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特表2025-502633無痛形態から侵襲性前立腺ガンを検出するバイオマーカーおよびその治療
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】無痛形態から侵襲性前立腺ガンを検出するバイオマーカーおよびその治療
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20250121BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20250121BHJP
   C12Q 1/6886 20180101ALI20250121BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20250121BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20250121BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250121BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
G01N33/68 ZNA
G01N33/53 M
C12Q1/6886 Z
C12Q1/686 Z
A61P13/08
A61P35/00
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534610
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 US2022081340
(87)【国際公開番号】W WO2023108166
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/288,157
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501335771
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】ランジャン ジェイ ペレラ
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C084
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045CB02
2G045DA13
2G045DA14
2G045DA36
2G045FB02
2G045FB03
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR62
4B063QR72
4B063QR77
4B063QS25
4B063QS34
4C084AA17
4C084NA05
4C084NA06
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZB261
4C084ZB262
(57)【要約】
本発明はガンの分野に関する。より一層具体的には、本発明は前立腺ガンの検出および治療のために有用な方法および組成物を提供する。具体的な実施形態において、侵襲性前立腺ガンを有するとして患者を識別するための方法は、患者から得られた尿サンプルにてコントロールに比較して上皮細胞接着分子(EpCAM)、H4クラスター化ヒストン5(H4C5)、およびテトラトリコペプチド反復ドメイン3(TTC3)の過剰発現を検出するステ
ップを含む。より一層具体的な実施形態において、検出ステップは、EPCAM、H4C5およびTTC3のタンパク質またはリボ核酸(RNA)レベルを検出することを含む。別の具体的な実施形態において、本方法は、コントロールに比較して伝令リボ核酸(mRNA)、循環RNA(circRNA)、細胞外DNAおよび長鎖非コードRNA(lncRNA)の過剰発現を検出することをさらに含む。本方法は代謝物を検出することをさらに含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
侵襲性前立腺ガンを有するとして患者を識別するにあたり、コントロールと比較して患者から得られたサンプルにおいて、上皮細胞接着分子(EpCAM)、H4クラスター化ヒスト
ン5(H4C5)、およびテトラトリコペプチド反復ドメイン3(TTC3)の過剰発現を検出するステップを含む、方法。
【請求項2】
検出ステップは尿サンプルにおいてEpCAMのタンパク質レベルを検出することを含む、
請求項1の方法。
【請求項3】
検出ステップはH4C5およびTTC3のリボ核酸(RNA)レベルを検出することを含む、請求
項1の方法。
【請求項4】
検出ステップはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて実行する、請求項3の方法。
【請求項5】
方法は侵襲性前立腺ガン、無痛前立腺ガン、良性前立腺肥大および前立腺炎を区別する、請求項1の方法。
【請求項6】
コントロールに比較して1またはそれよりも多くの伝令リボ核酸(mRNA)、循環RNA(circRNA)、細胞外DNAおよび長鎖非コードRNA(lncRNA)の過剰発現を検出することをさら
に含む、請求項1または5の方法。
【請求項7】
mRNAは、1またはそれよりも多くのRIDA、H1-4、H4C2およびH4C3を含む、請求項6の方法。
【請求項8】
circRNAは、1またはそれよりも多くのcirc842、circ3266、circ1809、circ1979、circ645およびcirc1607を含む、請求項6の方法。
【請求項9】
eccDNAは、1またはそれよりも多くのchr22:50276214-50276428;chr20:2236337-2236458;chr6:54059859-54063911;chr16:85975027-85975617;chr3:5565190-5565271;chr10:130300872-130301712;chr11:58900903-59058535;chr22:44599233-49967822;chr17:69961543-69961943;chr18:9809075-9809266;chr17:80024303-80024653;chrY
:10945178-11295108;chr7:65038315-65873352;chr1:21669328-93846973;chr6:168914322-168914396;chr6:35786783-35799011;chr6:26305559-28597426;chr9:34681483-34681981;chr1:207698916-207868701;chr8:57203766-57210492;chr16:20504588-20504731;chr3:67362279-136250669;chr1:248404181-248404245;chr12:1574344-1574491;chr7:66728585-73967789;chr1:55002895-55003057;およびchr16:89907819-89908811を含む、請求項6の方法。
【請求項10】
lncRNAはlnc-CCDC125-13および/またはZNF667-AS1を含む、請求項6の方法。
【請求項11】
アスパラギン、アスパルタート、グリセラート、シトラート、イソシトラート、グルタマート、イタコナート、マラート、メグルトール、シスアコニタート、イソロイシン、ロイシン、パントテナート、グルタミン、ニコチナート、トレオニン、ケトグルタラート、アルファ-ケトイソ吉草酸(KIVA)、システイン、3Pグリセラート、キサンチンおよびヒ
ポキサンチンからなる群より選ばれる1またはそれよりも多くの代謝物を検出することを
さらに含む、請求項1または5の方法。
【請求項12】
侵襲性前立腺ガンを有するとして識別された患者に前立腺ガン療法を施すステップをさらに含む、請求項1-11のいずれかの方法。
【請求項13】
前立腺ガン療法は、前立腺摘除、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、化学療法、免疫療法およびそれらの組合せを含む、請求項12の方法。
【請求項14】
侵襲性前立腺ガンを有する患者を治療するにあたり、サンプルにおいてコントロールに比較してEPCAM、H4C5およびTTC3の過剰発現有するとして識別された患者に前立腺ガン療
法を施すステップを含む、方法。
【請求項15】
患者サンプルは、コントロールに比較してmRNA、circRNA、eccDNAおよびlncRNAの1またはそれよりも多くの過剰発現をさらに含む、請求項14の方法。
【請求項16】
mRNAは、1またはそれよりも多くのRIDA、H1-4、H4C2およびH4C3を含む、請求項15の方
法。
【請求項17】
circRNAは、1またはそれよりも多くのcirc842、circ3266、circ1809、circ1979、circ645およびcirc1607を含む、請求項15の方法。
【請求項18】
eccDNAは、1またはそれよりも多くのchr22:50276214-50276428;chr20:2236337-2236458;chr6:54059859-54063911;chr16:85975027-85975617;chr3:5565190-5565271;chr10:130300872-130301712;chr11:58900903-59058535;chr22:44599233-49967822;chr17:69961543-69961943;chr18:9809075-9809266;chr17:80024303-80024653;chrY
:10945178-11295108;chr7:65038315-65873352;chr1:21669328-93846973;chr6:168914322-168914396;chr6:35786783-35799011;chr6:26305559-28597426;chr9:34681483-34681981;chr1:207698916-207868701;chr8:57203766-57210492;chr16:20504588-20504731;chr3:67362279-136250669;chr1:248404181-248404245;chr12:1574344-1574491;chr7:66728585-73967789;chr1:55002895-55003057;およびchr16:89907819-89908811を含む、請求項15の方法。
【請求項19】
lncRNAはlnc-CCDC125-13および/またはZNF667-AS1を含む、請求項15の方法。
【請求項20】
侵襲性前立腺ガンを有するとして患者を識別するにあたり、患者から得られたサンプルにおいてコントロールに比較して、1またはそれよりも多くのタンパク質、mRNA、circRNA、eccDNA lncRNAの過剰発現を検出するステップを含む、方法。
【請求項21】
タンパク質はEPCAMを含む、請求項20の方法。
【請求項22】
mRNAは、1またはそれよりも多くのH4C5、TTC3、RIDA、H1-4、H4C2およびH4C3を含む、
請求項20の方法。
【請求項23】
circRNAは、1またはそれよりも多くのcirc842、circ3266、circ1809、circ1979、circ645およびcirc1607の1またはそれよりも多くを含む、請求項20の方法。
【請求項24】
eccDNAは、1またはそれよりも多くのchr22:50276214-50276428;chr20:2236337-2236458;chr6:54059859-54063911;chr16:85975027-85975617;chr3:5565190-5565271;chr10:130300872-130301712;chr11:58900903-59058535;chr22:44599233-49967822;chr17:69961543-69961943;chr18:9809075-9809266;chr17:80024303-80024653;chrY
:10945178-11295108;chr7:65038315-65873352;chr1:21669328-93846973;chr6:168914322-168914396;chr6:35786783-35799011;chr6:26305559-28597426;chr9:34681483-34681981;chr1:207698916-207868701;chr8:57203766-57210492;chr16:20504588-20504731;chr3:67362279-136250669;chr1:248404181-248404245;chr12:1574344-1
574491;chr7:66728585-73967789;chr1:55002895-55003057;およびchr16:89907819-89908811を含む、請求項20の方法。
【請求項25】
lncRNAはlnc-CCDC125-13および/またはZNF667-AS1を含む、請求項20の方法。
【請求項26】
検出ステップはラテラルフローアッセイを含む、請求項2または20の方法。
【請求項27】
ラテラルフローデバイスはディップスティックアッセイを含む、請求項26の方法。
【請求項28】
サンプルはフリーフロー尿および/または前立腺マッサージ尿を含む、請求項1-27のい
ずれかの方法。
【請求項29】
サンプルは血液または血清を含む、請求項3-4、14および22のいずれか一項の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
この出願は、2021年12月10日に出願された米国仮出願第63/288,157号の利益を主張し、それはその全体が参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明の分野
本発明はガンの分野に関する。より一層具体的には、本発明は前立腺ガンの検出および治療に有用な方法および組成物を提供する。
【0003】
電子配列リストへの言及
2022年12月12日に作成され、8,614バイトのファイルサイズを有する、「P17007-02」と題された、ここに一緒に提出されたコンピュータ可読配列リスティングのテキストは、その全体が参照によりここに組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の背景
前立腺ガン(Prostate Cancer)(PCa)は、米国人男性のガン死亡の先行する原因の1
つである。米国国立癌研究所の推定によれば、2021年には、249,000名の前立腺ガン症例
が新たに診断され、約34,000名の男性がこの疾患により死亡する。この推定診断数は、毎年実行される疾患関連生検のごく一部である。前立腺特異抗原(PSA)検査は、このガン
のスクリーニング検査として広く用いられている。しかしながら、PSAは、侵襲性ガンを
非侵襲性ガン形態から区別することができず、その高い偽陽性率、根拠のない転帰、および小さい有益性は、前立腺ガン検出のための、および侵襲性ガンをその無痛性形態から区別するための、新規でおよびより一層正確な診断バイオマーカーについて緊急の満たされない要求を正当化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の概略
1つの態様において、本発明は、侵襲性前立腺ガンを有するとして患者を識別するため
に有用な組成物および方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、侵襲性前立腺ガン、無痛性前立腺ガン、良性前立腺肥大(BPH)および前立腺炎(PTT)を区別するために有用である。
【0006】
いくらかの実施形態において、侵襲性前立腺ガンを有するとして患者を識別するための方法は、患者から得られたサンプルにおいて、コントロールに比較して上皮細胞接着分子(EpCAM)、H4クラスター化ヒストン5(H4C5)、およびテトラトリコペプチド反復ドメイン3(TTC3)の過剰発現を検出するステップを含む。
【0007】
具体的な実施形態において、検出ステップは尿サンプルにおいてEpCAMのタンパク質レ
ベルを検出することを含む。他の具体的な実施形態では、検出ステップはH4C5およびTTC3のリボ核酸(RNA)レベルを検出することを含む。特定の実施形態において、検出ステッ
プはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して実行する。
【0008】
一定の実施形態において、本方法は、侵襲性前立腺ガン、無痛性前立腺ガン、良性前立腺肥大および前立腺炎の間を区別する。
【0009】
付加的な実施形態において、侵襲性前立腺ガンを有するとして患者を識別するための方法は、コントロールに比較して1またはそれよりも多くの伝令リボ核酸(mRNA)、循環RNA(circRNA)、細胞外DNAおよび長鎖非コードRNA(lncRNA)の過剰発現を検出することを
さらに含む。
【0010】
いくらかの実施形態において、mRNAは、1またはそれよりも多くのRIDA、H1-4、H4C2お
よびH4C3を含む。特定の実施形態において、circRNAは、1またはそれよりも多くのcirc842、circ3266、circ1809、circ1979、circ645およびcirc1607を含む。特定の実施形態において、lncRNAはlnc-CCDC125-13および/またはZNF667-AS1を含む。
【0011】
いくらかの実施形態において、eccDNAは、1またはそれよりも多くのchr22:50276214-50276428;chr20:2236337-2236458;chr6:54059859-54063911;chr16:85975027-85975617;chr3:5565190-5565271;chr10:130300872-130301712;chr11:58900903-59058535
;chr22:44599233-49967822;chr17:69961543-69961943;chr18:9809075-9809266;chr17:80024303-80024653;chrY:10945178-11295108;chr7:65038315-65873352;chr1:21669328-93846973;chr6:168914322-168914396;chr6:35786783-35799011;chr6:26305559-28597426;chr9:34681483-34681981;chr1:207698916-207868701;chr8:57203766-57210492;chr16:20504588-20504731;chr3:67362279-136250669;chr1:248404181-248404245;chr12:1574344-1574491;chr7:66728585-73967789;chr1:55002895-55003057;およびchr16:89907819-89908811を含む。
【0012】
一定の実施形態において、侵襲性前立腺ガンを有するとして患者を識別するための方法は、アスパラギン、アスパルタート、グリセラート、シトラート、イソシトラート、グルタマート、イタコナート、マラート、メグルトール、シスアコニタート、イソロイシン、ロイシン、パントテナート、グルタミン、ニコチナート、トレオニン、ケトグルタラート、アルファ-ケトイソ吉草酸(KIVA)、システイン、3Pグリセラート、キサンチンおよび
ヒポキサンチンからなる群より選ばれる1またはそれよりも多くの代謝物を検出すること
をさらに含む。
【0013】
いくらかの実施形態において、侵襲性前立腺ガンを有するとして患者を識別するための方法は、侵襲性前立腺ガンを有するとして識別された患者に前立腺ガン療法を施すステップをさらに含む。特定の実施形態において、前立腺ガン療法は、前立腺摘除、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、化学療法、免疫療法およびそれらの組合せを含む。具体的な治療の更なる例はここに説明する。
【0014】
別の態様において、本発明は、サンプルにおいてコントロールに比較してEPCAM、H4C5
およびTTC3の過剰発現を有するとして識別された患者に前立腺ガン療法を施すステップを含む、侵襲性前立腺ガンを有する患者を治療するための方法を提供する。いくらかの実施形態において、患者サンプルは、コントロールに比較して1またはそれよりも多くのmRNA
、circRNA、eccDNAおよびlncRNAの過剰発現をさらに含む。
【0015】
いくらかの実施形態において、mRNAは、1またはそれよりも多くのRIDA、H1-4、H4C2お
よびH4C3を含む。一定の実施形態において、circRNAは、1またはそれよりも多くのcirc842、circ3266、circ1809、circ1979、circ645およびcirc1607を含む。特定の実施形態において、lncRNAはlnc-CCDC125-13および/またはZNF667-AS1を含む。
【0016】
いくらかの実施形態において、eccDNAは、1またはそれよりも多くのchr22:50276214-50276428;chr20:2236337-2236458;chr6:54059859-54063911;chr16:85975027-85975617;chr3:5565190-5565271;chr10:130300872-130301712;chr11:58900903-59058535
;chr22:44599233-49967822;chr17:69961543-69961943;chr18:9809075-9809266;ch
r17:80024303-80024653;chrY:10945178-11295108;chr7:65038315-65873352;chr1:21669328-93846973;chr6:168914322-168914396;chr6:35786783-35799011;chr6:26305559-28597426;chr9:34681483-34681981;chr1:207698916-207868701;chr8:57203766-57210492;chr16:20504588-20504731;chr3:67362279-136250669;chr1:248404181-248404245;chr12:1574344-1574491;chr7:66728585-73967789;chr1:55002895-55003057;およびchr16:89907819-89908811を含む。
【0017】
別の態様において、本発明は、患者から得られたサンプルにおいてコントロールに比較して1またはそれよりも多くのタンパク質、mRNA、circRNA、eccDNA lncRNAの過剰発現を
検出するステップを含む、侵襲性前立腺ガンを有するとして患者を識別するための方法を提供する。いくらかの実施形態において、タンパク質はEPCAMを含む。いくらかの実施形
態において、mRNAは、1またはそれよりも多くのH4C5、TTC3、RIDA、H1-4、H4C2およびH4C3を含む。特定の実施形態において、circRNAは、1またはそれよりも多くのcirc842、circ3266、circ1809、circ1979、circ645およびcirc1607を含む。一定の実施形態において、lncRNAは、lnc-CCDC125-13および/またはZNF667-AS1を含む。
【0018】
いくらかの実施形態において、eccDNAは、1またはそれよりも多くのchr22:50276214-50276428;chr20:2236337-2236458;chr6:54059859-54063911;chr16:85975027-85975617;chr3:5565190-5565271;chr10:130300872-130301712;chr11:58900903-59058535
;chr22:44599233-49967822;chr17:69961543-69961943;chr18:9809075-9809266;chr17:80024303-80024653;chrY:10945178-11295108;chr7:65038315-65873352;chr1:21669328-93846973;chr6:168914322-168914396;chr6:35786783-35799011;chr6:26305559-28597426;chr9:34681483-34681981;chr1:207698916-207868701;chr8:57203766-57210492;chr16:20504588-20504731;chr3:67362279-136250669;chr1:248404181-248404245;chr12:1574344-1574491;chr7:66728585-73967789;chr1:55002895-55003057;およびchr16:89907819-89908811を含む。
【0019】
いくらかの実施形態において、ここに記載する方法の検出ステップは、ラテラルフローデバイスを利用する。具体的な実施形態において、ラテラルフローデバイスはディップスティックアッセイを含む。
【0020】
いくらかの実施形態において、サンプルは、フリーフロー尿および/または前立腺マッ
サージ尿を含む。いくらかの実施形態において、サンプルは、血液または血清を含む。特定の実施形態において、H4C5およびTTC3 RNAの検出は血液または血清における検出を含む。
【0021】
具体的な実施形態において、RNAマーカーはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して検出される。より一層具体的な実施形態において、PCRはqPCRである。EPCAM、TTC3および/
またはH4C5がPCRを介して検出される実施形態において、プライマーはそれぞれ配列番号1-6を含むことができる。
【0022】
さらなる実施形態において、コントロールに比較して以下の1またはそれよりも多くの
発現の低下は、本発明の方法において使用され得る:COX20、CAPN3、CANX、PBLD、LUC7L3、HMGN2P5、SNURF、PNPO、NUDT4、AK4、RSL1D1、UGDH、TRAPPC5、ZNF181、NPM1、PTMA、VDAC1、HSPD1、HSPE1、NIT2、RBIS、COX6C、ODC1、DDAH1、MRPL51、GATD3B、COA4、ATP5MC1、MAP7、HOMER2、NFIX、CCDC58、およびCOX5A。
【0023】
いくらかの実施形態において、コントロールに比較して以下の1またはそれよりも多く
の(過剰)発現の増加を使用することができる:TTC3、ZNF91、H4C2、EEF1G、TOM1L1、H4C3、ELK4、H1-4、OST4、H4C5、RIDA、MRPS21、NCALD、NDUFB9、RAN、EPCAM、およびTMEM2
63。
【0024】
特定の実施形態において、EPCAMタンパク質ならびにH4C5およびTTC RNAは、ここに記載する1つ以上の他のマーカーと一緒に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1A-1D.PCaにおける尿豊富化リキッドバイオプシーバイオマーカーの識別および検証である。図1A:PCaにおける尿豊富化リキッドバイオプシーバイオマーカーの識別のためのフローチャートである。図1B:TCGAデータベースから、PCaの原発性および転移において正常と比較して発現が最も高いmRNAsのトップ50である。赤色および青色はそれぞれ、アップレギュレーションしたおよびダウンレギュレーションした遺伝子を指し示す。図1C:プールしたPCaおよび正常尿における50のmRNAsの正規化発現値の分布を示すqPCR解析である。値はプールした正常尿との相対的な倍率変化を示す。図1D:20のPCaおよび正常尿における9つのmRNAsの差次的発現変動をqPCRによって検証した。N、正常;PCa、前立腺ガン;qPCR、定量的逆転写PCR.
図2図2A-2C.PCaにおける尿EPCAMタンパク質、TTC3およびH4C5 RNAレベルである。図2A:ELISAによって決定された各正常またはPCa患者の尿EPCAMタンパク質濃度を表す散布図.EPCAMタンパク質は各PCa患者において前立腺摘除術の前後で検出された。図2B:qPCRによって決定された各正常またはPCa患者についての尿中TTC3 RNA濃度を表す散布図.TTC3 RNAは各PCa患者において前立腺摘除術前および後に検出した。図2C:qPCRによって決定された各正常またはPCa患者の尿中H4C5 RNAレベルを表す散布図.H4C5 RNAは各PCa患者において前立腺摘除術前および後に検出した。
図3】尿EPCAMタンパク質、TTC3およびH4C5 RNAはPCa診断のための潜在的バイオマーカーである。PCaを有する患者における尿中EPCAMタンパク質、TTC3およびH4C5 RNAレベル対コントロール尿についての受診者動作特性曲線(Receiver Operating Characteristic Curve、ROC).曲線下面積(AUC)は各ROC解析について示され、EPCAMタンパク質は0.99、H4C5 RNAは0.96、およびTTC3 RNAは0.92となる。N、正常;PCa、前立腺ガン;ELISA、酵素結合免疫吸着検定法;qPCR、定量的逆転写PCR.
図4図4A-4D.TTC3サイレンシングはインビトロでのPCa細胞の増殖および浸潤を抑制する。図4A:ヒトPCa(PC3、LNCaP)および正常前立腺上皮(HPrEC)細胞株におけるTTC3の転写物発現をqPCRによって検出した。図4B:TTC3のsiRNA媒介性消耗をqPCRによって定めた。図4C:MTSによるPCa細胞の増殖でのTTC3特異的siRNAの効果.図4D:膜上のTTC3 siRNAで処理した細胞のPC3およびLNCaP浸潤の代表的な画像.データ、平均±SEM.*、p<0.05、**、p<0.01.
図5図5A-5C.PCaにおけるFDA承認診断マーカー尿中前立腺ガン抗原3(PCA3)および血清前立腺特異抗原(PSA)の発現である。図5A:qPCRによって決定された各正常またはPCa患者の尿中PCA3 RNAレベルを表す散布図.PCA3 RNAは各PCa患者において前立腺摘除術の前および後で検出した。図5B:qPCRによって決定された各正常またはPCa患者の尿中SPDEF RNAレベルを表す散布図である。SPDEF RNAは各PCa患者において前立腺摘除術前および後に検出した。図5C:血清PSAタンパク質は各PCa患者において前立腺摘除術前および後に検出した。
図6図6A-6B.PCaおよび正常における尿中バイオマーカー発現のウォーターフォールプロット(Waterfall Plot)である。図6A:各バーは個々のサンプルの平均値を表し、左から右に増加する。各プロットでの黒い水平線は、EPCAMタンパク質についてのカットオフ値26.86pg/ml、TTC3 RNAについての69.92、およびH4C5 RNAについての1068.32を指し示す。図6B:各プロット上の黒い水平線は、PCA3 RNAについては5.69、およびSPDEF RNAについては32.76のカットオフ値を指し示す。水平の灰色のバーはカットポイントで陽性または陰性と誤診された患者数を示す。N、正常;PCa、前立腺ガン;ELISA、酵素結合免疫吸着検定法;qPCR、定量的逆転写PCR.
図7図7A-7D.EPCAMサイレンシングは、インビトロでのPCa細胞の増殖および浸潤を抑制する。図7A:ヒトPCa(PC3、LNCaP)および正常前立腺上皮(HPrEC)細胞株におけるEPCAMの転写物発現をqPCRによって検出した。図7B:EPCAMのsiRNA媒介性消耗をqPCRによって定めた。図7C:MTSによるPCa細胞の増殖におけるEPCAM特異的siRNAの効果である。図7D:膜上のEPCAM siRNAで処理した細胞のPC3およびLNCaP浸潤の代表的な画像である。データ、平均±SEM.*p<0.05、**、p<0.01.
図8図8A-8B.尿におけるPCa特異的mRNAsの識別である。図8A:主成分分析(PCA)の結果はRNA-seqデータの正常および腫瘍サンプルの分離を描く。図8B:51の遺伝子パネルはコントロール、転移、原発腫瘍を分離する。
図9図9A-9B.選ばれた標的のqPCRによる確認.図9A:比較1および2の寄与.TCGAデータセットにおける転移と比較したコントロール、および原発腫瘍と比較したコントロール.図9B:候補遺伝子のqPCR検証.
図10】正常、BPH、前立腺炎およびPCa尿サンプルにおけるEPCAM、TTC3およびPCA3遺伝子発現である。20の正常、11のBPH、7の前立腺炎および25のPCa尿サンプルをテストした。TTC3およびEPCAMの両方はPCaを他のグループから明確に分けた。
図11図11A-11D.4グループのクラスター(デルタCt値)の主成分分析である。図11A:EPCAM+TTC3+PCA.図11B:PCA3+TTC3.図11C:EPCAM+PCA3.図11D:EPCAM+TTC3.EPCAM+TTC3は前立腺ガンの他のグループからの最良の分離を示す。
図12図12A-12B.尿における前立腺ガン特異的環状RNAsである。図12A:ボルケーノプロット(Volcano plot)は正常と比較したPCa尿中の差次的に発現されたcircRNAsを描く。図12B:正常と比較してPCa尿中で高度にアップレギュレーションしたcircRNAsである。
図13】マーカーの有意性検定.PCAはBPH/PTT(前立腺炎)v.PCaを区別できなかった(有意でないP値)。データセットにおける最も有意性の高い比較を黄色で示す。
図14】マーカーの有意性検定.EPCAMおよびTTC3の感度の%はテストした3つのマーカーの中で最も高い感度を示す。
図15】PCaに特異的なeccDNAsの新規グループである。eccDNAsは以前に発表されたDNA-seqデータを用いて識別した。これらの候補のいくつかはPCa患者サンプルにおいてDNAサンプルで検証される(継続中)。
図16図16A-16B.EPCAM ELISAテストである。商業上のEPCAM用ELISAアッセイキットを使用し、および尿においてEPCAM mRNAレベルを測定するテストを開発した。20の正常(N)、17の前立腺ガン(PCa)患者尿サンプルにおけるEPCAM発現.
図17】PCa尿におけるlnc-RNA発現.全RNAのPCA分解.
図18】lncRNAだけのボルケーノプロット.合計53の有意なlncRNAsインシピペディアアノテーション(Incipedia annotation).PCaでアップレギュレーションされているのは2つだけである。*(lfc2)>1およびadjPval <0.05.
図19図19A-19B.DE lncRNAs PCa/正常.
図20図20A-20B.53のlncRNAsのPCA(図13A)およびヒートマップ(図13B)プロット.
図21図21A-21F.トップDE lncRNAsの発現.ENTPD1-AS1(図14A);LINC01973(図14B);LINC02312(図14C);CPB2-AS1(図14D);lnc-CCDC125-13(図14E);およびZNF667-AS1(図14F).
図22】PCaについてのEPCAM ELISA.正常46、PCa術前49、PCA術後24.
図23】PCa対正常(PCa v. Normal)における高い代謝物.
図24】PCa対BPHにおける高い代謝物.
図25】PCa対PTTにおける代謝物上昇.
図26】有意な代謝物についてのヒートマップ.
図27】PCa対PTTにおける代謝物減少.
図28】バイオマーカーの受信者動作特性曲線(ROC)分析.一連のカットオフポイントが黒色の点として例示される。
図29】EPCAM、H4C5およびTTC3のROC曲線比較.
図30】EPCAM発現はPCa尿-ELISAアッセイにおいて正常尿よりも高い。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の詳細な記載
【0027】
本発明は、ここに記載される特定の方法および成分などに制限されないことが理解される。また、ここで使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的だけに使用され、本発明の範囲を制限することを意図するものではないことが理解される。ここでおよび添付の請求の範囲で使用するように、単数形「a(不定冠詞、ある)」、「an(母音の前の不
定冠詞)」、および「the(定冠詞、その)」は、関連上明らかに別なふうに指示されな
い限り、複数形の参照を含むことに注目しなければならない。このように、例えば、ある「タンパク質」への言及は、1またはそれよりも多くのタンパク質への言及であり、およ
び当技術において熟練する者に知られるそれらの等価物およびその他のものを含む。
【0028】
別なふうに規定しない限り、ここで使用するすべての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術における通常の熟練の人によって普通に理解されるのと同じ意味を有する。具体的な方法、デバイス、および材料を記載するが、ここに記載されているものと類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実際または試験に使用することができる。
【0029】
ここで引用したすべての刊行物は、すべての雑誌記事、書籍、マニュアル、公開特許出願、および発行済み特許を含め、参照によりここに組み込まれる。加えて、本明細、例、および添付の請求の範囲で採用される一定の用語および句の意味を提供する。これらの定義は本質において制限的であることを意味するものではなく、および本発明の一定の態様がより一層明確な理解を提供するようにはたらく。
【0030】
広い意味で、本発明は、1またはそれよりも多くのクラスのバイオマーカー分子の試験
を企図する。分子のクラスは、ポリペプチド/タンパク質、核酸およびポリアミノ酸、な
らびに代謝物から選ぶことができる。核酸分子は、ゲノムDNA、プラスミドDNA、相補的DNA(cDNA)、無細胞(例は、非カプセル化)DNA(cfDNA)(また細胞外DNA(eccDNA)とも呼ばれる、循環腫瘍DNA(ctDNA)、ヌクレオソームDNA、染色体DNA、ミトコンドリアDNA
(miDNA)、人工核酸アナログ、組換え核酸、プラスミド、ウイルスベクター、およびク
ロマチンを含め、デオキシリボ核酸(DNA)を含む。特定の実施形態において、患者サン
プルには、eccDNA/cfDNAが含まれる。
【0031】
核酸分子はまた、コードおよび非コード転写産物、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、マイクロRNA(mitoRNA)、リボソームRNA(rRNA)、循環RNA(cRNA)、選択的スプライシングによる(alternatively spliced)mRNAs、長鎖非コード(long non-coding)RNA(lncRNA)、小核RNAs(snRNAs)、アンチセンスRNA、低分子ヘアピン型(short
hairpin)RNA(shRNA)、または低分子干渉(small interfering)RNA(siRNA)を含め
、リボ核酸(RNA)を含むことができる。特定の実施形態において、患者サンプルには、mRNA、circRNA、および/またはlncRNAが含まれる。
【0032】
核酸分子またはそのフラグメントは、一本鎖が含まれてもよく、または二本鎖であることができる。サンプルには、1またはそれよりも多く(以下では1以上とも言う)の種類の核酸分子またはそのフラグメントが含まれてよい。
【0033】
核酸分子またはそのフラグメントは、任意の数のヌクレオチドを含むことができる。例えば、一本鎖核酸分子またはそのフラグメントは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少
なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも220、少なくとも240、少なくとも260、少なくとも280、少
なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、またはそれらよりも多くのヌクレオチド
を含み得る。二本鎖核酸分子またはそのフラグメントの実例では、核酸分子またはそのフラグメントは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少な
くとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくと
も160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも220、少なくとも240、少なくとも260、少なくとも280、少なくとも300、少なくとも350、少
なくとも400、またはそれらよりも多くの塩基対(bp)、例は、ヌクレオチドの対を含み
得る。場合によっては、二本鎖核酸分子またはそのフラグメントは、100および200bpの間、例えば、120および180bpの間を含み得る。例えば、サンプルは120および180bpの間が含まれるcfDNA分子を含んでいてもよい。
【0034】
バイオマーカー分子のクラスにはまた、ポリアミノ酸、ペプチド、またはタンパク質を含め、ポリアミノ酸も含むことができる。ここで使用する場合、ポリアミノ酸という用語は、モノマーがアミド結合を通して一緒に接合するアミノ酸残基であるポリマーを指す。アミノ酸がアルファ-アミノ酸であるとき、L-光学異性体またはD-光学異性体のいずれを
も使用することができ、L-異性体が好ましい。一例において、被分析物は自己抗体である。
【0035】
分子(または分析物)のクラスのさらなる例には、例えば、糖、脂質、アミノ酸、脂肪酸、フェノール化合物、またはアルカロイドなどのような代謝物が含まれる。一実施形態では、分析物は炭水化物である。別の実施形態では、分析物は炭水化物抗原である。より一層具体的な実施形態において、炭水化物抗原はO-グリカンに付着している。一定の実施形態では、分析物は単糖、二糖、三糖または四糖である。
【0036】
具体的な実施形態において、バイオマーカークラスには、RNA(mRNA、circRNA、lncRNA)、eccDNA、タンパク質、代謝物、および前述のものの組合せが含まれる。
【0037】
バイオマーカーの1以上の分析物/クラスを含むサンプルは、特定の分析物またはそのコレクションを提供または精製するために処理することができる。一実施形態では、1以上
の分析物を含むサンプルは、1つのタイプの分析物(例は、タンパク質またはeccDNA/cfDNA)を他のタイプの分析物(例は、mRNA、circRNA、lncRNA)から分けるために処理することができる。別の実施形態では、サンプルは、サンプルからの各アリコートにおいて異なる分析物の分析のためにアリコートに分けられる。さらに別の実施形態では、1以上の核
酸分子または異なるサイズ(例は、長さ)のそのフラグメントを含むサンプルは、より一層高分子量および/またはより一層長い核酸分子またはそれらのフラグメント、またはよ
り一層低い分子量および/またはより一層短い核酸分子またはそれらのフラグメントを除
去するために処理することができる。
【0038】
サンプル処理は、例えば、遠心分離、ろ過、選択的沈殿、タグ付け、バーコーディング、および分配(partitioning)などのような1以上のプロセスを含み得る。例えば、細胞DNAは、遠心分離またはろ過プロセスなどのような選択的なポリエチレングリコールおよびビーズベースの沈殿プロセスによってcfDNAから分けることができる。
【0039】
ここでさらに記載するように、本発明のバイオマーカーの検出に有用なアッセイには、制限されないが、全ゲノムシーケンシング(WGS)、全ゲノムバイサルファイトシーケン
シング(WGSB)、小分子RNAシーケンシング、定量イムノアッセイ、酵素結合免疫吸着検
定法(ELISA)、近接伸長アッセイ(proximity extension assay)(PEA)、タンパク質
マイクロアレイ、質量分析、低カバレッジ全ゲノムシーケンシング(low-coverage Whole
Genome Sequencing)(lcWGS)、cf-タンパク質免疫定量ELISAs、SIMOA;およびcf-miRNAシーケンシング、ならびに上記のアッセイのいずれかから導かれる細胞型または細胞表
現型の混合割合が含まれる。
【0040】
バイオマーカー検出の分析は、制限されないが、以下の:線形判別分析(linear discriminant analysis)(LDA);部分的最小二乗法(partial least squares)(PLS);ラ
ンダムフォレスト(random forest);主成分分析(PCA);k-近傍法(k-nearest neighbor)(KNN);放射基底関数カーネル(radial basis function kernel)を有するサポー
トベクトルマシン(SVM)(SVMRadial);線形基底関数カーネル(linear basis function kernel)を有するSVM(SVMLinear);多項式基底関数カーネル(polynomial basis function kernel)を有するSVM(SVMPoly);決定木(decision trees)、多層パーセプトロン、混合エキスパート(mixture of experts)、スパース因子分析、階層分解および線形代数ルーチンと統計の組合せの1つ以上に従って訓練され、および構築された分類子によ
って実行することができる。
【0041】
I.定義
【0042】
ここで使用するように「対象」、「患者」または「個体」はヒトである。対象は、治療が要求される状態、疾患、障害(例は、前立腺ガン)、または状態、疾患、障害に関連する1またはそれよりも多くの合併症に罹患している、または有していると以前に診断され
た、または識別された、および随意にその状態、疾患、障害、またはその状態、疾患、もしくは障害に関連する1またはそれよりも多くの合併症の治療を既に受けた者であること
ができる。あるいはまた、対象は、状態、疾患、もしくは障害、またはその状態、疾患、もしくは障害に関連する1またはそれよりも多くの合併症を有すると以前に診断されてい
ない者であることもできる。例えば、対象は、状態、疾患、もしくは障害、またはその状態、疾患、もしくは障害に関連する1またはそれよりも多くの合併症についての1またはそれよりも多くの危険因子を見せる者、または危険因子を見せない対象である。特定の状態、疾患、または障害について治療を「要求される対象」は、その状態、疾患、または障害を有することが疑われた、その状態、疾患、または障害を有すると診断された、その状態、疾患、または障害について既に治療された、もしくは治療されている、その状態、疾患、もしくは障害、またはその状態、疾患、もしくは障害を発症する危険性について治療されていない対象であることができる。
【0043】
いくらかの実施形態において、対象は、疾患を有する疑いがある対象、疾患を有する対象、疾患と診断された対象、疾患についての治療を受けた対象、疾患の治療を受けている対象、および疾患を発症する危険性がある対象からなる群より選ばれる。
【0044】
いくらかの実施形態において、対象は、前立腺ガンを有する疑いのある対象、前立腺ガンを有する対象、前立腺ガンと診断された対象、非侵襲性(non-aggressive)前立腺ガンを有する対象、侵襲性前立腺ガンを有する疑いがある対象、前立腺ガンの治療を受けている対象、良性前立腺肥大(benign prostate hyperplasia)を有する対象、前立腺炎を有
する対象、前立腺ガンの治療を受けている対象、および前立腺ガンを発症する危険性がある対象からなる群より選ばれる。
【0045】
「リスクがある」ことによって正常な対象と比較して、またはコントロール群、例は、患者集団と比較して、高いリスクにあることを意味されるように意図される。このように、特定のマーカーを保持する対象は、具体的な状態、疾患または障害に比較してリスクが増加し、およびさらなる試験が必要であると識別され得る。「リスクの増加」または「リ
スクの上昇」は、例は、対象が障害を有する確率において任意の統計的な有意性の増加を意味する。リスクは、比較が行われるコントロール群に対して、少なくとも10%、少なくとも20%、およびさらには少なくとも50%により増加する。一定の実施形態において、対象は侵襲性前立腺ガンを発症するリスクがあることができる。
【0046】
「サンプル」は、ここにおいてその最も広い意味で使用される。ここで使用される用語「生物学的サンプル」は生物学的有機体から採取または分離されたサンプルを表す。サンプルまたは生物学的サンプルは、血液、血清、血しょう、涙、眼房水(aqueous humor)
および硝子体液(vitreous humor)、髄液(spinal fluid)を含む体液;細胞または組織調製物の可溶性画分、または細胞が増殖した培地;または細胞または組織から分離または抽出された膜;ポリペプチド、または溶液中または基質に結合したペプチド;細胞;組織、組織プリント、フィンガープリント、皮膚または毛髪;それらのフラグメントおよび誘導体が含まれ得る。サンプルまたは生物学的サンプルの非制限的な例には、口腔粘膜標本採取(cheek swab);粘液;全血、血液、血清;血しょう;尿;唾液、精液;リンパ(lymph);糞便抽出物;喀痰(sputum);他の体液または生物流体(biofluid);細胞サン
プル;および組織サンプル、などが含まれる。用語はまた、上記のサンプルまたは生物学的サンプルの混合物も含まれる。また、「サンプル」という用語には、未処理または前処理済みの(またはあらかじめ加工された)生物学的サンプルも含まれる。いくらかの実施形態において、サンプルまたは生物学的サンプルは、対象からの1またはそれよりも多く
の細胞を含むことができる。対象のサンプルまたは生物学的サンプルは、通常、血液、血しょうおよび血清を含め、血液製剤の誘導体が含まれる。いくらかの実施形態において、サンプルは生物学的サンプルである。いくらかの実施形態において、サンプルは血液である。いくらかの実施形態において、サンプルは血しょうである。いくらかの実施形態において、サンプルは、血液、血しょう、血清、または尿である。一定の実施形態において、サンプルは血清サンプルである。特定の実施形態では、サンプルは尿サンプルである。
【0047】
「身体の流体」または「体液」という用語は、有機体の体内由来の液体である。体液には、羊水、眼房水、硝子体液、胆汁、血液(例は、血清)、母乳、脳脊髄液(cerebrospinal fluid)、耳垢(耳あか)、乳び、粥状液、内リンパおよび外リンパ、滲出物、糞便
、雌性射精(female ejaculate)、胃酸、胃液、リンパ、粘液(例は、鼻漏(nasal drainage)および痰(phlegm))、心膜液(pericardial fluid)、腹水(peritoneal fluid
)、胸水、膿汁、粘膜分泌物(rheum)、唾液、皮脂(スキンオイル)、漿液、精液、喀
痰、滑液、汗、涙、尿、膣分泌液、および吐物が含まれる。細胞外体液には、血管内液(血しょう)、間質液、リンパ液(lymphatic fluid)および細胞透過液が含まれる。「生
物学的サンプル」にはまた、上記の体液の混合物も含まれる。「生物学的サンプル」は未処理または前処理済みの(またはあらかじめ加工した)生物学的サンプルであってもよい。特定の実施形態において、体液は尿を意味する。
【0048】
当技術で既知のサンプル収集手順およびデバイスは、本発明の様々な実施形態と共に使用するのに適している。サンプル収集手順およびデバイスの例には、制限されないが、瀉血用チューブ(例は、血液/標本の収集および/または貯蔵のためのバキュテナー(vacutainer)血液/標本収集デバイス)、乾燥血液スポット、マイクロベットCB300キャピラリー収集デバイス(Microvette CB300 Capillary Collection Device)(Sarstedt(ザルスタット))、HemaXis(ヘマクシス)血液収集デバイス(マイクロ流体技術、Hemaxis(ヘマクシス))、容量吸収マイクロサンプリング(Volumetric Absorptive Microsampling)
(例えば、正確な乾燥血液サンプリングのためのCE-IVD Mitraマイクロサンプリングデバイス(CE-IVD Mitra microsampling device)(Neoteryx(ネオテリクス))などのよう
なもの、HemaSpotTM-HF血液収集デバイス(HemaSpotTM-HF Blood Collection Device(TMは米国等でのトレードマーク表示)、組織サンプル収集デバイス;標準的な収集/貯蔵デ
バイス(例は、サンプル(例は、血液、血しょう、血清、尿、など)の収集および/また
は貯蔵のための収集/貯蔵デバイス);乾燥血液スポットサンプリングデバイスが含まれ
る。いくらかの実施形態では、体積吸収マイクロサンプリング(Volumetric Absorptive Microsampling)(VAMS1M)サンプルを貯蔵し、およびメールすることができ、およびア
ッセイは遠隔で実行することができる。
【0049】
ここで使用するように、「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸に類似した方法で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸ミメティックを指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によってコードされているもの、ならびに後に修飾されるそれらのアミノ酸、例は、ヒドロキシプロリン、-カルボキシグルタマート、およびO-ホスホセリンである。アミノ酸アナログは、
天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、即ち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合する炭素を有する化合物、例は、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニ
ンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのようなアナログは、修飾されたR基(例は、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在
するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持する。アミノ酸ミメティックは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能する化学的化合物を指す。アミノ酸は、ここにおいて、普通に知られる3文字の記号に
よって、またはIUPAC-IUB生化学命名法委員会が推奨する1文字の記号のいずれかによって言及され得る。ヌクレオチドも同様に、普通に受け入れられる1文字コードによって言及
され得る。
【0050】
ここで使用する用語「ペプチド」は、1つのアミノ酸残基のカルボキシル基と隣接する
アミノ酸残基のアミノ基とから形成されるアミド結合によって接合された少なくとも2つ
のアミノ酸残基を含む任意の化合物を指す。いくらかの実施形態において、ペプチドは典型的に、2から約30まで、または約40まで、または約50まで、または約60まで、または約70残基までの長さに及ぶアミノ酸残基のポリマーを指す。一定の実施形態において、ペプ
チドは、約2、3、4、5、7、9、10、または11残基から約60、50、45、40、45、30、25、20、または15残基までの長さに及ぶ。一定の実施形態において、ペプチドは、約8、9、10、11、または12残基から約15、20、または25残基までの長さに及ぶ。いくらかの実施形態において、ペプチドは、2から約12残基まで、または2より約20残基まで、または2より約30
残基まで、または2より約40残基まで、または2より約50残基まで、または2より約60残基
まで、または2より約70残基までの長さに及ぶ。一定の実施形態において、ペプチドを含
むアミノ酸残基は「L-型」アミノ酸残基であるが、とはいえ種々の実施形態において、「D」アミノ酸をペプチドに組み込むことができることが認識される。ペプチドはまた、天
然に存在するアミノ酸ポリマーと同様に、1またはそれよりも多くのアミノ酸残基が対応
する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的アナログであるアミノ酸ポリマーを含む。加えて、その用語は、ペプチド連結によって、または他の、「修飾された連結」(例は、ペプチド結合が、a-エステル、f3-エステル、チオアミド、ホスホンアミド、カルバマー
ト、ヒドロキシラート、およびその他同種類のものなどによって置換されている)によって接合されたアミノ酸に適用され(例は、Spatola(スパトラ)ら、(1983)Chem. Biochem. Amino Acids and Proteins(ケミストリー・アンド・バイオケミストリー・オブ・アミノ・アシッヅ、ペプチヅ・アンド・プロテインズ)7:267-357参照)、そこではアミドが飽和アミンで置換される(例は、Skiles(スカイルズ)ら、米国特許第4,496,542号、
それは参照によりここに組み込まれ、およびKaltenbronn(カルテンブロン)ら、(1990)pp.969-970((1990年)ページ969-970)in Proc. 11th American Peptide Symposium(抄録第11回アメリカンペプチドシンポジウム)、ESCOM Science Publishers(ESCOMサイエン
ス・パブリッシャーズ)、The Netherlands(オランダ国)、およびその他同種類のもの
参照))。
【0051】
タンパク質は、1またはそれよりも多くの長鎖のアミノ酸から構成される大きな分子を
含み、およびすべての生きた有機体に不可欠な部分である窒素性有機化合物のクラスのいずれかを指す。タンパク質は、アミノ酸構造に対する様々な修飾、例えば、ジスルフィド結合形成、リン酸化およびグリコシル化などのようなものを含んでいてもよい。アミノ酸残基の線状鎖は「ポリペプチド」と呼ばれてよく、タンパク質は少なくとも1つのポリペ
プチドを含む。短いポリペプチド、例は、20-30残基未満を含め、ポリペプチドは時には
、「ペプチド」と呼ばれる。
【0052】
「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子もしくは免疫グロブリン遺伝子群、またはそのフラグメントによって実質コードされるポリペプチドリガンドを指し、それはエピトープ(例は、抗原)と特異的に結合し、およびそれを認識する。認められる免疫グロブリン遺伝子には、カッパおよびラムダ軽鎖定常領域遺伝子、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロンおよびミュー重鎖定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。抗体は、例えば、無傷の免疫グロブリンとして、あるいは様々なペプチダーゼによる消化によって産生される複数のよく特徴付けられたフラグメントとして存在する。これには例えば、Fab'およびF(ab)'2フラグメントが含まれる。ここで使用されるように「抗
体」という用語には、抗体全体の改変によって産生された抗体フラグメントまたは組換えDNAの方法論を使用して新規に(de novo)合成されたもののいずれも含まれる。また、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または一本鎖抗体も含まれる。抗体の「Fc」部分は免疫グロブリン重鎖の、1つ以上の重鎖定常領域ドメイン
、CH1、CH2およびCH3を含むその部分を指すが、重鎖可変領域は含まない。
【0053】
タンパク質またはペプチドに言及するとき、抗体に「特異的に(または選択的に)結合する」または「と特異的な(または選択的な)免疫反応性」という句は、タンパク質および他の生物製剤の不均一な集団におけるタンパク質の存在を定める結合反応を指す。このように、指定されたイムノアッセイ条件下、特定された抗体はバックグラウンドの少なくとも2倍で特定のタンパク質に結合し、およびサンプル中に存在する他のタンパク質には
実質有意に結合しない。そのような条件下での抗体への特異的結合は、特定のタンパク質についてのその特異性のために選ばれた抗体が要求されてよい。特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選ぶために、様々なイムノアッセイフォーマットを使用し得る。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選ぶた
めに日常的に使用される(例は、特異的免疫反応性を決定するために使用することができるイムノアッセイフォーマットおよび条件の記述について、Harlow(ハーロウ)& Lane(レーン)、Antibodies, A Laboratory Manual(抗体、ラボラトリーマニュアル)(1988
)参照)。
【0054】
ここで使用するように「閾値」という用語は、一定の反応、現象、結果、または状態について起こるために超えなければならない、または関連すると考えられる大きさまたは強度を指す。関連性は関連に依存することができ、例えば、それは陽性、反応性または統計的に有意な関連性を指し得る。
【0055】
「結合アッセイ」によって、生化学的アッセイが意味され、そこではバイオマーカーが抗体などのような薬剤に結合することによって検出され、それを通して検出プロセスが行われる。検出プロセスには、蛍光または放射性標識、およびその他同種類のものなどを伴い得る。アッセイには、バイオマーカーの固定化を伴ってよく、溶液において行われてもよい。
【0056】
「イムノアッセイ」は、抗体を用いて抗原(例は、マーカー)を特異的に結合させるアッセイである。イムノアッセイは、抗原を分離、標的化、および/または定量するために
、特定の抗体の特異的結合特性を使用することによって特徴付けられる。イムノアッセイの非制限的な例には、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、免疫沈降、SISCAPA(安定同位
体標準および抗ペプチド抗体による捕捉)、ウェスタンブロット、などが含まれる。
【0057】
「診断」は、病理学的状態、疾患、または障害の存在または性質を識別することを意味し、および具体的な状態、疾患、または障害を発症する危険性がある患者を識別することを含む。診断法はそれらの感度と特異性とにおいて異なる。診断アッセイの「感度」は、陽性と判断される疾患個体の割合(「真陽性」の割合)である。アッセイによって検出されなかった疾患個体は「偽陰性」である。病気にならず、およびアッセイで陰性と判断された対象は「真陰性」と呼ばれる。診断アッセイの「特異性」は1から偽陽性率を引き、
そこで「偽陽性」率は陽性と判断された疾患を伴わないものの割合として定められる。特定の診断法が病態、疾患、障害の確定診断を提供しないかもしれないが、診断法が診断の助けとなる陽性の兆候を提供すれば十分である。
【0058】
「統計的に有意な」または「有意に」という用語は差があるという統計的証拠を指す。帰無仮説が実際に真であるとき、帰無仮説を棄却する決定を下す確率として規定される。判定はp値を用いて行われることが多い。
【0059】
ここで使用するように「感度」という用語は、対象における疾患の存在を検出または識別するための方法の能力を指す。例えば、対象におけるガン(例は、侵襲性前立腺ガン)の存在を検出することができるここに記載する種々の方法のいずれかに関して使用されるとき、高い感度は、その方法が対象における侵襲性前立腺ガンの存在を多くの割合の時間で正しく識別することを意味する。例えば、方法が実行される時間の95%において対象における侵襲性前立腺ガンを正しく検出するここに記載される方法は、95%の感度を有すると言われる。特定の実施形態において、対象において侵襲性前立腺ガンを検出し(または侵襲性前立腺ガンと非侵襲性前立腺ガンとを区別する)ことができるここに記載する方法は、少なくとも70%(例は、約70%、約72%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%、または約100%)の感度を提供する。一定の実施形態では、2またはそれよりも多くのクラスのバイオマーカー(例は、核酸バイオマーカーおよび/またはタンパク質バイオマーカー)
の1またはそれよりも多くのメンバーの存在を検出することを含むここで提供される方法
は、バイオマーカーの1つのクラスだけの1またはそれよりも多くのメンバーの存在を検出することを含む方法よりも高い感度を提供する。
【0060】
ここで使用するように「特異性」という用語は、対象における疾患の存在を検出するための方法の能力を指す(例えば、方法の特異性は、対象における真陰性率に比較して真陽性を識別し、および/または真に生じる配列変種を配列決定アーチファクトまたは他の密
接に関連する配列から区別する方法の能力として説明することができる)。例えば、対象におけるガン(例は、侵襲性前立腺ガン)の存在を検出することができるここに記載する種々の方法のいずれかに関連して使用されるとき、高い特異性は、その方法が対象におけるガンの不存在を多くの割合の時間で正しく識別することを意味する(例えば、その方法は多くの割合の時間で対象におけるガンの存在を誤って識別しない)。いくらかの実施形態では、対象におけるガンの不存在(正常、BPHまたは他の非侵襲性ガン)を検出するこ
とができるここに説明する方法は、少なくとも80%(例は、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、またはそれらよりも多く)の特異性を提供する。高い特異性を有する方法は、(例は、他の方法と比較して)偽陽性結果を最小限にするか、またはまったく生じさせない。偽陽性の結果は任意の供給源から生じることができる。いくらかの実施形態では、ここで提供される方法は、2以上のクラスのバ
イオマーカーの1以上のメンバーの存在を検出することを含み(例は、核酸バイオマーカ
ーおよび/またはタンパク質バイオマーカー)、バイオマーカーの1つのクラスだけの1以
上のメンバーの存在を検出することを含む方法よりも高い特異性を提供する。
【0061】
用語「検出」、「検出すること」およびその他同種類のものは、バイオマーカーを検出すること、ペプチドを検出すること、タンパク質を検出すること、または状態を検出すること、疾患または障害を検出すること(例は、正のアッセイ結果が得られるとき)との関連で用い得る。後者の関連では、単なる検出が診断を示しているとき、「検出すること」および「診断すること」は同義であると考えられる。その用語はまた、用語「測定すること」と同義に使用される。
【0062】
用語「マーカー」または「バイオマーカー」は、ここで互換的に使用され、および本発明の関連では、タンパク質またはペプチド(例えば、前立腺ガンまたはここに記載の前立腺ガンに関連するタンパク質またはペプチド)を指し、コントロール値と比較して、具体的な疾患または障害を有する患者から採取されたサンプルにおいて差次的に存在し、コントロール値は、例えば、コントロール対象(例は、負の診断、正常または健康な対象を有する人)から採取された比較可能なサンプルにおける平均値または中央値からなる。バイオマーカーは、例えば、抗体または質量分析によって検出され得る特異的なペプチドまたはタンパク質として決定されてよい。いくつかの用途、例えば、質量分析または多様な抗体の他のプロファイルは、多様なバイオマーカーを決定するために使用してよく、および個々のバイオマーカーの間の差異および/または部分的または完全なプロファイルは、診
断のために使用され得る。いくらかの実施形態では、バイオマーカーは、抗体、質量分析、またはそれらの組合せによって検出され得る。特定の実施形態では、マーカーまたはバイオマーカーは、RNA(例は、循環RNA(circRNA)、IncRNA、mRNA)、DNA(例は、細胞外DNA(eccDNA)(また細胞フリーDNAまたはcfDNAとしても知られる)、ペプチド/タンパク質、および/または代謝産物を含む。一定の実施形態では、マーカーまたはバイオマーカ
ーは尿において測定される。
【0063】
マーカーの「テスト量」は、テストされるサンプルにおいて存在するマーカーの量を指す。テスト量は、絶対量(例は、g/mL)または相対量(例は、信号の相対強度)のいずれかでもあることができる。
【0064】
マーカーの「診断量」は、特定の疾患または障害の診断と一致する対象のサンプルにおけるマーカーの量を指す。診断量は、絶対量(例は、μg/ml)または相対量(例は、信号の相対強度)のいずれかでもあることができる。
【0065】
マーカーの「コントロール量」は、マーカーのテスト量に対して比較される任意の量または量の範囲であることができる。例えば、マーカーのコントロール量は、診断しようとしている疾患または障害を患っていない人におけるマーカーの量であることができ、コントロール量は、絶対量(例は、μg/ml)または相対量(例は、信号の相対強度)のいずれかでもあることができる。
【0066】
「差次的に存在する」または「レベルにおいて変化する」という用語は、コントロール対象と比較して、具体的な疾患または障害を有する患者から採取されたサンプルにおいて存在するマーカーの量および/または頻度の差を指す。例えば、マーカーは、コントロー
ル値(例は、コントロール対象のサンプルから決定される)と比較して、疾患または障害を有する患者のサンプルにおいて、上昇したレベルまたは減少したレベルで存在することができる。あるいはまた、マーカーは、患者のサンプルにおいて、コントロール対象のサンプルと比較してより高い頻度またはより低い頻度で検出することができる。マーカーは、量、頻度またはその両方、ならびに2つ以上の具体的な修飾されたアミノ酸残基および/またはタンパク質自体の間の差の比に関して差次的に存在することができる。一実施形態では、ここでの修飾されていないタンパク質およびペプチドに対する修飾の比率においての増加は、ここで説明する任意の1つ以上の疾患の診断である。特定の実施形態では、マ
ーカーは、非侵襲性前立腺ガンを有するかまたはガンでない患者を含むコントロール対象
と比較して侵襲性前立腺ガンを有する患者において差次的に存在することができる。差次的に存在することは、PCa対、正常、BPHおよび/またはPTTを含めた他の条件でのものを指すことができる。
【0067】
サンプル(侵襲性前立腺ガンを有する患者)におけるマーカー、化合物、組成物または物質の量が、別のサンプル(非侵襲性ガンを有しまたはガンでない患者)におけるマーカー、化合物、組成物または物質の量と、またはコントロール値(例は、非侵襲性ガンまたはガンがないことを表す指標または値)と統計的に有意に異なる場合、マーカー、化合物、組成物または物質はサンプルにおいて差次的に存在する。例えば、マーカーは、それが少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少
なくとも約150%、少なくとも約180%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約500%、少なくとも約700%、少なくとも約900%、または少なくとも約1000%を超え、また
は未満で存在する場合、差次的に存在し、それは他のサンプルにおいての存在であり(例は、コントロール)、またはそれが1つのサンプル中で検出可能であり、および他方では
検出可能ではない場合である(・・a marker is differentially present if it is present at least about 50%, ・・・1000% greater or less than it is presence in the other sample (e.g., control), or if it is detectable in one sample and not detectable in the other.)。
【0068】
代替的に、または追加的に、マーカー、化合物、組成物または物質は、マーカーを検出する頻度、などが、特定の疾患または障害に罹患している患者のサンプルにおいて、非侵襲性前立腺ガン、良性病変およびその他同種類のものなどを有する対象、またはそうでなければ健常者などのようなコントロールから得られたコントロールサンプルまたはコントロール値におけるよりも統計的に有意に高いまたは低い場合、サンプル間に差次的に存在する。例えば、バイオマーカーは、それが少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少
なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%より一層高い頻度で検出され、またはサンプルの1つのセット(例は、侵襲性前立腺ガンを有する患者)において他の
セットのサンプル(例は、非侵襲性前立腺ガンを有するまたはガンでない患者)より低い頻度が観察される場合、2つのセットのサンプル間に差次的に存在する。これらの模範的
な値にもかかわらず、熟練した従業者は、マーカーが差次的に存在するかどうかを決定するために統計的に有意な差を表すカットオフポイント、などを決定することができると予想される。
【0069】
「1またはそれよりも多く(「1以上」とも言う)の」という用語は、様々なバイオマーカーの組合せを指す。本用語は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16
、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40...Nを包含し、そこで、Nは特定の実施形態におけるバイオマーカータンパク質の合計数である。本用語はまた、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、
少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも15、16、17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40...Nを包含し、および共に互換的に使用される。ここにおけるバイオマーカーの列挙は、
バイオマーカーの「1以上」という句を含み、および特に、バイオマーカーパネルの各列
挙された実施形態において、「少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3」などの言語を
含むことが理解される。
【0070】
「検出可能なモイエティ」または「標識」は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的手段によって検出可能な組成物を指す。例えば、有用な標識は、32P
35S、蛍光色素、電子密度試薬、酵素(例は、ELISAにおいて普通に使用されるような)、ビオチン-ストレプトアビジン、ジゴキシゲニン、抗血清またはモノクローナル抗体が
利用可能であるハプテンおよびタンパク質、または標的に相補的な配列を有する核酸分子を含む。検出可能なモイエティは、多くの場合、測定可能なシグナル、例えば、放射性、発色性、または蛍光信号などのようなものを生成し、それらはサンプルにおいて結合した検出可能モイエティの量を定量化するために使用することができる。シグナルの定量化は、例えば、シンチレーション計数、デンシトメトリー、フローサイトメトリー、またはインタクトなタンパク質またはペプチドの質量分析による直接分析によって達成される。いくらかの実施形態では、検出可能モイエティは安定同位体である。いくらかの実施形態では、安定同位体は、15N、13C、18Oおよび2Hからなる群より選ばれる。
【0071】
ここで使用するように、「治療する」、「治療」、「治療すること」、または「改善」という用語は、疾患、障害、または医学的状態を参照して使用するとき、治療的処置および予防的または防止的手段のいずれも指し、そこでは目的は、兆候、状態、疾患、または障害の進行または重症度を逆転、緩和、寛解、抑制、軽減、減速または停止することである。用語「治療すること」は、状態、疾患、または障害の少なくとも1つの有害な影響ま
たは兆候を低減または緩和することを含む。治療は概して、1つ以上の兆候または臨床マ
ーカーが低減する場合に「有効」である。あるいはまた、治療は、疾患、障害または医学的状態の進行が低減または停止される場合に「有効」である。すなわち、「治療」は、兆候またはマーカーの改良だけでなく、治療の不存在下で予想されるであろう兆候の進展または悪化の休止または少なくとも遅延も含む。また、「治療」は、処置が最終的に不成功である場合、有益な結果を追求または取得すること、または個体が状態、疾患、または障害を発症する可能性を低下させることを意味し得る。治療を要求されるものには、状態、疾患、または障害を既に有しているもの、ならびに状態、疾患、または障害を有する傾向があるもの、または状態、疾患、もしくは障害が防止されるものが含まれる。
【0072】
治療または治療的処置の非制限的な例には、薬理学的または生物学的療法および/また
は介入性外科的処置が含まれる。
【0073】
用語「予防的処置」は、健康な対象または疾患を有しない対象の健康状態または非罹患状態を維持または改良することを意味する。「予防的処置」または「健康監視」という用語はまた、状態、疾患、または障害と関係する兆候の出現を防止または遅くすることも意味する。「予防的処置」という用語はまた、対象が状態、疾患、障害を取得することを防止または遅くすることを意味する。
【0074】
ここで使用するように、用語「施すこと」は、ここに開示されるような薬剤または処置を望ましい部位での薬剤または処置の少なくとも部分的な局在化をもたらす方法またはルートによって対象に配置することを指す。「投与のルート」は、制限されないが、エアロゾル、鼻、吸入による、経口、肛門、肛門内、肛門周囲、経粘膜、経皮、非経口、経腸、局所(topical)または局在(local)を含め、当技術で知られる任意の投与経路を指し得る。「非経口」は、腫瘍内、頭蓋内、心室内、くも膜下腔内(intrathecal、髄腔内)、
硬膜外、硬膜内、眼窩内、注入、嚢内(intracapsular、関節内)、心臓内、皮内、筋肉
内、腹腔内、肺内、脊柱管内(intraspinal、椎間板内)、イントラステマイ(intrastemai)、髄腔内(intrathecal、くも膜下腔内)、子宮内、血管内、静脈内、動脈内、くも
膜下、嚢下(subcapsular、被膜下)、皮下、経粘膜、または経気管を含め、概して注射
と関係する投与経路を指す。非経口経路を介して、組成物は、注入用または注射用の溶液または懸濁物の形態であってもよく、または凍結乾燥粉体としてもよい。経腸経路を介し
て、薬学的組成物は、錠剤、ゲルカプセル、糖衣錠剤、シロップ、懸濁物、溶液、粉体、顆粒、エマルション、ミクロスフェアもしくはナノスフェアまたは脂質小胞もしくはポリマー小胞の形態であることができ、コントロールされた放出が可能になる。局所経路を介して、薬学的組成物は、エアロゾル、ローション、クリーム、ゲル、軟膏、懸濁物、溶液またはエマルションの形態であることができる。本発明によれば、「施すこと」は自己に施すことであることができる。例えば、ここに開示するように、対象が組成物を消費することは「施すこと」と考えられる。
【0075】
II.核酸マーカーの検出/測定
【0076】
核酸は、シーケンシング法、例えば、次世代配列決定、高スループット配列決定、超並列シーケンシング、シーケンシング-バイ-シンセシス、ペアド-エンドシーケンシング、
単一分子シーケンシング、ナノポアシーケンシング、パイロシークエンシング、半導体シーケンシング、シーケンシング-バイ-ライゲーション、シーケンシング-バイ-ハイブリダイゼーション、RNA-Seq、デジタル遺伝子発現(Digital Gene Expression)、単一分子シーケンシング-バイ-シンセシス(Single Molecular Sequencing by Synthesis)(SMSS)、クローン単一分子アレイ(Clonal Single Molecular Array)(Solexa(ソレクサ))
、ショットガンシーケンシング、マキサム-ギルバート(Maxim-Gilbert)シーケンシング、プライマーウォーキング、およびサンガーシーケンシングなどのようなものを用いて配列決定し得る。
【0077】
配列決定方法は、標的化配列決定、全ゲノム配列決定(WGS)、ローパスシーケンシン
グ、バイサルファイトシーケンシング、全ゲノムバイサルファイトシーケンシング(WGBS)、またはそれらの組合せを含んでもよい。配列決定方法は、適切なライブラリーの調製を含み得る。配列決定方法は、核酸の増幅を含み得る(例は、PCRなどのような標的化ま
たはユニバーサル増幅による)。
【0078】
配列決定リードは様々な供給源から得ることができ、例えば、全ゲノム配列決定、全エクソームシーケンシング、標的化配列決定、次世代配列決定、パイロシークエンシング、シーケンシング-バイ-シンセシス、イオン半導体シーケンシング、タグベースの次世代シーケンシング半導体シーケンシング、単一分子シーケンシング、ナノポアシーケンシング、シーケンシング-バイ-ライゲーション、シーケンシング-バイ-ハイブリダイゼーション、デジタル遺伝子発現(DGE)、超並列シーケンシング、クローン単一分子アレイ(Solexa/Illumina(イルミナ))、パックバイオ(PacBio)を用いた配列決定、およびシーケンシング-バイ-オリゴヌクレオチドライゲーションおよび検出(SOLiD)による配列決定が
含まれる。
【0079】
いくらかの実施形態では、配列決定には、例えば、バーコード、固有の分子識別子(UMI)または別のタグを核酸分子またはそのフラグメントにライゲーションすることによっ
て、核酸分子またはそのフラグメントの修飾が含まれる。バーコード、UMI、またはタグ
を核酸分子またはそのフラグメントの一端にライゲーションすることは、配列決定後の核酸分子またはそのフラグメントの分析を容易にし得る。いくらかの実施形態において、バーコードは固有のバーコード(即ち、UMI)である。具体的な実施形態においては、バー
コードは非固有であり、およびバーコード配列は、内因性配列情報、例えば、標的核酸の開始および停止配列などのようなものに関連して使用することができる(例えば、標的核酸は、標的核酸の始端および末端での配列に関連して、バーコードおよびバーコード配列に隣接し、固有にタグ付けされた分子を生成する)。
【0080】
配列決定リードは、逆多重化(de-multiplexing)、脱重複排除(de-deduplication)
(例は、固有の分子識別子、UMIsを使用する)、アダプタトリミング、クオリティフィル
タリング、GC修正、増幅バイアス修正、バッチ効果の修正、深さ正規化、性染色体の除去、および低品質ゲノムビンの除去などのような方法を使用して処理され得る。
【0081】
様々な実施形態では、配列決定リードは、参照核酸配列に整列され得る。一例では、参照核酸配列はヒト参照ゲノムである。例として、ヒト参照ゲノムは、hg19、hg38、GrCH38、GrCH37、NA12878、またはGM12878であることができる。
【0082】
III.タンパク質マーカーの検出/測定
【0083】
具体的な実施形態では、本発明でのタンパク質はイムノアッセイによって検出および/
または測定することができる。イムノアッセイは、バイオマーカーを捕捉するために、抗体などのような生物特異的捕捉試薬/結合剤を要求する。多くの抗体が商業上入手可能で
ある。抗体はまた、当技術でよく知られる(well known)方法によって、例は、バイオマーカーで動物を免疫することによって生産することができる。バイオマーカーは、それらの結合特性に基づいてサンプルから分離することができる。あるいはまた、ポリペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列が知られる場合、ポリペプチドは合成し、および当技術において見慣れた(well-known)方法によって抗体を生成するために使用することができる。イムノアッセイにおいて有用な生体特異的捕捉試薬はまたレクチンをも含むことができる。他の実施形態においては、生体特異的捕捉試薬は、特定のバイオマーカーおよびその類似しない形態に結合する。
【0084】
本発明は、伝統的なイムノアッセイを企図し、例えば、ELISAまたは蛍光ベースのイム
ノアッセイ、免疫ブロット、ウェスタンブロット(WB)、ならびに他の酵素イムノアッセイを含むサンドイッチイムノアッセイが含まれる。比濁法は液相で実行されるアッセイであり、そこでは抗体が溶液中にある。抗体への抗原の結合は測定される吸光度での変化をもたらす。SELDIベースのイムノアッセイでは、バイオマーカーのための生物特異的捕捉
試薬が予備活性化タンパク質チップアレイなどのようなMSプローブの表面に付着する。バイオマーカーは次いで、この試薬を通してバイオチップ上に特異的に捕捉され、および捕捉されたバイオマーカーは質量分析によって検出される。
【0085】
一定の実施形態では、ここで使用されるタンパク質バイオマーカーの発現レベルは、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)技術などのようなイムノアッセイによって定量化される
。具体的な実施形態では、バイオマーカーの発現レベルは、バイオマーカーに選択的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントと生物学的サンプルとを接触させること;および抗体、またはその抗原結合フラグメントのバイオマーカーへの結合を検出することによって決定される。一定の実施形態では、開示した方法および組成物において採用する結合剤は、検出可能なモイエティで標識される。他の実施形態では、結合剤および検出剤が使用され、そこでは検出剤が検出可能なモイエティで標識される。参照を容易にするために、抗体という用語は結合剤または捕捉分子を記述する際に使用する。しかし、本発明の方法における模範的な結合剤を記載する関連における抗体への言及は、他の結合剤への言及も含み、制限されないが、レクチンが含まれることが理解される。
【0086】
例えば、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルは、抗体またはその抗原結合フラグメントで、それが標的タンパク質(捕捉分子または抗体または結合剤と呼ばれる)に選択的に結合するものと生物学的サンプルとを接触させること、および抗体またはその抗原結合フラグメントのタンパク質への結合を検出することによってアッセイすることができる。検出は、標的バイオマーカーと複合体化された捕捉抗体に結合するために第2の抗体を
使用して実行することができる。標的バイオマーカーは、タンパク質全体、またはその変形形態もしくは改変形態であることができる。ここで記載するようなタンパク質の検出のためのキットは、プレコーティングされたストリップ/プレート、ビオチン化二次抗体、
標準、コントロール、緩衝剤、ストレプトアビジン-セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)、テトラメチルベンジジン(TMB)、ストップ試薬、および標準を実行することを含
むテストを行うための詳細な指示を含むことができる。
【0087】
本開示はまた、対象から得られるサンプルにおいてタンパク質を検出するための方法も提供し、そこでは生物学的サンプルにおけるタンパク質の発現レベルは同時に決定される。例えば、一実施形態では、方法は次の:(a)対象から得られる生物学的サンプルと、
複数の結合剤で、その各々が1つ以上のバイオマーカータンパク質に結合剤-バイオマーカー複合体を形成するのに十分な期間の時間で選択的に結合するものとを接触させること;および(b)1つ以上のバイオマーカータンパク質への結合剤の結合を検出することを含むとの条件である。さらなる実施形態では、検出は、それによって、生物学的サンプルにおいてバイオマーカーの発現のレベルを定め;および方法は、(c)生物学的サンプルにお
ける1つ以上のバイオマーカータンパク質の発現レベルをあらかじめ定める閾値と比較す
ることをさらに含むことができ、そこではあらかじめ定める閾値を上回る、または下回るバイオマーカータンパク質の少なくとも1つの発現のレベルは、例えば、対象が前立腺ガ
ン、前立腺ガンの重症度を有すること、および/または前立腺ガン療法に応答するであろ
うことを指し示す。そのような実施形態は、対象がPCa対正常、BPHおよび/またはPTTを有するかどうかを識別するのを支援することができる。そのような方法で有効に採用することができる結合剤の例には、制限されないが、抗体またはその抗原結合フラグメント、アプタマー、レクチンおよびその他同種類のものなどが含まれる。
【0088】
抗体はそれらの広範な特徴付けのために有用であるが、本発明のバイオマーカーに特異的に結合する任意の他の適切な薬剤(例は、ペプチド、アプタマー、または小有機分子)は、随意に、上記のイムノアッセイにおける抗体の代わりに使用される。例えば、バイオマーカーおよび/またはその分解生成物の1またはそれよりも多くを特異的に結合するアプタマーが使用されるかもしれない。アプタマーは特定のリガンドに結合する核酸ベースの分子である。特定の結合特異性を有するアプタマーを作成するための方法は、米国特許第5,475,096号;第5,670,637号;第5,696,249号;第5,270,163号;第5,707,796号;第5,595,877号;第5,660,985号;第5,567,588号;第5,683,867号;第5,637,459号;および第6,011,020号に詳述されているように知られる。
【0089】
具体的な実施形態では、生物学的サンプルに対して実行されるアッセイは、バイオマーカー:捕捉剤複合体を形成するために、生物学的サンプルを1つ以上の捕捉剤(例は、抗
体、レクチン、ペプチド、アプタマー、など、それらの組合せ)と接触させることを含むことができる。次いで、複合体を検出および/または定量することができる。次いで、対
象はここで記載するような1つ以上の参照コントロールに比較してバイオマーカーの検出/定量化/測定されたレベルの比較に基づいて、侵襲性前立腺ガンを有するものとして識別
することができる。
【0090】
1つの方法では、興味があるタンパク質バイオマーカーに特異的に結合する抗体などの
ような第1の、または捕捉性の、結合剤が、適切な固相基材または担体上に固定化される
。次いで、テスト生物学的サンプルを捕捉抗体と接触させ、および望ましい時間の期間インキュベーションする。非結合材料を除去するために洗浄した後、異なる、非重複の、バイオマーカー上のエピトープ(または結合捕捉抗体)に結合する第2の、検出の、抗体は
次いで、捕捉抗体に比較してポリペプチドバイオマーカーの結合を検出するために使用する。検出抗体は好ましくは、直接的または間接的のいずれかで検出可能な部分にコンジュゲートされる。そのような方法で採用することができる検出可能なモイエティの例には、制限されないが、化学的蛍光剤および発光剤;フルオレセイン、ローダミンおよびエオシンなどのようなフルオロフォア;放射性同位体;比色剤;およびビオチンなどのような酵素基質標識が含まれる。
【0091】
より一層具体的な実施形態では、バイオマーカーに特異的に結合するビオチン化レクチンを患者サンプルに添加することができ、およびバイオマーカーに結合したビオチン化レクチンを結合するストレプトアビジン標識蛍光マーカーを次いで添加し、およびバイオマーカーが検出される。
【0092】
別の実施形態では、アッセイは競合結合アッセイであり、そこでは標識されたタンパク質バイオマーカーが標識された検出抗体の代わりに使用され、および標識されたバイオマーカーとテストサンプル中に存在する標識されていない任意のバイオマーカーとは、捕捉抗体に結合するために競合する。捕捉抗体に結合したバイオマーカーの量は、標識されたバイオマーカーの検出された割合に基づいて決定することができる。
【0093】
そのようなアッセイにおいて有効に用いることができる固相基材、または担体は、当技術において熟練の者によく知られ、および例えば、96ウェルマイクロタイタープレート、ガラス、紙、および例えば、ニトロセルロース、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、酢酸セルロース、混合セルロースエステルおよびポリカーボナートから構成される微孔性膜が含まれる。適切な微孔性膜には、例えば、米国特許出願公開第US2010/0093557Al号に記載されているものが含まれる。イムノアッセイの自動化のための方法は、当技術においてよく知られ、および例えば、米国特許第5,885,530号、同第4,985,785号、同第6,159,750号および同第5,358,691号に記載されているものが含まれる。
【0094】
「0001」テストサンプルにおいていくつかの異なるタンパク質バイオマーカーの存在は、多重ELISAなどのような多重アッセイを使用して同時に検出することができる。多重ア
ッセイは、高いスループット、小量のサンプルしか要求されない利点、およびボードのダイナミックレンジの濃度にわたって異なるタンパク質を検出する能力を提供する。
【0095】
一定の実施形態では、そのような方法は、アレイを採用し、そこでは多様なバイオマーカーに特異的な多様な結合剤(例えば、捕捉抗体)が膜などのような基材上に固定化され、各捕捉剤は特定の、あらかじめ定めた、基材上の位置に配置される。そのようなアレイを採用するアッセイを実行するための方法は、例えば、米国特許出願公開第US2010/0093557A1およびUS2010/0190656A1号に記載されているものを含み、それらの開示は参照によりここに具体的に組み込まれる。
【0096】
例えば、フローサイトメトリー、化学発光または電子化学発光技術の利用に基づくいくつかの異なるフォーマットでの多重アレイを使用することができる。フローサイトメトリー多重アレイは、ビーズベースの多重アレイとしても知られ、BD Biosciences(BDバイオサイエンシーズ)(Bedford(ベッドフォード)、Mass.(マサチューセッツ州))からのCytometric Bead Array(細胞数計測ビーズアレイ)(CBA)システムおよびLuminex Corp(ルミネックス社)(Austin(オースティン)、Tex(米国テキサス州))からのマルチ
分析物プロファイリング(xMAP(R)(R)は米国等での登録商標表示))技術を含み、それらのいずれもフローサイトメトリーによって区別可能なビーズセットを採用する。各ビーズセットは特定の捕捉抗体でコーティングする。蛍光またはストレプトアビジン標識された検出抗体は、ビーズセット上に形成される特異的捕捉抗体-バイオマーカー複合体に結
合する。多様なバイオマーカーは、ビーズセットでの違いによって認識および測定することができ、発色または蛍光放射はフローサイトメトリー分析を使用して検出される。
【0097】
代替的なフォーマットでは、Quansys Biosciences(クオンシス・バイオサイエンシー
ズ)(Logan(ローガン)、Utah(ユタ州))からの多重ELISAは、96ウェルマイクロタイタープレート上の同じウェルにおける多様なスポット(1つのスポットにおける1つの抗体)にて多様な特異的捕捉抗体をコーティングする。次いで、プレート上の対応するスポッ
トにて多様なバイオマーカーを検出するために化学発光技術を使用する。
【0098】
「0002」いくつかの実施形態では、本発明でのバイオマーカーは、Meso Scale Discovery(メソ・スケール・ディスカバリー)(Gaithersburg(ゲーサーズバーグ)、MD(メリーランド州))によって開発された電気化学発光アッセイを使って検出し得る。電気化学発光検出は、電気化学的に刺激されたときに光を放出する標識を使用する。刺激機構(電気)が信号(光)から切り離されるので、バックグラウンド信号は最小である。標識は、安定で、非放射性であり、および便利なカップリング化学の選定を提供する。それらは~620nmにて光を放出し、色消し(color quenching)の問題を排除する。米国特許第7,497,997号;第7,491,540号;第7,288,410号;第7,036,946号;第7,052,861号;第6,977,722号;第6,919,173号;第6,673,533号;第6,413,783号;第6,362,011号;第6,319,670号;第6,207,369号;第6,140,045号;第6,090,545号;および第5,866,434参照。また、米国特許
出願公開2009/0170121号;第2009/006339号;第2009/0065357号;第2006/0172340号;第2006/0019319号;第2005/0142033号;第2005/0052646号;第2004/0022677号;第2003/0124572号;第2003/0113713号;第2003/0003460号;第2002/0137234号;第2002/0086335号;
および第2001/0021534号も参照。
【0099】
本発明でのタンパク質は、他の適切な方法によって検出することができる。この目的のために採用することができる検出パラダイムは、光学的方法、電気化学的方法(ボルタンメトリー(voltametry)およびアンペロメトリー技術)、原子間力顕微鏡法、および高周波法、例は、多極共鳴分光法(multipolar resonance spectroscopy)を含む。光学的方
法の例示は、顕微鏡、共焦点および非共焦点の両方に加えて、蛍光、発光、化学発光、吸光度、反射率、透過率、および複屈折または屈折率の検出である(例は、表面プラズモン共鳴、偏光解析法、共振ミラー法、格子結合器導波路法(grating coupler waveguide method)または干渉法)。
【0100】
特定の実施形態では、本発明でのタンパク質バイオマーカータンパク質は、ナノ粒子を使用して捕捉および濃縮することができる。具体的な実施形態では、タンパク質は、Nanotrap(R)(ナノトラップ)技術(Ceres Nanosciences, Inc.(セレス・ナノサイエンシー
ズ社)(Manassas(マナッサス)、VA(バージニア州)))を使用して捕捉および濃縮することができる。簡潔には、ナノトラッププラットフォーム(Nanotrap platform)は、
バイオマーカーの豊富化を可能にすること、高存在量の分析物の除去によって、および革新的な、1段階の収集ワークフローにおける高度に不安定な分析物への分解を防止するこ
とによって、分析前の変動性を低減する。単一のサンプルから隔離された多様な分析物は、濃縮され、および小量の体積に溶出されて、開始サンプル体積に依存して、最大100倍
以上まで効果的に増幅することができ(Shafagati(シャファガティ)、2014;Shafagati、2013;Longo(ロンゴ)ら、2009)、下流分析感度に対し大幅な向上がもたらされる。
【0101】
さらに、サンプルはまた、バイオチップを使って分析され得る。バイオチップは大抵、固形基材を含み、および捕捉試薬(また吸着剤または親和性試薬とも呼ばれる)が付着される通例平坦な表面を有する。多くの場合、バイオチップの表面は複数のアドレス可能な位置を含み、それらの各々はそこに結合された捕捉試薬を有する。タンパク質バイオチップは、ポリペプチドの捕捉のために適合されたバイオチップである。多くのタンパク質バイオチップは当技術において説明されている。これらには、例えば、Ciphergen Biosystems, Inc.(サイファージェン・バイオシステムズ社)(Fremont(フリーモント)、CA(
カリフォルニア州))、Invitrogen Corp.(インビトロゲン社)(Carlsbad(カールズバッド)、CA)、Affymetrix, Inc.(アフィメトリクス社)(Fremong(フリーモン)、CA
)、Zyomyx(ザイオミクス)(Hayward(ヘイワード)、CA)、R&D Systems, Inc.(Rア
ンドDシステムズ社)(Minneapolis(ミネアポリス)、MN(ミネソタ州))、Biacore(
ビアコア)(Uppsala(ウプサラ)、Sweden(スウェーデン王国))およびProcognia(プ
ロコグニア)(Berkshire(バークシア)、UK(英国))によって製造されたタンパク質
バイオチップが含まれる。そのようなタンパク質バイオチップの例は、以下の特許または公開された特許出願に記載されている:米国特許第6,536,749号;米国特許第6,329,209号;米国特許第6,225,047号;米国特許第5,242,828号;PCT国際公開第WO 00/56934号;およびPCT国際公開第WO 03/048768号。
【0102】
特定の実施形態では、本発明はマイクロアレイチップを含む。より一層具体的には、チップは表面に結合された結合剤の収集物を規則的なパターンで担持する小さなウェハを含み、各結合剤はチップ上の特定の位置を占める。結合剤のセットはここに記載する1つ以
上の各々のバイオマーカーに特異的に結合する。特定の実施形態では、数マイクロリットルの血清または血しょうをチップアレイ上に滴下する。テストした標本において存在するタンパク質バイオマーカーは、それらによって特異的に認識される結合剤に結合する。結合マークのサブタイプおよび量は、例えば、蛍光標識された二次サブタイプ特異的抗体を使用して検出および定量化する。特定の実施形態では、光学読取器は結合されたバイオマーカー検出および定量化のために使用する。このように、システムはチップアレイおよび光学読取器を含むことができる。他の実施形態では、チップが提供される。
【0103】
IV.代謝物の検出/測定
【0104】
本発明において有用な代謝物には、制限されないが、アスパラギン、アスパルタート、グリセラート、シトラート、イソシトラート、グルタマート、イタコナート、マラート、メグルトール、シスアコニタート、イソロイシン、ロイシン、パントテナート、グルタミン、ニコチナート、およびトレオニンが含まれる。代謝物を検出/測定するための組成物
および方法は当技術において知られる。例は、Metabolon, Inc.(メタボロン社)(Morrisville(モリスビル)、NC(ノースカロライナ州))(例は、米国特許第10,890,592号;第11,181,530号;第11,061,005号;第10,965,183号;第10,573,406号;および第10,267,777号);Abcam plc(アブカム社)(Cambridge(ケンブリッジ)、UK)(例は、Asparagine Assay Kit(アスパラギンアッセイキット)(Fluorometric(蛍光定量的))、Glutamine Assay Kit(グルタミンアッセイキット)(Colorimetric(比色定量的))、Aspartate Assay Kit(アスパルタートアッセイキット)、およびCitrate Assay Kit(シトラー
トアッセイキット));Promega Corporation(プロメガ社)(Madison(マディソン)、WI(ウィスコンシン州))(例は、Glutamate-GloTM Assay(グルタマート-GloTMアッセ
イ)、およびGlutamine/Glutamate-Glo(R) Assay(グルタミン/グルタマート-Glo(R)アッセイ));およびSigma-Aldrich, Inc.(シグマ-オールドリッチ社)(St. Louis(セン
トルイス)、MO(ミズーリ州))(例は、Glutatmate Assay Kit(グルタトマートアッセイキット))、Citrate Assay Kit、Isocitrate Assay Kit(イソシトラートアッセイキ
ット)、およびMalate Assay Kit(マラートアッセイキット))参照。
【0105】
他の実施形態では、本発明の代謝物バイオマーカーは、質量分析法、気相イオンを検出するために質量分析計を用いる方法によって検出し得る。質量分析計の例は、飛行時間型、磁気セクタ、四重極フィルタ、イオントラップ、イオンサイクロトロン共鳴、Orbitrap(オービトラップ)、ハイブリッドまたは上記の組合せ、およびその他同種類のものなどである。
【0106】
特定の実施形態では、代謝物は選択的反応モニタリング(selected reaction monitoring)(SRM)質量分析技術を使用して検出する。選択的反応モニタリング(SRM)は非走査型質量分析技術であり、三連四重極様機器(triple quadrupole-like instruments)で実行され、およびそこで衝突誘起解離が選択性を増加させる手段として使用される。SRM実
験では、2つの質量分析器を静的質量フィルタとして使用して、選択された前駆体イオン
の特定のフラグメントイオンを監視する。選択された前駆体イオンおよびフラグメントイ
オンに関係する質量電荷比(mass-over-charge)(m/z)値の特定の対は、「遷移」と呼
ばれ、および親m/z→フラグメントm/z(例は、673.5→534.3)として書くことができる。普通のMSベースのプロテオミクスとは異なり、SRM分析においてマススペクトルは記録さ
れない。代わりに、検出器は選択された遷移に一致するイオンの計数デバイスとして作用し、それによって、時間とともに強度分布を返す。多様なSRM遷移は、異なる前駆体/フラグメントペア間で迅速にトグリングすることによって、クロマトグラフ時間スケール上での同じ実験内で測定することができる(時として、多重反応モニタリング、MRMと呼ばれ
ることもある)。典型的には、三連四重極機器は一連の遷移を通して循環し、および各遷移の信号を溶出時間の関数として記録する。本方法は、与えられた分析物についての多様な遷移のクロマトグラフィー共溶出をモニタリングすることによって追加の選択性を可能にする。用語SRM/MRMはまた時々、三連四重極以外の質量分析計で行われる実験を説明す
るためにも使用され(例は、捕捉機器において)、そこで特定の前駆体イオンのフラグメント化の際に狭い質量範囲がMS2モードで走査され、興味がある前駆体に特異的なフラグ
メントイオン上に、または概して、衝突セルでのフラグメント化が選択性を高めるための手段として使用される実験において集中する。この出願において、用語SRMおよびMRMまたはまたSRM/MRMは、それらが共に同じ質量分光計の動作原理を指すので、互換的に使用す
ることができる。明確性の問題として、用語MRMはテキスト全体にわたって使用するが、
本用語はSRMおよびMRMの両方、ならびに任意の類似の技術、例えば、高選択的反応モニタリング、hSRM、LC-SRM、または質量分析法の任意のタイプで実行される任意の他のSRM/MRM様またはSRM/MRM模倣アプローチなどのようなものが含まれ、および/またはそこでペプ
チドが、任意の他のフラグメント化方法、例えば、CAD(衝突活性化解離(またCIDまたは衝突誘起解離としても知られる)、HCD(より一層高いエネルギーCID)、ECD(電子捕獲
解離)、PD(光解離)またはETD(電子移動解離)などのようなものを用いてフラグメン
ト化される。
【0107】
別の具体的な実施形態では、質量分析法はマトリクス支援レーザー脱離/イオン化飛行
時間(MALDI-TOF MSまたはMALDI-TOF)を含む。別の実施形態では、方法はMALDI-TOFタンデム質量分析法(MALDI-TOF MS/MS)を含む。さらに別の実施形態では、質量分析は当技
術における通常の熟練の者によって企図され得るように、別の適切な方法(複数形)と組合せることができる。例えば、MALDI-TOFはここに説明するようにトリプシン消化およびタ
ンデム質量分析と共に利用することができる。
【0108】
代替的な実施形態では、質量分析技術は、例えば、米国特許第6,225,047号および第5,719,060号に記載されているように、表面強化レーザー脱離およびイオン化または「SELDI
」を含む。簡単には、SELDIは、脱離/イオン化ガス相イオン分光分析(例は、質量分析)の方法を指し、そこで被分析物(ここでは、バイオマーカーの1またはそれよりも多く)
がSELDI質量分析プローブの表面上に捕捉される。利用され得るいくつかのバージョンのSELDIが存在し、制限されないが、親和性捕捉質量分析法(Affinity Capture Mass Spectrometry)(表面増強親和性捕捉(SEAC)とも呼ばれる)、およびプローブ表面(SENDプローブ)に化学的に結合されたエネルギー吸収分子を含むプローブの使用に伴う表面増強ニート脱着(Surface-Enhanced Neat Desorption)(SEND)が含まれる。別のSELDI法は表
面増強感光性付着および放出(Surface-Enhanced Photolabile Attachment and Release
)(SEPAR)と呼ばれ、それは被分析物を共有結合することができる表面に付着したモイ
エティを有するプローブの使用を伴い、および次いで、光、例は、レーザー光に曝露した後に、モイエティでの感光性結合を破壊することを通して分析物を放出する(米国特許第5,719,060号参照)。SEPARおよび他の形態のSELDIは本発明に準じてバイオマーカーまた
はバイオマーカーパネルを検出するように容易に適合される。
【0109】
別の質量分析方法では、バイオマーカーはまず、バイオマーカーに結合するクロマトグラフィー特性を有するクロマトグラフィー樹脂上に捕捉するこができる。例えば、一つは
、陽イオン交換樹脂、例えば、CMセラミックHyperD F(CM Ceramic HyperD F)樹脂など
のようなものの上のバイオマーカーを捕捉し、樹脂を洗浄し、バイオマーカーを溶出させ、およびMALDIによって検出することができた。あるいはまた、この方法は、陽イオン交
換樹脂に適用する前に、陰イオン交換樹脂上でサンプルを分画することによって先行するこができた。別の代替例では、一つはアニオン交換樹脂上で分画し、およびMALDIによっ
て直接検出することができた。さらに別の方法では、一つはバイオマーカーを結合し、未結合材料を除去するために樹脂を洗浄し、樹脂からバイオマーカーを溶出し、およびMALDIによってまたはSELDIによって溶出されたバイオマーカーを検出する抗体を含む免疫クロマトグラフィー樹脂上のバイオマーカーを捕捉することができた。
【0110】
V.標的タンパク質/核酸を検出するためのポイントオブケアアッセイ
【0111】
上記のアッセイのタイプは、ポイントオブケア(POC)デバイスを開発するのに受け入
れられ、そのシステムでは、出力がユーザーによって読み取り可能であるようにシステムを自己充足させることができる。この特性は、テストされるサンプルの収集が医学的介入を要求しないときに特に有用である(例は、尿、唾液、または喀痰)。これを可能にする1つのデバイスはラテラルフローデバイス(LFD)である。これらのデバイスは、固相を形成するために吸収性成分および非吸収性成分の両方を含む多層構造を使用する。捕捉および/または認識試薬(抗原または抗体)は、組み立てられた器具内の特定の領域に予め適
用され、および分析物は試薬と接触するようにシステムを通って流れることができる。多くの場合、自己充足の目的のために、サンプルからの流体が再水和し、およびそれらを活性化するように試薬成分を乾燥させた状態で添加する。次いで、慣習的なELISA技術、抗
原抗体複合体において分析物を検出するために使用することができる。いくらかの実施形態では、システムは、バイナリ応答(「はい」または「いいえ」)の視覚的推定のための比色読取りを提供するように設計することができ、またはそれは定量的であるように構成することができる。
【0112】
ラテラルフローデバイスに関してここで企図する実施形態の多くは、タンパク質を検出することに関して記載され(例は、EPCAM)、ラテラルフローは、制限されないが、H4C5
およびTTC3(ならびにmRNA、circRNA、eccDNAおよびlncRNAを含むここに記載する他の核
酸バイオマーカー)を含む核酸を検出するために使用することができる。米国特許第9,121,849号(Rapid Pathogen Screening, Inc.(ラピッド・パソジェン・スクリーニング社
);米国特許出願公開第20090305290号(Rapid Pathogen Screening, Inc.)、および国
際特許出願国際公開第WO2004/092342号(Applera Corporation(アプレラ社))参照。代謝産物または小分子はまた、ラテラルフロー技術を使用して検出することもできる。米国特許第8,399,261(Inbios International, Inc.(インビオス・インターナショナル社)
)(国際特許出願国際公開第2017/075649号)およびNuntawong(ヌンタウオン)ら、76 J. NAT. MED.(ジャーナル・オブ・ナチュラル・メディシンズ)521-45(2022)参照。このように、ここでは、タンパク質、核酸および小分子(例は、代謝産物)はラテラルフローを介して検出することができることが企図される。特定の実施形態では、ラテラルフローアッセイはEpCAMを検出するために使用し、およびqPCRはH4C5およびTTC3を検出するため
に使用される。
【0113】
一定の実施形態では、目下の開示の方法は、直接(二重抗体サンドイッチ)反応に依存する免疫クロマトグラフィーストリップテストを含むラテラルフローデバイスまたはディップスティックアッセイ(dipstick assay)を使用することができる。任意の1つの特定
の理論に拘束されることを望むものではないが、この直接反応スキームは、多様な抗原性部位を有し得るより一層大きな分析物についてサンプリングするときに使用することができる。例えば、異なる抗体の組合せを使用することができ、異なる抗体は、捕捉(検出)ライン、コントロールライン上に含め、および例えば、金粒子、例は、金微粒子、金ナノ
粒子、または蛍光色素にコンジュゲーションさせてアッセイの移動相に含めることができる。
【0114】
ここで使用される用語「ディップスティックアッセイ」は、サンプル溶液を毛細管作用によってディップスティックの捕捉ゾーンに移動させるために、サンプル溶液をディップスティックと接触させるディッスティックを使用する任意のアッセイを意味し、それによってサンプル溶液における標的抗原が捕捉ゾーンで捕捉および検出されることが可能になる。分析物の存在をテストするために、ディップスティックの接触端をテスト溶液と接触させる。分析物がテスト溶液中に存在する場合、分析物は捕捉抗体によって捕捉される毛管作用によってディップスティックの捕捉ゾーンに移動する。ディップスティックの捕捉ゾーンでの分析物の存在は、例えば、コロイド金で標識されたさらなる抗分析物抗体(検出抗体)によって検出される。
【0115】
これらのスティックテストはいくつかの利点を有する。それらは実行するのに安易でおよび安価であり、専門家の機器を要求せず、および結果が迅速に得られ、および視覚的に読み取ることができる。したがって、これらのテストは、医師のオフィス、自宅、遠隔地で、および専門家の設備が利用可能でないことがある国での使用に特に適する。それらは、例えば、PCaを検出するために使用することができる。
【0116】
本発明の第1の態様の方法を実行するために、標的化剤および標識を単にテスト溶液に
添加し、および次いでテスト溶液をクロマトグラフィーストリップの接触端部と接触させてもよい。そのような方法は、2つの別々のウィッキングステップ(wicking steps)が要求されるWO 00/25135に開示された方法よりも容易に実行される。したがって、結果は、
より一層迅速に取得され得、およびまた、分析物検出の感度はより一層高い。
【0117】
用語「クロマトグラフィーストリップ」は、ここで毛管作用によって溶液を輸送する能力がある材料の任意の多孔性細条を意味するために使用される。クロマトグラフィーストリップは、吸湿性(bibulous)または非吸湿性(non-bibulous)のラテラルフローの能力があり得るが、好ましくは、吸湿性ラテラルフローである。用語「非吸湿性ラテラルフロー」によって、液体の溶解成分または分散成分のすべてが実質等しい速度で、および「吸湿性ラテラルフロー」で生じるであろう1つ以上の構成要素の優先的な保持とは対照的に
、膜を通して横方向相対的に障害のない流れで運ばれる液体の流れを意味する。吸湿性ラテラルフローの能力がある材料には、紙、ニトロセルロース、およびナイロンが含まれる。好ましい例はニトロセルロースである。
【0118】
標識は、標的化剤がテスト溶液に加える(またはそうでなければ接触される)前に、標的化剤を標識とあらかじめ混合することによって、標的化剤に結合されてもよい。しかしながら、いくつかの状況では、そのような予備混合は標的化剤および標識を沈殿させることができるので、標的化剤および標識はあらかじめ混合しないことが好ましい。このように、標的化剤および標識は、テスト溶液に別々に加え(または別々に接触させ)てもよい。標的化剤および標識は、実質同時に、または任意の順序においてテスト溶液に添加する(または接触させる)ことができる。
【0119】
テスト溶液は、テスト溶液が複合体形成を確実にするためにクロマトグラフィーストリップの接触端部と接触する前に、標的化剤および標識と共にプレインキュベーションされてもよい。プレインキュベーションの最適な時間は、試薬の比率とクロマトグラフィーストリップの流量とに依存する。場合によっては、長すぎるプレインキュベーションは、得られた検出信号を減少させ、およびまた、偽陽性検出信号につながることさえできる。このように、使用される特定の条件のためのプレインキュベーション時間を最適化することが必要であり得る。
【0120】
標的化剤が最適な結合条件下でテスト溶液中の分析物に結合することを可能にすることができるように、標識を標的化剤に結合する前に、標的化剤をテスト溶液とプレインキュベーションすることが望ましい場合がある。
【0121】
ここで使用するように、「ラテラルフロー」という用語は、基材または担体、例は、ラテラルフロー膜の平面に沿った液体流を指す。概して、ラテラルフローデバイスは、毛管作用によって溶液を輸送する能力がある材料のストリップ(または流体連通にある複数のストリップ)を含み、そこではストリップ(複数形)における異なる領域または帯域はアッセイ試薬を含有し、それらは基材に拡散的または非拡散的のいずれかで結合され、それらは溶液がそのような帯域に輸送され、またはそのような帯域を通って移動するとき、検出可能な信号を生成する。典型的には、そのようなアッセイは、液状サンプルを受容するように適合された適用ゾーン、適用ゾーンから横方向に離間され、および適用ゾーンと流体連通する試薬ゾーン、および試薬ゾーンから横方向に離間され、および試薬ゾーンと流体連通する検出ゾーンを含む。試薬ゾーンは、液体において移動性であり、およびサンプルにおいて、例は、分析物-試薬複合体を形成するために分析物と、および/または検出ゾーンにおいて結合された分子と相互作用する能力がある化合物を含むことができる。検出ゾーンは、ストリップ上に固定化され、分析物および/または試薬および/または検出可能な信号を生成するために分析物-試薬複合体と相互作用する能力がある結合分子を含み得る
。そのようなアッセイは、直接(サンドイッチアッセイ)または競合的結合を通して、サンプルにおいて分析物を検出するために使用することができる。ラテラルフローデバイスの例は、Malick(マリック)らへの米国特許第6,194,220号、Malickらへの米国特許第5,998,221号、Shuler(シュラー)らへの米国特許第5,798,273号、およびRosenstein(ロー
ゼンスタイン)への米国特許第RE38,430号において提供される。
【0122】
いくらかの実施形態では、目下開示する方法は、サンドイッチラテラルフローまたはディップスティックアッセイを含むアッセイと共に使用することができる。サンドイッチアッセイでは、興味がある分析物を含んでいても含まなくてもよい液状サンプルが、適用ゾーンに適用され、および毛管作用によって試薬ゾーン内に通過することを可能にされる。ここで使用される用語「分析物」は、制限されないが、EPCAM、H4C5および/またはTTC3を含む標的タンパク質を指す。一定の実施形態では、サンプルにおいて分析物の存在または不存在が定性的に定められる。他の実施形態では、サンプルにおいて分析物の量または濃度の定量的決定が定められる。他の実施形態では、H4C5および/またはTTC3核酸、例えば
、RNAなどのようなものを検出することができる。具体的な実施形態では、標的分析物はEPCAMタンパク質である。いくつかの実施形態では、標的分析物は、H4C5および/またはTTC3 RNAを含む。標的分析物は、ここに記載のバイオマーカーのいずれかのタンパク質、核
酸または代謝産物であることができる。
【0123】
分析物は、存在する場合、分析物-試薬複合体を形成するために試薬ゾーンにおいて標
識された試薬と相互作用し、および分析物-試薬複合体は毛管作用によって検出ゾーンに
移動する。分析物-試薬複合体は、分析物および/または試薬に特異的な結合分子と相互作用することによって検出ゾーンにおいて捕捉される。未結合サンプルは、毛管作用によって検出ゾーンを通して、横方向に並置され、および検出ゾーンと流体連通するコントロールゾーンまたは吸収パッドにまで通過することができる。標識された試薬は次いで、適切な手段によって検出ゾーンにおいて検出され得る。
【0124】
概して、および制限するものではないが、ラテラルフローデバイスはサンプルパッドを含む。サンプルパッドは膜表面を備え、またここでは、液状サンプルを受容するように適合された「サンプル適用ゾーン」とも呼ばれる。標準的なセルロースサンプルパッドは、制限されないが、尿を含む生物学的サンプルの吸収および流れを容易にすることが示され
た。サンプルパッドは、液状サンプルと直接接触しているラテラルフローデバイスの一部分を含み、すなわち、それは興味がある被分析物についてテストすべきサンプルを受け取る。サンプルパッドは、ラテラルフロー膜の部分であるか、またはそれとは分けることができる。したがって、液状サンプルは、横方向または毛細管流を通って、サンプルパッドから、検出ゾーンが含まれるラテラルフロー膜の一部分に向かって移動することができる。サンプルパッドは、分析物検出ゾーンを含むラテラルフロー膜と流体連通している。この流体連通は、上から下へ(top-to-bottom)通して生じ(arise through)、または上から下への重なりであり、またはサンプルパッドとラテラルフロー膜との間のエンドツーエンドの流体接続であることができる。一定の実施形態では、サンプルパッドは、多孔質材料、例えば、および制限されないが、紙を含む。
【0125】
典型的には、サンプルパッドは、コンジュゲートパッドに隣接して配置され、およびコンジュゲートパッドと流体連通している。コンジュゲートパッドは1つ以上の興味がある
分析物に対して特異性を有する標識された試薬を含む。いくらかの実施形態では、コンジュゲートパッドには、その内容物の放出を確実にするために、非吸収性の、合成材料(例は、ポリエステル)が含まれる。検出コンジュゲートは、乾燥させてコンジュゲートパッド上の適所に置き、液状サンプルがサンプルパッドに適用されたときにだけ放出される。検出コンジュゲートは浸漬または噴霧によってパッドに加えることができる。
【0126】
特定の実施形態では、検出コンジュゲートはEPCAMに特異的に結合する抗体を含む。他
の実施形態では、検出コンジュゲートはH4C5に特異的に結合する抗体および/またはTTC3
に特異的に結合する抗体を含む。いくらかの実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。
【0127】
抗体、例は、モノクローナル抗体(MAb)は、蛍光染料または金粒子、例は、コロイド
金で、金マイクロスフェアまたは金ナノ粒子、例えば、約40nmの金ナノ粒子などのようなものを含むものにコンジュゲートすることができる。例えば、ストレプトアビジンで被覆されたマイクロスフェアを使用して、ビオチンがストレプトアビジンに対して有する強い親和性を利用するために、コンジュゲートされたMAbをビオチン化することが可能である
。代替物は、IgGsのFc領域に結合するプロテインA被覆微小球を含む。
【0128】
一定の実施形態では、コンジュゲートパッドは、ラテラルフロー膜に隣接し、およびそれと流体連通する。毛細管作用は、抗体-抗原複合体が形成され、およびラテラルフロー
膜の中に入るコンジュゲートパッドを通して、サンプルパッド上に流体混合物を引き込む。ラテラルフローはラテラルフロー膜の特性の関数である。ラテラルフロー膜は、典型的には非常に薄く、および湿潤されるのに十分な親水性であり、それによって、妨害されないラテラルフローおよび本質的に同じ速度での反応物と分析物との混合物が可能にされる。
【0129】
ラテラルフロー膜は、制限されないが、基材、例えば、ニトロセルロース、ポリエステルまたはセルロースとのニトロセルロース混合物、未処理紙、多孔質紙、レーヨン、ガラス繊維、アクリロニトリル共重合体、プラスチック、ガラス、ナイロンなどのようなものを含み、液体流を提供する能力がある任意の基材を含むことができる。ラテラルフロー膜は多孔質であることができる。典型的には、ラテラルフロー膜の細孔は、粒子、例は、分析物と複合体を形成することができる試薬を含む微粒子が、膜の全体を通って流れるような十分な大きさのものである。ラテラルフロー膜は、概して、約3μmから約100μmまでに及ぶ孔径を有することができ、およびいくらかの実施形態では、約10μmから約50μmまでに及ぶ孔径を有する。孔径は毛細管流量およびデバイスの全体的な性能に影響を及ぼす。
【0130】
一次膜のためにニトロセルロースを使用することには、次の:低コスト、毛細管流動、
タンパク質結合のための高い親和性、およびハンドリスセッスング(handlisssssssng)
の容易さの多様な利点がある。ニトロセルロースは高いタンパク質結合を有する。別の代替物は低タンパク質結合を有する酢酸セルロースである。サイズ指示する表面積(Size dictating surface area)は、膜容量(単位時間あたりに膜を通過することができるサン
プルの容量=長さ×幅×厚さ×間隙率)を規定する。これらの変数はラテラルフローが生
じる速度をコントロールするので、それらはアッセイの感度および特異性に影響を及ぼすことができる。流速はまた、サンプルの粘度によっても変動する。微小球として使用するために、いくつかの異なるサイズおよびポリマーが利用可能であり、微小球は流体サンプル(fluidic sample)の導入によって膜を下方に移動させる。最適な流量は概して、膜の孔径の1/10以下の球体を使用して達成される。
【0131】
当技術において熟練する者は液体の流れを可能にする他の材料を認識するであろう。ラテラルフロー膜は、いくらかの実施形態では、流体連通する1つ以上の基材を含むことが
できる。例えば、コンジュゲートパッドは、同じ基材上に存在するこができ、またはラテラルフロー膜内の別個の基材(即ち、パッド)上に存在するか、またはラテラルフロー膜と流体連通してもよい。いくつかの実施形態では、ニトロセルロース膜はニトロセルロース層でコーティングされた非常に薄いマイラーシート(Mylar sheet)を含むことができ
る。
【0132】
ラテラルフロー膜は少なくとも1つのインジケータゾーンまたは検出ゾーンを更に含む
ことができる。用語「インジケータゾーン」および「検出ゾーン」は、ここでは互換的に使用され、および固定化結合試薬を含むキャリアまたは多孔質膜の一部分を意味する。ここで使用するように、用語「結合試薬」は、任意の分子または粒子に結合した分子を意味し、そこで分子は問題の分析物を認識または結合する。結合試薬は、分析物標識試薬複合体と結合複合体を形成することができる。結合試薬は、検出ゾーンに固定化され、および膜上の固定化による液状サンプルのラテラルフローによって影響を受けない。結合試薬が分析物標識試薬複合体に結合すると、それは分析物標識試薬複合体が液状サンプルの流れを継続するのを防止する。いくらかの実施形態では、結合試薬はEPCAMに特異的に結合す
る抗体およびH4C5に特異的に結合する抗体を含む。他の実施形態では、結合試薬はTTC3に結合する抗体をさらに含む。
【0133】
したがって、分析物と試薬との間の実際の反応中に、第1のメンバーはインジケータゾ
ーンにおいて第2のメンバーに結合し、および結果として得られた結合複合体は特定の抗
体で検出される。検出は、様々な標識および/またはマーカー、例は、酵素(適切な基質
を有するアルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼ)、放射性同位体、リポソームまたは蛍光タグを含浸させたラテックスビーズ、ポリマー染料または着色粒子、およびその他同種類のもののいずれかを使用してもよい。このように、結果は任意の直接的または間接的な反応によって解釈することができる。紫色または赤色の着色を付与するコロイド状金粒子は、現在最も一般的に使用される。
【0134】
インジケータゾーンにおけるアッセイ試薬(結合対の相補的なメンバー)の捕捉および固定化は、共有結合によって、またはより普通には、吸着によって、例えば乾燥などのようなものによって達成することができる。そのような捕捉はまた、例えば、試薬でコーティングされたラテックスビーズの結合によって間接的であることができる。ラテラルフロー膜を含む材料の性質に応じて、例えば、グルタルアルデヒドまたはカルボジイミドの使用により、共有結合を可能にし得る。イムノアッセイにおいて、最も一般的な結合対は抗原-抗体対であり;しかしながら、多様な他の結合対を実行することができ、例えば、酵
素-基質および受容体-リガンドなどのようなものである。
【0135】
いくらかの実施形態では、インジケータゾーンはテストラインおよびコントロールライ
ンをさらに含む。テストラインは固定化された結合試薬を含むことができる。サンドイッチタイプのアッセイを採用するLFDにおいてテストラインを開発するために抗体を使用す
るとき、それらは、1mm広さのストリップの幅にわたり約1-3μg/cmの比で適用され;それで、抗体濃度は約10-30μg/cm2であり、それはELISAにおいて使用される約25-100倍であ
る。Brown(ブラウン), M. C、Antibodies: key to a robust lateral flow immunoassay, in Lateral Flow Immunoassay(抗体:堅牢なラテラルフロー免疫測定法への鍵、ラテラルフロー免疫測定法において)、H. Y. T. R. C. Wong(ウォン), Editor(編集). 2009, Humana Press(ヒューマナ・プレス): New York(ニューヨーク), New York.(ニューヨーク州)p. 59-74。
【0136】
さらに、いくらかの実施形態では、本開示のラテラルフローアッセイは、サンプルにおいて多様な分析物を検出するために使用することができる。例えば、ラテラルフローアッセイでは、試薬ゾーンは多様な標識された試薬を含むことができ、それぞれが液状サンプルにおいて異なる分析物に結合する能力があるか、または単一の標識された試薬が分析物に結合する能力がある。多様な標識された試薬がラテラルフローアッセイにおいて使用される場合、試薬は液状サンプルにおいて異なる種類の分析物を区別するために差次的に標識され得る。異なる分析物を検出するために、膜上に捕捉抗体の多様なラインを配置することも可能である。被分析物の異なるエピトープを検出する抗体の組合せは、特異性を最適化し得る。
【0137】
品質管理のために、典型的には、ラテラルフロー膜はコントロールラインが含まれるコントロールゾーンを含むことができる。用語「コントロールゾーン」は、標識された試薬を捕捉するように構成された結合分子を含むテストデバイスの一部分を指す。ラテラルフローアッセイでは、コントロールゾーンは、液状サンプルが毛細管作用によって検出ゾーンから輸送されるときに標識された試薬がコントロールライン上に捕捉されるように、担体の検出ゾーンと接触する液体流であり得る。コントロールライン上の標識された試薬の検出は、アッセイがその意図された目的のために機能していることを確認する。コントロールラインの配置は、マイクロプロセッサコントロールTLCスポッターを使用して達成す
ることができ、それでディスペンサーポンプが膜を横切って一定容量の試薬を放出する。
【0138】
典型的なラテラルフローデバイスはまた、吸収性パッドを含むことができる。吸収性パッドは、ここで使用するように、「吸収性材料」を含み、アッセイ試薬および任意の洗浄溶液の実質的にすべての液体を吸収するのに、および随意に、毛管作用を開始し、およびテストデバイスを通してアッセイ液体を吸引するのに十分な吸収能力を有する多孔質材料を指す。好適な吸収性材料には、例えば、ニトロセルロース、ポリエステルまたはセルロースを有するニトロセルロースブレンド、未処理紙、多孔質紙、レーヨン、ガラス繊維、アクリロニトリル共重合体、プラスチック、ガラス、ナイロンが含まれる。
【0139】
いくらかの実施形態では、ラテラルフロー膜は、1つ以上の実質流体不透過性のシート
に、いずれかの側上の1つに、例は、アプリケーションゾーンおよびインジケータゾーン
を画定する1つ以上のウィンドウを有する底部シートおよび相補的トップシートに結合さ
れる。典型的なラテラルフローデバイスはまた、ハウジングを含むことができる。用語「ハウジング」は、目下開示するラテラルフローデバイスのための任意の適切なエンクロージャを指す。模範的なハウジングは、当技術において熟練する者には既知であろう。ハウジングは、例えば、基部分および蓋部分を有することができる。蓋部分は上壁および実質垂直な側壁を含むことができる。リムは上壁から上向きに突出してもよく、およびさらに、対象からサンプルを収集するように適合された凹部を画定してもよい。適切なハウジングには、Fletcher(フレッチャー)らへの米国特許第7,052,831号において提供されるも
のおよびBD DirectigenTM(BDディレクティゲン)EZ RSVラテラルフローアッセイデバイ
スにおいて使用されるものが含まれる。
【0140】
いくらかの実施形態では、EPCAM、H4C5および/またはTTC3などのような標的分析物は、目下開示の方法およびデバイスを使用して、全体的な、濃縮されていない、または別の方法で未処理の、生物学的サンプルにおいて測定することができる。他の実施形態では、生物学的サンプルは、テストを実行するのに先立ち、例は、濃縮、希釈、ろ過、およびその他同種類のものをされ得る。尿サンプルの前処理は、尿サンプルを水溶液において希釈すること、尿サンプルを濃縮すること、尿サンプルをろ過すること、またはそれらの組合せを含むことができる。
【0141】
目下の開示の主題を検討すると、当技術における通常の熟練の者は、前処理ステップを任意の特定の順序において、例は、いくらかの実施形態において実行することができることを認めるであろうが、サンプルは希釈または濃縮し、および次いでろ過することができ、一方で他の実施形態では、サンプルはろ過し、および次いで希釈または濃縮することができる。特定の実施形態では、目下の開示の方法は、尿サンプルにおいて抗原の検出に干渉しかねない分子を除去するために、例えば、脱塩カラムを通して尿サンプルをろ過することを含む。このステップはサンプルの任意のさらなる希釈または濃縮を伴って、または伴わずに実行することができる。
【0142】
このように、いくらかの実施形態では、ラテラルフロー器具は、生物学的サンプルをEPCAMに特異的な少なくとも1つの抗体、H4C5に特異的な少なくとも1つの抗体および/またはTTC3に特異的な少なくとも1つの抗体と接触させる前に生物学的サンプルを前処理するよ
うに適合された器具をさらに含む。特定の実施形態では、器具は、生物学的サンプルをろ過し、希釈し、もしくは濃縮し、またはそれらの組合せをするように適合される。代替的実施形態では、器具は、生物学的サンプル、特に尿サンプルにおいてEPCAMおよび/またはH4C5の検出に干渉するインヒビターを除去するように適合するこができる。
【0143】
他の実施形態では、生物学的サンプルを処理する要求を排除するために、テストの異なるパラメータ、例は、インキュベーション時間は、テストの感度および/または特異性を
増加させるために操作するこができる。
【0144】
VI.治療方法
【0145】
別の態様では、本発明は、バイオマーカーの測定/検出の後に実際に適用される前立腺
ガン療法または治療的介入を提供する。特定の実施形態では、治療的介入は、前立腺摘除、放射線療法、凍結療法(凍結手術または凍結融解壊死治療とも呼ばれる)、ホルモン療法、化学療法、免疫療法およびそれらの組合せを含む。
【0146】
前立腺摘除は、前立腺全摘除(オープン(恥骨後式前立腺全摘除術または会陰式前立腺全摘除術)またはラテラル(ロボット支援を含む腹腔鏡下前立腺全摘除術)、および前立腺の経尿道的切除術(TURP)を含む。
【0147】
放射線療法は、外部ビーム放射(三次元原体照射法(3D-CRT)、強度変調放射線療法(IMRT)、体幹部定位放射線治療(SBRT)、陽子線放射線療法)および密封小線源治療(内部放射線)(恒久的な(低線量率またはLDR)密封小線源治療または一時的な(高線量率
またはHDR)密封小線源治療)を含む。
【0148】
ホルモン療法(アンドロゲン抑制療法)は、精巣摘出術(去勢手術)、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト(例は、ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、ヒストレリン)、LHRHアンタゴニスト(例は、デガレリクス)、副腎からのアンドロゲンレベル(例は、アビラテロン、ケトコナゾール)、抗アンドロゲン(例は、フルタミド、
ビカルタミド、ニルタミド、エンザルタミド、アパルタミド)、およびエストロゲンを低下させるための処置を含む。
【0149】
化学療法には、制限されないが、ドセタキセル、カバジタキセル、ミトキサントロン、およびエストラムスチンを含む化合物による処理が含まれる。
【0150】
免疫療法は、制限されないが、ガンワクチン(例は、シプロイセル-T)、ならびに免疫チェックポイントインヒビター(例は、ペムブロリズマブを含むPD-1インヒビター)を含む。例示的な免疫チェックポイントインヒビターは、トレメリムマブ(CTLA-4ブロッキング抗体)、抗OX40、PD-L1モノクローナル抗体(抗B7-H1;MEDI4736)、MK-3475(PD-1ブ
ロッカー)、ニボルマブ(抗PDl抗体)、CT-011(抗PDl抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDLl抗体)、BMS-936559(抗PDLl抗体)、MPLDL3280A(抗PDLl抗体)、MSB0010718C(抗PDLl抗体)およびYervoy(ヤーボイ)/ipilimumab(イピリムマブ)(抗CTLA-4チェックポイントインヒビター)を含む。
【0151】
前立腺治療的介入は、ポリ(ADP)-リボースポリメラーゼ(PARP)インヒビター(例は、ニラパリブ(ゼジューラ)、オラパリブ(リムパーザ)、およびルカパリブ(rubraca(
ルブラカ)))を含む。
【0152】
前立腺ガンのための他の治療介入には、アンドロゲン受容体(AR)標的療法(例は、エンザルタミド、ARN-509、ODM-201、EPI-001、ヒドラジノベンゾイルクルクミン(hydrazinobenzoylcurcumin)(HBC)、アベラテロン(aberaterone)、ゲレテロン(geleterone
)、およびセビテロネル(seviteronel))、抗微小管剤(antimicrotubule agent)、アルキル化剤およびアントラセンジオンが含まれる。
【0153】
特定の実施形態では、前立腺ガンのための治療的介入は、制限されないが、アビラテロンアセタート、アパルタミド、ビカルタミド、カバジタキセル、カソデックス(ビカルタミド)、ダロルタミド、デガレリクス、ドセタキセル、エリガード(リュープロリドアセタート)、エンザルタミド、アーリーダ(アパルタミド)、ファーマゴン(デガレリクス)、フルタミド、ゴセレリンアセタート、ジェブタナ(カバジタキセル)、リュープロリドアセタート、リュープロン(リュープロリドアセタート)、リュープロンデポー(Lupron Depot)(リュープロリドアセタート)、リムパーザ(オラパリブ)、塩酸ミトキサントロン、ニランドロン(ニルタミド)、ニルタミド、ニュベクオ(ダロルタミド)、オラパリブ、プロベンジ(シプロイセル-T)、塩化ラジウム223、Rubraca(ルブラカ)(ルカパリブカンシラート)、ルカパリブカンシラート、シプロイセル-T、タキソテール(ドセタキセル)、ゾーフィゴ(塩化ラジウム223)、イクスタンジ(エンザルタミド)、ゾラ
デックス(ゴセレリンアセタート)、ザイティガ(アビラテロンアセタート)が含まれる薬物の投与を含むことができる。
【0154】
VII.キット
【0155】
別の態様では、本発明は1つ以上のバイオマーカーを検出するためのキットを提供する
。本発明のキットにおいて構成される構成要素の正確な性質は、その意図される目的に依存する。一実施形態では、キットは特にヒト対象のために構成される。
【0156】
キットにおいてアセンブリングする材料または成分は、それらの操作性および有用性を保持する任意の便利なおよび適切な方法で貯蔵され、実務家に提供することができる。例えば、成分は、溶解、脱水、または凍結乾燥形態にすることができ;それらは、室内、冷蔵、または凍結温度で提供することができる。それらの成分は典型的に、適切なパッケージング材料(複数形)に含まれる。ここで採用するように、句「パッケージング材料」は、
本発明の組成物およびその他同種類のものなどのようなキットの内容物を収容するために使用される1つ以上の物理的構造を指す。パッケージング材料は、滅菌した、汚染物質を
含まない環境を提供するために、見慣れた方法によって構築される。ここで使用するように、用語「パッケージ」は、ガラス、プラスチック、紙、箔、およびその他同種類のものなどのような適切な固形マトリクスまたは材料を指し、個々のキット構成要素を保持する能力がある。パッケージング材料は概して、キットおよび/またはその構成要素の内容物
および/または目的を示す外部標識を有する。
【0157】
様々な実施形態において、本発明は、次の:(a)質量分析、抗体法、抗体、レクチン
、核酸アプタマー法、核酸アプタマー、イムノアッセイ、ELISA、免疫沈降、SISCAPA、ウェスタンブロット、PCR(qPCR、デジタルPCR、など)のうちのいずれか1つ以上によって
含まれる1つ以上のバイオマーカーの測定に適した1つ以上の内部標準;および(b)サン
プル処理、調製およびバイオマーカー測定/検出のための試薬および指示を含むキットを
提供する。キットは、(c)対象から取得されたサンプルにおいてバイオマーカーを測定
するためにキットを使用するための指示をさらに含むことができる。
【0158】
特定の実施形態では、キットは、サンプルの処理およびアッセイの性能に必要な試薬を含む。具体的な実施形態では、アッセイは、ELISAなどのようなイムノアッセイである。
このように、一定の実施形態では、キットはアッセイを実行するための基材(例は、96ウェルポリスチレンプレート)を含む。基材はバイオマーカータンパク質に特異的な抗体でコーティングすることができる。さらなる実施形態では、キットは、例えば、検出可能なモイエティまたは標識(例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ)にコンジュゲーションされたバイオマーカータンパク質に特異的なポリクローナル抗体を含め、検出抗体を含むことができる。キットはまた、標準(例は、ヒトタンパク質標準)を含むことができる。キットはまた、緩衝剤希釈剤、キャリブレータ希釈剤、洗浄緩衝剤濃縮物、色試薬、停止溶液およびプレートシーラ(例は、接着ストリップ)の1またはそれよりも多くを含むことが
できる。
【0159】
特定の実施形態では、キットは、チップ、マイクロタイタープレート(例は、96ウェルプレート)、ビーズ、またはタンパク質バイオマーカー捕捉試薬を有する樹脂などのような固形支持体を含んでもよい。キットは、抗体などのようなタンパク質バイオマーカー、および西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ウサギIgG抗体およびテトラメチルベンジジン(TMB)などのような二次抗体-シグナル複合体をHRP用基質として検出するた
めの手段をさらに含み得る。他の実施形態では、キットは、抗体にコンジュゲーションされた磁気ビーズ(または後のコンジュゲーションのためのその別個の容器)を含むことができる。キットは、例えば、フィコエリトリンなどのような標識蛍光マーカーを標識したストレプトアビジンを使用して検出することができる検出抗体、例えば、ビオチン化抗体またはレクチンをさらに含むことができる。キットは、シングルプレックスまたは多重フォーマットでアッセイを実行するように構成することができる。
【0160】
キットは、抗体が固定化された膜、および検出するための手段、例は、金粒子結合抗体を含む免疫クロマトストリップとして提供されてもよく、そこで膜は、NC膜およびPVDF膜が含まれる。キットは、サンプル適用パッド、ガラス繊維フィルタ上に一時的に固定化された金粒子結合抗体、抗体バンドと二次抗体バンドが固定化されたニトロセルロース膜を含んでよく、および吸収パッドが連続的に配置され、サンプルの連続的な毛細管流動を維持する。
【0161】
具体的な実施形態では、キットは、(a)興味があるバイオマーカータンパク質に特異
的に結合する抗体にコンジュゲーションさせるための磁気ビーズ;(b)興味があるバイ
オマーカータンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体;(c)ビオチン化免疫グ
ロブリンG検出抗体;(d)興味があるバイオマーカータンパク質に特異的に結合するビオチン化レクチン;および(e)ストレプトアビジン標識蛍光マーカーの1またはそれよりも多くを含む。
【0162】
一定の実施形態では、対象は、患者からの生物学的サンプル(例は、尿)をキットに添加すること、および抗体および/またはレクチンと結合した関連タンパク質バイオマーカ
ーを検出することによって、具体的には、次のステップ:(i)患者から血清を収集する
こと;(ii)患者から尿を診断キットに添加すること;および(iii)抗体/レクチンとコンジュゲーションしたタンパク質バイオマーカーを検出することを含む方法によって診断することができる。バイオマーカーがサンプルにおいて存在する場合、抗体/レクチンは
、サンプルまたはその一部分に結合する。他のキットおよび診断の実施形態では、尿は患者から収集されない(即ち、既に収集されている)。他の実施形態では、サンプルは、尿、血液、血しょう汗、組織、血液または臨床サンプルを含んでもよい。
【0163】
キットはまた、洗浄溶液または洗浄溶液を作成するための指示を含むことができ、そこでは捕捉試薬および洗浄溶液の組合せは、その後の検出、例は、抗体/レクチンまたは質
量分析によって、固形支持体上のタンパク質バイオマーカーの捕捉が可能になる。さらなる実施形態では、キットは、ラベルまたは別個のインサートの形態での適切な操作パラメータのための指示を含むことができる。例えば、指示は、サンプル、などをどのように収集するかについて消費するものに知らせ得る。さらに別の実施形態では、キットはタンパク質バイオマーカーサンプルを有する1つ以上の容器を含むことができ、較正または正規
化のための標準(複数形)として使用される。ここに説明するマーカーの検出はラテラルフローアッセイを使用して達成され得る。
【0164】
特定の実施形態では、本発明の標的タンパク質はナノ粒子を使用して捕捉および濃縮することができる。具体的な実施形態では、Nanotrap(R)(ナノトラップ)技術(Ceres Nanosciences, Inc.(Manassas, VA))を使用してタンパク質を捕捉し、濃縮することがで
きる。手短に言えば、ナノトラッププラットフォームは、標的タンパク質の濃縮、高存在量の分析物の除去を可能にすることによって、および革新的な、1段階の収集ワークフロ
ーにおける高度に不安定な分析物への分解を防止することによって分析前変動性(pre-analytical variability)を低減する。単一のサンプルから隔離された多様な分析物は、濃縮され、および小容量に溶出され、開始サンプル容量に依存して、最大100倍以上まで効
果的に増幅されることができ(Shafagati、2014;Shafagati、2013;Longoら、2009)、
下流分析感度に大幅な向上がもたらされる。
【0165】
一定の実施形態では、キットは電気化学発光ELISAを実行するために必要な試薬および
成分を含む。
【0166】
一定の実施形態で、キットは、ラテラルフロー器具、ディップスティック、イムノクロマトグラフィー検出ディスプレイを有するアッセイスティック、および当技術において熟練する者に既知の任意のそのような器具の使用を含む。一定の実施形態では、試薬および/または検出成分は、器具自体(即ち、ディップスティック)上に固定化されてもよい。
【0167】
いくらかの実施形態では、キットは、ここに説明する1つ以上の核酸マーカー(eccDNA
、mRNA、circRNA、IncRNA、など)の定量化を可能にする試薬を含む。いくらかの実施形
態では、キットは、(i)生物学的サンプルにおける1つ以上の核酸マーカーの発現産物の定量化(例は、存在量、濃度またはレベルの決定)を可能にする少なくとも1つの試薬;
および随意に(ii)少なくとも1つの試薬を使用するための指示を含む。キットは他のバ
イオマーカーの検出/測定のための試薬をさらに含むことができる。
【0168】
核酸ベースの検出キットは、標的ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするプライマーまたはプローブを含み得る。キットは、陽性コントロールとして使用される標的バイオマーカーポリヌクレオチドをさらに含むことができる。また、増幅のために必要な反応混合物を提供するように、使用される核酸増幅技術に応じて、種々のポリメラーゼ(逆転写酵素、Taq、SequenaseTM(シークエナーゼ)、DNAリガーゼ、など)、デオキシヌク
レオチドおよび緩衝液を含め、核酸を増幅するのに適した酵素も含まれ得る。そのようなキットはまた、概して、適切な手段において、個々の試薬および酵素ごとに、ならびにプライマーまたはプローブごとに別個の容器を含むことになる。
【0169】
より一層具体的な実施形態では、キットはここに説明する核酸バイオマーカーの1つ以
上に特異的に結合するプライマーを含むPCRキットとして提供される。キットはPCRを行うために必要な基質および他の試薬(例は、定量的リアルタイムPCR、デジタルPCR)をさらに含むことができる。キットはシングルプレックスまたは多重PCRを行うように構成する
ことができる。キットはPCRを実行するための指示をさらに含むことができる。具体的な
実施形態では、対象から取得された生物学的サンプルは、核酸を抽出するために操作してもよい。さらなる実施形態では、核酸は、プライマー:バイオマーカー複合体を形成するために標的バイオマーカーに特異的に結合するプライマーと接触される。次いで、1つ以
上のバイオマーカーのレベルを決定するために複合体を増幅し、および検出/定量化/測定することができる。次いで、対象は、1つ以上のバイオマーカーの1つ以上の参照コントロールに対する測定されたレベルの比較に基づいて、心筋損傷を有するものとして識別することができる。
【0170】
ここに説明する試薬は、随意に検出可能な標識と関連付けられてもよく、マイクロ流体カード、チップまたはチャンバ、例または下記に記載されるアッセイ、例は、ここに説明するRT-PCR、Q PCR、デジタルPCR技術と共に使用するように適合されたマイクロアレイまたはキットのフォーマットにおいて存在することができる。
【0171】
さらなる詳細なしに、当技術において熟練するものは、前述の説明を使用して、本発明を最も完全な程度まで利用することができると考えられる。以下の実施例は、例示的なものにすぎず、および本開示の残りの部分を何らの方法においても制限するものではない。
【実施例
【0172】
以下の例は、ここに記載および請求する化合物、組成物、物品、デバイス、および/ま
たは方法がどのようにして作り上げられ、および評価されるかについての完全な開示および説明と共に当技術における通常の熟練の者に提供するために提示され、およびそれらは純粋に例示であることが意図され、および本発明者らがそれらの発明と考えるものの範囲を制限することは意図されない。数値(例えば、量、温度、など)に関して正確性を確実にするための努力がなされているが、いくつかの誤差および偏差はここに考慮すべきである。特に断らない限り、部は重量部であり、温度は摂氏温度または周囲温度であり、および圧力は大気圧または大気圧付近である。反応条件、例は、成分濃度、望ましい溶媒、溶媒混合物、温度、圧力および記載されたプロセスから得られる生成物の純度および収率を最適化するために使用することができる他の反応範囲および条件の多数のバリエーションおよび組合せが存在する。このようなプロセス条件を最適化するためには、合理的および日常的な実験が要求されるだけである。
【0173】
本発明の目的は、その無痛(indolent)形態からの侵襲性ガンの検出のためにPCa患者
をスクリーニングするための感受性、特異的、および費用効果の高い非浸潤性分子診断テストを開発することである。本発明者は、PCa尿および生検サンプルにおいてRNAs(コー
ドおよび非コードRNAs)1-2、疾患特異的SNPs3、代謝産物および脂質2,4マーカーを識別
することに焦点を当てた。臨床および研究室における今日までの重要な発見は前立腺ガン
患者における尿の豊富化RNAsおよび代謝産物のパネルの識別である。統計的に有意な患者集団において、尿特異的RNAs(コーディングおよびノンコーディング)、細胞外DNA(eccDNA)および代謝産物4を用いたPCa検出アッセイを開発する。いくつかのバイオテクノロ
ジー企業がFDA認可PCa分子マーカー(PSA、PCA3、など)を開発したが、これらのマーカ
ーは期待された結果を生成するのに失敗した。既存のPCaマーカーの大きな限界の一つは
単一のバイオマーカー(PSAまたはPCA3)への依存である。ガンは多くの相における多様
なゲノムおよびエピゲノム変動を伴う多段階プロセスとして認識される。ガンの複雑さは、正確な診断、予後、および治療モニタリングのためには多変量アッセイを要求する。多変量遺伝子発現アッセイは最近、実行可能であることが証明された(乳ガンに化学療法が必要かどうかを定めるためのOncotype DX(オンコタイプDX)およびMammaPrint(マンマ
プリント))が、これらのテストは高価であり、および多くは多様な生検および特別な標本収集プロセスを必要とする。本発明の目標は容易に入手可能な組織および尿サンプルから、PCaの侵襲性形態を検出するための正確でおよび再現性のある多変量アッセイを開発
することである。臨床使用のための多重アッセイの大きな利益は、高度に正確である「パワー」を有することである。浸潤性手技の精度に匹敵する分子アッセイの確立は、臨床診療のパラダイムをシフトさせるであろう。本発明者は、尿をベースとしたコンビナトリアルマルチアナライト(RNAsおよびeccDNA)アッセイが侵襲性PCaをその非侵襲性形態から
検出するための強力なアプローチであると強く確信する。
【0174】
例1:E3ユビキチン-タンパク質リガーゼ、テトラトリコペプチド反復ドメイン3(TTC3
)、H4クラスター化ヒストン5(H4C5)、および上皮細胞接着分子(EpCAM)は、男性における前立腺ガンを検出するための新規尿豊富化リキッドバイオプシーバイオマーカーである。
【0175】
前立腺ガン(PCa)は男性における最も一般的なガンであり、米国において毎年250,000例の前立腺ガン診断を伴う(1)。概して無痛疾患(低品位、低段階の疾患)であるが、PCaは男性におけるガン死の第2の先導原因のままである。近年、多様な治療選択肢(手術
、放射線、化学療法、アンドロゲン除去療法)の組合せにより、PCa患者の生存期間の中
央値が改善された(2)。発生率は全体的に減少しているが、前進段PCaにおける発生頻度は、2014年から2018年まで4%より6%までによって増加した。さらに、PCa発生頻度および
死亡率の全体的な減少は、患者管理の広範な精査によるものであった(3)。臨床診療で
は、バイオマーカー試験は、腫瘍の変動をより一層良好に特徴付けることができる。前立腺特異性抗原(PSA)はPCaについて使用される最も臨床的に許容される血清バイオマーカーであるが、良性前立腺肥大または前立腺炎を有する男性がPSAの高レベルを演じる傾向
があるため、その特異性は制限される。米国および欧州における2つの予想されるスクリ
ーニングトライアルは、PSAスクリーニングからの全患者生存において調和性のある利益
(concordant benefit)を実証することに失敗した(4、5)。血清、尿、および組織中に見られるイメージングおよびバイオマーカーの組み合わされた適用は、新生の臨床診断においてますます成熟してきた(6)。ゆえに、PCaの検出およびモニタリング疾患の侵襲に関係する有意でおよび信頼性があるバイオマーカーの識別は、臨床的意思決定をガイドする際に重要であろう。
【0176】
臨床使用のための理想的なバイオマーカーは、次の3つの主要な特徴を有するべきであ
る:1)測定の安全でおよび容易な手段、好ましくは非浸潤性のもの;2)高い感度、特異性、およびその意図された結果についての正および負の予測値;および3)クリニック病
理学的パラメータに関連して意思決定能力を向上させることである。非浸潤性でおよび容易にアクセス可能な生物流体としての尿は、バイオマーカー、特に、腫瘍の早期診断および治療後モニタリングにおいてのもののための必須の供給源を出現させる(7)。本発明
者は、異常な遺伝子シグネチャーを見せるPCa患者および健常者の尿サンプルから得られ
るRNAsおよび代謝物の統合分析は、PCaと正常個体との間の区別の促進に役立つ(8)。最
近、いくつかの研究は、より一層多くの特異性を提供するのに役立つ、尿バイオマーカーテストを中心に展開し、SelectMDx(DLX1、HOXC6)(9)、ExoDx Prostate IntelScore(EPI)(SPDEF、ERG、PCA3)(10)、およびMichigan Prostate Score(ミシガン前立腺スコア)(PCA3、PSA、TMPSS2:ERG)(11)が含まれる。これらのテストは、the National
Comprehensive Cancer Network Guidelines(全米総合ガン情報ネットワークガイドライン)によってエンドースされているが、結果は混合される(12)。
【0177】
したがって、本例は、National Cancer Institute's Early Detection Research Network(米国国立癌研究所の早期診断リサーチネットワーク)(EDRN)定義の第II相バイオマーカー研究の一部として、PCaについての尿多変量バイオマーカーの診断精度を評価する
ように設計した(13)。アッセイは、いくらかの実施形態では、以前の前立腺検査を必要とせず、および尿を基本臨床ワークフローの一部として容易に収集することができるという点でユニークである。疾患についてのスクリーニングおよび診断ツールには、簡便で、安価でおよび迅速なテストとして尿ディップスティックが広く用いられる。
【0178】
材料および方法
【0179】
研究集団.the Johns Hopkins University School of Medicine(ジョンズ・ホプキン
ス大学医学部)のHuman Research Ethics Committee(ヒト研究倫理委員会)およびIRBプロトコルは、この研究のリサーチを承認した(参照番号237998)。PCa患者は、2021年9月と2022年7月との間にAdventHealth Global Robotics Institute(アドベントヘルス・グ
ローバル・ロボティクス研究所)、Celebration(セレブレーション)、FL(フロリダ州
)、USAにて募集した。PCaの初期診断は経直腸超音波誘導前立腺生検に基づいており、および切除した組織の組織学的および免疫組織化学的検査によって確認した。尿はロボット支援の前立腺全摘除術(radical prostatectomy)による切除の前および後に収集した。BPH患者は、University of Florida(フロリダ大学)、Gainesville(ゲインズヴィル)、FL、USAを通して募集した。正常コントロールはジョンズ・ホプキンス大学医学部を通し
て募集されたボランティアであった。正常コントロールは、前立腺ガンの個体的または家族歴を有さず、および何らかの有意な下部尿路症状を有さなかった。臨床病理的なデータを前立腺生検の組織病理学報告から収集した。収集したパラメータは、術前PSA、採取し
たコアの数、ガンについて陽性のコアの数、および全体的なISUP Grade Group(ISUPグレードグループ)を含んでいた。すべての場合において、書面による同意書が得られた。患者人口統計は表2に表示される。
【0180】
尿サンプル収集.朝での起床した後の最初のおよび中間の尿を収集した。尿サンプルを、尿保存溶液(Norgen Bioteck(ノルジェン・バイオテック))を添加することによって直ちに処理し、および尿サンプルにおいて剥脱された細胞を分離するために遠心分離まで室温で保持した。尿ディップスティックアッセイのために、尿サンプルの更なる処理の前に、新鮮な尿の3滴を使用した。尿サンプルからの剥脱細胞は、miRNeasy mini kit(miRNイージー・ミニキット)(Qiagen(キアゲン))を用いた総計RNA精製に使用した。合計RNAは遺伝子発現を識別するために定量的リアルタイムPCRを受けさせた。細胞を含まない
尿をELISAアッセイに適用した。
【0181】
ELISA.尿サンプルにおいて可溶性EpCAMレベルは、製造元の指示に従って、ヒトEpCAM DuoSet ELISA(EpCAMデュオセットELISA)キット(R&D Systems(R&Dシステムズ))を使用して測定した。尿サンプルを室温でボルテックスし、および1000gで10分間遠心分離し
た。アッセイの各ウェルに、100μlの尿上清を添加し、および1ng/mlの標準の2倍希釈を
使用して7点較正曲線を構築した。光学密度は、EnVision(エンビジョン)2105マイクロ
プレートリーダー(PerkinElmer(パーキンエルマー))を使用して450nm(570nmでの波
長修正)にて定めた。EpCAM濃度(pg/ml)は、2パラメータ算定曲線を用いて得られ、標
準値に適合され、および希釈係数と乗算された。すべての測定は正副二通作成して行われた。
【0182】
剥脱細胞のRNA抽出、逆転写、予備増幅および定量的リアルタイムPCR.尿サンプルからの剥脱細胞の合計RNAをQIAzol溶解試薬およびmiRNeasy mini kit(Qiagen)を用いて抽出した。サンプルをDNase I(Qiagen)で処理し、およびNanoDrop(ナノドロップ)8000(Thermo Scientific(サーモ・サイエンティフィック))を使用してRNA濃度を測定した。
高容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems(アプライド・バイオシステムズ))を用いてcDNAを製造元の指示に従って合成した。予備増幅の合計容量は各サンプルについて50μlであった。反応は、25μlの予備増幅マスターミックス(mastermix)、24μlのcDNA、1μlのプールされたプライマーを含み、各プライマーの最終濃度は10nMであった。次いで、14サイクルのcDNA予備増幅を以下のスケジュールに従って実行した:95℃で10分間、95℃で15秒間および58℃で4分間であった。遺伝子発現はSYBR Green Master Mix(SYBRグリーン・マスター・ミックス)(Applied Biosystems)を用いて定量した。β-アクチンを
内部コントロールとして使用した。定量的リアルタイムPCRをQuantStudio(クアントステューディオ)5(Applied Biosystems)で実行した。遺伝子発現の相対的変化を2-ΔCT
を用いて分析した。
【0183】
細胞培養.PCa細胞株PC3およびLNCaPをAmerican Type culture Collection(アメリカ
ン・タイプ・カルチャー・コレクション)(ATCC)から取得し、および細胞をそれぞれHam's F-12K(ハムズF-12K)培地およびRPMI 1640培地(Gibco(ギブコ))において10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンと共に培養した。細胞株をSTRプロファイリングにより認証し、および研究全体を通してマイコプラズマ汚染について定期的にテストした。
【0184】
細胞トランスフェクション.細胞は、EpCAM(s8370、s8371、s8372)またはTTC3(s14475、s14476、s14477)についてのサイレンサー選択siRNAsまたはサイレンサー選択陰性コントロール#1siRNA(Invitrogen)で20nMにて一過性にトランスフェクトした。トランス
フェクションはリポフェクタミンRNAiMAX試薬(Invitrogen)を用いて実行した。別段の
記載がない限り、トランスフェクション後の48時間(qPCRの場合)または72時間(ウェスタンブロットの場合)にアッセイを実行した。
【0185】
細胞増殖アッセイ.細胞をウェル当たり3000細胞で96ウェルプレートに播種した。EpCAMおよびTTC3 siRNAsを翌日に加えた。24、48、72時間のインキュベーションの後、細胞増殖をcellTiter 96 AQueous(セルタイター96アクイアス)非放射性細胞増殖アッセイ(Promega)によって測定した。吸光度値はEnVision 2105マイクロプレートリーダー(PerkinElmer)を使用して490nmにて測定した。
【0186】
この研究では、PCaを有する前立腺摘除術前の男性およびその後の男性からの排泄され
た尿(50ml)を使用し、および正常な健康男性からの尿をコントロールとして使用した。剥脱した細胞からのRNAおよび尿中に流された破片を分離し、およびIllumina Next-seq(イルミナ・ネクスト-seq)550プラットフォームを使用してRNA配列決定を実行した。PCa
を有する男性の候補バイオマーカーを識別するために、進歩した計算手法および機械学習手法を採用した。腫瘍組織における識別されたRNAのPCa特異的発現を検証するために、TCGAデータベースを調べた。2つのRNAマーカーをqPCRによってさらにテストし、および1つ
の尿の可溶性タンパク質マーカーをイムノアッセイによって測定した。
【0187】
研究は、PCaおよび88コントロール男性と共に男性106人を含んでいた。≧1のRNAマーカー(TTC3、H4C5)およびタンパク質マーカー(EpCAM)の存在を識別し、およびPCa検出用の潜在的候補バイオマーカーとして尿において検証した。これらのマーカーをテストし、
およびより一層高い特異性および感度を有するEpCAM用のTTC3、H4C5、およびELISAアッセイのためのqPCRを使用して開発した(表1)。結果は、既知の尿路マーカー、PCA3およびSPDEF(図31)より性能が優れた。TTC3、H4C5、およびEpCAMマーカーは、PCaを有する前立腺摘除前の男性と比較して、前立腺摘除術後においての低レベルまたは検出不能レベルにまで減少した。アンドロゲン感受性および非感受性細胞におけるTTC3およびEpCAMのshRNAノックダウンは、生物学的変化を誘発し、前立腺ガンに対するそれらの関連性が示唆される。
【0188】
このように、特定の実施形態では、本発明は、EpCAM(タンパク質)、ならびにTTC3お
よびH4C5(RNA)を含むPCaを検出する、3つの尿ベースのバイオマーカーの高度に正確な
パネルを提供する。一定の実施形態では、尿のリキッドバイオプシーバイオマーカーアッセイは、PCaと健康な男性との間を区別する、3つの尿ベースのバイオマーカーアッセイの高度に正確なパネルを含む。そのアッセイは、PSAレベルが上昇した男性の中でより一層
高いグレードの前立腺ガンを有する患者の改善された識別に関連し、および不要な生検の総数を減らすことができた。
【0189】
参考文献
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【0190】
【表1】
【0191】
【表2】
【0192】
【表3】
【0193】
【表4】
【0194】
【表5-1】
【表5-2】
【0195】
例2:尿での豊富化RNAs(コード化および非コード化)のグループをPCaバイオマーカーとして適用する。PCaは、合衆国における男性の間でのガン死の1番の原因であり、前立腺ガンを有する生存している3.6百万人を超える男性が伴う。しかしながら、多くの新たに
診断された前立腺ガンは、無痛性であり、および低い転移可能性を伴い臨床的に重要ではない。したがって、無痛性ガンを侵襲性なものと区別するための早期検出用の非浸潤性および正確なマーカーの開発はタイムリーである。刊行された1,2,4および予備的な結果に
基づいて、尿の豊富化RNAs(mRNAs、IncRNAs、およびcircRNAs)のパネルは、PCa検出の
ための潜在的バイオマーカーである。PCa-アップレギュレートされたRNAパネル(mRNA、
円形RNAおよび長鎖非コードRNAs)およびeccDNAは、患者コホートのパワー要件(power-requirement)を前提として、統計学的に有意な数からのサンプルにおいてqPCRおよびデジタルPCRによって測定される:(a)高悪性度および低悪性度のPCa患者からの尿サンプル
、(b)非ガン性であるがPSAの高い個体からの尿サンプル(即ち、良性前立腺肥大、前立腺炎、など)および(c)コントロールの健康な個体からの尿サンプルである。RNAシグネチャーのパネルは、新規なPCa非浸潤性テストを確立するのに有用である。本発明者らは
、クリニックにおいてこれらのマーカーをテストするために、ELISAベースの方法を開発
した。
【0196】
例3:PCa特異的RNAシグネチャーを統合してマルチバリアントなバイオマーカーテスト
を識別するための多変量ロジスティック回帰モデルを開発。本発明者は正常な健康な個体と比較して尿中のPCa特異的RNAsのグループを識別した。RNAデータは、より一層良好なPCa診断用に複雑な遺伝子ネットワークを調べるために包括的な遺伝子発現解析と一体化さ
れており、およびそうされるであろう。多変量ロジスティック回帰モデルは、PCaの予測
因子として開発され、および男性におけるPCa検出のために強力であり、および単分子検
出よりも優れているであろう。多分析物(Multianalyte)マーカー(mRNAs、circRNAs、IncRNAsおよびeccDNAs)は患者サンプルにおいて適用される。
【0197】
本発明の主要な影響および革新的な態様は、目下の単一バイオマーカーテスト(PCA3またはPSA)では行うことができない侵襲性PCaを検出するために、多様なRNAsパネルの非浸潤性の性質に基づく。本発明は追加的な候補により補足され、それらは性能をさらに向上させるために利用可能になるからである。コンビナトリアル「マルチRNA」系分子マーカ
ーパネルを開発する。
【0198】
すべての提案されたメーカーは、自由流動尿(free-flow urine)でテストすることが
でき、前立腺マッサージについては必要ではない(例PCA3試験)。
【0199】
参考文献
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図1A
図1B
図1C
図1D-1】
図1D-2】
図2
図3
図4A
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図5A
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図6A
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図23-2】
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図27-1】
図27-2】
図28
図29
図30
【配列表】
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【国際調査報告】