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特表2025-502894生体内でのアデノシン放出を調節する装置、方法およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-28
(54)【発明の名称】生体内でのアデノシン放出を調節する装置、方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20250121BHJP
   A61M 21/00 20060101ALI20250121BHJP
   A61N 5/06 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
A61M21/02 B
A61M21/00 Z
A61N5/06 Z
A61M21/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024562218
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 CN2023071395
(87)【国際公開番号】W WO2023131332
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】202210021891.3
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524260225
【氏名又は名称】温州▲甌▼帆▲遠▼影科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼江帆
(72)【発明者】
【氏名】徐陶
(72)【発明者】
【氏名】周旭▲チャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】何▲艶▼
(72)【発明者】
【氏名】郭▲衛▼
(72)【発明者】
【氏名】蔡▲暁▼▲紅▼
(72)【発明者】
【氏名】姚志模
(72)【発明者】
【氏名】李智慧
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼懿
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼芸▲韜▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ユ▼晨▲芸▼
(72)【発明者】
【氏名】瞿佳
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA02
4C082PC10
4C082PE02
4C082PE10
4C082PJ03
4C082PJ11
(57)【要約】
本発明は、生体内でのアデノシンの放出を調節する装置、方法及び使用に関する。前記装置は、特定の周波数の刺激を発生させるための刺激発生器を含む。本発明の装置を生体に適用することにより、生体の脳内のアデノシン濃度を効率的に高め、それにより睡眠障害の改善に対する効果的な方策を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1~100Hzの音声を発生させるため、及び/又は、1~100Hzのフラッシュ及び/又は全画面の視覚刺激を発生させるための刺激発生器を含む、生体内でのアデノシンの放出を調節する装置。
【請求項2】
前記刺激発生器は、視覚刺激発生器及び/又は音声刺激発生器を含み、
任意選択で、前記視覚発生器は20~80Hzの視覚刺激を発し、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、20Hz、25Hz、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hz、65Hz、70Hz、75Hz、80Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は30~60Hzを含み、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は35~45Hzを含み、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、35Hz、40Hz及び45Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は40Hzであり、
任意選択で、前記視覚刺激の白色光の照度は2000lux以上であり、
任意選択で、前記視覚刺激の前記単色光の波長は480~530nmであり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は20%~80%であり、好ましくは30%~70%、或いは40%~70%、或いは45~55%であり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%及び80%の中から選択される1種又は2種以上であり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は50%である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記視覚刺激発生器は、ランプ及び/又は表示画面を含み、
任意選択で、前記ランプは、CCFLランプ、LEDランプ及び/又はOLEDランプを含み、
任意選択で、前記表示画面は、CCFL表示画面、LED表示画面及び/又はOLED表示画面を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ランプは白色光及び/又は単色光を発し、
任意選択で、前記単色光は、紫外光、青色光、緑色光、赤色光及び近赤外線のうちの1種又は2種以上を含み、好ましくは、青色光及び/又は緑色光であり、
任意選択で、前記紫外光の中心波長は315~400nm、或いは320~395nm、或いは325~390nm、或いは330~385nmであり、好ましくは380nmであり、
任意選択で、前記青色光の中心波長は450~490nm、或いは455~488nm、或いは460~485nmであり、好ましくは480nmであり、
任意選択で、前記緑色光の中心波長は500~560nm、或いは505nm~555nm、或いは510nm~550nm、或いは515nm~545nm、或いは520nm~540nm、或いは525nm~545nm、或いは530nm~535nmであり、好ましくは530nmであり、
任意選択で、前記赤色光の中心波長は600~680nm、或いは595~675nm、或いは590~670nm、或いは585~665nm、或いは580~650nmであり、 好ましくは650nmであり、
任意選択で、前記近赤外線の中心波長は780~1100nm、或いは790~1090nm、或いは800~1080nm、或いは810~1070nm、或いは820~1060nm、或いは830~1050nm、或いは840~1040nm、或いは850~1030nmであり、好ましくは850nmであり、
任意選択で、前記白色光の照度は2~6000luxであり、前記単色光の照度は2~500luxであり、
任意選択で、前記ランプが発する白色光の照度は500~3000luxであり、
任意選択で、前記ランプが発する白色光の照度は、500lux、1000lux、2000lux、及び3000luxのうちの1種又は2種以上を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記表示画面は回折格子画像を表示し、任意選択で、前記回折格子画像のコントラストは10%~100%であり、
任意選択で、前記格子画像は、運動回折格子画像、点滅回折格子画像、点滅ラスター画像及び反転回折格子画像のうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記運動回折格子のコントラストは10%~100%であり、任意選択で、前記運動回折格子の向きは0~180°であり、任意選択で、前記運動回折格子画像の空間周波数は0.05~30cycle/degであり、例えば0.05~10cycle/degであり、任意選択で、前記運動回折格子画像の運動速度は1~10Hzであり、
任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは10~100%であり、任意選択で、前記反転回折格子の反転周波数は20~60Hz又は30~50Hzであり、好ましくは40Hzであり、任意選択で、前記反転回折格子の空間周波数は0.1~30cpd又は0.1cpdであり、任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは、10%~100%、70~90%であり、好ましくは80%であり、任意選択で、前記反転回折格子の平均輝度は100~500cd/m、或いは140~180cd/m、或いは150~170cd/m、或いは160cd/mであり、
任意選択で、前記点滅ラスター画像のコントラストは10~100%であり、任意選択で、 前記点滅ラスター画像の周波数は1~100Hzであり、任意選択で、前記点滅ラスター画像のラスターサイズは0.5~10degである、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
携帯電話、タブレット、又は携帯型ウェアラブル装置を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記携帯型ウェアラブル装置は、眼鏡、アイマスク、フェイスマスク、帽子、ヘッドバンド、ヘルメット、ブレスレット又は時計から選択され、任意選択で、前記眼鏡はVR眼鏡を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記携帯型ウェアラブル装置はフレームを含み、任意選択で、前記携帯型ウェアラブル装置は鏡脚又はヘッドバンドを更に含み、
任意選択で、前記フレームに囲まれたレンズの縁の位置にランプが設置され、任意選択で、前記ランプは、CCFLランプ、LEDランプ及び/又はOLEDランプを含み、
任意選択で、前記フレームに囲まれたレンズの中心に表示画面が設置され、任意選択で、前記表示画面は、CCFL表示画面、LED表示画面及び/又はOLED表示画面を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ランプは、単色光ランプと白色光ランプを含み、
任意選択で、前記単色光ランプの照度は2~500luxであり、任意選択で、前記白色光ランプの照度は2~6000luxであり、
任意選択で、前記ランプは、青色光ランプ、緑色光ランプ、赤色光ランプ及び白色光ランプを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記表示画面は回折格子画像を表示し、前記回折格子画像は、垂直運動回折格子、水平運動回折格子及び/又は点滅ラスターを含み、
任意選択で、前記垂直運動回折格子のパラメータは0°向き、任意選択で、前記垂直運動回折格子の空間周波数は0.2cpdであり、任意選択で、前記垂直運動回折格子の時間周波数は1Hzであり、任意選択で、前記垂直運動回折格子のコントラストは50%であり、
任意選択で、前記水平運動回折格子のパラメータは90°向き、任意選択で、前記水平運動回折格子の空間周波数は0.2cpdであり、任意選択で、前記水平運動回折格子の時間周波数は1Hzであり、任意選択で、前記水平運動回折格子のコントラストは50%である、 請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
生体内でのアデノシンの放出を促進するために使用されることを含み、
任意選択で、前記使用は、生物体内のアデノシンの濃度を高めるために使用されることを含み、
任意選択で、前記使用は、ニューロン細胞外アデノシンの濃度を高めるために使用されることを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項12】
神経系疾患、心血管疾患及び/又は眼科疾患を治療するために使用されることを含み、
任意選択で、前記神経系疾患は、パーキンソン病、うつ病、不安、認知症、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害、多動症、子供の自閉症及び/又は注意欠如を含み、
任意選択で、前記心血管疾患は、冠状動脈性心臓疾患及び/又は不整脈を含み、
任意選択で、前記眼科疾患は、近視、斜視及び弱視、並びに老人性網膜症を含む、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
睡眠障害を改善するために使用されることを含み、任意選択で、20~80Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善し、任意選択で、30~60Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善し、任意選択で、35~45Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善し、任意選択で、40Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善する、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか1項に記載の装置を用いて被験者に1~100Hzの刺激を送達し、前記送達は非侵襲的であり、任意選択で、前記刺激は視覚刺激及び/又は音声刺激を含むステップ、を包含する生体内でのアデノシンの放出を調節する方法。
【請求項15】
前記視覚刺激の周波数は1~100Hzであり、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は20~80Hzであり、前記視覚刺激の周波数は、20Hz、25Hz、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hz、65Hz、70Hz、75Hz及び80Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は30~60Hzであり、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz及び60Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は40Hzであり、
任意選択で、前記視覚刺激の白色光の照度は2000lux以上であり、
任意選択で、前記視覚刺激の単色光の波長は480~530nmであり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は20%~80%であり、好ましくは30%~70%、或いは40%~70%、或いは45~55%であり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%及び80%の中から選択される1種又は2種以上であり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は50%である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記視覚刺激がフラッシュ刺激及び/又は画像刺激を含み、
任意選択で、前記フラッシュは白色光及び/又は単色光を含み、
任意選択で、前記画像は回折格子画像を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記単色光は、紫外光、青色光、緑色光、赤色光、及び近赤外線のうちの1種又は2種以上を含み、好ましくは、青色光及び/又は緑色光であり、
任意選択で、前記紫外光の中心波長は315~400nmであり、前記青色光の中心波長は450~490nmであり、前記緑色光の中心波長は500nm~560nmであり、前記赤色光の中心波長は600~680nmであり、前記近赤外線の中心波長は780~1100nmであり、
任意選択で、前記紫外光の中心波長は、320~395nm、或いは325~390nm、或いは330~385nmであり、
任意選択で、前記青色光の中心波長は、455~488nm、又は460~485nmであり、
任意選択で、前記緑色光の中心波長は、505nm~555nm、或いは510nm~550nm、或いは515nm~545nm、或いは520nm~540nm、或いは525nm~545nm、或いは530nm~535nmであり、
任意選択で、前記赤色光の中心波長は、595~675nm、或いは590~670nm、或いは585~665nm、或いは580~650nmであり、
任意選択で、前記近赤外線の中心波長は、790~1090nm、或いは800~1080nm、或いは810~1070nm、或いは820~1060nm、或いは830~1050nm、或いは840~1040nm、或いは850~1030nmであり、任意選択で、前記紫外光の中心波長は380nmであり、前記青色光の中心波長は480nmであり、前記緑色光の中心波長は530nmであり、前記赤色光の中心波長は650nmであり、前記近赤外線の中心波長は850nmであり、
任意選択で、前記白色光の照度は2~6000luxであり、前記単色光の照度は2~500luxであり、
任意選択で、前記ランプが発する光の白色光の照度は500~3000luxであり、任意選択で、前記ランプが発する光の白色光の照度は、500lux、1000lux、2000lux及び3000luxのうちの1種又は2種以上を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ラスター画像のコントラストが10%~100%であり、
任意選択で、前記ラスター画像は、運動回折格子画像、点滅回折格子画像、点滅ラスター画像及び反転回折格子画像のうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、運動回折格子のコントラストは10%~100%であり、任意選択で、前記運動回折格子の向きは0~180°であり、任意選択で、前記運動回折格子画像の空間周波数は0.05~30cycle/degreeであり、任意選択で、前記運動回折格子画像の運動速度は1~10Hzであり、
任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは10%~100%であり、任意選択で、前記反転回折格子の周波数は20~60Hz又は30~50Hzであり、好ましくは40Hzであり、任意選択で、前記反転回折格子の空間周波数は0.1~30cpd又は0.1cpdであり、任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは、10%~100%、70~90%であり、好ましくは80%であり、任意選択で、前記反転回折格子の平均輝度は、100~500cd/m、或いは140~180cd/m、或いは150~170cd/m、或いは160cd/mであり、
任意選択で、前記点滅ラスター画像のコントラストは、10%~100%であり、任意選択で、前記点滅ラスター画像の周波数は1~100Hzであり、任意選択で、前記点滅ラスター画像のラスターサイズは0.5~10degreeである、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
生体内におけるアデノシン濃度の変化を分析することを含む薬物又は医療機器の治療効果の評価方法。
【請求項20】
前記薬物又は医療機器が神経系疾患の治療、心血管疾患の治療及び/又は睡眠障害の改善のために使用され、
任意選択で、前記神経系疾患は、パーキンソン病、うつ病、不安、認知症、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害、多動症、子供の自閉症及び/又は注意欠如を含み、
任意選択で、前記心血管疾患は、冠状動脈性心臓疾患及び/又は不整脈を含む、請求項19に記載の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アデノシン調節の分野に関し、特に、生体内でのアデノシンの放出を調節する装置、方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アデノシン(adenosine)およびその誘導体は自然界に広く存在し、さまざまな生物学的行動の調節に不可欠な役割を果たしている。McChartyのチームは、1997年に、「Science」誌で、細胞外アデノシン濃度が生体の睡眠・覚醒状態の違いによって変化し、アデノシン濃度が蓄積すると睡眠のプレッシャーが高まり、不眠症につながることを初めて報告した。しかし、今まで、アデノシン受容体が全身の組織や臓器に多く発現しており、副作用が大きく、特異性が低く、アゴニストの脱感作・耐性があるため、アデノシン系抗不眠症薬の開発は実質的に進んでいない。
【0003】
2021年の中国睡眠研究学会の調査報告から明らかなように、現在、中国の総人口ののうち約4割の成人が異なる程度の睡眠障害を患っている。慢性的、深刻な不眠症は患者の仕事の効率や心身の健康を著しく損ない、睡眠障害が原因で引き起こされる様々な事故や事件による損失は毎年数千億元に達する。また、慢性不眠症は多くの神経精神疾患の重要な誘因でもある。中国経済の急速な発展に伴い、睡眠障害の発生はより一般的かつ低年齢化している。
【0004】
現在の臨床における不眠症の治療は主に薬物治療であるが、薬物使用の持続性、薬物依存性と末梢副反応などの重要な問題がある。薬物治療以外にも、不眠症の治療には認知行動療法や強光治療による物理治療もある。認知行動療法には限界があり、効果が出るのに時間がかかり、強光治療は効果が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、生体内でのアデノシン濃度を高め、あるいは睡眠障害を精確に改善するための安全で効果的な方策がまだ存在していないことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記技術的課題を解決するために、フラッシュ刺激が脳内アデノシン濃度を効率的に高め、ひいては睡眠障害の改善に有効な方策を提供することを見出した。
【0007】
具体的には、本発明は以下の技術案が提案される。
本発明の1つの態様において、1~100Hzの音声を発生させるための刺激発生器、及び/又は、1~100Hzのフラッシュ及び/又は全画面の視覚刺激を発生させるための刺激発生器を含む、生体内でのアデノシンの放出を調節するための装置が提供される。
【0008】
前記刺激発生器は、フラッシュなどの視覚刺激発生器及び/又は音声刺激発生器を含む、本発明に記載の装置。
【0009】
任意選択で、前記視覚発生器は20~80Hzの視覚刺激を発する。
【0010】
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、20Hz、25Hz、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hz、65Hz、70Hz、75Hz、80Hzのうちの1種又は2種以上を含む。
【0011】
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は30~60Hzを含む。
【0012】
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hzのうちの1種又は2種以上を含む。
【0013】
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は35~45Hzを含む。
【0014】
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、35Hz、40Hz及び45Hzのうちの1種又は2種以上を含む。
【0015】
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は40Hzである。
【0016】
任意選択で、前記視覚刺激の白色光の照度は2000lux以上である。
【0017】
任意選択で、前記視覚刺激の前記単色光の波長は480~530nmである。
【0018】
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は20%~80%であり、好ましくは30%~70%、或いは40%~70%、或いは45~55%である。
【0019】
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%及び80%の中から選択される1種又は2種以上である。
【0020】
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は50%である。
【0021】
前記視覚刺激発生器は、ランプ及び/又は表示画面を含む、本発明に記載の装置。
【0022】
任意選択で、前記ランプは、CCFLランプ、LEDランプ及び/又はOLEDランプを含む。
【0023】
任意選択で、前記表示画面は、CCFL表示画面、LED表示画面及び/又はOLED表示画面を含む。
【0024】
任意選択で、前記ランプは白色光及び/又は単色光を発する。
【0025】
任意選択で、前記単色光は、紫外光、青色光、緑色光、赤色光及び近赤外線のうちの1種又は2種以上を含み、好ましくは、青色光及び/又は緑色光である。
【0026】
任意選択で、前記紫外光の中心波長は315~400nmであり、例えば320~395nm、或いは325~390nm、或いは330~385nmであり、好ましくは380nmである。
【0027】
任意選択で、前記青色光の中心波長は450~490nmであり、例えば455~488nm、或いは460~485nmであり、好ましくは480nmである。
【0028】
任意選択で、前記緑色光の中心波長は500~560nmであり、例えば、505nm~555nm、或いは510nm~550nm、或いは515nm~545nm、或いは520nm~540nm、或いは525nm~545nm、或いは530nm~535nmであり、好ましくは530nmである。
【0029】
任意選択で、前記赤色光の中心波長は600~680nmであり、例えば、595~675nm、或いは590~670nm、或いは585~665nm、或いは580~650nmであり、好ましくは650nmである。
【0030】
任意選択で、前記近赤外線の中心波長は780~1100nmであり、例えば790~1090nm、或いは800~1080nm、或いは810~1070nm、或いは820~1060nm、或いは830~1050nm、或いは840~1040nm、或いは850~1030nmであり、好ましくは850nmである。
【0031】
任意選択で、前記白色光の照度は2~6000luxである。
【0032】
任意選択で、前記単色光の照度は2~500luxである。
【0033】
任意選択で、前記ランプが発する白色光の照度は500~3000luxである。
【0034】
任意選択で、前記ランプが発する白色光の照度は、500lux、1000lux、2000lux、及び3000luxのうちの1種又は2種以上を含む。
【0035】
任意選択で、前記表示画面は回折格子画像を表示する。
【0036】
任意選択で、前記回折格子画像のコントラストは10%~100%である。
【0037】
任意選択で、前記格子画像は、運動回折格子画像、点滅回折格子画像、点滅ラスター画像及び反転回折格子画像のうちの1種又は2種以上を含む。
【0038】
任意選択で、前記運動回折格子のコントラストは10%~100%である。
【0039】
任意選択で、前記運動回折格子の向きは0~180°である。
【0040】
任意選択で、前記運動回折格子画像の空間周波数は、0.05~30cycle/degであり、例えば、0.05~10cycle/degである。
【0041】
任意選択で、前記運動回折格子画像の運動速度は1~10Hzである。
【0042】
任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは10~100%である。
【0043】
任意選択で、前記反転回折格子の反転周波数は、20~60Hz、又は30~50Hzであり、好ましくは40Hzである。
【0044】
任意選択で、前記反転回折格子の空間周波数は0.1~30cpd、又は0.1cpdである。
【0045】
任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは、10%~100%、70~90%であり、好ましくは80%である。
【0046】
任意選択で、前記反転回折格子の平均輝度は100~500cd/m、或いは140~180cd/m、或いは150~170cd/m、或いは160cd/mである。
【0047】
任意選択で、前記点滅ラスター画像のコントラストは10~100%である。
【0048】
任意選択で、前記点滅ラスター画像の周波数は1~100Hzである。
【0049】
任意選択で、前記点滅ラスター画像のラスターサイズは0.5~10degである。
【0050】
携帯電話、タブレット、または携帯型ウェアラブル装置を含む、本発明に記載の装置。
【0051】
任意選択で、前記携帯型ウェアラブル装置は、眼鏡、アイマスク、フェイスマスク、帽子、ヘッドバンド、ヘルメット、ブレスレット、又は時計から選択され、任意選択で、前記眼鏡はVR眼鏡を含む。
【0052】
前記携帯型ウェアラブル装置はフレームを含み、任意選択で、前記携帯型ウェアラブル装置は鏡脚又はヘッドバンドを更に含む、本明細書に記載の装置。
【0053】
任意選択で、前記フレームに囲まれたレンズの縁の位置にランプが設置され、任意選択で、前記ランプは、CCFLランプ、LEDランプ及び/又はOLEDランプを含む。
【0054】
任意選択で、前記フレームに囲まれたレンズの中心に表示画面が設置され、任意選択で、前記表示画面は、CCFL表示画面、LED表示画面及び/又はOLED表示画面を含む。
【0055】
前記ランプは、単色光ランプと白色光ランプとを含む、本発明に記載の装置。
【0056】
任意選択で、前記単色光ランプの照度は2~500luxである。
【0057】
任意選択で、前記白色光ランプの照度は2~6000luxである。
【0058】
任意選択で、前記ランプは、青色光ランプ、緑色光ランプ、赤色光ランプ及び白色光ランプを含む。
【0059】
前記表示画面は回折格子画像を表示し、前記回折格子画像は、垂直運動回折格子、水平運動回折格子及び/又は点滅ラスターを含む、本発明に記載の装置。
【0060】
任意選択で、前記垂直運動回折格子のパラメータは0°向き、任意選択で、前記垂直運動回折格子の空間周波数は0.2cpdであり、任意選択で、前記垂直運動回折格子の時間周波数は1Hzであり、任意選択で、前記垂直運動回折格子のコントラストは50%である。
【0061】
任意選択で、前記水平運動回折格子のパラメータは90°向き、任意選択で、前記水平運動回折格子の空間周波数は0.2cpdであり、任意選択で、前記水平運動回折格子の時間周波数は1Hzであり、任意選択で、前記水平運動回折格子のコントラストは50%である。
【0062】
本発明の別の態様において、生体内でのアデノシンの放出を促進するために使用されることを含む、上記のいずれかの装置の使用がさらに提供される。
【0063】
任意選択で、前記使用は、生物体内のアデノシンの濃度を高めるために使用されることを含む。
【0064】
任意選択で、前記使用は、ニューロンの細胞外アデノシン濃度を高めるために使用されることを含む。
【0065】
任意選択で、前記使用は、神経系疾患、心血管疾患及び/又は眼科疾患を治療するために使用されることを含む。
【0066】
任意選択で、前記神経系疾患は、パーキンソン病、うつ病、不安、認知症、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害、多動症、子供の自閉症及び/又は注意欠如を含む。
【0067】
任意選択で、前記心血管疾患は、冠状動脈性心臓疾患及び/又は不整脈を含む。
【0068】
任意選択で、前記眼科疾患は、近視、斜視及び弱視、並びに老人性網膜症を含む。
【0069】
任意選択で、前記使用は、睡眠障害を改善するために使用されることを含む。任意選択で、20~80Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善する。任意選択で、30~60Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善する。任意選択で、35~45Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善する。任意選択で、40Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善する。
【0070】
本発明の別の態様において、以下のステップを含む、生体内でのアデノシンの放出を調節する方法も提供される:
本発明の前記のいずれかの装置を用いて被験者に1~100Hzの刺激を送達し、前記送達は非侵襲的である。任意選択で、前記刺激は、視覚刺激及び/又は音声刺激を含む。
【0071】
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は1~100Hzであり、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は20~80Hzである。
【0072】
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、20Hz、25Hz、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hz、65Hz、70Hz、75Hz及び80Hzのうちの1種又は2種以上を含む。
【0073】
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は30~60Hzを含む。
【0074】
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz及び60Hzのうちの1種又は2種以上を含む。
【0075】
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は35~45Hzを含む。
【0076】
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、35Hz、40Hz及び45Hzのうちの1種又は2種以上を含む。
【0077】
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は40Hzである。
【0078】
任意選択で、前記視覚刺激の白色光の照度は2000lux以上である。
【0079】
任意選択で、前記視覚刺激の単色光の波長は480~530nmである。
【0080】
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は20%~80%であり、好ましくは30%~70%、或いは40%~70%、或いは45~55%である。
【0081】
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%及び80%の中から選択される1種又は2種以上である。
【0082】
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は50%である。
【0083】
前記視覚刺激がフラッシュ刺激及び/又は画像刺激を含む、本発明に記載の方法。
【0084】
任意選択で、前記フラッシュは白色光及び/又は単色光を含む。
【0085】
任意選択で、前記画像は回折格子画像を含む。
【0086】
前記単色光は、紫外光、青色光、緑色光、赤色光、及び近赤外線のうちの1種又は2種以上を含み、好ましくは、青色光及び/又は緑色光である、本発明に記載の方法。
【0087】
任意選択で、前記紫外光の中心波長は315~400nmであり、任意選択で、前記青色光の中心波長は450~490nmであり、任意選択で、前記緑色光の中心波長は500nm~560nmであり、任意選択で、前記赤色光の中心波長は600~680nmであり、任意選択で、前記近赤外線の中心波長は780~1100nmである。
【0088】
任意選択で、前記紫外光の中心波長は320~395nm、或いは325~390nm、或いは330~385nmである。
【0089】
任意選択で、前記青色光の中心波長は、455~488nm、又は460~485nmである。
【0090】
任意選択で、前記緑色光の中心波長は、505nm~555nm、或いは510nm~550nm、或いは515nm~545nm、或いは520nm~540nm、或いは525nm~545nm、或いは530nm~535nmである。
【0091】
任意選択で、前記赤色光の中心波長は、595~675nm、或いは590~670nm、或いは585~665nm、或いは580~650nmである。
【0092】
任意選択で、前記近赤外線の中心波長は、790~1090nm、或いは800~1080nm、或いは810~1070nm、或いは820~1060nm、或いは830~1050nm、或いは840~1040nm、或いは850~1030nmである。
【0093】
任意選択で、前記紫外光の中心波長は380nmであり、前記青色光の中心波長は480nmであり、前記緑色光の中心波長は530nmであり、前記赤色光の中心波長は650nmであり、前記近赤外線の中心波長は850nmである。
【0094】
任意選択で、前記白色光の照度は2~6000luxである。
【0095】
任意選択で、前記単色光の照度は2~500luxである。
【0096】
任意選択で、前記ランプが発する光の白色光の照度は、500~3000luxであり、任意選択で、前記ランプが発する光の白色光の照度は、500lux、1000lux、2000lux及び3000luxのうちの1種又は2種以上を含む。
【0097】
前記ラスター画像のコントラストが10%~100%である、本発明に記載の方法。
【0098】
任意選択で、前記ラスター画像は、運動回折格子画像、点滅回折格子画像、点滅ラスター画像、及び反転回折格子画像のうちの1種又は2種以上を含む。
【0099】
任意選択で、運動回折格子のコントラストは10%~100%である。
【0100】
任意選択で、前記運動回折格子の向きは0~180°である。
【0101】
任意選択で、前記運動回折格子画像の空間周波数は0.05~30 cycle/degreeである。
【0102】
任意選択で、前記運動回折格子画像の運動速度は1~10Hzである。
【0103】
任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは10%~100%である。
【0104】
任意選択で、前記反転回折格子の周波数は、20~60Hz又は30~50Hzであり、好ましくは40Hzである。
【0105】
任意選択で、前記反転回折格子の空間周波数は、0.1~30cpd、又は0.1cpdである。
【0106】
任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは、10%~100%、70~90%であり、好ましくは80%である。
【0107】
任意選択で、前記反転回折格子の平均輝度は、100~500cd/m、或いは140~180cd/m、或いは150~170cd/m、或いは160cd/mである。
【0108】
任意選択で、前記点滅ラスター画像のコントラストは10%~100%である。
【0109】
任意選択で、前記点滅ラスター画像の周波数は1~100Hzである。
【0110】
任意選択で、前記点滅ラスター画像の格子サイズは0.5~10degreeである。
【0111】
本発明の別の態様は、生物体内におけるアデノシン濃度の変化を分析することを含む、薬物又は医療機器の治療効果を評価する方法を提供する。
【0112】
前記薬物又は医療機器が神経系疾患の治療、心血管疾患の治療及び/又は睡眠障害の改善のために使用される、本発明に記載の評価方法。
【0113】
任意選択で、前記神経系疾患は、パーキンソン病、うつ病、不安、認知症、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害、多動症、子供の自閉症及び/又は注意欠如を含む。
【0114】
任意選択で、前記心血管疾患は、冠状動脈性心臓疾患及び/又は不整脈を含む。
【0115】
任意選択で、ニューロンの細胞外アデノシン濃度の変化を分析することを含む、本発明に記載の評価方法。
【0116】
本発明の有益な効果は以下のことを含む。
(1)本発明は、非侵襲的で副作用が少なく、耐性に優れ、有効性が高いという潜在的な利点を有する、アデノシンの放出を調節する新規な策略を提供すること、
(2)本発明は、アデノシンによる睡眠促進が脳の神経中枢への作用範囲が比較的小さく、効果が穏やかで、相対的に安全性が高く、かつ中枢性副作用の概率が低い、睡眠障害を改善する新規な策略を提供すること、及び
(3)本発明は、被験者がいつでもどこでも使用するのに便利な携帯型ウェアラブル装置を提供すること。
【図面の簡単な説明】
【0117】
図1】実施例1において超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)で分析した、視覚野における一次視覚野(visual primer cortex,V1)中のアデノシンの総濃度に対する40Hzフラッシュ照明の促進効果を示す。
図2】実施例1においてV1領域からのアデノシン放出に対する異なる周波数のフラッシュ刺激の影響を示す。Aは、フラッシュ刺激後の視覚野V1領域におけるアデノシンシグナルを検出する実験の模式図であり、Bは、40Hzのフラッシュが視覚野V1領域におけるγ振動を効果的に誘発できることを示し、Cは、光遺伝学的活性化(40Hz)による視覚野V1領域(Parvalbumin、PV)における陽性ニューロンは、アデノシンの放出を効果的に増加させることを示し、Dは、異なる周波数(20Hz、40Hz、80Hz)のフラッシュ刺激下における、視覚野V1領域の時間-アデノシン放出量に対応する曲線図である(n=3~5/群)。
図3】実施例2おいて一次視覚野(V1)の脳領域における神経調節物質であるセロトニン及びアセチルコリンの濃度に対するフラッシュ刺激の影響を示す。
図4】実施例3において40Hzフラッシュによるアデノシン放出の増加が脳領域特異性があることを示す図である。Aは、40Hzフラッシュで30分刺激した後の前脳基底部(BF)、視覚野V1領域、側座核(Nucleus accumbens, NAc)、腹側被蓋核(Ventral tegmentalnucleus,VTA)、上丘(Superior colliculus,SC)、内側前頭前皮質(Medial prefrontal cortex,mPFC)、海馬(Hippocampus,HPC)、背内側線条体(Dorsomedial striatum, DMS)を含む8つの脳領域の、時間-アデノシン濃度変化曲線図である。
図5】実施例4において実施例4において異なる視覚刺激モードによる視覚野の細胞外アデノシン特異性の増加を示す。Aは、40Hzの異なる波長でのフラッシュ刺激が視覚野V1領域におけるアデノシン放出に対する時間-濃度対応曲線であり、Bは、点滅光レーキ(反転回折格子)による視覚刺激は、視覚野V1領域におけるアデノシン放出を有意に増加させる(各群A~Cについてn=3~5)ことを示し、Cは、異なる運動回折格子視覚刺激モードでの視覚野V1領域におけるアデノシン放出の時間-濃度対応曲線図であり、円形のグラフの例は、垂直直交抑制運動回折格子刺激モードにおいて、視覚野V1領域におけるアデノシン放出が刺激に伴って急速に増加することを示し、四角形グラフの例は、全画面90°方位角運動回折格子刺激モードにおいて、視覚野V1領域におけるアデノシン放出がゆっくりと増加することを示し、Randomは、全画面ランダム方位角運動回折格子刺激モードにおいて、アデノシン放出が増加しないことを示す(陰影部分は視覚刺激時間、各群n=3)。
図6】実施例5において異なるデューティ比の40Hzストロボフラッシュが視覚野の細胞外アデノシンに対する影響を示す。
図7】実施例6において異なる光照度の40Hzストロボフラッシュが視覚野の細胞外アデノシンに対する影響を示す。
図8】実施例6において異なる光波長の40Hzストロボフラッシュが視覚野の細胞外アデノシンに対する影響を示す。
図9】実施例7において40Hzがアデノシンシグナルを介してマウスの夜間運動活性を有意に低下させることを示す。A~Cは、通常の白色光、20Hz、40Hz及び80Hzで30分フラッシュした後の夜間におけるマウスの時間-運動量対応曲線図であり、D~Fは、通常の白色光、20Hz、40Hz及び80Hzで30分フラッシュした後の夜間の最初の7時間におけるマウス運動量の統計分析図であり、Gは、平衡型ヌクレオチド輸送体(equilibrate nucleotide transporter,ENT)阻害剤dipyridamole(dipyr,15mg/kg)の腹腔内注射により、CD73-KOマウスの40Hzフラッシュによる運動抑制効果をブロックし、Hは、アデノシンA1受容体活性拮抗剤DPCPX(6mg/kg)の腹腔内注射により、40Hzフラッシュによる運動抑制効果をブロックした(n=8/群、*p<0.05,**p<0.01 vs 通常の白色光群)。
図10】実施例8において40Hzフラッシュがマウスの夜間睡眠量を有意に増加させたことを示す。A~Bは、昼間の最後の30分間に光処理を受けた後の夜間におけるマウスの脳波及び筋電図スペクトルの模式図であり、Cは、40Hzフラッシュがマウスの夜間睡眠量を有意に増加させたことを示す時間-睡眠量対応曲線であり、Dは、光処理を受けた後の夜間段階の最初の3時間における睡眠量の統計図であり、Eは、光処理を受けた後のマウスの夜間睡眠エネルギースペクトル密度の分布で、40Hzフラッシュはマウスの睡眠量を増加させ、スペクトルエネルギー密度には影響を与えなかったことを示し(n=7、***p<0.01、***p<0.001、vs通常の白色光群)、F~Gは、20Hz及び80Hzのフラッシュ処理は、マウスの睡眠量を有意に増加させなかったことを示す。
図11】実施例8において視覚野へのアデノシン注射がマウスの総睡眠を濃度依存的に増加させることを示す。
図12】実施例9において耐性スコアの分布図を示す。
図13】実施例10において40Hzのフラッシュが慢性不眠症患者の睡眠潜時、総睡眠時間、睡眠開始後の覚醒時間などを含む多数の睡眠パラメータに対する改善を示す。
図14】実施例11において足底電撃した後、アストロサイト反応性が対照側(AAV2/9-GfaABC1D-mCherry)と比較して40%有意に減少したことを示し、AAV2/9-GfaABC1D-mCherry-hPMCA2w/bウイルスは確実にアストロサイトの活性を低下させることができることを示す。
図15】実施例11において40Hzフラッシュ刺激がアストロサイトの細胞外アデノシン濃度に対する影響を示す。
図16】実施例11において40Hzのフラッシュ刺激がニューロン細胞外アデノシン濃度に対する影響を示す。
図17】実施例12において携帯型視覚刺激装置の模式図を示す。
図18】運動回折格子刺激モードの模式図であり、回折格子は黒と白の交互のストライプであり、図中の矢印の方向に移動する。
図19】反転回折格子画像変化の模式図であり:回折格子の局所的な明暗(点線を例にとり)が40Hzの周波数で交互に切り替わり、画面のリフレッシュレートは120Hzである。
図20】点滅回折格子の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0118】
上述したように、本発明の目的は、生体内でのアデノシン濃度を高め、あるいは睡眠障害を精確に改善するための安全で効果的な方策がまだ存在していないという技術的問題を解決するために、生体内でのアデノシンの放出を調節する装置を提供することを目的とするものである。
【0119】
以下、本発明の技術案を明確かつ完全に説明する。明らかに、本発明における具体的な実施形態に基づいて、当業者が創造的な労働をすることなく得られる他の全ての実施形態は、本発明の保護範囲に属する。
【0120】
なお、本明細書で使用される用語は、本発明による例示的な実施形態を限定することを意図するものではなく、特定の実施形態を説明するためにのみ使用される。
【0121】
冷陰極蛍光ランプ(Cold Cathode Fluorescent Lamp.CCFL)は、高出力、高輝度という利点を有し、モニターや照明の領域で広く使用されている。
【0122】
発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)は、一般的に使用されている発光素子である。
【0123】
有機発光ダイオード(OLED)は、電流型有機発光素子に属する。
【0124】
本発明は、1~100Hzの音声を発生させるため、及び/又は、1~100Hzのフラッシュ刺激及び/又は全画面の視覚刺激を発生させるための刺激発生器を含む、生体内でのアデノシンの放出を調節する装置を提供する。前記刺激発生器は、例えば、フラッシュ刺激(ストロボフラッシュ又は回折格子装置によって放出され得る)発生器、視覚刺激発生器及び/又は音声刺激発生器を含んでもよい。任意選択で、前記視覚刺激発生器は、20~80Hzの視覚刺激を放出し、例えば、30~60Hzの視覚刺激を放出してもよく、例えば、35~45Hzの視覚刺激を放出してもよく、例えば、20Hz、25Hz、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hz、65Hz、70Hz、75Hz及び80Hzのうちの1種又は2種以上を含む視覚刺激を放出してもよい。任意選択で、前記視覚刺激の周波数は40Hzである。任意選択で、前記視覚刺激の白色光の照度は2000lux以上であり、任意選択で、前記視覚刺激の単色光の波長は480~530nmであり、任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は20%~80%であり、好ましくは30%~70%、或いは40%~70%、或いは45~55%である。任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%の中から選択される1種又は2種以上であり、任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は50%である。
【0125】
視覚刺激を提供する発生器は、ランプ及び/又は表示画面を含み、任意選択で、前記ランプは、CCFLランプ、LEDランプ及び/又はOLEDランプを含み、任意選択で、前記表示画面は、CCFL表示画面、LED表示画面及び/又はOLED表示画面を含む。
【0126】
本発明により提供される装置によれば、刺激発生器は、白色光及び/又は単色光を発することができ、任意選択で、前記単色光は、紫外光、青色光、緑色光、赤色光及び近赤外線のうちの1種又は2種以上を含み、任意選択で、前記紫外光の中心波長は、315~400nm、或いは320~395nm、或いは325~390nm、或いは330~385nmであり、好ましくは380nmであり、前記青色光の中心波長は、450~490nm、或いは455~488nm、或いは460~485nmであり、好ましくは480nmであり、前記緑色光の中心波長は、500~560nm、或いは505~555nm、或いは510~550nm、或いは515~545nm、或いは520~540nm、或いは525~545nm、或いは530~535nmであり、好ましくは530nmであり、前記赤色光の中心波長は、600~680nm、或いは595~675nm、或いは590~670nm、或いは585~665nm、或いは580~650nmであり、好ましくは650nmであり、前記近赤外線の中心波長は、780~1100nm、或いは790~1090nm、或いは800~1080nm、或いは810~1070nm、或いは820~1060nm、或いは830~1050nm、或いは840~1040nm、或いは850~1030nm、好ましくは850nmであり、任意選択で、前記白色光の照度は2~6000luxであり、前記単色光の照度は2~500luxであり、任意選択で、ランプが発する白色光の輝度は500~3000luxであり、任意選択で、ランプが発する白色光の輝度は、500lux、1000lux、2000lux及び3000luxのうちの1種又は2種以上である。
【0127】
異なる色の光及び異なる波長の光は、異なる刺激効果をもたらし、装置によって発せられる光の色、波長、周波数などのパラメータを調整することによって、異なる疾患を治療するために使用することができる。
【0128】
本発明により提供される装置によれば、刺激発生器は回折格子画像刺激を発することができ、
任意選択で、前記回折格子画像のコントラストは10%~100%であり、
任意選択で、前記回折格子画像は、運動回折格子画像、点滅回折格子画像、点滅ラスター画像、及び反転回折格子画像のうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記運動回折格子画像のコントラストは10%~100%であり、
任意選択で、前記運動格子の向きは0~180°であり、
任意選択で、前記運動格子画像の空間周波数は0.05~30cycle/degであり、例えば、0.05~10cycle/degであり、
任意選択で、前記運動格子画像の移動速度は1~10Hzである。
【0129】
任意選択で、前記運動回折格子は、垂直運動回折格子を含んでもよいし、或いは水平運動回折格子を含んでもよい。前記垂直運動回折格子のパラメータは、0°向き、空間周波数0.2cpd、時間周波数1Hz、コントラスト50%であり、前記水平運動回折格子のパラメータは、90°向き、空間周波数0.2cpd、時間周波数1Hz、コントラスト50%である。任意選択で、前記点滅ラスター画像コントラストは10%~100%であり、任意選択で、前記点滅ラスター画像周波数は1~100Hzであり、任意選択で、前記点滅ラスター画像の格子サイズは0.5~10degである。
【0130】
図17図19に示すように、本発明は異なる回折格子を提供した。図17は、本発明により提供される運動回折格子刺激モードの模式図であり、可変パラメータは、100~500カンデラ/平方メートル(cd/m)、向き(0~180°)、空間周波数(0.2~30cycle/degree、すなわちcpd、単一回折格子の幅)、時間周波数(1~10Hz、回折格子の運動速度)、コントラスト(1~100%)、刺激範囲のサイズ(0~30°又は全画面刺激)、直交刺激(中心受容野5°、周辺受容野15°)を含む。
【0131】
図18は、本発明により提供される反転回折格子刺激モードの模式図であり、可変パラメータは:100~500カンデラ/平方メートル(cd/m)、向き(0~180°)、空間周波数(0.1~30cycle/degree、すなわちcpd、単一回折格子の幅)、点滅周波数(1~100Hz)、コントラスト(1~100%)、刺激範囲のサイズ(0~30°又は全画面刺激)を含む。
【0132】
図19は、本発明により提供される点滅ラスター刺激モードの模式図であり、表示画面は、チェッカーボードラスターモードで表れ、可変パラメータは、単一の黒/白格子の長さ及び幅(1°~5°)、コントラスト(1%~100%)、点滅周波数(1~100Hz)を含む。このうち、コントラストとは、画像の明暗領域における最も明るい白と最も暗い黒との間の異なる輝度レベルの測定であり、差の範囲が大きいほどコントラストが高く(例えば、コントラスト100%)、差の範囲が小さいほどコントラストが低い(例えば、コントラスト10%)ことを指す。コントラストが高いほど、私たちの目には認識しやすくなります。
【0133】
本発明は、携帯電話、タブレット、または携帯型ウェアラブル装置を含む、生体内でのアデノシンの放出を調節する装置を提供する。ここで、前記携帯型ウェアラブル装置は、例えば、眼鏡、アイマスク、フェイスマスク、帽子、ヘッドバンド、ヘルメット、ブレスレット、または時計であってよく、任意選択で、前記眼鏡はVR眼鏡を含む。任意選択で、前記携帯型ウェアラブル装置はフレームを含み、任意選択で、前記携帯型ウェアラブル装置は鏡脚又はヘッドバンドをさらに含み、任意選択で、前記フレームに囲まれたレンズの縁の位置にランプが設置され、任意選択で、前記ランプはCCFLランプ、LEDランプ及び/又はOLEDランプを含み、任意選択で、前記フレームに囲まれたレンズの中心の位置に表示画面が設置され、任意選択で、前記表示画面はCCFL表示画面、LED表示画面及び/又はOLED表示画面を含む。
【0134】
本発明により提供された装置は、生体内でのアデノシン放出を促進するために使用されることができ、例えば、生体内のアデノシン濃度を増加させるために使用され、特に、ニューロンの細胞外アデノシン濃度を増加させるために使用される。
【0135】
アデノシン及びその受容体は、神経系疾患及び心血管疾患における多くの疾患の治療に用いることができ、広く研究され、知られている。これらのうち、神経系疾患としては、パーキンソン病、うつ病、不安症、認知症、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害、多動症、子供の自閉症及び注意欠如などが含まれ、心血管系疾患としては、冠状動脈性心臓疾患及び不整脈などが含まれる。本発明に係る装置は、生体の脳内のアデノシン濃度を増加させることができるため、本発明に係る装置により、神経系疾患及び心血管疾患における多くの疾患の治療に同様に用いることができることが期待できる。
【0136】
本発明に係る装置は、神経系疾患、心血管疾患及び/又は眼科疾患の治療に使用することができ、任意選択で、前記神経系疾患には、パーキンソン病、うつ病、不安、認知症、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害、多動症、子供の自閉症及び/又は注意欠如が含まれ、任意選択で、前記心血管疾患には、冠状動脈性心臓疾患及び/又は不整脈が含まれ、任意選択で、前記眼科疾患には、近視、斜視及び弱視、老人性網膜症などが含まれる。本発明により提供される装置は、任意選択で、20~80Hzの視覚刺激により、任意選択で、30~60Hzの視覚刺激により、任意選択で35~45Hzの視覚刺激により、任意選択で、40Hzの視覚刺激により、睡眠障害を改善するために使用することができる。
【0137】
本発明は、以下のステップを含む、生体内でのアデノシン放出を調節する方法を提供する。
本発明により提供される装置を用いて被験者に1~100Hzの刺激を送達し、前記送達は非侵襲的であり、任意選択で、前記刺激は視覚刺激及び/又は音声刺激を含む。任意選択で、前記視覚刺激の周波数は1~100Hzであり、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は20~80Hzであり、例えば30~60Hz、例えば35~45Hzであり、前記視覚刺激の周波数は、20Hz、25Hz、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hz、65Hz、70Hz、75Hz及び80Hzの1種又は2種以上を含む。任意選択で、前記視覚刺激の周波数は40Hzである。任意選択で、前記視覚刺激の白色光の照度は2000lux以上であり、任意選択で、前記視覚刺激の単色光の波長は480~530nmであり、任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は10%以上であり、任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は20%~80%、好ましくは30%~70%、或いは40%~70%、或いは45%~55%であり、任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%及び80%の中から選択される1種又は2種以上であり、任意選択で、前記視覚刺激の前記デューティ比は50%である。
【0138】
任意選択で、前記視覚刺激はフラッシュ刺激及び/又は画像刺激を含み、任意選択で、前記フラッシュは白色光及び/又は単色光を含み、任意選択で、前記画像は回折格子画像を含む、本発明の生体内でのアデノシン放出を調節する方法。任意選択で、前記単色光は、紫外光、青色光、緑色光、赤色光及び近赤外線のうちの1種又は2種以上を含み、任意選択で、前記紫外光の中心波長は315~400nmであり、任意選択で、前記紫外光の中心波長は320~395nm、或いは325~390nm、或いは330~385nmであり、任意選択で、前記青色光の中心波長は450~490nmであり、任意選択で、前記青色光の中心波長は455~488nm、又は460~485nmであり、前記緑色光の中心波長は500~560nmであり、任意選択で、前記緑色光の中心波長は505nm~555nm、或いは510nm~550nm、或いは515nm~545nm、或いは520nm~540nm、或いは525nm~545nm、或いは530nm~535nmであり、前記赤色光の中心波長は600~680nmであり、任意選択で、前記赤色光の中心波長は595~675nm、或いは590~670nm、或いは585~665nm、或いは580~650nmであり、前記近赤外線の中心波長は780~1100nmであり、任意選択で、前記近赤外線の中心波長は790~1090nm、或いは800~1080nm、或いは810~1070nm、或いは820~1060nm、或いは830~1050nm、或いは840~1040nm、或いは850~1030nmである。任意選択で、前記紫外光の中心波長は380nmであり、前記青色光の中心波長は480nmであり、前記緑色光の中心波長は530nmであり、前記赤色光の中心波長は650nmであり、前記近赤外線の中心波長は850nmであり、任意選択で、前記白色光の照度は2~6000luxであり、前記単色光の照度は2~500luxである。任意選択で、前記ランプが発する光の白色光の照度は、500~3000luxであり、任意選択で、前記ランプが発する光の白色光の照度は、500lux、1000lux、2000lux及び3000luxのうちの1種又は2種以上を含む。任意選択で、前記回折格子画像のコントラストは10%~100%であり、任意選択で、前記回折格子画像は、運動回折格子画像、点滅回折格子画像、点滅ラスター画像及び反転回折格子画像のうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記回折運動格子のコントラストは10%~100%であり、任意選択で、前記運動回折格子の向きは0~180°であり、任意選択で、前記運動回折格子画像の空間周波数は0.05~30cycle/degreeであり、任意選択で、前記運動回折格子画像の移動速度は1~10Hzであり、
任意選択で、前記点滅ラスター画像コントラストは10%~100%であり、任意選択で、前記点滅ラスター画像周波数は1~100Hzであり、任意選択で、前記点滅ラスター画像格子サイズは0.5~10degreeであり、任意選択で、本発明の生体内でのアデノシン放出を調節する方法は、ニューロンの細胞外アデノシン濃度を増加させることができる。
【0139】
本発明は、生体内(例えば、大脳視覚野(V1)、前脳基底部(BF)、上丘(SC)などの脳領域、及び/又はニューロンなどの細胞内外)におけるアデノシン濃度の変化を分析することを含む、薬物又は医療機器の治療効果を評価する方法を提供する。前記薬物または医療機器は、神経系疾患の治療のため、心血管疾患の治療のため、及び/または睡眠障害の改善のために使用され、任意選択で、前記神経系疾患は、パーキンソン病、うつ病、不安、認知症、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害、多動症、子供の自閉症及び/又は注意欠如を含み、任意選択で、前記心血管疾患は、冠状動脈性心臓疾患及び/又は心臓不整脈を含む。
【0140】
以下、本発明のアデノシン調節装置及び睡眠障害改善方策を具体的な実施例により説明する。
【0141】
実施例
実施例1:40Hzのフラッシュ刺激によるV1アデノシン濃度の周波数依存的増加
【0142】
1)超高速液体クロマトグラフィー分析により、40Hzのフラッシュ光照射がV1アデノシン総濃度を有意に増加させることが示された。
超高速液体クロマトグラフィーにより、マウスの視覚野領域におけるアデノシン総濃度(細胞外アデノシン95%、細胞内アデノシン5%が含まれると文献により報告された)を調べた。アデノシン輸送体阻害剤であるジピリダモール(Dipyridamole,Dipyr)6mg/kgを0.5%メチルセルロースに溶解したものを光照射の30分前に腹腔内注射し、対照群には0.5%メチルセルロースを投与した。注射30分後、ブランク対照群とジピリダモール群に、照度3000lux、デューティ比50%、ストロボフラッシュ40Hzの光(以下、「40Hzのフラッシュ刺激」と記す)を30分間光照射した。照射後すぐにサンプルを採取し、重量を測定して液体窒素で急速凍結した。サンプルを処理し、標準物質のパラメータを参照し、約2.0に鋭いピークを検出し、この時点での曲線下面積をサンプルのアデノシン濃度とし、最終的にサンプルの品質を修正してアデノシン濃度を得た。
【0143】
結果は図1に示すように、フラッシュ刺激した後にアデノシン濃度が有意に上昇し(p=0.0245、n=7)、ジピリダモールが細胞内外の総アデノシン濃度を効果的に抑制することができ、且つジピリダモールによる細胞内外の総アデノシン濃度の抑制は、40Hzで30分間フラッシュ照射した後に効果的に逆転されたことが分かった(p=0.0431、n=7)。このことは、40Hzのフラッシュ光を30分間照射すると、V1領域のアデノシン濃度を有意に上昇させることができ、ジピリダモール投与群でもアデノシン濃度を有意に上昇させることができることを示した。
【0144】
2)周波数依存性
この実験では、高特異性と高時間分解能を有する新規の遺伝的にコードされたアデノシンプローブを用いて、異なる周波数における異なる脳領域でのアデノシン動態変化を研究した。この新規アデノシンプローブの動作原理は、細胞アデノシンGタンパク質カップリング受容体が活性化されると、緑色蛍光タンパク質の蛍光強度によって、細胞外アデノシン濃度の変化を測定することである。図2Aに示すように、アデノシンプローブ(AAV2/9-hsyn-GRABAdo1.0、武漢枢密脳科学技術有限公司,PT-1348)とアデノシンプローブ対照群変異体(AAV2/9hsyn-GRABAdo-mut、武漢枢密脳科学技術有限公司、PT-1348)ウイルス対照脳をマウスの一次視覚野(V1)の脳領域に定位注射した(前開3.6μm、傍開±2.4μm、深さ-0.6μm)。マウスをケージに戻して3週間飼育した後、20Hz、40Hz、80Hz(12.5ms点灯、12.5ms消灯、すなわちデューティ比50%、3,000lux、60ワット)のフラッシュ環境に30分間曝露し、フラッシュに曝露した前後のアデノシン濃度の変化を比較した。
【0145】
結果は図2に示すとおりである。図2Bに示すように、40HzのフラッシュはV1領域のγ振動を効果的に誘発した。図2Cに示すように、40Hzのフラッシュ刺激光照射後、アデノシン濃度の変化が有意に上昇した。図2Dは、異なる周波数(20Hz、40Hz、80Hz)のフラッシュ刺激下におけるV1領域の時間-アデノシン放出量対応曲線図(n=3~5/群)である。マウスは、80Hzのフラッシュ刺激下でアデノシンシグナルのわずかな増加を示したが、20Hzではアデノシン濃度に変化が見られなかった。その結果、40Hzのフラッシュが周波数依存的にV1領域の細胞からのアデノシンの放出を活性されたことが明らかであった。以上より、細胞外アデノシンの放出は特定の光周波数に関連している可能性があり、これは、睡眠障害や認知障害などを改善するための視覚刺激を探求する上で、重要な神経化学的根拠となるであろう。
【0146】
実施例2:フラッシュ刺激は一次視覚野(V1)の脳領域におけるアデノシンを特異的に変化させ、神経調節物質であるセロトニンとアセチルコリンを変化させないこと
【0147】
神経伝達物質と神経調節物質は、効果的な情報伝達と統合を行うための、ニューロン間の情報伝達における重要な媒介分子である。40Hzフラッシュ刺激が一次視覚野(V1)の脳領域におけるアデノシンを特異的に変化させるかどうかを検証するために、遺伝的にコードされた蛍光プローブと光ファイバー記録システムを組み合わせて、40Hzのフラッシュ刺激下におけるセロトニン(5-HT)とアセチルコリン(ACh)の動的変化をそれぞれ調べた。
【0148】
AAV9-hsyn-GRAB5-HT3.5とAAV9-hsyn-GRAB5HT2.1-mut、AAV9-hsyn-GRABACh3.0とAAV9-hSyn-GRABACh3.0-mutをそれぞれマウスの視覚野の左側と右側に注射し(図3A~B)、ウイルスを2週間発現させた後、40Hzのフラッシュ介入を行い、セロトニンとアセチルコリンの濃度変化をリアルタイムで記録した。実験結果を図3C~Dに示すように、40Hzのフラッシュで刺激した後、視覚野(V1)における5-HTとAchに有意な変化は見られなかった。
【0149】
実施例3:40Hzフラッシュの刺激は、V1、BF、mPFC、SCなどの脳領域のアデノシン放出レベルを効果的に増加させることができ、この現象には脳領域特異性があること
【0150】
本実験では、新規の遺伝的にコードされたアデノシンプローブを用いて、視覚野(V1)、前脳基底部(BF)、側座核(NAc)、中脳腹側被蓋野(VTA)、上丘(SC)、前頭前皮質(mPFC)、海馬(HPC)、背側内側被蓋線条体(DMS)などの脳領域におけるアデノシン放出レベルを検出した。図4に示すように、40Hzのフラッシュ刺激を30分間与えた後、アデノシンシグナルを記録したところ、V1、SC、BF、mPFC、HPCなどの脳領域におけるアデノシン放出レベルが有意に上昇していたのに対し、AAV2/9-hsyn-Mutウイルス(武漢枢密脳科学技術有限公司、PT-1348)を注射した対照群ではアデノシンシグナルの上昇は検出されなかった。アデノシンが上昇した脳領域では、V1領域やSC脳領域などの視覚情報符号化に関連する脳領域におけるアデノシンシグナルが最も強く、睡眠覚醒に関連するBF脳領域におけるアデノシンシグナルも有意に上昇し、mPFCやHPCなどの認知に関連する脳領域におけるアデノシンシグナルはわずかに上昇した。これらの結果は、この40Hzの非侵襲的フラッシュ刺激モードが、睡眠関連脳領域のアデノシンレベルを増強し、睡眠を調節するために使用されることが明らかであった。
【0151】
実施例4:異なる視覚刺激モードによるV1アデノシン放出レベルの増加
【0152】
1)40Hzのフラッシュ刺激
図5Aに示すように、異なる波長の40Hzのフラッシュ刺激条件下におけるV1領域のアデノシン放出レベルの差について、波長480nmの青色光と波長530nmの緑色光のみがV1領域のアデノシン濃度を有意に増加させることができ、他の波長(380nm、650nm、850nmなど)のフラッシュ刺激はV1領域のアデノシン濃度を増加させなかった。
【0153】
2)運動回折格子の影響
図5Cに示すように、水平運動回折格子刺激が使用され(図18の左側、矢印は運動方向を示す)、刺激パラメータは:マウスが実験中ずっと刺激を見ることができるように、回折格子は高コントラスト(80%)で全画面に表示された(画面の平均輝度は160cd/m2)。水平運動回折格子は、空間周波数が0.2cpdで、時間周波数が1~10Hz(すなわち、回折格子の運動速度)であった。同時に、中心部に5°程度で水平運動回折格子、外周部に15°で垂直運動回折格子(中心-外周垂直運動回折格子、図18)を組み合わせた刺激下で、マウスのV1領域におけるアデノシン濃度の変化を検出した。
【0154】
その結果、2種の運動回折格子はV1アデノシンを有意に増加させたが、その増加量は水平運動回折格子の方が中心-外周垂直運動回折格子よりも小さかった(図5C、ΔF/F値は水平運動回折格子で5%、中心-外周垂直運動回折格子で8%)。これは、広範囲の回折格子刺激が細胞外アデノシンの産生に重要な影響を及ぼすことが明らかであった。
【0155】
3)垂直反転回折格子の影響
図5Bに示すように、光強度を一定に保ちながら、40Hzの周波数の垂直反転回折格子刺激を使用した。刺激パラメータは、垂直正弦波反転回折格子の空間周波数が0.1cpdで、反転周波数が40Hzで回折格子(すなわち、黒色回折格子と白色回折格子が交互に点滅、図19)であり、且つ特定の時間周期において(画面の輝度非線形性を除去するためにγ補正された)、平均光強度は変化しなかった。回折格子は高コントラスト(80%)で全画面(平均画面輝度160cd/m)で表示され、マウスが実験中ずっと刺激を見ることができるようにした。
【0156】
その結果、垂直反転回折格子はV1アデノシンを有意に増加させることができたが、その程度は40Hzのフラッシュ刺激よりも低かった(図5B、ΔF/F値は反転ラスターでは5%であったのに対し、40Hzのフラッシュ刺激では15~20%であった)。これは、光強度が細胞外アデノシンの産生に重要な影響を及ぼすことが明らかであった。
【0157】
実施例5.異なるデューティ比の40Hzのフラッシュ刺激が視覚野の細胞外アデノシンに及ぼす影響
【0158】
白色フラッシュ刺激の照度(総エネルギー)が細胞外アデノシン濃度に及ぼす影響を考えると、異なるデューティ比(1%、10%、50%)によるストロボフラッシュ40Hz(同じ照度3000lux)が生じる総エネルギーが異なる。そこで、異なるデューティ比(1%、10%、50%)の条件下で、ストロボフラッシュ40Hz(同じ照度3000lux)刺激を30分間行い、V1領域のアデノシンレベルに及ぼす作用を検出した。
【0159】
その結果を図6に示した。V1アデノシンレベルの増加レベルのピークΔF/Fは、デューティ比1%及び10%の条件ではそれぞれ5及び10であり、デューティ比50%の刺激(ピークΔF/Fは25)に比べて低かったことから、デューティ比50%の白色フラッシュ刺激は、V1アデノシンレベルを有意に増加させることが示された。したがって、同じ照度(3000lux)において、周波数40Hzのフラッシュ刺激は、デューティ比(1%、10%、50%)依存的(特異的)に細胞外アデノシン濃度を増加させ、デューティ比50%での40HzストロボフラッシュがV1アデノシン濃度の増加において最も顕著であった。
【0160】
実施例6:光照度と光波長の異なる40Hzストロボフラッシュが視覚野の細胞外アデノシンに及ぼす影響
【0161】
(1)光照度の影響
異なる光照度(50Lux、500Lux、1000Lux、2000Luxと3000Lux)の40Hz白色フラッシュ刺激を用いて、異なる光照度が視覚野のアデノシン生成に与える影響を研究した。図7に示すように、光照度の低い40Hz点滅(500Lux)により誘導されたアデノシンレベルが低く、光照度の高い40Hz白色フラッシュ刺激(3000Lux)により増加したアデノシンレベルのΔF/Fのピークは20であり、光照度が2000Lux以上の40Hzフラッシュ刺激はすべて、V1領域のアデノシン濃度を有意に増加させることがわかった。以上のことから、異なる光照度と垂直ラスターからの白色光がV1領域のアデノシンを増加させるという発見は、光照射強度が脳の一次視覚野の細胞外アデノシン濃度を生成する重要な因子であることが明らかであった。
【0162】
(2)光の波長の影響
図8に示すように、光照度が500Luxである40Hzの単色フラッシュ刺激下では、波長480nmの青色光と波長530nmの緑色光がV1領域のアデノシン濃度を有意に増加させることができたが、他の波長(380nm、650nm、850nmなど)のフラッシュ刺激ではV1領域のアデノシン濃度を増加させなかった。注目すべきことに、この単一波長によるV1アデノシン濃度の増加の動力学は基本的に類似していた(10分から増減し、30分で最大濃度に達し、2~3時間持続した)。
【0163】
実施例7:40Hzフラッシュ刺激によるマウスの夜間運動活性の抑制
【0164】
前期の作業基礎では、40Hzのフラッシュ刺激がBF領域のアデノシン濃度を有意に上昇させることができ、BFは睡眠と覚醒の調節に重要な役割を果たしていることがわかったので、40Hzのフラッシュが睡眠リズムを調節できると推測した。まず、野生型C57BL/6Jマウスに、昼間の最後の30分間(19:30~20:00)に異なる周波数のフラッシュを照射し、夜間の運動活性をマウスの睡眠覚醒状態を間接的に反映するものとしてモニターした。図9に示すように、40Hzのフラッシュ刺激30分後、マウスの運動活性は最大8時間抑制されたが、20Hzと80Hzのフラッシュ刺激はいずれもマウスの運動活性に有意な影響を与えなかったことから、フラッシュ刺激は周波数特異的にマウスの夜間の運動活性を抑制することが明らかであった。40Hzのフラッシュ刺激によって産生されるアデノシン源をさらに明らかにするために、まずCD73-KOマウスを用いて40Hzの光照射実験を行った。その結果、40Hzのフラッシュ刺激は依然としてCD73-KOマウスの夜間運動活性を有意に低下させたことから、これは、細胞外ATP代謝経路がアデノシンの主な源ではないことが明らかであった。次に、ヌクレオチド輸送体阻害剤であるジピリダモール(Dipyridamole,Dipyr)15mg/kgをCD73-KOマウスに腹腔内注射したところ、40Hzフラッシュによる運動抑制効果は完全に消失したこと見出したから、これは細胞内アデノシンがヌクレオチド輸送体を介して細胞外に輸送されることがこの表現型における40Hzのラッシュ刺激によるアデノシンの放出の主要なメカニズムであることが示唆された。同様に、アデノシンA1受容体活性拮抗剤である1,3-ジプロピル-8-シクロペンチルキサンチン(8-cyclopentyl-1,3-dipropyl-1H-purine-2,6(3H,7H)-dione, DPCPX)6mg/kgをCD73-KOマウスに腹腔内注射したところ、DPCPXも40Hzフラッシュ刺激による運動抑制効果を阻害することができることが見出した。
【0165】
実施例8:30分間の40Hzフラッシュ刺激は、皮質の細胞外アデノシンシグナルを増強することにより、マウスの睡眠量を有意に増加させること
【0166】
(1)40Hzのフラッシュでの30分間刺激によりマウスの睡眠量を有意に増加させることができること
40Hzのフラッシュによるマウスの睡眠調節作用を検証するため、睡眠ポリグラフ記録システムを用い、マウスの脳波と筋電図を記録することにより、異なる睡眠覚醒時相の特徴から、睡眠覚醒状況を正確に判定及び統計した。この実験では、自己対照法を用い、1日目に、昼間の最後の30分間、マウスに通常の白色光を与え、その後、夜間の睡眠量を記録して分析した。2日目に、昼間の最後の30分間、マウスに40Hzのフラッシュ光を与え、その後、夜間睡眠量を記録して分析した。図10A-Eに示すように、2日間の夜間マウスの睡眠量を比較することにより、40Hzのフラッシュの後に夜間マウスのNREM量を有意に増加させることができ、NREM睡眠中の徐波活動に影響を与えないことを見出した。これらの結果から、40Hzのフラッシュは、生理的睡眠を促進できる非侵襲的な優れた睡眠促進手段であることが示唆された。
【0167】
(2)フラッシュ刺激はマウスの睡眠量を有意に増加させ、周波数特異性も有する
さらに、フラッシュの睡眠促進効果が周波数特異的であることを証明した。まず1日目に、日中通常の光照射を行ったマウスの暗期(19:00pm~7:00am)全体の基礎脳波EEG/筋電図EMGを記録し、次に、2日目、9日目、16日目の光照射階段の最後の30分間(7:00am~19:00pmの光照射階段における6:30pm~7:00pm)に、3つの異なる周波数(20Hz、40Hz、80Hz;3000lux;デューティ比50%)のフラッシュ刺激を30分間マウスに曝露し、その後の暗期にEEG/EMGを記録した。
【0168】
各処理後の暗期における睡眠量を比較擦ることにより、40Hzのフラッシュを30分間照射すると、マウスに強い睡眠促進作用が生じることが見出した。この有意な睡眠促進作用は、主に最初の2時間に生じた。重要なことは、20Hzと80Hzのフラッシュ治療では睡眠量が有意に増加しなかったから(図10F~G)、フラッシュの睡眠促進作用は周波数特異的であることが実証された。
【0169】
(3)アデノシンを視覚野に注射することによって、濃度依存的にマウスの総睡眠時間を増加させること
視覚野部位におけるアデノシン濃度の上昇がマウスの睡眠量を増加させることを解明するために、マウスのV1皮質に局所的にアデノシンを注射した。投与カニューレはC57BL/6Jマウスの両側のV1脳領域に埋設され、手術から約10日間回復した後、マウスを睡眠記録ケージに入れた。3日間慣らし後、1日目、4日目、7日目の暗期開始時に、それぞれ人工脳脊髄液(ACSF)、アデノシン1.5nmol/側又はアデノシン4.5nmol/側(投与順序はランダム、注射量は2μl/側)をV1視覚野に微量注射し、EEG/EMGを記録した。
【0170】
異なる処置後のマウスの睡眠量を比較したところ、図11に示すように、アデノシン4.5nmol/側投与群では暗期における非急速眼球運動睡眠が3時間に達し、対照群と比較して有意に高いことが見出された。一方、アデノシン1.5nmol/側投与群では対照群と比較して睡眠を促進する傾向が見られたが、有意差は認められなかった。これは、アデノシンを視覚野に局所投与した場合の睡眠促進作用は、投与量または濃度に依存することが明らかで、また、マウスの総睡眠量を増加させるには、視覚野の局所アデノシン濃度をある閾値まで上昇させる必要があることが実験から示された。
【0171】
以上の実験によりアデノシン産生と睡眠量に対する周波数特異的な影響から、40Hzのフラッシュ刺激が皮質の細胞外アデノシンシグナルを増強することによって睡眠を促進することが裏付けられた。
【0172】
実施例9:40Hzのフラッシュ刺激は健康な被験者に良好な耐性と安全性を有すること
【0173】
臨床試験における40Hzのフラッシュ刺激の使用を進めるため、まず15人の健康なボランティアを募集し、健康な被験者に対する40Hz携帯型フラッシュ装置の耐性と安全性を試験した。この試験では、前日の朝8時に朝食をとらずに血圧と心電図を測定し、また、血液サンプルを採取し、血液ルーチンと肝腎機能指標を化学検査した。翌朝7:30に、40Hz携帯型フラッシュ装置で30分間フラッシュを与え、血圧と心電図を測定し、また、血液サンプルを採取し、血液ルーチンと肝腎機能指標を化学検査し、副作用アンケートを記入した。図12に示すように、フラッシュを使用しない場合と比べると、40Hzのフラッシュ刺激では、目や鼻などの感覚系や脳の神経中枢に有意な有害反応は起こらなかったことから、40Hzのフラッシュ刺激並びに携帯型装置に対する耐性は良好であることが示された。血圧および血液検査では、関連指標に有意な異常変化は認められなかった。これらの結果から、40Hzのフラッシュと携帯型装置は、健康な被験者に良好な耐性と安全性を有することが示された。
【表1】

【表2】

【表3】
【0174】
実施例10:40Hzのフラッシュ刺激は、慢性不眠症患者における睡眠潜時、総睡眠時間、入眠後の覚醒時間などを含むいくつかの睡眠パラメータを改善すること
【0175】
研究の目的:本研究は、慢性不眠症患者を募集し、慢性不眠症患者に対する40Hzのフラッシュ刺激の治療効果を評価した。
【0176】
研究プロトコール:本研究では、2022年2月から2022年12月にかけて、温州医科大学第二附属病院から国際睡眠障害分類(ICSD3)の慢性不眠症の診断基準を満たす患者を募集し、睡眠ポリグラフモニタリング(PSG)により患者の睡眠を記録した。本研究は自己対照設計で、1日目の夜にベースライン睡眠を記録し、2日目に40Hzのフラッシュ刺激(3000lux、デューティ比50%)を30分間介入させ、その後再び睡眠を記録した。主要評価項目は、睡眠潜時の有意な短縮と睡眠効率の有意な上昇であった。副次的評価項目は、総睡眠時間の有意な延長、入眠後の覚醒時間及び覚醒回数の有意な減少であった。
【0177】
研究の結果:年齢9.4±3.1歳、BMI15.40(14.50~17.90)kg/m、女性14人(51.85%)の計27人の患者が本研究に組み入れられた。
【0178】
その結果、40Hzのフラッシュ刺激治療は、ベースライン期間と比べ、睡眠潜時(分)を有意に減少させた(18.5(10~29.5)vs32.50(15~49.5)、p=0.0233)(図13A)。一方、40Hzは総睡眠時間(分)(528(502~560)vs459(411.5~497)、p=0.0002)(図13B)及び睡眠開始後の覚醒時間(分)を有意に延長させた(35.5(28~51)vs57.5(40~128.5)、p=0.0012)(図13C)、そして睡眠効率(%)を有意に高めた(89.3(84.8~82.5)vs.79.6(73.2-87.5)、p=0.0003)(図13D)。急速眼球運動睡眠(REM)の睡眠潜時(分)を有意に減少させ(139.5(107~182.5)vs199(156.5~239.5),p=0.0004)(図13F)、REM睡眠の割合(%)を増加させた(20.2(17~21.3)vs 17.4(11~20.3),p=0.0038)(図13I)。覚醒回数に対して、浅い睡眠及び深い睡眠時期が睡眠総時間に占める割合は、顕著な影響はなかった(すべてp>0.05)(図13E,G,H)。
【0179】
研究の結論:この慢性不眠症患者の自己対照の臨床研究において、就寝30分前の40Hzのフラッシュ刺激は、睡眠潜時を有意に短縮させ、総睡眠時間を有意に延長させ、入眠後の覚醒の持続時間と回数を有意に減少させた。したがって、就寝30分前の40Hzのフラッシュ刺激は、慢性不眠症患者の入眠と睡眠維持を有意に改善させることができる。
【0180】
実施例11:40Hzのフラッシュ刺激により誘発された細胞外アデノシン産生の主な細胞源の研究
【0181】
正常状態では、細胞外アデノシン産生はアストロサイトまたはニューロンに由来する可能性がある。まず、アストロサイトの細胞膜Ca2+ポンプPMCA2をウイルスでノックダウンし、40Hzのフラッシュ刺激によって促進されたアデノシン放出の主要な細胞源がアストロサイトであるかどうかを明らかにした。hPMCA2w/bは細胞膜Ca2+ポンプPMCAのサブタイプで、構成的に細胞質Ca2+を押し出すように機能し、アストロサイトへのCa2+シグナルを減少させ、その活性を低下させることができる(例えば図14A)。我々は、AAV2/9-GfaABC1D-mCherry-hPMCA2w/bとAAV2/9-ShortGFAP-Gcamp6の1:1混合物をマウスのV1領域に注射し、ウイルスを2週間発現させた。その後、足底電撃(shock)による実験方法を用いて(図14B)、ウイルスが媒介するアストロサイト細胞膜Ca2+ポンプPMCA2のノックダウンの実行可能性を検証した。実験の結果、足底電撃後、対照側(AAV2/9-GfaABC1D-mCherry)に比べ、アストロサイトの反応性が40%有意に減少したことが見出され、このウイルスが確かにアストロサイトの活性を低下させうることが示された(図14C)。
【0182】
40Hzのフラッシュにおいてアストロサイトがアデノシンの放出を促進するかどうかを調べるため、AAV2/9-GfaABC1D-mCherry-hPMCA2w/bウイルスを注射したマウスをV1領域に、AAV2/9-GfaABC1D-mCherry-hPMCA2w/bとAAV2/9-hsyn-GRABAdo1.0(1:1混合、図15A)とを同時に注射し、ウイルスを2週間発現させた後、40Hzのフラッシュ刺激を行い、アデノシン濃度の変化をリアルタイムで記録した。実験の結果、40Hzのフラッシュ刺激後、マウスのV1領域におけるアストロサイト活性が低下したアデノシン濃度の増加および変化特徴は、実験群(細胞膜Ca2+ポンピングPMCA2ノックアウトマウス)と対照群(細胞膜Ca2+ポンピングPMCA2ノーマルマウス)でほぼ同じであった(図15B~C)ことから、40Hzのフラッシュ刺激により増加した細胞外アデノシンは、主にアストロサイトに由来するものではないことが示された。
【0183】
ニューロンが40Hzフラッシュ刺激によって誘導される細胞外アデノシンレベルの主な細胞源であることを解明する、V1領域のニューロンをカスパーゼ-3で特異的に損傷させ、40Hzのフラッシュ刺激時のアデノシン濃度の変化を測定した。AAV2/9-hsyn-GRABAdo1.0とrAAV-hSyn-taCasp3-T2A-TEVpを1:1で混合し、マウスのV1領域に注射し、ウイルスを2週間発現させた後、蛍光染色によりV1領域におけるニューロン数の有意な減少が観察された。その後、40Hzのフラッシュ刺激を行い、アデノシン濃度の変化をリアルタイムで記録した。その結果、対照群マウス(V1領域の神経細胞が正常)では40Hzのフラッシュ刺激において細胞外アデノシンの有意な増加が認められたが、V1領域のニューロンを欠損させたマウスでは40Hzのフラッシュ刺激介入において細胞外アデノシンの増加は認められなかった(図16A-B)。このことから、V1領域のニューロンは、40Hzのフラッシュ刺激下で細胞外アデノシンの濃度を増加させる上で重要な調節的役割を果たすことが証明された。
【0184】
実施例12.アデノシン放出調節メガネ
【0185】
図17に示すように、主な装置部材には、マイクロLED表示画面、ハウジング、フレキシブル回路基板、インナーカバー、左右の側頭部クリップが含まれる。装置は、全体的にメガネ形状で、主に次の2つの機能を実現する。(A)異なる波長のLEDランプ一組をメガネのハウジング、とインナーカバーの間に固定的に挟み込み、フレキシブル回路基板を使用して表示画面の周囲をフレームの縁に沿って分布し、異なる波長、周波数、光強度、時間などの様々なフラッシュ刺激の組み合わせを自由に調整できる。(B)メガネのレンズ位置を覆うようにマイクロLED表示画面を配置し、視覚刺激-アデノシン濃度-睡眠変化スクリーニングに基づく最適な視覚刺激画像を表示するために用いる。この2つのモードは、市販されているフラッシュの強度と頻度が固定された視覚刺激装置よりも優れており、単純なフラッシュ刺激によって引き起こされる不快感を大幅に軽減し、視覚刺激画像による睡眠障害の治療における新たな方向性を初めて開拓した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2024-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1~100Hzの音声を発生させるため、及び/又は、1~100Hzのフラッシュ及び/又は全画面の視覚刺激を発生させるための刺激発生器を含む、生体内でのアデノシンの放出を調節する装置。
【請求項2】
前記刺激発生器は、視覚刺激発生器及び/又は音声刺激発生器を含み、
任意選択で、前記視覚発生器は20~80Hzの視覚刺激を発し、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、20Hz、25Hz、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hz、65Hz、70Hz、75Hz、80Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は30~60Hzを含み、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は35~45Hzを含み、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、35Hz、40Hz及び45Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は40Hzであり、
任意選択で、前記視覚刺激の白色光の照度は2000lux以上であり、
任意選択で、前記視覚刺激の前記単色光の波長は480~530nmであり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は20%~80%であり、好ましくは30%~70%、或いは40%~70%、或いは45~55%であり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%及び80%の中から選択される1種又は2種以上であり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は50%である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記視覚刺激発生器は、ランプ及び/又は表示画面を含み、
任意選択で、前記ランプは、CCFLランプ、LEDランプ及び/又はOLEDランプを含み、
任意選択で、前記表示画面は、CCFL表示画面、LED表示画面及び/又はOLED表示画面を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ランプは白色光及び/又は単色光を発し、
任意選択で、前記単色光は、紫外光、青色光、緑色光、赤色光及び近赤外線のうちの1種又は2種以上を含み、好ましくは、青色光及び/又は緑色光であり、
任意選択で、前記紫外光の中心波長は315~400nm、或いは320~395nm、或いは325~390nm、或いは330~385nmであり、好ましくは380nmであり、
任意選択で、前記青色光の中心波長は450~490nm、或いは455~488nm、或いは460~485nmであり、好ましくは480nmであり、
任意選択で、前記緑色光の中心波長は500~560nm、或いは505nm~555nm、或いは510nm~550nm、或いは515nm~545nm、或いは520nm~540nm、或いは525nm~545nm、或いは530nm~535nmであり、好ましくは530nmであり、
任意選択で、前記赤色光の中心波長は600~680nm、或いは595~675nm、或いは590~670nm、或いは585~665nm、或いは580~650nmであり、好ましくは650nmであり、
任意選択で、前記近赤外線の中心波長は780~1100nm、或いは790~1090nm、或いは800~1080nm、或いは810~1070nm、或いは820~1060nm、或いは830~1050nm、或いは840~1040nm、或いは850~1030nmであり、好ましくは850nmであり、
任意選択で、前記白色光の照度は2~6000luxであり、前記単色光の照度は2~500luxであり、
任意選択で、前記ランプが発する白色光の照度は500~3000luxであり、
任意選択で、前記ランプが発する白色光の照度は、500lux、1000lux、2000lux、及び3000luxのうちの1種又は2種以上を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記表示画面は回折格子画像を表示し、任意選択で、前記回折格子画像のコントラストは10%~100%であり、
任意選択で、前記格子画像は、運動回折格子画像、点滅回折格子画像、点滅ラスター画像及び反転回折格子画像のうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記運動回折格子のコントラストは10%~100%であり、任意選択で、前記運動回折格子の向きは0~180°であり、任意選択で、前記運動回折格子画像の空間周波数は0.05~30cycle/degであり、例えば0.05~10cycle/degであり、任意選択で、前記運動回折格子画像の運動速度は1~10Hzであり、
任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは10~100%であり、任意選択で、前記反転回折格子の反転周波数は20~60Hz又は30~50Hzであり、好ましくは40Hzであり、任意選択で、前記反転回折格子の空間周波数は0.1~30cpd又は0.1cpdであり、任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは、10%~100%、70~90%であり、好ましくは80%であり、任意選択で、前記反転回折格子の平均輝度は100~500cd/m、或いは140~180cd/m、或いは150~170cd/m、或いは160cd/mであり、
任意選択で、前記点滅ラスター画像のコントラストは10~100%であり、任意選択で、 前記点滅ラスター画像の周波数は1~100Hzであり、任意選択で、前記点滅ラスター画像のラスターサイズは0.5~10degである、請求項3記載の装置。
【請求項6】
携帯電話、タブレット、又は携帯型ウェアラブル装置を含む、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記携帯型ウェアラブル装置は、眼鏡、アイマスク、フェイスマスク、帽子、ヘッドバンド、ヘルメット、ブレスレット又は時計から選択され、任意選択で、前記眼鏡はVR眼鏡を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記携帯型ウェアラブル装置はフレームを含み、任意選択で、前記携帯型ウェアラブル装置は鏡脚又はヘッドバンドを更に含み、
任意選択で、前記フレームに囲まれたレンズの縁の位置にランプが設置され、任意選択で、前記ランプは、CCFLランプ、LEDランプ及び/又はOLEDランプを含み、
任意選択で、前記フレームに囲まれたレンズの中心に表示画面が設置され、任意選択で、前記表示画面は、CCFL表示画面、LED表示画面及び/又はOLED表示画面を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ランプは、単色光ランプと白色光ランプを含み、
任意選択で、前記単色光ランプの照度は2~500luxであり、任意選択で、前記白色光ランプの照度は2~6000luxであり、
任意選択で、前記ランプは、青色光ランプ、緑色光ランプ、赤色光ランプ及び白色光ランプを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記表示画面は回折格子画像を表示し、前記回折格子画像は、垂直運動回折格子、水平運動回折格子及び/又は点滅ラスターを含み、
任意選択で、前記垂直運動回折格子のパラメータは0°向き、任意選択で、前記垂直運動回折格子の空間周波数は0.2cpdであり、任意選択で、前記垂直運動回折格子の時間周波数は1Hzであり、任意選択で、前記垂直運動回折格子のコントラストは50%であり、
任意選択で、前記水平運動回折格子のパラメータは90°向き、任意選択で、前記水平運動回折格子の空間周波数は0.2cpdであり、任意選択で、前記水平運動回折格子の時間周波数は1Hzであり、任意選択で、前記水平運動回折格子のコントラストは50%である、 請求項8記載の装置。
【請求項11】
生体内でのアデノシンの放出を促進するために使用されることを含み、
任意選択で、前記使用は、生物体内のアデノシンの濃度を高めるために使用されることを含み、
任意選択で、前記使用は、ニューロン細胞外アデノシンの濃度を高めるために使用されることを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置の非医療的使用。
【請求項12】
生体内でのアデノシンの放出を促進するために使用するための、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置であって、
任意選択で、前記使用は、生物体内のアデノシンの濃度を高めるために使用されることを含み、
任意選択で、前記使用は、ニューロン細胞外アデノシンの濃度を高めるために使用されることを含む、装置。
【請求項13】
神経系疾患、心血管疾患及び/又は眼科疾患を治療するために使用するための、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置であって
任意選択で、前記神経系疾患は、パーキンソン病、うつ病、不安、認知症、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害、多動症、子供の自閉症及び/又は注意欠如を含み、
任意選択で、前記心血管疾患は、冠状動脈性心臓疾患及び/又は不整脈を含み、
任意選択で、前記眼科疾患は、近視、斜視及び弱視、並びに老人性網膜症を含む、装置
【請求項14】
神経系疾患、心血管疾患及び/又は眼科疾患を治療するために使用するための、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置であって
睡眠障害を改善するために使用されることを含み、任意選択で、20~80Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善し、任意選択で、30~60Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善し、任意選択で、35~45Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善し、任意選択で、40Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善する、装置
【請求項15】
請求項1~10のいずれか1項に記載の装置を用いて被験者に1~100Hzの刺激を送達し、前記送達は非侵襲的であり、任意選択で、前記刺激は視覚刺激及び/又は音声刺激を含むステップ、を包含する生体内でのアデノシンの放出を調節する非医療的方法。
【請求項16】
前記視覚刺激の周波数は1~100Hzであり、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は20~80Hzであり、前記視覚刺激の周波数は、20Hz、25Hz、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hz、65Hz、70Hz、75Hz及び80Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は30~60Hzであり、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz及び60Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は40Hzであり、
任意選択で、前記視覚刺激の白色光の照度は2000lux以上であり、
任意選択で、前記視覚刺激の単色光の波長は480~530nmであり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は20%~80%であり、好ましくは30%~70%、或いは40%~70%、或いは45~55%であり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%及び80%の中から選択される1種又は2種以上であり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は50%である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記視覚刺激がフラッシュ刺激及び/又は画像刺激を含み、
任意選択で、前記フラッシュは白色光及び/又は単色光を含み、
任意選択で、前記画像は回折格子画像を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記単色光は、紫外光、青色光、緑色光、赤色光、及び近赤外線のうちの1種又は2種以上を含み、好ましくは、青色光及び/又は緑色光であり、
任意選択で、前記紫外光の中心波長は315~400nmであり、前記青色光の中心波長は450~490nmであり、前記緑色光の中心波長は500nm~560nmであり、前記赤色光の中心波長は600~680nmであり、前記近赤外線の中心波長は780~1100nmであり、
任意選択で、前記紫外光の中心波長は、320~395nm、或いは325~390nm、或いは330~385nmであり、
任意選択で、前記青色光の中心波長は、455~488nm、又は460~485nmであり、
任意選択で、前記緑色光の中心波長は、505nm~555nm、或いは510nm~550nm、或いは515nm~545nm、或いは520nm~540nm、或いは525nm~545nm、或いは530nm~535nmであり、
任意選択で、前記赤色光の中心波長は、595~675nm、或いは590~670nm、或いは585~665nm、或いは580~650nmであり、
任意選択で、前記近赤外線の中心波長は、790~1090nm、或いは800~1080nm、或いは810~1070nm、或いは820~1060nm、或いは830~1050nm、或いは840~1040nm、或いは850~1030nmであり、任意選択で、前記紫外光の中心波長は380nmであり、前記青色光の中心波長は480nmであり、前記緑色光の中心波長は530nmであり、前記赤色光の中心波長は650nmであり、前記近赤外線の中心波長は850nmであり、
任意選択で、前記白色光の照度は2~6000luxであり、前記単色光の照度は2~500luxであり、
任意選択で、前記ランプが発する光の白色光の照度は500~3000luxであり、任意選択で、前記ランプが発する光の白色光の照度は、500lux、1000lux、2000lux及び3000luxのうちの1種又は2種以上を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ラスター画像のコントラストが10%~100%であり、
任意選択で、前記ラスター画像は、運動回折格子画像、点滅回折格子画像、点滅ラスター画像及び反転回折格子画像のうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、運動回折格子のコントラストは10%~100%であり、任意選択で、前記運動回折格子の向きは0~180°であり、任意選択で、前記運動回折格子画像の空間周波数は0.05~30cycle/degreeであり、任意選択で、前記運動回折格子画像の運動速度は1~10Hzであり、
任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは10%~100%であり、任意選択で、前記反転回折格子の周波数は20~60Hz又は30~50Hzであり、好ましくは40Hzであり、任意選択で、前記反転回折格子の空間周波数は0.1~30cpd又は0.1cpdであり、任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは、10%~100%、70~90%であり、好ましくは80%であり、任意選択で、前記反転回折格子の平均輝度は、100~500cd/m、或いは140~180cd/m、或いは150~170cd/m、或いは160cd/mであり、
任意選択で、前記点滅ラスター画像のコントラストは、10%~100%であり、任意選択で、前記点滅ラスター画像の周波数は1~100Hzであり、任意選択で、前記点滅ラスター画像のラスターサイズは0.5~10degreeである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
生体内におけるアデノシン濃度の変化を分析することを含む薬物又は医療機器の治療効果の評価方法。
【請求項21】
前記薬物又は医療機器が神経系疾患の治療、心血管疾患の治療及び/又は睡眠障害の改善のために使用され、
任意選択で、前記神経系疾患は、パーキンソン病、うつ病、不安、認知症、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害、多動症、子供の自閉症及び/又は注意欠如を含み、
任意選択で、前記心血管疾患は、冠状動脈性心臓疾患及び/又は不整脈を含む、請求項20に記載の評価方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0185
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0185】
図17に示すように、主な装置部材には、マイクロLED表示画面、ハウジング、フレキシブル回路基板、インナーカバー、左右の側頭部クリップが含まれる。装置は、全体的にメガネ形状で、主に次の2つの機能を実現する。(A)異なる波長のLEDランプ一組をメガネのハウジング、とインナーカバーの間に固定的に挟み込み、フレキシブル回路基板を使用して表示画面の周囲をフレームの縁に沿って分布し、異なる波長、周波数、光強度、時間などの様々なフラッシュ刺激の組み合わせを自由に調整できる。(B)メガネのレンズ位置を覆うようにマイクロLED表示画面を配置し、視覚刺激-アデノシン濃度-睡眠変化スクリーニングに基づく最適な視覚刺激画像を表示するために用いる。この2つのモードは、市販されているフラッシュの強度と頻度が固定された視覚刺激装置よりも優れており、単純なフラッシュ刺激によって引き起こされる不快感を大幅に軽減し、視覚刺激画像による睡眠障害の治療における新たな方向性を初めて開拓した。
<付記>
本発明は以下の態様を含む。
<項1>
1~100Hzの音声を発生させるため、及び/又は、1~100Hzのフラッシュ及び/又は全画面の視覚刺激を発生させるための刺激発生器を含む、生体内でのアデノシンの放出を調節する装置。
<項2>
前記刺激発生器は、視覚刺激発生器及び/又は音声刺激発生器を含み、
任意選択で、前記視覚発生器は20~80Hzの視覚刺激を発し、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、20Hz、25Hz、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hz、65Hz、70Hz、75Hz、80Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は30~60Hzを含み、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は35~45Hzを含み、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、35Hz、40Hz及び45Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は40Hzであり、
任意選択で、前記視覚刺激の白色光の照度は2000lux以上であり、
任意選択で、前記視覚刺激の前記単色光の波長は480~530nmであり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は20%~80%であり、好ましくは30%~70%、或いは40%~70%、或いは45~55%であり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%及び80%の中から選択される1種又は2種以上であり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は50%である、<項1>に記載の装置。
<項3>
前記視覚刺激発生器は、ランプ及び/又は表示画面を含み、
任意選択で、前記ランプは、CCFLランプ、LEDランプ及び/又はOLEDランプを含み、
任意選択で、前記表示画面は、CCFL表示画面、LED表示画面及び/又はOLED表示画面を含む、<項2>に記載の装置。
<項4>
前記ランプは白色光及び/又は単色光を発し、
任意選択で、前記単色光は、紫外光、青色光、緑色光、赤色光及び近赤外線のうちの1種又は2種以上を含み、好ましくは、青色光及び/又は緑色光であり、
任意選択で、前記紫外光の中心波長は315~400nm、或いは320~395nm、或いは325~390nm、或いは330~385nmであり、好ましくは380nmであり、
任意選択で、前記青色光の中心波長は450~490nm、或いは455~488nm、或いは460~485nmであり、好ましくは480nmであり、
任意選択で、前記緑色光の中心波長は500~560nm、或いは505nm~555nm、或いは510nm~550nm、或いは515nm~545nm、或いは520nm~540nm、或いは525nm~545nm、或いは530nm~535nmであり、好ましくは530nmであり、
任意選択で、前記赤色光の中心波長は600~680nm、或いは595~675nm、或いは590~670nm、或いは585~665nm、或いは580~650nmであり、 好ましくは650nmであり、
任意選択で、前記近赤外線の中心波長は780~1100nm、或いは790~1090nm、或いは800~1080nm、或いは810~1070nm、或いは820~1060nm、或いは830~1050nm、或いは840~1040nm、或いは850~1030nmであり、好ましくは850nmであり、
任意選択で、前記白色光の照度は2~6000luxであり、前記単色光の照度は2~500luxであり、
任意選択で、前記ランプが発する白色光の照度は500~3000luxであり、
任意選択で、前記ランプが発する白色光の照度は、500lux、1000lux、2000lux、及び3000luxのうちの1種又は2種以上を含む、<項3>に記載の装置。
<項5>
前記表示画面は回折格子画像を表示し、任意選択で、前記回折格子画像のコントラストは10%~100%であり、
任意選択で、前記格子画像は、運動回折格子画像、点滅回折格子画像、点滅ラスター画像及び反転回折格子画像のうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記運動回折格子のコントラストは10%~100%であり、任意選択で、前記運動回折格子の向きは0~180°であり、任意選択で、前記運動回折格子画像の空間周波数は0.05~30cycle/degであり、例えば0.05~10cycle/degであり、任意選択で、前記運動回折格子画像の運動速度は1~10Hzであり、
任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは10~100%であり、任意選択で、前記反転回折格子の反転周波数は20~60Hz又は30~50Hzであり、好ましくは40Hzであり、任意選択で、前記反転回折格子の空間周波数は0.1~30cpd又は0.1cpdであり、任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは、10%~100%、70~90%であり、好ましくは80%であり、任意選択で、前記反転回折格子の平均輝度は100~500cd/m 、或いは140~180cd/m 、或いは150~170cd/m 、或いは160cd/m であり、
任意選択で、前記点滅ラスター画像のコントラストは10~100%であり、任意選択で、 前記点滅ラスター画像の周波数は1~100Hzであり、任意選択で、前記点滅ラスター画像のラスターサイズは0.5~10degである、<項3>又は<項4>に記載の装置。
<項6>
携帯電話、タブレット、又は携帯型ウェアラブル装置を含む、<項1>~<項5>のいずれか1項に記載の装置。
<項7>
前記携帯型ウェアラブル装置は、眼鏡、アイマスク、フェイスマスク、帽子、ヘッドバンド、ヘルメット、ブレスレット又は時計から選択され、任意選択で、前記眼鏡はVR眼鏡を含む、<項6>に記載の装置。
<項8>
前記携帯型ウェアラブル装置はフレームを含み、任意選択で、前記携帯型ウェアラブル装置は鏡脚又はヘッドバンドを更に含み、
任意選択で、前記フレームに囲まれたレンズの縁の位置にランプが設置され、任意選択で、前記ランプは、CCFLランプ、LEDランプ及び/又はOLEDランプを含み、
任意選択で、前記フレームに囲まれたレンズの中心に表示画面が設置され、任意選択で、前記表示画面は、CCFL表示画面、LED表示画面及び/又はOLED表示画面を含む、<項7>に記載の装置。
<項9>
前記ランプは、単色光ランプと白色光ランプを含み、
任意選択で、前記単色光ランプの照度は2~500luxであり、任意選択で、前記白色光ランプの照度は2~6000luxであり、
任意選択で、前記ランプは、青色光ランプ、緑色光ランプ、赤色光ランプ及び白色光ランプを含む、<項8>に記載の装置。
<項10>
前記表示画面は回折格子画像を表示し、前記回折格子画像は、垂直運動回折格子、水平運動回折格子及び/又は点滅ラスターを含み、
任意選択で、前記垂直運動回折格子のパラメータは0°向き、任意選択で、前記垂直運動回折格子の空間周波数は0.2cpdであり、任意選択で、前記垂直運動回折格子の時間周波数は1Hzであり、任意選択で、前記垂直運動回折格子のコントラストは50%であり、
任意選択で、前記水平運動回折格子のパラメータは90°向き、任意選択で、前記水平運動回折格子の空間周波数は0.2cpdであり、任意選択で、前記水平運動回折格子の時間周波数は1Hzであり、任意選択で、前記水平運動回折格子のコントラストは50%である、<項8>又は<項9>に記載の装置。
<項11>
生体内でのアデノシンの放出を促進するために使用されることを含み、
任意選択で、前記使用は、生物体内のアデノシンの濃度を高めるために使用されることを含み、
任意選択で、前記使用は、ニューロン細胞外アデノシンの濃度を高めるために使用されることを含む、<項1>~<項10>のいずれか1項に記載の装置の使用。
<項12>
神経系疾患、心血管疾患及び/又は眼科疾患を治療するために使用されることを含み、
任意選択で、前記神経系疾患は、パーキンソン病、うつ病、不安、認知症、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害、多動症、子供の自閉症及び/又は注意欠如を含み、
任意選択で、前記心血管疾患は、冠状動脈性心臓疾患及び/又は不整脈を含み、
任意選択で、前記眼科疾患は、近視、斜視及び弱視、並びに老人性網膜症を含む、<項11>に記載の使用。
<項13>
睡眠障害を改善するために使用されることを含み、任意選択で、20~80Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善し、任意選択で、30~60Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善し、任意選択で、35~45Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善し、任意選択で、40Hzの視覚刺激によって睡眠障害を改善する、<項11>に記載の使用。
<項14>
<項1>~<項10>のいずれか1項に記載の装置を用いて被験者に1~100Hzの刺激を送達し、前記送達は非侵襲的であり、任意選択で、前記刺激は視覚刺激及び/又は音声刺激を含むステップ、を包含する生体内でのアデノシンの放出を調節する方法。
<項15>
前記視覚刺激の周波数は1~100Hzであり、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は20~80Hzであり、前記視覚刺激の周波数は、20Hz、25Hz、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz、60Hz、65Hz、70Hz、75Hz及び80Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は30~60Hzであり、任意選択で、前記視覚刺激の周波数は、30Hz、35Hz、40Hz、45Hz、50Hz、55Hz及び60Hzのうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、前記視覚刺激の周波数は40Hzであり、
任意選択で、前記視覚刺激の白色光の照度は2000lux以上であり、
任意選択で、前記視覚刺激の単色光の波長は480~530nmであり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は20%~80%であり、好ましくは30%~70%、或いは40%~70%、或いは45~55%であり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%及び80%の中から選択される1種又は2種以上であり、
任意選択で、前記視覚刺激のデューティ比は50%である、<項14>に記載の方法。
<項16>
前記視覚刺激がフラッシュ刺激及び/又は画像刺激を含み、
任意選択で、前記フラッシュは白色光及び/又は単色光を含み、
任意選択で、前記画像は回折格子画像を含む、<項15>に記載の方法。
<項17>
前記単色光は、紫外光、青色光、緑色光、赤色光、及び近赤外線のうちの1種又は2種以上を含み、好ましくは、青色光及び/又は緑色光であり、
任意選択で、前記紫外光の中心波長は315~400nmであり、前記青色光の中心波長は450~490nmであり、前記緑色光の中心波長は500nm~560nmであり、前記赤色光の中心波長は600~680nmであり、前記近赤外線の中心波長は780~1100nmであり、
任意選択で、前記紫外光の中心波長は、320~395nm、或いは325~390nm、或いは330~385nmであり、
任意選択で、前記青色光の中心波長は、455~488nm、又は460~485nmであり、
任意選択で、前記緑色光の中心波長は、505nm~555nm、或いは510nm~550nm、或いは515nm~545nm、或いは520nm~540nm、或いは525nm~545nm、或いは530nm~535nmであり、
任意選択で、前記赤色光の中心波長は、595~675nm、或いは590~670nm、或いは585~665nm、或いは580~650nmであり、
任意選択で、前記近赤外線の中心波長は、790~1090nm、或いは800~1080nm、或いは810~1070nm、或いは820~1060nm、或いは830~1050nm、或いは840~1040nm、或いは850~1030nmであり、任意選択で、前記紫外光の中心波長は380nmであり、前記青色光の中心波長は480nmであり、前記緑色光の中心波長は530nmであり、前記赤色光の中心波長は650nmであり、前記近赤外線の中心波長は850nmであり、
任意選択で、前記白色光の照度は2~6000luxであり、前記単色光の照度は2~500luxであり、
任意選択で、前記ランプが発する光の白色光の照度は500~3000luxであり、任意選択で、前記ランプが発する光の白色光の照度は、500lux、1000lux、2000lux及び3000luxのうちの1種又は2種以上を含む、<項16>に記載の方法。
<項18>
前記ラスター画像のコントラストが10%~100%であり、
任意選択で、前記ラスター画像は、運動回折格子画像、点滅回折格子画像、点滅ラスター画像及び反転回折格子画像のうちの1種又は2種以上を含み、
任意選択で、運動回折格子のコントラストは10%~100%であり、任意選択で、前記運動回折格子の向きは0~180°であり、任意選択で、前記運動回折格子画像の空間周波数は0.05~30cycle/degreeであり、任意選択で、前記運動回折格子画像の運動速度は1~10Hzであり、
任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは10%~100%であり、任意選択で、前記反転回折格子の周波数は20~60Hz又は30~50Hzであり、好ましくは40Hzであり、任意選択で、前記反転回折格子の空間周波数は0.1~30cpd又は0.1cpdであり、任意選択で、前記反転回折格子のコントラストは、10%~100%、70~90%であり、好ましくは80%であり、任意選択で、前記反転回折格子の平均輝度は、100~500cd/m 、或いは140~180cd/m 、或いは150~170cd/m 、或いは160cd/m であり、
任意選択で、前記点滅ラスター画像のコントラストは、10%~100%であり、任意選択で、前記点滅ラスター画像の周波数は1~100Hzであり、任意選択で、前記点滅ラスター画像のラスターサイズは0.5~10degreeである、<項16>又は<項17>に記載の方法。
<項19>
生体内におけるアデノシン濃度の変化を分析することを含む薬物又は医療機器の治療効果の評価方法。
<項20>
前記薬物又は医療機器が神経系疾患の治療、心血管疾患の治療及び/又は睡眠障害の改善のために使用され、
任意選択で、前記神経系疾患は、パーキンソン病、うつ病、不安、認知症、アルツハイマー病、心的外傷後ストレス障害、多動症、子供の自閉症及び/又は注意欠如を含み、
任意選択で、前記心血管疾患は、冠状動脈性心臓疾患及び/又は不整脈を含む、<項19>に記載の評価方法。
【国際調査報告】