(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】マルチコアファイバを製造するための方法及び半製品
(51)【国際特許分類】
C03B 37/012 20060101AFI20250121BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
C03B37/012 A
G02B6/02 466
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535457
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2023050989
(87)【国際公開番号】W WO2023139056
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507332918
【氏名又は名称】ヘレーウス クヴァルツグラース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Quarzglas GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Heraeusstr.12-14, 63450 Hanau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュスター,ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ローレンツ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバーガー,マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】フューネルマン,ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】タイエス,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】カイザー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ベットヒャー,マーティン
【テーマコード(参考)】
2H250
4G021
【Fターム(参考)】
2H250AA53
2H250AB04
2H250AB10
2H250AC64
2H250AC94
2H250AC95
4G021BA01
4G021BA02
4G021BA03
4G021BA04
(57)【要約】
【解決手段】 マルチコアファイバを製造するための既知の方法は、中心ボアと中空シリンダ長手方向軸とを含む中空シリンダを含むマルチコアファイバ又はマルチコアファイバ用のプリフォームを形成するために構成要素群が再成形される方法工程を含み、中空シリンダは、クラッディングガラスから作られたクラッディングガラス領域と、コアガラスによって占められる複数のコアガラス領域とを含み、中心ボアの少なくとも一部はガラス充填材料によって占められる。中心の信号コアのないマルチコアファイバを製造するための方法であって、中空ガラスクラッディングシリンダの完成中の拒絶のリスクが低減される方法を提供するために、中心ボアの長手方向軸に沿って延びるガラス充填材料に隣接する、マーカガラスからなるマーカ要素が使用されることが提案される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコアファイバ(20)を製造するための方法であって、中心ボア(2)と中空シリンダ長手方向軸(1a)とを含む中空シリンダ(1)を含む前記マルチコアファイバ(20)又は前記マルチコアファイバ(20)用のプリフォーム(10)を形成するように構成要素群(9)が再成形される方法工程を含み、前記中空シリンダが、クラッディングガラスから作られたクラッディングガラス領域(1b)と、コアガラスが設けられた複数のコアガラス領域(4a)とを含み、前記中心ボア(2)の少なくとも一部が、充填ロッド長手方向軸(5a)及び充填ロッド外側クラッディング表面(5b)を含むガラス充填ロッド(5)によって占められ、前記充填ロッド長手方向軸(2)の方向に延びる凹部(5)が、前記充填ロッド(5)内又は前記充填ロッド(5)上に作製され、凹部内にマーカガラスから作られたマーカ要素(6、7、8)が挿入されるか、前記マーカ要素(6、7、8)を形成する、方法。
【請求項2】
前記マーカ要素(6、7、8)が、前記充填ロッド長手方向軸(5a)に沿って延び、前記プリフォーム(10)又は前記マルチコアファイバ(20)を形成するための再成形前に前記凹部(6)内に溶融されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マーカ要素(6、7、8)が、ある長さを有し、この長さの少なくとも80%に沿って、好ましくはこの長さの少なくとも90%に沿って、完全に、部分的に、又は特定の点で溶融が起こることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記マーカ要素(6、7、8)を溶融することが、前記凹部(6)が前記充填ロッド外側クラッディング表面(5b)の上側に位置するように、水平に配向された前記充填ロッド長手方向軸(5a)を有する前記充填ロッド(5)が取り付けられる方法工程を含み、前記マーカ要素(6、7、8)の材料が、熱源によって加熱され、軟化されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項5】
前記構成要素群(9)の前記製造が、
(a)前記クラッディングガラスを含む前記中空シリンダ(1)を提供する工程と、
(b)前記コアガラスを含む複数のコアロッド(4)を提供する工程と、
(c)充填ロッド長手方向軸(5a)を含み、前記ガラス充填材料を含む充填ロッド(5)を提供する工程と、
(d)前記充填ロッド(5)の前記外側クラッディング表面(5b)上に前記少なくとも1つの凹部(6)を生成する工程と、
(e)マーカ要素(6、7、8)を提供する工程と、
(f)前記マーカ要素(6、7、8)を前記凹部(6)内に配置し、溶融させる工程と、
(g)前記中空シリンダ長手方向軸(1a)に沿って延びるコアロッドボア(3)を生成する工程と、
(h)前記充填ロッド(5)及び前記マーカ要素(6、7、8)を、前記中心ボア(2)内に導入する工程と、
(i)前記コアロッド(4)を前記コアロッドボア(3)に導入し、前記構成要素群(9)を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項6】
前記マーカ要素(7、8)が、円筒形構成要素の形態で、又は前記充填ロッド(5)に接続された層若しくは塊の形態で提供されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項7】
前記凹部(6)が、前記充填ロッド(5)の前記外側クラッディング表面内にボア及び/又は長手方向溝を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項8】
前記マーカ要素(6、7、8)が、空気で満たされた細長い空洞を形成するか、又は少なくとも1つの物理的及び/又は化学的特性が前記クラッディングガラス及び前記ガラス充填材料とは異なるマーカ材料を含み、前記特性が、屈折率、色、蛍光、及び/又は比ガラス密度から選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項以上に記載の方法。
【請求項9】
マルチコアファイバを製造するための半製品であって、中心ボア(1a)を含む中空シリンダ(1)であって、前記中空シリンダが、クラッディングガラスから作られたクラッディングガラス領域(1b)及び中空シリンダ長手方向軸(1a)を含む、中空シリンダと、前記クラッディングガラス領域(1b)内にコアガラスが設けられた複数のコアガラス領域(4a)とを含み、前記中心ボア(2)の少なくとも一部が、充填ロッド長手方向軸(5a)及び充填ロッド外側クラッディング表面(5b)を含むガラス充填ロッド(5)によって占められ、前記充填ロッド(5)が、前記充填ロッド長手方向軸(2)の方向に延びる凹部(5)を含み、前記凹部内にマーカガラスから作られたマーカ要素(6、7、8)が挿入されるか、又は前記マーカ要素(6、7、8)を形成し、前記中心ボア長手方向軸(1a)及び前記充填ロッド長手方向軸(2b)に沿って延びることを特徴とする、半製品。
【請求項10】
前記マーカ要素(6、7、8)が、ある長さを有し、この長さの少なくとも80%に沿って、好ましくは少なくとも90%に沿って、完全に、部分的に又は点で、前記凹部(5)内に溶融されることを特徴とする、請求項9に記載の半製品。
【請求項11】
前記マーカ要素が、ガスで満たされたチャネルを含むことを特徴とする、請求項9又は請求項10に記載の半製品。
【請求項12】
前記凹部(6)が、前記充填ロッド(5)の前記外側クラッディング表面(5b)内にボア及び/又は長手方向溝を含み、前記半製品が、前記中心ボア(2)を含む前記中空シリンダ(1)と、前記コアガラスを含み、前記コアガラス領域(4a)を形成する少なくとも2つのコアロッド(4)と、前記中心ボア(2)内に配置された前記充填ロッド(5)と、前記充填ロッド(5)の前記凹部(6)内に取り付けられた少なくとも1つのマーカ要素(6、7、8)と、を更に含むことを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項以上に記載の半製品。
【請求項13】
前記マーカ要素(7、8)が、円筒形構成要素の形態で、又は前記充填ロッドに接続された層若しくは塊の形態で存在することを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項以上に記載の半製品。
【請求項14】
前記マーカ要素(6)が、空気で満たされた細長い空洞を形成するか、又は前記クラッディングガラス、前記コアガラス、及び前記ガラス充填材料とは少なくとも1つの物理的及び/又は化学的特性が異なるマーカ材料を含み、前記特性が、屈折率、色、蛍光、及び/又は比ガラス密度から選択されることを特徴とする、請求項9~13のいずれか一項以上に記載の半製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチコアファイバを製造するための方法であって、中心ボアと中空シリンダ長手方向軸とを含む中空シリンダを含むマルチコアファイバを形成するために、又はマルチコアファイバのためのプリフォームに、構成要素群が再成形される方法工程を含み、中空シリンダが、クラッディングガラスから作られたクラッディングガラス領域と、コアガラスによって占められる複数のコアガラス領域とを含み、中心ボアの少なくとも一部が、充填ロッド長手方向軸及び充填ロッド外側クラッディング表面を含むガラス充填ロッドによって占められる、方法に関する。
【0002】
更に、本発明は、中心ボアと中空シリンダ長手方向軸とを含む中空シリンダを含むマルチコアファイバを製造するための半製品に関し、中空シリンダが、クラッディングガラスから作られたクラッディングガラス領域と、クラッディングガラス領域内でコアガラスによって占められる複数のコアガラス領域とを含み、中心ボアの少なくとも一部が、充填ロッド長手方向軸及び充填ロッド外側クラッディング表面を含むガラス充填ロッドによって占められる。
【0003】
マルチコアファイバにおいて、光波伝導型の複数の光コア領域(以下、「信号コア」ともいう)が、共通のファイバに集積されている。信号コアは、ファイバの長手方向軸に沿って延びる。それらは、より低い屈折率を有するクラッディング材料によって取り囲まれ、光が互いに独立して導かれることを可能にする。このファイバ設計は、単一の光ファイバに結合された異なる信号を空間的に分離された信号コアの各々で同時に伝送することができるので、高い信号伝送容量を保証する。この信号伝送方法は「空間多重化」とも呼ばれ、特に光通信におけるデータ伝送容量を増加させることができる。マルチコアファイバはまた、測定及び医療技術における光ファイバセンサの構成要素として、材料処理のためにエネルギーを伝達するための重要な構成要素と見なされ、顕微鏡又は内視鏡装置における照明及び撮像の目的のために考慮される。
【背景技術】
【0004】
マルチコアファイバは、固体プリフォーム又は一群の構成要素を伸長させることによって製造される。これらは、合成的に製造された石英ガラス(SiO2)からなることが多く、ドープされていてもドープされていなくてもよい。合成石英ガラスの製造は、例えば、OVD、VAD、MCVD、PCVD又はFCVD法という名称で知られているプラズマ又はCVD堆積法を含む。液体又は気体のケイ素含有出発物質は、化学反応(加水分解、熱分解又は酸化)に供され、反応生成物、つまり微粒子SiO2は、堆積表面上の気相から固体として堆積される。出発物質は、例えば、四塩化ケイ素(SiCl4)又は塩素を含まないケイ素化合物、例えばポリアルキルシロキサンである。反応ゾーンは、例えば、オーブン、バーナ火炎又はアーク(プラズマ)である。
【0005】
いわゆる「スタック・アンド・ドロー」法では、異なる直径のコアロッド及びガラスシリンダが、比較的高い充填密度及びある程度の対称性を作り出すように積み重ねられる。円筒形構成要素は、シース管に挿入され、その中で空間的に固定される。この群は、マルチコアファイバを形成するために引き出されるか、又はマルチコアファイバが引き出されるプリフォームを形成するために更に事前に処理される。
【0006】
「スタック・アンド・ドロー」法は、高度の調整努力を必要とし、寸法安定性の誤差及び自由構成要素表面の大きな割合から生じる不純物の導入を容易にもたらす。更に、半径方向充填密度の違いにより、細長いプリフォームは、多くの場合、方位角方向に異なる半径値を有し、これは円筒研削によって補償されなければならない。
【0007】
米国特許出願公開第2022/003921号明細書は、加熱又は粉末成形プロセスによってクラッディングガラス固体シリンダに5つの円形開口部を製造することによってマルチコアファイバを製造するための半製品及び方法を記載しており、中央に配置された開口部は、4つの周囲開口部によって均一に囲まれ、それと重なり合う。外側の4つの開口領域は、コアガラスロッドで占められ、まだ自由な中央開口領域には、低粘度ガラスから作られた多角形断面を有するロッドが挿入され、このロッドに隣接する空きスペースにマーカロッドが挿入される。後の方法段階では、群の全ての構成要素が加熱され、低粘度ガラスから作られたロッドが最初に軟化してギャップを充填する。
【0008】
半製品及び半製品を伸長してマルチコアファイバを製造する方法は、米国特許出願公開第2016/347645号明細書から知られている。半製品は、クラッディングガラスから作られた一体型クラッディングチューブで構成されるマルチパートファイバプリフォームを形成し、クラッディングガラスから作られた3つの構造的に同一の円筒状スタックピースのスタックを受け入れて軸方向に案内するように設計され、スタックピースの各々は、そのシリンダクラッディング表面に貫通ボア及び長手方向溝、貫通ボアに挿入するための複数のコアロッド、及び長手方向溝に挿入するための複数のマーカロッドを含む。クラッディングチューブボア内では、スタックピースは、貫通ボア及び長手方向溝が位置合わせされるように、互いに重ねて配置される。マーカロッドによって形成されたファイバプリフォームのマーカゾーンは、クラッディングチューブの内側クラッディング表面上を走る。
【0009】
米国特許第8,532,454号明細書は、7つのコア領域を有するマルチコアファイバを開示している。
【0010】
マルチコアファイバ用のプリフォームを製造するための別の既知の手順では、例えば、米国特許出願公開第2021/0300812号明細書に記載されるように、合成SiO2に基づくガラスクラッディングシリンダの長手方向穿穴によって複数の貫通穴が製造され、これはシリンダの長手方向軸の方向に延びる。各貫通穴には、ガラスクラッディングシリンダのガラスよりも屈折率の高いコア材を含むコアロッドが挿入される。貫通穴の数が多い場合、隣接する穴の間に、薄くて容易に破断可能な壁が残る可能性がある。破損のリスクを低減するために、ガラスクラッディングシリンダに必要な数の貫通穴を連続的に製造し、その間に貫通穴の少なくとも一部をコアロッドで占有して融着することが提案されている。
【0011】
ガラスクラッディングシリンダは細長い。したがって、貫通穴は大きなアスペクト比(長さと直径との比)を有し、これは基本的に、寸法精度を有して貫通穴を製造し、貫通穴を中空ガラスクラッディングシリンダの長手方向軸に正確に平行に位置合わせすることを困難にする。
【0012】
米国特許出願公開第2015/284286号明細書及び米国特許出願公開第2015/0307387号明細書から知られる方法では、OVD法を使用して製造されたSiO2に基づくスート体(SiO2スート体)の形態の中空ガラスクラッディングシリンダが使用され、0.8g/cm3~1.6g/cm3の密度を有する。OVD法では、堆積表面は、一般に、その長手方向軸の周りを回転するロッド形状又は管状堆積マンドレルの外側クラッディング表面である。実質的に円筒形のスート体は、反応ゾーンの前後の反転移動によって堆積される。堆積プロセスが完了した後、堆積マンドレルは、円筒状スート体の中心軸に中心貫通開口部が残るように除去される。このようにして製造された中空ガラスクラッディングシリンダには、コアガラスロッドを受け入れるための長手方向ボアが導入され、石英ガラスと比較してSiO2スート体の密度が低いため、寸法的に正確な長手方向ボアを製造することが容易になる。製造プロセスに起因して残る中央の「OVD貫通開口部」は、崩壊してファイバ設計を破壊するときに非対称変形をもたらす可能性がある。崩壊することによってまた、クラッディングガラス部分の断面積も小さくなる。これらの欠点は、OVD貫通開口部を閉鎖する充填ロッドを挿入することによって防止することができる。充填ロッドは、中空ガラスクラッディングシリンダと実質的に同じ屈折率を有するガラスからなる。充填ロッドは、OVD法又はプレス成形によって、あるいはプレス成形とOVD法との組み合わせによって、製造することもできる。更に、マーカ要素を受け入れるためのチャネルが中空ガラスクラッディングシリンダに導入される。チャネルは、縁部に近い中空ガラスクラッディングシリンダの領域に機械的穿ボアによって生成される。
【0013】
マーカ要素は、マルチコアファイバ内に連続した線状のマーカゾーンを形成し、信号コア並びに信号コアの互いに対する位置及びファイバ中心軸に対する位置を明確に識別して割り当てることができるように対称性を破るために使用される。これは、例えば、2つのマルチコアファイバが、従来の接合方法を使用してそれらの端面によって,低減衰で互いに一緒にされ得るように必要である。
【0014】
マルチコアファイバを接合するために、接続されるファイバ端部は、端面同士が互いを面するように配置される。既知の方法では、光は反対側のファイバ端の全ての信号コアに同時に供給され、光検出器及びパワーメータによって他方のマルチコアファイバのファイバ端で集合的に検出される。特に、マルチコアファイバの一端が光の供給に利用できない場合には、このマルチコアファイバに対して側方から光が照射される。マルチコアファイバ端面を水平方向及び垂直方向に相対変位させ、方位角方向に相対回転させることにより、融着接合機において、信号コア同士が正しく割り当てられ、一括受光パワーが最大となるまで、ファイバ端同士が自動的に位置合わせされ、次いで、この位置で互いに融着される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
マルチコアの数が多いほど、理論的には、単一のファイバコア(シングルモードファイバ又はマルチモードファイバ)を有する光ファイバと比較してデータ伝送容量の増加が大きくなる。一方、原則として、複数のコアの各々が、単一コアを有する光ファイバの光減衰にほぼ対応する光減衰を有する必要がある。これは、ファイバ設計が追加の減衰を引き起こさない、又は干渉信号としての信号コアの独立した情報伝送と干渉しないことを必要とする。しかしながら、これは、特に互いに近すぎる場合、複数のコア間のいわゆる「クロストーク」によって引き起こされ得る。したがって、この効果は、ファイバコア間に一定の最小距離が維持されることを必要とする。これらの理由から、マルチコアファイバの半径方向断面において利用可能な断面積を、マルチコアによる占有のために可能な限り完全に使用する必要がある。
【0016】
したがって、ファイバ設計に導入される追加のマーカゾーンは、ファイバ断面のわずかな割合を占めるべきである。マーカゾーンのサイズが小さいことは、いわゆるファイバカール又はファイバ内に誘発される応力等の他の望ましくない影響を打ち消すためにも有利である。したがって、マーカ要素を受け入れるためのチャネルの直径は小さく、一般に、コアロッドを受け入れるためのボアの直径よりも著しく小さい。典型的には、ファイバ延伸プロセス前の中空ガラスクラッディングシリンダのチャネル直径は15mm未満であり、65を超えるアスペクト比を伴う(中空シリンダの長さが約1mの場合)。
【0017】
中空ガラスクラッディングシリンダ内のこのような薄いチャネルの寸法的に正確な製造及び正確な位置合わせは、高精度穿ボア機を使用する場合でも困難である。更に、特に薄いチャネルの穿ボア中に、チャネル壁に亀裂がますます生成されることが示されている。合成石英ガラスから中空ガラスクラッディングシリンダを製造するコストは高く、とりわけ、マーカ要素を受け入れるための小さなボアが、そうでなければ完成した中空ガラスクラッディングシリンダを拒絶することにつながる場合、損失は特に痛みを伴う。
【0018】
更に悪いことに、マルチコアファイバの切断及び接合は、意図されたように使用されるときに特定の要件に従って任意の位置で実行することができ、その結果、測定に依拠する必要がないように、ファイバ長全体に沿った一貫した幾何学的形状に依拠しなければならない。
【0019】
したがって、本発明の目的は、中心信号コアのないマルチコアファイバを製造するための方法であって、既知の方法の欠点を低減し、特に、中空ガラスクラッディングシリンダの完成中における拒絶のリスクが低減される方法を提供することである。
【0020】
更に、本発明の目的は、具体的には低い「ファイバカール」を特徴とする、中心信号コアのないマルチコアファイバの製造に好適な半製品を提供することである。
【0021】
ファイバの特定の長さにわたる曲率の程度として定義されるガラスファイバの特性が、「ファイバカール」と呼ばれる。曲率は、ファイバ製造中に生じる熱応力に起因する。「ファイバカール」が大きいと、マルチコアファイバの低減衰接合がより困難になる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本方法に関して、この目的は、最初に述べた方法に基づいて、充填ロッド長手方向軸の方向に延びる凹部が充填ロッド内又は充填ロッド上に生成され、凹部内にマーカガラスから作られたマーカ要素が挿入されるか、又はマーカ要素を形成するという点で、本発明によって達成される。
【0023】
中心ボアを有する中空ガラスクラッディングシリンダが使用される。このような中空シリンダは、例えば及び好ましくは、堆積マンドレルが除去された後にOVD(Outside Vapor Deposition、外側蒸着)法を使用して得られる。OVD法を使用した中空ガラスクラッディングシリンダの製造は、他の製造方法と比較して、特にVAD(Vapor Phase Axial Deposition、気相軸堆積)法と比較して、費用効果が高い。しかしながら、前述の中心ボアが残るという欠点がある。当該中心ボアは、複数の充填ロッドによって提供されるガラス充填材料によって、又はガラス充填材料を含む単一の充填ロッドによって、完全に又は部分的に閉じることができる。
【0024】
ガラス充填ロッドの化学組成がクラッディングガラスの化学組成に対応する実施形態では、マルチコアファイバ内の充填ロッドのガラス充填材料が光クラッディングの一部を形成する。ガラス充填材料とクラッディングガラスの化学組成が異なる実施形態では、マルチコアファイバ内の充填ロッドのガラス充填材料は、追加の機能を有することができ、例えば、ファイバ内の半径方向に作用する圧縮又は引張応力を生成及び/又は補償する「応力ゾーン」として作用することができる。
【0025】
本発明による方法は、中心信号コアのないマルチコアファイバを製造するために使用される。中心ボアは、充填ロッドのガラス充填材料に加えてマーカ要素を挿入するために使用される。ガラス充填材料は、信号伝送に好適なコア領域を含まない。
【0026】
充填ロッドの長手方向軸の方向に延びる少なくとも1つの凹部が、充填ロッド内又は充填ロッド上に形成され、その凹部内にマーカ要素が挿入されるか、又はその凹部がマーカ要素を形成する。
【0027】
マーカ要素は、構成要素として、構成要素のコーティングとして、又は空洞として、構成要素群内に存在し、マルチコアファイバ内にマーカ材料又は空気からなる連続した線状のマーカゾーンを形成する。マーカゾーンは、例えば、対称性の破壊のための接合の間、並びに信号コア及び信号コアの互いに対する位置及びファイバ中心軸に対する位置の明確な識別のために使用することができる。
【0028】
凹部は、例えば、充填ロッド長手方向軸に沿って充填ロッドを通って延びる中空チャネルである。この場合、充填ロッドは、空気で満たされた細長い空洞の形態のマーカ要素の縁部を形成する。又は、マーカ要素は、円筒形充填ロッドの外側クラッディング表面上の凹部内に配置される。
【0029】
マーカ要素は、ガラス充填ロッド内又はガラス充填ロッド上に、したがって中空ガラスクラッディングシリンダの中心ボア内に配置されるが、中空シリンダのクラッディングガラス内には配置されないため、マーカ要素を挿入する目的で中空ガラスクラッディングシリンダを適合させる必要性は、例えば機械的処理によって、特に中空ガラスクラッディングシリンダ内にマーカ要素を受け入れるためのボアを生成することによって、排除される。したがって、中空ガラスクラッディングシリンダをこのように適合させることに関連する損傷のリスクが排除される。
【0030】
中空ガラスクラッディングシリンダの中心ボアの寸法安定性及び真直度は、OVD製造方法自体によって、及び必要に応じて後続の手段によって、容易に確保することができる。好適な後続の手段は、例えば、中心ボアの機械的再加工及び/又は伸長プロセスを含み、そこから中空ガラスクラッディングシリンダが製造されるか、又はそこから複数の中空ガラスクラッディングシリンダがある長さに切断されるチューブストランドを伸長するために、OVD堆積プロセスで製造された初期中空シリンダが供される。伸長プロセスは、好ましくは、チューブストランド表面の損傷を回避するために、引き出されたチューブストランドに係合する成形ツールを使用せずに実行される。
【0031】
同様に、中心ボアに正確に挿入される充填ロッドの寸法安定性及び真直度は、機械加工及び/又はそのような伸長プロセスの手段によって比較的容易に確保することができる。この機械加工は、任意選択的に、一般に内部機械加工方法よりも著しく複雑でない外部機械加工方法であってもよい。
【0032】
マーカ要素の軸方向に平行な位置合わせは、充填ロッド長手方向軸の方向に延びる充填ロッドの凹部によって形成されることによって、又は充填ロッド長手方向軸の方向に延びる凹部に挿入されることによって、容易になる。
【0033】
マーカ要素は、例えば、充填ロッドの外側クラッディング表面に平行に延びるマーカガラスから作られた円筒形構成要素(ロッド又は管)を挿入することによって、又はマーカガラスから粒子の床を導入することによって、又はマーカガラスで凹部を内部コーティングすることによって、凹部に挿入される。
【0034】
凹部は、例えば、充填ロッド内のボアとして、好ましくは充填ロッドの外側クラッディング表面上の長手方向スロット(長手方向溝)として設計される。溝形状の凹部は、例えば、マーカ材料から作られた円筒形構成要素又は粒子状のマーカ材料で充填される。粒子状マーカ材料は、熱圧縮又は結合剤の添加によって、一定の寸法安定性を有することができる。マーカ材料は、凹部を完全に又は部分的に充填する。これにより、凹部は、マーカ要素と充填ロッドとの間の確実な嵌合を保証する。マーカ要素及び充填ロッドはまた、例えば焼結又は融着による材料結合によって、事前に(すなわち、中心ボアに挿入する前に)互いに接続することができる。
【0035】
充填ロッドに長手方向溝を設ける手順が特に好ましい。一方では、充填ロッド外側クラッディング表面の長手方向溝は、例えば機械的フライスカッタによるフライス加工又はレーザアブレーションによる充填ロッドのボアと比較して、特に容易かつ幾何学的に正確に製造することができる。一方、このようにして製造された長手方向溝は、充填ロッド自体とちょうど同じように正確かつ直線的である。更に、長手方向溝の深さ又は開口幅は、実質的に所望に応じて小さくすることができ、例えば、両方とも15mm未満、好ましくは10mm未満、特に好ましくは5mm未満である。長手方向溝は、マーカ要素として機能することができる空気で満たされた中空チャネルの壁として再成形することができ、又は長手方向溝はマーカ材料で充填することもできる。これは、体積が小さい幾何学的に正確なマーカ要素を簡単な方法で製造することができ、プリフォーム又は構成要素群においてそれらの軸方向位置合わせのずれが0.3mm/m未満であり、したがってマルチコアファイバ内に対応して小さく高精度のマーカゾーンを形成することを意味する。
【0036】
長手方向溝は、例えば、マーカ材料から作られた円筒形構成要素(ロッド又はチューブ)を挿入することによって、又はマーカ材料から粒子の床を導入することによって、又は長手方向溝をマーカ材料で内部コーティングすることによって、マーカ要素で充填される。マーカ材料又はそれぞれマーカ材料からの床からなる円筒形構成要素は、更に、融着によって長手方向溝内に固定することができる。
【0037】
達成が比較的容易な充填ロッド及び中心ボアの真直度はまた、マーカ要素の軸方向に平行な位置合わせを容易にする。これは、特に、マーカ要素が充填ロッド長手方向軸に沿って延び、プリフォーム又はマルチコアファイバを形成するために再成形の前に凹部内に融着される特に好ましい手順に適用される。
【0038】
これにより、マーカ要素(構成要素、床、層)は、融着によって凹部内に固定される。この目的のために、それは、その長さの少なくとも一部にわたって、好ましくはその長さにわたって分布するいくつかの点で局所的に、理想的にはその全長にわたって、凹部内に溶融される。マーカ要素材料で充填された充填ロッドは、以下では「修正された充填ロッド」とも呼ばれる。
【0039】
マルチコアファイバ又はプリフォームを形成するように構成要素群を再成形する前にマーカ要素を凹部に溶融することによって、溶融したマーカ要素で充填された凹部の側縁部が、修正された充填ロッドの外側クラッディング表面へのほぼ無段階の連続的な移行を形成し、したがって、ファイバ延伸プロセス中の構造的欠陥を回避することを保証することができる。これは、マルチコアファイバの寸法安定性にプラスの効果をもたらす。マーカ要素は、例えば、凹部を完全に充填し、理想的には、充填ロッド外側クラッディング表面の外側輪郭に適合した曲率を有する。
【0040】
したがって、好ましい手順では、マーカ要素がある長さを有し、この長さの少なくとも80%に沿って、好ましくはこの長さの少なくとも90%に沿って、完全に、部分的に、又は特定の点で溶融が起こることがもたらされる。
【0041】
マーカ要素の溶融は、好ましくは、凹部が充填ロッド外側クラッディング表面の上側に位置するように、充填ロッドが水平に配向された充填ロッド長手方向軸で取り付けられ、凹部に挿入されたマーカ要素の材料が熱源によって加熱され軟化される方法工程を含む。
【0042】
充填ロッドの長手方向軸を水平に向けてマーカ要素を溶融することにより、重力は、例えばバーナ又はレーザによって局所的に加熱及び軟化されるとすぐにマーカ要素の材料を下方に沈降させ、それによって凹部内に残っている空洞を充填する。表面張力は、大気に隣接する自由表面領域の丸みをもたらし得る。
【0043】
このようにして、例えばマーカ要素及び凹部が溶融プロセス中に垂直方向に配向された場合よりも、凹部を均一に、好ましくは完全に充填することがはるかに良好かつ容易である。
【0044】
凹部内に溶融したマーカ要素は、充填ロッドに対して固定され、それにより、更なるファイバ製造プロセスにおける修正された充填ロッドの取り扱いが簡単になる。溶融中、マーカ材料のある程度の丸み、したがって充填ロッドの外側クラッディング表面の輪郭への適合は、表面張力によって達成することができる。マーカ要素を溶融した後、修正された充填ロッドの溶融の精度及び品質をチェックすることができ、必要に応じて改善することができる。
【0045】
このようにして、構成要素群は、上述したリスク及び困難に関連する中空ガラスクラッディングシリンダに別個の穴を生成する必要なしに、マーカ要素を装備する。同時に、高アスペクト比にもかかわらず、高レベルの精度を保証することができ、これは、例えば、マーカ要素の軸平行度が0.3mm/m未満の偏差を有するという点でプリフォーム又は構成要素群において明らかである。
【0046】
好ましい手順では、マーカ要素は、中心ボア内の充填ロッド又は複数の充填ロッドに平行に延びるロッドとして存在する。
【0047】
更に好ましい手順では、マーカ要素は、充填ロッドの凹部に適用される層として存在する。
【0048】
2つ以上、例えば4~7つの追加の長手方向ボア(コアロッドボア)が、通常、中空シリンダ内に作製され、その長手方向軸は、中心ボアの長手方向軸に平行に延びる。コアロッドボアは、貫通ボア又は止まりボアであり、それぞれの場合にコアガラスから作製された少なくとも1つのコアロッドを受け入れるように機能する。半径方向で見ると、コアガラスの組成は均一に均質であるか、あるいは徐々に又は段階的に変化する。これは、コアガラス領域内の光誘導が保証される点で、クラッディングガラスとは異なる。
【0049】
所望の数のコアロッドボアは、1回の操作で生成され、各場合に少なくとも1つのコアロッドによって占有されるか、又は1つのコアロッドボアのみ、又は所望の数のコアロッドボアの第1の配分のみが事前に生成され、これは各場合に少なくとも1つのコアロッドによって占有され、コアロッドによって占有されたコアロッドボアは、コアロッドボアの残りの配分又は更なる配分が第2又は更なる操作で生成される前に圧潰され(この再成形プロセスは、本明細書では「圧密化」とも呼ばれる)、この配分はまた、各場合に少なくとも1つのコアロッドによって占有され、任意選択的に圧潰される。最も単純な場合、全てのコアロッドは同じ寸法を有し、同じコアガラスからなる。しかしながら、コアロッドはまた、それらの寸法及び/又は対応するコアガラスの組成に関しても異なり得る。
【0050】
マーカ要素を含む充填ロッドによる中心ボアの充填は、全てのコアロッドボアが生成及び/若しくは充填される前又は後に行うことができ、あるいはコアロッドボアのいくつかが生成及び/若しくは充填される前又は後に行うことができる。好ましい方法では、中心ボアは、充填ロッド及びマーカ要素で充填され、次いで、充填された中心ボアは、加熱によって圧潰され、次いで、所望のコアロッドボアが生成される。別の好ましい方法では、所望の数のコアロッドボアの第1の配分が製造され、少なくとも1つのコアロッドと嵌合され、中心ボアは充填ロッド及びマーカ要素で充填され、次いで充填されたコアロッドボア及び充填された中心ボアが加熱によって圧密化され、その後にようやく、コアロッドボアの第2の部分が製造される。
【0051】
このようにして製造された構成要素群は、再成形され、直接引き出されてマルチコアファイバを形成するか、又は圧密化されてマルチコアファイバ用のプリフォームを形成し、圧密化プロセスは同時での伸長プロセスと関連付けることができる。このようにして製造された「圧密化プリフォーム」は、マルチコアファイバを形成するために任意選択的に引き出されるか、又は「二次プリフォーム」を形成するために更に処理される。「二次プリフォーム」を形成するための更なる処理は、例えば、ガラスクラッディング領域内に更なるボアを生成し、コアガラス又は他のガラスとそれらを占有すること、又は以下の熱間成形プロセス、すなわち、追加のクラッディング材料上での崩壊、崩壊、伸長、崩壊及び同時伸長の1つ又は複数を、1回又は繰り返し実行することを含む。マルチコアファイバは、更なる処理によって製造された二次プリフォームから引き出される。
【0052】
好ましい手順では、構成要素群の製造は、以下の方法工程を含む。
(a)クラッディングガラスを含む中空シリンダを提供する工程と、
(b)コアガラスを含む複数のコアロッドを提供する工程と、
(c)充填ロッド長手方向軸を含み、ガラス充填材料を含む充填ロッドを提供する工程と、
(d)充填ロッドの外側クラッディング表面上に少なくとも1つの凹部を生成する工程と、
(e)マーカ要素を提供する工程と、
(f)マーカ要素を溝内に配置し、溶融させる工程と、
(g)中空シリンダ長手方向軸に沿って延びるコアロッドボアを生成する工程と、
(h)充填ロッド及びマーカ要素を中心ボアに導入する工程と、
(i)コアロッドをコアロッドボアに導入し、構成要素群を形成する工程。
【0053】
このようにして製造された構成要素群は、中空シリンダと、少なくとも1つのマーカ要素に融着された少なくとも1つの修正された充填ロッドと、コアロッドとを含む。リスト文字(a)~(g)は、方法工程の好ましいが必須ではない順序を単に指定する。構成要素群のコアロッドは、それぞれのコアロッドボア内で既に溶融されている場合、ここではコアロッドとも呼ばれる。
【0054】
マーカ要素は、充填ロッド長手方向軸に沿って、好ましくはその全長にわたって、すなわち第1の充填ロッド端部から第2の充填ロッド端部まで延びる。
【0055】
充填ロッドと融着することによって、マーカ要素は、特にその真直度及び位置合わせから利益を得、これらの特性は、マーカ要素に実質的に転写される。
【0056】
マーカ要素は、例えばチューブであり、好ましくはロッドである。管の形態のマーカ要素の場合、管壁はクラッディングガラスよりも高い粘度を有する材料を含むことができ、その結果、ファイバ延伸プロセス中にボアは完全には崩壊せず、完成したマルチコアファイバ内で空洞(「エアライン」)として維持される。
【0057】
断面形状、任意選択的に充填ロッドの外径及び長さは、中空シリンダ中心ボアの形状及び長さに適合される。中心ボアは、好ましくは、2mm未満、特に好ましくは最大1mmの間隙幅を有する周方向間隙を残して充填される。例えば、38mm~78mmの範囲の中心ボアの場合、充填ロッドの直径は36mm~76mmの範囲である。
【0058】
マーカ要素は、空気で満たされた細長い空洞(チャネル)を形成するか、又は好ましくはクラッディングガラス及び充填ロッドのガラス充填材料と少なくとも1つの物理的及び/又は化学的特性が異なるマーカ材料を含み、特性は、好ましくは、屈折率、色、蛍光、及び/又は比ガラス密度から選択される。
【0059】
マーカ要素を構成要素群のガラスから区別する特性(又は複数の特性)は、特にマーカ要素の視覚的外観に影響を及ぼし、好ましくは光学センサによって検出可能である。マーカガラスのガラス組成は、例えば充填ロッドのガラス充填材料もまた、石英ガラスをベースとすることができる。石英ガラスの屈折率は、ドーピングにより変化させることができる。例えば、マーカ石英ガラスをフッ素でドープすると、ドープされていない石英ガラスに対して屈折率が低下する。マーカ石英ガラスに炭素を組み込むと、黒色の着色をもたらす可能性がある。酸化状態に応じて、マーカ石英ガラスにチタンをドープすると、灰色又は青色の着色が生じる。マーカ石英ガラスを希土類金属又は酸化ゲルマニウムでドープすると、ドーパント特異的波長で蛍光が現れる。マーカ要素の比ガラス密度は、ポアによって変化することができ、気泡のないガラスに対する光透過性の低下に現れる。
【0060】
マルチコアファイバを製造するための半製品に関して、上述の技術的目的は、冒頭で述べた半製品から出発して、充填ロッドが充填ロッド長手方向軸の方向に延びる凹部を含み、凹部にマーカガラスから作られたマーカ要素が挿入されるか、又は中心ボア長手方向軸及び充填ロッド長手方向軸に沿って延びるマーカ要素を形成することで、本発明によって達成される。
【0061】
本発明による半製品は、中心信号コアのないマルチコアファイバを製造するために使用される。それは、クラッディングガラスから作られたクラッディングガラス領域と、コアガラスで占められた複数のコアガラス領域とを含む、中空シリンダを含む。中空シリンダの中心ボアは、ガラス充填材料から作られた充填ロッドによって完全に又は少なくとも部分的に占有される。少なくとも1つの凹部は、充填ロッド長手方向軸の方向に延びる充填ロッドの中又は上に配置され、その凹部内にマーカ要素が挿入されるか、又はその凹部がマーカ要素を形成する。
【0062】
中心ボア長手方向軸及び充填ロッド長手方向軸は、半製品において互いに同軸に延びる。
【0063】
コアガラス領域の数は、少なくとも2つ、好ましくは4~7つである。例えば、それらはそれぞれ、中空シリンダのクラッディングガラス領域内で中空シリンダ長手方向軸に平行に延びるコアロッドボアとして設計され、それぞれコアロッドによって占められる。充填ロッドは、中空シリンダの中心ボアに挿入され、少なくとも部分的に充填される。少なくとも1つのマーカ要素もまた、中空シリンダの中心ボア内に配置される。当該マーカ要素は、充填ロッド内の凹部として形成されることによって、又は充填ロッド内又は充填ロッド上の凹部を少なくとも部分的に充填することによって、充填ロッドに接続される。このように充填された充填ロッドは、本明細書では「修正された充填ロッド」とも呼ばれる。充填ロッドは、信号伝送に好適ないずれのコア領域も含まない。
【0064】
半製品は、全て又はいくつかのコアロッド、充填ロッド、及びマーカ要素が、それぞれのボア又は凹部に挿入されているだけであり、まだその中に融着されていないときに、構成要素群を形成する。半製品は、全てのボア又は凹部が崩壊し、コアロッド、充填ロッド及びマーカ要素が互いに又は中空シリンダに融着したときに、プリフォーム(「圧密化プリフォーム」とも呼ばれる)を形成する。
【0065】
中空ガラスクラッディングシリンダは、中心ボアを有する。そのような中空シリンダは、例えば、堆積マンドレルが取り外された後にOVD法を使用して費用効果的に得られる。中心ボアは、複数の充填ロッドによって、又は好ましくは単一の充填ロッドによって提供されるガラス充填材料によって、完全に又は部分的に閉じられる。
【0066】
ガラス充填ロッドの化学組成がクラッディングガラスの化学組成に対応する実施形態では、マルチコアファイバ内の充填ロッドのガラス充填材料が光クラッディングの一部を形成する。ガラス充填ロッドとクラッディングガラスの化学組成が異なる実施形態では、マルチコアファイバ内の充填ロッドのガラス充填材料は、追加の機能を有することができ、例えば、ファイバ内の半径方向に作用する圧縮又は引張応力を生成及び/又は補償する「応力ゾーン」として作用することができる。
【0067】
中心ボアは、充填ロッドに加えてマーカガラスから作られたマーカ要素を受け入れるために使用される。マーカ要素は、例えば、細長い空洞として、又はマーカ材料から作られた圧密化若しくは非圧密化構成要素として、又はそのような構成要素のマーカ材料によるコーティングとして半製品に存在し、マルチコアファイバでは、マーカ材料から作られた連続した線状のマーカゾーン又は空気充填中空チャネルを形成する。
【0068】
マーカ要素は、充填ロッド内又は充填ロッド上に配置される。例えば、充填ロッド長手方向軸に沿って充填ロッドを通って延びる中空チャネルとして設計された凹部内に空気又は別のガスの形態で配置されるか、又は充填ロッドの外側クラッディング上の凹部内に取り付けられる。
【0069】
マーカ要素は、充填ロッド内又はガラス充填ロッド上に、したがって中空ガラスクラッディングシリンダの中心ボア内に配置されるが、中空シリンダのクラッディングガラス内には配置されないため、例えば機械的処理によって、特に中空ガラスクラッディングシリンダ内にマーカ要素を受け入れるための別個のボアを生成することによってマーカ要素を挿入する目的で中空ガラスクラッディングシリンダを適合させる必要性は排除される。したがって、中空ガラスクラッディングシリンダをこのように適合させることに関連する損傷のリスクが排除される。
【0070】
中心ボアの寸法安定性及び真直度は、OVD製造方法自体によって、及び必要に応じて後続の手段によって、容易に確保することができる。寸法安定性及び真直度を調整するのに好適な後続の手段には、例えば、中心ボアの機械的再加工、及び/又は伸長プロセスが含まれ、伸長プロセスでは、そこから中空ガラスクラッディングシリンダが製造されるか若しくは複数の中空ガラスクラッディングシリンダがある長さに切断されるチューブストランドを伸長するために、OVD堆積プロセスで製造された初期中空シリンダが供される。伸長プロセスは、好ましくは、チューブストランド表面の損傷を回避するために、引き出されたチューブストランドに係合する成形ツールを使用せずに実行される。同様に、中心ボアに正確に挿入される充填ロッドの寸法安定性及び真直度は、機械加工及び/又はそのような伸長プロセスによって、比較的容易に確保することができる。この機械加工は、任意選択的に、一般に内部機械加工方法よりも著しく複雑でない外部機械加工方法であってもよい。
【0071】
マーカ要素の軸方向に平行な位置合わせは、充填ロッド長手方向軸の方向に延びる充填ロッドの凹部によって形成されることによって、又は充填ロッド長手方向軸の方向に延びる凹部に挿入されることによって、容易になる。
【0072】
凹部は、例えば、充填ロッド内のボアとして、好ましくは充填ロッドの外側クラッディング表面上の長手方向スロット(長手方向溝)として設計される。溝形状の凹部は、例えば、マーカ材料又は粒子状マーカ材料から作られた円筒形構成要素で充填され、「修正された充填ロッド」を形成する。粒子状マーカ材料は、熱圧縮又は結合剤の添加によって、一定の寸法安定性を有することができる。マーカ材料は、凹部を完全に又は部分的に充填する。これにより、凹部は、マーカ要素と充填ロッドとの間の確実な嵌合を保証する。マーカ要素及び充填ロッドはまた、例えば焼結又は融着による材料結合によって、事前に(すなわち、中心ボアに挿入される前に)互いに接続することができる。
【0073】
これに関連して、充填ロッドの凹部が長手方向溝として設計される実施形態が特に好ましい。一方では、充填ロッド外側クラッディング表面の長手方向溝は、充填ロッドのボアと比較して、製造が特に容易であり、幾何学的に正確である。一方、このようにして製造された長手方向溝は、充填ロッド自体とちょうど同じように正確かつ直線的である。更に、長手方向溝の深さ又は開口幅は、実質的に所望に応じて小さくすることができ、例えば、両方とも15mm未満、好ましくは10mm未満、特に好ましくは5mm未満である。これは、体積が小さい幾何学的に正確なマーカ要素が利用可能であることを意味し、このマーカ要素は、プリフォーム又は構成要素群において0.3mm/m未満の軸方向における位置合わせのずれを有し、したがって、マルチコアファイバ内に対応して小さく高精度のマーカゾーンを形成する。
【0074】
マーカ材料は、例えば、マーカ材料から作られた円筒形構成要素(ロッド又はチューブ)の形態で存在するか、又はマーカ材料からの粒子の床によって、又は長手方向溝をマーカ材料で内部コーティングすることによって形成される。マーカ材料又はそれぞれマーカ材料からの床からなる円筒形構成要素はまた、融着によって長手方向溝内に固定することができる。
【0075】
達成が比較的容易な充填ロッド及び中心ボアの真直度はまた、マーカ要素の軸方向に平行な位置合わせを容易にする。これは、特に、マーカ要素が充填ロッド長手方向軸に沿って延び、凹部内に溶融される半製品の特に好ましい実施形態に適用される。
【0076】
マーカ要素(構成要素、床、層)は、融着によって凹部内に固定される。この目的のために、それは、その長さの少なくとも一部にわたって、好ましくはその長さにわたって分布するいくつかの点で局所的に、理想的にはその全長にわたって、凹部内に溶融される。その結果、マーカ要素材料で充填された修正された充填ロッドが得られる。
【0077】
マーカ要素を凹部内に溶融することによって、溶融したマーカ要素で充填された凹部の側縁部が充填ロッドの外側クラッディング表面に大きく無段階の連続的な移行を形成し、したがってファイバ延伸プロセス中の構造的欠陥を回避することを確実にすることができる。これは、マルチコアファイバの寸法安定性にプラスの効果をもたらす。マーカ要素は、例えば、凹部を完全に充填し、理想的には、充填ロッド外側クラッディング表面の外側輪郭に適合した曲率を有する。
【0078】
したがって、好ましい実施形態では、マーカ要素が長さを有し、マーカ要素がこの長さの少なくとも80%に沿って、好ましくはこの長さの少なくとも90%に沿って、完全に、部分的に、又は特定の点でこの凹部に溶融されることが提供される。
【0079】
凹部内に溶融したマーカ要素は、充填ロッドに対して固定され、それにより、更なるファイバ製造プロセスにおけるその取り扱いが簡単になる。溶融中、マーカ材料のある程度の丸み、したがって充填ロッドの外側クラッディング表面の輪郭への適合は、表面張力によって達成することができる。マーカ要素を溶融した後、欠陥がないこと及び溶融プロセスの品質を監視することができ、必要に応じて改善することができる。
【0080】
その結果、半製品には、上述したリスク及び困難に関連して、中空ガラスクラッディングシリンダ内に別個のボアを製造する必要がなかったマーカ要素が装備される。同時に、高アスペクト比にもかかわらず、高レベルの精度を保証することができ、これは、例えば、マーカ要素の軸平行度が0.3mm/m未満の偏差を有するという点で半製品に現れる。
【0081】
好ましい実施形態では、凹部は、充填ロッドの外側クラッディング表面にボア及び/又は長手方向溝を含み、本発明による半製品は、中心ボアを含む中空シリンダと、コアガラスを含み、コアガラス領域を形成する少なくとも2つのコアロッドと、中心ボア内に配置された充填ロッドと、充填ロッドの凹部内に取り付けられた少なくとも1つのマーカ要素と、を更に含む。
【0082】
マーカ要素は、例えば、中心ボア内の充填ロッド又は複数の充填ロッドに平行に延びるロッドとして存在する。マーカ要素ロッド及び充填ロッドはまた、圧密化形態、すなわちそれらの周囲と融着した形態であってもよい。
【0083】
2つ以上、例えば4~7つの追加の長手方向ボア(コアロッドボア)が、中空シリンダ内に作製され、その長手方向軸は、中心ボアの長手方向軸に平行に延びる。コアロッドボアは、貫通ボア又は止まりボアであり、それぞれの場合にコアガラスから作製された少なくとも1つのコアロッドを受け入れるように機能する。半径方向で見ると、コアガラスの組成は均一に均質であるか、あるいは徐々に又は段階的に変化する。これは、コアガラス領域内の光誘導が保証される点で、クラッディングガラスとは異なる。最も単純な場合、全てのコアロッドは同じ寸法を有し、同じコアガラスからなる。しかしながら、コアロッドはまた、それらの寸法及び/又は対応するコアガラスの組成に関しても異なり得る。
【0084】
半製品は、マルチコアファイバを形成するために直接引き出されるか、又はマルチコアファイバ用のプリフォームを形成するために圧密化され、圧密化は同時の伸長を伴うことができる。このようにして製造された「圧密化プリフォーム」は、マルチコアファイバを形成するために任意選択的に引き出されるか、又はMFKが最終的に引き出される「二次プリフォーム」を形成するために更に処理される。
【0085】
マーカ要素は、充填ロッド長手方向軸に沿って、好ましくはその全長にわたって、すなわち第1の充填ロッド端部から第2の充填ロッド端部まで延び、好ましくは充填ロッドに取り付けられる。
【0086】
マーカ要素を充填ロッドに取り付けることによって、マーカ要素は、その真直度及び位置合わせから利益を得、これらの特性はマーカ要素に擬似的に転写される。取り付けは、例えば、充填ロッドとマーカ要素との間の摩擦接続、材料接続、及び/又は正の接続に基づく。
【0087】
マーカ要素は、好ましくは、マーカ材料から作られた円筒形構成要素の形態で、又は充填ロッドに接続されたマーカ材料の層又は塊の形態で設計される。少なくとも1つの円筒形構成要素は、例えば管であり、好ましくはロッドである。管の形態のマーカ要素の場合、管壁はクラッディングガラスよりも高い粘度を有する材料を含むことができ、その結果、ファイバ延伸プロセス中にボアは完全には崩壊せず、完成したマルチコアファイバ内で空洞(「エアライン」)として維持される。
【0088】
断面形状、任意選択的に充填ロッドの外径及び長さは、中空シリンダの中心ボアの形状及び長さに適合される。中心ボアは、好ましくは、2mm未満、特に好ましくは最大1mmの間隙幅を有する周方向間隙を残して充填される。例えば、38mm~78mmの範囲の中心ボアの場合、充填ロッドの直径は36mm~76mmの範囲である。
【0089】
マーカ要素は、空気で満たされた細長い空洞又はチャネルを形成するか、又は好ましくはクラッディングガラス及び充填ロッドのガラス充填材料と少なくとも1つの物理的及び/又は化学的特性が異なるマーカ材料を含み、特性は、屈折率、色、蛍光、及び/又は比ガラス密度から選択される。
【0090】
マーカ要素を構成要素群のガラスから区別する特性(又は複数の特性)は、特にマーカ要素の視覚的外観に影響を及ぼし、好ましくは光学センサによって検出可能である。マーカガラスのガラス組成は、例えばガラス充填材料も同様に、石英ガラスをベースとすることができる。石英ガラスの屈折率は、ドーピングにより変化させることができる。例えば、マーカ石英ガラスをフッ素でドープすると、ドープされていない石英ガラスに対して屈折率が低下する。マーカ石英ガラスに炭素を組み込むと、黒色の着色をもたらす可能性がある。酸化状態に応じて、マーカ石英ガラスにチタンをドープすると、灰色又は青色の着色が生じる。マーカ石英ガラスを希土類金属又は酸化ゲルマニウムでドープすると、ドーパント特異的波長で蛍光が現れる。マーカ要素の比ガラス密度は、ポアによって変化することができ、気泡のないガラスに対する光透過性の低下に現れる。
【0091】
本発明による方法に基づいて、又は本発明による半製品を使用して、信号コアがファイバ中心軸の周りのクラッディング円の外側に配置され、マーカゾーンがファイバ中心軸の周りのクラッディング円内に配置されたマルチコアファイバが得られる。
【0092】
マルチコアファイバの種類は、「中心信号コアのないマルチコアファイバ」に対応する。全ての信号コアは、ファイバ中心軸の外側に配置され、ファイバ中心軸の周りのクラッディング円の完全に外側に配置される。
【0093】
マルチコアファイバは、少なくとも1つの連続した線状のマーカゾーンによってトラバースされる。マーカゾーンは、対称性の破壊のために使用され、信号コア及びそれらの互いに対する、及びファイバ中心軸に対する位置を明確に識別するために使用される。
【0094】
ファイバ断面で見ると、好ましくは唯一のマーカゾーンは、信号コアによって画定された上述のクラッディングサークル内にあり、したがって、ファイバ中心軸も含む信号コア間の領域(信号コアの外側ではない)にある。驚くべきことに、ファイバ延伸プロセス中にマーカゾーンをこのように配置することにより、比較的低いファイバカールがマルチコアファイバ上にインプリントされることが示されている。この理論に束縛されることを望むものではないが、マーカゾーンをファイバ断面の内側領域に配置することは、外側領域に配置するよりもファイバ設計の対称性にあまり影響を及ぼさないと仮定することができる。明らかに、これは、ファイバ延伸プロセス中にマルチコアファイバにおいてより低い半径方向力を生成する。
【0095】
定義及び測定方法
上記の説明の個々の用語は、以下で更に定義される。定義は、本発明の説明の一部である。明細書において具体的に定義されていない用語及び測定方法については、国際電気通信連合(International Telecommunication Union、ITU)による解釈が適用されるものとする。以下の定義の1つと説明の残りの部分との間に不一致がある場合、説明の他の場所でなされた記述が優先される。
【0096】
中空ガラスクラッディングシリンダ/クラッディングガラス領域
中空シリンダはクラッディングガラスを含む。クラッディングガラスは、中心ボアを有するクラッディングガラス領域を形成し、その外側に信号伝送用に設計されたコアガラス領域が作成される。クラッディングガラスは、例えば、ドープされていない石英ガラスからなるか、又は石英ガラスの屈折率を低下させる少なくとも1つのドーパントを含む。フッ素及びホウ素は、石英ガラスの屈折率を低下させることができるドーパントである。中空ガラスクラッディングシリンダは、細長い実質的に円筒形の形状である。円筒形状からの逸脱は、端面端部の領域に存在し得る。ガラスクラッディングシリンダは、OVD法を用いて製造されることが好ましい。
【0097】
コアロッド/コアガラス領域
コアロッドは、半径方向に均一又は不均一な屈折率プロファイルを有するコアガラスを含む。各コアロッドのコアガラスは、コアガラス領域を形成する。コアロッドは、比較的高い屈折率を有するコアガラスから作られた領域と、比較的低い屈折率を有する別のガラスから作られた少なくとも1つの更なる領域とを含むことができ、例えば、フッ素及び/又は塩素がドープされた石英ガラスである。最も高い屈折率を有するガラスは、一般に、コアロッドの中心軸に位置する。それは、例えば、屈折率を増加させるために少なくとも1つのドーパントが添加された石英ガラスからなる。マルチコアファイバにおいて、コアロッドは、伝送される信号が主に輸送される少なくとも1つの信号コアを形成する。信号コアは、コアロッドによって同様に提供されたより小さい屈折率を有する他のガラス領域に隣接することができる。
【0098】
充填ロッド/修正された充填ロッド
充填ロッドは、ガラス充填材料を含む。充填ロッドは、信号伝送に用いることができるマルチコアファイバにおいて信号コアを形成しない。最も単純な場合、ガラス充填材料の組成はクラッディングガラスの組成に対応する。しかしながら、マルチコアファイバに付加的な特性を付与するために、クラッディングガラスとは異なる組成とすることもできる。例えば、クラッディングガラスよりも低い熱膨張係数を有することができる。
【0099】
修正された充填ロッドは、マーカ要素に接続され、それと共に管理可能なユニットを形成する。これは、ガラス充填材料及びマーカ材料を含む。
【0100】
マーカ要素/マーカ材料/マーカガラス
マーカ要素は、マーカ材料を含むか、又は空気若しくは別のガスから部分的になる。特に、マーカ要素は、少なくとも1つのマーカガラスを含む。マーカ材料の化学組成は、クラッディングガラス及び充填ロッドのガラス充填材料の化学組成とは異なり、及び/又はマーカ材料の密度は、クラッディングガラス及びガラス充填材料の密度とは異なる。マーカ要素は、プリフォーム内及び構成要素内にて、構成要素として、又は構成要素上の層若しくは塊として存在し、マルチコアファイバ内に光学的に検出可能なマーカゾーンを形成する。
【0101】
構成要素群/圧密化プリフォーム/二次プリフォーム/半製品
「構成要素群」は、コアロッドが挿入された中空ガラスクラッディングシリンダ、少なくとも1つの充填ロッド、及び少なくとも1つのマーカ要素を含む。例えば中空ガラスクラッディングシリンダ端部を狭めることによって、又は圧潰及び融着によって、コアロッドをコアロッドボア内に固定することによって、本明細書では「圧密化プリフォーム」とも呼ばれる「プリフォーム」が得られる。構成要素群又は(圧密化された)プリフォームは、「二次プリフォーム」を形成するために、又はマルチコアファイバを直接形成するために伸長される。ここで「半製品」という用語は、構成要素群、圧密化されたプリフォーム、及び二次プリフォームを包含する。構成要素群を再成形することは、マルチコアファイバを形成するための伸長又は圧密化プリフォームの形成を含む。
【0102】
石英ガラス
石英ガラスは、例えば、天然に存在するSiO2原料からの溶融生成物であるか(天然石英ガラス)、又は合成的に製造されるか(合成石英ガラス)、又はこれらの石英ガラスタイプの混合物からなる。合成透明石英ガラスは、例えば、合成的に製造されたケイ素化合物の火炎加水分解若しくは酸化によって、いわゆるゾル-ゲル法による有機ケイ素化合物の重縮合によって、又は液体中での無機ケイ素化合物の加水分解及び沈殿によって得られる。
【0103】
融着
ガラスから作られた構成要素に言及する場合、融着とは、構成要素が接触面で互いに融合することを意味すると理解される。融着は、炉、バーナ、又はレーザ等の熱源によって、少なくとも接触面の領域で構成要素を加熱することによって行われる。
【0104】
位置表示:頂部/底部
これらの表示は、伸長プロセス中及び/又はファイバ延伸プロセス中の位置に関する。「底部」は、延伸プロセスの方向における位置を示し、「頂部」は、延伸プロセスの方向と反対の位置を示す。
【0105】
断面
長手方向/長手方向軸に垂直に取られた断面。
【0106】
長手方向断面
長手方向/長手方向軸に平行に取られた断面。
【0107】
ボア
「ボア」、「中心ボア」、「内側ボア」、又は「長手方向ボア」という用語は、円筒形であるが他は任意の内部形状を有する穴を指す。それらは、例えば、穿ボアプロセスによって製造されるか、又は堆積プロセス若しくはプレスプロセスによってマンドレルの外側クラッディング表面上に材料層を堆積させ、次いでマンドレルを除去することによって製造される。
【0108】
軸方向平行な位置合わせ/軸方向平行
それぞれの場合の基準軸は、中空ガラスクラッディングシリンダの長手方向軸又はマルチコアファイバの中心軸である。
【図面の簡単な説明】
【0109】
例示的な実施形態
以下で、例示的な実施形態及び図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【
図1】
図1は、詳細には、概略図において、中心ボア及びコアロッドを受け入れるための貫通ボアを有する中空ガラスクラッディングシリンダの断面図を示す。
【
図2】
図2は、詳細には、概略図において、
図1の中空ガラスクラッディングシリンダの中心ボアに挿入するためのマーカ要素を有する充填ロッドを製造するための処理工程(a)~(d)を示す。
【
図3】
図3は、詳細には、概略図において、中空ガラスクラッディングシリンダ及びマーカ要素を含む挿入された充填ロッドの構成要素群を示す。
【
図4】
図4は、詳細には、概略図において、中空ガラスクラッディングシリンダの圧密化されたプリフォーム、マーカ要素を含む挿入された充填ロッド、及び貫通ボアに挿入されたコアロッドの断面図を示す。
【
図5】
図5は、詳細には、概略図において、
図4のプリフォームから引き出されたマルチコアファイバの断面図を示す。
【0110】
図1は、マルチコアファイバを製造するための基体として機能する、クラッディングガラスから作られた中空シリンダ1の断面を概略的に示す。
【0111】
中空シリンダ1は、OVD法を用いて公知の方法で製造される。この方法では、SiO2スート粒子が、高純度SiO2出発材料、例えば四塩化ケイ素を堆積バーナに通し、バーナ炎に供給し、そこで固体SiO2に酸化することによって形成される。これは、気相から微細なSiO2スート粒子の形態で、その長手方向軸を中心として回転する円筒状堆積マンドレルの外側クラッディング表面上に堆積され、堆積バーナは、堆積マンドレル長手方向軸に沿って前後に反転移動を実行する。堆積マンドレルの外側クラッディング表面上に、SiO2スート体が形成される。堆積プロセスの完了後、堆積マンドレルは、内ボア2が残るように除去される。次いで、SiO2スート体を真空下の炉内でガラス化する。
【0112】
得られた中空シリンダ1は、クラッディングガラス領域1bを形成する、ドープされていない合成的に製造された石英ガラスからなる。中空シリンダは、1500mmの長さを有し、円筒研削によって200mmの公称外径に、かつ穿ボア及びホーニングによって42mmの内径に調整される。4つのボア3が、
図1の図示においてシート面に対して垂直に延びる中空シリンダ長手方向軸1bの方向に機械的に穿ボアすることによって、所定の(ここでは二次)構成で製造される。ボア3は、コアロッド(
図4)を受け入れるために使用され、30mmの直径を有する。ボアは、中空シリンダ1全体を通って延びる(貫通ボア)。別の実施形態では、ボアは止まりボアとして設計される。
【0113】
図2は、充填ロッド5を製造するための方法工程を概略的に示す。
図2(a)に示す充填ロッド5は、好ましくは、中空シリンダ1と同じガラス、すなわちドープされていない石英ガラスからなる。公知の方法、例えば、VAD(気相軸方向堆積)法、OVD(外側気相堆積)法又はMCVD(改質化学気相堆積)法が、その製造に好適である。これは、中空シリンダ内ボア2を充填するために使用され、約1500mmの長さ及び約45mmの初期外径を有し、円筒研削によって約40mmに縮小される。この円筒研削により、起こり得る外側クラッディング表面5b及び曲げの妨害が除かれる。代替的又は追加的に、直径の適合及び表面の改善は、ツールフリーの伸長プロセスにおける伸長によって達成される。この図では、充填ロッド長手方向軸5aもまた、シート平面に対して垂直に延びる。
【0114】
図2(b)は、長手方向溝6が充填ロッド5の外側クラッディング表面にフライス加工されていることを示す。長手方向溝6は、充填ロッド5の全長にわたって延びる。これは、丸みを帯びた基部及び直線状の側壁を有するU字形を有する。その開口幅及び深さはそれぞれ6mmである。後続の方法工程では、本発明の意味の範囲内でマーカ要素を形成する中空チャネルを長手方向溝(6)から製造することができる。これは、
図4を参照して以下により詳細に説明される。
【0115】
図2(c)は、マーカロッド7が挿入された長手方向溝6を示す。マーカロッド7の直径は5mmである。これは、フッ素がドープされた合成的に製造された石英ガラスからなり、F320の名称で市販されている。マーカロッド7のフッ素ドープ石英ガラスの粘度及び屈折率はいずれも、中空シリンダ1及び充填ロッド5が作られれる非ドープ石英ガラスよりも小さい。マーカロッド7は、F320石英ガラスから作られた出発シリンダを、ツールフリーの方法で伸長することによって得られる。これは、メルトフローで生成された滑らかな表面を有し、高い寸法安定性を特徴とするため、困難なく正確な嵌合で狭い長手方向溝6に挿入することができる。
【0116】
次いで、充填ロッド5及びマーカロッド7が互いに融着される。充填ロッド5は、長手方向溝6がその上側に位置するように、その長手方向軸5aを水平に向けて取り付けられている。長手方向溝6に挿入されたマーカロッド7は、最初にバーナによって特定の点で加熱され、それにより、マーカロッド7の端部及び中央に位置し、その長さの95%にわたって分布する3つのほぼ均等に分布した固定点で長手方向溝に固定される。次いで、フッ素ドープ石英ガラスが比較的低い粘度のために軟化及び変形するまで、バーナによって均一に加熱され、その結果、それは長手方向溝6内に沈み、それを満たす。表面張力により、自由雰囲気に隣接する軟化したガラス塊の表面は特定の膨らみを示すので、長手方向溝6の側縁と充填ロッド5の外側クラッディング表面5bとの間の顕著な段差が回避される。
【0117】
図2(d)は、前者の充填ロッド5を用いて軟化、変形、及び融着した後のマーカガラス塊8と、マーカガラス塊8で充填された得られた修正された充填ロッド5cとを示す。前者のマーカロッド7のガラス体積は、マーカガラス塊8が長手方向溝6をちょうど完全に満たすように、長手方向溝6の内部体積に一致する。
【0118】
このようにしてマーカガラス塊8で充填された修正された充填ロッド5cは、中空シリンダ1の内ボア2に挿入される。
図3は、中空シリンダ1の構成要素群9と、マーカガラス塊8を有する修正された充填ロッド5cとを概略的に示す。
【0119】
また、長さ約1500mm、外径約28mmのゲルマニウムドープ石英ガラスから作られたコアロッド4を4本作製する。既知の技術、例えばMCVD(改質化学気相成長)法も、この目的に好適である。
【0120】
コアロッド4は、ボア3に挿入される。続いて、中空ガラスクラッディングシリンダ1の構成要素群9と、修正された充填ロッド5cと、コアロッド4とを加熱して、内ボア2とコアロッド4の周囲の環状隙間とを閉じ、群9の全ての構成要素を融着する。
【0121】
図4は、中空ガラスクラッディングシリンダ1、修正された充填ロッド5c、及び圧密化プリフォーム10を形成するコアロッド4のこの方法で固定された構成要素群を概略的に示す。全てのコアロッド4は、クラッディング円11の完全に外側に位置する別個の円形コアガラス領域4aを形成するが、マーカ要素8は、このクラッディング円11内に完全に位置する。
【0122】
次いで、圧密化されたプリフォーム10が、二次プリフォームを形成するために伸長される。これにより、プリフォーム10は、中空シリンダ長手方向軸1aの垂直方向の位置合わせにおいて、ホルダによって伸長装置内に保持される。このようにして製造された二次プリフォームは、最終的に、通常の方法で延伸装置に延伸され、マルチコアファイバ20が形成される。
【0123】
この実施形態では、マーカ要素8は、元のマーカロッド7を再成形することによって製造されたマーカガラス塊8として存在する。代替的な手順では、長手方向溝6は、構成要素群9がプリフォーム10内に圧密化されるときに充填されず(ロッド又はチューブが挿入されず)、長手方向溝6は、その中に過圧を生成し維持することによって、完全に崩壊することが防止される。このようにして、長手方向軸1aに沿って延び、空気で満たされた中空チャネルとしてマルチコアファイバ内に存在する空洞が生成される。空気の屈折率がクラッディングガラス1bの屈折率と大きく異なるため、中空チャネルはマーカゾーンとして機能することができる。
【0124】
図5は、マルチコアファイバ20の断面を模式的に示す。より小さい半径方向寸法は別として、これは、圧密化プリフォーム10の断面に実質的に対応する。前者のコアロッド(4)のコアガラス領域(4a)は、ファイバ長手方向軸20aに沿って延びる信号コア4bを形成し、前者の充填ロッド(5)は、クラッディングガラス領域1bの一部となっており、もはやそこから視覚的に区別することができず、前者のマーカ要素(8)はマーカゾーン8aを形成する。全ての信号コア4bはクラッディング円11aの完全に外側に位置し、マーカゾーン8aはこのクラッディングサークル11a内に完全に位置する。マーカゾーン8aは、サイズが小さいことを特徴とするため、ファイバ延伸時にマルチコアファイバ20にかかる張力が低く、その結果、ファイバカールが小さくなる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコアファイバ(20)を製造するための方法であって、中心ボア(2)と中空シリンダ長手方向軸(1a)とを含む中空シリンダ(1)を含む前記マルチコアファイバ(20)又は前記マルチコアファイバ(20)用のプリフォーム(10)を形成するように構成要素群(9)が再成形される方法工程を含み、前記中空シリンダが、クラッディングガラスから作られたクラッディングガラス領域(1b)と、コアガラスが設けられた複数のコアガラス領域(4a)とを含み、前記中心ボア(2)の少なくとも一部が、充填ロッド長手方向軸(5a)及び充填ロッド外側クラッディング表面(5b)を含むガラス充填ロッド(5)によって占められ、前記充填ロッド長手方向軸(2)の方向に延びる凹部(5)が、前記充填ロッド(5)内又は前記充填ロッド(5)上に作製され、凹部内にマーカガラスから作られたマーカ要素(6、7、8)が挿入されるか、前記マーカ要素(6、7、8)を形成する、方法。
【請求項2】
前記マーカ要素(6、7、8)が、前記充填ロッド長手方向軸(5a)に沿って延び、前記プリフォーム(10)又は前記マルチコアファイバ(20)を形成するための再成形前に前記凹部(6)内に溶融されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マーカ要素(6、7、8)が、ある長さを有し、この長さの少なくとも80%に沿って、好ましくはこの長さの少なくとも90%に沿って、完全に、部分的に、又は特定の点で溶融が起こることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記マーカ要素(6、7、8)を溶融することが、前記凹部(6)が前記充填ロッド外側クラッディング表面(5b)の上側に位置するように、水平に配向された前記充填ロッド長手方向軸(5a)を有する前記充填ロッド(5)が取り付けられる方法工程を含み、前記マーカ要素(6、7、8)の材料が、熱源によって加熱され、軟化されることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記構成要素群(9)の前記製造が、
(a)前記クラッディングガラスを含む前記中空シリンダ(1)を提供する工程と、
(b)前記コアガラスを含む複数のコアロッド(4)を提供する工程と、
(c)充填ロッド長手方向軸(5a)を含み、前記ガラス充填材料を含む充填ロッド(5)を提供する工程と、
(d)前記充填ロッド(5)の前記外側クラッディング表面(5b)上に前記少なくとも1つの凹部(6)を生成する工程と、
(e)マーカ要素(6、7、8)を提供する工程と、
(f)前記マーカ要素(6、7、8)を前記凹部(6)内に配置し、溶融させる工程と、
(g)前記中空シリンダ長手方向軸(1a)に沿って延びるコアロッドボア(3)を生成する工程と、
(h)前記充填ロッド(5)及び前記マーカ要素(6、7、8)を、前記中心ボア(2)内に導入する工程と、
(i)前記コアロッド(4)を前記コアロッドボア(3)に導入し、前記構成要素群(9)を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記マーカ要素(7、8)が、円筒形構成要素の形態で、又は前記充填ロッド(5)に接続された層若しくは塊の形態で提供されることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記凹部(6)が、前記充填ロッド(5)の前記外側クラッディング表面内にボア及び/又は長手方向溝を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記マーカ要素(6、7、8)が、空気で満たされた細長い空洞を形成するか、又は少なくとも1つの物理的及び/又は化学的特性が前記クラッディングガラス及び前記ガラス充填材料とは異なるマーカ材料を含み、前記特性が、屈折率、色、蛍光、及び/又は比ガラス密度から選択されることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
マルチコアファイバを製造するための半製品であって、中心ボア(1a)を含む中空シリンダ(1)であって、前記中空シリンダが、クラッディングガラスから作られたクラッディングガラス領域(1b)及び中空シリンダ長手方向軸(1a)を含む、中空シリンダと、前記クラッディングガラス領域(1b)内にコアガラスが設けられた複数のコアガラス領域(4a)とを含み、前記中心ボア(2)の少なくとも一部が、充填ロッド長手方向軸(5a)及び充填ロッド外側クラッディング表面(5b)を含むガラス充填ロッド(5)によって占められ、前記充填ロッド(5)が、前記充填ロッド長手方向軸(2)の方向に延びる凹部(5)を含み、前記凹部内にマーカガラスから作られたマーカ要素(6、7、8)が挿入されるか、又は前記マーカ要素(6、7、8)を形成し、前記中心ボア長手方向軸(1a)及び前記充填ロッド長手方向軸(2b)に沿って延びることを特徴とする、半製品。
【請求項10】
前記マーカ要素(6、7、8)が、ある長さを有し、この長さの少なくとも80%に沿って、好ましくは少なくとも90%に沿って、完全に、部分的に又は点で、前記凹部(5)内に溶融されることを特徴とする、請求項9に記載の半製品。
【請求項11】
前記マーカ要素が、ガスで満たされたチャネルを含むことを特徴とする、請求項9又は請求項10に記載の半製品。
【請求項12】
前記凹部(6)が、前記充填ロッド(5)の前記外側クラッディング表面(5b)内にボア及び/又は長手方向溝を含み、前記半製品が、前記中心ボア(2)を含む前記中空シリンダ(1)と、前記コアガラスを含み、前記コアガラス領域(4a)を形成する少なくとも2つのコアロッド(4)と、前記中心ボア(2)内に配置された前記充填ロッド(5)と、前記充填ロッド(5)の前記凹部(6)内に取り付けられた少なくとも1つのマーカ要素(6、7、8)と、を更に含むことを特徴とする、請求項
9に記載の半製品。
【請求項13】
前記マーカ要素(7、8)が、円筒形構成要素の形態で、又は前記充填ロッドに接続された層若しくは塊の形態で存在することを特徴とする、請求項
9に記載の半製品。
【請求項14】
前記マーカ要素(6)が、空気で満たされた細長い空洞を形成するか、又は前記クラッディングガラス、前記コアガラス、及び前記ガラス充填材料とは少なくとも1つの物理的及び/又は化学的特性が異なるマーカ材料を含み、前記特性が、屈折率、色、蛍光、及び/又は比ガラス密度から選択されることを特徴とする、請求項
9に記載の半製品。
【国際調査報告】