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特表2025-502621コンピュータ断層撮影スキャナによって生成された投影データの処理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】コンピュータ断層撮影スキャナによって生成された投影データの処理
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20250121BHJP
   A61B 6/40 20240101ALI20250121BHJP
【FI】
A61B6/03 550F
A61B6/40 530C
A61B6/03 560T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534061
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2022084905
(87)【国際公開番号】W WO2023117447
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/291,498
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】22161022.3
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
2.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】グラス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウェルカー クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ステール トーマス ヘイコ
(72)【発明者】
【氏名】プロクサ ローランド
(72)【発明者】
【氏名】コーラー トーマス
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA02
4C093EA03
4C093FF04
(57)【要約】
コンピュータ断層撮影スキャナによって生成された投影データを処理するための機構である。投影データはより高解像度の投影データを生成するために、入力データに対してアップサンプリング又は超解像技術を実行するように訓練された機械学習アルゴリズムによって処理される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮影スキャナによって生成された投影データを処理するコンピュータ実装方法であって、前記コンピュータ実装方法は、
前記コンピュータ断層撮影スキャナによって生成された投影データを取得するステップと、
前記投影データに対して超解像度撮像技術を実行して、少なくとも一次元で前記投影データの見かけのサンプリングを増加させるように構成される機械学習アルゴリズムを使用して前記投影データを処理するステップと、
前記処理された投影データを出力するステップと
を有し、
前記機械学習アルゴリズムは、トレーニングデータセットを使用して訓練され、前記トレーニングデータセットは、
撮像された被検体の低解像度投影データを各々有する複数の入力トレーニングデータエントリから形成される入力トレーニングデータセットと、
複数の出力トレーニングデータエントリから形成される出力トレーニングデータセットであって、各出力トレーニングデータエントリは、それぞれの入力トレーニングデータエントリに対応し、前記それぞれの入力トレーニングデータエントリの同じ撮像された被検体の高解像度投影データを有する、出力トレーニングデータセットと
を有し、
各出力トレーニングデータエントリの前記高解像度投影データは、
二重焦点取得技術を使用して中間データを生成するステップであって、前記中間データは、インターリーブされた第1のサンプルセット及び第2のサンプルセットを有し、各サンプルセットは異なる焦点を使用して取得される、ステップと、
前記インターリーブされた第1のサンプルセット及び第2のサンプルセットに対して並列ビニングを実行して前記高解像度投影データを生成するステップと
を実行することによって高解像度投影データを生成するトレーニングコンピュータ断層撮影スキャナによって生成され、
前記低解像度投影データは、前記中間データの第1のサンプルセット又は第2のサンプルセットを破棄することによって生成される、
コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記投影データは、二重焦点取得アプローチを使用して前記コンピュータ断層撮影スキャナによって生成された投影データである、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記機械学習アルゴリズムは、修正されたトレーニングデータセットを使用してさらに訓練され、前記修正されたトレーニングデータセットは、
前記トレーニングデータセットの各入力トレーニングデータエントリの低解像度投影データにノイズが追加される、修正された入力トレーニングデータセットと、
前記トレーニングデータセットの出力トレーニングデータセットと
を有する、請求項1乃至2の何れか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記機械学習アルゴリズムは、第2のトレーニングデータセットを使用してさらに訓練され、前記第2のトレーニングデータセットは、
シーンの低解像度画像データをそれぞれ有する複数の第2の入力トレーニングデータエントリから形成される第2の入力トレーニングデータセットと、
複数の第2の出力トレーニングデータエントリから形成される第2の出力トレーニングデータセットであって、それぞれの第2の出力トレーニングデータエントリはそれぞれの第2の入力トレーニングデータエントリに対応し、前記それぞれの第2の入力トレーニングデータエントリの同じシーンの高解像度画像データを有する、第2の出力トレーニングデータセットと
を有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記低解像度画像データ及び前記高解像度画像データの値は、前記コンピュータ断層撮影スキャナによって生成された投影データの可能な値の範囲に対応するようにスケーリングされる、請求項4に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記投影データは、各々がパラメータr及び角度Φに関する値の異なる組み合わせに関連する複数のサンプルを有し、
パラメータrは、前記コンピュータ断層撮影スキャナのアイソセンタと、前記サンプルを生成するために前記コンピュータ断層撮影スキャナによって使用される放射線との間の最小距離を表し、
角度Φは、前記サンプルを生成するために前記コンピュータ断層撮影スキャナによって使用される放射線と予め定義された平面との間の角度を表し、
前記機械学習アルゴリズムは、前記投影データのための複数の新しいサンプルを生成するように構成され、
各新しいサンプルは前記複数のサンプルの異なるサブセットから生成され、前記サブセットは、
前記サンプルのパラメータrの値と、前記新しいサンプルのパラメータrの値との間の絶対差が第1の所定の閾値を下回り、及び/又は、
前記サンプルの角度Φの値と前記新しいサンプルの角度Φの値との間の絶対差が第2の所定の閾値を下回る
サンプルのみを有する、
請求項1乃至5の何れか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
機械学習アルゴリズムを訓練して、コンピュータ断層撮影スキャナによって生成された投影データに対して超解像度撮像技術を実行するためのトレーニングデータセットを生成するコンピュータ実装方法であって、前記コンピュータ実装方法は、
二重焦点取得技術を使用して中間データを生成するトレーニングコンピュータ断層撮影スキャナによって生成された前記中間データを受信するステップであって、前記中間データは、インターリーブされた第1のサンプルセット及び第2のサンプルセットを有し、各サンプルセットは異なる焦点を使用して取得される、ステップと、
前記インターリーブされた第1のサンプルセット及び第2のサンプルセットに対して並列ビニングを実行して前記高解像度投影データを生成するステップと
を実行することによって、
撮像された被検体の高解像度投影データを各々有する複数の出力トレーニングデータエントリから形成される、前記トレーニングデータセットのための出力トレーニングデータセットを生成するステップと、
複数の入力トレーニングデータエントリから形成された入力トレーニングデータセットを生成するステップであって、それぞれの入力トレーニングデータエントリは、それぞれの出力トレーニングデータエントリに対応し、前記中間データの第1のサンプルセット又は第2のサンプルセットを破棄することによって、前記それぞれの出力トレーニングデータエントリの同じ画像被検体の低解像度画像投影データを有する、ステップと
を有する、コンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記出力トレーニングデータセットを生成するステップは、二重焦点取得技術を使用して前記中間データを生成する前記トレーニングコンピュータ断層撮影を制御するステップをさらに有する、請求項7に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
処理システムを有するコンピューティング装置上で実行されるとき、前記処理システムに、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法のステップのすべてを実行させるコンピュータプログラムコードを有する、非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項10】
コンピュータ断層撮影スキャナによって生成された投影データを処理するための処理システムであって、前記処理システムは、
前記コンピュータ断層撮影スキャナによって生成された投影データを取得するステップと、
前記投影データに対して超解像度撮像技術を実行するように構成される機械学習アルゴリズムを使用して前記投影データを処理して、少なくとも一次元で前記投影データの見かけのサンプリングを増加させるステップと
前記処理された投影データを出力するステップと
を実行するように構成され、
前記機械学習アルゴリズムは、トレーニングデータセットを使用して訓練され、前記トレーニングデータセットは、
撮像された被検体の低解像度投影データを各々有する複数の入力トレーニングデータエントリから形成される入力トレーニングデータセットと、
複数の出力トレーニングデータエントリから形成される出力トレーニングデータセットであって、各出力トレーニングデータエントリは、それぞれの入力トレーニングデータエントリに対応し、前記それぞれの入力トレーニングデータエントリの同じ撮像された被検体の高解像度投影データを有する、出力トレーニングデータセットと、
を有し、
各出力トレーニングデータエントリの前記高解像度投影データは、
二重焦点取得技術を使用して中間データを生成するステップであって、前記中間データは、インターリーブされた第1のサンプルセット及び第2のサンプルセットを有し、各サンプルセットは異なる焦点を使用して取得される、ステップと、
前記インターリーブされた第1のサンプルセット及び第2のサンプルセットに対して並列ビニングを実行して前記高解像度投影データを生成するステップと
を実行することによって前記高解像度投影データを生成するトレーニングコンピュータ断層撮影スキャナによって生成され、
前記低解像度投影データは、前記中間データの第1のサンプルセット又は第2のサンプルセットを破棄することによって生成される、
処理システム。
【請求項11】
前記投影データは、二重焦点取得アプローチを使用して前記コンピュータ断層撮影スキャナによって生成された投影データである、請求項10に記載の処理システム。
【請求項12】
前記機械学習アルゴリズムは、修正されたトレーニングデータセットを使用してさらに訓練され、前記修正されたトレーニングデータセットは、
前記トレーニングデータセットの各入力トレーニングデータエントリの低解像度投影データにノイズが追加される、修正された入力トレーニングデータセットと、
前記トレーニングデータセットの出力トレーニングデータセットと
を有する、請求項10又は11に記載の処理システム。
【請求項13】
前記機械学習アルゴリズムは、第2のトレーニングデータセットを使用してさらに訓練され、前記第2のトレーニングデータセットは、
シーンの低解像度画像データをそれぞれ有する複数の第2の入力トレーニングデータエントリから形成される第2の入力トレーニングデータセットと、
複数の第2の出力トレーニングデータエントリから形成される第2の出力トレーニングデータセットであって、それぞれの第2の出力トレーニングデータエントリはそれぞれの第2の入力トレーニングデータエントリに対応し、前記それぞれの第2の入力トレーニングデータエントリの同じシーンの高解像度画像データを有する、第2の出力トレーニングデータセットと
を有する、請求項10乃至12の何れか一項に記載の処理システム。
【請求項14】
前記低解像度画像データ及び前記高解像度画像データの値は、前記コンピュータ断層撮影スキャナによって生成された投影データの可能な値の範囲に対応するようにスケーリングされる、請求項13に記載の処理システム。
【請求項15】
請求項10乃至14の何れか一項に記載の処理システムと、
前記コンピュータ断層撮影スキャナと
を有する撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医用画像の分野に関し、特に、コンピュータ断層撮影スキャナによって生成される投影データを処理する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)スキャナは医用撮像データを生成するために、X線放射エネルギーと照射された材料との間の相互作用を検出するために、検出器又は画素のアレイから形成される検出器装置を使用する、十分に確立された医用撮像装置である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
画像の品質を維持しながら、CTスキャナによって生成される画像の解像度を高めることには、継続的な関心がある。CTスキャンの解像度を改善するための技術は、小さい焦点、小さい検出器/画素サイズ、ならびに角度方向及び半径方向の両方における十分なサンプリングを用いて物体をスキャンすることを含む。
【0004】
特に、放射状サンプリングは、CTスキャナによって生成される画像の解像度に重大な影響を及ぼす。ファン方向(アイソセンタに投影される)にWの検出器/ピクセルサイズを有する検出器構成の場合、ピクセルサイズにわたる強度の平均化に関連する解像度限界はfW = 1/Wであり、これは、ピクセル幅にわたる信号の畳み込みがその第1のゼロ交差を有する空間周波数である。検出器/画素間隔は検出器/画素サイズにおおよそ一致する(画素間のいかなるスペーサも無視する)ので、半径方向サンプリングに関連するナイキスト周波数はしたがって、fS =1/2Wのオーダーのみである。典型的なCTシステムでは、fWは約13 lp/cmであり、fSは約6.5 lp/cmである(ここで、lpは線対を指す)。したがって、さらなる技術的な労力なしに、fSを超える周波数成分を有する画像を再構成しようとする努力はエイリアシングアーチファクトをもたらすので、空間解像度は半径方向のサンプリングによって制限される。
【0005】
この問題を克服するための1つの既知のアプローチは、x線管の焦点がソース経路に沿って偏向される二重焦点(DFS)取得を使用することである。距離の適切な選択によって、放射状サンプリングパターンは、1つおきのビューについて検出器/ピクセル間隔の半分だけシフトされる。並列リビニングは2つの焦点位置からのデータが(例えば、単一のビューを形成するために)インターリーブされることを可能にし、半径方向サンプリングの結果として生じるナイキスト周波数は、ピクセルサイズに関連する解像度限界に一致する。
【0006】
遵守されるべき別のサンプリング条件は、古典的サンプリング理論がN×N画像が再構成される場合、180度にわたってNπ/2角度サンプルを測定することを必要とし、その結果、典型的に使用される512×512画像サイズに対して、およそ800角度サンプルが得られることである。
【0007】
画像の解像度をさらに改善し、様々な形態のCT撮像モダリティのために高解像度画像を生成することを可能にすることが望まれている。
【0008】
欧州特許出願公開第3 447 731 A1号明細書には、オブジェクトの強調断層画像を生成するためのアプローチが開示されている。
【0009】
米国特許出願公開第2013/051519(A1)号明細書は、コーンビームコンピュータ断層撮影データのための2D投影画像の解像度を増加させるためのアプローチを開示している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、請求項によって規定される。
【0011】
本発明の一態様による実施例によれば、CTスキャナによって生成された投影データを処理するコンピュータ実装方法が提供される。
【0012】
コンピュータ実装方法はCTスキャナによって生成された投影データを取得することと、少なくとも一次元における投影データの見かけのサンプリングを増加させるために、投影データに対して超解像度撮像技術を実行するように構成された機械学習アルゴリズムを使用して投影データを処理することと、処理された投影データを出力することとを含む。
【0013】
機械学習アルゴリズムはトレーニングデータセットを使用して訓練され、トレーニングデータセットは各々が撮像対象の低解像度投影データを含む複数の入力トレーニングデータエントリから形成される入力トレーニングデータセットと、複数の出力トレーニングデータエントリから形成される出力トレーニングデータセットであって、各々の出力トレーニングデータエントリはそれぞれの入力トレーニングデータエントリに対応し、それぞれの入力トレーニングデータエントリの同じ撮像対象の高解像度投影データを含む出力トレーニングデータセットとを含む。
【0014】
各出力トレーニングデータエントリの高解像度投影データは高解像度投影データを生成するトレーニングCTスキャナによって生成され、トレーニングCTスキャナは中間データを生成するために二重焦点取得技術を使用し、中間データはインターリーブされた第1のサンプルセット及び第2のサンプルセットを含み、各サンプルセットは異なる焦点を使用して取得され、インターリーブされた第1のサンプルセット及び第2のサンプルセットに対して並列ビニングを実行して、高解像度投影データを生成する。
【0015】
低解像度投影データは、中間データの第1のサンプルセット又は第2のサンプルセットを破棄することによって生成される。したがって、第1のサンプルセットのみ、又は第2のサンプルセットのみが、低解像度投影データを形成する。
【0016】
提案されたアプローチは、それによって、投影データの解像度及び/又は見かけのサンプリングを改善するために機械学習アルゴリズムを利用する。本明細書では、機械学習アルゴリズムが投影データの解像度を高めるように有利に訓練され得ることが認識されている。
【0017】
機械学習アルゴリズムの使用は、DFS取得などの当技術分野で知られている1つ又は複数の解像度改善技術を補足及び/又は置換するために使用することができる。これは、そのような以前から既知技術が画像処置中に実施することが困難であるシナリオにおいて特に有利である。例として、kVpスイッチングが実行される場合、DFS技術は、技術的に実装することが困難である。
【0018】
特に、機械学習アルゴリズムは、二重焦点取得技術をエミュレートするように効果的に訓練される。この手段、例えば、kVp切替えを実行するとき、そのような技術の真の性能が困難である状況においてさえ、DFS技術の利点を使用することができる。
【0019】
このアプローチはトレーニングデータセットを生成する他の形態よりも有利であり、それは、低解像度投影データを生成するために人工ノイズを導入せず(例えば、ぼかし又はダウンサンプリング技術を使用することから生じる)、シーンを臨床的に表すために取得された投影データからデータを削除することを必要としないからである。さらに、低解像度投影データは、臨床的に有用で関連する医療情報を表し続け、機械学習方法によって実行される超解像度の関連性及び精度を改善する。
【0020】
機械学習アルゴリズムは、半径方向における投影データの見かけのサンプリングを増加させるように構成され得る。いくつかの例では、機械学習アルゴリズムが角度方向における投影データの見かけのサンプリングを増加させるように構成される。もちろん、さらに他の例では、機械学習アルゴリズムが見かけのサンプリングを両方向に増加させる。
【0021】
投影データは、二重焦点取得アプローチを使用してCTスキャナによって生成された投影データであってもよい。
【0022】
少なくとも1つの例では機械学習アルゴリズムが修正されたトレーニングデータセットを使用してさらに訓練され、修正されたトレーニングデータセットはトレーニングデータセットの各入力トレーニングデータエントリの低解像度投影データにノイズが追加される修正された入力トレーニングデータセットと、トレーニングデータセットの出力トレーニングデータセットとを含む。これは機械学習アルゴリズムのための雑音に対するロバスト性を導入し、その結果、機械学習アルゴリズムはノイズ除去及び超解像度プロシージャの両方を実行するために訓練される。
【0023】
いくつかの例では投影データは複数のサンプルを含み、各サンプルはパラメータrと角度Φの異なる組合せに関連付けられ、パラメータrはコンピュータ断層撮影スキャナのアイソセンタと、サンプルを生成するためにコンピュータ断層撮影スキャナによって使用される放射線との間の最小距離を表し、角度Φはサンプルを生成するためにコンピュータ断層撮影スキャナによって使用される放射線と所定の平面との間の角度を表し、機械学習アルゴリズムは投影データのための複数の新しいサンプルを生成するように構成され、各新しいサンプルは複数のサンプルの異なるサブセットから生成され、サブセットはサンプルのパラメータrの値と新しいサンプルのパラメータrの値との間の絶対差が第1の所定の閾値を下回るサンプルのみを含み、及び/又はサンプルの角度Φの値と新しいサンプルの角度Φの値との間の絶対差が第2の所定の閾値を下回るサンプルのみを含む。
【0024】
このアプローチは投影データを処理するときに、受容野のサイズを効果的に制限又は縮小する。新しい投影サンプルを予測するための、特にCT投影データにおける最も価値のある情報が、近くの既存の投影サンプルから見出されることが認識されている。受容野のサイズを制限することにより、機械学習アルゴリズムを使用して投影データを処理する効率が高まる。
【0025】
いくつかの例では、機械学習アルゴリズムが第2のトレーニングデータセットを使用してさらに訓練され、第2のトレーニングデータセットはそれぞれがシーンの低解像度画像データを備える複数の第2の入力トレーニングデータエントリから形成される第2の入力トレーニングデータセットと、複数の第2の出力トレーニングデータエントリから形成される第2の出力トレーニングデータセットであって、それぞれの第2の入力トレーニングデータエントリに対応し、それぞれの第2の入力トレーニングデータエントリの同じシーンの高解像度画像データを備える第2の出力トレーニングデータセットとを備える。
【0026】
この実施形態は画像データ(例えば、画像)の超解像度撮像又はアップサンプリングを実行するために訓練された機械学習方法が、投影データに対して超解像を実行するために再利用又は設計され得ることを認識する。この手段は、(高解像度及び低解像度の)画像データの既存のデータベースを活用して、正確なアップサンプリングのための例の大規模なデータバンクを提供することができる。
【0027】
画像データは、非投影画像データであることが好ましい。このアプローチは、標準的な超解像度機械学習方法が投影データの改善された解像度を達成できることを認識する。
【0028】
好ましくは、低解像度画像データ及び高解像度画像データの値がCTスキャナによって生成される投影データの可能な値の範囲に対応するようにスケーリングされる。この実施形態は、投影データの解像度を改善するために設計された、より関連性のあるトレーニングデータを提供する。
【0029】
また、CTスキャナによって生成された投影データに対して超解像度撮像技術を実行する機械学習アルゴリズムを訓練するためのトレーニングデータセットを生成するコンピュータ実装方法も提案されている。
【0030】
コンピュータ実装方法はトレーニングデータセットのために、各々が撮像された対象の高解像度投影データを含む複数の出力トレーニングデータエントリから形成された出力トレーニングデータセットを生成することを含み、次のことによって、トレーニングデータセットはトレーニングCTスキャナによって生成された中間データを受け取り、中間データを生成し、中間データはインターリーブされた第1のサンプルセット及び第2のサンプルセットを含み、各サンプルセットは、異なる焦点を使用して取得され、インターリーブされた第1のサンプルセット及び第2のサンプルセット上で並列ビニングを実行して、高解像度投影データを生成する。
【0031】
コンピュータ実装方法はまた、複数の入力トレーニングデータエントリから形成される入力トレーニングデータセットを生成することを含み、各入力トレーニングデータエントリはそれぞれの出力トレーニングデータエントリに対応し、それぞれの出力トレーニングデータエントリの同じ画像対象の低解像度画像投影データを含み、中間データの第1のサンプルセット又は第2のサンプルセットを破棄することによって、入力トレーニングデータセットを生成する。
【0032】
好ましい例では、出力トレーニングデータセットを生成するステップが中間データを生成するために、二重焦点取得技術を使用してトレーニングコンピュータトモグラフィを制御することをさらに含む。
【0033】
また、処理システムを有するコンピューティング装置上で実行されると、処理システムに、本明細書に記載の方法の何れかのステップのすべてを実行させるコンピュータプログラムコードを含む非一時的なコンピュータプログラム製品が提案される。
【0034】
CTスキャナによって生成された投影データを処理するための処理システムも提案されており、処理システムは、CTスキャナによって生成された投影データを取得することと、投影データに対して超解像度撮像技術を実行するように構成された機械学習アルゴリズムを使用して投影データを処理して、少なくとも一次元における投影データの見かけのサンプリングを増加させることと、処理された投影データを出力することとを行うように構成されている。
【0035】
また、処理システムとCTスキャナとを備える撮像システムが提案される。
【0036】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【0037】
本発明をより良く理解し、本発明がどのように実施され得るかをより明確に示すために、ここで、単なる例として、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】撮像システムを示す。
図2】CTスキャナの放射線源による放射線出力を概念的に示す。
図3】CTスキャナによって生成された投影データを概念的に示す。
図4】二重焦点取得技術を用いてCTスキャナによって生成された投影データを概念的に示す。
図5】提案されたアプローチを示す。
図6】提案されたアプローチで使用される機械学習方法のための例示的な受容場を示す。
図7】提案されたアプローチの効果を示す。
図8】方法を示す。
図9】処理システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、図面を参照して説明される。
【0040】
詳細な説明及び特定の例は装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示しているが、例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されるのであろう。図は単に概略的なものであり、縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。また、同じ又は同様の部分を示すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用されることを理解されたい。
【0041】
本開示は、CTスキャナによって生成された投影データを処理するための機構を提供する。投影データはより高解像度の投影データを生成するために、入力データに対してアップサンプリング又は超解像技術を実行するように訓練された機械学習アルゴリズムによって処理される。
【0042】
アプローチは、機械学習アルゴリズムを適切に訓練して、投影データの解像度をアップサンプリング又は改善することができるという認識に基づいている。これは、より高い解像度の投影データを提供するために、撮像技術又はCTスキャナを修正する必要性を低減する。実施形態は例えば、他のサンプリング/解像度改善技術が実行され得ない場合でも、高品質投影データを提供するために使用され得る。
【0043】
実施形態は、臨床又はヘルスケア環境で使用されるものなどの、CTスキャナを有する任意の撮像システムにおいて使用され得る。
【0044】
図1は撮像システム100、特に、本発明の実施形態を使用することができるコンピュータトモグラフィ(CT)撮像システムを示す。CT撮像システムは、CTスキャナ101と、CTスキャナによって生成されたデータを使用して動作を処理し実行する処理インターフェース111とを備える。
【0045】
CTスキャナ101は、概して静止ガントリ102と回転ガントリ104とを含む。回転ガントリ104は、静止ガントリ102によって回転可能に支持され、縦軸又はz軸の周りで検査領域106の周りを回転する。xz軸に対して垂直であり、水平面内(例えば、重力に対して垂直)にあるものとして定義され得る。yz軸及びx軸に垂直ですなわち、垂直軸又は重力と位置合わせされた軸として定義されてもよい。
【0046】
治療台などの患者支持体120は、検査領域106内の人間の患者などの物体又はオブジェクトを支持する。支持体120は物体又は被検体を装填、スキャン、及び/又は取り出すために、物体又は被検体を移動させるように構成される。
【0047】
x線管などの放射線源108は、回転ガントリ104によって回転可能に支持される。放射線源108は回転ガントリ104と共に回転し、検査領域106を横断する放射線を放出する。
【0048】
放射線感受性検出器アレイ110は、検査領域106を横切って放射線源108の反対側の角度弧の範囲を定める。検出器アレイ110はz軸方向に沿って延在する検出器の1つ以上の行、例えば2つ以上の行を含み、検査領域106を横断する放射線を検出し、それを示す投影データを生成する。投影データは例えば、コーンビーム投影データであってもよい。各検出器は、検出器アレイの画素を表す。
【0049】
回転ガントリが回転すると、検出器アレイは、受信された放射線の一連のサンプルセットを捕捉する。各サンプルセットは、異なるビューに対する投影データ部分を表す。より具体的には、単一のビューは放射線源が単一の位置にあるときに得られる投影データ部分を表す。異なるビューからの投影データ部分は検出器アレイによって提供される投影データを形成するために、組み合わされ、例えば、一緒に連結され得る。このようにして、投影データは複数のサンプルを含み、各サンプルは、検査領域に対して異なる位置で検出器によって捕捉される。複数のサンプルは複数のサンプルセットに分割することができ、各サンプルセットは、異なる投影ビューで捕捉されたサンプルを含む。
【0050】
異なる投影ビュー間の回転ガントリの回転の角度増分、すなわち、検出器アレイによる異なるサンプルセットのキャプチャは、角度サンプリング密度と呼ばれる。
【0051】
処理インタフェース111は、CTスキャナによって生成された投影データを処理する。処理インターフェース111はまた、CTスキャナの動作に対するユーザ制御を容易にすることができる。
【0052】
特に、処理インターフェースはオペレータコンソール112として機能し、マウス、キーボード、及び/又は同様のものなどの入力装置114と、ディスプレイモニタ、フィルマ、又は同様のものなどの出力装置116とを含む、汎用コンピューティングシステム又はコンピュータを備え得る。コンソール112は、オペレータがシステム100の動作を制御することを可能にする。処理インターフェースによって生成されたデータは、出力装置116の少なくとも1つのディスプレイモニタを通して表示することができる。
【0053】
処理インターフェースは投影データを処理し、例えば、出力装置116における表示のために、又は外部サーバもしくはデータベースにおける記憶のために、画像データを再構成するために、再構成装置118を利用する。再構成装置118は、物理メモリ及び他の非一時的媒体などのコンピュータ可読記憶媒体上に符号化又は埋め込まれたコンピュータ可読命令を実行するマイクロプロセッサを介して実装され得ることを諒解されたい。追加又は代替として、マイクロプロセッサは、搬送波、信号、及び他の一時的又は非一時的媒体によって搬送されるコンピュータ可読命令を実行することができる。
【0054】
再構成装置118はフィルタ逆投影(FBP)再構成、画像領域及び/又は投影領域縮小ノイズ再構成アルゴリズム(例えば、反復再構成)、及び/又は再構成を実行するための他のアルゴリズムを使用することができる。
【0055】
図2は、本開示全体にわたって使用される命名法を理解するために検査領域を横断する放射線を示す。
【0056】
より具体的には、図2が放射線源108によって放出される複数の光線を示す。各光線は、検出器アレイ110の異なる検出器201に入射する放射線を表す。
【0057】
放射線源108から検出器201への各光線、及びこの光線に応答して検出器によって生成されるサンプルは、そのr及びΦの値によって特徴付けられる。
【0058】
パラメータrは、コンピュータ断層撮影システム106のアイソセンタ210までの光線の距離を表す。アイソセンタ210は、コンピュータ断層撮影システムの回転ガントリが回転する領域の中心、すなわち回転の中心を表す。特に、パラメータrはアイソセンタ210を中心に接続する仮想線の距離を表し、仮想線は、中心に垂直に接続される。
【0059】
角度Φは、x軸からの光線の角度を表す。特に、角度Φはアイソセンタ210を中心に接続する仮想線の間の角度を表し、仮想線は、x軸に接続され、中心に垂直である。
【0060】
便宜上、パラメータrの距離は検出器アレイの左半分の光線について、例えば、CTスキャナの前部における所定の視点から、ネガであると考えられることが多い。
【0061】
ラジアルサンプリング密度はしばしば、単にラジアルサンプリングと呼ばれ、検出器アレイの隣接する検出器に関連するラジアル値rの差として定義される。したがって、放射の中心のうちの1つが、図2に示されるように、アイソセンタ210を通過する場合、半径方向サンプリング密度はアイソセンタと、アイソセンタを通過しない最も近い中心とを接続する第2の仮想線の距離rS又は長さであり、第2の仮想線は前記最も近い中心に垂直である。
【0062】
図3は、投影データに含まれるサンプルを概念的に示している。
【0063】
検出器アレイの検出器によって採取された各サンプルは、パラメータr及び角度Φの異なる値に関連付けられることが理解されるのであろう。したがって、図示のように、投影データのサンプルをrΦ空間にプロットすることが可能である。各サンプル301は、円を用いて概略的に示されている。
【0064】
同時に捕捉された、すなわち、同じ有効投影ビューについて捕捉されたサンプルは同じサンプルセットに属し、同じ傾斜線302上に位置する。投影ビューが変化するとき、すなわち回転ガントリが回転した後、異なるサンプルセットが捕捉される。これは、角サンプリング密度303が、rについて同じ値を有する2つの隣接するサンプル間の角度の値Φの差異に基づいて導出することもできること、すなわち、検出器アレイの同じ検出器によって連続する時間ステップで捕捉されたサンプルを表すことを意味する。
【0065】
本発明は、コンピュータ断層撮影スキャナによって生成される画像データ、すなわち画像の解像度を改善するためのアプローチに関する。投影データの解像度が大きいほど、投影データから再構成される画像データの解像度が大きいことは直ちに明らかであろう。
【0066】
特に、本発明は例えば、追加のサンプルを投影データに追加し、挿入し、又は補間することによって、検出器アレイの見かけのサンプリングを増加させるためのアプローチを提供することができる。
【0067】
画像データの解像度を改善するための既存のアプローチは、投影データを生成する際のサンプリング密度を改善することに焦点を当ててきた。
【0068】
採用され得るいくつかのアプローチは、検出器アレイの検出器間の間隔を減少させること、及び/又は検出器アレイの検出器のサイズを減少させて、より多数の検出器が同じ領域に適合することを可能にすることを含む。同じサイズの検出器アレイにおける検出器の数の増加は、検出器アレイによるサンプリング密度の増加という自然な結果を有する。しかしながら、より小さい検出器サイズは例えば、ガントリと処理インターフェースとの間の追加の帯域幅が必要とされるため、製造コストがより高く、取り扱いコストがより高い。したがって、代替的なアプローチが好ましい。
【0069】
別のアプローチは、二重焦点(DFS)取得を使用することである。DFS取得技術では、放射線源の焦点を線源経路に沿って偏向させることができる。撓みの距離を適切に選択することによって、検出器アレイによって取得される1つおきのサンプルについて、半径方向に1/2ピクセル間隔だけサンプリングパターンをシフトさせることが可能である。したがって、異なる焦点を有する2つのサンプルセットが、回転ガントリの各回転について取得される。並列リビニングは、2つの焦点位置からのデータがインターリーブされることを可能にする。これは、単一のビューに対して、検出器アレイによって取得された2つの連続するサンプルからの投影データ部分を形成する。これは、半径方向のサンプリング密度を効果的に増加させる。
【0070】
並列リビニングプロセス、及びより一般的なDFS獲得アプローチのより完全な説明は、米国特許第4,637,040号によって提供される。
【0071】
図4は、DFS取得プロセスを使用して動作するCTスキャナの投影データに含まれる生サンプルを概念的に示す。
【0072】
先に説明したように、DFS取得の下で、回転ガントリの連続回転角度において、2つのサンプルセットが得られる。第1のサンプルセット401は円で示され、第2のサンプルセット402は三角形で示される。したがって、第1のサンプルセットは、第2のサンプルセットとインターリーブされる。換言すれば、一対のサンプルセットが得られる。
【0073】
次いで、第1及び第2のサンプルセットは、並列リビニングを受ける。このアプローチは同じ角度Φを有するように、又は2つの傾斜線ではなくrΦ空間内の単一の傾斜線上に位置するように、第1及び第2のサンプルセットの対で各サンプルを効果的に移動させ得る。このようにして、第1及び第2のサンプルセットの各対内で、第1及び第2のサンプルセットが組み合わされて、単一の投影ビューを表す組み合わされたサンプリングセットを生成する。このアプローチは任意の所与のサンプリングセットの有効な半径方向サンプリングを増加させながら、投影データの角度サンプリング密度を効果的に減少させる。これは、サンプリングセット当たりのサンプルの数が増加する一方で、同じ線に沿って存在するサンプルのサンプリングセットの総数が減少するからである。
【0074】
図3図4の比較はDFSが実行されるとき、有効な半径方向サンプリングがどのように増加され得るかを実証する。
【0075】
もちろん、上述のこれらのアプローチの何れかの組み合わせを実行することができる。
【0076】
提案されたアプローチは前述のような既存のアプローチの代わりに、又はそれと並行して使用され得る、投影データの有効なサンプリング又は解像度を増加させるための代替機構を提供する。特に、本発明の実施形態は例えば、既存のサンプル間を補間するために、投影データに含まれるものに補足サンプルを効果的に提供するように構成され得る。これは、アップサンプリング又は超解像度処理を提供する。
【0077】
本開示は、投影データに対して超解像又はアップサンプリングを実行するために機械学習アルゴリズムを利用する。例えば、見かけの半径方向サンプリング密度及び/又は角サンプリング密度を増加させるためにアップサンプリングを実行することができる。そのような機械学習アルゴリズムを構成/訓練するために使用されるトレーニングデータを生成又は定義するためのアプローチもまた、提供される。
【0078】
図5は、一実施形態による機械学習アルゴリズム550を使用するための1つのアプローチ500を概念的に示す。
【0079】
機械学習アルゴリズム550は、CTスキャナによって生成された投影データ510を入力として受信するように構成される。機械学習アルゴリズムは、出力として、アップサンプリングされた投影データ520を提供する。アップサンプリングされた投影データ520は、入力された投影データよりも高い解像度を有する。
【0080】
機械学習アルゴリズムは例えば、半径方向又は角度方向において、投影データにそれぞれ単一の方向にアップサンプリングを実行するように構成又は訓練され得る。他の例では、機械学習アルゴリズムが複数の方向、例えば、半径方向及び角度方向の両方でアップサンプリングを実行するように構成又は訓練される。
【0081】
より具体的には、機械学習アルゴリズムが投影データのための複数の新しいサンプルを生成するように構成され得る。例えば、図3又は図4を参照すると、機械学習アルゴリズムは、元の投影データの既存のサンプル又はキャプチャされたサンプルの間に(rΦ空間内に)位置付けられる複数の新しいサンプルを生成するように構成され得る。したがって、機械学習アルゴリズムは、投影データの解像度を改善するために使用される。これにより、投影データから生成される画像データの解像度が改善される。
【0082】
機械学習アルゴリズムは、出力データを生成又は予測するために入力データを処理する任意の自己トレーニングアルゴリズムである。ここで、入力データは投影データを含み、出力データはアップサンプリングされた又はより高解像度の投影データを含む。
【0083】
本発明で使用されるのに適した機械学習アルゴリズムは、当業者には明らかであろう。適切な機械学習アルゴリズムの例には、ニューラルネットワーク、ロジスティック回帰、サポートベクトルマシン、又はナイーブベイズモデルがある。ニューラルネットワークは、投影データを処理するための特に有効なアプローチである。
【0084】
ニューラルネットワーク(又は、単にニューラルネットワーク)の構造が人間の脳によってインスパイアされる。ニューラルネットワークは、各層が複数のニューロンを含む層から構成される。各ニューロンは、数学的演算を含む。特に、各ニューロンは単一の種類の変換(たとえば、同じ種類の変換、シグモイドなどであるが、異なる重み付けを伴う)の異なる重み付けされた組合せを備え得る。入力データを処理するプロセスでは、入力データに対して各ニューロンの数学的演算が実行されて数値出力が生成され、ニューラルネットワーク内の各層の出力が次の層に順次供給される。最終層は出力を提供する。
【0085】
機械学習アルゴリズムを訓練する方法は周知である。典型的には、そのような方法が入力トレーニングデータエントリ及び対応する出力トレーニング出力データエントリを含むトレーニングデータセットを取得することを含む。言い換えれば、トレーニングデータセットは、入力トレーニングデータ入力と出力トレーニングデータ入力との複数の対を含む。
【0086】
次いで、初期化された機械学習アルゴリズムが、各入力データエントリに適用されて、予測出力データエントリが生成される。予測出力データエントリと対応するトレーニング出力データエントリとの間の誤差は、機械学習アルゴリズムを修正するために使用される。このプロセスは誤差が収束し、予測出力データエントリがトレーニング出力データエントリと十分に類似する(例えば、±1%)まで繰り返すことができる。これは、一般に、教師あり学習技術として知られている。
【0087】
例えば、機械学習アルゴリズムがニューラルネットワークから形成される場合、誤差が収束するまで、各ニューロンの数学的演算(の重み付け)を修正することができる。ニューラルネットワークを修正する既知の方法は、勾配降下法、逆伝播アルゴリズムなどを含む。
【0088】
各入力トレーニングデータエントリは、例示的な投影データ又はより低解像度の投影データを含む。各出力トレーニングデータエントリは、例示的な投影データ又は低解像度投影データのアップサンプリング又は高解像度バージョンで高解像度投影データを含む。各入力トレーニングデータエントリは出力トレーニングデータエントリに対応し、同じシーン又は領域を描写する。
【0089】
出力トレーニングデータエントリを定義するために、投影データの異なるインスタンスが取得される。得られた投影データの各インスタンスは出力トレーニングデータエントリとして、すなわち、より高い解像度の投影データとして機能する。
【0090】
投影データの各インスタンスは、前述の二重焦点取得技術を使用するトレーニングCTスキャナによって生成されている。したがって、投影データの各インスタンスはトレーニングコンピュータ断層撮影スキャナから、又はトレーニングコンピュータ断層撮影スキャナから生成されたデータを記憶するメモリから取得され得る。
【0091】
したがって、出力トレーニングデータエントリとして使用される投影データの各インスタンスは中間データを生成するために二重焦点取得技術を使用することによって、トレーニングCTスキャナによって生成され、中間データはインターリーブされた第1のサンプルセット及び第2のサンプルセットを備え、各サンプルセットは異なる焦点を使用して取得され、インターリーブされた第1のサンプルセット及び第2のサンプルセットに対して並列ビニングを実行して、投影データのインスタンス、すなわち、出力トレーニングデータエントリとして働く高解像度投影データのインスタンスを生成する。このプロセスは、複数回反復されて、複数の出力トレーニングデータエントリを生成する。
【0092】
対応する入力トレーニングデータエントリを生成するために、(出力トレーニングデータエントリを表す)より高解像度の投影データを生成するためのプロセスが修正される。前述のように、二重焦点取得技術を使用して投影データを生成する方法は、並列リビニング技術を使用して、特定のビューについて、同じビューで撮影されたが異なる焦点位置を有する2つの連続するサンプルセットから投影データ部分を形成する。より低い解像度の投影データを生成するために、この並列ビニング技術を省略することができ、代わりに、2つの連続するサンプルセットのうちの1つのみが、その特定のビューの投影データ部分として使用される。これは、より高解像度の投影データと比較して、より低解像度の投影データに対して半径方向のサンプリング密度を効果的に減少させる。
【0093】
さらなる説明として、図4を参照すると、低解像度投影データは第1のサンプルセット401のみ、又は第2のサンプルセット402のみを含むことができ、高い解像度投影データは、第1のサンプルセット401及び第2のサンプルセット402を含むことができる。
【0094】
このアプローチは、機械学習アルゴリズムが二重焦点獲得技術を効果的にシミュレートするか、又はそのように動作することを意味する。そのような機械学習アルゴリズムを使用して(推論段階における)投影データの解像度を増加させることにより、二重焦点取得の性能を置き換えることができる。
【0095】
トレーニングデータセットを使用して訓練された機械学習アルゴリズムを使用することは、投影データを生成するCTスキャナがkVpスイッチングモードで動作するときに特に有利である。DFSは高速kVpスイッチングシステム上で実装することが技術的に困難であり、そのため、そのような機械学習アルゴリズムの使用は特に有利である。
【0096】
いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムが第2のトレーニングデータセットを使用してさらに訓練され得る。第2のトレーニングデータセットは、複数の第2の入力トレーニングデータエントリと、複数の第2の出力トレーニングデータエントリとを含む。
【0097】
そのような実施形態の第1及び第2の例では、各第2の出力トレーニングデータエントリが(トレーニングデータセットの出力トレーニングデータエントリと同様に)トレーニングコンピュータ断層撮影スキャナによって生成された投影データのインスタンスを含む。そのような実施形態の第3の例では、入力トレーニングデータ入力及び出力トレーニングデータ入力の各対が特定のシーンの画像データを含み、任意の所与の対について、入力トレーニングデータエントリ、シーンのより低い解像度の画像データを含むことができ、出力トレーニングデータエントリ、シーンのより高い解像度の画像データを含むことができる。
【0098】
第1の例では、投影データの異なるインスタンスがトレーニングCTスキャナによって生成される。したがって、投影データの各インスタンスはトレーニングコンピュータ断層撮影スキャナから、又はトレーニングコンピュータ断層撮影スキャナから生成されたデータを記憶するメモリから取得/受信され得る。取得された投影データの各インスタンスは、第2の出力トレーニングデータエントリとして機能することができる。取得された投影データの各インスタンスは例えば、取得された投影データの各インスタンスにぼかしカーネルを適用することによって、解像度低減プロセスを受けることができる。これは、対応する第2の入力トレーニングデータエントリとして作用する、低減された解像度の投影データの対応するインスタンスを生成する。
【0099】
この第1の例は、(第2の入力トレーニングデータエントリとして機能するために)より大きな焦点の使用により低減された解像度を有する投影データを効果的にシミュレートすることができる。
【0100】
第2の例では、投影データの異なるインスタンスがトレーニングCTスキャナによって同様に生成される。したがって、投影データの各インスタンスはトレーニングコンピュータ断層撮影スキャナから、又はトレーニングコンピュータ断層撮影スキャナから生成されたデータを記憶するメモリから取得/受信され得る。取得された投影データの各インスタンスは、第2の出力トレーニングデータエントリとして機能することができる。対応する第2の入力トレーニングデータエントリを生成するために、(第2の出力トレーニングデータエントリを表す)投影データを生成するためのプロセスを修正することができる。特に、(第2の出力トレーニングデータエントリのための)投影データは、複数の異なるビューから取得された投影データ部分を組み合わせることによって、トレーニングCTスキャナによって生成され得る。対応する第2の入力トレーニングデータエントリのための低解像度投影データを生成するために、同様の生成プロセスが使用され得るが、投影データ部分の組合せが、1つ又は複数のビュー、たとえば代替ビューの選択に関連する投影データ部分を省略、削除、又は除去するように修正され得る。例えば、ビューのシーケンス内の1つおきのビューからの投影データ部分のみが、第2の入力トレーニングデータエントリの投影データを生成するために使用され得る。
【0101】
したがって、各第2の出力トレーニングデータエントリのための投影データは、対象の複数のビューのための中間データを生成することを含む生成プロセスによって生成され得る。各第2の入力トレーニングデータエントリのための投影データは、複数のビューの選択に対応する中間データの部分を除去することによって生成され得る。
【0102】
第2の例によって採用されるアプローチは、投影データの角度サンプリングを効果的に低減して、より低い解像度の投影データを生成する。それに対応して、そのようなアプローチでさらに訓練された機械学習アルゴリズムは、投影データの角度サンプリングを増加させる。
【0103】
第3の例では、第2の入力トレーニングデータエントリ及び第2の出力トレーニングデータエントリの各ペアが特定のシーンの画像データを含む。任意の所与のペアについて、第2の入力トレーニングデータエントリはシーンのより低い解像度の画像データを備え得、第2の出力トレーニングデータエントリはシーンのより高い解像度の画像データを備え得る。
【0104】
画像データは、非投影画像データ、すなわちCTスキャナによって生成されていない画像データであってもよい。
【0105】
この第3の例の有利なバージョンでは低解像度及び高解像度の画像データはグレースケールであり得、画像データ内の異なる画素の値はCTスキャナによって生成される投影データに含まれ得る値の範囲に制約又はスケーリングされ得る。ソフトマックス関数は、CTスキャナによって出力される投影データの値の範囲内に入るように画像データの値を修正するための1つの適切な関数である。
【0106】
この第3の例は、画像データの解像度をアップサンプリング又は改善するように訓練された機械学習アルゴリズムが投影データの解像度をアップサンプリング又は改善するように直接適応され得ることを認識する。このアプローチはより正確なアップサンプリング技術、例えば、画像の極めて大きなデータベースを使用して訓練されたもの使用を容易にする。同等量の投影データを含むこのような大規模なデータベースは取得するのが困難であり、時間がかかる。
【0107】
また、画像データは、投影データである必要はなく、医用画像データであってもよい。むしろ、いかなる訓練された超解像度機械学習方法も、投影データに即座に適用することができ、精度又は解像度を著しく損なうことなく、投影データの見かけのサンプリングを改善することができることが認識されている。
【0108】
上記の任意の例では、入力トレーニングデータエントリ(又は第2の入力トレーニングデータエントリ)のより低解像度の投影データにノイズを追加することができる。これは、そのような修正されたトレーニングデータセットを使用して訓練された機械学習アルゴリズムを効果的にトレーニング又は構成して、雑音除去技術も実行する。したがって、機械学習アルゴリズムは、共同解像度回復及びノイズ除去を実行するように訓練することができる。
【0109】
機械学習方法は、(アップサンプリングされた投影データを生成する際に)機械学習方法によって生成された各新しいサンプルがアップサンプリングされる投影データの元のサンプルのサブセット(すなわち、すべてではない)に依存するように構成され得る。したがって、特定のサンプルに対する受容野を意図的に制限することができる。
【0110】
例えば、いくつかの事例では、各新しいサンプルがrΦ空間の近傍又は近接領域内にあるサンプルのグループのみに依存し得る。
【0111】
いくつかの例では、機械学習方法が機械学習方法によって生成された任意の新しいサンプルについて、受容場がrΦ空間内の投影データの最も近い2つ又は最も近い4つのサンプルセット内の投影データのそれらのサンプルのみを含むように設計される。したがって、新しいサンプルが角度Φのための値Φ1を有するべきである場合、この値に最も近い2つ又は4つのサンプル集合のみが、新しいサンプルを生成するために使用される。
【0112】
これは、第1の新しいサンプル611について、受容場612が最も近い4つのサンプルセットをどのように含むことができるかを示す図6に概念的に示されている。例えば、最も近い2つのサンプルセット、最も近い6つのサンプルセットなど、受容場612のための他の適切なサイズが想定される。そのような実施形態では、受容場内のサンプルセットの数が新しいサンプルに寄与するサンプルセットのバランスを改善するために、偶数の正の数であり得る。
【0113】
別の例として、機械学習方法は、機械学習方法によって生成された任意の新しいサンプルについて、受容場がrΦ空間内の投影データの最も近い2つ又は最も近い4つのサンプルセット内の検出器アレイの検出器のサブセットによって生成された投影データのサンプルのみを含むように設計される。したがって、新しいサンプルが、パラメータrについての値r2と、角Φについての値Φ2とを有するべきである場合、パラメータrについてのr2に最も近いK個の隣接値を生成した検出器によって得られたサンプルのみが、値Φ2に最も近いL集合について、新しいサンプルを生成するために使用されることになる。K及びLの値は等しくても異なっていてもよく、正の整数値(例えば、2又は4)である。K及び/又はLの値は、新しいサンプルに寄与するサンプルセットのバランスを改善するための偶数の正の数であってもよい。
【0114】
これはまた、図6に概念的に示されており、第2の新しいサンプル621について、受容場622が近くのサンプルのみを含むことができる方法を実証する。
【0115】
したがって、機械学習アルゴリズムは投影データのための複数の新しいサンプルを生成するように構成され得、各新しいサンプルは複数のサンプルの異なるサブセットから生成され、サブセットはサンプルのパラメータrの値と新しいサンプルのパラメータrの値との間の絶対差が第1の所定の閾値を下回る、及び/又はサンプルの角度Φの値と新しいサンプルの角度Φの値との間の絶対差が第2の所定の閾値を下回るサンプルのみを備える。
【0116】
第1の所定の閾値は、新しいサンプルの生成に寄与する検出器の数を効果的に制限する。特に、各新しいサンプルは検出器アレイ内の有効検出器位置にマッピングされてもよく、第1の所定の閾値は新しいサンプルの生成に寄与する有効検出器位置への隣接検出器の数を定義してもよい。
【0117】
第2の所定の閾値は新しいサンプルの生成に寄与するサンプルセットの数、すなわち、異なる投影ビューにおけるサンプルを効果的に制限する。特に、各サンプルは有効サンプルセットにマッピングされ得、第2の所定の閾値は新しいサンプルの生成に寄与する有効サンプルセットに対する隣接サンプルセットの数を定義し得る。
【0118】
図7は、上述の第4の例に従って生成されたトレーニングデータセットを使用して訓練された機械学習アルゴリズムの効果を示す。
【0119】
第1のCT画像710は、このような機械学習アルゴリズムによる処理が行われていない投影データから生成された画像データを表す。第2のCT画像720は、このような機械学習アルゴリズムによって処理された投影データから生成された画像データを表す。
【0120】
第2のCT画像は、第1のCT画像よりも良好な解像度であることを明確に識別することができる。これは、撮像された対象の状態を診断又は評価する際に臨床医を支援するための潜在的に価値のある情報を提供する。
【0121】
例えば、第2のCT画像の識別された部分725は、第1のCT画像の等価部分715(同じ特徴/要素を示す)よりも少ないエイリアシングを示す。これは、本明細書に開示されたアプローチによって画像データの解像度及び画質がどのように改善されたかを明確に示す。
【0122】
図8は、一実施形態による方法800を示す。
【0123】
方法800は、CTスキャナによって生成された投影データを取得するステップ810を含む。
【0124】
ステップ810は、CTスキャナを使用して投影データを生成することを含むことができる。他の例では、ステップ810が例えば、CTスキャナによって以前に生成された投影データを記憶するメモリ又は保存ユニットから投影データを取得することを含むことができる。
【0125】
方法800はまた、少なくとも一次元における投影データの見かけのサンプリングを増加させるために、投影データに対して超解像度撮像技術を実行するように構成された機械学習(ML)アルゴリズムを使用して投影データを処理するステップ820を含む。
【0126】
方法800は、処理された投影データを出力するステップ830をさらに含む。
【0127】
いくつかの例では、方法800が出力及び処理された投影データから画像データを生成するステップ840をさらに含むことができる。投影データから画像データを生成するためのアプローチは当技術分野において十分に確立されており、逆伝播技術を使用することができる。
【0128】
方法800は、生成された画像データの視覚的表現を提供するステップ850をさらに含むことができる。これは、画像データの視覚的表現を提供するために、ディスプレイなどのユーザインターフェースを制御することを含むことができる。
【0129】
本明細書では、機械学習方法を訓練するための様々なアプローチ、すなわち、機械学習方法を訓練するためにトレーニングデータセットを使用することについて説明した。トレーニングデータセットを生成するためのアプローチが記載されている。したがって、当業者は、本発明で使用するためのトレーニングデータセットを生成するためのコンピュータ実装方法を容易に構成することができるのであろう。
【0130】
したがって、CTスキャナによって生成された投影データに対して超解像度撮像技術を実行する機械学習アルゴリズムを訓練するためのトレーニングデータセットを生成するコンピュータ実装方法も提案される。
【0131】
コンピュータ実装方法は、中間データを生成するために二重焦点取得技術を使用するトレーニングCTスキャナによって生成された中間データを受信することによって、トレーニングデータセットのための、撮像された被検体の高解像度投影データを各々が含む複数の出力トレーニングデータエントリから形成される出力トレーニングデータセットを生成することと、インターリーブされた第1のサンプルセット及び第2のサンプルセット上で並列ビニングを実行して、高解像度投影データを生成することと、複数の入力トレーニングデータエントリから形成される入力トレーニングデータセットを生成することであって、各入力トレーニングデータエントリはそれぞれの出力トレーニングデータエントリに対応し、それぞれの出力トレーニングデータエントリの同じ被検体の低解像度画像投影データを含む、入力トレーニングデータセットを生成することとを含む。
【0132】
当業者であれば、本明細書に記載の方法又はアプローチを実行するための処理システムを容易に構成することができるのであろう。したがって、図示される任意のフローチャートにおける各ブロックは、処理システムのモジュール又は処理システムによって実行される処理を表し得る。
【0133】
いくつかの例では、そのような処理システムが図1に示されるような撮像システムの再構成装置に統合される。撮像システムがCTスキャナをさらに含み得る。
【0134】
さらなる例として、図9は、実施形態の1つ又は複数の部分が使用され得る処理システム900の一例を示す。処理システム900は、再構成装置及び/又は撮像システムの一部を形成することができる。
【0135】
上記で説明した様々な動作は、処理システム900の能力を利用し得る。たとえば、投影データに対して超解像度技術を実行するためのシステムの1つ又は複数の部分は、本明細書で説明する任意の要素、モジュール、アプリケーション、及び/又は構成要素に組み込まれ得る。この点に関して、システム機能ブロックは単一のコンピュータ上で実行することができ、又は、例えば、インターネットを介して接続された、いくつかのコンピュータ及び位置にわたって分散させることができることを理解されたい。
【0136】
処理システム900はPC、ワークステーション、ラップトップ、PDA、パーム装置、サーバ、ストレージなどを含むが、これらに限定されない。一般に、ハードウェアアーキテクチャに関して、処理システム900は、ローカルインターフェース(図示せず)を介して通信可能に結合された1つ又は複数のプロセッサ901、メモリ902、及び1つ又は複数のI/O装置907を含み得る。ローカルインターフェースは例えば、限定はしないが、当技術分野で知られているように、1つ以上のバス又は他の有線又は無線接続であり得る。ローカルインターフェースは通信を可能にするために、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、及び受信機などの追加の要素を有し得る。さらに、ローカルインターフェースは前述の構成要素間の適切な通信を可能にするために、アドレス、制御、及び/又はデータ接続を含み得る。
【0137】
プロセッサ901は、メモリ902に格納され得るソフトウェアを実行するためのハードウェア装置である。プロセッサ901は処理システム900に関連するいくつかのプロセッサのうち、事実上任意のカスタムメイド又は市販のプロセッサ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は補助プロセッサとすることができ、プロセッサ901は、半導体ベースのマイクロプロセッサ(マイクロチップの形成)又はマイクロプロセッサとすることができる。
【0138】
メモリ902は、揮発性メモリ素子、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、及び不揮発性メモリ素子、ROM、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、電子消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)、プログラマブル読取り専用メモリ(PROM)、テープ、コンパクトハードディスク読取り専用メモリ(CDROM)、ハードディスク、ディスケット、カートリッジ、カセットなど)の任意の1つ又は組合せを含むことができる。さらに、メモリ902は、電子、磁気、光学、及び/又は他のタイプの記憶媒体を組み込むことができる。メモリ902は様々なコンポーネントが互いに離れて位置する分散アーキテクチャを有することができるが、プロセッサ901によってアクセスすることができることに留意されたい。
【0139】
メモリ902内のソフトウェアは1つ又は複数の別個のプログラムを含むことができ、その各々は、論理機能を実装するための実行可能命令の順序付きリストを備える。メモリ902内のソフトウェアは、例示的な実施形態による、適切なオペレーティングシステム(O/S)905、コンパイラ904、ソースコード903、及び1つ又は複数のアプリケーション906を含む。図示のように、アプリケーション906は、例示的な実施形態の特徴及び動作を実装するための多数の機能構成要素を備える。処理システム900のアプリケーション906は例示的な実施形態による、様々なアプリケーション、計算ユニット、ロジック、機能ユニット、プロセス、動作、仮想エンティティ、及び/又はモジュールを表し得るが、アプリケーション906は限定であることを意味しない。
【0140】
オペレーティングシステム905は他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、ならびに通信制御及び関連サービスを提供する。例示的な実施形態を実装するためのアプリケーション906はすべての市販のオペレーティングシステムに適用可能であり得ることが、本発明者らによって企図される。
【0141】
アプリケーション906は、ソースプログラム、実行可能プログラム(オブジェクトコード)、スクリプト、又は実行されるべき命令のセットを備える任意の他のエンティティであり得る。ソースプログラムの場合、プログラムは通常、O/S 905に関連して適切に動作するように、メモリ902内に含まれても含まれなくてもよいコンパイラ(コンパイラ904など)、アセンブラ、インタプリタなどを介して翻訳される。さらに、アプリケーション906は例えば、C、C++、C#、Pascal、BASIC、APIコール、HTML、XHTML、XML、ASPスクリプト、JavaScript、FORTRAN、COBOL、Perl、Java、ADA、NETなどであるが、これらに限定されない、ルーチン、サブルーチン、及び/又は関数を有する、データ及びメソッドのクラスを有するオブジェクト指向プログラミング言語、又はプロシージャプログラミング言語として記述することができる。
【0142】
I/O装置907は例えば、マウス、キーボード、スキャナ、マイクロフォン、カメラなどの入力装置を含むことができるが、これらに限定されない。さらに、I/O装置907は出力装置、例えば、限定はしないが、プリンタ、ディスプレイなどを含むこともできる。最後に、I/O装置907は例えば、(遠隔装置、他のファイル、デバイス、システム、又はネットワークにアクセスするための)ネットワークインタフェースカード又は変調器/復調器、無線周波数(RF)又は他のトランシーバ、電話インターフェース、ブリッジ、ルータなどであるが、これらに限定されない、入力と出力の両方を通信する装置をさらに含み得る。I/O装置907はまた、インターネット又はイントラネットなどの様々なネットワークを介して通信するためのコンポーネントを含む。
【0143】
処理システム900がPC、ワークステーション、インテリジェント装置である場合、メモリ902内のソフトウェアは、基本入出力システム(BIOS)(簡略化のために省略される)をさらに含み得る。BIOSは起動時にハードウェアを初期化及びテストし、O/S 905を開始し、ハードウェア装置間のデータ転送をサポートする、必須ソフトウェアルーチンのセットである。BIOSはROM、PROM、EPROM、EEPROMなどの何らかのタイプの読み出し専用メモリに記憶され、その結果、BIOSは処理システム900が起動されたときに実行され得る。
【0144】
処理システム900が動作中であるとき、プロセッサ901はメモリ902内に記憶されたソフトウェアを実行し、メモリ902との間でデータを通信し、ソフトウェアに従って処理システム900の動作を一般的に制御するように構成される。アプリケーション906及びO/S 905は、プロセッサ901によって全体的又は部分的に読み出され、おそらくプロセッサ901内にバッファリングされ、次いで実行される。
【0145】
アプリケーション906がソフトウェアで実装されるとき、アプリケーション906は任意のコンピュータ関連システム又は方法によって、又はそれに関連して使用するために、事実上任意のコンピュータ可読媒体上に記憶され得ることに留意されたい。本文書の文脈において、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ関連システム又は方法によって、又はそれに関連して使用するためのコンピュータプログラムを含むか、又は記憶することができる、電子的、磁気的、光学的、又は他の物理的な装置又は手段であってもよい。
【0146】
アプリケーション906は命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれと関連して使用するための任意のコンピュータ可読媒体、たとえば、命令実行システム、装置、又はデバイスから命令をフェッチし、命令を実行することができるコンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステム、又は他のシステムで実施することができる。本明細書の文脈では、「コンピュータ可読媒体」が命令実行システム、機器、又は装置によって、又はそれに関連して使用するために、プログラムを記憶、通信、伝播、又は移送することができる任意の手段であり得る。コンピュータ可読媒体は例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム、装置、デバイス、又は伝搬媒体であり得るが、これらに限定されない。
【0147】
開示された方法は、好ましくはコンピュータで実施される方法であることが理解されるのであろう。このように、コンピュータなどの処理システム上で前記プログラムが実行されるときに、任意の記述されたメソッドを実装するためのコード手段を含むコンピュータプログラムの概念も提案される。したがって、一実施形態によるコンピュータプログラムのコードの異なる部分、線、又はブロックは本明細書で説明される方法を実行するために、処理システム又はコンピュータによって実行され得る。いくつかの代替的な実装形態では、ブロック図又はフローチャートに記載された関数が図に記載された順序から外れて発生し得る。例えば、連続して示される2つのブロックは実際には実質的に同時に実行されてもよく、又はブロックが関与する機能に応じて、逆の順序で実行されてもよい。
【0148】
開示された実施形態に対する変形は図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。請求項において、単語「有する(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に列挙されるいくつかのアイテムの機能を満たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。コンピュータプログラムが上述される場合、それは他のハードウェアと共に、又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶/分散され得るが、インターネット又は他の有線もしくは無線電気通信システムを介してなど、他の形態で分散されてもよい。「に適合された」という用語が特許請求の範囲又は説明において使用される場合、「に適合された」という用語は、「に構成された」という用語と等価であることが意図されることに留意されたい。用語「1つ以上」が使用される場合、これは、用語「少なくとも1つ」と等価であることが意図され、逆もまた同様である。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
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【国際調査報告】