(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】小型ロボットアーム関節及びそのロボット
(51)【国際特許分類】
H02K 5/15 20060101AFI20250123BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20250123BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20250123BHJP
B25J 17/00 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
H02K5/15
H02K11/215
H02K7/116
B25J17/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507858
(86)(22)【出願日】2023-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 CN2023098093
(87)【国際公開番号】W WO2024139056
(87)【国際公開日】2024-07-04
(31)【優先権主張番号】202211677443.5
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523313931
【氏名又は名称】睿爾曼智能科技(北京)有限公司
【氏名又は名称原語表記】RealMan Intelligent Technology (Beijing) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room A2-3-1, building 24, the 14th block, Special Steel Company, Shougang Company, Gucheng Street, Shijingshan District, Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】張 旭龍
(72)【発明者】
【氏名】ハオ シューシェン
(72)【発明者】
【氏名】鄭 隨兵
【テーマコード(参考)】
3C707
5H605
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707CX01
3C707CX03
3C707CY03
3C707CY12
3C707CY29
3C707CY35
3C707HS27
3C707HT26
3C707JS06
3C707KV01
5H605BB05
5H605CC04
5H605DD32
5H605EB01
5H605EB10
5H605EB28
5H605EB34
5H607BB01
5H607BB14
5H607CC03
5H607EE35
5H607GG08
5H607HH01
5H607HH09
5H607JJ10
5H611BB01
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR02
5H611UA04
(57)【要約】
本発明は、小型ロボットアーム関節及びそのロボットを提供した。本発明の小型ロボットアーム関節では、電動機軸の両端と中間部に複数の軸受が設けられ、調和減速機と電動機との間に摺動シールが追加され、剛性サーキュラスプラインと出力端との接触面および剛性サーキュラスプラインとハウジングとの接触面にはシールが嵌合されて取り付けられ、制御ボードと出力端は共にケーブルが通る中空構造であり、関節の小型化のために磁気エンコーダが使用され、電動機と制御ボードとの間を分離するハウジング上に磁気遮断シートが取り付けられる。本発明のロボットは前記小型ロボットアーム関節を用いてロボットアーム間を接続する。本発明は、コンパクトな構造で滑らかに動作する、安全で信頼性の高い小型ロボットアーム関節及びそのロボットを実現するものである。回転軸の滑らかさを効果的に向上させることができる。電動機内部または制御ボードへの潤滑グリースの侵入を効果的に防止することもできる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングにより電動機と調和減速機および制御ボードをそれぞれ異なるスペースに分離し、
電動機軸は軸受Aと軸受Cによりハウジングと同軸に接続され、調和減速機はハウジングと軸受Cにより電動機から分離され、分離されたハウジングと電動機軸の隙間に摺動シールが追加され、前記摺動シールは、シールプラスチックとOリングからなり、Oリングはハウジングと接触し、シールプラスチックは電動機軸の表面と接触し、シールプラスチックの左右両側には、止め輪が設けられて軸方向の位置決めをし、電動機軸の左右両端と出力端の間に軸受Bと軸受Dが取り付けられ、軸受Bと軸受Dは内輪が出力端に固定され、外輪が電動機軸の溝面に固定され、前記溝面の半径方向寸法は電動機軸の軸孔面の半径方向寸法より大きく、軸受Bと軸受Dの内輪は電動機軸の軸孔面とほぼレベルになるようにし、
調和減速機の剛性サーキュラスプラインは出力端に機械的に固定接続され、剛性サーキュラスプラインの外径は関節ユニットの最大外径となり、剛性サーキュラスプラインと出力端との接触面および剛性サーキュラスプラインとハウジングとの接触面にはシールが嵌合されて取り付けられ、
電動機のロータはフラットキーにより電動機軸に接続され、電動機のステータはハウジングに固定接続され、電動機のロータの左端は調和減速機に近い側に電動機軸の軸肩により位置決めされ、右端はスペーサリングにより軸方向に位置決めされ、
制御ボードはハウジングに機械的に固定接続され、制御ボードと出力端は共にケーブルが通る中空構造であり、制御ボードには電気的な接続により2つの磁気エンコーダが固定され、エンコーダセンサータブAに対応する磁気ディスクは電動機軸に固定接続され、エンコーダセンサータブBに対応する磁気リングは出力端の軸に固定接続される、ことを特徴とした小型ロボットアーム関節。
【請求項2】
前記出力端の軸には2つのケーブル通し穴が開口され、関節ユニットの電源線と信号線はそれぞれ1つのケーブル通し穴に通されることを特徴とする請求項1に記載のロボットアーム関節。
【請求項3】
前記フラットキーの側面と電動機軸の取付溝及びロータの取付溝は共にトランジションフィットであることを特徴とする請求項1または2に記載のロボットアーム関節。
【請求項4】
前記電動機と制御ボードとの間を分離するハウジング上に磁気遮断シートが取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載のロボットアーム関節。
【請求項5】
前記電動機軸は、非磁性アルミニウム合金製であることを特徴とする請求項4に記載のロボットアーム関節。
【請求項6】
前記制御ボードの表面に保護用接着剤を塗布していることを特徴とする請求項4に記載のロボットアーム関節。
【請求項7】
前記軸受B及び軸受Dは、両側シールリング付き深溝玉軸受であることを特徴とする請求項1または2に記載のロボットアーム関節。
【請求項8】
前記ハウジングは、一つのカバープレートに機械的に固定接続されることを特徴とする請求項1または2に記載のロボットアーム関節。
【請求項9】
請求項1または2に記載のロボットアーム関節を用いてロボットアーム間を接続することを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明はロボット技術分野に係り、特に小型ロボットアーム関節及びそのロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロボットアーム関節ユニットは、電動機、調和減速機、ユニットハウジング及びエンコーダ等を含む。調和減速機の効果的な作動を確保するために、調和減速機の剛性サーキュラスプラインとフレクスプラインの間に適量の潤滑グリースを添加する必要がある。しかし、関節ユニットが作動しているとき、不合理な構造設計により、電動機及びエンコーダ等の電気部品にグリースが侵入し、電気部品の安全性及び信頼性に深刻な影響を及ぼす。また、密閉性が悪いと、グリースがハウジングの外部に流れ、グリースが無駄になり、ロボットアームが汚染される。従来の設計では、電動機の入力軸とハウジング固定端の支持部が2箇所に位置し、2箇所の距離が近く、支持部は電動機の出力端から離れているため、電動機の入力軸が不安定になりやすい。また、中空構造のケーブル通し穴を設計する場合、一つの大きな穴を加工し、電源線と信号線を一緒にケーブル通し穴に通す設計が一般的であり、電源線が信号線の伝送信号に対して干渉しやすい。
【0003】
したがって、上記の課題を解決するために、新しい関節構造が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題点を解決するための新たな関節構造の必要性に応え、本発明は、コンパクトな構造で滑らかに動作する、安全で信頼性の高い小型ロボットアーム関節及びそのロボットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
具体的には、本発明は、ハウジングにより電動機と調和減速機および制御ボードをそれぞれ異なるスペースに分離する小型ロボットアーム関節を提供するものである。この小型ロボットアーム関節は以下の構造も含む。
【0006】
電動機軸は軸受Aと軸受Cによりハウジングと同軸に接続され、調和減速機はハウジングと軸受Cにより電動機から分離され、分離されたハウジングと電動機軸の隙間に摺動シールが追加される。前記摺動シールは、シールプラスチックとOリングからなる。Oリングはハウジングと接触し、シールプラスチックは電動機軸の表面と接触し、シールプラスチックの左右両側には、止め輪が設けられて軸方向の位置決めをする。電動機軸の左右両端と出力端の間に軸受Bと軸受Dが取り付けられ、軸受Bと軸受Dは内輪が出力端に固定され、外輪が電動機軸の溝面に固定され、前記溝面の半径方向寸法は電動機軸の軸孔面の半径方向寸法より大きく、軸受Bと軸受Dの内輪は電動機軸の軸孔面とほぼレベルになるようにする。
【0007】
調和減速機の剛性サーキュラスプラインは出力端に機械的に固定接続され、剛性サーキュラスプラインの外径は関節ユニットの最大外径となる。剛性サーキュラスプラインと出力端との接触面および剛性サーキュラスプラインとハウジングとの接触面にはシールが嵌合されて取り付けられる。
【0008】
電動機のロータはフラットキーにより電動機軸に接続され、電動機のステータはハウジングに固定接続される。電動機のロータの左端は調和減速機に近い側に電動機軸の軸肩により位置決めされ、右端はスペーサリングにより軸方向に位置決めされる。
【0009】
制御ボードはハウジングに機械的に固定接続され、制御ボードと出力端は共にケーブルが通る中空構造であり、制御ボードには電気的な接続により2つの磁気エンコーダが固定され、エンコーダセンサータブAに対応する磁気ディスクは電動機軸に固定接続され、エンコーダセンサータブBに対応する磁気リングは出力端の軸に固定接続される。
【0010】
前記出力端の軸には2つのケーブル通し穴が開口され、関節ユニットの電源線と信号線はそれぞれ1つのケーブル通し穴に通される。
【0011】
前記電動機と制御ボードとの間を分離するハウジング上に磁気遮断シートが取り付けられる。
【0012】
前記軸受B及び軸受Dは、両側シールリング付き深溝玉軸受である。
【0013】
本発明によって実現されるロボットは、前記小型ロボットアーム関節を用いてロボットアーム間を接続する。
【0014】
先行技術に対する本発明の利点及び好ましい効果は以下の通りである。
【0015】
(1)本発明に係るロボットアーム関節は、電動機軸の左右両端と出力端との間に2つの軸受B、Dを設置し、電動機軸の中間部に2つの軸受A、Cを設置し、複数の支持点を設けることにより、回転軸の滑らかさを効果的に向上させることができる。同時に、軸受B及び軸受Dが両側シールリング付き深溝玉軸受であることにより、調和減速機の潤滑グリースが電動機軸と出力端との隙間に沿って右の制御ボードに流入することを防止する役割も果たし、制御ボードがグリースで汚染されて短絡等が生じることを回避することができる。
【0016】
(2)本発明に係るロボットアーム関節は、電動機と減速機との間に摺動シールを配置することにより、電動機内部への潤滑グリースの侵入を効果的に防止することができる。
【0017】
(3)本発明に係るロボットアーム関節において、剛性サーキュラスプラインの最大外径は関節ユニットの最大外径であり、剛性サーキュラスプラインの外側にハウジングをさらに設ける必要がなく、シールと協働することにより、外部からの不純物の減速機内部への侵入を効果的に防止することができるとともに、内部の潤滑グリースが流出し、グリースの無駄や汚染を招くことを防止することができる。
【0018】
(4)本発明に係るロボットアーム関節において、電動機のロータはフラットキーにより電動機軸に接続され、電動機のロータの左端は調和に近い側に電動機軸の軸肩により位置決めされ、調和から離れた側にスペーサリングにより軸方向に位置決めされ、フラットキーの側面と電動機軸の取付溝及びロータの取付溝は共にトランジションフィットであり、このような接続方法を用いることにより、分解及び取り付けが容易であり、取り付けが確実である。
【0019】
(5)本発明により設計された軸受B、Dは、その外輪が電動機軸の溝面に固定され、溝面の半径方向寸法は電動機軸の軸孔面の半径方向寸法よりはるかに大きいので、軸受B、Dの取付けは、関節全体の半径方向寸法を増加させず、関節の全体構造は、従来の設計と比較してよりコンパクトであることが実現される。
【0020】
(6)本発明では、電動機と制御ボードとの間に磁気遮断シートを追加し、電動機軸を非磁性導電材料であるアルミニウム合金製とした。この2つの解決策により、制御ボードに対する電動機の電磁干渉を大幅に低減することができる。
【0021】
(7)本発明では、磁気エンコーダを使用しており、光電エンコーダと比較して耐干渉性と耐振動性に優れ、関節ユニット全体の構造体積を小さくすることができる。
【0022】
(8)本発明の出力端の軸は、2つのケーブル通し穴の構造として設計されており、関節ユニットの電源線と信号線を別々にワイヤー通しすることができ、この設計により、信号線に対する電源線の電磁干渉を効果的に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明により提供されるロボットアーム関節の内部構造の概略図である。
【0024】
【
図2】
図2は、本発明により提供されるロボットアーム関節の円Aにおける内部の拡大図である。
【0025】
【
図3】
図3は、本発明により提供されるロボットの構造の概略図である。
【0026】
【符号の説明】
【0027】
1-出力端、1.1-ケーブル通し穴A、1.2-ケーブル通し穴B、2-電動機軸、2.1-電動機軸の内部の溝面A、
【0028】
2.2-電動機軸の軸孔面、2.3-電動機軸の内部の溝面B、3-波動発生器、3.1-内部取付面、4-フレクスプライン、5-剛性サーキュラスプライン、
【0029】
6-電動機のステータ、7-ハウジングA、8-電動機のロータ、9-フラットキー、10-磁気遮断シート、11-ハウジングB、12-エンコーダセンサータブA、
【0030】
13-磁気ディスク、14-制御ボード、15-エンコーダセンサータブB、16-磁気リング、17-軸受A、18-軸受B、19-カバープレート、
【0031】
20-軸受C、21-軸受D、22-シールA、23-シールB、24-摺動シール、24.1-シールプラスチック、
【0032】
24.2-Oリング、25-止め輪A、26-スペーサリング、27-止め輪B、28-関節ユニット、29-ロボットアームA、30-ロボットアームB、
【0033】
31-ロボットアームC、32-ロボットアームD、33-ロボットアームE、34-ロボットアームF。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面および実施形態に関連して本発明をさらに詳細に説明する。
【0035】
本発明の目的は、コンパクトな構造で滑らかに動作する、安全で信頼性の高い小型ロボットアーム関節およびそのロボットを提供することである。
【0036】
図1に示すように、本発明の実施形態によって実現されるロボットアーム関節は、以下の構成を有する。
【0037】
(1)出力端1は電動機軸2と同軸の軸構造を有し、出力端1の軸には2つのケーブル通し穴、すなわちケーブル通し穴A1.1とケーブル通し穴B1.2が開口されている。このケーブル通し穴構造により、関節ユニットの電源線と信号線を別々にワイヤー通しすることができ、この設計は信号線に対する電源線の電磁干渉を効果的に回避することができる。
【0038】
(2)本発明に係る減速機は、波動発生器3、フレクスプライン4及び剛性サーキュラスプライン5を含む調和減速機である。フレクスプライン4は剛性サーキュラスプライン5と歯で噛み合い、伝達効率が高い。本発明における剛性サーキュラスプライン5の外径は、関節ユニットの最大外径であり、ロボットアームと固定するために剛性サーキュラスプラインの外側にハウジングをさらに追加する必要がない。波動発生器3はトルク入力端として機能し、フレクスプライン4を介して剛性サーキュラスプライン5にトルクを伝達する。剛性サーキュラスプライン5は、出力端1に機械的に固定接続される。本発明では、剛性サーキュラスプライン5と出力端1との接触面および剛性サーキュラスプライン5とハウジングA7との接触面において、シールA22とシールB23との嵌合により、外部不純物の減速機内部への侵入を効果的に防止することができ、また内部の潤滑グリースの流出も防止することができる。
【0039】
本発明で使用するシールは、円形構造でも角形構造でもよく、形状は限定されない。
【0040】
(3)電動機は、調和減速機及び制御ボードとハウジングによりそれぞれ分離され、異なるスペースに位置する。電動機は電動機のステータ6と電動機のロータ8を含む。電動機のロータ8はフラットキー9により電動機軸2に接続され、両端は軸肩とスペーサリング26により軸方向に固定され、この接続方式は分解及び取り付けが容易であり、取り付けが確実である。電動機のステータ6は、接続方法を限定することなくハウジングA7に固定接続される。電動機のロータ8の左端は調和減速機に近い側に電動機軸2の軸肩により位置決めされ、電動機のロータ8の右端は調和減速機から離れた側にスペーサリング26により軸方向に位置決めされる。フラットキー9の側面と電動機軸2の取付溝及びロータの取付溝は共にトランジションフィットである。
【0041】
(4)本発明において、波動発生器3は、電動機軸2に機械的に固定接続され、この電動機軸2は、電動機のロータ8に固定的に接続され、これにより、波動発生器3は、電動機のロータ8と同軸に接続される。
【0042】
(5)本発明においては、磁気遮断シート10が付加される。電動機は、運転中にある程度の電磁干渉を発生する。電動機が右の制御ボード14の通信に干渉するのを防止するために、本発明では、予防のために以下の2つの手段を用いる。一つは、電動機と制御ボード14との間に磁気遮断シート10が付加されることであり、磁気遮断シート10は、ハウジングB11に機械的に固定接続される。もう一つは、電動機軸2を非磁性アルミニウム合金製にすることである。これら2つのオプションにより、制御ボード14に対する電動機の電磁干渉を大幅に低減することができる。その中、ハウジングA7およびハウジングB11は、ハウジングの異なる部分を指し、ハウジングの異なる部分には、説明の便宜上、番号が付されている。
【0043】
(6)本発明では磁気エンコーダを使用し、現在主に使用されている光電エンコーダに比べ、磁気エンコーダは、回転速度が速く、使い勝手が良く、振動に強く、応答速度が速く、設置スペースの狭い場面での使用に非常に適する。磁気エンコーダは、電気的接続により制御ボード14に固定される。本発明では2つの磁気エンコーダがあり、1つはエンコーダセンサータブA12であり、もう1つはエンコーダセンサータブB15である。エンコーダセンサータブA12に対応する磁気ディスク13は電動機軸2に固定接続され、同軸に接続される。エンコーダセンサータブB15に対応する磁気リング16は、出力端1の軸に固定接続され、同じく同軸に接続される。エンコーダセンサータブA12は電動機入力端の速度を検出するために使用され、エンコーダセンサータブB15は出力端の速度を検出するために使用される。
【0044】
(7)本発明における制御ボード14は、ハウジングB11に機械的に固定接続される。制御ボード14は中空構造であり、出力端1も中空構造であり、ケーブルは中空構造を通過することができる。この構造設計により、関節ユニット全体の構造をよりコンパクトにすることができる。
【0045】
また、制御ボード14に対する減速機グリースの干渉を防止するために、本発明の実施形態では、制御ボード14の表面に保護用接着剤を塗布してもよい。
【0046】
(8)本発明では、電動機軸2は、軸受A17及び軸受C20によりハウジングA7に同軸に接続される。減速機と電動機はハウジング7と軸受C20により分離される。減速機にはグリースが封入されているため、電動機内部へのグリースの侵入を防止するように、本発明では、減速機と電動機との間におけるハウジングA7と電動機軸2との間の隙間に摺動シール24を付加する。摺動シール24は、シールプラスチック24.1とOリング24.2の2つの部品から構成される。Oリング24.2の動的摩耗や押し出し破壊を防止するために、Oリング24.2を固定ハウジングA7に接触させる。シールプラスチック24.1は、電動機軸2の表面に接触し、止め輪A25と止め輪B27により左右両側に軸方向に位置決めされる。シールプラスチック24.1は耐摩耗性のTFE(テトラフルオロエチレン)製であり、Oリング24.2は耐油性のニトリルゴム製であり、シール性能を効果的に向上させることができる。
【0047】
(9)本発明は、電動機軸2の回転安定性を向上させるために、電動機軸2に対して軸受支持を追加し、電動機軸2の左右両端と出力端1との間に軸受B18と軸受D21を設計した。軸受D21の内輪は出力端1と固定され、外輪は波動発生器3の内部取付面3.1と電動機軸2内部の溝面A2.1と固定される。溝面2.1の半径方向寸法は電動機軸の軸孔面2.2の半径方向寸法よりはるかに大きく、軸受D21の内輪を軸孔面2.2とほぼレベルにする。既存の従来設計では、軸受D21の外輪が軸孔面2.2とレベルになる場合があり、これと比較すると、本発明の設計では、関節全体の半径方向寸法が小さくなる。軸受B18の内輪は出力端1と固定され、外輪は電動機軸2の溝面B2.3と固定される。溝面B2.3の半径方向寸法は軸孔面2.2の半径方向寸法よりはるかに大きいので、軸受B18の設置は関節全体の半径方向寸法を増加させず、全体構造をよりコンパクトにする。電動機軸2は出力端1を中心に自由に回転できる。また、軸受B18と軸受D21は、調和減速機の潤滑グリースが電動機軸2と出力端1との間の隙間に沿って右の制御ボード14に流れ込むのを防止する役割も果たす。好ましくは、本発明の実施形態において、軸受B及び軸受Dは、両側シールリング付き深溝玉軸受を採用する。
【0048】
本発明の電動機軸は、軸受A~Dの4つの支持点を備え、軸受A、Cは電動機軸の中間位置に位置し、軸受B、Dは両端に位置し、複数の支持点により回転軸の滑らかさを効果的に向上させることができる。
【0049】
(10)本発明において、カバープレート19は、ハウジングB11に機械的に固定接続され、電気部品への塵埃不純物等の侵入を防止する。カバープレート19は放熱効果の良いアルミニウム製である。
【0050】
図2に示すように、本発明の実施形態によって実現されるロボットは、ロボットアームA29、ロボットアームB30、ロボットアームC31、ロボットアームD32、ロボットアームE33、ロボットアームF34と各関節ユニット28とにより構成される。ロボットアーム同士間は、関節ユニット28またはコネクタにより接続される。端部のロボットアームF33には、負荷の移動または回転を実現するために負荷が固定接続されてもよい。ロボットアームの各関節ユニット28は、上述したロボット関節ユニットの機能を有しており、ここでは説明を省略する。
【0051】
以上の説明により、小型ロボットアーム関節およびそのロボットが得られる。なお、上記実施形態に記載された実施形態も、本願発明に合致する全ての実施形態を示すものではなく、本発明の技術方式に基づいて当業者が創造的な労力を要することなく行うことができる様々な修正又は変形は、依然として本発明の保護範囲内であることを理解されたい。
【0052】
明細書に記載された技術的特徴以外は、すべて当業者に公知である。本発明では、本発明の冗長性及び不必要な限定を避けるために、公知の構成要素及び公知の技術の説明を省略する。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングにより電動機と調和減速機および制御ボードをそれぞれ異なるスペースに分離し、
電動機軸は軸受Aと軸受Cによりハウジングと同軸に接続され、調和減速機はハウジングと軸受Cにより電動機から分離され、分離されたハウジングと電動機軸の隙間に摺動シールが追加され、前記摺動シールは、シールプラスチックとOリングからなり、Oリングはハウジングと接触し、シールプラスチックは電動機軸の表面と接触し、シールプラスチックの左右両側には、止め輪が設けられて軸方向の位置決めをし、電動機軸の左右両端と出力端の間に軸受Bと軸受Dが取り付けられ、軸受Bと軸受Dは内輪が出力端に固定され、外輪が電動機軸の溝面に固定され、前記溝面の半径方向寸法は電動機軸の軸孔面の半径方向寸法より大きく、軸受Bと軸受Dの内輪は電動機軸の軸孔面とほぼレベルになるようにし、
調和減速機の剛性サーキュラスプラインは出力端に機械的に固定接続され、剛性サーキュラスプラインの外径は関節ユニットの最大外径となり、剛性サーキュラスプラインと出力端との接触面および剛性サーキュラスプラインとハウジングとの接触面にはシールが嵌合されて取り付けられ、
電動機のロータはフラットキーにより電動機軸に接続され、電動機のステータはハウジングに固定接続され、電動機のロータの左端は調和減速機に近い側に電動機軸の軸肩により位置決めされ、右端はスペーサリングにより軸方向に位置決めされ、
制御ボードはハウジングに機械的に固定接続され、制御ボードと出力端は共にケーブルが通る中空構造であり、制御ボードには電気的な接続により2つの磁気エンコーダが固定され、エンコーダセンサータブAに対応する磁気ディスクは電動機軸に固定接続され、エンコーダセンサータブBに対応する磁気リングは出力端の軸に固定接続される、ことを特徴とし
たロボットアーム関節。
【請求項2】
前記出力端の軸には2つのケーブル通し穴が開口され、関節ユニットの電源線と信号線はそれぞれ1つのケーブル通し穴に通されることを特徴とする請求項1に記載のロボットアーム関節。
【請求項3】
前記フラットキーの側面と電動機軸の取付溝及びロータの取付溝は共にトランジションフィットであることを特徴とする請求項1または2に記載のロボットアーム関節。
【請求項4】
前記電動機と制御ボードとの間を分離するハウジング上に磁気遮断シートが取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載のロボットアーム関節。
【請求項5】
前記電動機軸は、非磁性アルミニウム合金製であることを特徴とする請求項4に記載のロボットアーム関節。
【請求項6】
前記制御ボードの表面に保護用接着剤を塗布していることを特徴とする請求項4に記載のロボットアーム関節。
【請求項7】
前記軸受B及び軸受Dは、両側シールリング付き深溝玉軸受であることを特徴とする請求項1または2に記載のロボットアーム関節。
【請求項8】
前記ハウジングは、一つのカバープレートに機械的に固定接続されることを特徴とする請求項1または2に記載のロボットアーム関節。
【請求項9】
請求項1または2に記載のロボットアーム関節を用いてロボットアーム間を接続することを特徴とするロボット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
(4)本発明に係るロボットアーム関節において、電動機のロータはフラットキーにより電動機軸に接続され、電動機のロータの左端は調和減速機に近い側に電動機軸の軸肩により位置決めされ、調和減速機から離れた側にスペーサリングにより軸方向に位置決めされ、フラットキーの側面と電動機軸の取付溝及びロータの取付溝は共にトランジションフィットであり、このような接続方法を用いることにより、分解及び取り付けが容易であり、取り付けが確実である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
(8)本発明では、電動機軸2は、軸受A17及び軸受C20によりハウジングA7に同軸に接続される。減速機と電動機はハウジングA7と軸受C20により分離される。減速機にはグリースが封入されているため、電動機内部へのグリースの侵入を防止するように、本発明では、減速機と電動機との間におけるハウジングA7と電動機軸2との間の隙間に摺動シール24を付加する。摺動シール24は、シールプラスチック24.1とOリング24.2の2つの部品から構成される。Oリング24.2の動的摩耗や押し出し破壊を防止するために、Oリング24.2を固定ハウジングA7に接触させる。シールプラスチック24.1は、電動機軸2の表面に接触し、止め輪A25と止め輪B27により左右両側に軸方向に位置決めされる。シールプラスチック24.1は耐摩耗性のTFE(テトラフルオロエチレン)製であり、Oリング24.2は耐油性のニトリルゴム製であり、シール性能を効果的に向上させることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
(9)本発明は、電動機軸2の回転安定性を向上させるために、電動機軸2に対して軸受支持を追加し、電動機軸2の左右両端と出力端1との間に軸受B18と軸受D21を設計した。軸受D21の内輪は出力端1と固定され、外輪は波動発生器3の内部取付面3.1と電動機軸2内部の溝面A2.1と固定される。溝面A2.1の半径方向寸法は電動機軸の軸孔面2.2の半径方向寸法よりはるかに大きく、軸受D21の内輪を軸孔面2.2とほぼレベルにする。既存の従来設計では、軸受D21の外輪が軸孔面2.2とレベルになる場合があり、これと比較すると、本発明の設計では、関節全体の半径方向寸法が小さくなる。軸受B18の内輪は出力端1と固定され、外輪は電動機軸2の溝面B2.3と固定される。溝面B2.3の半径方向寸法は軸孔面2.2の半径方向寸法よりはるかに大きいので、軸受B18の設置は関節全体の半径方向寸法を増加させず、全体構造をよりコンパクトにする。電動機軸2は出力端1を中心に自由に回転できる。また、軸受B18と軸受D21は、調和減速機の潤滑グリースが電動機軸2と出力端1との間の隙間に沿って右の制御ボード14に流れ込むのを防止する役割も果たす。好ましくは、本発明の実施形態において、軸受B及び軸受Dは、両側シールリング付き深溝玉軸受を採用する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
図2に示すように、本発明の実施形態によって実現されるロボットは、ロボットアームA29、ロボットアームB30、ロボットアームC31、ロボットアームD32、ロボットアームE33、ロボットアームF34と各関節ユニット28とにより構成される。ロボットアーム同士間は、関節ユニット28またはコネクタにより接続される。端部のロボットアームF3
4には、負荷の移動または回転を実現するために負荷が固定接続されてもよい。ロボットアームの各関節ユニット28は、上述したロボット関節ユニットの機能を有しており、ここでは説明を省略する。
【国際調査報告】