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特表2025-502653アスタチンの自動分離および回収のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】アスタチンの自動分離および回収のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G21G 4/08 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
G21G4/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535518
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 US2021063241
(87)【国際公開番号】W WO2023113774
(87)【国際公開日】2023-06-22
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.JAVASCRIPT
3.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】502334319
【氏名又は名称】ザ テキサス エーアンドエム ユニヴァーシティ システム
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エフゲニー・イー・テレシャトフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ディー・バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ローレン・エー・マッキントッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル・シー・タバカル
(72)【発明者】
【氏名】シェリー・ジェイ・イェネロ
(57)【要約】
溶液からの化合物の自動化された分離および回収のためのシステムおよび方法が本明細書で開示される。いくつかの実施形態において、システムは、アスタチンと、ビスマスと、硝酸とを含む溶液からアスタチンを溶解および回収するために、クロマトグラフィカラムと流体/空気連通するポンプを使用することができる。システムは、手動のユーザ入力なしで回収を実行するために、システムの各構成要素を自動化および/またはそれらに遠隔で合図することができるコントローラと通信することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスタチンがその中に溶解された溶解溶液からアスタチンを抽出するように構成された第1のカラムであって、前記カラムが、関連する溶媒を有する抽出媒体を有する、第1のカラムと、
前記カラムと流体連通するポンプであって、前記ポンプが前記溶解溶液を前記カラムに送達するように構成された、ポンプと、
前記ポンプと通信する制御システムであって、前記制御システムが、信号を介して前記ポンプを通る前記溶解溶液の流れを調節するように構成され、前記信号が、自動化されるか、または遠隔地から配置される、制御システムと
を備える、化合物回収システム。
【請求項2】
前記ポンプおよび前記カラムと流体連通する溶解容器であって、照射されたターゲット材料と媒体とをその中で混合することによって前記溶解溶液を形成するように構成された、溶解容器をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ポンプと流体連通する1つまたは複数のセレクタであって、前記溶媒または前記溶解溶液をそれを通して送達するように構成された、1つまたは複数のセレクタをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数のセレクタの向きが前記制御システムからの前記信号によって決定される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御システムが、前記ポンプおよび前記1つまたは複数のセレクタと実質的に同時に通信するように構成された、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数のセレクタが、単一の入口と複数の出口とを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つまたは複数のセレクタが、単一の出口と複数の入口とを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つまたは複数のセレクタが、溶液をその中に含む1つまたは複数のバイアルと流体連通し、前記ポンプが、前記1つまたは複数のセレクタを通して前記溶解容器に前記媒体を送達するように構成された、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記媒体が、硝酸、臭化水素酸、塩酸、硫酸、または過塩素酸のうちの1つまたは複数を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記抽出媒体が樹脂床である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記溶媒が、オクタノン、3-オクタノン、または1-オクタノールのうちの1つまたは複数を含むことができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
アスタチンの抽出が加熱なしに生じる、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記溶解溶液の一部をサンプリングするように構成された、前記ポンプと流体連通する品質保証デバイスをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
それを通して前記溶解溶液の一部を受け入れるように構成された第2のカラムをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2のカラムが前記第1のカラムと直列に配置された、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2のカラムが前記第1のカラムと並列に配置された、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
化合物回収のための方法であって、
ターゲット材料と1つまたは複数の化合物とをその中に有する溶解溶液を形成するために、前記ターゲット材料を酸性媒体内に溶解させるために、前記1つまたは複数の化合物をその中に有する前記ターゲット材料を前記酸性媒体に曝露するステップと、
前記1つまたは複数の化合物を前記溶解溶液から抽出するために、前記溶解溶液をクロマトグラフィカラムに通すステップであって、前記1つまたは複数の化合物が、前記クロマトグラフィカラム内に配置された樹脂床に抽出される、ステップと、
前記カラムから非抽出溶解溶液を除去するために前記樹脂床を洗浄するステップと
を含み、
前記ターゲット材料を曝露するステップ、前記溶解溶液を前記クロマトグラフィカラムに通すステップ、および前記樹脂床を洗浄するステップの各々が、自動化された信号または遠隔地から配置された信号に応答して生じる、
方法。
【請求項18】
前記樹脂床が前記酸性媒体で洗浄される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記酸性媒体が、硝酸、臭化水素酸、塩酸、硫酸、または過塩素酸のうちの1つまたは複数を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記酸性媒体を前記クロマトグラフィカラムから除去するために、前記クロマトグラフィカラムを水溶液で洗浄するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記溶解溶液が、ほぼ約5分から約30分の範囲にわたって形成される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記1つまたは複数の化合物を収集するために、前記1つまたは複数の化合物を前記樹脂から溶出するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記カラムから余分な流体を除去するために前記カラムを乾燥させるステップと、前記カラムを密封するステップとをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記カラムを乾燥させるステップが、余分な流体が実質的に除去されるまで、前記カラムを通して空気を吹き込むステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記カラムを通して前記空気を吹き込んだ後、前記カラムが前記化合物を保持する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記溶解溶液が、ポンプと前記カラムとの間に配置された1つまたは複数のセレクタと流体連通している前記ポンプによって、前記クロマトグラフィカラムに通される、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
信号に応答して前記1つまたは複数のセレクタの向きを調整するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記溶解溶液を複数の流れに分割するステップであって、各流れが別々のクロマトグラフィカラムに入る、ステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記1つまたは複数の化合物の抽出が加熱なしに生じる、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
前記溶解溶液の一部を前記カラムに渡す前に、その活性レベルを決定するために、前記溶解溶液の前記一部をサンプリングするステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利
本発明は、DOE科学局DE-SC0020958の下で政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
本開示は、様々な媒体からの化合物の分離および回収のためのシステムおよび方法に関し、より具体的には、酸性媒体中に溶解したビスマスおよびアスタチンを含む溶解溶液からのアスタチンの分離および抽出のための自動化システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アスタチン-211(211At)は、標的アルファ線療法のための最も有望なα線放射性核種の1つである。標的アルファ線療法(TAT)薬は、様々な疾患、例えばがんの治療へのα線放射性核種の使用において大きな関心を集めている。大きな注目を集めている1つのそのような同位体は、約7.2時間の適度に短い半減期と、単純な崩壊図式からの定量的なα放射とを有し、臨床現場に適した崩壊特性を有する211Atである。209Bi(α,2n)211At核反応を介して使用可能な量の211Atを生成するための標準として、α粒子ビームによる天然ビスマス(209Bi)ターゲットへの衝撃が採用されている。世界中で使用可能な量を生成する能力を持つサイクロトロンは、約30台しかなく、米国にあるのはそのうちのわずか7台で、現在、そのうちの1台のみが米国エネルギー省の同位体プログラムの供給元であるので、211Atの世界的な供給は、依然として限られている。入手可能性が低いにもかかわらず、211Atは、悪性脳腫瘍、卵巣がんの治療を調査するいくつかの臨床試験、および進行造血器悪性腫瘍を治療する現在の研究において使用されている。
【0004】
アスタチンの化学は、周期表において比較的未開拓のまま残されている数少ない分野の1つである。これは、地球上のアスタチンの存在量がわずか0.07gと推定されており、安定同位体がないので、天然に存在する元素の中で最も少ないという事実に起因する可能性がある。アスタチンの同位体のうち、半減期が最も長いのは、211Atよりもわずかに長命な210Atに属し、半減期は、わずか約8.1時間である。
【0005】
現在、アスタチンの回収には、湿式化学処理と乾式蒸留の2つの手法が存在する。ビスマスターゲットから211Atを回収するためのこれらの従来の手法は、いくつかの欠点を有する。第1に、回収および精製される211Atの量が1~10ng程度で、マクロ量の209Bi(1~10g)がマトリックスの大部分を占める分析規模の分離では、溶媒抽出は、接触ごとに単一の分離段階に制御されるので、分離のための効率的な手段として適していない。さらに、分析規模の分離は、回収および分離に最も効率的な方法である連続フローモードで実行する必要があるが、高度な機器が必要であり、それによって、スケーラビリティを妨げるようにプロセスのコストを大幅に増加させる。第2に、これらの手法は、硝酸塩から塩化物媒体への系変換を意味し、これは、硝酸を除去するための蒸発か、または塩化ヒドロキシルアンモニウムによる硝酸イオンの化学的破壊のいずれかの、遅い、時間のかかるステップを追加する。さらに、これらの変換は、揮発性アスタチンの損失につながり、例えば、化合物が貯蔵されている容器から化合物を剥ぎ取ることによって、系に不純物を導入する可能性があり、これは、211Atの分離を妨げ、回収時の211Atの品質を損なう。最後に、211At同位体の不安定性は、回収された化合物の貯蔵および移出を困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、アスタチンの回収のための分離および精製を最適化するための改善されたシステムおよび方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、化合物回収システムは、以下を備える。
【0008】
アスタチンがその中に溶解された溶解溶液からアスタチンを抽出するように構成された第1のカラムであって、カラムが、関連する溶媒を有する抽出媒体を有する、第1のカラムと、カラムと流体連通するポンプであって、ポンプが溶解溶液をカラムに送達するように構成された、ポンプと、ポンプと通信する制御システムであって、制御システムが、信号を介してポンプを通る溶解溶液の流れを調節するように構成され、信号が、自動化されるか、または遠隔地から配置される、制御システムと。
【0009】
別の態様において、化合物回収のための方法は、以下を含む。
【0010】
ターゲット材料と1つまたは複数の化合物とをその中に有する溶解溶液を形成するために、ターゲット材料を酸性媒体内に溶解させるために、1つまたは複数の化合物をその中に有するターゲット材料を酸性媒体に曝露するステップと、1つまたは複数の化合物を溶解溶液から抽出するために、溶解溶液をクロマトグラフィカラムに通すステップであって、1つまたは複数の化合物が、クロマトグラフィカラム内に配置された樹脂床に抽出される、ステップと、カラムから非抽出溶液を除去するために樹脂床を洗浄するステップと、ターゲット材料を曝露するステップ、溶解溶液をクロマトグラフィカラムに通すステップ、および樹脂床を洗浄するステップの各々が、自動化された信号または遠隔地から配置された信号に応答して生じる。
【0011】
本開示の追加の実施形態、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から、および本開示の実施を通じて明らかになるであろう。本開示のプロセスおよび化合物は、以下に列挙する条項のいずれかにおける実施形態として説明することができる。本明細書に記載の実施形態のいずれも、実施形態が互いに矛盾しない範囲で、本明細書に記載の任意の他の実施形態と関連して使用することができることが理解されるであろう。
【0012】
1.アスタチンがその中に溶解された溶解溶液からアスタチンを抽出するように構成された第1のカラムであって、カラムが、関連する溶媒を有する抽出媒体を有する、第1のカラムと、
カラムと流体連通するポンプであって、ポンプが溶解溶液をカラムに送達するように構成された、ポンプと、
ポンプと通信する制御システムであって、制御システムが、信号を介してポンプを通る溶解溶液の流れを調節するように構成され、信号が、自動化されるか、または遠隔地から配置される、制御システムと
を備える化合物回収システム。
【0013】
2.ポンプおよびカラムと流体連通する溶解容器であって、照射されたターゲット材料と媒体とをその中で混合することによって溶解溶液を形成するように構成された、溶解容器をさらに備える、条項1のシステム。
【0014】
3.ポンプと流体連通する1つまたは複数のセレクタであって、溶媒または溶解溶液をそれを通して送達するように構成された、1つまたは複数のセレクタをさらに備える、条項2のシステム。
【0015】
4.1つまたは複数のセレクタの向きが制御システムからの信号によって決定される、条項3のシステム。
【0016】
5.制御システムが、ポンプおよび1つまたは複数のセレクタと実質的に同時に通信するように構成された、条項3または4のシステム。
【0017】
6.1つまたは複数のセレクタが、単一の入口と複数の出口とを含む、条項3~5のいずれか1つのシステム。
【0018】
7.1つまたは複数のセレクタが、単一の出口と複数の入口とを含む、条項3~6のいずれか1つのシステム。
【0019】
8.1つまたは複数のセレクタが、溶液をその中に含む1つまたは複数のバイアルと流体連通し、ポンプが、1つまたは複数のセレクタを通して溶解容器に媒体を送達するように構成された、条項4のシステム。
【0020】
9.媒体が、硝酸、臭化水素酸、塩酸、硫酸、または過塩素酸のうちの1つまたは複数を含む、条項8のシステム。
【0021】
10.抽出媒体が樹脂床である、条項1から9のいずれか1つのシステム。
【0022】
11.溶媒が、オクタノン、3-オクタノン、または1-オクタノールのうちの1つまたは複数を含むことができる、条項1から10のいずれか1つのシステム。
【0023】
12.アスタチンの抽出が加熱なしに生じる、条項1から11のいずれか1つのシステム。
【0024】
13.溶解溶液の一部をサンプリングするように構成された、ポンプと流体連通する品質保証デバイスをさらに備える、条項1から12のいずれか1つのシステム。
【0025】
14.それを通して溶解溶液の一部を受け入れるように構成された第2のカラムをさらに備える、条項1から13のいずれか1つのシステム。
【0026】
15.第2のカラムが第1のカラムと直列に配置された、条項14のシステム。
【0027】
16.第2のカラムが第1のカラムと並列に配置された、条項14または15のシステム。
【0028】
17.化合物回収のための方法であって、
ターゲット材料と1つまたは複数の化合物とをその中に有する溶解溶液を形成するために、ターゲット材料を酸性媒体内に溶解させるために、1つまたは複数の化合物をその中に有するターゲット材料を酸性媒体に曝露するステップと、
1つまたは複数の化合物を溶解溶液から抽出するために、溶解溶液をクロマトグラフィカラムに通すステップであって、1つまたは複数の化合物が、クロマトグラフィカラム内に配置された樹脂床に抽出される、ステップと、
カラムから非抽出溶解溶液を除去するために樹脂床を洗浄するステップと
を含み、
ターゲット材料を曝露するステップ、溶解溶液をクロマトグラフィカラムに通すステップ、および樹脂床を洗浄するステップの各々が、自動化された信号または遠隔地から配置された信号に応答して生じる、
方法。
【0029】
18.樹脂床が酸性媒体で洗浄される、条項17の方法。
【0030】
19.酸性媒体が、硝酸、臭化水素酸、塩酸、硫酸、または過塩素酸のうちの1つまたは複数を含む、条項17または18の方法。
【0031】
20.酸性媒体をクロマトグラフィカラムから除去するために、クロマトグラフィカラムを水溶液で洗浄するステップをさらに含む、条項17から19のいずれか1つの方法。
【0032】
21.溶解溶液が、ほぼ約5分から約30分の範囲にわたって形成される、条項17から20のいずれか1つの方法。
【0033】
22.1つまたは複数の化合物を収集するために、1つまたは複数の化合物を樹脂から溶出するステップをさらに含む、条項20または21の方法。
【0034】
23.カラムから余分な流体をカラムから除去するためにカラムを乾燥させるステップと、カラムを密封するステップとをさらに含む、条項20から22のいずれか1つの方法。
【0035】
24.カラムを乾燥させるステップが、余分な流体が実質的に除去されるまで、カラムを通して空気を吹き込むステップをさらに含む、条項23の方法。
【0036】
25.カラムを通して空気を吹き込んだ後、カラムが化合物を保持する、条項24の方法。
【0037】
26.溶解溶液が、ポンプとカラムとの間に配置された1つまたは複数のセレクタと流体連通しているポンプによって、クロマトグラフィカラムに通される、条項17から25のいずれか1つの方法。
【0038】
27.信号に応答して1つまたは複数のセレクタの向きを調整するステップをさらに含む、条項26の方法。
【0039】
28.溶解溶液を複数の流れに分割するステップであって、各流れが別々のクロマトグラフィカラムに入る、ステップをさらに含む、条項17から27のいずれか1つの方法。
【0040】
29.1つまたは複数の化合物の抽出が加熱なしに生じる、条項17から28のいずれか1つの方法。
【0041】
30.溶解溶液の一部をカラムに渡す前に、その活性レベルを決定するために、溶解溶液の一部をサンプリングするステップをさらに含む、条項17から29のいずれか1つの方法。
【0042】
本開示の追加的な特徴は、現在認識されている本開示を実施する最良の形態を例示する例示的な実施形態を考慮すると、当業者に明らかになるであろう。
【0043】
本開示は、添付図面と関連付けられた以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】照射されたターゲット材料を溶解し、溶解溶液をカラムに充填するために溶液を流す一連のバルブと流体連通するポンプを有する、本実施形態の化合物分離および回収システムの例示的な実施形態の斜視図である。
図1B】関連するシステム構成要素を示す、代替的な向きの構成要素を有する図1のシステムの代替的な斜視図である。
図2A】入口と複数の出口とがその上に形成された、図1のシステムで使用されるバルブセレクタの一実施形態の斜視図である。
図2B】ロータリーバルブがその上に形成された、図1のシステムで使用されるバルブの別の実施形態の斜視図である。
図2C】ロータリーバルブの別の実施形態がその上に形成された、図1のシステムで使用されるバルブの別の実施形態の斜視図である。
図3図1のシステムの1つまたは複数のポンプを制御することができる制御システムの1つの例示的な実施形態の概略図である。
図4】本実施形態の自動化合物回収システムの1つの例示的な実施形態の概略図である。
図5】ターゲット材料から化合物を分離および回収するための方法の1つの例示的な実施形態の概略図である。
図6A図4の自動化合物回収システムの構成要素を通る流れのシーケンスの例示的な実施形態の概略図である。
図6B】ターゲット溶解モードにおける図4の自動化合物回収システムの概略図である。
図6C】QAデバイスへの溶解溶液の移送のための図4の自動化合物回収システムの概略図である。
図6D】カラムが充填されているときの図4の自動化合物回収システムの概略図である。
図6E】カラムを水でフラッシングするための図4の自動化合物回収システムの概略図である。
図7】本開示の制御システムが構築されるコンピュータシステムの1つの例示的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
アスタチン(At)は、ビスマス-209にアルファ粒子を衝突させることによって生成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、ターゲットビスマス材料は、ターゲット材料内に211Atを生成するためにアルファ粒子を照射される。当業者は、この衝突が、典型的には粒子加速器、例えばサイクロトロンにおいて発生することを認識するであろう。例えば、いくつかの実施形態において、アスタチン-211は、9~10時間の天然のBi金属ターゲット(Goodfellowから購入した同位体的に純粋な209Bi、金属純度≧99.997%)の28.8MeVのα粒子衝突(約0.9バーンの断面積)を介する209Bi(α,2n)211At核反応によって、2回の別々の実行によって生成された。上記で説明した方法は、純粋に例示的であり、アスタチン-211の製造プロセスでは、1つまたは複数の変数が変化する可能性があることが理解されるであろう。さらに、本明細書でアスタチンについて説明されている範囲で、言及されるアスタチンは、209Atまたは211Atおよびそれらのカチオン種であり得ることが理解されるであろう。例えば、本明細書のプロセスで説明されるAtは、カチオン種AtO+である場合があるが、依然としてAtと呼ばれる。例示的に、プロセスは、Atを生成することを含む場合がある。形成された被衝突ターゲットは、At、未反応のBi、および副生成物の混合物を含み得る。
【0046】
生成されたAtは、その後、未反応のBiから単離されなければならない。本明細書で説明されるのは、抽出クロマトグラフィを使用して、Biへの衝突から形成された組成物などの組成物からAtを単離するプロセスである。例示的な実施形態において、本明細書で説明するプロセスは、Atを含む組成物を溶解し、その後、溶解した溶液からAtを単離する。説明するプロセスは、以下でより詳細に論じるように、At/Bi組成物を最初に溶解するために使用される媒体または溶液を変換する必要なしに実行することができる。
【0047】
本開示は、一般に、自動化および/または遠隔制御された化合物の精製および収集のためのシステムおよび方法に関する。いくつかの態様において、システムは、カラムベースの精製システムを調整する一連のポンプおよびバルブを含むことができ、方法は、溶解したサイクロトロンターゲットからのアルファ線放出治療用放射線同位体211Atの迅速な分離および精製のための手法を含む。一態様において、システムは、ターゲット材料を溶液に溶解することができる。そのような実施形態において、システムは、ビスマスおよびアスタチンを溶解溶液に溶解するために、照射されたターゲット材料を水溶液と接触させることができる。
【0048】
水溶液は、酸、例えば、有機酸または鉱酸を含むことができる。鉱酸は、硝酸であり得る。溶液は、AtとBiとを含む溶液を形成するために、組成物を溶解するか、または実質的に溶解する。いくつかの実施形態において、溶液は、Atと、Biと、酸とを含む。いくつかの実施形態において、溶液は、Atと、Biと、硝酸とを含む。ターゲットは、様々な媒体からなる溶液に溶解することができる。水溶液のいくつかの追加の非限定的な例は、臭化水素酸、塩酸、硫酸、または過塩素酸を含むことができる。
【0049】
いくつかの態様において、溶液は、特定の濃度の酸を有するか、または特定の濃度の酸を有するように後続のステップの前に調製される。例示的に、酸は、組成物を溶解するのを助け得る。例えば、硝酸の存在は、被衝撃Biターゲットを溶解するのを助け得る。
【0050】
例示的に、酸濃度は、約1Mから約10M、約1Mから約8M、約2Mから約8M、または約3Mから約7Mであり得る。酸の濃度は、約1M、約2M、約3M、約4M、約5M、約6M、約7M、約8M、約9M、または約10Mであり得る。酸の濃度は、その後のステップにおいて使用される溶媒における分配係数に応じて調整され得る。本明細書で説明する範囲は、酸が有機酸または硝酸などの鉱酸である場合にも同様に適用可能である。
【0051】
ターゲットが酸性媒体に十分に溶解するのにかかる時間は、使用される媒体に基づいて変化する可能性がある。例えば、209Biと211Atとをその中に有するターゲット材料は、ほぼ約2分から約1時間、約5分から約30分、約8分から約20分、または約10分から約15分の範囲にわたって溶解することができる。イオン媒体が硝酸を含む実施形態において、ターゲット材料は、溶解溶液を形成するために、約10分で十分に溶解することができる。
【0052】
図1A図1Bは、溶解溶液から1つまたは複数の化合物を抽出する化合物分離および回収システム100の例示的な実施形態を示す。本実施形態のシステムは、ビスマスとアスタチンとを有するターゲットを硝酸に溶解することによって形成される溶解溶液からのアスタチンの回収に関して論じられているが、当業者は、現在開示されているシステムおよび方法が、溶液からの様々な化合物、体液からの薬物サンプル、ウイルス血清からのタンパク質、および様々な照射されたサイクロトロンターゲットの溶解時に得られる他の無機物質の抽出および回収に適用することができることを認識するであろう。
【0053】
図示のように、システム100は、システム100全体に流体を流すための一連のバルブまたはセレクタ104に接続されたポンプ102を含むことができる。ポンプ102は、システム内を循環する任意の流体の流量を設定するために使用することができる。例えば、ポンプ102は、酸性媒体および/または溶解溶液を、同じ流量、異なる流量、時間とともに変化する流量などにおいてシステム全体に流すことができる。本実施形態のポンプのいくつかの非限定的な例は、とりわけ、蠕動ポンプ、シリンジフリーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、ギアポンプ、ベーンポンプ、容積式ポンプ、および/または遠心ポンプを含むことができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、ポンプ102は、入力に応答してシステム内を流れる液体の流量を変更するように調節することができる。例えば、いくつかの態様において、ポンプ102は、システム全体の流れのシーケンスを導くために、制御システム200からの信号によって遠隔制御することができる。信号は、プログラムを介して自動的に、ユーザ入力を介して遠隔で、ならびに/または流量を増加および/もしくは減少させるための指示によって手動で生成することができる。例えば、システムを通る溶液の流量は、約365mL/分とすることができるが、いくつかの実施形態では、約0.0002mL/分から35mL/分の範囲とすることができ、一方、溶解溶液の流量は、約0.0002mL/分から35mL/分の範囲とすることができる。ポンプと流体の流れとを制御する制御システム200については、以下でより詳細に論じる。
【0055】
ポンプ102は、一連のバルブ104と流体連通することができる。バルブ104は、システム100内で流体を所与の方向に流すために、様々な向きの間で位置を変化させるように構成することができる。例えば、各バルブ104の位置は、ポンプおよび/または制御システム200から受信した信号によって変化させることができ、これは、それを通る流体の流れの方向を変化させる。
【0056】
図1Bは、化合物分離および回収システム100の追加の構成要素を示す。バルブ104および溶解ボックス112に加えて、システム100は、代替の蠕動ポンプ114と、USBカメラ116と、活性サンプリングのためのQAデバイスと、水酸化ナトリウム溶液を含むスクラバ130と、アスタチン蒸気を除去するための木炭バット132とを含むことができる。これらの構成要素およびそれらの使用法については、以下でより詳細に説明する。
【0057】
図2A図2Cは、バルブ104をより詳細に示す。各バルブ104は、システム全体に流体を分配するための入口106と1つまたは複数の出口108とを含むことができる。図2Aに示すように、本実施形態のセレクタ104は、それから延在する単一の入口106と10個の出口108とを含むことができるが、いくつかの実施形態では、セレクタ104は、9個以下の出口108または11個以上の出口108を含むことができることが理解されるであろう。複数の出口は、以下でさらに論じるように、流体の流れのバッチをシステム100の別個の構成要素、例えば、複数のクロマトグラフィカラムに混合または分割することを支持することができる。いくつかの態様において、セレクタ104は、ソースからの第1の方向における流れと、ソースに戻る第2の反対方向における流れとを支持する双方向選択バルブとすることができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、セレクタが複数の入口と単一の出口とを有することができるように、入口と出口とを逆にすることができる。例えば、セレクタ104は、セレクタステータ110、例えば、ポートを有するヘッドの背後に位置する直線溝を有するプレート111を含むことができ、溝は、プレート111の段階的な回転を介して、入口106を一度に出口108のうちの1つに接続する。セレクタ104が単一の出口と複数の入口とを含む実施形態では、プレート111は、出口108を入口106に位置合わせするために同様に回転することができることが理解されるであろう。
【0059】
図2Bは、その上にロータリーバルブ110'を有する本実施形態のバルブ104'の代替実施形態を示す。ロータリーバルブ110'は、その周囲に実質的に円形配置において配置された一連の入口106'および出口108'を含むことができる。ロータリーバルブ110'は、バルブを通過する流れを調節するためにバルブの位置を変化させるために、ポンプ102および/または制御システム200によって回転させることができる。このタイプのバルブの利点は、2つの隣接するポートを一度に接続し、2つのストリームを同時に扱うことができる能力である。例えば、4ポートバルブを考えると、2つの可能な位置、すなわち、AおよびBが存在し、位置Aは、ポート1をポート2に接続し、ポート3をポート4に接続し、位置Bは、ポート1をポート4に接続し、ポート2をポート3に接続する。比較すると、セレクタ104は、ポート106をポート108のうちの1つに接続することによって、一度に1つのストリームのみを扱うことができる。
【0060】
図2Cは、その上に別のロータリーバルブ110"を有する本実施形態のバルブ104'のさらに別の実施形態を示す。図2Bの実施形態の6ポートバルブ104'とは異なり、本実施形態は、図示のように4ポートバルブ104"を含む。いくつかの実施形態において、2ポート、3ポート、または例えば、8、10などの6個以上のポートを有するバルブを使用することができることが理解されるであろう。
【0061】
当業者は、セレクタ104またはバルブ104'の位置は、ポンプ102と連動して制御することができるが、いくつかの実施形態では、バルブは、独立して制御することができることを認識するであろう。いくつかの態様において、セレクタ104またはバルブ104'の位置の変化は、プログラム、遠隔ユーザ入力、および/またはバルブの手動回転に応答して起こることができる。セレクタ104またはバルブ104'は、以下でさらに論じるように、他のシステム構成要素、例えば、クロマトグラフィカラム(図示せず)、品質保証デバイスなどに、流体またはガス/空気を流すことができる。各セレクタ104またはバルブ104'は、他のバルブおよび/またはシステム100の残りの構成要素とは独立して制御することができることが理解されるであろう。
【0062】
いくつかの実施形態において、セレクタ104またはバルブ104'は、溶解溶液を形成するために、ターゲット材料に溶液を流すことができる。図示のように、システム100は、溶解溶液の形成のための材料または溶液を貯蔵するように構成された溶解ボックスまたは容器112を含むことができる。一態様において、溶解ボックス112は、ターゲットをその中に受け入れるように構成することができる。例えば、ターゲットが照射されたら、ターゲットを溶解ボックス112内に置くことができる。さらに、溶解ボックス112は、溶解溶液を形成するためにビスマスとアスタチンとを溶解する溶液を受け取るために、他のシステム構成要素と流体連通することができる。すなわち、溶解ボックス112は、その中に置かれた材料を溶解するために、ポンプ102を介して流体を受け取るように構成することができる。溶解ボックス112は、溶解ボックス112内に所望の濃度の混合溶液を作成するために、鉱酸もしくは有機酸および/または純水を含む貯蔵器(図2Aによれば最大10個)と流体連通することができる。
【0063】
上述のように、本実施形態の化合物回収システム100は、ときにはコントローラと呼ばれる制御システム200を含むことができ、その一例を図3に示す。制御システム200は、システム100の構成要素の各々の挙動を制御するために、システム100の構成要素の各々と通信することができる。いくつかの態様において、制御システム200は、システム100全体の流体/空気の流れの流量と方向とを制御することができる、当業者に知られているパーソナルコンピュータまたは別のコンピューティングソースとすることができる。いくつかの実施形態において、流体/空気の流量および方向の制御は、制御システム200への入力に従って流体/空気を流すために、ポンプ102およびセレクタ104またはバルブ104'にそれぞれ合図することによって起こることができる。上述のように、制御システム200における入力は、自動化および/または遠隔地から配置することができ、システム100が手動入力なしで動作することを可能にする。
【0064】
制御システム200は、スイッチ204に制御信号を送信することができるマイクロコントローラ202を含むことができる。制御信号は、ポンプ102による流体/空気の体積流量を調節するために使用することができる。いくつかの実施形態において、マイクロコントローラ202は、システムの他の構成要素、例えば、セレクタ104、カラム、QAデバイスなどに信号を出力するように構成することができる。スイッチ204は、電源206、例えば、直流(DC)ユニットに接続することができる。制御システム200は、図示のようにポンプ102に接続することができるが、いくつかの実施形態では、制御システム200は、以下でより詳細に論じるように、セレクタ104、カラム、QAデバイス、および他のシステム構成要素にさらに接続することができることが理解されるであろう。
【0065】
図4は、本実施形態の自動化合物回収システム300の例示的な実施形態の概略図をさらに詳細に示す。図示のように、システム300は、ポンプ302と、複数のバルブ/セレクタ304と、溶解ボックス312と、カラム320とを含むことができる。複数のバルブ/セレクタ304は、システムへの流体/空気の導入と、システム全体への流体/空気の分配とを容易にするために、システム300全体に配置することができる。例えば、図示のように、複数のバルブ/セレクタ304は、溶液をその中に有する1つまたは複数のバイアル324と流体連通する溶液選択バルブ322を含むことができる。例えば、図示のように、溶液選択バルブ322は、システム300全体への分配のためにバイアル324から流体を受け取るように構成することができる。一態様において、バイアル324内の溶液は、酸性媒体、例えば、硝酸である。溶液選択バルブ322は、照射されたターゲット材料をその中に含む溶解ボックス312に溶液を流すために、ポンプ302に流れる双方向選択バルブ326aに接続することができる。
【0066】
コントローラ200は、システム全体の流体/空気の流れを自動化し、流れのシーケンスを調整するために、ポンプ302および複数のバルブ304の各々と通信することができる。コントローラ200は、システム内の複数の構成要素を実質的に同時に制御することができる。例えば、いくつかの実施形態において、コントローラ200は、バイアス324から溶液を収集し、溶解ボックス312に溶液を流すために、ポンプ302および溶液選択バルブ322に合図することができる。溶解ボックス312に向かって溶液を流している間、コントローラ200は、流体/空気/ガスが双方向選択バルブ326a、326bを通ることを可能にするために、双方向選択バルブ326a、326bに開くように合図することができる。同様に、溶解溶液が調製されると、コントローラ200は、アスタチンの回収を開始するために、溶解溶液が溶解ボックス312から流れ出て、カラム320に流れ込むように、双方向選択バルブ326bに向きを変化させるように合図することができる。
【0067】
ターゲット材料が十分に溶解されると、溶解溶液は、溶解溶液からのアスタチンの分離および抽出のために、別のバルブ326bを通ってカラム320に移動することができる。硝酸中への金属ターゲットの溶解後のアスタチンおよびビスマスの分離は、最終生成物の調製のための本開示のシステムにおいて重要である。カラム320は、溶解溶液がカラム320に入るときに抽出クロマトグラフィプロセスを受けるように構成することができる。液相ベースの化学は、アスタチン回収のための乾式蒸留よりも信頼性の高い手法であると考えられている。当業者は、テルルカラムに流体を通すことが、より低いアスタチン回収歩留まりにつながり、カラムの壁から化合物を剥ぎ取り、それによってその中に含まれるアスタチン生成物を汚染する可能性があることを認識するので、本実施形態における抽出クロマトグラフィの使用は、従来使用されるテルルカラムよりも優れている。
【0068】
いくつかの態様において、Atは、イオン交換クロマトグラフィにおいて樹脂を使用することによって単離される。樹脂は、樹脂ビーズの形態であり得る。樹脂ビーズは、カラム320の長さ全体にわたって分散され得る。代替的には、樹脂は、バルクプロセスにおいて使用され得る。例示的な樹脂は、ポリマービーズおよびガラスビーズを含む。いくつかの実施形態において、ビーズは、ゼオライト、分子ふるい、ポリマー樹脂、またはガラスビーズを含む。いくつかの実施形態において、ビーズは、多孔質である。ビーズは、不活性であり得る。いくつかの実施形態において、ビーズは、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体を含む。いくつかの実施形態において、共重合体のベンゼンは、官能基を含まない。
【0069】
いくつかの実施形態において、多孔質樹脂は、ポリアクリレート樹脂または多孔質ガラスビーズである。Sigma-Aldrichから購入した20%エタノール中の0.7mLg-1の細孔容積と50~100μmスラリーの粒子サイズとを有するAmberchrom(登録商標)CG300M多孔質ビーズを、抽出クロマトグラフィにおいて使用することができる。Amberchrom(登録商標)CG300Mは、ベンゼン環において官能基を持たないスチレン-ジビニルベンゼン共重合体である。いくつかの実施形態において、使用前に、ビーズは、細孔から任意の溶媒を除去するために、80℃で最低20時間乾燥させることができる。
【0070】
樹脂床は、その中に組み込まれた生物学的に優しいリガンドを含むことができる。一態様において、リガンドは、樹脂床に組み込まれる有機溶媒であるが、アルコール、アルデヒド、ケトン、水不混和性ケトン、有機酸、エステル、エーテル、アミド、炭酸塩、カルボン酸塩、カルバミン酸塩、ならびに/または有機リン化合物、例えば、トリアルキルホスフィン酸化物およびリン酸トリアルキルなどの他の化合物をビーズに組み込むことができることが理解されるであろう。例えば、ビーズを有機溶媒に浸漬することによって、乾燥樹脂に、オクタノン、3-オクタノンなどのうちの1つまたは複数を含浸させることができる。有機溶媒は、溶解溶液からアスタチンを抽出するためのビーズへの吸着のために使用することができ、溶解溶液の残りは、カラムを通過する。例えば、ビスマスとアスタチンとを含む溶解溶液について、211Atは、樹脂床に含浸された有機溶媒に抽出されるが、溶解溶液の主成分であるビスマスは、抽出されない。したがって、有機溶媒は、樹脂床が211At抽出物を含み、ビスマスが溶液中に残るように、溶解溶液を分離することができる。有機溶媒のいくつかの追加の非限定的な例は、アルコール、アルデヒド、ケトン、n=1、2、3の場合のn-オクタノンなどの、有機相としての非混和性ケトン、メチルイソブチルケトン、デカノン、エステル、アミド、炭酸塩、カルボキシレート、水非混和性アルコール、有機酸、有機リン化合物、および/またはカルバミン酸塩を含むことができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、有機溶媒は、極性である。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、オプションで置換されたC1~C18アルキルを含み、ここで、C1~C18アルキルの各水素原子は、オプションで官能基によって置換される。C1~C18アルキルにおけるオプションの置換は、当該技術分野において一般的に知られており、ハロゲン、ヒドロキシル、アミン、チオール、オキソ、ケトン、カルボン酸塩、アルデヒド、アミド、炭酸塩、カルバミン酸塩、それらの組合せなどを含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、アルデヒド、ケトン、エステル、アミド、炭酸塩、カルボン酸塩、またはカルバミン酸塩を含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、アルデヒド、ケトン、エステル、アミド、炭酸塩、カルボン酸塩、またはカルバミン酸塩を含むC1~C18、C1~C12、またはC1~C6アルキルを含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、式C1~C6アルキル-C(O)-C1~C6アルキルのものである。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、式C1~C6アルキル-C(O)-C1~C6アルキルのものであり、ここで、C1~C6アルキル内の各水素原子は、オプションで置換されている。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、C1~C18アルカノールである。例示的に、有機溶媒は、本明細書に記載する有機溶媒の混合物を含み得る。
【0072】
いくつかの態様において、含浸樹脂の溶媒は、硝酸を含む水溶液などの水溶液に対して、少なくとも10のAtに対するD値分配係数を提供する溶媒である。例示的な実施形態において、Atは、少なくとも約20、少なくとも約40、少なくとも約60、または少なくとも約80の有機溶媒中のD値分配係数を有する。例示的に、分配係数は、硝酸などの酸を含む水溶液に対して測定され得る。いくつかの実施形態において、Atは、オクタノンと約2~6M硝酸を含む水溶液との間で少なくとも約20または少なくとも約40の分配係数を有する。
【0073】
「アルキル」という用語は、直鎖または分岐鎖の1価の炭素水素基を指す。いくつかの実施形態において、「アルキル」における原子数を、C1~C18アルキル、C1~C12アルキル、またはC1~C6アルキルなどの特定の範囲の原子に制限することが有利である可能性がある。アルキル基の例は、メチル(Me)、エチル(Et)、nプロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル(tBu)、ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ならびに当業者および本明細書で提供される教示に照らして、前述の例のいずれか1つと同等であると考えられる基を含む。アルキル基は、本明細書に記載のように非置換または置換することができることが理解されるであろう。アルキル基は、本明細書に記載の様々な実施形態における置換基のいずれかで置換することができ、そのような置換基のうちの1つまたは複数を含む。「alk-」という用語は、接頭辞を形成し、残りは、官能基である場合がある。例えば、「アルカノール」は、アルコールで置換されたアルキル基である。
【0074】
「置換された」という用語は、指定された基または部分が1つまたは複数の置換基を有することを意味する。「非置換」という用語は、指定された基が置換基を持たないことを意味する。「置換された」という用語が構造系を説明するために使用される場合、置換は、系上の任意の原子価許容位置において起こることを意味する。いくつかの実施形態において、「置換された」は、指定された基または部分が1つ、2つ、または3つの置換基を有することを意味する。例えば、アルキル基の炭素上の2つの水素原子は、カルボニル(C=0)を形成するためにoxo(=O)基によって置換され得る。他の実施形態において、「置換された」は、指定された基または部分が1つまたは2つの置換基を有することを意味する。依然として他の実施形態において、「置換された」は、指定された基または部分が1つの置換基を有することを意味する。当業者は、「ハロゲン」または「ハロ」という用語が塩素、フッ素、臭素、またはヨウ素を表すことを認識するであろう。
【0075】
アスタチン捕捉の従来の方法は、溶解溶液がガスに変わるまでターゲットが加熱され、次いでガスが回収される乾留を含む。本実施形態のシステムおよび方法は、加熱を必要としない。むしろ、溶解溶液からアスタチンを抽出するための有機溶媒を含浸させた固体樹脂床の使用は、本実施形態におけるアスタチンの抽出の効率を改善し、本開示のシステムを自動化することを可能にする。例えば、照射されたターゲットの溶解を回収のために使用された媒体と同じ酸性媒体、例えば、硝酸媒体において実行することによって、追加の化学的操作も溶解溶液の蒸発も必要とせずに、アスタチンの抽出および回収を迅速化することができる。従来のクロマトグラフィ技法は、溶解溶液から化合物、例えばアスタチンを抽出するために2つの非混和性液体が相互作用する液液抽出プロセスを利用する。抽出を実行するときの液体の使用は、所望の化合物を抽出するために溶媒の変換を必要とし、その結果、カラム内で複数の液液抽出ステップが生じる。例えば、従来のクロマトグラフィにおいて溶解溶液を形成するために硝酸媒体が使用される場合、アスタチンを抽出することができる前に、相界面センサの開発とともに、硝酸媒体は、塩酸媒体、例えば塩酸に変換される必要がある。変換後、溶解溶液は、従来の方法では、アスタチンをそれから抽出するために塩酸媒体と反応する。いくつかの実施形態において、液液抽出プロセスは、上記のように塩化ヒドロキシアンモニウムによる硝酸塩の化学的破壊、および/または抽出プロセスを完了するための加熱をさらに必要とする可能性がある。比較として、本実施形態の固液抽出は、変換なしで硝酸媒体からの直接の化合物の抽出を実行し、その結果、変換効率が高くなり、抽出時間が短くなる。さらに、本実施形態の樹脂床を用いる固液抽出プロセスは、加熱なしに生じる。依然としてさらに、いくつかの態様において、固液抽出プロセスは、バッチフローではなく連続フローで実行することができ、これは、効率をさらに向上させ、溶解溶液からのアスタチンの回収期間を短縮する。例えば、連続フローの下で、カラム320を通過する溶液は、それを通るその途中で複数の段階のビーズと接触することができ、それによって、その中に含浸された有機溶媒に溶液を繰り返し曝露し、対象の化合物の回収を増加させる。すなわち、溶液は、ビーズの1つの段階から次の段階へと連続的に流れ、各段階でアスタチンの抽出が起こる。
【0076】
いくつかの実施形態において、システムは、溶解溶液の活性を測定するための品質保証(QA)デバイスまたは生成物バイアル326を含むことができる。例えば、濃度、液体分率、活性、放射線不純物、および線量率などの、溶解溶液の様々なパラメータを測定するために、溶解溶液の一部がQAデバイス326に流れることができる。図示のように、QAデバイス326は、溶解ボックス312と流体連通するチューブとすることができる。一旦サンプリングされると、溶解溶液は、それからアスタチンを回収するために、カラム320に充填することができる。
【0077】
いくつかの実施形態において、QAデバイス326を通して溶解溶液を流す頻度は、時間の経過とともに漸減させることができる。例えば、溶解溶液の活性が許容範囲内にあることを保証するために、サンプリングは、抽出プロセスの開始に向かってより頻繁に行うことができる。プロセスが継続するにつれて、QAデバイス326を通る流体の流れは、活性レベルが所望の範囲内に維持される限り、頻度を少なくすることができ、最終的に停止することができる。活性レベルは、制御システム200によって監視することができ、制御システムは、溶解溶液の活性レベルが許容範囲から逸脱した場合、サンプリングを再開および/またはサンプリングの頻度を増加させるように構成される。
【0078】
QAデバイス326は、ほぼ約20ミリリットルから約80ミリリットル、約30ミリリットルから約70ミリリットル、約40ミリリットルから約60ミリリットルの範囲の容積を有することができ、または約50ミリリットルの値を有することができる。当業者は、QAデバイスの容積は、溶解溶液がビスマスおよびアスタチン生成物の所望の相対濃度を含むことを確認するために十分なサンプルが試験されるように選択することができることを認識するであろう。
【0079】
システム300は、遠隔制御することができる。例えば、コントローラ200は、ユーザからの手動入力なしでアスタチンの収集を自動化するようにプログラムすることができる。そのような実施形態において、作業員は、手動で構成要素と相互作用することなしに、照射、分離、および/または回収中に生じる化学プロセスを監視することができ、それによって、作業員への放射線および/または有害な化学物質の曝露量を減らすことができる。さらに、ターゲットが溶解ボックス312内に配置されると、制御システム200は、ユーザから遠隔でシステム300を調節することができる。システムは、自動化されているが、1つもしくは複数の特徴または入力は、手動で実行することができることが理解されるであろう。
【0080】
アスタチンの回収が完了したら、いくつかの実施形態において、カラム320は、1つまたは複数の画分収集バルブ328と流体/空気連通することができる。図示のように、アスタチンは、カラム320から画分収集バルブ328を通って1つまたは複数の分注バイアル329に流出することができる。各画分収集バルブ328は、所与の量のアスタチンを分注バイアル329内に収集するために、分注バイアル329に接続することができる。バルブ328を通って流れるアスタチンの量は、制御システム200によって自動化することができ、各バルブ328は、等量のアスタチンを受け取るが、いくつかの実施形態では、各バイアル329は、独立した異なる量を受け取ることができる。いくつかの実施形態において、廃棄生成物は、健康および安全に関する法律に従って処分されるように、画分収集バルブ328を通ってカラム320から流出することができる。
【0081】
さらに、当業者は、システムの変形が可能であることを認識するであろう。例えば、図4には単一のカラムが示されているが、いくつかの実施形態では、溶解ボックス312から流れる溶解溶液のバッチは、複数のカラムに分割することができる。複数のカラムは、等しいサイズおよび/または等しい幾何学的形状のものとすることができるが、いくつかの実施形態では、カラムは、異なるサイズおよび/または異なる幾何学的形状のものとすることができる。さらに、複数のカラム内のカラムは、同じ樹脂/床をその中に含むことができるが、いくつかの実施形態では、複数のカラム内のカラムは、異なる樹脂/床をその中に含むことができる。いくつかの実施形態において、複数のカラムは、溶液の単一の流れが2つ以上のカラムを通過するように、直列に配置することができる。代替実施形態において、複数のカラムは、溶解溶液のバッチがカラムを通って流れる前に分割されるように、並列に配置することができる。
【0082】
いくつかの態様において、カラム320は、アスタチンを分注バイアル329内に収集することなく、アスタチンをその中に保持することができる。例えば、いくつかの実施形態では、アスタチンが回収された後、カラム320から遠位にある分注バイアルにはアスタチンが流入しない。むしろ、そのような実施形態において、画分収集バルブ328は、それを通る回収プロセスから廃棄物、例えば、ビスマスと硝酸とを含む溶解溶液を、廃棄するために流すことができる。回収されたアスタチンは、代わりに、有機溶媒とともにカラム320内に留まることができ、画分収集バルブ328を通して任意の余分な液体を除去するために、カラムを通して空気を吹き込むことができる。カラムが十分に乾燥されると、樹脂床内にアスタチンの濃縮溶液を含浸させたカラムは、他のシステムにおける使用のためにパッケージ化し、輸送することができる。
【0083】
図5は、本開示のシステムを使用して対象の化合物を回収する例示的な方法500を示す。上記で論じたように、本方法は、アルファ粒子を照射された209Biターゲット材料からのアスタチンの回収に関して論じられるが、本開示の方法500のステップは、溶液から対象の様々な化合物を分離および回収するために使用することができる。さらに、制御システム200は、上記で詳細に説明したように、システムの1つまたは複数の構成要素に送信される信号によって方法500のステップの各々を自動化および/または遠隔制御することができることが認識されるであろう。
【0084】
図示のように、ビスマスとアスタチンとをその中に有する照射されたターゲット材料は、ビスマスおよびアスタチンが硝酸中に溶解する溶解溶液を形成するために、硝酸溶液に曝露することができる(S502)。いくつかの実施形態において、ターゲット材料の曝露は、溶解ボックス内で起こることができ、ターゲット材料が溶解ボックス内に配置され、硝酸溶液がそれに導かれる。いくつかの態様において、制御システム200は、硝酸溶液を溶解ボックス312に流すように、ポンプ302および/またはバルブ304のうちの1つまたは複数に指示することができる。いくつかの実施形態において、制御システム200は、硝酸溶液をそれを通して流すように溶液選択バルブ322に遠隔で合図することができ、硝酸溶液を溶解ボックス312に流すようにポンプ302に合図することができる。溶液は、ターゲット材料の溶解を促進するために、実質的に連続的および/またはバッチでターゲット材料に流れることができる。
【0085】
ターゲット材料が溶解溶液を形成するために硝酸中に十分に溶解したら、溶解溶液をカラムに渡すことができる(S504)。図4に示すように、溶解溶液は、双方向選択バルブ326bを通ってカラム320に流れることができるが、いくつかの実施形態では、溶解溶液は、溶解ボックス312からカラム320に直接流れることができる。カラム320において、溶解溶液は、溶解溶液からアスタチンを抽出するために、有機溶媒を含浸させた樹脂床と接触することができる。
【0086】
オプションで、いくつかの実施形態において、溶解溶液の一部は、溶解溶液の活性を測定するためにQAデバイス326に向かって流れることができる(S505)。そのような実施形態において、QAデバイス326は、溶解溶液中の溶解アスタチンの活性レベルを測定するために、溶解溶液をサンプリングすることができる。サンプリングされたら、溶解溶液は、溶解溶液からのアスタチンの回収のために、双方向選択バルブ326a、326bを通ってカラム320に逆流することができる。
【0087】
Atを含む混合物を含む溶液と接触させた後、樹脂は、洗浄され得る(S506)。洗浄のステップは、樹脂を水溶液で洗浄するステップを含み得る。いくつかの実施形態において、水溶液は、酸を含む。いくつかの実施形態において、水性洗浄溶液は、At/Bi組成物を溶解するために使用された酸濃度よりも低い濃度の酸を含む。例えば、At/Bi組成物を溶解する水溶液中の酸濃度が約6Mである場合、洗浄溶液中の酸濃度は、約6M未満、例えば、約2Mであり得る。いくつかの実施形態において、酸の濃度は、約10M未満、約8M未満、約6M未満、または約4M未満である。いくつかの実施形態において、酸の濃度は、最大約8M、最大約6M、または最大約4Mである。例示的な実施形態において、洗浄ステップにおいて使用される酸は、前のステップにおける酸と同じ酸、例えば、硝酸である。
【0088】
代替的に、酸は、異なる酸であり得る。例えば、酸は、HClO4、HCl、HBr、またはH2SO4である。例示的には、洗浄ステップにおいて使用される酸を変更することは、溶出ステップによって回収された単離されたAtの対イオンを変更し得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、樹脂を洗浄するステップは、床容積の比として測定される。例えば、樹脂は、少なくとも約2床容積、少なくとも約3床容積、少なくとも約4床容積、少なくとも約5床容積、または少なくとも約6床容積の容積を有する溶液で洗浄され得る。例示的な実施形態において、樹脂は、酸を含む水溶液および酸を含まない水溶液で順次洗浄され得る。洗浄ステップは、水溶液の追加のまたはより少ない洗浄ステップを含むために、当該技術分野で公知の手段によって調整され得る。
【0090】
水性洗浄溶液が酸を含む実施形態において、カラムから酸を除去するために、別の洗浄ステップを使用することができる(S508)。例えば、カラムから酸を除去するためにカラムを洗浄するために、水の水溶液を使用することができる。酸が洗い流されたら、カラムは、抽出された211Atが付着した樹脂床を含むことができる。
【0091】
いくつかの実施形態において、アスタチンは、樹脂から溶出または剥離することができる(S510)。例示的には、溶出のステップは、Atが収集されることを可能にするために樹脂からAtを解離させる。溶出ステップは、樹脂を有機溶媒と接触させることによって実行され得る。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、樹脂を含浸させるのと同じ溶媒である。いくつかの実施形態において、溶出ステップにおける有機溶媒は、樹脂を含浸させる溶媒と混和性である。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、オプションで置換されたC1~C18アルキルを含み、ここで、C1~C18アルキルの各水素原子は、オプションで官能基によって置換されている。C1~C18アルキルにおけるオプションの置換は、当該技術分野において一般的に知られており、ハロゲン、ヒドロキシル、アミン、チオール、オキソ、ケトン、カルボン酸塩、アルデヒド、アミド、炭酸塩、カルバミン酸塩、それらの組合せなどを含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、アルデヒド、ケトン、エステル、アミド、炭酸塩、カルボン酸塩、またはカルバミン酸塩を含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、アルデヒド、ケトン、エステル、アミド、炭酸塩、カルボン酸塩、またはカルバミン酸塩を含むC1~C18、C1~C12、またはC1~C6アルキルを含む。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、式C1~C6アルキル-C(O)-C1~C6アルキルのものである。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、式C1~C6アルキル-C(O)-C1~C6アルキルのものであり、ここで、C1~C6アルキル内の各水素原子は、オプションで置換されている。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、オクタノンである。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、3-オクタノンである。いくつかの実施形態において、有機溶媒は、C1~C18アルカノールである。いくつかの実施形態において、溶媒は、エタノールを含む。
【0092】
例示的に、本明細書に記載のプロセスは、Atを含む組成物から少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のAtを回収する。いくつかの実施形態において、プロセスは、Atを含む組成物から約80%から約99%、約85%から約99%、または約90%から約99%のAtを回収する。
【0093】
例示的に、溶出されたAtは、クロマトグラフステップの前のAtを含む組成物よりも高いAtの純度を有する。いくつかの実施形態において、溶出されたAtは、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の純度を有する。
【0094】
本明細書に記載のプロセスは、約1時間未満、約30分未満、約15分未満、または約10分未満で実行され得る。例示的に、プロセスは、At/Bi組成物を硝酸溶液中に溶解し、硝酸溶液を蒸発させ、クロマトグラフィの前に残留物を塩酸中に再構成するステップを必要とする比較プロセスと比較して、またはクロマトグラフィの前に硝酸塩の破壊を必要とする比較プロセスと比較して、より短い時間において実行される。本明細書に記載のプロセスは、Atをその半減期の特定の割合で単離する。いくつかの実施形態において、プロセスは、211AtなどのAtの半減期の約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満において実行される。
【0095】
本システムで収集された精製された211At同位体は、様々な用途を有することができることが理解されるであろう。アスタチン(At)は、治療薬のための放射性標識として有用である場合がある。例えば、本実施形態のアスタチンは、ヒト患者におけるがんの治療などの治療医療用途に適した製品に含めることができる。いくつかの実施形態において、プロセスは、溶出されたAtで治療薬を標識することをさらに含み得る。これは、溶出されたAtのカラム画分で直接行われ得、またはAtを含む画分を濃縮し、標識ステップのために使用される溶液中にAtを懸濁または溶解することを含み得る。
【0096】
代替的に、いくつかの実施形態において、アスタチンは、カラムから溶出されるのではなく、カラム内に貯蔵して輸送することができる。カラムが輸送される実施形態において、アスタチンは、カラム内に残り、図4に関して論じたように、画分収集バルブ328は、システム300から除去することができ、および/またはカラム320から廃棄物をろ過するために使用することができることが理解されるであろう。輸送するためのカラムを準備するために、カラムから任意の余分な流体を除去するために、カラム320を乾燥させることができる(S512)。いくつかの実施形態において、余分な流体を除去するために、カラムを通して空気を吹き込むことができる。カラムが十分に乾燥されたら、樹脂床上に貯蔵されたアスタチンをその中に有するカラムは、パッケージ化し、輸送することができる。当業者は、アスタチンを含む乾燥カラムを輸送することが、化合物を含む溶液、例えば、溶解溶液の輸送に課せられる制約よりもかなり少ない制約を含むことを認識するであろう。
【0097】
乾燥カラム内のアスタチンは、様々な用途を有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、乾燥カラムは、カラム内に貯蔵されたアスタチンを回収するために、カラムの溶出のための施設に送達することができる。いくつかの態様において、乾燥カラムは、生体分子を標識するために使用することができる。いくつかの実施形態において、アスタチンは、がん細胞を標的とすることによってがんの治療に使用することができる。例えば、アスタチンの放射性崩壊は、カラム内の抗テナシンモノクローナル抗体81C6(ch81C6),F(ab')2、マウスIgG1モノクローナル抗体MX35の断片、および/または抗CD45モノクローナル抗体などの、生物学的に関連する分子にアスタチンを添加することによって利用することができる。次いで、アスタチンと分子とをカラムから剥ぎ取り、がん治療薬として患者の体内に注入することができる。
【0098】
本実施形態のシステムは、様々な場所間のシステムの構成要素の輸送を容易にするためにコンパクトにすることができることが理解されるであろう。例えば、上記で説明したシステムは、すべての対応する配管とともに、およそ1’×1’×1’の立方体に収まることができる。いくつかの実施形態において、溶解ボックスとカラムとを含むシステムは、ヒュームフード、グローブボックス、またはバイオセーフティキャビネット内に配置され、動作されるように十分にコンパクトにすることができる。さらに、上記で論じたように、本開示の方法によるアスタチンの溶解および回収は、システムのどの部分も加熱することなく実行することができる。本開示の方法は、ターゲット材料からアスタチンを分離、抽出、および回収するために、分離前のイオン媒体の変換または溶解溶液の蒸発などの追加の化学的操作を利用しない。
【0099】
図6A図6Eは、方法500のステップについて自動化合物回収システム300を通る流れのシーケンスをより詳細に示す。例えば、図6Aに示すように、溶液選択バルブ322は、複数のバイアル324と流体連通することができる。バイアルは、図示のように、その中に貯蔵された酸、水、および/または溶媒などのいくつかの流体を含むことができる。上記で論じたように、溶液選択バルブ322は、複数の入口306を含むことができ、各入口は、バイアル324のうちの1つに接続され、単一の出口308が、システム300全体にバイアル324の内容物を流すように構成される。出口308を通って流出する流体は、双方向選択バルブ326aおよびポンプ302に流れることができる。ポンプ302から、流体は、ターゲット材料を溶解溶液に溶解するために、第2の双方向選択バルブ326bおよび溶解ボックス312に流れることができる。溶解ボックス312から、溶解溶液は、いくつかの実施形態では、第3の双方向選択バルブ326cを通って、サンプリングのために生成物バイアルまたはQAデバイス326に流れることができる。溶解ボックス312は、アスタチン蒸気を除去するために、ガス状物質、例えば、蒸気をスクラババット330および木炭バット332に渡すために、第4の双方向選択バルブ326dと流体連通することもできる。いくつかの実施形態では、第4の双方向選択バルブは、液体の代わりにガスをそれを通して流すように構成されることが理解されるであろう。溶解ボックス312は、以下でより詳細に論じるように、カラム320および画分収集バルブ328と流体連通することもできる。
【0100】
図6Bは、システム300において溶解溶液を形成する(S502)流れのシーケンスを示す。図示のように、バイアル324からの酸、例えば、硝酸は、溶液選択バルブ322の複数の入口306のうちの1つに入り(A)、双方向選択バルブ326aに流れるように出口308から出る(B)ことができる。双方向選択バルブ326aから、酸は、ポンプ302に流れ(C)、次いで、双方向選択バルブ326bを通って(D)、溶解溶液を形成するために溶解ボックス312にポンプで送られる(E)。十分に溶解されたら、溶解溶液の形成によって生成された蒸気は、溶解ボックス312から第4の双方向選択バルブ326dに流出し(F)、スクラババット330および木炭バット332に流れ込むことができる。バット330、332は、蒸気が溶液から逃げないことを保証するために、アスタチンの安全な洗浄を実行することができる。例えば、第4の双方向選択バルブ326dから流出するガス、例えば蒸気は、水酸化ナトリウム溶液を含むスクラババット330に入ることができる。スクラババット330内の水酸化ナトリウムは、溶解溶液によって生成されたガスから発生するアスタチン蒸気を中和するために、溶解溶液によって生成されたガスと相互作用することができる。次いで、未反応のアスタチン蒸気は、ガスから実験室および/または周囲環境への未反応のアスタチン蒸気の漏れを防止するために、溶解溶液からの任意のガスに対するフィルタとして機能する木炭バット332に渡すことができる。
【0101】
図6Cは、溶解ボックス312からQAデバイス326への溶解溶液の移送(S505)のための流れを示す。図示のように、溶解溶液は、流れ(G)において溶解ボックス312を出て、それからサンプリング活動を行うためにQAデバイス326に渡す(H)ように、第3の双方向選択バルブ326cを通過する。サンプリングされたら、QAデバイス326は、QAデバイス326からポンプ302に空気を除去するために、流れ(I)を介して第3の双方向選択バルブ326cおよび双方向選択バルブ326aと流体連通することができる。動作中、ポンプ302は、負圧によってQAデバイス326から蒸気を吸い出すことができ、ポンプは、流れ(I)を介してQAデバイスから液体ではなく空気を吸い出す。QAデバイス126から蒸気を吸い出すことは、システム内に漏れがないことを保証するための安全対策として作用することができる。ポンプ302は、溶解ボックス312から空気および潜在的に有害なアスタチンガスを除去するために、双方向選択バルブ326bを通過し、溶解ボックス312に入る流れ(J)を介して、溶解ボックス312内に対応する圧力を作成することができる。上述したように、QAデバイス326の使用は、オプションとすることができるが、いくつかの実施形態では、QAデバイス326を介するサンプリングは、時間の経過とともに頻度が低くなることができる。
【0102】
図6Dは、カラム320の充填(S504)をより詳細に示す。図示のように、溶解溶液は、溶解ボックスから出て(K)、第3の双方向選択バルブ326cを通過し、サンプリングのために生成物バイアル326に入ることができる。活性が測定されたら、溶解溶液は、流れ(L)を介してQAデバイス326から出て、ポンプ302に流れるように、第3の双方向選択バルブ326cおよび双方向選択バルブ326aを通過することができる。ポンプ302から、溶解溶液は、双方向選択バルブ326bを介して画分収集バルブ328にポンプで送る(M)ことができる。図示のように、画分収集バルブ328は、各々が対応するカラム320に接続された単一の入口336と複数の出口338とを含むことができる。溶解溶液は、収集(N)のためにカラム320に対応する出口338に向かって入口336に流入する(M)ことができる。いくつかの実施形態において、カラム320および画分収集バルブ328は、並置することができる。すなわち、いくつかの実施形態では、ポンプ302からの溶解溶液の流れ(M)は、画分収集バルブ328を通過する前にカラム320に入ることができる。そのような実施形態において、カラム320から出る流体の流れ(N)は、図4において論じたように、分注バイアル329内に収集されるように、画分収集バルブ328の出口338を通過することができる。
【0103】
図6Eは、カラムから未抽出種を取り除くためにカラム320を洗浄すること(S508)をより詳細に示す。図示のように、水は、溶液選択バルブ322を通り、複数の入口306のうちの入口を通り、出口308を通って流出する(O)ことができる。水が溶液選択バルブ322から出たら、水は、双方向選択バルブ326aを通過し、ポンプ302に入る(P)ことができる。ポンプ302から、水は、双方向選択バルブ326bを通して、画分収集バルブ328にポンプで送り込む(Q)ことができる。画分収集バルブから、水は、未抽出種からカラムをフラッシングするために、カラム320に流れることができる。当業者は、カラムを洗浄するためのシーケンスがカラムを乾燥させるシーケンス(S512)に類似することができることを認識するであろう。例えば、カラム320を乾燥させるために、システム300のラインを通して空気を強制的に移動させるために、溶液選択バルブ322の入口306のうちの1つを大気に接続することができる。
【0104】
上述したように、いくつかの実施形態において、システム100、300は、方法500のステップを自動化および/または遠隔制御するように構成されたコントローラ200と結合および/または他の方法で関連付けることができる。例えば、コントローラ200は、抽出プロセス全体にわたって、ポンプ302の流体の流れおよび/または圧力と、バルブ304の向きとを制御することができ、そのような構成は、本開示に照らして理解される。図7は、本開示のコントローラまたは制御システム200を構築、実行、トレーニンなどすることができるコンピュータシステム1500の1つの例示的な実施形態のブロック図である。例えば、任意のモジュールまたはシステムが、本明細書で説明するシステム1500の例である。システム1500は、プロセッサ1510と、メモリ1520と、記憶デバイス1530と、入力/出力デバイス1540とを含むことができる。構成要素1510、1520、1530、および1540の各々は、例えば、システムバス1550を使用して相互接続することができる。プロセッサ1510は、システム1500内で実行するための命令を処理することができる。プロセッサ1510は、シングルスレッドプロセッサ、マルチスレッドプロセッサ、または同様のデバイスとすることができる。プロセッサ1510は、メモリ1520内または記憶デバイス1530上に記憶された命令を処理することができる。プロセッサ1510は、非限定的な例として、本開示に関連して説明した他の特徴の中でも、信号、パラメータなどに応答すること、および/または観察/選好などに基づくことを含む、自動とすることができる、様々なパラメータに応答することができる、および/またはユーザによって手動で制御することができる、流体の流れの開始および停止、流体経路または圧力の制御、ならびにシステム構成などの動作を実行し得る。コントローラ1500は、システムに入る溶液の様々な条件、様々な電力価格、および照射されたターゲットを溶解するために使用される溶液のエネルギー効率、信頼性、メンテナンス、または平準化されたコストに関連することができる他の要因に応答して、動作を最適化することができる。いくつかの例において、コントローラ1500は、所望の溶解溶液濃度、酸性媒体の種類、および/または動作圧力に応答して、動作を最適化することができる。コントローラ1500は、性能の改善を支援することができる機械学習技法、人工知能、および/またはデジタルツイン化をさらに組み込むことができる。
【0105】
メモリ1520は、システム1500内の情報を記憶することができる。いくつかの実装形態において、メモリ1520は、コンピュータ可読媒体とすることができる。メモリ1520は、例えば、揮発性メモリユニットまたは不揮発性メモリユニットとすることができる。いくつかの実装形態において、メモリ1520は、透過生成構成およびフラッシング構成がいつおよび/もしくはどのような条件に応答して実装されるべきであるか、ならびに/またはシステムによって許容される様々なループのための異なる条件などの、流体経路およびシステム構成要素に関連する情報を記憶することができ、他の情報の中でも、フラッシュ時間、透過塩分濃度、および/または動作圧力を記憶し、これは、システムの機械学習最適化を可能にすることができる。
【0106】
記憶デバイス1530は、システム1500のための大容量ストレージを提供することができる。いくつかの実装形態において、記憶デバイス1530は、非一時的なコンピュータ可読媒体とすることができる。記憶デバイス1530は、例えば、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、磁気テープ、および/またはなにか他の大容量記憶デバイスを含むことができる。記憶デバイス1530は、代替的には、クラウド記憶デバイス、例えば、ネットワーク上に分配され、ネットワークを使用してアクセスされる複数の物理記憶デバイスを含む論理記憶デバイスであり得る。いくつかの実装形態において、メモリ1520上に記憶される情報は、記憶デバイス1530上にも記憶することができ、または代わりに記憶デバイス1530上に記憶することができる。
【0107】
入力/出力デバイス1540は、システム1500のための入力/出力動作を提供することができる。いくつかの実装形態において、入力/出力デバイス1540は、ネットワークインターフェースデバイス(例えば、イーサネットカードまたはInfiniBandインターコネクト)、シリアル通信デバイス(例えば、RS-232 10ポート、または9ピンもしくは25ピンのRS-232)、および/またはワイヤレスインターフェースデバイス(例えば、短距離ワイヤレス通信デバイス、802.7カード、3Gワイヤレスモデム、4Gワイヤレスモデム、5Gワイヤレスモデム)のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実装形態において、入力/出力デバイス1540は、入力データを受信し、出力データを他の入力/出力デバイス、例えば、キーボード、プリンタ、および/またはディスプレイデバイスに送信するように構成されたドライバデバイスを含むことができる。いくつかの実装形態において、モバイルコンピューティングデバイス、モバイル通信デバイス、および他のデバイスを使用することができる。
【0108】
いくつかの実装形態において、システム1500は、マイクロコントローラとすることができる。マイクロコントローラは、単一の電子パッケージ内にコンピュータシステムの複数の要素を含むデバイスである。例えば、単一の電子パッケージは、プロセッサ1510、メモリ1520、記憶デバイス1530、および/または入力/出力デバイス1540を含むことができる。
【0109】
例示的な処理システムについて上記で説明したが、上記で説明した主題および機能的動作の実装形態は、本明細書で開示した構造およびその構造的同等物を含む、他のタイプのデジタル電子回路、もしくはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアにおいて、またはそれらのうちの1つまたは複数の組合せにおいて実装することができる。本明細書で説明した主題の実装形態は、流体ろ過システムによって実行するための、または流体ろ過システムの動作を制御するための、1つまたは複数コンピュータプログラム製品、すなわち、有形のプログラムキャリア、例えば、コンピュータ可読媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして実装することができる。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、メモリデバイス、機械可読伝播信号をもたらす物質の組成物、またはそれらの1つまたは複数の組合せとすることができる。
【0110】
本開示の様々な実施形態は、少なくとも部分的に、任意の従来のコンピュータプログラミング言語において実装され得る。例えば、いくつかの実施形態は、手続き型プログラミング言語(例えば、「C」またはForTran95)、オブジェクト指向プログラミング言語(例えば、「C++」)、および/または他のプログラミング言語(例えば、Java、Javascript、LabVIEW、PHP、Python、および/またはSQL)において実装され得る。他の実施形態は、予め構成されたスタンドアロンのハードウェア要素として、および/または予めプログラムされたハードウェア要素(例えば、特定用途向け集積回路、FPGA、およびデジタル信号プロセッサ)、または他の関連構成要素として実装され得る。
【0111】
「コンピュータシステム」という用語は、非限定的な例として、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む、データを処理するためのすべての装置、デバイス、および機械を包含し得る。処理システムは、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムのための実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらの1つまたは複数の組合せを構成するコードを含むことができる。
【0112】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、実行可能ロジック、またはコードとしても知られる)は、コンパイル言語もしくはインタプリタ言語、または宣言型言語もしくは手続き型言語を含む任意の形式のプログラミング言語において記述することができ、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、構成要素、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境において使用するのに適した他のユニットとしてを含め、任意の形式において展開することができる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応しているわけではない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部(例えば、マークアップ言語文書内に記憶された1つまたは複数のスクリプト)において、問題のプログラム専用の単一のファイルにおいて、または複数の調整されたファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの部分を記憶するファイル)において記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行されるか、または1つの場所に位置するか、もしくは複数の場所にわたって分配され、通信ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0113】
そのような実装形態は、コンピュータ可読媒体などの有形の非一時的媒体のいずれかにおいて固定された一連のコンピュータ命令を含み得る。一連のコンピュータ命令は、システムに関して本明細書ですでに説明した機能のすべてまたは一部を具体化することができる。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、例えば、内部ハードディスクもしくはリムーバブルディスク、または磁気テープ、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMディスクおよびDVD-ROMディスクを含む、すべての形式の不揮発性または揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補完するか、または専用論理回路に組み込むことができる。システムの構成要素は、任意の形式または媒体のデジタルデータ通信、例えば、通信ネットワークによって相互接続することができる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)およびワイドエリアネットワーク(「WAN」)、例えば、インターネットを含む。
【0114】
当業者は、そのようなコンピュータ命令を、多くのコンピュータアーキテクチャまたはオペレーティングシステムで使用するためにいくつかのプログラミング言語において記述することができることを理解すべきである。さらに、そのような命令は、半導体、磁気、光、または他のメモリデバイスなどの任意のメモリデバイス内に記憶され得、光、赤外線、マイクロ波、または他の伝送技術などの任意の通信技術を使用して伝送され得る。
【0115】
他の方法の中でも、そのようなコンピュータプログラム製品は、添付の印刷された文書または電子文書を有するリムーバブル媒体(例えば、シュリンク包装されたソフトウェア)として配布され得、コンピュータシステムに(例えば、システムROMまたは固定ディスク上に)プリロードされ得、またはネットワーク(例えば、インターネットまたはワールドワイドウェブ)を介してサーバもしくは電子掲示板から配布され得る。実際、いくつかの実施形態は、サービスとしてのソフトウェアモデル(「SAAS」)またはクラウドコンピューティングモデルにおいて実装され得る。もちろん、本開示のいくつかの実施形態は、ソフトウェア(例えば、コンピュータプログラム製品)とハードウェアの両方の組合せとして実装され得る。本開示の依然として他の実施形態は、完全にハードウェアとして、または完全にソフトウェアとして実装され得る。
【符号の説明】
【0116】
100 化合物分離および回収システム、システム、化合物回収システム
102 ポンプ
104 バルブまたはセレクタ、バルブ、セレクタ
104' バルブ、6ポートバルブ
104" 4ポートバルブ
106 入口、ポート
106' 入口
108 出口、ポート
108' 出口
110 セレクタステータ
110' ロータリーバルブ
110" ロータリーバルブ
111 プレート
112 溶解ボックス、溶解ボックスまたは容器
114 蠕動ポンプ
116 USBカメラ
130 スクラバ
132 木炭バット
200 制御システム、コントローラ、コントローラまたは制御システム
202 マイクロコントローラ
204 スイッチ
206 電源
300 自動化合物回収システム、システム
302 ポンプ
304 バルブ/セレクタ
306 入口
308 出口
312 溶解ボックス
320 カラム
322 溶液選択バルブ
324 バイアル
326 品質保証(QA)デバイスまたは生成物バイアル、QAデバイス
326a 双方向選択バルブ
326b 双方向選択バルブ、第2の双方向選択バルブ
326c 第3の双方向選択バルブ
326d 第4の双方向選択バルブ
328 画分収集バルブ、バルブ
329 分注バイアル、バイアル
330 スクラババット、バット
332 木炭バット、バット
336 入口
338 出口
1500 コンピュータシステム、システム
1510 プロセッサ
1520 メモリ
1530 記憶デバイス
1540 入力/出力デバイス
1550 システムバス
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
【国際調査報告】