(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】電解槽内で塩素ガスを生成するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20230101AFI20250123BHJP
B01F 23/2375 20220101ALI20250123BHJP
B01F 33/451 20220101ALI20250123BHJP
B01F 25/4314 20220101ALI20250123BHJP
B01F 23/231 20220101ALI20250123BHJP
B01F 25/30 20220101ALI20250123BHJP
B01F 25/431 20220101ALI20250123BHJP
B01F 23/80 20220101ALI20250123BHJP
C25B 1/26 20060101ALI20250123BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20250123BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20250123BHJP
C01B 7/01 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
B01F23/2375
B01F33/451
B01F25/4314
B01F23/231
B01F25/30
B01F25/431
B01F23/80
C25B1/26 A
C25B1/04
C25B9/00 C
C01B7/01 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542004
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2024-08-16
(86)【国際出願番号】 US2022031182
(87)【国際公開番号】W WO2023136855
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518322953
【氏名又は名称】モリアー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】パジーニ フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】スコルテン ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ダイナー ニコラス
【テーマコード(参考)】
4D061
4G035
4G036
4K021
【Fターム(参考)】
4D061DA01
4D061DA04
4D061DA08
4D061DB09
4D061DB10
4D061EA02
4D061EB01
4D061EB04
4D061EB14
4D061EB17
4D061EB19
4D061ED12
4D061ED20
4G035AB14
4G035AB28
4G035AC08
4G035AC22
4G035AE05
4G035AE17
4G036AC27
4K021AA01
4K021AA03
4K021BA02
4K021BA03
4K021BA17
4K021CA15
(57)【要約】
ナノバブル発生器が、1 cm
3あたり少なくとも10
6個のナノバブルの濃度で、一対の電極と塩素含有電解性液体とを含む電解槽内にナノバブルを導入し、電解槽が、塩素ガスを生成するために作動される、塩素ガスを生成するための方法および装置を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1 cm
3あたり少なくとも10
6個のナノバブルの濃度で、ナノバブル発生器から、一対の電極と塩素含有電解性液体とを含む電解槽内に、ナノバブルを導入する段階;および
(b)塩素ガスを生成するために該電解槽を作動させる段階
を含む、塩素ガスを生成する方法。
【請求項2】
1 cm
3あたり少なくとも10
7個のナノバブルの濃度でナノバブルを導入する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
1 cm
3あたり少なくとも10
8個のナノバブルの濃度でナノバブルを導入する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
1 cm
3あたり少なくとも10
9個のナノバブルの濃度でナノバブルを導入する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ナノバブル発生器が前記電解槽内に位置する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ナノバブル発生器が前記電解槽外に位置する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ナノバブル発生器および前記電解槽が共通のハウジング内に位置する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
塩素ガスが生成される際に、または既定の時間の後に、前記電解槽から塩素ガスを抽出する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
塩素ガスを前記電解槽から塩素適用先に供給する段階をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記電解槽が酸素ガスをさらに生成し、
前記方法が、酸素ガスが生成される際に、または既定の時間の後に、該電解槽から酸素ガスを抽出する段階をさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記ナノバブルが、空気、窒素、二酸化炭素、NO
X、メタン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される気体で満たされる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記塩素含有電解性液体が、水を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記塩素含有電解性液体が、アンモニアを含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記塩素含有電解性液体が、廃水を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記ナノバブル発生器が、
(a)第一端部および第二端部を具備する細長のハウジングであって、液体インレットと、液体アウトレットと、液体源から液体担体を受けるように適合した内部キャビティとを規定する、該細長のハウジング;
(b)該ハウジングの該内部キャビティ内に少なくとも部分的に配された気体透過性部材であって、気体源から加圧気体を受けるように適合した開放端と、閉鎖端と、該開放端と該閉鎖端との間に延在する多孔性側壁とを具備し、内面、外面、およびルーメンを規定する、該気体透過性部材
を具備し、
該液体源からの該液体担体が該液体インレットから該液体アウトレットまで該気体透過性部材の該外面に平行に流れる際に、該液体担体の流速が、該液体が乱流状態を作り出す乱流閾値より大きくなり、それによって、該液体が該気体透過性部材の該外面から気体を剪断して該液体担体中にナノバブルを形成することを可能にするように、該ハウジングおよび気体透過性部材が構成されている、
請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記ナノバブル発生器が、
前記液体担体が前記液体インレットから前記液体アウトレットまで流れる際に、前記気体透過性部材の外面に平行な磁束を発生させるように適合した、少なくとも1つの導電体
をさらに具備する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記気体透過性部材が導電性である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記導電体が電磁コイルを含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記ナノバブル発生器が、
前記液体担体が前記液体インレットから前記液体アウトレットまで流れる際に、前記液体担体を回転させるように適合した、螺旋形部材
を具備する、請求項15または16記載の方法。
【請求項20】
前記ナノバブル発生器が、
前記液体担体が前記液体インレットから前記液体アウトレットまで流れる際に、前記液体担体を回転させるように適合した、螺旋形部材
を具備し、
該螺旋形部材が、
該液体担体が該液体インレットから該液体アウトレットまで流れる際に、前記気体透過性部材の外面に平行な磁束を発生させるように適合した、電磁コイル
を具備する、
請求項15または16記載の方法。
【請求項21】
前記ナノバブル発生器が、前記ハウジングの前記内部キャビティ内に位置するハイドロフォイルをさらに具備する、請求項15または16記載の方法。
【請求項22】
前記ナノバブル発生器が、
回転可能なシャフトを具備するモーター;
壁と、軸回転可能な透過性部材内に導入される気体がそれを通って流れることができる複数の細孔とを有するボディを含む、軸回転可能な透過性部材であって、気体源から該軸回転可能な透過性部材内に気体を導入するように構成された気体インレットに連結可能であり、該モーターの該回転可能なシャフトに連結されかつ該回転可能なシャフトとともに回転するように適合した、該軸回転可能な透過性部材;および
壁を有しかつ内部キャビティを規定する細長のボディを含む、回転可能なチューブサポートであって;該壁は複数の穿孔を規定し;該回転可能なチューブサポートの該内部キャビティは、該軸回転可能な透過性部材を格納するように構成され;該回転可能なチューブサポートは、該モーターの該回転可能なシャフトに連結されかつこれとともに回転可能であり;該回転可能なチューブサポートは、回転時に、前記液体を該回転可能なチューブサポートの該内部キャビティ内に導入するように、かつ該液体を該回転可能な透過性部材の該ボディの外面から遠ざけて動かすように、適合しており;該軸回転可能な透過性部材は、回転時に、乱流閾値を上回る乱流を該液体中でシミュレートするように適合しており、その乱流は、該液体が該軸回転可能な透過性部材の該外面から気体を剪断することを可能にして、それにより該液体中にナノバブルが形成される、該回転可能なチューブサポート
を具備する、請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記ナノバブル発生器が、
(a)第一端部および第二端部を具備する細長のハウジングであって、内部キャビティと、気体源からの加圧気体を該内部キャビティ内に導入するように適合した気体インレットとをさらに具備する、該細長のハウジング;
(b)該ハウジングの該内部キャビティ内に少なくとも部分的に配された気体透過性部材であって、液体源から液体を受けるように適合した液体インレットと、液体アウトレットと、該液体インレットと該液体アウトレットとの間に延在する多孔性側壁とを具備し、内面と、外面と、液体が通って流れるルーメンとを規定する、該気体透過性部材;
(c)液体担体が該液体インレットから該液体アウトレットまで流れる際に、該気体透過性部材の該内面に平行な磁束を発生させるように適合した、少なくとも1つの導電体
を具備し、
該液体源からの該液体担体が該液体インレットから該液体アウトレットまで該気体透過性部材の該内面に平行に流れる際に、該液体担体の流速が、該液体が乱流状態を作り出す乱流閾値より大きくなり、それによって、該液体が該気体透過性部材の該内面から気体を剪断して該液体担体中にナノバブルを形成することを可能にするように、該ハウジングおよび気体透過性部材が構成されている、
請求項1記載の方法。
【請求項24】
(a)1 cm
3あたり少なくとも10
6個のナノバブルを発生させることができるナノバブル発生器;および
(b)一対の電極を具備する、該ナノバブル発生器と連絡している電解槽
を具備し、
該電解槽が、塩素含有電解性液体から塩素ガスを発生させることができる、
塩素ガスを生成するための装置。
【請求項25】
前記電解槽から塩素ガスを受けるためのインレットを有し、前記電解槽と連絡している、塩素適用先
をさらに具備する、請求項24記載の装置。
【請求項26】
(a)1 cm
3あたり少なくとも10
6個のナノバブルの濃度で、ナノバブル発生器から、一対の電極と電解性の液体とを含む電解槽内に、ナノバブルを導入する段階;および
(b)1つまたは複数の電解生成物を生成するために該電解槽を作動させる段階
を含む、電解生成物を生成する方法。
【請求項27】
前記電解性の液体が、塩素含有電解性液体である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記電解性の液体が、水素含有電解性液体である、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記1つまたは複数の電解生成物が、塩素ガスを含む、請求項26記載の方法。
【請求項30】
前記1つまたは複数の電解生成物が、水素ガスを含む、請求項26記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる、2022年1月14日に提出された米国特許仮出願第63/299,765号に対する優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、電解槽内における塩素ガスの生成に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
化学および製造の分野において、電解は、直流電流(DC)を用いて非自発的な化学反応を駆動する技術である。電解は、電解槽を用いて、鉱石などの天然に存在する供給源からの元素の分離における段階として用いられる。電解槽は、一対の電極と、典型的に水である液体の電解質とを含む。作動させると、槽は、液体を電解して、非自発的な化学反応を駆動する。電解が起こるために必要とされる電圧は、分解電位と呼ばれる。電解という単語の語源は、分離するかまたは破壊するための「分解(lysis)」、および電気を帯びた「電気(electric)」に由来し、したがって、電解は、「電気的破壊を通る」ことを意味する。
【0004】
電解中に、電極にて泡が形成される可能性がある。高濃度で存在するわけではないものの、これらの泡は、電極表面およびイオン伝導路をブロックする可能性があり、それは電解槽の効率の低減につながるため、望ましくないと考えられている。Argulo et al., "Influence of Bubbles on the Energy Conversion Efficiency of Electrochemical Reactors," Joule, 4(3):555-579 (March 18, 2020)(非特許文献1)を参照されたい。泡の脱離を促すことによってこの問題に対処しようとするいくつかのアプローチが提唱されており、それには、電極表面の改変、電解質の組成の調整、電解質中の流れの誘発、および電解槽への電磁エネルギーまたは超音波エネルギーの適用などが含まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Argulo et al., "Influence of Bubbles on the Energy Conversion Efficiency of Electrochemical Reactors," Joule, 4(3):555-579 (March 18, 2020)
【発明の概要】
【0006】
概要
本発明者らは、高濃度のナノバブルを電解槽内に導入すると、塩素、次亜塩素酸、または他の遊離のかつ利用可能な塩素(FAC)、例えば、過酸化水素、二酸化塩素、オゾン、ペルオキシ二硫酸、および/または他の混合酸化剤を含む、酸化剤の生成の効率が驚異的に向上することを発見した。高濃度のナノバブルの存在は、塩水または他の液体から塩素ガスをより効率的に発生させるように、電解プロセスを向上させることができる。理論に束縛されるものではないが、高濃度ナノバブルの存在は、電解性の液体の体積中における電荷密度を増大させ、それによって、電位の効果を受ける領域を空間的に拡張させると考えられる。高濃度ナノバブルは、電極と電解質との間の相互作用も増大させる。結果として、電気抵抗が減少し、かつ塩素ガス(または溶存形態)を生成するために必要なエネルギー量が減少し、それによって全体的なコストが低減する。
【0007】
電解性の液体(例えば、原料電解質)へのナノバブルの添加により、電解性の液体のイオン移動度および動力学の向上が可能になり、それは、酸化剤、水素、酸素の形成の効率の増大につながり、溶解塩のスケーリングおよび析出の速度に影響を及ぼす。ナノバブルの添加および特性は、優先的に、イオン移動度を調整し、電気化学プロセスに関与する特定のイオンの利用可能性を増大させ、かつ原料電解質と接触する電極に印加される起電力(EMF)の性能を増強し得る。電解性の液体は、システムのコンポーネントの効率を損なうことなく(例えば、電極のスケーリングおよび腐食の効果によって引き起こされるもの)、酸化剤および水素ガスの生成を増大させ、必要なエネルギー投入量を低減させ、および/または作動時間を延長することによって、電解プロセスの性能を増強することができる。
【0008】
したがって、第一の局面において、以下の段階を含む、塩素ガスを生成する方法を説明する:(a)1 cm3あたり少なくとも106個のナノバブルの濃度で、ナノバブル発生器から、一対の電極と塩素含有電解性液体とを含む電解槽内に、ナノバブルを導入する段階;および、(b)塩素ガスを生成するために電解槽を作動させる段階。いくつかの態様において、ナノバブル濃度は、1 cm3あたり少なくとも106個のナノバブル、1 cm3あたり少なくとも107個のナノバブル、1 cm3あたり少なくとも108個のナノバブル、1 cm3あたり少なくとも109個のナノバブル、または1 cm3あたり少なくとも1010個のナノバブルである。
【0009】
ナノバブル濃度は、1 cm3あたりのナノバブルとして表わされる。それは、(ナノバブル発生器からの流出を受ける)電解槽から3つのサンプルを集め、かつMalvern PANalyticalから入手可能であるNanosight NS3000アナライザーを用いたナノ粒子トラッキング解析によって取得後20分以内に各サンプルを分析することによって測定される。各サンプルは、Nanosight NS3000アナライザーを用いて分析する前に、0.45μmフィルターを用いて濾過される。
【0010】
ナノバブル発生器は、電解槽内に(例えば、電解性の液体中に浸されて)位置していてもよく、または電解槽外に(例えば、電解槽と液体連絡した別個のモジュールとして)位置していてもよい。いくつかの態様において、ナノバブル発生器および電解槽は、共通のハウジング内に位置する。
【0011】
いくつかの態様において、本方法は、塩素ガスが生成される際に、または既定の時間の後に、電解槽から塩素ガスを抽出する段階をさらに含む。
【0012】
いくつかの態様において、電解槽は酸素ガスをさらに生成し、これは生成される際に、または既定の時間の後に、電解槽から抽出されることができる。いくつかの態様において、電解槽は、次亜塩素酸、または他の遊離のかつ利用可能な塩素(FAC)、過酸化水素、二酸化塩素、オゾン、ペルオキシ二硫酸、および/または混合酸化剤の1つまたは複数を含む酸化剤、ならびに水素ガスをさらに生成する。
【0013】
ナノバブルは気体で満たされる。いくつかの態様において、気体は、空気、窒素、二酸化炭素、NOX、メタン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0014】
塩素含有電解性液体は、水、塩水、アンモニア、廃水、産業溶液、塩化ナトリウム水溶液(食塩水)、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。液体は塩を含有していてもよい。本明細書において用いる「廃水(wastewater)」は、自治体廃水、産業廃水、豪雨雨水、汚水、中水、発酵過程もしくは採鉱過程に由来する処理水、またはそれらの組み合わせを含むが、それに限定されるわけではない。いくつかの態様において、廃水はアンモニアを含む。電解性の液体として廃水を使用すると、汚染物質を除去する廃水処理のための便利な手段が提供される。本明細書において用いる塩水は、海水などの天然に存在する塩水、塩水プールもしくはスパにおける使用のための水、または他の供給源を含むが、それに限定されるわけではない。電解性の液体として塩水を使用すると、NaClを分解して、脱塩プラント、プールおよびスパの機構、ならびに他の産業プロセスにおける使用のために塩素を生成するための、便利な手段が提供される。
【0015】
本明細書において提供される装置および方法は、カリウム、ナトリウム金属、および化学物質、例えば、漂白剤、塩素、臭素、水酸化ナトリウム、塩素酸ナトリウム、水素、酸素、アルミニウム、銅、マグネシウム、亜鉛、アジポニトリル、ならびにそれらの組み合わせを含む、電解生成物を生成することができる。追加的に、本明細書において提供される方法は、溶解塩(例えば、1000~36,000 ppmまたは1~36 g/Lの塩)を用いてスイミングプールおよび温水浴槽を塩素処理するプロセスである、塩水塩素処理に適用することができる。本明細書における方法は、塩素ガスまたはその溶存形態、例えば、プールにおける浄化剤として以前に用いられてきた次亜塩素酸および次亜塩素酸ナトリウムを生成するために、溶解塩の存在下で電解を用いる、塩素発生器(塩槽、塩発生器、塩クロリネーター、またはSWGとしても知られる)の使用を含むことができる。水素も、副産物として生成させることができる。
【0016】
本ナノバブル発生器はさまざまな構成を有してもよく、かつナノバブルを発生させるためのさまざまな手段を利用してもよい。一実施例において、本ナノバブル発生器は、以下を含む:(a)第一端部および第二端部を有する細長のハウジングであって、液体インレットと、液体アウトレットと、液体源から液体担体を受けるように適合した内部キャビティとを規定する、細長のハウジング;(b)ハウジングの内部キャビティ内に少なくとも部分的に配された気体透過性部材であって、気体源から加圧気体を受けるように適合した開放端と、閉鎖端と、開放端と閉鎖端との間に延在する多孔性側壁とを有し、かつ内面、外面、およびルーメンを規定する、気体透過性部材。液体源からの液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで気体透過性部材の外面に平行に流れる際に、液体担体の流速が、液体が乱流状態を作り出す乱流閾値より大きくなり、それによって、液体が気体透過性部材の外面から気体を剪断して液体担体中にナノバブルを形成することを可能にするように、ハウジングおよび気体透過性部材は構成される。例えば、ハウジングおよび気体透過性部材は、少なくとも2 m/sの流速を生成するように構成されてもよい。この発生器は、本出願と同じ譲受人に譲渡されかつ参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、それぞれ「Compositions Containing Nano-Bubbles in a Liquid Carrier」と題された米国特許第10,591,231号および同第10,598,447号に説明されている。
【0017】
本出願と同じ譲受人に譲渡されかつ参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2021年2月18日に提出されたU.S.S.N. 63/150,973「Nano-Bubble Generator」に説明されている、このナノバブル発生器は、液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、(導電性であってもよい)気体透過性部材の外面に平行な磁束を発生させるように適合した、少なくとも1つの導電体をさらに含んでいてもよい。いくつかの態様において、導電体は電磁コイルの形態である。いくつかの態様において、このナノバブル発生器は、液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、液体担体を回転させるように適合した螺旋形部材を含んでいてもよい。螺旋形部材は、いくつかの態様において、液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、気体透過性部材の外面に平行な磁束を発生させるように適合した電磁コイルを含んでいてもよい。いくつかの態様において、ナノバブル発生器は、ハウジングの内部キャビティ内に位置するハイドロフォイルをさらに具備する。
【0018】
同様にU.S.S.N. 63/150,973に説明されている、ナノバブル発生器の別の例は以下を含む:(a)第一端部および第二端部を含む細長のハウジングであって、内部キャビティと、気体源からの加圧気体を内部キャビティ内に導入するように適合した気体インレットとをさらに含む、細長のハウジング;(b)ハウジングの内部キャビティ内に少なくとも部分的に配された気体透過性部材であって、液体源から液体を受けるように適合した液体インレットと、液体アウトレットと、液体インレットと液体アウトレットとの間に延在する多孔性側壁とを含み、内面と、外面と、液体が通って流れるルーメンとを規定する、気体透過性部材;ならびに(c)液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、気体透過性部材の内面に平行な磁束を発生させるように適合した、少なくとも1つの導電体。液体源からの液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで気体透過性部材の内面に平行に流れる際に、液体担体の流速が、液体が乱流状態を作り出す乱流閾値より大きくなり、それによって、液体が気体透過性部材の内面から気体を剪断して液体担体中にナノバブルを形成することを可能にするように、ハウジングおよび気体透過性部材は構成される。
【0019】
好適なナノバブル発生器の別の例が、本出願と同じ譲受人に譲渡されかつ参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2020年3月13日に提出されたU.S.S.N. 16/818,217「Submersible Non-Bubble Generating Device and Method」に説明されている。そのナノバブル発生器は以下を含む:(a)回転可能なシャフトを有するモーター;(b)壁と、軸回転可能な透過性部材内に導入される気体がそれを通って流れることができる複数の細孔とを有するボディを含む、軸回転可能な透過性部材であって、気体源から軸回転可能な透過性部材内に気体を導入するように構成された気体インレットに連結可能であり、モーターの回転可能なシャフトに連結されかつ回転可能なシャフトとともに回転するように適合した、軸回転可能な透過性部材;および(c)壁を有しかつ内部キャビティを規定する細長のボディを含む、回転可能なチューブサポート。壁は複数の穿孔を規定する。回転可能なチューブサポートの内部キャビティは軸回転可能な透過性部材を格納するように構成される。回転可能なチューブサポートはモーターの回転可能なシャフトに連結され、かつこれとともに回転可能である。回転可能なチューブサポートは、回転時に、液体を回転可能なチューブサポートの内部キャビティ内に導入するように、かつ液体を回転可能な透過性部材のボディの外面から遠ざけて動かすように、適合している。軸回転可能な透過性部材は、回転時に、乱流閾値を上回る乱流を液体中でシミュレートするように適合しており、その乱流は、液体が軸回転可能な透過性部材の外面から気体を剪断することを可能にして、それにより液体中にナノバブルを形成する。
【0020】
以下を含む、塩素ガスを生成するための装置もまた、説明される、(a)1 cm3あたり少なくとも106個のナノバブルを発生させることができるナノバブル発生器;および(b)一対の電極を具備する、ナノバブル発生器と連絡している電解槽。電解槽は、塩素含有電解性液体から、塩素ガスを発生させることができる。ナノバブル濃度は、上述したように決定される。
【0021】
本発明の1つまたは複数の態様の詳細を添付の図面および以下の説明において述べる。本発明の他の特徴、目的、および利点は、その説明および図面から、そして添付の特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による塩素ガス生成の方法および装置の一態様の模式図である。
【
図2】液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための例示的装置の模式図である。
【
図3】液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための第二の例示的装置の分解透視図である。
【
図4A】液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための第三の例示的装置の上面図である。
【
図5】液体担体中に分散したナノバブルを含む組成物を生成するための例示的装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
図1を参照すると、電解槽104と連絡したナノバブル発生器102を含む塩素ガス生成システム100が示されている。
図1に示すように、ナノバブル発生器102および電解槽104は、共通のハウジング110内に含有された別個のモジュールである。しかし、いくつかの態様において、ナノバブル発生器は槽104の電解質105中に含まれて(例えば沈められて)いてもよい。他の態様において、電解槽がナノバブル発生器内に含まれていてもよい。なお他の態様において、ナノバブル発生器および電解槽は別個のモジュールであるが、共通のハウジング内には含有されていない。
【0024】
ナノバブルを作り出すために、気体101の供給源と、塩素含有液体107の供給源とが、ナノバブル発生器102に投入される。好適な気体の例には、空気、窒素、二酸化炭素、NOX、メタン、およびそれらの組み合わせが含まれる。気体の選択は、塩素ガス発生システムの最終用途しだいである。液体107は典型的に水性の液体である。システム100が廃水処理場に組み込まれる場合は、液体107が廃水である可能性がある。システム100が脱塩プラントまたは塩水プールまたはスパシステムに組み込まれる場合、液体107は塩水であってもよい。すると液体107は、アンモニアなど、他の溶存成分を含有する可能性がある。
【0025】
ナノバブル発生器102は、液体担体中に分散した高濃度のナノバブルを含む組成物103を作り出し、そしてその組成物を電解槽104に投入する。ナノバブルの濃度は、1 cm3あたり少なくとも106個のナノバブル、1 cm3あたり少なくとも107個のナノバブル、1 cm3あたり少なくとも108個のナノバブル、1 cm3あたり少なくとも109個のナノバブル、または1 cm3あたり少なくとも1010個のナノバブルである。上述の概要において説明したように、電解槽内に高濃度のナノバブルを導入すると塩素ガス生成の効率が向上する。槽104は、アノード106aおよびカソード106bを含む。槽104は、カソード106bにて、塩素含有液体担体中の塩素を塩素ガスに還元する。そうして生成された塩素ガスは、ライン109を介して塩素適用先112に投入されてもよい。塩素適用先112は、スイミングプール、塩水プール、温水浴槽、水処理容器、クロルアルカリプロセス、または任意の他の好適な適用先であることができる。塩素ガスは、生成される際に抽出されてもよい。代替的に、塩素ガスは、槽104内に貯蔵されたまま留まって、望ましい時に抽出されてもよい。いくつかの態様において、塩素ガスは、共通のハウジング110および/または槽104を組み込んだ塩素適用先112に放出されてもよい。
【0026】
槽104のアノード106aにて酸化が生じる。液体担体が水性の担体である場合、担体の酸化は、アノード106aにて酸素ガスを発生させる。酸素ガスは、ライン108を介してリサイクルされて、ナノバブルを形成するための気体源として用いられてもよい。代替的に、酸素ガスが、塩素適用先112に供給されてもよい。
【0027】
通常の状況下で(すなわち、電解槽104に入る前に原料電解質にナノバブルが添加されない場合)、電極(アノード106aおよびカソード106b)と原料電解質との間の境界層での気泡の形成は、流体と接触する電極(アノード106aおよびカソード106b)の表面上の利用可能な面積の利用可能性を低減させ、酸化剤および水素の生成を低減させる可能性がある。このように、通常の電解プロセスは、酸化剤および水素ガスを生成する効率(電力の酸化剤生成への変換率)のレベルが低減する。
【0028】
対照的に、本明細書において提供される装置および方法は、より効率的なイオン移動度を有するナノバブルで増強された電気化学プロセスを含む。原料電解質に連続的に導入された場合、ナノバブルは、酸化剤および水素ガスの生成につながる反応において触媒として作用し得る。ナノバブルは、ナノバブルの密度が反応の時間にわたって低減する場合、例えば、ナノバブルがプロセスにおいて消費される場合には、反応剤として作用し得る。
【0029】
原料電解質は、様々な組み合わせおよび濃度の、かつ任意で対イオンの混合物と共に、様々な濃度の1つまたは複数の溶解塩、例えば、アルカリ金属ベースの塩(Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+など)、アルカリ土類ベースの塩(例えば、Mg++、Ca++)など、または、遷移金属ベースの陽イオン(例えば、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Znなど)と、F-、Cl-、Br-、I-、PO4-、SO4-、および窒素ベースのアニオンを含むがそれに限定されるわけではない任意の好適なアニオン成分とを、含むことができる。
【0030】
原料電解質の組成および導電性は、溶解塩の濃度および結合価、温度、ならびに原料溶液のpHの改変を通して調整することができる。ナノバブルの発生中に、振動磁場を任意で、可変周波数で印加することができる。
【0031】
ナノバブル含有組成物を生成するためにさまざまなナノバブル発生器が用いられてもよい。
図2に示し、かつ前述の米国特許第10,591,231号および同第10,598,447号に説明されている一実施例は、円柱状の形態のハウジング12を含む例示的装置10を特徴とする。多孔性かつ気体透過性のセラミックチューブ20が、ハウジング12の両方の端部壁22の間にわたっており、両端にて強固に支持されている。Oリングを含む密封構造24がチューブ20と端部壁22との間に提供される。
【0032】
ハウジングへのインレットが26に、ハウジングからのアウトレットが28に存在する。ポンプ30がインレット26に接続され、ポンプ30とインレット26との間に圧力調節器32が存在する。ジェットポンプ34および圧力ゲージ36がアウトレット28に接続される。圧力下の気体源38が、圧力調節器40、流速計42、および/または密封構造24を介して、チューブ20へのインレット44に接続される。留意される点として、チューブ20はインレット44と反対側の端部にて閉じられている。留意される点として、チューブ20はインレット44と反対側の端部にて閉じられている。装置10は、螺旋状部材46を任意で含んでいてもよく、これは流れている液体中に突き出し、かつインレットのポジションによって引き起こされる乱流を増強する。装置は、乱流閾値を上回る流れ、例えば少なくとも2 m/sの流速を発生させるように構成される。乱流閾値を上回る乱流は、(a)発生期の泡をチューブ120の表面から剪断する;および、(b)新たに形成された泡をチューブ120の表面の近傍から除去する;という2つの機能を行う。装置10のハウジング12内の乱流はこれら両方の目的を実現する。
【0033】
ナノバブル発生器が電解槽内に沈められるシステムに特に有用である、好適なナノバブル発生器の第二の実施例が、
図3に示されており、参照により組み入れられる前述のU.S.S.N. 16/818,217にも説明されている。
図3に示すように、デバイス300は、ベース301、ベース301に連結された駆動機構350、ベース301に連結された保護ハウジング302、および保護ハウジング302内に配された回転可能な透過性部材303を含み、そして、気体インレット304が回転可能な透過性部材303に間接的に連結される(例えば、気体インレット304(パイプフィッティング304aおよび/または気体チューブフィッティング304bを任意で含んでいてもよい)は、ブラケット307、ロータリーユニオン305、および/またはフラットプレート308を介して、回転可能な透過性部材に間接的に連結されてもよい)。いくつかの態様において、デバイス300はまた、回転可能な透過性部材303にかかるねじりモーメントを低減または消去するために、回転可能な透過性部材303に連結されたチューブサポート306も含む。駆動機構350が回転を提供してもよい。駆動機構350は回転可能なコンポーネント350aを含む。いくつかの実施形態において、駆動機構350はモーターであり、回転可能なコンポーネント350aは回転可能なシャフトである。いくつかの実施形態において、駆動機構350はギヤーボックスであり、回転可能なコンポーネント350aはギヤーシャフトである。
【0034】
保護ハウジング302は、第一端部302bと第二端部302cとの間に延在する側壁302aによって規定される。第一端部302bはベース301に連結される。保護ハウジング302は、保護ハウジング302の側壁302aを通って液体を通過させるように構成された複数の穿孔302dを規定する。
【0035】
回転可能な透過性部材303は、縦軸「X1」を規定するボディを有し、縦軸X1の周りで軸回転させることができる。回転可能な透過性部材303は、回転可能な透過性部材303が駆動機構350の回転可能なコンポーネント350aとともに回転するように、駆動機構350の回転可能なコンポーネント350a(例えばモーターの回転可能なシャフト、またはギヤーボックスのギヤーシャフト)に連結される。
【0036】
好適なナノバブル発生器の第三の実施例が
図4A~4Cに示されており、参照により組み入れられる前述のU.S.S.N. 63/150,973にも説明されている。
図4A~4Cに示すように、装置400は、ハウジング401、透過性部材403、および導電体405を含む。細長のハウジング401は、第一端部401aと、第二端部401bと、液体源から液体担体を受けるように適合した内部キャビティとによって規定される。ハウジング401はインレットおよびアウトレットを含む。第一端部401aがインレットであってもよく、第二端部401bがアウトレットであってもよい。
【0037】
装置400は、ハウジング401の内部キャビティ内に少なくとも部分的に配された気体透過性部材403を含む。透過性部材403は、内面、外面、およびルーメンを規定する。透過性部材403は、気体源から加圧気体を受けるように適合した第一端部403a、第二端部403b、ならびに、第一および第二端部403a、403b間に延在する多孔性側壁403cを含んでいてもよい。透過性部材403の第一端部403aが開放端であってもよく、透過性部材403の第二端部403bが閉鎖端であってもよい。ハウジング401がマウント451に連結されてもよく、例えばハウジング401の第一端部401aがマウント451に連結されてもよい。マウント451は、その連結コンポーネント内に至る流体インレットポートおよび/またはアウトレットポートを提供してもよい。例えば、マウント451が、透過性部材403の第一端部403aと流体連絡したポート451aを規定してもよい。
【0038】
液体源からの液体担体が液体インレットから液体アウトレットまで透過性部材403の外面に平行に流れる際に、液体担体の流速が、液体が乱流状態を作り出す乱流閾値より大きくなり、それによって、液体が気体透過性部材の外面から気体を剪断して液体担体中にナノバブルを形成することを可能にするように、ハウジング401および透過性部材403はアレンジされてもよい。
【0039】
図4A~Cに示すように、装置400は、ハウジング401の内部キャビティ内に位置する、螺旋形部材(例えば螺旋状電極)の形態である導電体405を含む。導電体405は、液体担体がハウジング401の液体インレットから液体アウトレットまで流れる際に、透過性部材403の外面に平行な磁束を発生させるように適合している。好ましくは、導電体405は高周波の振動磁束を発生させるように適合している。
【0040】
装置400は、装置400を通って流れる液体担体中に回転を誘発するように形状決定されたハイドロフォイル450を任意で含んでいてもよい。いくつかの態様において、ハイドロフォイル450は、装置400を通って流れる液体担体中にスーパーキャビテーションを誘発するように(例えばテーパー表面および/またはカーブ表面を伴って)形状決定される。例えば、ハイドロフォイル450は、ハイドロフォイル450の表面に基づき装置400を通って流れる流体中に高乱流領域を作り出し、かつハイドロフォイル450の下流に乱流の後縁を作り出すように、形状決定されてもよい。本開示において、「下流(downstream)」および「上流(upstream)」という用語は、例えば装置400を通る、液体担体の全体的な流れの方向に関連する。例えば、
図4A~Bにおいて、装置400を通る液体担体の全体的な流れの方向は左から右であるので、「下流」は「~の右に(to the right of)」と相関し、「上流」は「~の左に(to the left of)」と相関する。
【0041】
好適なナノバブル発生器の第四の実施例が
図5に示されており、参照により組み入れられる前述のU.S.S.N. 63/150,973にも説明されている。
図5に示すように、装置1200は、気体源から気体を受けるように適合したハウジング1201、および液体源から液体担体を受けるように適合した気体透過性部材1203を含む。気体透過性部材1203は、(
図2に示した)透過性部材20と実質的に同様であってもよい。装置1200において、液体は透過性部材1203内に流入され、気体は透過性部材1203の外面の周りを流れる。気体は細孔を通って透過性部材1203のルーメン内に流入してナノバブルを発生させ、そのナノバブルは透過性部材1203内を流れる液体中に剪断および分散される。
【0042】
装置1200のハウジング1201は、いずれも閉鎖端である第一端部1201aおよび第二端部1201bを含む。気体が、気体源から、ハウジング1201によって規定されるポート1201cを通って、ハウジング1201の内部キャビティ内に流れる。ポート1201cは、
図5においてハウジング1201の中央付近に位置するものとして示されているが、気体がハウジング1201の内部キャビティに入るための入口を提供する限り、ハウジング1201の任意の点に位置してよい。
【0043】
透過性部材1203は、液体担体を受けるように適合した液体インレットとして役立ってもよい第一端部1203aを有する。透過性部材1203は、その壁を気体が通過することを可能にする細孔を含む。透過性部材1203は、ハウジング内の気体が透過性部材1203の壁を横切って流れるように、ハウジング1201の内部キャビティ内に封入される。透過性部材1203の細孔を通って透過性部材1203のルーメン内まで気体を流すために圧力が印加される。気体が透過性部材1203の細孔を通って流れる際にナノバブルが形成される。ナノバブルが形成される際に、透過性部材1203のルーメンを通って流れる液体担体がナノバブルを透過性部材1203の内面から剪断する。透過性部材1203の第二端部1203bは、形成されたナノバブルを保持している液体担体を吐出するための開放端またはアウトレットであってもよい。
【0044】
図5の装置1200は、ハウジング1201の外部上に位置する、電磁コイル(例えばステーター)の形態である導電体1205を含む。導電体1205は透過性部材1203の少なくとも一部分を囲み、ポート1201cの上流に位置する。上述したように、1つまたは複数の導電体がさまざまな方式で実施されてもよい。
【0045】
装置1200は、本明細書において前述したように、透過性部材1203を通って流れる液体中に回転を誘発するためのコンポーネント(例えば螺旋形部材および/またはハイドロフォイル)を任意で含んでいてもよい。その任意的コンポーネントはハウジング1201の内部キャビティ内に位置していてもよい。
【0046】
図1~3、
図4A~C、および
図5の装置はそれぞれ、上述したように、塩素含有電解性液体へのナノバブルの注入を通して塩素生成を増強して、電解プロセスを向上させるために、使用することができる。いくつかの態様において、塩素含有電解性液体は塩水であり、塩素ガス、またはその溶存形態での塩素の生成の増強のために、電解を通して塩水中のNaClが分解される。このプロセスは、塩水プール、温水浴槽、およびスパにおいて、脱塩プラントにおいて、ならびに他の産業処理において、塩素生成の効率を増大させることができる。
【0047】
本発明のいくつかの態様を説明してきた。それにもかかわらず、様々な改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されるであろう。したがって、他の態様が、添付の特許請求の範囲の範囲内である。
【国際調査報告】