(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】EPA-EEナノ脂質組成物、その製剤、調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/232 20060101AFI20250121BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20250121BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20250121BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20250121BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20250121BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20250121BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20250121BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20250121BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20250121BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20250121BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20250121BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20250121BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20250121BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20250121BHJP
A23L 33/12 20160101ALI20250121BHJP
【FI】
A61K31/232
A61P3/06
A61P9/10 101
A61P25/04
A61P17/00
A61P9/10
A61P9/00
A61K9/107
A61K47/22
A61K47/44
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/20
A61K47/18
A61K47/24
A23L33/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539439
(86)(22)【出願日】2023-02-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2023078639
(87)【国際公開番号】W WO2023126026
(87)【国際公開日】2023-07-06
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】511076044
【氏名又は名称】中国科学院上海薬物研究所
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI INSTITUTE OF MATERIA MEDICA, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】555 Zu Chong Zhi Road Zhang Jiang Pudong Shanghai 201203 China
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】甘勇
(72)【発明者】
【氏名】張馨欣
(72)【発明者】
【氏名】郭琳苗
(72)【発明者】
【氏名】繆云秋
(72)【発明者】
【氏名】王暁麗
(72)【発明者】
【氏名】章▲イン▼
(72)【発明者】
【氏名】朱春柳
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD07
4B018MD08
4B018MD12
4B018MD45
4B018ME04
4B018ME14
4C076AA17
4C076BB01
4C076CC11
4C076CC18
4C076CC21
4C076DD08F
4C076DD09F
4C076DD51
4C076DD57
4C076DD59S
4C076DD63F
4C076EE23Q
4C076EE53A
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB09
4C206DB43
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA42
4C206MA72
4C206NA05
4C206ZA08
4C206ZA36
4C206ZA45
4C206ZA89
4C206ZC33
(57)【要約】
本願は、EPA-EEナノ脂質組成物、その製剤、調製方法及び使用に関する。該EPA-EEナノ脂質組成物は、高含有量のEPA-EEを有する原料を主成分とし、かつ乳化剤中に高度不飽和リン脂質を含有し、ナノオーダーのサブミクロンエマルジョンを調製し、経口製剤として使用することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA-EE)ナノ脂質組成物であって、質量部として、1~30部のEPA-EE原料、0.1~10部の第1乳化剤、0~10部の第2乳化剤、0~5部の安定剤、0~5部の第1添加剤及び0~15部の第2添加剤を含み、
前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量は60%以上であり、
前記第1乳化剤は、ヨウ素価が70以上の高度不飽和リン脂質であり、
前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は50%以上であり、
前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なる成分からなり、前記第2乳化剤は、食品に許容される原料・添加剤及び薬学的に許容される原料・添加剤から選ばれる1種又は複数種であり、
前記安定剤は、非イオン性高分子ポリマーであり、
前記第1添加剤は、EPAとリポタンパク質との結合を促進する添加剤であり、
前記第2添加剤は、食品に許容される原料・添加剤及び薬学的に許容される原料・添加剤のうちの1種又は複数種であり、且つ前記第1乳化剤、第2乳化剤、前記安定剤及び前記第1添加剤と異なる、エイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA-EE)ナノ脂質組成物。
【請求項2】
前記EPA-EEナノ脂質組成物は、水をさらに含み、
選択的に、質量部として、前記EPA-EEナノ脂質組成物中の水の質量部は65部以上であり、さらに選択的に、前記EPA-EEナノ脂質組成物中の水の質量部は、65~89.8部であり、よりさらに選択的に、前記EPA-EEナノ脂質組成物中の水の質量部は、65~80部であり、よりさらに選択的に、前記EPA-EEナノ脂質組成物中の水の質量部は、65~75部であり、
選択的に、前記EPA-EEナノ脂質組成物の総質量部は、100部である、請求項1に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項3】
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数とし、それぞれ以下の重量パーセントとして、
EPA-EE原料 1%~30%(w/w)、
第1乳化剤 0.1%~10%(w/w)、
第2乳化剤 0%~10%(w/w)、
安定剤 0~5%(w/w)、
第1添加剤 0~5%(w/w)、
第2添加剤 0~15%(w/w)、及び
水を含み、
前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量は60%以上であり、
前記第1乳化剤は、ヨウ素価が70以上の高度不飽和リン脂質であり、
前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は50%以上であり、
前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なる成分からなり、前記第2乳化剤は、食品及び/又は薬学的に許容される原料・添加剤から選ばれ、
前記安定剤は、非イオン性高分子ポリマーであり、
前記第1添加剤は、EPAとリポタンパク質との結合を促進する添加剤であり、
前記第2添加剤は、食品及び/又は薬学的に許容される原料・添加剤であり、且つ前記第1乳化剤、第2乳化剤、前記安定剤及び前記第1添加剤と異なり、
前記EPA-EEナノ脂質組成物中の水の最小重量パーセントは、65%(w/w)である、請求項2に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項4】
以下の特徴である(i)群及び(ii)群のうちの少なくとも1つの特徴を満たすか、又は(i)群のうちの少なくとも1つの特徴を満たすか、又は(ii)群のうちの少なくとも1つの特徴を満たし、
(i)前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記安定剤の含有量は、0.01%~5%であり、選択的に、前記安定剤の含有量は、0.05%~5%(w/w)であり、さらに選択的に、前記安定剤の含有量は、0.05%~2%(w/w)であり、よりさらに選択的に、前記安定剤の含有量は、0.05%~1%(w/w)であり、よりさらに選択的に、前記安定剤の含有量は、0.1%~0.2%(w/w)であり、また選択的に、前記安定剤の含有量は、0.1%~5%(w/w)であり、さらに選択的に、前記安定剤の含有量は、0.1%~2%(w/w)であり、よりさらに選択的に、前記安定剤の含有量は0.1%~1%(w/w)であり、
(ii)前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記第1添加剤の含有量は、0.01%~5%(w/w)であり、選択的に、前記第1添加剤の含有量は、0.05%~5%(w/w)であり、さらに選択的に、前記第1添加剤の含有量は、0.05%~2%(w/w)であり、よりさらに選択的に、前記第1添加剤の含有量は、0.05%~1%(w/w)であり、よりさらに選択的に、前記第1添加剤の含有量は、0.1%~0.2%(w/w)であり、また、選択的に、前記第1添加剤の含有量は、0.1%~5%(w/w)であり、さらに選択的に、前記第1添加剤の含有量は、0.1%~2%(w/w)であり、よりさらに選択的に、前記第1添加剤の含有量は、0.1%~1%(w/w)である、請求項3に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項5】
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記第2乳化剤の重量比率は、0.1%~10%であり、選択的に、0.2%~8%であり、さらに選択的に、0.4%~8%であり、よりさらに選択的に、0.4%~6%であり、よりさらに選択的に、0.5%~5%であり、よりさらに選択的に、1%~5%であり、よりさらに選択的に、1%~2%であり、又は、前記第2乳化剤の重量比率は、0.2%~10%であり、選択的に、0.2%~6%であり、さらに選択的に、0.2%~5%であり、よりさらに選択的に、0.2%~2%であり、又は、前記第2乳化剤の重量比率は、0.5%~10%であり、選択的に、0.5%~8%であり、さらに選択的に、0.5%~6%であり、よりさらに選択的に、0.5%~2%であり、よりさらに選択的に、0.5%~1.5%であり、又は、前記第2乳化剤の重量比率は、1%~10%であり、選択的に、1%~8%であり、さらに選択的に、1%~6%であり、よりさらに選択的に、1%~5%であり、
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記安定剤の重量比率は、0.1%~5%であり、選択的に、0.1%~4%であり、さらに選択的に、0.1%~3%であり、よりさらに選択的に、0.1%~2%であり、よりさらに選択的に、0.2%~2%であり、よりさらに選択的に、0.4%~2%であり、よりさらに選択的に、0.5%~2%であり、よりさらに選択的に、1%~2%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、0.2%~4%であり、選択的に、0.2%~3%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、0.4%~4%であり、選択的に、0.4%~3%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、0.5%~4%であり、選択的に、0.5%~3%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、1%~4%であり、選択的に、1%~3%であり、
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記第1添加剤の重量比率は、0.1%~5%であり、選択的に、0.1%~4%であり、さらに選択的に、0.1%~3%であり、よりさらに選択的に、0.1%~2%であり、よりさらに選択的に、0.2%~2%であり、よりさらに選択的に、0.4%~2%であり、よりさらに選択的に、0.5%~2%であり、よりさらに選択的に、1%~2%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、0.2%~4%であり、選択的に、0.2%~3%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、0.4%~4%であり、選択的に、0.4%~3%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、0.5%~4%であり、選択的に、0.5%~3%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、1%~4%であり、選択的に、1%~3%であり、
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記第2添加剤の重量比率は、0.01%~15%であり、選択的に、0.01%~10%であり、さらに選択的に、0.01%~8%であり、よりさらに選択的に、0.01%~6%であり、よりさらに選択的に、0.01%~5.5%であり、よりさらに選択的に、0.1%~5.5%であり、よりさらに選択的に、0.5%~5.5%であり、よりさらに選択的に、1%~5.5%であり、よりさらに選択的に、2%~5.5%であり、よりさらに選択的に、3%~5.5%であり、又は、前記第2添加剤の重量比率は、0.1%~15%であり、よりさらに選択的に、0.1%~10%であり、よりさらに選択的に、0.1%~8%であり、よりさらに選択的に、0.1%~6%であり、よりさらに選択的に、0.1%~5%であり、よりさらに選択的に、0.1%~4%であり、又は、前記第2添加剤の重量比率は、0.5%~15%であり、よりさらに選択的に、0.5%~10%であり、よりさらに選択的に、0.5%~8%であり、よりさらに選択的に、0.5%~6%であり、よりさらに選択的に、0.5%~5%であり、よりさらに選択的に、0.5%~4%であり、又は、前記第2添加剤の重量比率は、1%~15%であり、よりさらに選択的に、1%~10%であり、よりさらに選択的に、1%~8%であり、よりさらに選択的に、1%~6%であり、よりさらに選択的に、1%~5%であり、よりさらに選択的に、1%~4%であり、又は、前記第2添加剤の重量比率は、2%~15%であり、よりさらに選択的に、2%~10%であり、よりさらに選択的に、2%~8%であり、よりさらに選択的に、2%~6%であり、よりさらに選択的に、2%~5%であり、よりさらに選択的に、2%~4%であり、又は、前記第2添加剤の重量比率は、3%~15%であり、よりさらに選択的に、3%~10%であり、よりさらに選択的に、3%~8%であり、よりさらに選択的に、3%~6%であり、よりさらに選択的に、3%~5%であり、よりさらに選択的に、3%~4%である、という特徴のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせを満たす、請求項3~4のいずれか一項に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項6】
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数とし、それぞれ以下の重量パーセントとして、
EPA-EE原料 4%~20%(w/w)、
第1乳化剤 0.5%~5%(w/w)、
第2乳化剤 0.5%~5%(w/w)、
安定剤 0.1%~3%(w/w)、
第1添加剤 0.1%~3%(w/w)、
第2添加剤 0.01%~10%(w/w)、及び
水を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項7】
前記EPA-EE原料は、深海魚油、海藻油、オキアミ油から選ばれる1種又は複数種の油のエチルエステル化生成物であり、
前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量は70%以上であり、選択的に、80%以上であり、又は、前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量が60%~97%であり、選択的に、70%~97%であり、さらに選択的に、80%~97%であり、
前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、80以上であり、選択的に、85以上であり、さらに選択的に、90以上であり、よりさらに選択的に、95以上であり、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、80~113であり、選択的に、85~113であり、さらに選択的に、90~113であり、よりさらに選択的に、95~113であり、又は、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、70~113であり、選択的に、70~110であり、さらに選択的に、70~105であり、よりさらに選択的に、70~102であり、よりさらに選択的に、70~100であり、よりさらに選択的に、70~95であり、よりさらに選択的に、70~90であり、又は、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、80~113であり、選択的に、80~110であり、さらに選択的に、80~105であり、よりさらに選択的に、80~102であり、よりさらに選択的に、80~100であり、よりさらに選択的に、80~97であり、よりさらに選択的に、80~97であり、よりさらに選択的に、80~95であり、又は、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、85~113であり、選択的に、85~110であり、さらに選択的に、85~105であり、よりさらに選択的に、85~102であり、よりさらに選択的に、85~100であり、よりさらに選択的に、85~97であり、又は、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、90~113であり、選択的に、90~110であり、さらに選択的に、90~105であり、よりさらに選択的に、90~102であり、よりさらに選択的に、90~97であり、よりさらに選択的に、94~97であり、
前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は、60%以上であり、選択的に、70%以上であり、又は、前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は、50%~98%であり、選択的に、60%~98%であり、さらに選択的に、70%~98%であり、又は、前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は、50%~94%であり、選択的に、60%~94%であり、さらに選択的に、70%~94%であり、
前記第1乳化剤は、大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質、ポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種であり、
前記安定剤は、両親媒性の非イオン性高分子ポリマーであり、前記安定剤は、ビタミン脂質高分子誘導体、リン脂質高分子誘導体、脂肪酸エステル高分子誘導体及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーから選ばれる1種又は複数種であり、
選択的に、前記ビタミン脂質高分子誘導体は、ビタミンEコハク酸ポリエチレングリコールエステルであり、
選択的に、前記リン脂質高分子誘導体は、ポリエチレングリコールで修飾された合成リン脂質であり、
選択的に、前記脂肪酸エステル高分子誘導体は、ポリエチレングリコールで修飾された脂肪酸エステルであり、
前記リン脂質高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、400Da~6000Daであり、選択的に、1000Da~6000Daであり、さらに選択的に、1000Da~5000Daであり、よりさらに選択的に、1000Da~4000Daであり、よりさらに選択的に、1000Da~3500Daであり、よりさらに選択的に、1000Da~3000Daであり、よりさらに選択的に、1500Da~2500Daであり、よりさらに選択的に、1600Da~2400Daであり、よりさらに選択的に、1800Da~2200Daであり、又は、前記リン脂質高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、400Da~5000Daであり、選択的に、400Da~4000Daであり、さらに選択的に、400Da~3000Daであり、よりさらに選択的に、400Da~2000Daであり、該分子量とは、数平均分子量又は重量平均分子量であり、選択的に、重量平均分子量であり、
前記脂肪酸エステル高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、200Da~4000Daであり、選択的に、1000Da~6000Daであり、さらに選択的に、1000Da~5000Daであり、よりさらに選択的に、1000Da~4000Daであり、よりさらに選択的に、1000Da~3500Daであり、よりさらに選択的に、1000Da~3000Daであり、よりさらに選択的に、1500Da~2500Daであり、よりさらに選択的に、1600Da~2400Daであり、よりさらに選択的に、1800Da~2200Daであり、又は、前記リン脂質高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、400Da~5000Daであり、選択的に、400Da~4000Daであり、さらに選択的に、400Da~3000Daであり、よりさらに選択的に、400Da~2000Daであり、該分子量とは、数平均分子量又は重量平均分子量であり、選択的に、重量平均分子量であり、
前記第1添加剤は、負荷電側鎖を有するアミノ酸、負荷電を有するアミノ酸誘導体、及び負荷電側鎖を有するオリゴペプチドから選ばれる1種又は複数種であり、
前記第2添加剤は、酸化防止剤、基油、乳化助剤、矯味剤、界面膜安定剤、増粘剤及びpH調整剤から選ばれる1種又は複数種であり、
前記EPA-EEナノ脂質組成物は、サブミクロンエマルジョンであり、液滴の平均粒径が500nm以下であり、選択的に、10nm~500nmであり、さらに選択的に、100nm~500nmであり、よりさらに選択的に、100nm~300nmであり、よりさらに選択的に、150nm~250nmであり、又は、液滴の平均粒径が300nm以下であり、選択的に、250nm以下である、という特徴のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせを満たす、請求項3~6のいずれか一項に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項8】
前記第1乳化剤は、ヨウ素価が90より大きく、かつ大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質及びポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種であり、
前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なるリン脂質、ショ糖エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、リノール酸モノグリセリド、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート、脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、スパン、アルギン酸塩、オレイン酸ナトリウム及びカゼイネートから選ばれる1種又は複数種であり、
前記安定剤中のPEG単位は、末端基を提供し、かつ該末端基は、OH又はメトキシ基であり、
前記ビタミン脂質高分子誘導体は、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール200スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール400スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1500スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール2000スクシネート及びd-α-トコフェロールポリエチレングリコール4000スクシネートから選ばれる1種又は複数種であり、
前記リン脂質高分子誘導体は、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール2000、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール5000、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン-メトキシポリエチレングリコール2000、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン-メトキシポリエチレングリコール5000、大豆ホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールモノメチルエーテル2000、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール2000、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール2000及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールから選ばれる1種又は複数種であり、
前記脂肪酸エステル高分子誘導体は、ポリエチレングリコール400オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール600オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール4000オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール6000オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール400ビスオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール600ビスオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール200ラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール200ビスラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ビスラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ステアリン酸エステル及びポリエチレングリコール400ビスステアリン酸エステルから選ばれる1種又は複数種であり、
前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーは、Pluronic L65、Pluronic F68から選ばれる1種又は複数種であり、
前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するアミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリンから選ばれる1種又は複数種であり、
前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するアミノ酸誘導体は、ホスファチジルセリン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン酸、ジセチル-グルタミン酸-アスパラギンから選ばれる1種又は複数種であり、
前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するオリゴペプチドは、グルタチオンであり、
前記第2添加剤中の前記酸化防止剤は、ビタミンE、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、ミックストコフェロール、α-トコフェロール酢酸エステル、β-トコフェロール酢酸エステル、γ-トコフェロール酢酸エステル、ミックストコフェロール酢酸エステル、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ミリスチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル及びt-ブチルハイドロキノンから選ばれる1種又は複数種であり、
前記第2添加剤中の前記基油は、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、スイートアーモンド油、グレープシード油、コーン油、クルミ油、シーバクソン、オリーブ油、ヨクイニン油、グレープシード油、ショウガ油、ヤシ油、ツバキ油、ローズ油、ハッカ油、レモン油及び中鎖トリグリセリドのうちの1種又は複数種に由来し、及び/又は、
選択的に、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、サブミクロンエマルジョンであり、液滴の平均粒径が100nm~300nmである、という特徴のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせを満たす、請求項7に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項9】
前記第1乳化剤は、大豆リン脂質S75、S100、ヒマワリ種子リン脂質H100、及びポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種であり、
前記第2乳化剤は、卵黄レシチンE80、ポリソルベート80、及びオレイン酸ソルビタン80から選ばれる1種又は複数種であり、
前記安定剤は、TPGS、DSPE-PEG及びS40のうちの1種又は複数種であり、選択的に、前記安定剤は、TPGSとS40との組み合わせであり、さらに選択的に、TPGSとS40との等質量混合物であり、
前記第1添加剤は、ホスファチジルセリン、グルタミン酸ナトリウム、及びタウリンのうちの1種又は複数種であり、選択的に、前記第1添加剤は、タウリンとグルタミン酸ナトリウムとの組み合わせであり、さらに選択的に、タウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物であり、
前記第2添加剤は、酸化防止剤と基油とを含み、選択的に、前記第2添加剤は、酸化防止剤と基油との組み合わせであり、さらに選択的に、前記酸化防止剤は、α-トコフェロールであり、かつ前記基油は、コーン油、オリーブ油及び中鎖トリグリセリドのうちの1種又は複数種であり、よりさらに選択的に、前記基油は、コーン油とオリーブ油との組み合わせであり、又はオリーブ油若しくは中鎖トリグリセリドであり、よりさらに選択的に、前記基油は、コーン油とオリーブ油との等質量混合物である、という特徴のうちの1つ又は複数を満たす、請求項1~8のいずれか一項に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項10】
質量部として、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、50~500質量部のEPA-EE原料、10~100質量部の第1乳化剤、0~100質量部の第2乳化剤、0~1.2質量部のα-トコフェロール、0~60質量部の基油、及び水を含み、
選択的に、
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量は、900~1100質量部であり、さらに選択的に、1000質量部であり、
前記EPA-EE原料は、100~400質量部であり、さらに選択的に、100~300質量部であり、
前記第1乳化剤は、10~100質量部であり、さらに選択的に、10~50部であり、よりさらに選択的に、20~50部であり、
前記第1乳化剤は、大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質及びポリエンホスファチジルコリンのうちの1種又は複数種を含み、さらに選択的に、大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質、ポリエンホスファチジルコリン又はそれらの組み合わせであり、
前記第2乳化剤は、10~100質量部であり、さらに選択的に、10~50部であり、よりさらに選択的に、20~50部であり、
前記第2乳化剤は、卵黄レシチン、ポリソルベート及びオレイン酸ソルビタン80のうちの1種又は複数種を含み、さらに選択的に、卵黄レシチン、ポリソルベート、オレイン酸ソルビタン80又はそれらの組み合わせであり、
α-トコフェロールは、0.1~1質量部、さらに選択的に、0.2~1質量部、よりさらに選択的に、0.4~1質量部、よりさらに選択的に、0.5~1質量部であり、
前記基油は、30~50質量部であり、
前記基油は、コーン油及びオリーブ油のうちの少なくとも1種を含み、選択的に、コーン油、オリーブ油のうちのいずれか1種又はそれらの組み合わせである、という特徴のうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項11】
前記EPA-EEナノ脂質組成物は、
(組成物1-1):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び残部の水、
(組成物1-2):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、及び残部の水、
(組成物1-3):100質量部のEPA-EE60、10質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、及び残部の水、
(組成物1-4):100質量部のEPA-EE60、10質量部のポリエンホスファチジルコリン、及び残部の水、
(組成物1-5):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び残部の水、
(組成物1-6):200質量部のEPA-EE60、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部の卵黄レシチンE80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油とオリーブ油との等質量混合物、及び残部の水、
(組成物1-7):200質量部のEPA-EE60、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物1-8):200質量部のEPA-EE60、50質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物1-9):200質量部のEPA-EE60、50質量部のポリエンホスファチジルコリン、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物1-10):200質量部のEPA-EE60、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物1-11):300質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部の卵黄レシチンE80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油とオリーブ油の等質量混合物、及び残部の水、
(組成物1-12):300質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物1-13):300質量部のEPA-EE60、100質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物1-14):300質量部のEPA-EE60、100質量部のポリエンホスファチジルコリン、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物1-15):300質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物2-1):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び残部の水、
(組成物2-2):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、及び残部の水、
(組成物2-3):100質量部のEPA-EE80、10質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、及び残部の水、
(組成物2-4):100質量部のEPA-EE80、10質量部のポリエンホスファチジルコリン、及び残部の水、
(組成物2-5):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び残部の水、
(組成物2-6):200質量部のEPA-EE80、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部の卵黄レシチンE80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油とオリーブ油の等質量混合物、及び残部の水、
(組成物2-7):200質量部のEPA-EE80、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物2-8):200質量部のEPA-EE80、50質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物2-9):200質量部のEPA-EE80、50質量部のポリエンホスファチジルコリン、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物2-10):200質量部のEPA-EE80、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油及び残部の水、
(組成物2-11):300質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部の卵黄レシチンE80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油とオリーブ油の等質量混合物、及び残部の水、
(組成物2-12):300質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物2-13):300質量部のEPA-EE80、100質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物2-14):300質量部のEPA-EE80、100質量部のポリエンホスファチジルコリン、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物2-15):300質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物3-1):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び残部の水、
(組成物3-2):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、及び残部の水、
(組成物3-3):100質量部のEPA-EE97、10質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、及び残部の水、
(組成物3-4):100質量部のEPA-EE97、10質量部のポリエンホスファチジルコリン、及び残部の水、
(組成物3-5):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び水、
(組成物3-6):200質量部のEPA-EE97、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部の卵黄レシチンE80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油とオリーブ油の等質量混合物、及び残部の水、
(組成物3-7):200質量部のEPA-EE97、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物3-8):200質量部のEPA-EE97、50質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物3-9):200質量部のEPA-EE97、50質量部のポリエンホスファチジルコリン、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物3-10):200質量部のEPA-EE97、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物3-11):300質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部の卵黄レシチンE80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油とオリーブ油との等質量混合物、及び残部の水、
(組成物3-12):300質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物3-13):300質量部のEPA-EE97、100質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物3-14):300質量部のEPA-EE97、100質量部のポリエンホスファチジルコリン、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物3-15):300質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油及び残部の水、のうちのいずれかの組成物で1000質量部となる、請求項1に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項12】
質量部として、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、50~500質量部のEPA-EE原料、10~100質量部の第1乳化剤、0~60質量部の安定剤、0~50質量部の第1添加剤、20~40質量部の第2添加剤、及び水を含み、
選択的に、
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量は、900~1100質量部であり、さらに選択的に、1000質量部であり、
前記EPA-EE原料は、100~400質量部であり、さらに選択的に、100~200質量部であり、
前記第1乳化剤は、10~50質量部であり、
前記第1乳化剤は、大豆リン脂質を含み、さらに選択的に、大豆リン脂質であり、
前記安定剤は、10~50質量部であり、さらに選択的に、10~20質量部であり、
前記安定剤は、TPGS、DSPE-PEG及びS40のうちの1種又は複数種を含み、さらに選択的に、TPGS、DSPE-PEG及びS40のうちのいずれか1種又はそれらの組み合わせであり、
前記第1添加剤は、10~30質量部であり、さらに選択的に、10~20質量部であり、
前記第1添加剤は、ホスファチジルセリン、グルタミン酸ナトリウム及びタウリンのうちの1種又は複数種を含み、さらに選択的に、ホスファチジルセリン、グルタミン酸ナトリウム及びタウリンのうちのいずれか1種又はそれらの組み合わせであり、
前記第2添加剤は、酸化防止剤と基油との組み合わせであり、選択的に、前記酸化防止剤は、α-トコフェロールであり、かつ前記基油は、コーン油、オリーブ油、中鎖トリグリセリド又はそれらの組み合わせであり、さらに選択的に、前記基油は、コーン油とオリーブ油との組み合わせであり、又は、オリーブ油又は中鎖トリグリセリドであり、よりさらに選択的に、前記基油は、コーン油とオリーブ油との等質量混合物であり、また、選択的に、前記酸化防止剤は、1~2質量部の酸化防止剤及び25~35質量部の基油からなる、という特徴のうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項13】
前記EPA-EEナノ脂質組成物は、
(A1):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、及び残部の水、
(A2):100質量部のEPA-EE60、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(A3):100質量部のEPA-EE60、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(A4):100質量部のEPA-EE60、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水、
(A5):100質量部のEPA-EE60、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(A6):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(A7):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(A8):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(A9):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水、
(A10):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(A11):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGS、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(A12):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のDSPE-PEG、20質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(A13):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(A14):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のタウリン、及び残部の水、
(A15):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGSとS40との等質量混合物、20質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(B1):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、及び残部の水、
(B2):100質量部のEPA-EE80、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(B3):100質量部のEPA-EE80、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(B4):100質量部のEPA-EE80、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水、
(B5):100質量部のEPA-EE80、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(B6):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(B7):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(B8):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(B9):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水、
(B10):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(B11):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGS、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(B12):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のDSPE-PEG、20質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(B13):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(B14):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のタウリン、及び残部の水、
(B15):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGSとS40との等質量混合物、20質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(C1):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、及び残部の水、
(C2):100質量部のEPA-EE97、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(C3):100質量部のEPA-EE97、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(C4):100質量部のEPA-EE97、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水、
(C5):100質量部のEPA-EE97、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(C6):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(C7):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(C8):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(C9):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水、
(C10):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(C11):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGS、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(C12):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質リポイドLipoid S75、20質量部のDSPE-PEG、20質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(C13):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(C14):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のタウリン、及び残部の水、
(C15):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGSとS40との等質量混合物、20質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、のうちのいずれかの組成物、及び前記第2添加剤で1000質量部となり、かつ前記第2添加剤は、1質量部のα-トコフェロール及び30質量部のオリーブ油であり、又は2質量部のα-トコフェロール及び30質量部の中鎖トリグリセリドである、請求項1に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のEPA-EEナノ脂質組成物を含む、EPA-EEナノ脂質製剤。
【請求項15】
前記EPA-EEナノ脂質製剤は、経口製剤である、請求項14に記載のEPA-EEナノ脂質製剤。
【請求項16】
前記EPA-EE原料を含む油相成分を加熱条件下で混合し、油相基質を調製するステップと、
水相成分を水性溶媒に溶解して水相基質を調製するか、又は、水を水相基質とするステップと、
前記油相基質と前記水相基質を混合し、せん断撹拌して水中油型一次エマルジョンを調製するステップと、
前記水中油型一次エマルジョンに対して高圧均質化処理を行って、サブミクロンエマルジョンを調製するステップと、を含み、
選択的に、前記サブミクロンエマルジョンを調製した後、濾過、充填及び滅菌のうちのいずれか1つ又は複数をさらに行い、
選択的に、前記EPA-EE原料を含む油相成分を加熱条件下で混合するステップにおいて、加熱温度は、50℃~70℃であり、
選択的に、前記油相基質と前記水相基質を混合するステップにおいて、50℃~70℃の条件下で混合し、
選択的に、前記水中油型一次エマルジョンに対して高圧均質化処理を行う前に、前記水中油型一次エマルジョンにpH調整剤を添加し、
選択的に、前記高圧均質化処理の圧力は、200bar~800barであり、さらに選択的に、前記高圧均質化処理を行う回数は、1回又は複数回であり、
選択的に、前記EPA-EEナノ脂質製剤のpHは、7~8である、請求項14又は15に記載のEPA-EEナノ脂質製剤の調製方法。
【請求項17】
心血管疾患を予防及び/又は治療する薬物の調製における、請求項1~13のいずれか一項に記載のEPA-EEナノ脂質組成物、又は請求項14又は15に記載のEPA-EEナノ脂質製剤、又は請求項16に記載の調製方法により得られた前記EPA-EEナノ脂質製剤の使用、或いは、医療用食品、保健食品における、請求項1~13のいずれか一項に記載のEPA-EEナノ脂質組成物、又は請求項14又は15に記載のEPA-EEナノ脂質製剤、又は請求項16に記載の調製方法により得られた前記EPA-EEナノ脂質製剤の使用であって、
心血管疾患を予防及び/又は治療する薬物とは、心血管疾患を予防できる薬物、心血管疾患を治療できる薬物又は心血管疾患を予防及び治療できる薬物を指し、
選択的に、前記心血管疾患は、アテローム性動脈硬化症である、使用。
【請求項18】
被験者に治療有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載のEPA-EEナノ脂質組成物を投与するステップ、又は被験者に治療有効量の請求項14又は15に記載のEPA-EEナノ脂質製剤を投与するステップ、又は被験者に治療有効量の請求項16に記載の調製方法により得られた前記EPA-EEナノ脂質製剤を投与するステップを含む、心血管疾患を予防又は治療する方法。
【請求項19】
前記心血管疾患は、高脂血症、重度の高トリグリセリド血症、極度の高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍及び/又は疼痛、冷感、頸動脈プラーク、心筋梗塞、虚血性心疾患発作、虚血性発作、急性狭心症、急性狭心症による入院、脳卒中及び心血管イベントによる入院からなる群より選ばれる1つ又は複数のイベントであり、選択的に、前記心血管疾患は、アテローム性動脈硬化症であり、
投与方法は、経口投与であり、
前記被験者は、心血管疾患を有する患者であり、
被験者は、哺乳動物であり、
選択的に、被験者は、ヒトであり、
また選択的に、被験者は、ラットであり、さらに選択的に、投与量は、400mg/kgであり、よりさらに選択的に、投与計画は、単回投与又は複数回投与であり、
また選択的に、被験者は、ビーグル犬であり、さらに選択的に、投与量は、120mg/kgであり、よりさらに選択的に、投与計画は、単回投与又は複数回投与である、という特徴のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせを満たす、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
雄性ラットに、EPA-EEとして400mg/kgの量のナノ脂質製剤を投与し、
選択的に、前記方法は、
0~24時間投与後の血中EPA濃度曲線下面積が2500μg/mL以上であり、又は血中EPA濃度最大値が700μg/mL以上であり、
0~24時間投与後の血中EPA濃度曲線下面積が3000μg/mL以上であり、又は血中EPA濃度最大値が1400μg/mL以上であり、
0~24時間投与後の血中EPA濃度曲線下面積が4000μg/mL以上であり、
200μg/mLの血中EPA濃度の維持時間が3時間以上であり、100μg/mLの血中EPA濃度の維持時間が6時間以上である(選択的に、100μg/mLの血中EPA濃度の維持時間が10時間以上である)、という特徴のうちの1つ又は複数を満たす、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
雄性ビーグル犬に、EPA-EEとして120mg/kgの量のナノ脂質製剤を投与し、
選択的に、前記方法は、
0~48時間投与後の血中EPA濃度曲線下面積が1500μg/mL以上であり、又は血中EPA濃度最大値が100μg/mL以上であり、
0~48時間投与後の血中EPA濃度曲線下面積が1900μg/mL以上であり、
60μg/mLの血中EPA濃度の維持時間が4時間以上である、という特徴のうちの1つ又は複数を満たす、請求項18又は19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年12月29日に提出された、出願番号がCN2021116409954であり、発明の名称が「EPA-EEナノ脂質組成物、その製剤、調製方法及び使用」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本願は、経口製剤の技術分野に関し、特にEPA-EEナノ脂質組成物、その製剤、調製方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
生活のリズムが速くなるにつれて、高糖高脂肪食は、人気のあるインスタントファーストフードとストレス解消食になっている。栄養構成がアンバランスになることに加えて、喫煙、運動不足、肥満などの要因により、中国の血脂異常症の患者数は、年々上昇しており、心脳血管疾患の罹患傾向が顕著になる。関連調査から分かるように、中国人の総コレステロール(TC)、トリグリセリド(TG)及び低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)のレベルが明らかに上昇している。
【0004】
高脂血症又は重度の高トリグリセリド血症に罹患した人は、血液の粘稠度が上昇するため、動脈の血流速度が遅くなり、さらにアテローム性動脈硬化症のリスクを増加させ、主に動脈内壁に脂肪及びカルシウム系物質の堆積が発生し、心脳血管の灌流が不足するとともに、閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感などの臨床症状が発生する。アポリポタンパク質は、血漿リポタンパク質中のタンパク質部分であり、血脂に結合して、それを生体の各組織に輸送することで、代謝及び利用することができるタンパク質であり、アテローム性動脈硬化症の発展において重要な役割を果たしている。例えば、高密度リポタンパク質(HDL)は、血管に沈着したコレステロールを輸送することができ、肝臓により体外を排除し、アテローム性動脈硬化症のプロセスの緩和に積極的に作用する。一方、他のリポタンパク質、例えば、超低密度リポタンパク質(VLDL)及び低密度リポタンパク質(LDL)は、輸送された脂質が血管に沈着することを促進し、プラークの形成を加速し、さらに、動脈プラーク、心筋梗塞、虚血性心疾患、狭心症及び脳卒中などの心血管疾患を誘発する可能性がある。
【0005】
現在、臨床的には、アテローム性動脈硬化症を直接治療できる薬物はまだなく、通常、その生成に関連する疾患を治療してプラークの悪化を防止する。例えば、スタチン系薬物は、現在、臨床的によく使用されている脂質降下薬であり、肝臓によるコレステロール合成経路を制限することにより、血脂を降下させ、プラークを安定させ、抗炎症薬、抗凝固薬及び降圧薬は、後期アテローム性動脈硬化症の治療にも使用されているが、いずれも病気の経過を緩和することしかできず、かつ各種薬物を長期間又は大量に使用した場合、肝臓、腎臓などの器官に対して顕著な毒性と副作用を示し、出血リスクにもつながる。したがって、動脈プラークの予防及び治療過程において、プラークを安全かつ効果的に安定させ、プラークの形成を逆転させることができる治療方針の開発は、依然として臨床的に大きな課題である。
【0006】
既存の研究によると、Omega-3多価不飽和脂肪酸(Omega-3 PUFA)は、主にエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、α-リノレン酸(ALA)などを含み、血脂を調節する作用を有し、循環システムの健康を促進できることが実証されている。ω-3多価不飽和脂肪酸は、深海魚油に由来し、水溶性が低い。現在、市販されている一般的なω-3多価不飽和脂肪酸製品は、主にソフトカプセルの形態で現れ、例えば、魚油ソフトカプセル、エイコサペンタエン酸ソフトカプセルなどである。特許文献CN104856985Aは、エイコサペンタエン酸-EEカプセル(Vascepa)に使用される組成物を提供し、高純度の-EE型EPAを使用するが、ソフトカプセル製剤の吸収が低く(特に空腹状態で低く)、生物学的利用能が20%未満であり、EPAの高効率吸収と良好なアテローム性動脈硬化症の治療効果を実現できない。既に報告されたEPA製剤は、純度が低く、吸収効果が低いため、血中薬物濃度が低く、代謝が速く、治療効果を発揮するために必要な血中薬物濃度を維持できず、血脂降下又はアテローム性動脈硬化症の治療効果が低い。したがって、生物学的利用能を向上させるとともに、有効な血中薬物濃度の維持時間を延長することができるEPA製剤を開発する必要があり、心血管疾患、特にアテローム性動脈硬化症のために潜在的な治療薬物を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに基づいて、本願は、血脂を降下させ、動脈プラークを減らす効果を有し、経口製剤として使用することができ、心血管疾患の予防及び/又は治療に適用されるEPA-EEナノ脂質組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の技術的手段により実現することができる。
【0009】
本願の第1態様によれば、エイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA-EE)ナノ脂質組成物であって、質量部として、1~30部のEPA-EE原料、0.1~10部の第1乳化剤、0~10部の第2乳化剤、0~5部の安定剤、0~5部の第1添加剤及び0~15部の第2添加剤を含み、
前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量は60%以上であり、
前記第1乳化剤は、ヨウ素価が70以上の高度不飽和リン脂質であり、
前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は50%以上であり、
前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なる成分からなり、前記第2乳化剤は、食品に許容される原料・添加剤及び薬学的に許容される原料・添加剤から選ばれる1種又は複数種であり、
前記安定剤は、非イオン性高分子ポリマーであり、
前記第1添加剤は、EPAとリポタンパク質との結合を促進する添加剤であり、
前記第2添加剤は、食品に許容される原料・添加剤及び薬学的に許容される原料・添加剤のうちの1種又は複数種であり、且つ前記第1乳化剤、第2乳化剤、前記安定剤及び前記第1添加剤と異なる、エイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA-EE)ナノ脂質組成物を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、水をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数とし、それぞれ以下の重量パーセントとして、
EPA-EE原料 1%~30%(w/w)、
第1乳化剤 0.1%~10%(w/w)、
第2乳化剤 0%~10%(w/w)、
安定剤 0~5%(w/w)、
第1添加剤 0~5%(w/w)、
第2添加剤 0~15%(w/w)、及び
水を含む、EPA-EEナノ脂質組成物を提供する。
【0012】
前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量は60%以上であり、
前記第1乳化剤は、ヨウ素価が70以上の高度不飽和リン脂質であり、
前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は50%以上であり、
前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なる成分からなり、前記第2乳化剤は、食品に許容される原料・添加剤及び薬学的に許容される原料・添加剤から選ばれる1種又は複数種であり、
前記安定剤は、非イオン性高分子ポリマーであり、
前記第1添加剤は、EPAとリポタンパク質との結合を促進する添加剤であり、
前記第2添加剤は、食品に許容される原料・添加剤及び薬学的に許容される原料・添加剤のうちの1種又は複数種であり、前記第1乳化剤、第2乳化剤、前記安定剤及び第1添加剤と異なり、
前記EPA-EEナノ脂質組成物中の水の最小重量パーセントは、65%(w/w)である。
【0013】
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量は、100%であり、即ち、上記EPA-EE原料、第1乳化剤、第2乳化剤、安定剤、第1添加剤、第2添加剤及び水の重量パーセントの合計は、100%以下であり、好ましくは、100%である。
【0014】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、以下の特徴である(i)群及び(ii)群のうちの少なくとも1つの特徴を満たすか、又は(i)群のうちの少なくとも1つの特徴を満たすか、又は(ii)群のうちの少なくとも1つの特徴を満たし、
(i)前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記安定剤の含有量は、0.1%~5%(w/w)であり、
(ii)前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記第1添加剤の含有量は、0.01%~5%(w/w)である。
【0015】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、それぞれ以下の重量パーセントとして、
EPA-EE原料 4%~20%(w/w)、
第1乳化剤 0.5%~5%(w/w)、
安定剤 0.1%~3%(w/w)、
第1添加剤 0.1%~3%(w/w)、
第2添加剤 0.01%~10%(w/w)、及び
水を含む。
【0016】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、
前記EPA-EE原料は、深海魚油、海藻油、オキアミ油などから選ばれる1種又は複数種の油のエチルエステル化生成物であり、
前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量は70%以上であり、
前記第1乳化剤(高度不飽和リン脂質)は、ヨウ素価が90以上であり、
前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は70%以上であり、
前記第1乳化剤は、大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質、ポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種であり、
前記安定剤は、両親媒性の非イオン性高分子ポリマーであり、前記安定剤は、ビタミン脂質高分子誘導体、リン脂質高分子誘導体、脂肪酸エステル高分子誘導体及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーから選ばれる1種又は複数種であり、
選択的に、前記ビタミン脂質高分子誘導体は、ビタミンEコハク酸ポリエチレングリコールエステルであり、
選択的に、前記リン脂質高分子誘導体は、ポリエチレングリコールで修飾された合成リン脂質であり、
選択的に、前記脂肪酸エステル高分子誘導体は、ポリエチレングリコールで修飾された脂肪酸エステルであり、
前記リン脂質高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、400Da~6000Daであり、
前記脂肪酸エステル高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、200Da~4000Daであり、
前記第1添加剤は、負荷電側鎖を有するアミノ酸、負荷電を有するアミノ酸誘導体、及び負荷電側鎖を有するオリゴペプチドから選ばれる1種又は複数種であり、
前記第2添加剤は、酸化防止剤、基油、乳化助剤、矯味剤、界面膜安定剤、増粘剤及びpH調整剤から選ばれる1種又は複数種であり、
前記EPA-EEナノ脂質組成物は、サブミクロンエマルジョンであり、平均粒径が500nm以下である、という特徴のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせを満たす。
【0017】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、
前記第1乳化剤は、ヨウ素価が90より大きく、かつ大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質及びポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種であり、
前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なるリン脂質、ショ糖エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、リノール酸モノグリセリド、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート、脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、スパン、アルギン酸塩、オレイン酸ナトリウム及びカゼイネートから選ばれる1種又は複数種であり、
前記安定剤中のPEG単位は、末端基を提供し、かつ該末端基は、OH又はメトキシ基であり、
前記ビタミン脂質高分子誘導体は、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール200スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール400スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1500スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール2000スクシネート及びd-α-トコフェロールポリエチレングリコール4000スクシネートから選ばれる1種又は複数種であり、
前記リン脂質高分子誘導体は、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール2000、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール5000、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン-メトキシポリエチレングリコール2000、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン-メトキシポリエチレングリコール5000、大豆ホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールモノメチルエーテル2000、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール2000、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール2000及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールから選ばれる1種又は複数種であり、
前記脂肪酸エステル高分子誘導体は、ポリエチレングリコール400オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール600オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール4000オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール6000オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール400ビスオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール600ビスオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール200ラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール200ビスラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ビスラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ステアリン酸エステル及びポリエチレングリコール400ビスステアリン酸エステルから選ばれる1種又は複数種であり、
前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーは、Pluronic L65、Pluronic F68から選ばれる1種又は複数種であり、
前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するアミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリンから選ばれる1種又は複数種であり、
前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するアミノ酸誘導体は、ホスファチジルセリン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン酸、ジセチル-グルタミン酸-アスパラギンから選ばれる1種又は複数種であり、
前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するオリゴペプチドは、グルタチオンであり、
前記第2添加剤中の前記酸化防止剤は、ビタミンE、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、ミックストコフェロール、α-トコフェロール酢酸エステル、β-トコフェロール酢酸エステル、γ-トコフェロール酢酸エステル、ミックストコフェロール酢酸エステル、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ミリスチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル及びt-ブチルハイドロキノンなどから選ばれる1種又は複数種であり、
前記第2添加剤中の前記基油は、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、スイートアーモンド油、グレープシード油、コーン油、クルミ油、シーバクソン、オリーブ油、ヨクイニン油、グレープシード油、ショウガ油、ヤシ油、ツバキ油、ローズ油、ハッカ油、レモン油、及び中鎖トリグリセリドなどのうちの1種又は複数種に由来し、
選択的に、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、サブミクロンエマルジョンであり、液滴の平均粒径が100nm~300nmである、という特徴のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせを満たす。
【0018】
本願のいくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、
前記第1乳化剤は、大豆リン脂質S75、S100、ヒマワリ種子リン脂質H100、及びポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種であり、
前記第2乳化剤は、卵黄レシチンE80、ポリソルベート80、リノール酸モノグリセリド及びオレイン酸ソルビタン80から選ばれる1種又は複数種であり、(選択的に、前記第2乳化剤は、卵黄レシチンE80、ポリソルベート80、及びオレイン酸ソルビタン80から選ばれる1種又は複数種であり)、
前記安定剤は、TPGS、DSPE-PEG及びS40のうちの1種又は複数種であり、選択的に、前記安定剤は、TPGSとS40との組み合わせであり、さらに選択的に、TPGSとS40との等質量混合物であり、
前記第1添加剤は、ホスファチジルセリン、グルタミン酸ナトリウム、及びタウリンのうちの1種又は複数種であり、選択的に、前記第1添加剤は、タウリンとグルタミン酸ナトリウムとの組み合わせであり、さらに選択的に、タウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物であり、
前記第2添加剤は、酸化防止剤と基油とを含み、選択的に、前記第2添加剤は、酸化防止剤と基油との組み合わせであり、さらに選択的に、前記酸化防止剤は、α-トコフェロールであり、かつ前記基油は、コーン油、オリーブ油及び中鎖トリグリセリドの組み合わせ又はそれらの組み合わせであり、よりさらに選択的に、前記基油は、コーン油とオリーブ油との組み合わせであり、よりさらに選択的に、前記基油は、コーン油とオリーブ油との等質量混合物である、という特徴のうちの1つ又は複数を満たす。
【0019】
本願のいくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、質量部として、50~500質量部のEPA-EE原料、10~100質量部の第1乳化剤、0~100質量部の第2乳化剤、0~1.2質量部のα-トコフェロール、0~60質量部の基油、及び水を含む。
【0020】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、質量部として、50~500質量部のEPA-EE原料、10~100質量部の第1乳化剤、0~60質量部の安定剤、0~50質量部の第1添加剤、及び水を含む。
【0021】
本願の第2態様によれば、本願の第1態様に記載のEPA-EEナノ脂質組成物を含むEPA-EEナノ脂質製剤を提供し、さらに、前記EPA-EEナノ脂質製剤は、経口製剤である。
【0022】
本願の第3態様によれば、本願の第2態様に記載のEPA-EEナノ脂質製剤を調製することができるEPA-EEナノ脂質製剤の調製方法を提供する。
【0023】
本願のいくつかの実施形態では、前記調製方法は、
前記EPA-EE原料を含む油相成分を加熱条件下で混合し、油相基質を調製するステップと、
水相成分を水性溶媒に溶解して水相基質を調製するか、又は、水を水相基質とするステップと、
前記油相基質と前記水相基質を混合し、せん断撹拌して水中油型一次エマルジョンを調製するステップと、
前記水中油型一次エマルジョンに対して高圧均質化処理を行って、サブミクロンエマルジョンを調製するステップと、
前記サブミクロンエマルジョンを調製した後、さらに、選択的に、濾過、充填及び滅菌を行うステップと、を含む。
【0024】
本願の第4態様によれば、本願の第1態様に記載のEPA-EEナノ脂質組成物、又は本願の第2態様に記載のEPA-EEナノ脂質製剤、又は本願の第3態様に記載の調製方法により得られた前記EPA-EEナノ脂質製剤の使用を提供し、さらに、前記使用は、心血管疾患を予防及び/又は治療する薬物の調製における使用を含んでもよく、医療用食品、保健食品における使用を含んでもよい。
【0025】
本願のいくつかの好ましい実施形態では、前記心血管疾患は、アテローム性動脈硬化症である。
【0026】
本願の第5態様によれば、被験者に治療有効量の本願の第1態様に記載のEPA-EEナノ脂質組成物を投与するステップ、又は被験者に治療有効量の本願の第3態様に記載のEPA-EEナノ脂質製剤を投与するステップ、又は被験者に治療有効量の本願の3態様に記載の調製方法により得られた前記EPA-EEナノ脂質製剤を投与するステップを含む、心血管疾患を予防又は治療する方法を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本願に係るEPA-EEナノ脂質組成物において、エイコサペンタエン酸-EE(EPA-EE)を主成分とし、EPA-EE、乳化剤及び水を含み、EPA-EEを含有する原料は、高含有量のEPA-EE(例えば、質量パーセント≧60%)を有し、不活性脂肪酸の割合を低下させ、前記組成物は、ナノオーダー(選択的に、平均粒径≦500nm)のサブミクロンエマルジョンに調製され、経口製剤として使用され、長時間のエイコサペンタエン酸の有効な血中薬物濃度を維持し、エイコサペンタエン酸(EPA)の経口吸収及び生物学的利用能を向上させることができる。EPA-EEナノ脂質組成物に使用される乳化剤は、高不飽和度のリン脂質(第1乳化剤とし、選択的に、ヨウ素価≧70である)を含み、良好な動脈プラーク治療効果を達成することができる。EPA-EEナノ脂質組成物に安定剤を導入することにより、高いEPA血中薬物濃度を維持し、薬効を向上させることができる。EPA-EEナノ脂質組成物にリポタンパク質結合促進剤(第1添加剤とする)を導入することにより、エイコサペンタエン酸とリポタンパク質との結合を促進し、リポタンパク質中のエイコサペンタエン酸の含有量を増加させ、血脂を降下させ、動脈プラークを減少させる効果を発揮し、心血管疾患の予防及び/又は治療における使用、特にアテローム性動脈硬化症の予防及び/又は治療における使用を促進することができる。EPA-EEナノ脂質組成物に安定剤及び第1添加剤(リポタンパク質結合促進剤)を同時に添加して、調製された経口ナノ脂質製剤は、相乗効果を実現することができ、高いEPA血中薬物濃度を長時間維持するとともに、リポタンパク質とエイコサペンタエン酸の結合を促進し、アポリポタンパク質中のエイコサペンタエン酸の含有量を高め、体内の飽和脂肪酸代謝を加速し、血脂降下及び動脈プラーク減少の効果を向上させ、高効率な血脂降下及びアテローム性動脈硬化症の予防及び/又は治療に対して重要な意義を有する。上記EPA-EE活性成分、第1乳化剤、安定剤、第1添加剤などの各成分は、互いに配合することにより、動脈プラーク治療効果を共に促進することができる。
【0028】
本願に係るEPA-EEナノ脂質組成物及びその製剤(選択的に、経口製剤)は、医療用食品、保健食品、医薬品などの分野に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本願の実施例における技術的手段をより明確に説明し、本願及びその有益な効果をより完全に理解するために、以下、実施例の説明に使用される必要がある図面を簡単に説明する。
【0030】
【
図1】ラットに異なる製剤を8週間経口投与した後の血液低密度リポタンパク質中のEPA含有量の棒グラフであり、エイコサペンタエン酸の投与量は、400mg/kgである。
【
図2】APOE-/-マウスに異なる製剤群を8週間経口投与した後、プラーク面積が血管面積を占める比率の棒グラフである。
【0031】
図において、n.s.は、P>0.05を示し、「**」は、P<0.01を示し、「***」は、P<0.001を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面、実施形態及び実施例を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。これらの実施形態及び実施例は、本願を説明するためのものに過ぎず、本願の範囲を限定するものではなく、これらの実施形態及び実施例を提供する目的は、本願の開示内容に対する理解をより完全かつ全面的にすることである。さらに、本願は、本明細書に記載されている実施形態及び実施例に限定されるものと解釈されるべきではなく、多くの異なる形態で実現することが可能であり、当業者であれば、本願の趣旨を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができ、これらの均等な形成も本願の保護範囲に含まれることを理解されたい。また、以下の記載においては、多くの詳細が本願の完全な理解を与えるために述べられる。本願は、これらの具体的な詳細の一部又は全てがなくても実施できることを理解されたい。
【0033】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本願が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本願の説明において、本明細書で用いられる用語は、実施形態及び実施例を説明することのみを目的としており、本願を限定することを意図したものではない。
【0034】
用語
本明細書で使用される用語又は表現は、別段の説明又は矛盾がない限り、以下の意味を有する。
【0035】
本明細書で使用される用語「及び/又は」、「又は/及び」、「並びに/若しくは」の選択範囲は、2つ以上の関連する列挙された項目のうちのいずれか1つの項目を含み、関連する列挙された項目の任意かつ全ての組み合わせをさらに含み、前記任意かつ全ての組み合わせは、任意の2つの関連する列挙された項目、任意のより多くの関連する列挙された項目、又は全ての関連する列挙された項目の組み合わせを含む。なお、「及び/又は」、「又は/及び」、「並びに/若しくは」から選択される少なくとも2つの接続詞の組み合わせで少なくとも3つの項目を接続する場合、理解できるように、本願では、当該技術的手段は、いずれも「論理積」で接続される技術的手段を含み、さらに、いずれも「論理和」で接続される技術的手段を含むことは言うまでもない。例えば、「A及び/又はB」は、A、B及び「AとBの組み合わせ」の3つの意味を含む。また例えば、「A及び/又はB及び/又はC及び/又はD」という技術的手段は、A、B、C及びDのうちのいずれか1つ(即ち、全てが「論理和」で接続される技術的手段)を含み、A、B、C及びDの任意かつ全ての組み合わせを含み、即ち、A、B、C及びDのうちのいずれか2つ又は3つの組み合わせを含み、さらに、A、B、C及びDの4つの組み合わせ(即ち、全てが「論理積」で接続される技術的手段)を含む。
【0036】
本願では、「及び/又は」、「又は/及び」、「並びに/若しくは」から選択される少なくとも2つの接続詞の組み合わせで少なくとも3つの項目を接続する場合、「1つ又は複数の特徴を備える」という表現方式に相当し、例えば、「TA、及び/又はTB、及び/又はTC、及び/又はTD」は、「TA、TB、TC、及びTDのうちの1つ又は複数の特徴を備えること」に相当する。
【0037】
本願では、「複数」、「複数種」などは、特に断らない限り、数量が2つ以上であることを指す。例えば、「1種又は複数種」は、1つ又は2つ以上を示す。
【0038】
本願では、他の説明がない限り、「1種又は複数種」は、列挙された項目のうちの任意の1つ又は列挙された項目の任意の組み合わせを示す。同様に、「1つ又は複数」などの他の表現で「1又は複数」を示す場合、他の説明がなければ、同様に理解される。本明細書において使用される「その組み合わせ」、「その任意の組み合わせ」、「その任意の組み合わせ方式」などは、列挙された項目のうちの任意の2つ以上の項目の全ての適切な組み合わせ方式を含む。
【0039】
本明細書において、「適切な組み合わせ方式」、「適切な方式」、「任意の適切な方式」などに記載の「適切」は、本願の技術的手段を実施し、本願の技術的課題を解決し、本願の所望の技術的効果を奏することができることを基準とする。
【0040】
本願において使用される用語「有する」、「含有する」、「備える」及び「含む」は、同義語であり、包括的又はオープンエンドであり、追加の、引用されていないメンバー、要素又は方法ステップを除外しない。
【0041】
本明細書において、「好ましい」、「より好ましい」、「さらに好ましい」、「最も好ましい」、「例えば」、「など」、「例示的」、「例を挙げる」は、より効果的な又はより詳細な実施形態又は実施例を説明するためのものに過ぎず、前後の異なる技術的手段が、その包含範囲において関連付けされていることを意味するが、本願の保護範囲を限定するものではないことを理解されたい。本願では、他に示されない場合、A(Bなど)は、BがAの非限定的な例であることを意味し、AがBに限定されないことを理解されたい。
【0042】
本願では、「さらに」、「よりさらに」、「特に」などは、目的を説明するためのものであり、内容の差異を示すが、本願の保護範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【0043】
本願では、「好ましくは」、「好ましい」、「望ましい」は、存在しても、存在しなくてもよく、つまり「存在する」又は「存在しない」2つの並列案から選択されるいずれかを指す。1つの技術的手段において、特に断らない限り、また、矛盾や相互の制約関係がない限り、「選択的」が複数存在する場合、各「選択的」は、それぞれ独立している。本願では、「好ましくは、...を含有する」、「好ましくは、...を含む」などの記述は、「含有するか又は含有しない」を意味する。「好ましい成分X」は、成分Xの存在の有無を意味する。
【0044】
本願では、「第1態様」、「第2態様」、「第3態様」、「第4態様」、「第1添加剤」、「第2添加剤」などにおいて、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は説明するためにのみ用いられており、相対的な重要性や量を示したり暗示したりするものとして理解されるべきではなく、示された技術的特徴の重要性や量を暗黙的に示すものとして理解されるべきではない。また、「第1」、「第2」、「第3」、及び「第4」などは、非網羅的な列挙説明の目的のみを果たし、数に対するクローズド型限定を構成しないことを理解されたい。
【0045】
本願では、オープン形式で記載された技術的特徴には、列挙された特徴からなるクローズド型技術的手段も、列挙された特徴を含むオープン型技術的手段も含まれる。
【0046】
本願では、数値区間(即ち、数値範囲)について、特に断らない限り、選択可能な数値分布は、上記数値区間内で連続すると見なされ、当該数値範囲の2つの数値端点(即ち、最小値及び最大値)、及び当該2つの数値端点間の各数値を含む。特に明記しない限り、数値区間が当該数値区間内の整数のみを指す場合、当該数値範囲の2つの端点の整数、及び2つの端点の間の各整数を含む。また、特徴や特性を説明する範囲が複数ある場合には、それらを組み合わせてもよい。換言すれば、特に断らない限り、本明細書に開示される範囲は全て、その中に包摂されるありとあらゆるサブ範囲を包含するものと理解されるべきである。
【0047】
本願では、数値又は数値範囲に関する場合、特に説明しない限り、該数値範囲は、2つの端点の合理的な概数をカバーすることを理解すべきであり、当業者であれば、該概数による変動範囲がいずれも指示された数値範囲によってカバーされる区間内に含まれることを理解できる。即ち、本願では、他の説明がない限り、「N1」と「約N1」は、同じ意味を有し、互換的に使用されてもよく、「N1~N2」と「約N1~約N2」は、同じ意味を有し、互換的に使用されてもよく、N1とN2は、等しくない2つの数値であり、本分野で許容される合理的な偏差、機器制御精度などの1つ又は複数の要因により、概数範囲内の概数値も該数値範囲によって指示される範囲内にあるべきである。例えば、「温度が20℃~30℃である」については、「約20℃~約30℃」と理解されてもよく、さらに、端点が「20℃」で、その概数が±1℃であることを例として、「約20℃」で表される概数範囲内の19℃、19.5℃などの概数も20℃~30℃によって指示される範囲内にあるべきである。
【0048】
本願では、概数に関する場合、特に限定されず、変動範囲は、一般的に、±10%であり、さらに±8%、±5%、±3%などを指してもよい。本願における概数は、列挙された数値及び概数で表される数値区間を提供する。例えば、約200nmは、「200nmである」という技術的手段を提供するだけでなく、「200nm±変動範囲」からなる数値区間という技術的手段を提供する。
【0049】
本願における温度パラメータは、特に断らない限り、恒温処理であってもよく、一定の温度区間内で変動してもよい。前記恒温処理は、機器制御の精度範囲内で温度が変動することを許容することを理解されたい。例えば、±5℃、±4℃、±3℃、±2℃、±1℃の範囲での変動が許容される。
【0050】
本願では、用語「室温」は、一般的に4℃~35℃を指し、好ましくは、20℃±5℃を指す。本願のいくつかの実施例では、室温は、20℃~30℃を指す。
【0051】
本願では、%(w/w)とwt%は、いずれも重量パーセントを指す。
【0052】
本願において言及される全ての文献は、各々の文献が個別に参照により組み込まれるのと同じように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本願の発明目的及び/又は技術的手段と矛盾しない限り、本願に係る引用文献は、その全体が、かつ全ての目的で本明細書に組み込まれる。本願では、引用文献に関する場合、関連する技術的特徴、用語、名詞、フレーズなどの引用文献における定義も併せて組み込まれる。本願では、引用文献に関する場合、組み込まれる関連する技術的特徴の例、好ましい実施形態も参照として本願に組み込まれてもよいが、本願を実施できるものに限定される。引用内容が本願の説明と矛盾する場合、本願を基準として、又は本願の説明に従って、適応的に修正することを理解されたい。
【0053】
本願に係る関連成分の質量又は重量は、各成分の具体的な含有量を指すだけでなく、各成分間の質量又は重量の比例関係を表すことができるため、本願における関連成分の含有量に応じて比例的に拡大又は縮小すれば、本願で提供される範囲内にある。具体的には、本願に記載の質量又は重量は、μg、mg、g、kgなどの化学工業の分野で公知の単位であってもよい。
【0054】
本願では、方法フローにおける複数のステップに関する場合、本明細書において明確に異なる説明がない限り、これらのステップの実行は、厳格に順に行われるものではなく、説明以外の他の順序で実行されてもよい。また、いずれかのステップは、複数のサブステップ又は複数の段階を含んでもよく、これらのサブステップ又は段階は、必ずしも同じタイミングで実行されて完了するわけではなく、異なるタイミングで実行されてもよく、その実行順序も、必ず順に行われるわけではなく、他のステップ又は他のステップにおけるサブステップ又は段階の一部に対して、順番に又は交替に又は同時に実行されてもよい。
【0055】
本明細書における略語について、特に限定しない限り、PUFAが多価不飽和脂肪酸を意味し、Omega-3 PUFAがOmega-3多価不飽和脂肪酸を意味し、EPAがエイコサペンタエン酸を意味し、DHAがドコサヘキサエン酸を意味し、PCがホスファチジルコリンを意味する。
【0056】
本願では、リン脂質の不飽和度を表すには、主にヨウ素価を用い、特に限定しない限り、平均ヨウ素価を指す。
【0057】
本願において使用される「高度不飽和リン脂質」は、特に限定しない限り、ヨウ素価≧70のリン脂質であり、より高いヨウ素価のリン脂質、例えば、ヨウ素価≧90のリン脂質であってもよい。
【0058】
本願では、「サブミクロンエマルジョン」とは、液滴の平均粒径が100nm~1000nmの範囲内にあるエマルジョンを指す。いくつかの好ましい実施形態では、本明細書におけるサブミクロンエマルジョンのいずれかの平均粒径は、独立して500nm以下である。
【0059】
本願では、分子量は、特に限定しない限り、平均分子量を指し、数平均分子量であってもよく、重量平均分子量であってもよく、特に限定しない限り、重量平均分子量を指す。
【0060】
本願では、「オリゴペプチド」とは、1000ダルトン以下の、2~3個のアミノ酸単位を有するペプチドを指す。
【0061】
本願において使用される「中鎖脂肪酸トリグリセリド」は、「中鎖トリグリセリド」とも呼ばれ、英語の正式名称がmedium chain triglyceridesであり、MCTと略称される。中鎖とは、それらの脂肪分子の鎖が中くらい長さであることを指す(即ち、6個、8個又は12個の炭素原子を含む)。食品安全国家規格において、中鎖トリグリセリドは、食品原料又は乳化剤として使用できる。
【0062】
本願では、安定剤における「長鎖基」は、ビタミン脂質高分子誘導体、リン脂質高分子誘導体、脂肪酸エステル高分子誘導体について、好ましくは、ポリエチレングリコールセグメントを指す。
【0063】
本願では、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(POE)は、同じ意味を有し、互換的に使用されてもよい。PEGの分子量は、特に限定しない限り、平均分子量を指し、数平均分子量であってもよく、重量平均分子量であってもよく、特に限定されない限り、重量平均分子量を指す。
【0064】
本願では、特に限定しない限り、「以上」、「以下」は、それぞれ独立して、本数を含む。
【0065】
本願では、「≧」と「以上」は、同じ意味を有し、互換的に使用されてもよく、いずれも以上を示す。「≦」と「以下」は、同じ意味を有し、互換的に使用されてもよく、いずれも以下を示す。
【0066】
本願の第1態様
本願の第1態様によれば、生物学的利用能を向上させるとともに、有効な血中薬物濃度の維持時間を延長することができるEPA-EEナノ脂質組成物を提供する。EPA-EEナノ脂質組成物は、EPA-EEの含有量が高い原料を主成分とし、ナノオーダー(好ましくは、平均粒径≦500nm)のサブミクロンエマルジョンを調製して経口製剤として使用することができ、長時間のEPAの有効な血中薬物濃度を維持し、EPAの経口吸収及び生物学的利用能を向上させることができる。
【0067】
本願の第1態様のいくつかの実施形態によれば、エイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA-EE)ナノ脂質組成物であって、質量部として、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、1~30部のEPA-EE原料、0.1~10部の第1乳化剤、0~10部の第2乳化剤、0~5部の安定剤、0~5部の第1添加剤及び0~15部の第2添加剤を含み、
さらに、
前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量は、≧60%であり、
前記第1乳化剤は、ヨウ素価≧70の高度不飽和リン脂質であり、
前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は、≧50%であり、
前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なる成分からなり、前記第2乳化剤は、食品に許容される原料・添加剤及び薬学的に許容される原料・添加剤から選ばれる1種又は複数種であり、
前記安定剤は、非イオン性高分子ポリマーであり、
前記第1添加剤は、EPAとリポタンパク質との結合を促進する添加剤であり、
前記第2添加剤は、食品に許容される原料・添加剤及び薬学的に許容される原料・添加剤のうちの1種又は複数種であり、前記第1乳化剤、第2乳化剤、前記安定剤及び前記第1添加剤と異なり、
さらに、前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量は、900~1100質量部であってもよく、さらに好ましくは、1000質量部であってもよい、エイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA-EE)ナノ脂質組成物を提供する。
【0068】
本願では、他の説明がない限り、「1質量部」の具体的な重量は、特に限定されず、1g、0.5g、1mg、0.5mg、1μgなどの任意の適切な値であってもよい。
【0069】
本願のいくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、水をさらに含み、
好ましくは、質量部として、前記EPA-EEナノ脂質組成物中の水の質量部は、≧65部であり、さらに好ましくは、前記EPA-EEナノ脂質組成物中の水の質量部は、65~89.8部であり、よりさらに好ましくは、前記EPA-EEナノ脂質組成物中の水の質量部は、65~80部であり、よりさらに好ましくは、前記EPA-EEナノ脂質組成物中の水の質量部は、65~75部であり、
好ましくは、前記EPA-EEナノ脂質組成物の総質量部は、100部である。
【0070】
本願の第1態様のいくつかの実施形態によれば、前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数とし、それぞれ以下の重量パーセントとして、
EPA-EE原料 1%~30%(w/w)、
第1乳化剤 0.1%~10%(w/w)、
第2乳化剤 0%~10%(w/w)、
安定剤 0~5%(w/w)、
第1添加剤 0~5%(w/w)、
第2添加剤 0~15%(w/w)、及び
水を含む、EPA-EEナノ脂質組成物を提供する。
【0071】
さらに、前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量は、≧60%であり、
前記第1乳化剤は、ヨウ素価≧70の高度不飽和リン脂質であり、
前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は、≧50%であり、
前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なる成分からなり、前記第2乳化剤は、食品に許容される原料・添加剤及び薬学的に許容される原料・添加剤から選ばれる1種又は複数種であり、前記安定剤は、非イオン性高分子ポリマーであり、乳剤の安定性を維持し、EPA血液濃度を効果的に延長することができ、
前記第1添加剤は、EPAとリポタンパク質との結合を促進する添加剤であり、
前記第2添加剤は、食品に許容される原料・添加剤及び薬学的に許容される原料・添加剤のうちの1種又は複数種であり、前記第1乳化剤、第2乳化剤、前記安定剤及び前記第1添加剤と異なる。
【0072】
EPA-EEナノ脂質組成物中の水は、適量の水であり、好ましくは、EPA-EEナノ脂質組成物中の水の最小重量パーセントは、65%(w/w)であるが、各成分の重量パーセントの合計は、100%以下であることを理解されたい。
【0073】
いくつかの実施形態では、EPA-EE原料、第1乳化剤、第2乳化剤、安定剤、第1添加剤、第2添加剤及び水の合計重量パーセントは、100%以下であり、好ましくは、100%である。
【0074】
本願のいくつかの実施例では、重量パーセントとして、EPA-EEナノ脂質組成物は、1%~30%(w/w)のEPA-EE原料、0.1%~10%(w/w)の高度不飽和リン脂質(第1乳化剤とする)、0%~10%(w/w)の他の乳化剤(第2乳化剤とする)、0~10%のEPAとリポタンパク質との結合を促進する添加剤(第1添加剤とする)、0~40%の他の食品に許容される及び/又は薬学的に許容される原料・添加剤(第2添加剤とする)及び適量の水を含み、EPA-EEは、高含有量の活性EPA-EEを提供し、第1乳化剤は、高ヨウ素価の不飽和リン脂質を提供し、安定剤は、ナノ脂質組成物系の安定性を向上させ、第1添加剤は、EPAのリポタンパク質結合促進剤を提供し、様々な成分が互いに配合して、エイコサペンタエン酸(EPA)の経口吸収及び生物学的利用能を向上させる。第2添加剤は、食品に許容される他の原料・添加剤及び薬学的に許容される他の原料・添加剤のうちの1種又は複数種である。
【0075】
本願に係るEPA-EEナノ脂質組成物は、EPA-EE、乳化剤、及び水を含み、EPA-EE原料によって高含有量のEPA-EE(例えば、EPA-EE原料の質量パーセント≧60%)を提供し、EPA-EEナノ脂質組成物は、ナノオーダー(好ましくは、平均粒径≦500nm)のサブミクロンエマルジョンに調製され、経口製剤として使用され、長時間のエイコサペンタエン酸の有効な血中薬物濃度を維持し、エイコサペンタエン酸(EPA)の経口吸収及び生物学的利用能を向上させることができる。
【0076】
発明者らは、大量の探索及び研究により、EPAが心血管疾患治療を発揮する重要な活性脂肪酸であり、エイコサペンタエン酸と低密度リポタンパク質との結合が、酸化型低リポタンパク質の形成を阻止することに寄与し、EPAが血脂降下効果を発揮する重要なポイントであることを発見した。また、EPAを活性成分とするEPA製剤は、高いEPA血中薬物濃度(又は暴露量とも呼ばれる)を提供し、かつ相対的に長い暴露時間を維持することで、エイコサペンタエン酸と低密度リポタンパク質との良好な結合を実現することができ、酸化型低密度リポタンパク質の顕著な低減は、アテローム性動脈硬化症部位の炎症反応及び内皮細胞損傷の緩和に有利であり、アテローム性動脈硬化症に対する治療作用を実現し、促進する。
【0077】
上記EPA-EEナノ脂質組成物において、第1乳化剤は、製剤の乳化を実現するために用いられる。また、リン脂質の不飽和度も薬効に影響を与え、不飽和度の高いリン脂質は、アテローム性動脈硬化症の治療により有効であり、ヨウ素価が70以上のリン脂質は、心血管の健康に寄与する。本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質中の乳化剤成分は、第1乳化剤(高度不飽和リン脂質)に加えて、他の乳化剤(第2乳化剤とする)をさらに含んでもよく、乳化を柔軟に制御する役割を果たす。第2乳化剤の含有量は、0であってもよい(即ち、第2乳化剤を含有しない)。
【0078】
上記EPA-EEナノ脂質組成物において、安定剤の含有量は、0であってもよい(即ち、安定剤を含有しない)。安定剤の含有量が0でない場合、EPA-EEナノ脂質組成物に安定剤(EPA安定剤とも呼ばれる)を導入することにより、高いEPA血中薬物濃度を維持し、薬効を向上させることができる。
【0079】
上記EPA-EEナノ脂質組成物において、第1添加剤(リポタンパク質結合促進剤とも呼ばれる)の含有量は、0であってもよい(即ち、第1添加剤を含有しない)。第1添加剤の含有量が0でない場合、EPA-EEナノ脂質組成物にリポタンパク質結合促進剤を導入することにより、エイコサペンタエン酸とリポタンパク質との結合を促進し、リポタンパク質中のエイコサペンタエン酸の含有量を増加させ、血脂を降下させ、動脈プラークを減少させる効果を発揮し、心血管疾患の予防及び/又は治療における使用、特にアテローム性動脈硬化症の予防及び/又は治療における使用を促進することができる。
【0080】
本願では、他に説明しない限り、「予防及び/又は治療」とは、「予防」、「治療」及び「予防及び治療」のうちの少なくとも1種を示す。「予防及び治療」とは、予防可能かつ治療可能であることを示す。
【0081】
上記EPA-EEナノ脂質組成物において、安定剤及び第1添加剤の含有量がいずれも0ではない場合、即ち、安定剤及び第1添加剤を同時に含有する場合、EPA-EEナノ脂質組成物から調製された経口ナノ脂質製剤は、相乗効果を実現することができ、高いEPA血中薬物濃度を長時間維持するとともに、リポタンパク質とエイコサペンタエン酸の結合を促進し、アポリポタンパク質中のエイコサペンタエン酸の含有量を高め、体内の飽和脂肪酸代謝を加速し、血脂降下及び動脈プラーク減少の効果を向上させ、高効率な血脂降下及びアテローム性動脈硬化症の予防及び/又は治療に対して重要な意義を有する。
【0082】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、安定剤及び/又は第1添加剤を含む。即ち、EPA-EEナノ脂質組成物は、安定剤、第1添加剤のうちの少なくとも1種を含む。
【0083】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、EPA-EE原料、第1乳化剤、好ましい第2乳化剤、水、安定剤、好ましい第1添加剤、及び好ましい第2添加剤を含む。
【0084】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、EPA-EE原料、第1乳化剤、好ましい第2乳化剤、水、好ましい安定剤、第1添加剤、及び好ましい第2添加剤を含む。
【0085】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、EPA-EE原料、第1乳化剤、好ましい第2乳化剤、水、安定剤、第1添加剤、及び好ましい第2添加剤を含む。
【0086】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、EPA-EE原料、第1乳化剤、好ましい第2乳化剤、水、安定剤、第1添加剤及び第2添加剤を含む。
【0087】
EPA-EE原料
本願では、EPA-EEナノ脂質組成物は、EPA-EE原料を含有する。本願のいくつかの実施例では、重量パーセントとして、EPA-EEナノ脂質組成物中のEPA-EE原料の含有量は、1%~30%であり、さらに4%~20%であってもよく、非限定的には、例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%などのうちのいずれか1つのパーセント又はいずれか2つのパーセントからなるパーセント区間が挙げられ、パーセント区間としては、例えば、15%~30%が挙げられる。
【0088】
本願のEPA-EE原料は、高含有量のEPAを提供することができる。本願では、EPA-EE原料中のEPA-EEの質量比率(即ち、純度)は、好ましくは、≧60%であってもよく、さらに好ましくは、≧70%であってもよい。EPA-EE原料中のEPA-EEの含有量が低い(例えば、<40%)場合、投与後、治療に必要な活物質曝露量に達することができない。本願の組成物は、高濃度のEPA-EEを担持することができ、製剤化に必要なEPA投与量を満たすことができる。
【0089】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EE原料は、深海魚油、海藻油、オキアミ油などから選ばれる1種又は複数種の油に由来する。
【0090】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EE原料は、深海魚油、海藻油、オキアミ油などから選ばれる1種又は複数種の油のエチルエステル化生成物である。EPA-EEが深海魚油に由来することを例として、本願のいくつかの実施形態では、EPA-EE原料は、深海魚油に対してエチルエステル化処理(EE化処理)を行うことによって得られる。魚油中のエイコサペンタエン酸は、主にトリグリセリドの形で存在する。深海魚油を濃縮、加水分解、分離することで、エイコサペンタエン酸を得てから、エタノール、濃硫酸と反応させて予備エステル化を行い、さらに、エステル交換反応によってエイコサペンタエン酸グリセリドに対するEE化を実現でき、分離してエイコサペンタエン酸-EE(EPA-EE)を含有する原料、即ち、本願のEPA-EE原料を得ることができる。得られた原料において、質量パーセントとして、エイコサペンタエン酸-EEの純度は、好ましくは≧60%であってもよく、より好ましくは、>60%であってもよい。いくつかの好ましい実施形態では、得られた原料中のエイコサペンタエン酸-EEの純度は、≧70%であり、より好ましくは、>70%である。
【0091】
いくつかの非限定的な実施例では、EPA-EE原料中のEPA-EEの質量比率としては、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、95%、97%などのうちのいずれか1つのパーセント又はいずれか2つのパーセントからなるパーセント区間が挙げられる。
【0092】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EE原料は、KinOmega社の6015 EE EPA60%+DHA12%、KinOmega 7010 EE EPA70%+DHA8%、K85EE Omega-3-酸-EE(EPA EE 86227-47-6)、Maxomega EPA 97 EEなどのタイプのうちの任意の製品又は任意の組み合わせから選ばれる。
【0093】
乳化剤
本願では、EPA-EEナノ脂質組成物は、乳化剤を含み、該組成物を乳剤に調製することができ、経口乳剤が好ましい。本願のEPA-EEナノ脂質組成物は、特別なナノ脂質処方で高濃度のエイコサペンタエン酸-EEを担持し、経口投与後に体内で効率的な血脂降下及びアテローム性動脈硬化症治療に必要なエイコサペンタエン酸投与量を満たすことができる。
【0094】
本願のいくつかの実施例では、重量パーセントとして、EPA-EEナノ脂質組成物中の乳化剤の含有量は、0.1%~20%であり、さらに、0.1%~10%であってもよく、よりさらに、0.5%~5%であってもよく、非限定的には、例えば、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、2%などのうちのいずれか1つのパーセント又はいずれか2つのパーセントからなるパーセント区間が挙げられ、パーセント区間としては、例えば、0.5%~10%、1%~20%、1%~15%、2%~15%、1%~12%、2%~12%などが挙げられる。
【0095】
高度不飽和リン脂質(第1乳化剤)
本願のEPA-EEナノ脂質組成物は、ヨウ素価≧70のリン脂質である高度不飽和リン脂質を第1乳化剤として含有する。いくつかの実施形態では、第1乳化剤は、2種以上のリン脂質の混合物であってもよく、この場合、いずれかのリン脂質成分のヨウ素価も≧70を満たし、さらに、≧80であってもよく、よりさらに、≧90であり、よりさらに、≧100である。本願のいくつかの実施例では、高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、70、71、72、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、92、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、105、106、108、110、112、113などのうちのいずれか1種のヨウ素価であり、上記いずれか2種のヨウ素価からなる区間であってもよく、例えば、85~113、85~110、85~105、85~102、85~100、85~95、90~113、90~110、90~105、90~102、90~100、94~97、95~113、95~110、95~105などであり、上記いずれか1種のヨウ素価又はいずれかの範囲の端点のヨウ素価は、±1、±2などの任意の適切な変動範囲を有してもよい。ヨウ素価が80より大きい場合、動脈プラークに対する治療効果が高い。
【0096】
本願のいくつかの実施形態では、第1乳化剤(高度不飽和リン脂質)は、大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質、ポリエンホスファチジルコリンなどから選ばれる1種又は複数種である。
【0097】
本願のいくつかの実施例では、第1乳化剤のリン脂質成分において(高度不飽和リン脂質において)、ホスファチジルコリンの質量比率は、≧50%であり、さらに、≧60%であってもよく、よりさらに、≧70%であってもよい。
【0098】
いくつかの非限定的な実施例では、第1乳化剤(高度不飽和リン脂質)中のホスファチジルコリンの質量含有量は、例えば、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、80%、85%、90%、95%、98%などのうちのいずれか1つのパーセント又はいずれか2つのパーセントからなるパーセント区間が挙げられる。
【0099】
発明者らは、さらに、ホスファチジルコリンの不飽和度も薬効に影響を与え、不飽和度の高いPCがアテローム性動脈硬化症の治療により有効であることを見出した。同様に、ホスファチジルコリンの不飽和度は、ヨウ素価で表すことができ、ヨウ素価が高いほど不飽和度が高いことを示す。ヨウ素価が80より大きい場合、動脈プラークに対する治療効果が高い。いくつかの実施形態では、ホスファチジルコリンのヨウ素価は、≧80であり、さらに、≧90であってもよく、よりさらに、≧100であってもよい。本願のいくつかの実施例では、ホスファチジルコリンのヨウ素価は、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、92、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、105、106、108、110、112、113などのうちのいずれか1種のヨウ素価であり、上記いずれか2種のヨウ素価からなる区間であってもよく、例えば、85~113、85~110、85~105、85~102、85~100、85~95、90~113、90~110、90~105、90~102、90~100、94~97、95~113、95~110、95~105などであり、上記いずれか1種のヨウ素価又はいずれかの範囲の端点のヨウ素価は、±1、±2などの任意の適切な変動範囲を有してもよい。本願のいくつかの実施例では、リン脂質中のホスファチジルコリン(PC)の含有量は、50%以上であり、ヨウ素価は、80より大きく、この場合、動脈プラークに対する治療効果が高い。本願のいくつかの好ましい実施例では、ホスファチジルコリンは、大豆リン脂質S75、S100、ヒマワリ種子リン脂質H100、ポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種である。
【0100】
いくつかの実施例では、高度不飽和リン脂質中のホスファチジルコリンの質量比率は、≧50%であり、ホスファチジルコリンのヨウ素価は、≧80である。
【0101】
いくつかの実施例では、第1乳化剤(高度不飽和リン脂質)のヨウ素価は、≧80であり、(さらに好ましくは)、高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリン(PC)の質量比率は、≧50%であり、この場合、動脈プラークに対する治療効果が高い。
【0102】
いくつかの実施例では、第1乳化剤は、ヨウ素価が90より大きく、かつ大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質及びポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種である。
【0103】
本願におけるいずれかのリン脂質成分は、独立したリン脂質分子であってもよく、リン脂質分子の誘導体又は修飾されたリン脂質であってもよい。
【0104】
EPA-EEナノ脂質組成物中のリン脂質成分は、第1乳化剤に限らず、第2乳化剤によって提供されてもよい。ただし、第2乳化剤が提供するリン脂質成分は、ヨウ素価≧70のリン脂質ではない。第2乳化剤中のリン脂質成分は、上記修飾されたリン脂質であってもよい。
【0105】
第1乳化剤は、EPA-EEナノ脂質組成物において、他の機能を同時に発揮することもでき、例えば、同時に第1添加剤としてもよく、例えば、高度不飽和リン脂質で修飾された肝標的分子であってもよく、PEGで修飾された高度不飽和リン脂質であってもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物の全てのリン脂質成分において、ヨウ素価≧70のリン脂質の質量比率は、90%より大きい。
【0107】
いくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物の全てのリン脂質成分において、ヨウ素価≧90のリン脂質の質量比率は、90%より大きい。
【0108】
本願のいくつかの好ましい実施例では、第1乳化剤は、大豆リン脂質S75、S100、ヒマワリ種子リン脂質H100、ポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種である。
【0109】
本願のいくつかの実施例では、重量パーセントとして、EPA-EEナノ脂質中の第1乳化剤の含有量は、1%~10%であり、さらに、5%~10%であってもよく、非限定的には、例えば、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.2%、2.4%、2.5%、2.6%、2.8%、3%、3.5%、4%、4.2%、4.5%、4.6%、4.8%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%などのうちのいずれか1つのパーセント又はいずれか2つのパーセントからなるパーセント区間が挙げられる。パーセント区間としては、1%~5%、5%~10%などが挙げられる。
【0110】
第1乳化剤の種類特徴及び含有量特徴は、適切な方式で組み合わせることができ、本明細書に具体的に挙げられた組み合わせを含むが、これに限定されず、ここで、以下の実施例に示す組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0111】
第2乳化剤
本願における第2乳化剤には、第1乳化剤と同じ成分が含まれない。即ち、第2乳化剤は、第1乳化剤とは異なる成分からなる。
【0112】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物中の乳化剤成分は、第1乳化剤に加えて、他の乳化剤(第2乳化剤とする)をさらに含んでもよく、乳化を柔軟に制御する役割を果たす。本願のいくつかの実施形態では、第2乳化剤は、他のリン脂質(第1乳化剤中のリン脂質と異なる卵黄リン脂質など)、ショ糖エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、リノール酸モノグリセリド、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート、脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、スパン、アルギン酸塩、オレイン酸ナトリウム及びカゼイネートから選ばれる1種又は複数種である。本願のいくつかの実施形態では、第2乳化剤は、他のリン脂質(第1乳化剤中のリン脂質と異なる卵黄リン脂質など)、ショ糖エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリソルベート、脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、スパン、アルギン酸塩及びカゼイネートから選ばれる1種又は複数種である。
【0113】
本願のいくつかの実施例では、重量パーセントとして、EPA-EEナノ脂質中の第2乳化剤の含有量は、0%~10%であり、さらに、0%~5%であってもよく、非限定的には、例えば、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.2%、2.4%、2.5%、2.6%、2.8%、3%、3.5%、4%、4.2%、4.5%、4.6%、4.8%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%などのうちのいずれか1つのパーセント又はいずれか2つのパーセントからなるパーセント区間が挙げられる。パーセント区間としては、1%~2%、2%~10%、1%~5%、5%~10%などが挙げられる。
【0114】
いくつかの実施形態では、第2乳化剤は、高度不飽和リン脂質を含まない乳化剤である。
【0115】
いくつかの実施形態では、第2乳化剤は、リン脂質成分を含むが、これらのリン脂質成分は、第1乳化剤と異なり、即ち、高度不飽和リン脂質ではない。
【0116】
いくつかの実施例では、第2乳化剤は、リン脂質成分を含むが、いずれも飽和リン脂質である。
【0117】
いくつかの実施例では、第2乳化剤は、ホスファチジルコリン成分を含まない。
【0118】
いくつかの実施例では、第2乳化剤は、リン脂質成分を含まない。
【0119】
本願のいくつかの好ましい実施例では、第2乳化剤は、卵黄レシチンE80、リノール酸モノグリセリド、ポリソルベート80、オレイン酸ソルビタン80、及びオレイン酸ナトリウムから選ばれる1種又は複数種である。さらに、第2乳化剤は、卵黄レシチンE80、ポリソルベート80及びオレイン酸ソルビタン80から選ばれる1種又は複数種であってもよい。
【0120】
第2乳化剤の種類特徴及び含有量特徴は、適切な方式で組み合わせることができ、本明細書に具体的に挙げられた組み合わせを含むが、これに限定されず、ここで、以下の実施例に示す組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0121】
安定剤
本願では、EPA-EEナノ脂質組成物は、好ましくは、EPAを安定化することができ、EPAの血中薬物濃度を維持する作用を有する安定剤を含むため、EPA安定剤とも呼ばれる。経口製剤を例にとると、経口吸収後、該安定剤は、エイコサペンタエン酸とともに乳びの構成成分となる。本願において使用される安定剤は、乳び表面に水和膜を形成し、オプソニンと作用する疎水性結合部位を隠すことができ、安定剤中の長鎖基(高分子鎖)は、乳び表面に立体障害を形成し、網状内皮系の認識及び貪食を効果的に回避することができる。したがって、調製されたナノ脂質製剤は、エイコサペンタエン酸を含有する血液の循環時間を延長し、血液中の有効な薬物濃度を維持し、EPAの血脂降下作用を長時間発揮する効果を果たすことにより、アテローム性動脈硬化症プラークに対する顕著な治療作用を実現することができ、一般的なEPA製剤は、アテローム性動脈硬化症プラークに対する治療効果が低い。
【0122】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、該安定剤を含まない。
【0123】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、安定剤を含み、該安定剤は、非イオン性高分子ポリマーであり、さらに、安定剤は、両親媒性の非イオン性高分子ポリマーである。
【0124】
本願のいくつかの実施形態では、安定剤は、ビタミン脂質高分子誘導体、リン脂質高分子誘導体、脂肪酸エステル高分子誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーなどから選ばれる1種又は複数種であり、いずれも前述のEPAを安定化する作用を実現することができる。
【0125】
PEG単位が安定剤に末端基を提供する場合、PEG単位が提供する末端基は、OH又はメトキシであってもよい。末端基がメトキシである場合、mPEGとすることができる。
【0126】
本願のいくつかの実施例では、非イオン性高分子ポリマーは、ポリエチレングリコール誘導体であり、さらに両親媒性のポリエチレングリコール誘導体であり、その中のPEG単位の分子量は、主に安定作用、製剤粒径、薬物放出などの様々な要因を総合的に考慮する。本願のいくつかの実施形態では、非イオン性高分子ポリマーは、ビタミン脂質高分子誘導体、リン脂質高分子誘導体、脂肪酸エステル高分子誘導体などから選ばれる1種又は複数種であり、さらに、その中のPEG単位の分子量は、200Da~6000Daであり、さらに、400Da~6000Daであってもよく、非限定的に、例えば、平均分子量としては、約200Da、300Da、400Da、500Da、600Da、700Da、800Da、1000Da、1200Da、1300Da、1400Da、1500Da、1600Da、1800Da、2000Da、2200Da、2400Da、2500Da、2600Da、2800Da、3000Da、3200Da、3300Da、3400Da、3500Da、4000Da、4200Da、4400Da、4500Da、5000Da、5500Da、6000Daなどが挙げられる。「約」は、一定の幅内、例えば±10%で変化してもよいことを意味し、約1000を例とすると、1000±10%であってもよい(数値としては、900~1100に等しい)。2000、200、400、600、4000、6000などの数字は、PEGブロックの分子量を表し、数平均分子量又は重量平均分子量であってもよい。
【0127】
本願のいくつかの実施形態では、ビタミン脂質高分子誘導体中のビタミン単位は、独立して、ビタミンEであることが好ましい。本願のいくつかの実施形態では、ビタミン脂質高分子誘導体は、ビタミン脂質ポリエチレングリコール誘導体である。本願のいくつかの実施形態では、ビタミン脂質高分子誘導体は、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(即ち、ビタミンEコハク酸ポリエチレングリコールエステル)である。本願のいくつかの実施形態では、ビタミン脂質高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、200Da~4000Daである。いくつかの実施例では、ビタミン脂質高分子誘導体の非限定的な例として、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール200スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール400スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1500スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール2000スクシネート及びd-α-トコフェロールポリエチレングリコール4000スクシネートなどが挙げられる。
【0128】
本願では、「ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート」と「ビタミンEコハク酸ポリエチレングリコールエステル」は、同じ意味を有し、互換的に使用されてもよい。
【0129】
本願のいくつかの実施形態では、リン脂質高分子誘導体は、ポリエチレングリコールで修飾された合成リン脂質である。さらに、リン脂質高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、400Da~6000Daであってもよく、例えば、400Da、500Da、600Da、700Da、800Da、900Da、1000Da、1500Da、2000Da、2500Da、3000Da、3500Da、4000Da、5000Da、6000Daなどが挙げられる。
【0130】
本願のいくつかの実施形態では、リン脂質高分子誘導体中のリン脂質単位は、独立して、ホスファチジルエタノールアミン単位を含むことが好ましい。
【0131】
本願のいくつかの実施形態では、リン脂質高分子誘導体は、ホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール(PE-PEG、好ましくは、C12-20脂肪酸アシル基(例えば、ステアロイル基)を含んでもよい)、さらに好ましくは、C12-20脂肪酸アシルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール)から選ばれる。本願のいくつかの実施形態では、リン脂質高分子誘導体は、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール(DSPE-PEG)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン-メトキシポリエチレングリコール(DPPE-mPEG)、大豆ホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、1,2-ジミリストイル-rac-グリセリル-3-メトキシポリエチレングリコール、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールから選ばれる1種又は複数種である。本願のいくつかの実施形態では、リン脂質高分子誘導体は、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール2000、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール5000、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン-メトキシポリエチレングリコール2000、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン-メトキシポリエチレングリコール5000、大豆ホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールモノメチルエーテル2000、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール2000、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール2000及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールから選ばれる1種又は複数種である。
【0132】
いくつかの実施例では、リン脂質高分子誘導体中のPEG単位は、末端基を提供し、かつ該末端基は、OH又はメトキシである。いくつかの実施形態では、脂肪酸エステル高分子誘導体中の脂肪酸エステル単位は、好ましくは、独立して、C12-20(12~20個、例えば、12、14、16、18、20個の炭素原子を有する)脂肪酸エステル単位であってもよく、いずれかの脂肪酸エステル単位中の1分子において、独立して、脂肪酸鎖の数は、1つ、2つ又はそれ以上であってもよく、エステルのタイプなどの要素に関連する。いくつかの実施形態では、脂肪酸エステル高分子誘導体のPEG単位は、末端基を提供し、かつ該末端基は、OH又はメトキシである。
【0133】
本願のいくつかの実施形態では、脂肪酸エステル高分子誘導体は、ポリエチレングリコールで修飾された脂肪酸エステルである。さらに、脂肪酸エステル高分子誘導体のPEG単位の分子量は、200Da~4000Daであってもよく、例えば、200Da、300Da、400Da、500Da、600Da、700Da、800Da、900Da、1000Da、1500Da、2000Da、2500Da、3000Da、3500Da、4000Daなどが挙げられる。
【0134】
本願のいくつかの実施形態では、脂肪酸エステル高分子誘導体は、ポリエチレングリコール-C12-20脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール-ビスC12-20脂肪酸エステルなどから選ばれる1種又は複数種である。本願のいくつかの実施形態では、脂肪酸エステル高分子誘導体は、ポリエチレングリコール400オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール600オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール4000オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール6000オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール400ビスオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール600ビスオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール200ラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール200ビスラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ビスラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ステアリン酸エステル及びポリエチレングリコール400ビスステアリン酸エステルなどから選ばれる1種又は複数種である。
【0135】
本願のいくつかの実施例では、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーは、ジブロックコポリマーである。本願のいくつかの実施例では、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーの平均分子量は、3000Da~10000Daであり、例えば、3500Da、8350Daなどが挙げられる。本願のいくつかの実施形態では、ポリオキシエチレンブロックの質量含有量は、50%~80%である。本願のいくつかの実施形態では、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーは、ポロキサマーであり、市販されており、さらに、ポロキサマーは、Pluronic L65(ポリオキシエチレン含有量50%、平均分子量3500Da)、Pluronic F68(ポリオキシエチレン含有量80%、平均分子量8350Da)などであってもよい。本願のいくつかの実施形態では、安定剤は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーを含む。本願のいくつかの実施形態では、安定剤は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーである。
【0136】
いくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、PEGで修飾された脂質組成物であり、さらに、EPA-EEナノ脂質組成物中のPEGで修飾された原料の重量パーセントは、0.01%~10%であってもよく、例えば、0.05%、0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%などが挙げられる。
【0137】
本願のいくつかの実施例では、EPA-EEナノ脂質組成物中の安定剤の重量パーセントは、0~5%(w/w)であり、さらに、0%~5%(w/w)であってもよく、よりさらに、0.1%~3%(w/w)であってもよく、例えば、0%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.2%、2.4%、2.5%、2.6%、2.8%、3%、3.5%、4%、4.2%、4.5%、4.6%、4.8%、5%などのうちのいずれか1つのパーセント又はいずれか2つのパーセントからなるパーセント区間が挙げられ、パーセント区間は、例えば、0%~5%(w/w)が挙げられる。
【0138】
本願のいくつかの実施例では、安定剤は、TPGS、DSPE-PEG及びS40のうちの1種又は複数種である。いくつかの実施例では、安定剤は、TPGSとS40との組み合わせであり、さらに、両者の等質量混合物であってもよい。
【0139】
安定剤の種類特徴及び含有量特徴は、適切な方式で組み合わせることができ、本明細書に具体的に挙げられた組み合わせを含むが、これに限定されず、ここで、以下の実施例に示す組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0140】
第1添加剤
本願では、EPA-EEナノ脂質組成物は、好ましくは、第1添加剤とも呼ばれるリポタンパク質結合促進剤を含む。第1添加剤は、EPAのリポタンパク質への結合を促進し、競合的にリポタンパク質に結合する添加剤である。第1添加剤は、リポタンパク質の両親媒性螺旋の極性非極性界面における正電荷を持つ残基と相互作用し、その中のエイコサペンタエン酸と低密度リポタンパク質との結合を促進することができる。本願では、リポタンパク質中のエイコサペンタエン酸含有量を増加させ、リポタンパク質中の飽和脂肪酸含有量を減少させることは、いずれも酸化型リポタンパク質の形成を減少させ、飽和脂肪酸の血管内壁への堆積を減少させ、内皮細胞の損傷を改善し、アテローム性動脈硬化症の治療効果を向上させることに寄与する。
【0141】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、該第1添加剤を含まない。
【0142】
本願のいくつかの実施形態では、第1添加剤は、負荷電側鎖を有するアミノ酸、負荷電を有するアミノ酸誘導体、及び負荷電側鎖を有するオリゴペプチドなどから選ばれる1種又は複数種に由来する。いくつかの実施例では、負荷電側鎖を有するアミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリンなどから選ばれる1種又は複数種である。いくつかの実施例では、負荷電側鎖を有するアミノ酸誘導体は、ホスファチジルセリン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン酸、ジセチル-グルタミン酸-アスパラギンなどから選ばれる1種又は複数種である。いくつかの実施例では、負荷電側鎖を有するオリゴペプチドは、グルタチオンから選ばれる。
【0143】
本願のいくつかの非限定的な実施例では、第1添加剤は、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリン、ホスファチジルセリン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン酸、ジセチル-グルタミン酸-アスパラギン、グルタチオン等から選ばれる1種又は複数種である。
【0144】
本願のいくつかの実施例では、EPA-EEナノ脂質組成物中の第1添加剤の重量パーセントは、0~5%(w/w)であり、さらに、0.1%~5%(w/w)であってもよく、よりさらに、0.1%~3%(w/w)であってもよく、例えば、0%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.2%、2.4%、2.5%、2.6%、2.8%、3%、3.5%、4%、4.2%、4.5%、4.6%、4.8%、5%などのうちのいずれか1つのパーセント又はいずれか2つのパーセントからなるパーセント区間が挙げられ、パーセント区間は、例えば、0.1%~5%(w/w)が挙げられる。
【0145】
本願のいくつかの実施形態では、第1添加剤は、ホスファチジルセリン、グルタミン酸ナトリウム、及びタウリンのうちの1種又は複数種である。
【0146】
本願のいくつかの実施例では、第1添加剤は、タウリンとグルタミン酸ナトリウムの組み合わせであり、さらに両者の等質量混合物であってもよい。
【0147】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、前述の安定剤及び前述の第1添加剤を同時に含有する。この場合、高含有量のEPA-EEの原料と、安定剤と、第1添加剤との相乗作用により、該組成物の製剤は、血漿中のEPA濃度を維持し、暴露量を向上させ、低密度リポタンパク質との結合を増加させることができ、EPAの血脂降下及びアテローム性動脈硬化症の治療効果を向上させることができ、従来の製剤で達成できない顕著な治療効果を発揮する。
【0148】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、安定剤の含有量は、0.1%~5%(w/w)である。安定剤の含有量の好ましい例及び例については、前述の説明を参照されたい。
【0149】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、第1添加剤の含有量は、0.1%~5%(w/w)である。第1添加剤の含有量の好ましい例及び例については、前述の説明を参照されたい。
【0150】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、安定剤の含有量は、0.1%~5%(w/w)であり、かつ第1添加剤の含有量は、0.1%~5%(w/w)である。安定剤、第1添加剤の含有量の好ましい例及び例については、前述の説明を参照されたい。
【0151】
第1添加剤の種類特徴及び含有量特徴は、適切な方式で組み合わせることができ、本明細書に具体的に挙げられた組み合わせを含むが、これに限定されず、ここで、以下の実施例に示す組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0152】
第2添加剤
本願では、EPA-EEナノ脂質組成物は、好ましくは、第1添加剤以外の他の添加剤(第2添加剤とする)をさらに含む。
【0153】
本願における第2添加剤は、第1乳化剤、第2乳化剤、安定剤及び第1添加剤と異なる。
【0154】
本願のいくつかの実施形態では、第2添加剤は、酸化防止剤、基油、矯味剤、界面膜安定剤、pH調整剤などのうちの1種又は複数種を含む。
【0155】
本願のいくつかの実施形態では、第2添加剤は、基油(主に、エイコサペンタエン酸及びその誘導体以外の他の油脂を指す)、酸化防止剤、乳化助剤、pH調整剤、増粘剤、矯味剤などのうちの1種又は複数種を含む。
【0156】
本願のいくつかの実施例では、EPA-EEナノ脂質組成物中の第2添加剤の重量パーセントは、0~15%(w/w)であり、さらに、0.01%~10%(w/w)であってもよく、例えば、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.2%、2.4%、2.5%、2.6%、2.8%、3%、3.5%、4%、4.2%、4.5%、4.6%、4.8%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%などのうちのいずれか1つのパーセント又はいずれか2つのパーセントからなるパーセント区間が挙げられ、パーセント区間は、例えば、0.01%~15%(w/w)が挙げられる。
【0157】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、好ましくは、酸化防止剤を含む。本願のいくつかの実施形態では、酸化防止剤は、ビタミンE、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、ミックストコフェロール、α-トコフェロール酢酸エステル、β-トコフェロール酢酸エステル、γ-トコフェロール酢酸エステル、ミックストコフェロール酢酸エステル、アスコルビン酸(ビタミンC)、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ミリスチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル(PG)及びt-ブチルハイドロキノン(TBHQ)などから選ばれる1種又は複数種に由来する。本願のいくつかの実施形態では、酸化防止剤は、ビタミンE、α-トコフェロール、γ-トコフェロール、ミックストコフェロール、α-トコフェロール酢酸エステル、γ-トコフェロール酢酸エステル、ミックストコフェロール酢酸エステル、アスコルビン酸(ビタミンC)、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ミリスチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル(PG)及びt-ブチルハイドロキノン(TBHQ)などから選ばれる1種又は複数種に由来する。本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物中の酸化防止剤の質量含有量は、0~1%であり、例えば、0%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%などが挙げられる。いくつかの実施形態では、酸化防止剤は、α-トコフェロールである。
【0158】
本願のいくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、好ましくは、基油を含む。本願のいくつかの実施形態では、基油は、主に、エイコサペンタエン酸及びその誘導体以外の他の油脂を指す。本願のいくつかの実施形態では、基油は、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、スイートアーモンド油、グレープシード油、コーン油、クルミ油、シーバクソン、オリーブ油、ヨクイニン油、グレープシード油、ショウガ油、ヤシ油、ツバキ油、ローズ油、ハッカ油、レモン油、及び中鎖トリグリセリド(例えば、C8-10脂肪酸のグリセリド)などのうちの1種又は複数種に由来する。本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物中の基油の質量含有量は、0~1%であり、例えば、0%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%などが挙げられる。
【0159】
いくつかの実施形態では、基油は、コーン油、オリーブ油、及び中鎖トリグリセリドのうちの1種又は複数種である。いくつかの実施形態では、基油は、コーン油、オリーブ油、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、基油は、コーン油とオリーブ油との組み合わせであり、さらに、コーン油とオリーブ油との等質量混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、基油は、オリーブ油又は中鎖トリグリセリドである。いくつかの実施形態では、基油は、中鎖トリグリセリドである。表2~4における各製剤を参照することができる。
【0160】
本願のいくつかの実施形態では、第2添加剤は、酸化防止剤と基油とを含み、さらに、酸化防止剤と基油との組み合わせであってもよい。酸化防止剤及び基油の種類及び含有量は、それぞれ本明細書のいずれかの好適な実施形態で定義されてもよい。
【0161】
いくつかの実施形態では、第2添加剤は、酸化防止剤と基油との組み合わせであり、さらに、酸化防止剤は、α-トコフェロールであり、基油は、コーン油、オリーブ油、及び中鎖トリグリセリドのうちの1種又は複数種である。いくつかの実施形態では、基油は、コーン油、オリーブ油、又はそれらの組み合わせであり、さらに、コーン油とオリーブ油の組み合わせであり、さらに、コーン油とオリーブ油との等質量混合物である。他のいくつかの実施形態では、基油は、オリーブ油又は中鎖トリグリセリドである。他のいくつかの実施形態では、第2添加剤は、α-トコフェロールと中鎖トリグリセリドとの組み合わせである。
【0162】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、好ましくは、乳化助剤を含む。本願のいくつかの実施形態では、乳化助剤は、カゼイン、カゼインナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなどのうちの1種又は複数種に由来する。
【0163】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、好ましくは、pH調整剤を含む。pH調整剤は、主にEPA-EEナノ脂質組成物を調製する際の水相のpH環境を調整するために用いられる。本願のいくつかの実施形態では、pH調整剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、リン酸、リン酸塩、塩酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、DL-リンゴ酸、フマル酸、メタ酒石酸、L(+)-酒石酸、氷酢酸、酢酸、アジピン酸、フマル酸一ナトリウム、乳酸カルシウム、酢酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどから選ばれる1種又は複数種である。
【0164】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、好ましくは、界面膜安定剤を含む。本願のいくつかの実施形態では、界面膜安定剤は、グリセリン、プロピレングリコール、マンニトール、オレイン酸、オレイン酸ナトリウム及びコレステロールなどから選ばれる1種又は複数種である。
【0165】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、好ましくは、増粘剤を含む。本願のいくつかの実施形態では、増粘剤は、カラギーナン、キサンタンガム、カルボマーなどから選ばれる1種又は複数種である。
【0166】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、好ましくは、矯味剤を含む。本願のいくつかの実施形態では、矯味剤は、スクロース、フルクトース、スクラロース、ネオテーム、エリスリトール、モグロシド、天然エッセンス、天然香料、メントールなどから選ばれる1種又は複数種である。
【0167】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、エイコサペンタエン酸-EE(高濃度であり、高純度のEPA-EE原料によって提供される)、EPA血中薬物濃度を維持する作用を有する安定剤、EPAとリポタンパク質との結合を促進する作用を有する第1添加剤、乳化剤、酸化防止剤、及びナノ脂質製剤の食感及び味を調節する他の添加剤を含む。
【0168】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、EPA-EEナノ脂質組成物は、4%~20%(w/w)のエイコサペンタエン酸-EE、0.1%~10%(w/w)の第1乳化剤、0.01%~10%(w/w)の第2乳化剤、及び100%(w/w)まで添加する水を含む。さらに、0~5%(w/w)の安定剤(EPA血中薬物濃度を維持する作用を有する)、0~5%(w/w)の第1添加剤(EPAとリポタンパク質との結合を促進する作用を有する)及び0~15%(w/w)の第2添加剤(第2添加剤は、食品に許容される他の原料・添加剤及び薬学的に許容される他の原料・添加剤のうちの1種又は複数種を指し、好ましくは、薬学的に許容される添加剤であってもよい)のうちの1種又は複数種を含有してもよい。非限定的な例において、EPA-EEナノ脂質組成物は、0~5%(w/w)の酸化防止剤を含む。
【0169】
第2添加剤の種類特徴及び含有量特徴は、適切な方式で組み合わせることができ、本明細書に具体的に挙げられた組み合わせを含むが、これに限定されず、ここで、以下の実施例に示す組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0170】
水
本願では、EPA-EEナノ脂質組成物は、患者に投与しやすい水性製剤を調製できるように、溶媒として水を必ず含む。
【0171】
本願では、EPA-EEナノ脂質組成物中の水は、脱イオン水、蒸留水、無菌水などであってもよく、薬用製剤の調製に適するものであればよい。EPA-EEナノ脂質組成物中の水の使用量は、適量の水であり、使用される水の最低使用量は、65%(w/w)である。適量の水により、EPA-EEナノ脂質組成物は、適切な油相と水相の比率を形成し、水中油型構造を形成することができる。本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物中の水の重量パーセントは、例えば、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、89.1%、89.2%、89.3%、89.4%、89.5%、89.6%、89.7%、89.8%などのうちのいずれか1つのパーセント又はいずれか2つのパーセントからなるパーセント区間が挙げられる。
【0172】
本明細書において、EPA-EE原料の種類及び使用量、第1乳化剤の種類及び使用量、第2乳化剤の種類及び使用量、安定剤の種類及び使用量、第1添加剤の種類及び使用量、第2添加剤の種類及び使用量、並びに水の種類及び使用量などの特徴は、本明細書に具体的に挙げられる組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の適切な方式で組み合わせることができ、以下の実施例に示す組み合わせを含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、EPA-EEナノ脂質組成物は、それぞれ以下の重量パーセントとして、
EPA-EE原料 1%~30%(w/w)、
第1乳化剤 0.1%~10%(w/w)、
第2乳化剤 0.01%~10%(w/w)、
安定剤 0~5%(w/w)、
第1添加剤 0~5%(w/w)、
第2添加剤 0~15%(w/w)、及び
水(適量の水、好ましくは、上記内容を含むが、これらに限定されない)を含む。
【0173】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、EPA-EEナノ脂質組成物は、それぞれ以下の重量パーセントとして、
EPA-EE原料 4%~20%(w/w)、
第1乳化剤 0.5%~5%(w/w)、
第2乳化剤 0%~10%(w/w)、
安定剤 0.1%~3%(w/w)、
第1添加剤 0.1%~3%(w/w)、
第2添加剤 0.01%~10%(w/w)、及び
水(適量の水、好ましくは、上記内容を含むが、これらに限定されない)を含む。
【0174】
さらに、ラットに400mg/kg経口投与した後、2時間以内の最大血中薬物濃度が700μg/mLより高いEPA-EEナノ脂質組成物が好ましい。
【0175】
本願のいくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、以下の特徴(i)群及び(ii)群のうちの少なくとも1つの特徴を満たすか、又は(i)群のうちの少なくとも1つの特徴を満たすか、又は(ii)群のうちの少なくとも1つの特徴を満たす。
(i)前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記安定剤の含有量は、0.01%~5%であり、好ましくは、前記安定剤の含有量は、0.05%~5%(w/w)であり、さらに好ましくは、前記安定剤の含有量は、0.05%~2%(w/w)であり、よりさらに好ましくは、前記安定剤の含有量は、0.05%~1%(w/w)であり、よりさらに好ましくは、前記安定剤の含有量は、0.1%~0.2%(w/w)であり、また、好ましくは、前記安定剤の含有量は、0.1%~5%(w/w)であり、さらに好ましくは、前記安定剤の含有量は、0.1%~2%(w/w)であり、よりさらに好ましくは、前記安定剤の含有量は0.1%~1%(w/w)である。
(ii)前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記第1添加剤の含有量は、0.01%~5%(w/w)であり、好ましくは、前記第1添加剤の含有量は、0.05%~5%(w/w)であり、さらに好ましくは、前記第1添加剤の含有量は、0.05%~2%(w/w)であり、よりさらに好ましくは、前記第1添加剤の含有量は、0.05%~1%(w/w)であり、よりさらに好ましくは、前記第1添加剤の含有量は、0.1%~0.2%(w/w)であり、また、好ましくは、前記第1添加剤の含有量は、0.1%~5%(w/w)であり、さらに好ましくは、前記第1添加剤の含有量は、0.1%~2%(w/w)であり、よりさらに好ましくは、前記第1添加剤の含有量は、0.1%~1%(w/w)である。
【0176】
本願のいくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、以下の特徴のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせを満たす。
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記第2乳化剤の重量比率は、0.1%~10%であり、好ましくは、0.2%~8%であり、さらに好ましくは、0.4%~8%であり、よりさらに好ましくは、0.4%~6%であり、よりさらに好ましくは、0.5%~5%であり、よりさらに好ましくは、1%~5%であり、よりさらに好ましくは、1%~2%であり、又は、前記第2乳化剤の重量比率は、0.2%~10%であり、好ましくは、0.2%~6%であり、さらに好ましくは、0.2%~5%であり、よりさらに好ましくは、0.2%~2%であり、又は、前記第2乳化剤の重量比率は、0.5%~10%であり、好ましくは、0.5%~8%であり、さらに好ましくは、0.5%~6%であり、よりさらに好ましくは、0.5%~2%であり、よりさらに好ましくは、0.5%~1.5%であり、又は、前記第2乳化剤の重量比率は、1%~10%であり、好ましくは、1%~8%であり、さらに好ましくは、1%~6%であり、よりさらに好ましくは、1%~5%である。
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記安定剤の重量比率は、0.1%~5%であり、好ましくは、0.1%~4%であり、さらに好ましくは、0.1%~3%であり、よりさらに好ましくは、0.1%~2%であり、よりさらに好ましくは、0.2%~2%であり、よりさらに好ましくは、0.4%~2%であり、よりさらに好ましくは、0.5%~2%であり、よりさらに好ましくは、1%~2%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、0.2%~4%であり、好ましくは、0.2%~3%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、0.4%~4%であり、好ましくは、0.4%~3%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、0.5%~4%であり、好ましくは、0.5%~3%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、1%~4%であり、好ましくは、1%~3%である。
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記第1添加剤の重量比率は、0.1%~5%であり、好ましくは、0.1%~4%であり、さらに好ましくは、0.1%~3%であり、よりさらに好ましくは、0.1%~2%であり、よりさらに好ましくは、0.2%~2%であり、よりさらに好ましくは、0.4%~2%であり、よりさらに好ましくは、0.5%~2%であり、よりさらに好ましくは、1%~2%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、0.2%~4%であり、好ましくは、0.2%~3%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、0.4%~4%であり、好ましくは、0.4%~3%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、0.5%~4%であり、好ましくは、0.5%~3%であり、又は、前記安定剤の重量比率は、1%~4%であり、好ましくは、1%~3%である。
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記第2添加剤の重量比率は、0.01%~15%であり、好ましくは、0.01%~10%であり、さらに好ましくは、0.01%~8%であり、よりさらに好ましくは、0.01%~6%であり、よりさらに好ましくは、0.01%~5.5%であり、よりさらに好ましくは、0.1%~5.5%であり、よりさらに好ましくは、0.5%~5.5%であり、よりさらに好ましくは、1%~5.5%であり、よりさらに好ましくは、2%~5.5%であり、よりさらに好ましくは、3%~5.5%であり、又は、前記第2添加剤の重量比率は、0.1%~15%であり、よりさらに好ましくは、0.1%~10%であり、よりさらに好ましくは、0.1%~8%であり、よりさらに好ましくは、0.1%~6%であり、よりさらに好ましくは、0.1%~5%であり、よりさらに好ましくは、0.1%~4%であり、又は、前記第2添加剤の重量比率は、0.5%~15%であり、よりさらに好ましくは、0.5%~10%であり、よりさらに好ましくは、0.5%~8%であり、よりさらに好ましくは、0.5%~6%であり、よりさらに好ましくは、0.5%~5%であり、よりさらに好ましくは、0.5%~4%であり、又は、前記第2添加剤の重量比率は、1%~15%であり、よりさらに好ましくは、1%~10%であり、よりさらに好ましくは、1%~8%であり、よりさらに好ましくは、1%~6%であり、よりさらに好ましくは、1%~5%であり、よりさらに好ましくは、1%~4%であり、又は、前記第2添加剤の重量比率は、2%~15%であり、よりさらに好ましくは、2%~10%であり、よりさらに好ましくは、2%~8%であり、よりさらに好ましくは、2%~6%であり、よりさらに好ましくは、2%~5%であり、よりさらに好ましくは、2%~4%であり、又は、前記第2添加剤の重量比率は、3%~15%であり、よりさらに好ましくは、3%~10%であり、よりさらに好ましくは、3%~8%であり、よりさらに好ましくは、3%~6%であり、よりさらに好ましくは、3%~5%であり、よりさらに好ましくは、3%~4%である。
【0177】
本願のいくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、以下の特徴のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせを満たす。
前記EPA-EE原料は、深海魚油、海藻油、オキアミ油から選ばれる1種又は複数種の油のエチルエステル化生成物である。
前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量は、≧70%であり、好ましくは、≧80%であり、又は、前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量が60%~97%であり、好ましくは、70%~97%であり、さらに好ましくは、80%~97%である。
前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、≧80であり、好ましくは、≧85であり、さらに好ましくは、≧90であり、よりさらに好ましくは、≧95であり、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、80~113であり、好ましくは、85~113であり、さらに好ましくは、90~113であり、よりさらに好ましくは、95~113であり、又は、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、70~113であり、好ましくは、70~110であり、さらに好ましくは、70~105であり、よりさらに好ましくは、70~102であり、よりさらに好ましくは、70~100であり、よりさらに好ましくは、70~95であり、よりさらに好ましくは、70~90であり、又は、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、80~113であり、好ましくは、80~110であり、さらに好ましくは、80~105であり、よりさらに好ましくは、80~102であり、よりさらに好ましくは、80~100であり、よりさらに好ましくは、80~97であり、よりさらに好ましくは、80~97であり、よりさらに好ましくは、80~95であり、又は、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、85~113であり、好ましくは、85~110であり、さらに好ましくは、85~105であり、よりさらに好ましくは、85~102であり、よりさらに好ましくは、85~100であり、よりさらに好ましくは、85~97であり、又は、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、90~113であり、好ましくは、90~110であり、さらに好ましくは、90~105であり、よりさらに好ましくは、90~102であり、よりさらに好ましくは、90~97であり、よりさらに好ましくは、94~97である。
前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は、≧60%であり、好ましくは、≧70%であり、又は、前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は、50%~98%であり、好ましくは、60%~98%であり、さらに好ましくは、70%~98%であり、又は、前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は、50%~94%であり、好ましくは、60%~94%であり、さらに好ましくは、70%~94%である。
前記第1乳化剤は、大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質、ポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種である。
前記安定剤は、両親媒性の非イオン性高分子ポリマーであり、前記安定剤は、ビタミン脂質高分子誘導体、リン脂質高分子誘導体、脂肪酸エステル高分子誘導体及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーから選ばれる1種又は複数種である。
好ましくは、前記ビタミン脂質高分子誘導体は、ビタミンEコハク酸ポリエチレングリコールエステル(即ち、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート)である。
好ましくは、前記リン脂質高分子誘導体は、ポリエチレングリコールで修飾された合成リン脂質である。
好ましくは、前記脂肪酸エステル高分子誘導体は、ポリエチレングリコールで修飾された脂肪酸エステルである。
前記リン脂質高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、400Da~6000Daであり、好ましくは、1000Da~6000Daであり、さらに好ましくは、1000Da~5000Daであり、よりさらに好ましくは、1000Da~4000Daであり、よりさらに好ましくは、1000Da~3500Daであり、よりさらに好ましくは、1000Da~3000Daであり、よりさらに好ましくは、1500Da~2500Daであり、よりさらに好ましくは、1600Da~2400Daであり、よりさらに好ましくは、1800Da~2200Daであり、又は、前記リン脂質高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、400Da~5000Daであり、好ましくは、400Da~4000Daであり、さらに好ましくは、400Da~3000Daであり、よりさらに好ましくは、400Da~2000Daであり、該分子量とは、数平均分子量又は重量平均分子量であり、好ましくは、重量平均分子量である。
前記脂肪酸エステル高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、200Da~4000Daであり、好ましくは、1000Da~6000Daであり、さらに好ましくは、1000Da~5000Daであり、よりさらに好ましくは、1000Da~4000Daであり、よりさらに好ましくは、1000Da~3500Daであり、よりさらに好ましくは、1000Da~3000Daであり、よりさらに好ましくは、1500Da~2500Daであり、よりさらに好ましくは、1600Da~2400Daであり、よりさらに好ましくは、1800Da~2200Daであり、又は、前記リン脂質高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、400Da~5000Daであり、好ましくは、400Da~4000Daであり、さらに好ましくは、400Da~3000Daであり、よりさらに好ましくは、400Da~2000Daであり、該分子量とは、数平均分子量又は重量平均分子量であり、好ましくは、重量平均分子量である。
前記第1添加剤は、負荷電側鎖を有するアミノ酸、負荷電を有するアミノ酸誘導体、及び負荷電側鎖を有するオリゴペプチドから選ばれる1種又は複数種である。
前記第2添加剤は、酸化防止剤、基油、乳化助剤、矯味剤、界面膜安定剤、増粘剤及びpH調整剤から選ばれる1種又は複数種である。
前記EPA-EEナノ脂質組成物は、サブミクロンエマルジョンであり、液滴の平均粒径が≦500nmであり、好ましくは、10nm~500nmであり、さらに好ましくは、100nm~500nmであり、よりさらに好ましくは、100nm~300nmであり、よりさらに好ましくは、150nm~250nmであり、又は、液滴の平均粒径が≦300nmであり、好ましくは、≦250nmである。
【0178】
本願のいくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、以下の特徴のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせを満たす。
前記第1乳化剤は、ヨウ素価が90より大きく、かつ大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質及びポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種である。
前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なるリン脂質、ショ糖エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、リノール酸モノグリセリド、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート、脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、スパン、アルギン酸塩、オレイン酸ナトリウム及びカゼイネートから選ばれる1種又は複数種である(好ましくは、前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なるリン脂質、ショ糖エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリソルベート、脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、スパン、アルギン酸塩、及びカゼイネートから選ばれる1種又は複数種である)。
前記安定剤中のPEG単位は、末端基を提供し、かつ該末端基は、OH又はメトキシ基である。
前記ビタミン脂質高分子誘導体は、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール200スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール400スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1500スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール2000スクシネート及びd-α-トコフェロールポリエチレングリコール4000スクシネートから選ばれる1種又は複数種である。
前記リン脂質高分子誘導体は、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール2000、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール5000、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン-メトキシポリエチレングリコール2000、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン-メトキシポリエチレングリコール5000、大豆ホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールモノメチルエーテル2000、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール2000、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール2000及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールから選ばれる1種又は複数種である。
前記脂肪酸エステル高分子誘導体は、ポリエチレングリコール400オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール600オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール4000オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール6000オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール400ビスオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール600ビスオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール200ラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール200ビスラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ビスラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ステアリン酸エステル及びポリエチレングリコール400ビスステアリン酸エステルから選ばれる1種又は複数種である。
前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーは、Pluronic L65、Pluronic F68から選ばれる1種又は複数種である。
前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するアミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリンから選ばれる1種又は複数種である。
前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するアミノ酸誘導体は、ホスファチジルセリン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン酸、ジセチル-グルタミン酸-アスパラギンから選ばれる1種又は複数種である。
前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するオリゴペプチドは、グルタチオンである。
前記第2添加剤中の前記酸化防止剤は、ビタミンE、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、ミックストコフェロール、α-トコフェロール酢酸エステル、β-トコフェロール酢酸エステル、γ-トコフェロール酢酸エステル、ミックストコフェロール酢酸エステル、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ミリスチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル及びt-ブチルハイドロキノンから選ばれる1種又は複数種である。
前記第2添加剤中の前記基油は、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、スイートアーモンド油、グレープシード油、コーン油、クルミ油、シーバクソン、オリーブ油、ヨクイニン油、グレープシード油、ショウガ油、ヤシ油、ツバキ油、ローズ油、ハッカ油、レモン油及び中鎖トリグリセリドのうちの1種又は複数種に由来する。
【0179】
いくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、以下の特徴のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせを満たす。
前記EPA-EE原料は、深海魚油、海藻油、オキアミ油から選ばれる1種又は複数種の油のエチルエステル化生成物である。
前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量は、≧70%であり、好ましくは、≧80%であり、又は、前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量が60%~97%であり、好ましくは、70%~97%であり、さらに好ましくは、80%~97%である。
前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、≧80であり、好ましくは、≧85であり、さらに好ましくは、≧90であり、よりさらに好ましくは、≧95であり、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、80~113であり、好ましくは、85~113であり、さらに好ましくは、90~113であり、よりさらに好ましくは、95~113であり、又は、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、70~113であり、好ましくは、70~110であり、さらに好ましくは、70~105であり、よりさらに好ましくは、70~102であり、よりさらに好ましくは、70~100であり、よりさらに好ましくは、70~95であり、よりさらに好ましくは、70~90であり、又は、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、80~113であり、好ましくは、80~110であり、さらに好ましくは、80~105であり、よりさらに好ましくは、80~102であり、よりさらに好ましくは、80~100であり、よりさらに好ましくは、80~97であり、よりさらに好ましくは、80~97であり、よりさらに好ましくは、80~95であり、又は、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、85~113であり、好ましくは、85~110であり、さらに好ましくは、85~105であり、よりさらに好ましくは、85~102であり、よりさらに好ましくは、85~100であり、よりさらに好ましくは、85~97であり、又は、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、90~113であり、好ましくは、90~110であり、さらに好ましくは、90~105であり、よりさらに好ましくは、90~102であり、よりさらに好ましくは、90~97であり、よりさらに好ましくは、94~97である。
前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は、≧60%であり、好ましくは、≧70%であり、又は、前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は、50%~98%であり、好ましくは、60%~98%であり、さらに好ましくは、70%~98%であり、又は、前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は、50%~94%であり、好ましくは、60%~94%であり、さらに好ましくは、70%~94%である。
前記第1乳化剤は、大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質、ポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種である。
前記安定剤は、両親媒性の非イオン性高分子ポリマーであり、前記安定剤は、ビタミン脂質高分子誘導体、リン脂質高分子誘導体、脂肪酸エステル高分子誘導体及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーから選ばれる1種又は複数種である。
好ましくは、前記ビタミン脂質高分子誘導体は、ビタミンEコハク酸ポリエチレングリコールエステルである。
好ましくは、前記リン脂質高分子誘導体は、ポリエチレングリコールで修飾された合成リン脂質である。
好ましくは、前記脂肪酸エステル高分子誘導体は、ポリエチレングリコールで修飾された脂肪酸エステルである。
前記リン脂質高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、400Da~6000Daであり、好ましくは、1000Da~6000Daであり、さらに好ましくは、1000Da~5000Daであり、よりさらに好ましくは、1000Da~4000Daであり、よりさらに好ましくは、1000Da~3500Daであり、よりさらに好ましくは、1000Da~3000Daであり、よりさらに好ましくは、1500Da~2500Daであり、よりさらに好ましくは、1600Da~2400Daであり、よりさらに好ましくは、1800Da~2200Daであり、又は、前記リン脂質高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、400Da~5000Daであり、好ましくは、400Da~4000Daであり、さらに好ましくは、400Da~3000Daであり、よりさらに好ましくは、400Da~2000Daであり、該分子量とは、数平均分子量又は重量平均分子量であり、好ましくは、重量平均分子量である。
前記脂肪酸エステル高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、200Da~4000Daであり、好ましくは、1000Da~6000Daであり、さらに好ましくは、1000Da~5000Daであり、よりさらに好ましくは、1000Da~4000Daであり、よりさらに好ましくは、1000Da~3500Daであり、よりさらに好ましくは、1000Da~3000Daであり、よりさらに好ましくは、1500Da~2500Daであり、よりさらに好ましくは、1600Da~2400Daであり、よりさらに好ましくは、1800Da~2200Daであり、又は、前記リン脂質高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、400Da~5000Daであり、好ましくは、400Da~4000Daであり、さらに好ましくは、400Da~3000Daであり、よりさらに好ましくは、400Da~2000Daであり、該分子量とは、数平均分子量又は重量平均分子量であり、好ましくは、重量平均分子量である。
前記第1添加剤は、負荷電側鎖を有するアミノ酸、負荷電を有するアミノ酸誘導体、及び負荷電側鎖を有するオリゴペプチドから選ばれる1種又は複数種である。
前記第2添加剤は、酸化防止剤、基油、乳化助剤、矯味剤、界面膜安定剤、増粘剤及びpH調整剤から選ばれる1種又は複数種である。
前記EPA-EEナノ脂質組成物は、サブミクロンエマルジョンであり、液滴の平均粒径が≦500nmであり、好ましくは、10nm~500nmであり、さらに好ましくは、100nm~500nmであり、よりさらに好ましくは、100nm~300nmであり、よりさらに好ましくは、150nm~250nmであり、又は、液滴の平均粒径が≦300nmであり、好ましくは、≦250nmである。
【0180】
いくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、以下の特徴のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせを満たす。
前記第1乳化剤は、ヨウ素価が90より大きく、かつ大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質及びポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種である。
前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なるリン脂質、ショ糖エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、リノール酸モノグリセリド、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート、脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、スパン、アルギン酸塩、オレイン酸ナトリウム及びカゼイネートから選ばれる1種又は複数種である。
前記安定剤中のPEG単位は、末端基を提供し、かつ該末端基は、OH又はメトキシ基である。
前記ビタミン脂質高分子誘導体は、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール200スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール400スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1500スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール2000スクシネート及びd-α-トコフェロールポリエチレングリコール4000スクシネートから選ばれる1種又は複数種である。
前記リン脂質高分子誘導体は、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール2000、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール5000、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン-メトキシポリエチレングリコール2000、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン-メトキシポリエチレングリコール5000、大豆ホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールモノメチルエーテル2000、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール2000、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール2000及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールから選ばれる1種又は複数種である。
前記脂肪酸エステル高分子誘導体は、ポリエチレングリコール400オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール600オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール4000オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール6000オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール400ビスオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール600ビスオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール200ラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール200ビスラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ビスラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ステアリン酸エステル及びポリエチレングリコール400ビスステアリン酸エステルから選ばれる1種又は複数種である。
前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーは、Pluronic L65、Pluronic F68から選ばれる1種又は複数種である。
前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するアミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリンから選ばれる1種又は複数種である。
前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するアミノ酸誘導体は、ホスファチジルセリン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン酸、ジセチル-グルタミン酸-アスパラギンから選ばれる1種又は複数種である。
前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するオリゴペプチドは、グルタチオンである。
前記第2添加剤中の前記酸化防止剤は、ビタミンE、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、ミックストコフェロール、α-トコフェロール酢酸エステル、β-トコフェロール酢酸エステル、γ-トコフェロール酢酸エステル、ミックストコフェロール酢酸エステル、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ミリスチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル及びt-ブチルハイドロキノンから選ばれる1種又は複数種である。
前記第2添加剤中の前記基油は、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、スイートアーモンド油、グレープシード油、コーン油、クルミ油、シーバクソン、オリーブ油、ヨクイニン油、グレープシード油、ショウガ油、ヤシ油、ツバキ油、ローズ油、ハッカ油、レモン油及び中鎖トリグリセリドのうちの1種又は複数種に由来する。
【0181】
いくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、以下の特徴のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせを満たす。
前記第1乳化剤は、大豆リン脂質S75、S100、ヒマワリ種子リン脂質H100、及びポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種である。
前記第2乳化剤は、卵黄レシチンE80、ポリソルベート80、及びオレイン酸ソルビタン80から選ばれる1種又は複数種である。
前記安定剤は、TPGS、DSPE-PEG及びS40のうちの1種又は複数種であり、好ましくは、前記安定剤は、TPGSとS40との組み合わせであり、さらに好ましくは、TPGSとS40との等質量混合物である。
前記第1添加剤は、ホスファチジルセリン、グルタミン酸ナトリウム、及びタウリンのうちの1種又は複数種であり、好ましくは、前記第1添加剤は、タウリンとグルタミン酸ナトリウムとの組み合わせであり、さらに好ましくは、タウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物である。
前記第2添加剤は、酸化防止剤と基油とを含み、好ましくは、前記第2添加剤は、酸化防止剤と基油との組み合わせであり、さらに好ましくは、前記酸化防止剤は、α-トコフェロールであり、かつ前記基油は、コーン油、オリーブ油及び中鎖トリグリセリドの組み合わせ又はそれらの組み合わせであり、よりさらに好ましくは、前記基油は、コーン油とオリーブ油との組み合わせであり、よりさらに好ましくは、前記基油は、コーン油とオリーブ油との等質量混合物である。
【0182】
いくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、質量部として、50~500質量部のEPA-EE原料、10~100質量部の第1乳化剤、0~100質量部の第2乳化剤、0~1.2質量部のα-トコフェロール、0~60質量部の基油、及び水を含み、
好ましくは、
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量は、900~1100質量部であり、さらに好ましくは、1000質量部であり、
前記EPA-EE原料は、100~400質量部であり、さらに好ましくは、100~300質量部であり、
前記第1乳化剤は、10~100質量部であり、さらに好ましくは、10~50部であり、よりさらに好ましくは、20~50部であり、
前記第1乳化剤は、大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質及びポリエンホスファチジルコリンのうちの1種又は複数種を含み、さらに好ましくは、大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質、ポリエンホスファチジルコリン又はそれらの組み合わせであり、
前記第2乳化剤は、10~100質量部であり、さらに好ましくは、10~50部であり、よりさらに好ましくは、20~50部であり、
前記第2乳化剤は、卵黄レシチン、ポリソルベート及びオレイン酸ソルビタン80のうちの1種又は複数種を含み、さらに好ましくは、卵黄レシチン、ポリソルベート、オレイン酸ソルビタン80又はそれらの組み合わせであり、
α-トコフェロールは、0.1~1質量部、さらに好ましくは、0.2~1質量部、よりさらに好ましくは、0.4~1質量部、よりさらに好ましくは、0.5~1質量部であり、
前記基油は、30~50質量部であり、
前記基油は、コーン油及びオリーブ油のうちの少なくとも1種を含み、好ましくは、コーン油、オリーブ油のうちのいずれか1種又はそれらの組み合わせである、という特徴のうちの1つ又は複数をさらに含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、以下のいずれかの組成物で1000質量部となる。
(組成物1-1):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び残部の水。
(組成物1-2):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、及び残部の水。
(組成物1-3):100質量部のEPA-EE60、10質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、及び残部の水。
(組成物1-4):100質量部のEPA-EE60、10質量部のポリエンホスファチジルコリン、及び残部の水。
(組成物1-5):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び水。
(組成物1-6):200質量部のEPA-EE60、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部の卵黄レシチンE80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油とオリーブ油との等質量混合物、及び残部の水。
(組成物1-7):200質量部のEPA-EE60、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油及び残部の水。
(組成物1-8):200質量部のEPA-EE60、50質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水。
(組成物1-9):200質量部のEPA-EE60、50質量部のポリエンホスファチジルコリン、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水。
(組成物1-10):200質量部のEPA-EE60、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油及び残部の水。
(組成物1-11):300質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部の卵黄レシチンE80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油とオリーブ油の等質量混合物、及び残部の水。
(組成物1-12):300質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水。
(組成物1-13):300質量部のEPA-EE60、100質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水。
(組成物1-14):300質量部のEPA-EE60、100質量部のポリエンホスファチジルコリン、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水。
(組成物1-15):300質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水。
(組成物2-1):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び残部の水。
(組成物2-2):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、及び残部の水。
(組成物2-3):100質量部のEPA-EE80、10質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、及び残部の水。
(組成物2-4):100質量部のEPA-EE80、10質量部のポリエンホスファチジルコリン、及び残部の水。
(組成物2-5):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び水。
(組成物2-6):200質量部のEPA-EE80、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部の卵黄レシチンE80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油とオリーブ油の等質量混合物、及び残部の水。
(組成物2-7):200質量部のEPA-EE80、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水。
(組成物2-8):200質量部のEPA-EE80、50質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水。
(組成物2-9):200質量部のEPA-EE80、50質量部のポリエンホスファチジルコリン、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水。
(組成物2-10):200質量部のEPA-EE80、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油及び残部の水。
(組成物2-11):300質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部の卵黄レシチンE80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油とオリーブ油の等質量混合物、及び残部の水。
(組成物2-12):300質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水。
(組成物2-13):300質量部のEPA-EE80、100質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水。
(組成物2-14):300質量部のEPA-EE80、100質量部のポリエンホスファチジルコリン、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水。
(組成物2-15):300質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水。
(組成物3-1):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び残部の水。
(組成物3-2):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、及び残部の水。
(組成物3-3):100質量部のEPA-EE97、10質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、及び残部の水。
(組成物3-4):100質量部のEPA-EE97、10質量部のポリエンホスファチジルコリン、及び残部の水。
(組成物3-5):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び水。
(組成物3-6):200質量部のEPA-EE97、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部の卵黄レシチンE80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油とオリーブ油の等質量混合物、及び残部の水。
(組成物3-7):200質量部のEPA-EE97、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水。
(組成物3-8):200質量部のEPA-EE97、50質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水。
(組成物3-9):200質量部のEPA-EE97、50質量部のポリエンホスファチジルコリン、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水。
(組成物3-10):200質量部のEPA-EE97、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水。
(組成物3-11):300質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部の卵黄レシチンE80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油とオリーブ油との等質量混合物、及び残部の水。
(組成物3-12):300質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水。
(組成物3-13):300質量部のEPA-EE97、100質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水。
(組成物3-14):300質量部のEPA-EE97、100質量部のポリエンホスファチジルコリン、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水。
(組成物3-15):300質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油及び残部の水。
【0184】
EPA-EEナノ脂質組成物の例は、実施例1に挙げられたものを含むが、これに限定されず、その1gを1質量部とみなすことができる。
【0185】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、50~500質量部のEPA-EE原料(さらに、100~400質量部、よりさらに100~300質量部であってもよい)、10~100質量部の第1乳化剤(例えば、10、20、30、40、50などの質量部であり、大豆リン脂質(例えば、Lipoid S75、Lipoid S100など)、ヒマワリ種子リン脂質、ポリエンホスファチジルコリンなどから選ばれる)、0~100質量部の第2乳化剤(例えば、0、10、20、30、40、50などの質量部であり、卵黄レシチン(例えば、E80)、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、オレイン酸ソルビタン80などから選ばれる)、0~1.2質量部のα-トコフェロール(さらに、0.1~1質量部であってもよく、よりさらに、0.5~1質量部であってもよい)、0~60質量部の基油(さらに、30~50質量部であり、コーン油、オリーブ油から選ばれる)及び水(適量の水)を含み、さらに、EPA-EEナノ脂質組成物の総重量は、900~1100質量部であってもよい(好ましくは、1000質量部であってもよい)。各成分の種類、仕様、型番、使用量については、さらに、実施例1.1.の項を参照することができる。
【0186】
本願のいくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、50~500質量部のEPA-EE原料、10~100質量部の第1乳化剤、0~60質量部の安定剤、0~50質量部の第1添加剤、20~40質量部の第2添加剤、及び水を含む。
好ましくは、以下の特徴のうちの1つ又は複数をさらに含む。
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量は、900~1100質量部であり、さらに好ましくは、1000質量部である。
前記EPA-EE原料は、100~400質量部であり、さらに好ましくは、100~200質量部である。
前記第1乳化剤は、10~50質量部である。
前記第1乳化剤は、大豆リン脂質を含み、さらに好ましくは、大豆リン脂質である。
前記安定剤は、10~50質量部であり、さらに好ましくは、10~20質量部である。
前記安定剤は、TPGS、DSPE-PEG及びS40のうちの1種又は複数種を含み、さらに好ましくは、TPGS、DSPE-PEG及びS40のうちのいずれか1種又はそれらの組み合わせである。
前記第1添加剤は、10~30質量部であり、さらに好ましくは、10~20質量部である。
前記第1添加剤は、ホスファチジルセリン、グルタミン酸ナトリウム及びタウリンのうちの1種又は複数種を含み、さらに好ましくは、ホスファチジルセリン、グルタミン酸ナトリウム及びタウリンのうちのいずれか1種又はそれらの組み合わせである。
前記第2添加剤は、酸化防止剤と基油との組み合わせであり、好ましくは、前記酸化防止剤は、α-トコフェロールであり、かつ前記基油は、コーン油、オリーブ油、中鎖トリグリセリド又はそれらの組み合わせであり、さらに好ましくは、前記基油は、コーン油とオリーブ油との組み合わせであり、又は、オリーブ油又は中鎖トリグリセリドであり、よりさらに好ましくは、前記基油は、コーン油とオリーブ油との等質量混合物であり、また、好ましくは、前記酸化防止剤は、1~2質量部の酸化防止剤及び25~35質量部の基油からなる。
【0187】
本願のいくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、以下のいずれかの組成物、及び前記第2添加剤で1000質量部となり、かつ前記第2添加剤は、1質量部のα-トコフェロール及び30質量部のオリーブ油であり、又は2質量部のα-トコフェロール及び30質量部の中鎖トリグリセリドである。
(A1):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、及び残部の水。
(A2):100質量部のEPA-EE60、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水。
(A3):100質量部のEPA-EE60、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(A4):100質量部のEPA-EE60、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水。
(A5):100質量部のEPA-EE60、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水。
(A6):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(A7):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水。
(A8):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(A9):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水。
(A10):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水。
(A11):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGS、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(A12):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のDSPE-PEG、20質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水。
(A13):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(A14):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のタウリン、及び残部の水。
(A15):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGSとS40との等質量混合物、20質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水。
(B1):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、及び残部の水。
(B2):100質量部のEPA-EE80、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水。
(B3):100質量部のEPA-EE80、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(B4):100質量部のEPA-EE80、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水。
(B5):100質量部のEPA-EE80、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水。
(B6):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(B7):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水。
(B8):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(B9):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水。
(B10):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水。
(B11):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGS、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(B12):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のDSPE-PEG、20質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水。
(B13):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(B14):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のタウリン、及び残部の水。
(B15):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGSとS40との等質量混合物、20質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水。
(C1):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、及び残部の水。
(C2):100質量部のEPA-EE97、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水。
(C3):100質量部のEPA-EE97、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(C4):100質量部のEPA-EE97、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水。
(C5):100質量部のEPA-EE97、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水。
(C6):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(C7):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水。
(C8):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(C9):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水。
(C10):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水。
(C11):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGS、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(C12):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質リポイドLipoid S75、20質量部のDSPE-PEG、20質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水。
(C13):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水。
(C14):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のタウリン、及び残部の水。
(C15):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGSとS40との等質量混合物、20質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水。
【0188】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、50~500質量部のEPA-EE原料(さらに、100~400質量部、よりさらに、100~200質量部)、10~100質量部の第1乳化剤(例えば、10、20、30、40、50などの質量部であり、大豆リン脂質(例えば、Lipoid S75)から選ばれる)、0~60質量部の安定剤(さらに、10~50質量部、よりさらに、10~20質量部であり、TPGS、DSPE-PEG、S40などから選ばれる)、0~50質量部の第1添加剤(さらに、10~30質量部、よりさらに、10~20質量部、ホスファチジルセリン、グルタミン酸ナトリウム、タウリンなどから選ばれる)及び水(適量の水)を含み、さらに、EPA-EEナノ脂質組成物の総重量は、900~1100質量部(好ましくは、1000質量部)であってもよい。各成分の種類、仕様/型番、使用量については、さらに、実施例1.2.の項を参照することができる。
【0189】
上記各例において、各成分の種類及び使用量の例は、前述のとおりであり、それぞれ独立していてもよい。
【0190】
上記各実施形態では、各成分の例は、それぞれ独立していてもよい。「適量の水」は、乳化が可能であり、かつ適切な粒径を制御することができる。
【0191】
上記各実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物の総重量は、約1000質量部であってもよい(製剤の実施例1参照)。
【0192】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、サブミクロンエマルジョンであり、さらに、平均粒径≦500nmである。本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質組成物は、平均粒径が10nm~500nmの薬物担体(ナノ脂質担体)に高度に分散され、エイコサペンタエン酸が腸上皮細胞に吸収されて腸間膜毛細血管に入って体循環に至ることを促進しやすく、経口生物学的利用能及びEPAの血中薬物濃度を向上させる。本願のいくつかの実施例では、サブミクロンエマルジョン中の液滴の平均粒径は、500nm未満であり、さらに、平均粒径は、≦300nm(例えば、100nm~300nm)であってもよく、よりさらに、≦250nmであってもよく、よりさらに、約200nmであってもよい。本願のいくつかの非限定的な実施形態では、サブミクロンエマルジョン中の液滴の平均粒子は、約100nm、約110nm、約120nm、約130nm、約140nm、約150nm、約160nm、約170nm、約180nm、約190nm、約200nm、約210nm、約220nm、約230nm、約240nm、約250nm、約260nm、約270nm、約280nm、約290nm、約300nm、約310nm、約320nm、約330nm、約340nm、約350nm、約400nm、約450nm、又は約500nmである。
【0193】
本願のいくつかの実施形態では、サブミクロンエマルジョンの粒径は、100nm~300nmであり、血脂を効果的に降下させ、かつアテローム性動脈硬化症プラークを減少させる作用を発揮することができる。
【0194】
第1添加剤を含む前記いずれかのEPA-EEナノ脂質組成物の実施形態について、第1添加剤をさらに省略することができ、好ましくは、長時間のエイコサペンタエン酸の有効な血中薬物濃度を維持し、エイコサペンタエン酸(EPA)の経口吸収及び生物学的利用能を向上させることができるという効果を達成することができる。
【0195】
本願の第2態様
本願の第2態様によれば、本願の第1態様に記載のEPA-EEナノ脂質組成物を含むEPA-EEナノ脂質製剤を提供する。前記EPA-EEナノ脂質製剤は、前記EPA-EEナノ脂質組成物の形態の1つである。
【0196】
EPA-EEナノ脂質製剤は、特別なナノ脂質処方で高濃度のエイコサペンタエン酸-EEを担持し、経口投与後に体内で効率的な血脂降下及びアテローム性動脈硬化症治療に必要なエイコサペンタエン酸投与量を満たすことができる。
【0197】
脂質製剤は、ナノオーダーの液滴(例えば、平均粒径10nm~500nmの液滴)に高度に分散され、エイコサペンタエン酸が腸上皮細胞に吸収されて腸間膜毛細血管に入って体循環に至ることを促進しやすく、経口生物学的利用能及びEPAの血中薬物濃度を向上させる。本願のいくつかの非限定的な実施形態では、EPA-EEナノ脂質製剤中の液滴の平均粒径は、約200nm、約210nm、約220nm、約230nm、約240nm、約250nm、約260nm、約270nm、約280nm、約290nm、約300nm、約310nm、約320nm、約330nm、約340nm、約350nm、約400nm、約450nm、又は約500nmである。
【0198】
いくつかの好ましい実施形態では、EPA-EEナノ脂質製剤は、経口製剤である。
【0199】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質製剤は、経口乳剤である。本願のいくつかの実施例では、経口乳剤中の液滴の平均粒径は、500nm未満であり、さらに、平均粒径は、≦300nmであってもよく、よりさらに、≦250nmであってもよく、よりさらに、約200nmであってもよい。非限定的な例として、上記脂質製剤における粒径の例、例えば、100nm~300nmが挙げられる。
【0200】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質製剤は、水中油型構造を有する。ここで、EPA-EEエステルなどの油相成分は、油相にある。
【0201】
EPA-EEナノ脂質製剤は、本願の第3態様に記載の調製方法により調製される。
【0202】
本願のいくつかの実施形態では、ラットに400mg/kg経口投与してから2時間以内に最大血中薬物濃度に達し、かつ550μg/mLより高く、さらに、ラットに400mg/kg経口投与してから2時間以内に最大血中薬物濃度が700μg/mLより高いという効果を実現できるEPA-EEナノ脂質製剤が好ましい。
【0203】
本願のいくつかの実施形態では、ラットに製剤400mg/kgを経口投与してから、血液(血清又は血漿を含む)中のEPAの総濃度範囲を200μg/mLよりも高い濃度に維持し、維持時間は、いずれも2.5時間以上であり、100μg/mLの維持時間は、いずれも9時間以上であるという効果を実現できるEPA-EEナノ脂質製剤が好ましい。さらに、200μg/mLEPA濃度の維持時間は、いずれも3時間以上であり、100μg/mLEPA濃度の維持時間は、いずれも10時間以上である。
【0204】
本願の第3態様
本願の第3態様によれば、本願の第2態様に記載のEPA-EEナノ脂質製剤を調製することができるEPA-EEナノ脂質製剤の調製方法を提供する。
【0205】
前記調製方法は、乳化法、高圧均質化法、高せん断法、超音波乳化法、微流動化法などのいずれかから選ばれる。
【0206】
本願のいくつかの実施形態では、前記調製方法は、以下のステップS100~S400を含む。
【0207】
ステップS100では、油相基質の調製(好ましくは、不活性ガスの保護下で行ってもよい):EPA-EE原料を含む油相成分を加熱条件下(好ましくは、加熱温度が50℃~70℃であってもよく、例えば、50℃、55℃、60℃、65℃、又は70℃である)で均一に混合し、油相基質を調製する。
ステップS200では、水相基質の調製(好ましくは、不活性ガスの保護下で行ってもよい):水相成分を清澄になるまで水性溶媒に溶解し、水相基質を調製し、又は、水を水相基質とし、好ましくは、水相を一定の温度(好ましくは、油相の調製と同じ又は近い温度、例えば、50~70℃であってもよく、例えば、50℃、55℃、60℃、65℃、又は70℃である)に予熱する。
ステップS300では、一次エマルジョンの調製:前記油相基質と前記水相基質とを混合し(加熱条件下で混合してもよく、さらに、50℃~70℃であってもよく、例えば、50℃、55℃、60℃、65℃、又は70℃である)、せん断撹拌し、所定の体積になるまで水を添加し、水中油型一次エマルジョンを調製する。
ステップS400では、サブミクロンエマルジョンの調製:前記水中油型一次エマルジョンを高圧均質化処理してサブミクロンエマルジョンを調製し、好ましくは、前記サブミクロンエマルジョンの平均粒径≦500nmであってもよい(さらに好ましくは、平均粒径≦300nmであってもよく、さらに100nm~300nmであってもよい)。
【0208】
前記油相成分は、脂溶性成分である。前記水相成分は、水溶性成分である。ある成分は、両親媒性を有し、油相成分としても水相成分としてもよい。
【0209】
一次エマルジョン、サブミクロンエマルジョンは、いずれも本願のEPA-EEナノ脂質組成物の形態の非限定的な例である。
【0210】
本願のいくつかの実施形態では、サブミクロンエマルジョンを調製した後、さらに、濾過を行う。
【0211】
本願のいくつかの実施形態では、サブミクロンエマルジョンを調製した後、さらに、充填を行う。
【0212】
本願のいくつかの実施形態では、サブミクロンエマルジョンを調製した後、さらに、滅菌を行う。
【0213】
本願のいくつかの実施形態では、サブミクロンエマルジョンを調製した後、さらに、包装する。
【0214】
本願のいくつかの実施形態では、前記サブミクロンエマルジョンを調製した後、さらに、濾過、充填及び滅菌のうちのいずれか1つ又は複数を行う。
【0215】
上記濾過、充填及び滅菌、包装のステップは、それぞれ独立して選択可能である。好ましくは、ステップS400の後に、さらにステップS500の後処理を行い(好ましくは、不活性ガスの保護下で行ってもよい):サブミクロンエマルジョンに対して、濾過、充填、滅菌を行って、滅菌されたEPA-EEナノ脂質製剤を得て、得られた製剤は、経口乳剤とすることができる。
【0216】
いくつかの実施形態では、前記EPA-EE原料を含む油相成分を加熱条件下で混合するステップにおいて、加熱温度は、50℃~70℃である。
【0217】
いくつかの実施形態では、前記油相基質と前記水相基質とを混合するステップにおいて、50℃~70℃の条件下で混合する。
【0218】
いくつかの実施形態では、前記水中油型一次エマルジョンに対して高圧均質化処理を行う前に、前記水中油型一次エマルジョンにpH調整剤を添加する。
【0219】
いくつかの実施形態では、前記高圧均質化処理の圧力は、200bar~800barであり、さらに好ましくは、前記高圧均質化処理を行う回数は、1回又は複数回である。
【0220】
いくつかの実施形態では、前記EPA-EEナノ脂質製剤のpHは、7~8である。
【0221】
上記調製過程において、不活性ガスで保護される場合、窒素ガスで保護されてもよい。
【0222】
上記調製方法の各ステップは、特に断らない限り、順序の制限はない。例えば、ステップS100とS200は、前後順序を区別しないが、両者ともS300の前に実行される。また、例えば、充填と滅菌との間には、順序限定がない。
【0223】
本明細書において使用される「水性溶媒」とは、薬学的に許容される水相を提供する溶媒を指し、水であってもよく、水と他の溶媒からなる混合溶媒であってもよい。
【0224】
いくつかの実施形態では、pH調整剤を水と混合し(pH調整剤で水溶液のpH値を調整し)、水性溶媒を得て、後続の調製に用いる。水性溶媒のpH値は、乳剤の最終調製需要に応じて調整し、さらに適切なpH調整剤を選択する。いくつかの実施形態では、最終乳剤のpHは、7~8である。
【0225】
いくつかの実施形態では、調製原料は、pH調整剤を含み、S300で分散処理が終了した後にpHを調整する。系のpH値については、安定した適切な粒径が得られ、薬物活性の発揮に影響を与えず、薬用(特に経口薬用)に適することが好ましい。例えば、pHをpH7~8に調整することができる。
【0226】
本願のいくつかの実施形態では、EPA-EEナノ脂質製剤は、ローター・ステーター式せん断機を用いるとともに、高圧ホモジナイザー又はマイクロフルイダイザーを併用して調製することができる。粒径需要に応じて操作パラメータを調整することができる。いくつかの実施例では、ローター・ステーター式せん断機の回転数は、7000rpm~10000rpmであり、例えば、7000rpm、8000rpm、9000rpm、又は10000rpmである。撹拌時間は、3min~5minであってもよく、例えば、3min、4min、5minが挙げられる。いくつかの実施例では、高圧均質化処理の圧力は、200bar~800barであり、例えば、200bar、300bar、400bar、500bar、600bar、700bar、又は800barであり、1回又は複数回均質化することができ、好ましくは、複数回均質化することができ、例えば、3回~10回であり、例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、又は10回である。
【0227】
本願のいくつかの非限定的な実施形態では、前記調製方法は、エイコサペンタエン酸-EE及び他の脂溶性成分を混合して、油性基質(油相とする)とし、一定の温度(例えば、50℃~70℃)に予熱するステップと、EPA-EEナノ脂質組成物中の水溶性成分を水に添加し、一定の温度(好ましくは、油相の調製と同じ又は近い温度、例えば、50℃~70℃)に予熱して、水溶液を得て、水性基質(水相とする)とするステップと、ローター・ステーター撹拌式せん断機で撹拌しながら、予熱された油性基質と水溶液を均一に混合して、一次エマルジョンを得てから、形成された一次エマルジョンを、高圧ホモジナイザーにより一定の粒径のサブミクロンエマルジョンに調製するステップと、得られたサブミクロンエマルジョンを濾過してもよく、濾過しなくてもよく、その後、窒素ガスの保護下で内服液瓶に充填し、高温滅菌(好ましくは、100℃~121℃)して、滅菌されたEPA-EEナノ脂質製剤を得るステップと、を含む。
【0228】
本願のいくつかの非限定的な実施形態では、前記調製方法は、以下のステップS100~S300を含む。
【0229】
ステップS100では、不活性ガスの保護下で油相成分を混合し、均一な油溶液が形成されるまで撹拌し、水浴で50℃~70℃に加熱し、予熱された油相を得て、いくつかの実施形態では、不活性ガスは、窒素ガスである。
ステップS200では、不活性ガスの保護下で配合成分中の水相成分を混合し、均一な水溶液が形成されるまで撹拌して溶解し、水浴で50℃~70℃に加熱し、予熱された水相を得て、いくつかの実施形態では、不活性ガスは、窒素ガスである。
ステップS300では、得られた予熱された水相と油相とを混合し、せん断又は高圧均質化により水中油型サブミクロンエマルジョン(滅菌されていないEPA-EEナノ脂質製剤)を形成し、
さらに、得られたサブミクロンエマルジョンを水浴で50℃~70℃に加熱してから、濾過、滅菌及び包装を行うことができ、その過程において不活性ガスで保護する。滅菌したEPA-EEナノ脂質製剤を得る。
【0230】
原料の種類及び使用量を指定する場合、当業者は、上記の案内に従って上記の調製方法を実施し、本願のEPA-EEナノ脂質製剤を得ることができる。
【0231】
本願の第4態様
本願の第4態様によれば、本願の第1態様に記載のEPA-EEナノ脂質組成物、又は本願の第2態様に記載のEPA-EEナノ脂質製剤、又は本願の第3態様に記載の調製方法により得られた前記EPA-EEナノ脂質製剤の使用を提供し、さらに、前記使用は、予防及び/又は治療薬物(特に、心血管疾患薬物)の調製における使用を含み、医療用食品、保健食品における使用を含む。
【0232】
本願では、他の説明がない限り、「心血管疾患を予防及び/又は治療する薬物」は、「心血管疾患を予防する薬物」、「心血管疾患を治療する薬物」及び「心血管疾患を予防及び治療する薬物」を含み、「心血管疾患を予防及び治療する薬物」とは、心血管疾患を予防及び治療することができる薬物を指す。
【0233】
本願では、他の説明がない限り、「心血管疾患を予防及び/又は治療する薬物」とは、心血管疾患を予防できる薬物、心血管疾患を治療できる薬物、又は心血管疾患を予防及び/又は治療できる薬物を指す。
【0234】
本願のいくつかの実施形態では、本願の第1態様に記載のEPA-EEナノ脂質組成物、又は本願の第2態様に記載のEPA-EEナノ脂質製剤、又は本願の第3態様に記載の調製方法により得られた前記EPA-EEナノ脂質製剤の、薬物の調製における使用を提供し、さらに、前記薬物は、脂肪蓄積関連疾患の予防及び/又は治療に用いることができる。
【0235】
本願のいくつかの好ましい実施形態では、心血管疾患は、アテローム性動脈硬化症である。
【0236】
発明者らの実験により、本願で調製されたEPA-EEナノ脂質製剤は、高濃度のエイコサペンタエン酸-EEを含有し、EPAの経口吸収を促進することができ、魚油を直接経口投与するピーク到達時間よりも1時間前になるとともに、EPAの生物学的利用能を向上させることが検証された。EPA血中薬物濃度を維持する作用を有する安定剤と、EPAとリポタンパク質との結合を促進する作用を有する第1添加剤との協働で、EPA-EEナノ脂質製剤は、血漿中のEPAの迅速なクリアを低下させるか又は遅延させ、EPAと血漿中の脂質成分との相互作用時間を増加させ、リポタンパク質との積極的な結合によってリポタンパク質中のエイコサペンタエン酸の含有量を向上させることができる。一般的な魚油、魚油カプセルに比べて、本願で調製されたEPA-EEナノ脂質製剤は、より高い生物学的利用能を有し、EPAによる血脂降下及びアテローム性動脈硬化症の治療作用を十分に発揮させ、生体の正常な生理状態への回復を促進することができる。
【0237】
本願の第5態様
本願の第5態様によれば、治療を必要とする患者に治療有効量の本願に記載のEPA-EEナノ脂質組成物(第1態様)又は前記EPA-EEナノ脂質製剤(第2態様又は第3態様)を投与するステップを含む、心血管疾患を予防及び/又は治療する方法を提供する。さらに、心血管疾患は、アテローム性動脈硬化症であってもよい。
【0238】
本明細書に使用されるように、「治療有効量」とは、個体の生物学的又は医学的応答を誘発する本願のEPA-EEナノ脂質の量(又はEPAの量)を指し、例えば、個体に生理的及び/又は薬理的に積極的な効果をもたらす本願のEPA-EEナノ脂質の量(又はEPAの量)であり、前記生理的及び/又は薬理的に積極的な効果は、酵素又はタンパク質活性の低下又は抑制、又は症状の改善、病症の緩和、疾患の進行の緩和又は遅延、又は疾患の予防などを含むが、これらに限定されない。
【0239】
本願では、他の説明がない限り、「生理的及び/又は薬理的」とは、「生理的」、「薬理的」及び「生理的及び薬理的」のうちの少なくとも1つを示す。
【0240】
本明細書に使用されるように、「薬学的に許容される」とは、合理的な医学的判断範囲内で患者の投与に適し、かつ合理的な「利益/リスク比」に合わせる試薬、材料、組成物及び剤形のいずれか又は任意の組み合わせを指す。
【0241】
本明細書に使用されるように、「患者」とは、動物を指し、好ましくは、哺乳動物であってもよく、さらに好ましくは、ヒトであってもよい。用語「哺乳動物」とは、主に温血脊椎類哺乳動物を指し、猫、犬、ウサギ、クマ、キツネ、オオカミ、サル、鹿、ネズミ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ及びヒトを含むが、これらに限定されない。
【0242】
本明細書に使用されるように、「投与」とは、特に限定しない限り、本願のEPA-EEナノ脂質製剤を投与することを意味する。
【0243】
本願のいくつかの実施例では、投与対象は、ラットであり、投与量は、400mg/kgであり、単回投与又は複数回投与する。
【0244】
本願のいくつかの実施形態では、本願のEPA-EEナノ脂質製剤をラットに経口投与し、ラットに400mg/kg経口投与してから2時間以内に最大血中薬物濃度に達し、かつ550μg/mLよりも高く、いくつかの実施形態では、700μg/mLよりも高い。
【0245】
本願のいくつかの実施例では、本願のEPA-EEナノ脂質製剤をラットに経口投与し、ラットに製剤400mg/kgを経口投与してから、血液(血清又は血漿を含む)中のEPAの総濃度範囲を200μg/mLよりも高い濃度に維持し、維持時間は、いずれも2.5時間以上であり、100μg/mLの維持時間は、いずれも9時間以上である。さらに、200μg/mLEPA濃度の維持時間は、いずれも3時間以上であり、100μg/mLEPA濃度の維持時間は、いずれも10時間以上である。
【0246】
本願の第6態様
本願の第6態様によれば、被験者に治療有効量の本願の第1態様に記載のEPA-EEナノ脂質組成物を投与するステップ、又は被験者に治療有効量の本願の第2態様に記載のEPA-EEナノ脂質製剤を投与するステップ、又は被験者に治療有効量の、本願の第3態様に記載の調製方法により得られた前記EPA-EEナノ脂質製剤を投与するステップを含む、心血管疾患を予防又は治療する方法を提供する。
【0247】
いくつかの条件において、前記新規療法は、以下の特徴のいずれか1つ又はいずれか複数の組み合わせを満たす。
前記心血管疾患は、高脂血症、重度の高トリグリセリド血症、極度の高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍及び/又は疼痛、冷感、頸動脈プラーク、心筋梗塞、虚血性心疾患発作、虚血性発作、急性狭心症、急性狭心症による入院、脳卒中及び心血管イベントによる入院からなる群より選ばれる1つ又は複数のイベントであり、好ましくは、前記心血管疾患は、アテローム性動脈硬化症である。
投与方法は、経口投与である。
前記被験者は、心血管疾患を有する患者である。
被験者は、哺乳動物である。
好ましくは、被験者は、ヒトであり、また、好ましくは、被験者は、ラットであり、さらに好ましくは、投与量は、400mg/kgであり、よりさらに好ましくは、投与計画は、単回投与又は複数回投与である。
また、好ましくは、被験者は、ビーグル犬であり、さらに好ましくは、投与量は、120mg/kgであり、よりさらに好ましくは、投与計画は、単回投与又は複数回投与である。
【0248】
いくつかの実施形態では、雄性ラットに、EPA-EEとして400mg/kgの量のナノ脂質製剤を投与する。
さらに、前記方法は、
0~24時間投与後の血中EPA濃度曲線下面積≧2500μg/mLであり、又は血中EPA濃度最大値≧700μg/mLであり、
0~24時間投与後の血中EPA濃度曲線下面積≧3000μg/mLであり、又は血中EPA濃度最大値≧1400μg/mLであり、
0~24時間投与後の血中EPA濃度曲線下面積≧4000μg/mLであり、
200μg/mLの血中EPA濃度の維持時間≧3時間であり、100μg/mLの血中EPA濃度の維持時間≧6時間である(好ましくは、100μg/mLの血中EPA濃度の維持時間≧10時間である)、という特徴のうちの1つ又は複数を満たす。
【0249】
いくつかの実施形態では、雄性ビーグル犬に、EPA-EEとして120mg/kgの量のナノ脂質製剤を投与する。
さらに、前記方法は、
0~48時間投与後の血中EPA濃度曲線下面積≧1500μg/mLであり、又は血中EPA濃度最大値≧100μg/mLであり、
0~48時間投与後の血中EPA濃度曲線下面積≧1900μg/mLであり、
60μg/mLの血中EPA濃度の維持時間≧4時間である、という特徴のうちの1つ又は複数を満たす。
【0250】
以下、実施例を参照しながら、本願の実施形態を詳細に説明する。なお、これらの実施例は、本願を説明するためのものに過ぎず、本願の範囲を限定するものではなく、本願を例示するためのものに過ぎず、本願の配合組成、調製方法及びその機能と効果などを説明するためのものであり、本願の範囲のいかなる形態を限定するものではないと理解すべきである。本願に記載の技術原理から逸脱しない前提において、さらに、様々な改善や調整を行うことができ、これらの改善や調整も本願の保護範囲と見なすべきである。以下の実施例では、詳細な条件が明記されていない実験方法は、本願により提供される案内を優先的に参照し、本分野の実験マニュアル又は通常の条件に従って行ってもよく、メーカーで薦めている条件に従って行ってもよく、本分野の既知の実験方法を参照してもよい。
【0251】
下記実施例では、原料成分の用量パラメータについて、特に断らない限り、秤量精度範囲内のわずかな偏差が存在する可能性がある。温度及び時間パラメータについて、機器の検査精度又は操作精度による許容可能な偏差が許容される。
【0252】
下記実施例では、他の説明がない限り、「室温」は、20℃~30℃を指す。
【0253】
下記実施例では、他の説明がない限り、TPGSは、ビタミンEコハク酸ポリエチレングリコールエステルを指す。
【0254】
下記実施例及び比較例で用いるEPA-EE、リン脂質などの原料情報を表1に示す。
【0255】
【0256】
以下の実施例では、EPA-EEは、エイコサペンタエン酸-EE(EPA-EEとする)を表し、PCは、ホスファチジルコリンを表す。下記の各例において、Zetasizer Nano ZS90(マルバーン)レーザー粒度計を用いて粒径を測定する。
【0257】
1.製剤の実施例
実施例1.1.エイコサペンタエン酸-EE及び乳化剤を含むエイコサペンタエン酸-EEナノ脂質製剤の調製
【0258】
1.1.1.原料
表2に示す原料組成及び使用量でエイコサペンタエン酸-EEナノ脂質製剤(EPA-EEナノ脂質製剤とも称される)を調製する。EPA-EE60は、KinOmega社から選ばれ、型番が6015 EE EPA60%+DHA12%であり、100gあたりに60gのEPA-EEを含有する。EPA-EE80は、BASF社のK85 EE Omega-3-酸-EE(EPA EE86227-47-6)から選ばれ、100gあたりに80gのEPA-EEを含有する。EPA-EE97は、BASF社のMaxomega EPA97 EEから選ばれ、100gあたりに約97gのEPA-EEを含有する。各原料の情報は、表1を参照する。
【0259】
【0260】
製剤1-1、1-6、1-11、製剤2-1、2-6、2-11、製剤3-1、3-6、3-11に使用される第1乳化剤は、大豆リン脂質Lipoid S75であり、使用される第2乳化剤は、卵黄レシチンE80であり、酸化防止剤は、α-トコフェロールであり、基油は、コーン油とオリーブ油との等質量混合物である。
【0261】
製剤1-2、1-7、1-12、製剤2-2、2-7、2-12、製剤3-2、3-7、3-12に使用される第1乳化剤は、大豆リン脂質Lipoid S100であり、使用される第2乳化剤は、ポリソルベート80であり、酸化防止剤は、α-トコフェロールであり、基油は、コーン油である。
【0262】
製剤1-3、1-8、1-13、製剤2-3、2-8、2-13、製剤3-3、3-8、3-13に使用される第1乳化剤は、ヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100であり、使用される第2乳化剤は、ポリソルベート80であり、酸化防止剤は、α-トコフェロールであり、基油は、コーン油である。
【0263】
製剤1-4、1-9、1-14、製剤2-4、2-9、2-14、製剤3-4、3-9、3-14に使用される第1乳化剤は、ポリエンホスファチジルコリンであり、使用される第2乳化剤は、オレイン酸ソルビタン80であり、酸化防止剤は、α-トコフェロールであり、基油は、オリーブ油である。
【0264】
製剤1-5、1-10、1-15、製剤2-5、2-10、2-15、製剤3-5、3-10、3-15に使用される第1乳化剤は、大豆リン脂質Lipoid S75であり、使用される第2乳化剤は、オレイン酸ソルビタン80であり、酸化防止剤は、α-トコフェロールであり、基油は、オリーブ油である。
【0265】
表2において、「粒径」とは、同じ調製処方及び調製プロセスにおいて、異なるバッチにおける乳剤液滴の平均粒径の範囲を指す。以下の各例において同じ意味を表す。
【0266】
1.1.2.調製
エイコサペンタエン酸-EE(EPA-EE)、乳化剤、酸化防止剤などの脂溶性成分を表2の使用量で同一容器に入れ、約50℃~70℃に予熱し、均一に分散するまで激しく撹拌し、油相基質とする。pH調整剤、矯味剤などの水溶性成分を表2の使用量で同一容器に入れ、約50℃~70℃に予熱し、均一に分散するまで激しく撹拌し、水性基質とする。7000rpm~10000rpmのローター・ステーター式せん断機の撹拌により、油性基質を水性基質に添加し、均一に分散して、乳白色の一次エマルジョンを形成するまで、3min~5min撹拌し、水で1000mLまで添加して、その後、一次エマルジョンに対して均質乳化を行い、均質圧力範囲を200bar~800barに設定し、サンプリングして測定し、平均粒径が300nm以下になるまで、6~10回均質化する。その後、0.65μmの精密ろ過膜でろ過する。得られた乳剤の粒径を測定する(結果を表2に示す)。窒素封入、充填を行い、115℃で30min高温滅菌を行い、得られたナノ脂質製剤を室温で保存する。
【0267】
実施例1.2.異なる乳化剤、安定剤及びリポタンパク質結合促進添加剤を含むエイコサペンタエン酸-EEナノ脂質製剤の調製
【0268】
表3における原料の種類及び使用量に基づいて、各成分を秤量し、実施例1.1.における1.1.2.の方法に従ってナノ脂質製剤を調製し、粒径を測定する。調製完了後、室温で保存する。
【0269】
【0270】
なお、表3に係る全ての処方は、上記使用量に加えて、酸化防止剤であるα-トコフェロール1g、オリーブ油30gをさらに含む。
【0271】
製剤4-1、4-6、4-11、製剤5-1、5-6、5-11、製剤6-1、6-6、6-11に使用される第1乳化剤は、大豆リン脂質Lipoid S75であり、使用される安定剤は、TPGS1000であり、第1添加剤は、ホスファチジルセリンである。
製剤4-2、4-7、4-12、製剤5-2、5-7、5-12、製剤6-2、6-7、6-12に使用される第1乳化剤は、大豆リン脂質Lipoid S75であり、使用される安定剤は、DSPE-PEGであり、第1添加剤は、グルタミン酸ナトリウムである。
製剤4-3、4-8、4-13、製剤5-3、5-8、5-13、製剤6-3、6-8、6-13に使用される第1乳化剤は、大豆リン脂質Lipoid S75であり、使用される安定剤は、S40であり、第1添加剤は、ホスファチジルセリンである。
製剤4-4、4-9、4-14、製剤5-4、5-9、5-14、製剤6-4、6-9、6-14に使用される第1乳化剤は、大豆リン脂質Lipoid S75であり、使用される安定剤は、S40であり、第1添加剤は、タウリンである。
製剤4-5、4-10、4-15、製剤5-5、5-10、5-15、製剤6-5、6-10、6-15に使用される第1乳化剤は、大豆リン脂質Lipoid S75であり、使用される第2乳化剤は、TPGS1000とS40との等質量混合物であり、第1添加剤は、タウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物である。
【0272】
【0273】
なお、表4に係る全ての処方は、上記使用量に加えて、酸化防止剤であるα-トコフェロール2g、基油である中鎖トリグリセリド30gをさらに含む。
【0274】
製剤7-1、7-6、7-11、製剤8-1、8-6、8-11、製剤9-1、9-6、9-11に使用される第1乳化剤は、大豆リン脂質Lipoid S75であり、使用される安定剤は、TPGS1000であり、第1添加剤は、ホスファチジルセリンである。
製剤7-2、7-7、7-12、製剤8-2、8-7、8-12、製剤9-2、9-7、9-12に使用される第1乳化剤は、大豆リン脂質Lipoid S75であり、使用される安定剤は、DSPE-PEGであり、第1添加剤は、グルタミン酸ナトリウムである。
製剤7-3、7-8、7-13、製剤8-3、8-8、8-13、製剤9-3、9-8、9-13に使用される第1乳化剤は、大豆リン脂質Lipoid S75であり、使用される安定剤は、S40であり、第1添加剤は、ホスファチジルセリンである。
製剤7-4、7-9、7-14、製剤8-4、8-9、8-14、製剤9-4、9-9、9-14に使用される第1乳化剤は、大豆リン脂質Lipoid S75であり、使用される安定剤は、S40であり、第1添加剤は、タウリンである。
製剤7-5、7-10、7-15、製剤8-5、8-10、8-15、製剤9-5、9-10、9-15に使用される第1乳化剤は、大豆リン脂質Lipoid S75であり、使用される第2乳化剤は、TPGS1000とS40との等質量混合物であり、第1添加剤は、タウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物である。
【0275】
表3及び表4において、「粒径」とは、同じ調製処方及び調製プロセスにおいて、異なるバッチにおける乳剤液滴の平均粒径の範囲を指す。以下の各例において同じ意味を表す。
【0276】
実施例1.3 低ヨウ素価リン脂質によるエイコサペンタエン酸-EEナノ脂質製剤の調製
【0277】
100gのEPA-EE(97%)、10gの大豆粉末リン脂質(ヨウ素価=64.5)を混合し、1kgになるまで水を添加し、実施例1.1の方法を参考にして、ナノ脂質製剤を調製し、製剤の粒径範囲が750~900nmであると測定する。
【0278】
他の実施例1~2の粒径よりはるかに高いため、実施例1.3以降の検討作業を割愛する。
【0279】
表2、表3及び表4に使用されるTPGS、即ち、各表における各製剤用組成物に使用されるTPGSは、同じメーカーに由来する。
【0280】
比較例
比較例1(D1とする):100gの一般的な魚油(EPA含有量18.2%)、10gの大豆リン脂質を混合し、1kgになるまで水を添加し、実施例1の方法を参考にして、ナノ脂質製剤を調製し、評価を実施するまで、室温で保存する。
【0281】
比較例2(D2とする):アマリン(米国)会社が開発した市販品Vascepaであり、純度が97%以上のEPA-EEカプセルである。
【0282】
比較例3(D3とする):2.12gの水、18gのポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル、18gのポリエチレングリコール-35ヒマシ油、11gの大豆レシチン、204.6gのEPA-EE(原料中のEPA含有量が97%)を量り取り、密封し、約70℃に加熱して混合し、自己乳化組成物を調製する。(中国特許第CN201680006802号の実施例1から選ばれる。)
【0283】
2.効果評価
本例では、「薬物」については、EPAを提供する成分を指す。
【0284】
実施例2.1.エイコサペンタエン酸-EEに富む脂質製剤の体外放出
【0285】
空腹状態の腸液の模擬:100mMのTris、300mMのNaCl、10mMのCaCl2、10mMのタウロコール酸ナトリウム、2.5mMのリン脂質(大豆リン脂質S100、ドイツLipoid)、及び対応する割合の精製水を取り、撹拌して均一に混合し、0.5g/mLのマレイン酸水溶液でpHを7.5±0.05に調整する。100mgのブタ膵リパーゼを1mLの上記溶液に添加して、体外空腹状態の消化模擬緩衝液を得る。
【0286】
等量の実験群製剤(製剤4-1、製剤1-6、製剤1-11、製剤2-6、製剤3-6、及び製剤4-6)、対照群製剤(対照例1が製剤D1であり、対照例2が製剤D2である)をそれぞれ透析バッグに取り、両端を締め付け、ビーカーに入れ、200mLの人工腸液を添加し、温度を37℃に維持し、回転速度を100rpmとし、(0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間)タイミングしたとき、それぞれ10mL(V取り出し体積)を取り出し、対応する量と同じ温度の溶出媒体を適時に補充し、メチルエステル化後に気相により体外放出状況を測定する。
【0287】
メチルエステル化の実験パラメータは、以下のとおりである。
【0288】
ステップ1では、きれいな栓付きガラス試験管を取り、300μg/mLのヘンエイコサン酸メチルエステル(内部標準)100μLを添加し、N2ブローにて乾燥させた後、100μLの被検液、0.5mol/LのKOH-MeOH溶液2mL、0.5mLのBHTのイソオクタン溶液を添加し、蓋をして密封し、60sボルテックスし、均一に混合した後、10~15min静置し、イソオクタン層を収集し、少量の無水硫酸ナトリウムを添加したきれいなバイアル瓶に入れる。
【0289】
ステップ2では、ステップ1の下層溶液に5%のH2SO4-MeOH溶液2mLを添加し、溶液表面にN2を少し充填した後、密封し、簡単にボルテックスして均一に混合し、70℃の水浴で30min反応させ、取り出した後に40℃程度に冷却し、0.5mLのイソオクタンを添加し、30sボルテックスし、0.5mLの飽和塩化ナトリウム溶液を添加し、15sボルテックスし、イソオクタン層を収集し、ステップ1の有機層と合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、試料注入スリーブを有するバイアル瓶に移し、供試品溶液として注入する。
【0290】
気相試験の機器は、Agilent 7890Aガスクロマトグラフであり、試験パラメータは、ガスクロマトグラフ条件(88%-シアノプロピル)アリール-ポリシロキサンキャピラリーカラム(60m×0.25mm×0.2μm)であり、プログラム昇温で、0min、170℃、3.5℃/minの速度で240℃まで昇温し、10min保持し、サンプルインジェクターの温度が250℃であり、検出器の温度が270℃である。キャリアガスは、ヘリウムであり、流速は、1.0mL/minである。スプリット比は、10:1である。試料注入体積は、1μLである。
【0291】
時点(t)における薬物放出率の測定方法は、以下のとおりである。
【数1】
【0292】
ここで、V系の総体積は、200mLを指し、V取り出し体積は、10mLを指し、Ct検出濃度は、時間tにおける薬物の検出濃度を指し、Ct-1検出濃度は、前の時点における薬物の検出濃度を指し、M総量は、製剤に含まれるエイコサペンタエン酸-EEの総量を指す。
【0293】
異なる時点での薬物放出率を表5に示す。空腹状態の模擬腸液には、消化酵素の含有量が少ない。EPA-EEがカプセルに包まれた後(製剤D2)、空腹腸液における放出速度が遅く、2時間後に49.5%に達するだけであり、かつ4時間後にも完全に放出できない。それに対して、EPA-EEを乳剤の形態で投与した後(各実験群)、空腹腸液における放出速度が速く、1時間で80%以上に達することができる。これは、ナノ乳剤がより大きな比表面積を提供することに関連する。EPA-EEの腸管環境下での迅速な放出は、経口投与後、血液への迅速な吸収に寄与し、効果を十分に発揮する。また、表3における異なる乳化剤及び他の添加剤の添加は、いずれもナノ脂質製剤の腸管環境下での良好な放出を実現できる。
【0294】
【0295】
実施例2.2. 異なるエイコサペンタエン酸-EEナノ脂質製剤のラット薬物動態研究
【0296】
体重200±20gの雄性Sprague-Dawley(SD)ラット54匹を取り、各群6匹とし、実験群製剤(製剤4-1、製剤5-1、製剤6-1、製剤6-2、製剤6-3、製剤6-4、製剤6-5、及び製剤6-6)、対照群製剤(対照例1は、製剤D1を用い、対照例2は、製剤D2を用いる)をそれぞれ胃内投与する。エイコサペンタエン酸-EEを含有する投与量に換算すると、400mg/kgである。それぞれ経口投与0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間後、0.5mL採血し、1%(w/v)ヘパリンナトリウムを含有する遠沈管に入れる。4℃より低い場合、3000rpmで10min遠心分離して血漿を分離した後、上澄み液を取って-20℃で保存し、その薬物濃度を検出する。ガスクロマトグラフィー法を用いて血漿中のEPA含有量を検出し、Graphpad Prismソフトウェアを用いて、結果のデータに対して統計学的分析を行い、2組データの間でT検定によって比較し、複数組データの間で分散分析と多重比較を行う。実験データは、平均値±SDで表し、SDは、標準偏差を表す。
【0297】
ガスクロマトグラフィー法の装置及びパラメータは、実施例2.1と同じである。
【0298】
【0299】
SDラットに9種の製剤を経口投与した後、サンプリング時点で血液中のEPA含有量を検出し、結果を表6に示す。結果によれば、実験群と対照群1(製剤D1)のピーク到達時間が対照群2(製剤D2、カプセル群)よりも2時間前になることから、本願に係るナノ脂質製剤は、吸収促進の点で顕著な優位性を有することが分かる。また、製剤D1、製剤4-1、5-1、6-1の薬物のピーク到達濃度及び生物学的利用能は、EPA-EE含有量に伴って増加し、高純度EPAのエイコサペンタエン酸-EEナノ脂質製剤(各実験群)は、より優位性があることが分かる。実験群において、200μg/mLEPA濃度の維持時間は、いずれも2.0時間以上であり、100μg/mLEPA濃度の維持時間は、いずれも9時間以上である。
【0300】
製剤6-1、6-2、6-3、6-4は、それぞれ異なる種類の安定剤タイプを選択する。安定剤は、TPGS、DSPE-PEG、S40の乳剤であり、200μg/mLEPA濃度の維持時間は、いずれも3時間以上に達することができ、100μg/mLEPA濃度の維持時間は、いずれも10時間以上である。しかし、F68を安定剤とする製剤群6-4は、顕著な安定作用を示していない。このように、一端が親油性であるPEGセグメントを添加することにより、血中薬物濃度をよりよく維持する作用を有し、より高い生物学的利用能を示す(AUC0~24hデータを参照)。また、製剤群6-6は、製剤6-1に基づいて、タウリンをさらに添加してリポタンパク質への結合を促進し、EPAのリポタンパク質への挿入を促進して濃度を維持し、最適な効果を有する。
【0301】
実施例2.3.異なるエイコサペンタエン酸-EEナノ脂質製剤のラット体内のリポタンパク質におけるEPA含有量の考察
【0302】
雄性Sprague-Dawley(SD)ラット54匹、体重200±20g、各群6匹を取り、基礎飼料を自由に1週間摂食させ、環境に適応した後、動物をブランク対照群とモデル群にランダムに分け、普通飼料でブランク群を2週間飼育し、高脂肪飼料でモデル群を2週間飼育してモデリングを完了する。実験群製剤(製剤4-1、製剤5-1、製剤6-1、製剤6-2、製剤6-3、製剤6-4、製剤6-5、及び製剤6-6)、対照群製剤(対照例1は、製剤D1を用い、対照例2は、製剤D2を用いる)をそれぞれ胃内投与する。エイコサペンタエン酸油相を含有する投与量に換算すると、400mg/kgである。毎日1回胃内投与し、自由に摂食させ、飲水させ、投与介入は、11週末まで終了する(投与介入時間が8週間である)。
【0303】
各群に投与されたマウスを麻酔した後、心臓から採血し、1%(w/v)ヘパリンナトリウムを含有する遠沈管に入れ、低温で3000rpm、10min遠心分離して血漿を分離する。ヨードキサノール密度勾配遠心により血漿からアポリポタンパク質を分離する。脂質を酸/メタノール/クロロホルムで抽出分離し、遠心分離した後、イソヘキサン及び固相で抽出精製し、脂質が完全に加水分解及びメチル転移することを確認する(酸/メタノール、50℃で一晩放置する)。EPAの全滴定を行い、検証された液体クロマトグラフ/タンデム質量分析法を用いてEPA濃度を測定する。測定結果は、Graphpad Prismソフトウェアを用いて、結果のデータに対して統計学的分析を行い、2組データの間でT検定によって比較し、複数組データの間で分散分析と多重比較を行う。実験データは、平均値±SDで表し、P<0.05は、統計的に有意であり、SDは、標準偏差を表す。
【0304】
EPA含有量の測定方法:EPAの全滴定は、メチル転移過程で形成されたEPAメチルエステルに基づいている。エステル化されていないEPAに対して、分解を防止するために、1mLあたりの血漿サンプルにロバスタチン阻害剤溶液(10mLあたりの水に、0.5gのフッ化ナトリウム、1.0gのL-アスコルビン酸、及び0.25gの5-メチルイソキサゾール-3-カルボン酸を含む)を添加する。脂質を、メタノール/クロロホルムで抽出して(加水分解又はメチル化しない)遠心分離し、さらにタンパク沈殿及び固相抽出により精製する。検証された液体クロマトグラフ/タンデム質量分析法(Charles River Laboratories Ltd、Elphinstone Research Center、Tranent、Scotland、UK)を用いて、EPA濃度を測定する。分析物は、Perkin Elmer液体クロマトグラフィーシステム(Perkin Elmer、Beaconsfield、Cheshire、UK)により分離し、ascesis R Express C18カラム:2.7mm(Sigma-Aldrich Co.Ltd、 Poole、 UK)を利用し、流速は、1mL/minであり、カラム温度は、60℃であり、移動相は、60%/40%(A/B)~100%Aである。移動相Aは、アセトニトリル/酢酸(100/0.5、v/v)であり、移動相Bは、水/酢酸(100/0.5、v/v)である。
【0305】
実験結果を
図1に示す。SDラットに7種の製剤を経口投与した後、低密度リポタンパク質中のEPA含有量が大きく異なる。対照群1(製剤D1)では、エイコサペンタエン酸の純度が低いため(約20%)、脂質製剤は、吸収を促進するが、低密度リポタンパク質中の含有量が低い。対照群2(製剤D2)は、カプセル製剤であり、吸収が遅く、代謝が速く、低密度リポタンパク質中のEPA含有量が低い。製剤群4-1、5-1、6-1は、EPA-EEを60%以上含有するナノ乳剤であり、異なる乳化剤の使用は、低密度リポタンパク質とEPAの結合に影響しない。有効な安定剤、例えば、製剤群6-1、6-2、6-3は、血中薬物濃度を維持することにより、EPAが血液中で長時間滞留し、除去されにくく、EPAの低密度リポタンパク質への累積に条件を作る。また、製剤6-6群は、リポタンパク質と競合的に結合する添加剤を含有し、EPAのリポタンパク質への能動的濃縮を促進する。
【0306】
実施例2.4. 異なるエイコサペンタエン酸-EEナノ脂質製剤の血脂改善レベルの考察
【0307】
SD雄性ラット(上海実験動物研究センター)、体重200±20g。基礎飼料を自由に1週間摂食させ、環境に適応した後、動物をブランク対照群とモデル群にランダムに分け、普通飼料でブランク群を2週間飼育し、高脂肪飼料でモデル群を2週間飼育してモデリングを完了する。
【0308】
モデル作成完了後、ブランク対照群、モデル対照群のラットに毎日脱イオン水を胃内投与し、残りの群に実験群製剤(製剤3-1、製剤3-2、製剤3-6、製剤6-1、製剤6-2、製剤6-6、製剤6-7)、対照群製剤(対照例1は、製剤D1を用い、対照例2は、製剤D2を用いる)を投与し、28日間連続投与し、投与量は、EPA-EEの投与量に換算すると、400mg/kgである。14日と28日投与した後、動物を4時間絶食させ、麻酔し、全血サンプル(0.5mL以上)を採取し、4℃、4000rpmで15min遠心分離し、上澄み液血清を取る。紫外可視分光光度計を用いて、510nmで波長を測定する。CHOD-PAP法で血清総コレステロール(TC)を測定し、GPO-PAP法で血清トリグリセリド(TG)を測定する。
【0309】
CHOD-PAP法:総コレステロール測定キット(江蘇英諾華医療技術会社)を用いる。酵素試薬と希釈液を1:4で混合して希釈標準溶液を調製する。ブランク群、標準群、測定対象群の遠沈管に、試薬である10μLの蒸留水、10μLの標準液(異なる濃度のコレステロール溶液)、10μLの血清標準液を順に添加し、その後、10μLの酵素希釈標準溶液をそれぞれ添加する。均一に混合した後、37℃の水浴で15min保温する。波長510nmにおいて、ブランクでゼロ校正し、各遠沈管の吸光度を読み取り、検量線により換算して血清総コレステロール濃度を得る。
【0310】
GPO-PAP法:トリグリセリド測定キット(北京雷根生物技術会社)を用いる。ブランク群、標準群、測定対象群の遠沈管に、試薬である10μLの蒸留水、10μLの標準液(異なる濃度のトリグリセリド溶液)、10μLの血清標準液を順に添加し、その後、10μLの酵素希釈標準溶液をそれぞれ添加する。均一に混合した後、37℃の水浴で15min保温する。波長510nmにおいて、ブランクでゼロ校正し、各遠沈管の吸光度を読み取り、式に従って換算して、血清トリグリセリド濃度を得る:TG(mmol/L)={(被験管の吸光度-ブランク吸光度)/(標準管の吸光度-ブランク吸光度)}×1.7mmol/L。
【0311】
【0312】
実験結果を表7に示す。前記EPA-EEナノ脂質組成物は、良好な血脂降下効果を有する。製剤3-1、3-2、3-6に使用されるリン脂質乳化剤は、異なるヨウ素価を有し、ヨウ素価がより高い製剤3-2群は、最適な血脂調節作用を発揮できるため、ラット血液中のTC、TG含有量がより低い。また、より効果的な安定剤群である製剤6-1、6-2は、製剤3-2群よりも顕著な血脂調節作用を有する。また、リポタンパク質結合促進作用を合わせる添加剤群6-6、6-7は、前記脂質ナノ組成物の血脂降下効果をさらに向上させる。
【0313】
実験中、実験動物を観察することにより、モデル群以外、各群のラットは、正常に活動し、身体外観、糞便などに異常がない。4週間投与した後、各群の体重について統計学的差異は認められていない。該実験結果は、上記ナノ脂質製剤の安全性を証明する。
【0314】
実施例2.5.異なるエイコサペンタエン酸-EEナノ脂質製剤によるプラーク減少の薬力学研究
【0315】
120匹の6~8週齢のSPF級雄性ApoE-/-マウス(体重18~22g)をランダムにマウスケージに飼育する。1週間適応飼育し、その間、普通飼料で飼育する。1週間後に異常がなければ、高脂肪飼料で飼育し、自由に摂食させ、飲水させる。12週間連続して、動脈プラークモデルを作成する。12週目の週末に各マウスをランダムに選択し、病理学的サンプリング方法に従って処理した後、H&E染色を行い、プラークの有無及び形態を観察することにより、モデル複製が成功したか否かを確認する。モデル作成の成功を確認した上で、13週目に残りのモデリングマウスをさらに体重に応じてソートし、マウスを、アトルバスタチン群(PD、陽性対照群)、実験群(製剤2-1、製剤3-1、製剤3-6、製剤6-1、製剤6-2、製剤6-6)、製剤対照群(製剤D1、製剤D2)、モデル群(M、等量の水を投与する)である11個の群にランダムに割り当てる。また、10匹の健常マウスが必要であり、モデリングを行わず、対照群(N)とする。
【0316】
各群のマウスを秤量した後、13週目から胃内投与して介入を行う。各群のマウスの投与計画は、PD群に5mg/kg/回のアトルバスタチンを投与し、実験群と製剤対照群に対して、EPA-EEを含有する投与量に換算すると、100mg/kg/回である。モデル群(M)及びモデル対照群(N)に、等体積の蒸留水(薬品の調製方法と同じの蒸留水)を投与する。毎日2回胃内投与し、自由に摂食させ、飲水させ、投与介入は、12週目の週末まで終了する(投与介入時間が8週間である)。薬物介入開始後、毎週、体重を統計する。最後介入の24時間後、各群のマウスを秤量してから、病理学的サンプリングを行う。その後、エーテルで麻酔し、眼球を取り外して採血する。採血後、マウスを頸椎脱臼で殺し、速やかに胸腔を開き、大動脈を鈍的に剥離し、肉眼で観察して撮影する。4%のホルムアルデヒド溶液に入れて固定し、スライスし、H&E染色し、光学顕微鏡で観察して撮影し、Image ProPlus 6.0コンピュータ画像分析システムにより管腔とプラークの面積を分析し、プラーク面積と管腔面積の割合を計算する。
【0317】
結果を
図2に示す。モデル群(M)と比較して、脂質製剤によって担持されたEPA-EEは、動脈プラークの進行を遅らせる作用を有し、かつ原料純度が高いほど、プラーク面積が小さい。血脂の調節状況と同様に、より高いヨウ素価の乳化剤(製剤3-1)、非イオン性高分子型セグメントを含有する誘導体(製剤6-1、6-2、6-6)群は、より良好な治療効果を有する。特に、EPA-EEと低密度リポタンパク質との結合を促進する添加剤6-6群では、治療効果は、既にスタチン薬物を使用した陽性対照群PDに近い。上記各実験群は、対照群(製剤D1及びD2)と比較して、動脈プラークの発展を顕著に緩和することができる。
【0318】
実施例2.6. 異なるエイコサペンタエン酸-EEナノ脂質製剤のビーグル犬薬物動態研究
【0319】
体重8~12.5kgの雄性ビーグル犬21匹を取り、各群3匹とし、実験群製剤(製剤6-1、製剤7-1、製剤8-1、製剤9-1、及び製剤9-6)、対照群製剤(対照例1は、製剤D2を用い、対照例2は、製剤D3を用る)をそれぞれ胃内投与する。エイコサペンタエン酸-EEを含有する投与量に換算すると、120mg/kgである。それぞれ経口投与0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、48時間後、2mL採血し、1%(w/v)ヘパリンナトリウムを含有する遠沈管に入れる。4℃より低い場合、3000rpmで10min遠心分離して血漿を分離した後、上澄み液を取って-20℃で保存し、その薬物濃度を検出する。ガスクロマトグラフィー法を用いて血漿中の総EPA含有量を検出し、Graphpad Prismソフトウェアを用いて、結果のデータに対して統計学的分析を行い、2組データの間でT検定によって比較し、複数組データの間で分散分析と多重比較を行う。実験データは、平均値±SDで表し、SDは、標準偏差を表す。
【0320】
【0321】
ビーグル犬に7種の製剤を経口投与した後、サンプリング時点で血液中のEPAの含有量を検出し、結果を表8に示す。結果によれば、実験群と対照群2(製剤D3)のピーク到達時間が対照群1(製剤D2、カプセル群)よりも2h前になることから、本願に係るナノ脂質製剤は、吸収促進の点で顕著な優位性を有することが分かる。実験群において、60μg/mL濃度のEPA維持時間は、いずれも4時間以上(≧4時間)である。同じ投与量で、本願のエイコサペンタエン酸-EEナノ脂質製剤から得られたCmax及びAUCは、いずれも対照群2(製剤D3)よりも高く、本願の製剤は、経口吸収の生物学的利用能がより高いことを示す。
【0322】
実施例2.7. 異なるエイコサペンタエン酸-EEナノ脂質製剤の粘度及び脂質加水分解安定性の研究
2.7.1 製剤粘度の比較:NDJ-1型回転式粘度計により製剤7-1、製剤8-1、製剤9-1、製剤9-6、製剤D2及び製剤D3の粘度を測定し、測定結果を表9に示す。
【0323】
【0324】
測定の結果は、製剤D2及び製剤D3と比較して、EPA-EEを乳剤に調製した後、製剤の粘度が顕著に低下することを示す。
【0325】
2.7.2 加水分解安定性試験:製剤D2の内容物及び製剤D3に水を添加して100mg/mlの水溶液に希釈し、さらに製剤7-1、8-1、9-1と同時に60℃で30日間放置し、気相により30日後の水溶液製剤中のEPA-EE含有量を測定する。測定結果を表10に示す。
【0326】
【0327】
実験結果から、製剤D2の含有量が大幅に低下し、EPA-EEが水中で加水分解しやすく、製剤D2の自己乳化製剤も水中で顕著な加水分解作用があるが、製剤7-1、製剤8-1及び製剤9-1のEPA-EE含有量が基本的に変化しないことを示し、本願で用いられる製剤処方は、EPA-EEの化学的安定性を好適に向上させ、EPA-EEの加水分解作用を低下させることが示唆される。
【0328】
本願の発明者らは、実験検討により、表3及び表4における第1添加剤を含有する薬物組成物及びEPA-EEナノ脂質製剤について、いずれも第1添加剤を省略した場合でも、対応する薬物製剤が依然として500nm以下(さらに100~300nm)の液滴平均粒径を有することができ、いずれも経口生物学的利用能(前記比較例に比べて)を顕著に向上させる効果を実現できることを発見した。
【0329】
上記実施形態及び実施例の各技術的特徴を任意に組み合わせることができ、説明を簡潔にするために、上記実施形態及び実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについて説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、それらの全ては、本明細書の範囲と見なされるべきである。
【0330】
上記実施例は、本願のいくつかの実施形態のみを説明しており、本願の技術的手段を詳細に理解することを容易にするが、本発明の特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。なお、当業者にとって、本願の趣旨を離脱しない限り、本願に対して各種の変形及び改善を行ってもよく、これらの変形及び改善は、両方とも、本願の保護範囲に属する。また、理解できるように、本願の上記説明内容を読んだ後、当業者は本願に対して様々な変更や修正を行うことができ、これらの等価形式も本願の保護範囲に含まれる。当業者が本願によって提供される技術的手段に基づいて、論理的な分析、推論、又は限定的な実験により取得した技術的手段は、いずれも本願に添付される特許請求の範囲内にあることをさらに理解されたい。よって、本願の特許の保護範囲は、添付する特許請求の範囲の内容に依るものであり、明細書及び図面は、特許請求の範囲の内容を説明するためのものである。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA-EE)ナノ脂質組成物であって、質量部として、1~30部のEPA-EE原料、0.1~10部の第1乳化剤、0~10部の第2乳化剤、0~5部の安定剤、0~5部の第1添加剤及び0~15部の第2添加剤を含み、
前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量は60%以上であり、
前記第1乳化剤は、ヨウ素価が70以上の高度不飽和リン脂質であり、
前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は50%以上であり、
前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なる成分からなり、前記第2乳化剤は、食品に許容される原料・添加剤及び薬学的に許容される原料・添加剤から選ばれる1種又は複数種であり、
前記安定剤は、非イオン性高分子ポリマーであり、
前記第1添加剤は、EPAとリポタンパク質との結合を促進する添加剤であり、
前記第2添加剤は、食品に許容される原料・添加剤及び薬学的に許容される原料・添加剤のうちの1種又は複数種であり、且つ前記第1乳化剤、第2乳化剤、前記安定剤及び前記第1添加剤と異なる、エイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA-EE)ナノ脂質組成物。
【請求項2】
前記EPA-EEナノ脂質組成物は、水をさらに含み、
質量部として、前記EPA-EEナノ脂質組成物中の水の質量部は65部以上であり
、
及び/又は、前記EPA-EEナノ脂質組成物の総質量部は、100部である、請求項1に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項3】
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数とし、それぞれ以下の重量パーセントとして、
EPA-EE原料 1%~30%(w/w)、
第1乳化剤 0.1%~10%(w/w)、
第2乳化剤 0%~10%(w/w)、
安定剤 0~5%(w/w)、
第1添加剤 0~5%(w/w)、
第2添加剤 0~15%(w/w)、及び
水を含み、
前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量は60%以上であり、
前記第1乳化剤は、ヨウ素価が70以上の高度不飽和リン脂質であり、
前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は50%以上であり、
前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なる成分からなり、前記第2乳化剤は、食品及び/又は薬学的に許容される原料・添加剤から選ばれ、
前記安定剤は、非イオン性高分子ポリマーであり、
前記第1添加剤は、EPAとリポタンパク質との結合を促進する添加剤であり、
前記第2添加剤は、食品及び/又は薬学的に許容される原料・添加剤であり、且つ前記第1乳化剤、第2乳化剤、前記安定剤及び前記第1添加剤と異なり、
前記EPA-EEナノ脂質組成物中の水の最小重量パーセントは、65%(w/w)である、請求項2に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項4】
(i)前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記安定剤の含有量は、0.01%~5%であり
、
及び/又は、(ii)前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記第1添加剤の含有量は、0.01%~5%(w/w)で
ある、請求項3に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項5】
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記第2乳化剤の重量比率は、0.1%~10%であり
、
及び/又は、前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記安定剤の重量比率は、0.1%~5%であり
、
及び/又は、前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記第1添加剤の重量比率は、0.1%~5%であり
、
及び/又は、前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数として、前記第2添加剤の重量比率は、0.01%~15%で
ある、請求項
3に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項6】
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量を基数とし、それぞれ以下の重量パーセントとして、
EPA-EE原料 4%~20%(w/w)、
第1乳化剤 0.5%~5%(w/w)、
第2乳化剤 0.5%~5%(w/w)、
安定剤 0.1%~3%(w/w)、
第1添加剤 0.1%~3%(w/w)、
第2添加剤 0.01%~10%(w/w)、及び
水を含む、請求項
3に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項7】
前記EPA-EE原料は、深海魚油、海藻油、オキアミ油から選ばれる1種又は複数種の油のエチルエステル化生成物であり、
及び/又は、前記EPA-EE原料において、EPA-EEの質量含有量は70%以上であり
、
及び/又は、前記高度不飽和リン脂質のヨウ素価は、80以上であり
、
及び/又は、前記高度不飽和リン脂質において、ホスファチジルコリンの質量比率は、60%以上であり
、
及び/又は、前記第1乳化剤は、大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質、ポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記安定剤は、両親媒性の非イオン性高分子ポリマーであり、前記安定剤は、ビタミン脂質高分子誘導体、リン脂質高分子誘導体、脂肪酸エステル高分子誘導体及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーから選ばれる1種又は複数種であり、
前記ビタミン脂質高分子誘導体は、ビタミンEコハク酸ポリエチレングリコールエステルであり、
前記リン脂質高分子誘導体は、ポリエチレングリコールで修飾された合成リン脂質であり、
前記脂肪酸エステル高分子誘導体は、ポリエチレングリコールで修飾された脂肪酸エステルであり、
前記リン脂質高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、400Da~6000Daであり
、該分子量とは、数平均分子量又は重量平均分子量であり
、
前記脂肪酸エステル高分子誘導体中のPEG単位の分子量は、200Da~4000Daであり
、該分子量とは、数平均分子量又は重量平均分子量であり
、
及び/又は、前記第1添加剤は、負荷電側鎖を有するアミノ酸、負荷電を有するアミノ酸誘導体、及び負荷電側鎖を有するオリゴペプチドから選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記第2添加剤は、酸化防止剤、基油、乳化助剤、矯味剤、界面膜安定剤、増粘剤及びpH調整剤から選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、サブミクロンエマルジョンであり、液滴の平均粒径が500nm以下で
ある、請求項
3に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項8】
前記第1乳化剤は、ヨウ素価が90より大きく、かつ大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質及びポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記第2乳化剤は、前記第1乳化剤と異なるリン脂質、ショ糖エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、リノール酸モノグリセリド、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート、脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、スパン、アルギン酸塩、オレイン酸ナトリウム及びカゼイネートから選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記安定剤中のPEG単位は、末端基を提供し、かつ該末端基は、OH又はメトキシ基であり、
及び/又は、前記ビタミン脂質高分子誘導体は、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール200スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール400スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1500スクシネート、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール2000スクシネート及びd-α-トコフェロールポリエチレングリコール4000スクシネートから選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記リン脂質高分子誘導体は、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール2000、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール5000、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン-メトキシポリエチレングリコール2000、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン-メトキシポリエチレングリコール5000、大豆ホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールモノメチルエーテル2000、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール2000、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール2000及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコールから選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記脂肪酸エステル高分子誘導体は、ポリエチレングリコール400オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール600オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール4000オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール6000オレイン酸エステル、ポリエチレングリコール400ビスオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール600ビスオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール200ラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール200ビスラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ビスラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール400ステアリン酸エステル及びポリエチレングリコール400ビスステアリン酸エステルから選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルブロックコポリマーは、Pluronic L65、Pluronic F68から選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するアミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリンから選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するアミノ酸誘導体は、ホスファチジルセリン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン、ジセチル-グルタミン酸-グルタミン酸、ジセチル-グルタミン酸-アスパラギンから選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記第1添加剤中の負荷電側鎖を有するオリゴペプチドは、グルタチオンであり、
及び/又は、前記第2添加剤中の前記酸化防止剤は、ビタミンE、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、ミックストコフェロール、α-トコフェロール酢酸エステル、β-トコフェロール酢酸エステル、γ-トコフェロール酢酸エステル、ミックストコフェロール酢酸エステル、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ミリスチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル及びt-ブチルハイドロキノンから選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記第2添加剤中の前記基油は、大豆油、オリーブ油、ホホバ油、スイートアーモンド油、グレープシード油、コーン油、クルミ油、シーバクソン、オリーブ油、ヨクイニン油、グレープシード油、ショウガ油、ヤシ油、ツバキ油、ローズ油、ハッカ油、レモン油及び中鎖トリグリセリドのうちの1種又は複数種に由来し、及び/又は、
前記EPA-EEナノ脂質組成物は、サブミクロンエマルジョンであり、液滴の平均粒径が100nm~300nmである
、請求項7に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項9】
前記第1乳化剤は、大豆リン脂質S75、S100、ヒマワリ種子リン脂質H100、及びポリエンホスファチジルコリンから選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記第2乳化剤は、卵黄レシチンE80、ポリソルベート80、及びオレイン酸ソルビタン80から選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、前記安定剤は、TPGS、DSPE-PEG及びS40のうちの1種又は複数種であり
、
及び/又は、前記第1添加剤は、ホスファチジルセリン、グルタミン酸ナトリウム、及びタウリンのうちの1種又は複数種であり
、
及び/又は、前記第2添加剤は、酸化防止剤と基油とを含
む、請求項
1に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項10】
質量部として、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、50~500質量部のEPA-EE原料、10~100質量部の第1乳化剤、0~100質量部の第2乳化剤、0~1.2質量部のα-トコフェロール、0~60質量部の基油、及び水を含み、
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量は、900~1100質量部であり、さらに選択的に、1000質量部であり、
及び/又は、前記EPA-EE原料は、100~400質量部であり
、
及び/又は、前記第1乳化剤は、10~100質量部であり
、
及び/又は、前記第1乳化剤は、大豆リン脂質、ヒマワリ種子リン脂質及びポリエンホスファチジルコリンのうちの1種又は複数種を含み
、
及び/又は、前記第2乳化剤は、10~100質量部であり
、
及び/又は、前記第2乳化剤は、卵黄レシチン、ポリソルベート及びオレイン酸ソルビタン80のうちの1種又は複数種を含み
、
及び/又は、α-トコフェロールは、0.1~1質量
部であり、
及び/又は、前記基油は、30~50質量部であり、
及び/又は、前記基油は、コーン油及びオリーブ油のうちの少なくとも1種を
含む、請求項
1に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項11】
前記EPA-EEナノ脂質組成物は、
(組成物1-1):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び残部の水、
(組成物1-2):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、及び残部の水、
(組成物1-3):100質量部のEPA-EE60、10質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、及び残部の水、
(組成物1-4):100質量部のEPA-EE60、10質量部のポリエンホスファチジルコリン、及び残部の水、
(組成物1-5):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び残部の水、
(組成物1-6):200質量部のEPA-EE60、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部の卵黄レシチンE80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油とオリーブ油との等質量混合物、及び残部の水、
(組成物1-7):200質量部のEPA-EE60、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物1-8):200質量部のEPA-EE60、50質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物1-9):200質量部のEPA-EE60、50質量部のポリエンホスファチジルコリン、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物1-10):200質量部のEPA-EE60、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物1-11):300質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部の卵黄レシチンE80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油とオリーブ油の等質量混合物、及び残部の水、
(組成物1-12):300質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物1-13):300質量部のEPA-EE60、100質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物1-14):300質量部のEPA-EE60、100質量部のポリエンホスファチジルコリン、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物1-15):300質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物2-1):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び残部の水、
(組成物2-2):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、及び残部の水、
(組成物2-3):100質量部のEPA-EE80、10質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、及び残部の水、
(組成物2-4):100質量部のEPA-EE80、10質量部のポリエンホスファチジルコリン、及び残部の水、
(組成物2-5):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び残部の水、
(組成物2-6):200質量部のEPA-EE80、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部の卵黄レシチンE80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油とオリーブ油の等質量混合物、及び残部の水、
(組成物2-7):200質量部のEPA-EE80、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物2-8):200質量部のEPA-EE80、50質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物2-9):200質量部のEPA-EE80、50質量部のポリエンホスファチジルコリン、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物2-10):200質量部のEPA-EE80、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油及び残部の水、
(組成物2-11):300質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部の卵黄レシチンE80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油とオリーブ油の等質量混合物、及び残部の水、
(組成物2-12):300質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物2-13):300質量部のEPA-EE80、100質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物2-14):300質量部のEPA-EE80、100質量部のポリエンホスファチジルコリン、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物2-15):300質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物3-1):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び残部の水、
(組成物3-2):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、及び残部の水、
(組成物3-3):100質量部のEPA-EE97、10質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、及び残部の水、
(組成物3-4):100質量部のEPA-EE97、10質量部のポリエンホスファチジルコリン、及び残部の水、
(組成物3-5):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、及び水、
(組成物3-6):200質量部のEPA-EE97、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部の卵黄レシチンE80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油とオリーブ油の等質量混合物、及び残部の水、
(組成物3-7):200質量部のEPA-EE97、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物3-8):200質量部のEPA-EE97、50質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、10質量部のポリソルベート80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物3-9):200質量部のEPA-EE97、50質量部のポリエンホスファチジルコリン、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物3-10):200質量部のEPA-EE97、50質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のオレイン酸ソルビタン80、0.5質量部のα-トコフェロール、30質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物3-11):300質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部の卵黄レシチンE80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油とオリーブ油との等質量混合物、及び残部の水、
(組成物3-12):300質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物3-13):300質量部のEPA-EE97、100質量部のヒマワリ種子リン脂質Lipoid H100、20質量部のポリソルベート80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のコーン油、及び残部の水、
(組成物3-14):300質量部のEPA-EE97、100質量部のポリエンホスファチジルコリン、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油、及び残部の水、
(組成物3-15):300質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のオレイン酸ソルビタン80、1質量部のα-トコフェロール、50質量部のオリーブ油及び残部の水、のうちのいずれかの組成物で1000質量部となる、請求項1に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項12】
質量部として、前記EPA-EEナノ脂質組成物は、50~500質量部のEPA-EE原料、10~100質量部の第1乳化剤、0~60質量部の安定剤、0~50質量部の第1添加剤、20~40質量部の第2添加剤、及び水を含み、
前記EPA-EEナノ脂質組成物の総重量は、900~1100質量部であり
、
及び/又は、前記EPA-EE原料は、100~400質量部であり
、
及び/又は、前記第1乳化剤は、10~50質量部であり、
及び/又は、前記第1乳化剤は、大豆リン脂質を含み
、
及び/又は、前記安定剤は、10~50質量部であり
、
及び/又は、前記安定剤は、TPGS、DSPE-PEG及びS40のうちの1種又は複数種を含み
、
及び/又は、前記第1添加剤は、10~30質量部であり
、
及び/又は、前記第1添加剤は、ホスファチジルセリン、グルタミン酸ナトリウム及びタウリンのうちの1種又は複数種を
含む、請求項
1に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項13】
前記EPA-EEナノ脂質組成物は、
(
組成物A1):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、及び残部の水、
(
組成物A2):100質量部のEPA-EE60、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(
組成物A3):100質量部のEPA-EE60、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物A4):100質量部のEPA-EE60、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水、
(
組成物A5):100質量部のEPA-EE60、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(
組成物A6):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物A7):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(
組成物A8):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物A9):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水、
(
組成物A10):100質量部のEPA-EE60、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(
組成物A11):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGS、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物A12):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のDSPE-PEG、20質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(
組成物A13):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物A14):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のタウリン、及び残部の水、
(
組成物A15):200質量部のEPA-EE60、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGSとS40との等質量混合物、20質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(
組成物B1):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、及び残部の水、
(
組成物B2):100質量部のEPA-EE80、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(
組成物B3):100質量部のEPA-EE80、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物B4):100質量部のEPA-EE80、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水、
(
組成物B5):100質量部のEPA-EE80、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(
組成物B6):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物B7):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(
組成物B8):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物B9):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水、
(
組成物B10):100質量部のEPA-EE80、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(
組成物B11):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGS、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物B12):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のDSPE-PEG、20質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(
組成物B13):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物B14):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のタウリン、及び残部の水、
(
組成物B15):200質量部のEPA-EE80、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGSとS40との等質量混合物、20質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(
組成物C1):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、及び残部の水、
(
組成物C2):100質量部のEPA-EE97、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(
組成物C3):100質量部のEPA-EE97、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物C4):100質量部のEPA-EE97、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水、
(
組成物C5):100質量部のEPA-EE97、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(
組成物C6):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGS、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物C7):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のDSPE-PEG、10質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(
組成物C8):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物C9):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のS40、10質量部のタウリン、及び残部の水、
(
組成物C10):100質量部のEPA-EE97、10質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、10質量部のTPGSとS40との等質量混合物、10質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、
(
組成物C11):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGS、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物C12):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質リポイドLipoid S75、20質量部のDSPE-PEG、20質量部のグルタミン酸ナトリウム、及び残部の水、
(
組成物C13):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のホスファチジルセリン、及び残部の水、
(
組成物C14):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のS40、20質量部のタウリン、及び残部の水、
(
組成物C15):200質量部のEPA-EE97、100質量部の大豆リン脂質Lipoid S75、20質量部のTPGSとS40との等質量混合物、20質量部のタウリンとグルタミン酸ナトリウムとの等質量混合物、及び残部の水、のうちのいずれかの組成物、及び前記第2添加剤で1000質量部となり、かつ前記第2添加剤は、1質量部のα-トコフェロール及び30質量部のオリーブ油であり、又は2質量部のα-トコフェロール及び30質量部の中鎖トリグリセリドである、請求項1に記載のEPA-EEナノ脂質組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のEPA-EEナノ脂質組成物を含む、EPA-EEナノ脂質製剤。
【請求項15】
前記EPA-EEナノ脂質製剤は、経口製剤である、請求項14に記載のEPA-EEナノ脂質製剤。
【請求項16】
雄性ラットに、EPA-EEとして400mg/kgの量の前記EPA-EEナノ脂質製剤を投与する場合、
0~24時間投与後の血中EPA濃度曲線下面積が2500μg/mL以上であり、又は血中EPA濃度最大値が700μg/mL以上であり、
及び/又は、200μg/mLの血中EPA濃度の維持時間が3時間以上であり、100μg/mLの血中EPA濃度の維持時間が6時間以上である、請求項14に記載のEPA-EEナノ脂質製剤。
【請求項17】
雄性ビーグル犬に、EPA-EEとして120mg/kgの量の前記EPA-EEナノ脂質製剤を投与する場合、
0~48時間投与後の血中EPA濃度曲線下面積が1500μg/mL以上であり、又は血中EPA濃度最大値が100μg/mL以上であり、
及び/又は、60μg/mLの血中EPA濃度の維持時間が4時間以上である、請求項14に記載のEPA-EEナノ脂質製剤。
【請求項18】
前記EPA-EE原料を含む油相成分を加熱条件下で混合し、油相基質を調製するステップと、
水相成分を水性溶媒に溶解して水相基質を調製するか、又は、水を水相基質とするステップと、
前記油相基質と前記水相基質を混合し、せん断撹拌して水中油型一次エマルジョンを調製するステップと、
前記水中油型一次エマルジョンに対して高圧均質化処理を行って、サブミクロンエマルジョンを調製するステップと、を含み、
前記サブミクロンエマルジョンを調製した後、濾過、充填及び滅菌のうちのいずれか1つ又は複数をさらに行い、
及び/又は、前記EPA-EE原料を含む油相成分を加熱条件下で混合するステップにおいて、加熱温度は、50℃~70℃であり、
及び/又は、前記油相基質と前記水相基質を混合するステップにおいて、50℃~70℃の条件下で混合し、
及び/又は、前記水中油型一次エマルジョンに対して高圧均質化処理を行う前に、前記水中油型一次エマルジョンにpH調整剤を添加し、
及び/又は、前記高圧均質化処理の圧力は、200bar~800barであり、さらに選択的に、前記高圧均質化処理を行う回数は、1回又は複数回であり、
及び/又は、前記EPA-EEナノ脂質製剤のpHは、7~8である、請求項1
4に記載のEPA-EEナノ脂質製剤の調製方法。
【請求項19】
心血管疾患を予防及び/又は治療する薬物の調製における、請求項1~13のいずれか一項に記載のEPA-EEナノ脂質組成
物の使用、或いは、医療用食品、保健食品における、請求項1~13のいずれか一項に記載のEPA-EEナノ脂質組成
物の使用であって、
心血管疾患を予防及び/又は治療する薬物とは、心血管疾患を予防できる薬物、心血管疾患を治療できる薬物又は心血管疾患を予防及び治療できる薬物を指
す、使用。
【請求項20】
前記心血管疾患は、高脂血症、重度の高トリグリセリド血症、極度の高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍及び/又は疼痛、冷感、頸動脈プラーク、心筋梗塞、虚血性心疾患発作、虚血性発作、急性狭心症、急性狭心症による入院、脳卒中及び心血管イベントによる入院からなる群より選ばれる1つ又は複数のイベントであ
る、請求項
19に記載の
使用。
【国際調査報告】