(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】複合炭化珪素基板およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/36 20060101AFI20250123BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20250123BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20250123BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20250123BHJP
H01L 21/208 20060101ALN20250123BHJP
【FI】
C30B29/36 A
H01L21/20
H01L21/205
H01L21/02 B
H01L21/208 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514636
(86)(22)【出願日】2023-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 CN2023133952
(87)【国際公開番号】W WO2024131439
(87)【国際公開日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】202211644873.7
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524083945
【氏名又は名称】青禾晶元(天津)半導体材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】TJ INNOVATIVE SEMICONDUCTOR SUBSTRATE TECHNOLOGY CO. ,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【氏名又は名称】横田 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】母 鳳文
(72)【発明者】
【氏名】郭 超
【テーマコード(参考)】
4G077
5F045
5F053
5F152
【Fターム(参考)】
4G077AA03
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5F152NQ02
(57)【要約】
【課題】本願は、複合炭化珪素基板およびその調製方法を提供する。
【手段】前記基板は、単結晶炭化珪素層および炭化珪素支持層を含み、前記単結晶炭化珪素層と炭化珪素支持層との間に第1ドープ炭化珪素層が設けられ、前記第1ドープ炭化珪素層と単結晶炭化珪素層との間に結合界面層が設けられる。前記調製方法として、ステップ(1)前記炭化珪素支持層に第1ドープ炭化珪素層を堆積して第1複合層を取得し、ステップ(2)ステップ(1)で得られた第1複合層とイオン注入またはレーザー照射を経た単結晶炭化珪素層とを互いに結合し、応力を加えた後に前記複合炭化珪素基板のアセンブリを取得し、ステップ(3)ステップ(2)で得られた複合炭化珪素基板のアセンブリを熱処理して前記複合炭化珪素基板を取得する。本願に係る複合炭化珪素基板は、結合界面の抵抗を軽減または除去することができ、調製方法が簡便かつ効率的であり、制御性に優れている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶炭化珪素層および炭化珪素支持層を含み、
前記単結晶炭化珪素層と炭化珪素支持層との間に第1ドープ炭化珪素層が設けられ、
前記第1ドープ炭化珪素層と単結晶炭化珪素層との間に結合界面層が設けられ、
前記第1ドープ炭化珪素層のドープ濃度は1×10
19/cm
2以上である、
複合炭化珪素基板。
【請求項2】
前記炭化珪素支持層の単結晶炭化珪素層から遠い側に第2ドープ炭化珪素層が設けられ、
前記炭化珪素支持層と第1ドープ炭化珪素層および/または第2ドープ炭化珪素層との間に粗面化界面層が設けられ、
前記粗面化界面層の形状は起伏状および/または波状を含み、
前記粗面化界面層の起伏高さは3~500nmである、
請求項1に記載の複合炭化珪素基板。
【請求項3】
前記単結晶炭化珪素層の厚さは0.1~10μmであり、
前記結合界面層の厚さは0.5~5nmであり、
前記炭化珪素支持層の厚さは200~1000μmであり、
前記第1ドープ炭化珪素層の厚さは5~50000nmであり、
前記第2ドープ炭化珪素層の厚さは5~50000nmである、
請求項2に記載の複合炭化珪素基板。
【請求項4】
前記第1ドープ炭化珪素層および第2ドープ炭化珪素層のドープ元素は、B、N、PまたはAlのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、
前記単結晶炭化珪素層の結晶型は4H、6Hまたは3Cのうちのいずれか1種であり、
前記炭化珪素支持層の結晶型は4H、6Hまたは3Cのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
前記炭化珪素支持層のドープ濃度は1×10
17/cm
2以上であり、
前記複合炭化珪素基板の直径は2~8インチである、
請求項3に記載の複合炭化珪素基板。
【請求項5】
前記炭化珪素支持層に第1ドープ炭化珪素層を堆積して第1複合層を取得するステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた第1複合層とイオン注入またはレーザー照射を経た単結晶炭化珪素層とを互いに結合し、応力を加えた後に複合炭化珪素基板のアセンブリを取得するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた複合炭化珪素基板のアセンブリを熱処理して前記複合炭化珪素基板を取得するステップ(3)と、を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の複合炭化珪素基板の調製方法。
【請求項6】
ステップ(1)に記載の堆積は、化学気相成長または液相エピタキシャルを含み、
ステップ(1)に記載の堆積は、前記炭化珪素支持層の第1ドープ炭化珪素層から遠い側に第2ドープ炭化珪素層を堆積することを更に含む、
請求項5に記載の調製方法。
【請求項7】
ステップ(1)に記載の堆積前に、粗面化処理を更に含み、
前記粗面化処理は、化学エッチングおよび/またはプラズマエッチングを含み、
前記粗面化処理後の表面の起伏高さは3~500nmである、
請求項5に記載の調製方法。
【請求項8】
ステップ(2)に記載のイオン注入に用いられるイオンは、水素イオンおよび/またはヘリウムイオンを含み、
前記イオン注入の深さは5μm以下であり、
ステップ(2)に記載のレーザー照射に用いられるレーザーはパルスレーザーを含み、
前記パルスレーザーは、固体レーザーまたはファイバレーザーを含み、
ステップ(2)に記載のレーザー照射のパルス幅は100~300fsであり、
ステップ(2)に記載のレーザー照射の深さは150μm以下である、
請求項5に記載の調製方法。
【請求項9】
ステップ(2)に記載の結合の後に、結合界面層を取得し、
ステップ(2)に記載の結合の前に、結合待ち表面に対する前処理過程を更に含み、
前記前処理過程は、順次行われる研削および研磨を含み、
前記研磨後の結合待ち表面の粗度は0.05~0.5nmである、
請求項5に記載の調製方法。
【請求項10】
ステップ(2)に記載の応力を加える方式は、熱処理または機械的分離を含み、
ステップ(2)に記載の応力を加える方式が熱処理である場合、熱処理の温度は700~1300℃であり、
ステップ(3)に記載の熱処理の温度は1500~1900℃であり、
ステップ(3)に記載の熱処理の時間は10~10000sである、
請求項5に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体材料の技術分野に関し、例えば、炭化珪素基板、特に、複合炭化珪素基板およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素単結晶で作製されたデバイスは、耐高温、耐高圧、高周波、大電力、耐放射線、高効率等の利点を有し、RF、新エネルギー等の分野で重要な応用価値を持っている。
【0003】
炭化珪素単結晶基板の通常の製造方法は、物理気相輸送法で炭化珪素単結晶を成長させ、炭化珪素単結晶のインゴットを取得する工程と、インゴットの外周を加工して必要な直径および表面品質を取得してから、インゴットをスライスに切り、スライスを必要な厚さおよび平坦度に研削、研磨し、最終的な炭化珪素単結晶基板を取得する工程とを含む。物理気相輸送法で炭化珪素単結晶を成長させる効率が低いため、単一の炭化珪素単結晶基板のコストは高い。
【0004】
炭化珪素基板のコストを低減するために、当業者は、具体的に、価格が低い支持基板に1層の単結晶炭化珪素薄層を結合する複合基板構造を提出する。この態様は、単結晶炭化珪素薄層と支持基板との間に結合層を形成し、結合層の存在は、基板の垂直導電に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
結合界面の抵抗を軽減または除去するために、関連学者は、結合前に、2つの結合待ち表面に対してイオン注入を行って結合待ち表面付近のドープ濃度を高めてから、結合することを提出する。この態様は、結合界面の抵抗を効果的に低減することができるが、イオン注入工程を何度も行う必要があり、調製プロセスは複雑となる。
【0006】
以上をまとめ、結合界面の抵抗を軽減または除去することができ、調製プロセスが簡単かつ効率的な複合基板を提供することは、既に当分野で早急に解決すべき課題の1つとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下は、本稿を詳細に説明する主題についての概要である。本概要は、特許請求の範囲を制限するものではない。
【0008】
本願は、複合炭化珪素基板およびその調製方法を提供し、前記複合炭化珪素基板は、結合界面の抵抗を軽減または除去することができ、調製方法が簡便かつ効率的であり、制御性に優れている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
態様1において、本願は、
単結晶炭化珪素層および炭化珪素支持層を含み、
前記単結晶炭化珪素層と炭化珪素支持層との間に第1ドープ炭化珪素層が設けられ、
前記第1ドープ炭化珪素層と単結晶炭化珪素層との間に結合界面層が設けられ、
前記第1ドープ炭化珪素層のドープ濃度は1×1019/cm2以上であり、例えば、1×1019/cm2、5×1019/cm2、1×1020/cm2、4×1020/cm2、8×1020/cm2または1×1021/cm2であってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される、
複合炭化珪素基板を提供する。
【0010】
本願に係る複合炭化珪素基板は、ドープ炭化珪素層を増加することにより、結合界面層の抵抗を更に軽減または除去し、該基板で製造された半導体デバイスの界面の導通損失および発熱を減少する。
【0011】
本願に係る第1ドープ炭化珪素層のドープ濃度は1×1019/cm2以上であり、ドープ濃度が低すぎると、第1ドープ層は、結合界面層の抵抗を効果的に軽減または除去することができない。
【0012】
本願に係る単結晶炭化珪素層は高品質の炭化珪素層であり、前記炭化珪素支持層は低品質の炭化珪素層であり、前記高品質と低品質との区別は、炭化珪素結晶におけるマイクロパイプ、転位、炭素被覆等の欠陥密度であり、高品質の炭化珪素層中の欠陥密度は低品質の炭化珪素層よりも小さい。前記炭化珪素支持層は多結晶であってもよい。低品質の炭化珪素層を採用することにより、品質を著しく低減させることなく、複合基板のトータルコストを低減することができる。
【0013】
本願の好ましい技術案として、前記炭化珪素支持層の単結晶炭化珪素層から遠い側に第2ドープ炭化珪素層が設けられる。
【0014】
本願に係る炭化珪素支持層の2つの対向面の表面には、いずれもドープ炭化珪素層が堆積されることが可能である。対向する2つの表面(正面および裏面)にドープ炭化珪素層を同時に堆積することにより、堆積過程における基板の歪みを減少することができ、且つ、最終的な複合基板の炭化珪素支持層の裏面に1層のドープ炭化珪素層が存在し、その上で製造された裏面電極のオーミックコンタクト抵抗を更に低減することができる。
【0015】
一実施形態において、前記炭化珪素支持層と第1ドープ炭化珪素層および/または第2ドープ炭化珪素層との間に粗面化界面層が設けられる。
【0016】
本願に係る粗面化界面層は、複合基板のエピタキシャル成長過程における応力を吸収し、エピタキシャル成長における複合基板の歪みを減少し、エピタキシャル層の品質を向上させることができる。
【0017】
一実施形態において、前記粗面化界面層の形状は起伏状および/または波状を含む。
【0018】
一実施形態において、前記粗面化界面層の起伏高さは3~500nmであり、例えば、3nm、5nm、10nm、100nm、200nm、300nm、400nmまたは500nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0019】
一実施形態において、前記単結晶炭化珪素層の厚さは0.1~10μmであり、例えば、0.1μm、1μm、2μm、4μm、6μm、8μmまたは10μmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0020】
一実施形態において、前記結合界面層の厚さは0.5~5nmであり、例えば、0.5nm、1nm、2nm、3nm、4nmまたは5nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0021】
一実施形態において、前記炭化珪素支持層の厚さは200~1000μmであり、例えば、200μm、400μm、600μm、800μmまたは1000μmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0022】
一実施形態において、前記第1ドープ炭化珪素層の厚さは5~50000nmであり、例えば、5nm、100nm、1000nm、10000nm、20000nm、30000nm、40000nmまたは50000nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0023】
一実施形態において、前記第2ドープ炭化珪素層の厚さは5~50000nmであり、例えば、5nm、100nm、1000nm、10000nm、20000nm、30000nm、40000nmまたは50000nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0024】
本願は、前記複合基板における各層の厚さに対していずれも制限がある。
【0025】
単結晶炭化珪素層の厚さが0.1μmよりも低い場合、厚さが小さすぎると、厚さ均一性の制御の困難性およびコストが増加し、単結晶炭化珪素層の厚さが10μmよりも大きい場合、厚さが大きすぎると、高品質の単結晶材料の使用量が増加し、コストが増加する。
【0026】
結合界面層の厚さが0.5nmよりも小さい場合、厚さが小さすぎると、製造の困難性およびコストが増加し、結合界面層の厚さが5nmよりも大きい場合、厚さが大きすぎると、結合界面層の抵抗が増加し、該基板で製造された半導体デバイスの性能に影響を及ぼす。
【0027】
炭化珪素支持層の厚さが200μmよりも小さい場合、厚さが小さすぎると、支持層は変形しやすくなり、良好な支持作用を果たすことができず、炭化珪素支持層の厚さが1000μmよりも大きい場合、厚さが大きすぎると、炭化珪素材料の使用量が増加し、コストが増加する。
【0028】
第1/第2ドープ炭化珪素層の厚さが5nmよりも小さい場合、厚さが小さすぎると、第1ドープ層は結合界面層の抵抗を効果的に軽減または除去することができず、第2ドープ層は裏面電極のオーミックコンタクト抵抗を効果的に低減することができず、第1/第2ドープ炭化珪素層の厚さが50000nmよりも大きい場合、厚さが大きすぎると、製造に必要な時間が増加し、コストが増加する。
【0029】
一実施形態において、前記第2ドープ炭化珪素層のドープ濃度は1×1019/cm2以上であり、例えば、1×1019/cm2、5×1019/cm2、1×1020/cm2、4×1020/cm2、8×1020/cm2または1×1021/cm2であってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0030】
一実施形態において、前記第1ドープ炭化珪素層および第2ドープ炭化珪素層におけるドープ元素は、B、N、PまたはAlのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、典型的な組み合わせは、BとNとの組み合わせ、BとPとの組み合わせ、BとAlとの組み合わせ、BとNとPとの組み合わせ、PとNとAlとの組み合わせ、またはBとNとPとAlとの組み合わせを含むが、これに制限的なものではない。
【0031】
一実施形態において、前記単結晶炭化珪素層の結晶型は4H、6Hまたは3Cのうちのいずれか1種であり、4Hであることが好ましい。
【0032】
一実施形態において、前記炭化珪素支持層の結晶型は4H、6Hまたは3Cのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、典型的な組み合わせは、4Hと6Hとの組み合わせ、4Hと3Cとの組み合わせ、6Hと3Cとの組み合わせ、または4Hと6Hと3Cとの組み合わせを含むが、これに制限的なものではない。
【0033】
一実施形態において、前記炭化珪素支持層のドープ濃度は1×1017/cm2以上であり、例えば、1×1017/cm2、3×1017/cm2、7×1017/cm2、1×1018/cm2、5×1018/cm2、または9×1018/cm2であってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0034】
一実施形態において、前記複合炭化珪素基板の直径は2~8インチであり、例えば、2インチ、4インチ、6インチまたは8インチであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0035】
態様2において、本願は、
前記炭化珪素支持層に第1ドープ炭化珪素層を堆積して第1複合層を取得するステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた第1複合層とイオン注入またはレーザー照射を経た単結晶炭化珪素層とを互いに結合し、応力を加えた後に複合炭化珪素基板のアセンブリを取得するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた複合炭化珪素基板のアセンブリを熱処理して複合炭化珪素基板を取得するステップ(3)と、を含む、
態様1に記載の複合炭化珪素基板の調製方法を提供する。
【0036】
一実施形態において、ステップ(1)に記載の堆積は、化学気相成長または液相エピタキシャルを含む。
【0037】
本願に係る化学気相成長は、反応ガスを用いて高温の反応室で反応させることで、低品質の炭化珪素基板の表面にハイドープ炭化珪素層を成長させる。反応ガスは、少なくともケイ素源ガス、炭素源ガスおよびドープガスを含み、ケイ素源ガスは、シラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランまたはジクロロシランのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであってもよく、炭素源ガスは、エチレン、プロパンまたはアセチレンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであってもよく、ドープガスは、一般的に窒素ガスである。
【0038】
前記液相エピタキシャル法は、以下のとおりである。シリコン含有助溶剤を黒鉛ルツボに入れ、助溶剤を加熱溶融し、黒鉛ルツボ内の炭素を助溶剤に溶解させ、その後、低品質の炭化珪素基板の表面を助溶剤溶液と接触させるか、または浸し込み、炭化珪素基板の表面の過冷却により、炭素は炭化珪素基板の固液界面に析出し、助溶剤内のシリコンと結び合ってハイドープ炭化珪素層を形成する。ドープは、反応室に窒素ガスを通気することで実現してもよいし、助溶剤にAl等の金属元素を加えることで実現してもよい。
【0039】
一実施形態において、ステップ(1)に記載の堆積は、前記炭化珪素支持層の第1ドープ炭化珪素層から遠い側に第2ドープ炭化珪素層を堆積することを更に含む。
【0040】
一実施形態において、ステップ(1)に記載の堆積前に、粗面化処理を更に含む。
【0041】
一実施形態において、前記粗面化処理は、化学エッチングおよび/またはプラズマエッチングを含む。
【0042】
本願に係る化学エッチングはウェットエッチングである。
【0043】
一実施形態において、前記粗面化処理後の表面の起伏高さは3~500nmであり、例えば、3nm、5nm、10nm、100nm、200nm、300nm、400nmまたは500nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0044】
一実施形態において、ステップ(2)に記載のイオン注入に用いられるイオンは、水素イオンおよび/またはヘリウムイオンを含む。
【0045】
一実施形態において、前記イオン注入の深さは5μm以下であり、例えば、5μm、4μm、3μm、2μmまたは1μmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0046】
一実施形態において、ステップ(2)に記載のレーザー照射に用いられるレーザーはパルスレーザーを含む。
【0047】
一実施形態において、前記パルスレーザーは、固体レーザーまたはファイバレーザーを含む。
【0048】
一実施形態において、ステップ(2)に記載のレーザー照射のパルス幅は100~300fsであり、例えば、100fs、140fs、180fs、220fs、260fsまたは300fsであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0049】
一実施形態において、ステップ(2)に記載のレーザー照射の深さは150μm以下であり、例えば、150μm、140μm、130μm、120μm、110μmまたは100μmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0050】
イオン注入またはレーザー照射の目的は、単結晶炭化珪素層内のイオン注入またはレーザー照射された表面から一定の深さの位置に弱化層を形成することである。
【0051】
一実施形態において、ステップ(2)に記載の結合の後に、結合界面層を取得する。
【0052】
一実施形態において、ステップ(2)に記載の結合の前に、結合待ち表面に対する前処理過程を更に含む。
【0053】
一実施形態において、前記前処理過程は、順次行われる研削および研磨を含む。
【0054】
一実施形態において、前記研磨後の結合待ち表面の粗度は0.05~0.5nmであり、例えば、0.05nm、0.1nm、0.2nm、0.3nm、0.4nmまたは0.5nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0055】
一実施形態において、ステップ(2)に記載の応力を加える方式は、熱処理または機械的分離を含む。
【0056】
一実施形態において、ステップ(2)に記載の応力を加える方式が熱処理である場合、熱処理の温度は700~1300℃であり、例えば、700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃、1200℃または1300℃であってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0057】
応力を加える目的は、単結晶炭化珪素層を前記弱化層に沿って裂開させ、前記単結晶炭化珪素層を回収待ち層と複合炭化珪素基板上の単結晶炭化珪素層との2つの部分に分けることである。
【0058】
一実施形態において、ステップ(3)に記載の熱処理の温度は1500~1900℃であり、例えば、1500℃、1600℃、1700℃、1800℃または1900℃であってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0059】
一実施形態において、ステップ(3)に記載の熱処理の時間は10~10000sであり、例えば、10s、100s、1000s、5000sまたは10000sであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0060】
ステップ(3)に記載の熱処理の目的は、結合界面層の損傷を修復し、結合界面層に導入された抵抗を減少または除去することである。
【0061】
本願のステップ(3)に記載の熱処理前に、表面のシリコンの昇華、蒸発を防止するために、公知の技術を用いて複合基板の表面に厚さが30~600nmの間にある1層の炭素膜またはダイヤモンドライク膜を堆積することができる。
【0062】
本願に係る数値範囲は、上記挙げられた点値を含むだけでなく、挙げられていない上記数値範囲間の任意の点値も含み、紙面の都合と簡明のために、本願では前記範囲に含まれる具体的な点値を網羅的に列挙しない。
【発明の効果】
【0063】
関連技術と比べ、本願は、以下の有益な効果を備える。
【0064】
(1)本願に係る複合炭化珪素基板は、結合界面層の抵抗を効果的に低減または除去することができる。
【0065】
(2)本願に係る複合炭化珪素基板において、前記炭化珪素支持層の2つの対向する表面にドープ炭化珪素層を同時に堆積することにより、堆積過程における基板の歪みを減少することができ、且つ、最終的な複合基板の炭化珪素支持層の裏面に存在する第2ドープ炭化珪素層は、その上で製造された裏面電極のオーミックコンタクト抵抗を更に低減することができる。
【0066】
(3)本願に係る複合炭化珪素基板における粗面化界面層は、複合基板のエピタキシャル成長過程における応力を吸収し、エピタキシャル成長における複合基板の歪みを減少し、エピタキシャル層の品質を向上させることができる。
【0067】
図面および詳細な説明を閲読して理解してから、他の態様も理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図面は、本稿の技術案に対する更なる理解を提供するためのものであり、明細書の一部を構成し、本願の実施例と共に本稿の技術案を解釈するために用いられ、本稿の技術案を限定するものではない。
【0069】
【
図1】本願の実施例1に係る複合炭化珪素基板の構造模式図である。
【
図2】本願の実施例2に係る複合炭化珪素基板の構造模式図である。
【
図3】本願の実施例1に係る前記複合炭化珪素基板の調製のフローチャートである。
【
図4】本願の実施例2に係る前記複合炭化珪素基板の調製のフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1…炭化珪素支持層;2…第1ドープ炭化珪素層;3…単結晶炭化珪素層;4…第2ドープ炭化珪素層;300…弱化層;31…回収待ち層。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下、具体的な実施形態により本願の技術案について更に説明する。当業者であれば、前記実施例は、本願の理解を補助するためのものに過ぎず、本願の具体的な制限と見なされるべきではないことを理解すべきである。
【実施例1】
【0072】
本実施例は、
図1に示す複合炭化珪素基板を提供し、前記複合炭化珪素基板は、単結晶炭化珪素層3および炭化珪素支持層1を含んだ。
【0073】
前記単結晶炭化珪素層3と炭化珪素支持層1との間に第1ドープ炭化珪素層2が設けられた。
【0074】
前記第1ドープ炭化珪素層2と単結晶炭化珪素層3との間に結合界面層が設けられた。
【0075】
前記第1ドープ炭化珪素層2のドープ濃度は1.2×1020/cm2であった。
【0076】
前記単結晶炭化珪素層の厚さは1.5μmであり、前記結合界面層の厚さは2nmであり、前記炭化珪素支持層の厚さは345μmであり、前記第1ドープ炭化珪素層の厚さは5μmであった。
【0077】
前記第1ドープ炭化珪素層内のドープ元素はNであり、前記単結晶炭化珪素層3の結晶型は4Hであり、前記炭化珪素支持層1は多結晶であり、結晶型が3Cであった。
【0078】
前記複合炭化珪素基板の直径は6インチであった。
【0079】
前記複合炭化珪素基板の調製方法において、複合炭化珪素基板の調製のフローチャートは、
図3に示し、具体的に、以下のステップを含んだ。
【0080】
ステップ(1)前記炭化珪素支持層1に第1ドープ炭化珪素層2を堆積して第1複合層を取得した。
ステップ(2)ステップ(1)で得られた第1複合層とイオン注入を経た単結晶炭化珪素層3とを互いに結合し、応力を加えた後に前記複合炭化珪素基板のアセンブリを取得した。
ステップ(3)ステップ(2)で得られた複合炭化珪素基板のアセンブリに対して1600℃で10~10000sの熱処理を行い、前記複合炭化珪素基板を取得した。
【0081】
ここで、ステップ(2)に記載のイオン注入過程において、単結晶炭化珪素層3内に弱化層300を形成した。応力を加えた後、単結晶炭化珪素層は前記弱化層300に沿って裂開し、前記単結晶炭化珪素層3を回収待ち層31と複合炭化珪素基板上の単結晶炭化珪素層との2つの部分に分け、前記イオン注入の深さは1.5μmであった。
【0082】
前記回収待ち層31は、回収再利用を行って上記複合基板の調製方法を繰り返すことができる。
【実施例2】
【0083】
本実施例は、
図2に示す複合炭化珪素基板を提供し、前記複合炭化珪素基板と実施例1との区別は、
本実施例では、前記炭化珪素支持層1の裏面に第2ドープ炭化珪素層4を堆積し、
前記第2ドープ炭化珪素層4の厚さが5μmであったことのみである。
【0084】
本実施例に係る複合炭化珪素基板の調製方法と実施例1との区別は、
図4に示すように、本実施例では、ステップ(1)に記載する、前記炭化珪素支持層1に第1ドープ炭化珪素層2を堆積するのを、前記炭化珪素支持層1に第1ドープ炭化珪素層2と第2ドープ炭化珪素層4とを同時に堆積するのに変更し、
前記第2ドープ炭化珪素層が前記炭化珪素支持層1の第1ドープ炭化珪素層2から遠い側に設けられたことのみである。
【実施例3】
【0085】
本実施例は、複合炭化珪素基板を提供し、前記複合炭化珪素基板と実施例1との区別は、
本実施例では、炭化珪素支持層1と第1ドープ炭化珪素層2との間に波状の粗面化界面層を設け、前記粗面化界面層の起伏高さが200nmであったことのみである。
【0086】
前記複合炭化珪素基板の調製方法と実施例1との区別は、
本実施例では、ステップ(1)に記載の堆積の前に、前記炭化珪素支持層1の堆積待ち表面に対して粗面化処理を行ったことのみである。
【実施例4】
【0087】
本実施例は、複合炭化珪素基板を提供し、前記複合炭化珪素基板と実施例2との区別は、
本実施例では、炭化珪素支持層1と第1ドープ炭化珪素層2および第2ドープ炭化珪素層4との間に、それぞれ独立して波状の粗面化界面層を設け、前記粗面化界面層の起伏高さが200nmであったことのみである。
【0088】
前記複合炭化珪素基板の調製方法と実施例2との区別は、
本実施例では、ステップ(1)に記載の堆積の前に、前記炭化珪素支持層1の堆積待ち表面に対して粗面化処理を行ったことのみである。
【比較例1】
【0089】
本比較例は、複合炭化珪素基板を提供し、前記複合炭化珪素基板と実施例1との区別は、
本比較例では、第1ドープ炭化珪素層2を省略し、前記炭化珪素支持層の厚さが350μmであったことのみである。
【0090】
前記単結晶炭化珪素層の厚さ、前記結合界面層の厚さは実施例1と同じであった。
【0091】
前記複合炭化珪素基板の調製方法と実施例1との区別は、
本比較例では、ステップ(1)に記載の堆積過程を省略したことのみである。
【0092】
性能テスト:
(1)実施例1~4および比較例1に係る複合炭化珪素基板の界面抵抗を比較した。
前記界面抵抗の測定方法は、以下のとおりである。複合炭化珪素基板の多結晶基板の表面に裏面電極を形成し、単結晶層の表面に直径0.3mmの円形の表面電極を形成した。表面電極と裏面電極との間に電圧Vを印加し、対応する電流Iを記録し、V-I曲線を取得し、抵抗値を算出した。
(2)型面品質を検出し、即ち、BOWおよびWARP値を検出し、前記BOWは型面屈曲度であり、前記WARP値は型面反り量であった。
実施例1~4および比較例1に係る複合基板のエピタキシャル過程における歪み量を比較し、エピタキシャル厚さは15μmであった。エピタキシャルの終了後に、エピタキシャル基板の型面を測定し、BOWおよびWARP値を取得し、エピタキシャル前の値と比較し、変化量絶対値を取得した。
【0093】
本願に係る性能検出の結果は、表1に示すとおりである。
【0094】
【0095】
表1を分析し、実施例1~2および比較例1の抵抗値の比較から分かるように、本願に係る複合炭化珪素基板におけるドープ炭化珪素層は、複合基板における結合界面の界面抵抗を効果的に低減するとともに、複合基板の裏面電極のオーミックコンタクト抵抗を低減することができる。
【0096】
実施例1と実施例3、実施例2と実施例4のBOWおよびWARP変化量絶対値の比較から分かるように、粗面化界面層は、エピタキシャル過程における複合基板の歪みを効果的に減少することができる。
【0097】
以上をまとめ、本願に係る複合炭化珪素基板は、複合基板における結合界面の界面抵抗を軽減または除去し、複合基板の裏面電極のオーミックコンタクト抵抗を低減し、エピタキシャル過程における複合基板の歪みを減少することができ、調製方法が簡便かつ効率的であり、制御性に優れている。
【0098】
以上に記載されたものは、本願の具体的な実施形態に過ぎないが、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者として分かるように、当業者が本願に掲げられた技術的範囲内に容易に想到可能な変更または置換は、全て本願の保護範囲および開示範囲内に含まれることを出願人より声明する。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体材料の技術分野に関し、例えば、炭化珪素基板、特に、複合炭化珪素基板およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素単結晶で作製されたデバイスは、耐高温、耐高圧、高周波、大電力、耐放射線、高効率等の利点を有し、RF、新エネルギー等の分野で重要な応用価値を持っている。
【0003】
炭化珪素単結晶基板の通常の製造方法は、物理気相輸送法で炭化珪素単結晶を成長させ、炭化珪素単結晶のインゴットを取得する工程と、インゴットの外周を加工して必要な直径および表面品質を取得してから、インゴットをスライスに切り、スライスを必要な厚さおよび平坦度に研削、研磨し、最終的な炭化珪素単結晶基板を取得する工程とを含む。物理気相輸送法で炭化珪素単結晶を成長させる効率が低いため、単一の炭化珪素単結晶基板のコストは高い。
【0004】
炭化珪素基板のコストを低減するために、当業者は、具体的に、価格が低い支持基板に1層の単結晶炭化珪素薄層を結合する複合基板構造を提出する。この態様は、単結晶炭化珪素薄層と支持基板との間に結合層を形成し、結合層の存在は、基板の垂直導電に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
結合界面の抵抗を軽減または除去するために、関連学者は、結合前に、2つの結合待ち表面に対してイオン注入を行って結合待ち表面付近のドープ濃度を高めてから、結合することを提出する。この態様は、結合界面の抵抗を効果的に低減することができるが、イオン注入工程を何度も行う必要があり、調製プロセスは複雑となる。
【0006】
以上をまとめ、結合界面の抵抗を軽減または除去することができ、調製プロセスが簡単かつ効率的な複合基板を提供することは、既に当分野で早急に解決すべき課題の1つとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下は、本稿を詳細に説明する主題についての概要である。本概要は、特許請求の範囲を制限するものではない。
【0008】
本願は、複合炭化珪素基板およびその調製方法を提供し、前記複合炭化珪素基板は、結合界面の抵抗を軽減または除去することができ、調製方法が簡便かつ効率的であり、制御性に優れている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
態様1において、本願は、
単結晶炭化珪素層および炭化珪素支持層を含み、
前記単結晶炭化珪素層と炭化珪素支持層との間に第1ドープ炭化珪素層が設けられ、
前記第1ドープ炭化珪素層と単結晶炭化珪素層との間に結合界面層が設けられ、
前記第1ドープ炭化珪素層のドープ濃度は1×1019
/cm
3
以上であり、例えば、1×1019
/cm
3
、5×1019
/cm
3
、1×1020
/cm
3
、4×1020
/cm
3
、8×1020
/cm
3
または1×1021
/cm
3
であってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される、
複合炭化珪素基板を提供する。
【0010】
本願に係る複合炭化珪素基板は、ドープ炭化珪素層を増加することにより、結合界面層の抵抗を更に軽減または除去し、該基板で製造された半導体デバイスの界面の導通損失および発熱を減少する。
【0011】
本願に係る第1ドープ炭化珪素層のドープ濃度は1×1019
/cm
3
以上であり、ドープ濃度が低すぎると、第1ドープ層は、結合界面層の抵抗を効果的に軽減または除去することができない。
【0012】
本願に係る単結晶炭化珪素層は高品質の炭化珪素層であり、前記炭化珪素支持層は低品質の炭化珪素層であり、前記高品質と低品質との区別は、炭化珪素結晶におけるマイクロパイプ、転位、炭素被覆等の欠陥密度であり、高品質の炭化珪素層中の欠陥密度は低品質の炭化珪素層よりも小さい。前記炭化珪素支持層は多結晶であってもよい。低品質の炭化珪素層を採用することにより、品質を著しく低減させることなく、複合基板のトータルコストを低減することができる。
【0013】
本願の好ましい技術案として、前記炭化珪素支持層の単結晶炭化珪素層から遠い側に第2ドープ炭化珪素層が設けられる。
【0014】
本願に係る炭化珪素支持層の2つの対向面の表面には、いずれもドープ炭化珪素層が堆積されることが可能である。対向する2つの表面(正面および裏面)にドープ炭化珪素層を同時に堆積することにより、堆積過程における基板の歪みを減少することができ、且つ、最終的な複合基板の炭化珪素支持層の裏面に1層のドープ炭化珪素層が存在し、その上で製造された裏面電極のオーミックコンタクト抵抗を更に低減することができる。
【0015】
一実施形態において、前記炭化珪素支持層と第1ドープ炭化珪素層および/または第2ドープ炭化珪素層との間に粗面化界面層が設けられる。
【0016】
本願に係る粗面化界面層は、複合基板のエピタキシャル成長過程における応力を吸収し、エピタキシャル成長における複合基板の歪みを減少し、エピタキシャル層の品質を向上させることができる。
【0017】
一実施形態において、前記粗面化界面層の形状は起伏状および/または波状を含む。
【0018】
一実施形態において、前記粗面化界面層の起伏高さは3~500nmであり、例えば、3nm、5nm、10nm、100nm、200nm、300nm、400nmまたは500nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0019】
一実施形態において、前記単結晶炭化珪素層の厚さは0.1~10μmであり、例えば、0.1μm、1μm、2μm、4μm、6μm、8μmまたは10μmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0020】
一実施形態において、前記結合界面層の厚さは0.5~5nmであり、例えば、0.5nm、1nm、2nm、3nm、4nmまたは5nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0021】
一実施形態において、前記炭化珪素支持層の厚さは200~1000μmであり、例えば、200μm、400μm、600μm、800μmまたは1000μmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0022】
一実施形態において、前記第1ドープ炭化珪素層の厚さは5~50000nmであり、例えば、5nm、100nm、1000nm、10000nm、20000nm、30000nm、40000nmまたは50000nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0023】
一実施形態において、前記第2ドープ炭化珪素層の厚さは5~50000nmであり、例えば、5nm、100nm、1000nm、10000nm、20000nm、30000nm、40000nmまたは50000nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0024】
本願は、前記複合基板における各層の厚さに対していずれも制限がある。
【0025】
単結晶炭化珪素層の厚さが0.1μmよりも低い場合、厚さが小さすぎると、厚さ均一性の制御の困難性およびコストが増加し、単結晶炭化珪素層の厚さが10μmよりも大きい場合、厚さが大きすぎると、高品質の単結晶材料の使用量が増加し、コストが増加する。
【0026】
結合界面層の厚さが0.5nmよりも小さい場合、厚さが小さすぎると、製造の困難性およびコストが増加し、結合界面層の厚さが5nmよりも大きい場合、厚さが大きすぎると、結合界面層の抵抗が増加し、該基板で製造された半導体デバイスの性能に影響を及ぼす。
【0027】
炭化珪素支持層の厚さが200μmよりも小さい場合、厚さが小さすぎると、支持層は変形しやすくなり、良好な支持作用を果たすことができず、炭化珪素支持層の厚さが1000μmよりも大きい場合、厚さが大きすぎると、炭化珪素材料の使用量が増加し、コストが増加する。
【0028】
第1/第2ドープ炭化珪素層の厚さが5nmよりも小さい場合、厚さが小さすぎると、第1ドープ層は結合界面層の抵抗を効果的に軽減または除去することができず、第2ドープ層は裏面電極のオーミックコンタクト抵抗を効果的に低減することができず、第1/第2ドープ炭化珪素層の厚さが50000nmよりも大きい場合、厚さが大きすぎると、製造に必要な時間が増加し、コストが増加する。
【0029】
一実施形態において、前記第2ドープ炭化珪素層のドープ濃度は1×1019
/cm
3
以上であり、例えば、1×1019
/cm
3
、5×1019
/cm
3
、1×1020
/cm
3
、4×1020
/cm
3
、8×1020
/cm
3
または1×1021
/cm
3
であってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0030】
一実施形態において、前記第1ドープ炭化珪素層および第2ドープ炭化珪素層におけるドープ元素は、B、N、PまたはAlのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、典型的な組み合わせは、BとNとの組み合わせ、BとPとの組み合わせ、BとAlとの組み合わせ、BとNとPとの組み合わせ、PとNとAlとの組み合わせ、またはBとNとPとAlとの組み合わせを含むが、これに制限的なものではない。
【0031】
一実施形態において、前記単結晶炭化珪素層の結晶型は4H、6Hまたは3Cのうちのいずれか1種であり、4Hであることが好ましい。
【0032】
一実施形態において、前記炭化珪素支持層の結晶型は4H、6Hまたは3Cのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、典型的な組み合わせは、4Hと6Hとの組み合わせ、4Hと3Cとの組み合わせ、6Hと3Cとの組み合わせ、または4Hと6Hと3Cとの組み合わせを含むが、これに制限的なものではない。
【0033】
一実施形態において、前記炭化珪素支持層のドープ濃度は1×1017
/cm
3
以上であり、例えば、1×1017
/cm
3
、3×1017
/cm
3
、7×1017
/cm
3
、1×1018
/cm
3
、5×1018
/cm
3
、または9×1018
/cm
3
であってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0034】
一実施形態において、前記複合炭化珪素基板の直径は2~8インチであり、例えば、2インチ、4インチ、6インチまたは8インチであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0035】
態様2において、本願は、
前記炭化珪素支持層に第1ドープ炭化珪素層を堆積して第1複合層を取得するステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた第1複合層とイオン注入またはレーザー照射を経た単結晶炭化珪素層とを互いに結合し、応力を加えた後に複合炭化珪素基板のアセンブリを取得するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた複合炭化珪素基板のアセンブリを熱処理して複合炭化珪素基板を取得するステップ(3)と、を含む、
態様1に記載の複合炭化珪素基板の調製方法を提供する。
【0036】
一実施形態において、ステップ(1)に記載の堆積は、化学気相成長または液相エピタキシャルを含む。
【0037】
本願に係る化学気相成長は、反応ガスを用いて高温の反応室で反応させることで、低品質の炭化珪素基板の表面にハイドープ炭化珪素層を成長させる。反応ガスは、少なくともケイ素源ガス、炭素源ガスおよびドープガスを含み、ケイ素源ガスは、シラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランまたはジクロロシランのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであってもよく、炭素源ガスは、エチレン、プロパンまたはアセチレンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであってもよく、ドープガスは、一般的に窒素ガスである。
【0038】
前記液相エピタキシャル法は、以下のとおりである。シリコン含有助溶剤を黒鉛ルツボに入れ、助溶剤を加熱溶融し、黒鉛ルツボ内の炭素を助溶剤に溶解させ、その後、低品質の炭化珪素基板の表面を助溶剤溶液と接触させるか、または浸し込み、炭化珪素基板の表面の過冷却により、炭素は炭化珪素基板の固液界面に析出し、助溶剤内のシリコンと結び合ってハイドープ炭化珪素層を形成する。ドープは、反応室に窒素ガスを通気することで実現してもよいし、助溶剤にAl等の金属元素を加えることで実現してもよい。
【0039】
一実施形態において、ステップ(1)に記載の堆積は、前記炭化珪素支持層の第1ドープ炭化珪素層から遠い側に第2ドープ炭化珪素層を堆積することを更に含む。
【0040】
一実施形態において、ステップ(1)に記載の堆積前に、粗面化処理を更に含む。
【0041】
一実施形態において、前記粗面化処理は、化学エッチングおよび/またはプラズマエッチングを含む。
【0042】
本願に係る化学エッチングはウェットエッチングである。
【0043】
一実施形態において、前記粗面化処理後の表面の起伏高さは3~500nmであり、例えば、3nm、5nm、10nm、100nm、200nm、300nm、400nmまたは500nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0044】
一実施形態において、ステップ(2)に記載のイオン注入に用いられるイオンは、水素イオンおよび/またはヘリウムイオンを含む。
【0045】
一実施形態において、前記イオン注入の深さは5μm以下であり、例えば、5μm、4μm、3μm、2μmまたは1μmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0046】
一実施形態において、ステップ(2)に記載のレーザー照射に用いられるレーザーはパルスレーザーを含む。
【0047】
一実施形態において、前記パルスレーザーは、固体レーザーまたはファイバレーザーを含む。
【0048】
一実施形態において、ステップ(2)に記載のレーザー照射のパルス幅は100~300fsであり、例えば、100fs、140fs、180fs、220fs、260fsまたは300fsであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0049】
一実施形態において、ステップ(2)に記載のレーザー照射の深さは150μm以下であり、例えば、150μm、140μm、130μm、120μm、110μmまたは100μmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0050】
イオン注入またはレーザー照射の目的は、単結晶炭化珪素層内のイオン注入またはレーザー照射された表面から一定の深さの位置に弱化層を形成することである。
【0051】
一実施形態において、ステップ(2)に記載の結合の後に、結合界面層を取得する。
【0052】
一実施形態において、ステップ(2)に記載の結合の前に、結合待ち表面に対する前処理過程を更に含む。
【0053】
一実施形態において、前記前処理過程は、順次行われる研削および研磨を含む。
【0054】
一実施形態において、前記研磨後の結合待ち表面の粗度は0.05~0.5nmであり、例えば、0.05nm、0.1nm、0.2nm、0.3nm、0.4nmまたは0.5nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0055】
一実施形態において、ステップ(2)に記載の応力を加える方式は、熱処理または機械的分離を含む。
【0056】
一実施形態において、ステップ(2)に記載の応力を加える方式が熱処理である場合、熱処理の温度は700~1300℃であり、例えば、700℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃、1200℃または1300℃であってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0057】
応力を加える目的は、単結晶炭化珪素層を前記弱化層に沿って裂開させ、前記単結晶炭化珪素層を回収待ち層と複合炭化珪素基板上の単結晶炭化珪素層との2つの部分に分けることである。
【0058】
一実施形態において、ステップ(3)に記載の熱処理の温度は1500~1900℃であり、例えば、1500℃、1600℃、1700℃、1800℃または1900℃であってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0059】
一実施形態において、ステップ(3)に記載の熱処理の時間は10~10000sであり、例えば、10s、100s、1000s、5000sまたは10000sであってもよいが、列挙された数値に限定されず、数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0060】
ステップ(3)に記載の熱処理の目的は、結合界面層の損傷を修復し、結合界面層に導入された抵抗を減少または除去することである。
【0061】
本願のステップ(3)に記載の熱処理前に、表面のシリコンの昇華、蒸発を防止するために、公知の技術を用いて複合基板の表面に厚さが30~600nmの間にある1層の炭素膜またはダイヤモンドライク膜を堆積することができる。
【0062】
本願に係る数値範囲は、上記挙げられた点値を含むだけでなく、挙げられていない上記数値範囲間の任意の点値も含み、紙面の都合と簡明のために、本願では前記範囲に含まれる具体的な点値を網羅的に列挙しない。
【発明の効果】
【0063】
関連技術と比べ、本願は、以下の有益な効果を備える。
【0064】
(1)本願に係る複合炭化珪素基板は、結合界面層の抵抗を効果的に低減または除去することができる。
【0065】
(2)本願に係る複合炭化珪素基板において、前記炭化珪素支持層の2つの対向する表面にドープ炭化珪素層を同時に堆積することにより、堆積過程における基板の歪みを減少することができ、且つ、最終的な複合基板の炭化珪素支持層の裏面に存在する第2ドープ炭化珪素層は、その上で製造された裏面電極のオーミックコンタクト抵抗を更に低減することができる。
【0066】
(3)本願に係る複合炭化珪素基板における粗面化界面層は、複合基板のエピタキシャル成長過程における応力を吸収し、エピタキシャル成長における複合基板の歪みを減少し、エピタキシャル層の品質を向上させることができる。
【0067】
図面および詳細な説明を閲読して理解してから、他の態様も理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図面は、本稿の技術案に対する更なる理解を提供するためのものであり、明細書の一部を構成し、本願の実施例と共に本稿の技術案を解釈するために用いられ、本稿の技術案を限定するものではない。
【0069】
【
図1】本願の実施例1に係る複合炭化珪素基板の構造模式図である。
【
図2】本願の実施例2に係る複合炭化珪素基板の構造模式図である。
【
図3】本願の実施例1に係る前記複合炭化珪素基板の調製のフローチャートである。
【
図4】本願の実施例2に係る前記複合炭化珪素基板の調製のフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1…炭化珪素支持層;2…第1ドープ炭化珪素層;3…単結晶炭化珪素層;4…第2ドープ炭化珪素層;300…弱化層;31…回収待ち層。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下、具体的な実施形態により本願の技術案について更に説明する。当業者であれば、前記実施例は、本願の理解を補助するためのものに過ぎず、本願の具体的な制限と見なされるべきではないことを理解すべきである。
【実施例1】
【0072】
本実施例は、
図1に示す複合炭化珪素基板を提供し、前記複合炭化珪素基板は、単結晶炭化珪素層3および炭化珪素支持層1を含んだ。
【0073】
前記単結晶炭化珪素層3と炭化珪素支持層1との間に第1ドープ炭化珪素層2が設けられた。
【0074】
前記第1ドープ炭化珪素層2と単結晶炭化珪素層3との間に結合界面層が設けられた。
【0075】
前記第1ドープ炭化珪素層2のドープ濃度は1.2×1020
/cm
3
であった。
【0076】
前記単結晶炭化珪素層の厚さは1.5μmであり、前記結合界面層の厚さは2nmであり、前記炭化珪素支持層の厚さは345μmであり、前記第1ドープ炭化珪素層の厚さは5μmであった。
【0077】
前記第1ドープ炭化珪素層内のドープ元素はNであり、前記単結晶炭化珪素層3の結晶型は4Hであり、前記炭化珪素支持層1は多結晶であり、結晶型が3Cであった。
【0078】
前記複合炭化珪素基板の直径は6インチであった。
【0079】
前記複合炭化珪素基板の調製方法において、複合炭化珪素基板の調製のフローチャートは、
図3に示し、具体的に、以下のステップを含んだ。
【0080】
ステップ(1)前記炭化珪素支持層1に第1ドープ炭化珪素層2を堆積して第1複合層を取得した。
ステップ(2)ステップ(1)で得られた第1複合層とイオン注入を経た単結晶炭化珪素層3とを互いに結合し、応力を加えた後に前記複合炭化珪素基板のアセンブリを取得した。
ステップ(3)ステップ(2)で得られた複合炭化珪素基板のアセンブリに対して1600℃で10~10000sの熱処理を行い、前記複合炭化珪素基板を取得した。
【0081】
ここで、ステップ(2)に記載のイオン注入過程において、単結晶炭化珪素層3内に弱化層300を形成した。応力を加えた後、単結晶炭化珪素層は前記弱化層300に沿って裂開し、前記単結晶炭化珪素層3を回収待ち層31と複合炭化珪素基板上の単結晶炭化珪素層との2つの部分に分け、前記イオン注入の深さは1.5μmであった。
【0082】
前記回収待ち層31は、回収再利用を行って上記複合基板の調製方法を繰り返すことができる。
【実施例2】
【0083】
本実施例は、
図2に示す複合炭化珪素基板を提供し、前記複合炭化珪素基板と実施例1との区別は、
本実施例では、前記炭化珪素支持層1の裏面に第2ドープ炭化珪素層4を堆積し、
前記第2ドープ炭化珪素層4の厚さが5μmであったことのみである。
【0084】
本実施例に係る複合炭化珪素基板の調製方法と実施例1との区別は、
図4に示すように、本実施例では、ステップ(1)に記載する、前記炭化珪素支持層1に第1ドープ炭化珪素層2を堆積するのを、前記炭化珪素支持層1に第1ドープ炭化珪素層2と第2ドープ炭化珪素層4とを同時に堆積するのに変更し、
前記第2ドープ炭化珪素層が前記炭化珪素支持層1の第1ドープ炭化珪素層2から遠い側に設けられたことのみである。
【実施例3】
【0085】
本実施例は、複合炭化珪素基板を提供し、前記複合炭化珪素基板と実施例1との区別は、
本実施例では、炭化珪素支持層1と第1ドープ炭化珪素層2との間に波状の粗面化界面層を設け、前記粗面化界面層の起伏高さが200nmであったことのみである。
【0086】
前記複合炭化珪素基板の調製方法と実施例1との区別は、
本実施例では、ステップ(1)に記載の堆積の前に、前記炭化珪素支持層1の堆積待ち表面に対して粗面化処理を行ったことのみである。
【実施例4】
【0087】
本実施例は、複合炭化珪素基板を提供し、前記複合炭化珪素基板と実施例2との区別は、
本実施例では、炭化珪素支持層1と第1ドープ炭化珪素層2および第2ドープ炭化珪素層4との間に、それぞれ独立して波状の粗面化界面層を設け、前記粗面化界面層の起伏高さが200nmであったことのみである。
【0088】
前記複合炭化珪素基板の調製方法と実施例2との区別は、
本実施例では、ステップ(1)に記載の堆積の前に、前記炭化珪素支持層1の堆積待ち表面に対して粗面化処理を行ったことのみである。
【比較例1】
【0089】
本比較例は、複合炭化珪素基板を提供し、前記複合炭化珪素基板と実施例1との区別は、
本比較例では、第1ドープ炭化珪素層2を省略し、前記炭化珪素支持層の厚さが350μmであったことのみである。
【0090】
前記単結晶炭化珪素層の厚さ、前記結合界面層の厚さは実施例1と同じであった。
【0091】
前記複合炭化珪素基板の調製方法と実施例1との区別は、
本比較例では、ステップ(1)に記載の堆積過程を省略したことのみである。
【0092】
性能テスト:
(1)実施例1~4および比較例1に係る複合炭化珪素基板の界面抵抗を比較した。
前記界面抵抗の測定方法は、以下のとおりである。複合炭化珪素基板の多結晶基板の表面に裏面電極を形成し、単結晶層の表面に直径0.3mmの円形の表面電極を形成した。表面電極と裏面電極との間に電圧Vを印加し、対応する電流Iを記録し、V-I曲線を取得し、抵抗値を算出した。
(2)型面品質を検出し、即ち、BOWおよびWARP値を検出し、前記BOWは型面屈曲度であり、前記WARP値は型面反り量であった。
実施例1~4および比較例1に係る複合基板のエピタキシャル過程における歪み量を比較し、エピタキシャル厚さは15μmであった。エピタキシャルの終了後に、エピタキシャル基板の型面を測定し、BOWおよびWARP値を取得し、エピタキシャル前の値と比較し、変化量絶対値を取得した。
【0093】
本願に係る性能検出の結果は、表1に示すとおりである。
【0094】
【0095】
表1を分析し、実施例1~2および比較例1の抵抗値の比較から分かるように、本願に係る複合炭化珪素基板におけるドープ炭化珪素層は、複合基板における結合界面の界面抵抗を効果的に低減するとともに、複合基板の裏面電極のオーミックコンタクト抵抗を低減することができる。
【0096】
実施例1と実施例3、実施例2と実施例4のBOWおよびWARP変化量絶対値の比較から分かるように、粗面化界面層は、エピタキシャル過程における複合基板の歪みを効果的に減少することができる。
【0097】
以上をまとめ、本願に係る複合炭化珪素基板は、複合基板における結合界面の界面抵抗を軽減または除去し、複合基板の裏面電極のオーミックコンタクト抵抗を低減し、エピタキシャル過程における複合基板の歪みを減少することができ、調製方法が簡便かつ効率的であり、制御性に優れている。
【0098】
以上に記載されたものは、本願の具体的な実施形態に過ぎないが、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者として分かるように、当業者が本願に掲げられた技術的範囲内に容易に想到可能な変更または置換は、全て本願の保護範囲および開示範囲内に含まれることを出願人より声明する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶炭化珪素層および炭化珪素支持層を含み、
前記単結晶炭化珪素層と炭化珪素支持層との間に第1ドープ炭化珪素層が設けられ、
前記第1ドープ炭化珪素層と単結晶炭化珪素層との間に結合界面層が設けられ、
前記第1ドープ炭化珪素層のドープ濃度は1×10
19
/cm
3
以上である、
複合炭化珪素基板。
【請求項2】
前記炭化珪素支持層の単結晶炭化珪素層から遠い側に第2ドープ炭化珪素層が設けられ、
前記炭化珪素支持層と第1ドープ炭化珪素層および/または第2ドープ炭化珪素層との間に粗面化界面層が設けられ、
前記粗面化界面層の形状は起伏状および/または波状を含み、
前記粗面化界面層の起伏高さは3~500nmである、
請求項1に記載の複合炭化珪素基板。
【請求項3】
前記単結晶炭化珪素層の厚さは0.1~10μmであり、
前記結合界面層の厚さは0.5~5nmであり、
前記炭化珪素支持層の厚さは200~1000μmであり、
前記第1ドープ炭化珪素層の厚さは5~50000nmであり、
前記第2ドープ炭化珪素層の厚さは5~50000nmである、
請求項2に記載の複合炭化珪素基板。
【請求項4】
前記第1ドープ炭化珪素層および第2ドープ炭化珪素層のドープ元素は、B、N、PまたはAlのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、
前記単結晶炭化珪素層の結晶型は4H、6Hまたは3Cのうちのいずれか1種であり、
前記炭化珪素支持層の結晶型は4H、6Hまたは3Cのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせであり、
前記炭化珪素支持層のドープ濃度は1×10
17
/cm
3
以上であり、
前記複合炭化珪素基板の直径は2~8インチである、
請求項3に記載の複合炭化珪素基板。
【請求項5】
前記炭化珪素支持層に第1ドープ炭化珪素層を堆積して第1複合層を取得するステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた第1複合層とイオン注入またはレーザー照射を経た単結晶炭化珪素層とを互いに結合し、応力を加えた後に複合炭化珪素基板のアセンブリを取得するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた複合炭化珪素基板のアセンブリを熱処理して前記複合炭化珪素基板を取得するステップ(3)と、を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の複合炭化珪素基板の調製方法。
【請求項6】
ステップ(1)に記載の堆積は、化学気相成長または液相エピタキシャルを含み、
ステップ(1)に記載の堆積は、前記炭化珪素支持層の第1ドープ炭化珪素層から遠い側に第2ドープ炭化珪素層を堆積することを更に含む、
請求項5に記載の調製方法。
【請求項7】
ステップ(1)に記載の堆積前に、粗面化処理を更に含み、
前記粗面化処理は、化学エッチングおよび/またはプラズマエッチングを含み、
前記粗面化処理後の表面の起伏高さは3~500nmである、
請求項5に記載の調製方法。
【請求項8】
ステップ(2)に記載のイオン注入に用いられるイオンは、水素イオンおよび/またはヘリウムイオンを含み、
前記イオン注入の深さは5μm以下であり、
ステップ(2)に記載のレーザー照射に用いられるレーザーはパルスレーザーを含み、
前記パルスレーザーは、固体レーザーまたはファイバレーザーを含み、
ステップ(2)に記載のレーザー照射のパルス幅は100~300fsであり、
ステップ(2)に記載のレーザー照射の深さは150μm以下である、
請求項5に記載の調製方法。
【請求項9】
ステップ(2)に記載の結合の後に、結合界面層を取得し、
ステップ(2)に記載の結合の前に、結合待ち表面に対する前処理過程を更に含み、
前記前処理過程は、順次行われる研削および研磨を含み、
前記研磨後の結合待ち表面の粗度は0.05~0.5nmである、
請求項5に記載の調製方法。
【請求項10】
ステップ(2)に記載の応力を加える方式は、熱処理または機械的分離を含み、
ステップ(2)に記載の応力を加える方式が熱処理である場合、熱処理の温度は700~1300℃であり、
ステップ(3)に記載の熱処理の温度は1500~1900℃であり、
ステップ(3)に記載の熱処理の時間は10~10000sである、
請求項5に記載の調製方法。
【国際調査報告】