IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノバサイト リミテッドの特許一覧

特表2025-502764屈折異常の治療/予防、並びに画像処理および表示のための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】屈折異常の治療/予防、並びに画像処理および表示のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 5/00 20060101AFI20250121BHJP
   A61B 3/113 20060101ALI20250121BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20250121BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20250121BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20250121BHJP
   G06T 5/94 20240101ALI20250121BHJP
【FI】
A61H5/00 Z
A61B3/113
G06T7/70 B
G06T7/20 300B
G06T1/00 510
G06T5/94
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538972
(86)(22)【出願日】2022-12-27
(85)【翻訳文提出日】2024-08-22
(86)【国際出願番号】 IB2022062802
(87)【国際公開番号】W WO2023126827
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/293,909
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/863,715
(32)【優先日】2022-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517201024
【氏名又は名称】ノバサイト リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】イエズケル,オレン
(72)【発明者】
【氏名】オズ,ダン
(72)【発明者】
【氏名】ヤム,ラン
【テーマコード(参考)】
4C046
4C316
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
4C046AA31
4C316AA13
4C316AA16
4C316FA19
4C316FB11
4C316FB12
4C316FC12
4C316FZ01
5B057AA07
5B057AA20
5B057BA02
5B057CA01
5B057CA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB02
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC03
5B057CE04
5B057CE11
5B057CE17
5B057DA20
5B057DC22
5B057DC30
5L096AA02
5L096AA03
5L096AA06
5L096BA06
5L096BA18
5L096CA05
5L096DA01
5L096DA02
5L096EA02
5L096FA04
5L096FA14
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA41
5L096GA51
5L096HA02
(57)【要約】
画像処理および表示の分野で有用な方法および装置が開示される。また、眼科分野で有用であって、いくつかの特定の実施形態では、屈折異常の非侵襲的な治療および/または予防に有用である、方法および装置が開示される。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間被験者における既存の屈折異常の治療および/または屈折異常の発生の予防に有用な方法であって:
a.表示画面上の画像を見る被験者の第1の眼の視線方向を決定し、決定した視線方向をコンピュータプロセッサに提供する工程と;
b.‘a’に続いて、前記第1の眼の前記決定した視線方向に基づいて、コンピュータプロセッサにより、前記第1の眼に対して前記表示画面上に表示するための表示画像を、受信したデジタルベース画像から生成する工程であって:
i.前記決定した視線方向を含む前記第1の眼の視野の一部に対応する前記表示画像の中心視部分が:
前記ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、前記表示画像の前記中心視部分の視覚的特性が前記ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、前記ベース画像内の対応する部分と比較して前記中心視部分の画質を改善し、
ii.前記中心視部分とは異なる前記表示画像の非中心視部分が:
前記ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、前記表示画像の前記非中心視部分の視覚的特性が前記ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、
生成の結果、前記表示画像の前記非中心視部分の画質が、前記表示画像の前記中心視部分の画質よりも低くなる工程と;
c.前記被験者の前記第1の眼が前記表示画面上の前記表示画像を見るように、生成した前記表示画像を前記表示画面上に表示する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記被験者の第2の眼が前記表示画面上の前記表示画像を見るように、生成した前記表示画像を前記表示画面上に表示する工程、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
‘a’および‘b’と同時に:
d.第2の眼の表示画面を見ている前記被験者の第2の眼の視線方向を決定し、決定した前記視線方向をコンピュータプロセッサに提供する工程と;
e.‘c’に続いて、前記第2の眼の決定した前記視線方向に基づいて、コンピュータプロセッサにより、前記第2の眼に対して前記第2の眼の表示画面上に表示するための第2の表示画像を、受信した前記デジタルベース画像から生成する工程であって:
i.決定した前記視線方向を含む前記第2の眼の視野の一部に対応する前記第2の表示画像の中心視部分が:
前記ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、前記第2の表示画像の前記中心視部分の視覚的特性が前記ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、前記ベース画像内の対応する部分と比較して前記中心視部分の画質を改善し、
ii.前記中心視部分とは異なる前記第2の表示画像の非中心視部分が:
前記ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、前記第2の表示画像の前記非中心視部分の視覚的特性が前記ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、
生成の結果、前記第2の表示画像の前記非中心視部分の画質が、前記第2の表示画像の前記中心視部分の画質よりも低くなる工程と;
f.前記被験者の前記第2の眼が前記第2の眼の表示画面上で前記第2の表示画像を見るように、生成した前記第2の表示画像を前記第2の眼の表示画面上に表示する工程と、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記表示画像の前記中心視部分のサイズが、前記第1の眼の決定した前記視線方向を含む、少なくとも約1°以上約20°以下の前記第1の眼の視野に対応する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記表示画像の前記中心視部分は、前記ベース画像の対応する部分と比較して変更されない、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記表示画像の前記中心視部分は、前記表示画像の前記中心視部分の視覚的特性が前記ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、前記ベース画像内の対応する部分と比較して、前記中心視部分の画質を改善する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記表示画像の前記非中心視部分は、前記中心視部分を完全に取り囲む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記中心視部分でない前記表示画像の面積の約100%が前記非中心視部分である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記非中心視部分は、前記中心視部分でない前記表示画像の面積の少なくとも1%以上約80%以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記表示画像の前記非中心視部分は、前記表示画像の前記非中心視部分の視覚的特性が前記ベース画像の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、前記ベース画像の対応する部分と比較して前記非中心視部分の画質を劣化させる、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ベース画像内の対応する部分と比較して前記非中心視部分の画質を劣化させる前記変更は、解像度の低減;コントラストの低減;輝度の低減/増加;色強度の低減;色パレットの低減または変化、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ベース画像内の対応する部分と比較して前記非中心視部分の画質を劣化させる前記変更は、解像度の低減;ぼかし;コントラストの低減;輝度の低減/増加;色強度の低減;色パレットの低減または変化、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を劣化させる前記変更は、前記ベース画像内の対応する部分における対応する画素の値と比較して、前記非中心視部分の画素の値を変化させることを含み、前記画素値に対する変化の大きさおよび/または種類は、前記ベース画像内の任意の隣接する画素の値に依存しない、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記表示画像を生成することは、前記表示画像を画像データ構造として生成することを含み;
生成した前記表示画像を表示することは、その後に、生成した前記画像データ構造を前記表示画面上に表示することである、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記表示画像を生成することは:
前記ベース画像に依存しないマスク画像を生成することであって、そのマスク画像が非劣化中心視部分と劣化非中心視部分とを有することと;
前記マスク画像を前記ベース画像と結合することであって、これにより前記表示画像を画像データ構造として生成することと、を含み、
生成した前記表示画像を表示することは、その後、生成した前記画像データ構造を前記表示画面上に表示することである、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記表示画像を生成することは:
前記ベース画像に依存しないマスク画像を生成することであって、そのマスク画像が非劣化中心視部分と劣化非中心視部分とを含むことと;
その後、前記表示画像の生成と表示との両方を同時に行うように、前記マスク画像を前記ベース画像と共に前記表示画面上に表示することと、を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記表示画像‘b’を生成する前に、前記コンピュータプロセッサに表示画面から第1の眼の角膜までの距離を提供することと;
前記表示画像の生成も、提供した前記表示画面から第1の眼の角膜までの距離に基づいて行われることと、をさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
画像処理および表示のための装置であって:
表示画面およびアイトラッカーと機能的に関連付けられたコンピュータプロセッサであって、前記アイトラッカーが、前記表示画面上の画像を見る人の第1の眼の視線方向を決定し、決定した視線方向を前記コンピュータプロセッサに提供するように構成されたものを含み;
前記コンピュータプロセッサは:
前記アイトラッカーから受信した前記第1の眼の視線方向に基づいて、受信されたデジタルベース画像から表示画像を生成するように構成され、ここで:
i.決定した前記視線方向を含む前記第1の眼の視野の一部に対応する前記表示画像の中心視部分は:
前記ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、前記表示画像の前記中心視部分の視覚的特性が前記ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、前記ベース画像内の対応する部分と比較して前記中心視部分の画質を改善し、
ii.前記中心視部分とは異なる前記表示画像の非中心視部分は:
前記ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、前記ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して、前記表示画像の前記非中心視部分の視覚的特性が変化するように変更され、
生成の結果、前記表示画像の前記非中心視部分の画質が、前記表示画像の前記中心視部分の画質よりも低くなり;
前記人の前記第1の眼が前記表示画面上の前記表示画像を見るように、生成した前記表示画像を前記表示画面上に表示する、装置。
【請求項19】
前記表示画面は、前記人の第2の眼が表示画面上で生成した表示画像を見ることができるように構成される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記表示画面を見る人の第2の眼の視線方向を決定し、決定した第2の眼の視線方向を前記コンピュータプロセッサに提供するように構成されたアイトラッカーをさらに備え;
前記コンピュータプロセッサは:
受信したデジタルベース画像から、かつ前記アイトラッカーから受信した前記第2の眼の視線方向に基づいて、第2の表示画像を生成するように構成され:
i.決定した前記視線方向を含む前記第2の眼の視野の一部に対応する前記第2の表示画像の中心視部分は:
前記ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、前記第2の表示画像の前記中心視部分の視覚的特性が前記ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、前記ベース画像内の対応する部分と比較して前記中心視部分の画質を改善し、
ii.前記中心視部分とは異なる前記第2の表示画像の非中心視部分が:
前記ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、前記ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して、前記第2の表示画像の前記非中心視部分の視覚的特性が変化するように変更され、
生成の結果、前記第2の表示画像の前記非中心視部分の画質が、前記第2の表示画像の前記中心視部分の画質よりも低くなり;
前記人の前記第2の眼が前記表示画面上で前記第2の表示画像を見るように、生成した前記第2の表示画像を、前記コンピュータプロセッサに機能的に関連付けられた表示画面上に表示する、請求項18~19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記コンピュータプロセッサは、表示画像の中心視部分のサイズが、前記第1の眼の決定した視線方向を含む少なくとも約1°以上約20°以下の前記第1の眼の視野に対応するように構成される、請求項18~20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記コンピュータプロセッサは、表示画像の中心視部分が前記ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないように構成される、請求項18~21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記コンピュータプロセッサは、生成した表示画像の中心視部分の視覚的特性が、前記ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、前記ベース画像を変更するように構成され、この変更は、前記ベース画像内の対応する部分と比較して前記中心視部分の画質を改善する、請求項18~22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記コンピュータプロセッサは、表示画像の非中心視部分が中心視部分を完全に取り囲むように構成される、請求項18~23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
前記コンピュータプロセッサは、前記表示画像の前記中心視部分以外の面積の約100%が前記非中心視部分であるように構成される、請求項18~24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記コンピュータプロセッサは、前記非中心視部分が前記中心視部分でない前記表示画像の面積の少なくとも1%以上約80%以下であるように構成される、請求項18~24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記コンピュータプロセッサは、生成した表示画像の非中心視部分の視覚的特性が前記ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、ベース画像を変更するように構成され、この変更は、前記ベース画像内の対応する部分と比較して前記非中心視部分の画質を劣化させる、請求項18~26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
表示画像の非中心視部分の画質をベース画像内の対応する部分と比較して劣化させる前記変更は、解像度の低減;コントラストの低減;輝度の低減/増加;色強度の低減;色パレットの低減または変化、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
表示画像の非中心視部分の画質をベース画像内の対応する部分と比較して劣化させる前記変更は、解像度の低減;ぼかし;コントラストの低減;輝度の低減/増加;色強度の低減;色パレットの低減または変化、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記非中心視部分の画質を前記ベース画像内の対応する部分と比較して劣化させる前記変更は、前記ベース画像内の対応する部分における対応する画素の値と比較して、前記非中心視部分の画素の値を変化させることを含み、前記画素値に対する変化の大きさおよび/または種類は、前記ベース画像内の任意の隣接する画素の値に依存しない、請求項19~30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
表示画像を生成するための前記コンピュータプロセッサの前記構成は、表示画像を画像データ構造として生成するための構成を含み、
生成した表示画像を表示するための前記コンピュータプロセッサの前記構成は、その後に、生成した前記画像データ構造を前記表示画面上に表示するための構成を含む、請求項19~30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
表示画像を生成するための前記コンピュータプロセッサの前記構成は、
前記ベース画像に非依存のマスク画像を生成することであって、そのマスク画像が非劣化中心視部分と劣化非中心視部分とを有することと;
生成した前記マスク画像を前記ベース画像と結合することであって、これにより画像データ構造としての表示画像を生成することと、を含み、
生成した表示画像を表示する前記コンピュータプロセッサの前記構成は、その後、生成した画像データ構造を前記表示画面に表示する構成である、請求項19~31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
表示画像を生成して表示する前記コンピュータプロセッサの前記構成は:
前記ベース画像に依存しないマスク画像を生成し、そのマスク画像が非劣化中心視部分と劣化非中心視部分とを含む構成と;
その後、表示画像の生成と表示との両方を同時に行うように、前記マスク画像を前記ベース画像と共に前記表示画面上に表示する構成と、を含む、請求項19~30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項34】
前記コンピュータプロセッサは、提供された表示画面から第1の眼の角膜までの距離にも基づいて表示画像を生成するように構成される、請求項19~33のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
画像処理および表示のための方法であって:
a.表示画面上の画像を見る人の第1の眼の視線方向を決定し、決定した前記視線方向をコンピュータプロセッサに提供する工程と;
b.‘a’に続いて、第1の眼の決定した視線方向に基づいて、コンピュータプロセッサにより、前記第1の眼に対して前記表示画面上に表示するための前記表示画像を、受信したデジタルベース画像から生成する工程であって:
i.決定した前記視線方向を含む前記第1の眼の視野の一部に対応する前記表示画像の中心視部分が:
前記ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、前記表示画像の前記中心視部分の視覚的特性が前記ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、前記ベース画像内の対応する部分と比較して前記中心視部分の画質を改善し、
ii.前記中心視部分とは異なる前記表示画像の非中心視部分が、
前記ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、前記表示画像の前記非中心視部分の視覚的特性が前記ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、
生成の結果、前記表示画像の前記非中心視部分の画質が、前記表示画像の前記中心視部分の画質よりも低くなる工程と;
c.前記人の前記第1の眼が前記表示画面上の前記表示画像を見るように、生成した前記表示画像を前記表示画面上に表示する工程と、を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2021年12月27日に出願された米国仮特許出願US63/293,909および2022年7月13日に出願された米国実用特許出願US17/863,715から優先権を得ており、両出願は本明細書に完全に明示されるように参照により含まれる。
【0002】
[発明の分野および背景]
本発明は、いくつかの実施形態において、画像処理および表示の分野に関し、より詳細には、限定的ではないが、人間被験者の画像の画像処理および表示に有用な方法および装置に関する。本発明は、いくつかの実施形態において、眼科学の分野に関し、より詳細には、限定的ではないが、人間被験者における屈折異常の非侵襲的な治療および/または予防に有用な方法および装置に関する。
【0003】
満期で生まれた人間の赤ちゃんの眼球は、約1.8cmの長さ(角膜から眼球の裏側まで)である。眼球は小児期を通じて成長し、成人期には約2.5cmの長さに達し、その間に理想的な正視化が起こる。
【0004】
正視とは、眼球の光学的なパワーと眼球の軸の長さとが一致することで、視力調節がない場合に、遠くの像が視細胞層に焦点を結ぶことである。
【0005】
正視化とは、正視を達成する過程であり、出生時に存在する屈折異常の減少を伴う。新生児の屈折状態には個人差があり、ほとんどの新生児の眼は遠視で、時間の経過と共に通常は正視になる。眼球の構成要素、特に水晶体や角膜の曲率は変化し続け、眼球の成長は最初の正視が得られる時期を越えて起こる。したがって、眼球もまた正視を維持する必要がある。正視化が視覚的フィードバックによって部分的に能動的に達成されることは議論の余地がない。しかし、正視が維持される過程についてはあまり知られていない。
【0006】
場合によっては、眼は、正視に達しても物理的に変化し続け、最終的に近視になることもある。このような近視は、通常、眼球の軸長および/または角膜の曲率の増加によって引き起こされ、遠くの物体からの光が網膜の手前で焦点を結ぶため、視力が低下する。
【0007】
近視は近視としても知られ、世界で最も一般的な眼疾患である。近視の有病率は、欧米では成人の約30~40%、アジア、特に中国の青年では80%以上である。近視を発症した子供の中には、高校を含む学齢期を通じて近視が進行し続ける子供もいる。近視の進行に伴う長期的なリスクには、白内障、緑内障、黄斑変性症、網膜剥離などがある。
【0008】
本出願人のUS11,064,882には、視覚障害のスクリーニング、モニタリング、および/または評価のための装置が記載されている。
【0009】
US2022/0057651には、カラー画像に対応する画像データを受信することと、カラー画像の少なくとも一部において、画像データの第1のカラーチャンネルを画像データの第2のカラーチャンネルよりも大きくぼかすことにより、カラー画像の一部において模擬縦色収差(LCA)を提供することと、模擬LCAを用いてカラー画像を表示することにより、眼に正視化療法を提供することとを含む、眼の正視化を駆動するための技術が記載されている。
【0010】
本発明の態様を理解するのに有用な追加の背景技術には、US2019/0377191、US2019/0094552およびUS2018/0096461が含まれる。
【0011】
[発明の概要]
いくつかの実施形態は、画像処理および表示の分野に関し、より詳細には、限定的ではないが、人間被験者の画像の画像処理および表示に有用な方法および装置に関する。本明細書における本発明のいくつかの実施形態は、眼科学の分野で有用な方法および装置に関し、いくつかの特定の実施形態では、屈折異常、特に近視の非侵襲的な治療および/または予防、および/または眼球の成長速度の減少に有用である。本明細書の教示のいくつかの実施形態は、屈折異常の発症を予防すること、現存する屈折異常の進行を止めること、および現存する屈折異常、特に近視、遠視および乱視の重症度を低下させることのうちの1つまたは複数に有用である。いくつかの実施形態において、本明細書の教示による方法および装置は、ベース画像から表示画像を生成することと、表示画像を人間被験者に表示することとを備える。表示画像は、中心視部分と非中心視部分との少なくとも2つの異なる部分からなり、非中心視部分の画質は中心視部分の画質よりも低い。
【0012】
本明細書の教示のいくつかの実施形態の態様によれば、人間被験者における既存の屈折異常の治療および/または屈折異常の発生の予防に有用な方法が提供され、その方法は:
a.表示画面上の画像を見る被験者の第1の眼の視線方向を決定し、決定した視線方向をコンピュータプロセッサに提供する工程と;
b.‘a’に続いて、第1の眼の決定した視線方向に基づいて、コンピュータプロセッサにより、第1の眼に対して表示画面上に表示するための表示画像を受信したデジタルベース画像から生成する工程であって:
i.決定した視線方向を含む第1の眼の視野の一部に対応する表示画像の中心視部分が、
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、表示画像の中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して中心視部分の画質を改善し、
ii.中心視部分とは異なる表示画像の非中心視部分が:
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、表示画像の非中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、
生成の結果、表示画像の非中心視部分の画質が、表示画像の中心視部分の画質よりも低くなる工程と;
c.被験者の第1の眼が表示画面上の表示画像を見るように、生成した表示画像を表示画面上に表示する工程と、を有する。
【0013】
本明細書の教示のいくつかの実施形態の態様によれば、画像処理および表示のための方法が提供され、その方法は:
a.表示画面上の画像を見る人の第1の眼の視線方向を決定し、決定した視線方向をコンピュータプロセッサに提供する工程と;
b.‘a’に続いて、第1の眼の決定した視線方向に基づいて、コンピュータプロセッサにより、第1の眼に対して表示画面上に表示するための表示画像を受信したデジタルベース画像から生成する工程であって:
i.決定した視線方向を含む第1の眼の視野の一部に対応する表示画像の中心視部分が、
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、表示画像の中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して中心視部分の画質を改善し、
ii.中心視部分とは異なる表示画像の非中心視部分が、
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、表示画像の非中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、
生成の結果、表示画像の非中心視部分の画質が、表示画像の中心視部分の画質よりも低くなる工程と;
c.人の第1の眼が表示画面上の表示画像を見るように、生成した表示画像を表示画面上に表示する工程と、を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、いずれかの方法は、被験者の第2の眼が表示画面、すなわち同じ表示画面または異なる表示画面のいずれかで表示画像を見るように、生成した表示画像を表示画面上に表示すること(例えば、方法がVRゴーグルを使用して実施される場合)をさらに含む。いくつかのそのような実施形態では、表示画像は、両眼が同時に見るために、同じ表示画面の同じ位置に表示され、すなわち、両眼は、同じ表示画面に表示された同じ画像を見る。
【0015】
あるいは、いくつかの実施形態では、いずれかの方法はさらに、‘a’および‘b’と共に:
d.第2の眼の表示画面を見ている被験者(人)の第2の眼の視線方向を決定し、決定した視線方向をコンピュータプロセッサに提供する工程と;
e.‘c’に続いて、第2の眼の決定した視線方向に基づいて、コンピュータプロセッサにより、第2の眼に対して第2の眼の表示画面上に表示するための第2の表示画像を受信したデジタルベース画像から生成する工程であって:
i.決定した視線方向を含む第2の眼の視野の一部に対応する第2の表示画像の中心視部分が:
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、第2の表示画像の中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して中心視部分の画質を改善し、
ii.中心視部分とは異なる第2の表示画像の非中心視部分が、
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、第2の表示画像の非中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、
生成の結果、第2の表示画像の非中心視部分の画質が、第2の表示画像の中心視部分の画質よりも低くなる工程と;
f.被験者(人)の第2の眼が第2の眼の表示画面上で第2の表示画像を見るように、生成した第2の表示画像を第2の眼の表示画面上に表示する工程と、を有する。
【0016】
このような実施形態では、第2の眼が表示画像を見ないように表示し、第1の眼が第2の表示画像を見ないように表示する。いくつかのそのような実施形態では、第2の眼の表示画面および表示画面は、2つの異なる物理的構成要素(例えば、いくつかのVR眼鏡)である。いくつかのそのような実施形態では、第2の眼の表示画面および表示画面は、同じ物理的な画面であるが、第2の表示画像および表示画像は、画面の異なる位置に表示されるか(例えば、左眼/右眼パーティションを有するいくつかのVR眼鏡)、画面の同じ場所に表示されるが異なる時間に表示されるか(例えば、シャッター眼鏡)、または同じ画面上の同じ場所に同じ時間に表示される(例えば、アナグリフまたはオートステレオスコピック方式を使用する)。
【0017】
いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分は、第1の眼の決定した視線方向を中心とする第1の眼の視野に対応する。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態では、第2の表示画像の中心視部分は、第1の眼の決定した視線方向を中心とする第2の眼の視野に対応する。
【0018】
いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分の形状は円である。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態では、第2の表示画像の中心視部分の形状は円である。
【0019】
いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分のサイズは、第1の眼の決定した視線方向を含む、少なくとも約1°以上約20°以下(特に好ましい実施形態では、約2°以上約8°以下)の第1の眼の視野に対応する。いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分のサイズは、第1の眼の決定した視線方向を含む、少なくとも約1°以上約4°以下、さらには少なくとも約1°以上約3°以下の第1の眼の視野に対応する。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態では、第2の表示画像の中心視部分のサイズは、第2の眼の決定した視線方向を含む、少なくとも約1°以上約20°以下(特に好ましい実施形態では、約2°以上約8°以下)の第2の眼の視野に対応する。同様に、いくつかの実施形態では、第2の表示画像の中心視部分のサイズは、第2の眼の決定した視線方向を含む、少なくとも約1°以上約4°以下、さらには少なくとも約1°以上約3°以下の第2の眼の視野に対応する。
【0020】
いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分は、ベース画像内の対応する部分と比較して変更されない。同様に、いくつかの実施形態では、第2の表示画像の中心視部分は、ベース画像内の対応する部分と比較して変更されない。
【0021】
あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分の視覚的特性が、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、表示画像の中心視部分が変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分に対する中心視部分の画質を変化させる。いくつかの実施形態では、そのような変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像の中心視部分の画質を改善する。同様に、いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分の視覚的特性が、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、第2の表示画像の中心視部分が変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分に対する中心視部分の画質を変化させる。いくつかの実施形態では、このような変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して、第2の表示画像の中心視部分の画質を改善する。
【0022】
表示画像および/または第2の表示画像における中心視部分と非中心視部分との相対的な向きは、任意の適切な相対的な向きである。いくつかの実施形態では、非中心視部分は中心視部分と連続している。いくつかの実施形態では、表示画像の非中心視部分は、少なくとも部分的に中心視部分を取り囲む。いくつかの実施形態では、表示画像の非中心視部分は、中心視部分を完全に取り囲む。
【0023】
いくつかの実施形態では、表示画像の非中心視部分の径方向寸法は、少なくとも約2°の第1の眼の視野に対応する。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、第2の表示画像の非中心視部分の径方向寸法は、少なくとも約2°の第2の眼の視野に対応する。
【0024】
さらに、いくつかの実施形態では、表示画像の非中心視部分の径方向寸法は、少なくとも最小値以上最大値以下の第1の眼の視野に対応し、最小値は約2°であり、最大値は約30°である。いくつかのそのような実施形態では、表示画像の非中心視部分は、リング形状を有し、内側寸法(表示画像の中心視部分と連続する典型的な寸法)と外側寸法とを有し、外側寸法と内側寸法との差が最小値と最大値との間にある。いくつかの実施形態では、最小値は約3°、約4°、さらには約5°である。いくつかの実施形態では、最大値は約25°、約20°、さらには約15°である。同様に、いくつかの実施形態では、第2の表示画像の非中心視部分の径方向寸法は、少なくとも最小値以上最大値以下の第2の眼の視野に対応し、最小値は約2°、最大値は約30°である。いくつかのそのような実施形態では、第2の表示画像の非中心視部分は、リング形状を有し、内側寸法(第2の表示画像の中心視部分と連続する典型的な寸法)と外側寸法とを有し、外側寸法と内側寸法との差が最小値と最大値との間にある。いくつかの実施形態では、最小値は約3°、約4°、さらには約5°である。いくつかの実施形態では、最大値は約25°、約20°、さらには約15°である。このような実施形態の利点は、比較的複雑な演算子を使用する場合であっても、このような比較的小さな非中心視部分を生成するための計算労力が比較的控えめであり得ることである。
【0025】
いくつかの実施形態では、非中心視部分は、中心視部分でない表示画像のバランスであり、すなわち、中心視部分でない表示画像の面積の約100%が非中心視部分である。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、非中心視部分は、中心視部分でない第2の表示画像のバランスであり、すなわち、中心視部分でない第2の表示画像の面積の約100%が非中心視部分である。
【0026】
いくつかの実施形態では、画像および/または第2の画像の第2の部分は、中心視部分でも非中心視部分でもない。好ましいこのような実施形態では、第3の部分は変更または処理されず、表示画面上に表示されたとき、表示された場合のベース画像内の対応する部分と同じものに見える。このような実施形態の利点は、比較的複雑な演算子を使用する場合であっても、比較的小さな非中心視部分を生成するための計算労力が、比較的控えめであり得、いくつかの実施形態では、より高いフレームレートおよび/またはより複雑な演算子の使用を可能にすることである。いくつかのそのような実施形態のさらなる利点は、より小さい非中心視部分が視聴者にとってより邪魔にならないことである。
【0027】
したがって、いくつかの実施形態では、非中心視部分は、中心視部分でない表示画像の面積の少なくとも1%以上約80%以下である。いくつかのそのような実施形態では、非中心視部分は、中心視部分でない表示画像の面積の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、さらには少なくとも約30%である。加えてまたは代替的に、いくつかの実施形態では、中心視部分でない表示画像の面積の約70%以下、約60%以下、さらには約50%以下である。特に好ましい一実施形態では、非中心視部分は、中心視部分でない表示画像の面積の少なくとも30%以上約50%以下である。別の特に好ましい実施形態では、非中心視部分は、中心視部分でない表示画像の面積の少なくとも5%以上かつ、約50%以下、約40%以下、さらには約30%以下である。
【0028】
同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態では、非中心視部分は、中心視部分でない第2の表示画像の面積の少なくとも1%以上約80%以下である。いくつかのそのような実施形態では、非中心視部分は、中心視部分でない第2の表示画像の面積の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、さらには少なくとも約30%である。加えてまたは代替的に、いくつかの実施形態では、中心視部分でない第2の表示画像の面積の約70%以下、約60%以下、さらには約50%以下である。特に好ましい一実施形態では、非中心視部分は、中心視部分でない第2の表示画像の面積の少なくとも30%以上約50%以下である。別の特に好ましい実施形態では、非中心視部分は、中心視部分でない第2の表示画像の面積の少なくとも5%以上かつ、約50%以下、約40%以下、さらには約30%以下である。
【0029】
いくつかの実施形態では、表示画像の非中心視部分は、ベース画像内の対応する部分と比較して変更されない。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態では、第2の表示画像の非中心視部分は、ベース画像内の対応する部分と比較して変更されない。
【0030】
いくつかの好ましい実施形態では、表示画像の非中心視部分の視覚的特性が、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、表示画像の非中心視部分が変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分に対する表示画像の非中心視部分の画質を変化させる。いくつかの実施形態では、このような変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像の非中心視部分の画質を改善する。あるいは、いくつかの好ましい実施形態では、このような変更は、表示画像の非中心視部分の画質を、ベース画像内の対応する部分と比較して劣化させる。同様に、適用可能な場合、いくつかの好ましい実施形態では、第2の表示画像の非中心視部分の視覚的特性が、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、第2の表示画像の非中心視部分が変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して、第2の表示画像の非中心視部分の画質を変化させる。いくつかの実施形態では、このような変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して、第2の表示画像の非中心視部分の画質を改善する。あるいは、いくつかの好ましい実施形態では、このような変更は、第2の表示画像の非中心視部分の画質を、ベース画像内の対応する部分と比較して劣化させる。
【0031】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、解像度の低減;ぼかし;コントラストの低減;輝度の低減/増加;色強度の低減;色パレットの低減または変化、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。ベース画像が赤色サブ画像、緑色サブ画像、および青色サブ画像からなるカラー画像であるいくつかの実施形態では、低減または変化させた色パレットとは、1つ、2つ、または3つすべてのサブ画像の非中心視部分に位置する画素が、対応する表示画像に有し得る使用可能な値の数を低減することを意味する。例えば、ベース画像が、各画素が0と255との間の値を有する3つのサブ画像からなる場合、いくつかのそのような実施形態では、3つのサブ画像のうちの2つは変化しないが、サブ画像のうちの1つ(例えば、青色のサブ画像)については、非中心視部分に位置する画素が採用することができる使用可能な値の数が8(0と7との間の値)に低減される。
【0032】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、解像度の低減を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、ぼかしを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、コントラストの低減を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、輝度の低減/増加を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、色強度の低減を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、色パレットの低減または変化を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、非中心視部分の画質を劣化させる変更は、ベース画像内の対応する部分における対応する画素の値と比較して、非中心視部分の画素の値を変化させることを含み、画素値に対する変化の大きさおよび/または種類は、ベース画像内の任意の隣接する画素の値に依存しない。
【0039】
いくつかの実施形態では、表示画像の生成は、表示画像を画像データ構造(例えば、画像データファイル)として生成することを含み、生成した表示画像の表示は、その後に、生成した画像データ構造を表示画面上に表示することである。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、第2の表示画像の生成は、第2の表示画像を画像データ構造として生成することを含み、生成した第2の表示画像の表示は、その後に、生成した画像データ構造を表示画面上に表示することである。好ましいそのような実施形態では、画像データ構造は、生成中または生成後に、(例えば、RAMまたはROMなどのコンピュータのメモリに)記憶され、その後に表示される。いくつかの実施形態では、画像データ構造は、ベース画像データ構造上でグラフィカル演算子を実行することによって生成される。
【0040】
いくつかの実施形態において、表示画像および/または第2の表示画像は、決定した視線方向に基づいて生成されたマスク画像の助力によって生成され、マスク画像はベース画像に非依存である。マスク画像は、決定した視線方向を含む非劣化中心視部分を含み、非劣化中心視部分は、典型的には、マスク画像がベース画像と結合されおよび/または共に表示されるとき、結果として得られる表示画像(または第2の表示画像)のうち中心視部分に対応する部分が表示画面上に変化せずに見えるように「透明」である。また、マスク画像は、マスク画像がベース画像と結合されおよび/または共に表示されるとき、結果として得られる表示画像(または第2の表示画像)のうち非中心視部分に対応する部分が表示画面上で劣化して見えるように、劣化した非中心視部分を含んでいる。いくつかのそのような実施形態を実施するのに必要な演算処理能力は、典型的には控えめであり、より高いフレームレートでの実施を可能にする。さらに、マスク画像はベース画像の画素を問い合わせる必要なく生成されるため、そのような実施形態の実施は比較的単純かつ容易である。第2の表示画像が生成されるいくつかの実施形態では、第2の表示画像は、表示画像を生成するために使用されるのと同じマスク画像の助力によって、本明細書で説明するように生成される。あるいは、ここで第2の表示画像が生成されるいくつかの実施形態では、第2の表示画像は、表示画像を生成するために使用されたマスク画像とは異なるマスク画像の助力によって生成される。
【0041】
いくつかの実施形態において、表示画像の生成は:ベース画像に依存しないマスク画像を生成することであって、そのマスク画像が非劣化中心視部分と劣化非中心視部分とを有することと;マスク画像をベース画像と結合することであって、これにより表示画像を画像データ構造として生成することと、を含み、生成した表示画像の表示は、その後、生成した画像データ構造を表示画面上に表示することである。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、第2の表示画像の生成は:ベース画像に依存しないマスク画像を生成することであって、そのマスク画像が非劣化中心視部分と劣化非中心視部分とを有することと;マスク画像をベース画像と結合することであって、これにより第2の表示画像を画像データ構造として生成することと、を含み、生成した第2の表示画像の表示は、その後、生成した画像データ構造を表示画面上に表示することである。好ましいそのような実施形態では、画像データ構造は、生成中または生成後に、(例えば、RAMまたはROMなどのコンピュータのメモリに)記憶され、その後に表示される。
【0042】
あるいは、いくつかの実施形態において、表示画像の生成は:ベース画像に依存しないマスク画像を生成することであって、そのマスク画像が非劣化中心視部分と劣化非中心視部分とを含むことと;その後、表示画像の生成と表示との両方を同時に行うように、生成したマスク画像をベース画像と共に表示画面上に表示することと、を含む。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、第2の表示画像の生成は:ベース画像に非依存であるマスク画像を生成することであって、そのマスク画像が非劣化中心視部分と劣化非中心視部分とを含むことと;その後、第2の表示画像の生成と表示の両方を同時に行うように、生成したマスク画像をベース画像と共に表示画面上に表示することと、を含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、方法は:表示画像‘b’を生成する前に、コンピュータプロセッサに表示画面から第1の眼の角膜までの距離を提供することと;表示画像の生成も、提供した表示画面から第1の眼の角膜までの距離に基づいて行われることと、をさらに含む。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、方法は:第2の表示画像‘e’を生成する前に、コンピュータプロセッサに表示画面から第2の眼の角膜までの距離を提供することと;第2の表示画像の生成も、提供した表示画面から第2の眼の角膜までの距離に基づいて行われることと、をさらに含む。いくつかのそのような実施形態では、コンピュータプロセッサに表示画面から第1の眼および/または第2の眼の角膜までの距離を提供することは、コンピュータプロセッサにパラメータとして1つまたは複数の距離値を入力することを含む。あるいは、いくつかのそのような実施形態において、表示画面から第1の眼の角膜までの距離をコンピュータプロセッサに提供することは、表示画面と被験者の第1の眼の角膜との間の距離を決定することを含み、その決定した距離は、表示画像を生成するために使用され、いくつかの実施形態においては、第2の表示画像も生成するために使用される。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、表示画面から第2の眼の角膜までの距離をコンピュータプロセッサに提供することは、表示画面と被験者の第2の眼の角膜との間の距離を決定することを含み、その決定した距離は、第2の表示画像を生成するために使用される。
【0044】
特に好ましい実施形態では、人間被験者における既存の屈折異常の治療および/または屈折異常の発生の予防に有用な方法が提供され、その方法は:
a.表示画面上の画像を見る被験者の第1の眼の視線方向を決定し、決定した視線方向をコンピュータプロセッサに提供する工程と;
b.‘a’に続いて、第1の眼の決定した視線方向に基づいて、コンピュータプロセッサにより、第1の眼に対して表示画面上の表示するための表示画像を受信したデジタルベース画像から生成する工程であって:
i.決定した視線方向を含む第1の眼の視野の一部に対応する表示画像の中心視部分が、ベース画像内の対応する部分と比較して変更されず、
ii.中心視部分とは異なる表示画像の非中心視部分は、表示画像の非中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を劣化させる工程と、
c.被験者の第1の眼と第2の眼とが同時に表示画面の同じ位置で表示画面上の表示画像を見るように、生成した表示画像を表示画面上に表示する工程と、を含み、
表示画像の中心視部分のサイズが、第1の眼の決定した視線方向を含む少なくとも約1°以上約20°以下の第1の眼の視野に対応し;
非中心視部分は、中心視部分を完全に取り囲み、中心視部分ではない表示画像の面積の少なくとも1%(いくつかの代替的な好ましい実施形態では、少なくとも約30%)であり;
ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を劣化させる変更は: 解像度の低減;ぼかし;コントラストの低減;輝度の低減/増加;色強度の低減;色パレットの低減または変化、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも1つの変更を含む。いくつかの好ましい実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を劣化させる変更は:コントラストの低減;輝度の低減/増加;色強度の低減;色パレットの低減または変化、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも1つの変更を含む。
【0045】
特に好ましい実施形態では、人間被験者における既存の屈折異常の治療および/または屈折異常の発生の予防に有用な方法が提供され、その方法は:
a.表示画面上の画像を見る被験者の第1の眼の視線方向を決定し、決定した視線方向をコンピュータプロセッサに提供する工程と;
b.‘a’に続いて、第1の眼の決定した視線方向に基づいて、コンピュータプロセッサにより、第1の眼に対して表示画面上の表示するための表示画像を受信したデジタルベース画像から生成する工程であって:
i.決定した視線方向を含む第1の眼の視野の一部に対応する表示画像の中心視部分は、ベース画像内の対応する部分と比較して変更されず、
ii.中心視部分とは異なる表示画像の非中心視部分は、表示画像の非中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を劣化させる工程と、
c.被験者の第1の眼と第2の眼とが同時に表示画面の同じ位置で表示画面上の表示画像を見るように、生成した表示画像を表示画面上に表示する工程と、を含み、
表示画像の中心視部分のサイズが、第1の眼の決定した視線方向を含む少なくとも約1°以上約20°以下の第1の眼の視野に対応し;
非中心視部分は、中心視部分を完全に取り囲み、中心視部分ではない表示画像の面積の少なくとも約1%(いくつかの代替的な好ましい実施形態では、少なくとも約30%)であり;
ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を劣化させる変更は、ベース画像内の対応する部分の対応する画素の値と比較して非中心視部分の画素の値を変化させることを含み、画素値に対する変化の大きさおよび/または種類は、ベース画像内の任意の隣接する画素の値に依存しない。
【0046】
本明細書の教示のいくつかの実施形態の態様によれば、いくつかの実施形態において、人間被験者における既存の屈折異常の治療および/または屈折異常の発生の予防に有用な、画像処理および表示のための装置も提供され、その装置は:
表示画面およびアイトラッカーと機能的に関連付けられたコンピュータプロセッサであって、そのアイトラッカーが、表示画面上の画像を見る人の第1の眼の視線方向を決定し、決定した視線方向をコンピュータプロセッサに提供するように構成されたものを含み;
コンピュータプロセッサは:
アイトラッカーから受信した第1の眼の視線方向に基づいて、受信されたデジタルベース画像から表示画像を生成するように構成され、ここで;
i.決定した視線方向を含む第1の眼の視野の一部に対応する表示画像の中心視部分は:
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、表示画像の中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して中心視部分の画質を改善し、
ii.中心視部分とは異なる表示画像の非中心視部分は:
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して、表示画像の非中心視部分の視覚的特性が変化するように変更され、
生成の結果、表示画像の非中心視部分の画質が、表示画像の中心視部分の画質よりも低くなり;
人の第1の眼が表示画面上の表示画像を見るように、生成した表示画像を表示画面上に表示する。
【0047】
いくつかの実施形態では、表示画面は、被験者の第2の眼が、生成した表示画像を表示画面上で(すなわち、異なる表示画面上で(例えば、各眼に対して異なる表示画面を有するVR眼鏡を使用して)、または同じ表示画面上で)見ることができるように構成される。いくつかのそのような実施形態では、生成した表示画像は、両眼が同時に見るために、表示画面の同じ位置に表示される。
【0048】
いくつかの実施形態では、装置は:
表示画面を見る人の第2の眼の視線方向を決定し、決定した第2の眼の視線方向をコンピュータプロセッサに提供するように構成されたアイトラッカーをさらに備え;
コンピュータプロセッサは:
受信したデジタルベース画像から、かつアイトラッカーから受信した第2の眼の視線方向に基づいて、第2の表示画像を生成するように構成され:
i.決定した視線方向を含む第2の眼の視野の一部に対応する第2の表示画像の中心視部分は:
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、第2の表示画像の中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して中心視部分の画質を改善し、
ii.中心視部分とは異なる第2の表示画像の非中心視部分が:
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して、第2の表示画像の非中心視部分の視覚的特性が変化するように変更され、
生成の結果、第2の表示画像の非中心視部分の画質が、第2の表示画像の中心視部分の画質よりも低くなり;
人の第2の眼が表示画面上で第2の表示画像を見るように、生成した第2の表示画像を、コンピュータプロセッサに機能的に関連付けられた表示画面上に表示する。
【0049】
このような実施形態では、装置は、第2の眼が表示画像を見ないで、第1の眼が第2の表示画像を見ないように構成される。いくつかのそのような実施形態では、第2の眼の表示画面と表示画面とは、2つの異なる物理的構成要素(例えば、いくつかのVR眼鏡)である。いくつかのそのような実施形態では、第2の眼の表示画面と表示画面とは、同じ物理的な画面であるが、第2の表示画像と表示画像とは、画面の異なる位置に表示されるか(例えば、左眼/右眼パーティションを有するいくつかのVR眼鏡)、画面の同じ場所に表示されるが異なる時間に表示されるか(例えば、シャッター眼鏡)、または同じ画面上の同じ場所に同じ時間に表示される(例えば、アナグリフまたはオートステレオスコピック方式を使用する)。
【0050】
いくつかの実施形態では、両眼の視線方向を決定するために同じアイトラッカーが使用される。いくつかの実施形態では、装置は、2つの異なるアイトラッカー、第1の眼の視線方向を決定するための第1のアイトラッカー、および第2の眼の視線方向を決定するための第2のアイトラッカーを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分は、第1の眼の決定した視線方向を中心とする第1の眼の視野に対応する。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、第2の表示画像の中心視部分は、第2の眼の決定した視線方向を中心とする第2の眼の視野に対応する。
【0052】
いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分の形状は円である。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態では、第2の表示画像の中心視部分の形状は円である。
【0053】
いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、表示画像の中心視部分のサイズが、第1の眼の決定した視線方向を含む少なくとも約1°以上約20°以下の第1の眼の視野に対応するように構成される。好ましい実施形態では、コンピュータプロセッサは、表示画像の中心視部分のサイズが、第1の眼の決定した視線方向を含む約2°以上約8°以下の第1の眼の視野に対応するように構成される。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、コンピュータプロセッサは、第2の表示画像の中心視部分のサイズが、第2の眼の決定した視線方向を含む少なくとも約1°以上約20°以下の第2の眼の視野に対応するように構成される。好ましい実施形態では、コンピュータプロセッサは、第2の表示画像の中心視部分のサイズが、第2の眼の決定した視線方向を含む約2°以上約8°以下の第2の眼の視野に対応するように構成される。
【0054】
いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、生成した表示画像の中心視部分がベース画像の対応する部分と比較して変更されないように構成される。
【0055】
いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、生成した表示画像の中心視部分の視覚的特性が、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、ベース画像を変更するように構成され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して中心視部分の画質を改善する。
【0056】
いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、生成した表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分が中心視部分と連続するように構成される。加えてまたは代替的に、いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、生成した表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分が中心視部分を少なくとも部分的に取り囲むように構成される。加えてまたは代替的に、いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、生成した表示画像または第2の表示画像の非中心視部分が中心視部分を完全に取り囲むように構成される。
【0057】
いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、生成した表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の径方向寸法が、少なくとも約2°のそれぞれの眼の視野に対応するように構成される。
【0058】
さらに、いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、表示画像の非中心視部分の径方向寸法が、少なくとも最小値以上最大値以下のそれぞれの眼の視野に対応するように構成され、最小値は約2°であり、最大値は約30°である。いくつかのそのような実施形態では、コンピュータプロセッサは、表示画像の非中心視部分がリング形状を有し、内側寸法(表示画像の中心視部分と連続する典型的な寸法)と外側寸法とを有し、外側寸法と内側寸法との差が最小値と最大値との間にあるように構成される。いくつかの実施形態では、最小値は約3°、約4°、さらには約5°である。いくつかの実施形態では、最大値は約25°、約20°、さらには約15°である。同様に、いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、第2の表示画像の非中心視部分の径方向寸法が、少なくとも最小値以上最大値以下の第2の眼の視野に対応するように構成され、最小値は約2°であり、最大値は約30°である。いくつかのそのような実施形態では、第2の表示画像の非中心視部分は、リング形状を有し、内側寸法(第2の表示画像の中心視部分と連続する典型的な寸法)と外側寸法とを有し、外側寸法と内側寸法との差が最小値と最大値との間にある。いくつかの実施形態では、最小値は約3°、約4°、さらには約5°である。いくつかの実施形態では、最大値は約25°、約20°、さらには約15°である。このような実施形態の利点は、比較的複雑な演算子を使用する場合であっても、このような比較的小さな非中心視部分を生成するための計算労力が比較的控えめであり得ることである。
【0059】
いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、非中心視部分が中心視部分でない表示画像のバランスであり、すなわち、中心視部分でない表示画像の面積の約100%が非中心視部分であるように構成される。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、非中心視部分が中心視部分でない第2の表示画像のバランスであり、すなわち、中心視部分でない第2の表示画像の面積の約100%が非中心視部分であるように構成される。
【0060】
いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、画像および/または第2の画像の第3の部分が中心視部分でも非中心視部分でもないように構成される。好ましいそのような実施形態では、コンピュータプロセッサは、第3の部分が変更または処理されず、表示画面上に表示されたとき、表示された場合のベース画像内の対応する部分と同じものに見えるように構成される。そのような実施形態の利点は、比較的複雑な演算子を使用する場合であっても、比較的小さな非中心視部分を生成するための計算労力を比較的控えめにすることができ、いくつかの実施形態では、より高いフレームレートおよび/またはより複雑な演算子の使用を可能にすることである。いくつかのそのような実施形態のさらなる利点は、より小さい非中心視部分が視聴者にとってより邪魔にならないことである。
【0061】
したがって、いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、非中心視部分が、中心視部分でない表示画像の面積の少なくとも1%以上約80%以下であるように構成される。いくつかのそのような実施形態では、コンピュータプロセッサは、非中心視部分が、中心視部分でない表示画像の面積の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、さらには少なくとも約30%であるように構成される。加えてまたは代替的に、いくつかの実施形態では、中心視部分でない表示画像の面積の約70%以下、約60%以下、さらには約50%以下である。特に好ましい一実施形態では、非中心視部分は、中心視部分でない表示画像の面積の少なくとも30%以上約50%以下である。別の特に好ましい実施形態では、非中心視部分は、中心視部分でない表示画像の面積の少なくとも5%以上かつ、約50%以下、約40%以下、さらには約30%以下である。
【0062】
同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、中心視部分でない部分が、中心視部分でない第2の表示画像の面積の少なくとも1%以上約80%以下であるように構成される。いくつかのそのような実施形態では、コンピュータプロセッサは、非中心視部分が、中心視部分でない第2の表示画像の面積の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、さらには少なくとも約30%であるように構成される。加えてまたは代替的に、いくつかの実施形態では、中心視部分でない第2の表示画像の面積の約70%以下、約60%以下、さらには約50%以下である。特に好ましい一実施形態では、非中心視部分は、中心視部分でない第2の表示画像の面積の少なくとも30%以上約50%以下である。別の特に好ましい実施形態では、非中心視部分は、中心視部分でない第2の表示画像の面積の少なくとも5%以上かつ、約50%以下、約40%以下、さらには約30%以下である。
【0063】
いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、生成した表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分が、対応するベース画像内の対応する部分と比較して変更されないように構成される。
【0064】
いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、生成した表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の視覚的特性が、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、ベース画像を変更するように構成され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を変化させる。
【0065】
好ましくは、いくつかの実施形態において、コンピュータプロセッサは、生成した表示画像および/または第2の表示画像の非中心部分の視覚的特性が、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、ベース画像を変更するようにさらに構成され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を劣化させる。
【0066】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、解像度の低減;ぼかし;コントラストの低減;輝度の低減/増加;色強度の低減;色パレットの低減または変化、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。ベース画像が赤色サブ画像、緑色サブ画像、および青色サブ画像からなるカラー画像であるいくつかの実施形態では、低減または変化させた色パレットとは、1つ、2つ、または3つすべてのサブ画像の非中心視部分に位置する画素が、対応する表示画像に有し得る使用可能な値の数を低減することを意味する。例えば、ベース画像が、各画素が0と255との間の値を有する3つのサブ画像からなる場合、いくつかのそのような実施形態では、3つのサブ画像のうちの2つは変化しないが、サブ画像のうちの1つ(例えば、青色のサブ画像)については、非中心視部分に位置する画素が採用することができる使用可能な値の数が8(0と7との間の値)に低減される。
【0067】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、解像度の低減を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、ぼかしを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、コントラストの低減を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、輝度の低減/増加を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、色強度の低減を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる変更は、色パレットの低減または変化を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、ベース画像内の対応する部分に対する非中心視部分の画質を劣化させる変更は、ベース画像内の対応する部分における対応する画素の値と比較して非中心視部分の画素の値を変化させることを含み、画素値に対する変化の大きさおよび/または種類は、ベース画像内の任意の隣接する画素の値には依存しない。
【0074】
いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、表示画像の生成が表示画像を画像データ構造(例えば、画像データファイル)として生成することを含み、生成した表示画像の表示が生成した画像データ構造を表示画面上に表示することであるように構成される。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、コンピュータプロセッサは、第2の表示画像の生成が、第2の表示画像を画像データ構造として生成することを含み、生成した第2の表示画像の表示が、その後に、生成した画像データ構造を表示画面上に表示することであるように構成される。好ましいそのような実施形態では、コンピュータプロセッサは、生成中または生成後に画像データ構造を(例えば、RAMまたはROMなどのコンピュータのメモリに)記憶し、その後に、記憶した画像データ構造を表示するように構成される。いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、ベース画像データ構造上でグラフィカル演算子を実行することによって画像データ構造を生成するように構成される。
【0075】
いくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、決定した視線方向に基づいてマスク画像を最初に生成することによって、表示画像および/または第2の表示画像を生成するように構成され、マスク画像はベース画像に非依存である。生成したマスク画像は、決定した視線方向を含む非劣化中心視部分を含み、非劣化中心視部分は、典型的には、マスク画像がベース画像と結合されおよび/またはベース画像と共に表示されるとき、結果として得られる表示画像(または第2の表示画像)のうち中心視部分に対応する部分が表示画面上で変化せずに表示されるように「透明」である。また、生成したマスク画像は、コンピュータプロセッサがマスク画像をベース画像と結合しおよび/または共に表示するときに、結果として得られる表示画像(または第2の表示画像)のうち非中心視部分に対応する部分が表示画面上で劣化して見えるように、劣化した非中心視部分を含んでいる。いくつかのそのような実施形態を実施するのに必要な演算処理能力は、典型的には控えめであり、より高いフレームレートでの実施を可能にする。さらに、コンピュータプロセッサは、ベース画像の画素を問い合わせることなくマスク画像を生成するので、そのような実施形態の実施は比較的単純かつ容易である。第2の表示画像が生成されるいくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、表示画像を生成するために使用されたのと同じマスク画像の助力によって、本明細書で説明するように第2の表示画像を生成する。あるいは、第2の表示画像が生成されるいくつかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、表示画像を生成するために使用されたマスク画像とは異なるマスク画像の助力によって、第2の表示画像を生成する。
【0076】
いくつかの実施形態において、表示画像を生成するためのコンピュータプロセッサの構成は:ベース画像に依存しないマスク画像を生成する構成であって、マスク画像が非劣化中心視部分と劣化非中心視部分とを有する構成と;マスク画像をベース画像と結合する構成であって、これにより表示画像を画像データ構造として生成する構成と、を含み、生成した表示画像の表示は、その後、生成した画像データ構造を表示画面上に表示することである。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、第2の表示画像を生成するためのコンピュータプロセッサの構成は:ベース画像に依存しないマスク画像を生成することであって、マスク画像が非劣化中心視部分と劣化非中心視部分とを有することと;マスク画像をベース画像と結合することであって、画像データ構造として第2の表示画像を生成することと、を含み、生成した第2の表示画像の表示は、その後に、生成した画像データ構造を表示画面上に表示することである。好ましいこのような実施形態では、コンピュータプロセッサは、生成中または生成後に画像データ構造を(例えば、RAMまたはROMなどのコンピュータのメモリに)記憶し、その後、記憶した画像データ構造を表示するように構成される。
【0077】
あるいは、いくつかの実施形態において、表示画像を生成するためのコンピュータプロセッサの構成は:ベース画像に依存しないマスク画像を生成することであって、マスク画像が非劣化中心視部分と劣化非中心視部分とを含むことと;その後、表示画像の生成と表示の両方を同時に行うように、生成したマスク画像をベース画像と共に表示画面上に表示することと、を含む。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、第2の表示画像を生成するためのコンピュータプロセッサの構成は:ベース画像に依存しないマスク画像を生成することであって、マスク画像が非劣化中心視部分と劣化非中心視部分とを含むことと;その後、第2の表示画像の生成と表示の両方を同時に行うように、生成したマスク画像をベース画像と共に表示画面上に表示することと、を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、さらに、コンピュータプロセッサは、提供された表示画面から第1の眼の角膜までの距離にも基づいて、表示画像および/または第2の表示画像を生成するように構成される。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、さらに、コンピュータプロセッサは、提供された表示画面から第2の眼の角膜までの距離にも基づいて、第2の表示画像を生成するように構成される。
【0079】
いくつかの実施形態において、表示画面から第1の眼の角膜までの距離および/または表示画面から第2の眼の角膜までの距離は、パラメータとして提供され、例えば、距離は、画面のサイズおよび/または予想される使用に基づく推定距離である。
【0080】
いくつかの実施形態では、さらに、装置は、表示画面から第1の眼の角膜までの距離を決定し、決定した距離をコンピュータプロセッサに提供するための構成要素を含み;さらに、コンピュータプロセッサは、提供された表示画面から第1の眼の角膜までの距離にも基づいて、表示画像および/または第2の表示画像を生成するように構成される。同様に、適用可能な場合、装置は、表示画面から第2眼の角膜までの距離を決定し、決定した距離をコンピュータプロセッサに提供するための構成要素を含み;さらに、コンピュータプロセッサは、提供された表示画面から第2の眼の角膜までの距離にも基づいて、第2表示画像を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、表示画面から両眼の角膜までの距離を決定するために、同じ構成要素が使用される。いくつかの実施形態では、装置は、2つの異なる構成要素、表示画面から第1の眼の角膜までの距離を決定する第1構成要素、および表示画面から第2の眼の角膜までの距離を決定する第2構成要素を含む。
【0081】
特に好ましい実施形態では、画像処理および表示のための装置が提供され、その装置は:
表示画面およびアイトラッカーと機能的に関連付けられたコンピュータプロセッサを含み、アイトラッカーは、表示画面を見ている人の第1の眼の視線方向を決定し、決定した視線方向をコンピュータプロセッサに提供するように構成され;
コンピュータプロセッサは:
アイトラッカーから受信した第1の眼の視線方向に基づいて、受信したデジタルベース画像から表示画像を生成し、ここで:
i.決定した視線方向を含む第1の眼の視野の一部に対応する表示画像の中心視部分は、ベース画像内の対応する部分と比較して変更されず;
ii.中心視部分とは異なる表示画像の非中心視部分は、表示画像の非中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を劣化させ、
人の第1の眼が表示画面上の表示画像を見るように、生成した表示画像を表示画面上に表示するように構成される。
ここで、コンピュータプロセッサは、表示画像の中心視部分のサイズが、第1の眼の決定した視線方向を含む、少なくとも約1°以上約20°以下の第1の眼の視野に対応するように構成され;
コンピュータプロセッサは、生成した画像の非中心視部分が、生成した画像の中心視部分を完全に取り囲み、中心視部分ではない表示画像の面積の少なくとも1%(いくつかの代替的な好ましい実施形態では、少なくとも約30%)であるように構成され;
コンピュータプロセッサは、ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を劣化させる変更が、解像度の低減;ぼかし;コントラストの低減;輝度の低減/増加;色強度の低減;色パレットの低減または変化、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも1つの変更を含むように構成される。いくつかの好ましい実施形態では、ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を劣化させる変更は、コントラストの低減;輝度の低減/増加;色強度の低減;色パレットの低減または変化、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも1つの変更を含む。
【0082】
特に好ましい実施形態では、画像処理および表示のための装置が提供され、その装置は:
表示画面およびアイトラッカーと機能的に関連付けられたコンピュータプロセッサを含み、アイトラッカーは、表示画面を見ている人の第1の眼の視線方向を決定し、決定した視線方向をコンピュータプロセッサに提供するように構成され;
コンピュータプロセッサは:
アイトラッカーから受信した第1の眼の視線方向に基づいて、受信したデジタルベース画像から表示画像を生成し、ここで:
i.決定した視線方向を含む第1の眼の視野の一部に対応する表示画像の中心視部分は、ベース画像内の対応する部分と比較して変更されず;
ii.中心視部分とは異なる表示画像の非中心視部分は、表示画像の非中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を劣化させ、
人の第1の眼が表示画面上の表示画像を見るように、生成した表示画像を表示画面上に表示するように構成される。
ここで、コンピュータプロセッサは、表示画像の中心視部分のサイズが、第1の眼の決定した視線方向を含む少なくとも約1°以上約20°以下の第1の眼の視野に対応するように構成され;
コンピュータプロセッサは、生成した画像の非中心視部分が、生成した画像の中心視部分を完全に取り囲み、中心視部分でない表示画像の面積の少なくとも1%(いくつかの代替的な好ましい実施形態では約30%)であるように構成され;
コンピュータプロセッサは、ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を劣化させる変更が、ベース画像内の対応する部分の対応する画素の値と比較して非中心視部分の画素の値を変化させることを含み、画素値に対する変化の大きさおよび/または種類は、ベース画像内の任意の隣接する画素の値には依存しないように構成される。
【0083】
ここで、表示画像および存在する場合には第2の表示画像は、中心視部分および非中心視部分を含む。優先文献のいくつかの例では、非中心視部分は第1部分とも呼ばれ、中心視部分は第2部分とも呼ばれる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を、添付の図を参照して本明細書で説明する。本明細書は、図と共に、本発明のいくつかの実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。図は、事例説明のためのものであり、本発明の基本的理解に必要な以上に詳細に実施形態の構造的詳細を示そうとするものではない。分かりやすくするために、図に描かれているいくつかの物体は縮尺通りではない。
【0085】
図1図1は、本明細書の教示による装置の概略図である。
図2A図2Aは、本明細書の教示による方法のいくつかの実施形態を概略的に示すフローチャートである。
図2B図2Bは、本明細書の教示による方法のいくつかの実施形態を概略的に示すフローチャートである。
図2C図2Cは、本明細書の教示による方法のいくつかの実施形態を概略的に示すフローチャートである。
図2D図2Dは、本明細書の教示による方法のいくつかの実施形態を概略的に示すフローチャートである。
図3図3は、本明細書の教示による装置の概略図である。
図4A図4Aは、本明細書の教示の実施形態による眼の視野の概略図である。
図4B図4Bは、本明細書の教示の実施形態による眼の視野の概略図である。
図5A図5Aは、本明細書の教示の実施形態による表示画像または第2の表示画像の概略図である。
図5B図5Bは、本明細書の教示の実施形態による表示画像または第2の表示画像の概略図である。
図6A図6Aは、第2の表示画像とも考えられ、マスク画像の異なる実施形態を表示するとも考えられる表示画像の異なる実施形態の概略図である。
図6B図6Bは、第2の表示画像とも考えられ、マスク画像の異なる実施形態を表示するとも考えられる表示画像の異なる実施形態の概略図である。
図6C図6Cは、第2の表示画像とも考えられ、マスク画像の異なる実施形態を表示するとも考えられる表示画像の異なる実施形態の概略図である。
図6D図6Dは、第2の表示画像とも考えられ、マスク画像の異なる実施形態を表示するとも考えられる表示画像の異なる実施形態の概略図である。
図6E図6Eは、第2の表示画像とも考えられ、マスク画像の異なる実施形態を表示するとも考えられる表示画像の異なる実施形態の概略図である。
図6F図6Fは、第2の表示画像とも考えられ、マスク画像の異なる実施形態を表示するとも考えられる表示画像の異なる実施形態の概略図である。
図6G図6Gは、第2の表示画像とも考えられ、マスク画像の異なる実施形態を表示するとも考えられる表示画像の異なる実施形態の概略図である。
図6H図6Hは、第2の表示画像とも考えられ、マスク画像の異なる実施形態を表示するとも考えられる表示画像の異なる実施形態の概略図である。
図6I図6Iは、第2の表示画像とも考えられ、マスク画像の異なる実施形態を表示するとも考えられる表示画像の異なる実施形態の概略図である。
図6J図6Jは、第2の表示画像とも考えられ、マスク画像の異なる実施形態を表示するとも考えられる表示画像の異なる実施形態の概略図である。
図6K図6Kは、第2の表示画像とも考えられ、マスク画像の異なる実施形態を表示するとも考えられる表示画像の異なる実施形態の概略図である。
図7A図7Aは、ベース画像の概略図である。
図7B図7Bは、マスク画像の概略図である。
図7C図7Cは、図7Aのベース画像および図7Bのマスク画像から得られる表示画像の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
いくつかの実施形態は、画像処理および表示の分野に関し、より詳細には、限定的ではないが、画像処理およびそのような画像の人間被験者への表示に有用な方法および装置に関する。本明細書における本発明のいくつかの実施形態は、眼科学の分野に有用な方法および装置に関し、いくつかの特定の実施形態では、人間における屈折異常、特に、近視、遠視および乱視の非侵襲的な治療および/または予防に有用な方法および装置に関する。
【0087】
上述したように、出生後、人間の眼球は、約1.8cmの長さから約2.5cmの長さに成長する。理想的な状況では、瞳孔から眼球に入る光が小焦点面に焦点を結ぶように眼球が成長し、それによって遠視が達成される。理想的でない状況では、瞳孔から眼球に入る光が焦点面に焦点を結ばないように眼球が成長し、近視、遠視、乱視などの屈折異常をもたらす。
【0088】
人間の眼が成長する期間中に、現存する屈折異常を少なくとも部分的に予防および/または治療して、成人期に治療された人間が屈折異常の大きさを減少させるか、または屈折異常を全く有さないようにする方法および装置を有することは有用である。好ましくは、このような方法および装置は非侵襲的である。
【0089】
人間や猿の眼の成長は網膜に降り注ぐ光に影響されることが研究で示されており、例えばReadらの「Light exposure and eye growth in childhood」in Invest Ophthalmol Vis Sci 2015, 56(11), 6779-6787を参照されたい。
【0090】
猿で行われた他の研究では、視神経と脳とが繋がっていない場合でも、眼の成長に対する光の影響が残ることが示され、明らかに、網膜に降り注ぐ光は、眼の成長に影響を及ぼす局所的な化学的・生物学的変化をもたらす。
【0091】
本明細書では、人間に表示される表示画像を生成する画像処理の方法も開示されている。
【0092】
本明細書では、人間被験者における既存の屈折異常の非侵襲的な治療および/または屈折異常、特に近視、遠視および乱視の発症の予防に有用な非侵襲的方法が開示される。また、本方法を実施するのに有用な装置も開示する。
【0093】
いくつかの実施形態において、本方法は、人間の眼によって見られる画面上での表示画像の生成および表示を含み、ここで、表示画像の中心視部分および/または表示画像の異なる非中心視部分は、第2の表示画像の非中心視部分の画質が第2の表示画像の中心視部分の画質よりも低くなるように、変更される。
【0094】
本方法は、任意の装置または装置の組合せを用いて実施することができる。例えば、コンピュータプロセッサを必要とする全ての動作を実行する単一のコンピュータプロセッサ、またはコンピュータプロセッサを必要とする動作の少なくともいくつかをそれぞれが実行する少なくとも2つのコンピュータプロセッサがある。いくつかの好ましい実施形態では、本方法は、例えば、本明細書の上記の「発明の概要」のセクションに記載されたような、本明細書の教示に従った装置の実施形態を使用して実施される。
【0095】
図1には、本明細書の教示のいくつかの実施形態を実施するための装置10が図示され、装置10は、表示画面14およびアイトラッカー16と機能的に関連付けられたボックス12内のコンピュータプロセッサを含む。第1の眼18aおよび第2の眼18bを有する人間被験者17が、表示画面14に表示された画像を見る。
【0096】
本明細書の教示による方法の実施形態のフローチャート20が図2Aに図示されている。
【0097】
本明細書の教示のいくつかの実施形態の態様によれば、方法が提供され、その方法は:
a.ボックス22において、(アイトラッカー16を使用して)表示画面14上の画像を見る被験者17の第1の眼18aの視線方向を決定し、決定した視線方向をコンピュータプロセッサに提供する工程と;
b.‘a’に続いて、ボックス26において、第1の眼18aの決定した視線方向に基づいて、コンピュータプロセッサにより、第1の眼18aに対して表示画面14上に表示するための表示画像を、受信した(ボックス24において受信された)デジタルベース画像から生成する工程であって:
i.決定した視線方向を含む第1の眼18aの視野の一部に対応する表示画像の中心視部分が:
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、表示画像の中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して中心視部分の画質を改善し、
ii.中心視部分とは異なる表示画像の非中心視部分が:
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、表示画像の非中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、
生成の結果、表示画像の非中心視部分の画質が、表示画像の中心視部分の画質よりも低くなる工程と;
c.さらに、図2Aのボックス26において、被験者17の第1の眼18aが表示画面14上の表示画像を見るように、生成した表示画像を表示画面14上に表示する工程と、を有する。
【0098】
[表示画像の生成の技術的側面]
上述したように、被験者の決定した眼の視線方向に基づいてベース画像から表示画像が生成され、その表示画像が表示画面に表示される。
【0099】
図2Bのフローチャート30に概略的に図示されるように、いくつかの実施形態では、表示画像の生成と、生成した表示画像の表示とは、表示画像が最初に生成され、その後に表示されるという2つの別個のステップである。したがって、いくつかの実施形態では、表示画像を生成することは、表示画像を画像データ構造として生成すること(図2Bのボックス26a)を含み、生成した表示画像を表示することは、その後に画像データ構造を表示画面上に表示すること(図2Bのボックス26b)である。典型的には、生成された後、画像データ構造は、コンピュータのメモリ(例えば、RAM、ROMまたはそれらの組み合わせ)に一時的に記憶され、その後、表示画面上に表示するためにGPU(グラフィック処理ユニット)に送られる。
【0100】
いくつかの実施形態では、表示画像は、表示画像に画像演算子を適用することによってベース画像から生成される。当業者には周知のように、画像演算子は、入力画像(ベース画像)を出力画像(ベース画像)に変換する。
【0101】
<局所演算子>
いくつかの実施形態では、演算子は局所演算子であり、即ち、表示画像内のピクセルの値が、ベース画像内の対応するピクセルの値だけでなく、ベース画像内の対応するピクセルの近傍にあるピクセルの値にも依存するような演算子である。典型的なこのような実施形態は、ぼかし演算子を含む。
【0102】
各画素が単一のグレースケール強度値を有するようにベース画像がモノクロ画像である実施形態では、局所演算子は、ベース画像内の画素のグレースケール強度値に適用される。
【0103】
ベース画像が3つのカラーサブ画像(R、G、B)からなるカラー画像である実施形態では、局所演算子は、3つのカラーサブ画像のうちの1つのみに(Rサブ画像にのみ、Gサブ画像にのみ、またはBサブ画像にのみ)、3つのカラーサブ画像のうちの2つに(RおよびGサブ画像に、RおよびBサブ画像に、またはGおよびBサブ画像に)、または3つのサブ画像すべてに適用される。
【0104】
局所演算子が2つまたは3つのカラーサブ画像に適用される場合、いくつかの実施形態では、同じ演算子がカラーサブ画像のうちの2つに適用され、いくつかの実施形態では、3つすべてのカラーサブ画像に適用される。
【0105】
局所演算子が2つまたは3つのカラーサブ画像のいずれかに適用される場合、いくつかの実施形態では、2つの異なる局所演算子が適用され:1つの局所演算子が第1のカラーサブ画像に適用され、異なる局所演算子が第2のカラーサブ画像に適用される。
【0106】
あるいは、局所演算子が3つ全てのカラーサブ画像に適用される場合、いくつかの実施形態では、3つの異なる局所演算子が適用され:各局所演算子は、異なるカラーサブ画像に適用される。
【0107】
<点演算子>
いくつかの好ましい実施形態では、演算子は点演算子であり、すなわち、表示画像内の画素の値がベース画像内の対応する画素の値のみに依存するような演算子である。
【0108】
点演算子の使用は、ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視覚分の画質を劣化させる変更が、ベース画像内の対応する部分における対応する画素の値と比較して非中心視部分における画素の値を変化させることを含むという実施形態を実施することを可能にし、ここで、画素値に対する変化の大きさおよび/または種類は、ベース画像内の任意の隣接する画素の値に依存しない。
【0109】
ベース画像がモノクロ画像である場合、点演算子はベース画像内の画素のグレースケール強度値に適用される。
【0110】
ベース画像がカラー画像である実施形態では、点演算子は、3つのカラーサブ画像のうちの1つのサブ画像にのみ(Rサブ画像にのみ、Gサブ画像にのみ、またはBサブ画像にのみ)、3つのカラーサブ画像のうちの3つのサブ画像に(RおよびGサブ画像に、RおよびBサブ画像に、またはGおよびBサブ画像に)、または3つのサブ画像すべてに適用される。
【0111】
点演算子が2つまたは3つのカラーサブ画像に適用される場合、いくつかの実施形態では、同じ点演算子がカラーサブ画像のうちの2つに適用され、いくつかの実施形態では、3つすべてのカラーサブ画像に適用される。
【0112】
点演算子が2つまたは3つのカラーサブ画像のいずれかに適用される場合、いくつかの実施形態では、2つの異なる点演算子が適用され:1つの点演算子が第1のカラーサブ画像に適用され、異なる点演算子が第2のカラーサブ画像に適用される。
【0113】
あるいは、点演算子が3つのカラーサブ画像すべてに適用される場合、いくつかの実施形態では、3つの異なる点演算子が適用され:各点演算子は異なるカラーサブ画像に適用される。
【0114】
典型的な点演算子は、非中心視部分に対応するベース画像の画素から数値を加算/減算することと、ベース画像の画素値を数値で乗算/除算することとを含む。いくつかの実施形態では、数値は非中心視部分全体に対する定数である。いくつかの代替実施形態では、数値の値は、中心視部分の画素と境界との間の距離の関数として変化する。
【0115】
<点演算子と共に局所演算子>
ベース画像がカラー画像であるいくつかの実施形態では、3つのカラーサブ画像のうちの第1のものに点演算子が適用され、3つのカラーサブ画像のうちの第2のものに局所演算子が適用され、3つのカラーサブ画像のうちの第3のものには演算子が適用されない。
【0116】
ベース画像がカラー画像であるいくつかの実施形態では、3つのカラーサブ画像のうちの第1のものおよび第2のものに点演算子が適用され、3つのカラーサブ画像のうちの第3のものに局所演算子が適用される。
【0117】
ベース画像がカラー画像であるいくつかの実施形態では、局所演算子が3つのカラーサブ画像のうちの第1のものおよび第2のものに適用され、点演算子が3つのカラーサブ画像のうちの第3のものに適用される。
【0118】
<マスク画像を用いた表示画像の生成>
図2Cのフローチャート31に概略的に図示されるように、いくつかの代替的な実施形態では、表示画像を生成することと、生成した画像を表示することとは:
決定した視線方向に基づいて部分的に透明なマスク画像を生成するボックス26’と;
生成したマスク画像を(ボックス24で受信した)ベース画像と結合することによって表示画像を生成するボックス26’’と;
その後、生成した表示画像を表示画面上に表示するボックス26’’’と、を含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、このようなマスク画像の使用は、表示画像を生成するためにベース画像に点演算子を適用すると考えることができる。
【0120】
図2Bを参照して説明した実施形態と同様に、いくつかの実施形態では、表示画像を生成することは、表示画像を画像データ構造(図2Cのボックス26’’)として生成することを含み、生成した表示画像を表示することは、その後に、画像データ構造を表示画面(図2Cのボックス26’’’)に表示することである。典型的には、生成された後、画像データ構造は、コンピュータのメモリ(例えば、RAM、ROMまたはそれらの組み合わせ)に一時的に記憶され、その後、表示画面上に表示するためにGPU(グラフィック処理ユニット)に送られる。
【0121】
マスク画像の生成(図2Cのボックス26’)は、マスク画像を構成する画像データ構造を生成することを含む。典型的には、生成された後、マスク画像を構成する画像データ構造は、コンピュータのメモリ(例えば、RAM、ROMまたはそれらの組み合わせ)に少なくとも一時的に記憶される。マスク画像は部分的に透明であり、マスク画像は非劣化中心視部分(画像マスクの透明部分)と劣化非中心視部分とを含むことを意味する。中心視部分の位置は、決定した視線方向を参照して設定される。
【0122】
表示画像(図2Cのボックス26’’)を生成するために、生成したマスク画像は、例えば、マスク画像とベース画像とのピクセル毎の加算、ベース画像からのマスク画像の減算、およびベース画像とマスク画像との乗算/除算など、任意の適切な方法で、受信したベース画像と合成される。
【0123】
好ましい実施形態では、マスク画像の非劣化中心視部分は、マスク画像とベース画像との結合後に、表示画像の中心視部分がベース画像の中心視部分と同じ画質またはそれよりも良好な画質となるような画素値を有する。これに対して、マスク画像の劣化非中心視部分は、マスク画像とベース画像との結合の後、表示画像の非中心視部分がベース画像の中心視部分よりも劣化する(画質が劣る)ような画素値を有する。
【0124】
図2Dのフローチャート32に概略的に図示されるように、いくつかの代替的な実施形態では、表示画像を生成することと、生成した画像を表示することとは、最初に部分的に透明なマスク画像を生成し、その後、表示画面上にベース画像とマスク画像を同時に表示することを含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、このようなマスク画像の使用は、ベース画像に点演算子を適用して表示画像を生成することと考えることができる。
【0126】
ベース画像とマスク画像を表示画面上に同時に表示することは、表示画面上における表示画像の同時生成および同時表示である。したがって、いくつかの実施形態では:表示画像を生成することは、非劣化中心視部分と劣化非中心視部分とを含むマスク画像を生成すること(図2Dのボックス26’)と、その後に、表示画像を同時生成および同時表示するように、表示画面上にベース画像と共にマスク画像を表示すること(図2Dのボックス26i)と、を含む。このようないくつかの実施形態は、GUI(グラフィック・ユーザ・インターフェース)としてウィンドウズ(登録商標)で動作するコンピュータ上で実施される。マスク画像(ボックス26’)の生成後、マスク画像とベース画像とは、共にGPUに送られ、通常の方法で表示画面上に同時に表示される(ボックス26i)。最終的な効果は、表示画面を見る人が、本明細書の教示に従った表示画像を見ることであり、表示画像は、図2Cを参照して上述したように、ベース画像とマスク画像との結合である。典型的なこのような実施形態では、中心視部分に対応するマスク画像の部分は、非劣化中心視部分であり(例えば、「透明」であり):ベース画像とマスク画像とが一緒に表示されるとき、マスク画像の非劣化中心視部分は、ベース画像の中心視部分の見え方に影響を与えず、中心視部分に対応するベース画像の部分は、被験者には変更されていないように見える。
【0127】
これに対して、非中心視部分に対応するマスク画像の部分は、劣化非中心視部分であり、ベース画像とマスク画像とが一緒に表示されるとき、マスク画像の劣化非中心視部分がベース画像の中心視部分の見え方を変化させ、これにより、中心視部分の見え方を劣化させる。少し違う表現をすると、非中心視部分に対応するマスク画像の部分が劣化している(例えば、部分的に透明である)ため、マスク画像とベース画像が一緒に表示されるとき、中心視部分に対応するベース画像の部分がマスク画像と「重なって」見え、その画質を劣化させるように変更されて見える。
【0128】
マスクの使用は(どのように実施されても、例えば、図2Cまたは図2Dを参照して説明したように)、ベース画像内の対応する部分と比較して非中心視部分の画質を劣化させる変更が、ベース画像内の対応する部分の対応する画素の値と比較して非中心視部分の画素の値を変化させることを含む実施形態を実施することを可能にし、ここで、画素値に対する変化の大きさおよび/または種類が、ベース画像内の任意の隣接する画素の値に依存しない。
【0129】
[表示画像を見ることの効果]
本方法は、任意の年齢の被験者に対して実施することができる。人間被験者の場合、好ましい年齢は、典型的には、2歳から18歳の間であり、その間に、視覚的な刺激の結果として眼の物理的構造がより容易に変化し得る。
【0130】
任意の1つの理論に拘束されることを望むことなく、本方法を実施することにより、眼の構成要素の成長を変化させる生物学的変化、例えば、眼の物理的成長および眼の光学的部分の発達に影響を及ぼすと、現在、考えられていて、一部の実施形態では、近視、遠視および乱視などの屈折異常の発生を非侵襲的に治療および/または予防する。
【0131】
任意の1つの理論に拘束されることを望むことなく、被験者が本明細書の教示に従って表示画面上の表示画像を見るほど、有益な効果がより大きく感じられると、現在、考えられている。子供の近視のような屈折異常の主な原因の1つは、画面上の画像を屋内で見ることであると、考えられているので、好ましい実施形態では、本方法は、治療される被験者が1日の間に見る、できるだけ多くの、好ましくはすべての表示画面上で実施される。
【0132】
具体的には、眼が生成した表示画像を見るとき、第1の眼の網膜の非中心部分が表示画像の非中心視部分を知覚し、そのような知覚が眼の成長および物理的発達、例えば眼球の長さおよび角膜の湾曲に影響を及ぼすと、現在、考えられている。その結果、近視、遠視、乱視などの屈折異常の発症を受けやすい被験者に対して、本明細書の教示による方法のいくつかの実施形態を適用することにより、屈折異常の発症が防止され、または発症した屈折異常の最終的な重症度が軽減される。同様に、近視、遠視または乱視のような屈折異常を既に患っている被験者に対して、本明細書の教示による方法のいくつかの実施形態を適用することにより、現存する屈折異常の進行が停止され、または現存する屈折異常の重度さえも軽減される。
【0133】
[被験者の単眼への方法の適用]
いくつかの実施形態では、本方法は、被験者の片眼のみに適用され、すなわち、片眼(第1の眼)のみが、受信したデジタルベース画像から生成された表示画像を見る。そのような実施形態では、第1の眼のみが、本明細書の教示に従って表示画像の2つの部分を知覚する有益な効果を受ける。このような実施形態では、第1の眼は表示画像を見るが、第2の眼は表示画像を見ることができないように、表示画像が画面上に表示される。このような実施形態は、第2の眼18bが眼帯で覆われ、第1の眼18aのみが表示画面14上に表示された画像を見ることができるように、図1の変更で図示することができる。このような変更は、簡潔にするために図示されない。
【0134】
[両眼への同じ表示画像の表示]
いくつかの好ましい実施形態では、第1の眼および第2の眼の両方が同じ表示画像を見るように、本方法は被験者の両眼に同時に適用される。そのような実施形態では、第1の眼および第2の眼の両方が、本明細書の教示に従って表示画像の2つの部分を知覚する有益な効果を受ける。したがって、いくつかの実施形態では、方法はさらに:被験者の第2の眼が表示画像を見るように、生成した表示画像を表示画面(すなわち、第1の眼と同じ表示画面、または第1の眼用の表示画面とは異なる表示画面、例えば、各眼用に1つずつ、2つの別個の画面を有するVRヘッドセット上)に表示することを含む。
【0135】
このようないくつかの実施形態では、表示画像は、両眼が同時に見るために、同じ表示画面の同じ位置に表示される。このような実施形態は、例えば、両眼が同時に見るコンピュータまたはテレビの表示画面上で本方法を実施する場合に適している。このような実施形態は図1に図示され、第1の眼18aおよび第2の眼18bは、表示画面14上に表示された同じ表示画像を同時に見ることができる。
【0136】
あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像は、例えば、被験者がシャッター眼鏡をかけているときに交互に表示するように構成された表示画面上で、各眼が見る同じ場所で同じ画面上に交互に(同時にではなく)表示される。このような実施形態は図3に図示され、被験者17は、当技術分野で知られているように、表示画面14上の表示画像の交互表示に動作が調整されるシャッター眼鏡である眼鏡34を着用していて、眼18aおよび18bのそれぞれが、表示画面14上に表示された同じ表示画像を交互に見るようになっている。図3には、眼18aおよび/または18bまでの距離を、表示画像を生成するプロセッサに提供することによって、本明細書の教示のいくつかの実施形態を実施するのに有用な距離計35(例えば、米国サウスカロライナ州フォートミルのMaxbotix,IncによるXL-Maxsonar-EZ2)も図示され、いくつかの実施形態では、本明細書で後述するような第2の表示画像も図示される。
【0137】
あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像は、同じ画面上に表示されるが、例えば、本方法が、左眼部分と右眼部分とに分割される単一の画面を含むVRヘッドセット上で実施される場合、各眼が見るための異なる場所に表示される。このような実施形態は、簡潔にするために図には図示されない。
【0138】
あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像は、例えば、本方法が、独自の物理的に異なる表示画面が各眼に提供されるVRヘッドセット上で実施される場合に、各眼が見るための異なる画面に表示される。このような実施形態は、簡潔にするために図には図示されない。
【0139】
[各眼への異なる画像の表示]
いくつかの実施形態では、第1の眼が上述のような表示画像を表示し、第2の眼が表示画像とは異なる第2の表示画像を表示するように、本方法が適用される。そのような実施形態は、第1の眼および第2の眼の両方が、本明細書の教示に従って表示画像の2つの部分を知覚する有益な効果を受けることを可能にする。したがって、いくつかの実施形態において、本方法はさらに、第1の眼について上述した‘a’および‘b’と同時に:
d.第2の眼の表示画面を見ている被験者(人)の第2の眼の視線方向を決定し、決定した視線方向をコンピュータプロセッサに提供する工程と;
e.‘c’に続いて、第2の眼の決定した視線方向に基づいて、コンピュータプロセッサにより、第2の眼に対して第2の眼の表示画面上に表示するための第2の表示画像を受信したデジタルベース画像から生成する工程であって:
i.決定した視線方向を含む第2の眼の視野の一部に対応する第2の表示画像の中心視部分が:
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、第2の表示画像の中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して中心視部分の画質を改善し、
ii.中心視部分とは異なる第2の表示画像の非中心視部分が:
ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、第2の表示画像の非中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、
生成の結果、第2の表示画像の非中心視部分の画質が、第2の表示画像の中心視部分の画質よりも低くなる工程と;
f.被験者(人)の第2の眼が第2の眼の表示画面上で第2の表示画像を見るように、生成した第2の表示画像を第2の眼の表示画面上に表示する工程と、を有する。
【0140】
このような実施形態では、表示画像は、第2が表示画像を見ることができないように画面上に表示され、第2の表示画像は、第1の眼が第2の表示画像を見ることができないように画面上に表示される。
【0141】
図2Aのフローチャート20、図2Bのフローチャート30、および図2Cのフローチャート32に図示されるように、プロセスは表示画像を生成するためのものと実質的に同じであるため、簡潔にするために、第2の表示画像を生成するためのプロセスに関する別個のフローチャートは本明細書では提示しない。
【0142】
いくつかの実施形態では、ベース画像は、立体画像対を構成する2つのサブ画像、左眼ベースサブ画像および右眼ベースサブ画像を含む立体ベース画像である。このような実施形態では、表示画像と第2の表示画像は、それぞれ適切なベース部分画像から生成される。例えば、第1の眼が左眼の場合、表示画像は左眼ベースサブ画像から生成され、第2の表示画像は右眼ベースサブ画像から生成される。あるいは、第1の眼が右眼の場合、表示画像は右眼ベースサブ画像から生成され、第2の表示画像は左眼ベースサブ画像から生成される。このような実施形態では、表示画像および第2の表示画像は、例えば、自動立体視用に構成された表示画面上に(この実施形態は図1に図示される)、シャッター眼鏡をかけた被験者に対して交互に表示するように構成された表示画面上に(この実施形態では、眼鏡34がシャッター眼鏡である場合、図3に図示される)、各眼が独自の画面または画面の独自の部分を提供されるVRヘッドセット上に(簡潔にするために図示されない)、または表示画像および第2の表示画像がアナグリフ眼鏡をかけたユーザに表示されるように構成されたアナグリフ対である場合に(この実施形態では、眼鏡34がアナグリフ眼鏡である場合、図3に図示される)、適切な方法で被験者に対して立体的に表示される。
【0143】
あるいは、いくつかの実施形態では、ベース画像はモノスコピックベース画像である。このようないくつかの実施形態では、表示画像と第2の表示画像は、例えば、被験者がシャッター眼鏡を着用しているときに交互に表示するように構成された表示画面上で(この実施形態では、眼鏡34がシャッター眼鏡である場合、図3に図示される)、 表示画像および第2の表示画像が、アナグリフ眼鏡をかけているユーザに表示されるように構成されたアナグリフ対である場合(この実施形態では、眼鏡34がアナグリフ眼鏡である場合、図3に図示される)、表示画面が自動立体視用に構成されている場合(この実施形態では、図1に図示される)、または本方法が、左眼部分と右眼部分とに分割された単一の画面を含むVRヘッドセット上で実施される場合(簡潔にするために図示されない)、それぞれの眼が見るために同じ画面上に表示される。
【0144】
あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像および第2の表示画像は、例えば、各眼が独自の物理的に異なる表示画面(簡潔にするために図示されない)を提供されるVRヘッドセット上で方法が実施される場合に、各眼が見るための異なる画面上に表示される。
【0145】
このようないくつかの実施形態では、表示画像と第2の表示画像の非中心部分は同じサイズである。あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像の非中心部分と第2の表示画像の非中心部分は異なるサイズである。
【0146】
いくつかのそのような実施形態では、表示画像の非中心部分と第2の表示画像の非中心部分は同じ形状である。あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像の非中心部分と第2の表示画像の非中心部分は異なる形状である。
【0147】
いくつかのそのような実施形態では、表示画像の中心視部分と第2の表示画像の中心視部分は同じサイズである。あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分と第2の表示画像の中心視部分は異なるサイズである。
【0148】
いくつかのそのような実施形態では、表示画像の中心視部分と第2の表示画像の中心視部分は同じ形状である。あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分と第2の表示画像の中心視部分は異なる形状である。
【0149】
いくつかのそのような実施形態では、表示画像を得るためにベース画像上で実行される変更は、第2の表示画像を得るためにベース画像上で実行される変更とは異なる。いくつかのそのような実施形態は、それぞれの眼の発達に異なる効果を与えることが望まれる場合に使用される。
【0150】
あるいは、このような実施形態では、表示画像を得るためにベース画像上で行われる変更は、第2の表示画像を得るためにベース画像上で行われる変更と同じである。このような実施形態では、表示画像と第2の表示画像は必ずしも同一ではないことに注意することが重要である。例えば、変更の位置は、必ずしも同一ではない2つの眼の決定した視線方向に基づいている。例えば、ベース画像が立体ベース画像である実施形態では、2つの表示画像は必ずしも異なる。
【0151】
[表示画面]
被験者の第1の眼(およびいくつかの実施形態では第2の眼も)が生成した表示画像を見るように、生成した表示画像が表示画面上に表示され、いくつかの実施形態では、被験者の第2の眼が生成した第2の表示画像を見るように、生成した第2の表示画像が表示画面上に表示される。
【0152】
いくつかの実施形態では、本方法は、(被験者の角膜から画面表面まで測定して)少なくとも10cmの距離から見ることを意図した表示画面(例えば、LCD、LED、プラズマ)上で実施される。いくつかのこのような実施形態では、表示画面は、少なくとも100cm2の表面積を有する。典型的なこのような実施形態は、コンピュータ、テレビ、スマートフォンまたはタブレットの表示画面を使用して実施される。このような典型的な実施形態では、単一の表示画面を使用して、第1の眼と第2の眼の両方に画像を表示する。このような実施形態は、図1および図3に図示される。
【0153】
いくつかの実施形態では、表示することは、アナグリフ対として表示画像と第2の表示画像を生成することと、アナグリフ眼鏡をかけている被験者に対して、アナグリフ対として2つの生成した画像を(同時または並行して)表示画面上に表示することとを含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、表示することは、シャッター眼鏡をかけた被験者の各眼に生成した画像を交互に表示することを含み、交互表示のレートおよび時間は、各眼が適切な生成した画像を見るようにシャッター眼鏡の作動と調整される。上述したように、いくつかの実施形態では、両眼は同じ生成した表示画像を見るが、代替的な実施形態では、第1の眼は表示画像を見て、第2の眼は第2の表示画像を見る。
【0155】
いくつかの実施形態では、表示することは、自動立体視(グラスレス3Dとしても知られる)用に構成された表示画面上で実施され、表示画像は、当業者に公知の自動立体視方法に従って生成され、表示される。同様に、いくつかの実施形態では、表示することは、自動立体視用に構成された表示画面上で実施され、表示画像および第2の表示画像は、当業者に公知の自動立体視方法に従って生成され、表示される。
【0156】
いくつかの実施形態では、本方法は、VR(仮想現実)ヘッドセットの表示画面または画面を使用して実施される。典型的には、VRヘッドセットは、被験者の視野の少なくとも80%がヘッドセットの画面または画面から視覚情報を受信する装置である。VRヘッドセットの画面または画面は、任意の技術(例えば、LED、LCD、プラズマ)である。典型的には、必ずしもそうではないが、VRヘッドセットの画面または画面は、被験者の角膜から15cm以下の距離に配置される。
【0157】
いくつかの実施形態では、VRヘッドセットは、左眼に画像を表示するための表示画面と、右眼に画像を表示するための別の表示画面とを有する。このような実施形態では、表示画像と対応する第2の表示画像とが、VRヘッドセットの異なる表示画面上にそれぞれ表示され、各画像が適切な表示画面上に表示され、これにより、第1の眼に第2の表示画像が見えないように第2の表示画像が画面上に表示されることと、第2の眼に表示画像が見えないように表示画像が画面上に表示されることとを確実にする。
【0158】
いくつかの実施形態では、VRヘッドセットは、両眼に画像を表示するための単一の表示画面を有し、表示画面の左側部分は左眼のみに画像を表示するために使用され、表示画面の右側部分は右眼のみに画像を表示するために使用される。このような実施形態では、表示画像と第2の表示画像とが、VRヘッドセットの画面のそれぞれ異なる部分に表示されて、それぞれの画像が表示画面の適切な部分に表示され、これにより、第1の眼には第2の表示画像が見えないように第2の表示画像が表示画面に表示されることと、第2の眼には表示画像が見えないように表示画像が表示画面に表示されることとを確実にする。
【0159】
[画像の表示レート]
典型的には、眼の視線方向を決定すること、受信したデジタルベース画像から表示画像(および関連する場合には第2の表示画像)を生成すること、および生成した表示画像(および関連する場合には生成された第2の表示画像)を表示することは、繰り返し実行され、好ましい実施形態では、10Hz以上、より好ましくは30Hz以上のレートで実行される。
【0160】
人間被験者の1つまたは2つの眼の視線方向を決定することは周知であり、任意の適切な装置または装置の組み合わせ、例えばTobii(Danderyd Municipality、スウェーデン)のような市販のアイトラッカーを用いて実行される。
【0161】
いくつかの実施形態では、単一の決定した第1の眼の視線方向に基づいて複数の表示画像が生成され、適用可能な場合、単一の決定した第2の眼の視線方向に基づいて複数の第2の表示画像が生成される。
【0162】
いくつかの例では、受信したベース画像は、比較的長い時間、例えば、l/30秒より長い時間、例えば、少なくとも0.5秒、少なくとも1秒間、表示画面上に表示されることが意図される静止画像(例えば、テキスト)である。このような場合、一連の異なる表示画像が同じベース画像から生成され、表示画面上に表示され、各異なる表示画像は、異なる決定した視線方向に基づいて生成され、適用可能な場合、一連の異なる第2の表示画像が同じベース画像から生成され、表示画面上に表示される。
【0163】
いくつかの例では、受信したベース画像は、所定のフレームレート(fps-1秒あたりのフレーム数)を有するビデオのフレームである。このような好ましい例では、単一の対応するフレームから単一の表示画像(適用可能な場合、単一の第2の表示画像)が生成され、表示画面に表示される。
【0164】
いくつかの好ましいそのような実施形態では、第1の眼(適用可能な場合、第2の眼)の視線方向を決定するレート、ベース画像から表示画像を生成するレート(適用可能な場合、ベース画像から第2の表示画像を生成するレート)、および、生成した表示画像を表示するレート(適用可能な場合、生成した第2の表示画像を表示するレート)は、ビデオのフレームレートで実行される。
【0165】
あるいは、いくつかの実施形態では、第1の眼(適用可能な場合、第2の眼)の視線方向を決定するレート、ベース画像から表示画像を生成するレート(適用可能な場合、ベース画像から第2の表示画像を生成するレート)、および生成した表示画像を表示するレート(適用可能な場合、生成した第2の表示画像を表示するレート)は、ビデオのフレームレートよりも小さいレートで実行される。
【0166】
あるいは、いくつかの実施形態では、第1の眼(適用可能な場合、第2の眼)の視線方向を決定するレート、ベース画像から表示画像を生成するレート(適用可能な場合、ベース画像から第2の表示画像を生成するレート)、および、生成した表示画像を表示するレート(適用可能な場合、生成した第2の表示画像を表示するレート)は、ビデオのフレームレートよりも速いレートで実行される。このようないくつかの実施形態では、ビデオのいくつかのフレームが、複数の表示画像(適用可能な場合、複数の第2の表示画像)を生成するためのベース画像として使用される。
【0167】
[受信したデジタルベース画像]
ベース画像は、被験者に表示するための任意の適切な画像である。上述したように、いくつかの実施形態では、ベース画像はモノスコピック画像であり、いくつかの実施形態では、ベース画像は左眼ベースサブ画像と右眼ベースサブ画像とを含む立体画像ペアである。いくつかの実施形態では、ベース画像は静止画像であり、いくつかの実施形態では、ベース画像は動画からのフレームである。いくつかの実施形態では、ベース画像は、ベース画像が分離された、被験者が見ているシーンの全部または一部である。いくつかの実施形態では、ベース画像は、保存されたシーンの全部または一部であり、例えば、映画またはビデオゲームからのフレームまたはフレームの一部であるシーンである。いくつかの実施形態では、ベース画像は、取得されたシーン(例えば、1つまたは複数のカメラによって取得されるシーンであり、いくつかの実施形態ではリアルタイムで取得される)の全部または一部であり、好ましい実施形態では、リアルタイムで、そこから表示画像が生成され、被験者に表示される。
【0168】
[受信したデジタルベース画像からの表示画像の生成]
図4Aおよび図4Bに図示されるように、本明細書の教示の方法によれば、シーン38を見る眼(第1の眼または第2の眼のいずれか)の視野36は、少なくとも2つの部分:第1の非中心部分40および第2の中心部分42に分割される。図4Bでは、視野36の追加の第3の非中心部分44も示されている。
【0169】
本明細書の教示による表示画像または第2の表示画像は、それぞれの眼の視野の非中心部分に対応する非中心視部分を含み、すなわち、見ている眼の視野の非中心部分(図4Aおよび図4Bでは44)が、表示画像または第2の表示画像の非中心視部分を知覚するように、表示画面上に表示される。
【0170】
また、表示画像または第2の表示画像は、眼の視野の中心部分に対応する中心視部分を含み、すなわち、見ている眼の視野の中心部分(図4Aおよび図4Bの42)が、表示画像または第2の表示画像の中心視部分を知覚するように、表示画面上に表示される。
【0171】
図5Aには、表示画面14(例えば、コンピュータの表示画面)上に表示された画像46a(表示画像または第2の表示画像)を見る眼18(第1の眼または第2の眼)が図示される。眼18の視野36は、表示画面14よりも大きい。表示画面14に表示される画像46aは、2つの部分、眼18の視野36の非中心視部分40に対応する画像46aの非中心視部分48と、眼18の視野36の中心視部分42に対応する画像46aの中心視部分50とを含む。ベース画像から画像46aを生成するために、画像46aを生成する直前に眼18の視線方向52aが決定された。
【0172】
図5Bには、表示画面14上に表示された画像46b(表示画像または第2の表示画像)を見る眼18(第1の眼または第2の眼)が図示され、この画像46bは、2つの部分、眼18の視野36の非中心部分40に対応する画像46bの非中心視部分48と、眼18の視野36の中心部分42に対応する画像46bの中心視部分42とを含む。ベース画像から画像46bを生成するために、画像46bを生成する直前に眼18の視線方向52bが決定され、この視線方向52bは画像46aを生成するために使用された視線方向52aとは異なる。
【0173】
[表示画像および第2表示画像の中心視部分]
<視線方向に対する中心視部分の位置>
上述したように、表示画像の中心視部分は、第1の眼の決定した視線方向を含む第1の眼の視野の一部に対応し、第2の表示画像の中心視部分は、第2の眼の決定した視線方向を含む第2の眼の視野の一部に対応する。
【0174】
いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分は、第1の眼の視野のうち、第1の眼の決定した視線方向を中心とする部分に対応する。あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分は、第1の眼の視野のうち、第1の眼の決定した視線方向を中心としない部分に対応する。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、第2の表示画像の中心視部分は、第2の眼の視野のうち、第2の眼の決定した視線方向を中心とする部分に対応する。あるいは、いくつかの実施形態では、第2の表示画像の中心視部分は、第2の眼の視野のうち、第2の眼の決定した視線方向を中心としない部分に対応する。
【0175】
図4Aおよび図4Bには、被験者の眼の視野36の中心部分42の角度寸法54が示されている。
【0176】
図5Aおよび5Bでは、画像46aおよび画像46bの中心視部分42の寸法が、眼18の視野36の中心部分42の角度寸法54にどのように対応しているかが見られる。図5Aおよび図5Bにおいて、画像46aおよび46bの中心視部分42、並びに眼18の視野36の中心部分42は、それぞれの視線方向52aまたは52bを中心としている。
【0177】
<中心視部分のサイズ>
当該技術分野で知られているように、正常な人間の眼は、異なる解像度を有する複数の実質的に同心状の領域を有する。解像度の低い順に、小窩視野は約2°、中心視野は約5°、傍中心視野は約8°、傍窩視野は約10°、黄斑視野は約18°である。
【0178】
本明細書の教示のいくつかの実施形態によれば、表示画像および/または第2の表示画像の中心視部分は、視線方向を含み、約1°以上約20°以下の角度寸法を有するそれぞれの眼の視野の部分に対応する。50cmの距離から見た表示画面上では、1°の角度寸法は約0.88cmに対応し、20°の角度寸法は約17.6cmの表示画面上の直線寸法に対応する。
【0179】
加えてまたは代替的に、いくつかの好ましい実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の中心視部分は、視線方向を含み、約2°以上の角度寸法を有するそれぞれの眼の視部分に対応する。
【0180】
加えてまたは代替的に、いくつかの好ましい実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の中心視部分は、視線方向を含み、約16°以上約12°以下、約8°以下、さらには約5°以下の角度寸法を有するそれぞれの眼の視野の部分に対応する。
【0181】
本明細書の教示のいくつかの好ましい実施形態によれば、表示画像の中心視部分は、視線方向を含み、約2°以上約8°以下の角度寸法を有する第1の眼の視野の一部に対応する。同様に、適用可能な場合、本明細書の教示のいくつかの好ましい実施形態によれば、第2の表示画像の中心視部分は、視線方向を含み、約2°以上約8°以下の角度寸法を有する第2の眼の視野の部分に対応する。50cmの距離から見た表示画面上では、2°の角度寸法は約1.7cmに対応し、8°の角度寸法は約7cmの表示画面上の直線寸法に対応する。
【0182】
当業者に知られているように、また本明細書のすぐ上で述べたように、視野の所定の角度寸法について、対応する表示画像および/または第2の表示画像の対応する第2の領域の物理的サイズ(例えば、ピクセルおよび/またはミリメートルの単位)は、角膜と表示画面との間の距離に依存する。いくつかの実施形態では、本方法は:表示画像‘b’を生成する前に、コンピュータプロセッサに、表示画面から第1の眼の角膜までの距離を提供することと;表示画像の生成も、提供された表示画面から第1の眼の角膜までの距離に基づいて行われることと、をさらに含む。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、本方法は:第2の表示画像‘e’を生成する前に、コンピュータプロセッサに、表示画面から第2の眼の角膜までの距離を提供することと;第2の表示画像の生成も、提供された表示画面から第2の眼の角膜までの距離に基づいて行われることと、をさらに含む。具体的には、眼の視野の中心部分の所望の角度サイズは、例えば、基本的な幾何学を使用して、受信した距離に基づいて、表示画面上の表示画像または第2の表示画像の中心視部分の物理的寸法に変換される。いくつかの実施形態では、表示画像を生成するために提供される距離と、第2の表示画像を生成するために提供される距離は同じである。
【0183】
いくつかのそのような実施形態では、表示画面から第1の眼および/または第2の眼の角膜までの距離をコンピュータプロセッサに提供することは、距離値または距離値をパラメータとしてコンピュータプロセッサに入力することを含む。いくつかの実施形態では、表示画面から角膜までの距離は、方法の実施前に既知であり、固定される(例えば、表示画面がVRゴーグルの構成要素である場合)。好ましいこのような実施形態では、表示画面から角膜までの距離は、記憶されたパラメータとしてコンピュータプロセッサに提供される。
【0184】
いくつかの実施形態では、角膜と表示画面との間の距離は、事前に知られたものではなく、および/または、例えば、表示画面がコンピュータ、スマートフォン、タブレットまたはテレビのものである場合)、方法の実施中に変化し得る。いくつかのそのような実施形態では、推定された「典型的な」表示画面と角膜との距離が、記憶されたパラメータとしてコンピュータプロセッサに提供される。例えば、いくつかの実施形態では、表示画面がスマートフォンの表示画面である場合、推定距離は30cmに設定される。例えば、いくつかの実施形態では、表示画面がタブレットまたはラップトップ/デスクトップのコンピュータの表示画面である場合、推定距離は45cmに設定される。例えば、いくつかの実施形態では、表示画面がテレビの表示画面である場合、推定距離は、画面サイズに対する理想的な視聴距離に応じて設定される。例えば、当業者であれば、典型的な画面サイズに対する理想的な視聴距離を以下のように考える: 32インチ画面は1.37mから理想的に見られ、40インチ画面は1.62mから理想的に見られ、50インチ画面は2.13mから理想的に見られ、60インチ画面は2.56mから理想的に見られ、70インチ画面は2.99mから理想的に見られ、80インチ画面は3.41mから理想的に見られる。
【0185】
角膜と表示画面との間の距離が事前に知られていない、および/または方法の実施中に変化し得る、いくつかの代替的な実施形態では、実際の距離が決定され、その後コンピュータプロセッサに提供される。したがって、いくつかのそのような実施形態では、コンピュータプロセッサに表示画面から第1の眼の角膜までの距離を提供することは、表示画面と被験者の第1の眼の角膜との間の距離を決定することを含み、その決定した距離は、表示画像を生成するために使用され、いくつかの実施形態では、第2の表示画像も生成する。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、表示画面と第2の眼の角膜との距離をコンピュータプロセッサに提供することは、表示画面と被験者の第2の眼の角膜との間の距離を決定することを含み、その決定した距離は、第2の表示画像を生成するために使用される。このような距離の決定は、任意の適切な装置または装置の組み合わせを使用して、任意の適切な方法で行うことができる。いくつかの実施形態では、距離は、専用の距離計を使用して(例えば、図3に図示されている距離計35のような市販のIR距離計または超音波距離計を使用して)決定される。加えてまたは代替的に、表示画面がカメラと機能的に関連付けられるいくつかの実施形態では(スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、多くのデスクトップコンピュータ、いくつかのテレビジョンディスプレイで典型的なように)、距離を決定することは、画面を見る人の取得された画像の分析から決定される。例えば、図1、および必要に応じて図3に図示されている装置は、距離計35を使用しない理由がある場合に、表示画面から角膜までの距離を決定するように構成されているとき、これは、描かれていない表示画面14のフレームに組み込まれたカメラを使用して実行されることが好ましい。典型的には、このような実施形態では、方法が実施される人間被験者が1つ以上の予め決定された距離で画面を見るセットアップ手順がある。1つ以上の予め決められた距離の各々において、参照画像が取得される。参照画像における1つまたは複数の特徴のサイズ、または頭部や眼などの特徴間の距離は、対応する予め決められた距離と相関があり、本方法の実際の実施時に、表示画面から角膜までの距離を決定する参照値として使用される。
【0186】
<中心視部分の形状>
表示画面上の表示画像および/または第2の表示画像の中心視部分の形状は、任意の適切な形状である。いくつかの実施形態では、表示画面上の中心視部分の形状は、(図5Aおよび図5Bに図示されるように)円である。あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の中心視部分の形状は、円とは異なる形状であり、例えば、楕円形、正方形、または長方形である。好ましいそのような実施形態では、中心視部分の最小寸法は約1°以下の角度寸法に対応し、中心視部分の最大寸法は約20°以下の角度寸法に対応する。
【0187】
いくつかの実施形態における中心視部分の形状は、本明細書において以下にさらに詳細に説明される。
【0188】
<画像の中心視部分の変更>
上述したように、表示画像の中心視部分は、ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、表示画像の中心視部分の視覚的特性が、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更により、ベース画像内の対応する部分と比較して中心視部分の画質を改善する。同様に、適用可能な場合、第2の表示画像の中心視部分は、ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、第2の表示画像の中心視部分の視覚的特性が、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して中心視部分の画質を改善する。
【0189】
いくつかの実施形態では、中心視部分はベース画像の対応する部分と比較して変更されず、すなわち、中心視部分はベース画像の対応する部分と同じであり:表示画像または第2の表示画像を見るときに視野の中心部分で眼が知覚するものは、眼がベース画像を見る場合と同じである。
【0190】
あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分の視覚的特性が、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、表示画像の中心視部分が変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して中心視部分の画質を改善する。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、第2の表示画像の中心視部分の視覚的特性が、ベース画像における対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、第2の表示画像の中心視部分が変更され、この変更は、ベース画像における対応する部分と比較して中心視部分の画質を改善する。画質を改善する変更は、画像処理の技術分野において知られている任意の適切な変更である。いくつかの実施形態では、そのような変更は、コントラストの増加、鮮明化、輝度の変化、色の変化、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも1つの画像処理方法を、ベース画像の対応する部分に適用することを含む。
【0191】
当該技術分野で知られているように、いくつかの例において、人間被験者は非対称視を有し、すなわち、両眼が同じに見た画像を異なるように知覚することを引き起こす視覚欠損を有する。表示画像と第2の表示画像の両方を生成することを含むいくつかの好ましい実施形態では、ベース画像の中心視部分に対する変更は、表示画像の中心視部分と第2の表示画像の中心視部分との「バランスをとる」ことを含み、これらがそれぞれの眼によってより類似し、さらには同一であると知覚されるようにする。したがって、左眼と右眼とが同一に見た表示画像を異なって知覚するように、被験者が非対称視の欠陥を有するいくつかの実施形態において、表示画像の中心視部分に対応するベース画像の一部を変更することと、第2の表示画像の中心視部分に対応するベース画像の一部を変更することとが、一緒になって、非対称視の欠陥を補償することを含み、表示画像の中心視部分と第2の表示画像の中心視部分とが、そのような変更がない場合よりも類似して知覚されるようになる。このような実施形態において、表示画像および/または第2の表示画像の中心視部分を生成するためのベース画像の対応する部分の変更は:
表示画像および/または第2の表示画像の中心視部分を得るためにベース画像の中心視部分のサイズを変化させる(拡大/縮小する)ことと;
表示画像および/または第2の表示画像の中心視部分を得るためにベース画像の中心視部分のぼかしおよび/または鮮明化を変化させることと;
表示画像および/または第2の表示画像の中心視部分を得るためにベース画像の中心視部分の輝度を変化させる(増加/低減する)ことと;
表示画像および/または第2の表示画像の中心視部分を得るためにベース画像の中心視部分のコントラストを変化させる(増加/低減する)ことと、
からなる群から選択される少なくとも1つの画像処理方法を含む。
【0192】
あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分の視覚的特性が、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、表示画像の中心視部分が変更され、その変更は、ベース画像内の対応する部分に対する中心視部分の画質を変化させる。いくつかの実施形態では、そのような変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像の中心視部分の画質を改善する。同様に、いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分の視覚的特性が、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、第2の表示画像の中心視部分が変更され、その変更は、ベース画像内の対応する部分に対する中心視部分の画質を変化させる。いくつかの実施形態では、そのような変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して、第2の表示画像の中心視部分の画質を改善する。
【0193】
[表示画像の非中心視部分/視野の非中心部分]
上述のように、いくつかの実施形態では、表示画像が受信したデジタルベース画像から生成され、中心視部分とは異なる表示画像の非中心視部分が:ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、表示画像の非中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、生成の結果、表示画像の非中心視部分の画質が表示画像の中心視部分の画質よりも低くなる。同様に、関連する場合、第2の表示画像が受信したデジタルベース画像から生成され、中心視部分とは異なる第2の表示画像の非中心視部分が:ベース画像内の対応する部分と比較して変更されないか;または、第2の表示画像の非中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように変更され、生成の結果、第2の表示画像の非中心視部分の画質が第2の表示画像の中心視部分の画質よりも低くなる。
【0194】
表示画像および/または第2の表示画像における中心視部分および非中心視部分の相対的な向きは、任意の適切な相対的な向きである。いくつかの実施形態では、非中心視部分は中心視部分と連続している。いくつかの実施形態では、表示画像の非中心視部分は、少なくとも部分的に中心視部分を取り囲む。いくつかの実施形態では、表示画像の非中心視部分は、中心視部分を完全に取り囲む。図5Aおよび図5Bでは、画像46aおよび46bの非中心視部分48は、画像の中心視部分50と連続し、完全に取り囲んでいる。
【0195】
表示画像および第2表示画像の非中心視部分のサイズは、任意の適切なサイズである。いくつかの実施形態では、表示画像の非中心視部分の径方向寸法は、少なくとも約2°の第1の眼の視野に対応する。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態では、第2の表示画像の非中心視部分の径方向寸法は、少なくとも約2°の第1の眼の視野に対応する。他の実施形態に係る非中心視部分のサイズは、上記の発明の概要に列挙され、簡潔にするためにここでは繰り返さない。
【0196】
いくつかの実施形態では、非中心視部分は、中心視部分ではない表示画像の面積の少なくとも1%であり、例えば、中心視部分を取り囲む薄いリングを構成する。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態では、非中心視部分は、中心視部分ではない第2の表示画像の面積の少なくとも1%である。いくつかの好ましい実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分は、中心視部分でない表示画像の面積の少なくとも約30%である。いくつかの好ましい実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分は、中心視部分ではない表示画像/第2の表示画像の面積の少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、さらには約100%である。図5Aおよび図5Bでは、画像46aおよび46bの非中心視部分48は、中心視部分48でない画像の面積の100%である。
【0197】
いくつかの実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の非中心部分は、それぞれ、表示画像および第2の表示画像の中心部分ではない表示画面のバランスを構成する。
【0198】
あるいは、いくつかの実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の非中心部分は、それぞれ、表示画面および第2の表示画面の中心部分ではない表示画面のバランス未満を構成する。そのような実施形態では、非中心部分は、典型的な実施形態では、中心部分の形状によって決定される形状を有する内側の境界線を有する。また、非中心部分は、外側の境界線を有する。表示画像および/または第2の表示画像の非中心部分の外側の境界線の形状は、任意の適切な形状であり、いくつかの実施形態では、円、楕円、多角形、正方形、および長方形からなる群から選択される形状である。
【0199】
いくつかの実施形態では、表示画像の非中心視部分は、ベース画像の対応する部分と比較して変更されない。同様に、適用可能な場合、いくつかの第2の表示画像の非中心視部分は、ベース画像内の対応する部分と比較して変更されない。
【0200】
いくつかの好ましい実施形態では、表示画像の非中心視部分の視覚的特性がベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、表示画像の非中心視部分が変更され、その変更は、ベース画像内の対応する部分に対する表示画像の非中心視部分の画質を変化させる。いくつかの実施形態では、そのような変更は、ベース画像における対応する部分と比較して、表示画像の非中心視部分の画質を改善する。いくつかの好ましい実施形態では、そのような変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して、表示画像の非中心視部分の画質を劣化させる。同様に、適用可能な場合、いくつかの好ましい実施形態では、第2の表示画像の非中心視部分の視覚的特性が、ベース画像内の対応する部分の対応する視覚的特性と比較して変化するように、第2の表示画像の非中心視部分が変更され、この変更は、ベース画像内の対応する部分と比較して、第2の表示画像の非中心視部分の画質を変化させる。いくつかの実施形態では、そのような変更は、ベース画像における対応する部分と比較して、第2の表示画像の非中心視部分の画質を改善する。
【0201】
いくつかの実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を、ベース画像における対応する部分と比較して劣化させる変更は:
ベース画像の対応する部分と比較して解像度の低減と;
ベース画像の対応する部分と比較してぼかしと;
ベース画像の対応する部分と比較してコントラストの低減と;
ベース画像の対応する部分と比較して輝度の低減/増加と;
ベース画像の対応する部分と比較して色強度の低減と;
ベース画像の対応する部分と比較して色パレットの変化または低減と;
それらの組み合わせと、
からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を、ベース画像における対応する部分と比較して劣化させる変更は:解像度の低減と;ぼかしと;コントラストの低減と;輝度の低減/増加と;色強度の低減と;色パレットの低減または変化と;それらの組み合わせと、からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。いくつかの実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を、ベース画像内の対応する部分と比較して劣化させる変更は、解像度の低減を含む。いくつかの実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を、ベース画像内の対応する部分と比較して劣化させる変更は、ぼかしを含む。いくつかの実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を、ベース画像内の対応する部分と比較して劣化させる変更は、コントラストの低減を含む。いくつかの実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を、ベース画像内の対応する部分と比較して劣化させる変更は、輝度の低減/増加を含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を、ベース画像における対応する部分と比較して劣化させる変更は、色強度の低減を含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、表示画像および/または第2の表示画像の非中心視部分の画質を、ベース画像における対応する部分と比較して劣化させる変更は、色パレットの低減または変化を含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、表示画像の非中心視部分の視覚的特性に対する変化は均質であり、すなわち、変更の種類および程度は、非中心視部分全体について同一である。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態では、第2の表示画像の非中心視部分の視覚的特性に対する変化は均質である。
【0206】
あるいは、いくつかの実施形態において、表示画像の非中心視部分の視覚的特性に対する変化は非均質であり、すなわち、変更の種類および程度は、非中心視部分全体について同一ではない。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態では、第2の表示画像の非中心視部分の視覚的特性の変化は均質ではない。例えば、いくつかの実施形態では、変更は、変更の程度が中心視部分に近いほど次第に大きくなる勾配である。あるいは、より好ましくは、いくつかのそのような実施形態において、変更は、変更の程度が中心視部分から遠くなるほど次第に大きくなる勾配である。加えてまたは代替的に、いくつかの実施形態において、非中心視部分はn個の別個の部分を有し、nは1より大きい整数であり、各別個の部分は異なる変更を有する。例えば、いくつかの実施形態では、中心視部分は、2つの環状部分、第1のタイプの変更を用いる内側の環状部分、および第1のタイプの変更とは異なる第2のタイプの変更を用いる外側の環状部分を含み、および/または、内側の環状部分が第1の変更の程度を有し、外側の環状部分が第1の変更の程度とは異なる第2の変更の程度を有する。
【0207】
劣化の程度は、任意の適切な劣化の程度である。いくつかの実施形態では、劣化の程度は、例えば、治療が特定の被験者をどのように治療するかに応じて、治療の過程で変化する。例えば、治療を受けている被験者の視力は、典型的には、3ヶ月から6ヶ月の間隔でモニターされる。被験者のモニターセッションで、前治療期間中に屈折異常が著しく悪化したことが示された場合、後治療期間では劣化の程度を大きくする。一方、被験者のモニターセッションで、前治療期間中に屈折異常が横ばいまたは軽度に悪化したことが示された場合、後治療期間では劣化の程度を維持または低下させる。
【0208】
初期の劣化の程度(すなわち、治療のコースが開始されるときの劣化の程度)は、任意の適切な劣化の程度であり、任意の適切な方法で決定することができ、典型的には、眼科医などの人の経験に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、被験者に、ある種の変更を用いてある程度劣化させた通常の画像を見せる。被験者が、特定の劣化が、画像内の以前に見えていた細部を知覚することを困難にするものであることを示す場合、その特定の劣化は、劣化の初期程度として考慮される。
【0209】
図6A図6Kには、表示画面14上に表示される表示画像46の様々な実施形態が図示され、各表示画像46は、中心視部分50と非中心視部分48とを有する。図6では、表示画像46の生成に使用される眼18の視線方向52も図示される。
【0210】
図6Aでは、中心視部分50は、円ではなく、視線方向52を中心とせず、表示画面14の右上部に向かって細長くなっている。非中心視部分48は、中心視部分50を完全に取り囲み、中心視部分50によって覆われていない表示画面14の表面積の100%を構成している。
【0211】
図6Bでは、中心視部分50は、視線方向52を中心とする楕円形であり、楕円形のリングのような形状であり、中心視部分50によって覆われていない表示画面14の表面積の約10%を占める非中心視部分48によって完全に取り囲まれている。
【0212】
図6Cでは、中心視部分50は、円形であり、視線方向52を中心とせず、非中心視部分48によって完全に取り囲まれている。非中心視部分48は、中心視部分50によって覆われていない表示画面14の表面積の約50%を占める。
【0213】
図6Dでは、中心視部分50は、視線方向52を中心とする円であり、非中心視部分48によって完全に取り囲まれている。非中心視部分48はリング状であり、中心視部分50によって覆われていない表示画面14の表面積の約2%を占めている。
【0214】
図6Eでは、中心視部分50は、視線方向52を中心とする円であり、非中心視部分48によって部分的に取り囲まれている。非中心視部分48は190°の円弧であり、中心視部分50によって覆われていない表示画面14の表面積の約2%を占める。
【0215】
図6Fでは、中心視部分50は、視線方向52を中心とする円であり、非中心視部分48によって完全に取り囲まれている。非中心視部分48は楕円形のリングであり、中心視部分50によって覆われていない表示画面14の表面積の約20%を占めている。
【0216】
図6Gでは、中心視部分50は、視線方向52を中心とする円であり、非中心視部分48によって完全に取り囲まれている。非中心視部分48は、物理的に分離された2つのリングであり、中心視部分50と同心で、中心視部分50と連続する内側のリングおよび外側のリングである。
【0217】
図6Hでは、中心視部分50は、視線方向52を中心とする円であり、非中心視部分48によって完全に取り囲まれている。非中心視部分48は星形であり、中心視部分50によって覆われていない表示画面14の表面積の約5%を占める。
【0218】
図6Iでは、中心視部分50は、楕円形であり、視線方向52を中心とし、非中心視部分48によって部分的に取り囲まれている。非中心視部分48は、4つの分離した、先端が切られたパイ形状で構成された非連続のリングである。
【0219】
図6Jでは、視線方向18が画面14の縁部に近い状況が図示される。その結果、中心視部分50は、先端が切られなければ、視線方向52を中心とする先端が切られた円である。非中心視部分48は、先端を切ることにより、中心視部分50を部分的に取り囲む、先端が切られたリング形状である。
【0220】
図6Kでは、中心視部分50は、視線方向52を中心とする円であり、非中心視部分48によって完全に取り囲まれている。非中心視部分48は、円形のリング状であり、中心視部分50によって覆われていない表示画面14の表面積の約20%を占める。非中心視部分48の劣化レベルは勾配があり、中心視部分50に近いほど劣化が大きくなる。
【0221】
図6A図6Kにおいて46とラベル付けされた構成要素は、表示画像であるが、関連する実施形態では、第2の表示画像も表すことに注意することが重要である。さらに、図6A図6Kにおいて46とラベル付けされた構成要素は、マスク画像を含む実施形態においてマスク画像を表すとも考えられる。
【0222】
図7A図7Bおよび図7Cには、図7Aのベース画像56と、ベース画像56およびマスク画像58が表示画面上に一緒に表示されるとき、またはベース画像56およびマスク画像58が表示前に結合されて表示画像46を生成するときに、生成および表示されるマスク画像58および表示画像46とが、概略的に図示される。図7Bでは、マスク画像58の劣化非中心視部分60と非劣化中心視部分62が示されている。図7Cでは、表示画像46の中心視部分50と非中心視部分48が示されている。
【0223】
[被験者の眼の視線方向の決定]
上述のように、本明細書の教示による方法は、被験者の片眼または両眼の視線方向を決定することと、決定した視線方向または方向に基づいて表示画像および/または第2の表示画像を生成することと、を含む。
【0224】
片眼または両眼の視線方向は、任意の適切な方法で決定され、いくつかの好ましい実施形態では、アイトラッカーを使用する。図1および図3に描かれた装置では、両眼18aおよび18bの視線方向は、アイトラッカー16を用いて決定される。
【0225】
第1の眼の決定した視線方向に基づいて生成される表示画像は、第1の眼の視線方向が表示画像の中心視部分を通過するようなものである。表示画像が表示されている表示画面に対して第1の眼がどのような方向に移動しても、表示画像は、第1の眼の視線方向が中心視部分を通過するように生成される。
【0226】
適用可能な場合、第2の眼の決定した視線方向に基づいて生成される第2の表示画像は、第2の眼の視線方向が第2の表示画像の中心視部分を通過するようなものである。第2表示画像が表示されている表示画面に対して第2の眼がどのような方向に移動しても、第2表示画像は、第2の眼の視線方向が第2表示画像の中心視部分を通過するように生成される。
【0227】
[瞳孔サイズおよび瞳孔サイズ決定装置]
いくつかの実施形態では、表示画像の中心視部分または非中心視部分を生成するためのベース画像のサイズおよび/または形状および/または変更の程度および/または変更の種類は、第1の眼の決定した瞳孔サイズにも依存する。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、第2の表示画像の中心視部分または非中心視部分を生成するためのベース画像のサイズおよび/または形状および/または変更の程度および/または変更の種類は、第2の眼の決定した瞳孔サイズにも依存する。
【0228】
したがって、いくつかの実施形態において、方法は、表示画像‘b’を生成する前に、第1の眼の瞳孔のサイズをコンピュータプロセッサに提供することと;提供された第1の眼の瞳孔のサイズにも基づいて表示画像を生成することと、をさらに含む。加えてまたは代替的に、いくつかの実施形態において、方法は、第2の表示画像‘e’を生成する前に、第2の眼の瞳孔のサイズをコンピュータプロセッサに提供することと;提供された第2の眼の瞳孔のサイズにも基づいて第2の表示画像を生成することと、をさらに含む。
【0229】
瞳孔のサイズは、適切な装置または装置の組み合わせを使用して、任意の適切な方法で決定することができる。例えば、当技術分野では、アイトラッカーを使用して瞳孔のサイズを決定することはよく知られている。
【0230】
[瞳孔サイズ]
いくつかの実施形態では、任意の2つの異なる生成された表示画像について、より大きな瞳孔サイズが検出されてコンピュータプロセッサに提供されたときに生成された表示画像の非中心視部分は、より小さな瞳孔サイズが検出されてコンピュータプロセッサに提供されたときに生成された表示画像の非中心視部分よりも小さい程度に変更される(好ましくは、より小さい程度に劣化する)。同様に、いくつかの実施形態では、任意の2つの異なる生成された第2の表示画像について、より大きい瞳孔サイズが検出されてコンピュータプロセッサに提供されたときに生成された第2の表示画像の非中心視部分は、より小さい瞳孔サイズが検出されてコンピュータプロセッサに提供されたときに生成された第2の表示画像の非中心視部分よりも小さい程度に変更される(好ましくは、より小さい程度に劣化する)。
【0231】
いくつかの実施形態では、任意の2つの異なる生成された表示画像について、より大きい瞳孔サイズが検出されてコンピュータプロセッサに提供されたときに生成された表示画像の中心視部分は、より小さい瞳孔サイズが検出されてコンピュータプロセッサに提供されたときに生成された表示画像の非中心視部分よりも大きい。いくつかの実施形態では、任意の2つの異なる生成された第2の表示画像について、より大きい瞳孔サイズが検出されてコンピュータプロセッサに提供されたときに生成された第2の表示画像の中心視部分は、より小さい瞳孔サイズが検出されてコンピュータプロセッサに提供されたときに生成された第2の表示画像の非中心視部分よりも大きい。
【0232】
装置のいくつかの実施形態では、装置は、表示画面を見ている被験者の第1の眼の瞳孔のサイズを決定し、決定した瞳孔サイズをコンピュータプロセッサに提供するように構成され、コンピュータプロセッサは、例えば、上述したように、決定した第1の眼の瞳孔サイズにも基づいて、表示画像および/または第2の表示画像を生成するようにさらに構成される。装置のいくつかの実施形態では、装置は、表示画面を見ている被験者の第1の眼の瞳孔のサイズおよび/または第2の眼の瞳孔のサイズを決定し、決定した瞳孔のサイズをコンピュータプロセッサに提供するように構成され、コンピュータプロセッサは、決定した第1の眼の瞳孔のサイズにも基づいて表示画像を生成し、決定した第2の眼の瞳孔のサイズにも基づいて第2の表示画像を生成するようにさらに構成される。片眼または両眼の瞳孔のサイズを決定するためのこのような装置に関連付けられ得る構成要素は、周知であり、例えば、上述したように、1つまたは複数のカメラおよびいくつかの種類のアイトラッカーを含む。
【0233】
[眼球運動の補償]
一般に、本明細書の教示に従って被験者が表示画面を見ている所定のセッションの間、表示画像または第2の表示画像の中心視部分は、それぞれの眼の中心視によって見られ、表示画像または第2の表示画像の非中心視部分は、それぞれの眼のより周辺視によって見られる。
【0234】
視線方向の決定、画像の生成および生成した画像の表示が十分に高速(例えば、60Hzより高速)である場合、表示画面または画面を見ている人または被験者は、見た画像に加えられた変更に気付かない可能性がある。
【0235】
特に、本教示が、より弱いコンピュータプロセッサを使用して、または表示画像を生成するためにベース画像に適用されるより複雑な画像処理アルゴリズムを使用して実施される場合、視線方向を決定することと生成画像を表示することとの間の遅延により、特に非中心視部分が劣化している場合に、中心窩視に、表示されている生成画像の非中心視部分を知覚させて、不快感または苛立ちを引き起こす可能性のあることが、いくつかの実施形態において判明している。
【0236】
これを克服するために、いくつかの実施形態では、方法は:
第1の眼の動きの速度および振幅を監視すること、をさらに含み、第1の眼の動きの速度および振幅が特定の閾値よりも大きい場合、表示画像および/または第2の表示画像を表示しない(さらには生成しない)で、いくつかの実施形態では、代わりにベース画像を表示する。閾値は、典型的には、特定のハードウェアの特性に応じて設定される。
【0237】
いくつかの実施形態において、方法は、第1の眼の視線方向の動きベクトルを決定することと、第1の眼の視線方向の決定した動きベクトルが閾値よりも大きい場合、コンピュータプロセッサが、決定した動きベクトルにも基づいて、表示画像および/または第2の表示画像を生成することと、をさらに含む。表示画像および/または第2の表示画像は、中心視部分が十分に大きく、正しい形状であるように生成されるので、視聴者は、生成された画像の非中心視部分が中心窩視で表示されていることを知覚し難くなる。いくつかのそのような実施形態では、より大きな動きベクトルは、より大きな中心視部分の生成をもたらす。加えてまたは代替的に、いくつかのそのような実施形態において、より大きな動きベクトルは、決定した動きベクトルに対して垂直な小さな寸法と、決定した動きベクトルに対して平行な大きな寸法とを有する細長い形状を有する中心視部分の生成をもたらす。このような細長い形状を有する中心視は、図6Aに図示され、眼の動きベクトルが画面14の右上隅に向かっているときの中心視部分50の楕円形状である。同様に、適用可能な場合、いくつかの実施形態において、方法は、第2の眼の視線方向の動きベクトルを決定することと、第2の眼の視線方向の決定した動きベクトルが閾値よりも大きい場合、コンピュータプロセッサが、決定した動きベクトルにも基づいて、表示画像を生成することと、をさらに含む。第2の表示画像は、中心視部分が十分に大きく、正しい形状であるように生成されるので、視聴者は、生成された第2の表示画像の非中心視部分が中心窩視で表示されていることを知覚し難くなる。いくつかのそのような実施形態では、より大きな動きベクトルは、より大きな中心視部分の生成をもたらす。加えてまたは代替的に、いくつかのそのような実施形態において、より大きな動きベクトルは、図6Aに図示されるように、決定した動きベクトルに対して垂直な小さな寸法と、決定した動きベクトルに対して平行な大きな寸法とを有する細長い形状を有する中心視部分の生成をもたらす。
【0238】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先する。
【0239】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」およびそれらの文法的変形は、記載された特徴、整数、ステップまたは構成要素を特定するものとみなされるが、1つまたは複数の追加の特徴、整数、ステップ、構成要素またはそれらのグループの追加を排除するものではない。
【0240】
本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」および「an」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。
【0241】
本明細書で使用される場合、数値の前に「約」という用語がある場合、「約」という用語は±10%を示すことを意図している。
【0242】
本明細書で使用される場合、「Aおよび/またはB」という形式の句は、(A)、(B)または(AおよびB)からなる群からの選択を意味する。本明細書で使用される場合、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」という形式の句は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(AおよびBおよびC)からなる群からの選択を意味する。
【0243】
本明細書に記載の方法および/または装置の実施形態は、選択されたタスクを手動、自動、またはそれらの組み合わせで実行または完了することを含み得る。本明細書に記載されるいくつかの方法および/または装置は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせからなる構成要素を使用して実施される。いくつかの実施形態において、いくつかの構成要素は、汎用コンピュータまたはデジタルプロセッサなどの汎用構成要素である。いくつかの実施形態では、いくつかの構成要素は、回路、集積回路またはソフトウェアなどの専用またはカスタム構成要素である。
【0244】
例えば、いくつかの実施形態において、実施形態の一部は、例えば、汎用コンピュータまたはカスタムコンピュータの一部である、データプロセッサによって実行される複数のソフトウェア命令として実装される。いくつかの実施形態では、データプロセッサまたはコンピュータは、命令および/またはデータを記憶するための揮発性メモリ、および/または、命令および/またはデータを記憶するための不揮発性ストレージ、例えば、磁気ハードディスクおよび/またはリムーバブルメディアを含む。いくつかの実施形態では、実装はネットワーク接続を含む。いくつかの実施形態では、実装は、一般に、(例えば、コマンドおよび/またはパラメータの入力を可能にする)入力装置および(例えば、動作のパラメータおよび結果を報告することを可能にする)出力装置のうちの1つまたは複数からなるユーザインターフェースを含む。
【0245】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴も、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な特徴も、別個に、または任意の適切な下位組み合わせで、または本発明の他の説明された実施形態において適切可能なように提供されてもよい。様々な実施形態の文脈で説明された特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしでは動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴とはみなされない。
【0246】
本発明をその特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替案、修正および変形が当業者に明らかであることは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るそのような代替案、修正例および変形例をすべて包含することを意図している。
【0247】
本出願における参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【0248】
節見出しは、本明細書の理解を容易にするために使用されるものであり、必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図6K
図7A
図7B
図7C
【国際調査報告】