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特表2025-502942安全ヒューズとしての磁石を含むエアロゾル発生装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】安全ヒューズとしての磁石を含むエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/53 20200101AFI20250123BHJP
   A24F 40/51 20200101ALI20250123BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/51
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539340
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2023051350
(87)【国際公開番号】W WO2023139200
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】22152664.3
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】モンティコネ,ピエール・パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ブーチュイギュア,レイス・スリマン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC34
4B162AD06
4B162AD18
4B162AD20
4B162AD23
(57)【要約】
磁石10、センサ20、及び無効化ユニット30を含むエアロゾル発生装置(1)が提供される。磁石(10)は、磁場を発生させるように構成されている。センサ(20)は、磁石と結合されていて、磁石が発生させる磁場の値を検知するように構成されている。無効化ユニット(30)は、エアロゾル発生装置の動作を無効にするように構成されており、無効化ユニット(30)は、センサ(20)によって検出される磁場値が所定の磁場閾値を下回ったときにエアロゾル発生装置(1)の動作を無効化するように構成されており、所定の磁場閾値は、磁石(10)が最大動作温度に達したときに示す磁場の強度を示す値を含み、磁石の最大動作温度は、これを上回ると磁石の磁性が失われる温度値を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置(1)であって、
磁場を発生させるように構成された磁石(10)と、
前記磁石と結合されていて、前記磁石が発生させる磁場の値を検知するように構成されたセンサ(20)と、
前記エアロゾル発生装置の動作を無効化するように構成された無効化ユニット(30)と、
を含み、
前記無効化ユニット(30)は、前記センサ(20)によって検出される磁場値が所定の磁場閾値を下回ったときに前記エアロゾル発生装置(1)の動作を無効化するように構成されており、前記所定の磁場閾値は、前記磁石(10)が最大動作温度に達したときに示す磁場の強度を示す値を含み、前記磁石の前記最大動作温度は、これを上回ると前記磁石の磁性が失われる温度値を示し、
前記エアロゾル発生装置は更に、前記センサ(20)が検知した磁場の値に基づいて温度の測定値を提供するように構成された温度測定ユニット(30)を含む、
エアロゾル発生装置(1)。
【請求項2】
前記磁石(10)と前記センサ(20)は、互いに対して固定された位置にある、請求項1に記載のエアロゾル発生装置(1)。
【請求項3】
前記磁石(10)の前記最大動作温度は、前記磁石(10)が配置されている場所における安全動作温度に対応する、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生装置(1)。
【請求項4】
前記エアロゾル発生装置は更に、加熱ユニット(40)を含み、前記磁石(10)は、前記加熱ユニット(40)に近接して配置されているか、且つ/又は、前記加熱ユニット(40)に接触して配置されているか、且つ/又は、前記加熱ユニット(40)内に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(1)。
【請求項5】
前記加熱ユニット内に配置されている前記磁石(10)は、前記加熱ユニット(40)の構造の一部として、好ましくは、前記加熱ユニット(40)の壁の一部として、又は前記加熱ユニット(40)の支持部材の一部として、又は前記加熱ユニット(40)のプラグの一部として組み込まれている前記磁石(10)を含む、請求項4に記載のエアロゾル発生装置(1)。
【請求項6】
前記エアロゾル発生装置は更に、バッテリを含み、前記磁石(10)は、前記バッテリに近接且つ/又は接触して配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(1)。
【請求項7】
前記無効化ユニットは、前記バッテリに直列接続されたスイッチを含み、前記スイッチは、前記磁場が前記磁場閾値を下回るときには開位置にあるように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(1)。
【請求項8】
磁石(10)を含むエアロゾル発生装置(1)の動作、又は、エアロゾル発生装置(1)の、磁石(10)を含むアクセサリ装置の動作を無効化する無効化ユニット(230)であって、前記無効化ユニット(1)は、
前記磁石の磁場値が所定の磁場閾値を下回ったときに無効化条件であると判定するように構成された処理ユニット(231)であって、前記所定の磁場閾値は、前記磁石が最大動作温度に達したときに示す磁場の強度を示す値を含み、前記磁石の前記最大動作温度は、これを上回ると前記磁石の磁性が失われる温度値を示す、前記処理ユニット(231)と、
前記無効化条件が存在しているという判定に対する応答として、前記エアロゾル発生装置の動作を無効化すべきであること、又は前記アクセサリ装置の動作を無効化すべきであることを示す通知信号を発行するように構成された通知ユニット(232)と、
を含み、
前記無効化ユニットは、センサ(20)が検知した磁場の値に基づく温度の測定値を温度測定ユニットから受け取るように構成されている、
無効化ユニット(230)。
【請求項9】
前記無効化ユニットは、前記バッテリに直列接続されたスイッチを含み、前記スイッチは、前記磁場が前記磁場閾値を下回るときには開位置にあるように構成されている、請求項8に記載の無効化ユニット(230)。
【請求項10】
磁石を含むエアロゾル発生装置の動作を無効化する方法であって、
前記エアロゾル発生装置に含まれる磁石に結合されたセンサにより、前記磁石が発生させる磁場の値を測定するステップ(S10)と、
磁場値が所定の磁場閾値を下回ったときに前記エアロゾル発生装置の動作を無効化するステップ(S10)であって、前記所定の磁場閾値は、前記磁石が最大動作温度に達したときに示す磁場の強度を示す値を含み、前記磁石の前記最大動作温度は、これを上回ると前記磁石の磁性が失われる温度値を示す、前記無効化するステップ(S10)と、
前記センサ(20)が検知した磁場の値に基づいて(前記磁石が配置されている場所における温度に対応する)温度を測定するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記エアロゾル発生装置は更に、加熱ユニットを含み、前記方法は、前記磁石を、前記加熱ユニットに近接させて配置するか、且つ/又は、前記加熱ユニットに接触させて配置するか、且つ/又は、前記加熱ユニッ内に配置するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータ上で実行されると、方法請求項10~11のいずれか一項に記載のステップを前記コンピュータに実施させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、エアロゾル発生装置の分野に関する。特に、本発明は、その動作を無効化できるエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置の動作を無効化する無効化ユニットと、エアロゾル発生装置の動作を無効化する方法と、コンピュータプログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
万一誤動作が発生したときに、且つ/又は、有害又は危険な状況になるのを防ぐために、電気デバイス又は電子デバイスを保護する目的で使用される電気安全部品として、ヒューズが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ヒューズのような安全部品をエアロゾル発生装置に適用することが想定される。しかしながら、そのように想定されるソリューションは、エアロゾル発生装置に特に適するというわけではない。又、エアロゾル発生装置用として知られている安全ソリューションは、特に効果的又は実用的というわけでもない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の目的の1つは、既存のエアロゾル発生装置(特にそれらの安全性又は安全動作)を改善することであり、一般的には、先行技術の技術的課題(例えば上記で概説したような課題)のうちの1つ以上に対処することである。
【0005】
態様A1によれば、エアロゾル発生装置(1)が提供され、エアロゾル発生装置(1)は、
磁場を発生させるように構成された磁石(10)と、
磁石と結合されていて、磁石が発生させる磁場の値を検知するように構成されたセンサ(20)と、
エアロゾル発生装置の動作を無効化するように構成された無効化ユニット(30)と、
を含み、
無効化ユニット(30)は、センサ(20)によって検出される磁場値が所定の磁場閾値を下回ったときにエアロゾル発生装置(1)の動作を無効化するように構成されており、所定の磁場閾値は、磁石(10)が最大動作温度に達したときに示す磁場の強度を示す値を含み、磁石(10)の最大動作温度は、これを上回ると磁石の磁性が失われる温度値を示す。
【0006】
態様A2:磁石(10)とセンサ(20)は、互いに対して固定された位置にある、態様A1に記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0007】
態様A3:磁石(10)の最大動作温度は、磁石(10)が配置されている場所における安全動作温度に対応する、態様A1又はA2に記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0008】
態様A4:エアロゾル発生装置(1)は更に、センサ(20)が検知した磁場の値に基づいて温度の測定値を提供するように構成された温度測定ユニット(30)を含む、先行態様A1~A3のいずれか1つに記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0009】
態様A5:エアロゾル発生装置は更に、加熱ユニットを含み、磁石(10)は、加熱ユニットに近接して配置されているか、且つ/又は、加熱ユニットに接触して配置されているか、且つ/又は、加熱ユニット内に配置されている、先行態様A1~A4のいずれか1つに記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0010】
態様A6:加熱ユニット内に配置されている磁石は、加熱ユニットの構造の一部として、好ましくは、加熱ユニットの壁の一部として、又は加熱ユニットの支持部材の一部として、又は加熱ユニットのプラグの一部として組み込まれている磁石を含む、態様A5に記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0011】
態様A7:エアロゾル発生装置は更に、バッテリを含み、磁石(10)は、バッテリに近接且つ/又は接触して配置されている、先行態様A1~A6のいずれか1つに記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0012】
態様A8:無効化ユニットは、バッテリに直列接続されたスイッチを含み、スイッチは、磁場が磁場閾値を下回るときには開位置にあるように構成されている、先行態様A1~A7のいずれか1つに記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0013】
態様A9:磁石(10)を含むエアロゾル発生装置(1)の動作、又は、エアロゾル発生装置(1)の、磁石(10)を含むアクセサリ装置の動作を無効化する無効化ユニット(230)であって、無効化ユニット(1)は、
磁石の磁場値が所定の磁場閾値を下回ったときに無効化条件であると判定するように構成された処理ユニット(231)であって、所定の磁場閾値は、磁石が最大動作温度に達したときに示す磁場の強度を示す値を含み、磁石の最大動作温度は、これを上回ると磁石の磁性が失われる温度値を示す、処理ユニット(231)と、
無効化条件が存在しているという判定に対する応答として、エアロゾル発生装置の動作を無効化すべきであること、又はアクセサリ装置の動作を無効化すべきであることを示す通知信号を発行するように構成された通知ユニット(232)と、
を含む、無効化ユニット(230)。
【0014】
態様A10:磁石(10)とセンサ(20)は、互いに対して固定された位置にある、態様A9に記載の無効化ユニット(230)。
【0015】
態様A11:磁石(10)の最大動作温度は、磁石(10)が配置されている場所における安全動作温度に対応する、態様A9又はA10に記載の無効化ユニット(230)。
【0016】
態様A12:無効化ユニットは、センサ(20)が検知した磁場の値に基づく温度の測定値を温度測定ユニットから受け取るように構成されている、態様A9~A11のいずれか1つに記載の無効化ユニット(230)。
【0017】
態様A13:磁石(10)は、加熱ユニットに近接して配置されているか、且つ/又は、加熱ユニットに接触して配置されているか、且つ/又は、加熱ユニット内に配置されている、態様A9~A12のいずれか1つに記載の無効化ユニット(230)。
【0018】
態様A14:加熱ユニット内に配置されている磁石は、加熱ユニットの構造の一部として、好ましくは、加熱ユニットの壁の一部として、又は加熱ユニットの支持部材の一部として、又は加熱ユニットのプラグの一部として組み込まれている磁石を含む、態様A13のいずれか1つに記載の無効化ユニット(230)。
【0019】
態様A15:エアロゾル発生装置は更に、バッテリを含み、磁石(10)は、バッテリに近接且つ/又は接触して配置されている、態様A9~A14のいずれか1つに記載の無効化ユニット(230)。
【0020】
態様A16:無効化ユニットは、バッテリに直列接続されたスイッチを含み、スイッチは、磁場が磁場閾値を下回るときには開位置にあるように構成されている、態様A9~A15のいずれか1つに記載の無効化ユニット(230)。
【0021】
態様A17:磁石を含むエアロゾル発生装置の動作を無効化する方法であって、
エアロゾル発生装置に含まれる磁石に結合されたセンサにより、磁石が発生させる磁場の値を測定するステップ(S10)と、
磁場値が所定の磁場閾値を下回ったときにエアロゾル発生装置の動作を無効化するステップ(S10)であって、所定の磁場閾値は、磁石が最大動作温度に達したときに示す磁場の強度を示す値を含み、磁石の最大動作温度は、これを上回ると磁石の磁性が失われる温度値を示す、無効化するステップ(S10)と、
を含む方法。
【0022】
態様A18:磁石(10)とセンサ(20)は、互いに対して固定された位置に配置されている、態様A17に記載の方法。
【0023】
態様A19:磁石(10)の最大動作温度は、磁石(10)が配置されている場所における安全動作温度に対応する、態様A17又はA18に記載の方法。
【0024】
態様A20:センサ(20)が検知した磁場の値に基づいて(磁石が配置されている場所における温度に対応する)温度を測定するステップを更に含む、先行態様A17~A19のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
態様A21:エアロゾル発生装置は更に、加熱ユニットを含み、磁石(10)は、加熱ユニットに近接して配置されているか(又は磁石を配置する)、且つ/又は、加熱ユニットに接触して配置されているか、且つ/又は、加熱ユニット内に配置されている、先行態様A17~A20のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
態様A22:加熱ユニット内に配置されている磁石は、加熱ユニットの構造の一部として、好ましくは、加熱ユニットの壁の一部として、又は加熱ユニットの支持部材の一部として、又は加熱ユニットのプラグの一部として組み込まれている磁石を含む、態様A21に記載の方法。
【0027】
態様A23:エアロゾル発生装置は更に、バッテリを含み、磁石(10)は、バッテリに近接且つ/又は接触して配置されている(磁石を配置する)、先行態様A17~A22のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
態様A24:無効化ユニットは、バッテリに直列接続されたスイッチを含み、本方法は、磁場が磁場閾値を下回るときにはスイッチを開位置に切り換えるステップを含む、先行態様A17~A23のいずれか1つに記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0029】
態様A25:コンピュータ上で実行されると、態様A17~A25のいずれか1つに記載のステップをコンピュータに実施させる命令を含むコンピュータプログラム。
【0030】
ここからは本発明の実施形態を、あくまで非限定的な例として、以下に示す添付図面を参照しながら詳細に説明していく。それらの図面のうちの異なる幾つかの図面に現れる類似の参照符号は、特に断らない限り、同一の要素又は機能的に同等の要素を示すものと考えられてよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】一実施形態によるエアロゾル発生装置の概略図である。
図1B】一実施形態によるエアロゾル発生装置の概略図である。
図2】一実施形態による無効化ユニットの概略図である。
図3】一実施形態による方法のフローチャートである。
図4】一実施形態による方法を実行するコンピュータプログラムを実行することに適するコンピュータの概略図である。
図5A】一実施形態による一例示的非燃焼加熱式(HNB)装置の断面図を示す。
図5B図5Aの装置の場合の一例示的最大装置動作温度ヒートマップを示す。
図6A】一実施形態によるHNB装置の概略ブロックを示す。
図6B】磁石がヒータの外側に配置されている、図6Aの構成の例を示す。
図7A】一実施形態によるHNB装置の概略ブロックを示す。
図7B】磁石がヒータ構造の一部である(例えば、ヒータカップ構造の一部である)、図7Aの構成の例を示す。
図8A】一実施形態によるHNB装置の概略ブロックを示す。
図8B】磁石がヒータ(オーブン)プラグとして設けられている、図8Aの構成の例を示す。
図9A】一実施形態によるHNB装置の概略ブロックを示す。
図9B】ヒータカップの一部が磁性材料で作られている、図9Aの構成の例を示す。
図10A】一実施形態によるHNB装置の概略ブロックを示す。
図10B】ホールセンサがバッテリに近接又は接触して配置されている、図10Aの構成の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では本発明の例示的実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明していく。図面、詳細説明、又はいずれかの請求項において技術的特徴に参照符号が付されている場合、その参照符号は、図面、詳細説明、及び請求項をより理解しやすくするためにのみ付されたものである。従って、参照符号があってもなくても、それによってどの請求項要素の範囲も限定されるものではない。
【0033】
本発明のソリューションの例示的説明に従って、非燃焼加熱式(HNB)装置のようなエアロゾル発生装置を(好ましくは永続的に)無効化する安全ヒューズを提供する。これは特に、損傷した装置の過熱によって引き起こされうる危険からユーザを保護するためのものである。例えば、ヒータ(オーブン)やバッテリのようなクリティカルな部品は(例えば、損傷や誤動作に起因して)過熱するおそれがあり、それによって、ユーザが安全上のリスク(例えば、やけどのリスク)に曝される可能性があり、或いは、更に別の部品(例えば、断熱材)が損傷して、やはり結果としてユーザが安全上のリスクに曝される可能性がある。そのようなリスクは、通常、エアロゾル発生装置又はその部品が最大動作温度(例えば、ヒータ及び/又はバッテリ及び/又は断熱材等の最大動作温度)に達したときに現実化し、従って、この温度は、少なくとも(例えば、設計等により)予見される程度まで安全動作が保証されうる範囲での最高温度と見なされてよい。更に、最高温度に達していない限り、このソリューションは、(例えば、装置の加熱管理/制御を容易にする)無線温度センサとして使用されてよい。
【0034】
一例では、本開示のソリューションは、任意選択で且つ一例として、他の加熱検出素子(例えば、サーミスタ)が故障した場合に、永久磁石材料がその最大動作温度に達したこと(その結果として磁石は永久に減磁される)を検出することによって、過熱している装置が使用されるのを阻止することが可能である。この例では、無効化が行われるのは他の加熱検出方法が機能しなくなった場合だけなので、装置は、動作不能になることによって消費者の安全性を更に高め、装置の無効化がハードウェアにおいて行われるため、ファームウェアのリセットに対してロバストである。但し、このソリューションは、他の加熱検出方法がない場合に、又は他の加熱検出方法とは無関係に実装されてよい。更に、永久磁石は、その最大動作温度に達するまでは温度センサとして動作することが可能である。例えば、ネオジム磁石は、温度が1℃上がるごとに磁気が0.11%するため、この磁気-温度特性を用いて、磁場の測定値から温度を導出することが可能である。以下では更なる実施形態及び例を示す。
【0035】
第1の実施形態によれば、(例えば、図1A及び1Bに示すように)磁石10とセンサ(29)と無効化ユニット30とを含むエアロゾル発生装置が提供される。なお、同図は、2つの例によるヒータ40及びバッテリ50のような任意選択の素子を含んでいる。即ち、磁石がヒータ40と同じ場所に配置されている場合(図1A)と、磁石がバッテリ50と同じ場所に配置されている場合(図1B)とを含んでおり、これらについては更に後で詳細に説明する。
【0036】
磁石10は、磁場を発生させるものであり、好ましくは永久磁石である。永久磁石は、(例えば、磁区上に誘起された配向の結果として)永久磁場又は持続磁場を与えるように磁化された材料で作られてよく、この磁場は、少なくともある温度範囲においては時間に対して実質的に持続的なままである。磁石が最大動作温度(キュリー温度と呼ばれることもある)を下回る温度に保たれていれば、磁石の特性(例えば、磁場)は、少なくとも所与の温度又は温度範囲においては時間に対して実質的に不変のままである。最大動作温度を下回る温度では、磁石によって与えられる磁場の強度は、温度とともに変化する場合があり、材料のタイプによっては温度に反比例する場合がある。それに対し、磁石が最大動作温度を超えた場合、又は最大動作温度を超えて加熱された場合には、磁化が実質的に失われる。
【0037】
センサ20は、磁石10と結合されていて、磁石10が発生させる磁場の値を検知するように構成されている。磁石が発生させる磁場、特に磁場の強度、とりわけ永久磁石が発生させる又は与える磁場の強度を測定することが可能であれば、どのようなセンサでも適する。従って、「と結合されて」は、やはり、センサが、磁石に対して相対的な位置、好ましくは磁石に近接して配置され、それによって、磁石10が発生させる磁場がセンサ20によって検出可能である、というその一般的な意味に従って理解されたい。センサ20の例として、ホールセンサ、MEMS磁場センサ(例えば、ローレンツ力の測定によるもの)、AMR(異方性磁気抵抗)センサ、GMR(巨大磁気抵抗)センサ、TMR(トンネル磁気抵抗)センサ等のいずれか又は任意の組み合わせがある。
【0038】
無効化ユニット30は、磁石がその磁性を実質的に失ったことが検出された場合にエアロゾル発生装置の動作を無効化するように構成されており、磁石がその磁性を実質的に失ったことは、磁石が最大動作温度以上の温度にあることに実質的に対応する。磁性を失ったことは、磁石がもはや単独では磁場を発生させることができないこと、即ち、減磁されたこととして理解されたい。このことは又、その材料がありのままで放置されても磁性が回復しないという意味で不可逆であると考えられてよい(例えば、それには磁化処理が必要であろう。それを行わずに、ありのままの状態で、しかも最大動作温度/キュリー温度を下回る温度で放置されても、磁性は自動的には回復しないと考えられるからである)。一例では、無効化ユニット30は、センサ20によって検出される磁場値が所定の磁場閾値を下回ったときにエアロゾル発生装置の動作を無効化するように構成されており、所定の磁場閾値は、磁石が最大動作温度に達したときに示す磁場の強度を示す値を含むかその値であり、磁石の最大動作温度は、これを上回ると磁石の磁性が失われる温度値を示す。つまり、磁場閾値に相当する磁場の強度は、少なくともセンサ20では磁石の磁性を実質的に検出できないほど低い。磁場閾値は、磁石10の材料及び/又はセンサ20(特に、低磁場を検出することの正確さ)に基づいて事前決定されてよい。
【0039】
なお、センサ20は、所定の磁場閾値を下回る低磁場値が発生したときに無効化ユニット30が動作を無効化できるように、磁石10が発生させる磁場の強度の測定値を与えることが可能である。但し、磁場値の測定値を与えることは必須ではない。これは、実際には、磁場の有無を示す信号(例えば、磁場が所定の磁場閾値を上回るかそれぞれ下回ることが検出されたことを示すフラグ値又は電気信号)を無効化ユニット30に与えれば十分でありうるためである。又、この場合には、無効化ユニット30は、磁石がその磁性を実質的に失ったときに動作を無効化することが可能である。
【0040】
一例では、無効化ユニット(30)は、エアロゾル発生装置又は部品の動作を停止させるコントローラユニット(プロセッサ)に含まれてよく、又はそのようなコントローラユニット(プロセッサ)であってよい。例えば、コントローラは、センサ20から信号を受信し、そのような信号の値に応じて、エアロゾル発生装置の動作を無効化するコマンドを発行する。このコマンドは、例えば、装置をオフにするコマンド、コントローラ/プロセッサ自体の動作を停止させるコマンド、バッテリユニットをヒータから切り離すコマンド、エアロゾル発生装置の全て又は一部の部品に電力を供給できないようにスイッチを開くコマンド、ヒータを他の回路から切り離すコマンド等である。
【0041】
別の例では、無効化ユニット30は、具体的には、1つの制御端子(例えば、MOSFETの場合はゲート)と接続可能端子のペア(例えば、MOSFETの場合はドレイン及びソース)とを有するトランジスタであってよく、このトランジスタは、保護対象の回路線上に接続される。制御端子には、センサ20によって検出された磁場が所定の磁場閾値を下回るかどうか(又は、磁石の磁場の存在が検出されたかどうか)を示す信号が供給される。検知された磁場が存在しないか閾値を下回る場合、トランジスタは、開いたスイッチのように動作し、それによって、2つの接続可能端子の間には電流が流れない。保護対象の回路線としては、バッテリユニットをヒータに接続している回路線、バッテリをそれ以外のエアロゾル発生装置の電気部品に接続している回路線、ヒータに電力を供給している回路線等がありうる。接続可能端子のペアが、保護対象の回路線上に直列に配置されるように、トランジスタがエアロゾル発生装置の回路内で接続されることが好ましい。MOSFETについて言及したが、FET、BJT等のような他のタイプのトランジスタにも同じことが当てはまる。更に、無効化ユニット30は、信号を適切にハンドリングする(例えば、電圧値を適応させる(例えば、センサからの電圧値をコントローラ/トランジスタ等に適合するように反転する))ためにトランジスタ及び更なる電気部品を含んでよい。更に、無効化ユニット30は又、電気機械部品(例えば、MEMSスイッチ)、トランジスタで操作される機械スイッチ等で実現されてよい。
【0042】
従って、無効化ユニット30は、上述のように、エアロゾル発生装置の動作を無効化するヒューズとして機能してよい。
【0043】
センサ20は、ある程度の温度に耐えることが可能でなければならないが、必ずしも、磁石10の最大動作温度に耐えなければならないわけではない。実際には、センサ20と磁石10との間の結合が磁場を検出するのに十分であるためには、センサ20に示される温度が磁石10の最大動作温度より低くなるように、センサ20を、磁石10に近接させながらも磁石10から(温度が低下する程度には)離れている場所に配置すれば十分でありうる。つまり、センサ20が、磁石10の最大動作温度より低い最大機能温度で機能する(例えば、所定の正確さの範囲内で測定出力を提供する)ことが可能であれば十分でありうる。
【0044】
磁石10とセンサ20は、互いに対して固定された位置にあることが好ましい。固定された位置にあれば、それら2つの部品の間の相対的な動きによって発生しうる不正確さを減らす又は無くすことが可能である。そのような相対的な動き(特に(例えば、振動以上の)実質的な動き等)があると、センサが検出する磁場の強度が変わる可能性があり、従って、最大温度に達したという誤検出につながる可能性があるからである。
【0045】
好ましくは、磁石10の最大動作温度は、磁石が配置された場所における安全動作温度に相当してよい。例えば、エアロゾル発生装置に含まれるヒータに対応する場所に磁石10を配置する場合(後で又、図5以降を参照して説明するが、ヒータ上に、ヒータに近接して、ヒータ内に、又はヒータの一部として配置する場合)について考える。この場合、磁石が配置される場所、及び/又は磁石の材料は、(例えば、ヒータが誤動作又は損傷したときにユーザがやけどしないように)磁石10の最大動作温度がヒータの安全動作に対応するように決定される。従って、ヒータの温度が過度に高くなると(例えば、ユーザにとって危険と考えられる値、又は磁石10の最大動作温度に相当する値を超えると)、無効化ユニット30が介入して動作を無効化する。別の例では、エアロゾル発生装置10のバッテリのような部品が(例えば、誤動作に起因する過熱に対して)保護対象となる。磁石10はバッテリに近接して配置されてよく、且つ/又は、磁石10の材料は、磁石10の最大動作温度が、バッテリの動作に関して安全であると見なされるバッテリの最大機能温度に対応するように選択されてよい。従って、磁石の最大動作温度は、エアロゾル発生装置又はその部品の最大機能温度に対応するように設定され、そのような対応は、磁石が配置される場所(位置)及び/又は磁石の材料を決定することによって設定されてよい。最大機能温度は、ユーザにとっての安全性、及び/又はエアロゾル発生装置又はその部品の安全動作の観点から設定されてよい。
【0046】
好ましくは、エアロゾル発生装置1は更に、センサが検知した磁場の値に基づいて温度の測定値を提供するように構成された温度測定ユニットを含んでよい。実際には、特に磁石10の最大動作温度を下回る温度、又はその最大動作温度までの温度において、磁石10が発生させる磁場は、既知の温度-磁場特性に従って温度とともに変化することが可能であり、従って、磁場を測定することによって、磁石の温度、並びに、装置のうちの磁石が配置されている場所及び部品の対応する温度を特定することが可能である。従って、同じ手段を用いて更なる機能を実現することが可能である。温度測定ユニットは、好都合なことに、センサ内に、又は、無効化ユニットも実装しているプロセッサ/コントローラ内に実装されてよい(但し必ずしもそのように実装されなくてもよい)。このように、1つの機構(例えば、センサを有する磁石、又はプロセッサを有する磁石)を都合よく、ヒューズとして、且つ、温度測定ユニットとして使用することが可能であり、それによって、(例えば、温度を測定すること、並びに安全動作を保証することという)対応する機能を実施するのに必要な部品の数を減らすことが可能である。
【0047】
上記で予想されたように、図1Aを参照すると、一例ではエアロゾル発生装置は、好ましくは加熱ユニット40を含み、この場合、磁石10は、加熱ユニット40に近接して配置されているか、且つ/又は、加熱ユニット40に(機械的に)接触して配置されているか(例えば、磁石の少なくとも一部分がヒータに接触する)、且つ/又は、加熱ユニット40内に配置されている。やはり後で幾つかの例とともに説明するように、磁石のボディの一部分がヒータに近接していてよく、又は一部分がヒータに接触していてよく、又は一部分がヒータ内にあってよい(或いは、磁石は、センサ20によって検出される合計磁場を発生させる複数の磁石ユニットによって実現されてよい)。このように、磁石10は、(例えば、ユーザをやけどさせるリスク、バッテリから過大な電流が引き出されて誤動作を引き起こしうるリスク等の観点から)適切とは見なされない所定温度にヒータが達したときに動作が無効化されることを保証するために使用されてよい。
【0048】
好ましくは、磁石は、加熱ユニット内に配置されている場合には、加熱ユニットの構造の一部として組み込まれていてよく、好ましくは、やはり後で更に説明するように、加熱ユニットの壁の一部として、又は加熱ユニットの支持部材の一部として組み込まれていてよい。好ましくは、エアロゾル発生装置1は、消耗品(例えば、スティック)がヒータに挿入される入口と反対側の端部でヒータを閉じるための(例えば、図8Bに示すような)プラグを含んでよい。この例では、磁石は、ヒータに直接接触して、シンクとして動作して、シンプル且つ精密な構造を実現するように、プラグ45の一部として組み込まれてよい。
【0049】
一例では、更に図1Bを参照すると、エアロゾル発生装置は、好ましくはバッテリを含み、磁石は、バッテリに近接且つ/又は接触して配置されている。このように、装置の安全動作は、バッテリの温度が、安全且つ/又は適正に機能する上で適切とは見なされない最大機能温度に達したときに動作を無効化することによって実現可能であり、磁石10の最大動作温度は、(上述のように、磁石の配置場所及び/又は材料を適切に決定することによって)最大機能温度に対応するように設定される。
【0050】
好ましくは、無効化ユニット30は、バッテリに直列接続されたスイッチを含み、スイッチは、磁場が磁場閾値を下回るときには開位置にあるように構成されている。一例では、スイッチは、上述のようにトランジスタによって実施されてよい。
【0051】
なお、磁石10は単一の磁石ユニットで実現可能であるが、ヒータの例でも上述したように、且つ、同じことが他の例(例えば、保護対象のバッテリ又は他の部品と異なる場所に複数のバッテリユニットが配置されている場合)にも当てはまることに注目すると、複数の磁石ユニットが使用されてもよい。
【0052】
更に、エアロゾル発生装置については、スティックを受け入れて加熱することが可能な装置としても上述した。しかしながら、本ソリューションは、そのようなタイプの装置に限定されない。これは、そのような装置が、好ましくは又は通常、ヒータ及び/又はバッテリ等のような部品を含むことに注目すると、実際には、安全動作の保証を必要とする部品を含む他のエアロゾル発生装置にも当てはまるためである。更に、エアロゾル発生装置は、吸入器等と呼ばれることもある。好ましくは、エアロゾル発生装置は、タバコ含有エアロゾルを発生させるためのものである。好ましくは、エアロゾル発生装置は、風味含有物質源及び/又はタバコ含有物質源からエアロゾルを発生させるためのものである。
【0053】
従って、ここまで述べてきたことは、任意選択の態様及び好ましい態様を含めて、以下で開示する実施形態にも当てはまり、以下で述べることも、ここまで述べてきたことに当てはまる。従って、同じ説明又は個々の説明の繰り返しは簡潔さのために省略する。従って、特に断らない限り、同じ参照符号は、同じ特徴及び対応する説明を参照する。
【0054】
図2を参照すると、第2の実施形態による無効化ユニット230が示されている。無効化ユニット230は、磁石を含むエアロゾル発生装置の動作を無効化するためのものであり、且つ/又は、磁石を含む、エアロゾル発生装置のアクセサリ装置の動作を無効化するためのものである。無効化ユニット230は、処理ユニット231及び通知ユニット232を含む。無効化ユニット230は又、装置を安全な状態(安全モード)に置くための安全ユニットと区別なく呼ばれてよい。安全状態/モードでは、動作の無効化は、好ましくは永久に行われてよく、又は少なくとも特定の最優先コマンドが発行されるまで行われてよい。
【0055】
処理ユニット231は、磁石の(例えば、磁石10と結合されたセンサ20によって検出される)磁場値が所定の磁場閾値を下回ったときに無効化条件であると判定するように構成されている。所定の磁場閾値は、磁石が最大動作温度のときに示す磁場の強度を示す値を含む。磁石の最大動作温度は、これを上回ると磁石の磁性が失われる温度値を示す。無効化条件は、上述のようなセンサ20によって与えられるセンサ出力に基づいて成立しうる。従って、無効化条件は、磁石の磁場が無いこと、又は、磁石の磁場が所定閾値を下回っていることが示されていることを表すもの又はそれが示されていることに対応するものであってよく、従って、無効化条件は、エアロゾル発生装置又はその部品の温度が最大動作温度に達した(例えば、動作が安全ではないかもしれない状態に達した)という事実を表すものであり、又はその事実に対応するものである。
【0056】
通知ユニット232は、無効化条件が存在しているという判定に対する応答として、エアロゾル発生装置の動作を無効化すべきであること、又はアクセサリ装置の動作を無効化すべきであることを示す通知信号を発行するように構成されている。
【0057】
一例では、無効化ユニット230は、装置を無効化するコマンドを発行すること、又はエアロゾル発生装置を無効化するよう別の装置に通知する信号を発行することのために、(処理ユニット231の一例としての)プロセッサと(通知ユニット232の一例としての)インタフェースポートとを含むコントローラによって実施されてよい。通知信号は、コントローラが発行する信号によって表現されてよく、コントローラは、例えば、加熱を無効化する信号、又はバッテリを他の回路部品から切り離す信号を発行する。別の例では、無効化ユニット230は、(例えば、センサから与えられる)無効化条件を示す信号がゲートに与えられるトランジスタを含む回路によって実施されてよく、且つ、無効化条件が満たされたときにトランジスタの接続可能端子が(例えば、開状態にスイッチすることによって)動作を無効化/一時停止すべきであることを通知することによって実施されてよい。
【0058】
エアロゾル発生装置の上述のアクセサリ装置の一例として、エアロゾル発生装置を充電するためのバッテリを収容するポケット充電器があり、磁石は、ポケット充電器のバッテリに近接して設置されてよい。
【0059】
図3を参照すると、ここでは、磁石10を含むエアロゾル発生装置1の動作を無効化する方法に関連する第3の実施形態が示されている。本方法は、エアロゾル発生装置1に含まれる磁石10に結合されたセンサ20により、磁石10が発生させる磁場の値を測定するステップS10を含む。
【0060】
本方法は更に、磁場値が所定の磁場閾値を下回ったときにエアロゾル発生装置1の動作を無効化するステップS20を含む。所定の磁場閾値は、磁石10が最大動作温度のときに示す磁場の強度を示す値を含み、磁石10の最大動作温度は、これを上回ると磁石10の磁性が失われる温度値を示す。
【0061】
別の実施形態によれば、プロセッサプログラムが提供され、プログラムは、コンピュータ上で実行された場合に、本方法の任意のステップ又はステップの組み合わせ、並びにそれらの変形形態を、第1の実施形態を参照して説明されたように実行するように構成された命令を含む。図6は、上記プログラムを実行できるコンピュータ500を例示するブロック図を示す。具体的には、コンピュータ500は、プログラムの命令及び/又は命令の実行に必要なデータを格納するメモリ530と、命令を実行するプロセッサ520と、入出力インタフェース510と、を含む。図4は、そのようなコンピュータプログラムの実行に適するコンピュータの例を示している。
【0062】
別の実施形態によれば、プロセッサプログラムをサポートする媒体が提供され、プログラムは、コンピュータ上で実行された場合に、上述の方法に従ってステップ又はステップの組み合わせを実行するように構成された命令を含む。媒体の例として、静的メモリ及び/又は動的メモリ、固定ディスク、又は他の任意の媒体(例えば、CD、DVD、ブルーレイ)がある(これらからエアロゾル発生装置又はそのアクセサリのプロセッサに命令がコピーされる)。媒体には、命令を構成する信号をサポートできる手段も含まれ、これにはケーブル伝送手段(イーサネット、レンズ等)又は無線伝送手段(セルラ伝送、衛星伝送、デジタル地上伝送等)が含まれる。
【0063】
以下では、センサ20がホールセンサである例を示す(但し、好ましくはセンサを磁石に近接して配置することによって磁場を測定することに適するセンサであれば他のセンサも使用されてよい)。
【0064】
上述の説明から分かるように、ホールセンサは、装置内の磁石(典型的には且つ好ましくは硬質磁性材料)が発生させる磁場を検出し、磁性材料がその最大動作温度に達したことによって磁場が検出できなくなったら装置の使用を中止することに使用されてよい(この後の表1に関する説明も参照されたい)。磁石は、その最大動作温度を超えて加熱されると永久に減磁されるため、ヒューズのように動作する。
【0065】
熱減磁は、磁石の材料に依存する。サマリウムコバルト(SmCo)等の幾つかのタイプの磁石は、耐熱性が高いため、特にエアロゾル発生装置への適用に適応されることがある。ネオジム磁石も同様に使用されてよいが、HNB装置のようなエアロゾル発生装置の最も高温になる場所では使用できないであろう。
【0066】
磁石の最大動作温度は、好ましくは、磁石の場所(即ち、磁石が配置されている場所)における装置の安全動作温度に対応し、ホールセンサは、磁石の磁性を検出できる場所に配置される。装置が過熱し、もし他の任意選択のセンサ(サーミスタ等)が存在していて装置の過熱を検知できない場合には、磁石の場所の温度が磁石の動作温度を超え、そうなると、ホールセンサが磁場の低下を検出して、装置の無効化をトリガして装置を動作不能にする。
【0067】
ホールセンサが検出する磁化のレベルは、磁石がその最大動作温度に達するまでは無線温度センサとしても動作する(例えば、ネオジム磁石は、温度が1℃上がるごとに磁気が0.11%低下する。この既知の温度-磁場特性に基づいて、所与の時点で測定された磁場から温度を求めることが可能である)。このソリューションの一利点として、通常の電子部品を配置できない領域(例えば、温度センサにつながるケーブルをヒータ/オーブンの中に配置することはできない)に磁石を配置することが可能であり、且つ/又は、装置の構造(例えば、ヒータ壁(カップ)又は加熱エンジンの支持部品(即ち、オーブンプラグ))の一部として磁石を使用する/組み込むことが可能である。後者の場合は、それによってコンパクトな設計を達成することも可能である。
【0068】
本ソリューションは又、エアロゾル発生装置のクリティカル部品(例えば、バッテリ)を保護するために使用されてもよく、これは、クリティカル部品を最大限に保護するために温度を監視できる場所に近接して磁石を配置することによって行われる。
【0069】
次の表1は、様々なタイプの磁石とそれぞれに対応する最大動作温度との一例である。
【0070】
【表1】
【0071】
ネオジム磁石グレードに関する説明は、例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Neodymium_magnet;又は“Handbook of Modern Sensors: Physics, Designs, and Applications”, Jacob Fraden, Springerを参照されたい。ネオジム磁石の一覧については、https://e-magnetsuk.com/introduction-to-neodymium-magnets/grades-of-neodymium/を参照されたい。ここでの命名法では、「N」(これは、ネオジムの業界略語である「NEO」を表す)に始まって2桁の数字が続く。又はネオジム鉄ボロン(NdBFeC)磁石に対する温度効果を示しているhttps://e-magnetsuk.com/introduction-to-neodymium-magnets/temperature-ratings/を参照されたい。
【0072】
図5Aは、一例示的非燃焼加熱式(HNB)装置の断面図を示す。図5Bは、最大装置動作温度ヒートマップを示す。これは、HNB装置の各位置での安全動作限界において最大温度に達するのはどこかを示すマップであり、安全動作限界は、それを超えると非安全動作になる上限値を示す。参照符号1~4は、動作温度が様々である磁石であって(数字の1~4は、表1の左列に示された磁石を表す)、安全ヒューズ及び温度センサとして動作するためにそれぞれの適切な位置にある磁石を示している。例えば、温度が約150~180℃の範囲に達しうるヒータの入口では(図5の参照符号3を参照)、材料タイプ添え字UH又はEHを有する磁石が適切であると決定され、そのように選択されており(上表1の、参照符号3に対応する行を参照)、実際、磁石タイプUHの最大動作温度は約180℃であり、それによって、その場所で許容される最大温度になったときに磁性が失われる。同じ位置で材料タイプEHが選択されてもよく、その場合は、安全動作限界を引き上げることが可能であり、或いは安全動作限界の許容範囲を増やすことが可能である。同様の考察が図5の参照符号1、2、及び4にも当てはまり、これらはそれぞれ、約80~100℃、約120~150℃、及び約230℃の温度範囲を示しており、それらに対して、磁石タイプ添え字のM(参照符号1に対して)、H又はSH(参照符号2に対して)、及びAH(参照符号4に対して)が選択される。磁石の位置は、ヒートマップに従って、且つ/又は装置に対して行われた試験等に従って、装置の最大安全動作温度に適合するように調節されてよい。これらは、動作が安全ではなくなったかどうかを検出するために、磁石の位置及び/又は磁石の材料がどのように決定されるかを示す例である。
【0073】
図6Aは、加熱エンジン(ヒータの一例)及びバッテリを内蔵したHNB装置の概略ブロックを示す。この構成において、図6Bは、磁石がヒータ(オーブン)の外側に配置されている例を示しており、バッテリはこの例に直接は関係しないため図示していない(実際、省略されてよい)。図6Bに見られるように、ホールセンサは磁石の下に近接配置されており、それによって、センサが達する温度を、磁石が達する温度より低くでき、それによってセンサの構造がよりシンプルになる。又、磁石の最大動作温度より低い温度では、センサは「無線」式で温度を測定すると言える(ケーブルが不要なので)。それによって、同じ機構が安全ヒューズとしても温度測定ユニットとしても使用されるため、組み立てがより容易になり、構造がよりコンパクトになる。
【0074】
図7Aは、加熱エンジン(ヒータの一例)及びバッテリを内蔵したHNB装置の概略ブロックを示す。この構成において、図7Bは、磁石がヒータ構造の一部(例えば、ヒータカップ構造の一部)である例を示している。この構成の一利点として、追加部品を必要とせずに磁石の材料をヒータの既存部分に組み込むことが可能であり、それによってHNB装置がよりコンパクトになる。又、この場合には、ホールセンサは、近接配置されていて、達する温度が、ヒータ及びヒータに組み込まれた磁石のいずれかが達する温度より低いことが可能であり、それによって、センサの構造がより実現しやすくなりうる(同じことがこの後の例にも当てはまる)。又、この場合には、無線温度測定が実施可能である(同じことがこの後の例にも当てはまるため、説明の繰り返しは省略する)。
【0075】
図8Aは、加熱エンジン(ヒータの一例)及びバッテリを内蔵したHNB装置の概略ブロックを示す。この構成において、図8Bは、磁石がヒータ(オーブン)プラグとして設けられている例、即ち、ヒータの底部(ヒータの入口を上側にして装置を直立姿勢で保持した場合の装置に対して相対的に底部)に設けられている例を示す。この構成の一利点として、磁石はヒータに直接接触していてヒートシンクとして動作するため、温度条件(従って、危険な条件)を正確に監視することが可能である。
【0076】
図9Aは、加熱エンジン(ヒータの一例)及びバッテリを内蔵したHNB装置の概略ブロックを示す。この構成において、図9Bは、一部が磁性材料で作られた(例えば、磁石を組み込んだ)ヒータカップを示す。その利点として、この構成では追加部品が不要であること、並びに、熱源において温度を検出することが可能であるため、構造がシンプル且つ高精度になることが挙げられる。
【0077】
図10Aは、加熱エンジン(ヒータの一例)及びバッテリを内蔵したHNB装置の概略ブロックを示す。この構成において、図10Bは、ホールセンサがバッテリに近接又は接触して配置されている例を示しており、その配置によって、バッテリ等のクリティカル部品上の温度を監視することが可能である。上記の各例は組み合わされてよい。例えば、1つの部品に対する保護は、部品の異なる複数の場所に異なる複数の磁石を配置することによって達成可能であり(ヒータの例を参照)、複数の部品に対する保護は、それらの部品のそれぞれに対して1つ以上の磁石を配置することによって達成可能である(例えば、ヒータに対して1つ以上の磁石、バッテリに対して1つ以上の磁石)。
【0078】
ここまで説明してきたことは、ヒータ及びバッテリだけでなく、エアロゾル発生装置の他の部品にも当てはまりうる。
【0079】
上記説明において、装置に関して開示されたことは、それぞれの方法又はそれぞれの複数の方法にも当てはまり、逆も成り立つ。更に、磁石、センサ、無効化ユニット、処理ユニット、及び通知ユニットのような特徴は特定の実装形態に限定されず、これらの言い回しは、それぞれ、対応する、磁場を発生させる磁気発生手段、検知手段、無効化手段、処理手段、及び通知手段に置き換えられてよい。必然的に、本願発明者等が認識している原理を適用する実施形態及び例に関して本明細書でここまで記載してきた説明は、これらの原理の例としてのみ提供されているため、本明細書において特許請求されている本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。従って、詳細な実施形態及び例を説明してきたが、それらはあくまで、独立請求項で定義される本発明がよりよく理解されるためのものであり、限定するものと解釈されるべきではない。
【0080】
更なる例を以下のように述べることが可能である。
【0081】
E1.エアロゾル発生装置(1)であって、
磁場を発生させるように構成された磁石(10)と、
磁石と結合されていて、磁石が発生させる磁場の値を検知するように構成されたセンサ(20)と、
エアロゾル発生装置の動作を無効化するように構成された無効化ユニット(30)と、
を含み、
無効化ユニット(30)は、センサ(20)によって検出される磁場値が所定の磁場閾値を下回ったときにエアロゾル発生装置(1)の動作を無効化するように構成されており、所定の磁場閾値は、磁石(10)が最大動作温度に達したときに示す磁場の強度を示す値を含み、磁石の最大動作温度は、これを上回ると磁石の磁性が失われる温度値を示す、
エアロゾル発生装置(1)。
【0082】
E2.磁石(10)とセンサ(20)は、互いに対して固定された位置にある、例E1に記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0083】
E3.磁石(10)の最大動作温度は、磁石(10)が配置されている場所における安全動作温度に対応する、例E1又はE2に記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0084】
E4。エアロゾル発生装置(1)は更に、センサ(20)が検知した磁場の値に基づいて温度の測定値を提供するように構成された温度測定ユニット(30)を含む、例E1~3のいずれか1つに記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0085】
E5.エアロゾル発生装置は更に、加熱ユニット(40)を含み、磁石(10)は、加熱ユニット(40)に近接して配置されているか、且つ/又は、加熱ユニット(40)に接触して配置されているか、且つ/又は、加熱ユニット(40)内に配置されている、例E1~4のいずれか1つに記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0086】
E6.加熱ユニット内に配置されている磁石(10)は、加熱ユニット(40)の構造の一部として、好ましくは、加熱ユニット(40)の壁の一部として、又は加熱ユニット(40)の支持部材の一部として、又は加熱ユニット(40)のプラグの一部として組み込まれている磁石(10)を含む、例E5に記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0087】
E7.エアロゾル発生装置は更に、バッテリを含み、磁石(10)は、バッテリに近接且つ/又は接触して配置されている、例E1~6のいずれか1つに記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0088】
E8.無効化ユニットは、バッテリに直列接続されたスイッチを含み、スイッチは、磁場が磁場閾値を下回るときには開位置にあるように構成されている、例E1~7のいずれか1つに記載のエアロゾル発生装置(1)。
【0089】
E9.磁石(10)を含むエアロゾル発生装置(1)の動作、又は、エアロゾル発生装置(1)の、磁石(10)を含むアクセサリ装置の動作を無効化する無効化ユニット(230)であって、無効化ユニット(1)は、
磁石の磁場値が所定の磁場閾値を下回ったときに無効化条件であると判定するように構成された処理ユニット(231)であって、所定の磁場閾値は、磁石が最大動作温度に達したときに示す磁場の強度を示す値を含み、磁石の最大動作温度は、これを上回ると磁石の磁性が失われる温度値を示す、処理ユニット(231)と、
無効化条件が存在しているという判定に対する応答として、エアロゾル発生装置の動作を無効化すべきであること、又はアクセサリ装置の動作を無効化すべきであることを示す通知信号を発行するように構成された通知ユニット(232)と、
を含む、無効化ユニット(230)。
【0090】
E10.無効化ユニットは、センサ(20)が検知した磁場の値に基づく温度の測定値を温度測定ユニットから受け取るように構成されている、例E9に記載の無効化ユニット(230)。
【0091】
E11.無効化ユニットは、バッテリに直列接続されたスイッチを含み、スイッチは、磁場が磁場閾値を下回るときには開位置にあるように構成されている、例E9又はE10に記載の無効化ユニット(230)。
【0092】
E12.磁石を含むエアロゾル発生装置の動作を無効化する方法であって、
エアロゾル発生装置に含まれる磁石に結合されたセンサにより、磁石が発生させる磁場の値を測定するステップ(S10)と、
磁場値が所定の磁場閾値を下回ったときにエアロゾル発生装置の動作を無効化するステップ(S10)であって、所定の磁場閾値は、磁石が最大動作温度に達したときに示す磁場の強度を示す値を含み、磁石の最大動作温度は、これを上回ると磁石の磁性が失われる温度値を示す、無効化するステップ(S10)と、
を含む方法。
【0093】
E13.センサ(20)が検知した磁場の値に基づいて(磁石が配置されている場所における温度に対応する)温度を測定するステップを更に含む、例E12に記載の方法。
【0094】
E14.エアロゾル発生装置は更に、加熱ユニットを含み、方法は、磁石を、加熱ユニットに近接させて配置するか、且つ/又は、加熱ユニットに接触させて配置するか、且つ/又は、加熱ユニッ内に配置するステップを含む、例E12又はE13に記載の方法。
【0095】
E15.コンピュータ上で実行されると、例E12~E14のいずれか1つに記載のステップをコンピュータに実施させる命令を含むコンピュータプログラム。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
【国際調査報告】