(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】エネルギー変換装置、スピーカー及び音響出力装置
(51)【国際特許分類】
H04R 9/02 20060101AFI20250121BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20250121BHJP
H04R 25/00 20060101ALI20250121BHJP
H04R 9/04 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
H04R9/02 102E
H04R1/00 317
H04R25/00 F
H04R9/04 105Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542383
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 CN2022133195
(87)【国際公開番号】W WO2024021380
(87)【国際公開日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】202210877819.0
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521104171
【氏名又は名称】シェンチェン ショックス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュー コアンユアン
(72)【発明者】
【氏名】チャン レイ
(72)【発明者】
【氏名】フー ジュンジアン
(72)【発明者】
【氏名】チー シン
【テーマコード(参考)】
5D012
5D017
【Fターム(参考)】
5D012CA01
5D012GA01
5D017AB13
(57)【要約】
本明細書は、エネルギー変換装置、スピーカー、及び音響出力装置に関し、エネルギー変換装置は、磁石アセンブリ、及び前記磁石アセンブリを少なくとも部分的に取り囲むように設置された磁束伝導カバーを含む磁気回路システムと、前記磁石アセンブリの振動方向に沿って前記磁石アセンブリの両側にそれぞれ分布し、前記磁石アセンブリをそれぞれ磁束伝導カバー内に弾性的に支持する第1の振動伝達シート及び第2の振動伝達シートを含む振動伝達シートと、を含み、前記エネルギー変換装置は、共振ピーク周波数が300Hzよりも小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石アセンブリ、及び前記磁石アセンブリを少なくとも部分的に取り囲むように設置された磁束伝導カバーを含む磁気回路システムと、
前記磁石アセンブリの振動方向に沿って前記磁石アセンブリの両側にそれぞれ分布し、前記磁石アセンブリをそれぞれ磁束伝導カバー内に弾性的に支持する第1の振動伝達シート及び第2の振動伝達シートを含む振動伝達シートと、を含み、
共振ピーク周波数が300Hzよりも小さい、エネルギー変換装置。
【請求項2】
前記振動伝達シートは、総軸方向弾性係数が18000N/mよりも小さい、ことを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー変換装置。
【請求項3】
前記第1の振動伝達シート又は前記第2の振動伝達シートは、軸方向弾性係数が9000N/mよりも小さい、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のエネルギー変換装置。
【請求項4】
前記第1の振動伝達シート又は前記第2の振動伝達シートは、縁部領域と、中心領域と、前記縁部領域及び前記中心領域を接続する複数の支持ロッドと、を含み、前記中心領域は、前記磁石アセンブリに接続される、ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項5】
前記複数の支持ロッドのうちの1つの支持ロッドについて、前記第1の振動伝達シート又は前記第2の振動伝達シートの長手方向に沿って、前記支持ロッドの始点と終点との間の前記第1の振動伝達シート又は前記第2の振動伝達シートの長手方向に沿った距離と前記支持ロッドの長さとの比は、0~1.2の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項4に記載のエネルギー変換装置。
【請求項6】
前記複数の支持ロッドのうちの1つの支持ロッドは、
前記支持ロッドの長さが7mm~25mmの範囲内にあること、
前記支持ロッドの厚さが0.1mm~0.2mmの範囲内にあること、
前記支持ロッドの幅が0.25mm~0.5mmの範囲内にあること、又は、
前記支持ロッドが位置する振動伝達シートの厚さと前記支持ロッドの幅との比が0.16~0.75の範囲内にあることの1つ以上の条件を満たす、ことを特徴とする、請求項4又は5に記載のエネルギー変換装置。
【請求項7】
前記磁石アセンブリは、磁石と、前記磁石アセンブリの振動方向において前記磁石の両側に固定された第1の磁束伝導プレート及び第2の磁束伝導プレートと、を含み、前記第1の振動伝達シートの中心領域は、前記第1の磁束伝導プレートに接続され、前記第2の振動伝達シートの中心領域は、前記第2の磁束伝導プレートに接続される、ことを特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項8】
前記磁石に第1の孔が設置され、前記磁束伝導プレートに第2の孔が設置され、前記第2の孔が前記第1の孔に対応して設置される、ことを特徴とする、請求項7に記載のエネルギー変換装置。
【請求項9】
前記磁束伝導プレートの厚さと前記磁石の厚さとの比は、0.05~0.35の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項7又は8に記載のエネルギー変換装置。
【請求項10】
前記第1の振動伝達シートの縁部領域は、前記磁束伝導カバーの前記磁石アセンブリの振動方向に沿った一端に接続され、前記第2の振動伝達シートの縁部領域は、前記磁束伝導カバーの前記磁石アセンブリの振動方向に沿った他端に接続されることにより、前記第1の振動伝達シートと前記第2の振動伝達シートは、前記磁石アセンブリを弾性的に支持する、ことを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項11】
前記磁石、前記磁束伝導プレート及び前記磁束伝導カバーのうちの少なくとも1つは、磁化方向が異なる複数の磁性部を含む、ことを特徴とする、請求項10に記載のエネルギー変換装置。
【請求項12】
前記磁気回路システム内に設置されたコイルをさらに含み、前記磁束伝導カバーは、前記コイルの外側に嵌設され、前記磁束伝導カバーの内壁は、前記コイルの外壁に密着する、ことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項13】
前記コイルの前記エネルギー変換装置の径方向に沿ったコイル数が偶数であり、それにより前記コイルの入線と出線が前記磁束伝導カバーの同一位置にある、ことを特徴とする、請求項12に記載のエネルギー変換装置。
【請求項14】
前記コイルは、第1のコイル及び第2のコイルを含み、前記第1のコイル及び前記第2のコイルは、前記エネルギー変換装置の振動方向に沿って配置され、前記第1のコイル又は前記第2のコイルの軸方向高さと径方向幅との比は、3.5以上である、ことを特徴とする、請求項12又は13に記載のエネルギー変換装置。
【請求項15】
前記コイルの全体的な直流インピーダンスは、6Ω~10Ωの範囲内にある、ことを特徴とする、請求項14に記載のエネルギー変換装置。
【請求項16】
前記第1の振動伝達シート又は前記第2の振動伝達シートは、前記磁石アセンブリの振動方向に垂直な平面内の任意の方向における等価剛性が4.7×10
4N/mよりも大きい、ことを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項17】
前記エネルギー変換装置の質量は、2g~5gの範囲内にある、ことを特徴とする、請求項12~16のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項18】
ハウジングと、電子部品と、請求項1~16のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置と、を含み、前記ハウジングは、前記エネルギー変換装置及び前記電子部品を収容するキャビティを形成する、スピーカー。
【請求項19】
前記電子部品は、前記エネルギー変換装置の振動方向に垂直な振動敏感部品を含む、ことを特徴とする、請求項18に記載のスピーカー。
【請求項20】
前記振動敏感部品は、空気伝導スピーカーを含み、前記エネルギー変換装置の振動方向は、前記空気伝導スピーカーの振動膜の振動方向と垂直である、ことを特徴とする、請求項19に記載のスピーカー。
【請求項21】
前記電子部品は、空気伝導スピーカーを含み、前記空気伝導スピーカーの振動膜は、前記磁石アセンブリと前記エネルギー変換装置の前記ハウジングとの間に接続され、前記振動膜の振動方向は、前記エネルギー変換装置の振動方向と平行である、ことを特徴とする、請求項18に記載のスピーカー。
【請求項22】
固定アセンブリと、請求項18~21のいずれか一項に記載のスピーカーと、を含み、前記固定アセンブリは、前記スピーカーに接続される、音響出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権情報)
本願は、2022年7月25日に出願された出願番号202210877819.0の中国出願に対する優先権を主張するものである。そのすべての内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本明細書は、電子機器の技術分野に関し、特にエネルギー変換装置、スピーカー及び音響出力装置に関する。
【背景技術】
【0003】
スピーカーは、日常生活に広く応用されている。従来のスピーカーは、感度が低く、質量が大きく、エネルギー変換装置内部の磁石がオフセットし、磁界強度が小さいなどの問題がよく発生する。本明細書は、上記課題を解決するエネルギー変換装置、スピーカー及び音響出力装置を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書の一実施例に係るエネルギー変換装置は、磁石アセンブリ、及び前記磁石アセンブリを少なくとも部分的に取り囲むように設置された磁束伝導カバーを含む磁気回路システムと、エネルギー変換装置の振動方向に沿って前記磁石アセンブリの両側にそれぞれ分布し、前記磁石アセンブリを弾性的に支持する第1の振動伝達シート及び第2の振動伝達シートを含む振動伝達シートと、前記磁気回路システム内に設置され、前記磁石アセンブリの磁界範囲内にあり、全体的な直流インピーダンスが6Ω~10Ωの範囲内にあるコイルと、を含む。
【0005】
本明細書の一実施例に係るエネルギー変換装置は、磁石アセンブリ、及び前記磁石アセンブリを少なくとも部分的に取り囲むように設置された磁束伝導カバーを含む磁気回路システムと、前記磁石アセンブリの振動方向に沿って前記磁石アセンブリの両側にそれぞれ分布し、前記磁石アセンブリをそれぞれ磁束伝導カバー内に弾性的に支持する第1の振動伝達シート及び第2の振動伝達シートを含む振動伝達シートと、を含み、前記エネルギー変換装置は、共振ピーク周波数が300Hzよりも小さい。
【0006】
本明細書の一実施例に係るエネルギー変換装置は、磁石アセンブリ、及び前記磁石アセンブリを少なくとも部分的に取り囲むように設置された磁束伝導カバーを含む磁気回路システムと、前記磁石アセンブリの振動方向に沿って前記磁石アセンブリの両側にそれぞれ分布し、前記磁石アセンブリをそれぞれ磁束伝導カバー内に弾性的に支持する第1の振動伝達シート及び第2の振動伝達シートを含む振動伝達シートと、を含み、前記第1の振動伝達シート又は前記第2の振動伝達シートは、前記磁石アセンブリの振動方向に垂直な平面内の任意の方向における等価剛性が4.7×104N/mよりも大きい。
【0007】
本明細書の一実施例に係るエネルギー変換装置は、磁石、磁束伝導プレート及び磁束伝導カバーを含み、前記磁石及び磁束伝導プレートが前記エネルギー変換装置の振動方向に沿って設置される磁気回路システムと、前記磁石アセンブリの振動方向に沿って前記磁石の両側に固定され、前記磁石をそれぞれ弾性的に支持する第1の振動伝達シート及び第2の振動伝達シートを含む振動伝達シートと、を含み、前記磁石に第1の孔が設置され、前記磁束伝導プレートに第2の孔が設置され、前記第2の孔が前記第1の孔に対応して設置される。
【0008】
本明細書の一実施例に係るエネルギー変換装置は、磁石、磁束伝導プレート及び磁束伝導カバーを含み、前記磁石及び磁束伝導プレートが前記エネルギー変換装置の振動方向に沿って設置される磁気回路システムと、第1の振動伝達シート及び第2の振動伝達シートを含み、前記第1の振動伝達シート又は第2の振動伝達シートがエネルギー変換装置の振動方向に沿って前記磁石の両側に固定され、前記磁石を弾性的に支持する振動伝達シートと、を含み、前記磁束伝導プレートの厚さと前記磁石の厚さとの比は、0.05~0.35の範囲内にある。
【0009】
本明細書の一実施例に係るエネルギー変換装置は、磁石、磁束伝導プレート及び磁束伝導カバーを含み、前記磁石及び磁束伝導プレートが前記エネルギー変換装置の振動方向に沿って設置される磁気回路システムと、第1の振動伝達シート及び第2の振動伝達シートを含み、前記第1の振動伝達シート又は第2の振動伝達シートがエネルギー変換装置の振動方向に沿って前記磁石の両側に固定され、前記磁石を弾性的に支持する振動伝達シートと、を含み、前記磁石、前記磁束伝導プレート及び前記磁束伝導カバーのうちの少なくとも1つは、磁化方向が異なる複数の磁性部を含む。
【0010】
本明細書の一実施例に係るスピーカーは、ハウジングと、電子部品と、本明細書のいずれかの実施例に記載のエネルギー変換装置と、を含み、前記ハウジングは、前記エネルギー変換装置及び前記電子部品を収容するキャビティを形成する。
【0011】
本明細書の一実施例に係る音響出力装置は、固定アセンブリと、本明細書のいずれか実施例に記載のスピーカーと、を含み、前記固定アセンブリは、前記スピーカーに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1(a)】本明細書のいくつかの実施例に係るスピーカーの装着概略図である。
【
図1(b)】本明細書のいくつかの実施例に係るスピーカーの装着概略図である。
【
図1(c)】本明細書のいくつかの実施例に係るスピーカーの装着概略図である。
【
図2(a)】本明細書のいくつかの実施例に係るスピーカーの概略構成図である。
【
図2(b)】本明細書のいくつかの実施例に係る磁束伝導カバーの概略構成図である。
【
図2(c)】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な第1の磁束伝導プレートと第1のコイルの位置概略図である。
【
図3】本明細書のいくつかの実施例に係るスピーカーの概略構成図である。
【
図4】本明細書のいくつかの実施例に係るスピーカーの概略構成図である。
【
図5(a)】本明細書のいくつかの実施例に係るスピーカーの概略構成図である。
【
図5(b)】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導スピーカーと空気伝導スピーカーとの間の異なる距離のコイルの磁界に対する影響の比較図である。
【
図6】本明細書のいくつかの実施例に係るエネルギー変換装置の概略構成図である。
【
図7(a)】本明細書のいくつかの実施例に係るエネルギー変換装置の分解図である。
【
図7(b)】本願のいくつかの実施例に係るシングルボイスコイル構造とデュアルボイスコイル構造のエネルギー変換装置のインピーダンスの比較図である。
【
図7(c)】本願のいくつかの実施例に係る筒状磁束伝導カバーの部分概略図である。
【
図7(d)】本願のいくつかの実施例に係る椀状磁束伝導カバーの概略図である。
【
図8】磁束伝導カバーに溝が形成される場合と溝が形成されていない場合の周波数応答曲線の比較図である。
【
図9(a)】本明細書のいくつかの実施例に係る磁束伝導プレートの概略平面図である。
【
図9(b)】本明細書のいくつかの実施例に係る磁束伝導プレートの概略平面図である。
【
図9(c)】本明細書のいくつかの実施例に係る磁束伝導プレートの概略平面図である。
【
図10】本明細書のいくつかの実施例に係る磁束伝導プレートに孔が形成される場合と孔が形成されていない場合の周波数応答曲線の比較図である。
【
図11】本明細書のいくつかの実施例に係る磁束伝導プレートに孔が形成される場合と孔が形成されていない場合の周波数応答曲線の比較図である。
【
図12】本明細書のいくつかの実施例に係る磁束伝導プレート上の第2の孔から磁束伝導プレートの中心までの距離が異なる場合のBL値曲線の比較図である。
【
図13】本明細書のいくつかの実施例に係る第2の孔の直径が異なる場合の周波数応答曲線の比較図である。
【
図14(a)】本明細書のいくつかの実施例に係る第2の孔の直径が異なる場合のBL値曲線の比較図である。
【
図14(b)】本明細書のいくつかの実施例に係るスピーカーの質量が2g~5gの範囲内にある場合の加速度曲線の比較図である。
【
図15(a)】本明細書のいくつかの実施例に係る振動伝達シートの概略構成図である。
【
図15(b)】本明細書のいくつかの実施例に係る振動伝達シートの概略構成図である。
【
図15(c)】本明細書のいくつかの実施例に係る振動伝達シートの概略構成図である。
【
図16(a)】本明細書のいくつかの実施例に係る振動伝達シートの概略構成図である。
【
図16(b)】本明細書のいくつかの実施例に係る振動伝達シートの概略構成図である。
【
図17(a)】本明細書のいくつかの実施例に係るハルバッハ配列(Halbach Array)形式の磁気回路システムの概略構成図である。
【
図17(b)】本明細書のいくつかの実施例に係るハルバッハ配列(Halbach Array)形式の磁気回路システムの概略構成図である。
【
図17(c)】本明細書のいくつかの実施例に係るハルバッハ配列(Halbach Array)形式の磁気回路システムの概略構成図である。
【
図17(d)】本明細書のいくつかの実施例に係るハルバッハ配列(Halbach Array)形式の磁気回路システムの概略構成図である。
【
図17(e)】本明細書のいくつかの実施例に係るハルバッハ配列(Halbach Array)形式の磁気回路システムの概略構成図である。
【
図17(f)】本明細書のいくつかの実施例に係るハルバッハ配列(Halbach Array)形式の磁気回路システムの概略構成図である。
【
図17(g)】本明細書のいくつかの実施例に係るハルバッハ配列(Halbach Array)形式の磁気回路システムの概略構成図である。
【
図18】本明細書のいくつかの実施例に係る磁気回路システムが異なる磁性部配列を有する場合のBL値曲線の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本願のいくつかの例又は実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに応用することができる。言語環境から明らかではないか又は明記しない限り、図面において、同じ符号は同じ構造又は操作を表す。
【0014】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」が、レベルの異なる様々なアセンブリ、部品、部材、部分又は組立体を区別する方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0015】
本願及び特許請求の範囲に示すように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「一」、「1つ」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は機器は、他のステップ又は要素を含む可能性がある。
【0016】
本明細書の実施例は、音響出力装置100を説明する。いくつかの実施例において、音響出力装置100は、スピーカー10と、固定アセンブリ20と、を含んでもよく、スピーカー10は、固定アセンブリ20に接続される。固定アセンブリ20は、スピーカー10を装着位置に装着するように支持することができる。いくつかの実施例において、装着位置は、ユーザの頭上の特定の位置であってもよい。例えば、装着位置は、耳、乳様突起、側頭骨、頭頂骨、前頭骨などを含んでもよい。また例えば、装着位置は、頭の左右両側、かつ人体の矢状軸上のユーザの耳の前側の位置を含んでもよい。いくつかの実施例において、スピーカー10は、エネルギー変換装置を含んでもよく、エネルギー変換装置は、ユーザが音響出力装置100によって音声を聞くことができるように、電気信号(音声情報を含む)を機械的振動に変換してもよい。具体的には、スピーカー10で発生した機械的振動は、主にユーザの頭骨などの媒体を介して伝達(すなわち骨伝導)されて骨伝導音声を形成してもよく、主に空気などの媒体を介して伝達(すなわち空気伝導)されて空気伝導音声を形成してもよく、骨伝導と空気伝導とを組み合わせた方式により音声を伝達してもよい。スピーカー10に関するより多くの説明については、
図2(a)~
図4及びそれらの関連説明などの本明細書の他の箇所を参照することができる。
【0017】
いくつかの実施例において、固定アセンブリ20は、環状に設置され、ユーザの額及び後頭部を通ってユーザの頭に巻き付けられてもよい。いくつかの実施例において、固定アセンブリ20は、湾曲形状を形成する後掛け構造であり、ユーザの頭部の後側に適合してもよい。いくつかの実施例において、固定アセンブリ20は、耳掛け構造であってもよく、ユーザの耳介上に引っ掛けられる耳掛け構造は、人の耳に適合する湾曲部を有する。いくつかの実施例において、固定アセンブリ20は、パッド及び両側のテンプルを有し、ユーザの顔及び耳に装着可能なメガネフレーム構造であってもよい。固定アセンブリ20に関するより多くの実施形態については、
図1(a)~
図1(c)及びそれらの関連説明を参照することができる。
【0018】
図1(a)~
図1(c)は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置100の装着概略図である。いくつかの実施例において、
図1(a)に示すように、固定アセンブリ20は、スピーカー10がユーザの顔に固定され、かつユーザの外耳道に近接するように、環状に設置され、ユーザの耳に巻き付けられてもよい。いくつかの実施例において、
図1(b)に示すように、固定アセンブリ20は、スピーカー10がユーザの顔に固定され、かつユーザの外耳道に近接するように、耳掛け及び後掛け構造として設置され、協働してユーザの頭の後側及び耳介に巻き付けられてもよい。いくつかの実施例において、
図1(c)に示すように、固定アセンブリ20は、スピーカー10がユーザの顔に固定され、かつユーザの外耳道に近接するように、湾曲形状を形成するヘッドビーム構造であり、ユーザの頭頂部に巻き付けられてもよい。
【0019】
いくつかの実施例において、音響出力装置100は、少なくとも2つのスピーカー10を含んでもよい。少なくとも2つのスピーカー10は、音響出力装置100がステレオ効果を達成するように、いずれも電気信号を機械的振動に変換することができる。例えば、音響出力装置100は、2つのスピーカー10を含んでもよい。2つのスピーカー10は、ユーザの左耳側と右耳側にそれぞれ設置されてもよい。ステレオに対する要求が特に高くないいくつかの応用シーン(例えば、聴覚障害のある患者の補聴、生放送中の司会者へのセリフ提示など)では、音響出力装置100は、1つのスピーカー10のみが設置されてもよい。
【0020】
音響出力装置100が2つのスピーカー10を含む場合、例示的に、固定アセンブリ20は、2つの耳掛けアセンブリ及び1つの後掛けアセンブリを含んでもよい。後掛けアセンブリの両端は、それぞれ、対応する耳掛けアセンブリの一端に接続され、各耳掛けアセンブリの後掛けアセンブリから離れた他端は、それぞれ、対応するスピーカー10に接続される。具体的には、後掛けアセンブリがユーザの頭の後側に巻き付けられるように湾曲状に設置され、かつ耳掛けアセンブリがユーザの耳と頭との間に掛けられるように湾曲状に設置されてもよく、それにより音響出力装置100の装着需要の実現を容易にする。このように、音響出力装置100が装着状態にある場合、2つのスピーカー10は、それぞれ、ユーザの頭の左側と右側に位置し、かつ固定アセンブリ20の協働作用でユーザの頭を押し、ユーザは、音響出力装置100から出力された音声を聞くことができる。
【0021】
いくつかの実施例において、本明細書におけるスピーカー10は、骨伝導スピーカー及び/又は空気伝導スピーカーであってもよい。いくつかの実施例において、音響出力装置100は、オーディオ機能を有する電子機器であってもよく、例えば、音響出力装置100は、音楽イヤホン、補聴イヤホン、骨伝導イヤホン、補聴器、オーディオメガネ、スマートヘルメット、VR装置、AR装置などの電子機器であってもよい。
【0022】
図2(a)は、本明細書のいくつかの実施例に係るスピーカー10の概略構成図である。
図2(a)に示すように、スピーカー10は、ハウジング11、エネルギー変換装置12及び振動パネル13を含んでもよい。ハウジング11内には、エネルギー変換装置12を収容する収容キャビティが形成されてもよい。エネルギー変換装置12は、ハウジング11の収容キャビティ内に設置されてもよく、振動パネル13は、エネルギー変換装置12に接続されてもよく、かつエネルギー変換装置12で発生した機械的振動をユーザに伝達することができる。固定アセンブリ20は、ハウジング11の外側に接続されてもよい。いくつかの実施例において、エネルギー変換装置12は、電気信号を機械的振動に変換し、振動パネル13は、装着状態においてユーザの皮膚に接触してもよく、エネルギー変換装置12で発生した機械的振動は、振動パネルに伝達され、ユーザの皮膚、骨格及び/又は組織を介してユーザの聴覚神経に作用し、それにより骨伝導音声を形成する。なお、ハウジング11は、矩形、円形、菱形、多角形など、又は任意の不規則的な形状、及びそれらの組み合わせであってもよく、図に示す形状に限定されない。
【0023】
いくつかの実施例において、スピーカー10は、制振シート14をさらに含んでもよい。エネルギー変換装置12は、制振シート14によってハウジング11の収容キャビティ内に引っ掛けられてもよい。振動パネル13は、ハウジング11に接触しなくてもよく、この場合、制振シート14により、エネルギー変換装置12で発生した機械的振動は、ハウジング11に少なく伝達され、ひいてはハウジング11に伝達されない可能性があり、それによりハウジング11がスピーカー10の外部の空気を振動させることをある程度回避し、スピーカー10の音漏れを低減することに有利である。いくつかの実施例において、ハウジング11は、開放した開口端を有し、振動パネル13は、ハウジング11の外部に設置されて開口端に対向し、すなわち、振動パネル13の縁部は、ハウジング11の開口端に接続されず、振動パネル13とエネルギー変換装置12との間に接続ロッド131が設置され、接続ロッド131は、一端がエネルギー変換装置12に接続され、他端がハウジング11の開口端を貫通して振動パネル13に接続され、それにより振動している振動パネル13及びエネルギー変換装置12は、ハウジング11に接触せず、スピーカー10の音漏れを低減する。いくつかの実施例において、制振シート14は、振動パネル13及びエネルギー変換装置12の引っ掛けを実現するように、接続ロッド131とハウジング11との間に接続されてもよい。いくつかの実施例において、スピーカー10の音漏れを低減するように、ハウジング11には、ハウジング11の収容キャビティ及びスピーカー10の外部を連通させる少なくとも1つの貫通孔(「音漏れ低減孔」とも呼ばれる)が形成されてもよい。
【0024】
いくつかの実施例において、スピーカー10は、振動パネル13に接続された顔当てカバー(図示せず)をさらに含んでもよく、顔当てカバーは、ユーザの皮膚に接触し、すなわち、振動パネル13は、顔当てカバーを介してユーザの皮膚に接触することができる。顔当てカバーのショア硬度は、振動パネル13のショア硬度よりも小さくてもよく、すなわち、顔当てカバーは、振動パネル13よりも柔らかくてもよい。例えば、顔当てカバーの材質がシリコーンゴムのような軟質材料であり、振動パネル13の材質がポリカーボネート、ガラス繊維強化プラスチックのような硬質材料であってもよい。このように、スピーカー10の装着快適さを向上させ、スピーカー10をユーザの皮膚により密着させ、さらにスピーカー10の音質を向上させることができる。いくつかの実施例において、顔当てカバーは、ユーザが容易に交換するように、振動パネル13に取り外し可能に接続されてもよい。例えば、顔当てカバーは、振動パネル13に嵌設されてもよい。
【0025】
図2(a)に示すように、エネルギー変換装置12は、ブラケット121、振動伝達シート122、磁気回路システム123及びコイル124を含んでもよい。いくつかの実施例において、振動パネル13は、ブラケット121に接続されてもよい。例えば、
図2(a)に示すように、ブラケット121は、接続ロッド131の振動パネル13から離れた端に接続されてもよい。ブラケット121は、磁気回路システム123をハウジング11の収容キャビティ内に引っ掛けるように、振動伝達シート122を介して磁気回路システム123に接続されてもよい。いくつかの実施例において、制振シート14は、エネルギー変換装置12をハウジング11の収容キャビティ内に引っ掛けるように、ブラケット121及びハウジング11を接続してもよい。コイル124は、エネルギー変換装置12の振動方向に沿って磁気回路システム123の磁気ギャップ内に伸びてもよい。
【0026】
いくつかの実施例において、磁気回路システム123は、磁石アセンブリ1231及び磁束伝導カバー1232を含んでもよい。磁束伝導カバー1232は、コイル124に嵌設されてもよく、磁石アセンブリ1231は、コイル124内に設置されてもよく、磁束伝導カバー1232と磁石アセンブリ1231は、振動方向に垂直な方向において間隔をあけて設置され、磁束伝導カバー1232の内側壁と磁石アセンブリ1231の外側との間に前述の磁気ギャップが形成される。いくつかの実施例において、コイル124は、エネルギー変換装置12の振動方向に平行な軸線の周りに磁石アセンブリ1231の外側に嵌設されてもよい。いくつかの実施例において、磁気回路システム123の磁束伝導カバー1232は、エネルギー変換装置12の振動方向に平行な軸線の周りにコイル124の外側に嵌設され、すなわち、磁束伝導カバー1232と磁石アセンブリ1231とは、エネルギー変換装置12の振動方向に垂直な方向において間隔をあけて設置される。具体的には、コイル124は、磁束伝導カバー1232に接続されてもよい。本願のいくつかの実施例において、コイル124は、磁束伝導カバー1232の内壁に密着する。いくつかの実施例において、振動伝達シート122は、上記磁束伝導カバー1232と磁石アセンブリ1231との間に接続されてもよく、上記磁石アセンブリ1231を弾性的に支持することができる。例えば、振動伝達シート122及び磁気回路システム123は、振動方向に沿って配置され、振動伝達シート122の振動方向に垂直な側面は、磁気回路システム123の固定を実現するように、磁束伝導カバー1232の振動方向に垂直な端部に接続されてもよい。なお、本願の他の実施形態において、振動伝達シート122の周縁は、磁気回路システム123の磁束伝導カバー1232に対する固定を実現するように、磁束伝導カバー1232の内壁又は他の位置に接続されてもよい。
【0027】
いくつかの実施例において、コイル124は、第1のコイル1241及び第2のコイル1242を含んでもよい。いくつかの実施例において、第1のコイル1241は、振動方向に沿って振動パネル13に近接する側から磁気回路システム123の磁気ギャップ内に伸び、第2のコイル1242は、振動方向に沿って振動パネル13から離れた側から磁気回路システム123の磁気ギャップ内に伸びてもよい。いくつかの実施例において、組み立てプロセスを簡略化するために、第1のコイル1241及び第2のコイル1242は、振動パネル13に近接する側から磁気回路システム123の磁気ギャップ内に一緒に伸びてもよい。いくつかの実施例において、エネルギー変換装置12は、第1のコイル1241及び第2のコイル1242の形状を保持する保持部をさらに含んでもよい。例えば、第1のコイル1241と第2のコイル1242は、一体型構造であってもよい。具体的には、第1のコイル1241及び第2のコイル1242は、形状保持材料に巻き付けられ、さらに保持部(例えば、高温テープなどの保持材料)を利用して第1のコイル1241及び第2のコイル1242の外部に接着されることにより、一体型構造を形成する。保持部に固定された第1のコイル1241及び第2のコイル1242が振動パネル13の同一側から磁気回路システム123の磁気ギャップ内に伸びるので、コイル124の組み立てプロセスが簡略化される。いくつかの実施例において、2つのコイルが同一のワイヤを巻いて形成されるものであり、又は2つのコイルの一部が接続されるため、2つのコイルの出入線が2本のリード線のみであり、配線を容易にし、後続きの他の構造との電気的な接続を容易にすることができる。
【0028】
いくつかの実施例において、振動伝達シート122は、第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126を含んでもよい。エネルギー変換装置12の振動方向において、第1の振動伝達シート125と第2の振動伝達シート126は、それぞれ磁石アセンブリ1231の背向する両側から磁石アセンブリ1231を弾性的に支持してもよい。このように、本明細書の実施例において、磁石アセンブリ1231は、エネルギー変換装置12の振動方向における背向する両側に弾性的に支持され、顕著な揺れなどの異常振動がなく、このように、エネルギー変換装置12の振動の安定性を向上させることに有利である。
【0029】
例示的に、
図2(a)に示すように、振動方向において、第1の振動伝達シート125の背向する両側の縁部領域1253は、それぞれ、ブラケット121の磁気回路システム123に近接する側と、磁束伝導カバー1232のブラケット121に近接する側とに接続される。第2の振動伝達シート126の縁部領域1263は、磁束伝導カバー1232のブラケット121から離れた側に接続される。いくつかの実施例において、磁束伝導カバー1232は、両端が開口した筒状構造(例えば、
図2(a)及び
図2(b)に示す)、一端が開口した椀状構造(例えば、
図7(d)に示す)などであってもよい。いくつかの実施例において、磁束伝導カバー1232に孔を形成する(例えば、筒状構造の磁束伝導カバーの側壁に孔を形成し(例えば、
図7(c)に示す)、椀状構造の磁束伝導カバーの底部と側面にそれぞれ又はそれらの全てに孔を形成する(例えば、
図7(d)に示す)など)ことにより、磁気回路システム123のキャビティ音効果を低減し、音響出力装置100の音漏れを低減することができる。いくつかの実施例において、磁束伝導カバー1232は、磁気回路システム123で発生した音声が外部に漏れないように、密閉構造であってもよい。
図2(b)は、本明細書のいくつかの実施例に係る磁束伝導カバー1232の概略構成図である。
図2(b)に示すように、カバープレート1232-1及びカバープレート1232-2によって、両端が開口した筒状構造のエネルギー変換装置12の振動方向に沿った両端を密閉して、密閉された磁束伝導カバー1232を形成することができる。カバープレートが例示に過ぎず、他の方式(例えば、カバー膜など)によって、両端が開口した筒状構造の振動方向に沿った両端を密閉して、密閉された磁束伝導カバー1232を形成することもできることを理解されたい。磁石アセンブリ1231で発生した磁界の集中度に対する要求が高くない他のいくつかの実施形態において、磁束伝導カバー1232は、プラスチックブラケットなどの非磁性部材に置き換えられてもよい。これに基づいて、第1の振動伝達シート125の縁部領域と第2の振動伝達シート126の縁部領域は、それぞれプラスチックブラケットの両端に接続されてもよい。
【0030】
いくつかの実施例において、磁石アセンブリ1231は、磁石1233及び磁束伝導プレートを含んでもよい。いくつかの実施例において、磁石1233及び磁束伝導プレートは、エネルギー変換装置12の振動方向に沿って設置される。いくつかの実施例において、磁束伝導プレートは、エネルギー変換装置12の振動方向において上記磁石1233の一方側又は両側に設置されてもよい。いくつかの実施例において、磁束伝導プレートは、エネルギー変換装置12の振動方向において磁石1233の背向する両側に位置する第1の磁束伝導プレート1234及び第2の磁束伝導プレート1235を含んでもよい。第1の振動伝達シート125は、第1の磁束伝導プレート1234の第2の磁束伝導プレート1235から離れた側から磁石アセンブリ1231を支持することができ、第2の振動伝達シート126は、第2の磁束伝導プレート1235の第1の磁束伝導プレート1234から離れた側から磁石アセンブリ1231を支持することができる。例えば、第1の振動伝達シート125の中心領域1252は、第1の磁束伝導プレート1234の第2の磁束伝導プレート1235から離れた側に接続され、第2の振動伝達シート126の中心領域1262は、第2の磁束伝導プレート1235の第1の磁束伝導プレート1234から離れた側に接続される。いくつかの実施例において、磁束伝導プレート(例えば、第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)の磁石1233から離れた角は、面取りであってもよい。例えば、第1の磁束伝導プレート1234及び第2の磁束伝導プレート1235の背向する両側の角(すなわち、磁石1233から離れた角)に対して面取り処理を行うことにより、磁気回路システム123により形成された磁界の分布状況を調整し、磁界をより集中させることができる。いくつかの実施例において、エネルギー変換装置12の振動方向において、第1のコイル1241の高さの半分位置と、第1の磁束伝導プレート1234の振動方向に平行な辺の厚さの半分位置とは、等高であってもよく、第2のコイル1242の高さの半分位置と、第2の磁束伝導プレート1235の振動方向に平行な辺の厚さの半分位置とは、等高であってもよく、このように、磁界は、第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235における面取り部分以外の矩形部分に集中的に分布することができる。
図2(c)は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な第1の磁束伝導プレート1234と第1のコイル1241の位置概略図である。
図2(c)に示すように、エネルギー変換装置12の振動方向に沿って、第1のコイル1241の高さの半分位置H1と、第1の磁束伝導プレート1234の振動方向に平行な辺1234-1の厚さの半分位置H2とは、等高であり、いずれも等高線Lにある。いくつかの実施例において、磁束伝導プレート(例えば、第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)の製造を簡略化するために、磁束伝導プレート(例えば、第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)の磁石1233から離れた角は、直角であってもよい。例えば、第1の磁束伝導プレート1234及び第2の磁束伝導プレート1235の背向する両側の角(すなわち、磁石1233から離れた角)に対して面取り処理を行わなくてもよい。この場合、エネルギー変換装置12の振動方向において、第1のコイル1241の高さの半分位置と、第1の磁束伝導プレート1234の厚さの半分位置とは、等高であってもよく、第2のコイル1242の高さの半分位置と、第2の磁束伝導プレート1235の厚さの半分位置とは、等高であってもよく、このように、磁界は、第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235に集中的に分布することができる。面取り処理が行われた第1の磁束伝導プレート1234及び第2の磁束伝導プレート1235に対して、面取り処理が行われていない第1の磁束伝導プレート1234及び第2の磁束伝導プレート1235の厚さは、エネルギー変換装置12全体の軽量化及び体積減少の目的を達成するように、より小さくてもよい。
【0031】
いくつかの実施例において、エネルギー変換装置12をハウジング11の収容キャビティ内に引っ掛けるように、磁束伝導カバー1232がブラケット121に接続され、ブラケット121が制振シート14を介してハウジング11に接続されてもよい。この場合、
図2(a)に示すように、第1の振動伝達シート125の縁部領域1253の振動方向に垂直な両端部は、ブラケット121及び磁束伝導カバー1232に接続され、第2の振動伝達シート126の縁部領域1263の振動方向に垂直な両端部は、磁束伝導カバー1232に接続され、振動パネル13は、ブラケット121に接続され、かつハウジング11の開口端に接続されなくてもよい。
【0032】
いくつかの実施例において、制振シート14の剛性が小さすぎると、磁気回路システム123が制振シート14によってハウジング11内に安定的に引っ掛けられにくく、このように、エネルギー変換装置12が振動するときの安定性が悪くなりやすく、逆に、制振シート14の剛性が大きすぎると、エネルギー変換装置12の振動が制振シート14を介してハウジング11に伝達されやすくなり、このように、スピーカー10の音漏れが過大となりやすい。いくつかの実施例において、エネルギー変換装置12が振動するときの良好な安定性を確保し、スピーカー10の音漏れを低減するために、制振シート14の剛性と第1の振動伝達シート125(又は第2の振動伝達シート126)の剛性との比は、0.1~5の範囲内にあってもよい。
【0033】
図3は、本明細書のいくつかの実施例に係るスピーカー10の概略構成図である。
図3に示すように、該実施例のスピーカー10は、
図2(a)に示す実施例と基本的に同じであり、主な相違点は、本実施例において、磁束伝導カバー1232がハウジング11又は振動パネル13に剛性的に接続されるように設置され、すなわち、本実施例において、制振シート14が存在しなくてもよいことである。また、本実施例において、磁束伝導カバー1232がハウジング11の内壁に密着することにより、ハウジング11の内部空間を十分に利用し、スピーカー10の小型化を実現することに有利である。なお、本願の他の実施形態において、磁束伝導カバー1232は、他の固定構造によってハウジング11又は振動パネル13との剛性的な接続を実現してもよい。いくつかの実施例において、第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126のうちの任意の1つの縁部領域(例えば、縁部領域1253又は縁部領域1263)は、係着、接着などの組み立て方式のうちの1種又はそれらの組み合わせによってハウジング11の開口端に接続されてもよく、振動パネル13は、該ハウジング11の開口端に接続され、閉キャビティを形成する。いくつかの実施例において、第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126のうちの任意の1つの振動パネル13に近接する側面は、振動パネル13に接続され、振動パネル13は、該ハウジング11の開口端に接続される。いくつかの実施例において、振動パネル13とハウジング11は、同じ材質であり、かつ一体成形されてもよい。いくつかの実施例において、振動パネル13とハウジング11は、異なる材質であり、かつ係着、接着などの組み立て方式のうちの1種又はそれらの組み合わせなどの方式で接続されてもよい。
【0034】
いくつかの実施例において、スピーカー10は、ハウジング11の収容キャビティ内に設置されるか又はハウジング11の外側に密着する電子部品をさらに含んでもよい。いくつかの実施例において、電子部品は、振動敏感部品及び振動鈍感部品を含んでもよい。振動敏感部品は、空気伝導スピーカー、加速度センサなどを含んでもよい。振動鈍感部品は、電池、回路基板などを含んでもよい。なお、電池は、スピーカー10が動作できるように、スピーカー10に電力を供給することができる。回路基板には、電気信号を信号処理する信号処理回路が集積されてもよい。いくつかの実施例において、信号処理は、周波数変調処理、振幅変調処理、フィルタリング処理、ノイズ低減処理などを含んでもよい。空気伝導スピーカーは、電気信号を振動信号(音波)に変換し、空気を介して聴覚神経に伝達し、ユーザが感知することができる。加速度センサは、振動パネル13の振動加速度を測定することができる。空気伝導スピーカー及び加速度センサの設置に関する説明については、以下を参照することができ、例えば、
図4~
図9(c)の説明を参照することができる。
【0035】
図2(a)及び
図3に示す様々な実施例において、スピーカー10は、骨伝導スピーカーであってもよい。以下、
図4~
図9(c)などを参照して、音響出力装置100が骨空気伝導スピーカー又は骨空気伝導イヤホンとして実施可能な様々な実施例を説明する。
【0036】
図4は、本明細書のいくつかの実施例に係るスピーカー10の概略構成図である。
図4に示すスピーカー10は、
図2(a)に示すスピーカー10と基本的に同じであり、主な相違点は、スピーカー10の電子部品が空気伝導スピーカーを含み、空気伝導スピーカーがハウジング11の収容キャビティ内に設置されることである。
図4に示すように、スピーカー10は、エネルギー変換装置12と、エネルギー変換装置12を収容するハウジング11と、を含み、エネルギー変換装置12は、磁気回路システム123(磁束伝導カバー1232及び磁石アセンブリ1231を含む)と、コイル124(第1のコイル1241及び第2のコイル1242を含む)と、振動伝達シート122(第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126を含む)と、を含む。コイル124は、磁気回路システム123の磁界B1、B2がコイル124を通過するように、磁気回路システム123内に設置される。第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126は、磁石アセンブリ1231を弾性的に支持する。空気伝導スピーカーは、磁石アセンブリ1231とハウジング11との間に接続された振動膜15を含み、振動膜15は、ハウジング11の内部空間(すなわち、上記収容キャビティ)を、皮膚接触領域(例えば、振動パネル13)に近接するフロントキャビティ111と、前述の皮膚接触領域から離れたリアキャビティ112とに仕切る。言い換えれば、ユーザがスピーカー10を装着している場合、フロントキャビティ111は、リアキャビティ112よりもユーザに近接する。いくつかの実施例において、ハウジング11には、リアキャビティ112に連通する放音孔113が設置され、振動膜15は、エネルギー変換装置12とハウジング11とが相対移動する過程において、放音孔113を介して人の耳に伝達される空気伝導音声を発生させることができる。このように、リアキャビティ112で発生した音声は、放音孔113を介して伝達され、空気によってユーザの鼓膜に作用し、それによりユーザは、スピーカー10を介して空気伝導音声を聞くこともできる。
【0037】
いくつかの実施例において、空気伝導スピーカーの振動膜15は、磁石アセンブリ1231とエネルギー変換装置12のハウジング11との間に接続され、上記振動膜15の振動方向は、上記エネルギー変換装置12の振動方向と平行である。
図4に示すように、エネルギー変換装置12が皮膚接触領域をユーザの顔に近接する方向に向かって移動させる場合、骨伝導音声が増強すると簡単に見なすことができる。それと同時に、ハウジング11の皮膚接触領域に対応する部分は、ユーザの顔に近接する方向に向かって移動し、磁石アセンブリ1231は、作用と反作用の関係により、ユーザの顔から離れた方向に向かって移動することにより、リアキャビティ112内の空気が圧迫され、空気圧が増加し、その結果、放音孔113を介して伝達された音声が増強され、空気伝導音声が増強すると簡単に見なすことができる。したがって、スピーカー10の骨伝導音声と空気伝導音声は、同時に増強することができ、それに応じて骨伝導音声が減衰するとき、空気伝導音声も減衰する。これに基づいて、スピーカー10で発生した骨伝導音声と空気伝導音声は、位相が同じであるという特徴を有する。さらに、フロントキャビティ111が密閉キャビティである場合、フロントキャビティ111とリアキャビティ112とが振動膜15及びエネルギー変換装置12などの構造部材によって実質的に仕切られるため、フロントキャビティ111内の空気圧の変化パターンは、リアキャビティ112内の空気圧の変化パターンとちょうど逆になる。いくつかの実施例において、ハウジング11には、フロントキャビティ111が外部環境に連通することができ、すなわち、空気がフロントキャビティ111に自由に出入りすることができるように、フロントキャビティ111に連通する減圧孔が設置されてもよく、フロントキャビティ111が開口するように設置されてもよい。このように、リアキャビティ112内の空気圧の変化は、できるだけフロントキャビティ111によって阻害されないようにすることができ、それによりスピーカー10で発生した空気伝導音声の音響表現力を効果的に向上させることができる。いくつかの実施例において、フロントキャビティ111に設置された減圧孔は、リアキャビティ112に設置された放音孔113と互いにずれてもよく、すなわち、両者は、隣接しなくてもよい。例えば、減圧孔は、ハウジング11の一方側に設置され、放音孔113は、ハウジング11の減圧孔に対する他方側に設置され、それにより両者の位相が逆になることによる消音現象をできるだけ回避する。
【0038】
いくつかの実施例において、空気伝導スピーカーがエネルギー変換装置12の振動の影響を受けて共振して音漏れピークが発生することを回避するために、空気伝導スピーカーの空気伝導振動方向をエネルギー変換装置12の振動方向(すなわち、骨伝導振動方向)と異ならせて、同一方向における相互な影響を防止することができる。
図5(a)は、本明細書のいくつかの実施例に係るスピーカー10の概略構成図である。
図5(a)に示すように、ハウジング11の側壁に空気伝導スピーカー16が設置される。空気伝導スピーカー16は、エネルギー変換装置12に接続され、スピーカー10内のエネルギー変換装置12とハウジング11とは、骨伝導スピーカーを形成し、該骨伝導スピーカーは、空気伝導スピーカー16と組み合わせて、骨空気伝導スピーカーを形成する。いくつかの実施例において、空気伝導スピーカー16の空気伝導振動方向は、エネルギー変換装置12の振動方向(すなわち、骨伝導振動方向)とは異なる。いくつかの実施例において、エネルギー変換装置12の振動方向は、空気伝導スピーカー16の空気伝導振動方向と略垂直に設置されてもよい。例えば、エネルギー変換装置12の振動方向は、空気伝導スピーカーの音漏れを低減するように、空気伝導スピーカー16の振動膜の振動方向と略垂直に設置されてもよい。本明細書に記載の「略垂直」とは、対応する2つの部分の夾角が90°±20°の範囲内にあることである。例えば、エネルギー変換装置12の振動方向と空気伝導スピーカー16の空気伝導振動方向(又は空気伝導スピーカー16の振動膜)との夾角は、90°±20°の範囲内にある。例えば、エネルギー変換装置12の振動方向は、空気伝導スピーカー16の振動膜に対して垂直に設置されてもよい。いくつかの実施例において、骨伝導スピーカーの電磁アセンブリと空気伝導スピーカー16の電磁アセンブリとの間に電磁界が発生して骨伝導スピーカーと空気伝導スピーカー16の振動出力に影響を与えることを回避するために、骨伝導スピーカーと空気伝導スピーカー16との間の距離が距離閾値よりも大きくてもよい。本明細書に記載の「骨伝導スピーカーと空気伝導スピーカー16との間の距離」とは、骨伝導スピーカーの磁性アセンブリと空気伝導スピーカー16の磁性アセンブリとの間の最小距離である。
図5(b)は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導スピーカーと空気伝導スピーカー16との間の異なる距離のコイルの磁界に対する影響の比較図である。
図5(b)に示すように、
図5(a)に示す空気伝導スピーカー16が右向きに着磁され、エネルギー変換装置12内の磁石アセンブリ1231が上向きに着磁されると、エネルギー変換装置12内の上方に位置するコイル1での平均磁界強度が増加し、下方に位置するコイル2での平均磁界強度が低下することを引き起こす。骨伝導スピーカーのエネルギー変換装置12と空気伝導スピーカー16との間の距離の増加につれて、コイル1及びコイル2の側面に磁石がなくなる傾向がある。したがって、骨伝導スピーカーのエネルギー変換装置12と空気伝導スピーカー16との間の距離が大きいほど、エネルギー変換装置12内のコイルの磁界に対する影響が小さくなる。いくつかの実施例において、骨伝導スピーカーの電磁アセンブリと空気伝導スピーカー16の電磁アセンブリとの間に発生した電磁界のコイルにおける磁界に対する影響を低減するために、骨伝導スピーカーと空気伝導スピーカー16との間の距離は、0.3mmよりも大きくてもよい。例えば、骨伝導スピーカーと空気伝導スピーカー16との間の距離は、0.4mmよりも大きくてもよい。
【0039】
いくつかの実施例において、加速度センサが振動パネル13の加速度を測定するときにエネルギー変換装置12の振動の影響を受けることを回避するために、エネルギー変換装置12の振動方向は、加速度センサの振動敏感端と略垂直であってもよい。
【0040】
なお、電子部品が空気伝導スピーカー又は加速度センサなどの振動敏感部品である場合、振動敏感部品がエネルギー変換装置の振動の影響を受けることを回避するために、振動敏感部品は、上記エネルギー変換装置12の振動方向と略垂直である。本明細書に記載の「振動敏感部品は、上記エネルギー変換装置12の振動方向と略垂直である」とは、振動敏感部品が空気伝導スピーカーである場合、エネルギー変換装置12の振動方向は、空気伝導スピーカーの振動膜の振動方向と略垂直であり、振動敏感部品が加速度センサである場合、エネルギー変換装置12の振動方向は、加速度センサの振動敏感端と略垂直であることである。電子部品が電池又は回路基板などの振動鈍感部品である場合、電池又は回路基板は、音響出力装置100の集積化設計を実現するために、ハウジング11内の任意の位置に配置されてもよい。
【0041】
なお、いくつかの実施例において、電子部品は、振動敏感部品及び振動鈍感部品を含んでもよく、振動敏感部品は、エネルギー変換装置12の振動方向と略垂直であってもよい。例えば、いくつかの実施例において、電子部品は、振動に敏感な加速度センサと、振動に鈍感な回路基板とを含み、加速度センサは、回路基板に設置され、かつ音響出力デバイスの集積化を実現するために、スピーカー10のハウジング内に収容される。この場合、加速度センサは、エネルギー変換装置12の振動方向と略垂直であってもよい。
【0042】
図6は、本明細書のいくつかの実施例に係るエネルギー変換装置12の概略構成図である。
図7(a)は、本明細書のいくつかの実施例に係るエネルギー変換装置12の分解図である。
図6及び
図7(a)に示すエネルギー変換装置12は、
図2(a)~
図5(a)に示す任意のスピーカー10に用いられてもよい。
図6及び
図7(a)に示すように、エネルギー変換装置12は、振動伝達シート122、磁気回路システム123及びコイル124を含んでもよい。磁気回路システム123は、磁石アセンブリ1231及び磁束伝導カバー1232を含み、磁石アセンブリ1231は、磁石1233と、エネルギー変換装置12の振動方向において磁石1233の背向する両側に位置する第1の磁束伝導プレート1234及び第2の磁束伝導プレート1235と、を含んでもよい。いくつかの実施例において、磁束伝導カバー1232は、軸線の周りに磁石アセンブリ1231の外側に設置されてもよい。コイル124は、上記磁石アセンブリ1231の磁界範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、コイル124は、エネルギー変換装置12の振動方向に沿って、磁束伝導カバー1232と磁石アセンブリ1231との間に形成された磁気ギャップ内に伸びてもよく、磁束伝導カバー1232は、コイル124の外側に嵌設される。いくつかの実施例において、磁束伝導カバー1232の内壁は、コイル124の外壁に密着してもよい。いくつかの実施例において、振動伝達シート122は、第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126を含んでもよい。第1の振動伝達シート125は、第1の磁束伝導プレート1234の第2の磁束伝導プレート1235から離れた側から磁石アセンブリ1231を弾性的に支持し、第2の振動伝達シート126は、第2の磁束伝導プレート1235の第1の磁束伝導プレート1234から離れた側から磁石アセンブリ1231を弾性的に支持する。例えば、第1の振動伝達シート125の縁部領域1253は、磁束伝導カバー1232の上記エネルギー変換装置12の振動方向に沿った一端に接続され、第2の振動伝達シート126の縁部領域1263は、磁束伝導カバー1232の上記エネルギー変換装置12の振動方向に沿った他端に接続される。
【0043】
いくつかの実施例において、コイル124のリード線の配線を容易にし、コイル124の入線及び出線を磁束伝導カバー1232の同一位置にするために、コイル124のエネルギー変換装置12の径方向に沿ったコイル数は、偶数であってもよい。例えば、コイルの径方向巻数は、2、4、6、8などである。
図6に示すように、エネルギー変換装置12の径方向は、エネルギー変換装置12の軸線(又はエネルギー変換装置12の振動方向)に垂直な方向である。
【0044】
いくつかの実施例において、コイル124は、第1のコイル1241及び第2のコイル1242を含んでもよい。いくつかの実施例において、第1のコイル1241及び第2のコイル1242は、上記エネルギー変換装置12の振動方向に沿って配置されてもよい。第1のコイル1241と第2のコイル1242は、直列接続又は並列接続される。直列接続又は並列接続された第1のコイル1241及び第2のコイル1242について、第1のコイル1241のリード線及び第2のコイル1242のリード線の配線を容易にするために、各コイルの入線位置及び該コイルの出線位置は、いずれも磁束伝導カバー1232の同一位置にある。第1のコイル1241の入線位置及び第1のコイル1241の出線位置は、いずれも磁束伝導カバー1232の同一位置にあってもよく、第2のコイル1242の入線位置及び第2のコイル1242の出線位置は、いずれも磁束伝導カバー1232の同一位置にあってもよい。例えば、第1のコイル1241の入線位置、第1のコイル1241の出線位置、第2のコイル1242の入線位置及び第2のコイル1242の出線位置は、磁束伝導カバー1232の中間位置(例えば、エネルギー変換装置12の振動方向に垂直な方向における上記磁束伝導カバー1232の中間)にあってもよい。いくつかの実施例において、第1のコイル1241と第2のコイル1242の巻線方向が逆であってもよく、第1のコイル1241と第2のコイル1242における電流の方向が逆であってもよく、エネルギー変換装置12は、デュアルコイル(すなわち、コイル124が第1のコイル1241及び第2のコイル1242を含む)の駆動で相対的に振動し、シングルボイスコイルに比べて、エネルギー変換装置12の振動の大きさを増加させることができる。いくつかの実施例において、デュアルコイルの構造を用いることにより、より低い高周波数インピーダンスを実現することができる。
図7(b)は、本願のいくつかの実施例に係るシングルボイスコイル構造とデュアルボイスコイル構造のエネルギー変換装置12のインピーダンスの比較図である。
図7(b)に示すように、シングルボイスコイル構造に比べて、デュアルボイスコイルの高周波数インピーダンスは、より低い。
【0045】
いくつかの実施例において、インピーダンスが小さすぎると、同じ電池供給電圧で電流が増加するため、より多くの電力が消費され、同じ電池容量で電池の寿命が短くなる一方、電池が増加した電流を出力できないと、クリッピング歪みが発生する。インピーダンスが大きすぎると、同じ電池供給電圧で電流が減少し、感度が低下し、これは、音量の減少として現れる。したがって、電池寿命、歪み、感度及び音量などのバランスを取るために、コイル124の全体的な直流インピーダンスは、6Ω~10Ωの範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、エネルギー変換装置12内の第1のコイル1241及び第2のコイル1242について、以下の需要に応じて設計することができる。
【0046】
まず、第1のコイル1241及び第2のコイル1242からなるコイル124の全体的な直流インピーダンスが6Ω~10Ωの範囲内にあることを保証するために、シングルコイル(第1のコイル1241及び第2のコイル1242)の直流インピーダンスの範囲は、異なる接続方式(直列接続又は並列接続)によって異なってもよい。例えば、コイル124の全体的な直流インピーダンスが8Ωであることを保証するために、2つのコイルが直列接続される場合、シングルコイル(第1のコイル1241及び第2のコイル1242)の直流インピーダンスは、4Ωであり、2つのコイルが並列接続される場合、シングルコイル(第1のコイル1241及び第2のコイル1242)の直流インピーダンスは、16Ωである。
【0047】
次に、スピーカー10全体の質量をできるだけ低減するために、磁束伝導カバー1232の体積を減少させることで磁束伝導カバー1232の質量をさらに減少させる。磁束伝導カバー1232の内壁と上記コイル124(第1のコイル1241及び第2のコイル1242を含む)の外壁とを密着させ、第1のコイル1241と第2のコイル1242との間のエネルギー変換装置12の振動方向に沿った間隔が1.5mm~2mmの範囲内にあることを満たす前提で、コイル124(第1のコイル1241及び第2のコイル1242)の形状を「細長」くし、すなわち、コイル124の軸方向高さを増加させ、コイル124の径方向幅を減少させてもよく、この場合、磁束伝導カバー1232の内径も減少し、磁束伝導カバー1232の厚さが変わらないままに磁束伝導カバー1232の外径が同期に減少し、それにより磁束伝導カバー1232の質量とスピーカー10全体の質量もそれに応じて減少することができる。いくつかの実施例において、コイル124(第1のコイル1241及び第2のコイル1242を含む)の線径、径方向巻数、軸方向巻数などのパラメータを設計することにより、コイル124(第1のコイル1241及び第2のコイル1242)の形状を「細長」くして、上記需要を満たすことができる。いくつかの実施例において、コイル124(第1のコイル1241及び第2のコイル1242)の形状を「細長」くするために、第1のコイル又は第2のコイルの軸方向高さと径方向幅との比は、3以上であってもよい。例えば、第1のコイル又は第2のコイルの軸方向高さと径方向幅との比は、3.5以上であってもよい。
【0048】
さらに、エネルギー変換装置12の軸方向高さは、主に内部の磁石アセンブリ1231の寸法によって限定されるため、エネルギー変換装置12の寸法要求を満たすために(例えば、音響出力装置100がイヤホンである場合、イヤホンにおけるスピーカー10の高さが5.7mmよりも小さいことを満たすために)、シングルコイル(第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242)の軸方向高さを2.85mmよりも小さく設定してもよい。例えば、シングルコイル(第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242)の軸方向高さは、2mm程度であってもよい。
【0049】
上記需要を満たすために、いくつかの実施例において、第1のコイル1241と第2のコイル1242は、直列接続されてもよい。コイル124の全体的な直流インピーダンスを6Ω~10Ωの範囲内にするために、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242の直流インピーダンスは、4Ω±1Ωの範囲内にあってもよい。例えば、コイル124の全体的な直流インピーダンスが7Ω~9Ωの範囲内にあることを満たすために、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242の直流インピーダンスは、3.5Ω~4.5Ωの範囲内にあってもよい。また例えば、コイル124の全体的な直流インピーダンスが8Ω±0.8Ωの範囲内にあることを満たすために、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242の直流インピーダンスは、4Ω±0.4Ωの範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1のコイル1241及び第2のコイル1242の線径は、0.11mm~0.13mmの範囲内にあってもよい。
【0050】
上記需要を満たすために、いくつかの実施例において、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242は、線径が0.11mmであり、径方向巻数が2~6回であり、軸方向層数が8~20層であることと、線径が0.12mmであり、径方向巻数が2~6回であり、軸方向層数が9~20層であることと、線径が0.13mmであり、径方向巻数が2~6回であり、軸方向層数が10~22層であることとの特徴の1つを満たしてもよい。例えば、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242は、線径が0.11mmであり、径方向巻数が3~5回であり、軸方向層数が12~20層であってもよい。また例えば、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242は、線径が0.12mmであり、径方向巻数が3~5回であり、軸方向層数が14~20層であってもよい。さらに例えば、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242は、線径が0.13mmであり、径方向巻数が3~4回であり、軸方向層数が15~22層であってもよい。
【0051】
いくつかの実施例において、直列接続されたシングルコイル(第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242)の線径、径方向巻数、軸方向層数及び直流インピーダンスの関係は、表1に示す。
【0052】
【0053】
表1によれば、シングルコイル(第1のコイル1241又は第2のコイル1242)の直流インピーダンスを4Ω±1Ωの範囲内にするとともに、径方向コイル数を偶数にするために、例示的な第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242は、線径が0.11mmであり、径方向巻数が4回であり、軸方向層数が12層であってもよい。この場合、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242は、直流インピーダンスが4Ωである。また例えば、線径が0.12mmであり、径方向巻数が4回であり、軸方向層数が14層であってもよい。この場合、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242は、直流インピーダンスが3.93Ωである。さらに例えば、線径が0.12mmであり、径方向巻数が4回であり、軸方向層数が15層であってもよい。この場合、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242は、直流インピーダンスが4Ωである。さらに例えば、線径が0.13mmであり、径方向巻数が4回であり、軸方向層数が18層であってもよい。この場合、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242は、直流インピーダンスが4.08Ωである。
【0054】
いくつかの実施例において、第1のコイル1241及び第2のコイル1242は、並列接続されてもよく、コイル124の全体的な直流インピーダンスが6Ω~10Ωの範囲内にあることを保証するために、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242の直流インピーダンスは、それぞれ、12Ω~20Ωの範囲内にあってもよい。例えば、コイル124の全体的な直流インピーダンスが8Ω±0.8Ωの範囲内にあることを満たすために、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242の直流インピーダンスは、16Ω±1.6Ωの範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第1のコイル1241及び第2のコイル1242の線径は、0.07mm~0.08mmの範囲内にあってもよい。
【0055】
上記需要を満たすために、いくつかの実施例において、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242は、径方向巻数が4~8回であり、軸方向層数が16~22層であってもよい。例えば、第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242は、径方向巻数が4~6回であり、軸方向層数が17~20層であってもよい。
【0056】
いくつかの実施例において、シングルコイル(第1のコイル1241又は第2のコイル1242)の直流インピーダンスを16Ω±1.6Ωの範囲内にするとともに、径方向コイル数を偶数にするために、例示的な並列接続されたシングルコイル(第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242)の線径、径方向巻数、軸方向層数及び直流インピーダンスの関係は、
図2に示す。例えば、並列接続されたシングルコイル(第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242)は、線径が0.08mmであり、径方向巻数が6であり、軸方向層数が17であり、対応する直流インピーダンスが16.16Ωであってもよい。また例えば、並列接続されたシングルコイル(第1のコイル1241及び/又は第2のコイル1242)は、線径が0.07mmであり、径方向巻数が4であり、軸方向層数が20であり、対応する直流インピーダンスが16.27Ωであってもよい。
【0057】
【0058】
いくつかの実施例において、
図4又は
図6に示すように、コイル124は、振動方向に平行な軸線の周りに磁石アセンブリ1231の外側に嵌設され、磁束伝導カバー1232は、軸線の周りにコイル124の外側に嵌設され、コイル124と磁石アセンブリ1231との間に磁気ギャップA1を有する。磁気ギャップA1とは、コイル124の内壁と磁石アセンブリ1231内の磁石1233の外壁との間に形成されたギャップである。磁気ギャップA1が大きすぎると、磁界強度が低下し、磁気ギャップA1が小さすぎると、加工プロセスを実現しにくい。したがって、いくつかの実施例において、磁界強度と加工プロセスの実現とを両立するために、磁気ギャップA1の径方向に沿った幅は、0.25mm~0.35mmの範囲内にあってもよい。例えば、磁気ギャップA1は、0.27mm~0.33mmの範囲内にあってもよい。また例えば、磁気ギャップA1は、0.29mm~0.31mmの範囲内にあってもよい。さらに例えば、コイル124と磁石アセンブリ1231との間の磁気ギャップA1は、0.3mmであってもよい。いくつかの実施例において、磁気ギャップA1の幅の要求を満たす前提で、適切な大きさの磁石1233を選定した後、振動伝達シート(例えば、第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126)の径方向弾性を設計して、磁石1233の吸引力に抵抗することに必要な条件を取得してもよい。
【0059】
いくつかの実施例において、磁束伝導カバー1232の磁気飽和が磁界強度の向上に不利であることを回避するために、磁束伝導カバー1232のエネルギー変換装置12の径方向に沿った厚さは、薄すぎてはいけない。いくつかの実施例において、磁束伝導カバー1232のエネルギー変換装置12の径方向に沿った厚さは、0.3mm以上であってもよい。また、磁束伝導カバー1232が厚すぎると、エネルギー変換装置12の厚さが増加するため、磁束伝導カバー1232の厚さも厚すぎてはいけない。したがって、軽量化と磁気飽和の回避とを両立する場合、磁束伝導カバー1232のエネルギー変換装置12の径方向に沿った厚さは、0.3mm~1mmの範囲内にあってもよい。例えば、磁束伝導カバー1232の厚さは、0.4mm~0.9mmの範囲内にあってもよい。また例えば、磁束伝導カバー1232の厚さは、0.5mm~0.8mmの範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、
図7(a)に示すように、エネルギー変換装置12の質量をさらに減少させる(さらにスピーカー10の質量を減少させる)ために、磁束伝導カバー1232に肉抜き構造1232aを有してもよい。肉抜き構造1232aは、磁束伝導カバー1232に形成された肉抜き溝、肉抜き孔などを含んでもよい。肉抜き溝又は肉抜き孔は、任意の形状又は任意の構成の除去構造であってもよい。例えば、肉抜き溝は、磁束伝導カバー1232上の、任意の断面を有する貫通溝又は凹溝であってもよい。また例えば、肉抜き溝は、磁束伝導カバー1232の内壁に形成された環状溝であってもよい。いくつかの実施例において、肉抜き溝は、磁束伝導カバー1232の側壁を貫通して磁束伝導カバー1232の振動方向に沿った一端面まで延在する矩形の貫通溝であってもよい。
図7(c)は、本願のいくつかの実施例に係る筒状磁束伝導カバー1232の部分概略図である。
図7(d)は、本願のいくつかの実施例に係る椀状磁束伝導カバー1232の概略図である。
図7(c)に示すように、肉抜き構造1232aは、筒状磁束伝導カバー1232の側壁に形成された肉抜き孔を含んでもよい。
図7(d)に示すように、肉抜き構造1232aは、椀状磁束伝導カバー1232の側壁及び/又は底部に形成された肉抜き孔を含んでもよい。
【0060】
図8は、磁束伝導カバー1232に溝が形成される場合と溝が形成されていない場合の周波数応答曲線の比較図である。
図8に示すように、横軸は、周波数(Hz)を表し、縦軸は、周波数応答(dB)を表し、曲線81は、溝が形成されていない場合のエネルギー変換装置12の周波数応答曲線であり、曲線82は、溝が形成される場合のエネルギー変換装置12の周波数応答曲線である。
図8に示すように、曲線82の共振ピークに対応する周波数は、曲線81の共振ピークに対応する周波数よりも高いため、溝が形成された後、磁束伝導カバー1232の質量が低下し、エネルギー変換装置12の質量が低下し、それによりエネルギー変換装置12の共振周波数が上昇する。また、共振周波数(100Hz程度)以降、同じ周波数で、溝が形成された場合のエネルギー変換装置12の周波数応答は、溝が形成されていない場合のエネルギー変換装置12の周波数応答よりも大きく、エネルギー変換装置12の音質を向上させる。
【0061】
いくつかの実施例において、磁束伝導カバー1232の磁束伝導カバーの外径形状は、矩形、楕円形、円形、レーストラック形、多角形などであってもよい。例えば、
図7(a)に示すように、磁束伝導カバー1232の磁束伝導カバーの外径形状は、レーストラック形であってもよく、レーストラック形に対応する等価矩形は、長さが20mmよりも短く、幅が12mmよりも小さくてもよい。また例えば、磁束伝導カバー1232に対応する等価矩形は、長さと幅が、それぞれ18.1と10.1mmである。本明細書に記載のレーストラック形は、通常、2つの円弧部分の両端と2つの直線部分の両端とをそれぞれ接続して形成された密閉環状である。例えば、レーストラック形は、角丸矩形であってもよく、すなわち、矩形の4つの直角は、全て角丸に置き換えられてもよい。ここで言及される等価矩形の長さ/幅は、レーストラック形に対応する矩形(すなわち、レーストラック形の4つの角丸を直角に置き換えた形状)の長さ/幅である。
【0062】
いくつかの実施例において、磁石アセンブリ1231は、磁石1233と、エネルギー変換装置12の振動方向において上記磁石1233の一方側に設置された磁束伝導プレートと、を含んでもよい。磁束伝導プレートが薄すぎると、磁気飽和しやすくなり、コイルにおける磁界強度がそれに応じて低下し、磁束伝導プレートが厚すぎると、磁石アセンブリ1231全体の体積の制限により、磁石1233が薄すぎて、発生する磁界強度が低すぎる可能性が高い。したがって、磁界強度を向上させ、磁気飽和を回避するために、磁束伝導プレートの厚さと上記磁石1233の厚さとの比は、0.05~0.35の範囲内にあってもよい。例えば、磁束伝導プレートの厚さと上記磁石1233の厚さとの比は、0.15~0.3の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、磁束伝導プレートは、第1の磁束伝導プレート1234及び第2の磁束伝導プレート1235を含んでもよい。第1の磁束伝導プレート1234は、エネルギー変換装置12の振動方向において磁石1233の一方側に位置し、第2の磁束伝導プレート1235は、エネルギー変換装置12の振動方向において磁石1233の他方側に位置する。第1の磁束伝導プレート1234又は第2の磁束伝導プレート1235(以下、磁束伝導プレートと略称する)の厚さと磁石1233の厚さとの比は、0.05~0.35の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、磁界強度を向上させ、磁気飽和を回避するために、磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234又は第2の磁束伝導プレート1235)の厚さは、0.5mm~1mmの範囲内にあってもよい。例えば、磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234又は第2の磁束伝導プレート1235)の厚さは、0.6mm~0.7mmの範囲内にあってもよい。
【0063】
いくつかの実施例において、磁石1233と磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)との組み立て及び位置決めを容易にするために、かつエネルギー変換装置12の質量を低減する(音響出力装置100全体の質量をさらに低減する)ために、磁石1233及び/又は磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)に孔を形成してもよい。例えば、
図7(a)に示すように、磁石1233と磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)との組み立て及び位置決めを容易にするために、磁石1233に第1の孔1233aが設置され、磁束伝導プレートに第2の孔1234aが設置され、第2の孔1234aと第1の孔1233aが対応して設置されてもよい。
【0064】
いくつかの実施例において、組み立ての精度を向上させるために、磁束伝導プレート上の第2の孔1234aの数は、少なくとも2つであってもよい。それに応じて、磁石1233上の第1の孔1233aの数も少なくとも2つであってもよく、それぞれが第2の孔1234aに対応する。
図9(a)~
図9(c)は、本明細書の各種の実施例に係る磁束伝導プレートの概略平面図である。
図9(a)に示すように、磁束伝導プレートは、角丸矩形構造であり、2つの第2の孔1234aは、磁束伝導プレートの長手方向(
図9(a)に示す)に沿って設置される。いくつかの実施例において、2つの第2の孔1234aは、磁束伝導プレートの長手方向に沿った中心線に設置される。
図9(b)に示すように、磁束伝導プレートは、角丸矩形構造であり、2つの第2の孔1234aは、磁束伝導プレートの対角線方向に沿って設置される。
図9(c)に示すように、磁束伝導プレートは、角丸矩形構造であり、その4つの角丸に近接する箇所には、それぞれ第2の孔1234aが設置される。
【0065】
図10は、磁束伝導プレートに孔が形成される場合と孔が形成されていない場合の周波数応答曲線の比較図である。
図11は、磁束伝導プレートに孔が形成される場合と孔が形成されていない場合の長手方向のBL値曲線の比較図である。
図10において、曲線101は、磁束伝導プレートに孔が形成されていない場合の周波数応答曲線であり、曲線102は、磁束伝導プレートの長手方向に沿った中心線に2つの孔が設置される(
図9(a)に示す)場合の周波数応答曲線であり、曲線103は、磁束伝導プレートに対角線に沿って2つの孔が設置される(
図9(b)に示す)場合の周波数応答曲線であり、曲線104は、磁束伝導プレートに対角線に沿って4つの孔が設置される(
図9(c)に示す)場合の周波数応答曲線である。
図10に示すように、曲線102と曲線103を比較すると、磁束伝導プレートの長手方向に沿った中心線に2つの孔が設置される場合の周波数応答曲線と、対角線に沿って2つの孔が設置される場合の周波数応答曲線とは、ほぼ一致することが分かり、曲線103と曲線104を比較すると、同様に対角線に孔が形成され、形成された孔の数の増加につれて、周波数応答がわずかに低下し、低下幅がほぼ0.5dBの範囲内にあることが分かる。曲線101と他の曲線(曲線102又は103又は104)を比較すると、磁束伝導プレートに孔が形成されていない場合に対して、周波数応答がわずかに低下し、低下幅がほぼ0.5dBであるため、孔形成の周波数応答に対する影響が大きくないことが分かる。しかしながら、軽量化、並びに組み立て及び位置決めの容易さの観点から、孔を形成することにより、エネルギー変換装置12の質量を低減するとともに、磁石1233と磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)との組み立て及び位置決めを容易にする。
【0066】
図11において、曲線1111は、磁束伝導プレートに孔が形成されていない場合のBL値曲線であり、曲線1112は、磁束伝導プレートの長手方向に沿った中心線に2つの孔が設置される(
図9(a)に示す)場合のBL値曲線であり、曲線1113は、磁束伝導プレートに対角線に沿って2つの孔が設置される(
図9(b)に示す)場合のBL値曲線であり、曲線1114は、磁束伝導プレートに対角線に沿って4つの孔が設置される(
図9(c)に示す)場合のBL値曲線である。BL値は、電磁特性を反映し、磁界強度とコイル線の長さとの積であり。
図11に示すように、曲線1112と曲線1113を比較すると、磁束伝導プレートの長手方向に沿った中心線に2つの孔が形成される場合のBL値曲線と、対角線に沿って2つの孔が形成される場合のBL値曲線とは、ほぼ一致することが分かり、曲線1113と曲線1114を比較すると、同様に対角線に孔が形成され、形成された孔の数の増加につれて、BL値がわずかに低下することが分かる。曲線1111と他の曲線(曲線1112又は1113又は1114)を比較すると、磁束伝導プレートに孔が形成されていない場合に対して、BL値がわずかに低下し、低下幅がほぼ0.05T・mの範囲内にあるため、孔形成のBL値に対する影響が大きくないことが分かる。しかしながら、軽量化、並びに組み立て及び位置決めの容易さの観点から、孔を形成することにより、エネルギー変換装置12の質量を低減するとともに、磁石1233と磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)との組み立て及び位置決めを容易にする。
【0067】
いくつかの実施例において、磁束伝導プレート上の第2の孔1234aの設置位置は、エネルギー変換装置12のBL値に大きな影響を与える。磁束伝導プレートの長手方向に沿った中心線に2つの第2の孔1234aが設置されることを例として、
図12は、磁束伝導プレート上の第2の孔から磁束伝導プレートの中心までの距離が異なる場合のBL値曲線の比較図である。
図12に示すように、曲線1211は、第2の孔1234aが磁束伝導プレートの中心から5mm離れる場合のBL値曲線であり、曲線1212は、第2の孔1234aが磁束伝導プレートの中心から5.5mm離れる場合のBL値曲線であり、曲線1213は、第2の孔1234aが磁束伝導プレートの中心から6mm離れる場合のBL値曲線であり、曲線1214は、第2の孔1234aが磁束伝導プレートの中心から6.5mm離れる場合のBL値曲線である。同じコイルオフセット量(例えば、コイルオフセット量が0mmである)では、曲線1211、曲線1212、曲線1213及び曲線1214は、順に降下し、曲線1214は、他の3つの曲線よりも明らかに低い。ここで、磁束伝導プレートの中心は、磁束伝導プレートの幾何学的中心である。
図12から分かるように、第2の孔1234aが磁束伝導プレートの中心から離れるほど、それが磁束伝導プレートの縁部に近接し、エネルギー変換装置12のBL値が顕著に低下するため、第2の孔1234aは、できるだけ磁束伝導プレートの縁部に近接しないように設置されるべきである。なお、第2の孔1234aから磁束伝導プレートの中心までの距離は、第2の孔の中心と磁束伝導プレートの幾何学的中心との間の距離である。いくつかの実施例において、エネルギー変換装置12のBL値を向上させるために、第2の孔1234aの形成面積と第2の孔1234aが位置する磁束伝導プレートの表面積との比は、36%よりも小さく、第2の孔1234aの形成形状及び形成位置は、限定されない。なお、第2の孔1234aの縁部から磁束伝導プレートの縁部までの距離は、
図9(a)に示すとおりであり、第2の孔1234aの孔中心W2と磁束伝導プレートの幾何学的中心W1を結ぶ線が磁束伝導プレートの縁部に延在して直線LAを形成し、直線LAと磁束伝導プレートの縁部との交点が点Bであり、直線LAと第2の孔1234aの点Bに近接する側の縁部との交点が点Cであり、第2の孔1234aの縁部と磁束伝導プレートの縁部との距離は、直線LA上の点Bと点Cとの間の距離である。いくつかの実施例において、第2の孔が縁部に近すぎて構造強度を低下させることを防止するとともに、第2の孔の磁界強度に対する影響を低減し、スピーカーの感度が顕著に低下しないことを保証するために、第2の孔1234aの縁部から磁束伝導プレートの縁部までの距離は、0.2mmよりも大きくてもよい。
【0068】
図13は、第2の孔1234aの直径が異なる場合の周波数応答曲線の比較図である。
図13に示すように、曲線1311は、第2の孔1234aの直径が1mmである場合の周波数応答曲線であり、曲線1312は、第2の孔1234aの直径が1.5mmである場合の周波数応答曲線であり、曲線1313は、第2の孔1234aの直径が2mmである場合の周波数応答曲線である。第2の孔1234aの孔径が大きくなるにつれて、エネルギー変換装置12の周波数応答が小さくなり、直径が0.5mm増加するごとに、エネルギー変換装置12の周波数応答が0.5dB程度低下する。
図14(a)は、第2の孔1234aの直径が異なる場合のBL値曲線の比較図である。
図14(a)に示すように、曲線141は、第2の孔1234aの直径が1mmである場合のBL値曲線であり、曲線142は、第2の孔1234aの直径が1.5mmである場合のBL値曲線であり、曲線143は、第2の孔1234aの直径が2mmである場合のBL値曲線である。第2の孔1234aの孔径が大きくなるにつれて、BL値は、小さくなる。したがって、第2の孔1234aの直径が大きいほど、周波数応答及びBL値は、小さくなる。しかしながら、加工精度及び構造強度の影響により、第2の孔1234aの直径は、小さすぎてはいけない。したがって、第2の孔1234aが小さすぎて対応する位置決め柱が細すぎることを回避することにより、位置決め柱が細すぎて構造強度が不十分であり、加工精度に対する要求が高すぎることを回避するとともに、直径が大きすぎて周波数応答及びBL値が小さくなることを回避するために、第2の孔1234aの直径は、1.5mm~2.5mmの範囲内にあってもよい。例えば、第2の孔1234aの直径は、1.8mm~2.3mmの範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、磁界強度とエネルギー変換装置12の感度とを両立させるために、第2の孔1234aの形成面積と第2の孔1234aが位置する磁束伝導プレートの表面積との比は、36%よりも小さい。
【0069】
いくつかの実施例において、コイル124の上記エネルギー変換装置12の径方向に沿ったコイル数を偶数に設定することにより、上記第1のコイル1241又は第2のコイル1242の入線及び出線が上記磁束伝導カバー1232の同一位置にあり、それにより磁束伝導カバー1232の内壁がコイル124の外壁に密着し、エネルギー変換装置12の質量を低減する(さらにスピーカー10の質量を低減する)ことができる。また、コイル124(第1のコイル1241及び第2のコイル1242)の形状を「細長」くすることと、コイル124の適切なパラメータを選択することにより、いずれも磁束伝導カバー1232の内径を小さくしてエネルギー変換装置12の質量を低減する(さらにスピーカー10の質量を低減する)ことができる。いくつかの実施例において、磁束伝導カバー1232に肉抜き溝を設置すること、又は磁石1233及び/又は磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)に孔を形成することは、いずれもエネルギー変換装置12の質量を低減する(さらにスピーカー10の質量を低減する)ことができる。いくつかの実施例において、軽量化後のスピーカー10の質量mは、2g~5gの範囲内にあってもよい。例えば、スピーカー10の質量mは、3.8g~4.5gの範囲内にあってもよい。
【0070】
図14(b)は、本明細書のいくつかの実施例に係るエネルギー変換装置12の質量が2g~5gの範囲内にある場合の加速度曲線の比較図である。スキームA~スキームIは、コイル(第1のコイル及び第2のコイル)の異なる線径、異なる径方向巻数及び軸方向層数、異なる径方向巻数及び軸方向層数の積、コイルの異なる接続方式(直列接続又は並列接続)などの場合の、エネルギー変換装置12の質量が2g~5gにある異なる実施例を示す。
図14(b)に示すように、本明細書のいくつかの実施例に示す軽量化(エネルギー変換装置12の質量が2g~5gの範囲内にある)後のエネルギー変換装置12は、試験電圧の励起下で、1kHzでの加速度範囲が70dB~110dBである。
図14(b)に示す加速度曲線の測定方式としては、試験電圧で、本明細書の実施例に係るエネルギー変換装置12を励起して振動させ、振動パネル13がエネルギー変換装置12の駆動により発生した変位をレーザー試験によって測定し、その後、データ処理によって変位を正規化し、すなわち、対応する周波数帯域の変位を対応する試験電圧で除算し、さらに1mm/s
2との比を求めて加速度dB値を得る。いくつかの実施例において、適切な加速度範囲に調整して、エネルギー変換装置12の感度を向上させることにより、スピーカー10の音質を向上させる目的を達成することができる。軽量化後にBL値曲線の振幅が降下しても、周波数応答加速度が向上する。
図14(b)に示す加速度曲線は、固定アセンブリ20を固定した状態において振動パネル13の振動加速度を測定して取得したものである。
【0071】
いくつかの実施例において、振動伝達シート122は、上記磁束伝導カバー1232と磁石アセンブリ1231との間に接続されてもよく、上記磁石アセンブリ1231を弾性的に支持することができる。いくつかの実施例において、振動伝達シート122は、第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126を含んでもよい。
図7(a)に示すように、第1の振動伝達シート125又は第2の振動伝達シート126(以下、振動伝達シート122と略称する)は、縁部領域1253と、中心領域1252と、縁部領域1253及び中心領域1252を接続する複数の支持ロッド1251と、を含んでもよい。いくつかの実施例において、振動伝達シート122(例えば、第1の振動伝達シート125又は第2の振動伝達シート126)の中心領域1252は、磁石アセンブリ1231に接続されてもよい。例えば、第1の振動伝達シート125の中心領域1252は、磁石アセンブリ1231の第1の磁束伝導プレート1234に接続され、第2の振動伝達シート126の中心領域1262は、磁石アセンブリ1231の第2の磁束伝導プレート1235に接続される。いくつかの実施例において、中心領域1252に貫通孔(
図16(a)及び
図16(b)に示す)が形成されてもよく、磁束伝導プレートの中心領域1252に向かう側にボスが設置されてもよく、それによりボスと貫通孔との協働により接続固定を実現する。いくつかの実施例において、ボスは、ホットメルト柱であってもよく、貫通孔内に挿設された後、溶融変形により中心領域1252を磁束伝導プレートに固定することができる。いくつかの実施例において、振動伝達シートの縁部領域1253の外輪郭は、レーストラック形であってもよく、矩形、楕円形又は円形などであってもよい。単一の振動伝達シートを用いる場合に比べて、二重振動伝達シート(すなわち、振動伝達シート122が第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126を含む)が故障サイクル回数を顕著に向上させることができ、かつ第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126による磁石アセンブリ1231の弾性的な支持により、エネルギー変換装置12内の可動部材の揺れ幅が小さくなる。
【0072】
いくつかの実施例において、振動伝達シート122の複数の支持ロッド1251は、振動伝達シートが所定の弾性係数を有するように、曲がりくねった構造を用いることができる。
図15(a)~
図15(c)は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動伝達シート122の概略構成図であり、
図16(a)及び
図16(b)は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動伝達シート122の概略構成図である。
図15(a)~
図15(c)、
図16(a)及び
図16(b)は、振動伝達シートの複数の実施形態を示すとともに、支持ロッドの複数の実施形態を示す。いくつかの実施例において、振動伝達シートの支持ロッド1251は、
図15(a)~
図15(c)、
図16(a)及び
図16(b)に示す複数の曲がりくねった構造を用い、両端がそれぞれ縁部領域1253と中心領域1252に接続され、それにより振動伝達シートが所定の弾性係数を有し、コイルと磁気回路システム123の可動部材との間の回転及び/又は揺れ移動を防止又は低減することができる。
【0073】
いくつかの実施例において、
図16(a)及び
図16(b)に示すように、振動伝達シート122の中心領域1252には、磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234又は第2の磁束伝導プレート1235)に設置されたボスの挿設のための貫通孔1252aが設置され、それによりボスと貫通孔1252aとの協働により接続固定を実現する。例示的な接続方式は、ホットメルト、ボルトなどを含んでもよい。
【0074】
磁石アセンブリ1231の磁気吸引力に抵抗し、エネルギー変換装置12内の磁石オフセットの発生を回避するために、振動伝達シート122の振動方向に垂直な平面内の任意の方向(以下、径方向と略称する)における剛性は、剛性閾値よりも大きくてもよい。例えば、磁気ギャップA1の幅及び磁石アセンブリ1231と磁束伝導カバー1232との間の磁気吸引力に基づいて、振動伝達シート122の径方向における等価剛性が4.7×104N/mよりも大きいと決定することができる。例えば、振動伝達シート122の径方向における等価剛性は、6.4×104N/mよりも大きくてもよい。弾性を有する振動伝達シート122の振動方向に垂直な平面内の長手方向及び幅方向における剛性を最適化することにより、磁石アセンブリ1231の磁気吸引力に抵抗し、さらにエネルギー変換装置12内に磁石オフセットが発生しないことを実現し、すなわち、コイルと磁気回路システム123の可動部材との衝突を防止することができる。
【0075】
なお、本明細書に係るエネルギー変換装置12は、磁石アセンブリ1231と磁束伝導カバー1232との間に接続された少なくとも1つの振動伝達シートを含んでもよい。少なくとも1つの振動伝達シートの径方向における等価剛性は、4.7×104N/mよりも大きい。例えば、エネルギー変換装置12は、少なくとも1つの振動伝達シート122のみを含んでもよい。また例えば、エネルギー変換装置12は、少なくとも2つの振動伝達シート122、すなわち、第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126のみを含んでもよい。第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126における各振動伝達シートの径方向における等価剛性は、いずれも4.7×104N/mよりも大きくてもよい。
【0076】
いくつかの実施例において、振動伝達シート122の径方向における等価剛性に対する要求に基づいて、振動伝達シート122の関連寸法データを決定することができる。いくつかの実施例において、振動伝達シート122の長手方向に沿って、支持ロッド1251の始点と終点との間の距離と、支持ロッド1251自体の長さとの比は、0~1.2の範囲内にあってもよい。支持ロッド1251の始点と終点との間の振動伝達シート122の長手方向に沿った距離とは、支持ロッド1251と振動伝達シートの中心領域1252とのの接続点と、支持ロッド1251と振動伝達シートの縁部領域1253とのの接続点との間の上記振動伝達シート122の長手方向に沿った距離である。例えば、
図16(b)に示すように、上記振動伝達シート122の長手方向に沿って、支持ロッド1251の始点Sと終点Eとの間の距離SEと、湾曲型支持ロッド1251の全長との比は、0.7~0.85の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、振動伝達シート122の幅方向に沿って、支持ロッド1251の始点と終点との間の距離と、支持ロッド1251自体の長さとの比は、0~0.5の範囲内にあってもよい。支持ロッド1251の始点と終点との間の振動伝達シート122の幅方向に沿った距離とは、支持ロッド1251と振動伝達シートの中心領域1252との接続点と、支持ロッド1251と振動伝達シートの縁部領域1253との接続点との間の上記振動伝達シート122の幅方向に沿った距離である。例えば、
図16(b)に示すように、上記振動伝達シート122の幅方向に沿って、支持ロッド1251の始点Sと終点Eとの間の距離S’E’と、湾曲型支持ロッド1251の全長との比は、0.15~0.35の範囲内にあってもよい。
【0077】
いくつかの実施例において、支持ロッド1251の長さは、7mm~25mmの範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、支持ロッドのエネルギー変換装置12の軸方向に沿った厚さ(すなわち、振動伝達シートの厚さ)は、0.1mm~0.2mmの範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、振動伝達シートのエネルギー変換装置12の軸方向に沿った厚さと、有する任意の1つの支持ロッド1251のエネルギー変換装置12の径方向に沿った平面の幅との比は、0.16~0.75の範囲内にあってもよい。例示的な厚さと幅との比の範囲は、0.2~0.7、0.26~0.65、0.3~0.6、0.36~0.55又は0.4~0.5などを含んでもよい。いくつかの実施例において、第1の振動伝達シート125の厚さは、0.1mm~0.2mmの範囲内にあり、支持ロッド1251の幅は、0.25mm~0.5mmの範囲内にあってもよい。例えば、第1の振動伝達シート125の厚さは、0.1mm~0.15mmの範囲内にあり、支持ロッド1251の幅は、0.4mm~0.48mmの範囲内にあってもよい。
【0078】
いくつかの実施例において、スピーカー10は、空気伝導スピーカー及び骨伝導スピーカー(例えば、
図4又は
図5(a)に示す)を含んでもよい。いくつかの実施例において、骨伝導と空気伝導のクロスオーバー周波数は、中低周波数範囲、例えば、400Hz~500Hzの範囲内に設定されてもよく、クロスオーバー周波数よりも大きい音声は、骨伝導スピーカーで発生したものであり、クロスオーバー周波数よりも小さい音声は、空気伝導スピーカーで発生したものであり、このように、骨伝導スピーカーが低周波数帯域で振動してユーザに顕著な振動を感じさせることを防止することができ、また、骨伝導スピーカーは、共振ピーク周波数から少し離れた部分では比較的平坦な周波数応答曲線を有し、対応するこの部分の周波数帯域の出力歪みが比較的小さいため、骨伝導スピーカーの共振ピーク周波数は、クロスオーバー周波数よりも低く、かつクロスオーバー周波数から一定の距離を保持するように設定されてもよい。いくつかの実施例において、エネルギー変換装置12の共振ピーク周波数は、300Hzよりも小さくてもよい。
【0079】
いくつかの実施例において、エネルギー変換装置12の共振ピーク周波数が300Hzよりも小さいために、振動伝達シート122の総軸方向(振動方向と平行である)弾性係数kとエネルギー変換装置12の質量mとの比の範囲を以下の式により設定してもよい。
【数1】
【0080】
いくつかの実施例において、エネルギー変換装置12の質量は、磁束伝導カバー1232、コイル124及びハウジング11の質量の和を含み、又は空気伝導スピーカー16、磁束伝導カバー1232、コイル124及びハウジング11の質量の和を含んでもよい。弾性係数kの単位は、N/m(ニュートン/メートル)であり、質量mの単位は、g(グラム)である。
【0081】
いくつかの実施例において、装置全体の体積及び質量を低減し、音質を向上させるために、エネルギー変換装置12の質量mは、2g~5gの範囲内にあってもよい。例えば、エネルギー変換装置12の質量は、2.2g~4.8gの範囲内にあってもよい。また例えば、エネルギー変換装置12の質量は、3.8g~4.5gの範囲内にあってもよい。
【0082】
いくつかの実施例において、エネルギー変換装置12の質量範囲と、振動伝達シート122の総軸方向弾性係数kとエネルギー変換装置12の質量mとの比の範囲とに基づいて、振動伝達シート122の総軸方向弾性係数kが18000N/mよりも小さいと決定することができる。いくつかの実施例において、振動伝達シート122は、
図4に示す並列接続された第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126を含む。いくつかの実施例において、第1の振動伝達シート125と第2の振動伝達シート126の軸方向弾性係数k0は、同じであり、いずれも9000N/mよりも小さくてもよい。いくつかの実施例において、第1の振動伝達シート125と第2の振動伝達シート126のそれぞれの軸方向弾性係数k0は、異なってもよいが、両者が共同で提供する総軸方向弾性係数kは、18000N/mよりも小さい。
【0083】
したがって、第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126からなる二重振動伝達シートに接続された質量ブロックの質量範囲及び/又は二重振動伝達シートの弾性係数を調整することにより、骨伝導共振ピーク周波数が300Hzを超えないことを実現することができる。ここで、本明細書に記載の質量ブロックの質量とは、二重振動伝達シートにより押される必要がある全ての部材の質量である。例えば、
図2(a)に示す実施例において、質量ブロックの質量は、コイル124、磁束伝導カバー1232、ブラケット121、振動パネル13及び制振シート14の総質量である。また例えば、
図3に示す実施例において、質量ブロックの質量は、コイル124、磁束伝導カバー1232、振動パネル13及びハウジング11の総質量である。また、骨空気伝導スピーカーの実施例において、質量ブロックの質量は、空気伝導スピーカーの質量をさらに含む。いくつかの実施例において、質量ブロックの質量は、他の必要な接続部材の質量をさらに含んでもよい。
【0084】
したがって、第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126からなる二重振動伝達シートに接続された質量ブロックの質量範囲及び/又は二重振動伝達シートの弾性係数を調整することにより、骨伝導共振ピーク周波数が300Hzを超えないことを実現することができる。ここで、本明細書に記載の質量ブロックの質量とは、二重振動伝達シートにより押される必要がある全ての部材の質量である。例えば、
図2(a)に示す実施例において、質量ブロックの質量は、コイル124、磁束伝導カバー1232、ブラケット121、振動パネル13及び制振シート14の全体質量である。また例えば、
図3に示す実施例において、質量ブロックの質量は、コイル124、磁束伝導カバー1232、振動パネル13及びハウジング11の全体質量である。また、骨空気伝導スピーカーの実施例において、質量ブロックの質量は、空気伝導スピーカーの質量をさらに含む。また、質量ブロックの質量は、他の必要な接続部材の質量をさらに含んでもよい。
【0085】
図17(a)~
図17(g)は、本明細書の複数の実施例に係るハルバッハ配列(Halbach Array)形式の磁気回路システム123の概略構成図である。なお、
図17(a)~
図17(g)は、磁気回路システム123の中心断面を示し、かつ2次元軸対称図形の右半分である。
図4、
図6及び
図17(a)~
図17(g)に示すように、エネルギー変換装置12は、磁気回路システム123及びコイル124を含んでもよい。磁気回路システム123は、磁石アセンブリ1231及び磁束伝導カバー1232を含んでもよい。コイル124は、振動方向に平行な軸線の周りに磁石アセンブリ1231の外側に嵌設されてもよく、磁束伝導カバー1232は、軸線の周りにコイル124の外側に嵌設されてもよい。いくつかの実施例において、磁石アセンブリ1231に含まれる磁石1233、磁束伝導プレート及び磁束伝導カバー1232のうちの少なくとも1つは、磁化方向が異なる複数の磁性部を含んでもよい。いくつかの実施例において、磁石アセンブリ1231及び/又は磁束伝導カバー1232は、磁化方向が異なる複数の磁性部(例えば、磁石)を含んでもよい。磁化方向が異なる複数の磁性部は、ハルバッハ配列を構成してもよい(例えば、
図17(a)~
図17(g)に示す)。特定の配列配置によって、磁界が磁性アセンブリ1231のある側に集中することができ、それによりコイル124における磁界強度を向上させる。
【0086】
いくつかの実施例において、磁石1233、磁束伝導プレート又は磁束伝導カバー1232は、磁化方向が異なる複数の磁性部からなる配列を有してもよい。いくつかの実施例において、複数の磁性部の磁化方向は、エネルギー変換装置12の振動方向に平行な表面において時計回り又は反時計回り方向に回転する。
図17(a)に示すように、磁石1233及び磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)に磁性部配列がなくてもよく、磁束伝導カバー1232は、軸方向に沿って配置された3層の磁性部を含んでもよく、この3層の磁性部の磁化方向は、上から下へそれぞれ径方向外向き、軸方向下向き及び径方向内向きである。
図17(b)に示すように、磁束伝導カバー1232及び磁石1233に磁性部配列がなくてもよく、磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)には、径方向に沿って配置された4つの磁性部を含んでもよく、最上層磁性部及び最下層磁性部は、いずれも径方向に沿って配置された2つの磁性部を含み、最上層磁性部の2つの磁性部の磁化方向は、左から右へそれぞれ軸方向上向き及び径方向外向きであり、最下層磁性部の2つの磁性部の磁化方向は、左から右へそれぞれ軸方向上向き及び径方向内向きである。いくつかの実施例において、磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)及び磁束伝導カバー1232は、いずれも磁性部配列を有してもよい。
図17(c)に示すように、磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)の磁性部配列は、
図17(b)に示す磁束伝導プレートの磁性部配列と類似し、磁束伝導カバー1232の磁性部配列は、
図17(a)に示す磁束伝導カバー1232の磁性部配列と類似する。いくつかの実施例において、3層の磁性部配列に比べて、磁石1233、磁束伝導プレート及び/又は磁束伝導カバー1232は、より多くの磁性部配列を有してもよい。
図17(d)に示すように、磁石1233及び磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)に磁性部配列がなくてもよく、磁束伝導カバー1232は、軸方向に沿って配置された5層の磁性部を含んでもよく、この5層の磁性部の磁化方向は、上から下へそれぞれ軸方向上向き、径方向外向き、軸方向下向き、径方向内向き及び軸方向上向きである。いくつかの実施例において、磁石1233は、中空環状構造であってもよい。
図17(e)に示すように、磁石1233は、軸方向に沿って配置された3層の磁性部を含んでもよく、この3層の磁性部の磁化方向は、上から下へそれぞれ径方向外向き、軸方向上向き及び径方向内向きである。
図17(f)に示すように、磁石1233は、軸方向に沿って配置された5層の磁性部を含んでもよく、この5層の磁性部の磁化方向は、上から下へそれぞれ軸方向下向き、径方向外向き、軸方向上向き、径方向内向き及び軸方向下向きである。
図17(g)に示すように、磁石1233は、軸方向に沿って配置された3層の磁性部を含んでもよく、この3層の磁性部の磁化方向は、上から下へそれぞれ径方向外向き、軸方向上向き及び径方向内向きであり、磁束伝導カバー1232は、軸方向に沿って配置された3層の磁性部を含んでもよく、この3層の磁性部の磁化方向は、上から下へそれぞれ径方向外向き、軸方向下向き及び径方向内向きである。いくつかの実施例において、複数の磁性部のうちの少なくとも2つの隣接する磁性部の磁化方向は、互いに垂直であってもよい。
【0087】
図18は、磁気回路システム123が異なる磁性部配列を有する場合のBL値曲線の比較図である。
図18において、曲線181は、磁気回路システム123が磁性部配列を有していない場合のBL値曲線であり、曲線182~188は、それぞれ磁気回路システム123がそれぞれ
図17(a)~
図17(g)に示す磁性部配列を有する場合の磁気回路システム123のBL値曲線である。
図18から分かるように、磁性部配列が設置されていない場合に比べて、磁束伝導カバー及び/又は磁石アセンブリが磁性部配列を有する場合に、磁界強度がいずれも向上する。磁性部配列が設置されていない場合に比べて、磁束伝導カバーが磁性部配列を有する場合に、磁界強度がより顕著に向上し、約12%向上する。磁性部配列が設置されていない場合に比べて、磁石1233を中空の環状磁性部配列として設置することにより、磁界強度は、依然として約6%向上する。
【0088】
本明細書の実施例による可能な有益な効果は、以下の(1)~(10)を含むが、これらに限定されない。(1)コイル124の上記エネルギー変換装置12の径方向に沿ったコイル数を偶数に設定することにより、上記第1のコイル1241又は第2のコイル1242の入線及び出線が上記磁束伝導カバー1232の同一位置にあり、それにより磁束伝導カバー1232の内壁がコイル124の外壁に密着し、エネルギー変換装置12の質量を低減する(さらにスピーカー10の質量を低減する)ことができる。(2)コイル124(第1のコイル1241及び第2のコイル1242)の形状を「細長」くすることと、コイル124の適切なパラメータを選択することにより、磁束伝導カバー1232の内径を小さくしてエネルギー変換装置12の質量を低減する(さらにスピーカー10の質量を低減する)ことができる。(3)磁束伝導カバー1232に肉抜き溝を設置すること、又は磁石1233及び/又は磁束伝導プレート(第1の磁束伝導プレート1234及び/又は第2の磁束伝導プレート1235)に孔を形成することは、エネルギー変換装置12の質量を低減する(さらにスピーカー10の質量を低減する)ことができる。(4)スピーカー10の質量及び振動伝達シート122の総軸方向弾性係数を調整することにより、骨伝導共振ピーク周波数が300Hzを超えないようにし、骨伝導スピーカーが低周波数帯域で振動してユーザに顕著な振動を感じさせることを防止することができる。(5)振動伝達シート122の振動方向に垂直な平面内の任意の方向(径方向)における剛性を設定することにより、磁石アセンブリ1231の磁気吸引力に抵抗し、エネルギー変換装置12内の磁石オフセットの発生を回避することができる。(6)磁束伝導プレートの厚さと磁石1233の厚さとの比を設定することにより、磁界強度を向上させ、磁気飽和を回避し、スピーカー10の感度を向上させる。(7)磁石1233、磁束伝導プレート及び/又は磁束伝導カバー1232のうちの少なくとも1つに磁化方向が異なる磁性部配列を設置することにより、磁界強度を向上させ、スピーカー10の感度をさらに向上させる。(8)デュアルコイル(第1のコイル1241及び第2のコイル1242)を用いることにより、二重駆動を実現し、コイルの高周波数インピーダンスを低減し、それによりエネルギー変換装置12の感度を向上させることができる。(9)二重振動伝達シート(すなわち、振動伝達シート122が第1の振動伝達シート125及び第2の振動伝達シート126を含む)を磁石1233の両側に固定することにより、高感度出力を保証するとともに、二重振動伝達シート(すなわち、振動伝達シート122が第1の振動伝達シート125と第2の振動伝達シート126を含む)の支持により磁石1233の振動の安定性を保証する。(10)コイル124が磁束伝導カバー1232に密着することにより、磁束伝導カバー1232とコイル124との間の磁気ギャップが小さくなるため、磁界がより集中し、それによりエネルギー変換装置12の感度を向上させることができる。
【0089】
以上、基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として示されているものに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、依然として本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0090】
また、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連する特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2回以上の言及は、必ずしも全てが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせることができる。
【0091】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明のためのものであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例のみに限定されないが、逆に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にある全ての修正及び同等の組み合わせをカバーするように意図されることを理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみによるソリューションにより、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0092】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本願の開示の説明を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがある。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例の全ての特徴よりも少ない場合がある。
【0093】
いくつかの実施例で成分及び属性を記述する数字が使用されており、このような実施例で記述するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「実質的」によって修飾されるものであることを理解されたい。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「実質的」は、数字が±20%まで変動することが許容されることを示す。それに応じて、いくつかの実施例において、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも特定の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例において、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮するとともに、通常の丸め手法を適用すべきである。本願のいくつかの実施例において、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例において、このような数値は、できるだけ正確に設定される。
【0094】
本願において参照される全ての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などの他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における記述、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における記述、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0095】
最後に、本願における実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するためのものであることを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例示として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。それに応じて、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0096】
100 音響出力装置
10 スピーカー
11 ハウジング
12 エネルギー変換装置
13 振動パネル
14 制振シート
15 振動膜
16 空気伝導スピーカー
20 固定アセンブリ
111 フロントキャビティ
112 リアキャビティ
113 放音孔
121 ブラケット
122 振動伝達シート
123 磁気回路システム
124 コイル
125 第1の振動伝達シート
126 第2の振動伝達シート
131 接続ロッド
1231 磁石アセンブリ
1232 磁束伝導カバー
1233 磁石
1234 第1の磁束伝導プレート
1235 第2の磁束伝導プレート
1241 第1のコイル
1242 第2のコイル
1251 支持ロッド
1252 中心領域
1253 縁部領域
1232a 肉抜き構造
1233a 第1の孔
1234a 第2の孔
1252a 貫通孔
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石アセンブリ、及び前記磁石アセンブリを少なくとも部分的に取り囲むように設置された磁束伝導カバーを含む磁気回路システムと、
前記磁石アセンブリの振動方向に沿って前記磁石アセンブリの両側にそれぞれ分布し、前記磁石アセンブリをそれぞれ磁束伝導カバー内に弾性的に支持する第1の振動伝達シート及び第2の振動伝達シートを含む振動伝達シートと、を含み、
共振ピーク周波数が300Hzよりも小さい、エネルギー変換装置。
【請求項2】
前記振動伝達シートは、総軸方向弾性係数が18000N/mよりも小さい、ことを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー変換装置。
【請求項3】
前記第1の振動伝達シート又は前記第2の振動伝達シートは、軸方向弾性係数が9000N/mよりも小さい、ことを特徴とする、請求項
1に記載のエネルギー変換装置。
【請求項4】
前記第1の振動伝達シート又は前記第2の振動伝達シートは、縁部領域と、中心領域と、前記縁部領域及び前記中心領域を接続する複数の支持ロッドと、を含み、前記中心領域は、前記磁石アセンブリに接続される、ことを特徴とする、請求項
1に記載のエネルギー変換装置。
【請求項5】
前記複数の支持ロッドのうちの1つの支持ロッドについて、前記第1の振動伝達シート又は前記第2の振動伝達シートの長手方向に沿って、前記支持ロッドの始点と終点との間の前記第1の振動伝達シート又は前記第2の振動伝達シートの長手方向に沿った距離と前記支持ロッドの長さとの比は、0~1.2の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項4に記載のエネルギー変換装置。
【請求項6】
前記複数の支持ロッドのうちの1つの支持ロッドは、
前記支持ロッドの長さが7mm~25mmの範囲内にあること、
前記支持ロッドの厚さが0.1mm~0.2mmの範囲内にあること、
前記支持ロッドの幅が0.25mm~0.5mmの範囲内にあること、又は、
前記支持ロッドが位置する振動伝達シートの厚さと前記支持ロッドの幅との比が0.16~0.75の範囲内にあることの1つ以上の条件を満たす、ことを特徴とする、請求項
4に記載のエネルギー変換装置。
【請求項7】
前記磁石アセンブリは、磁石と、前記磁石アセンブリの振動方向において前記磁石の両側に固定された第1の磁束伝導プレート及び第2の磁束伝導プレートと、を含み、前記第1の振動伝達シートの
前記中心領域は、前記第1の磁束伝導プレートに接続され、前記第2の振動伝達シートの
前記中心領域は、前記第2の磁束伝導プレートに接続される、ことを特徴とする、請求項
4に記載のエネルギー変換装置。
【請求項8】
前記磁石に第1の孔が設置され、前記磁束伝導プレートに第2の孔が設置され、前記第2の孔が前記第1の孔に対応して設置される、ことを特徴とする、請求項7に記載のエネルギー変換装置。
【請求項9】
前記磁束伝導プレートの厚さと前記磁石の厚さとの比は、0.05~0.35の範囲内にある、ことを特徴とする、請求項
7に記載のエネルギー変換装置。
【請求項10】
前記第1の振動伝達シートの
前記縁部領域は、前記磁束伝導カバーの前記磁石アセンブリの振動方向に沿った一端に接続され、前記第2の振動伝達シートの
前記縁部領域は、前記磁束伝導カバーの前記磁石アセンブリの振動方向に沿った他端に接続されることにより、前記第1の振動伝達シートと前記第2の振動伝達シートは、前記磁石アセンブリを弾性的に支持する、ことを特徴とする、請求項
7に記載のエネルギー変換装置。
【請求項11】
前記磁石、前記磁束伝導プレート及び前記磁束伝導カバーのうちの少なくとも1つは、磁化方向が異なる複数の磁性部を含む、ことを特徴とする、請求項10に記載のエネルギー変換装置。
【請求項12】
前記磁気回路システム内に設置されたコイルをさらに含み、前記磁束伝導カバーは、前記コイルの外側に嵌設され、前記磁束伝導カバーの内壁は、前記コイルの外壁に密着する、ことを特徴とする、請求項
1に記載のエネルギー変換装置。
【請求項13】
前記第1の振動伝達シート又は前記第2の振動伝達シートは、前記磁石アセンブリの振動方向に垂直な平面内の任意の方向における等価剛性が4.7×10
4N/mよりも大きい、ことを特徴とする、請求項1~1
2のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項14】
ハウジングと、電子部品と、請求項1~1
2のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置と、を含み、前記ハウジングは、前記エネルギー変換装置及び前記電子部品を収容するキャビティを形成する、スピーカー。
【請求項15】
固定アセンブリと、請求項1
4に記載のスピーカーと、を含み、前記固定アセンブリは、前記スピーカーに接続される、音響出力装置。
【国際調査報告】