養ウェル200は、図3及び5に示されるように、単一のPCB 106上で複数回複製されてもよい。図2に示される組織培養ウェル200内の各電極211~220を、PCBアレイ500に取り付けられたコネクタ561~565のセットに接続する回路配線222~229のセットが図5に示される。回路配線222~229のセットのこの配置は、複製された組織培養ウェル501~504、511~514、521~524、531~534、541~544、及び551~554の各々について繰り返される。コネクタ561~565上の各ピンは、自動試験システム1000内で別々に制御することができる。
【0050】
図4a~図4cは、本発明による、自動試験システム1000を作成するために、複数の埋め込み電極アレイ100を、対応する刺激信号源及び図9に示す1つ以上の信号記録回路に接続することを示す。PCBアレイ500は、刺激信号源及び1つ以上の信号記録回路PCB基板900を含む、その対応するインターフェースPCB 900に電気的に結合される。
【0051】
図4a~図4bは、コネクタ561~565を介したPCB基板の結合を示す。図4aは、コネクタ412から取り外された接続ケーブル411との接続を示し、図4bは、コネクタ412に挿入された接続ケーブル411を示す。この構成は、PCBアレイ500上のコネクタ561~565の各々について繰り返されてもよい。複数の接続ケーブル411は、図4cに示されるようにコネクタ561~565に取り付けられ得る単一のコネクタに組み合わされ得る。
【0052】
PCBアレイ500は、各組織培養ウェル200内の信号記録電極103の各々から応答信号をサンプリングし得る、図9~10に示されるインターフェースPCB 900に渡された回路配線221~230のセットの端部に電極を有する複数の組織培養ウェル200を含む。インターフェースPCB 900はまた、刺激電極212~219を介して組織細胞サンプル101に印加される刺激源を含む。インターフェースPCB 900は、PCBアレイ500の各組織培養ウェル200内の組織細胞サンプル101に対して行われる試験をプログラム的に定義することをサポートする試験コンピューティングシステム1001によって制御される。
【0053】
図9及び図10a~図10bの自動試験システム1000は、複製された組織培養ウェル501~504、511~514、521~524、531~534、541~544、及び551~554のサブセットに対して、例えば、複製された組織培養ウェル501~504の列において、一度に試験を行うことができる。典型的な試験は、PCBアレイ900の上半分及び下半分を別々に試験する。例えば、試験1はウェル(501、502、511、512、521、522、531、532、541、542、551、552)に対して行われ、試験2は残りのウェルに対して行われる。回路配線222~229のセットは、図6図8を参照して以下に開示されるように、PCBアレイ500内にあるように製造され、刺激電極212~219及び信号記録電極211、220は、組織細胞サンプル101に対する銅の影響を排除するために、軟質金(Au)層を用いて完成される。
【0054】
上記の例は、電極211~220の複数の可能な配置及び使用のうちの1つを説明している。電極211~220はすべて刺激及び記録が可能である。典型的なセッションは、刺激のために1つの電極(例えば、215)を選択する一方で、他の電極211~220の全てを記録する。
【0055】
組織培養ウェル200の数及び配置は、実行される任意の試験の要件によって必要に応じて変更されてもよく、PCBアレイ500のサイズ、コネクタ561~565の数及び配置、並びに自動試験システム1000によって支持されるチャネルの数に関する製造関連の考慮事項によって制限されてもよい。各組織培養ウェル200からのPCBアレイ500上の回路配線222~229のセットは、支持されるチャネルの数によって必要とされ得るように、PCBアレイ500内の任意の数の層に配置され得る。
【0056】
図6は、本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを備えている装置を示す図である。埋め込み電極アレイ500の分解図600は、アクリルウェル層601、PSA(感圧接着剤)ウェル層602、Cirlexチャネル層603、PSAチャネル層604、及びPCB層605を含む。
【0057】
アクリルウェル層601は、PCBアレイ500上の複数の組織培養ウェル200の各々に対して分離された培地リザーバを形成する。このアクリルウェル層601は、COレーザを使用してレーザカットされ、所望のパターンを生成する。他の実施形態では、埋め込み電極アレイ500はまた、ポリカーボネート材料から作られた射出成形されたアレイボードを含んでもよい。
【0058】
PSAウェル層602は、ウェル層601をチャネル層603及びPCB層605に結合して、各組織培養ウェル200のための培地リザーバを形成する接着剤である。このPSAウェル層602は、厚さ81μmのAdhesive Research社の感圧接着剤である。PSAウェル層602は、COレーザを使用してレーザカットされ、所望のパターンを生成する。
【0059】
Cirlexチャネル層603は、電極211~220にわたる軸索成長を誘導する細胞制限鋳型を形成する。Cirlexチャネル層603は、公称厚さ500μmのCirlexと呼ばれるタイプのポリイミドである。Cirlexは、カリフォルニア州バレンシアのFralock社によって製造され、UVレーザを使用してレーザカットされ、組織培養ウェル200内に所望のパターンのチャネルを生成できる。
【0060】
PSAチャネル層604は、チャネル層をPCB層605に結合して、電極にわたる軸索成長を誘導する細胞制限モールドを形成する接着剤である。この接着材料は、厚さ81μmのAdhesive Research社の感圧接着剤である。それは、所望のパターンを作り出すためにUVレーザを使用してレーザカットされる。
【0061】
PCB層605は、実際の埋め込み電極アレイを含むPCBアレイ500の可撓性PCB材料に対応する。これは、ポリイミド、銅上に電気めっきされた軟質金、及び接着層の複数の層からなる複合デバイスである。このPCB層は、以下で説明する図8を参照して詳細に説明される。
【0062】
上記層601~605の各々は、完成した層が単一の埋め込み電極アレイ100に接合された状態で別々に製造される。層が単一のデバイスに接合されると、コネクタ561~565は、埋め込み電極アレイ100全体が自動試験システム1000に接続される前に、適所に挿入され、はんだ付けされてもよい。
【0063】
PCBアレイ500の複数の組織培養ウェル200は、これらの層の各々における開口部、空洞、及びチャネルをカットすることによって作成される。上記の層601~605が互いに結合されると、電極211~220は、これらの層の各々における開口部、空洞、及びチャネルが適切に整列されると、組織培養ウェル200内に露出される。各組織培養ウェル200内のCirlexチャネル205及び組織培養ウェル104もまた、整列されたときに任意の所与の層の上の各開口部として露出され、組織細胞サンプル101を試験する際に使用するために、組織培養ウェル104、Cirlexチャネル105、及び電極211~220へのアクセスを可能にするように構成される。
【0064】
図7は、本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイの例示的な組織培養ウェル内の電極パッドのセットを示す。各端部に組織培養ウェル702a~702bを有するCirlexチャネル701が示されている。電極パッド703a~703b、704a~704fは、各組織培養ウェル200内に上向きに延在する各回路配線222~229の端部であり、組織培養ウェル702a~702b及びCirlexチャネル701内に配置されて示されている。Cirlexチャネル701内の各電極パッド704a~704fは、直径が50μmであり、その長さに及ぶ軸に沿って中心に置かれている。Cirlexチャネル701自体は、幅200μmの組織培養ウェルである。700μmの直径を有する組織培養ウェル702a~702bは各々、その中心にやはり50μmの直径を有する電極パッド703a~703bを有する。
【0065】
組織培養ウェル701a~701b間の距離は9mmであり、Cirlexチャネル701内の電極パッド704a~704fの各隣接対間の距離は1mmである。PCBアレイ内の組織培養ウェル702a~702b内の各電極パッド703a~703b間の距離は500μmである。これらの距離は全て、各電極パッドの中心から測定される。
【0066】
これらの電極パッド703a~703b、704a~704fの位置及び間隔は、製造中に制御されて、2つの電極パッドの任意の対の間の距離が既知であり、埋め込み電極アレイ100のすべての組織培養ウェル200において一貫していることを確実にする。試験に使用される場合、刺激信号は、これらの電極パッド704a~704fのうちの1つに印加され、応答信号は、組織培養ウェル200内の他の電極パッドの全てにおいて観察される。刺激信号内で発生する事象、例えば、方形波の1つの極値から方形波の別の極値への電圧変化は、刺激信号内で識別され得る。各応答信号内で観察される応答は、刺激信号を組織細胞サンプル101に導入する電極と、特定の応答信号に対応する電極704a~704fとの間の距離に応じて、刺激信号における事象発生に対して異なる時点で発生し得る。応答信号の各々における応答の発生におけるこの観察された遅延及びそれらの互いの間の距離は、組織細胞サンプル101に沿った刺激信号の観察された速度を計算するために使用され得る。電極パッド703a~703b、704a~704fの位置及びサイズの公差は、時間及び速度値の任意の測定において可能な精度を制約する。これらの距離、時間、及び速度の値、並びに応答信号において観察される対応する振幅値は、組織培養ウェル200内の組織細胞サンプル101に適用される薬理学的材料の存在の有無の両方で、組織細胞サンプル101内の電気的活性に関連する種々のメトリックを計算するために使用され得る。
【0067】
図8は、本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイの拡大図を示す図である。PCBアレイ500は、図8に示されるような多層基板800を使用して構築されてもよい。組織培養ウェル200の断面図が、多層ボード800の最上層内に示されている。多層基板800は、底部ポリイミドカバー層801、第1の接着カバー層802、底部銅層803、ポリイミドベース層405、上部銅層805、第2の接着カバー層806、上部ポリイミドカバー層807、及び軟質金電気めっき層810を含む。代替の実施形態では、ENIG(無電解ニッケル浸漬金)層が使用されてもよい。
【0068】
底部ポリイミドカバー層801は、PCBアレイ500の底部側に配置された合成材料層であり、試験に使用されている間、その内部材料をPCBアレイ500の環境から封じ込める。ポリイミド材料は、12.5μmの厚さを有するポリイミドモノマーのストリングから作製された織物又は材料である。好ましい実施形態において、ポリイミド材料は、DuPont Corporation社(デラウェア州ウィルミントン)によって製造されるDuPont Pyralux APカバーレイ及びDupont Pyralux LFカバーレイに対応する。他の類似のポリイミド材料も利用することができる。
【0069】
第1の接着カバー層802は、底部ポリイミドカバー層801を底部銅層803に結合する。第1の接着カバー層802は、好ましい実施形態では12.5μmの厚さを有する。接着剤カバー層802は、DuPontカバーレイの一部であり、「独自のBステージ変性アクリル接着剤」として機能する。より一般的なクラスは、Bステージアクリル接着剤である。
【0070】
底部銅層803は、回路配線221~230のセットが画定される2つの銅層のうちの第1の銅層である。回路配線221~230の各々は、組織培養ウェル200内の電極211~220の1つからコネクタ561~565内の接続ピンまでの銅の分離した層である。回路配線222~229は、ポリイミドベース層405に沿って互いに絶縁され、1つの回路配線から別の回路配線への電気的干渉を低減又は排除するように構成される。一セットの回路配線221~230が存在しない場所では、例えば、一対の回路配線の間で、第1の接着カバー層802がポリイミドベース層405まで上方に延在する。各銅層は、約17.5μmの厚さである0.5ozの銅から作製され得る。
【0071】
ポリイミドベース層405は、底部銅層803及び上部銅層805を互いに電気的に絶縁するためにPCBアレイ500内に配置された合成材料層である。ポリイミドベース層405はまた、PCBアレイ500に剛性及び構造を提供して、その使用及びその中で増殖及び試験される組織細胞サンプル101を支持する。
【0072】
上部銅層805は、回路配線221~230のセットが画定される2つの銅層のうちの第2の銅層である。回路配線221~230の各々は、組織培養ウェル200内の電極211~220の1つからコネクタ561~565内の接続ピンまでの銅の分離した層である。回路配線222~229は、ポリイミドベース層405に沿って互いに絶縁され、1つの回路配線から別の回路配線への電気的干渉を低減又は排除するように構成される。回路配線222~229の全ては、一緒に接続され得る底部銅層803又は上部銅層805のいずれかの上に画定され、銅層はビアの使用を通して完成され、追加の銅が2つの層を接続するスルーホール内にめっきされる。しかしながら、全ての電極が上部銅層上に配置されるので、電極自体はビアではない。当業者であれば、回路配線222~229のセットが、別個のポリイミドベース層によって分離される3つ以上の銅層上に画定され得ることを理解する。底部銅層803と同様に、上部銅層805は、約17.5μm厚の0.5ozの銅で作られてもよい。
【0073】
第2の接着カバー層806は、上部ポリイミドカバー層807を上部銅層805に結合する。第2の接着カバー層806は、好ましい実施形態では12.5μmの厚さを有する。接着剤はDuPontカバーレイの一部として提供される。これは、独自のBステージ変性アクリル接着剤である。より一般的なクラスに属する類似の接着剤、例えば、Bステージアクリル接着剤も使用することができる。上部銅層805は、図2に示され上述されたように、Cirlexチャネル205に沿って組織培養ウェル200内に延在する。回路配線221~230のセットが存在しない場所では、一対の回路配線の間で、例えば、第2の接着カバー層806がポリイミドベース層405まで下方に延在する。
【0074】
上部ポリイミドカバー層807は、PCBアレイ500の上側に配置された合成材料層であり、試験に使用されている間、その内部材料をPCBアレイ500の環境から封じ込める。ポリイミド材料は、上述した底部ポリイミドカバー層と同様に、12.5μmの厚さを有するポリイミドモノマーのストリングから作られたファブリック材料である。各組織培養ウェル200は、各組織培養ウェル200の特定の位置での切除に対応する。上部ポリイミドカバー層807及び第2の接着カバー層806を通る切除は、組織培養ウェル200内の電極211~220を露出させる。
【0075】
軟質金電気めっき層810は、上部銅層805に電気めっきされる表面めっきである。ENIG層810は、組織培養ウェル200内で組織細胞サンプル101及び電極211~220の電気パッドを形成する任意の支持材料に曝露されて、電極211~212を腐食及び他の異常から保護する。ENIG層810は、約1μmの公称厚さを有するが、他の厚さが利用されてもよい。
【0076】
図9は、本発明による、複数のコネクタに対して細胞サンプルを試験することができるプリント回路基板を示す。上述したように、自動試験システム1000は、PCBアレイ500及びインターフェースPCB 900を利用して、試験動作を実行し、観察された刺激に対する応答に関連するデータを記録する。インターフェースPCB 900は、PCBアレイ500に電気的に結合され、インターフェースPCB 900の構成要素が刺激信号を提供し、対応する応答を観察することを可能にする。試験動作の全シーケンスは、図10を参照して以下に説明するように、試験コントローラ1001の制御下で実行される。刺激信号に対する観察された応答に関連付けられたデータは、図10a~図10bを参照して以下に説明されるように、データコレクタ1010内に収集及び記憶される。
【0077】
インターフェースPCB 900の例示的なレイアウトは、刺激信号源と、組織細胞サンプル101内で観察される信号のための1つ以上の信号記録回路とを含む。インターフェースPCB 900は、複数の機能信号トグルスイッチアイソレータ901と、基準電極トグルスイッチ902と、関数発生器接地トグルスイッチ903と、3位置トグルスイッチ904と、デジタルマルチプレクサ制御コネクタ905と、関数発生器コネクタ906と、電源コネクタ907と、コントローラコネクタ908と、複数の増幅器/ADデジタイザ回路915a~915nのうちの対応する1つに各々接続するように構成された複数の基準電極ジャンパコネクタ909a~909nと、接続性チェックインジケータ910とを含む。これらのトグルスイッチ及びジャンパ信号コネクタの各々は、PCBアレイ500の組織培養ウェル200内の組織細胞サンプル101の検査を実行するように自動検査システム1000を構成するために使用される。
【0078】
複数の機能信号トグルスイッチ901は、組織培養ウェル200内の2つの基準電極201~202のうちの1つに電圧を印加するための基準電圧源の選択を可能にする。複数の機能信号トグルスイッチ901は、これらの基準電圧源が、各々4つのウェルの6つのグループに別々の条件を適用することを可能にする。もちろん、必要に応じて、異なる数の複数の機能信号トグルスイッチ901及び各トグルスイッチに対する組織培養ウェル200の異なるグループ分けを使用してもよい。
【0079】
基準電極トグルスイッチ902は、各組織培養ウェル200内の基準電極への増幅器基準電圧として使用される共通接地への接続の選択を可能にする。各組織培養ウェル200内の基準電極へのトグルスイッチ902の設定は、電極211~220上で観察される応答信号内のノイズを排除する。
【0080】
関数発生器接地トグルスイッチ903は、関数発生器の接地信号を、埋め込み電極アレイ100又は各組織培養ウェル200内の基準電極201~202内の共通接地に選択する。好ましい実施形態では、関数発生器接地トグルスイッチ903は、試験時に共通接地を選択するように設定される。
【0081】
3位置トグルスイッチ904は、受信され、処理され、後の使用のために記憶されるデータソースとして使用するための2セットのデータチャネルのうちの1つを選択するマルチプレクサ制御信号のソースを選択する。埋め込み電極アレイ100は、電極211~220上で受信された応答信号を、2セットのデータチャネルを有するデータチャネルに編成する。デジタルマルチプレクサ制御コネクタ905を介して受信される制御信号は、2つのセットのうちのどちらが記憶のためにアクティブに接続されているかを選択する。3位置トグルスイッチ904は、このソースを、第1のセットのデータチャネル、第2のセットのデータチャネル、及びデジタルマルチプレクサ制御コネクタ905を介して埋め込み電極アレイ100によって受信された制御信号で指定されたセットのデータチャネルから選択する。異なる数のセットのデータチャネルへの組織培養ウェル200の編成は、埋め込み電極アレイ100に提供される符号化された選択値とともに使用されて、2セットを超えるデータチャネルからアクティブなセットのデータチャネルを選択してもよい。
【0082】
デジタルマルチプレクサ制御コネクタ905は、好ましい実施形態ではBNCタイプのコネクタであり、受信され、処理され、後で使用するために記憶されるデータソースとして使用するデータチャネルの選択を制御する。埋め込み電極アレイ100は、電極211~220上で受信された応答信号を、2セットのデータチャネルを有するデータチャネルに編成する。デジタルマルチプレクサ制御コネクタ905を介して受信される制御信号は、2セットのうちのどちらが記憶のためにアクティブに接続されているかを選択する。異なる数のセットのデータチャネルへの組織培養ウェル200の編成は、埋め込み電極アレイ100に提供される符号化された選択値とともに使用されて、2セットを超えるデータチャネルからアクティブなセットのデータチャネルを選択してもよい。
【0083】
関数発生器コネクタ906は、刺激信号として組織細胞サンプル101に印加される信号を提供するために外部関数発生器の接続を可能にする、好ましい実施形態におけるBNC型コネクタである。電圧振幅、周波数、及び信号サイクル間の時間を含む刺激信号の特性は、外部関数発生器によって定義される。この外部信号は、関数発生器コネクタ906を介して受信され、各組織培養ウェル200内の信号記録電極103のうちの1つを使用して組織細胞サンプル101に印加される。
【0084】
電源コネクタ907は、好ましい実施形態ではサブD型コネクタであり、電子機器に供給されてその動作を可能にする外部電源から電力を受け取る。電源コネクタ907は、本明細書に別様に開示されるように、電子機器への電力として使用され得る1つ以上の電圧レベル、及び埋め込み電極アレイ100内で使用される1つ以上の基準電圧のための接続を含んでもよい。代替の実施形態では、電源コネクタ907は、埋め込み電極アレイ100内で必要とされる必要な電源電圧及び基準電圧を生成するために変圧器ベースの電源に供給されるAC電圧を受け入れることができる。
【0085】
コントローラコネクタ908は、以下の図10を参照して開示される外部試験コントローラ1001に埋め込み電極アレイ100を接続する、好ましい実施形態におけるSPIコネクタである。
【0086】
複数の増幅器/ADデジタイザ回路915a~915nは、複数の基準電極ジャンパコネクタ909a~909nを使用して動作状態に構成される。複数の基準電極ジャンパコネクタ909a~909nの各々は、増幅器/ADデジタイザ回路915a~915nのうちの対応する1つに電気的に結合される。
【0087】
接続性チェックインジケータ910は、PCBアレイ500及びインターフェースPCB 900が互いに適切に接続されているかどうかを試験するように設計されたボタン及びLEDに対応する。ユーザがボタンを押し、システムは、接地信号が適切に接続されていることを確認するためにチェックする。適切に接続されると、LEDライトが点灯する。
【0088】
図10a~図10bは、本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを備えている装置内の構成要素を示す図である。図10aは、埋め込み電極アレイ100を利用する自動試験システム1000のブロック図を示す。図10bは、増幅器/ADデジタイザ回路1003のブロック図を示す。自動試験システム1000は、埋め込み電極アレイ100、インターフェースPCB 900、試験コントローラ1001、及びデータコレクタ1010を含む。埋め込み電極アレイ100は、本明細書に開示される1つの埋め込み電極アレイPCB 500である。
【0089】
インターフェースPCB 900は、図10bを参照して以下に説明されるように、1セットのEEAコネクタ1002、複数の増幅器/ADデジタイザ集積回路(IC)1003、データチャネルマルチプレクサ1004、及び制御論理回路1011を含む。
【0090】
データチャネルマルチプレクサ1004は、選択されたデータチャネルからのデータ収集を可能にするアクティブな2セットのデータチャネルのうちの1つを選択する。埋め込み電極アレイ100は、電極211~220上で受信された応答信号を、2セットのデータチャネルを有するデータチャネルに編成する。データチャネルマルチプレクサ1004に提供されるデジタルマルチプレクサ制御コネクタ905を介して受信される制御信号は、2セットのうちのどちらが記憶のためにアクティブに接続されているかを選択する。異なる数のセットのデータチャネルへの組織培養ウェル200の編成は、埋め込み電極アレイ100に提供される符号化された選択値とともに使用されて、2セットを超えるデータチャネルからアクティブなセットのデータチャネルを選択してもよい。
【0091】
制御論理回路1011は、インターフェースPCB 900及び埋め込み電極アレイ100内の様々な電子構成要素を制御する信号を生成するために使用される試験コントローラ1001から制御入力信号のセットを受信する。制御入力信号は、図9を参照して上述した様々なコネクタを使用して、インターフェースPCB 900によって受信され得る。制御論理回路1011は、増幅器/DAデジタイザ回路1003及びデータチャネルマルチプレクサ1005の動作を制御する信号を生成する。
【0092】
試験コントローラ1001は、自動化された組織細胞サンプル101試験プロセスを実施するための動作を実行するプログラム可能なコンピューティングデバイスである。試験コントローラ1001は、埋め込み電極アレイ100の組織培養ウェル200内の1つ以上の刺激電極102上への刺激信号の生成を起動し、刺激信号を受信する組織培養ウェル200と関連付けられたデータチャネルからデジタルデータセットを検索及び記憶するように、インターフェースPCB 900に命令することによって、自動試験プロセスを実装する。試験コントローラ1001は、交互の刺激信号を使用して、交互の組織培養ウェル200に対してこれらの動作を繰り返してもよい。
【0093】
組織細胞サンプル101は、自動試験プロセスで使用される各組織培養ウェル200のCirlexチャネル205内で培養されなければならない。次いで、埋め込み電極アレイ100は、自動化された試験プロセスが開始される前に、適切な環境内に保管されている組織培養ウェル200内の埋め込み電極アレイ100を用いて、本明細書に別様に開示されるように動作するように構成され得る。試験コントローラ1001は、各組織細胞サンプル101からの応答信号データが利用可能な刺激信号のうちの1つを使用して収集されるまで、上記一連の動作を繰り返してもよい。自動化された試験プロセスは、Cirlexチャネル205内での必要な培養が完了してベースラインデータセットを生成した後に、組織細胞サンプル101を使用して実行され得る。1つ以上の化学及び/又は薬理学的材料が、1つ以上の組織細胞サンプル101に適用されてもよく、自動化された試験プロセスは、組織細胞サンプル101内で観察される応答に対する薬理学的材料の効果を表す時系列のデータを得るために、薬理学的材料の適用後に異なる期間で繰り返されてもよい。自動化された試験プロセスは、これらの試験プロセスにおいて異なる量又は濃度の薬理学的材料を使用して適用される様々な薬理学的材料を使用して、特定の薬理学的材料及び類似の薬理学的材料のセットを使用する試験のより大きなセットの一部として広範囲の変数を調査することができる。
【0094】
データコレクタ1010は、埋め込み電極アレイ100の各組織培養ウェル200内の組織細胞サンプル101に印加される刺激信号を生成するデジタル電気生理学的試験装置である。データコレクタ1010はまた、埋め込み電極アレイ100を使用して実行される試験によって生成される時間ベースの応答信号のデジタルデータセットを収集し、記憶する。好ましい実施形態では、データコレクタ1010は、市販のモジュール式電気生理学データ取得システム、例えば、カリフォルニア州ロサンゼルスのIntan Technology社によるIntan Stim/記録システムであってもよい。モジュール式電気生理学データ取得システムはまた、任意の同等の市販のシステムによって提供されてもよい。
【0095】
図10bは、増幅器/ADデジタイザ回路1003のブロック図を示す。インターフェースPCB 900は、図10bを参照して以下に説明されるように、1セットのEEAコネクタ1002、複数の増幅器/ADデジタイザ集積回路(IC)1003、データチャネルマルチプレクサ1004、及び制御論理回路1011を含む。
【0096】
EEAコネクタ1002のセットは、データケーブル1021を使用して、インターフェースPCB 900と埋め込み電極アレイ100との間で電気信号が渡されることを可能にする。このデータケーブルは、埋め込み電極アレイ100のコネクタ561~565上の各ピンをEEAコネクタ1002のセット上のピンに電気的に結合して、電源電圧、基準電圧、及び接地信号、並びに1つ以上の刺激信号を渡す。
【0097】
増幅器/DAデジタイザIC 1003は、図10bのブロック図の形で、複数の信号増幅器1051a~n、アナログスイッチ1052、デジタル-o-アナログ回路1053、及びデータコレクタインターフェース1054を含む。好ましい実施形態では、複数の増幅器/DAデジタイザIC 1003の各々は、カリフォルニア州ロサンゼルスのIntan Technologies社によって製造されたIntan Technologies RHS2116デジタル電気生理学刺激装置/増幅器集積回路を備える。Intan RHS2116は、埋め込み電極アレイ100内の1セットの信号記録電極103から受信した16個の入力信号を処理して、16個の別個のデータチャネルに関連するデジタルデータを生成する。
【0098】
信号記録電極103の1つからの各信号は、信号増幅器1051a~1051nの1つによって受信及び増幅され、アナログスイッチ1052上の16個の信号入力の1つに入力される。アナログスイッチ1052は、16個の信号入力の各々を一度に1つずつ周期的に選択して、デジタル-アナログ回路1053に渡す。デジタル-アナログ回路1053は、渡された入力信号の各々をサンプリングして、データコレクタインターフェース1054を介して出力される16個のデータチャネルのうちの対応する1つの中の信号のデジタル表現を生成する。
【0099】
デジタル-アナログ回路IC 1053は、入力信号のデジタル表現の生成において基準電圧を使用することもできる16ビットDAデジタイザである。デジタル-アナログ回路1053は、典型的には、16個の入力信号の各々を繰り返し循環して、増幅器/DAデジタイザ回路1003内の16個のデータチャネルの各々に対するデータを生成する。増幅器/DAデジタイザ回路1003は、16個のデータチャネルを生成するための16個の信号入力を含み、インターフェースPCB 900は、埋め込み電極アレイ100が埋め込み電極アレイ100内の組織培養ウェル200から256個のデータチャネルを提供することを可能にする16個の増幅器/DAデジタイザ回路IC 1003を含む。組織培養ウェル200、増幅器/DAデジタイザ回路IC 1003、及びインターフェースPCB 900のデータチャネルの数、並びにデータチャネルのグループの特定の編成は、例示目的のみのために本明細書に記載される。埋め込み電極アレイ100は、本明細書に添付される特許請求の範囲の限定を除いて、これらの項目の各々の任意の数に限定されるべきではない。
【0100】
図11は、本発明による、細胞サンプルを試験する埋め込み電極アレイ100の複数の回路配線222~229から収集されたデジタルチャネルデータの例示的なグラフ表示を示す。図11は、1つの組織培養ウェル200内の複数の電極211~220から観察されたデータセット1101a~1101fを示す。この例では、刺激信号が電極5 1102eに印加され、応答信号が電極1~5、6 1102a~1102d、1102f上で観察される。応答信号は、信号の比較を可能にする増幅器/DAデジタイザIC 1003によって実行される同じサンプリングサイクル内で取得される。様々な観察されたデータセット1101a~1101f内で見られる応答は、刺激信号の位置からの特定の電極1102a~1102fの状況として、観察されたデータセット1101a~1101f内で観察された同様の応答における時間差を示し得る。
【0101】
図2に関して上述したように、各特定の電極1102a~1102fの位置及び互いに対するその距離は既知であり、埋め込み電極アレイ100内のすべての組織培養ウェル200にわたって一貫している。したがって、刺激信号に対する応答の速度は、2つの特定の電極1102a~1102f上で観察される刺激信号に対する応答と、これらの特定の2つの電極1102a~1102f間の既知の距離との間の時間差を使用して計算することができる。加えて、速度は、観察された応答の速度が2つの電極1102a~1102fの間の距離の増加の結果として変化するかどうかを判定するために、同様の様式で2つの電極の各対について計算されてもよい。
【0102】
観察されたデータセット1101a~1101f並びに対応する電極の対応する振幅及び位置を使用して、多くの異なる試験調査を作成することができる。観察されたデータセット1101a~1101fがデータコレクタ1010内に保持されるので、これらの調査は、後日、データセットを使用して生成され得る。
【0103】
図12は、本発明による、細胞サンプルを試験する埋め込み電極アレイ100の複数の回路配線222~229からデジタルチャネルデータを収集するための自動試験プロセスの例示的なグラフ表示を示す。この例では、異なる刺激信号1202が異なる電極1201に印加されて、組織培養ウェル200内の残りの電極のうちの1つ以上における応答を観察する。複数のウェルが同時に刺激されてもよいが、各組織培養ウェル200内部の刺激は完全に連続して行われる。例えば、典型的な試験は、PCBアレイ500の上半分における12個の組織培養ウェル200を刺激することを含む。12個全ての組織培養ウェル200に対する第1の刺激は、6回の試行のための電極6単独での低電流(1μA)刺激である。次いで、電流は、6回の試行にわたって5μAまで増加され、64~80μAの最大電流が電極6に印加されるまで、以下同様である。次に、刺激位置は電極5にシフトし、このプロセスが繰り返される。この一連の動作は、典型的には電極2~6に対して行われるが、組織培養ウェル200内部の10個の電極全てに対して行うことができる。図12に示す圧力グラフは、刺激電流を増加させる理由を説明するために設計されたものであり、これは、タッチ試験における圧力を増加させることと同様である。
【0104】
図13a~図13bは、本発明による、細胞サンプルを試験することができる埋め込み電極アレイを結合する信号線を有するプリント回路基板から収集されたデジタルチャネルデータの処理されたセットの例示的な結果を示す図である。1300における信号は、時間領域における処理されたデータを示し、1320は、ノイズレベルの記録と共に速度領域における同じ信号を示す。速度分布及び振幅分布は、1320において信号に対してピーク検出を実行して、ノイズレベル(赤色)より6標準偏差高い任意のピークを検出することによって得られる。各ピークについて、速度及び振幅、例えば、示されたy高さが抽出され、分布について照合される。他の測定基準に関して、最大速度投影は、所与の電流レベルで各ウェル内の応答の全てから1320のような信号を取ることによって計算され、例えば、ウェルA1内の10個の電極は、48μAで5つの位置で刺激され、45個の固有の応答を与え、刺激電極を除く位置ごとに9個の応答を与える。これらの45個の応答は速度領域内にあり、互いに重ね合わせることができる。45個の応答全てにわたる最大値を計算して、最大応答を示す信号、最大速度投影を得る。異なる速度領域の曲線下面積をとり、異なる電流値にわたってMVPを比較することによって、これから異なるメトリックを抽出することができる。
【0105】
図14は、本発明による、試験コントローラの特定の実施形態に従って適合されたコンピュータシステム1400を示す。中央処理装置(「CPU」)1402は、システムバス1404に結合される。CPU1402は、汎用CPU又はマイクロプロセッサ、グラフィックス処理ユニット(「GPU」)、及び/又はマイクロコントローラであり得る。本実施形態は、CPU1402が、直接的であろうと間接的であろうと、本明細書で説明される動作をサポートする限り、CPU1402のアーキテクチャによって制限されない。CPU1402は、本実施形態による様々な論理命令を実行することができる。
【0106】
コンピュータシステム1400はまた、ランダムアクセスメモリ(RAM)1408を含んでもよく、これは同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、又は同期ダイナミックRAM(SDRAM)などであってもよい。コンピュータシステム1400は、RAM1408を利用して、ソフトウェアアプリケーションによって使用される様々なデータ構造を記憶することができる。コンピュータシステム1400はまた、PROM、EPROM、EEPROM、光記憶装置などであってもよいリードオンリーメモリ(ROM)1406を含んでもよい。ROMは、コンピュータシステム1400をブートするための構成情報を記憶することができる。RAM1408及びROM1406は、ユーザデータ及びシステムデータを保持し、RAM1408及びROM1406の両方は、ランダムアクセスされ得る。
【0107】
コンピュータシステム1400はまた、入力/出力(I/O)アダプタ1410、通信アダプタ1414、ユーザインターフェースアダプタ1416、及びディスプレイアダプタ1422を含んでもよい。I/Oアダプタ1410及び/又はユーザインターフェースアダプタ1416は、特定の実施形態において、ユーザがコンピュータシステム1400と相互作用することを可能にし得る。更なる実施形態では、ディスプレイアダプタ1422は、ソフトウェア又はウェブベースのアプリケーションに関連付けられたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を、モニタ又はタッチスクリーンなどのディスプレイデバイス1424上に表示することができる。
【0108】
I/Oアダプタ1410は、ハードドライブ、ソリッドステート記憶デバイス、フラッシュドライブ、コンパクトディスク(CD)ドライブ、フラッシュドライブ、及びテープドライブのうちの1つ以上など、1つ以上の記憶デバイス1412をコンピュータシステム1400に結合することができる。一実施形態によれば、データストレージ1412は、I/Oアダプタ1410へのネットワーク接続を介してコンピュータシステム1400に結合された別個のサーバであってもよい。通信アダプタ1414は、コンピュータシステム1400を、LAN、WAN、及び/又はインターネットのうちの1つ以上であり得るネットワークに結合するように適合され得る。通信アダプタ1414はまた、コンピュータシステム1400を、全地球測位システム(GPS)又はブルートゥースネットワークなどの他のネットワークに結合するように適合されてもよい。ユーザインターフェースアダプタ1416は、キーボード1420、ポインティングデバイス1418、及び/又はタッチスクリーン(図示せず)などのユーザ入力デバイスをコンピュータシステム1400に結合する。キーボード1420は、タッチパネル上に表示されるオンスクリーンキーボードであってもよい。カメラ、マイクロフォン、ビデオカメラ、加速度計、コンパス、及び/又はジャイロスコープなどの追加のデバイス(図示せず)が、ユーザインターフェースアダプタ1416に結合されてもよい。ディスプレイアダプタ1422は、CPU802によって駆動され、ディスプレイデバイス1424上の表示を制御することができる。デバイス1402~1422のいずれかは、物理的及び/又は論理的であり得る。
【0109】
本開示の適用は、コンピュータシステム1400のアーキテクチャに限定されない。むしろ、コンピュータシステム1400は、試験コントローラ1001及びデータコレクタ1010の機能を実行するように適合され得るコンピューティングデバイスの1つのタイプの例として提供される。例えば、限定はしないが、携帯情報端末(PDA)、タブレットコンピュータ、スマートフォン、コンピュータゲームコンソール、及びマルチプロセッササーバを含む、任意の適切なプロセッサベースのデバイスが利用され得る。更に、本開示の装置は、特定用途向け集積回路(ASIC)、超大規模集積(VLSI)回路、状態機械デジタル論理ベースの回路、又は他の回路上に実装されてもよい。
【0110】
本明細書で説明する実施形態は、コンピュータによって実行される論理演算として実装される。本発明のこれらの様々な実施形態の論理動作は、(1)コンピューティングシステム上で実行されるコンピュータ実装ステップ若しくはプログラムモジュールのシーケンスとして、及び/又は(2)コンピューティングシステム内の相互接続されたマシンモジュール若しくはハードウェアロジックとして実装される。実装は、本発明を実装するコンピューティングシステムの性能要件に依存する選択の問題である。したがって、本明細書で説明する本発明の実施形態を構成する論理動作は、動作、ステップ、又はモジュールと様々に呼ぶことができる。したがって、当業者は、説明される実施形態による一連の論理動作を実行することが可能な任意の数の適切な電子デバイス及び同様の構造を利用することができる。例えば、コンピュータシステム1400は、複数のユーザ及び/又はアプリケーションによるアクセスのために仮想化されてもよい。
【0111】
図15は、本発明による、細胞試料を試験することができる埋め込み電極アレイコントローラのソフトウェア構成要素のコンピューティングシステムを示す。埋め込み電極アレイコントローラ1500は、刺激生成構成要素を起動し、刺激に対する任意の観察された応答のデジタル表現を記録するためのソフトウェア構成要素のセットを含む。ソフトウェアコンポーネントのセットは、試験コントローラコンポーネント1501と、試験サンプルシーケンサ1502と、信号増幅器制御インターフェース1503と、データ受信機インターフェース1504と、ユーザディスプレイ1514及び入力デバイス1514に結合されたユーザインターフェース1501と、ローカルメモリ記憶デバイス1512に結合された記憶インターフェース1506と、を含む。
【0112】
試験コントローラコンポーネント1501は、ユーザインターフェースコンポーネント1505を介してユーザから自動試験手順コマンドを受信する。試験コントローラコンポーネント1501はまた、PCBアレイ500及びインターフェースPCB 900内の電子機器から装置ステータス表示データを受信する。試験コントローラコンポーネント1501は、処理コンポーネント1502~1506の残りのセットと相互作用して、必要に応じて自動試験プロセスを実装するのに必要な一連の動作を実行する。試験コントローラコンポーネント1501はまた、自動試験プロセスの動作が進行するにつれて、ユーザがユーザインターフェースコンポーネント1505を介してディスプレイデバイス1513上で見るための試験ステータス及び試験結果データを生成し得る。
【0113】
試験サンプルシーケンサ1502は、埋め込み電極アレイ100内の組織培養ウェル200が試験動作を実行するように構成するための制御信号を生成する。信号増幅器制御インターフェース1503を有する試験サンプルシーケンサ1502は、埋め込み電極アレイ100の各組織培養ウェル200内の電極211~220のうちの1つに印加される刺激信号の特性を定義する。試験サンプルシーケンサ1502は、特定の試験操作のために使用中の各組織培養ウェル200についてこの構成を繰り返してもよい。試験サンプルシーケンサ1502は、埋め込み電極アレイ100のすべての組織培養ウェル200に対して、刺激信号の印加及びデータコレクタ1010によるすべての応答信号の記録を一度に開始する。試験サンプルシーケンサ1502は、刺激信号の印加及びすべての応答信号の記録を終了し、これらの設定を再構成し、試験手順動作を繰り返すことができる。試験サンプルシーケンサ1502は、試験コントローラコンポーネント1501のコントローラの下で必要とされるだけの数の試験手順動作を実行することができる。
【0114】
試験コントローラ1001は、組織培養ウェル200内の組織細胞サンプル101に印加される各刺激信号を構成することができる付属装置と通信する。信号増幅器制御インターフェース1503は、試験コントローラ1001が、埋め込み電極アレイ100の各組織培養ウェル200内の各電極211~220に割り当てられた振幅、周波数、及び事象間の遅延などの刺激信号の任意の特性を変更することを可能にする。試験サンプルシーケンサ1502と協働する信号増幅器制御インターフェース1503は、組織細胞サンプル101をその電極211~220のうちの1つで刺激するように各組織培養ウェル200を構成することができる。信号増幅器制御インターフェース1503は、データフォーマッティング、コンピュータ間通信、暗号化処理、及び刺激信号を生成し各信号を電極211~220にアドレス指定する構成要素と通信するために試験コントローラ1001によって必要とされるすべての同様の動作を実行する。
【0115】
データ受信機インターフェース1504試験コントローラ1001は、データコレクタ1010及びインターフェースPCB900と通信する。データ受信機インターフェース1504は、データフォーマッティング、コンピュータ間通信、暗号化処理、及びすべての接続されたデバイスと通信するために試験コントローラ101によって必要とされるすべての同様の動作を実行する。
【0116】
ユーザディスプレイ1514及び入力装置1514に結合されたユーザインターフェース1501は、自動試験プロセスを開始、監視、制御及び終了するのに必要なメッセージ及びデータをユーザに提供するための入出力処理を提供する。このユーザインターフェース1501はまた、必要に応じてこれらのタスクを実行するように試験コントローラ1001に命令するために、ユーザからコマンドを受け入れる。ユーザディスプレイ1513は、モニタ、LEDフラットスクリーン、又はデータをユーザに表示するように構成された同様のデバイスなど、任意のコンピュータディスプレイデバイスであり得る。入力デバイス1514は、マウス、トラックパッド、及びトラックボールなどのポインティングデバイス、並びにユーザがデータ及びコマンドを試験コントローラ1001に入力することを可能にするように構成されたキーボードなどの入力デバイスを含むことができる。
【0117】
ローカルメモリストレージデバイス1512に結合されたストレージインターフェース1506は、試験コントローラ1001のためのすべてのデータストレージ動作を処理する。これらの動作には、ローカルメモリ記憶装置1512へのデータの書き込み、ローカルメモリ記憶装置1501からのデータの削除、ローカルメモリ記憶装置1512からのデータの検索及び取り出し、及び必要なときに効率的な検索を維持するためのローカルメモリ記憶装置1512のインデックス付けが含まれる。
【0118】
特徴の特定の組み合わせが本出願に記載されているが、これらの組み合わせは、本発明の開示を限定することを意図するものではない。実際、これらの特徴の多くは、本出願に具体的に記載されていない方法で組み合わされてもよい。言い換えれば、本出願で言及された特徴のいずれも、所望の動作に必要な機能を可能にするために、任意の1つ以上の組み合わせでこの新しい発明に含めることができる。
【0119】
本出願で使用される要素、動作、又は指導は、そのように明示的に説明されない限り、本発明にとって重要又は不可欠であると解釈されるべきではない。更に、「に基づいて」という句は、明示的に別段の定めがない限り、「に少なくとも部分的に基づいて」を意味することが意図されている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
【国際調査報告】