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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】部品の付加製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20250121BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20250121BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20250121BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20250121BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20250121BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20250121BHJP
   B29C 64/236 20170101ALI20250121BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20250121BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20250121BHJP
   B29C 64/277 20170101ALI20250121BHJP
   B22F 10/20 20210101ALI20250121BHJP
   B22F 12/44 20210101ALI20250121BHJP
   B22F 10/85 20210101ALI20250121BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/153
B33Y50/02
B33Y30/00
B29C64/268
B29C64/241
B29C64/236
B29C64/386
B33Y50/00
B29C64/277
B22F10/20
B22F12/44
B22F10/85
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535402
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2022086814
(87)【国際公開番号】W WO2023111363
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021133722.4
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522359419
【氏名又は名称】クルツ ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ロタウグ ウヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ロマノフ ヴィクター
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AQ01
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL13
4F213WL43
4F213WL45
4F213WL76
4F213WL77
4F213WL85
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
本発明によれば、好ましくは選択的溶融又は焼結による、特に粉末床ベースのレーザビーム溶融プロセスによる部品の付加製造装置が提供され、この装置は、制御ユニットを有する。部品の付加製造装置のモジュールは、部品の付加製造装置を迅速に再構成できるように、さらなる設定手順を要せずに交換することができる。本発明は、上記の付加製造装置によって特定の部品を製造するための生産工程計画を自動的に生成するための計画制御ユニットも提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは選択的溶融又は焼結による部品の付加製造装置であって、
光ビームを処理領域に向ける処理ヘッドと、前記処理ヘッドが配置される旋回アームと、前記旋回アームが回転可能に取り付けられるキャリッジとを有する少なくとも1つのモジュールであって、レールユニットに沿って移動することができる、少なくとも1つのモジュールと、
前記モジュールの所定の特性を定義するモジュールパラメータが記憶され得るか又は記憶される制御ユニットであって、前記制御ユニットは、前記モジュールパラメータに基づいて異なるモジュールを制御するように設定及び設計され、その結果、部品の前記付加製造装置の中でモジュールを交換することができ、これらは、好ましくは、更なる設定手順を要せずに、前記制御ユニットによって制御することができる、制御ユニットと、
を含む、部品の付加製造装置。
【請求項2】
モジュールは、少なくとも1つの処理ヘッドと、少なくとも1つの旋回アームと、少なくとも1つのキャリッジとを備え、又は前記モジュールは、対応する旋回アーム、キャリッジ及びレールを有するいくつかの処理ヘッドを備えること
を特徴とする、請求項1に記載の付加製造装置。
【請求項3】
モジュールは、モジュールパラメータ、又は前記モジュールパラメータへの自動割り当てを含む識別子を有し、特に、異なるモジュールに対して異なるモジュールパラメータを前記装置に記憶することができること
を特徴とする、請求項1又は2に記載の付加製造装置。
【請求項4】
特に請求項1~3のいずれか一項に記載の部品の付加製造装置によって特定の部品を製造するための生産工程計画を自動的に生成するための計画制御ユニットであって、
前記計画制御ユニットは、製造される前記部品のCADデータに基づいて少なくとも1つの生産工程計画を作成するように設定及び設計され、
前記計画制御ユニットは、設定及び設計され、その結果、製造される前記部品の前記CADデータに基づいて最適化された構成が決定され、前記最適化された構成に基づいて生産工程計画が作成されるようになることと、
特に、前記付加製造装置の異なる構成に対して複数の生産工程計画が作成され、前記異なる構成は、異なるモジュールパラメータによって定義され、その結果、前記複数の生産工程計画のうちの1つを、生産時間及び/又は製品品質のパラメータに関して選択できることと、
を特徴とする、計画制御ユニット。
【請求項5】
前記計画制御ユニットは、所定のパラメータに従って生産工程計画を自動的に選択するように設定及び設計されること
を特徴とする、請求項4に記載の計画制御ユニット。
【請求項6】
前記モジュールパラメータは、
異なる数、及び/又は
特に長さ及び/又は旋回範囲に関して、異なるタイプの旋回アーム、及び
特に構築プラットフォームに平行なX方向又はY方向、及び好ましくはZ方向、したがって前記構築プラットフォームに直交する高さに関して、処理チャンバ内のレールユニットの異なるタイプ及び位置決め、及び/又は
特に構造設計に関して、異なるタイプのキャリッジ、及び/又は
特に強度又は温度に関して、異なるタイプの処理ヘッド、及び/又は
レールユニット当たり異なる数の処理ヘッド
を含むこと
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の付加製造装置、又は請求項4若しくは5に記載の計画制御ユニット。
【請求項7】
キャリッジ及び旋回アームの異なる移動速度又は加速度及び/又は前記処理ヘッドの異なる印刷速度及び/又は異なる強度又は温度を含む異なる制御パラメータが、前記生産制御ユニット及び/又は前記計画制御ユニットに記憶され、これらは、使用される前記構成要素、特に前記装置の前記モジュールに基づいて、及び/又は部品の構築計画に基づいて、自動及び/又は手動で選択され得ること
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の付加製造装置、又は請求項4~6のいずれか一項に記載の計画制御ユニット。
【請求項8】
レールユニット当たりのキャリッジの数が多いモジュールは、より短い旋回アームを有する処理ヘッドを有することと、レールユニット当たりのキャリッジの数が少ないモジュールは、より長い旋回アームを有することと
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の付加製造装置、又は請求項4~7のいずれか一項に記載の計画制御ユニット。
【請求項9】
2つ以上のレールユニットが、移動可能に設計されること
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の付加製造装置、又は請求項4~8のいずれか一項に記載の計画制御ユニット。
【請求項10】
請求項1~3に記載の制御ユニットは、生産制御ユニットであり、この制御ユニットは、前記計画制御ユニットも備え、このようにして、前記制御ユニットを形成すること
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の付加製造装置、又は請求項4~9のいずれか一項に記載の計画制御ユニット。
【請求項11】
少なくとも1つの距離センサを設けて、好ましくは電気光学的距離を測定して、前記処理ヘッドの位置を光学的に監視すること
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の付加製造装置、又は請求項4~10のいずれか一項に記載の計画制御ユニット。
【請求項12】
部品の付加製造装置の最適な構成を計算する方法であって、特に請求項1~3のいずれか一項に記載の付加製造装置で使用するために、又は請求項4~11のいずれか一項に記載の計画制御ユニットを用いて前記最適な構成を作成するために、
(部品データから)製造される部品のCADデータを読み出すステップと、
個々の層における局所的な作業要件を決定するステップと、
全ての層の処理要件に従ってモジュールの最適な構成を決定するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記最適な構成は、
多数の処理ヘッドを、材料の大きな蓄積を有する印刷領域に割り当てること、及び/又は
短い旋回アームを、材料の大きな蓄積を有する印刷領域に配置すること、及び/又は
少数の処理ヘッドを、小さな表面積を有する印刷領域に割り当てること、及び/又は
長い旋回アームを、小さな表面積を有する印刷領域に割り当てること
によって達成されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
好ましくは選択的溶融又は焼結によって、部品を付加製造する方法、部品の付加製造装置の最適な構成を計算する方法によって、特に請求項1~3のいずれか一項に記載の付加製造装置を用いて、又は請求項4~11のいずれか一項に記載の計画制御ユニットを用いて作成された生産工程計画によって行う、方法であって、
制御ユニット内のモジュールの所定の特性を定義するモジュールパラメータを記憶するステップと、
付加製造装置の前記構成を変更した後、更なる設定手順を要せずに、モジュールパラメータに基づいて前記制御ユニットによって生産工程計画に従って、異なるモジュールを制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
特に請求項1~3のいずれか一項に記載の部品の付加製造装置の計画制御ユニットによって特定の部品を製造するための生産工程計画を生成するための方法であって、
製造される前記部品のCADデータを読み出すステップと、
製造される前記部品の前記CADデータに基づいて前記計画制御ユニットを使用して少なくとも1つの生産工程計画を作成するステップと、
部品の前記付加製造装置の前記モジュールの異なる構成を生成するステップと、これに基づいて、
複数の生産工程計画を作成するステップであって、前記生産工程計画が部品の前記付加製造装置の異なるモジュールパラメータによって定義される、ステップと、
生産時間及び/又は製品品質及び/又は量に基づいて生産工程計画を選択するステップであって、前記生産工程計画及び前記適切な構成が出力される、ステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
構成が異なると、部品の変化、特にモジュールの変化、領域ごとの塗布速度の変化が生じ、この前記塗布速度の前記変化によって、前記処理ヘッド及びそれらに割り当てられた前記処理領域の配置又は位置の変化、及び/又は異なる領域における処理ヘッドの数の変化が生じること
を特徴とする、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の付加製造又は生成製造のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、いくつかの空間的に分離されたビームガイドを用いた生成部品製造のための装置及び方法を説明する。処理ヘッドは、いくつかのビームを標的位置に向けることができるいくつかの光スイッチング素子を有する。処理ヘッドは、直線軸に沿って移動させることができる。直線軸は、垂直な直線軸上に摺動可能に取り付けられる。これにより、XY移動が可能となる。レーザビーム源は、直線軸上に取り付けられる。
【0003】
特許文献2は、選択的レーザ焼結による付加製造装置を開示している。1つ以上のレーザは、1つ以上のレーザヘッドに割り当てられる。これらのレーザは、ビームスプリッタを介して個々のヘッドに分配される。ヘッドは、レールに沿ってX方向及びY方向に移動することができる。ヘッドは、互いに独立して移動することができる。ヘッドへの光供給は、ミラーによって実現される。
【0004】
特許文献3は、光学ヘッドに光ファイバを介してレーザビームを供給する付加製造プロセスを記述する。これにより、いくつかのレーザビームを同じヘッドに向け、そこから平行に放射することができる。これにより、粉末床の表面上に平行な融点が可能になる。
【0005】
同様のプロセスは、特許文献4に記載されている。
【0006】
特許文献5、6及び7は、粉末床上にレーザビームを方向付けることができるいくつかの光学ヘッドを有する選択的レーザ焼結装置を開示している。これらのヘッド自体は、X方向及びY方向に移動させることはできないが、代わりに、ミラーを介してレーザビームを対応する位置に向けることができる。この利点は、レーザ焦点を迅速に移動できることである。しかしながら、ヘッドは粉末床から比較的遠く離れていなければならず、限られた面積しか照らすことができない。
【0007】
特許文献8、9及び10は、クロススライド構成を有する焼結のための装置、プラスチック印刷のためのいくつかのヘッドを有する付加製造プロセス、及び3Dプリンタと3D切断要素の両方を有するヘッドを備えた装置を示す。
【0008】
特許文献11は、選択的レーザ溶融のための装置及び方法を開示し、そこで、粉末床ベースのレーザ溶融プロセスに従って材料を溶融するために並列に動作する複数のレーザヘッドを提供している。各レーザヘッドは、リニアレールユニットに沿って移動可能であり、レーザヘッドは、互いに独立して移動可能である。レーザヘッドのアレイ及び粉末床表面を互いに対して水平に回転させることができる。
【0009】
特許文献12は、部品の付加製造装置及び方法を記載し、装置は、いくつかのロボットアームを備え、その各々に堆積ヘッド及びレーザヘッドが互いに隣接して取り付けられる。ロボットアームはそれぞれ、少なくとも1つの旋回ジョイントを備え、堆積ヘッド及びレーザヘッドを3つ全ての空間方向に移動させるように設計される。このようにして、材料を堆積ヘッドによって処理表面に塗布することができ、この領域を直後にレーザで溶融することができる。
【0010】
特許文献13は、付加製造プロセス及びフライス加工プロセスのための機器を含む装置を開示している。装置は、本質的に、いくつかのロボットアームを備え、それらは、作業プラットフォーム上に材料を提供するため、又は完成した構成要素を除去するためのグリッパ要素、あるいはレーザヘッドを備えることができる。ロボットアームは、それぞれ2つのジョイントを備え、したがって、それらが回転及び旋回され得るように搭載される。装置は、また、レーザヘッド又はミリングヘッドを備えることができる中央生産アームを含む。中央生産アームは、レールユニットに沿って直線的に移動することができる。
【0011】
特許文献14は、積層成形プロセスに従って材料を溶融するために並列に動作する2つのレーザヘッドが提供される積層成形装置を特徴とする。両方のレーザヘッドはレールユニットに結合され、互いに独立して直線的に移動することができる。また、レールユニットも移動することもできる。これにより、処理領域を完全に覆うことができる。レーザビームは、2つのミラー要素を使用する集束ユニットによって処理領域に導かれる。
【0012】
特許文献10は、3D印刷のための装置及び方法を記載し、そこで、出発材料を溶融するためのレーザと、製造された構造を加工するための切断レーザとを提供している。出発材料を溶融するためのレーザ及び切断レーザは、いくつかのレールユニットに沿って互いに独立して水平及び垂直の両方に移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】独国特許出願公開第102016222068号明細書
【特許文献2】国際公開第2018/202643号
【特許文献3】米国特許第10,399,183号明細書
【特許文献4】米国特許第10,399,145号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2015/0283612号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2014/0198365号明細書
【特許文献7】特開2009-6509号公報
【特許文献8】独国特許10053742号明細書
【特許文献9】米国特許第9,011,136号明細書
【特許文献10】中国実用新案第206065685号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2019/0009333号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2017/0129012号明細書
【特許文献13】中国特許出願公開第106312574号明細書
【特許文献14】独国特許出願公開第102018128543号明細書
【特許文献15】独国特許出願公開第102022107263号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、好ましくは選択的な溶融又は焼結によって部品の付加製造装置及び方法で、異なる寸法の部品に柔軟に適合させることができるものを提供することである。
【0015】
本発明の更なる課題は、部品の付加製造装置及び方法で、設計が単純であり、高い製造速度を可能にし、3D部品を高精度で製造することができるものを提供することである。
【0016】
これらの課題の1つ以上は、独立請求項1の特徴を有する装置及び請求項15の特徴を有する方法によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項に与えられる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、好ましくは選択的溶融又は焼結による、部品の付加製造装置(Vorrichtung zum additiven Fertigen von Bauteilen)が提供される。これは、光ビームを処理領域に向けるための処理ヘッドと、処理ヘッドが配置される旋回アームと、旋回アームが回転可能に取り付けられるキャリッジとを有する少なくとも1つのモジュールを備え、モジュールは、レールユニットに沿って移動することができ、制御ユニットは、モジュールの所定の特性を定義するモジュールパラメータを記憶することができ、制御ユニットは、モジュールパラメータを使用して異なるモジュールを制御するように設定及び設計され、その結果、部品の付加製造装置の中でモジュールを交換でき、これらを、好ましくは、更なる設定手順を要せずに制御ユニットによって制御することができる。
【0018】
制御ユニットは、モジュールパラメータに基づいて異なるモジュールを制御するように設定及び設計されるため、必要に応じてモジュールを他のモジュールと交換することができ、又は付加製造装置の構成を変更するために、モジュールを除去又は追加することができるので、例えば、多数の部品を製造するため、又は可能な限り短時間で部品を製造するため、又は高品質の部品を製造するために、それに応じて装置を変換及び適合できる。
【0019】
なぜなら、モジュールパラメータは、制御ユニット内に記憶するか、又は記憶できるので、制御ユニットは、交換可能な異なるモジュールを有する付加製造装置の異なるモジュール及び対応する異なる構成を制御することができる。これらの変更にもかかわらず、装置は、付加製造装置の異なるモジュール又は構成を制御することができる。
【0020】
したがって、本発明による装置は、所望に応じて、又はほぼ所望に応じて、製造されるべき異なる数の部品にも、生産時間及び多孔性又は表面品質等の品質にも関する異なる要件にも適合させることができる。原則として、構成は、多数の処理ヘッド及び/又は非常に強力な処理ヘッドが、多くの材料が塗布される領域に設けられるように最適化されるべきである。
【0021】
したがって、本発明による装置は、また、幾何学的形状に、特に付加製造される部品の表面又は処理領域の材料蓄積及び対応するサイズに適合させることができる。
【0022】
このようにして、本発明による装置は、極めて柔軟であり、特定の限度内でほぼあらゆる製造要件に適合させることができる。
【0023】
これらの異なる構成によって、付加製造装置の個々の構成をスループットに関して最適化することができるので、スループットを著しく高くすることが可能になる。従来の付加製造装置、特に、いくつかのキャリッジによって移動可能な処理ヘッドを有する付加製造装置は、製造される部品に対して個別に構成することができず、そのため、材料がほとんど塗布されない領域で、容量が過剰になり、材料が多く塗布される領域では、容量が不足している。
【0024】
これについて、本発明による装置の技術的特徴を参照して、以下でより詳細に説明する。
【0025】
モジュールは、
処理ヘッド、
処理ヘッドを有する旋回アーム、
1つの旋回アーム及び処理ヘッド、又はいくつかの旋回アーム及び処理ヘッドを有するキャリッジ、又は
1つ以上のキャリッジを有するレールと、1つの旋回アーム及び処理ヘッド、又はいくつかの旋回アーム及び処理ヘッドを有するレール
を備えることができる。
【0026】
さらに、付加製造装置における以下の設定:
・処理チャンバ内の異なる位置に、特に互いから異なる距離にあるレールユニット、
・異なるレールユニット、
・異なるタイプのキャリッジ、
・特にアームの自由度及び/又は長さに関して、異なるタイプの旋回アーム、
・レールユニット当たり異なる数の処理ヘッド、特に対応する数の旋回アーム及びキャリッジ、
・異なるタイプの処理ヘッド、
のうちの1つ以上は、1つ以上のモジュールを交換することによって、を変更することができ、
制御ユニットは、これらの構成要素(Komponenten)を制御するように設定及び設計され、その結果、装置は、異なる部品及び/又は部品の異なる領域を製造するためにそれに応じて変換できるようになる。
【0027】
さらに、モジュールは、内部識別子又は外部識別子を有することができる。外部識別子は、モジュールをインストールする際に使用される外部リーダによって読み取られる識別子である。内部識別子は、付加製造装置に組み込まれたリーダによって自動的に読み取られる識別子である。内部識別子は、例えば、半導体メモリに記憶されたバーコード又はRFIDチップ又はタイプ指定の形態であり得る。外部識別子は、例えば、バーコード又はRFIDチップなどの形態であり得る。識別子は、モジュールパラメータ又はモジュールパラメータへの自動割り当てが可能なコードのいずれかを含み、対応するモジュールパラメータは、制御ユニットに自動的にロードすることができ、又はモジュールパラメータがすでに存在する場合、モジュールパラメータを自動的に選択することができる。
【0028】
異なるモジュールに対する異なるモジュールパラメータを装置に記憶させてもよく、モジュールパラメータは、内部的又は外部的に、例えば、内部データベースもしくは外部データベースを用いて、又はオンラインで、又はモジュール自体などに関連して提供されてもよい。
【0029】
モジュールに対応する識別子を提供することによって、装置は、製造される部品の処理要件に従って、装置を異なる構成又は異なる配置及び/又はモジュールの数に変換するために、どのモジュールが現在設置されているか、及びどの特性(例えば、旋回アームの長さ、又はキャリッジの横断速度又は直線加速度、又は旋回アームの回転加速度及び/又は回転速度)を有するかを認識する。
【0030】
モジュールパラメータは、例えば、旋回アームの長さに関する情報、処理ヘッド、特に溶融物塗布のための処理ヘッドの光強度又は温度に関する情報、及び/又はキャリッジの横断速度若しくは横断加速度に関する情報と、Z方向において構築プラットフォームに直交する異なる高さにおけるレールユニットの可能な配置に関する情報も、又はX方向若しくはY方向において構築プラットフォームの表面に平行な2つのレール間の距離に関する情報も含む。
【0031】
制御ユニットは、2つの構成要素を備えることができる。制御ユニットは、3Dプリンタ又は部品の付加製造装置による生産プロセス計画を制御する生産制御ユニットである。
【0032】
制御ユニットの別の構成要素は、計画制御ユニットであり、計画制御ユニットは、3Dプリンタの1つ以上の生産工程計画及び/又は1つ以上の構成を作成する。
【0033】
本発明の更なる態様によれば、部品の付加製造装置、特に上記の部品の付加製造装置によって特定の部品を製造するための生産工程計画を自動的に生成するための計画制御ユニットが提供される。
【0034】
計画制御ユニットは、CADデータ又は製造される部品の構築計画に基づいて、少なくとも1つの製造プロセスを作成するように設定及び設計される。この計画制御ユニットは、部品の付加製造装置の異なる構成が異なるモジュールパラメータによって使用されるいくつかの生産工程計画(Produktionsablaufplan)を生成することができるように計画制御ユニットが設定及び設計され、それにより、パラメータ生産時間及び/又は品質に関して生産工程計画の1つを選択することができるという事実によって特徴付けられる。
【0035】
これは、計画制御ユニットが、製造される部品のCADデータ又は構築計画(Bauplan)を分析することが可能なことを意味する。この分析に基づいて、次いで、付加製造装置の構成は、特定のモジュールを指定することによって適合させることができる。
【0036】
したがって、計画制御ユニットは、部品の付加製造装置を用いて特定の部品を製造するための生産工程計画を自動的に生成するために、製造される部品を分析し、最適な構成を出力することができる。
【0037】
追加及び/又は代替として、計画制御ユニットは、またCADデータに基づいて、モジュールの異なる構成を伴ういくつかの生産工程を作成し、次いで、生産工程を自動的に選択することもできる。ここで使用される構成は、妥当性検査によって事前に選択されるが、その理由は、正確な分析が、時として、非常に時間がかかり、異なる構成を有する異なる生産工程もまた、異なる利点を示し、したがって、概して、どの構成及びどの生産工程が最良であるかを述べることができないからである。これは、特定の用途に依存する。使用される材料も変化させることができ、これは分析及び最適化における更なる自由度をもたらす。作成済みの生産工程計画に基づいて、生産工程計画を手動で選択することもできる。
【0038】
自動選択のために、計画制御ユニットは、所定のパラメータに従って生産工程計画を自動的に選択するように設定及び設計することもできる。
【0039】
例えば、生産時間が短いことは、特に生産される部品の品質に高い要求が課されない場合に、大量であるとき、又は機械の稼働率が高いときに、利用に有利なことがある。これは、いくつか又は多数の処理ヘッド、及び/又は長い又は短い旋回アームを有するモジュールが提供され得ることを意味する。さらに、より大きな処理領域又はより小さな処理領域を溶融するために、異なる光強度又は出力を有する処理ヘッド、又は粉末床内に異なる温度を発生させる処理ヘッドを設けることもできる。
【0040】
原則として、キャリッジ移動速度が遅く、旋回アームが短ければ、特に、製品品質を高くすることが可能になるが、旋回アームが長く、移動速度が速いと、製品品質を低くすることが可能になる。
【0041】
計画制御ユニットは、また、どのモジュール構成が可能であるかを決定するために、どのモジュールが装置内で利用可能であるかを記憶することができる。
【0042】
このようにして、どのモジュール及びどの数のモジュール又はどのモジュール構成が部品の製造に最も適しているかを明確に決定することができる。
【0043】
モジュールパラメータには、
異なる数、及び/又は
特に長さ及び/又は旋回範囲に関して、異なるタイプの旋回アーム、及び
特に構築プラットフォームに平行なX方向又はY方向に関して、好ましくはZ方向に関して、したがって構築プラットフォームに直交する高さに関して、処理チャンバ内のレールユニットの異なるタイプ及び位置決め、及び/又は
特に構造設計又は幾何学的形状又は移動速度に関して、異なるタイプのキャリッジ、及び/又は特に光強度出力又は温度に関して、異なるタイプの処理ヘッド、及び/又は
レールユニット当たり異なる数の処理ヘッド
を含むことができる。
【0044】
さらに、キャリッジ及び旋回アームの異なる移動速度又は加速度及び/又は処理ヘッドの異なる印刷速度及び/又は異なる強度又は温度を含む異なる制御パラメータは、制御ユニット内に、特に生産制御ユニット又は計画制御ユニット内に記憶することができ、これは、使用される構成要素、特に装置のモジュールに基づいて、及び/又は部品の構築計画に基づいて、及び/又は複数の生産工程計画に基づいて、又は1つの生産工程計画に基づいて、自動及び/又は手動で選択することができる。
【0045】
特に、レールユニット当たりのキャリッジの数が多いモジュールは、より短い旋回アームを有する処理ヘッドを有するように、レールユニット当たりのキャリッジの数が少ないモジュールは、より長い旋回アームを有するように設けてもよい。
【0046】
好ましくは、2つ以上のレールユニットを、特に構築プラットフォームに対して平行に、及び/又は構築プラットフォームに対して直角に一緒に移動させることができるように設けてもよい。
【0047】
これは、例えば、大きな処理領域を有する部品の領域又はレベルに対して、レールユニットは、構築プラットフォームに対して平行にさらに離間され、次いで、より多くの処理ヘッドを特定の領域に配置するために、材料のより大きな蓄積又は構築プラットフォームに対して平行なより高い部品密度を有する領域において、互いに近づくように移動され得ることを意味する。
【0048】
レールユニットは、また構築プラットフォームに直交するZ方向に高さが移動可能であるため、隣接するモジュールの対応する旋回アームがZ方向に上下に配置され、移動するときに衝突しないようになっている。隣接するキャリッジの旋回アームの衝突を回避するために、旋回アームを異なる高さでキャリッジ上に配置することもできる。
【0049】
好ましい実施形態では、モジュールの旋回アームの長さは、調整ユニットによって、例えばリニアドライブによって自動的に変更することができる。この長さの変更は、例えば、付加製造装置の構成が変更される休止中にのみ実行することができ、又は通常動作中にも変更することができる。
【0050】
このような自動変更は、異なる層に対して自動的に行うことができ、個々の構成も、生産工程計画が作成されるとき、各層又は層のグループに対して、これが自動的に変更され得る限り、定義される。
【0051】
モジュールは、自動的に交換することもできる。モジュールは、この目的のためにモジュールマガジン内に格納し、交換ロボットを使用して自動的に交換することができる。
【0052】
自動変更は、また旋回アームの長さの自動調整又はモジュールの自動交換と組み合わせて、又は代替として、キャリッジが搭載されるレールを自動的に移動させることによって、実現することができる。
【0053】
旋回アームの長さを調整することにより、例えば、動作中(動的)に長い旋回アームを短い旋回アームに変更することができ、こうして、隣接するモジュールの2つのレールユニットが互いにより近くに配置されるとき、処理ヘッド又はモジュールの旋回アームが互いに接触するのを防止することができる。短い旋回アームでは、レールの周囲のより小さい領域のみをカバーすることができる(カバー領域)。しかしながら、より短い旋回アームによって、より長い旋回アームと比較して、より正確な位置決めが可能になる。さらに、短い旋回アームが取り付けられる少なくとも2つ以上のレールを互いに非常に近接して配置することができ、高密度の処理ヘッドを提供することができる。
【0054】
上記の実施形態によれば、装置内の所定の位置に異なる数のモジュールを配置することができる。
【0055】
モジュールは、結合ユニットを介して電源及び制御ユニットに、好ましくは光源に接続することができる。装置は、処理チャンバと、1つ以上の構築プラットフォームと、少なくとも1つの材料供給ユニットとを有することができる。
【0056】
装置は、処理チャンバと、1つ以上の構築プラットフォームと、少なくとも1つの材料供給ユニットとを有することができる。
【0057】
さらに、少なくとも1つの距離センサを設けて、好ましくは電気光学距離を測定して、構築プラットフォームに平行なX及び/又はY方向及び/又は構築プラットフォームに直交するZ方向で、処理ヘッドの位置を光学的に監視することができる。
【0058】
これによって、隣接する処理ヘッドが処理中に互いに接触しないことが保証される。したがって、装置の構成要素への損傷を安全かつ確実に回避することができる。
【0059】
さらに、本発明によれば、部品の付加製造装置、特に上記で開示された装置の最適な構成を計算するための方法が提供される。このような方法は、
製造される部品のCADデータを読み出すステップと、
個々の層における局所的な作業要件を決定するステップと、
製造される部品の全ての層の処理要件に従って最適な構成を決定するステップと、
を含む。
【0060】
このように、本発明によれば、CADデータのみを読み出し、このCADデータに基づいて全層の処理要件に従って、最適なモジュール構成を決定するという簡易な方法が提供される。
【0061】
このようにして、ユーザはCADプランを読み出すだけで、品質及び/又は処理時間及び/又は量に関して最適なモジュール構成を有する部品を製造するために、装置に装備しなければならないモジュールを自動的に出力する。装置は、次いで、それに応じて簡単に変換することができる。
【0062】
最適な構成は、
多数の処理ヘッドを、材料の大きな蓄積を有する印刷領域に割り当てること、及び/又は
短い旋回アームを、材料の大きな蓄積を有する印刷領域に、特に、この領域にいくつかの処理ヘッドを配置することができるように、割り当てること、及び/又は
少数の処理ヘッドを、小さな表面積を有する印刷領域に割り当てること、及び/又は
長い旋回アームを、小さな表面積を有する印刷領域に割り当てること
によって達成することができる。
【0063】
より短い旋回アームに配置される処理ヘッドによって、より高い精度、したがってより高い品質の部品をこの領域で製造することができる。
【0064】
さらに、より短い旋回アームを有する処理ヘッドは、対応する1つの処理領域の上方又は対応する複数の処理領域の上方に、より高密度に配置することができる。
【0065】
他方で、より長い旋回アームを有する処理ヘッドは、構築プラットフォームに対して、より大きな移動範囲が可能になり、通常、製品品質が劣ることになるが、その理由は、長い旋回アームを有する処理ヘッドをより正確に制御できないからである。
【0066】
したがって、より長い旋回アームを有する処理ヘッドを提供することによって、構築プラットフォームのより大きな処理領域をカバーすることができるので、部品を製造するために必要とされる処理ヘッドがより少なくなる。
【0067】
さらに、本発明によれば、好ましくは選択的な溶融又は焼結によって、部品を付加製造するための方法が、特に上述のような装置を用いて提供される。この方法は、
制御ユニット内のモジュールの所定の特性を定義するモジュールパラメータを記憶するステップと、
特に更なる設定手順を要せずに、モジュールパラメータに基づいて制御ユニットによって異なるモジュールを制御するステップと、
を含む。
【0068】
この方法の利点は、部品の付加製造装置を参照して上述した利点に類似している。
【0069】
さらに、本発明によれば、部品の付加製造装置の計画制御ユニットによって特定の部品を製造するための生産工程計画を生成するための方法が提供される。この方法は、
製造される部品のCADデータを入力するステップと、
製造される部品のCADデータに基づいて最適化システムを使用して少なくとも1つの生産工程計画を作成するステップと、
部品の付加製造装置のモジュールの異なる構成を定義するステップと、これに基づいて、
1つ以上の生産工程計画を作成するステップであって、生産工程計画が付加製造装置の異なるモジュールパラメータに基づく、ステップと、
生産時間又はスループット及び/又は製品品質に基づいて生産工程計画を選択するステップであって、生産工程計画及び適切な、又は決定された構成が出力される、ステップと、
を含む。
【0070】
この方法の利点は、本発明による計画制御ユニットを参照して上述した利点に類似している。
【0071】
さらに、構成が異なることによって、モジュールの変化が生じ、したがって、特定の領域における塗布速度の変化が生じ、この塗布速度の変化は、処理ヘッド及びそれらに割り当てられた処理領域の配置又は位置の変化、及び/又は異なる領域における処理ヘッドの数の変化に基づく。
【0072】
これは、例えば、処理ヘッドとそれに割り当てられた処理領域の配置を意味し得る。これは、また異なる領域における処理ヘッドの異なる数又は密度を意味し得る。さらに、完全に異なるモジュール構成、したがって異なる数及び異なる配置及び/又は他のモジュールの提供も提供することができる。さらに、本発明によれば、好ましくは選択的溶融又は焼結によって、特に制御ユニットを有する粉末床ベースのレーザビーム融合プロセス(LPBF:Laser Powder Bed Fusion)によって、更なる実施形態による部品の付加製造又は生成製造のための装置が提供される。この装置も、上述した本発明の原理に従って動作する。
【0073】
この装置は、光ビームを処理領域に向けるための複数の処理ヘッドを備え、処理ヘッドは、それぞれ旋回アーム上に配置され、旋回アームは、レールユニットに沿って移動可能なキャリッジ上に配置される。
【0074】
本発明は、特に、制御ユニットが装置を制御するように設定及び設計されていることを特徴とするが、そのために、
処理チャンバ内の異なる位置にあるレールユニット、及び/又は
異なるレールユニット、及び/又は
異なるタイプのキャリッジ、及び/又は
特にアームの自由度及び/又は長さに関して異なるタイプの旋回アーム、及び/又は
特に対応する数の旋回アーム及びキャリッジを有するレールユニット当たり異なる数の処理ヘッド、及び/又は
装置が異なる部品及び/又は部品の異なる領域を生成するように変換され得るように、異なる種類の処理ヘッド
を用いる。
【0075】
制御ユニットが装置の異なる部品を制御できるように設定及び設計されるという事実は、したがって、幾何学的形状、特に材料蓄積及び付加製造される部品の表面の対応するサイズに応じて適合され得る付加製造装置を提供する。
【0076】
このようにして、本発明による装置は、極めて可撓性であり、特定の限度内で、ほぼあらゆるサイズ及び設計の部品に適合させることができる。
【0077】
本発明の文脈において、異なるタイプの旋回アームとは、異なる自由度及び/又は異なる長さのアームを有し得ることを意味すると理解される。自由度は、特に、旋回アームの旋回半径又は旋回角度範囲に関する。
【0078】
さらに、装置は、光ビームを生成するための光源を有することができ、1つ以上の処理ヘッドは、光ビームが処理ヘッドに導かれるようにビームガイドで光源に結合されるか、又は光ビームが処理ヘッドから処理領域に向けられ得るように光源が処理ヘッド上に直接配置されるかのいずれかであり、それにより、処理ヘッドは、光ビームが処理領域内の異なる点に向けられ得るように、移動可能に取り付けられ得る。
【0079】
処理ヘッドは、プリントヘッド又は平滑化ヘッドとして設計することができる。
【0080】
本発明の文脈において、付加製造方法とは、出発材料として働き、レーザビーム、電子ビーム又はプラズマ又は電気アークによって溶融される粉末床、粉末フィーダ又はワイヤフィーダを使用する三次元部品の積層又は層ごとの構築を意味すると理解される。したがって、本明細書の導入において言及される生成製造方法(3D印刷:溶融及び凝固(レーザ工学ネットシェイピング(LENS)、直接金属堆積(DMD)として、又はレーザ付加製造(LAM)として)、局所焼結又は溶融(レーザ焼結(SLS))、金属レーザ焼結(DMLS)、金属レーザ焼結(IMLS)、電子ビーム溶融(EBM)、粉末床ベースのレーザビーム融合レーザ床融合(LPBF)又はレーザークラッディング)は、本発明による方法を実施するために用いられる。
【0081】
本発明の好ましい実施形態によれば、2つ以上のキャリッジと、キャリッジ毎に1つの処理ヘッドとを有するレールユニットがモジュールを形成し、異なる数のモジュールを、処理領域内の対応するモジュールホルダ内の所定の位置に配置することができる。
【0082】
対応するモジュールホルダを設けることによって、モジュールの密度は、対応する部品を迅速に、効果的に、かつ高品質で付加製造できるように、部品のサイズ及び/又は特定の領域における部品の材料蓄積に応じて増減させることができる。
【0083】
モジュールホルダは、レールユニットを保持するためのホルダを有することができ、レールユニットは、好ましくは、処理領域の直径方向の両側に配置される。
【0084】
レールユニットを保持するために対応するホルダが設けられるということは、対応するモジュールを装置に容易に挿入又は結合することができ、また、同様に容易に取り外すことができることを意味する。
【0085】
原則として、装置のモジュールは、手動で交換することができる。ホルダは、例えば、モジュールを固定するためのクイックアクションクランプユニットなどを有することができる。しかしながら、代わりに、特に装置がより大きい生産ラインで使用される場合、及び異なる寸法の部品が進行している生産中に製造される場合、ロボットアーム又は交換ロボットを使用してモジュールを自動で交換することもできる。
【0086】
レールユニットは、好ましくは、全てが同じタイプ又は本質的に同じタイプである。これは、レールユニットをモジュールホルダ又は対応するホルダのそれぞれに配置し、柔軟に交換することができることを意味する。これは、また、例えば、モジュール又はモジュールの対応する部品が、部分的にのみ機能的している場合、又はもはや機能していない場合、直列生産において有利であり得る。
【0087】
好ましくは、レールユニット上に2つ又は4つのキャリッジを配置することができる。しかしながら、本発明の範囲内で、少なくとも2つ又は3つ又は4つ、あるいは多くとも5つ又は6つ又は7つ又は8つ又は9つ又は10個の処理ヘッドをレールユニットに配置することも可能である。
【0088】
モジュールホルダのホルダは、互いに同じ距離に配置することができる。好ましくは、これらは、装置内の固定位置に配置される。代替的な実施形態によれば、2つ以上のモジュールを個別に又は一緒に移動させるために、2つ以上のモジュールホルダを対応する横行ユニット上に配置することもできる。
【0089】
2つの隣接するモジュールホルダ間の距離は、約5cm又は少なくとも4cm又は5cm又は6cmであり、最大で7cm又は8cm又は9cm又は10cm又は15cm又は20cm又は25cm又は30cmである。
【0090】
したがって、モジュールは、同じ間隔及び/又は異なる間隔でモジュールホルダに配置することができる。
【0091】
レールユニット又はモジュールは、好ましくは、カバー領域が隣接するレールユニットと重なるように離間される。
【0092】
さらに、モジュールは、交換可能であり得、異なる処理ヘッド及び/又は異なる数の処理ヘッド及びキャリッジを有する異なるモジュールがマガジン内に保持される。したがって、モジュールは、一種のツール交換ユニットに保持することができ、これらは、好ましくは、すでに上述したように手動で交換することができるが、例えばロボットユニットによって自動で交換することもできる。
【0093】
キャリッジの数が多いモジュールは、より短い旋回アームを有する処理ヘッドを有するように、キャリッジの数が少ないモジュールは、より長い旋回アームを有するように設けることができる。
【0094】
このようにして、対応する旋回アームが互いに妨害したり、重なり合った旋回領域を形成したりすることなく、材料のより大きな蓄積及び/又はより大きな部品表面を有する製造される部品の領域において、対応する処理ヘッドを有するより多くのキャリッジを提供することができる。
【0095】
結合ユニットは、モジュール上、好ましくは対応するモジュールホルダ上にも設けることができ、それを介して、モジュールは、電源及び制御ユニット、好ましくは少なくとも1つの光源に接続される。
【0096】
1つ以上のレーザ装置又は光源を設けて、すべての処理ヘッドにレーザビームを生成することができる。次いで、レーザ装置を、例えば、光ガイドを用いて、各個別の処理ヘッドに接続することができる。この場合、場合によっては、データ線を有する対応する電力線がレールユニット内に配置されるか、又はレールユニットを形成して、レールユニットを電気の輸送にも使用できるようにすることができる。
【0097】
あるいは、対応するレーザ装置を各処理ヘッド上に直接配置することもできる。
【0098】
キャリッジ及び/又は旋回アームの異なる移動速度及び/又は処理ヘッドの異なる印刷速度及び/又は異なる温度を制御ユニットに記憶することができ、これらは、使用される構成要素、特に装置のモジュールに基づいて、及び/又は製造される部品の構築計画に基づいて、自動及び/又は手動で選択することができる。
【0099】
このようにして、本発明による装置は、異なる寸法の部品に可変的に適合させることができ、その塗布領域において柔軟である。
【0100】
さらに、制御ユニットは、どの構成要素、特に装置のモジュールが生産のために必要とされるかを選択し、次いでそれに応じてそれらを表示するために、異なる部品のための構築計画を使用するように設定及び設計することができる。
【0101】
特に、少なくとも1つの距離センサを設けて、好ましくは電気光学的距離を測定して、キャリッジ及び/又は旋回アーム及び/又は処理ヘッドの位置を光学的に監視することができる。これについて、以下でより詳細に説明する。
【0102】
装置は、少なくとも1つの処理チャンバと、少なくとも1つの構築プラットフォームと、少なくとも1つの材料供給ユニットとを有することができる。
【0103】
材料供給ユニットは、好ましくは、粉末床プロセスのための対応する供給ユニット、例えば塗布装置(スクレーパ)を有する供給シリンダである。あるいは、ワイヤフィーダを設けることもできる。
【0104】
さらに、本発明によれば、印刷装置の最適な構成を計算する方法が提供される。この方法は、
部品データを読み出すステップと、
個々の層における局所的な作業要件を決定し、全ての層又は付加製造される部品の層の処理要件に従って最適な構成を決定するステップと、
を含む。
【0105】
最適な構成は、その幾何学的形状又は材料蓄積に基づいて部品を形成するための構成であると理解される。
【0106】
本発明による方法によれば、部品データを用いて個々の層における局所的な作業要件を決定することが可能である。その後、可能な限り効率的に構成要素を形成するために、特に装置の構成要素に関して、すべての層又は対応する構造の処理要件に従って、最適な構成を選択することができる。次いで、可能な限り迅速に、安全かつ確実に、かつ高品質で部品を製造するために、適切なモジュールを選択する。
【0107】
最適な構成は、
多数の処理ヘッドを、材料の大きな蓄積を有する印刷領域に割り当てること、及び/又は
短い旋回アームを、材料の大きな蓄積を有する印刷領域に配置すること、及び/又は
多数の処理ヘッドを、大きな表面積を有する印刷領域に割り当てること、及び/又は
短い旋回アームを、大きな表面積を有する印刷領域に割り当てること
によって達成することができる。
【0108】
処理ヘッドは、それぞれ垂直旋回軸を中心に旋回可能な旋回アームによって、キャリッジの1つに配置することができる。
【0109】
いくつかの処理ヘッドを設けることによって、処理領域内のいくつかの点を並行して溶融又は焼結することができるように、いくつかの光ビームを同時に処理領域に向けることができる。処理ヘッドは、キャリッジ上に配置され、トラバース又はレールユニットに沿って移動することができる。これにより、処理領域にわたる処理ヘッドの簡便かつ確実な位置決めが可能になる。
【0110】
好ましくは、処理ヘッドは、それぞれ、旋回可能な旋回アームによってキャリッジの1つに配置される。このような旋回アーム、好ましくは垂直旋回軸を中心に旋回する旋回アームを、それぞれキャリッジ上に配置された処理ヘッドに設けることによって、処理ヘッドを、処理領域の広いセクション上の任意の所望の位置に迅速に位置決めすることができる。このセクションは、レールユニットの周囲に延在し、レールユニットに沿って、それぞれの処理ヘッドを有するそれぞれのキャリッジを、旋回アームの長さに対応する幅だけ両側に延在する旋回アームの旋回軸の周囲の領域内で移動させることができる。したがって、このセクションは、旋回アームの長さのおよそ2倍に対応する幅を有するレールユニットの周囲でストリップ状である。このストリップ状セクションを以下ではカバー領域と呼ぶが、その理由は、レールユニットのキャリッジ上に配置される処理ヘッドをカバー領域内の任意の位置に配置することができ、したがって、カバー領域内の任意の位置で、光ビームで処理領域を照射又はカバーすることができるからである。
【0111】
旋回アームは、垂直軸の周りのみで旋回するように設計することができる。そのような設計は、多軸ロボットアームと比較して非常に簡便である。それにもかかわらず、処理ヘッドは、非常に迅速かつ正確に位置決めすることができ、並列処理のおかげで高いスループットを達成できる。
【0112】
旋回アームは、例えば、少なくとも5cm、好ましくは少なくとも10cm又は少なくとも15cm、特に少なくとも20cmの長さを有することができる。旋回アームが長いほど、カバー領域は広くなる。
【0113】
旋回アームがレールユニットから離れるように処理ヘッドを旋回させるほど、レールユニットに平行な方向における処理ヘッドの位置の精度が低下するので、処理ヘッドを旋回アームの限られた角度範囲内にのみ位置決めすることが望ましい場合がある。角度範囲は、例えば、レールユニットに対して60°又は45°の最大旋回角度に制限することができる。45°の最大旋回角度では、カバー領域の幅は、旋回アームの長さに減少する。
【0114】
旋回アームに沿って、それぞれの光ビームのためのビームガイドは、反射体要素を使用して設計することができる。これによって、低い回転慣性モーメントを有する非常に軽い旋回アームが可能になり、したがって、任意の回転位置に迅速に旋回させることができる。
【0115】
旋回アームは、好ましくはプラスチック、特に繊維強化プラスチックで作られる。旋回アームの旋回軸から離れた各端部に、それぞれの光ビームを処理領域に向けるためのミラーを設けることができる。
【0116】
ビームガイドは、少なくとも部分的に光ガイドとして設計することができる。光ガイドは、光源からそれぞれの処理ヘッドまで延在することができる。しかしながら、各光ガイドは、光源から各旋回アームの旋回端部までのみ案内されてもよく、光ビームが反射体要素によって形成される旋回アームに沿ってビームガイドに結合するように、その端部と共にそこに配置されてもよい。このような設計は、光ガイドを回転させる必要なしに、旋回アームを360°以上回転させることができるという利点を有する。光が光ガイドから旋回アーム上のビームガイドに結合される光ガイドの端部は、旋回アームが取り付けられるキャリッジに対して固定位置に配置することができる。
【0117】
あるいは、光ビームが旋回アームの自由端の方向に、好ましくは旋回アームと平行に放射されるように、光ガイドの端部を旋回アーム上の固定位置に配置することができる。旋回アームの自由端に、偏向ミラーなどの反射体要素を設けて、それぞれの光ビームを処理領域に向けることができる。
【0118】
反射体要素は、放物面鏡、又は光を集束させるための自由曲面を有する鏡とすることができるので、ビーム経路内に光学レンズは必要ない。
【0119】
キャリッジが移動可能に取り付けられるレールユニットは、モジュールホルダのホルダを介して固定位置に配置することができる。これは、旋回アームに配置された処理ヘッドを有する設計と関連して特に有利であり、その理由は、このような固定された配置は、旋回アームを旋回させることができ、キャリッジをレールユニットに沿って移動させることができ、レールユニット自体をレールユニットの長手方向に対して横方向に移動させることができる装置よりも、異なる旋回アーム間の衝突を避けるように制御することがはるかに容易だからである。さらに、キャリッジ上のレールユニット及び旋回アームを固定配置することで、旋回アームが短すぎない限り、わずか数個のレールユニットで機械加工エリアの完全なカバレッジを達成することができる。旋回アームの自由端に配置された処理ヘッドは、例えば小さなミラーのみを用いて非常に軽くすることができるので、例えば少なくとも10cm、好ましくは少なくとも15cm、特に少なくとも20cmの長さを有するより長い旋回アームであっても、低い回転慣性モーメントを実現することができる。
【0120】
好ましくは、独立して移動可能な少なくとも2つのキャリッジが各レールユニットに取り付けられ、各キャリッジは、処理ヘッドを有する。レールユニット毎のキャリッジは、2つより多く設けることもでき、例えば、3つ又は4つ設けることもできる。
【0121】
好ましくは、いくつかの光源を設けて、そのそれぞれを1つ以上の処理ヘッドに割り当る。光源は、好ましくはレーザであり、特にCO2レーザ又はND:YAGレーザである。CO2レーザは、プラスチック粉末を溶融又は焼結するために主に使用され、ND:YAGレーザは、金属粉末を溶融又は焼結するために使用される。この種のCO2レーザは、光出力が30W~70Wであり、ND:YAGレーザは、100W~1000W以上である。光源は、発光ダイオード、特にスーパールミネッセント発光ダイオード、及び/又は半導体レーザであってもよい。
【0122】
処理領域内で互いに独立して位置決めすることができるいくつかの光源及びいくつかの処理ヘッドを設けることによって、粉末を処理領域内のいくつかの点で同時に溶融又は焼結して、3D部品を生成することが可能になる。粉末のこの同時の溶融又は焼結は、従来の装置と比較して、本装置を用いた生成製造の生産速度を有意に増加させる。たとえ処理ヘッドが個々の点にわずかに長く留まったとしても、高い生産速度を達成することができる。これにより、比較的光出力の低い光源を用いることが可能となる。これによって、装置のコストを大幅に削減できる。
【0123】
マルチプレクサを設けて、光源のうちの1つの光ビームを異なるビームガイドに分配することができる。そのようなマルチプレクサは、好ましくは、粉末を短いパルスで溶融又は焼結することができる非常に強力な光源に有用である。装置は、好ましくは、処理領域内に粉末床を有し、この粉末床内に粉末を配置することができ、この粉末床を光ビームによって選択的に溶融する。
【0124】
粉末は、金属粉末又はプラスチック粉末であり得る。
【0125】
個々の旋回アームは、旋回アームを移動させる際の衝突を避けるために、異なる高さに配置することができる。
【0126】
個々の光源は、異なる周波数又は異なる周波数範囲及び/又は異なる強度を有する光ビームを放出するように設計することができる。これにより、選択的溶融又は焼結プロセスを個々に制御することができる。これにより、例えば、このようにして製造された製品の気孔率を制御することも可能になる。
【0127】
光ビームは、また処理領域上で異なる程度に集束されることができる。焦点合わせは、例えば、レンズ及び/又は処理ヘッドの高さ調整によって調整することができる。
【0128】
本発明による装置では、粉末床のいくつかの点で粉末を同時に溶融又は焼結することができる。
【0129】
不活性ガス雰囲気、特に窒素及び/又はアルゴン雰囲気を装置全体にわたって形成することができる。不活性ガス雰囲気を用いることにより、部品製造時の粉末又は部品の酸化を防止することができる。不活性ガス雰囲気を形成して維持すると、装置の内部から塵埃を簡便に濾過することができる。
【0130】
好ましくは、光学系、特にズーム光学系を設けて、放出された光ビームの集束を変更する。光ビームの集束は、処理領域からの異なる距離に容易に適合させることができる。同時に、エネルギー入力及び照射面積は、焦点を調整することによって変更することができる。
【0131】
本発明の更なる態様によれば、少なくとも1つの距離センサが、好ましくは電気光学的距離測定のために設けられる。距離センサを可動構成要素に、又はその上に配置して、別の物体までの距離、又はセンサと別の物体との間の距離を測定することができる。しかしながら、距離センサを他の物体に配置して、可動構成要素までの距離を測定することも可能である。このようにして、可動構成要素と別の物体との間の距離をいつでも測定及び決定することができる。距離センサによって記録されたデータは、それに応じて本発明による制御ユニットによって処理される。
【0132】
距離センサは、センサと可動構成要素との間の距離を測定するために、固定位置に配置されることが好ましい。このようにして、固定点と可動構成要素との間の距離をいつでも測定及び決定することができる。可動構成要素は、基準物体を有することができ、距離センサは、基準物体を検出し、基準物体までの距離を測定する。例えば、反射体、特にプリズム反射体を基準物体として使用することができる。距離センサは、基準物体と位置合わせできるように旋回させることができる。
【0133】
距離は、三角測量及び/又は位相位置の測定及び/又は移動時間の測定によって測定することができる。位相位置を測定することにより距離を測定する際に、レーザビームを照射する。反射されたレーザビームの位相シフト又は放出されたビームに対するその変調は、距離に依存する。この位相シフトを測定し、これを用いて移動距離を決定することができる。位相シフトを測定することによる距離測定は、非常に正確である。レーザ三角測量では、光ビームを測定対象物上に集束し、センサ内のその隣に配置されたカメラ、空間分解フォトダイオード又はCCDラインで観察する。測定対象物のセンサからの距離が変化すると、光スポットが観察される角度も変化し、したがって、受光器上のその像の位置も変化する。レーザプロジェクタからの物体の距離は、角度関数を使用して位置の変化から計算される。三角測量を使用する距離測定は、簡便で、安価であり、しかも非常に正確である。移動時間を測定するとき、光パルス又は変調光ビームを放出する。移動時間は、光ビームが光源から反射器、通常は再帰反射器に移動し、再び光源に戻るのに要する時間である。この移動時間を測定することによって、光源と対象物との間の距離は、光の速度を使用して決定することができる。代替又は追加として、1つ以上の物体の三次元位置特定のためのステレオカメラなど、線又は表面又は平面を走査するか又は空間測定を実行することができるセンサも、距離を測定するために使用することができる。そのようなセンサは、その受容領域(Aufnahmebereichs)が大きいので、旋回する必要がない。
【0134】
光学センサの代わりに、超音波センサ又は電波の伝搬時間を用いて距離を決定するセンサなど、他のセンサも使用することもできる。
【0135】
したがって、制御及び調整装置は、距離センサと可動構成要素との間の測定された距離に応じて、可動構成要素を標的位置に移動させることができるように設計することができる。距離センサを制御及び調整装置と共に使用することで、可動構成要素又はキャリッジを移動させるための移動装置で、費用効率が高く、特に軽量なものを使用することが可能になる。費用効率が高く軽量な移動装置は、位置決め精度が低いが、特に迅速に移動させることができる。可動構成要素の位置は、可動構成要素と距離センサとの間の距離に応じて制御することができる。可動構成要素がその標的位置に近いほど、構成要素はゆっくりと移動され得る。このようにして、可動構成要素を正確に標的位置に到達可能にすることを保証することができる。移動装置は、距離測定及び閉ループ制御によって移動及び位置決めの精度が保証されるので、簡便であり、とりわけ軽量であり、好都合に設計され得る。比例コントローラ、いわゆるPコントローラ、比例積分コントローラ、いわゆるPIコントローラ、及び/又は比例積分微分コントローラ、いわゆるPIDコントローラは、制御ループ内のコントローラとして使用することができる。
【0136】
2つ、好ましくは3つの距離センサを設けて、距離センサと可動構成要素との間の距離を測定して、可動構成要素の空間位置を決定することができる。可動構成要素が1つの平面内でのみ、すなわち二次元で移動される場合、その位置は、2つの距離センサからの距離を測定することによって正確に決定することができる。可動構成要素と3つの固定距離センサとの間の3つの距離を測定することによって、可動構成要素の空間位置を正確に三次元で決定することができる。可動構成要素が1方向にのみ移動される場合、1つのセンサも距離測定に充分であり得る。
【0137】
好ましい実施形態では、3つより多くの距離センサ及び少なくとも2つの可動構成要素を設けて、各可動構成要素は、距離測定用の少なくとも3つの距離センサによって任意の位置で検出することができる。距離センサを使用して、それ自体と両方の可動構成要素との間の距離を測定することができる。第一の可動構成要素の位置によっては、距離センサがこの第一の可動構成要素によって隠されて、第二の可動構成要素までの距離測定が不可能になることがある。そのような場合、距離測定は、第二の可動構成要素への直接光学アクセスを有する別の距離センサを介して行うことができる。これにより、距離測定による可動構成要素の位置決定ごとに、異なる距離センサを使用することも、あるいは同じ距離センサを使用することも可能になる。
【0138】
距離センサは、装置内の固定位置に配置することができ、例えば、キャリアを介して装置の基礎に接続することができる。距離センサは、距離測定を使用して粉末床の表面の位置を決定し、次いで別の距離測定を使用して処理ヘッドなどの可動構成要素の位置を決定することができる。粉末床の位置、すなわち粉末床の高さに応じて、処理ヘッドを標的位置に移動して、処理ヘッドと粉末床の表面との間の必要な距離を設定することができる。1つ以上の処理ヘッドは、上述の制御及び調整装置を使用して、それらの標的位置に移動させることができる。1つ以上の距離センサを処理ヘッドに接続するか、又は処理ヘッド上に配置して、処理ヘッドと粉末床の表面との間の距離を決定し、その後、粉末床の表面から標的距離に処理ヘッドを移動させることも可能である。
【0139】
1つ以上の処理ヘッドの位置の代わりに、レールユニット又はキャリッジなどの移動方向の別の構成要素の位置もまた、粉末床の表面に対して決定及び位置決めすることができる。この目的のために、1つ以上の距離センサをレールユニットに直接接続し、粉末床の表面までの距離を測定することができる。
【0140】
スクレーパを同じ方法で、例えば粉末床表面に対して配置することもできる。この目的のために、少なくとも1つの距離センサをスクレーパに接続することも、あるいは装置内の固定位置に配置することもできる。
【0141】
3つの距離センサを、距離測定のために各可動構成要素に恒久的に割り当てることができる。同じ3つの距離センサを、各距離測定のために同じ可動構成要素に割り当てることができる。しかしながら、距離センサを、各距離測定のために構成要素に再び割り当てることも可能である。このようにして、異なる距離センサを、以前の距離測定以外の新しい各距離測定のために各可動構成要素に部分的又は完全に割り当てることができる。
【0142】
上述した本発明の実施形態は、必要に応じて互いに組み合わせることができる。上述した本発明の態様は、選択された段落の形式によって特定される本発明の特徴の組み合わせに限定されない。
【0143】
本発明の更なる特徴は、図面及び図面を参照して、本発明の以下の説明書によって明らかになる。記載及び/又は図示された特徴の全ては、特許請求の範囲におけるそれらの要約又は互いに対するそれらの関係に関係なく、個々に又は任意の組み合わせのいずれかで、本発明の主題を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0144】
本発明について、図面に示される例示的な実施形態を参照して以下でより詳細に説明する。
【0145】
図1】本発明による付加製造装置の概略側面図である。
図2】付加製造装置の概略上面図である。
図3】生産工程計画を作成するためのプロセスを概略的にフロー図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0146】
例示的な実施形態によれば、部品の付加製造装置が提供される。これを簡単に「3Dプリンタ」1と呼ぶ。3Dプリンタ1は、閉じた処理チャンバ2を備える。
【0147】
処理チャンバ2内に、生産ユニット3と保管ユニット4とは、互いに隣接して配置される。
【0148】
保管ユニット4は、粉末6が収容される供給容器5を備える。供給容器の底壁7は、供給ピストンシリンダユニット8によって垂直方向に動かすことができる。このようにして、供給容器内に収容されている粉末6は、鉛直方向上方へ搬送することができる。
【0149】
生産ユニット3は、構築プラットフォーム9を有する。構築プラットフォーム9は、また生産ピストンシリンダユニット10によって垂直方向に動かすことができる。
【0150】
さらに、3Dプリンタ1は、粉末6を保管ユニット4から水平方向23に生産ユニット3の構築プラットフォーム9上に塗布することができるスクレーパ11を有する。このようにして、粉末床12を構築プラットフォーム9上に形成することができる。
【0151】
構築プラットフォーム9の領域には、本設計例では、3つのモジュール13が、上面視で互いに平行に配置されている。
【0152】
このようなモジュール13は、レールユニット14と、対応する処理ヘッド16を有するいくつかのキャリッジ15とを備え、処理ヘッド16は、旋回アーム17を介してキャリッジに接続されている。
【0153】
モジュール13は、対応するモジュールホルダ18を介して固定されている。モジュール13をモジュールホルダ18に固定するために、モジュールホルダは、対応するホルダ19を有する。
【0154】
キャリッジ15は、キャリッジ15、ひいては処理ヘッド16をレールユニットの長手方向20に沿って動かすことができる駆動ユニット(図示せず)を有する。
【0155】
キャリッジ15及び処理ヘッド16は、結合ユニット21を介して制御ユニット22に接続されている。
【0156】
制御ユニット22には、キャリッジ15及び/又は旋回アーム16の異なる移動速度、及び/又は処理ヘッド17の異なる印刷速度及び/又は異なる温度を制御ユニット22に記憶することができ、これらは、使用される構成要素、特に、装置1のモジュール13に基づいて、及び/又は製造される部品の構築計画に基づいて、自動及び/又は手動で選択することができる。
【0157】
さらに、制御ユニットは、どの構成要素、特に装置のモジュールが生産のために必要とされるかを選択し、次いで、それに応じてそれらを表示するために、異なる部品のための構築計画を使用するように設定及び設計され得る。
【0158】
制御ユニット22は、3Dプリンタ1による生産工程計画を制御する生産制御ユニット24と、1つ以上の生産進行計画及び/又は3Dプリンタ1の1つ以上の構成を作成する計画制御ユニット25との2つの構成要素を備える。
【0159】
計画制御ユニット25は、ステップS1から始まる生産工程計画(図3)の作成手順を実行する。
【0160】
ステップS2では、CADデータの形の構築計画を読み出す。
【0161】
ステップS3では、構築計画を、3Dプリンタ1において部品を生産できる層に対応する層に分割する。
【0162】
ステップS4では、部品からの材料を含む連続材料領域を個々の層において決定する。密接に隣接する材料領域は、共通の材料領域に組み合わせることができる。層内の材料領域のこの統合は、クラスタ法を使用して実行され、これが、これらの統合された材料領域を層クラスタと呼ぶこともできる理由である。
【0163】
ステップS5では、特定の加工ヘッド16による焼結ステップが材料領域の各点に割り当てられる。この割り当ては、所定の規則に従って実行され、好ましくは、いくつかの隣接する処理点が連続して処理される。これらの規則は、未公開の特許文献15からのものなど、異なる処理原理に基づくことができ、材料はライン毎に焼結され、ラインは、最初に、互いからある距離を置いて作成され、ある時間の後、ある距離で焼結されたラインの間の領域もまた、これが構築計画に対応する場合、焼結される。全ての層の全ての材料点に焼結処理ステップが割り当てられると、生産工程計画は、終了し、処理はステップS6で終了する。
【0164】
上記で説明したこの方法は、本発明に従って、ステップS4の後、ステップS4aが実行され、これによって、連続材料領域又は層クラスタがそれぞれ、その中に含有される材料の量に対応する値を割り当てられるように変更することができる。材料の量は、この領域を作り出すのに必要な焼結処理ステップの数に比例する。焼結処理ステップは、レーザ光を一定時間又はサイクル時間照射するものである。照射は、また連続的であってもよく、サイクル時間に対する各照射持続時間は、別個の焼結処理ステップを表す。
【0165】
したがって、焼結処理ステップの必要性を個々の領域に割り当てることができる。この要件は、最適化重みの一種であり、これは、をそれぞれの領域に処理ヘッド16より多く又はより少なく割り当てられるべきかどうかを示す。これらの最適化重みは、各層について計算され、特定の材料領域又は層クラスタに割り当てられる。
【0166】
ステップS4bでは、重ね合わされた材料領域又は層クラスタは、垂直方向(=Z方向)にクラスタ化され、個々の重ね合わされた材料領域又は層クラスタは、正確に一致する必要はない。最適化重みは、個々のクラスタについて平均化され、その結果、ヘッド16を処理するための要件は、次いで、平均化された最適化重みに基づいて、それぞれのクラスタ領域に割り当てることができる。
【0167】
ステップS4cでは、3Dプリンタの最適化された構成が、クラスタに割り当てられたそれぞれの要件に基づいて計算され、処理ヘッド16の数は、平均化された最適化重みに比例して可能な限り均等に分配される。
【0168】
以下のステップS5、S6は、この構成で実行される。
【0169】
別の最適化方法を使用して、ステップS4a~S4cに従って最適な構成を決定することもできる。
【0170】
本発明の更なる変形例では、層のいくつかのグループは、別々にクラスタ化されることであり、次いで、層のグループ内で3Dプリンタの個々の最適な構成が決定される。いくつかの層群のそのような最適化は、3Dプリンタ1の構成が、例えば、レールユニット14が自動的に移動可能であること、及び/又は旋回アーム17の長さが自動的に調整可能であること、及び/又はモジュールが自動的に交換可能であることによって、自動的に実行され得る場合に特に有用である。生産工程計画を実行するとき、これは、3Dプリンタ1において、層のグループがそれぞれ特定の構成で印刷されることになり、印刷プロセスは、構成を変更するために、例えば、新しい構成に従ってレールユニットを移動させることによって、及び/又は旋回アームの長さを自動的に調整することによって、及び/又はモジュールを自動又は手動で交換することによって、層の各グループの後に短時間中断される。
【0171】
更なる代替実施形態では、個々の構成を各層に設けることができ、すなわち、レールユニット14の位置及び/又は旋回アーム17の長さを各層で変更することができる。この実施形態では、レールユニット14の位置の変更及び旋回アーム17の長さの変更は、粉末床12の上方の処理チャンバ2内の処理ヘッド16の位置の変更の不可欠な部分とみなすこともできる。
【0172】
生産制御ユニット24は、指定された生産工程計画に従って生産プロセスを制御する。ここで、3D印刷から基本的に知られているように、構成要素は層ごとに構築され、1つ以上のレーザビームは、その中に含まれる粉末6を溶融するために、処理ヘッド16によって粉末床12上に向けられる。生産工程計画に従って、処理ヘッド16の移動及び対応するレーザのオン及びオフの切り替え、並びに粉末床12内の粉末層の塗布を制御する。
【0173】
3Dプリンタ1が自動的に構成される場合、これも生産制御ユニット24によって制御される。この場合、レールユニット14を自動的に移動させることができ、及び/又は旋回アーム17の長さを自動的に変更することができ、及び/又は好ましくはモジュールマガジン(図示せず)に保管されているモジュール13を自動的に交換することができる。
【0174】
モジュール13を交換するために、対応する交換ロボットを設けることができ、この場合、モジュール13は、好ましくはそれぞれ、旋回アーム17及び処理ヘッド16を有するキャリッジ15を備える。
【0175】
モジュール13は、交換ロボットによってレールユニット14から容易に切り離して、レールユニット14に結合された別のモジュール13によって交換できるように設計されている。交換されたモジュール13の位置は、例えば、対応するレールユニット14上で、モジュール13が所定の停止部に当接する終了位置にモジュール13を移動させることによって較正される。
【0176】
さらに、本発明によれば、好ましくは選択的な溶融又は焼結によって、部品を付加製造するための方法が、特に上述のような装置を用いて提供される。この方法は、
制御ユニット内のモジュールの所定の特性を定義するモジュールパラメータを記憶するステップと、
更なる設定手順を要せずに、モジュールパラメータに基づいて制御ユニットによって異なるモジュールを制御するステップと、
を含む。
【0177】
加えて、本発明によれば、部品の付加製造装置の計画制御ユニットによって特定の部品を製造するための生産工程計画を生成するための方法が提供される。この方法は、
製造される部品のCADデータを入力するステップと、
製造される部品のCADデータに基づいて最適化システムを使用して少なくとも1つの生産工程計画を作成するステップと、
部品の付加製造装置のモジュールの異なる構成を定義するステップと、これに基づいて、
複数の生産工程計画を作成するステップであって、付加生産ユニットの異なるモジュールパラメータの生産工程計画が定義される、ステップと、
生産時間及び/又は製品品質及び/又は量に基づいて生産工程計画を選択するステップであって、生産工程計画及び適切な構成が出力される、ステップと、
を含む。
【0178】
さらに、構成が異なると、構成要素の変化、特にモジュールの変化、領域ごとの塗布速度の変化が生じる可能性があり、この塗布速度の変化により、処理ヘッド及びそれに割り当てられた処理領域の配置又は位置の変化、及び/又は異なる領域における処理ヘッドの数の変化が生じる。
【0179】
これは、例えば、処理ヘッドの印刷ボタンの配置及びそれらに割り当てられた処理領域を意味し得る。これは、また、異なる領域におけるプリントヘッドの数又は密度が異なることも意味し得る。加えて、完全に異なるモジュール構成、したがって異なる数及び異なる配置及び/又は他のモジュールの提供も提供することができる。
【0180】
さらに、本発明によれば、印刷装置の最適な構成を計算する方法が提供される。この方法は、
部品データを読み出すステップと、
個々の層における局所的な作業要件を決定し、全ての層又は付加製造される部品の層の処理要件に従って最適な構成を決定するステップと、
を含む。
【0181】
最適な構成とは、部品を形成するために、その幾何学的形状又は材料蓄積に基づいて構成であると理解される。
【0182】
本発明による方法によれば、部品データを用いて個々の層における局所的な作業要件を決定することが可能である。その後、可能な限り効率的に部品を形成するために、特に装置の構成要素に関して、すべての層又は対応する構造の処理要件に従って最適な構成を選択することができる。適切なモジュールは、次いで、可能な限り迅速に、安全に、かつ確実に、かつ高品質で部品を製造することができるように選択される。
【0183】
最適な構成は、
多数の処理ヘッドを、材料の大きな蓄積を有する印刷領域に割り当てること、及び/又は
短い旋回アームを、材料の大きな蓄積を有する印刷領域に配置すること、及び/又は
多数の処理ヘッドを、大きな表面積を有する印刷領域に割り当てること、及び/又は
大きな表面積を有する印刷領域に、短い旋回アームを割り当てること、
によって達成される。
【0184】
本発明の更なる有利な実施形態を以下に示す。
【0185】
レールユニット14は、互いに平行に配置されている。本設計例では、3つのレールユニット14が設けられている(図1図2)。中央レールユニット14は、2つの外側レールユニット14よりもわずかに高く配置されている。
【0186】
キャリッジ15は、制御ユニットによって制御され、駆動ユニットによってそれぞれのレールユニット14に沿って自動的に移動することができる。駆動ユニットは、それぞれのキャリッジ15に連結された外部モータによって駆動される駆動ベルトを備えてもよい。しかしながら、モータによって駆動される駆動輪等の駆動機構をキャリッジ15自体に設けてもよい。原則として、リニアモータによってキャリッジを駆動することも可能である。
【0187】
旋回アーム16は、旋回ジョイントによってキャリッジ15上に配置される。旋回アーム16は、好ましくは垂直旋回軸を中心にして、旋回ジョイントに回転可能に取り付けられる。キャリッジ15には、旋回アーム16を旋回軸回りに回転させるためのステッピングモータが設けられている。処理ヘッド17は、旋回軸から離れた旋回アーム16の端部に設けられている。
【0188】
これは、光ガイドの一端と、光ガイドのその一端に配置された光学レンズとによって形成される。処理ヘッド17は、光ガイド内を導光された光ビームが鉛直下方に出射されるように配置されている
【0189】
光ガイドは、可撓性光ファイバで作られる。光ファイバは、例えば、ガラスファイバ又は光学ポリマーファイバであってもよい。
【0190】
光ガイドは、旋回アーム18から距離を置いて配置された光源につながる。光源は、好ましくはレーザ、特にCO2レーザ又はND:YAGレーザ又はファイバレーザである。光源は、半導体レーザ又は発光ダイオード、特にスーパールミネッセント発光ダイオードであってもよい。
【0191】
各処理ヘッドに対して1つの光源を有する光源のアレイを設けることもできる。
【0192】
旋回アームの更なる実施形態は、以下で説明され、別段の記載がない限り、上記の実施形態と同じように設計される。
【0193】
旋回アーム16の代替実施形態では、光源は、光学レンズとともに、光ビームが垂直に下向きに放出され得るように、旋回軸から離れた旋回アーム17の端部に直接配置される。
【0194】
更なる実施形態によれば、ビームガイドは、光源から光ガイドによってキャリッジ15まで、反射体要素によって旋回アーム16に沿って形成される。この例示的な実施形態において、反射体要素は、それぞれミラーとして設計される。しかしながら、反射体要素は、またプリズム等の光ビーム束を偏向させる他の光学要素によって表されることができる。
【0195】
旋回ジョイントは、垂直に延在する貫通開口部又は貫通孔を有する。貫通孔の上方に隣接して、光源から離れた光ガイド26の端部は、結合レンズとともに配置され、その結果、光源によって生成された光ビームは、光ガイドを介して伝送され、そこから旋回ジョイントの貫通孔に結合される。第一の反射体要素は、貫通孔の下に配置され、光ビームが旋回アームの自由端に向けられるように光ビームを偏向させる。第二の反射体要素は、旋回軸から離れて旋回アームの自由端に配置され、光ビームを垂直下方に偏向させる。任意選択で、光ビームを集束させるための光学レンズを、旋回ジョイントに隣接して配置された光ガイドの端部と第二の反射体要素との間のビーム経路内に設けることができる。光学レンズ30の代わりに、対物レンズを設けることもでき、これによって、光ビームの集束の程度を変更することもできる。
【0196】
第一及び/又は第二の反射体要素は、反射光を集束させるように、例えば放物面鏡又は自由曲面鏡として成形することができる。これは、光路中に光学レンズを配置する必要がないこと、あるいは光路中に屈折力の低い光学レンズを設けることができることを意味する。
【0197】
旋回アーム16によって処理ヘッド17を移動させるとき、光ガイドは、その端部はキャリッジ15内に配置された状態で、レールユニット14に沿って移動するだけである。旋回アーム16は、光ガイドの位置に影響を与えない回転運動を行うことができる。これにより、旋回アーム16は、旋回アームのそのような回転運動中に同伴されないので、光ガイドの機能を損なうことなく完全な回転を1回以上実行することが可能になる。
【0198】
このような配置により、レールユニット14に沿って移動可能なキャリッジ15上の旋回アームによって複数の処理ヘッド17を設けることが可能になり、個々の光ガイドが互いに絡み合わないことが保証される。これにより、少なくとも8個、好ましくは少なくとも12個、特に少なくとも16個の処理ヘッドを有する3Dプリンタ1を作ることが容易になり、処理ヘッドの全てを同時に又は実質的に同時に光ビーム束に露光することのできる。
【0199】
光源は、連続モード(cw)又はパルスモード(pw)で光ビーム束を生成することができる。高い光強度を有するパルス光源25の場合、光源をいくつかの処理ヘッドに割り当て、次いで、マルチプレクサが光源とそれぞれの処理ヘッドとの間に配置され、その結果、光源によって生成された光ビームがマルチプレクサによっていくつかの処理ヘッドのうちの1つに明確に供給されることも好都合であり得る。個々の処理ヘッド間の変化は非常に迅速に起こり得るので、溶融又は焼結プロセスと比較して、変化は非常に速く、それに結合された個々の処理ヘッド13は、実質的に同時に光ビームに露光されると見なさすことができる。
【0200】
旋回アームの更なる実施形態は、光源として、光ポンプ及び共振器を有する励起レーザを有し、これらは、光ガイド34を介して互いに接続される。共振器は、好ましくは固体からなり、光ポンプによって放出されるポンピング光によって励起又はポンピングされる活性媒体を含む。
【0201】
共振器は、光学レンズとともに、光ビームが垂直に下向きに放出され得るように、旋回軸から離れた旋回アーム17の端部に直接配置される。光ポンプは、旋回アームの旋回運動に追従しないようにキャリッジ上に配置される。光ポンプは、通常、1つ以上の半導体レーザと、冷却フィンを有するヒートシンクとを備える。光ポンプは、共振器及び光学レンズよりもはるかに重い。共振器と光学レンズのみを移動させ、光ポンプ3は移動させないので、旋回アーム16の回転慣性モーメントは小さい。
【0202】
この実施形態では、光ポンプは、キャリッジ15に配置されている。しかしながら、光ポンプは、キャリッジから独立して配置することも、あるいは離れて配置することもできる。
【0203】
この実施形態は、また、反射体要素を有するビームガイドが光ガイドの代わりに提供されるように変更することができる。この場合、光ガイドは、完全に省くことも、あるいは光ポンプがキャリッジから離れて配置される場合、キャリッジまでのみ案内することもできる。
【0204】
好ましくは、励起レーザとしてND:YAGレーザを使用して、光ポンプとして波長808nmの1つ以上のレーザダイオードを使用する。しかしながら、Yb:YAGレーザなどの別のレーザも使用することができる。
【0205】
更なる実施形態によれば、光源から旋回アーム16へのビームガイドが、光ガイドによって形成される。光ガイドは、光源から旋回アーム16に案内され、光ガイドは、キャリッジ15の領域において旋回アーム16の下に光源から離れた端部を有するように配置される。光ガイドは、光ガイドがキャリッジ15の領域内で旋回アームに沿って案内され、光源点から離れたその端部が旋回アーム16の自由端に向かって案内されるように、旋回アーム16に接続される。ミラーとして設計された反射体要素は、旋回アーム18の自由端に配置される。しかしながら、反射体要素は、プリズム等の光ビームを偏向させる他の光学要素によっても表すこともできる。
【0206】
光源によって放出された光ビームは、光ガイドによって透過され、光ビームが旋回アーム16に沿って反射体要素の方向に、好ましくは旋回アーム16と平行に偏向されるように、光源から離れたその端部で放出される。第二の反射体要素は、旋回アーム16の自由端に配置され、光ビームを処理領域に向かって下方に偏向させる。任意選択で、光ビームを集束させるための光学レンズを、光ガイドの端部と反射体要素との間のビーム経路内に設けることができる。光学レンズの代わりに、光ビームの集束度を変えることができるように対物レンズを設けることも、及び/又は反射体要素をそれに応じて湾曲させることもできる。
【0207】
したがって、このような構成では、レールユニット14に沿って移動可能なキャリッジ17上に複数の処理ヘッド17をそれぞれ旋回アーム16によって設けることができ、個々の光ガイドが互いに絡み合わないことが保証される。これにより、少なくとも8個、好ましくは少なくとも12個、特に少なくとも16個の処理ヘッド17を有する3Dプリンタ1を作ることが容易になり、処理ヘッドの全てを同時に又は実質的に同時に光ビームに露光することができる。
【0208】
この例示的な実施形態において、レールユニット14、ひいてはそれらに取り付けられた旋回アーム16は、異なるレベルに配置され、その結果、中央レールユニット14に配置された旋回アーム16は、外側レールユニット14に配置された旋回アーム16と衝突することができない。全てのレールユニットが同じ高さに配置される場合、旋回アーム16の高さも異なるように設計することができる。これは、例えば、旋回ジョイントを個々のキャリッジ15に異なる高さで取り付けることによって達成することができる。しかしながら、レールユニットは、全てを1つの平面に配置することもできる。
【0209】
以上に説明された例示的な実施形態では、旋回アーム16は、垂直方向に調整可能ではない。しかしながら、本発明の範囲内で、旋回アーム16の垂直位置を調整するための装置をキャリッジ15に設けること、又はレールユニット14を垂直位置で調整可能にすることも可能である。これは、粉末床12がスクレーパ11によって掻き取られているとき、粉末床12と旋回アーム16との間のスクレーパの移動のための充分な空間を取るために特に好都合であり得、スクレーパ11が再び粉末床12の領域の外側に出た後に、旋回アーム16は、粉末床12内に位置する粉末6の表面に可能な限り近接して、処理ヘッド17を配置するために下げることができる。
【0210】
個々の処理ヘッド17のための光源は、同じように設計することができ、各々が、同じ強度及び同じ周波数又は同じ周波数範囲を有する光ビームを生成する。しかしながら、本発明の範囲内で、異なる処理ヘッドに異なる光源を設けることも可能であり、光は、異なる周波数又は周波数範囲及び/又は異なる強度で放出される。光の波長を特定の範囲にわたって調整することができる光源を設けることもできる。このような周波数可変レーザは公知であり、通常、半導体増幅器を有する。
【0211】
本発明の1つの利点は、粉末床12内の粉末6の異なる領域を複数の処理ヘッド17によって光に、したがって同時に熱にさらすることができ、同時に溶融又は焼結できるという事実にある。これは、製造プロセスを並列化し、従来の3Dプリンタと比較して製造プロセスを大幅に高速化する。
【0212】
更なる実施形態によると、光学距離センサが、基準要素と距離センサとの間の距離を測定するために使用される。このような距離センサは、安価であり、非常に高い分解能を有する。それらは、三角測量によって基準要素までの距離を決定することができる。三角測量では、光ビーム、例えばレーザビームが測定対象物上に集束され、カメラ、空間分解フォトダイオード、又は距離センサ内のその隣に配置されたCCDラインで観察される。測定対象物のセンサからの距離が変化すると、光スポットが観察される角度も変化し、したがって、受光器上のその像の位置も変化する。レーザプロジェクタからの物体の距離は、角度関数を使用して位置の変化から計算される。三角測量を用いた距離測定は、非常に簡単で安価である。精度要件が低い場合、発光ダイオードからの放射を光ビームとして使用することもできる。
【0213】
距離は、また位相位置を測定することによって測定することもできる。位相位置を測定する場合、光ビーム、例えばレーザビームが放出される。放出ビームと比較した反射レーザビームの位相シフトは、距離に依存する。この位相シフトを測定し、これを使用して移動距離を決定することができる。位相シフトを測定することによる距離測定は、非常に正確である。
【0214】
移動時間を用いて距離を測定する場合、光の短いパルス、光の一定のビーム又は光変調が放出される。パルス伝播時間は、光ビームが光源から反射器に移動し、再び光源に戻るのに要する時間である。この移動時間を測定することによって、光源と物体との間の距離を光の速度によって決定することができる。線、表面又は平面を走査するセンサ、例えば1つ以上の物体の三次元位置特定のためのステレオカメラも距離を測定するために使用することができる。そのようなセンサは、その受容領域が大きいので旋回する必要がない。
【0215】
光学センサの代わりに、超音波センサ又は電波の伝搬時間を用いて距離を決定するセンサなど、他のセンサを使用することもできる。
【0216】
センサの種類にかかわらず、利点は、処理ヘッドの位置を制御ループのおかげで非常に正確に設定できることである。これは、また、第一の例示的な実施形態に従って、1つの平面内でのみ移動できる処理ヘッドの位置を決定するために使用することができる。
【0217】
正確な位置決めのために、可動構成要素、例えば処理ヘッド17の実際の位置を開始後に検出することができる。この目的のために、処理ヘッド17とそれぞれの距離センサとの間の距離を測定することができる。実際の位置は、距離センサを用いて距離を測定することによって検出される。処理ヘッドの実際の位置は、3つの距離測定から容易に決定することができる。実際の位置が標的位置に対応する場合、更なる動作は必要とされず、部品の製造を継続することができる。
【0218】
可動構成要素、例えば処理ヘッド17の位置は、空間内で絶対的に決定することができる。しかしながら、可動構成要素の位置は、別の構成要素に対して決定することもできる。後者の場合、2つの構成要素間の距離が決定される。
【0219】
可動構成要素の実際の位置は、標的位置に到達するまで、各空間方向において、又は各軸に対して個別にかつ連続的に制御することができる。しかしながら、3つの空間方向すべてにおいて、又はすべての軸に対して同時に可動構成要素の位置を制御することも可能である。
【0220】
距離センサは、3Dプリンタ1の処理チャンバ2内の固定位置に配置することができる。距離センサは、距離測定を介して粉末床12の表面の位置を決定し、次いで更なる距離測定の助けを借りて可動構成要素、例えば、処理ヘッド17の位置を決定することができる。処理ヘッド17は、処理ヘッド17と粉末床12の表面との間の必要な距離を設定するために、粉末床12の位置、すなわち粉末床12の高さに応じて標的位置に移動させることができる。1つ以上の処理ヘッド17のそれらの標的位置への移動は、それによって、上述の制御及び調整装置の助けを借りて実行することができる。1つ以上の距離センサを処理ヘッド17に接続又は配置して、処理ヘッド17と粉末床表面との間の距離を、処理ヘッド17を粉末床12の表面から目標距離まで引き続き移動させるために直接決定することも可能である。
【0221】
実際の位置が標的位置に対応しない場合、処理ヘッド17の位置は、修正される。このために、駆動を開始し、実際の位置と標的位置との間の距離に応じて処理ヘッド17の横断速度を設定することができる。実際の位置と標的位置との間の距離が小さいほど、より低い横断速度が選択され得る。設定された単位時間及び/又は規定の距離が移動した後、実際の位置を再び記録し、次いで必要に応じて修正することができる。また、実際の位置を連続的に記録することも可能である。このようにして、閉じた制御ループを作成することができる。この制御によって、単純で安価でそれ自体はあまり精密ではない移動装置を使用して、処理ヘッド17を正確に標的位置に移動させることが可能になる。位置決めの精度は、距離センサを用いた距離測定のみによって決定される。
【符号の説明】
【0222】
1 3Dプリンタ
2 処理チャンバ
3 生産ユニット(Produktionseinrichtung)
4 保管ユニット(Vorratseinrichtung)
5 供給容器
6 粉末
7 底壁
8 供給ピストンシリンダユニット
9 構築プラットフォーム
10 生産ピストンシリンダユニット
11 スクレーパ
12 粉末床
13 モジュール
14 レールユニット(Schieneneinrichtung)
15 キャリッジ(Schlitten)
16 処理ヘッド
17 旋回アーム
18 モジュールホルダ(Modulaufnahme)
19 ホルダ(Halterung)
20 長手方向
21 結合ユニット(Koppeleinrichtung)
22 制御ユニット(Steuereinrichtung)
23 水平方向
24 生産制御ユニット(Produktionssteuereinrichtung)
25 計画制御ユニット(Planungssteuereinrichtung)
図1
図2
図3
【国際調査報告】