IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フリゲル フイレンツェ ソチエタ ペル アチオーニの特許一覧

特表2025-502698製品の形成に適応した工業プラントの一部の温度制御のための機械
<>
  • 特表-製品の形成に適応した工業プラントの一部の温度制御のための機械 図1
  • 特表-製品の形成に適応した工業プラントの一部の温度制御のための機械 図2
  • 特表-製品の形成に適応した工業プラントの一部の温度制御のための機械 図3
  • 特表-製品の形成に適応した工業プラントの一部の温度制御のための機械 図4
  • 特表-製品の形成に適応した工業プラントの一部の温度制御のための機械 図5
  • 特表-製品の形成に適応した工業プラントの一部の温度制御のための機械 図6
  • 特表-製品の形成に適応した工業プラントの一部の温度制御のための機械 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】製品の形成に適応した工業プラントの一部の温度制御のための機械
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/78 20060101AFI20250121BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20250121BHJP
   B22D 47/00 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
B29C45/78
B29C45/26
B22D47/00
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024537396
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 IB2022062452
(87)【国際公開番号】W WO2023119109
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021000031835
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508036341
【氏名又は名称】フリゲル フイレンツェ ソチエタ ペル アチオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モローニ,アレッサンドロ
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AK02
4F202AK13
4F202AR06
4F202AR11
4F202CA11
4F202CA30
4F202CB01
4F202CN05
4F202CN14
4F202CN15
4F202CN24
4F202CN27
4F206AK02
4F206AK13
4F206AR06
4F206AR11
4F206JA07
4F206JL02
4F206JM05
4F206JN21
4F206JP13
4F206JP18
4F206JP22
4F206JQ81
4F206JQ88
4F206JQ90
(57)【要約】
製品の形成に適応した工業プラントの製品形成部の温度制御のための機械(10)に関する。機械は、製品の形成に適応した工業プラントの製品形成部に動作可能に接続されるように適応された少なくとも1つの温度調節油圧回路(11)を備え、温度調節液が油圧回路(11)を循環する。油圧回路は、流量可変タイプの、温度調節液の再循環のためのポンプ(12)と、ポンプ(12)の下流側で、油圧回路(11)から工業プラントの製品形成部(B)に温度調節液を送出するための送出部分(13)と記工業プラントの製品形成部(B)から油圧回路(11)に温度調節液を戻すための戻り部分(14)と、戻り部分(14)とポンプ(12)との間に配置された、温度調節液のための熱交換ユニット(15)であって、ここで温度調節液が温度調節される、熱交換ユニットと、を備える。機械(10)は、電子制御・管理装置(30)をさらに備える。電子制御・管理装置には、温度調節液の作動温度に関する少なくとも1つの値と、少なくとも1つの所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルとが設定され、ポンプ流量変化プロファイルに従って、温度調節の対象となる工業プラントの製品形成部(B)における製品形成の工業プロセスの所定の瞬間に同期信号を受信したときに、ポンプ(12)は、ポンプ流量変化プロファイルに基づく可変流量で、温度調節液を経時的に移動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の形成のための成形金型を含む工業プラントの製品形成部の温度制御のための機械であって、前記機械は、製品の形成のための前記工業プラントの前記製品形成部に動作可能に接続されるように適応された少なくとも1つの温度調節油圧回路を備え、温度調節液が前記油圧回路を循環し、
前記油圧回路は、
・ 流量可変タイプの、前記温度調節液の再循環のためのポンプと、
・ 前記ポンプの下流側で、前記油圧回路から前記工業プラントの前記製品形成部に前記温度調節液を送出するための送出部分と、
・ 前記工業プラントの前記製品形成部から前記油圧回路に前記温度調節液を戻すための戻り部分と、
・ 前記温度調節液のための熱交換ユニットであって、前記温度調節液が温度調節される、熱交換ユニットと、
を備え、
前記機械は、電子制御・管理装置をさらに備え、前記電子制御・管理装置には、前記温度調節液の作動温度に関する少なくとも1つの値と、少なくとも1つの所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルとが設定され、前記ポンプ流量変化プロファイルに従って、温度調節の対象となる前記工業プラントの前記製品形成部における製品形成の工業プロセスの所定の瞬間に同期信号を受信したときに、前記ポンプは、前記ポンプ流量変化プロファイルに基づく可変流量で、前記温度調節液を経時的に移動させ、
前記機械は、循環的に動作するように適応されており、
前記電子制御・管理装置は、
・ 温度調節の対象となる前記工業プラントの前記製品形成部から信号を受信し、
・ 前記ポンプに対する流量変化プロファイルと前記信号とを同期させることができ、これにより、前記機械の運転サイクル中の所与の瞬間から、前記ポンプの流量が所定の方法で変化することができ、
前記機械は、前記成形金型を冷却するように適応されており、
前記機械は、温度調節の対象となる前記成形金型を具備する前記工業プラントの前記製品形成部から前記成形金型のための閉鎖信号を受信するように適応されており、
前記温度調節液は、前記ポンプによって成形フェーズ中に一定の作動温度で前記成形金型に送られ、前記作動温度よりも低い温度値の場合、前記成形金型に送る前に前記温度調節液の温度を調節するフェーズが設けられ、
前記成形金型の閉鎖-開放-閉鎖を含む成形サイクルにおいて、前記成形金型に入る前記温度調節液のための前記ポンプ流量変化プロファイルは、前記閉鎖信号に基づいて前記成形サイクルと同期され、前記成形金型を徐々に冷却するための低い初期流量値と、前記成形金型をより強力に冷却するための、前記初期流量値よりも大きい後続の高い流量値とを提供する、
機械。
【請求項2】
前記ポンプは、可変速インペラを有するタイプのものであり、これにより、前記可変速インペラの速度を変化させると前記ポンプの流量が変化し、前記所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルは、所定の時間ベースのインペラ速度変化プロファイルに対応する、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記ポンプは、前記ポンプの前記可変速インペラの回転速度を管理するように適応されたインバータを備え、これにより、前記所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルは、前記インバータによって、前記ポンプの給電周波数変化に関する所定のプロファイルに対応する、請求項1に記載の機械。
【請求項4】
前記熱交換ユニットの下流側、且つ前記工業プラントの前記製品成形部への送出部分の上流側には、前記温度調節液を加熱するように適応された温度調節液の加熱装置が設けられ、前記加熱装置は、前記加熱装置に入る前記温度調節液の温度が低い場合、必要に応じて、前記温度調節液を前記作動温度まで加熱し、好ましくは、前記加熱装置は、前記ポンプの下流側にある、請求項1~3のいずれか1項に記載の機械。
【請求項5】
前記油圧回路は、前記ポンプと前記熱交換ユニットとの間に介在する、前記温度調節液のためのタンクを備え、前記タンクは、周囲圧力にあるか、閉鎖されて、周囲圧力を含まない圧力範囲に保持され、好ましくは、前記タンクは、前記機械の外部の供給ネットワークからの前記温度調節液を装填するための分岐部に動作可能に接続される、請求項1~4のいずれか1項に記載の機械。
【請求項6】
熱調整装置を備え、
前記熱調整装置は、前記熱交換ユニットに、前記温度調節液と熱交換するように適応された熱調整液を供給するように適応されており、
好ましくは、
・ 前記熱調整装置は、前記熱交換ユニットと共に、完全に機械内にある冷凍システムを形成し、前記熱交換ユニットは、前記冷凍システムのためのコンデンサまたは蒸発器を形成し、あるいは
・ 前記熱調整装置は、前記熱調整ユニットとは別個の要素である冷凍ユニットであり、前記冷凍ユニットは、熱交換によって前記温度調節液を調整するための熱調整液を熱調整ユニットに供給するように適応される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の機械。
【請求項7】
前記熱交換ユニットは、熱調整液を供給するための入口パイプおよび出口パイプを有し、前記機械の外部の熱調整システムに動作可能に接続される、請求項1~5のいずれか1項に記載の機械。
【請求項8】
前記温度調節液のための前記熱交換ユニットは、前記戻り部分と前記ポンプとの間に配置される、請求項1~7のいずれか1項に記載の機械。
【請求項9】
前記温度調節液のための前記送出部分および前記戻り部分は、前記温度調節液を前記成形金型内に送って温度調節し、再調整された前記温度調節液を戻すことができるように、前記成形金型内のパイプに動作可能に接続されるように適応される、請求項1~8のいずれか1項に記載の機械。
【請求項10】
前記工業プラントの前記製品形成部は、調整の対象となる前記成形金型を備え、前記機械は、前記成形金型の温度を調整するように適応されており、前記調整とは、冷却または加熱またはその両方である、請求項1~9のいずれか1項に記載の機械。
【請求項11】
所与の時間間隔で前記機械が、温度調節の対象となる前記成形金型を具備する前記工業プラントの前記製品形成部から信号を受信しない場合、
・ 前記成形金型を徐々に冷却するために、前記ポンプ流量変化プロファイルを変更して流量を低い値に保ち、
・ 前記成形金型に入る前記温度調節液の前記作動温度のための値は、好ましくは前記成形金型が閉鎖された瞬間における前記成形金型の温度値に対応する値まで上昇され、
・ 前記信号のない前記時間間隔に続いて、新しい信号を受信したときに、前記成形金型に入る前記温度調節液の流量変化プロファイルは、通常の成形サイクルの所定のプロファイルに戻る、
請求項1~10のいずれか1項に記載の機械。
【請求項12】
温度調節の対象となる前記工業プラントの前記製品形成部における製品形成の前記工業プロセスの所定の瞬間における前記同期信号は、成形金型閉鎖信号、または成形金型開放信号、または前記成形金型への形成材料の射出を開始するための信号、または前記成形金型への形成材料の射出を終了するための信号、または射出プレスが射出後に前記成形金型にパージガスを開放する信号、または一般に、形成サイクルの同じ瞬間、好ましくは前記成形金型の開放と閉鎖との間で常に繰り返される形成プロセスのフェーズに関連する、前記工業プラントから送られるあらゆる信号である、請求項1~11のいずれか1項に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば成形プラント(プラスチック材料、金属、セラミックなどのためのダイカストプラント、吸熱・発熱化学反応器、ガラス加工プラントなど)のような産業用の熱調整機器の分野に関し、より詳細には、例えば成形金型のような産業用ユーザによる温度制御のための機械に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えばプラスチック材料、金属、セラミックなどのためのダイカストプラントに関する成形プロセスを含む多くの工業プロセス、あるいは吸熱・発熱反応器を含むプラント、またはガラス加工プラントなどでは、特定の部分、特に製品形成が行われるシステムの部分の温度を調整する必要がある。
【0003】
成形金型を使用して成形品を整形する場合について具体的に言及すると、作業時間と製品の最終品質を最適化するためには、金型本体の温度を調整する必要がある。
【0004】
例えばプラスチック射出成形では、溶融プラスチック材料が閉鎖された金型に射出される。溶融物質の高温によって、金型が加熱される。このプロセスでは、射出後に、金型に収容された成形品を冷却するために、ある程度の待機時間が発生する。この待機時間を短縮し、適切な温度プロファイルを確保するために、金型は、成形中に冷却される。
【0005】
従来の冷却方法では、冷却水が通るダクトに金型を横切らせる。その流量と温度は、プロセス全体を通じて一定に保たれ、所望の金型冷却プロファイルに基づいて選択される。
【0006】
この冷却方法は非常に単純であり、様々なタイプの状況に適している。
【0007】
その一方で、金型の温度を調整する操作方法では、冷却プロセスで使用されるエネルギーの全体的な量、およびプロセスの全体的な速度の点で、最良の性能結果を得ることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、成形によって製品を形成するプロセス中の、例えば金型などの工業プラントの部品の調整に関連する問題を解決することである。
【0009】
したがって、本発明の目的は、熱調整の対象となるプラントの一部における温度を調整するときに使用されるエネルギー量を低減することを可能にする、例えば成形金型のような工業プロセスのためのプラントの一部の温度制御のための機械を提供することである。
【0010】
本発明の別の重要な目的は、製品形成プロセスを高速化することを可能にする、例えば成形金型のような工業プロセスのためのプラントの一部の温度制御のための機械を提供することである。
【0011】
本発明の別の重要な目的は、製品の品質を向上させるために、製品形成プラントの一部の温度プロファイルを最適化することを可能にする、成形金型の温度制御のための機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下でより明確になる上述した目的および他の目的は、工業プラントの成形金型であることが好ましいがこれに限定されない製品形成部の温度制御のための機械によって達成される。この機械は、工業プラントの製品形成部に動作可能に接続されるように適応された少なくとも1つの温度調節油圧回路を備え、温度調節液が油圧回路内を循環する。油圧回路は、
・ 流量可変タイプの、温度調節液のための再循環ポンプと、
・ ポンプの下流側で、油圧回路から工業プラントの製品形成部に温度調節液を送出するための送出部分と、
・ 工業プラントの製品形成部から油圧回路に温度調節液を戻すための戻り部分と、
・ 戻り部分とポンプとの間に配置された、温度調節液のための熱交換ユニットであって、温度調節液が温度調節される、熱交換ユニットと、
を備える。機械は、電子制御・管理装置をさらに備える。この装置には、温度調節液の作動温度に関する少なくとも1つの値と、少なくとも1つの所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルとが設定される。このプロファイルに従って、温度調節の対象となるプラントの部分における製品形成の工業プロセスの所定の瞬間に同期信号を受信したときに、ポンプは、所定の流量変化プロファイルに基づく可変流量で、温度調節液を経時的に移動させる。
【0013】
好ましくは、製品成形金型に接続するように適応される。これにより、温度調節の対象となるプラントの部分は成形金型となる。以下、成形金型およびその金型を使用した成形プロセスについて明確に言及する。以下に説明する機械の実施形態は、金型に関するものであっても、化学反応器や他の装置で作られる製品のように、機械が成形プラント以外の工業プラントの製品形成部の送出部分や戻り部分に接続できる場合にも適用可能であることに留意されたい。
【0014】
したがって、温度調節の対象となるプラントの部分における製品形成の工業プロセスの所定の瞬間における同期信号の受信は、所定の時間ベースの流量変化プロファイルに基づく可変流量をもつポンプによる温度調節の対象となる温度調節液の移動に関連し、その同期信号は、製品形成の工業プロセスの生産サイクルにおけるフェーズ(または瞬間)に相関する任意の信号であり得る。このフェーズまたは瞬間は、生産サイクルの同じ瞬間に一定に繰り返される必要がある。例えば、成形金型における形成プロセスの場合、生産サイクルは、成形金型の閉鎖、金型内への材料の射出(射出成形の場合)の開始、または金型内への材料の導入、射出フェーズの終了、成形金型内の圧力維持の開始、または射出プレスが射出後に金型に送るパージガスの開放命令、またはサイクル終了時の金型の開放など、常に繰り返される瞬間が含まれる。その各々が同期信号を決定することができる。
【0015】
例えば成形金型内の温度調節液の流量、すなわち単位量を経時的に変化させることで、金型と温度調節液との間で経時的に交換される熱量を変化させることができる。したがって、金型内の形成材料の経時的な温度、言い換えれば、温度調節液によって調整されなかった場合の金型の温度を知ることによって、金型内を循環する温度調節液の量を適切に変化させるようにプログラムすることができる。経時的に所望の金型温度プロファイルを達成するために、適切な瞬間に適切な量の温度調節液を供給することにより、好ましい金型の温度調節を得ることができる。なお、この制御操作は、金型温度の逆制御を想定しているのではなく、単に、プロセスの開始前に、事前に決定された、すなわちプログラムされた必要な瞬間に所与の量の温度調節液を供給することを想定していることに留意されたい。
【0016】
実際、金型の閉鎖、形成フェーズ、およびそれに続く金型の開放を含む工業プロセスの形成サイクル、例えば成形を例とすると、本発明による機械は、温度調節液の流れを金型に導入することを可能にする。その流量は、形成サイクルにおいて経時的に所定の方法で変化する。この変化は、例えば成形プラントからの同期信号に基づいて形成サイクルと同期する。例えば、上述した同期が行われる成形プロセスの所定の瞬間は、金型が閉鎖された瞬間であってもよい。これは、金型の閉鎖につながる信号、すなわち形成フェーズの開始に関連付けられる。
【0017】
例えば、金型は、金型の開閉を検出するセンサと関連付けられてもよく、電子装置に動作可能に接続されてもよい。これにより、電子装置は、時間ベースのポンプ流量変化プロファイルの開始を金型の閉鎖に一致または同期させるように機械に命令することができる。
【0018】
同様に、上述したように、上記同期が行われる成形プロセスの所定の瞬間は、形成サイクルにおける金型閉鎖の瞬間以外の他の瞬間と関連付けられ得る。例えば、射出成形の場合、同期は、射出フェーズの開始時、または「後加圧」を伴う成形プロセスの典型的なフェーズの開始時、すなわち射出直後に圧力が一定時間維持される期間、あるいは射出プレスが一般的に射出後に金型に送るパージガスの開放命令が生じたとき、または金型開放から金型閉鎖に切り替える命令が生じたときに実施されてもよい。
【0019】
常に一定流量の温度調節液を使用するのではなく、最も適切なときに適切な量の温度調節液を送ることができるという事実は、作動温度の最適化を可能にする。例えば、温度調節液(この場合は冷却液)の流量を変化させて金型を冷却する場合、流量を一定にする場合よりも温度調節液の作動温度をはるかに低くすることができる。実際、冷却の必要性が小さい場合には、低い(一定の)作動温度で低い流量の温度調節液を使用することができ、多くの熱交換が必要な場合、すなわち冷却の必要性が大きい場合には、(同じ低い一定の温度で)高い流量の温度調節液を使用することができる。従来の一定の流量の場合、金型が冷却されすぎるため、作動温度を低くすることができず、そのため、(本明細書で説明する革新的な可変流量システムよりも長い期間)高い平均温度を使用する必要がある。
【0020】
好ましくは、ポンプは、可変速インペラを有するタイプのものである。これにより、可変速インペラの速度を変化させるとポンプの流量が変化する。したがって、所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルは、所定の時間ベースのインペラ速度変化プロファイルに対応することができる。
【0021】
より好ましくは、ポンプは、ポンプの可変速インペラの回転速度を管理するように適応されたインバータを備える。これにより、所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルは、インバータによって、ポンプの電動モータの給電周波数変化に関する所定のプロファイルに対応することができる。例えば、サーボモータによって回転速度を変化させることができるインペラを有するポンプの既知の技術と比較した場合、本明細書に示すインバータを有するポンプの使用は、特に革新的で有利であることが分かる。サーボモータは、ポンプ内の流体に直接作用する電気機械装置であり、インバータは、ポンプをその速度の変化に関連して最適且つ単純化された方法で管理することを可能にする単なる電力周波数変換器である。
【0022】
可変速インペラを有するポンプを使用することにより、温度調節液の流量の変化を良好に制御することができる。これにより、より低い作動温度を使用し、より短い成形サイクルを実行することができるため、成形サイクルの最も適切な瞬間において熱交換の点でより良い結果を得ることができる。
【0023】
好ましい実施形態において、温度調節液のための熱交換ユニットは、戻り部分とポンプとの間に配置される。すなわち、ポンプは、熱交換ユニットの下流側にある。他の実施形態において、ポンプは、熱交換ユニットの上流側に配置され得る。すなわち、ポンプは、戻り部分と熱交換ユニットとの間に配置される。
【0024】
好ましい実施形態によれば、熱交換ユニットの下流側、且つ成形金型内の温度調節液のアクセス部分の上流側には、温度調節液を加熱するための加熱装置が設けられる。これにより、温度調節液が加熱され、必要に応じて、加熱装置に入る温度調節液の温度を作動温度の値まで加熱することができる。好ましくは、加熱装置は、ポンプの下流側にある。
【0025】
好ましい実施形態によれば、油圧回路は、ポンプと熱交換ユニットとの間に介在する、温度調節液のためのタンクを備える。タンクは、(a)周囲圧力にあるか、(b)閉鎖されて、周囲圧力を含まない所与の圧力範囲に保持される。好ましくは、タンクは、機械の外部の供給ネットワークからの温度調節液を装填するための分岐部に動作可能に接続される。
【0026】
好ましい実施形態によれば、機械は、その内部に、熱調整装置を一体的に備える。熱調整装置は、熱交換ユニットに、温度調節液と熱交換するように適応された熱調整液を供給するように適応されている。好ましくは、熱調整装置は、熱交換ユニットと共に、機械内に統合された冷凍システムを形成する。冷凍システムは、例えばコンプレッサ、コンデンサ、蒸発器、および貯蔵タンクを備え、その各々は、必要とされる冷凍力の関数として計算された可変寸法を有する。温度調節液が冷却液である場合、熱交換ユニットは、実際には冷凍システムの蒸発器である。また、温度調節液が加熱液である場合、熱交換ユニットは、コンデンサである。
【0027】
その他の実施例において、機械は、機械内に統合された冷凍システムによって形成された熱調整装置を備える。冷凍システムは、例えばコンプレッサ、コンデンサ、蒸発器、およびエキスパンダを備え、その各々は、必要とされる冷凍力の関数として計算された可変寸法を有し、熱交換ユニットに、温度調節液と熱交換するように適応された熱調整液を供給するように適応されている。この場合、熱調整装置と熱交換ユニットは別個の要素であり、熱調整液を通過させるためのパイプによってのみ接続される。
【0028】
別の実施形態において、機械の熱調整ユニットは、機械の外部の熱調整液の供給源に動作可能に接続される。例えば、熱調整ユニットは、それが設置されているプラントの集中システムから派生した外部の冷凍・加熱源と相互接続された熱交換器であるか、外部の冷凍システムに接続される。
【0029】
別の態様によれば、本発明は、以下の1つまたは複数の付記による、製品の形成に適応した工業プラントの一部の温度制御のための機械に関する。
【0030】
付記1:製品の形成に適応した工業プラントの一部の温度制御のための機械であって、製品の形成に適応した工業プラントの製品形成部に動作可能に接続されるよう適応された少なくとも1つの温度調節油圧回路を備え、温度調節液が油圧回路内を循環し、油圧回路は、
・ 流量可変タイプの、温度調節液のための再循環ポンプと、
・ ポンプの下流側で、油圧回路から工業プラントの製品形成部に温度調節液を送出するための送出部分と、
・ 工業プラントの製品形成部から油圧回路に温度調節液を戻すための戻り部分と、
・ 戻り部分とポンプとの間に配置された、温度調節液のための熱交換ユニットであって、温度調節液が温度調節される、熱交換ユニットと、
を備え、機械は、電子制御・管理装置をさらに備え、管理装置には、温度調節液の作動温度に関する少なくとも1つの値と、少なくとも1つの所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルとが設定され、このプロファイルに従って、温度調節の対象となるプラントの部分における製品形成の工業プロセスの所定の瞬間に同期信号を受信したときに、ポンプは、所定の流量変化プロファイルに基づく可変流量で、温度調節液を経時的に移動させる。
【0031】
付記2:付記1に記載の機械であって、ポンプは、可変速インペラを有するタイプのものであり、これにより、可変速インペラの速度を変化させるとポンプの流量が変化し、所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルは、所定の時間ベースのインペラ速度変化プロファイルに対応する。
【0032】
付記3:付記1に記載の機械であって、ポンプは、ポンプの可変速インペラの回転速度を管理するように適応されたインバータを備え、これにより、所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルは、インバータによって、ポンプの給電周波数変化に関する所定のプロファイルに対応する。
【0033】
付記4:付記1~3のいずれか1項に記載の機械であって、熱交換ユニットの下流側、且つ工業プラントの製品成形部への送出部分の上流側には、温度調節液を加熱するように適応された温度調節液の加熱装置が設けられ、加熱装置は、加熱装置に入る温度調節液の温度が低い場合、必要に応じて、温度調節液を作動温度まで加熱し、好ましくは、加熱装置は、ポンプの下流側にある。
【0034】
付記5:付記1~4のいずれか1項に記載の機械であって、油圧回路は、ポンプと熱交換ユニットとの間に介在する、温度調節液のためのタンクを備え、タンクは、周囲圧力にあるか、閉鎖されて、周囲圧力を含まない圧力範囲に保持され、好ましくは、タンクは、機械の外部の供給ネットワークからの温度調節液を装填するための分岐部に動作可能に接続される。
【0035】
付記6:付記1~5のいずれか1項に記載の機械であって、熱調整装置を備え、熱調整装置は、熱交換ユニットに、温度調節液と熱交換するように適応された熱調整液を供給するように適応されており、好ましくは、熱調整装置は、
・ 熱交換ユニットと共に、完全に機械内にある冷凍システムを形成し、熱交換ユニットは、冷凍システムのためのコンプレッサ、コンデンサ、または蒸発器を形成し、
・ 熱調整ユニットとは別個の要素である冷凍ユニットであり、冷凍ユニットは、熱交換によって温度調節液を調整するための熱調整液を熱調整ユニットに供給するように適応される。
【0036】
付記7:付記1~5のいずれか1項に記載の機械であって、熱交換ユニットは、熱調整液を供給するための入口パイプおよび出口パイプを有し、機械の外部の熱調整システムに動作可能に接続される。
【0037】
付記8:付記1~7のいずれか1項に記載の機械であって、温度調節液のための送出部分および戻り部分は、温度調節液を成形金型内に送って温度調節し、再調整された温度調節液を戻すことができるように、成形金型内のパイプに動作可能に接続されるように適応される。
【0038】
付記9:循環的に動作するように適応された、付記1~8のいずれか1項に記載の機械であって、電子制御・管理装置は、
・ 温度調節の対象となる工業プラントの形成部から信号を受信し、
・ ポンプに対する流量変化プロファイルと信号とを同期させることができ、これにより、機械の運転サイクル中の所与の瞬間から、ポンプの流量が所定の方法で変化することができる。
【0039】
付記10:成形金型を冷却するように適応された付記9に記載の機械であって、
・ 機械は、温度調節の対象となる金型のための閉鎖信号を受信するように適応されており、
・ 温度調節液は、ポンプによって成形フェーズ中に一定の作動温度で金型に送られ、作動温度よりも低い温度値の場合、金型に送る前に温度調節液の温度を調節するフェーズが想定され、
・ 金型の閉鎖-開放-閉鎖を含む成形サイクルにおいて、金型に入る温度調節液のための流量変化プロファイルは、金型閉鎖信号に基づいて成形サイクルと同期され、金型を徐々に冷却するための低い初期流量値と、金型をより強力に冷却するための、初期流量値よりも大きい後続の高い流量値とを提供する。
【0040】
付記11:付記10に記載の機械であって、所与の時間間隔で機械が金型から閉鎖信号を受信しない場合、
・ 金型を徐々に冷却するために、ポンプ流量変化プロファイルを変更して流量を低い値に保ち、
・ 金型に入る温度調節液の作動温度のための値は、好ましくは金型が閉鎖された瞬間における金型の温度値に対応し、
・ 信号のない時間間隔に続いて、新しい金型閉鎖信号を受信したときに、金型に入る温度調節液の流量変化プロファイルは、通常の成形サイクルの所定のプロファイルに戻る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明は、以下の説明および本発明の非限定的な実施例を示す添付の図面により、より明確になるであろう。
図1】成形プラントに関連する、本発明による機械のレイアウトを示す図である。
図2図1に示すプラントのいくつかの成形サイクルを示すグラフであり、X軸に時間が示され、Y軸に金型温度、温度調節液の温度、および温度調節液の流量が示されている。
図3図1に示すような、先行技術による金型の温度調節のための機械を有する成形プラントの成形サイクルを複数回示すグラフである。
図4図2に示すグラフと同様のグラフであるが、図1に示すプラントにおける成形を伴わない待機フェーズが示されている。
図5図2に示すグラフと同様のグラフであるが、図4に示すプラントにおける成形を伴わない待機フェーズ後の新しい成形サイクルの開始フェーズが示されている。
図6図1に示す状況に関する変形部分を有する、本発明による機械レイアウトである。
図7図1および図6に示す状況に関する変形部分を有する、本発明による機械レイアウトである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
上述した図を参照すると、本発明の第1の実施形態による、成形金型の温度制御のための機械が全体として参照符号10によって示されている。
【0043】
機械10は、全体として参照符号Aによって示されている成形品製造プラント、例えば成形金型へのプラスチック材料の射出を伴うタイプの成形プラントに導入される。このプラントAは、参照符号Bによって示されている成形金型と、参照符号Cによって示されている射出プレスと、を備える。
【0044】
機械10は、好ましくは水(グリコールを含む油および水などの他の液体であってもよい)のような温度調節液(すなわち冷却液)によって成形金型Bを温度調節(この場合は冷却)するように適応された油圧回路11を備える。したがって、油圧回路11は、その中で温度調節液を循環させるために、成形金型Bに動作可能に接続される。
【0045】
より詳細には、油圧回路11は、流量可変タイプの温度調節液を循環させるためのポンプ12を備える(詳細は後述する)。
【0046】
ポンプ12の下流側には、温度調節液を油圧回路から成形金型Bに送出するための第1の部分13がある。
【0047】
好都合には、油圧回路11は、温度調節液を成形金型から油圧回路に戻すための第2の部分14を備える。
【0048】
また、油圧回路11は、戻り部分14とポンプ12との間に配置された、温度調節液のための熱交換ユニット15を備える。ここで、この例では、金型が冷却する間に金型内で得られた熱を放出して、後続の成形サイクル中に金型を冷却するための適切な温度に戻ることができるように、温度調節液は熱調整される。
【0049】
本実施例において、熱交換ユニット15は、温度調節液の通過に関連する第1の界面側と、温度調節液によって放出される熱を受け取るように適応された第2の界面側と、を有する。ここで、第2の界面側は、温度調節液と熱交換するように適応された熱調整液を熱交換ユニット15に供給するように適応された熱調整装置16に動作可能に接続される。例えば熱調整装置は、熱交換ユニットと共に冷凍システムを形成する。例えば、冷凍システム15~16は、コンプレッサ、コンデンサ、蒸発器、およびエキスパンダを備え、具体的には、熱交換ユニット15は、蒸発器に相当する。これにより、金型からの液体を冷却することができる。
【0050】
上述したように、別の実施形態において、熱調整装置16は、熱交換ユニット15(ここでも例えばコンプレッサ、コンデンサ、蒸発器、およびエキスパンダを備える冷凍システム)とは別個のシステムであり、温度調節液と熱交換するように適応された熱調整液を熱交換ユニット15に供給するように適応されている。この場合、熱調整装置16と熱交換ユニットは別個の要素であり、熱調整液を通過させるためのパイプによってのみ接続される。
【0051】
また、油圧回路11は、ポンプ12と熱交換ユニット15との間に介在する、温度調節液のためのタンク17を備える。本実施例において、タンク17は、周囲圧力にある。別の実施例において、タンク17は、閉鎖されて、周囲圧力を含まない所与の圧力範囲に保持される。好都合には、タンク17は、機械の外部の供給ネットワークからの温度調節液を装填するための分岐部18に動作可能に接続され、好都合には、装填バルブ18Aによって閉鎖される。
【0052】
熱交換ユニット15の下流側、且つ温度調節液を成形金型に送出するための部分13の上流側には、温度調節液を加熱するための加熱装置20が設けられる。これにより、温度調節液が加熱され、必要に応じて作動温度の値まで加熱される(詳細は後述する)。好ましくは、加熱装置20(例えば電気抵抗などに対するジュール効果を利用した加熱タイプのもの)は、ポンプ12と送出部分13との間に配置される。例えば、加熱装置20は、加熱装置を出る温度調節液の温度を測定し、測定された温度が不適切である場合に加熱装置を作動させることができる温度プローブ20Aに関連付けられる。
【0053】
上述したように、ポンプ12は、流量可変タイプのポンプである。より好ましくは、ポンプは、可変速インペラを有するタイプの電動ポンプであり、その流量の可変性は、可変速インペラの速度を変化させることで得られる。ポンプ12の可変速インペラの速度を変化させるために、ポンプは、インバータ12Aを備える。これにより、ポンプの電動モータの給電周波数を変化させることができ、インペラ速度を変化させることができる。可変速インペラを有するポンプを使用することで、温度調節液の流量変化を大きく制御することができ、成形サイクルにおける最も適切な瞬間での熱交換の点でより良好な結果を得ることができる。
【0054】
また、好都合には、機械10は、機械の様々な構成要素(ポンプ12、加熱装置20、熱交換ユニット15など)に動作可能に接続された、例えばPLCなどの電子制御・管理装置30を備える。
【0055】
この電子装置30には、度調節液の作動温度Teに関する少なくとも1つの値と、少なくとも1つの所定の時間ベースのポンプ12の流量変化プロファイルPlとが設定される。これにより、金型Bにおいて成形プロセスの所定の瞬間で同期信号を受信したときに、ポンプ12は、所定の時間ベースの流量変化プロファイルに基づく可変流量で、温度調節液を移動させる。ポンプ流量の変動がインペラ速度の変化、すなわちポンプの電動モータの給電周波数によって生成されるので、所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルは、所定の時間ベースのインペラ速度変化プロファイル、すなわち、インバータによるポンプの電動モータの所定の給電周波数変化プロファイルに対応することになる。
【0056】
例えば、金型Bにおける成形プロセスの所定の瞬間における同期信号は、電子装置30に動作可能に接続された、金型Bの閉鎖/開放を検出するセンサ40からの信号であってもよい。これにより、電子装置は、時間ベースのポンプ流量変化プロファイルPlの開始を金型の閉鎖、すなわち形成フェーズの開始と一致させる、すなわち同期させるように機械に命令することができる。
【0057】
金型B内の形成材料の経時的な温度、換言すると、温度調節液によって調整されていなかった場合の金型の温度を知ることによって、金型内を循環する液体の量を適切に変化させるようにプログラムすることが可能になる。これにより、経時的に所望の金型温度プロファイルを達成するために適切な瞬間に好ましい量の液体を供給して、好ましい金型の温度調節を得ることができる。
【0058】
なお、例えばマイクロスイッチのようなセンサ40は、金型Bに適用されてもよく、機械10の一部であってもよいことに留意されたい。
【0059】
また、制御操作は、金型温度の逆制御を想定しているのではなく、単に、プロセスの開始前に事前に決定(すなわちプログラム)された所与の量の温度調節液を必要な瞬間に送出することを想定していることに留意されたい。実際、電子装置30には、「レシピ」、すなわち特定の成形プロセスに基づく一連の所定の動作パラメータに関する設定が提供される。
【0060】
実際、金型の閉鎖、形成フェーズ、および後続の金型の開放を含む所与の成形プロセスの形成サイクルの場合、機械によって、形成サイクルの時間にわたって所定の変化を伴う流量の温度調節液の流れが金型に導入される。ここで、その変化は、例えばセンサからの金型閉鎖信号に基づいて形成サイクルと同期される。
【0061】
図2は、成形金型B内へのプラスチック材料の射出を含む成形プロセスの一例を表すグラフである。
【0062】
本実施例において、射出プレスサイクルは33秒続く。すなわち、33秒ごとに金型が閉鎖され、プラスチック材料が加圧下で射出され、金型が一定時間加圧下に保たれ、金型が開放され、その間に成形品が取り出される待機時間があり、次いで金型が再度閉鎖され、サイクルが再び開始される。
【0063】
機械10の油圧回路11は、送出部分13および戻り部分14によって、金型Bの冷却ダクトに接続される。
【0064】
この場合、冷却のために金型に送られる温度調節液は、ほぼ一定の作動温度Te、例えば23℃であり、この値の変動間隔は、±3℃未満であり、より好ましくは±1℃未満である。
【0065】
図2において、金型に送られる冷却水の温度が一点鎖線で示されている。
【0066】
作動温度は、例えば加熱装置20(加熱装置がない場合は熱交換ユニット15)によって保証される。例えば、温度プローブ20Aは、加熱装置を出る冷却水の温度を測定し、温度が設定された温度Teよりも低い場合、加熱装置20は、冷却水が温度Teに到達するまで冷却水を加熱する。
【0067】
成形サイクルに戻ると、時間t0において金型が閉鎖され、時間t1でプラスチック材料の射出が開始される(グラフに示す例では、金型が閉鎖されてから2秒後)。グラフでは、金型の閉鎖/開放信号が破線Sで示されている。
【0068】
上述したように、電子装置30には、金型の閉鎖と同期されたポンプ12に対する所定の時間ベースの流量変化プロファイルPlがロードされている。瞬間t0、すなわち金型閉鎖信号の受信時(あるいはそのようにプログラムされている場合は一定の遅延時間後)に、電子装置30は、インバータ12Aと通信し、ポンプモータの給電周波数、すなわち予め設定されたプロファイルに従ってポンプインペラの回転速度を維持する。例えば、最初の数秒間は、ポンプ速度、すなわち冷却水の流量は、値V0(ポンプインペラの最高速度の約15%に相当)において一定のままであり、瞬間t2から、ポンプインペラの最高速度の95%に相当するピーク値V1(瞬間t4で到達)まで大幅に増加する(グラフにおいて、冷却水流量(リットル/分)が連続線で示されている)。その後、ポンプの速度(すなわち流量)は、初期流量/速度V0まで再び急速に減少し、サイクルの終了まで一定に保たれる(なお、ポンプモータの給電周波数の変化は段階的であってもよく、すなわち中間周波数を通過することなく特定の周波数から次の周波数へと通過する可能性があることに留意されたい。また、流量の変化は明らかに連続的であり、段階的ではないことに留意されたい)。
【0069】
また、図2に示すグラフは、プロセスサイクル中の金型の温度(サンプルポイントで測定)の変化を示している。これは、二点鎖線で示されている。図に示すように、金型の温度は、金型の閉鎖から(例えば75℃の値Tiから)プラスチック材料の射出フェーズ(t1)の終了直後まで上昇し、その後、後加圧終了フェーズt3の直後まで低下する。金型の開放時には、瞬間t5において、金型温度は初期温度Tiの75℃に到達するまで再び上昇する。
【0070】
図3は、図2に示すグラフの例で成形された同じ成形品(同じ金型を使用)の成形に関するグラフを示している。ただし、ここでは、金型の冷却ダクトに冷却水を送って金型を冷却する従来の技術を使用している。2つの例において、開始温度Ti(成形サイクルにおける金型の到着)は明らかに同じである。図3に示す2つ目の例で容易に分かるように、冷却水の流量はサイクル中一定であり、作動温度Teは前の例よりもはるかに高く(約60℃で一定)、サイクル長は長くなっている(約40秒)。
【0071】
本発明による機械に戻ると、成形プロセスが何らかの理由で中断された場合(例えば射出プレスの停止)、電子制御・管理装置30は、機械の管理パラメータを変更する。
【0072】
閾値Dtxよりも長い時間、例えば15分間、プロセスからの信号がない場合(上述した例では、金型閉鎖信号が到着していないことを意味する)、電子装置30は、瞬間tx(すなわちt0+Dtx)において、スタンバイモードを作動させる。これは、金型を予熱状態に保つ。
【0073】
これに関しては、図4に示すグラフの例を参照されたい。
【0074】
サイクル終了時間(上述した例の場合、時間t0から33秒)の後、時間間隔Dtxの間、プロセスからの信号(例えば新しいサイクルを開始するための金型閉鎖信号)がない場合、電子装置30は、加熱装置20に、温度調節液を予熱温度Ti’、例えば金型閉鎖温度Ti、すなわち75℃に加熱するように命令する。ポンプ流量、すなわちそのインペラの速度は、高い値、例えば可能な限り最大の速度値Vm(いずれの場合も最大冷却効果のためのサイクル中に想定される値V1よりも大きい値)、例えば可能な速度(すなわち到達可能な最大流量)の100%まで上昇するように変更される。このようにして、金型は徐々に加熱され、新しい金型閉鎖信号を待って、上述したように成形サイクルを再度開始することができる。
【0075】
プロセスからの新しい信号を受信すると(図5のグラフを参照)、電子装置30は、瞬間t0’において再びプロセスパラメータを変更し、生産モードに戻る。したがって、冷却水の温度は、予熱温度Ti’からサイクル開始のための作動温度Te(前の例では23℃)になる。
【0076】
冷却水の実際の温度が新しい温度Teに到達するのに時間を要するので、待機/予熱期間後の第1のサイクルC1は「異常」である。
【0077】
ポンプ12の速度は、プロセスとの同期の関数として、すなわち予め設定された時間に従って当然のことながら変化する。また、サイクルC1’の瞬間t4’において、速度V1での「ハード」冷却から、上記で定義したように速度V0での「ソフト」冷却に切り替わる。停止後の第2の成形サイクルの開始から、温度は既に作動温度に近づいている。フル稼働のプロセス性能への復帰は、金型の寸法、加熱装置および熱交換ユニットの出力、および様々な熱分散など、様々な要因に応じて、4回~5回の成形サイクル後に得られる。
【0078】
上述した実施例において、機械10は、実質的に自動化されており、機械の外部接続として、金属への油圧接続、金属へのマイクロスイッチ40の適用、タンク18への装填分岐部18、外部システムへの機械の電気配線、および電子装置からプラントの他の部分へのあらゆる電子ケーブルを実質的に提供する。
【0079】
特に、熱交換ユニット15および熱調整装置16は、機械の内部で統合されたシステムを形成する。
【0080】
図6に模式的に示すように、別の実施形態において、熱調整装置16’は、機械10の外部にあってもよく、例えば、機械が稼働するプラント内の調整システムの一部であってもよく、複数のユーザにサービスを提供してもよい。
【0081】
この実施例において、単一の油圧回路が金型に接続されて、温度調節液が所与の温度で金型に入り、異なる温度で金型から出る機械の場合が示されている。ここで、金型には単一の熱交換プロセス(金型から所与の温度で温度調節液を単一の流れで熱交換)が提供される。例えば図7に示す機械100の場合のような別の実施形態において、金型の異なる部分における熱交換オプションを区別するために、機械は、互いに対して並列に配置された複数の油圧回路11、11’、11’’を有する。油圧回路は、それぞれ、送出部分13、13’、13’’および戻り部分14、14’、14’’と、インバータ12、12’、12’’、加熱装置20、20’、20’’および熱交換ユニット15、15’、15’’を有するポンプと、を含む。その各々が電子制御・管理装置20に動作可能に接続される。熱交換ユニット15、15’、15’’の第2の界面側の入口部分および出口部分は、互いに並列に接続され、機械100の外部の熱調整装置116によって熱調整液のための入口および出口に動作可能に接続される(ただし、別の実施例において、熱調整装置は、図1の実施例に示す場合のように内部にあってもよい)。機械の動作は、上述した場合と実質的に同様であり、温度調節液の各々は、それ自体の温度および流量プロファイルを有する。その使用は、他のものと同期される。
【0082】
上述した例は、本発明の可能な実施形態を非限定的に表しており、これらは、本発明の基礎となる概念の範囲から逸脱することなく、形態および配置が変化し得ることに留意されたい。添付の特許請求の範囲に記載の参照符号は、上述した説明および添付の図面を鑑みて、その理解を容易にすることのみを目的としており、保護の範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の形成のための成形金型を含む工業プラントの製品形成部の温度制御のための機械であって、前記機械は、製品の形成のための前記工業プラントの前記製品形成部に動作可能に接続されるように適応された少なくとも1つの温度調節油圧回路を備え、温度調節液が前記油圧回路を循環し、
前記油圧回路は、
・ 流量可変タイプの、前記温度調節液の再循環のためのポンプと、
・ 前記ポンプの下流側で、前記油圧回路から前記工業プラントの前記製品形成部に前記温度調節液を送出するための送出部分と、
・ 前記工業プラントの前記製品形成部から前記油圧回路に前記温度調節液を戻すための戻り部分と、
・ 前記温度調節液のための熱交換ユニットであって、前記温度調節液が温度調節される、熱交換ユニットと、
を備え、
前記機械は、電子制御・管理装置をさらに備え、前記電子制御・管理装置には、前記温度調節液の作動温度に関する少なくとも1つの値と、少なくとも1つの所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルとが設定され、前記ポンプ流量変化プロファイルに従って、温度調節の対象となる前記工業プラントの前記製品形成部における製品形成の工業プロセスの所定の瞬間に同期信号を受信したときに、前記ポンプは、前記ポンプ流量変化プロファイルに基づく可変流量で、前記温度調節液を経時的に移動させ、
前記機械は、循環的に動作するように適応されており、
前記電子制御・管理装置は、
・ 温度調節の対象となる前記工業プラントの前記製品形成部から信号を受信し、
・ 前記ポンプに対する流量変化プロファイルと前記信号とを同期させることができ、これにより、前記機械の運転サイクル中の所与の瞬間から、前記ポンプの流量が所定の方法で変化することができ、
前記機械は、前記成形金型を冷却するように適応されており、
前記機械は、温度調節の対象となる前記成形金型を具備する前記工業プラントの前記製品形成部から前記成形金型のための閉鎖信号を受信するように適応されており、
前記温度調節液は、前記ポンプによって成形フェーズ中に一定の作動温度で前記成形金型に送られ、前記作動温度よりも低い温度値の場合、前記成形金型に送る前に前記温度調節液の温度を調節するフェーズが設けられ、
前記成形金型の閉鎖-開放-閉鎖を含む成形サイクルにおいて、前記成形金型に入る前記温度調節液のための前記ポンプ流量変化プロファイルは、前記閉鎖信号に基づいて前記成形サイクルと同期され、前記成形金型を徐々に冷却するための低い初期流量値と、前記成形金型をより強力に冷却するための、前記初期流量値よりも大きい後続の高い流量値とを提供する、
機械。
【請求項2】
前記ポンプは、可変速インペラを有するタイプのものであり、これにより、前記可変速インペラの速度を変化させると前記ポンプの流量が変化し、前記所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルは、所定の時間ベースのインペラ速度変化プロファイルに対応する、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記ポンプは、前記ポンプの前記可変速インペラの回転速度を管理するように適応されたインバータを備え、これにより、前記所定の時間ベースのポンプ流量変化プロファイルは、前記インバータによって、前記ポンプの給電周波数変化に関する所定のプロファイルに対応する、請求項1に記載の機械。
【請求項4】
前記熱交換ユニットの下流側、且つ前記工業プラントの前記製品成形部への送出部分の上流側には、前記温度調節液を加熱するように適応された温度調節液の加熱装置が設けられ、前記加熱装置は、前記加熱装置に入る前記温度調節液の温度が低い場合、必要に応じて、前記温度調節液を前記作動温度まで加熱する、請求項1に記載の機械。
【請求項5】
前記加熱装置は、前記ポンプの下流側にある、請求項4に記載の機械。
【請求項6】
前記油圧回路は、前記ポンプと前記熱交換ユニットとの間に介在する、前記温度調節液のためのタンクを備え、前記タンクは、周囲圧力にあるか、閉鎖されて、周囲圧力を含まない圧力範囲に保持される、請求項1に記載の機械。
【請求項7】
前記タンクは、前記機械の外部の供給ネットワークからの前記温度調節液を装填するための分岐部に動作可能に接続される、請求項6に記載の機械。
【請求項8】
熱調整装置を備え、
前記熱調整装置は、前記熱交換ユニットに、前記温度調節液と熱交換するように適応された熱調整液を供給するように適応されている、請求項1に記載の機械。
【請求項9】
前記熱調整装置は、前記熱交換ユニットと共に、完全に機械内にある冷凍システムを形成し、前記熱交換ユニットは、前記冷凍システムのためのコンデンサまたは蒸発器を形成する、請求項8に記載の機械。
【請求項10】
前記熱調整装置は、前記熱調整ユニットとは別個の要素である冷凍ユニットであり、前記冷凍ユニットは、熱交換によって前記温度調節液を調整するための熱調整液を熱調整ユニットに供給するように適応される、請求項8に記載の機械
【請求項11】
前記熱交換ユニットは、熱調整液を供給するための入口パイプおよび出口パイプを有し、前記機械の外部の熱調整システムに動作可能に接続される、請求項1に記載の機械。
【請求項12】
前記温度調節液のための前記熱交換ユニットは、前記戻り部分と前記ポンプとの間に配置される、請求項1に記載の機械。
【請求項13】
前記温度調節液のための前記送出部分および前記戻り部分は、前記温度調節液を前記成形金型内に送って温度調節し、再調整された前記温度調節液を戻すことができるように、前記成形金型内のパイプに動作可能に接続されるように適応される、請求項1に記載の機械。
【請求項14】
前記工業プラントの前記製品形成部は、調整の対象となる前記成形金型を備え、前記機械は、前記成形金型の温度を調整するように適応されており、前記調整とは、冷却または加熱またはその両方である、請求項1に記載の機械。
【請求項15】
所与の時間間隔で前記機械が、温度調節の対象となる前記成形金型を具備する前記工業プラントの前記製品形成部から信号を受信しない場合、
・ 前記成形金型を徐々に冷却するために、前記ポンプ流量変化プロファイルを変更して流量を低い値に保ち、
・ 前記成形金型に入る前記温度調節液の前記作動温度のための値は上昇され、
・ 前記信号のない前記時間間隔に続いて、新しい信号を受信したときに、前記成形金型に入る前記温度調節液の流量変化プロファイルは、通常の成形サイクルの所定のプロファイルに戻る、
請求項1に記載の機械。
【請求項16】
前記成形金型に入る前記温度調節液の前記作動温度のための前記値は、前記成形金型が閉鎖された瞬間における前記成形金型の温度値に対応する値まで上昇される、請求項15に記載の機械。
【請求項17】
温度調節の対象となる前記工業プラントの前記製品形成部における製品形成の前記工業プロセスの所定の瞬間における前記同期信号は
成形金型閉鎖信号
成形金型開放信号
前記成形金型への形成材料の射出を開始するための信号
前記成形金型への形成材料の射出を終了するための信号
射出プレスが射出後に前記成形金型にパージガスを開放する信号
形成サイクルの同じ瞬間に、常に繰り返される形成プロセスのフェーズに関連する、前記工業プラントから送られるあらゆる信号、および
・ 前記成形金型の開放と閉鎖とを含む形成サイクルの同じ瞬間に、常に繰り返される形成プロセスのフェーズに関連する、前記工業プラントから送られるあらゆる信号
のうちの1つである、請求項1に記載の機械。
【国際調査報告】