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特表2025-502919エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20250123BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20250123BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20250123BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
A24F40/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531542
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2023052171
(87)【国際公開番号】W WO2023144378
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】22154350.7
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ガルシア, エドアルド ホセ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC10
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC34
(57)【要約】
エアロゾル発生デバイス(8)のための加熱アセンブリ(10)を開示する。加熱アセンブリ(10)は、内壁(14)及び外壁(20)を有する絶縁体(12)を備え、絶縁体(12)の内壁(14)は、エアロゾル発生基材(32)を受け入れるよう構成される開口部(28)を有するキャビティ(26)を画成する。加熱アセンブリ(10)は、更に、絶縁体(12)の内壁(14)の外面(18)上に位置するヒータ(34)を備え、ヒータ(34)は、熱伝導によってキャビティ(26)内に受け入れられるエアロゾル発生基材(32)を加熱してエアロゾルを発生させるよう構成される。加熱アセンブリ(10)は、更に、第1の電気コネクタ(36)及び第2の電気コネクタ(38)を備え、第1の電気コネクタ(36)及び第2の電気コネクタ(38)はそれぞれ、絶縁体(12)の外壁(20)を通ってヒータ(34)まで延在し、電気経路が、ヒータ(34)を経由して第1の電気コネクタ(36)と第2の電気コネクタ(38)との間に形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリであって、
内壁及び外壁を有する絶縁体であって、前記絶縁体の前記内壁は、エアロゾル発生基材を受け入れるよう構成される開口部を有するキャビティを画成する、絶縁体と、
前記絶縁体の前記内壁の外面上に位置するヒータであって、熱伝導によって前記キャビティ内に受け入れられる前記エアロゾル発生基材を加熱してエアロゾルを発生させるよう構成されるヒータと、
それぞれ前記絶縁体の前記外壁を通って前記ヒータまで延在する第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタであって、電気経路が、前記ヒータを経由して前記第1の電気コネクタと前記第2の電気コネクタとの間に形成される、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタと、
を備える、加熱アセンブリ。
【請求項2】
前記絶縁体は真空断熱材であり、真空が前記内壁と前記外壁との間に封入される、請求項1に記載の加熱アセンブリ。
【請求項3】
前記第1の電気コネクタ及び前記第2の電気コネクタは、前記ヒータに向かって弾性的に付勢される、請求項1又は請求項2に記載の加熱アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の電気コネクタ及び前記第2の電気コネクタは、前記ヒータに向かって弾性的に付勢されるばね荷重ピンを備える、請求項3に記載の加熱アセンブリ。
【請求項5】
前記絶縁体の前記内壁によって画成される前記キャビティは管状であり、前記受け入れられたエアロゾル発生基材の端部が前記内壁によって完全に囲まれるように、前記内壁の基部から前記開口部まで延在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱アセンブリ。
【請求項6】
前記基部は、前記キャビティの長さに対して垂直に配置される平坦面として形成される、請求項5に記載の加熱アセンブリ。
【請求項7】
前記第1の電気コネクタ及び前記第2の電気コネクタは、管状の前記キャビティに平行な方向に延在する、請求項5又は請求項6に記載の加熱アセンブリ。
【請求項8】
前記電気コネクタは、管状の前記キャビティと整列して配置される、請求項7に記載の加熱アセンブリ。
【請求項9】
前記第1の電気コネクタ及び前記第2の電気コネクタは、前記基部と一致する前記ヒータに接続する、請求項5~8のいずれか一項に記載の加熱アセンブリ。
【請求項10】
前記ヒータは、第1の電気接触パッドと第2の電気接触パッドとの間に延在する加熱トラックを備え、前記第1の電気コネクタ及び前記第2の電気コネクタは、それぞれ前記第1の電気接触パッド及び前記第2の電気接触パッドを介して前記ヒータに接続する、請求項1~9のいずれか一項に記載の加熱アセンブリ。
【請求項11】
請求項5~9のいずれか一項に従属する場合、前記第1の電気接触パッド及び前記第2の電気接触パッドは、前記内壁の前記基部に位置する、請求項10に記載の加熱アセンブリ。
【請求項12】
前記ヒータは抵抗ヒータである、請求項1~11のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項13】
前記ヒータは、前記絶縁体の前記内壁の前記外面上に印刷又はコーティングされる、請求項1~12のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項14】
前記絶縁体の前記外壁は、前記第1の電気コネクタ及び前記第2の電気コネクタが通って延在する1つ以上のアパーチャを有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の加熱アセンブリ。
【請求項15】
電気絶縁材料は、前記第1の電気コネクタ及び前記第2の電気コネクタを囲む前記1つ以上のアパーチャ内に設けられる、請求項14に記載の加熱アセンブリ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の加熱アセンブリを備えるエアロゾル発生デバイス。
【請求項17】
前記絶縁体は、前記絶縁体の長手方向の移動を制限するよう構成される固定部材によって前記エアロゾル発生デバイス内に固着される、請求項16に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項18】
エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリを製造する方法であって、
1つ以上のアパーチャを有する外壁を設けることと、
第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタが前記外壁の前記1つ以上のアパーチャを通って延在するように、前記第1の電気コネクタ及び前記第2の電気コネクタを配置することと、
内壁を設けることと、
前記内壁の外面にヒータを設けることと、
前記内壁を前記外壁に結合して、前記外壁と前記内壁との間に前記ヒータが位置する密閉空間を形成することであって、電気経路が前記ヒータを経由して前記第1の電気コネクタと前記第2の電気コネクタとの間に形成されることと、を含む、方法。
【請求項19】
更に、前記外壁と前記内壁との間の前記密閉空間内に真空を形成することを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリ、エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリを製造する方法、及び加熱アセンブリを備えるエアロゾル発生デバイスに関する。本開示は、特に、自己完結型且つ低温であってもよい携帯型エアロゾル発生デバイスに適用可能である。かかるデバイスは、たばこ又は他の好適なエアロゾル基材材料を、燃焼させるのではなく、伝導、対流、及び/又は放射によって加熱して、吸入のためのエアロゾルを発生させてもよい。
【背景技術】
【0002】
リスク低減デバイス又はリスク修正デバイス(気化器としても公知)の人気及び使用は、紙巻たばこ、葉巻、シガリロ、及び巻きたばこ等、従来のたばこ製品の使用を止めることを望む常習的喫煙者を支援する補助として、ここ数年で急速に成長している。従来のたばこ製品においてたばこを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能基材を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般に利用可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス又は加熱非燃焼式デバイスである。この種のデバイスは、湿った葉たばこ又は他の好適なエアロゾル化可能材料を典型的に含むエアロゾル基材、即ち、消耗品を典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を燃焼させるか又は燃やすのではなく加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼の望ましくない副生成物を含まないエアロゾルが放出される。加えて、たばこ又は他のエアロゾル化可能材料を加熱することにより発生するエアロゾルは、通常、ユーザにとって不快となり得る、燃焼に起因する可能性がある焦げた味又は苦味を含んでいない。
【0004】
かかるエアロゾル発生デバイス内部では、デバイスのバッテリ寿命を延ばすことができるように、加熱操作の効率を改善することが望ましい。この目的を達成するために、エアロゾル基材が加熱されるキャビティを断熱し、それによって外部環境への熱損失を制限するために、エアロゾル発生デバイス内部に真空断熱材が実装されてきた。
【0005】
しかし、真空断熱材を含む加熱アセンブリは、製造が困難である。本発明の目的は、この問題に対処することにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリであって、内壁及び外壁を有する絶縁体であって、絶縁体の内壁は、エアロゾル発生基材を受け入れるよう構成される開口部を有するキャビティを画成する、絶縁体と、絶縁体の内壁の外面上に位置するヒータであって、熱伝導によってキャビティ内に受け入れられるエアロゾル発生基材を加熱してエアロゾルを発生させるよう構成されるヒータと、それぞれ絶縁体の外壁を通ってヒータまで延在する第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタであって、電気経路が、ヒータを経由して第1の電気コネクタと第2の電気コネクタとの間に形成される、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタと、を備える加熱アセンブリが提供される。
【0007】
好ましい実施形態において、絶縁体は真空断熱材であり、真空が内壁と外壁との間に封入される。代替の実施形態において、絶縁材料は、絶縁体の内壁と外壁との間に配設されてもよい。絶縁材料の例には、粉末、エアロゲル等の繊維材料、又は空気を含む。
【0008】
また、本明細書中に説明するのは、エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリであって、その間に真空が封入される内壁及び外壁を有する真空絶縁体であって、真空絶縁体の内壁は、エアロゾル発生基材を受け入れるよう構成される開口部を有するキャビティを画成する、真空絶縁体と、真空絶縁体の内壁の外面上に位置するヒータであって、熱伝導によってキャビティ内に受け入れられるエアロゾル発生基材を加熱してエアロゾルを発生させるよう構成されるヒータと、それぞれ真空絶縁体の外壁を通ってヒータまで延在する第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタであって、電気経路が、ヒータを経由して第1の電気コネクタと第2の電気コネクタとの間に形成される、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタと、を備える加熱アセンブリである。
【0009】
このようにして、真空内に密閉されるヒータに供給される電気のための通路が、真空断熱材の外壁を通って設けられる。これにより、電気コネクタを配線したり、真空断熱材の内壁と外壁との間にヒータを延在させたりする必要がなくなり、それによって、製造プロセスが簡略化され、加熱アセンブリの耐久性が向上する。特に、真空断熱材の外壁は、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタがそれぞれ外壁を通って延在するように形成されるため、真空内で隔離されるヒータは、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタを介して外部電源に接続されてもよい。従って、外壁を(貫通延在する第1及び第2の電気コネクタと組み合わせて)内壁に(ヒータと組み合わせて)取り付けることにより、結果として隔離されたヒータを備える完全に機能的な加熱アセンブリがもたらされるため、製造の容易さが向上する。対照的に、例えば、コネクタ又は内壁と外壁との間に延在するヒータの延長部を経由してヒータが外部電源に接続可能である加熱アセンブリにおいて、外壁への内壁の取り付けは、ヒータを隔離しない場合があり、コネクタが通って延在する内壁と外壁との間の間隙を封止するために、更なる封止操作が必要となる場合がある。
【0010】
更に、キャビティ内ではなく、内壁と外壁との間の真空内にヒータを設けることによって、加熱アセンブリのコンパクト性及び熱効率が最適化される。ヒータは、真空断熱材の内壁と熱的に接触しており、内壁を介してエアロゾル発生基材を加熱することができる。真空は、外壁を介した伝導によってキャビティから熱が逃げることを抑制する。真空断熱材の内壁は、従って、キャビティを断熱するよう断熱真空を維持しながら、キャビティに受け入れられるエアロゾル発生基材に熱を伝達するという二重の目的を果たすことができる。これは、エアロゾル発生デバイスのための効率的でコンパクトな加熱アセンブリを作成する。
【0011】
好ましくは、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタは、ヒータに向かって弾性的に付勢される。より好ましくは、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタは、ヒータに対して一定の(例えば、垂直の)力を印加するよう構成され、それによって、そうでなければ断続的な接続を引き起こす可能性がある任意の望ましくない動きを打ち消す。このようにして、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタがヒータと電気的に接触したままであることを保証する。これは、エアロゾル発生デバイスの携帯性のために特に重要であり、加熱アセンブリが頻繁な機械的衝撃及び振動を経験する可能性が高いことを意味する。
【0012】
好ましくは、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタは、ヒータに向かって弾性的に付勢されるばね荷重ピンを備える。このようにして、信頼性及び耐久性のある形態の電気コネクタが設けられる。当業者であれば、ばね荷重ピンがポゴピンとも称する場合があることを理解するであろう。
【0013】
好ましくは、真空断熱材の内壁によって画成されるキャビティは管状であり、基部から開口部まで延在する。例えば、開口部及び基部を画成する内壁は、略円筒形、即ちカップ形状であってもよい。基部は、閉鎖基部として説明されてもよい。このようにして、キャビティは、ロッドの端部を含むエアロゾル発生基材のロッドの主要部分が内壁によって完全に囲まれるように、エアロゾル発生基材のロッドを受け入れるよう構成される。従って、真空断熱材がエアロゾル発生基材の主要部分を完全に囲むため、例えば、長手方向の両端において開口するスリーブ形状の内壁とは対照的に、より効果的な断熱手段が提供される。言い換えれば、本発明の内壁は、貫通孔ではなく、ブラインド穴を画成する。有利には、キャビティの全周の周囲の内壁にヒータを設けることは、エアロゾル発生基材のより均一な加熱を可能にし、これはユーザが楽しむためのより良好な品質のエアロゾルを発生させる可能性がある。これはまた、エアロゾル発生基材をエアロゾル発生温度までより迅速に加熱することを可能にする場合がある。
【0014】
好ましくは、基部は、絶縁体の長手方向軸に対して垂直に配置される平坦面として形成される。このようにして、基部を含む絶縁体の形状は、電気コネクタに対して作用する垂直反力により、結果として電気コネクタとヒータ(例えば、基部上に位置する電気接触パッド)との間に形成される安定した確実な接続をもたらす。これは特に、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタがヒータに向かって弾性的に付勢されている場合、即ち第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタが基部の平坦面に向かって弾性的に付勢されている場合に当てはまる。
【0015】
好ましくは、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタは、管状キャビティに平行な方向に延在する。
【0016】
好ましくは、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタは、基部に隣接するヒータに接続する。言い換えれば、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタは、内壁の基部においてヒータに接続する。このようにして、ヒータの加熱部は、キャビティの円周の周囲に設けられてもよい一方で、ヒータの電気接続部は、加熱にはあまり望ましくない領域であるロッドエアロゾル発生基材の端部と接合する基部に位置する。
【0017】
好ましくは、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタは、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタが内壁の(閉鎖)基部と一致するヒータに接続するように、キャビティと整列する。このようにして、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタは、内壁の基部に対して垂直に配置される。
【0018】
好ましくは、ヒータは、第1の電気接触パッドと第2の電気接触パッドとの間に延在する加熱トラックを備え、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタは、それぞれ第1の電気接触パッド及び第2の電気接触パッドを介してヒータに接続する。
【0019】
好ましくは、ヒータは抵抗ヒータである。このようにして、コンパクトで、単純で、電力供給が容易な形態のヒータが提供される。代替として、ヒータは、真空断熱材を囲むコイルによって電力供給される誘導ヒータであってもよい。
【0020】
好ましくは、ヒータは、真空断熱材の内壁の外面上に印刷又はコーティングされる。このようにして、ヒータと内壁との間に確実な熱接触が提供される。その上、製造の容易性を更に向上させる可能性がある。
【0021】
好ましくは、真空断熱材の外壁は、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタが通って延在する1つ以上のアパーチャを有する。このようにして、1つ以上のアパーチャは、真空で密閉されるヒータに電気を供給するための通路を提供する。これにより、真空断熱材の内壁と外壁との間に電気コネクタを配線する必要がなくなり、それによって、製造プロセスが簡略化され、加熱アセンブリの耐久性が向上する。
【0022】
一実施例において、真空断熱材の外壁は、第1の電気コネクタが通って延在する第1のアパーチャと、第2の電気コネクタが通って延在する第2のアパーチャとを有してもよい。別の実施例において、真空断熱材の外壁は、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタがそれぞれ通って延在するアパーチャを有してもよい。
【0023】
好ましくは、電気絶縁材料は、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタを囲む1つ以上のアパーチャ内に設けられる。このようにして、電気絶縁材料は、第1及び第2の電気コネクタと真空断熱材の外壁との間のいかなる接触も防止し、それによって、電気が真空断熱材の外壁に伝導されることを防止する。
【0024】
好ましくは、真空断熱材の外壁は、ステンレス鋼等の金属及び/又はポリエーテルエーテルケトン、PEEK等のプラスチックを含む。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様の加熱アセンブリを備えるエアロゾル発生デバイスが提供される。
【0026】
本発明の第3の態様によれば、エアロゾル発生デバイスのための加熱アセンブリを製造する方法であって、1つ以上のアパーチャを有する外壁を設けることと、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタが外壁の1つ以上のアパーチャを通って延在するように、第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタを配置することと、内壁を設けることと、内壁の外面にヒータを設けることと、内壁を外壁に結合して、外壁と内壁との間にヒータが位置する密閉空間を形成することであって、電気経路がヒータを経由して第1の電気コネクタと第2の電気コネクタとの間に形成されることと、を含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
ここで、図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。
【0028】
図1】本発明の一実施形態による加熱アセンブリを備えるエアロゾル発生デバイスの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による加熱アセンブリの斜視略図である。
図3図2の加熱アセンブリの断面略図である。
図4】本発明の一実施形態による加熱アセンブリを製造するための方法ステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書中に説明するように、蒸気は、臨界温度よりも低い温度で気相である物質を指すと一般に理解されており、これは、温度を低下させずに圧力を高めることにより、蒸気を液体に凝縮させ得ることを意味し、一方、エアロゾルは、空気又は別の気体中に微細な固体粒子又は液滴が浮遊しているものである。しかし、本明細書では用語「エアロゾル」及び「蒸気」を、特にユーザによる吸入のために生成される吸入可能な媒体の形態に関して互換的に用いられる可能性があることに留意されたい。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態によるエアロゾル発生デバイス8を示している。エアロゾル発生デバイス8は、例示的な内部コンポーネントが見えるように組み立てられた構成で示されている。エアロゾル発生デバイス8は、たばこ蒸気デバイスとも称する可能性がある加熱非燃焼式デバイスであり、エアロゾル発生材料、例えば、たばこのロッド等のエアロゾル基材を受け入れるよう構成される加熱アセンブリ10を備えている。エアロゾル発生デバイス8は、バッテリ等の電源と、電源から加熱アセンブリ10への電力の供給を制御するための制御回路とを備えてもよい。加熱アセンブリ10は、エアロゾル発生材料のロッドを燃焼させるのではなく、加熱して、ユーザによる吸入のための蒸気又はエアロゾルを生成するよう動作可能である。無論、当業者は、図1に示すエアロゾル発生デバイス8が本発明による単なる例示的なエアロゾル発生デバイスであることを正しく理解するであろう。他の種類及び構成のたばこ蒸気製品、気化器、又は電子たばこもまた、本発明によるエアロゾル発生デバイスとして用いられてもよい。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態による加熱アセンブリ10の斜視図を示している。同様に、図3は、加熱アセンブリ10の断面略図を示している。
【0032】
加熱アセンブリ10は、その間に真空が封入される内壁14と外壁20とを有する真空断熱材12を備える。真空断熱材12は、第1の端部11から第2の端部13に延在し、即ち、真空断熱材12は、細長く、長手方向軸を画成する。真空断熱材12は、エアロゾル発生基材32を受け入れてもよいキャビティ26を画成する。具体的には、第1の端部11における真空断熱材12の頂部15は、エアロゾル発生基材26がそれを通ってキャビティ26内に挿入されてもよい開口部28を有する。真空断熱材12は、従って、カップ形状と称してもよい。
【0033】
真空断熱材12は、その長手方向軸に平行なその端部11、13のうちの一方に沿って見た場合に、略楕円形又は円形の断面を有する。特に、図示の実施形態において、真空断熱材12は、略円筒形である。しかし、代替の実施形態において、真空断熱材12は、他の種類の断面形状、例えば、略正方形又は多角形である形状で形成されてもよい。
【0034】
真空断熱材12の内壁14は、管状、例えば、略円筒形であり、外側(例えば、円周)面18及び内側(例えば、円周)面16を有する。内壁14は、更に、基部30を備える。外壁20は、管状、例えば、略円筒状であり、外側(例えば、円周)面24及び内側(例えば、円周)面22を有する。外壁20は、真空断熱材13の第2の端部13において基部17を備える。
【0035】
内壁14及び外壁20は、互いに径方向に離間されて、それらの間に真空が形成される密閉空間を画成する。具体的には、図示の実施形態において、内壁14及び外壁20は、真空断熱材12の第1の端部11において結合される同心円筒として形成される。第1の実施例において、真空断熱材12の頂部15は、第1の端部11において内壁14に取り付けられる外壁20の一体部分であってもよい。第2の実施例において、真空断熱材12の頂部15は、第1の端部11において外壁20に取り付けられる内壁14の一体部分であってもよい。第3の実施例において、真空断熱材12の頂部15は、第1の端部11において内壁14と外壁20とを結合する追加のコンポーネントであってもよい。
【0036】
当業者は、用語「真空」が、自由物質、特に空気の除去により圧力が大気圧よりもかなり低い空間を指すことを理解するであろう。内壁14と外壁20との間に形成される真空の質は、低真空、中真空、又は高真空であってもよい。
【0037】
代替の実施形態において、真空断熱材12を、より一般的に絶縁体12と称してもよい。即ち、絶縁体12は、真空断熱材に限定されない。例えば、真空の代わりに、絶縁材料が絶縁体12の内壁14と外壁20との間に配設されてもよい。絶縁材料の例には、粉末、エアロゲル等の繊維材料、及び/又は空気を含む。
【0038】
真空断熱材12の内壁14は、エアロゾル発生基材32を受け入れてもよいキャビティ26を画成する。特に、真空断熱材12の内壁14によって画成されるキャビティは、管状(例えば、円筒状)であり、基部30から開口部26まで延在する。このようにして、細長いロッド(例えば、円筒)の形態のエアロゾル発生基材32は、エアロゾル発生基材32が内面16及び内壁14の基部30と接合するように、開口部28を介してキャビティ26に挿入されてもよい。このようにして、開口部28から突出してユーザの口に受け入れられるエアロゾル発生基材32の一部分以外は、真空断熱材12がエアロゾル発生基材32を完全に囲み、従って断熱の効果を最大化する。
【0039】
通常、エアロゾル発生基材32は、例えば、エアロゾル発生基材32としてたばこを含む可能性がある使い捨て且つ交換可能な物品(「消耗品」としても公知)である。
【0040】
加熱アセンブリ10は、更に、真空断熱材12の内壁14の外面18上に配設されるヒータ34を備える。即ち、ヒータ34は、真空内で真空断熱材12の内壁14と外壁20との間に位置する。ヒータ34は、伝導及び放射によって内壁14がエアロゾル発生基材32及びキャビティ26の内側の空気を加熱するように、伝導によって真空断熱材12の内壁14を加熱するよう構成される。ヒータ34は、以下で更に検討するように、エアロゾル発生デバイスに設けられるバッテリ又は他の任意の電源によって電力供給され得る。
【0041】
ヒータ34は、抵抗加熱(ジュール加熱とも称する)により発熱する抵抗発熱体である。ヒータ34は、真空断熱材12の内壁14の外面18上でキャビティ26を少なくとも部分的に囲む加熱トラック(例えば、波状の加熱パターン)を含む。具体的には、加熱トラックは、真空断熱材12の内壁14の周囲に円周方向に、好ましくは、キャビティ26の全周の周囲に巻装される。有利には、略その全周の周囲でキャビティ26を囲むことは、結果としてエアロゾル発生基材32がより迅速に又はより均一に加熱されることをもたらす。無論、当業者は、ヒータ34の特定の形状及び配置が様々であってもよいことを正しく理解するであろう。例えば、ヒータ34は、真空断熱材12の内壁14の外面18を部分的に又は全体的に囲む加熱シートを備えてもよい。
【0042】
ヒータ34は、真空断熱材12の内壁14の外面18上に印刷、コーティング、又は他の方法で取り付けられてもよい。従って、ヒータ34は、キャビティ26に「トレース加熱」を提供してもよい。
【0043】
ヒータ34は、金属(例えば、ニクロム、カンタル、又はキュプロニッケル)、セラミック、又は他の任意の適切な抵抗加熱材料を備えてもよい。当業者には正しく理解されるように、ヒータ34は抵抗発熱体に限定されず、ヒータ34の種類は様々であってもよい。例えば、ヒータ34は、真空断熱材12を囲むコイルによって電力供給される誘導ヒータであってもよい。
【0044】
ヒータ34は、更に、真空内部の内壁14の基部30上に位置する第1の電気接触パッド40及び第2の電気接触パッド42を備える。ヒータ34の加熱トラックは、第1の電気接触パッド40を第2の電気接触パッド42に接続する。
【0045】
加熱アセンブリ10は、更に、それぞれヒータ34から真空を横切って延在し、真空断熱材12の外壁20を通って真空断熱材12から出る第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38を備える。具体的には、真空断熱材12の外壁20は、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38がそれぞれそれを通って延在する第1のアパーチャ44及び第2のアパーチャ44を備える。当業者は、代替の実施形態において、真空断熱材12の外壁20は、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38の両方がそれを通って延在する単一のアパーチャのみを備えてもよいことを正しく理解するであろう。
【0046】
アパーチャ44は、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38が基部17を通って延在するように、外壁20の基部17に位置する。しかし、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38は、外壁20の基部17を通って延在することに限定されず、外壁20内部のアパーチャ44の位置は様々であってもよい。例えば、1つ以上のアパーチャ44が、外壁20の円周部分に設けられてもよい。
【0047】
第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38はそれぞれ、真空断熱材12の内壁14に隣接するヒータ34に接続する。このようにして、電気経路がヒータ34を介して第1の電気コネクタ36と第2の電気コネクタ38との間に形成される。特に、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38は、基部30に隣接するヒータ34の第1の電気接触パッド40及び第2の電気接触パッド42に接続するが、当業者は、キャビティ26に対するヒータ34への接続の位置は様々であってもよいことを正しく理解するであろう。
【0048】
第1の電気接触40及び第2の電気接触パッド42は、正方形の電気接触パッドとして図示されているが、代替の実施形態において、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38は、電気接点の他の形態及び配置によってヒータ34に接続してもよい。
【0049】
第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38は、少なくとも部分的に真空断熱材12の外側に位置する第1の電気端子48及び第2の電気端子50をそれぞれ備える。第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38は、第1の電気端子48及び第2の電気端子50を介して外部回路に接続可能である。即ち、第1の電気端子48及び第2の電気端子50は、相補的な外部電気端子に接続されるよう構成される。
【0050】
特に、第1の電気端子48及び第2の電気端子50は、制御回路及びバッテリ等の電源を含むエアロゾル発生デバイス8に接続可能であってもよい。このようにして、電気回路が、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38を介して電源とヒータ34との間に形成されてもよい。使用時、ヒータ34は、エアロゾル発生デバイス8の電源から真空断熱材12の外壁20を通して電力を供給され、それによってジュール加熱によって熱を発生させる。熱は、内壁14を介してキャビティ26内部に受け入れられるエアロゾル発生基材32に伝達されて、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを発生させる。
【0051】
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の電気絶縁材料54が、第1のアパーチャ44及び第2のアパーチャ44内に設けられる。電気絶縁材料54は、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38を囲み、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38と真空断熱材12の外壁20との間のいかなる接触も防止する。このようにして、電気絶縁材料54は、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38を介して真空断熱材12の外壁20に電気が伝導されることを防止する。
【0052】
図3に示すように、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38はそれぞれ、ポゴピンとしても公知のばね荷重ピン52を備える。各ばね荷重ピン52は、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38がばね荷重ピン52を介してヒータ34と電気的接触を形成するように、ヒータ34に隣接して配置される。各ばね荷重ピン52は、一体化されたばねによって、ヒータ34に対して、特に第1の電気接触40及び第2の電気接触パッド42に対して一定の垂直力を印加し、それによって、そうでなければ断続的な接続を引き起こす可能性がある任意の望ましくない移動を打ち消す。
【0053】
無論、当業者は、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38が、ばね荷重ピン52を備えることに限定されず、他の形態の電気コネクタ機構が用いられてもよいことを理解するであろう。例えば、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38はそれぞれ、ヒータ34との電気的接触を維持するよう構成される他の種類の電気コネクタ機構、例えば、ヒータ34に向かって弾性的に付勢されてもよい任意の形態の電気コネクタを備えてもよい。
【0054】
図示の実施形態において、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38は、互いに平行に配置される一対の隣接するコネクタである。特に、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38は、加熱アセンブリ10の長手方向に平行に、即ち、管状キャビティ26に平行に配置され、内壁14の基部30に隣接するヒータ34に接続する。このようにして、コンポーネントの効率的な配置が提供され、結果としてコンパクトで耐久性のある加熱アセンブリ10が得られる。しかし、代替の実施形態において、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38は、内壁14に対して代替的な位置で、例えば、内壁14の(例えば、周方向の)外面18に隣接して、ヒータ34に接続してもよい。第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38はまた、互いに及び/又は管状キャビティ26に平行に配置されることに限定されない。
【0055】
真空断熱材12の内壁14は、ステンレス鋼又は他の金属、金属合金、又はセラミック等の、ヒータ34からキャビティ26内に熱を伝達するのに適した特性を有する任意の適切な材料を備えてもよい。
【0056】
外壁20に適した材料の例には、ステンレス鋼及び/又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のプラスチックを含む。当業者は、外壁20がPEEK等の電気絶縁材料から作製される場合、アパーチャ44内部に更なる電気絶縁材料54を設ける必要がない場合があることを正しく理解するであろう。
【0057】
図4は、本発明の一実施形態による加熱アセンブリを製造する方法60であるフロー図を示している。
【0058】
方法60は、ステップ62において開始し、ここで外壁20が設けられる。具体的には、外壁20は、1つ以上のアパーチャ44を有して設けられる。
【0059】
ステップ64において、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38が、外壁20を通って延在するよう配置される。第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38は、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタがそれぞれ外壁20を通る電気経路を提供するように、1つ以上のアパーチャ44を貫通する。好ましくは、電気絶縁材料54は、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38を囲むよう1つ以上のアパーチャ44内に配置される。電気絶縁材料54は、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38と外壁20との間のいかなる接触も防止する。電気絶縁材料54はまた、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38を外壁20に対して所定の位置に固定するよう作用してもよい。
【0060】
ステップ66において、内壁14が設けられる。ステップ68において、ヒータ34が内壁14の外面18に設けられる。例えば、ヒータ34は、内壁14の外面18に印刷、コーティング、又はそうでなければ固定されてもよい。
【0061】
ステップ70において、内壁14は、外壁20に結合されて、ヒータ34が位置する外壁20と内壁14との間の密閉空間を形成する。ヒータ34は、ヒータ34を介して第1の電気コネクタ36と第2の電気コネクタ38との間に電気経路が形成されるように、第1の電気コネクタ36及び第2の電気コネクタ38のそれぞれと電気接続を形成するよう配置される。
【0062】
最後に、ステップ72において、真空が外壁20と内壁14との間の密閉空間内に形成される。
【0063】
当業者は、図2及び3を参照して検討した特徴の形状、特性、及び構成が、方法60を参照して検討した特徴に等しく適用されることを正しく理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】