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特表2025-502707フッ素を含まない消火用フォームのためのフォーム安定化組成物
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  • 特表-フッ素を含まない消火用フォームのためのフォーム安定化組成物 図1
  • 特表-フッ素を含まない消火用フォームのためのフォーム安定化組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】フッ素を含まない消火用フォームのためのフォーム安定化組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
C09K3/00 111B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537850
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 US2022054315
(87)【国際公開番号】W WO2023129693
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/295,686
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】バナジー、アニルダ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンズリック、ザカリー
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、ユーセン
(57)【要約】
フォーム安定化組成物は、(A)アニオン性ポリマーと、(B)式Z-D-N(Y)(R)2-aを有するカチオン性部分を含むシロキサンカチオン性界面活性剤と、を含み、式中、Zが、シロキサン部分であり、Dが、二価連結基であり、Rが、H、又は1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、下付き文字aが、1又は2であり、各Yが、式-D-NR を有し、式中、Dが、二価連結基であり、各Rが、独立して、1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基である。この組成物を含む水性フォーム及びそれを使用する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーム安定化組成物であって、
(A)アニオン性ポリマーと、
(B)一般式(I)を有するシロキサンカチオン性界面活性剤であって、
[Z-D-N(Y)(R)2-a+y[X-x (I)、
式中、Zが、シロキサン部分であり、Dが、二価連結基であり、Rが、Hであるか、又は1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、各Yが、式-D-NR を有し、式中、Dが、二価連結基であり、各Rが、独立して、1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、下付き文字aが、1又は2であり、1≦y≦3であり、Xが、アニオンであり、下付き文字nが、1、2、又は3であり、1≦x≦3であるが、ただし(xn)=yである、シロキサンカチオン性界面活性剤と、を含み、
以下の条件:
(i)成分(A)及び(B)が、0.5:1~3.5:1(A)/(B)の重量比で前記フォーム安定化組成物中に存在する、及び/又は
(ii)成分(A)及び(B)が、1:1~6.5:1の成分(A)中のアニオン性基と成分(B)中のカチオン性基とのモル比を提供するために前記フォーム安定化組成物中に存在する、のうちの少なくとも1つが、当てはまる、フォーム安定化組成物。
【請求項2】
条件(i)が、当てはまる、請求項1に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項3】
条件(ii)が、当てはまり、前記フォーム安定化組成物が、水を更に含み、水と成分(A)との重量比が、90:1~600:1である、請求項1又は2に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項4】
(i)前記アニオン性ポリマー(A)が、高分子電解質ポリマーを含むか、(ii)前記アニオン性ポリマーが、水溶性であるか、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項1~3のいずれか一項に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項5】
前記シロキサン部分Zが、以下の式を有し、
【化1】

式中、各Rが、R及び-OSi(Rから独立して選択され、ただし、少なくとも1つのRが、-OSi(Rであり、各Rが、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から独立して選択され、各Rが、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から独立して選択され、各Rが、R及び-[OSiR OSiR から独立して選択され、0≦m≦100であり、各Rが、独立して、置換又は非置換ヒドロカルビル基である、請求項1~4のいずれか一項に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項6】
前記シロキサン部分Zが、以下の構造(i)~(iv):
【化2】

のうちの1つを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項7】
(i)Dが、分岐状若しくは直鎖状アルキレン基であるか、又は(ii)Dが、式-D-N(R)-D-を有し、式中、各Dが、独立して選択される二価連結基であり、Rが、H若しくはYであり、Yが、独立して選択され、かつ上記で定義されたとおりである、請求項1~6のいずれか一項に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項8】
成分(B)が、以下の式:
【化3】

のうちの少なくとも1つを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項9】
(C)成分(B)以外の安定性向上剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項10】
成分(C)と成分(B)との重量比が、0:1超~10:1である、請求項9に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項11】
前記安定性向上剤(C)が、一般式(II)又は(III)のうちの1つを有し、
[Z-D-N(Y)(R)2-b+y[X-x(II)、
[(Z-D-N(R)4-c+y[X-x(III)、
式中、Zが、置換若しくは非置換のヒドロカルビル基又は官能基であり、Dが、共有結合又は二価連結基であり、下付き文字bが、1又は2であり、下付き文字cが、0、1、2、3、又は4であり、各R、Y、上付き文字y、X、下付き文字n、及び上付き文字xが、独立して選択され、かつ上記で定義されたとおりである、請求項9又は10に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項12】
成分(C)が、式(II)を有し、Zが、6~18個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項11に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項13】
(i)各Dが、-CHCH(OH)CH-及び-HC(CHOH)CH-から選択されるか、(ii)各Rが、メチルであるか、(iii)各Xが、Clであり、上付き文字xが、1であるか、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項1~12のいずれか一項に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項14】
水と、請求項1~13のいずれか一項に記載のフォーム安定化組成物と、を含む、水性フォーム。
【請求項15】
火災を消火する方法であって、前記火災を請求項14に記載の水性フォームと接触させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月31日に出願された米国出願第63/295,686号の優先権及び全ての利益を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、フォーム組成物に関し、より具体的には、フォーム安定化組成物、それを含む水性フォーム組成物、並びにそれを調製及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
界面活性剤及び界面活性剤組成物は、当該技術分野において既知であり、無数の最終用途及び環境で利用されている。特に、界面活性剤及び界面活性剤組成物は、多数の工業用、商業用、ホームケア、及びパーソナルケア用配合物に利用されている。一例としてではあるが、界面活性剤及び界面活性剤組成物は、多種多様な表面処理及びコーティング組成物の調製に一般的に利用され、例えば、組成物自体の特性に影響を与え、そのような表面処理/コーティング組成物で処理される基材に表面効果を提供している。例えば、ポリフルオロアルキル系界面活性剤及びその組成物は、工業用組成物においては、煙霧抑制剤及びエッチング用添加剤として広く用いられ、表面処理においては、敷物類、室内装飾材料、衣料品、繊維などの物品の表面に撥水性及び撥油性を付与するために広く用いられ、洗浄用組成物、ワックス、シーラント、及び発泡剤などの多くの商業的製品にも広く用いられてきた。加えて、フッ素化界面活性剤は、多数の従来の水性皮膜形成フォーム(aqueous film-forming foam、AFFF)において利用されており、これは、火災の防止、封じ込め、及び/又は消火における広範な使用を以前から享受している。
【0004】
しかしながら、残念なことに、パー-及びポリ-フルオロアルキル系界面活性剤は、環境条件下で分解、又はそうでなければ劣化して、多数のフルオロケミカルを生成することが示されており、そのようなフルオロケミカルのいくつかは、そのような化合物が広く使用される結果をもたらした、そのような化合物が有する望ましい性質の多く(例えば、高い耐薬品性、広い化学的適合性、高い疎油性など)のため、環境中に残存し続けることが判明している。したがって、フッ素化界面活性剤は、次第に生産も使用もされなくなっており、多くの広く利用されている界面活性剤及び界面活性剤組成物を引き続き使用することが難しくなりつつある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、フォーム安定化組成物を提供する。フォーム安定化組成物は、(A)アニオン性ポリマーと、(B)一般式(I)を有するシロキサンカチオン性界面活性剤と、を含み、
[Z-D-N(Y)(R)2-a+y[X-x(I)、
式中、Zは、シロキサン部分であり、Dは、二価連結基であり、Rは、Hであるか、又は1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、各Yは、式-D-NR を有し、式中、Dは、二価連結基であり、各Rは、独立して、1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、下付き文字aは、1又は2であり、1≦y≦3であり、Xは、アニオンであり、下付き文字nは、1、2、又は3であり、1≦x≦3であるが、ただし、(xn)=yである。以下の条件:(i)成分(A)及び(B)が、0.5:1~3.5:1(A)/(B)の重量比でフォーム安定化組成物中に存在する、及び/又は(ii)成分(A)及び(B)が、1:1~6.5:1の成分(A)中のアニオン性基と成分(B)中のカチオン性基とのモル比を提供するためにフォーム安定化組成物中に存在する、のうちの少なくとも1つが、当てはまる。
【0006】
本開示は、フォーム安定化組成物を含む水性フォームと、それを調製及び使用することに関連する方法と、を更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の様々な利点及び態様は、添付の図面に関連して考慮される場合、以下の詳細な説明を考慮して理解され得る。
図1】本明細書の実施例で説明される本発明のある特定の実施形態についての流量(mL/分)の関数としての消炎時間(秒)のプロットを示す。
図2】本明細書の実施例で説明される本発明のある特定の実施形態についての流量(mL/分)の関数としての消炎時間(秒)の別のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
フォーム安定化組成物(「組成物」)が提供される。組成物は、水性フォーミング組成物、膨張フォーム組成物、濃縮フォーム組成物、及び/又はフォーム濃縮物などを含むフォーム組成物(すなわち、フォーム)に利用され得、これらは、多様な最終用途で配合及び/又は利用され得る。例えば、本開示から理解されるように、組成物は、火災の消火、抑制、及び/又は防止での使用に好適な水性フォーム又は同様のフォーミング組成物中で利用され得る。組成物は、ポリフルオロアルキル系界面活性剤又は他のフッ素源を含まなくても、優れた性能特性を有する。
【0009】
組成物は、(A)アニオン性ポリマー及び(B)シロキサンカチオン性界面活性剤を含む。アニオン性ポリマー(A)及びシロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、組成物中で利用され得る追加の/任意選択の成分とともに、以下に順番に説明され、本明細書において個々にそれぞれ「成分(A)」、「成分(B)」などと称され、かつ集合的に、組成物の「成分」として称され得る。
【0010】
上記で紹介されたように、組成物の成分(A)は、アニオン性ポリマーである。アニオン性ポリマー(A)は、限定されない。ある特定の実施形態では、アニオン性ポリマー(A)は、水溶性であり、これは、アニオン性ポリマー(A)が、水中に入れたときに、任意選択的に剪断又は混合下で、均質な溶液を形成することができることを意味する。
【0011】
ある特定の実施形態では、アニオン性ポリマー(A)は、高分子電解質を含むか、代替的に高分子電解質である。本明細書で使用される場合、成分(A)に関する用語「ポリマー」及び「高分子電解質」としては、ホモポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー及び交互コポリマーなどのコポリマー、ターポリマーなど、並びにそれらのブレンド及び修飾体が挙げられるが、これらに限定されない。更に、別途具体的に限定されない限り、用語「ポリマー」及び「高分子電解質」は、分子の全ての可能な幾何学的立体配置を含むものとする。これらの立体配置は、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称を含むが、これらに限定されない。一般に、用語「高分子電解質」は、本明細書で使用される場合、水溶液中に溶解されたときに少なくとも1つの永久アニオン電荷を有するポリマーを意味する。本明細書で使用される場合、用語「高分子電解質」はまた、水中でポリマー上に正味アニオン電荷を形成するように、酸又は好適な緩衝剤の添加を含むいくつかの手段によってpHが調整された水溶液に溶解されたときに、アニオン電荷を形成することができるポリマーを意味する。
【0012】
更に、アニオン性ポリマー(A)の酸性の性質は、天然の酸部分によって提供若しくは付与され得るか、又は無水コハク酸部分のコハク酸二酸部分への変換におけるように、1つ以上の無水物部分の加水分解から生じ得る。したがって、アニオン性ポリマーは、カルボン酸部分、マレイン酸部分、アセチルアセトン部分、リン酸部分、スルホン酸部分、それらの塩、及びそれらの半エステルを有する任意のものであり得る。
【0013】
好適なアニオン性ポリマーは、アクリレートエステル/メタクリレートエステルコポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー、メチルビニルエーテル/マレエートヘミエステル、t-ブチルアクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマー、ビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルピロリドンコポリマー、ビニルピロリドン/アクリレートコポリマー、アクリレート/アクリルアミドコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/イソボルニルアクリレートコポリマー、アルカノールアミンアクリル樹脂、ウレタン変性アクリルポリマー、エチレン-アクリル酸コポリマー、無水マレイン酸グラフト化ポリエチレン、ナトリウム又は亜鉛塩で中和されたエチレンアクリル酸コポリマー、ポリスチレンスルホン酸、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、並びにポリカルボキシレートポリマー及びアクリル酸と無水マレイン酸とのコポリマー又はアルカリ金属塩によって例示することができる。また、酸、緩衝液、又はそれらの組み合わせを使用して適切なpHに調整された水に溶解したときに水溶液中でアニオン性電荷を帯びることができるモノマーを含有するポリマーも好適である。例としては、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ジメチルアクリル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、ビニルスルホン酸、シアノアクリル酸、メチレンマロン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、エチリジン酢酸、プロピリジン酢酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸、桂皮酸、スチリルアクリル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、フェニルアクリル酸、アクリロキシプロピオン酸、ビニル安息香酸、N-ビニルスクシンアミド酸、メサコン酸、カルボン酸、リン酸スルホン酸、アセチルアセトン、半エステル、半酸、無水マレイン酸、メチルビニルエーテル、ビニルピロリドン系化合物又はその塩、メタクロイルアラニン(methacroylalanine)、アクリロイルヒドロキシグリシン、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、及びスルホエチルアクリレートが挙げられる。好適な酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、2-メタクリロイルオキシ-メタン-1-スルホン酸、3-メタクリロイルオキシ-プロパン-l-スルホン酸、3-(ビニルオキシ)-プロパン-1-スルホン酸、エチレンスルホン酸、ビニル硫酸、4-ビニルフェニル硫酸、エチレンホスホン酸、及びビニルリン酸も挙げられる。
【0014】
また、アルギネート、キサンテート、ペクチン、カラギーナン、グアー、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルデキストラナトリウム(sodium carboxymethyl dextra)、スクレログルカン、及びそれらの組み合わせを含む、サッカリンガム並びに/又はポリサッカライドが挙げられるが、これらに限定されない、天然アニオン性ポリマーも好適である。
【0015】
ある特定の実施形態では、アニオン性ポリマー(A)は、カルボキシル基、スルホン酸基、スルファト基、ホスホン酸基、及びリン酸基から選択される少なくとも1つのアニオン性基を含む。具体的な実施形態では、アニオン性ポリマー(A)は、これらのアニオン性基のうちの少なくとも1つを有するポリサッカライドを含むか、代替的にそれである。「サッカライド」という用語が、一般的な状況下では「炭水化物」という用語と、より具体的な状況下では「糖質」のような用語と同義的に使用され得ることを理解されたい。したがって、任意の特定のサッカライドの命名は、アニオン性ポリマー(A)での使用又はアニオン性ポリマー(A)としての使用に好適なサッカライド化合物に関して排他的ではない。好適なサッカライドは、サッカライド、炭水化物、糖質、デンプン、セルロースなど、又はそれらの誘導体若しくは修飾体、あるいはそれらの組み合わせとして説明され得る部分を含む任意の化合物を含み得るか、代替的にそれであり得る。同様に、サッカライド化合物中の2つ以上のサッカライド部分の任意の組み合わせは、より記述的な用語で説明され得る。例えば、「ポリサッカライド」という用語は、「グリコシド」という用語と同義的に使用され得、両方の用語は、一般に、2つ以上のサッカライド部分の組み合わせを指す(例えば、サッカライド部分の組み合わせは、グリコシド結合を介してともに結合し、集合的にグリコシド部分を形成する)。当業者は、「デンプン」及び「セルロース」などの用語を使用して、具体的な状況下でのサッカライド部分のそのような組み合わせを指し得ることを理解するであろう(例えば、サッカライド化合物中の2つ以上のサッカライド部分の組み合わせが、「デンプン」又は「セルロース」などとして当該技術分野で既知の構造に適合する場合)。
【0016】
したがって、アニオン性ポリマー(A)での使用又はアニオン性ポリマー(A)としての使用に好適なポリサッカライドの例としては、化合物、又はモノサッカライド及び/若しくは糖質(例えば、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、フルクトースなどのペントース(すなわち、フラノース)、及びグルコース、ガラクトース、マンノース、グロース、イドース、タロース、アロース、アルトロースなどのヘキソース(すなわち、ピラノース)と従来称される2つ以上の部分を含む化合物を挙げることができる。ポリサッカライドとしては、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、グリコーゲン、親水コロイド、アミロース、アミロペクチンなどのデンプン、並びにそれらの誘導体及び組み合わせが挙げられる。
【0017】
アニオン性ポリマー(A)は、異なるアニオン性基の組み合わせを含み得る。加えて、アニオン性ポリマー(A)は、分子量、アニオン性含有量、アニオン性官能基などの点で異なる、ブレンド又は2つ以上の異なるアニオン性ポリマーを含み得る。
【0018】
上記で紹介されたように、組成物は、(B)シロキサンカチオン性界面活性剤、すなわち、対イオンと電荷バランスのとれたカチオン性有機ケイ素化合物を含む錯体を更に含む。特に、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、シロキサン部分及び1つ以上の四級アンモニウム部分を含み、以下の一般式(I)に適合し、
[Z-D-N(Y)(R)2-a+y[X-x(I)、
式中、Zは、シロキサン部分であり、Dは、二価連結基であり、Rは、Hであるか、又は1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、各Yは、式-D-NR を有し、式中、Dは、二価連結基であり、各Rは、独立して、1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、下付き文字aは、1又は2であり、1≦y≦3であり、Xは、アニオンであり、下付き文字nは、1、2、又は3であり、1≦x≦3であるが、ただし、(xn)=yである。
【0019】
式(I)に関して、上記で紹介されたように、Zは、シロキサン部分を表す。一般に、シロキサン部分Zは、シロキサンを含み、それ以外は特に限定されない。当該技術分野で理解されるように、シロキサンは、ケイ素原子と結合した有機ケイ素及び/又は有機側基を有する、無機ケイ素-酸素-ケイ素基(すなわち、-Si-O-Si-)を含む。したがって、シロキサンは、一般式([R SiO(4-i)/2(R3-jSi-で表され得、式中、下付き文字iは、1、2、及び3から独立して選択され、下付き文字hで示される各部分において、下付き文字hは、少なくとも1であり、下付き文字jは、1、2、又は3であり、各Rは、ヒドロカルビル基、アルコキシ基及び/又はアリールオキシ基、並びにシロキシ基から独立して選択される。
【0020】
に好適なヒドロカルビル基には、一価の炭化水素部分、並びにその誘導体及び修飾体が含まれ、これらは独立して、置換され又は非置換であり、直鎖、分岐鎖、環状、又はこれらの組み合わせであってもよく、かつ飽和又は不飽和であり得る。そのようなヒドロカルビル基に関して、「非置換」という用語は、炭素及び水素原子から構成される、すなわち、ヘテロ原子置換基を含まない炭化水素部分を表す。「置換」という用語は、少なくとも1つの水素原子が水素以外の原子若しくは基で置き換えられる(例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミン基など)(すなわち、ペンダント又は末端置換基として)、炭化水素の鎖/骨格内の炭素原子が炭素以外の原子で置き換えられる(例えば、酸素、硫黄、窒素などのヘテロ原子)(つまり、鎖/骨格の一部として)、又はその両方である炭化水素部分を表す。したがって、好適なヒドロカルビル基は、炭化水素部分がエーテル、エステルなどを含むか、又はそれであり得るように、その炭素鎖/骨格の中及び/又は上(すなわち、付加及び/又は一体)に1つ以上の置換基を有する炭化水素部分を含むか、又はそれであり得る。直鎖状及び分岐状炭化水素基は、独立して、飽和又は不飽和であり得、不飽和の場合、共役又は非共役であり得る。環状ヒドロカルビル基は、独立して、単環式又は多環式であり得、シクロアルキル基、アリール基、及び複素環を含み、これらは、芳香族、飽和及び非芳香族及び/又は非共役などであり得る。線状及び環状ヒドロカルビル基の組み合わせの例としては、アルカリル基、アラルキル基などが挙げられる。ヒドロカルビル基において又はそれとして使用するのに好適な炭化水素部分の一般的な例としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ハロカーボン基など、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソ-プロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシルなど(すなわち、他の線状又は分岐状飽和炭化水素基、例えば、6個を超える炭素原子を有する)が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、ジメチルフェニルなど、並びにそれらの誘導体及び修飾体が挙げられ、これらは、アルカリル基(例えば、ベンジル)及びアラルキル基(例えば、トリル、ジメチルフェニルなど)と重複し得る。アルケニル基の例としては、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘプテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル基など、並びにそれらの誘導体及び修飾体が挙げられる。ハロカーボン基の一般的な例としては、ハロゲン化アルキル基(例えば、1つ以上の水素原子がF又はClなどのハロゲン原子で置き換えられている上記のアルキル基のうちのいずれか)、アリール基(例えば、1つ以上の水素原子がF又はClなどのハロゲン原子で置き換えられている上記のアリール基のうちのいずれか)、及びそれらの組み合わせなどの上記の炭化水素部分のハロゲン化誘導体が挙げられる。ハロゲン化アルキル基の例としては、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル、クロロメチル、クロロプロピル、2-ジクロロシクロプロピル、2,3-ジクロロシクロペンチルなど、並びにそれらの誘導体及び修飾体が挙げられる。ハロゲン化アリール基の例としては、クロロベンジル、ペンタフルオロフェニル、フルオロベンジル基など、並びにそれらの誘導体及び修飾体が挙げられる。
【0021】
に好適なアルコキシ基及びアリールオキシ基としては、一般式、-ORxiを有するものが挙げられ、式中、Rxiは、Rに関して上述したヒドロカルビル基のうちの1つである。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ベンジルオキシなど、並びにこれらの誘導体及びこれらの修飾体が挙げられる。アリールオキシ基の例には、フェノキシ、トリロキシ、ペンタフルオロフェノキシなど、並びにそれらの誘導体及び修飾体が含まれる。
【0022】
に好適な、好適なシロキシ基の例としては、[M]、[D]、[T]、及び[Q]単位が挙げられ、これらは、当該技術分野で理解されるように、各々が、例えばオルガノシロキサン及びオルガノポリシロキサンなどのシロキサン中に存在する個別の官能性の構造単位を表す。より具体的には、[M]は、一般式Rxii SiO1/2の、単官能性単位を表し、[D]は、一般式Rxii SiO2/2の二官能性単位を表し、[T]は、一般式RxiiSiO3/2の三官能性単位を表し、[Q]は、一般式SiO4/2の四官能性単位を表し、これらは下記の一般構造部分により示されている:
【0023】
【化1】
【0024】
これらの一般構造部分において、各Rxiiは、独立して、一価又は多価の置換基である。当技術分野で理解されるように、各Rxiiに好適な具体的な置換基は、限定されるものではなく、単原子又は多原子、有機又は無機、直鎖状又は分岐状、置換又は非置換、芳香族、脂肪族、飽和又は不飽和、及びそれらの組み合わせであり得る。典型的には、各Rxiiは、ヒドロカルビル基、アルコキシ基及び/又はアリールオキシ基、並びにシロキシ基から独立して選択される。したがって、各Rxiiは、独立して、式-Rxiのヒドロカルビル基、又は式-ORxiのアルコキシ基若しくはアリールオキシ基であり得、式中、Rxiは、上記で定義されたとおりであるか、又は上記の[M]、[D]、[T]、及び/又は[Q]単位のうちのいずれか1つ若しくはこれらの組み合わせで表されるシロキシ基である。
【0025】
シロキサン部分Zは、例えば、その中に存在する[M]、[D]、[T]、及び/又は[Q]シロキシ単位の数及び配置に基づいて、直鎖状、分岐状、又はそれらの組み合わせであり得る。分岐状である場合、シロキサン部分Zは、最小限に分岐状又は、代替的に、超分岐状及び/若しくは樹枝状であり得る。
【0026】
ある特定の実施形態では、シロキサン部分Zは、式-Si(Rを有する分岐状シロキサン部分であり、式中、少なくとも1つのRは、-OSi(Rであり、各他のRは、独立して、R及び-OSi(Rから選択され、各Rは、独立して、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から選択される。Rのこれらの選択について、各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から独立して選択され、各Rは、R及び-[OSiR OSiR から独立して選択される。各選択において、Rは、独立して選択された、置換又は非置換ヒドロカルビル基、例えば、Rに関して既に説明したもののうちの任意のものであり、各下付き文字mは、0≦m≦100となるように個々に選択される(すなわち、該当する場合、各選択において)。
【0027】
既に述べたように、各Rは、R及び-OSi(Rから選択され、ただし、少なくとも1つのRは、式-OSi(Rのものである。ある特定の実施形態では、Rのうちの少なくとも2つは、式-OSi(Rのものである。特定の実施形態では、各Rは、-OSi(Rのものである。-OSi(RであるRの数が多いほど、シロキサン部分Zにおける分岐度が増加することが理解されよう。例えば、各Rが-OSi(Rである場合、各Rが結合しているケイ素原子は、Tシロキシ単位である。代替的に、Rのうちの2つが式-OSi(Rのものである場合、各Rが結合しているケイ素原子は、[D]シロキシ単位である。更に、Rが式-OSi(Rを有する場合、及びRが式-OSi(Rを有する場合、更なるシロキサン結合及び分岐が、シロキサン部分Zに存在する。これは更に、Rが式-OSi(Rを有する事例である。したがって、当業者であれば、シロキサン部分Zにおける各後続のR3+n部分が、その特定の選択に応じて、更なる分岐の発生を付与し得ることが理解されよう。例えば、Rは式-OSi(Rのものであってもよく、かつRは式-OSi(Rでのものであってもよい。したがって、各置換基の選択に応じて、[T]及び/又は[Q]シロキシ単位に起因する更なる分岐は、シロキサン部分Zに存在し得る(すなわち、上述の他の置換基/部分のものを超える)。
【0028】
各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から選択され、式中、0≦m≦100である。R及びRの選択に応じて、更なる分岐が、シロキサン部分Zに存在し得る。例えば、各RがRである場合、各-OSi(R部分(すなわち、式-OSi(Rの各R)は、末端[M]シロキシ単位である。言い換えれば、各Rが-OSi(Rであり、かつ各RがRである場合、各Rは、-OSiR (すなわち、[M]シロキシ単位)として記載され得る。そのような実施形態では、シロキサン部分Zは、式(I)のD基に結合した[T]シロキシ単位を含み、[T]シロキシ単位は、3つの[M]シロキシ単位でキャップされる。更に、式-[OSiR OSiR のものである場合、Rは、任意選択の[D]シロキシ単位(すなわち、下付き文字mで示される各部分におけるそれらのシロキシ単位)並びに[M]シロキシ単位(すなわち、OSiR で表されるもの)を含む。したがって、各Rが、式-OSi(Rのものであり、各Rが、式-[OSiR OSiR のものである場合、各Rは、[Q]シロキシ単位を含む。より具体的には、そのような実施形態では、各Rは、式-OSi([OSiR OSiR のものであり、その結果、各下付き文字mが0である場合には、各Rは、3つの[M]シロキシ単位で末端をキャップされた[Q]シロキシ単位である。同様に、下付き文字mが0より大きい場合、各Rは、下付き文字mに起因する重合度を有する直鎖状部分(すなわち、ジオルガノシロキサン部分)を含む。
【0029】
上記のように、各Rはまた、式-OSi(Rのものであってもよい。1つ以上のRが式-OSi(Rを有する実施形態では、更なる分岐が、Rの選択に応じて、シロキサン部分Zに存在し得る。より具体的には、各Rは、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から選択され、式中、各Rは、R及び-[OSiR OSiR から選択され、各下付き文字mは、上記で定義されたとおりである。
【0030】
下付き文字mは、0~100、代替的に0~80、代替的に0~60、代替的に0~40、代替的に0~20、代替的に0~19、代替的に0~18、代替的に0~17、代替的に0~16、代替的に0~15、代替的に0~14、代替的に0~13、代替的に0~12、代替的に0~11、代替的に0~10、代替的に0~9、代替的に0~8、代替的に0~7、代替的に0~6、代替的に0~5、代替的に0~4、代替的に0~3、代替的に0~2、代替的に0~1、代替的に0である。ある特定の実施形態では、各下付き文字mは、0であり、したがって、シロキサン部分Zは、Dシロキシ単位を含まない。
【0031】
重要なことに、R、R、R、R、及びRの各々は、独立して選択される。したがって、これらの置換基の各々に関する上記の説明は、各置換基が同じであることを意味するとするものでもなく、示すものでもない。むしろ、Rに関する上記の任意の説明は、シロキサン部分Zにおける1つのみのR又は任意の数のRに関連し得、他も同様である。加えて、R、R、R、R、及びRの異なる選択により、同じ構造をもたらすことができる。例えば、Rが-OSi(Rであり、各Rが-OSi(Rであり、各RがRである場合、Rは、-OSi(OSiR と記述することができる。同様に、Rが-OSi(Rであり、各Rが-[OSiR OSiR である場合、下付き文字mが0であるときには、Rは、-OSi(OSiR と記述することができる。示されているように、これらの特定の選択は、Rについての異なる選択に基づいて、Rの同じ最終構造をもたらす。そのために、シロキサン部分Zの最終構造に対する限定のいかなる条件も、条件で必要とされる同じ構造をもたらす代替選択によって考慮され、満たされるべきである。
【0032】
ある特定の実施形態では、各Rは、独立して選択されるアルキル基である。いくつかのそのような実施形態では、各Rは、独立して選択された、1~10個、代替的に1~8個、代替的に1~6個、代替的に1~4個、代替的に1~3個、代替的に1~2個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0033】
特定の実施形態では、各下付き文字mは、0であり、各Rは、メチルであり、シロキサン部分Z、以下の構造(i)~(iv)のうちの1つを有する:
【0034】
【化2】
【0035】
更に、カチオン性界面活性剤及び式(I)に関して、上記で紹介されたように、Dは、二価連結基である。二価連結基Dは、特に限定されない。典型的には、二価連結基Dは、二価炭化水素基から選択される。そのような炭化水素基の例としては、Rに関して上述したもののうちの任意のものなどの、上述のヒドロカルビル基又は炭化水素基の二価形態が挙げられる。したがって、二価連結基Dに好適な炭化水素基は、置換又は非置換、並びに直鎖、分岐及び/又は環状であり得ることが理解されよう。
【0036】
いくつかの実施形態では、二価連結基Dは、直鎖状又は分岐状アルキル及び/又はアルキレン基を含むか、代替的にそれである。ある特定の実施形態では、二価連結基Dは、C~C18炭化水素部分、例えば、式-(CH-(式中、下付き文字dが1~18である)を有する直鎖状炭化水素を含むか、代替的にそれである。いくつかのそのような実施形態では、下付き文字dは、1~16、例えば、1~12、代替的に1~10、代替的に1~8、代替的に1~6、代替的に2~6、代替的に2~4である。特定の実施形態では、下付き文字dは、3であり、したがって、二価連結基Dは、プロピレン(すなわち、3個の炭素原子の鎖)を含む。当業者には理解されるように、下付き文字dで表される各単位はメチレン単位であり、その結果、直鎖状炭化水素部分は、アルキレン基と定義されるか、又は別様に称され得る。各メチレン基は、独立して、非置換及び非分岐又は置換(例えば、水素原子が非水素原子又は基で置き換えられている)、及び/若しくは分岐(例えば、水素原子がアルキル基で置き換えられている)であり得ることが理解されよう。特定の実施形態では、二価連結基Dは、非置換アルキレン基を含むか、代替的にそれである。他の実施形態では、二価連結基Dは、置換アルキレン基などの置換炭化水素基を含むか、代替的にそれである。そのような実施形態では、例えば、二価連結基Dは、典型的には、骨格がエーテル部分、アミン部分などを含むように、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、N、Sなど)を有する炭素骨格を含む。
【0037】
特定の実施形態では、二価連結基Dは、アミノ置換炭化水素基(すなわち、窒素-置換炭素鎖/骨格を含む炭化水素)を含むか、代替的にそれである。例えば、いくつかのそのような実施形態では、二価連結基Dは、式-D-N(R)-D-を有するアミノ置換炭化水素であり、したがって、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、以下の式によって表され得、
[Z-D-N(R)-D-N(Y)(R)2-a+y[X-x
式中、各Dは、独立して選択される二価連結基であり、Zは、上記で定義及び説明されたとおりであり、Rは、Y又はHであり、各Y、R、下付き文字a、X、上付き文字y、上付き文字x、及び下付き文字nは、上記で定義され、かつ以下に説明されるとおりである。
【0038】
上記で紹介されたように、アミノ置換炭化水素の二価連結基の各Dは、独立して選択される。典型的には、各Dは、二価連結基Dに関して上述したもののうちのいずれかなどの、独立して選択されるアルキレン基を含む。例えば、いくつかの実施形態では、各Dは、1~8個の炭素原子、例えば、2~8、代替的に2~6、代替的に2~4個の炭素原子を有するアルキレン基から独立して選択される。特定の実施形態では、各Dは、プロピレン(すなわち、-(CH-)である。しかしながら、一方又は両方のDは別の二価連結基(すなわち、上述のアルキレン基を除く)であり得るか、又は別の二価連結基を含み得ることを理解されたい。更に、各Dは、置換又は非置換、直鎖状又は分岐状、及びそれらの様々な組み合わせであり得る。
【0039】
上記でも紹介されたように、アミノ置換炭化水素のRは、H又は四級アンモニウム部分Y(すなわち、上に記載したように、式-D-NR を有する)である。例えば、特定の実施形態では、RH、したがって、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、以下の式によって表され得、
[Z-D-NH-D-N(Y)(R)2-a+y[X-x
式中、各D及びZは、上記で定義及び説明されたとおりであり、各Y、R、下付き文字a、X、上付き文字y、上付き文字x、及び下付き文字nは、上記で定義され、かつ以下に説明されるとおりである。そのような実施形態では、以下の更なる説明から理解されるように、上付き文字yは、下付き文字aにより制御される、1又は2である。より具体的には、四級アンモニウム部分Yの数は、1又は2として下付き文字aによって制御され、それぞれ、+1又は+2の総カチオン電荷を提供する。したがって、そのような実施形態では、上付き文字xも、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)が電荷バランスを取るように、1又は2である。
【0040】
ある特定の実施形態では、アミノ置換炭化水素のRは、四級アンモニウム部分Yであり、したがって、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、以下の式によって表され得、
[Z-D-NY-D-N(Y)(R)2-a+y[X-x
式中、各D及びZは、上記で定義及び説明されたとおりであり、各Y、R、下付き文字a、X、上付き文字y、上付き文字x、及び下付き文字nは、上記で定義され、かつ以下に説明されるとおりである。そのような実施形態では、上付き文字yが2又は3であるように、y=a+1である。より具体的には、四級アンモニウム部分の数は、RのY、並びに下付き文字aによって制御される1又は2の四級アンモニウム部分Yを含み、それぞれ、+2又は+3の総カチオン電荷を提供する。したがって、そのような実施形態では、上付き文字xも、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)が電荷バランスを取るように、1、2、又は3である。
【0041】
いくつかの実施形態では、Rは、Yであり、シロキサン部分Zは、上述の分岐状シロキサン部分であり、したがって、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、以下の式によって表され得、
[(RSi-D-N(-D-NR )-D-N(-D-NR (R)2-a+y[X-x
式中、各D及びRは、上記で定義及び説明されたとおりであり、各D、R、R、下付き文字a、X、上付き文字y、上付き文字x、及び下付き文字nは、上記で定義され、かつ以下に説明されるとおりである。
【0042】
下付き文字aは、1又は2である。当業者には理解されるように、下付き文字aは、部分式-N(Y)(R)2-aで表されるシロキサンカチオン性界面活性剤(B)の四級アンモニウム-置換アミノ部分が、四級アンモニウム基Yのうちの1つ又は2つ(すなわち、部分式(-D-NR )の基)を有するか否かを示す。同様に、そのような四級アンモニウム基Yの各々のように、下付き文字aは、部分aで示される四級アンモニウム基Yからカチオン電荷のバランスを取るのに必要な対アニオンの数(すなわち、以下で説明されるようなアニオンXの数)も示す。例えば、いくつかの実施形態では、下付き文字aは、1であり、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、以下の式を有し、
[Z-D-N(R)-D-NR +y[X-x
式中、Z及びDは、上記で定義及び説明されたとおりであり、各D、R、R、X、上付き文字y、上付き文字x、及び下付き文字nは、上記で定義され、かつ以下に説明されるとおりである。
【0043】
下付き文字aが、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)の各カチオン性分子において1又は2であるが、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)が、式(I)に対応するが、互いに異なる(例えば、下付き文字aに関して)カチオン性分子の混合物を含み得ることを理解されたい。したがって、下付き文字aは、1又は2であるが、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)を含む混合物は、1.5の平均値などの1~2のaの平均値を有し得る(例えば、a=1の場合のシロキサンカチオン性界面活性剤(B)のカチオン性分子と、a=2の場合のシロキサンカチオン性界面活性剤(B)の分子との50:50混合物から)。
【0044】
各Rは、存在する場合(例えば、下付き文字aが1である場合)、H又は1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基を独立して表す。いくつかの実施形態では、Rは、Hである。他の実施形態では、Rは、1~4個、例えば1~3個の炭素原子、代替的に1~2個の炭素原子を有するアルキル基である。例えば、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基(例えば、n-プロピル基又はイソ-プロピル基)、又はブチル基(例えば、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソ-ブチル基、又はtert-ブチル基)であり得る。ある特定の実施形態では、各Rは、メチルである。
【0045】
各Rは、1~4個の炭素原子を有する、独立して選択される非置換ヒドロカルビル基を表す。例えば、ある特定の実施形態では、各Rは、1~4個、例えば1~3個、代替的に1~2個の炭素原子を有するアルキル基から独立して選択される。そのような実施形態では、各Rは、典型的には、メチル基、エチル基、プロピル基(例えば、n-プロピル基及びイソ-プロピル基)、及びブチル基(例えば、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソ-ブチル基、及びtert-ブチル基)から選択される。独立して選択されるが、ある特定の実施形態では、各Rは、カチオン性界面活性剤中の各他のRと同じである。例えば、ある特定の実施形態では、各Rは、メチル又はエチルである。特定の実施形態では、各Rは、メチルである。
【0046】
各Dは、独立して選択される二価連結基(「連結基D」)を表す。典型的には、連結基Dは、置換及び非置換炭化水素基から選択される。そのような炭化水素基の例としては、R、D、及びDに関して上に記載したもののうちのいずれなどの、上述のヒドロカルビル及び炭化水素基の二価形態が挙げられる。したがって、連結基Dでの使用又は連結基Dとしての使用に好適な炭化水素基が、直鎖状又は分岐状であり得、任意の他の二価連結基と同じであっても異なってもよいことが理解されよう。
【0047】
ある特定の実施形態では、連結基Dは、二価連結基Dに関して上述したもののうちの1つなどのアルキレン基を含む。例えば、ある特定の実施形態では、連結基Dは、1~8個の炭素原子、例えば、1~6、代替的に2~6、代替的に2~4個の炭素原子を有するアルキレン基を含む。いくつかのそのような実施形態では、連結基Dのアルキレン基は、非置換である。そのようなアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。
【0048】
ある特定の実施形態では、連結基Dは、置換アルキレン基などの置換炭化水素基を含むか、代替的にそれである。そのような実施形態では、例えば、連結基Dは、典型的には、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O)を骨格に有するか、又はその炭素原子のうちの1つに結合している炭素骨格を含む。例えば、いくつかの実施形態では、連結基Dは、式-D-CH(-(CH-OH)-D-を有するヒドロキシル-置換炭化水素を含み、式中、各Dは、独立して、共有結合又は二価連結基であり、下付き文字eは、0又は1である。そのような実施形態では、少なくとも1つのDは、典型的には、上述のもののうちのいずれかなどの、独立して選択されるアルキレン基を含む。例えば、いくつかの実施形態では、各Dは、独立して、1~8個の炭素原子、例えば、1~6、代替的に1~4、代替的に1~2個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。ある特定の実施形態では、各Dは、メチレン(すなわち、-CH-)である。しかしながら、一方又は両方のDが、別の二価連結基(すなわち、上述のアルキレン基を除く)であり得るか、又はそれを含み得ることを理解されたい。
【0049】
いくつかの実施形態では、各連結基Dは、独立して選択されるヒドロキシプロピレン基である(すなわち、各Dは、独立して、共有結合及びメチレンから選択されるが、ただし、下付き文字eが1である場合に少なくとも1つのDが共有結合であり、下付き文字eが0である場合に各Dがメチレンである)。したがって、いくつかのそのような実施形態では、各連結基Dは、独立して、以下の式
【0050】
【化3】

のうちの1つである。
【0051】
いくつかの実施形態では、シロキサン部分Zは、分岐状シロキサン部分であり、二価連結基Dは、各Dがプロピレンであり、かつRがHである、アミノ置換炭化水素であり、下付き文字aは、1であり、Rは、Hであり、各連結基Dは、(2-ヒドロキシ)プロピレン基であり、各Rは、メチルであり、Xは、モノアニオンであり、したがって、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、以下の式を有し、
【0052】
【化4】

式中、各Rは、上記で定義及び記載されているとおりであり、かつXは、上記で定義及び以下で記載されるとおりである。他の実施形態では、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、下付き文字a=2であること以外は直前に説明したものと同じように構成され、したがって、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、以下の式を有し、
【0053】
【化5】

式中、各Rは、上記で定義及び記載されているとおりであり、かつ各Xは、上記で定義及び以下で記載されるとおりである。他の実施形態では、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、Rが四級アンモニウム部分Yであること以外は直前に説明したものと同じように構成され、したがって、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、以下の式を有し、
【0054】
【化6】

式中、各Rは、上記で定義及び記載されているとおりであり、かつ各Xは、上記で定義及び以下で記載されるとおりである。更に他の実施形態では、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、下付き文字a=1であり、かつRがHであること以外は直前に説明したものと同じように構成され、したがって、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、以下の式を有し、
【0055】
【化7】

式中、各Rは、上記で定義及び記載されているとおりであり、かつ各Xは、上記で定義及び以下で記載されるとおりである。
【0056】
各Xは、上付き文字xで表される電荷を有するアニオンである。したがって、当業者には理解されるように、xは特に限定されず、1つ以上のカチオン性四級アンモニウム部分Yのイオン対合/電荷バランスに好適な任意のアニオンであり得る。したがって、各Xは、2つ以上のカチオン性四級アンモニウム部分Yと釣り合うのに十分であり得るように、独立して選択されるモノアニオン又はポリアニオン(例えば、ジアニオンなど)であり得る。したがって、アニオンXの数(すなわち、下付き文字n)は、カチオン性四級アンモニウム部分Yの数及び選択されるXの電荷(すなわち、上付き文字x)に基づいて容易に選択される。
【0057】
好適なアニオンの例としては、有機アニオン、無機アニオン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、各アニオンXは、カチオン性界面活性剤の他の部分と非反応性であるモノアニオンから独立して選択される。そのようなアニオンの例としては、例えば、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物)、サルフェート(例えば、アルキルサルフェートなど)、スルホネート(例えばトリフレート、ベンジル又は他のアリールスルホネートなど)など、並びにこれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせなどの、中程度の酸及び強酸のコンジュゲート塩基が挙げられる。ホスフェート、硝酸アニオン、カルボキシレート(例えば、アセテート)などの有機アニオン、並びにこれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせなどの他のアニオンも利用され得る。そのようなアニオンの誘導体には、上記の例が指定されている2つ以上の官能基を含むポリアニオン性化合物が含まれることが理解されるべきである。例えば、ポリカルボキシレート(例えば、クエン酸など)のモノ及び/又はポリアニオンは、上記のアニオンによって包含される。アニオンの他の例としては、トシレートアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、テトラフルオロボレートアニオンなど、並びにこれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。
【0058】
ある特定の実施形態では、各アニオンXは、一価~三価の無機アニオンである。そのようなアニオンの例としては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、6~18個の炭素原子を有するアリールスルホネート、硝酸アニオン、亜硝酸アニオン、及びホウ酸アニオンなどのモノアニオン、例えばサルフェート及び亜硫酸イオンなどのジアニオン、及びホスフェートなどのトリアニオンが挙げられる。ある特定の実施形態では、各Xは、ハロゲン化物アニオンである。いくつかのそのような実施形態では、各Xは、塩化物(すなわち、Cl)である。
【0059】
具体的な実施形態では、成分(B)は、以下の式のうちの少なくとも1つを有する:
【0060】
【化8】
【0061】
シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、構造、分子量、分岐度、ケイ素及び/又は炭素含有量、カチオン性四級アンモニウム基Yの数(例えば、下付き文字aが平均値を表す場合)などの少なくとも1つの特性が異なる、上記一般式(I)で表される組み合わせ又は2つ以上の異なるシロキサンカチオン性界面活性剤を含み得る。
【0062】
シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、調製された組成物の形態、その所望の使用、その中に存在する他の成分などに応じて、組成物において任意の量で利用され得る。例えば、当業者であれば、組成物が濃縮物として配合される場合、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)が、非濃縮形態(例えば、水性フォーム組成物)と比較してより高い相対量で存在することを理解するであろう。したがって、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、組成物の総重量に基づいて(すなわち、重量/重量)、0.001~60重量%の量などの任意の量で組成物中に存在し得る。典型的には、組成物は、最終使用組成物(すなわち、使用可能なフォーム安定化組成物を含む任意の完全に配合された組成物)に、最終使用組成物の総重量に基づいて、0.01~1重量%のシロキサンカチオン性界面活性剤(B)(すなわち、0.01~1重量%の成分(A)の活性量)を提供するのに十分な量で、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)を含む。例えば、ある特定の実施形態では、成分(A)は、組成物又はそれを含む最終使用組成物の総重量に基づいて、0.05~1重量%、例えば、0.1~0.9、代替的に0.1~0.7、代替的に0.1~0.5、代替的に0.1~0.4、代替的に0.15~0.4、代替的に0.2~0.4重量%の活性量で利用される。
【0063】
以下の条件:(i)成分(A)及び(B)が、0.5:1~3.5:1(A)/(B)の重量比で組成物中に存在する、及び/又は(ii)成分(A)及び(B)が、1:1~6.5:1の成分(A)中のアニオン性基と成分(B)中のカチオン性基とのモル比を提供するために組成物中に存在する、のうちの少なくとも1つが、組成物に関して当てはまる。
【0064】
ある特定の実施形態では、条件(i)が当てはまり、すなわち、成分(A)及び(B)が、0.5:1~3.5:1(A)/(B)の重量比でフォーム安定化組成物中に存在する。
【0065】
他の実施形態では、条件(ii)が当てはまり、すなわち、成分(A)及び(B)が、1:1~6.5:1の成分(A)中のアニオン性基と成分(B)中のカチオン性基とのモル比を提供するためにフォーム安定化組成物中に存在する。
【0066】
更に他の実施形態では、条件(i)及び(ii)の両方が当てはまる。
【0067】
ある特定の実施形態では、組成物は、(C)成分(B)以外の安定性向上剤を更に含む。安定性向上剤(C)は、典型的には、少なくとも1つのカチオン性部分及び/又は非イオン性部分を含み、代替的に、成分(C)は、カチオン性又は非イオン性である。いくつかの実施形態では、安定性向上剤(C)は、両親媒性化合物を含むか、代替的に両親媒性化合物である。ある特定の実施形態では、安定性向上剤(C)は、表面活性であり、両親媒性界面活性剤と称され得る。他の実施形態では、安定性向上剤(C)は、表面活性ではなく、両親媒性ではない。更に他の実施形態では、安定性向上剤(C)は、カチオン性であり、任意選択的に対アニオンを含む。表面活性化合物と非表面活性化合物との組み合わせを成分(C)として一緒に使用することができる。ある特定の実施形態では、安定性向上剤(C)は、シロキサン界面活性剤ではなく、すなわち、成分(C)は、シロキサン結合を含まない。
【0068】
安定性向上剤(C)がカチオン性である場合、安定性向上剤(C)の1つの具体例は、有機カチオン性界面活性剤、すなわち、対イオンと電荷平衡したカチオン性四級有機アンモニウム化合物を含む錯体である。特に、有機カチオン性界面活性剤は、炭化水素部分及び1つ以上の四級アンモニウム部分を含み得、以下の一般式(II)に適合し、
[Z-D-N(Y)(R)2-b+y[X-x(II)
式中、Zが、置換若しくは非置換のヒドロカルビル基又は官能基であり、Dが、共有結合又は二価連結基であり、下付き文字bが、1又は2であり、各R、Y、上付き文字y、X、下付き文字n、及び上付き文字xが、独立して選択され、かつ上記で定義されたとおりである、有機カチオン性界面活性剤と、を含む、フォーム安定化組成物。
【0069】
有機カチオン性界面活性剤及び式(II)に関して、各R、Y、上付き文字y、X、下付き文字n、及び上付き文字xは、独立して選択され、かつシロキサンカチオン性界面活性剤(B)に関して上記で定義されるとおりである。したがって、具体的な選択は、有機カチオン性界面活性剤を表す式(II)におけるこれらの変数に関して以下に例示されるが、そのような選択が限定的ではなく、むしろR、Y、上付き文字y、X、下付き文字n、及び上付き文字x、並びにそれらの変数(例えば、四級アンモニウム部分Yの二価連結基D、基D、及び二価連結基Dの下付き文字eなど)の全ての説明であることが理解されよう。
【0070】
は、置換若しくは非置換のヒドロカルビル基又は官能基であり、それ以外は特に限定されない。好適なそのようなヒドロカルビル部分の例としては、Rに関して上述した、非置換一価炭化水素部分が挙げられる。したがって、Zが、直鎖状、分岐状、環状、又はそれらの組み合わせを含み得るか、代替的に直鎖状、分岐状、環状、又はそれらの組み合わせであり得ることが理解されよう。同様に、Zは、エチレン性及び/又はアセチレン性不飽和(すなわち、別の言い方ではそれぞれアルケン及びアルキンとして既知であるC-C二重及び/又は三重結合)を含む、脂肪族不飽和を含み得る。Zは、1つのみのそのような不飽和基を含み得るか、又は代替的に2つ以上の不飽和基を含み得、これは、非共役型若しくは共役型であり得(例えば、Zがジエン、エン-イン、ジインなどを含む場合)、及び/又は芳香族であり得る(例えば、Zがフェニル基、ベンジル基などを含む場合)。
【0071】
いくつかの実施形態では、Zは、5~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル部分である。ある特定のそのような実施形態では、Zは、アルキル基を含むか、代替的にそれである。好適なアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状(例えば、単環式又は多環式)、又はそれらの組み合わせであり得る飽和アルキル基を含む。そのようなアルキル基の例としては、一般式C2f-2g+1を有するものが挙げられ、式中、下付き文字fは、5~20(すなわち、アルキル基に存在する炭素原子の数)であり、下付き文字gは、独立した環/環状ループの数であり、下付き文字fで指定される少なくとも1つの炭素原子は、上記一般式(II)において基Dに結合している。そのようなアルキル基の直鎖状及び分岐状異性体の例(すなわち、アルキル基が下付き文字f=0になるように環状基を含まない場合)としては、一般式C2f+1を有するものが挙げられ、式中、下付き文字fは、上記で定義されたとおりであり、下付き文字fで指定される少なくとも1つの炭素原子は、上記一般式(II)において基Dに結合している。単環式アルキル基の例としては、一般式C2f-1を有するものが挙げられ、式中、下付き文字fは、上記で定義されたとおりであり、下付き文字fで指定される少なくとも1つの炭素原子は、上記一般式(II)において基Dに結合している。
【0072】
そのようなアルキル基の具体例としては、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、及びエイコシル基が挙げられ、これらの直鎖状、分岐状、及び/又は環式異性体も含まれる。例えば、ペンチル基は、n-ペンチル(すなわち、直鎖異性体)及びシクロペンチル(すなわち、環状異性体)、並びに分岐異性体、例えば、イソペンチル(すなわち、3-メチルブチル)、ネオペンチル(すなわち、2,2-ジメチルプロピル)、tert-ペンチル(すなわち、2-メチルブタン-2-イル)、sec-ペンチル(すなわち、ペンタン-2-イル)、sec-イソペンチル(すなわち、3-メチルブタン-2-イル)など)、3-ペンチル(すなわち、ペンタン-3-イル)、及び活性ペンチル(すなわち、2-メチルブチル)が包括される。
【0073】
ある特定の実施形態では、Zは、式-(CHf-1CHの非置換直鎖状アルキル基を含むか、代替的にそれであり、式中、下付き文字fは、上述のように5~20である。いくつかのそのような実施形態では、Zは、そのような非置換直鎖状アルキル基であり、式中、下付き文字fは、7~19であり、したがって、Zは、6~18個の炭素原子を有する非置換直鎖状アルキル基である。ある特定のそのような実施形態では、下付き文字bは、7、9、11、又は13であり、したがって、Zは、それぞれ、6、8、10、又は12個の炭素原子を有する非置換直鎖状アルキル基である。
【0074】
に好適な置換ヒドロカルビル基の具体例は、アルコキシ基又はアリールオキシ基である。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ベンジルオキシなど、並びにこれらの誘導体及びこれらの修飾体が挙げられる。アリールオキシ基の例には、フェノキシ、トリロキシ、ペンタフルオロフェノキシなど、並びにそれらの誘導体及び修飾体が含まれる。
【0075】
いくつかの実施形態では、Zに好適な官能基は、アクリルオキシ基、アクリル基、アクリレート基、アルコール基、ベンゼン基、エポキシ基、アミノ基、シアノ基、チオール基、シクロアルキル基、アルキル基、窒素含有基、硫黄含有基、酸素含有基、リン含有基、及びこれらの任意の組み合わせから選択される。具体的な実施形態では、Zは、エチレン性不飽和基、アルキル基、アルコキシ基、アクリルオキシ基、アクリロイル基、及びそれらの組み合わせから選択される。Zがアクリル基である場合の成分(C)に好適な化合物の1つの具体例は、(3-メタクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドである。
【0076】
下付き文字bは、1又は2である。シロキサンカチオン性界面活性剤(B)の下付き文字aに関する説明を考慮して当業者には理解されるように、下付き文字bは、部分式-N(Y)(R)2-bで表される有機カチオン性界面活性剤の四級アンモニウム置換アミノ部分が、四級アンモニウム基Y(すなわち、部分式(-D-NR )の基)のうちの1つ又は2つを有するか否かを示す。同様に、そのような四級アンモニウム基Yの各々のように、下付き文字bは、部分bで示される四級アンモニウム基Yからカチオン電荷のバランスを取るのに必要な対アニオンの数(すなわち、以下に説明されるようなアニオンXの数)も示す。
【0077】
下付き文字bが、有機カチオン性界面活性剤の各カチオン性分子において1又は2であるが、有機カチオン性界面活性剤は、式(II)に対応するが、互いに異なる(例えば、下付き文字bに関して)カチオン性分子の混合物を含み得ることを理解されたい。したがって、下付き文字bは、1又は2であるが、有機カチオン性界面活性剤を含む混合物は、1.5の平均値などの1~2のbの平均値を有し得る(例えば、b=1の場合の有機カチオン性界面活性剤のカチオン性分子と、b=2の場合の有機カチオン性界面活性剤の分子との50:50混合物から)。
【0078】
更に有機カチオン性界面活性剤及び式(II)に関して、上記で紹介されたように、Dは、共有結合又は二価連結基を表す。参照を明確かつ容易にするために、以下の具体的な実施形態に関して、Dは、より具体的には、例えば、Dが共有結合又は二価連結基である場合に、それぞれ、「共有結合D」、又は「二価連結基D」と称され得る。両方の選択は、以下のある特定の実施形態に記載及び例示される。
【0079】
ある特定の実施形態では、Dは、共有結合であり(すなわち、有機カチオン性界面活性剤は、共有結合Dを含む)、したがって、Zは、アミノN原子に直接結合している。これらの実施形態では、有機カチオン性界面活性剤は、以下の式によって表され得、
[Z-N(Y)(R)2-b+y[X-x
式中、各Z、Y、R、X、下付き文字b、上付き文字y、上付き文字x、及び下付き文字nは、上記で定義及び説明されたとおりである。いくつかのそのような実施形態では、Zは、有機カチオン性界面活性剤のアミノN原子に直接結合したアルキル基であり、したがって、有機カチオン性界面活性剤は、以下の式を有し、
[(C2f+1)-N(Y)(R)2-b+y[X-x
式中、下付き文字b、下付き文字f、Y、R、X、上付き文字y、上付き文字x、及び下付き文字nは、上記で定義及び説明されたとおりである。いくつかのそのような実施形態では、下付き文字fは、6~18、例えば、6~14、代替的に6~12である。
【0080】
ある特定の実施形態では、Dは、二価連結基結合である(すなわち、有機カチオン性界面活性剤は、二価連結基Dを含む)。二価連結基Dは、特に限定されず、一般に、二価連結基Dに関して上述した同じ基から選択される。したがって、二価連結基Dは、典型的には、二価炭化水素基から選択される。そのような炭化水素基の例としては、Rに関して上述したもののうちの任意のものなどの、上述のヒドロカルビル基又は炭化水素基の二価形態が挙げられる。したがって、二価連結基Dに好適な炭化水素基は、置換又は非置換、直鎖状、分岐状、及び/又は環状であり得、有機カチオン性界面活性剤及び/又はシロキサンカチオン性界面活性剤(B)中の任意の他の連結基と同じであっても異なってもよいことが理解されよう。
【0081】
いくつかの実施形態では、二価連結基Dは、直鎖状又は分岐状アルキル及び/又はアルキレン基を含むか、代替的にそれである。ある特定の実施形態では、二価連結基Dは、C~C18炭化水素部分、例えば、Dに関して上記で定義された、式-(CH-(すなわち、式中、下付き文字dが1~18である)を有する直鎖状炭化水素部分を含むか、代替的にそれである。いくつかのそのような実施形態では、下付き文字dは、1~16、例えば、1~12、代替的に1~10、代替的に1~8、代替的に1~6、代替的に2~6、代替的に2~4である。特定の実施形態では、下付き文字dは、3であり、したがって、二価連結基Dは、プロピレン(すなわち、3個の炭素原子の鎖)を含む。Dに好適な各アルキル及び/又はアルキレン基が、独立して、非置換及び非分岐状、又は置換及び/若しくは分岐状であり得ることも理解されよう。ある特定の実施形態では、二価連結基Dは、非置換アルキレン基を含むか、代替的にそれである。他の実施形態では、二価連結基Dは、置換アルキレン基などの置換炭化水素基を含むか、代替的にそれである。そのような実施形態では、例えば、二価連結基Dは、典型的には、骨格がエーテル部分、アミン部分などを含むように、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、N、Sなど)を有する炭素骨格を含む。
【0082】
特定の実施形態では、二価連結基Dは、アミノ置換炭化水素基(すなわち、窒素-置換炭素鎖/骨格を含む炭化水素)を含むか、代替的にそれである。例えば、いくつかのそのような実施形態では、二価連結基Dは、式-D-N(R)-D-を有するアミノ置換炭化水素であり、したがって、有機カチオン性界面活性剤は、以下の式によって表され得、
[Z-D-N(R)-D-N(Y)(R)2-b+y[X-x
式中、各Dは、独立して選択される二価連結基であり、Rは、Y又はHであり、各Z、Y、R、下付き文字b、X、上付き文字y、上付き文字x、及び下付き文字nは、上記で定義及び説明されたとおりである。
【0083】
上記で紹介されたように、アミノ置換炭化水素の二価連結基の各Dは、独立して選択される。典型的には、各Dは、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)の二価連結基Dに関して上述したもののうちのいずれかなどの、独立して選択されるアルキレン基を含む。例えば、いくつかの実施形態では、各Dは、1~8個の炭素原子、例えば、2~8、代替的に2~6、代替的に2~4個の炭素原子を有するアルキレン基から独立して選択される。ある特定の実施形態では、各Dは、プロピレン(すなわち、-(CH-)である。しかしながら、一方又は両方のDは別の二価連結基(すなわち、上記に記載されるアルキレン基を除く)であり得るか、又は別の二価連結基を含み得ることが理解されるであろう。更に、各Dは、置換又は非置換、直鎖状又は分岐状、及びそれらの様々な組み合わせであり得る。
【0084】
上記でも紹介されたように、アミノ置換炭化水素のRは、H又は四級アンモニウム部分Y(すなわち、上に記載したように、式-D-NR を有する)である。例えば、特定の実施形態では、RH、したがって、有機カチオン性界面活性剤は、以下の式によって表され得、
[Z-D-NH-D-N(Y)(R)2-b+y[X-x
式中、各Z、D、Y、R、下付き文字b、X、上付き文字y、上付き文字x、及び下付き文字nは、上記で定義及び説明されたとおりである。そのような実施形態では、以下の更なる説明から理解されるように、上付き文字yは、下付き文字bにより制御される、1又は2である。より具体的には、四級アンモニウム部分Yの数は、1又は2として下付き文字bによって制御され、それぞれ、+1又は+2の総カチオン電荷を提供する。したがって、そのような実施形態では、上付き文字xも、有機カチオン性界面活性剤が電荷バランスを取るように、1又は2である。
【0085】
ある特定の実施形態では、Rは、Yであり、したがって、有機カチオン性界面活性剤は、以下の式によって表され得、
[Z-D-NY-D-N(Y)(R)2-b+y[X-x
式中、各Z、D、Y、R、下付き文字b、X、上付き文字y、上付き文字x、及び下付き文字nは、上記で定義及び説明されたとおりである。そのような実施形態では、上付き文字yが2又は3であるように、y=b+1である。より具体的には、四級アンモニウム部分の数は、RのY、並びに下付き文字bによって制御される1又は2つの四級アンモニウム部分Yを含み、それぞれ、+2又は+3の総カチオン電荷を提供する。したがって、そのような実施形態では、上付き文字xも、有機カチオン性界面活性剤が電荷バランスを取るように、1、2、又は3である。例えば、いくつかのそのような実施形態では、下付き文字bは、1であり、Xは、モノアニオン性であり、したがって、有機カチオン性界面活性剤は、以下の式を有し、
【0086】
【化9】

式中、各Z、D、R、R、及びXは、上記で定義及び説明されたとおりである。他のそのような実施形態では、有機カチオン性界面活性剤は、b=2であること以外は直前に説明したように構成され、したがって、有機カチオン性界面活性剤は、以下の式を有し、
【0087】
【化10】

式中、各Z、D、R、R、及びXは、上記で定義及び説明されたとおりである。
【0088】
ある特定の実施形態では、Dは、共有結合であり、Zは、直鎖状アルキル基であり、下付き文字bは、1であり、Rは、Hであり、各連結基Dは、(2-ヒドロキシ)プロピレン基であり、各Rは、メチルであり、Xは、モノアニオンであり、したがって、有機カチオン性界面活性剤は、以下の式を有し、
【0089】
【化11】

式中、下付き文字fは、5~17(例えば、5~11、代替的に5~9)であり、Xは、上記で定義及び説明されたとおりである。他の実施形態では、有機カチオン性界面活性剤は、下付き文字b=2であること以外は直前に説明されたものと同じように構成され、したがって、有機カチオン性界面活性剤は、以下の式を有し、
【0090】
【化12】

式中、各Xは、上記で定義され、かつ以下に説明されるとおりである。
【0091】
ある特定の実施形態では、Zは、3~13個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基であり、Dは、二価連結基であり、二価連結基Dは、各Dがプロピレンであるアミノ置換炭化水素であり、Rは、Hであり、下付き文字bは、1であり、Rは、Hであり、各連結基Dは、(2-ヒドロキシ)プロピレン基であり、各Rは、メチルであり、Xは、モノアニオンであり、したがって、有機カチオン性界面活性剤は、以下の式を有し、
【0092】
【化13】

式中、下付き文字f及びXは、上記で定義及び説明されたとおりである。他の実施形態では、有機カチオン性界面活性剤は、下付き文字b=2であること以外は直前に説明されたものと同じように構成され、したがって、有機カチオン性界面活性剤は、以下の式を有し、
【0093】
【化14】

式中、下付き文字f及び各Xは、上記で定義及び説明されたとおりである。他の実施形態では、有機カチオン性界面活性剤は、Rが四級アンモニウム部分Yであること以外は直前に説明されたものと同じように構成され、したがって、有機カチオン性界面活性剤は、以下の式を有し、
【0094】
【化15】

式中、下付き文字f及び各Xは、上記で定義及び説明されたとおりである。更に他の実施形態では、有機カチオン性界面活性剤は、下付き文字b=1であり、かつRがHであること以外は直前に説明されたものと同じように構成され、したがって、有機カチオン性界面活性剤は、以下の式を有し、
【0095】
【化16】

式中、下付き文字f及び各Xは、上記で定義及び説明されたとおりである。
【0096】
ある特定の実施形態では、有機カチオン性界面活性剤の各アニオンXは、1~3の原子価を有する無機アニオンである。そのようなアニオンの例としては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、6~18個の炭素原子を有するアリールスルホネート、硝酸アニオン、亜硝酸アニオン、及びホウ酸アニオンなどのモノアニオン、例えばサルフェート及び亜硫酸イオンなどのジアニオン、及びホスフェートなどのトリアニオンが挙げられる。ある特定の実施形態では、各Xは、ハロゲン化物アニオンである。いくつかのそのような実施形態では、各Xは、塩化物(すなわち、Cl)である。
【0097】
安定性向上剤(C)がカチオン性部分を含むか、又はカチオン性である場合、安定性向上剤(C)の別の具体例は、有機カチオン性界面活性剤、すなわち、対イオンと電荷平衡したカチオン性窒素含有化合物を含む錯体である。特に、有機カチオン性界面活性剤は、数個の置換又は非置換炭化水素部分を含み得る。ある特定の実施形態では、安定性向上剤(C)は、一般式(III)を有し、
[(Z-D-N(R)4-c+y[X-x(III)、
式中、Zが、説明されるとおりであり、Dが、上述のとおりであり、下付き文字cが、0、1、2、3、又は4であり、各R、上付き文字y、X、下付き文字n、及び上付き文字xが、独立して選択され、かつ上記で定義されたとおりである。
【0098】
一般式(III)に関して、各R、上付き文字y、X、下付き文字n、及び上付き文字xは、独立して選択され、かつシロキサンカチオン性界面活性剤(B)及び成分(C)の一般式(II)に関して上記で定義されるとおりである。したがって、具体的な選択は、式(III)におけるこれらの変数に関して以下に例示されるが、そのような選択が限定的ではなく、むしろR、上付き文字y、X、下付き文字n、及び上付き文字x、並びにそれらの変数の全ての説明が例示的であることが理解されよう。
【0099】
は、成分(C)の一般式(II)に関して上述されている。
【0100】
下付き文字cは、0、1、2、3、又は4である。当業者には理解されるように、下付き文字cは、成分(C)中のR及びZ基の相対数を決定するであろう。
【0101】
一般式(III)で表される化合物の例としては、塩化コリン、塩化アンモニウム、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンフモニウムクロリド([2-(methacryloyloxy)ethyl]trimethylamfmonium chloride)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、及びトリブチルメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0102】
いくつかの実施形態では、安定性向上剤(C)は、上述の有機カチオン性界面活性剤以外の、又はそれに加えて、カチオン性界面活性剤を含む。カチオン性界面活性剤の例としては、様々な脂肪酸アミン及びアミド並びにそれらの誘導体、並びに脂肪酸アミン及びアミドの塩が挙げられる。脂肪族脂肪酸アミンの例としては、ドデシルアミンアセテート、オクタデシルアミンアセテート、及びタロー脂肪酸のアミンのアセテート、ドデシルアナリン(dodecylanalin)などの脂肪酸を有する芳香族アミンの同族体、ウンデシルイミダゾリンなどの脂肪族ジアミンから誘導された脂肪族アミド、ウンデシルイミダゾリンなどの脂肪族ジアミンから誘導された脂肪族アミド、オレイルアミノジエチルアミンなどの二置換アミンから誘導された脂肪族アミド、エチレンジアミンの誘導体、四級アンモニウム化合物及びタロートリメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキサデシルアンモニウムクロリドにより例示されるその塩、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルキルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムヒドロキシドなどのジアルキルジメチルアンモニウムヒドロキシド、タロートリメチルアンモニウムヒドロキシド、ココナツ油、トリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルポリオキシエチレンココアンモニウムクロリド、及びジパルミチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、ベータ-ヒドロキシルエチルステアリルアミドなどのアミノアルコールのアミド誘導体、長鎖脂肪酸のアミン塩など、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。代替的に、成分(C)は、N-オクチルリメチルアンモニウムクロリド(N-octylrimethylammonium chloride)などの四級アンモニウム塩を含み得る。
【0103】
これら又は他の実施形態では、安定性向上剤(C)は、非イオン性界面活性剤を含むか、代替的に非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ラウリル、セチル、ステアリル、又はオクチルなど)、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノレエート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシル化トリメチルノナノール、ポリオキシアルキレングリコール変性ポリシロキサン界面活性剤、ポリオキシアルキレン置換シリコーン(レーキ型又はABn型)、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル、シリコーングリコシド、ジメチコンコポリオール、ポリオールの脂肪酸エステル、例えばソルビトール及びグリセリルモノ-、ジ-、トリ-及びセスキ-オレエート、及びステアレート、グリセリル及びポリエチレングリコールラウレート;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル(ポリエチレングリコールモノステアレート及びモノラウレートなど)、ソルビトールのポリオキシエチレン化脂肪酸エステル(ステアレート及びオレエートなど)など、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。
【0104】
加えて、安定性向上剤(C)は、組成物中でその場で形成され得る。例えば、安定性向上剤(C)は、組成物中の酸緩衝液又は溶液を介してアミンをプロトン化することによってその場で形成することができ、カチオン性種をもたらす。例えば、アミンは、三級アミン(例えば、N,N-ジエムチルヘキシルアミン(N,N-diemthylhexylamine)、N,N-ジメチルオクチルアミン、及び/又はN,N-ジメチルデシルアミン)であり得、酸性緩衝液は、塩酸であり得る。当業者は、そのようなアミンを酸緩衝液でプロトン化してカチオン性種を得る方法を容易に理解する。典型的には、アミンは、その場で形成されるカチオン性種が両親媒性であるように、少なくとも4個、代替的に少なくとも5個、代替的に少なくとも6個の炭素原子を有するアルキル基を含む。
【0105】
安定性向上剤(C)界面活性剤は、構造、分子量、分岐度、ケイ素及び/又は炭素含有量、カチオン性四級アンモニウム基の数などの少なくとも1つの特性が異なる、組み合わせ又は2つ以上の異なる化合物を含み得る。
【0106】
安定性向上剤(C)は、利用される場合、調製された組成物の形態、その所望の使用、その中に存在する他の成分などに応じて、組成物において任意の量で利用され得る。例えば、当業者であれば、組成物が濃縮物として配合される場合、安定性向上剤(C)が、非濃縮形態(例えば、水性フォーム組成物)と比較してより高い相対量で存在することを理解するであろう。したがって、安定性向上剤(C)は、組成物の総重量に基づいて(すなわち、重量/重量)、0~60重量%の量などの任意の量で組成物中に存在し得る。安定性向上剤(C)を含むある特定の実施形態では、組成物は、0:1超~10:1(C)/(B)の安定性向上剤(C)とシロキサンカチオン性界面活性剤(B)との重量比を提供するための量で安定性向上剤(C)を含む。
【0107】
上述のシロキサンカチオン性界面活性剤(B)及び有機カチオン性界面活性剤の各々が、有機カチオン性界面活性剤を利用した場合に独立して選択され、したがって、式(I)及び(II)の各変数が、同じ基/部分を表す場合であっても、及び/又は同じ定義を有する場合であっても、独立して選択されることを理解されたい。
【0108】
組成物は、(D)担体ビヒクル(例えば、溶媒、希釈剤、分散剤など)を含み得る。そのような実施形態では、担体ビヒクル(D)は、選択される特定の成分(A)及び(B)に基づいて、並びに組成物中(すなわち、最終使用組成物中)に利用される、及び/又は組成物と組み合わされる任意の他の成分に基づいて選択される。担体ビヒクルは、当該技術分野で既知であり、一般に、溶媒、流体、油など、並びにそれらの組み合わせを含む。担体ビヒクル(D)は、組成物へのある特定の成分の導入、成分の混合及び/又は均質化などを容易にし得る。同様に、特定の担体ビヒクル(D)は、成分(A)及び(B)並びに/又は組成物中で利用される他の成分の溶解度、溶媒の揮発性(すなわち、蒸気圧)、組成物の最終使用などに基づいて選択される。溶解度は、成分(A)及び(B)を溶解及び/又は分散させて均質な組成物を形成するのに十分な担体ビヒクル(D)を指す。したがって、組成物で使用するための溶媒は、一般に、成分(A)及び(B)、又は組成物の別の成分を流動化及び/又は溶解するために選択され得る。当業者には理解されるように、有機溶媒は組成物中で利用され得るが、そのような有機溶媒は、典型的には、特に有機溶媒が可燃性である場合に、組成物又はそれを含む最終使用組成物を利用する前に除去される。
【0109】
溶媒の例としては、水性溶媒、有機溶媒、及びそれらの組み合わせが挙げられる。水性溶媒の例としては、水並びに水と相溶性のある極性及び/又は荷電(すなわち、イオン)溶媒が挙げられる。有機溶媒の例には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及びn-プロパノールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンなどのケトン;ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、及びオクタンなどの脂肪族炭化水素;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、及びエチレングリコールn-ブチルエーテルなどのグリコールエーテル;ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、及びクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル;テトラヒドロフラン、ホワイトスピリット;ミネラルスピリット、ナフサ、n-メチルピロリドンなど、並びにこれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせを含むものが挙げられる。水と一般に相溶性のあるそのような極性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、2-ブタノン、テトラヒドロフラン、アセトン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0110】
流体の例としては、有機流体、シリコーン流体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。有機流体には、典型的には、揮発性及び/若しくは半揮発性炭化水素、エステル、並びに/又はエーテルを含む有機油が含まれる。そのような有機流体の一般的な例としては、C~C16アルカン、C~C16イソアルカン(例えば、イソデカン、イソドデカン、イソヘキサデカンなど)、C~C16分岐状エステル(例えば、イソヘキシルネオペンタノエート、イソデシルネオペンタノエートなど)などの揮発性炭化水素油、並びに誘導体、修飾体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。有機流体の追加の例としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、3個超の炭素原子を有するアルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化アルキル、芳香族ハロゲン化物、及びそれらの組み合わせが挙げられる。炭化水素には、イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar L(C11~C13)、Isopar H(C11~C12)、水素化ポリデセンが含まれる。エーテル及びエステルには、イソデシルネオペンタノエート、ネオペンチルグリコールヘプタノエート、グリコールジステアレート、ジカプリリルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチル-3エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリデシルネオペンタノエート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(propylene glycol methylether acetate、PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(propylene glycol methylether、PGME)、オクチルドデシルネオペンタノエート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、オクチルエーテル、オクチルパルミテート、及びそれらの組み合わせが含まれる。シリコーン流体は、典型的には、低粘度及び/又は揮発性シロキサンを含む。そのようなシリコーン流体の例としては、低粘度有機ポリシロキサン、揮発性メチルシロキサン、揮発性エチルシロキサン、揮発性メチルエチルシロキサンなど、又はそれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、シリコーン流体は、25℃で1~1,000mm/秒の範囲の粘度を有する。シリコーン流体の具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル-3-{(トリメチルシリル)オキシ)}トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3、ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサンペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン、並びにポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、カプリリルメチコン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキシルトリメチコンなど、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。シリコーン流体の追加の例としては、5×10-7~1.5×10-6/秒の蒸気圧を有するポリ有機シロキサンが挙げられる。
【0111】
他の担体ビヒクルもまた、利用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、担体ビヒクルは、イオン液体を含む。イオン液体の例としては、アニオン及びカチオンの組み合わせが挙げられる。一般に、アニオンは、アルキルサルフェート系アニオン、トシレートアニオン、スルホン酸系アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、テトラフルオロボレートアニオンなどから選択され、カチオンは、イミダゾリウム系カチオン、ピロリジニウム系カチオン、ピリジニウム系カチオン、リチウムカチオンなどから選択される。しかしながら、複数のカチオンとアニオンとの組み合わせもまた利用され得る。イオン性液体の具体例としては、典型的には、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス-(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3-メチル-1-プロピルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-メチル-1-プロピルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ビニルイミダゾリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アリルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなど、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。
【0112】
ある特定の実施形態では、担体ビヒクル(D)は、水性溶媒であり、水を含むか、代替的に水から本質的になるか、代替的に水である。水は特に限定されない。例えば、蒸留水及びイオン交換水などの精製水、生理食塩水、リン酸緩衝水溶液など、又はこれらの組み合わせ及び/若しくはこれらの修飾体を使用することができる。いくつかのそのような実施形態では、担体ビヒクル(D)は、水及び水混和性溶媒などの少なくとも1つの他の溶媒(すなわち、共溶媒)を含む。そのような共溶媒の例としては、上述の水混和性担体ビヒクルのいずれかが挙げられ得る。共溶媒の特定の例としては、グリセロール、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、ジエチレン及びジプロピレングリコールのエーテル(例えば、メチル、エチル、プロピル、及びブチルエーテルなど)など、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。
【0113】
利用される担体ビヒクル(D)の量は、限定されず、選択される溶媒の種類、用いられる成分(A)及び(B)の量及び種類、組成物の形態(すなわち、濃縮物、中間体組成物、又は最終使用組成物か否か)などの様々な要因に依存する。典型的には、利用される担体ビヒクル(D)の量は、組成物の総重量、又は成分(A)、(B)、及び(C)(利用される場合)の合計重量に基づいて、0.1~99.9重量%の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、担体ビヒクル(D)は、成分(A)、(B)、及び任意選択的に(C)の合計重量に基づいて、50~99.9重量%、例えば、60~99.9、代替的に70~99.9、代替的に80~99.9、代替的に90~99.9、代替的に95~99.9、代替的に98~99.9、代替的に98.5~99.9、代替的に98.5~99.7、代替的に98.7~99.7重量%の量で利用される。当業者は、これらの範囲の上限が一般に、利用される成分(A)及び(B)(すなわち、最終使用組成物中)の活性量を反映する。したがって、これらの範囲外の量も利用してもよい。具体的な実施形態では、水と成分(A)との重量比は、90:1~600:1である。
【0114】
組成物において、アニオン性ポリマー(A)及びシロキサンカチオン性界面活性剤(B)は、単独で(すなわち、ニートで、又は担体ビヒクル(D)と組み合わせて)、少なくとも1つの補助成分とともに、又は少なくとも1つの他の成分への補助として、任意選択的に1つ以上の添加剤(例えば、薬剤、アジュバント、原料、調整剤など)の存在下で使用され得る。したがって、ある特定の実施形態では、組成物は、1つ以上の添加剤などの1つ以上の追加の成分を更に含む。そのような添加剤が、当該技術分野の異なる用語に分類され得、添加剤がそのような用語に分類されるからといって、それらがその機能にそのように限定されることを意味しないことを理解されたい。更に、これらの添加剤のうちのいくつかは、組成物の特定の成分中に存在し得るか、又は代わりに、組成物を形成するときに組み込まれ得る。典型的には、組成物は、例えば、組成物中の特定の種類及び/又は機能に応じて、任意の数の添加剤を含み得る。
【0115】
例えば、ある特定の実施形態では、組成物は、(E)レオロジー調整剤、(F)pH制御剤、及び(G)フォーム向上剤、を含むか、代替的にそれから本質的になるか、代替的にそれらからなる、1つ以上の添加剤成分を含み得る。
【0116】
ある特定の実施形態では、組成物は、レオロジー調整剤(E)を更に含む。レオロジー調整剤(E)は、特に限定されず、一般に、組成物又はそれを含む最終使用組成物の粘度、流動特性、及び/又はフォーミング特性(すなわち、フォーム形成能力及び/又はフォーム安定性)を変更するように選択される。したがって、レオロジー調整剤(E)は、特に限定されず、増粘剤、安定剤、粘度調整剤、チキソトロープ剤など、又はそれらの組み合わせを含み得、これらは一般に、天然又は合成増粘化合物から選択される。いくつかの実施形態では、レオロジー調整剤(E)は、1つ以上の水溶性及び/又は水相溶性増粘化合物(例えば、水溶性有機ポリマーなど)を含む。利用される場合、レオロジー調整剤(E)は、アニオン性ポリマー(A)とは異なる。
【0117】
レオロジー調整剤(E)での使用又はレオロジー調整剤(E)としての使用に好適な化合物の例としては、アクリルアミドコポリマー、アクリレートコポリマー、及びそれらの塩(例えば、ナトリウムポリアクリレートなど)、セルロース(例えば、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、デンプン(例えば、デンプン、ヒドロキシエチルデンプンなど)、ポリオキシアルキレン(例えば、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマーなど)、カルボマー、アジネート(例えば、ナトリウムアジネート)、様々なガム(例えば、アラビアゴム、カシアガム、カロブガム、スクレログルカンガム、キサンタンガム、ゲランガム、ラムザンガム、カラヤガム、カラギーナンガム、グアーガムなど)、コカミド誘導体(例えば、コカミドプロピルベタインなど)、中鎖から長鎖のアルキル及び/又は脂肪酸アルコール(例えば、セテアリルアルコール、ステアリルアルコールなど)、ゼラチン、サッカライド(例えば、果糖、グルコース、PEG-120メチルグルコースジオレートなど)など、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。
【0118】
ある特定の実施形態では、組成物は、pH制御剤(F)を含む。pH制御剤(F)は、特に限定されず、組成物のpHを修正若しくは調整するため、及び/又は組成物のpHを特定の範囲で維持(例えば調節)するために好適な任意の化合物を含み得るか、又はそれであり得る。したがって、当業者には理解されるように、pH制御剤(F)は、以下に説明するもののうちのいずれか1つ以上などの、pH調整剤(例えば、酸及び/又は塩基)、pH緩衝液、又はそれらの組み合わせを含むか、代替的にそれである。
【0119】
酸の例としては、一般に、鉱酸(例えば、塩酸、リン酸、硫酸など)、有機酸(例えば、クエン酸など)など、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。塩基の例としては、一般に、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、カーボネート(例えば、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩など)、ホスフェートなど、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。
【0120】
ある特定の実施形態では、pH制御剤(F)は、pH緩衝液を含むか、代替的にそれである。好適なpH緩衝液は、特に限定されず、組成物のpHを調整することができ、かつ/又は組成物のpHを特定の範囲で維持(例えば調節)することができる任意の緩衝化合物を含み得るか、代替的にそれであり得る。当業者には理解されるように、好適な緩衝液及び緩衝化合物の例は、添加剤間の機能の重複に起因して、上述のものを含むある特定のpH調整剤と重複し得る。したがって、両方をpH制御剤(F)で利用又はpH制御剤(F)として利用する場合、pH緩衝液及びpH調整剤は、互いに独立して又は集合的に選択され得る。
【0121】
一般に、好適なpH緩衝液は、酸、塩基、又は塩を含む(例えば、酸/塩基の共役塩基/酸を含む)緩衝化合物から選択される。緩衝化合物の例としては、一般に、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、カーボネート(例えば、セスキカーボネート、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩など)、ボレート、シリケート、ホスフェート、イミダゾール、クエン酸、ナトリウムシトラートなど、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。いくつかのpH緩衝液の例としては、シトラート緩衝液、グリセロール緩衝液、ボレート緩衝液、ホスフェート緩衝液、及びそれらの組み合わせ(例えば、クエン酸-ホスフェート緩衝液など)が挙げられる。したがって、pH制御剤(F)のpH緩衝液での使用又はpH緩衝液としての使用に好適な特定の緩衝化合物のいくつかの例としては、エチレンジアミン四酢酸(例えば、ジナトリウムEDTAなど)、トリエタノールアミン(例えば、トリス(2-ヒドロキシエチル)アミンなど)、シトラート及び他のポリカルボン酸系化合物など、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。
【0122】
いくつかの実施形態では、組成物は、フォーム向上剤(G)を含む。フォーム向上剤(G)での使用又はフォーム向上剤としての使用に好適な特定の化合物/組成物としては、限定されないが、一般に、組成物又はそれを含む最終使用組成物のフォーミング特性(例えば、発泡性、フォーム安定性、フォーム排水、フォーム展延性、フォーム密度など)を付与、増強、及び修正することができるものが挙げられる。したがって、当業者は、フォーム向上剤(G)での使用又はフォーム向上剤(G)としての使用に好適な化合物/組成物が、組成物の他の添加剤/成分に関して本明細書に説明したものと重複し得ることを容易に理解するであろう。利用される場合、フォーム向上剤(G)は、アニオン性ポリマー(A)とは異なる。
【0123】
例えば、ある特定の実施形態では、フォーム向上剤(G)は、電解質(例えば、様々なアニオンのアルカリ金属及び/又はアルカリ土類塩、例えば、クロリド、ボレート、シトラート、並びに/又はナトリウム、カリウム、カルシウム、及び/若しくはマグネシウムのサルフェート塩、アルミニウムクロロ水和物など)から選択される安定剤、高分子電解質(例えば、ヒアルロン酸ナトリウムなどのヒアルロン酸塩)、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトール)、ハイドロコロイドなど、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせを含む。
【0124】
フォーム向上剤(G)での使用又はフォーム向上剤(G)としての使用に好適なフォーム向上剤の他の例は、当該技術分野で既知である。例えば、フォーム向上剤(G)は、ポリマー安定剤、例えば、ポリアクリル酸塩、変性デンプン、部分加水分解タンパク質、ポリエチレンイミン、ポリビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシビニルポリマー、又はそれらの組み合わせを含むものを含み得る。これらの又は他の実施形態では、フォーム向上剤(G)は、増粘剤、例えば、1つ以上のガム(例えば、キサンタンガム)、コラーゲン、ガラクトマンナン、デンプン、デンプン誘導体及び/若しくは加水分解物、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、コロイドケイ酸、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドン-ビニルアセテートコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど、又はそれらの誘導体、修飾体、若しくは組み合わせを含むものを含み得る。
【0125】
組成物は、1つ以上の追加の成分/添加剤、すなわち、当該技術分野で既知であり、かつ組成物中で利用される特定の成分及びその所望の最終使用に基づいて選択される、上述のもの以外のものを含み得る。例えば、組成物は、充填剤、充填剤処理剤、表面改質剤、結合剤、相溶化剤、着色剤(例えば、顔料、染料など)、劣化防止添加剤、難燃剤、腐食防止剤、UV吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、並びに誘導体、修飾体、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0126】
組成物は、成分(A)及び(B)、並びにいずれかの任意選択の成分(例えば、上述の成分(C)~(G))を任意の添加順序で、任意選択的にマスターバッチで、かつ任意選択的に混合下で組み合わせることによって調製され得る。
【0127】
ある特定の実施形態では、組成物は、成分(A)を水と予混合して中間体組成物を調製し、その後、それを成分(B)と組み合わせて組成物を調製することによって、調製される。同様に、これらの又は他の実施形態では、組成物は、成分(B)を任意選択の成分と予混合して中間体組成物を調製し、その後、それを成分(A)と組み合わせて組成物を調製することによって、調製される。例えば、ある特定の実施形態では、成分(B)をpH制御剤(F)と組み合わせてシロキサンカチオン性界面活性剤組成物を調製し、その後、それを成分(B)と組み合わせて組成物を調製する。いくつかのそのような実施形態では、pH制御剤(F)は、鉱酸(例えば、HCl)であり、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)のいくつかであるが全てではないアミン基をプロトン化するのに十分な量で利用され、それによって、緩衝溶液としてシロキサンカチオン性界面活性剤組成物を調製する。上記の実施形態を考慮して、当業者は、pH制御剤(F)は、組成物の1つ以上の個々の成分のpHを調整するために、1つ以上の中間体組成物を緩衝するために、並びに/又は組成物それ自体若しくは1つ以上の他の成分と組み合わせた組成物のpHを修正、制御、及び/若しくは緩衝するためなどの、複数の機能を含み得ることを当業者は理解するであろう。
【0128】
組成物は、例えば、成分(A)及び(B)を組み合わせることを介して、任意選択的に成分(C)~(G)のうちのいずれかとともに、濃縮物として調製され得る。代替的に、希釈のために配合される場合、組成物は、優勢量の成分(D)(例えば、組成物の総重量に基づいて>50、代替的に>75、代替的に>90重量%)を含み得、依然として濃縮物として定義される。
【0129】
フォーム安定化組成物は、フォーム形成組成物として配合され得るか(上述のように、組成物の濃縮物の希釈を介する)、又はフォーム形成組成物を調製するための添加剤として利用され得る(例えば、フォーム安定化組成物をベース配合物、すなわち、フォーミング剤、溶媒/担体、添加剤などを含む配合物と組み合わせることを介する)。例えば、フォーミング組成物は、任意選択的に1つ以上のフォーム添加剤と組み合わされた水を(例えば、ホース、パイプなどから、又は反応容器/反応器からの活性流として)提供し、フォーム安定化組成物を水と(例えば、事前形成された混合物として、個々の成分(A)、(B)、任意選択的に(C)の添加を介してなど)組み合わせることによって、調製することができる。そのような事例のいずれにおいても、フォーム安定化組成物を含むフォーム形成組成物は、調製されると、通気されるか、又はそうでなければ膨張されて(例えば、フォーミング装置を介して、通気された水のストリーム/流れへの適用など)、フォーム組成物(すなわち、「フォーム」)を形成し得る。
【0130】
フォーム安定化組成物で調製されたフォームは、様々な用途での使用に好適である。例えば、上記で紹介されたように、組成物は、水性フォーム、又は同様のそのようなフォームで利用され得、これは、火災の消火、抑制、及び/又は防止に利用され得る。特に、組成物によって提供される安定性の増加に起因して、組成物で調製されたフォームは、典型的には極めて可燃性であり、かつ/又は維持/消化が困難である、低沸点、高蒸気圧、及び/又は限定された水溶性を有する化学物質(例えば、ガソリン、有機溶媒など)を伴う、火災の消火に使用され得る。例えば、そのような火災は、火をフォームと接触させること(例えば、フォームを火に噴霧し、フォーム形成組成物を火の上に噴霧して、その上にフォームを調製するなど)によって消火され得る。同様に、フォームを利用して化学物質(例えば、その流出物又は漏出からの)を固定して、フォームを流出物/漏出の上部に適用することによって、又はそうでなければフォームをその上に形成することによって、蒸気漏出及び/又は点火を制限し得る。
【0131】
本開示の実施形態を示す以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明を限定するものではない。
【0132】
実施例で利用されるある特定の成分は、以下の表1に記載されており、その後に、実施例で利用される特定の成分のある特定の略語、省略表現、構造/化学的説明などに関する情報を含む簡単な要約が続く。化学構造に関して、明示的に示されていない各末端ペンダント基は、別途指示がない限り、メチル基(-CH)であることが理解されよう。
【0133】
【表1-1】
【0134】
【表1-2】
【0135】
調製例1:シロキサンカチオン性界面活性剤(B1)の調製
【0136】
【化17】
【0137】
3-アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(601.64g)、溶媒2(434.55g)、及び酸溶液2(1.25g)を2Lのガラス反応器に入れて混合した。反応器の内容物を撹拌し、60℃まで加熱した。次いで、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(381.4g;72.7%水溶液)を30分かけて反応器に計量供給した。反応器の内容物を60℃で3~3.5時間保持し、その後、熱を除去し、反応器の内容物が30℃まで冷却された時点で酸溶液2(80.50g)を添加した。反応器の内容物を混合し、冷却し、包装して、シロキサンカチオン性界面活性剤(シロキサンカチオン性界面活性剤(B1);58.78重量%濃度)を含む溶液の形態で反応生成物を生成した。
【0138】
調製例2:シロキサンカチオン性界面活性剤(B2)の調製
【0139】
【化18】
【0140】
3-アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(3.31g)、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(7.42g;72.7%水溶液)、溶媒2(4.32g)、及び酸溶液2(0.05g)を2オンスのバイアルに入れて混合した。バイアルの内容物を60℃の加熱ブロック上で撹拌して、混合物を得た。混合物は、約30分以内に透明になった。混合物を約2時間撹拌し、次いで、熱を除去した。次いで、酸溶液2(0.67g)をバイアルに添加し、バイアルの内容物を室温で1時間撹拌して、シロキサンカチオン性界面活性剤(シロキサンカチオン性界面活性剤(B2);55.20重量%濃度)を含む溶液の形態で反応生成物を得た。
【0141】
調製例3:安定性向上剤(C1)の調製
【0142】
【化19】
【0143】
1-ヘキシルアミン(391.99g)及び溶媒2(227.46g)を2Lのガラス反応器に入れて混合した。反応器の内容物を撹拌し、60℃まで加熱した。次いで、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(854.57g;72.7%水溶液)を30分かけて反応器に計量供給した。反応器の内容物を60℃で3~3.5時間保持し、その後、熱を除去し、反応器の内容物が30℃まで冷却された時点で酸溶液2(225.94g)を添加した。反応器の内容物を混合し、冷却し、包装して、カチオン性化合物(安定性向上剤(C1);59.96重量%濃度)を含む溶液の形態で反応生成物を生成した。
【0144】
実施例1~29及び比較例1~10
フォーム安定化組成物を実施例1~29及び比較例1~10のために調製した。以下の表2~6には、実施例1~29及び比較例1~10のフォーム安定化組成物の各々で利用した成分及び量が詳述されている。表2~6の値は、各特定のフォーム安定化組成物の総重量に基づく重量%である。表2~6の各々における重量比(A)/(B)は、重量基準である。表2~4及び6におけるモル比(A)/(B)は、成分(B)中のイオン性基のモル数に対する成分(A)中のイオン性基のモル数に基づく。表6のC.E.は、比較例を示す。実施例1~29及び比較例1~10のフォーム安定化組成物を、最初に特定のアニオン性ポリマー(A)を溶媒1(利用される場合)に分散させて、スラリーを得ることによって調製した。次いで、ポリマー(A)が希釈剤中に可溶化されて、溶液が得られるまで、希釈剤をスラリーと組み合わせる。次いで、シロキサンカチオン性界面活性剤(B)を、利用する任意の他の界面活性剤及び成分とともに、溶液と組み合わせて、特定のフォーム安定化組成物を得る。
【0145】
【表2】
【0146】
【表3】
【0147】
【表4】
【0148】
【表5】
【0149】
【表6】
【0150】
フォーム安定性試験手順:
Parker Eightの10オンス手持ち式フォーミングソープディスペンス(foaming soap dispense)を使用して、実施例1~29及び比較例1~10のフォーム安定化組成物を用いてフォームを発生させた。ヘプタンを含ませるために、直径100mm及び高さ50mmの平底結晶皿を使用した。18~55mmのレンズを備えたデジタルカメラ(Canon Rebel T3i)を使用して、一定の時間間隔で皿の側面からフォームの画像をキャプチャし、フォームの崩壊の動態を可視化した。光源、焦点、絞り、及びシャッター速度は、必要に応じて手動で調整した。40mLのヘプタンを最初に皿に注いだ。ホットプレート上で皿を加熱してヘプタンを60℃に到達させ、その温度で維持した。次いで、実施例1~29及び比較例1~10のフォーム安定化組成物の各々で形成された100mLのフォームを、熱いヘプタンの上部に分配した。その後、ホットプレートのスイッチを切り、タイマーをスタートさせた。フォームブランケットに穴が形成され、下にあるヘプタンが露出したときにタイマーを停止した。フォーム安定時間を記録した。
【0151】
以下の表7~9には、上述のフォーム安定性試験手順に従って実施例1~29及び比較例1~10のフォーム安定化組成物を用いて形成されたフォームに関連するフォーム安定時間が詳述されている。
【0152】
【表7】
【0153】
【表8】
【0154】
【表9】
【0155】
【表10】

n.d.は、比較例10の特定の組成物の高い粘度のために検出されなかったことを意味する。
【0156】
プール試験一般手順:
燃料プールを収容するために、底部に出口を有する直径19cm、深さ11cmのホウケイ酸ガラス容器を使用した。フォームを格納するために、燃料層の上方に1cmのリップを有する水層(深さ9cm)の上部にヘプタン燃料層(厚さ1cm)を形成した。フォームを発生させ、一定のフォーム流量でプールの中心に適用した。一定の空気流を維持することによって、かつ追加のフォーム安定化組成物をレベリング槽からフォーム発生槽に連続的に移送する液体レベリングシステムによって、一定のフォーム流量を達成した。この液体レベルをスパージャーディスクの3cm上方に維持した。消炎実験は、ヘプタンプールを60秒間予燃焼させ、続いて火災の消火まで一定流量でフォームを適用することからなり、これを流量の関数としての消炎時間として測定する。低いフォーム流量で消炎事象が観察されなかった場合、フォーム流を180秒後に止めて、フォームのオーバーフローを防止した。フォームが液体を燃料中に排出されたとき、消炎槽の底部に接続されたタイゴンチューブを指定の高さまで下げることによって、消炎槽からの燃料のオーバーフローを防止した。ヘプタンの代わりにガソリンを用いて同じ一般手順を繰り返した。
【0157】
表11及び13は、プール試験一般手順に従って測定した、ガソリン及びヘプタンそれぞれに対する、実施例1及び2並びに比較例2及び3を用いて形成されたフォームについての消炎時間を示す。表11からのデータは図1として本明細書に含まれ、表13からのデータは図2として本明細書に含まれる。
【0158】
【表11】
【0159】
【表12】
【0160】
【表13】
【0161】
フォーム収集:
UL-162及びEN 1568標準によって指定された寸法を有するステンレス鋼フォームスライダーを使用して、フォームを収集した。スライダーの基部にステンレス鋼収集槽(直径100mm、高さ200mm)を配置して、フォームを収集した。収集槽は、0.25インチのIDホース(McMaster-Carr、カタログ番号5346K42)用の黄銅バーブ付きホース継手に嵌合された0.25インチオリフィスをその基部に有する。タイゴンチューブ(ID=0.25インチ、壁厚=1/16インチ)をバーブ付きホース継手に取り付けた。ホース継手とニードル弁との間に約40mmのチューブを有するタイゴンチューブの反対端にニードル弁を取り付けた。ノズルをプライミングした後、フォームが収集槽内に流れるように、フォームをフォームスライダー上に噴霧した(フォーム収集中はニードル弁を閉鎖した)。フォームが収集槽の上部に到達したとき、ストップウォッチをスタートして、その後の排出時間評価のためにフォームの寿命を追跡した。
【0162】
膨張比:
フォームの膨張比は、フォーム体積と液体フォーム溶液の体積との比である。液体フォーム溶液が水と同様の密度を有すると仮定し、その密度を1g/mLと概算すると、液体フォーム溶液の体積は、フォームの質量によって概算することができる。膨張比のための数式は、以下であり、
【0163】
【数1】

式中、Vが、フォーム体積であり、Vliqが、フォーム中の液体溶液の体積であり、mが、フォームの質量である。フォームスライダーを使用して収集槽にフォームを充填した後、容器の外側をペーパータオルできれいに拭いた。フォームを含有する風袋計量した収集槽を秤量することによって、フォームの質量をグラム単位まで記録した。膨張比を、3つの異なる方法:(1)メスシリンダー方法、(2)ノズルからジャーへの収集方法、及び(3)排出率の比を使用して、上記の式に従って、フォームの体積(1600mL)をフォームの質量で除算することによって計算した。
【0164】
排出時間:
排出時間測定は、UL 162及びEN 1568標準に基づいていた。特に、ニードル弁を閉鎖した状態で、上述のようにフォームスライダーを使用して、収集槽にフォームを充填した(フォーム収集を参照のこと)。フォームが容器の上部に到達したとき、ストップウォッチをスタートさせ、容器の外側をペーパータオルを使用してきれいに拭いた。膨張比計算のために槽を秤量した後、槽をリングスタンドにクランプ固定し、500mLのガラスメスシリンダー上に配置した。メスシリンダーは、時間の関数として質量を自動的に記録するためにコンピュータに接続された天秤上にあった。排出実験を開始する前に、メスシリンダーを天秤で風袋計量した。
【0165】
フォームの排出時間を測定するために、天秤が質量を記録し始めるのと同時に、ニードル弁をゆっくりと開いた(2秒毎に1回の測定)。ストップウォッチの時間も記録して、コンピュータによって記録された時間を後に補正して、フォームの寿命を反映させた。液体(フォームではない)がフォームから排出されるときにメスシリンダー内に排出され得るように、ニードル弁のみを十分に開いた。
【0166】
カメラ(Canon EOS Rebel T3i)を三脚上に設置して、メスシリンダーを撮像した。黒色の厚紙片をメスシリンダーの後ろに配置した。カメラをコンピュータに接続し、Canon EOS Utilityソフトウェアを使用して遠隔制御した。
【0167】
排出された質量を、フォーム寿命の関数としてプロットした。短いスクリプトをMATLABに書き込んで、最初に収集された質量が実験の開始時に収集槽内のフォームの質量の25%を超えた時間を特定した。それを25%排出時間として記録した。25%排出時間は分単位まで報告されるため、ストップウォッチをスタートし、ストップウォッチをコンピュータ記録開始時間に同期させることに関連する小さな誤差は重要ではない。
【0168】
MILSPEC MIL-F-24385試験:
MIL-F-24385に概説されている直径6フィートのプール火災試験を実行した。しかしながら、燃料としてガソリン、ヘプタン、及びジェットA燃料を用いて同じ試験を実施した。プール試験の一般手順とは異なり、プール表面上にフォームを噴霧する際に、現役の消防士が関与した。フォームの適用を開始する前に10秒間燃焼させた(予燃焼)2.6mの燃料プール火災上へのフォームの堆積を開始する時間から消火の時間まで、消炎時間を測定した。バーンバック試験は、全フォーム適用(火災を消火するまでの時間を含む)の90秒後に消火されたプール火災の再点火を伴っていた。燃焼している燃料の直径30.5cmの鍋をプールの中心に降下させ、火災がプール表面の25%を再び包み込む時間を記録することによって、フォームで覆われたプールを再発火させた。小さな容器内の燃料表面をフォームで覆い、次いでワイヤスクリーンを挿入して、残留フォームをすくい取り、60秒間待機し、次いで小さなブタンライターの火炎を表面の約1.27cm上方に置いて、燃料表面上の水-界面活性剤フィルムを透過する燃料蒸気を発火させることによって、フィルム及びシール試験を行った。燃料が発火しなかった場合、合格とした。以下の表14は、実施例1及び比較例1~2についてのMILSPEC MIL-F-24385試験の結果を示す。
【0169】
【表14】
【0170】
UL 162タイプII試験:
55ガロンの燃料を最初に50平方フィートの金属鍋に分配した。トーチを使用して、燃料を発火させ、これを1分間燃焼させた。1分後、フォームプレミックスタンク上の弁を開き、フォームを、金属鍋の後部に固定された背面ボードに直接発射することによって分配した。鍋の後壁上の標的は、鍋の中心線に沿って燃料の上方12~18インチであった。消炎時間は、プール火災を観察する消防士によって直接記録された。火災がその前に消火されたとしても、フォームを完全に5分間分配した。しかしながら、火災が5分を超えて持続した場合、完全な消炎が達成されるまで追加のフォームを分配した。フォームの分配を停止してから1分後に、伸長棒を有する発火したプロパントーチを、表面近くのフォームの上部にわたってゆっくりと振った。トーチ試験の合格又は不合格を、フォームブランケットの表面にわたってトーチを振った30秒後に持続した火炎の存在によって定義した。バーンバック試験を、鍋へのフォームの適用を停止した10分後に行った。この試験は、直径12インチの鋼シリンダー(長さ約18インチ)を鍋に挿入し、柄杓を使用してパイプ内のフォームを手作業で除去することを伴っていた。指定された時間に、トーチを使用して、シリンダー内の燃料を再発火させた。火災を1分間燃焼させた後、パイプをまっすぐ上に持ち上げ、鍋から出し、脇に置いた。火災を5分間又は消火まで観察した。UL 162標準によって定義される合格は、5分後に鍋の再発火した面積が<20%であることである。以下の表15は、実施例1及び比較例2についてのUL 162タイプII試験の結果を示す。
【0171】
【表15】
【0172】
図1及び2は、試験した全てのフォーム流量において、実施例1及び2が比較例2(成分(A)を含まない)よりもはるかに速くガソリン及びヘプタンの火災を消火することを示す。更に、実施例1及び2の消炎時間は、ガソリン及びヘプタンの両方について200mL/分未満のフォーム流量で、フッ素含有比較例1の消炎時間よりも更に短い。表10の比較例2、5、6、7、8、及び9は、成分(A)及び(B)のうちのいずれか1つ以上の不存在下で、フォーム安定性が実施例のものと比較してはるかに低いことを示す。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーム安定化組成物であって、
(A)アニオン性ポリマーと、
(B)一般式(I)を有するシロキサンカチオン性界面活性剤であって、
[Z-D-N(Y)(R)2-a+y[X-x (I)、
式中、Zが、シロキサン部分であり、Dが、二価連結基であり、Rが、Hであるか、又は1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、各Yが、式-D-NR を有し、式中、Dが、二価連結基であり、各Rが、独立して、1~4個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基であり、下付き文字aが、1又は2であり、1≦y≦3であり、Xが、アニオンであり、下付き文字nが、1、2、又は3であり、1≦x≦3であるが、ただし(x*n)=yである、シロキサンカチオン性界面活性剤と、を含み、
以下の条件:
(i)成分(A)及び(B)が、0.5:1~3.5:1(A)/(B)の重量比で前記フォーム安定化組成物中に存在する、及び/又は
(ii)成分(A)及び(B)が、1:1~6.5:1の成分(A)中のアニオン性基と成分(B)中のカチオン性基とのモル比を提供するために前記フォーム安定化組成物中に存在する、のうちの少なくとも1つが、当てはまり、
成分(A)が、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、ポリ-D-ガラクツロン酸及びそのメチルエステル、カルボキシメチルデキストラン(ナトリウム塩)、並びにそれらの組み合わせから選択される、フォーム安定化組成物。
【請求項2】
条件(i)が、当てはまる、請求項1に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項3】
条件(ii)が、当てはまり、前記フォーム安定化組成物が、水を更に含み、水と成分(A)との重量比が、90:1~600:1である、請求項1又は2に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項4】
前記シロキサン部分Zが、以下の式を有し、
【化1】

式中、各Rが、R及び-OSi(Rから独立して選択され、ただし、少なくとも1つのRが、-OSi(Rであり、各Rが、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から独立して選択され、各Rが、R、-OSi(R、及び-[OSiR OSiR から独立して選択され、各Rが、R及び-[OSiR OSiR から独立して選択され、0≦m≦100であり、各Rが、独立して、置換又は非置換ヒドロカルビル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項5】
前記シロキサン部分Zが、以下の構造(i)~(iv):
【化2】

のうちの1つを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項6】
(C)成分(B)以外の安定性向上剤を更に含み、成分(C)と成分(B)との重量比が、0:1超~10:1である、請求項1~5のいずれか一項に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項7】
前記安定性向上剤(C)が、一般式(II)又は(III)のうちの1つを有し、
[Z-D-N(Y)(R)2-b+y[X-x (II)、
[(Z-D-N(R)4-c+y[X-x (III)、
式中、Zが、置換若しくは非置換のヒドロカルビル基又は官能基であり、Dが、共有結合又は二価連結基であり、下付き文字bが、1又は2であり、下付き文字cが、0、1、2、3、又は4であり、各R、Y、上付き文字y、X、下付き文字n、及び上付き文字xが、独立して選択され、かつ上記で定義されたとおりである、請求項6に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項8】
成分(C)が、式(II)を有し、Zが、6~18個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項7に記載のフォーム安定化組成物。
【請求項9】
水と、請求項1~8のいずれか一項に記載のフォーム安定化組成物と、を含む、水性フォーム。
【請求項10】
火災を消火する方法であって、前記火災を請求項9に記載の水性フォームと接触させることを含む、方法。
【国際調査報告】