(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】集積回路の冷却のための効率的な熱拡散方法及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20250123BHJP
H01L 23/40 20060101ALI20250123BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L23/40 F
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542242
(86)(22)【出願日】2023-01-12
(85)【翻訳文提出日】2024-09-11
(86)【国際出願番号】 US2023010702
(87)【国際公開番号】W WO2023141052
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナスル,モハメド ハイサム ヘルミー
(72)【発明者】
【氏名】アイアンガー,スリクマー セシャサイー
(72)【発明者】
【氏名】ナボヴァティ,アイディン
(72)【発明者】
【氏名】ジャッサル,スリンダーパル シン
(72)【発明者】
【氏名】プラヴシッチ,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA11
5E322FA04
5F136BA01
5F136BB18
5F136BC03
5F136BC07
5F136DA25
5F136EA02
5F136EA03
5F136EA13
5F136EA16
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA16
5F136GA02
(57)【要約】
方法は、第1のリフロ温度での第1のはんだリフロ処理において、集積回路をプリント回路基板に取り付けるステップを含むことができる。方法は、第2のリフロ温度での第2のはんだリフロ処理において、ヒートスプレッダを集積回路にはんだ付けするステップを含むことができ、第2のリフロ温度は、第1のリフロ温度よりも低い。方法は、熱伝導材料がヒートスプレッダと冷却板との間に位置付けられるように、冷却板をヒートスプレッダに取り付けるステップを含むことができる。関連する集積回路アセンブリが、ヒートスプレッダと集積回路との間に位置付けられる、はんだ又は液体金属などの熱伝導材料を伴って開示される。熱伝導材料は、集積回路の別の表面上のはんだよりも低い融解温度を有する。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却解決策を1つ又は複数の集積回路の構成要素に適用するための方法であって、
第1のリフロ温度での第1のはんだリフロ処理において、集積回路をプリント回路基板に取り付ける工程と、
第2のリフロ温度での第2のはんだリフロ処理において、ヒートスプレッダを前記集積回路にはんだ付けする工程であって、前記第2のリフロ温度は、前記第1のリフロ温度よりも低い、はんだ付けする工程と、
熱伝導材料が前記ヒートスプレッダと冷却板との間に位置付けられるように、前記冷却板を前記ヒートスプレッダに取り付ける工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のはんだリフロ処理の後及び前記第2のリフロ処理の前に、前記プリント回路基板と前記集積回路との間にアンダーフィル材料を適用する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のリフロ温度は、前記アンダーフィル材料のガラス転移温度を下回る、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のはんだリフロ処理の前に、前記集積回路の上面又は前記ヒートスプレッダの底面の少なくとも一方の上に金膜を堆積する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金膜は、パターニングされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記集積回路は、内部ヒートスプレッダを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記集積回路は、蓋なしである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒートスプレッダは、前記集積回路よりも大きい占有面積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却板は、地面に電気的に接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ヒートスプレッダは、前記冷却板に電気的に接続される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プリント回路基板は、接地パッドを備え、前記ヒートスプレッダは、前記接地パッドに電気的に接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
集積回路のための冷却を伴う集積回路アセンブリであって、
プリント回路基板と、
第1の表面と、前記第1の表面と反対側の第2の表面とを備える集積回路であって、前記第2の表面は、はんだを用いて前記プリント回路基板にはんだ付けされている、集積回路と、
熱伝導材料が前記ヒートスプレッダと前記集積回路の第1の表面との間に位置するように位置付けられたヒートスプレッダであって、前記熱伝導材料は、導電性であり、前記熱伝導材料は、室温において固体であり、前記熱伝導材料は、前記はんだよりも低い融解温度を有する、ヒートスプレッダと、
前記ヒートスプレッダに取り付けられ、第2の熱伝導材料を介して前記ヒートスプレッダと熱的に連通する冷却板と、を備える、集積回路アセンブリ。
【請求項13】
前記熱伝導材料は、第2のはんだを含む、請求項12に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項14】
前記熱伝導材料は、液体金属を含む、請求項12に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項15】
前記プリント回路基板と前記集積回路との間に位置付けられたアンダーフィル材料をさらに備える、請求項12に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項16】
前記アンダーフィル材料のガラス転移温度は、前記はんだの融点よりも高い、請求項15に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項17】
前記集積回路の第1の表面と前記ヒートスプレッダとの間に位置付けられた金膜をさらに備える、請求項12に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項18】
前記集積回路の第1の表面と前記金膜との間に位置付けられた接着層をさらに備える、請求項17に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項19】
前記集積回路は、内部ヒートスプレッダを備える、請求項12に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項20】
前記集積回路は、蓋なしである、請求項12に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項21】
変形可能導体をさらに備え、
前記冷却板は、電気的に接地されており、
前記変形可能導体は、前記ヒートスプレッダと前記冷却板との間に接触して位置付けられ、
前記ヒートスプレッダ及び前記冷却板は、前記変形可能導体を介して互いに電気的に接続されている、請求項12に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項22】
変形可能導体をさらに備え、
前記プリント回路基板は、接地パッドを備え、
前記変形可能導体は、前記接地パッドと前記ヒートスプレッダとの間に接触して配置され、
前記ヒートスプレッダ及び前記接地パッドは、前記変形可能導体を介して互いに電気的に接続されている、請求項12に記載の集積回路アセンブリ。
【請求項23】
集積回路のための冷却を伴う集積回路アセンブリであって、
プリント回路基板と、
前記プリント回路基板に取り付けられた集積回路と、
はんだを使用して前記集積回路にはんだ付けされたヒートスプレッダであって、前記はんだは、前記プリント回路基板と前記集積回路との間に位置付けられたアンダーフィル材料のガラス転移温度を下回るリフロ温度を有する、ヒートスプレッダと、
前記ヒートスプレッダを覆って位置付けられ、熱伝導材料を介して前記集積回路に熱的に結合された冷却板と、を備える、集積回路アセンブリ。
【請求項24】
集積回路のための冷却を伴う集積回路アセンブリであって、
プリント回路基板と、
前記プリント回路基板に取り付けられた集積回路と、
はんだを使用して前記集積回路にはんだ付けされたヒートスプレッダであって、前記はんだは、前記プリント回路基板と前記集積回路との間に位置付けられた第2のはんだのリフロ温度を下回るリフロ温度を有する、ヒートスプレッダと、
前記ヒートスプレッダを覆って位置付けられ、熱伝導材料を介して前記集積回路に熱的に結合された冷却板と、を備える、集積回路アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、参照することによって、全体としてあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる、2022年1月19日に出願され、「LOW TEMPERATURE SOLDERED HEAT SPREADER」と題された米国仮特許出願第63/301,003号の非仮出願であり、その優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概して、集積回路を冷却すること及び集積回路アセンブリを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路(Itegrated Circuit:IC)は、熱を放散するという技術的課題に直面する可能性がある。ICは、熱を放散するために種々の冷却解決策を使用することができ、算出性能を達成及び/又は維持する。はんだを使用してICをICアセンブリ内の冷却解決策に取り付けることによって、望ましい熱伝導率を提供することができる。同時に、はんだは、ICアセンブリの製造において技術的課題を提示し得る。
【発明の概要】
【0004】
請求項に説明された技術革新はそれぞれ、いくつかの態様を有し、そのうちの単一の態様のみが、その望ましい属性を単独で担うものではない。請求項の範囲を限定することなく、本開示のいくつかの顕著な特徴をここで簡単に説明する。
【0005】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、冷却解決策を1つ又は複数の集積回路の構成要素に適用するための方法であって、第1のリフロ温度での第1のはんだリフロ処理において、集積回路をプリント回路基板に取り付けるステップと、第2のリフロ温度での第2のはんだリフロ処理において、ヒートスプレッダを集積回路にはんだ付けするステップであって、第2のリフロ温度は、第1のリフロ温度よりも低い、ステップと、熱伝導材料がヒートスプレッダと冷却板との間に位置付けられるように、冷却板をヒートスプレッダに取り付けるステップとを含む方法に関する。
【0006】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、第1のはんだリフロ処理の後及び第2のリフロ処理の前に、プリント回路基板と集積回路との間にアンダーフィル材料を適用するステップをさらに含む方法に関する。
【0007】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、第2のリフロ温度がアンダーフィル材料のガラス転移温度を下回る方法に関する。
【0008】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、第2のはんだリフロ処理の前に、集積回路の上面又はヒートスプレッダの底面の少なくとも一方の上に金膜を堆積するステップをさらに含む方法に関する。
【0009】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、金膜がパターニングされる方法に関する。
【0010】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、集積回路が内部ヒートスプレッダを含む方法に関する。
【0011】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、集積回路が蓋なしである方法に関する。
【0012】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、ヒートスプレッダが集積回路よりも大きい占有面積を有する方法に関する。
【0013】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、冷却板が地面に電気的に接続される方法に関する。
【0014】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、ヒートスプレッダが冷却板に電気的に接続される方法に関する。
【0015】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、プリント回路基板が接地パッドを備え、ヒートスプレッダが接地パッドに電気的に接続される方法に関する。
【0016】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、集積回路のための冷却を伴う集積回路アセンブリであって、集積回路アセンブリは、プリント回路基板と、第1の表面と、第1の表面と反対側の第2の表面とを含む集積回路であって、第2の表面がはんだを用いてプリント回路基板にはんだ付けされている、集積回路と、熱伝導材料がヒートスプレッダと集積回路の第1の表面との間に位置するように位置付けられたヒートスプレッダであって、熱伝導材料は、導電性であり、熱伝導材料は、室温において固体であり、熱伝導材料は、はんだよりも低い融解温度を有する、ヒートスプレッダと、ヒートスプレッダに取り付けられ、第2の熱伝導材料を介してヒートスプレッダと熱的に連通する冷却板とを含む。
【0017】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、熱伝導材料が第2のはんだを含む集積回路アセンブリに関する。
【0018】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、熱伝導材料が液体金属を含む集積回路アセンブリに関する。
【0019】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、プリント回路基板と集積回路との間に位置付けられたアンダーフィル材料をさらに含む集積回路アセンブリに関する。
【0020】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、アンダーフィル材料のガラス転移温度がはんだの融点よりも高い集積回路アセンブリに関する。
【0021】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、集積回路の第1の表面とヒートスプレッダとの間に位置付けられた金膜をさらに含む集積回路アセンブリに関する。
【0022】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、集積回路の第1の表面と金膜との間に位置付けられた接着層をさらに含む集積回路アセンブリに関する。
【0023】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、集積回路が内部ヒートスプレッダを含む集積回路アセンブリに関する。
【0024】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、集積回路が蓋なしである集積回路アセンブリに関する。
【0025】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、変形可能導体をさらに含み、冷却板は、電気的に接地されており、変形可能導体は、ヒートスプレッダと冷却板との間に接触して位置付けられ、ヒートスプレッダ及び冷却板は、変形可能導体を介して互いに電気的に接続されている集積回路アセンブリに関する。
【0026】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、変形可能導体をさらに含み、プリント回路基板は、接地パッドを備え、変形可能導体は、接地パッドとヒートスプレッダとの間に接触して配置され、ヒートスプレッダ及び接地パッドは、変形可能導体を介して互いに電気的に接続されている集積回路アセンブリに関する。
【0027】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、集積回路のための冷却を伴う集積回路アセンブリであって、プリント回路基板と、プリント回路基板に取り付けられた集積回路と、はんだを使用して集積回路にはんだ付けされたヒートスプレッダであって、はんだは、プリント回路基板と集積回路との間に位置付けられたアンダーフィル材料のガラス転移温度を下回るリフロ温度を有する、ヒートスプレッダと、ヒートスプレッダを覆って位置付けられ、熱伝導材料を介して集積回路に熱的に結合された冷却板とを含む、集積回路アセンブリに関する。
【0028】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、本明細書に開示された集積回路アセンブリの1つ又は複数の特徴をさらに含む集積回路アセンブリに関する。
【0029】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、集積回路のための冷却を伴う集積回路アセンブリであって、プリント回路基板と、プリント回路基板に取り付けられた集積回路と、はんだを使用して集積回路にはんだ付けされたヒートスプレッダであって、はんだは、プリント回路基板と集積回路との間に位置付けられた第2のはんだのリフロ温度を下回るリフロ温度を有する、ヒートスプレッダと、ヒートスプレッダを覆って位置付けられ、熱伝導材料を介して集積回路に熱的に結合された冷却板とを含む、集積回路アセンブリに関する。
【0030】
本開示を要約する目的で、本技術革新のある特定の態様、利点、及び新規の特徴が本明細書に説明されている。そのような利点がすべて、任意の特定の実施形態に従って必ずしも達成される可能性があるわけではないことを理解されたい。したがって、本技術革新は、本明細書で教示又は示唆される可能性があるような他の利点を必ずしも達成するわけではなく、本明細書で教示されるような1つの利点又は利点の群を達成又は最適化するように具現化又は遂行される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、ある特定の実施形態の図面を参照して説明されるが、本開示を例証することを意図しており、本開示を限定することは意図していない。本明細書に組み込まれ本明細書の一部を構成する付随の図面は、本明細書に開示された概念を例証する目的のためにあり、縮尺通りではない場合があることを理解されたい。
【0032】
【
図1A】いくつかの実施形態による集積回路の冷却構成の概略断面を例証した図である。
【
図1B】いくつかの実施形態による集積回路の冷却構成の概略断面を例証した図である。
【
図1C】いくつかの実施形態による集積回路の冷却構成の概略断面を例証した図である。
【
図1D】いくつかの実施形態による集積回路の冷却構成の概略断面を例証した図である。
【0033】
【
図2A】ある特定の冷却構造の例示的な熱特性を例証した図である。
【
図2B】ある特定の冷却構造の例示的な熱特性を例証した図である。
【0034】
【
図3】いくつかの実施形態による集積回路アセンブリを製造する例示的なプロセスを例証したフローチャートである。
【0035】
【
図4A-D】一実施形態による、冷却システムを複数の集積回路に適用するためのプロセスに対応する集積回路アセンブリの概略断面を例証した図である。
【0036】
【
図5A】いくつかの実施形態による金属コーティングパターンの概略を例証した図である。
【
図5B】いくつかの実施形態による金属コーティングパターンの概略を例証した図である。
【
図5C】いくつかの実施形態による金属コーティングパターンの概略を例証した図である。
【0037】
【
図6】いくつかの実施形態によるマルチコンポーネント冷却システムの概略断面を例証した図である。
【0038】
【
図7A】いくつかの実施形態による液体金属熱伝導材料を使用する集積回路冷却構成の概略断面を例証した図である。
【
図7B】いくつかの実施形態による液体金属熱伝導材料を使用する集積回路冷却構成の概略断面を例証した図である。
【0039】
【
図8A】いくつかの実施形態による接地されたヒートスプレッダを有する集積回路冷却構成の概略断面を例証した図である。
【
図8B】いくつかの実施形態による接地されたヒートスプレッダを有する集積回路冷却構成の概略断面を例証した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ある特定の実施形態に関する以下の詳細な説明は、特有の実施形態に関する種々の説明を提示する。しかしながら、本明細書に説明される技術革新は、例えば、請求項によって定義及び網羅されるような多数の異なる方法で具現化される可能性がある。本説明では、同様の参照番号及び/又は用語が同一の要素又は機能的に類似する要素を示し得る図面を参照する。図に例証されている要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。さらに、ある特定の実施形態は、図面に例証されている要素よりも多くの要素及び/又は図面に例証されている要素のサブセットを含むことができることを理解されたい。さらに、いくつかの実施形態は、2つ又は複数の図面からの特徴の任意の好適な組合せを組み込むことができる。
【0041】
熱は、集積回路(IC)にとって重大な技術的問題を呈し得る。例えば、過剰な熱は、構成要素の損傷、寿命の低減、信頼性の低下、又は性能の悪化につながり得る。いくつかのICでは、高温が原因で、ICが自動的に性能を抑制し得る。例えば、システム・オン・チップ(System on a Chip:SOC)、グラフィックス処理装置(Graphics Processing Unit:GPU)、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)などは、ある特定のレベルを超える温度上昇に応じて動作周波数を低減させる可能性がある。場合によっては、ICは、熱的制約に起因して適正な性能を提供することができない可能性がある。したがって、ICは、IC構成要素から熱を放散させ性能を維持するために、様々な能動冷却及び/又は受動冷却(例えば、ファン、能動液体冷却、ヒートスプレッダ、冷却板など)の解決策を利用することが可能である。いくつかの実施形態では、ICは、冷却のために少なくとも1つの冷却板を使用する。冷却板は、フィンを含むことができる。流体は、対流熱伝達のために冷却板を通して流れることができる。
【0042】
ICは、内蔵ヒートスプレッダとして動作する蓋を有することができる。これらの蓋は、それらの有効性を制限する可能性がある非常に大きな制約に直面し得る。例えば、内蔵ヒートスプレッダは、ICパッケージの外形寸法によって制約され得、その結果、ヒートスプレッダは、他の構成要素の邪魔になることがなく、及び/又はICのプリント回路基板(Printed Circuit Board:PCB)への取付けを妨げることがない。能動冷却又はさらにより効果的な受動冷却を含めることによって、種々の用途において望ましくない場合がある複雑性や費用を加えてしまう可能性がある。例えば、軽いタスクのみを実施するデバイス又は十分な空気流を伴う環境で動作するデバイスにとっては、付加的な冷却を伴わない内蔵ヒートスプレッダで十分である場合がある。しかしながら、そのような冷却解決策は、重い負荷の下では、及び/又は(例えば、空気の流れが悪いことや高温であることなどに起因して)周囲条件が内蔵ヒートスプレッダを用いた受動冷却にとって好ましくない環境では十分ではない場合がある。したがって、内蔵ヒートスプレッダが不十分である場合、付加的な冷却解決策が必要とされる。いくつかの実施形態では、改良された冷却解決策によって、有意により高い性能、より長期間持続することができる性能、又はその両方がもたらされる可能性がある。
【0043】
1つの付加的な冷却解決策は、冷却板である。冷却板は、典型的には、熱伝導材料(Thermal Interface Material:TIM)を使用してICに取り付けられる。しかしながら、熱伝導材料は、例えば、多くの金属に対して高い熱インピーダンスを有することができる。冷却板は、例えば、内蔵ヒートスプレッダの上部に取り付けられる場合がある。冷却板と内蔵ヒートスプレッダとの間の界面は、冷却板とICとの間に位置するTIM材料の比較的低い熱伝導率及び高い界面抵抗のために冷却効率を制限し得る。これは、サーマルペースト、サーマルパッドなどを使用することによって少なくとも部分的に軽減することができる。一般的なサーマルペーストは、熱伝導性の充填剤を含んだ液体キャリアを利用する。充填剤には、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、及び銀を含むことができる。典型的には、サーマルペーストは、数W/m・K、例えば、約1W/m・K~約10W/m・Kの範囲内の熱伝導率を有する。
【0044】
はんだは、典型的なTIMよりも有意に高い熱伝導率及び低い界面インピーダンスをもたらす。例えば、はんだは、はんだ特有の組成に応じて、約10W/m・K、20W/m・K、50W/m・K、又は80W/m・K以上の熱伝導率を有する場合がある。しかしながら、サーマルペースト又はサーマルパッドのような典型的なTIMの代わりにはんだを使用することは、例えば後に論じるように、いくつかの技術的課題を提示する。
【0045】
以下の説明では、構成要素をPCBに取り付けるための単一のリフロ処理及びヒートスプレッダをICに取り付けるための第2のリフロ処理を参照して実施形態を説明する。これは、例証のみを目的として行われる。当業者は、複数のリフロ処理が使用される可能性があること、及び本明細書の開示が2つのリフロ処理のみに限定されないことを理解されたい。例えば、ヒートスプレッダを取り付けるためのリフロ処理に先立って、2つ、3つ、4つ、又はそれを上回るリフロ処理を採用する場合があり、ヒートスプレッダを取り付けるために2つ以上のリフロ処理を採用する場合がある。ある特定の用途では、低温はんだリフロの前に実施される2つの高温リフロが存在し得、2つの高温リフロは、ICをPCBの上面に取り付けるため、及びICをPCBの底面に取り付けるための別個のリフロ処理を含む。ゆえに、本明細書で論じる第1のリフロ処理及び第2のリフロ処理は、必ずしも完全なIC組立て方法における第1のリフロ処理及び第2のリフロ処理であるわけではない。
【0046】
IC構成要素は、高温リフロ処理を使用してPCBに取り付ける場合がある。例えば、リフロ処理は、PCB及び構成要素を摂氏200度を過度に上回る温度にさらす可能性がある。ある特定の実施形態では、アンダーフィル処理が採用される場合もある。アンダーフィルを使用することによって、ICが熱応力、液滴、衝撃、振動などのうちの1つ又は複数のものにさらされた際に、構造を付け加えたり、ICの亀裂及び/又ははんだ接合部の破壊を引き起こす可能性がある応力を低減させたりする可能性がある。アンダーフィル材料は、機械的信頼性を改良し、熱膨張係数の不一致によって駆動される応力を低減させることができる一方、アンダーフィル材料は、はんだ付けされた冷却解決策の課題を提示し得る。いくつかの用途では、アンダーフィル材料は、はんだ付けされた冷却解決策のはんだリフロ温度よりも低いガラス転移温度を有する場合がある。例えば、アンダーフィル材料は、摂氏125度、摂氏155度などのガラス転移温度を有する可能性がある。ガラス転移温度に近い温度、又は材料及び用途に応じて、ガラス転移温度を上回る又は下回る温度では、アンダーフィルは、ICに有意な応力を引き起こしたり、アンダーフィル材料の構造が変化して材料が軟化するにつれてボール・グリッド・アレイを硬化する能力を失ったりする可能性がある。アンダーフィルのガラス転移温度は、付加的なはんだリフロ工程などの後の処理工程のための処理温度を制約し得る。
【0047】
ゆえに、冷却システムの一部としてはんだを使用することは、いくつかの課題を提示する。ICがPCBに取り付けられた後にはんだを使用して冷却構成要素を取り付けることは、PCBリフロ、アンダーフィル、又はその両方に関連する問題を引き起こし得る。(例えば、IC構成要素がPCBに取り付けられるときに)PCBリフロ中にヒートシンクをはんだ付けすると、プロセッサ及びSOCなどの多くのICによって使用されるボール・グリッド・アレイが損傷(例えば、圧潰)する可能性がある。組み合わせたPCB及び冷却板の熱質量は、状況によっては、比較的大量の材料を加熱することに起因して長いリフロ時間を伴い得、これは、IC、PCB、又は他の構成要素の信頼性の低減又は損傷を結果としてもたらす可能性がある。PCBリフロに先立って冷却構成要素を取り付けることは、組立てプロセスの後半において重大な課題を提示する可能性がある。例えば、軽量の冷却構成要素であっても、重量が増えたり物理的寸法が大きくなったりするなどの様々な理由から、PCB上に構成要素を設置することをより困難にする可能性がある。
【0048】
はんだが(例えば、構成要素を取り付けるために、及び/又は熱インターフェースとして作用するために)冷却システムで使用される場合、PCBリフロ工程が完了した後にはんだを適用することには利点がある。はんだを用いて比較的小さい又は最小の熱質量を加えることにも利点があり得る。低温はんだは、PCBリフロ後の二次リフロ工程で使用される場合があり、この場合、低温はんだは、PCBリフロで使用されるはんだの融点を下回る融解温度を有する。アンダーフィルが使用される場合、低温はんだは、有利なこととして、アンダーフィル材料がガラス転移を受けるときに特に顕著になり得る応力から結果としてもたらされる潜在的な損傷を回避するために、アンダーフィル材料のガラス転移温度を下回る融解温度を有することができる。
【0049】
本明細書に開示される実施形態では、ヒートスプレッダは、集積回路(IC)にはんだ付けされる。これは、冷却板をはんだ付けすることと比較して熱質量を低減させることができ、それによって、PCB及びICが付加的なリフロ中に高温に曝露される時間を短縮し、PCB、ICなどに対する損傷の可能性を低減させることができる。加えて、ある特定の用途では、ICの上部に加える質量を少なくすることによって、ICの電気的インターフェース(例えば、ボール・グリッド・アレイ)を損傷する可能性を低減させることができる。第2のリフロ処理においてヒートスプレッダをICに取り付けることにより、熱性能が改良される可能性がある。付加的な冷却もまた、実装することが可能である。そのような場合であっても、組み合わせたIC及びヒートスプレッダを付加的な冷却ハードウェアに熱的に結合する前にヒートスプレッダをICにはんだ付けすることによってもたらされる利点は、現実のものとなる可能性がある。TIMは、熱的ボトルネックとなり得る。したがって、いくつかの実施形態では、熱ボトルネックを他の設計物に対して熱源(例えば、ICのシリコンダイ)からさらに遠ざけることによって性能を改良することができ、それによってボトルネックの影響が低減する。
【0050】
いくつかのTIM、特に高い熱性能を達成するTIMは、最も効率的な熱伝達を達成するために製造中に高圧が印加される。しかしながら、TIMが集積回路チップに直接適用される場合、高圧を印加するとICが損傷する可能性があるというリスクがある。例えば、冷却板が締付けねじを使用してIC(又はICの内蔵ヒートスプレッダ)に直接締め付けられる場合、締付けねじは、高い及び/又は最適な熱伝達を達成する可能性がある。しかしながら、ねじの過度な締付け又は均一ではない締付けは、ICに亀裂を生じさせる、及び/又は早期故障につながり得るICの応力を誘発し得る。ヒートスプレッダをICにはんだ付けすることにより、高性能TIMがヒートスプレッダと冷却板との間に適用される可能性がある。いくつかの用途では、この界面は、IC構成要素を損傷するリスクを伴うことなく高圧にさらされる可能性がある。より高い圧縮を伴うより高性能のTIMの使用が、ヒートスプレッダと冷却板との間で生じる圧縮に起因してICの電子機器を損なうことなく可能である。
【0051】
熱性能の改良は、いくつかの実施形態では、第2のリフロ処理においてはんだを使用してヒートスプレッダをICに取り付けることによって達成される可能性がある。いくつかの実施形態では、より高い性能を達成することができる。例えば、冷却の改良は、動作電力の増加を可能にする場合がある。より高い動作電力を伴うことにより、集積回路は、より多くの算出能力を提供することができる。
【0052】
図1A及び
図1Bは、いくつかの実施形態による冷却を伴う集積回路アセンブリの例証である。
図1A及び
図1Bにおいて、PCB101は、その上に搭載されたIC102を有する。いくつかの実施形態では、IC102は、ボール・グリッド・アレイ108を使用してPCB101に搭載される場合がある。ボール・グリッド・アレイ108は、複数のはんだボールを含むことができる。アンダーフィル109は、PCB101とIC102との間に配置することができる。IC102は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuits:ASIC)とすることができる。IC102は、比較的高出力のICとすることができる。IC102は、シリコンダイなどの半導体ダイを含むことができる。IC102の上部には、低温はんだ103を使用してIC102に取り付けられたヒートスプレッダ104がある。ヒートスプレッダ104は、TIM105を介して冷却板106と熱的に接続されている。TIM105は、サーマルペースト又はサーマルパッドなどの熱界面のための任意の好適な材料とすることができる。
【0053】
図1Aに例証されるように、いくつかの実施形態では、冷却板106は、1つ又は複数のアンカーボルト107によってPCBに固定することができる。
図1Aは、アンカーボルト107がヒートスプレッダ104内に延在するが、ヒートスプレッダ104からは出現しない実施形態を例証する。いくつかの実装形態では、アンカーボルト107は、冷却板106内に延在することができるが、冷却板106からは出現しない場合がある。いくつかの他の実装形態では、アンカーボルト107は、冷却板106を貫通して延在することができる。そのような実装形態では、冷却板106の上部露出面でアンカーボルト107にナットを固定することができる。いくつかの実装形態では、リフロ中にボール・グリッド・アレイ108上にかかる重量を低減又は制限するために、アンカーボルト107をヒートスプレッダ104を越えて延在しないようにすることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、低温はんだ103をリフロした後に、冷却板106とヒートスプレッダ104とを互いに添着することができる。これにより、冷却板106とヒートスプレッダ104とが互いに添着された状態で、ボール・グリッド・アレイ108が圧潰される可能性を低減させることができる。アンカーボルト107の代わりに、又はそれに加えて、任意の他の好適な締結具を実装することができる。
【0054】
図1Bは、代替となる「フローティング」実装形態を描写する。
図1Bでは、IC102、はんだ103、及びヒータスプレッダ104は、ボール・グリッド・アレイ108によってPCB101に電気的かつ機械的に接続されており、アンダーフィル109は、付加的な機械的及び/又は熱的完全性を提供することができる。
図1Aのアンカーボルト107とは対照的に、
図1Bのアンカーボルト110は、冷却板106内に延在しなくてもよい。代わりに、アンカーボルト110は、はんだ103を介してIC102にはんだ付けされるヒートスプレッダ104内に延在することができる。ボルト111を使用して、冷却板106をヒートスプレッダ104に添着することができる。
図1Bに示すような実施形態は、冷却板106をヒートスプレッダ104に対して締め付けてTIM105を圧縮することを可能にすることができ、
図1Aに示す例と比較してIC102及び/又はPCB101への損傷のリスクを低減する。ボルト110及び/又は111の代わりに、又はそれに加えて、任意の他の好適な締結具を実装することができる。
【0055】
図1C及び
図1Dは、ばねが含まれることを除いて、それぞれ
図1A及び
図1Bとほぼ同様の実施形態を例証する。
図1Cでは、アンカーボルト107を締め付けると、ばね112がアンカーボルト107の頭部とPCB101との間で圧縮されるように、ばね112がアンカーボルト107の周りに設置される。同様に、
図1Dでは、アンカーボルト110を締め付けると、ばね112が圧縮されるように、ばね112がアンカーボルト110の周りに設置される。ばね112は、力を吸収し、IC102及び他の構成要素への圧力を制御することができる。ばね112がないと、アンカーボルト107又は110が締め付けられるときにIC102上にかかる力を制御することが困難になり得、これは、特にアンカーボルト107又は110が均一に締め付けられていない場合、IC102の損傷を結果としてもたらし得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、はんだ103は、代わりに別の熱伝導材料(例えば、サーマルパッド、サーマルペースト、硬化性熱伝導材料など)とすることができる。
図1B及び/又は
図1Dに示すような実施形態は、当業者に知られている従来的な設計よりも有意な改良をもたらすことができる。例えば、IC102とヒートスプレッダ104との間の界面は、従来の熱伝導材料とすることができる一方、
図1B及び/又は
図1Dに示す実施形態は、熱伝導材料をより従来的な固定されたギャップ設計を使用して通常生じるものよりも薄い厚さに圧縮することができる、及び/又は空隙、エアポケットなどの存在を低減させることができるため、熱界面層の熱抵抗を低減させるために使用することができる。
【0057】
本明細書の図面は、(所望によりばねを使用して)冷却板をPCB及び/又はヒートスプレッダに添着するために、並びにヒートスプレッダ及びICをPCBに取り付けるためにねじ又はボルトを使用することを描写しているが、他のアプローチも可能であることを理解されたい。例えば、ねじ又はボルトの代わりに、クリップ又は他の適切なハードウェアを使用して構成要素を互いに添着することができる。
【0058】
図1A~
図1Dは、集積回路がボール・グリッド・アレイを使用してPCBにはんだ付けされる例示的な実施形態を描写しているが、他の表面搭載技術を代替的又は付加的に使用することができる。いくつかの実施形態では、集積回路は、ソケット及びピンを使用してPCBに取り付けることができる。
【0059】
図1A~
図1Dの集積回路アセンブリは、いくつかの理由によって有利であることができる。例えば、ヒートスプレッダ104は、IC102の内蔵ヒートスプレッダよりも有意により大きいことが可能である。ヒートスプレッダ104は、IC102よりも占有面積が大きい。ヒートスプレッダ104は、例えば、IC102の内蔵ヒートスプレッダの表面積の2倍又は4倍の大きさであってもよい。したがって、IC102によって生成された熱は、ヒートスプレッダ104に伝達され、TIM105の比較的より低い熱伝導率に遭遇する前に比較的大きな表面積にわたって広がる可能性がある。熱は既にIC102から運び去られ、より大きな面積に広がっているため、TIM105の熱性能は、ICとヒートスプレッダとの間にTIMを伴うある特定の他の設計よりも、IC102の性能への影響が少ない。例えば、ヒートスプレッダ104の熱流束は、IC102における熱流束の3/4、1/2、又はそれよりも小さくてもよい。例えば、熱流束は、約25W/cm
2から約10W/cm
2まで低減する可能性がある。
【0060】
図2A及び
図2Bは、冷却構造の熱特性を例証する。
図2Aは、本明細書に開示される低温はんだ付けヒートスプレッダを用いて形成されない冷却構造によって呈される可能性がある熱特性を示す。これらの図では、スタックの構成要素の高さは、各構成要素の温度上昇に比例する。各スタックの高さを組み合わせたものは、個別のスタックの温度上昇を組み合わせたものに比例する。
図2Aでは、ダイは、第1のTIMを介して蓋と熱接触しており、蓋は、第2のTIMを介してヒートスプレッダと熱接触している。対流液体及び/又は冷却フィンを含むことができる冷却板は、その時点でヒートスプレッダの上に載置され、ヒートスプレッダと熱接触している。
図2Bは、本明細書の開示に従って形成された冷却構造によって呈される可能性がある熱特性を描写する。
図2Bでは、ダイは、第1のTIMを介して蓋と接触しており、蓋は、ヒートスプレッダにはんだ付けされている。ヒートスプレッダは、その時点で第2のTIMを介して対流液体及び/又は冷却フィンを含むことができる冷却板と熱接触している。
図2Aに示すように、第2のTIMは、TIMが蓋とヒートスプレッダとの間に設置されたときに温度上昇に最も大きく寄与する可能性がある。
図2Bでは、ヒートスプレッダが蓋にはんだ付けされ、第2のTIMがヒートスプレッダと(例えば、対流液体及び/又は冷却フィンを含むことができる)冷却板との間に設置されるときに、温度上昇に対する第2のTIMの寄与が有意に低減され、全体の温度上昇が結果として低減されている。
【0061】
図3は、いくつかの実施形態による、はんだ付けされた冷却アセンブリを形成するための例示的なプロセス300を例証するフローチャートである。ブロック302において、第1のリフロ処理を実施して、1つ又は複数の集積回路チップをプリント回路基板にはんだ付けすることができる。ブロック304において、アンダーフィル処理を実施して、1つ又は複数のICチップの底面をカプセル化することができる。いくつかの実施形態では、アンダーフィル処理を実施しなくてもよいことを理解されたい。ブロック306において、第2のリフロ処理を実施して、少なくとも1つのヒートスプレッダを1つ又は複数のICのうちの少なくとも1つのICにはんだ付けすることができる。いくつかの実施形態では、ICアセンブリのICはすべて、それにはんだ付けされたヒートスプレッダを有する場合がある。しかしながら、他の実施形態では、いくつかのICのみが、それにはんだ付けされたヒートスプレッダを有する場合があり、他のICの上面は露出したままであり得る。例えば、ヒートスプレッダは、比較的高出力の構成要素にはんだ付けされる可能性があるが、比較的低出力の構成要素にははんだ付けされない可能性がある。ブロック308において、パッド又はペーストなどの熱伝導材料を少なくとも1つのヒートスプレッダ及び任意の露出したICに適用することができる。ブロック310において、冷却板を1つ又は複数の露出したIC及び/又はヒートスプレッダを覆って添着することができ、熱伝導材料を介してIC及び/又はヒートスプレッダと接触することができる。
【0062】
図4A~
図4Dは、一実施形態による、冷却システムを複数の集積回路に適用するためのプロセスに対応する集積回路アセンブリの断面図を例証する。
図4Aでは、IC102及び113がPCB101に取り付けられている。IC102及び113は、高温リフロ処理を使用してPCB101に取り付けることができる。
図4A~
図4Dには例証されていないが、高温リフロ処理からの高温はんだは、IC102及び113をPCB101に取り付けることができる。IC102は、比較的高出力の集積回路とすることができる。IC102は、例えば、高出力の特定用途向け集積回路、システム・オン・チップ、パワーICなどである場合がある。IC102は、内部ヒートスプレッダ(例えば、蓋)を含むことができるパッケージ化された集積回路とすることができる。いくつかの実施形態では、IC102は、蓋なしである場合がある。IC113は、例えば、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)及び/又はIC102に対してより少ない熱しか生成しない他の構成要素を含む場合がある。
【0063】
図4Bでは、ヒートスプレッダ104が、低温はんだ103を使用してIC102に添着されている。
図2Bに例証するように、ヒートスプレッダは、低電力IC113にはんだ付けされなくてもよい。ヒートスプレッダ104は、高温リフロ処理よりも低い温度の低温リフロ処理を使用してIC102に取り付けられる。低温リフロ処理は、アンダーフィル材料のガラス転移温度よりも低い温度で実施することができる。低温リフロ処理は、ある特定の用途では摂氏160度より低い温度で実施することができる。ヒートスプレッダは、適切な接触を確実にするために正確に(例えば、許容範囲内に)位置付ける、及び/又は圧縮することができる。いくつかの用途では、ヒートスプレッダ104をIC102に固定して、低温リフロ処理中にヒートスプレッダ104を所定の位置に保つことができる。例えば、いくつかの用途では、ヒートスプレッダ104を所定の位置に保つために力(例えば、IC102に向かう下向きの力)を加えることができる。いくつかの用途では、力を加えなくてもよい。例えば、ヒートスプレッダ104は、外力が有効ではないか又は制限されるほど有意に重くてもよい。
【0064】
図4Cでは、TIM105がIC113の上部及びヒートスプレッダ104の上部に適用される。
図4Dでは、冷却板106が添着され、IC113及びヒートスプレッダ104の上部のTIM105と接触して設置される。冷却板106は、1つ又は複数のアンカーボルト107を使用してPCB101に取り付けられる場合がある。例証するように、アンカーボルト107は、ヒートスプレッダ104を貫通する。アンカーボルトは、いくつかの他の用途では、ヒートスプレッダを通過しない。
【0065】
図5A~5Cは、いくつかの実施形態による金属コーティングパターンの例証である。いくつかの実施形態では、コーティングは、ICの表面に(例えば、内蔵ヒートスプレッダに)、及び/又は
図1A~
図1D及び/若しくは
図4B~
図4Dのヒートスプレッダ104又は
図7A~
図7B及び
図8A~
図8Bのヒートスプレッダ709などのヒートスプレッダに適用される場合がある。いくつかの実施形態では、ヒートスプレッダは、銅、めっきアルミニウム、陽極酸化アルミニウム、別の好適な材料、又はそれらの任意の好適な組合せを含む場合がある。例えば、ヒートスプレッダは銅を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヒートスプレッダは、ニッケルめっき銅を含む場合がある。ICとヒートスプレッダとの間の接合部が堅牢であることは重要であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、例えば金コーティングなどのメタライゼーション層を使用して、接合部の信頼性を改良する可能性がある。例えば、IC102の上面、ヒートスプレッダ104の底面、又はその両方は、金膜などのメタライゼーション層でコーティングされる場合があり、これは、厚さ約50nm以上、例えば、厚さ約50nm~厚さ約100nmの範囲内であってもよい。メタライゼーション層は、浸漬、熱蒸着、電子ビーム蒸着、又は他の好適な堆積処理を使用して堆積される可能性がある。
【0066】
ある特定の実施形態では、金膜は、内蔵ヒートスプレッダを有するICの蓋の上に堆積される場合がある。いくつかの他の実施形態では、ICは、露出したダイを伴う蓋なしパッケージを備える場合がある。当業者であれば、本明細書に説明される実施形態が蓋付きICにも蓋なしICにも適用可能であることを理解するであろう。金膜などのメタライゼーション層を露出したダイの表面に適用することによって、ヒートスプレッダ104などの外部ヒートスプレッダのはんだ付けを可能にする場合がある。ヒートスプレッダ104は、次に、内蔵ヒートスプレッダ(例えば、蓋)を有しないIC102にはんだ付けされてもよい。ある特定の実施形態では、メタライゼーション層は、例えば、単一の金層などの単一の層を備える場合がある。いくつかの他の実施形態では、メタライゼーション層は、複数の層を備える場合がある。例えば、メタライゼーション層は、クロム接着層(又はタングステン、ニオブ、若しくはチタンなどの他の好適な接着層材料)及び金層を備える場合がある。
【0067】
いくつかの実施形態では、IC102とヒートスプレッダ104との間の接合部の空隙は、熱性能、接合部の信頼性、又はその両方に有意に影響を与える可能性がある。いくつかの実施形態では、真空リフロ処理を使用して、空隙の存在を低減させる場合がある。いくつかの実施形態では、金膜をパターニングすることにより、空隙の形成を低減することができる。例えば、金膜をパターニングすることにより、リフロ処理中に空気及び/又は他のガスを逃がすためのチャネルを提供することができる。
図5A~
図5Cは、界面における空隙の形成を低減するために使用される可能性がある異なるパターンを例証する。いくつかの実施形態では、ICの中心が主要な熱源である場合があり、したがって、熱伝達を増加又は最大化させるために、パターンがその領域内で中空ではない可能性がある。パターンは、中心軸に関して対称であり得る。いくつかの実施形態では、他のパターンが好ましい場合があることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、SOCは、CPUコアを伴う領域、GPUコアを伴う別の領域、及びモデム又は他の通信機能を伴う別の領域を有する場合がある。いくつかの用途では、ICのレイアウト及びICによって実施される機能に応じて、CPUコア又はGPUコアなどを覆って固体薄膜領域を設置することが好ましい場合がある。
【0068】
図6は、いくつかの実施形態による冷却システムを伴うマルチコンポーネント集積回路アセンブリの例証である。
図6では、2つの高出力のIC102及び2つの低出力のIC113が単一のPCB101に取り付けられている。ヒートスプレッダ104は、低温はんだ103を使用して高出力のIC102にはんだ付けされる。ヒートスプレッダ104及び低出力のIC113は、熱伝導材料105を介して単一の冷却板106と熱的に接触している。いくつかの実施形態では、複数の構成要素を単一の冷却板と熱接触させることが有利である場合がある。例えば、複数の構成要素に単一の冷却板を使用することにより、冷却の費用及び重量が低減される可能性があり、各構成要素がそれ自体の冷却板を有する場合に可能であろうものよりも冷却板を有意に大きくすることができる可能性があり、又はその両方が可能になる場合がある。しかしながら、複数の構成要素に単一の大きな冷却板を使用するときには技術的な問題に遭遇する可能性がある。製造公差に起因して、異なる構成要素は、PCBから異なる高さにある可能性があり、その高さは、回路基板毎及びIC毎に変動する可能性がある。したがって、厚い層(例えば、約500μm)の熱伝導材料を使用することによって、すべての構成要素が冷却板と良好に熱接触することを確実にする可能性がある。しかしながら、従来の熱伝導材料は、例えば、はんだと比較して比較的不十分な熱導体である傾向があるため、厚い層のTIMは、熱伝達性能の悪化を結果としてもたらす可能性があり、したがって、集積回路の最大動作性能を低減させる。TIMを高出力の集積回路から遠ざけることによって、高出力の集積回路からの熱伝達の効率を高めながら、比較的厚いTIM層を使用して製造上の差異を調整することが可能であり、これは、性能の向上につながる可能性がある。他の構成も可能であることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、異なる数の高出力のIC102及び低出力のIC113が存在する場合がある。いくつかの実施形態では、低電力のICが存在しない場合がある。
【0069】
いくつかの実施形態では、ヒートスプレッダと冷却板との間に位置付けられた低温はんだについて論じているが、代替的又は付加的に、IC及びPCBを取り付ける高温はんだよりも比較的高い熱伝導率及び低い融点を伴う任意の好適な熱伝導材料を使用することができる。例えば、融解温度が摂氏約50度よりも低く、ICの動作中の熱抵抗が比較的低い液体金属を低温はんだの代わりに使用することができる。そのような熱伝導材料は、導電性であることができる。そのような熱伝導材料は、金属を含むことができる。そのような熱伝導材料は、室温で固体であり得る。ヒートスプレッダと冷却板との間に位置付けられた熱伝導材料として液体金属を伴う例示的な実施形態については、
図7A及び
図7Bを参照して論じる。
【0070】
図7A及び
図7Bは、いくつかの実施形態による冷却を伴う例示的な集積回路アセンブリの例証である。いくつかの実施形態では、フローティング・ヒート・スプレッダが、封止容積を形成するために発泡体、Oリングガスケットなどを使用してチップに添着されることができ、これにより、熱伝導材料として液体金属を使用することが可能になり得る。例えば、液体金属熱伝導材料は、インジウム系材料、ガリウム系材料、又はいくつかのビスマス合金若しくはスズ合金などの比較的低温で融解する別の金属材料を含むことができる。液体金属熱伝導材料は、比較的高い熱伝導率を有することができるため、望ましくあり得る。例えば、液体金属熱伝導材料は、約20W/m・K~約80W/m・K、例えば、約20W/m・K~約50W/m・K、又はそれを上回る熱伝導率を有することができる。典型的には、そのような材料は、摂氏約50度を下回る融解温度を有することができ、したがって、集積回路の動作中に液体であることができる。したがって、液体金属熱伝導材料を閉じ込めて、望ましくない場所に拡散しないようにすることが重要であり得る。
【0071】
図7Aは、蓋付き集積回路上に実装することができるフローティング設計を例証する。
図7Aに示すように、基板702をPCB701に添着することができる。基板702及びPCB701は、ボール・グリッド・アレイ703によって電気的かつ機械的に接合することができる。ボール・グリッド・アレイ703は、高温はんだボールを含むことができる。いくつかの実施形態では、基板702とPCB701との間にアンダーフィルを使用することができる。IC704は、第2のボール・グリッド・アレイ705を介して基板702に機械的かつ電気的に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、アンダーフィルは、基板702とIC704との間に存在することができる。熱伝導材料706は、IC704の上部に形成することができ、IC704と蓋707との間の熱連通を可能にすることができる。第2の熱伝導材料708を蓋707の上部に形成することができ、ヒートスプレッダ709を蓋707及び第2の熱伝導材料708の上部に配置することができる。第2の熱伝導材料708は、液体金属熱伝導材料とすることができる。第2の熱伝導材料708は、ボール・グリッド・アレイ703の高温はんだボールよりも低い融解温度を有する。蓋707及びヒートスプレッダ709は、Oリングガスケット711を使用して封止されたキャビティ710を画定することができる。
図7AにはOリングガスケットが描写されているが、キャビティ710を封止するために他の形態のリング又はガスケットを使用できることを理解されたい。キャビティは、過剰な液体を保持することができるヒートスプレッダ709内に1つ又は複数のオーバーフロートレンチ712を含むことができる。液体がキャビティ710から漏れないことを確実にすることにより、液体に曝露される可能性がある任意の電子機器の短絡を回避することができる。ヒートスプレッダ709は、熱伝導材料713を介して冷却板714と熱的に連通することができる。アンカーボルト715は、PCB701を貫通してヒートスプレッダ709の中にねじ込まれ、機械的安定性を提供することができる。
図1C及び
図1Dを参照して先に論じたように、ばね716を使用することにより、アンカーボルト715の均等なトルク回転に起因して生じる可能性がある損傷の軽減及び/又は防止に役立てることができる。
【0072】
図7Aは、蓋付きICを伴う実施形態を例証しているが、例えば、
図7Bに示すように、同様の構造を蓋なしICでも使用することができる。
図7Aとは異なり、
図7Bに示される実施形態は、蓋707を含まない。代わりに、ヒートスプレッダ709は、液体金属熱伝導材料とすることができる第2の熱伝導材料708を介してIC704と熱的に連通することができる。
図7Bでは、ヒートスプレッダ709及び基板702は、キャビティ718を形成することができる。キャビティ718は、ガスケット717によって封止することができ、ガスケットは、例えば、ゴムガスケット、発泡ガスケットなどとすることができる。
図7Bに示すものと同様のアセンブリに蓋付きICも使用される可能性があることを理解されたい。例えば、蓋付きICの蓋が基板の端部まで延在していない場合、ヒートスプレッダ及び基板を使用して、
図7Bに示すものと同様の封止キャビティを形成することができる。
【0073】
いくつかのアセンブリでは、ヒートスプレッダを電気的に接地することができる。ヒートスプレッダを接地するために種々の手法を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、冷却板を接地することができ、ヒートスプレッダを冷却板を通して接地することができる。いくつかの実施形態では、ヒートスプレッダは、PCBを通して接地することができる。
【0074】
図8Aは、ヒートスプレッダ709が伝導性ガスケット719を介して冷却板714と電気的に連通している例示的な実施形態の例証である。ヒートスプレッダ709は、伝導性発泡体、伝導性Oリング、伝導性ばね、又は別の変形可能導体などの任意の好適な電気接続を介して冷却板に電気的に接続することができる。冷却板714は、地面に接続することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、例えば、
図8Bに示すように、冷却板714は、地面に接続されない場合があり、代わりにヒートスプレッダ709は、PCB701を通して接地されることができる。伝導性ばねフィンガ720は、ヒートスプレッダ709をPCB701に電気的に接続することができる。伝導性ばねフィンガ720は、アンカーボルト715が締め付けられ、ヒートスプレッダ709がPCB701に近づくにつれて変形し得る。伝導性ばねフィンガ720は、PCB701上の1つ又は複数の接地パッド(図示せず)と接触することができる。冷却板714をPCB701に電気的に接続するための任意の他の好適な伝導構造を伝導性ばねフィンガ720の代わりに、又はそれに加えて実装することができる。
【0076】
図8A及び
図8Bは、
図7A及び
図7Bに示すものと同様のアセンブリを例証しているが、例えば、限定ではないが、
図1A~
図1D及び
図6に例証する実施形態などの他の実施形態では、接地されたヒートスプレッダを実装することができることを理解されたい。
【0077】
本明細書に開示される集積回路アセンブリは、様々な状況で実装することができる。例えば、そのような集積回路アセンブリは、自動運転及び/又は運転者支援特徴のための電子機器などの自動車用電子機器に使用することができる。本明細書に開示された集積回路アセンブリは、任意の好適なシステムに実装することができ、これは、そのようなシステムによって提供される冷却から利益を得ることができる。例えば、ニューラルネットワーク処理、機械学習、人工知能訓練などの高性能コンピューティング及び/又は算出集約的用途が、本明細書に開示される集積回路アセンブリによって提供される冷却から利益を得ることができる。
付加的な実施形態
【0078】
前述の明細書では、特有の実施形態を参照して本開示を説明している。しかしながら、本開示のより広い精神及び範囲から逸脱することなく、それらの実施形態に対して種々の修正及び変更が行われる可能性があることは明らかであろう。ゆえに、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例証的な意味で見なされるものとする。
【0079】
実際に、本開示は、ある特定の実施形態及び例の文脈の中にあるが、本発明は具体的に開示された実施形態を超えて他の代替となる実施形態及び/又は本発明及びその均等物の使用に及ぶことが当業者によって理解されるであろう。加えて、実施形態のいくつかの変形例を詳細に示し説明しているが、本開示の範囲内にある他の修正例は、本開示に基づいて当業者には容易に明らかであろう。また、実施形態の特有の特徴及び態様の種々の組合せ又は部分的な組合せが行われる可能性があり、依然として本開示の範囲内に含められることが想定される。本明細書に開示された実施形態の様々な形態を形成するために、開示された実施形態の種々の特徴及び態様を互いに組み合わせるか、又は置き換えることができることを理解されたい。本明細書に開示される方法はいずれも、列挙された順序で実施される必要はない。したがって、本開示の範囲は、上述の特定の実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0080】
本開示のシステム及び方法はそれぞれ、いくつかの革新的な態様を有し、そのうちの単一の態様のみが、本明細書に開示された望ましい属性を単独で担う、又は要求するものではないことを理解されたい。上述した種々の特徴及びプロセスは、互いに独立して使用される場合があり、又は種々の方法で組み合わせられる場合がある。すべての可能性として考えられる組合せ及び部分的な組合せが、本開示の範囲内に含められることが意図される。
【0081】
別個の実施形態の文脈の中で本明細書に説明されたある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて実装される可能性がある。逆に、単一の実施形態の文脈の中で説明された種々の特徴はまた、複数の実施形態において別個に、又は任意の好適な部分的な組合せで実装される可能性がある。さらに、特徴が、ある特定の組合せで作用するものとして上述され、最初にそのように特許請求さえされている場合があるが、特許請求される組合せからの1つ又は複数の特徴は、場合によっては、その組合せから除外されてもよく、特許請求される組合せは、部分的な組合せ又は部分的な組合せの変形例を対象とする場合がある。単一の特徴又は特徴の群は、あらゆる実施形態にとって必要又は不可欠ではない。
【0082】
本明細書で使用される条件付き言語、とりわけ、「~することができる(can)」、「~する可能性がある(could)」、「~してもよい(might)」、「~する場合がある(may)」、「例えば(e.g.)」などは、特に具体的に明記しない限り、又は使用される文脈内で別の意味で理解されない限り、概して、ある特定の実施形態がある特定の特徴、要素、及び/又は工程を含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることを意図していることを理解されたい。したがって、そのような条件付き言語は、概して、特徴、要素、及び/又は工程が1つ又は複数の実施形態に何らかの形で要求されること、若しくは1つ又は複数の実施形態が、著者の入力又は指示の有無にかかわらず、これらの特徴、要素、及び/又は工程が任意の特定の実施形態に含められるかどうか、又は実施されるべきかどうかを決定するための論理を必然的に含むことを意味することは意図しないものとする。「~を備える(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を有する(having)」などの用語は同義語であり、包括的に、制限のない形で使用され、付加的な要素、特徴、作用、動作などを排除しない。加えて、「又は(or)」という用語は、包括的な意味で(かつ排他的な意味ではなく)使用され、そのため、例えば、要素のリストを接続するために使用されるとき、「又は(or)」という用語は、リスト内の要素のうちの1つ、いくつか、又はすべてを意味する。加えて、本出願及び付随の請求項で使用される冠詞「a」、「an」、及び「the」は、特に規定されない限り、「1つ又は複数」又は「少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきである。同様に、動作が特定の順序で図面に描写される場合があるが、望ましい結果を達成するために、そのような動作は示されている特定の順序で、又は連続した順序で実施される必要はないこと、又は例証されているすべての動作が実施される必要はないことを認識されたい。さらに、図面は、フローチャートの形式でもう1つの例示的なプロセスを概略的に描写する場合がある。しかしながら、描写されていない他の動作が、概略的に例証されている例示的な方法及びプロセスに組み込まれる可能性がある。例えば、例証された動作のうちのいずれかの前、後、同時に、又はその間に、1つ又は複数の付加的な動作を実施する可能性がある。加えて、動作の順序は、他の実施形態では並べ替えられる、又は変更される場合がある。ある特定の状況では、マルチタスク処理及び並列処理が有利である場合がある。さらに、上述の実施形態における種々のシステム構成要素を分離することは、すべての実施形態においてそのような分離を要求とすると理解されるべきではなく、説明されたプログラム構成要素及びシステムは、概して、単一のソフトウェア製品の中に一緒に統合される、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化される可能性があることを理解されたい。加えて、他の実施形態も、以下の請求項の範囲内にある。場合によっては、請求項に列挙された行為は、異なる順序で実施される可能性があり、依然として望ましい結果を達成する。
【0083】
さらに、本明細書に説明される方法及びデバイスは、種々の修正及び代替となる形態を受け入れる余地がある場合があるが、その特有の例は図面に示されており、本明細書で詳細に説明されている。しかしながら、本開示は、開示された特定の形態又は方法に限定されるものではなく、逆に、本開示は、説明された種々の実装形態及び付随の請求項の精神及び範囲内に含められるすべての修正、等価物、及び代替物を包含するものであることを理解されたい。さらに、ある実装形態又は実施形態に関連する任意の特定の特徴、態様、方法、性質、特性、品質、属性、要素などについて本明細書で開示されたものも、本明細書に述べられた他のすべての実装形態又は実施形態で使用することができる。本明細書に開示される方法はいずれも、列挙された順序で実施される必要はない。本明細書に開示される方法は、実践者によって行われるある特定の行為を含む場合がある。しかしながら、本方法は、明示的又は暗示的のいずれかにおいて、それらの行為の任意の第三者命令を含むこともできる。本明細書に開示される範囲はまた、任意の及びすべての重複する範囲、部分的な範囲、及びそれらの組合せを包含する。「~まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「~よりも高い(greater than)」、「~よりも低い(less than)」、「~の間(between)」などの言語は、列挙された数字を含む。「約(about)」又は「およそ(approximately)」などの用語によって先行される数字は、列挙された数字を含み、状況(例えば、その状況下で合理的に可能な限り正確であること、例えば、±5%、±10%、±15%など)に基づいて解釈されるべきである。「実質的に(substantially)」などの用語によって先行される語句は、列挙された語句を含み、状況(例えば、その状況下で合理的に可能な限り多いこと)に基づいて解釈されるべきである。例えば、「実質的に一定(substantially constant)」は、「一定(constant)」を含む。特に明記しない限り、すべての測定は、温度及び圧力を含む標準的な条件で行われる。
【0084】
本明細書で使用される場合、項目のリストの「~のうちの少なくとも1つ(at least one of)」を指す語句は、単一の部材を含む、それらの項目の任意の組合せを指す。例として、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、並びにA、B、及びCを網羅することが意図される。「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」の語句などの接続言語は、特に具体的に明記しない限り、アイテム、用語などがX、Y、又はZのうちの少なくとも1つである可能性があることを伝えるために一般的に使用される文脈で別途理解される。したがって、そのような接続言語は、概して、ある特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、及びZの少なくとも1つがそれぞれ存在するように要求することを意味することを意図しない。本明細書で提供される見出しは、存在する場合、便宜上のものに過ぎず、本明細書に開示されるデバイス及び方法の範囲又は意味に必ずしも影響を及ぼさない。
【0085】
ゆえに、請求項は、本明細書に示される実施形態に限定することを意図するものではなく、本開示、すなわち本明細書に開示される原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を許容されるべきである。
【国際調査報告】