IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイサイ オサケユキチュアの特許一覧

<>
  • 特表-高解像度ワイドスワスSAR画像化 図1
  • 特表-高解像度ワイドスワスSAR画像化 図2
  • 特表-高解像度ワイドスワスSAR画像化 図3
  • 特表-高解像度ワイドスワスSAR画像化 図4
  • 特表-高解像度ワイドスワスSAR画像化 図5
  • 特表-高解像度ワイドスワスSAR画像化 図6
  • 特表-高解像度ワイドスワスSAR画像化 図7
  • 特表-高解像度ワイドスワスSAR画像化 図8
  • 特表-高解像度ワイドスワスSAR画像化 図9
  • 特表-高解像度ワイドスワスSAR画像化 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】高解像度ワイドスワスSAR画像化
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/90 20060101AFI20250121BHJP
   G01S 7/02 20060101ALI20250121BHJP
   B64G 1/10 20060101ALI20250121BHJP
   B64G 1/24 20060101ALN20250121BHJP
【FI】
G01S13/90 138
G01S7/02 216
B64G1/10 335
B64G1/24 400
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538223
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022084406
(87)【国際公開番号】W WO2023117390
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2118749.7
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523132594
【氏名又は名称】アイサイ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン アラン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ケニー
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB01
5J070AC02
5J070AC11
5J070AD10
5J070AE07
5J070AF08
5J070AK22
5J070BE02
(57)【要約】
合成開口レーダー「SAR」を動作させて、1つまたは複数のサブスワス(複数可)を含むスワスの画像データを取得する方法であって、前記SARは、飛行方向に沿って移動するプラットフォーム上で搭載され、放射されたビームは前記スワスに向けられ、前記方法は、バーストごとに1つのサブスワスに沿ってビームを方位角方向に電子的にステアリングするステップと、各バースト中に飛行方向と反対の方向にビームを機械的にステアリングするステップと、を含む。この方法により、スワス対解像度の比を向上させることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成開口レーダー「SAR」を動作させて1つまたは複数のサブスワスを含むスワスの画像データを取得する方法であって、前記SARは飛行方向に沿って移動するプラットフォーム上で搭載され、放射ビームは、前記スワスに向けられ、前記方法は、
バースト毎に1つのサブスワスに沿ってビームを方位角方向に電子的にステアリングするステップと、
各バースト中に前記飛行方向と反対の方向に前記ビームを機械的にバーストごとに、前記飛行方向とは反対の方向に機械的に前記ビームをステアリングするステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ビームを機械的にステアリングする銭ステップは、前記プラットフォームに対して前記SARを回転させること、および/または、前記SARを含む前記プラットフォームを移動または旋回させることによって行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビームを機械的にステアリングすると、前記ビームの地球上の実効対地速度が低下する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記ビームを機械的にステアリングするためのステアリング角速度が、前記ビームを電子的にステアリングするためのステアリング角速度よりも低く、任意選択で少なくとも3倍低い、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ビームを機械的にステアリングするためのステアリング角範囲が、前記ビームを電子的にステアリングするためのステアリング角範囲よりも高く、任意選択で少なくとも30倍高い、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
2つのバースト間のビームを標高に電子的にステアリングするステップをさらに含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
数のバーストを含む1つの取得サイクル中にビームを標高に連続的にステアリングするステップであって、各バーストは異なるサブスワスを照明する、前記ステップをさらに含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
2つ以上の取得サイクルを実行するステップであって、各取得サイクルの各最初のバーストは同じサブスワスを照射する、前記ステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1つまたは複数の取得サイクル中、前記飛行方向と反対の方向に前記ビームを連続的に機械的にステアリングするステップをさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
画像取得に使用されるパラメータは、
a.画像サイズを選択することと、
b.解像度を選択することと、
c.最大電子的ステアリング角度を選定することと、
d.バースト持続時間を計算することと、
e.ビーム速度を選択することと、
f.画像取得時間を導き出すこととによって決定される、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
1つまたは複数のサブスワス(複数可)を含むスワスの画像データを取得するための合成開口レーダー「SAR」を備える、地球の周回軌道上で作動するための人工衛星であって、前記衛星は飛行方向に沿って移動するように構成され、SARは放射ビームをスワスに向けて導くように構成され、前記SARは、さらに、
バーストごとに1つのサブスワスに沿ってビームを方位角方向に電子的にステアリングし、また、
各バースト中に飛行方向と反対の方向にビームを機械的にステアリングするように構成される、人工衛星。
【請求項12】
前記衛星は、前記SARを含む衛星を回転させることによって前記ビームの機械的ステアリングを制御するように構成された1つまたは複数のリアクションホイールを含む姿勢決定および制御システム「ADCS」を含む、請求項11に記載の衛星。
【請求項13】
前記衛星は、最大1/秒で方位角方向に旋回することによって前記ビームを機械的にステアリングするように構成される、請求項11または12に記載の衛星。
【請求項14】
総質量は1000kg未満、任意選択で100kg未満である、請求項11~13のいずれか1項に記載の衛星。
【請求項15】
前記SARは、小型の単一開口レーダーおよび/または2次元での電子ビームステアリングを可能にするフェーズドアレイを含む、請求項11~14のいずれか1項に記載の衛星。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか1項に記載の衛星を制御して、任意選択で請求項1~10のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される、地上局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成開口レーダー(SAR)画像化に関する。より具体的には、本発明は、高解像度ワイドスワス(HRWS:High-Resolution Wide Swath)SAR画像化の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
合成開口レーダー(SAR)システムの主な用途の1つは、地球表面を画像化して監視することである。このような用途では、SARシステムは通常、航空機または宇宙搭載のプラットフォームに搭載される。SARシステムは、画像化されるエリアに向けて電波のパルスが送信されるアクティブレーダーシステムであり、画像は、標的エリアから反射または散乱されるパルスからのエコーを受信して処理することによって構築される。SARシステムは、波長の異なる電磁放射を使用し、さらに独自の放射線を供給するという点で、光学画像化システムとは根本的に異なる。光学システムに比べて、昼夜を問わず、また雲に覆われていても画像を取得できるという利点がある。
【0003】
SARシステムは当技術分野でよく知られており、1950年代にSARが発明されて以来、地球を画像化するSARシステムの能力、例えば達成可能な解像度や画像化が可能なエリアのサイズに関して改良が続けられている。一般的に、「実開口」レーダー画像化システムでは、アンテナが長くなると、アンテナを搭載したプラットフォームの進行方向(方位角解像度として知られる)で達成可能な解像度が高くなる。しかしながら、良好な方位角解像度を達成するために必要なアンテナの長さは、特に宇宙搭載システムの場合、サイズと重量の点で禁止的になる可能性がある。SARは、SARシステムを搭載したプラットフォームの動きを利用して、長い「実開口」アンテナと同様の方位角解像度を提供できる「合成開口」を作成することで、この問題を解決するが、使用するアンテナははるかに短くて小さい。しかしながら、従来の単一開口SARシステムは、達成できる方位角解像度と、スワス幅と呼ばれる画像化できる「ストリップ」の幅との間の基本的なトレードオフによって依然として制約されている。基本的に、より細かい方位角解像度を達成すると、画像化できるスワスの幅が減少し、方位角解像度を低下させることなくよりワイドスワスを画像化することはできないというトレードオフが生じる。
【0004】
このトレードオフは、ストリップマップ、ScanSAR(走査型合成開口レーダー)、TOPS(逐次走査による地形観測)などの周知の従来技術のSAR走査モードに当てはまる。この制限により、高い方位角解像度を達成しながら、同時により広い走査幅を画像化できる技術が望ましい。
【0005】
従来技術の制限を考慮すると、本発明の根底にある技術的問題は、改善されたスワス対解像度比を得るためにSARイメージング方法を提供することにあると考えられる。
【0006】
以下に記載される実施形態は、上記した既知の方法の欠点のいずれかまたはすべてを解決する実施形態に限定されない。
【発明の概要】
【0007】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに説明する概念の選択を簡略化した形で説明するために提供されている。本要約は、請求項に係る主題の主要な特徴または基本的な特徴を識別することを意図しておらず、また、請求項に係る主題の範囲を決定するために使用することを意図していない。発明の実施を容易にする、および/または実質的に類似した技術的効果を達成するために使用される変形および代替的特徴は、本明細書に開示された発明の範囲に属するものとみなされる。
【0008】
第1態様では、合成開口レーダー「SAR」を動作させて、1つまたは複数のサブスワスを含むスワスの画像データを取得する方法であって、SARは飛行方向に沿って移動するプラットフォーム上に搭載され、放射ビームはスワスに向けられ、バースト毎に1つのサブスワスに沿ってビームを方位角方向に電子的にステアリングするステップと、各バースト中に前記飛行方向と反対の方向に前記ビームを機械的にバーストごとに、前記飛行方向とは反対の方向に機械的に前記ビームをステアリングするステップと、を含む、方法が提供される。
【0009】
第2態様では、1つまたは複数のサブスワスを含むスワスの画像データを取得する合成開口レーダー「SAR」を含む、地球周回軌道で動作するための衛星であって、前記衛星は飛行方向に沿って移動するように構成され、SARは放射ビームをスワスに向けて導くように構成され、前記SARは、さらに、バーストごとに1つのサブスワスに沿ってビームを方位角方向に電子的にステアリングし、また、各バースト中に飛行方向と反対の方向にビームを機械的にステアリングするように構成される、衛星が提供される。
【0010】
第3態様では、任意選択で第2態様に係る第1態様の方法を実行するために衛星を制御するように構成された地上局が提供される。地上局は、衛星に制御信号を送るように構成されてもよい。
【0011】
本明細書に記載の方法は、例えば、機械可読形式の有形記憶媒体上のソフトウェアによって実行してもよい。コンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムの形態では、プログラムがコンピュータ上で実行され、コンピュータプログラムがコンピュータ可読媒体上に具現化され得るときに、本明細書に記載されたいずれかの方法の全てのステップを実行するように適合されている。有形(または非一時的)記憶媒体の例には、ディスク、サムドライブ、メモリカード、RAM、フラッシュメモリなどが含まれ、伝播信号は含まれない。ソフトウェアは、方法ステップを任意の適切な順序でまたは同時に実行することができるように、パラレルプロセッサまたはシリアルプロセッサ上で実行するように適合されていてもよい。
【0012】
本用途では、ファームウェアおよびソフトウェアが個別に取引可能な価値のある商品であることを認識している。これは、「ダム」ハードウェアまたは標準ハードウェア上で実行または制御して、目的の機能を実行するソフトウェアおよびファームウェアを包含することを目的としている。また、所望の機能を実行するためにシリコンチップを設計したり汎用プログラマブルチップを構成したりするHDL(ハードウェア記述言語)ソフトウェアなど、ハードウェア構成を「記述」したり定義したりするソフトウェアも含まれることを目指している。
【0013】
好ましい特徴は、当業者にとって自明であるように適切に組み合わされてもよく、本発明の任意の態様と組み合わされてもよい。第1態様に係る方法は、第2態様に係る衛星に係る特徴を備えて記載してもよい。第2態様に係る衛星は、第1態様に係る方法に係る特徴を備えて構成されてもよい。
本発明の実施形態は、例として、以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】地球上空の軌道上の衛星の概略斜視図です。
図2】ScanSARモードでスワスの画像データを取得するために動作する衛星の概略図である。
図3図3は、機械的な逆方向走査を実行しながら、方位角バースト中にスワスの画像データを取得するように動作する衛星の概略図である。
図4】(a)衛星の進行方向、機械的ステアリングの方向、およびその結果としての衛星のビームの実効対地速度、および(b)取得パターンを示す概略図である。
図5】(a)方位角における電子的ステアリング、(b)標高における電子的ステアリング、(c)方位角における機械的ステアリング、および(d)図4bによる取得パターンの重ね合わせを示す一連のグラフである。
図6】衛星のコンポーネントの概略図である。
図7】衛星の部分斜視図である。
図8】信号と、方位角方向のアンビギュイテイによる潜在的なパフォーマンス損失のプロットを示している。
図9】単一バーストの時間に対する範囲アンビギュイテイ比(RAR)のプロットを示している。
図10】画像取得に使用されるパラメータを決定するために使用できる例示的なアルゴリズムを示す。
【0015】
図面全体を通して共通の符号を使用して、類似の特徴を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1態様では、本開示は、合成開口レーダー「SAR」を動作させて1つまたは複数のサブスワスを含むスワスの画像データを取得する方法であって、前記SARは飛行方向に沿って移動するプラットフォーム上で搭載され、放射ビームは、前記スワスに向けられ、前記方法は、バースト毎に1つのサブスワスに沿ってビームを方位角方向に電子的にステアリングするステップと、各バースト中に前記飛行方向と反対の方向に前記ビームを機械的にバーストごとに、前記飛行方向とは反対の方向に機械的に前記ビームをステアリングするステップと、を含む、方法を提供する。
【0017】
まず、SAR画像化を記述する用語について説明する。
【0018】
SAR画像を作成するには、電波の連続パルスを送信してターゲットシーンを照射し、各パルスのエコーを受信して記録する。単一のビームフォーミングアンテナを使用して、パルスを送信し、エコーを受信できる。送信パルスは放射ビームとして説明できる。受信モードでは、アンテナはこの放射ビームからの反射および後方散乱放射を受信する。SARは衛星等の移動プラットフォームに搭載されて、ターゲットに対して移動すると、ターゲットに対するアンテナの位置が時間とともに変化し、受信信号の周波数がドップラー効果により変化する。連続して記録されたレーダーエコーの信号処理により、複数のアンテナ位置からの記録を組み合わせて、合成アンテナ開口を形成し、より高解像度の画像を作成することができる。
【0019】
SARによって瞬間的に照射される地球上のエリアは、フットプリントと呼ばれる。スワスとは、SARが地球上を移動する際にフットプリントが通過する帯状の地形である。SARの飛行方向/進行方向に沿った方向は、通常、方位角または「アロングトラック」と呼ばれる。飛行方向を横切る方向は通常、レンジまたは「クロストラック」と呼ばれる。飛行方向と反対の方向が後進方位に相当する。
【0020】
スワスは、1つまたは複数のサブスワスを含む。各サブスワスは、範囲(または標高)が異なる場合がある。一例として、広い地上範囲を得るために、スワスは少なくとも2つから最大5つのサブスワスで構成されてもよい。あるいは、スワスは、最大10個の部分帯、または最大20個のサブスワス、または最大50個のサブスワスを含んでもよい。各サブスワスにおいて、画像データは方位角方向のバーストにブロック化されてもよい。言い換えれば、各サブスワスを方位角方向にブロックに分割し、バースト時に1ブロックの画像データを収集してもよい。各バーストは、複数のパルスを含む。通常、バーストは20~数百パルスで構成されてもよい。画像データは、バーストごとのアプローチを使用して取得されてもよい。
【0021】
ビームステアリングとは、放射されるアンテナビームの方向を指す。例えば、フェーズドアレイアンテナを備えたSARシステムでは、アンテナ要素に出入りするRF信号の位相を調整することでビームを電子的に操作できる。これにより、フェーズドアレイアンテナから送受信される放射のメインローブの方向が変わる。電子ビームステアリングは精度が高く、迅速に行うことができる。例えば、電子的ステアリングは、ステアリングを素早く行う必要があり、ステアリングに必要な角度が大きくない場合に使用される。これは、高速小角電子的ステアリングと呼ぶことができる。
【0022】
電子的ビームステアリングは、典型的には、方位角の「アロングトラック」方向、または標高または「クロストラック」方向、あるいはその両方で実行することができる。
【0023】
取得サイクルは2つ以上の方位角バーストを含み、ビームはクロストラック方向の異なるサブスワスを指すように切り替えられる。複数の取得サイクルを連続して行うことにより、連続した長さのスワスを画像化することができる。
【0024】
機械的ビームステアリングとは、アンテナまたはアンテナを搭載したプラットフォームを物理的に導くことにより、SARシステムのビームを方向付けることを指す。機械的ビームステアリングは、広いステアリング角度を可能にすることができ、したがって広い地上範囲を提供することができる。より大きな角度をステアリングすることもできるが、ステアリング角速度は通常、電子的ステアリングで達成できる速度よりもはるかに遅くなる。これは、大角度機械的ステアリングとも呼ばれる。
【0025】
背景技術で示されたように、方位角解像度とスワスとの間にはトレードオフがある。実開口レーダー(RAR)システムの場合、方位角解像度はレーダービームの幅(照明の幅)とアンテナからターゲットまでの距離によって異なる。ビーム幅は通常、アンテナの長さ(開口とも呼ばれます)に反比例するため、一般にアンテナが長いほど、方位角の解像度はより高くなる。しかしながら、ターゲットまでの距離が非常に長い場合(たとえば、レーダーシステムが宇宙搭載プラットフォームに搭載されている場合)、アンテナが非常に長い場合を除いて、方位角解像度は非常に粗くなる。必要な方位角解像度とターゲットまでの距離によっては、アンテナの長さは数キロ必要になってもよい。これは、航空機または宇宙搭載システム、特に宇宙搭載システムでは明らかに実用的ではない。
【0026】
SARシステムは、SARプラットフォームの前進運動およびエコーデータの特別な処理を使用して、はるかに短い実際のアンテナを使用して非常に長い合成アンテナ長(または開口)を作成することによって、この問題を解決する。焦点ビームを有するSARシステムの場合、方位角解像度ρazは、ターゲットまでの距離とは無関係であり、アンテナLの長さには、下記式1としてSAR当業者によく知られている式が関連付けられている。
【数1】
(式1)
【0027】
衛星の距離方向または軌道交差方向への相対的な移動はないため、駆動距離解像度の要因は方位角解像度と多少異なる。方位角解像度はアンテナの長さに依存するが、範囲解像度は送信されたパルス帯域幅に依存する。
【0028】
SARシステムはパルスモードで動作し、送信モードでレーダーパルスを送信し、戻ってくるエコーを受信するために送信信号をオフにすることを思い出す。一部のSARシステムでは、送信時間は、たとえば1つの送信/受信サイクルを完了するのに必要な時間の約5%~20%である。パルスは、パルス繰り返し周波数(PRF)として知られる特定の周波数で送出されます。ナイキストサンプリング定理により、エイリアシングを回避するには、PRFはすべての受信ドップラー帯域幅Bdより大きくする必要がある。式2に示すように、瞬間的な視野内のターゲットは次のようになる。
【数2】
(式2)
【0029】
古典的なストリップマップモードでは、地上上のビーム速度、Vビーム、は、地上上のSARプラットフォームの速度と本質的に同じであり、Vg、ドップラー帯域幅BDは、下記式3に示すように、SARプラットフォームの対地速度と方位角解像度ρazの関数として表現することができる。
【数3】
(式3)
【0030】
これにより、不等式4に示すように、方位角解像度ΔRSと地上におけるSARプラットフォームρazの関数として、スラント範囲のスワス幅Vgを制限する基本的な不等式が生じる。
【数4】
(不等式4)
【0031】
不等式4において、cは光の速度であり、PRIは、パルス繰り返し周波数(PRF)の逆で与えられるパルス繰り返し間隔である。この不等式は、スラント範囲のスワス幅と方位角解像度の間の基本的なトレードオフを説明する。より細かい方位角解像度は、より高いパルス繰り返し周波数を必要とし、したがってより小さなパルス繰り返し間隔を必要とし、それによって、より狭いスラント範囲のスワス幅をもたらす。
【0032】
なお、スラント範囲のスワス幅ΔRSは、アンテナからスワスの遠端までの距離とアンテナからスワスの近端までの距離の差であり、地面に沿ったスワスの実際の幅ではない。地面のスワス幅は、スワスが画像化される角度にも依存し、実際の値は、基本的な三角法および当技術分野でよく知られている技術を使用して、スラント範囲のスワス幅から計算することができる。いずれにしても、スラント範囲のスワス幅が大きいと、特定のスラント角度のグランドスワス幅が大きくなる。
【0033】
方位角解像度に基づいてスラント範囲のスワス幅がどのように計算されるかの例を提供するために、地球表面から約550kmの低地球軌道で動作する単一開口SARシステムを搭載した衛星を検討する。地球表面から550kmの距離では、地球中心の回転座標系で、衛星の対地速度は約7km/sになる。vgに対して7km/sを、cに対して約30万km/sの光速度を不等式4に挿入すると、スラント範囲のスワス幅は、不等式5に示すようになる。
【数5】
(不等式5)
【0034】
不等式5は、この衛星の特定の解像度で達成可能な最大スラント範囲のスワス幅を計算するために使用することができる。例えば、所望の方位角解像度が1.5mであれば、これが達成できる最大スラント範囲のスワス幅は約32kmとなる。入射角が約45°から47.7°の間で、スラント範囲のスワス幅が約32kmの例では、地面のスワス幅は約44kmである。
【0035】
本開示に係る実施例では、複数の開口を必要とせずに、方位角解像度に対するスラント範囲のスワス幅をより高くすることができるように、単一開口SARシステムを搭載した衛星およびその動作方法について説明した。これは、方位角方向の機械的ステアリングと電子的ステアリングを組み合わせることで実現される。本実施例によれば、各方位角バーストの間に、ビームは飛行方向とは反対の方向に機械的にステアリングされる。これは、(重ね合わせた)機械的逆方向走査とも呼ばれる。
【0036】
以下の式6に示すように、古典的なSARストリップマップモードとScanSARモードの場合、vビームは基本的に地上のSARプラットフォームの速度と同じである。
【数6】
(式6)
【0037】
なお、衛星に搭載されたSARシステムの例では、地球の回転により、地球の回転座標系における地上の衛星の速度は、軌道上の衛星の慣性速度とは異なり、そして衛星は地球の半径よりも大きな長半径を持つ軌道を移動する場合がある。空中システムでは、この違いは実用的な目的では無視できる。
【0038】
本開示による一例では、衛星を飛行方向と反対の方向に機械的にステアリングすることにより、地上での衛星の速度に逆方向の速度が重畳され、それにより、以下の不等式7に示すように、地面上のビームの実効速度VビームはVg未満になる。
【数7】
(不等式7)
【0039】
この例では、不等式4におけるVgは、もはやVビームと等しくなく、ビームを飛行方向とは反対の方向に機械的にステアリングすることで、ビームの対地速度と衛星の対地速度とを効果的に切り離す。
【0040】
ビームの対地速度を衛星の対地速度から切り離すことにより、不等式4は適用されなくなり、不等式4が許可するよりも高いスワス幅対解像度比を達成することが可能になる。一例ではビーム対地速度Vビームは、機械的ステアリングによって選択可能であり、Vgからゼロまでの範囲にある。より速い後方機械的スルーレートは、負のVビームにもつながる可能性があるが、特定の場所での全体的な滞留時間は短縮される。
【0041】
1つのサブスワスの画像データを取得することは、1つまたは複数のバーストの画像データを取得することを含んでいてもよい。2つの連続するバーストは、1つのサブスワスの同じセクション、重なり合うセクション、異なる隣接セクション、または互いに間隔を置いて配置された異なるセクションを照明してもよい。したがって、1つのサブスワスに対応する単一の連続ストリップを画像化してもよい。2つ以上のサブスワスの画像データを取得することは、2つ以上のバーストで画像データを取得することを含んでもよく、少なくとも2つのバーストは異なるサブスワスを照射する。
【0042】
一例では、サブスワス内の画像データの取得は、各方位角バースト中の電子的ステアリングを含んでもよい。ビームは電子的に後方から前方へ方位角方向にステアリングできる(前方方位角バースト)。これにより、従来のScanSARと比較して、スワス全体の放射線均一性が向上する。一例では、各バースト内の電子的ステアリングは、前方から後方への方位角方向(後方方位角バースト)にも実行することができる。
【0043】
プラットフォームに対してSARを回転させ、および/または、SARを含むプラットフォームを移動または旋回させることにより、ビームを機械的にステアリングしてもよい。あるいは、回転反射器を使用してSARをステアリングすることもできる。ビームを特定のターゲットに導くために、人工衛星などのプラットフォームが機械的にステアリングできるほど小さく、アンテナがプラットフォームにしっかりと取り付けられている場合、プラットフォーム自体が回転することがある。ビームは、少なくとも-10°~+10°、-23°~+23°、-30°~+30°、-45°~+45°、または-60°~+60°の視野角の範囲にわたって機械的にステアリングされてもよい。
【0044】
ビームを機械的にステアリングすることで、地上でのビームの有効対地速度を低下させることができる。機械的後方走査の走査速度が衛星の対地速度よりも小さい場合、地上でのビームの実効対地速度が低下することができる。機械的な後方走査の速度が衛星の対地速度と等しい場合、実効対地速度はゼロに低下することができる。本実施形態では、スポットライトモードが利用され、ビームが固定点に向けて誘導され、特定の領域を照明/滞留する。照射時間が長いと合成開口長が長くなり、解像度が向上する。
【0045】
ビームを機械的にステアリングするためのステアリング角速度は、ビームを電子的にステアリングするためのステアリング角速度よりも低くてもよい。一例では、機械的ステアリング角速度は、電子的ステアリング角速度よりも少なくとも2倍、または3倍低い。電子的ステアリングの制御性が良好であるため、方位角バーストのステアリング角速度を選択してもよい。たとえば、1つの方位角バースト中に、長い照射時間を達成するために、17秒以上のステアリング角度レートでビームを電子的にステアリングしてもよい。あるいは、バーストごとに、ビームを27s以上のステアリング角速度で電子的ステアリングして、同じターゲットに対して2回連続してバーストを行い、視野角数を増やしてもよい。これは、2つ以上の「見た目」にわたる各ピクセルの値を平均することで画像内のスペックルを軽減したり、ターゲット照明時間を長くして解像度を向上したりするのに寄与する。方位角バースト間では、ビームは1007秒以上などのはるかに速い速度で電子的に操作されてもよい。通常、機械的ステアリングは、機械システムに伴う慣性のため、電子的ステアリングよりもはるかに遅く、より連続的な速度で進行する。機械的な逆方向走査は、たとえば17秒以下、27秒以下、または57秒以下で実行できる。
【0046】
一例では、ビームを機械的にステアリングするためのステアリング角範囲は、ビームを電子的にステアリングするためのステアリング角範囲よりも、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または少なくとも30倍高くしてもよい。この実装により、ターゲットが電子的ステアリングでアクセス可能な範囲外にある間に、画像取得を既に開始し、および/またはターゲットが電子的ステアリングでアクセス可能な範囲内にいなくなった間に継続してもよい。方位角方向の電子的ステアリングは、通常、±1°、±1.5°、または±2°の範囲で行われ、機械的ステアリングは、実質的に±45°までの範囲で行うことができる。機械的走査の範囲は、希望の画像サイズ/スワス長および希望の解像度に応じて選択できる。電子的ステアリングで利用可能な角度範囲の制限は、物理的な装置によって異なるが、例では、制限は標高で最大±25°以上、方位角で±2°以上に設定される。
【0047】
総スワス幅、したがって画像のカバーエリアを増加させるために、ビームは、2つのバースト間の標高で電子的にステアリングされてもよい。2次元電子的ステアリング(標高と方位角)により、複数のサブスワスを同じSARビームで画像化できる。サブスワス内で、イメージングエリアを1つのバースト、またはより短い持続時間の2つ以上のバーストで走査できる。これは、バースト間でビームの方位角を前方から後方に電子的にステアリングすることによって達成でき、2つ以上のバーストがそれぞれ前方方位角バーストとして実行されてもよい。したがって、2つのバーストは、同じエリアをカバーする同じ方位角アンテナパターンで実行される。バースト間では、ビームは、方位角、標高、またはその両方の小角度電子的ステアリングを使用して、非常に高速な事実上瞬時のタイムスケールで非常に迅速にステアリングできる。
【0048】
よりワイドスワス幅が必要な場合、複数のバーストを含む1つの取得サイクル中にビームを連続的に高度にステアリングすることができ、各バーストは異なるサブスワスを照明する。1つの取得サイクル中、パターンは1つのサブスワスに固定されるのではなく、2つまたは複数のサブスワスに対応する異なる標高に連続的にステアリングされる。各サブスワスは1つまたは複数のバースト中に照明される
【0049】
2つ以上の取得サイクルが実行されてもよく、各取得サイクルの各最初のバーストは同じサブスワスを照明してもよい。取得サイクルは、異なる方位角位置で繰り返してもよい。標高方向のステアリングは周期的に繰り返され、2つまたは複数の連続したサブスワスのイメージングが可能になる。最後のサブスワスが照射されると、アンテナは電子的に最初のサブスワスに戻り、同じサブスワスのバースト間にギャップが残らないようになる。この取得パターンにより、ワイドスワスのSAR画像を取得できる。この取得パターンで実行される電子的ステアリングは、プログレッシブ走査による地形観察「TOPS」イメージングモードの電子的ステアリングに対応してもよい。TOPS取得パターンを使用すると、標高で電子的ステアリングのみを使用する通常のSCANSARと比較して、より優れた放射均一性を実現できる。方位角と標高の両方における電子的ステアリングを機械的ステアリングと組み合わせると、特に小型で機敏な衛星の場合、高解像度でワイドスワスのイメージングが可能になる。質量がわずか約150kgの小型機敏な衛星または超小型衛星によって、少なくとも100km*100kmのスワスが5mほどの解像度で画像化されてもよい。
【0050】
ビームを飛行方向と反対の方向に機械的にステアリングすることは、2つ以上の取得サイクル中に連続的に実行してもよい。したがって、ゆっくりとした後方方位角走査が、標高および方位角における素早い電子的ステアリングに重ね合わされ、2つまたは複数の連続したサブスワスのイメージングが可能になる。前方から後方への取得の間の機械的ステアリングは、一定の回転速度であってもよいし、実効対地速度を一定に維持するために必要な速度などの変化する速度であってもよい。ビームが前方から後方に機械的にステアリングされると、ドップラー周波数シフトは>0から0、そして<0に変化する。機械的走査が重畳されるため、電子的走査は常に飛行方向に対して実質的に垂直ではない。その代わりに、取得中の視線方向は、例えば、実質的に非垂直の前方監視から始まり、実質的に垂直な側方監視を経て、実質的に非垂直な後方監視で終了することができる。単一の連続的な機械的逆方向走査を使用すると、衛星や衛星上のアンテナの移動や回転/整定など、機械的なアンテナの位置決めによって引き起こされる整定時間が短縮されるため、取得時間が増加する。
【0051】
画像取得に使用されるパラメータは、画像サイズの選択、解像度の選択、最大電子的ステアリング角の選択、バースト持続時間の計算、ビーム速度の選択、および画像取得時間を導出することによって決定されてもよい。
【0052】
第2態様では、本開示は、1つまたは複数のサブスワスを含むスワスの画像データを取得する合成開口レーダー「SAR」を備えた地球周回軌道で動作する衛星において、前記衛星は飛行方向に沿って移動するように構成され、SARは放射ビームをスワスに向けて導くように構成され、前記SARは、さらに、バーストごとに1つのサブスワスに沿ってビームを方位角方向に電子的にステアリングし、また、各バースト中に飛行方向と反対の方向にビームを機械的にステアリングするように構成される。
【0053】
衛星は、SARを含む衛星を回転させることにより、ビームの機械的ステアリングを制御する1つまたは複数のリアクションホイールを含む姿勢および決定制御システム「ADCS」を備えてもよい。一例では、衛星は3つ以上のリアクションホイールを使用して、3つの軸すべてを中心に回転できるようにすることができる。ADCSは、衛星の向きを制御するために使用されてもよく、いくつかの方法で実装されてもよい。
【0054】
衛星は、最大1°/秒で方位角方向に旋回することにより、ビームを機械的にステアリングするように構成されてもよい。衛星の総質量は、1000kg未満、500kg未満、250kg未満、または100kg未満であってもよい。質量が小さい衛星は、従来の大型のSAR衛星よりも慣性モーメントがはるかに低くなる。大型の衛星は、慣性モーメントが大きいため、所定のスルーレートで回転するために加速し、また再び減速するために、より多くのエネルギーと時間を必要とする。衛星を所定の速度で旋回させるための電力要件は、慣性モーメントが小さい小型の衛星システムでははるかに負担が少なく、宇宙では衛星に利用できる電力が限られているため、これは有利である。
【0055】
SARは、2次元での電子ビームステアリングを可能にする小型の単一開口レーダーおよび/またはフェーズドアレイを含んでもよい。SARは、単一開口フェーズドアレイレーダーを備えてもよい。単一開口レーダーでは、単一のビームフォーミングアンテナを使用してパルスが送信され、エコーが受信される。センサーのペイロードに利用できるスペースが限られているため、衛星などの(無人)移動プラットフォームに搭載されるコンパクトで高解像度のSARシステムの設計には、単開口レーダー、特に小型のレーダーが望ましい。本開示によれば、不等式4による基本的な限界のために通常は不可能である、小型の単一開口レーダーを使用して、細かい方位角解像度とワイドスワスを同時に得ることができる。したがって、単一開口レーダーは、以前はアンテナのコストを増加させて多開口アプローチによってのみ克服できた制限を克服できる。レーダー範囲の次元に対して垂直な2次元にわたって空間的に分散されたアンテナ要素を備えたフェーズドアレイアンテナは、方位角と標高における2次元のビームステアリングを可能にしてもよい。
【0056】
物理的装置は、異なる電子的ステアリング範囲を提供するように設計することができる。一例では、フェーズドアレイアンテナを電子的にステアリングすることが可能な総範囲は、方位角および標高におけるアンテナの要素間の間隔に依存する。要素の間隔が狭いほど、達成できる範囲が広くなる。フェーズアレイアンテナのアンテナ要素は、一方向の間隔が他の方向の間隔と大きく異なるように、2次元のグリッドパターンで配置できる。そのため、電子的ステアリングが両方向で同様の方法で実現されるとしても、方位角の角度範囲は標高の角度範囲とは大きく異なることができる。一例では、フェーズドアレイアンテナは、ビームを方位角方向に向けるために3.2mに広がった20個のアンテナ要素を有し、アンテナ要素間隔は約160cm、電子的ステアリング範囲は約±1°方位角である。同じ例では、同じフェーズドアレイアンテナは、ビームを標高方向に向けるために40cmにわたって広がる16個のアンテナ要素を有し、約2.5cmのアンテナ要素間隔を提供する。間隔が狭くなったことで、標高方向±25°での電子的ステアリング範囲がさらに広くなる。より多くのアンテナ要素を追加し、それらの間隔を近づけることによって、方位角方向のより高い角度範囲を実現できるが、これにより、さらなる複雑さ、重量、コスト、およびその他のトレードオフを引き起こす恐れがある。第3態様では、本開示は、第1態様の方法を実行するために、第2態様に係る衛星を制御する地上局を提供する。地上局は、衛星に制御信号を送るように構成されてもよい。
【0057】
本発明の実施形態は、単なる例として以下に説明される。これらの実施形態は、これを可能にする唯一の方法ではないが、出願人が現在知っている、本発明を実行するための最良のパターンを表す。
【0058】
図1は、ここで説明する地球観測のための方法およびシステムに用いられるプラットフォームの一例として、地球上を軌道に乗っている衛星100の斜視図である。画像化される地球上の標的エリアは200で示されている。衛星100は、本体110、ソーラーパネル150、および「翼」160を備える。衛星翼には、1つまたは複数のアンテナが搭載されてもよい。各アンテナはフェーズドアレイアンテナを備えていてもよいし、言い換えれば、各アンテナは、アンテナビームの方向を電子的にステアリングし、送信されたパルスの方向および形状を制御し、および/またはエコーが受信される方向およびエリアを制御するように制御されてもよい複数のアンテナ要素を備えていてもよい。
【0059】
衛星100は、電子的ステアリングに加えて、アンテナを機械的にステアリングし、したがって送信および/または受信モードのときにビームをステアリングするように構成されてもよい。この例では、機械的ステアリングは、衛星100全体をステアリングすることによって達成される。これは、衛星姿勢決定および制御システムADCSを使用して達成してもよく、衛星姿勢決定および制御システムADCSには、1つまたは複数のリアクションホイール(そのうちの1つを170で示す)を設けてもよい。ADCSは、衛星100が軌道を進行する際に、標的エリア200が機械的なステアリングを行わずに標的エリア200が見えるよりも長期間、レーダー開口内、つまり衛星の視界に保つように衛星を機械的にステアリングするために使用されてもよい。
【0060】
図1の衛星の詳細については、図6および図7を参照して説明する。
【0061】
図2は、従来技術によるScanSAR画像化モードで動作する衛星の概略図である。衛星100は、衛星100の直下ではなく側方の標的エリア200から信号を送受信する周知の側方監視構成である。この側面視構成では、翼160の底部(アンテナ要素が位置する)は、画像化されるエリアに向けられる。衛星100は、飛行方向120に向かって進行する。標的エリア200は、当技術分野ではスワスとしても知られる幅を有する。この例では、スワスはサブスワス200A、200B、200Cを含む。衛星100から送信される各レーダーパルスについて、エコーの形態の信号データは、SARの中心であるドップラー効果により、スワス200にわたる異なる周波数で異なる点から受信されてもよい。
【0062】
衛星100は、その軌道上を地球に対して矢印で示すように右から左に移動しているように示されている。ScanSARモードでは、データ収集対象のエリア、例えば図2に示す100km*100kmエリアを適切な数のサブスワス、例えば3つのサブスワス200A、200B、200Cに分割し、各サブスワスは、ここでは「ブロック」と呼ぶものに方位角で分割される。したがって、各サブスワスでは、受信データは方位角方向のレーダーエコーのバーストにブロックされる。図2の例では、ブロックはオフセットパターンを形成する。いくつかのサブスワス200A、200B、200Cからなるワイドスワス200は、各サブスワスを交互に照明することによって画像化される。レーダアンテナビームは、異なる標高サブスワス200A、200B、200Cを通って掃引し、ワイドスワス200を画像化する。利用可能な照明時間は、地上のさまざまな領域または「ブロック」をカバーする多数のバースト間で共有されるため、より広い範囲をカバーするには方位角解像度が犠牲にする。異なるサブスワス200A、200B、200Cの間で切り替えるために、標高における電子的ステアリングが非常に迅速に実行される。
【0063】
図2に示すような古典的なScanSARでは、地上のビーム速度は衛星の対地速度と同じである。したがって、各バースト中、電子ビームステアリングは実行されず、ビームは衛星の対地速度でスライドする。したがって、式4による解像度ごとのスワス制約が適用されるため、方位角解像度が損なわれる。
【0064】
以下により詳細に説明されるいくつかの方法およびシステムでは、飛行方向と反対の方向への機械的ビームステアリングが実行され、一方、各バースト中、方位角における電子ビームステアリングもまた放射均一性を高めるために実行される。
【0065】
図3は、機械的逆方向走査を実行しながらバーストモードで動作するときに、スワス200の画像データがどのように取得されるかを概略的に示す。機械的ステアリングは図3に誇張されて示されており、衛星100は、経路に沿って3つの位置(a)、(b)、(c)のそれぞれで異なる向きを有することが示されている。飛行方向120に沿った各位置の間では、衛星100が矢印で示すように回転して方位角方向をさらに後方に向けている。回転は、飛行方向120とは反対の回転である。衛星100は、第1位置aでは、進行方向120に対して前方を見、第2位置bでは、衛星ビームが衛星の進行方向に対して垂直であり、第3位置cでは、進行方向120に対して後方を見ている。したがって、衛星100は機械的な逆方向走査を実行する。機械的走査が重畳されているため、位置(b)を除いて視線方向は飛行方向に対して実質的に垂直ではない。この実装により、ターゲット200がまだ電子的ステアリングでアクセス可能な範囲外にある間に位置(a)の前にすでに画像取得を開始すること、および/またはターゲットが電子的ステアリングでアクセス可能な範囲内にない間に位置(c)の後に継続することが可能になる。
【0066】
機械的な後方走査に加えて、ビームは各バースト中に方位角方向に電子的にステアリングされ、これは、図3に示す各位置のビーム間の矢印によって示される。方位角の電子的ステアリングは矢印で示すように前方向に行われる。他の例では、方位角の電子的ステアリングを逆方向に実行することができる。方位角ビームステアリングにより、すべての点が完全な方位角ビームで照明される。図2に示すScanSARと比較すると、取得全体を通じて電子的ステアリングによって達成される方位角回転により、同じスワス範囲が達成されますが、より優れた放射均一性が達成される。
【0067】
取得時の地上ビーム速度は、1バースト内の機械的ステアリングと電子的ステアリングの和に相当することで、地上ビーム速度と衛星対地速度とを切り離す。言い換えれば、ビームの対地速度は、方位角バースト中の走査速度と機械的な逆方向走査の速度に依存する。したがって、ビーム対地速度は機械的なステアリングによって選択可能である。ビームを飛行方向102と反対の方向に機械的にステアリングすると、地球上でのビームの有効対地速度が低下し、それによって照明がより大きくなり、したがって解像度が向上する。ビームの対地速度を遅くすると、バースト持続時間が長くなり、取得時間が長くなり、解像度が向上する。したがって、不等式4に従った解像度ごとのスワス制約が適用されないため、方位角解像度は損なわれない。
【0068】
バーストごとの機械的後方走査および方位角の電子的ステアリングに加えて、ビームは複数の取得サイクル中に標高方向に連続的にステアリングされる。図3の例では、スワス200は3つのサブスワス200A、200B、200Cを含み、各サブスワスは複数のブロックを含む。例えば第1のサブスワス200Aにおけるバーストの終わりに、再び後方を指す第2のサブスワス200Bを照明するために視線が変更される。第3/最後のサブスワスが画像化されると、ビームは第1サブスワスに戻り、同じサブスワスのバースト間に隙間が残されないようにする。バースト間のビームステアリングは、高速小角度電子的ステアリングによって実現される。
【0069】
図3に示される100km×100kmのエリアであるスワス200は、5mの解像度で画像化することができる。衛星は飛行方向に沿って7・5km/sの速度で移動し、機械的ステアリングは衛星の実際の対地速度に-3.75km/sの速度を重畳し、実効対地速度は3.25km/sに達した。この例の機械的ステアリング角度の合計は35°である。
【0070】
電子的ステアリングと機械的ステアリングを重畳するさらなる例について、図4および図5を参照して説明する。
【0071】
図4aは、ビーム対地速度が機械的ステアリングによってどのように選択可能であるかを示している。図4aの上の矢印124は、飛行方向120に沿って向かう衛星の速度を表す。矢印126は、飛行方向120と反対に向けられ、衛星124の速度よりも小さい機械的ステアリングの方向を表す。矢印202は、飛行方向120に沿って方向付けられたビームの結果として生じる実効対地速度を示す。重畳された機械的逆方向走査を使用することにより、ビームの実効対地速度が低下し、衛星の対地速度から切り離される。ビーム202の有効対地速度は、機械的ステアリング206を介して選択可能である。図4aには示されていないが、各方位角バースト内での電子ステアリング中に誘発される走査速度は、飛行方向に沿って、または飛行方向と反対に向けることができる。完全性のため、ビームの対地速度に影響を与えないため、標高のステアリングは表示されない。
【0072】
図4bは、生の合成開口レーダーデータを処理した後のバースト画像のオフセットパターンを示す。図4bは、ScanSARまたはTOPSモードでのSARの動作と同様に、オフセットパターンで小さなエリアまたはブロックに分割された地上のエリアを示している。したがって、前述したように、SARビームは電子的にステアリングされて、ブロック1~15から番号順に、かつ飛行方向120で左から右に順番にデータを収集することができる(図4aを参照)。図4bの破線内の斜線の長方形は、100km*100kmの画像化されるエリアまたはスワスに対応する。図3と比較すると、スワスは4つのサブスワス200A、200B、200C、200Dを含む。
【0073】
図4bに示される取得パターンは、図5の時間図を参照して説明される。図4bで1~10とラベル付けされたブロックは、図5dに示されるバースト1~10に対応する。したがって、各ブロックは1つの(単一)バーストで画像化される。各ブロックを単一のバーストで画像化する代わりに、各ブロックに対して複数のバーストを実行して、各ブロックのルックアングルの数を増やすこともできるが、その代わりに解像度は低くなる。各ブロックが1つのバーストで画像化される場合、1つの取得サイクルは、標高の異なる4つの隣接するサブスワス200A、200B、200C、200D内のブロックに対応する4つの連続するバーストを含む。したがって、スワスを画像化するために、最初の収集サイクルではブロック1~4が画像化され、2番目の連続する収集サイクルではブロック5~8が画像化され、以下同様である。
【0074】
そのため、図5aに示すように、ビームは周期的に方位角で前方に電子的にステアリングされ、バースト期間にわたって方位角のビーム角度が負の角度からゼロを経て等しい正の角度までステアリングされる。バースト期間の終わりに、ビームはすぐに負の角度に戻る。これは、マイクロ秒以内に行われる可能性があるため、図5aでは実質的に垂直線として示されている。連続するバーストの場合、これは同じ角度範囲で繰り返される。
【0075】
サブスワス間を切り替えるために、図5bに示すように、ビームは周期的に標高に電子的にステアリングされる。各バースト中、ビームは、図5bにおいて水平線で示される、それぞれのサブスワス200A、200B、200C、200Dに対応する各バースト期間において一定の標高を指す。バースト期間の終わりに、ビームは次のサブスワスへの標高およびクロストラック方向に急速に(段階的に)ステアリングされる。各取得サイクルの終わりに、ビームはすぐに最初のサブスワスに戻る。これは、マイクロ秒以内に行われるため、図5bでは実質的に垂直線として示されている。
【0076】
図5cに示すように、方位角および標高における周期的な電子的ステアリングに重ね合わされるのは、より広い範囲の角度にわたって、より長期間にわたる方位角における機械的後方ステアリングである。図5cは、説明のための機械的ステアリングの2つの簡略化例を示している。図5cに示す実線は、衛星の一定回転などの機械的ステアリングの一定のステアリング角速度に相当する。図5cの破線は、実効対地速度を一定に維持するために使用できる機械的ステアリングの非線形ステアリング角速度に相当する。非直線ステアリング角速度は、ステアリング角が最大の場合の開始と終了の速度が高く、ステアリング角がゼロ付近の場合の速度が小さくなる。方位角方向の機械的後方ステアリングは、直線ステアリング角速度と非線形ステアリング角速度との組み合わせに対応してもよい。
【0077】
ビーム角の方位角は、取得期間にわたって正の角度からゼロを経て負の等しい角度まで機械的にステアリングされ得る(図5には取得期間の開始部分のみが示されている)。図3に示す回転例については、正の角度が第1(前方視)位置(a)に相当し、ゼロが第2(飛行方向に垂直)位置(b)に相当し、負の角度が第3(後方視)位置(c)に相当する。また、機械的な後方ステアリングは、例えばステアリング角<0または>0の場合にのみ非対称なステアリング角範囲で行われてもよい。
【0078】
図5に示すように、特に図5a、図5cを比較すると、ビームを機械的にステアリングするためのステアリング角速度は、ビームを電子的にステアリングするためのステアリング角速度よりも低い。電子的ステアリングレートの制御性が高いため、特定の電子走査レートを選択して各ブロックの照射時間を増やすことができる。さらに、ビームを機械的にステアリングするためのステアリング角度範囲は、ビームを電子的にステアリングするためのステアリング角度範囲よりもはるかに大きい。ビームを電子的にステアリングする場合の一般的なステアリング角度範囲は、方位角で約±1°、標高で最大±25°であるが、機械的なステアリング角度範囲は最大±45°、または最大±60°であり得る。電子ビームステアリングでは、理論的にはより大きな方位ステアリング角を達成することができる場合はあるが、より複雑で、より大きく、より高価なアンテナが必要になる。高速小角度電子的ステアリングと大角度機械的ステアリングを組み合わせることにより、他の既知の単一開口レーダー画像技術では不可能な、改善されたスワス幅対解像度比を達成することができる。
【0079】
実際の実装では、図4bの長方形で示されるエリア(3つまたは4つのサブスワスを含む)の総取得時間は約40秒であり、5μmの解像度を達成することができる。この例では、各バーストに約2.5~3秒が必要である。比較のために、ScanSARモード(図2に示すように)での同サイズエリアの合計取得時間は約15秒であり、解像度は15mとなることが挙げられる。本発明に係る取得時間の長期化は、地上の衛星速度に重畳された機械的な後方走査により、ビームの実効対地速度が遅くなることが可能となる。別の例では、2つのサブスワスを含む60kmx60kmのエリアを、解像度3m、合計取得時間35秒で画像化してもよい。
【0080】
他にも述べたように、ここで説明された方法は、衛星上で搭載されたSARに関連して実装に特に適しているが、排他的には適していない。SARは、たとえば飛行機などの他のプラットフォームに搭載することもできる。次に、本発明の実施に適した衛星について、図1図6、および図7を参照して説明する。
【0081】
図6は、本発明のいくつかの実施形態による衛星、例えば超小型衛星のコンポーネントを表す概略図である。コンポーネント間の実線の矢印は電源接続を示すために使用され、太い実線の矢印はRF信号接続を示すために使用され、破線はデータ接続を示すために使用される。
【0082】
一部のコンポーネントは、図6において長方形で示される衛星「バス」610の一部であり、一部は、図6で長方形で示される「ペイロード」660の一部であってもよい。他のコンポーネントはアンテナモジュール670の一部であり、図6では長方形で示されている。図6に示される衛星コンポーネントは、電源101および電力分配システム102を備える。電源101および電力分配システム102は、推進システム190、推進コントローラ109、姿勢決定および制御システム「ADCS」131、コンピューティングシステム103、バッファ135、および通信システム104に電力を供給する。電源101および電力分配システム102はまた、パルス発生器620およびパワーアンプ623などのペイロード660内のコンポーネントに電力を供給する。バッファ135は、別個のアイテムとして示されているが、コンピューティングシステム103に含まれていてもよい。推進コントローラ109は、ここでは別個のアイテムとして示されているが、実際には、コンピューティングシステム103の一部を形成してもよい。進コントローラは、推進コントローラ109に含まれる1つまたは複数のプロセッサに実装された制御ソフトウェアの使用を通じて、または例えばコンピューティングシステム103から受信した命令に応答して制御してもよい。命令がコンピューティングシステム103から送信される場合、コンピューティングシステムは推進コントローラを構成すると考えてもよい。推進コントローラ109の機能の1つは、推進システム190内のスラスタのイオン源および電子源に制御信号を出力することであってもよい。
【0083】
衛星バス610は、一般に、衛星110の本体内に配置されてもよい。電力分配システム102は、当技術分野で知られている制御ロジックを備えてもよい。通信システム104は、例えば衛星本体上に配置された1つまたは複数の通信アンテナを含んでもよい。あるいは、通信システム104は、衛星の翼に配置された1つまたは複数の通信アンテナを介して信号を送受信してもよい。
【0084】
地球観測衛星の場合、衛星ペイロード660は、衛星の1つまたは複数の翼160に配置され得る1つまたは複数のレーダーアンテナアレイを含んでもよい。図6は、SARイメージングに使用されるフェーズドアレイアンテナの一部であり得る単一のアンテナ要素625を示す。アンテナ要素625は信号626を送受信する。アンテナ要素625は、レーダー信号を送信するための関連するパワーアンプ623および移相器624と、戻り信号を受信するための関連するローノイズアンプ628および移相器627とを有することが示されている。これらは、アンテナモジュール670を共に形成する。フェーズドアレイアンテナは、複数のアンテナモジュール670を備えることができる。衛星に搭載されたフェーズドアレイアンテナは、320個のアンテナ要素と、関連するアンプおよび移相器を備える。フェーズドアレイアンテナの設計と目的に応じて、アンテナ要素の数が異なる。アンテナの電子的ステアリングは、当技術分野で知られているように、移相器624および627を介して個々のアンテナコンポーネントを移相することによって達成される。
【0085】
パルス発生器620は、レーダー送受信モジュール621に送信されるRF信号を生成する。レーダー信号はRFディバイダ622に送信され、RFディバイダ622はRF信号を分割して複数のアンテナモジュール670に送信する。図6には1つのアンテナモジュール670が示されているが、複数のアンテナモジュールがあってもよい。RFコンバイナ629は、複数のアンテナモジュール670から結合された信号を受信し、受信されたRF信号をレーダー送受信モジュール630に送信する。データは、メモリ631に記憶される。メモリ631は、メモリ108と同じでもよいし、別のものでもよい。パルス発生器620、レーダー送信機621、レーダー受信機630、RFディバイダ622、およびRFコンバイナ629は、衛星本体110または衛星翼160のいずれかに配置することができる。図6のRFディバイダ622から延びる追加の矢印は、RFディバイダ622から1つまたは複数の追加アンテナモジュールへの1つまたは複数の追加RF出力を示し、RFコンバイナ629を指す追加の矢印は、1つまたは複数の追加アンテナモジュールからRFコンバイナ629への1つまたは複数の追加RF入力を示す。
【0086】
ここで説明される方法およびシステムは、単一のアンテナまたは単一のアパーチャのステアリングを指す。しかしながら、それらは、複数のアンテナまたは複数のアパーチャを備えるシステムに容易に拡張することができる。
【0087】
当業者には知られているように、アンテナモジュールの数だけ多重化されたアンテナモジュール670は、集合的に衛星の画像取得装置を形成する。これらは、画像データの取得以外の機能を実行してもよい。
【0088】
典型的な衛星では、アンテナは、上述したようにフェーズドアレイアンテナを含んでもよい。レーダー範囲の次元に対して垂直な2次元にわたって空間的に分散されたアンテナ要素を備えたフェーズドアレイアンテナは、方位角と標高における2次元のビームステアリングを可能にしてもよい。
【0089】
フェーズドアレイアンテナの利用可能な電子的ステアリングは、物理アンテナの範囲および方位角における位相中心の間隔によって制限される可能性があり、ステアリングを試みすぎると利得が低下し、グレーティングローブが増加することになる。利用可能な角度範囲の制限は物理的な装置によって異なるが、一般的な制限は標高で±25°、方位角で±2°に設定される。
【0090】
ペイロード660は、電力分配システム102から電力を受け取り、コンピューティングシステム103からの指示を受け取る。受信したレーダー信号などのペイロード660からのデータも、コンピューティングシステム103に戻り、メモリ108に記憶することができる。データは、例えば、ここで説明したような画像を生成するために、コンピューティングシステム103によって処理され、その後、通信システム104に出力されて、以降の送信を行ってもよい。図6に示すシステムでは、コンピューティングシステム103により、通信システム104に生データを出力し、通信システム104はさらにリモートコンピューティングシステムで処理するために送出することもできる。図6において、SARプロセッサ133は、例えば地上局、または別の処理場所に配置されてもよい。当業者にはよく知られているように、コンピューティングシステム103は、レーダー送信機621、レーダー受信機630、および/または移相器624および627などのペイロード660内に位置する他のコンポーネントに動作命令を送信してもよい。生のSARデータは、衛星のメモリ108または631に記憶することができる。メモリ108および631は、同一または異なるメモリモジュールであってもよいし、コンピューティングシステム103の一部であってもよい。
【0091】
生のSARデータはバッファ135に記憶され、地上局600または遠隔SARプロセス133に通信される。例では、30秒の画像データをフル解像度(帯域幅)で記憶できる。より低い解像度(例えば、半分解像度で60秒)でより多くの記憶ができる。たとえば、超小型衛星には150MBのダウンロードリンクがある。このデータレートでは、30秒のフル解像度画像データをダウンロードするのに約3分かかる。動作中に、1秒あたり約5000パルスが送信される可能性がある。これは、常に27個のパルスが空中に存在する可能性があることを意味する。バーストは通常500~1000パルスで構成され、2~3秒かかる。
【0092】
通信システム104は、無線周波数通信、光、例えばレーザー通信、または当技術分野で知られている任意の他の形式の通信を使用して、地球局または他の衛星と通信してもよい。
【0093】
衛星、例えば図1の衛星100には、一般に、生成された推力で衛星をステアリングするための推進システム190が設けられる。推進システム190は、図1では、ソーラーパネル150とは反対側の本体110の表面に取り付けられるように示されている。
【0094】
図1に示すように、推進システム190は、必要に応じて衛星100をステアリングするための推力を発生させる複数のスラスタ105を備える。
【0095】
スラスタ105は、一般的に、衛星を特定軌道に維持するために動作する。スラスタは、地球の表面に対して特定の方向に衛星を推進するために使用されてもよい。
【0096】
図6に戻って参照すると、ADCS131は、通常、衛星本体110内に配置され、衛星の方向を制御するために使用される。ADCSは、いくつかの方法で実装されてもよい。一組のリアクションホイールを構成するように図に示されており、そのうちの1つが図1に概略的に示されている。リアクションホイールは通常、必ずしもではないが、衛星本体110内に配置される。図7は、衛星の部分斜視図であり、衛星本体110内に配置された3つのリアクションホイール41、42、43のセットを示す。リアクションホイールはモーメンタムホイールとも呼ばれることもある。
【0097】
本明細書で説明する衛星では、ADCSを用いて、衛星が軌道上を進行する際に、衛星が機械的なステアリングをしないとターゲットが見えるよりも長期間、レーダー開口内、つまり衛星の視界内で地球上の標的エリア200を維持するように衛星を機械的にステアリングすることができる。原理的には、機械的ステアリングの角度範囲は各方向の地平線によってのみ制限されるが、角度が大きくなるほど、標的エリアまでの距離が長くなり、返される信号は弱くなる。
【0098】
リアクションホイール41、42、43は、電気モーターを使用して宇宙船本体120の内部でホイールを回転させることによって機能する。角度モーメントを保持することにより、空間に外力がないため、ホイールを一方向に回転させると、宇宙船は逆方向に回転する。リアクションホイールを使用することは、衛星などの宇宙船の方向性を定めるためのよく知られている方法である。
【0099】
一例では、宇宙船本体の内部に3つのリアクションホイールが配置されており、そのうちの1つは衛星を各軸に配向させるためのものである。したがって、リアクションホイール41、42、43は直交軸を有することが示されている。
【0100】
別の例では、特に衛星の慣性のモーメントが大きい場合、スルーレート(衛星がどれだけ早く回転できるか)や精密な位置制御など、衛星のダイナミクスのさまざまな側面をより適切に制御するために、4つ以上のリアクションホイールが使用されてもよい。
【0101】
現在、地球を周回する軌道上にはさまざまな種類の衛星があるが、一般的には重みの範囲によって定義されている。ただし、各種類の衛星間の境界は多少不定であり、自由ではない。
立方体衛星:1kg~10kg
超小型衛星:50kg~250kg
小型衛星:500kg~800kg
通常の衛星:800~1200kg。
大型衛星:>1200kg
【0102】
リアクションホイールは、nms(ニュートン・メートル・秒)の単位を持つ「運動量容量」の観点から評価される。スルーレートは、ホイールの速度と衛星システムの慣性に関係している。特に質量が小さい衛星は、従来の大型のSAR衛星よりも慣性モーメントがはるかに低くなる。適切な低質量は、1000kg未満、例えば500kg未満、250kg未満、50kgと250kgの間、または100kg未満であってもよい。
【0103】
非常に小さな立方体衛星には、現在のところ、現在のSARペイロードを運ぶ能力がある。重い衛星は慣性が大きいため、一般に俊敏性が低くなる。ここで説明される衛星および動作方法の実施形態は、超小型衛星に首尾よく実装されている。
【0104】
本発明の実施形態は、超小型衛星として知られる種類の衛星に特に適用可能である。
【0105】
ここでさらに説明する方法の一部は、特定の定格範囲内のリアクションホイールから恩恵を受ける。超小型衛星などに適した範囲は0.5~2.5nmであることができる。定格1nmsのリアクションホイールは試験に成功した。これにより、17°/秒の範囲での旋回が可能になり、この範囲は、地上のスポットを追跡し、ここで説明する方法のいずれかを、電力をあまり消費せずに実装するには十分である。したがって、ここで説明する衛星のいずれにおいても、ADCSは機械的なステアリングを使用して衛星を方位角方向に最大1度/秒で旋回させるように構成されてもよい。
【0106】
大型の衛星は10nms程度のリアクションホイールを使用することが知られているが、衛星の質量が大きく、その結果として生じる高い回転慣性のために、現時点ではここでさらに説明する滞在時間に十分なスルーレートを達成することができ、また、小さなリアクションホイールよりもはるかに多くの電力を消費する。
【0107】
一例では、衛星は地球低軌道で地球を周回している。地球低軌道は、地球の表面から160kmから1000km上空にある。SARによる地球観測衛星の例は、地球の上空450kmから650kmの軌道を有することができる。本発明による一例では、衛星は地球の表面から550km上空にある軌道を有する。例えば、地球の上空550kmの軌道では、衛星は毎秒約7.5km、すなわち毎時27,000kmで効果的に地上を横断している。この軌道上のほとんどの衛星は、毎秒7~8kmの速度で地球を横断する。
【0108】
いくつかの実施形態では、超小型衛星などの衛星は、地平線から地平線まで約10分間、地球上の一点を指し続けるのに必要な速度で旋回することができる。しかしながら、この範囲の極端な場合、画像化対象のスポットまたはターゲットまでの距離が遠すぎて良好なSAR画像を取得できないため、実際の滞在時間は短くなる。
【0109】
本発明は、上記のように、衛星全体の向きを変えることに限定されるものではなく、上記小型かつ軽量で機敏な衛星の場合には便利である。例えば、いくつかの実施形態では、アンテナが搭載された衛星に対する向きを変えることによって、機械的ステアリングを行ってもよい。
【0110】
上記では、1つのSARビームのみが考慮されている。しかしながら、ここで説明する方法やシステムは、複数のSARビームの使用にも拡張されてもよいことが理解される。例えば、プラットフォームは複数のSAR用の装置を搭載しており、各SARはここで説明されている方法のいずれかに従って動作してもよい。
【0111】
以上のことから、ここで説明したすべての方法は、機敏な超小型衛星の使用から恩恵を受けることが理解される。適切なサイズの超小型衛星は回転して、長時間にわたってターゲットを観測するために回転することができる。これにより、一定期間にわたって範囲解像度と同じ解像度で多くのフレームの画像を実現する前例のない能力が得られる。
【0112】
上記には、ここで説明した動作方法のいずれかを実施するのに適した衛星が記載されている。すでに軌道上にある衛星または他のプラットフォームの場合、本明細書で説明される方法は、例えば地上から、適切なコンピューティングシステム、例えば地上局コンピューティングシステム600を使用して、衛星を適切に制御することによって実装されてもよい。言い換えれば、SARは地上から動作し、ここで説明する方法のいくつかはソフトウェアに実装されてもよい。したがって、本発明は、コンピューティングシステム内のプロセッサによって実装された場合、ここで説明する方法のいずれかに従って、コンピューティングシステムにSARを動作させる命令を含むコンピューティングリーダブル媒体が提供されてもよい。
【0113】
ここで説明するSAR画像データの取得は、多くの実用的な用途を有してもよい。エンドツーエンドのプロセスは、エリア内の特定のスポットを画像化するリクエストから始まります。たとえば、それらのスポットは顧客によってリクエストされたり、アルゴリズムによって興味深いものとして識別されたりする場合がある。エリアのサイズと希望の解像度に応じて、適切な数のサブスワスを選択してもよい。サブスワスの数に基づいて、画像データを最適に取得するために、方位角バーストのシーケンスを考案することができる。取得を開始する前に、衛星を図3の位置(a)などの初期位置まで回転させてもよい。初期位置から、飛行方向とは反対のビームを機械的にステアリングし、バーストの順序に従ってビームを電子的にステアリングすることにより画像データを収集してもよい。
【0114】
一例では、100km*100kmの比較的広いエリアを画像化するという要求を顧客から受け取る。電子的ステアリングが方位角と標高の両方で使用される従来技術のプログレッシブ走査による地形観察(TOPS)モードを使用すると、例えば、15メートルの解像度を達成するために3つのサブスワスを使用して100km幅のスワスを画像化してもよい。TOPSモードを使用すると、衛星が対象エリア上を軌道に沿って100km移動するため、取得には約15秒かかる。
【0115】
一例では、約150kgの小型機敏衛星は、SARビームの実効対地速度を減速させるために、衛星の機械的ステアリング能力と電子的ステアリングを組み合わせて、ここで記載された装置、方法、技術を用いて、100km*100kmエリアを5mの解像度で画像化することができる。一例では、100kmx100kmのエリアを4つのサブスワスに分割し、取得時間を約42秒延長することで、5mの解像度を達成することができる。このエリアの画像化のためのTOPS例と比較して、解像度が3倍向上したことを示す。
【0116】
図8は、信号と方位角方向のアンビギュイテイによる潜在的なパフォーマンス損失をプロットすることにより、この100kmx100kmの例のパフォーマンスを示している。縦軸はデシベル(dB)単位で示され、横軸は度単位の方位角である。一般に、信号の劣化は、低い方位角アンビギュイテイ値とともに最小限に抑えられることが望まれている。図8から、各バーストのエッジの信号は約-2.5dB以下の劣化を示していることがわかる。総アンビギュイテイトレース(AmbTot)は、バーストの最端で約-17dBの値をより悪く示す。これは、エッジの劣化の許容範囲内であると考えられまる。図10を参照して以下に説明するように、方位角アンビギュイテイの閾値を、可能な画像化エリアと解像度を決定するためのアルゴリズムに入力することができる。
【0117】
図9は、単一バーストの時間に対する範囲アンビギュイテイ(AmbTotal)と範囲アンビギュイテイ比率(RAR)によるパフォーマンス損失のプロットを示している。図8図9の両方に示されているトレースは、アンテナパターンの適切な部分の数値積分によって方位角のアンビギュイテイ値と距離のアンビギュイテイ値を計算する数学的モデルから得られる。解像度5mの100kmx100kmエリアを画像化するこの例では、総アンビギュイテイトレース(AmbTotal)の最高値は約-28dBであり、より悪い場合のRARは約-24dBにつながる。これは許容範囲内であると考えられる。方位角アンビギュイテイ値と同様に、閾値を使用して、高解像度ワイドスワス技術を使用して達成可能な解像度と画像化エリアを決定することができる。
【0118】
別の例では、高解像度ワイドスワス技術を使用して、35秒の取得期間にわたって2つのサブスワスと電子的ステアリングの上に重畳された機械的ステアリングを使用することで、さらに細かい3mの解像度で60kmx60kmの小さなエリアを画像化することができる。一例では、1m以下の解像度など、さらに細かい解像度も可能である。
【0119】
図10は、特定の取得に使用するパラメータを決定するために使用できるアルゴリズムの例を示している。第1ステップ1101では、例えば、100kmx100km、60kmx60kmの画像サイズが選択される。第2ステップ1102では、例えば5mの解像度が選択される。ステップ1103では、方位角における最大電子的ステアリング角が選択され、これにより地面上のパッチサイズが決定される。最大電子的ステアリング角は、アンテナの設計、より具体的には、アンテナ要素の方位角の間隔により、グレーティングローブが問題になる前にアンテナがどの程度走査できるかによって制約される。
【0120】
次に、解像度によってバースト継続時間が決まり、バースト継続時間は式9に従ってステップ1104で計算される。
【数7】
(式9)
【0121】
式9において、τはバースト期間、λは波長、Rはスラント範囲、Wは衛星速度、ρazは方位角解像度である。ステップ1105では、ビーム速度、Vg、を選択し、所定時間τでパッチをスライドさせるように、ステップ1106でアロングトラック画像サイズから画像取得時間を導出する。この方法によれば、衛星に画像取得をタスクするために必要なパラメータを算出することができる。取得時間の制約と斜視角度の制限に従って、任意の画像サイズと任意の解像度を実行できる。
【0122】
ここで説明するコンピューティングシステムはいずれも、複数の機能を備えた単一のコンピューティングシステムに組み合わせてもよい。同様に、本明細書で説明するいずれかのコンピューティングシステムの機能は、複数のコンピューティングシステムに分散されてもよい。
【0123】
本明細書に記載された方法の一部の動作は、例えば、機械読み取り可能な形態、例えばコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムの形態でソフトウェアによって実行されてもよい。したがって、本発明のいくつかの態様は、コンピューティングシステムに実装された場合、本発明のいずれかの方法の動作の一部または全部をシステムに実行させるコンピューティングシステムに読み取り可能な媒体を提供する。コンピュータ読み取り可能な媒体は、ディスク、サムドライブ、メモリカードなどの記憶媒体など、一時的または有形(または非一時的)の形態であってもよい。ソフトウェアは、方法ステップを任意の適切な順序でまたは同時に実行することができるように、パラレルプロセッサまたはシリアルプロセッサ上で実行するように適合されていてもよい。
【0124】
上記実施形態は、ほぼ自動化されている。いくつかの例では、システムのユーザまたはオペレータは、実行すべき方法のいくつかのステップを手動で指示することができる。
【0125】
本発明の実施形態においては、本発明において、本発明において他に記載されているように、システムは、いずれの形態のコンピューティングおよび/または電子システムとしても実装され得る。例えば、地上局は、このようなコンピューティングおよび/または電子システムを備えてもよい。ここのようなデバイスは、ルーティング情報を収集および記録するためにデバイスの動作を制御するためのコンピュータ実行可能命令を処理するためのマイクロプロセッサ、コントローラ、または任意の他の適切なタイプのプロセッサであり得る1つまたは複数のプロセッサを備えていてもよい。いくつかの例では、例えばシステムオンチップアーキテクチャを使用する場合、プロセッサは、(ソフトウェアまたはファームウェアではなく)ハードウェアで方法の一部を実装する1つまたは複数の固定機能ブロック(アクセラレータとも呼ばれる)を含んでもよい。オペレーティングシステムまたは任意の他の適切なプラットフォームソフトウェアを含むプラットフォームソフトウェアは、用途ソフトウェアがデバイス上で実行されることを可能にするために、コンピューティングベースのデバイスにおいて提供され得る。
【0126】
ここで、「コンピューティングシステム」とは、命令を実行できる処理能力を有する任意のデバイスを指すために用いられる。当業者であれば、このような処理能力は多くの異なるデバイスに組み込むことができ、したがって「コンピューティングシステム」という用語にはPC、サーバー、スマート携帯電話、携帯情報端末、および他の多くのデバイスが含まれることが理解される。
【0127】
上記の利点および利点は、1つの実施形態に関連してもよく、またはいくつかの実施形態に関連してもよいことが理解されるべきである。複数の実施形態は、言及された問題のいずれかまたは全てを解決するもの、または言及された利点と長所を有するものに限定されるものではない。
【0128】
「アイテム」または「ピース」へのいずれかの言及は、特に記載されていない限り、これらのアイテムの1つまたは複数を指す。「含む」という用語は、本明細書では、特定された方法ステップまたは要素を含むことを意味するが、そのようなステップまたは要素は排他的なリストを構成せず、方法または装置は追加のステップまたは要素を含み得ることを意味するために使用される。
【0129】
さらに、「包含」という用語が詳細な説明または特許請求の範囲内で使用される程度については、「包含」という用語が特許請求の範囲内で過渡的な用語として解釈されるので、この用語は、「包含」という用語と同様の包含性を有することを意図している。
【0130】
添付の図は、例示的な方法を示す。方法は、特定の順序で実行される一連のコンピューティングとして示され、説明されているが、方法は順序によって制限されないことを理解し、理解されるべきである。例えば、いくつかの行動は、本明細書に記載されたものとは異なる順序で発生することができる。また、ある行動は、別の行動と同時に発生することができる。さらに、場合によっては、本明細書に記載された方法を実装するためにすべてのコンピューティングが必要とされないこともある。
【0131】
本明細書に記載の方法のステップの順序は例示的であるが、これらのステップは任意の適切な順序で実行されてもよいし、適切な場合には同時に実行されてもよい。さらに、ステップは、本明細書に記載された主題の範囲から逸脱することなく、任意の方法に追加または置換されてもよく、または単一のステップは任意の方法から削除されてもよい。上記のいずれかの実施例の態様と、上記の他の実施例のいずれかの態様とを組み合わせて、さらに実施例を形成してもよい。
【0132】
上記の好ましい実施形態の説明は、例としてのみ示されており、当業者が様々な修正を加えることができることを理解されたい。上記した内容は、1つまたは複数の実施形態の一例を含む。もちろん、上記の態様を説明する目的のために、上記のデバイスまたは方法のそれぞれの考えられる修正および変更を説明することは不可能であるが、当業者は、様々な態様の多くのさらなる修正および配置が可能であることを認識する。したがって、記載された態様は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべてのそのような変更、修正、および変形を包含することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】