(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】翼帆及び方法
(51)【国際特許分類】
B63H 9/061 20200101AFI20250121BHJP
【FI】
B63H9/061
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539030
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2022087721
(87)【国際公開番号】W WO2023126346
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524241671
【氏名又は名称】ジーティー グリーン テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GT GREEN TECHNOLOGIES LIMITED
【住所又は居所原語表記】The Spine, 2 Paddington Village, Liverpool, L7 3FA, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110003074
【氏名又は名称】弁理士法人須磨特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン ジョージ
(57)【要約】
翼帆の先頭に前縁を有し、前記前縁の後方に後縁を有する第1エアロフォイルと、前縁および後縁を有する第2エアロフォイルであって、前記第2エアロフォイルの前記前縁は、前記第2エアロフォイルの前記後縁よりも、前記第2エアロフォイルの断面幅が最大となる点に近い第2エアロフォイルを備え、前記翼帆は、前記第2エアロフォイルの前記前縁が前記第1エアロフォイルの前記後縁の後方に位置し得るように構成され、前記第1エアロフォイルは、吸気口と、排気口、及び、前記吸気口と前記排気口を接続する前記第1エアロフォイル内部の流路を備え、前記吸気口からの気流は、前記流路によって前記排気口に導かれる、ことを特徴とする翼帆。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼帆であって、
前記翼帆の先頭に前縁を有し、前記前縁の後方に後縁を有する第1エアロフォイルと、
前縁及び後縁を有する第2エアロフォイルであって、前記第2エアロフォイルの前記前縁は、前記第2エアロフォイルの前記後縁よりも、前記第2エアロフォイルの断面幅が最大となる点に近い第2エアロフォイルと、
を備え、
前記翼帆は、前記第2エアロフォイルの前記前縁が前記第1エアロフォイルの前記後縁の後方に位置し得るように構成されており、
さらに、前記第1エアロフォイルは、
吸気口と、
排気口、
及び、前記吸気口と前記排気口を接続する前記第1エアロフォイル内部の流路を備え、
前記吸気口からの気流は、前記流路によって前記排気口に導かれる、
ことを特徴とする翼帆。
【請求項2】
前記第2エアロフォイルは、前記第2エアロフォイルの前記前縁を含む第1の部分を有し、前記第1の部分は丸みを帯びている、請求項1に記載の翼帆。
【請求項3】
前記第2エアロフォイルは、前記第2エアロフォイルの翼弦線に対して対称である、請求項1又は2に記載の翼帆。
【請求項4】
前記排気口からの前記気流が、前記排気口から出て前記第2エアロフォイルの前記前縁に向かって導かれる、先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項5】
前記排気口が前記第1エアロフォイルの前記後縁に位置する、先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項6】
前記吸気口が、前記第1エアロフォイルの左舷側に位置する左舷吸気口と、前記第1エアロフォイルの右舷側に位置する右舷吸気口を備え、
前記翼帆が右舷タックで使用されているとき、前記第1エアロフォイルは、気流が前記左舷吸気口を通るように導かれ、且つ、前記右舷吸気口を通るように導かれないように構成されており、且つ、
前記翼帆が左舷タックで使用されているとき、前記第1エアロフォイルは、気流が前記右舷吸気口を通るように導かれ、且つ、前記左舷吸気口を通るように導かれないように構成されている、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項7】
前記翼帆が右舷タックで使用されるとき、前記第1エアロフォイルの前記排気口が前記第2エアロフォイルの左舷前縁に向かって気流を導くように、前記第2エアロフォイルを前記第1エアロフォイルに対して右舷方向に回転させ、且つ、
前記翼帆が左舷タックで使用されるとき、前記第1エアロフォイルの前記排気口が前記第2エアロフォイルの右舷前縁に向かって気流を導くように、前記第2エアロフォイルを前記第1エアロフォイルに対して左舷方向に回転させるように構成されている、
請求項6に記載の翼帆。
【請求項8】
前記翼帆が右舷タックで使用されているとき、前記左舷吸気口に空気を引き込み、前記右舷吸気口に空気を引き込まないように、且つ、
前記翼帆が左舷タックで使用されているとき、前記右舷吸気口に空気を引き込み、且つ、前記左舷吸気口に空気を引き込まないように構成されている、
請求項6又は7に記載の翼帆。
【請求項9】
前記第1エアロフォイル内に圧力差発生器を備え、
前記圧力差発生器は、前記第1エアロフォイル内に負の内圧を発生させるように構成されており、
前記負の内圧によって、前記吸気口を通して装置本体内に空気が引き込まれる、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項10】
前記圧力差発生器が、
モータにより駆動される1つ以上のファン、又は、
モータにより駆動され、1つのファンシャフトによって連結された一連のファン
を備える、
請求項9に記載の翼帆。
【請求項11】
前記流路が前記圧力差発生器及び換気口を備える、
請求項9又は10に記載の翼帆。
【請求項12】
前記流路は、前記第1エアロフォイルの翼幅に沿った最初の位置にある前記吸気口からの流れを導き、当該流れを前記排気口へ導くように構成されており、
前記第1エアロフォイルの前記翼幅は、前記第1エアロフォイルの基部から前記第1エアロフォイルの先端までの距離である、先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項13】
1つ以上の翼帆モジュールを備え、
前記翼帆モジュールは、垂直方向に互いに積み重ねられるように構成されており、
垂直方向に積み重ねられる各モジュールは、吸気口、排気口、圧力差発生器、及び、換気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項14】
前記流路は内部整流器を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項15】
前記第2エアロフォイルは、前記第1エアロフォイルに対して最大回転位置まで回転して前記翼帆の全翼幅を最小化し、
前記翼帆は、前記翼帆の基部で折り畳まれて収納配置を形成する、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項16】
前記収納配置において、前記第1エアロフォイルと前記第2エアロフォイルを覆うための保護ケーシングを備え、
前記保護ケーシングは、前記翼帆の上昇及び/又は下降を許容し、及び、前記翼帆が下降し、前記収納配置にあるときに、折り畳み、回転、軌道に沿った転動のうちの少なくとも1つを実行することによって、前記翼帆を覆うことを可能とする、
請求項15に記載の翼帆。
【請求項17】
前記吸気口を開閉する、又は、ある吸気口から次の吸気口へ気流を導くための制御ソフトウェア;及び
前記吸気口を開閉するための機械制御システム;
のうちの少なくとも1つを備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項18】
前記第2エアロフォイルの動きに基づいて前記吸気口を開閉するように駆動される機械システムを備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項19】
前記第2エアロフォイルが少なくとも1つの吸気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項20】
前記第2エアロフォイルが少なくとも1つの排気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項21】
前記第1エアロフォイルが複数の吸気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項22】
前記第1エアロフォイルが複数の排気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項23】
前記第1エアロフォイルは、前記第1エアロフォイルの前記前縁を含む部分と前記第1エアロフォイルの前記後縁を含む部分との間に配置された少なくとも1つの排気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項24】
前記第2エアロフォイルは、前記第2エアロフォイルの前記前縁を含む部分と前記第2エアロフォイルの前記後縁を含む部分との間に配置された少なくとも1つの排気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項25】
各エアロフォイルの翼弦線が互いに実質的に垂直になるように、前記第1エアロフォイルに対して前記第2エアロフォイルを回転させ、その後、
両方のエアロフォイルを前記翼帆の前記基部から水平位置まで回転させることによって、前記翼帆が収納配置を形成するように構成されている、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項26】
前記翼帆は基部構造を備え、
前記基部構造は、プラットフォームを支える3つ以上の支柱を備え、
3つ以上の前記支柱のそれぞれは2メートルから4メートルの間の高さを有し、
前記第1エアロフォイルと前記第2エアロフォイルは、前記プラットフォームの上方に配置されている、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項27】
前記翼帆を昇降させるためのリニアアクチュエータを備え、前記リニアアクチュエータは前記プラットフォームの上方に配置されている、
請求項26に記載の翼帆。
【請求項28】
前記第1エアロフォイル要素の前記吸気口が、前記第1エアロフォイル要素の翼弦長の前4分の1の範囲内に位置する、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、翼帆及び翼帆を操作するための方法に関する。より詳細には、本開示は、船艇用の翼帆に関する。いくつかの例では、船艇は、動力船艇を含み得る。
【背景技術】
【0002】
既知の翼帆には、1つのエアロフォイルで構成された翼帆が含まれる。複数のエアロフォイルを備える翼帆も知られている。翼帆は、例えば、物資の輸送時、運航中のエネルギー必要量を削減するために、海洋船舶に使用することができる。このエネルギー必要量の削減により、二酸化炭素排出量を削減することができる。
【発明の概要】
【0003】
第一の側面では、翼帆であって、
前記翼帆の先頭に前縁を有し、前記前縁の後方に後縁を有する第1エアロフォイルと、
前縁及び後縁を有する第2エアロフォイルであって、前記第2エアロフォイルの前記前縁は、前記第2エアロフォイルの前記後縁よりも、前記第2エアロフォイルの断面幅が最大となる点に近い第2エアロフォイルと、
を備え、
前記翼帆は、前記第2エアロフォイルの前記前縁が前記第1のエアロフォイルの前記後縁の後方に位置し得るように構成されており、
前記第1エアロフォイルは、吸気口と、排気口、及び、前記吸気口と前記排気口を接続する前記第1エアロフォイル内の流路を備え、
前記吸気口からの気流は、前記流路によって前記排気口に導かれる
ことを特徴とする翼帆が提供される。
【0004】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイルは、前記第2エアロフォイルの前記前縁を含む第1の部分を有し、前記第1の部分は丸みを帯びている。
【0005】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイルは、前記第2エアロフォイルの翼弦線に対して対称である。
【0006】
いくつかの例において、前記翼弦線は、前記前縁から前記後縁までの長手方向の軸を含んで構成される。
【0007】
いくつかの例において、前記排気口からの前記気流は、前記排気口から出て前記第2エアロフォイルの前記前縁に向かうように導かれる。
【0008】
いくつかの例において、前記排気口は、前記第1エアロフォイルの前記後縁に位置する。
【0009】
いくつかの例において、前記吸気口は、前記第1エアロフォイルの左舷側に位置する左舷吸気口と、前記第1エアロフォイルの右舷側に位置する右舷吸気口を備え、前記翼帆が右舷タックで使用されているとき、前記第1エアロフォイルは、気流が前記左舷吸気口を通るように導かれ、且つ、前記右舷吸気口を通るように導かれないように構成されており、且つ、前記翼帆が左舷タックで使用されているとき、前記第1エアロフォイルは、気流が前記右舷吸気口を通るように導かれ、且つ、前記左舷吸気口を通るように導かれないように構成されている。
【0010】
いくつかの例において、前記翼帆は、前記翼帆が右舷タックで使用されるとき、前記第1エアロフォイルの前記排気口が前記第2エアロフォイルの左舷前縁に向かって気流を導くように、前記第2エアロフォイルを前記第1エアロフォイルに対して右舷方向に回転させ、且つ、前記翼帆が左舷タックで使用されるとき、前記第1エアロフォイルの前記排気口が前記第2エアロフォイルの右舷前縁に向かって気流を導くように、前記第2エアロフォイルを前記第1エアロフォイルに対して左舷方向に回転させる、ように構成されている。
【0011】
いくつかの例において、前記翼帆は、前記翼帆が右舷タックで使用されているとき、前記左舷吸気口に空気を引き込み、前記右舷吸気口に空気を引き込まないように、且つ、前記翼帆が左舷タックで使用されているとき、前記右舷吸気口に空気を引き込み、前記左舷吸気口に空気を引き込まないように、構成されている。
【0012】
いくつかの例において、前記翼帆は、前記第1エアロフォイル内に圧力差発生器を備え、前記圧力差発生器は、前記第1エアロフォイル内に負の内圧を発生させるように構成されており、前記負の内圧によって、前記吸気口を通して装置本体内に空気が引き込まれる。
【0013】
いくつかの例において、前記圧力差発生器は、モータにより駆動される1つ以上のファン、又は、モータにより駆動され、1つのファンシャフトで連結された一連のファンを備える。
【0014】
いくつかの例において、前記流路は前記圧力差発生器と通気口を備える。
【0015】
いくつかの例において、前記流路は、前記第1エアロフォイルの翼幅に沿った最初の位置にある前記吸気口からの流れを導き、当該流れを前記排気口へ導くように構成されており、ここで、前記第1エアロフォイルの前記翼幅は、前記翼帆の基部から前記第1エアロフォイル先端までの距離である。
【0016】
いくつかの例において、前記翼帆は、1つ以上の翼帆モジュールを備え、前記翼帆モジュールは垂直方向に互いに積み重ねられるように構成されており、垂直方向に積み重ねられる各モジュールは吸気口、排気口、圧力差発生器、及び、通気口を備える。
【0017】
いくつかの例において、前記流路は内部整流器を備える。
【0018】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイルは、前記第1エアロフォイルに対して最大回転位置まで回転して前記翼帆の全翼幅を最小化し、ここで、前記翼帆は、前記翼帆の基部で折り畳まれて収納配置を形成する。
【0019】
いくつかの例において、前記翼帆の前記基部は、少なくとも1つの溶接された、又はシームレスの金属管から形成される。
【0020】
いくつかの例において、前記翼帆は、前記収納配置において、前記第1エアロフォイル及び前記第2エアロフォイルを覆うための保護ケーシングを備え、前記保護ケーシングは、前記翼帆の上昇及び/又は下降を許容し、前記翼帆が下降し、前記収納配置にあるときに、折り畳み、回転、軌道に沿った転動のうち少なくとも1つを実行することによって、前記翼帆を覆うことを可能とする。
【0021】
いくつかの例において、前記翼帆は、前記吸気口を開閉する、又は、ある吸気口から次の吸気口へ気流を導くための制御ソフトウェア;前記吸気口を開閉するための機械制御システムを備える。
【0022】
いくつかの例において、前記翼帆は前記第2エアロフォイルの動きに基づいて前記吸気口を開閉するように駆動される機械システムを備える。
【0023】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイルは、少なくとも1つの吸気口を備える。
【0024】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイルは、少なくとも1つの排気口を備える。
【0025】
いくつかの例において、前記第1エアロフォイルは、複数の吸気口を備える。
【0026】
いくつかの例において、前記第1エアロフォイルは、複数の排気口を備える。
【0027】
いくつかの例において、前記第1エアロフォイルは、前記第1エアロフォイルの前記前縁を含む部分と前記第1エアロフォイルの前記後縁を含む部分との間に位置する少なくとも1つの排気口を備える。
【0028】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイルは、前記第2エアロフォイルの前記前縁を含む部分と前記第2エアロフォイルの前記後縁を含む部分との間に位置する少なくとも1つの排気口を備える。
【0029】
いくつかの例において、前記翼帆は、各エアロフォイルの翼弦線が互いに実質的に垂直になるように、前記第1エアロフォイルに対して前記第2エアロフォイルを回転させ、その後、前記エアロフォイルの両方を、前記翼帆の前記基部から水平位置まで回転させることによって、収納配置を形成するように構成されている。
【0030】
いくつかの例において、前記翼帆は基部構造を備え、前記基部構造はプラットフォームを支える3つ以上の支柱を備え、前記3つ以上の支柱のそれぞれは2メートルから4メートルの間の高さを有し、前記第1エアロフォイルと前記第2エアロフォイルは前記プラットフォームの上方に位置する。
【0031】
いくつかの例において、前記翼帆は、前記翼帆を昇降させるためのリニアアクチュエータを備え、前記リニアアクチュエータは、前記プラットフォームの上方に位置する。
【0032】
いくつかの例において、前記第1エアロフォイル要素の前記吸気口は、前記第1エアロフォイル要素の翼弦長の前4分の1の範囲内に位置する。
【0033】
第二の側面では、
第1エアロフォイル要素と第2エアロフォイル要素を備える二要素の翼帆であって、前記第2エアロフォイル要素は、第1回転軸及び第2回転軸を中心として、前記第1エアロフォイル要素に対して回転するように構成されている翼帆が提供される。
【0034】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイル要素は、前記第1エアロフォイル要素に対して180度を超える角度で回転することができる。
【0035】
いくつかの例において、前記第2要素の前記第1回転軸は、前記第1エアロフォイル要素内に位置し、前記第2回転軸は、前記第2エアロフォイル要素内に位置する。
【0036】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイル要素は、前記第1エアロフォイル要素と前記第2エアロフォイル要素との間にスロットを有する反り形状を形成するように、前記第1エアロフォイル要素に対して回転するように構成されており、また、前記翼帆の全翼弦長と断面厚さを最小にするように前記第2エアロフォイル要素の向きが反転した、密集配置に折り畳まれるように構成されている。
【0037】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイル要素は、1つ以上の独立して回転する連結部材を介して、前記第1エアロフォイル要素と連結されている。
【0038】
いくつかの例において、前記独立して回転する連結部材は、2つ以上の棒を備える。
【0039】
いくつかの例において、前記独立して回転する連結部材が備える前記棒は、各棒が他の棒から独立して回転できないように、ねじり桁によって連結されている。
【0040】
いくつかの例において、1つ以上の連結部材は、2つ以上の回転軸受を介して、第1要素に対して回転するように構成されており、好ましくは、前記2つ以上の回転軸受は自動調心軸受を備え、好ましくは、ここで、前記自動調心軸受は前記第1要素の構造に連結されている。
【0041】
いくつかの例において、第2要素は、2つ以上の軸受、好ましくは自動調心軸受、を中心として、1つ以上の連結部材に対して回転可能であり、前記軸受は好ましくは前記第2要素の構造に連結されている。
【0042】
いくつかの例において、1つ以上の連結部材は、前記第1要素に対して回転可能であり、第2エアロフォイル要素は、前記第1エアロフォイル要素及び1つ以上の連結部材の両方に対して回転可能である。
【0043】
いくつかの例において、1つ以上の連結部材は、第1要素に対して回転可能であり、且つ、リニアアクチュエータによって、好ましくは連結部材と第1エアロフォイル要素との間に回転可能に連結された油圧ラムによって、制御される。
【0044】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイル要素は、前記第1エアロフォイル要素にも連結されている1つ以上の連結部材に回転可能に連結されており、ここで、任意の連結部材に対する第2エアロフォイル要素の回転は、前記第2エアロフォイル要素及び連結部材に対して回転可能に連結されたリニアアクチュエータ、好ましくは油圧ポンプ、によって制御されるか、若しくは、ロータリーアクチュエータによって制御されてもよい。
【0045】
いくつかの例において、前記第1エアロフォイル要素部分は、前記第2エアロフォイル要素部分よりも厚い。
【0046】
いくつかの例において、前記第1エアロフォイル要素は、前記第2エアロフォイル要素と同じ長さ、若しくは、前記第2エアロフォイル要素よりも短い。
【0047】
いくつかの例において、前記第1エアロフォイル要素の最大厚さ及び前記第2エアロフォイル要素の最大厚さは、その要素の翼弦長の前半分の範囲内にあり、ここで、それぞれのエアロフォイル部分の曲率は、その全長に沿って凸であり、いかなる変曲も含まない。
【0048】
いくつかの例において、連結部材は、該連結部材を第1エアロフォイル要素に連結している2つ以上の回転軸受を中心として回転可能である。好ましくは、先行する要素は、それぞれの連結棒の上方及び下方の両方に軸受を備え、好ましくは、これらの軸受は、各棒の間でねじり桁に固定されるべきである。
【0049】
いくつかの例において、第2要素は、ねじり桁又はねじり構造によって連結された頂部部分と基部部分を備えていてもよい。連結部材は、2つ以上の回転軸受によって、前記第2要素に固定されてもよく、2つ以上の前記回転軸受は好ましくは前記第2要素の前記ねじり桁に連結されてもよい。
【0050】
いくつかの例において、前記第1要素は先行する要素である。
【0051】
いくつかの例において、前記第2要素は後行する要素である。
【0052】
いくつかの例において、前記翼帆は二重ヒンジ機構を備えている。
【0053】
第三の側面では、二要素の翼帆の収納寸法を最小化する方法であって、第1要素を第2要素の上を180度回転させて折り畳む工程を含み、各要素はエアロフォイルを備える、ことを特徴とする方法が提供される。
【0054】
いくつかの例において、折り畳みは2つの回転軸にわたって起こる。
【0055】
いくつかの例において、第1回転軸は第1エアロフォイル要素の一部であり、第2回転軸は前記第2エアロフォイル要素の一部である。
【0056】
第四の側面によれば、
第1エアロフォイル要素、及び、
第2エアロフォイル要素
を備える翼帆であって、
前記第2エアロフォイル要素は、第1の位置から第2の位置へ、第1回転軸を中心として、前記第1エアロフォイル要素に対して回転するように構成されており、
前記第1の位置において、前記第1エアロフォイル要素は、前記第2エアロフォイル要素の前にあり、前記第1エアロフォイル要素の翼弦線は、前記第2エアロフォイル要素の翼弦線と整列し、且つ、平行であり、
前記第1の位置において、前記第1回転軸は、前記第2エアロフォイル要素の前、且つ、前記第1エアロフォイル要素の前縁の後ろに位置し、
前記第2エアロフォイル要素は、さらに、前記第2の位置から第3の位置へ、第2回転軸を中心として、前記第1エアロフォイル要素に対して回転するように構成され、
前記第1の位置において、前記第2回転軸は、前記第1エアロフォイル要素の後ろ、且つ、前記第2エアロフォイル要素の後縁の前に位置する、
ことを特徴とする翼帆が提供される。
【0057】
いくつかの例において、第4の位置において、前記第2エアロフォイル要素の翼弦線は、前記第1エアロフォイル要素の翼弦線に対して45度の角度をなしており、
前記第2エアロフォイル要素は、
前記第1エアロフォイル要素に対して、第1の回転方向に、前記第4の位置から前記第1の位置へ回転し、
前記第1エアロフォイル要素に対して、前記第1の回転方向に、前記第1の位置から前記第2の位置へ回転し、且つ、
前記第1エアロフォイル要素に対して、前記第1の回転方向に、前記第2の位置から前記第3の位置へ回転し、ここで、前記第3の位置において、前記第2エアロフォイル要素の翼弦線は、前記第1エアロフォイル要素の翼弦線に対して約180度の角度をなす、
ように構成されており、
これにより、前記第2エアロフォイル要素の翼弦長は、前記第4の位置から前記第3の位置へ回転する間に、前記第1エアロフォイル要素に対して約225度回転するように構成されている。
【0058】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイル要素が前記第1の位置にあるとき、前記第2エアロフォイル要素は、
前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に、前記第1の位置から前記第4の位置へ、前記第1回転軸を中心として回転し、
前記第1の回転方向に、前記第1の位置から前記第2の位置へ、前記第1回転軸を中心として回転し、ここで、前記第2の位置において、前記第2エアロフォイル要素の翼弦線は、前記第1エアロフォイルの翼弦線に対して約90度の角度をなす、
ように構成されており、
これにより、前記第2エアロフォイル要素の翼弦長が、前記第4の位置から前記第2の位置への回転する間に、前記第1エアロフォイル要素に対して約135度回転するように構成されている。
【0059】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイル要素が前記第1の位置から前記第1の回転方向又は前記第2の回転方向に回転したとき、前記第1エアロフォイル要素と前記第2エアロフォイル要素の間にスロットが形成され、前記スロットは、前記翼帆が風の流れにあたったときに、前記翼帆の圧力側から前記翼帆の吸引側へのエネルギーの流れを可能にする空洞を備える。
【0060】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイル要素は、前記第2の回転軸を中心として、前記第1の回転方向に、前記第2の位置を越えて回転し、前記第2エアロフォイル要素を前記第3の位置に移動させるように構成されている。
【0061】
いくつかの例において、前記翼帆は、
前記第1エアロフォイル要素と前記第2エアロフォイル要素とを連結する第1のラムであって、前記第1のラムの作動範囲に応じて、前記第1の回転軸を中心とする前記第2エアロフォイル要素の回転を制限するように構成されているラムと、
前記第1のラムの作動範囲において、前記第2の回転軸を中心として、前記第2エアロフォイル要素を回転させるように構成された第2のラム及びロータリーアクチュエータのうちの少なくとも一方と、
を備える。
【0062】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイル要素が前記第2の位置にあるとき、前記第1エアロフォイル要素の翼弦線と前記第2エアロフォイル要素の翼弦線はおおよそ垂直である。
【0063】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイル要素が前記第3の位置にあるとき、前記翼帆の全翼弦長は最小化される。ここで、全翼弦長は前記翼帆の前縁から後縁までの翼弦長の長さで構成されており、前記翼帆の前記全翼弦長は、前記第1及び第2要素の翼弦長の合計である。
【0064】
いくつかの例において、前記翼帆は二重ヒンジ機構を備えており、前記二重ヒンジ機構は前記第1の回転軸と前記第2の回転軸を提供する。
【0065】
いくつかの例において、前記翼帆は前記第1エアロフォイル要素に連結された基部を備え、前記基部は前記翼帆を海洋船舶に連結するように構成されている。
【0066】
いくつかの例において、前記翼帆は、1つ以上の独立して回転する連結部材を介して前記第2エアロフォイル要素と前記第1エアロフォイル要素とを連結するための連結部材を備え、前記連結部材は、前記第1エアロフォイル要素と前記第2エアロフォイル要素とを連結する1つ以上の棒と、各棒が1つ以上の前記棒のいずれに対しても独立して回転できないように2つ以上の前記棒を連結するねじり桁とを備えている。
【0067】
いくつかの例において、前記連結部材は、2つ以上の回転軸受を中心として、前記第1エアロフォイル要素に対して回転するように構成されている。
【0068】
いくつかの例において、前記翼帆は、前記棒のそれぞれを連結するように構成されたねじり桁を備え、2つ以上の前記棒のそれぞれについて、2つ以上の前記回転軸受のうちの1つは前記棒の上方でねじり桁に連結され、且つ、2つ以上の前記回転軸受のうちの1つは前記棒の下方でねじり桁に接続されている。
【0069】
いくつかの例において、第2要素は、2つ以上のさらなる軸受を中心として、前記連結部材に対して回転可能である。
【0070】
いくつかの例において、2つ以上の前記回転軸受、及び、2つ以上の前記さらなる軸受のうち少なくとも1つは自動調心軸受を備えている。
【0071】
いくつかの例において、前記連結部材は、前記第1エアロフォイル要素に対して回転可能であり、前記第2エアロフォイル要素は、前記第1エアロフォイル要素及び前記連結部材の両方に対して回転可能である。
【0072】
いくつかの例において、前記翼帆は、第1エアロフォイル要素に対する前記連結部材の回転を制御するための第1リニアアクチュエータを備える。
【0073】
いくつかの例において、前記翼帆は、前記連結部材に対する前記第2エアロフォイル要素の回転を制御するための第2リニアアクチュエータを備える。
【0074】
いくつかの例において、前記第1リニアアクチュエータ及び前記第2リニアアクチュエータの少なくとも一方は、油圧ラムを含んで構成される。
【0075】
いくつかの例において、前記翼帆は、前記連結部材に対する前記第2エアロフォイル要素の回転を制御するための油圧モータを備える。
【0076】
いくつかの例において、前記第1エアロフォイル要素部分は、前記第2エアロフォイル要素部分よりも厚い。
【0077】
いくつかの例において、前記第1エアロフォイル要素は、前記第2エアロフォイル要素と同じ長さであるか、又は、前記第2エアロフォイル要素よりも短い。
【0078】
いくつかの例において、前記第1エアロフォイル要素の最大厚さは、前記第1エアロフォイル要素の翼弦長の前半分の範囲内にあり、前記第2エアロフォイル要素の最大厚さは、前記第2エアロフォイル要素の翼弦長の前半分の範囲内にある。
【0079】
いくつかの例において、各エアロフォイル要素の前記前縁の曲率は凸である。
【0080】
いくつかの例において、前記第1及び/又は第2エアロフォイル要素内の空洞に圧力が発生し、高圧気流は前記エアロフォイルの吸引側に導かれる。ここで、前記高圧気流は、それぞれのエアロフォイル要素内の1つ以上の流路に分配される。
【0081】
いくつかの例において、前記第2エアロフォイル要素の空洞内に吸引が発生し、前記要素の表面の吸気孔は、外部境界層から前記第2エアロフォイル要素の内部空洞に空気を吸引することを可能にする。
【0082】
第五の側面によれば、
第1の位置から第2の位置へ、第1の回転軸を中心として、第1エアロフォイル要素に対して第2エアロフォイル要素を回転させること、ここで、前記第1の位置において、前記第1エアロフォイル要素は、前記第2エアロフォイル要素の前方にあり、且つ、前記第1エアロフォイル要素の翼弦線は、前記第2エアロフォイル要素の翼弦線と整列し、且つ、平行であり、また、前記第1の位置において、前記第1の回転軸は、前記第2エアロフォイル要素の前方、且つ、前記第1エアロフォイル要素の前縁の後方に位置している;及び、
前記第2の位置から第3の位置へ、第2の回転軸を中心として、前記第1エアロフォイル要素に対して前記第2エアロフォイル要素を回転させること、ここで、前記第1の位置において、前記第2の回転軸は、前記第1エアロフォイル要素の後方、且つ、前記第2エアロフォイル要素の後縁の前に位置している;
を含む方法が提供される。
【0083】
第六の側面によれば、上述した第1から第4の側面のいずれか、またはそれらの例に係る翼帆を使用することを含む方法が提供される。
【0084】
第七の側面によれば、上述した第1から第4の側面のいずれか、またはそれらの例に係る翼帆を製造する方法が提供される。
【0085】
第八の側面によれば、風力推進システムのための基部構造が提供される。前記基部構造は、プラットフォームと、前記プラットフォームを支持する3本以上の支柱を備え、3本以上の前記支柱のそれぞれは2メートルから4メートルの間の高さを有し、前記風力推進システムは前記プラットフォームの上方に位置している。
【0086】
いくつかの例によれば、前記基部構造は、前記風力推進システムを昇降させるためのリニアアクチュエータを備え、前記リニアアクチュエータは前記プラットフォームの上方に位置している。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図4】左舷タックで反り配置にある翼帆の平面図である。
【
図5】右舷タックで反り配置にある翼帆の平面図である。
【
図6】右舷タックで反り配置にある翼帆の内面図である。
【
図7】左舷タックで反り配置にある翼帆の内面図である。
【
図14A】収納・保護配置にある翼帆の平面図である。
【
図14B】収納・非保護配置にある翼帆の平面図である。
【
図19】左舷タックと右舷タック状態にある翼帆の断面図である。
【
図23】翼帆の前縁要素と後縁要素を連結するために使用される、翼帆の連結部材を示す図である。
【
図24】翼帆の直立配置と収納配置を示す図である。
【
図25】空力フェアリングが取り外された翼帆を示す図である。
【
図26】空力フェアリングが取り外された翼帆を示す図である。
【
図27】前方のエアロフォイルに複数の排気口を有する翼帆を示す図である。
【
図28】前方のエアロフォイルと後方のエアロフォイルに複数の排気口を有する翼帆を示す図である。
【
図30】船に対して収納配置にある翼帆を示す図である。
【
図31a】風力推進装置の基部構造を示す図である。
【
図31b】風力推進装置の基部構造を示す図である。
【
図31c】風力推進装置の基部構造を示す図である。
【
図32a】吸引機構が組み込まれていない翼帆について、第1の迎角における翼帆の周りの気流を示す図である。
【
図32b】吸引機構が組み込まれ、第1エアロフォイル要素の後方に吸気口を有する翼帆について、第1の迎角における翼帆の周りの気流を示す図である。
【
図32c】吸引機構が組み込まれていない翼帆について、第2の迎角における翼帆の周りの気流を示す図である。
【
図32d】吸引機構が組み込まれ、第1エアロフォイル要素の前方に吸気口を有する翼帆について、第2の迎角における翼帆の周りの気流を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
いくつかの例に基づいて、翼帆と翼帆を操作する方法について説明する。前記翼帆は、船艇に使用され得る。船艇には、例えば、海洋船舶、ボート、船のうち少なくとも一つが含まれ得る。いくつかの例では、前記船艇は、動力船艇であり得る。いくつかの例では、前記船艇は、ばら積み貨物船やプロダクトタンカーのような商業用の船舶であり得る。
【0089】
いくつかの例では、翼帆は、船艇の表面、例えば、船艇の甲板の上に配置され得る。
【0090】
典型的な翼帆は硬くてもよい。前記翼帆は、海洋船舶(例えば、動力船艇や、船など)に取り付けられ得る。翼帆は、船舶(例えば、海洋船舶)に取り付けられる可変キャンバー空力構造であると考えられ得る。
【0091】
これらのユニットが取り付けられる典型的な海洋船舶の長さは、150mから360mであり得るが、より小さい又はより大きい船舶に取り付けられてもよい。いくつかの例では、前記翼帆は、船舶を前進させるために船舶に伝達される推力を発生させ、また、船舶のエンジンから生成されることが必要な推力を削減するために使用される。船舶の種類、航路、翼帆ユニットの数、その他の要因にもよるが、いくつかの例では、これにより、メインエンジンから生成されることが必要な動力を減らすことができ、燃料の消費量と炭素排出量を約20~30%削減することができる。
【0092】
本開示において説明されるいくつかの例示的な翼帆は、少なくとも2つの翼帆要素を備え得る。翼帆要素のそれぞれは、前縁及び後縁を備え得る。翼帆要素のそれぞれは、空気力学的形状(例えば、
図1に示されるエアロフォイル要素103又はエアロフォイル要素105の形状に類似する形状)を有していてもよい。各翼帆要素が有する前記空気力学的形状は、気流が、それぞれの翼帆要素の表面を通過するときに揚力を発生させ得る。各翼帆要素はエアロフォイルを備え得る。
【0093】
いくつかの例において、各エアロフォイルの前縁は、前記エアロフォイルの最も幅が広い部分により近く、一方、各エアロフォイルの後縁は、前記エアロフォイルの最も幅が広い部分からより離れている。しかしながら、他の例の形状を前記エアロフォイルに使用してもよい。
【0094】
前記翼帆には、境界層流制御が組み込まれ得る。翼帆の境界層は、表面上を流れる空気の薄い層を含んでいると考えられ得る。いくつかの例によると、前記境界層における空気の流れは、前記翼帆上の気流のはく離を防ぎ、前記翼帆が失速する傾向を減らすように制御される。これにより、前記翼帆の達成可能な揚力を大きくすることができる。
【0095】
図1は、一例である翼帆101の斜視図を示す。翼帆101は、第1エアロフォイル103と第2エアロフォイル105を有する二要素の翼帆である。翼帆101の二要素のうち一つは第1エアロフォイル103であり、翼帆101の二要素のうち一つは第2エアロフォイル105である。第1エアロフォイル103は、前縁103a、後縁103b、及び、最大断面幅を有する部分103cを含んで構成される。
図1の例に示されるように、前縁103aは、後縁103bよりも最大断面幅を有する部分103cにより近い。前縁103aを含むエアロフォイル103の部分は丸みを帯びており、後縁103bを含むエアロフォイル103の部分は尖っている(又は、前記前縁の曲率の半径よりも小さい半径を有する丸みを帯びた形状であってもよい)。いくつかの例では、前縁103aを含むエアロフォイル103の部分は、後縁103bを含むエアロフォイル103の部分よりも広い断面幅を有する。しかしながら、他の形状が第1エアロフォイル103に使用されてもよいことが想定される。
【0096】
第2エアロフォイル105は、前縁105a、後縁105b、及び、最大断面幅を有する部分105cを含んで構成される。前縁105aは、後縁105bよりも最大断面幅を有する部分105cにより近い。前縁105aを含むエアロフォイル105の部分は丸みを帯びており、後縁105bを含むエアロフォイル105の部分は尖っている。しかしながら、他の形状が第1エアロフォイル103に使用されてもよいことが想定される。
【0097】
第2エアロフォイル105は、例えば、
図1及び
図2に示されるように、第2エアロフォイル105の翼弦線に対して対称であってもよい。
【0098】
第1エアロフォイル103は、例えば、
図1及び
図2に示されるように、第2エアロフォイル105の翼弦線に対して対称であってもよい。
【0099】
エアロフォイルの翼弦線は、当該エアロフォイルの前記前縁から前記後縁までの長手方向の軸と考えられ得る。
【0100】
前縁103aは、翼帆101の名目上「先頭」にあると考えられ得る。後縁103bは、前縁103aの後方にある。
図1の羽状配置では、第2エアロフォイル105は、第1エアロフォイル103の後方にあり、第2エアロフォイル105の前縁105aは第2エアロフォイル105の後縁105bの前方にある。
【0101】
エアロフォイル103及び105は、「ティアドロップ」形状を有するが、他の空気力学的形状が用いられてもよい。一般的に、エアロフォイル103又は105のようなエアロフォイルは、気流の方向には小さな抵抗(抗力)を示すのに対し、その上を流れる気流の方向に対して垂直な空気力学的作用(揚力)を生み出す任意の形状を有し得る。
【0102】
翼帆装置101は、見かけの風向きに対する迎角を変化させるために、その基部を中心として回転し得る。このようにして、翼帆装置101は、発生する揚力を最適化することができる。前記揚力は、翼帆101の両側の間に圧力差が生じることによって発生し、翼帆装置101の両側を流れる空気の速度差によって、高圧側と低圧側が形成される。見かけの風とは、移動する船艇が経験する風のことである。見かけの風は、船の前進運動により経験される風と卓越風との組合せである。この二つのベクトルが組み合わさって「見かけの風」が生成される。見かけの風は、船の前進運動により体験される風と卓越風とは異なる角度と風速を有し得る。
【0103】
第2エアロフォイル105は、第1エアロフォイル103に対して回転可能であり、これにより、装置101の反りを調整、反転させることができる。
【0104】
翼帆装置101が、左舷タックにあるとき(見かけの風が装置101の左舷側に当たっているとき)、第2エアロフォイル105は、第1エアロフォイル103に対して左舷側に回転され得る。
【0105】
翼帆装置101が、右舷タックにあるとき(見かけの風が装置101の右舷側に当たっているとき)、第2エアロフォイル105は、第1エアロフォイル103に対して右舷側に回転される。
【0106】
例えば、
図4、
図5、
図6、
図6、
図7,
図13、
図14A及び
図14Bに見られるように、第2エアロフォイル105が第1エアロフォイル103に対して回転されたとき、第1エアロフォイル103及び第2エアロフォイル105の翼弦線は平行ではない。これにより、翼帆装置103を反り配置とすることができる。これは、第1エアロフォイル103に対して、第2エアロフォイル105を回転させることによって達成することができる。
【0107】
装置101の反り配置においては、第1エアロフォイル103と第2エアロフォイル105との間にスロットが形成される。このスロットは、高圧の空気の流れが高圧側から低圧側の表面へと流れることを可能にする。これにより、第2エアロフォイルを流れる気流が再活性化され、気流を極端な迎角に付着した状態にとどめることを可能にし、翼帆の失速を回避することができ、より大きな揚力係数が達成される。
【0108】
いくつかの例では、翼帆101には圧力差発生器111を取り付けることができる(例えば
図1に示されるように)。圧力差発生器111は、前記装置101の周りの気流を制御するために使用することができる。この制御された気流により、失速することなく、前記装置をより大きな迎角、及び、より大きなキャンバー角で使用することができ、これにより、翼帆101にとって達成可能な揚力係数を大幅に増大させることができる。いくつかの例では、圧力差発生器は、1つ以上の回転ブレード(例えば、ファンブレード)を備え得、前記回転ブレードはシャフトによって連結され得る。
【0109】
翼帆101の周りの気流を制御するために、吸気口107は、翼帆101の内部に空気を引き込む。翼帆101は、また、排気口109を備えていてもよい。いくつかの例では、例えば、
図1及び
図2に示されるように、排気口109は第1エアロフォイル103の後縁103bに位置していてもよい。しかしながら、他の例では、排気口109は、第1エアロフォイル103の他の位置に位置してもよいことが理解できるだろう。
【0110】
吸気口107において引き込まれた空気は、内部流路119を通って、エアロフォイル103の内部に導かれる。内部流路119は、吸気口107と排気口109とを接続する。排気口109は、エアロフォイル103から気流を放出する。この気流は集中された空気噴流を構成し得る。この気流は、第2エアロフォイル要素103の表面に向けられてもよい。
図1及び
図2の例では、気流は、第1エアロフォイル103の後縁103bにある排気口109から、エアロフォイル105の前縁105aに向かって、及び、その上に放出され得る。
【0111】
圧力差発生器111には、1つ以上のモータによって動力が供給され得る。これらのモータは、例えば、油圧モータ又は電気モータを含んで構成され得る。作動すると、圧力差発生器111は、空気が吸い込まれるように流路119の吸気口107に低圧の領域を生成し、空気が排気口109から押し出されるように流路119の排気口109に高圧の領域を生成し得る。
【0112】
圧力差発生器111は、前記第1エアロフォイル内に負の内圧を生成するように構成され得る。ここで、前記負の内圧により、吸気口107を通して前記第1エアロフォイルの本体内に空気が引き込まれる。
【0113】
圧力差発生器111は、例えば、モータによって駆動されるファン、又は1つのファンシャフトによって連結され、モータによって駆動される一連のファンを含んで構成され得る。
【0114】
いくつかの例では、気流は第1エアロフォイル要素103の前縁にぶつかり、表面(両側)の周りを流れる。気流が低圧表面を通過するにつれて、層流境界層は乱流に遷移し始め、この時点で装置101の迎角が大きくなると、気流がはく離し、装置101は失速する。
【0115】
装置101がより高い迎角で動作できるように(及び、したがって、より大きな揚力を発生させることができるように)、いくつかの例では、前方のエアロフォイル103の表面上を通過する空気は、前方のエアロフォイル103の後端付近の位置で内部に吸い込まれる。これにより、乱流境界層の一部が除去され、より高い迎角に気流が付着した状態が維持されるため、装置101の生み出すことができる推力がより大きくなる。
【0116】
第2エアロフォイル105は、第1エアロフォイル103の後方に位置し、エアロフォイル105が反り配置になると、第1エアロフォイル103と第2エアロフォイル105との間にスロットが生じる。このスロットは、高圧側(
図6において113、
図7において115)から低圧側(
図6において115、
図7において113)への空気の高圧噴出を可能とし、気流が再びより高い迎角とキャンバー角に付着した状態を維持することを可能とする。これは、同様に、装置がより大きな推力を船舶へ生み出すことを意味している。
【0117】
排気口109は、前記スロットを通過する空気の高圧噴出をさらに強化し、これにより、翼帆101が失速する前に達成可能な迎角を最大化することを可能とし、また、抗力を低減しながらも生み出される推力を最大化することを可能とするために、第1エアロフォイル要素103の後縁に配置され得る。
【0118】
このように、第1エアロフォイル103に設けられた少なくとも1つの吸気口103と少なくとも1つの排気口109を使用することにより、失速することなく、装置101のより高い迎角を達成することができる。追加的に、又は代替的に、第1エアロフォイル103に対して第2エアロフォイル105を相対的に反らせることにより、失速することなく、装置101のより高い迎角を達成することができる。
【0119】
図2は、翼帆101の断面平面図である。
図2に示されるように、吸気口107は、第1エアロフォイル103の両側113及び115(それぞれ左舷側113、及び、右舷側115)に設けられた2つの吸気口107s及び107pを含んで構成されている。
図2の例では、吸気口107は、第1エアロフォイル103の後縁103bの方に位置している。各吸気口107は、空気がエアロフォイル103に流入することを可能にする1つの垂直なストリップ(又は、複数の垂直なストリップ)を備えていてもよい。垂直なストリップは、空気の流入を可能にする装置に設けられた隙間を備えていてもよい。他の例では、吸気口は、空気が第1エアロフォイル103に流入することを可能にする切り開かれた開口部(例えば、円形の穴、又は、他の形状の穴など)、又は、他の多孔性材料を有する表面を備えていてもよい。切り開かれた形状、又は、多孔性材料を有するこの表面は、装置の空気力学的性質を最適化するために、翼帆に流入する空気の速度と体積を制御する。また、エアロフォイル103の内部に不要物が吸い込まれることを防ぐことができるという追加的な利点もある。
【0120】
吸気口107は、装置101の表面付近の不安定な流れを第1エアロフォイル103の本体内に引き込み、流れがより大きな迎角に付着した状態を維持することを可能とする。これにより、より大きな揚力係数が生み出される。
【0121】
図2の例では、エアロフォイル103の本体と圧力差発生器111との間に仕切り112が設けられている。このようにすることで、発生した気流は、装置の後縁103bの部分の内部気流に影響を与えるが、圧力差発生器111から発生した気流は、エアロフォイル103の本体内(すなわち、前縁103aに位置する本体内)の内部気流に影響を与えることを防ぐことができる。
【0122】
図3から
図7は、風130の影響下にある翼帆101の例を示している。この図には翼帆101が示されているが、同じ原理を翼帆401、621、または本開示で説明する他の翼帆に適用してもよい。
【0123】
風向130が翼帆101の前方のエアロフォイル103の前縁に直接向けられる場合(すなわち、風向が翼帆の左舷側113と右舷側115との間に向けられる場合)、翼帆101は羽状配置に配置されていてもよい。この配置では、エアロフォイル103とエアロフォイル105の翼弦線は互いに整列しており、且つ、平行である。
【0124】
図4は、翼帆101が左舷タックにある状態の例を示している。翼帆101が左舷タックで稼働しているとき、すなわち、見かけの風130が、翼帆101が取り付けられている船舶の左舷側を横切るとき、翼帆101の迎角は、見かけの風130が翼帆101の左舷前縁に導かれるように構成され得る。第2エアロフォイル105が第1エアロフォイル103に対して左舷側113に回転された左舷配置では、翼帆101は反った配置であり得る。左舷配置では、右舷吸気口107sは開いており、左舷吸気口107pは閉じている。第1エアロフォイル103の排気口109は、気流を第2エアロフォイル105の右舷前縁に導き、これにより、この点において気流を再活性化し、装置101の失速角を増大させる。
【0125】
図5は、翼帆101が右舷タックにある状態の例を示している。翼帆101が右舷タックで稼働しているとき、すなわち、見かけの風130が、翼帆101が設置されている船舶の右舷側を横切るとき、翼帆101の迎角は、見かけの風130が翼帆101の右舷前縁に導かれるように、構成され得る。第2エアロフォイル105が第1エアロフォイル103に対して右舷側に回転された左舷配置では、翼帆101は、反った配置であり得る。右舷配置では、右舷吸気口107sは閉じられ、左舷吸気口107pは開いている。第1エアロフォイル103の排気口109は、気流を第2エアロフォイル105の左舷前縁に導き、これにより、この点において気流を再活性化し、装置101の失速角を増大させる。
【0126】
図6は、左舷吸気口107pを開いたまま、右舷タック中に右舷吸気口107sを閉じる方法の例を示す。内壁129は、左舷吸気口107pが開かれたまま、右舷吸気口107sを閉じるように配置される。内壁129は、回転点127を中心に回転させることができる。この回転は、例えば電気モータや油圧モータなどのモータを用いて行うことができる。この回転は、翼帆101のコンピュータシステムによる翼帆101が左舷タックにあるか右舷タックにあるかの検出に基づいて、自動的に行われてもよい。いくつかの例では、この回転は、コンピュータシステムへのユーザー入力に基づいて行われてもよい。他の例では、この回転は翼帆101のユーザーの手動操作に基づいて行われる。翼帆101が右舷タックで使用されているとき、翼帆101は左舷吸気口107pに空気を引き込み、右舷吸気口107sに空気を引き込まないようにしてもよい。
【0127】
図7は、左舷吸気口107pを閉じたまま、左舷タック中に右舷吸気口107sを開く方法の例を示す。翼帆101は、
図6と
図7に示される配置の間を遷移するように操作されてもよい。内壁129は、左舷吸気口107pが閉じたまま、左舷吸気口107sを閉じるように配置される。内壁129は回転点127を中心に回転させることができる。この回転は、例えば電気モータや油圧モータなどのモータを用いて行うことができる。この回転は、翼帆101のコンピュータシステムによる翼帆101が左舷タックにあるか右舷タックにあるかの検出に基づいて、自動的に行われてもよい。いくつかの例では、この回転は、コンピュータシステムへのユーザー入力に基づいて行われてもよい。他の例では、この回転は翼帆101のユーザーの手動操作に基づいて行われる。翼帆101が左舷タックで使用されているとき、翼帆101は左舷吸気口107pに空気を引き込まず、右舷吸気口107sに空気を引き込んでもよい。
【0128】
本開示で説明されるコンピュータシステムは、少なくとも1つのプロセッサと、関連するメモリを含んで構成されてもよい。コンピュータシステムは、翼帆101の少なくとも1つの吸気口を開閉するための制御ソフトウェアを実行するために使用され得る。
【0129】
図8は、エアロフォイル103とエアロフォイル105の翼弦線が整列し、且つ、平行である配置における、翼帆101の中心を通る断面を示している。
図10には、翼帆101の断面の側面図も示されている。
図8及び
図10に見られるように、内部通気口119(流路)は吸気口107と排気口109とを接続している。
図3の例では、前記排気口はエアロフォイル103の後縁に位置している。流路119は、翼帆101の翼幅に沿った最初の位置にある吸気口107からの流れを導き、当該流れを排気口109に導くように構成され得る。ここで、翼帆101の翼幅は、翼帆101の基部から翼帆101の先端までの距離である。
【0130】
通気口の容積は、吸気口107においてよりも排気口109において小さい。圧力差発生器111からの空気は、圧力差発生器111から排気口109に向かって内部通気口119の容積が減少することによって、排気口109へ移動するにしたがって集束される。これにより、第2エアロフォイルに向けて導かれる、より高濃度の活性化した流れが与えられる。空気は、第2エアロフォイル要素105の表面に向かって流れる集中した空気の流れとして、排気口109から放出される。いくつかの例では、第2エアロフォイル105は、反り配置にあってもよい。排気口109からの集中した気流は、境界層を再活性化し、空気の流れがより大きなキャンバー角と迎角に付着したまま維持されることを可能にし、これにより失速角を増大させ、また、翼帆101の達成可能な最大揚力係数を増大させる。
【0131】
図8、
図9及び
図10の例では、吸気口107においてよりも排気口109において、翼帆101の垂直軸132に沿って流路が長くなるように、流路119は傾斜している。垂直軸132は
図10に示されている。
図11及び
図12を参照してさらに説明するように、この傾斜した流路の形状は、翼帆101のような翼帆モジュールを互いに積み重ねる場合に有用である。この例では、流路形状(117の形状)を有する翼帆モジュールを互いに積み重ねることができ、複数のモジュールを含んで構成されるより大きな翼帆が作られる。この場合、より高い位置にあるモジュール部分の吸気口から、圧力差発生器を介して、より低い位置にあるモジュール部分の排気口に気流が導かれる。しかしながら、他の結果を得るため、他の流路形状を使用することも可能である。例えば、排気口109においてよりも吸気口107において、翼帆101の垂直軸132に沿って流路が長くなるように、流路が傾斜している場合、気流は、より低い位置にあるモジュール部の吸気口から、圧力差発生器を介して、より高い位置にあるモジュール部の排気口に導かれる。さらに、傾斜のない(垂直軸132に沿って実質的に直線状の、又は直線状の)流路を使用して、気流を、あるモジュール部分の吸気口から、圧力差発生器を介して、同じモジュール部分の排気口に導くようにしてもよい。
【0132】
翼帆が単一のユニットで構成されている場合(例えば、
図1の翼帆101)、上述した3つの流路形状のいずれもが使用され得る。いくつかの例では、内部気流が、ある高さにある吸気口から、圧力差発生器を介して、同じ高さにある排気口から出るように、傾斜のない流路を単一のユニットに使用してもよい。
【0133】
いくつかの例において、モジュール式の翼帆(例えば、翼帆621)は、外部ケースで覆われた2つ以上の内部モジュールで構成されていてもよい。
【0134】
いくつかの例において、翼帆101は、長さ方向よりも高さ方向に大きい101と同様の寸法を有していてもよい
【0135】
図9は、翼帆401の前方のエアロフォイルと後方のエアロフォイルの翼弦線が整列し、且つ、平行に並んだ配置における、翼帆401の例示的な部分の中心を通る断面を示す。翼帆401は、翼帆101と同様の構造を備えていてもよい。翼帆401は、さらに、翼帆401の前記前方のエアロフォイルの排気口405に配置された少なくとも1つの気流整流器425を含み、制御された形で気流が排気口から出ることを可能とし、制御された気流の空気力学的利点を最大化する。追加的に、又は、代替的に、少なくとも1つの気流整流器を前記前方のエアロフォイルの吸気口に配置してもよい。さらに、翼帆401の前記前方のエアロフォイルの吸気口、又は、排気口に配置された少なくとも1つの気流整流器の代わりに、又は、それに追加して、少なくとも1つの気流整流器を翼帆401の前記吸気口と排気口の間に配置してもよい。気流整流器は、吸気口、排気口、又は吸気口と排気口を接続する流路に沿って配置された少なくとも1つの壁を備えていてもよい。
【0136】
図11に示すように、いくつかの例では、翼帆モジュール601a、及び、601xなどの翼帆モジュールは、互いに重ねられて、翼帆621を形成してもよい。各翼帆モジュール601a、601x等は、翼帆101、翼帆401又は上述した他の翼帆と同様の構造を備えていてもよい。
【0137】
各翼帆モジュール601は、吸気口607と、排気口と、圧力差発生器を備えていてもよい。各翼帆モジュール601は、互いに積み重ねられるように構成されていてもよい。
【0138】
図11は、翼帆モジュール601a及び601xを備える翼帆621の外観図である。いくつかの例では、
図11に示されるように、さらなるモジュールが含まれていてもよい。
図12は、翼帆モジュール601a及び601xを含んで構成される翼帆621の内部断面を示している。
【0139】
翼帆621は、少なくとも2つの翼帆モジュール601a、及び、601xを備え、翼帆モジュール601a、及び、601xのそれぞれは、互いに整列した吸気口607a、及び、607xを備えている。翼帆モジュール601aは、換気口619aを備えている。翼帆モジュール601xは、換気口619xを備えている。翼帆621において、翼帆モジュール601a及び601xのそれぞれの換気口(換気口619a及び619xなど)は、圧力流発生器からの内部気流を各翼帆モジュール601a及び601xの排気口に導く。各翼帆モジュール(例えば、翼帆モジュール601a及び601x)は、それ自身の圧力差発生器を備えていてもよい。各翼帆モジュールの換気口は、内部圧力差発生器からの内部気流を排気口に導いてもよい。
【0140】
翼帆621は、各翼帆モジュール601a、601x等の前方のエアロフォイル(翼帆101のエアロフォイル103と同様)の後縁に少なくとも1つのファンを備えていてもよい。各ファンは、1つ以上の油圧モータ又は電気モータによって駆動されてもよい。各ファンは、各翼帆モジュールのシャフトモジュールによって構成される中央シャフトによって連結されてもよい。
図11の例では、翼帆モジュール601aのシャフトモジュール617aは、翼帆モジュール601xのシャフトモジュール617xに連結されている。
【0141】
翼帆モジュール601xは、翼帆621の頂部に位置している。翼帆モジュール601aは、頂部の翼帆モジュール601x以外の翼帆モジュールである。各モジュールの流路(例えば、流路617x及び617a)は、各流路が、各翼帆モジュール607a及び607xの吸気口においてよりも各翼帆モジュールの排気口において、各翼帆モジュール617a及び617xの垂直軸(ここで、両軸は翼帆101の軸132と同様である)に沿って長くなるように傾斜している。各翼帆モジュールがこの流路形状を有するので、気流は、より高い方のモジュール部の吸気口から、圧力差発生器を介して、より低い方のモジュール部の排気口に流れる。例えば、吸気口607xからの気流は、翼帆モジュール601xの真下の翼帆モジュールの排気口に導かれる。翼帆モジュール601aの真上の翼帆モジュールの吸気口からの気流は、翼帆モジュール601aの排気口に導かれる。吸気口607aからの気流は、翼帆モジュール601aの真下にある翼帆モジュールの排気口に導かれる。翼帆モジュール601xは翼帆621の頂部にあるため、気流は翼帆モジュール601xの上方から吸い込まれ、翼帆モジュール601xの排気口に導かれる。
【0142】
図8、
図9、及び、
図10に関連して上述したように、モジュール方式の翼帆のモジュール間に異なる気流を供給するために、他の流路形状を使用してもよい。例えば、排気口においてよりも吸気口において翼帆モジュールの垂直軸に沿って流路が長くなるように、流路が傾斜している場合、気流は、より下方のモジュール部の吸気口から、圧力差発生器を介して、より上方のモジュール部の排気口に導かれる。この場合、底部の翼帆モジュールは、モジュール方式の翼帆の下方から空気を吸い込むことになる。さらに、傾斜のない(翼帆モジュールの垂直軸に沿って実質的に直線状、又は、直線状の)流路は、気流を、モジュール部の吸気口から、圧力差発生器を介して、同じモジュール部の排気口に導くために使用され得る。
【0143】
本発明の別の実施形態では、翼帆は、前述した例に示されるような吸気口と、翼帆の基部又は頂部に排気口を備えていてもよい。ここで、空気は、翼帆の基部又は頂部の排気口に配置されたファンによって、吸気口に吸い込まれ、内部気流は、翼帆の翼幅にわたって上方又は下方に導かれる。
【0144】
本明細書で説明する翼帆装置は、1つ以上の内部構造部材を備えていてもよい。例えば、翼帆、又は、翼帆モジュールは、例えば、構造用のスチール製の主桁、アルミニウム製の主桁、複合材製の主桁のうちの少なくとも1つを備え得る。翼帆はまた、同様の材料で構成された横方向及び/又は縦方向の補強材を備えていてもよい。このような例では、外皮は、装置の外部の空気力学的形状を作り出してもよく、また、例えば、スチール、アルミニウム、複合材のうちの少なくとも1つで構成され得る。内部換気口(流路)は、例えば、スチール、アルミニウム、複合材のうちの少なくとも1つで構成されていてもよい。
【0145】
いくつかの例では、装置は、例えば、スチール、アルミニウム、複合材のうちの少なくとも1つで構成された、より厚い外皮を有するモノコック構造を有していてもよい。このモノコック構造は、装置の構造荷重の大部分を負担してもよい。
【0146】
この装置は、旋回ギア軸受、又は、ラック・ピニオンシステムを備える軸受のいずれかを使用して、見かけの風に対する迎角を回転させ得る。ここで、この軸受は翼帆の底部に連結され、翼帆をその基部(船舶に連結されている)に連結するようにしてもよい。この軸受は、すべてのシステムが故障した場合に、翼帆101が自然に風見鶏配置に傾くことができる位置で、第1エアロフォイル103の下に配置してもよい。自然な風見鶏配置では、翼帆101は、
図3に示したのと同様の配置で、風の方向に傾き得る。
【0147】
上述の例では、前方のエアロフォイルの吸気口(右舷吸気口及び対応する左舷吸気口を含んで構成される)は1つのみ記載されている。さらなる例では、装置は、それぞれが前方のエアロフォイルに1つの右舷吸気口と1つの左舷吸気口を含んで構成される、複数の吸気口を備えていてもよい。
【0148】
上述の実施例では、前方のエアロフォイルの排気口は1つのみ記載されている。さらなる例では、装置は、前方のエアロフォイルに、複数の排気口を備えていてもよい。
【0149】
さらなる例では、翼帆は、第2エアロフォイルに少なくとも1つの吸気口を備えていてもよい。さらなる例では、翼帆は、第2エアロフォイルに少なくとも1つの排気口を備えていてもよい。
【0150】
いくつかの例において、翼帆101は、保護カバー123に収納、保護され得る。この過程を
図14A及び
図14Bに示す。
図14Aでは、翼帆101は収納配置にあり、保護カバー123によって保護されている。
図14Bでは、保護カバー123が開かれており、翼帆101を様々な方向に調整することができるようになっている。保護カバー123はスチール又は他の材料で構成されていてもよく、このカバーは、クレーンのつかみ、鉄鉱石などの落下物、又は翼を損傷する可能性のある他の衝撃を引き起こす状況から装置を保護するために、折り畳まれるか、又は、装置の上を覆うように回転させることができる。
【0151】
いくつかの例において、本開示に記載の翼帆は、基部プレートと端部プレートを備えていてもよい。これらのプレートは、揚力の発生の結果として渦離脱を低減することにより、装置の空気力学的性能を向上させ得る。
【0152】
いくつかの例において、本開示に記載の翼帆は、基部プレートと端部プレートを備えていてもよく、また、装置の翼幅に沿って囲いを備えていてもよく、これにより、装置の表面を横切る流れの誘導を補助し、渦離脱及び関連する損失を低減し得る。
【0153】
以下の2つのエアロフォイルで構成される二要素の翼帆について、
図15から
図26を参照して、以下、さらに詳細に説明する。2つのエアロフォイルを互いに相対的に移動させる方法について説明する。以下の
図15から
図26に関して説明されるエアロフォイルは、上述したように、気流を制御するための吸気口及び排気口を備えていてもよいことに留意されたい。以下の
図15から
図26に関して説明される特徴のいずれもが、例えば、翼帆101、401及び623などの上述の翼帆のいずれに組み込まれてもよい。
【0154】
図15と
図16は翼帆1を示す。
図15は左舷側から見た図、
図16は右舷側から見た図である。翼帆701は、第1エアロフォイル要素703と第2エアロフォイル要素705から構成され、第1エアロフォイル要素703は先行する要素であり、第2エアロフォイル要素705は後行する要素である。第2エアロフォイル要素705は、第1エアロフォイル要素703に対して回転可能であり、(
図17に示すように)揚力を生み出すのに有利な反り形状を形成し得る。第2のエアロフォイル要素705が第1エアロフォイル要素703に対して回転したとき、第1エアロフォイル要素703と第2エアロフォイル要素705との間には「スロット」704が形成される。このスロット704は、圧力側からの高エネルギーの流れを吸引側に流すことを可能にし、また、その流れがより高い迎角で付着した状態を維持することを可能にする。これは揚力を生み出すために有利である。第2エアロフォイル要素7053は、第1エアロフォイル要素703と同じ翼弦長であってもよいが、場合によっては、より短くても、より長くてもよい。第1エアロフォイル要素703の厚さは、内部構造の断面二次モーメントを増加させ、装置の空気力学的性能を最適化するために、第2エアロフォイル要素705よりも厚くてもよい。第1エアロフォイル要素703及び第2エアロフォイル要素703を備えるエアロフォイル部の形状は、エアロフォイル部の前半分の範囲に最大厚さを有する。エアロフォイル要素703及び705を備える各エアロフォイル部の曲率は、各エアロフォイル部の全長に沿って凸であり、その曲率は各エアロフォイル部の全長に沿って正に保たれており、いかなる変曲も含まない。
【0155】
第1エアロフォイル要素703は、翼帆701の基部706に直接連結されている。基部706は、翼帆701を関連する海洋船舶に連結する。第2エアロフォイル要素705は、第1エアロフォイル要素705への連結を介して、翼帆701の基部706に連結される
【0156】
図18には、翼帆701のいくつかの例示的な異なる配置を示す。
図18に示されるように、翼帆701は、両エアロフォイル要素703及び705の断面の中心線758が一直線に並んだ羽状配置755と、第2エアロフォイル要素705が第1エアロフォイル要素702に対して回転した反り配置756との間を遷移することが可能である。翼帆701はまた、第1エアロフォイル要素703及び第2エアロフォイル要素705が密集配置757を形成するように関節運動することが可能である。
【0157】
翼帆701は、その反りを両方向に反転させることができ、
図19に示されるように、翼帆がその右側と左側の両方から来る風の角度760で揚力759を生み出すことを可能にする。翼帆701はまた、迎角軸748を中心に基部706の周りを360度回転することができ、翼帆701の迎角を、海洋船舶に対する風向に応じて調整、最適化することができる。翼帆701の迎角と翼帆701の反りの両方を調整することにより、翼帆701の周りの空気力学的流れを最適化して、所望の大きさの推力を生み出すことができる。
【0158】
港湾作業中に生じる干渉を最小限としながら翼帆701を収納することを可能にするために、翼帆701は、海洋船舶の甲板上の収納状態における高さを最小化し、また、第1エアロフォイル要素703及び第2エアロフォイル要素705がいかなる突出もしないようにすることができる。これをするために、翼帆701は、
図18の配置757に示されるような密集配置を形成し、垂直位置から水平位置に折り畳まれ、翼帆701の全高を最小にする。このプロセスについて、以下の段落で説明する。
【0159】
翼帆701が、その反りを調整すること、及び、
図18の配置757に示されるような密集配置に折り畳まれることの両方を可能にするために、第2エアロフォイル要素705は、少なくとも1つの垂直軸を中心として、第1エアロフォイル要素703に対して回転可能である。いくつかの例において、少なくとも1つの前記垂直軸は、2つの垂直軸を備え得る。少なくとも1つのリニアアクチュエータ(好ましくは、油圧ラム)は、第1及び第2エアロフォイル要素に連結し得る
【0160】
いくつかの例によれば、第1エアロフォイル要素703に対する第2エアロフォイル要素705の回転のための第1軸762は、第1エアロフォイル要素703内に位置していてもよく、第1エアロフォイル要素703に対する第2エアロフォイル要素705の回転のための第2軸763は、第2エアロフォイル要素705内に位置していてもよい。翼帆の基部に対する第1エアロフォイル要素703の回転のために、軸798が設けられてもよい。第1エアロフォイル要素703と第2エアロフォイル要素705を連結し、2つの回転軸を作り出すために、これら2つのエアロフォイル要素は、中間連結部材771によって連結されていてもよい。中間連結部材771は、該連結部材を第1エアロフォイル要素702及び第2エアロフォイル要素705に自由に連結するために、球面軸受又はローラーベアリング、又は他の形状の機械的軸受もしくは回転ジョイントを収容していてもよい。連結部材770は、頂部バー772及び底部バー773を備えていてもよく、頂部バー772及び底部バー773はねじり構造部材774によって連結されてもよく、これにより、頂部バー及び底部バーを整列させ、翼の先端と基部との間のあらゆるねじりモーメントに抵抗するようにしてもよい。ねじり構造部材774は、ねじり桁を含んで構成されていてもよく、球状であってもよく、また、スチール、アルミニウム、または複合材で構成されていてもよい。翼の基部にある底部リニアアクチュエータ765(好ましくは油圧ラム)は、連結部材771(好ましくは底部バー773)、及び、第1エアロフォイル要素703の構造、好ましくは第1要素の基部構造784の両方に連結し、両部材の相対運動を制御する。同様にして、翼帆701は、連結部材771の頂部バー772と第1エアロフォイル要素703の構造とを連結する頂部リニアアクチュエータ764(好ましくは油圧ラム)を備えていてもよく、また、第1要素の端部構造783に連結されていてもよい。リニアアクチュエータ764及び765の翼帆701への連結は、翼帆701の各部分に固定された2つの腕部材の間に固定されたピンに取り付けられ、前記連結が角度の変化に伴って自由に回転できるようにしてもよい。頂部リニアアクチュエータ764及び底部リニアアクチュエータ765は、好ましくは、第1エアロフォイル要素703に対する連結部材771の回転を駆動するために使用される。ラム764及び765と連結部材771との連結点は、頂部バー及び底部バーの両方にあってもよく、その連結は、連結部材771に対して回転できることが好ましい。連結部材は、頂部バー772及び底部バー773に加えて、これらの2つのバーの間に間隔をあけて配置された他の連結バーを備えていてもよく、これらの連結バーもねじり構造に固定されていてもよい。これらの連結バーはまた、第1エアロフォイル要素703を第2エアロフォイル要素705に連結し、2つの垂直軸によって互いの間の回転可能とする回転軸受を備えていてもよい。第1軸762は、垂直軸、好ましくは第1エアロフォイル要素703内の垂直軸であり、第1エアロフォイル要素703を連結部材771に連結するそれぞれの軸受の中心を通っていることが好ましい。第2軸763は、垂直軸、好ましくは第2エアロフォイル要素705内の垂直軸であり、第2エアロフォイル要素705を連結部材771に連結するそれぞれの軸受の中心を通っていることが好ましい。
【0161】
いくつかの例による翼帆701の全範囲の動きを
図22に示す。翼帆701の反りを調整、反転させるために、第2エアロフォイル要素は第1軸762を中心に回転され、翼を積極的に整え、空気力学的な流れを最適化するために必要な範囲の動きを完了する。この動きは、1つ以上のリニアアクチュエータ、好ましくは、
図20及び21に示されるように、翼帆701の頂部791にある1つの頂部リニアアクチュエータ764及び翼帆701の底部792にある1つの底部リニアアクチュエータ765によって制御され得る。
図22に描かれているように、配置766は中立の「羽状」配置を示し、配置767は右舷側への最大の反り(典型的には中心から10~25度の範囲)を示し、配置768は左舷側への最大の反り(典型的には右舷側への最大の反り767と同じ範囲)を示す。
【0162】
翼帆701をその収納配置に折り畳むために、第2エアロフォイル要素705は、その第1軸762の周りを最大回転位置まで回転される。最大回転位置は、いくつかの例では、ラム(又は別のリニアアクチュエータ)の最小ストロークが達成される位置であってもよい。これは、配置769として示されている。第2エアロフォイル要素705は、次に、第1エアロフォイル要素705 2に対して、その第2軸763を中心に約90度回転して、密集配置770を形成する。この密集配置770は、第1エアロフォイル要素703と第2エアロフォイル要素705の両方を合計した長さ793と厚さ794を最小化することが好ましく、結果的に、第1エアロフォイル要素703に対する第2エアロフォイル要素705の向きが、羽状配置766とは逆になる。第1エアロフォイル要素703及び第2エアロフォイル要素705の中心線は、この配置において平行であるか又は約40度までであり得、第2エアロフォイル要素705は、第1エアロフォイル要素703の長さ内に収まることが好ましい。第2軸763の周りのこの回転は、回転アクチュエータ又は連結部材771と第2エアロフォイル要素705との間に連結された二次的なラム構成によって制御されてもよく、好ましくは油圧式リニアラム又は油圧回転アクチュエータによって制御され得る。油圧式リニアラムが使用される場合、これは、第2エアロフォイル要素705が第1エアロフォイル要素703に対して180度より大きく回転することを可能にする一連の二重ラム構成が形成される。回転アクチュエータを使用した場合にも、同じ角度を達成し得る。
【0163】
第2エアロフォイル要素705を折り畳む一連の動作が完了すると(上述した、及び
図22で説明したように)、翼帆701は、港湾作業の準備のために甲板へ向かって折り畳まれる準備ができた状態になる。
図24に、このプロセスを示す。翼帆701の基部706は、ヒンジ構造を介して、基部構造706、好ましくは溶接されたプレートとフランジで構成されたスチール製の組み立て構造、に連結された旋回可能なプレート778に連結されている。このヒンジ構造は、翼帆701が水平軸795を中心に回転して、直立凝集配置775(直立)と収納配置776(水平)との間で遷移することを可能にする。油圧ケーブル及び他の低電圧電子ケーブルは、基部761の内側から旋回可能なプレート778の開口部を通って翼帆701内に通されてもよい。
【0164】
直立凝集配置775にある翼帆701は、2つのリニアアクチュエータ、好ましくは油圧ラム777によって、その収納配置776まで下降される。ここで、2つのリニアアクチュエータは翼帆701の重量の荷重を張力として受ける。1つの単一のラムが、翼帆701を昇降させることができ、これら2つのラムのうちの第2のラムは、1つの単一のラムへの荷重を軽減し、ラムの1つ又はそのシステムが故障した場合に備え、システムに冗長性を与える。同じプロセスを逆方向に繰り返すと、翼帆701はその収納配置からその直立・稼働配置に遷移する。
【0165】
その収納配置において、翼帆701は水平に配置されており、理想的には船舶の甲板に平行に配置される。翼帆701の先端は甲板の支持部によって支持され、固定ピンがこれを固定する。ばら積み貨物船では、翼の基部は、ハッチカバースライドの間のサイドデッキに取り付けられることが好ましく、ハッチカバーの上に収納配置となるように降下されることが好ましい。ハッチカバーは、収納された翼帆701の下をスライドさせることができ、港湾作業が中断されないようにする。翼帆701は、その下の通行を可能にするために、甲板から少なくとも2メートルは上に配置されることが好ましい。ばら積み設置及び甲板のスペースが制限される他の設置の場合には、ラムは、旋回可能なプレート778の下側に取り付けられてもよく、甲板内の空洞内に配置されてもよい。甲板のスペースが制限されていない場合、ラムは
図24に示すように甲板の上に配置され得る。
【0166】
いくつかの例において、翼帆701の構造は単純、且つ、頑丈であり、その単純さは、翼帆701の総コストを最小化し、その翼帆により節約される燃料によって、より短い期間で翼帆の「元を取る」ことを可能にする。
図25には、明確にするために取り外された、翼帆701の裸構造779と、第1エアロフォイル要素のフェアリング780及び第2エアロフォイル要素のフェアリング781とを示す。主構造は主桁782を備えていてもよく、主桁782は、第1要素の基部構造784及び第1要素の端部構造783に連結されてもよく、また、第1エアロフォイルの空力フェアリング780を支持するために多数の構造用リブ797に連結されていてもよい。本発明の別の実施形態では、主構造は構造リブ797を含まなくてもよい。主桁782は、第1エアロフォイル要素703及び第1要素の基部構造784の下に突出し、軸受構造785、好ましくは油圧駆動の旋回ギア軸受、の頂部に取り付けられ、翼帆701が基部及び船舶に対して約360度回転することを可能にする。荷重は、装置の回転に悪影響を与え得る局所的な応力の集中を最小化するために、軸受に均等に伝達、拡散され得る。これらの荷重は、好ましくは主桁782に溶接された、三角形のフランジと、次いで、軸受構造の頂部にボルト止めされたプレートを介して伝達され、広げられる。これらの三角形状のフランジは、スチール製のプレートで構成されていてもよい。主桁782及び軸受から荷重を伝達する他の方法も使用され得る。
【0167】
いくつかの例において、軸受構造785の下側は旋回可能なプレート778にボルト止めされており、旋回可能なプレート778は好ましくは構造補強フランジを有するスチール製のプレートである。旋回可能なプレート778は、旋回可能なプレート778の一方の縁に沿った水平軸795を有するヒンジ構造によって、及び、旋回可能なプレート778の他方の縁上の固定ピン構造によって、翼帆の基部761に連結されている。基部761は、翼帆701からの力及びモーメントを甲板、船舶の既存及び修正された構造に伝達するために、好ましくは、溶接されたスチール製のプレートと溶接された複数のスチール製のフランジ部で構成されるスチール製の組み立て構造で構成される。基部761は、好ましくは、甲板にボルト止め又は溶接されており、荷重は基礎構造に伝達される。
【0168】
いくつかの例において、第1要素の基部構造784、第1要素の端部構造783及び構造リブ797は、好ましくは、第1要素のフェアリング780のための支持部を形成するように、溶接された複数のスチールプレート部で構成されていてもよい。これらはまた、アルミニウム又は複合材から構成されていてもよい。第1要素のフェアリングは、基部支持構造34及び端部支持構造783に連結される。このフェアリングは、機械的な留め具によって連結されてもよいし、化学的に結合されてもよい。第1エアロフォイルの空力フェアリング780及び第2エアロフォイル要素の空力フェアリング781は、好ましくは複合材で構成されていてもよいが、スチール又はアルミニウム製の湾曲板で構成されていてもよい。
【0169】
主桁782は、スチール製の箱部又はI型ビーム部、又は、曲げ及びねじりに対して構造的に効率的な形状を提供する他の構築方法で構成されていてもよい。主桁782は、翼帆701によって生み出される荷重の蓄積の全てをその翼の基部に伝えなければならない。
【0170】
第1エアロフォイル要素703は、第1軸762を中心に第1エアロフォイル要素703に対して回転可能な連結部材771に連結されていてもよい。第1エアロフォイル要素703は、回転可能な連結部材771に連結するために少なくとも2つの軸受を含んでいてもよい。好ましくは、第1エアロフォイル要素は、
図25に示されるような二面せん断構造786、790を含んでいてもよい。
【0171】
図25には、連結部材771が翼帆構造の残りの部分内にどのように適合するかを示すために、連結部材771を強調して、翼帆701の構造を示す。
図25はまた、第1要素の基部構造784、第2要素の基部構造788、及び連結部材771の拡大図を表し、これらの部分がどのように連結して一緒に回転し、二面せん断ピン構造を形成するかを示す。以下の詳細は翼の基部についての説明であるが、そのメカニズムは翼の端部についても同様であると推定され、第1軸762に沿った任意の他の場所でも同様のメカニズムが見られ得る。
【0172】
いくつかの例において、第1要素構造(第1要素の基部構造784、第1要素の端部構造783及び構造リブ797を含んで構成され得る)は、少なくとも2つの軸受を収容し得るが、好ましくは、2つを越える数の軸受を備え得る。
図26は、第1要素の基部構造内に埋め込まれた二重軸受アセンブリの一例を示しているが、このアセンブリは、第1軸762に沿った第1エアフォイル要素703の構造内の任意の場所に見出すことができ、この例では、第1要素の端部構造783内で繰り返されるが、詳細には示されていない。
【0173】
図26に示される軸受アセンブリは、頂部軸受796a及び底部軸受766bを備えていてもよく、これらの軸受は、底部バー773を収容するために、それぞれの間に空間を有するように間隔を空けて配置されてもよい。頂部軸受766a及び底部軸受766bは、第1要素の基部構造784に対する連結部材771の回転を可能とするように、連結部材のねじり構造部材774に機械的に連結又は結合されていてもよい。2つの軸受796a及び796bを使用することにより、連結部の安定性を向上させ、連結部材771が第1要素の基部構造784に対して横断方向に回転することを制限する二面せん断構造が形成される。連結部材771に対する第2エアロフォイル要素の回転のために、軸受796cを設けてもよい。本発明の別の実施形態では、一つの単一の軸受を使用して、連結部材771を第1要素の基部構造784に連結してもよい。一つの単一の軸受が使用される場合、その軸受は、自動調心軸受であってもよく、軸外シャフトと共に回転、すなわち、翼帆構造の荷重下でのたわみにより、翼帆701の頂部がたわみ、翼帆701の底部よりも大きな角度で回転するとき、軸受は、連結部材771と第1要素の基部構造784との間の第1軸762を中心とする動きが維持されるように自動調心することができるようにしてもよい。
【0174】
軸受796a及び796bは、円筒形又は自動調心性であってもよく、第2エアロフォイル要素705の荷重を支える一方で、連結部材が第1軸762を中心に自由に回転することを可能にしなければならない。これらの軸受は、連結部材771及び第2エアロフォイル要素705の自重を含め、連結部材771からの全ての荷重を、第1要素の基部構造784及び第1要素の端部構造783に伝達してもよい。軸受は、構造リブ797又は第1エアロフォイル要素703内の他の構造内に収容されていてもよい。逆に、連結部材771のねじり桁774が構造リブ797と接触することなく自由に回転することを可能にするために、構造リブは第1軸762に沿った空間を含んでいてもよい。
【0175】
連結部材771は、第1エアロフォイル要素703に対して回転し、また、第2エアロフォイル要素705の構造内に収容され、第2軸763に沿って作用する軸受構造を介して、第2エアロフォイル要素705に連結されてもよい。この軸受構造は、ねじり構造部材787に連結されていてもよく、ねじり構造部材787は、第2エアロフォイル要素705の頂部と基部を連結し、第2エアロフォイル要素705の頂部と基部との間に作用するねじり力及びモーメントに耐え、エアロフォイル要素が逆方向にねじれないようにする。
【0176】
連結部材771と第2エアロフォイル要素705との連結は、ねじり構造部材787に固定された2つ以上の軸受を介していてもよく、ねじり構造部材787は、第2要素の基部構造788及び第2要素の端部構造789に固定されていてもよい。この軸受構造により、第2エアロフォイル要素705は、第2軸763を中心として連結部材に対して回転可能である。このねじり構造部材787は、第2エアロフォイル要素705の頂部と底部との間のねじり力及びモーメントに耐え、該要素について、底部に対する頂部のたわみを最小にする。これにより、構造的な頑丈性が提供され、エアロフォイル要素の過度の曲げによる損傷が回避される。
【0177】
第1エアロフォイル要素の空力フェアリング780と同様に、第2エアロフォイル要素の空力フェアリング781は、第2エアロフォイル要素705の構造に連結されていてもよい。第2要素の空力フェアリング781は、第2要素の基部構造788、第2要素の端部構造789、及び、第2エアロフォイル要素705の構造リブ797への機械的な固定又は結合によって、または、これらの部品の任意の組合せへの連結によって、第2エアロフォイル要素705の構造に連結され得る。これらの連結は、好ましくは、機械的な留め具又は結合を含んで構成されており、第2エアロフォイル要素のフェアリング781は、好ましくは、複合材で構成され得るが、スチール又はアルミニウム製のプレートで構成されてもよい。
【0178】
第1エアロフォイル要素のフェアリング780及び第2要素のフェアリング781は、好ましくは、2つに分かれた半分の部分(ハーフセクション)で構成され、接着又は機械的に固定されていてもよく、又は、構造リブ797に結合又は機械的に固定されたより小さなプレートで構成されていてもよく、又はより小さな半分の部分で作られていてもよい。第2エアロフォイル要素705の構造は、スチール加工板で構成されてもよいし、複合材又はアルミニウムで構成されてもよい。
【0179】
翼帆701のすべての金属構造は、塩分が多く、腐食性の高い環境における使用中の腐食を低減するために、耐腐食性の塗料で塗装されてもよい。
【0180】
第1及び第2エアロフォイル要素(783、784、788、及び、789)の基部及び端部の支持構造は、基部及び端部プレートを備えていてもよく、これらのプレートは、揚力の発生の結果として発生する渦放出を減少させることにより、装置の空気力学的性能を改善するために取り付けられ得る。
【0181】
図27は、先行する(前方の)エアロフォイルに複数の排気口809a、809b、809c、809d、809e、809f、809g、及び、809hを備える一例の翼帆801の断面を示している。翼帆801は1つの単一の排気口(エアロフォイル103の排気口109)の代わりに前方のエアロフォイルに複数の排気口を有するが、翼帆801は翼101と同様に動作し得る。翼帆801は、加圧キャビティ880を備えていてもよい。
【0182】
複数の排気口809a、809b、809c、809d、809e、809f、809g、及び、809hは、翼帆801の特定の高さ、例えば、翼帆801の基部又は翼帆801の頂部に設けられてもよい。いくつかの例では、それらの排気口は翼帆801の基部と翼帆801の頂部との間に一定の間隔で配置されている。翼帆801はまた、前方のエアロフォイル(明瞭化のため
図27には示されていない)に1つ以上の吸気口を備えていてもよい。いくつかの例では、1つ以上の吸気口は、排気口とは異なる高さにあってもよい。複数の排気口809a、809b、809c、809d、809e、809f、809g、及び、809hは、高エネルギーの気流を翼表面に供給して境界層を再活性化し、これにより、失速前に達成可能な翼帆801の迎角を増大させ、また、翼帆801の達成可能な揚力係数を増大させるという点において、翼帆101が備える1つの単一の排気口109と同様に作用し得る。複数の排気口809a、809b、809c、809d、809e、809f、809g、及び、809hは、低圧側の排気口を閉じることによって、気流がエアロフォイルの低圧側ではなく高圧側に流れるように構成されることになる。いくつかの例では、
図27に示す第1エアロフォイル要素の排気口は、後縁に向かうエアロフォイル要素の後半分の範囲内に配置される。別の一例では、これらの排気口の1つ以上は、先行する(前方の)エアロフォイル要素の前半分の範囲内に位置していてもよい。
【0183】
翼帆801は、いくつかの例では、繰り返しにより、翼帆621などのモジュール方式の翼帆を提供することができる翼帆「ユニット」を含んで構成されていてもよい。
【0184】
翼帆801の先行するエアロフォイルには8個の排気口が示されているが、他の例では、より多い又はより少ない数の排気口が使用されてもよいと理解される。
【0185】
図28は、複数の排気口909a、909b、909c、909d、809e、909f、909g、及び、909hを備える一例の翼帆901の断面を示している。翼帆901は、後行するエアロフォイルに複数の排気口984a、984b、984c、984d、984e、984f、984g、984hを有するが、翼帆901は、翼帆801と同様に動作し得る。翼帆801は、加圧キャビティ880を備え得る。
【0186】
複数の排気口984a、984b、984c、984d、984e、984f、984g、984hは、翼帆901の特定の高さ、例えば、翼帆801の基部又は翼帆901の頂部に設けられていてもよい。いくつかの例では、それらの排気口は翼帆901の基部と翼帆901の頂部との間に一定の間隔で配置されている。翼帆901はまた、前方のエアロフォイル(明瞭化のため
図28には示されていない)に1つ以上の吸気口を備えていてもよい。いくつかの例では、1つ以上の吸気口は、排気口とは異なる高さにあってもよい。複数の排気口909a、909b、909c、909d、909e、909f、909g、及び909hは、高エネルギーの気流を翼の表面に供給して境界層を再活性化し、これにより失速前に達成可能な翼帆901の迎角を増大させ、また、翼帆901の達成可能な揚力係数を増大させるという点において、翼帆101が備える単一の排気口109と同様に作用し得る。複数の排気口909a、909b、909c、909d、909e、909f、909g、及び、909hは、低圧側の排気口を閉じることによって、気流がエアロフォイルの低圧側ではなく高圧側に流れるように構成されることになる。いくつかの例では、
図28に示される第1エアロフォイル要素の排気口は、後縁に向かうエアロフォイル要素の後半分の範囲内に配置される。別の一例では、これらの排気口の1つ以上は、先行する(前方の)エアロフォイル要素の前半分の範囲内に配置されてもよい。
【0187】
翼帆901は、いくつかの例では、繰り返しにより、翼帆621などのモジュール方式の翼帆を提供することができる翼帆「ユニット」を含んで構成されていてもよい。
【0188】
翼帆901の先行するエアロフォイル及び後続するエアロフォイルには8個の排気口が示されているが、他の例ではより多く、又はより少ない数の排気口が使用されてもよいと理解される。
【0189】
【0190】
図29bは、折り畳まれ、収納された配置の翼帆101を示しており、ここで、背面の(後行する)エアロフォイル105は、各エアロフォイルの翼弦線が互いに対して実質的に90度の角度をなすように前方の(先行する)エアロフォイル103に対して相対的に回転されており、また、両エアロフォイル103及び105は、翼帆の基部にある1つ又は2つの関節ラム777によって制御され、
図29bに示されるような収納された配置を形成するように、翼帆の基部から水平位置まで回転されている。
図29bの収納配置は、いくつかの例において、翼帆101が船舶のハッチと船舶の側面との間のサイドチャネルに収まるように構成されており、翼帆101が船舶のハッチの動作を妨げないように、船舶のハッチが先行する(第1の)エアロフォイル103の下で開き位置までスライドすることができる、又は、先行する(第1の)エアロフォイル103の隣に折り畳むことができるように構成されている。
図29bに示される収納配置では、後行する(第2)エアロフォイル105は、第1エアロフォイル要素に対して実質的に90度回転されており、いくつかの例では、これによって第2エアロフォイル要素が船舶のビーム幅の範囲内に留まることができる。第2エアロフォイル要素105の翼弦長は、この収納配置に折り畳まれ、船舶のサイドデッキの上方に静止することができるように寸法決めされており、及び、船舶のサイドデッキの上の第1エアロフォイル要素103の高さは、船舶のハッチカバーがその下でスライドできるように寸法決めされている。境界層流制御を翼帆101の設計に組み込むことにより、より大きな装置と同様の推力を発生させながら、より小さな装置を船舶に取り付けることができる。ここで、このより小さな装置は、船舶のハッチが閉じた状態から開いた状態に関節運動する必要があり、貨物が船倉から取り出され、また、
図29bに示される収納配置の翼帆101を越えて移動する可能性がある、港湾作業及び船舶の積み下ろしへの影響を最小限に抑えるために、上述したように収納配置をとることができる。ある大きさの推力を得るためには、境界層流制御機能を使用する翼帆の平面面積は、翼帆が境界層流制御機能を持たない場合よりも小さくてよい。言い換えれば、本開示で説明する翼帆は、本開示で説明する翼帆の境界層流制御により、以前の翼帆よりも少ない総平面面積(総平面面積は、それぞれのエアロフォイルの基部から端部までの、それぞれのエアロフォイルの翼弦線に沿った両方のエアロフォイルの断面積を合わせたものと考えることができる)でより大きい推力を生み出すことができる。平面面積が小さくなることで、いくつかの例において、本開示に記載の翼帆は、船舶に必要な推力を発生させながら、船舶のハッチと船舶の側面との間のサイドチャネルに収まるコンパクトな収納配置を達成することができる。
【0191】
図30は、海洋船舶(船)に対して収納配置にある翼帆101を示している。図に示されるように、収納配置にある翼帆101は、船舶のハッチと船舶の側面との間のサイドチャネルにフィットしており、また、船舶のハッチが下方でスライドすることを可能にする。
【0192】
図31aは、海洋船舶用の省エネ装置の基部構造を示している。省エネ装置は、風力推進装置(本開示で説明する翼帆、フレットナーローター、ターボセール、カイトなど)、又は風力タービン(垂直軸又は水平軸を有する)などのエネルギー生成装置を備え得る。基部は、船舶(例えば、本開示に記載の任意の船舶、ばら積み貨物船、タンカー、コンテナ船、RORO船、LNG船、フェリー、クルーズ船など)の甲板に固定されるように設計されており、3本以上の垂直支柱3003を備えている。各垂直支柱3003は、円筒状の断面、I型ビーム状の断面、正方形状の断面又は他の断面を有し得る。各垂直支柱3003は、フランジ及びボルトパターン又は他の方法を介して海洋船舶の甲板に固定されてもよい。支柱3003は、装置の構造プラットフォーム3004を船舶の甲板から少なくとも2mは上の高さに保持し、船舶の通常の運航を可能にするために、その下の作業スペースを十分に確保する。
【0193】
風力推進装置3001を昇降させるためのリニアアクチュエータ3002は、甲板に設置してもよいし、
図31a~cに示されるように、支柱3003の上方のプラットフォーム3004に設置してもよい。リニアアクチュエータ3002は、例えば、1つ以上の昇降ラムを備えていてもよい。リニアアクチュエータを甲板上方のプラットフォーム3004の上に設置することにより、リニアアクチュエータ3004と甲板上で作業する乗組員とが関与する事故の確率を低減することができる。
【0194】
風力推進装置を甲板の高さよりも上にすることで、風力推進装置3001の甲板のレイアウトへの影響が少なくなる(甲板のスペースが節約されるため)。いくつかの例によれば、支柱3003の高さは少なくとも2mであり、プラットフォーム3004の下で乗組員が作業を行うことができるようにされている。いくつかの例によれば、支柱3003の高さは4mより小さく、甲板とプラットフォーム3004との間のモーメントアームの長さを短くし、これにより、風力が基部の上にある装置にモーメント及び/又は海洋船舶の横揺れ又は縦揺れモーメントからの動的荷重を加えるときに、海洋船舶の甲板に対する支柱3003の固定具へ加えられる応力を低減する。
【0195】
図31bは、
図31aの基部構造のさらなる図である。
図31cは、
図31aおよび31bに示されるような4本の支柱ではなく、3本の支柱3003を有する基部構造の一例を示す。
【0196】
図32aから
図32dは、吸気口を有する翼帆の例と吸気口を有しない翼帆の例との間の気流の違いを比較し、また翼帆の一例において、異なる吸気口の位置を比較している。
【0197】
図32aは、気流3230に対する迎角3210aが20度の場合の翼帆を示す。この図では、吸引(吸気口又は加圧排気口)は存在しない。気流は、翼帆の第1エアロフォイル要素3203aの翼弦長の60%に達する位置まで付着した状態で維持されており、この点で、気流は乱流領域にはく離し、翼帆は失速したと表現される。その流れは第2エアロフォイル要素3203bには到達しない。この場合、揚力はほとんど発生せず、抗力が発生する。
【0198】
図32bは、気流3230に対する迎角3210bが20度の場合の翼帆を再び示している。
図32bの例示的な翼帆には、第1エアロフォイル要素3203bの翼弦長の後方4分の1の方にある吸気口3207bによる吸引と、第1要素の後縁にある加圧排気口とが組み込まれている。加圧吸気口3207bは、流れがはく離する位置の近くに位置し、この点でその流れを「吸い込み」、乱流境界層を除去し、流れをエアロフォイル要素3203b及びエアロフォイル要素3205bに沿って付着した状態のまま維持する。このことは、そうでなければ失速してしまう角度3210bにおいても、翼帆はエアロフォイルとしてまだ十分に機能し、高迎角による高(H)圧力領域と低(L)圧力領域との間のより大きな圧力差により、より大きな揚力を達成できることを意味する。
【0199】
図32cは、気流3230に対する迎角3210cが30度の翼帆を示す。この例では、吸引(吸気口又は加圧排気口)は存在しない。気流は、第1要素の翼弦長の最初の30%に達するまで付着した状態で維持されている。
図32aと比較すると、翼帆の迎角3210cが大きいため、はく離は第1要素の後縁よりも前縁に近いところで起こる。繰り返しになるが、この配置は失速しており、揚力が少なく、抗力が大きく、避けるべきである。
【0200】
図32dは、気流3230に対する迎角3210dが30度の翼帆を再び示す。
図32dの翼帆は吸引機構を備えており、第1エアロフォイル要素3203dの翼弦長の前方4分の1の方にある(の範囲内にある)吸気口を有し、第1エアロフォイル要素3203dの後縁に加圧排気口を有する。この場合、加圧吸気口3207は、後縁よりも前縁のずっと近くで発生する流れのはく離位置の近くに配置され、この点で流れを「吸い込み」、乱流境界層を除去し、流れを付着した状態のまま維持する。吸気口3207dが第1要素3203dの前縁にかなり近い位置にあるため、これは、
図32aの翼帆と比較して、翼帆全体に対してより大きな迎角3210dを達成することができることを意味し、これにより、高(H)圧力領域及び低(L)圧力領域間の圧力差を増大させ、より大きな推力を生み出し、船舶の燃料消費を低減する。
【0201】
もちろん、説明した例は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図したものではないと理解されよう。「翼帆」という用語は、翼帆の大きさや用途を限定するものではない。また、「海洋船舶」という用語は、海洋船舶の大きさや用途を限定するものではない。海洋船舶及び/又は翼帆は、異なる大きさで提供されてもよい。
【0202】
もちろん、説明した例は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図したものではないと理解されよう。また、前述の例のいずれを組み合わせてもよいことも理解されよう。
【0203】
図は本質的に概略的なものであり、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。さらに、説明した例の側面はどのようにでも組み合わせることができるものと理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼帆であって、
前記翼帆の先頭に前縁を有し、前記前縁の後方に後縁を有する第1エアロフォイルと、
前縁及び後縁を有する第2エアロフォイルであって、前記第2エアロフォイルの前記前縁は、前記第2エアロフォイルの前記後縁よりも、前記第2エアロフォイルの断面幅が最大となる点に近い第2エアロフォイルと、
を備え、
前記翼帆は、前記第2エアロフォイルの前記前縁が前記第1エアロフォイルの前記後縁の後方に位置し得るように構成されており、
さらに、前記第1エアロフォイルは、
前記第1エアロフォイルの左舷側に位置する左舷吸気口と、前記第1エアロフォイルの右舷側に位置する右舷吸気口を備える吸気口と、
排気口、
及び、前記吸気口と前記排気口を接続する前記第1エアロフォイル内部の流路を備え、
前記吸気口からの気流は、前記流路によって前記排気口に導か
れ、前記排気口からの前記気流は、前記排気口から出て前記第2エアロフォイルの前記前縁に向かって導かれる、
ことを特徴とする翼帆。
【請求項2】
前記第2エアロフォイルは、前記第2エアロフォイルの前記前縁を含む第1の部分を有し、前記第1の部分は丸みを帯びている、請求項1に記載の翼帆。
【請求項3】
前記第2エアロフォイルは、前記第2エアロフォイルの翼弦線に対して対称である、請求項1又は2に記載の翼帆。
【請求項4】
前記排気口が前記第1エアロフォイルの前記後縁に位置する、先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項5】
前記翼帆が右舷タックで使用されているとき、前記第1エアロフォイルは、気流が前記左舷吸気口を通るように導かれ、且つ、前記右舷吸気口を通るように導かれないように構成されており、且つ、
前記翼帆が左舷タックで使用されているとき、前記第1エアロフォイルは、気流が前記右舷吸気口を通るように導かれ、且つ、前記左舷吸気口を通るように導かれないように構成されている、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項6】
前記翼帆が右舷タックで使用されるとき、前記第1エアロフォイルの前記排気口が前記第2エアロフォイルの左舷前縁に向かって気流を導くように、前記第2エアロフォイルを前記第1エアロフォイルに対して右舷方向に回転させ、且つ、
前記翼帆が左舷タックで使用されるとき、前記第1エアロフォイルの前記排気口が前記第2エアロフォイルの右舷前縁に向かって気流を導くように、前記第2エアロフォイルを前記第1エアロフォイルに対して左舷方向に回転させるように構成されている、
請求項
5に記載の翼帆。
【請求項7】
前記翼帆が右舷タックで使用されているとき、前記左舷吸気口に空気を引き込み、前記右舷吸気口に空気を引き込まないように、且つ、
前記翼帆が左舷タックで使用されているとき、前記右舷吸気口に空気を引き込み、且つ、前記左舷吸気口に空気を引き込まないように構成されている、
請求項
5又は
6に記載の翼帆。
【請求項8】
前記第1エアロフォイル内に圧力差発生器を備え、
前記圧力差発生器は、前記第1エアロフォイル内に負の内圧を発生させるように構成されており、
前記負の内圧によって、前記吸気口を通して装置本体内に空気が引き込まれる、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項9】
前記圧力差発生器が、
モータにより駆動される1つ以上のファン、又は、
モータにより駆動され、1つのファンシャフトによって連結された一連のファン
を備える、
請求項
8に記載の翼帆。
【請求項10】
前記流路が前記圧力差発生器及び換気口を備える、
請求項
8又は
9に記載の翼帆。
【請求項11】
前記流路は、前記第1エアロフォイルの翼幅に沿った最初の位置にある前記吸気口からの流れを導き、当該流れを前記排気口へ導くように構成されており、
前記第1エアロフォイルの前記翼幅は、前記第1エアロフォイルの基部から前記第1エアロフォイルの先端までの距離である、先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項12】
1つ以上の翼帆モジュールを備え、
前記翼帆モジュールは、垂直方向に互いに積み重ねられるように構成されており、
垂直方向に積み重ねられる各モジュールは、吸気口、排気口、圧力差発生器、及び、換気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項13】
前記流路は内部整流器を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項14】
前記第2エアロフォイルは、前記第1エアロフォイルに対して最大回転位置まで回転して前記翼帆の全翼幅を最小化し、
前記翼帆は、前記翼帆の基部で折り畳まれて収納配置を形成する、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項15】
前記収納配置において、前記第1エアロフォイルと前記第2エアロフォイルを覆うための保護ケーシングを備え、
前記保護ケーシングは、前記翼帆の上昇及び/又は下降を許容し、及び、前記翼帆が下降し、前記収納配置にあるときに、折り畳み、回転、軌道に沿った転動のうちの少なくとも1つを実行することによって、前記翼帆を覆うことを可能とする、
請求項
14に記載の翼帆。
【請求項16】
前記吸気口を開閉する、又は、ある吸気口から次の吸気口へ気流を導くための制御ソフトウェア;及び
前記吸気口を開閉するための機械制御システム;
のうちの少なくとも1つを備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項17】
前記第2エアロフォイルの動きに基づいて前記吸気口を開閉するように駆動される機械システムを備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項18】
前記第2エアロフォイルが少なくとも1つの吸気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項19】
前記第2エアロフォイルが少なくとも1つの排気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項20】
前記第1エアロフォイルが複数の吸気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項21】
前記第1エアロフォイルが複数の排気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項22】
前記第1エアロフォイルは、前記第1エアロフォイルの前記前縁を含む部分と前記第1エアロフォイルの前記後縁を含む部分との間に配置された少なくとも1つの排気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項23】
前記第2エアロフォイルは、前記第2エアロフォイルの前記前縁を含む部分と前記第2エアロフォイルの前記後縁を含む部分との間に配置された少なくとも1つの排気口を備える、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項24】
各エアロフォイルの翼弦線が互いに実質的に垂直になるように、前記第1エアロフォイルに対して前記第2エアロフォイルを回転させ、その後、
両方のエアロフォイルを前記翼帆の前記基部から水平位置まで回転させることによって、前記翼帆が収納配置を形成するように構成されている、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項25】
前記翼帆は基部構造を備え、
前記基部構造は、プラットフォームを支える3つ以上の支柱を備え、
3つ以上の前記支柱のそれぞれは2メートルから4メートルの間の高さを有し、
前記第1エアロフォイルと前記第2エアロフォイルは、前記プラットフォームの上方に配置されている、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【請求項26】
前記翼帆を昇降させるためのリニアアクチュエータを備え、前記リニアアクチュエータは前記プラットフォームの上方に配置されている、
請求項
25に記載の翼帆。
【請求項27】
前記第1エアロフォイル要素の前記吸気口が、前記第1エアロフォイル要素の翼弦長の前4分の1の範囲内に位置する、
先行する請求項のいずれかに記載の翼帆。
【手続補正書】
【提出日】2024-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼帆であって、
前記翼帆の先頭に前縁を有し、前記前縁の後方に後縁を有する第1エアロフォイルと、
前縁及び後縁を有する第2エアロフォイルであって、前記第2エアロフォイルの前記前縁は、前記第2エアロフォイルの前記後縁よりも、前記第2エアロフォイルの断面幅が最大となる点に近い第2エアロフォイルと、
を備え、
前記翼帆は、前記第2エアロフォイルの前記前縁が前記第1エアロフォイルの前記後縁の後方に位置し得るように構成されており、
さらに、前記第1エアロフォイルは、
前記第1エアロフォイルの左舷側に位置する左舷吸気口と、前記第1エアロフォイルの右舷側に位置する右舷吸気口を備える吸気口と、
排気口、
及び、前記吸気口と前記排気口を接続する前記第1エアロフォイル内部の流路を備え、
前記吸気口からの気流は、前記流路によって前記排気口に導かれ、前記排気口からの前記気流は、前記排気口から出て前記第2エアロフォイルの前記前縁に向かって導かれる、
ことを特徴とする翼帆。
【請求項2】
前記第2エアロフォイルは、前記第2エアロフォイルの前記前縁を含む第1の部分を有し、前記第1の部分は丸みを帯びている、請求項1に記載の翼帆。
【請求項3】
前記第2エアロフォイルは、前記第2エアロフォイルの翼弦線に対して対称である、請求項
2に記載の翼帆。
【請求項4】
前記排気口が前記第1エアロフォイルの前記後縁に位置する、
請求項1に記載の翼帆。
【請求項5】
前記翼帆が右舷タックで使用されているとき、前記第1エアロフォイルは、気流が前記左舷吸気口を通るように導かれ、且つ、前記右舷吸気口を通るように導かれないように構成されており、且つ、
前記翼帆が左舷タックで使用されているとき、前記第1エアロフォイルは、気流が前記右舷吸気口を通るように導かれ、且つ、前記左舷吸気口を通るように導かれないように構成されている、
請求項1に記載の翼帆。
【請求項6】
前記翼帆が右舷タックで使用されるとき、前記第1エアロフォイルの前記排気口が前記第2エアロフォイルの左舷前縁に向かって気流を導くように、前記第2エアロフォイルを前記第1エアロフォイルに対して右舷方向に回転させ、且つ、
前記翼帆が左舷タックで使用されるとき、前記第1エアロフォイルの前記排気口が前記第2エアロフォイルの右舷前縁に向かって気流を導くように、前記第2エアロフォイルを前記第1エアロフォイルに対して左舷方向に回転させるように構成されている、
請求項5に記載の翼帆。
【請求項7】
前記翼帆が右舷タックで使用されているとき、前記左舷吸気口に空気を引き込み、前記右舷吸気口に空気を引き込まないように、且つ、
前記翼帆が左舷タックで使用されているとき、前記右舷吸気口に空気を引き込み、且つ、前記左舷吸気口に空気を引き込まないように構成されている、
請求項
6に記載の翼帆。
【請求項8】
前記第1エアロフォイル内に圧力差発生器を備え、
前記圧力差発生器は、前記第1エアロフォイル内に負の内圧を発生させるように構成されており、
前記負の内圧によって、前記吸気口を通して装置本体内に空気が引き込まれる、
請求項1に記載の翼帆。
【請求項9】
前記圧力差発生器が、
モータにより駆動される1つ以上のファン、又は、
モータにより駆動され、1つのファンシャフトによって連結された一連のファン
を備える、
請求項8に記載の翼帆。
【請求項10】
1つ以上の翼帆モジュールを備え、
前記翼帆モジュールは、垂直方向に互いに積み重ねられるように構成されており、
垂直方向に積み重ねられる各モジュールは、吸気口、排気口、圧力差発生器、及び、換気口を備える、
請求項1に記載の翼帆。
【請求項11】
前記第2エアロフォイルは、前記第1エアロフォイルに対して最大回転位置まで回転して前記翼帆の全翼幅を最小化し、
前記翼帆は、前記翼帆の基部で折り畳まれて収納配置を形成する、
請求項1に記載の翼帆。
【請求項12】
前記収納配置において、前記第1エアロフォイルと前記第2エアロフォイルを覆うための保護ケーシングを備え、
前記保護ケーシングは、前記翼帆の上昇及び/又は下降を許容し、及び、前記翼帆が下降し、前記収納配置にあるときに、折り畳み、回転、軌道に沿った転動のうちの少なくとも1つを実行することによって、前記翼帆を覆うことを可能とする、
請求項
11に記載の翼帆。
【請求項13】
前記吸気口を開閉する、又は、ある吸気口から次の吸気口へ気流を導くための制御ソフトウェア;及び
前記吸気口を開閉するための機械制御システム;
のうちの少なくとも1つを備える、
請求項1に記載の翼帆。
【請求項14】
前記第2エアロフォイルの動きに基づいて前記吸気口を開閉するように駆動される機械システムを備える、
請求項1に記載の翼帆。
【請求項15】
前記第2エアロフォイルが
-少なくとも1つの吸気口
、及び、
-少なくとも1つの排気口、
のうちの少なくとも1つを備える、
請求項1に記載の翼帆。
【請求項16】
前記第1エアロフォイルが
-複数の吸気口
、及び、
-複数の排気口、
のうちの少なくとも1つを備える、
請求項1に記載の翼帆。
【請求項17】
前記第2エアロフォイルは、前記第2エアロフォイルの前記前縁を含む部分と前記第2エアロフォイルの前記後縁を含む部分との間に配置された少なくとも1つの排気口を備える、
請求項1に記載の翼帆。
【請求項18】
各エアロフォイルの翼弦線が互いに実質的に垂直になるように、前記第1エアロフォイルに対して前記第2エアロフォイルを回転させ、その後、
両方のエアロフォイルを前記翼帆の前記基部から水平位置まで回転させることによって、前記翼帆が収納配置を形成するように構成されている、
請求項1に記載の翼帆。
【請求項19】
前記翼帆は基部構造を備え、
前記基部構造は、プラットフォームを支える3つ以上の支柱を備え、
3つ以上の前記支柱のそれぞれは2メートルから4メートルの間の高さを有し、
前記第1エアロフォイルと前記第2エアロフォイルは、前記プラットフォームの上方に配置されている、
請求項1に記載の翼帆。
【請求項20】
前記翼帆を昇降させるためのリニアアクチュエータを備え、前記リニアアクチュエータは前記プラットフォームの上方に配置されている、
請求項
19に記載の翼帆。
【国際調査報告】