(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置用の加熱装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20250123BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20250123BHJP
A24F 42/80 20200101ALI20250123BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/46
A24F42/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531707
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2023052173
(87)【国際公開番号】W WO2023144380
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ガルシア, エドアルド ホセ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC10
4B162AC21
4B162AC34
4B162AE01
(57)【要約】
エアロゾル生成装置用の加熱装置(100)は、互いに間隔が空けられた内壁(104)と外壁(106)を含む断熱材(102)と、エアロゾル形成物質を収容可能であり、断熱材の内壁に隣接して配置された空洞(110)と、内壁の断熱材内部に設けられていて、空洞内に収容されたエアロゾル形成物質を熱伝導により加熱してエアロゾルを生成すべく構成された加熱器(112)と、内壁に設けられいて加熱器を電源に電気的に接続すべく構成された第1の接続パッド(114)を含む。第1の接続パッドは、断熱材を密封すべく外壁及び内壁に接合され、加熱器は、外壁から間隔を空けて配置されている。第1の接続パッドは、加熱器に被せて保護層を設けるべく加熱器を少なくとも部分的に覆う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成装置用の加熱装置であって、
互いに分離された内壁及び外壁を含む断熱材と、
エアロゾル形成物質を収容可能であり、真空断熱材の内壁に隣接して配置された空洞と、
前記内壁の前記断熱材の内部に設けられていて、前記空洞内に収容されたエアロゾル形成物質を熱伝導により加熱してエアロゾルを生成すべく構成された加熱器と、
前記内壁に設けられていて、前記加熱器を電源に電気的に接続すべく構成された第1の接続パッドとを含み、
前記第1の接続パッドは、断熱材を密封すべく前記外壁及び前記内壁に接合され、前記加熱器は、前記外壁から間隔を空けて配置されていて、
前記加熱器に被せて保護層を設けるべく前記第1の接続パッドが前記加熱器を少なくとも部分的に覆う、加熱装置。
【請求項2】
前記内壁と前記外壁とが、前記断熱材が真空断熱材であるように真空部により分離され、前記第1の接続パッドは、前記真空断熱材内の前記真空部を密封すべく前記外壁及び前記内壁に接合されている、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記第1の接続パッドは、前記加熱器に対して増大した機械的堅牢性を有すべく構成されている、請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記加熱器は、前記内壁に印刷又は塗布された電気抵抗トラックを含んでいる、請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記第1の接続パッドは、前記加熱器のほぼ全体を覆う、請求項1から4のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記第1の接続パッドは、前記加熱器の電気抵抗よりも小さい電気抵抗を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記加熱器と前記第1の接続パッドとは、異なる材料を含んでいる、請求項1から6のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記内壁に設けられた第2の接続パッドを含み、前記第2の接続パッドは、前記断熱材を密封すべく前記内壁と前記外壁とに接合されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記第1の接続パッドと前記第2の接続パッドとは、前記加熱器の異なる部分に接続されていて、前記加熱器に電流を通すことができるように各々が電源の反対側の端子に接続されるべく構成されている、請求項8に記載の加熱装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の加熱装置を含んでいる、エアロゾル生成装置。
【請求項11】
前記加熱器の動作を制御すべく構成されたコントローラを含み、前記第1の接続パッドは、前記コントローラに電気的に結合されている、請求項10に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか1項に記載の加熱装置の製造方法であって、
前記内壁に前記加熱器を設けるステップと、
前記内壁に前記加熱器と電気的に接続する前記第1の接続パッドを設けるステップと、
前記第1の接続パッドを前記内壁及び前記外壁に接合するステップと、
前記加熱器に被せて保護層を設けるべく前記加熱器を前記第1の接続パッドで少なくとも部分的に覆うステップと、を含む製造方法。
【請求項13】
前記加熱器は、前記内壁に塗布された電気抵抗性トラックを含み、前記内壁に前記加熱器を設けるステップは、前記内壁に電気抵抗性材料を塗布するステップを含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記第1の接続パッドを前記内壁及び前記外壁に接合するステップは、前記外壁を前記内壁及び前記第1の接続パッドに溶接するステップを含む、請求項12又は13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記溶接は、少なくとも部分的に真空中で行われるレーザー溶接を含む、請求項14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル生成装置用の加熱装置に関する。具体的には、本発明は真空断熱材を有する加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル生成装置用の加熱装置は、使用又は製造中に、特にこれらの加熱器が真空断熱材と共に提供される場合に損傷する恐れのある加熱器を有することが多い。従って、より堅牢な加熱装置に対する要求がある。また、エアロゾル生成装置を可能な限り効率化することにより電池寿命を延ばし、従って使用者の利便性が高められることも望ましい。本発明の目的はこれらの要求に応えることである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル生成装置用の加熱装置であって、互いに分離された内壁及び外壁を含む断熱材と、エアロゾル形成物質を収容可能であり、断熱材の内壁に隣接して配置された空洞と、内壁の断熱材の内部に設けられていて空洞内に収容されたエアロゾル形成物質を熱伝導により加熱してエアロゾルを生成すべく構成された加熱器と、内壁に設けられていて加熱器を電源に電気的に接続すべく構成された第1の接続パッドを含み、第1の接続パッドは、断熱材を密封すべく外壁及び内壁に接合され、加熱器は、外壁から間隔を空けて配置されていて、加熱器に被せて保護層を設けるべく第1の接続パッドが加熱器を少なくとも部分的に覆う加熱装置が提供される。
【0004】
このように、第1の接続パッドは内壁と外壁の間に「挟まれる」。加熱器又は他の壊れやすい電気接続部を挟むのではなく、第1の接続パッドをこのように挟む方が、使用中及び製造中に加熱器(又は他の要素)に圧力及び力が加わることが回避されるため好適であることが分かっている。加熱器に加わる力を弱めることで損傷を防ぐことができる。従って、内壁と外壁の接合部に別個の接続パッドを設けることで、重要且つ潜在的に壊れやすい要素が損傷する可能性を最小限に抑える、より堅牢な加熱装置を作ることができる。また、加熱器を外壁から間隔を空けることは、加熱器が内壁の必要な部分だけを加熱することを意味する。従って、外壁を貫通する伝導により失われる熱を最小限に抑えながら、エアロゾル生成物質に熱をより効率的に供給することができる。第1の接続パッド及び加熱器は、電気的接続を形成すべく単一の部材として、又は互いに密着するように設けることができる。断熱材は、例えば空気等の気体、又は粉末或いは繊維状の絶縁材料等、任意の適当な絶縁媒体を含んでいてよい。他の実施形態において、断熱材は真空部を封入することができる。断熱材の内壁及び外壁は、加熱器から空洞への熱伝導を可能にすべく断熱材内部に収められた絶縁層又は材料よりも熱伝導率の高い材料を含んでいてよい。
【0005】
好適には、内壁と外壁は断熱材が真空断熱材であるように真空部により分離され、第1の接続パッドが真空断熱材内の真空部を密封すべく外壁と内壁に接合される。このように、接続パッドが特に効果的である理由は、真空断熱材の密封に要する緊密な接合部の形成には他の種類の断熱材よりもはるかに強い力を要する場合があるからである。このような力は、製造中に加熱器に特別なリスクを伴う恐れがある。
【0006】
好適には、第1の接続パッドは、加熱器に関して機械的堅牢性を高めるべく構成されている。このように、第1の接続パッドは、加熱器の堅牢性を高めるために加熱器の特性を変える必要性を回避しながら、使用又は製造中の損傷への耐性を持たせることができる。第1の接続パッドは、ステンレス鋼又は銅などの金属を含んでいてよい。他の機械的に堅牢な材料を用いてもよい。
【0007】
好適には、加熱器は、内壁に印刷又は塗布された電気抵抗トラックを含んでいる。このように、内壁に熱を効率的に伝達することができる。塗布された加熱素子は特に壊れやすいため、内壁と外壁の接合部に第1の接続パッドを設けることにより加熱装置の堅牢性が顕著に向上する。抵抗トラックは内壁の特定の部分に設けることも、又は内壁のほぼ全面を覆うように抵抗トラックを内壁に塗布又は印刷することもできる。抵抗トラックは、トラックの第1の終端から第2の終端まで内壁上で蛇行する、すなわち曲がりくねった経路を辿ることができる。他の例において、加熱器は、内壁に設けられた1個以上の抵抗加熱プレートを含んでいてよい。加熱プレートはまた、曲がりくねった、すなわち蛇行する抵抗トラックとして設けられていてもよい。
【0008】
好適には、第1の接続パッドは加熱器に設けられている。このように、接続パッドを加熱器に被せて内壁に取り付けることにより、加熱器と接続パッドを簡単に電気接続することができるため、第1の接続パッドと加熱器とを互いに電気的に接合又ははんだ付けする必要がなくなる。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1の接続パッドは加熱器のほぼ全体を覆う。このように、接続パッドは、加熱器に被せて加熱器が損傷する可能性を低減する保護層として機能することができる。第1の接続パッドは加熱器の全体を覆っていてよい。
【0010】
好適には、第1の接続パッドは、加熱器の電気抵抗よりも小さい電気抵抗を有している。より好適には、第1の接続パッドは、加熱器と比較して無視できる量の熱を生成すべく選択された抵抗を有していてよい。このように、接続パッドは、外壁を介して断熱材から失われる可能性がある電気の伝導を通じてほぼ最小量の熱を生成する。従って、更なるエネルギーの損失が回避されて装置をより効率的にすることができる。
【0011】
好適には、加熱器と第1の接続パッドは異なる材料を含んでいる。このように、第1の接続パッドの機械的堅牢性を最適化できる一方、加熱と効率の両面で加熱器を最適化することができる。
【0012】
好適には、第2の接続パッドが内壁に設けられ、第2の接続パッドが内壁及び外壁に接合されて断熱材を密封する。より好適には、第1の接続パッドと第2の接続パッドは、加熱器の異なる部分に接続され、加熱器に電流を通すことができるように電源の反対側の端子に接続すべく各々が構成されている。このように、加熱器の部位を用いるのではなく接続パッドを用いて加熱器への必要な電気接続の両方を行うことができ、加熱装置をより堅牢にすることができる。第2の接続パッドは、真空断熱材内の真空部を密封すべく構成されていてよい。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、上述の加熱装置を含むエアロゾル生成装置が提供される。
【0014】
好適には、エアロゾル生成装置は、加熱器の動作を制御すべく構成されたコントローラを含み、第1の接続パッドはコントローラに電気的に結合されている。このように、第1の接続パッドは、加熱装置の堅牢性を高める役割を果たしながら、コントローラが加熱器を制御できるようにもする。第1の接続パッドは、コントローラ又は回路基板に直接結合することも、又は1個以上のワイヤを介してコントローラに結合することもできる。一例において、ワイヤは断熱材の外側で第1の接続パッドにはんだ付けされていてもよい。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、上述のように加熱装置を製造する方法であって、内壁に加熱器を設けるステップと、内壁に加熱器と電気的に接続された第1の接続パッドを設けるステップと、第1の接続パッドを内壁及び外壁に接合するステップと、第1の接続パッドで加熱器を少なくとも部分的に覆って、加熱器に被せて保護層を設けるステップとを含む方法が提供される。
【0016】
好適には、加熱器が内壁に塗布された電気抵抗トラックを含む実施形態において、内壁に加熱器を設けるステップは、内壁に電気抵抗材料を塗布するステップを含んでいる。
【0017】
好適には、第1の接続パッドを内壁及び外壁に接合するステップは、外壁を内壁及び第1の接続パッドに溶接するステップを含んでいる。外壁を加熱器ではなく内壁及び第1の接続部に溶接することにより、溶接工程中の加熱器への損傷を回避できる。他の実施形態において、外壁と内壁は、溶接ではなく耐熱密封材を用いて接合されてよい。
【0018】
好適には、溶接は、少なくとも部分的に真空中で行われるレーザー溶接を含んでいる。このように、外壁と内壁の溶接中、真空を断熱材の内部に密封できる。
【0019】
本発明の複数の実施形態について、図面を参照しながら例を挙げて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態による加熱装置の一部の模式的透視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による加熱装置の一部を示す模式的透視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る加熱装置の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、本発明の一実施形態によるエアロゾル生成装置用の加熱装置の一部の透視図を示す。加熱装置100が設けられていて、真空部108が間に封入されるように互いに半径方向に間隔を空けて配置された内壁104と外壁106を含む真空断熱材102を含んでいる。
図1は、真空断熱材102の内部と内壁104が見えるように外壁106を取り除いて加熱装置100を示している。
図2に、加熱装置100の一部の模式的透視図を示すと共に、内壁104が見えるように外壁106の模式的断面図を示す。
【0022】
加熱装置100は、内壁104に隣接して設けられ、且つティッピング包材により一緒に保持されたタバコ棒とフィルターを含む消耗品を収容すべく構成された空洞110を含んでいる。
【0023】
消耗品は、空洞110への開口部111を介して使用者により空洞110に挿入されて内壁104との摩擦により所定位置に保持することができる。真空部108内及び内壁104の外面に加熱器112が設けられている。加熱器112は、内部に電流が流れると加熱され、この熱を伝導により内壁104に伝達すべく構成されている。その後、熱が伝導により内壁104を通して伝達されることにより、内壁104の内面が消耗品及び空洞110内の空気を加熱する。加熱器112にはエアロゾル生成装置に設けられた電池又は他の任意の電源により電力を供給できる。加熱器112は、第1の接続パッド114に電気的に接続された第1の終端113aと、第2の接続パッド116に電気的に接続された第2の終端113bを含んでいる。
図1に示す構成では、加熱器112の第1の終端113aは電気接続が確立されるように第1の接続パッド114の下側に設けられている。同様に、加熱器112の第2の終端113bは第2の接続パッド116の下側に設けられている。第1の接続パッド114及び第2の接続パッド116の各々は、加熱器112を通って電流が流れることができるように、エアロゾル生成装置に設けられた電池の両側の端子に接続すべく構成されている。第1の接続パッド114及び第2の接続パッド116の各々は、真空断熱材102内の真空部108を密封すべく内壁104と外壁106の両方に接合されている。使用中、使用者は空洞110からフィルターを通して空気を吸引して、空洞110内で生成されたエアロゾルを使用者に届けることができる。
【0024】
真空断熱材102は中空で、湾曲した内壁104と湾曲した外壁106の間に真空部108を封入している。真空断熱材102は、真空断熱材102が消耗品全体を囲めるようにほぼ円筒形である。真空断熱材102は、エアロゾル生成装置の他の部分、特に使用者が持つエアロゾル生成装置の部分を加熱しない一方、加熱器がエアロゾル生成基板を効果的に加熱できるように熱断熱を行う。真空断熱材102は、長手方向軸に沿って細長いため、タバコを含む細長い棒状の消耗品を収容できる。真空断熱材102は、長手方向軸に平行な一方の終端に沿って見た場合に略楕円形又は円形の断面形状を有するが、他の実施形態では真空断熱材102は、他の種類の断面形状、例えば略正方形又は多角形であってよい。
【0025】
真空断熱材102は、一方の長手方向終端に消耗品を収容するための開口部111を有し、反対側の終端で閉じられている。従って、
図1、2に示すように長手方向軸に垂直な方向から見た場合、真空断熱材102はカップ状の断面を有している。他の実施形態において、真空断熱材102は、長手方向軸に垂直な方向から見た場合は管状の断面を有するように長手方向の両端が開いていてよい。
【0026】
他の実施形態において、真空断熱材102は代替的に非真空断熱材、すなわち空気、繊維状又は粉末状の断熱材等の絶縁媒体を含む断熱材であってよい。内壁104と外壁106は、第1の接続パッド114と第2の接続パッド116により接合されて内壁104と外壁106の間で絶縁媒体を密封することができる。
【0027】
開口部111は、使用者が消耗品を空洞110に容易に挿入できるように外向きに末広がりである。他の実施形態において、開口部111は末広がりでなくてよく、内壁104は、内壁104の長手方向の全長にわたり同じ断面を有していてよい。
【0028】
図1、
図2の実施形態において、内壁104はステンレス鋼を含んでいる。しかし、他の実施形態では内壁104は、加熱器112から空洞110に熱を伝達するのに適した特性を有する他の適当な材料、例えば他の金属、金属合金、又はセラミック等を含んでいてよい。
【0029】
外壁106はステンレス鋼を含んでいる。他の実施形態において、外壁106は他の適当な材料、例えば他の金属又はプラスチック等を含んでいてよい。外壁106は、ほぼ又は全体が円筒形である単一の湾曲面を含んでいる。他の形状の外壁106も代替的な形状の真空断熱材に従い用いられてよい。
【0030】
内壁104の厚さは約0.1ミリメートル(mm)以下である。厚さが比較的薄いことにより、真空断熱材102の熱質量が低下し、内壁104を通る空洞110及び消耗品への熱伝導率が上昇する。特に、内壁104の外面により空洞110から逃がされる熱が少なくなる。閾値が0.1mm以下であることが、これらの機構により加熱装置100のエネルギー効率を向上させる点で重要であることが分かっている。特に、内壁の厚さが0.1mmであることが、内壁の厚さが0.25mmである場合と比較して熱効率が顕著に向上することが分かっている。
【0031】
外壁106は約0.25mmの厚さを有し、これは真空断熱材102の機械的頑丈さと断熱特性を向上させるのに0.1mmの厚さよりも好適であり得る。
【0032】
空洞110はほぼ円筒形であり、内壁104の直隣接して配置されている。好適には、空洞110に面する内壁104の側面、すなわち内壁104の「内面」には、消耗品が空洞110内に収容された際に内面と直接接触できるように追加的な要素がほぼ又は全く存在しない。このように、内壁104から消耗品への熱伝達効率を最大化できる。更に、追加的な要素が無いことで加熱装置の熱質量が低く保たれ、エアロゾル生成温度までタバコを加熱するのに必要な時間を短縮できる。
【0033】
図1、2の実施形態において、加熱器112は、電流が印加された際に熱を生成すべく構成された抵抗加熱器である。加熱器112は、加熱器112の第1の終端113aから第2の終端113bまで伸長する巻線抵抗加熱トラックを含んでいる。トラックは、
図1、2に示すように、内壁104の長さに沿って曲がりくねった経路を辿る。加熱器112の第1の終端113a及び第2の終端113bは各々、第1及び第2の接続パッド114、116と電気的に接続すべく構成されている。加熱器112は、加熱装置100の組立中及び使用中に加熱器112の損傷を避けるべく内壁104と外壁106の接合部又は密封材から長手方向にずれている。
【0034】
加熱器112は内壁104の外面に印刷又は塗布されている。他の実施形態において、加熱器112は、内壁104上に設けられて取り付けられた加熱要素又はプレートを含んでいてよい。従って、加熱器112は空洞110に「トレース加熱」を行うことができる。加熱器112は、
図1、2に示すように、内壁104のほぼ全長が加熱を受けるように内壁104の表面上で曲がりくねった形状を有していてよい。他の実施形態において、加熱器112は、内壁104のほぼ全周及び/又は全面積を覆っていてよい。
【0035】
加熱器112は、酸素の存在下で酸化反応を受けやすい材料を含んでいてよく、酸化防止塗布無しに提供されてよい。このように加熱器112を真空部108に露出することにより真空断熱材102に酸素が無いことを利用して加熱器112をより安価及び/又は容易に製造できるようになる。
【0036】
第1の接続パッド114及び第2の接続パッド116は、内壁104上にプレートとして設けられ、各接続パッドと加熱器112との電気的接続を可能にすべく加熱器112の最上部に配置されている。第1及び第2の接続パッド114、116は、短絡を防止すべく間隔が空けられていて、加熱器112を形成するトラックの両側の終端に設けられている。第1及び第2の接続パッド114、116は各々内壁104と外壁106に挟まれてその両方に接合されている。第1及び第2の接続パッド114、116は、内壁104の円周方向の曲率に合わせて湾曲している。
【0037】
図1、2の実施形態において、第1及び第2の接続パッド114、116はステンレス鋼を含んでいる。第1及び第2の接続パッド114、116は、装置の機械的堅牢性を高めながら加熱器112への電力供給に使用できるように導電すべく構成されている。他の実施形態において、第1及び第2の接続パッド114、116は、導電すべく構成された銅又は他の機械的に堅牢な材料を含んでいてよい。
【0038】
第1及び第2の接続パッド114、116の各々は、真空断熱材102の外側で第1及び第2の接続パッド114、116との電気的接続を可能にすべく内壁及び外壁104、106の接合部又は密封材を通って伸長できる。電気接続は、接続パッド114、116を介して加熱器112をエアロゾル生成装置に設けられたコントローラ又は電池に接続すべく構成された第1及び第2の接続パッド114、116にハンダ付けされたワイヤにより行われてよい。他の実施形態において、接続パッド114、116は、加熱装置100がエアロゾル生成装置内に設けられている場合に電池又はコントローラまで直接伸長できる。
【0039】
図1、2の実施形態において、真空断熱材102への空気の流入を防止すべく内壁104と外壁106の接合部に密封材(図示せず)が設けられている。密封材は、ゴム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は金属等、任意の適当な材料を含んでいてよい。内壁104と外壁106は互いに溶接されていてよく、その場合密封材は溶接材料を含んでいてよい。
【0040】
加熱装置100は、エアロゾル生成装置と共に使用されても、又はエアロゾル生成装置に設けられていてもよい。エアロゾル生成装置は典型的に、加熱器112に電力供給するための電池、ユーザーが加熱器112を起動できるようにするボタン又は他の入力機構、及び加熱器112等の装置の電子部品を制御するコントローラを含んでいてよい。加熱装置100は、エアロゾル生成装置の筐体内に設けられていてよく、筐体は加熱装置100の開口部111と整列した開口部を含んでいる。エアロゾル生成装置は電子喫煙機器として構成されていてよい。
【0041】
加熱装置100は、ティッピング包材により一緒に保持されていてよいタバコとフィルターを含む消耗品と共に用いられるべく構成されている。消耗品は円筒形の棒状であってよいが、空洞110内に収容されるべく設計された他の形状の消耗品を用いてもよい。他の形状のエアロゾル形成物質をタバコの代わりに又はタバコに加えて用いてもよい。
【0042】
ここで、エアロゾル生成装置内で用いられるような加熱装置100の使用例について
図1、2を参照しながら説明する。
【0043】
使用中、使用者は開口部111を通して消耗品を空洞110内に挿入することができる。消耗品は、消耗品が最初に空洞110内に収容できるように開口部111よりも僅かに小さい直径を有していてよい。
【0044】
使用者が気化を始める準備ができたならば、使用者はエアロゾル生成装置に設けられたボタンを押すことができ、その後でコントローラにより第1の接続パッド114及び第2の接続パッド116を介して電池から加熱器112に電流が流れるようにできる。加熱器112は、自身の電気抵抗に起因して熱を生成し、その熱は伝導及び放射により内壁104に伝達される。第1の接続パッド114と第2の接続パッド116の抵抗は低く、内部を流れる電流に起因する熱の生成量は無視できる程度である。これにより外壁106の望ましくない加熱量が最小限に抑えられて加熱装置100の効率が向上する。
【0045】
加熱器112が動作している間、真空断熱材102内の真空部108は空洞110から熱が伝導して逃げるのを阻止する。真空断熱材102はまた、開口部111からの分を除いて、対流により熱が逃げるのを防止する。このように、空洞110、加熱器112、及び真空断熱材102は、消耗品内のタバコを所望のエアロゾル生成温度まで加熱できる極めて効率的な加熱オーブンを形成する。コントローラは、タバコの燃焼温度より低い温度までタバコを加熱するよう加熱器112に指示すべく構成されていてよい。空洞110がエアロゾル生成温度に達するまで数秒間要する場合がある。
【0046】
加熱器112は、加熱器112と外壁106が接触しないように外壁106から間隔を空けて配置されている。これにより外壁106に伝達された後で加熱装置100から失われる熱量を最小限に抑えることができる。
【0047】
タバコが加熱されるに従い、空洞110内にエアロゾルが生成する。使用者は次いでフィルターを介して空洞110から空気を吸引することによりエアロゾルを吸入することができる。このように開口部111の周縁を通して空洞110内に空気を引き込むことができるため、使用者は空洞110からエアロゾルを連続的に吸入できる。
【0048】
加熱器112は真空断熱材102内に配置されているため修理が困難である。従って、加熱装置100の組立中又は製造中に、潜在的に壊れやすい加熱器112の損傷を避けるべく、第1の接続パッド114及び第2の接続パッドは、真空断熱材102内の真空部108を密封すべく内壁104及び外壁106に接合される。これにより、加熱器112を損傷する恐れのある、外壁106を加熱器112に被せて内壁104に接合する必要がなくなる。この構成は、特に壊れやすい塗布済み加熱トラックを用いる場合に特に効果的である。
【0049】
内壁及び外壁104、106は、第1及び第2の接続パッド114、116に溶接することができる。一例において、真空断熱材102の内部を真空にすべく内壁及び外壁104、106を真空中でレーザー溶接することができる。内壁及び外壁104、106を第1及び第2の接続パッド114、116に接合する他の方法を実行することも考えられる。
【0050】
代替的に、内壁104、外壁106、第1及び第2の接続パッド114、116を接合すべくゴム密封材等の密封材を設けてもよい。
【0051】
図示していない他の実施形態において、第1の接続パッド114及び第2の接続パッド116は、加熱器112の全部又はほぼ全部を覆うように設けられていてよい。これにより加熱器112全体に保護層を設けて使用中の損傷を防止することができる。この場合、加熱器112の部品が短絡を回避すべく接続パッド114、116から電気的に絶縁されていてよい。
【0052】
図3に、本発明の代替的実施形態による加熱装置200の断面模式図を示す。加熱装置200は、真空断熱材102の内壁104及び外壁106とほぼ同様に構成された内壁204及び外壁206を有する真空断熱材202を含んでいる。しかし、真空断熱材202が真空断熱材102と異なるのは、内壁204が末広がりの開口部211を含んでいることである。開口部211は、隣接する空洞210の中心から半径方向外向きに末広がりになっていて棒状の消耗品を空洞210に挿入し易くしている。内壁204と外壁206は、
図3に示すように、内壁204の末広がり領域で接合されている。
【0053】
真空部208が内壁204と外壁206の間に封入され、空洞210が内壁204に隣接して設けられ、加熱器212が内壁204に設けられている。内壁204と外壁206との接合部には密封材118が設けられている。これらの要素又は態様は各々が加熱装置100の対応する特徴と同様に構成されていて同様に動作する。
【0054】
第1の接続パッド214及び第2の接続パッド216は、上述のように、加熱器212を通って電流が流れるように加熱器トラックの異なる終端で加熱器212に設けられている。第1の接続パッド214及び第2の接続パッド216の一端が内壁204の円周方向の曲率に合わせて湾曲している。これら同一の終端が
図3に示すように加熱器212との電気的接続を行うべく加熱器212と接触する内壁204に設けられている。第1の接続パッド214及び第2の接続パッド216は、外向きに末広がりの内壁204に合致すべく外向きに末広がりである点で加熱装置100のものとは異なる。これにより第1及び第2の接続パッド214、216は、内壁及び外壁204、206が互いに接合される外向きに末広がりの部分で内壁及び外壁204、206に接合することができる。
図3にも見られるように、第1及び第2の接続パッド214、216の外向きに末広がりの終端は、内壁204、外壁206、及び真空断熱材202内への空気の流入を防ぐ密封材118に接合され、且つこれらの間に挟まれている。
【0055】
図3に、第1及び第2の接続パッド214、216と内壁204との隙間を示す。他の実施形態において、第1及び第2の接続パッド214、216は、内壁204の末広がり形状により精密に合致する末広がり形状を含みうる。これにより、第1及び第2の接続パッド214、216は、第1及び第2の接続パッド214、216の全長に沿って内壁204と接触することができる。
【0056】
他の点において、第1及び第2の接続パッド214、216は、
図1、2を参照しながら上で述べた第1及び第2の接続パッド114、116と同様に構成され、且つ同様に動作する。
【国際調査報告】