(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】エアロゾル生成デバイスのための加熱装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20250123BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20250123BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20250123BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20250123BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20250123BHJP
A24D 3/17 20200101ALI20250123BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
A24F40/40
A24F40/42
A24D1/20
A24D3/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531171
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2023052165
(87)【国際公開番号】W WO2023144375
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤラーマン, マシュー
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AB11
4B045AB16
4B045BB07
4B045BC24
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC10
4B162AC12
4B162AC14
4B162AC22
4B162AC34
(57)【要約】
エアロゾル生成デバイス(2)のための加熱装置(120)が開示される。この加熱装置は、断熱材料(134)を含む第1の断熱体(132)と、内側壁(146)及び外側壁(148)を含む第2の断熱体(144)と、主長手方向軸を有し、エアロゾル形成物質(12)を受け入れ可能な開口(140)を含むキャビティ(142)であって、第1の断熱体及び第2の断熱体の半径方向内側に画定され、第1の断熱体は、少なくとも3ミリメートルの長さを含み、主長手方向軸に沿ってキャビティの第1の部分を取り囲み、第2の断熱体は、第1の部分に対して少なくとも部分的に離れているキャビティの第2の部分を取り囲み、キャビティの第1の部分は、キャビティの開口と第2の部分との間に位置する、当該キャビティ(142)と、第2の断熱体の外側壁に対して半径方向内側に位置し、キャビティ内に受け入れられたエアロゾル形成物質に熱を提供するように構成されるヒータ(122)と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成デバイスのための加熱装置であって、
断熱材料を含む第1の断熱体と、
内側壁及び外側壁を含む第2の断熱体と、
主長手方向軸を有し、エアロゾル形成物質を受け入れ可能な開口を含むキャビティであって、前記第1の断熱体及び前記第2の断熱体の半径方向内側に画定され、前記第1の断熱体は、少なくとも3ミリメートルの長さを含み、前記主長手方向軸に沿って前記キャビティの第1の部分を取り囲み、前記第2の断熱体は、前記第1の部分に対して少なくとも部分的に離れている前記キャビティの第2の部分を取り囲み、前記キャビティの前記第1の部分は、前記キャビティの前記開口と前記第2の部分との間に位置する、前記キャビティと、
前記第2の断熱体の前記外側壁に対して半径方向内側に位置し、前記キャビティ内に受け入れられたエアロゾル形成物質に熱を提供するように構成されるヒータと、
を含む加熱装置。
【請求項2】
前記第2の断熱体は、真空の断熱体であり、及び前記真空は、前記内側壁と前記外側壁との間に封入される、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記第2の断熱体は、前記内側壁と前記外側壁との間の断熱材料を含む、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記断熱材料は、空気、エアロゲル材料、粉末又は繊維状断熱材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記ヒータは、前記第2の断熱体の前記内側壁上で前記内側壁と前記外側壁との間に設けられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記ヒータと前記内側壁との間に設けられた電気絶縁層をさらに含む、請求項5に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記第2の断熱体は、前記キャビティの端部を画定する、請求項1~6のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記ヒータは、カップ状であり、前記キャビティの端部を画定する、請求項1~7のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記キャビティの前記端部は、前記キャビティ内への空気の流れを可能にする1つ以上の穴を含む、請求項7又は8に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記第2の断熱体の前記外側壁は、ステンレス鋼などの金属及び/又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのプラスチックを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項11】
前記ヒータは、抵抗ヒータである、請求項1~10のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項12】
前記ヒータを電源に接続するように構成される1つ以上のワイヤを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項13】
ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するように構成されるエアロゾル生成デバイスであって、上述した加熱装置を含むエアロゾル生成デバイス。
【請求項14】
請求項1~12に記載の加熱装置への挿入のためのエアロゾル形成消耗品であって、
フィルタと、
エアロゾル形成物質と、
前記フィルタと前記エアロゾル形成物質との間に所定の空隙を設けるように前記フィルタ及び前記エアロゾル形成物質を保持するように配置される包装材料と、
を含むエアロゾル形成消耗品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成デバイスのための加熱装置及び加熱装置を含むエアロゾル生成デバイスに関する。本開示は、詳細には、自己完結型及び低温であり得る携帯型エアロゾル生成デバイスに適用可能である。特に、本発明は、真空チャンバ又は断熱チャンバ内に配置されたヒータを有するエアロゾル生成デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
タバコを含む固体又は半固体のエアロゾル形成基材を、燃やすのではなく、加熱する電子タバコを製造することは、関心が高まっている分野である。これらのデバイスは、通常、加熱チャンバ内にタバコのロッドを受け入れる。ロッドは、加熱されてエアロゾルを放出し、ユーザは、このエアロゾルを吸入することができる。これらのデバイスにおける問題の1つは、加熱チャンバに熱を供給するヒータがデバイスの残りの部分も望ましくなく加熱し得ることである。小型のデバイスでは、これは、不利であるかもしれず、なぜなら、ユーザが保持するデバイスの外側表面の温度が許容できないほど高くなり得るためである。これらの作用を緩和するために、一部のエアロゾル生成デバイスでは、ヒータを外側表面から間隔をおいて配置することができる真空チャンバが設けられている。これにより、加熱チャンバと、ユーザが保持する外側表面との間に熱分離を提供することができる。
【0003】
そのようなエアロゾル生成デバイス内において、デバイスの電池寿命を延ばすことができるように、加熱動作の効率を向上させることが望ましい。この目的を達成するために、エアロゾル基材を内部で加熱するキャビティ(空洞)を熱的に絶縁するために、エアロゾル生成デバイス内に真空断熱体を組み込み、それにより外部環境への熱損失を制限している。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、加熱効率をさらに向上させ、且つ望ましくない熱損失を低減することである。
【0005】
本発明の一態様によれば、エアロゾル生成デバイスのための加熱装置であって、断熱材料を含む第1の断熱体と、内側壁及び外側壁を含む第2の断熱体と、主長手方向軸を有し、エアロゾル形成物質を受け入れ可能な開口を含むキャビティであって、第1の断熱体及び第2の断熱体の半径方向内側に画定され、第1の断熱体は、少なくとも3ミリメートルの長さを含み、主長手方向軸に沿ってキャビティの第1の部分を取り囲み、第2の断熱体は、第1の部分に対して少なくとも部分的に離れているキャビティの第2の部分を取り囲み、キャビティの第1の部分は、キャビティの開口と第2の部分との間に位置する、キャビティと、第2の断熱体の外側壁に対して半径方向内側に位置し、キャビティ内に受け入れられたエアロゾル形成物質に熱を提供するように構成されるヒータと、を含む加熱装置が提供される。
【0006】
このようにして、開口から遠位の位置にあるキャビティの第2の部分で加熱を提供することができる。有利には、加熱装置内の加熱エリア(又はヒータカップのかさ)がより小さい/短いと、ヒータの加熱時間が改善し、エネルギー消費が低減することが判明した。ヒータをキャビティ内部のより深い位置に配置すると、加熱エリアが効果的に短くなり、且つ加熱エリアをキャビティの開口から離すことになる。
【0007】
第1の断熱体は、主長手方向軸に沿って少なくとも3ミリメートル(mm)の長さを有する。この長さは、3mm超、例えば5mm、10mm、15mm、20mm以上であってもよい。理解されるように、この長さが長くなるほど、ヒータがキャビティ内でより深くに位置する。
【0008】
さらに、第1の断熱体は、加熱エリアの上側端部(キャビティの開口に向かうヒータの端部)と、キャビティ、即ち加熱装置が設けられるエアロゾル生成デバイスの外側表面の開口との間に断熱領域又は長さ(即ち空間又は空隙)を提供する。キャビティの第2の部分を取り囲む第2の断熱体は、第1の部分に対して少なくとも部分的に離れている。これにより、第2の断熱体から第1の部分/断熱体への熱伝達が効果的に不連続になることが保証される。第2の断熱体の内側壁は、金属表面を含んで、ヒータからキャビティへの効果的な熱伝達を可能にし得る。第2の断熱体と第1の断熱体との間に不連続性を設けると、キャビティの第2の部分における熱の生成及び伝達が効果的に制御されることが確実になる。第1の断熱体は、開口に向かう熱の伝導を防止するために断熱材料で充填され、キャビティに挿入されたエアロゾル形成消耗品の支持体として機能するように成形され得る。これにより、開口の位置における加熱デバイスの温度を有利に下げることができる。第1の断熱体は、非金属の断熱材料で作られる外側ケーシングを含み得る。これにより、第1の断熱体と第2の断熱体及び/又はヒータとの間の伝導を介した熱伝達がさらに防止される。
【0009】
第2の断熱体は、真空の断熱体であり、内側壁と外側壁との間に真空が封入されることが好ましい。第2の断熱体は、内側壁及び外側壁がキャビティ(内側壁の近位)からそれぞれの外側壁への熱伝達又は熱損失を防ぐように構成される点で二重壁の断熱体であるとみなされてもよい。
【0010】
代替的に、第2の断熱体は、内側壁と外側壁との間の断熱材料を含んでもよい。断熱材料は、空気、エアロゲル材料、粉末又は繊維状断熱材料のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。他の断熱材料が当業者に明らかであろう。
【0011】
ヒータは、第2の断熱体の内側壁上で内側壁と外側壁との間に設けられることが好ましい。第2の断熱体の内側壁は、キャビティの第2の部分の壁を画定し得る。
【0012】
加熱装置は、ヒータと内側壁との間に設けられた電気絶縁層をさらに含むことが好ましい。このようにして、デバイスの安全性を高めることができ、なぜなら、加熱装置又はエアロゾル生成デバイスの他のコンポーネントへの電気伝導が回避され得るためである。電気絶縁層は、内部壁上に堆積された材料の層として設けられてもよい。代替的に、この層は、ヒータ上の部分的な又は完全なコーティングとして設けられてもよい。
【0013】
第2の断熱体がキャビティの端部を画定することが好ましい。このようにして、第2の断熱体は、受け入れられたエアロゾル形成消耗品が当接するキャビティの端部を提供する。この端部は、キャビティの閉鎖端部であってもよく、それにより空気の流れのため及びエアロゾル形成消耗品を挿入するための単一の開口が存在し、この場合、第2の断熱体は、実質的にカップ状であってもよい。代替的に、第2の部分の端部は、キャビティ内への空気の流れを可能にする1つ以上の穴を含む。
【0014】
ヒータは、カップ状であり、且つキャビティの端部を画定することが好ましい。このようにして、ヒータは、受け入れられたエアロゾル形成消耗品が当接するキャビティの端部を提供する。このようにして、ヒータは、空気の流れのため及びエアロゾル形成消耗品を挿入するための単一の開口が存在するように閉鎖端部を有し得る。代替的に、第2の部分の端部は、キャビティ内への空気の流れを可能にするための1つ以上の穴を含む。
【0015】
キャビティの端部は、キャビティ内への空気の流れを可能にするための1つ以上の穴を含むことが好ましい。1つ以上の穴を有するカップ状のヒータについて理解すべきであるとおり、第2の断熱体は、空気がヒータカップの底部に到達するように、開口を有してもよく、又はさらに実質的に管状(即ち第2のスリーブ)であってもよい。
【0016】
第2の断熱体の外側壁は、ステンレス鋼などの金属及び/又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのプラスチックを含むことが好ましい。外部壁がPEEKを含んでいれば、十分な断熱特性を提供し得ることが判明した。外部壁の一部としてPEEKを使用すると、好ましくは加熱装置の重量を低減し得る。外部壁がPEEKを含む場合、このPEEKは、熱伝導性が低い形態のPEEKであってもよい。
【0017】
ヒータは、抵抗ヒータであることが好ましい。このようにして、小型であり、単純であり、給電しやすい形態のヒータが提供される。代替的に、ヒータは、第2の断熱体を取り囲むコイルによって電力を供給される誘導ヒータであってもよい。
【0018】
加熱装置は、ヒータを電源に接続するように構成される1つ以上のワイヤを含むことが好ましい。当該1つ以上のワイヤは、第2の断熱体の外側壁の長手方向面に設けられた1つ以上の空隙を通るように位置してもよい。このようにして、ワイヤは、質量をより小さくすることができ、これは、ユーザが持ち運ぶ重量の点及びデバイスの熱質量を低減するという点で有利であってもよい。1つ以上のシールを空隙内に設けて、空気が第2の断熱体に入ることを防止し、ワイヤを所定位置に固定してもよい。空隙は、第2の断熱体の何れかの端部に向かって又は外部壁上の他の場所に設けられてもよい。
【0019】
代替的に、ワイヤは、第1の断熱体と第2の断熱体との間の1つ以上の空隙を通るように位置してもよい。当該1つ以上のワイヤは、第2の断熱体内の、キャビティの開口に向かう第2の断熱体の長手方向端部に設けられた(及び開口から離れている第1の断熱体の長手方向端部に設けられた)1つ以上の空隙を通るように位置してもよい。このようにして、ワイヤと第2の断熱体との接触をより少なくすることができる。これにより、第2の断熱体の壁から伝導する熱がより少なくなることにより、ワイヤが第2の断熱体から外に運ぶ熱がより少なくなる。この構成は、製造することもとりわけ簡単であり、それにより製造コストを削減できる可能性がある。一例では、ワイヤは、第2の断熱体との単一の接触点を有する。内部壁及び外部壁(即ち内側壁及び外側壁)には、1つ以上のシールであって、ワイヤの周りに設けられ、且つ空気が第2の断熱体に入ることを防止し、ワイヤを所定位置に保持するように構成される1つ以上のシールが接続されてもよい。
【0020】
本発明の別の態様によれば、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するように構成されるエアロゾル生成デバイスであって、本発明の第1の態様による加熱装置を含むエアロゾル生成デバイスが提供される。
【0021】
本発明の別の態様によれば、本発明の第1の態様による加熱装置への挿入のためのエアロゾル形成消耗品が提供され、このエアロゾル形成消耗品は、フィルタと、エアロゾル形成物質と、フィルタとエアロゾル形成物質との間に所定の空隙を設けるようにフィルタ及びエアロゾル形成物質を保持するように配置される包装材料と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
ここで、図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態による加熱装置を含むエアロゾル生成デバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で説明するように、蒸気とは、臨界温度よりも低い温度で気相である物質を指すと一般に理解され、これは、温度を低下させずに圧力を高めることにより、蒸気を液体に凝縮できることを意味する一方、エアロゾルとは、空気又は別の気体中に微細な固体粒子又は液滴が浮遊しているものである。しかしながら、本明細書では、特にユーザによる吸入のために生成される吸入可能媒体の形態に関して、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、区別なく使用され得ることに留意されたい。
【0025】
以下の特定の例では、真空断熱体として二重壁の断熱体(即ち断熱体スリーブ及び第2の断熱体)について説明し、そこでは、それぞれの断熱体の内側壁と外側壁との間に真空が設けられる。しかしながら、本明細書で説明する断熱体は、断熱体の壁間に真空を含まなくてもよく、代わりにエアロゲル、粉末若しくは繊維状の材料又はさらに空気などの断熱材料を含み得ることを理解されたい。
【0026】
図1は、本発明の実施形態によるエアロゾル生成デバイス2を示す。エアロゾル生成デバイス2は、例示的な内部コンポーネントが見えるようになっている組み立てられた構成で示されている。エアロゾル生成デバイス2は、たばこ蒸気デバイスとも呼ばれ得る加熱非燃焼式デバイスであり、エアロゾル発生材料、例えばたばこのロッド等のエアロゾル基材を受け入れるように構成される加熱装置4を含む。エアロゾル生成デバイス2は、電池などの電源と、電源から加熱装置4への電力の供給を制御するための制御回路とを含み得る。加熱装置4は、エアロゾル生成材料のロッドを燃焼させるのではなく加熱して、ユーザによる吸入のための蒸気又はエアロゾルを生成するように動作可能である。当然のことながら、当業者であれば、
図1に示すエアロゾル生成デバイス2が、本発明による単なる例示的なエアロゾル生成デバイスにすぎないことを理解するであろう。他の種類及び構成のたばこ蒸気製品、気化器又は電子たばこも本発明によるエアロゾル生成デバイスとして用いられ得る。
【0027】
図2は、エアロゾル生成デバイス2の加熱装置4に挿入するためのエアロゾル形成消耗品6の概略図を示す。エアロゾル形成消耗品6は、円筒形のボディ8を有し、このボディには、第1の端部に向かってフィルタ10が、ボディ8の第2の端部にはエアロゾル形成物質12が設けられる。エアロゾル形成物質12は、タバコを含む固体又は半固体のエアロゾル形成基材であってもよい。エアロゾル形成消耗品6は、フィルタ10とエアロゾル形成物質12との間のボディ8内に位置する空の空間14をさらに含む。この空間14は、生成されたエアロゾルがフィルタ10を通してユーザによって吸入される前に、エアロゾル形成物質12が加熱されたときにエアロゾル形成物質12から形成又は生成されるエアロゾルを集める。
【0028】
エアロゾル形成消耗品6は、包装材料16も含み、この包装材料16は、フィルタ10及びエアロゾル形成物質12を所定位置に保持し、フィルタ10とエアロゾル形成物質12との間に空間14を提供する。包装材料16は、例えば、エアロゾル形成消耗品6が加熱装置に挿入される際にしわになり、空間14内に崩壊するか、又はエアロゾル形成消耗品が加熱装置から取り出されるときに破れることがないように、エアロゾル形成消耗品6の完全性を確実にするのに適した特性を有する。空間14は、硬い紙材料で作られた管状部材から形成されてもよく、この管状部材は、生成されたエアロゾルが容易に空間14を通してフィルタ10まで流れることを可能にしつつ、ある程度の剛性を提供する。ボディ8におけるエアロゾル形成物質12の長さは、本加熱アセンブリにおける加熱領域の長手方向の長さと同程度であってもよい。
【0029】
本発明における加熱アセンブリに関連して後にさらに説明するように、消耗品6におけるエアロゾル形成物質12及び空の空間14の配分は、加熱効率を最適化し加熱装置4の望ましくない熱損失を低減するために、それぞれ対応する加熱領域及び断熱領域と適合するように又はそれらにとって適切であるように選択される。例えば、エアロゾル形成物質12の上端は、エアロゾル形成消耗品6がエアロゾル生成デバイス2に挿入されたとき、加熱領域の上端と長手方向に同じ高さに位置するようにし得る。しかしながら、エアロゾル形成物質12の上端を、加熱領域の上端よりも高く又は低い高さに位置決めし、加熱効率と蒸気生成量等とのバランスを調節することができる。
【0030】
図3A~
図3Dは、本開示によるヒータ領域及び断熱通路を有する加熱装置20の異なる断面構成を示す。
図3Aは、真空断熱体スリーブ22、ヒータカップ24及び真空断熱体カップ26の分解図を示し、
図3B~
図3Dは、真空スリーブ22、ヒータカップ24及び/又は真空カップ26の異なる組み合わせを示す。
図3A~
図5Bにおける特定の例での断熱体のいくつかは、断熱体カップ及び断熱体スリーブの内側壁と外側壁との間に真空が設けられると説明されている。しかしながら、それらの断熱体の一方又はさらに両方における真空は、空気、エアロゲル材料、粉末又は繊維状断熱材料などの他の断熱媒体/材料で置き換えられ得ることが理解されるであろう。
【0031】
真空断熱体スリーブ22は、内側壁28及び外側壁30を有し、それらの間に真空が封入される。当業者であれば、「真空」という用語は、自由物質、特に空気の除去に起因して、圧力が大気圧よりも大幅に低い空間を指すことを理解するであろう。内側壁28と外側壁30との間に形成される真空の品質は、低真空、中真空又は高真空であってもよい。
【0032】
内側壁28及び外側壁30は、互いに半径方向に離れて配置され、それらの間に真空が形成される封止空間が画定される。この例では、内側壁28及び外側壁30は、真空スリーブの両端で結合された同心の円筒を形成する。
【0033】
真空スリーブ22は、中空であり、第1の端部と第2の端部との間に長手方向軸を画定し、エアロゾル形成消耗品6は、第1の端部にある開口32を通して受け入れられ、第2の端部を通して出ることができる。換言すると、真空スリーブ22はトンネルを提供し、このトンネルを通して、エアロゾル形成消耗品6は、支持された様相で通過することができる。開口32は、構築された形態にある加熱装置20に消耗品6を挿入するためのアクセスポイントとして機能する。
【0034】
真空スリーブ22は、その端部の一方に沿って長手方向軸に平行に見たとき、概ね楕円形又は円形の断面を有する。この例では、真空スリーブ22は、実質的に円形の断面形状を有する。しかしながら、代替例では、真空スリーブ22は、他のタイプの断面形状、例えば概ね正方形又は多角形である形状に形成されてもよい。
【0035】
真空断熱体スリーブ22は、
図3B及び
図3Dに示すように、ヒータカップ24と接続するための溝34も含む。接続は、押込嵌め式であってもよく、溝34は、プラスチック又はさもなければ可撓性の材料で作られ、ヒータカップ24のリップを所定位置に嵌めることができる。代替的に、溝34は、ねじ込み嵌め式の接続のものであってもよく、この場合、ヒータカップ24のリップをねじ込むことができる。
【0036】
図3Bは、ヒータカップ24にかぶさって配置された真空断熱体スリーブ22を示す。ヒータカップ24は、壁36と、底部38と、エアロゾル形成消耗品6が受け入れられる開口40とを有するカップ状である。キャビティ42は、ヒータカップ24が真空断熱体スリーブ22に接続されると画定され、スリーブ22の開口32は、消耗品6が挿入される場所であり、ヒータカップ24の底部38は、挿入された消耗品6が当接するキャビティ42の閉鎖端部である。この例では、ヒータカップ壁36の内側表面と真空スリーブ22の内側壁28は、互いに実質的に整列し、それにより消耗品6を容易にキャビティ42に挿入することができる。当業者に明らかであるように、内側表面は、壁と消耗品との接触の程度及び深さを制御するために、先細であるか、テクスチャ付与されるか又は隆起を有してもよい。ヒータカップ24は、抵抗ヒータであるか又は代替的に誘導材料から作られていてもよい。
【0037】
ヒータカップ24は、上述のように、真空スリーブ22の溝34に取り付けるための、ヒータカップ24の開口40に向かって配置されたリップ44をさらに含む。真空スリーブ22をヒータカップ24の開口40に取り付けると、ヒータカップ24からの熱が加熱装置及びデバイスの外に伝導するのが防止される。加熱装置の効力及び効率を最適化するために、エアロゾル形成消耗品6におけるエアロゾル形成物質12の長さは、ヒータカップ24によって取り囲まれるキャビティ42の長さと実質的に同じ(又はそれよりわずかに長い)であるべきである。これは、熱が、ヒータカップ24から、挿入された消耗品のエアロゾル形成物質部分にのみ放出されることを意味する。エアロゾル形成消耗品における空間14の長さは、真空断熱体スリーブ22によって取り囲まれるキャビティ42の長さと必ずしも一致する必要はない。本開示による加熱装置に適したエアロゾル形成消耗品6におけるフィルタ10、空間14及びエアロゾル形成物質12の相対的な長さは、当業者に容易に明らかであろう。
【0038】
図3Cは、真空断熱体カップ26内に配置されたヒータカップ24を示す。真空断熱体カップ26は、内側壁46及び外側壁48を有し、それらの間に真空が封入される。この特定の例では、ヒータカップ24は、真空断熱体カップ26の内側壁46の外側表面によって画定されるチャンバ50内に挿入されるように構成される。真空断熱体カップ26の内側壁46は、ヒータカップ24の外側表面と適合するように管状、例えば実質的に円筒形であり、外側(例えば、円周)表面及び内側(例えば、円周)表面を有する。外側壁48は管状、例えば実質的に円筒形であり、外側(例えば、円周)表面及び内側(例えば、円周)表面を有する。内側壁46及び外側壁48は、それぞれ底部部分52、54をさらに含んでカップ形状を提供する。
【0039】
図示されない代替例では、ヒータカップ24の代わりにヒータトレースが設けられてもよく、トレースは、内側壁46の内側表面がヒータ装置20のキャビティ42の部分を画定するように、真空断熱体カップ26の内側壁46の内側表面上に配置され得る。したがって、理解されるように、この代替例では、キャビティは、真空断熱体スリーブ及び真空断熱体カップの内側壁の内側表面によって画定される。
【0040】
真空断熱体カップ26は、ヒータカップ24の断熱を提供し、デバイスの外部表面に到達する熱の量を最小限に抑える。真空断熱体カップ26の断面形状は、設計要件に従い、真空スリーブ22及び/又はヒータカップ24と適合するように選択されることを理解されたい。
図3Aに最も明確に見られるように、真空断熱体カップ26は、内側隆起部分56であって、その上にヒータカップ24のリップ44が載ることができる内側隆起部分56と、真空スリーブ22の第2の端部に隣接するための外側棚部58とを含む。
【0041】
図3Dには、完全に構築された二重真空加熱装置が示されている。
図3C及び
図3Dに見られるように、ヒータカップ24の底部38の外側表面と、真空断熱体カップ26の内側壁46の内側表面との間に空隙60が設けられる。図示されない1つ以上の穴を、空隙60を取り囲むヒータカップ24及び/又は真空断熱体カップ26の壁若しくは底部に設けて、挿入された消耗品のエアロゾル形成物質端部からの空気流を改善し得る。
【0042】
図4A及び
図4Bは、本開示による加熱領域及び異なるタイプの断熱通路を有する別の加熱装置120の異なる断面構成を示す。
図4A及び
図4Bは、
図3A~
図3Dを参照して説明したのと同様のヒータカップ122を示し、ヒータカップ122は、壁124と、底部126と、エアロゾル形成消耗品6が受け入れられる開口128とを有するカップ状である。ヒータカップ122は、
図3を参照して説明したように、断熱体スリーブに取り付けるための又は断熱体カップに載せるためのリップ130も含む。
【0043】
ヒータカップ122の長さは、加熱装置120の効力及び効率を最適化するために、加熱装置120のために特に設計された消耗品6のエアロゾル形成物質部分の長さと実質的に同じに(又はそれよりわずかに短く)される。このようにして、熱は、ヒータカップ122から、挿入された消耗品のエアロゾル形成物質部分にのみ放出される。
【0044】
加熱装置120は、エアロゲルシート又はスーパーウールシートなどの断熱材料134を含む断熱体スリーブ132をさらに含む。断熱材料134は、中空の円筒形に成形されて、内側表面136及び外側表面138を画定し得る。代替的に、断熱材料134は、熱伝導性の低いケーシング材料内に入れられてもよい。
【0045】
断熱体スリーブ132は、第1の端部と第2の端部との間に長手方向軸を画定し、エアロゾル形成消耗品6は、第1の端部にある開口140を通して受け入れられ、第2の端部を通して出ることができる。したがって、断熱体スリーブ132はトンネルを提供し、このトンネルを通じて、エアロゾル形成消耗品6は支持され得る。開口140は、構築された形態にある加熱装置120に消耗品6を挿入するためのアクセスポイントとして機能する。
【0046】
断熱体スリーブ132は、その端部の一方に沿って長手方向軸に平行に見たとき、概ね楕円形又は円形の断面を有する。この例では、断熱体スリーブ132は、実質的に円形の断面形状を有する。しかしながら、代替例では、断熱体スリーブ132は、他のタイプの断面形状、例えば概ね正方形又は多角形である形状に形成されてもよい。
【0047】
断熱体スリーブ132は、様々な方法でヒータカップ122に取り付けられ得る。一例では、断熱材料134を、ヒータカップリップ130を含むヒータカップ122の上端の周囲に巻いて、スリーブ132を形成してもよい。他の例では、リップ130は、断熱材料134にねじ込まれるにつれて、断熱材料134内に食い込んでもよい。さらに別の例では、断熱体スリーブ132は、ヒータカップ122との押し込み嵌め又はねじ接続を可能にするケーシング材料内の溝を有する。
【0048】
キャビティ142は、ヒータカップ122が断熱体スリーブ132に接続されると画定され、スリーブ132の開口140は、キャビティ142の開口であり、ヒータカップ126の底部38は、キャビティ142の閉鎖端部である。この例では、ヒータカップ壁124の内側表面とスリーブ132の内側壁は、互いに実質的に整列し、それにより消耗品6をキャビティ142に滑らかに挿入することができる。当業者に明らかであるように、内側表面は、壁と消耗品との接触の程度及び深さを制御するために、先細であるか、テクスチャ付与されるか、又は隆起を有していてもよい。ヒータカップ122は、抵抗ヒータであってもよく、又は代替的に誘導材料から作成されてもよい。
【0049】
エアロゾル形成消耗品における空間14の長さは、断熱体スリーブ132によって取り囲まれるキャビティ142の長さと同程度である。しかしながら、必ずしもそうである必要はなく、空間14の長さは、スリーブ132によって取り囲まれたキャビティ142よりも短くてよい(例えば、フィルタ10がキャビティ142内まで下がる場合)ことを理解されたい。本開示による加熱装置に適したエアロゾル形成消耗品6におけるフィルタ10、空間14及びエアロゾル形成物質12の相対的な長さは、当業者に容易に明らかであろう。
【0050】
図4Bに見られるように、ヒータカップ122は、
図3で説明した真空断熱体カップ26と同様の真空断熱体カップ144内に位置する。真空断熱体カップ144は、ヒータカップ122の断熱を提供する。
【0051】
真空断熱体カップ144は、内側壁146及び外側壁148を有し、それらの間に真空が封入される。内側壁46及び外側壁48は、それぞれ底部部分150、152をさらに含んでカップ形状を提供する。
【0052】
真空断熱体カップ144の断面形状は、設計要件に従い、断熱体スリーブ132及び/又はヒータカップ122と適合するように選択されることを理解されたい。断熱体スリーブ132と真空断熱体カップ144との間の界面は、押し込み嵌め式若しくはねじ込み嵌め式の接続などの嵌め込み式接続であってもよく、互いに対してもたせかけられてもよく、又は、さらにそれらの間に隙間を残してもよい。
【0053】
図示されない代替例では、ヒータカップ122の代わりにヒータトレースを設けることができ、トレースは、内側壁146の内側表面がヒータ装置120のキャビティ142の部分を画定するように、真空断熱体カップ144の内側壁146の内側表面上に配置され得る。したがって、理解されるように、この代替例では、キャビティは、真空断熱体スリーブ及び真空断熱体カップの内側壁の内側表面によって画定される。
【0054】
図5A及び
図5Bは、エアロゾル形成消耗品6がキャビティ142内に挿入された状態の、
図4の加熱装置120のさらなる概略図を示す。これらの特定の例に見られるように、消耗品6における空間14の長さは、断熱体スリーブ132の長さよりも長い。エアロゾル形成物質部分が装置120のヒータカップ122部分内に完全に含まれることも分かる。
【0055】
図5A及び
図5Bは、ヒータカップ122(又はヒータトレース)を電源(図示せず)に接続するワイヤ148を示す。したがって、真空断熱体カップ144の底部は、ワイヤ148がキャビティ142からカップ122を通過できるようにするための1つ以上のアパーチャを含む。図示されない別の例では、製造を簡単にするために、ヒータカップ122を取り囲む真空断熱体カップ144が、真空断熱体スリーブ(即ち、底部のない中空の円筒)で置き換えられてもよい。さらに別の例では、ワイヤ148は、断熱体スリーブ132と真空断熱体カップ144との間の界面でキャビティ142から外へと張り出してもよく、その場合、ワイヤ148を電源とヒータカップ122との間で渡すために、界面に1つ以上のアパーチャ(又は全周にわたる隙間)が設けられる。
【国際調査報告】