特表 2025-502920 エアロゾル生成デバイスのための加熱装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公表特許公報(A)

(11)【公表番号】

(43)【公表日】2025-01-30

(54)【発明の名称】エアロゾル生成デバイスのための加熱装置

(51)【国際特許分類】

   A24F 40/46 20200101AFI20250123BHJP

   A24F 40/40 20200101ALI20250123BHJP

   A24F 40/20 20200101ALI20250123BHJP

   A24F 40/42 20200101ALI20250123BHJP

   A24D 1/20 20200101ALI20250123BHJP

   A24D 3/17 20200101ALI20250123BHJP

【ＦＩ】

A24F40/46

A24F40/40

A24F40/20

A24F40/42

A24D1/20

A24D3/17

【審査請求】未請求

【予備審査請求】未請求

(21)【出願番号】P 2024531706

(86)(22)【出願日】2023-01-30

(85)【翻訳文提出日】2024-07-17

(86)【国際出願番号】 EP2023052168

(87)【国際公開番号】W WO2023144376

(87)【国際公開日】2023-08-03

(31)【優先権主張番号】22154348.1

(32)【優先日】2022-01-31

(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP

(81)【指定国・地域】

(71)【出願人】

【識別番号】516004949

【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ

【住所又は居所原語表記】８，ｒｕｅ Ｋａｚｅｍ Ｒａｄｊａｖｉ，１２０２ Ｇｅｎｅｖａ，ＳＷＩＴＺＥＲＬＡＮＤ

(74)【代理人】

【識別番号】110003281

【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】ガルシア ガルシア， エドアルド ホセ

【テーマコード（参考）】

4B045

4B162

【Ｆターム（参考）】

4B045AB11

4B045AB16

4B045BB07

4B045BC24

4B162AA03

4B162AA05

4B162AA22

4B162AB01

4B162AB12

4B162AC10

4B162AC12

4B162AC14

4B162AC22

(57)【要約】

エアロゾル生成デバイス（２）のための加熱装置（２０）が開示され、この加熱装置は、キャビティ（４２）であって、主長手方向軸を有し、且つエアロゾル形成物質（１２）が受け入れられ得る開口部（４０）を含むキャビティ（４２）と、内側壁及び外側壁を含む第１の断熱体スリーブ（２２）であって、内側壁は、キャビティの半径方向近位にあり、第１の断熱体スリーブは、主長手方向軸に対してキャビティの第１の部分に沿って配置される、第１の断熱体スリーブ（２２）と、内側壁及び外側壁を含む第２の断熱体（２６）であって、内側壁は、キャビティの半径方向近位にあり、第２の断熱体は、キャビティの第２の部分に沿って配置され、第２の部分は、主長手方向軸に沿って第１の断熱体スリーブに対して開口部の遠位に位置決めされる、第２の断熱体（２６）と、ヒータ（２４）であって、第２の断熱体の外側壁に対して半径方向内側に位置決めされ、且つキャビティ内に受け入れられたエアロゾル形成物質に熱を提供するように構成されたヒータ（２４）とを含む。

【特許請求の範囲】

【請求項1】

エアロゾル生成デバイスのための加熱装置であって、
キャビティであって、主長手方向軸を有し、且つエアロゾル形成物質が受け入れられ得る開口部を含むキャビティと、
内側壁及び外側壁を含む第１の断熱体スリーブであって、前記内側壁は、前記キャビティの半径方向近位にあり、前記第１の断熱体スリーブは、前記主長手方向軸に対して前記キャビティの第１の部分に沿って配置される、第１の断熱体スリーブと、
内側壁及び外側壁を含む第２の断熱体であって、前記内側壁は、前記キャビティの半径方向近位にあり、前記第２の断熱体は、前記キャビティの第２の部分に沿って配置され、前記第２の部分は、前記主長手方向軸に沿って前記第１の断熱体スリーブに対して前記開口部の遠位に位置決めされる、第２の断熱体と、
ヒータであって、前記第２の断熱体の前記外側壁に対して半径方向内側に位置決めされ、且つ前記キャビティ内に受け入れられたエアロゾル形成物質に熱を提供するように構成されたヒータと、
を含む加熱装置。

【請求項2】

前記第１の断熱体スリーブ及び／又は前記第２の断熱体は、前記それぞれの内側壁及び外側壁間に真空を含む、請求項１に記載の加熱装置。

【請求項3】

前記第１の断熱体スリーブ及び／又は前記第２の断熱体は、前記それぞれの内側壁及び外側壁間に断熱材料を含む、請求項１又は２に記載の加熱装置。

【請求項4】

前記第１の断熱体スリーブは、前記主長手方向軸に沿って少なくとも３ミリメートルの長さを含む、請求項１から３の何れか一項に記載の加熱装置。

【請求項5】

前記ヒータは、前記第２の断熱体の前記内側壁上で前記第２の断熱体の前記外側壁と前記内側壁との間に配置される、請求項１から４の何れか一項に記載の加熱装置。

【請求項6】

前記ヒータと前記内側壁との間に設けられた電気絶縁層を更に含む、請求項５に記載の加熱装置。

【請求項7】

前記第２の断熱体は、前記キャビティの端部を含む、請求項１から６の何れか一項に記載の加熱装置。

【請求項8】

前記ヒータは、カップ状であり、且つ前記キャビティの端部を含む、請求項１から６の何れか一項に記載の加熱装置。

【請求項9】

前記キャビティの前記端部は、前記キャビティ内への空気の流れを可能にするための１つ又は複数の穴を含む、請求項７又は８に記載の加熱装置。

【請求項10】

前記第２の断熱体の前記外側壁は、ステンレス鋼などの金属及び／又はポリエーテルエーテルケトン、ＰＥＥＫなどのプラスチックを含む、請求項１から９の何れか一項に記載の加熱装置。

【請求項11】

前記ヒータは、抵抗ヒータである、請求項１から１０の何れか一項に記載の加熱装置。

【請求項12】

前記ヒータを電源に接続するように構成された１つ又は複数のワイヤを含む、請求項１から１１の何れか一項に記載の加熱装置。

【請求項13】

ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル生成デバイスであって、請求項１から１２の何れか一項に記載の加熱装置を含むエアロゾル生成デバイス。

【請求項14】

請求項１から１２の何れか一項に記載の加熱装置に挿入するためのエアロゾル形成消耗品であって、
フィルタと、
エアロゾル形成物質と、
前記フィルタと前記エアロゾル形成物質との間に所定の空隙を設けるように前記フィルタ及び前記エアロゾル形成物質を保持するように配置された包装材料と、
を含むエアロゾル形成消耗品。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、エアロゾル生成デバイスのための加熱装置及び加熱装置を含むエアロゾル生成デバイスに関する。本開示は、詳細には、自己完結型及び低温であり得る携帯型エアロゾル生成デバイスに適用可能である。特に、本発明は、真空チャンバ又は断熱チャンバ内に配置されたヒータを有するエアロゾル生成デバイスに関する。

【背景技術】

【0002】

タバコを含む固体又は半固体のエアロゾル形成基材を、燃やさずに加熱する電子シガレットを製造することは、関心が高まっている分野である。これらのデバイスは、通常、加熱チャンバ内にタバコのロッドを受け入れる。ロッドは、加熱されてエアロゾルを放出し、ユーザは、このエアロゾルを吸入することができる。これらのデバイスにおける問題の１つは、加熱チャンバに熱を供給するヒータがデバイスの残りの部分も望ましくなく加熱し得ることである。小型のデバイスでは、これは、不利であり得、なぜなら、ユーザが保持するデバイスの外側表面の温度が許容できないほど高くなり得るためである。これらの効果を緩和するために、一部のエアロゾル生成デバイスでは、ヒータを外側表面から間隔をおいて配置することができる真空チャンバが設けられている。これにより、加熱チャンバと、ユーザが保持する外側表面との間に熱分離を提供することができる。

【0003】

そのようなエアロゾル生成デバイス内では、デバイスの電池寿命を延ばすことができるように、加熱動作の効率を向上させることが望ましい。この目的を達成するために、エアロゾル基材がその中で加熱されるキャビティ（空洞）を熱的に絶縁するために、エアロゾル生成デバイス内部に真空断熱体を組み込み、それにより外部環境への熱損失を制限している。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

本発明の目的は、加熱効率を更に向上させ、且つ望ましくない熱損失を低減することである。

【課題を解決するための手段】

【0005】

本発明の一態様によれば、エアロゾル生成デバイスのための加熱装置であって、キャビティであって、主長手方向軸を有し、且つエアロゾル形成物質が受け入れられ得る開口部を含むキャビティと、内側壁及び外側壁を含む第１の断熱体スリーブであって、内側壁は、キャビティの半径方向近位にあり、第１の断熱体スリーブは、主長手方向軸に対してキャビティの第１の部分に沿って配置される、第１の断熱体スリーブと、内側壁及び外側壁を含む第２の断熱体であって、内側壁は、キャビティの半径方向近位にあり、第２の断熱体は、キャビティの第２の部分に沿って配置され、第２の部分は、主長手方向軸に沿って第１の断熱体スリーブに対して開口部の遠位に位置決めされる、第２の断熱体と、ヒータであって、第２の断熱体の外側壁に対して半径方向内側に位置決めされ、且つキャビティ内に受け入れられたエアロゾル形成物質に熱を提供するように構成されたヒータとを含む加熱装置が提供される。

【0006】

このようにして、第１の断熱体スリーブは、加熱エリアの上側端部（キャビティの開口部に向かうヒータの端部）又は第２の部分と、キャビティ又は加熱装置が設けられるエアロゾル生成デバイスの外側表面の開口部との間に断熱領域又は長さ（即ち空間又は空隙）を提供する。これにより、開口部の位置における加熱デバイスの温度を有利に下げることができる。

【0007】

第１の断熱体スリーブ及び第２の断熱体は、それぞれの内側壁及び外側壁をそれぞれ有し、キャビティ（内側壁の近位）からそれぞれの外側壁への熱伝達又は熱損失を防ぐように構成される点で二重壁の断熱体であるとみなされ得る。

【0008】

ヒータをキャビティ内部のより深い位置に配置すると、加熱エリアが効果的に短くなり、且つ加熱エリアをキャビティの開口部から離すことになる。有利には、加熱装置内の加熱エリア（又はヒータカップのかさ）がより小さい／短いと、ヒータの加熱時間を改善し、エネルギー消費を低減し得ることが判明した。

【0009】

第１の断熱体スリーブ及び／又は第２の断熱体は、それぞれの内側壁及び外側壁間に真空を含むことが好ましい。例えば、第１の断熱体スリーブは、真空断熱体スリーブであり得る。第２の断熱体は、第２の真空断熱体であり得る。

【0010】

代わりに、第１の断熱体スリーブ及び／又は第２の断熱体は、それぞれの内側壁及び外側壁間に断熱材料を含み得る。例えば、第１の断熱体スリーブは、その内側壁と外側壁との間にエアロゲル材料を含み得る。第２の断熱体は、その内側壁と外側壁との間に空気を含み得る。断熱材料の例としては、これらに限定するものではないが、空気、エアロゲル材料、粉末又は繊維状断熱材料が挙げられる。

【0011】

第１の断熱体スリーブは、主長手方向軸に沿って少なくとも３ミリメートル（ｍｍ）の長さを含むことが好ましい。この長さは、３ｍｍ超、例えば５ｍｍ、１０ｍｍ、１５ｍｍ、２０ｍｍ以上であり得る。理解されるように、この長さが長くなるほど、ヒータがキャビティ内でより深くに位置決めされる。

【0012】

第１の断熱体スリーブは、開口部に配置されるか又は開口部からわずかに離して配置されて、主長手方向軸に沿ってキャビティの第１の部分を画定し得、ヒータは、断熱体スリーブに対して少なくとも部分的にオフセットされる位置に主長手方向軸に沿って位置決めされ得る。一構成では、スリーブの端部が開口部の近位に配置され得る。加熱装置がエアロゾル生成デバイス内に設けられる場合、エアロゾル形成物質が挿入される加熱装置キャビティの開口部は、例えば、デバイスのケーシング又は更に加熱装置自体のケーシングに起因して、エアロゾル生成デバイスの外側表面からずれ得ることを理解されたい。

【0013】

キャビティの第２の部分を取り囲む第２の断熱体は、主長手方向軸に沿って第１の部分から少なくとも部分的に離れて位置決めされる。これにより、第２の断熱体から第１の部分／断熱体スリーブへの熱伝達が効果的に不連続になることが保証される。第２の断熱体の内側壁は、金属表面を含んで、ヒータからキャビティへの効果的な熱伝達を可能にし得る。第２の断熱体と第１の断熱体スリーブとの間に不連続性を設けると、キャビティの第２の部分における熱の生成及び伝達が効果的に制御されることが確実になる。第１の断熱体スリーブは、非金属の断熱材料で作られる外側ケーシングを含み得る。これにより、第１の断熱体と第２の断熱体及び／又はヒータとの間の伝導を介した熱伝達が更に防止される。

【0014】

ヒータは、第２の断熱体の内側壁上で第２の断熱体の内側壁と外側壁との間に配置されることが好ましい。加熱装置は、ヒータと内側壁との間に設けられた電気絶縁層を更に含むことが好ましい。このようにして、デバイスの安全性を高めることができ、なぜなら、加熱装置又はエアロゾル生成デバイスの他のコンポーネントへの電気伝導が回避され得るためである。電気絶縁層は、内部壁上に堆積された材料の層として設けられ得る。代わりに、この層は、ヒータ上の部分的な又は完全なコーティングとして設けられ得る。

【0015】

第２の断熱体は、キャビティの第２の部分を画定するか又は第２の部分内に設けられることが好ましく、第２の部分は、キャビティの端部を含む。このようにして、第２の断熱体は、受け入れられたエアロゾル形成消耗品が当接するキャビティの端部を提供する。この端部は、キャビティの閉鎖端部であり得、それにより空気の流れのため及びエアロゾル形成消耗品を挿入するための単一の開口部が存在し、この場合、第２の断熱体は、実質的にカップ状であり得る。代わりに、第２の部分の端部は、キャビティ内への空気の流れを可能にするための１つ又は複数の穴を含む。

【0016】

ヒータは、カップ状であり、且つキャビティの第２の部分を画定することが好ましく、第２の部分は、キャビティの端部を含む。このようにして、ヒータは、受け入れられたエアロゾル形成消耗品が当接するキャビティの端部を提供する。このようにして、ヒータは、空気の流れのため及びエアロゾル形成消耗品を挿入するための単一の開口部が存在するように閉鎖端部を有し得る。代わりに、第２の部分の端部は、キャビティ内への空気の流れを可能にするための１つ又は複数の穴を含む。

【0017】

キャビティの端部は、キャビティ内への空気の流れを可能にするための１つ又は複数の穴を含むことが好ましい。１つ又は複数の穴を有するカップ状のヒータについて理解すべきであるとおり、第２の断熱体は、空気がヒータカップの底部に到達するように、開口部を有し得るか、又は更に実質的に管状（即ち第２のスリーブ）であり得る。

【0018】

第２の断熱体の外側壁は、ステンレス鋼などの金属及び／又はポリエーテルエーテルケトン、ＰＥＥＫなどのプラスチックを含むことが好ましい。外部壁は、ＰＥＥＫを含みながら、十分な断熱特性を提供し得ることが判明した。外部壁の一部としてＰＥＥＫを使用すると、好ましくは加熱装置の重量を低減し得る。外部壁がＰＥＥＫを含む場合、このＰＥＥＫは、熱伝導性が低い形態のＰＥＥＫであり得る。

【0019】

ヒータは、抵抗ヒータであることが好ましい。このようにして、小型であり、単純であり、給電しやすい形態のヒータが提供される。代わりに、ヒータは、第２の断熱体を取り囲むコイルによって電力を供給される誘導ヒータであり得る。

【0020】

加熱装置は、ヒータを電源に接続するように構成された１つ又は複数のワイヤを含むことが好ましい。１つ又は複数のワイヤは、断熱体スリーブの長手方向端部（開口部から離れた側）又はヒータにおける断熱体スリーブ間のインターフェースの１つ又は複数の空隙を通して位置決めされ得る。二重断熱体構成の場合、ワイヤは、第１の断熱体と第２の断熱体との間の１つ又は複数の空隙を通して位置決めされ得る。１つ又は複数のワイヤは、第２の断熱体内の、キャビティの開口部に向かう断熱体の長手方向端部に設けられた（及び開口部から離れた第１の断熱体の長手方向端部に設けられた）１つ又は複数の空隙を通して位置決めされ得る。このようにして、ワイヤと断熱体との接触をより少なくすることができる。これにより、第２の断熱体の壁から伝導する熱がより少なくなることにより、ワイヤが第２の断熱体から外に運ぶ熱がより少なくなる。この構成は、製造することも簡単であり、それにより製造コストを削減できる可能性がある。一例では、ワイヤは、第２の断熱体との単一の接触点を有する。内部壁及び外部壁には、１つ又は複数のシールであって、ワイヤの周りに設けられ、且つ空気が第２の断熱体に入ることを防止し、ワイヤを所定位置に保持するように構成された１つ又は複数のシールが接続され得る。

【0021】

ワイヤは、質量をより小さくすることができ、これは、ユーザが持ち運ぶ重量の点及びデバイスの熱質量を低減する点で有利であり得る。１つ又は複数のシールを空隙内に設けて、空気が第２の断熱体に入ることを防止し、ワイヤを所定位置に固定し得る。空隙は、第２の断熱体の何れかの端部に向かって又は第２の断熱体の外部壁／外側壁上の他の場所に設けられ得る。

【0022】

本発明の別の態様によれば、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル生成デバイスであって、第１の態様による加熱装置を含むエアロゾル生成デバイスが提供される。

【0023】

本発明の別の態様によれば、本発明の第１の態様による加熱装置に挿入するためのエアロゾル形成消耗品が提供され、このエアロゾル形成消耗品は、フィルタと、エアロゾル形成物質と、フィルタとエアロゾル形成物質との間に所定の空隙を設けるようにフィルタ及びエアロゾル形成物質を保持するように配置された包装材料とを含む。

【0024】

ここで、図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。

【図面の簡単な説明】

【0025】

【図1】本発明の一実施形態による加熱装置を含むエアロゾル生成デバイスの斜視図である。

【図2】エアロゾル形成消耗品の断面図である。

【図3A-3D】加熱装置の概略断面図である。

【図4A-4B】加熱装置の概略断面図である。

【図5A-5B】図４の加熱装置の更なる概略図である。

【発明を実施するための形態】

【0026】

本明細書で説明するように、蒸気とは、臨界温度よりも低い温度で気相である物質を指すと一般に理解され、これは、温度を低下させずに圧力を高めることにより、蒸気を液体に凝縮できることを意味する一方、エアロゾルとは、空気又は別の気体中に微細な固体粒子又は液滴が浮遊しているものである。しかしながら、本明細書では、特にユーザによる吸入のために生成される吸入可能媒体の形態に関して、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、区別なく使用され得ることに留意されたい。

【0027】

以下の特定の例では、真空断熱体として二重壁の断熱体（即ち断熱体スリーブ及び第２の断熱体）について説明し、そこでは、それぞれの断熱体の内側壁と外側壁との間に真空が設けられる。しかしながら、本明細書で説明する断熱体は、断熱体の壁間に真空を含まなくてもよく、代わりにエアロゲル、粉末若しくは繊維状の材料又は更に空気などの断熱材料を含み得ることを理解されたい。

【0028】

図１は、本発明の実施形態によるエアロゾル生成デバイス２を示す。エアロゾル生成デバイス２は、例示的な内部コンポーネントが見えるようになっている組み立てられた構成で示されている。エアロゾル生成デバイス２は、たばこ蒸気デバイスとも呼ばれ得る加熱非燃焼式デバイスであり、エアロゾル発生材料、例えばたばこのロッド等のエアロゾル基材を受け入れるように構成された加熱装置４を含む。エアロゾル生成デバイス２は、電池などの電源と、電源から加熱装置４への電力の供給を制御するための制御回路とを含み得る。加熱装置４は、エアロゾル生成材料のロッドを燃焼させるのではなく加熱して、ユーザによる吸入のための蒸気又はエアロゾルを生成するように動作可能である。当然のことながら、当業者であれば、図１に示すエアロゾル生成デバイス２が本発明による単なる例示的なエアロゾル生成デバイスであることを理解するであろう。他の種類及び構成のたばこ蒸気製品、気化器又は電子たばこも本発明によるエアロゾル生成デバイスとして用いられ得る。

【0029】

図２は、エアロゾル生成デバイス２の加熱装置４に挿入するためのエアロゾル形成消耗品６の概略図を示す。エアロゾル形成消耗品６は、円筒形のボディ８を有し、このボディには、第１の端部に向かってフィルタ１０が、ボディ８の第２の端部にはエアロゾル形成物質１２が設けられる。エアロゾル形成物質１２は、タバコを含む固体又は半固体のエアロゾル形成基材であり得る。エアロゾル形成消耗品６は、フィルタ１０とエアロゾル形成物質１２との間のボディ８内に位置決めされた空の空間１４を更に含む。この空間１４は、生成されたエアロゾルがフィルタ１０を通してユーザによって吸入される前に、エアロゾル形成物質１２が加熱されたときにエアロゾル形成物質１２から形成又は生成されるエアロゾルを集める。

【0030】

エアロゾル形成消耗品６は、包装材料１６も含み、この包装材料１６は、フィルタ１０及びエアロゾル形成物質１２を所定位置に保持し、フィルタ１０とエアロゾル形成物質１２との間に空間１４を提供する。包装材料１６は、例えば、エアロゾル形成消耗品６が加熱装置に挿入される際にしわになり、空間１４内に崩壊するか、又はエアロゾル形成消耗品が加熱装置から取り出されるときに破れることがないように、エアロゾル形成消耗品６の完全性を確実にするのに適した特性を有する。空間１４は、硬い紙材料で作られた管状部材から形成され得、この管状部材は、生成されたエアロゾルが容易に空間１４を通してフィルタ１０まで流れることを可能にしつつ、ある程度の剛性を提供する。ボディ８におけるエアロゾル形成物質１２の長さは、本加熱アセンブリにおける加熱領域の長手方向の長さと同程度であり得る。

【0031】

本発明における加熱アセンブリに関連して後で更に説明するように、消耗品６におけるエアロゾル形成物質１２及び空の空間１４の配分は、加熱効率を最適化し加熱装置４の望ましくない熱損失を低減するために、それぞれ、対応する加熱領域及び断熱領域と適合するように又はそれらにとって適切であるように選択される。例えば、エアロゾル形成物質１２の上端は、エアロゾル形成消耗品６がエアロゾル生成デバイス２に挿入されたとき、加熱領域の上端と長手方向に同じ高さに位置するようにし得る。しかしながら、エアロゾル形成物質１２の上端を、加熱領域の上端よりも高い又は低い高さに位置決めして、加熱効率と蒸気生成量等とのバランスを調節することができる。

【0032】

図３Ａ～図３Ｄは、本開示によるヒータ領域及び断熱通路を有する加熱装置２０の異なる断面構成を示す。図３Ａは、真空断熱体スリーブ２２、ヒータカップ２４及び真空断熱体カップ２６の分解図を示し、図３Ｂ～図３Ｄは、真空スリーブ２２、ヒータカップ２４及び／又は真空カップ２６の異なる組み合わせを示す。図３Ａ～図５Ｂにおける特定の例での断熱体の幾つかは、断熱体カップ及び断熱体スリーブの内側壁と外側壁との間に真空が設けられると説明されている。しかしながら、それらの断熱体の一方又は更に両方における真空は、空気、エアロゲル材料、粉末又は繊維状断熱材料などの他の断熱媒体／材料で置き換えられ得ることが理解されるであろう。

【0033】

真空断熱体スリーブ２２は、内側壁２８及び外側壁３０を有し、それらの間に真空が封入される。当業者であれば、「真空」という用語は、自由物質、特に空気の除去に起因して、圧力が大気圧よりも大幅に低い空間を指すことを理解するであろう。内側壁２８と外側壁３０との間に形成される真空の品質は、低真空、中真空又は高真空であり得る。

【0034】

内側壁２８及び外側壁３０は、互いに半径方向に離れて配置され、それらの間に真空が形成される封止空間が画定される。この例では、内側壁２８及び外側壁３０は、真空スリーブの両端で結合された同心の円筒を形成する。

【0035】

真空スリーブ２２は、中空であり、第１の端部と第２の端部との間に長手方向軸を画定し、エアロゾル形成消耗品６は、第１の端部にある開口部３２を通して受け入れられ、第２の端部を通して出ることができる。換言すると、真空スリーブ２２はトンネルを提供し、このトンネルを通して、エアロゾル形成消耗品６は、支持された様相で通過することができる。開口部３２は、構築された形態にある加熱装置２０に消耗品６を挿入するためのアクセスポイントとして機能する。

【0036】

真空スリーブ２２は、その端部の一方に沿って長手方向軸に平行に見たとき、概ね楕円形又は円形の断面を有する。この例では、真空スリーブ２２は、実質的に円形の断面形状を有する。しかしながら、代替例では、真空スリーブ２２は、他のタイプの断面形状、例えば概ね正方形又は多角形である形状に形成され得る。

【0037】

真空断熱体スリーブ２２は、図３Ｂ及び図３Ｄに示すように、ヒータカップ２４と接続するための溝３４も含む。接続は、押込嵌め式であり得、溝３４は、プラスチック又はさもなければ可撓性の材料で作られ、ヒータカップ２４のリップを所定位置に嵌めることができる。代わりに、溝３４は、ねじ込み嵌め式の接続のものであり得、この場合、ヒータカップ２４のリップをねじ込むことができる。

【0038】

図３Ｂは、ヒータカップ２４にかぶさって配置された真空断熱体スリーブ２２を示す。ヒータカップ２４は、壁３６と、底部３８と、エアロゾル形成消耗品６が受け入れられる開口部４０とを有するカップ状である。キャビティ４２は、ヒータカップ２４が真空断熱体スリーブ２２に接続されると画定され、スリーブ２２の開口部３２は、消耗品６が挿入される場所であり、ヒータカップ２４の底部３８は、挿入された消耗品６が当接するキャビティ４２の閉鎖端部である。この例では、ヒータカップ壁３６の内側表面と真空スリーブ２２の内側壁２８とは、互いに実質的に整列し、それにより消耗品６を容易にキャビティ４２に挿入することができる。当業者に明らかであるように、内側表面は、壁と消耗品との接触の程度及び深さを制御するために、先細であるか、テクスチャ付与されるか又は隆起を有し得る。ヒータカップ２４は、抵抗ヒータであるか又は代替的に誘導材料から作られ得る。

【0039】

ヒータカップ２４は、上述のように、真空スリーブ２２の溝３４に取り付けるための、ヒータカップ２４の開口部４０に向かって配置されたリップ４４を更に含む。真空スリーブ２２をヒータカップ２４の開口部４０に取り付けると、ヒータカップ２４からの熱が加熱装置及びデバイスの外に伝導するのが防止される。加熱装置の効力及び効率を最適化するために、エアロゾル形成消耗品６におけるエアロゾル形成物質１２の長さは、ヒータカップ２４によって取り囲まれるキャビティ４２の長さと実質的に同じ（又はそれよりわずかに長い）であるべきである。これは、熱が、ヒータカップ２４から、挿入された消耗品のエアロゾル形成物質部分にのみ放出されることを意味する。エアロゾル形成消耗品における空間１４の長さは、必ずしも、真空断熱体スリーブ２２によって取り囲まれるキャビティ４２の長さと一致する必要はない。本開示による加熱装置に適したエアロゾル形成消耗品６におけるフィルタ１０、空間１４及びエアロゾル形成物質１２の相対的な長さは、当業者に容易に明らかであろう。

【0040】

図３Ｃは、真空断熱体カップ２６内に配置されたヒータカップ２４を示す。真空断熱体カップ２６は、内側壁４６及び外側壁４８を有し、それらの間に真空が封入される。この特定の例では、ヒータカップ２４は、真空断熱体カップ２６の内側壁４６の外側表面によって画定されるチャンバ５０内に挿入されるように構成される。真空断熱体カップ２６の内側壁４６は、ヒータカップ２４の外側表面と適合するように管状、例えば実質的に円筒形であり、外側（例えば、円周）表面及び内側（例えば、円周）表面を有する。外側壁４８は管状、例えば実質的に円筒形であり、外側（例えば、円周）表面及び内側（例えば、円周）表面を有する。内側壁４６及び外側壁４８は、それぞれ底部部分５２、５４を更に含んでカップ形状を提供する。

【0041】

図示されない代替例では、ヒータカップ２４の代わりにヒータトレースが設けられ得、トレースは、内側壁４６の内側表面がヒータ装置２０のキャビティ４２の部分を画定するように、真空断熱体カップ２６の内側壁４６の内側表面上に配置され得る。したがって、理解されるように、この代替例では、キャビティは、真空断熱体スリーブ及び真空断熱体カップの内側壁の内側表面によって画定される。

【0042】

真空断熱体カップ２６は、ヒータカップ２４の断熱を提供し、デバイスの外部表面に到達する熱の量を最小限に抑える。真空断熱体カップ２６の断面形状は、設計要件に従って、真空スリーブ２２及び／又はヒータカップ２４と適合するように選択されることを理解されたい。図３Ａに最も明確に見られるように、真空断熱体カップ２６は、内側隆起部分５６であって、その上にヒータカップ２４のリップ４４が載ることができる内側隆起部分５６と、真空スリーブ２２の第２の端部に隣接するための外側棚部５８とを含む。

【0043】

図３Ｄには、完全に構築された二重真空加熱装置が示されている。図３Ｃ及び図３Ｄに見られるように、ヒータカップ２４の底部３８の外側表面と真空断熱体カップ２６の内側壁４６の内側表面との間に空隙６０が設けられる。図示されない１つ又は複数の穴を、空隙６０を取り囲むヒータカップ２４及び／又は真空断熱体カップ２６の壁若しくは底部に設けて、挿入された消耗品のエアロゾル形成物質からの空気流を改善し得る。

【0044】

図４Ａ及び図４Ｂは、本開示による加熱領域及び異なるタイプの断熱通路を有する別の加熱装置１２０の異なる断面構成を示す。図４Ａ及び図４Ｂは、図３Ａ～図３Ｄを参照して説明したのと同様のヒータカップ１２２を示し、ヒータカップ１２２は、壁１２４と、底部１２６と、エアロゾル形成消耗品６が受け入れられる開口部１２８とを有するカップ状である。ヒータカップ１２２は、図３を参照して説明したように、断熱体スリーブに取り付けるための又は断熱体カップに載せるためのリップ１３０も含む。

【0045】

ヒータカップ１２２の長さは、加熱装置１２０の効力及び効率を最適化するために、加熱装置１２０のために特に設計された消耗品６のエアロゾル形成物質部分の長さと実質的に同じに（又はそれよりわずかに短く）される。このようにして、熱は、ヒータカップ１２２から、挿入された消耗品のエアロゾル形成物質部分にのみ放出される。

【0046】

加熱装置１２０は、エアロゲルシート又はスーパーウールシートなどの断熱材料１３４を含む断熱体スリーブ１３２を更に含む。断熱材料１３４は、中空の円筒形に成形されて、内側表面１３６及び外側表面１３８を画定し得る。代わりに、断熱材料１３４は、熱伝導性の低いケーシング材料内に入れられ得る。

【0047】

断熱体スリーブ１３２は、第１の端部と第２の端部との間に長手方向軸を画定し、エアロゾル形成消耗品６は、第１の端部にある開口部１４０を通して受け入れられ、第２の端部を通して出ることができる。したがって、断熱体スリーブ１３２は、トンネルを提供し、このトンネルを通してエアロゾル形成消耗品６が支持され得る。開口部１４０は、構築された形態にある加熱装置１２０に消耗品６を挿入するためのアクセスポイントとして機能する。

【0048】

断熱体スリーブ１３２は、その端部の一方に沿って長手方向軸に平行に見たとき、概ね楕円形又は円形の断面を有する。この例では、断熱体スリーブ１３２は、実質的に円形の断面形状を有する。しかしながら、代替例では、断熱体スリーブ１３２は、他のタイプの断面形状、例えば概ね正方形又は多角形である形状に形成され得る。

【0049】

断熱体スリーブ１３２は、様々な方法でヒータカップ１２２に取り付けられ得る。一例では、断熱材料１３４を、ヒータカップリップ１３０を含むヒータカップ１２２の上端の周囲に巻いて、スリーブ１３２を形成し得る。他の例では、リップ１３０は、断熱材料１３４にねじ込まれるにつれて、断熱材料１３４内に食い込み得る。更に別の例では、断熱体スリーブ１３２は、ヒータカップ１２２との押し込み嵌め又はねじ接続を可能にするケーシング材料内の溝を有する。

【0050】

キャビティ１４２は、ヒータカップ１２２が断熱体スリーブ１３２に接続されると画定され、スリーブ１３２の開口部１４０は、キャビティ１４２の開口部であり、ヒータカップ１２６の底部３８は、キャビティ１４２の閉鎖端部である。この例では、ヒータカップ壁１２４の内側表面とスリーブ１３２の内側壁とは、互いに実質的に整列し、それにより消耗品６をキャビティ１４２に滑らかに挿入することができる。当業者に明らかであるように、内側表面は、壁と消耗品との接触の程度及び深さを制御するために、先細であるか、テクスチャ付与されるか又は隆起を有し得る。ヒータカップ１２２は、抵抗ヒータであるか又は代替的に誘導材料から作られ得る。

【0051】

エアロゾル形成消耗品における空間１４の長さは、断熱体スリーブ１３２によって取り囲まれるキャビティ１４２の長さと同程度である。しかしながら、必ずしもそうである必要はなく、空間１４の長さは、スリーブ１３２によって取り囲まれたキャビティ１４２よりも短くてもよい（例えば、フィルタ１０がキャビティ１４２内まで下がる場合）ことを理解されたい。本開示による加熱装置に適したエアロゾル形成消耗品６におけるフィルタ１０、空間１４及びエアロゾル形成物質１２の相対的な長さは、当業者に容易に明らかであろう。

【0052】

図４Ｂに見られるように、ヒータカップ１２２は、図３で説明した真空断熱体カップ２６と同様の真空断熱体カップ１４４内に位置決めされる。真空断熱体カップ１４４は、ヒータカップ１２２の断熱を提供する。

【0053】

真空断熱体カップ１４４は、内側壁１４６及び外側壁１４８を有し、それらの間に真空が封入される。内側壁４６及び外側壁４８は、それぞれ底部部分１５０、１５２を更に含んでカップ形状を提供する。

【0054】

真空断熱体カップ１４４の断面形状は、設計要件に従って、断熱体スリーブ１３２及び／又はヒータカップ１２２と適合するように選択されることを理解されたい。断熱体スリーブ１３２と真空断熱体カップ１４４との間の界面は、押し込み嵌め式又はねじ込み嵌め式の接続などの嵌め込み式接続であり得るか若しくは互いに対してもたせかけられ得るか、又は更にそれらの間に隙間を残し得る。

【0055】

図示されない代替例では、ヒータカップ１２２の代わりにヒータトレースを設けることができ、トレースは、内側壁１４６の内側表面がヒータ装置１２０のキャビティ１４２の部分を画定するように、真空断熱体カップ１４４の内側壁１４６の内側表面上に配置され得る。したがって、理解されるように、この代替例では、キャビティは、真空断熱体スリーブ及び真空断熱体カップの内側壁の内側表面によって画定される。

【0056】

図５Ａ及び図５Ｂは、エアロゾル形成消耗品６がキャビティ１４２内に挿入された状態の、図４の加熱装置１２０の更なる概略図を示す。これらの特定の例に見られるように、消耗品６における空間１４の長さは、断熱体スリーブ１３２の長さよりも長い。エアロゾル形成物質部分が装置１２０のヒータカップ１２２部分内に完全に含まれることも分かる。

【0057】

図５Ａ及び図５Ｂは、ヒータカップ１２２（又はヒータトレース）を電源（図示せず）に接続するワイヤ１４８を示す。したがって、真空断熱体カップ１４４の底部は、ワイヤ１４８がキャビティ１４２からカップ１２２を通過できるようにするための１つ又は複数のアパーチャを含む。図示されない別の例では、製造を簡単にするために、ヒータカップ１２２を取り囲む真空断熱体カップ１４４を真空断熱体スリーブ（即ち底部のない中空の円筒）で置き換え得る。更に別の例では、ワイヤ１４８は、断熱体スリーブ１３２と真空断熱体カップ１４４との間の界面でキャビティ１４２から外にルーティングされ得、その場合、ワイヤ１４８を電源とヒータカップ１２２との間で渡すために、界面に１つ又は複数のアパーチャ（又は全周にわたる隙間）が設けられる。

【図1】

【図2】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図4A】

【図4B】

【図5A】

【図5B】

【国際調査報告】