(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】電子デバイスを備えるタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/06 20060101AFI20250121BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20250121BHJP
B29C 35/02 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
B29D30/06
B60C19/00 B
B29C35/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538242
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2022087455
(87)【国際公開番号】W WO2023118422
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】102021000032225
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518333177
【氏名又は名称】ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ
【氏名又は名称原語表記】BRIDGESTONE EUROPE NV/SA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ ヨツィア
【テーマコード(参考)】
3D131
4F203
4F501
【Fターム(参考)】
3D131BC31
3D131LA20
3D131LA28
4F203AA45
4F203AC03
4F203AH20
4F203DA11
4F203DB01
4F203DC01
4F203DL10
4F203DW41
4F501TA02
4F501TC21
4F501TD03
4F501TE10
4F501TE21
4F501TL19
4F501TN05
4F501TV27
(57)【要約】
【課題】電子デバイス(7)を備えるタイヤ(1)の製造方法を提供する。
【解決手段】
電子デバイス(7)を備えるタイヤ(1)の製造方法は、電子デバイス(7)を、少なくとも部分的に生である少なくとも1つのゴム部材(9)を備える、支持体(8)に結合させるステップと、インナーライナ(6)を備えるグリーンタイヤ(1)を形成するステップと、グリーンタイヤ(1)を加硫金型(20)に挿入するステップと、加硫金型(20)内にあるグリーンタイヤ(1)を加硫工程にかけるステップと、加硫工程の最後に、加硫金型(20)から加硫タイヤ(1)を取り出すステップと、加硫金型(20)から加硫タイヤ(1)を取り出した後、加硫工程での加熱に由来するインナーライナ(6)の表面温度が90℃より高いときに、電子デバイス(7)を含む支持体(8)を加硫タイヤ(1)のインナーライナ(6)に適用するステップと、を含む。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス(7)を備えるタイヤ(1)の製造方法であって、
前記電子デバイス(7)を、接続面(S)を有して少なくとも部分的に生である少なくとも1つのゴム部材(9)を備える、支持体(8)に結合させるステップと、
インナーライナ(6)を備えるグリーンタイヤ(1)を形成するステップと、
前記グリーンタイヤ(1)を加硫金型(20)に挿入するステップと、
前記加硫金型(20)内にある前記グリーンタイヤ(1)を加硫工程にかけるステップと、
前記加硫工程の最後に、前記加硫金型(20)から加硫タイヤ(1)を取り出すステップと、
前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)上に、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を適用し、当該支持体(8)の前記接続面(S)を前記インナーライナ(6)に直接接触させて配置するステップと、
を含み、
前記加硫工程での加熱に由来する前記インナーライナ(6)の表面温度が90℃より高く、好ましくは100℃より高いときに、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を前記タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)に適用する、製造方法。
【請求項2】
前記加硫工程での加熱に由来する前記インナーライナ(6)の表面温度が110℃より高く、好ましくは120℃より高いときに、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を前記タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)に適用する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記支持体(8)の前記接続面(S)を構成するゴムを、前記タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)と接触した状態で、前記加硫工程の加熱から生じる余熱の効果によって少なくとも部分的に加硫する、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記支持体(8)を前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)に適用する前に、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)の少なくとも前記接続面(S)を加熱するステップをさらに含む、請求項1、2または3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)の少なくとも前記接続面(S)の温度が、前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)に適用する際に、90℃~110℃の間、好ましくは100℃である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)に適用した後、前記支持体(8)を前記インナーライナ(6)に押し付ける圧縮力を当該支持体(8)に加えて維持するステップをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記圧縮力を、前記支持体(8)に対して配置された内側ジョー(37)と、前記加硫タイヤ(1)の外側に対して配置された外側ジョー(38)と、を備えるラチェットグリッパ(36)によって加える、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記内側ジョー(37)をヒータによって加熱する、請求項6または7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記支持体(8)に加える前記圧縮力が、5~15バールであり、好ましくは10バールである、請求項6、7または8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記支持体(8)に加える前記圧縮力が、10分~30分、好ましくは20分の時間間隔にわたって維持される、請求項6~9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記支持体(8)が、前記電子デバイス(7)を間に挟む、内側コンポーネント(9)と外側コンポーネント(10)とから構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)と直接接触して配置され、前記接続面(S)を有する前記内側コンポーネント(9)が、前記外側コンポーネント(10)を構成するゴムよりも加硫度が低いゴムからなる、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記グリーンタイヤ(1)の前記インナーライナ(6)の、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)が適用される領域に、保護ラベル(11)を適用するステップと、
前記グリーンタイヤ(1)の内面と、前記加硫金型(20)の内膜と、の間に潤滑液(19)を塗布するステップと、
前記タイヤ(1)を前記加硫金型(20)から取り出した後、かつ前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を適用する前に、前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)から保護ラベル(11)を除去するステップと、
をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記保護ラベル(11)がポリエチレンテレフタレート製である、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記保護ラベル(11)が、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)よりも大きい、請求項13または14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を前記インナーライナ(6)に適用するアプリケータ装置(26)と、前記保護ラベル(11)を前記インナーライナ(6)から取り除く除去装置(21)と、が、前記加硫タイヤ(1)の内部に出入りするように移動可能な共通のアーム(22)によって共に支持されている、請求項13、14または15のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記アプリケータ装置(26)および前記除去装置(21)が、当該アプリケータ装置(26)または当該除去装置(21)をインナーライナ(6)に向けて交互に配置するように回転する回転可能な支持部材(30)によって前記アーム(22)に取り付けられている、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記グリーンタイヤ(1)を前記加硫金型(20)に挿入する前に、当該グリーンタイヤ(1)の内面と前記加硫金型(20)の内膜との間に、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)と前記インナーライナ(6)との接着を妨げない潤滑液(19)を噴霧するステップをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項19】
前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を前記インナーライナ(6)に適用するとき、当該電子デバイス(7)に結合された当該支持体(8)が適用される前記インナーライナ(6)の領域で、または当該領域の反対側で、前記加硫タイヤ(1)の外側に対してコントラスト要素(33)を支持するステップをさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記コントラスト要素(33)を前記加硫タイヤ(1)の外側に押し付ける、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記加硫タイヤ(1)の外側に接触する前記コントラスト要素(33)の表面に、前記電子デバイス(7)の存在および位置を示すレリーフパターン(35)が施されている、請求項19または20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記コントラスト要素(33)の前記レリーフパターン(35)を加熱する、請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)と、前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)と、の間に接着剤や糊が介在しない、請求項1~22のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の製造方法に従って製造され、前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)上に適用される前記支持体(8)に結合された前記電子デバイス(7)を備える、タイヤ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス(特に、トランスポンダ)を備えるタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装着されているタイヤの種類、タイヤの状態に関する情報、環境条件に関する情報を提供できる、いわゆる「スマート」タイヤが登場し、現代の自動車に積極的に組み込まれている。
【0003】
「スマート」タイヤは、通常、トランスポンダ(無線周波数で通信するのに適した電子機器)を備えており、タイヤの識別、特性、履歴を(タイヤが装着された車両と、タイヤの点検や交換を行うオペレータの両方に)遠隔通信できる。
【0004】
最近では、トランスポンダの存在に基づき、RFID(Radio-Frequency IDentification)技術と、有効空気圧を測定してトランスポンダ内に有効空気圧を保存し、トランスポンダ自体によって有効空気圧を遠隔通信するTPMS(Tyre Pressure Monitoring Systems)技術と、の統合が提案されている。
【0005】
一般に、タイヤに取り付けるトランスポンダは、トランスポンダの四方を完全に囲むゴム製の支持体(ハウジング)に予め挿入される。その後、トランスポンダをタイヤに取り付けるには、トランスポンダをタイヤの内面(通常、タイヤの気密性を確保するインナーライナ上)に取り付けるか、またはトランスポンダを、タイヤ構造を構成する部品の内部に組み込む(すなわち、トランスポンダを、タイヤを構成する様々な層の中間に配置する)ことが可能である。トランスポンダをタイヤの内面に取り付けても、異物の存在によってタイヤの構造が変化することはないので、タイヤが期待通りの性能を発揮することが保証される。トランスポンダは、タイヤがまだグリーン(すなわち、加硫前)のとき、またはタイヤが既に加硫されているときに、タイヤの内面に取り付けることができる。
【0006】
加硫工程の間、一般に、加硫工程の終了時に加硫金型からタイヤの取り外しを容易にするために潤滑剤の層が塗布され、特に、潤滑剤はタイヤの内面と加硫金型の内膜(膨張ブラダ)との間に介在される。その結果、加硫工程が終了した時点で、加硫されたタイヤの内面には潤滑油の層があり、トランスポンダを取り付ける領域では、当該層を局所的に(例えば、レーザー光線による洗浄によって)除去する必要がある(そうしないと、トランスポンダがタイヤ表面に適切な力で接着できない可能性がある)。その結果、加硫タイヤの内面にトランスポンダを取り付けるには、追加加工(トランスポンダを取り付ける部分の洗浄)が必要となり、製造時間とコストが増加する。あるいは、金型の内膜(膨張ブラダ)を、潤滑剤(離型剤)を追加で使用しなくてもタイヤの取り外しに寄与する特定の材料、好ましくは、シリコーンで構成することもできる。しかし、現在の技術水準では、潤滑剤を必要としないそのような内膜は高価であり、寿命も限られている。
【0007】
さらに、加硫タイヤの表面にトランスポンダを十分に接着させるためには、十分な強度を持ち、タイヤインナーライナを構成するゴムと十分な互換性があり、かつタイヤインナーライナの完全性を損なわない接着剤(糊)を使用する必要があり、この接着剤は、経済的、環境的に追加的なコストとなる。
【0008】
したがって、生産時間とコストを削減するためには、タイヤがまだグリーンであるとき(すなわち、タイヤの加硫前)にトランスポンダをタイヤの内面に取り付けることが望ましい。しかしながら、加硫工程で達する高圧および高温により、トランスポンダの一部がゴム製の支持体の外側に浮き出ることがあり(いわゆる「浮上」現象)、しばしばトランスポンダの誤動作(完全な故障ではないにせよ)を引き起こすことが観察されている。さらに、加硫工程で達する高圧および高温により、トランスポンダの一部がカーカスコードと接触することがあり、それによってトランスポンダの誤動作(完全な故障ではないにせよ)がしばしば発生し、さらなる結果として、カーカスコードの動作に悪影響を及ぼすことがある。最後に、加硫工程で達する高圧および高温は、インナーライナ(特に、トランスポンダのゴム製の支持体の端部)に凹凸を生じさせ、長期的にはインナーライナに亀裂を生じさせ、タイヤ内部の空気の保持を損ない、その結果、空気圧が低下する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、タイヤおよび電子デバイスの損傷を回避でき、同時に実施が容易で経済的である、電子デバイスを備えるタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載されるように、電子デバイスを備えるタイヤの製造方法が提供される。
【0011】
特許請求の範囲には、本明細書の不可欠な部分を形成する本発明の好ましい実施形態が記載されている。
【0012】
次に、本発明を、例示的かつ非限定的な実施形態を示す添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】トランスポンダを備えるタイヤの概略断面図である。
【
図2】ゴム製の支持体に挿入された
図1のトランスポンダの斜視図である。
【
図3】ゴム製の支持体に挿入された
図1のトランスポンダの分解斜視図である。
【
図5】
図1のタイヤを製造する生産工場の処理ステーションの概略図である。
【
図6】
図1のタイヤを製造する生産工場の処理ステーションの概略図である。
【
図7】
図1のタイヤを製造する生産工場の処理ステーションの概略図である。
【
図8】
図1のタイヤを製造する生産工場の処理ステーションの概略図である。
【
図9】
図1のタイヤを製造する生産工場の処理ステーションの概略図である。
【
図10】生産工場のアプリケーションステーションで使用されるツールの概略図である。
【
図11】生産工場で使用されるグリッパの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、参照符号1は、トロイダル形状のカーカス2を備えるタイヤ1を全体として示しており、このカーカス2は、それ自体の上に部分的に折り畳まれた2つの側方フラップ(すなわち、2層が互いに重ね合わされ、ともに「ターンアップ」と呼ばれる)を有している。2つの環状ビード3がカーカス2の両側方に設けられ、それぞれがカーカス2に囲まれている。カーカス2は、トレッドベルト4を介して環状のトレッド4を支えている。ボディプライ2内に配置されたインナーライナ6は、気密性を有し、インナーライニングを構成し、タイヤ1の空気圧を長期にわたって維持するようタイヤ1内の空気を保持する機能を有する。
【0015】
タイヤ1には、トランスポンダ7(
図2および
図3に示す)、すなわち、情報を記憶することができ、かつ無線周波数によって通信することができる電子デバイス(通常は受動的、つまり独自の電源を持たない)が設けられている。言い換えれば、トランスポンダ7は、リーダ(または、ポーリング装置)と呼ばれる特定の固定装置または携帯装置の側での遠隔ポーリングに応答するのに適した小型の「スマートラベル」であり、リーダは、トランスポンダ7自体と無線周波数で通信しながら、ポーリングされているトランスポンダ7に含まれる情報を読み取りおよび/または変更することができる。したがって、トランスポンダ7は、いわゆるRFID技術(Radio-Frequency IDentification)に従って動作する、無線読み取りおよび/または書き込みシステムの一部である。
【0016】
図1、
図2、および
図3に示すように、トランスポンダ7は、タイヤ1のインナーライナ6に直接接触する内側コンポーネント9(詳細は、下記を参照)と、タイヤ1のインナーライナ6に対して反対側に配置される外側コンポーネント10(詳細は、下記を参照)と、の2つの部材9、10を重ね合わせて互いに押し付けた支持体8に挿入されている。一般に、支持体8の2つの部材9および10は、トランスポンダ7よりも長く、かつ幅広である。一般に、2つの部材9および10は、両方ともゴム製で、まったく同じ種類のゴム化合物で構成されているか、あるいは、2つの部材9および10は、両方ともゴム製で、2つの異なる種類のゴム化合物で構成されていてもよい。別の実施形態によれば、内側コンポーネント9(すなわち、タイヤ1のインナーライナ6と直接接触している)だけがゴム(以下に詳述するように、少なくとも部分的にグリーン)でできており、外側コンポーネント10(すなわち、タイヤ1のインナーライナ6に対して反対側に配置されている)はゴム以外の材料(プラスチック)でできている。さらに別の実施形態によれば、支持体8は、内側コンポーネント9のみで構成されていてもよい(すなわち、外側コンポーネント10はなくてもよい)。
【0017】
各コンポーネント9または10は、単層構造(すなわち、単一の均質な層を形成する1種類の材料からなる)を有していてもよいし、多層構造(すなわち、2つ以上の層を形成する重ね合わされた2つ以上の材料からなる)を有していてもよい。
【0018】
内側コンポーネント9は、タイヤ1のインナーライナ6に面し(すなわち、タイヤ1のインナーライナ6と直接接触する)、したがってトランスポンダ7の反対側に配置される、接続面Sを有する。すなわち、内側コンポーネント9は、タイヤ1のインナーライナ6と直接接触しかつトランスポンダ7の反対側に配置される、接続面Sと、トランスポンダ7を載せる、接続面Sとは反対側の面と、を有する。
【0019】
タイヤ1の組み立ては、グリーンタイヤ1を(完全に公知の方法で)形成する工程と、(タイヤ1がまだグリーンである段階で)トランスポンダ7を含む(トランスポンダ7に結合された)支持体8を後に受けることになるインナーライナ6の部分に、保護ラベル11を適用する工程と、を含む。特に、
図5に示すように、グリーン(すなわち、未加硫)タイヤ1が生産工場のアプリケーションステーションS1に到着すると、アプリケータ装置12が保護ラベル11をインナーライナ6に適用する。
【0020】
好ましくは、保護ラベル11は、ポリエチレンテレフタレート(マイラー(Mylar)という商品名でも知られている)製である。さらに、保護ラベル11は、(保護ラベル11の位置決めにおいても、トランスポンダ7を含む支持体8の位置決めにおいても)位置決め公差(すなわち、誤差)をその大きなサイズで「補償」できるように、トランスポンダ7を含む支持体8よりも大きいことが好ましい。
【0021】
アプリケータ装置12は、ロボットアーム13(または、同様のハンドリング装置)によって移動する。すなわち、アプリケータ装置12は、ロボットアーム13の一端に取り付けられている。好ましくは、アプリケータ装置12は、ロボットアーム13に堅固に固定されたフレーム14を備え、当該フレーム14は、保護ラベル11を拾い上げてグリーンタイヤ1のインナーライナ6に該保護ラベル11を移送するように構成されたアプリケーションヘッド15と、アプリケーションヘッド15の前方空間をフレームに納めてロボットアーム13の動きをガイドするために使用されるカメラ16と、の両方を支持する。
【0022】
その後、
図6に示すように、保護ラベル11が適用されたグリーンタイヤ1は、生産工場の潤滑ステーションS2に到着する。潤滑ステーションS2では、ロボットアーム18(または、同様のハンドリング装置)によって動かされる(少なくとも)スプレー装置17が、グリーンタイヤ1の内面全体(したがって、インナーライナ6およびインナーライナ6に適用された保護ラベル11)に潤滑液19(例えば、シリコーン系)を付着させ、これによって、加硫タイヤ1が加硫金型20(
図7に図示し、以下に詳述する)から取り外し易くなる。あるいは、生産工場の潤滑ステーションS2において、潤滑液19は、保護ラベル11が適用されたグリーンタイヤ1の内面ではなく、加硫金型20の内膜(膨張ブラダ)に塗布される。
【0023】
その後、
図7に示すように、保護ラベル11が適用されたグリーンタイヤ1は、生産工場の加硫ステーションS3に到着し、加硫金型20内に配置される。加硫金型20の内面とグリーンタイヤ1との間には、(潤滑ステーションS2で加硫金型20上またはグリーンタイヤ1上に塗布された)潤滑液19の薄い層が介在する。加硫金型20内で、タイヤ1は高温(180℃)かつ高圧の加硫サイクルを受ける。
【0024】
加硫工程の最後に、
図8に示すように、加硫タイヤ1は、加硫金型20から取り出される。加硫金型20から取り出された後、加硫タイヤ1は、アプリケーションステーションS4に到着する。アプリケーションステーションS4では、まず、除去装置21によって保護ラベル11を加硫タイヤ1のインナーライナ6から除去し、潤滑液19が完全に除去された(保護ラベル11が実際に存在する場合は明らかである)インナーライナ6の下地部分を露出させる。
【0025】
除去装置21は、ロボットアーム22(または、同様のハンドリング装置)によって移動する。すなわち、除去装置21は、ロボットアーム22の一端に取り付けられている。好ましくは、除去装置21は、ロボットアーム22に堅固に固定されたフレーム23を備え、当該フレーム23は、加硫タイヤ1のインナーライナ6から保護ラベル11を除去するように構成されたピックアップヘッド24と、ピックアップヘッド24の前方空間をフレームに納めてロボットアーム22の動きをガイドするために使用されるカメラ25と、の両方を支持する。
【0026】
図9に示すように、保護ラベル11を加硫タイヤ1のインナーライナ6から除去し、潤滑液19が完全に除去されたインナーライナ6の下地部分を露出させた直後に、アプリケータ装置26は、加硫タイヤ1のインナーライナ6のうち保護ラベル11で覆われていたがために潤滑液19が塗布されていない領域に、トランスポンダ7を含む支持体8を適用する。
【0027】
アプリケータ装置26は、ロボットアーム22(または、同様のハンドリング装置)によって移動する。すなわち、アプリケータ装置26は、ロボットアーム22の一端に取り付けられている。好ましくは、アプリケータ装置26は、ロボットアーム22に堅固に固定されたフレーム27を備え、当該フレーム27は、支持体8を拾い上げて加硫タイヤ1のインナーライナ6に該支持体8を移送するように構成されたアプリケーションヘッド28と、アプリケーションヘッド28の前方空間をフレームに納めてロボットアーム22の動きをガイドするために使用されるカメラ29と、の両方を支持する。
【0028】
可能な実施形態によれば、まず、共通のロボットアーム22によって除去装置21を動作させて加硫タイヤ1のインナーライナ6から保護ラベル11を除去し、その直後に、除去装置21をアプリケータ装置26と交換して(すなわち、除去装置21を解放してからアプリケータ装置26を引き出して)加硫タイヤ1のインナーライナ6に支持体8を適用する。別の実施形態によれば、2つの異なるロボットアーム22によって、除去装置21およびアプリケータ装置26を完全に独立して動作させる。
図10に示すさらに別の実施形態によれば、トランスポンダ7を含む支持体8をインナーライナ6に適用するアプリケータ装置26と、保護ラベル11をインナーライナ6から除去する除去装置21と、は、加硫タイヤ1の内部に出入りするように移動可能な共通のロボットアーム22によって一緒に(同時に)支持されている。特に、アプリケータ装置26および除去装置21は、回転軸31を中心に回転する回転可能な支持要素30によってロボットアーム22に取り付けられて、アプリケータ装置26または除去装置21がインナーライナ6に向けて交互に配置される。本実施形態では、回転せず(すなわち、支持要素30に接続していない)、装置21および26の両方に共通であり、したがってカメラ25および29に取って代わる、単一のカメラ32を設けることができる。
【0029】
トランスポンダ7を含む支持体8は、タイヤ1が加硫金型20から取り出された後、加硫工程での加熱に由来してインナーライナ6の表面温度が90℃より高い(好ましくは、100~110℃)ときに、加硫タイヤ1のインナーライナ6に適用される。換言すれば、電子デバイス7を含む支持体8は、加硫されたタイヤ1が加硫金型20から取り出された瞬間から一定の待ち時間の後、加硫工程中に加えられた熱によってタイヤ1がまだ(十分に)熱いときに、インナーライナ6に適用される。(加硫工程での加熱によりもたらされるインナーライナ6の表面温度が低くなりすぎないようにする、すなわち、90℃より低くならないようにするため)この待ち時間は長すぎてはならない。
【0030】
可能な実施形態によれば、待ち時間の(最大)継続時間は予め設定され、したがって、一定に保たれる。代替的な実施形態によれば、インナーライナ6の表面温度は(例えば、一般的な赤外線非接触温度計を用いて)測定され、したがって、待ち時間の(最大)継続時間は、インナーライナ6の表面温度が最小値に達するとき依るため連続的に可変である。この点に関して重要なことは、タイヤ1は、熱容量が大きく、かつ熱伝導率が低い(ゴムは熱絶縁体である)ため、加硫金型20から取り出されたタイヤ1の冷却は比較的遅く、したがって、加硫工程での加熱に由来するインナーライナ6の表面温度がまだ十分に高いときに電子デバイス7を含む支持体8をインナーライナ6に適用することは容易である、ということでる。
【0031】
支持体8(特に、支持体8の内側コンポーネント9)は、少なくとも部分的にグリーンゴムからなり、加硫金型20からタイヤ1を取り出した後に該タイヤ1が有する残熱の影響(すなわち、加硫工程中に行われた加熱の残熱の影響)により加硫(も)される。したがって、トランスポンダ7を含む支持体8は、加硫金型20からタイヤ1を取り出してから一定の時間間隔内に、すなわち、加硫工程中に受けた熱のためにタイヤ1がまだ十分に熱いうちに、加硫タイヤ1のインナーライナ6上に適用する必要がある。
【0032】
前述したように、支持体8の少なくとも内側コンポーネント9は、少なくとも部分的にグリーンゴムで構成されているか、または、まだ加硫プロセスを開始していないか、いずれにしてもまだ加硫プロセスを完了していないゴムで構成されている。換言すれば、内側コンポーネント9は、少なくとも部分的に、接続面S(すなわち、タイヤ1のインナーライナ6と直接接触する面)を構成するグリーンゴムを有する。特に、少なくとも内側コンポーネント9の接続面Sを構成するゴム(したがって、タイヤ1のインナーライナ6と直接接触するゴム)は、タイヤ1のインナーライナ6と直接接触していない(可能性のある)外側コンポーネント10のゴムよりも加硫度が低い。例えば、内側コンポーネント9のゴムは完全にグリーンであり、(可能性のある)外側コンポーネント10のゴムは部分的に加硫されているか、あるいは、部材9および10のゴムは両方ともに部分的に加硫されているが加硫度が異なる(外側コンポーネント10の加硫度が高く、内側コンポーネント9の加硫度が低い)。
【0033】
好ましくは、必須ではないが、内側コンポーネント9は、完全に未加硫ゴム、すなわち、部分的にも加硫されておらず、どのような方法でも加硫されたことのないゴムで構成されるか、または、部分的に加硫されたゴム、すなわち、加硫が始まったが完了していないゴム、すなわち、完全に未加硫でもなく完全に加硫されてもいないゴムのみで構成される。好ましくは、必須ではないが、外側コンポーネント10は、部分的に加硫されたゴム、すなわち、加硫が始まったが完了していないゴム、すなわち、完全に未加硫でもなく完全に加硫されてもいないゴムで構成されるか、または、完全に加硫されたゴムのみで構成される。
【0034】
インナーライナ6と直接接触する内側コンポーネント9の接続面Sは、インナーライナ6との接着を保証する必要があるため、加硫度が低くなければならない(したがって、接着能力が高くなければならない)。その一方で、トランスポンダ7を覆う外側コンポーネント10(存在する場合)は、トランスポンダの保護を保証する必要があるため、加硫度が高くなければならない(したがって、接着能力を損なうが、より硬く、より耐性が高くなければならない)。
【0035】
別の実施形態によれば、グリーンタイヤ1を加硫金型20に挿入する前に、グリーンタイヤ1の内面または加硫金型20の内膜(膨張ブラダ)に、トランスポンダ7を含む支持体8とインナーライナ6との接着を妨げない潤滑液19をスプレーすることが可能である。この実施形態では、潤滑液19がトランスポンダ7を含む支持体8とインナーライナ6との接着を妨げないため、保護ラベル11(したがって、アプリケータ装置12および除去装置21)は不要である。
【0036】
さらに別の実施形態によれば、保護ラベル11の適用は行わず、除去装置21は、トランスポンダ7を含む支持体8を適用する必要があるインナーライナ6の領域を(例えば、レーザーによって)洗浄するクリーニング装置に置き換えられる。
【0037】
さらに別の実施形態によれば、加硫金型20の内膜(膨張ブラダ)が潤滑液19を必要としない低付着面を有するので、潤滑液19は、グリーンタイヤ1の内面にも加硫金型20の内膜(膨張ブラダ)にも塗布されない。明らかに、潤滑液19を用いない場合には、保護ラベル11(したがって、アプリケータ装置12および除去装置21)は不要である。
【0038】
図9に示す好ましい実施形態によれば、アプリケーションステーションS4にはコントラスト要素33が設けられる。このコントラスト要素は、アクチュエータ装置34によって動かされ、タイヤ1の外側に配置され、アプリケータ装置26に配置される。特に、コントラスト要素33は、トランスポンダ7を含む支持体8がインナーライナ6に適用されるとき、該トランスポンダ7を含む支持体8が適用されるインナーライナ6の領域で、またはその反対側で、加硫タイヤ1の外側に対して配置される。このようにして、アプリケータ装置26は、トランスポンダ7を含む支持体8をインナーライナ6に強制的に押し付けることができる。これは、アプリケータ装置26によって及ぼされる推力が、(加硫金型20から離れて限られた時間した経過しておらずまだ熱い)タイヤ1に望ましくない変形を引き起こすことなく、コントラスト要素33によって適切に対抗されるためである。特に、アクチュエータ装置34は、アプリケータ装置26がトランスポンダ7を含む支持体8を加硫タイヤ1のインナーライナ6に適用するときに、その反対側である加硫タイヤ1の外側にコントラスト要素33を(ある所定の力で)押し付ける。タイヤ1のインナーライナ6上のトランスポンダ7の位置によって、コントラスト要素33は、タイヤ1のトレッド4に押し付けられるか、またはタイヤ1のサイドウォール(側面)に押し付けられる。
【0039】
可能な実施形態によれば、加硫タイヤ1の外側に接触するコントラスト要素33の表面に、トランスポンダ7の存在および位置を示す(小さな)レリーフパターン35(刻印および/またはロゴ)が施されている。好ましくは、レリーフパターン35を加硫タイヤ1の外側(トレッド4またはサイドウォール)によく印象づけることができるように、レリーフパターン35を加熱する。加硫タイヤ1の外側(トレッド4またはサイドウォール)に刻印されたレリーフパターン35の機能は、トランスポンダ7の位置を外側から示すことである。
【0040】
好ましい、拘束力のない実施形態によれば、トランスポンダ7を含む支持体8は、該支持体8を加硫タイヤ1のインナーライナ6に適用する前に加熱される。より一般的には、トランスポンダ7を含む支持体8の内側コンポーネント9の少なくとも接続面Sを、該支持体8を加硫タイヤ1のインナーライナ6に適用する前に加熱する。好ましい実施形態によれば、トランスポンダ7を含む支持体8(または、少なくとも内側コンポーネント9の接続面Sがより良い)の温度は、加硫タイヤ1のインナーライナ6への適用時に、90℃~110℃、好ましくは約100℃である。別の実施形態によれば、トランスポンダ7を含む支持体8(というより、少なくとも内側コンポーネント9の接続面S)の温度は、加硫タイヤ1のインナーライナ6への適用時に、該インナーライナ6の表面温度と実質的に等しい(類似している)。
【0041】
図11に示す可能な実施形態によれば、トランスポンダ7を含む支持体8を加硫タイヤ1のインナーライナ6に適用した後、支持体8に圧縮力を加えて(比較的長時間、例えば、数分間)維持し,これにより支持体8をインナーライナ6に押し付ける。支持体8に加える圧縮力は、一般に5~15バール、好ましくは10バールに等しく、さらに、支持体8に加える圧縮は、一般に10~30分、好ましくは20分の時間間隔にわたって維持される。特に、圧縮力は、支持体8に対して配置された内側ジョー37と、加硫タイヤ1の外側(トレッド4またはサイドウォール)4に対して配置された外側ジョー38と、を備えるラチェットグリッパ36によって加えられる。ラチェットは、歯車と、一方向にのみ動くことができる同一平面上のくちばしまたは歯と、で構成される機械装置であり、したがって、ラチェットグリッパ36は、2つのジョー37および38の間に圧縮力を加えて維持することができる。可能な実施形態によれば、内側ジョー37は、トランスポンダ7を含む支持体8を加熱(および加圧)するように、ヒータ装置によって加熱される。
【0042】
上述したことをまとめると、加硫金型20を開くと、タイヤ1の加硫は実質的に完了するが、加硫温度が高く、熱慣性があるため、トランスポンダ7を含む支持体8の加硫を完了するのに十分な熱エネルギーが得られる(特に、支持体8が部分的に予備加硫されている場合)。支持体8の予備加硫の程度は、加硫金型20から加硫タイヤ1を取り出してからその後の加硫タイヤ1の加工工程までの「デッド」タイム内に、支持体8の完全な(または、ほぼ完全な)加硫を保証するように選択される。このようにして、支持体8と加硫タイヤ1のインナーライナ6との最適な接着が、インナーライナ6を損傷することなく確保される。
【0043】
特に、トランスポンダ7を含む支持体8を加硫タイヤ1のインナーライナ6に適用する場合、インナーライナ6の表面温度が支持体8の十分な加硫を保証するのに(まだ)十分高いときに、全体として最良の結果が得られることが確認されている。
【0044】
本明細書に記載の実施形態は、本発明の保護範囲から逸脱することなく組み合わせることができる。
【0045】
上記の製造方法には多くの利点がある。
【0046】
第一に、上述の製造方法が必要とするのは、簡単に自動化できる数少ない操作の実行であり、かつ加硫金型20から加硫タイヤ1を取り出した後にタイヤ1の製造サイクルに存在する、デッドタイムを利用してトランスポンダ7を含む支持体8を適用するため、実施するのが特にシンプルで費用効率に優れている。
【0047】
さらに、上述の製造方法により、タイヤおよびトランスポンダ7の損傷を防ぐことができる。
【0048】
上述した製造方法では、トランスポンダ7を含む支持体8をインナーライナ6に接着するために接着剤を使用する必要がなく、支持体8をインナーライナ6に接着させるために、ある温度で圧力を受ける2つのゴム層の間に確立される接着力のみが使用されるため、コストと環境負荷の両方が低減される。
【0049】
最後に、上述の製造方法では、トランスポンダ7がタイヤ1に十分な強度と耐性をもって接着することを保証するため、トランスポンダ7がタイヤ1から部分的にでも外れる危険性を回避することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 トランスポンダ
2 カーカス
3 ビード
4 トレッド
5 トレッドベルト
6 インナーライナ
7 トランスポンダ
8 支持体
9 内側コンポーネント
10 外側コンポーネント
11 保護ラベル
12 アプリケータ装置
13 ロボットアーム
14 フレーム
15 アプリケーションヘッド
16 カメラ
17 スプレー装置
18 ロボットアーム
19 潤滑液
20 加硫金型
21 除去装置
22 ロボットアーム
23 フレーム
24 除去ヘッド
25 カメラ
26 アプリケータ装置
27 フレーム
28 アプリケーションヘッド
29 カメラ
30 支持要素
31 回転軸
32 カメラ
33 コントラスト要素
34 アクチュエータ装置
35 レリーフパターン
36 グリッパ
37 内側ジョー
38 外側ジョー
S 接続面
S1 アプリケーションステーション
S2 潤滑ステーション
S3 加硫ステーション
S4 アプリケーションステーション
【手続補正書】
【提出日】2024-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス(7)を備えるタイヤ(1)の製造方法であって、
前記電子デバイス(7)を、接続面(S)を有して少なくとも部分的に生である少なくとも1つのゴム部材(9)を備える、支持体(8)に結合させるステップと、
インナーライナ(6)を備えるグリーンタイヤ(1)を形成するステップと、
前記グリーンタイヤ(1)を加硫金型(20)に挿入するステップと、
前記加硫金型(20)内にある前記グリーンタイヤ(1)を加硫工程にかけるステップと、
前記加硫工程の最後に、前記加硫金型(20)から加硫タイヤ(1)を取り出すステップと、
前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)上に、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を適用し、当該支持体(8)の前記接続面(S)を前記インナーライナ(6)に直接接触させて配置するステップと、
を含み、
前記加硫工程での加熱に由来する前記インナーライナ(6)の表面温度が90℃より高く、好ましくは100℃より高いときに、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を前記タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)に適用する、製造方法。
【請求項2】
前記加硫工程での加熱に由来する前記インナーライナ(6)の表面温度が110℃より高く、好ましくは120℃より高いときに、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を前記タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)に適用する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記支持体(8)の前記接続面(S)を構成するゴムを、前記タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)と接触した状態で、前記加硫工程の加熱から生じる余熱の効果によって少なくとも部分的に加硫する、請求項1
に記載の製造方法。
【請求項4】
前記支持体(8)を前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)に適用する前に、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)の少なくとも前記接続面(S)を加熱するステップをさらに含む、請求項1
に記載の製造方法。
【請求項5】
前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)の少なくとも前記接続面(S)の温度が、前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)に適用する際に、90℃~110℃の間、好ましくは100℃である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)に適用した後、前記支持体(8)を前記インナーライナ(6)に押し付ける圧縮力を当該支持体(8)に加えて維持するステップをさらに含む、請求項1
に記載の製造方法。
【請求項7】
前記圧縮力を、前記支持体(8)に対して配置された内側ジョー(37)と、前記加硫タイヤ(1)の外側に対して配置された外側ジョー(38)と、を備えるラチェットグリッパ(36)によって加える、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記内側ジョー(37)をヒータによって加熱する、請求項
7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記支持体(8)に加える前記圧縮力が、5~15バールであり、好ましくは10バールである、請求項6
に記載の製造方法。
【請求項10】
前記支持体(8)に加える前記圧縮力が、10分~30分、好ましくは20分の時間間隔にわたって維持される、請求項6
に記載の製造方法。
【請求項11】
前記支持体(8)が、前記電子デバイス(7)を間に挟む、内側コンポーネント(9)と外側コンポーネント(10)とから構成される、請求項1
に記載の製造方法。
【請求項12】
前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)と直接接触して配置され、前記接続面(S)を有する前記内側コンポーネント(9)が、前記外側コンポーネント(10)を構成するゴムよりも加硫度が低いゴムからなる、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記グリーンタイヤ(1)の前記インナーライナ(6)の、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)が適用される領域に、保護ラベル(11)を適用するステップと、
前記グリーンタイヤ(1)の内面と、前記加硫金型(20)の内膜と、の間に潤滑液(19)を塗布するステップと、
前記タイヤ(1)を前記加硫金型(20)から取り出した後、かつ前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を適用する前に、前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)から保護ラベル(11)を除去するステップと、
をさらに含む、請求項1
に記載の製造方法。
【請求項14】
前記保護ラベル(11)がポリエチレンテレフタレート製である、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記保護ラベル(11)が、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)よりも大きい、請求項13
に記載の製造方法。
【請求項16】
前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を前記インナーライナ(6)に適用するアプリケータ装置(26)と、前記保護ラベル(11)を前記インナーライナ(6)から取り除く除去装置(21)と、が、前記加硫タイヤ(1)の内部に出入りするように移動可能な共通のアーム(22)によって共に支持されている、請求項13
に記載の製造方法。
【請求項17】
前記アプリケータ装置(26)および前記除去装置(21)が、当該アプリケータ装置(26)または当該除去装置(21)をインナーライナ(6)に向けて交互に配置するように回転する回転可能な支持部材(30)によって前記アーム(22)に取り付けられている、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記グリーンタイヤ(1)を前記加硫金型(20)に挿入する前に、当該グリーンタイヤ(1)の内面と前記加硫金型(20)の内膜との間に、前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)と前記インナーライナ(6)との接着を妨げない潤滑液(19)を噴霧するステップをさらに含む、請求項1
に記載の製造方法。
【請求項19】
前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)を前記インナーライナ(6)に適用するとき、当該電子デバイス(7)に結合された当該支持体(8)が適用される前記インナーライナ(6)の領域で、または当該領域の反対側で、前記加硫タイヤ(1)の外側に対してコントラスト要素(33)を支持するステップをさらに含む、請求項1
に記載の製造方法。
【請求項20】
前記コントラスト要素(33)を前記加硫タイヤ(1)の外側に押し付ける、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記加硫タイヤ(1)の外側に接触する前記コントラスト要素(33)の表面に、前記電子デバイス(7)の存在および位置を示すレリーフパターン(35)が施されている、請求項19
に記載の製造方法。
【請求項22】
前記コントラスト要素(33)の前記レリーフパターン(35)を加熱する、請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
前記電子デバイス(7)に結合された前記支持体(8)と、前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)と、の間に接着剤や糊が介在しない、請求項1
に記載の製造方法。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の製造方法に従って製造され、前記加硫タイヤ(1)の前記インナーライナ(6)上に適用される前記支持体(8)に結合された前記電子デバイス(7)を備える、タイヤ(1)。
【国際調査報告】