(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】4レグ猫コードのための測定系フォールトトレラントアーキテクチャー
(51)【国際特許分類】
G06N 10/40 20220101AFI20250121BHJP
G06F 7/38 20060101ALI20250121BHJP
G06E 3/00 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
G06N10/40
G06F7/38 510
G06F7/38 610
G06E3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537326
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-23
(86)【国際出願番号】 US2022053816
(87)【国際公開番号】W WO2023191872
(87)【国際公開日】2023-10-05
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593152720
【氏名又は名称】イェール ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】Yale University
【住所又は居所原語表記】2 Whitney Avenue, New Haven, CT 06510, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】テオ,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】タークル,ニール
(72)【発明者】
【氏名】チャップマン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】デ グラーフ,スティーン
(72)【発明者】
【氏名】ガービン,スティーブン,エム.
(72)【発明者】
【氏名】プーリ,シュルティ
(72)【発明者】
【氏名】シェールコプフ ザ サード,ロバート ジェイ.
(57)【要約】
4レグ猫コードについてフォールトトレラント量子操作を実行するためのシステムおよび方法が提供される。量子システムは、第1の論理キュービットに分散的にカップリングされるアンシラキュービットを含み、量子システムは、少なくとも部分的に:第1の駆動波形を生成してそれをアンシラキュービットに適用すること、ここで第1の駆動波形は、第1の論理キュービットの偶および奇の空洞共鳴周波数の第1の選択に対応する選択的周波数を有する7tパルスの第1のコムを含む;ならびにアンシラキュービットの状態を読み出すことにより操作され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の論理キュービットに分散的にカップリングされるアンシラキュービットを含む回路量子電磁力学システムを操作する方法であって、
少なくとも部分的に:
第1の駆動波形を生成してそれをアンシラキュービットに適用すること、ここで第1の駆動波形は、第1の論理キュービットの偶および奇の空洞共鳴周波数の第1の選択に対応する選択的周波数を有するπパルスの第1のコムを含む;ならびに
アンシラキュービットの状態を読み出すこと
により量子操作を実行することを含む、方法。
【請求項2】
アンシラキュービットの状態を読み出す前に、第2の駆動波形を生成してそれをアンシラキュービットに適用することをさらに含む方法であって、第2の駆動波形が、第1の論理キュービットの偶および奇の空洞共鳴周波数の第2の選択に対応する選択的周波数を有するπパルスの第2のコムを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1の選択が、選択的周波数3χ、4χ、7χおよび8χを含み、
第2の選択が、選択的周波数1χ、2χ、5χおよび6χを含む、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
回路量子電磁力学システムが、第1のビームスプリッターにより第1の論理キュービットにカップリングされる第2の論理キュービットをさらに含み、該方法が、アンシラキュービットの状態を読み出す前に、第3の駆動波形を第1のビームスプリッターに適用して、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間で離調ビームスプリッター相互作用を画定することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
量子操作を実行することが、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間でベル状態を生成することを含む。請求項4記載の方法。
【請求項6】
第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間で離調ビームスプリッター相互作用を画定することが、第1の空洞共振器と第2の空洞共振器の間で離調ビームスプリッター相互作用を画定することを含む、請求項4記載の方法。
【請求項7】
第1の駆動波形を生成して適用することが、マイクロ波波形を生成して適用することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第1の駆動波形を生成して適用することが、第1の駆動波形を生成してそれをトランスモンに適用することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
少なくとも部分的に:
第4の駆動波形を、第1の論理キュービットおよび第3の論理キュービットをカップリングする第2のビームスプリッターに適用すること;ならびに
第5の駆動波形を、第2の論理キュービットを第4の論理キュービットにカップリングする第3のビームスプリッターに適用すること
により第1の4キュービットクラスター状態を生成することをさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項10】
少なくとも部分的に:
第6の駆動波形を、第1の4キュービットクラスター状態の第1の論理キュービットおよび第2の4キュービットクラスター状態の第1の論理キュービットをカップリングする第4のビームスプリッターに適用すること
により多キュービットクラスター状態を生成することをさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
アンシラキュービット;
アンシラキュービットに分散的にカップリングされる第1の論理キュービット;ならびに
少なくとも部分的に:
第1の駆動波形を生成してそれをアンシラキュービットに適用すること、ここで第1の駆動波形は、第1の論理キュービットの偶および奇の空洞共鳴周波数の第1の選択に対応する選択的周波数を有するπパルスの第1のコムを含む;ならびに
アンシラキュービットの状態を読み出すこと
により量子操作を実行するように構成される、少なくとも1つのコントローラー
を含む、量子情報処理システム。
【請求項12】
少なくとも1つのコントローラーが、アンシラキュービットの状態を読み出す前に、第2の駆動波形を生成してそれをアンシラキュービットに適用するようにさらに構成され、第2の駆動波形が、第1の論理キュービットの偶および奇の空洞共鳴周波数の第2の選択に対応する選択的周波数を有するπパルスの第2のコムを含む、請求項11記載の量子情報処理システム。
【請求項13】
第1の選択が、選択的周波数3χ、4χ、7χおよび8χを含み、
第2の選択が、選択的周波数1χ、2χ、5χおよび6χを含む、
請求項12記載の量子情報処理システム。
【請求項14】
ビームスプリッターにより第1の論理キュービットにカップリングされる第2の論理キュービットをさらに含む、請求項11記載の量子情報処理システム。
【請求項15】
少なくとも1つのコントローラーが、アンシラキュービットの状態を読み出す前に、第3の駆動波形を生成してそれをビームスプリッターに適用し、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間で離調ビームスプリッター相互作用を画定するようにさらに構成される、請求項14記載の量子情報処理システム。
【請求項16】
量子操作を実行するように構成される少なくとも1つのコントローラーが、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間でベル状態を生成するように構成される少なくともコントローラーを含む、請求項15記載の量子情報処理システム。
【請求項17】
第1の論理キュービットおよび第2の論理キュービットが、第1の空洞共振器および第2の空洞共振器を含む、請求項14記載の量子情報処理システム。
【請求項18】
第1の駆動波形がマイクロ波波形を含む、請求項11記載の量子情報処理システム。
【請求項19】
アンシラキュービットがトランスモンを含む、請求項11記載の量子情報処理システム。
【請求項20】
第1の論理キュービットに分散的にカップリングされるアンシラキュービットおよび第1のビームスプリッターにより第1の論理キュービットにカップリングされる第2の論理キュービットを含む回路量子電磁力学システムを操作する方法であって、
第1の駆動波形をアンシラキュービットに適用すること、ここで第1の駆動波形はπ/2パルスを含む;
第2の駆動波形を第1のビームスプリッターに適用して、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間で離調ビームスプリッター相互作用を画定すること;
第3の駆動波形をアンシラキュービットに適用すること、ここで第3の駆動波形はπ/2パルスを含む;および
アンシラキュービットの状態を読み出すこと
を含む、方法。
【請求項21】
回路量子電磁力学システムが、第2のビームスプリッターにより第1の論理キュービットにカップリングされる第3の論理キュービットをさらに含む方法であって、該方法が、
第2の駆動波形を適用した後に、第4の駆動波形を第2のビームスプリッターに適用して、第1の論理キュービットと第3の論理キュービットの間で離調ビームスプリッター相互作用を画定することをさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
第1の論理キュービットに分散的にカップリングされる第1のアンシラキュービットおよび第2の論理キュービットに分散的にカップリングされる第2のアンシラキュービットを含む回路量子電磁力学システムを操作する方法であって、第1の論理キュービットが、第1のビームスプリッターにより第2の論理キュービットにカップリングされ、該方法が、
第1の駆動波形を第1のビームスプリッターに適用して、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間でオンレゾナンスビームスプリッター相互作用を画定すること;ならびに
第2の駆動波形を第1のアンシラキュービットに適用して第1の論理キュービットの状態を測定すること;および
第3の駆動波形を第2のアンシラキュービットに適用して第2の論理キュービットの状態を測定すること
により、第1および第2の論理キュービットの少なくとも1つが真空状態にあるかどうかを決定すること
を含む、方法。
【請求項23】
第1の論理キュービットに分散的にカップリングされる第1のアンシラキュービット、第2の論理キュービットに分散的にカップリングされる第2のアンシラキュービットおよび第3の論理キュービットを含む回路量子電磁力学システムを操作する方法であって、第1の論理キュービットおよび第2の論理キュービットが第1のビームスプリッターによりカップリングされ、第2の論理キュービットおよび第3の論理キュービットが第2のビームスプリッターによりカップリングされ、該方法が:
第1の論理キュービットにおいて任意の論理状態を調製すること;
第2の論理キュービットと第3の論理キュービットの間でベル状態を調製すること;および
任意の論理状態を第1の論理キュービットから第3の論理キュービットへとテレポートすることにより、任意の論理状態上で誤り訂正を実行することを含み、
テレポートすることが:
第1のビームスプリッターを使用して、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間に干渉を導入すること;ならびに
第1のビームスプリッターを使用した後に、第1のアンシラキュービットおよび第2のアンシラキュービットを使用して、第1の論理キュービットおよび第2の論理キュービットの状態の少なくとも1つの測定を実行すること
を含む、方法。
【請求項24】
ベル状態を調製することが:
第2の論理キュービットにおいて第1のコヒーレント状態を調製すること;
第3の論理キュービットにおいて第2のコヒーレント状態を調製すること;ならびに
第2の論理キュービットおよび第3の論理キュービット上で一連の連結パリティ測定を実行すること
を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
アンシラキュービット;ならびに
アンシラキュービットに分散的にカップリングされる第1の論理キュービット;および
ビームスプリッターにより第1の論理キュービットにカップリングされる第2の論理キュービット
を含む複数の論理キュービット
を含む、回路量子電磁力学システム。
【請求項26】
アンシラキュービットがトランスモンキュービットを含む、請求項25記載の回路量子電磁力学システム。
【請求項27】
第2の論理キュービットが複数の論理キュービットを含む、請求項25記載の回路量子電磁力学システム。
【請求項28】
複数の論理キュービットの論理キュービットがボゾンモードを含む、請求項27記載の回路量子電磁力学システム。
【請求項29】
請求項6記載の回路量子電磁力学システム;および
第1の論理キュービットにおいて任意の論理状態を調製し;
第2の論理キュービットと第3の論理キュービットの間でベル状態を調製し;
任意の論理状態を、第1の論理キュービットから第3の論理キュービットへとテレポートすることにより任意のコヒーレント状態上で誤り訂正を実行するように構成された少なくとも1つのコントローラー
を含む、システムであって、
テレポートすることが:
少なくとも1つのビームスプリッターを使用して、論理キュービットと第2の論理キュービットの間に干渉を導入すること;ならびに
少なくとも1つのビームスプリッターを使用した後に、第1のアンシラキュービットおよび第2のアンシラキュービットを使用して、第1の論理キュービットおよび第2の論理キュービットの状態の少なくとも1つの測定を実行すること
を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての他所参照
本願は、その全体において参照により本明細書に援用される、2021年12月22日に出願され、発明の名称「MEASUREMENT-BASED FAULT TOLERANT ARCHITECTURE FOR THE 4-LEGGED CAT CODE」である米国仮特許出願第63/293,034号の35 U.S.C. § 119(e)下の利益を主張する。
【0002】
連邦政府により支援される研究に関する陳述
本発明は、米国陸軍研究局(United States Army Research Office)により授与されたW911NF-18-1-0212の下、政府支援によりなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
量子情報処理技術は、1つ以上の量子対象を操作することによりコンピューター計算(computation)を行う。これらの技術は時々、「量子コンピューター計算」と称される。コンピューター計算を行うために、量子情報プロセッサは、情報を信頼性高く記憶しかつ引き出す(retrieve)ための量子対象を利用する。いくつかの量子情報処理アプローチによって、量子ビットまたは「キュービット」と称される、古典的コンピューター計算「ビット」(1または0に等しい)に対する量子アナログが開発された。キュービットは、(1状態および0状態と考えられ得る)2つの異なる状態を有する任意の量子システムで構成され得るが、該システムが量子重ね合わせに配置され得、それにより一度にこれらの状態の両方に存在し得るという特別な性質も有する。
【発明の概要】
【0004】
簡単な概要
いくつかの態様は、第1の論理キュービットに分散的にカップリングされるアンシラキュービットを含む回路量子電磁力学システムを操作する方法に関する。該方法は、少なくとも部分的に:第1の駆動波形を生成してそれをアンシラキュービットに適用すること、ここで該第1の駆動波形は、第1の論理キュービットの偶および奇の空洞共鳴周波数の第1の選択に対応する選択的周波数を有するπパルスの第1のコム(comb)を含む;ならびにアンシラキュービットの状態を読み出すことにより量子操作を実行することを含む。
【0005】
いくつかの態様は、アンシラキュービット;アンシラキュービットに分散的にカップリングされる第1の論理キュービット;ならびに少なくとも部分的に第1の駆動波形を生成してそれをアンシラキュービットに適用すること、ここで第1の駆動波形は、第1の論理キュービットの偶および奇の空洞共鳴周波数の第1の選択に対応する選択的周波数を有するπパルスの第1のコムを含む;ならびにアンシラキュービットの状態を読み出すことにより量子操作を実行するように構成される少なくとも1つのコントローラーを含む量子情報処理システムに関する。
【0006】
いくつかの態様において、該方法は、アンシラキュービットの状態を読み出す前に、第2の駆動波形を生成してそれをアンシラキュービットに適用することを含み、ここで第2の駆動波形は、第1の論理キュービットの偶および奇の空洞共鳴周波数の第2の選択に対応する選択的周波数を有するπパルスの第2のコムを含む。
【0007】
いくつかの態様において、第1の選択は、選択的周波数3χ、4χ、7χおよび8χを含み、第2の選択は、選択的周波数1χ、2χ、5χおよび6χを含む。
【0008】
いくつかの態様において、回路量子電磁力学システムはさらに、第1のビームスプリッターにより第1の論理キュービットにカップリングされる第2の論理キュービットを含み、該方法はさらに、アンシラキュービットの状態を読み出す前に、第3の駆動波形を第1のビームスプリッターに適用して、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間で離調ビームスプリッター相互作用を画定(enact)することを含む。
【0009】
いくつかの態様において、量子操作を実行することは、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間でベル状態を生成することを含む。
【0010】
いくつかの態様において、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間で離調ビームスプリッター相互作用を画定することは、第1の空洞共振器と第2の空洞共振器の間で離調ビームスプリッター相互作用を画定することを含む。
【0011】
いくつかの態様において、第1の駆動波形を生成して適用することは、マイクロ波波形を生成して適用することを含む。
【0012】
いくつかの態様において、第1の駆動波形を生成して適用することは、第1の駆動波形を生成してそれをトランスモンに適用することを含む。
【0013】
いくつかの態様において、該方法はさらに、少なくとも部分的に:第4の駆動波形を、第1の論理キュービットおよび第3の論理キュービットをカップリングする第2のビームスプリッターに適用すること;ならびに第5の駆動波形を、第2の論理キュービットを第4の論理キュービットにカップリングする第3のビームスプリッターに適用することにより第1の4キュービットクラスター状態を生成することを含む。
【0014】
いくつかの態様において、該方法はさらに、少なくとも部分的に:第6の駆動波形を、第1の4キュービットクラスター状態の第1の論理キュービットおよび第2の4キュービットクラスター状態の第1の論理キュービットをカップリングする第4のビームスプリッターに適用することにより多キュービットクラスター状態を生成することを含む。
【0015】
いくつかの態様は、第1の論理キュービットに分散的にカップリングされるアンシラキュービットおよび第1のビームスプリッターにより第1の論理キュービットにカップリングされる第2の論理キュービットを含む回路量子電磁力学システムを操作する方法に関する。該方法は:第1の駆動波形をアンシラキュービットに適用すること、ここで第1の駆動波形はπ/2パルスを含む;第2の駆動波形を第1のビームスプリッターに適用して、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間で離調ビームスプリッター相互作用を画定すること;第3の駆動波形をアンシラキュービットに適用すること、ここで第3の駆動波形はπ/2パルスを含む;およびアンシラキュービットの状態を読み出すことを含む。
【0016】
いくつかの態様において、回路量子電磁力学システムはさらに、第2のビームスプリッターにより第1の論理キュービットにカップリングされる第3の論理キュービットを含み、該方法はさらに:第2の駆動波形を適用した後に、第4の駆動波形を第2のビームスプリッターに適用して、第1の論理キュービットと第3の論理キュービットの間で離調ビームスプリッター相互作用を画定することを含む。
【0017】
いくつかの態様は、第1の論理キュービットに分散的にカップリングされる第1のアンシラキュービットおよび第2の論理キュービットに分散的にカップリングされる第2のアンシラキュービットを含む回路量子電磁力学システムを操作する方法に関し、該第1の論理キュービットは、第1のビームスプリッターにより第2の論理キュービットにカップリングされる。該方法は:第1の駆動波形を第1のビームスプリッターに適用して、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間でオンレゾナンス(on-resonance)ビームスプリッター相互作用を画定すること;ならびに第2の駆動波形を第1のアンシラキュービットに適用して、第1の論理キュービットの状態を測定すること;および第3の駆動波形を第2のアンシラキュービットに適用して、第2の論理キュービットの状態を測定することにより、第1および第2の論理キュービットの少なくとも1つが真空状態にあるかどうかを決定することを含む。
【0018】
いくつかの態様は、第1の論理キュービットに分散的にカップリングされる第1のアンシラキュービット、第2の論理キュービットに分散的にカップリングされる第2のアンシラキュービットおよび第3の論理キュービットを含む回路量子電磁力学システムを操作する方法に関し、第1の論理キュービットおよび第2の論理キュービットは第1のビームスプリッターによりカップリングされ、第2の論理キュービットおよび第3の論理キュービットは第2のビームスプリッターによりカップリングされる。該方法は:第1の論理キュービットにおいて任意の論理状態を調製すること;第2の論理キュービットと第3の論理キュービットの間でベル状態を調製すること;および任意の論理状態を、第1の論理キュービットから第3の論理キュービットへとテレポートすることにより、任意の論理状態上で誤り訂正を実行することを含み、テレポートすることは:第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間に干渉を導入するために第1のビームスプリッターを使用すること;ならびに第1のビームスプリッターを使用した後に、第1のアンシラキュービットおよび第2のアンシラキュービットを使用して、第1の論理キュービットおよび第2の論理キュービットの状態の少なくとも1つの測定を実行することを含む。
【0019】
いくつかの態様において、ベル状態を調製することは:第2の論理キュービットにおいて第1のコヒーレント状態を調製すること;第3の論理キュービットにおいて第2のコヒーレント状態を調製すること;ならびに第2の論理キュービットおよび第3の論理キュービット上で一連の連結パリティ測定を実行することを含む。
【0020】
いくつかの態様は、アンシラキュービット;ならびにアンシラキュービットに分散的にカップリングされる第1の論理キュービット;およびビームスプリッターにより第1の論理キュービットにカップリングされる第2の論理キュービットを含む複数の論理キュービットを含む回路量子電磁力学システムに関する。
【0021】
いくつかの態様において、アンシラキュービットはトランスモンキュービットを含む。
【0022】
いくつかの態様において、第2の論理キュービットは複数の論理キュービットを含む。
【0023】
いくつかの態様において、複数の論理キュービットの論理キュービットはボゾンモードを含む。
【0024】
いくつかの態様において、該システムはさらに:第1の論理キュービットにおいて任意の論理状態を調製する;第2の論理キュービットと第3の論理キュービットの間でベル状態を調製する;および任意の論理状態を、第1の論理キュービットから第3の論理キュービットへとテレポートすることにより、任意のコヒーレント状態上で誤り訂正を実行するように構成される少なくとも1つのコントローラーを含み、ここでテレポートすることは、少なくとも1つのビームスプリッターを使用して、論理キュービットと第2の論理キュービットの間に干渉を導入すること;ならびに少なくとも1つのビームスプリッターを使用した後に、第1のアンシラキュービットおよび第2のアンシラキュービットを使用して、第1の論理キュービットおよび第2の論理キュービットの状態の少なくとも1つの測定を実行することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面の簡単な説明
以下の図面を参照して、種々の局面および態様を説明する。図は必ずしも一定の割合で描かれない。明確化のために、全ての図において、全てではない構成要素に符号が付されることがある。図面において、
【
図1】
図1は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、例示的な量子情報処理システムの概略図である。
【
図2】
図2は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、別の例示的な量子情報処理システムの概略図である。
【
図3-1】
図3Aは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、キュービットにおける|+>状態のフォールトトレラント調製のための例示的な量子回路の概略図である。
図3Bは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、
図3Aの量子回路を実行するために使用され得る例示的な量子情報処理システムの概略図である。
【
図3-2】
図3Cは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、パリティ測定を実行するための例示的な量子回路の概略図である。
図3Dは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、
図3Cのパリティ測定を実行するための例示的な駆動波形の概略図である。
【
図4】
図4Aは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、キュービットにおける|0>または|1>状態のフォールトトレラント調製のための例示的な量子回路の概略図である。
図4Bは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、Z測定を実行するための例示的な量子回路の概略図である。
図4Cは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、
図4BのZ測定を実行するための例示的な駆動波形の概略図である。
【
図5】
図5は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、Z基準においてフォールトトレラント測定を実行するための例示的な量子回路の概略図である。
【
図6】
図6は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、X基準においてフォールトトレラント測定を実行するための例示的な量子回路の概略図である。
【
図7】
図7は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、XX基準においてフォールトトレラント測定を実行するための例示的な量子回路の概略図である。
【
図8-1】
図8Aは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、ZZ基準においてフォールトトレラント測定を実行するための例示的な量子回路の概略図である。
【
図8-2】
図8Bは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、
図8Aの量子回路を実行するために使用され得る例示的な量子情報処理システムの概略図である。
図8Cは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、ZZ測定を実行するための例示的な量子回路の概略図である。
図8Dは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、
図8BのZZ測定を実行するための例示的な駆動波形の概略図である。
【
図9-1】
図9Aは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、ZZZ基準においてフォールトトレラント測定を実行するための例示的な量子回路の概略図である。
図9Bは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、
図9Aの量子回路を実行するために使用され得る例示的な量子情報処理システムの概略図である。
【
図9-2】
図9Cは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、ZZZ測定を実行するための例示的な量子回路の概略図である。
図9Dは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、
図9CのZZZ測定を実行するための例示的な駆動波形の概略図である。
【
図10】
図10は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、量子操作を実行するためのプロセス1000を記載するフローチャートである。
【
図11】
図11は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、ベル状態を調製するための例示的な量子回路の概略図である。
【
図12】
図12は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、遠隔訂正(telecorrection)を実行するための例示的な量子回路の概略図である。
【
図13】
図13は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、Greenberger-Horne-Zeilinger (GHZ)クラスター状態を調製するための例示的な量子回路の概略図である。
【
図14】
図14は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、GHZクラスター状態を調製するための別の例示的な量子回路の概略図である。
【
図15】
図15は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、|χ>状態を調製するための例示的な量子回路の概略図である。
【
図16】
図16は、本明細書に記載されるいくつかの態様による、CNOTゲートをテレポートするための例示的な量子回路の概略図である。
【
図17-1】
図17Aは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、|Φ
Had>状態を調製するための単純化された量子回路の概略図である。
【
図17-2】
図17Bは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、
図17Aの量子回路の詳細な概略図である。
【
図18】
図18は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、アダマールゲートをテレポートするように構成される量子回路の概略図である。
【
図19】
図19は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、第1および第2のキュービットの間のSWAP試験のフォールトトレラント実行のための例示的な量子回路の概略図である。
【
図20】
図20は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、4つのキュービット中で調製される量子状態に存在する誤りを低減するように構成される例示的な量子回路の概略図である。
【
図21】
図21は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、量子状態上のカー効果およびχ'の効果を示す概略図である。
【
図22】
図22Aは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、周波数コムを使用して生成される駆動波形の例を図示するプロットである。
図22Bは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、
図22Aの駆動波形のフーリエ変換を図示するプロットである。
【
図23】
図23Aは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、周波数コムを使用して生成される駆動波形の別の例を図示するプロットである。
図23Bは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、
図23Aの駆動波形のフーリエ変換を図示するプロットである。
【
図24】
図24は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、量子操作を実行するための別のプロセス2400を記載するフローチャートである。
【
図25】
図25Aは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、2つのキュービットにおいてベル状態を調製するように構成される別の例示的な量子回路の概略図である。
図25Bは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、
図25Aの量子回路を使用して調製され得る2キュービットZZベル状態クラスター状態の概略図である。
【
図26】
図26Aは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、4キュービットクラスター状態を調製するように構成される別の例示的な量子回路の概略図である。
図26Bは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、
図26Aの量子回路を使用して調製され得る4キュービットクラスター状態の概略図である。
【
図27】
図27Aは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、2キュービットもつれ状態を生成するように構成される別の量子回路の概略図である。
図27Bは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、
図27Aの量子回路を使用して調製され得る2キュービットもつれ状態の概略図である。
【
図28】
図28Aは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、別の4キュービットクラスター状態を生成するための別のプロセスを記載する概略図である。
図28Bは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、XZZXクラスター状態の形成を記載する概略図である。
【
図29】
図29は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、例示的な従来のコンピューターシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
いくつかの異なる種類のキュービットは実験室において成功裡に示されている。しかしながら、量子状態のデコヒーレンスのためまたは他の量子雑音のために情報が喪失される前のこれらのシステムの多くの状態の寿命は、現在約~100μsである。より長い寿命にもかかわらず、信頼性の高い記憶および量子システムに記憶される情報の回復を可能にする量子コンピューター計算における誤り訂正技術を提供することが重要であり得る。しかしながら、誤り訂正の目的でビットがコピーされ得る古典的コンピューター計算システムとは異なり、量子システムの未知の状態をコピーとして作成することは可能でないことがある。しかしながら該システムは、いくつかのもつれた対象にわたりシステム中の情報を有効に拡散する他の量子システムともつれ得る。
【0027】
本願は、1つ以上のボゾンモードを示す量子システムの状態において誤りを訂正するための向上された量子誤り訂正技術に関する。この文脈において、「誤り」は、例えばシステムのボゾン喪失、ボゾン獲得、位相緩和、時間進展等により引き起こされ得、システムに記憶される情報が変化されるようにシステムの状態を変化する量子システムの状態の変化をいう。
【0028】
上述のように、キュービットなどの量子多準位システムは、現在の実験的実務に基づいて、約~100μsでデコヒーレンスを引き起こす(decohere)量子状態を示す。そのため、多準位システムと、かなり長いデコヒーレンス時間を示す別のシステムをカップリングすることが有益であり得る。以下に記載されるように、ボゾンモードは、多準位システムにカップリングするために特に望ましい。このカップリングを通じて、多準位システムの状態は、その代わりにボゾンモード(1つまたは複数)により表され得、それによりそうでなければ多準位システム単独において存在するものよりも長く生存する状態においても同じ情報が維持される。
【0029】
それにもかかわらず、ボゾンモードに記憶される量子情報は、依然として制限された寿命を有し、誤りは、依然としてボゾンシステム内で生じる。そのため、その状態内で誤りが生じる場合にボゾンシステムを操作して、これらの誤りを有効に訂正して、それによりシステムの以前の状態を回復することが望ましくあり得る。広範囲の部類の誤りが訂正され得る場合、生じ得る任意の種類の誤りを訂正することにより、ボゾンシステムの状態を無期限に(または少なくとも長時間)維持することが可能であり得る。
【0030】
空洞量子電磁力学(空洞QED)および回路QEDの分野は、量子誤り訂正を実行するための1つの例示的な実験アプローチを表す。これらのアプローチにおいて、1つ以上のキュービットシステムはそれぞれ、キュービット(1つまたは複数)に含まれる量子情報の共振器(1つまたは複数)へのおよび/またはそれからのマッピングを可能にするなどの方法において、共振器空洞にカップリングされる。共振器(1つまたは複数)は一般的に、キュービット(1つまたは複数)よりも長い安定な寿命を有する。その後、量子状態は、それぞれの共振器からキュービットへと逆に状態をマッピングすることにより、キュービット中で回復され得る。
【0031】
キュービットなどの多準位システムが、それがカップリングされるボゾンシステムの状態にマッピングされる場合、ボゾンシステム中のキュービット状態をエンコードするための特定の方法が選択されなければならない。エンコーディングのこの選択は、しばしば単に「コード」と称される。
【0032】
例として、コードは、共振器の0ボゾン数状態を使用してキュービットの基底状態を表し得、共振器の1ボゾン数状態を使用してキュービットの励起状態を表し得る。すなわち:
【数1】
であり、式中|g>はキュービットの基底状態であり、|e>はキュービットの励起状態であり、αおよびβは状態|g>または|e>それぞれにあるキュービットの確率振幅を表す複素数であり、|0>および|1>は共振器の0ボゾン数状態および1ボゾン数状態のそれぞれである。これは完全に正当なコードであるが、ボゾン喪失などの多くの誤りに対して頑強であることができない。すなわち、ボゾン喪失が起こる場合、ボゾン喪失の前の共振器の状態は、このコードを用いて回復不能であり得る。
【0033】
コードの使用はより一般的に:
【数2】
と記載され得、式中、
【数3】
は、論理コードワード(logical codeword)(または単に「コードワード」)と称される。そのため、コードの選択-同等に、ボゾンシステムの状態において2準位システム(例えばキュービット)の状態をどのようにエンコードするかの選択-は、
【数4】
についての値を選択することを含む。
【0034】
誤りが生じる場合、システムの状態は、得られる状態の重ね合わせに変換され、ここで「誤りワード」と称され、以下:
【数5】
のように、
【数6】
であり、式中、指数kは、生じた特定の誤りをいう。上述のように、誤りの例としては、ボゾン喪失、ボゾン獲得、位相緩和、振幅減衰等が挙げられる。一般に、コードの選択は、システムが誤りに対してどのくらい頑強であるかに影響を及ぼす。すなわち、使用されるコードは、誤りが生じる場合に以前の状態がどの程度忠実に回復され得るかを決定する。所望のコードは、誤りのいずれかが生じる場合に情報が喪失されない広範囲の部類の誤りに関連し、論理コードワードの任意の量子重ね合わせは忠実に回復され得る。
【0035】
しかしながら、上記のアプローチに伴う1つの困難さは、コードが、ボゾンシステムの量子制御に必要とされる非線形アンシラの寿命により制限され得るということである。典型的に、ボゾンシステムにカップリングされるアンシラキュービットの操作により、ボゾンシステムは制御され、ボゾンシステムにおける誤りは訂正される。しかしながら、これは、アンシラキュービットにおいて誤りが生じる場合に、ボゾンシステムの状態の誤り訂正がもはや可能でないことがあることを意味し得る。
【0036】
本発明者らは、4レグ(4-legged)猫コードが、ハードウェア効率的量子コンピューター計算システムにおいて量子コンピューター計算操作を実行するためのフォールトトレラントプラットフォームを提供し得ることを認識し、理解している。特に、本発明者らは、論理キュービットおよび/またはアンシラキュービットの測定に基づいて、4レグ猫コードのためのユニバーサルな組の操作を開発した。このユニバーサルゲートセットは、アンシラ減衰および位相緩和を含む論理キュービットおよびアンシラキュービットにおける最も可能性のある一次の誤りに対してフォールトトレランスを保持する。
【0037】
本発明者らは、ボゾンシステムのためのフォールトトレラントパリティ操作に基づいて一組のユニバーサル操作を開発した。特に、本発明者らは、Z、ZZおよびZZZ論理演算子が4レグ猫コードにおいて非破壊的およびフォールトトレラントに測定され得るように、フォールトトレラントパリティ測定の使用を拡張した。これらの論理演算子の実行は、離調ビームスプリッター相互作用を含み、アンシラは、これらの演算子を測定するために重ね合わせ状態にある。いくつかの態様において、ZZおよびZZZ演算子は、アンシラが複数の論理キュービットの1つのみの論理キュービットに直接カップリングされる場合にも、測定され得る。
【0038】
本発明者らはさらに、フォールトトレラントパリティ測定および上述の拡張を使用して、4レグ猫コードにおいてZおよびX固有状態、ベル状態ならびにGHZ状態を調製するための方法を開発した。また、本発明者らはさらに、ビームスプリッターおよび空洞光子数の測定を組み合わせることによりZ、X、ZZおよびXX論理基準において頑強な測定を実行するための方法を開発した。例えば、X測定の実行は、ビームスプリッター相互作用を使用して、論理状態とコヒーレント状態の干渉を使用する。そのため、光子数選択的駆動波形は、論理キュービット(例えば空洞)の1つが真空状態にあるかどうかを決定するためにアンシラキュービットに適用される。これらの測定は、全体的な測定誤りが、測定を反復することおよび結果に対して多数決(majority vote)を行うことにより指数関数的に抑制され得るという意味において、トランスモン減衰および位相緩和誤りの全ての次数に対してフォールトトレラントである。
【0039】
本発明者らはさらに、空洞変位操作と組み合わされると、この組の演算子は、量子誤りに対する一次のフォールトトレランスを維持しながら、4レグ猫コードにおけるクリフォード操作に対して十分であることを認識し、理解している。この組をユニバーサルにするために、本発明者らは、任意の単一キュービットZ回転を達成するためのフォールトトレラントSNAPゲートを含む操作または代替的に、蒸留(distillation)スキームを介した単一キュービットブロッホ球上の高忠実度任意状態の調製を含む操作を開発した。これは、標的状態のNの不完全なコピーを生成すること、および全ての可能なペアの間で非破壊的フォールトトレラントSWAP試験を実行することによりコピーペアワイズを比較することを含む。全てのSWAP試験を通過したことに対する後選択は、標的に対して、初期状態よりも高い忠実度を有する状態のNのコピーを生じる。
【0040】
本発明者らはさらに、単一光子喪失およびジャンプなしバックアクションは、テレポーテーションスキーム(「遠隔訂正」)を介して4レグ猫コードにおいて訂正され得ることを認識し、理解している。このスキームは、2つの部分:適切なもつれたベルペアの生成およびベル基準における測定に分離され得る。したがって、本発明者らは、ベル状態を生成するためおよび4レグ猫コードについてベル測定を実行するための技術を開発した。次いでかかるベル状態は、ジャンプなしバックアクションを訂正するために使用され、ベル測定は、単一の光子喪失を同時に訂正しながら、テレポーテーションを画定する。
【0041】
いくつかの態様によると、本明細書に記載されるコードは、ボゾンシステムの状態を構成するために使用され得る。ボゾンシステムは、本明細書に記載される技術を適用することが、単一のボゾンモードとして、等距離の間隔のコヒーレント状態を示し得る、特に望ましいシステムであり得る。例えば共振器空洞は、等距離レベルの間隔を有する単純な調和振動子である。ボゾンモードはまた、それらが、量子メモリのためもしくは従来のキュービットと相互作用するために静止であり得るか、またはそれらが、量子伝達のために伝播(「飛行」)し得る(例えばそれらが共振器に捕捉され、それから解放され得る)ことにおいて、量子伝達について有用である。
【0042】
I. 例示的なハードウェア実行
図1は、本願の局面を実施するための適切な例示的なシステム100を示す。システム100において、量子システム101は、分散的カップリングを介して論理キュービット120にカップリングされるアンシラキュービット110を含む。すなわち、論理キュービット離調に対するアンシラキュービットは、アンシラキュービット110と論理キュービット120の間のカップリング強度よりもかなり大きい(例えば一桁大きい)。論理キュービット120はまた、ビームスプリッター130(例えばプログラマブルビームスプリッター)により論理キュービット140にカップリングされる。エネルギー源150は、システム上で、論理キュービット120および/または140のいずれかにおいて状態を調製すること、論理キュービット120および/または140の1つ以上を測定すること、論理キュービット120および/または140の1つ以上にゲート操作を適用すること、アンシラキュービット110に操作を適用することもしくはそれにおいて状態を調製すること、アンシラキュービット110および/または論理キュービット120および/または140において誤りを検出することおよび/または訂正すること、あるいはそれらの組合せなどの操作をシステムに対して実行するために、アンシラキュービット110、論理キュービット120、ビームスプリッター130および/または論理キュービット140の1つまたは全てにエネルギーを供給し得る。
【0043】
いくつかの態様によると、論理キュービット120および論理キュービット140は、任意の適切な多モードボゾンシステムとして実行され得る。これは1つ以上のマイクロ波空洞などのフォトニックシステムを含み得るが、本明細書に記載される技術は、かかるシステムに限定されない。論理キュービット120および論理キュービット140は、単一ボゾンシステムの複数のモードおよび/または複数のボゾンシステムの単一のモードの任意の組合せを含み得る多モードボゾンシステムとして実行され得る。
【0044】
いくつかの態様によると、アンシラキュービット110は、3つの異なる状態、例えば限定されないが、荷電キュービット(クーパー対ボックス)、フラックスキュービットもしくは位相キュービット、トランスモンキュービット、またはそれらの組合せなどの超伝導ジョセフソン接合に基づくものを有する任意の適切な量子システムを含み得る。アンシラキュービット110は、アンシラキュービット110の状態を論理キュービット120の状態にカップリングする分散カップリングを介して、論理キュービット120にカップリングされ得る。論理キュービット120は、任意の電磁的、機械的、磁的(例えばマグノンとしても知られる量子化されたスピン波)および/または他の技術、例えば限定されないが任意の空洞共振器(例えばマイクロ波空洞)を使用して実行され得る、複数のボゾンモードを支持する任意のボゾンシステムを含み得る。いくつかの態様によると、論理キュービット120は、複数の伝送線路共振器を含み得る。
【0045】
いくつかの態様によると、ビームスプリッター130は、論理キュービット120と1つ以上の論理キュービット140の間に切り替え可能なビームスプリッター相互作用を提供するように構成され得る。例えば、それぞれのビームスプリッター130は、論理キュービット120と論理キュービット140の1つの間の形態のハミルトニアン
【数7】
を作動させ得る。ビームスプリッター130は、例えば限定されないが、パラメトリックに駆動されるトランスモンを有する4波混合および/または超伝導非線形非対称誘導要素モン(「SNAILmon」)もしくはフラックスポンプDC超伝導量子相互作用デバイス(「SQUID」)を有する3波混合を含む超伝導マイクロ波回路を使用して実行され得る。
【0046】
システム100はまた、エネルギー源150、コントローラー160および記憶媒体170(例えばコンピューター読み取り可能記憶媒体)を含む。いくつかの態様において、予めコンピューター計算される駆動波形172のライブラリは、記憶媒体170上に記憶され得、該波形を量子システム101に適用するためにコントローラー160によりアクセスされ得る。例えばコントローラー160は、記憶媒体170に記憶される駆動波形172にアクセスし得(例えばコントローラーに提供されるユーザー入力に応答して)、その後1つ以上の駆動波形を、アンシラキュービット110、論理キュービット120、ビームスプリッター130および/または論理キュービット140のそれぞれに適用するためにエネルギー源150を制御し得る。
【0047】
本明細書で使用する場合、かかる電磁シグナルまたはパルスの適用は、アンシラキュービットおよび/または論理キュービットの「駆動」とも称され得る。カップリングは、アンシラキュービットおよび論理キュービットにより生成される電場および/または磁場をカップリングすることなどにより、アンシラキュービットおよび論理キュービットをカップリングするための任意の技術(1つまたは複数)を利用し得る。いくつかの態様によると、アンシラキュービット(例えばトランスモン)は、論理キュービットにカップリングされ得、圧電性カップリングを介して機械的共振器になる。いくつかの態様によると、アンシラキュービットは、論理キュービットにカップリングされ得、アンシラキュービット(例えばトランスモン)を光子にカップリングすることにより磁気共振器になり、これは次いで磁気ひずみカップリングを介してマグノンをカップリングする。
【0048】
図2は、本願の局面を実施するために適した代替的な例示的システムを示す。システム200において、量子システム201は、分散的カップリングを介して論理キュービット140にカップリングされるアンシラキュービット110を含む。論理キュービット140はまた、ビームスプリッター130により他の論理キュービット140にカップリングされる。このビームスプリッター130は、論理キュービット140の任意のペアの間で、ビームスプリッター相互作用のオンおよびオフを切り替え得る。エネルギー源150は、論理キュービット140のいずれか1つにおいて状態を調製すること、1つ以上の論理キュービット140の状態を測定すること、1つ以上の論理キュービット140にゲート操作を適用すること、アンシラキュービット110に操作を適用すること、アンシラキュービット110および/または論理キュービット140において誤りを検出および訂正すること、あるいはそれらの組合せなどの操作をシステム上で実行するために、アンシラキュービット110、ビームスプリッター130および/または論理キュービット140の1つまたは全部にエネルギーを供給し得る。
【0049】
II. 4レグ猫コードについての操作
ボゾン量子コンピューター計算は、調和振動子の自由度において量子情報をエンコードする。そのようにすることにより、量子誤り訂正は、ハードウェア効率的様式で実行され得る。すなわち、振動子中に生じる量子誤りは、多くのさらなる物理的ハードウェアなしで訂正され得る。1つのかかるエンコーディングは4レグ猫コードであり、これは振動子における単一光子喪失誤りを訂正するように設計され、量子電磁力学的回路システムなどのいくつかの量子システムにおける支配的な誤りチャンネルである。
【0050】
量子メモリとしてこのエンコーディングを使用するために、適切なコードワードにおいて論理状態を調製し、単一の光子喪失誤りが検出および訂正され、次いで量子システムから論理情報が読み出される。量子コンピューター計算についてこのエンコーディングをさらに使用するために、ユニバーサルゲートセットがさらに実行されなければならない。
【0051】
調和振動子の量子制御なしでは量子メモリもコンピューター計算も可能ではないことがある。古典的外部ドライブを用いて調和振動子の量子制御を実行するために、該システムに非線形性の供給源が付加され得る。例えば、アンシラキュービット(例えばトランスモンキュービット)が量子システムに付加され得、アンシラキュービットは調和振動子(例えばマイクロ波空洞共振器)に分散的にカップリングされる。不運にも、アンシラキュービットは、調和振動子に記憶される情報に伝播し得る誤りのさらなる供給源であり得る。
【0052】
アンシラキュービットにより生成されるこれらの誤りは天然では量子であるので、それらは、ジャンプ演算子として記載され得る。無限の数の起こり得る量子誤りがあるが、誤り訂正工程の間の時間ウィンドウにおいてこの空洞-トランスモンシステムにおいて生じ得る最も可能性のある誤りを訂正することは、コンピューター計算性能を有意に向上する。かかる誤りとしては、調和振動子における単一光子喪失、アンシラキュービットにおける励起の単一減衰および/またはアンシラキュービットにより記憶される状態の位相緩和が挙げられる。この組の誤りは、簡潔に:
【数8】
と要約され得、式中、|g>および|e>は、アンシラキュービットの第1の2つの準位であり、
【数9】
は、調和振動子についての消滅演算子である。3準位アンシラキュービットについて、同様の誤りの組:
【数10】
が存在し、式中、|f>はアンシラキュービットの第3の準位である。
【0053】
本明細書に記載される量子操作は、これらの誤りの1つが生じる場合にそれが調和振動子においてキュービット上で論理誤りを生じないように、操作が設計される場合、上述の誤りに対してフォールトトレラントである。この条件は、より遅い時間で誤りを訂正し得ることによりまたは誤りが、調和振動子に記憶される論理情報に対して無視できる効果を有する場合のいずれかにより満たされ得る。
【0054】
本発明者らは、4レグ猫コードを用いたユニバーサル量子コンピューター計算に必要とされるフォールトトレランスのかかるレベルに到達することは、測定系量子コンピューター計算(MBQC)範例において達成され得ることを認識し、理解している。回路モデル量子コンピューター計算において、コンピューター計算にわたり固定されたままであるキュービットにゲートを適用する。対照的に、MBQCは、「クラスター状態」として公知である多体もつれ状態を含むもつれたリソース状態においてキュービットを調製することにより進行する。次いで、クラスター状態は、特定の基準においてキュービットを測定することによりコンピューター計算を実行するために使用され得る。論理ゲートを直接実行することよりもむしろ、量子操作は、量子状態の調製および破壊的測定に分離され得;次いでこれらの操作は、量子ゲートおよび量子誤り訂正を実現するために使用される。
【0055】
4レグ猫コードにおいてフォールトトレラント量子コンピューター計算を可能にするための第1の量子操作は、調和振動子(例えば本明細書において
図1または2に関して記載される論理キュービット120または140)における状態調製である。
図3Aは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、キュービットにおける|+>状態のフォールトトレラント調製のための例示的な量子回路300の概略図である。
【0056】
いくつかの態様において、量子回路300は、左から右に読まれる連続的な順序で単一のキュービットに適用される操作を記載する。最も左で、キュービットは真空状態(|vac>)で開始される。その後、変位302(D(α))は、キュービットの状態をコヒーレント状態に変位させるために適用され得る(例えばα=2~3)。キュービットの状態を変位させた後、反復されたパリティ測定304が実行され得る。アンシラ誤りに対するフォールトトレランスは、反復されたパリティ測定が同じ測定結果を得ることを必要とすることにより達成される。それぞれのパリティ測定304から異なる結果が得られる場合、誤りが生じ、状態が廃棄され得ることが推測される。2つの測定結果が一致することを必要とすることにより、状態|α>±|-α>は、誤りの組に対するフォールトトレランスを用いて調製され得る。
【0057】
いくつかの態様において、量子回路300は、
図3Bに示される例示的な量子情報処理システム310を使用して実行され得る。量子情報処理システム310は、マイクロ波空洞共振器として示される論理キュービット312を含む。論理キュービット312は、アンシラトランスモンキュービット314に分散的にカップリングされる。読み出し共振器316(例えばマイクロ波ストリップ共振器)は、アンシラトランスモンキュービット314にカップリングされ、アンシラトランスモンキュービット314への入力を提供するようにおよび/またはアンシラトランスモンキュービット314からの情報を読み出すように構成される。
【0058】
いくつかの態様において、パリティ測定304は、
図3Cの例に示されるように、アンシラキュービットおよび論理キュービットに適用される量子操作のシーケンスとして記載され得る。
図3Cの量子回路において、アンシラキュービット|g>は、論理キュービット|ψ
L>の下の線上に示される。量子操作は、アンシラキュービットの第1のπ/2回転304a、論理キュービットに適用されるユニタリー操作304b、アンシラキュービットの第2の-π/2回転304cおよびアンシラキュービットの状態の測定304dを含む。
【0059】
これらの量子操作は、
図3Dの例に示されるように、駆動波形のシリーズ320をアンシラキュービットに適用することにより物理的に実行され得る。シリーズ320は、g-e π/2パルスおよびe-f πパルスを含む駆動波形を含む第1のシーケンス322aならびにe-f πパルスおよびg-e π/2パルスを含む駆動波形を含むその後の第2のシーケンス322bを含む。シーケンス322aおよび322bは、時間遅延T
Π=π/χにより分離される。シーケンス322bが完了した後、アンシラキュービットの状態の読み出し324が実行される。
【0060】
4レグ猫コードにおいて状態調製を実行するための別の量子操作を
図4Aに示す。
図4Aの例において、量子回路400は、いくつかの態様による、4レグ猫コードについての論理0および1コードワードとして働く4レグ猫状態|α>±|iα>+1α>±|-iα>を調製するように構成される。量子回路400は、真空状態(|vac>)における論理キュービットにより開始される。その後、変位302(D(α))は、
図3Aに関して記載されるように適用され得る。4レグ猫状態をフォールトトレラントに調製するために、一連のパリティ測定304および論理Z測定406は、
図4Aに示される順序で適用され得る。
【0061】
いくつかの態様において、論理Z測定406は、論理キュービットの4パリティを測定することにより実行され得る。この測定は、論理キュービットが、0、4、8等の光子を含むかまたは2、6、10等の光子を含むかを決定する。キュービットが0、4、8等の光子を含む場合、測定は、+1の結果を生成するが、キュービットが2、6、10等の光子を含む場合、測定は、-1の結果を生成する。キュービットが奇数の光子を含む場合、測定はランダムな結果を生成する。フォールトトレランスは、パリティ測定304のペアおよび論理Z測定406のペアが成功裡の状態調製の試みについて一致することを必要とすることにより再度達成される。
【0062】
いくつかの態様において、論理Z測定406は、
図4Bの例に示されるように、アンシラキュービットおよび論理キュービットに適用される量子操作のシーケンスとして記載され得る。論理Z測定406は、
図3Bに関して記載されるユニタリー操作304bとして半分の待機時間(T
4Π=π/2χ=T
Π/2)の間にユニタリー操作406bを実行することのみにおいて、パリティ測定304とは異なる。同様に、
図4Cに示される駆動波形410のシリーズは、駆動波形320のシリーズのものと同一であり、唯一の変化は、第1のシーケンス322aと第2のシーケンス322bの間の待機時間がT
4Π=π/2χであることである。
【0063】
論理キュービットにおいて状態を調製することに加えて、論理キュービットの状態は、量子コンピューター計算実行の一部として測定されなければならない。
図5は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、4レグ猫コードのZ基準においてフォールトトレラント測定を実行するための例示的な量子回路500の概略図である。量子回路500は、論理キュービット|ψ
L>の測定502を含む。この測定502は、それが、測定502の間に減衰誤りが生じる場合に論理キュービットに記憶される状態を位相緩和するという意味において破壊的であり得る。かかる例において、論理キュービットに記憶される状態は、その後さらなる論理操作のために使用され得ないが、それは、反復された測定結果の多数決により全体的な測定忠実度を向上するように測定され続け得る。
【0064】
いくつかの態様において、4レグ猫コードのZ基準における測定502は、最適制御パルスをアンシラキュービットに適用して、論理キュービットがn=0、3、4、7、8...の光子を含む場合およびその場合のみにアンシラキュービットを励起することにより物理的に実行され得る。代替的に、アンシラキュービットは、測定502を実行するための適切な周波数での選択的πパルスの線形の組合せにより駆動され得る。
【0065】
図6は、いくつかの態様による、4レグ猫コードのX基準においてフォールトトレラント測定を実行するための例示的な量子回路600の概略図である。X基準においてフォールトトレラント測定を実行するために、量子回路600は、回路図の下の線上に示されるアンシラリー論理キュービットの使用を含む。アンシラリー論理キュービットは、真空状態(|vac>)で開始され得、その後、(例えば
図3Cの変位302に関して記載されるように)変位602(D(α))によりコヒーレント状態で調製され得る。X基準における測定は、コヒーレント状態と論理キュービット|ψ
L>の状態の間のビームスプリッター干渉604により、|α>±|-α>状態と|iα>±|-iα>状態の間を区別する。測定606および608(例えば選択的πパルスを使用して実行される)は、論理キュービットおよびアンシラリーキュービットの1つのみが0の光子を含むかどうかを決定する。論理キュービットおよびアンシラリーキュービットの正確に1つが0の光子を含む場合、入力状態が|iα>±|-iα>である場合に
【数11】
の確率のみがあるために、入力状態が|α>±|-α>であったことが知られる。これは、αが十分に大きい場合に非常に小さくあり得る固有の誤り確率である。Z基準における測定502と同様に、X基準における測定600は、測定を反復し、多数決を使用することによりフォールトトレラントにされ得る。
【0066】
図7は、いくつかの態様による、4レグ猫コードのXX基準においてフォールトトレラント測定を実行するための例示的な量子回路700の概略図である。XX基準におけるフォールトトレラント測定は、
図6に関して記載される測定600と非常に類似している。論理キュービットおよびアンシラリーキュービットを使用する代わりに、量子回路700の測定は、2つの論理キュービット|ψ
L1>および|ψ
L2>を用いて開始される。測定606および608により論理キュービットの1つが0の光子を含むと測定される場合、これは、2レグ猫は両方、位相空間において同じ方向に沿って整列されることを示す。
【0067】
図8Aは、いくつかの態様による、4レグ猫コードのZZ基準においてフォールトトレラント測定を実行するための例示的な量子回路800の概略図である。いくつかの態様において、量子回路800は、2つの論理キュービットの連結4パリティの測定802を含む。
【0068】
2つの論理キュービットの連結4パリティを測定するための1つの方法は、論理キュービットに記憶される単一の空洞モードにカップリングされるアンシラキュービットを有することである。次いで、単一モード4-パリティ測定シーケンスは、任意の状態を測定することなく実行され得る。次いでSWAP操作は、本明細書において
図19に関して記載されるように適用され得、別の単一モード4-パリティ測定が続く。その後、アンシラキュービットは、X基準および実行される別のSWAP操作において測定され得る。しかしながら、このプロセスは、ビームスプリッター(beamplitter)速度が典型的にχより小さく、SWAP操作の間にχが相殺される必要があるという制限に直面する。
【0069】
この問題を回避するより速いシーケンスは、SWAP操作および分散的ハミルトニアンを、連結4-パリティ測定を実行する単一の操作に合わせることである。これがどのように働くかをみるために、最初に、連結4-パリティ演算子が空洞位相空間の90°だけの連結回転である:
【数12】
ことに注意。この演算子を測定するために、制御連結空洞回転は、2つのπ/2パルスの間に適用され得、その後、アンシラキュービットが読み出され得る。このゲートの対称化されたバージョンは、
【数13】
として記載され得る。この測定が実行される時間毎に、ソフトウェアにおいて追跡され得るπ/4または3π/4の無条件の連結空洞位相回転があることに注意。訂正のタイミングおよびχ 対 gの比を用いて、ハミルトニアン:
【数14】
からいずれかのユニタリーを生成することが可能である。χの所定の値について、第1の操作点の2つは、
【数15】
を設定することである。次いで上述のハミルトニアンは、時間
【数16】
の間適用され得る。
【0070】
これらの特定の割合は、所望のユニタリーを実行し得る。この測定は、
図3A~3Dに関して記載されるフォールトトレラントパリティ測定と同じ方法で、トランスモン誤りに対してフォールトトレラントにされ得る。アンシラキュービットのg-fマニホールドを使用することにより、|e>がχ適合を用いて測定される場合に、トランスモン減衰誤りの検出が可能になる。この測定はまた、単一トランスモン減衰の存在下であっても空洞を位相緩和しない。パリティを追跡するためにパリティ測定が使用され、したがって次のパリティジャンプが起こる前に4-パリティ測定が更新されると仮定すると、光子喪失は訂正可能であり得る。例えば、アンシラキュービットは、最終のπ/2パルスに90°の位相のオフセットを追加することにより空洞が奇である場合に、y基準において読み出され得る。
【0071】
図8Aに戻って、連結4-パリティの測定802は、例えば2つの論理キュービットに存在する光子の総数がn=0、4、8、...であるかまたはn=2、6、10、...であるかを決定する。次いで、測定802の後に、
図3A~3Dに関して記載されるように、論理キュービットのそれぞれに対して実行されるパリティ測定304が続く。これらのパリティ測定304は、論理キュービットのいずれかにおいて任意の光子喪失が起こったかどうかを決定するために使用される。
【0072】
いくつかの態様において、量子回路800は、
図8Bに示される例示的な量子情報処理システム810を使用して実行され得る。量子情報処理システム810は、第1の論理キュービット812aおよび第2の論理キュービット812bを含む。両方は、
図8Bの例に示されるように、マイクロ波空洞共振器であり得る。第1および第2の論理キュービット812a、812bは、ビームスプリッター814により互いにカップリングされる。第1の論理キュービット812aは、アンシラトランスモンキュービット816に分散的にカップリングされる。読み出し共振器818(例えばマイクロ波ストリップ共振器)は、アンシラトランスモンキュービット816にカップリングされ、アンシラトランスモンキュービット906への入力を提供するようにおよび/またはアンシラトランスモンキュービット816から情報を読み出すように構成される。
【0073】
いくつかの態様において、2つの論理キュービットの連結4-パリティの測定802は、
図8Cの例に示されるように、アンシラキュービットおよび2つの論理キュービットに適用される量子操作のシーケンスとして記載され得る。
図8Cの量子回路において、アンシラキュービット|g>上の操作は、論理キュービット|ψ
L1>および|ψ
L2>の下の線上に示される。状態|ψ
L1>を記憶する論理キュービットは、アンシラキュービットに分散的にカップリングされる論理キュービットであり、論理キュービット|ψ
L1>および|ψ
L2>は、
図8Bの例に関して記載されるように、ビームスプリッターによりカップリングされる。量子操作は、アンシラキュービットの第1のπ/2回転802a、論理キュービット|ψ
L1>および|ψ
L2>に適用されるビームスプリッター操作802b、アンシラキュービットの第2の-π/2回転802c、ならびにアンシラキュービットの状態の測定802dを含む。
【0074】
図8Cの量子操作は、
図8Dの例に示されるように、アンシラキュービットに駆動波形のシリーズ820を適用することにより物理的に実行され得る。シリーズ820は、g-e π/2パルスおよびe-f πパルスを含む駆動波形を含む第1のシーケンス822aならびにe-f πパルスおよびg-e π/2パルスを含む駆動波形を含むその後の第2のシーケンス822bを含む。シーケンス822aおよび822bは、時間遅延
【数17】
により分離される。この時間遅延T
ZZの間に、駆動波形は、2つの論理キュービットをカップリングするビームスプリッターに適用され、時間T
ZZの間に形態:
【数18】
のハミルトニアンを有する離調ビームスプリッター相互作用を画定し、式中
【数19】
である。連結4-パリティ演算子を測定することに加えて、このシーケンスはまた、ソフトウェアにおいて追跡され得るそれぞれの論理キュービットに記憶される状態に、-45°の決定論的回転を付加する。シーケンス822bが完了する後、アンシラキュービットの状態の読み出し826が実行される。
【0075】
図9Aは、いくつかの態様による、4レグ猫コードのZZZ基準においてフォールトトレラント測定を実行するための例示的な量子回路900の概略図である。量子回路900は、量子回路800の拡張とみなされ得、2キュービット測定ではなく3キュービット測定を含む。量子回路800のZZ測定を実行するために、a
1とa
2の間の切り替え可能なビームスプリッター相互作用およびa
1に分散的にカップリングされる3準位アンシラキュービットが使用された。これを量子回路900のZZZ測定に拡張するために、さらなる切り替え可能なビームスプリッターカップリングが、論理キュービットa
1とa
3の間に付加され得、ここでa
3は、第3の論理キュービットのフィールド演算子である。π/2パルスの間の標的ユニタリーは:
【数20】
である。第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間、次いで第1の論理キュービットと第3の論理キュービットの間その後適切な待機時間に連続的に実行される2つのペアワイズビームスプリッター相互作用は、上述のユニタリーを画定するために使用され得る。
【0076】
2つの連続ペアワイズビームスプリッター相互作用を実行することは、以下のユニタリー:
【数21】
を生じる。
【0077】
この式から、第1の論理キュービットが蓄積されたさらなる条件的位相を有することが観察され得る。これらの2つのビームスプリッター相互作用を実行した後に測定される場合、演算子Π
1Z
2Z
3であり、式中Πは、第1の論理キュービットの光子数パリティである。これを打ち消すために、時間T=π/(2χ)を待つことは、以下のユニタリー:
【数22】
を生じ、これは
【数23】
を生じるように再配列され得る。
【0078】
いくつかの態様において、
図9Aに戻ると、量子回路900は、
図9Bに示される例示的な量子情報処理システム910を使用して実行され得る。量子情報処理システム910は、第1の論理キュービット912a、第2の論理キュービット912bおよび第3の論理キュービット912cを含む。全ての3つのキュービット912a、912bおよび/または912cは、
図9Bの例に示されるようにマイクロ波空洞共振器であり得る。第1および第2の論理キュービット912a、912bは、ビームスプリッター914aにより互いにカップリングされる。第1および第3の論理キュービット912a、912cは、別のビームスプリッター914bにより(be)互いにカップリングされる。第1の論理キュービット912aは、アンシラトランスモンキュービット916に分散的にカップリングされる。読み出し共振器918(例えばマイクロ波ストリップ共振器)は、アンシラトランスモンキュービット916にカップリングされ、アンシラトランスモンキュービット916への入力を提供するようにおよび/またはアンシラトランスモンキュービット916からの情報を読み出すように構成される。
【0079】
いくつかの態様において、3つの論理キュービットの測定902は、
図9Cの例に示されるように、アンシラキュービットおよび3つの論理キュービットに適用される量子操作のシーケンスとして記載され得る。
図9Cの量子回路において、アンシラキュービット|g>に対する操作は、論理キュービット|ψ
L1>、|ψ
L2>および|ψ
L3>の下の線上に示される。状態|ψ
L1>を記憶する論理キュービットは、アンシラキュービットに分散的にカップリングされる論理キュービットであり、論理キュービットのペア|ψ
L1>と|ψ
L2>および|ψ
L1>と|ψ
L3>はそれぞれ、
図9Bの例に関して記載されるように、ビームスプリッターによりカップリングされる。量子操作は:アンシラキュービットの第1のπ/2回転902a;論理キュービット|ψ
L1>および|ψ
L2>に適用されるビームスプリッター操作902b;論理キュービット|ψ
L1>および|ψ
L3>に適用される第2のビームスプリッター操作902c;第1の論理キュービット|ψ
L1>に適用されるユニタリー操作902d;アンシラキュービットの第2の-π/2回転902eならびにアンシラキュービットの状態の測定902fを含む。
【0080】
図9Cの量子操作は、
図9Dの例に示されるように、駆動波形のシリーズ920を、アンシラキュービットおよびビームスプリッターに適用することにより物理的に実行され得る。シリーズ920は、g-e π/2パルスおよびe-f πパルスを含む駆動波形を含む第1のシーケンス922aならびにe-f πパルスおよびg-e π/2パルスを含む駆動波形を含むその後の第2のシーケンス922bを含む。シーケンス922aおよび922bは、時間遅延2T
ZZ+T
4Πにより分離される。この時間遅延2T
ZZ+T
4Πの間に、駆動波形は、論理キュービットのペアをカップリングして、上述の形態のハミルトニアンを有する離調ビームスプリッター相互作用を画定する2つのビームスプリッターに適用される。長さT
4Πを有する時間は、蓄積した論理キュービットに記憶される状態の任意の回転(例えば第1、第2および第3の論理キュービットのそれぞれについて-90°、-45°および-45°)を訂正するために使用され得る。
【0081】
図9A~9CのZZZ測定は、上述の他の量子操作と合わされる場合にCNOTゲートを実行するために使用され得るので、4レグ猫コードについてのクリフォードゲートセットを完了する。これは、分離可能な状態|+++>に対してZZZ測定を使用して、もつれた状態|+++>+|--->を生成することにより可能であることが示され得る。同じ初期状態|+++>に対してZZ演算子(例えばZ
1Z
2およびZ
2Z
3)のペアを測定することにより、同様のもつれた状態|000>+|111>が生成され得る。これらの状態に対するベル基準測定は、局所パウリ訂正まで、CNOTゲートを決定論的に実行して、ユニバーサルであることが公知であるゲートセットを形成し得る。
【0082】
図10は、本明細書に記載されるいくつかの態様による、量子操作を実行するためのプロセス1000を記載するフローチャートである。プロセス1000は、例えば回路量子電磁力学構成要素を含む量子情報処理システムを操作するために使用され得る。量子情報処理システムは、第1の論理キュービット(例えばマイクロ波空洞共振器)にカップリングされるアンシラキュービット(例えばトランスモンキュービット、SNAILmonキュービット、振動子または別のキュービット)を含み得る。第1の論理キュービットは、第1のビームスプリッターにより第2の論理キュービットにカップリングされ得る。
【0083】
いくつかの態様において、プロセス1000は、1つ以上の駆動波形をアンシラキュービットおよび/または第1のビームスプリッターに適用することを含む。駆動波形は、1つ以上のコンピューター読み取り可能記憶媒体上に(例えば局所的または遠隔的に)記憶され得、コントローラーによりアクセスされ得る。駆動波形を適用するために、コントローラーは、エネルギー源(例えばマイクロ波源)に、駆動波形を生成させ得、駆動波形を、アンシラキュービットおよび/または第1のビームスプリッターへと伝達させ得る。
【0084】
いくつかの態様において、プロセス1000は、行為1010で開始され得、ここで第1の駆動波形はアンシラキュービットに適用され得る。第1の駆動波形は、
【数24】
パルスを含み得る。いくつかの態様において、第1の駆動波形は、駆動波形のシーケンスを含み得る。例えば、駆動波形のシリーズは、g-e π/2パルスおよびe-f πパルスを含み得る。
【0085】
いくつかの態様において、行為1010の後、プロセス1000は行為1020まで進行し得る。行為1020において、第2の駆動波形は、第1のビームスプリッターに適用されて、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間で離調ビームスプリッター相互作用を画定し得る。離調ビームスプリッター相互作用は、
【数25】
の時間遅延の間に画定され得る。この時間遅延T
ZZの間に、駆動波形は、2つの論理キュービットをカップリングするビームスプリッターに適用されて、時間T
ZZの間に形態:
【数26】
のハミルトニアンを有する離調ビームスプリッター相互作用を画定し得、式中、
【数27】
である。
【0086】
いくつかの態様において、行為1020の後、プロセス1000は行為1030まで進行し得、ここで第3の駆動波形は、アンシラキュービットに適用され得る。第3の駆動波形は、
【数28】
パルスを含み得る。いくつかの態様において、第1の駆動波形は、駆動波形のシーケンスを含み得る。例えば、駆動波形のシーケンスは、e-f πパルスおよびg-e π/2パルスを含み得る。
【0087】
いくつかの態様において、行為1030の後、プロセス1000は行為1040まで進行し得、ここでアンシラキュービットの状態が読み出され得る。いくつかの態様において、アンシラキュービットの状態は、アンシラキュービットにカップリングされる読み出し空洞またはマイクロ波ストリップ共振器を使用して読み出され得る。アンシラキュービットの状態を読み出すために、アンシラキュービットの状態の測定がなされ得る。例えば、アンシラキュービットの状態の破壊的測定がなされ得る。いくつかの態様において、この測定は、例えば読み出し空洞またはマイクロ波ストリップ共振器の可能な状態を区別し得るマイクロ波照射検出器を使用してなされ得る。例えば、マイクロ波照射検出器は、いくつかの態様においてホモダイン検出器またはヘテロダイン検出器であり得る。
【0088】
III. 遠隔訂正
標準的な量子テレポーテーションにおいて、未知の状態は、新規の物理的システムに「テレポート」される。このテレポーテーションは、2つの工程を使用して実行され得る。第1に、もつれたベルペアが生成され得る。第2に、未知の状態およびベル基準におけるベルペアの1/2の測定が実行される。測定結果に依存する公知のパウリ訂正に匹敵して、未知の状態は、この測定の後に、ベルペアの他の半分まで決定論的にテレポートされる。
【0089】
4レグ猫コードを用いて長く未解決な困難性であった1つの問題は、いわゆる猫の「サイズ」αを時間に伴って減少させる「ジャンプなし」バックアクションである。正しいベル状態が生成され得る場合、このジャンプなしバックアクションは、量子情報を、より大きなαを有する新規の論理エンコーディングにテレポートすることにより緩和され得る。例えば第1の論理キュービットが最初にα
0の猫サイズで開始され、第1の論理キュービットがエネルギー喪失速度κ
cを有する場合、時間tの後、猫は有効な
【数29】
へと減少された。
【0090】
α=α'を有する論理基準におけるキュービットとα=α
0を有する同じまたは別の論理基準におけるキュービットの間でベル状態を生成することにより、ジャンプなしバックアクションを訂正するのに適切なベル状態が生成され得る。
図11の量子回路1100は、いくつかの態様による、この目的のベル状態のフォールトトレラント調製を図示する。
【0091】
量子回路1100は、2つの論理キュービットにおける2つの任意の状態の調製により始まる。第1の論理キュービットは、転位1102(D
1(α))により転位され得、第2の論理キュービットは、転位1104(D
2(β))により転位され得、第1および第2の論理キュービットにおいて2つの量子状態を調製する。いくつかの態様において、第1および第2の論理キュービットは、異なる論理基準にある初期化された状態を有し得る。
図11の例において、第1の論理キュービットは「サイズ」αの猫コードにあり、第2の論理キュービットはサイズβの猫コードにある。異なる論理基準において2つの論理キュービットを調製することは、ジャンプなしバックアクションの訂正を可能にする。
【0092】
その後、2つのパリティ測定304は、
図3A~3Dに関して記載されるように実施され得、1つは第1および第2の論理キュービットのそれぞれ上にある。次いで、量子回路1100は、
図8A~9Cに関して記載されるように2つの連続ZZ測定を伴って継続し得る。その後、2つのさらなるパリティ測定304は、第1および第2の論理キュービットのそれぞれ上で実施され得る。本明細書に記載されるように、ベル状態のフォールトトレラント生成を確実にするために、第1のパリティ測定304および第2のパリティ測定304は、第1および第2の論理キュービットのそれぞれについて一致しなければならない。さらに、フォールトトレランスを確実にするために、ZZ測定802の両方も一致しなければならない。
【0093】
次いで、調製されたベル状態1100は、
図12の量子回路に示されるように、ベル基準における測定を実行することにより、論理キュービット|ψ
L>
αの遠隔訂正を実行するために使用され得る。ビームスプリッター相互作用1202は、最初に、αの猫コードサイズを用いて調製されるベル状態1100の第1のキュービットと論理キュービット|ψ
L>
αの間で画定され得る。次いで、ベル状態1100の第1のキュービットおよび論理キュービットの両方は、測定1204を使用して、4レグ猫コードのZ基準において測定され得る。いくつかの態様において、測定1204は、本明細書において
図5に関して記載される測定502と同等であり得る。その後、ベル状態1100の第1のキュービットおよび論理キュービットの両方は、本明細書において
図6に関して記載される測定606と同等であり得る測定1206を使用して、4レグ猫コードのXX基準において測定され得る。次いでこれらの測定は、元来論理キュービット|ψ
L>に記憶される量子情報を、サイズβの猫コードを有するベル状態1100の第2のキュービットにテレポートし、ジャンプなしバックアクションを訂正し、多くの量子操作にわたる漏れ誤りの蓄積を防ぐ。
【0094】
ビームスプリッターは総光子数パリティを保存する(すなわちそれは光子の数を保存する)ので、ZZ情報はさらに、局所光子数パリティmod(4)を測定し、結果を追加してZZ情報を決定することにより抽出され得る。ビームスプリッターの後、全ての論理XXおよびZZ情報は、空洞の非局所光子数空間にマッピングされているので、該プロトコルはフォールトトレラントである。アンシラキュービット誤りはさらに、遠隔訂正プロセスの間に論理キュービットを位相緩和し得、いずれかの空洞における少なくとも2つの光子喪失は、正しくない測定結果を生じるために必要とされる。
【0095】
量子コンピューター計算のクラスター状態モデルに特異的な1つの潜在的に有用なサブルーティンは、|000>+|111>および|+++>+|--->などのGreenberger-Horne-Zeilinger (GHZ)もつれ状態の生成である。
図13は、本明細書に記載されるいくつかの態様による、|000>+|111>GHZクラスター状態を調製するための例示的な量子回路1300の概略図である。量子回路1300は、転位302(D
1(α)、D
2(α)、D
3(α))をそれぞれの論理キュービットに適用して、3つの論理キュービットにおいて3つの任意の状態を調製することにより始まる。その後、パリティ測定304は、論理キュービットのそれぞれ上で実行される。ZZ測定802の第1のペアは、第1および第2のキュービット上で実行され、ZZ測定802の第2のペアは、その後、第2および第3のキュービット上で実行される。最終的に、パリティ測定304は、論理キュービットのそれぞれ上で実行される。以前のように、フォールトトレランスを提供するために、第1および最後のパリティ測定は一致しなければならず、ZZ測定802の第1のペアは一致しなければならず、|000>+|111>GHZクラスター状態を調製するためにZZ測定802の第2のペアは一致しなければならない。
【0096】
図14は、本明細書に記載されるいくつかの態様による、|+++>+|--->GHZクラスター状態を調製するための別の例示的な量子回路1400の概略図である。量子回路1400は、
図13の量子回路1300と同様であるが、ZZ測定802の2つのペアの代わりに、パリティ測定304の2つの組の間でZZZ測定902のペアが実行される。この例において、ZZZ測定902のそれぞれは、フォールトトレランスを保存するために一致しなければならない。
【0097】
GHZ状態調製とベル状態測定を合わせることは、論理キュービットの間のフォールトトレラントCNOTゲートの実行を可能にする。最もテレポートされるゲートプロトコルと同様に、これは、2つの工程:適切なもつれた状態の生成、その後情報を残りの測定されないキュービットに同時にテレポートするため、およびゲートを実行するためのこのもつれた状態と論理キュービットの間でのベル測定に分割され得る。このゲートは、測定結果に依存するいくつかのパウリ訂正に匹敵して実行され得る。
【0098】
CNOTゲートを調製するために、第1の|χ>状態は、
図15の量子回路1500の例に示されるように調製され得る。|χ>状態は、
【数30】
のように記載され得、ここで|Ψ>は、ベル状態
【数31】
である。|χ>状態を調製するために、2つの異なる種類のGHZ状態をフォールトトレラントベル測定1200と一緒に融合させる。キュービット3および4の間のベル測定は、ベル測定結果により決定される局所パウリ操作に匹敵して、残りのキュービットを|χ>状態に投影する。これは、2つのより小さな構築ブロックからのより大きなクラスター状態の構築と同等である。
【0099】
|χ>状態が調製されると、それは、いくつかの態様により、
図16の量子回路1600に示されるようにCNOTゲートをテレポートするために使用され得る。CNOTゲートは、論理キュービット1および2のペアと論理キュービット5および6のペアの間でベル測定1200を使用してテレポートされ得る。量子回路1600の出力は、測定されないキュービット3および4上で論理情報として記憶され、ベル測定結果は、任意の場合、どのパウリ訂正が出力CNOT|Ψ
2Ψ
1>に適用されるべきかを示す。操作および測定の数を低減するCNOTゲートを用いて量子回路を編集するためのより効率的な方法があり得るが、この明示的な構築は、本明細書に記載される操作の組が実際にユニバーサルであることを提供するために有用であることが理解されるべきである。
【0100】
状態調製とベル状態測定を合わせることはまた、2つの論理キュービットの間のフォールトトレラントアダマールゲートの実施を可能にする。
図17Aは、いくつかの態様による、アダマール状態|Φ
Had>を調製するための量子回路1700の概略図である。この量子回路1700の拡張されたバージョンを
図17Bに示す。
【0101】
前駆2キュービットもつれ状態は、|Φ
Had>と記録されるXZ演算子の固有状態である。この状態はまた、|0+>±|1->、|+i+i>±i|-i-i>またはH
2|ψ
12>と記載され得る。量子回路1700は、最初に
【数32】
状態にある3つの論理キュービットを利用する。それぞれのキュービットは、転位302によりコヒーレント状態に転位され、π/2の回転1706は、3つの論理キュービットを|+i>状態に配置する。いくつかの態様において、回転1706は、フォールトトレラントSNAPゲートまたは切り換え可能カーゲートを使用して実行され得る。ZZZ測定902は、フォールトトレラントパリティ測定304およびZZZ測定902を使用して3つの論理キュービット上で最初に実行されて、状態|+i+i+i>±|-i-i-i>を生じる。測定の組が一致しないことは、一次の誤りが生じ、プロトコルを再度開始するべきであることを示す。
【0102】
その後、キュービットの1つは、3つの論理キュービットとは異なる論理基準において初期化されたさらなるアンシラキュービットを利用する測定600を使用してX基準において破壊的に測定される。測定600は、論理キュービットの1つとアンシラキュービットの間でビームスプリッター相互作用1708を画定することおよび次いで、測定606を使用して、論理キュービットおよびアンシラキュービットの状態を破壊的に測定することを含む。X基準においてこの論理キュービットを破壊的に測定することにより、他の2つの論理キュービットの2キュービット状態は、状態|+i+i>±i|-i-i>に投影され、ここで符号は、ZZZ測定902およびX測定600の結果の両方により決定される。
【0103】
|Φ
Had>状態を調製した後、これは、
図18の量子回路1800に示されるように、単一キュービットアダマールゲートを別の論理キュービットにテレポートするために使用され得る。いくつかの態様において、量子回路1800は、状態|ψ
L>を有する論理キュービットと、2キュービット|Φ
Had>状態のキュービットの間でのフォールトトレラントベル測定1200の実施を含む。フォールトトレラントベル測定1200を実施することにより、単一キュービットアダマールゲートは、2キュービット|Φ
Had>状態の残りの論理キュービットにテレポートされ得る。フォールトトレラントベル測定1200を実施した後、2キュービット|Φ
Had>状態の第2のキュービットは、ここで量子状態
【数33】
を記憶し得る。
【0104】
図17A~18に関して記載されるプロトコルは、それらのそれぞれにカップリングされるアンシラキュービットを有する最小で5つの論理キュービット(例えば5つのマイクロ波空洞共振器)を利用する。アダマールゲートのこの実行は、特にはハードウェア効率的ではないが、CNOTおよびR
Zθ操作と組み合わせて、量子操作の上述の組がユニバーサルであることを示すことが理解されるべきである。
【0105】
IV. SWAP試験を使用した状態精製
SWAP試験を介した精製は、一般的なキュービットを対称化するための一般的な方法をいう。本発明者らは、この方法は、高い忠実度でボゾンキュービットにおいて状態を調製するために使用され得ることを認識し、理解している。特に、状態のペアの間の非破壊的SWAP試験は、誤りを受けやすい(例えばそれは雑音が多い(noisy))手順を使用して標的状態のいくつかのコピーを生成する際に、誤りを低減するために使用され得る。次いで、SWAP試験結果は、状態生成において誤りを低減するために、後で選択され得る。
【0106】
これは、状態調製において確率論的な誤りの効果を低減するための、ボゾンモードにおける一般的な状態調製に使用され得る独立型の手順である。非クリフォード操作としてフォールトトレラントSNAPゲートを使用することの代替物として、本明細書に記載される測定系スキームにおいて|±i>および|T>状態を調製することは特に有用であり得る。直接フォールトトレラントゲート(例えばSNAPゲート)を実行することよりもむしろ、フォールトトレラント測定は、いくつかの他の手段(例えば最適制御パルスまたはアンシラから論理キュービットへの状態伝達)により作製される雑音の多い状態を精製することの代わりに使用され得る。この方法の利点は、雑音チャンネルが複雑であり得、それぞれの入力空洞状態について異なり得るということである。
【0107】
SWAP試験測定は、一次の誤りに対してフォールトトレラントにされ得、そのため初期状態調製誤りは、SWAP試験誤りよりもかなり大きくあり得る。これらの条件下、SWAP試験は、初期状態を精製するためおよび状態調製誤りを低減するために使用され得る。該プロセスは、初期化される所望の量子状態のNの雑音の多いコピーを調製することにより始まる。単純化のために、いくつかの誤りの確率perrおよび状態調製において生じる誤りなしの確率(1-perr)があることが推定され得る。これらの空洞の2つの間でSWAP試験測定を実行する場合、測定結果が失敗を示し、プロトコルが再度開始されなければならない小さな確率perr/2がある。ほとんどの時間にSWAP試験測定は成功するが、誤り確率perr/2を有する2つの論理キュービットを生じる。状態忠実度についての成功確率のこの直接のトレードオフは非常に好ましい。
【0108】
空洞の全ての異なる対形成にわたりSWAP試験を反復することにより、SWAP試験測定が成功裡である場合は、SWAP試験測定の忠実度により設定される限界が達成されるまで、誤り確率は低減され得る。SWAP試験はフォールトトレラントに実行され得るので、原則的にこの技術は、高い忠実度を有する空洞状態を調製するために使用され得る。
【0109】
この方法を図示するために、ユニバーサル操作からの単一フォールトトレラントSWAP試験測定の構築を記載する。
図19は、いくつかの態様による、第1および第2のキュービットの間のSWAP試験のフォールトトレラント実行のための例示的な量子回路1900の概略図である。この状況におけるSWAP試験は、2つの論理キュービットの間のSWAP演算子の非破壊的測定である。対称および非対称的な重ね合わせはSWAP演算子の±1固有状態であるので、|Ψ
1>および|Ψ
2>が初期入力状態である場合、SWAP試験は、これらの状態を、
【数34】
に投影する。
【0110】
この測定を実行するために、50-50ビームスプリッター相互作用1900aは、2つの論理キュービットの間で最初に画定される。その後、該モードの1つの光子数パリティは、パリティ測定304を使用して、「ビームスプリッター」枠内で測定される。通常、単一論理キュービット上のパリティ測定は、パリティ演算子
【数35】
を測定するが、ビームスプリッター枠内で、パリティ測定304がSWAP演算子
【数36】
を測定しているように、変換
【数37】
がなされる。パリティ測定304を実行した後、別の50-50ビームスプリッター相互作用1900bが画定される。最後のビームスプリッター1900bは、ビームスプリッターポンプの1つの位相を逆転することにより実行される逆50-50ビームスプリッターである。操作のこのシーケンスは、ビームスプリッター枠内のパリティ測定と同等である。
【0111】
表面の値で、SWAP試験の結果は、解釈するのにかなり単純である。得られる結果が+1である(すなわちアンシラキュービットが|g>状態にある)場合、2つの入力状態|ψ1>および|ψ2>が同一であり、そのための誤りがない可能性がより高い。この結果を後で選択することにより、いずれかの状態が誤りを有する確率はそれに従って低減される。
【0112】
結果±1を得る確率は1±|<Ψ1|Ψ2>|2/2である。状態の1つが初期の調製において誤りを被る場合、広範囲の起こり得る誤りについて|<ψ1|ψ2>|=0である可能性が高い。さらに、結果+1を得ることは、誤りが生じなかったことを保証しない。|<ψ1|ψ2>|=0の場合、+1の結果は、依然として0.5の確率を伴って得られ得る。このために、SWAP試験を通過する場合、両方の空洞状態の誤りは半分だけ低下するが、完全に排除されることはない。
【0113】
これは、密度マトリックス形式主義により、より正確に表され得る。初期の雑音の多い空洞状態は:
【数38】
と記載され得、式中|ψ
t>は、高い忠実度を伴って調製される標的状態であり、|ψ
i>は、<ψ
i|ψ
t>=0である初期の調製において誤りがある場合に得られる状態であり、p
iは、合計1になる真のスカラーである。
【0114】
初期の2空洞状態は、
【数39】
と記載され得る。+1結果を得ることは、射影作用素(1+SWAP)/2を適用することと同等である。p
errにおいて一次まで部分的な追跡がなされる場合、それぞれの論理キュービットの状態は、それぞれρ
finalであり、ここで:
【数40】
である。
【0115】
図20は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、4つのキュービットにおいて調製される量子状態に存在する誤りを低減するように構成される例示的な量子回路2000の概略図である。量子回路2000は、空洞のペアの間にいくつかのSWAP試験1900およびSWAP操作2002を含む。
図20の例において、プロセスは、ρ
initの4つのコピーにより始まる。量子回路2000の実行の間に、SWAP試験1900は、それぞれの状態における誤りをp
err/8まで低減するために、論理キュービットのペアの全ての6個の順列の間で実行され得る。ρ
initのさらなるコピーを用いて、この誤りの割合は、より多くのSWAP試験およびSWAP操作を付加することを犠牲にしてさらに低減され得た。このプロトコルは、本明細書において
図8A~8Dに関して記載されるように、ZZ測定と同じハードウェアを用いて試験的に実行され得る。
【0116】
V. カー効果およびχ'の訂正
いくつかの量子情報処理スキームにおいて、量子システムに摂動を導入し得るさらなる効果を説明することが望ましくあり得る。例えば、カー効果およびχ'の効果は、本明細書に記載されるZZおよび/またはZZZ測定を変動させる効果をもたらし得るので、それらは頑強ではない。アンシラキュービットの状態の間の測定された遷移の周波数は論理キュービットに記憶される光子の数に依存するので、これらの効果は、多くの光子(例えば10以上の光子)を利用するシステムに特に顕著である。例えば、χ'効果は論理キュービットに記憶される光子の数に二次的に比例し、χ'効果は、より高い光子数を区別および訂正することがより困難である。これらの効果は、MBQCにおいて説明するのに特に重要であり、コンピューター計算プロセスを実行するためにより多くの光子が使用される。
【0117】
カー効果およびχ'の効果は、以下の2キュービットハミルトニアン:
【数41】
の最後の2項により記載され得る。
【0118】
図21は、いくつかの態様による、量子状態上のカー効果およびχ'の効果を示すブロッホ球の概略図である。これら2つの効果は、ブロッホ球の周囲に、本明細書に記載されるZZおよび/またはZZZ測定の頑強さを低減し得、量子回路の間にデコヒーレンスの確率を増加し得る摂動2102および2104をもたらす。
【0119】
これらの効果を打ち消すために、論理キュービットに記憶される量子状態は、代替的なプロセスを使用して調製され得、量子操作は同様に変化され得る。いくつかの態様において、猫状態は、論理キュービットの状態を、真空状態|vac>から状態|α>に最初に転位することにより調製され得る。その後、|α>状態は、選択的g-f πパルスコムを含む駆動波形を使用して、|0>
L状態に駆動され得る。選択的g-f πパルスコムは、周波数(0χ、4χ、8χ、12χ、...)に対応する複数の周波数を含むπパルスであり得る。g-f πパルスコムにおけるこれらの選択的周波数の使用は、χ'の効果に対処し、これらは論理キュービットの等間隔のエネルギーレベルに二次的な訂正を提供するので、構成要素πパルスの位相を変化することは、カー効果摂動に対処する。選択的g-f πパルスコムの例を
図22Aに示し、対応するフーリエスペクトルを
図22Bに示す。
【0120】
いくつかの態様において、測定は、χ'の効果およびカー効果を打ち消すためにも調整され得る。例えば、XXおよびZZ情報は、3準位アンシラキュービット(例えば3準位トランスモンキュービット)を使用してベル測定を実行するために、同時に抽出され得る。この情報を抽出するために、3つの測定が実行され得る。いくつかの態様において、これらの測定は、同時に実行され得る。第1に、|f>状態に関連する情報は、選択的ラマン遷移を使用して測定され得る。第2に、|e>状態に関連する情報は、(3χ、4χ、7χ、8χ、...)の周波数を有する選択的周波数コムを含むπパルスを含む駆動波形を用いてアンシラキュービットを駆動することにより測定され得る。第3に、|g>状態に関連する情報は、(1χ、2χ、5χ、6χ、...)の周波数を有する選択的周波数コムを含むπパルスを含む駆動波形を用いてアンシラキュービットを駆動することにより測定され得る。|e>および|g>状態を明らかにするための両方の周波数コムを含むかかる駆動波形の例を
図23Aに示す。対応するフーリエ変換を
図23Bに示す。
【0121】
図24は、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、量子操作を実行するための別のプロセス2400を記載するフローチャートである。プロセス2400は、例えば回路量子電磁力学構成要素を含む量子情報処理システムを操作するために使用され得る。量子情報処理システムは、第1の論理キュービット(例えばマイクロ波空洞共振器)にカップリングされるアンシラキュービット(例えばトランスモンキュービット、SNAILmonキュービット、振動子または別のキュービット)を含み得る。
【0122】
いくつかの態様において、プロセス2400は、行為2410により開始され得、ここで第1の駆動波形は、生成されて、アンシラキュービットに適用される。プロセス2400に関して記載される駆動波形は、1つ以上のコンピューター読み取り可能記憶媒体に(例えば局所的または遠隔に)記憶され得、コントローラーによりアクセスされ得る。駆動波形を適用するために、コントローラーは、エネルギー源(例えばマイクロ波源)に、駆動波形を生成させ得、駆動波形を、アンシラキュービットおよび/または量子情報処理システムの他の構成要素に伝達させ得る。
【0123】
いくつかの態様において、第1の駆動波形は、第1の論理キュービットの偶および奇の空洞共鳴周波数の第1の選択に対応する選択的周波数を有するπパルスの第1のコムを含む。例えばπパルスの第1のコムは(3χ、4χ、7χ、8χ、...)の周波数に対応する選択的周波数を有し得る。
【0124】
いくつかの態様において、該方法は任意に、アンシラキュービットの状態を読み出す前に、行為2420を実行することを含む。行為2420は、第2の駆動波形を生成することおよびそれをアンシラキュービットに適用することを含み得る。第2の駆動波形は、第1の論理キュービットの偶および奇の空洞共鳴周波数の第2の選択に対応する選択的周波数を有するπパルスの第2のコムを含み得る。いくつかの態様において、πパルスの第2のコムは、(1χ、2χ、5χ、6χ...)の選択的周波数に対応する選択的周波数を有し得る。
【0125】
いくつかの態様において、行為2410または2420の後、プロセス2400は行為2440に進行し得、ここでアンシラキュービットの状態が読み出され得る。いくつかの態様において、アンシラキュービットの状態は、アンシラキュービットにカップリングされた読み出し空洞またはマイクロ波ストリップ共振器を使用して読み出され得る。アンシラキュービットの状態を読み出すために、アンシラキュービットの状態の測定がなされ得る。例えば、アンシラキュービットの状態の破壊的測定がなされ得る。いくつかの態様において、この測定は、例えば読み出し空洞またはマイクロ波ストリップ共振器の起こり得る状態の間を区別し得るマイクロ波照射検出器を使用してなされ得る。例えば、いくつかの態様において、マイクロ波照射検出器は、ホモダイン検出器またはヘテロダイン検出器であり得る。
【0126】
いくつかの態様において、量子操作を実行することは、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間でベル状態を測定することを含む。かかる態様において、量子電磁力学システムはさらに、第1のビームスプリッターにより第1の論理キュービットにカップリングされる第2の論理キュービットを含む。例えば第1の論理キュービットおよび第2の論理キュービットはそれぞれ、第1のビームスプリッターにカップリングされるマイクロ波空洞共振器であり得る。該方法は、アンシラキュービットの状態を読み出す前に、第3の駆動波形を第1のビームスプリッターに適用して、第1の論理キュービットと第2の論理キュービットの間で離調ビームスプリッター相互作用を画定することを含み得る。その後、プロセス2400は、上述のように行為2440により進行し得る。
【0127】
いくつかの態様において、プロセス2400はさらに、第1の4キュービットクラスター状態を生成することを含む。4キュービットクラスター状態は、少なくとも部分的に、第4の駆動波形を、第1の論理キュービットおよび第3の論理キュービットをカップリングする第2のビームスプリッターに適用して、第1の論理キュービットと第3の論理キュービットの間でビームスプリッター相互作用を画定することにより生成され得る。さらに4キュービットクラスター状態は、第5の駆動波形を、第2の論理キュービットを第4の論理キュービットにカップリングする第3のビームスプリッターに適用することにより生成され得る。この様式で、4つの論理キュービットに記憶される量子状態は、もつれて、4キュービットクラスター状態を生成し得る。
【0128】
いくつかの態様において、プロセス2400はさらに、多キュービットクラスター状態を生成することを含む。多キュービットクラスター状態は、例えば本明細書に記載されるXZZXクラスター状態であり得るか、またはそれはMBQCに適切な任意の他の多キュービットクラスター状態であり得る。多キュービットクラスター状態は、少なくとも部分的に、第6の駆動波形を、第1の4キュービットクラスター状態の第1の論理キュービットおよび第2の4キュービットクラスター状態の第1の論理キュービットをカップリングする第4のビームスプリッターに適用することにより生成され得る。
【0129】
VI. クラスター状態調製
本発明者らは、上述の量子操作は、MBQCに適切なクラスター状態を生成するために使用され得ることを認識し、理解している。クラスター状態は、一旦生成されると、特定の基準においてキュービットを測定することによりコンピューター計算を実行するために使用され得る。代替的にまたは付加的に、クラスター状態は、量子伝達およびネットワーキングに有用である。
【0130】
図25Aは、いくつかの態様による、2つのキュービットにおいてベル状態を調製するように構成される例示的な量子回路2500の概略図である。
図25Bは、いくつかの態様における、量子回路2500を使用して調製され得る2キュービットZZベル状態2510の概略図である。
図25Bの図示は、閉じた円により表される第1の論理基準において調製される2つのキュービット2512を含む。2つのキュービット2512を結ぶ線は、もつれによるカップリングを表す。
【0131】
2500の量子回路は、|α>および|iα>状態のそれぞれで調製される2つの論理キュービットにより開始される。2つの論理キュービットはビームスプリッターによりカップリングされ、量子回路2500は、2つの論理キュービットの間のビームスプリッター相互作用2504の生成を含む。ビームスプリッター相互作用2504の前および後に、パリティ測定304は、フォールトトレランスを確実にするために使用される。ベル状態|ΦBell>の生成は、Π1+Π2=Π3+Π4である場合に成功裡である。
【0132】
4キュービットクラスター状態の一例は、
図26Aに示されるように、ビームスプリッター相互作用を連結することにより生成され得る。
図26Bは、量子回路2600を使用して生成され得る4キュービットクラスター状態2610の概略図である。
図26Aの量子回路2600は、
【数42】
状態において調製される2つの論理キュービットにより開始される。第1のパリティ測定304は、これらの2つの論理キュービットのそれぞれ上で実行され、次いでビームスプリッター相互作用2604aは、2つの論理キュービットの間で画定される。その後、2つの初期論理キュービットのそれぞれは、ビームスプリッター相互作用2604bおよび2604cにより|0>状態において調製される2つのさらなる論理キュービットにカップリングされる。その後、第2のパリティ測定304は、全ての4つの論理キュービットに適用される。4キュービットクラスター状態の生成は、Π
1+Π
2=Π
3+Π
4+Π
5+Π
6である場合に成功裡である。
【0133】
MBQCのためのクラスター状態の別の構築ブロックは、それぞれがアダマール状態をテレポートすることにより異なる論理基準において調製される2つのキュービットからなる2キュービットクラスターである。
図27Aは、いくつかの態様による、
図27Bに示される2キュービットもつれ状態2710を生成するように構成される量子回路2700の概略図である。2キュービットもつれ状態2710は、第1の論理基準(例えばX)において調製される第1のキュービット2512および第2の異なる論理基準(例えばZ)において調製される第2のキュービット2714を含む。
【0134】
いくつかの態様において、量子回路2700は、
【数43】
および|0>状態において調製される2つの論理キュービットを使用し、最初に、それらの間でビームスプリッター相互作用2702を画定する。その後、パリティ測定304は、それぞれの論理キュービット上で実行され、状態|++>+i|-->を生じる。次いで2つのフォールトトレラントSNAP操作2704は、1つがそれぞれの論理キュービットに適用され、
【数44】
状態を生じる。
【0135】
図28Aは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、別の4キュービットクラスター状態を生成するために使用され得る融合プロセスを記載する概略図である。該プロセスは、3つの2キュービット状態および1つの4キュービット状態を含む4つの個々のクラスター状態により段階2800で開始され得る。本明細書に記載される任意の適切なベル測定であり得るベル測定2802は、これらのより小さなリソース状態のそれぞれのキュービットを「融合」して、4キュービットクラスター状態2810を生じるために使用され得る。
【0136】
図25A~28Bに関して記載されるものと同様の量子操作は、MBQCに有用であるより大きなクラスター状態を生成するようにさらに連結され得る。かかるクラスター状態は、例えば本明細書に記載されるXZZXクラスター状態または代替的にもしくは付加的にRHGクラスター状態を含み得る。
図28Bは、本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの態様による、XZZXクラスター状態の形成を記載する概略図である。
【0137】
図28Bの例に示されるように、4キュービットクラスター状態2610および2810は、クラスター状態2820などのより大きなクラスター状態を形成するように融合され得る。これらのより大きなクラスター状態は、MBQCまたは他の適用に使用される最終的なクラスター状態を生成するようにさらに融合され得る。
図28Bに示されるように、いくつかの態様において、より大きなクラスター状態は、XZZXクラスター状態2830であり得る。XZZXクラスター状態のさらなる局面は、2022年1月25日にArXivに提出され、arXiv:2201.10566に配置される、その全体において参照により本明細書に援用される、J. Claes, J. Eli Bourassa, and S. Puriによる「Tailored cluster states with high threshold under biased noise」に記載される。
【0138】
本明細書に提供される開示の態様のいずれかに関して使用され得る古典的コンピューターシステム2900の例示的な実行を
図29に示す。いくつかの態様において、本明細書に記載されるプロセスのいずれか1つは、コンピューターシステム2900上でおよび/またはそれを使用して実行され得る。コンピューターシステム2900は、1つ以上のプロセッサ2910および非一時的コンピューター読み取り可能記憶媒体(例えばメモリ2920および1つ以上の非揮発性記憶媒体2930)を含む1つ以上の製造物品を含み得る。プロセッサ2910は、任意の適切な様式で、メモリ2920および非揮発性記憶デバイス2930へのデータの書き込みおよびそれからのデータの読み取りを制御し得る。本明細書に記載される機能のいずれかを実行するために、プロセッサ2910は、プロセッサ2910による実行のためのプロセッサ実行可能指示を記憶する非一時的コンピューター読み取り可能記憶媒体として働き得る1つ以上の非一時的コンピューター読み取り可能記憶媒体(例えばメモリ2920)に記憶される1つ以上のプロセッサ実行可能指示を実行し得る。
【0139】
本開示に記載される技術のいくつかの局面および態様はこのように記載されるが、種々の変更、改変および向上は当業者に容易に実行されることが理解される。かかる変更、改変および向上は、本明細書に記載される技術の精神および範囲内にあることが意図される。例えば、当業者は、機能を実行するためおよび/または結果および/または本明細書に記載される利点の1つ以上を得るために種々の他の手段および/または構造を容易に構想し、かかる変更および/または改変のそれぞれは、本明細書に記載される態様の範囲内にあると考えられる。当業者は、本明細書に記載される特定の態様に対する常套的な実験の多くの同等物を超えないものを使用することを認識するかまたは確かめ得る。そのため、前述の態様は例示のみとして示されること、および添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内で、発明の態様は、具体的に記載されるもの以外として実施され得ることが理解される。また、本明細書に記載される2つ以上の特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組合せは、かかる特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法が相互に矛盾しない場合は、本開示の範囲内に含まれる。
【0140】
上述の態様は、多くの方法のいずれかで実行され得る。プロセスまたは方法の性能を含む本開示の1つ以上の局面および態様は、プロセスまたは方法を実行またはその性能を制御するためにデバイス(例えばコンピューター、プロセッサまたは他のデバイス)により実行可能なプログラム指示を利用し得る。この局面において、種々の発明の概念は、1つ以上のコンピューターまたは他のプロセッサ上で実行される場合に上述の種々の態様の1つ以上を実行する方法を実行する1つ以上のプログラムによりエンコードされるコンピューター読み取り可能記憶媒体(または複数のコンピューター読み取り可能記憶媒体)(例えばコンピューターメモリ、1つ以上のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光学ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイもしくは他の半導体デバイス内の回路構成、または他の実体的コンピューター記憶媒体)として具体化され得る。コンピューター読み取り可能媒体(1つまたは複数)は、そこに記憶されるプログラム(1つまたは複数)が、上述の局面の種々のものを実行するために1つ以上の異なるコンピューターまたは他のプロセッサに負荷され得るように輸送可能であり得る。いくつかの態様において、コンピューター読み取り可能媒体は、実体的(例えば非一時的)コンピューター読み取り可能媒体であり得る。いくつかの態様において、コンピューター読み取り可能媒体は、持続性メモリを含み得る。
【0141】
用語「プログラム」または「ソフトウェア」は、コンピューターまたは他のプロセッサをプログラムして、上述の種々の局面を実行するように使用され得る任意の種類のコンピューターコードまたはコンピューター実行可能指示の組に言及する一般的な意味で本明細書において使用される。さらに、一局面によると、実行される場合に本開示の方法を実行する1つ以上のコンピュータープログラムは、単一のコンピューターまたはプロセッサ上に存在する必要はないが、本開示の種々の局面を実行するためのいくつかの異なるコンピューターまたはプロセッサの間で、モジュール様式で分配されてもよいことが理解されるべきである。
【0142】
コンピューター実行可能指示は、1つ以上のコンピューターまたは他のデバイスにより実行されるプログラムモジュールなどの多くの形態で存在し得る。一般的に、プログラムモジュールとしては、特定のタスクを実行するかまたは特定のアブストラクトデータ型を実行するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等が挙げられる。典型的に、プログラムモジュールの機能は、種々の態様において所望のように組み合され得るかまたは分配され得る。
【0143】
ソフトウェアにおいて実行される場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピューターに提供されるかまたは複数のコンピューター間で分配されるかのいずれにせよ、任意の適切なプロセッサまたはプロセッサの集合上で実行され得る。
【0144】
さらに、コンピューターは、非限定的な例としてラックマウントコンピューター、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューターまたはタブレットコンピューターなどのいくつかの形態のいずれかにおいて具体化され得ることが理解されるべきである。さらに、コンピューターは、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォンまたは任意の他の適切なポータブルもしくは固定電子デバイスなどの一般的にはコンピューターとみなされないが適切な処理能力を有するデバイスに包含され得る。
【0145】
また、コンピューターは、1つ以上の入力および出力デバイスを有し得る。これらのデバイスは、特にユーザーインターフェースを提示するために使用され得る。ユーザーインターフェースを提供するために使用され得る出力デバイスの例としては、出力の視覚的提示のためのプリンターまたはディスプレイスクリーンおよび出力の聴覚的提示のためのスピーカーまたは他の音生成デバイスが挙げられる。ユーザーインターフェースのために使用され得る入力デバイスの例としては、キーボードおよび指示デバイス、例えばマウス、タッチパッドおよびデジタル化タブレットが挙げられる。別の例としては、コンピューターは、会話認識を介してまたは他の可聴形式で入力情報を受信し得る。
【0146】
かかるコンピューターは、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワーク、例えばエンタープライズネットワークおよびインテリジェントネットワーク(IN)またはインターネットなどの任意の適切な形態の1つ以上のネットワークにより相互連結され得る。かかるネットワークは、任意の適切なテクノロジーに基づき得、任意の適切なプロトコルに従って作動し得、無線ネットワーク、有線ネットワークまたは光ファイバーネットワークを含み得る。
【0147】
また、記載されるように、いくつかの局面は1つ以上の方法として具体化され得る。方法の一部として実行される行為は、任意の適切な方法で順序づけられ得る。したがって、例示態様において連続的な行為として示されるとしても行為が図示されるものとは異なる順序で実行され、いくつかの行為を同時に実行することを含み得る態様が構築され得る。
【0148】
本明細書で定義および使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により援用される文書における定義および/または定義される用語の通常の意味に対して支配的であることが理解されるべきである。
【0149】
不定冠詞「a」および「an」は明細書および特許請求の範囲において使用される場合、反対のことが明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0150】
句「および/または」は明細書および特許請求の範囲において使用される場合、そのように連結される要素、すなわちいくつかの場合に接続的に存在し、他の場合に離接的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」と共に列挙される複数の要素は、同じ様式、すなわちそのように連結される要素の「1つ以上」で解釈されるべきである。他の要素は、具体的に同定されるこれらの要素に関連するか関連しないかのいずれにせよ、「および/または」節により具体的に同定される要素以外で任意に存在し得る。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」についての参照は、「含む(comprising)」などの開放型の言語に関して使用される場合、一態様においてAのみ(任意にB以外の要素を含む);別の態様においてBのみ(任意にA以外の要素を含む);さらに別の態様においてAとBの両方(任意に他の要素を含む);等をいい得る。
【0151】
明細書および特許請求の範囲において使用される場合、句「少なくとも1つ」は、1つ以上の要素のリストに関して、要素のリスト内に具体的に列挙されるそれぞれおよび全ての要素の少なくとも1つを必ずしも含むのではなく、要素のリストにおける要素の任意の組合せを排除することなく、要素のリストにおける要素の任意の1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するように理解されるべきである。この定義はまた、具体的に同定されるこれらの要素に関連するか関連しないかのいずれにせよ、句「少なくとも1つ」が言及する要素のリスト内で具体的に同定された要素以外に要素が任意に存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBの少なくとも1つ)または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一態様において、Bが存在せずに任意に1つより多くのAを含む少なくとも1つ(および任意にB以外の要素を含む);別の態様において、Aが存在せずに任意に1つより多くのBを含む少なくとも1つ(および任意にA以外の要素を含む);さらに別の態様において、任意に1つより多くのAを含む少なくとも1つ、および任意に1つより多くのBを含む少なくとも1つ(および任意に他の要素を含む);等をいい得る。
【0152】
特許請求の範囲および上述の明細書において、全ての移行句、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「で構成される(composed of)」等は、開放型である、すなわち限定されないが含むことを意味すると理解される。移行句「からなる(consisting of)」および「本質的にからなる(consisting essentially of)」のみはそれぞれ閉鎖型または半閉鎖型の移行句であるものとする。
【0153】
用語「約(approximately)」および「約(about)」は、いくつかの態様において標的の値の±20%以内、いくつかの態様において標的の値の±10%以内、いくつかの態様において標的の値の±5%以内、いくつかの態様において標的の値の±2%以内を意味するように使用され得る。用語「約(approximately)」および「約(about)」は標的の値を含み得る。
【国際調査報告】