(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】プレートを有する履物具及び履物の製品用プレートを製造するための三次元プリンタおよび圧縮モールドの使用方法
(51)【国際特許分類】
B29D 35/14 20100101AFI20250123BHJP
【FI】
B29D35/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542205
(86)(22)【出願日】2023-01-19
(85)【翻訳文提出日】2024-09-13
(86)【国際出願番号】 IB2023050467
(87)【国際公開番号】W WO2023139515
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511264353
【氏名又は名称】プーマ エス イー
【氏名又は名称原語表記】PUMA SE
【住所又は居所原語表記】Puma Way 1,91074 Herzogenaurach Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ダニング,クリストファ
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA01
4F050HA20
4F050HA23
4F050HA30
4F050HA56
4F050JA02
4F050JA04
4F050JA05
4F050JA06
4F050JA09
4F050JA13
4F050NA56
(57)【要約】
履物の製品のソール構造体用構成要素の製造方法は、プラットフォーム、第1の供給部を受ける第1のヘッド、および第2の供給部を受ける第2のヘッドを有するプリンタを提供することを含む。上記方法はさらに、プラットフォーム上にベース層を印刷することを含み、ベース層は基材材料を含み、長手方向の軸を定義する。さらに、上記方法は、上記ベース層上に第1の繊維層を連続的に印刷することを含み、上記第1の繊維層は、長手方向の軸に対して第1の角度で配置される第1の繊維配向を定義し、上記第1の繊維層上に第2の繊維層を連続的に印刷することを含み、上記第2の繊維層は、上記長手方向の軸に対して第2の角度で配置される第2の繊維配向を定義する。上記第1の角度は上記第2の角度とは異なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物の製品のソール構造体用構成要素の製造方法であって、前記方法は、
プラットフォームと、第1の供給部を受ける第1のヘッドと、第2の供給部を受ける第2のヘッドと、を有する三次元プリンタを提供し、
前記プラットフォーム上にベース層を印刷し、前記ベース層は基材材料を含み、長手方向の軸を定義し、
第1の繊維層を前記ベース層上に連続して印刷し、前記第1の繊維層は、前記長手方向の軸に対して第1の角度で配置された第1の繊維配向を定義し、
第2の繊維層を前記第1の繊維層上に連続して印刷し、前記第2の繊維層は、前記長手方向の軸に対して第2の角度で配置された第2の繊維配向を定義し、前記第1の角度は、前記第2の角度と異なり、
印刷モデルを圧縮成形プロセスで処理し、前記印刷モデルは、少なくとも前記ベース層と、前記第1の繊維層と、前記第2の繊維層と、を含む。
【請求項2】
前記第1の繊維層は、少なくとも60%の基材材料を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の繊維層は、少なくとも50%の繊維材料を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の繊維層および前記第2の繊維層は、異なる層の体積を定義する、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の繊維層は、炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、またはガラス繊維のうち少なくとも一つ含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記印刷モデルは、少なくとも5つの繊維層を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記印刷モデルは、後部セグメントと前部セグメントとの間を延在するアーチセグメントを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
透明樹脂は、前記圧縮モールド内の前記印刷モデルに塗布される、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記印刷モデルは、前記長手方向の軸に対して第3の角度で配置された第3の繊維配向を定義する第3の繊維層を含み、前記第3の繊維層は、前記第3の角度は前記第1の角度と等しく、前記第3の繊維層は前記第2の繊維層によって前記第1の繊維層から分離されている、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
履物の製品のソール構造体用プレートであって、
前記履物は、インソールを有するアッパーを含み、
前記プレートは、
外側面に対向する内側面と、
足指端に対向する踵端と、
基材材料を含むベース層と、を含み、
前記ベース層と連結する複数の複合層と、前記各複合層は、第1の体積の基材材料および第2の体積の繊維材料を含み、
前記第1の体積の基材材料と前記第2の体積の繊維材料とは異なり、
前記複合層のそれぞれは、第1の繊維配向を定義し、前記第1の繊維配向は隣接する複合層間で異なり、
前記プレートは、上面および底面を定義するように層毎に印刷され、前記上面の少なくとも一部は前記アッパーの前記インソールと間隔を空けて配置される。
【請求項11】
前記複合層は、前記プレートの上面と底面との間に積層体として配置され、前記積層体は、準等方性を有する、
請求項10に記載のプレート。
【請求項12】
前記複合層のそれぞれは、異方性を有し、前記異方性は、隣接する複合層間で異なる、
請求項11に記載のプレート。
【請求項13】
前記異方性は、剛軟度、ねじれ抵抗、または引張剛性の少なくとも一つを含む、
請求項12に記載のプレート。
【請求項14】
前記第1の体積の基材材料は、前記第2の体積の繊維材料より少ない、
請求項10に記載のプレート。
【請求項15】
前記第2の体積の繊維材料は、炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、またはガラス繊維のうち少なくとも一つを含む、
請求項10に記載のプレート。
【請求項16】
履物の製品用プレートを製造するための三次元プリンタおよび圧縮モールドの使用方法であって、前記方法は、
前記プリンタの第1のヘッドに供給される基材材料の供給部を提供し、
前記プリンタの第2のヘッドに供給される繊維材料の供給部を提供し、
前記プリンタ内のプラットフォーム上に予備成形モデルを提供し、
前記プリンタにデザインモデルを提供し、前記第1のヘッドおよび前記第2のヘッドは、少なくとも2つの複合層を前記予備成形モデル上に印刷するために選択的に作動・停止され、
前記少なくとも2つの複合層は、前記予備成形モデルから分離され、前記圧縮モールド内に受容される。
【請求項17】
前記少なくとも2つの複合層のそれぞれは、前記第2のヘッドによって提供される連続繊維ストランドを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記プレートは、第1の剛性を有する前部セグメント、第2の剛性を有するアーチセグメント、および第3の剛性を有する後部セグメントを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の剛性は、前記第2の剛性より大きく、前記第3の剛性は、前記第1の剛性より大きい、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の剛性、前記第2の剛性、および前記第3の剛性は、等しい、
請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2022年1月19日に出願された米国出願第17/578,752号の利益および優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[連邦政府が支援する研究開発に関するリファレンス]
該当なし
【0003】
[配列表]
該当なし
【0004】
本開示は、概して、プレートを有する履物具に関し、より具体的には、カスタマイズされた補強及び推進パターンを有するように積層造形(アディティブマニュファクチャリング)プロセスによって形成されたプレートを有する履物具に関する。
【背景技術】
【0005】
従来の靴や履物具の多くは、一般にアッパー(upper)と、アッパーの下端に取り付けられたソールを含む。従来の靴は、アッパーとソールの内側表面によって形成される内部空間、すなわちボイドまたはキャビティをさらに含み、靴を足に固定する前にユーザの足を受けている。ソールはアッパーの底面または境界に取り付けられ、アッパーと地面の間に位置する。その結果、ソールは通常、靴を履いているときに安定性とクッション性をユーザに提供する。場合によっては、ソールは、アウトソール、ミッドソール、上部など、複数の構成要素を含むことがある。例えば、ソールには、ソールに沿った1つまたは複数の所望の位置で安定性を高める特定の発泡素材や、ユーザが走ったり、歩いたり、別の活動に取り組んだりしているときに足や脚にかかる応力や衝撃エネルギーを軽減する発泡素材を含むことができる。ソールはまた、ソールの全体的な剛性を高め、使用中のエネルギーロスを減らすために、ソールに埋め込まれたプレートなどの付加的な構成要素を含むこともできる。
【0006】
アッパーは一般にソールから上方に延び、足を完全にまたは部分的に包む内部キャビティを定義する。多くの場合、アッパーは足の甲の領域とつま先の領域、そして内側と外側にまたがっている。多くの履物具には、アッパーの内側と外側の縁の間のギャップを埋めるために、甲の部分を横切って伸びるタン(tongue)が含まれることもある。タンはまた、靴の締め付けを調節できるように、レーシングシステム(lacing system)の下方で、アッパーの内側と外側の間に配置されることもある。タンはさらに、内部空間またはキャビティから足を出入りさせるために、ユーザが操作可能であってもよい。さらに、レーシングシステムは、ユーザがアッパーやソールの特定の寸法を調整することを可能にし、それによってアッパーが様々なサイズや形状を持つ多種多様な足型に適合させることができる。
【0007】
ソールは、靴の1つ以上の使用目的に基づいて選択される多種多様な素材を含むことができる。ソールはまた、アッパーの特定部位に特化した様々な素材からなる部分を含むこともある。例えば、ソールの前部や踵部に隣接する部分には、より高い抵抗力や剛性を持たせるために、安定性を高めることが望まれる。一方、靴の他の部分は、柔軟性、クッション性、およびユーザの足への適合性を提供するために柔らかい場合がある。さらに、扁平足やその他の特殊な足に悩む人は、靴にインソールを入れて、より狙いを定めたサポートを提供することが多い。このように、ユーザの好みは多種多様であるため、靴の様々な部分、方向、ゾーンに沿ってクッション性、サポート性、剛性を提供するようにカスタマイズできる靴が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、現在入手可能な靴の多くは、上記の特性に関連する様々な特徴を有する一方で、多くの靴は、標準的なサイズおよび形状で製造されたソール構造を含むため、カスタマイズ不足を抱えるソール構造を有する。さらに、多くの運動靴、特にランニングシューズは、かなりの量の廃棄物を出す方法で製造されている。
【0009】
したがって、カスタマイズされた特性に役立ち、廃棄物の量を最小限に抑えて製造される特徴を有する履物の製品が望まれている。これら及び従来技術の他の欠点は、以下の開示に概説されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で説明する履物の製品の多くの利点は、当業者には明らかであろう。本明細書で説明する履物の製品は、様々な構成を有することができる。履物の製品は、アッパーと、アッパーに連結されたソール構造とを有することができる。
【0011】
いくつかの態様において、履物の製品のソール構造用の構成要素を製造する方法は、プラットフォーム、第1の供給部を受け取る第1のヘッド、および第2の供給部を受け取る第2のヘッドを有するプリンタを提供することを含む。本方法はさらに、プラットフォーム上にベース層を印刷することを含み、ベース層は基材からなり、長手方向の軸を定義する。さらに、本方法は、ベース層上に第1の繊維層を連続的に印刷することを含み、第1の繊維層は、長手方向の軸に対して第1の角度で配置される第1の繊維配向を定義し、第1の繊維層上に第2の繊維層を連続的に印刷することを含み、第2の繊維層は、長手方向の軸に対して第2の角度で配置される第2繊維配向を定義する。第1の角度は、第2の角度と異なる。本方法はまた、印刷モデルを圧縮成形プロセスで処理することを含む。印刷モデルは、少なくともベース層、第1の繊維層、および第2の繊維層を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の繊維層は少なくとも60%の基材を含む。他の実施形態では、第2の繊維層は少なくとも50%の繊維材料を含む。さらに、第1の繊維層および第2の繊維層は、異なる層の体積を定義する。いくつかの実施形態において、第1の繊維層は、炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、またはガラス繊維のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、印刷モデルは少なくとも5つの繊維層を含む。印刷モデルは、後部セグメントと前部セグメントとの間を延在するアーチセグメントを含む。さらに、透明樹脂は圧縮モールド内の印刷モデルに塗布される。印刷モデルは、長手方向の軸に対して第3の角度で配置される第3の繊維配向を定義する第3の繊維層を含み、第3の角度は第1の角度と等しく、第2の繊維層は第2の繊維層によって第1の繊維層から分離される。
【0013】
いくつかの態様では、インソールを有するアッパーを含む履物の製品のソール構造にプレートが提供される。プレートは、外側面に対向する内側面と、足指端に対向する踵端と、基材材料を含むベース層と、ベース層と連結する複数の複合層とを含む。各複合層は、第1の体積の基材と第2の体積の繊維材料を含む。第1の体積の基材材料と第2の体積の繊維材料は異なる。各複合層は繊維配向を定義し、繊維配向は隣接する複合層間で異なる。プレートは上面および底面を定義するように層毎に印刷され、上面の少なくとも一部はアッパーのインソールと間隔を空けて配置される。
【0014】
いくつかの実施形態では、複合層はプレートの上面と底面の間に積層体(stack)として配置され、積層体は準等方特性を有する。各複合層は異方性特性を有し、異方性は隣接する複合層間で異なる。異方性は、剛軟度、ねじれ抵抗、または引張剛性の少なくとも1つを含む。第1の体積の基材は、第2の体積の繊維材料よりも小さい。第2の体積の繊維材料は、炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、またはガラス繊維の少なくとも1つを含む。
【0015】
さらに別の態様では、履物の製品用プレートを製造するための三次元プリンタと圧縮モールドの使用方法は、プリンタの第1のヘッドに供給される基材材料の供給部を提供し、プリンタの第2のヘッドに供給される繊維材料の供給部を提供し、プリンタ内のプラットフォーム上に予備成形モデルを提供し、プリンタにデザインモデルを提供する。第1のヘッドと第2のヘッドを選択的に作動・停止され、予備成形モデル上に少なくとも2つの複合層を印刷する。少なくとも2つの複合層は、予備成形モデルから分離され、圧縮モールド内に受容される。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの複合層のそれぞれは、第2のヘッドによって提供される連続繊維ストランド(continuous fiber strand)を含む。プレートは、第1の剛性を有する前部セグメント、第2の剛性を有するアーチセグメント、および第3の剛性を有する後部セグメントを含む。第1の剛性は第2の剛性よりも大きく、第3の剛性は第1の剛性よりも大きい。第1の剛性、第2の剛性、および第3の剛性は等しい。
【0017】
履物の製品の特徴及び利点を含む履物の製品の他の態様は、本明細書の図及び詳細な説明を検討することにより、当業者に明らかになるであろう。したがって、履物の製品のそのような態様は全て、詳細な説明及び本要約に含まれることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態による、アッパーとソール構造とを含む右靴として構成された履物の製品の底面および内側面の透視図である。
【
図3】
図3は、アッパーが取り外され、その上にユーザの足の骨格構造が重ねられた、
図1の履物の製品の上面図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態によるプレートを示す、
図1の履物の製品の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、弾性率と繊維の体積率との関係を示すグラフである。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態によるプレートのアディティブマニュファクチャリングに用いられるプリンタの概略図である。
【
図8A】
図8Aは、本開示の実施形態によるプレートを印刷するプロセスを示すフロー図である。
【
図8B】
図8Bは、本開示の実施形態によるプレートを印刷するプロセスを示すフロー図である。
【
図10】
図10は、例示的な製造プロセスを経た、別の実施形態の履物の製品用プレートのいくつかの層の上面の概略図である。
【
図11】
図11は、例示的な製造プロセスを経た、別の実施形態の履物の製品用プレートのいくつかの層の上面の概略図である。
【
図12】
図12は、例示的な製造プロセスを経た、別の実施形態の履物の製品用プレートのいくつかの層の上面の概略図である。
【
図13】
図13は、例示的な製造プロセスを経た、別の実施形態の履物の製品用プレートのいくつかの層の上面の概略図である。
【
図14】
図14は、例示的な製造プロセスを経た、別の実施形態の履物の製品用プレートのいくつかの層の上面の概略図である。
【
図15】
図15は、例示的な製造プロセスを経た、別の実施形態の履物の製品用プレートのいくつかの層の上面の概略図である。
【
図16】
図16は、例示的な製造プロセスを経た、別の実施形態の履物の製品用プレートのいくつかの層の上面の概略図である。
【
図17】
図17は、例示的な製造プロセスを経た、別の実施形態の履物の製品用プレートのいくつかの層の上面の概略図である。
【
図18】
図18は、プレートのさらに別の実施形態を組み込んだソール構造体の別の実施形態の分解図である。
【
図19】
図19は、プレートのさらに別の実施形態の側面の概略図であり、プレートは、けん引要素を有するアウトソールとして構成される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明および添付の図は、靴およびソール構造体の様々な実施形態または構成を開示している。靴またはソール構造体の実施形態は、ランニングシューズ、テニスシューズ、バスケットボールシューズなどのスポーツシューズを例にして開示されているが、靴またはソール構造体の実施形態に関連する概念は、例えば、クロストレーニングシューズ、フットボールシューズ、ゴルフシューズ、ハイキングシューズ、ハイキングブーツ、スキーおよびスノーボードブーツ、サッカーシューズおよびクリート、ウォーキングシューズ、トラッククリートなど、広範囲の履物および履物の形態に適用することができる。シューズやソール構造体の概念は、ドレスシューズ、サンダル、ローファー、スリッパ、ヒールなど、運動競技用ではない履物にも適用することができる。履物だけでなく、本明細書に記載された特定の概念は、ヘルメット、パッドまたは保護パッド、すね当て、手袋を含む、他の種類の衣服または他の運動競技用具にも適用し、組み込むことができる。さらに、本明細書に記載の特定の概念は、クッション、バックパックストラップ、ゴルフクラブ、または他の消費者製品もしくは工業製品に組み込むことができる。したがって、本明細書に記載の概念は、様々な製品に利用することができる。
【0020】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、本明細書の開示の実施形態を含むことができる履物の製品又は他の製造品に使用される典型的な測定及び製造手順によって、これらの手順における不注意な誤りによって、組成物又は混合物を製造するため又は方法を実施するために使用される成分の製造、供給源、又は純度の違いによって生じる可能性のある数値量のばらつきを指す。本開示の全体を通じて、「約」および「おおよそ」という用語は、その用語が先行する数値の±5%の値の範囲を指す。
【0021】
本開示は、アッパーおよび/またはソールまたはソール構造体などの、履物の製品および/または履物の製品の特定の構成要素を対象とする。アッパーは、ニット部品、織物、および/または不織布から構成されてもよい。ニット部品は糸のニットにより、織布は糸の織りにより、不織布は一体型不織布の製造により製造することができる。ニット織物には、経編み、緯編み、平編み、丸編み、および/または他の適切な編み方によって形成された織物が含まれる。ニット織物は、例えば、プレーンニット構造、メッシュニット構造、および/またはリブニット構造を有することができる。織物には、例えば、平織、綾織、朱子織、ドビン織、ジャカード織、二重織、および/または二重布織のような多数の織形態のいずれかの方法によって形成された織物が含まれるが、これらに限定されない。不織布には、例えば、エアレイド法および/またはスパンレイド法によって作られた織物が含まれる。アッパーは、第1糸、第2糸、および/または3糸のような様々な材料から構成されてもよく、これらは様々な特性または様々な視覚特性を有していてもよい。
【0022】
図1~3は、アッパー102とソール構造体104とを含む靴として構成された履物具100の例示的な実施形態を示している。アッパー102はソール構造体104に取り付けられ、足が挿入可能な内部キャビティ106(
図2および
図3参照)を共に定義する。参考のため、履物具100は、足先領域108、中央領域110、及び踵領域112を定義している(
図2及び
図3参照)。足先領域108は、一般に、足指、母指球、及び中足骨と足指又は指節とを連結する関節を含む足の一部を包む履物具100の部分に対応する。中央領域110は、足先領域108に近接し隣接しており、一般に、足の土踏まずと共に足のアーチを包む履物具100の部分に対応する。踵領域112は、中央領域110に近接し隣接しており、一般に、踵又は踵骨、足首、及び/又はアキレス腱を含む足の後部を包む履物100の部分に対応する。縦軸Vは、履物100の中央領域110を通って延び、さらに、足先領域108と踵領域112との間に配置される垂直平面を定義する。縦軸Lは、履物100のソール104を通って、足先領域108、中央領域110、および踵領域112内に延びている。縦軸Lは、縦軸Vの垂直面に対して概ね垂直な縦断面を定義し、縦断面Lは、ソール104の一部に対して接線方向に配置されてもよいし、ソール104の一部と同一平面上に配置されてもよい。
【0023】
1つの靴100、すなわちユーザの右足に履かれる靴のみが描かれているが、本明細書に開示された概念は、一対の靴(図示せず)に適用可能であり、この一足の靴は、それぞれ、ユーザの左足および右足を入れるようなサイズおよび形状にされた左靴および右靴を含むことを理解されたい。しかしながら、開示を容易にするために、本開示の態様を説明するために単一の靴を参照するが、履物具100を参照した以下の開示は、左靴と右靴の両方に適用可能である。しかしながら、いくつかの実施形態では、左靴と右靴との間には、左/右の構成以外の違いがある場合がある。さらに、いくつかの実施形態において、左靴は、右靴が含まない1つ以上の追加部品を含んでもよく、その逆もまた同様である。
【0024】
従来の履物のアッパーの多くは、複数の部品、例えば、織物、ポリマーフォーム、ポリマーシート、革、及び合成皮革から形成され、これらの部品は、縫い目における接着又は縫合によって接合される。いくつかの実施形態では、履物具100のアッパー102は、ニット構造またはニット構成要素から形成される。様々な実施形態において、ニット構成要素は、アッパーに異なる特性を与えることができる様々なタイプの糸を組み込むことができる。例えば、アッパー102の1つの領域は、第1セットの特性を付与する第1タイプの糸から形成されてもよく、アッパー102の別の領域は、第2セットの特性を付与する第2タイプの糸から形成されてもよい。この構成を用いると、アッパー102の異なる領域に対して特定の糸を選択することにより、アッパー102の特性をアッパー102全体で変化させることができる。
【0025】
アッパー102を構成する材料(複数可)を参照すると、特定のタイプの糸がニット構成要素の領域にもたらす特定の特性は、糸の様々なフィラメントおよび繊維を形成する材料に少なくとも部分的に依存する可能性がある。例えば、綿はニット素材にソフトな効果、生分解性、または自然な美観を与える可能性がある。エラスタンとストレッチ・ポリエステルはそれぞれ、所望の伸縮性と回復性を備えたニット構成要素を提供することができる。レーヨンは高光沢で吸湿性のある素材を、ウールは吸湿性を高めた素材を、ナイロンは耐摩耗性のある耐久性のある素材を、ポリエステルは疎水性のある耐久性のある素材を提供することができる。
【0026】
ニット構成要素の他の態様も、ニット構成要素の特性に影響を与え、所望の属性を提供するために変化させることができる。例えば、ニット構成要素を形成する糸は、モノフィラメント糸またはマルチフィラメント糸を含むことができ、または糸は、各々が2つ以上の異なる材料で形成されたフィラメントを含むことができる。さらに、ニット構成要素は、ニット構成要素の領域に特定の特性を付与するために特定のニットプロセスを使用して形成することができる。従って、糸を形成する材料と糸の他の態様の両方を選択して、アッパー102の特定の領域に様々な特性を付与することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、ニット構造体の弾性は、ニット構造体に横方向に力が加えられた後の、第1非伸縮状態におけるニット構造の幅または長さと、第2伸縮状態におけるニット構造の幅または長さとの比較に基づいて測定することができる。さらなる実施形態において、アッパー102はまた、追加の構造要素を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、踵領域112に踵プレートまたはカバー(図示せず)を設けて、ユーザの踵に付加的なサポートを提供することができる。場合によっては、他の要素、例えばプラスチック素材、ロゴ、商標なども、接着剤や熱成形プロセスを使って外面に塗布・固定することができる。いくつかの実施形態では、アッパー102に関連する特性、例えば、縫い目のタイプ、糸のタイプ、または異なる縫い目のタイプもしくは糸のタイプに関連する特性、例えば、伸縮性、美的外観、厚さ、通気性、防水性、またはスカッフ耐性を変化させることができる。いくつかの実施形態では、アッパー102は、アッパー102の様々な層を結合するために一緒に熱プレスされる様々な層で構成される。例えば、アッパー102を構成する層は、一度に、単一の温度で熱プレスすることができる。アッパー102を構成する材料は、内側メッシュ層、熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルム、および外側メッシュ層を含むことができる。いくつかの実施形態では、TPU表皮がアッパーの外面に沿って適用されてもよい。
【0028】
再び
図1を参照すると、ソール構造体104は、アッパー102に接続または固定されており、履物具100がユーザに履かれているときにユーザの足と地面との間に延びている。ソール構造体104は、アウトソール、ミッドソール、踵、つま先革、および/またはインソールを含むことができる1つまたは複数の構成要素を含んでよい。例えば、いくつかの実施形態では、ソール構造体は、ユーザにけん引力を提供するとともにソール構造体に構造的完全性を提供するアウトソール、クッションシステムを提供するミッドソール、およびユーザのアーチをサポートするインソールを含むことができる。さらに、インソールは、ストロベル(strobel)縫いによってアッパーに取り付けられるストロベルボード、前足ボード、ラスティングボードなど、またはそれらの組み合わせであってもよく、インソールはアッパー102とソール構造体104の間に設けられてもよく、インソールはアッパー102の一部として設けられてもよい。
【0029】
さらに、インソールは、アッパー102の内部キャビティ106内に配置することができ、履物具100が着用されている間、ユーザの足に直接接触することができる。さらに、アッパー102は、例えば、ユーザの足とアッパー102、ソール104、インソールなどとの間の摩擦を低減することによって、および/または吸湿発散特性を提供することによって、快適性を高めることができるライナー(図示せず)を含むこともできる。ライナーは、内部キャビティ106の全体を覆ってもよいし、その一部だけを覆ってもよい。いくつかの実施形態では、ライナーをアッパー102に固定するため、および/または履物具100に美的要素を提供するために、結合部(図示せず)が内部キャビティ106の開口部を囲むことがある。
【0030】
図2および
図3を参照すると、履物具100は、外側面116および内側面118も定義している。ユーザが靴を履いているとき、外側面116は履物具100の外側に面する部分に対応し、一方、内側面118は履物具100の内側に面する部分に対応する。このように、履物具100は、対向する外側面116と内側面118を有する。内側面118と外側面116は、
図1の長手方向の軸Lと同一平面上にある履物具100の長手方向の中心面又は軸120に沿って互いに隣接している。本明細書で更に議論されるように、長手方向の中心面又は軸120は、履物具100の内側面118と外側面116の間の中心、中間軸を定義することができる。別言すると、長手方向の平面又は軸120は、履物具100の後部の近位端122と履物具100の前部の遠位端124の間に延び、履物具100のインソール126、ソール構造体104、及び/又はアッパー102の中間を連続的に定義することができ、すなわち、長手方向の平面又は軸120は、踵領域112の後部の近位端122を通って足先領域108の前部の遠位端124まで延びる直線軸である。
【0031】
別段の指定がない限り、また
図2および
図3を参照しない限り、履物具100は、足先領域108、中央領域110、および踵領域112によって定義してもよい。足先領域108は、一般に、足指または指骨130、母指球132、および足128の中足骨136と足指または指骨130とをつなぐ関節134の1つ以上を含む足128の一部を包む履物具100の部分に対応することができる。中央領域110は、足先領域108に近接し、隣接している。中央領域110は、一般に、足128のブリッジとともに足128のアーチを包む履物具100の部分に対応する。踵領域112は、中央領域110に近接し、中央領域110に隣接している。踵領域112は、一般に、踵又は踵骨138、足首(図示せず)、及び/又はアキレス腱(図示せず)を含む、足128の後部を包む履物具100の部分と対応している。
【0032】
引き続き
図2及び
図3を参照すると、足先領域108、中央領域110、踵領域112、内側面118、及び外側面116は、履物具100の境界又は領域を定義することを意図している。そのために、足先領域108、中央領域110、踵領域112、内側面118、及び外側面116は、一般に、履物具100のセクションを特徴付ける。本開示のある態様は、足先領域108、中央領域110、踵領域112、内側面118、および/または外側面116のうちの1つ以上と同範囲にある部分または要素を指す場合がある。さらに、アッパー102とソール構造体104の両方が、足先領域108、中央領域110、踵領域112、および/または内側面118および/または外側面116に沿った部分を有することを特徴としてもよい。したがって、アッパー102およびソール構造体104、ならびに/またはアッパー102およびソール構造体104の個々の部分は、足先領域108、中央領域110、踵領域112、および/または内側面118および/または外側面116に沿って配置される部分を含むことができる。
【0033】
引き続き
図2および
図3を参照すると、足先領域108、中央領域110、踵領域112、内側面118、および外側面116が詳細に示されている。足先領域108は、足指端140から履物具100の最も幅の広い部分142まで延びている。最も幅の広い部分142は、足指端140の末端部から、足指端140の反対側にある踵端146の末端部まで延びる、長手方向の軸120に対して垂直である第1の線144に沿って定義または測定される。中央領域110は、最も広い部分142から履物具100の最も狭い部分148まで延びている。履物具100の最も狭い部分148は、長手方向の軸120に対して垂直な第2の線150を横切って測定される履物具100の最も薄い部分として定義される。踵領域112は、最も狭い部分148から履物具100の踵端146まで延びている。
【0034】
前述の説明から当業者には多数の変更点が明らかであり、その個々の構成要素は多数の履物の製品に組み込んでもよいことが理解されるべきである。従って、履物具100及びその構成要素の態様は、足先領域108、中央領域110、踵領域112、内側面118、及び/又は外側面116の境界は、本明細書で説明するように、履物具100の一般的な領域又は部分を参照して説明することができるが、履物の製品によって異なる可能性があることを理解されたい。しかしながら、履物具100の側面及びその個々の構成要素は、履物具100の正確な領域又は部分を参照して説明することもでき、本明細書における添付の特許請求の範囲は、本明細書で説明する足先領域108、中央領域110、踵領域112、内側面118、及び/又は外側面116のこれらの境界に関連する制限を組み込むことができる。
【0035】
引き続き
図2および
図3を参照すると、内側面118は、末端の足指端140から始まり、足先領域108に沿って中央領域110に向かって履物具100の内側に沿って外側に弓なりになっている。内側面118は、第1の線144に達し、このとき内側面118は、中央の長手方向の軸120に向かって、内側に弓なりに曲がっている。内側面118は、第1の線144、すなわち最も幅の広い部分142から、第2の線150、つまり最も幅の狭い部分148に向かって延び、このとき内側面118は、第1の線144を越えると、つまり中央領域110に入り込む。第2の線150に達すると、内側面118は、長手方向の中心軸120から離れて外側に反り、このとき内側面118は、第2の線150を横切ると、つまり踵領域112に延びる。その後、内側面118は外側に反り、次に踵端146に向かって内側に反り、内側面118が長手方向の中心軸120に接する点で終端する。
【0036】
外側面116もまた、末端の足指端140から始まり、足先領域108に沿って中央領域110に向かって履物具100の外側面に沿って外側に反っている。外側面116は、第1の線144に達した時点で、長手方向の中心軸120に向かって、内側に弓なりに曲がっている。外側面116は、第1の線144、つまり最も幅の広い部分142から、第2の線150、つまり最も幅の狭い部分148に向かって延び、その時点で、つまり第1の線144を横切った時点で、外側面116は中央領域110に入り込む。第2の線150に達すると、外側面116は長手方向の中心軸120から離れて外側に反り、このとき外側面116は踵領域112に延び、つまり第2の線150を横切る。その後、外側面116は外側に反り、次に踵端146に向かって内側に反り、外側面116が長手方向の中心軸120に接する地点で終端する。
【0037】
引き続き
図2および
図3を参照すると、アッパー102は、外側面116および内側面118に沿って、足先領域108、中央領域110、および踵領域112を横切って延び、ユーザの足を収容し包む。完全に組み立てられたとき、アッパー102は内表面162と外表面164も含む。内表面162は内側に向き、一般に内部キャビティ106を定義し、アッパー102の外表面164は外側に向き、一般にアッパー102の外周または境界を定義する。アッパー102はまた、履物具100の踵領域112に少なくとも部分的に配置される開口166を含み、この開口は内部キャビティ106へのアクセスを可能にし、この開口を通して足を出し入れすることができる。いくつかの実施形態では、アッパー102は、踵領域112の開口166から足の甲に対応する領域にわたって足先領域108に近い領域まで延びる甲領域168も含むことができる。甲領域168は、本実施形態のタン170が配置される領域と同様の領域を構成することができる。いくつかの実施形態では、アッパー102はタン170を含まず、つまりアッパー102はタンなしである。
【0038】
図1を参照すると、ソール構造体104はミッドソール172とアウトソール174を含む。ある実施態様では、アウトソールは、履物具100を履いたときに少なくとも部分的に外表面、例えば地面と接触するソール104の部分として定義することができる。アウトソール174は、踵領域112、中央領域110、および足先領域108にわたって、ソール構造体104の底端または底面176を定義してもよい。さらに、アウトソール174は、ソール構造体104のグラウンド・エンゲージング部を含む、またはグラウンド・エンゲージング面を含み、そのインソールと対向していてもよい。
図1に示されるように、アウトソール174の底面176は、さまざまな形状および構成を含むことができるトレッドパターン178を含むことができる。アウトソール174は、耐久性、耐摩耗性、耐摩耗性、またはトラクションをソール構造体104に付与するために、1つまたは複数の材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、アウトソール174は、任意の種類のエラストマー材料、例えば、熱硬化性エラストマーまたは熱可塑性エラストマーを含むゴム、または熱可塑性材料、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)から形成されてよい。いくつかの実施形態では、アウトソール174はショアA硬度を95まで定義することができる。さらに、アウトソール174は、射出成形、加硫、層ごとの印刷、すなわちアディティブマニュファクチャリングのシステムまたは方法などを含むプロセスによって製造されてもよい。
【0039】
引き続き
図1を参照すると、ミッドソール172は、アウトソール174からアッパー102に向かって伸びる、またはアウトソール174とアッパー102との間に伸びて連結し、ソール104の少なくとも一部として定義することができる。ミッドソール172は、例えばポリウレタン(PU)などの熱可塑性材料、および/またはエチレンビニルアセテート(EVA)、そのコポリマー、または同様の種類の材料から個別に構成してもよい。他の実施形態では、ミッドソール172は、EVA-ソリッド-スポンジ(「ESS」)材料、EVAフォーム(例えば、PUMA(登録商標)ProFoam Lite
TM、IGNITEフォーム)、ポリウレタン、ポリエーテル、オレフィンブロックコポリマー、オルガノシート、熱可塑性材料(例えば、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリオレフィンなど)、または超臨界フォームであってもよい。ミッドソール172は、単一のポリマー材料であってもよいし、EVAコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)コポリマー、および/またはオレフィンブロックコポリマーなどの材料のブレンドであってもよい。PEBA材料の一例はPEBAX(登録商標)である。いくつかの実施形態では、ミッドソール172は、射出成形、加硫、層ごとの印刷、すなわち、アディティブマニュファクチャリングのシステムまたは方法などを含むプロセスによって製造される。
【0040】
ミッドソール172が超臨界フォームプロセスから形成される実施形態では、超臨界フォームは、オートクレーブ、射出成形装置、または超臨界流体(例えば、CO2、N2、またはそれらの混合物)と、好ましくは溶融している材料(例えば、TPU、EVA、PEBAX(登録商標)、またはそれらの混合物)との混合を処理することができる十分に加熱/加圧された容器内で実行されるプロセスを使用して製造される、TPU、EVA、PEBAX(登録商標)、またはそれらの混合物などの微細孔フォームまたは粒子フォームから構成されてもよい、CO2、N2、またはそれらの混合物)と、好ましくは溶融している材料(例えば、TPU、EVA、ポリオレフィンエラストマー、またはそれらの混合物)との混合を処理することができる、十分に加熱/加圧された容器内で行われる。例示的なプロセスでは、超臨界流体および溶融材料の溶液は、加圧された容器内に圧送され、その後、容器内の圧力が解放され、超臨界流体の分子が急速に気体に変換して材料内に小さなポケットを形成し、材料がフォームに膨張する。さらなる実施形態では、ミッドソール172は、膨張プレス、射出成形機、ペレット膨張プロセス、冷間発泡プロセス、圧縮成形技術、型抜き、またはそれらの任意の組み合わせの使用を含む、当該技術分野で公知の代替方法を使用して形成することができる。例えば、ミッドソール172は、超臨界ガスを使用して材料を発泡させる初期発泡プロセスを含み、その後、特定の形状に圧縮成形または型抜きするプロセスを使用して形成してもよい。
【0041】
図2に戻り、履物具100は、レース184と複数のアイレット188とを含む締付けシステム180も含む。この実施形態では、レース184は複数のアイレット188を通って延びている。いくつかの実施形態では、締付けシステム180は、弾性バンドを含んでもよい。締付けシステム180により、ユーザはアッパー102の寸法を変更することができ、例えば、着用者の希望に応じて足の周のアッパー102および/またはソール104の一部を締め付けたり緩めたりすることができる。締付けシステム180はまた、アッパー102の中心に沿って、レース184を誘導することができる1つ以上のループを含むバンド(図示せず)を含むことができる。他の実施形態では、締付けシステム180は、Velcro(登録商標)のような面ファスナーシステムであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、締付けシステム180は、1つ以上の面ファスナーストラップを含むことができる。さらに別の実施形態では、締付けシステム180は、当該技術分野で公知のその他の紐なし締付けシステムであってもよい。更に他の実施形態では、締め付けシステム180は、2018年5月31日に出願された米国特許出願第15/780,368号および2019年4月23日に出願された米国特許出願第16/392,470号に記載された紐留めシステムなどの、別の手動紐留めシステム、回転閉鎖装置、または自動紐留めシステムを含んでもよく、これらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0042】
本開示は、アディティブマニュファクチャリングプロセス(例えば、層ごとに印刷される)を用いて製造されるプレートを提供する。アディティブマニュファクチャリングプロセスは、様々な情報源(例えば、圧力ヒートマップ情報、レーザースキャナー、フォースプレート、ユーザの好みなど)から収集されたユーザ測定基準、および連続繊維製造(CFF)製造技術を組み込んで、推進力、安定性、および快適性などに関する特定のユーザの性能の好みに合わせてプレートを最適化する。アディティブマニュファクチャリングにより、従来のサブトラクティブ・マニュファクチャリングプロセス(例えば、射出成形、フライス加工、研削など)と比較して、廃棄物を最小限に抑えてプレートを製造することができる。さらに、アディティブマニュファクチャリングは、特定のユーザの嗜好に応じた、カスタマイズされた独自の設計に通常必要とされる過剰な労力を回避し、より少ないプロセスと反復作業でプレートを製造することを可能にする。さらに、CFF製造技術により、炭素繊維、ガラス繊維、Kevlar(登録商標)などの高価な高性能材料を使用しながら、プレートを効率的かつ安価に製造することができる。アディティブマニュファクチャリングでは、設計通りにプレートを構築するために、反復プロセスで材料を追加していくため、材料と時間の無駄が最小限に抑えられる。これは、炭素繊維やKevlar(登録商標)のような高価な材料に関連するコストを考慮する場合に特に重要であり、また、そのような材料の供給および/または出荷の可用性を必要に応じて考慮する場合にも重要である。無駄を省くことで、ユーザはより正確な量と予測可能性の高い材料を調達することができ、また輸送コストや、高価な材料の長距離、例えば世界的な輸送に伴う排出物や汚染を削減することが可能になる。
【0043】
本開示によるプレートの製造には、CFFを用いたアディティブマニュファクチャリングが好ましい。アディティブマニュファクチャリングプロセスは、デザインモデルを受け取り、プレートを3Dプリントするためのプリント命令を生成することができる、MarkForged(登録商標)によって製造されるプリンタなどの3Dプリンタを用いて実施することができる。デザインモデルは、履物の成形品のために形成されることが意図されるプレートの電子三次元表現であってもよい。一部の実施形態では、デザインモデルは、3DCADファイル、3Dステレオリソグラフィファイル(.STLファイル)、またはMarkForged(登録商標)が提供するEigerTMなどのウェブベースまたはクラウドベースのデザインプログラムと互換性のある任意のファイルの形式であってもよい。
【0044】
代替的または追加的には、デザインモデルは、入力データに応答してコントローラによって生成されてもよい。例えば、収集され、ソフトウェアに入力され、デザインモデルを設計および生成するために使用される身体的特性は、エンドユーザの体重、エンドユーザの歩行、および/または、立位、歩行、切断動作、および/または走行中に測定されたエンドユーザの足圧マップを含むことができる。さらに、プレートの適切な寸法や履物の他の態様を決定するために、足の様々な測定値を記録することができ、また、足の歩行に関連するデータを取得して、足の向きがつま先接地を示すか、踵接地を示すか、他のシナリオの中で決定することができる。足の測定値およびデータは、プレートの最適な形状および性能特性、ならびに履物内におけるプレートの最適な位置を決定するために用いることができる。さらに、収集した測定値やデータは、プレートを構成する材料の選択に用いることができる。さらに、本明細書に記載のアディティブマニュファクチャリングプロセスにより、収集された測定値およびデータに基づいて、特定の着用者のためにプレートの剛性を調整することができる。他の例では、プレートは剛性の増分ごとに製造され、個々の着用者が適切な合成を選択できるようにセミカスタムの履物を提供することができる。
【0045】
本開示による履物の製品のプレートを製造するために用いることができるアディティブマニュファクチャリングの方法の様々な代替方法は、バインダージェッティング、ダイレクトエナジーデポジション、選択的レーザー溶融(SLM)、熱溶解積層法(FDM)、電子ビーム溶解、レーザーパワードベッドフュージョン(LPBF)、超音波積層造形法、材料押出、材料噴射、ジュール印刷、電解メッキ(electrochemical deposition)、コールドスプレー金属印刷、DLP金属印刷、超音波結合(Ultrasonic Consolidation)又は超音波積層造形(UAM:Ultrasonic Additive Manufacturing)、LENSレーザーベース印刷、液槽光重合法、シート積層法(sheet lamination)、または電子ビーム自由造形法(EBF3:electron beam freeform fabrication)を含むことができる。
【0046】
本明細書において、「剛性」という用語は、荷重が加えられたときに構成要素が変形に抵抗する方法を指す。特に、本明細書では「剛性」を弾性変形、すなわち非破壊的と考えられる一時的な変形に関して説明する。したがって、「剛性」は、「抵抗」および「強度」という用語と組み合わせて使用することができる。さらに、「剛性」は、様々な方向、変形の種類、材料特性などに関して本明細書で説明することができる。例えば、構成要素の「剛性」は、曲げ剛性、引張剛性、またはせん断剛性に分解することができる。さらに、構成要素の「剛性」は、使用される材料の弾性率(E)に相関関係があり、ここで、弾性率はヤング率の式E=σ/εによって定量化することができ、σは一軸応力、すなわち単位表面あたりの力であり、εはひずみ、すなわち比例変形である。本明細書では、明確にするために、曲げ抵抗BRやねじり抵抗TRなどの特定のタイプの抵抗を指すために「剛性」をさらに特定する場合がある。本明細書では、明確にするために、「剛性」は、曲げ抵抗BRやねじり抵抗TRのような特定の種類の抵抗を指すようにさらに定義される場合がある。場合によっては、構成要素の「剛性」は、寸法、質量、または体積に関して定量化または計算することができる。例えば、構成要素の「剛性」は、他の単位が使用されてもよいが、ニュートンパーミリメートル(N/mm)の単位、またはギガパスカル(GPa)の単位で測定されてもよい。さらに、「剛性」は、履き心地、サポート性、安定性、剛性、耐久性など、履物の様々な態様と関連して理解される一方で、高いか低いかとして定性的に言及されることもある。
【0047】
図4は、本開示の一実施形態による、プレート200を含む履物具100の分解図を示す。プレート200は、底面208と対向する上面204と、後部セグメント212と、アーチセグメント216と、前部セグメント220とを含む。後部セグメント212は、履物100の少なくとも踵領域112を通って、そこに組み込まれたときに延びることがあり、本明細書で前述したように、足の後方部分の近くに位置するプレート200の部分に対応することがある。プレート200のアーチセグメント216は、後部セグメント212に近接し、隣接しており、フットブリッジとともに足のアーチを包む、履物100の中央領域110の近くに位置するプレート200の部分に対応する。プレート200の前部セグメント220は、アーチセグメント216に近接して隣接しており、履物100の足先領域108の近くに配置されたプレート200の部分のうち、足指、母指球、および中足骨と足指または指節とをつなぐ関節を包む部分に対応している。プレート200は、踵端146と足指端140でプレート200と交差する長手方向の基準軸224を定義する。また、プレート200は、踵端146及び足指端140を二等分する中心線軸228を定義しており、基準軸224が中心線軸228に対して斜めに延びるようになっている。
【0048】
図示の実施形態では、破線の分解線で示されるように、プレート200はミッドソール172内に埋め込まれており、ミッドソール172内のおおよその位置を示す。しかし、いくつかの実施形態では、プレート200は、ミッドソール172とアッパー102の間、またはミッドソール172とアウトソール174の間に嵌め込まれてもよく、またはプレート200は、アッパー102に取り付けられるアウトソール174として構成されてもよく、またはプレート200はアッパー102の一部として含まれてもよい。
【0049】
明確にするために、本開示では、方向座標X、Y、およびZが参照される。特に、X方向は、長手方向の基準軸224が延びる長手方向と直交する横方向から内側方向に対応し、Y方向は、長手方向の基準軸224と平行な長手方向に対応し、Z方向は、X方向およびY方向と直交する垂直方向に対応する。さらに、「面内」という用語は、本明細書では、Z方向が直交するX方向およびY方向に延びる2次元平面を指すために使用される。さらに、長手方向の基準軸224もまた、Z方向に垂直に延びる長手方向の基準平面を定義していることが理解されよう。
図1および
図4を参照すると、長手方向の軸Lによって定義される長手方向平面は、履物100の面内方向または部分と同一平面であってもよいことが理解されよう。さらに、縦軸Vによって定義される縦平面は、Z方向に延び、面内方向および縦平面に対して概ね垂直であってもよい。
【0050】
プレート200は、踵端146から踵領域112内の外側面116に向かって中心線軸228に対して外側に湾曲し、少なくとも部分的に後部セグメント212を定義している周辺部232を定義している。周辺部232は、外側面116に沿って中央領域110に向かってさらに延び、中心線軸228に対して内側に湾曲して、少なくとも部分的にアーチセグメント216を定義する。さらに、周辺部232は足先領域108内に延び、足指端140に向かって内側に湾曲する前に外側に湾曲して、少なくとも部分的に前部セグメント220を定義している。同様に、周辺部232は踵端146から踵領域112内の内側面118に向かって外側に湾曲し、後部セグメント212を少なくとも部分的に定義する。周縁部は、内側に沿って中央領域に向かってさらに延び、内側に湾曲して、アーチセグメント216を少なくとも部分的に定義する。さらに、周辺部232は足先領域108内に延び、外側に湾曲した後、足指端140に向かって内側に湾曲し、前部セグメント220を少なくとも部分的に定義する。したがって、周辺部232は、プレート200全体にわたって、後部セグメント212から前部セグメント220まで、およびその逆方向に、ならびに外側面116から内側面118まで、およびその逆方向にわたって連続的に延びている。いくつかの実施形態では、複数の周辺要素236(
図5A参照)が、周辺部232の一部に沿って、または周辺部232全体に沿って配置されてもよい。他の実施形態では、プレート200は、周辺部232に沿っていかなる周辺要素236も含まない。
【0051】
しかしながら、特定の実施形態では、プレート200は、プレート200の様々な層が、上述のアディティブマニュファクチャリングプロセスのいずれかのような印刷プロセスにおいて印刷されるアディティブマニュファクチャリングプロセスから形成されてもよい。
図5Aを参照すると、プレート200は、上面204と底面208との間の垂直の積層体に順次配置された複数の複合層240a~gを含む。本開示全体を通して、複数の複合層240a~gは全体としても個々としても、複合層240として、さらに、強化層として参照されることがある。 複合層240の各々は、内側面118から外側面116まで、および後部セグメント212から前部セグメント220まで連続的に延びている。しかしながら、他の実施形態では、いくつかの複合層240は、内側面118と外側面116との間で不連続であってもよく、後部セグメント212と前部セグメント220との間で不連続であってもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0052】
図5Aでは、プレート200は7つの複合層240a~gを含むように描かれている。しかしながら、プレート200は、図示されているより多い又は少ない複合層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、プレート200は3つの複合層のみを含むが、他の実施形態では、プレート200は100つの複合層または1000つの複合層またはそれ以上を含む。さらに、いくつかの実施形態では、プレート200は、特定の部分または領域において数1000つの複合層で構成されるが、プレート200の他の部分または領域では複合層は少ない。図示された実施形態では、垂直面Vは、プレート200の外側面116と内側面118との間の中央に配置され、水平面Hは、垂直面Vに対して垂直であり、プレート200の底面208の一部に対して接線方向に配置されるか、またはプレート200の底面208の一部と同一平面上に配置される。この特定の例では、プレート200は、プレート200の上面204が内側面118と外側面116との間の水平面Hに対して湾曲している形状を有し、複合層240はそれぞれ、内側面118と外側面116との間で異なる曲率を有し、これらの曲率は互いに異なり、上面204の曲率とも異なる場合がある。さらに、底面208は、外側面116と内側面118との間の水平面Hに対して変化する曲率を定義する。また、プレート200の周辺部232は、外側面116および内側面118に沿って湾曲している。
【0053】
図5Aを参照すると、プレート200は、少なくとも基板または基板材料244と、繊維または繊維材料248とを含む。基板材料244は、本明細書では充填材基材、またはマトリックスと呼ばれることがあることが理解されよう。さらに、繊維248は、本明細書では、繊維ストランド、フィラメント、または糸と称される場合があることに理解されたい。プレート200は、互いに、または少なくとも隣接する複合層240a~gとは異なる特性および/または組成を有する複合層240a~gを含む。そのために、プレート200の各複合層240a~gは、層の体積VL、VLの基材割合SPL、VLの繊維割合FPL、層の繊維配向または操作方向FOL、層の軸方向有効弾性率EAL、層の横方向有効弾性率ETL、および層の厚さTLを含む様々な測定可能な特性を有する。さらに、プレート200は、総体積VT、総基材割合SPT、総繊維割合FPT、総有効繊維配向または操作方向FOT、総軸方向有効弾性率EAT、総横方向有効弾性率ETT、および総厚さTTを含む様々な測定可能な特性を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、プレート200は、炭素繊維、アラミド繊維、例えばKevlar(登録商標)、ホウ素繊維、ガラス繊維、天然繊維、およびポリマー繊維などの繊維の複合体または1つ以上の層、またはそれらの組み合わせから形成されてもよい。これらの実施形態において、繊維は、例えば、ナイロン、エポキシ、または超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などのプラスチック材料の基材、または他の適切な材料の中でも繊維材料または複合材料に貼付または接着することができる。いくつかの実施形態では、繊維材料248は、アディティブマニュファクチャリングプロセス中に、熱および圧力によって、基材248に融合される。他の実施形態では、繊維材料248は、基板材料244および/または繊維材料248に縫い付けられ、刺繍され、接着され、セメントで固められ、織られ、留められ、または他の方法で取り付けられる。いくつかの実施形態では、プレート200は、炭素繊維、Kevlar(登録商標)などのアラミド繊維、ホウ素繊維、ガラス繊維、ポリマー繊維、または高強度対重量特性を有する任意の他の材料を含む一方向のテープから形成することができる。
【0055】
図示された実施形態において、複合層240a~gの各々は、各複合層240a~gを表すために用いられる異なるハッチングによって示されるように、隣接する複合層240a~gと少なくとも1つの測定可能な特性が異なる。いくつかの実施形態では、1つ以上の複合層240a~gは同一であるが、異なる測定可能な特性を有する1つ以上の介在する複合層240a~gによって分離されている。
図5Aに示されるように、底面208は、1つの複合層240gによって完全に定義されてもよいが、他の実施形態では、底面208は、2つ以上の複合層240の一部によって定義されてもよい。同様に、上面204は、1つの複合層240aによって完全に定義されてもよく、あるいは、2つ以上の複合層240の一部によって定義されてもよい。さらに、各複合層240a~gは、外側面116および内側面118に露出していてもよいが、いくつかの実施形態では、複合層240a~gの1つ以上が、内側面118および/または外側面116に対して隠されているか、または凹んでいてもよい。さらに、複合層240a~gは、複合層240a~gの1つ以上と交差または分離するボイド(図示せず)によって遮られてもよい。プレート200は、ボイド(図示せず)および複合層240を有する補助的な配置または構造として製造することができ、補助的な挙動、すなわち、長手方向に引き伸ばされたときに横方向の寸法が増加する、またはその逆の挙動を可能にする。さらに、プレート200は、プレート200の一部を通る空気流を可能にするチャネル(図示せず)を備えて製造することができる。
【0056】
図5Bの図示された実施形態では、プレート200は履物具100のソール104内に埋め込まれており、より具体的には、プレート200はソール104のミッドソール172内に埋め込まれている。さらに、アッパー102は、インソール126がプレート200から間隔をあけて配置され、プレート200に直接接触しないように、インソール126をストローベル配置で含む。いくつかの実施形態では、プレート200は、プレート200の一部がインソール126またはアッパー102と接触することを可能にする方法で、ミッドソール172内に埋め込むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、プレート200の一部はアウトソール174と接触していてもよい。他の実施形態では、プレート200はアッパー102の一部として設けてもよい。例えば、プレート200は、インソール126の一部として含まれてもよいし、従来の装具インサートと同様に履物100のキャビティ106内に挿入されてもよい。いくつかの実施形態では、プレート200は履物100のソール構造体104全体を構成してもよく、履物100がアッパー102とプレート200のみを含むようにしてもよい。
【0057】
図5Aおよび
図5Bを参照すると、プレート200は、内側面118と外側面116との間で概して湾曲しており、また、履物100の周囲の構成要素に対して湾曲している。例えば、プレート200は、外側面116と垂直面Vとの間で水平面Hに向かって下方に湾曲し、垂直面Vと内側面118との間で水平面Hから離れて上方に湾曲し、プレート200が水平面Hに対して凸状に湾曲するようになっている。
図5Bでは水平面Hがアウトソール174の接線方向であるため、プレート200もアウトソール174に対して凸に湾曲している。 ただし、プレート200はアッパー102に対して凹状に湾曲しており、プレート200は垂直面V付近でアッパー102から最も離れて湾曲し、内側面118および外側面116でアッパー102に最も近く湾曲している。さらに、インソール126およびプレート200は、
図5Bの履物100において概ね同様の曲率を有するように描かれているが、他の構成も可能である。さらに、ミッドソール172は少なくとも部分的にプレート200を取り囲み、図示したように、プレート200の曲率とは異なる、プレート200の上下に変化する曲率を定めている。 図示の実施形態では、インソール126、ミッドソール172、プレート200、およびアウトソール174はすべて、互いの曲率に適合するように嵌め合わされており、その間にボイドまたは隙間が配置されないようになっている。しかし、インソール126の曲率がミッドソール172の曲率に適合しないように、インソール126、ミッドソール172、プレート200、およびアウトソール174のうちの1つの間にボイドまたは隙間が形成されてもよいことは理解されよう。
【0058】
さらに、プレート200は、履物100に組み付けられるときに、予荷重または変形を受けることがある。そのために、プレート200の曲率は、ミッドソール172またはアウトソール174またはインソール126の曲率に適合するように、履物100のソール104内で組み立てる間に変更または縮小することができる。
図5Aと
図5Bを比較すると、例えば、
図5Bの履物100のソール104との組み付けにより、プレート200の底面208の曲率は変形し、例えば、凹状から凸状の曲率に反転する。その結果、プレート200は、ソール104との相互作用によって変形し、使用中の1つまたは複数の方向における特性、例えば剛性および推進力を変化したり、影響を与えたりする可能性がある応力が発生する。履物100と組み合わされることによって発生するこのような応力は、プレート200の調整された剛性および形状と組み合わされることによって、履物100内でのプレート200のカスタマイズ性を高める反応性の利点をもたらすことができる。本明細書で使用する場合、「反応性」という用語は、加えられる荷重、すなわち、使用中に加えられる外力に対するプレート200の感度を指す場合があり、加えられる荷重がユーザの体重によるものであるか、活動、例えば、走る、歩く、跳ぶ、方向を変える、持ち上げるなどによるものであるかを問わず、また、1つ以上の方向への変形に対するプレート200の感度を指す場合もある。ある実施形態では、プレート200の反応性は、前部セグメント220、アーチセグメント216、および後部セグメント212に沿って変化させることができ、反応性は、外側面116と内側面118との間で変化させることができる。ある実施態様では、プレート200のアーチセグメント216は、反応性を増大させるように予め負荷をかけることができ、プレート200を、より少量の変形が経験される歩行活動に対してより敏感にする一方で、ユーザに増大した推進力および支持の利点を提供することができる。いくつかの実施形態では、前部セグメント220は、跳躍活動中にユーザが踏み出すときに最大の推進力を提供するために、増大した反応性を備えることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、プレート200は、前部セグメント220が後部セグメント212よりもアッパー102から離隔するように、アッパー102とアウトソール174との間に斜めに配置される。このようにして、後部セグメント212は、前部セグメント220および/またはアーチセグメント216に対して、垂直に高く、すなわちZ方向に高く配置される。このようにして、プレート200は、使用中に推進力またはスプリングバック(spring-back)を促進するように配置することができる。さらに、プレート200は、基準軸224に沿って、および/または内側面118と外側面116との間で、異なる形状および異なる曲率で形成して、使用中のクッション性、推進力、および支持を促進することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、プレート200の繊維材料248は、試験規格ASTM D4018または同等の規格によって定義される試験方法に従って測定された引張弾性率によって少なくとも部分的に定義される引張剛性を有してもよい。例えば、特定の実施形態では、プレート200の繊維材料248は、少なくとも70GPa、または少なくとも約85GPa、または少なくとも約200GPa、または少なくとも約300GPaの引張弾性率を有してもよい。さらなる実施形態では、繊維材料248は、約300GPaと約400GPaとの間の引張弾性率を有する。したがって、繊維材料248は、試験規格ASTM3039または同等の規格によって定義される試験方法に従って測定される、約500メガパスカル(MPa)~約800MPaの引張強度、すなわち単位面積当たりの荷重量によって定義される応力を有することができる。さらに、プレート200の繊維材料248は、試験規格ASTM D790もしくはC651または同等の規格によって定義された試験方法に従って測定される曲げ弾性率によって少なくとも部分的に定義される曲げ剛性を有することができる。例えば、繊維材料248は、少なくとも約22GPa、または少なくとも約50GPa、または少なくとも約100GPa、または少なくとも約200GPaの曲げ弾性率を有することができる。さらなる実施形態では、繊維材料248は、約50GPaと約200GPaとの間の曲げ弾性率を有する。したがって、繊維材料248は、試験規格ASTM D790または同等の規格によって定義される試験方法に従って測定される、約200MPaと約600MPaとの間の曲げ強度、すなわち単位面積当たりの荷重量によって定義される応力を有することができる。さらに、プレート200の繊維材料248は、約1.2g/cm3と約2.0g/cm3との間の密度を有することができる。
【0061】
さらに、プレート200の基板材料244は、試験規格ASTM D638または同等物によって定義される試験方法に従って測定される引張弾性率によって少なくとも部分的に定義される引張剛性を有してもよい。例えば、特定の実施形態において、基板材料244は、少なくとも約1GPa、または少なくとも約2GPa、または少なくとも約4GPaの引張弾性率を有してもよい。さらに、基板材料244は、試験規格ASTM D790、または同等の規格によって定義される試験方法に従って測定される曲げ弾性率によって定義される曲げ剛性を有してもよい。例えば、基板材料244は、少なくとも約1GPa、または少なくとも約2GPa、または少なくとも約3GPaの曲げ弾性率を有することができる。 さらなる実施形態では、基板材料244は、約1.4GPaと約3.7GPaとの間の曲げ弾性率を有する。したがって、基板材料244は、試験規格ASTP D790または同等の規格によって定義される試験方法に従って測定される、約50MPa~約90MPaの曲げ強度、すなわち単位面積当たりの荷重量によって定義される応力を有することができる。別の態様において、プレート200の基板材料244は、試験規格ASTM D648方法Bまたは同等の規格に定義された方法に従って測定される熱たわみ温度を有してもよい。例えば、基板材料244は、約41℃と約150℃との間の熱たわみ温度を有してもよい。プレート200を形成するために使用される基板材料244はまた、約1g/cm3と約1.5g/cm3との間の密度を有してもよい。
【0062】
参考のために、試験規格ASTM E8または同等の規格によって定義された試験方法に従って測定される鋼または鋼合金、例えばASTM A36鋼の引張弾性率は約200GPaであり、そのような鋼は約7.85g/cm3の密度を有する。 いくつかの実施形態において、試験規格ASTM E8または同等物によって定義される試験方法に従って測定される、本開示のプレートの引張弾性率は、約200GPaである。従って、プレート200は、鋼と同様の引張弾性率を有するが、密度は鋼の密度の25%未満であるように構成される。したがって、本開示のプレートは、少なくとも1つの方向強度特性に関して、鋼の強度対重量比よりも実質的に高い強度対重量比を有する。
【0063】
プレート200の組成は、基材割合SPTと繊維割合FPTの加算がプレート200の総体積TVの約100%となるように、基板材料244と繊維材料248とで実質的に構成される。従って、基板割合SPTが約50%である場合、対応する繊維割合FPTは約50%である。さらに、繊維材料248は、一般に、基板材料244よりも大きな剛性、例えば、曲げ剛性および引張剛性を含む剛性を有するので、プレート200の剛性は、プレート200の組成を制御または選択することによって操作することができる。そのため、アディティブマニュファクチャリング法を用いてプレート200を製造することにより、材料の体積および配置を正確かつ効率的に選択することができ、所望の剛性に応じてプレート200の組成を選択することができる。いくつかの実施形態では、プレート200は約75%の基材割合SPTを有することができ、これは約25%の繊維割合FPTに対応し、その結果、プレート200は一般的により柔軟で弾性的な特性を有する。これは、ユーザの快適性が優先される場合に望ましい場合がある。他の実施形態では、プレート200は約75%の繊維割合を有することができ、これは約25%の基材割合に対応し、その結果、プレート200は一般により大きな剛性および強度特性を有する。これは、推進力および支持力が優先される場合に望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、プレート200の基材割合SPTは約25%~約99%の範囲であってもよく、プレート200の繊維割合FPTは約25%~約99%の範囲であってもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、プレート200およびその硬さは、特定のユーザのために選択および設計されてもよい。例えば、プレート200の硬さは、ユーザの特定の筋力、腱の柔軟性、または関節の柔軟性に基づいて選択されてもよい。さらなる実施形態において、プレート200の硬さは、プレート200の一部がプレート200の別の部分と比較して硬くなるように、変化してもよい。いくつかの実施形態では、プレート200は履物具100のソール104内に含まれる。例えば、プレート200は、ミッドソール172、アウトソール174、またはインソール126内に埋め込むことができる。他の実施形態では、プレート200はインソール126とミッドソール172の間に配置されてもよく、あるいは、プレート200はミッドソール172とアウトソール174の間に配置されてもよい。
【0065】
一般に、Kevlar(登録商標)、炭素繊維、およびガラス繊維などの複合繊維材料で構成されたプレートは、完全に金属、基材、または繊維を追加せずに作られたプレートと比較して、強度-重量比が改善されている。 しかしながら、複合繊維材料は引張において最も強く、これは特定の方向、すなわち複合繊維材料が引張される軸方向に限定される。したがって、単一の一軸方向に配置された繊維材料を有する複合材料層は、その方向では最も強いが、他の方向では異なる、例えば弱い特性を示す。このように、複合材料層は異方性を有する、すなわち、異なる方向において異なる強度特性を示すと考えられる。
【0066】
連続繊維製造(CFF)技術を使用して製造された複合積層体または構造体は、基準面に対して特定の角度で配置された繊維アレイを有する複数の層またはプライを含む構造によって、準等方性(QI)特性、例えば、ほとんどの方向で実質的に同様の特性を示すことがある。ある実施例では、1つ以上の層は基準面に対して0度で配置された繊維アレイで形成され、他のある層は基準面に対して±45度で配置された繊維アレイで形成され、さらに他の層は基準面に対して90度で配置された繊維アレイで形成される。さらに、異方的にバイアスされた層は、0度、±30度、および90度に配置された繊維アレイで形成されてもよい。QI特性を有する複合ラミネート、すなわちQIラミネートは、等方性材料と同様に、面内で実質的に等方性の特性、例えば引張強度または剛性の増加を有することがある。実質的にQIラミネートは、単一平面の全方向に実質的に等しい強度が提供されるように、ランダムに配向または配向された繊維または繊維アレイを含むことができる。一般に、QI積層体は、0度、90度、45度、-45度に配向した一方向性層、例えば3Dプリント層を含み、これらの各方向に少なくとも12.5パーセントの層が配置されている。QI特性は、0度、60度、120度に配置された層でも達成できる。
【0067】
プレート200および/またはその複合層240の剛性は、曲げ抵抗BRおよびねじり抵抗TRに関して理解することができることが理解されよう。曲げ抵抗BRは横方向の力とたわみとの間の数学的関連であり、曲げ抵抗BRは、本明細書ではばね定数または剛性と称されることがある。同様に、ねじり抵抗TRはねじり力とたわみとの間の数学的関係であり、ねじり抵抗TRは、回転剛性と称されることがある。曲げ抵抗BRおよびねじり抵抗TRは、材料または材料の構成の弾性率に比例することがよく知られている。さらに、幾何学的形状および寸法は、加えられる荷重の向きおよび位置に応じて、曲げ抵抗BRおよびねじり抵抗TRにも比例する。例えば、加えられる荷重の方向と並行方向に定義される寸法は例えば、Z方向に曲げ荷重が加えられ、Z方向に厚さが定義される場合、特定の抵抗により大きな影響を及ぼす。
【0068】
また、各複合層240の曲げ抵抗BR及びねじり抵抗TR特性は、荷重が加えられる向きに部分的に依存して、有効弾性率に関連する。軸方向に面内、すなわちX方向およびY方向に加えられる荷重については、層の軸方向有効弾性率EALが最も重要である。曲げ変形を含む横方向、すなわちZ方向に加えられる荷重については、層横有効弾性率ETLが主に考慮される。EALは式EAL=EF×FPL+ES*SPLを用いて近似され、式中、EFは繊維材料248の弾性率であり、FPLは繊維材料248の体積分率であり、EMは基板材料244の弾性率であり、SPLは基板材料244の体積分率である。
【0069】
また、式
を用いてETLを近似する。したがって、繊維体積分率FPLが値1.0に近づくと、すなわち、繊維材料248が複合層240の体積VLのより大きな割合を占めると、ETLは
図6に提供されるグラフに示されるように、繊維材料248の弾性率EFの値に近づく。また、プレート200全体について、軸方向EATにおける総有効弾性率と、横方向ETTにおける総有効弾性率とを近似することができる。これを行うために、各複合層240のEAL及びETLの平均値が計算されるが、各値はプレート200の総体積TVと、関連する基準面に対する繊維配向FOLのずれとの関係に従って重み付けされる。したがって、プレート200の総体積TVのより大きなパーセンテージを含む複合層240は、プレート200のEATおよびETTにより大きな影響を及ぼす。また、基準面からずらされた複合層240の方が、EAT及びETTへの影響が小さくなる。これにより、プレート200の曲げ抵抗BRとねじり抵抗TRとを近似することができる。
【0070】
したがって、様々な方向に配置された繊維アレイを有する複合層240の配置は、プレート200がQI特性、例えば、全ての方向においてほぼ等しい強度または抵抗特性を示すことを可能にする。例えば、プレート200が履物100のソール104に設けられている場合、Z方向に加えられる荷重と、ユーザが踵を地面から離れるようにアーチをかけて前足から前方に推進する傾向とに起因して、屈曲が生じる。この力はプレート200および繊維材料248が配置される面内方向、すなわちXおよびY方向に概ね直交し、したがって、複合層240が最も強い方向に概ね直交する。しかしながら、このような曲げの間、プレート200の上面204は圧縮状態にあり、底面208は、下向きの力、すなわち荷重がプレート200および履物100の変形を引き起こすため、張力状態にある。したがって、上面204付近に配置された複合層240は長手方向すなわちY方向の圧縮力を受け、プレート200の底面208付近の複合層240は長手方向すなわちY方向の引張力を受ける。したがって、曲げ抵抗BRを増大させるために、上面204付近の複合層240は繊維材料244が長手方向に、すなわち、圧縮力が加えられる方向と平行に延在するように配置することができ、底面208付近の複合層240は繊維材料248が長手方向に、すなわち、張力が加えられる方向と平行に延在するように配置することができる。
【0071】
さらに、曲げ抵抗BRを調整し、関連して、プレート200によって与えられる推進力を調整することが望ましい場合がある。そのために、複合層240は様々な動作方向、すなわち、繊維材料248が延在する軸方向または配向によって複合層が最も強くなる方向に配置することができる。複合層240の曲げ抵抗BRは動作方向FOLが長手方向と並行であるときに最大であり、動作方向FOLが長手方向から直交方向に向かってずれている、例えば、回転しているときに次第に小さくなる。したがって、複合層240の曲げ抵抗は、作用方向FOLが曲げ方向からずれている程度に比例する。さらに、プレート200を構成する複合層240の組合せは、すべての動作方向FOLが互いに平行に、かつ長手方向とも平行に配向されているときに最も強い。しかし、プレート200を構成する複合層240の積層体は複合層240のいくつかを長手方向からずれた動作方向に配置することによって、所望の曲げ抵抗BRを達成するように調整することができ、これにより、加えられた荷重に応じてより大きなたわみが生じることが可能になり、その後、スプリングバックまたは推進力も提供する。
【0072】
プレート200は、異なる特性の局所的な部分または領域を有するようにCFF技術を使用して製造できることが想定される。例えば、プレート200の後部セグメント212は、アーチセグメント216および前部セグメント220よりも強くなるように製造することができる。そのために、後部セグメント212は、アーチセグメント216または前部セグメント220内の複合層240よりも大きいEALおよびETL特性を各々が定義する複合層240から構成することができる。さらに、プレート200の後部セグメント212は、アーチセグメント216および前部セグメント220よりも大きいEATおよびETTを含むことができる。これは、CFF技術を使用するアディティブマニュファクチャリングプロセスが例えば、様々な動作方向FOLに繊維材料248を堆積させること、一部および層内の繊維材料248の体積を制御すること、および様々な材料を選択することなどの、広範囲のカスタマイズおよび制御を可能にするためである。
【0073】
いくつかの実施形態では、EATおよびETTがプレート200全体にわたって、ならびに後部セグメント212、アーチセグメント216、および前部セグメント220の間で、ならびに外側面116と内側面118との間で変化することができる。例えば、プレート200は前部セグメント220を製造することによって、アーチセグメント216よりも高いEATおよびETTを有するように、前部セグメント220においてアーチセグメント216よりも曲げ抵抗BRが大きくなるように、推進力を増大させるように設計することができる。プレート200、特に前部セグメント220は例えば、特にユーザの足の中足指節関節(MTP)内での背屈および底屈の動きに起因して、摩耗または使用中に変形する。ポテンシャルエネルギーPEは構造体の変形、すなわち曲げが増大することにつれて増大し、ポテンシャルエネルギーPEはばねと同様に、構造体が変形していない状態に戻るにつれて運動エネルギーKEに変換されることがよく知られている。荷重が減少または除去されると、プレート200の前部セグメント220は変形されていない状態に跳ね返り、位置エネルギーPEを運動エネルギーKEに変換して、地面とユーザの足との間に推進力PFを生成する。変形後にプレート200、とりわけ前部セグメント220が跳ね返る速度は、プレート200の様々な特性、例えば前部セグメント220内の特定のEATおよびETTによって影響される曲げ抵抗BRとして理解することができる。したがって、より高いEATおよびETTは、プレート200の前部セグメント220によって与えられる曲げ抵抗BRおよび推進力PFを増大させる。プレート200がないと、ユーザの足の履物100およびMTP関節はしばしば、ポテンシャルエネルギーPEを吸収し、したがって、使用中に、ポテンシャルエネルギーPEのより少ないポテンシャルエネルギーKEに変換される。しかしながら、例えば曲げ抵抗BR及びねじり抵抗TRなどの剛性が増大したプレート200のために、ユーザによって生成されたより多くのポテンシャルエネルギーPEが運動エネルギーKEに変換され、したがってユーザに戻される。
【0074】
図7に関して、プレート200は、複合構造体を層ごとに印刷するように構成されたプリンタ300によって製造することができる。図示の実施形態では、プリンタ300がその中にプリントベッドまたはプラットフォーム308を含む筐体304を含む。プラットフォーム308は、支持体312によって支持され、筐体304内でほぼZ方向に延在する鉛直レール316と動作可能に係合する。筐体304は、概してX方向に延在する横方向レール320と、概してY方向に延在する長手方向レール324とをさらに含む。プラットフォーム308は、筐体304内に収容された駆動装置またはモータ(図示せず)の動作によって、鉛直レール316に沿って垂直に並進させることができる。予備成形モールドまたはブロック328は、筐体304内でプラットフォーム308によって支持される。
【0075】
図7に示すように、プリンタ300は、筐体304内に第1のヘッド332と第2のヘッド336とをさらに備える。図示の実施形態では第1および第2のヘッド332、336は並んで配置されるが、他の構成も可能である。さらに、スキャナ340は第1のヘッド332に近接して設けられるが、スキャナ340は筐体304の他の場所に配置されてもよい。いくつかの実施形態ではスキャナ340がプラットフォーム308上の物体の寸法および形状を検出および測定することができるレーザスキャナであるが、他のタイプのスキャナ、例えば、3Dカメラ、光検出および測距(LIDAR)デバイスなどを用いることができる。図示の実施形態では、第1のヘッド332が第1のノズル344を含み、筐体304内に配置された第1の供給部348と連携する。さらに、第2のヘッド336は第2のノズル352を含み、筐体304内に配置された第2の供給部356と連携する。第1のノズル344および第2のノズル352はそれぞれ、動作中に基板材料244および/または繊維材料248を細断または切断することができるカッタ(図示せず)を含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、カッター(図示せず)が第1のノズル344および第2のノズル352から離れた別の構成要素として提供される。
【0076】
図示の実施形態では第1の供給部348および第2の供給部356がそれぞれ特定の材料を保持するボビンまたはスプールとして提供され、好ましくは第1および第2の供給部348、356は互いに異なる材料を保持する。図示の実施形態では第1の供給部348は基板材料244を保持し、第2の供給部356は繊維材料248を保持するが、他の構成も考えられる。他の実施形態では、プリンタ300が3つ以上のプリンタヘッド、または1つのプリンタヘッドのみを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、プリンタ300が3つ以上の供給部、または1つの供給部のみを含むこともできる。いくつかの実施形態では2つ以上の供給部が単一のヘッドと連携し、一方、他の実施形態では1つの供給部が2つ以上のヘッドを提供する。
【0077】
第1および第2のヘッド332、336およびスキャナ340は、長手方向レール324および横方向レール320に動作可能に結合されて、筐体304内で鉛直方向に並進することもできる筐体360を形成する。第1および第2のヘッド332、336は、駆動モータ(図示せず)によって長手方向レール324および横方向レール320に沿って並進するように構成され、筐体360はさらに、プラットフォーム308に対する筐体304内で鉛直に並進することができる。加えて、プラットフォーム308は、筐体360に対して垂直に並進させることができる。したがって、第1および第2のヘッド332、336を含む、プラットフォーム308および筐体360は印刷プロセス中の正確かつ好都合な移動のために、専用モータ(図示せず)によって、いくつかの自由度および移動範囲を提供するように、互いに対して移動されるように構成される。
【0078】
図7を参照すると、第1のヘッド332は製造の特定のステップまたは動作中に、第1の供給部348上に格納された基板材料244を受容するように構成される。したがって、第1のノズル344は基板材料244と適合するように構成され、その結果、第1のヘッド332は第1のノズル344を介してプラットフォーム308上に配置された構成要素に基板材料244を適用するように作動されるように構成される。加えて、第2のヘッド336は、製造の特定のステップまたは操作中に第2の供給部356上に格納された繊維材料248を受容するように構成される。したがって、第2のノズル352は繊維材料248と適合するように構成され、その結果、第2のヘッド336は第2のノズル352によってプラットフォーム308上に配置された構成要素に繊維材料248を連続的に適用するように作動されるように構成される。いくつかのステップまたは動作では、第1のヘッド332および第2のヘッド336の両方が同時に作動して、基板材料244および繊維材料248をそれぞれ、プラットフォーム308上の構成要素に適用する。他のステップまたは動作では、第1のヘッド332および第2のヘッド336のうちの一方のみが作動され、他方は作動停止されて、それぞれ基板材料244および繊維材料248のうちの一方を適用する。繊維材料248は、印刷プロセス中に基板材料244及び/又は別のストランド又は繊維材料248に融着するために堆積又は塗布されてもよい。さらに、第2のノズル352を用いて圧力を加えて、例えば、繊維材料248が融合されるにつれて、繊維材料248を連続的に圧縮し、所望の形状に方向付けることができる。
【0079】
プリンタ300は、プレート200などの3D構成要素のデザインモデルに対応する、例えばソースコードなどの一組の命令に基づいて印刷プロセスを制御するようにプログラムされたコントローラ(図示せず)を含む。特に、デザインモデルは例えばブラウザベースまたはウェブベースのソフトウェアプログラムなどのソフトウェアプログラムを使用して生成され、プレート200および印刷プロセスの態様はプリンタ300での使用のために予め決定される。例えば、プレート200は特に、例えば、レーザスキャナ、歩行分析、力プロファイル、画像、医療記録、及びユーザ選好などの様々なソースを使用して測定又は収集される、例えば、足のサイズ、寸法、形状、輪郭、剛性などの特定の入力に従って、ソフトウェア内で設計することができる。入力がソフトウェアにロードされ、例えば、優先順位付けされ、互いの間で考慮されると、ソフトウェアは、ユーザに適合するようにプレート200の設計を最適化するために用いることができる。場合によっては、ソフトウェアおよび/またはプリンタ300を使用するように訓練された技術者が性能および/または医療用途などの特定の使用のためにプレート200を最適化する際にユーザを支援することができる。その後、ソフトウェアは例えば、プリンタ300と互換性のあるファイルなどの転送可能なフォーマットでデザインモデルを生成する。デザインモデルは、インターネット接続、Bluetooth(登録商標)接続、無線周波数接続、USBまたはイーサネット(登録商標)ケーブル、デジタル記憶ディスク、またはソフトウェアとプリンタ300との間の通信に適した任意の他の媒体を介してプリンタ300に通信される。
【0080】
図8Aは複合プレートを設計し、3D印刷する例示的な方法のフロー図を示す。ステップS100において、測定値および好みが、上述のものなどの様々なソースから収集され、解析のためにソフトウェアプログラムに入力データとして入力される。いくつかの例では、ソフトウェアプログラムがプレートの最適化されたデザインモデルを自動的に生成するために入力データを分析することによって、ステップS104を自動的に実行することができる。他の例では、技術者または専門家がエラー、不一致、または固有のカスタマイズの好みを修正するために、入力データをレビューおよび修正することによって、ステップS104を実行することを支援する。ステップS108において、ソフトウェアプログラムは、提供された入力データに基づいてデザインモデルを生成する。したがって、デザインモデルは、様々な属性がユーザに提示されるカスタマイズされたプレートの第1の表現である。1つの重要な属性は、デザインモデルのカスタマイズされたプレートのために選択された材料および組成である。ステップS112において、ソフトウェアプログラムは入力データに基づいて特定の材料を自動的に推奨することができるが、ユーザは使用する材料を手動で選択することもできる。例えば、いくつかのタイプの基板材料244または繊維材料248は他のものよりも高価であるため、ユーザは推奨される材料に関連するコストを削減することを望む場合がある。
【0081】
ステップS116において、デザインモデルが生成され、材料が選択された後、ソフトウェアプログラムは、3D印刷のためにデザインモデルを最適化するようにプログラムされる。具体的には、ソフトウェアプログラムがデザインモデルの様々な態様を分析して、曲率、例えば、すみ肉、または追加の繊維材料248が巻き付けられることから利益を得ることができる開口部を適用することから利益を得ることができる縁部など、さらなる補強を必要とする領域を識別する。ソフトウェアプログラムはまた、デザインモデルにおいて指定された特定の材料、幾何学的形状、及び複合層240に関連する最小厚さのしきい値を下回る厚さを有する領域に関連する警告又は通知を生成する。警告および通知が未解決のままである場合、重大度に応じて、ソフトウェアプログラムは、ユーザがステップS116を超えることを許可しなくてもよい。
【0082】
ステップS120ではソフトウェアプログラム内のデザインモデルに対してシミュレーションを実行することができるが、このステップS120はユーザにとって任意であり、実行される必要はない。いくつかの例ではシミュレーションが進行する前に、任意の未解決の警告または通知をトラブルシューティングするために用いることができ、またはユーザは様々な材料選択の間で、または入力データに対する様々な修正の間で、シミュレーションデータを比較することができる。ステップS124において、ユーザは他の態様の中でも特に、入力データおよび材料選択をさらに修正または修正して、新しいデザインモデル、および所望であれば、新しいシミュレーションを生成することができる。
【0083】
ステップS128において、ユーザはソフトウェアプログラムに、上述したような転送可能なファイルフォーマットでデザインモデルを生成するように促す。さらに、プリント命令は、プリンタ300または同等物と通信するためにソフトウェアプログラムによって生成される。いくつかの実施形態では、プリント命令がソフトウェアプログラムからデジタルモデルを受信した後に、プリンタ300のコントローラ(図示せず)によって生成することができる。ユーザは、上述したような様々な通信方法によって、デザインモデル及びプリント命令を含むファイルをプリンタ300に転送又は送信することができる。
【0084】
ステップS132において、ユーザは以下でより詳細に説明するサブプロセスを含むデザインモデルおよびプリント命令に従って印刷プロセスを開始するために、プリンタ300を起動する。プリンタ300が印刷処理を完了した後、ユーザは、プリンタ300からプレート200の印刷モデルを取り外し(S136)、また、印刷モデルを、必要に応じて予備成形モールド328から分離する。「印刷モデル(印刷されたモデル)」という用語は、本明細書では印刷プロセスの完了直後のプレート200を示すために使用され、また、プレート200およびプレート200の未完成または未処理の版を含むために使用される。いくつかの例では、ユーザが任意の治療が必要であるか、または所望されるかどうかを決定し、これもまた、以下でより詳細に説明される。必要に応じて、ユーザは、ステップS140において、プレート200の印刷モデルを処理することに進む。最終的に、プレート200の印刷モデルが完成状態にあると決定されると、プレート200は、履物100の所望の場所に設置することができる。
【0085】
図8Bは、
図8AのステップS132のサブプロセスに関連する、プリンタ300を動作させる例示的な方法の流れ図を示す。ステップS200では、プリンタ300の電源が投入された後、起動またはウォームアップ処理が起動される。ウォームアッププロセスには数分かかる場合がある。次に、S204において、ユーザは所望の基板材料244を有する第1の供給部348を選択して設置し、プリンタ300は、第1のヘッド332に基板材料244を供給する。次に、ステップS208において、ユーザは所望の繊維材料248を有する第2の供給部356を選択して設置し、プリンタ300は、繊維材料248を第2のヘッド336に供給する。プロセスS212において、ユーザは印刷されるべき特定の構成要素、例えば、プレート200の印刷された模型のための適切な予め形成されたモールド328を選択する。さらに、ユーザは、予め形成されたモールド328を、プリンタ300内のプラットフォーム308上の適切な配向に配置する。次に、ステップS216において、ユーザはソフトウェアプログラムにより、転送可能なファイル形式の印刷処理命令を生成し、プリンタ300に送信する。
【0086】
ステップS220において、ユーザは印刷プロセス命令に関連する、例えば、印刷の持続時間、サイクル、休止及び/又は中断、材料体積などの特性を考慮し、印刷プロセスをいつ開始すべきかを決定する。ソフトウェアプログラムは、ダウンタイムを回避するために推奨される最適な開始時間を提供することができる。例えば、印刷プロセスは8時間サイクルおよび2時間サイクルを含むことができ、したがって、就業日の終わり、例えば、午後約5時に印刷プロセスを開始することが最適であり得、したがって、8時間サイクルは一晩で完了することができ、より短い2時間サイクルは、翌日に完了することができる。このようにして、ユーザは例えば、通常の営業時間などの就業日の間、より短いサイクルの間、プリンタ300を利用可能にすることができ、また、例えば、一晩などの非就業時間の間、プリンタ300を生産的に保つことができる。ソフトウェアプログラムによって提供される印刷プロセスおよび推奨の特性を考慮した後、ユーザは、いつプリンタ300を起動して印刷プロセスを開始するかを決定する。
【0087】
次に、ステップS224において、ユーザは印刷処理を起動し、必要に応じてプリンタ300に立ち会う。例えば、印刷プロセスは、ユーザが基板材料244の第1の供給部348を補充すること、または基板材料244を別の種類と交換することを要求することができる。次に、ステップS228において、プリンタ300が印刷処理を完了した後、ユーザは印刷モデルをプリンタ300から除去し、予備成形モデルをプレート200の印刷モデルから分離することができる。そのために、様々な手工具、例えば、ねじ回し、チゼル、ハンマーなどを使用することができる。ステップS232に示すように、ユーザは、プレート200の印刷モデルの品質検査を実行して、何らかの欠陥またはリスクを識別する。1つの例では、品質検査が例えば、クラック、不適切な空孔または形状、緩いストランド端部またはループなどの任意の目に見える不良を識別するための、プレート200の印刷モデルの単なる目視検査を含むことができる。別の例では、ユーザがプレート200の印刷モデルに対して非破壊試験を実行して、強度が設計データと比較して、各方向において満足できるものであることを検証することができる。また、ユーザは、印刷モデルの重量および/または体積を測定して、設計データと比較して組成を検証することができる。印刷モデルに関連する任意の欠陥および/または設計データからの逸脱を識別するために、他の試験が実行されてもよい。
【0088】
ステップS236において、ユーザは、ステップS232の品質検査から識別された欠陥が印刷モデルの性能および/または品質に重大なリスクを与えるかどうかを判定する。ユーザが重大なリスクを示す欠陥を決定した場合、ユーザは、それらの欠陥を別のプロセスによって修復できるかどうかを決定することができる。さらに、ステップS240において、ユーザは修理を実行するかどうかを決定する前に、修理に関連するコスト、例えば、時間および材料が経済的であるかどうかを決定することもできる。欠陥が修復可能で経済的であると判定された場合、ユーザはステップS244のように、印刷モデルをそのような修復に提出し、これには、追加の印刷プロセスまたは処理プロセスが含まれてもよい。ステップS248において、欠陥が修復可能でないか、または不経済である場合、印刷モデルは、任意の関連する現地の規制に従って廃棄することができる。欠陥が存在しない場合、ユーザはステップS252に進むことができる。
【0089】
ステップS252において、ユーザは、印刷モデルが何らかの処理プロセスを受けるべきかどうかを判定する。そのような処理プロセスは、コーティングの適用、印刷モデルの特性を変更するための圧縮、研磨及び/又は研磨、履物100への設置を支援するための印刷モデルへのピン又はロッドの取り付け、及び他の仕上げ技術を含むことができる。ステップS256において、ユーザは、印刷モデルが仕上げプレート200となる適切な処理プロセスのいずれかを実行する、または実行するように手配する。ステップS260において、処理プロセスが完了した後、ユーザは何らかの欠陥またはリスクを識別するために、再度品質検査を実行する。欠陥が識別された場合、ユーザは、ステップS268において、修理を実行するか否かを再度決定する。ステップS272において、価値があり経済的である場合、修理が実行される。修理が終了した後、最終チェックのために、ステップS264の品質検査が再度実行される。ステップS264の品質検査において欠陥が識別されない場合、修理の後であるか否かにかかわらず、ユーザはステップS276に進み、ここで、プレート200が、完成した状態で、履物100に設置される、または組み立てられる。
【0090】
ステップS204およびS208の一部として、ユーザはデザインモデルによって指定された特定の材料、すなわち、基板材料244および繊維材料248を識別する。そうすることで、ユーザは、基板材料244および繊維材料248に関連する変動コストを考慮することができる。一般に、繊維材料248は基板材料244よりも高価で高価であり、場合によっては、繊維材料248が十分な量で購入することがより希少または困難であったりすることがある。したがって、大量の繊維材料248を使用するプレートはしばしば、より高価であり、場合によっては、サプライチェーンの混乱および資源変動に対してより敏感である。さらに、従来の製造方法は材料の除去を伴い、したがって、そのような除去、例えば、より大きな材料シートからのブランクの切断を考慮するために、より大量の過剰な材料を必要とする。対照的に、アディティブマニュファクチャリングは、このような余分な物質の必要性を排除する。CFF技術などの本発明のアディティブマニュファクチャリング方法における繊維材料248の最適化された使用により、ユーザはコストを最小限に抑えながら、改善された版性能、例えば、増加されたカスタマイズされた剛性を達成することができる。したがって、本発明のアディティブマニュファクチャリング方法は、とりわけ、コスト、入手可能性、および性能を含む様々な要因に従って最適化することができる。
【0091】
次に、ユーザは指定された材料を含む第1の供給部348および第2の供給部356をプリンタ300に装填し、特に、ユーザは第1の供給部348から第1のヘッド332に基板材料244の一部を供給し、また、第2の供給部356から第2のヘッド336に繊維材料248の一部を供給する。
【0092】
印刷プロセスを開始するために、ステップS224においてプリンタ300が起動された後、プリンタ300はデザインモデルに関連する命令に従って動作し、第1のヘッド332および第2のヘッド336を選択的に起動して、プレート200を層ごとに印刷する。いくつかの例ではプリンタ300がプレート200を下から上に印刷し、その結果、底面208は上面204の前に印刷される。他の例では、プレート200の幾何学的形状及び/又は態様は、上面204が底面208より先に印刷されるように、逆配向で層毎に印刷される。したがって、プリンタ300は第1のヘッド332および第2のヘッド336に、デザインモデルによって通知されるように、最適化された配向および方法でプレート200の複合層240を印刷するように指示する。印刷プロセスが完了すると、プレート200は、2層~数千層に及ぶ複合層240から構成される印刷モデルの未完成状態で提供される。
【0093】
プロセスS256において、次に
図9A及び
図9Bに関して述べたように、印刷された模型は、例えばマリッジモールドなどの圧縮モールド370内で処理することができる。具体的には印刷モデルが特定の形状および幾何学的形状に対応する第1のブロック378のネガ型374内に受け入れることができ、一方、第2のブロック382は圧縮成形プロセス中に第1のブロック378と共に動作するように構成される。いくつかの態様では、第2のブロック382が第2のブロック382から延在し、圧縮成形プロセス中に第1のブロック378のネガ型374内に突出するように構成されたポジ型386を備える。他の態様では、第2のブロック382が第1のブロック378のネガ型374内に印刷モデルを囲む平坦面を備える。
【0094】
圧縮成形プロセスの間、第1のブロック378および第2のブロック382は、印刷モデルをその間に配置して、互いに対して圧縮される。圧縮の大きさ、すなわち、ニュートン(N)またはポンド/平方インチ(PSI)の単位で測定される圧力の力は圧縮成形プロセスを通して経時的に変化し得るか、または圧縮の大きさは圧縮成形プロセスを通して一定のままであり得る。加えて、熱は第1のブロック378および/または第2のブロック382を介して印刷モデルに加えられてもよく、または熱は印刷モデルに直接加えられてもよい。熱は様々な時間、様々な温度で、様々な媒体、例えば、蒸気、グリコール、高温水、高温空気を介して、または熱交換器を介して適用することができる。さらに、冷却は第1のブロック378および/または第2のブロック382を介して印刷モデルに適用されてもよく、または冷却は印刷モデルに直接適用されてもよい。冷却は様々な時間、様々な温度で、様々な媒体、例えば、グリコール、低温水、低温空気を通して、または熱交換器によって適用することができる。
【0095】
さらに、圧縮成形プロセスは印刷モデルのコーティングとして機能する、例えば、とりわけ、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、エポキシ、ビニル、ナイロン、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ乳酸(PLA)、または液晶ポリマーなどのある体積の樹脂の射出を含むことができる。すなわち、印刷モデルは、圧縮成形プロセス中に樹脂でコーティングされてもよい。圧縮成形プロセスの様々な態様は特定のコーティング特性を達成するために、または特定の樹脂材料を収容するために、調整または修正することができる。例えば、より厚いコーティングは印刷モデルに適用するために、より長い圧縮時間、熱温度、および樹脂の体積を必要とし得る。いくつかの実施形態では、複合層240がコーティングを通して見えるように、樹脂材料は透明または半透明である。他の実施形態では樹脂は不透明であり、したがって、複合層240はコーティングの下に隠される。
【0096】
圧縮成形プロセス中、印刷モードの複合層240は、圧縮、熱、および/またはコーティングに反応して、その特性および態様を変化させることができる。例えば、基板材料244は、繊維材料248よりも低い融点または熱たわみ温度を有することができる。したがって、印刷された模型の基板材料244は、第1のブロック378のネガ型374に従って溶融して成形され、それによって、圧縮成形プロセス中にプレート200を成形または形成することができる。一例では、圧縮成形プロセスが複合層240のうちの1つまたは複数が厚さTLを減少させるように、印刷モデルを圧縮させ、総厚さTTを減少させることができる。また、基板材料244は圧縮成形プロセスによって熱融着されてもよく、複合層240は圧縮成形プロセスの間に互いに熱融着されることが想定される。したがって、圧縮成形プロセスはプレート200の複合層240を、互いに係合された別個の層から、繊維材料248の複数の連続ストランドが含浸された基板材料244のモノリシックマトリクスに変換することができる。圧縮成型時の熱融着により、プレート200の剛性が高まり、曲げ抵抗BRやねじり抵抗TRなどの剛性が高まる。
【0097】
さらに、繊維材料248は圧縮成形プロセスによって絡み合ったり、再配置されたりすることがあり、その結果、印刷された模型の剛性、可撓性、及び方向強度特性が変化する。圧縮成形プロセスは熱および圧力への曝露により、繊維材料248を溶融または変形させ得ることが想定される。また、繊維材料248は、圧縮成形プロセスを介して、基板材料244及び/又は繊維材料248の周囲部に熱融着されてもよいことが想定される。したがって、圧縮成形プロセスは繊維材料248の連続ストランドの複合層240を、互いに切り離されたまたは離間された別個の層から、基板材料244のマトリクス内に含浸された繊維材料248のモノリシックウェブに変換することができる。圧縮成型時の熱融着により、プレート200の剛性が高まり、曲げ抵抗BRやねじり抵抗TRなどの剛性が高まる。加えて、コーティングが圧縮成形プロセス中に印刷モデルに適用される場合、コーティングは、他の特徴の中でも、表面粗さ、湿気抵抗、または防振などの特定の特性を印刷モデルに付与することができる。
【0098】
したがって、プレート200は様々な形状およびサイズで形成することができ、ソール104またはアッパー102などの履物100の一部として提供することができる。いくつかの実施形態では、プレート200がアッパー102の一部として、例えば、インソール126の一部として提供される。プレート200は他のニーズの中でも特に、歩行、姿勢、姿勢、推進、および機動性に影響を及ぼすか、またはそれらを高めるように、少なくとも部分的にカスタマイズされるように構成され得る。例えば、プレート200は痛みを軽減し、かつ/または医療上の問題または変形を有するユーザの性能を改善するように構成されてもよい。繊維補強材は、後部セグメント212、前部セグメント220、もしくはアーチセグメント216、またはそれらの何らかの組合せなどの、プレート200の局所領域における剛性を増大させることができる。加えて、剛性は一般的に剛性の材料で作られた繊維のアレイおよび配向によって、または例えば、より小型で高密度のアレイで繊維材料を印刷することによって、または追加の複合層、特に領域を追加することによって、または周辺部232の周りに繊維を堆積することによって、増加させることができる。したがって、曲げ抵抗BRおよびねじり抵抗TR(これは慣性モーメントMOIおよび弾性率の数値を占め、それに関連する)は特定の用途のために増加され、カスタマイズされ得る。繊維補強材はまた、CFF技術を使用するアディティブマニュファクチャリング方法を実施することによって、プレート200の局所領域における方向性剛性、ならびに準等方性QI特性を提供することができる。
【0099】
実施例1
【0100】
図10~
図17に関して、プレート400の実施形態は、個々の複合層404が上面平面図から見えるいくつかの未完成の状態で示されている。具体的にはプレート400が例示的なCFF技術を用いた層ごとの構成で実施されるような、アディティブマニュファクチャリングプロセスの例示的な試行の連続段階、すなわち、印刷プロセスで示され、その試料は第1の複合層404a(
図10を参照)、第2の複合層404b(
図11を参照)、第3の複合層404c(
図12を参照)、第4の複合層404d(
図13を参照)、第5の複合層404e(
図14を参照)、第6の複合層404f(
図15を参照)、第7の複合層404g(
図16を参照)、および第8の複合層404h(
図17を参照)を含む。
図10~
図17から理解されるように、プレート400は、足指端140と踵端146とを二分する中心線軸228を定義する。中心線軸228は、基準軸224に対して中心線角度408で配置される。図示の実施形態では中心線角度408は約-4度であるが、他の構成も可能である。さらに、様々な態様を例示的な試し印刷プロセス中に測定し、以下の表1に記録した。したがって、第1層は、
図10の第1の複合層404aなどに対応する。
【0101】
【0102】
プレート400は8つの複合層404a~hに加えて、さらにいくつかの複合層を含むことができ、プレート400は、コーティングが施される圧縮成形プロセスを受けることができることが理解されよう。本明細書で使用される「アレイ」という用語は例えば、ブストロフェドンアレイ、様々な多角形のテッセレーションアレイ、同心円状または楕円状パターン、曲線幾何学的形状のモチーフ、または連続ストランドによって形成される任意の他の2Dまたは3Dパターンなど、様々なタイプのパターンおよび配列を含むことができることが理解されよう。
【0103】
図10を参照すると、第1の複合層404aは、基準軸224に対してベース角416aに配向された基板配列412aに印刷された基板材料244のストランドからなるベース層である。ベース角416aは約45度であってもよいが、他の構成も可能である。図示の実施形態では、ベース層404aが後続の層に堆積される繊維材料248を収容するための外殻または保護層として機能することができる基板材料244から全体的に構成される(
図11~
図17参照)。しかしながら、いくつかの実施形態では、ベース層404aが履物100内に設置または組み立てる前に除去されてもよい。
【0104】
図11を参照すると、プレート400は、基準軸224と平行に配向された第1の繊維アレイ412bに印刷された繊維材料248の連続ストランドを含む第2の複合層404bを含む。したがって、第1の繊維アレイ412bは、ベース角416aとは異なる第1の繊維角度416b(図示せず)で配向される。さらに、第2の複合層404bの第1の繊維アレイ412bは、プレート400の周辺部232の部分に沿って配置されたU字形ヘアピン屈曲部の形態のターン420を含む。さらに、第2の複合層404bは、周辺部232付近の第1の繊維アレイの様々な部分に沿ってターン420のうちの1つまたは複数と係合する周辺要素236を含む。周辺要素236は繊維材料248から形成され、追加の補強のために提供されるが、周辺要素236は他の材料から形成されてもよく、および/またはより多くのまたはより少ない場所に提供されてもよい。他の実施形態では周辺要素236が周辺部232からより内側に配置されてもよく、あるいは周辺要素236が設けられなくてもよい。表1に関して、第2の複合層404bは0.1mmの層厚TLおよび1.57cm
3の層体積VLを含み、そのうち繊維材料248は96.8%を構成する。
【0105】
図12を参照すると、プレート400は、基準軸224に対して第2の繊維角度416cで配向された第2の繊維アレイ412cに印刷された繊維材料248の連続ストランドを含む第3の複合層404cを含む。図示の実施形態では、第2の繊維角度416cは約-45度である。したがって、第2の繊維角度416cは、第1の繊維角度416b(図示せず)とは異なる。さらに、第3の複合層404cの第2の繊維アレイ412cは、プレート400の周辺部232の部分に沿って配置されたターン420を含む。さらに、第3の複合層404cは、周辺部232付近の第2の繊維アレイ412cの様々な部分に沿ってターン420のうちの1つまたは複数と係合する周辺要素236を含む。表1に関して、第3の複合層404cは0.1mmの層厚TLおよび1.56cm
3の層体積VLを含み、そのうち繊維材料248は96.8%を構成する。
【0106】
図13を参照すると、プレート400は、基準軸224に対して第3の繊維角度416dで配向された第3の繊維アレイ412dに印刷された繊維材料248の連続ストランドを含む第4の複合層404dを含む。図示の実施形態では、第3の繊維角度416dは約90度である。したがって、第3の繊維角度416dは、第2の繊維角度416cとは異なる。さらに、第4の複合層404dの第3の繊維アレイ412dは、プレート400の周辺部232の部分に沿って配置されたターン420を含む。さらに、第4の複合層404dは、周辺部232付近の第3の繊維アレイ412dの様々な部分に沿ってターン420のうちの1つまたは複数と係合する周辺要素236を含む。表1に関して、第4の複合層404dは0.1mmの層厚TLおよび1.53cm
3の層体積VLを含み、そのうち繊維材料248は98.0%を構成する。
【0107】
図14を参照すると、プレート400は、基準軸224に対して第4の繊維角度416eで配向された第4の繊維アレイ412eに印刷された繊維材料248の連続ストランドを含む第5の複合層404eを含む。図示の実施形態では、第4の繊維角度416eは約45度である。したがって、第4の繊維角度416eは、第3の繊維角度416dとは異なる。さらに、第5の複合層404eの第4の繊維アレイ412eは、プレート400の周辺部232の部分に沿って配置されたターン420を含む。さらに、第5の複合層404eは、周辺部232付近の第4の繊維アレイ412eの様々な部分に沿ってターン420のうちの1つまたは複数と係合する周辺要素236を含む。第5の複合層404eは表1に示すように、層厚さTLが0.1mmであり、層体積VLが1.56cm
3であり、繊維材が96.8%を占める。
【0108】
図15を参照すると、プレート400は、基準軸224に対して第5の繊維角度416fで配向された第5の繊維アレイ412fに印刷された繊維材料248の連続ストランドを含む第6の複合層404fを含む。図示の実施形態では、第5の繊維角度416fは約-45度である。したがって、第5の繊維角度416fは、第4の繊維角度416eとは異なる。さらに、第6の複合層404fの第5の繊維アレイ412fは、プレート400の周辺部232の部分に沿って配置されたターン420を含む。さらに、第6の複合層404fは、周辺部232付近の第5の繊維アレイ412fの様々な部分に沿ってターン420のうちの1つまたは複数と係合する周辺要素236を含む。表1に関して、0.1mmの層厚TLおよび1.54cm
3の層体積VLを含み、そのうち繊維材料248が96.8%を構成する、第6の複合層404fについての計測値が提供される。
【0109】
図16を参照すると、プレート400は、基準軸224に対して第6の繊維角度416gで配向された第6の繊維アレイ412gで印刷された繊維材料248の連続ストランドを含む第7の複合層404gを含む。図示の実施形態では、第6の繊維角度416gは約90度である。したがって、第6の繊維角度416gは、第5の繊維角度416fとは異なる。さらに、第7の複合層404gの第6の繊維アレイ412gは、プレート400の周辺部232の部分に沿って配置されたターン420を含む。さらに、第7の複合層404gは、周辺部232付近の第6の繊維アレイ412gの様々な部分に沿ってターン420のうちの1つまたは複数と係合する周辺要素236を含む。第7の複合層404gは0.1mmの層厚TLと、1.54cm
3の層体積VLとを有し、そのうち繊維材料248が98.0%を占める。
【0110】
図17を参照すると、プレート400は、基準軸224に対して第7の繊維角度416hで配向された第7の繊維アレイ412hで印刷された繊維材料248の連続ストランドを含む第8の複合層404hを含む。図示の実施形態では、第7の繊維角度416hは約90度である。したがって、第7の繊維角度416hは、第6の繊維角度416gとは異なる。さらに、第8の複合層404hの第7の繊維アレイ412hは、プレート400の周辺部232の部分に沿って配置されたターン420を含む。さらに、第8の複合層404hは、周辺部232付近の第7の繊維アレイ412hの様々な部分に沿ってターン420のうちの1つまたは複数と係合する周辺要素236を含む。第8の複合層404hは0.1mmの層厚TLと、1.56cm
3の層体積VLとを有し、そのうち繊維材料248が96.8%を占める。
【0111】
したがって、1つの例示的なCFF技術は繊維材料248の連続ストランドの多数の層の堆積を含み、連続複合層404内に積み重ねられ、または垂直に配置され、異なるアレイ412内に配置され、基準軸224に対して様々な角度416で配置される。さらに、各繊維アレイ412は、プレート400の足指端140と踵端146との間で面内に連続的に延在する繊維材料248の連続ストランドを含む。すなわち、プレート400を製造するために使用されるCFF技術は、繊維材料248が後部セグメント212、アーチセグメント216、および前部セグメント220全体にわたって均一かつ連続的である繊維アレイ412内に堆積されるいくつかの複合層404を含み、繊維アレイ412もまた、プレート400の内側面118と外側面116との間で均一である。さらに、各繊維アレイ412は、隣接する複合層404の繊維アレイ412とは区別されかつ分離された繊維材料412の連続ストランドからなる。そのために、プリンタ300のカッター(図示せず)を使用して、各繊維アレイ412の連続ストランドを定義する。
【0112】
加えて、繊維角度416は、隣接する複合層404の繊維角度416とは異なる。さらに、それぞれの複合層404の繊維アレイ412は複合層404のファイバ表面領域FSALを定義し、その結果、繊維アレイ412は、複合層404によって定義される全表面領域SALの百分率として定量化することができる。一例では、繊維アレイ412が少なくとも約90%の層面領域を含む。複合層404はプレート400全体にわたって延在し、部分的にプレート400およびその周辺部232を定義するので、層表面領域SALは、概して、プレート400の面内表面領域(SAP)に等しい。したがって、繊維アレイ412のファイバ表面領域は、プレート400の面内表面領域に対応する。そのために、繊維アレイ412はプレート400の面内表面領域SAPの実質的に全体にわたって連続的に印刷され、すなわち、繊維アレイ412は、プレート400の面内表面領域SAPの少なくとも約90%を含む。層体積VLの繊維割合FPLは、繊維アレイ412によって覆われた繊維面領域FSALに比例して対応することが理解されるのであろう。しかしながら、いくつかの実施形態では、繊維割合FPLが第3の要素および/または材料の導入のため、または複合層404および/またはプレート400の特定の領域または区画内の繊維材料248の濃縮のため、繊維面領域FSALに対応しなくてもよい。いくつかの実施形態では、それぞれの繊維アレイ412のファイバ表面領域FSALが隣り合う複合層404の繊維アレイ412のファイバ表面FSALとは異なっている。
【0113】
図18に関して、プレート500の別の実施形態は、履物具100のためのソール構造体504内で使用するために提供される。
図18のプレート500およびソール構造体504はプレート200、400およびソール構造体104と類似しており、したがって、同様の符号は、同様の要素を示すために使用される。
図18では、プレート500が前部セグメント220内で間隙516によって分離された内側フォーク508および外側フォーク512を含む。プレート500は、踵端146に向かう長手方向に移動する基準面224に対して、X方向に狭くなる、すなわち測定される。すなわち、プレート500は前部セグメント220からアーチセグメント216まで狭くなり、また、アーチセグメント216から後部セグメント212まで狭くなる。図示の実施形態では、ソール504がさらに、アウトソール520と、プレート500が取り付けられるミッドソール528とを含む。
【0114】
プレート500はプレート200および400と同様に、アディティブマニュファクチャリングによって製造され、プレート500は、様々な配向の繊維材料248および基板材料244を含む複数の複合層(図示せず)を含む。したがって、プレート500は、カスタマイズされた曲げ抵抗BRおよびねじり抵抗TRを有するようなサイズおよび形状にされる。例えば、内側フォーク508と外側フォーク512との間の間隙516の位置に起因して、プレート500の前部セグメント220は、プレート200、400のものよりも小さい材料体積VLおよびVTを有する。これにより、プレート200、400に比べて、耐屈曲性BR及びねじり抵抗TRが低減される。加えて、後部セグメント212はまた、プレート200、400のVLおよびVTよりも低減されたVLおよびVTを定義する。しかしながら、プレート500のアーチセグメント216は、プレート200、400のVTおよびVLと等しいかまたはそれより大きいVTおよびVLを定義する。したがって、プレート500は、プレート500の形および大きさを変更することによって、プレート200、400と比べて特定の曲げ抵抗BRおよびねじり抵抗TRを提供するように調整される。
【0115】
加えて、プレート500の内側フォーク508および外側フォーク512は、互いに異なる特性を有するように構成され得る。例えば、内側フォーク508はユーザに足のボールの内側または内側部付近、すなわち、幻覚付近での増加した推進力を提供するために、外側フォーク512よりも大きな剛性、例えば、曲げ抵抗BRを有することができる。対照的に、外側フォーク512はユーザに足のボールの外側または外側付近、例えば遠位トウ付近の快適性を向上させるために、内側フォーク508よりも高い可撓性、例えば低い屈曲抵抗BRを備えることができる。
【0116】
さらに、
図1~
図3および
図18を参照すると、プレート500は、アッパー102と組み立てられるように構成されたソール構造体504の一部として提供される。特に、プレート500は、アウトソール520とアッパー102との間に配置されるように構成され、プレート500はアウトソール520およびアッパー102の両方と接触する。そのために、プレート500はミッドソール528を通って延在し、具体的には、プレート500の後部セグメント212がミッドソール528を通って形成されたスロット532を通って延在する。図示の実施形態ではプレート500が水平面Hに対して前部セグメント220およびアーチセグメント216に沿って徐々に湾曲し、プレート500は前部セグメント220の湾曲と比較して、アーチセグメント216および後部セグメント212に沿った水平面Hに対して増加した湾曲を有する。
【0117】
組み立てられると、プレート500の後部セグメント212は、ミッドソール528のベッド540と面一になるようにプラットフォーム536上に載る。アッパー102がミッドソール528に取り付けられると、アッパー102のインソール126は、プレート500のベッド540および後部セグメント212に沿って配置される。したがって、ソール504が組み立てられるとき、プレート500はXおよびY方向に延在し、ミッドソール528のベッド540および/またはアッパー102のインソール126の少なくとも一部と同一平面上にある水平面Hに対して下向きの角度で配置される。下向きの角度は少なくとも約5度であるが、10度以上であってもよい。そのような下向きの角度で、特定の曲率と組み合わせて、プレート500は使用中に加えられた荷重下で偏向するように構成され、それにより、プレート500が跳ね返り、したがって、軽い荷重、例えば、単なる歩行歩行時にユーザの歩行に推進力を提供する。プレート500の特定の形状およびサイズと組み合わせて、上述のように、プレート500はソール504内に配置されて反応性を増加させ、それによって、ミッドソール528に沿って平らに敷設されたプレートと比較して、より容易に、すなわち、より軽い負荷で推進が行われる。
【0118】
したがって、プレート200、400、500は様々な形状およびサイズで形成することができ、ソール104またはアッパー102などの履物100の一部として提供することができる。いくつかの実施形態では、プレート400がインソール126の一部など、アッパー102の一部として設けられる。プレート200、400、500は他のニーズの中でも特に、歩行、姿勢、姿勢、推進、および機敏性に影響を及ぼすか、または向上させるように、少なくとも部分的にカスタマイズされるように構成され得る。例えば、プレート200、400、500は痛みを軽減し、かつ/または医療問題または変形を有するユーザの性能を改善するように構成されてもよい。繊維補強材は、後部セグメント212、前部セグメント220、もしくはアーチセグメント216、またはそれらの何らかの組合せなどにおける、プレート200、400の局所領域の剛性を増大させることができる。加えて、剛性は一般的に剛性の材料で作られた繊維のアレイおよび配向によって、または例えば、より小型で高密度のアレイで繊維材料を印刷することによって、または追加の複合層、特に領域を追加することによって、または周辺部232の周りに繊維を堆積することによって、増加させることができる。したがって、慣性モーメントMOIおよび弾性率の数値を説明し、それに関連する曲げ抵抗BRおよびねじり抵抗TRは、特定の用途のために増加され、カスタマイズされ得る。繊維補強材はまた、CFF技術を使用するアディティブマニュファクチャリング方法を実施することによって、プレート200、400、500の局所領域における方向性剛性、ならびに準等方性QI特性を提供することができる。
【0119】
図19は、上述のアディティブマニュファクチャリングプロセスによって製造されるプレート600の別の実施形態を示す。プレート600は単一のソール構造体104として構成され、プレート600はアッパー102(
図1~
図3参照)が取り付けられるソール構造体104全体を含む。特に、プレート600は、プレート600の一部としてモノリシックに設けられた複数のけん引要素604を含む。したがって、同じアディティブマニュファクチャリングプロセス、およびいくつかの例では、同じ物質を使用して、プレート600およびけん引要素604を製造することができる。したがって、けん引要素604は
図1~
図18に関連して上述したように、基板材料244および繊維材料248を含む合成要素である。
図19のけん引要素604の1つの断面図である
図20を参照すると、繊維材料248は、けん引要素604内で同心円状の経路で巻かれる。さらに、けん引要素604は、けん引要素604がプレート600から離れて延びるにつれて狭くなる外径Dを定義する。したがって、繊維材料248の同心円状経路は直径Dに比例してけん引要素604内で締め付けまたは拡張する。このようにして、けん引要素604は上述のプレート200、400、500と同様の強度-重量特性を有するように補強される。
【0120】
図21を参照すると、プレート600内に設けることができる開口部620の一例の概略図が示されている。図示の実施形態では、繊維材料248が開口部620の周りに、開口部620によって定義される直径D1に比例して、同心円経路で延在する。このようにして、繊維材料248は、プレート600の開口部620を補強するために使用される。そのような開口部620は貫通空孔としてプレート600内に、またはプレート600の外部に露出されない空隙または空洞としてプレート600内に形成することができる。
【0121】
本開示に記載されるプレートのいずれかが、上述の構造的剛性特性に加えて埋め込まれた機能性を含むことが想定される。例えば、繊維材料248は、導電性材料、熱伝導性材料、電気絶縁性材料、熱絶縁性材料、光透過性材料、または流体透過性材料を有するか、または有するように変更されることが想定される。追加的または代替的に、デバイス(図示せず)は、本開示のプレートのいずれかの中に埋め込まれてもよい。一例では、デバイス(図示せず)がセンサ、例えば、トランスデューサ、加速度計、ジオロケーションセンサ、温度センサ、湿度センサ、または水分センサであってもよい。さらに、デバイス(図示せず)はユーザに触覚供給部バックを提供することが可能であってもよく、その結果、ユーザは長時間の立位または座位または不動を回避するように通知することができる。また、デバイス(図示せず)は例えば、空気で満たされた、または流体で満たされたブラダーまたはポッドなどの物体または構造要素であってもよい。デバイス(図示せず)は例えば圧電トランスデューサなどの使用中にプレートおよび/または履物の変形によって引き起こされるエネルギーを採取し、貯蔵することが可能であることがさらに想定される。
【0122】
他の実施形態では、他の構成が可能である。例えば、上記の議論における特定の実施形態に関して提示される特定の特徴および特徴の組み合わせは、必要に応じて、他の実施形態および他の組み合わせにおいて利用することができる。さらに、本明細書に記載される実施形態のいずれかは、他の実施形態に関連して開示される構造体または方法のいずれかを含むように修正することができる。加えて、本開示は、具体的に示されるタイプの履物の製品に限定されない。さらに、本明細書に開示される実施形態のいずれかの履物の製品の態様は、任意のタイプの履物、アパレル、または他の運動用機器で機能するように修正されてもよい。
【0123】
前述のように、本発明は特定の実施形態および実施例に関連して上述されているが、本発明は必ずしもそのように限定されず、多数の他の実施形態、実施例、使用、修正、および実施形態からの逸脱は本明細書に添付される特許請求の範囲によって包含されることが意図されることが、当業者によって理解されるのであろう。本明細書に引用される各特許および刊行物の全開示はそのような各特許または刊行物が参照により個々に本明細書に組み込まれるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の様々な特徴および利点は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明に対する数多くの変更は、前述の説明を考慮すれば当業者には明らかであろう。従って、本明細書は、例示的なものとしてのみ解釈されるべきであり、当業者が本発明を製造し使用することを可能にする目的で提示される。添付の特許請求の範囲に含まれるすべての変更に対する排他的権利は留保される。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
したがって、様々な方向に配置された繊維アレイを有する複合層240の配置は、プレート200がQI特性、例えば、全ての方向においてほぼ等しい強度または抵抗特性を示すことを可能にする。例えば、プレート200が履物100のソール104に設けられている場合、Z方向に加えられる荷重と、ユーザが踵を地面から離れるようにアーチをかけて前足から前方に推進する傾向とに起因して、屈曲が生じる。この力はプレート200および繊維材料248が配置される面内方向、すなわちXおよびY方向に概ね直交し、したがって、複合層240が最も強い方向に概ね直交する。しかしながら、このような曲げの間、プレート200の上面204は圧縮状態にあり、底面208は、下向きの力、すなわち荷重がプレート200および履物100の変形を引き起こすため、張力状態にある。したがって、上面204付近に配置された複合層240は長手方向すなわちY方向の圧縮力を受け、プレート200の底面208付近の複合層240は長手方向すなわちY方向の引張力を受ける。したがって、曲げ抵抗BRを増大させるために、上面204付近の複合層240は繊維材料248が長手方向に、すなわち、圧縮力が加えられる方向と平行に延在するように配置することができ、底面208付近の複合層240は繊維材料248が長手方向に、すなわち、張力が加えられる方向と平行に延在するように配置することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0111
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0111】
したがって、1つの例示的なCFF技術は繊維材料248の連続ストランドの多数の層の堆積を含み、連続複合層404内に積み重ねられ、または垂直に配置され、異なるアレイ412内に配置され、基準軸224に対して様々な角度416で配置される。さらに、各繊維アレイ412は、プレート400の足指端140と踵端146との間で面内に連続的に延在する繊維材料248の連続ストランドを含む。すなわち、プレート400を製造するために使用されるCFF技術は、繊維材料248が後部セグメント212、アーチセグメント216、および前部セグメント220全体にわたって均一かつ連続的である繊維アレイ412内に堆積されるいくつかの複合層404を含み、繊維アレイ412もまた、プレート400の内側面118と外側面116との間で均一である。さらに、各繊維アレイ412は、隣接する複合層404の繊維アレイ412とは区別されかつ分離された繊維材料248の連続ストランドからなる。そのために、プリンタ300のカッター(図示せず)を使用して、各繊維アレイ412の連続ストランドを定義する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】