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特表2025-502786持続可能な熱分解方法、および、その製品
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  • 特表-持続可能な熱分解方法、および、その製品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】持続可能な熱分解方法、および、その製品
(51)【国際特許分類】
   C10G 9/36 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
C10G9/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539333
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-27
(86)【国際出願番号】 FI2022050770
(87)【国際公開番号】W WO2023126566
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】20216354
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505081261
【氏名又は名称】ネステ オサケ ユキチュア ユルキネン
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤミエソン、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ムノツ ガンダリッラス、アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】オヤラ、アンチ
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA02
4H129CA13
4H129CA19
4H129DA03
4H129FA02
4H129NA20
4H129NA22
(57)【要約】
本発明は、(a)85.0wt.-%以上であるi-パラフィン含有量および20~32の範囲の炭素数範囲を有する異性体炭化水素組成物を少なくとも低沸点画分と高沸点画分とに分画することにより得られる再生可能クラッカーフィードを提供し、ならびに、低沸点画分の少なくとも一部または高沸点画分の少なくとも一部を再生可能クラッカーフィードとして提供する工程、(b)再生可能クラッカーフィードを、任意的にはコフィードおよび/または添加剤とともに、熱分解炉中で熱分解する工程、ならびに(c)少なくとも軽質オレフィン画分を提供するために、工程(b)の熱分解炉の流出物を分離処理に付す工程を含む方法に関する。本発明はさらに、軽質オレフィン画分中のオレフィンの使用によって得られるポリマー組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)85.0wt.-%以上であるi-パラフィン含有量および20~32の範囲の炭素数範囲を有する異性体炭化水素組成物を少なくとも低沸点画分と高沸点画分とに分画することにより得られる再生可能クラッカーフィードを提供し、ならびに、前記低沸点画分の少なくとも一部または前記高沸点画分の少なくとも一部を前記再生可能クラッカーフィードとして提供する工程、
(b)前記再生可能クラッカーフィードを、任意的にはコフィードおよび/または添加剤とともに、熱分解炉中で熱分解する工程、ならびに
(c)少なくとも軽質オレフィン画分を提供するために、前記工程(b)の前記熱分解炉の流出物を分離処理に付す工程
を含む方法。
【請求項2】
前記異性炭化水素組成物が、14.0~22.0、好ましくは14.0~20.0、または1.5.0~20.0の範囲のc_50値を有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、92.0wt.-%以上、好ましくは93.0wt.-%以上、94.0wt.-%以上、または95.0wt.-%以上のi-パラフィン含有量を有する請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、0.164以下、好ましくは0.160以下、0.155以下、0.150以下である、総計のi-パラフィン(iP)に対する3つより多い分岐を有するi-パラフィン(IP3+)の比(iP3+/iP)を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、10.50wt.-%以上、例えば10.50~16.00、11.00~15.50、11.00~15.50、11.00~15.00、または1,2.00~15.00である、総計のパラフィンに対する3つより多い分岐を有するi-パラフィン(iP3+)の総計の含有量を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、-10℃以下、好ましくは-15℃以下、または-20℃以下の曇点を有する;および/または
前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、0.1wt.-%~10.0wt.-%、好ましくは0.1wt.-%~8.0wt.-%、0.1wt.-%~6.5wt.-%、0.2wt.-%~6.0wt.-%、0.5wt.-%~5.5wt.-%、0.5wt.-%~5.0wt.-%、0.8wt.-%~5.0wt.-%、0.9wt.-%~5.0wt.-%、1.0wt.-%~5.0wt.-%、1.1wt.-%~5.0wt.-%、または1.2wt.-%~5.0wt.-%であるオレフィン、芳香族およびナフテンの総計の含有量を有する;および/または
前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、11から21、好ましくは14から20、または16から18の範囲のモーダル炭素数を有する
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記高沸点画分が、16.5~20.0、好ましくは16.5~19.0、または17.0~18.0の範囲のc_50値を有する請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記高沸点画分が、17~22、好ましくは18~21、18~20、または18~19の範囲のモーダル炭素数を有する請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記高沸点画分が、0.5~4.0、0.6~3.0、0.7~2.0、0.8~1.6の範囲の調整平均炭素数範囲(IDR)を有する請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記高沸点画分が、0.1~3.0、好ましくは0.2~2.5、0.3~2.0、0.4~1.6、または0.5~1.4の範囲である80%炭素スパン(CS_80)を有する請求項1~9いずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記高沸点画分が、5.0以下、好ましくは4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、または2.3以下のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記低沸点画分が、11.0~16.5未満、好ましくは12.0~16.0、または14.0~16.0の範囲のc_50値を有する請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記低沸点画分が、12~17、例えば13~17、14~16、または15~16の範囲のモーダル炭素数を有する請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記低沸点画分が、4.0~14.0、6.0~10.0、7.0~9.0の範囲の調整平均炭素数範囲(IDR)を有する請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記低沸点画分が、3.0~9.0、好ましくは4.0~8.0、または4.5~7.0の範囲である80%炭素スパン(CS_80)を有する請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記低沸点画分が、5.0~12.0、好ましくは6.0~12.0、または7.0~11.0の範囲のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
(A)前記低沸点画分の少なくとも一部が、第1の熱分解炉中で前記熱分解工程(c)に付され、および、前記高沸点画分の少なくとも一部が、第2の熱分解炉中で前記熱分解工程(c)に付される、および/または
(B)前記低沸点画分の少なくとも一部および前記高沸点画分の少なくとも一部が、同じ熱分解炉中で交互に前記熱分解工程(c)に付される、および/または
(C)前記低沸点画分の少なくとも一部が、前記熱分解工程(c)に付され、および、前記高沸点画分の少なくとも一部が、例えば電気技術流体、潤滑油、冷却剤またはその成分などの特定の流体またはその成分として、および/または、例えば船舶用燃料成分などの燃料成分として、回収される、および/または
(D)前記高沸点画分の少なくとも一部が、前記熱分解工程(c)に付され、および、前記低沸点画分の少なくとも一部が、燃料成分として、好ましくは航空燃料成分として、回収される、および/または
(E)前記低沸点画分の一部が、前記熱分解工程(c)に付され、および、前記低沸点画分の別の部分が、燃料成分として、好ましくは航空燃料成分として、回収される、および/または
(F)前記高沸点画分の一部が、前記熱分解工程(c)に付され、および、前記高沸点画分の別の部分が、例えば電気技術流体、潤滑油、冷却剤またはその成分などの特定の流体またはその成分として、および/または、例えば船舶用燃料成分などの燃料成分として、回収される
請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記低沸点画分が、5~8の範囲の最小炭素数(C_min)および14~26の範囲の最大炭素数(C_max)、好ましくは、5~7の範囲の最小炭素数(C_min)および15~23の範囲の最大炭素数(C_max)、5または6である最小炭素数(C_min)および16~22の範囲の最大炭素数(C_max)、または5または6である最小炭素数(C_min)および17~21の範囲の最大炭素数(C_max)を有する請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記高沸点画分が、8~20の範囲の最小炭素数(C_min)および22~40の範囲の最大炭素数(C_max)、好ましくは、10~18の範囲の最小炭素数(C_min)および24~38の範囲の最大炭素数(C_max)、11~17の範囲の最小炭素数(C_min)および26~36の範囲の最大炭素数(C_max)、12~16の範囲の最小炭素数(C_min)および26~35の範囲の最大炭素数(C_max)、または13~16の範囲の最小炭素数(C_min)および27~34の範囲の最大炭素数(C_max)を有する請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記熱分解工程(b)が、水蒸気分解工程である;および/または
前記工程(b)における熱分解が、コフィードの存在下で行われる
請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記再生可能クラッカーフィードが、以下の:
前記異性化された脱酸素化流を提供するために、酸素化物バイオ再生可能フィードを、少なくとも水素化脱酸素を含む水素化処理に、水素異性化に、および、気液分離に付す工程、
少なくともナフサ範囲画分および安定化された重質液体画分を得るために、前記異性化された脱酸素化流を第1の蒸留塔、好ましくは安定化塔に供給する工程、ならびに
前記安定化された重質液体画分の少なくとも一部を、前記異性体炭化水素組成物として、第2の蒸留塔に供給し、および、少なくとも前記低沸点画分および前記高沸点画分を回収する工程
によって得られる請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
バイオモノマーとしての軽質オレフィンの1または複数の誘導体を得るために、軽質オレフィンの少なくとも一部の誘導体化をさらに含む任意的工程、および
バイオポリマー組成物を製造するために、(e)前記工程(c)において分離された前記軽質オレフィンの少なくとも1つ、および/または、バイオモノマーの少なくとも1つを、任意には他の(コ)モノマーと共に、および/または、任意的なさらなる精製の後に、(共)重合する工程
をさらに含む請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法によって得られるバイオポリマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分解を含む方法、そのような方法の使用により得られ得る製品、および、そのような方法において使用可能なクラッカーフィードに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば水蒸気分解などの熱分解は、従来の(鉱油ベースの)材料を改良するためのよく知られた確立されたルートである。近年、生物由来材料の熱分解が研究されているが、通常は、生物由来フィード(通常、酸素含有量が高い)の直接的な分解を達成すること、または、従来の(化石)フィードを模倣することが試みられている。
【0003】
従来技術は、炭化水素フィードを使用するいくつかの分解方法が開示されているが、そのほとんどは専ら化石原料を使用している。少なくとも部分的に再生可能な炭化水素原料を使用する分解方法が、特許文献1に開示されている。さらに、特許文献2には、再生可能な原料に由来し、少なくとも60重量%のイソパラフィンを含む原料を熱分解することを含む方法が開示されている。特許文献3は、生物学的原料から得られたパラフィン画分を含む組成物を開示している。特許文献4は、再生可能燃料の製造方法を開示している。
【0004】
熱分解プロセス(水蒸気分解など)で生産される高価値化学物質は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、オレフィン系C4、ベンゼン、キシレン、およびトルエンなどである。これらの高価値化学物質のうち、特にプロピレンおよびブタジエンは、特定の化学品およびポリマーの原料として興味深い。
【0005】
C4モノオレフィンも貴重な製品であるが、各成分の化学グレードおよびポリマーグレードを抽出するために、追加の精製工程が必要になり得る。芳香族は、化石ナフサの改質など他の製造ルートがあるため、それほど重要ではない。追加で、水蒸気分解工程では、ベンゼンが、通常、燃料として利用される分解流出物の熱分解ガソリン画分中に富化され得る。このような燃料製品中で許容されるベンゼンの量には厳しい制限があるため(発がん性の影響による)、それは除去が必要な不要な副生成物にさえなり得る。
【0006】
石油化学のバリューチェーンにバイオ分子を導入するためには、および上記の観点から、芳香族、特にベンゼンの生成を抑えつつ、軽質オレフィンの収率を最大化するプロセスを採用することが有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2020/201614号
【特許文献2】国際公開第2020/128156号
【特許文献3】国際公開第2015/101837号
【特許文献4】国際公開第2021/094655号
【発明の概要】
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、再生可能なクラッカーフィードの熱分解を含む改良された方法、および、その方法から得られる製品、および、それらの使用、および、さらなる処理を提供することである。
【0009】
本発明の根底にある問題は、独立請求項に記載された主題によって解決される。さらなる有益な発展は従属請求項に記載されている。
【0010】
概略すると、本発明は、以下の項目の1つまたはそれ以上に関する:
【0011】
1.(a)85.0wt.-%以上であるi-パラフィン含有量および20~32の範囲の炭素数範囲を有する異性体炭化水素組成物を少なくとも低沸点画分と高沸点画分とに分画することにより得られる再生可能クラッカーフィードを提供し、ならびに、前記低沸点画分の少なくとも一部または前記高沸点画分の少なくとも一部を前記再生可能クラッカーフィードとして提供する工程、
(b)前記再生可能クラッカーフィードを、任意的にはコフィードおよび/または添加剤とともに、熱分解炉中で熱分解する工程、ならびに
(c)少なくとも軽質オレフィン画分を提供するために、前記工程(b)の前記熱分解炉の流出物を分離処理に付す工程
を含む方法。
【0012】
2.前記異性炭化水素組成物が、14.0~22.0、好ましくは14.0~20.0、または1.5.0~20.0の範囲のc_50値を有する項目1に記載の方法。
【0013】
3.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、92.0wt.-%以上、好ましくは93.0wt.-%以上、94.0wt.-%以上、または95.0wt.-%以上のi-パラフィン含有量を有する項目2に記載の方法。
【0014】
4.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、0.164以下、好ましくは0.160以下、0.155以下、0.150以下である、総計のi-パラフィン(iP)に対する3つより多い分岐を有するi-パラフィン(IP3+)の比(iP3+/iP)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0015】
5.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、10.50wt.-%以上、例えば10.50~16.00、11.00~15.50、11.00~15.50、11.00~15.00、または1,2.00~15.00である、総計のパラフィンに対する3つより多い分岐を有するi-パラフィン(iP3+)の総計の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
6.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、-10℃以下、好ましくは-15℃以下、または-20℃以下の曇点を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
7.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、0.1wt.-%~10.0wt.-%の範囲のナフテン含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0018】
8.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、0.2~10.0wt.-%、例えば0.5~8.0wt.-%、0.5~6.0wt.-%、0.6~5.8wt.-%、または0.8~5.6wt.-%であるナフテン含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
9.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、0.50wt.-%以下、好ましくは0.40wt.-%以下、0.30wt.-%以下、0.25wt.-%以下、0.20wt.-%以下、0.15wt.-%以下、0.1,2wt.-%以下、0.10wt.-%以下、0.07wt.-%以下、または0.05wt.-%以下であるオレフィン含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
10.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、0.1wt.-%~10.0wt.-%の範囲のオレフィンおよびナフテンの総計の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
11.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、0.1wt.-%~8.0wt.-%、例えば0.1wt.-%~6.5wt.-%、0.1wt.-%~6.0wt.-%、0.2wt.-%~5.5wt.-%、0.5wt.-%~5.5wt.-%、0.5wt.-%~5.0wt.-%、0.8wt.-%~5.0wt.-%、0.9wt.-%~5.0wt.-%、1.0wt.-%~5.0wt.-%、1.1wt.-%~5.0wt.-%、または1.2wt.-%~5.0wt.-%であるオレフィンおよびナフテンの総計の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
12.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、0.80wt.-%以下、好ましくは0.70wt.-%以下、0.60wt.-%以下、0.50wt.-%以下、0.40wt.-%以下、0.35wt.-%以下、0.30wt.-%以下、0.25wt.-%以下、0.20wt.-%以下、または0.15wt.-%以下である芳香族含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0023】
13.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、0.1wt.-%~10.0wt.-%、好ましくは0.1wt.-%~8.0wt.-%、0.1wt.-%~6.5wt.-%、0.2wt.-%~6.0wt.-%、0.5wt.-%~5.5wt.-%、0.5wt.-%~5.0wt.-%、0.8wt.-%~5.0wt.-%、0.9wt.-%~5.0wt.-%、1.0wt.-%~5.0wt.-%、1.1wt.-%~5.0wt.-%、または1.2wt.-%~5.0wt.-%であるオレフィン、芳香族およびナフテンの総計の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0024】
14.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、1000wt.-ppm以下、好ましくは700wt.-ppm以下、500wt.-ppm以下、300wt.-ppm以下、100wt.-ppm以下、80wt.-ppm以下、60wt.-ppm以下、50wt.-ppm以下、40wt.-ppm以下、または30wt.-ppm以下である酸素化物含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
15.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、11から21、好ましくは14から20、または16から18の範囲のモーダル炭素数を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
16.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、70wt.-%~95wt.-%、好ましくは75wt.-%~91wt.-%のC14~C18 i-パラフィン含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0027】
17.前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、93wt.-%以上、好ましくは94wt.-%以上、または95wt.-%以上の総計のパラフィン含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
18.前記高沸点画分の少なくとも一部が、前記再生可能クラッカーフィードとして提供される前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
19.前記高沸点画分が、5.0以下、好ましくは4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、または2.3以下のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0030】
20.前記高沸点画分が、16.5~20.0、好ましくは16.5~19.0、または17.0~18.0の範囲のc_50値を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
21.前記高沸点画分が、16.5以上のc_50値、および、5.0以下のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0032】
22.前記低沸点画分の少なくとも一部が、前記再生可能クラッカーフィードとして提供される前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0033】
23.前記低沸点画分が、11.0~16.5未満、好ましくは12.0~16.0、または14.0~16.0の範囲のc_50値を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0034】
24.前記低沸点画分が、5.0~12.0、好ましくは6.0~12.0、または7.0~11.0の範囲のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0035】
25.前記低沸点画分が、16.5未満のc_50値、および、5.0~12.0の範囲のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0036】
26.前記低沸点画分が、モーダル炭素数において20wt.-%~40wt.-%、好ましくは22wt.-%~37wt.-%、または25wt.-%~35wt.-%の範囲である重量分率を有する化合物の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0037】
27.前記低沸点画分が、5~8、好ましくは5~7、例えば5~6の範囲の最小炭素数(C_min)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0038】
28.前記低沸点画分が、14~26、好ましくは15~23、16~22、または17~21の範囲の最大炭素数(C_max)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0039】
29.前記低沸点画分が、12~17、例えば13~17、14~16、または15~16の範囲のモーダル炭素数を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0040】
30.前記低沸点画分が、1.5~4.0、好ましくは2.0~3.5、または2.0~3.0の範囲の四分位炭素数範囲(IQR)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0041】
31.前記低沸点画分が、4.0~14.0、6.0~10.0、7.0~9.0の範囲の調整平均炭素数範囲(IDR)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0042】
32.前記低沸点画分が、6.0~11.0、7.0~11.0、8.0~10.5の範囲のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0043】
33.前記低沸点画分が、3.0~9.0、好ましくは4.0~8.0、または4.5~7.0の範囲である80%炭素スパン(CS_80)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0044】
34.前記低沸点画分が、-20℃以下、好ましくは-30℃以下、-40℃以下、-45℃以下、最も好ましくは-50℃以下の曇点を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
35.前記高沸点画分が、前記異性炭化水素組成物よりも高いc_50値を有し、および、前記低沸点画分が、前記高沸点画分よりも低いc_50値を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0046】
36.前記高沸点画分が、前記異性体炭化水素組成物のc_50値よりも少なくとも0.5高い、好ましくは少なくとも1.0高い、または少なくとも15高いc_50値を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0047】
37.前記低沸点画分が、前記高沸点画分のc_50値よりも、少なくとも0.5低い、好ましくは少なくとも1.0低い、または少なくとも1.5低いc_50値を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0048】
38.前記高沸点画分が、モーダル炭素数において40~95wt.-%、50~92wt.-%、60~90wt.-%、65~89wt.-%、70~88wt.-%、75~87wt.-%、76~86wt.-%、または77~85wt.-%の範囲である重量分率を有する化合物の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0049】
39.前記高沸点画分が、8~20、好ましくは10~18、11~17、12~16、または13~16の範囲の最小炭素数(C_min)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
40.前記高沸点画分が、22~40、好ましくは24~38、26~36、26~35、27~34の範囲の最大炭素数(C_max)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0051】
41.前記高沸点画分が、17~22、好ましくは18~21、18~20、または18~19の範囲のモーダル炭素数を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
42.前記高沸点画分が、0.1~3.0、0.2~2.0、0.3~1.0、0.4~0.8の範囲の四分位数炭素数範囲(IQR)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
43.前記高沸点画分が、0.5~4.0、0.6~3.0、0.7~2.0、0.8~1.6の範囲の調整平均炭素数範囲(IDR)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
44.前記高沸点画分が、1.1~5.0、1.3~4.0、1.4~3.5、1.6~3.2、1.8~3.0、1.8~2.8の範囲のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
45.前記高沸点画分が、0.1~3.0、好ましくは0.2~2.5、0.3~2.0、0.4~1.6、または0.5~1.4の範囲である80%炭素スパン(CS_80)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
46.前記高沸点画分が、-10℃以下、好ましくは-15℃以下、-20℃以下、-25℃以下、または-27℃以下の曇点を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
47.前記熱分解工程(b)が、780℃~900℃、好ましくは805℃~865℃、より好ましくは815℃~850℃の範囲から選択されるコイル出口温度(COT)で行われる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
48.前記熱分解工程(b)が、1.3bar~6.0bar、好ましくは1.3bar~3.0barの範囲から選択されるコイル出口圧力(COP)で行われる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
49.前記熱分解工程(b)が、水蒸気分解工程である前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
50.前記熱分解工程(b)が、熱分解希釈剤の存在下で、0.10~0.80、好ましくは0.25~0.70、例えば0.35~0.50の範囲内の希釈度で行われる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
51.前記工程(b)の熱分解炉の流出物から少なくとも軽質オレフィン画分を分離する前記工程(c)中の精製段階(C’)として、メチルアセチレン、プロパジエン、CO、CO2およびC22の少なくとも1つ、好ましくはCO、CO2およびC22の少なくとも1つを除去するための精製処理を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
52.さらなる分解流出物を提供するために、1つまたはそれ以上のさらなる分解操作を行うことを含み、ここで
前記工程(c)が、前記分離処理の前および/またはそのあいだに、さらなる流出物および/またはその画分を添加することをさらに含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
53.前記工程(b)における熱分解が、コフィードの存在下で行われる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
54.総計のクラッカーフィード中の前記再生可能クラッカーフィードの含有量が、10wt.-%~100wt.-%、好ましくは20wt.-%~100wt.-%、30wt.-%~100wt.-%、40wt.-%~100wt.-%、50wt.-%~100wt.-%、60wt.-%~100wt.-%、70wt.-%~100wt.-%、80wt.-%~100wt.-%、または90wt.-%~100wt.-%であり、ここで、前記総計のクラッカーフィードは、任意的なコフィードおよび任意的な添加剤を加えた前記再生可能クラッカーフィードを意味する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
55.前記コフィードが、化石炭化水素コフィードを含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
56.前記コフィードが、ナフサ範囲フィード、ディーゼル範囲フィード、航空燃料範囲フィード、船舶燃料範囲フィード、または軽油範囲フィードを含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
57.前記総計のクラッカーフィードが、20~300重量ppm、好ましくは20~250重量ppm、より好ましくは20~100重量ppm、およびさらにより好ましくは50~65重量ppmの範囲の硫黄含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
58.前記再生可能クラッカーフィードを提供する前記工程(a)が、
異性化された脱酸素化流を少なくとも提供するために、酸素化物バイオ再生可能フィードを、少なくとも水素化脱酸素を含む水素化処理に、および、水素異性化に付す工程、
前記異性化された脱酸素化流の少なくとも一部を分画に付し、および、少なくとも前記異性体炭化水素組成物を回収する工程、ならびに
少なくとも前記低沸点画分および前記高沸点画分を提供するために、前記異性体炭化水素組成物の少なくとも一部をさらなる分画に付す工程
を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
59.前記水素異性化が、前記水素化脱酸素と同じ水素化処理段階で行われ、および/または、前記水素異性化が、少なくとも水素化脱酸素を含む前記水素化処理の後にさらなる水素化処理段階で行われる項目58に記載の方法。
【0070】
60.少なくとも水素化脱酸素を含む前記水素化処理の後の、および/または、前記さらなる水素化処理の後の気液分離、ならびに、少なくとも1つのガス状ストリームおよび前記異性化された脱酸素化流を回収することを含む項目58または59に記載の方法。
【0071】
61.プロパンに富むストリームおよびプロパンが枯渇したストリームを提供するために、前記ガス状ストリームをプロパン分離プロセスに付す工程をさらに含む項目60に記載の方法。
【0072】
62.プロピレンを生成するために、前記プロパンに富むストリームからのプロパンの少なくとも一部を、脱水素化、好ましくは触媒的脱水素化に付すことをさらに含む項目61に記載の方法。
【0073】
63.前記再生可能クラッカーフィードが、以下の:
前記異性化された脱酸素化流を提供するために、酸素化物バイオ再生可能フィードを、少なくとも水素化脱酸素を含む水素化処理に、水素異性化に、および、気液分離に付す工程、
少なくともナフサ範囲画分および安定化された重質液体画分を得るために、前記異性化された脱酸素化流を第1の蒸留塔、好ましくは安定化塔に供給する工程、ならびに
前記安定化された重質液体画分の少なくとも一部を、前記異性体炭化水素組成物として、第2の蒸留塔に供給し、および、少なくとも前記低沸点画分および前記高沸点画分を回収する工程
によって得られる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
64.前記異性化された脱酸素化流が、少なくとも65wt.-%、好ましくは少なくとも70wt.-%、少なくとも75wt.-%、少なくとも80wt.-%、少なくとも85wt.-%、または少なくとも90wt.-%のi-パラフィン含有量を有する項目58~63のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
65.例えばアクリル酸、アクリロニトリル、アクロレイン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、アジポニトリル、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、(メチル)メタクリレート、エチリデンノルボリーン、1,5,9-シクロドデカトリエン、スルホラン、1,4-ヘキサジエン、テトラヒドロフタル酸無水物、バレルアルデヒド、1,2-ブチルオキシド、n-ブチルメルカプタン、o-sec-ブチルフェノール、プロピレン、オクテン、sec-ブチルアルコールなどの、バイオモノマーとしての軽質オレフィンの1または複数の誘導体を得るために、軽質オレフィンの少なくとも一部の誘導体化をさらに含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
66.前記再生可能クラッカーフィードが、少なくとも水素化脱酸素を含む水素化処理におよび水素異性化に酸素化物バイオ再生可能フィードを付す工程を含む方法によって得られる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
67.前記低沸点画分の少なくとも一部が、第1の熱分解炉中で前記熱分解工程(c)に付され、および、前記高沸点画分の少なくとも一部が、第2の熱分解炉中で前記熱分解工程(c)に付される前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
68.前記低沸点画分の少なくとも一部および前記高沸点画分の少なくとも一部が、交互に前記熱分解工程(c)に付される前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
69.前記低沸点画分の少なくとも一部および前記高沸点画分の少なくとも一部が、同じ熱分解炉中で交互に前記熱分解工程(c)に付される前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
70.前記低沸点画分の少なくとも一部が、前記熱分解工程(c)に付され、および、前記高沸点画分の少なくとも一部が、例えば電気技術流体、潤滑油、冷却剤またはその成分などの特定の流体またはその成分として、および/または、例えば船舶用燃料成分などの燃料成分として、回収される前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
71.前記高沸点画分の少なくとも一部が、前記熱分解工程(c)に付され、および、前記低沸点画分の少なくとも一部が、燃料成分として、好ましくは航空燃料成分として、回収される前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
72.前記低沸点画分の一部が、前記熱分解工程(c)に付され、および、前記低沸点画分の別の部分が、燃料成分として、好ましくは航空燃料成分として、回収される前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
73.前記高沸点画分の一部が、前記熱分解工程(c)に付され、および、前記高沸点画分の別の部分が、例えば電気技術流体、潤滑油、冷却剤またはその成分などの特定の流体またはその成分として、および/または、例えば船舶用燃料成分などの燃料成分として、回収される前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
74.前記低沸点画分が、55wt.%以上、好ましくは60wt.%以上、65wt.%以上、70wt.%以上、75wt.%以上、または80wt.%以上である、18未満の炭素原子を有する炭化水素(<C18)の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
75.前記低沸点画分が、0.90以下、好ましくは0.85以下、0.80以下、0.70以下、0.60以下、0.50以下、0.40以下、または0.30以下である、18以上の炭素原子を有する炭化水素(≧C18)の含有量と18未満の炭素原子を有する炭化水素(<C18)の含有量との比(≧C18/<C18)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
76.前記高沸点画分が、50wt.%以上、好ましくは55wt.%以上、60wt.%以上、65wt.%以上、70wt.%以上、75wt.%以上、または80wt.%以上である、18以上の炭素原子を有する炭化水素(≧C18)の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
77.前記高沸点画分が、1.0以上、好ましくは1.5以上、2.0以上、3.0以上、4.0以上、5.0以上、6.0以上である、18以上の炭素原子を有する炭化水素(≧C18)の含有量と18未満の炭素原子を有する炭化水素(<C18)の含有量との比(≧C18/<C18)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
78.バイオポリマー組成物を製造するために、(e)前記工程(c)において分離された前記軽質オレフィンの少なくとも1つ、および/または、バイオモノマーの少なくとも1つを、任意には他の(コ)モノマーと共に、および/または、任意的なさらなる精製の後に、(共)重合する工程
をさらに含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
79.衛生用品、建築材料、包装材料、コーティング組成物、塗料、例えばパネルなどの装飾材料、例えば自動車の内装部品などの車両の内装部品、ゴム組成物、タイヤまたはタイヤ成分、トナー、パーソナルヘルスケア用品、消費財の部品、電子デバイスの部品またはハウジング、フィルム、成形品、ガスケットを製造するために、前記バイオポリマー組成物が、任意には他の成分とともに、さらに処理される項目78に記載の方法。
【0090】
80.項目78または79に記載の方法によって得られるバイオポリマー組成物。
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1図1は、c_50値(グラフA)および80%における炭素スパン(グラフB)を得るための線形補間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
本発明では、特に断りのない限り、含有量および含有比は重量基準で提供される。
【0093】
さらに、i-パラフィン(イソパラフィンとも称される)は分岐した非環状アルカンを指し、および、n-パラフィン(ノルマルパラフィンとも称される)は直鎖状の非環状アルカンを指す。総計のパラフィン含有量は、i-パラフィンおよびn-パラフィンの合計の含有量を意味する。同様に、オレフィンとは、複数の不飽和を含む直鎖状または分岐状の非環状アルケンを指す。ナフテンとは、環状の非芳香族の分岐または非分岐アルカン、アルケンまたはアルキンを指し、複数の不飽和を含む。芳香族とは、少なくとも1つの芳香環を持つ化合物を指す。
【0094】
n-パラフィン、i-パラフィン、オレフィン、ナフテンおよび芳香族の含有量は、PIONA法を用いて測定され得、これは、GC×GCの説明として、PylらによってJournal of Chromatography A, 1218 (2011) 3217-3223に公表されているように、GC×GC分析法である。この文献によると、高重度の水素異性化に付された試料では、n-パラフィンからのイソパラフィンの分離および同定を高めるために、一次カラムと二次カラムとを反転させることが望ましいとされている。
【0095】
本発明の文脈において、「再生可能な(renewable)」または「バイオベースの(bio-based)」または「バイオ-(bio-)」という用語は、再生可能なまたは生物学的な供給源に全面的または部分的に由来する材料を指す。再生可能または生物由来の炭素原子は、化石起源の炭素原子と比較して、より多くの数の不安定な放射性炭素(14C)原子を含む。したがって、12Cと14Cとの同位体比を分析することにより、再生可能または生物由来の供給源または原料由来の炭素化合物と化石供給源または原料由来の炭素化合物とを区別することが可能である。したがって、該同位体の特定の比(「生物起源炭素含有量(biogenic carbon content)」をもたらす)は、再生可能な炭素化合物を同定し、および、非再生可能な炭素化合物からそれらを区別するための「タグ」として使用され得る。同位体比は、化学反応の過程で変化しない。生物起源炭素含有量の分析に適した方法の例としては、DIN 51637(2014)、ASTM D6866(2020)、EN 16640(2017)がある。生物由来または再生可能な供給源からの炭素の含有量は、材料中の総計の炭素(TC)の重量パーセントとして材料中の生物由来炭素の量を意味する生物由来炭素含有量として表される。本明細書で使用される場合、生物起源炭素含有量は、EN 16640(2017)にしたがって決定される。本発明において、用語「再生可能な」または「バイオベースの」または「バイオ-」は、好ましくは、1%から100%の範囲の生物起源炭素含有量を有する材料を指す。
【0096】
特には、異性体炭化水素組成物の、および/または、バイオベースクラッカーフィードとも称され得る再生可能クラッカーフィードの生物起源炭素含有量は、好ましくは5%より多くおよび100%までであり、例えば、20%より多く、40%より多く、50%より多く、60%より多く、または70%より多く、80%より多く、90%より多く、または95%より多く、および、約100%であってもよい。酸素化物バイオ再生可能フィードの生物起源炭素含有量は、好ましくは50%より多くおよび100%までであり、好ましくは60%より多く、または70%より多く、好ましくは80%より多く、より好ましくは90%より多く、または95%より多く、さらにより好ましくは約100%である。
【0097】
本発明の再生可能熱分解流出物の生物起源炭素含有率は、1%未満であってもよいが、好ましくは少なくとも1%および100%までであり、例えば少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、または約100%である。
【0098】
工程(b)の熱分解炉の流出物の、ならびに、分解工程(b)の下流の生成物および中間体の生物起源炭素含有率は、1%未満であってもよいが、好ましくは少なくとも1%および100%までであり、例えば少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、または約100%である。
【0099】
特には、軽質オレフィン(画分)および/またはバイオモノマーおよび/またはバイオポリマー組成物の生物起源炭素含有率は、1%未満であってもよいが、好ましくは少なくとも1%および100%までであり、例えば少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、または約100%である。
【0100】
「任意には(optionally)」または「任意的な(optional)」という用語は、存在していてもよいが、本発明の実施には必ずしも必要ではない特性、特徴または工程を意味する。
【0101】
特に断りのない限り、本文中で言及されているすべての試験法規格は、2021年12月1日現在の最新版である。
【0102】
熱分解法
まず、本発明の方法について説明する。
【0103】
本発明は、持続可能な熱分解方法に関する。特には、本発明は、これまで熱分解に使用されておらず、および、熱分解において驚くほど良好な結果を示すフィードを使用する方法に関する。本発明の方法は、85.0重量%以上のi-パラフィン含有量および20~32の範囲である炭素範囲を有する異性体炭化水素組成物を、少なくとも低沸点画分と高沸点画分とに分画することにより得られる再生可能クラッカーフィードを提供し、ならびに、低沸点画分の少なくとも一部または高沸点画分の少なくとも一部を再生可能クラッカーフィードとして提供する工程(a)と、再生可能クラッカーフィードを、熱分解炉中で、任意にはコフィードおよび/または添加剤と共に、熱分解する工程(b)と、少なくとも軽質オレフィン画分を提供するために、工程(b)の熱分解炉の流出物を分離処理に付す工程(c)とを含む。
【0104】
本発明の方法は、軽質オレフィン画分を提供する。本方法は、好ましくは工業グレード、またはポリマーグレードでさえある1または複数の軽質オレフィンを提供するための、軽質オレフィン画分のさらなる精製を含み得る。
【0105】
本発明においては、低沸点画分および高沸点画分は、異性体炭化水素組成物を分画することにより得られ得る。したがって、分画(蒸留)の鋭さに依存して、それぞれの画分は重複する沸点範囲をもち得る。分画の結果、通常、高沸点画分は、より多くの量の重質(高沸点)成分を含み、および、低沸点画分は、より多くの量の軽質(低沸点)成分を含むであろう。
【0106】
異性体炭化水素組成物は、好ましくは、14.0~22.0、好ましくは14.0~20.0、または15.0~20.0の範囲のc_50値を有する。本発明において、c_50値は、50wt.-%サンプルを表す分率炭素数である。c_50値およびその他の分率炭素数の算出方法の詳細は、後述される。炭素範囲とは、C_maxとC_minとのあいだの差(炭素範囲=C_max-C_min)であり、C_max(最も大きい炭素数)およびC_min(最も小さい炭素数)は、PIONA(本明細書に記載のGC×GC法)により決定され、および、C_minおよびC_maxの測定のためには、0.10wt.-%以下の測定された存在量を有する炭素数は存在しないと仮定される。換言すると、C_minおよびC_maxを決定する際、ひいては炭素範囲を決定する際、0.10wt.-%以下の測定された存在度を有する炭素数は考慮されない。
【0107】
本発明者らは、驚くべきことに、85%以上の高いi-パラフィン含有量を有する異性体炭化水素組成物の少なくとも2つの画分への分画において、結果として得られる各画分が異性体炭化水素組成物よりも優れた熱分解特性を示すことを見出した。従来、このような分離された画分は燃料としてまたは特定の流体として使用されていた。低沸点画分および/または高沸点画分の一部は、依然としてそのような目的に使用することができるが、低沸点画分の少なくとも一部または高沸点画分の少なくとも一部は、本発明の方法において再生可能クラッカーフィードとして使用される。これらの画分は再生可能な原料に基づくので、本発明の方法は持続可能性の向上を達成する。加えて、燃料または特定の流体目的に使用されるような、(まさに)実際に必要とされるまたは要求される低沸点画分および高沸点画分の相対量が製造されるような方法で異性体炭化水素組成物を製造することは困難(またはコスト高)であり得るため、本発明は、さもなければ貯蔵または燃焼さえされるであろう余剰材料をさらにアップデートすることができる。低沸点画分または高沸点画分の一部のみを使用することは、例えば、低沸点画分の、または高沸点画分のストリームを、さらなる処理のために2つのストリームまたはアリコート/アリクウェントに単純に分けることによって、または、これらの画分のストリームまたはバッチを異なる処理ルートにバッチ式で導くことによって達成することができる。
【0108】
本発明では、高沸点画分または低沸点画分が、再生可能クラッカーフィードとして採用される。また、両方の画分またはその一部を本発明の再生可能クラッカーフィードとして採用することも可能である。しかしながら、この場合、高沸点画分と低沸点画分は別々に熱分解されなければならず、すなわち混合されない。例えば、高沸点画分および低沸点画分は、同じ炉中で同時に再生可能クラッカーフィードとして使用されてはならない。
【0109】
好ましくは、低沸点画分と高沸点画分の両方が、互いに独立して、92.0wt.-%以上のi-パラフィン含有量を有する。これは、両画分がそれぞれ独立して92.0wt.-%以上(すなわち92.0wt.-%~100wt.-%の範囲内)のi-パラフィン含有量を有することを意味するが、両画分がその範囲内のi-パラフィン含有量を有する限り、必ずしも同じi-パラフィン含有量を有する必要はない。i-パラフィン含有量は、さらに好ましくは、互いに独立して、93.0wt.-%以上、94.0wt.-%以上、または95.0wt.-%以上であってもよい。再生可能クラッカーフィードのi-パラフィン含有量が高いと、粘度がより低くなり、その結果、取り扱い性が容易になる。さらに、この高いi-パラフィン含有量は、好ましい分解特性、特には高価値な軽質オレフィン(VLO)の向上された収率をもたらすことが見出されている。
【0110】
本発明において、含有量に言及する場合、この含有量は材料全体を基準とする。例えば、i-パラフィンの含有量が92.0wt.-%以上である低沸点画分とは、低沸点画分の総計の重量に基づいてi-パラフィンの含有量が92.0wt.-%以上であることを意味する。
【0111】
好ましくは、低沸点画分と高沸点画分の両方が、互いに独立して、0.164以下、より好ましくは0.160以下、0.155以下、0.150以下である、総計のi-パラフィン(iP)に対する3つより多い分岐を有するi-パラフィン(IP3+)の比(iP3+/iP)を有する。比較的少ない量のIP3+成分は、低下された芳香族、特にベンゼンの収率をもたらし、したがって、高分子化学、および、さらなる使用の前に芳香族が除去されるべきである他の分野における使用のための分解流出物の価値を向上させる。
【0112】
3つより多い分岐を有するi-パラフィン(IP3+)の含有量は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2020/201614号に開示される方法によって決定され得る。具体的には、3つより多い分岐を有するi-パラフィン(IP3+)の含有量は、以下の方法によって決定され得る:
【0113】
試料中のN-パラフィンおよびi-パラフィン含有量はガスクロマトグラフィー(GC)で分析される。試料は前処理なしでそのまま分析される。この方法は、C2~C36の炭化水素に適している。N-パラフィンおよびi-パラフィンのグループ(C1-、C2-、C3-置換および≧C3-置換)は、質量分析およびC2~C36の範囲の既知のn-パラフィンの混合物を使用して同定される。クロマトグラムは、n-パラフィンのピーク直後のクロマトグラムのベースラインに対してグループを積分することによって、パラフィンの3つのグループ(C1-、C2-/C3-、および≧C3-置換i-パラフィン/n-パラフィン)、またはパラフィンの2つのグループ(C1-/C2-/C3-、および、≧C3-置換i-パラフィン/n-パラフィン)に分けられる。N-パラフィンは、n-パラフィンのピークを谷から谷へ接線方向に積分することにより、≧C3-置換i-パラフィン(iP3+)から分離される。化合物または化合物グループは、すべての炭化水素に対する相対応答係数1.0を用いて正規化することにより定量される。個々の化合物の定量限界は通常0.01wt.-%である。GCの適切な設定を以下に示す:
【0114】
【0115】
好ましくは、低沸点画分および高沸点画分の両方が、互いに独立して、10.50wt.-%以上、例えば10.50~16.00、11.00~15.50、11.00~15.50、11.00~15.00、または1,2.00~15.00である、総計のパラフィンに対する3つより多い分岐を有するi-パラフィン(iP3+)の総計の含有量を有する。総計のパラフィンとは、n-パラフィンおよびi-パラフィンの合計量を意味する。本発明の文脈において、i-パラフィンの分岐は、典型的には、メチル分岐である。
【0116】
好ましくは、低沸点画分および高沸点画分の両方が、互いに独立して、-10℃以下、好ましくは-15℃以下、または-20℃以下、例えば-70℃~-10℃の範囲の曇点を有する。
【0117】
本発明において、曇点はASTM D7689にしたがって決定することができる。
【0118】
好ましくは、低沸点画分および高沸点画分の両方は、互いに独立して、再生可能クラッカーフィードの総計の重量に基づいて0.1wt.-%~10.0wt.-%の範囲のナフテン含有量を有する。高重合度異性化では、ある程度の環化(ナフテンの形成)が起こり得る。本発明によれば、低沸点画分および高沸点画分中の、およびしたがって再生可能クラッカーフィード中のナフテンの含有量は低いことが望ましいが、0wt.-%である必要はない。すなわち、ナフテンはある程度存在してもよく、除去される必要はない。ナフテンは芳香族に容易に変換されるが、芳香族はコークスに反応する可能性はあるが、所望の生成物には反応しない化合物である。したがって、ナフテン類の含有量が低いことが好ましい。
【0119】
例えば、ナフテンの含有量は、互いに独立して、0.2wt.-%~10.0wt.-%、例えば、0.5wt.-%~8.0wt.-%、0.5wt.-%~6.0wt.-%、0.6wt.-%~5.8wt.-%、または0.8wt.-%~5.6wt.-%であり得る。
【0120】
好ましくは、低沸点画分および高沸点画分は、互いに独立して、0.50wt.-%以下、好ましくは0.40wt.-%以下、0.30wt.-%以下、0.25wt.-%以下、0.20wt.-%以下、0.15wt.-%以下、0.12wt.-%以下、0.10wt.-%以下、0.07wt.-%以下、または0.05wt.-%以下であるオレフィン含有量を有する。オレフィンは、本発明の再生可能クラッカーフィード中、低沸点画分中および高沸点画分中の望ましくない成分である。すなわち、本発明者らは、オレフィンが芳香族よりもさらに高くさえある強いコーキング傾向を有し、したがってオレフィンの含有量が低く抑えられるべきであることを見出した。オレフィンの含有量は、互いに独立して、0%であり得、すなわち、検出可能な量のオレフィンが含まれない。
【0121】
好ましくは、低沸点画分および高沸点画分の両方は、互いに独立して、0.1wt.-%~10.0wt.-%の範囲のオレフィンおよびナフテンの総計の含有量を有する。オレフィンおよびナフテンの総計の含有量は、オレフィンおよびナフテンの総計の含有量を意味する。より好ましくは、オレフィンおよびナフテンの総計の含有量は、互いに独立して、0.1wt.-%~8.0wt.-%、例えば0.1wt.-%~6.5wt.-%、0.1wt.-%~6.0wt.-%、0.2wt.-%~5.5wt.-%、0.5wt.-%~5.5wt.-%、0.5wt.-%~5.0wt.-%、0.8wt.-%~5.0wt.-%、0.9wt.-%~5.0wt.-%、1.0wt.-%~5.0wt.-%、1.1wt.-%~5.0wt.-%、または1.2wt.-%~5.0wt.-%である。
【0122】
好ましくは、低沸点画分および高沸点画分は、互いに独立して、0.80wt.-%以下、好ましくは0.70wt.-%以下、0.60wt.-%以下、0.50wt.-%以下、0.40wt.-%以下、0.35wt.-%以下、0.30wt.-%以下、0.25wt.-%以下、0.20wt.-%以下、または0.15wt.-%以下である芳香族含有量を有する。例えばベンゼンなどの芳香族は、所望の生成物には反応しない。むしろ、コークスと反応する傾向がある(すなわち、コークス前駆体である)。したがって、熱分解におけるそれらの存在は、所望の生成物の収率を低下させるので、それらの含有量は低くあるべきである。本発明において、芳香族の含有量は好ましくは低く、0.00%であり得る。芳香族類の含有量は、PIONA分析によって決定され得る。
【0123】
好ましくは、低沸点画分および高沸点画分は、互いに独立して、0.1wt.-%~10.0wt.-%、好ましくは0.1wt.-%~8.0wt.-%、0.1wt.-%~6.5wt.-%、0.2wt.-%~6.0wt.-%、0.5wt.-%~5.5wt.-%、0.5wt.-%~5.0wt.-%、0.8wt.-%~5.0wt.-%、0.9wt.-%~5.0wt.-%、1.0wt.-%~5.0wt.-%、1.1wt.-%~5.0wt.-%、または1.2wt.-%~5.0wt.-%であるオレフィン、芳香族およびナフテンの総計の含有量を有する。ナフテン、芳香族、およびオレフィンはコークス前駆体であり、および、その含有量は低くあるべきである。しかしながら、これらの成分の含有量を強力に低減させることは手間がかかり得るため、それらのある程度の含有量は許容され得る。とはいえ、それらの総計の含有量は、互いに独立して、0%まで下げられ得、これは0%を含む。
【0124】
好ましくは、低沸点画分と高沸点画分の両方が、互いに独立して、1000wt.-ppm以下、好ましくは700wt.-ppm以下、500wt.-ppm以下、300wt.-ppm以下、100wt.-ppm以下、80wt.-ppm以下、60wt.-ppm以下、50wt.-ppm以下、40wt.-ppm以下、または30wt.-ppm以下である酸素化物含有量を有する。ここで、酸素化物とは、炭素と水素を含み、およびさらに共有結合された酸素をその構造(分子)中に含む分子を意味する。本発明においては、酸素化物を含有しないことも含めて、酸素化物の含有量が少ないことが好ましい。一方、特には、例えば10wt.-%以上の低酸素化物コフィード(例えば化石炭化水素コフィード)を適用する場合、互いに独立して、より高い値、例えば100wt.-ppm~1000wt.-ppmなどが使用され得る。このような場合、酸素化物含有量を最小化するための労力が最小化され、これはプロセスの全体的な効率が向上させる。
【0125】
好ましくは、低沸点画分と高沸点画分の両方が、互いに独立して、11から21、好ましくは14から20、または16から18の範囲のモーダル炭素数を有する。
【0126】
好ましくは、低沸点画分および高沸点画分の両方は、互いに独立して、70wt.-%~95wt.-%、好ましくは75wt.-%~91wt.-%のC14~C18 i-パラフィンの含有量を有する。本発明において、C14~C18 i-パラフィンの含有量は、iP3+含有量の測定に採用されたものと同じ測定方法により決定され得る。
【0127】
好ましくは、低沸点画分と高沸点画分の両方は、互いに独立して、93wt.-%以上、好ましくは94wt.-%以上、または95wt.-%以上の総計のパラフィン含有量を有する。
【0128】
高沸点画分および低沸点画分の両方が、類似の、例えば曇点、モーダル炭素数および/またはi-パラフィン含有量などの特性を有する場合、低沸点画分(の部分)のみを再生可能クラッカーフィードとして提供することから、高沸点画分(の部分)のみを再生可能クラッカーフィードとして提供することに容易に切り替えることが可能である。すなわち、このような場合、これらの画分は、少なくとも一般的なレベルでは、ほぼ同じ所望の製品スレートおよび熱分解における利点を提供する。このような場合、他の画分は、需要に応じて別の高価値付加の目的に柔軟に使用され得る。
【0129】
従来、高いi-パラフィン含有量をもたらす異性化処理は、同時に、多分岐i-パラフィン、特には3つより多い分岐を有するi-パラフィンの高い含有量をもたらした。様々な方法が、i-パラフィンの高いシェアを達成するために使用され得るが、それにもかかわらず、低量のIP3+成分しか製造されない。例えば、異性化処理の程度を下げる(例えば温度を下げる)ことが可能である。しかし、いくつかの場合において、異性化温度を下げることは、はるかに長い滞留時間を必要とし、これは同様にIP3+成分の収率を増大させ得る。この場合、異性化温度を上げると同時に滞留時間を短くすることが好ましいかもしれない。代替的にはまたは追加で、異性化のための触媒を適切に選択することができる。例えば、特定の細孔構造を有する触媒を使用することが可能であり、その場合、異性化に触媒活性を有する成分は、直鎖状パラフィンが主にまたはそれのみが活性部位に到達できるように、小さな細孔内に供給される。このような形状選択性触媒は市販されている。
【0130】
好ましくは、高沸点画分は、5.0以下、好ましくは4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、または2,3以下のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する。IVRがこの範囲内であることは、高沸点画分が比較的狭いことを示す。
【0131】
IVRは、PIONA炭素数分析で得られたデータ(累積含有量対炭素数)の線形補間から決定される、算出された炭素数範囲である。同様に、IDR、IQR、およびc_50も、PIONA炭素数分析で得られたデータ(累積含有量対炭素数)の線形補間から決定される。
【0132】
IVRは、質量の90%(すなわち、5wt.-%~95wt.-%)を含む炭素数範囲である。同様に、IQR(四分位範囲)は、25wt.-%~75wt.-%の質量の50%を含む炭素数範囲であり、および、IDR(調整平均炭素数範囲)は、10wt.-%~90wt.-%の質量の80%を含む炭素数範囲である。線形補間とは、2つの炭素数のあいだの含有量範囲が線形であると仮定されることを意味する。例えば、0%C1、0%C2、0%C3、5%C4、5%C5、および8%C6を含む試料は、C4が実際に存在する最も低い炭素数であった場合でさえも、3.5(炭素数)のC_2.5値(すなわち、試料の2.5wt.%に相当する分率炭素数)を有するであろう。C1+C2+C3+C4+C5の累積量はちょうど10wt.-%であるため、C_5(C_05)値(5wt.-%の試料に相当する分率炭素数)は4(C4)であり、C_10値(10wt.-%の試料に相当する分率炭素数)は5(C5)である。C_15値(15wt.-%)は、5と6の間である(C5は10wt.-%、C6は18wt.-%)。線形補間は簡単に算出され、例えば15wt.-%含有量炭素数(C_15値)は次のように計算されるであろう。
5{15wt.-%にはまだ寄与していない最も高い炭素数}+
[{15%{対象の含有量}-10%{C5の累積含有量}}/
(18%{C6の累積含有量}-10%{C5の累積含有量})]
=5+[5%/8%]=5+0.625、すなわち、炭素数は5.625。
【0133】
換言すると、C_XX値を決定するためには、以下の式が使用される:
{XXwt.-%にはまだ寄与していない最も高い炭素数}+
[({対象の含有量:XXwt.-%}-{XXwt.-%にはまだ寄与していない最も高い炭素数の累積含有量})/
({XXwt.-%を超える累積含有率である最も低い炭素数の累積含有量}-{XXwt.-%にはまだ寄与していない最も高い炭素数の累積含有量})]。
【0134】
線形補間は、図1のグラフの説明から容易に理解され得る。図1(グラフA)において、Y軸は化合物の累積含有量を表し、および、炭素数がX軸上に番号順に並んでいる。バーはそれぞれの炭素数の化合物の個々の含有量を表す。ドットはそれぞれの炭素数の累積含有量(累積質量分率)を表し、および、折れ線グラフは直線補間(隣り合うドットの間に直線を引くこと)を表す。折れ線グラフが50%累積質量分率(横線)と交差する炭素数がc_50値であり、図1では点線で示されるように16より少し上である。
【0135】
IVR、IDR、IQRの範囲はテール効果の影響を受けにくいため、したがって、炭素範囲よりもより安定した結果を提供する。
【0136】
好ましくは、高沸点画分は、16.5~20.0、好ましくは16.5~19.0、または17.0~18.0の範囲のc_50値を有する。これは、画分が、分画から得られた例えば塔底画分などの比較的高沸点の画分であることを示している。
【0137】
一実施形態において、高沸点画分は、16.5以上のc_50値と、5.0以下のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)とを有する。換言すると、高沸点画分が、狭い炭素数分布を有し、および、高いc_50値を有する重質の(高沸点)画分である画分であることが特に好ましい。
【0138】
好ましくは、低沸点画分は、11.0~16.5未満、好ましくは12.0~16.0、または14.0~16.0の範囲のc_50値を有する。従来の再生可能異性体炭化水素組成物は、C18炭化水素の高いシェアを含むため、上記の範囲は、顕著な量の高沸点成分、特にはC18以上の沸点成分が、低沸点画分以外の画分に含まれていることを示している。具体的には、低沸点画分は塔頂画分であってもよい。
【0139】
好ましくは、低沸点画分は、55wt.-%以上、より好ましくは60wt.-%以上、65wt.-%以上、70wt.-%以上、75wt.-%以上、または80wt.-%以上の18個未満の炭素原子を有する炭化水素(<C18)の含有量を有する。上限は100wt.-%であり得る(すなわち、含有量は例えば55wt.-%~100wt.-%の範囲内であり得る)が、好ましくは99wt.-%以下、より好ましくは98wt.-%以下、例えば95wt.-%以下、92wt.-%以下、または90wt.-%以下である。
【0140】
好ましくは、低沸点画分は、0.90以下、好ましくは0.85以下、0.80以下、0.70以下、0.60以下、0.50以下、0.40以下、または0.30以下である、18以上の炭素原子を有する炭化水素(≧C18)の含有量と18未満の炭素原子を有する炭化水素(<C18)の含有量との比(≧C18/<C18)を有する。比は、低い場合0であってもよいが、好ましくは、少なくとも0.02(すなわち、比は例えば0.02~0.90の範囲であり得る)、より好ましくは少なくとも0.05、例えば少なくとも0.08、少なくとも0.10、少なくとも0.12、または少なくとも0.15である。
【0141】
好ましくは、高沸点画分は、50wt.%以上、好ましくは55wt.%以上、60wt.%以上、65wt.%以上、70wt.%以上、75wt.%以上、または80wt.%以上である、18以上の炭素原子を有する炭化水素(≧C18)の含有量を有する。上限は100wt.-%であり得る(すなわち、含有量は例えば50wt.-%~100wt.-%の範囲であり得る)が、好ましくは、99wt.-%以下、より好ましくは98wt.-%以下、例えば95wt.-%以下、93wt.-%以下、91wt.-%以下、または90wt.-%以下である。
【0142】
好ましくは、高沸点画分は、1.0以上、好ましくは1.5以上、2.0以上、3.0以上、4.0以上、5.0以上、または6.0以上である、18以上の炭素原子を有する炭化水素(≧C18)の含有量と18未満の炭素原子を有する炭化水素(<C18)の含有量との比(≧C18/<C18)を有する。比は、例えば200.0以下であり得る(すなわち、比は、例えば1.0~200.0の範囲であり得る)が、好ましくは、150.0以下、例えば100.0以下、50.0以下、30.0以下、20.0以下、15.0以下、12.0以下、または10.0以下である。
【0143】
好ましくは、低沸点画分は、5.0~12.0、好ましくは6.0~12.0、または7.0から11.0の範囲のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する。低沸点画分は、好ましい分解特性を達成しながら、比較的広範な炭素数分布を有し得る。すなわち、低沸点画分においては、炭素数分布が狭いことも可能であるが、絶対に必要というわけではない。実際、収率を考慮すると、異性体炭化水素組成物の高いシェアが本発明の方法に到達できるように、炭素数分布のある種の広範さを許容することが好ましいとさえ言える。特に、低沸点画分と高沸点画分との総計の量が、分画に付される異性体炭化水素組成物の90wt.%~100wt.%、好ましくは少なくとも95wt.%、または少なくとも97wt.%に相当するように、異性体炭化水素組成物が2つの画分に分画されることは好ましい選択肢である。
【0144】
好ましくは、低沸点画分は、16.5未満のc_50値、および、5.0~12.0の範囲のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する。
【0145】
本発明の工程(a)は、少なくとも低沸点画分および高沸点画分を提供するために、異性体炭化水素組成物の分画を行う段階を含み得る。代替的には、再生可能なクラッカーフィードは、並行プロセスによって供給されてもよく、あるいは購入されてもよい。
【0146】
低沸点画分は、モーダル炭素数において20wt.-%~40wt.-%、好ましくは22wt.-%~37wt.-%、または25wt.-%~35wt.-%の範囲である重量分率を有する化合物の含有量を有し得る。これは、低沸点画分が適度に広範な炭素数分布を有し得ること、すなわち、モーダル炭素数においておよび通常その近傍において顕著な重量分率を有していることを意味する。モーダル炭素数とは、PIONA分析において最も大きな存在量を有する炭素数である。
【0147】
低沸点画分は、好ましくは、5~8、好ましくは5~7、例えば5~6の範囲の最小炭素数(C_min)を有する。低沸点画分は、好ましくは、14~26、好ましくは15~23、16~22、または17~21の範囲の最大炭素数(C_max)を有する。これらの範囲内において、本発明の効果は特に顕著である。加えて、特に上記のC_maxの範囲は、再生可能なクラッカーフィードの容易な蒸発、および、熱クラッカーの変換セクション内での低いコーキング傾向をもたらす。
【0148】
低沸点画分は、好ましくは、12~17、例えば13~17、14~16、または15~16の範囲のモーダル炭素数を有する。
【0149】
低沸点画分は、好ましくは、1.5~4.0、好ましくは2.0~3.5、または2.0~3.0の範囲の四分位炭素数範囲(IQR)を有する。換言すると、低沸点画分は高沸点画分よりも広範な炭素数分布を有していてもよいが、そのような場合でも、この画分は、IQもRによって示されるように、ある程度の鋭さを有していることが好ましい。すなわち、このような明確に規定された画分は、分解プロセスをフィード特性に特異的に調整することを可能にし、したがって、高価値な生成物の収率をさらに向上させ、および、副反応を最小化する。
【0150】
同じ理由で、低沸点画分は、4.0~14.0、6.0~10.0、7.0~9.0の範囲の調整平均炭素数範囲(IDR)を有する。好ましくは、低沸点画分は、6.0~11.0、7.0~11.0、8.0~10.5の範囲のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する。
【0151】
低沸点画分は、好ましくは、3.0~9.0、好ましくは4.0~8.0、または4.5~7.0の範囲である80%炭素スパン(CS_80)を有する。
【0152】
本発明においては、80%炭素スパン(CS_80)および他の炭素スパンは、線形補間によってC_80値と同様に求められる。ただし、C_80値が炭素数を番号順(すなわちC1、C2、C3など)にソートすることによって得られるのに対して、炭素スパン(CS_80など)は、PIONA分析によって得られるように、炭素数が存在量の多い順にソートされているデータに基づいて求められ、最も存在量の多い炭素数にインデックス1、次に存在量の多い炭素番号にインデックス2というように与える。CS_80は、その後、試料の80%に相当するインデックスを決定することによって、線形補間に基づいて算出される。図1は、グラフAに示されているものと同じ試料に基づいて、CS_80値をグラフBに示しており、ここで、X軸はインデックス化された炭素数を示している。グラフはさらに、棒グラフの上に実際の炭素数(参考のためのみ)を示している。図1の場合、CS_80は、点線で示されているように、3に非常に近いが、わずかに下回っている(インデックス3はC17に対応する)。
【0153】
低沸点画分は、好ましくは、-20℃以下、より好ましくは-30℃以下、-40℃以下、-45℃以下、最も好ましくは-50℃以下の曇点を有する。曇点は、例えば、-70℃~-20℃の範囲、または-65℃~-40℃の範囲であり得る。低い曇点は、好ましいクラッキング特性をもたらし、および、再生可能クラッカーフィードの取り扱いを容易にする。
【0154】
好ましくは、高沸点画分は、異性体炭化水素組成物よりも高いc_50値を有し、および、低沸点画分は、高沸点画分よりも低いc_50値を有する。特には、高沸点画分は、異性体炭化水素組成物の重質部分を主に含む画分であることが好ましい。例えば、高沸点画分は、塔底画分であり得、および、低沸点画分は、非塔底画分の1つまたは唯一の非塔底画分であり得る。
【0155】
好ましくは、高沸点画分は、異性体炭化水素組成物のc_50値よりも少なくとも0.5高い、好ましくは少なくとも1.0高い、または少なくとも15高いc_50値を有する。これは、高沸点画分の50wt.-%を示す分率炭素数が、異性体炭化水素組成物の50重量%を示す分率炭素数に対して少なくとも0.5増加されていることを意味する。
【0156】
好ましくは、低沸点画分は、高沸点画分のc_50値よりも少なくとも0.5低い、好ましくは少なくとも1.0低い、または少なくとも15低いc_50値を有する。
【0157】
高沸点画分は、好ましくは、モーダル炭素数において40~95wt.-%、50~92wt.-%、60~90wt.-%、65~89wt.-%、70~88wt.-%、75~87wt.-%、76~86wt.-%、または77~85wt.-%の範囲である重量分率を有する化合物の含有量を有する。
【0158】
好ましくは、高沸点画分は、8~20、好ましくは10~18、11~17、12~16、または13~16の範囲の最小炭素数(C_min)を有する。好ましくは、高沸点画分は、22~40、好ましくは24~38、26~36、26~35、27~34の範囲の最大炭素数(C_max)を有する。好ましくは、高沸点画分は17~22、好ましくは18~21、18~20、または18~19の範囲のモーダル炭素数を有する。これらの範囲内で、本発明の効果が特に顕著であることが示されている。
【0159】
好ましくは、高沸点画分は、0.1~3.0、0.2~2.0、0.3~1.0、0.4~0.8の範囲の四分位数炭素数範囲(IQR)を有する。好ましくは、高沸点画分は、0.5~4.0、0.6~3.0、0.7~2.0、0.8~1.6の範囲の調整平均炭素数範囲(IDR)を有する。好ましくは、高沸点画分は、1.1~5.0、1.3~4.0、1.4~3.5、1.6~3.2、1.8~3.0、1.8~2.8の範囲のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する。好ましくは、高沸点画分は、0.1~3.0、例えば0.2~2.5、0.3~2.0、0.4~1.6、または0.5~1.4の範囲である80%炭素スパン(CS_80)を有する。低沸点画分について前述したように、狭い炭素数分布を有することが本発明の方法にとって好ましい。特には、高沸点画分の場合、非常に狭い炭素数分布を有することが好ましく、これは、特に顕著な本発明の効果をもたらす。
【0160】
高沸点画分は、好ましくは、-10℃以下、好ましくは-15℃以下、-20℃以下、-25℃以下、または-27℃以下の曇点を有する。高沸点画分であるため、曇点は必ずしも低沸点画分ほど低くない。曇点は、例えば-60℃~-10℃の範囲、または-40℃~-15℃の範囲であり得る。
【0161】
熱分解工程(b)は、水蒸気分解工程であってもよい。水蒸気分解は、再生可能な材料に共通である含まれ得る不純物に対して寛容である。加えて、本発明の方法は、水蒸気分解を採用した場合に特に良好な結果をもたらすことが示されている。
【0162】
好ましくは、熱分解工程(b)は、780℃~900℃、好ましくは805℃~865℃、より好ましくは815℃~850℃の範囲から選択されるコイル出口温度(COT)で行われる。
【0163】
熱分解工程(b)は、1.3bar~6.0bar、好ましくは1.3bar~3.0barの範囲から選択されるコイル出口圧力(COP)で行われ得る。本発明において、圧力値または圧力範囲は、特に指定のない限り、絶対圧を意味する。
【0164】
熱分解工程(b)は、好ましくは、熱分解希釈剤の存在下で行われる。任意の従来の熱分解希釈剤が、熱分解段階(b)において使用され得る。このような熱分解希釈剤の例は、水蒸気、分子窒素(N2)、またはそれらの混合物を含む。熱分解フィードの希釈は、熱分解コイル内の炭化水素分圧を低下させ、および、例えばエチレンおよびプロピレンなどの一次反応生成物の形成を促進する。熱分解希釈剤は、好ましくは、水蒸気を含む。
【0165】
熱分解工程(b)は、好ましくは、熱分解希釈剤の存在下で、0.10~0.80、好ましくは0.25~0.70、例えば0.35~0.50の範囲内の希釈度で行われる。希釈度とは、熱分解希釈剤と総計のクラッカーフィードとのフローレート(熱分解希釈剤のフローレート[kg/h]/総計のクラッカーフィードのフローレート[kg/h])を意味する。総計のクラッカーフィードとは、任意的なコフィードおよび任意的な添加剤を加えた再生可能クラッカーフィードを意味し、希釈剤は含まない。
【0166】
総計のクラッカーフィードの個々の成分および希釈剤は、予め形成された混合物として、別個のストリームとして、または別個のストリームと予め形成された混合物の組み合わせとして、熱分解炉に供給され得る。
【0167】
本方法は、さらなる分解流出物を提供するために、1つまたは複数のさらなる分解操作を行うことを含み得、ここで、工程(c)は、分離処理の前および/またはそのあいだに、さらなる流出物および/またはその画分を添加することをさらに含む。
【0168】
工程(b)の熱分解は、好ましくはコフィードの存在下で行われる。
【0169】
好ましくは、総計のクラッカーフィード中の再生可能クラッカーフィードの含有量は、10wt.-%~100wt.-%、好ましくは20wt.-%~100wt.-%、30wt.-%~100wt.-%、40wt.-%~100wt.-%、50wt.-%~100wt.-%、60wt.-%~100wt.-%、70wt.-%~100wt.-%、80wt.-%~100wt.-%、または90wt.-%の範囲であり、ここで、総計のクラッカーフィードとは、任意的なコフィードおよび任意的な添加剤を加えた再生可能クラッカーフィードを意味する。上限はまた、90wt.-%または80wt.-%であり得、すなわち含有量は、例えば10wt.-%~90wt.-%、または10wt.-%~80wt.-%の範囲内であり得る。
【0170】
少なくとも10wt.-%の再生可能クラッカーフィードを使用することは、本発明の効果が顕著になることを確実にする。総計のクラッカーフィードは再生可能クラッカーフィードで構成されていてもよく、すなわちその含有量は100wt.-%であり得る。
【0171】
コフィードは、化石炭化水素のコフィードを含み得る。化石コフィード、特には化石ナフサは、容易に入手可能であり、および、熱分解に非常に適している。本発明の効果を十分に享受するためには、コフィードが、再生可能クラッカーフィードの組成と同様の組成、特に炭素数分布を有することが好ましい。具体的には、コフィードは、ナフサ範囲フィード、ディーゼル範囲フィード、航空燃料範囲フィード、海洋燃料範囲フィード、または軽油範囲フィードを含み得る。特には、高沸点画分(またはその一部)が再生可能クラッカーフィードとして使用される場合、コフィードは、重質化石画分、例えば軽油画分などを含み得る。
【0172】
総計のクラッカーフィードは、好ましくは、20~300重量ppm、より好ましくは20~250重量ppm、より好ましくは20~100重量ppm、およびさらにより好ましくは50~65重量ppmの範囲の硫黄含有量を有する。
【0173】
本発明者らは、驚くべきことに、再生可能クラッカーフィード(および任意にはコフィードおよび/または添加物)を含み、および、硫黄含有量が上記の範囲内である(総計の)クラッカーフィードが、熱分解のあいだの著しく低減されたコーキング傾向をもたらすことを見出した。
【0174】
再生可能クラッカーフィードは、典型的には、本質的に低い硫黄含有量を有するが全く有さないため、硫黄は、例えば化石炭化水素フィードなどの硫黄含有コフィードを使用することにより、総計のクラッカーフィード中に組み込まれ得る。硫黄はまた、部分的または総計で、従来の分解添加剤を含む硫黄含有添加剤に由来し得る。具体的には、任意の従来の熱分解添加剤は、本開示の再生可能クラッカーフィードに、任意的なコフィードに、または予め形成された総計のクラッカーフィードに添加される、または、熱分解炉に共供給され得、または、熱分解希釈剤に添加されて、およびしたがって熱分解炉に供給され得る。このような従来の熱分解添加剤の例としては、例えばジメチルジサルファイド(DMDS)、二硫化炭素(CS2)などの硫黄含有種(硫黄添加剤)が挙げられる。DMDSは特に好ましい硫黄添加剤である。硫黄添加剤は、熱分解炉に供給される前に、再生可能クラッカーフィードと、任意的なコフィードと、または予め形成された総計のクラッカーフィードと、混合されてもよい。任意には、硫黄添加剤は、熱分解炉中に注入することによって、硫黄添加剤を含む熱分解希釈剤、好ましくは水蒸気に添加され得る。
【0175】
再生可能クラッカーフィードを提供する工程(a)は、例えば、異性化された脱酸素化流を少なくとも提供するために、酸素化物バイオ再生可能フィードを、少なくとも水素化脱酸素を含む水素化処理に、および、水素異性化に付す工程、異性化脱酸素流の少なくとも一部を分画に供し、少なくとも異性化炭化水素組成物を回収する工程、異性化された脱酸素化流の少なくとも一部を分画に付し、および、少なくとも異性体炭化水素組成物を回収する工程、ならびに、少なくとも低沸点画分および高沸点画分を提供するために、異性体炭化水素組成物の少なくとも一部をさらなる分画に付す工程、を含み得る。異性化脱酸素流は、好適には、液体異性化脱酸素流である。
【0176】
異性体炭化水素組成物に加えて、他の画分、例えばこれらに限定される訳ではないが、例えば、燃料ガス画分、船舶燃料画分、ナフサ範囲画分、ディーゼル範囲画分、航空燃料画分、または電気技術流体画分の少なくとも1つなどが回収され得る。プロパン画分は、水素化処理後の気液分離から回収され得る。好ましくは、例えばディーゼル燃料、ガソリン燃料、航空燃料、または船舶燃料などの液体輸送燃料として使用可能な1つまたは複数の画分が回収される。
【0177】
例示的な航空燃料範囲画分は、100℃~300℃の範囲内、例えば150℃~300℃の範囲内で沸騰し得る。例示的なガソリン燃料画分は,25℃~220℃の範囲で沸騰し得る。例示的なディーゼル燃料画分は、160℃~380℃の範囲で沸騰し得る。例示的な船舶用燃料は,180℃~600℃の範囲で沸騰し得る。
【0178】
一般に、本明細書に開示されるナフサ範囲画分とは、0℃より高い、好ましくは20℃より高い、または30℃より高い初留点、および、220℃以下、好ましくは200℃以下、180℃以下、160℃以下、140℃以下のT95温度を有する画分を意味し得る。ナフサ範囲画分は、220℃以下、好ましくは200℃以下、180℃以下、160℃以下、140℃以下のT99温度、または、220℃以下、好ましくは200℃以下、または180℃以下の最終沸点を有し得る。
【0179】
特に指定のない限り、本発明における沸騰特性、例えばT95温度(95vol-%回収)、T99温度(99vol-%回収)、最終沸点、初留点、T5温度(5vol-%回収)、およびT10温度(10vol-%回収)は、EN ISO 3405-2019にしたがって測定される。
【0180】
本発明において、水素異性化は、水素化脱酸素と同じ水素化処理で行われ得る。換言すると、水素異性化は、少なくとも水素化脱酸素を含む水素化処理の一部であってもよい。代替的には、またはそれに加えて、水素異性化は、少なくとも水素化脱酸素を含む水素化処理の後のさらなる水素化処理において行われ得る。
【0181】
水素化脱酸素および水素異性化を含む水素化処理は、例えば、水素化脱酸素および水素異性化の両方を単一工程で達成する触媒または触媒系を用いて行われ得る。
【0182】
工程(a)は、水素化処理の後および/またはさらなる水素化処理の後の気液分離段階、および、少なくとも1つのガス状ストリームおよび異性化された脱酸素化流を回収することをさらに含み得る。ガス状ストリームは、プロパンに富むストリームおよびプロパンが枯渇したストリームを提供するために、プロパン分離プロセスに付され得る。プロピレンを生成するために、プロパンに富むストリームからのプロパンの少なくとも一部が、脱水素化、好ましくは触媒的脱水素化に付され得る。気液分離からのガス状ストリームは、合わせられてもよいし、また、個別に処理されてもよい。気液分離はさらに、液体流を供給する。水素化処理後および/またはさらなる水素化処理後に回収された液体流の少なくとも一部は、異性化された脱酸素化流として使用され得る。
【0183】
一実施形態において、再生可能クラッカーフィードは、異性化された脱酸素化流を少なくとも提供するために、酸素化物バイオ再生可能フィードを、少なくとも水素化脱酸素を含む水素化処理に、水素異性化に、および気液分離に付す工程、少なくともナフサ範囲画分および安定化された重質液体画分を得るために、異性化された脱酸素化流を第1の蒸留塔、好ましくは安定化塔に供給する工程、ならびに、安定化された重質液体画分の少なくとも一部を、異性体炭化水素組成物として、第2の蒸留塔に供給し、および、少なくとも低沸点画分および高沸点画分を回収する工程を含む方法によって得られ得るまたは得られる。
【0184】
液体パラフィン系炭化水素中間体を得る段階は、国際公開第2021/094655号に開示されており、その全体が参照によりここに組み込まれる。特には、この段階は、図1および図2ならびに添付のテキストを参照して国際公開第2021/094655号に開示されており、これらは参照によりここに具体的に組み込まれる。この点で、液体パラフィン系炭化水素中間体は、上述の安定化された重質液体画分に相当する。
【0185】
一般的には、以下の手順を採用することができる:
異性化された脱酸素化流は、好ましくは異性化よりも低い圧力で、安定化塔中での安定化に導入され、ここで、塔頂画分が、安定化された重質液体画分に加えて形成される。塔頂画分は、ナフサ範囲(例えばC4~C8)である炭化水素を含む。安定化からのこの塔頂画分は、回収され、および、ガソリン成分として使用され得、または、好ましくは、それは、還流のために安定化へと、好ましくは安定化塔内に戻され得る。したがって、好ましくは、本発明によれば、酸素化物バイオ再生可能物は、水素化処理および異性化に付され、ならびに、その液体生成物は、異性化の圧力より低い圧力で安定化へと送られる。還流に使用されるナフサ範囲の炭化水素のリサイクル量は、安定化塔塔頂において、ナフサ範囲の形成された炭化水素の80wt.-%以上、好ましくは90wt.-%以上、例えば90~95wt.-%であり得る。高いリサイクル量は、その後の軽質画分と重質画分との分離を助け、ならびに、得られる低沸点画分および高沸点画分の収率を向上させる。通常、より多くの還流は、より大きなフローのための装置の調整を必要とする。したがって、好ましくは、本発明において、安定化のあいだ、ナフサ範囲(C4~C8)の炭化水素を含む塔頂画分が形成され、安定化塔塔頂において形成されたナフサ範囲の炭化水素の60wt.-%以上、例えば90wt.-%以上、例えば90~95wt.-%の量が安定化に戻される。
【0186】
上記の異性化された脱酸素化流は、少なくとも65wt.-%、好ましくは少なくとも70wt.-%、少なくとも75wt.-%、少なくとも80wt.-%、少なくとも85wt.-%、または少なくとも90wt.-%のi-パラフィン含有量を有し得る。
【0187】
本方法はさらに、例えばアクリル酸、アクリロニトリル、アクロレイン、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、アジポニトリル、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、(メチル)メタクリレート、エチリデンノルボリーン、1,5,9-シクロドデカトリエン、スルホラン、1,4-ヘキサジエン、テトラヒドロフタル酸無水物、バレルアルデヒド、1,2-ブチルオキシド、n-ブチルメルカプタン、o-sec-ブチルフェノール、プロピレン、オクテン、sec-ブチルアルコールなどの、バイオモノマーとしての軽質オレフィンの1または複数の誘導体を得るために、軽質オレフィンの少なくとも一部の誘導体化をさらに含む。
【0188】
本発明において、再生可能クラッカーフィードが、酸素化物バイオ再生可能フィードの水素化処理および異性化を含む方法によって得られ得ることが好ましい。
【0189】
本発明の特定の実施形態は、統合された方法に、および、少なくともそのような統合された方法を行うために適合されたバイオリファイナリーに関する。例えば、低沸点画分の少なくとも一部が、第1の熱分解炉で熱分解工程(c)に付され、および、高沸点画分の少なくとも一部が、第2の熱分解炉中で熱分解工程(c)に付される。同様に、低沸点画分の少なくとも一部および高沸点画分の少なくとも一部が、同じ熱分解炉中で交互に熱分解工程(c)に付されることが可能である。
【0190】
したがって、両方の成分を利用しながら、本発明の利点、すなわち異性体炭化水素組成物よりも優れた分解特性を達成することができる。
【0191】
また、低沸点画分の少なくとも一部が、熱分解工程(c)に付され、および、高沸点画分の少なくとも一部が、例えば電気技術流体、潤滑油、冷却剤またはその成分などの特定の流体またはその成分として、および/または、例えば船舶用燃料成分などの燃料成分として、回収されることも可能である。さらに、高沸点画分の少なくとも一部が、熱分解工程(c)に付され、および、低沸点画分の少なくとも一部が、燃料成分として、好ましくは航空燃料成分として、回収されることも可能である。
【0192】
さらに、低沸点画分の一部が、熱分解工程(c)に付され、および、低沸点画分の別の部分が、燃料成分として、好ましくは航空燃料成分として、回収されることも可能である。同様に、高沸点画分の一部が、熱分解工程(c)に付され、および、高沸点画分の別の部分が、例えば電気技術流体、潤滑油、冷却剤またはその成分などの特定の流体またはその成分として、および/または、例えば船舶用燃料成分などの燃料成分として、回収されることも可能である。
【0193】
統合された方法に関する上記の選択肢はすべて、統合された方法に柔軟性を提供する、すなわち、様々な成分の需要に応じて方法を調整できるという利点を共通して有する。例えば、様々な製品流の価値を最大化させるために、市場の必要性、価格、所望の組成および/または品質に応じて、または、例えば酸素化物バイオ再生可能フィードなどの原料の入手可能性に基づいて、時々、様々な量でそれぞれの製品が回収され得る。
【0194】
本発明の方法は、バイオポリマー組成物を製造するために、工程(c)において分離された軽質オレフィンの少なくとも1つ、および/または、バイオモノマーの少なくとも1つを、任意には他の(コ)モノマーと共に、および/または、任意的なさらなる精製の後に、(共)重合する工程バイオポリマー組成物を製造する工程(e)をさらに含み得る。
【0195】
衛生用品、建築材料、包装材料、コーティング組成物、塗料、例えばパネルなどの装飾材料、例えば自動車の内装部品などの車両の内装部品、ゴム組成物、タイヤまたはタイヤ成分、トナー、パーソナルヘルスケア用品、消費財の部品、電子デバイスの部品またはハウジング、フィルム、成形品、ガスケットを製造するために、ポリマーは、任意には他の成分とともに、さらに処理され得る。
【0196】
本発明はさらに、本発明の方法によって得られ得るバイオポリマー組成物に関する。
【実施例
【0197】
本発明を実施例によりさらに説明する。実施例は決して本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0198】
5種類のフィード組成物(C1~C3、E1、E2)の熱分解を評価された。組成物C1は、主にディーゼル燃料の範囲にある材料を提供するための、酸素化物バイオ再生可能なフィードの水素化脱酸素および中重度の水素異性化を含む水素化処理ならびに分画によって得られる再生可能組成物に対応する。組成物C2は、主にディーゼル燃料の範囲にある材料を提供するための、酸素化物バイオ再生可能なフィードの水素化脱酸素および中~高重度の水素異性化を含む水素化処理ならびに分画によって得られる再生可能な組成物に相当する。組成物C3は、主にディーゼル燃料の範囲にある材料を提供するための、酸素化物バイオ再生可能なフィードの水素化脱酸素および高重度の水素異性化を含む水素化処理ならびに分画によって得られる再生可能な組成物に相当する。組成物C3は、本明細書に記載の異性体炭化水素組成物に相当する。
【0199】
組成物E1およびE2は、本明細書に記載の低沸点画分および高沸点画分に相当し、これらはそれぞれ、組成物C3に適用された方法と同様の方法で、しかしながらiP3+種の発生を抑制する条件下で製造された組成物の分画によって得られる。これらの組成物のPIONAデータ、PIONAデータに基づく炭素数分析、曇点、およびiP3+分析が以下の表1に示されている:
【0200】
【表1】
【0201】
比較例1~3および実施例1~4
組成物は、コイル出口温度(COT)820℃、希釈度(水/油比)0.5、およびコイル出口圧力(COP)1.7bar(絶対)で蒸気分解に付された。
【0202】
得られた関連生成物の収率が以下の表2に示されている。加えて、組成物E1およびE2は、880℃で、残りの条件は同じに維持されて、分解に付された。結果が、実施例1および2(820℃)と比較して以下の表3に示されている。
【0203】
【表2】
【0204】
【表3】
【0205】
異性化度を上げることは曇点を下げ、これは、より容易なフィード材料の取り扱いおよび保管を可能にする。加えて、比較例において、高価値なプロピレンの収率は、異性化度増加と共に、不要なベンゼンと組み合わされて、増加している。
【0206】
iPの含有量が高く保たれるが、例えば低いIQRおよび/または例えばCS@80%(CS_80)などの低い炭素スパンなどのより均一な炭素数範囲と組み合わせされてiP3+置換の量が最小化されている本発明の様態では、高価なオレフィン形成に優先してベンゼンの生成が抑制され得、追加で例えばアセチレン、メチルアセチレン、およびプロパジエンなどの軽質汚染物質の生成が減少され得る。
【0207】
表3は、材料が、幅広い温度範囲にわたって性能を発揮することを示しており、これはさらなる製品収率の最適化を可能にし得、特に興味深いことは、より低い温度での変換であり、これは、減少されたベンゼン形成でプロピレン形成を促進し得、および、価値ある加熱作業をセーブし、製造における低い炭素放出を可能にする。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)85.0wt.-%以上であるi-パラフィン含有量および20~32の範囲の炭素数範囲を有する異性体炭化水素組成物を少なくとも低沸点画分と高沸点画分とに分画することにより得られる再生可能クラッカーフィードを提供し、ならびに、前記低沸点画分の少なくとも一部または前記高沸点画分の少なくとも一部を前記再生可能クラッカーフィードとして提供する工程、
(b)前記再生可能クラッカーフィードを、任意的にはコフィードおよび/または添加剤とともに、熱分解炉中で熱分解する工程、ならびに
(c)少なくとも軽質オレフィン画分を提供するために、前記工程(b)の前記熱分解炉の流出物を分離処理に付す工程
を含む方法。
【請求項2】
前記異性炭化水素組成物が、14.0~22.0、好ましくは14.0~20.0、または1.5.0~20.0の範囲のc_50値を有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、92.0wt.-%以上、好ましくは93.0wt.-%以上、94.0wt.-%以上、または95.0wt.-%以上のi-パラフィン含有量を有する請求項記載の方法。
【請求項4】
前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、0.164以下、好ましくは0.160以下、0.155以下、0.150以下である、総計のi-パラフィン(iP)に対する3つより多い分岐を有するi-パラフィン(IP3+)の比(iP3+/iP)を有する請求項記載の方法。
【請求項5】
前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、10.50wt.-%以上、例えば10.50~16.00、11.00~15.50、11.00~15.50、11.00~15.00、または1,2.00~15.00である、総計のパラフィンに対する3つより多い分岐を有するi-パラフィン(iP3+)の総計の含有量を有する請求項記載の方法。
【請求項6】
前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、-10℃以下、好ましくは-15℃以下、または-20℃以下の曇点を有する;および/または
前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、0.1wt.-%~10.0wt.-%、好ましくは0.1wt.-%~8.0wt.-%、0.1wt.-%~6.5wt.-%、0.2wt.-%~6.0wt.-%、0.5wt.-%~5.5wt.-%、0.5wt.-%~5.0wt.-%、0.8wt.-%~5.0wt.-%、0.9wt.-%~5.0wt.-%、1.0wt.-%~5.0wt.-%、1.1wt.-%~5.0wt.-%、または1.2wt.-%~5.0wt.-%であるオレフィン、芳香族およびナフテンの総計の含有量を有する;および/または
前記低沸点画分および前記高沸点画分の両方が、互いに独立して、11から21、好ましくは14から20、または16から18の範囲のモーダル炭素数を有する
請求項記載の方法。
【請求項7】
前記高沸点画分が、16.5~20.0、好ましくは16.5~19.0、または17.0~18.0の範囲のc_50値を有する請求項記載の方法。
【請求項8】
前記高沸点画分が、17~22、好ましくは18~21、18~20、または18~19の範囲のモーダル炭素数を有する請求項記載の方法。
【請求項9】
前記高沸点画分が、0.5~4.0、0.6~3.0、0.7~2.0、0.8~1.6の範囲の調整平均炭素数範囲(IDR)を有する請求項記載の方法。
【請求項10】
前記高沸点画分が、0.1~3.0、好ましくは0.2~2.5、0.3~2.0、0.4~1.6、または0.5~1.4の範囲である80%炭素スパン(CS_80)を有する請求項記載の方法。
【請求項11】
前記高沸点画分が、5.0以下、好ましくは4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、または2.3以下のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する請求項記載の方法。
【請求項12】
前記低沸点画分が、11.0~16.5未満、好ましくは12.0~16.0、または14.0~16.0の範囲のc_50値を有する請求項記載の方法。
【請求項13】
前記低沸点画分が、12~17、例えば13~17、14~16、または15~16の範囲のモーダル炭素数を有する請求項記載の方法。
【請求項14】
前記低沸点画分が、4.0~14.0、6.0~10.0、7.0~9.0の範囲の調整平均炭素数範囲(IDR)を有する請求項記載の方法。
【請求項15】
前記低沸点画分が、3.0~9.0、好ましくは4.0~8.0、または4.5~7.0の範囲である80%炭素スパン(CS_80)を有する請求項記載の方法。
【請求項16】
前記低沸点画分が、5.0~12.0、好ましくは6.0~12.0、または7.0~11.0の範囲のインターベンタイル炭素数範囲(IVR)を有する請求項記載の方法。
【請求項17】
(A)前記低沸点画分の少なくとも一部が、第1の熱分解炉中で前記熱分解工程(c)に付され、および、前記高沸点画分の少なくとも一部が、第2の熱分解炉中で前記熱分解工程(c)に付される、および/または
(B)前記低沸点画分の少なくとも一部および前記高沸点画分の少なくとも一部が、同じ熱分解炉中で交互に前記熱分解工程(c)に付される、および/または
(C)前記低沸点画分の少なくとも一部が、前記熱分解工程(c)に付され、および、前記高沸点画分の少なくとも一部が、例えば電気技術流体、潤滑油、冷却剤またはその成分などの特定の流体またはその成分として、および/または、例えば船舶用燃料成分などの燃料成分として、回収される、および/または
(D)前記高沸点画分の少なくとも一部が、前記熱分解工程(c)に付され、および、前記低沸点画分の少なくとも一部が、燃料成分として、好ましくは航空燃料成分として、回収される、および/または
(E)前記低沸点画分の一部が、前記熱分解工程(c)に付され、および、前記低沸点画分の別の部分が、燃料成分として、好ましくは航空燃料成分として、回収される、および/または
(F)前記高沸点画分の一部が、前記熱分解工程(c)に付され、および、前記高沸点画分の別の部分が、例えば電気技術流体、潤滑油、冷却剤またはその成分などの特定の流体またはその成分として、および/または、例えば船舶用燃料成分などの燃料成分として、回収される
請求項記載の方法。
【請求項18】
前記低沸点画分が、5~8の範囲の最小炭素数(C_min)および14~26の範囲の最大炭素数(C_max)、好ましくは、5~7の範囲の最小炭素数(C_min)および15~23の範囲の最大炭素数(C_max)、5または6である最小炭素数(C_min)および16~22の範囲の最大炭素数(C_max)、または5または6である最小炭素数(C_min)および17~21の範囲の最大炭素数(C_max)を有する請求項記載の方法。
【請求項19】
前記高沸点画分が、8~20の範囲の最小炭素数(C_min)および22~40の範囲の最大炭素数(C_max)、好ましくは、10~18の範囲の最小炭素数(C_min)および24~38の範囲の最大炭素数(C_max)、11~17の範囲の最小炭素数(C_min)および26~36の範囲の最大炭素数(C_max)、12~16の範囲の最小炭素数(C_min)および26~35の範囲の最大炭素数(C_max)、または13~16の範囲の最小炭素数(C_min)および27~34の範囲の最大炭素数(C_max)を有する請求項記載の方法。
【請求項20】
前記熱分解工程(b)が、水蒸気分解工程である;および/または
前記工程(b)における熱分解が、コフィードの存在下で行われる
請求項記載の方法。
【請求項21】
前記再生可能クラッカーフィードが、以下の:
前記異性化された脱酸素化流を提供するために、酸素化物バイオ再生可能フィードを、少なくとも水素化脱酸素を含む水素化処理に、水素異性化に、および、気液分離に付す工程、
少なくともナフサ範囲画分および安定化された重質液体画分を得るために、前記異性化された脱酸素化流を第1の蒸留塔、好ましくは安定化塔に供給する工程、ならびに
前記安定化された重質液体画分の少なくとも一部を、前記異性体炭化水素組成物として、第2の蒸留塔に供給し、および、少なくとも前記低沸点画分および前記高沸点画分を回収する工程
によって得られる請求項記載の方法。
【請求項22】
バイオモノマーとしての軽質オレフィンの1または複数の誘導体を得るために、軽質オレフィンの少なくとも一部の誘導体化をさらに含む任意的工程、および
バイオポリマー組成物を製造するために、(e)前記工程(c)において分離された前記軽質オレフィンの少なくとも1つ、および/または、バイオモノマーの少なくとも1つを、任意には他の(コ)モノマーと共に、および/または、任意的なさらなる精製の後に、(共)重合する工程
をさらに含む請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法によって得られるバイオポリマー組成物。
【国際調査報告】