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特表2025-502641プロテアーゼを含む自動食器洗浄組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】プロテアーゼを含む自動食器洗浄組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/04 20060101AFI20250121BHJP
   C12N 9/54 20060101ALI20250121BHJP
   C12N 15/57 20060101ALI20250121BHJP
   C12N 9/02 20060101ALI20250121BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20250121BHJP
   C12N 9/16 20060101ALI20250121BHJP
   C12N 9/24 20060101ALI20250121BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20250121BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20250121BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20250121BHJP
   C12N 15/53 20060101ALN20250121BHJP
   C12N 15/55 20060101ALN20250121BHJP
   C12N 15/54 20060101ALN20250121BHJP
   C12N 15/56 20060101ALN20250121BHJP
【FI】
C11D17/04
C12N9/54 ZNA
C12N15/57
C12N9/02
C12N9/10
C12N9/16
C12N9/24
C11D3/386
C11D3/395
C12N15/31
C12N15/53
C12N15/55
C12N15/54
C12N15/56
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535203
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 US2022081484
(87)【国際公開番号】W WO2023114795
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/290,125
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】コルツィッカ、カロリナ・アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ピカリング、カーリー
(72)【発明者】
【氏名】スーター、フィリップ・フランク
(72)【発明者】
【氏名】アレクセイエフ、ヴィクトール・ユーリエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ベーブ、リリア・マリア
(72)【発明者】
【氏名】ダンクマイヤー、リディア
(72)【発明者】
【氏名】ギルニカル、ルーパ・サントシュ
(72)【発明者】
【氏名】ゲーデゲブール、フリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ケイパー、ティイス
(72)【発明者】
【氏名】マルダー、ハーム・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】レデスティグ、ニルス・ヘニング
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・スティクト-タンス、サンダー
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AC01
4H003BA18
4H003DA19
4H003EA16
4H003EA20
4H003EA24
4H003EB05
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB23
4H003EB28
4H003EB33
4H003EB36
4H003EC01
4H003EC02
4H003EC03
4H003EE01
4H003FA26
(57)【要約】
本発明は、界面活性剤及びプロテアーゼを含むファブリックケア及びホームケア組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤及びプロテアーゼを含む自動食器洗浄組成物であって、
前記自動食器洗浄組成物は、区画を含む水溶性単位用量パウチの形態であり、前記区画は、粉末成分及びゲル成分の両方を含み、
前記プロテアーゼは、配列番号1に関して、
(i)122位における変異と、
(ii)126位、127位、128位、211位及び212位における1つ以上の変異と
を含む、サブチリシン変異体であり、
前記変異体は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する、自動食器洗浄組成物。
【請求項2】
前記組成物が、2つ以上の区画、好ましくは3つ以上の区画を含む多区画パウチの形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記プロテアーゼが前記ゲル成分中に存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が漂白剤を含み、前記漂白剤が前記粉末成分中に存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記変異体が、
(i)M122L位における変異と、
(ii)126位、127位、128位、211位及び212位における1つ以上の変異と
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記変異体が、126位、127位、128位、211位及び212位における2つ以上の変異、好ましくは126位、127位、128位、211位及び212位における3つ以上の変異、好ましくは126位、127位、128位、211位及び212位における4つ以上の変異、好ましくは126位、127位、128位、211位及び212位における5つの変異を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記変異体が、S126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される1つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される2つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される3つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される4つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される5つの変異を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記変異体が、変異M122L、S126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記変異体が、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記変異体が、配列番号1と60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する親又は参照ポリペプチドに由来する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me-TACN)、1,2,4,7-テトラメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me/Me-TACN)及びそれらの混合物からなる群から選択されるマンガン漂白触媒を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、アシルトランスフェラーゼ、アミラーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、アラビナーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルカナーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、ディスパーシン、エンドグルカナーゼ、エンド-β-マンナナーゼ、エキソ-β-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヘキソサミニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、脂肪分解酵素、リポキシゲナーゼ、リゾチーム、マンナナーゼ、メタロプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、ペクテートリアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルヒドロラーゼ、ペルオキシダーゼ、PETases、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリエステラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、追加のプロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチル-エステラーゼ、キシラナーゼ、及びキシロシダーゼ;並びにそれらの組み合わせから選択される1種以上の他の酵素を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記1種以上の酵素が、AA707、AA560、AAI10、SP722、BspAmy24、及びCspAmy1、並びにそれらの変異体、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミラーゼを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記1種以上の酵素が、親α-アミラーゼの組換え非天然変異体を含み、前記変異体α-アミラーゼが、配列番号3と95%の同一性を有し、配列番号3に対して51位及び125位にアミノ酸置換を有する、請求項13に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動食器洗浄組成物の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
プロテアーゼ(プロテイナーゼとしても知られる)は、他のタンパク質を分解する能力を有する酵素である。プロテアーゼはタンパク質分解を行う能力を有し、タンパク質分解は、タンパク質を形成するペプチド又はポリペプチド鎖においてアミノ酸を一緒に連結するペプチド結合の加水分解によってタンパク質異化を開始する。タンパク質消化酵素としてのプロテアーゼのこの活性は、タンパク質分解活性と呼ばれる。タンパク質分解活性を測定するための多くの周知の手順が存在する(Fiechter(編),Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology,(1988)におけるKalisz,「Microbial Proteinases」)。例えば、タンパク質分解活性は、市販の基質を加水分解するそれぞれのプロテアーゼの能力を分析する比較アッセイによって確認することができる。プロテアーゼ又はタンパク質分解活性の分析において有用な例示的な基質には、ジメチルカゼイン(Sigma C-9801)、ウシコラーゲン(Sigma C-9879)、ウシエラスチン(Sigma E-1625)、及びKeratin Azure(Sigma-Aldrich K8500)が含まれるが、これらに限定されない。これらの基質を利用する比色アッセイは、当該技術分野で周知である(例えば、国際公開第99/34011号及び米国特許第6,376,450号(これらの両方は、参照によって本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0003】
セリンプロテアーゼは、タンパク質のペプチド結合の加水分解を開始する活性部位セリンを有する酵素(EC番号3.4.21)である。セリンプロテアーゼは、広範囲の特異性及び生物学的機能を有する多様なクラスの酵素を含み、それらは更にそれらの構造に基づいてキモトリプシン様(トリプシン様)及びサブチリシン様に分類される。原型的なサブチリシン(EC番号3.4.21.62)は、最初に枯草菌(Bacillus subtilis)から得られた。サブチリシン及びそれらのホモログは、MEROPS分類スキームのS8ペプチダーゼファミリーのメンバーである(Rawlings,N.D.et al(2016)Twenty years of the MEROPS database of proteolytic enzymes,their substrates and inhibitors.Nucleic Acids Res 44,D343-D350)。ファミリーS8のメンバーは、Asp、His及びSerの順序でそれらのアミノ酸配列中に触媒三残基を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/34011号
【特許文献2】米国特許第6,376,450号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Fiechter(編),Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology,(1988)におけるKalisz,「Microbial Proteinases」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くの有用な変異体プロテアーゼが洗浄用途のために開発されてきたが、改善されたプロテアーゼ変異体が依然として必要とされている。
【0007】
変異体の製造中、変異体を含む組成物の貯蔵中、及び使用中(例えば、洗浄浴中)、特に変異体が漂白剤と組み合わせて使用される場合を含む酸化環境中で改善された安定性を有する改善されたプロテアーゼ変異体も依然として必要とされている。
【0008】
良好な洗浄を提供し、良好な安定性を有し得る自動食器洗浄洗剤組成物を提供する必要性も依然として存在する。
【0009】
加えて、区画を含む水溶性単位用量パウチの形態の自動食器洗浄組成物であって、区画が粉末成分及びゲル成分の両方を含み、組成物が界面活性剤及びプロテアーゼを含み、組成物が良好な洗浄性能、良好なプロテアーゼ性能、及び良好な安定性を有する、自動食器洗浄組成物を提供する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、界面活性剤及びプロテアーゼを含む自動食器洗浄組成物であって、
自動食器洗浄組成物は、区画を含む水溶性単位用量パウチの形態であり、区画は、粉末成分及びゲル成分の両方を含み、
プロテアーゼは、配列番号1に関して、
(i)122位における変異と、
(ii)126位、127位、128位、211位及び212位における1つ以上の変異と
を含むサブチリシン変異体である、自動食器洗浄組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
自動食器洗浄組成物
自動食器洗浄組成物は、界面活性剤及びプロテアーゼを含む。
【0012】
自動食器洗浄組成物は、区画を含む水溶性単位用量パウチの形態であり、区画は、粉末成分及びゲル成分の両方を含む。
【0013】
好ましくは、組成物は、2つ以上の区画、好ましくは3つ以上の区画を含む多区画パウチの形態である。区画の少なくとも1つは、粉末成分及びゲル成分の両方を含む。
【0014】
プロテアーゼはゲル成分中に存在してもよい。
【0015】
組成物は漂白剤を含んでもよく、漂白剤は粉末成分中に存在する。
【0016】
本発明の組成物は、多区画型パックの形態、より具体的には、異なる物理的形態の組成物を有する区画、例えば固体形態の組成物を含む区画と液体形態の組成物を含む別の区画とを含む多区画型パックでの提供に非常によく適している。組成物は、好ましくは、ポリビニルアルコールなどの水溶性フィルムに封入される。厚さ100μm未満、好ましくは20~90μmのポリビニルアルコールフィルムに包まれた単位用量形態の組成物がとりわけ好ましい。本発明の洗剤組成物は、約8~約25グラム、好ましくは約10~約20グラムの重量を有する。この重量範囲は、食器洗浄機のディスペンサに余裕をもって収まる。この範囲は洗剤としては少ない量に相当するものであるが、洗剤は本明細書で上記に述べたような効果の全てを提供するように配合されている。
【0017】
組成物は、好ましくは、無リン酸塩である。本明細書において「無リン酸塩」とは、組成物が、組成物の1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満のリン酸塩を含むものとして理解される。
【0018】
組成物は、典型的には洗剤組成物である。「洗剤組成物」又は「洗剤製剤」は、汚れた又は不潔な対象を洗浄するために洗浄媒体中で使用することを意図した組成物に関連して使用される。いくつかの実施形態において、本開示の洗剤は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体と、加えて、1種以上の界面活性剤、トランスフェラーゼ、加水分解酵素、オキシドレダクターゼ、ビルダー(例えば、ビルダー塩)、漂白剤、漂白活性化剤、青味剤、蛍光染料、ケーキング防止剤、マスキング剤、酵素安定剤、カルシウム、酵素活性化剤、抗酸化剤、及び/又は可溶化剤とを含む。場合によっては、ビルダー塩は、ケイ酸塩とリン酸塩との混合物であり、好ましくは、リン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウム)よりもケイ酸塩(例えば、メタケイ酸ナトリウム)が多い。いくつかの実施形態は、任意のリン酸塩(例えば、リン酸塩又はリン酸塩ビルダー)を含有しない洗浄組成物又は洗剤組成物に関する。
【0019】
「補助物質」という用語は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体、又はその組換えポリペプチド若しくは活性断片以外の、洗浄組成物に含まれる任意の液体、固体、又は気体物質を指す。いくつかの実施形態において、本開示の洗浄組成物は、1つ以上の洗浄補助物質を含む。各洗浄補助物質は、典型的には、洗浄組成物の特定の種類及び形態(例えば、液体、顆粒、粉末、バー、ペースト、スプレー、タブレット、ゲル、フォーム、又は他の組成物)に応じて選択される。好ましくは、各洗浄補助物質は、組成物に使用されるプロテアーゼ酵素と適合性である。
【0020】
「ホウ素を実質的に含まない組成物」又は「ホウ素を実質的に含まない洗剤」という語句は、それぞれ、微量のホウ素、例えば、約1000ppm未満(1mg/kg又はリットルは1ppmに等しい)、約100ppm未満、約50ppm未満、約10ppm未満、又は約5ppm未満、又は約1ppm未満、おそらく他の組成物又は洗剤成分からのホウ素を含有する組成物又は洗剤を指す。
【0021】
「漂白」という用語は、材料(例えば、布地、洗濯物、パルプなど)又は表面を、十分な長さの時間及び/又は適切なpH及び/又は温度条件下で処理して、材料の増白(すなわち、ホワイトニング)及び/又は洗浄を行うことを指す。漂白に好適な化学物質の例としては、例えば、ClO、H、過酸、NOなどが挙げられるが、これらに限定されない。漂白剤としては、ペルヒドロラーゼ及びアリールエステラーゼなどの酵素漂白剤も挙げられる。別の実施形態は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体と、例えば、国際公開第2005/056782号、同第2007/106293号、同第2008/063400号、同第2008/106214号、及び同第2008/106215号に記載されているような1つ以上のペルヒドロラーゼとを含む組成物に関する。
【0022】
プロテアーゼ(例えば、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体、又はその組換えポリペプチド若しくは活性断片)の「洗浄性能」という用語は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体を組成物に添加していない洗剤と比較して、洗剤に追加の洗浄性能を提供する、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体の洗浄への寄与を指す。洗浄性能を関連する洗浄条件下で比較する。いくつかの試験システムでは、洗剤組成物、泡濃度、水の硬度、洗浄機構、時間、pH、及び/又は温度などの他の関連する要因を、特定の市場区分(例えば、自動食器洗浄、食器類洗浄、食卓用食器類洗浄など)における家庭用途に典型的な条件が模倣されるように制御することができる。
【0023】
「関連する洗浄条件」という語句は、本明細書では、手洗い食器洗い、自動食器洗い、又は洗濯洗剤の市場セグメントにおいて、家庭で実際に使用されている条件、特に洗浄温度、時間、洗浄の仕組み、泡濃度、洗剤の種類、水の硬度を示すために使用される。
【0024】
「食器洗浄」という用語は、家庭用及び工業用食器洗浄の両方を指し、自動食器洗浄(例えば、食器洗浄機における)の両方に関する。
【0025】
「消毒」という用語は、表面からの汚染物質の除去、並びに物品の表面上の微生物の阻害又は死滅を指す。
【0026】
本明細書の洗浄組成物の「コンパクトな」形態という用語は、密度によって最もよく反映され、組成の観点からは無機充填剤塩の量によって最もよく反映される。無機充填剤塩は、粉末形態の洗剤組成物の従来の成分である。従来の洗剤組成物において、充填剤塩は、実質的な量で、典型的には全組成物の約17~約35重量%で存在する。対照的に、コンパクトな組成物では、充填剤塩は、全組成物の約15%を超えない量で存在する。いくつかの実施形態において、充填剤塩は、組成物の約10重量%、又はより好ましくは約5重量%を超えない量で存在する。いくつかの実施形態において、無機充填剤塩は、硫酸塩及び塩化物のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選択される。いくつかの実施形態において、充填剤塩は硫酸ナトリウムである。
【0027】
ゲル成分
ゲル成分はまた、本明細書において、ゲル、ゲル様相又はゲル相とも呼ばれ得る。
【0028】
ゲル成分は、好ましくは無水である。無水とは、10重量%未満、若しくは8重量%未満、若しくは6重量%未満、若しくは4重量%未満、若しくは2重量%未満、若しくは1重量%未満の水を含むか、又は意図的に添加された水を含まないことを意味する。
【0029】
ゲル成分は、典型的には酵素を含み、典型的にはプロテアーゼを含み、存在する場合、典型的にはアミラーゼも含む。
【0030】
ゲル成分は、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペルヒドロラーゼ又はオキシドレダクターゼ、及びそれらの組み合わせから選択される酵素を含んでもよい。
【0031】
典型的には、ゲル成分は、内部構造化ネットワークを有する組成物/相を意味すると理解されるべきである。この内部構造化(空間)ネットワークは、少なくとも1種の液体(少なくとも1種の液体は20℃で液体である)中に、固体であるが分布した物質と、長い又は高度に分岐した粒子及び/又はゲル化剤とを分散させることによって形成される。そのようなゲル相は熱可逆的に挙動する。
【0032】
このゲル相は、例えば、流動性又は寸法安定性であり得る。しかしながら、本発明によれば、ゲル様相は、好ましくは室温で寸法安定性である。調製において、ゲル形成剤、好ましくはキサンタン、ゼラチン又はポリビニルアルコール及び/又はそれらの誘導体を、溶媒、好ましくは有機溶媒、好ましくは1種以上の多価アルコールと接触させる。これにより、所望の形状にすることができる流動性混合物が得られる。一定時間後、所定の形状のままである、すなわち寸法安定性であるゲル相が得られる。この時間、すなわち固化時間は、好ましくは15分以下、好ましくは10分以下、特に好ましくは5分以下である。同時に、少なくとも1つのゲル相は圧力に対して降伏するが、結果として変形せず、圧力が停止した後に初期状態に戻る。少なくとも1つのゲル相は、好ましくは弾性、特に線形弾性である。
【0033】
少なくとも1つのゲル相は、好ましくは成形体である。成形体は、印加された形状でそれ自体を安定化させる単一体である。この寸法安定体は、成形材料(例えば、組成物)から、この成形材料を標的化された様式で所定の形状にすることによって、例えば、液体組成物を鋳型に注入し、その後、例えば、ゾル-ゲルプロセスの範囲内で液体組成物を硬化させることによって形成される。特定の最小要件が、少なくとも1つのゲル相の配合に課される。したがって、既に述べたように、ゲル相は可能な限り短時間で固化しなければならない。固化時間が長いと、製造時間が長くなり、ひいてはコストが高くなる。本発明によれば、固化時間とは、少なくとも1つのゲル相が、調製中に自由流動状態から室温で自由流動しない寸法安定状態に変化する期間を意味する。室温未満、典型的には20℃の温度である。
【0034】
少なくとも1つのゲル相は、好ましくは固体ゲル相である。この場合、それは耐切断性である。それは、例えば、固化後にナイフで切断することができ、行われた切断は別として、更に破壊されることはない。
【0035】
加えて、少なくとも1つのゲル相は、好ましくは半透明(translucent)又は透明であり、その結果、良好な光学的印象をもたらす。ゲル相(染料を含まない)の透過率は、好ましくは100%~20%、100%~30%、特に100%~40%の範囲である。光透過率(透過率)を測定するために、20℃での参照としての水に対する600nmでの透過率(%)を決定した。この目的のために、組成物を、準備した11mmの丸いキュベットに注ぎ、室温で12時間の貯蔵時間後に、LICO 300測色システムで長さに従って測定した。
【0036】
少なくとも1つのゲル相は、水が少ない。本発明の目的のために、低い含水量は、少量の水が少なくとも1つのゲル相を調製するために使用され得ることを意味する。ゲル相中の水の割合は、特に20重量%以下、好ましくは15重量%以下、特に12重量%以下、特に10~5重量%である。重量%のデータは、ゲル相の総重量に基づく。これは、PVOHと組み合わせた少量の水が構造形成又はゲル形成効果を有することができるという利点を有する。
【0037】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのゲル相は本質的に無水である。これは、ゲル相が好ましくは本質的に水を含まないことを意味する。ここで「実質的に含まない」とは、少量の水がゲル相中に存在し得ることを意味する。この水は、例えば、溶媒によって、又は結晶水として、又は相の成分同士の反応によって、相に導入することができる。しかしながら、ゲル相の調製のために溶媒が使用されるので、少量のみ、特に水がないことが好ましい。この実施形態において、ゲル相中の水の割合は、4.9重量%以下、4重量%以下、好ましくは2重量%以下、特に1重量%以下、特に0.5重量%以下、特に0.1重量%以下又は0.05重量%以下である。重量百分率は、ゲル相の総重量に基づく。
【0038】
ゲル成分は、典型的には、ゲル形成剤、好ましくは、ゼラチン、キサンタン及び/又はポリビニルアルコール、特にゼラチン又はポリビニルアルコール、特に好ましくはポリビニルアルコールから選択されるゲル形成剤を、ゲル様相の総重量に基づいて、各場合において、4~40重量%、特に6~30重量%、特に好ましくは7~24重量%、非常に特に好ましくは8~22重量%、特に例えば14~20重量%の量で含む。
【0039】
好ましくは、少なくとも1つのゲル相は、特に好ましくは、PVOH(ポリビニルアルコール)及び/又はその誘導体を含む。ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルの加水分解によって白色から黄色がかった粉末として調製される熱可塑性物質である。ポリビニルアルコール(PVOH)は、ほとんど全ての無水有機化合物に対して耐性がある。
【0040】
30,000~60,000g/molのモル質量を有するポリビニルアルコールが好ましい。
【0041】
本発明の目的のために好ましいPVOHの誘導体は、ポリビニルアルコールと他のモノマーとのコポリマー、特にアニオン性モノマーとのコポリマーである。好適なアニオン性モノマーは、好ましくはビニル酢酸、アルキルアクリレート、マレイン酸及びその誘導体、特にマレイン酸モノアルキル(特にマレイン酸モノメチル)、マレイン酸ジアルキル(特にマレイン酸ジメチル)、無水マレイン酸、フマル酸及びその誘導体、特にフマル酸モノアルキル(特にフマル酸モノメチル)、フマル酸ジアルキル(特にフマル酸ジメチル)、無水フマル酸、イタコン酸及びその誘導体、特にイタコン酸ジアルキル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、シトラコン酸(メチルマレイン酸)及びその誘導体、シトラコン酸モノアルキル(特にシトラコン酸メチル)モノアルキルシトラコン酸(特にメチルシトラコン酸)、ジアルキルシトラコン酸(シトラコン酸ジメチル)、無水シトラコン酸、メサコン酸(メチルフマル酸)及びその誘導体、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、無水メサコン酸、グルタコン酸及びその誘導体、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、無水グルタコン酸、ビニルスルホン酸、アルキルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチルアクリレート、及びそれらの組み合わせ、並びに上記のモノマーのアルカリ金属塩又はエステルである。特に好ましいPVOHの誘導体は、ポリビニルアルコールとモノマー、特にマレイン酸モノアルキル(特にマレイン酸モノメチル)、マレイン酸ジアルキル(特にマレイン酸ジメチル)、無水マレイン酸、及びそれらの組み合わせ、並びに上記のモノマーのアルカリ金属塩又はエステルの群から選択されるモノマーとのコポリマーから選択されるものである。ポリビニルアルコール自体に与えられた値は、好適な分子量に適用される。本発明の目的のために、少なくとも1つのゲル相は、ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体、好ましくは、加水分解度が好ましくは70~100mol%、特に80~90mol%、特に好ましくは81~89mol%、特に82~88mol%であるポリビニルアルコールの重量を含むことが好ましい。
【0042】
特に好ましいのは、約100~2500の範囲の重合度(約4000~100,000g/molのモル質量)及び80~99mol%、好ましくは85~90mol%、特に87~89mol%、例えば88mol%の加水分解度を有する白-黄色がかった粉末又は顆粒として、それに応じてアセチル基の残留含量を含有するポリビニルアルコールである。
【0043】
少なくとも1つのゲル相での使用に好適な上記の特性を有するPVOH粉末は、例えば、KurarayによってMowiol(登録商標)又はPoval(登録商標)の名称で販売されている。例えば、KurarayからのExceval(登録商標)AQ4104も好適である。特に好適なのは、KurarayからのMowiol C30、Poval(登録商標)品質、特に品質3-83、3-88、6-88、4-85、特に好ましくは4-88、非常に特に好ましくはPoval 4-88 S2、及びMowiol(登録商標)4-88である。
【0044】
ポリビニルアルコールの水溶性は、アルデヒド(アセタール化)又はケトン(ケタール化)による後処理によって決定され得る。糖類若しくは多糖類又はそれらの混合物のアルデヒド基若しくはケト基でアセタール化又はケタール化されるポリビニルアルコールが、冷水中でのそれらの極めて良好な溶解性のために、特に好ましく、特に有利であることが証明されている。ポリビニルアルコールとデンプンとの反応生成物を極めて有利に使用することができる。更に、水への溶解性は、Ni若しくはCu塩と錯体化することによって、又は重クロム酸塩、ホウ酸、ホウ砂で処理することによって変化させることができ、ひいては目標とする方法で所望の値に調整することができる。
【0045】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの酵素又は複数の酵素、好ましくは本発明のプロテアーゼ変異体は、液体酵素調製物として、ゲル相に、特にゲル形成剤を有するゲル相に導入されない。ゲル形成剤がゼラチン、キサンタン及び/又はポリビニルアルコール、特にゼラチン又はポリビニルアルコール、特に好ましくはポリビニルアルコールから選択されるゲル相に、液体酵素-酵素調製物が導入されないことが特に好ましい。特にPVOH含有ゲル相の調製において、調製物によって加熱されたままのゲル相への液体酵素調製物の導入は高温で行われ、これは液体酵素調製物中の酵素の安定性のかなりの低下をもたらす。安定性の低下は、酵素の活性が出発調製物と比較して顕著に低下することを意味する。この安定性の低下は、例えば、残留酵素活性を測定することによって、又は特にIHF標準に従って、対応する酵素の精製性能を比較することによって測定することができる。酵素は、特に好ましくは、顆粒としてゲル相に組み込まれる。
【0046】
PVOHは、上記の要件を満たすゲル相を調製するのに特に好適である。したがって、少なくとも1種の酵素、特に好ましくはプロテアーゼ及び/又はアミラーゼの群から選択される少なくとも1種の酵素顆粒、PVOH及び少なくとも1種の多価アルコールに加えて、少なくとも1種のゲル相が特に好ましい。特に好ましくは、少なくとも1つのゲル相は、少なくとも1つのアミラーゼ顆粒及び/又は少なくとも1つのプロテアーゼ顆粒、PVOH及び少なくとも1つの多価アルコールを含む。
【0047】
本発明によれば、少なくとも1つのゲル相は、好ましくは、少なくとも1つの酵素、好ましくは少なくとも1つの酵素顆粒、好ましくは少なくとも1つのアミラーゼ顆粒及び/又は少なくとも1つのプロテアーゼ顆粒、特に少なくとも1つのプロテアーゼ顆粒、PVOH及び/又はその誘導体を、約4重量%~40重量%、特に6重量%~30重量%、好ましくは7~24重量%、特に好ましくは8重量%~22重量%の割合で含む。著しく低い割合のPVOHは、安定なゲル相の形成をもたらさない。値は、各々ゲル相の総重量を基準としている。
【0048】
このようにして調製されたこれらのゲル相は、特に高い融点を有し、寸法的安定性であり(40℃でさえ)、貯蔵中でさえもその形状を変化させないか、又はその形状をわずかにしか変化させない。特に、それらはまた、粒状混合物の成分との直接的な負の相互作用に関して反応性が低い。
【0049】
特に、PVOHはまた、ほとんど又は全く水分量を含まないゲル相を困難なく生成することができる。少なくとも1つのゲル相のためのポリマーとしてPVOHが使用される場合、110~120℃で低粘度の溶融物が生じ、それによって特に容易に加工することができる。特に、ゲル相は、粘着が起こることなく、又は量が不正確に計量されることなく、水溶性コーティングに迅速かつ正確に導入することができる。更に、これらのゲル相は、特にそれがPVOHから同様に生成される場合、水溶性コーティングに特に良好に付着する。
【0050】
これは光学的にも有利である。PVOHを用いた少なくとも1つのゲル相の急速な固化の結果として、ゲル相の更なる加工を特に迅速に行うことができる。更に、生成されたゲル相の良好な溶解性は、洗浄剤の全体的な溶解性にとって特に好ましい。加えて、そのような短い固化時間を有するゲル相は、その上に投入された粒状混合物、特に粉末を含む少なくとも1つの固相が、まだ完全に固化していないゲル又は柔らかすぎるゲル中に沈み込まないので、有利である。これは、視覚的に不快な洗剤部分をもたらす。
【0051】
特に、少なくとも1つの固相を有する本発明による多相使い捨てポーションの場合、少なくとも1つのゲル相が寸法的安定性であり、その結果、固体とゲル相との間で起こり得る相互作用が可能な限り少なくなることが重要である。少なくとも1つのゲル相がPVOHに加えてゼラチンも含む場合、調製物中のゲル相の靭性は驚くほど増加する。
【0052】
本発明は、更に好ましくは、少なくとも1種の酵素、好ましくは少なくとも1種の酵素顆粒に加えて、特に1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及び/又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種の有機溶媒を含む、洗浄剤、好ましくは食器洗浄剤、特に自動食器洗浄剤を提供する。
【0053】
少なくとも1つのゲル相は、好ましくは、少なくとも1つの多価アルコールを含む。少なくとも1種の多価アルコールは、流動性ゲル相の生成に加えて、15分以内、特に10分以内の短い固化時間内での寸法安定性の非流動性ゲル相の調製も可能にする。本発明の目的のための多価アルコールは、2個、3個又はそれよりも多い水素原子がOH基によって置き換えられている炭化水素である。OH基は、各場合において異なる炭素原子に結合している。炭素原子は2個のOH基を有しない。これは、炭化水素中の1個の水素原子のみがOH基によって置き換えられている(単純な)アルコールとは異なる。2個のOH基を有する多価アルコールはアルカンジオールと呼ばれ、3個のOH基を有する多価アルコールはアルカントリオールと呼ばれる。したがって、多価アルコールは、一般式[KWj(OH)Xに対応し、式中、KWは、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換の炭化水素を表す。置換は、例えば、-SH基又は-NH基で行うことができる。好ましくは、kWは、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の非置換炭化水素である。KWは、少なくとも2個の炭素原子を含む。多価アルコールは、2個、3個又はそれよりも多いOH基(x=2、3、4)を含み、1個のOH基のみがKWの各C原子に結合している。KWは、特に好ましくは2~10個、すなわち2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素原子を含む。x=2、3又は4の多価アルコール(例えば、x=4のペンタエリスリトール)を特に使用することができる。好ましくは、x=2(アルカンジオール)及び/又はx=3(アルカントリオール)である。
【0054】
特に好ましくは、少なくとも1つのゲル相は、多価アルコールとして、少なくとも1種のアルカントリオール及び/又は少なくとも1種のアルカンジオール、特に少なくとも1種のC3-~C10-アルカントリオール及び/又は少なくとも1種のC3-~C10-アルカンジオール、好ましくは少なくとも1種のC3-~Cs-アルカントリオール及び/又は少なくとも1種のC3-~Cs-アルカンジオール、特に少なくとも1種のC3-~C6-アルカントリオール及び/又は少なくとも1種のC3-~C5-アルカンジオールを含む。好ましくは、少なくとも1種の多価アルコールとしてアルカントリオール及びアルカンジオールを含む。したがって、好ましい実施形態において、少なくとも1つのゲル相は、少なくとも1種のポリマー、特にPVOH又はゼラチンを有するPVOH、並びに少なくとも1種のアルカンジオール及び少なくとも1種のアルカントリオール、特にアルカントリオール及びアルカンジオールを含む。同様に、少なくとも1種のポリマー、PVOH又はゼラチンを有するPVOH、並びにC3-~Cs-アルカンジオール及びC3-~Cs-アルカントリオールも含むゲル相が好ましい。更に、少なくとも1種のポリマー、特にPVOH又はゼラチンを有するPVOH、並びにC3-~Cs-アルカンジオール及びC3-~C6-アルカントリオールも含むゲル相が好ましい。本発明によれば、多価アルコールは、そのエーテル、エステルなどのいかなる誘導体も含まない。
【0055】
特に短い固化時間は、対応するトリオール(アルカントリオール)が対応するジオール(アルカンジオール)と組み合わされる場合に達成され得ることが見出された。更に、得られたゲル相は透明であり、魅力的な視覚的印象を提供する光沢のある表面を有する。
【0056】
好ましくは、自動食器洗浄組成物は、少なくとも1種の有機溶媒を、ゲル様相中に、ゲル様相の総重量を基準として30~90重量%、特に40~85重量%、特に好ましくは50~80重量%の量で含む。
【0057】
本発明によるゲル相に使用される多価アルコール又は多価アルコール類の量は、好ましくは少なくとも45重量%、特に55重量%以上である。ここで、好ましい量の範囲は、ゲル相の総重量に基づいて、45重量%~85重量%、特に50重量%~80重量%である。
【0058】
C3- C6-アルカントリオールグリセロール及び/又は2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール(1,1,1-トリメチロールプロパンとも呼ばれる)及び/又は2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール(TRIS、トリスヒドロキシメチルアミノエタン)及び/又は1,3,5-ペンタントリオールが好ましい。C.sub.3- C.sub.6-アルカントリオールグリセロール及び/又は2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール(1,1-トリメチロールプロパンとも呼ばれる)が特に好ましい。C.sub.3- C.sub.5-アルカンジオールは、例えば、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール及び/又は1,2-プロパンジオール、好ましくは1,3-プロパンジオール及び/又は1,2-プロパンジオールである。驚くべきことに、ジオールの鎖長、特にOH基の位置がゲル相の透明性に影響を及ぼすことが見出された。したがって、ジオールのOH基は、好ましくは、直接隣接する炭素原子上に配置されない。特に、ジオールの2個のOH基の間に3個又は4個、特に好ましくは3個の炭素原子が存在する。
【0059】
ジオール1,3-プロパンジオールが特に好ましい。驚くべきことに、特に良好な結果が、グリセロール及び1,3-プロパンジオール及び/又は1,2-プロパンジオール、特にグリセロール及び1,3-プロパンジオールを含む混合物で達成されることが見出された。
【0060】
本発明によれば、200~600g/molの平均モル質量を有するポリエチレングリコールが、少なくとも1つのゲル相又は複数のゲル相において、好ましくは追加で、約200~約600g/mol、好ましくは300~500g/mol、特に好ましくは350~450g/mol、例えば約400g/mol(INCI:PEG400)の平均モル質量を有するポリエチレングリコールが、ポリビニルアルコールと組み合わせて使用される。
【0061】
好適なポリエチレングリコールは、300~500g/mol、特に350~450g/molの平均モル質量を有する。
【0062】
更に、少なくとも1つのゲル相は、好ましくは、更なるアニオン性ポリマー、特にポリカルボキシレートを含む。これらは、ビルダー及び/又は増粘ポリマーとして使用することができる。本発明によれば、少なくとも1つのゲル相は、ビルダー特性を有するアニオン性ポリマー又はコポリマーを更に含んでもよい。これは、好ましくはポリカルボキシレートである。使用されるポリカルボキシレートは、好ましくはコポリマーポリアクリレート、好ましくはスルホポリマー(sulphopolymer)、好ましくはコポリマーポリスルホネート、好ましくは疎水性に修飾されたコポリマーポリスルホネートである。コポリマーは、2個、3個、4個、又はそれよりも多い異なるモノマー単位を有し得る。好ましいコポリマーポリスルホネートは、スルホン酸基を含有するモノマーに加えて、不飽和カルボン酸の群からの少なくとも1種のモノマーを含有する。
【0063】
プロテアーゼ
一実施形態において、本開示は、以下により詳細に記載される1つ以上のアミノ酸置換を含む1つ以上のサブチリシン変異体を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される変異体は、配列番号1又は2のアミノ酸配列を有するサブチリシンと比較した場合に、改善された洗浄性能、又は改善された安定性、又は改善された洗浄性能及び改善された安定性の両方など、1つ以上の改善された特性を示す。本明細書で提供されるサブチリシン変異体は、洗浄組成物(例えば、自動食器洗浄組成物)の調製に使用される。加えて、本明細書で提供されるサブチリシン変異体はまた、かかる変異体又はかかるサブチリシン変異体を含む組成物を使用する洗浄方法(例えば、食器洗浄方法)における使用を見出す。
【0064】
本明細書において特に断らない限り、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体は、分子生物学、微生物学、タンパク質精製、タンパク質工学、タンパク質及びDNA配列決定、組換えDNA分野、並びに工業的酵素の使用及び開発において使用される様々な技術によって作製及び使用することができる。定義されていない用語及び略語は、当該技術分野で使用されるそれらの通常の意味が与えられるべきである。本明細書で別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において提供される任意の定義は、全体として本明細書の文脈において解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈で明示されない限り、複数形を含む。特に断らない限り、核酸配列は、5’から3’の向きで左から右に書かれ、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシの向き左から右に書かれる。本明細書で使用される各数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれるあらゆるより狭い数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも本明細書にいずれも明確に記載されているかのように含む。
【0065】
数値に関連して本明細書で使用される場合、「約」という用語は、その用語が文脈において具体的に定義されない限り、数値の+/-0.5の範囲を指す。例えば、「約6のpH値」という語句は、pH値が具体的に定義されない限り、5.5~6.5のpH値を指す。
【0066】
本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体のアミノ酸置換の命名法は、以下の1つ以上を使用する:位置;位置:アミノ酸置換;又は開始アミノ酸:位置:アミノ酸置換。「位置」(例えば、5位、8位、17位、22位など)への言及は、そのような位置に存在し得る任意の開始アミノ酸、及びそのような位置に存在し得る任意の置換を包含する。「位置:アミノ酸置換」(例えば、1S/T/G、3G、17Tなど)への言及は、そのような位置に存在し得る任意の開始アミノ酸、及びそのような開始アミノ酸が置換され得る1つ以上のアミノ酸を包含する。位置への言及は、いくつかの形態で列挙することができ、例えば、位置003は、位置03又は3と呼ぶこともできる。開始アミノ酸又は置換アミノ酸への言及は、フォワードスラッシュ(「/」)によって区切られたいくつかの開始アミノ酸又は置換アミノ酸として更に表され得る。例えば、D275S/Kは、275位がセリン(S)又はリジン(K)で置換されていることを示し、P/S197Kは、197位の開始アミノ酸プロリン(P)又はセリン(S)がリジン(K)で置換されていることを示す。ある位置におけるアミノ酸としてのXへの言及は、列挙された位置における任意のアミノ酸を指す。
【0067】
所与のアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の位置は、配列番号1のアミノ酸配列との対応によって番号付けされる。すなわち、配列番号1のアミノ酸配列は、アミノ酸残基の位置の番号付けのための参照配列となる。例えば、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体のアミノ酸配列は、本明細書に記載されるアラインメントアルゴリズムを使用して配列番号1のアミノ酸配列とアラインメントされ、配列番号1のアミノ酸残基とアラインメントする(好ましくは最適にアラインメントする)所与のアミノ酸配列中の各アミノ酸残基は、その対応するアミノ酸残基の番号位置を参照することによって好都合に番号付けされる。例えば、本明細書に記載されるような配列アラインメントアルゴリズムは、クエリ配列(「参照配列」と呼ばれることもある)と比較した場合に、対象配列において挿入又は欠失が生じる1つ又は複数の位置を同定する。他のサブチリシンアミノ酸配列との配列アラインメントは、例えば、「Highly Stable Subtilisin Enzymes」と題する2018年11月29日に出願された米国仮出願第62/591,976号に対する優先権を主張する、2018年11月28日に出願された国際出願第PCT/US 2017/062768号の図1に提供されるようなアミノ酸アラインメントを使用して決定され得る。
【0068】
「プロテアーゼ」及び「プロテイナーゼ」という用語は、タンパク質及びペプチドを分解する能力を有する酵素を指す。プロテアーゼは、タンパク質を形成するペプチド又はポリペプチド鎖においてアミノ酸を一緒に連結するペプチド結合の加水分解によって「タンパク質分解」を行う能力を有する。タンパク質消化酵素としてのプロテアーゼのこの活性は、「タンパク質分解活性」と呼ばれる。タンパク質分解活性を測定するための多くの周知の手順が存在する。例えば、タンパク質分解活性は、好適な基質を加水分解するそれぞれのプロテアーゼの能力を分析する比較アッセイによって確認することができる。プロテアーゼ又はタンパク質分解活性の分析において有用な例示的な基質には、ジメチルカゼイン(Sigma C-9801)、ウシコラーゲン(Sigma C-9879)、ウシエラスチン(Sigma E-1625)、及びKeratin Azure(Sigma-Aldrich K8500)が含まれるが、これらに限定されない。これらの基質を利用する比色アッセイは、当該技術分野で周知である(例えば、国際公開第99/34011号及び米国特許第6,376,450号を参照されたい)。pNAペプチジルアッセイ(例えば、Del Mar et al.,Anal Biochem,99:316-320,1979を参照されたい)も活性酵素濃度の決定に使用される。このアッセイは、酵素がスクシニル-アラニン-アラニン-プロリン-フェニルアラニン-p-ニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)などの可溶性合成基質を加水分解する際にp-ニトロアニリンが放出される速度を測定する。加水分解反応からの黄色の生成速度は、分光光度計で405又は410nmで測定され、活性酵素濃度に比例する。更に、280ナノメートル(nm)での吸光度測定を使用して、精製タンパク質の試料中の総タンパク質濃度を決定することができる。基質に対する活性をタンパク質濃度で割ることにより、酵素比活性が得られる。
【0069】
本明細書で使用される場合、「バチルス(Bacillus)属」は、B.subtilis、B.licheniformis、B.lentus、B.brevis、B.stearothermophilus、B.alkalophilus、B.amyloliquefaciens、B.clausii、B.halodurans、B.megaterium、B.coagulans、B.circulans、B.gibsonii、及びB.thuringiensisを含むがこれらに限定されない、当業者に公知の「バチルス」属内の全ての種を含む。バチルス属は、分類学的再編成を受け続けることが認識されている。したがって、この属は、現在Geobacillus stearothermophilusと呼ばれているB.stearothermophilus、又は現在Paenibacillus polymyxaと呼ばれているB.polymyxaなどの生物を含むがこれらに限定されない、再分類された種を含むことが意図される。ストレスの多い環境条件下での耐性内生胞子の産生は、バチルス属を決定付ける特徴であると考えられているが、この特徴は、最近命名されたAlicyclobacillus、Amphibacillus、Aneurinibacillus、Anoxybacillus、Brevibacillus、Filobacillus、Gracilibacillus、Halobacillus、Paenibacillus、Salibacillus、Thermobacillus、Ureibacillus、及びVirgibacillusにも当てはまる。
【0070】
「B.gibsoniiサブチリシン」は、B.gibsonii源から得られるか又は誘導される任意のサブチリシンを含む。一実施形態において、本明細書で提供されるサブチリシン変異体は、国際公開第2015/089447号に記載されているもの、並びに国際公開第2016/205755号に記載されているものなどのB.gibsonii-クレードサブチリシンから誘導され得る。他のB.gibsoniiサブチリシンには、米国特許出願公開第20090275493号及びその変異体、国際公開第2016/087403号及びその変異体、並びに米国特許第7,449,187号及びその変異体に記載されているものが含まれる。他の実施形態において、B.gibsoniiサブチリシンには、配列番号1又は2に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。
【0071】
「ベクター」という用語は、核酸を標的細胞又は組織に導入又は移入するために使用される核酸構築物を指す。ベクターは、典型的には、外来DNAを細胞又は組織に導入するために使用される。ベクターには、プラスミド、クローニングベクター、バクテリオファージ、ウイルス(例えば、ウイルスベクター)、コスミド、発現ベクター、シャトルベクターなどが含まれる。ベクターには、典型的には、複製起点、マルチクローニング部位、及び選択マーカーが含まれる。ベクターを標的細胞に挿入するプロセスは、典型的には形質転換と呼ばれる。本発明は、いくつかの実施形態において、好適な宿主におけるDNA配列の発現、並びに組換えポリペプチド鎖の折り畳み及び転座をもたらし得る好適なプロ配列(例えば、分泌、シグナルペプチド配列など)に作動可能に連結されたセリンプロテアーゼポリペプチド(例えば、前駆体又は成熟セリンプロテアーゼポリペプチド)をコードするDNA配列を含むベクターを含む。
【0072】
核酸配列を細胞に導入する文脈において本明細書で使用される場合、「導入される」という用語は、核酸配列を細胞に移入するのに適した任意の方法を指す。そのような導入方法には、プロトプラスト融合、トランスフェクション、形質転換、エレクトロポレーション、コンジュゲーション、及び形質導入が含まれるが、これらに限定されない。形質転換とは、遺伝物質(例えば、DNA)の取り込み、任意選択的なゲノム組込み、及び発現から生じる細胞の遺伝子改変を指す。
【0073】
「発現」という用語は、本開示の核酸分子から誘導されるセンス(mRNA)又はアンチセンスRNAの転写及び安定した蓄積を指す。発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳を指してもよい。したがって、「発現」という用語には、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、及び分泌などを含むがこれらに限定されない、「ポリペプチドの産生」に関与する任意のステップが含まれる。
【0074】
「発現カセット」又は「発現ベクター」という語句は、標的細胞における目的の核酸(例えば、外来核酸又は導入遺伝子)の発現のために組換え的又は合成的に生成された核酸構築物又はベクターを指す。目的の核酸は、典型的には、目的のタンパク質を発現する。発現ベクター又は発現カセットは、典型的には、外来核酸の発現を駆動又は促進するプロモーターヌクレオチド配列を含む。発現ベクター又はカセットはまた、典型的には、標的細胞における特定の核酸の転写を可能にする他の特定の核酸エレメントを含む。組換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルス、又は核酸断片に組み込むことができる。いくつかの発現ベクターは、宿主細胞又は宿主細胞のゲノムに異種DNA断片を組み込んで発現する能力を有する。多くの原核及び真核発現ベクターが市販されている。発現ベクターに組み込まれた核酸配列からのタンパク質の発現のための適切な発現ベクターの選択は、当業者の知識の範囲内である。
【0075】
本明細書で使用される場合、核酸は、別の核酸配列と機能的関係に置かれるとき、別の核酸配列と「作動可能に連結」されている。例えば、プロモーター又はエンハンサーは、プロモーターがコード配列の転写に影響を及ぼす場合、ヌクレオチドコード配列に作動可能に連結されている。リボソーム結合部位は、コード配列の翻訳を容易にするように位置決めされる場合、コード配列に作動可能に連結され得る。典型的には、「作動可能に連結された」DNA配列は連続している。しかしながら、エンハンサーは連続的である必要はない。連結は、好都合な制限部位でのライゲーションによって達成される。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーが、従来の慣行に従って使用され得る。
【0076】
「遺伝子」という用語は、ポリペプチドをコードし、コード領域の前後の領域を含むポリヌクレオチド(例えば、DNAセグメント)を指す。いくつかの例において、遺伝子は、個々のコードセグメント(エクソン)の間に介在配列(イントロン)を含む。
【0077】
「組換え」という用語は、細胞に関して使用される場合、典型的には、細胞が外来核酸配列の導入によって修飾されていること、又は細胞がそのように修飾された細胞から誘導されていることを示す。例えば、組換え細胞は、ネイティブ(非組換え)形態の細胞内で同一形態で見出されない遺伝子を含み得るか、又は組換え細胞は、修飾され、細胞に再導入されたネイティブ遺伝子(細胞のネイティブ形態において見出される)を含み得る。組換え細胞は、細胞から核酸を除去することなく修飾された、細胞に対して内因性の核酸を含み得る。そのような改変には、遺伝子置換、部位特異的変異、及び当業者に公知の関連技術によって得られる改変が含まれる。組換えDNA技術は、インビトロでの組換えDNAの産生技術、及び組換えDNAを細胞内に移入し、そこで発現又は増殖され得る技術を含み、それによって組換えポリペプチドを産生する。ポリヌクレオチド又は核酸の「組換え(recombination)」及び「組換え(recombining)」とは、一般に、2つ以上の核酸又はポリヌクレオチド鎖若しくは断片を組み立て又は組み合わせて、新しいポリヌクレオチド又は核酸を生成することを指す。
【0078】
核酸又はポリヌクレオチドは、そのネイティブな状態で、又は当業者に公知の方法によって操作されるときに、ポリペプチド又はその断片を産生するために転写及び/又は翻訳され得る場合、ポリペプチドを「コードする」といわれる。そのような核酸のアンチセンス鎖も、配列をコードするといわれる。
【0079】
「宿主株」及び「宿主細胞」という用語は、目的のDNA配列を含む発現ベクターに適した宿主を指す。
【0080】
「タンパク質」又は「ポリペプチド」は、アミノ酸残基のポリマー配列を含む。「タンパク質」及び「ポリペプチド」という用語は、本明細書において互換的に使用される。IUPAC-IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature(JCBN)に準拠して定義されるアミノ酸の1文字及び3文字コードが、本開示を通して使用される。1文字Xは、20種類のアミノ酸のいずれかを指す。ポリペプチドが、遺伝子コードの縮重のために、1つよりも多いヌクレオチド配列によってコードされ得ることも理解される。
【0081】
「プロ配列」又は「プロペプチド配列」という用語は、プロテアーゼの適切な折り畳み及び分泌に必要なシグナルペプチド配列と成熟プロテアーゼ配列との間のアミノ酸配列を指す。それらは分子内シャペロンと呼ばれることもある。プロ配列又はプロペプチド配列の切断は、成熟活性プロテアーゼを生じる。細菌セリンプロテアーゼは、プロ酵素として発現されることが多い。修飾プロペプチドの例は、例えば、国際公開第2016/205710号に提供されている。
【0082】
「シグナル配列」及び「シグナルペプチド」という用語は、タンパク質の成熟形態又は前駆体形態の分泌又は直接輸送に関与し得るアミノ酸残基の配列を指す。シグナル配列は、典型的には、前駆体又は成熟タンパク質配列のN末端に位置する。シグナル配列は内因性であっても外因性であってもよい。シグナル配列は通常、成熟タンパク質には存在しない。シグナル配列は、典型的には、タンパク質が輸送された後にシグナルペプチダーゼによってタンパク質から切断される。
【0083】
タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドの「成熟」形態という用語は、シグナルペプチド配列及びプロペプチド配列を有しないタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドの機能的形態を指す。
【0084】
タンパク質又はペプチドの「前駆体」形態という用語は、タンパク質のアミノ又はカルボニル末端に作動可能に連結されたプロ配列を有するタンパク質の成熟形態を指す。前駆体はまた、プロ配列のアミノ末端に作動可能に連結された「シグナル」配列を有し得る。前駆体はまた、翻訳後活性に関与する追加のポリペプチド(例えば、タンパク質又はペプチドの成熟形態を残すために前駆体から切断されたポリペプチド)を有し得る。
【0085】
ポリペプチドに関して、「野生型」という用語は、1つ以上のアミノ酸位置に人為的な置換、挿入、又は欠失を含まない天然に存在するポリペプチドを指す。同様に、ポリヌクレオチドに関して、「野生型」という用語は、1つ以上のヌクレオチドにおける人為的な置換、挿入、又は欠失を含まない天然に存在するポリヌクレオチドを指す。しかしながら、野生型ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然に存在するポリヌクレオチドに限定されず、野生型又は親ポリペプチドをコードする任意のポリヌクレオチドを包含する。
【0086】
ポリペプチドに関して、「親」という用語は、天然に存在する、若しくは野生型のポリペプチド、又は1つ以上のアミノ酸位置で人為的な置換、挿入、若しくは欠失が行われている天然に存在するポリペプチドへの言及を含む。ポリペプチドに関して、「親」という用語はまた、出発ポリペプチドと比較して1つ以上の改変を有する変異体をもたらすための、置換、付加、及び/又は欠失などの改変のための出発ポリペプチドとして働くプロテアーゼ活性を有する任意のポリペプチドを含む。すなわち、親ポリペプチド、又は参照ポリペプチドは、天然に存在する野生型ポリペプチドに限定されず、任意の野生型ポリペプチド、親ポリペプチド、又は参照ポリペプチドを包含する。同様に、ポリヌクレオチドに関して、「親」という用語は、天然に存在するポリヌクレオチド、又は1つ以上のヌクレオチドにおいて人為的な置換、挿入、若しくは欠失を含むポリヌクレオチドを指すことができる。ポリヌクレオチドに関して、「親」という用語はまた、出発ポリヌクレオチドと比較して、置換、付加、及び/又は欠失などの修飾を有する変異体プロテアーゼをもたらす改変のための出発ポリヌクレオチドとして働くプロテアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする任意のポリヌクレオチドを含む。すなわち、野生型ポリペプチド、親ポリペプチド、又は参照ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、天然に存在するポリヌクレオチドに限定されず、野生型ポリペプチド、親ポリペプチド、又は参照ポリペプチドをコードする任意のポリヌクレオチドを包含する。いくつかの実施形態において、親ポリペプチドは、B.gibsoniiサブチリシンを含む。いくつかの実施形態において、親ポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0087】
「天然に存在する」という用語は、例えば、自然界に見出される配列及びその中に含まれる残基(例えば、ポリペプチド配列及びその中に含まれるアミノ酸又はヌクレオチド配列及びその中に含まれるヌクレオチド)を指す。逆に、「天然に存在しない」という用語は、例えば、自然界に見出されない配列及びその中に含まれる残基(例えば、ポリペプチド配列及びその中に含まれるアミノ酸又はヌクレオチド配列及びその中に含まれる核酸)を含む。
【0088】
アミノ酸残基位置に関して本明細書で使用される場合、「に対応する(corresponding to)」又は「に対応する(corresponds to)」又は「に対応する(corresponds)」とは、タンパク質若しくはペプチド中の列挙された位置におけるアミノ酸残基、又はタンパク質若しくはペプチド中の列挙された残基に類似、相同、若しくは等価であるアミノ酸残基を指す。本明細書で使用される場合、「対応する領域」とは、一般に、関連タンパク質又は参照タンパク質における類似の位置を指す。
【0089】
「から誘導される」及び「から得られる」という用語は、問題の生物の株によって産生されるか又は産生可能なタンパク質だけでなく、そのような株から単離されたDNA配列によってコードされ、そのようなDNA配列を含む宿主生物において産生されるタンパク質も指す。追加的に、この用語は、合成及び/又はcDNA起源のDNA配列によってコードされ、問題のタンパク質の識別特性を有するタンパク質を指す。例示すると、「バチルス由来のプロテアーゼ」とは、バチルスによって天然に産生されるタンパク質分解活性を有する酵素、並びにバチルス源によって産生されるが、遺伝子操作技術の使用を介して、セリンプロテアーゼをコードする核酸で形質転換された他の宿主細胞によって産生されるようなセリンプロテアーゼを指す。
【0090】
2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の文脈における「同一」という用語は、以下に記載され、当該技術分野で公知の配列比較又は分析アルゴリズムを使用して測定されるように、最大一致でアラインメントされた場合に同じである2つの配列中のヌクレオチド又はアミノ酸を指す。
【0091】
「同一性%」又は「同一性パーセント」又は「PID」という語句は、タンパク質配列同一性を指す。同一性パーセントは、当該技術分野で公知の標準的な技術を使用して決定され得る。目的の配列によって共有されるアミノ酸同一性パーセントは、例えば、BLAST、MUSCLE、又はCLUSTALなどのプログラムを使用することによって、配列情報を直接比較するために配列をアラインメントすることによって決定され得る。BLASTアルゴリズムは、例えば、Altschul et al.,J Mol Biol,215:403-410(1990)及びKarlin et al.,Proc Natl Acad Sci USA,90:5873-5787(1993)に記載されている。パーセント(%)アミノ酸配列同一性値は、一致する同一残基の数を、最適/最大アラインメントのためのプログラムによって作成された任意のギャップを含む「参照」配列の残基の総数で割ることによって決定される。BLASTアルゴリズムは、「参照」配列を「クエリ」配列と呼ぶ。
【0092】
本明細書で使用される場合、「相同タンパク質」又は「相同プロテアーゼ」とは、一次構造、二次構造、及び/又は三次構造において明確な類似性を有するタンパク質を指す。タンパク質相同性は、タンパク質をアラインメントさせた場合の直鎖状アミノ酸配列における類似性を指すことができる。相同性は、例えば、BLAST、MUSCLE、又はCLUSTALなどのプログラムを使用して、アミノ酸配列アラインメントによって決定され得る。タンパク質配列の相同検索は、NCBI BLASTからのBLASTP及びPSI-BLASTを使用して0.001の閾値(E値カットオフ)で行うことができる。(Altschul et al.,「Gapped BLAST and PSI BLAST a new generation of protein database search programs」,Nucleic Acids Res,Set 1;25(17):3389-402(1997))。BLASTプログラムはいくつかの検索パラメーターを使用し、そのほとんどはデフォルト値に設定される。NCBI BLASTアルゴリズムは、生物学的類似性に関して最も関連性のある配列を見出すが、20残基未満のクエリ配列には推奨されない(Altschul et al.,Nucleic Acids Res,25:3389-3402,1997及びSchaffer et al.,Nucleic Acids Res,29:2994-3005,2001)。核酸配列検索のための例示的なデフォルトBLASTパラメーターには、以下のものが含まれる:隣接ワード閾値=11;E値カットオフ=10;スコアリングマトリックス=NUC.3.1(マッチ=1、ミスマッチ=-3)。ギャップオープニング=5;及びギャップ伸長=2。アミノ酸配列検索のための例示的なデフォルトBLASTパラメーターには、以下のものが含まれる:ワードサイズ=3;E値カットオフ=10;スコアリングマトリックス=BLOSUM62;ギャップオープニング=11;及びギャップ伸長=1。この情報を使用して、タンパク質配列をグループ化することができ、及び/又はそこから系統樹を構築することができる。アミノ酸配列は、Vector NTI Advance suiteなどのプログラムに入力することができ、近隣結合(NJ)法を使用してガイドツリーを作成することができる(Saitou and Nei,Mol Biol Evol,4:406-425,1987)。ツリー構築は、配列距離についてKimuraの補正を使用し、ギャップを有する位置を無視して計算することができる。AlignXなどのプログラムは、系統樹上に表示された分子名に続く括弧内に計算された距離値を表示することができる。
【0093】
分子間の相同性を理解することにより、分子の進化の歴史並びにそれらの機能についての情報を明らかにすることができる。新たに配列決定されたタンパク質が既に特徴付けられたタンパク質と相同である場合、新たなタンパク質の生化学的機能の強い指標が存在する。2つの分子は、それらが共通の祖先に由来する場合、相同であるといわれる。相同分子、又はホモログは、2つのクラス、パラログ及びオルソログに分類され得る。パラログは、1つの種内に存在するホモログである。パラログは、その詳細な生化学的機能が異なることが多い。オルソログは、異なる種内に存在し、非常に類似又は同一の機能を有するホモログである。タンパク質スーパーファミリーは、共通の祖先を推測することができるタンパク質の最大のグループ分け(クレード)である。通常、この共通の祖先は、配列アラインメント及び機構的類似性に基づく。スーパーファミリーは、典型的には、いくつかのタンパク質ファミリーを含み、これはファミリー内で配列類似性を示す。「タンパク質クラン」という用語は、MEROPSプロテアーゼ分類システムに基づくプロテアーゼスーパーファミリーに一般的に使用される。本明細書で使用される場合、「サブチリシン」という用語は、MEROPS-The Peptidase Data base(Rawlings,N.D.,et al(2016)Twenty years of the MEROPS database of proteolytic enzymes,their substrates and inhibitors.Nucleic Acids Res 44,D343-D350)に記載されるS8セリンプロテアーゼファミリーの任意のメンバーを含む。
【0094】
CLUSTAL Wアルゴリズムは、配列アラインメントアルゴリズムの別の例である(Thompson et al.,Nucleic Acids Res,22:4673-4680,1994を参照されたい)。CLUSTAL Wアルゴリズムのデフォルトパラメーターには以下のものが含まれる:ギャップオープニングペナルティ=10.0;ギャップ伸長ペナルティ=0.05;タンパク質重量マトリックス=BLOSUMシリーズ;DNA重量マトリックス=IUB;遅延発散配列%=40;ギャップ分離距離=8;DNAトランジション重量=0.50;親水性残基のリスト=GPSNDQEKR;負行列=OFFを使用;残基特異的ペナルティ=ONに切り替え;親水性ペナルティ=ONに切り替え;及び末端ギャップ分離ペナルティ=OFFに切り替え。CLUSTALアルゴリズムでは、いずれかの末端で生じる欠失が含まれる。例えば、500アミノ酸のポリペプチドのいずれかの末端(又はポリペプチド内)に5アミノ酸欠失を有する変異体の場合、「参照」ポリペプチドに対して99%(495/500同一残基×100)のパーセント配列同一性を有するであろう。そのような変異体は、ポリペプチドに対して「少なくとも99%の配列同一性」を有する変異体によって包含される。
【0095】
核酸又はポリヌクレオチドは、例えば、他のタンパク質、核酸、細胞などを含むがこれらに限定されない他の成分から少なくとも部分的又は完全に分離されている場合、「単離され」ている。同様に、ポリペプチド、タンパク質又はペプチドは、例えば、他のタンパク質、核酸、細胞などを含むがこれらに限定されない他の成分から少なくとも部分的又は完全に分離されている場合、「単離され」ている。モル基準では、単離された種は、組成物中の他の種よりも豊富である。例えば、単離された種は、存在する全ての高分子種の少なくとも約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%(モル基準で)を含み得る。好ましくは、目的の種は、本質的に均質になるまで精製される(すなわち、汚染種は、従来の検出方法によって組成物中で検出され得ない)。純度及び均質性は、当該技術分野で周知の多くの技術例えば、核酸又はタンパク質試料のそれぞれのアガロース又はポリアクリルアミドゲル電気泳動、その後の染色による可視化を使用して決定され得る。所望であれば、高分解能技術、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は同様の手段を材料の精製に利用することができる。
【0096】
核酸又はポリペプチドに適用される「精製された」という用語は、一般に、当該技術分野で周知の分析技術(例えば、精製されたポリペプチド又はポリヌクレオチドは、電気泳動ゲル、クロマトグラフィー溶出液、及び/又は密度勾配遠心分離に供された培地中で個別のバンドを形成する)によって決定されるように、他の成分を本質的に含まない核酸又はポリペプチドを示す。例えば、電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じる核酸又はポリペプチドは、「精製されている」。精製された核酸又はポリペプチドは、純度が少なくとも約50%、通常は少なくとも約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%以上である(例えば、モル基準の重量パーセント)。関連する意味では、精製又は濃縮技術の適用後に分子の濃度が著しく増加する場合、組成物は分子に対して濃縮される。「濃縮された」という用語は、出発組成物よりも高い相対濃度又は絶対濃度で組成物中に存在する化合物、ポリペプチド、細胞、核酸、アミノ酸、又は他の特定の物質若しくは成分を指す。
【0097】
「洗浄活性」という用語は、本開示のタンパク質分解、加水分解、洗浄、又は他のプロセス中に優勢な条件下で、セリンプロテアーゼポリペプチド、変異体、又は参照サブチリシンによって達成される洗浄性能を指す。いくつかの実施形態において、セリンプロテアーゼ又は参照サブチリシンの洗浄性能は、物品又は表面上の1つ以上の酵素感受性の染み(例えば、食物、草、血液、インク、ミルク、油、及び/又は卵タンパク質に起因する染み)を洗浄するための様々なアッセイを使用することによって決定され得る。本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体又は参照サブチリシンの洗浄性能は、物品又は表面上の染みを標準洗浄条件に供し、様々なクロマトグラフィー、分光光度、又は他の定量的方法論を使用することによって、染みが除去される程度を評価することによって決定することができる。例示的な洗浄アッセイ及び方法は、当該技術分野で公知であり、国際公開第99/34011号及び米国特許第6,605,458号に記載されるもの、並びに以下に提供される実施例に含まれる洗浄アッセイ及び方法が含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
「有効量」の本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体又は参照サブチリシンという用語は、特定の洗浄組成物において所望のレベルの酵素活性を達成するプロテアーゼの量を指す。そのような有効量は、当業者により容易に確認され、使用される特定のプロアテーゼ、洗浄用途、洗浄組成物の具体的な組成、及び液体又は乾燥(例えば、顆粒、タブレット、バー)のいずれかの組成物が必要であるかどうかなどの多くの要因に基づく。
【0099】
洗浄用途及び洗浄方法、並びに様々な産業用途に有用な1つ以上のサブチリシン変異体が本明細書に開示される。1つ以上の単離された、組換えの、実質的に純粋な、又は天然に存在しないサブチリシン変異体も本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体は、洗浄用途において有用であり、洗浄を必要とする物品又は表面を洗浄する方法において有用な洗浄組成物に組み込むことができる。
【0100】
プロテアーゼは、配列番号1に関して、
(i)122位における変異と、
(ii)126位、127位、128位、211位及び212位における1つ以上の変異と
を含む、サブチリシン変異体であり、
変異体は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する。
【0101】
好ましくは、変異体は、
(i)M122L位における変異と、
(ii)126位、127位、128位、211位及び212位における1つ以上の変異と
を含む。
【0102】
好ましくは、変異体は、126位、127位、128位、211位及び212位における2つ以上の変異、好ましくは126位、127位、128位、211位及び212位における3つ以上の変異、好ましくは126位、127位、128位、211位及び212位における4つ以上の変異、好ましくは126位、127位、128位、211位及び212位における5つの変異を含む。
【0103】
好ましくは、変異体は、X126A、X127E、X128G、X211Q及びX212Qから選択される1つ以上の変異、好ましくはX126A、X127E、X128G、X211Q及びX212Qから選択される2つ以上の変異、好ましくはX126A、X127E、X128G、X211Q及びX212Qから選択される3つ以上の変異、好ましくはX126A、X127E、X128G、X211Q及びX212Qから選択される4つ以上の変異、好ましくはX126A、X127E、X128G、X211Q及びX212Qから選択される5つの変異を含む。
【0104】
好ましくは、変異体は、X122L、X126A、X127E、X128G、X211Q及びX212Qの変異を含む。
【0105】
好ましくは、変異体は、S126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される1つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される2つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される3つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される4つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される5つの変異を含む。
【0106】
好ましくは、変異体は、M122L、S126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qの変異を含む。
【0107】
別の実施形態において、変異体が、置換i)S039E、S099R、S126A、D127E、及びF128Gからなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、又は5つの置換、並びにii)N74D、T114L、M122L、M122I、N198A、M211Q、N212Q、及びN242Dからなる群から選択される1つ以上の追加の置換を含むサブチリシン変異体が提供され、アミノ酸位置は配列番号1のアミノ酸配列に対応して番号付けされ、変異体は配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。
【0108】
別の実施形態において、変異体がアミノ酸置換X039E-X099R-X126A-X127E-X128Gを含み、74、114、122、198、211、212、及び242からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、又はそれよりも多い位置に1つ以上の追加の置換を更に含むサブチリシン変異体が提供され、アミノ酸位置は、配列番号1のアミノ酸配列に対応して番号付けされる。本明細書のいくつかの実施形態において、置換X039E、X099R、X126A、X127E、及びX128Gへの言及は、S039E、S099R、S126A、D127E、及びF128Gを含む。
【0109】
別の実施形態において、変異体がX039E、X099R、X126A、X127E、及びX128Gから選択される1つ以上の置換から選択されるアミノ酸置換を含み、更に、X74D、X114L、X122L、X122I、X198A、X211Q、X212Q、及びX242Dからなる群から選択される1つ以上の追加の置換を更に含むサブチリシン変異体が提供され、アミノ酸位置は、配列番号1のアミノ酸配列に対応して番号付けされる。
【0110】
別の実施形態において、変異体がS039E、S099R、S126A、D127E、及びF128Gから選択される1つ以上の置換から選択されるアミノ酸置換を含み、N74D、T114L、M122L、M122I、N198A、M211Q、N212Q、及びN242Dからなる群から選択される1つ以上の追加の置換を更に含むサブチリシン変異体が提供され、アミノ酸位置は、配列番号1のアミノ酸配列に対応して番号付けされる。
【0111】
別の実施形態において、変異体がi)S039E、N74D、S099R、N242Dからなる群から選択される2つ以上のアミノ酸置換、及びii)T114L、M122L、M122I、S126A、F128G、N198A、M211Q、N212Qからなる群から選択される1つ以上の追加の置換を含むサブチリシン変異体が提供され、アミノ酸位置は、配列番号1のアミノ酸配列に対応して番号付けされる。
【0112】
別の実施形態において、変異体がS039E-S099R-S126A-D127E-F128G-M211Q-N242D、S039E-N074D-S099R-M122L-S126A-D127E-F128G-N198A-M211Q-N212Q、S039E-N074D-S099R-M122L-S126A-D127E-F128G-N198A-M211Q-N212Q-N242D、S039E-N074D-S099R-S126A-D127E-F128G-M211Q-N212Q-N242D、S039E-N074D-S099R-S126A-D127E-F128G-N198A-M211Q-N212Q-N242D、S039E-N074D-S099R-S126A-D127E-F128G-N198G、S039E-N074D-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G、S039E-N074D-S099R-T114L-M122L-S126A-D127E-F128G-N198A-M211Q-N212Q、S039E-N074D-S099R-T114L-M122L-S126A-D127E-F128G-N198A-M211Q-N212Q-N242D、S039E-N074D-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G-M211E、S039E-N074D-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G-M211E-N242D、S039E-N074D-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G、M211Q、S039E-N074D-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G-M211Q-N212Q-N242D、S039E-N074D-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G-N198A-M211Q-N212Q、S039E-N074D-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G-N198A-M211Q-N212Q-N242D、S039E-S099R-S126A-D127E-F128G-N198G-M211Q-N212Q、S039E-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G-M211E、S039E-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G-M211E-N212Q、S039E-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G-M211E-N242D、S039E-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G-M211Q、S039E-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G-M211Q-N212Q-N242D、S039E-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G-M211Q-N242D、及びS039E-S099R-T114L-S126A-D127E-F128G-N242Dからなる群から選択される置換のセットを含むサブチリシン変異体が提供され、アミノ酸位置は、配列番号1のアミノ酸配列に対応して番号付けされる。
【0113】
別の実施形態は、1つ以上の置換が天然に存在しないという条件で、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体に関する。なおも更なる実施形態は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体であって、前述の変異体(i)は、B.gibsoniiBG46サブチリシンであり、(ii)単離されており、(iii)タンパク質分解活性を有し、又は(iv)(i)~(iii)の組み合わせを含む、
サブチリシン変異体に関する。なおも更に別の実施形態は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体であって、前述の変異体は、(i)配列番号1又は2のアミノ酸配列に対して70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性;又は(ii)配列番号1若しくは2のアミノ酸配列に対して100%のアミノ酸配列同一性を有する親ポリペプチド又は参照ポリペプチドに由来する、サブチリシン変異体に関する。更に別の実施形態では、親は、配列番号1又は2のアミノ酸配列を含む。なおも更なる実施形態は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体であって、前述の変異体は、配列番号1又は2のアミノ酸配列に対して(i)60%、65%。70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%未満のアミノ酸配列同一性;(ii)配列番号1のアミノ酸配列に対して80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%未満のアミノ酸配列同一性;(iii)配列番号1又は2のアミノ酸配列に対して96%、97%、98%、99%、又は100%未満のアミノ酸配列同一性
を有するアミノ酸配列を含む、サブチリシン変異体に関する。
【0114】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるサブチリシン親分子又は変異体分子はまた、X012E/L/V、X021V、X025R、X037E、X039T、X041F、X043V、X044P、X060D、X078D、X079L、X084A、X087E、X097D、X099E、X101G、X012L、X107E、X115D、X117I、X118N、X122L、X127P、X142G、X145S、X149S、X154D、X156A、X160S、X167D、X174A、X175N、X176E、X177E/I/V、X185E、X188A、X200E、X205D、X208N、X209N、X211L/N/S、X212D/H/N、X222S、X228I、X230E/H、X236D、X247N、X250D、及びX253D/Pから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ又はそれよりも多い追加の置換を含む。本明細書に提供される変異体と組み合わせることができるそのような1つ、2つ、3つ、又はそれよりも多い置換の組み合わせの例としては、X253D-X256E、X025R-X117I-X118N、X044P-X175N-X208N-X230H、X041F-X078D-X084A、X101G-X174A、X021V-X177I、X021V-X142G-X188A、X021V-X122L-X222S、X012L-X021V-X122L-X222S、X021V-X122L-X253D、X021V-X177V-X228I、X021V-X039T-X122L-X177E、X021V-X079L-X087E-X209N-X222S、X021V-X122L-X222S-X247N、X021V-X122L、X039E-X074D-X087E、X039E-X074D-X087E-X253D、X021V-X039E-X074D-X087E-X253D、X039E-X074D-X087E-X122L-X253D、X021V-X039E-X074D-X087E-X122L-X253D、X097D-X099E、X122L-X145S-X156A、X211N-X212D、X211L-X212D、X127P-X211L-X212D、及びX012L-X122L-X222Sが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
本開示は、表面に露出したアミノ酸に1つ以上の修飾を有するサブチリシン変異体を含む。酵素変異体における表面修飾は、洗浄性能に関する最小限の性能指数、洗剤組成物中の酵素の安定性及び酵素の熱安定性を有するが、これらの特性のうちの少なくとも1つは親サブチリシン酵素から改善されていることにより、洗剤組成物において有用であり得る。いくつかの実施形態において、表面修飾は、その位置におけるアミノ酸の疎水性及び/又は電荷を変化させる。疎水性は、White and Wimley(White,S.H.and Wimley,W.C,.(1999)Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.28:319-65)に記載されているものなど、当該技術分野において公知の技法を使用して判定することができる。本明細書で使用される場合、「表面特性」は、静電荷、並びにタンパク質表面が示す疎水性及び親水性などの特性に関して使用することができる。
【0116】
なおも更なる実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体は、参照サブチリシン又は親サブチリシンと比較した場合に1つ以上の改善された特性を有し、改善された特性は、洗剤における改善された洗浄性能、改善された安定性、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0117】
酸化、キレート化剤、変性、界面活性剤、熱安定性及び/又はpH安定性プロテアーゼの文脈において、「強化された安定性」又は「改善された安定性」という用語は、基準プロテアーゼ、例えば、野生型プロテアーゼ又は親プロテアーゼと比較して、経時的により高度に保持されるタンパク質分解活性を指す。自己分解は、液体洗剤におけるサブチリシン活性損失の1つの様式として同定されている。Stoner et al.,2004 Protease autolysis in heavy-duty liquid detergent formulations:effects of thermodynamic stabilizers and protease inhibitors,Enzyme and Microbial Technology 34:114-125)。
【0118】
プロテアーゼ変異体に関して、「熱的に安定な」及び「熱安定性の」及び「熱安定性」という用語は、タンパク質分解、加水分解、洗浄又は他のプロセス中に優勢な条件(又は「ストレス条件」)下で所与の期間にわたって変化した温度に曝露した後に、親プロテアーゼ又は参照プロテアーゼと比較した場合に、より多くの量の残留活性を保持するプロテアーゼを指す。残留活性は、試料の初期活性と比較した試験後に残っている活性の量であり、パーセンテージ、例えば%残留活性として報告することができる。「変更された温度」は、上昇又は低下した温度を包含する。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるプロテアーゼ変異体は、40℃~80℃の温度に、所与の期間、例えば、少なくとも約5分、少なくとも約20分、少なくとも約60分、約90分、約120分、約180分、約240分、約300分、約360分、約420分、約480分、約540分、約600分、約660分、約720分、約780分、約840分、約900分、約960分、約1020分、約1080分、約1140分、又は約1200分にわたって曝露した後に、少なくとも約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約85%、約90%、約92%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%のタンパク質分解活性を保持する。
【0119】
本明細書で提供されるサブチリシン変異体は、酵素組成物及び洗浄又は洗剤組成物などの様々な組成物の生成において使用され得る。酵素組成物は、本明細書で提供されるサブチリシン変異体を含む。酵素組成物は、顆粒、液体配合物、又は酵素スラリーなどの任意の形態であり得る。
【0120】
酵素顆粒は、例えば、回転霧化、湿式造粒、乾式造粒、噴霧乾燥、ディスク造粒、押出、パンコーティング、球状化、ドラム造粒、流動床凝集、高せん断造粒、流動床噴霧コーティング、結晶化、沈殿、エマルジョンゲル化、回転ディスク霧化及び他のキャスティングアプローチ、並びにプリリングプロセスによって作製され得る。顆粒のコアは、顆粒自体であってもよいし、層状顆粒の内核であってもよい。
【0121】
コアは、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、及び硫酸アンモニウム)、クエン酸、糖(例えば、スクロース、ラクトース、グルコース、顆粒スクロース、マルトデキストリン及びフルクトース)、可塑剤(例えば、ポリオール、尿素、フタル酸ジブチル、及びフタル酸ジメチル)、繊維状物質(例えば、セルロース及びセルロース誘導体、例えばヒドロキシル-プロピル-メチルセルロース、カルボキシ-メチルセルロース、及びヒドロキシル-エチルセルロース)、リン酸塩、カルシウム、プロテアーゼ阻害剤及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、1つ以上の水溶性又は分散性試剤を含んでもよい。好適な分散性試剤には、粘土、ノンパレイユ(糖とデンプンとの組み合わせ;例えば、デンプン-スクロース-ノンパレイユ-ASNP)、タルク、ケイ酸塩、カルボキシメチルセルロース、デンプン、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0122】
いくつかの実施形態において、コアは、主に硫酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、コアは、硫酸ナトリウムから本質的になる。特定の実施形態において、コアは、硫酸ナトリウムのみからなる。
【0123】
いくつかの実施形態において、コアは、本明細書で提供されるサブチリシン変異体を含む。他の実施形態において、コアは、プロテアーゼに加えて1種以上の酵素を含む。他の実施形態において、コアは、不活性であり、酵素を含まない。
【0124】
いくつかの実施形態において、コアは、酵素を含有するUFCを含む酵素粉末である。酵素粉末は噴霧乾燥されてもよく、任意選択的に、本明細書に列挙される水溶性又は分散性試剤のいずれかと混合されてもよい。酵素は、安定化されるべきプロテアーゼであってもよく、又はそれを含んでもよく、その場合、酵素粉末は安定剤を更に含むべきである。
【0125】
いくつかの実施形態において、コアは、少なくとも1つのコーティング層でコーティングされる。特定の実施形態において、コアは、少なくとも2つのコーティング層でコーティングされる。別の特定の実施形態において、コアは、少なくとも3つのコーティング層でコーティングされる。コーティング層に使用される材料は、洗浄及び/又は洗剤組成物に使用するのに好適であり得る(例えば、米国特許第20100124586号、国際公開第9932595号及び米国特許第5324649号を参照されたい)。
【0126】
いくつかの実施形態において、コーティング層は、以下の材料のうちの1つ以上を含む:無機塩(例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、及び硫酸アンモニウム)、クエン酸、糖(例えば、スクロース、ラクトース、グルコース、及びフルクトース)、可塑剤(例えば、ポリオール、尿素、フタル酸ジブチル、及びフタル酸ジメチル)、繊維状材料(例えば、セルロース及びセルロース誘導体、例えば、ヒドロキシル-プロピル-メチルセルロース、カルボキシ-メチルセルロース、及びヒドロキシル-エチルセルロース)、粘土、ノンパレイユ(糖とデンプンとの組み合わせ)、ケイ酸塩、カルボキシメチルセルロース、リン酸塩、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン)、脂肪、油(例えば、ナタネ油、及びパラフィン油)、脂質、ビニルポリマー、ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、可塑剤(例えば、ポリオール、尿素、フタル酸ジブチル、フタル酸ジメチル、及び水)、抗凝集剤(例えば、タルク、粘土、非晶質シリカ、及び二酸化チタン)、消泡剤(例えば、FOAMBLAST 882(登録商標)及びEROL 6000K(登録商標))、及びタルク。米国特許第20100124586号、国際公開第9932595号、及び米国特許第5324649号は、コーティング層に好適な成分を詳述している。
【0127】
いくつかの実施形態において、コーティング層は、糖(例えば、スクロース、ラクトース、グルコース、顆粒化スクロース、マルトデキストリン及びフルクトース)を含む。いくつかの実施形態において、コーティング層は、ポリビニルアルコール(PVA)などのポリマーを含む。多層顆粒のコーティング層に組み込むのに好適なPVAには、部分的に加水分解されたもの、完全に加水分解されたもの、及び中程度に加水分解されたものが挙げられ、低粘度から高粘度を有する。いくつかの実施形態において、コーティング層は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を含む。
【0128】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのコーティング層は酵素コーティング層である。いくつかの実施形態において、コアは、少なくとも2つの酵素層でコーティングされる。別の実施形態において、コアは、少なくとも3つ以上の酵素層でコーティングされる。
【0129】
いくつかの実施形態において、酵素は、アシルトランスフェラーゼ、アミラーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、アラビナーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルカナーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、ディスパーシン、エンドグルカナーゼ、エンド-β-マンナナーゼ、エキソ-β-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヘキソサミニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、脂肪分解酵素、リポキシゲナーゼ、リゾチーム、マンナナーゼ、メタロプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、ペクテートリアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルヒドロラーゼ、ペルオキシダーゼ、PETases、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリエステラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、追加のプロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチル-エステラーゼ、キシラナーゼ、及びキシロシダーゼ;並びにそれらの組み合わせ又は混合物からなる群から選択される1種以上の追加の酵素と組み合わせて本明細書で提供されるようなサブチリシン変異体である。一般に、少なくとも1つの酵素コーティング層は、少なくとも1つのプロテアーゼを含む。
【0130】
上記の酵素リストは単なる例であり、排他的であることを意味しない。細菌、真菌、酵母源の野生型、組換え及び変異体酵素、並びに酸性、中性又はアルカリ性酵素を含む任意の酵素を、本明細書に記載される顆粒に使用することができる。
【0131】
別の実施形態は、表面を洗浄する方法であって、洗浄を必要とする表面又は物品を、有効量の本明細書で提供される1つ以上のサブチリシン変異体、又は本明細書で提供される1つ以上のサブチリシン変異体を含有する組成物と接触させることを含む方法に関する。いくつかの実施形態において、洗浄を必要とする表面又は物品は、表面上にタンパク質性の染みを含む。いくつかの実施形態において、洗浄を必要とする表面又は物品は、タンパク質性若しくはクレームブリュレ、又はBMI又は卵又はベイクドチーズの染みを含む。「染み」という用語は、硬質表面物品(例えば、食器)又は布地などの物品の表面上の任意の種類の汚れを含む。いくつかの実施形態において、染みは、タンパク質性の染みである。本明細書で使用される場合、「タンパク質性の染み」は、タンパク質を含有する染み又は汚れである。
【0132】
更なる実施形態は、タンパク質性の染みを洗浄する方法であって、洗浄を必要とする表面又は物品を、有効量の本明細書で提供される1つ以上のサブチリシン変異体、又は本明細書で提供される1つ以上のサブチリシン変異体を含有する組成物と接触させることを含む方法に関する。
【0133】
別の実施形態は、クレームブリュレを洗浄する方法であって、洗浄を必要とする表面又は物品を、有効量の本明細書で提供される1つ以上のサブチリシン変異体、又は本明細書で提供される1つ以上のサブチリシン変異体を含有する組成物と接触させることを含む方法に関する。
【0134】
別の実施形態は、卵又は卵黄の染み洗浄する方法であって、洗浄を必要とする表面又は物品を、有効量の本明細書で提供される1つ以上のサブチリシン変異体、又は1つ以上のそのようなサブチリシン変異体を含有する組成物と接触させることを含む方法に関する。
【0135】
別の実施形態は、ベイクドチーズの染み洗浄する方法であって、洗浄を必要とする表面又は物品を、有効量の本明細書で提供される1つ以上のサブチリシン変異体、又は1つ以上のそのようなサブチリシン変異体を含有する組成物と接触させることを含む方法に関する。
【0136】
別の実施形態は、BMIのブリュレを洗浄する方法であって、洗浄を必要とする表面又は物品を、有効量の本明細書で提供される1つ以上のサブチリシン変異体、又は1つ以上のそのようなサブチリシン変異体を含有する組成物と接触させることを含む方法に関する。
【0137】
なおも更なる実施形態において、本明細書に記載される方法で使用される1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号1又は2のアミノ酸配列に対して60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%未満のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。更に別の実施形態において、本明細書に記載されるクレームブリュレの染みを洗浄する方法で使用される1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号1又は2と比較した場合に、クレームブリュレの染み洗浄PI≧1.1を有する。なおも更に別の実施形態において、本明細書に記載されるクレームブリュレの染みを洗浄する方法で使用される1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号1又は2と比較した場合に、クレームブリュレの染み洗浄PI≧1.1を有し、前述の変異体のクレームブリュレの染み洗浄性能は、実施例2に記載されるクレームブリュレアッセイに従って測定される。なおも更に別の実施形態は、本明細書に記載されるクレームブリュレの染みを洗浄する方法に関し、ただし、前述の方法で使用される1つ以上のサブチリシンは、1つ以上の天然に存在しない置換を含む。更に別の実施形態において、本明細書に記載されるベイクドチーズの染みを洗浄する方法で使用される1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号1又は2と比較した場合に、ベイクドチーズの染み洗浄PI≧1.1を有する。なおも更に別の実施形態において、本明細書に記載されるベイクドチーズの染みを洗浄する方法で使用される1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号1又は2と比較した場合に、ベイクドチーズの染み洗浄PI≧1.1を有し、変異体のベイクドチーズの染み洗浄性能は、実施例2に記載されるベイクドチーズアッセイに従って測定される。なおも更に別の実施形態は、本明細書に記載されるベイクドチーズの染みを洗浄する方法であって、ただし、前述の方法で使用される1つ以上のサブチリシンは、1つ以上の天然に存在しない置換を含む。更に別の実施形態において、本明細書に記載される卵黄の染みを洗浄する方法で使用される1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号1又は2と比較した場合に、卵黄の染み洗浄PI≧1.1を有する。なおも更に別の実施形態において、本明細書に記載される卵黄の染みを洗浄する方法で使用される1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号1又は2と比較した場合に、卵黄の染み洗浄PI≧1.1を有し、変異体の卵黄の染み洗浄性能は、実施例2に記載される卵黄アッセイに従って測定される。なおも更に別の実施形態は、本明細書に記載される卵黄の染みを洗浄する方法であって、ただし、前述の方法で使用される1つ以上のサブチリシンは、1つ以上の天然に存在しない置換を含む。更に別の実施形態において、本明細書に記載されるBMIの染みを洗浄する方法で使用される1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号1又は2と比較した場合に、BMIの染み洗浄PI≧1.1を有する。なおも更に別の実施形態において、本明細書に記載されるBMIの染みを洗浄する方法で使用される1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号1又は2と比較した場合に、BMIの染み洗浄PI≧1.1を有し、変異体のBMIの染み洗浄性能は、実施例2に記載されるBMIアッセイに従って測定される。なおも更に別の実施形態は、本明細書に記載されるBMIの染みを洗浄する方法であって、ただし、前述の方法で使用される1つ以上のサブチリシンは、1つ以上の天然に存在しない置換を含む。更なる実施形態において、本明細書に記載される方法で使用される1つ以上のサブチリシン変異体は、(i)単離されており、(ii)タンパク質分解活性を有し、又は(iii)(i)及び(ii)の組み合わせを含む。
【0138】
別の実施形態において、本明細書で提供される変異体は、配列番号1若しくは2のアミノ酸配列を有する親サブチリシンと比較して、BMI、卵、クレームブリュレ、及び/又はベイクドチーズアッセイなどの洗濯及び食器アッセイを含む洗浄アッセイのうちの1つ以上においてPI≧1.1を有するか、又はEDTA安定性アッセイにおいて親サブチリシン又は参照サブチリシンのものよりも高い残留活性を有する、表5に列挙されるものからなる群から選択されるアミノ酸置換を有する1つ以上の変異体を含む。
【0139】
本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体は、保存的又は非保存的のいずれかである1つ以上のアミノ酸の挿入、欠失、及び/又は置換などの様々な変化に供され得、そのような変化が変異体の酵素活性を実質的に変化させない場合を含む。同様に、本発明の核酸はまた、特定のコドンが同じ又は異なるアミノ酸をコードするように、1つ以上のコドンにおける1つ以上のヌクレオチドの1つ以上の置換などの様々な変化に供され得、その結果、サイレント変異(例えば、コードされるアミノ酸がヌクレオチド変異によって改変されない場合)又は非サイレント変異のいずれか;配列中の1つ以上のヌクレオチド(又はコドン)の1つ以上の欠失;配列中の1つ以上のヌクレオチド(若しくはコドン)の1つ以上の付加若しくは挿入;及び/又は配列中の1つ以上のヌクレオチド(若しくはコドン)の切断若しくは1つ以上のトランケーションが生じる。核酸配列における多くのそのような変化は、元の核酸配列によってコードされるポリペプチド酵素と比較して、結果生じるコードされたポリペプチド酵素の酵素活性を実質的に変化させない可能性がある。本明細書に記載される核酸配列はまた、発現系(例えば、細菌発現系)において最適な発現を提供する1つ以上のコドンを含むように修飾され得るが、所望であれば、前述の1つ以上のコドンは依然として同じアミノ酸をコードする。
【0140】
本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体、又はその組換えポリペプチド若しくは活性断片をコードする核酸配列を含む、1つ以上の単離された、天然に存在しない、又は組換えポリヌクレオチドが、本明細書に記載される。本明細書に記載される1つ以上の核酸配列は、典型的には、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体又はその断片をコードする配列を含むプラスミド発現ベクターの発現による、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体の組換え産生(例えば、発現)に有用である。一実施形態は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体をコードする核酸であって、変異体がタンパク質分解活性を有する成熟形態である、核酸を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体は、相同なプロペプチド配列と共に組換え発現される。他の実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体は、異種プロペプチド配列(例えば、B.lentus(配列番号5))と組換え発現される。
【0141】
本明細書に記載される1つ以上の核酸配列は、任意の好適な合成、操作、及び/若しくは単離技術、又はそれらの組み合わせを使用することによって生成され得る。例えば、本明細書に記載される1つ以上のポリヌクレオチドは、当業者に周知である固相合成技術などの標準的な核酸合成技術を使用して産生され得る。そのような技術において、50個まで又はそれよりも多いヌクレオチド塩基の断片が、典型的には合成され、次いで(例えば、酵素的又は化学的ライゲーション法によって)接合されて、本質的に任意の所望の連続核酸配列を形成する。本明細書に記載される1つ以上のポリヌクレオチドの合成はまた、当該技術分野で公知の任意の好適な方法によって容易にされ得、この方法には、古典的なホスホロアミダイト法を使用する化学合成(例えば、Beaucage et al.Tetrahedron Letters 22:1859-69(1981)を参照されたい)、又は自動化合成方法において典型的に実施されるようなMatthes et al.,EMBO J.3:801-805(1984)に記載される方法が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される1つ以上のポリヌクレオチドはまた、自動DNA合成機を使用することによって産生され得る。カスタマイズされた核酸は、多岐にわたる商業的供給源(例えば、ATUM(DNA 2.0)、米国カリフォルニア州ニューアーク);Life Tech(GeneArt)、米国カリフォルニア州カールスバッド;GenScript、カナダ国オンタリオ州;Base Clear B.V.、オランダ国ライデン;Integrated DNA Technologies、米国イリノイ州スコーキー;Ginkgo Bioworks(Gen9)、米国マサチューセッツ州ボストン及びTwist Bioscience、米国カリフォルニア州サンフランシスコ)
から注文することができる。核酸を合成するための他の技術及び関連する原理は、例えば、Itakura et al.,Ann.Rev.Biochem.53:323(1984)及びItakura et al.,Science 198:1056(1984)に記載されている。
【0142】
核酸の修飾に有用な組換えDNA技術は、当該技術分野で周知であり、例えば、制限エンドヌクレアーゼ消化、ライゲーション、逆転写及びcDNA産生、並びにポリメラーゼ連鎖反応(例えば、PCR)である。本明細書に記載される1つ以上のポリヌクレオチドはまた、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体、又はその組換えポリペプチド若しくは活性断片をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするか、又はPCR増幅することができる1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを使用してcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる。cDNAクローンをスクリーニング及び単離するための手順並びにPCR増幅手順は、当業者に周知であり、当業者に公知の標準的な参考文献に記載されている。本明細書に記載される1つ以上のポリヌクレオチドは、天然に存在するポリヌクレオチド骨格(例えば、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体又は参照サブチリシンをコードするもの)を、例えば、公知の変異誘発手順(例えば、部位特異的変異誘発、部位飽和変異誘発、及びインビトロ組換え)によって改変することによって得ることができる。本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体をコードする本明細書に記載される修飾ポリヌクレオチドを生成するのに適した様々な方法が当該技術分野で公知であり、例えば、部位飽和変異誘発、スキャニング変異誘発、挿入変異誘発、欠失変異誘発、ランダム変異誘発、部位特異的変異誘発、及び指向性進化、並びに様々な他の組換えアプローチが含まれるが、これらに限定されない。
【0143】
更なる実施形態は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体を含む1つ以上のベクター(例えば、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチド);本明細書に記載される1つ以上の核酸又はポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター又は発現カセット;本明細書に記載される1つ以上の核酸又はポリヌクレオチド配列を含む、単離された、実質的に純粋な、又は組換えDNA構築物;本明細書に記載される1つ以上のポリヌクレオチド配列を含む単離された又は組換え細胞;及び1つ以上のそのようなベクター、核酸、発現ベクター、発現カセット、DNA構築物、細胞、細胞培養物、又はそれらの任意の組み合わせ若しくは混合物を含む組成物
に関する。
【0144】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載される1つ以上の核酸又はポリヌクレオチド配列を含む本明細書に記載される1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター又はDNA構築物)を含む1つ以上の組換え細胞に関する。いくつかのそのような組換え細胞は、そのような少なくとも1つのベクターで形質転換又はトランスフェクトされるが、他の方法が利用可能であり、当該技術分野で公知である。そのような細胞は、典型的には、宿主細胞と呼ばれる。いくつかのそのような細胞は、バチルス種の細胞、例えばB.subtilis細胞を含むがこれに限定されない細菌細胞を含む。他の実施形態は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシンを含む組換え細胞(例えば、組換え宿主細胞)に関する。
【0145】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のベクターは、効率的な遺伝子発現に必要とされる1つ以上の追加の核酸セグメントに作動可能に連結された本明細書に記載される1つ以上のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター又は発現カセット(例えば、本明細書に記載される1つ以上のポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター)である。ベクターは、抗菌剤含有培地中での増殖によってプラスミド感染宿主細胞の連続培養維持を可能にする転写ターミネーター及び/又は選択遺伝子(例えば、抗生物質耐性遺伝子)を含み得る。
【0146】
発現ベクターは、プラスミド若しくはウイルスDNAに由来し得るか、又は代替の実施形態において、両方のエレメントを含む。例示的なベクターには、pC194、pJH101、pE194、pHP13(Harwood and Cutting[編],Chapter 3,Molecular Biological Methods for Bacillus,John Wiley&Sons(1990);suitable replicating plasmids for B.subtilis include those listed on p.92).(Perego,「Integrational Vectors for Genetic Manipulations in Bacillus subtilis」;Sonenshein et al.,[編];「Bacillus subtilis and Other Gram-Positive Bacteria:Biochemistry,Physiology and Molecular Genetics」,American Society for Microbiology,Washington,D.C.(1993),pp.615-624も参照されたい);及びp2JM103BBIを参照されたい)が含まれるが、これらに限定されない。
【0147】
細胞における目的のタンパク質(例えば、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体)の発現及び産生のために、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチドの1つ以上のコピーを含み、場合によっては複数のコピーを含む1つ以上の発現ベクターが、変異体の発現に適した条件下で細胞に形質転換される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチド配列(並びにベクターに含まれる他の配列)は、宿主細胞のゲノムに組み込まれるが、他の実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチド配列を含むプラスミドベクターは、自律的な染色体外エレメントとして細胞内に残る。いくつかの実施形態は、染色体外核酸エレメントと、宿主細胞ゲノムに組み込まれる入力ヌクレオチド配列との両方を提供する。本明細書に記載されるベクターは、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体の産生に有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチド構築物は、宿主染色体への変異体をコードするポリヌクレオチドの組込み及び任意選択的に増幅を可能にする組込みベクター上に存在する。組込みのための部位の例は、当業者に周知である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチドの転写は、親サブチリシンの野生型プロモーターであるプロモーターによって達成される。いくつかの他の実施形態において、プロモーターは、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体に対して異種であるが、宿主細胞において機能的である。細菌宿主細胞における使用のための例示的なプロモーターには、amyE、amyQ、amyL、pstS、sacB、pSPAC、pAprE、pVeg、pHpaIIプロモーター;B.stearothermophilusマルトース化アミラーゼ遺伝子のプロモーター;B.amyloliquefaciens(BAN)アミラーゼ遺伝子;B.subtilisアルカリプロテアーゼ遺伝子;B.clausiiアルカリプロテアーゼ遺伝子;B.pumilusキシロシダーゼ遺伝子;B.thuringiensiscryIIIA;及びB.licheniformisα-アミラーゼ遺伝子
が含まれるが、これらに限定されない。更なるプロモーターには、A4プロモーター、並びにファージλPR又はPLプロモーター及びE.colilac、trp又はtacプロモーターが含まれるが、これらに限定されない。
【0148】
本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体は、細菌及び真菌を含む任意の好適な微生物の宿主細胞において産生され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体は、グラム陽性菌において産生され得る。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、バチルス属菌(Bacillus spp.)、ストレプトマイセス属菌(Streptomyces spp.)、エシェリヒア属菌(Escherichia spp.)、アスペルギルス属菌(Aspergillus spp.)、トリコデルマ属菌(Trichoderma spp.)、シュードモナス属菌(Pseudomonas spp.)、コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium spp)、サッカロマイセス属菌(Saccharomyces spp.)又はピキア属菌(Pichia spp.)である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体は、バチルス種宿主細胞によって産生される。本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体の産生に使用されるバチルス種宿主細胞の例としては、B.licheniformis、B.gibsonii、B.lentus、B.subtilis、B.amyloliquefaciens、B.brevis、B.stearothermophilus、B.alkalophilus、B.coagulans、B.circulans、B.pumilis、B.thuringiensis、B.clausii、及びB.megaterium、並びにバチルス属内の他の生物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、B.subtilis宿主細胞は、本明細書に記載される変異体を産生するために使用される。米国特許第5,264,366号及び同第4,760,025号(RE 34,606)は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体を産生するために使用することができる様々なバチルス宿主株を記載しているが、他の好適な株を使用することもできる。
【0149】
本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体を産生するために使用することができるいくつかの細菌株は、非組換え(すなわち、野生型)バチルス種株、並びに天然に存在する株及び/又は組換え株の変異体を含む。いくつかの実施形態において、宿主株は組換え株であって、1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチドが宿主に導入されている組換え株である。いくつかの実施形態において、宿主株は、B.subtilis宿主株、特に組換えB.subtilis宿主株である。多数のB.subtilis株が公知であり、例えば、1A6(ATCC 39085)、168(1A01)、SB19、W23、Ts85、B637、PB1753~PB1758、PB3360、JH642、1A243(ATCC 39,087)、ATCC 21332、ATCC 6051、MI113、DE100(ATCC 39,094)、GX4931、PBT 110、及びPEP 211株(例えば、Hoch et al.,Genetics 73:215-228(1973)が含まれるが、これらに限定されない;米国特許第4,450,235号;米国特許第4,302,544号、及び欧州特許第0134048号も参照されたい。発現宿主細胞としてのB.subtilisの使用は、当該技術分野で周知である(例えば、Palva et al.,Gene 19:81-87(1982);Fahnestock and Fischer,J.Bacteriol.,165:796-804(1986);及びWang et al.,Gene 69:39-47(1988))を参照されたい)。
【0150】
いくつかの実施形態において、バチルス宿主細胞は、以下の遺伝子:degU、degS、degR及びdegQの少なくとも1つに変異又は欠失を含むバチルス種である。いくつかの実施形態において、変異はdegU遺伝子内にあり、いくつかの実施形態において、変異はdegU(Hy)32である(例えば、Msadek et al.,J.Bacteriol.172:824-834(1990);及びOlmos et al.,Mol.Gen.Genet.253:562-567(1997)を参照されたい)。いくつかの実施形態において、バチルス宿主は、scoC4における変異又は欠失(例えば、Caldwell et al.,J.Bacteriol.183:7329-7340(2001)を参照されたい);spoIIE(例えば、Arigoni et al.,Mol.Microbiol.31:1407-1415(1999)を参照されたい);及び/又はoppA若しくはoppオペロンの他の遺伝子(例えば、Perego et al.,Mol.Microbiol.5:173-185(1991)を参照されたい)を含む。実際、oppA遺伝子における変異と同じ表現型を引き起こすoppオペロンにおける任意の変異が、本明細書に記載される改変バチルス株のいくつかの実施形態において使用されることが企図される。いくつかの実施形態において、これらの変異は単独で生じるが、他の実施形態において、変異の組み合わせが存在する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体を産生するために使用することができる改変バチルス宿主細胞株は、上述の遺伝子の1つ以上に変異を既に含むバチルス宿主株である。更に、内因性プロテアーゼ遺伝子の変異及び/又は欠失を含むバチルス種宿主細胞が使用される。いくつかの実施形態において、バチルス宿主細胞は、aprE及びnprE遺伝子の欠失を含む。他の実施形態において、バチルス種宿主細胞は、5つのプロテアーゼ遺伝子の欠失を含むが、他の実施形態において、バチルス種宿主細胞は、9つのプロテアーゼ遺伝子の欠失を含む(例えば、米国特許出願公開第2005/0202535号を参照されたい)。
【0151】
宿主細胞は、当該技術分野で公知の任意の好適な方法を使用して、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体をコードする1つ以上の核酸配列で形質転換される。プラスミドDNA構築物又はベクターを利用してバチルス細胞又はE.coli(大腸菌)細胞に核酸(例えば、DNA)を導入する方法、及びそのようなプラスミドDNA構築物又はベクターをそのような細胞に形質転換する方法は周知である。いくつかの実施形態において、プラスミドは、その後、E.coli細胞から単離され、バチルス細胞に形質転換される。しかしながら、E.coliなどの介在微生物を使用することは必須ではなく、いくつかの実施形態において、DNA構築物又はベクターは、バチルス宿主に直接導入される。
【0152】
本明細書に記載される1つ以上の核酸配列をバチルス細胞に導入するための例示的な方法は、例えば、Ferrari et al.,「Genetics,」in Harwood et al.[編.],Bacillus, Plenum Publishing Corp.(1989),pp.57-72;Saunders et al.,J.Bacteriol.157:718-726(1984);Hoch et al.,J.Bacteriol.93:1925-1937(1967);Mann et al.,Current Microbiol.13:131-135(1986);Holubova,Folia Microbiol.30:97(1985);Chang et al.,Mol.Gen.Genet.168:11-115(1979);Vorobjeva et al.,FEMS Microbiol.Lett.7:261-263(1980);Smith et al.,Appl.Env.Microbiol.51:634(1986);Fisher et al.,Arch.Microbiol.139:213-217(1981);及びMcDonald,J.Gen.Microbiol.130:203(1984))に記載されている。実際、プロトプラスト形質転換及びトランスフェクション、形質導入、並びにプロトプラスト融合を含む形質転換のような方法は周知であり、本明細書での使用に適している。バチルス細胞を形質転換するための当該技術分野で公知の方法には、プラスミドマーカーレスキュー形質転換のような方法が含まれ、これは、部分的に相同な常在性プラスミドを保有するコンピテント細胞によるドナープラスミドの取り込みを含む(Contente et al.,Plasmid 2:555-571(1979);Haima et al.,Mol.Gen.Genet.223:185-191(1990);Weinrauch et al.,J.Bacteriol.154:1077-1087(1983);及びWeinrauch et al.,J.Bacteriol.169:1205-1211(1987)を参照されたい)。この方法において、入力ドナープラスミドは、染色体形質転換を模倣するプロセスにおいて、常在性「ヘルパー」プラスミドの相同領域と組み換えられる。
【0153】
一般的に使用される方法に加えて、いくつかの実施形態において、宿主細胞は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体をコードする核酸を含むDNA構築物又はベクターで直接形質転換される(すなわち、宿主細胞への導入前にDNA構築物又はベクターを増幅するために、又は他の方法で行うために中間細胞は使用されない)。本明細書に記載されるDNA構築物又はベクターの宿主細胞への導入は、宿主ゲノムへの挿入なしに核酸配列(例えば、DNA配列)を宿主細胞に導入するための当該技術分野で公知の物理的及び化学的方法を含む。そのような方法には、塩化カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、裸のDNA、及びリポソームが含まれるが、これらに限定されない。追加の実施形態において、DNA構築物又はベクターは、プラスミドに挿入されることなく、プラスミドと同時形質転換される。更なる実施形態において、選択マーカーは、当該技術分野で公知の方法によって改変バチルス株から欠失される(例えば、Stahl et al.,J.Bacteriol.158:411-418(1984);及びPalmeros et al.,Gene 247:255-264(2000)を参照されたい)。
【0154】
いくつかの実施形態において、形質転換細胞は、従来の栄養培地中で培養される。好適な特定の培養条件、例えば、温度、pHなどは、当業者に公知であり、科学文献に十分に記載されている。いくつかの実施形態は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体又は核酸配列を含む培養物(例えば、細胞培養物)を提供する。
【0155】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体をコードする1つ以上のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、変異体の発現を可能にする条件下で好適な栄養培地中で培養され、その後、結果生じる変異体が培養物から回収される。いくつかの実施形態において、細胞によって産生された変異体は、例えば、遠心分離又は濾過による培地からの宿主細胞の分離、塩(例えば、硫酸アンモニウム)による上清又は濾液のタンパク質性成分の沈殿、及びクロマトグラフィー精製(例えば、イオン交換、ゲル濾過、アフィニティーなど)を含むがこれらに限定されない従来の手順によって培養培地から回収される。
【0156】
いくつかの実施形態において、組換え宿主細胞によって産生される1つ以上のサブチリシン変異体は、培養培地中に分泌される。精製促進ドメインをコードする核酸配列を使用して、変異体の精製を促進することができる。本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチド配列を含むベクター又はDNA構築物は、変異体の精製を容易にするための精製促進ドメインをコードする核酸配列を更に含んでもよい(例えば、Kroll et al.,DNA Cell Biol.12:441-53(1993)を参照されたい)。そのような精製促進ドメインには、例えば、固定化金属上での精製を可能にするヒスチジン-トリプトファンモジュールなどの金属キレートペプチド(Porath,Protein Expr.Purif.3:263-281[1992])、固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、及びFLAGS伸長/アフィニティー精製システムにおいて利用されるドメインが含まれるが、これらに限定されない。精製ドメインと異種タンパク質との間に第XA因子又はエンテロキナーゼなどの切断可能なリンカー配列(例えば、Invitrogen、カリフォルニア州サンディエゴから入手可能な配列)を含めることもまた、精製を容易にするために使用される。
【0157】
宿主細胞における本明細書に記載される1つ以上の成熟サブチリシン変異体の産生レベルを決定するために、多岐にわたる方法を使用することができる。そのような方法には、例えば、プロテアーゼに特異的なポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれかを利用する方法が含まれるが、これらに限定されない。例示的な方法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、及び蛍光活性化細胞選別(FACS)が含まれるが、これらに限定されない。これら及び他のアッセイは、当該技術分野において周知である(例えば、Maddox et al.,J.Exp.Med.158:1211(1983)を参照されたい)。
【0158】
いくつかの他の実施形態は、本明細書に記載される1つ以上の成熟サブチリシン変異体を作製又は産生するための方法を提供する。成熟サブチリシン変異体は、シグナルペプチド又はプロペプチド配列を含まない。いくつかの方法は、例えば、バチルス種細胞(例えば、B.subtilis細胞)などの組換え細菌宿主細胞において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体を作製又は産生することを含む。他の実施形態は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体を産生する方法であって、方法は、変異体の産生を促す条件下で、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体をコードする核酸配列を含む組換え発現ベクターを含む組換え宿主細胞を培養することを含む方法を提供する。いくつかのそのような方法は、培養物から変異体を回収することを更に含む。
【0159】
更なる実施形態は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体を産生する方法であって、(a)変異体をコードする核酸を含む組換え発現ベクターを細胞の集団(例えば、B.subtilis細胞などの細菌細胞)に導入することと、(b)発現ベクターによってコードされる変異体の産生を促す条件下で、培養培地中で細胞を培養することと
を含む。いくつかのそのような方法は、(c)細胞から又は培養培地から変異体を単離することを更に含む。
【0160】
更なる実施形態は、サブチリシンの洗浄性能又は安定性を改善する方法であって、本明細書で提供されるように、1つ以上の置換、又は置換の組み合わせを含むようにサブチリシンを修飾することを含む方法に関する。
【0161】
特に記載のない限り、全ての成分又は組成物のレベルは、その成分又は組成物の活性レベルに関するものであり、市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。酵素成分の重量は、総活性タンパク質に基づく。全ての百分率及び比率は、特に断らない限り、重量基準で計算される。全ての百分率及び比率は、特に断らない限り、全組成に基づいて計算される。本明細書に記載される組成物は、洗剤組成物などの洗浄組成物を含む。例示された洗剤組成物において、酵素レベルは全組成物の重量基準で純粋な酵素によって表され、他に特定されない限り、洗剤成分は全組成物の重量基準で表される。
【0162】
一実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体は、例えば、食器類又は食卓用食器類、布地、医療器具、及び硬質表面(例えば、テーブル、テーブルトップ、壁、家具類、床、及び天井の硬質表面)を有する物品の洗浄などを含むがこれらに限定されない洗浄用途において有用である。他の実施形態において、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体は、例えば、自動食器洗浄機又は洗濯機の消毒などを含むがこれらに限定されない消毒用途において有用である。
【0163】
別の実施形態は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は洗浄組成物である。他の実施形態では、組成物は洗剤組成物である。更に他の実施形態において、組成物は、洗濯洗剤組成物、自動食器洗浄(ADW)組成物、手(手動)食器洗浄洗剤組成物、硬質表面洗浄組成物、眼鏡洗浄組成物、医療機器洗浄組成物、消毒剤(例えば、悪臭又は微生物)組成物、及びパーソナルケア洗浄組成物から選択される。更に他の実施形態において、組成物は、洗濯洗剤組成物、ADW組成物、又は手(手動)食器洗浄洗剤組成物である。なおも更なる実施形態は、布地洗浄組成物に関するが、他の実施形態は、非布地洗浄組成物に関する。いくつかの実施形態において、洗浄組成物はホウ素を含まない。他の実施形態において、洗浄組成物はリン酸塩を含まない。更に他の実施形態において、組成物は、本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体と、賦形剤、補助物質、及び/又は追加の酵素のうちの1種以上とを含む。
【0164】
プロテアーゼ安定剤
ペプチドアルデヒドは、以前に記載されているように(国際公開第199813458号、国際公開第2011036153号、米国特許出願公開第20140228274号)、洗剤製剤においてプロテアーゼ安定剤として使用することができる。ペプチドアルデヒド安定剤の例は、ペプチドアルデヒド、ケトン、又はハロメチルケトンであり、例えば、ウレイド、カルバメート、若しくは尿素部分で「N-キャップ」されていてもよく、又は例えば、カルボニル、ウレイド、オキサミド(oxiamide)、チオウレイド、ジチオオキサミド、若しくはチオキサミド部分で「二重N-キャップ」されていてもよい(欧州特許第2358857(B1)号)。これらの阻害剤対プロテアーゼのモル比は、0.1:1~100:1、例えば、0.5:1~50:1、1:1~25:1又は2:1~10:1であり得る。プロテアーゼ安定剤の他の例は、ベンゾフェノン又は安息香酸アニリド誘導体であり、これらはカルボキシル基を含有し得る(米国特許第7,968,508号)。これらの安定剤対プロテアーゼのモル比は、好ましくは1:1~1000:1、特に1:1~500:1、とりわけ好ましくは1:1~100:1、最もとりわけ好ましくは1:1~20:1の範囲である。
【0165】
錯化剤系
本発明の目的のために、「錯化剤」とは、カルシウム、マグネシウム、鉛、銅、亜鉛、カドミウム、水銀、マンガン、鉄、アルミニウム、及び他のカチオン性多価イオンのような多価イオンと結合して水溶性の錯体を形成することが可能な化合物のことである。錯化剤は、Ca2+に対する対数安定性定数([logK])が少なくとも3である。安定性定数、logKは、温度25℃でイオン強度0.1の溶液中で測定される。
【0166】
本発明の組成物は、好ましくは、錯化剤系の組成物の10重量%~50重量%を含む。錯化剤系は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、クエン酸、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、イミノジコハク酸(IDS)、カルボキシメチルイヌリン、L-アスパラギン酸N,N-二酢酸四ナトリウム塩(ASDA)及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の錯化剤を含む。好ましくは、錯化剤系は、少なくとも10重量%のMGDAの組成物を含む。錯化系は、クエン酸、(GLDA)、(IDS)、カルボキシメチルイヌリン、L-アスパラギン酸N,N-二酢酸四ナトリウム塩(ASDA)及びこれらの混合物からなる群から選択される錯化剤を更に含み得る。好ましくは、錯化剤系は、組成物の少なくとも10重量%のMGDA及び少なくとも10重量%のクエン酸の組成物を含む。本発明の目的のために、「酸」という用語は、錯化剤を指すとき、酸及びその塩を含む。
【0167】
好ましい実施形態において、組成物は、MGDAの組成物、より好ましくはMGDAの三ナトリウム塩の少なくとも15重量%、より好ましくは20重量%~40重量%を含む。この高レベルのMGDAを含む組成物は、硬水でも、長時間及び/又は高温サイクルでも良好に機能する。
【0168】
本発明の錯化剤系は、クエン酸を更に含むことができる。
【0169】
分散剤ポリマー
分散剤ポリマーは、組成物の約0.1~約20重量%、好ましくは0.2~約15重量%、より好ましくは0.3~重量%の任意の好適な量で使用され得る。
【0170】
分散剤ポリマーは、自動食器洗浄プロセスにおいてカルシウム又は炭酸カルシウムを懸濁させることができる。
【0171】
分散剤ポリマーは、25℃で、30~250mgのCa/gの分散剤ポリマー、好ましくは35~200mgのCa/gの分散剤ポリマー、より好ましくは40~150mgのCa/gの分散剤ポリマーの範囲内で、カルシウム結合能を有する。ポリマーが本発明の意味において分散剤ポリマーであるかどうかを判定するために、以下の指示に従い、以下のカルシウム結合能の判定を行う。
【0172】
カルシウム結合能試験方法
本明細書で言及されるカルシウム結合能は、Meettler Toledo SevenMulti(商標)ベンチトップメータ及びPerfectION(商標)櫛形Ca組み合わせ電極などのpH/イオンメータを用いて、滴定によって決定される。結合能を測定するために、ビーカー又はターゴトメータポットに適した加熱撹拌装置を25℃に設定し、メータ付イオン電極を製造元の指示に従って較正する。電極較正の標準濃度は試験濃度をブラケティングし、25℃で測定しなければならない。脱イオン水1Lに3.67gのCaCl-2HOを添加することにより、1000mg/gのCaの原液を調製し、次いで希釈を行ってそれぞれ100mg/g、10mg/g、及び1mg/g濃度のカルシウムを含む、それぞれ100mLの3つの作用液を調製する。100mg Ca/gの作用液を、25℃で実施される滴定中の初期濃度として使用する。各作用液のイオン強度は、2.5g/LのNaClをそれぞれ添加することによって調節する。100mg Ca/gの作用液100mLを加熱し、25℃に達するまで撹拌する。カルシウムイオン濃度の初期測定は、イオン電極を使用して溶液が25℃に達したときに行う。次いで、試験ポリマーをカルシウム作用液に徐々に加え(0.01g/L間隔で)、各増分の添加後に5分間撹拌した後に測定する。滴定は、溶液が1mg/gのカルシウムに達したら停止する。残りの2つのカルシウム濃度の作用液を用いて、滴定手順を繰り返す。試験ポリマーの結合能は、添加された試験ポリマーのグラム/Lに対する、測定されたカルシウム濃度の直線勾配として計算される。
【0173】
分散剤ポリマーは、好ましくは、6を超えるpHを有する水溶液中に溶解した場合に、負の正味電荷を有する。
【0174】
分散剤ポリマーは、より低いpHで負電荷を増加させ、硬水中でのその分散特性を改善するために、スルホン化カルボン酸エステル又はアミドもまた有し得る。好ましい分散剤ポリマーは、スルホン化/カルボキシル化ポリマー、すなわち、スルホン化モノマー及びカルボキシル化モノマーの両方を含むポリマーである。
【0175】
好ましくは、分散剤ポリマーは、ポリカルボン酸のスルホン化誘導体であり、2、3、4又はそれ以上の異なるモノマー単位を含むことができる。好ましいコポリマーは、次のものを含む。
【0176】
カルボン酸モノマーに由来する少なくとも1つの構造単位は一般式(III)を有し:
【0177】
【化1】
式中、R~Rは、水素、メチル、2~12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖飽和アルキル基、2~12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のモノ又はポリ不飽和アルケニル基、-NH2若しくは-OH、又は-COOH、又はCOORで置換された前述のアルキル又はアルケニル基から独立して選択され、式中、Rは、水素、アルカリ金属又は2~12個の炭素を有する直鎖若しくは分枝鎖の飽和若しくは不飽和のアルキル若しくはアルケニル基から選択され、
好ましいカルボン酸モノマーは、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、2-フェニルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、フマル酸、メタクリル酸、2-エチルアクリル酸、メチレンマロン酸、又はソルビン酸のうちの1つ以上を含む。アクリル及びメタクリル酸がより好ましい。
【0178】
任意に、少なくとも1つの非イオン性モノマーに由来する1つ以上の構造単位は一般式(IV)を有し:
【0179】
【化2】
式中、R~Rは、水素、メチル、フェニル又は1~6個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基から独立して選択され、環状構造の一部であってもよく、Xは、-CH-、-COO-、-CONH-又は-CONR-から選択される、任意に存在するスペーサ基であり、Rは、直鎖若しくは分枝鎖の、1~22個の炭素原子を有する飽和アルキル基又は6~22個の炭素原子を有する不飽和の好ましくは芳香族の基から選択される。
【0180】
好ましい非イオン性モノマーは、ブテン、イソブテン、ペンテン、2-メチルペント-1-エン、3-メチルペント-1-エン、2,4,4-トリメチルペント-1-エン、2,4,4-トリメチルペント-2-エン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、2-メチル-3-メチル-シクロペンテン、ヘキセン、2,3-ジメチルヘキサ-1-エン、2,4-ジメチルヘキサ-1-エン、2,5-ジメチルヘキサ-1-エン、3,5-ジメチルヘキサ-1-エン、4,4-ジメチルヘキサ-1-エン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、10個以上の炭素原子を有する、デカ-1-エン、ドデカ-1-エン、ヘキサデカ-1-エン、オクタデカ-1-エン及びドコサ-1-エンなどのα-オレフィンのうちの1つ以上を含み、好ましい芳香族モノマーは、スチレン、α-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベジルスチレン(bezylstyrene)、4-シクロヘキシルスチレン、4-プロピルスチロール、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレンであり、好ましいカルボン酸エステルモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート及びベヘニル(メタ)アクリレートであり、好ましいアミドは、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-2-エチルヘキシルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-ラウリルアクリルアミド、N-ステアリルアクリルアミド、N-ベヘニルアクリルアミドである。
【0181】
並びに少なくとも1つのスルホン酸モノマーから誘導される少なくとも1つの構造単位は一般式(V)及び(VI)を有し:
【0182】
【化3】
式中、Rは、少なくとも1つのsp2結合を含む基であり、Aは、O、N、P、S、アミド又はエステル結合であり、Bは、単環式又は多環式芳香族基又は脂肪族基であり、各tは、独立して0又は1であり、M+は、カチオンである。一態様では、Rは、C2~C6アルケンである。別の態様では、R7は、エテン、ブテン又はプロペンである。
【0183】
好ましいスルホン化モノマーは、1-アクリルアミド-1-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-メタクリルアミド-2-ヒドロキシ-プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3-スルホプロピル、3-スルホ-プロピルメタクリレート、スルホメタクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド、及び上述の酸又はこれらの水溶性塩の混合物のうちの1つ以上を含む。
【0184】
好ましくは、ポリマーは、以下の濃度のモノマー、すなわち、ポリマーの約40~約90重量%、好ましくは約60~約90重量%の1種以上のカルボン酸モノマー、ポリマーの約5~約50重量%、好ましくは約10~約40重量%の1種以上のスルホン酸モノマー、及び任意にポリマーの約1重量%~約30重量%、好ましくは約2~約20重量%の1種以上の非イオン性モノマーを含む。とりわけ好ましいポリマーは、ポリマーの約70重量%~約80重量%の少なくとも1種のカルボン酸モノマー及びポリマーの約20重量%~約30重量%の少なくとも1種のスルホン酸モノマーを含む。
【0185】
ポリマー中、カルボン酸基又はスルホン酸基の全て又はいくつかが中和形態で存在していてよく、すなわちいくつか又は全ての酸性基中のカルボン酸基及び/又はスルホン酸基の酸性水素原子が、金属イオン、好ましくはアルカリ金属イオン、具体的にはナトリウムイオンと置き換えられ得る。
【0186】
カルボン酸は、好ましくは(メタ)アクリル酸である。スルホン酸モノマーは、好ましくは2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0187】
好ましい市販のポリマーとしては、Alco Chemicalによって供給されるAlcosperse240、Aquatreat AR540、及びAquatreat MPS、Rohm & Haasによって供給されるAcumer3100、Acumer2000、Acusol587G及びAcusol588G、BF Goodrichによって供給されるGoodrich K-798、K-775及びK-797、並びにISP technologies Inc.によって供給されるACP1042が挙げられる。特に好ましいポリマーは、Rohm&Haasによって供給されるAcusol587G及びAcusol588Gである。
【0188】
好適な分散剤ポリマーには、低分子量のアニオン性カルボン酸ポリマーが含まれる。それらは、約200,000g/モル以下、又は約75,000g/モル以下、又は約50,000g/モル以下、又は約3,000~約50,000g/モル、好ましくは約5,000~約45,000g/モルの重量平均分子量を有するホモポリマー又はコポリマーであり得る。分散剤ポリマーは、1,000~20,000、特に2,000~10,000、及び特に好ましくは3,000~5,000の平均分子量を有するポリアクリレートの低分子量ホモポリマーであってもよい。
【0189】
分散剤ポリマーは、70,000未満の分子量を有する、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、アクリル酸及び/又はメタクリル酸とマレイン酸のコポリマー並びにアクリル酸及び/又はメタクリル酸とフマル酸のコポリマーであってもよい。それらの分子量は、2,000~80,000、より好ましくは20,000~50,000、具体的には30,000~40,000g/モルの範囲であり、(メタ)アクリレートとマレエート又はフマレートセグメントとの比は30:1~1:2である。
【0190】
分散剤ポリマーは、3,000~100,000、あるいは4,000~20,000の分子量を有するアクリルアミドとアクリレートとのコポリマーであってもよく、分散剤ポリマーの50重量%未満、あるいは20重量%未満のアクリルアミド含有量も使用され得る。あるいは、そのような分散剤ポリマーは、4,000~20,000の分子量、及びポリマーの0重量%~15%のアクリルアミド含有量を有してもよい。
【0191】
本明細書で好適な分散剤ポリマーには、イタコン酸ホモポリマー及びコポリマーも含まれる。
【0192】
あるいは、分散剤ポリマーは、アルコキシル化ポリアルキレンイミン、アルコキシル化ポリカルボキシレート、ポリエチレングリコール、スチレンコポリマー、セルロースサルフェートエステル、カルボキシル化多糖、両親媒性グラフトコポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0193】
漂白剤系
本発明の組成物は、好ましくは、高濃度の漂白剤、好ましくは過炭酸塩を、漂白活性化剤又は漂白触媒又はその両方と組み合わせて含む、漂白系を含む。好ましくは、漂白活性化剤はTAEDであり、漂白触媒はマンガン漂白触媒である。
【0194】
漂白剤
本発明の組成物は、好ましくは、組成物の約10~約20重量%、より好ましくは約12~約18重量%の漂白剤、好ましくは過炭酸塩を含む。
【0195】
変異体の改善された安定性のために、組成物は、より強力で攻撃的な漂白剤を含むことができる(例えば、高レベルの漂白触媒を使用することができる)。より安定性の低い漂白剤(例えば、より少ないコーティングを有する過炭酸塩粒子)が組成物中で使用されてもよい。
【0196】
無機及び有機漂白剤が、本明細書での使用に好適である。無機漂白剤には、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩などの過水和塩が挙げられる。無機過水和塩は、通常、アルカリ金属塩である。無機過水和塩は、追加の保護なしの結晶性固体として含まれ得る。代替的に、塩はコーティングされていてもよい。好適なコーティングには、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム及びこれらの混合物が挙げられる。当該コーティングは、表面に塗布される混合物として塗布されるか、又は順次積層して塗布され得る。
【0197】
アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書における使用に好ましい漂白剤である。過炭酸塩は、最も好ましくは、製品内安定性を提供するコーティングされた形態で製品に組み込まれる。
【0198】
過酸化モノ過硫酸カリウムは、本明細書で有用な別の無機過水和塩である。
【0199】
典型的な有機漂白剤は、有機ペルオキシ酸、とりわけドデカンジペルオキシ酸、テトラデカンジペルオキシ酸、及びヘキサデカンジペルオキシ酸である。モノ及びジペルアゼライン酸、モノ及びジペルブラシル酸も、本明細書において好適である。ジアシル及びテトラアシル過酸化物、例えば過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジラウロイルは、本発明の関連において使用可能な他の有機過酸化物である。
【0200】
更なる典型的な有機漂白剤としては、ペルオキシ酸が挙げられ、具体例は、アルキルペルオキシ酸及びアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸及びその環置換の誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸の他、ペルオキシ-α-ナフトエ酸及びモノペルフタル酸マグネシウム、(b)脂肪族又は置換脂肪族ペルオキシ酸、例えばペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε-フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシヘキサン酸(PAP)]、o-カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N-ノネニルアミドペルアジピン酸及びN-ノネニルアミドペルスクシネート、並びに(c)脂肪族及び芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば1,12-ジペルオキシカルボン酸、1,9-ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2-デシルジペルオキシブタン-1,4-二酸、N,N-テレフタロイルジ(6-アミノペルカプロン酸)である。
【0201】
漂白活性化剤
漂白活性化剤は、典型的には、60℃以下の温度での洗浄の過程で漂白作用を強化する有機過酸前駆体である。本明細書での使用に好適な漂白活性化剤には、過加水分解条件下で、好ましくは1~12個の炭素原子、特に2~10個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキソカルボン酸(peroxoycarboxylic acid)、及び/又は任意に置換された過安息香酸を与える化合物が含まれる。好適な物質は、炭素原子の数が指定されているO-アシル基及び/若しくはN-アシル基並びに/又は任意に置換されたベンゾイル基を有する。ポリアシル化アルキレンジアミン、具体的にはテトラアセチルエチレンジアミン(tetraacetylethylenediamine、TAED)、アシル化トリアジン誘導体、具体的には1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(1,5-diacetyl-2,4-dioxohexahydro-1,3,5-triazine、DADHT)、アシル化グリコールウリル、具体的にはテトラアセチルグリコールウリル(tetraacetylglycoluril、TAGU)、N-アシルイミド、具体的にはN-ノナノイルスクシンイミド(N-nonanoylsuccinimide、NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、具体的にはn-ノナノイル-又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-又はイソ-NOBS)、デカノイルオキシ安息香酸(decanoyloxybenzoic acid、DOBA)、無水カルボン酸、具体的には無水フタル酸、アシル化多価アルコール、具体的にはトリアセチン、二酢酸エチレングリコール及び2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフラン、並びにクエン酸トリエチルアセチル(triethylacetyl citrate、TEAC)も好まれる。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の0.01~5重量%、好ましくは0.2~2重量%の漂白活性化剤、好ましくはTAEDを含む。
【0202】
漂白触媒
本明細書の組成物は、好ましくは、漂白触媒、好ましくは金属含有漂白触媒を含有する。より好ましくは、金属含有漂白触媒は、遷移金属含有漂白触媒、とりわけマンガン又はコバルト含有漂白触媒である。
【0203】
本明細書での使用に好ましい漂白触媒としては、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体;Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン並びに関連する錯体;並びにペンタミン酢酸コバルト(III)及び関連する錯体が挙げられる。本明細書での使用に特に好ましい漂白触媒は、1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me-TACN)及び1,2,4,7-テトラメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me/Me-TACN)である。本明細書での使用に特に好ましい組成物は、1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me-TACN)及び/又は1,2,4,7-テトラメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me/Me-TACN)である。
【0204】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物の0.001~0.5重量%、より好ましくは0.002~0.1重量%、より好ましくは0.005~0.075重量%の漂白触媒を含む。好ましくは、漂白触媒は、マンガン漂白触媒である。
【0205】
無機ビルダー
本発明の組成物は、好ましくは、無機ビルダーを含む。好適な無機ビルダーは、炭酸塩、ケイ酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される。炭酸ナトリウムが、本明細書における使用にとりわけ好ましい。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の5~60重量%、より好ましくは10~50重量%、特に15~45重量%の炭酸ナトリウムを含む。
【0206】
界面活性剤
本明細書での使用に好適な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が挙げられ、好ましくは、組成物は、いかなる他の界面活性剤も含まない。従来的には、非イオン性界面活性剤は、表面修飾目的、具体的には膜形成及び斑点形成を回避し、光沢を改善するためのシート化を目的として、自動食器洗浄において使用されてきた。非イオン性界面活性剤は、汚れの再堆積の防止にも寄与することができることが判明している。
【0207】
好ましくは、本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系を含み、より好ましくは、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系は、蒸留水中、濃度1%で測定した場合に40~70℃、好ましくは45~65℃の転相温度を有する。「非イオン性界面活性剤系」とは、本明細書において、2つ以上の非イオン性界面活性剤の混合物を意味する。非イオン性界面活性剤系が、本明細書での使用に好ましい。これらは、単一の非イオン性界面活性剤よりも、製品中で、改善された洗浄及び仕上がり特性並びに良好な安定性を有すると考えられる。
【0208】
転相温度とは、それよりも低い温度では界面活性剤又はその混合物が油膨張ミセルとして水性相中に優先的に分配され、それよりも高い温度では水膨張逆ミセルとして油性相中に優先的に分配される温度である。転相温度は、混濁が生じる温度を識別することによって視覚的に判断することができる。
【0209】
非イオン性界面活性剤又は系の転相温度は、以下のように判断することができる。蒸留水中、溶液の1重量%の対応する界面活性剤又は混合物を含有する溶液を調製する。溶液を軽く撹拌した後、転相温度を分析して、プロセスが化学平衡で生じることを確実にする。転相温度は、75mm密封ガラス試験管中に溶液を浸漬することによって熱安定性の浴槽内で測定する。漏れがないことを確実にするために、転相温度の測定の前後に試験管を秤量しておく。温度が事前予測した転相温度より数度下に達するまで、温度を1℃/分未満の速度で徐々に増加させる。転相温度は、濁りの最初の兆候があった時点で視覚的に判断される。
【0210】
好適な非イオン性界面活性剤としては、i)6~20個の炭素原子を有するモノヒドロキシアルカノール又はアルキルフェノール(alkyphenol)と、アルコール又はアルキルフェノール1モル当たり、好ましくは少なくとも12モル、特に好ましくは少なくとも16モル、更により好ましくは少なくとも20モルのエチレンオキシドとの反応によって調製される、エトキシル化非イオン性界面活性剤、ii)6~20個の炭素原子及び少なくとも1つのエトキシ基及びプロポキシ基を有するアルコールアルコキシル化界面活性剤、が挙げられる。界面活性剤i)とii)との混合物が、本明細書での使用に好ましい。
【0211】
他の好適な非イオン性界面活性剤は、次式で表されるエポキシキャップ化ポリ(オキシアルキル化)アルコールであり、
R1O[CH2CH(CH3)O]x[CH2CH2O]y[CH2CH(OH)R2] (I)
式中、R1は、4~18個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基であり、R2は、2~26個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基であり、xは、0.5~1.5、より好ましくは約1の平均値を有する整数であり、yは、少なくとも15、より好ましくは少なくとも20の値を有する整数である。
【0212】
好ましくは、式Iの界面活性剤は、末端エポキシド単位[CH2CH(OH)R2]中に少なくとも約10個の炭素原子を有する。本発明によれば、式Iの好適な界面活性剤は、例えば、Olin Corporationによる1994年10月13日に公開された国際公開第94/22800号に記載の、Olin CorporationのPOLY-TERGENT(登録商標)SLF-18B非イオン性界面活性剤である。
【0213】
酵素
他のプロテアーゼ
本発明の組成物は、本発明のプロテアーゼに加えてプロテアーゼを含むことができる。2つ以上のプロテアーゼの混合物は、特に再付着防止剤及び/又はスルホン化ポリマーと共に使用されるとき、より広い温度、サイクル持続時間及び/又は基質範囲にわたって洗浄の増強に貢献することができ、優れた光沢効果を提供することができる。
【0214】
本発明の変異体プロテアーゼと組み合わせて使用するのに好適なプロテアーゼとしては、メタロプロテアーゼ、及び中性又はアルカリ性微生物セリンプロテアーゼを含むセリンプロテアーゼ、例えば、サブチリシン(EC3.4.21.62)が挙げられる。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物起源のものが挙げられる。一態様では、このような好適なプロテアーゼは、微生物起源のものであってもよい。好適なプロテアーゼとしては、前述の好適なプロテアーゼの化学的又は遺伝的に修飾された変異体が挙げられる。一態様では、好適なプロテアーゼは、アルカリ性微生物プロテアーゼ又は/及びトリプシン型プロテアーゼなどのセリンプロテアーゼであってよい。好適な中性又はアルカリ性プロテアーゼの例としては、以下が挙げられる。
サブチリシン(EC 3.4.21.62)、特に国際公開第2004067737号、同第2015091989号、同第2015091990号、同第2015024739号、同第2015143360号、米国特許第6,312,936(B1)号、同第5,679,630号、同第4,760,025号、国際公開第03/055974号、国際公開第03/054185号、国際公開第03/054184号、国際公開第2017/215925号、独国特許出願公開第102006022216(A1)号、国際公開第2015089447号、同第2015089441号、同第2016066756号、同第2016066757号、同第2016069557号、同第2016069563号、同第2016069569号、同第2016174234号、同第2017/089093号、同第2020/156419号、同第2016/183509号に記載されている、バチルス種、B.lentus、B.alkalophilus、B.subtilis、B.amyloliquefaciens、B.gibsonii、B.akibaiiなどのバチルス由来のもの。具体的には、変異S9R、A15T、V66A、A188P、V199I、N212D、Q239R、N255D、X9E、X200L、X256E、X9R、X19L、X60D(サビナーゼ番号付けシステム);独国特許出願公開第102006022224(A1)号、国際公開第2020/221578号、同第2020/221579号、同第2020/221580号に記載されているものなどB.pumilusに由来するサブチリシン、例えば、9、130、133、144、224、252、271から選択される位置のうちの少なくとも1つ以上にアミノ酸置換を含む変異体(BPN’番号付けシステム)。
(b)国際公開第89/06270号に記載されているフサリウム属プロテアーゼ、並びに国際公開第05/052161号及び国際公開第05/052146号に記載されているセルロモナス属に由来するキモトリプシンプロテアーゼを含むトリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源)などのトリプシン型又はキモトリプシン型プロテアーゼ。
(c)メタロプロテアーゼ、特に国際公開第07/044993(A2)号に記載されているバチルス・アミロリケファシエンス由来のもの、国際公開第2014194032号、同第2014194054号及び同第2014194117号に記載されているバチルス、ブレビバチルス、サーモアクチノミセス、ゲオバチルス、パエニバチルス、リシニバチルス又はストレプトミセス種由来のもの、国際公開第2015193488号に記載されているクリベラ・アルミノサ由来のもの、並びに国際公開第2016075078号に記載されているストレプトミセス及びリソバクター由来のもの。
(d)国際公開第92/17577号(Novozymes A/S)に記載されているバチルス種TY145、NCIMB 40339由来のサブチラーゼに対して少なくとも90%の同一性を有するプロテアーゼ、国際公開第2015024739号及び同第2016066757号に記載されているこのバチルス種TY145サブチラーゼの変異体を含むプロテアーゼ。
【0215】
本発明の組成物に特に好ましい追加のプロテアーゼは、親プロテアーゼの変異体であり、親プロテアーゼは、配列番号2と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を示し、変異体は、配列番号2に対する以下の位置のうちの1つ以上、又は2つ以上又は3つ以上の置換を含む。
S3V、S9R、A13V、A15T、G20、L21F、I35V、N60D、V66A、N74D、S85N/R、S97SE、S97AD、S97D/G、S99G/M/D/E、S101A、V102E/I、G116V/R、S126F/L、P127Q、S128A、S154D、G157S、Y161A、R164S、A188P、V199I、Q200C/E/I/K/T/V/W/L、Y203W、N212D、M216S/F、A222V、Q239R/F、T249R、N255D及びL256E/N/Q/D
【0216】
好ましいプロテアーゼには、次の変異体:
S9R+A13V+A15T+l35V+N60D+Q239F、又は
S9R+A15T+G20+L21F+N60D+Q239N、又は
S9R+A15T+V66A+S97G+A222V+Q239R+N255D、又は
S9R+A15T+V66A+N74D+Q239R、又は
S9R+A15T+V66A+N212D+Q239R、又は
S99SE、又は
S99AD、又は
N74D+S85R+G116R+S126L+P127Q+S128A、又は
N74D+S85R+G116R+S126L+P127Q+S128A+S182D+V238R又は
G116V+S126L+P127Q+S128A又は
S99M+G116V+S126L+P127Q+S128A、を含む、配列番号2に対して少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の同一性を有するものが含まれる。
【0217】
好適な市販の追加のプロテアーゼ酵素には、Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Liquanase Ultra(登録商標)、Savinase Ultra(登録商標)、Liquanase(登録商標)Evity(登録商標)、Savinase(登録商標)Evity(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Coronase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Blaze Ultra(登録商標)、Blaze(登録商標)Evity(登録商標)、Blaze(登録商標)Exceed、Blaze(登録商標)Pro、Esperase(登録商標)、Progress(登録商標)Uno、Progress(登録商標)Excel、Progress(登録商標)Key、Ronozyme(登録商標)、Vinzon(登録商標)、及びHet Ultra(登録商標)の商品名でNovozymes A/S(Denmark)により販売されているもの;
商品名Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)、Ultimase(登録商標)及びPurafect OXP(登録商標)としてDupontによって販売されているもの;商品名Opticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)としてSolvay Enzymesによって販売されているもの;並びにHenkel/Kemiraから入手可能なもの、すなわち、BLAP(配列は米国特許第5,352,604号の図29に示され、S99D+S101R+S103A+V104I+G159Sの変異を有する、本明細書において以降BLAPと称する)、BLAP R(S3T+V4I+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)、BLAP X(S3T+V4I+V205Iを有するBLAP)及びBLAP F49(S3T+V4I+A194P+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP);が含まれ、任意選択的に、少なくとも1つの更なる変異101E/D、S156D、L262;Kao製のKAP(変異A230V+S256G+S259Nを有するBacillus alkalophilusスブチリシン;及びBASF製のLavergy(登録商標)、Lavergy(登録商標)Pro、Lavergy(登録商標)C Brightを含み得る。
【0218】
本発明の変異体プロテアーゼと組み合わせて本明細書での使用に特に好ましいのは、Properase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Ultimase(登録商標)、Everlase、Savinase(登録商標)、Savinase Evity(登録商標)、Savinase Ultra(登録商標)、Excellase(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Coronase(登録商標)、Blaze Evity(登録商標)及びBlaze Pro(登録商標)、BLAP及びBLAP変異体からなる群から選択される市販のプロテアーゼである。
【0219】
本発明の製品中のプロテアーゼの好ましい濃度としては、組成物1g当たり約0.05~約10、より好ましくは約0.5~約7、特に約1~約6mgの活性プロテアーゼが挙げられる。
【0220】
アミラーゼ
好ましくは、本発明の組成物は、アミラーゼを含み得る。好適なα-アミラーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。化学的又は遺伝的に修飾された変異体(変異体)が含まれる。好ましいアルカリ性α-アミラーゼは、バチルスの菌種、例えば、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・アミロリケファシエンス、バチルス・ステロサーモフィラス、バチルス・ズブチリス又は他のバチルス種、例えば、バチルス種NCBI12289、NCBI12512、NCBI12513、DSM9375(米国特許第7,153,818号)、DSM12368、DSMZ番号12649、KSM AP1378(国際公開第97/00324号)、KSM K36又はKSM K38(欧州特許第1,022,334号)に由来する。好ましいアミラーゼとしては、以下が挙げられる。
【0221】
好適なアミラーゼは、親α-アミラーゼの組換え非天然変異体であり、変異体α-アミラーゼは、配列番号5に対して95%の同一性を有し、配列番号5に関して51位及び125位にアミノ酸置換を有する。変異体α-アミラーゼは、配列番号5に関してT51V及びS125Rであるアミノ酸置換を有し得る。変異体α-アミラーゼは、配列番号5に関して172位、227位又は231位にアミノ酸置換を更に有し得る。変異体α-アミラーゼは、配列番号5に関して、アミノ酸置換N172Q、N227R又はF231Lを更に有し得る。
【0222】
1つの好適なアミラーゼは、親α-アミラーゼの組換え非天然変異体であり、変異体α-アミラーゼは、配列番号5に対して95%の同一性を有し、配列番号5に関して以下のアミノ酸置換を有する:
(a)T51V+S125R+F231L;
(b)T51V+S125R+N172Q+N227R;
(c)N029Q+T051V+T244I+S253L+K268R+K319R+S418A;又は
(d)E415G、
【0223】
他の好ましいアミラーゼは、以下が挙げられる。
(a)国際公開第96/23873号、同第00/60060号、同第06/002643号、及び同第2017/192657号に記載の変異体、とりわけ国際公開第06/002643号において配列番号12に列挙されているAA560酵素に対して以下の位置に1つ以上の置換を有する変異体:
26、30、33、82、37、106、118、128、133、149、150、160、178、182、186、193、202、214、231、246、256、257、258、269、270、272、283、295、296、298、299、303、304、305、311、314、315、318、319、339、345、361、378、383、419、421、437、441、444、445、446、447、450、461、471、482、484位に1つ以上の置換を有し、好ましくは、D183及びG184の欠失も含む変異体。
(b)国際公開第06/002643号の配列番号4、バチルス属SP722由来の野生型酵素と少なくとも90%の同一性を示す変異体、特に183及び184位に欠失を有する変異体並びに参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2000/60060号、同第2011/100410号及び同第2013/003659号に記載されている変異体。
(c)バチルス種707(米国特許第6,093,562号の配列番号7)由来の野生型酵素と少なくとも95%の同一性を示す変異体、特に以下の変異:M202、M208、S255、R172及び/又はM261のうちの1つ以上を含むもの。好ましくは、当該アミラーゼは、M202L、M202V、M202S、M202T、M202I、M202Q、M202W、S255N及び/又はR172Qのうちの1つ以上を含む。M202L又はM202T変異を含むものが、特に好ましい。
(d)国際公開第09/149130号に記載されている変異体、好ましくは同第09/149130号の配列番号1又は配列番号2、ゲオバチルス・ステロファーモフィラス(Geobacillus Stearophermophilus)由来の野生型酵素又はその切断版と少なくとも90%の同一性を示すもの。
(e)国際公開第2016091688号の配列番号1と少なくとも89%の同一性を示す変異体、特にH183+G184位での欠失並びに405、421、422及び/又は428位に1つ以上の変異を含むもの。
(f)パエニバチルス・カードラノリティカスYK9由来の「PcuAmyl α-アミラーゼ」(国際公開第2014099523号の配列番号3)と少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を示す変異体。
(g)サイトファーガ種由来の「CspAmy2アミラーゼ」(国際公開第2014164777号の配列番号1)と少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を示す変異体。
(h)バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)由来のAmyE(国際公開第2009149271号の配列番号1)と少なくとも85%の同一性を示す変異体。
(i)受託番号AB051102を有するバチルス種KSM-K38由来の野生型アミラーゼと少なくとも90%の同一性を示す変異体。
(j)バチルス種由来のAAI10の成熟アミノ酸配列(国際公開第2016180748号の配列番号7)と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%の同一性を示す変異体。
(k)アリシクロバチルス種アミラーゼの成熟アミノ酸配列(国際公開第2016180748号の配列番号8)と少なくとも80%の同一性を示す変異体。
【0224】
好ましくは、アミラーゼは、遺伝子操作を受けた酵素であり、漂白酸化を起こしやすいアミノ酸のうちの1つ以上が、より酸化しにくいアミノ酸で置換されている。具体的には、メチオニン残基は、任意の他のアミノ酸で置換されることが好ましい。具体的には、最も酸化しやすいメチオニンが置換されることが好ましい。好ましくは、国際公開第06/002643号の配列番号12として列挙されているAA560酵素において202に相当する位置のメチオニンが置換される。好ましくは、この位置のメチオニンは、スレオニン又はロイシン、好ましくはロイシンで置換される。
【0225】
好適な市販のα-アミラーゼとしては、DURAMYL(登録商標)、LIQUEZYME(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、NATALASE(登録商標)、SUPRAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、ATLANTIC(登録商標)、INTENSA(登録商標)及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))、KEMZYM(登録商標)AT 9000(Biozym Biotech Trading GmbH Wehlistrasse 27b A-1200 Wien Austria)、RAPIDASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、ENZYSIZE(登録商標)、OPTISIZE HT PLUS(登録商標)、POWERASE(登録商標)、PREFERENZ S(登録商標)シリーズ(PREFERENZ S1000(登録商標)及びPREFERENZ S2000(登録商標)を含む)並びにPURASTAR OXAM(登録商標)(DuPont.,Palo Alto,California)並びにKAM(登録商標)(Kao,14-10 Nihonbashi Kayabacho,1-chome,Chuo-ku Tokyo 103-8210,Japan)が挙げられる。一態様では、好適なアミラーゼとしては、ATLANTIC(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、POWERASE(登録商標)、INTENSA(登録商標)及びSTAINZYME PLUS(登録商標)並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0226】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物1g当たり少なくとも0.01mg、好ましくは約0.05~約10、より好ましくは約0.1~約6、特に約0.2~約5mgの活性アミラーゼを含む。
【0227】
好ましくは、本発明の組成物のプロテアーゼ及び/又はアミラーゼは、粒状体の形態であり、この粒状体は、粒状体の29重量%超の硫酸ナトリウムを含み、並びに/又は硫酸ナトリウム及び活性酵素(プロテアーゼ及び/若しくはアミラーゼ)は、3:1~100:1、又は好ましくは4:1~30:1、又はより好ましくは5:1~20:1の重量比である。
【0228】
結晶成長抑制剤
結晶成長抑制剤は、炭酸カルシウム結晶に結合して、アラゴナイト及び方解石などの種の更なる成長を防止することができる材料である。
【0229】
効果的な結晶成長抑制剤の例には、ホスホン酸塩、ポリホスホン酸塩、イヌリン誘導体、ポリイタコン酸ホモポリマー及び環状ポリカルボキシレートが挙げられる。
【0230】
好適な結晶成長抑制剤は、HEDP(1-ヒドロキシエチリデン1,1-ジホスホン酸)、カルボキシメチルイヌリン(CMI)、トリカルバリル酸及び環状カルボキシレートを含む群から選択されてもよい。本発明の目的のため、用語カルボキシレートは、アニオン形態及びプロトン化したカルボン酸形態の両方を包含する。
【0231】
環状カルボキシレートは、少なくとも2つ、好ましくは3つ又は好ましくは少なくとも4つのカルボキシレート基を含み、環状構造は、単環若しくは二環アルカン又は複素環のいずれかに基づく。好適な環状構造には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロヘキサン若しくはシクロペンタン若しくはシクロヘプタン、ビシクロ-ヘプタン若しくはビシクロ-オクタン、及び/又はテトラヒドロフランが挙げられる。好ましい結晶成長抑制剤の1つは、シクロペンタンテトラカルボキシレートである。
【0232】
少なくとも75%、好ましくは100%のカルボキシレート基を素環の三次元構造の同じ側か又は「シス」位に有する環状カルボキシレートは、本明細書での使用に好ましい。
【0233】
素環の同じ側にある2つのカルボキシレート基は、直接隣接しているか、又は「オルト」位にあることが好ましい。
【0234】
好ましい結晶成長抑制剤には、HEDP、トリカルバリル酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸(THFTCA)及びシクロペンタンテトラカルボン酸(CPTCA)が挙げられる。THFTCAは、好ましくは2c,3t,4t,5c配置であり、CPTCAは、シス,シス,シス,シス配置である。本明細書での使用に特に好ましい結晶成長抑制剤は、HEDPである。
【0235】
部分的に脱炭酸したポリイタコン酸ホモポリマーもまた、本明細書での使用に好ましく、好ましくは脱炭酸のレベルは50モル%~90モル%の範囲である。本明細書での使用に特に好ましいポリマーは、Itaconixにより供給されるItaconix TSI(登録商標)である。
【0236】
結晶成長抑制剤は、好ましくは、組成物の約0.01~約10重量%、特に約0.02~約5重量%、特に0.05~3重量%の量で存在する。
【0237】
金属ケア剤
金属ケア剤は、アルミニウム、ステンレス鋼、並びに銀及び銅などの非鉄金属を含む金属の曇り、腐食又は酸化を防止又は低減することができる。好ましくは、本発明の組成物は、製品の0.1~5重量%、より好ましくは0.2~4重量%、とりわけ0.3~3重量%の金属ケア剤を含み、好ましくは、金属ケア剤はベンゾトリアゾール(BTA)である。
【0238】
ガラスケア剤
ガラスケア剤は、食器洗浄プロセス中にガラス製品の外観を保護する。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の0.1~5重量%、より好ましくは0.2~4重量%、特に0.3~3重量%の金属ケア剤を含み、好ましくは、ガラスケア剤は亜鉛含有材料、特に水亜鉛土である。他の好適なガラスケア剤は、ポリエチレンイミン(PEI)である。特に好ましいPEIは、BASFにより供給されるLupasol(登録商標)FGである。
【0239】
pH
本発明の自動食器洗浄組成物は、好ましくは、20℃の蒸留水中1重量/体積%の水溶液中で測定した場合に、約9~約12、より好ましくは約10~約11.5未満、とりわけ約10.5~約11.5のpHを有する。
【0240】
予備アルカリ度
本発明の自動食器洗浄組成物は、好ましくは、20℃において100グラムの製品を含むNaOH中で測定した場合に、pH9.5で、約10~約20、より好ましくは約12~約18の予備アルカリ度を有する。
【0241】
洗浄条件
本明細書に記載される1つ以上のサブチリシン変異体が曝露され得る様々な洗剤製剤、洗浄水量、洗浄水温度、及び洗浄時間の長さを含む多岐にわたる洗浄条件が存在する。低洗剤濃度系は、約800ppm未満の洗剤成分を含有する洗浄水に関する。中洗剤濃度系は、約800ppm~約2000ppmの洗剤成分を含有する洗浄水に関する。高洗剤濃度系は、約2000ppmを超える洗剤成分を含有する洗浄水に関する。いくつかの実施形態において、本発明の「冷水洗浄」は、約10℃~約40℃、約20℃~約30℃、又は約15℃~約25℃、並びに約15℃~約35℃又は10℃~40℃の範囲内の他の全ての組み合わせの温度での洗浄に適した「冷水洗剤」を利用する。
【0242】
地理が異なると水の硬度も異なる。硬度は、水中のカルシウム(Ca2+)及びマグネシウム(Mg2+)の量の尺度である。水の硬度は、通常、Ca2+/Mg2+を混合した1ガロン当たりのグレイン数(gpg)で表される。米国におけるほとんどの水は硬質であるが、硬度は様々である。中程度の硬水(60~120ppm)から硬水(121~181ppm)の水は、60~181ppm(ppmを17.1で割ることによってppmを1 米国ガロン当たりのグレインに変換することができる)の硬度鉱物を有する。
【0243】
【表1】
【0244】
本発明の実施形態
以下は本発明の実施形態である:
1.界面活性剤及びプロテアーゼを含む自動食器洗浄組成物であって、
自動食器洗浄組成物は、区画を含む水溶性単位用量パウチの形態であり、区画は、粉末成分及びゲル成分の両方を含み、
プロテアーゼは、配列番号1に関して、
(i)122位における変異と、
(ii)126位、127位、128位、211位及び212位における1つ以上の変異と
を含む、サブチリシン変異体であり、
変異体は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する、自動食器洗浄組成物。
2.組成物が、2つ以上の区画、好ましくは3つ以上の区画を含む多区画パウチの形態である、実施形態1に記載の組成物。
3.プロテアーゼがゲル成分中に存在する、実施形態1又は2に記載の組成物。
4.組成物が漂白剤を含み、漂白剤が粉末成分中に存在する、実施形態1~3のいずれか一つに記載の組成物。
5.変異体が、
(i)M122L位における変異と、
(ii)126位、127位、128位、211位及び212位における1つ以上の変異と
を含む、実施形態1~4のいずれか一つに記載の組成物。
6.変異体が、126位、127位、128位、211位及び212位における2つ以上の変異、好ましくは126位、127位、128位、211位及び212位における3つ以上の変異、好ましくは126位、127位、128位、211位及び212位における4つ以上の変異、好ましくは126位、127位、128位、211位及び212位における5つの変異を含む、実施形態1~5のいずれか一つに記載の組成物。
7.変異体が、S126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される1つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される2つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される3つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される4つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される5つの変異を含む、実施形態1~6のいずれか一つに記載の組成物。
8.変異体が、変異M122L、S126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qを含む、実施形態1~7のいずれか一つに記載の組成物。
9.変異体が、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1~8のいずれか一つに記載の組成物。
10.変異体が、配列番号1と60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する親又は参照ポリペプチドに由来する、実施形態1~9のいずれか一つに記載の組成物。
11.組成物が、1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me-TACN)、1,2,4,7-テトラメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me/Me-TACN)及びそれらの混合物からなる群から選択されるマンガン漂白触媒を含む、実施形態1~10のいずれか一つに記載の組成物。
12.組成物が、アシルトランスフェラーゼ、アミラーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、アラビナーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルカナーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、ディスパーシン、エンドグルカナーゼ、エンド-β-マンナナーゼ、エキソ-β-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヘキソサミニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、脂肪分解酵素、リポキシゲナーゼ、リゾチーム、マンナナーゼ、メタロプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、ペクテートリアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルヒドロラーゼ、ペルオキシダーゼ、PETases、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリエステラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、追加のプロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチル-エステラーゼ、キシラナーゼ、及びキシロシダーゼ;並びにそれらの組み合わせから選択される1種以上の他の酵素を含む、実施形態1~11のいずれか一項に記載の組成物。
13.1種以上の酵素が、AA707、AA560、AAI10、SP722、BspAmy24、及びCspAmy1、並びにそれらの変異体、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミラーゼを含む、実施形態12に記載の組成物。
14.1種以上の酵素が、親α-アミラーゼの組換え非天然変異体を含み、変異体α-アミラーゼが、配列番号3と95%の同一性を有し、配列番号3に対して51位及び125位にアミノ酸置換を有する、実施形態13に記載の組成物。
【実施例
【0245】
(実施例1)
BG46サブチリシン変異体の発現
Bacillus gibsoniiBgi02446野生型サブチリシン(BG46)は、配列番号1に提供されている。この研究では、置換S039E、S099R、S126A、D127E、及びF128G(配列番号2)を有するBG46サブチリシン変異体を、更なる置換変異体の操作における出発点として使用し、BG46+S039E-S099R-S126A-D127E-F128Gと呼ぶ。全てのBG46サブチリシン変異体を、B.subtilis rrnIp2プロモーター配列(配列番号3)の変異体を含む5’AprEフランキング領域(B.subtilis rrnIp2プロモーター及び操作された変異体は、特許出願の国際公開第2020112609号においてより完全に記載されている)、aprEシグナルペプチド配列(配列番号4)をコードするヌクレオチド配列、B.lentusポリペプチド(配列番号5)をコードするヌクレオチド配列、成熟BG46サブチリシンをコードする遺伝子に対応する配列、BPN’ターミネーター(配列番号6)、カナマイシン耐性遺伝子発現カセット(配列番号7)を含む3’AprEフランキング配列を連続した順序で含むDNA断片を使用して発現させた。このDNA断片を、標準的な分子生物学技術を使用して組み立てた。発現カセットの線状DNAを使用して、適切な株のコンピテントB.subtilis細胞を形質転換した。
【0246】
形質転換混合物を、1.6%スキムミルク及び1.8ppmカナマイシンを含有するLAプレート上にプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。単一コロニーを採取し、抗生物質選択下、37℃でルリアブロス中で増殖させた。
【0247】
タンパク質発現実験のために、形質転換細胞を、96ウェルマイクロタイタープレート(MTP)中、培養培地(主要窒素源として尿素、主要炭素源としてグルコースを含み、強力な細胞増殖のために1%ソイトンを補充し、抗生物質選択を含む、MOPS緩衝液に基づく濃縮半定義培地)中、32℃、300rpm、湿度80%で、振盪培養器中で3日間増殖させた。遠心分離及び濾過後、目的のプロテアーゼを含有する清澄化した培養上清をアッセイに使用した。
【0248】
(実施例2)
アッセイ
タンパク質決定
培養上清中のBG46サブチリシン変異体の濃度を、Zorbax 300 SB-C3カラム及びアセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸(溶液A)及び0.07%トリフルオロ酢酸(溶液B)の直線勾配並びに220nmでの検出を使用するUHPLCによって決定した。培養上清を10mM NaCl、0.1mM CaCl、0.005%Tween(登録商標)-80で希釈し、カラムにロードした。試料のタンパク質濃度を、精製した親酵素の標準曲線を使用して計算した。
【0249】
プロテアーゼ活性
BG46サブチリシン変異体のプロテアーゼ活性を、AAPF-pNA合成ペプチド基質の加水分解を測定することによって試験した。
【0250】
AAPFアッセイについて、使用した試薬溶液は次のとおりであった:100mM Tris pH8.6、10mM CalCl、DMSO中の0.005%Tween(登録商標)-80(Tris/Ca緩衝液)及び160mM suc-AAPF-pNA(suc-AAPF-pNAストック溶液)(Sigma:S-7388)。作業溶液を調製するために、1mLのsuc-AAPF-pNAストック溶液を100mLのTris/Ca緩衝液に添加し、混合した。酵素試料を1mg/mLのsuc-AAPF-pNA作用液を含むマイクロタイタープレート(MTP)に添加し、SpectraMaxプレートリーダーを室温(RT)で動的モードで使用して、405nmで3~5分間の活性をアッセイした。プロテアーゼ活性をmOD/分として表した。
【0251】
Tris-EDTA中の安定性アッセイ
本明細書に記載のBG46サブチリシン変異体をストレス緩衝液で希釈し、上記のAAPFアッセイを使用して、加熱インキュベーション工程の前後に変異体のタンパク質分解活性を測定することによって、当該変異体の安定性を測定した。基準プロテアーゼが約15~30%の残留活性を示すように、加熱インキュベーション工程の温度及び持続時間を選択した。試料を、384ウェルのサーマルサイクラーにおいて、60℃で5分間インキュベートした。Tris-EDTA(50mM Tris pH9;5mM EDTA、0.005%Tween(登録商標)-80)の緩衝条件で安定性を測定した。安定性の結果を、非ストレス条件に対するストレス条件についてのmOD/分の比をとり、100を掛けることによって、各酵素試料についての残存活性のパーセント(%)として計算した。
【0252】
(実施例3)
例示の実施例
【0253】
【表2】
【0254】
【表3】
【0255】
固相及びゲル相は、所望のように組み合わせることができる。成分の混合後に液体であり、最大10分の硬化時間内で寸法的に安定であるゲル相の空間的配置は、固相の空間的配置によって、及び市販の又は自己設計された型によって予め決定することができる。PVOH含有フィルムを深絞りすることによって、開放パウチの形態の水溶性包装体を製造することができる。液体組成物を前述の開放空洞に注入し、硬化後にゲル相をもたらすことができ、次いで、自由流動固体の形態の固相を、ポリビニルアルコールを含むパウチに注入することができる。1.0gの液体非イオン性界面活性剤Genapol EC 50を、得られた微粒子表面上に計量供給することができる。非イオン性界面活性剤の割合は、他の相を変化させることなく有意に増加させることができる。開放パウチは、第2のフィルムを適用し、ヒートシールによって密封することによって密封することができる。調製された洗浄剤ポーションは、魅力的な審美性によって特徴付けることができる。
【0256】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【配列表】
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【手続補正書】
【提出日】2024-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤及びプロテアーゼを含む自動食器洗浄組成物であって、
前記自動食器洗浄組成物は、区画を含む水溶性単位用量パウチの形態であり、前記区画は、粉末成分及びゲル成分の両方を含み、
前記プロテアーゼは、配列番号1に関して、
(i)122位における変異と、
(ii)126位、127位、128位、211位及び212位における1つ以上の変異と
を含む、サブチリシン変異体であり、
前記変異体は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する、自動食器洗浄組成物。
【請求項2】
前記組成物が、2つ以上の区画、好ましくは3つ以上の区画を含む多区画パウチの形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記プロテアーゼが前記ゲル成分中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が漂白剤を含み、前記漂白剤が前記粉末成分中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記変異体が、
(i)M122L位における変異と、
(ii)126位、127位、128位、211位及び212位における1つ以上の変異と
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記変異体が、126位、127位、128位、211位及び212位における2つ以上の変異、好ましくは126位、127位、128位、211位及び212位における3つ以上の変異、好ましくは126位、127位、128位、211位及び212位における4つ以上の変異、好ましくは126位、127位、128位、211位及び212位における5つの変異を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記変異体が、S126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される1つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される2つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される3つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される4つ以上の変異、好ましくはS126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qから選択される5つの変異を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記変異体が、変異M122L、S126A、D127E、F128G、M211Q及びN212Qを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記変異体が、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記変異体が、配列番号1と60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する親又は参照ポリペプチドに由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me-TACN)、1,2,4,7-テトラメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me/Me-TACN)及びそれらの混合物からなる群から選択されるマンガン漂白触媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、アシルトランスフェラーゼ、アミラーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、アラビナーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルカナーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、ディスパーシン、エンドグルカナーゼ、エンド-β-マンナナーゼ、エキソ-β-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヘキソサミニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、脂肪分解酵素、リポキシゲナーゼ、リゾチーム、マンナナーゼ、メタロプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、ペクテートリアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルヒドロラーゼ、ペルオキシダーゼ、PETases、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリエステラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、追加のプロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチル-エステラーゼ、キシラナーゼ、及びキシロシダーゼ;並びにそれらの組み合わせから選択される1種以上の他の酵素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記1種以上の酵素が、AA707、AA560、AAI10、SP722、BspAmy24、及びCspAmy1、並びにそれらの変異体、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミラーゼを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記1種以上の酵素が、親α-アミラーゼの組換え非天然変異体を含み、前記変異体α-アミラーゼが、配列番号3と95%の同一性を有し、配列番号3に対して51位及び125位にアミノ酸置換を有する、請求項13に記載の組成物。
【国際調査報告】