(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】金属酸化物の閉孔性多孔質球体の新たな美容的使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20250123BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20250123BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20250123BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20250123BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20250123BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20250123BHJP
A61K 8/28 20060101ALI20250123BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20250123BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250123BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q1/00
A61Q5/00
A61K8/25
A61K8/29
A61K8/26
A61K8/28
A61K8/27
A61Q19/00
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543021
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 FR2023050070
(87)【国際公開番号】W WO2023139331
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500226948
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ビューティ ケア ソリューションズ フランス エスエーエス
【氏名又は名称原語表記】BASF Beauty Care Solutions France S.A.S.
【住所又は居所原語表記】32 rue Saint Jean de Dieu, F-69007 Lyon, France
(71)【出願人】
【識別番号】500586141
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ソレーヌ・ミヌ・ジャンソラン
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・エロー
(72)【発明者】
【氏名】ルパ・ハイアマス・ダージ
(72)【発明者】
【氏名】リアンリアン・クー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB131
4C083AB132
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB221
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC072
4C083AC092
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC332
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC662
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD152
4C083AD202
4C083AD222
4C083AD352
4C083BB26
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC07
4C083CC11
4C083CC19
4C083CC22
4C083CC33
4C083CC38
4C083CC39
4C083DD08
4C083DD11
4C083DD17
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD30
4C083DD31
4C083DD32
4C083DD33
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE10
4C083EE11
4C083EE17
4C083EE21
(57)【要約】
本発明は、皮膚及び皮膚付属器、特に毛髪及び/又は粘膜の外観及び/又は快適性を改善するための、金属酸化物を含有する閉孔性多孔質球体の美容的使用に関する。本発明は更に、前記球体を含有する化粧品組成物又は医薬組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚、皮膚付属器、特に毛髪、及び/又は粘膜の外観及び/又は快適性を改善するための金属酸化物を含む、閉気孔を有する多孔質球体の非治療的な美容的使用。
【請求項2】
前記球体の細孔の少なくとも90体積%が閉鎖細孔であり、有利には、前記細孔の少なくとも95体積%が閉鎖細孔であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記球体が、1μm~100μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径、及び/又は0.10超~0.80の範囲の平均気孔率、及び/又は50nm~800nm、有利には50nm~500nmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均細孔径を有することを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の使用。
【請求項4】
前記球体が、1μm~100μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径、及び0.10超~0.80の範囲の平均気孔率、及び50nm~800nmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均細孔径を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化クロム、混合金属酸化物及びそれらの組合せであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記金属酸化物が、SiO
2、TiO
2、ZnO及びそれらの混合物からなる群から選択され、有利にはSiO
2であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記多孔質球体が、前記球体の総重量基準で、60重量%~99.9重量%の金属酸化物と、0.1重量%~40重量%の光吸収剤と、有利には0.1重量%~40重量%のカーボンブラックとを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記球体が、1μm~75μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径及び0.45~0.70の範囲の平均気孔率を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記球体が、2.5μm~8μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径、0.45~0.70の範囲の平均気孔率、及び100nm~200nmの範囲の細孔の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定された平均直径を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記皮膚、前記皮膚付属器及び/又は前記粘膜の非審美的症状、より詳しくは、前記皮膚、前記粘膜及び/又は前記皮膚付属器のレリーフ及び/若しくは質感の不規則性、並びに/又は前記皮膚及び/若しくは前記粘膜の色の不規則性の視認性を低下させるための請求項1~9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記球体が、化粧品組成物中に、前記組成物の総重量に対して1×10
-3~100重量%、好ましくは0.5重量%~5重量%の範囲の濃度で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記化粧品組成物の官能特性も改善するための、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
皮膚、皮膚付属器、特に毛髪、及び/又は粘膜の外観及び/又は快適性を改善するための美容ケア方法であって、金属酸化物を含む閉気孔を有する多孔質球体及び/又はそれを含む化粧品組成物の皮膚及び/又は皮膚付属器及び/又は粘膜の少なくとも1つの領域への局所適用を含む、美容ケア方法。
【請求項14】
前記球体が、請求項1~9及び11のいずれか一項に記載のものであることを特徴とする、請求項13に記載の美容ケア方法。
【請求項15】
前記皮膚、前記皮膚付属器及び/又は前記粘膜の非審美的症状、より詳しくは、前記皮膚、前記粘膜及び/又は前記皮膚付属器のレリーフ及び/若しくは質感の不規則性、並びに/又は前記皮膚及び/若しくは前記粘膜の色の不規則性の視認性を低下させるための請求項13又は14のいずれかに記載の美容ケア方法。
【請求項16】
皮膚及び/又は皮膚付属器及び/又は粘膜の少なくとも1つの領域が、額、頬、鼻、こめかみ、いわゆる「T」ゾーン(額、鼻、及び顎)、眼の下、眼窩周囲領域を含む顔の皮膚、より詳しくは、顎、頭皮、首、背中、肩、腕、前腕、胸郭、手、毛髪、ひげ、まつげ、眉毛、バスト、より詳しくは、ネックライン、腹及び/又は脇の下、脚、足、手、首、大腿、ヒップ、臀部、ウエスト、胴、唇の輪郭、毛髪、毛髪及び/又は眼、唇及び/又は頬の粘膜、好ましくは顔、手又はネックラインの皮膚の黒ずみから選択されることを特徴とする、請求項13~15のいずれか一項に記載の美容ケア方法。
【請求項17】
化粧品組成物又は医薬組成物、より詳しくは皮膚科学組成物であって、前記組成物の総重量に対して、1×10
-3~10重量%、好ましくは0.5重量%~5重量%の範囲の濃度で、請求項1~9のいずれか一項に記載の閉気孔を有する多孔質球体を含有することを特徴とする、化粧品組成物又は医薬組成物、より詳しくは皮膚科学組成物。
【請求項18】
好ましくは、美白剤等の皮膚の色及び/又は皮膚の放射輝度を変化させる薬剤、老化防止剤、特に光誘発性老化に作用するもの、保湿剤、汚染防止剤、特に酸化防止剤、鎮静剤、皮脂調節剤及び/又は吸収剤、艶消し剤、プレバイオティクス剤、皮膚の表面及び/又はレリーフ及び/又は色の欠陥に作用する活性化粧剤、抗菌剤及び/又は敏感肌用の薬剤から選択される、少なくとも1つの化粧品賦形剤及び/又は化粧品顔料及び/又は染料及び/又はUVフィルタ及び/又は活性化粧品成分を含有することを特徴とする、請求項17に記載の化粧品組成物。
【請求項19】
セラム、ローション、クリーム、シャンプー、コンディショナー、オイル、ミルク、軟膏、ペースト、ムース若しくはフォーム、エマルジョン、ヒドロゲル、シャワージェル、マスク、ラッカー、スプレー、ワックス、粉末、特にメイクアップ、又はスティックの形態であることを特徴とする、請求項17又は18に記載の化粧品組成物。
【請求項20】
わずかにゲル化した組成物の形態であり、及び/又は油相を含むことを特徴とし、好ましくは、油性組成物、又は水中油型若しくは油中水型エマルジョン若しくはローションタイプである、請求項17~19のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項21】
病変を示す、特に、病変自体が、均質性の喪失、並びに/又は色、顔色、皮脂分泌及び/若しくはレリーフの調節解除及び/若しくは不規則性、例えば、色素沈着過剰、色素不足、過脂漏性、反応性、炎症性及びアトピー性の皮膚、特に、白斑、黒色腫、赤斑(couperose)、毛細血管拡張症、ざ瘡、酒さ、蕁麻疹、乾癬、ヘルペス、膿痂疹、膿瘡、丹毒によって影響を受けている皮膚、並びに/又は創傷及び/若しくは瘢痕、特にざ瘡、吹き出物、おでき、静脈瘤、肝斑、毛包炎、膿瘍を呈する皮膚、又はそれらの任意の組合せに現れる、皮膚、皮膚付属器及び/又は粘膜の快適性を改善するのに使用するための、請求項17に記載の医薬組成物、より詳しくは皮膚科学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚及び皮膚付属器、より詳しくは毛髪及び/又は粘膜の審美的外観及び快適性を改善するための、閉気孔を有する金属酸化物の多孔質球体の美容的使用、並びに当該化粧品組成物及び得られた美容的処置方法に関する。本発明はまた、病的状態を示す皮膚、皮膚付属器、及び/又は粘膜の快適性を改善するための、閉気孔を有する金属酸化物の多孔質球体を含む医薬組成物、特に皮膚科学組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚及び毛髪の外観を視覚的に改善することは、美容学における主要な課題の1つである。化粧品消費者は、非審美的と考えられる皮膚及び/又は毛髪上の徴候を効果的にマスキングするための化粧品溶液を絶えず探している。これらの徴候は、加齢と共に自然に現れるが、様々な因子への慢性的な曝露にも起因し得る。これらは、汚染、風、気候変動、特に、より詳しくは空調による過度の温度変動、及び乾燥等の環境要因であり得る。それらはまた、シェービング、擦り及び脱毛等の機械的性質の攻撃的因子、並びに/又はヘアトリートメント、特に着色(脱色)、パーマネントウェーブ及び縮毛矯正、洗浄剤、並びに角質処理トリートメント等の化学的性質の攻撃的因子であり得る。これらの要因は、皮膚、皮膚付属器及び/又は粘膜に損傷を引き起こし、これはしばしば非審美的であると考えられる目に見える症状に反映される。内因性因子は、それらの発達、特にストレス、ホルモン変化、体重増加、食事、脱水及び老化に寄与する。遺伝学、特に皮膚タイプ(敏感、過脂漏性、反応性等)、及び民族的起源、例えば白人、アジア人又はアフリカ人もまた、特定の症状発現の発症において重要な役割を果たす。
【0003】
非審美的皮膚症状は、特に皺及び小じわ、例えば眉間のしわ及び目じりの小じわである。それらは発現株又は老化による小じわであり得る。これらは、例えば鼻形成溝(nasogenic furrows)のように、最初は表面的であり、その後より深くなる。皮膚症状はまた、体積の減少、特に皮膚のたるみ、顔の輪郭の緩みの徴候を含み、悲しい又は疲れた外観を与える顔の特徴のたるみ、或いは輝度の損失及び/又はいわゆるくすんだ顔色を伴う、薄く弱まった皮膚をもたらす密度の損失につながる。したがって、非審美的な皮膚症状としては、色及び光沢の症状並びに色素性の症状、例えば、更に顔色の喪失及び輝きの喪失、黒ずみ、ポケット、赤み、褐色斑又は加齢斑又は白色斑、特に白斑、酒さ、妊娠顔貌、肝斑、母斑及び血管腫も挙げられる。それらはまた、角栓、目に見える細孔、吹き出物、瘢痕、特にざ瘡跡、火傷、創傷、妊娠線(stretch mark)等の皮膚の欠陥、並びに荒れた肌及び剥離も含む。粘膜上では、非審美的症状は、一般に、鱗せつ及び/又はひび等の脱水の跡である。毛髪に関して、非審美的症状は、一般に、くすんだ、色素脱色素性で、脆く、スタイリングが困難であり、特に、枝毛を伴う、まとまりのない毛髪である。
【0004】
これらの症状、特に顔及び眼に発現する症状は、消費者には非審美的であると特に認識される。それらのうちのいくつかは美容手術によって矯正することができるが、これは常に当てはまるわけではなく、その結果は満足のいくものではなく、部分的であり、不自然であり、刺激性であり、又は痛みさえあり、しばしば高価である。多くの消費者はその費用を負担することができないか、又はそれに反対している。これらの望ましくない症状をマスキング又は低減するために、多くの化粧品の代替物が存在する。メイクアップ、より詳しくはファンデーションは、皺を隠し、顔色を明るくするための解決策を提供することを目的とする。しかし、消費者はまた、顔料が衣類に移ることなく自然なままの見栄えの良い効果、及び適用中のウェルビーイング効果を求めている。
【0005】
化粧品産業におけるぼやけ又は「ソフトフォーカス」効果は、アンチエイジングクリーム及びメイクアップに使用される。小じわ及び皺等の肌表面の欠陥は、皺によって形成された微細な隙間に光を閉じ込めることで、肌を不均一に見せる。次いで、閉じ込められた光が吸収され、皮膚の表面に現れるしみを生成する。特殊な顔料及び/又は粒子、例えば二酸化チタンの薄層でコーティングされた透明なアルミナプレートレットがあり、これは皮膚表面で光を均一に拡散させることによってこの芸術的な焦点ぼかし効果を作り出すように設計されている。皺及び小じわは、皮膚の表面全体にわたってかなり半透明のままであることによってマスクされ、それにより、欠陥の外観を低減しながら皮膚に自然な外観を与える。この「ソフトフォーカス」効果を達成するために、顔料/粒子は、以下の光学特性を示さなければならない:
-自然な外観を与えるための高い全透過率(光の完全な透過)、及び
-光の半透明で均一な分布を形成するための最大限での拡散(「ヘイズ」)。これにより、小じわ及び皺の外観が大幅に最小限に抑えられ、高齢の消費者がより若く見え、より明るい肌を得るのに役立つ。
【0006】
全透過率は光吸収及び反射の影響を受け、一方、ヘイズは光散乱の影響を受ける。ヘイズは、人間の知覚に直接影響し、消費者の需要において重要な役割を果たすため、重要な外観属性である。これは、透明材料のぼやけ又は曇りの程度を反映する。その値はパーセンテージとして表される。その値が高いほど、ぼやけが大きくなる。
【0007】
多孔質金属酸化物球体は、化粧品用途との関連において、より詳しくは非審美的症状をマスキングすることによって、より詳しくは皮膚、皮膚付属器及び/又は粘膜の外観を改善するために、国際公開第2020/183108号パンフレット及び国際公開第2020/182936号パンフレットに既に記載されている。しかしながら、これらの球体は、開気孔率を有し、したがって、
図1Bに示されるように閉鎖細孔を有さない。したがって、これらの球体の体積による閉鎖細孔のパーセンテージ(%age)は5%未満である。
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、閉気孔を有する金属酸化物の多孔質球体が、先行技術の開気孔を有する多孔質球体と比較して、欠陥のマスキングに対して改善された効果を有すると判断した。実際、そのような球体は、より高い全透過率値及びより高いぼやけ又は拡散(「ヘイズ」)値を有し、したがってそれらのぼやけ/マスキング(「ソフトフォーカス」)特性を改善することを可能にする。更に、そのような球体は、外部配合媒体、特にこの媒体中に存在する化合物がそれらを透過することができないため、配合がより容易であり、したがって、配合媒体及び/又は配合のタイプにかかわらず一定の正味屈折率を維持することができ、したがって、使用される配合媒体に応じたそれらの光学特性、したがってそれらのマスキング特性の変化を回避することができる。これらの球体は、特に
図1Bに示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、特に非審美的症状をマスキングすることによって、有利には「ソフトフォーカス」効果によって、皮膚、皮膚付属器及び/又は粘膜の外観を改善するための化粧品代替物に対するこの一定の必要性を満たすことを目的とする。本発明はまた、配合が容易で副作用がなく、特に皮膚への刺激を誘発しない新しい化粧品成分を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による球体は、実際に、光を反射して拡散させる独自の能力を有し、したがって皮膚、皮膚付属器及び/又は粘膜の表面を滑らかにすることを可能にし、したがってそれらの非審美的症状を隠し、それらの放射輝度を増加させる。それらはまた、それらを含有する組成物に柔らかい、絹のような感触を与える。
【0011】
本発明による球体は、タイプ、肌の色調、及び放射輝度に関係なく、全ての肌に適しているという利点を提供する。本発明の別の利点は、球体が大きな安定性を有し、粉末又は組成物の形態で使用され得ることである。それらは不活性であり、それにより、そのような組成物が親油性であるか親水性であるかにかかわらず、化粧品組成物又は皮膚科学組成物の任意の性質で配合することが容易になる。
【0012】
別の利点は、非審美的症状、より詳しくは欠陥を隠すのを助けるために、球体を化粧品組成物、より詳しくは化粧品メイクアップ及び/又はケア組成物、特に顔料又は着色剤の従来の成分と共に使用できることである。
【0013】
有利な一実施形態によれば、本発明による球体は、ファンデーション及び/又はメイクアップ及び/又はケア製品に使用することができる。
【0014】
したがって、本発明の1つの主題は、皮膚、皮膚付属器、特に毛髪、及び/又は粘膜の外観及び/又は快適性を改善するための金属酸化物を含む、閉気孔を有する多孔質球体の非治療的な美容的使用である。
【0015】
本発明によれば、「閉気孔を有する多孔質球体」という表現は、細孔の大部分(50体積%超)が閉鎖細孔、すなわち球体の外側に開口部を有さない細孔からなる球体を意味する。より詳しくは、細孔の少なくとも90体積%が閉鎖細孔であり、より有利には、細孔の少なくとも95体積%が閉鎖細孔であり、更により有利には、細孔の少なくとも99体積%が閉鎖細孔である。閉鎖細孔の体積パーセンテージは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって得られた球体の画像に基づいて測定される。これは、閉鎖細孔の数/細孔の総数の比として定義することができる。各細孔の体積は、開いているか閉じているかにかかわらず同一であるため、数によるパーセンテージは、体積によるパーセンテージと同じである。
【0016】
有利な一実施形態において、本発明による球体の閉鎖細孔は互いに相互接続されていない。したがって、この場合、本発明による球体は、球体の外側に向かって閉じているだけでなく、互いに相互接続されていない複数の細孔(少なくとも2つの細孔)を含む。したがって、本発明による多孔質球体は、有利には中空球ではない。したがって、各細孔は、配合剤媒体、特に5000g/molを超える分子量を有するポリマー、オリゴマー及び分子にアクセスできない空隙容量(特に空気を含む)を含む。有利な一実施形態において、閉鎖細孔は球形である。
【0017】
本発明によれば、「球体」又は「球状」は、その形状が1に近い、有利には0.9~1.1、より詳しくは0.95~1.05、特に0.99~1.01、更により詳しくは約1のアスペクト比又は幅/高さ比を有する粒子又は細孔を意味する。
【0018】
別の有利な実施形態において、本発明による球体は、細孔及び/又は相互接続細孔を含まない。
【0019】
有利には、本発明による球体の閉鎖細孔のサイズ分布は、単分散又は二峰性であり、有利には単分散である。
【0020】
好ましい一実施形態によれば、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、0.5μm~100μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径及び/又は0.10超~0.80の範囲の平均気孔率及び/又は50nm~800nmの範囲、有利には50nm~500nmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される、より詳しくは閉鎖細孔の平均細孔径を有する。
【0021】
別の好ましい実施形態によれば、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、1μm~100μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径及び/又は0.10超~0.80の範囲の平均気孔率及び/又は50nm~800nmの範囲、有利には50nm~500nmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される、より詳しくは閉鎖細孔の平均細孔径を有する。
【0022】
有利には、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、0.5μm~100μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径、0.10超~0.80の範囲の平均気孔率、及び50nm~800nmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均細孔径、より詳しくは閉鎖細孔を有する。
【0023】
特に、有利には、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、1μm~100μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径、0.10超~0.80の範囲の平均気孔率、及び50nm~800nmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均細孔径、より詳しくは閉鎖細孔を有する。
【0024】
好ましくは、本発明による閉気孔を有する多孔質球体の金属酸化物は、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化クロム、混合金属酸化物及びそれらの組合せ、好ましくは酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム及び酸化亜鉛及びそれらの組合せ、より好ましくは酸化ケイ素、酸化チタン及びそれらの組合せ、特に有利には酸化ケイ素から選択される。
【0025】
有利な一実施形態において、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、球体の総重量基準で、60重量%~99.9重量%の金属酸化物と、0.1重量%~40重量%の光吸収剤と、有利には0.1重量%~40重量%のカーボンブラックとを含む。
【0026】
好ましくは、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、1μm~100μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径、及び50nm~800nmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均細孔径を有する。
【0027】
好ましくは、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、1μm~75μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径、及び0.45~0.70、好ましくは0.5~0.65の範囲の平均気孔率を有する。
【0028】
本発明の特定の一実施形態によれば、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、2.5μm~8μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径、0.45~0.70の範囲の平均気孔率、及び100nm~200nmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均細孔径、より詳しくは閉鎖細孔を有する。
【0029】
有利には、本発明による使用は、皮膚、皮膚付属器及び/又は粘膜の非審美的症状、より詳しくは、皮膚、粘膜及び/又は皮膚付属器のレリーフ及び/若しくは質感の不規則性、並びに/又は皮膚及び/若しくは粘膜の色の不規則性の視認性を低下させるためのものである。
【0030】
本発明の特定の一実施形態によれば、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、組成物の総重量に対して1×10-3~10重量%、好ましくは0.5重量%~5重量%の範囲の濃度で化粧品組成物中に存在する。
【0031】
有利には、本発明による使用は、化粧品組成物の官能特性を改善するためのものである。
【0032】
本発明の別の主題は、皮膚、皮膚付属器、特に毛髪、及び/又は粘膜の外観及び/又は快適性を改善するための美容ケア方法であって、金属酸化物を含む閉気孔を有する多孔質球体及び/又はそれを含む化粧品組成物の皮膚及び/又は皮膚付属器及び/又は粘膜の少なくとも1つの領域への局所適用を含む、美容ケア方法である。
【0033】
特に、閉気孔を有する多孔質球体は上記のとおりである。
【0034】
有利には、本発明による美容ケア方法は、皮膚、皮膚付属器及び/又は粘膜の非審美的症状、より詳しくは、皮膚、粘膜及び/又は皮膚付属器のレリーフ及び/若しくは質感の不規則性、並びに/又は皮膚及び/若しくは粘膜の色の不規則性の視認性を低下させるためのものである。
【0035】
有利な一実施形態において、身体の皮膚及び/又は皮膚付属器及び/又は粘膜の領域は、額、頬、鼻、こめかみ、いわゆる「T」ゾーン(額、鼻、顎)、眼の下、眼窩周囲領域を含む顔の皮膚、より詳しくは、顎、頭皮、首、背中、肩、腕、前腕、胸郭、手、毛髪、ひげ、まつげ、眉毛、バスト、より詳しくは、ネックライン、腹及び/又は脇の下、脚、足、手、首、大腿、ヒップ、臀部、ウエスト、胴、唇の輪郭、毛髪、毛髪及び/又は眼、唇及び/又は頬の粘膜、好ましくは顔、手又はネックラインの皮膚の黒ずみから選択される。
【0036】
本発明の別の主題は、特に言及された使用のための、閉気孔を有するこれらの多孔質球体と、任意に、化粧品として許容され得る賦形剤とを含有する化粧品組成物である。
【0037】
有利には、本発明による化粧品組成物は、セラム、ローション、クリーム、シャンプー、コンディショナー、オイル、ミルク、軟膏、ペースト、ムース若しくはフォーム、エマルジョン、ヒドロゲル、シャワージェル、マスク、ラッカー、スプレー、ワックス、粉末、特にメイクアップ、又はスティックの形態である。
【0038】
有利には、本発明による化粧品組成物は、わずかにゲル化した組成物の形態であり、及び/又は油相を含み、好ましくは、油性組成物、又は水中油型若しくは油中水型エマルジョン若しくはローションタイプである。
【0039】
本発明の別の主題は、閉気孔を有するこれらの多孔質球体と、任意に、薬学的に許容され得る、より詳しくは皮膚科学的に許容され得る賦形剤とを含有する医薬組成物、より詳しくは皮膚科学組成物である。
【0040】
本発明の別の主題は、特に、病変状態を呈し、特にそれ自体が、均質性の喪失、並びに/又は色、顔色、皮脂分泌及び/若しくはレリーフの調節解除及び/若しくは不規則性、例えば、色素沈着過剰、色素不足、過脂漏性、反応性、炎症性及びアトピー性の皮膚、特に、白斑、黒色腫、赤斑(couperose)、毛細血管拡張症、ざ瘡、酒さ、蕁麻疹、乾癬、ヘルペス、膿痂疹、膿瘡、丹毒によって影響を受けている皮膚、並びに/又は創傷及び/若しくは瘢痕、特にざ瘡、吹き出物、おでき、静脈瘤、肝斑、毛包炎、膿瘍を呈する皮膚、又はそれらの任意の組合せに現れる、皮膚、皮膚付属器及び/又は粘膜の快適性を改善するのに使用するための、好ましくは皮膚科学的な、本発明による医薬組成物である。
【0041】
本発明はまた、特に、病変状態を呈し、特にそれ自体が均質性の喪失、並びに/又は色、顔色、皮脂分泌及び/若しくはレリーフの調節解除及び/若しくは不規則性、例えば、色素沈着過剰、色素不足、過脂漏性、反応性、炎症性及びアトピー性の皮膚、特に、白斑、黒色腫、赤斑(couperose)、毛細血管拡張症、ざ瘡、酒さ、蕁麻疹、乾癬、ヘルペス、膿痂疹、膿瘡、丹毒によって影響を受けている皮膚、並びに/又は創傷及び/若しくは瘢痕、特にざ瘡、吹き出物、おでき、静脈瘤、肝斑、毛包炎、膿瘍を呈する皮膚、又はそれらの任意の組合せに現れる、皮膚、皮膚付属器及び/又は粘膜の快適性を改善することを目的とした、好ましくは皮膚科学的な、本発明による医薬組成物を調製するための、本発明による閉気孔を有する多孔質球体の使用に関する。
【0042】
そのような化粧品又は医薬、好ましくは皮膚科学組成物は、有利には、組成物の総重量に対して1×10-3~10重量%、好ましくは0.5重量%~5重量%の範囲の濃度で球体を含む。
【0043】
本発明による使用は、好ましくは化粧品であり、好ましくはヒトにおいて、皮膚の少なくとも1つの患部又は健康な部分、健康な粘膜及び/又は健康な皮膚付属器、好ましくは毛髪への局所適用によるものである。
【0044】
本発明の目的のため、「美容的使用」は、好ましくは健康な皮膚、特に健康な頭皮、及び/又は健康な皮膚付属器、より詳しくは健康な毛髪、及び/又は健康な粘膜上での、本発明による球体の非治療的、非薬学的使用を意味すると理解される。
【0045】
本発明の目的のため、皮膚科医によって非病理学的、すなわち、感染、特に日焼けの形態の炎症、毛包炎、カンジダ症、乾癬、魚鱗癬、湿疹、ざ瘡、膿痂疹、水疱、膿瘍、ヘルペス、膿瘡、丹毒又は皮膚炎等の皮膚疾患又は状態、静脈瘤、赤斑(couperose)又は毛細血管拡張症、病状若しくは創傷若しくは熱傷、日焼け若しくは傷害を示さない、又は反応性若しくはアトピー性皮膚ではない日光弾力線維症に罹患していない、と認定されている、皮膚の、好ましくは頭皮の、及び/若しくは粘膜の、及び/若しくは皮膚付属器の、並びに/又は皮膚の、好ましくは頭皮の、及び/若しくは粘膜の、及び/若しくは皮膚付属器の領域の「健康な」部分という用語は、皮膚の、好ましくは頭皮の、及び/又は粘膜の、及び/若しくは皮膚付属器の、並びに/又は皮膚の、好ましくは頭皮の、及び/若しくは粘膜の、及び/若しくは皮膚付属器の領域を意味すると理解される。特に、それは、医師が「正常」として適格である細胞、すなわち非癌性細胞で構成された皮膚及び/又は粘膜の一部である。
【0046】
本明細書で使用される場合、「局所適用」という用語は、本発明による球体を、任意により活性成分及び/又は組成物の形態で、特に直接適用又は気化によって、頭皮、皮膚付属器、特に毛髪、及び/又は粘膜を含む皮膚の表面に適用することを意味する。
【0047】
「外観を改善する」という用語は、特に充填及び/又は光学的効果によって、非審美的症状の視認性を低減又は減少させること、特に、好ましくは顔に存在するものをマスキング又は隠すことを意味する。
【0048】
本発明によれば、「非審美的症状」は、皮膚、粘膜及び/又は皮膚付属器のレリーフ及び/又は質感の非審美的不規則性及び/又は皮膚、粘膜及び/又は皮膚付属器の色の不規則性である。
【0049】
本発明によれば、皮膚のレリーフ及び質感の非審美的不規則性は、皺及び小じわ、特に眉間のしわ及び目じりの小じわ、凹凸、核酸、拡張した細孔、荒れた外観、跡及び瘢痕、特に創傷、ざ瘡、吹き出物、火傷及び/又は妊娠線によって引き起こされるものである。
【0050】
本発明によれば、皮膚の色の不規則性は、色素斑、特に白色斑又はしみ、特に加齢斑又は色素過剰又は色素脱失斑、妊娠顔貌、ほくろ、黒色腫、赤み斑、赤みだけでなく、顔色の明るさの喪失、くすんだ顔色、黒ずみ及びポケット、酒さ及び赤斑(couperose)である。
【0051】
好ましい一実施形態によれば、非審美的症状は、皺、小じわ、角栓、目に見える細孔、顔色の輝きの喪失、くすんだ顔色、黒ずみ、ポケット、色素斑及びそれらの任意の混合から選択される。
【0052】
皮膚付属器、好ましくは毛髪の非審美的症状は、くすんだ脆い外観である。毛髪の場合、症状はまた、脆く、脆弱な、損傷した外観及び/又はそれらを成形すること、特に毛髪の場合、それらをスタイリングする場合の困難さ及び/又は枝毛を含む。
【0053】
粘膜の非審美的症状としては、くすんだ、ひび割れた、衰えた、及び/又は損傷した外観、並びに薄片状の鱗屑が挙げられる。
【0054】
一般に、非審美的症状の改善は、特に皮膚、粘膜及び/又は皮膚付属器の領域の輝度の測定を用いた顕微鏡及び/又は高解像度写真分析によって視覚化及び評価することができる。
【0055】
顔色の放射輝度の改善、すなわち「グロー(glow)」は、特に、客観的な機器法によって測定することができる。このインビボ測定方法は、試験製品の適用前後に45°で撮影されたボランティアの顔の交差偏光配置の高解像度写真を撮影することからなる。これらのデジタル写真に基づいて、画像解析は、皮膚の色、放射輝度、均一性、及び質感に関連する特定のパラメータ(例えば、L*、a*、b*、C、h°)の抽出及び定量化を可能にする。
【0056】
同様に、光沢は、試験製品の適用前後に45°で撮影されたボランティアの顔の交差偏光及び平行偏光構成の高解像度写真に基づいて、この方法に従って特に測定され得る。これらのデジタル写真に基づいて、画像分析は、鏡面光沢及びコントラスト光沢等の光沢に関連する特定のパラメータの抽出及び定量化を可能にする。
【0057】
本発明の目的のため、「皮膚細孔の視認性を低下させること」という用語は、特に充填及び/又は光学効果によって皮膚細孔をマスキングすることを意味する。
【0058】
皮膚の細孔の視認性は、本発明による球体を含む組成物の適用前後に撮影されたボランティアの顔の交差偏光配置での高解像度写真から特定のパラメータを抽出及び定量化することを可能にする客観的機器法(画像分析)によってインビボで実証され得る。皮膚細孔の密度はまた、いわゆる曲率パラメータを測定することによって、特にフリンジ投影技術によるイメージングによってインビボで測定することができる。
【0059】
本発明の好ましい一実施形態において、本発明による球体は、より優先的には実施例1~7のいずれか1つに記載される条件下で調製され、優先的には実施例9及び10に記載されるような化粧品組成物の形態で製剤化された、本発明による球体を含むクリームを適用した後、皮膚の細孔の視認性を少なくとも10%、優先的には少なくとも20%低下させるのに有効な量である。
【0060】
「粘膜」は、眼粘膜、膣粘膜、泌尿生殖器粘膜、肛門粘膜、鼻粘膜並びに/又は頬、唇及び/若しくは歯肉粘膜、好ましくは眼、並びに/又は頬及び/若しくは唇及び/若しくは歯肉粘膜を意味する。
【0061】
本発明との関連では、「快適性の改善」という用語は、官能特性、より詳しくは組成物の感触及び広がり易さを、特に柔らかい、絹のような、軽い及び滑らかな感触によって増大させることを意味すると理解されるが、球体を含有する組成物が適用された領域にしなやかな感覚を付与することも意味する。官能特性、特に組成物の感触は、当分野における従来の方法によって、特に皮膚の官能試験を行うように訓練された人による評価によって評価することができる。より良好な評価のために、測定はプラセボとの比較によって、すなわち本発明による球体を含有しない同じ組成物との比較によって行われる。この評価は、エマルジョンに対して優先的に行われる。
【0062】
有利には、快適性の改善は、実施例9に記載のエマルジョンの官能評価によって分析される。訓練された個人のパネルが、所与の量の組成物を前腕に適用することによって組成物を評価する。定義された手順に従って、組成物を皮膚上に広げ、プラセボ組成物と比較して、例えば、その吸収、柔らかさ及び外観等のその特定の特性を評価する。-1~+1の値が与えられる。例えば、軽さ感(feeling of lightness)については、試験した組成物を+1と評価して、それがプラセボと呼ばれる参照組成物よりもはるかに軽い、又は値-0.5を有するプラセボ組成物よりもわずかに少ない軽さであることを示すことができる。
【0063】
2つの組成物が同じ知覚を提供する場合、個体は、評価されたパラメータについて0の値を示す。このような評価は、試験した組成物及び参照組成物について、同じ気候条件下で盲目的に同じ方法で行う。次いで、統計分析により、評価結果の有意性及び偏差を評価する。
【0064】
本発明によれば、「皮膚付属器」という表現は、毛髪、まつげ、眉毛、ひげ、口ひげ及び/又は爪、好ましくは毛髪を意味すると理解される。
【0065】
有利には、本発明による使用は、顔色の放射輝度を改善することによって、より均一で光沢があるようにすることによって、見た目が良くて新鮮な発光効果を与えることによって、特に皮膚の質感、レリーフ及び/又は色の非審美的症状を隠すことによって、皮膚の外観を改善することを可能にする。
【0066】
別の実施形態によれば、本発明による球体はまた、不快感の徴候を示す皮膚及び/又は粘膜及び/又は皮膚付属器、特にシェービング、擦り、乾燥、風、日光、及び脱毛等の機械的性質の攻撃的な条件、並びに/又はヘアトリートメント、特に着色(脱色)、パーマネントウェーブ及び縮毛矯正、洗浄剤、及び角質処理トリートメント等の化学的性質の攻撃的な条件に曝された皮膚及び/又は粘膜及び/又は皮膚付属器を軟化させることを可能にする。
【0067】
特定の一実施形態によれば、本発明による使用は、皮膚、皮膚付属器、特に毛髪及び/又は粘膜を明るくし、照らして、それらをより均一にし、特に「ソフトフォーカス」と呼ばれるぼやけを作り出し、特徴を柔らかくし、不規則な小じわ及び跡を充填する(特に、より詳しくは皺に対する充填剤として)ことを可能にする。
【0068】
本発明による球体又はマイクロスフェアは、閉気孔を有する多孔質金属酸化物球体である。そのような球体はフォトニックビーズであり、これは、特に色、清澄度、透明度又は明るさの知覚を含む光波に影響を与えるある程度の周期的な色変動を有することを意味する。
【0069】
本発明による球体は、金属酸化物を含み、好ましくは、0.5μm~100μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径、及び/又は0.10超~0.80の範囲の平均気孔率、及び/又は50nm~500nmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される、より詳しくは閉鎖細孔の平均細孔径を有する。
【0070】
本発明による閉気孔を有するマイクロスフェア又は多孔質球体は、主に金属酸化物を含有する。有利には、それらは本質的に金属酸化物からなる。好ましくは、それらは金属酸化物のみからなる。
【0071】
有利には、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、球体の総重量に対して、60重量%~99.9重量%の金属酸化物、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは99.9重量%の金属酸化物を含む。したがって、有利な一実施形態において、本発明による多孔質球体は、球体の総重量に対して少なくとも70重量%の金属酸化物を含有する。
【0072】
本発明によれば、金属酸化物は、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化クロム、混合金属酸化物、及びそれらの組合せ等の化粧品及び/又は皮膚科学的用途に適合する遷移金属酸化物、半金属及び土類金属を含む。好ましくは、金属酸化物は、SiO2、TiO2、ZnO及びそれらの混合物からなる群から、有利にはSiO2、TiO2及びZnOからなる群から、より有利にはSiO2、ZnO及びそれらの混合物からなる群から、更により有利にはSiO2及びZnOからなる群から選択され、より詳しくはSiO2である。有利な一実施形態において、金属酸化物は、TiO2及び/又は2つ以上の金属酸化物の混合物を含まない。
【0073】
特定の一実施形態において、本発明による閉気孔を有する多孔質球体、より詳しくは細孔の少なくとも90%が閉鎖細孔であり、1μm~100μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径及び50nm~800nmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均細孔径を有し、少なくとも70%の金属酸化物を含む。特に、これらの球体はTiO2を含有せず、及び/又は抗UVフィルタと組み合わせて、及び/又はそれを含む組成物中で使用されない。
【0074】
有利な一実施形態において、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、例えば、球体の総重量基準で、60重量%~99.9重量%の金属酸化物及び0.1重量%~40重量%の光吸収剤を含み得る。本発明の一実施形態によれば、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、球体の総重量に対して、0.3重量%、好ましくは0.5重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%の光吸収剤を含有する。
【0075】
代替の好ましい実施形態によれば、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、光吸収剤を含有せず、及び/又は本発明による閉気孔を有する多孔質球体を含有する化粧品組成物も光吸収剤を含有しない。具体的には、TiO2等の光吸収剤は、特定の毒性を有し得る。本発明者らは、驚くべきことに、光吸収剤を用いなくても、本発明によるマイクロスフェア又は球体が即時型のアンチブルーライトフィルタ効果を有することを見出した。
【0076】
有利には、光吸収剤は、化粧品及び/又は皮膚科学的用途、より詳しくは皮膚、粘膜及び/又は皮膚付属器に適合する有機及び無機顔料からなる群から選択され、より詳しくははカーボンブラックである。
【0077】
有利な好ましい一実施形態によれば、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、0.5μm~100μm、有利には1μm~100μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径を有し、この場合、それらはマイクロスフェアである。したがって、有利には、本発明によるマイクロスフェアが皮膚及び/又は粘膜の深層に浸透するのを避け、優先的に表面効果を有するために、それらはナノスフェアではない。したがって、本発明によるマイクロスフェアは、有利には、皮膚及び/又は粘膜及び/又は皮膚付属器の表面に残る。
【0078】
「マイクロスケール」又は「マイクロ」という用語は、約0.5μm~約999μmの範囲のサイズを意味すると理解される。「ナノスケール」又は「ナノ」という用語は、約1nm~約999nmの範囲のサイズを意味すると理解される。
【0079】
より有利には、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、1μm~75μm、好ましくは2μm~70μm、好ましくは3μm~65μm、4μm~60μm、5μm~55μm又は5μm~50μm、より好ましくは10μm~25μmの範囲の走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径、例えば1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、20μm、21μm、22μm、23μm、24μm、25μm、26μm、27μm、28μm、29μm又は30μmから選択される走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径を有する。
【0080】
代替的な実施形態において、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、4.5μm、4.8μm、5.1μm、5.4μm、5.7μm、6.0μm、6.3μm、6.6μm、6.9μm、7.2μm、7.5μm、7.8μm、8.1μm、8.4μm、8.7μm、9.0μm、9.3μm、9.6μm又は9.9μmから選択される走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径を有する。
【0081】
代替的な実施形態において、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される、1.3μm~10μm、より詳しくは1.5~9.9μm、更により詳しくは2.5μm~8μmの範囲の平均直径、例えば1μm、2μm、2.6μm、2.9μm、3μm、4μm、5μm、6μm、6.7μm、7μm、8μm、9μm、10μmから選択される平均直径を有する。
【0082】
本発明の好ましい一実施形態において、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される、本発明による閉気孔を有する多孔質球体の、より詳しくは閉鎖細孔の平均細孔径、は、50nm~800nm、有利には50nm~500nm、有利には80nm~250nm、有利には100nm~245nm、特に100nm~200nm、より詳しくは145nm~180nm、より詳しくは150nm~160nm、更により詳しくは150nm~155nmの範囲であり、例えば50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、153nm、155nm、160nm、165nm、170nm、175nm、180nm、185nm、190nm、191nm、192nm、193nm、194nm、195nm、196nm、197nm、198nm、199nm、200nm、201nm、202nm、203nm、204nm、205nm、206nm、207nm、208nm、209nm、210nm、211nm、212nm、213nm、214nm、215nm、216nm、217nm、218nm、219nm、220nm、225nm、230nm、235nm、240nm、245nm、250nm、260nm、280nm、300nm、320nm、340nm、360nm、380nm、400nm、420nm、440nm、460nm、480nm、500nm、520nm、540nm、560nm、580nm、600nm、620nm、640nm、660nm、680nm、700nm、720nm、740nm、760nm、780nm又は800nmから選択される。
【0083】
別の実施形態において、本発明による多孔質球体は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される、1.3μm~10μm、より詳しくは1.5~9.9μm、更により詳しくは2.5μm~8μmの範囲の平均直径、例えば1μm、2μm、2.6μm、2.9μm、3μm、4μm、5μm、6μm、6.7μm、7μm、8μm、9μm、10μmから選択される平均直径、及び0.45、0.47、0.49、0.50、0.51、0.53、0.55、0.57、0.59、0.61、0.63、0.65、0.67、0.69又は0.70から選択される平均気孔率、走査型電子顕微鏡法(SEM)によって測定される、100nm~200nm、より詳しくは145nm~180nm、より詳しくは150nm~160nm、更により詳しくは150nm~155nm、例えば、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、153nm、155nm、160nm、165nm、125nm、170nm、175nm、180nm、185nm、190nm、191nm、192nm、193nm、194nm、195nm、196nm、197nm、198nm、199nm又は200nmから選択される平均細孔径を有する。
【0084】
本発明による多孔質球体では、球体の平均直径は、細孔の平均直径よりも著しく大きい。例えば、球体の平均直径は、一般に、細孔の平均直径の少なくとも25倍、好ましくは少なくとも30倍、好ましくは少なくとも35倍、より好ましくは4倍である。
【0085】
いくつかの実施形態において、平均細孔径に対する平均球径の比は、少なくとも40/1、少なくとも50/1、少なくとも60/1、少なくとも70/1、少なくとも80/1、少なくとも90/1、少なくとも100/1、少なくとも110/1、少なくとも120/1、少なくとも130/1、少なくとも140/1、少なくとも150/1、少なくとも160/1、少なくとも170/1、少なくとも180/1、少なくとも190/1、少なくとも200/1、少なくとも210/1、少なくとも220/1、少なくとも230/1、少なくとも240/1、少なくとも250/1、少なくとも260/1、少なくとも270/1、少なくとも280/1、少なくとも290/1、少なくとも300/1、少なくとも310/1、少なくとも320/1、少なくとも330/1、少なくとも340/1、又は少なくとも350/1である。
【0086】
本発明の好ましい一実施形態において、本発明による閉気孔を有する多孔質球体は、0.10超~0.80の範囲の平均気孔率を有し、特に0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.50、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.60、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69又は0.70から選択され、好ましくは0.45~0.70の範囲、より好ましくは0.50~0.65の範囲である。
【0087】
本発明によれば、球体及び/又は細孔のサイズは、球体及び/又は細孔の直径と同義であり、走査型電子顕微鏡(SEM)によって決定される。平均球径及び/又は細孔径(又は平均サイズ)は、球体及び/又は細孔の平均直径を意味し、これは、標準偏差の測定によって補足され得る。これは、解析ソフトウェア、特にImageJ画像ソフトウェアを使用して、走査型電子顕微鏡によって100~150個の球体及び/又は異なる50~70個の球体の細孔を解析することによって得られる。
【0088】
球体の平均気孔率は、全球体の体積の一部としての全細孔体積を指す。平均気孔率は、「体積分率」と呼ばれることもある。これは無次元量である。これは、占有されていない空間(細孔の内側)の体積と球体の総体積との比によって計算される。例えば、7.6μmの平均直径を有し、165nmの平均直径を有する閉鎖細孔を含む本発明による多孔質シリカ球体は、0.8の平均気孔率を有する。細孔の直径は、それが構成されるナノ粒子ポリマーの直径D50によって決定される。構成されるナノ粒子ポリマーの直径D50が大きいほど、細孔の平均直径は大きくなる。同様に、ナノ粒子の濃度は、得たい平均球径に応じて調整される。ナノ粒子の濃度が高いほど、球体のサイズは大きくなる。
【0089】
水銀ポロシメトリーによる分析は、球体の気孔率を特性評価するために使用される。水銀ポロシメトリーは、水銀に浸漬された測定される試料に制御された圧力を加えることを含む。外部圧力は、水銀が材料の細孔/孔に浸透するように加えられる。必要な圧力の量は、細孔/孔のサイズに反比例する。したがって、水銀ポロシメトリーは、細孔の体積及びサイズ分布を与える。水銀ポロシメトリーは、Washburn方程式を使用して、機器によって生成された侵入データに対する圧力データから体積及び細孔径分布を生成する。
【0090】
有利な一実施形態において、本発明による球体は、アンチブルーライトフィルタ及び/又は抗UVフィルタ及び/又は日焼け止め剤及び/又はそれらを含有する化粧品組成物を含有せず、及び/又はこれらと組み合わせて使用されない。したがって、本発明による球体は、アンチブルーライトフィルタのブースターとして、及び/又はサン(sun)組成物のSPF(日焼け止め指数)を高めるために使用されない。
【0091】
有利な一実施形態において、本発明による多孔質球体は、疎水性化合物を含有するコーティング層をその表面に含まない。特に有利な一実施形態において、本発明による多孔質球体は、その表面にコーティング層を含まない。
【0092】
本発明の特定の一実施形態によれば、本発明による多孔質球体は、その表面上に、ポリオルガノシロキサン、特にシリコーン化合物を含有するコーティング層を含まない。
【0093】
金属酸化物を含む多孔質球体は、一般に「ポリマー鋳型」又は犠牲ポリマーモデルと呼ばれるポリマー型を使用して調製することができる。そのような多孔質球体は、人間の目で観察可能な色、すなわち肉眼で観察可能な色を示すか、又は白く見える場合がある。
【0094】
「肉眼で観察可能な色」とは、大多数の人が知覚する色を意味する。これは、所与の領域にわたって、例えば、1cm2、2cm2、3cm2、4cm2、5cm2又は6cm2、7cm2、8cm2、9cm2、10cm2、11cm2、12cm2、13cm2、14cm2又は15cm2にわたって分布する本発明による球体の任意の試料に対するものであり得る。これはまた、CIE 1931 2°標準観測モデル及び/又はCIE 1964 10°標準観測モデルによって観測可能であることを意味し得る。色観察背景は、異なる種類、例えば、白色、黒色、又は黒色と白色との間の任意の中間であってもよい。
【0095】
一実施形態によれば、本発明による球体は、以下の3つの工程を有する方法によって調製される。
工程1:粒子の分散液から液滴が生成され、当該分散液は、ポリマーを含む第1の粒子(a)と、金属酸化物又は金属酸化物前駆体を含む第2の粒子(b)とを含む。粒子のこの分散液は、有利には、8~10の範囲のpHの水性分散液、特にコロイド分散液である。
【0096】
液滴は、有利には、マイクロ流体デバイスを使用して得られる。マイクロ流体デバイスは、例えば、均一な液滴を生成するように適合された顕微鏡スケールの接合部を有する狭チャネルデバイスであり、チャネルは収集リザーバに接続されている。マイクロ流体デバイスは、例えば、10μm~約100μmの範囲のチャネル幅を有する接合部を含む。これらのデバイスは、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)製であり、例えば、ソフトリソグラフィによって調製することができる。連続油性相中の粒子の水性分散液のエマルジョンは、分散水性相及び連続油性相を規定の比でポンプ輸送し、したがって2つの相を混合することによってエマルジョンを形成することによって、デバイス内部で調製することができる。或いは、粒子分散液が油性分散液であり、連続相が水相である場合、水中油型エマルジョンを使用することができる。連続油性相は、例えば、有機溶媒、シリコーン油又はフッ素油を含む。本発明によれば、「油」という用語は、水と混和しない有機相(例えば有機溶媒)を示す。有機溶媒は、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素、またメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールも含む。
【0097】
工程1)は、ポリマーを含む第1の粒子(a)及び金属酸化物又は金属酸化物前駆体を含む第2の粒子(b)を含む分散液からではなく、金属酸化物又はその前駆体のゾルゲルマトリクス(b)中にポリマーを含む粒子(a)を含む分散液から行うこともできる。
【0098】
工程2:液滴を乾燥させて溶媒を除去し、第2の粒子(b)のマトリクス又は第1の粒子(a)が中に位置するゾル-ゲルマトリクス(b)の形態の乾燥した球体を得る。実際には、第1の粒子(a)と第2の粒子(b)又はゾル-ゲルマトリクス(b)との間に自己組織化が存在し、ポリマー粒子(a)が埋め込まれた金属酸化物又は金属酸化物前駆体に基づくマトリクスを有する球体を形成する。得られた球体は、例えば濾過又は遠心分離によって回収される。
【0099】
乾燥は、従来の技術に従って、例えば、マイクロ波照射、熱オーブン内、真空下、乾燥剤/吸収剤の存在下、又はこれらの技術の混合によって行われる。
【0100】
工程1)及び2)は、噴霧によって同時に行うことができる。噴霧乾燥技術のいくつかの実施形態において、粒子(ポリマーを含む第1の粒子(a)と、金属酸化物若しくは金属酸化物前駆体を含む第2の粒子(b)、又は金属酸化物若しくはその前駆体のゾルゲルマトリクス(b)中にポリマーを含む第1の粒子(a))の分散液を、圧縮ガス入口を有する噴霧ノズルに供給する(例えば、ポンプで送る)。供給物は、噴霧ノズルを通って圧送されて液滴を形成する。液滴は、蒸発チャンバ内で予熱されたガスによって取り囲まれ、その結果、溶媒が蒸発して、球体(第2の粒子(b)のマトリクス、又は第1の粒子(a)が中に位置するゾルゲルマトリクス(b))の形態の固体粒子が生成される。乾燥粒子は、サイクロンを通って乾燥ガスによって輸送され、収集チャンバ内に堆積される。使用され得るガスとしては、窒素及び/又は空気が挙げられる。
【0101】
噴霧乾燥プロセスの一実施形態において、供給液は、粒子が分散している水性又は油性相(ポリマーを含む第1の粒子(a)と、金属酸化物若しくは金属酸化物の前駆体を含む第2の粒子(b)又は金属酸化物若しくはその前駆体のゾルゲルマトリクス(b))を含有する。噴霧乾燥技術は、インクジェット噴霧乾燥法を含む。振動ノズルは、Buechiから市販されており、例えば、シリンジポンプ及び脈動ユニットを備える。
【0102】
工程3:乾燥球体を焼成し、任意に、焼結する。この工程中、金属酸化物球体又はゾル-ゲルマトリクスは緻密化し、ポリマー粒子(a)の周囲に安定なマトリクスを形成し、ポリマー粒子は焼成によって除去される(200~1200℃の範囲の温度で0.1時間~10時間の範囲の期間、有利には300~800℃の範囲の温度で1~8時間の範囲の期間)。
【0103】
一実施形態によれば、200℃~1200℃の範囲の温度で焼成を行う。一実施形態によれば、焼成温度は、少なくとも200℃、好ましくは少なくとも500℃、より好ましくは少なくとも1000℃である。或いは、焼成温度は300℃~800℃の範囲である。焼成は、適切な期間、例えば0.1時間~約10時間、好ましくは1時間~8時間の範囲で行われる。いくつかの実施形態において、焼成は、少なくとも0.1時間、少なくとも1時間、少なくとも5時間、又は少なくとも8時間行われる。
【0104】
したがって、第1のポリマー粒子(a)を、本発明による球体に細孔を形成するための鋳型として使用した。ポリマー粒子(a)は、間隙空間を画定する。焼成は、ポリマーの除去をもたらし、したがって、高い気孔率又は大きな間隙体積(逆構造)を有する金属酸化物球体を提供する。多孔質金属酸化物球体は有利に焼結され、連続的で固化した熱的及び機械的に安定な固体構造をもたらす。
【0105】
このプロセスにおいて鋳型として使用され得る第1のポリマー粒子(a)は、ナノ粒子である。それらはまた、球形、単分散であり、50nm~約800nm、有利には50nm~500nmの範囲の動的光散乱(DLS)測定又は走査型電子顕微鏡(SEM)によって、好ましくは動的光散乱(DLS)測定によって測定される直径D50を有する。
【0106】
直径D50は、集団の半分がそれより下にあり、残りの半分がそれより上にあることを意味するメジアン直径を指す。
【0107】
有利には、ポリマーナノ粒子(a)は、50nm、75nm、100nm、130nm、160nm、190nm、210nm、240nm、270nm、300nm、330nm、360nm、390nm、410nm、440nm、470nm、500nm、530nm、560nm、590nm、620nm、650nm、680nm、710nm、740nm、770nm又は800nmの動的光散乱(DLS)測定によって測定される直径D50を有する。
【0108】
好ましくは、ポリマーは、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、並びにそれらの誘導体及び塩、それらのコポリマー及びそれらの組合せからなる群から選択される。例えば、ポリマーは、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ(n-ブチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(アルファ-メチルスチレン)、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)スチレン/メチルメタクリレートコポリマー、ポリアルキルアクリレート、ポリヒドロキシルアクリレート、ポリアミノアクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリフッ素化アクリレート、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸コポリマー、スチレン/メチルメタクリレート/アクリル酸コポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクトン、ポリビニルカプロラクタム、メチルメタクリレートと[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー、またそれらの誘導体及び塩、それらのコポリマー及びそれらの組合せからなる群から選択される。好ましくは、ポリマーは、ポリスチレン、例えばポリスチレン/アクリル酸、ポリスチレン/ポリ(エチレングリコール)メタクリレート又はポリスチレン/スチレンスルホネートコポリマーからなる群から選択される。
【0109】
本発明による球体は、球形及び単分散ポリマー粒子(a)の使用により、均一な細孔径を含むことができる。
【0110】
本発明による方法で使用することができる金属酸化物又は金属酸化物前駆体を含む第2の粒子(b)又はゾル-ゲルマトリクスを、ゾル-ゲル技術によって得てもよい。
【0111】
有利には、プロセスで使用することができる第2の粒子(b)はナノ粒子である。それらは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)又は動的光散乱(DLS)測定、好ましくは走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される、1nm~約120nmの範囲の直径D50を有する。
【0112】
有利には、金属酸化物又は金属酸化物前駆体(b)を含むナノ粒子は、1nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、又は120nmの走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される直径D50を有する。
【0113】
これらのナノ粒子(b)は、球状であっても非球状であってもよい。
【0114】
第2の粒子(b)又はゾルゲルマトリクスは、金属酸化物又は金属酸化物前駆体、特にシリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、セリウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化クロム、及びそれらの組合せ、酸化ケイ素の前駆体であるオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)若しくはオルトケイ酸テトラメチル(TMOS)、酸化チタンの前駆体であるチタンプロポキシド、又は酸化ジルコニウムの前駆体である酢酸ジルコニウムで作製され得る。
【0115】
有利な一実施形態において、第1のポリマーナノスフェア(a)は正に帯電した表面を有し、第2の金属酸化物粒子又はそれらの前駆体(b)又はゾルゲルマトリクス(b)は負に帯電した表面を有する。
【0116】
有利な別の実施形態において、第1のポリマーナノスフェア(a)は負に帯電した表面を有し、第2の金属酸化物粒子又はそれらの前駆体(b)又はゾルゲルマトリクス(b)は正に帯電した表面を有する。
【0117】
球体の製造プロセス中に粒子を互いに又はゾルゲルマトリクスと自己集合させるのは、表面における電荷の差である。
【0118】
金属酸化物又はその前駆体のナノ粒子又はゾルゲルマトリクス/ポリマーナノ粒子の重量比(重量/重量)は、例えば、1/10~10/1又は1/3~3/2の範囲である。有利には、この比は、1/10、2/10、3/10、4/10、5/10、6/10、7/10、8/10、9/10、10/9、10/8、10/7、10/6、10/5、10/4、10/3、10/2、又は10/1である。特に、1/3、2/3、1/1、又は3/2である。
【0119】
本発明による方法におけるポリマー/金属酸化物液滴の乾燥、それに続くポリマーの除去は、均一な空洞(細孔)を有する球体を生成する。一般に、記載されるプロセスにおいて、各液滴は、単一の微小球体(マイクロスフェア)又は球体を形成する。細孔の直径は、ポリマー粒子(a)のサイズに依存する。ポリマーの除去中に収縮又は圧縮が現れ、ポリマー粒子の初期サイズよりわずかに小さい、例えば初期ポリマー粒子のサイズよりも10%~40%小さい範囲の細孔サイズを生じることがある。細孔径は、ポリマー粒子(a)の形状及びサイズと同程度に均一である。
【0120】
特定の実施形態において、多孔質球体は、球体の外面に向かって中実中心又はコア及び気孔率を有する。
【0121】
他のよりまれな実施形態において、多孔質球体は、球体の内部に向かって増加する気孔率を有する空の中心を有する。
【0122】
したがって、いくつかの実施形態において、球体の中心又は外側に向かって気孔率勾配が存在するが、球体は球体内に均一な気孔率の分布を有することがより多い。
【0123】
本発明の他の好ましい実施形態において、気孔率は、球体の体積全体にわたって均一に分布している。
【0124】
単分散ポリマー球(a)の鋳型は、ポリマーが除去されると、直径が類似した細孔を有する金属酸化物球体をもたらすことができる。
【0125】
2つの異なるサイズのポリマー球(a)の鋳型は、ポリマーが除去されると、2つの異なる直径の細孔を有する金属酸化物球体をもたらすことができる。
【0126】
1つの理論に束縛されるものではないが、球体の気孔率及び/又は直径及び/又は細孔径が特定の値の範囲内にあるとき、球体の大部分は、光散乱が低減された飽和色を有すると考えられる。これらの色特性は特に重要であり、皮膚、皮膚付属器及び/又は粘膜に対して所望される光散乱の強度に従って調整することができる。いくつかの実施形態において、白色の球体を有することが好ましく、他の実施形態において、透明な球体を有することが好ましい。
【0127】
好ましくは、多孔質球体の大部分は、特に380nm~800nmの範囲の波長で肉眼で観察可能な構造色を有する。1つ以上のいわゆる光吸収剤も球体内に存在してもよく、したがって、より飽和した観察可能な色を提供することを可能にする。そのような吸収剤は、例えば、球体の物理的混合中に添加されるか、或いは乾燥前に液滴に含まれる。したがって、例えば、この場合、本発明による球体は、光吸収剤なしでは観察可能な色を有さず、光吸収剤を添加すると観察可能な色を有する。
【0128】
次いで、球体は、化粧品及び/又は皮膚科学組成物中の着色剤として使用することができるという利点を有する。
【0129】
本発明による多孔質球体は、角度依存性又は角度非依存性の色を有し得る。「角度依存性の色」は、入射光の角度又は観察者と観察される色領域との間の角度に依存する観察される色を意味する。角度非依存性の色とは、観察される色が、入射光の角度又は観察者と観察される色領域との間の角度に実質的に依存しないことを意味する。
【0130】
角度依存性の色を有する球体は、特に単分散ポリマーナノスフェア(a)を使用することによって得ることができる。それらはまた、ポリマー球モデルを提供するための液滴乾燥工程が穏やかに行われ、したがってポリマーナノスフェアがそれ自体を秩序化することを可能にするときに得ることができる。
【0131】
液滴乾燥工程が迅速に行われ、ポリマーナノスフェアがそれ自体を秩序化させない場合、又は2つのサイズのポリマー球(a)がプロセスで使用される場合(これらのポリマー球(a)が単分散又は多分散の二峰性分布であるかどうか)、角度に依存しない色の球を得ることができる。
【0132】
角度に対する色の依存性は、金属酸化物粒子(b)の多分散性又は形状とは無関係である。
【0133】
有利には、本発明による多孔質球体自体も単分散である。
【0134】
「球体の大部分」という用語は、球体の集合を意味する。量は、0.1mg以上、0.2mg以上、0.3mg以上、0.4mg以上、0.5mg以上、0.7mg以上、1.0mg以上、2.5mg以上、5.0mg以上、10.0mg以上又は25.0mg以上であり得る。球体の大部分は、他の化合物を欠いていてもよい。
【0135】
「単分散」という用語は、ポリマー又は細孔の多孔質球体又はナノスフェアの集合について、均一な形状及び均一な直径を有する粒子又は細孔を指すと理解される。したがって、球体及び/又は細孔の集団は、粒子又は細孔の数の90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%が、球体及び/又は細孔の集団の平均直径又はポリマーナノスフェアの直径D50に対して±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%又は±1%の直径(これらの直径は走査型電子顕微鏡法(SEM)によって測定される)を有する場合、単分散と呼ばれる。
【0136】
ポリマーナノスフェア(a)の単分散集団の除去により、平均直径を有する細孔集団を有する金属酸化物球体が得られる。
【0137】
したがって、金属酸化物を含む本発明による球体は、以下、
-ポリマーナノスフェア及び金属酸化物若しくはその前駆体又はゾル-ゲルマトリクスのナノ粒子の液体分散液を形成する工程、
-分散液の液滴を形成する工程、
-ポリマーナノスフェア及び金属酸化物若しくはその前駆体のナノ粒子又はゾルゲルマトリクスを含む球体の液滴を乾燥させる工程、
-モデル球からポリマーナノスフェアを除去して、本発明による多孔質金属酸化物球体を提供する工程を含む方法によって調製される。
【0138】
有利な実施形態によれば、液滴は水性である。代替形態によれば、液滴は油性である。
【0139】
好ましい実施形態によれば、方法は、連続相と、液体分散液の液滴を含有するエマルジョンを形成するためのこの連続相との液体分散液の混合とを含む。特定の実施形態によれば、連続相は油性であり、連続油性相と水性液体分散液との間で混合が行われて、水性液滴を含有する油中水型エマルジョンを形成する。
【0140】
別の実施形態によれば、連続相は水性であり、連続水相と油性液体分散液との間で混合を行って、脂質液滴を含有する水中油型エマルジョンを形成する。
【0141】
有利な実施形態によれば、方法は、液滴を収集し、液滴を乾燥させ、球体モデルからポリマーナノスフェアを除去する後続の工程を含む。
【0142】
本発明によれば、本発明による多孔質球体は、単独で、特に粉末形態(100%)で、又は組成物、特に化粧品組成物として、組成物の総重量に対して、1×10-3~100重量%の範囲、有利には1×10-2~95重量%、好ましくは0.01重量%~80重量%、更により好ましくは0.05重量%~50重量%、好ましくは0.1重量%~30重量%、好ましくは最大20重量%、更により好ましくは最大10重量%、更により好ましくは0.5重量%~5重量%の範囲の濃度で使用される。
【0143】
本発明による多孔質球体は、単独で、特に活性化粧品成分の形態で、又は皮膚、皮膚付属器及び/又は粘膜との接触を意図した組成物、例えば化粧品組成物、好ましくは局所適用を意図した組成物等で使用することができる。
【0144】
本発明による多孔質球体を含有する活性成分及び/又は化粧品組成物は、好ましくは、頭皮を含む皮膚及び/又は粘膜、並びに皮膚付属器、好ましくは毛髪のケア及び/又は美容的処置を意図する。
【0145】
別の実施形態において、本発明による球体は、更に少なくとも1つの化粧品として許容され得る賦形剤を含む化粧品組成物に組み込むことができる。
【0146】
本発明の目的のため、「化粧品として許容され得る」賦形剤という表現は、局所的に許容され得る化合物及び/又は溶媒、すなわち、ヒトの頭皮及び皮膚付属器を含む皮膚との接触時にアレルギー反応を誘発せず、毒性ではなく、不安定ではなく、それらの同等物ではなく、又は不適切ではない化合物及び/又は溶媒を意味する。
【0147】
本発明による化粧品組成物は、頭皮及び皮膚付属器を含む皮膚及び/又は粘膜への局所適用に従来使用されている全ての配合形態、例えば液体若しくは固体形態で、又は加圧下で液体の形態で提供され得る。それらは、特に、水性又は油性溶液、特にジャー又はチューブ内のローション、クリーム、水性ゲル又は油性ゲル、特にガラス瓶若しくはプラスチック瓶若しくは計量瓶、又はエアロゾル若しくはスプレー、バイアル内の、特にシャワージェル、シャンプー、コンディショナー、ミルク、オイル、エマルジョン、ヒドロゲル、マイクロエマルジョン又はナノエマルジョン、特に水中油型又は油中水型又は多重エマルジョン若しくはシリコーン系エマルジョン、セラム、ローション、液体若しくは固体石鹸、ペースト、軟膏、ムース若しくはフォーム、マスク、ラッカー、パッチ、無水製品の形態で製剤化されてもよく、好ましくは液体、ペースト状又は固体、例えばバトンの形態、特にスティック形態、又は粉末形態、好ましくはクリーム、セラム又はローションである。
【0148】
また、メイクアップ製品又はメイクアップ除去製品であってもよい。特に、化粧品組成物は、セラム、ローション、クリーム、シャンプー、コンディショナー、オイル、ミルク、軟膏、ペースト、ムース又はフォーム、エマルジョン、ヒドロゲル、シャワーゲル、マスク、ラッカー、スプレー又はワックスからなる群から選択され、より好ましくは、クリーム、セラム又はローションである。また、シェービング及び/又は脱毛後の粉末、特にメイクアップ、スティックファンデーション、髭ケア用組成物であってもよい。有利な一実施形態によれば、本発明による化粧品組成物は、少なくともわずかにゲル化し、及び/又は油性相を含み、好ましくは油性組成物又は水中油型若しくは油中水型エマルジョン若しくはローションタイプである。
【0149】
本発明による組成物は、任意に、他の目的の化合物と組み合わせて、任意の適切な溶媒及び/又は任意の適切なビヒクル及び/又は任意の適切な賦形剤を含有し得る。
【0150】
したがって、これらの組成物について、賦形剤は、例えば、防腐剤、皮膚軟化剤、乳化剤、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、コンディショナー、艶消し剤、安定剤、酸化防止剤、テクスチャ剤、グロス剤、フィルム形成剤、可溶化剤、顔料、染料、香料及び日焼け止め剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。これらの賦形剤は、好ましくは、アミノ酸及びその誘導体、ポリグリセリン、エステル、セルロースポリマー及び誘導体、ラノリン誘導体、リン脂質、ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ、スクロース系安定剤、ビタミンE及びその誘導体、天然及び合成ワックス、植物油、トリグリセリド、不鹸化物、植物ステロール、植物エステル、シリコーン及びその誘導体、タンパク質加水分解物、ホホバ油及びその誘導体、脂溶性/水溶性エステル、ベタイン、アミンオキシド、植物抽出物、スクロースエステル、二酸化チタン、グリシン、並びにパラベンからなる群から選択され、より好ましくはブチレングリコール、ステアレス-2、ステアレス-21、グリコール-15ステアリルエーテル、セテアリルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ブチレングリコール、天然トコフェロール、グリセロール、ジヒドロキシセチルリン酸ナトリウム、イソプロピルヒドロキシセチルエーテル、ステアリン酸グリコール、トリイソノナノイン、オクチルココエート、ポリアクリルアミド、イソパラフィン、ラウレス-7、カルボマー、プロピレングリコール、グリセロール、ビサボロール、ジメチコン、水酸化ナトリウム、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、オクタン酸セテリル、アジピン酸ジブチル、ブドウ種子油、ホホバ油、硫酸マグネシウム、EDTA、シクロメチコン、キサンタンガム、クエン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、鉱物ワックス及び油、イソステアリン酸イソステアリル、プロピレングリコールジペラルゴネート、プロピレングリコールイソステアレート、PEG 8、蜜蝋、水素化パーム油由来のグリセリド、水素化パーム油由来のグリセリド、ラノリン油、ゴマ油、乳酸セチル、ラノリンアルコール、ヒマシ油、二酸化チタン、ラクトース、スクロース、低密度ポリエチレン、等張食塩水から選択される。
【0151】
皮膚の外観を改善するための多くの化粧品活性成分が当業者に公知である。当業者は、最良の効果を得るために化粧品又は皮膚科学組成物を製剤化する方法を知っている。更に、本発明に記載される化合物は、それらを互いに組み合わせると相乗効果を有し得る。これらの組合せも本発明に含まれる。The CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition(1992)は、化粧品及び製薬業界で一般的に使用されている様々な化粧品及び医薬成分を記載し、これらは特に局所使用に適している。これらの種類の成分の例としては、これらに限定されないが、以下の化合物が挙げられる。研磨剤、吸収剤、芳香剤、顔料、着色剤、精油、収斂剤、にきび防止剤、凝集防止剤、消泡剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカルバメート)、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、膨潤剤、キレート剤、添加剤、殺生物剤、変性剤、増粘剤、並びにビタミン類及びそれらの誘導体又は均等物等の審美的目的のための化合物、フィルム形成材料、ポリマー、乳白剤、pH調節剤、還元剤、脱色剤又はライトニング剤(lightening agent)(例えば、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグルコサミン)、コンディショニング剤(例えば、湿潤剤)。
【0152】
特に有利な様式では、本発明による球体は、任意に化粧品組成物又は医薬組成物、好ましくは皮膚科学組成物において、皮膚、皮膚付属器及び/若しくは粘膜の外観、特に非審美的症状及び/若しくは快適性を改善する唯一の薬剤として、又は化粧品組成物若しくは皮膚科学組成物において同じ若しくは相補的及び従来の特性を有する他の活性剤、例えば以下から選択されるものと組み合わせて使用することができる:
-保湿剤:本出願人によってHyalurosmooth(商標)という名称で販売されているカッシア・アングスティフォリア(Cassia angustifolia)種子から抽出された多糖類、又は本出願人によってPatcH2O(商標)という名称で販売されているプルラン、ヒアルロン酸ナトリウム及びアルギン酸ナトリウムを含有する組合せの1つから選択される剤等の保湿を促進する1つ以上の薬剤、或いは本出願人によってMelhydran(商標)という名称で販売されている天然保湿因子の化合物若しくは天然ハチミツ抽出物のうちの1つ以上、及び/又はグルコシルグリセリドファミリーの化合物、特にヘキソシルグリセリド、本出願人によってLitchiderm(商標)という名称で販売されているレイシ(Litchi chinensis)の果皮抽出物;
-フィブロネクチン合成を刺激するための薬剤、特にトウモロコシ抽出物、このような抽出物は、特にDelinerTMという名称で本出願人によって販売されている;
-細胞外マトリクス中の線維芽細胞増殖因子(FGF2)を分解及び/又は変性から保護するための薬剤、特に番号FR0654316号明細書で出願された本出願人名義のフランス国特許出願に記載されているヒビスカス・アベルモスクス(Hibiscus abelmoscus)の抽出物、及び/又は線維芽細胞増殖を刺激するための薬剤、例えば本出願人によって市販されているPhytokineTMという名称で知られ、欧州特許第1119344号B1明細書(Laboratoires Expanscience)にも記載されているペプチドを含有する発酵大豆抽出物、好ましくはこれら2つの抽出物の組合せ;
-ラミニンの合成を刺激する薬剤、特に生物工学的に改変された麦芽抽出物、このような抽出物は、特に本出願人によってBasaline(商標)という名称で市販されている、及び脂質合成を刺激する薬剤、例えば、Lipidessence(商標)という名称で本出願人によって市販されている生物工学的に改変されたジャガイモ(Solanum tuberosum)抽出物;
-ヒアルロナンシンターゼ2(HAS2)の発現及び/又は活性を刺激する薬剤、例えば、フランス国特許出願公開第2893252号A1明細書に記載される植物抽出物、特に、本出願人によってHyalufix(商標)という名称で市販されているガランガ(Galanga)(アルピニア・ガランガ(Alpinia galanga))の水性抽出物;
-フランス国特許出願FR2855968号明細書に記載されているようなリジルオキシダーゼ様(LOXL)の合成を刺激する薬剤、特に、本出願人によってLys’lastine(商標)という名称で市販されているディル抽出物;
-1つ以上の汚染防止剤、例えば、本出願人によってArganyl(商標)という名称で販売されているアルガニア・スピノサ(Argania spinosa)の葉の抽出物、又は本出願人によってPurisoft(商標)という名称で販売されているモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)の種子の抽出物、又は本出願人によってEperuline(商標)という名称で販売されているエペルア・ファルカタ(Eperua falcata)の根の抽出物;
-細胞内ATP合成を刺激する薬剤、特に藻類ラミナリア・ジギタタ(Laminaria digitata)の抽出物;
-特に色素沈着跡に対抗するための、全体的な老化防止作用を有する薬剤、特にナイアシンアミド又はビタミンB3;
-レチノイド、サルコシン、亜鉛塩、特にグルコン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、アゼライン酸並びに/又はそれらの誘導体及び混合物等の抗菌剤及び/又は皮脂調節剤及び/又は皮脂吸収剤、本出願人によってMAT XS(商標)Brightという名称で販売されているオルトシフォン・スタミネウス(Orthosiphon stamineus)の抽出物、本出願人によってBix’Activ(商標)という名称で販売されているビクサ・オレラナ(Bixa orellana)の抽出物、フランス国特許出願FR2863893号に記載されている抗菌抽出物、特に本出願人によってBetapur(商標)という名称で販売されているボルド(Boldo)の抽出物、又はタルク、
及びそれらの任意の混合物。
【0153】
本発明の好ましい一実施形態においてによれば、球体は、顔料及び/又はマイカを含有し得る、従来「プライマー」と呼ばれているメイクアップベースと共に配合される。
【0154】
本発明の代替の実施形態によれば、球体は、好ましくは、美白剤、老化防止剤、特に光誘発性老化に作用するもの、保湿剤、汚染防止剤、特に抗酸化剤、鎮静剤、皮脂調節剤及び/又は吸収剤、艶消し剤、プレバイオティクス剤、皮膚の表面及び/又はレリーフ及び/又は色の欠陥に作用する活性化粧剤、抗菌剤、及び/又は敏感肌用剤等の、上に列挙される活性化粧品成分と組み合わせて化粧品組成物に配合される。
【0155】
より好ましくは、本発明による球体は、メイクアップ顔料、マイカ、保湿剤、老化防止剤、及び/又は皮膚のレリーフ、色及び/又は表面の欠陥に作用する薬剤、及び/又はそれらの混合物から選択される少なくとも1つの成分、より好ましくは保湿剤及び/又は老化防止剤を含有する化粧品組成物中にある。
【0156】
有利には、本発明による化粧品組成物は、少なくとも1つの化粧品賦形剤及び/又は化粧品顔料及び/又は染料及び/又はUVフィルタ及び/又はアンチブルーライトフィルタ及び/又は活性化粧品成分を含有し、好ましくは美白剤、老化防止剤、特に光誘発性老化に作用するもの、保湿剤、汚染防止剤、特に抗酸化剤、鎮静剤、皮脂調節剤及び/又は吸収剤、艶消し剤、プレバイオティクス剤、皮膚の表面及び/又はレリーフ及び/又は色の欠陥に作用する活性化粧剤、抗菌剤及び/又は敏感肌用剤等の皮膚の色及び/又は皮膚の放射輝度を改変する薬剤から選択される。
【0157】
本発明による多孔質球体の使用は、頭皮を含む任意の種類の皮膚、皮膚付属器、好ましくは毛髪、及び粘膜、特に非審美的症状又は不快感の徴候を提示する皮膚に対する即時に効果的で持続的な作用を可能にするという点で特に有利である。
【0158】
好ましくは、本発明による多孔質球体は、好ましくは本発明による化粧品組成物の形態で、非審美的及び/又は不快な症状がある身体の少なくとも1つの領域に適用され、この領域又はこれらの領域は、好ましくは、額、頬、鼻、こめかみ、いわゆる「T」ゾーン(額、鼻、及び顎)、眼の下、眼窩周囲領域を含む顔の皮膚、より詳しくは、顎、頭皮、首、背中、肩、腕、前腕、胸郭、手、毛髪、ひげ、まつげ、眉毛、バスト、より詳しくは、ネックライン、腹及び/又は脇の下、脚、足、手、首、大腿、ヒップ、臀部、ウエスト、胴、唇の輪郭、毛髪、毛髪及び/又は眼、唇及び/又は頬の粘膜、好ましくは顔、手又はネックラインの皮膚の黒ずみから選択される身体の表面である。
【0159】
したがって、本発明はまた、皮膚、皮膚付属器、特に毛髪、及び/又は粘膜の外観及び/又は快適性を改善するための化粧品、有利には非治療的ケア方法であって、本発明による多孔質球体の皮膚及び/又は粘膜及び/又は皮膚付属器、特に毛髪の少なくとも1つの領域、好ましくは、額、頬、鼻、こめかみ、いわゆる「T」ゾーン(額、鼻、及び顎)、眼の下、眼窩周囲領域を含む顔の皮膚、より詳しくは、顎、頭皮、首、背中、肩、腕、前腕、胸郭、手、毛髪、ひげ、まつげ、眉毛、バスト、より詳しくは、ネックライン、腹及び/又は脇の下、脚、足、手、首、大腿、ヒップ、臀部、ウエスト、胴、唇の輪郭、毛髪、毛髪及び/又は眼、唇及び/又は頬の粘膜、好ましくは顔、手又はネックラインの皮膚の黒ずみから選択される身体の表面から選択される少なくとも1つの表面への局所適用を含む方法に関する。
【0160】
本発明による球体は、任意の種類の皮膚、粘膜及び/又は皮膚付属器、特に白人、アジア人又はアフリカ人、並びに任意の種類の皮膚、特に敏感肌、アトピー傾向を有する肌、又は脂性肌への使用に特に適している。それらは、老化の最初の非審美的症状、特に最初の表情皺をマスキングするため、及び/又は成熟皮膚、すなわち少なくとも50歳の男性又は女性、特に閉経後の女性に特に適している。
【0161】
本発明による化粧品組成物は、好ましくは、すすぎなしタイプである。
【0162】
有利には、本発明による多孔質球体は、好ましくは局所適用、好ましくは本発明による化粧品適用を意図した組成物の形態で、通常の局所適用で、好ましくは少なくとも1日1回、有利には1日2回使用される。好ましくは、化粧品組成物は皮膚に適用される。
【0163】
球体は、粉末形態で使用することができるが、液体形態で配合された化粧品成分の形態でも使用することができる。次いで、化粧品成分としてのそれらの配合のために、球体をグリセロール及び/又は水、アルコール、特にプロパンジオール、グリコール、特にブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオール又はそれらの混合物等の特に極性である別の溶媒、優先的には水-グリコール混合物、より優先的にはブチレングリコール、プロピレングリコール、カプリリルグリコール、ヘキシレングリコール及びそれらの混合物から選択されるグリコールを含有する水-グリコール混合物に優先的に懸濁させる。特に有利には、本発明による球体は、グリセロール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール又はそれらの混合物を含有する水溶液に懸濁される。
【0164】
有利には、本発明の別の主題は、皮膚、皮膚付属器、特に毛髪、及び/又は粘膜の外観及び/又は快適性を改善するための、そのような治療を必要とする/望む個人の美容的処置方法であって、以下の工程を含む方法である:
-外観及び/又は快適性が改善されなければならない、及び/又は隠される非審美的症状を提示する皮膚及び/又は粘膜及び/又は皮膚付属器の領域の個体上の識別、並びに
-本発明による球体を、皮膚及び/又は粘膜及び/又は皮膚付属器のこの領域の外観及び/又は快適性を改善するのに有効な量で、すなわち有利には1×10-3~100重量%、有利には1×10-2~95重量%、好ましくは0.01重量%~80重量%、より好ましくは0.05重量%~50重量%、好ましくは0.1重量%~30重量%、好ましくは最大20重量%、より好ましくは最大10重量%、より好ましくは0.5重量%~5重量%の範囲の球体含有量で含有する化粧品組成物の皮膚及び/又は粘膜及び/又は皮膚付属器のこの領域への局所適用。
【0165】
本発明による球体はまた、病変を呈する皮膚、粘膜及び/又は皮膚付属器の快適性を改善するために使用することができる。
【0166】
皮膚、粘膜及び/又は皮膚付属器は、特に反応性、炎症性及びアトピー性皮膚、色素過剰、色素不足及び過脂漏性皮膚、特に白斑、黒色腫、赤斑(couperose)、毛細血管拡張症、ざ瘡、酒さ、蕁麻疹、乾癬、ヘルペス、膿痂疹、膿瘡、丹毒、及び/又は創傷及び/又は瘢痕の提示、特にざ瘡、吹き出物、水泡、静脈瘤、肝斑、毛包炎、膿瘍、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される病変の状況で優先的に変化する。
【0167】
本発明の好ましい一実施形態において、本発明による球体は、薬学的に許容され得る賦形剤を更に含む医薬組成物の形態であり、組成物の総重量に対して1×10-3~100重量%、有利には1×10-2~95重量%、好ましくは0.01重量%~80重量%、より優先的には0.05重量%~50重量%、優先的には0.1重量%~30重量%、優先的には20重量%、より優先的には10重量%、より優先的には0.5重量%~5重量%の範囲の球体含有量で医薬組成物中に存在する。
【0168】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、純粋に例示として与えられる実施例を参照し、決して本発明の範囲を限定するものではない説明的な記載を読むことによって当業者に明らかになるであろう。
【0169】
実施例は、本発明の不可欠な部分を形成し、実施例を含む全体として解釈される説明から、いかなる先行技術に対しても新規であると思われる任意の特徴は、その機能及びその一般的性質において本発明の不可欠な部分を形成する。したがって、各実施例は一般的な範囲を有する。更に、実施例では、特に指示がない限り、全てのパーセンテージは重量基準で与えられ、特に指示がない限り、温度は摂氏で表され、特に指示がない限り、圧力は大気圧である。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【
図1】
図1Aは、閉気孔を有する本発明による球体の断面図を表し、
図1Bは、特に国際公開第2020/183108号パンフレット及び国際公開第2020/182936号パンフレットによる、先行技術の多孔質球体の図である。
【
図2】
図2は、実施例1に従って得られた本発明による多孔質球体のSEM画像(上の画像)及びこの球体の断面(下の画像)を示す。
【
図3】
図3は、実施例2に従って得られた本発明による多孔質球体のSEM画像(上の画像)及びこの球体の断面(下の画像)を示す。
【
図4】
図4は、実施例7に従って得られた本発明による多孔質球体のSEM画像を示す。
【実施例】
【0171】
実施例1:本発明による閉気孔を有する多孔質シリカ球体
210nmの動的光散乱(DLS)によって測定される直径D50を有する正に帯電したポリ(メタ)アクリレートナノ粒子の水性分散液を脱イオン水で1%(w/w)に希釈し、7nmのSEMによって測定される直径D50を有する3%(w/w)の負に帯電したシリカナノ粒子を添加した。混合物を30秒間超音波に供して凝集を防止した。ナノ粒子を充填した分散液及び油性相(フッ素化油中に2%(w/w)のポリエチレングリコール-コ-パーフルオロポリエステル界面活性剤を含有する連続油性相)を、ポンプが接続されたシリンジを介して50μmの液滴サイズを得るための接合部を有するマイクロ流体デバイスにそれぞれ注入した。単分散液滴が生成されるまで、全体を平衡状態に保つ。次いで、これらの液滴をタンクに収集する。
【0172】
次いで、収集した液滴を50℃のオーブンで4時間乾燥させて、乾燥した球体(乾燥粉末)を得る。次いで、これらの球体をシリコーンプレート上に置き、周囲温度から500℃まで4時間加熱し、次いで、温度を500℃に2時間維持することによって、これらの球体を焼成する。球体を4時間にわたって周囲温度まで冷却する。このようにして得られた閉気孔を有する多孔質単分散酸化シリカ球体は、15ミクロンの走査型電子顕微鏡法(SEM)によって測定される平均直径及び0.55の水銀ポロシメトリーによって測定される平均気孔率を有する。
【0173】
得られた球体の1つのSEM画像(上の画像)及びその断面(下の画像)を
図2に示す。断面は、球体の構造の内部を明確に示しており、比較的単分散で秩序化された閉細孔ネットワークを含む。これらの球体の細孔の97体積%は閉鎖細孔である。
【0174】
別の実施形態において、マイクロ波照射、真空乾燥及び/又は乾燥剤の存在下で乾燥工程を実施することによって、実施例1を繰り返すことができる。
【0175】
実施例2:霧化によって得られた本発明による閉気孔を有する多孔質シリカ球体
210nmの動的光散乱(DLS)測定により測定された直径D50を有するメチルメタクリレート-2-[(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリドコポリマーの正に帯電した球状ナノ粒子と、負に帯電したシリカナノ粒子(7nmの走査型電子顕微鏡法(SEM)により測定される平均直径)との水性懸濁液を調製した。水性懸濁液は、懸濁液の総重量(コポリマーナノ粒子:シリカナノ粒子の重量比=3:1)に対して、2.25重量%の含有量のコポリマーナノ粒子及び0.75重量%の含有量のシリカナノ粒子を含む。
【0176】
水性懸濁液を、Buechi実験室サイズアトマイザーを使用して、窒素雰囲気下(入口温度100℃、出口温度45℃、供給速度10mL/分、霧化ガス圧力40mm)での霧化によって乾燥させる。
【0177】
次いで、シリカナノ粒子を焼結及び緻密化し、ポリマーを除去するために、得られたマイクロスフェアを、シリコーンプレート上にそれらを配置し、温度を周囲温度から550℃まで5時間かけて上昇させ、次いで温度を550℃で2時間維持し、次いで最後に、温度を550℃から周囲温度まで3時間かけて低下させることによって、マッフル炉で焼成する。このようにして得られた閉気孔を有する単分散多孔質SiO2マイクロスフェアは、2.9μmの走査型電子顕微鏡法(SEM)によって測定される平均直径(1.5μmの標準偏差を有する)、165nmの走査型電子顕微鏡法(SEM)によって測定される平均細孔径、及び0.55の水銀ポロシメトリーによって測定される平均気孔率を有する。これらの球体の細孔の94体積%が閉鎖細孔である。
【0178】
ナノ粒子含有量を単純に変更することによって、同じプロトコルに従って、平均直径2.9μm及び平均細孔径210nmを有する別の球体を得た:使用した水性懸濁液は、懸濁液(重量比コポリマーナノ粒子:シリカナノ粒子=3:1)の総重量に対して、2.25重量%の含有量のコポリマーナノ粒子及び0.75重量%の含有量のシリカナノ粒子を含んでいた。得られた球体の1つのSEM画像(上の画像)及びその断面(下の画像)を
図3に示す。断面は、球体の構造の内部を明確に示しており、比較的単分散で秩序化された閉細孔ネットワークを含む。これらの球体の細孔の96体積%は閉鎖細孔である。
【0179】
実施例3:霧化によって得られた本発明による閉気孔を有する多孔質シリカ球体
210nmの動的光散乱(DLS)測定により測定された直径D50を有するメチルメタクリレート-2-[(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリドコポリマーの正に帯電した球状ナノ粒子と、負に帯電したシリカナノ粒子(7nmの走査型電子顕微鏡法(SEM)により測定される平均直径)との水性懸濁液を調製した。水性懸濁液は、懸濁液の総重量(コポリマーナノ粒子:シリカナノ粒子の重量比=3:1)に対して、7.5重量%の含有量のコポリマーナノ粒子及び2.5重量%の含有量のシリカナノ粒子を含む。
【0180】
水性懸濁液を、Buechi実験室サイズアトマイザーを使用して、窒素雰囲気下(入口温度100℃、出口温度45℃、供給速度10mL/分、霧化ガス圧力40mm)での霧化によって乾燥させる。
【0181】
次いで、シリカナノ粒子を焼結及び緻密化し、ポリマーを除去するために、得られたマイクロスフェアを、シリコーンプレート上にそれらを配置し、温度を周囲温度から550℃まで5時間かけて上昇させ、次いで温度を550℃で2時間維持し、次いで最後に、温度を550℃から周囲温度まで3時間かけて低下させることによって、マッフル炉で焼成する。このようにして得られた閉気孔を有する単分散多孔質SiO2マイクロスフェアは、7.6μmの走査型電子顕微鏡法(SEM)によって測定される平均直径(3.5μmの標準偏差を有する)、165nmの走査型電子顕微鏡法(SEM)によって測定される平均細孔径、及び0.55の水銀ポロシメトリーによって測定される平均気孔率を有する。これらの球体の細孔の少なくとも90体積%は閉鎖細孔である。
【0182】
実施例4:カーボンブラックを含有する本発明による閉気孔を有する多孔質シリカ球体
実施例1の生成物を、カーボンブラックの水性分散液又はカーボンブラックの粉末と、異なる重量基準の含有量で物理的に混合した。得られた多孔質球体は、粒子の総重量に対して0.5重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%及び5重量%の量のカーボンブラックを含有していた。
【0183】
実施例5:球体の色の変化
実施例1からの0.5mgの量の多孔質球体を、6cm2の底面積を有する20mlの透明ガラスフラスコに入れる。青色が肉眼で観察される。
【0184】
ポリマー/シリカ重量比が2/1であることを除いて、実施例1に従って多孔質球体の試料を調製する。調製された試料は、肉眼で観察可能な緑色を有する。
【0185】
実施例6:多孔質チタン球体
197nmの動的光散乱(DLS)測定により測定される直径D50を有する負に帯電した球状ポリスチレンナノ粒子及び正に帯電したチタンナノ粒子(15nmの走査型電子顕微鏡(SEM)により測定される平均直径)の水性懸濁液を調製した。水性懸濁液は、懸濁液の総重量(ポリマーナノ粒子の重量比:チタンナノ粒子=3:2)に対して1.8重量%の含有量のポリマーナノ粒子及び1.2重量%の含有量のチタンナノ粒子を含有する。
【0186】
水性懸濁液を、Buechi実験室サイズアトマイザーを使用して、窒素雰囲気下(入口温度100℃、出口温度45℃、供給速度10mL/分、霧化ガス圧力55mm)での霧化によって乾燥させる。
【0187】
次いで、チタンナノ粒子を焼結及び緻密化し、ポリマーを除去するために、得られたマイクロスフェアを、シリコーンプレート上にそれらを配置し、周囲温度から300℃まで4時間かけて温度を上昇させ、次いで300℃で6時間維持し、次いで550℃まで2時間かけて温度を上昇させ、次いで550℃で2時間維持し、次いで最後に550℃から周囲温度まで4時間かけて温度を低下させることによって、マッフル炉で焼成する。このようにして得られた閉気孔を有する多孔質TiO2マイクロスフェアは、1.5μmの標準偏差を有する2.8μmの走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径、15nmの標準偏差を有する142nmの走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均細孔径、及び0.55の水銀ポロシメトリーによって測定される平均気孔率を有する。これらの球体の細孔の95体積%が閉鎖細孔である。
【0188】
実施例7:ゾルゲルプロセスによって得られた本発明による閉気孔を有する多孔質シリカ球体
254nmの動的光散乱(DLS)測定によって測定される直径D50を有するメチルメタクリレート-2-[(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリドコポリマーの正に帯電した球状ナノ粒子の水性懸濁液及びオルトケイ酸テトラメチル(TMOS)シリカ前駆体をpH2~5の範囲で混合した。水性懸濁液は、懸濁液の総重量(コポリマーナノ粒子:TMOSの重量比=1:3)に対して、1.8重量%の含有量のコポリマーナノ粒子及び3.6重量%の含有量のTMOSを含む。
【0189】
水性懸濁液を、Buechi実験室サイズアトマイザーを使用して、窒素雰囲気下(入口温度100℃、出口温度45℃、供給速度10mL/分、霧化ガス圧力40mm)での霧化によって乾燥させる。
【0190】
次いで、シリカ前駆体をシリカナノ粒子に変換し、シリカを緻密化し、ポリマーを除去するために、得られたマイクロスフェアを、シリコーンプレート上にそれらを配置し、温度を周囲温度から200℃まで3時間かけて上昇させ、次いで温度を200℃で2時間維持し、次いで温度を550℃まで2時間かけて上昇させ、次いで温度を550℃で2時間維持し、次いで最後に温度を550℃から周囲温度まで3時間かけて低下させることによって、マッフル炉で焼成する。このようにして得られた閉気孔を有する多孔質SiO2マイクロスフェアは、1.7μmの標準偏差を有する3μmの走査型電子顕微鏡法(SEM)によって測定される平均直径、15nmの標準偏差を有する212nmの走査型電子顕微鏡法(SEM)によって測定される平均細孔径、及び0.5~0.65の水銀ポロシメトリーによって測定される平均気孔率を有する。これらの球体の細孔の90体積%が閉鎖細孔である。
【0191】
【0192】
実施例8:不規則なサイズの細孔を有する本発明による閉気孔を有する多孔質シリカ球体
2つの異なるサイズ(254nm及び142nmの動的光散乱(DLS)測定によって測定される直径D50)のメチルメタクリレート-2-[(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリドコポリマーの正に帯電した球状ナノ粒子及び負に帯電したシリカナノ粒子(7nmの動的光散乱(DLS)測定によって測定された直径D50)の水性懸濁液を調製した。水性懸濁液は、懸濁液の総重量(重量比コポリマーナノ粒子:シリカナノ粒子=3:1)に対して、1.8重量%のコポリマーナノ粒子(各サイズの0.9%)の総含有量及び0.6重量%のシリカナノ粒子の含有量を含む。
【0193】
水性懸濁液を、Buechi実験室サイズアトマイザーを使用して、窒素雰囲気下(入口温度100℃、出口温度45℃、供給速度10mL/分、霧化ガス圧力40mm)での霧化によって乾燥させる。
【0194】
次いで、シリカナノ粒子を焼結及び緻密化し、ポリマーを除去するために、得られたマイクロスフェアを、シリコーンプレート上にそれらを配置し、温度を周囲温度から550℃まで6時間かけて上昇させ、次いで温度を550℃で2時間維持し、次いで最後に、温度を550℃から周囲温度まで4時間かけて低下させることによって、マッフル炉で焼成する。このようにして得られた閉気孔を有する多孔質SiO2マイクロスフェアは、2μmの走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径を有する。それらは、165nmと推定される平均細孔径の二峰性分布を有する。これらの球体の細孔の93体積%は閉鎖細孔である。
【0195】
このようにして得られた0.5mgの量の多孔質球体を、6cm2の底面積を有する20mlの透明ガラスフラスコに入れる。角度に依存しない青色が肉眼で観察される。
【0196】
実施例9:本発明による化粧品組成物による「ソフトフォーカス(soft focus)」特性の改善の評価
走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定された平均直径が7.6μmであり、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定された平均細孔径が165nmであり、気孔率が0.55(実施例3)である実施例3に従って得られた球体を、配合物の総重量に対して1.5重量%の含有量で、以下の実施例10に示す油性配合物に組み込んだ。
【0197】
走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定された平均直径D50が2.9μmであり、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定された平均細孔径が165nmであり、気孔率が0.55(実施例2)である実施例2に従って得られた球体を、配合物の総重量に対して1重量%の含有量で、以下の実施例10に示す油性配合物に組み込んだ。
【0198】
これらの配合物の透過率及び拡散(ヘイズ)の光学特性を測定し、国際公開第2020183108号(開気孔率)に記載されている、体積による閉鎖細孔のパーセンテージが5%未満である多孔質球体について測定されたものと比較した。
-6.7μmの走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径、153nmの走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均細孔径、及び0.55の気孔率を有する球体(比較例3)を、配合物の総重量に対して1.5重量%の含有量で以下の実施例10に示す油性配合物に組み込んだ。
-2.6μmの走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均直径、153nmの走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される平均細孔径、及び0.55の気孔率を有する球体(比較例2)を、激しく撹拌しながら、配合物の総重量に対して1重量%の含有量で以下の実施例10に示す油性配合物に組み込んだ。
【0199】
測定は、3mlの配合物をガラスプレート(配合物あたり3試料)上に置き、それを少なくとも1時間乾燥させた後に行った。全透過率及び拡散(ヘイズ)の測定は、BYK-Gardnerヘイズガード装置(BYK-Gardner GmbH、ドイツ国)を用いて行った。
【0200】
結果を以下の表1にまとめる。
【0201】
【0202】
本発明による球体は、従来技術のものよりも高い全透過率及びぼやけ又は拡散(「ヘイズ」)の値を有し、したがって、ぼやけ/マスキング/芸術的なぼやけ(「ソフトフォーカス」)の特性を改善することを可能にする。実際、「ソフトフォーカス」効果を有する粒子は、以下の特性を示さなければならない:
-自然な外観を与えるための高い全透過率、及び
-光の半透明で均一な分布を形成するための、最大限での拡散(「ヘイズ」)。
【0203】
実施例10:実施例8で使用した油性配合物
これはエマルジョンである。その組成を以下の表2に示す。
【0204】
【0205】
エマルジョンは、撹拌しながら相A及びBを75~80℃に別々に加熱することによって、当業者に周知の当該分野における通常の方法によって調製される。相Cを撹拌しながら相Aに添加し、相が均質である場合、相Bを完全に分散するまで撹拌しながら相ACに添加する。混合物を穏やかに撹拌しながら周囲温度まで冷却し、追加の相の化合物を次々に添加する。全体を2分間均質化する。pHを5.2に調整する。
【0206】
実施例10:本発明による化粧品組成物
使用される多孔質球体は、実施例1~7で得られた粉末形態のものである。
【0207】
実施例10a):流体フェイシャルエマルジョン
【0208】
【0209】
エマルジョンは、相Bを相Aに導入し、完全に分散するまで撹拌することによって、当業者に周知の当分野における通常の方法によって調製される。混合物を、相Cと同様に75~80℃に別々に加熱する。次いで、相Cを撹拌しながら混合物に添加する。混合物を室温まで穏やかに撹拌しながら冷却し、相E及び相Fの化合物を順次添加する。全体を2分間均質化する。pHを5.2に調整する。
【0210】
実施例10b):フェイシャルクリーム
【0211】
【0212】
クリームは、予め75℃に加熱した相A及びBを混合し、次いで相C及び相Dを添加し、混合し、相Eを含む組成物をpH6.2及び粘度15000mPas(ブルックフィールド装置(RVT;23℃、スピンドルTC;20回転/分)で測定)に調整することによって、当業者に周知の当該分野における通常の方法によって調製される。
【0213】
実施例10c):シャンプー
【0214】
【0215】
シャンプーは、4つの相を混合し、組成物をpH5.2及び粘度2200mPas(ブルックフィールド装置(RVT;23℃、スピンドル5;50回転/分)で測定)に調整することによって、当業者に周知の当該分野における通常の方法によって調製される。
【国際調査報告】