(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置用の加熱装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20250123BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20250123BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20250123BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
A24F40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531708
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2023052194
(87)【国際公開番号】W WO2023144390
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハ, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ファウワースタイン, サンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ガルシア, エドアルド ホセ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC02
4B162AC10
4B162AC12
4B162AC22
(57)【要約】
エアロゾル発生装置用の加熱装置(100)が開示されており、これは、互いに間隔を置いて配置された内壁(104)及び外壁(106)を有する断熱材(102)と、断熱材の内壁に隣接して位置する、エアロゾル形成物質(12)を収容できるキャビティ(110)と、断熱材の内壁に熱接触して断熱材内に設けられたヒータ(112)であって、キャビティに収容されているエアロゾル発生物質を熱伝導によって加熱してエアロゾルを発生させるように構成されたヒータ(112)と、を含む。内壁は略平坦部分(118)を含み、略平坦部分(118)は、エアロゾル形成物質を含む消耗品(10)がキャビティに収容されているときに消耗品(10)を押し縮めるように構成された内面と、ヒータが設けられた外面と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置用の加熱装置であって、
互いに間隔を置いて配置された内壁及び外壁を含む断熱材と、
前記断熱材の前記内壁に隣接して位置する、エアロゾル形成物質を収容できるキャビティと、
前記断熱材の前記内壁に熱接触して前記断熱材内に設けられたヒータであって、前記キャビティに収容されているエアロゾル発生物質を熱伝導によって加熱してエアロゾルを発生させるように構成されたヒータと、
を含み、
前記内壁は略平坦部分を含み、前記略平坦部分は、前記エアロゾル形成物質を含む消耗品が前記キャビティに収容されているときに前記消耗品を押し縮めるように構成された内面と、前記ヒータが設けられている外面と、を含む、
加熱装置。
【請求項2】
前記内壁と前記外壁は、前記断熱材が真空断熱材であるように真空によって隔てられている、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記略平坦部分は前記断熱材の長手軸に沿って延びる、請求項1又は請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記ヒータは、前記略平坦部分の前記外面上を長手方向に延びる、請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記内壁は略円筒形であり、前記ヒータは、前記内壁の略全周にわたって前記内壁上に設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記ヒータは、前記略平坦部分上にのみ、又は主に前記略平坦部分上に設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記内壁は複数の略平坦部分を含み、前記複数の略平坦部分はそれぞれが、前記消耗品が前記キャビティに収容されたときに前記消耗品を押し縮めるように構成されたそれぞれの内面と、前記ヒータが設けられたそれぞれの外面と、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記断熱材は、前記消耗品が前記キャビティに受け入れられることを可能にするように構成されたフレア状開口部を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記ヒータは、酸素の存在下では酸化反応しやすい材料を有する露出外面を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記内壁の厚さは、約0.1mm以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項11】
前記ヒータを電源に接続するように構成された1つ以上のワイヤを更に含み、前記1つ以上のワイヤは、前記外壁の長手面上に設けられた1つ以上のギャップに通して配置されるか、前記キャビティの開口部に隣接する、前記断熱材の長手方向端部に設けられた、前記断熱材の1つ以上のギャップに通して配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項12】
前記ヒータと前記内壁との間に設けられた電気的絶縁層を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の加熱装置を含む、ユーザが吸入するためのエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記エアロゾル発生装置の構成要素を収容するように構成されたハウジングと、前記真空断熱材を前記ハウジングに結合するために前記真空断熱材に取り付けられた1つ以上の支持構造と、を含み、
前記1つ以上の支持構造は、前記ヒータから前記1つ以上の支持構造までの伝導路の長さが最大になるように、前記真空断熱材上に配置されている、
請求項13に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
ユーザが吸入するためのエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生装置であって、
前記エアロゾル発生装置内に収容されたエアロゾル形成物質を加熱するように構成されたヒータと、
前記エアロゾル発生装置の構成要素を収容するように構成されたハウジングと、
前記ヒータが発生させる熱から前記ハウジングを断熱するように構成された断熱材と、
前記断熱材を前記ハウジングと結合するために前記断熱材に取り付けられた1つ以上の支持構造と
を含み、
前記1つ以上の支持構造は、前記ヒータから前記1つ以上の支持構造までの伝導路の長さが最大になるように、前記断熱材上に配置されており、
前記断熱材は、前記1つ以上の支持構造でのみ前記ハウジングと結合されている、
エアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置用の加熱装置に関する。特に、本発明は、真空断熱材を有する加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生装置は、典型的には、ユーザが日常的に携帯するものである。従って、より軽量且つコンパクトなエアロゾル発生装置が求められている。加えて、エアロゾル発生装置は可能な限り効率的なものとして作られうることが望ましく、それによって、バッテリ寿命を延ばすことが可能であり、それによって、ユーザの利便性を高めることが可能である。本発明の目的は、これらの要望に応えることである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一態様によれば、エアロゾル発生装置用の加熱装置が提供され、これは、断熱材であって、互いに間隔を置いて配置された内壁及び外壁を含む断熱材と、断熱材の内壁に隣接して位置する、エアロゾル形成物質を収容できるキャビティと、断熱材の内壁に熱接触して断熱材内に設けられたヒータであって、キャビティに収容されているエアロゾル発生物質を熱伝導によって加熱してエアロゾルを発生させるように構成されたヒータと、を含み、内壁は略平坦部分を含み、略平坦部分は、エアロゾル形成物質を含む消耗品がキャビティに収容されているときに消耗品を押し縮めるように構成された内面と、ヒータが設けられている外面と、を含む。
【0004】
このように、本装置は、ヒータがキャビティ内ではなく断熱材内に設けられることで、よりコンパクトに作られる。ヒータは、断熱材の内壁と熱接触しており、内壁を介して消耗品を加熱することが可能である。断熱材は、真空又は適切な断熱媒体(例えば、空気又は任意の適切な粉末断熱材又は繊維性断熱材)を含んでよい。断熱材は、熱が伝導によってキャビティから外壁を通って逃げるのを徹底的に阻止する。
【0005】
好ましくは、内壁と外壁は、断熱材が真空断熱材であるように真空によって隔てられている。このように、内壁及び外壁は、真空を密封することにより、より効果的なヒータ用断熱材を実現することが可能である。従って、真空断熱材の内壁は、隣接するキャビティに収容された消耗品に熱を伝達することと、更に、キャビティを断熱するための断熱真空を維持することとの2つの目的を果たすことが可能である。これにより、エアロゾル発生装置用の効率的且つコンパクトな加熱装置が作成される。
【0006】
有利なことに、略平坦部分は、キャビティに収容された消耗品を押し縮めることを可能にする。これによって、内壁とキャビティに収容された消耗品との間の接触表面積がより大きくなる。2つの物体の間の伝導による熱伝達量はそれらの間の接触表面積に比例するため、略平坦部分は、より迅速且つ効率的に熱を消耗品に伝達することを可能にする。また、消耗品を押し縮めることにより、消耗品の中心部にあるエアロゾル形成物質が、略平坦部分が存在しなかった場合より迅速に加熱されることが引き起こされうる。このようにエアロゾル形成物質をより均一に加熱することは、物質の不要な燃焼を防いでエアロゾルの品質向上につなげることに役立ちうる。更に、このように断熱材の内壁に略平坦部分を設けることにより、消耗品を押し縮めること、又は消耗品を定位置でしっかり保持することのための構成要素の追加が不要になり、それによって、構成要素の部品数がより少ない、よりコンパクトな加熱装置が得られる。構成要素の部品数がより少ないことはまた、加熱装置の熱質量を小さくすることによって、キャビティがエアロゾル発生に必要な温度に達するまでの時間を短縮することに関して有利でありうる。
【0007】
ヒータは、熱を内壁に直接送達するために、略平坦部分上に設けられている。これにより、最大限の熱量が断熱材の外壁ではなく内壁に送達されて、断熱材から放射又は伝導により伝達されうることが保証されて、装置の効率が向上する。更に、ヒータを内壁上に直接設けることにより、ヒータを内壁に熱結合する介在構成要素が不要になる。ヒータは、内壁上に印刷、塗布、又は他の方法で接合されてよい。これが行われるのは、内壁が曲げられて又はクリンプされて、断熱材の一部として使用されるための形状にされる前でも後でもよい。略平坦部分は、完全に又は略平坦であってよい。また、ヒータを略平坦部分上に設けることにより、ヒータと内壁との良好な接触が可能になり、それによって、ヒータと内壁との間での効果的な熱伝達が可能になる。また、そのような構成は、より製造しやすいものとなりうる。
【0008】
好ましくは、ヒータは抵抗ヒータである。このようにして、コンパクトでシンプルで電力供給しやすい形態のヒータが得られる。代替として、ヒータは、断熱材を取り巻くコイルから電力を供給される誘導ヒータであってよい。
【0009】
好ましくは、略平坦部分は、断熱材の長手軸に沿って延びる。より好ましくは、ヒータは、略平坦部分の外面上を長手方向に延びる。このように、内壁と消耗品との間の接触を、キャビティに収容された消耗品の全部分又は略全部分に沿って増やすことが可能であり、消耗品は、その全長に沿って効率的に加熱されることが可能である。
【0010】
好ましくは、内壁は略円筒形である。更に、幾つかの実施形態では、ヒータは、略平坦部分上に設けられることに加えて、内壁の略全周にわたって内壁上に設けられてよい。内壁が略円筒形であることは、断熱材が消耗品を完全に取り巻いて、より効果的な断熱手段を提供することを可能にする点で有用である。ヒータを内壁の全周にわたって内壁上に設けることにより、エアロゾル形成物質のより均一な加熱を可能にでき、それによって、ユーザの楽しみのために、より高品質のエアロゾルを発生させることが可能である。これにより、エアロゾル形成物質をエアロゾル発生温度までより迅速に加熱することも可能になり得る。
【0011】
好ましくは、内壁は複数の略平坦部分を含み、複数の略平坦部分はそれぞれが、消耗品がキャビティに収容されたときに消耗品を押し縮めるように構成されたそれぞれの内面と、ヒータが設けられたそれぞれの外面と、を含む。このように、エアロゾル形成物質はより均一に加熱されることが可能であり、それによって、ユーザの楽しみのために、より高品質のエアロゾルを発生させることが可能である。更に、消耗品は、より効果的にキャビティ内に固定されることが可能である。加熱装置は、2つ、3つ、又は4つ以上の略平坦部分を含んでよく、これらは、内壁の周囲に均一な間隔で配置されてよい。
【0012】
好ましくは、ヒータは、複数の略平坦部分のそれぞれの上に設けられている。このようにして、エアロゾル形成物質はより均一に加熱されることが可能である。
【0013】
幾つかの実施形態では、ヒータは、主に略平坦部分上に、又は略平坦部分上にのみ設けられてよく、或いは、略平坦部分が1つしかない場合にはその1つの略平坦部分上に設けられてよい。これにより、ヒータの有効性をそのサイズに対して最大化することが可能であり、これによって、消耗品を加熱するヒータの能力を含まない、より小さいヒータを設けることが可能になる。代替として、ヒータのサイズを小さくしない場合には、ヒータが消耗品を加熱する速度又は効率を高めることが可能である。別の実施形態では、複数の略平坦部分のそれぞれに別々のヒータを設けてよい。
【0014】
好ましくは、ヒータは、酸素の存在下では酸化反応しやすい材料を有する露出外面を含む。多くのヒータに含まれる材料は、酸素の存在下で酸化する。このことは、ヒータに抗酸化コーティングが行われていない限り、ヒータの性能に悪影響を及ぼしうる。このように、ヒータが、抗酸化コーティングのない露出外面を有することが可能であることは、ヒータが真空内に設けられることを利用しており、それによって、ヒータは、より低コストになり、質量がより軽くなり、且つ/又はより製造しやすくなる。
【0015】
幾つかの実施形態では、断熱材は、エアロゾル形成物質を受け入れる第1の開口部と、空気流がキャビティを通ることを可能にする第2の開口部とを含む。そのような実施形態では、断熱材は略チューブ状であってよい。別の実施形態では、ヒータは、空気流用であり、消耗品の挿入用でもある単一開口部を含んでよく、この場合、断熱材は略カップ状であってよい。
【0016】
好ましくは、外壁は、金属(例えば、ステンレス鋼)及び/又はプラスチック(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))を含む。外壁は、PEEKを含みながら十分な断熱特性を提供することが可能であることが分かった。外壁の一部としてPEEKを使用することにより、好ましいことに加熱装置を軽量化することが可能である。外壁がPEEKを含む場合、PEEKは、熱伝導率が低い形態のPEEKであってよい。
【0017】
好ましくは、加熱装置は更に、ヒータと内壁との間に設けられた電気的絶縁層を含む。このように、加熱装置又はエアロゾル発生装置の他の構成要素への電気伝導を防ぐことが可能であるため、本装置の安全性を高めることが可能である。電気的絶縁層は、内壁上に堆積される材料の層として設けられてよい。代替として、電気的絶縁層は、ヒータの一部又は全体に対するコーティングとして設けられてよい。
【0018】
好ましくは、内壁の、キャビティに面している面は、消耗品が他の構成要素と接触せずにキャビティに収容されることが可能であるように、キャビティに対して露出している。これによって、ヒータが消耗品をより効率的に加熱することが可能になり、よりコンパクトな加熱装置が得られる。
【0019】
幾つかの実施形態では、断熱材は、消耗品がキャビティに受け入れられることを可能にするように構成されたフレア状開口部を含む。そのような場合、略平坦部分は、キャビティの開口部から遠位寄りに、即ち、長手方向にオフセットされて設けられてよい。略平坦部分は、キャビティの径をキャビティの開口部の径より絞ってよい。このように、消耗品は、略平坦部分によって押し縮められる前にキャビティのフレア状開口部により容易に挿入されることが可能である。
【0020】
内壁の1つ以上の略平坦部分は、複数のスムーズな傾斜面によって内壁の周囲部分に接合されてよい。これにより、消耗品がキャビティに挿入される際に裂けたり損傷したりする可能性を小さくすることが可能である。また、これにより、消耗品と内壁との間でトラップされる空気の量を減らすことにより、内壁と消耗品との間の接触表面積を増やすことが可能である。
【0021】
好ましくは、内壁の厚さは、約0.1mm以下である。このように、内壁の厚さは、断熱材の熱効率が有意に向上する閾値に対応する。内壁全体の厚さが約0.1mm以下であってもよく、内壁の一部分だけがこの厚さであってもよい。例えば、第1の略平坦部分及び第2の略平坦部分は、厚さが0.1mmであってよく、それ以外の部分はもっと厚くてよい。内壁を約0.1mm以下の略均一な厚さにすることにより、内壁が複数の厚さを有する場合よりも製造を容易化することが可能であり、また、(特に断熱材が真空断熱材である場合に)熱効率を高めることが可能である。
【0022】
好ましくは、加熱装置は、ヒータを電源に接続するように構成された1つ以上のワイヤを含む。この1つ以上のワイヤは、外壁の長手面上に設けられた1つ以上のギャップに通して配置されてよい。このように、ワイヤは軽量であってよく、このことは、ユーザが重量物を持ち運ぶこと、並びに装置の熱質量を小さくすることに関して有利でありうる。更に、ワイヤは、主に外壁と接触してよく、そのため、外壁の動作温度がより低いことから、断熱材からワイヤを通って出ていく熱がより少なくなる。空気が断熱材に入るのを防ぐために、且つ、ワイヤを定位置に固定するために、ギャップ内に1つ以上のシールが設けられてよい。ギャップは、断熱材のいずれかの端部の近く、又は外壁上の別の場所に設けられてよい。
【0023】
代替として、1つ以上のワイヤは、キャビティの開口部に隣接する、断熱材の長手方向端部に設けられた、断熱材の1つ以上のギャップに通して配置されてよい。このように、ワイヤは、断熱材との接触がより少なくてよい。これにより、断熱材の壁からワイヤに伝導する熱がより少ないことによって、断熱材からワイヤを通って出ていく熱がより少なくなる。この構成はまた、特に製造しやすいことが可能であり、それによって、製造コストが下がる可能性がある。一例示的実施形態では、ワイヤと断熱材との接触は単一点接触である。内壁と外壁は1つ以上のシールでつなげられてよく、これらのシールは、ワイヤの周囲に設けられ、空気が断熱材に入るのを防ぐように、且つ、ワイヤを定位置で保持するように構成されている。この例では、断熱材は、ガス状断熱媒体又は真空を封入してよい。
【0024】
本発明の別の態様によれば、ユーザが吸入するためのエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生装置が提供され、これは上述の加熱装置を含む。
【0025】
好ましくは、エアロゾル発生装置は更に、エアロゾル発生装置の構成要素を収容するように構成されたハウジングと、断熱材をハウジングに結合するために断熱材に取り付けられた1つ以上の支持構造と、を含み、1つ以上の支持構造は、ヒータから1つ以上の支持構造までの伝導路の長さが最大になるように、断熱材上に配置されている。このように、使用時にハウジングに伝導する熱量を最小化することが可能である。これにより、装置の動作中のハウジングの温度が最低限に抑えられ、更に、エアロゾル発生装置の効率を高めることが可能である。
【0026】
本発明の別の態様によれば、ユーザが吸入するためのエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生装置が提供され、これは、エアロゾル発生装置内に収容されたエアロゾル形成物質を加熱するように構成されたヒータと、エアロゾル発生装置の構成要素を収容するように構成されたハウジングと、断熱材であって、ヒータが発生させる熱からハウジングを断熱するように構成された断熱材と、断熱材をハウジングと結合するために断熱材に取り付けられた1つ以上の支持構造と、を含み、1つ以上の支持構造は、ヒータから1つ以上の支持構造までの伝導路の長さが最大になるように、断熱材上に配置されている。
【0027】
安全性及び効率のために、使用時のエアロゾル発生装置のハウジングの温度を最低限に抑えることが望ましい。これは特に、非常に高い温度で動作する加熱オーブンを典型的に利用する非燃焼加熱式エアロゾル発生装置の場合に当てはまる。このように伝導路長さを最大化することは、ヒータからの熱が、例えば、支持構造に達するまでに断熱材の壁に沿って伝導によって移動しなければならない距離が長くなりうるという点で有利である。熱が伝導によって移動している間に、一部の熱が、対流及び放射のプロセスによって断熱材から連続的に失われる。従って、ヒータから支持構造に達する熱が少なくなる。支持構造は、ヒータから1つ以上の支持構造までの伝導路の長さが最大になるように配置されている。そしてこのことは、使用中にハウジングに伝導する熱が少なくなることを意味する。このように、動作中のハウジングの温度が最低限に抑えられ、エアロゾル発生装置の効率が向上する。
【0028】
ヒータと1つ以上の支持構造とを物理的につないでいる材料の熱伝導特性を変えることによって、実効的な伝導路長さを最大にすることも可能である。例えば、熱が伝導によってヒータから1つ以上の支持構造に達するまでに断熱構成要素を通らなければならないように構成された断熱構成要素を設けることが可能でありうる。断熱構成要素は、真空断熱材の他の材料に比べて熱伝導率の低い材料であってよい。代替として、断熱構成要素は、断熱構成要素を通る伝導熱流量を抑制する幾何学的形状特性(例えば、薄い)を有してよい。1つ以上の支持構造の位置は、使用時の真空断熱材の最低温領域に大まかに対応してよい。代替として、1つ以上の支持構造は、他の競合する要求(例えば、構造的完全性)とのバランスを取りながら、ヒータから1つ以上の支持構造までの伝導路長さが最大になるように配置されてよい。
【0029】
断熱材は、真空又は(代替として)適切な断熱媒体(例えば、空気又は任意の適切な粉末断熱材又は繊維性断熱材)を含んでよい。断熱材が非ガス状断熱媒体を含む場合、熱は、その断熱材を通る、支持構造までの直接路に沿って伝導によって移動することが可能でありうる。従って、ヒータから接続構造までの伝導路の長さを最大にするためには、断熱材上の接続構造の配置を変えることが必要でありうる。そのような例では、支持構造は、断熱材の外面上の、ヒータから最も遠い箇所で断熱材に取り付けられてよい。断熱材が真空又はガス状断熱媒体を封入している場合には、ヒータが物理的に支持構造の近くに位置していても(例えば、支持構造がカップ状断熱材の閉じた端部に位置していても)伝導路長さを最大にすることが可能である。
【0030】
相対的には、真空断熱材は、この、支持構造のより最適な配置から、非真空断熱材よりも大きな熱効率節約を引き出すことが可能である。これは、熱が、断熱媒体の中を通ってではなく真空断熱材の壁に沿って、伝導により移動することを強いられるためでありうる。例えば、接続構造が真空断熱材に取り付けられている場合に、熱は、接続構造に達するまでに、より曲がりくねった又はカーブの多い伝導路を通ることを強いられうる。従って、最小限の伝導路長さをより大きな規模まで増やすことが可能である。
【0031】
好ましくは、断熱材は、1つ以上の支持構造でのみハウジングと結合されている。このように、熱は、ハウジングに達することを、他の介在構成要素によって妨げられる。
【0032】
好ましくは、断熱材は、内壁及び外壁を含み、それらの間に真空又は断熱媒体が封入されている。
【0033】
幾つかの実施形態では、内壁と外壁は、断熱材の第1の端部においてのみつながっており、1つ以上の支持構造は、断熱材の、第1の端部に対して遠位にある第2の端部において断熱材に取り付けられている。このように、1つ以上の支持構造は、ヒータから支持構造までの伝導路長さが最大になるように配置されている。この配置は、内壁と外壁とが1つの端部においてのみつながっているという、断熱材の特定の幾何学的形状を考慮したものである。具体的には、断熱材は真空断熱材であってよく、真空断熱材は、この構成において、断熱材が真空を含まない他の実施形態に比べて最大の効率節約を享受しうる。
【0034】
幾つかの実施形態では、内壁と外壁は、断熱材の第1の端部と、断熱材の、第1の端部に対して遠位にある第2の端部とにおいてつながっており、1つ以上の支持構造は、外壁上の、第1の端部及び第2の端部からほぼ等距離にある場所において断熱材に取り付けられている。このように、1つ以上の支持構造は、ヒータから支持構造までの伝導路長さが最大になるように配置されている。この配置は、内壁と外壁とが、対向する2つの端部においてつながっているという、断熱材の特定の幾何学的形状を考慮したものである。具体的には、断熱材は真空断熱材であってよく、真空断熱材は、この構成において、断熱材が真空を含まない他の実施形態に比べて最大の効率節約を享受しうる。
【0035】
好ましくは、エアロゾル発生装置は、断熱材の内壁に隣接して位置する、エアロゾル形成物質を収容できるキャビティを含む。
【0036】
好ましくは、ヒータは、断熱材の内壁上に設けられている。より好ましくは、ヒータは、断熱材に封入された真空の中に設けられている。断熱材は、本発明の前述の態様に関して既に述べたように、第1及び第2の略平坦部分を含んでよい。このように、エアロゾル発生装置は、上述の加熱装置の恩恵を受けることが可能である。
【0037】
好ましくは、エアロゾル発生装置は、断熱材とハウジングとの間に配置された空気ギャップを含む。このように、熱がハウジングに伝導することが妨げられる。
【0038】
好ましくは、1つ以上の支持構造は、ストラット又はロッドを含む。このように、断面が比較的小さくてよい構造を用いて断熱材がハウジングに結合されてよく、これにより、ハウジングへの熱伝達量を小さくすることが可能である。別の実施形態では、1つ以上の支持構造は、ハウジングの一体部分を形成してよい。一例では、ストラット又はロッド、或いは他の任意の代替支持構造は、断熱材の外壁の円周にわたって間隔を置いた複数の場所に設けられてよい。
【0039】
ここからは、図面を参照しながら本発明の実施形態を例として説明していく。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1A】本発明の一実施形態による加熱装置の斜視図を示す。
【
図1B】本発明の一実施形態による、真空断熱材の外壁が取り外された加熱装置の斜視図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態による加熱装置の概略断面図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態による、消耗品が真空断熱材のキャビティに挿入された加熱装置の概略断面図を示す。
【
図4A】本発明の一実施形態による加熱装置の斜視図を示す。
【
図4B】本発明の一実施形態による、真空断熱材の外壁が取り外された加熱装置の斜視図を示す。
【
図5】本発明の一実施形態による、消耗品が真空断熱材のキャビティに挿入された加熱装置の概略断面図を示す。
【
図6】本発明の一実施形態によるヒータの斜視図を示す。
【
図7】本発明の一実施形態による加熱装置の概略断面図を示す。
【
図8】本発明の一実施形態による加熱装置の概略断面図を示す。
【
図9】本発明の一実施形態によるエアロゾル発生装置の概略断面図を示す。
【
図10】本発明の一実施形態によるエアロゾル発生装置の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1A及び1Bは、本発明の一実施形態による、エアロゾル発生装置用の加熱装置の斜視図を示す。加熱装置100が提供されており、これは真空断熱材102を含み、真空断熱材102は内壁104及び外壁106を含み、内壁104と外壁106は、それらの間に真空108が封入されるように半径方向に互いに間隔を置いて配置されている。
図1Aは、使用中の見え方の加熱装置100を示しており、一方、
図1Bは、真空断熱材102の内部と内壁104とが見えるように外壁106を取り外した加熱装置100を示している。
【0042】
図2は、
図1A及び1Bの実施形態による加熱装置100の概略断面図を示す。加熱装置100はキャビティ110を含み、キャビティ110は、内壁104に隣接して設けられていて、タバコ12を含む消耗品10を収容するように構成されている。
図3は、
図1A、1B、及び2の実施形態による、消耗品10がキャビティ110に挿入された加熱装置100の概略断面図を示す。
【0043】
消耗品10は、ユーザがキャビティ110の開口部111からキャビティ110に挿入することにより、内壁104との摩擦で定位置に保持されてよい。真空108内且つ内壁104上にヒータ112が設けられている。ヒータ112が伝導によって内壁104を加熱し、それによって、内壁104が伝導及び放射によって消耗品10とキャビティ110内の空気とを加熱するように構成されている。ヒータ112は、エアロゾル発生装置上に設けられたバッテリ又は他の任意の電源から電力を供給されてよい。ヒータ112は、第1のワイヤコネクタ114aと電気的に接続されている第1の端部113と、第2のワイヤコネクタ114bと電気的に接続されている第2の端部(図示せず)と、を含む。第1のワイヤコネクタ114a及び第2のワイヤコネクタ114bのそれぞれは、2本のワイヤ116の一方と電気的に接続されており、ワイヤ116はヒータ112をバッテリに接続するように構成されている。内壁104は更に、第1の平坦部分118及び第2の平坦部分120を有し、これらはそれぞれ、真空断熱材102の長手軸に沿って長手方向に延びる。第1及び第2の平坦部分118、120は、消耗品10がキャビティ110内に収容されたときに、ヒータ112からタバコ12への熱伝達の効率を高めるために、消耗品10を押し縮めるように構成されている。内壁104には内面(図示せず)と外面104aとがあり、内面は、キャビティ110に面していて、
図1A及び1Bではタバコ12で覆い隠されており、外面104aは、
図1Bでは見えている。ヒータ112は、第1の平坦部分118の外面上、及び第2の平坦部分120の外面上に設けられている。
【0044】
図2及び3は、内壁104と外壁106との間に封入された真空108を示す。消耗品10はフィルタ14も含んでよく、フィルタ14は、
図3では表示されているが、
図1A及び1Bでは明確にするために省略されている。使用時には、ユーザは、フィルタ14を通してキャビティ110から空気を吸い込むことにより、キャビティ110内で発生したエアロゾルがユーザまで運ばれて、ユーザはこれを楽しむことが可能である。
【0045】
真空断熱材102は、中空であり、その湾曲した内壁104とその湾曲した外壁106との間に真空108を封入する。真空断熱材102は略円筒形状であり、それによって、真空断熱材102は、消耗品10を完全に取り囲んで、断熱効果を最大化することが可能である。真空断熱材102はその長手軸に沿って細長であり、それによって、真空断熱材102は、タバコ12を含む細長ロッドの形態の消耗品10を収容することが可能である。真空断熱材102は、その一方の端部からその長手軸に平行な方向に見たときの断面がほぼ長円形又は円形であるが、別の実施形態では、真空断熱材102は、他のタイプの断面形状であってよく、例えば、ほぼ正方形又は多角形の形状であってよい。
【0046】
真空断熱材102は、一方の長手方向端部において消耗品10を受け入れる開口部111を含み、反対側の端部は閉じている。従って、真空断熱材102は、
図2に示したように、その長手軸に垂直な方向に見たときの断面がカップ状である。別の実施形態では、真空断熱材102は、両長手方向端部が開いていてよく、その場合、その長手軸に垂直な方向に見たときの断面がチューブ状である。これについては後で
図5を参照して更に述べる。
【0047】
別の実施形態では、真空断熱材102は、代わりに非真空断熱材、即ち、空気、繊維性断熱材、又は粉末断熱材等の断熱媒体を含む断熱材であってよい。
【0048】
開口部111は、外に向かってフレア状に広がっていて、ユーザが消耗品10をキャビティ110に容易に挿入することが可能になっている。内壁104の上部部分122は内壁104の内部領域に比べて径が大きくなっており、内壁104の内部領域は、消耗品10がキャビティ110に収容されたときに消耗品10を押し縮めるために径がより絞られている。別の実施形態では、上部部分122又は開口部111はフレア状でなくてよく、内壁104の断面は、内壁104の長手方向の全長にわたって同じであってよい。
【0049】
図1~3の実施形態では、内壁104はステンレス鋼を含む。しかしながら、別の実施形態では、内壁104は、ヒータ112からキャビティ110内へ熱を伝達することに適する性質を有する他の適切な材料(例えば、他の金属、金属合金、又はセラミック)を含んでよい。
【0050】
内壁104は第1の平坦部分118を含み、これは略平坦又は完全に平坦であってよい。
図2に矢印Aで示すように、第1の平坦部分118は、長手方向に隣接し、開口部111のより近くに位置する、内壁104の上部部分122より半径方向内側に位置する。
図1Bに示すように、第1の平坦部分118は、円周方向に隣接する部分126につながっており、部分126は、長円形又は円形の湾曲を有してよい。第1の平坦部分118はまた、第1の傾斜部分128により内壁104につながっており、第1の傾斜部分128は、キャビティ110の中心に向かって傾斜している。第1の平坦部分118は、内壁104に沿って、内壁104の長手方向の略全長に沿って延びている。
【0051】
第2の平坦部分120は、第1の平坦部分118の反対側の内壁104上に設けられている。別の実施形態では、第1及び第2の平坦部分118、120は、別の、内壁104上の相対位置にあってよい。
図1~3の例示的実施形態は2つの平坦部分を含むが、内壁104は平坦部分を1つだけ含んでもよく、3つ以上含んでもよい。
【0052】
第2の平坦部分120は、第1の平坦部分118と同様に構成されており、
図2及び3に示すように、第2の傾斜面130により内壁104の上部部分122につながっている。ユーザが消耗品10をキャビティ110に挿入したときに消耗品10がキャビティ110内にスムーズに誘導されるように、第1の傾斜面128及び第2の傾斜面130はスムーズに傾斜していることが好ましい。よりハードなエッジではなくスムーズな傾斜面を使用することにより、キャビティ110内のエアポケットを減らすことが可能であり、それによって、内壁104と消耗品10との間の接触表面積を増やすことが可能である。
【0053】
外壁106はステンレス鋼を含む。別の実施形態では、外壁106は、後で更に述べるように、他の適切な材料を含んでよい。外壁106は、略又は完全に円筒形の単一湾曲面を含む。別の形状の真空断熱材に応じて別の形状の外壁106が実装されてもよい。真空108が内壁104と外壁106との間に含まれたままであるように、内壁104と外壁106は、真空断熱材102の2つの長手方向端部の両方において互いに気密接合又は気密封止されている。別の実施形態では、真空断熱材102は、内壁104と外壁106とをつないでいる、真空断熱材102の長手軸に垂直な、互いに隣接する追加壁を含んでよい。
【0054】
キャビティ110は、略円筒形であり、内壁104に直接隣接して位置している。好ましくは、内壁104の、キャビティ110に面している面、即ち、内壁104の「内面」は、追加構成要素がほぼ又は全く無いため、消耗品10は、キャビティ110に収容されたときに内面に直接接触することが可能である。これにより、内壁104から消耗品10への熱伝達の効率を最大化することが可能である。更に、追加構成要素が無いことにより、加熱装置の熱質量が低く保たれ、これにより、タバコ12をエアロゾル発生温度まで加熱するのに必要な時間を改善することが可能である。
【0055】
図1~3の実施形態では、ヒータ112は、電流を印加されると発熱するように構成された、略平坦な抵抗ヒータである。別の実施形態では、ヒータ112は、真空断熱材の周囲に設けられた誘導コイルによって駆動される誘導ヒータであってよい。よりコンパクトな加熱ソリューションを提供できるという点で、好ましいのは抵抗ヒータということになる。
【0056】
ヒータ112は、ヒータ112の第1の端部113から第2の端部(図示せず)まで延びる巻線抵抗加熱トラックを含む。このトラックは、
図1Bに示すように、第1の平坦部分118及び第2の平坦部分120の長さに沿って曲がりくねった経路をたどる。ヒータ112の第1の端部113及び第2の端部は、それぞれ、第1及び第2のワイヤコネクタ114a、114bと電気的に接続されるようにそれぞれ構成されており、その第1及び第2のワイヤコネクタ114a、114bはワイヤ116に接続している。ワイヤ116は、エアロゾル発生装置上に設けられたバッテリに接続されてよい。
【0057】
ヒータ112は、内壁104の外面104aに印刷又は別の方法で接合されてよい。従って、ヒータ112は、キャビティ110を「トレース加熱」してよい。
図1Bに示すように、ヒータ112は、内壁104の表面上で、第1の平坦部分118及び/又は第2の平坦部分120の略全部分をカバーするように曲がりくねった形状であってよい。後で
図6を参照して更に述べるように、ヒータ112は別の形状であってもよい。
【0058】
ヒータ112は、酸素の存在下では酸化反応しやすい材料を含んでよく、また、抗酸化コーティングされずに設けられてよい。このようにヒータ112を真空108に曝すことは、真空断熱材102内に酸素が無いことで、ヒータ112がより安価になり、且つ/又はより製造しやすくなるという利点がある。
【0059】
ヒータ112は、加熱の効率を最大化するために、
図1Bに示すように、内壁104の外面104aの第1及び第2の平坦部分118、120上に設けられている。場合によっては、この加熱効率の最大化は、ヒータ112が内壁104の他の部分を覆わなくても迅速又は効果的な加熱が達成される程度であってよい。従って、ヒータ112は、ヒータ112のサイズを最小化するために、主に、又はほとんど、又は限定的に第1及び第2の平坦部分118、120に設けられてよく、それによって、加熱装置100全体の重量及びコストを減らすことができる。
【0060】
別の例では、ヒータ112は、第1及び第2の平坦部分118、120に設けられるのに加えて、内壁104上の別の場所にも設けられてよい。ヒータ112は、内壁104の外面104aをほぼ覆ってよく、且つ/又は、内壁104の略全周にわたって内壁104上に設けられてよい。幾つかの例では、これによって消耗品10をより迅速に又はより均一に加熱することが可能である。
【0061】
加熱装置100の、又は加熱装置100を含むエアロゾル発生装置の他の部分に不要な電流が届かないようにするために、ヒータ112と内壁104との間で電気的絶縁が行われてよい。この電気的絶縁は、ヒータ112から内壁104への効果的な熱伝達を可能にするのに適する任意の種類の電気的絶縁であってよい。
【0062】
各ワイヤ116は、一方の端部がバッテリの端子に接続されてよく、反対側のそれぞれの端部が第1及び第2のワイヤコネクタ114a、114bのいずれかに接続されてよい。第1及び第2のワイヤコネクタ114a、114bは、外壁106に接触することなく真空断熱材102の内部に設けられることが可能であるように、略平坦な形状であってよい。ワイヤ116は、真空断熱材102の1つ以上の封止されたアパーチャを通って設けられてよく、真空断熱材102の内部の第1及び第2のワイヤコネクタ114a、114bに接続されてよい。好ましくは、ワイヤ116は、真空断熱材102のいずれかの長手方向端部に向かう封止されたアパーチャを通って設けられる。
【0063】
加熱装置100は、エアロゾル発生装置とともに使用されてよく、又はエアロゾル発生装置内に設けられてよい。エアロゾル発生装置は、典型的には、ヒータ112に電力を供給するバッテリと、ユーザがヒータ112を起動することを可能にするボタン又は他の入力機構と、ヒータ112等のデバイスの電子構成要素を制御するコントローラと、含むことになる。加熱装置100は、エアロゾル発生装置のハウジング内に設けられてよく、ハウジングは、加熱装置100の開口部111と一直線に並んだ開口部を含む。エアロゾル発生装置は、電気喫煙装置として構成されてよい。
【0064】
消耗品10はタバコ12及びフィルタ14を含み、これらはチッピングラッパーによってまとめて保持されてよい。好ましくは、消耗品10は円筒形のロッドであるが、キャビティ110内に収容されるように設計された他の形状の消耗品10も使用されてよい。タバコに対する代替又は追加として、他の形態のエアロゾル形成物質も使用されてよい。
【0065】
次に、エアロゾル発生装置内で使用される、加熱装置100の使用例を、
図1~3を参照して説明していく。
【0066】
使用時には、ユーザは消耗品10を開口部111からキャビティ110に挿入することが可能である。消耗品10は、最初にキャビティ110に収容されることが可能であるように、径が開口部111よりわずかに小さくてよい。第1の平坦部分118及び第2の平坦部分120は、開口部111から長手方向にオフセットした位置に設けられており、キャビティ110の径をキャビティ110の開口部111の径より絞っている。従って、消耗品10は、ユーザがキャビティ110の奥へと押し込むにつれて、第1の平坦部分118及び第2の平坦部分120によって圧搾され、これは、
図3に示すようにキャビティ110内に完全に収容されるまで行われる。これにより、消耗品110と内壁104との間の接触表面積が増え、消耗品10が摩擦によってキャビティ110内に確実に固定される。
【0067】
ユーザは、気化を開始しようとする場合、エアロゾル発生装置上に設けられたボタンを押してよく、ボタンが押されたら、コントローラは、バッテリからヒータ112に電流が流れることを可能にしてよい。ヒータ112の電気抵抗によって熱が発生し、この熱が、伝導及び放射によって内壁104の第1及び第2の平坦部分118、120に伝達される。
【0068】
第1及び第2の平坦部分118、120により、内壁104の表面積が増えることが可能であり、それによって、消耗品10との接触表面積が増えることが可能である。更に、第1及び第2の平坦部分118、120が消耗品10を押し縮めることにより、幾つかの場所において、消耗品10の表面と第1及び第2の平坦部分118、120との間の空気の存在を減らすか無くすことも可能である。これにより、これらの表面間の接触表面積を更に増やすことが可能である。熱的に相互作用する2つの物体の間の伝導性熱伝達がそれらの接触表面積に比例するため、接触表面積の増加によって、消耗品10への熱流量の増加が達成される。このように、ヒータ112から消耗品10内のタバコ12までの効率的な熱送達が確実に行われる。消耗品10を押し縮めることにより、熱がより迅速に消耗品10の中心部に送達されることも可能であり、このことはエアロゾル品質の点で有利でありうる。熱は伝導によって第1及び第2の平坦部分118、120から内壁104の他の部分に伝達されるため、消耗品10の他の面も加熱を受ける。内壁104の内面には他の構成要素が無いため、加熱装置の熱質量が小さくなり、加熱速度が高くなる。
【0069】
ヒータ112は、真空断熱材102の内部の利用可能な空間を活用することにより、加熱装置100の径を小さくしており、それによって、加熱装置100を組み込んだエアロゾル発生装置の径を小さくしている。他の知られた装置では、消耗品を定位置に固定し、加熱プレートを収容するために、真空断熱材の中央キャビティ内に、加熱カップが独立構成要素として設けられてよい。従って、本発明の第1及び第2の平坦部分118、120により、そのような加熱カップを不要にすることによって加熱装置の径を更に小さくすることが可能である。
【0070】
ヒータ112が動作している間、真空断熱材102内の真空108は、熱が伝導によってキャビティ110から逃げるのを徹底的に阻止している。真空断熱材102はまた、熱が開口部111から逃げる以外に、熱が対流によって逃げるのを阻止している。このように、キャビティ110、ヒータ112、及び真空断熱材102は、消耗品10内のタバコ12を所望のエアロゾル発生温度まで加熱できる高効率の加熱オーブンを形成する。コントローラは、タバコの燃焼温度よりも低い温度までタバコを加熱するようにヒータ112に指示するように構成され得る。キャビティ110がエアロゾル発生温度に達するまで数秒かかることがある。タバコ12が加熱されると、キャビティ110内にエアロゾルが発生する。そしてユーザは、フィルタ14を介してキャビティ110から空気を吸い込むことにより、そのエアロゾルを吸入することが可能である。これにより、開口部111の周辺部からキャビティ110内に空気が吸い込まれることが可能であり、それによって、ユーザは、キャビティ110からエアロゾルを連続的に吸入することが可能である。
【0071】
内壁104の厚さは、約0.1ミリメートル(mm)以下である。比較的薄いことにより、真空断熱材102の熱質量が小さくなり、内壁104を通ってキャビティ110及び消耗品10に向かう熱伝導の速度が高くなる。特に、内壁104の外面によってキャビティ110から逃げる熱伝導が小さくなる。これらの仕組みによって加熱装置100のエネルギ効率を高めることに関しては、0.1mm以下の閾値が有意であることが分かっている。具体的には、内壁厚さが0.1mmの場合が、内壁厚さが0.25mmの場合に比べて、熱効率が著しく向上したことが分かっている。
【0072】
別の実施形態では、第1の平坦部分118及び/又は第2の平坦部分120だけは厚さが0.1mm以下であり、内壁104のその他の部分はそれより厚くてよい。
【0073】
外壁106は厚さが約0.25mmであり、これは、真空断熱材102の機械的頑丈さ及び断熱特性を高めるためには厚さが0.1mmの場合より好ましいであろう。
【0074】
図4A及び4Bは、本発明の別の実施形態によるエアロゾル発生装置用加熱装置200の斜視図を示す。加熱装置200が提供されており、これは真空断熱材202を含み、真空断熱材202は内壁204及び外壁206を含み、それらの間に真空が封入されている。
図4Aは、使用中の見え方の加熱装置200を示しており、一方、
図4Bは、真空断熱材202の内部と内壁204とが見えるように外壁206を取り外した加熱装置200を示している。更に、加熱装置200は、キャビティ210、開口部211、ヒータ212、第1及び第2の電気的接続214a、214b、ワイヤ216、第1の平坦部分218、及び第2の平坦部分(図示せず)を含み、これらのそれぞれは、加熱装置100の対応する特徴と全く同様に構成されている。
【0075】
加熱装置200が加熱装置100と異なる点として、真空断熱材202の外壁206はポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)を含む。このことは、装置のコスト又は重量の点で好ましいであろう。場合によっては、外壁206にPEEKを使用することにより、ヒータ212の動作中に内壁204から外壁206に伝達される熱量を減らすことが可能である。更に、真空断熱材202はシール232を含んでよく、シール232は、内壁204と外壁206とをつなぎ、同時に真空断熱材202に空気が入り込むのを防ぐ。真空断熱材202の、内壁204と外壁206とがつながる他の部分にも更なるシールが設けられてよい。
【0076】
他の点については、加熱装置100と加熱装置200は同様に構成されており、同様に動作する。
【0077】
図5は、本発明の別の実施形態による加熱装置300の概略断面図を示す。加熱装置300が提供されており、これは真空断熱材302を含み、真空断熱材302は内壁304及び外壁306を含み、それらの間に真空308が封入されている。加熱装置300は更に、キャビティ310(
図5では消耗品10が挿入された状態で示されている)、開口部311、ヒータ312、第1及び第2の電気的接続314a、314b、ワイヤ(図示せず)、第1の平坦部分318、及び第2の平坦部分320を含み、これらのそれぞれは、加熱装置100の対応する特徴と全く同様に構成されている。
【0078】
加熱装置300が加熱装置100と異なる点として、真空断熱材302はカップ状ではなく、チューブ状である。
図5に示すように、キャビティ310は、開口部311に対して遠位側に位置する追加開口部334を含む。開口部334は、消耗品10がキャビティ310に挿入されすぎないように、栓336で部分的又は完全に閉鎖されている。栓336は、PEEK、ゴム、又は他の適切な耐熱材料を含んでよい。
【0079】
外壁306はステンレス鋼を含む。別の実施形態では、外壁306はPEEKを含んでよく、真空断熱材302には、真空断熱材202に関して述べたようなシールが1つ以上設けられてよい。
【0080】
他の点については、加熱装置100と加熱装置300は同様に構成されており、同様に動作する。
【0081】
上述の、内壁104及び外壁106の好ましい厚さは、加熱装置200及び加熱装置300にも当てはまり、
図9及び10に関して述べる実施形態にも当てはまる。
【0082】
図6は、ヒータ112の代わりに使用されてよい別のヒータ412の斜視図を示す。ヒータ412は、円筒形状であり、第1の平坦部分118の外面上、及び第2の平坦部分118の外面上に設けられるように構成されている。ヒータ412はまた、内壁104の外面104aの略全周及び長手方向長さをカバーするように構成されている。これにより、キャビティ110がエアロゾル発生温度に達する速度を高めることが可能である。ヒータ412は、ヒータ412の第1の端部413aから第2の端部413bまで延びる曲がりくねった抵抗加熱トラックを含む。第1及び第2の端部413a、413bは、第1及び第2のワイヤコネクタ114a、114bと電気的に接続されるように構成されており、その第1及び第2のワイヤコネクタ114a、114bはワイヤ116に接続している。
【0083】
同様に、ヒータ412は、ヒータ212又はヒータ312の代わりに、それぞれ、加熱装置200又は加熱装置300の一部として使用されてよい。
【0084】
図7は、本発明の一代替実施形態による加熱装置100の概略断面図を示す。
図7は、あくまで説明用として、ヒータ112及びワイヤコネクタ114a、114bを省略した加熱装置100を示す。
図7はワイヤ116の別の配置を示しており、ワイヤ116は、内壁104と外壁106との間のギャップを通る。このギャップは、開口部111に隣接して設けられている。真空断熱材102の反対側の端部は、
図1~3の実施形態に配置されたワイヤが通っていたが、外壁106で閉じられている。ギャップ内にシール115aが設けられており、シール115aは、空気が真空断熱材102に入るのを防ぎ、且つ、内壁104及び外壁106に対してワイヤ116を定位置にしっかりと固定する。
【0085】
シール115aは、任意の適切な材料を含んでよく、例えば、ゴム、金属、又は耐熱プラスチックを含んでよい。
【0086】
図7の構成は、特に製造しやすいことが可能である。場合によっては、この構成により、ワイヤ116が内壁104又は外壁106とあまり接触しないことも可能になる。そして、これによって、使用時に真空断熱材102からワイヤ116を伝わって逃げる熱量が少なくなる。この構成では、ワイヤ116と真空断熱材102との接触は単一点接触であってよい。
【0087】
図7に示したワイヤ116の構成は、加熱装置200又は加熱装置300にも実装されてよい。同様に、ワイヤ116のこの構成は、
図9及び10に関して後で更に述べるエアロゾル発生装置の実施形態のいずれに実装されてもよい。
【0088】
図8は、本発明の一代替実施形態による加熱装置100の概略断面図を示す。
図8は、あくまで説明用として、ヒータ112及びワイヤコネクタ114a、114bを省略した加熱装置100を示す。
図8はワイヤ116の別の配置を示しており、ワイヤ116は、外壁106の湾曲した長手方向側面にあるギャップを通る。これらのギャップは、キャビティ110の開口部111の近くに設けられている。ワイヤ116は、シール115b、115cで外壁106に対して封止されており、シール115b、115cは任意の適切な材料(例えば、ゴム、プラスチック、又は金属)を含んでよい。
【0089】
図8の構成は、特にコンパクトであることが可能であり、加熱装置100の軽量化を可能にできる。このことは、ユーザが重量物を持ち運ぶこと、並びに装置の熱質量を小さくすることに関して有利でありうる。更に、この構成では、ワイヤ116は主に外壁106に接触しており、外壁106は、一般に、ヒータ112の動作中に達する最大温度が内壁104より低い。そして、これによって、使用時に真空断熱材102からワイヤ116を伝わって逃げる熱量が少なくなる。幾つかの実装形態では、ワイヤ116を開口部111に向けて配置することは、加熱装置100をエアロゾル発生装置内に配置することに関して有利でありうる。別の実施形態では、ワイヤ116及びギャップは、外壁106上の別の場所に設けられてよい。
【0090】
図8に示したワイヤ116の構成は、加熱装置200又は加熱装置300にも実装されてよい。同様に、ワイヤ116のこの構成は、
図9及び10に関して後で更に述べるエアロゾル発生装置の実施形態のいずれに実装されてもよい。
【0091】
別の実施形態では、真空断熱材102、真空断熱材202、又は真空断熱材302は、代わりに非真空断熱材、即ち、空気、繊維性断熱材、又は粉末断熱材等の断熱媒体を含む「断熱材」であってよい。
【0092】
図9は、本発明の一実施形態によるエアロゾル発生装置の概略断面図を示す。エアロゾル発生装置500が提供されており、これは真空断熱材502を含み、真空断熱材502は内壁504及び外壁506を含み、内壁504と外壁506は、それらの間に真空508が封入されるように半径方向に互いに間隔を置いて配置されている。エアロゾル発生装置500はキャビティ510を含み、キャビティ510は、内壁504に隣接して設けられていて、前述のように、タバコ12及びフィルタ14を含む消耗品10を収容するように構成されている。ハウジング550が提供されており、これは、エアロゾル発生装置500の内部構成要素を収容するように構成されている。真空断熱材502は、支持構造552でハウジング550と結合される。ハウジング550と真空断熱材502との間に空気ギャップ553が位置するように、真空断熱材502はハウジング550から間隔を置いて設けられている。更に、エアロゾル発生装置500は、ボタン(図示せず)又は他の入力機構とコントローラ(図示せず)とを含み、これらはそれぞれ、ボタンが押されたことに対する応答として、ユーザがヒータ512を起動することを可能にするように構成されている。
【0093】
消耗品10は、
図9に示すように、ユーザがキャビティ510の開口部511からキャビティ510に挿入することにより、内壁504との摩擦で定位置に保持されてよい。但し、明確にするために、消耗品10及び内壁504は、
図9では間隔を置いて示されている。真空508内の内壁504上に抵抗ヒータ512が設けられている。ヒータ512が伝導によって内壁504を加熱し、それによって、内壁104が伝導及び放射によって消耗品10とキャビティ510内の空気とを加熱するように構成されている。ヒータ512は、前述のように、ワイヤ(図示せず)及び電気的接続(図示せず)でヒータ512と接続された、エアロゾル発生装置500内に設けられたバッテリ(図示せず)又は他の任意の電源から電力を供給される。
【0094】
内壁504と外壁506は、真空断熱材502の第1の長手方向端部556において環状の第1の接続壁554でつながっている。内壁504と外壁506はまた、真空断熱材502の第2の長手方向端部560において環状の第2の接続壁558でもつながっている。真空断熱材502の内壁504は、第1及び第2の平坦部分(図示せず)を含み、これらの上にヒータ512が設けられており、第1及び第2の平坦部分は、加熱装置100に関して前述された第1及び第2の平坦部分と同様に構成されている。
【0095】
真空断熱材502はチューブ状であり、加熱装置300と同様に、第1及び第2の長手方向端部556、560の両方が開いている。真空断熱材502は、その長手軸に平行な方向から見たときの断面が略円形又は長円形である。但し、真空断熱材102に関して述べたように、真空断熱材502は他の断面であってもよい。
図9の実施形態では、内壁504と外壁506は、環状の第1及び第2の接続壁554、558でつながっている。しかしながら、別の実施形態では、外壁506は内壁504に直接つながっていてもよく、又はその逆でもよい。
【0096】
ヒータ512、真空断熱材502、及びキャビティ510は、加熱装置300と同様に構成されており、同様に動作する。しかしながら、ヒータ512、真空断熱材502、及びキャビティ510はまた、前述の加熱装置100、加熱装置200、又は加熱装置300の代替実施形態のいずれとも同様に構成されてよく、同様に動作してよい。別の例示的実施形態では、真空断熱材502、ヒータ512、及びキャビティ510は、当該技術分野において既に知られている同様の加熱装置とも同様に構成されてよい。例えば、ヒータ512は、真空508内ではなくキャビティ510内に設けられてよく、又は、内壁504上に直接設けられなくてもよい。
【0097】
ハウジング550は、エアロゾル発生装置の各構成要素を収容するために、金属、プラスチック、又は他の任意の適切な材料を含む。ハウジング550はまた、消耗品10を受け入れるための、真空断熱材502の開口部511と一直線に並んだ開口部509を含む。
【0098】
支持構造552はストラット又はロッドを含み、これらは、一方の端部が外壁506に接続されており、他方の端部がハウジング550に接続されており、それによって、真空断熱材502がハウジング550に取り付けられている。別の実施形態では、支持構造552は、ロック機構又はアタッチメント機構により真空断熱材502と結合されている、ハウジング550の一体部分を形成する構造であってよい。
【0099】
次に、エアロゾル発生装置500の使用例を、
図9を参照して説明していく。ユーザは、消耗品10をキャビティに挿入し、ボタンを押してよい。するとコントローラは、内壁504上に設けられたヒータ512にバッテリから電力が流れることを可能にする。するとヒータ512が、伝導及び放射による内壁504の加熱を開始する。この熱は、内壁504を通って、キャビティ510とそこに収容されたタバコ12とに伝達される。キャビティ510は真空断熱材502で断熱されていて、真空断熱材502は、熱がキャビティ510から逃げるのを徹底的に阻止している。その後、タバコ12は、エアロゾル発生温度まで徐々に加熱される。エアロゾル発生温度は、タバコ12の燃焼温度より低いことが可能である。これにより、エアロゾル発生装置500が非燃焼加熱式装置として機能することが可能になる。そしてユーザは、キャビティ510内で発生したエアロゾルをフィルタ14から吸入することが可能である。
【0100】
ヒータ512が内壁504を介してキャビティ510を加熱するにつれて、熱は、真空断熱材502の他の部分にも、主に伝導により、伝達(拡散)される。例えば、熱は、伝導により、内壁504に沿って、第1の長手方向端部556に向かって、第1の接続壁554まで伝達され、そこから熱は外壁506に伝達される。同様のプロセスが第2の長手方向端部560に向かって発生し、熱は、第2の接続壁558を通って外壁506に伝達される。このように、ヒータ512から発せられた熱は、物理的に接続された構成要素群を通る「伝導路」をたどって、真空断熱材502及びエアロゾル発生装置500の他の領域に向かう。
【0101】
熱が内壁504から真空断熱材502全体にわたって拡散するにつれて、熱は、対流及び放射のプロセスによって、真空断熱材502の表面から連続的に運び出される。結果として、真空断熱材502のうちのヒータ512から遠い領域ほど、ヒータ512からその領域までの利用可能な最短伝導路の観点では、ヒータ512により近い隣接領域から受ける熱が徐々に少なくなる。つまり、真空断熱材502のうちの、ヒータ512とつながっている伝導路が長い領域ほど、ヒータ512から受ける熱が少なくなる。外壁506の幾つかの領域は、使用時には、外壁506の他の領域よりも、達する最大温度が著しく低い、即ち、ベーピングセッションの間に受ける熱が著しく少ないことが発見された。
【0102】
図9の実施形態は、この発見を利用するために、支持構造552を、外壁506のうちの、使用時の真空断熱材502の最低温領域にほぼ対応する領域に接続している。これにより、支持構造552を通ってハウジング550に向かう伝導によって失われる熱量が最小化される。そして、これによって、エアロゾル発生装置500の動作中のハウジング550の温度が最小化される。より具体的には、支持構造552は、真空断熱材502上の、ヒータ512から支持構造552までで利用可能な最短伝導路の長さを最大化する場所において、真空断熱材502に取り付けられて提供される。これにより、支持構造552に達する前に放射及び対流によって真空断熱材502から消散する熱量が最大化される。そして、これによって、エアロゾル発生装置500の動作中のハウジング550の温度が最小化される。
【0103】
図9の実施形態では、熱は、第1及び第2の接続壁554、558を通って外壁506に伝導する。従って、使用時の外壁506の最高温領域は、真空断熱材502の第1及び第2の長手方向端部556、558の近くにある。逆に、最低温領域は、ヒータ512までの伝導路長さが最大である、外壁506の中程にある。従って、支持構造552は、
図9に示すように、第1及び第2の長手方向端部556、558の間のほぼ中間にある、外壁506の中程部分で外壁506に取り付けられている。
【0104】
しかしながら、別の実施形態では、使用時の真空断熱材上の最低温領域のその特定の場所は、概して、エアロゾル発生装置500の特定の構成、方位、及び幾何学的形状に依存する。具体的には、最低温領域は、真空断熱材及びヒータの形状、相対位置、及び材料に依存する。別の実施形態では、支持構造552は、真空断熱材502上の、使用時の最低温領域がありうる場所に設けられてよい。
【0105】
場合によっては、真空断熱材502のうちの、使用時の真空断熱材502の絶対最低温領域である領域において支持構造552を真空断熱材502に取り付けることが非現実的であることがある。例えば、真空断熱材502とハウジング550との間の安定した機械的結合を保証しながら支持構造552をこのように取り付けるのは困難である場合がある。従って、ヒータ512から支持構造552までの伝導路長さは、エアロゾル発生装置500の他の競合する設計要求を満たした上でのみ可能な限り最大化されてよい。つまり、ヒータ512から支持構造552までの利用可能な最短伝導路を完全に最大化するように支持構造552を配置することは現実的に可能ではない場合がある。それでもやはり、伝導路長さは可能な限り最大化されることが可能である。そのような実施形態の1つについて、後で更に、
図10を参照して述べる。
【0106】
伝導路長さは、様々な方法で長くすることが可能である。例えば、伝導路長さを長くすることは、例えば、
図9の実施形態では、熱が支持構造552に達するまでに移動しなければならない、真空断熱材502の表面に沿った物理的距離を長くすることによって可能である。しかしながら、別の実施形態では、物理的な長さを増やすのではなく「実効的な長さ」を増やすことによって伝導路長さを増やしてもよい。例えば、第1の接続壁556は、代わりに、別の、断熱性がより高く、熱伝導性がより低い材料を含んでよい。これにより、新しい断熱材と元の断熱材との熱伝導率の比に大まかに相当する割合で、接続壁554に沿った伝導路長さが実効的に増えることになる。第2の接続壁558に使用される材料が、断熱性がより高い材料に同様に置き換えられるのでないのであれば、それによって、ヒータまでの伝導路長さが最大になる領域が第1の長手方向端部556に向かってシフトする効果が得られるであろう。その場合、支持構造552を、それに応じて第1の長手方向端部556に向けてシフトさせることが可能である。別の例では、真空断熱材502の特定の場所の厚さを減らして、真空断熱材502のそれらの場所の熱流量を減らすことによって、伝導路長さを実効的に増やすことが可能である。
【0107】
図9の実施形態では、外壁506とハウジング550との間の空気ギャップ553も、ハウジング550と外壁506とを断熱するのに役立つ。支持構造552はロッド又はストラットを含み、これらは、断面積が他の形態の支持構造より小さくてよい。これにより、ハウジング550への熱伝達量を更に減らすことが可能である。
【0108】
図10は、本発明の一実施形態によるエアロゾル発生装置の概略断面図を示す。
【0109】
エアロゾル発生装置600が提供されており、これは真空断熱材602を含み、真空断熱材602は内壁604及び外壁606を含み、内壁604と外壁606は、それらの間に真空608が封入されるように半径方向に互いに間隔を置いて配置されている。エアロゾル発生装置600がエアロゾル発生装置500と異なる点として、真空断熱材602は閉じた端部を有する。従って、真空断熱材602は、加熱装置100と同様に、
図10の視点から見たときの断面がカップ状である。外壁606と内壁604は、第1の長手方向端部656において環状の第1の接続壁654でのみつながっている。湾曲した外壁606は、真空断熱材602の第2の長手方向端部660において、略円形の第2の接続壁658で閉じられている。エアロゾル発生装置600はまた、支持構造652を含み、支持構造652は、真空断熱材602の第2の端部660の近くに位置することが支持構造552と異なる。
【0110】
他の点については、エアロゾル発生装置600とエアロゾル発生装置500は同様に構成されており、同様に動作する。即ち、エアロゾル発生装置600は更に、開口部611から消耗品10を受け入れるように構成されたキャビティ610と、開口部609を有するハウジング650と、空気ギャップ653と、ボタン(図示せず)又は他の入力機構と、コントローラ(図示せず)と、抵抗ヒータ612とを含む。ヒータ612は、ワイヤ(図示せず)及び電気的接続(図示せず)でヒータ612とつながっている、エアロゾル発生装置600内に設けられたバッテリ(図示せず)又は他の任意の電源から電力を供給されている。エアロゾル発生装置600のこれらの特徴は、エアロゾル発生装置500の対応する特徴と全く同様に構成されている。
【0111】
真空断熱材602に戻ると、外壁606と内壁604は、第1の端部656の近くに設けられた支持壁654でのみつながっている。従って、使用中は、伝導によってヒータ612から支持構造652に運ばれる熱が、真空断熱材602の第1の端部656に向かって内壁604を上昇するはずである。次にその熱は、支持壁654に伝導した後、第2の接続壁658に向かって外壁606を下降することが可能である。この時間の間に、熱は、対流及び放射によって外壁606から絶え間なく失われる。そのため、第2の接続壁658に達する熱は、第1の接続壁654に達する熱、並びに外壁606のうちの第1の端部656の近くの領域に達する熱より少なくなる。従って、使用時の真空断熱材602の最低温領域は、概ね第2の接続壁658であり、そこではヒータ612からの伝導路長さが最大になる。
【0112】
構造的理由又は他の現実的理由から、接続壁658においてのみ真空断熱材602をハウジング650に取り付けることはあまり望ましくないであろう。例えば、支持構造652を第2の接続壁658にのみ取り付けることでハウジング650への真空断熱材602の安定した取り付けを達成するのは困難であろう。そこで、この実施形態では、
図10に示すように、支持構造652は、真空断熱材602の第2の端部660の近くでのみ、外壁606に取り付けられている。これにより、ロバストなエアロゾル発生装置を製造するという競合する要求とのバランスを取りながら、支持構造652までの伝導路長さが最大化される。
【0113】
別の実施形態では、支持壁658上に支持構造652を設けて、伝導路長さをより完全に最大化することが可能でありうる。
【0114】
別の実施形態では、真空断熱材502又は真空断熱材602は、代わりに非真空断熱材、即ち、空気、繊維性断熱材、又は粉末断熱材等の断熱媒体を含む「断熱材」であってよい。断熱材502、602が非ガス状断熱媒体を含む場合、熱は、その非ガス状媒体を通って支持構造552、652に直接向かって移動しうる。従って、この場合、支持構造552、652は、エアロゾル発生装置500及びエアロゾル発生装置600において、ヒータ512、612から可能な限り離れて配置されてよい。断熱媒体がガスである場合、支持構造552、652は、真空を用いる上述の実施形態と同様の配置であってよい。代替として、支持構造552、652は、断熱材の幾何学的形状次第では、非ガス状断熱媒体を用いる実施形態と同様の配置であってよい。
【国際調査報告】