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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】積層FET SRAM設計
(51)【国際特許分類】
   H10B 10/00 20230101AFI20250121BHJP
【FI】
H10B10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538713
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 CN2022134541
(87)【国際公開番号】W WO2023124686
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】17/564,902
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ルイロン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ジュンリ
(72)【発明者】
【氏名】グオ、デッチャオ
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083BS15
5F083BS27
5F083BS29
5F083BS35
5F083BS48
5F083BS50
5F083HA06
5F083JA02
5F083JA19
5F083JA35
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083NA01
(57)【要約】
積層アーキテクチャのコンパクトなSRAM設計が提供される。特に、下部電界効果トランジスタを包含する下部デバイス・レベルと、下部電界効果トランジスタとは異なる導電型の上部電界効果トランジスタを包含する、下部デバイス・レベルの上方に積層されている上部デバイス・レベルとを含む6トランジスタSRAMビット・セルが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造であって、
第1の導電型の第1の下部電界効果トランジスタ(FET)と、前記第1の導電型の第2の下部FETと、前記第1の導電型の第3の下部FETと、前記第1の導電型の第4の下部FETとを含む下部デバイス・レベルであり、前記第1の下部FETは、前記第2の下部FETに電気的に接続されており、前記第3の下部FETは、前記第4の下部FETに電気的に接続されており、前記第1の下部FETは、前記第4の下部FETに対して対角に位置しており、前記第2の下部FETは、前記第3の下部FETに対して対角に位置しており、前記第1の下部FETおよび前記第4の下部FETはパス・ゲートである、下部デバイス・レベルと、
前記下部デバイス・レベルの上方に積層されている上部デバイス・レベルであり、前記上部デバイス・レベルは、前記第1の下部FETの直上に位置する、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型の第1の上部FETと、前記第2の下部FETの直上に位置する前記第2の導電型の第2の上部FETと、前記第3の下部FETの直上に位置する前記第2の導電型の第3の上部FETと、前記第4の下部FETの直上に位置する前記第2の導電型の第4の上部FETとを含み、前記第1の上部FETは、前記第2の上部FETに電気的に接続されており、前記第3の上部FETは、前記第4の上部FETに電気的に接続されており、前記第1の上部FETは、前記第3の上部FETと交差結合するように配線されている第1のダミー・トランジスタであり、前記第4の上部FETは、前記第2の上部FETと交差結合するように配線されている第2のダミー・トランジスタであり、前記第2の下部FETおよび前記第2の上部FETは、第1のインバータを提供するように配線されており、前記第3の下部FETおよび前記第3の上部FETは、第2のインバータを提供するように配線されている、上部デバイス・レベルとを備える、半導体構造。
【請求項2】
前記第1の上部FETが、前記第1のインバータの入力の延長部を形成するゲート電極を備え、前記第4の上部FETが、前記第2のインバータの入力の延長部を形成する別のゲート電極を備える、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項3】
前記第1の下部FETが、前記第1の上部FETのゲート電極から分離されているゲート電極を備え、前記第4の下部FETが、前記第4の上部FETのゲート電極から分離されているゲート電極を備える、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項4】
前記第1の導電型がn型であり、前記第2の導電型がp型である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項5】
前記第1の導電型がp型であり、前記第2の導電型がn型である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項6】
前記第1の上部FETは、一方の側に位置する、前記第2の上部FETと共有するソース/ドレイン領域を有し、前記第3の上部FETは、一方の側に位置する、前記第4の上部FETと共有するソース/ドレイン領域を有し、前記第1の下部FETは、一方の側に位置する、前記第2の下部FETと共有するソース/ドレイン領域を有し、前記第3の下部FETは、一方の側に位置する、前記第4の下部FETと共有するソース/ドレイン領域を有する、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項7】
前記第1の上部FETおよび前記第2の上部FETの前記共有ソース/ドレイン領域は、前記第1の下部FETおよび前記第2の下部FETの前記共有ソース/ドレイン領域に電気的に接続されており、前記第3の上部FETおよび前記第4の上部FETの前記共有ソース/ドレイン領域は、前記第3の下部FETおよび前記第4の下部FETの前記共有ソース/ドレイン領域に電気的に接続されている、請求項6に記載の半導体構造。
【請求項8】
前記第1の下部FETと前記第4の下部FETの両方のゲート電極に電気的に接続されているワード線をさらに備える、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項9】
前記第1の下部FETと前記第4の下部FETの両方のソース/ドレイン領域に電気的に接続されているビット線をさらに備える、請求項8に記載の半導体構造。
【請求項10】
前記第1の下部FETは、誘電体構造によって前記第2の下部FETのゲート電極から離間されているゲート電極を含み、前記第3の下部FETは、別の誘電体構造によって前記第4の下部FETのゲート電極から離間されているゲート電極を含む、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項11】
前記第1の上部FETおよび前記第2の上部FETは共有ゲート電極を備え、前記第3の上部FETおよび前記第4の上部FETは別の共有ゲート電極を備える、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項12】
前記第2の上部FETと前記第3の上部FETは両方とも、電源へと配線されており、前記第2の下部FETと前記第3の下部FETは両方とも接地されている、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項13】
前記第1の下部FET、前記第2の下部FET、前記第3の下部FET、前記第4の下部FET、前記第1の上部FET、前記第2の上部FET、前記第3の上部FET、および前記第4の上部FETの各々が、半導体チャネル材料構造上に位置する、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項14】
前記半導体チャネル材料構造が半導体フィンである、請求項13に記載の半導体構造。
【請求項15】
前記半導体チャネル材料構造が半導体ナノワイヤである、請求項13に記載の半導体構造。
【請求項16】
前記第1のダミー・トランジスタの前記第3の上部FETとの交差結合は、前記第1のダミー・ゲート領域のゲート電極とソース/ドレイン領域の両方と接触する第1のコンタクト・メタルを含み、前記第2のダミー・トランジスタの前記第2の上部FETとの交差結合は、前記第2のダミー・ゲート領域のゲート電極とソース/ドレイン領域の両方と接触する第2のコンタクト・メタルを含む、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項17】
前記第1のダミー・ゲート領域と前記第2のダミー・ゲート領域の両方が、ソース/ドレイン領域が除去されているかまたは部分的に除去されている非機能ゲート構造である、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項18】
前記第1の上部FET、前記第3の上部FETおよび前記第3の下部FETは、共通のゲート電極を電気的に共有し、前記第4の上部FET、前記第2の上部FETおよび前記第2の下部FETは、共通のゲート電極を電気的に共有する、請求項1に記載の半導体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、半導体技術に監視、より詳細には、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)設計を有する積層電界効果トランジスタ(FET)を含む半導体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタのモノリシック積層は、将来の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)のスケーリングのための、および、場合によっては、最終的にスケーリングされた技術のための、魅力的なアーキテクチャである。1つの型のFET(例えば、n型FET)を別の型(例えば、p型FET)の上に直接的に積層することによって、大幅は面積スケーリングを達成することができる。
【0003】
SRAMは、ラッチ回路(フリップ・フロップ)を使用して各ビットを記憶する、一種のランダム・アクセス・メモリ(RAM)である。典型的なSRAMセルは、6つのFETから構成される。従来のSRAMにおける各ビットは、2つの交差結合インバータを形成する4つのトランジスタに記憶される。この記憶セルには、0および1を表すために使用される2つの安定状態がある。2つの追加のアクセス・トランジスタは、読み出しおよび書き込み動作中に記憶セルへのアクセスを制御する役割を果たす。このような6トランジスタ(6T)SRAMに加えて、他の種類のSRAMチップは、1ビットあたり4個、8個、10個(4T、8T、10T SRAM)、またはより多くのトランジスタを使用する。積層アーキテクチャのSRAM設計を提供することが課題である。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、積層アーキテクチャのコンパクトなSRAM設計を提供する。特に、本出願は、下部電界効果トランジスタを包含する下部デバイス・レベルと、下部電界効果トランジスタとは異なる導電型の上部電界効果トランジスタを包含する、下部デバイス・レベルの上方に積層されている上部デバイス・レベルとを含む6トランジスタSRAMビット・セルを提供する。
【0005】
本出願の一態様において、コンパクトなSRAM設計および積層アーキテクチャを有する半導体構造が提供される。一実施形態において、半導体構造は、第1の導電型の第1の下部電界効果トランジスタ(FET)と、第1の導電型の第2の下部FETと、第1の導電型の第3の下部FETと、第1の導電型の第4の下部FETとを含む下部デバイス・レベルを含み、第1の下部FETは、第2の下部FETに電気的に接続されており、第3の下部FETは、第4の下部FETに電気的に接続されており、第1の下部FETは、第4の下部FETに対して対角に位置しており、第2の下部FETは、第3の下部FETに対して対角に位置しており、第1の下部FETおよび第4の下部FETはパス・ゲートである。半導体構造は、下部デバイス・レベルの上方に積層されている上部デバイス・レベルをさらに含み、上部デバイス・レベルは、第1の下部FETの直上に位置する、第1の導電型とは異なる第2の導電型の第1の上部FETと、第2の下部FETの直上に位置する第2の導電型の第2の上部FETと、第3の下部FETの直上に位置する第2の導電型の第3の上部FETと、第4の下部FETの直上に位置する第2の導電型の第4の上部FETとを含み、第1の上部FETは、第2の上部FETに電気的に接続されており、第3の上部FETは、第4の上部FETに電気的に接続されており、第1の上部FETは、第3の上部FETと交差結合するように配線されている第1のダミー・トランジスタであり、第4の上部FETは、第2の上部FETと交差結合するように配線されている第2のダミー・トランジスタであり、第2の下部FETおよび第2の上部FETは、第1のインバータを提供するように配線されており、第3の下部FETおよび第3の上部FETは、第2のインバータを提供するように配線されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本出願の一実施形態に係る半導体構造の回路図である。
図2A】本出願の一実施形態に係る半導体構造の上部デバイス・レベルの設計レイアウトを示す上面図である。
図2B図1Aに示す上部デバイス・レベルの下に位置する、本出願の一実施形態に係る半導体構造の下部デバイス・レベルの設計レイアウトを示す上面図である。
図3A】本出願の一実施形態に係る、図2Aに示す切り口A-Aを通る断面図である。
図3B】本出願の一実施形態に係る、図2Aに示す切り口B-Bを通る断面図である。
図3C】本出願の一実施形態に係る、図2Aに示す切り口C-Cを通る断面図である。
図3D】本出願の一実施形態に係る、図2Aに示す切り口D-Dを通る断面図である。
図4A】本出願の別の実施形態に係る、図2Aに示す切り口A-Aを通る断面図である。
図4B】本出願の別の実施形態に係る、図2Aに示す切り口B-Bを通る断面図である。
図4C】本出願の別の実施形態に係る、図2Aに示す切り口C-Cを通る断面図である。
図4D】本出願の別の実施形態に係る、図2Aに示す切り口D-Dを通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、以下の説明および本出願に付随する図面を参照しながら、本出願をより詳細に説明する。本出願の図面は、例示のためにのみ提供されるものであり、したがって、図面は原寸に比例して描かれたものではないことに留意されたい。また、同様のおよび対応する要素は同様の参照符号によって参照される。
【0008】
以下の記述では、本出願の様々な実施形態の理解を提供するために、特定の構造、構成要素、材料、寸法、処理ステップおよび技法などの、多数の特定の詳細を記載する。しかし、当業者であれば、これらの固有の詳細がなくても、本出願の様々な実施形態を実践することができることが理解されよう。他の例では、周知の構造または処理ステップは、本出願が不明瞭になるのを避けるため、詳細には説明していない。
【0009】
層、領域、または基板としての要素が、別の要素の「上(on)」または「上(over)」にあるものとして参照されるとき、それは、他の要素の直上にあり得るか、または介在要素も存在し得るということも理解されたい。対照的に、要素が別の要素の「直上(directly on)」または「直上(directly over)」にあるものとして参照されるとき、介在要素は存在しない。要素が別の要素の「下(beneath)」または「下(under)」にあるものとして参照されるとき、それは、他の要素の直下にあり得るか、または介在要素が存在し得るということも理解されたい。対照的に、要素が別の要素の「直下(directly beneath)」または「直下(directly under)」にあるものとして参照されるとき、介在要素は存在しない。
【0010】
積層FETは、2nmノードを超える論理CMOSのデバイス・プラットフォームと考えられる。本出願は、積層FET技術に使用されるコンパクトなSRAM設計を提供する。特に、本出願は、下部電界効果トランジスタを包含する下部デバイス・レベルと、下部電界効果トランジスタとは異なる導電型の上部電界効果トランジスタを包含する、下部デバイス・レベルの上方に積層されている上部デバイス・レベルとを含む6トランジスタSRAMビット・セルを提供する。本出願の半導体構造は、2つのCMOSインバータを含み、各インバータの出力電位が入力として他方のCMOSインバータに供給される。パス・ゲート(またはアクセス・トランジスタ)、ワード線(WL)、およびビット線(BL)は、セルに対する読み出しおよび書き込みに使用される。以下、本発明のこれらおよび他の態様について、より詳細に説明する。
【0011】
最初に、本出願の一実施形態に係る半導体構造の回路図である図1を参照する。このような回路図を有する半導体構造が、本出願の残りの図面に示されている。特に、図1に示す回路図によって例示されるように、本出願の半導体構造は、第1の導電型の第1の下部電界効果トランジスタ(FET)(以下、「FET_1B」)と、第1の導電型の第2の下部FET(以下、「FET_2B」)と、第1の導電型の第3の下部FET(以下、「FET_3B」)と、第1の導電型の第4の下部FET(以下、「FET_4B」)とを含む下部デバイス・レベルを含む。「FET」という用語は、電界を使用して半導体材料中の電流の流れを制御するトランジスタのタイプを示す。FETは、ソース領域、ゲート、およびドレイン領域の3つの端子を有するデバイスである。FETは、ゲートに電圧を印加し、その結果、ソース領域とドレイン領域との間の伝導性を変化させることによって、電流の流れを制御する。
【0012】
本出願の半導体構造において、また図1に示すように、FET_1BはノードAにおいてFET_2Bに電気的に接続されており、ノードAは、FET_1BとFET_2Bの間の共有ソース/ドレイン領域を表す。本出願の半導体構造において、また図1に示すように、FET_3BはノードBにおいてFET_4Bに電気的に接続されており、ノードBは、FET_3BとFET_4Bの間の共有ソース/ドレイン領域を表す。本出願の半導体構造において、FET_1BはFET_3Bの向かい側でFET_4Bに対して対角に位置し、FET_2BはFET_4Bの向かい側でFET_3Bに対して対角に位置する。
【0013】
本出願の実施形態によれば、FET_1BおよびFET_4Bは、パス・ゲート(すなわち、アクセス・トランジスタ)としての役割を果たす。図1に示されているように、FET_1BとFET_4Bの各々は、ビット線(BL)に接続されるように構成、すなわち配線されており、特に、1つのBL接続は、FET_1Bの、共有ソース/ドレイン領域(すなわち、ノードA)と反対の側に位置し、一方、もう1つのBL接続は、FET_4Bの、共有ソース/ドレイン領域(すなわち、ノードB)と反対の側に位置する。また、図1に示すように、FET_2BおよびFET_3Bの各々は、接地(GND)に接続されるように構成、すなわち配線されており、特に、1つのGND接続は、FET_2Bの、共有ソース/ドレイン領域(すなわち、ノードA)と反対の側に位置し、一方、もう1つのGND接続は、FET_3Bの、共有ソース/ドレイン領域(すなわち、ノードB)と反対の側に位置する。図1はまた、FET_1BおよびFET_4Bの各々が、ワード線(WL)に接続されるように構成、すなわち配線されており、特に、1つのWL接続が、FET_1Bのゲートに接触しており、一方、もう1つのWL接続が、FET_4Bのゲートに接触していることも示している。
【0014】
図1に例示されるような半導体構造は、下部デバイス・レベルの上方に積層されている上部デバイス・レベルをさらに含む。上部デバイス・レベルは、FET_1Bの直上に位置する第2の導電型の第1の上部FET(以下、「FET_1T」)と、FET_2Bの直上に位置する第2の導電型の第2の上部FET(以下、「FET_2T」)と、FET_3Bの直上に位置する第2の導電型の第3の上部FET(以下、「FET_3T」)と、FET_4Bの直上に位置する第2の導電型の第4の上部FET(以下、「FET_4T」)とを含む。特に、上部デバイス・レベルの様々なFETは、下部デバイス・レベルの様々なFETの上方に積層される。本明細書において、第2の導電型は、第1の導電型は異なる、すなわち、伝導性が反対である。いくつかの実施形態では、第1の導電型はn型とすることができ、一方、第2の導電型はp型とすることができる。他の実施形態では、第1の導電型はp型とすることができ、第2の導電型はn型とすることができる。このような実施形態では、VDDおよびGNDのロケーションが入れ替わることになる。
【0015】
本出願によれば、FET_1TはノードCにおいてFET_2Tに電気的に接続されており、ノードCはFET_1TとFET_2Tとの間の共有ソース/ドレイン領域を表す。本出願の半導体構造において、また図1に示すように、FET_3TはノードDにおいてFET_4Tに電気的に接続されており、ノードDは、FET_3TとFET_4Tとの間の共有ソース/ドレイン領域を表す。本出願の半導体構造において、FET_1TはFET_3Tの向かい側でFET_4Tに対して対角に位置し、FET_2TはFET_4Tの向かい側でFET_3Tに対して対角に位置する。図1に示すように、ノードAはノードCに接続されるように配線されており、ノードBはノードDに接続されるように配線されている。
【0016】
本出願の実施形態において、FET_2TおよびFET_3Tの各々は、電源(VDD)に接続されるように構成、すなわち配線されており、特に、1つのVDD接続は、FET_2Tの、共有ソース/ドレイン領域(すなわち、ノードC)と反対の側に位置し、一方、もう1つのVDD接続は、FET_3Tの、共有ソース/ドレイン領域(すなわち、ノードD)と反対の側に位置する。
【0017】
本出願によれば、FET_2BおよびFET_2Tは、第1のインバータを提供するように配線されており、FET_3BおよびFET_3Tは、第2のインバータを提供するように配線されている。SRAMの構成で知られているように、2つのインバータは、一方のインバータの出力ノードが第2のインバータの入力に接続され、その逆も同様であるという意味において、交差結合されている。図1に示すように、第1のインバータの入力はFET_4Tのゲートに接続されており、FET_4Tは1つのダミー・トランジスタとしての役割を果たす。ウェハ上で、これは共有ゲート線によって達成される。第2のインバータの出力(ノードD)は、ダミー・トランジスタFET_4Tのソース/ドレイン領域である。FET_4TのゲートをノードDに接続することによって、交差結合のうちの第1の結合が形成される。第2のインバータの入力はFET_1Tのゲートに接続されており、FET_1はもう1つのダミー・トランジスタとして機能する。ウェハ上で、これは共有ゲート線によって達成される。第1のインバータの出力(ノードC)は、ダミー・トランジスタFET_1Tのソース/ドレイン領域である。FET_1TのゲートをノードCに接続することによって、交差結合のうちの第2の結合が形成されて、交差結合が完成する。特に、第1のダミー・トランジスタ(すなわち、FET_1T)のFET_3Tとの交差結合は、第1のダミー・ゲート領域のゲート電極とソース/ドレイン領域の両方と接触する第1のコンタクト・メタルを含み、第2のダミー・トランジスタ(すなわち、FET_4T)のFET_2Tとの交差結合は、第2のダミー・ゲート領域のゲート電極とソース/ドレイン領域の両方と接触する第2のコンタクト・メタルを含む。
【0018】
実施形態では、第1の上部FET、第3の上部FETおよび第3の下部FETは、共通のゲート電極を電気的に共有し、第4の上部FET、第2の上部FETおよび第2の下部FETは、共通のゲート電極を電気的に共有する。
【0019】
交差結合インバータ対に加えて、6T SRAMは、読み出しおよび書き込み機能のために、2つのパス・ゲート・トランジスタを必要とする。各パス・ゲート・トランジスタのゲートは、ワード線(WL)と呼ばれる。そのソース/ドレイン領域のうちの一方が第1のインバータ出力(ノードA)に接続されているFET_1Bが、パス・ゲート・トランジスタのうちの1つとしての役割を果たす。他方のソース/ドレイン領域が、ビット線(BL)としての役割を果たす。そのソース/ドレイン領域のうちの一方が第2のインバータ出力(ノードB)に接続されているFET_4Bが、他方のパス・ゲート・トランジスタとしての役割を果たす。他方のソース/ドレイン領域が、ビット線(BL)としての役割を果たす。
【0020】
ここで、本出願の半導体構造の様々なデバイス・レベルの各々の設計レイアウトを示す上面図である図2Aおよび図2Bを参照する。特に、図2Aは、上部デバイス・レベルの設計レイアウトを示す上面図であり、一方、図2Bは、下部デバイス・レベルの設計レイアウトを示す上面図である。本出願によれば、図2Aに示す上面図は、図2Bに示す下部デバイス・レベルの上方に積層される。
【0021】
最初に、図2Bに示す下部デバイス・レベルを参照すると、互いに離間されており、平行に向けられている2つの下部半導体チャネル材料構造10Lおよび10Rが示されている。実施形態では、下部半導体チャネル材料構造10Lおよび10Rは、図2Bに示すような半導体フィンとすることができる。図2Bに示す半導体フィンの代わりに、例えば、半導体ナノシートまたは半導体ナノワイヤを含む、他のタイプの下部半導体チャネル材料構造10Lおよび10Rを使用することもできる。下部半導体チャネル材料構造10Lおよび10Rは、半導体特性を有する半導体材料から構成されている。本出願において使用することができる半導体材料の実例は、ケイ素(Si)、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)合金、炭化シリコン・ゲルマニウム(SiGeC)合金、ゲルマニウム(Ge)、III/V族化合物半導体、II/VI族化合物半導体、または少なくとも2つの半導体材料を含む多層スタック(例えば、SiおよびSiGeから成る多層スタック)を含む。
【0022】
図2Bはまた、互いに離間されており、平行に向けられている2つの下部ゲート構造12Aおよび12Bの存在も示している。2つの下部ゲート構造12Aおよび12Bは、2つの下部半導体チャネル材料構造10Lおよび10Rに垂直に向けられている。各下部ゲート構造は、図2Bに示すように、2つの下部半導体チャネル材料構造10Lおよび10Rの一部を跨いでいる。各下部ゲート構造12Aおよび12Bは、本明細書において下記により詳細に説明するゲート誘電体材料およびゲート電極を含む。図2Bにおいて、2つのパス・ゲート領域が示されている。パス・ゲート領域のうちの一方は、図1に示すFET_1Bを含み、他方のパス・ゲート領域は、図1に示すFET_4Bを含む。図2Bに示す設計レイアウトの他の領域は、第1のインバータ、すなわちインバータ1の下部分を含む領域と、第2のインバータ、すなわちインバータ2の下部分を含む別の領域とを含む。
【0023】
図2Bには、共有ソース/ドレイン領域14Lおよび14Rも示されている。共有ソース/ドレイン領域14Lは、図1に示すノードAと等価であり、一方、共有ソース/ドレイン領域14Rは、図1に示すノードBと等価である。また、図2Bには、図1に関して上述したように構成されているWL接点、BL接点、GND接点も示されている。下部デバイス・レベルはまた、ゲート・カットCT領域および下部埋め込み電源配線BR1も含む。各ゲート・カット領域は、ゲート構造が切断された領域を示し、埋め込み電源配線BR1は、GND接点に接続されている。埋め込み電源配線は、積層構造の下方にあり、それらは任意選択である。
【0024】
ここで、本出願の設計レイアウトの上面図を示す図2Aを参照する。図2Aは、図2Bに示す上面図の上に位置し、結果、FET_1TがFET_1Bの直上に積層され、FET_4TがFET_4Bの直上に積層され、上部デバイス・レベルに示すインバータ1領域が下部デバイス・レベルに示すインバータ1領域の直上に積層され、上部デバイス・レベルに示すインバータ2領域が下部デバイス・レベルに示すインバータ2領域の直上に積層される。
【0025】
上部デバイス・レベルは、互いに離間されており、平行に向けられている2つの上部半導体チャネル材料構造11Lおよび11Rを含む。実施形態では、上部半導体チャネル材料構造11Lおよび11Rは、図2Aに示すような半導体フィンとすることができ、典型的には、ただし必ずしも常にではないが、上部半導体チャネル材料構造は下部半導体チャネル材料構造に一致する、すなわち、それらの幾何学的形状は同じである。図2Aに示す半導体フィンの代わりに、例えば、半導体ナノシートまたは半導体ナノワイヤを含む、他のタイプの上部半導体チャネル材料構造11Lおよび11Rを使用することもできる。上部半導体チャネル材料構造11Lおよび11Rは、上述の半導体材料のうちの1つから構成されている。上部半導体チャネル材料構造11Lおよび11Rを提供する半導体材料は、下部半導体チャネル材料構造10Lおよび10Rを提供する半導体材料と組成的に同じとすることができ、または、組成的に異なることができる。
【0026】
図2Aはまた、互いに離間されており、平行に向けられている2つの上部ゲート構造13Aおよび13Bの存在も示している。2つの上部ゲート構造13Aおよび13Bは、2つの上部半導体チャネル材料構造11Lおよび11Rに垂直に向けられている。各上部ゲート構造は、図2Aに示すように、2つの上部半導体チャネル材料構造11Lおよび11Rの一部を跨いでいる。各上部ゲート構造13Aおよび13Bは、本明細書において下記により詳細に説明するゲート誘電体材料およびゲート電極を含む。図2Aにおいて、FET_1TおよびFET_4Tは、それぞれFET_3TおよびFET_2Tとの交差結合を提供するために図1において説明したように配線されているダミー・トランジスタである。図2Aに示す設計レイアウトは、第1のインバータ、すなわち、インバータ1の上部分を含む領域と、第2のインバータ、すなわち、インバータ2の上部分を含む別の領域とを含む。
【0027】
図2Aには、共有ソース/ドレイン領域15Lおよび15Rも示されている。共有ソース/ドレイン領域(上部FETと下部FETとの間で共有される)15Lは、図1に示すノードCと等価であり、一方、共有ソース/ドレイン領域15Rは、図1に示すノードDと等価である。ウェハ上では、共有上部-下部ソース/ドレイン領域は、上部ソース/ドレイン領域とその直下の下部ソース/ドレイン領域の両方に接続する接点を形成することによって実現することができる。また、図2Aには、図1に関して上述したように構成されている交差結合接点18、WL接点、BL接点、およびVDD接点も示されている。上部デバイス・レベルはまた、ゲート・カットCT領域、ならびに、第1の埋め込み電源配線BR2および第2の埋め込み電源配線BR3も含む。各ゲート・カット領域は、ゲート構造が切断された領域を示し、埋め込み電源配線BR2およびBR3は、VDDに接続されている。埋め込み電源配線は、積層構造の下方にあり、それらは任意選択である。
【0028】
本出願によれば、インバータ1の上部分の出力(すなわち、共有ソース/ドレイン領域15L)は、インバータ2の上部分の入力(すなわち、ゲート電極13A)に接続されている。また、本出願によれば、インバータ2の上部分の出力(すなわち、共有ソース/ドレイン領域15R)も、インバータ1の上部分の入力(すなわち、ゲート電極13B)に接続されている。図2Aにおいて18とラベリングされている構造が、そのような接続を提供する。
【0029】
上部デバイス・レベルの上面図は、切り口A-A、切り口B-B、切り口C-Cおよび切り口D-Dを含むことに留意されたい。切り口A-Aは、上部半導体チャネル材料構造11Lおよび下部半導体チャネル材料構造10Lを通り、切り口B-Bは、上部ゲート構造13Bおよび下部ゲート構造12Bを通り、切り口C-Cは、上部ゲート構造13Bおよび下部ゲート構成12Bの、共有ソース/ドレイン領域を含まない側を通り、切り口D-Dは、上部ゲート構造13Bおよび下部ゲート構造12Bの、共有ソース/ドレイン領域15L、15Rおよび14L、14Rを含むもう一方の側を通る。これらの様々な切り口は、本出願の半導体構造の特定の態様をさらに例示するために使用される。
【0030】
ここで、様々な断面図を通じて本出願の半導体構造を示す図3A図3B図3Cおよび図3Dを参照する。特に、図3Aは、本出願の一実施形態による、図2Aに示す切り口A-Aを通る半導体構造の断面図であり、図3Bは、図2Aに示す切り口B-Bを通る半導体構造の断面図であり、図3Cは、図2Aに示す切り口C-Cを通る半導体構造の断面図であり、図3Dは、図2Aに示す切り口D-Dを通る半導体構造の断面図である。この実施形態では、上部および下部デバイス・レベル内の半導体チャネル材料構造は、半導体フィンである。
【0031】
特に、最初に図3Aを参照すると、半導体基板100の表面から上向きに延在する一対の下部半導体フィン102Fが示されている。下部半導体フィン102Fおよび半導体基板100は、下部半導体チャネル材料構造について上記で言及した半導体材料のうちの1つから構成されている。いくつかの実施形態では、下部半導体フィン102Fを提供する半導体材料は、半導体基板100を提供する半導体材料と組成的に同じである。このような実施形態において、また、図3Aに示すように、半導体基板100と下部半導体フィン102Fとの間の材料界面は存在しない。他の実施形態において、下部半導体フィン102Fを提供する半導体材料は、半導体基板100を提供する半導体材料とは組成的に異なる。このような実施形態(図示せず)では、半導体基板100と下部半導体フィン102Fとの間に材料界面が存在することになる。
【0032】
図3Aはまた、下部半導体フィン102Fの上方に積層されているが、下部半導体フィン102Fから離間されている、一対の上部半導体フィン106Fも含む。上部半導体フィン106Fは、下部半導体チャネル材料構造について上記で言及した半導体材料のうちの1つを含む。上部半導体フィン106Fを提供する半導体材料は、下部半導体フィン102Fを提供する半導体材料と同じ組成とすることもでき、または、異なる組成とすることもできる。実施形態では、各下部半導体フィン102Fを提供する半導体材料は、nFETデバイスの高チャネル移動度を提供することが可能な半導体材料であり、各上部半導体フィン106Fを提供する半導体材料は、pFETデバイスの高チャネル移動度を提供することが可能な半導体材料である。他の実施形態では、反対の組成的構成を使用することができる。
【0033】
本出願において、また図3Aに示すように、上部半導体フィン106Fは、積層デバイス・チャネル分離構造104によって下部半導体フィン102Fから離間されている。積層デバイス・チャネル分離構造104は、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、またはそれらの任意の組合せを含む。本出願において、積層チャネル・デバイス分離構造は、FET_1BをFET_1Tから分離し、FET_2BをFET_2Tから分離し、FET_3BをFET_3Tから分離し、FET_4BをFET_4Tから分離する。
【0034】
本発明によれば、下部ソース/ドレイン領域108、108Aは、下部半導体フィン102Fに対して横方向に隣接して位置する。下部ソース/ドレイン領域108は、非共有ソース/ドレイン領域であり、一方、下部ソース/ドレイン領域108Aは、共有ソース/ドレイン領域である。下部ソース/ドレイン領域108、108Aは、下部半導体フィン102Fの側壁とのエピタキシャル関係(それと同じ結晶配向)を有する。本明細書において使用される場合、「ソース/ドレイン」領域は、その後の配線およびFETの動作中の電圧の印加に応じて、ソース領域またはドレイン領域になることができる。下部ソース/ドレイン領域108、108Aは、半導体材料およびドーパントを含む。各下部ソース/ドレイン領域108、108Aを提供する半導体材料は、上記で言及した半導体材料のうちの1つを含むことができる。下部ソース/ドレイン領域108、108Aを提供する半導体材料は、各下部半導体フィン102Fと組成的に同じとすることができ、または、組成的に異なることができる。各下部ソース/ドレイン領域108、108A中に存在するドーパントは、p型ドーパントまたはn型ドーパントのいずれかとすることができる。「p型」という用語は、原子価電子の欠損を生じる、真性半導体への不純物の添加を指す。シリコン含有半導体材料において、p型ドーパント、すなわち不純物の例は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、およびインジウムを含むが、これらに限定されるものではない。「N型」とは、真性半導体に自由電子を与える不純物の添加を意味する。シリコン含有半導体材料において、n型ドーパント、すなわち不純物の例は、限定ではないが、アンチモン、ヒ素およびリンを含むが、これらに限定されるものではない。一例では、各ソース/ドレイン領域30は、4x1020原子/cm~3x1021原子/cmのドーパント濃度を有することができる。一例において、各下部ソース/ドレイン領域46は、リンをドープしたシリコンから構成されている。
【0035】
本発明によれば、上部ソース/ドレイン領域114、114Aは、上部半導体フィン106Fに対して横方向に隣接して位置する。上部ソース/ドレイン領域114は、非共有ソース/ドレイン領域であり、一方、上部ソース/ドレイン領域114Aは、共有ソース/ドレイン領域である。上部ソース/ドレイン領域114、114Aは、上部半導体フィン106Fの側壁とのエピタキシャル関係(それと同じ結晶配向)を有する。各上部ソース/ドレイン領域114、114Aを提供する半導体材料は、上記で言及した半導体材料のうちの1つを含むことができる。上部ソース/ドレイン領域114、114Aを提供する半導体材料は、各上部半導体フィン106Fまたは下部ソース/ドレイン領域108、108Aあるいはその両方と組成的に同じとすることができ、または、組成的に異なることができる。各上部ソース/ドレイン領域114、114A中に存在するドーパントは、p型ドーパントまたはn型ドーパントのいずれかとすることができる。上部ソース/ドレイン領域114、114Aは、下部ソース/ドレイン領域108、108Aとは導電型が異なる。上部ソース/ドレイン領域114には、ダミー・トランジスタとラベリングされている領域において、上部半導体フィン106Fの側壁がなく、したがって、ダミー・トランジスタは、非機能デバイスであることに留意されたい。実施形態(図示せず)では、ダミー・トランジスタとラベリングされている領域において、上部ソース/ドレイン領域を上部半導体フィン106Fの側壁から部分的に除去することができる。
【0036】
上部ソース/ドレイン領域114は、ソース/ドレイン分離構造110によって互いから離間されている。ソース/ドレイン分離構造110は、積層デバイス・チャネル分離構造104について上記で言及した誘電体材料のうちの1つから構成されている。ソース/ドレイン分離構造110を提供する誘電体材料は、典型的には、積層デバイス・チャネル分離構造104と組成的に異なる。
【0037】
上部ソース/ドレイン領域114Aおよび下部ソース/ドレイン領域108Aは、S/Dコネクタ112によってともに接続されている。S/Dコネクタ112は、上部ソース/ドレイン領域114Aと下部ソース/ドレイン領域108Aの両方に接触する金属接点である。この実施形態では、上部ソース/ドレイン領域114Aおよび下部ソース/ドレイン領域108Aはインバータ1の出力としてともに接続されている。
【0038】
図3Aに示す例示的な構成はまた、ゲート誘電体材料116、上部ゲート電極118、および上部半導体フィン106Fの最上面上に位置する任意選択の上部ゲート・キャップ120を含む、上部ゲート構造も含む。上部ゲート構造はまた、上部半導体フィン106Fの側壁に沿って存在する。この断面図には示されていないが、図3Bに示されている下部ゲート構造が、下部半導体フィン102Fの側壁に沿って存在する。下部ゲート構造は、ゲート誘電体材料116および下部ゲート電極117を含む。誘電体スペーサ122が、図3Aに示す上部ゲート構造の側壁に沿って存在する。
【0039】
実施形態において、ゲート誘電体材料116は、二酸化ケイ素、または、二酸化ケイ素よりも誘電率が高い誘電体材料(そのような誘電体材料は、高kゲート誘電体材料として参照され得る)を含むことができる。高kゲート誘電体材料の実例は、例えば、二酸化ハフニウム(HfO)、酸化ハフニウム・ケイ素(HfSiO)、酸窒化ハフニウム・ケイ素(HfSiON)、酸化ランタン(La)、酸化ランタン・アルミニウム(LaAlO)、二酸化ジルコン(ZrO)、酸化ジルコン・ケイ素(ZrSiO)、酸窒化ジルコン・ケイ素(ZrSiO)、酸化タンタル(TaO)、酸化チタン(TiO)、酸化バリウム・ストロンチウム・チタン(BaOSrTi)、酸化バリウム・チタン(BaTiO)、酸化ストロンチウム・チタン(SrTiO)、酸化イットリウム(Yb)、酸化アルミニウム(Al)、酸化鉛スカンジウム・タンタル(Pb(Sc,Ta)O)、または鉛亜鉛ニオバイト(Pb(Zn,Nb)O)あるいはその組合せなどの、金属酸化物を含む。高kゲート誘電体材料は、ランタン(La)、アルミニウム(Al)またはマグネシウム(Mg)あるいはその組合せなどのドーパントをさらに含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、上部ゲート電極118および下部ゲート電極117の各々は、限定ではないが、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、ジルコン(Zr)、コバルト(Co)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、白金(Pt)、スズ(Sn)、銀(Ag)、または金(Au)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、炭化タンタル(TaCX)、炭化チタン(TiC)、炭化アルミニウム・チタン、ケイ化タングステン(WSi)、窒化タングステン(WN)、酸化ルテニウム(RuO)、ケイ化コバルト、またはケイ化ニッケルを含む、導電性金属含有材料から構成されている。上部ゲート電極118を提供する導電性金属含有材料は、典型的には、下部ゲート電極117を提供する導電性金属含有材料とは組成的に異なる。
【0041】
いくつかの実施形態において、仕事関数金属(WFM)の層が、単独で上記で言及した導電性金属含有材料のうちの1つとして使用されて、または、上記で言及した導電性金属含有材料のうちの1つと組み合わせて使用されて、上部ゲート電極118および下部ゲート電極117を提供することができる。WFMの層は、FETの閾電圧を所望の値に設定するために使用することができる。いくつかの実施形態では、WFMの層は、n型閾電圧シフトを発生させるように選択することができる。本明細書において使用するものとしての「N型閾電圧シフト」は、ケイ素含有材料中のケイ素の伝導帯に向かっての仕事関数金属含有材料の有効仕事関数のシフトを意味する。一実施形態では、n型仕事関数金属の仕事関数は、4.1eV~4.3eVに及ぶ。n型閾電圧シフトを発生させる可能性があるそのような材料の例は、チタン・アルミニウム、炭化チタン・アルミニウム、窒化タンタル、窒化チタン、窒化ハフニウム、ハフニウム・ケイ素、またはそれらの組合せを含むが、それらに限定されるものではない。他の実施形態では、WFMの層は、n型閾電圧シフトを発生させるように選択することができる。一実施形態では、p型仕事関数金属の仕事関数は、4.9eV~5.2eVに及ぶ。本明細書において使用される場合、「閾電圧」とは、デバイス伝導のチャネルを作成することによって、例えばトランジスタなどの半導体デバイスをオンにする、達成可能な最低のゲート電圧のことである。本明細書において使用するものとしての「p型閾電圧シフト」は、ケイ素含有材料中のケイ素の伝導帯に向かっての仕事関数金属含有材料の有効仕事関数のシフトを意味する。p型閾電圧シフトを引き起こす可能性があるそのような材料の例は、窒化チタン、炭化タンタル、炭化ハフニウム、およびそれらの組合せを含むが、それらに限定されるものではない。
【0042】
任意選択の上部ゲート・キャップ120は、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素または窒化ケイ素あるいはその組合せなどの、任意の誘電体材料から構成することができる。誘電体スペーサ122は、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素または窒化ケイ素あるいはその組合せなどの、スペーサ誘電体材料から構成することができる。スペーサ誘電体材料は、典型的には、上部ゲート・キャップ120を提供する誘電体材料とは組成的に異なる。
【0043】
図3Aに示す例示的な構造はまた、横方向において上部ゲート構造に隣接して位置する上部層間誘電体材料(ILD)材料層124を含み、本出願図3Cおよび図3Dに示すように、下部ILD材料層123も存在することができる。下部ILD材料層123および上部ILD材料層124は、組成的に同じILD材料から構成することができ、または、組成的に異なるILD材料から構成することができる。利用することができる例示的なILD材料は、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、非ドープ・シリケート・ガラス(USG)、フルオロシリケート・ガラス(FSG)、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)、スピンオン低k誘電体層、化学気相成長(CVD)低k誘電体層、またはそれらの任意の組合せを含む。本明細書全体を通じて使用されるものとしての「低k」という用語は、二酸化ケイ素よりも誘電率が低い誘電体材料を示す。
【0044】
図3Aには、VDD接点126、BL接点128、および交差結合接点130も示されている。VDD接点126、BL接点128、および交差結合接点130は、異なる導電性接点材料の同じものから構成することができる。いくつかの実施形態において、接点ライナ(図示せず)は、VDD接点126、BL接点128または交差結合接点130あるいはその組合せの周囲に存在することができる。接点ライナ(図示せず)は、Ti、Ni、NiPtなどのようなケイ化物ライナ、および、拡散バリア材料を含むことができる。例示的な拡散バリア材料は、Ru、TiN、TaN、WN、WC、それらの合金、またはTi/TiNおよびTi/WCなどのそれらのスタックを含むが、それらに限定されるものではない。本出願に使用することができる導電性接点材料の実例は、例えば、W、Cu、Al、Co、Ru、Mo、Os、Ir、Rhまたはそれらの合金を含む。
【0045】
図3Aに示すように、VDD接点126は、1つの非共有上部ソース/ドレイン領域114に接触するように設計されており、BL接点128は、ダミー・トランジスタが形成される領域において下部ソース/ドレイン領域108に接触するように設計されており、交差結合接点130は、上部ソース/ドレイン領域114Aの上方に位置するS/Dコネクタ112に接触する。また、交差結合接点130は、図3Aに示すように、ダミー・トランジスタの上部ゲートにも接触する。
【0046】
ここで、上記で言及した切り口B-Bに沿った例示的な構造の断面図である図3Bを参照する。上記で言及した要素/構成要素を含むのに加えて、図3Bに示す例示的な構造は、シャロー・トレンチ・アイソレーション領域140、ゲート・カット領域内に存在する誘電体構造142、誘電体キャップ144を含む。シャロー・トレンチ・アイソレーション領域140、誘電体構造142および誘電体キャップ144は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素および酸窒化ケイ素のうちの1つを含む、組成的に異なる誘電体材料から構成されている。図3Bはまた、下部ゲート電極117の表面に接触するWL接点146の存在も示している。WL接点146は、上述したような任意選択の接点ライナと、上述した導電性接点材料のうちの1つとを含む。また、図3Bには、上部ゲート電極118が、インバータがある所からダミー・トランジスタの場所までの、一方のインバータ入力の延長部を形成することも示されている。これにより、この時点で単純な接点が1つのインバータの入力を他方のインバータの出力に接続するため、相互結合の形成が容易になる。図示していないが、FET_4Tの上部ゲート電極は、第2のインバータの入力の延長部を形成する。
【0047】
ここで、上記で言及した切り口C-Cに沿った例示的な構造の断面図である図3Cを参照する。この図面は、上記ですでに言及したVDD接点126およびBL接点128を示している。
【0048】
ここで、上記で言及した切り口D-Dに沿った例示的な構造の断面図である図3Dを参照する。この図面は、上記で言及したように、S/Dコネクタ112によって上部および下部共有ソース/ドレイン領域114A、108Aに接続されている交差結合接点130を示す。S/Dコネクタ112は、上記で言及したような任意選択の接点ライナと、上述した導電性接点材料のうちの1つとを含む。
【0049】
図3A図3Dに示す半導体構造は、半導体フィンが両方のデバイス・レベルにおいて使用される任意の積層FET処理フローを利用して作製することができる。このような積層FET処理は、様々な堆積ステップ、様々なパターニング・ステップ、様々な材料除去ステップ、および様々な平坦化ステップを含む。本明細書では、本出願の半導体構造を曖昧にしないように、これらの様々な処理ステップをこれ以上説明しない。
【0050】
ここで、様々な断面図を通じて本出願の別の半導体構造を示す図4A図4B図4Cおよび図4Dを参照する。特に、図4Aは、本出願の一実施形態による、図2Aに示す切り口A-Aを通る半導体構造の断面図であり、図4Bは、図2Aに示す切り口B-Bを通る半導体構造の断面図であり、図4Cは、図2Aに示す切り口C-Cを通る半導体構造の断面図であり、図4Dは、図2Aに示す切り口D-Dを通る半導体構造の断面図である。図4A図4Dに示す半導体構造は、下部半導体フィン102Fおよび上部半導体フィン106Fが、それぞれ少なくとも1枚の下部半導体ナノシート102NSおよび少なくとも1つの上部半導体ナノシート106NSに置き換えられていることを除いて、図3A図3Dに示す半導体と同様である。図4A図4Dにおいては、複数の垂直積層下部半導体ナノシート102NSおよび複数の垂直積層上部半導体ナノシート106NSが示されている。図4A図4Dに示す半導体構造の他の差異は、複数の垂直積層下部半導体ナノシート102NSの下に位置する下部誘電体分離層150を含むこと、および、複数の垂直積層下部半導体ナノシート102NSと複数の垂直積層上部半導体ナノシート106NSの両方において、様々なナノシート間に内側スペーサ151が存在することである。図4A図4Dに示す半導体構造はまた、図3A図3Dに示すものと同様の要素も含み、これらの同様の要素は同じ参照符号によってラベリングされている。図4A図4Dに示す実施形態において、下部ゲート構成(116/117)が、複数の下部半導体ナノシート102NSを取り囲んでおり、上部ゲート構成(116/118)が、複数の上部半導体ナノシート106NSを取り囲んでいる。図4A図4Dに示すナノシート実施形態は、幾何学的形状の変化を除いて、図3A図3Dに示すフィン実施形態と同じであることに留意されたい。
【0051】
下部半導体ナノシート102NSおよび上部半導体ナノシート106NSは、半導体チャネル材料構造を説明する際に上記で言及した半導体材料のうちの1つを含む。下部半導体ナノシート102NSを提供する半導体材料は、上部半導体ナノシート106NSを提供する半導体材料と組成的に同じとすることができ、または、組成的に異なることができる。下部誘電体分離層150および内側スペーサ151は、周知の誘電体材料から構成されている。
【0052】
図4A図4Dに示す半導体構造は、半導体ナノシートが両方のデバイス・レベルにおいて使用される任意の積層FET処理フローを利用して作製することができる。このような積層FET処理は、様々な堆積ステップ、様々なパターニング・ステップ、様々な材料除去ステップ、および様々な平坦化ステップを含む。本明細書では、本出願の半導体構造を曖昧にしないように、これらの様々な処理ステップをこれ以上説明しない。
【0053】
本出願では、その好ましい実施形態に関して特に示し、説明してきたが、当業者であれば、本出願の範囲から逸脱することなく、前述およびその他の形態および詳細の変更を行うことができることが理解されよう。したがって、本出願は、記載および図示された正確な形態および詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
【国際調査報告】