(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】自動体外式除細動器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20250121BHJP
A61N 1/04 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
A61N1/39
A61N1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537860
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 IB2022062752
(87)【国際公開番号】W WO2023119256
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519451740
【氏名又は名称】セルエーイーディー ライフ セーバー ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー ドノヴァン ラクラン
(72)【発明者】
【氏名】テーバー エロール エルドアン
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB24
4C053BB35
4C053JJ01
4C053JJ23
(57)【要約】
自動体外式除細動器(AED)が説明される。AEDは、患者に配置するための2つのパッドを備え、各パッドは、エネルギー貯蔵システムを含む。エネルギー貯蔵システムは、少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックと、2つのパッドに接続されたスイッチング回路及びショック生成回路と、スイッチング回路及びショック生成回路に接続されたコントローラと、を含む。コントローラは、2つの位相の各々における電圧及びピーク電流が実質的に同じであるように、2つの位相において除細動ショックを提供するために電気的スイッチング動作を実行するように構成される。各エネルギー貯蔵ブロックは、少なくとも1つ以上のコンデンサを含む。いくつかの態様では、エネルギー貯蔵ブロックのうちの少なくとも1つは、直列に接続された2つ以上のコンデンサを含み、少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックは、コンデンサシステムが互いに直列及び並列の両方で接続されたコンデンサを含むように、並列に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に配置するための2つのパッドであって、前記2つのパッドの各々は、エネルギー貯蔵システムを含み、前記エネルギー貯蔵システムは、少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックを含む、2つのパッドと、
前記2つのパッドに接続されたスイッチング回路及びショック生成回路と、
前記スイッチング回路及び前記ショック生成回路に接続されたコントローラであって、前記コントローラは、2つの位相の各々における電圧及びピーク電流が実質的に同じであるように、前記2つの位相において除細動ショックを提供するために電気的スイッチング動作を実行するように構成される、コントローラと、を備える、自動体外式除細動器(AED)。
【請求項2】
少なくとも2つの前記エネルギー貯蔵ブロックは、前記除細動ショックの前記2つの位相の各々について互いに独立している、請求項1に記載のAED。
【請求項3】
少なくとも2つの前記エネルギー貯蔵ブロックは、並列に接続され、前記エネルギー貯蔵ブロックの各々は、少なくとも1つのコンデンサを含み、前記エネルギー貯蔵ブロックのうちの少なくとも1つは、直列の2つ以上のコンデンサを含む、請求項1又は2に記載のAED。
【請求項4】
前記コンデンサの直列配置及び並列配置は、除細動ショックを提供するための、前記エネルギー貯蔵ブロックの充電中及び前記エネルギー貯蔵ブロックの放電中の両方で同じである、請求項3に記載のAED。
【請求項5】
前記2つのパッドの各々は、約100cm
3~200cm
3の体積及び約50cm
2~100cm
2の表面積を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のAED。
【請求項6】
前記コントローラは、前記2つの位相の各々について等しい前縁波形を生成するように更に構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のAED。
【請求項7】
前記コントローラは、所定投与量の電力で除細動ショックのための所定投与量の電流を生成するように更に構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のAED。
【請求項8】
前記コントローラは、分極効果が第1の位相において観察され、脱分極効果が第2の位相において達成されるように、各位相におけるピーク電流を維持するように更に構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のAED。
【請求項9】
前記コントローラは、前記2つの位相の各々について完全傾斜波形を生成するように更に構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のAED。
【請求項10】
前記スイッチング回路は、前記エネルギー貯蔵ブロックのうちの一方が、前記2つの位相のうちの一方にエネルギーを提供するように充電、貯蔵、及び放電するように構成され、前記エネルギー貯蔵ブロックのうちの他方が、前記除細動ショックの前記2つの位相のうちの他方にエネルギーを提供するように充電、貯蔵、及び放電するように構成されるように、電気的スイッチング動作を実行するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のAED。
【請求項11】
前記スイッチング回路は、前記電流の流れの方向が前記除細動ショック中の前記2つの位相の各々の間で維持されるように、電気的スイッチング動作を実行するように構成されている、請求項10に記載のAED。
【請求項12】
前記エネルギー貯蔵ブロックのうちの少なくとも1つの前記コンデンサの各々は、同じ又は実質的に同じ公称静電容量及び動作電圧を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のAED。
【請求項13】
前記エネルギー貯蔵ブロックの各々は、前記エネルギー貯蔵ブロックの各々における少なくとも1つの前記コンデンサと直列接続及び/又は並列接続で接続された平衡抵抗器、ダイオード、又は演算増幅器のうちのいずれか1つ以上を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のAED。
【請求項14】
前記AEDは、変圧器、電気スイッチ、バッテリ、及びインダクタのうちのいずれか1つ以上を更に備え、前記変圧器、前記電気スイッチ、前記バッテリ、及び前記インダクタの各々は、低電圧モード又は低電力モードで動作可能であるように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のAED。
【請求項15】
前記ショック生成回路は、前記エネルギー貯蔵ブロックの1つ以上の前記コンデンサを充電する、かつ/若しくは放電するように構成された充電回路及び/又は放電回路を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のAED。
【請求項16】
前記コントローラは、前記ショック生成回路及び前記スイッチング回路を動作させて、前記2つの位相の間で切り替わる前記患者の心臓の電気的測定及び刺激を自動的に実行するように構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のAED。
【請求項17】
前記2つのパッドの各々は、1つ以上の電極を含み、前記2つのパッドの各々の少なくとも1つの前記電極は、前記患者の心臓の電気的測定及び刺激のうちの少なくとも1つを実行するように構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のAED。
【請求項18】
前記エネルギー貯蔵システムは、少なくとも6つのエネルギー貯蔵ブロックを含み、4つのエネルギー貯蔵ブロックは、前記除細動ショックの前記2つの位相のうちの前記第1の位相のためのエネルギーを提供するように充電、貯蔵、及び放電するように構成され、他の2つのエネルギー貯蔵ブロックは、前記除細動ショックの前記2つの位相のうちの前記第2の位相のためのエネルギーを提供するように充電、貯蔵及び放電するように構成されている、請求項1~17のいずれか一項に記載のAED。
【請求項19】
少なくとも2つの前記エネルギー貯蔵ブロックは、接続され、並列に接続され、前記エネルギー貯蔵ブロックの各々は、少なくとも1つのコンデンサを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のAED。
【請求項20】
患者に配置される2つのパッドを有するAEDを動作させる方法であって、前記方法は、
前記患者の心臓の電気的測定及び刺激の複数の機能を実行することと、
2つの位相において除細動ショックを提供するために電気的スイッチング動作を実行するようにコントローラを動作させることであって、前記2つの位相の各々における電圧及びピーク電流は、実質的に同じである、ことと、を含む、方法。
【請求項21】
前記除細動ショックの前記2つの位相のうちの第1の位相における前記ピーク電流及び前記電圧は、分極効果が前記患者において観察される第1の時間間隔tp1まで維持される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の時間間隔は、前記除細動ショックが前記患者の心筋のすべての細胞に到達するのにかかる時間である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
複数方向で1つ以上の電極によって実行される前記患者の心臓の電気的測定及び刺激の前記複数の機能は、
前記2つのパッドの位置を検出するために心臓電気信号を測定することと、
ショック可能な心調律を検出するためにECG信号を測定することと、
ショック可能な心調律が検出された場合、前記2つのパッドにより、前記2つのパッドの検出された位置に基づく投与量の除細動ショックを送達することと、を含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記2つのパッドの位置を検出するために使用される前記測定された心臓電気信号は、電圧、電流、インピーダンス、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項20~23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの位相の各々における電圧及びピーク電流が実質的に同じであるように、2つの位相において除細動ショックを依然として提供することができる小さなフォームファクタを有する自動体外式除細動器に関する。
【0002】
本発明は更に、直列及び並列の両方で接続されたコンデンサを含むエネルギー貯蔵システムを有する自動体外式除細動器に関する。
【背景技術】
【0003】
自動体外式除細動器(automated external defibrillator、AED)は、ショック可能な不整脈の存在を自動的に診断し、心臓リズムを正常に回復させるために電気ショックを送達する。
【0004】
市場で入手可能な大部分のAEDは、一般的にはウォールキャビネット内に保管される大型装置であり、高価である。これらのAEDは、数分の1秒で大きな電圧の電荷を供給するAEDを動作させるために必要な電気的構成要素を収容するための大きなフォームファクタを有する。ほとんどの場合、そのようなAEDは、数が極めて少なく、緊急時に迅速に位置を特定して使用することが困難である。したがって、AEDは、突然の心停止の大多数の場合において、犠牲者又は居合わせた人が利用できないままである。
【0005】
逆に、植込み型除細動器(implantable cardioverter-defibrillator、ICD)は、不規則な心拍(不整脈)を検出して停止させるために胸部に配置される小型のバッテリ駆動式装置である。ICDは、心拍を連続的に監視し、必要に応じて電気ショックを与えて、規則的な心拍リズムを回復させる。AEDを使用するときに心臓の上の皮膚及び組織によって提供される抵抗と比較して、ICDは、心臓に直接接続するので、ICDは、AEDと比較してより低い電圧を心臓に送達する。
【0006】
本開示の目的は、従来技術に関連する1つ以上の欠点若しくは制限に対処若しくは1つ以上の欠点若しくは制限を改善するか、又は少なくとも公衆に有用な選択肢を提供する、改善されたエネルギー貯蔵システム及びそれを有する人工体外式除細動器を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、本開示は、自動体外式除細動器(AED)であって、
患者に配置するための2つのパッドであって、各パッドは、エネルギー貯蔵システムを含み、エネルギー貯蔵システムは、少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックを含む、2つのパッドと、
2つのパッドに接続されたスイッチング回路及びショック生成回路と、
スイッチング回路及びショック生成回路に接続されたコントローラであって、コントローラは、2つの位相の各々における電圧及びピーク電流が実質的に同じであるように、2つの位相において除細動ショックを提供するために電気的スイッチング動作を実行するように構成される、コントローラと、を備える、自動体外式除細動器(AED)を提供してもよい。
【0008】
別の態様では、本開示は、患者に配置するための2つのパッドを有するAEDを動作させる方法を提供してもよく、本方法は、
患者の心臓の電気的測定及び刺激の複数の機能を実行することと、
2つの位相において除細動ショックを提供するために電気的スイッチング動作を実行するようにコントローラを動作させることであって、2つの位相の各々における電圧及びピーク電流は、実質的に同じである、ことと、を含む。
【0009】
別の態様では、本開示は、除細動器であって、
患者に配置するための2つのパッドと、
少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックを有するコンデンサシステムであって、各エネルギー貯蔵ブロックは、コンデンサを含み、少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックは、並列に接続されている、コンデンサシステムと、
2つのパッドに接続されたスイッチング回路及びショック生成回路と、
スイッチング回路及びショック生成回路に接続されたコントローラであって、コントローラは、2つの位相の各々における電圧及びピーク電流が実質的に同じであるように、2つの位相において除細動ショックを提供するために電気的スイッチング動作を実行するように構成される、コントローラと、を備える、除細動器を提供してもよい。
【0010】
別の態様では、本開示は、少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックを有するコンデンサシステムを備える除細動器を提供してもよく、各エネルギー貯蔵ブロックは、コンデンサを含み、エネルギー貯蔵ブロックのうちの少なくとも1つは、直列に接続された2つ以上のコンデンサを含み、少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックは、コンデンサシステムが互いに直列及び並列の両方で接続されたコンデンサを含むように並列に接続され、コンデンサシステムのコンデンサの直列配置及び並列配置は、除細動ショックを提供するために、コンデンサシステムの充電中及びエネルギーシステムの放電中の両方で同じである。
【0011】
別の態様では、本開示は、互いに並列に固定された複数のエネルギー貯蔵ブロックを有するコンデンサシステムを備える除細動器を提供し、各エネルギー貯蔵ブロックは、コンデンサを含み、エネルギー貯蔵ブロックのうちの少なくとも1つは、直列に固定された2つ以上のコンデンサを含む。
【0012】
別の態様では、本開示は、電気的に並列に接続された少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックを有するエネルギー貯蔵システムを備える除細動器を提供し、エネルギー貯蔵ブロックの各々は、コンデンサを含み、エネルギー貯蔵ブロックの少なくとも1つは、エネルギー貯蔵システムが直列及び並列の両方に配置されたコンデンサを含むように、電気的に直列に接続された2つ以上のコンデンサを含み、エネルギー貯蔵システムのコンデンサの直列配置及び並列配置は、除細動ショックを提供するために、エネルギーシステムの充電中及びエネルギーシステムの放電中の両方で同じである。
【0013】
別の態様では、本開示は、電気的に並列に接続された少なくとも2つのコンデンサブロックを有するエネルギー貯蔵システムを備える除細動器を提供し、コンデンサブロックのうちの少なくとも1つは、電気的に直列に接続された2つ以上のコンデンサを含み、エネルギー貯蔵システムのコンデンサの直列配置及び並列配置は、除細動ショックを提供するために、エネルギーシステムの充電中及びエネルギーシステムの放電中の両方で同じである。
【0014】
別の態様では、本開示は、除細動器のためのエネルギー貯蔵システムを提供し、エネルギー貯蔵システムは、エネルギー貯蔵システムを充電するためのバッテリと、貯蔵されたエネルギーを除細動ショックとして送達することができる一対の電極パッドと、に関連付けられ、エネルギー貯蔵システムは、共に並列に接続された複数のエネルギー貯蔵ブロックを含み、各エネルギー貯蔵ブロックは、共に直列に接続された複数のコンデンサを含む。
【0015】
別の態様では、本開示は、自動体外式除細動器のための電荷貯蔵アセンブリを提供し、電荷貯蔵アセンブリは、
並列に固定的に接続された複数の電荷貯蔵ブロックを含み、
各電荷貯蔵ブロックは、直列に固定接続された複数のコンデンサを含む。
【0016】
別の態様では、本開示は、コンデンサの第1のバンク及び第2のバンクを有する人工体外式除細動器を提供し、少なくとも1つのバンクは、少なくとも3つのコンデンサを含み、少なくとも1つのコンデンサは、コンデンサの別のコンデンサに直列に接続され、少なくとも1つのコンデンサは、コンデンサの別のコンデンサに並列に接続され、コンデンサの直列配置及び並列配置は、固定されている。
【0017】
別の態様では、本開示は、自動体外式除細動器を動作させる方法を提供し、本方法は、
コンデンサシステムをバッテリから充電するステップであって、コンデンサシステムは、少なくとも3つのコンデンサをそれぞれ含む第1のコンデンサバンク及び第2のコンデンサバンクを含み、各コンデンサバンクの少なくとも1つのコンデンサは、同じコンデンサバンクのコンデンサのうちの別のコンデンサに直列に接続され、各コンデンサバンクの少なくとも1つのコンデンサは、同じコンデンサバンクのコンデンサのうちの少なくとも別のコンデンサに並列に接続される、ステップと、
第1の除細動位相を提供するために第1のコンデンサバンクを放電するステップと、
第2の除細動位相を提供するために第2のコンデンサバンクを放電するステップと、を含み、
第1のコンデンサバンク及び第2のコンデンサバンクのコンデンサの直列配置及び並列配置は、充電ステップ及び放電ステップの各々の両方について同じである。
【0018】
別の態様では、本開示は、自動体外式除細動器を充電する方法を提供し、本方法は、
バッテリからコンデンサシステムを充電するステップであって、コンデンサシステムは、直列に固定接続された少なくとも2つのコンデンサと、直列に固定接続された少なくとも2つのコンデンサに並列に固定接続された少なくとも1つのコンデンサと、を含む、ステップを含む。
【0019】
別の態様では、本開示は、自動体外式除細動器のためのコンデンサシステムを製造する方法を提供し、本方法は、
複数のコンデンサを直列に固定接続してエネルギー貯蔵ブロックを形成することと、
複数の当該エネルギー貯蔵ブロックを提供することと、
複数のエネルギー貯蔵ブロックを共に並列に固定接続して、コンデンサシステムを形成することと、を含む。
【0020】
別の態様では、本開示は、除細動のためのエネルギーを貯蔵する複数のコンデンサを備える除細動器を提供し、コンデンサは、円筒形であり、長手方向軸線を有し、コンデンサは、各コンデンサの長手方向軸線が共通平面内に位置するように除細動器内に配置される。
【0021】
以下の構成は、上記態様のいずれかに関連してもよい。
【0022】
一構成では、少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックは、除細動ショックの2つの位相の各々について互いに独立している。
【0023】
一構成では、少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックは、並列に接続され、各エネルギー貯蔵ブロックは、少なくとも1つのコンデンサを含み、エネルギー貯蔵ブロックのうちの少なくとも1つは、直列の2つ以上のコンデンサを含む。
【0024】
一構成では、コンデンサの直列配置及び並列配置は、除細動ショックを提供するために、エネルギー貯蔵ブロックの充電中及びエネルギー貯蔵ブロックの放電中の両方で同じである。
【0025】
一構成では、各パッドは、約100cm3~200cm3の体積及び約50cm2~100cm2の表面積を有し、好適な範囲は、これらの値のいずれかの間から選択されてもよい。
【0026】
一構成では、コントローラは、2つの位相の各々について等しい前縁波形を生成するように更に構成される。
【0027】
一構成では、コントローラは、所定投与量の電力で除細動ショックのための所定投与量の電流を生成するように更に構成される。
【0028】
一構成では、コントローラは、分極効果が第1の位相において観察され、脱分極効果が第2の位相において達成されるように、各位相においてピーク電流を維持するように更に構成される。
【0029】
一構成では、コントローラは、2つの位相の各々について完全傾斜波形を生成するように更に構成される。
【0030】
一構成では、スイッチング回路は、エネルギー貯蔵ブロックのうちの一方が、2つの位相のうちの一方にエネルギーを提供するように充電、貯蔵、及び放電するように構成され、エネルギー貯蔵ブロックのうちの他方が、除細動ショックの2つの位相のうちの他方にエネルギーを提供するように充電、貯蔵、及び放電するように構成されるように、電気的スイッチング動作を実行するように構成される。
【0031】
一構成では、スイッチング回路は、電流の流れの方向が除細動ショック中の2つの位相の各々の間で維持されるように、電気的スイッチング動作を実行するように構成される。
【0032】
一構成では、エネルギー貯蔵ブロックのうちの少なくとも1つのエネルギー貯蔵ブロックのコンデンサの各々は、同じ又は実質的に同じ公称静電容量及び動作電圧を有する。
【0033】
一構成では、各エネルギー貯蔵ブロックは、エネルギー貯蔵ブロックの各々における少なくとも1つのコンデンサと直列接続及び/又は並列接続で接続された平衡抵抗器、ダイオード、又は演算増幅器のうちのいずれか1つ以上を更に含む。
【0034】
一構成では、AEDは、変圧器、電気スイッチ、バッテリ、及びインダクタのうちのいずれか1つ以上を更に備え、変圧器、電気スイッチ、バッテリ、及びインダクタの各々は、低電圧モード又は低電力モードで動作可能であるように構成される。
【0035】
一構成では、ショック生成回路は、エネルギー貯蔵ブロックの1つ以上のコンデンサを充電する、かつ/又は放電するように構成された充電回路及び/又は放電回路を含む。
【0036】
一構成では、コントローラは、ショック生成回路及びスイッチング回路を動作させて、2つの位相の間で切り替わる患者の心臓の電気的測定及び刺激を自動的に実行するように構成される。
【0037】
一構成では、2つのパッドの各々は、1つ以上の電極を含み、各パッドの少なくとも1つの電極は、患者の心臓の電気的測定及び刺激のうちの少なくとも1つを実行するように構成される。
【0038】
一構成では、除細動ショックの2つの位相のうちの第1の位相におけるピーク電流及び電圧は、分極効果が患者において観察される第1の時間間隔tp1まで維持される。
【0039】
一構成では、第1の時間間隔は、除細動ショックが患者の心筋のすべての細胞に到達するのにかかる時間である。
【0040】
一構成では、複数方向で1つ以上の電極によって実行される患者の心臓の電気的測定及び刺激の複数の機能は、
2つのパッドの位置を検出するために心臓電気信号を測定することと、
ショック可能な心調律を検出するためにECG信号を測定することと、
ショック可能な心調律が検出された場合、2つのパッドにより、パッドの検出された位置に基づく投与量の除細動ショックを送達することと、を含む。
【0041】
一構成では、2つのパッドの位置を検出するために使用される測定された心臓電気信号は、電圧、電流、インピーダンス、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0042】
一構成では、各エネルギー貯蔵ブロックのコンデンサは、直列に固定される。
【0043】
一構成では、エネルギー貯蔵システムのコンデンサの直列配置及び並列配置は、切替不可能である。
【0044】
一構成では、コンデンサシステムのコンデンサ間の電気的接続は、切り替えられない。
【0045】
一構成では、エネルギー貯蔵システムのコンデンサは、それらの間に固定された非切換接続を有する。
【0046】
一構成では、エネルギー貯蔵ブロックの各々は、直列に接続された少なくとも2つのコンデンサを有する。
【0047】
一構成では、エネルギー貯蔵ブロックの各々は、直列に接続された等しい複数のコンデンサを有する。
【0048】
一構成では、第1のコンデンサバンク及び第2のコンデンサバンクはそれぞれ、同じ総動作電圧を有する。
【0049】
一構成では、エネルギー貯蔵ブロックのうちの少なくとも1つのエネルギー貯蔵ブロックのコンデンサの各々は、同じ又は実質的に同じ公称静電容量及び動作電圧を有する。
【0050】
一構成では、エネルギー貯蔵ブロックの各々のコンデンサの各々は、同じ又は実質的に同じ公称静電容量及び動作電圧を有する。
【0051】
一構成では、エネルギー貯蔵ブロックのうちの少なくとも1つのエネルギー貯蔵ブロックのコンデンサの各々は、同一である。
【0052】
一構成では、エネルギー貯蔵ブロックの各々のコンデンサの各々は、同一である。
【0053】
一構成では、各エネルギー貯蔵ブロックは、それぞれの各エネルギー貯蔵ブロックのコンデンサ又は各コンデンサと並列に接続された平衡抵抗器を含む。
【0054】
一構成では、平衡抵抗器は、それぞれの各エネルギー貯蔵ブロックの各コンデンサにわたる均一な電圧を維持するように構成される。
【0055】
一構成では、コンデンサシステムのコンデンサは、円筒形であり、長手方向軸線を有し、コンデンサは、長手方向軸線の各々が平面内にあるように配置される。
【0056】
一構成では、コンデンサシステムのコンデンサは、円筒形であり、長手方向軸線を有し、コンデンサは、各コンデンサの長手方向軸線が別のコンデンサの長手方向軸線とa)平行又はb)同軸であるように配置される。
【0057】
一構成では、コンデンサシステムは、第1のコンデンサバンク及び第2のコンデンサバンクを含み、各コンデンサバンクは、少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックを含み、各コンデンサバンクのエネルギー貯蔵ブロックのうちの少なくとも1つは、直列に接続された2つ以上のコンデンサを含む。
【0058】
一構成では、第1のコンデンサバンク及び第2のコンデンサバンクはそれぞれ、二相性除細動ショックの第1の位相及び第2の位相のためのエネルギーをそれぞれ提供するために、電荷を貯蔵及び放電するように構成される。
【0059】
一構成では、除細動器は、4つの放電スイッチを備え、各スイッチは、第1のコンデンサバンク及び第2のコンデンサバンクの各々の間にある。
【0060】
一構成では、第1のコンデンサバンクは、二相性除細動ショックの第1の位相に電荷を供給し、第2のコンデンサバンクは、二相性除細動ショックの第2の位相に電荷を供給する。
【0061】
一構成では、電荷は、第1のコンデンサバンクと第2のコンデンサバンクとの間で転送されない。
【0062】
一構成では、第1のコンデンサバンク及び第2のコンデンサバンクは、異なる総静電容量を有する。
【0063】
一構成では、第1のコンデンサバンクは、第2のコンデンサバンクの総静電容量の約半分を再び有する。
【0064】
一構成では、第1のコンデンサバンクは、第2のコンデンサバンクよりも多い数のエネルギー貯蔵ブロックを含む。
【0065】
一構成では、エネルギー貯蔵ブロックの各々は、直列に接続された4つのコンデンサを含む。
【0066】
一構成では、第2のコンデンサバンクは、並列に接続された4つのエネルギー貯蔵ブロックを備える。
【0067】
一構成では、エネルギー貯蔵ブロックの各々は、直列に接続された4つのコンデンサを含む。
【0068】
一構成では、エネルギー貯蔵ブロックのコンデンサは、約6.8μFの公称静電容量を有する。
【0069】
一構成では、第1のコンデンサバンク及び第2のコンデンサバンクの一方又は両方の各エネルギー貯蔵ブロックのコンデンサは、約6.8μFの公称静電容量を有する。
【0070】
一構成では、第1のコンデンサバンク及び第2のコンデンサバンクの一方又は両方の各エネルギー貯蔵ブロックの各コンデンサは、約6.8μFの公称静電容量を有する。
【0071】
一構成では、エネルギー貯蔵ブロックのコンデンサは、約450Vの動作電圧を有する。
【0072】
一構成では、第1のコンデンサバンク及び第2のコンデンサバンクの一方又は両方の各エネルギー貯蔵ブロックのコンデンサは、約450Vの動作電圧を有する。
【0073】
一構成では、第1のコンデンサバンク及び第2のコンデンサバンクの一方又は両方の各エネルギー貯蔵ブロックの各コンデンサは、約450Vの動作電圧を有する。
【0074】
一構成では、除細動器は、コンデンサシステムを充電するためのバッテリと、貯蔵されたエネルギーを除細動ショックとして患者に送達するための一対の電極パッドと、を更に備える。
【0075】
一構成では、除細動器は、バッテリからコンデンサシステムを充電するように構成された充電回路を更に備える。
【0076】
一構成では、第3のコンデンサは、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサの両方と並列に接続される。
【0077】
一構成では、エネルギー貯蔵ブロックのうちの少なくとも1つのエネルギー貯蔵ブロックのコンデンサの各々は、同じ又は実質的に同じ公称静電容量及び動作電圧を有する。
【0078】
一構成では、複数の電荷貯蔵ブロックは、第1の電荷貯蔵バンク及び第2の電荷貯蔵バンク内に配置され、バンクは、分離された連続放電のためのものである。
【0079】
一構成では、放電ステップの各々の間、第1のコンデンサバンク及び第2のコンデンサバンクのコンデンサは、互いに電気的に絶縁されている。
【0080】
一構成では、各エネルギー貯蔵ブロックのコンデンサの数は、コンデンサの動作電圧及びコンデンサシステムの所望の動作電圧に基づいて選択される。
【0081】
一構成では、エネルギー貯蔵ブロックの数は、コンデンサの公称静電容量及びコンデンサシステムの所望の総公称静電容量に基づいて選択される。
【0082】
一構成では、コンデンサのうちの少なくともいくつかは、コンデンサのうちの他のもののうちの1つ以上に対して軸線方向に平行に位置合わせされる。
【0083】
一構成では、コンデンサの各々は、他のコンデンサのうちの1つ以上と軸線方向に平行に位置合わせされる。
【0084】
本明細書で使用される「軸線」という用語は、線又は平面を回転させて対称形状を形成することができる回転軸線を意味する。例えば、回転軸線を中心に回転する線は、表面を形成し、回転軸線を中心に回転する平面は、立体を形成する。
【0085】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、「及び」若しくは「又は」、又はその両方を意味する。
【0086】
本明細書で使用される場合、名詞に続く「(複数可)(s)」は、名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
【0087】
本明細書の目的のために、方法ステップが順番に記載されている場合、その順番を解釈する他の論理的方法がない限り、その順番は、ステップがその順番で時系列的に順序付けられることを必ずしも意味しない。
【0088】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」という用語は、「少なくとも部分的に~からなる」を意味する。「含む(comprising)」という用語を含む本明細書中の各記述を解釈する場合、その用語が前に付く特徴以外の特徴も存在し得る。関連する用語「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」は、同様に解釈されるべきである。
【0089】
本発明はまた、個々に又は集合的に、本出願の明細書において言及又は示される部分、要素及び特徴、並びに任意の2つ以上の部分、要素又は特徴の任意の又はすべての組み合わせにあると広く言われてもよく、本発明が関連する技術分野において公知の等価物を有する特定の整数が本明細書において言及される場合、そのような公知の等価物は、個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれるとみなされる。
【0090】
本発明が関係する当業者には、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の構造の多くの変更、並びに広く異なる実施形態及び応用が示唆されるであろう。本明細書における開示及び説明は、純粋に例示的なものであり、いかなる意味においても限定することを意図するものではない。
【0091】
本発明の他の態様は、例としてのみ与えられ、添付の図面を参照する以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図面を参照することで、本発明の好ましい実施形態について、単なる一例として説明する。
【
図1】コンデンサシステムの2つのエネルギー貯蔵ブロックを示す、除細動器のためのコンデンサシステム又はその一部の回路図である。
【
図2】コンデンサ貯蔵システムを備える除細動器の簡略化された回路図である。
【
図3】コンデンサ貯蔵システム又はその一部の回路図である。
【
図4】コンデンサ貯蔵システムを備える除細動器の簡略化された回路図の部分図である。
【
図5】コンデンサの2つのバンクを有するコンデンサ貯蔵システムを備える除細動器の簡略化された回路図である。
【
図6A】除細動器のためのコンデンサシステムのコンデンサバンクの回路図である。
【
図6B】コンデンサバンクのエネルギー貯蔵ブロックを示す、
図9Aの回路図の図である。
【
図7】コンデンサの2つのバンクを有するコンデンサ貯蔵システムを備える除細動器の簡略化された回路図の部分図である。
【
図8】コンデンサの2つのバンクを有するコンデンサシステムを備える除細動器の簡略化された回路図の部分図である。
【
図9A】内部構成要素を示す、除細動器又は除細動器の一部の図である。
【
図9B】様々な内部構成要素を示す、除細動器又は除細動器の一部の図である。
【
図10A】様々な内部構成要素を示す、除細動器又は除細動器の一部の別の図である。
【
図10B】様々な内部構成要素を示す、除細動器又は除細動器の一部の別の図である。
【
図10C】様々な内部構成要素を示す、除細動器又は除細動器の一部の別の図である。
【
図11】患者の胴体に設けられた除細動器の図である。
【
図13A】除細動器内のコンデンサシステムの配置を示す概略図である。
【
図13B】除細動器内のコンデンサシステムの配置を示す概略図である。
【
図13C】除細動器内のコンデンサシステムの配置を示す概略図である。
【
図14】各エネルギー貯蔵バンクのコンデンサ構成の例示的な実施形態の図である。
【
図15】説明されるような現在のAEDと比較した、異なるAEDの全体的なピーク間電流グラフである。
【
図16】除細動器の代替の簡略化された回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
自動体外式除細動器(AED)が説明される。AEDは、患者に配置するための2つのパッドを備え、各パッドは、エネルギー貯蔵システムを含む。エネルギー貯蔵システムは、少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックと、2つのパッドに接続されたスイッチング回路及びショック生成回路と、スイッチング回路及びショック生成回路に接続されたコントローラと、を含む。コントローラは、2つの位相の各々における電圧及びピーク電流が実質的に同じであるように、2つの位相において除細動ショックを提供するために電気的スイッチング動作を実行するように構成される。各エネルギー貯蔵ブロックは、少なくとも1つ以上のコンデンサを含む。いくつかの態様では、エネルギー貯蔵ブロックのうちの少なくとも1つは、直列に接続された2つ以上のコンデンサを含み、少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックは、コンデンサシステムが互いに直列及び並列の両方で接続されたコンデンサを含むように、並列に接続される。
【0094】
本発明者らは、小型化されているが効果的な波形を有する低減されたフォームファクタを有するAEDを開発した。したがって、説明されるようなAEDは、構成要素レイアウト及びパッケージングに対してパッド占有面積が少ないコンパクトなフォームファクタを有する。同時に、パッドは、ECG信号を高品質で取得し、高い有効性で除細動ショックを送達できる。
【0095】
したがって、本発明者らは、サイズ制約内で、かつ現在のコンデンサ技術及び規制基準の制限内で波形を生成するための最適かつ/又は効率的な解決策を提供する、小さなフォームファクタのAED及びAED内のコンデンサ構成を作製して説明した。
【0096】
上述したAEDは、以下の特徴を有する。
a)低エネルギー除細動、又は
b)等しい前縁波形、又は
c)完全傾斜波形、又は
d)位相ごとに独立したコンデンサバンク、又は
e)小さなフォームファクタ、又は
f)(a)~(e)のうちの2つ以上の任意の組み合わせ。
【0097】
本開示の実施形態による、
図12に示されるようなAED(本明細書では除細動器と称される)は、概ね、2つの除細動パッド11及び12を備えてもよい。パッド11及び12は、最初は互いに接合されてもよいが、互いに分離可能であってもよく、例えば、
図11に示されるように成人用の前側-前側位置で患者に配置されてもよい。
【0098】
AED10は、パッドの占有面積が小さい、コンパクトなデバイスフォームファクタを有してもよい。AEDの2つのパッド11及び12は、患者の心臓の電気的測定及び刺激の複数の機能を実行するように構成される。好適なコンパクトなAEDは、本出願人の国際公開第2018/232450号で更に詳細に記載されており、同特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
除細動器は、電極を通して除細動のためにエネルギーのパルスを患者に分配することを可能にする回路を含む。除細動を引き起こすのに十分なエネルギーパルスを提供するために、除細動器の回路は、エネルギーを貯蔵し、次いで急速に放電することができる1つ以上のコンデンサを含んでもよい。コンデンサは、電源によって除細動のために充電される。特に自動体外式除細動器(AED)の場合、電源は、例えば、AEDの一部であるバッテリによって、装置の一部として提供されてもよい。他の形態では、電源は、例えば、モバイルデバイスのバッテリを介して、AEDの外部で提供されてもよい。
【0100】
電子機器モジュール(図示せず)は、2つのパッドの各々のエンクロージャにパッケージングされてもよい。電子機器モジュールは、複数の電極対に接続されたスイッチング回路及びショック発生回路を含んでもよい。電子機器モジュールは、スイッチング回路及びショック発生回路に接続された1つ以上のプロセッサなどのコントローラを更に含んでもよい。
【0101】
電子機器モジュールは、1つ以上のバッテリ、変圧器、インダクタなどの他の電子構成部品も更に含んでもよく、これらもまた、2つのパッドの一方又は両方のエンクロージャにパッケージングされている。AED100の電子構成部品については、上記で述べた本出願人の国際公開第2018/232450号で更に詳述されている。
【0102】
一実施形態では、本開示のエネルギー貯蔵システムは、少なくともエネルギー貯蔵システム(コンデンサシステムとも呼ばれる)を含む。エネルギー貯蔵システムは、エネルギー貯蔵バンク(コンデンサバンクとも呼ばれる)を含む。コンデンサバンクは、少なくとも2つのエネルギー貯蔵ブロックを更に含む。一実施形態では、エネルギー貯蔵ブロックの各々は、少なくとも1つのコンデンサを含む。代替実施形態では、本開示によるエネルギー貯蔵ブロックの各々は、少なくとも3つのコンデンサを含んでもよい。少なくとも3つのコンデンサは、直列に接続された2つのコンデンサと、直列に接続されたコンデンサの一方又は両方に並列に接続された第3のコンデンサと、を含んでもよい。
【0103】
本開示による除細動器のコンデンサは、任意の好適なタイプであってもよい。例えば、コンデンサは、フィルムコンデンサ若しくはパワーフィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ、スーパーコンデンサ、若しくは電解コンデンサ、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0104】
一実施形態では、
図4に示すように、エネルギー貯蔵システムは、2つの平衡抵抗器101を含む。代替実施形態では、エネルギー貯蔵システムは、(
図5に示されるような)ダイオード、及び/又は平衡抵抗器に加えてエネルギー貯蔵ブロックの各々の中の少なくとも1つのコンデンサと直列かつ/若しくは並列に接続される、演算増幅器を含んでもよい。
【0105】
したがって、3つ以上のコンデンサを含むコンデンサシステムでは、コンデンサシステムは、少なくとも2つのコンデンサ間の直列接続と、少なくとも2つのコンデンサ間の並列接続と、を含んでもよい、すなわち、直列に接続された2つのコンデンサと、2つの直列に接続されたコンデンサの一方又は両方と並列に接続された別のコンデンサと、を含む3コンデンサシステムの場合である。
【0106】
コンデンサシステムは、このように構成されたコンデンサの1つ以上のバンクを含んでもよい。少なくともいくつかの構成では、所与のコンデンサバンクは、除細動波形の単一位相のためのエネルギーを提供するために、電荷を貯蔵して放電するように構成されてもよい。
【0107】
コンデンサシステムの並列接続された要素は、並列エネルギー貯蔵ブロックと呼ばれ得る。並列エネルギー貯蔵ブロックの各々は、1つ以上のコンデンサを含んでもよい。2つ以上のコンデンサを含む場合、エネルギー貯蔵ブロックのコンデンサは、直列に接続される。
【0108】
複数のエネルギー貯蔵ブロックは、コンデンサシステムのコンデンサバンクとして一緒に、除細動ショックとして放電するためのエネルギーを貯蔵してもよい。
【0109】
コンデンサシステムのコンデンサバンクは、2つ以上のエネルギー貯蔵ブロックを含むので、所与のコンデンサバンクのエネルギー貯蔵ブロックは、一緒に充電かつ放電されてもよい。
【0110】
図1は、本開示による除細動器用のコンデンサシステム100の一例を示す。
図1に見られるように、コンデンサシステム100は、単一のコンデンサバンク110から構成される。
【0111】
エネルギー貯蔵システム(又はコンデンサシステム)100及びエネルギー貯蔵バンク(コンデンサバンク)110は、第1のエネルギー貯蔵ブロック121及び第2のエネルギー貯蔵ブロック122である複数のエネルギー貯蔵ブロックから構成される。
【0112】
第1のエネルギー貯蔵ブロック121は、互いに直列に接続された第1のコンデンサ131及び第2のコンデンサ132を有する。第2のエネルギー貯蔵ブロック122は、第3のコンデンサ133を有する。第1のエネルギー貯蔵ブロック121と第2のエネルギー貯蔵ブロック122とは、互いに並列に接続されている。コンデンサシステムを構成するコンデンサ間の直列接続及び並列接続は、固定されている。
【0113】
本開示に従ってコンデンサシステムを構成することによって、AEDは、直列及び並列の両方以外で接続された個々のコンデンサ又は複数のコンデンサのいずれかを使用して可能であるよりも低い動作電圧及び/又は定格静電容量の個々のコンデンサを使用して組み立てられてもよい。説明された構成は、全体的な動作電圧及び全体的な公称静電容量の両方に対して直列接続及び並列接続の効果のバランスをもたらす。
【0114】
直列に接続されると、コンデンサのセットは、個々の動作電圧の合計に等しい総動作電圧を提供する。しかしながら、直列接続はまた、個々のコンデンサの公称静電容量に対して、総静電容量の減少をもたらす。直列のコンデンサの総静電容量は、個々のコンデンサ静電容量の逆数の合計の逆数に等しい。これは、式CT=1/(1/C1+1/C2+1/C3+...)によって記述され、式中、CTは、直列セットの総静電容量であり、C1は、第1のコンデンサの静電容量であり、C2は、第2のコンデンサの静電容量であり、C3は、第3のコンデンサの静電容量である。
【0115】
30μF~60μFのデュアルコンデンサ選択の使用は、ヒトにおいて最適な除細動を提供するために選択され得る。しかしながら、これらのパラメータから始めると、コンデンサ技術における現在の限界に起因する小さなフォームファクタでその静電容量を生成することには限界がある。
【0116】
必要とされる電圧及び静電容量を生成するために、配置は、AEDにおいて使用される電気的構成要素のサイズ制約に関連して最適化される必要がある。電圧制約と組み合わされた、直列のコンデンサ
【0117】
【数1】
と並列のコンデンサ(C=C
1+C
2+・・・+C
n)と間の特定の数学的相互作用(直列では累積的、並列で一定)は、同一でないコンデンサを使用することが実行不可能になり、直列のコンデンサの数を増加させると、リターンの逓減がもたらされる。
【0118】
図14は、AEDのコンデンサ構成及び総静電容量の例示的な実施形態を示す。
【0119】
並列に接続された場合、コンデンサは、個々の静電容量の合計に等しい有効静電容量と、並列に接続されたコンデンサ又はコンデンサのセットの最低動作電圧に等しい動作電圧と、を有する。したがって、1つ以上の直列接続されたコンデンサを有するエネルギー貯蔵ブロックが並列に接続されるとき、それらは、エネルギー貯蔵ブロックの各々の静電容量の和である合成公称静電容量をもたらすこととなる。
【0120】
除細動器は、所望の除細動ショックを患者に送達するために、必要とされる動作電圧及び総静電容量を有してもよい。本開示によれば、互いに直列のコンデンサ及び互いに並列のコンデンサを含むように接続された複数のコンデンサを使用することによって、所与の必要な動作電圧及び総公称静電容量が提供されてもよい。
【0121】
エネルギー貯蔵ブロックのコンデンサは、約45、46、47、48、49、50、51、52、53、54又は55μFの公称静電容量を有してもよく、有用な範囲は、これらの値のいずれかから選択されてもよい(例えば、約35~約55、約45~約53、約45~約50、約46~約55、約46~約52、約46~約50、約47~約55、約47~約53、約47~約50、約48~約55、約48~約53、約49~約55又は約49~約50μF)。
【0122】
エネルギー貯蔵ブロックのコンデンサは、約400、425、450、475、500、525、550、570又は600Vの電圧を有してもよく、有用な範囲は、これらの値のいずれかから選択されてもよい(例えば、約400~約600、約400~約550、約400~約450、約425~約600、約425~約500、約425~約450、約450~約600、約450~約550又は約450~約525V)。
【0123】
エネルギー貯蔵ブロックのコンデンサは、約50μFの公称静電容量及び約450Vの電圧を有し得る。公称静電容量は、6.8μF~60μFの範囲内であってもよく、電圧は、50V~600Vであってもよい。静電容量は、所望の波形を達成しながら、特定の構成につながる利用可能なフォームファクタにおいて所望の波形を達成するための要件を有してもよい。
【0124】
一実施形態では、第1のバンクは、67μF及び1350Vの総定格に対する直列の3つのコンデンサの4つの並列セットから構築されてもよい。第2のバンクは、33μF及び1350Vの総定格に対する直列の3つのコンデンサの2つの並列セットである。
【0125】
本二相性除細動器の低減されたフォームファクタに起因して、本構成の課題のうちの1つは、除細動器によって生成することができる全体的なエネルギーの量に関連する。しかしながら、除細動を成功させるのに必要な最適エネルギーに到達するために、本発明のAEDは、除細動ショックの最適な投与量が(表1に見られるような)除細動電流の適切な流れを決定することから導出されるように構成される。その結果、本発明の除細動器は、より低いエネルギー投与量で心臓の除細動を成功させる。これは、最適な投与量を決定することに焦点が置かれている従来の除細動器では不可能である。
【0126】
更に、予め設定されたエネルギーレベルは、120J(Zoll AED Pro/Plus)~360J(Shinglic Heart Save)の範囲で、市場の異なるAEDにわたって変化する。
図15は、市場で使用されることが多い異なるAEDの全体的なピークツーピーク電流グラフを示す。グラフは、X軸上のアンペア単位の電流量対Y軸上のオーム単位のインピーダンス量をマッピングしている。明らかなように、現在の装置(赤い凡例でCellAEDとして識別される)は、市販されている他の装置と比較して高いピーク電流及びインピーダンス値を達成し、患者内で成功した除細動結果を達成することに関して、除細動器の有効性を実証する。
【0127】
本AEDの電子構成部品は、低電力モード及び低電圧モードで動作可能であるように構成されてもよい。コンデンサの各々の間の相互作用は、従来の除細動器で使用される高電力及び高電圧の構成要素とほぼ同様であり、そうでなければ、本発明のAEDよりもサイズが数桁大きい。
【0128】
本デュアルバンクコンデンサ構成の利点は、低電力モード適応性を維持することができ、従来の除細動器において利用可能なより高電力の(かつより大きい)コンデンサシステムを更にエミュレートすることができることである。低電力モードの適合性は、より小さいバッテリを考慮するために充電回路の構成要素に対して複数の調整を実行することによって達成することができる。例えば、回路に対する調整は、(a)回路によって引き出される電流、特に連続的な「静止電流」を最小限に抑えること、(b)調整回路を使用することによって放電中に供給される電圧を一定レベルに維持すること、並びに/又は(c)比較器及び発電機などの追加の構成要素を配置すること、を含んでもよい。
【0129】
図15に示すように、コンデンサ回路のそれぞれの構成要素値が示されている。いくつかの実施形態では、コンデンサは、すべて50μF、450Vコンデンサを含む。第1のバンクは、67μF、1350Vの総定格に対して直列の3つのコンデンサの4つの並列セットから構築されてもよい。第2のバンクは、総定格33μF、1350Vに対して直列の3つのコンデンサの2つの並列セットを含んでもよい。
【0130】
ピーク電流及び電圧は、特定の患者の経胸腔インピーダンスに基づいて決定してもよい。典型的に報告されたインピーダンスの値は、約50オームである。様々なインピーダンス値における成人及び幼児のピーク電流及び電圧に関する表形式データを表1及び表2に見ることができる。
【0131】
【0132】
【0133】
表1及び表2から明らかなように、本発明の除細動器によって達成される実際の電圧は、従来の除細動器よりも低い。
【0134】
エネルギー貯蔵システム及び個々のエネルギー貯蔵バンクは、所望の除細動波形特性のセットに整合するコンデンサシステムを提供するために、前述の原理に従って構成されてもよいことが理解されるであろう。
【0135】
ショック波形は、二相性除細動器の両方の位相においてピーク電流に関して等しい前縁を有するタイプであってもよい。波形は、除細動ショック中の効率的なエネルギー印加を可能にし、最終的に、より低い全体的エネルギーをもたらす、完全傾斜波形であってもよい。
【0136】
波形は、除細動の成功に向かういくつかの重要なパラメータを有してもよく、以下のうちのいずれか1つ以上を含む。
・位相1ピーク電流
・位相1持続時間
・位相2ピーク電流
・位相2持続時間
【0137】
第1の位相の持続時間は、分極効果を達成するために除細動ショックが心筋のすべての細胞に確実に到達するために達成されなければならない最小時間(tp1)を有してもよい。第2の位相の持続時間は、必須ではなく、第1の位相の二次的なものである。ショックがより長い期間にわたって観察されると不整脈につながるので、ショックの総持続時間も調節される。
【0138】
ショック(ピーク電流)の大きさは、第1の位相において心臓細胞を分極させ、第2の位相において脱分極させることができるのに十分でなければならない。観察された最適ピーク電流は、成人については表1に、幼児については表2に示されている。
【0139】
電流及び時間は、(エネルギーではなく)除細動効率にとって最も重要な要因であることも理解されるであろう。ショックのエネルギーは、エネルギー=電流×電圧×時間として計算してもよい。したがって、エネルギー出力は、好ましい結果の尺度ではなく、電流と時間の副産物であることが明らかである。
【0140】
図15を参照すると、いくつかの既存の従来の二相性除細動器に対する、特許請求の範囲に記載された除細動器の比較が示されている。結果は、ピークツーピーク電流がすべての装置間で同様であることを実証し、除細動有効性に対する電流の重要性を強調する。最終的に、特許請求の範囲に記載された除細動波形は、他の装置に匹敵するピーク間電流を有するが、完全傾斜波形は、本除細動器がエネルギーをより効率的に印加することを可能にし、より低い全体的エネルギーをもたらす。
【0141】
更に、従来の二相性波形ベースの除細動器は、両方の相において除細動ショックを達成するために部分的に傾斜した切断波形を使用する。すなわち、ショックの途中で、スイッチは、電流の方向を変化させ、したがってショックの位相を変化させるために使用されるが、電流は、同じコンデンサから供給される。
【0142】
エネルギー貯蔵システムの本設計の相違点は、2つの独立したエネルギー貯蔵バンクの使用である。コントローラは、電気的スイッチング動作が実行されるようにスイッチング回路及びショック生成回路を動作させるように構成されてもよく、(貯蔵ブロックを含む)エネルギー貯蔵バンクの各々は、特定の位相のために使用され、その分離なしでは生成され得ない完全傾斜した等しい前縁波形を達成する。
【0143】
本構成において二相性波形を達成するために2つのコンデンサバンクを使用して、単一のコンデンサバンクと比較して、電気回路の複雑さ及びスイッチの数を低減してもよく、本設計をより効率的にする。したがって、除細動器の小さなフォームファクタをもたらす。
【0144】
更に、現代の従来の二相性波形は、両方の位相を達成するために部分的に傾斜させた切断波形を使用することが理解される。すなわち、ショックの途中で、スイッチを使用して電流の方向を変更し、したがってショックの位相を変更する。しかしながら、電流は、同じコンデンサから供給される。
【0145】
対照的に、本装置の2つのエネルギー貯蔵バンク構成を使用することによって、コントローラは、(エネルギー貯蔵ブロックを含む)エネルギー貯蔵バンクの各々が2つの位相のうちの特定の位相(すなわち、第1の位相又は第2の位相のいずれか)のために使用されるように、スイッチング回路及びショック生成回路を制御するように構成される。例えば、2つのエネルギー貯蔵バンクは、除細動ショックの2つの位相の各々について互いに独立している。
【0146】
この実施形態では、スイッチング回路は、エネルギー貯蔵ブロックのうちの一方が、2つの位相のうちの一方にエネルギーを提供するように充電、貯蔵及び放電するように構成され、エネルギー貯蔵ブロックのうちの他方が、除細動ショックの2つの位相のうちの他方にエネルギーを提供するように充電、貯蔵及び放電するように構成されるように、電気的スイッチング動作を実行するように構成される。
【0147】
加えて、スイッチング回路はまた、電流フローの方向が除細動ショックの間の2つの位相の各々の間に同じであるように維持されるように、電気的スイッチング動作を実行するように構成される。すなわち、本構成では、電流の流れのショック方向の途中で変化しない。その結果、2つの位相の各々において電流が開始した元の方向は、同じままである(又は同じであるように維持される)。
【0148】
したがって、本構成は、2つの位相の分離(すなわち、各位相に対する独立ブロック)を必ず伴って生成され得る、完全傾斜した等しい前縁波形をもたらす。
【0149】
等しい前縁波形は、第1の位相と第2の位相との間の等しいピーク電流に概ね関連する。本除細動器では、位相が別個のエネルギー貯蔵バンクで処理されるので、除細動器は、異なる静電容量値であっても、各位相に対して等しい電流(ピーク電流)及び電圧のパラメータを有する。しかしながら、従来のAEDでは、コンデンサ(複数可)が部分的に放電され、第2の位相の開始前に電圧を失うので、第2の位相の電圧は、通常、第1の位相よりも低い。この効果は、本明細書では観察されない。
【0150】
この実施形態では、コントローラは、2つの位相の各々における電圧及びピーク電流が実質的に同じであるように、2つの位相において除細動ショックを提供するために電気的スイッチング動作を実行するように構成されてもよい。
【0151】
コントローラは、2つの位相の間で切り替わる患者の心臓の電気的測定及び刺激を自動的に実行するように、ショック生成回路及びスイッチング回路を動作させるように更に構成されてもよい。
【0152】
更に、本構成では、使用されるコンデンサの動作電圧及び公称静電容量を選択し、所望の全体的な動作電圧を提供するようにコンデンサを直列セットに配置し、全体的な静電容量を増加させるようにこれらのセットを並列に接続することによって、本開示によるエネルギー貯蔵システムは、除細動器の所望の動作電圧及び公称静電容量に一致させることができる。
【0153】
コントローラは、所定投与量の電力で除細動ショックのための所定投与量の電流を生成するように更に構成されてもよい。この決定は、表1及び表2にそれぞれ報告されているような成人又は幼児についての事前設定/所定値に基づく。
【0154】
より低い動作電圧及び/又は定格静電容量を有するコンデンサは、同じコンデンサタイプに対して、少なくとも1つの寸法において縮小されたサイズであってもよい。より低い動作電圧及び/又は定格静電容量を有するコンデンサはまた、同じコンデンサタイプに対して、コストが低減されている可能性がある。特に、3つ以上のより低い定格のコンデンサのコストの合計は、より少ない数のより高い定格のコンデンサの価格よりも低いか又は著しく低い可能性がある。
【0155】
したがって、本開示により構成されたコンデンサシステムを有するAEDは、コンデンサシステムの総コストの低減と、そうでない場合に可能であるよりも少なくとも1つの寸法が小さい形状に構成することができるコンデンサシステムとの一方又は両方を提供することが可能であってもよい。低電力構成要素を使用する電気回路の効率的な設計は、低電力電気的構成要素がサイズにおいてより小さいので、本除細動器のフォームファクタを低減するための基礎である。
【0156】
単一のコンデンサバンクと比較して、二相性波形を達成するために2つの別個のコンデンサバンクを使用して、複雑さ及びスイッチの数の低減を達成してもよく、ここで説明されている設計をより実用的かつ効率的にする。
【0157】
本除細動器の各パッドは、約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200cm3の体積を有してもよく、有用な範囲は、これらの値のいずれかから選択されてもよい(例えば、約100~約200、約100~約180、約100~約160、約100~約150、約110~約200。110~約190、約110~約170、約110~約150、約120~約200、約120~約180、約120~約150、約130~約200、約130~約180、約130~約150、約140~約200、約140~約180、約140~約160又は約140~約150cm3)。
【0158】
本除細動器の各パッドは、約50、60、70、80、90又は100cm2の表面積を有してもよく、有用な範囲は、これらの値のいずれかから選択されてもよい(例えば、約50~約100、約50~約80、約50~約70、約50~約60、約60~約100、約60~約80、約60~約70又は約50~約60cm2)。
【0159】
例えば、パッドの各々の体積は、約9.7cm×9.3cm×1.7cmで153cm3の総体積を与えてもよく、表面積は、約8.2cm×8.6cmで70.5cm2の総表面積を与えてもよい。
【0160】
コンデンサシステム又は少なくとも所与のコンデンサバンクのコンデンサ間の直列接続及び並列接続は、固定されてもよい。このような構成では、コンデンサ間の接続は、それらの間に非スイッチング接続を有する。これは、1つ以上のコンデンサの直列構成及び並列構成を変更するためにスイッチが含まれる構成と比較して、単純さ及び信頼性を提供し得る。
【0161】
コンデンサ間の接続が固定されている場合、それらのコンデンサは、コンデンサの充電及びコンデンサの放電の両方に対して同じ直列関係及び並列関係で配置されることなる。充電効率の増加は、並列のコンデンサを充電することによって得てもよいが、直列及び並列の両方で接続されたコンデンサを含むコンデンサシステムにおいて固定接続を使用すると、充電効率が相対的に低下するおそれがある。しかしながら、そのように低減された充電効率はいずれも、固定接続によってもたらされる単純性及び信頼性の増加によって相殺され得る。
【0162】
コンデンサは、少なくともいくつかの構成では、直径及び長手方向軸線を有する円筒形又は少なくとも概念的に円筒形の形状であってもよい。コンデンサは、平面構成で配置されてもよい。あるいは、コンデンサは、いくつかが平面状であり、いくつかが垂直方向である混合配置を有してもよい。
【0163】
図2は、
図1のコンデンサシステム100を含むAEDなどの除細動器10の簡略化された回路図である。
【0164】
図16は、
図1のコンデンサシステム100を含むAEDなどの除細動器10の代替の簡略化された回路図である。この図に示すように、エネルギー貯蔵システムは、少なくとも1つのコンデンサ101(赤色で強調されている)を含む2つのエネルギー貯蔵バンクを含む。
【0165】
図2に見られるように、除細動器10は、バッテリ17からのエネルギーでコンデンサシステムを充電する。コンデンサシステム100に到達する前に、バッテリ17からの電圧は、変圧器18を介して昇圧される。コンデンサシステム100を充電するための変圧器18の動作は、コントローラ19によって制御され、コントローラ19はまた、患者1を挟んで接続された2つの電極14及び15へのコンデンサシステム100の放電を可能にするためにスイッチ21の動作を制御する。
【0166】
コンデンサシステム100のコンデンサ131~133の間の直列接続及び並列接続は、コンデンサの充電及び患者への放電の両方の間に同じであるように固定される。
【0167】
コンデンサシステムのコンデンサ131~133はそれぞれ、公称静電容量及び動作電圧を有する。したがって、コンデンサシステム100は、個々のコンデンサの仕様に基づいた全体的な公称静電容量及び動作電圧を有することとなる。
【0168】
図1及び
図2に概念的な形態で示されているが、除細動器、特にAEDの所望の除細動波形を満たすために、同じ原理を適用することによって更なるコンデンサシステムが構築されてもよいことが理解されよう。
【0169】
更に、
図2の図示された回路構成は、患者への単相除細動ショックのみの送達を提供してもよいが、本開示のコンデンサシステムは、他のタイプの除細動ショックを提供する除細動器において利用されてもよい。例えば、二相性又はカウンターショック除細動パルスは、AEDにおいて一般的な標準である。
【0170】
二相性ショックの各位相は、
図2の回路にHブリッジを組み込むことによって、2つのエネルギー貯蔵ブロックの各ブロックによって提供されてもよい。
【0171】
他の構成では、別個のコンデンサを利用して、それぞれの二相性位相の各々を提供してもよい。そのような構成はまた、電荷が2つの位相間の電極にわたって印加される極性を切り替えるために、Hブリッジを利用してもよい。
【0172】
コンデンサがエネルギー貯蔵ブロックの一部として直列に接続される場合、1つ以上の電荷平衡抵抗器は、各コンデンサにわたる電荷を平衡させるために、直列コンデンサの各々を挟んで接続されてもよい。例えば、
図3は、
図1及び
図2のコンデンサシステム100を示すが、第1のエネルギー貯蔵ブロック121は、第1のコンデンサ131及び第2のコンデンサ132にそれぞれ関連付けられた電荷平衡抵抗器101及び102を含む。
【0173】
図4は、コンデンサシステム100並びに電極14及び15を示す、AEDなどの除細動器10の回路図の一部である。コンデンサシステム100は、第1のコンデンサバンク111及び第2のコンデンサバンク112を有する。第1のコンデンサバンク111は、二相性除細動ショックの第1の位相を送達するためのものである。第2のコンデンサバンク112は、二相性除細動ショックの第2の位相を送達するためのものである。
【0174】
第1のコンデンサバンク111は、第1のエネルギー貯蔵ブロック121及び第2のエネルギー貯蔵ブロック122から構成されてもよい。第1のエネルギー貯蔵ブロック121は、直列に接続されたコンデンサ131及び132を有してもよい。第2のエネルギー貯蔵ブロック122は、単一のコンデンサ133を含んでもよい。
【0175】
第2のコンデンサバンク112は、直列に接続されたコンデンサ134及び135を有してもよい第3のエネルギー貯蔵ブロックと、単一のコンデンサ136を有してもよい第4のエネルギー貯蔵ブロックと、を含んでもよい。
【0176】
第1のコンデンサバンク111のエネルギー貯蔵ブロック121及び122は、並列に接続されてもよい。同様に、第2のコンデンサバンク112のエネルギー貯蔵ブロック123及び124は、並列に接続されてもよい。
【0177】
第1のエネルギー貯蔵ブロック121及び第3のエネルギー貯蔵ブロック123の両方は、それぞれの直列接続されたコンデンサの各々を挟んで接続された平衡抵抗器101a~101dを含んでもよい。
【0178】
図4の2つのコンデンサバンク111及び112は、Hブリッジの機能を提供する4つのスイッチ21~24によってそれぞれの電極14及び15に接続される。コントローラ19などによるスイッチ21~24の選択的動作によって、コンデンサシステム100のコンデンサバンク111及び112は、二相性除細動ショックを提供するために連続して放電されてもよい。
【0179】
スイッチは、トランジスタ(例えば、FET若しくはBJTスイッチ)又はリレーなどの任意の一般的に利用可能な形態であってもよい。
【0180】
コンデンサバンク111及び112の公称静電容量及び動作電圧は、所望の二相性除細動ショックを提供するために所望されるように、同じであってもよいか、又は異なってもよい。
【0181】
コンデンサシステム100又はコンデンサバンクは、3つのコンデンサのみを含んでもよいが、少なくともいくつかの構成では、コンデンサシステム又はコンデンサバンクは、直列及び並列の組み合わせで接続された4つ以上のコンデンサを含んでもよい。
【0182】
本開示によるコンデンサシステムのコンデンサは、個々のエネルギー貯蔵ブロック、各コンデンサバンク、及びコンデンサシステム全体のうちの1つ又は各々に所望の動作電圧及び/又は公称静電容量を提供するように選択されてもよい。例えば、各エネルギー貯蔵ブロック内のコンデンサの数並びにそれらの個々の動作電圧及び公称静電容量は、それらの直列及び並列の組み合わせの結果として、所与のエネルギー貯蔵ブロック、コンデンサバンクのうちの特定の1つ、又は全体としてのコンデンサシステム全体に対して、特定の動作電圧及び/又は公称静電容量を提供するように選択されてもよい。
【0183】
いくつかの構成では、コンデンサバンクのコンデンサ、又は更にはコンデンサシステム全体のコンデンサは、同じ動作電圧を有するように選択されてもよい。
【0184】
同じコンデンサバンクの異なるエネルギー貯蔵ブロックは、異なる数のコンデンサを含んでもよいが、効率を最大化するために、各エネルギー貯蔵ブロックの総動作電圧が同じであることが好ましい場合がある。そうでなければ、最も低い定格のエネルギー貯蔵ブロックの総動作電圧を超えないように、他のブロックは、それらの動作電圧未満に充電されるであろう。
【0185】
同じ総動作電圧を有するエネルギー貯蔵ブロックは、同じコンデンサ又は異なるコンデンサのいずれかの直列の組み合わせによって提供されてもよい。
【0186】
少なくともいくつかの構成では、コンデンサバンク又はコンデンサシステム全体のコンデンサは、少なくとも1つの物理的寸法を共通に有するように選択されてもよい。例えば、円筒形コンデンサの場合、公称静電容量及び動作電圧などのコンデンサの仕様は、同じであっても又は異なってもよいが、コンデンサの直径及びそれらの長さのうちの少なくとも1つは、同じ又は実質的に同じであってもよい。
【0187】
共用寸法を有するコンデンサを使用することによって、コンデンサを含む除細動器又は除細動器部品の対応する寸法を低減することができる。
【0188】
図5は、第1のコンデンサバンク111及び第2のコンデンサバンク112から構成されるコンデンサシステム100を備える除細動器の簡略化された回路図である。各コンデンサバンク111及び112は、2つのエネルギー貯蔵ブロック121~122及び123~124から構成され、各エネルギー貯蔵ブロックは、直列に接続されたコンデンサ131~138のうちのそれぞれ2つを有する。平衡抵抗器101は、各コンデンサ131~138を挟んで接続される。
【0189】
図5に見られるように、変圧器18のコンデンサシステム側は、0電圧ノード31に接続されて示されている。
【0190】
図5の例では、第1のコンデンサバンク111のエネルギー貯蔵ブロック121及び122は、同じ動作電圧を有してもよい。これは、a)同じ動作電圧を有するエネルギー貯蔵ブロック121及び122の各々のコンデンサのそれぞれの対、b)異なる動作電圧を有する各コンデンサ(例えば、500Vの動作電圧を有する第1のエネルギー貯蔵ブロック122に対して200Vの動作電圧を有するコンデンサ131及び300Vの動作電圧を有するコンデンサ132、また500Vの動作電圧を有する第2のエネルギー貯蔵ブロック121に対して150Vの動作電圧を有するコンデンサ133及び350Vの動作電圧を有するコンデンサ134)、又はc)同じ動作電圧を有するコンデンサ131~134の各々によって、提供されてもよい。
【0191】
同じ考察の拡張は、1つ又は各エネルギー貯蔵ブロック内に直列の3つ以上のコンデンサを有するコンデンサバンクに適用される。
【0192】
図5に見られるように、コンデンサバンク111及び112の各々のコンデンサは、互いに固定された非スイッチング関係を有し、したがって、コンデンサは、直列関係及び並列関係の同じ構成で充電され、かつ放電されることとなる。
【0193】
図6A及び
図6Bは、コンデンサバンク110の別の例示的な構成の回路図である。いくつかの構成では、コンデンサバンク110は、コンデンサシステム100を形成してもよい。他の構成では、コンデンサシステム100は、2つ以上のコンデンサバンク110を含んでもよい。
【0194】
図6Aのエネルギー貯蔵バンク110は、
図6Bに示されるように、第1のエネルギー貯蔵ブロック121及び第2のエネルギー貯蔵ブロック122を有する。各エネルギー貯蔵ブロック121及び122は、4つのコンデンサ131~134及び135~138を含む。平衡抵抗器101は、各コンデンサを挟んで接続される。
【0195】
図6A及び
図6Bの構成では、各エネルギー貯蔵ブロックのコンデンサは、少なくとも同様の、又は好ましくは同じ総動作電圧を有するように選択されてもよい。各エネルギー貯蔵ブロック121及び122の総公称静電容量は、同じであってもよいか、又は異なってもよい。
【0196】
コンデンサ131及び132は、コンデンサの同一のセットを含んでもよい。
【0197】
コンデンサ131及び132はそれぞれ、同じ動作電圧及び/又は公称静電容量を有してもよい。
【0198】
コンデンサ131及び132はそれぞれ、少なくとも1つの寸法を共通に有してもよく、例えば、コンデンサが円筒形形式である場合、コンデンサはそれぞれ、同一又は少なくともほぼ同一の直径又は長さを有してもよい。
【0199】
コンデンサシステムのコンデンサバンクは、対応する数のエネルギー貯蔵ブロック及び/又はコンデンサから構成されてもよいが、少なくともいくつかの構成では、コンデンサシステムの異なるコンデンサバンクは、異なる数のエネルギー貯蔵ブロック及び異なる数のコンデンサのうちの1つ又は両方から構成されてもよい。コンデンサバンクはまた、同じ又は異なる総動作電圧及び公称静電容量を有してもよい。
【0200】
別個のコンデンサバンクが除細動ショックの各位相を放電するために使用される場合、各コンデンサバンクの構成は、各位相の所望の特性を提供するようにカスタマイズされてもよい。
【0201】
例えば、少なくともいくつかの構成では、第2の除細動パルスよりも第1の除細動パルスにおいてより大きな除細動エネルギーを送達することが所望され得る。
【0202】
図7は、第1のコンデンサバンク111及び第2のコンデンサバンク112と、コンデンサバンク111及び112を電極14及び15に選択的に接続するためにスイッチ21~24によって形成されたHブリッジと、を有するコンデンサシステム100を示す除細動器の部分回路図である。患者1は、2つの電極114及び115の間に示されている。
【0203】
第1のコンデンサバンク111は、5つのエネルギー貯蔵ブロック121~125から構成され、各エネルギー貯蔵ブロックは、各コンデンサを挟んで平衡抵抗器101が接続された4つの直列接続されたコンデンサ131を含む。
【0204】
第2のコンデンサバンクは、3つのエネルギー貯蔵ブロック126~128から構成され、その各々は、同様に、各コンデンサを挟んで平衡抵抗器101が接続された4つの直列接続コンデンサ132を含む。
【0205】
第1のコンデンサバンクのコンデンサは、同じ動作電圧及び公称静電容量定格のコンデンサであってもよい。あるいは、それらは、異なる定格のコンデンサのセットを含んでもよい。更に代替的に、それらは、それぞれ互いに異なる定格であってもよい。第2のコンデンサバンクのコンデンサについても同様である。
【0206】
コンデンサの定格の任意の特定の構成に加えて、又はその代わりに、コンデンサバンクの一方又は両方のコンデンサは、少なくとも1つの物理的寸法を共有してもよい。例えば、コンデンサが円筒形である場合、コンデンサは、共通の直径及び/又は長さを有してもよい。
【0207】
コンデンサ131及び132の各々が共通の動作電圧及び/又は公称静電容量を有するか、あるいはエネルギー貯蔵ブロック121~128の少なくとも各々が共通の全体的な動作電圧及び/又は公称静電容量を有する構成では、第2のコンデンサバンク122は、第1のコンデンサバンク121よりも低い総エネルギー容量を有することとなる。
【0208】
図8は、コンデンサシステム100の別の構成を示す除細動器の部分回路図である。
図8のコンデンサシステム100は、第1のコンデンサバンク111及び第2のコンデンサバンク112を有する。コンデンサバンク111及び112は、Hブリッジとして動作する4つのスイッチ21~24によって電極14及び15に接続される。コンデンサバンク111及び112は、それぞれ、直列に接続された4つのコンデンサ131~134をそれぞれ有するエネルギー貯蔵ブロック120から構成される。第1のコンデンサバンク111は、6つのエネルギー貯蔵ブロック120から構成され、第2のコンデンサバンク112は、4つのエネルギー貯蔵ブロック120から構成される。各エネルギー貯蔵ブロック120の各コンデンサは、それぞれのエネルギー貯蔵ブロック120のコンデンサ131~134間の電荷を平衡させるために、コンデンサを挟んで接続された平衡抵抗器101を含む。
【0209】
各エネルギー貯蔵ブロック120が同じ総動作電圧及び公称静電容量を有する
図8の構成では、第1のコンデンサバンク121は、第2のコンデンサバンク122よりも50%大きいエネルギー貯蔵容量を有してもよい。
【0210】
上記はコンデンサシステム及びコンデンサシステムのコンデンサバンクの例を提供するが、コンデンサシステム及びそれらのコンデンサバンクの多くの他の構成が、直列及び並列の両方で接続されたコンデンサを含むように固定接続コンデンサと組み合わせる上記原理の適用を通して到達されてもよいことが理解されるであろう。特に、コンデンサは、任意の所望の動作電圧及び/又は公称静電容量を有する、所望のコンデンサバンク、及び全体としてのコンデンサシステムを提供するように、エネルギー貯蔵ブロック内で選択され、かつ配置されてもよい。
【0211】
例えば、AEDの一構成によれば、コンデンサシステムは、約20Jの総位相エネルギーを有する約2kVの二相性除細動ショックの第1の位相を供給することが所望され得る。これは、約10.2μFの公称静電容量を有する第1の位相電源を必要とする。
【0212】
そのような構成は、例えば、6つのエネルギー貯蔵ブロックを有する第1のコンデンサバンクによって提供されてもよく、各エネルギー貯蔵ブロックは、450Vの動作電圧及び50μFの公称静電容量をそれぞれ有する4つの直列接続されたコンデンサを含む。
【0213】
更に例を挙げると、この構成では、第2の位相は、約16.5Jの総位相エネルギーを有する約2kVの二相性除細動ショックの第2の位相を供給するために必要とされ得る。これは、約6.8μFの公称静電容量を有する第2の位相電源を必要とする。
【0214】
これらの仕様は、例えば、4つのエネルギー貯蔵ブロックを有する第2のコンデンサバンクによって提供されてもよく、各エネルギー貯蔵ブロックは、450Vの動作電圧及び50μFの公称静電容量をそれぞれ有する4つの直列接続されたコンデンサを含む。
【0215】
この例では、各コンデンサバンクは、同じ仕様のコンデンサで構成されており、コンデンサの仕様は、2つのコンデンサバンク間で同じである。そのような構成は、同一の寸法を有し得るような物理的に同一のコンデンサの使用を可能にしてもよい。例えば、コンデンサが円筒形コンデンサである場合、各コンデンサバンクのコンデンサの各々及びコンデンサシステムは全体として、同じ直径及び長さを有してもよい。これは、コンデンサが提供されるAED又はAED部品の寸法における効率の増加を可能にし得る。
【0216】
別の例では、AEDの別の構成によれば、AEDは、約100Jの総二相性除細動エネルギーを供給することが所望され得る。このエネルギーは、2つの位相の間で不均等に分配されてもよく、例えば、第1の位相によって約67Jが送達され、第2の位相によって約33Jが送達される。この例の目的のために、除細動位相はそれぞれ、約1.5kVで送達される必要があり得る。
【0217】
これらの仕様は、第1の位相に対して約60μFの動作静電容量と、第2の位相に対して約30μFの公称静電容量と、を必要とする。
【0218】
第1の位相に対して、これは、例えば、4つのエネルギー貯蔵ブロックを有する第1のコンデンサバンクによって提供されてもよく、各エネルギー貯蔵ブロックは、450Vの動作電圧と、67μF及び1350Vの公称静電容量と、をそれぞれ有する3つの直列接続されたコンデンサを有する。第2の位相に対して、指定された公称静電容量は、例えば、2つのエネルギー貯蔵ブロックを有する第2のコンデンサバンクによって提供されてもよく、各エネルギー貯蔵ブロックは、450Vの動作電圧と、33μF及び1350Vの公称静電容量と、をそれぞれ有する3つの直列接続されたコンデンサを有する。
【0219】
そのような特性は、二相性除細動の場合、一方又は両方の位相のピーク電圧のうちの1つ以上と、各それぞれの位相又は両方の位相の合計の除細動エネルギーと、を含んでもよい。
【0220】
少なくともいくつかの実施形態において、電解コンデンサは、それらが提供することができる単位体積当たりの比較的高い静電容量などの要因に起因して、コンデンサシステムにおいて利用されてもよい。
【0221】
限定するものではないが、より具体的には、いくつかの構成では、ロール型電解コンデンサが利用されてもよい。
【0222】
前述の例のうちのいくつかでは、コンデンサバンクは個々に、またコンデンサシステムは全体として、同一に定格コンデンサから構成されるが、少なくとも1つが直列に接続されたコンデンサを含む並列接続されたエネルギー貯蔵ブロックにおいて組み合わせられるとき、同じ総動作電圧及び位相エネルギー要件が、異なる定格のコンデンサの任意の数の他の組み合わせによって提供されてもよいことが理解されるであろう。
【0223】
しかしながら、少なくともいくつかの好ましい構成では、所与のコンデンサバンクの各エネルギー貯蔵ブロックの総動作電圧は、ほぼ等しくなり、所与のコンデンサバンクのコンデンサの各々の少なくとも1つの物理的寸法は、ほぼ等しくなる。
【0224】
前述の例のうちの少なくともいくつかでは、第1のコンデンサバンク及び第2のコンデンサバンクの両方の動作電圧は等しいが、いくつかの構成では、コンデンサバンクは、所望の除細動位相波形特性を提供するために必要に応じて、異なる総公称静電容量に加えて又はその代わりに、等しくない動作電圧を有してもよい。
【0225】
前述のように、少なくともいくつかの構成では、コンデンサバンクのコンデンサ又はコンデンサシステム全体は、円筒形コンデンサの場合など、1つの寸法のみ、直径又は長さのいずれかを共有してもよい。
【0226】
本開示はまた、AEDの一部として設けられるコンデンサの1つ以上の特定の空間配置を有する除細動器、特にAEDを提供する。
【0227】
多くの要因が、突然の心停止を治療するためにAEDがいつどこで必要とされるかという、AEDの利用可能性に影響を及ぼし得る。価格は、特に富裕でないコミュニティ及び地域において、AEDの広範な利用可能性を決定する際の重要な要因であり得る。装置の重量及び/又は物理的サイズもまた、AEDがいつどこで利用可能であるかを決定する際の重要な要因であり得る。AEDの重量は、人々が自分でAEDを携帯する意思があるか、又は緊急の場合にAEDを手元に置いておく意思があるかに関して、実際的な制限を課す可能性がある。同様に、AEDの物理的寸法は、実際にそれを持ち上げるには限界がある場合がある。例えば、大型装置は、人が携帯するのに実用的ではないおそれがあり、あるいは職場、車両、又は家庭などの日々の状況において手の届く範囲内に保持するのに実用的ではないおそれがある。
【0228】
本開示の少なくともいくつかの構成によれば、少なくとも1つの寸法において低減されたサイズを有するAEDなどの除細動器が提供されてもよい。
【0229】
図9Aは、ハウジング16の図である。様々な構成では、ハウジング16は、AEDなどの一体型単一ピース除細動器のハウジング、AEDの構成要素がパッドと関連付けられる電極パッドモジュールのハウジング、又は電極パッドの各々が接続される除細動器ベースユニットのハウジングであってもよい。
【0230】
図9Aのハウジング16内には、コンデンサ211が示されている。ハウジング16は、高さ301、幅302、及び奥行き303を有する。コンデンサ211は、直径D
1及び長さL
1を有する円筒形形式である。コンデンサ221は、円筒軸線310を有する。
【0231】
ハウジング16の少なくとも1つ又は潜在的に3つのすべての寸法は、コンデンサ221の直径D
1及び長さL
1によって制限され得る。例えば、
図9Aに見られるように、ハウジング16の高さ301は、コンデンサ211の直径D
1によって制限される。
【0232】
図9Bは、
図3Aに関連して説明したようなハウジング16の別の例を示すが、ハウジングは、それぞれが直径D
1及び長さL
1(図示せず)を有する2つのコンデンサ211及び212を含む。この構成では、ハウジング16の高さ301及び幅302の両方は、2つのコンデンサ211及び212の直径D
1によって制限される。
【0233】
図10Aは、各々が直径D
2及び長さL
2(図示せず)を有する複数のコンデンサ131~135を有する別のハウジング16を示す。複数のコンデンサ131~135は、本開示のコンデンサシステムのコンデンサであってもよい。
【0234】
コンデンサ131~135の直径D
2は、
図9A及び
図9Bのコンデンサ211及び212の直径よりも小さい。したがって、
図10Bに示されるように、
図4Aのハウジング16の高さ301は、例えば、
図9A若しくは
図9B、又は
図10Aのハウジングに対して低減されてもよく、1つの次元において比較的低減されたサイズである除細動器又は除細動器の一部を提供する。この低減により、ハウジング16の全体積の低減を更に可能にし得る。
【0235】
コンデンサ131~135の各々は、
図10Aのコンデンサ131に示されるような円筒軸線310を有する。
図10A及び
図10Bに見られるように、コンデンサ131~135の各々の円筒軸線は、ハウジング16の長さ303に平行に配向される。あるいは、コンデンサは、長手方向軸線(図示せず)を有する。
【0236】
図10A~
図10Cに見られるように、コンデンサ131~135は、それらの円筒軸線が平行であるように配置される。
【0237】
図10Cは、概念的な平面320を示す。
図10Cに示す構成では、コンデンサ131~134は、それらの円筒軸線が平面320を通過するように配置される。コンデンサの円筒軸線は、この構成では、平面320と同一平面上にあると言ってもよい。
【0238】
いくつかの構成では、ハウジング16は、電極パッドを含んでもよいか、又は電極パッドに関連付けられてもよい。電極パッドは、平面形状を有してもよい。そのような構成では、コンデンサ131の円筒軸線が平面320内に位置する場合、平面320はまた、電極パッドの平面と平行であってもよい。
【0239】
図10Cに見られるように、コンデンサ131~134は、それらの円筒軸線がハウジング16の長さ303に垂直であるように配向される。
【0240】
本開示のコンデンサシステムは、除細動器、例えば、AEDに含まれてもよい。AED10の例示的な形態は、患者1の胴体上で使用するために展開された
図11に示されている。患者の心臓2は、患者の胸の内部で破線で示されている。
【0241】
図11のAED10は、第1のパッドモジュール11及び第2のパッドモジュール12を有し、接続ワイヤ13が2つのモジュールを接続している。電極又は電極パッド14及び15は、除細動ショックを患者に伝達するために、パッドモジュール11及び12の患者に面する側に位置する。AED10の必要な動作構成要素、特にコンデンサシステム100は、パッドモジュール11及び12の一方又は両方の一部として位置してもよい。
【0242】
AED10が2つの電極パッド14及び15に接続するベースモジュールを有するような他の形態では、特にコンデンサシステムを含むAEDの他の動作構成要素の一部又はすべては、ベースユニットに位置してもよい。
【0243】
図13A~
図13Cは、2つのパッドモジュール11及び12を有するAED10内のコンデンサシステム100の異なる構成の概略平面図である。
【0244】
軸線方向に平行に配置されることに加えて、又はその代わりに、コンデンサシステムのコンデンサのうちの2つ以上は、同軸に配置されてもよい。これは、例えば、コンデンサ131及び139が並列であることによって
図13Aに示されている。
【0245】
図13Aでは、コンデンサ131~146は、コンデンサシステム100を構成する。コンデンサ131~146は、第1のパッドモジュール11の一部として設けられる。この構成はまた、
図13Cにも示されている。
【0246】
図13Bでは、コンデンサシステム100を構成するコンデンサ131~146は、第1のパッドモジュール11と第2のパッドモジュール12との間に分配される。
【0247】
コンデンサシステム100が複数のコンデンサバンクを含む場合、コンデンサシステム内のコンデンサの物理的配置は、少なくとも部分的に、バンクへのコンデンサの割り当てを反映してもよい。
【0248】
例えば、
図13Aの構成では、コンデンサ131~138は、第1のコンデンサバンクに属してもよく、コンデンサ139~146は、第2のコンデンサバンクに属してもよい。そのような構成では、各バンクのコンデンサは、他のバンクの対応するコンデンサと同軸に位置合わせされてもよい。この構成では、コンデンサの軸線は更に、共通平面内に位置してもよい。
【0249】
別の例では、
図13Aの構成において、コンデンサ131~134及び139~142は、第1のコンデンサバンクに属してもよく、コンデンサ135~138及び143~146は、第2のコンデンサバンクに属してもよい。そのような構成では、各位相のコンデンサは、同じ位相の別のコンデンサと同軸に位置合わせされてもよい。
【0250】
図13Cは、コンデンサの数が等しくない2つのコンデンサバンク111及び112がある構成を示す。コンデンサバンク111及び112のコンデンサは、それぞれ「X」及び「Y」によって表示されている。
図13Cに見られるように、コンデンサは、2つの横列に配置され、その結果、各横列のコンデンサは、他の横列の対応するコンデンサと同軸に位置合わせされる。
【0251】
コンデンサシステムのコンデンサは、除細動器、特にAEDにおいて、任意の所望の数の縦列及び横列に配置されてもよい。
【0252】
コンデンサシステムは、コンデンサの複数の層を含んでもよく、層は、
図13A~
図13Cの概略図の紙面に向かう方向又は紙面から外向きの方向に配置される。
【0253】
しかしながら、少なくともいくつかの好ましい構成では、本開示によるコンデンサシステムのコンデンサは、単一層に配置されてもよい。
【0254】
いくつかの構成では、各コンデンサの長手方向軸線が共通平面内に位置するように配置されたコンデンサを有するコンデンサシステムは、例えば、
図1~
図8に関連して説明したように、直列及び並列の両方の固定された組み合わせで接続されたコンデンサを有してもよい。
【0255】
しかしながら、他の構成では、コンデンサシステムは、各コンデンサの長手方向軸線が共通平面内に位置するように配置されたコンデンサであるが、直列及び並列の固定された組み合わせ以外で共に接続されたコンデンサを有してもよい。
【0256】
本開示によるコンデンサシステムは、AEDなどの除細動器の動作において充電かつ放電されてもよい。コンデンサシステムがコンデンサの2つ以上のバンクを含む場合、バンクは、継続的に又は同時にのいずれかで電源から充電されてもよい。コンデンサシステムがコンデンサの2つ以上のバンクを含む場合、バンクは、所望の除細動波形を提供するために、所望に応じてすべて同時に、一度に1つ、又は異なる組み合わせで放電されてもよい。
【0257】
本開示によるコンデンサシステムは、最初に複数のコンデンサを直列に固定接続してエネルギー貯蔵ブロックを形成することによって製造してもよい。複数のこれらのエネルギー貯蔵ブロックが形成されてもよい。エネルギー貯蔵ブロックは、コンデンサシステムを形成するために、共に並列に固定接続されてもよい。
【0258】
エネルギー貯蔵ブロックを組み立て、それらを共に並列に接合する工程は、いずれかの順序で、又は同時に完了してもよい。
【0259】
AEDに関連して一般的に説明されているが、本開示によるコンデンサシステムは、植込み型除細動器(ICD)、心臓外植込み型除細動器(extra-cardiac implantable defibrillator、EID)、又は他の形態の非AED体外式心臓除細動器(external heart defibrillator、EHD)などの他のタイプの除細動器の一部として利用されてもよい。
【0260】
一実施形態では、両バンク間の電圧比は、等しくてもよい。別の実施形態では、電圧比は、異なってもよい。同様に、特定の実施形態におけるエネルギー貯蔵比は、約2:1である。構成及び要件に応じて、この比は、変化してもよい。
【0261】
患者に配置される2つのパッドを有するAEDを動作させる方法は、
(i)患者の心臓の電気的測定及び刺激の複数の機能を実行することと、
(ii)2つの位相において除細動ショックを提供するために電気的スイッチング動作を実行するようにコントローラを動作させることであって、2つの位相の各々における電圧及びピーク電流は、実質的に同じである、ことと、を含む。
【0262】
一実施形態では、第1の位相におけるピーク電流及び電圧は、分極効果が患者において観察される第1の時間間隔tp1まで維持される。第1の時間間隔は、除細動ショックが患者の心筋のすべての細胞に到達するのにかかる時間である。複数方向で1つ以上の電極によって実行される患者の心臓の電気的測定及び刺激の複数の機能は、
(i)2つのパッドの位置を検出するために心臓電気信号を測定することと、
(ii)ショック可能な心調律を検出するためにECG信号を測定することと、
(iii)ショック可能な心調律が検出された場合、2つのパッドにより、パッドの検出された位置に基づく投与量の除細動ショックを送達することと、を含む。
【0263】
前述の説明において、既知の等価物を有する要素又は整数が参照されている場合、そのような等価物は、それらが個々に記載されているかのように含まれる。
【0264】
いくつかの例示的な実施形態を参照して実施形態を説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更を行うことができることが当業者には理解されよう。したがって、好ましい実施形態は、本発明を説明するためのものであって、本発明を限定しようとするものではなく、本発明の技術的範囲は、実施形態に限定されない。更に、本発明は、発明の詳細な説明によってではなく特許請求の範囲によって定義され、範囲内のすべての差異は、本発明に含まれていると解釈されるであろう。
【0265】
添付図面を参照して本明細書に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更が当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】