(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物、その製造方法及び用途
(51)【国際特許分類】
B01J 23/10 20060101AFI20250123BHJP
B01J 23/34 20060101ALI20250123BHJP
B01J 23/83 20060101ALI20250123BHJP
C01G 25/00 20060101ALI20250123BHJP
C01G 51/00 20250101ALI20250123BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B01J23/10 A
B01J23/34 A
B01J23/83 A
C01G25/00
C01G51/00 A
B01D53/86 222
B01D53/86 150
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542093
(86)(22)【出願日】2023-02-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 CN2023075754
(87)【国際公開番号】W WO2023151684
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】202210135450.6
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515330421
【氏名又は名称】有研稀土新材料股▲フン▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519229622
【氏名又は名称】有研稀土高技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】GRIREM HI-TECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】North of Gushan South Road And East Of Happiness Road,Hi-tech industrial zone,Yanjiao Town,Sanhe City, Langfang City, Hebei 065200, China
(71)【出願人】
【識別番号】521180371
【氏名又は名称】雄安稀土功能材料創新中心有限公司
【氏名又は名称原語表記】RARE EARTH FUNCTIONAL MATERIALS(XIONG’AN)INNOVATION CENTER CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room C-4, No. 56, Banzheng South Street, Xiguan Village, Rongcheng Town, Rongcheng County Baoding, Hebei, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黄 小衛
(72)【発明者】
【氏名】崔 梅生
(72)【発明者】
【氏名】侯 永可
(72)【発明者】
【氏名】張 永奇
(72)【発明者】
【氏名】馮 宗玉
(72)【発明者】
【氏名】楊 娟玉
(72)【発明者】
【氏名】徐 子昊
【テーマコード(参考)】
4D148
4G048
4G169
【Fターム(参考)】
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4G169EC02Y
4G169EC06Y
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4G169FA01
(57)【要約】
本発明は、粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物、その製造方法及び用途に関する。前記セリウムジルコニウム複合酸化物のドーピング元素は、一部又は全部がその粒界及び表面に位置することにより、セリウムジルコニウム複合酸化物の欠陥、空孔の数が増加し、酸素移動能が増加し、且つ良好な高温安定性能を有する。当該セリウムジルコニウム複合酸化物は、貴金属粒子の移動、凝集及び成長を抑制し、貴金属触媒の高温安定性を増強し、貴金属使用量を低減することができ、自動車排ガス浄化、天然ガス触媒燃焼、有機排ガス浄化及び工業排煙脱硝処理などの分野に応用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物であって、前記セリウムジルコニウム複合酸化物の化学式は、Ce
xZr
1-x-yM
yO
2-αD
δであり、ここで、
Mはカチオンのドーピング元素であり、Dはアニオンのドーピング元素であり、
0.1≦x≦0.9、0<y≦0.2、0≦α≦0.1、0≦δ≦0.1である、ことを特徴とする粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物。
【請求項2】
前記セリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面にドーピング元素Mの酸化物、又はドーピング元素Mの酸化物及びMとDとで形成される窒素含有化合物、フッ化物、リン酸塩及び硫酸塩のうちの1種又は1種以上を含有する、ことを特徴とする請求項1に記載の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物。
【請求項3】
前記ドーピング元素Mは、セリウム以外の希土類元素、遷移金属元素、アルカリ土類金属元素及びAl、Siのうちの1種又は1種以上の組み合わせであり、前記ドーピング元素Dは、N、S、F、Pのうちの1種又は1種以上の組み合わせである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物。
【請求項4】
前記希土類元素は、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y及びScのうちの1種又は1種以上の組み合わせであり、前記遷移金属元素は、Cu、Mn、Ni、Fe、Zn、Co、Ti、Hf、Cr及びWのうちの1種又は1種以上の組み合わせであり、前記アルカリ土類金属元素は、Mg、Ca、Sr及びBaのうちの1種又は1種以上の組み合わせである、ことを特徴とする請求項3に記載の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物。
【請求項5】
前記カチオンのドーピング元素Mは、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Yb、Y、Sc、Cu、Mn、Hf、Fe、Co、Al、Si、Mg、Ba及びSrのうちの1種又は1種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物。
【請求項6】
前記セリウムジルコニウム複合酸化物は、1000℃で10h時間保温した後の比表面積が50m
2/gよりも大きく、好ましくは60m
2/gよりも大きく、1100℃で4h時間保温した後の比表面積が35m
2/gよりも大きく、好ましくは40m
2/gよりも大きい、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物。
【請求項7】
前記セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積は、0.4mL/gよりも大きく、1000℃で10h保温した後の全細孔容積は、0.2mL/gよりも大きい、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物。
【請求項8】
元素勾配分布構造又はコアシェル構造を含み、好ましくは外面又はシェルが酸化セリウムに富む構造、又はドーピング元素Mが外面に富む構造、又はドーピング元素Mが外面又は/及び内部にある構造のうちの1種又は1種以上である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物。
【請求項9】
生成物に必要な化学量論比のセリウムイオン及びジルコニウムイオンを含む水溶液をそれぞれ配合製造し、且つこれらを混合し、混合液を得、混合液と塩基性物質とを反応器内において一段階又は二段階で沈殿反応させ、得られた沈殿物を濾過、洗浄、乾燥及び焙焼し、セリウムジルコニウム含有酸化物を得るステップS1と、
ステップS1で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と、ドーピング元素M及びDの液体塩と、を混合し、乾燥後に1回又は2回の熱処理を行い、さらに1回又は2回の焙焼を行い、粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物を得るステップS2と、を含む、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物の製造方法。
【請求項10】
前記ステップS1におけるジルコニウムイオンを含む水溶液は、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム及びクエン酸ジルコニウムのうちの1種又は1種以上の水溶液の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップS1におけるセリウムイオンを含む水溶液は、塩化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウム及びクエン酸セリウムのうちの1種又は1種以上の水溶液の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記塩基性物質は、炭酸水素マグネシウム、尿素及びアンモニウム、ナトリウム、カリウムのうちの少なくとも1種の元素の水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩のうちの少なくとも1種を含み、好ましくは水酸化ナトリウム、尿素、アンモニア水及び炭酸水素アンモニウムのうちの少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップS1の沈殿過程におけるpH値は、4.5~14、好ましくは5~11に制御され、沈殿の終点におけるpH値は、8~13、好ましくは9~11に制御され、沈殿過程における反応温度は、0~120℃、好ましくは20~80℃である、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記ドーピング元素Mの液体塩は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、アミノ酸塩及び有機ケイ素化合物の溶融塩又は水溶液のうちの1種又は1種以上の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記ドーピング元素Mは、前記ステップS1及びステップS2における一段階又は二段階で添加される、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記ドーピング元素Dは、前記ステップS1及びステップS2における一段階又は二段階で添加される、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記ドーピング元素Dは、硝酸塩、フッ化物、リン酸塩及び硫酸塩のうちの1種又は1種以上の組み合わせで添加される、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップS1における焙焼温度は500~1050℃であり、時間は1~24hであり、好ましくは、焙焼温度は600~950℃であり、時間は3~12hである、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記ステップS2における熱処理温度は100~600℃であり、時間は0.5~24hであり、好ましくは、熱処理温度は150~450℃であり、時間は1~12hである、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記ステップS2における焙焼温度は500~1050℃であり、時間は1~24hであり、好ましくは、焙焼温度は600~950℃であり、時間は3~12hである、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項21】
触媒であって、請求項1~8のいずれか一項に記載の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物を採用して製造される、ことを特徴とする触媒。
【請求項22】
自動車排ガス浄化、天然ガス触媒燃焼、有機排ガス浄化及び工業排煙脱硝処理分野における請求項21に記載の触媒の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、出願番号202210135450.6、出願日2022年02月14日の中国特許出願に基づいて提出され、且つ当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願の全ての内容はここで参考として本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、セリウムジルコニウム複合酸化物の技術分野に関し、特に粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物、その製造方法及び用途に関する。
【背景技術】
【0003】
国内外の自動車排ガス、工業排ガス及び排煙などの排出基準の向上に伴い、自動車排ガス浄化触媒、工業排ガス及び排煙処理触媒に対する性能要求もますます高くなっている。自動車は流動汚染源として、運転中に排ガス成分と性質が絶えず変化し、普通の触媒では自動車排ガスを効果的に浄化処理することが困難であるため、白金、パラジウム、ロジウム貴金属を含有する自動車排ガス浄化触媒とオートバイ排ガス浄化触媒などが開発され、これらの触媒には重要な活性コーティング材料、即ちセリウムジルコニウム複合酸化物が使用されている。セリウムジルコニウム複合酸化物中の酸化セリウムは価数可変性を有し、酸化又は還元雰囲気においてCe4+及びCe3+の可逆的な変化が起こり、それによってセリウムジルコニウム複合酸化物が酸素吸蔵放出機能を有し、触媒の空燃比ウィンドウを効果的に広げ、自動車排ガス浄化触媒の触媒性能を大幅に向上させることができ、セリウムジルコニウム複合酸化物は、触媒に担持された貴金属の分散度を向上させ、利用率を向上させることから、触媒の貴金属使用量を大幅に低減することができ、セリウムジルコニウム複合酸化物は、自動車排ガス浄化触媒に不可欠なキー材料である。自動車排ガス浄化触媒が置かれている環境は劣悪で、温度が高いだけでなく、場合によっては900℃以上にも達することもあり、またある程度の水蒸気を含有していることから、触媒には高い耐温性能が必要であり、セリウムジルコニウム複合酸化物には高い比表面積が必要であるだけでなく、良好な高温安定性能が必要である。また、セリウムジルコニウム複合酸化物は、天然ガス触媒燃焼、工業有機排ガス処理、工業排煙脱硝などの触媒にも広い応用の将来性がある。
【0004】
自動車排ガスの高温作用によって、セリウムジルコニウム複合酸化物の構造が変化し、比表面積が低下し続けるとともに性能が劣化し、特に向上し続け及びより厳格な自動車排ガス排出基準を満たすために、セリウムジルコニウム複合酸化物の高温安定性能を向上させる必要がある。また、自動車排ガス浄化触媒へのセリウムジルコニウム複合酸化物の応用では、セリウムジルコニウム複合酸化物に担持された白金、パラジウム、ロジウム貴金属粒子は、長時間の高温排ガスの劣化により、容易に移動、凝集及び成長し、それによって触媒の失活を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の上記状況に基づいて、本発明の目的は、粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物、その製造方法及び用途を提供することにあり、セリウムジルコニウム複合酸化物の高温安定性を向上させ、酸素空孔、欠陥などを増加させ、これを採用して製造した触媒は、貴金属粒子の高効率担持に有利であり、貴金属粒子の移動、凝集及び成長を抑制し、それによって触媒の高温安定性能を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物を提供し、前記セリウムジルコニウム複合酸化物の化学式は、CexZr1-x-yMyO2-αDδであり、ここで、
Mはカチオンのドーピング元素であり、Dはアニオンのドーピング元素であり、
0.1≦x≦0.9、0<y≦0.2、0≦α≦0.1、0≦δ≦0.1である。
【0007】
さらに、前記セリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面にドーピング元素Mの酸化物、又はドーピング元素Mの酸化物及びMとDとで形成される窒素含有化合物、フッ化物、リン酸塩及び硫酸塩のうちの1種又は1種以上を含有する。
【0008】
さらに、前記ドーピング元素Mは、セリウム以外の希土類元素、遷移金属元素、アルカリ土類金属元素及びAl、Siのうちの1種又は1種以上の組み合わせであり、前記ドーピング元素Dは、N、S、F及びPのうちの1種又は1種以上の組み合わせである。
【0009】
さらに、前記希土類元素は、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y及びScのうちの1種又は1種以上の組み合わせであり、前記遷移金属元素は、Cu、Mn、Ni、Fe、Zn、Co、Ti、Hf、Cr及びWのうちの1種又は1種以上の組み合わせであり、前記アルカリ土類金属元素は、Mg、Ca、Sr及びBaのうちの1種又は1種以上の組み合わせである。
【0010】
さらに、前記カチオンのドーピング元素Mは、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Yb、Y、Sc、Cu、Mn、Hf、Fe、Co、Al、Si、Mg、Ba及びSrのうちの1種又は1種以上の組み合わせを含む。
【0011】
さらに、前記セリウムジルコニウム複合酸化物は、1000℃で10h時間保温した後の比表面積が50m2/gよりも大きく、好ましくは60m2/gよりも大きく、1100℃で4h時間保温した後の比表面積が35m2/gよりも大きく、好ましくは40m2/gよりも大きい。
【0012】
さらに、前記セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積は、0.4mL/gよりも大きく、1000℃で10h保温した後の全細孔容積は、0.2mL/gよりも大きい。
【0013】
さらに、前記粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物は、元素勾配分布構造又はコアシェル構造を含み、好ましくは外面又はシェルが酸化セリウムに富む構造、又はドーピング元素Mが外面に富む構造、又はドーピング元素Mが外面又は/及び内部にある構造のうちの1種又は1種以上である。
【0014】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に記載の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物の製造方法を提供し、
生成物に必要な化学量論比のセリウムイオン及びジルコニウムイオンを含む水溶液をそれぞれ配合製造し、且つこれらを混合し、混合液を得、混合液と塩基性物質とを反応器内において一段階又は二段階で沈殿反応させ、得られた沈殿物を濾過、洗浄、乾燥及び焙焼し、セリウムジルコニウム含有酸化物を得るステップS1と、
ステップS1で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と、ドーピング元素M及びDの液体塩と、を混合し、乾燥後に1回又は2回の熱処理を行い、さらに1回又は2回の焙焼を行い、粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物を得るステップS2と、を含む。
【0015】
さらに、前記ステップS1におけるジルコニウムイオンを含む水溶液は、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム及びクエン酸ジルコニウムのうちの1種又は1種以上の水溶液の組み合わせを含む。
【0016】
さらに、前記ステップS1におけるセリウムイオンを含む水溶液は、塩化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウム及びクエン酸セリウムのうちの1種又は1種以上の水溶液の組み合わせを含む。
【0017】
さらに、前記塩基性物質は、炭酸水素マグネシウム、尿素及びアンモニウム、ナトリウム、カリウムのうちの少なくとも1種の元素の水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩のうちの少なくとも1種を含み、好ましくは水酸化ナトリウム、尿素、アンモニア水及び炭酸水素アンモニウムのうちの少なくとも1種である。
【0018】
さらに、前記ステップS1の沈殿過程におけるpH値は、4.5~14、好ましくは5~11に制御され、沈殿の終点におけるpH値は、8~13、好ましくは9~11に制御され、沈殿過程における反応温度は、0~120℃、好ましくは20~80℃である。
【0019】
さらに、前記ドーピング元素Mの液体塩は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、アミノ酸塩及び有機ケイ素化合物の溶融塩又は水溶液のうちの1種又は1種以上の組み合わせを含む。
【0020】
さらに、前記ドーピング元素Mは、前記ステップS1、S2における一段階又は二段階で添加される。
【0021】
さらに、前記ドーピング元素Dは、前記ステップS1、S2における一段階又は二段階で添加される。
【0022】
さらに、前記ドーピング元素Dは、硝酸塩、フッ化物、リン酸塩及び硫酸塩のうちの1種又は1種以上の組み合わせで添加される。
【0023】
さらに、前記ステップS1における焙焼温度は500~1050℃であり、時間は1~24hであり、好ましくは、焙焼温度は600~950℃であり、時間は3~12hである。
【0024】
さらに、前記ステップS2における熱処理温度は100~600℃であり、時間は0.5~24hであり、好ましくは、熱処理温度は150~450℃であり、時間は1~12hである。
【0025】
さらに、前記ステップS2における焙焼温度は500~1050℃であり、時間は1~24hであり、好ましくは、焙焼温度は600~950℃であり、時間は3~12hである。
【0026】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に記載の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物を採用して製造される触媒を提供する。
【0027】
本発明の第4の態様は、自動車排ガス浄化、天然ガス触媒燃焼、有機排ガス浄化及び工業排煙脱硝処理分野における本発明の第3の態様に記載の触媒の用途を提供する。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明は、セリウムジルコニウム複合酸化物の高温安定性及び触媒応用効果を向上させるために、粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物、その製造方法及び用途を提供する。本発明にて提供されるセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面にドーピング元素Mの酸化物、又はドーピング元素Mの酸化物及びMとDとで形成される窒素含有化合物、フッ化物、リン酸塩及び硫酸塩などを含有し、ドーピング元素M、又はM及びDが当該セリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に位置する。当該セリウムジルコニウム複合酸化物のドーピング元素と結晶粒との間の相互作用が増強し、且つ粒界にあるドーパントがセリウムジルコニウム結晶粒に対する分散、被覆などの役割を果たし、セリウムジルコニウム複合酸化物が良好な高温安定性能を有するようにし、同時にセリウムジルコニウム複合酸化物の欠陥、空孔の数が増加し、酸素移動能が増強し、触媒の触媒活性を効果的に向上させ触媒の貴金属使用量を低減することができる。また当該セリウムジルコニウム複合酸化物は、貴金属粒子の移動、凝集及び成長を抑制し、貴金属触媒の高温安定性能を増強することができ、自動車排ガス浄化、天然ガス触媒燃焼、有機排ガス浄化及び工業排煙脱硝処理などの分野に応用することができる。
【0029】
本発明は、従来技術に対して以下のような有益な技術的効果を有する。
(1)本発明の実施例にて提供される粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物は、その粒界及び表面にドーピング元素Mの酸化物、又はドーピング元素Mの酸化物及びMとDとで形成される窒素含有化合物、フッ化物、リン酸塩及び硫酸塩などを含有し、ドーピング元素M、又はM及びDが当該セリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に位置する。当該セリウムジルコニウム複合酸化物は、豊富な欠陥、空孔を有し、特に粒界に位置する欠陥がより豊富であるため、ドーピング元素と結晶粒との間の相互作用が増強し、且つ粒界に位置するドーパントがセリウムジルコニウム結晶粒に対する分散、被覆などの作用を果たし、それによってセリウムジルコニウム複合酸化物の高温安定性能を向上させる。
(2)本発明の実施例にて提供される粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物は、粒界及び表面、特に粒界にドーピングされることにより、セリウムジルコニウム複合酸化物に豊富な結晶粒欠陥を有させ、それによってドーパントの活性を向上させ、且つドーパントの有効利用率を向上させ、ドーパントの触媒作用の発揮を促進する。
(3)本発明の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物を適用して白金、パラジウム、ロジウムなどの貴金属を担持して製造した触媒は、セリウムジルコニウム複合酸化物が豊富な欠陥を有し、及びドーパントの高活性、豊富な欠陥サイトを有することから、従来のセリウムジルコニウム複合酸化物に比べて、白金、パラジウム、ロジウムなどの貴金属触媒粒子の効率的な分散及び担持により有利であり、且つ多くの欠陥サイトを有するため、触媒の触媒活性の向上、触媒の貴金属使用量の低減などに有効である。また貴金属粒子は、粒界のドーパントと優先的に結合して、両者の間に強い相互作用があり、それによって高温下で貴金属触媒粒子の移動、凝集、成長などを抑制し、触媒の高温安定性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物の製造のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下では、具体的な実施形態と関連し、添付図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。これらの記述は例示的なものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。さらに、以下の説明では、本発明の概念が不必要に混同されることを避けるために、公知の構造及び技術の説明が省略される。
【0032】
本発明の第1の態様は、粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物を提供し、前記セリウムジルコニウム複合酸化物の化学式は、CexZr1-x-yMyO2-αDδであり、Mはカチオンのドーピング元素であり、Dはアニオンのドーピング元素であり、0.1≦x≦0.9、0<y≦0.2、0≦α≦0.1、0≦δ≦0.1であり、好ましくは、0.01≦δ≦0.08である。
【0033】
前記セリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面にドーピング元素Mの酸化物、又はドーピング元素Mの酸化物及びMとDとで形成される窒素含有化合物、フッ化物、リン酸塩及び硫酸塩のうちの1種又は1種以上を含有する。前記ドーピング元素M、又はM及びDは、当該セリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に位置し、存在形態は、酸化物、窒素含有化合物、フッ化物、リン酸塩及び硫酸塩のうちの1種又は1種以上である。
【0034】
一般に、粒界及び表面にドーピングされることにより、セリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面にドーピング元素Mの酸化物、又はドーピング元素Mの酸化物及びMとDとで形成される窒素含有化合物、フッ化物、リン酸塩及び硫酸塩のうちの1種又は1種以上を含有させることができる。さらに、ドーピング元素M、又はM及びDは、セリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に位置し、存在形態は、酸化物、窒素含有化合物、フッ化物、リン酸塩及び硫酸塩のうちの1種又は1種以上である。さらに、M元素は、セリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面においてLa、Pr、Nd、Y、Sc、Cu、Mn、Hf、Mg、Ba及びSrのうちの少なくとも1種を含み、粒界及び表面におけるM元素のモル占有率は10%~70%である。D元素は、粒界及び表面において好ましくはN及びSのうちの少なくとも1種であり、粒界及び表面におけるD元素のモル占有率は10%~70%である。沈殿パラメータ、生成物の熱処理温度及び焙焼温度、時間、雰囲気などを制御することによってM、Dの粒界及び表面における形態及び割合を調整制御する。
【0035】
当該セリウムジルコニウム複合酸化物において上記粒界及び表面でのドーピングを実現することにより、当該酸化物が豊富な欠陥、空孔を有し、特に粒界に位置する欠陥がより豊富であり、ドーピング元素と結晶粒との間の相互作用を増強させ、且つ粒界に位置するドーパントがセリウムジルコニウム結晶粒に対する分散、被覆などの役割を果たし、それによってセリウムジルコニウム複合酸化物の高温安定性能を向上させることができる。
【0036】
当該ドーピング元素Mは、粒界、表面及び結晶粒内で酸化物に変換されるか、又はMは、Dと結合して窒素含有化合物、フッ化物、リン酸塩及び硫酸塩のうちの1種又は1種以上を形成し、好ましくは、当該ドーピング元素Mは、当該セリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面において酸化物に変換されるか、又は/及びMは、Dと結合して窒素含有化合物、フッ化物、リン酸塩、硫酸塩のうちの1種又は1種以上を形成し、Mは、酸化物を形成し、Dは、Mと結合して窒素含有化合物、フッ化物、リン酸塩、硫酸塩などを形成し、セリウムジルコニウム複合酸化物の高温安定性能を向上させ、細孔構造又は酸素吸蔵量などを調整制御することができる。
【0037】
当該ドーピング元素Mは、セリウム以外の希土類元素、遷移金属元素、アルカリ土類金属元素及びAl、Siのうちの1種又は1種以上の組み合わせであってもよく、ここで、希土類元素は、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y及びScのうちの1種又は1種以上の組み合わせであってもよく、好ましくは、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Yb、Y及びScのうちの1種又は1種以上の組み合わせであってもよく、遷移金属元素は、Cu、Mn、Ni、Fe、Zn、Co、Ti、Hf、Cr及びWのうちの1種又は1種以上の組み合わせであってもよく、アルカリ土類金属元素は、Mg、Ca、Sr及びBaのうちの1種又は1種以上の組み合わせであってもよく、さらに好ましくは前記カチオンのドーピング元素Mは、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Yb、Y、Sc、Cu、Mn、Hf、Fe、Co、Al、Si、Mg、Ba、Srのうちの1種又は1種以上の組み合わせを含む。当該ドーピング元素Dは、N、S、F、Pのうちの1種又は1種以上の組み合わせであってもよく、好ましくはN、Sである。
【0038】
当該セリウムジルコニウム複合酸化物は、1000℃で10h保温した後の比表面積が50m2/gよりも大きく、好ましくは60m2/gよりも大きく、1100℃で4h保温した後の比表面積が35m2/gよりも大きく、好ましくは40m2/gよりも大きい。さらに、前記セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積は、0.4mL/gよりも大きく、1000℃で10h保温した後の全細孔容積は、0.2mL/gよりも大きい。
【0039】
さらに、前記粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物は、元素勾配分布構造又はコアシェル構造を含み、好ましくは外面又はシェルが酸化セリウムに富む構造、又はドーピング元素Mが外面に富む構造、又はドーピング元素Mが外面又は/及び内部にある構造のうちの1種又は1種以上である。これはさらにセリウムジルコニウム複合酸化物の高温安定性能、酸素吸蔵能力を向上させ、且つ貴金属粒子の分散担持に有利であり、触媒活性を向上させ、貴金属使用量を低減する。セリウムジルコニウム複合酸化物の元素勾配分布構造のその他の特徴及び利点については2020年9月17日に出願された出願番号CN202010982979.2、発明の名称「元素勾配分布のセリウムジルコニウム系複合酸化物及びその製造方法」の中国特許出願及びその全ての内容説明を参照されたい。セリウムジルコニウム複合酸化物のコアシェル構造のその他の特徴及び利点については2020年9月17日に出願された出願番号CN202010982980.5、発明の名称「コアシェル構造のセリウムジルコニウム系複合酸化物及びその製造方法」の中国特許出願及びその全ての内容説明を参照されたい。
【0040】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に記載の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物の製造方法を提供し、当該製造方法のフローチャートは、
図1に示され、
生成物に必要な化学量論比のセリウムイオン及びジルコニウムイオンを含む水溶液をそれぞれ配合製造し、且つこれらを混合し、混合液を得、混合液と塩基性物質とを反応器内において一段階又は二段階で沈殿反応させ、得られた沈殿物を濾過、洗浄、乾燥及び焙焼し、セリウムジルコニウム含有酸化物を得るステップS1と、
ステップS1で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と、ドーピング元素M及びDの液体塩と、を混合し、乾燥後に1回又は2回の熱処理を行い、さらに1回又は2回の焙焼を行い、粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物を得るステップS2と、を含む。
【0041】
ここで、ステップS1におけるジルコニウムイオンを含む水溶液は、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム及びクエン酸ジルコニウムのうちの1種又は1種以上の水溶液の組み合わせであってもよく、セリウムイオンを含む水溶液は、塩化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウム及びクエン酸セリウムのうちの1種又は1種以上の水溶液の組み合わせであってもよく、塩基性物質は、炭酸水素マグネシウム、尿素及びアンモニウム、ナトリウム、カリウムのうちの少なくとも1種の元素の水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩のうちの少なくとも1種であってもよく、好ましくは水酸化ナトリウム、尿素、アンモニア水及び炭酸水素アンモニウムの少なくとも1種である。当該ステップS1の沈殿過程におけるpH値は4.5~14、好ましくは5~11に制御され、沈殿の終点におけるpH値は8~13、好ましくは9~11に制御され、沈殿過程における反応温度は0~120℃、好ましくは20~80℃であり、当該ステップS1における焙焼温度は500~1050℃であり、時間は1~24hであり、好ましくは、焙焼温度は600~950℃であり、時間は3~12hである。
【0042】
前記ドーピング元素MはステップS1及びステップS2における一段階又は二段階で添加されてもよい。例えば、ドーピング元素Mは、生成物に必要な化学量論に応じてステップS1又はステップS2で単独で添加されてもよいし、生成物に必要な化学量論に応じて、ステップS1で一部が添加され、そしてステップS2で他の一部が添加されてもよく、実際の必要に応じて上記いずれかの添加方式を選択してもよい。セリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面におけるM元素のモル占有率は10~70mol%である。ドーピング元素Mの液体塩は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、アミノ酸塩及び有機ケイ素化合物の溶融塩又は水溶液のうちの1種又は1種以上の組み合わせを含んでもよい。
【0043】
前記ドーピング元素Dは、ステップS1及びステップS2における一段階又は二段階で添加されてもよく、ドーピング元素Mの添加方式と同様に、実際の必要に応じていずれかの添加方式を選択してもよい。セリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面におけるD元素のモル占有率は10~70mol%である。ドーピング元素Dは、硝酸塩、フッ化物、リン酸塩及び硫酸塩のうちの1種又は1種以上の組み合わせで添加されてもよい。
【0044】
ステップS2における熱処理温度は100~600℃であり、時間は0.5~24hであり、好ましくは、熱処理温度は150~450℃であり、時間は1~12hであり、さらに、異なる熱処理制度を採用することができ、例えば段階的に熱処理を行い、ドーピング元素をより多く、より均一且つ安定的に粒界及び表面に進入させる。
【0045】
ステップS2における焙焼温度は500~1050℃であり、時間は1~24hであり、好ましくは、焙焼温度は600~950℃であり、時間は3~12hである。さらに2回の焙焼を採用することもでき、これによりセリウムジルコニウム複合酸化物の粒度及び分散性を効果的に制御し、その高温安定性能をさらに向上させる。
【0046】
本発明においてドーピング元素M及びドーピング元素Dのセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面などにおけるドーピングは、ステップS2においてM、Dをイオン溶液又は液体塩の形でセリウムジルコニウム含有酸化物と固液混合し、乾燥後にさらに熱処理、焙焼することによって得られ、又はステップS1及びステップS2の2つのステップでM及びDをイオン溶液又は液体塩の形で加えることによって得られる。
【0047】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に記載の粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物を採用して製造される触媒を提供する。当該触媒は、自動車排ガス浄化、天然ガス触媒燃焼、有機排ガス浄化及び工業排煙脱硝処理などの分野に応用することができる。
【0048】
本発明の第4の態様は、自動車排ガス浄化、天然ガス触媒燃焼、有機排ガス浄化及び工業排煙脱硝処理分野における本発明の第3の態様に記載の触媒の用途を提供する。
【0049】
以下、具体的な実施例によって本発明をさらに説明する。
【0050】
(比較例1)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.50Zr0.35La0.10Y0.05O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCeCl3、ZrOCl2、LaCl3、YCl3の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が25℃であり、沈殿過程におけるpH値を10±0.2に制御し、沈殿の終点におけるpH値が11であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、800℃で5時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得た。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.353mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.161mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が47.6m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が31.5m2/gであった。
【0051】
(比較例2)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.80Zr0.10La0.05Nd0.05O1.97で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2、La(NO3)3、Nd(NO3)3の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lのアンモニア水溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が25℃であり、沈殿過程におけるpH値が10±0.2であり、沈殿の終点におけるpH値が11であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、800℃で5時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得た。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.306 mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.148mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が44.7m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が30.9m2/gであった。
【0052】
(実施例1)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.50Zr0.35La0.10Y0.05O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が25℃であり、沈殿過程におけるpH値を10±0.2に制御し、沈殿の終点におけるpH値が11であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、800℃で5時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.50Zr0.35La0.10Y0.05O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.6mol/LのLa(NO3)3、Y(NO3)3混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Y(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に200℃で2時間熱処理し、そして600℃で5時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、La、Yがいずれも酸化物の形態でその粒界及び表面に位置した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.458mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.230mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が53.2m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が36.4m2/gであった。
【0053】
(実施例2)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.80Zr0.10La0.05Nd0.05O1.97で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lのアンモニア水溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が25℃であり、沈殿過程におけるpH値を10±0.2に制御し、沈殿の終点におけるpH値が11であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、800℃で5時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.80Zr0.10La0.05Nd0.05O1.97のモル配分で総金属イオンの濃度が1.1 mol/LのLa(NO3)3、Nd(NO3)3混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Nd(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に300℃で1時間熱処理し、そして800℃で3時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、La、Ndが酸化物の形態でその粒界及び表面に位置した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.423mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.209mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が50.8m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が35.6m2/gであった。
【0054】
(実施例3)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.40Zr0.50La0.05Nd0.05O1.96で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lのアンモニア水溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が45℃であり、沈殿過程におけるpH値を6±0.2に制御し、沈殿の終点におけるpH値が9.5であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、800℃で5時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分で総金属イオンの濃度が2.5 mol/LのLa(NO3)3、Nd(NO3)3混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Nd(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に300℃で5時間熱処理し、そして800℃で3時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、La、Ndが酸化物の形態でその粒界及び表面に位置した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.433mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.229mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が53.8m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が36.6m2/gであった。
【0055】
(実施例4)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.25Zr0.65La0.05Y0.05O1.97で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCe(NO3)3、La(NO3)3、ZrO(NO3)2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lのアンモニア水溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が55℃であり、沈殿過程におけるpH値を6±0.2に制御し、沈殿の終点におけるpH値が9.5であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、750℃で5時間焙焼してランタン含有セリウムジルコニウム酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分で2.5 mol/LのY(NO3)3溶液を一定体積配合製造し、Y(NO3)3溶液を上記で得られたランタン含有セリウムジルコニウム酸化物と均一に混合し、乾燥後に500℃で5時間熱処理し、そして850℃で3時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、Yが酸化物の形態でその粒界及び表面に位置した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.401mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.201mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が50.1m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が35.1m2/gであった。
【0056】
(実施例5)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.80Zr0.05Nd0.15O1.95S0.05で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液250mLを配合製造し、そして1.0mol/Lの配位剤硫酸溶液を適量加え、Sを導入し、均一に混合し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が25℃であり、沈殿過程におけるpH値が10~14であり、沈殿の終点におけるpH値が12であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、500℃で10時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.80Zr0.05Nd0.15O1.95S0.05のモル配分で1.50mol/L Nd(NO3)3溶液及び0.4mol/L (NH4)2SO4溶液を一定体積配合製造した。Nd(NO3)3溶液、(NH4)2SO4溶液を順次段階的に上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に200℃で24時間熱処理し、そして600℃で6時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、その粒界及び表面に元素Nd及びSを含有し、それぞれ酸化ネオジム及び硫酸ネオジムの形態で存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.402mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.204mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が50.2m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が35.1m2/gであった。
【0057】
(実施例6)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.40Zr0.40La0.05Nd0.10Y0.05O1.96で総金属イオンのモル濃度が1.4mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2、La(NO3)3の混合液270mLを配合製造し、当該混合液を2.4mol/Lの炭酸水素アンモニウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が30℃であり、沈殿過程におけるpH値が7±0.2であり、沈殿の終点におけるpH値が8であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、500℃で24時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.40Zr0.40La0.05Nd0.10Y0.05O1.96のモル配分で総金属イオンの濃度が1.6 mol/LのNd(NO3)3、Y(NO3)3混合溶液を一定体積配合製造し、Nd(NO3)3、Y(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に300℃で12時間熱処理し、そして800℃で12時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、その粒界及び表面に元素Nd及びYを含有し、いずれも酸化物の形態で存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.462mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.236mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が54.6m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が36.8m2/gであった。
【0058】
(実施例7)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.40Zr0.50La0.10O1.95P0.05で総金属イオンのモル濃度が1.3mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液290mLを配合製造し、当該混合液を2.2mol/Lの炭酸ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が50℃であり、沈殿過程におけるpH値を9±0.2に制御し、沈殿の終点におけるpH値が10であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、600℃で8時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.40Zr0.50La0.10O1.95P0.05のモル配分で1.0 mol/LのLa(NO3)3溶液及び0.5 mol/Lのリン酸アンモニウム溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3溶液、リン酸アンモニウム溶液を順次段階的に上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に400℃で6時間熱処理し、そして800℃で8時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、Laが酸化物、リン酸塩の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.468mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.240mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が55.1m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が37.2m2/gであった。
【0059】
(実施例8)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.333Zr0.581La0.044 Pr0.042O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が60℃であり、沈殿過程におけるpH値を10±0.2に制御し、沈殿の終点におけるpH値が11であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、750℃で6時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.333Zr0.581La0.044 Pr0.042O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.0 mol/LのLa(NO3)3、Pr(NO3)3の混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Pr(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に300℃で6時間熱処理し、そして800℃で6時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、La、Prが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.523mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.259mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が56.9m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が40.2m2/gであった。
【0060】
(実施例9)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.373Zr0.520La0.044Y0.063O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2、La(NO3)3(Laの必要な総量の50%)の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を3.0mol/Lのアンモニア水溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が30℃であり、沈殿過程におけるpH値が9~12であり、沈殿の終点におけるpH値が9であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、700℃で8時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.373Zr0.520La0.044Y0.063O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.0 mol/LのLa(NO3)3(Laの必要な総量の50%)、Y(NO3)3の混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Y(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に350℃で6時間熱処理し、そして700℃で8時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、La、Yが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.491mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.248mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が55.8m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が37.9m2/gであった。
【0061】
(実施例10)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.55Zr0.25La0.15Cu0.05O1.95で総金属イオンのモル濃度が1.0mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2の混合液380mLを配合製造し、当該混合液を2.2mol/Lの尿素溶液と混合した後にオートクレーブ内に加え、120℃まで徐々に昇温し、8時間水熱反応させた。沈殿生成物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、800℃で5時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.55Zr0.25La0.15Cu0.05O1.95のモル配分で総金属イオンの濃度が2.2 mol/LのLa(NO3)3、Cu(NO3)2の混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Cu(NO3)2混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に600℃で0.5時間熱処理し、そして1050℃で1時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、La及びCuが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.443mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.219mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が51.7m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が35.8m2/gであった。
【0062】
(実施例11)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.50Zr0.35Ba0.05Mn0.10O1.96で総金属イオンのモル濃度が1.2mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液320mLを配合製造し、当該混合液を2.1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が90℃であり、沈殿過程におけるpH値が12~14であり、沈殿の終点におけるpH値が13であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、1050℃で1時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.50Zr0.35Ba0.05Mn0.10O1.96のモル配分で総金属イオンの濃度が1.6 mol/LのBa(NO3)2、Mn(NO3)2の混合溶液を一定体積配合製造し、Ba(NO3)2、Mn(NO3)2混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に400℃で6時間熱処理し、そして700℃で8時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、Ba及びMnが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.451mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.224mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が52.8m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が36.2m2/gであった。
【0063】
(実施例12)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.330Zr0.580La0.033Nd0.032Y0.025O1.97で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCeCl3、ZrOCl2、LaCl3の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が45℃であり、沈殿過程におけるpH値を10±0.2に制御し、沈殿の終点におけるpH値が11であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、850℃で5時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.330Zr0.580La0.033Nd0.032Y0.025O1.97のモル配分で総金属イオンの濃度が0.7 mol/LのNd(NO3)3、Y(NO3)3の混合溶液を一定体積配合製造し、Nd(NO3)3、Y(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に350℃で6時間熱処理し、そして850℃で5時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、セリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面にNd、Y元素を含有し、いずれも酸化物の形態で存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.548mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.276mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が57.1m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が40.9m2/gであった。
【0064】
(実施例13)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.18Zr0.64La0.03Y0.15O1.96で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCeCl3、ZrOCl2、YCl3の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が50℃であり、沈殿過程におけるpH値が10~14であり、沈殿の終点におけるpH値が10.5であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、650℃で8時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.18Zr0.64La0.03Y0.15O1.96のモル配分で0.5 mol/LのLa(NO3)3溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に200℃で10時間熱処理し、そして650℃で8時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、Laが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.582mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.286mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が57.9m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が43.8m2/gであった。
【0065】
(実施例14)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.16Zr0.78La0.02Nd0.04O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が80℃であり、沈殿過程におけるpH値が10~14であり、沈殿の終点におけるpH値が10であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、600℃で10時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.16Zr0.78La0.02Nd0.04O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が0.7 mol/LのLa(NO3)3、Nd(NO3)3の混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Nd(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に400℃で6時間熱処理し、そして600℃で12時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、La、Ndが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.591mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.289mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が60.2m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が45.1m2/gであった。
【0066】
(実施例15)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.40Zr0.40Al0.20O1.93N0.08で総金属イオンのモル濃度が1.2mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2の混合液320mLを配合製造し、当該混合液を2.2mol/Lのアンモニア水/炭酸水素アンモニウム混合溶液と混合し、沈殿反応させ、沈殿温度が30℃であり、沈殿過程におけるpH値が7.5~8.5であり、沈殿の終点におけるpH値が8であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、950℃で4時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.40Zr0.40Al0.20O1.93N0.08のモル配分で2.2 mol/L Al(NO3)3溶液及び0.8mol/LのNH4NO3溶液を一定体積配合製造し、Al(NO3)3溶液、NH4NO3溶液を順次段階的に上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に300℃で8時間熱処理し、そして800℃で6時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、Alが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在し、Nが窒素含有化合物でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.611mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.301mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が62.4m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が46.3m2/gであった。
【0067】
(実施例16)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.60Zr0.30Ba0.10O1.98F0.01で総金属イオンのモル濃度が1.0mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液380mLを配合製造し、当該混合液を2.3mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が20℃であり、沈殿過程におけるpH値が4.5~10であり、沈殿の終点におけるpH値が11であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、700℃で8時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.60Zr0.30Ba0.10O1.98F0.01のモル配分で1.0 mol/L Ba(NO3)2溶液及び0.1 mol/L NH4F溶液を一定体積配合製造し、Ba(NO3)2溶液、NH4F溶液を順次段階的に上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に150℃で12時間熱処理し、そして600℃で12時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、Baが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在し、Fがフッ化物でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.450mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.222mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が52.2m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が36.2m2/gであった。
【0068】
(実施例17)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.45Zr0.35Y0.15Mg0.05O1.96で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2、Y(NO3)3の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を3.0mol/Lのアンモニア水溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が30℃であり、沈殿過程におけるpH値が9~12であり、沈殿の終点におけるpH値が9であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、950℃で3時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.45Zr0.35Y0.15Mg0.05O1.96のモル配分で0.5 mol/LのMg(NO3)2溶液を一定体積配合製造し、Mg(NO3)2溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に250℃で10時間熱処理し、そして900℃で5時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、Mg元素が酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.438mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.221mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が52.9m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が36.1m2/gであった。
【0069】
(実施例18)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.40Zr0.45Pr0.10Sm0.05O1.97で総金属イオンのモル濃度が0.8mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液470mLを配合製造し、当該混合液を1.0mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が50℃であり、沈殿過程におけるpH値が5~9であり、沈殿の終点におけるpH値が10であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、500℃で16時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.40Zr0.45Pr0.10Sm0.05O1.97のモル配分で総金属イオンの濃度が1.6 mol/LのPr(NO3)3、Sm(NO3)3の混合溶液を一定体積配合製造し、Pr(NO3)3、Sm(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に300℃で8時間熱処理し、そして500℃で24時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、Pr、Sm元素が酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.451mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.235mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が54.8m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が36.9m2/gであった。
【0070】
(実施例19)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.20Zr0.60Eu0.10Co0.10O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を3.0mol/Lのアンモニア水溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が35℃であり、沈殿過程におけるpH値が9~12であり、沈殿の終点におけるpH値が9であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、600℃で12時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.20Zr0.60Eu0.10Co0.10O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が2.2 mol/LのEu(NO3)3、Co(NO3)2の混合溶液を一定体積配合製造し、Eu(NO3)3、Co(NO3)2混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に450℃で1時間熱処理し、そして800℃で6時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、Eu、Co元素がいずれも酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.552mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.279mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が57.3m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が42.5m2/gであった。
【0071】
(実施例20)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.90Zr0.05Gd0.03Yb0.02O1.97で総金属イオンのモル濃度が1.3mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2の混合液290mLを配合製造し、当該混合液を3.0mol/Lのアンモニア水溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が20℃であり、沈殿過程におけるpH値が9~12であり、沈殿の終点におけるpH値が9であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、550℃で12時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.90Zr0.05Gd0.03Yb0.02O1.97のモル配分で総金属イオンの濃度が0.6 mol/LのGd(NO3)3、Yb(NO3)3の混合溶液を一定体積配合製造し、Gd(NO3)3、Yb(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に350℃で7時間熱処理し、そして600℃で12時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、その粒界及び表面にGd、Yb元素を含有し、いずれも酸化物の形態で存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.406mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.210mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が50.4m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が35.3m2/gであった。
【0072】
(実施例21)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.70Zr0.20Fe0.04Ba0.04Sc0.02O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が80℃であり、沈殿過程におけるpH値が10~14であり、沈殿の終点におけるpH値が10であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、600℃で12時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.70Zr0.20Fe0.04Ba0.04Sc0.02O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.1 mol/LのFe(NO3)3、Ba(NO3)2及びSc(NO3)3の混合溶液を一定体積配合製造し、Fe(NO3)3、Ba(NO3)2、Sc(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に300℃で8時間熱処理し、そして800℃で7時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、その粒界及び表面にFe、Ba、Sc元素を含有し、いずれも酸化物の形態で存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.431mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.217mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が51.6m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が35.7m2/gであった。
【0073】
(実施例22)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.50Zr0.45Mn0.05O1.99で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が0℃であり、沈殿過程におけるpH値を9±0.2に制御し、沈殿の終点におけるpH値が11であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、450℃で18時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.50Zr0.45Mn0.05O1.99のモル配分でMn(NO3)2溶融塩液を一定体積配合製造し、適量のMn(NO3)2溶融塩液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に600℃で0.5時間熱処理し、そして950℃で3時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、その粒界及び表面にMn元素を含有し、酸化物の形態で存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.404mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.206mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が50.3m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が35.2m2/gであった。
【0074】
(実施例23)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.40Zr0.45Si0.10Hf0.02Sr0.03O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を3.0mol/Lのアンモニア水溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が30℃であり、沈殿過程におけるpH値を9.0±0.2に制御し、沈殿の終点におけるpH値が10であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、650℃で10時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.40Zr0.45Si0.10Hf0.02Sr0.03O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.6 mol/Lのオルトケイ酸エチル、Sr(NO3)2及びHfO(NO3)2の混合溶液を一定体積配合製造し、オルトケイ酸エチル、Sr(NO3)2、HfO(NO3)2混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に350℃で7時間熱処理し、そして800℃で5時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、その粒界及び表面にSi、Sr、Hf元素を含有し、いずれも酸化物の形態で存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.467mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.229mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が54.9m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が37.3m2/gであった。
【0075】
(実施例24)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.333Zr0.581La0.044Pr0.042O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が60℃であり、沈殿過程におけるpH値を10±0.2に制御し、沈殿の終点におけるpH値が11であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、750℃で6時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.333Zr0.581La0.044Pr0.042O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.0 mol/LのLa(NO3)3、Pr(NO3)3の混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Pr(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に250℃で4時間熱処理し、さらに400℃まで昇温して5時間熱処理し、そして800℃で6時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、La、Prが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.551mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.279mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が57.8m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が41.1m2/gであった。
【0076】
(実施例25)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.373Zr0.520La0.044Y0.063O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2、La(NO3)3(Laの必要な総量の50%)の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を3.0mol/Lのアンモニア水溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が30℃であり、沈殿過程におけるpH値が9~12であり、沈殿の終点におけるpH値が9であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、700℃で8時間焙焼してセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.373Zr0.520La0.044Y0.063O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.0 mol/LのLa(NO3)3(Laの必要な総量の50%)、Y(NO3)3の混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Y(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に200℃で5時間熱処理し、さらに450℃まで昇温して3時間熱処理し、そして650℃で5時間焙焼し、さらに800℃まで昇温して3時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、La、Yが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.501mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.254mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が56.3m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が38.4m2/gであった。
【0077】
(実施例26)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.380Zr0.531La0.072Pr0.017O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.2mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が30℃であり、沈殿過程におけるpH値が10~14であり、沈殿の終点におけるpH値が10.5であり、そして所望のLaCl3溶液と水酸化ナトリウム溶液との2段目の沈殿反応を行い、沈殿の終点におけるpH値が10.5であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、750℃で5時間焙焼してコアシェル構造のセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.380Zr0.531La0.072Pr0.017O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.0 mol/LのPr(NO3)3の溶液を一定体積配合製造し、Pr(NO3)3溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に200℃で5時間熱処理し、さらに450℃まで昇温して3時間熱処理し、そして800℃で3時間焙焼し、コアシェル構造のセリウムジルコニウム複合酸化物を得、シェルが酸化プラセオジムに富み、La、Prが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.556mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.287mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が59.5m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が42.1m2/gであった。
【0078】
(実施例27)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.421Zr0.470La0.045Y0.064O1.97で総金属イオンのモル濃度が1.0mol/LのCeCl3、ZrOCl2含有の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が60℃であり、沈殿過程におけるpH値を5~11に制御し、pH値を2回調整して段階的に沈殿させ、まずpH値を5に調整してジルコニウムイオンを沈殿させ、そしてpH値を11に徐々に調整してセリウムイオンを沈殿させ、沈殿の終点におけるpH値が11であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、750℃で6時間焙焼して勾配分布のセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.421Zr0.470La0.045Y0.064O1.97のモル配分で総金属イオンの濃度が1.3 mol/LのLa(NO3)3、Y(NO3)3の混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Y(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に150℃で8時間熱処理し、さらに400℃まで昇温して5時間熱処理し、そして800℃で5時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、セリウムジルコニウム複合酸化物が元素勾配分布構造であり、外部が酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウムに富み、La、Yが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.597mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.295mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が62.8m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が43.1m2/gであった。
【0079】
(実施例28)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.239Zr0.703La0.017Nd0.041O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCeCl3、ZrOCl2含有の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が80℃であり、沈殿過程におけるpH値を9~11に制御し、2段階沈殿を行い、まずpH値を5に調整してジルコニウムイオンを沈殿させ、1時間熟成させた後、さらにpH値を11に徐々に調整してセリウムイオンを沈殿させ、沈殿の終点におけるpH値が11であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、600℃で8時間焙焼してコアシェル構造のセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.239Zr0.703La0.017Nd0.041O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.5 mol/LのLa(NO3)3、Nd(NO3)3の混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Nd(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に250℃で4時間熱処理し、さらに300℃まで昇温して5時間熱処理し、そして600℃で6時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、セリウムジルコニウム複合酸化物がコアシェル構造であり、外部が酸化ランタン、酸化ネオジムに富み、La、Ndが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.558mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.289mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が60.8m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が42.6m2/gであった。
【0080】
(実施例29)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.330Zr0.576La0.035Nd0.034Y0.025O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.2mol/LのCeCl3、ZrOCl2含有の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が60℃であり、沈殿過程におけるpH値を5~10に制御し、pH値を2回調整して段階的に沈殿させ、まずpH値を5に調整してジルコニウムイオンを沈殿させ、そしてpH値を10に徐々に調整してセリウムイオンを沈殿させ、沈殿の終点におけるpH値が10であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、750℃で6時間焙焼して勾配分布のセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.330Zr0.576La0.035Nd0.034Y0.025O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.2mol/LのLa(NO3)3、Nd(NO3)3、Y(NO3)3の混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Nd(NO3)3、Y(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に200℃で6時間熱処理し、さらに400℃まで昇温して5時間熱処理し、そして800℃で5時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、セリウムジルコニウム複合酸化物が元素勾配分布構造であり、外部が酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化イットリウムに富み、La、Nd、Yが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.571mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.299mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が62.8m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が43.1m2/gであった。
【0081】
(実施例30)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.184Zr0.642La0.028Y0.146O1.98で総金属イオンのモル濃度が0.7mol/LのCeCl3、ZrOCl2、YCl3(Yが50%量)の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が40℃であり、沈殿過程におけるpH値を5~11に制御し、pH値を2回調整して段階的に沈殿させ、まずpH値を5に調整してジルコニウムイオンを沈殿させ、そしてpH値を11に徐々に調整してセリウムイオン、イットリウムイオンを沈殿させ、沈殿の終点におけるpH値が11であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、800℃で5時間焙焼して勾配分布のセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.184Zr0.642La0.028Y0.146O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.0mol/LのLa(NO3)3、Y(NO3)3(Yが50%量)の混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Y(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に250℃で4時間熱処理し、さらに450℃まで昇温して1時間熱処理し、そして700℃で4時間焙焼し、さらに800℃まで昇温して3時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、セリウムジルコニウム複合酸化物が元素勾配分布構造であり、外部が酸化ランタン、酸化イットリウムに富み、外面及び内部の両方にも存在し、La、Yが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.599mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.301mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が63.1m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が43.4m2/gであった。
【0082】
(実施例31)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.326Zr0.569La0.043Y0.062O1.98で総金属イオンのモル濃度が0.8mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が60℃であり、沈殿過程におけるpH値を10~14に制御し、終点のpHが10であり、そして所望のLaCl3溶液と水酸化ナトリウム溶液との2段目の沈殿反応を行い、沈殿の終点におけるpH値が10であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、750℃で6時間焙焼してコアシェル構造のセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.326Zr0.569La0.043Y0.062O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.5 mol/LのY(NO3)3の溶液を一定体積配合製造し、Y(NO3)3溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に350℃で3時間熱処理し、さらに400℃まで昇温して5時間熱処理し、そして800℃で5時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、セリウムジルコニウム複合酸化物がコアシェル構造であり、外部が酸化ランタン、酸化イットリウムに富み、La、Yが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.573mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.288mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が60.3m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が42.3m2/gであった。
【0083】
(実施例32)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.156Zr0.763La0.041Nd0.040O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.0mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が60℃であり、沈殿過程におけるpH値を10~14に制御し、終点のpHが11であり、そして所望のLaCl3溶液と水酸化ナトリウム溶液との2段目の沈殿反応を行い、沈殿の終点におけるpH値が11であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、850℃で4時間焙焼してコアシェル構造のセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.156Zr0.763La0.041Nd0.040O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が0.8 mol/LのNd(NO3)3の溶液を一定体積配合製造し、Nd(NO3)3溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に250℃で4時間熱処理し、さらに300℃まで昇温して5時間熱処理し、そして850℃で4時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、セリウムジルコニウム複合酸化物がコアシェル構造であり、外部が酸化ネオジム、酸化ランタンに富み、La、Ndが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.598mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.298mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が60.9m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が42.9m2/gであった。
【0084】
(実施例33)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.163Zr0.781La0.016Nd0.040O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.0mol/LのCe(NO3)3、ZrO(NO3)2、Nd(NO3)3(Ndが50%量)含有の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を3.0mol/Lのアンモニア水溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が35℃であり、沈殿過程におけるpH値を5~10.5に制御し、pH値を2回調整して段階的に沈殿させ、まずpH値を5に調整してジルコニウムイオンを沈殿させ、そしてpH値を10.5に徐々に調整してセリウムイオン、ネオジムイオンを沈殿させ、沈殿の終点におけるpH値が10.5であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、600℃で12時間焙焼して勾配分布のセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.163Zr0.781La0.016Nd0.040O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.3mol/LのLa(NO3)3、Nd(NO3)3(Ndが50%量)の混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Nd(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に250℃で4時間熱処理し、さらに450℃まで昇温して1時間熱処理し、そして800℃で5時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、セリウムジルコニウム複合酸化物が元素勾配分布構造であり、外部が酸化ランタン、酸化ネオジムに富み、外面及び内部の両方にも存在し、La、Ndが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.593mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.294mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が62.5m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が43.2m2/gであった。
【0085】
(実施例34)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.523Zr0.365La0.046Y0.066O1.98で総金属イオンのモル濃度が0.7mol/LのCe(NO3)3(Ceが50%量)、ZrO(NO3)2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を3mol/Lのアンモニア水溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が30℃であり、沈殿過程におけるpH値を9~11に制御し、終点のpHが11であり、そして所望のY(NO3)3、Ce(NO3)3(Ceが50%量)の混合溶液と水酸化ナトリウム溶液との2段目の沈殿反応を行い、沈殿の終点におけるpH値が10であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、700℃で10時間焙焼してコアシェル構造のセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.523Zr0.365La0.046Y0.066O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が1.5 mol/LのLa(NO3)3の溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に200℃で4時間熱処理し、さらに350℃まで昇温して4時間熱処理し、そして600℃、5時間を経て、さらに850℃まで昇温して3時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、セリウムジルコニウム複合酸化物がコアシェル構造であり、外部が酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウムに富み、La、Yが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.599mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.311mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が63.2m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が43.5m2/gであった。
【0086】
(実施例35)
セリウムジルコニウム複合酸化物のモル配分Ce0.48Zr0.34La0.04Mg0.06Mn0.08O1.98で総金属イオンのモル濃度が1.5mol/LのCeCl3、ZrOCl2の混合液250mLを配合製造し、当該混合液を2.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液と混合して沈殿反応させ、沈殿温度が35℃であり、沈殿過程におけるpH値を9~11に制御し、終点のpHが11であり、そして所望のMgCl3溶液と水酸化ナトリウム溶液との2段目の沈殿反応を行い、沈殿の終点におけるpH値が10.5であり、沈殿物に対して濾過、洗浄などの後処理を行い、前駆体を得、そして前駆体を110℃で10時間乾燥し、800℃で8時間焙焼してコアシェル構造のセリウムジルコニウム含有酸化物を得た。
セリウムジルコニウム複合酸化物Ce0.48Zr0.34La0.04Mg0.06Mn0.08O1.98のモル配分で総金属イオンの濃度が0.8 mol/LのLa(NO3)3、Mn(NO3)3混合溶液を一定体積配合製造し、La(NO3)3、Mn(NO3)3混合溶液を上記で得られたセリウムジルコニウム含有酸化物と均一に混合し、乾燥後に100℃で8時間熱処理し、さらに400℃まで昇温して3時間熱処理し、そして700℃で6時間焙焼し、セリウムジルコニウム複合酸化物を得、セリウムジルコニウム複合酸化物がコアシェル構造であり、外部が酸化マンガン、酸化ランタンに富み、La、Mn、Mgが酸化物の形態でセリウムジルコニウム複合酸化物の粒界及び表面に存在した。セリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積が0.580mL/gであり、1000℃で、10時間高温老化した後の全細孔容積が0.289mL/gであった。セリウムジルコニウム複合酸化物を1000℃で、10時間高温老化した後の比表面積が61.2m2/gであり、1100℃で、4時間高温老化した後の比表面積が42.8m2/gであった。
【0087】
上記実施例に示されたデータから、本発明の実施例の製造方法を採用して得られたセリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積及び1000℃、10時間高温老化後の全細孔容積は比較例の製造方法を採用して得られたセリウムジルコニウム複合酸化物の全細孔容積よりも明らかに高いことが分かる。本発明の実施例の製造方法を採用して得られたセリウムジルコニウム複合酸化物は、1000℃、10時間高温老化後の比表面積及び1100℃、4時間高温老化後の比表面積がいずれも比較例の製造方法を採用して得られたセリウムジルコニウム複合酸化物の比表面積よりも高い。本発明の実施例の製造方法を採用して得られたセリウムジルコニウム複合酸化物は優れた高温安定性を得ることができる。
【0088】
以上のように、本発明は、粒界及び表面にドーピングされたセリウムジルコニウム複合酸化物、その製造方法及び用途に関し、セリウムジルコニウム複合酸化物の高温安定性及び触媒応用効果を向上させる。本発明にて提供されるセリウムジルコニウム複合酸化物は、その粒界及び表面にドーピング元素を含有し、さらに、ドーピング元素がその粒界、表面に位置し、当該セリウムジルコニウム複合酸化物の欠陥、空孔の数が増加し、酸素移動能が増強し、且つ良好な高温安定性能を有する。且つ当該セリウムジルコニウム複合酸化物は、貴金属粒子の移動、凝集及び成長を抑制し、貴金属触媒の高温安定性を増強することができ、自動車排ガス浄化、天然ガス触媒燃焼、有機排ガス浄化及び工業排煙脱硝処理などの分野に応用することができる。
【0089】
本発明の上述した具体的な実施形態は、本発明の原理を例示的に説明又は解釈するためにのみ用いられ、本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。したがって、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく行われたいかなる修正、同等の置換、改良などは、本発明の保護の範囲に含まれるものとする。さらに、本発明の添付の特許請求の範囲は、添付の特許請求の範囲及び境界、又はそのような範囲及び境界の均等な形態内に含まれる全ての変更及び修正例をカバーすることを意図している。
【国際調査報告】