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特表2025-503034補体因子Bを阻害するための組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】補体因子Bを阻害するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20250123BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20250123BHJP
   C07H 21/04 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 27/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61P43/00
A61K31/713
C07H21/04 B
C07H21/04 Z
A61P3/00
A61P1/00
A61P7/00
A61P9/00
A61P11/00
A61P13/00
A61P17/00
A61P21/00
A61P25/00
A61P27/00
A61P29/00
A61P31/00
A61P33/00
A61P37/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543083
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(85)【翻訳文提出日】2024-09-11
(86)【国際出願番号】 US2023011200
(87)【国際公開番号】W WO2023141247
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】63/301,454
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/328,629
(32)【優先日】2022-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523394815
【氏名又は名称】アストラゼネカ アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ラサロ,メリッサ
(72)【発明者】
【氏名】マクナイト,スーザン ファス
(72)【発明者】
【氏名】デュデック,ヘンリク ティー
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジヘ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ボブ デール
(72)【発明者】
【氏名】ライ,チェンジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンクォン
(72)【発明者】
【氏名】ビーズリー、キャスリーン ニコール
【テーマコード(参考)】
4C057
4C086
【Fターム(参考)】
4C057AA18
4C057CC02
4C057CC03
4C057DD03
4C057MM02
4C057MM05
4C057MM09
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA32
4C086ZA36
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB31
4C086ZC21
4C086ZC51
(57)【要約】
本明細書では、補体因子B(CFB)mRNAをターゲティングするためのセンス及びアンチセンス鎖を含むオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)が記載される。RNAiオリゴヌクレオチドを使用して、細胞におけるCFB発現、レベル及び/又は活性を阻害することができる。補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患、障害又は状態の予防又は治療のためにオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)を使用する方法も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補体因子B(CFB)発現を低減するためのRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩であって、前記オリゴヌクレオチドは、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、前記センス鎖と前記アンチセンス鎖とは、二重らせん領域を形成し、前記アンチセンス鎖は、配列番号13又は14のCFB mRNA標的配列に対して相補性の領域を含み、前記相補性の領域は、少なくとも15の連続したヌクレオチド長である、RNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記センス鎖は、15~50ヌクレオチド長である、請求項1に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
前記センス鎖は、18~36ヌクレオチド長である、請求項1若しくは2に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
前記アンチセンス鎖は、15~30ヌクレオチド長である、請求項1~3のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
前記アンチセンス鎖は、22ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖と前記センス鎖とは、少なくとも19ヌクレオチド長、任意選択で少なくとも20ヌクレオチド長の二重らせん領域を形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
前記センス鎖は、36ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖と前記センス鎖とは、少なくとも19ヌクレオチド長、任意選択で少なくとも20ヌクレオチド長の二重らせん領域を形成する、請求項1~5のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
前記相補性の領域は、少なくとも19の連続したヌクレオチド長、任意選択で少なくとも20ヌクレオチド長である、請求項1~6のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
前記センス鎖の3’末端は、S1-L-S2として記載されるステムループを含み、S1は、S2と相補的であり、Lは、S1とS2との間に3~5ヌクレオチド長のループを形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
Lは、トリループ又はテトラループである、請求項8に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
Lは、テトラループである、請求項9に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
前記テトラループは、GAAAの核酸配列を含む、請求項10に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
前記S1及びS2は、1~10ヌクレオチド長であり、任意選択で、S1及びS2は、同じ長さを有する、請求項8~11のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
S1及びS2は、1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド又は10ヌクレオチド長である、請求項12に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
S1及びS2は、6ヌクレオチド長である、請求項13に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
前記ステムループ領域は、配列番号7に対して少なくとも85%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項8~14のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
前記ステムループ領域は、配列番号7に対して少なくとも95%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項15に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
前記ステムループは、配列番号7の核酸配列を含むか又はそれからなる、請求項8~16のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
前記ステムループは、配列番号7に対して最大1、2又は3つの置換、挿入又は欠失を有する核酸を含む、請求項8~16のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
前記アンチセンス鎖は、1ヌクレオチド長以上の3’オーバーハング配列を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
前記アンチセンス鎖は、少なくとも2つの連結されたヌクレオチドの3’オーバーハングを含む、請求項19に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
前記3’オーバーハング配列は、2ヌクレオチド長であり、任意選択で、前記3’オーバーハング配列は、GGである、請求項20に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
前記オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
前記オリゴヌクレオチドは、20~50の修飾ヌクレオチドを含む、請求項22に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
前記オリゴヌクレオチドのヌクレオチドの全ては、修飾されている、請求項22若しくは23に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
前記修飾ヌクレオチドは、2’-修飾を含む、請求項22~24のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
前記2’-修飾は、2’-アミノエチル、2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル及び2’-デオキシ-2’-フルオロ-β-d-アラビノ核酸から選択される修飾である、請求項25に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
前記2’-修飾は、2’-フルオロ又は2’-O-メチルであり、任意選択で、前記2’-フルオロ修飾は、2’-フルオロデオキシリボヌクレオシドであり、及び/又は前記2’-O-メチル修飾は、2’-O-メチルリボヌクレオシドである、請求項26に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
前記RNAiオリゴヌクレオチドは、40~50の2’-O-メチル修飾を含み、任意選択で、前記RNAiオリゴヌクレオチドは、40~50の2’-O-メチルリボヌクレオシドを含む、請求項27に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項29】
前記センス鎖のヌクレオチド1~7、12~27及び31~36の少なくとも1つ並びに前記アンチセンス鎖のヌクレオチド1、4、6、8、9、11~13及び15~22の少なくとも1つは、2’-O-メチル、例えば2’-O-メチルリボヌクレオシドで修飾されている、請求項28に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項30】
前記センス鎖のヌクレオチド1~7、12~27及び31~36の10~29個並びに前記アンチセンス鎖のヌクレオチド1、4、6、8、9、11~13及び15~22の10~16個は、2’-O-メチル、例えば2’-O-メチルリボヌクレオシドで修飾されている、請求項29に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項31】
前記センス鎖のヌクレオチド1~7、12~27及び31~36の全て並びに前記アンチセンス鎖のヌクレオチド1、4、6、8、9、11~13及び15~22の全ては、2’-O-メチル、例えば2’-O-メチルリボヌクレオシドで修飾されている、請求項30に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項32】
前記センス鎖のヌクレオチド1~7、12~27及び31~36の全て並びに前記アンチセンス鎖のヌクレオチド1、6、8、9、11~13及び15~22の全ては、2’-O-メチル、例えば2’-O-メチルリボヌクレオシドで修飾されている、請求項30に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項33】
前記RNAiオリゴヌクレオチドは、5~15の2’-フルオロ修飾、例えば2’-フルオロデオキシリボヌクレオシドを含む、請求項27~32のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項34】
前記センス鎖のヌクレオチド8、9、10及び11の少なくとも1つ並びに前記アンチセンス鎖のヌクレオチド2、3、4、5、7、10及び14の少なくとも1つは、2’-フルオロ、例えば2’-フルオロデオキシリボヌクレオシドで修飾されている、請求項33に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項35】
前記センス鎖のヌクレオチド8、9、10及び11の2~4つ並びに前記アンチセンス鎖のヌクレオチド2、3、4、5、7、10及び14の2~7つは、2’-フルオロ、例えば2’-フルオロデオキシリボヌクレオシドで修飾されている、請求項34に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項36】
前記センス鎖のヌクレオチド8、9、10及び11の全て並びに前記アンチセンス鎖のヌクレオチド2、3、5、7、10及び14の全ては、2’-フルオロ、例えば2’-フルオロデオキシリボヌクレオシドで修飾されている、請求項35に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項37】
前記センス鎖のヌクレオチド8、9、10及び11の全て並びに前記アンチセンス鎖のヌクレオチド2、3、4、5、7、10及び14の全ては、2’-フルオロ、例えば2’-フルオロデオキシリボヌクレオシドで修飾されている、請求項35に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項38】
前記オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項39】
前記少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合は、ホスホロチオエート結合である、請求項38に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項40】
前記RNAiオリゴヌクレオチドは、前記センス鎖のヌクレオチド1及び2並びに前記アンチセンス鎖のヌクレオチド1及び2、2及び3、20及び21並びに21及び22間にホスホロチオエート結合を有する、請求項39に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項41】
前記センス鎖と前記アンチセンス鎖との間にヌクレオチド間結合がない、請求項1~40のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項42】
前記アンチセンス鎖の5’-ヌクレオチドの糖の4’-炭素は、リン酸塩類似体を含む、請求項1~41のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項43】
前記RNAiオリゴヌクレオチドは、前記アンチセンス鎖の5’末端の1位にウリジンを含む、請求項1~41のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項44】
前記ウリジンは、リン酸塩類似体を含む、請求項43に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項45】
前記リン酸塩類似体は、4’-O-モノメチルホスホネートである、請求項42~44のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項46】
前記リン酸塩類似体を含む前記ウリジンは、以下の構造:
【化1】
を含む、請求項44に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項47】
前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチドは、1つ以上のターゲティングリガンドと共役されている、請求項1~46のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項48】
各ターゲティングリガンドは、炭水化物、アミノ糖、コレステロール、ポリペプチド又は脂質を含む、請求項47に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項49】
各ターゲティングリガンドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分を含む、請求項47若しくは48に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項50】
前記GalNAc部分は、一価GalNAc部分、二価GalNAc部分、三価GalNAc部分又は四価GalNAc部分である、請求項49に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項51】
前記RNAiオリゴヌクレオチドは、前記センス鎖と共役された1~5つの2’-O-N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分を含む、請求項8~50のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項52】
前記ステムループのLの最大4ヌクレオチドは、一価GalNAc部分と共役されている、請求項51に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項53】
前記センス鎖のヌクレオチド28~30位におけるヌクレオチドの1つ以上は、一価GalNAc部分と共役されている、請求項52に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項54】
前記センス鎖の28~30位の前記ヌクレオチドの各々は、一価GalNAc部分と共役されている、請求項53に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項55】
前記センス鎖の28~30位の前記ヌクレオチドは、以下の構造:
【化2】
を含み、式中、
Zは、結合、クリックケミストリーハンドル又は長さが1~20(両端の値を含む)の連続した共有結合原子のリンカーを表し、これは、置換及び非置換アルキレン、置換及び非置換アルケニレン、置換及び非置換アルキニレン、置換及び非置換ヘテロアルキレン、置換及び非置換ヘテロアルケニレン、置換及び非置換ヘテロアルキニレン並びにこれらの組合せからなる群から選択され;及び
Xは、O、S又はNである、請求項54に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項56】
Zは、アセタールリンカーである、請求項55に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項57】
Xは、Oである、請求項55若しくは56に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項58】
前記センス鎖の28~30位の前記ヌクレオチドは、以下の構造:
【化3】
を含む、請求項54に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項59】
前記センス鎖は、配列番号1又は配列番号4のヌクレオチド配列を含む、請求項1~58のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項60】
前記アンチセンス鎖は、配列番号3又は配列番号6のヌクレオチド配列を含む、請求項1~59のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項61】
前記センス鎖及びアンチセンス鎖は、
(a)それぞれ配列番号1及び3、及び
(b)それぞれ配列番号4及び6
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1~60のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項62】
前記センス鎖は、配列番号1に記載のヌクレオチド配列を含み、及び前記アンチセンス鎖は、配列番号3に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項1~60のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項63】
前記センス鎖は、配列番号4に記載のヌクレオチド配列を含み、及び前記アンチセンス鎖は、配列番号6に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項1~60のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項64】
前記センス鎖は、配列番号37に記載のヌクレオチド配列を含み、及び前記アンチセンス鎖は、配列番号38に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項1~61のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項65】
前記センス鎖は、配列番号66に記載のヌクレオチド配列を含み、及び前記アンチセンス鎖は、配列番号67に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項1~61のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項66】
請求項1~65のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤とを含む医薬組成物。
【請求項67】
補体経路活性化又は調節不全に関連する疾患、障害又は状態を有する対象を治療する方法であって、前記対象に、請求項1~65のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド若しくは請求項66に記載の医薬組成物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。
【請求項68】
前記RNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩は、前記対象の細胞におけるCFBのmRNA転写物を分解する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記対象の前記細胞におけるCFBの発現が低減される、請求項67又は68に記載の方法。
【請求項70】
前記対象の前記細胞におけるCFBの転写が低減される、請求項67又は68に記載の方法。
【請求項71】
前記対象の前記細胞におけるCFBのレベル及び/又は活性が低減される、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
CFBのレベル及び/又は活性は、請求項1~65のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩、又は請求項66に記載の医薬組成物、又は請求項67に記載のベクター、又は請求項68に記載の細胞を投与されていない対象の細胞におけるCFBのレベル及び/又は活性と比較して10%~100%低減される、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
CFBのレベル及び/又は活性は、請求項1~65のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は請求項66に記載の医薬組成物を投与されていない対象の細胞におけるCFBのレベル及び/又は活性と比較して50%~99%低減される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記対象は、哺乳動物である、請求項67~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記対象は、ヒトである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記対象は、補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患、障害又は状態を有するものとして識別される、請求項67~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
補体経路活性化又は調節不全によって媒介される前記疾患、障害又は状態は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、C3糸球体症(C3G)、免疫グロブリンA腎症(IgAN)、原発性MNを含む膜性腎症(MN)、大腸菌(E.coli)誘発性又は定型溶血性尿毒症症候群(HUS)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、加齢黄斑変性、地図状萎縮、糖尿病網膜症、ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、ベーチェットぶどう膜炎、網膜色素変性症、黄斑浮腫、多巣性脈絡膜炎、フォークト-小柳-原田症候群、散弾状脈絡膜網膜症、交感性眼炎、眼瘢痕性類天疱、眼類天疱瘡、非関節炎性虚血性視神経症、術後炎症、網膜静脈閉塞症、神経障害、多発性硬化症、脳卒中、ギラン・バレー症候群、外傷性脳損傷、パーキンソン病、血液透析合併症、超急性移植片拒絶反応、異種移植片拒絶反応、IL-2治療中のインターロイキン-2誘発毒性、炎症性疾患、自己免疫疾患の炎症、クローン病、成人呼吸窮迫症候群、心筋炎、虚血再灌流後の状態、心筋梗塞、バルーン血管形成術、心肺バイパス又は腎バイパスにおけるポンプ後症候群、アテローム性動脈硬化症、血液透析、腎虚血、大動脈再建後の腸間膜動脈再灌流、感染症又は敗血症、免疫複合体障害及び自己免疫疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、SLE腎炎、増殖性腎炎、肝線維症、溶血性貧血、重症筋無力症、組織再生、神経再生、呼吸困難、喀血、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、肺塞栓症及び肺梗塞、肺炎、線維性粉塵疾患、肺線維症、アレルギー、気管支収縮、過敏性肺炎、寄生虫疾患、グッドパスチャー症候群、肺血管炎、微量免疫型血管炎、免疫複合体関連炎症、抗リン脂質症候群、糸球体腎炎、肥満、関節炎、自己免疫性心疾患、炎症性腸疾患、虚血再灌流障害、バラケル-サイモンズ症候群、血液透析、抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎、クリオグロブリン血症、乾癬、移植、アルツハイマー病及び他の神経変性状態などの中枢神経系疾患、濃厚沈着症、水疱性皮膚疾患、膜増殖性糸球体腎炎II型(MPGN II)、慢性移植片対宿主病、フェルティ症候群、壊疽性膿皮症(PG)、化膿性汗腺炎(HS)、肺動脈性肺高血圧症、原発性シェーグレン症候群、原発性胆汁性胆管炎、常染色体優性多発性嚢胞腎並びにミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体疾患(MOGAD)からなる群から選択される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
補体経路活性化又は調節不全によって媒介される前記疾患、障害又は状態は、関節リウマチである、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記RNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は医薬組成物は、毎日、毎週、毎月又は毎年の投与のために製剤化される、請求項67~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記RNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は前記医薬組成物は、静脈内、皮下、筋肉内、経口、鼻内、舌下、髄腔内及び皮内投与のために製剤化される、請求項67~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記RNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は前記医薬組成物は、皮下投与のために製剤化される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記RNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は前記医薬組成物は、約0.1mg/kg~約150mg/kgの用量での投与のために製剤化される、請求項67~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
細胞、細胞の集団又は対象におけるCFB発現を低減する方法であって、
i)前記細胞又は前記細胞の集団を、請求項1~65のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は請求項66に記載の医薬組成物と接触させるステップ;又は
ii)請求項1~65のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は請求項66に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップ
を含む方法。
【請求項84】
CFB発現を低減することは、CFB mRNAの量若しくはレベル、CFBタンパク質の量若しくはレベル又はその両方を低減することを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記CFB mRNAのレベル、CFBタンパク質のレベル又はその両方は、請求項1~65のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は請求項66に記載の医薬組成物を投与されていない対象の細胞におけるCFB mRNAのレベル、CFBタンパク質のレベル又はその両方と比較して10%~100%低減される、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記CFB mRNAのレベル、CFBタンパク質のレベル又はその両方は、請求項1~65のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は請求項66に記載の医薬組成物を投与されていない対象の細胞におけるCFB mRNAのレベル、CFBタンパク質のレベル又はその両方と比較して50%~99%低減される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記対象は、補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患、障害又は状態を有する、請求項83~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
補体経路活性化又は調節不全によって媒介される前記疾患、障害又は状態は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、C3糸球体症(C3G)、免疫グロブリンA腎症(IgAN)、原発性MNを含む膜性腎症(MN)、大腸菌(E.coli)誘発性又は定型溶血性尿毒症症候群(HUS)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、加齢黄斑変性、地図状萎縮、糖尿病網膜症、ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、ベーチェットぶどう膜炎、網膜色素変性症、黄斑浮腫、多巣性脈絡膜炎、フォークト-小柳-原田症候群、散弾状脈絡膜網膜症、交感性眼炎、眼瘢痕性類天疱瘡、眼類天疱瘡、非関節炎性虚血性視神経症、術後炎症、網膜静脈閉塞症、神経障害、多発性硬化症、脳卒中、ギラン・バレー症候群、外傷性脳損傷、パーキンソン病、血液透析合併症、超急性移植片拒絶反応、異種移植片拒絶反応、IL-2治療中のインターロイキン-2誘発毒性、炎症性疾患、自己免疫疾患の炎症、クローン病、成人呼吸窮迫症候群、心筋炎、虚血再灌流後の状態、心筋梗塞、バルーン血管形成術、心肺バイパス又は腎バイパスにおけるポンプ後症候群、アテローム性動脈硬化症、血液透析、腎虚血、大動脈再建後の腸間膜動脈再灌流、感染症又は敗血症、免疫複合体障害及び自己免疫疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、SLE腎炎、増殖性腎炎、肝線維症、溶血性貧血、重症筋無力症、組織再生、神経再生、呼吸困難、喀血、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、肺塞栓症及び肺梗塞、肺炎、線維性粉塵疾患、肺線維症、アレルギー、気管支収縮、過敏性肺炎、寄生虫疾患、グッドパスチャー症候群、肺血管炎、微量免疫型血管炎、免疫複合体関連炎症、抗リン脂質症候群、糸球体腎炎、肥満、関節炎、自己免疫性心疾患、炎症性腸疾患、虚血再灌流障害、バラケル-サイモンズ症候群、血液透析、抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎、クリオグロブリン血症、乾癬、移植、アルツハイマー病及び他の神経変性状態などの中枢神経系疾患、濃厚沈着症、水疱性皮膚疾患、膜増殖性糸球体腎炎II型(MPGN II)、慢性移植片対宿主病、フェルティ症候群、壊疽性膿皮症(PG)、化膿性汗腺炎(HS)、肺動脈性肺高血圧症、原発性シェーグレン症候群、原発性胆汁性胆管炎、常染色体優性多発性嚢胞腎並びにミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体疾患(MOGAD)からなる群から選択される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
補体経路活性化又は調節不全によって媒介される前記疾患、障害又は状態は、関節リウマチである、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
請求項1~65のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は請求項66に記載の医薬組成物を含むキット。
【請求項91】
補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患、障害又は状態の予防又は治療を、それを必要とする対象において行うのに使用するための、請求項1~65のいずれか一項に記載のRNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は請求項66に記載の医薬組成物。
【請求項92】
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、C3糸球体症(C3G)、(免疫グロブリンA腎症(IgAN)、膜性腎症(MN)、大腸菌(E.coli)誘発性又は定型溶血性尿毒症症候群(HUS)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、加齢黄斑変性、地図状萎縮、糖尿病網膜症、ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、ベーチェットぶどう膜炎、網膜色素変性症、黄斑浮腫、多巣性脈絡膜炎、フォークト-小柳-原田症候群、散弾状脈絡膜網膜症、交感性眼炎、眼瘢痕性類天疱瘡、眼類天疱瘡、非関節炎性虚血性視神経症、術後炎症、網膜静脈閉塞症、神経障害、多発性硬化症、脳卒中、ギラン・バレー症候群、外傷性脳損傷、パーキンソン病、血液透析合併症、超急性移植片拒絶反応、異種移植片拒絶反応、IL-2治療中のインターロイキン-2誘発毒性、炎症性疾患、自己免疫疾患の炎症、クローン病、成人呼吸窮迫症候群、心筋炎、虚血再灌流後の状態、心筋梗塞、バルーン血管形成術、心肺バイパス又は腎バイパスにおけるポンプ後症候群、アテローム性動脈硬化症、血液透析、腎虚血、大動脈再建後の腸間膜動脈再灌流、感染症又は敗血症、免疫複合体障害及び自己免疫疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、SLE腎炎、増殖性腎炎、肝線維症、溶血性貧血、重症筋無力症、組織再生、神経再生、呼吸困難、喀血、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、肺塞栓症及び肺梗塞、肺炎、線維性粉塵疾患、肺線維症、アレルギー、気管支収縮、過敏性肺炎、寄生虫疾患、グッドパスチャー症候群、肺血管炎、微量免疫型血管炎、免疫複合体関連炎症、抗リン脂質症候群、糸球体腎炎、肥満、関節炎、自己免疫性心疾患、炎症性腸疾患、虚血再灌流障害、バラケル-サイモンズ症候群、血液透析、抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎、クリオグロブリン血症、乾癬、移植、アルツハイマー病及び他の神経変性状態などの中枢神経系疾患、濃厚沈着症、水疱性皮膚疾患、膜増殖性糸球体腎炎II型(MPGN II)、慢性移植片対宿主病、フェルティ症候群、壊疽性膿皮症(PG)、化膿性汗腺炎(HS)、肺動脈性肺高血圧症、原発性シェーグレン症候群、原発性胆汁性胆管炎、常染色体優性多発性嚢胞腎並びにミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体疾患(MOGAD)の予防又は治療を、それを必要とする対象において行うのに使用するための、請求項91に記載のRNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は医薬組成物。
【請求項93】
関節リウマチの予防又は治療を、それを必要とする対象において行うのに使用するための、請求項91に記載のRNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は医薬組成物。
【請求項94】
前記RNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は医薬組成物は、皮下投与される、請求項91~93のいずれか一項に記載の使用のためのRNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又は医薬組成物。
【請求項95】
前記RNAオリゴヌクレオチドは、薬学的に許容される塩を含む、請求項1~65のいずれか一項に記載のRNAオリゴヌクレオチド。
【請求項96】
前記薬学的に許容される塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミスルホン酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン若しくはエチルアミンであるか若しくはそれを含むか、又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩である、請求項95に記載のRNAオリゴヌクレオチド。
【請求項97】
前記アルカリ又はアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアンモニウム(例えば、第4級アンモニウム及びテトラメチルアンモニウム)からなる群から選択される、請求項96に記載のRNAオリゴヌクレオチド。
【請求項98】
前記薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩である、請求項95に記載のRNAオリゴヌクレオチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、電子フォーマットの配列表と一緒に出願されている。配列表は、2023年1月19日に作成された50694-092WO3_Sequence_Listing_1_19_23_ST26.xmlという名称のファイルとして提供され、サイズは、394.2キロバイトである。配列表の電子フォーマットの情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
補体系は、免疫複合体のクリアランス並びに感染因子、外来抗原、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞に対する免疫応答で中心的な役割を果たす。補体は、自然免疫系の一部を形成する50を超えるタンパク質の群からなる。補体系は、微生物感染から身体を防御する態勢を整え、組織の止血を維持するように機能する。補体は、厳重に制御された酵素カスケードであり、これは、以下の3つの経路の1つにより活性化することができる:抗体複合体が活性化をトリガーする古典的経路、「ティックオーバー」と呼ばれるプロセスによって低レベルで構成的に活性化され、且つ細菌性病原体若しくは損傷組織表面によって増幅され得る代替経路及び特定の細菌、真菌、ウイルスなどの特定の微生物に存在するマンノース残基によって開始されるレクチン経路。補体経路の無制御の活性化又は不十分な調節は、全身性炎症、細胞傷害及び組織損傷を招く恐れがある。このように、補体経路は、多くの多様な疾患の病因に関与している。補体経路活性の阻害又は調節は、有望な治療戦略として認識されている。これらの疾患に利用可能な治療選択肢の数は限られている。従って、補体経路の活性化又は調節不全に関連する疾患を治療するための革新的な戦略を開発することは、重要なアンメットニーズである。
【0003】
補体因子B(CFB)は、代替補体経路カスケードを開始する補体経路の成分である。CFBは、Ba及びBb断片に切断される。Bb断片は、C3bと会合し、一緒にC3コンベルターゼを形成し、これは、代替補体経路の活性化に不可欠である。CFBの調節不全及び過剰な活性化は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、多発性硬化症及び関節リウマチを含むいくつかの疾患に関連している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
補体経路の活性化又は調節不全に関連する疾患を有する対象において、CFBを阻害又は沈黙させるために使用できる組成物及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、補体経路活性化で役割を果たすことがわかっている補体因子B(CFB)をターゲティングするオリゴヌクレオチド(例えば、センス及びアンチセンス鎖オリゴヌクレオチドなどのRNAiオリゴヌクレオチド)が記載される。RNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩(例えば、そのナトリウム塩)を使用して、補体経路活性化又は調節不全に関連する疾患を有する患者を治療することができる。
【0006】
本開示の第1の態様は、補体因子B(CFB)発現を低減するためのRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩(例えば、そのナトリウム塩)を提供し、オリゴヌクレオチドは、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む。オリゴヌクレオチドのセンス鎖とアンチセンス鎖とは、二重らせん領域を形成する。オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖は、例えば、配列番号13又は14のCFB mRNA標的配列に対して相補性の領域を含み、相補性の領域は、少なくとも15の連続したヌクレオチドの長さ(例えば、少なくとも16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30ヌクレオチド長)である。一実施形態では、センス鎖は、15~50ヌクレオチド長(例えば、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50ヌクレオチド長)である。一実施形態では、センス鎖は、18~36ヌクレオチド長(例えば、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35又は36ヌクレオチド長)である。一実施形態では、アンチセンス鎖は、15~30ヌクレオチド長(例えば、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30ヌクレオチド長)である。
【0007】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖は、22ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖とセンス鎖とは、少なくとも19ヌクレオチド長、任意選択で少なくとも20ヌクレオチド長の二重らせん領域を形成する。一部の実施形態では、センス鎖は、36ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖とセンス鎖とは、少なくとも19ヌクレオチド長、任意選択で少なくとも20ヌクレオチド長の二重らせん領域を形成する。一部の実施形態では、相補性の領域は、少なくとも19の連続したヌクレオチドの長さ、任意選択で少なくとも20ヌクレオチド長である。
【0008】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドのセンス鎖の3’末端は、S1-L-S2として記載されるステムループを含み、S1は、S2と相補的であり、Lは、S1とS2との間に3~5ヌクレオチド(例えば、3、4又は5ヌクレオチド)長のループを形成する。一部の実施形態では、Lは、トリループ又はテトラループである。一実施形態では、Lは、テトラループである。一実施形態では、テトラループは、5’GAAA3’の核酸配列を含む。
【0009】
一部の実施形態では、ステムループのS1及びS2は、長さが1~10ヌクレオチド(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10ヌクレオチド)である。S1及びS2は、同じ長さを有し得る。一部の実施形態では、S1及びS2は、1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、3ヌクレオチド、4ヌクレオチド、5ヌクレオチド、6ヌクレオチド、7ヌクレオチド、8ヌクレオチド、9ヌクレオチド又は10ヌクレオチド長である。一実施形態では、S1及びS2は、6ヌクレオチド長である。
【0010】
一部の実施形態では、ステムループ領域は、配列番号7に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、ステムループ領域は、配列番号7に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%)の同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、ステムループ領域は、配列5’-GCAGCCGAAAGGCUGC-3’(配列番号7)を含む。一部の実施形態では、ステムループは、配列番号7に対して最大1、2又は3つの核酸置換、挿入又は欠失を有する核酸を含む。
【0011】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖は、1ヌクレオチド長以上の3’オーバーハング配列を含む。一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、少なくとも2つの連結されたヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。一実施形態では、3’オーバーハング配列は、2ヌクレオチド長であり、例えば、配列は、GGである。一部の実施形態では、センス鎖は、少なくとも2つの連結されたヌクレオチドの5’オーバーハングを含む。
【0012】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、20~50の修飾ヌクレオチド(例えば、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50の修飾ヌクレオチド)を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、20~40(例えば、25~40、30~40、35~40、30~35、25~35、20~25、21~30及び31~40)の修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、オリゴヌクレオチドのヌクレオチドの全てが修飾されている。
【0013】
修飾ヌクレオチドは、2’-修飾を含む。一部の実施形態では、2’-修飾は、2’-アミノエチル、2’-フルオロ2’-O-メチル2’-O-メトキシメチル及び2’-デオキシ2’-フルオロβ-アラビノ核酸である。一部の実施形態では、2’-修飾は、2’-フルオロ又は2’-O-メチルであり、任意選択で、2’-フルオロ修飾は、2’-フルオロデオキシリボヌクレオシドであり、及び/又は2’-O-メチル修飾は、2’-O-メチルリボヌクレオシドである。一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩は、40~50(例えば、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50)の2’-O-メチル修飾を含み、任意選択で、RNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩は、40~50(例えば、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50)の2’-O-メチルリボヌクレオシドを含む。
【0014】
一部の実施形態では、センス鎖のヌクレオチド1~7、11~27及び31~36の少なくとも1つ並びにアンチセンス鎖のヌクレオチド1、4、6、8、9、11~13及び15~22の少なくとも1つは、2’-O-メチル、例えば2’-O-メチルリボヌクレオシドで修飾されている。一部の実施形態では、センス鎖のヌクレオチド1~7、12~27及び31~36の10~29(例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28又は29)個並びにアンチセンス鎖のヌクレオチド1、4、6、8、9、11~13及び15~22の10~16(例えば、11、12、13、14、15又は16)個が2’-O-メチル、例えば2’-O-メチルリボヌクレオシドで修飾されている。一実施形態では、センス鎖のヌクレオチド1~7、12~27及び31~36の全て並びにアンチセンス鎖のヌクレオチド1、4、6、8、9、11~13及び15~22の全てが2’-O-メチル、例えば2’-O-メチルリボヌクレオシドで修飾されている。一実施形態では、センス鎖のヌクレオチド1~7、12~27及び31~36の全て並びにアンチセンス鎖のヌクレオチド1、6、8、9、11~13及び15~22の全てが2’-O-メチル、例えば2’-O-メチルリボヌクレオシドで修飾されている。
【0015】
一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩は、5~15(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15)個の2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、例えば2’-フルオロデオキシリボヌクレオシドを含む。一部の実施形態では、センス鎖のヌクレオチド8、9、10及び11の少なくとも1つ並びにアンチセンス鎖のヌクレオチド2、3、4、5、7、10及び14の少なくとも1つが、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、例えば2’-フルオロデオキシリボヌクレオシドで修飾されている。一部の実施形態では、センス鎖のヌクレオチド8、9、10及び11の2~4(例えば、2、3及び4)つ並びにアンチセンス鎖のヌクレオチド2、3、4、5、7、10及び14の2~7(例えば、2、3、4、5、6及び7)つが2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、例えば2’-フルオロデオキシリボヌクレオシドで修飾されている。一実施形態では、センス鎖のヌクレオチド8、9、10及び11の全て並びにアンチセンス鎖のヌクレオチド2、3、5、7、10及び14の全てが2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、例えば2’-フルオロデオキシリボヌクレオシドで修飾されている。一実施形態では、センス鎖のヌクレオチド8、9、10及び11の全て並びにアンチセンス鎖のヌクレオチド2、3、4、5、7、10及び14の全てが2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、例えば2’-フルオロデオキシリボヌクレオシドで修飾されている。
【0016】
一実施形態では、センス鎖は、配列番号37の核酸配列を有し、アンチセンス鎖は、配列番号38の核酸配列を有する。一実施形態では、センス鎖は、配列番号66の核酸配列を有し、アンチセンス鎖は、配列番号67の核酸配列を有する。
【0017】
一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチド間結合を含む。一実施形態では、少なくとも1つの修飾されたヌクレオチド間結合は、ホスホロチオエート結合である。一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩は、センス鎖のヌクレオチド1及び2間並びにアンチセンス鎖のヌクレオチド1及び2、2及び3、20及び21並びに21及び22間にホスホロチオエート結合を有する。一部の実施形態では、センス鎖とアンチセンス鎖との間にヌクレオチド間結合が存在しない。
【0018】
一部の実施形態では、アンチセンス鎖の5’ヌクレオチドの糖の4’-炭素は、リン酸類似体を含む。一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩は、アンチセンス鎖の5’末端の1位にウリジンを含む。一実施形態では、ウリジンは、リン酸類似体を含む。一実施形態では、リン酸塩類似体は、4’-O-モノメチルホスホネートである。一実施形態では、リン酸塩類似体を含むウリジンは、以下の構造:
【化1】
を含む。
【0019】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチドは、1つ以上のターゲティングリガンドと共役されている。一部の実施形態では、各ターゲティングリガンドは、炭水化物、アミノ糖、コレステロール、ポリペプチド又は脂質を含む。一部の実施形態では、各ターゲティングリガンドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分を含む。一部の実施形態では、GalNAc部分は、一価GalNAc部分、二価GalNAc部分、三価GalNAc部分又は四価GalNAc部分である。一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチドは、センス鎖と共役された1~5個(例えば、1、2、3、4及び5個)の2’-O-N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分を含む。一実施形態では、ステムループのLの最大4ヌクレオチドは、一価GalNAc部分と共役されている。一実施形態では、ステムループのLの3ヌクレオチドは、一価GalNAc部分と共役されている。一部の実施形態では、センス鎖のヌクレオチド位置28~30のヌクレオチドの1つ以上は、一価GalNAc部分と共役されている。一実施形態では、配列番号1、4、17、19、21、23、25、27及び29(並びにそれらに少なくとも85%の配列同一性を有するそれらの変異体)のいずれか1つの28~30位のヌクレオチドの各々は、一価GalNAc部分と共役されている。一実施形態では、配列番号1、4、17、19、21、23、25、27及び29(並びにそれらに対して少なくとも85%の配列同一性を有するそれらの変異体)のいずれか1つの28~30位のヌクレオチドは、以下の構造:
【化2】
を含み、式中、Zは、結合、クリックケミストリーハンドル又は長さが1~20(両端の値を含む)の連続した共有結合原子のリンカーを表し、これは、置換及び非置換アルキレン、置換及び非置換アルケニレン、置換及び非置換アルキニレン、置換及び非置換ヘテロアルキレン、置換及び非置換ヘテロアルケニレン、置換及び非置換ヘテロアルキニレン並びにこれらの組合せからなる群から選択され;及びXは、O、S又はNである。一部の実施形態では、Zは、アセタールリンカーである。一部の実施形態では、Xは、Oである。一実施形態では、配列番号1、4、17、19、21、23、25、27及び29(並びにそれらに対して少なくとも85%の配列同一性を有するそれらの変異体)のいずれか1つの28~30位のヌクレオチドは、以下の構造:
【化3】
を含む。
【0020】
一部の実施形態では、本明細書に記載のRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩は、テトラループを有するセンス鎖を含み、3つのGalNAc部分は、テトラループを含むヌクレオチドに共役されており、各GalNAc部分は、1つのヌクレオチドに共役されている。一部の実施形態では、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、GalNAc共役ヌクレオチドを含むテトラループを有するセンス鎖を含み、テトラループは、以下の構造:
【化4】
を含む。
【0021】
一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチドのセンス鎖又はその薬学的に許容される塩は、配列番号1、配列番号2、配列番号4又は配列番号5に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)のアンチセンス鎖は、配列番号3又は配列番号6に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、センス鎖は、配列番号1、配列番号2、配列番号4又は配列番号5に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号3又は配列番号6に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、センス鎖は、配列番号1又は配列番号4のヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号3又は配列番号6のヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ配列番号1及び3並びにそれぞれ配列番号4及び6からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0022】
一実施形態では、センス鎖は、配列番号1に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖は、配列番号3に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。別の実施形態では、センス鎖は、配列番号4に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖は、配列番号6に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、センス鎖は、配列番号1に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖は、配列番号3に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。別の実施形態では、センス鎖は、配列番号4に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖は、配列番号6に対して少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。別の実施形態では、センス鎖は、配列番号1に記載されるヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖は、配列番号3に記載されるヌクレオチド配列を含む。別の実施形態では、センス鎖は、配列番号4に記載されるヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖は、配列番号6に記載されるヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、センス鎖は、配列番号37に記載されるヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖は、配列番号38に記載されるヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、センス鎖は、配列番号66に記載されるヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖は、配列番号67に記載されるヌクレオチド配列を含む。
【0023】
一部の実施形態では、RNAオリゴヌクレオチドは、薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩である。
【0024】
第2の態様では、本開示は、本明細書に記載されるRNAiオリゴヌクレオチドのいずれか又はその薬学的に許容される塩のいずれか1つと、薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0025】
第3の態様では、本開示は、本明細書に記載されるRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩のセンス鎖及びアンチセンス鎖の一方又は両方をコードするベクターを提供する。
【0026】
第4の態様では、本開示は、本明細書に記載されるRNAiオリゴヌクレオチドのいずれか又はその薬学的に許容される塩の全て又は一部をコードするベクターを含む細胞を提供する。
【0027】
第5の態様では、本開示は、補体経路活性化又は調節不全(例えば、CFBの活性化又は調節不全)に関連する疾患、障害又は状態を有する対象を治療する方法を提供し、これは、本明細書に記載されるRNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩又はそれを含む医薬組成物、それをコードするベクター又はオリゴヌクレオチド若しくはベクターを含む細胞のいずれか1つ又は複数を治療有効量で対象に投与することを含む。一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチドは、対象の細胞におけるCFBのmRNA転写物を分解する。一部の実施形態では、対象の細胞におけるCFBの発現が低減される。一部の実施形態では、対象の細胞におけるCFBの発現は、本明細書に記載のRNAiオリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞を投与されていない対象の細胞におけるCFBの発現レベルと比較して10%~100%(例えば、10%~90%、10%~70%、10%~50%、10%~30%、20%~100%、40%~100%、60%~100%及び80%~100%)低減される。一部の実施形態では、対象におけるCFBのレベル及び/又は活性が低減される。一部の実施形態では、CFBのレベル及び/又は活性は、本明細書に記載されるRNAiオリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞を投与されていない対象におけるCFBのレベル及び/又は活性と比較して10%~100%(例えば、10%~90%、10%~70%、10%~50%、10%~30%、20%~100%、40%~100%、60%~100%及び80%~100%)低減される。一部の実施形態では、CFBのレベル及び/又は活性は、本明細書に記載のRNAiオリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞を投与されていない対象におけるCFBのレベル及び/又は活性と比較して50%~100%(例えば、50%~90%、50%~80%、50%~70%、50%~60%、60%~100%、70%~100%、80%~100%及び90%~100%)低減される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるRNAiオリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞を、それを必要とする対象に投与すると、本明細書に記載のRNAiオリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞を投与されていない対象(未処置の対象)と比較して、対象の血液中を循環するCFBの量が減少する。処置を受けた対象の血中CFBの量は、1,000μg/mL、900μg/mL、800μg/mL、700μg/mL、600μg/mL、500μg/mL、400μg/mL、300μg/mL、200μg/mL、100μg/mL若しくは50μg/mL未満又はそれを下回って減少され得る。例えば、本明細書に記載のRNAiオリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞を投与すると、処置を受けた対象の血中CFBの量を50~1000μg/mLの範囲内(例えば、50~900μg/mL、50~800μg/mL、50~700μg/mL、50~600μg/mL、50~500μg/mL、50~400μg/mL、50~300μg/mL若しくは50~200μg/mLの範囲内)又は50μg/mL未満まで減少し得る。
【0028】
第5態様の一実施形態では、対象は、哺乳動物、例えばヒトである。
【0029】
一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩、医薬組成物、ベクター又は細胞は、毎日、毎週、毎月又は毎年の投与のために製剤化される。一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩、医薬組成物、ベクター若しくは細胞は、静脈内、皮下、筋肉内、経口、鼻腔内、舌下、髄腔内及び皮内投与のために製剤化される。一実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩、医薬組成物、ベクター若しくは細胞は、皮下投与のために製剤化される。一実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチド若しくはその薬学的に許容される塩、医薬組成物、ベクター又は細胞は、約0.1mg/kg~約150mg/kg(例えば、0.1mg/kg~100mg/kg、0.1mg/kg~50mg/kg、0.1mg/kg~1mg/kg、1mg/kg~150mg/kg、50mg/kg~150mg/kg及び100mg/kg~150mg/kg)の用量での投与のために製剤化される。
【0030】
第6の態様では、本開示は、本明細書に記載されるように、細胞、細胞の集団又は対象を、本開示のオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)又はオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物、オリゴヌクレオチドをコードするベクター又はベクターを含む細胞と接触させることにより、細胞、細胞の集団又は対象におけるCFB発現を低減する方法を提供する。本明細書に記載されるように、本開示のオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)又はオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物、オリゴヌクレオチドをコードするベクター若しくはベクターを含む細胞を対象に投与することができる。一部の実施形態では、CFB発現の低減は、CFB mRNAの量若しくはレベル、CFBタンパク質の量若しくはレベル又はその両方の低減を含む。一部の実施形態では、CFB mRNAのレベル、CFBタンパク質のレベル又はその両方は、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)又はオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物、オリゴヌクレオチドをコードするベクター若しくはベクターを含む細胞を投与されていない対象の細胞におけるCFB mRNAのレベル、CFBタンパク質のレベル又はその両方と比較して10%~100%(例えば、10%~80%、10%~60%、10%~40%、10%~20%、20%~100%、40%~100%、60%~100%及び80%~100%)低減する。一部の実施形態では、CFB mRNAのレベル、CFBタンパク質のレベル又はその両方は、本明細書に記載されるように、RNAiオリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞を投与されていない対象の細胞におけるCFB mRNAのレベル、CFBタンパク質のレベル又はその両方と比較して50%~100%(例えば、50%~90%、50%~80%、50%~70%、50%~60%、60%~100%、70%~100%、80%~100%及び90%~100%)低減する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるRNAiオリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞を、それを必要とする対象に投与すると、本明細書に記載のRNAiオリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞を投与されていない対象(未処置の対象)と比較して、対象の血液中を循環するCFBの量が減少する。処置を受けた対象の血中CFB量は、1,000μg/mL、900μg/mL、800μg/mL、700μg/mL、600μg/mL、500μg/mL、400μg/mL、300μg/mL、200μg/mL、100μg/mL若しくは50μg/mL未満又はそれを下回って減少され得る。例えば、本明細書に記載のRNAiオリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞の投与は、処置を受けた対象の血中CFB量を50~1000μg/mLの範囲内(例えば、50~900μg/mL、50~800μg/mL、50~700μg/mL、50~600μg/mL、50~500μg/mL、50~400μg/mL、50~300μg/mL若しくは50~200μg/mLの範囲内)又は50μg/mL未満まで減少し得る。
【0031】
第7の態様では、本開示は、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)、医薬組成物、ベクター又は細胞を含むキットを提供する。一部の実施形態では、キットは、RNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩、本明細書に記載される細胞又は対象におけるCFBのレベル及び/若しくは活性を低減する薬剤並びに任意選択で薬学的に許容される担体、賦形剤若しくは希釈剤を含有する医薬組成物を含む。一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載のRNAiオリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞のいずれか1つをコードするベクターを含む。一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載される方法のいずれかを実施するための説明を記載した添付文書を含む。一部の実施形態では、キットは、細胞又は対象におけるCFBのレベル及び/又は活性を低減する、本明細書に記載のRNAiオリゴヌクレオチド剤、医薬組成物、ベクター又は細胞を含有する医薬組成物;追加の治療剤;並びに本明細書に記載の方法のいずれかを実施するための説明を有する添付文書を含む。
【0032】
第8の態様では、本開示は、補体経路活性化又は調節不全(例えば、CFB活性化又は調節不全)によって媒介される疾患、障害又は状態の予防又は治療を、それを必要とする対象において行うのに使用するための、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)、医薬組成物、ベクター又は細胞の使用を特徴とする。
【0033】
第5、第6又は第8の態様のいずれか1つでは、対象は、補体経路活性化又は調節不全(例えば、調節不全のCFB活性化)によって媒介される疾患、障害又は状態を有すると同定される。一部の実施形態では、疾患は、以下の通りである:発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、C3糸球体症(C3G)、免疫グロブリンA腎症(IgAN)、原発性MNを含む膜性腎症(MN)、大腸菌(E.coli)誘発性又は定型溶血性尿毒症症候群(HUS)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、加齢黄斑変性、地図状萎縮、糖尿病網膜症、ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、ベーチェットぶどう膜炎、網膜色素変性症、黄斑浮腫、多巣性脈絡膜炎、フォークト-小柳-原田症候群、散弾状脈絡膜網膜症、交感性眼炎、眼瘢痕性類天疱瘡(OCP)、眼類天疱瘡、非関節炎性虚血性視神経症、術後炎症、網膜静脈閉塞症、神経障害、多発性硬化症、脳卒中、ギラン・バレー症候群、外傷性脳損傷、パーキンソン病、血液透析合併症、超急性移植片拒絶反応、異種移植片拒絶反応、IL-2治療中のインターロイキン-2誘発毒性、炎症性疾患、自己免疫疾患の炎症、クローン病、成人呼吸窮迫症候群、心筋炎、虚血再灌流後の状態、心筋梗塞、バルーン血管形成術、心肺バイパス又は腎バイパスにおけるポンプ後症候群、アテローム性動脈硬化症、血液透析、腎虚血、大動脈再建後の腸間膜動脈再灌流、感染症又は敗血症、免疫複合体障害及び自己免疫疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、SLE腎炎、増殖性腎炎、肝線維症、溶血性貧血、重症筋無力症、組織再生、神経再生、呼吸困難、喀血、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、肺塞栓症及び肺梗塞、肺炎、線維性粉塵疾患、肺線維症、アレルギー、気管支収縮、過敏性肺炎、寄生虫疾患、グッドパスチャー症候群、肺血管炎、微量免疫型(Pauci-immune)血管炎、免疫複合体関連炎症、抗リン脂質症候群、糸球体腎炎、肥満、関節炎、自己免疫性心疾患、炎症性腸疾患、虚血再灌流障害、バラケル-サイモンズ(Barraquer-Simons)症候群、血液透析、抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎、クリオグロブリン血症、乾癬、移植、アルツハイマー病及び他の神経変性状態などの中枢神経系疾患、濃厚沈着症、水疱性皮膚疾患、膜増殖性糸球体腎炎II型(MPGN II)、慢性移植片対宿主病、フェルティ(Felty)症候群、壊疽性膿皮症(PG)、化膿性汗腺炎(HS)、肺動脈性肺高血圧症、原発性シェーグレン症候群、原発性胆汁性胆管炎、常染色体優性多発性嚢胞腎並びにミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体疾患(MOGAD)。一部の実施形態では、疾患は、関節リウマチである。
【0034】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるRNAオリゴヌクレオチドは、薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミスルホン酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン若しくはエチルアミンであるか若しくはそれを含むか、又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩である。一部の実施形態では、アルカリ又はアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアンモニウム(例えば、第4級アンモニウム及びテトラメチルアンモニウム)からなる群から選択される。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩である。
【0035】
本特許又は出願ファイルは、カラーで作成される少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を含む本特許又は特許出願公開公報の写しは、必要な手数料の支払の要請時に特許庁から提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A】化合物Aのセンス鎖(配列番号66)の化学構造を示す。
図1B】化合物Aのアンチセンス鎖(配列番号67)の化学構造を示す。
図1C】化合物Aのセンス鎖(配列番号1)及びアンチセンス鎖(配列番号3)の核酸配列を示す。
図2A】化合物Bのセンス鎖(配列番号37)の化学構造を示す。
図2B】化合物Bのアンチセンス鎖(配列番号38)の核酸配列を示す。
図2C】化合物Bのセンス鎖(配列番号4)及びアンチセンス鎖(配列番号6)の核酸配列を示す。
図2D】化合物Bのセンス鎖及びアンチセンス鎖の概略図を示す。
図2E-1-2E-2】化合物BのRNAiオリゴヌクレオチド(配列番号37及び38)の化学構造を示す。
図3A】1nMの量の様々なオリゴヌクレオチドでHuH-7細胞をインビトロで処理した後に残留するCFB mRNAのパーセンテージを示すグラフである。化合物A及びBにより促進されるCFBノックダウンの効果を具体的に同定する。
図3B】0.03nM、0.1nM及び1nMの量の様々なオリゴヌクレオチドでHuH-7細胞を処理した後に残留するCFB mRNAのパーセンテージを示すグラフである。化合物Bにより促進されるCFBノックダウンの効果を具体的に同定する。
図4A】単回用量:0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg又は3.0mg/kの化合物A又は化合物Cの同時投与から4日後のマウスに残留するCFB mRNAの量を示すグラフである。
図4B】単回用量:0.3mg/kの化合物A又は化合物Dの同時投与から4日後のマウスに残留するCFB mRNAの量を示すグラフである。
図4C】単回用量:0.5mg/kgの化合物A、B、E、F、G、H又はIの同時投与から4日後のマウスに残留するCFB mRNAの量を示すグラフである。
図5】対照として投与されたPBSと比較して、投与前並びに4mg/kgの化合物A~Iの単回用量による処置から28日及び56日後のカニクイザル(cynomolgus macaque)の肝臓中のCFB mRNAのパーセントの測定を示すグラフである。
図6A】対照として投与されたPBSと比較して、0、28、56及び84日目に1mg/kg若しくは2mg/kgの化合物A又は化合物Bで処置した後のカニクイザル(cynomolgus macaque)の肝臓中のCFB mRNAのパーセントの測定を示すグラフである。
図6B】対照として投与されたPBSと比較して、1mg/kg若しくは2mg/kgの化合物A又は化合物Bで処置した後のカニクイザル(cynomolgus macaque)の血清中のCFBのパーセントの測定を示すグラフである。
図7】2mg/kgの化合物A又は化合物Bの単回用量投与から28日後のカニクイザル(cynomolgus macaque)の肝臓中にCFB mRNAとして測定された化合物A及び化合物Bの概算ED50を示すグラフである。
図8】WIESLAB(登録商標)ELISAベースの機能アッセイによって測定された、0、28、56及び84日目に2mg/kgの化合物A又は化合物Bで処置した後のカニクイザルの血清中の補体活性のパーセント(AP)を示すグラフである。PBSは、対照群と同じ複数回投与レジメンで投与した。
図9】ウサギ赤血球溶血法により測定される通り、0、28、56及び84日目に1mg/kg又は2mg/kgの化合物Bで処置した後のカニクイザルの血清からの溶解のパーセントを示すグラフである。PBSは、対照群と同じ複数回投与レジメンで投与した。
図10A】対照として投与されたPBSと比較して、0.25mg/kg、0.5mg/kg及び3mg/kgの化合物Jの単回皮下用量の投与後のCD-1マウスの肝臓中のCFB mRNA(%)のRT-qPCR測定を示すグラフである。肝臓ノックダウンのレベルを63日間追跡し、測定のために各時点で5匹のマウスを犠牲にした。
図10B】対照として投与されたPBS(左端の列)と比較して、単回皮下用量:0.25mg/kg(左から2番目の列)、0.5mg/kg(左から3番目の列)及び3mg/kg(右端の列)の化合物Jを投与された後の42日間にわたるCD-1マウスの血清中のCFB循環タンパク質(%)のイムノブロットによる定量的測定を示すグラフである。
図11】3mg/kgの化合物Jの単回皮下用量を投与されたCD-1マウスの血漿、脾臓、肝臓及び腎臓組織におけるsiRNA曝露量のステムループ-qPCR測定を示すグラフである。測定の時間経過は、672時間の期間にわたるものであった。測定のために各時点で5匹のマウスを屠殺した。
図12A】対照として投与されたPBSと比較して、0、14、28及び42日目に0.5mg/kg(56日のみ)又は3mg/kgの化合物Jの4回用量を投与後70日の期間にわたるCD-1マウスの肝臓中のCFB mRNAのパーセントのRT-qPCR測定を示すグラフである。
図12B】0、14、28及び42日目に0.5mg/kg又は3mg/kgの化合物Jの4回用量を投与後70日の期間にわたるCD-1マウスにおけるCFB血清タンパク質のイムノブロットによる定量的測定を示すグラフである。CFBレベルは、PBS対照群から測定されたCFB血清レベルに対するパーセンテージとして計算された(n=5/時点)。
図13A】0、14、28及び42日目に0.5mg/kgの化合物Jの4回用量を投与したCD-1マウスの肝臓組織中の化合物Jの濃度のステムループ-qPCR測定を示すグラフである。
図13B】0、14、28及び42日目に0.5mg/kgの化合物Jの4回用量を投与したCD-1マウスの血漿中の化合物Jの濃度のステムループ-qPCR測定を示すグラフである。
図14A】0日目に関節炎を誘発し、3日目にLPSブースター、続いて、-7、0及び7日目に0.5mg/kg又は3mg/kg用量の化合物Jの3回用量で予防的に処置したコラーゲン抗体誘発関節炎モデルからの後肢の臨床スコアを示すグラフである。PBS処置CAIA動物を対照群として用いた。
図14B】0日目に関節炎を誘発し、3日目にLPSブースター投与、続いて、疾患誘発後5日目に0.5mg/kg又は3mg/kg用量の化合物Jの単回投与で治療的に処置されたコラーゲン抗体誘発関節炎モデルからの後肢の臨床スコアを示すグラフである。PBS処置CAIA動物を対照群として用いた。
図15A】0日目に投与されたコラーゲン抗体及び3日目のLPSブースターによって関節炎が誘発され、続いて、-7、0及び7日目に3mg/kg用量の化合物Jの3回用量で予防的に処置された、CAIAマウスモデルの11日目の後肢炎症の画像である。PBS処置CAIA動物を対照群として用いた。
図15B】0日目に投与されたコラーゲン抗体及び3日目のLPSブースターによって関節炎が誘発され、続いて、疾患誘発後5日目に単回3mg/kg用量の化合物Jで治療的に処置されたCAIAマウスモデルの13日目の後肢足炎症の画像である。PBS処置CAIA動物を対照群として用いた。
図16】-7、0及び7日目に化合物Jの3mg/kg用量の3回用量による予防的処置後の後肢への単核細胞浸潤の減少を実証するH&E染色の画像である。ナイーブ及びPBS処置CAIA動物をそれぞれ炎症の陰性対照及び陽性対照として使用した。
図17】-7、0及び7日目に3mg/kgの化合物Jの3回用量で動物を予防的に処置した後のCAIA誘発関節炎モデルの膝関節において、軟骨びらん及びパンヌス形成の予防を実証するサフラニンO染色並びに単核細胞浸潤の減少を実証するH&E染色の画像である。ナイーブ及びPBS処置CAIA動物をそれぞれ陰性対照及び陽性対照として使用した。
図18】-7、0及び7日目に3mg/kgの化合物Jの3回用量で動物を予防的に処置した後のCAIA誘発関節炎モデルの膝関節における軟骨びらん及びパンヌス形成の予防を実証するサフラニンO染色の画像である。ナイーブ及びPBS処置CAIA動物を、それぞれ陰性対照及び陽性対照として使用した。
図19】疾患誘導後5日目に3mg/kgの化合物Jの単回用量による治療的処置後の免疫細胞浸潤の減少を実証する、CAIA誘発関節炎動物の後肢のリンパ球(CD45+)染色の画像である。ナイーブ及びPBS処置CAIA動物をそれぞれ陰性対照及び陽性対照として使用した。
図20】疾患誘発後5日目に3mg/kgの化合物Jの単回用量による治療的処置後の免疫細胞浸潤の減少を実証する、CAIA誘発関節炎動物の後肢の好中球及びマクロファージ(CD11b+)染色の画像である。ナイーブ及びPBS処置CAIA動物を、それぞれ陰性対照及び陽性対照として使用した。
図21】疾患誘導後5日目に3mg/kgの化合物Jの単回用量による治療的処置後の免疫細胞浸潤の減少を実証する、CAIA誘発関節炎動物の後肢のマクロファージ(F4/80+)染色の画像である。ナイーブ及びPBS処置CAIA動物を、それぞれ陰性対照及び陽性対照として使用した。
図22】疾患誘発後5日目に化合物Jの単回3mg/kg用量による治療的処置後のCAIA誘発動物の後肢への局所補体発現及びCD45+細胞(緑色-リンパ球)浸潤をモニターするためのCFB mRNA(赤色)への蛍光タグのインサイチュハイブリダイゼーションの画像を示す。
図23】0日目に疾患が誘発され、0日目及び1日目に2用量の百日咳毒素を受け、続いて、疾患誘導後7日目から開始した3mg/kg用量の化合物Jの5回の週間用量で治療的に処置されたMOG誘発実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)マウスを用いた2つの実験からの平均臨床スコアを示すグラフである。PBS処置EAE動物を疾患陽性対照として使用した。
図24】疾患陽性対照として使用したナイーブPBS処置EAEマウスと比較して、3mg/kgの化合物Jの5回の週間用量を受けた後のMOG誘発EAEマウスのルクソールファストブルー脊髄染色の代表的な画像を示す。
図25A】ナイーブPBS処置EAEマウス(疾患陽性)と比較して、3mg/kgの化合物Jの5回の週間用量を受けた後のMOG誘発EAEマウスにおける肝臓CFB mRNAの量を示すグラフである。
図25B】ナイーブPBS処置EAEマウス(疾患陽性対照)と比較して、3mg/kgの化合物Jの5回の週間用量を受けた後のMOG誘発EAEマウスにおける血清CFBの量を示すグラフである。
図26】PBS処置PHN動物(疾患陽性対照)及び健康な動物と比較して、0日目に単回用量のヒツジ抗ラットFx1Aでタンパク尿を誘発させ、-14、-7及び0日目に3用量の12mg/kgの化合物Jで予防的に処置した受動的ヘイマン腎炎(PHN)ラットモデルからのスポット尿採取から測定されたタンパク尿:クレアチニンの比を示すグラフである。
図27】PBS処置PHN動物(疾患陽性対照)及び健康な動物との比較で、疾患誘発前(-1日目)又は疾患誘発の6日後にラビット赤血球の溶血法により測定して、-14、-7及び0日目に12mg/kgの化合物Jで処置した後の受動的ヘイマン腎炎(PHN)ラットモデルの血清からの溶解のパーセントを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
定義
本明細書で使用される場合、用語「約」及び「およそ」は、列挙された値の±10%であり、任意選択で列挙された値の±5%又はより任意に列挙された値の±2%である量を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「投与する」及び「投与」は、医薬製剤を対象に提供する任意の方法を指す。本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、当業者に公知の任意の方法によって投与され得る。オリゴヌクレオチドを投与するための好適な方法としては、例えば、経口、注射(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、硝子体内及び皮下)、点滴製剤などを挙げることができる。オリゴヌクレオチドを投与する方法は、皮下投与を含み得る。本明細書に記載のように調製されたオリゴヌクレオチドは、当技術分野で公知のように、治療しようとする障害並びに対象の年齢、状態及び体重に応じて、多様な形態で投与され得る。製剤は、予防的に投与することができ;即ち疾患又は状態を発症する可能性を低減するために投与される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「CFBのレベル及び/又は活性を低減する薬剤」は、細胞又は対象における、例えば対象の細胞若しくは血清中のCFBのレベル又は発現を低減するために使用することができる(例えば、投与される)本明細書に開示されるオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)を指す。「CFBのレベルを低下させる」、「CFBの発現を低減する」及び「CFBの転写を低減する」とは、例えば、オリゴヌクレオチド剤(本明細書に記載されるものなど)を細胞又は対象に投与することにより、細胞又は対象におけるCFB mRNA及び/若しくはCFBタンパク質のレベルを低下させるか、発現を低減するか又は転写を低減することを意味する。CFB mRNA及び/又はCFBタンパク質のレベルは、当技術分野で公知の任意の方法を用いて(例えば、細胞若しくは対象におけるCFB mRNAのレベル又はCFBタンパク質のレベルを測定することにより)測定され得る。減少は、治療前と比較して、又は未処置の対象(例えば、補体活性化若しくは調節不全(例えば、CFBの活性化若しくは調節不全)に関する疾患又は障害を有する対象)におけるCFB mRNA又はCFBタンパク質のレベルと比較して、又は対照対象(例えば、健康な対象(例えば、補体活性化若しくは調節不全(例えば、CFBの活性化若しくは調節不全)に関連する疾患又は障害を有しない対象)と比較して約5%以上(例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は約100%)のCFB mRNA及び/又はCFBタンパク質のレベル、発現、転写の低下であり得る。CFBは、任意のCFB(例えば、マウスCFB、ラットCFB、サルCFB又はヒトCFB)並びにCFBの変異体又は突然変異体であり得る。従って、CFBは、遺伝子操作された細胞、細胞群又は生物に関連して、野生型CFB、変異型CFB又はトランスジェニックCFBであり得る。「CFBの活性を低減する」ことは、CFBに関連する活性のレベルを低下させる(例えば、補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患に関連する補体経路の活性化を低減することによって)ことも意味する。CFBの活性は、約5%以上(例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は約100%)低減し得る。CFBの活性レベルは、当技術分野で公知の任意の方法を用いて測定することができる。低減は、少なくとも約5%以上(例えば、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチド剤で処置されていない細胞又は対象に対して、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は約100%以上)のCFB mRNA及び/又はCFBタンパク質のレベル、発現又は転写の減少であり得る。CFB mRNA及び/又はCFBタンパク質のレベル、発現又は転写の上記減少は、少なくとも1日以上の期間(例えば、少なくとも2日、3日、4日、5日、10日、15日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、100日、110日、120日又はそれを超える)にわたり得る。低減は、例えば、少なくとも1日以上の期間(例えば、少なくとも2日、3日、4日、5日、10日、15日、20日、30日、40日、50日、60日、70日、80日又はそれを超える期間)にわたる、治療対象(例えば、ヒト対象)の血液中のCFBタンパク質の量の少なくとも5μg/mL(例えば、5~1000μg/mL)の減少であり得る。
【0040】
「代替ヌクレオシド」又は「代替ヌクレオチド」という用語は、本明細書に記載のものなどの代替糖又は代替核酸塩基を有するヌクレオシドを指す。代替ヌクレオシドは、プリン又はピリミジンを修飾プリン又はピリミジン、例えば置換プリン又は置換ピリミジン、例えばイソシトシン、プソイドイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウリジン、5-ブロモウリジン、5-チアゾロ-ウリジン、2-チオ-ウリジン、プソイドウリジン、1-メチルプソイドウリジン、5-メトキシウリジン、2’-チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン及び2-クロロ-6-アミノプリンから選択される「代替核酸塩基」に変化させることにより、核酸塩基部分が修飾されたヌクレオシドを含み得る。代替ヌクレオシドは、糖部分が修飾されているヌクレオシド;例えば、2’-O-メチルアデノシン、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-メチルシトシン、2’-O-メチルウリジン、2-フルオロ-デオキシアデノシン、2-フルオロ-デオキシグアノシン、2-フルオロ-デオキシシチジン、2-フルオロ-デオキシウリジンも含み得る。
【0041】
代替ウラシルを有する例示的な核酸塩基を以下に挙げる:プソイドウリジン(ψ)、ピリジン-4-オンリボヌクレオシド、5-アザ-ウリジン、6-アザ-ウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ウリジン(sU)、4-チオ-ウリジン(sU)、4-チオ-プソイドウリジン、2-チオ-プソイドウリジン、5-ヒドロキシ-ウリジン(hoU)、5-アミノアリル-ウリジン、5-ハロ-ウリジン(例えば、5-ヨード-ウリジン又は5-ブロモ-ウリジン)、3-メチル-ウリジン(mU)、5-メトキシ-ウリジン(moU)、ウリジン5-オキシ酢酸(cmoU)、ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル(mcmoU)、5-カルボキシメチル-ウリジン(cmU)、1-カルボキシメチル-プソイドウリジン、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウリジン(chmU)、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウリジンメチルエステル(mchmU)、5-メトキシカルボニルメチル-ウリジン(mcmU)、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオ-ウリジン(mcmU)、5-アミノメチル-2-チオ-ウリジン(nmU)、5-メチルアミノメチル-ウリジン(mnmU)、5-メチルアミノメチル-2-チオ-ウリジン(mnmU)、5-メチルアミノメチル-2-セレノ-ウリジン(mnmseU)、5-カルバモイルメチル-ウリジン(ncmU)、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウリジン(cmnmU)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウリジン(cmnmU)、5-プロピニル-ウリジン、1-プロピニル-プソイドウリジン、5-タウリノメチル-ウリジン(τmU)、1-タウリノメチル-プソイドウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウリジン(τmU)、1-タウリノメチル-4-チオ-プソイドウリジン、5-メチル-ウリジン(mU、即ち核酸塩基デオキシチミンを有する)、1-メチル-プソイドウリジン(mψ)、5-メチル-2-チオ-ウリジン(mU)、1-メチル-4-チオ-プソイドウリジン(mψ)、4-チオ-1-メチルプソイドウリジン、3-メチル-プソイドウリジン(mψ)、2-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、ジヒドロウリジン(D)、ジヒドロプソイドウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、5-メチル-ジヒドロウリジン(mD)、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロプソイドウリジン、2-メトキシ-ウリジン、2-メトキシ-4-チオウリジン、4-メトキシ-プソイドウリジン、4-メトキシ-2-チオ-プソイドウリジン、N1-メチル-プソイドウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン(acpU)、1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)プソイドウリジン(acpψ)、5-(イソペンテニルアミノメチル)ウリジン(inmU)、5-(イソペンテニルアミノメチル)-2-チオ-ウリジン(inmU)、α-チオウリジン、2’-O-メチルウリジン(Um)、5,2’-O-ジメチル-ウリジン(mUm)、2’-O-メチル-ウリジン(ψm)、2-チオ-2’-O-メチルウリジン(sUm)、5-メトキシカルボニルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(mcmUm)、5-カルバモイルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(ncmUm)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2’-O-メチル-ウリジン(cmnmUm)、3,2’-O-ジメチル-ウリジン(mUm)及び5-(イソペンテニルアミノメチル)-2’-O-メチル-ウリジン(inmUm)、1-チオ-ウリジン、デオキシチミジン、2’‐F‐アラ-ウリジン、2’‐F-ウリジン、2’‐OH‐アラ-ウリジン、5-(2-カルボメトキシビニル)ウリジン及び5-[3-(1‐E-プロペニルアミノ)ウリジン。
【0042】
代替シトシンを有する例示的な核酸塩基を以下に挙げる:5-アザ-シチジン、6-アザ-シチジン、プソイドイソシチジン、3-メチル-シチジン(mC)、N4-アセチルシチジン(acC)、5-ホルミル-シチジン(fC)、N4-メチル-シチジン(mC)、5-メチル-シチジン(mC)、5-ハロ-シチジン(例えば、5-ヨード-シチジン)、5-ヒドロキシメチル-シチジン(hmC)、1-メチル-プソイドイソシチジン、ピロロ-シチジン、ピロロ-プソイドイソシチジン、2-チオ-シチジン(sC)、2-チオ-5-メチル-シチジン、4-チオ-プソイドイソシチジン、4-チオ-1-メチル-プソイドイソシチジン、4-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドイソシチジン、1-メチル-1-デアザ-プソイドイソシチジン、ゼブラリン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリン、2-チオ-ゼブラリン、2-メトキシ-シチジン、2-メトキシ-5-メチル-シチジン、4-メトキシ-プソイドイソシチジン、4-メトキシ-1-メチル-プソイドイソシチジン、リシジン(kC)、α-チオ-シチジン、2’-O-メチル-シチジン(Cm)、5,2’-O-ジメチル-シチジン(mCm)、N4-アセチル-2’-O-メチル-シチジン(acCm)、N4,2’-O-ジメチル-シチジン(mCm)、5-ホルミル-2’-O-メチル-シチジン(fCm)、N4,N4,2’-O-トリメチル-シチジン(m cm)、1-チオ-シチジン、2’-F-アラ-シチジン、2’-F-シチジン及び2’-OH-アラ-シチジン。
【0043】
代替アデニンを有する例示的な核酸塩基を以下に挙げる:2-アミノ-プリン、2,6-ジアミノプリン、2-アミノ-6-ハロ-プリン(例えば、2-アミノ-6-クロロ-プリン)、6-ハロ-プリン(例えば、6-クロロ-プリン)、2-アミノ-6-メチル-プリン、8-アジド-アデノシン、7-デアザ-アデニン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノ-プリン、7-デアザ-8-アザ-2-アミノ-プリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2,6-ジアミノプリン、1-メチル-アデノシン(mA)、2-メチル-アデニン(mA)、N6-メチル-アデノシン(mA)、2-メチルチオ-N6-メチル-アデノシン(msA)、N6-イソペンテニル-アデノシン(iA)、2-メチルチオ-N6-イソペンテニル-アデノシン(msA)、N6-(cis-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン(ioA)、2-メチルチオ-N6-(cis-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン(msioA)、N6-グリシニルカルバモイル-アデノシン(gA)、N6-トレオニルカルバモイル-アデノシン(tA)、N6-メチル-N6-トレオニルカルバモイル-アデノシン(mA)、2-メチルチオ-N6-トレオニルカルバモイル-アデノシン(msA)、N6,N6-ジメチルアデノシン(m A)、N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイル-アデノシン(hnA)、2-メチルチオ-N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイル-アデノシン(mshnA)、N6-アセチル-アデノシン(acA)、7-メチル-アデニン、2-メチルチオ-アデニン、2-メトキシ-アデニン、α-チオ-アデノシン、2’-O-メチル-アデノシン(Am)、N6,2’-O-ジメチルアデノシン(mAm)、N6,N6,2’-O-トリメチルアデノシン(m Am)、1,2’-O-ジメチルアデノシン(mAm)、2’-O-リボシルアデノシン(リン酸)(Ar(p))、2-アミノ-N6-メチル-プリン、1-チオ-アデノシン、8-アジド-アデノシン、2’-F-アラ-アデノシン、2’-F-アデノシン、2’-OH-アラ-アデノシン及びN6-(19-アミノ-ペンタオキサノナデシル)-アデノシン。
【0044】
代替グアニンを有する例示的な核酸塩基を以下に挙げる:イノシン(I)、1-メチル-イノシン(mI)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、4-デメチル-ワイオシン(imG-14)、イソワイオシン(imG2)、ワイブトシン(yW)、ペルオキシワイブトシン(oyW)、ヒドロキシワイブトシン(OhyW)、不十分修飾ヒドロキシワイブトシン(OhyW*)、7-デアザ-グアノシン、キューオシン(Q)、エポキシキューオシン(oQ)、ガラクトシル-キューオシン(galQ)、マンノシル-キューオシン(manQ)、7-シアノ-7-デアザ-グアノシン(preQ)、7-アミノメチル-7-デアザ-グアノシン(preQ)、アルカエオシン(G)、7-デアザ-8-アザ-グアノシン、6-チオ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアノシン、7-メチル-グアノシン(mG)、6-チオ-7-メチルグアノシン、7-メチル-イノシン、6-メトキシ-グアノシン、1-メチル-グアノシン(mG)、N2-メチル-グアノシン(mG)、N2,N2-ジメチル-グアノシン(m G)、N2,7-ジメチル-グアノシン(m2,7G)、N2,N2,7-ジメチル-グアノシン(m2,2,7G)、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、1-メチル-6-チオ-グアノシン、N2-メチル-6-チオ-グアノシン、N2,N2-ジメチル-6-チオ-グアノシン、α-チオ-グアノシン、2’-O-メチル-グアノシン(Gm)、N2-メチル-2’-O-メチルグアノシン(mGm)、N2,N2-ジメチル-2’-O-メチル-グアノシン(m Gm)、1-メチル-2’-O-メチル-グアノシン(mGm)、N2,7-ジメチル-2’-O-メチル-グアノシン(m2,7Gm)、2’-O-メチル-イノシン(Im)、1,2’-O-ジメチル-イノシン(mIm)、2’-O-リボシルグアノシン(リン酸)(Gr(p))、1-チオ-グアノシン、O6-メチル-グアノシン、2’-F-アラ-グアノシン及び2’-F-グアノシン。
【0045】
核酸塩基部分は、対応する核酸塩基各々の文字コード、例えばA、T、G、C又はUにより表示される場合もあり、そうした場合、各文字は、任意選択で、同等の機能の代替核酸塩基を含み得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「代替補体経路」は、補体活性化の3つの経路の1つを指し、残りは、古典的経路及びレクチン経路である。
【0047】
本明細書で使用される用語「アンチセンス」は、内因性遺伝子(例えば、CFB)の発現を妨害するように、遺伝子、一次転写物又はプロセシング済みmRNA(例えば、CFBの配列(例えば、配列番号12)の全て又は一部に対して十分に相補的であるオリゴヌクレオチドを指す。
【0048】
用語「アンチセンス鎖」及び「ガイド鎖」は、標的配列に実質的に相補的である領域、例えばCFB mRNA(例えば、配列番号12)を含むRNAiオリゴヌクレオチドの鎖を指す。
【0049】
数又は一連の数の前にある「少なくとも」という用語は、文脈から明らかなように、用語「少なくとも」に隣接する数及び論理的に包含され得る全ての後続の数又は整数を含むと理解される。例えば、核酸分子中のヌクレオチドの数は整数でなければならない。例えば、「21ヌクレオチド核酸分子の少なくとも10ヌクレオチド」は、10~21ヌクレオチドの範囲、例えば10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21ヌクレオチドが、示された特性を有することを意味する。「少なくとも」が一連の数又は範囲の前に存在する場合、「少なくとも」は、系列又は範囲内の数の各々を変更できることが理解される。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「減弱する」とは、低減するか又は事実上停止することを意味する。非限定的な例として、本明細書に提供される処置の1つ以上は、対象における補体経路活性化又は調節不全(例えば、CFB活性化又は調節不全)によって媒介される疾患の発症又は進行を抑制するか又は事実上停止し得る。この減弱は、例えば、補体経路活性化又は調節不全に関連する疾患の1つ以上の態様(例えば、症状、組織特性及び細胞性、炎症性若しくは免疫学的活性など)、例えば本明細書に記載される疾患の低減によって例示され得る。
【0051】
用語「cDNA」は、mRNA配列のDNA同等物である(即ちチミジンで置換されたウリジンを有する)核酸配列を指す。一般に、当業者は、ウリジンがチミジンとして読み取られることを除いて、cDNA配列はmRNA配列と同じであることを理解することから、cDNA及びmRNAという用語は、特定の遺伝子(例えば、CFB遺伝子)に関して互換可能に使用され得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「CFB」及び「補体因子B」は、用語が使用される文脈に応じて、補体因子Bをコードするタンパク質又は遺伝子を指す。「CFB」という用語は、野生型CFBタンパク質の天然変異体、例えばNCBI参照番号NP_001701.2(配列番号11)に記載されている野生型ヒトCFBのアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は99.9%以上の配列同一性)を有するタンパク質などの野生型CFBタンパク質の天然変異体も包含する。用語「CFB」は、野生型CFB遺伝子の天然変異体、例えばNCBI参照番号NM_001710.5(配列番号12)に記載されている野生型ヒトCFBの核酸配列に対して少なくとも85%の同一性(例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%以上の同一性)を有するものも指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「補体経路活性化又は調節不全」という用語は、古典的経路、代替経路及びレクチン経路を含む補体経路が病原体に対する宿主防御を賦与し、免疫複合体及び損傷細胞を排除する能力並びに免疫調節の能力における異常を指す。代替補体経路の活性化又は調節不全は、体液相及び細胞表面で発生する可能性があり、過剰な補体活性化又は不十分な調節を招く恐れがあり、どちらも組織損傷を引き起こし得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、「相補的」とは、当業者によって理解されるように、第2のヌクレオチド又はヌクレオシド配列に関連して第1のヌクレオチド又はヌクレオシド配列を表現するために使用されるとき、第1のヌクレオチド又はヌクレオシド配列を含むオリゴヌクレオチドが、特定の条件下で第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリダイズし、二重らせん構造を形成する能力を指す。そのような条件は、例えば、ストリンジェントな条件であり得、ストリンジェントな条件は、以下を含み得る:12~16時間にわたり、400mM NaCl、40mM PIPE pH 6.4、1mM EDTA、50℃又は70℃、続いて洗浄(例えば、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrook,et al.(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい)。他の条件、例えば生物の内部で遭遇する可能性のあるような生理学的に関連する条件を適用することができる。当業者は、ハイブリダイズしたヌクレオチド又はヌクレオシドの最終的な適用に従って、2つの配列の相補性の試験に最も適した一連の条件を決定することができるであろう。本明細書で使用される「相補的」配列は、ハイブリダイズする能力に関する上記の要件が満たされる限り、非ワトソン・クリック塩基対並びに/又は非天然及び代替ヌクレオチド若しくはヌクレオシドから形成される塩基対も含み得るか又はそれらから完全に形成され得る。このような非ワトソン・クリック塩基対として、限定されないが、G:Uゆらぎ又はフーグステン型塩基対が挙げられる。本明細書に記載されるように、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)内又はオリゴヌクレオチドと標的配列との間の相補的配列は、一方若しくは両方のヌクレオチド又はヌクレオシド配列の全長にわたって第1のヌクレオチド又はヌクレオシド配列を含むオリゴヌクレオチドと第2のヌクレオチド又はヌクレオシド配列を含むオリゴヌクレオチドとの塩基対を含む。このような配列は、本明細書で互いに「完全に相補的」と呼ぶことができる。第1の配列が第2の配列に関して「実質的に相補的」と称される場合、最大30塩基対の二重らせんのためのハイブリダイゼーション時に、それらの最終的な適用(例えば、RISC経路を介した発現の低減)に最も関連する条件下でハイブリダイズする能力を保持しながら、これら2つの配列は完全に相補的であるか、又は両方は、1つ以上、但し一般に5、4、3又は2つ以下のミスマッチ塩基対を形成することができる。「実質的に相補的」は、目的のmRNAの連続部分(例えば、CFBをコードするmRNA)に対して実質的に相補的であるオリゴヌクレオチドも指し得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、配列がCFBをコードするmRNAの非中断部分に対して実質的に相補的である場合、CFB mRNAの少なくとも一部に対して相補的である。しかし、2つのオリゴヌクレオチドがハイブリダイゼーション時に1つ以上の一本鎖オーバーハングを形成するように設計されている場合、そのようなオーバーハングは、相補性の決定に関してミスマッチとみなされないものとする。例えば、22連結ヌクレオシド長の1つのオリゴヌクレオチドと、20ヌクレオシド長の別のオリゴヌクレオチドとを含むオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、異なる長さを有する場合でも、本明細書に記載される目的のために「完全に相補的」と呼ぶことができる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「相補的オリゴヌクレオチド」は、標準的なワトソン・クリック相補性ルールに従って塩基対形成が可能なものである。具体的には、プリンは、ピリミジンと塩基対を形成して、シトシンと対合したグアニン(G:C)並びにDNAの場合にはチミンと対合したアデニン(A:T)、またRNAの場合にはウラシルと対合したアデニン(A:U)の組合せを形成する。2つのオリゴヌクレオチドは、たとえそれらが互いに完全に相補的でなくても、各々が他方に対して実質的に相補的である少なくとも1つの領域を有する限り、互いにハイブリダイズし得ることが理解される。
【0056】
本明細書で使用される語句「細胞をオリゴヌクレオチドと接触させる」は、オリゴヌクレオチド、例えばRNAiオリゴヌクレオチド(例えば、一本鎖オリゴヌクレオチド又は二重らせんを形成する二本鎖オリゴヌクレオチド)と細胞を、当技術分野で公知の方法によって接触させることを含む。細胞をオリゴヌクレオチドと接触させることは、インビトロで細胞をオリゴヌクレオチドと接触させること又はインビボで細胞をオリゴヌクレオチドと接触させることを含む。接触は、直接又は間接的のいずれでも実施され得る。このように、例えば、オリゴヌクレオチドは、本方法を実施する個体によって細胞と物理的に接触をされ得るか、又はオリゴヌクレオチド剤は、それがその後細胞と接触することを可能にするか若しくは引き起こすことになる状況に置かれ得る。インビトロで細胞を接触させることは、例えば、細胞をオリゴヌクレオチドと一緒にインキュベートすることにより行うことができる。インビボで細胞を接触させることは、例えば、オリゴヌクレオチドを細胞が位置する組織又はその付近に注入するか、又は接触させようとする細胞が位置する組織に薬剤が後に到達するように、オリゴヌクレオチド剤を別の領域、例えば血流若しくは皮下空間に注入することによって行うことができる。例えば、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを目的の部位に向けるリガンドを含み、且つ/若しくはリガンドと連結され得るか、又はオリゴヌクレオチドを目的の部位に送達するベクター(例えば、ウイルスベクター)に組み込まれ得る。インビトロ及びインビボでの接触方法の組合せも可能である。例えば、細胞をインビトロでオリゴヌクレオチドと接触させた後、その細胞を対象に移植することもできる。
【0057】
「連続した核酸塩基領域」という用語は、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドの領域(例えば、RNAiオリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖)を指す。この用語は、本明細書では、用語「連続的ヌクレオチド配列」又は「連続的ヌクレオチド塩基配列」と互換可能に使用され得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドのヌクレオチドの全ては、連続したヌクレオチド又はヌクレオシド領域に存在する。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、連続したヌクレオチド領域を含み、任意選択でさらに別の1つ若しくは複数のヌクレオチド又は1つ若しくは複数のヌクレオシドを含み得る。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸に対して相補的であっても又はなくてもよい。連続したヌクレオチド領域のヌクレオチド間に存在するヌクレオシド間結合には、ホスホロチオエート間ヌクレオシド結合が含まれ得る。加えて、連続したヌクレオチド領域は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシドを含み得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「デオキシリボヌクレオチド」は、リボヌクレオチドと比較してそのペントース糖の2’位にヒドロキシルの代わりに水素を有するヌクレオチドを指す。修飾デオキシリボヌクレオチドは、2’位以外の原子の1つ以上の修飾又は置換を有するデオキシリボヌクレオチドであり、糖、リン酸基又は塩基の修飾又は置換を含む。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「疾患」は、身体機能、系統又は器官の中断、停止又は障害を指す。対象となる疾患又は障害には、本明細書に記載の治療方法などによってCFBを標的とする、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例えば、本明細書に記載のように二重らせんを形成する一本鎖又は二本鎖RNA構築物)による治療から利益を得ることになるものが含まれる。本明細書に記載の組成物及び方法を用いて治療することができる、補体経路活性化若しくは調節不全(例えば、CFBの調節不全若しくは活性化)によって媒介されるか又はそれに関連する疾患又は障害の非限定的な例としては、例えば、以下のものが挙げられる:皮膚障害、神経学的障害、腎臓学的障害、アキュートケア、リウマチ性障害、肺障害、皮膚科学的障害、血液学的障害及び眼科障害、例えば発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、C3糸球体症(C3G)、免疫グロブリンA腎症(IgAN)、原発性MNを含む膜性腎症(MN)、大腸菌(E.coli)誘発性又は定型溶血性尿毒症症候群(HUS)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、加齢黄斑変性、地図状萎縮、糖尿病網膜症、ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、ベーチェットぶどう膜炎、網膜色素変性症、黄斑浮腫、多巣性脈絡膜炎、フォークト-小柳-原田症候群、散弾状脈絡膜網膜症、交感性眼炎、眼瘢痕性類天疱瘡、眼類天疱瘡、非関節炎性虚血性視神経症、術後炎症、網膜静脈閉塞症、神経障害、多発性硬化症、脳卒中、ギラン・バレー症候群、外傷性脳損傷、パーキンソン病、血液透析合併症、超急性移植片拒絶反応、異種移植片拒絶反応、IL-2治療中のインターロイキン-2誘発毒性、炎症性疾患、自己免疫疾患の炎症、クローン病、成人呼吸窮迫症候群、心筋炎、虚血再灌流後の状態、心筋梗塞、バルーン血管形成術、心肺バイパス又は腎バイパスにおけるポンプ後症候群、アテローム性動脈硬化症、血液透析、腎虚血、大動脈再建後の腸間膜動脈再灌流、感染症又は敗血症、免疫複合体障害及び自己免疫疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、SLE腎炎、増殖性腎炎、肝線維症、溶血性貧血、重症筋無力症、組織再生、神経再生、呼吸困難、喀血、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、肺塞栓症及び肺梗塞、肺炎、線維性粉塵疾患、肺線維症、アレルギー、気管支収縮、過敏性肺炎、寄生虫疾患、グッドパスチャー症候群、肺血管炎、微量免疫型血管炎、免疫複合体関連炎症、抗リン脂質症候群、糸球体腎炎、肥満、関節炎、自己免疫性心疾患、炎症性腸疾患、虚血再灌流障害、バラケル-サイモンズ症候群、血液透析、抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎、クリオグロブリン血症、乾癬、移植、アルツハイマー病及び他の神経変性状態などの中枢神経系疾患、濃厚沈着症、水疱性皮膚疾患、膜増殖性糸球体腎炎II型(MPGN II)、慢性移植片対宿主病、フェルティ症候群、壊疽性膿皮症(PG)、化膿性汗腺炎(HS)、肺動脈性肺高血圧症、原発性シェーグレン症候群、原発性胆汁性胆管炎、常染色体優性多発性嚢胞腎並びにミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体疾患(MOGAD)。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「二重らせん」は、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)に関して、2つのヌクレオチドの逆平行配列の相補的な塩基対形成によって形成される構造を指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、(例えば、細胞又は対象における)CFBのレベル及び/又は活性を低減する薬剤(例えば、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド)の「有効量」、「治療有効量」及び「十分な量」という用語は、ヒトなどの対象に投与した場合、臨床結果を含む有益な又は所望の結果をもたらすのに十分な量を指し、そのため、「有効量」又はその同義語は、それが適用されている状況に応じて変動する。例えば、補体経路の活性化又は調節不全に関連する疾患を治療する状況では、CFBのレベル及び/又は活性を低減する薬剤の投与なしで得られる応答と比較して、治療応答を達成するのに十分なCFBのレベル及び/又は活性を低減する薬剤の量である。そのような量に相当する本明細書に記載のCFBのレベル及び/又は活性を低減する所与の薬剤の量は、所与の薬剤、医薬製剤、投与経路、疾患若しくは障害のタイプ、対象のアイデンティティ(例えば、年齢、性別及び/若しくは体重)又は治療対象の宿主など、様々な容易に応じて変動し得るが、それでも当業者によって常用的に決定することができる。本明細書で使用する場合、本開示のCFBのレベル及び/又は活性を低減する薬剤の「治療有効量」は、対照と比較して、対象に有益な又は所望の結果をもたらす量でもある。本明細書で定義されるように、本開示のCFBのレベル及び/又は活性を低減する薬剤の治療有効量は、当業者により当技術分野で公知の常用的な方法によって容易に決定され得る。投与計画は、最適な治療応答を提供するように調節され得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「賦形剤」は、例えば、所望の粘稠度又は安定化効果を賦与するか又はそれに寄与するように、組成物に含有させることができる非治療薬を指す。
【0063】
「G」、「C」、「A」、「T」及び「U」の各々は、一般に、グアニン、シトシン、アデニン、チミジン及びウラシルを塩基としてそれぞれ含むヌクレオチドを表すが、リボース及びデオキシリボース以外にも代替糖部分を含み得る。「ヌクレオチド」という用語は、以下でさらに詳述するような代替ヌクレオチド又は代用置換部分を指し得ることも理解される。当業者は、グアニン、シトシン、アデニン及びウラシルが、そのような置換部分を担持するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対形成特性を実質的に改変することなく、他の部分によって置換され得ることを十分に認識している。例えば、限定するものではないが、イノシンをその塩基として含むヌクレオチドは、アデニン、シトシン又はウラシルを含むヌクレオチドと塩基対を形成することができる。従って、ウラシル、グアニン又はアデニンを含むヌクレオチドは、本開示で特に取り上げるオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列において、例えばイノシンを含むヌクレオチドによって置換され得る。別の例では、オリゴヌクレオチド中いずれかのアデニン及びシトシンをグアニン及びウラシルでそれぞれ置換して、標的mRNAと対合するG-Uゆらぎ塩基対を形成することができる。このような置換部分を含む配列は、本開示で特に取り上げる組成物及び方法に好適である。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「阻害剤」は、タンパク質(例えば、CFB)のレベル及び/又は活性を低減する任意の薬剤を指す。阻害剤の非限定的な例には、オリゴヌクレオチド(例えば、dsRNA、siRNA又はshRNA)が含まれる。本明細書で使用される用語「低減」は、「サイレンシング」、「下方制御」、「抑制」及び他の同様の用語と互換可能に使用され、5%以上(例えば、10%、15%、25%、35%、50%、75%及び100%)の任意のレベルの低下を含む。健康なヒトの血清中に認められるCFBタンパク質の典型的なレベルは、約200μg/mLであり;従って、CFBタンパク質の低下したレベルは、例えば、約200μg/mL未満(例えば、5μg/mL、25μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、150μg/mL及び190μg/mL)の量であり得る。
【0065】
「レベル」とは、任意選択で基準と比較した、タンパク質又はタンパク質をコードするmRNA(例えば、CFB)のレベル若しくは活性を意味する。基準は、本明細書で定義されるように、任意の有用な標準であり得る。タンパク質の「減少したレベル」又は「増加したレベル」とは、それぞれ基準と比較してタンパク質レベルの減少又は増加(例えば、基準と比較して例えば約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約150%、約200%、約300%、約400%、約500%又はそれを超える減少又は増加;例えば、基準と比較して約10%、約15%、約20%、約50%、約75%、約100%又は約200%を超える減少又は増加;例えば、基準と比較して約0.01倍、約0.02倍、約0.1倍、約0.3倍、約0.5倍、約0.8倍若しくはそれ以下に満たない減少又は増加;例えば、基準と比較して約1.2倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.8倍、約2.0倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.5倍、約5.0倍、約10倍、約15倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約100倍若しくは約1000倍以上を超える減少又は増加)を意味する。タンパク質又はmRNAのレベルは、サンプル中の総タンパク質又はmRNAに対する質量/体積(例:g/dL、mg/mL、μg/mL、ng/mL)又はパーセンテージで表すことができる。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「ループ」は、互いに十分に相補的である核酸の2つの逆平行領域によってフランキングされた核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)の不対領域を指し、適切なハイブリダイゼーション条件下(例えば、リン酸緩衝液中又は細胞内)で、不対領域とフランキングする2つの逆平行領域は、ハイブリダイズして二重らせん(「ステム」と呼ばれる)を形成する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「修飾ヌクレオチド間結合」という用語は、ホスホジエステル結合を含む基準ヌクレオチド間結合と比較して、1つ以上の化学修飾を有するヌクレオチド間結合を指す。一部の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、非天然に存在する連結である。典型的には、修飾ヌクレオチド間結合は、修飾ヌクレオチド間結合が存在する核酸に1つ以上の望ましい特性を付与する。例えば、修飾ヌクレオチドは、熱安定性、分解に対する耐性、ヌクレアーゼ耐性、溶解性、バイオアベイラビリティ、生物活性、免疫原性の低下などを改善し得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、「修飾ヌクレオチド」という用語は、アデニンリボヌクレオチド、グアニンリボヌクレオチド、シトシンリボヌクレオチド、ウラシルリボヌクレオチド、アデニンデオキシリボヌクレオチド、グアニンデオキシリボヌクレオチド、シトシンデオキシリボヌクレオチド及びチミジンデオキシリボヌクレオチドから選択される対応する基準ヌクレオチドと比較して、1つ以上の化学修飾を有するヌクレオチドを指す。一部の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、非天然に存在するヌクレオチドである。一部の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、その糖、核酸塩基及び/又はリン酸基に1つ以上の化学修飾を有する。一部の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、対応する参照ヌクレオチドと共役された1つ以上の化学部分を有する。典型的には、修飾ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドが存在する核酸に1つ以上の望ましい特性を付与する。例えば、修飾ヌクレオチドは、熱安定性、分解に対する耐性、ヌクレアーゼ耐性、溶解性、バイオアベイラビリティ、生物活性、免疫原性の低下などを改善し得る。
【0069】
「ニックテトラループ構造」とは、個別のセンス(パッセンジャー)鎖及びアンチセンス(ガイド)鎖の存在を特徴とするRNAiオリゴヌクレオチドの構造であり、センス鎖は、アンチセンス鎖との相補性の領域を有し、且つ両鎖の少なくとも一方、一般にセンス鎖は、少なくとも一方の鎖内に形成された隣接するステム領域を安定化するように構成されたテトラループを有する。ニックテトラループ構造は、センス鎖及びアンチセンス鎖のヌクレオチドに単一の切断を生じさせ、それにより両鎖が共有結合によりその部位で連結されないようにする。
【0070】
用語「核酸塩基」及び「塩基」は、核酸ハイブリダイゼーション時に水素結合を形成するヌクレオシド及びヌクレオチド中に存在するプリン(例えば、アデニン及びグアニン)並びにピリミジン(例えば、ウラシル、チミン及びシトシン)部分を含む。本開示に関連して、核酸塩基という用語は、天然に存在する核酸塩基とは異なり得るが、核酸ハイブリダイゼーション中に機能性である代替核酸塩基も包含する。これに関連して、「核酸塩基」は、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン及びヒポキサンチンなどの天然に存在する核酸塩基並びに代替核酸塩基の両方を指す。このような変異体は、例えば、Hirao et al.(Accounts of Chemical Research,vol.45:page 2055,2012)及びBergstrom(Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1,2009)に記載されている。
【0071】
用語「ヌクレオシド」は、核酸塩基と糖部分の単量体単位又は核酸塩基と糖部分を有するオリゴヌクレオチドを指す。ヌクレオシドは、天然に存在するもの並びに本明細書に記載されるものなどの代替ヌクレオシドを含み得る。ヌクレオシドの核酸塩基は、天然に存在する核酸塩基又は代替核酸塩基であり得る。同様に、ヌクレオシドの糖部分は、天然に存在する糖又は代替糖であり得る。
【0072】
本明細書で使用される「ヌクレオチド」とは、ヌクレオシド及びヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドの単量体単位を指す。ヌクレオシド間結合は、リン酸結合を含んでも又は含まなくてもよい。同様に、「連結されたヌクレオシド」は、リン酸結合によって連結されても又はされなくてもよい。多くの「代替ヌクレオシド間結合」は、当技術分野で公知であり、限定されないが、リン酸、ホスホロチオエート及びボロノリン酸結合を含む。代替ヌクレオシドは、二環式ヌクレオシド(BNA)(例えば、ロックヌクレオシド(LNA)及び拘束エチル(cEt)ヌクレオシド)、ペプチドヌクレオシド(PNA)、ホスホトリエステル、ホスホロチオネート、ホスホロアミデート及び本明細書に記載のものを含む天然ヌクレオシドのリン酸骨格の他の変異体を含む。
【0073】
本明細書で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、短い核酸、例えば100ヌクレオチド長未満の核酸を指す。オリゴヌクレオチドは、一本鎖又はRNAiであり得る。オリゴヌクレオチドは、二重らせん領域を有しても又は有さなくてもよい。非限定的な一組の例として、オリゴヌクレオチドは、限定されないが、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、ダイサー基質干渉RNA(dsiRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、短いsiRNA又は一本鎖siRNAであり得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNAiオリゴヌクレオチドである。
【0074】
本明細書で使用される場合、用語「オーバーハング」は、1本の鎖又は領域と共に二重らせんを形成する相補鎖の末端を超えて延びる1本の鎖又は領域から生じる末端非塩基対合ヌクレオチドを指す。一部の実施形態では、オーバーハングは、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)の5’末端又は3’末端の二重らせん領域から延びる1つ以上の不対ヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、オーバーハングは、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)のアンチセンス鎖又はセンス鎖上の3’若しくは5’オーバーハングである。
【0075】
本明細書で使用される場合、「それを必要とする患者」又は「それを必要とする対象」という用語は、疾患又は障害、例えば代替補体調節不全によって媒介される疾患(例えば、CFBに関連する調節不全、補体経路(例えば、代替、古典的及び/又はレクチン経路)の1つ若しくは全ての調節不全など)の治療の必要性に基づく対象の識別を指す。対象は、例えば、疾患又は障害の治療の必要性を有するものとして、例えば当業者(例えば、医師)による早期診断に基づいて識別することができる。
【0076】
基準オリゴヌクレオチド又はポリペプチド配列に対する「配列同一性パーセント(%)」は、該当配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入することにより、配列同一性の最大パーセントを達成した後、基準オリゴヌクレオチド又はポリペプチド配列中の核酸若しくはアミノ酸と同一である候補配列中の核酸若しくはアミノ酸のパーセンテージとして定義される。核酸又はアミノ酸配列同一性パーセントを決定することを目的とするアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2又はメガライン(Megalign)ソフトウェアなどの一般に利用可能なコンピュータソフトウェアを用いて、当業者の能力の範囲内の様々な方法で達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含め、配列をアラインメントするための適切なパラメータを決定することができる。例えば、配列同一性パーセント(%)値は、配列比較コンピュータプログラムBLASTを用いて生成され得る。例示として、所与の核酸又はアミノ酸配列、Bに対する、それとの若しくはそれに対しての所与の核酸又はアミノ酸配列、Aの配列同一性パーセント(又は所与の核酸又はアミノ酸配列、Bに対する、それとの若しくはそれに対しての特定の同一性パーセントを有する所与の核酸又はアミノ酸配列、Aと表現することもできる)は、以下のように計算される:
(分数X/Y)×100
(式中、Xは、配列アラインメントプログラム(BLASTなど)により、そのプログラムのAとBのアラインメントで同一のマッチとして評点されるヌクレオチド又はアミノ酸の数であり、Yは、Bの核酸の総数である。核酸又はアミノ酸配列Aの長さが核酸又はアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAの配列同一性パーセントは、Aに対するBの配列同一性パーセントと等しくならないことは理解されるであろう。
【0077】
本明細書で使用される「薬学的に許容される賦形剤」とは、本明細書に記載の化合物以外の任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁又は溶解することができるビヒクル)を指し、患者において実質的に無毒性且つ非炎症性であるという特性を有する。賦形剤は、例えば、付着防止剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング剤、圧縮助剤、崩壊剤、染色剤(着色剤)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、皮膜形成剤又はコーティング剤、香味料、香料、流動化剤(流動促進剤)、滑沢剤、防腐剤、印刷用インク、吸着剤、懸濁剤又は分散剤、甘味料及び水和水が挙げられる。例示的な賦形剤としては、限定されないが、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、セラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC及びキシリトールが挙げられる。
【0078】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書に記載される化合物のいずれかの化合物の任意の薬学的に許容される塩を意味する。例えば、本明細書に記載の化合物のいずれかの薬学的に許容される塩には、健全な医学的判断の範囲内であり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応なしにヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適しており、適正な利益/リスク比に見合ったものが含まれる。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知である。例えば、薬学的に許容される塩は、Berge et al.,J.Pharmaceutical Sciences 66:1-19,1977及びPharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,(Eds.P.H.Stahl and C.G.Wermuth),Wiley-VCH,2008に記載されている。塩は、遊離塩基基を適切な有機酸と反応させることにより、本明細書に記載される化合物の最終単離及び精製中又は個別に、インサイチュで調製することができる。本明細書に記載の化合物は、薬学的に許容される塩として調製することができるようにイオン化可能な基を有し得る。これらの塩は、無機酸又は有機酸を含む酸付加塩であり得るか、又は塩は、本明細書に記載される化合物の酸性形態の場合、無機又は有機塩基から調製され得る。多くの場合、化合物は、薬学的に許容される酸又は塩基の付加生成物として調製される薬学的に許容される塩として調製又は使用される。適切な薬学的に許容される酸及び塩基並びに適切な塩の調製方法は、当技術分野で周知である。塩は、無機及び有機の酸及び塩基を含む薬学的に許容される非毒性の酸及び塩基から調製され得る。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンフォレート、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオネート、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオネート、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が挙げられる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム、さらには無毒性アンモニウム、第四級アンモニウム並びにアミンカチオン、例えば、限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びエチルアミンが挙げられる。
【0079】
本明細書で使用される用語「医薬組成物」は、本明細書に記載される化合物(例えば、オリゴヌクレオチド剤)を含有する組成物を表し、これは、薬学的に許容される賦形剤と一緒に製剤化され、哺乳動物における疾患の治療のための治療レジメンの一部として政府の規制機関の承認を得て任意選択で製造又は販売される。医薬組成物は、例えば、皮下投与用、静脈内投与用(例えば、粒子状塞栓を含まない滅菌溶液として且つ静脈内使用に適した溶媒系中);髄腔内注射用;脳室内注射用;実質内注射用;単位剤形(例えば、錠剤、カプセル、カプレット、ゲルキャップ又はシロップ)での経口投与用;局所投与用(例えば、クリーム、ゲル、ローション若しくは軟膏として;又は任意の他の薬学的に許容される製剤として製剤化することができる。
【0080】
本明細書で使用される場合、用語「リン酸類似体」は、リン酸基の静電的及び/又は立体的性質を模倣する化学的部分を指す。一部の実施形態では、リン酸類似体は、多くの場合、酵素的除去を被りやすい5’-リン酸の代わりにオリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドに位置する。一部の実施形態では、5’リン酸類似体は、ホスファターゼ耐性結合を含有する。リン酸類似体の例としては、5’ホスホネート、例えば5’メチレンホスホネート(5’-MP)及び5’-(E)-ビニルホスホネート(5’-VP)が挙げられる。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、5’末端ヌクレオチドにおいて、糖の4’-炭素位置にリン酸類似体(「4’-リン酸類似体」と呼ばれる)を有する。4’-リン酸類似体の一例は、オキシメチル基の酸素原子が糖部分(例えば、その4’-炭素で)結合しているオキシメチルホスホネート又はその類似体である。例えば、米国特許出願公開第2019/0177729号明細書を参照されたい(リン酸類似体に関する各々の内容は参照により本明細書に組み込まれる)。オリゴヌクレオチドの5’末端に関して、他の修飾が開発されている(例えば、国際公開第2011/133871号パンフレット;米国特許第8,927,513号明細書;及びPrakash et al.(2015),Nucleic Acids Res.,43(6):2993-3011を参照されたく;リン酸類似体に関する各々の内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0081】
本明細書で使用される用語「プローブ」は、特定の配列に選択的に結合することができる任意の分子、例えばmRNAなどの核酸分子を指す。プローブは、当技術分野で公知であり且つ通常の方法を用いて合成され得るか、又は適切な生物学的調製物から誘導され得る。プローブは、標識されるように特別に設計され得る。プローブとして利用することができる分子の例には、RNA、DNA、タンパク質、抗体及び有機分子が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
本明細書で使用される場合、遺伝子の「発現低減」という用語は、適切な基準細胞若しくは対象と比較して、遺伝子によってコードされるRNA転写物又はタンパク質の量の減少及び/又は細胞若しくは対象における遺伝子の活性の量の減少を指す。例えば、細胞をRNAiオリゴヌクレオチド(例えば、CFB mRNA配列に相補的なアンチセンス鎖を有するもの)で処置する行為は、RNAiオリゴヌクレオチドで処置されていない細胞と比較して、RNA転写物、タンパク質及び/又は活性(例えば、CFB遺伝子によってコードされる)の量の減少をもたらし得る。同様に、本明細書で使用される「発現を低減する」とは、遺伝子(例えば、CFB)の発現低下をもたらす行為を指す。発現の低減は、本明細書に記載されるように、CFBの血清濃度の減少によって評価することができる(例:例えば、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドと接触していない細胞に対して)。代わりに、発現の減少は、例えば、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドと接触させていない細胞と比較して、CFB mRNAの転写及び/又は翻訳のレベルの低下(例えば、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、55%又は60%以上の減少、例えば1%~60%以上の範囲の減少)により評価することができる。CFBの発現低減は、WIESLAB(登録商標)Complementアッセイ、ELISAアッセイ、溶血アッセイ又は当技術分野で公知のアッセイを用いて測定することができる。
【0083】
「基準」とは、タンパク質又はmRNAのレベル若しくは活性を比較するために使用される任意の有用な基準を意味する。基準は、比較の目的で使用される任意のサンプル、標準、標準曲線又はレベルであり得る。基準は、通常の基準サンプル又は参照標準若しくはレベルであり得る。「基準サンプル」は、例えば、対照、例えば「正常な対照」などの所定の陰性対照値又は同じ対象から採取された以前のサンプル;正常細胞又は正常組織など、正常な健康な対象からのサンプル;疾患を有していない対象からのサンプル(例えば、細胞若しくは組織);疾患を有すると診断されているが、本明細書に記載の化合物でまだ治療を受けていない対象からのサンプル;本明細書に記載の化合物によって治療された対象からのサンプル;又は既知の正常濃度の精製済みオリゴヌクレオチド若しくはタンパク質(例えば、本明細書に記載されるいずれか)のサンプルであり得る。「参照標準又はレベル」とは、参照サンプルから得られた値又は数値を意味する。「正常対照値」とは、非疾患状態を示す予め決定された値であり、例えば健康な対照対象で予測される値である。典型的に、正常な対照値は、範囲(「XとYとの間」)、高い閾値(「X以下」)又は低い閾値(「X以上」)として表される。特定のバイオマーカーについての正常対照値内の測定値を有する対象は、典型的には、そのバイオマーカーについて「正常範囲内」であるとみなされる。正常な参照標準又はレベルは、疾患又は障害(例えば、補体経路の活性化若しくは調節不全に関連する疾患又は障害)を有していない正常な対象;本明細書に記載の化合物で治療を受けた対象から得られた値又は数値であり得る。一部の実施形態では、基準サンプル、標準又はレベルは、以下の基準:年齢、体重、性別、疾患ステージ及び健康状態全般の少なくとも1つによって対象サンプルに合致させる。精製されたオリゴヌクレオチド又はタンパク質のレベル、例えば本明細書に記載される任意の、正常な基準範囲内の標準曲線も、基準として使用することができる。
【0084】
本明細書で使用される場合、「相補性の領域」という用語は、遺伝子、一次転写物、配列(例えば、標的配列、例えばCFBヌクレオチド配列)又は内因性遺伝子の発現を妨害するようにプロセシングされたmRNA(例えば、CFB)の全て若しくは一部に実質的に相補的であるオリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖上の領域を指す。相補性の領域が標的配列に対して完全に相補的ではない場合、ミスマッチは分子の内部領域若しくは末端領域に存在し得る。一般に、最も許容されるミスマッチは、末端領域、例えばオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)の5’末端及び/又は3’末端の5、4、3又は2ヌクレオチド以内にある。
【0085】
本明細書で使用される場合、「リボヌクレオチド」という用語は、そのペントース糖としてリボースを有するヌクレオチドを指し、これは、その2’位にヒドロキシル基を含有する。修飾リボヌクレオチドは、2’位以外の原子の1つ以上の修飾又は置換を有するリボヌクレオチドであり、リボース、リン酸基又は塩基の修飾又は置換を含む。
【0086】
本明細書で使用される場合、「RNAiオリゴヌクレオチド」という用語は、(a)センス鎖(パッセンジャー)とアンチセンス鎖(ガイド)を有する二本鎖オリゴヌクレオチド(ここで、アンチセンス鎖又はアンチセンス鎖の一部が標的mRNAの切断に際してアルゴノート2(Ago2)エンドヌクレアーゼにより使用される)又は(b)単一アンチセンス鎖を有する一本鎖オリゴヌクレオチド(ここで、上記アンチセンス鎖(又は上記アンチセンス鎖の一部)が標的mRNAの切断に際してAgo2エンドヌクレアーゼにより使用される)のいずれかを指す。一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチドは、ステムループなどのループ領域を含み、これは、その用語が本明細書で定義される通りのヌクレオシドを含む。RNAiオリゴヌクレオチドは、例えば、dsRNA、siRNA及びshRNAを含み、これらは、RNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)経路を介してRNA転写物の標的切断を媒介する。RNAiオリゴヌクレオチドは、RNA干渉(RNAi)として知られるプロセスによってmRNAの配列特異的分解を指令する。RNAiオリゴヌクレオチドは、細胞、例えば哺乳動物対象などの対象内の細胞におけるC3の発現を低減する。一般に、RNAiオリゴヌクレオチドのヌクレオシドの大部分はリボヌクレオシドであるが、本明細書に詳細に記載されるように、各鎖又は両方の鎖は、1つ以上の非リボヌクレオシド、例えばデオキシリボヌクレオシド及び/又は代替ヌクレオシドも含み得る。RNAiオリゴヌクレオチドは、実質的に二重らせん形態である。一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチドの二重らせん領域の相補的な塩基対形成は、共有結合的に個別の核酸鎖のヌクレオチドの逆平行配列間で形成される。一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチドの二重らせん領域の相補的な塩基対形成は、共有結合で連結された核酸鎖のヌクレオチドの逆平行配列間で形成される。一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチドの二重らせん領域の相補的塩基対は、折り畳まれた単一の核酸鎖から形成されて(例えば、ヘアピンを介して)、一緒に塩基対合するヌクレオチドの相補的な逆平行配列を提供する。一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチドは、互いに完全に二重らせん化される2つの共有結合的に個別の核酸鎖を含む。しかし、一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチドは、部分的に二重らせん化され、例えば一方又は両方の末端にオーバーハングを有する2つの共有結合的に個別の核酸鎖を含む。一部の実施形態では、RNAiオリゴヌクレオチドは、部分的に相補的であるヌクレオチドの逆平行配列を含み、従って、1つ以上のミスマッチを有する可能性があり、これは、内部ミスマッチ又は末端ミスマッチを含み得る。
【0087】
本明細書で使用される用語「センス鎖」及び「パッセンジャー鎖」は、アンチセンス鎖の領域に実質的に相補的である領域を含むdsRNAの鎖を指す。アンチセンス鎖の領域に相補的であるセンス鎖の領域は、標的遺伝子(例えば、CFB遺伝子)の一部と少なくとも85%(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%及び100%)同一である。例えば、センス鎖は、配列番号12の一部と例えば少なくとも10~36ヌクレオチド、例えば10~31ヌクレオチド、10~26ヌクレオチド、10~20ヌクレオチド又は10~15ヌクレオチドにわたって少なくとも85%同一である領域を有し得る。
【0088】
「低分子干渉RNA」としても知られる「siRNA」及び「短い干渉RNA」という用語は、約10~50ヌクレオチド長のRNA剤、任意選択でRNAi剤を指し、これらの鎖は、例えば、1、2又は3つの突出した連結ヌクレオシドを含む突出末端を有し、これは、RNA干渉を指令又は媒介することができる。天然に存在するsiRNAは、細胞のRNAi機構(例えば、ダイサー又はそのホモログ)により、より長いdsRNA分子(例えば、>25連結ヌクレオシド長)から産生される。
【0089】
本明細書で使用される場合、用語「鎖」は、ヌクレオチド間結合(例えば、ホスホジエステル結合、ホスホロチオエート結合)を介して互いに連結されたヌクレオチドの単一の連続した配列を指す。一部の実施形態では、鎖は、2つの自由端、例えば5’末端及び3’末端を有する。
【0090】
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、例えば、実験、診断、予防及び/又は治療目的のために、本開示に従う組成物を投与することができる任意の生物を指す。典型的な対象は、任意の動物(例えば、哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類及びヒト)を含む。対象は、治療を求めているか若しくは治療が必要であるか、治療を必要としているか、治療を受けているか、将来治療を受ける予定であるか、又は特定の疾患若しくは状態について訓練を受けた専門家によって看護を受けているヒト又は動物であり得る。
【0091】
「糖」又は「糖部分」は、フラノース環を有する天然由来の糖を含む。糖は、ヌクレオシドのフラノース環を置換することができる構造として定義される「代替糖」も含む。特定の実施形態では、代替糖は、非フラノース(又は4’-置換フラノース)環若しくは環系又は開放系である。このような構造は、6員環などの天然のフラノース環に対する単純な変化を含むか、又はペプチド核酸に使用される非環系の場合のように、より複雑であり得る。代替糖は、フラノース環が別の環系、例えばモルホリノ又はヘキシトール環系で置換されている糖代替品も含み得る。モチーフを有するオリゴヌクレオチドの調製に有用な糖部分として、限定されないが、β-D-リボース、β-D-2’-デオキシリボース、置換糖(例えば2’、5’及びビス置換糖)、4’-S-糖(例えば4’-S-リボース、4’-S-2’-デオキシリボース及び4’-S-2’置換リボース)、二環式代替糖(例えば、2’-O-CH-4’又は2’-O-(CH-4’架橋リボース由来二環糖)及び糖代替品(例えば、リボース環がモルホリノ又はヘキシトール環系で置換されている場合など)が挙げられる。各位置で使用される複素環式塩基及びヌクレオシド間結合のタイプは様々であり、モチーフを決定する要因ではない。代替糖部分を有するほとんどのヌクレオシドでは、複素環式核酸塩基は、概して、ハイブリダイゼーションを可能にするように維持される。
【0092】
本明細書で使用される場合、「ステムループ」という用語は、一方が5’から3’方向に読み取られ、他方が3’から5’方向に読み取られるとき、2つの領域が相補的なヌクレオチド配列を有すると共に、上記2つの領域間のヌクレオチドが不対ループを形成する、オリゴヌクレオチドの領域を指す。ステムループ領域は、ヘアピン又はヘアピンループと呼ばれることもある。
【0093】
本明細書で使用される場合、「鎖」という用語は、連結されたヌクレオシドの鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。「核酸塩基配列を含む鎖」とは、標準的な核酸塩基命名法を用いて称される配列により表される連結ヌクレオシドの鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。
【0094】
本明細書で使用される場合、「合成」という用語は、人工的に合成された(例えば、機械(例えば、固体核酸合成装置)を用いて)又はそれ以外では、通常、分子を産生する天然源(例えば、細胞若しくは生物)に由来しない核酸又は他の分子を指す。
【0095】
本明細書で使用される場合、「標的」又は「ターゲティング」という用語は、CFB遺伝子又はCFB遺伝子産物をコードするCFB mRNAに特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドを指す。例えば、当業者に公知の(例えば、アンチセンス及びRNA干渉分野において)方法により、前記遺伝子又は前記mRNAを(例えば、その遺伝子又はmRNAによってコードされるタンパク質のレベルを低下させることにより)阻害することができるオリゴヌクレオチドを指す。
【0096】
本明細書で使用される場合、「ターゲティングリガンド」という用語は、目的の組織又は細胞の同族分子(例えば、受容体)に選択的に結合し、且つ他の物質を目的の組織又は細胞にターゲティングさせる目的で別の物質と共役可能な分子(例えば、炭水化物、アミノ糖、コレステロール、ポリペプチド若しくは脂質)を指す。例えば、いくつかの実施形態では、ターゲティングリガンドは、オリゴヌクレオチドを目的の特定の組織又は細胞にターゲティングさせる目的で、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを含むベクター(例えば、ウイルスベクター)と共役させることができる。一部の実施形態では、ターゲティングリガンドは、細胞表面受容体に選択的に結合する。従って、いくつかの実施形態では、ターゲティングリガンドをオリゴヌクレオチド又はベクターと共役させると、細胞の表面に発現される受容体への選択的結合及びオリゴヌクレオチド、ターゲティングリガンド及び受容体を含む複合体の細胞によるエンドソーム内在化により、特定の細胞内へのオリゴヌクレオチドの送達が容易になる。一部の実施形態では、ターゲティングリガンドは、オリゴヌクレオチドが細胞内のターゲティングリガンドから放出されるように、細胞内在化の後又は最中に切断されるリンカーを介してオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる。
【0097】
本明細書で使用される場合、用語「テトラループ」は、ヌクレオチドのフランキング配列のハイブリダイゼーションにより形成される隣接する二重らせんの安定性を高めるループを指す。安定性の増加は、無作為に選択されたヌクレオチド配列からなる同等長さの1組のループから平均して予想される隣接ステム二重らせんの融解温度(Tm)よりも高い隣接ステム二重らせんのTmの増加として検出可能である。例えば、テトラループは、10mM NaHPOでは、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも56℃、少なくとも58℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃又は少なくとも75℃の融解温度を、長さが少なくとも2塩基対の二重らせんを含むヘアピンに付与することができる。一部の実施形態では、テトラループは、スタッキング相互作用によって隣接するステム二重らせん中の塩基対を安定化し得る。さらに、テトラループ中のヌクレオチド間の相互作用として、限定されないが、非ワトソン・クリック塩基対形成、スタッキング相互作用、水素結合及び接触相互作用が挙げられる(Cheong et al.,Nature 1990 Aug.16;346(6285):680-2;Heus and Pardi,Science 1991 Jul.12;253(5016):191-4)。一部の実施形態では、テトラループは、3~6ヌクレオチドを含むか、又はそれらから構成され、典型的には、4~5ヌクレオチドである。特定の実施形態では、テトラループは、3つ、4つ、5つ又は6つのヌクレオチドを含むか又はそれらから構成されるが、これらは、修飾されても又はされなくてもよい(例えば、ターゲティング部分と共役されても又はされなくてもよい)。一実施形態では、テトラループは、4つのヌクレオチドからなる。任意のヌクレオチドをテトラループに使用し得、そのようなヌクレオチドの標準的なIUPAC-IUB記号は、Cornish-Bowden(1985)Nucl.Acids Res.13:3021-3030に記載されているように使用され得る。例えば、文字「N」は、任意の塩基がその位置にあり得ることを意味するために使用され得、文字「R」は、A(アデニン)又はG(グアニン)がその位置にあり得ることを示すために使用され得、「B」は、C(シトシン)、G(グアニン)又はT(チミン)がその位置にあり得ることを示すために使用され得る。テトラループの例には、テトラループのUNCGファミリー(例えば、UUCG)、テトラループのGNRAファミリー(例えば、GAAA)及びCUUGテトラループが含まれる。(Woese et al.,Proc Natl Acad Sci USA.1990 November;87(21):8467-71;Antao et al.,Nucleic Acids Res.1991 Nov.11;19(21):5901-5)。DNAテトラループの例には、テトラループのd(GNNA)ファミリー(例えば、d(GTTA)、テトラループのd(GNRA))ファミリー、テトラループのd(GNAB)ファミリー、テトラループのd(CNNG)ファミリー及びテトラループのd(TNCG)ファミリー(例えば、d(TTCG))が含まれる。例えば、以下を参照されたい:Nakano et al.Biochemistry,41(48),14281-14292,2002.SHINJI et al.Nippon Kagakkai Koen Yokoshu VOL.78th;NO.2;pg.731(2000)(それらの関連する開示のために参照により本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、テトラループは、ニックテトラループ構造内に含まれる。
【0098】
「治療有効量」又は「予防有効量」とは、所望の局所又は全身効果(例えば、補体経路活性化又は調節不全に起因する疾患の1つ以上の症状の治療)を生み出す量(単回又は複数回用量のいずれかで投与される)の開示のオリゴヌクレオチド組成物(例えば、dsRNAなどのRNAiオリゴヌクレオチド)を指す。本開示の方法に使用されるオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、そのような治療に適用可能な適正な利益/リスク比を生み出すのに十分な量で投与され得る。
【0099】
本明細書で使用される場合、用語「治療する」は、既存の状態(例えば、疾患、障害)に関して対象の健康及び/若しくはウェルビーイングを改善する目的又は状態の発生の可能性を予防又は低減する目的で、例えば対象への治療薬(例えば、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド)の投与による、それを必要とする対象に医療を提供する行為を指す。一部の実施形態では、治療は、対象が経験する状態(例えば、疾患、障害)の少なくとも1つの徴候、症状若しくは寄与因子の頻度又は重症度を低減することを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の核酸又はRNAiオリゴヌクレオチド剤(例えば、dsRNA)を用いて、補体経路の障害の細胞的及び臨床的症状(例えば、CFBの活性化又は調節不全によって引き起こされる障害)を制御する。
【0100】
詳細な説明
本明細書には、代替補体経路活性化に特定の役割を果たすことが知られている補体因子B(CFB)をターゲティングする、センス鎖及びアンチセンス鎖オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)並びにその薬学的に許容される塩が記載される。オリゴヌクレオチドを投与して、細胞(例えば、肝細胞)又は対象(例えば、ヒト)におけるCFBのレベル及び/又は活性を低下させることができる)。例えば、オリゴヌクレオチドは、インビボで投与することができ、細胞によって(例えば、肝細胞;例えば、シアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に結合することによって)内在化され得る。細胞の内在化の後、オリゴヌクレオチドはRNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)に結合されて、CFB mRNAをターゲティングし、それによってCFB mRNAの分解を開始し、その翻訳を阻止することができる。
【0101】
代替補体調節不全によって媒介される疾患は、多くの場合、補体の過活動の結果である。本明細書には、CFBの発現及び/又は活性レベルを低下させる本明細書に記載のオリゴヌクレオチドの投与により、補体経路活性化又は調節不全によって媒介されるか若しくはそれに関連する疾患を治療する方法が記載される。本明細書に記載のオリゴヌクレオチド及び組成物により治療することができる、補体経路活性化によって媒介されるか又はそれに関連する障害の例としては、例えば、以下のものが挙げられる:皮膚障害、神経学的障害、腎臓学的障害、アキュートケア、リウマチ性障害、肺障害、皮膚科学的障害、血液学的障害及び眼科障害、例えば発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、C3糸球体症(C3G)、免疫グロブリンA腎症(IgAN)、原発性MNを含む膜性腎症(MN)、大腸菌(E.coli)誘発性又は定型溶血性尿毒症症候群(HUS)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、加齢黄斑変性、地図状萎縮、糖尿病網膜症、ぶどう膜炎、中間部ぶどう膜炎、ベーチェットぶどう膜炎、網膜色素変性症、黄斑浮腫、多巣性脈絡膜炎、フォークト-小柳-原田症候群、散弾状脈絡膜網膜症、交感性眼炎、眼瘢痕性類天疱、眼類天疱瘡、非関節炎性虚血性視神経症、術後炎症、網膜静脈閉塞症、神経障害、多発性硬化症、脳卒中、ギラン・バレー症候群、外傷性脳損傷、パーキンソン病、血液透析合併症、超急性移植片拒絶反応、異種移植片拒絶反応、IL-2治療中のインターロイキン-2誘発毒性、炎症性疾患、自己免疫疾患の炎症、クローン病、成人呼吸窮迫症候群、心筋炎、虚血再灌流後の状態、心筋梗塞、バルーン血管形成術、心肺バイパス又は腎バイパスにおけるポンプ後症候群、アテローム性動脈硬化症、血液透析、腎虚血、大動脈再建後の腸間膜動脈再灌流、感染症又は敗血症、免疫複合体障害及び自己免疫疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、SLE腎炎、増殖性腎炎、肝線維症、溶血性貧血、重症筋無力症、組織再生、神経再生、呼吸困難、喀血、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、肺塞栓症及び肺梗塞、肺炎、線維性粉塵疾患、肺線維症、アレルギー、気管支収縮、過敏性肺炎、寄生虫疾患、グッドパスチャー症候群、肺血管炎、微量免疫型血管炎、免疫複合体関連炎症、抗リン脂質症候群、糸球体腎炎、肥満、関節炎、自己免疫性心疾患、炎症性腸疾患、虚血再灌流障害、バラケル-サイモンズ症候群、血液透析、抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎、クリオグロブリン血症、乾癬、移植、アルツハイマー病及び他の神経変性状態などの中枢神経系疾患、濃厚沈着症、水疱性皮膚疾患、膜増殖性糸球体腎炎II型(MPGN II)、慢性移植片対宿主病、フェルティ症候群、壊疽性膿皮症(PG)、化膿性汗腺炎(HS)、肺動脈性肺高血圧症、原発性シェーグレン症候群、原発性胆汁性胆管炎、常染色体優性多発性嚢胞腎並びにミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質抗体疾患(MOGAD)。
【0102】
本明細書に記載される組成物及び方法は、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)及びその薬学的に許容される塩(例えば、そのナトリウム塩)を特徴とし、これは、CFB遺伝子(例えば、ヒトCFB遺伝子)の領域に対して実質的な配列同一性を有するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む。
【0103】
オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)を用いて、例えばそれを必要とする対象(例えば、ヒト)の細胞などの細胞(例えば、肝細胞)中のCFBのレベル及び/又は活性を低下させることにより、補体経路活性を調節することができる。オリゴヌクレオチド剤は、補体経路のCFBをターゲティングし、代替経路、古典経路及びレクチン経路の他の経路の活性化(保護)をインタクトなまま残す。従って、本開示は、補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患又は障害(例えば、CFBの活性化又は調節不全によって媒介される疾患又は障害)を治療するための組成物及び方法を特徴とする。
【0104】
補体因子B標的配列
治療利益を達成するために使用することができるCFB発現のオリゴヌクレオチドベースの阻害剤が本明細書で提供される。CFB mRNAの検査(例えば、実施例1を参照されたい)並びにインビトロ及びインビボ試験から、CFB mRNAの配列は、オリゴヌクレオチドベースの阻害を受けやすいため、ターゲティング配列として有用であることが見出された。例えば、CFB標的配列は、参照配列NM_001710.6(配列番号12)を有するホモサピエンス(Homo sapiens)補体因子Bのヌクレオチド1827~1845及び489~507にそれぞれ対応する配列番号13又は14のいずれかに記載の配列を含み得るか又はそれらから構成され得る。これらのCFB配列は、それぞれ化合物A及び化合物Bの標的配列並びにそれらに対して最大85%の配列同一性を有する本明細書に記載のそれらの変異体であり得る。化合物A及びB(並びに本明細書に記載されるそれらの変異体)は、参照配列XM_015122636.2を有するアカゲザル(Rhesus macaque)CFBも有効にターゲティングし得る。さらに、CFB標的配列は、化合物J(例えば、配列番号15のセンス配列と配列番号16のアンチセンス配列を有するRNAiオリゴヌクレオチド)の標的である、参照配列NM_008198.2(配列番号32)を有するハツカネズミ(mus musculus)補体因子Bのヌクレオチド770~789に対応する配列番号31に記載される配列を含み得るか又はそれらから構成され得る。化合物Jは、参照配列NM_212466.3を有するドブネズミ(Rattus norvegicus)補体CFBもターゲティングし得る。CFB mRNAのこれらの領域は、CFB mRNA発現及びその後のCFBタンパク質発現を阻害する目的で、本明細書に記載されるdsRNA剤などのオリゴヌクレオチドを用いてターゲティングすることができる。
【0105】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)剤のアンチセンス鎖は、細胞内のmRNAをターゲティングして、その発現を阻害する目的で、CFB mRNAに対して相補性の領域を有するように(例えば、CFB mRNAの標的配列内に)設計することができる。相補性の領域は、一般に、その転写を阻害する目的でCFB mRNAに対するオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)又はその鎖のアニーリングを促進するのに適切な長さ及び塩基含有量を有するものである。相補性の領域は、少なくとも11、例えば少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19又は少なくとも20ヌクレオチド長であり得る。例えば、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、12~30(例えば、12~30、12~22、15~25、17~21、18~27、19~27又は15~30)ヌクレオチド長の範囲にあるCFB mRNAに対する相補性の領域を有し得る。従って、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30ヌクレオチド長であるCFBに対する相補性の領域を有し得る。一部の例では、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、19ヌクレオチド長のCFB mRNAに対して相補性の領域を有し得る。
【0106】
特定の例では、本開示のオリゴヌクレオチド剤は、配列番号12に記載される配列に対して少なくとも部分的に相補的な相補性の領域を(例えば、RNAiオリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖上に)含み得る。例えば、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、配列番号12に記載される配列に対して完全に相補的な相補性の領域を(例えば、RNAiオリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖上に)含み得る。(例えば、RNAiオリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖上の)オリゴヌクレオチドの相補性の領域は、配列番号12に記載される配列のヌクレオチドの連続配列に対して相補的であり得、上記配列は、12~20ヌクレオチド(例えば、12~20、12~18、12~16、12~14、14~20、14~18、14~16、16~20、16~18又は18~20)長の範囲である。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの相補性の領域(例えば、RNAiオリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖上の)は、19ヌクレオチド長である配列番号12に記載の配列の連続したヌクレオチドの配列に対して相補的であり得る。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの相補性の領域(例えば、RNAiオリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖)は、20ヌクレオチド長である配列番号12に記載の配列の連続したヌクレオチドの配列に相補的であり得る。
【0107】
配列番号12に記載の配列の連続したヌクレオチドに相補的であるオリゴヌクレオチドの相補性の領域は、アンチセンス鎖の全長の一部に及び得る。例えば、配列番号12に記載される配列の連続したヌクレオチドに相補的であるオリゴヌクレオチドの相補性の領域は、アンチセンス鎖の全長の少なくとも85%(例えば、少なくとも86%、少なくとも90%、少なくとも95%及び少なくとも99%)に及び得る。特定の実施形態では、配列番号12に記載される連続したヌクレオチドに相補的であるオリゴヌクレオチドの相補性の領域は、アンチセンス鎖の全長に及び得る。
【0108】
CFB mRNAに対する相補性の領域は、CFB mRNAの対応する配列と比較して1つ以上のミスマッチを有し得る。例えば、オリゴヌクレオチド上の相補性の領域(例えば、20~50ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド、例えば20~25ヌクレオチド長(例えば、22ヌクレオチド長)のオリゴヌクレオチドは、適切なハイブリダイゼーション条件下で、CFB mRNAと相補的な塩基対を形成する能力を維持する限り、最大1つ、最大2つ、最大3つ、最大4つ又は最大5つのミスマッチを有し得る。代わりに、オリゴヌクレオチドの相補性の領域は、適切なハイブリダイゼーション条件下でCFB mRNAと相補的な塩基対を形成する能力を維持する限り、1以下、2以下、3以下、4以下又は5以下のミスマッチを有し得る。相補性領域に複数のミスマッチがある場合、オリゴヌクレオチドが適切なハイブリダイゼーション条件下でCFB mRNAと相補的な塩基対を形成する能力を維持する限り、ミスマッチは連続して(例えば、2、3、4又は5つ連続して)配置されるか又は相補性の領域全体に散在し得る。例えば、オリゴヌクレオチド剤は、配列番号4の配列を有するセンスオリゴヌクレオチドと、配列番号12の対応するCFB配列に対して最大1、2、3、4若しくは5つのミスマッチを有するその変異体又は配列番号6の対応するアンチセンス配列と、配列番号4の配列に対して1、2、3、4若しくは5個のミスマッチを有するその変異体を含み得る。
【0109】
オリゴヌクレオチドの種類
本開示の方法では、CFBをターゲティングするのに有用なオリゴヌクレオチドの様々な構造があり、RNAi、アンチセンスmiRNA、shRNAなどが挙げられる。本明細書又は他の箇所に記載される構造のいずれかは、本明細書に記載される配列(例えば、配列番号13及び14のものなど、CFBのホットスポット配列)を組み込むか、又はターゲティングするためのフレームワークとして使用され得る。
【0110】
オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)である、本明細書に記載の組成物は、CFB mRNA(例えば、配列番号12)をターゲティングする阻害性構築物(例えば、それをコードする核酸ベクター)をコードする。CFB発現の発現を低減するためのオリゴヌクレオチドは、ダイサー関与の上流又は下流でRNA干渉(RNAi)経路に参加することができる。例えば、長さが19~25ヌクレオチドで、1~5ヌクレオチドの3’オーバーハングを有するセンス又はアンチセンス鎖の少なくとも1つを含むオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)が開発されている(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,372,968号明細書を参照されたい)。ダイサーによりプロセシングされて、活性RNAi産物を産生する、より長いオリゴヌクレオチドも開発されている(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,883,996号明細書を参照されたい)。さらに、伸長オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)も生成されており、アンチセンス鎖及びセンス鎖のいずれか一方又は両方の5’末端若しくは3’末端のいずれか一方又は両方は、センス鎖又はアンチセンス鎖のいずれかが熱力学的安定化テトラループ構造を含むように、二重らせんターゲティング領域を超えて伸長されている(例えば、これらのオリゴヌクレオチドの開示について本明細書に参照として組み込まれる米国特許第8,513,207号明細書及び同第8,927,705号明細書並びに国際公開第2010033225号パンフレットを参照されたい)。そうした構造は、分子の5’及び3’末端の一方又は両方における一本鎖伸長並びにRNAi伸長を含み得る。
【0111】
加えて又は代わり、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、ダイサー関与の下流、即ちダイサーによる切断後にRNA干渉経路に参加するように設計され得る。このようなオリゴヌクレオチドは、センス鎖の3’末端に1、2又は3ヌクレオチドを含むオーバーハングを有し得る。こうしたオリゴヌクレオチド、例えばsiRNAは、標的RNAに対するアンチセンスである22ヌクレオチドガイド鎖(例えば、配列番号13及び14)並びに相補的パッセンジャー鎖を含み得、そこでは、両方の鎖がアニーリングして、20bpの二重らせんと、一方又は両方の3’末端に2ヌクレオチドのオーバーハングを形成する。23ヌクレオチドのガイド鎖及び21ヌクレオチドのパッセンジャー鎖を有するオリゴヌクレオチドを含む、より長いオリゴヌクレオチド設計も利用可能であり、パッセンジャー鎖の3’末端とガイド鎖の5’末端に平滑末端があり、またパッセンジャー鎖の5’末端及びガイド鎖の3’末端の分子の左側に2ヌクレオチドの3’ガイド鎖オーバーハングがある。このような分子には、21塩基対の二重らせん領域が存在する(より長いオリゴヌクレオチドに関するそれらの開示について本明細書に参照として組み込まれる、米国特許第9,012,138号明細書、同第9,012,621号明細書及び同第9,193,753号明細書を参照されたい)。
【0112】
本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、いずれも17~26(例えば、17~26、20~25又は21~23)ヌクレオチド長であるセンス及びアンチセンス鎖を含み得る。例えば、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、いずれも19~22ヌクレオチド長であるセンス及びアンチセンス鎖を含み得る。センス鎖及びアンチセンス鎖は、長さが同じでもあり得る。代わりに、オリゴヌクレオチドは、センス若しくはアンチセンス鎖のいずれか又はセンス及びアンチセンス鎖の両方に3’-オーバーハングが存在するようなセンス及びアンチセンス鎖を含み得る。例えば、センス鎖、アンチセンス鎖又はセンス及びアンチセンス鎖の両方の3’オーバーハングは、1又は2ヌクレオチド長であり得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、22ヌクレオチドのアンチセンス鎖と20ヌクレオチドのセンス鎖を有し、分子の「右側」(即ちパッセンジャー鎖の3’末端及びガイド鎖の5’末端)に平滑末端があり、且つ分子の「左側」(即ちパッセンジャー鎖の5’端及びガイド鎖の3’端)に2ヌクレオチド3’-ガイド鎖オーバーハングがある。こうした分子には、例えば、20塩基対の二重らせん領域が存在し得る。
【0113】
本明細書に開示される組成物及び方法と共に使用するための他のオリゴヌクレオチド設計としては、以下のものが挙げられる:例えば、16-mer siRNA(例えば、Nucleic Acids in Chemistry and Biology.Blackburn(ed.),Royal Society of Chemistry,2006を参照されたい)、shRNA(例えば、19bp以下のステムを有する;例えば、Moore et al.Methods Mol.Biol.2010;629:141-158を参照されたい)、平滑末端(blunt)siRNA(例えば、19bp長の;例えば、Kraynack and Baker,RNA Vol.12,p163-176(2006)を参照されたい)、非対称siRNA(aiRNA;例えば、Sun et al.,Nat.Biotechnol.26,1379-1382(2008)を参照されたい)、非対称の短い二重らせんsiRNA(例えば、Chang et al.,Mol Ther.2009 Apr;17(4):725-32を参照されたい)、フォークsiRNA(例えば、Hohjoh,FEBS Letters,Vol 557,issue 1-3;Jan 2004,p 193-198)、一本鎖siRNA(Elsner;Nature Biotechnology 30,1063(2012))、ダンベル型環状siRNA(例えば、Abe et al.J Am Chem Soc 129:15108-15109(2007)を参照されたい)並びに内部セグメント化低分子干渉RNA(siRNA;例えば、Bramsen et al.,Nucleic Acids Res.2007 Sep;35(17):5886-5897を参照されたい)。前述の参考文献の各々は、その中の関連する開示についてその全体が参照により組み込まれる。CFBの発現を低減又は阻害するために一部の実施形態で使用され得るオリゴヌクレオチド構造のさらなる非限定的な例は、マイクロRNA(miRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)及び低分子siRNAである(Hamilton et al.,Embo J.,2002,21(17):4671-4679を参照されたく;米国特許出願公開第2009/0099115号明細書も参照されたい)。
【0114】
オリゴヌクレオチド
RNAi経路を介してCFB発現をターゲティングするためのオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、一般に、互いに二重らせんを形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を有する。オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、一本鎖又は二本鎖リボ核酸(dsRNA)であり得る。さらに、センス鎖及びアンチセンス鎖は、共有結合で連結されていなくてもよく;例えば、オリゴヌクレオチドは、センス鎖とアンチセンス鎖との間に切れ目(ニック)があり得る。オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、薬学的に許容される塩の形態であり得る。例えば、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、ナトリウム塩の形態であり得る。
【0115】
前述のオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)配列は、細胞内で合成され得るRNA配列として表されるが;これらの配列は、本開示のベクターに組み込むことができる対応するDNA(例えば、cDNA)として表すこともできる。当業者は、cDNA配列がチミジンによるウリジンの置換を除いてmRNA配列と同等であり、本明細書で同じ目的、即ちCFB mRNAの発現を阻害するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの生成に使用することができることを理解するであろう。DNAの場合、アンチセンス核酸を含むポリヌクレオチドは、DNA配列である。DNA配列は、化合物A又は化合物Bのアンチセンス鎖に対応するものであり得、それぞれ配列番号34若しくは配列番号36のポリヌクレオチド配列を有し得るか又はそれらに対して少なくとも85%以上の配列同一性を有するものであり得る。DNA配列は、化合物A又は化合物Bのセンス鎖に対応し得、それぞれ配列番号33若しくは配列番号35のポリヌクレオチド配列を有し得るか又はそれらに対して少なくとも85%以上の配列同一性を有するものであり得る。RNAベクターの場合、導入遺伝子カセットは、本明細書に記載されるアンチセンスDNA配列のRNA同等物を組み込む。
【0116】
特定の実施形態では、センス鎖は、配列番号4又は配列番号5に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%及び少なくとも99%)の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド配列を含み得る。例えば、センス鎖は、化合物Bの場合と同様に、配列番号4のオリゴヌクレオチド配列を含み得る。他の実施形態では、センス鎖は、配列番号1又は配列番号2に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%及び少なくとも99%)の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド配列を含み得る。例えば、センス鎖は、化合物Aの場合と同様に、配列番号1のオリゴヌクレオチド配列を含み得る。
【0117】
一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号6に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%及び少なくとも99%)の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド配列を含み得る。他の実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号3に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%及び少なくとも99%)の配列同一性を有する。例えば、アンチセンス鎖は、化合物Bの場合のように、配列番号6のオリゴヌクレオチド配列を含み得、及び/又はアンチセンス鎖は、化合物Aの場合のように、配列番号3のオリゴヌクレオチド配列を含み得る。
【0118】
さらに、センス鎖は、配列番号4又は配列番号5に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%及び少なくとも99%)の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド配列を含み得、アンチセンス鎖は、配列番号6に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%及び少なくとも99%)の配列同一性を有する。オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、化合物Bについて図2Cに示すように、配列番号4又は配列番号5のオリゴヌクレオチド配列を含むセンス鎖と、配列番号6のオリゴヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖とを含み得る。
【0119】
加えて、センス鎖は、配列番号1又は配列番号2に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%及び少なくとも99%)の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド配列を含み得、アンチセンス鎖は、配列番号3に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%及び少なくとも99%)の配列同一性を有する。さらに、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、化合物Aについて図1Cに示すように、配列番号1又は配列番号2のオリゴヌクレオチド配列を含むセンス鎖と、配列番号3のオリゴヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖とを含み得る。
【0120】
さらに、センス鎖は、配列番号37のオリゴヌクレオチド配列を含み得、アンチセンス鎖は、以下に示すような配列番号38のオリゴヌクレオチド配列を含み得る。
センス鎖(配列番号37):
5’mA-S-mC-mA-mA-mU-mG-mU-fG-fA-fG-fU-mG-mA-mU-mG-mA-mG-mA-mU-mA-mG-mC-mA-mG-mC-mC-mG-[ademA-GalNAc]-[ademA-GalNAc]-[ademA-GalNAc]-mG-mG-mC-mU-mG-mC 3’
とハイブリダイズした:
アンチセンス鎖(配列番号38):
5’[MePhosphonate-4O-mU]-S-fA-S-fU-fC-fU-mC-fA-mU-mC-fA-mC-mU-mC-fA-mC-mA-mU-mU-mG-mU-S-mG-S-mG 3’
(mXは、2’-O-メチルリボヌクレオチドであり、fXは、2’-フルオロ-デオキシリボヌクレオチドであり、[ademA-GalNAc]は、2’-O-GalNAc修飾アデノシンであり、[Mephosphonate-4O-mU]は、4’-O-モノメチルホスホネート-2’-O-メチルウリジンであり、「-」は、ホスホジエステル結合を示し、「-S-」は、図2D、2E-1及び2E-2に示すように、ホスホロチオエート結合を示す。一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号38の薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウム塩)であり得る。一部の実施形態では、センス鎖は、配列番号37の薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウム塩)であり得る。
【0121】
センス鎖は、配列番号15に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%及び少なくとも99%)の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド配列を含み得、アンチセンス鎖は、配列番号16に対して少なくとも85%(例えば、少なくとも87%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%及び少なくとも99%)の配列同一性を有するオリゴヌクレオチド配列を含み得る。例えば、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、化合物Jについて示されるように、配列番号15のオリゴヌクレオチド配列を含むセンス鎖と、配列番号16のオリゴヌクレオチド配列を含むセンス鎖とを含み得る。センス鎖及びアンチセンス鎖の例については、表1を参照されたい。
【0122】
【表1】
【0123】
オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、センス鎖とアンチセンス鎖との間に二重らせん領域を含む。センス鎖とアンチセンス鎖との間に形成される二重らせんは、10~30ヌクレオチド長(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29及び30ヌクレオチド長)であり得る。従って、センス鎖とアンチセンス鎖との間に形成される二重らせんは、15~25ヌクレオチド長(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24及び25ヌクレオチド長)であり得る。一部の実施形態では、二重らせん領域は、20ヌクレオチド長であり得る。
【0124】
アンチセンス鎖と二重らせんを形成するセンス鎖上の領域は、配列番号2及び5のいずれかのオリゴヌクレオチド配列と少なくとも85%同一(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれを超える)であるヌクレオチド配列を有し得る。例えば、アンチセンス鎖と二重らせんを形成するセンス鎖上の領域は、配列番号2及び5のいずれかのオリゴヌクレオチド配列を有し得る。
【0125】
さらに、センス鎖とアンチセンス鎖との間に形成される二重らせんは、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の全長に及んでいなくてもよい。
【0126】
オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、22ヌクレオチドより長いセンス鎖(例えば、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40ヌクレオチド長)、例えば36ヌクレオチドセンス鎖と、18~36ヌクレオチド長のアンチセンス鎖、例えば22ヌクレオチドアンチセンス鎖とを含み得る。オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、ダイサー酵素により作用されると、その結果、成熟RISCに組み込まれたアンチセンス鎖が得られるような長さを有する。
【0127】
本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、一方の5’末端が他方の5’末端と比較して熱力学的に安定性が低いものを有し得る。本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、センス鎖の3’末端における平滑末端と、アンチセンス鎖の3’末端におけるオーバーハングを含む非対称オリゴヌクレオチドであり得る。アンチセンス鎖上の3’オーバーハングは、1~8ヌクレオチド長(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8ヌクレオチド長)であり得る。例えば、アンチセンス鎖上の3’オーバーハングは、2ヌクレオチド長であり得る。典型的には、RNAiのためのオリゴヌクレオチドは、アンチセンス、ガイド、鎖の3’末端に2ヌクレオチドオーバーハングを有する。しかし、他のオーバーハングも可能である。他の実施形態では、3’オーバーハングは、1~6ヌクレオチド、任意選択で1~5、1~4、1~3、1~2、2~6、2~5、2~4、2~3、3~6、3~5、3~4、4~6、4~5、3~5、5~6ヌクレオチド又は1、2、3、4、5若しくは6ヌクレオチドの長さを有し得る。いくつかの例では、オリゴヌクレオチドは、5’末端にオーバーハングを有し得る。オーバーハングは、1~6ヌクレオチド、任意選択で1~5、1~4、1~3、1~2、2~6、2~5、2~4、2~3、3~6、3~5、3~4、4~6、4~6、4~5、3~4、4~6、4~5、5~6ヌクレオチド又は1、2、3、4、5若しくは6ヌクレオチドの長さを含む5’オーバーハングであり得る。
【0128】
アンチセンス鎖の3’末端にある2つの末端ヌクレオチドを修飾し得る。特定の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端にある2つの末端ヌクレオチドは、標的CFB mRNAと相補的であり得る。代わりに、アンチセンス鎖の3’末端にある2つの末端ヌクレオチドは、標的CFB mRNAと相補的でなくてもよい。一部の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端にある2つの末端ヌクレオチドは、GGであり得る。典型的には、オリゴヌクレオチドの各3’末端にある2つの末端GGヌクレオチドの一方又は両方は、標的と相補的ではない。
【0129】
センス鎖とアンチセンス鎖との間には、相補性に1つ以上(例えば、1、2、3、4、5)のミスマッチが存在し得る。センス鎖とアンチセンス鎖との間に2つ以上のミスマッチがある場合、それらは連続して(例えば、連続して2つ、3つ若しくはそれを超える)位置するか、又は相補性の領域全体に散在し得る。例えば、センス鎖の3’末端は、1つ以上のミスマッチを含み得る。従って、2つのミスマッチがセンス鎖の3’末端に組み込まれ得る。オリゴヌクレオチドのセンス鎖の3’末端におけるセグメントの塩基ミスマッチ又は不安定化は、恐らくダイサーによるプロセシングの促進により、RNAi中の合成二重らせんの効力を改善する可能性がある。
【0130】
一部の実施形態では、配列表に提示される配列は、オリゴヌクレオチド又は他の核酸の構造を表す上で参照され得ることを理解すべきである。そのような実施形態では、実際のオリゴヌクレオチド又は他の核酸は、1つ以上の代替ヌクレオチド(例えば、DNAヌクレオチドのRNA対応物若しくはRNAヌクレオチドのDNA対応物)並びに/或いは指定配列と本質的に同じ又は類似の相補的特性を保持しながら、指定配列と比較して、1つ以上の修飾ヌクレオチド及び/又は1つ以上の修飾ヌクレオチド間結合及び/又は1つ以上の他の修飾を有し得る。
【0131】
アンチセンス鎖
オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖は、ガイド鎖と呼ばれることもある。例えば、アンチセンス鎖がRNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)に関与して、アルゴノートタンパク質に結合するか、又は1つ以上の類似因子に関与若しくは結合して、標的遺伝子の直接サイレンシングを指令することができれば、それは、ガイド鎖と称され得る。
【0132】
特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、センス鎖よりもヌクレオチド長が少ない。いくつかの例では、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、10~40ヌクレオチド(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39及び40ヌクレオチド)長を含むアンチセンス鎖を有し得る。従って、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、15~30ヌクレオチド(例えば、15、16、17、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29及び30ヌクレオチド)長を含むアンチセンス鎖を有し得る。例えば、アンチセンス鎖は、20~25ヌクレオチド(例えば、20、21、22、23、24及び25ヌクレオチド)長を含み得る。特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、22ヌクレオチド長であり得る。
【0133】
本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、配列番号12の配列に相補的である長さの12~22ヌクレオチド(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21及び22ヌクレオチド)間の連続配列を含むアンチセンス鎖を含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、配列番号12の配列に相補的である長さの15~21ヌクレオチド(例えば、15、16、17、18、19、20及び21ヌクレオチド)の連続配列を含むアンチセンス鎖を含み得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、配列番号12の配列に相補的である19ヌクレオチド長の連続配列を有するアンチセンス鎖を含み得る。
【0134】
本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、配列番号3又は6のいずれかの配列を有するアンチセンス鎖を含み得る。例えば、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、図2Cに示される化合物Bのように、配列番号6のアミノ酸配列を有するアンチセンス鎖を含み得る。一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号6の薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウム塩)であり得る。配列番号6は、図2Bに示すような化学構造を有し得る。代わりに、アンチセンス鎖は、図1Cに示される化合物Aのように、配列番号3の配列を有し得る。一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、配列番号3の薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウム塩)であり得る。
【0135】
加えて、アンチセンス鎖の5’末端の第1位はウリジンであり得る。ウリジンは、リン酸類似体を含み得;例えば、ウリジンは、4’-O-モノメチルホスホネート-2’-O-メチルウリジンであり得る。
【0136】
センス鎖
オリゴヌクレオチドのセンス鎖は、パッセンジャー鎖と呼ばれることもある。特定の実施形態では、パッセンジャー鎖は、ガイド鎖よりも長さでヌクレオチド数が多い。いくつかの例では、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、10~45ヌクレオチド(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44及び45ヌクレオチド)長を含むセンス鎖を有し得る。従って、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、20~50ヌクレオチド(例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49及び50ヌクレオチド)長を含むセンス鎖を有し得る。特定の実施形態では、センス鎖は、20ヌクレオチド長であり得る。他の実施形態では、センス鎖は、36ヌクレオチド長であり得る。
【0137】
オリゴヌクレオチドは、配列番号12の配列に対して7~36ヌクレオチド長(例えば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35及び36ヌクレオチド長)の連続配列を含むセンス鎖を有し得る。従って、センス鎖は、配列番号12の配列に対して10~30ヌクレオチド長(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29及び30ヌクレオチド長)の連続配列を含み得る。一部の実施形態では、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、配列番号12の配列に対して連続したヌクレオチドの配列を含むセンス鎖を含み得、これは、19ヌクレオチド長である。
【0138】
センス鎖は、その3’末端にステムループを含み得る。一部の実施形態では、センス鎖は、その5’末端にステムループを含む。ステムループを含むセンス鎖は、10~50ヌクレオチド長(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49及び50ヌクレオチド長)であり得る。従って、ステムループを含むセンス鎖は、20~40ヌクレオチド長(例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39及び40ヌクレオチド長)であり得る。例えば、ステムループを含むセンス鎖は、36ヌクレオチド長であり得る。
【0139】
さらに、センス鎖上のステムループ領域は、それ自体と二重らせん領域を形成し得る。ステムループに含まれる二重らせん領域は、長さが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14ヌクレオチド長であり得る。例えば、ステムループに含まれる二重らせん領域は、6ヌクレオチド長であり得る。ステムループは、オリゴヌクレオチド剤に分解(酵素分解など)に対する保護を賦与することができ、標的細胞への送達のためのターゲティング特性を促進し得る。例えば、ループは、オリゴヌクレオチドの遺伝子発現阻害活性に実質的に影響を与えることなく改変を行うことができる付加ヌクレオチドを提供し得る。特定の実施形態では、センス鎖が(例えば、その3’末端で)S-L-Sとして記載されるステムループを含む、オリゴヌクレオチドが本明細書に提供され、Sは、Sに対して相補的であり、Lは、SとSとの間の最大10ヌクレオチド長(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10ヌクレオチド長)のループを形成する。従って、SとSとの間のループは、本明細書に記載されるように、4ヌクレオチド長であり、テトラループを形成し得る。一部の実施形態では、S領域は、6ヌクレオチド長であり、S領域は、6ヌクレオチド長であり、L領域は、4ヌクレオチドテトラループである。
【0140】
オリゴヌクレオチドのセンス鎖(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、ステムループ領域と、アンチセンス鎖との二重らせんを形成する領域を含み得る。ステムループ領域は、配列番号7のオリゴヌクレオチド配列と少なくとも85%(例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上)同一であるヌクレオチド配列を含み得る。一部の実施形態では、ステムループ領域は、配列番号7のオリゴヌクレオチド配列を有する。
【0141】
ステムループのループ(L)は、テトラループであり得る(例えば、ニックテトラループ構造内)。ステムループのループは、GAAAの塩基配列を有し得る。テトラループは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド及びこれらの組合せを含み得る。典型的には、ステムループのループは、4~5ヌクレオチドを有する。しかし、一部の実施形態では、ステムループのループは、3~6ヌクレオチドを含み得る。例えば、ステムループのループは、3、4、5又は6ヌクレオチドを含み得る。ステムループのループは、グアノシンとアデノシン核酸残基の組合せを含み得る。
【0142】
本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、配列番号1、2、4及び5のいずれか1つのポリヌクレオチド配列を有するセンス鎖配列を含み得る。センス鎖は、図2Cに示される化合物Bのように、配列番号4の配列を有し得る。配列番号4は、図2Aに示すような化学構造を有し得る。一部の実施形態では、センス鎖は、配列番号4の薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウム塩)であり得る。代わりに、センス鎖は、図1Cに示される化合物Aのように、配列番号1の塩基配列を有し得る。配列番号1は、図1Aに示すような化学構造を有し得る。一部の実施形態では、センス鎖は、配列番号1の薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウム塩)であり得る。
【0143】
オリゴヌクレオチド修飾
オリゴヌクレオチドは、特異性、安定性、送達、バイオアベイラビリティ、ヌクレアーゼ分解からの耐性、免疫原性、塩基対形成特性、RNA分布及び細胞取込み並びに治療若しくは研究用途に関連する他の特徴を改善又は制御するために、様々な方法で修飾され得る(Bramsen et al.,Nucleic Acids Res.,2009,37,2867-2881;Bramsen et al.,Frontiers in Genetics,3(2012):1-22)。従って、一部の実施形態では、本開示のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の適切な修飾を含み得る。修飾ヌクレオチドは、その塩基又は核酸塩基、糖(例えば、リボース、デオキシリボース)又はリン酸基に修飾を有し得る。
【0144】
オリゴヌクレオチド上の修飾の数及びそれらのヌクレオチド修飾の位置は、オリゴヌクレオチドの特性に影響を及ぼし得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、脂質ナノ粒子(LNP)若しくは類似の担体にそれらを共役させるか又はそれらを包含することによってインビボで送達され得る。しかし、オリゴヌクレオチドがLNP又は類似の担体によって保護されていないとき、ヌクレオチドの少なくとも一部が修飾されることが有利である場合もある。従って、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドのいずれかの特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのヌクレオチドの全て又は実質的に全てが修飾されている。特定の実施形態では、ヌクレオチドの半分超が修飾されている。他の実施形態では、ヌクレオチドの半分未満が修飾されている。通常、直接送達の場合、全ての糖が2’位で修飾されている。これらの修飾は、可逆的又は不可逆的であり得る。本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、所望の特性(例えば、酵素分解からの保護、インビボ投与後に所望の細胞をターゲティングする能力及び/又は熱力学的安定性)をもたらすのに十分な数及びタイプの修飾ヌクレオチドを有し得る。
【0145】
糖修飾
本明細書では糖類似体とも呼ばれる修飾糖は、修飾されたデオキシリボース又はリボース部分を含み、糖の2’、3’、4’及び/又は5’炭素位置に1つ以上の修飾が存在する。修飾糖は、ロック核酸(「LNA」)(Koshkin et al.(1998),Tetrahedron 54,3607-3630を参照されたい)、アンロック核酸(「UNA」)(Snead et al.(2013),Molecular Therapy-Nucleic Acid,2,e103を参照されたい)及び架橋核酸(「BNA」)(Imanishi and Obika(2002),The Royal Society of Chemistry,Chem.Commun.,1653-1659を参照されたい)に存在するものなどの非天然代替炭素構造も含み得る。Koshkin et al.,Snead et al.,及びImanishi及びObikaは、糖修飾に関するそれらの開示について本明細書に参照として組み込まれる。
【0146】
糖でのヌクレオチド修飾は、2’-修飾を含み得る。2’-修飾は、2’-アミノエチル、2’-フルオロ、2’-O-メチル、2’-O-メトキシエチル及び2’-デオキシ-2’-フルオロ-β-d-アラビノ核酸であり得る。典型的には、修飾は、2’-フルオロ、2’-O-メチル又は2’-O-メトキシエチルである。一部の実施形態では、修飾は、2’-フルオロ及び/又は2’-O-メチルである。糖における修飾は、糖環の修飾を含み得、糖環の1つ以上の炭素の修飾を有し得る。例えば、ヌクレオチドの糖の修飾は、糖の1’-炭素若しくは4’-炭素に連結された糖の2’-酸素又はエチレン若しくはメチレン架橋を介して1’-炭素若しくは4’-炭素に連結された2’-酸素を含み得る。特定の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、2’-炭素-3’-炭素結合がない非環状糖を有し得る。一部の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、チオール基を例えば糖の4’位に有し得る。
【0147】
本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド(例えば、少なくとも1つ、少なくとも5つ、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60又はそれを超える)を含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドのセンス鎖は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド(例えば、少なくとも1つ、少なくとも5つ、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35又はそれを超える)を含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド(例えば、少なくとも1つ、少なくとも5つ、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20又はそれを超える)も含み得る。
【0148】
特定の実施形態では、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、20~50(例えば、20~30、24~30、28~30、30~40、34~40、38~44、44~50及び48~50)の修飾ヌクレオチドを含有し得る。
【0149】
オリゴヌクレオチドのセンス鎖の全てのヌクレオチドが修飾され得る。さらに、オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖の全てのヌクレオチドが修飾され得る。一部の実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方を含むオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)のヌクレオチドが全て修飾されている。修飾ヌクレオチドは、2’-修飾(例えば、2’-フルオロ又は2’-O-メチル)であり得る。ヌクレオチドに対する2’-修飾は、2’-フルオロ及び/又は2’-O-メチルであり得、任意選択で、2’-フルオロ修飾は、2’-フルオロデオキシリボヌクレオシドであり、且つ/又は2’-O-メチル修飾は、2’-O-メチルリボヌクレオシドである。
【0150】
本開示は、異なる修飾パターンを有するオリゴヌクレオチドを提供する。センス鎖及びアンチセンス鎖を含むオリゴヌクレオチドは、40~50(例えば、41、2、43、44、45、46、47、48及び49)の2’-O-メチル修飾を含み得る。修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1又は4のいずれかのヌクレオチド配列を有するセンス鎖と、配列番号3又は6のいずれかのヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖とを含み得る(例えば、オリゴヌクレオチド剤は、配列番号4のセンス鎖と配列番号6のアンチセンス鎖とを有し得るか、又はオリゴヌクレオチド剤は、配列番号1のセンス鎖と配列番号3のアンチセンス鎖を有し得る)。一部の実施形態では、これらのオリゴヌクレオチドの場合、センス鎖の1、2、3、4、5、6、7、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、31、32、33、34、35及び36位の1つ以上並びに/又はアンチセンス鎖の1、4、6、8、9、11、12、13、15、16、17、18、19、20、21及び22位の1つ以上が2’-O-メチル修飾ヌクレオシド、例えば2’-O-メチルリボヌクレオシドで修飾されている。一部の実施形態では、センス鎖の1、2、3、4、5、6、7、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、31、32、33、34、35及び36位の全て並びにアンチセンス鎖の1、4、6、8、9、11、12、13、15、16、17、18、19、20、21及び22位の全てが2’-O-メチル修飾ヌクレオシド、例えば2’-O-メチルリボヌクレオシドで修飾されている。他の実施形態では、センス鎖の1、2、4、5、6、7、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、31、32、33、34、35及び36位の1つ以上並びに/又はアンチセンス鎖の1、6、8、9、11、13、15、16、17、18、19、20、21及び22位の1つ以上が2’-O-メチル修飾ヌクレオシド、例えば2’-O-メチルリボヌクレオシドで修飾されている。特定の実施形態では、センス鎖の1、2、4、5、6、7、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、31、32、33、34、35及び36位の全て並びに/又はアンチセンス鎖の1、6、8、9、11、13、15、17、18、20、21及び22位の全てが2’-O-メチル修飾ヌクレオシド、例えば2’-O-メチルリボヌクレオシドで修飾されている。
【0151】
センス鎖及びアンチセンス鎖を含むオリゴヌクレオチドは、5~15(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13及び14)の2’-フルオロ修飾を有し得る。これらのオリゴヌクレオチドの場合、センス鎖の8、9、10及び11位の1つ以上並びに/又はアンチセンス鎖の2、3、4、5、7、10及び14位の1つ以上が2’-フルオロ修飾ヌクレオシドで修飾され得る。例えば、センス鎖の8、9、10及び11位の全て並びに/又はアンチセンス鎖の2、3、5、7、10及び14位の全てが2’-フルオロ修飾ヌクレオシドで修飾され得る。別の例では、センス鎖の8、9、10及び11位の全て並びに/又はアンチセンス鎖の2、3、4、5、7、10及び14位の全てが2’-フルオロ修飾ヌクレオシドで修飾され得る。
【0152】
配列番号4の配列を有するセンス鎖及び配列番号6の配列を有するアンチセンス鎖を含むオリゴヌクレオチドの場合、センス鎖の1~7位、12~27及び31~36位の1つ以上並びに/又はアンチセンス鎖の1、6、8、9、11~13及び15~22位の1つ以上が2’-O-メチル修飾ヌクレオシドで修飾され得る。さらに、センス鎖の1~7、12~27及び31~36位の全て並びに/又はアンチセンス鎖の1、6、8、9、11~13及び15~22位の全てが2’-O-メチル修飾ヌクレオシドで修飾され得る。配列番号4の配列を有するセンス鎖と、配列番号6の配列を有するアンチセンス鎖とを有するオリゴヌクレオチドの場合、センス鎖の8~11位の1つ以上並びにアンチセンス鎖の2、3、4、5、7、10及び14位の1つ以上が2’-フルオロ修飾ヌクレオシドで修飾され得る。従って、センス鎖の8~11位の全て及びアンチセンス鎖の2、3、4、5、7、10及び14位の全てが2’-フルオロ修飾ヌクレオシドで修飾され得る。
【0153】
例えば、配列番号4の配列を有するセンス鎖と、配列番号6の配列を有するアンチセンス鎖とを有するオリゴヌクレオチドの場合、センス鎖の1~7、12~27及び31~36位の全て並びに/又はアンチセンス鎖の1、6、8、9、11~13及び15~22位の全てが2’-O-メチル修飾ヌクレオシドで修飾され得;センス鎖の8~11位の全て並びにアンチセンス鎖の2、3、4、5、7、10及び14位の全ては、それぞれ図2A及び2Bに示さる2’-フルオロ修飾ヌクレオシドで修飾され得る。
【0154】
配列番号1の配列を有するセンス鎖と、配列番号3の配列を有するアンチセンス鎖を含むオリゴヌクレオチドの場合、センス鎖の1~7、12~27及び31~36位の1つ以上並びに/又はアンチセンス鎖の1、4、6、8、9、11~13及び15~22位の1つ以上は、2’-O-メチル修飾ヌクレオシドで修飾され得る。一部の実施形態では、センス鎖の1~7、12~27及び31~36位の全て並びにアンチセンス鎖の1、4、6、8、9、11~13及び15~22位の全てが2’-O-メチル修飾ヌクレオシドで修飾され得る。さらに、配列番号1の配列を有するセンス鎖と、配列番号3の配列を有するアンチセンス鎖とを含むオリゴヌクレオチドの場合、センス鎖の8~11位の1つ以上並びに/又はアンチセンス鎖の2、3、5、7、10及び14位の1つ以上は、2’-フルオロ修飾ヌクレオシドで修飾され得る。一部の実施形態では、センス鎖の8~11位の全て並びにアンチセンス鎖の2、3、5、7、10、12及び14位の全てが2’-フルオロ修飾ヌクレオシドで修飾されている。例えば、配列番号1配列を含むセンス鎖と、配列番号3の配列を有するアンチセンス鎖とを有するオリゴヌクレオチドの場合、センス鎖の1~7、12~27及び31~36位の全て並びにアンチセンス鎖の1、4、6、8、9、11~13及び15~22位の全てが2’-O-メチル修飾ヌクレオシドで修飾され得;センス鎖の8~11位の全て並びにアンチセンス鎖の2、3、5、7、10及び14位の全ては、それぞれ図1A及び1Bに示される2’-フルオロ修飾ヌクレオシドで修飾され得る。
【0155】
一部の実施形態では、末端3’末端基(例えば、3’-ヒドロキシル)は、リン酸基又は他の基で修飾され得、これは、例えば、リンカー、アダプター若しくは標識を結合するか又はオリゴヌクレオチドを別の核酸に直接ライゲーションするために使用することができる。
【0156】
5’末端リン酸塩
オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)の5’末端リン酸基は、アルゴノート2との相互作用を増強し得る。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、アンチセンス鎖の5’末端の1位にウリジンを含む。しかし、5’-リン酸基を有するオリゴヌクレオチドは、ホスファターゼ又は他の酵素による分解を受けやすく、インビボでのバイオアベイラビリティを制限する可能性がある。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、そのような分解に対して耐性である5’リン酸塩の類似体を含む。そのため、アンチセンス鎖の5’末端のウリジンは、リン酸類似体を含み得る。リン酸類似体は、オキシメチルホスホネート、ビニルホスホネート又はマロニルホスホネートであり得る。さらに、オリゴヌクレオチド鎖の5’末端は、天然5’-リン酸基の静電的性質及び立体特性を模倣する化学部分(「リン酸模倣物」)に結合し得る(Prakash et al.,Nucleic Acids Res.2015 Mar 31;43(6):2993-3011を参照されたく;リン酸類似体に関するその内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。5’末端に結合することができる多くのリン酸模倣体が開発されている(米国特許第8,927,513号明細書を参照されたく;リン酸塩類似体に関するその内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。オリゴヌクレオチドの5’末端について他の修飾が開発されている(国際公開第2011/133871号パンフレットを参照されたく;リン酸類似体に関するその内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。特定の実施形態では、ヒドロキシル基は、オリゴヌクレオチドの5’末端に結合し得る。
【0157】
オリゴヌクレオチドは、糖の4’-炭素位置にリン酸類似体を有し得、これは、「4’-リン酸類似体」と呼ばれる。例えば、国際公開第2018/045317号パンフレット(リン酸塩類似体に関するその内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、5’末端ヌクレオチドに4’-リン酸類似体を含み得る。一部の実施形態では、リン酸塩類似体は、オキシメチル基の酸素原子が糖部分に(例えば、その4’-炭素で)結合しているオキシメチルホスホネート又はその類似体である。他の実施形態では、4’-リン酸類似体は、チオメチルホスホネート又はアミノメチルホスホネートであり、チオメチル基の硫黄原子又はアミノメチル基の窒素原子が糖部分又はその類似体の4’-炭素に結合している。特定の実施形態では、4’-リン酸類似体は、オキシメチルホスホネートである。一部の実施形態では、オキシメチルホスホネートは、式-O-CH-PO(OH)又は-O-CH2-PO(OR)によって表され、Rは、H、CH、アルキル基、CHCHCN、CHOCOC(CH、CHOCHCHSi(CH又は保護基から独立して選択される。特定の実施形態では、アルキル基は、CHCHである。より典型的には、Rは、H、CH又はCHCHから独立して選択される。一部の実施形態では、Rは、CH3である。一部の実施形態では、4’-リン酸類似体は、5’-メトキシホスファネート-4’-オキシである。一部の実施形態では、4’-リン酸類似体は、4’-(メチルメトキシホスホネート)である。一部の実施形態では、リン酸類似体は、4’-O-モノメチルホスホネート類似体である。
【0158】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドに結合したリン酸塩類似体は、メトキシホスホネート(MOP)である。オリゴヌクレオチドに結合したリン酸類似体は、5’モノメチル保護MOPであり得る。一部の実施形態では、例えば、アンチセンス鎖の第1位に、リン酸類似体を含む以下のウリジンヌクレオチド:
【化5】
を使用し得、その修飾ヌクレオチドは、4’-O-モノメチルホスホネート-2’-O-メチルウリジン([MePhosphonate-4O-mU])又は5’-メトキシ,ホスホネート-4’オキシ-2’-O-メチルウリジン(5’-MeMOP)と呼ばれる。5’-メトキシ,ホスホネート-4’オキシ-2’-O-メチルウリジン(5’-MeMOP)は、アンチセンス鎖の5’末端側の最初のヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、配列番号3又は6のいずれかの5’末端側の第1ヌクレオチドは、5’-メトキシ,ホスホネート-4’オキシ-2’-O-メチルウリジンであり得る。
【0159】
修飾ヌクレオシド間結合
オリゴヌクレオチドにおけるリン酸修飾又は置換は、少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも5つ又は少なくとも6つ)の修飾ヌクレオチド間結合を含むオリゴヌクレオチドをもたらし得る。本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つは、1~10(例えば、1~10、2~8、4~6、3~10、5~10、1~5、1~3又は1~2)の修飾ヌクレオチド間結合を含み得る。例えば、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の修飾ヌクレオチド間結合を含み得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、5つの修飾ヌクレオチド間結合を含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドのセンス鎖は、1つの修飾ヌクレオチド間結合を含み得、アンチセンス鎖は、4つの修飾ヌクレオチド間結合を含み得る。
【0160】
修飾ヌクレオチド間結合は、ホスホロジチオエート結合、ホスホロチオエート結合、ホスホトリエステル結合、チオノアルキルホスホネート結合、チオンアルキルホスホトリエステル結合、ホスホロアミダイト結合、ホスホン酸結合又はボラノリン酸結合であり得る。本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つの修飾ヌクレオチド間結合は、ホスホロチオエート結合であり得る。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの全ての修飾ヌクレオチド間結合がホスホロチオエート結合であり得る。
【0161】
本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、センス鎖の1及び2位、アンチセンス鎖の1及び2位、アンチセンス鎖の2及び3位、アンチセンス鎖の20及び21位並びにアンチセンス鎖の21及び22位の1つ以上の間にホスホロチオエート結合を有し得る。例えば、オリゴヌクレオチドのセンス鎖は、センス鎖の1位及び2位、アンチセンス鎖の1位及び2位、アンチセンス鎖の2位及び3位、アンチセンス鎖の20位及び21位並びにアンチセンス鎖の21位及び22位間にホスホロチオエート結合を有し得る。従って、配列番号1又は4の配列を有するセンス鎖は、1位及び2位間にホスホロチオエート結合を有し得、配列番号3又は6の配列を有するアンチセンス鎖は、1位及び2位、2位及び3位、20位及び21位並びに21位及び22位間にホスホロチオエート結合を有し得る。
【0162】
塩基修飾
本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾核酸塩基を有し得る。本明細書で塩基類似体とも呼ばれる修飾核酸塩基は、ヌクレオチド糖部分の1’位に連結され得る。修飾核酸塩基は、窒素塩基であり得る。特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、窒素原子を含有し得る。例えば、米国公開特許出願第20080274462号明細書を参照されたい(修飾核酸塩基に関するその内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。修飾ヌクレオチドは、ユニバーサル塩基も含み得る。しかし、特定の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、核酸塩基(例えば、非塩基性)を含有しない場合もある。
【0163】
一部の実施形態では、ユニバーサル塩基は、修飾ヌクレオチド中のヌクレオチド糖部分の1’位又はヌクレオチド糖部分置換物における同等位置に位置する複素環部分であり、これは、二重らせん中に存在する場合、二重らせんの構造を実質的に変化させることなく、2種以上の塩基と向かい合って位置し得る。一部の実施形態では、標的核酸に対して完全に相補的である参照一本鎖核酸(例えば、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド)と比較して、ユニバーサル塩基を含む一本鎖核酸は、相補的核酸と一緒に形成された二重らせんより低いTを有する標的核酸と二重らせんを形成する。しかし、一部の実施形態では、ユニバーサル塩基が1塩基で置換されて、単一のミスマッチを生成する参照一本鎖核酸と比較して、ユニバーサル塩基を含む一本鎖核酸は、ミスマッチ塩基を含む核酸と一緒に形成された二重らせんよりも高いTを有する標的核酸と二重らせんを形成する。ユニバーサル結合ヌクレオチドの非限定的な例としては、イノシン、1-β-D-リボフラノシル-5-ニトロインドール及び/又は1-β-D-リボフラノシル-3-ニトロピロールが挙げられる(以下を参照されたい:米国特許出願公開第2007/0254362号明細書;Van Aerschot et al.,Nucleic Acids Res.1995 Nov 11;23(21):4363-70;Loakes et al.,Nucleic Acids Res.1995 Jul 11;23(13):2361-6;Loakes et al.,Nucleic Acids Res.1994 Oct 11;22(20):4039-43。上記文献の各々は、塩基修飾に関するその開示について、本明細書に参照として組み込まれる)。
【0164】
可逆的修飾
標的細胞に到達する前に、オリゴヌクレオチドをインビボ環境から保護するため特定の修飾を実施することができるが、そうした修飾は、標的細胞のサイトゾルに到達すると、オリゴヌクレオチドの効力又は活性を低下させる可能性がある。分子が細胞の外側で望ましい特性を保持するように、可逆的修飾を実施することができ、それらは、後に細胞のサイトゾル環境に進入すると除去される。可逆的修飾は、例えば、細胞内酵素の作用又は細胞内部の化学的条件により(例えば、細胞内グルタチオンによる還元を介して)除去することができる。
【0165】
可逆的に修飾されたヌクレオチドは、グルタチオン感受性部分を含み得る。典型的には、核酸分子は、環状ジスルフィド部分で化学修飾されて、ヌクレオチド間二リン酸結合によって生成された負電荷をマスクすると共に、細胞の取込み及びヌクレアーゼ耐性を改善することができる。以下を参照されたい:Traversa Therapeutics,Inc.(「Traversa」)に初め譲渡された米国特許出願公開第2011/0294869号明細書、Solstice Biologics,Ltd.(「Solstice」)に譲渡されたPCT公開番号:国際公開第2015/188197号パンフレット、Meade et al.,Nature Biotechnology,2014,32:1256-1263(「Meade」)、Merck Sharp & Dohme Corpに譲渡されたPCT公開番号:国際公開第2014/088920号パンフレット(これらの各々は、上記のような修飾の開示について参照により組み込まれる)。ヌクレオチド間二リン酸結合の可逆的修飾は、サイトゾル(例えば、グルタチオン)の還元環境により細胞内で切断されるように設計される。以前の例には、細胞内で切断可能であると報告された中和ホスホトリエステル修飾が含まれる(Dellinger et al.J.Am.Chem.Soc.2003,125:940-950を参照されたい)。
【0166】
このような可逆的修飾は、オリゴヌクレオチドがヌクレアーゼ及び他の過酷な環境条件(例えば、pH)に曝露されるインビボ投与(例えば、血液及び/又は細胞のリソソーム/エンドソーム区画の通過)中の保護を可能にする。グルタチオンのレベルが細胞外空間と比較して高い細胞のサイトゾルに放出されると、修飾が逆転し、その結果、切断されたオリゴヌクレオチドが得られる。可逆的なグルタチオン感受性部分を使用すると、不可逆的化学修飾を用いて利用可能な選択肢と比較して、目的のオリゴヌクレオチドに、立体的により大きな化学基を導入することが可能である。これは、これらのより大きな化学基がサイトゾル中で除去されることから、細胞のサイトゾル内のオリゴヌクレオチドの生物学的活性を妨害しないと考えられるためである。その結果、これらのより大きな化学基は、ヌクレアーゼ耐性、親油性、電荷、熱安定性、特異性、免疫原性の低下など、ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに様々な利点を与えるように操作することができる。グルタチオン感受性部分の構造は、その放出の速度論を改変するように操作することができる。
【0167】
一部の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、ヌクレオチドの糖に結合する。一部の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、修飾ヌクレオチドの糖の2’炭素に結合する。一部の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、特に修飾ヌクレオチドがオリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドである場合、糖の5’-炭素に位置する。一部の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、特に修飾ヌクレオチドがオリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオチドである場合、糖の3’-炭素側に位置する。一部の実施形態では、グルタチオン感受性部分は、スルホニル基を含む。例えば、米国特許出願公開第2019/0177355号明細書を参照されたい(その内容は、その関連する開示に関して参照により本明細書に組み込まれる)。
【0168】
ターゲティングリガンド
本開示のオリゴヌクレオチドを1つ以上の細胞又は1つ以上の器官(例えば、肝臓の細胞)にターゲティングさせるのが望ましい場合がある。そのような戦略は、他の器官における望ましくない作用を回避するのに役立ち得るか、又はオリゴヌクレオチドに利益をもたらさない細胞、組織若しくは器官に対するオリゴヌクレオチドの過度の喪失を回避し得る。従って、一部の実施形態では、特定の組織、細胞又は器官のターゲティングを促進するように、例えば肝臓へのオリゴヌクレオチドの送達を促進するように、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドを修飾することができる。特定の実施形態では、本明細書で開示されるオリゴヌクレオチドは、肝臓の肝細胞へのオリゴヌクレオチドの送達を促進するように修飾することができる。オリゴヌクレオチドは、1つ以上のターゲティングリガンドと共役させたヌクレオチドを含み得る。
【0169】
ターゲティングリガンドは、炭水化物、アミノ糖、コレステロール、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質又はタンパク質の一部(例えば、抗体若しくは抗体フラグメント)又は脂質を含み得る。一部の実施形態では、ターゲティングリガンドは、アプタマーである。例えば、ターゲティングリガンドは、腫瘍血管系若しくはグリオーマ細胞をターゲティングするために使用されるRGDペプチド、腫瘍血管系若しくは間質をターゲティングするCREKAペプチド(配列番号78)、トランスフェリン、ラクトフェリン又はCNS血管系に発現されるトランスフェリン受容体を標的とするアプタマー又はグリオーマ細胞上のEGFRをターゲティングする抗EGFR抗体であり得る。一部の実施形態では、ターゲティングリガンドは、1つ以上のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分である。
【0170】
オリゴヌクレオチドの1つ以上(例えば、1、2、3、4、5又は6つ)のヌクレオチドは、各々個別のターゲティングリガンドと共役され得る。いくつかの事例では、オリゴヌクレオチドの2~4ヌクレオチドは、各々個別のターゲティングリガンドと共役されている。ターゲティングリガンドは、ターゲティングリガンドが歯ブラシの剛毛に類似し、またオリゴヌクレオチドが歯ブラシに類似するように、センス鎖又はアンチセンス鎖のいずれかの末端で2~4ヌクレオチドと共役され得る(例えば、リガンドは、センス又はアンチセンス鎖の5’若しくは3’末端の2~4ヌクレオチドオーバーハング又は伸長部と共役される)。例えば、オリゴヌクレオチドは、センス鎖の5’又は3’末端のいずれかにステムループを含み得、ステムのループの1、2、3又は4ヌクレオチドは、ターゲティングリガンドに個別と共役され得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、センス鎖の3’末端側にステムループを含み、ステムのループの3ヌクレオチドは、ターゲティングリガンドと個別に共役されている。
【0171】
一部の実施形態では、対象の肝臓の肝細胞に対するCFBの発現を低減するオリゴヌクレオチドをターゲティングすることが望ましい。この目的のために、任意の適切な肝細胞ターゲティング部分を使用することができる。
【0172】
GalNAcは、主に肝細胞細胞のシヌソイド表面に発現するアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)の高親和性リガンドであり、末端ガラクトース又はN-アセチルガラクトサミン残基を含む循環糖タンパク質(アシアロ糖タンパク質)の結合、内在化及びその後のクリアランスに主要な役割を果たす。本開示のオリゴヌクレオチドへのGalNAc部分の間接的又は直接的な共役を使用して、これらのオリゴヌクレオチドを上記肝細胞細胞で発現されるASGPRにターゲティングさせることができる。
【0173】
例えば、本開示のオリゴヌクレオチドは、一価GalNAcと直接的又は間接的に共役させることができる。オリゴヌクレオチドは、2つ以上(例えば、2、3、4若しくはそれを超える)一価GalNAcと直接的又は間接的に共役させることができ、典型的には3又は4つの一価GalNAc部分と共役されている。GalNAc部分は、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドのループ領域内に存在し得る。GalNAc部分を使用して、肝細胞上のASGPRに対する開示のオリゴヌクレオチドをターゲティングすることができ;その時点で、GalNAc結合オリゴヌクレオチドは内在化され、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれる細胞内RNAi機構に組み込まれ得る。この複合体内のRISCアルゴノート-2(Argo-2)タンパク質は、オリゴヌクレオチド二重らせんのアンチセンス鎖をその相補的なCFB mRNAにターゲティングさせ、その分解を開始し、このようにして、標的の翻訳を阻止する。
【0174】
一部の実施形態では、ステムループのループ(L)の2~4ヌクレオチドは、各々個別のGalNAc部分と共役されている。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドのステムのループの3つのヌクレオチドは、3つの個別の一価GalNAc部分と直接的又は間接的に共役され得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の二価GalNAc、三価GalNAc又は四価GalNAc部分と共役されている。
【0175】
本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、以下に描かれるように、グアニン核酸塩基に結合した一価GalNAcを含み得、これは、[ademG-GalNAc]又は2’-アミノジエトキシメタノール-グアニン-GalNAcと呼ばれる。
【化6】
【0176】
さらに又は代替的に、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、以下に描かれるように、アデニン核酸塩基に結合した一価GalNAcを含み得、これは、2’-O-GalNAc修飾アデノシン[ademA-GalNAc]又は2’-アミノジエトキシメタノール-アデニン-GalNAcと呼ばれる。
【化7】
【0177】
このような結合の一例を、5’から3’に、ヌクレオチド配列GAAAを含むループ(L=リンカー、X=ヘテロ原子)について以下に示し、ステム付着点が示される。このようなループは、例えば、図1A及び2Aに示す分子のヌクレオチド位置27~30に存在し得る(図1C及び2Cも参照されたい)。化学式において、
【化8】
は、オリゴヌクレオチド鎖との付着点である。
【化9】
【0178】
適切な方法又は化学(例えば、クリックケミストリー)を使用して、ターゲティングリガンドをヌクレオチドに連結させることができる。ターゲティングリガンドは、クリックリンカーを用いてヌクレオチドと共役させることができる。さらに、アセタールベースのリンカーを使用して、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドのいずれか1つのヌクレオチドにターゲティングリガンドをコンジュゲートさせ得る。アセタール系リンカーは、例えば、2016年6月23日に公開された国際特許出願公開番号:国際公開第2016/100401A1号パンフレットに開示されており、そのようなリンカーに関する内容は、参照により本明細書に組み込まれる。リンカーは不安定リンカーであり得る。しかし、他の実施形態では、リンカーは安定(非不安定)である。
【0179】
5’から3’にヌクレオチドGAAAを含むループについて、以下に一例を示し、GalNAc部分は、アセタールリンカーを用いてループのヌクレオチドに結合されている。このようなループは、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチド中に存在し得る(例えば、配列番号1及び4の配列を有するオリゴヌクレオチドの27~30位を参照されたい)。化学式において、
【化10】
は、オリゴヌクレオチド鎖への付着点である。
【化11】
【0180】
一部の実施形態では、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、テトラループを有するセンス鎖を含み、3つの(3)GalNAc部分は、テトラループを含むヌクレオチドと共役されており、且つ各GalNAc部分は、1つの(1)ヌクレオチドと共役されている。一部の実施形態では、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、GalNAc共役ヌクレオチドを含むテトラループを有するセンス鎖を含み、テトラループは、下記構造:
【化12】
を含む。
【0181】
一部の実施形態では、ターゲティングリガンド(例えば、GalNAc部分)とオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)との間に二重らせん伸長部(例えば、長さ最大3、4、5又は6塩基対)が賦与される。一部の実施形態では、ターゲティングリガンド(例えば、GalNAc部分)とオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)との間の二重らせん伸長部は、長さが6塩基対である。
【0182】
製剤
オリゴヌクレオチドの使用を容易にするために様々な製剤が開発されている。例えば、オリゴヌクレオチドは、分解を最小限に抑え、送達及び/又は取込みを容易にするか、又は製剤中のオリゴヌクレオチドに別の有益な特性を賦与する製剤を使用して、対象又は細胞環境に送達することができる。一部の実施形態では、CFBの発現を低減するためのオリゴヌクレオチド(例えば、一本鎖又は二本鎖オリゴヌクレオチド)を含む組成物が本明細書に提供される。このような組成物は、対象に投与されると、標的細胞の隣接環境中又は全身のいずれかに、十分な部分のオリゴヌクレオチドが細胞に進入して、CFB発現を低減するように、好適に製剤化することができる。本明細書に開示されるように、種々の好適なオリゴヌクレオチド製剤のどれを使用しても、CFBの低減を目的とするオリゴヌクレオチドを送達することができる。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞は、リン酸緩衝生理食塩水、リポソーム、ミセル構造、ベクター及びカプシドなどの緩衝溶液中に製剤化される。
【0183】
本明細書に開示される製剤は、賦形剤を含み得る。賦形剤は、活性成分の安定性の改善、吸収性の改善、溶解性の改善及び/又は治療効果増強を組成物に付与し得る。賦形剤は、緩衝剤(例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリス塩基若しくは水酸化ナトリウム)又はビヒクル(例えば、緩衝溶液、ワセリン、ジメチルスルホキシド又は鉱油)であり得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、その貯蔵寿命を延長するために凍結乾燥され、次に、使用前に溶液することができる(例えば、対象への投与)。従って、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドのいずれか1つを含む組成物中の賦形剤は、凍結保護剤(例えば、マンニトール、ラクトース、ポリエチレングリコール若しくはポリビニルピロリドン)又は崩壊温度調整剤(例えば、デキストラン、フィコール又はゼラチン)である。
【0184】
オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、その意図する投与経路と適合性であるように製剤化され得る。投与経路の例としては、非経口、例えば皮下、静脈内、皮内、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、経粘膜及び直腸投与が挙げられる。
【0185】
注射用途に適した医薬組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液及び滅菌注射液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる。静脈内投与の場合、好適な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(BASF,Parsippany,N.J.)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体プロピレングリコールなど)を含む溶媒若しくは分散媒及びこれらの好適な混合物であり得る。多くの場合、等張化剤、例えば糖、マンニトール及びソルビトールなどのポリアルコール並びに塩化ナトリウムを組成物中に含有させることは任意である。滅菌注射液は、必要に応じて、選択された溶媒中に必要量のオリゴヌクレオチドを、上に列挙した成分の1つ又は組合せと一緒に含有させた後、濾過滅菌することによって調製することができる。
【0186】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、滅菌水(WFI)を含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、PBSを含む。
【0187】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、防腐剤を含まない溶液である。一部の実施形態では、医薬組成物は、WFI中の無菌溶液を含む。一部の実施形態では、0.1N NaOH又は0.1N HClを滴定して、溶液のpHを目標の約7.2(例えば、pH7.2)に調節し得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドの濃度は、遊離酸形態として約160mg/mL(例えば、160/mg/mL)であり得る。一部の実施形態では、WFIを添加して、医薬組成物を所望の総濃度のオリゴヌクレオチドにすることができる。一部の実施形態では、目標充填容積は、2mLガラスバイアル中に約1.3mLである。一部の実施形態では、溶液は、対象に皮下投与される。
【0188】
一部の実施形態では、組成物は、少なくとも約0.1%以上の治療薬(例えば、CFB発現を低減するためのオリゴヌクレオチド)を含有し得るが、有効成分のパーセンテージは、組成物全体の重量又は体積の約1%~約80%以上であり得る。溶解度、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、製品貯蔵寿命並びに他の薬理学的考慮事項などの要因は、そのような医薬製剤を調製する当業者によって考慮され、そのため、様々な投薬量及び治療レジメンが望ましくなり得る。
【0189】
多くの実施形態が本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドのいずれかの肝臓標的送達に向けられるが、他の組織のターゲティングも企図される。
【0190】
医薬品用途
本明細書には、細胞又は対象におけるCFBの発現を低減する目的で本明細書に開示されるいずれか1つのオリゴヌクレオチドを有効量で細胞又は対象に送達する方法が開示される。
【0191】
本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、任意の適切な核酸送達方法を用いて、補体経路活性化又は調節不全(例えば、CFBの活性化又は調節不全)によって媒介される疾患又は障害を有する対象の細胞に導入することができる。例えば、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを含有する溶液の注入、オリゴヌクレオチドで被覆された粒子によるボンバードメント、オリゴヌクレオチドを含む溶液への細胞若しくは生物の曝露又はオリゴヌクレオチドの存在下での細胞膜のエレクトロポレーションによって細胞に送達され得る。
【0192】
カチオン性脂質を用いたオリゴヌクレオチドの製剤化を使用して、細胞へのオリゴヌクレオチドのトランスフェクションを容易にすることができる。例えば、カチオン性脂質、例えばリポフェクチン、カチオン性グリセロール誘導体及びポリカチオン性分子(例えば、ポリリジン)を使用することができる。適切な脂質としては、オリゴフェクタミン、リポフェクタミン(Life Technologies))、NC388(Ribozyme Pharmaceuticals,Inc.,Boulder,Colo.)又はFuGene 6(Roche)があり、これらは全て、製造者の指示に従って使用することもできる。
【0193】
従って、一部の実施形態では、製剤は、脂質ナノ粒子を含む。一部の実施形態では、賦形剤は、リポソーム、脂質、脂質複合体、マイクロスフェア、微粒子、ナノスフェア若しくはナノ粒子を含むか、又はそうでなければそれを必要とする対象の細胞、組織、器官若しくは身体への投与のために製剤化され得る(例えば、Remington:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY,22nd edition,Pharmaceutical Press,2013を参照されたい)。
【0194】
本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドの有効な細胞内濃度は、オリゴヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドの安定な発現を介して(例えば、哺乳動物細胞の核若しくはミトコンドリアゲノムへの組込みによって)又はポリヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチドをコードするプラスミド若しくは他のベクター(例えば、ウイルスベクター)と接触させた細胞での一過性発現によっても達成され得る。発現ベクターの例は、例えば、国際公開第1994/011026号パンフレットに開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の組成物及び方法で使用するための発現ベクターは、CFB発現を低減するオリゴヌクレオチド配列並びに例えばこれらの薬剤の発現及び/又は哺乳動物細胞のゲノムへのこれらのポリヌクレオチド配列の組込みに使用される追加の配列要素を含有する。発現ベクターは、ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルスベクターであり得る。
【0195】
オリゴヌクレオチドを細胞に送達するための他の方法、例えば脂質媒介担体輸送、化学物質媒介輸送、リン酸カルシウムなどのカチオン性リポソームトランスフェクション及びオリゴヌクレオチドを含むベクターも使用することができる。本明細書に記載のオリゴヌクレオチドの送達に使用されるベクターは、ウイルスベクター、例えばレトロウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)、アデノウイルスベクター(例えば、Ad5、Ad26、Ad34、Ad35及びAd48)並びにアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9及びAAV10)であり得る。
【0196】
いくつかの例では、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、細胞内でオリゴヌクレオチド(例えば、そのセンス鎖及びアンチセンス鎖)を発現するように操作された導入遺伝子の形態で送達され得る。導入遺伝子は、前述のように、ベクター、例えばウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス若しくは単純ヘルペスウイルス)又は非ウイルスベクター(例えば、プラスミド又は合成mRNA)を用いて送達され得る。一部の実施形態では、導入遺伝子は、対象に直接、例えば作用源又はその付近(例えば、肝臓内若しくはその付近)又は血流内に注射することができる。
【0197】
CFB阻害
投与時に、本開示のオリゴヌクレオチドは、CFB mRNAに結合して、その発現を阻害することができる。CFB遺伝子の発現の阻害は、第1の細胞若しくは細胞群と実質的に同一であるが、同様に処置されていない第2の細胞若しくは細胞群(オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)で処置されていないか、又は目的の遺伝子にターゲティングさせたオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)で処置されていない対照細胞)と比較して、CFB遺伝子が転写されており、CFB遺伝子の発現が阻害されるように処置された(例えば、細胞を本開示のオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)と接触させるか、又は上記細胞が存在するか若しくは存在した対象に本開示のオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)を投与することにより)第1の細胞若しくは細胞群(このような細胞は、例えば、対象由来の(例えば、対象から得られた)サンプル中に存在し得る)により発現されるmRNAの量の減少によって明らかにされ得る。標的mRNAのレベルは、RT-qPCRなどの当業者に周知の技術を用いて測定することができる。阻害の程度は、下記の式で表すことができる。
【数1】
【0198】
CFB遺伝子の発現レベルの変化は、CFB遺伝子発現と機能的に関連するパラメータ、例えばCFBタンパク質発現、CFBタンパク質活性又はCFBシグナル伝達経路の低減に関して評価することができる。CFB遺伝子サイレンシングは、発現構築物からの内因性又は異種のいずれかのCFBを発現する任意の細胞において且つ当技術分野で公知の任意のアッセイによって決定され得る。
【0199】
CFB mRNAの阻害の結果は、細胞若しくは対象の1つ以上の特性を評価するための適切なアッセイ又はCFB発現を示す分子(例えば、RNA、タンパク質)を評価する生化学的技法によって確認することができる。本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドがCFBの発現レベルを低下させる程度は、発現レベルを適切な対照(例えば、オリゴヌクレオチドが送達されていないか、又は陰性対照が送達された細胞若しくは細胞集団におけるCFB mRNA発現のレベル)と比較することによって評価される。CFB mRNA発現の適切な対照レベルは、対象レベルを毎回測定する必要がないように、所定のレベル又は値であり得る。所定のレベル又は値は、中央値又は平均値などの単一のカットオフ値を含む様々な形態をとることができる。例えば、所定のレベル又は値は、CFBタンパク質の200mg/dLのレベル又はその程度であり得、これは、健康な対象の血清中に典型的に見出されるCFBタンパク質のレベルに対応する。
【0200】
サンプル中のCFB mRNAの発現レベルは、例えば、転写されたポリヌクレオチド又はその一部、例えばmRNAを検出することによって決定することができる。RNAは、例えば、酸性フェノール/グアニジンイソチオシアネート抽出RNAZOL(商標)B;Biogenesis)、RNEASY(商標)RNA調製キット(Qiagen)又はPAXGENE(商標)(PreAnalytix,Switzerland)の使用を含むRNA抽出技術を用いて細胞から抽出することができ。サンプル中のCFB mRNAは、リアルタイムPCR(RT-PCR)を用いて測定することもできる。例えば、TissueLyser II(Qiagen)を用いてQIAzo Lysis試薬で組織サンプルをホモジナイズした後、製造業者の指示に従い、MAGMAX(登録商標)Technology(ThermoFisher Scientific)を用いて精製することによってRNAを抽出することができる。次に、大容量cDNA逆転写キット(ThermoFisher Scientific)を用いて、cDNAを調製することができる。CFB及びハウスキープコントロール用の特定のプライマー及びプローブをCFX384リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad Laboratories)でのPCRに使用し、BioRad CFX Maestroソフトウェアを使用してCt値を推定し;発現レベルをEXCEL(登録商標)で計算して、Prism(GraphPad)にプロットした。RT-PCRに使用することができるプライマーには、表2に記載されているものが含まれる。配列番号39~42のいずれか1つの核酸配列を有するプライマーは、ヒト細胞におけるCFBのレベルを決定するために使用することができる。同様に、配列番号43及び44の核酸配列を有するプライマーは、サル細胞におけるCFBのレベルを決定するために使用することができる。さらに、配列番号43及び44の核酸配列を有するプライマーは、マウス細胞におけるCFBのレベルを決定するために使用することができる。
【0201】
【表2】
【0202】
リボ核酸ハイブリダイゼーションを使用する典型的なアッセイフォーマットには、核ランオンアッセイ、RT-PCR、RNase保護アッセイ、ノーザンブロッティング、インサイチュハイブリダイゼーション及びマイクロアレイ分析が含まれる。循環mRNAは、PCT公開:国際公開第2012/177906号パンフレットに記載の方法を用いて検出することができ、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。目的の遺伝子の発現レベルは、核酸プローブを用いて決定することもできる。
【0203】
単離されたmRNAは、ハイブリダイゼーション又は増幅アッセイに使用することができ、そうしたアッセイとして、限定されないが、ノーザン又はサザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析及びプローブアレイが挙げられる。mRNAレベルを決定するための一方法は、目的の遺伝子のmRNAにハイブリダイズすることができる核酸分子(プローブ)と、単離mRNAを接触させることを含む。例えば、単離mRNAをアガロースゲル上で泳動させ、mRNAをゲルからニトロセルロースなどの膜に転写することによってmRNAを固体表面に固定化し、プローブと接触させることができる。プローブは、固体表面に固定化され得、例えばAFFYMETRIX(登録商標)GENECHIP(登録商標)アレイ内でmRNAをプローブと接触させる。当技術分野で公知のmRNA検出方法は、目的の遺伝子のmRNAのレベルを決定する際の使用に適合させることができる。
【0204】
サンプル中の目的の遺伝子の発現レベルを決定するための代替方法は、例えば、RT-PCR(Mullis,1987、米国特許第4,683,202号明細書)、リガーゼ連鎖反応(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189-193)、自己持続配列複製(Guatelli et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874-1878)、転写増幅システム(Kwoh et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci USA 86:1173-1177)、Qβレプリカーゼ(Lizardi et al.(1988)Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardi et al.、米国特許第5,854,033号明細書)又は任意の他の核酸増幅法によるサンプル中の例えばmRNAの核酸増幅及び/若しくは逆転写酵素(cDNAを調製するため)のプロセス、続いて、当技術分野で公知の技術を用いた増幅分子の検出を含む。これらの検出スキームは、そのような分子が非常に少数で存在する場合の核酸分子の検出に有用である。本開示のいくつかの態様では、目的の遺伝子(例えば、CFB)の発現レベルは、定量的蛍光RT-PCR(即ちTAQMAN(商標)System)又はDUAL-GLO(登録商標)ルシフェラーゼアッセイにより決定される。
【0205】
目的の遺伝子のmRNAの発現レベルは、メンブレンブロット(ノーザン、サザン、ドットなどのハイブリダイゼーション分析で使用されるようなもの)又はマイクロウェル、サンプルチューブ、ゲル、ビーズ若しくはファイバー(若しくは結合した核酸を含む任意の固体支持体)を用いてモニターすることができる。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,770,722号明細書;同第5,874,219号明細書;同第5,744,305号明細書;同第5,677,195号明細書;同第5,445,934号明細書を参照されたい。遺伝子発現レベルの決定には、溶液中の核酸プローブを使用することも含まれ得る。
【0206】
前述のアッセイを用いて、CFB mRNA量の減少に基づいた本明細書に記載のオリゴヌクレオチドによる治療の有効性について決定を下すことができる。CFB mRNAのレベルの低下は、CFB mRNAの適切な対照レベル又は治療前の対象におけるCFBのレベルと比較して1%以下、5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、45%以下、50%以下、55%以下、60%以下、70%以下、80%以下又は90%以下の減少であり得る。適切な対照レベルは、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドと接触されていない細胞又は細胞集団におけるCFB mRNA発現のレベルであり得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法による細胞へのオリゴヌクレオチドの送達の効果は、有限の期間後に評価される。例えば、CFB mRNAのレベルは、細胞内へのオリゴヌクレオチドの導入後少なくとも8時間、12時間、18時間、24時間;又は少なくとも3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70若しくは80日間細胞内で分析され得る。
【0207】
さらに、CFB遺伝子の阻害は、細胞又は細胞群によって発現されるCFBタンパク質のレベル(例えば、対象に由来するサンプルで発現されるタンパク質のレベル)の低下によって現れ得るCFBタンパク質発現の阻害をもたらすことができる。上に説明したように、mRNA抑制の評価のために、処置された細胞又は細胞群におけるタンパク質発現レベルの阻害も同様に、対照細胞又は細胞群におけるタンパク質レベルのパーセンテージとして表され得る。
【0208】
CFBタンパク質発現の阻害の結果は、細胞若しくは対象の1つ以上の特性を評価するための適切なアッセイ又はCFBタンパク質発現を示す分子を評価する生化学的手法によって確認することができる。本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドがCFBタンパク質の発現レベルを低下させる程度は、発現レベルを適切な対照(例えば、オリゴヌクレオチドが送達されていないか、又は陰性対照が送達された細胞若しくは細胞集団におけるCFBタンパク質発現のレベル)と比較することによって評価される。CFBタンパク質発現の適切な対照レベルは、毎回対照レベルを測定する必要がないように、所定のレベル又は値、例えば正常範囲と判定されるCFBタンパク質の量、例えば血清中で約200mg/dLであり得る。所定のレベル又は値は、中央値又は平均値などの単一のカットオフ値を含む様々な形態をとることができる。
【0209】
CFB遺伝子の発現によって産生されるCFBタンパク質のレベルは、タンパク質レベルの測定のために当技術分野で公知の任意の方法を用いて決定され得る。このような方法としては、例えば、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC/MS/MS)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高拡散(hyperdiffusion)クロマトグラフィー、流体又はゲル沈殿素反応、吸収分光法、比色アッセイ、分光光度測定アッセイ、フローサイトメトリー、免疫拡散法(単一又は二重)、免疫電気泳動法、ウェスタンブロッティング、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、電気化学発光アッセイなどが挙げられる。こうしたアッセイは、目的の遺伝子によって産生されるタンパク質の存在又は複製を示すタンパク質の検出にも使用することができる。さらに、上記のアッセイを使用して、タンパク質機能の回復又は変化をもたらす目的のmRNA配列の変化を報告することもでき、それにより対象に治療効果及び利益を提供し、対象の障害を治療し、且つ/又は対象の障害の症状を軽減する。
【0210】
前述のアッセイを用いて、CFBタンパク質の量の減少に基づいた本明細書に記載のオリゴヌクレオチドによる治療の有効性について決定を下すことができる。CFBタンパク質のレベルの低下は、CFBの適切な対照レベル(例えば、約200mg/gL)と比較して1%以下、5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、45%以下、50%以下、55%以下、60%以下、70%以下、80%以下又は90%以下までの減少であり得る。適切な対照レベルは、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドと接触されていない細胞又は細胞集団におけるCFB3発現のレベルであり得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される方法による細胞へのオリゴヌクレオチドの送達の効果は、有限の期間後に評価される。例えば、CFBのレベルは、細胞内で少なくとも8時間、12時間、18時間、24時間;又はオリゴヌクレオチドの細胞への導入後少なくとも1、2、3、4、5、6、7若しくは14日間分析され得る。CFBのレベルは、対象の再治療が必要か否かを評価するために決定され得る。例えば、CFBのレベルが治療前レベル(又は治療前レベルの少なくとも約20%以上(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又はそれを超える)であるレベル)まで上昇する場合、対象は再治療を必要とすると考えられる。
【0211】
さらに、本明細書に記載の方法を用いたCFB遺伝子の阻害は、補体経路活性化及び調節不全によって媒介される疾患を有すると識別された対象の細胞におけるCFBmRNAの転写の低減をもたらし得る。本明細書に提供される方法は、任意の適切な細胞型(例えば、肝細胞など、CFBを発現する細胞)で有用である。一部の実施形態では、細胞は、細胞がその天然の表現型特性を実質的に維持するように、対象から得られた初代細胞であり、これは、限定数の継代を経ていてもよい。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドが送達される細胞は、エクスビボ又はインビトロである(即ち培養中の細胞又は細胞が存在する生物に送達され得る)。具体的な実施形態では、肝細胞おけるCFBの発現のみを低減する目的で、有効量の本明細書に開示のオリゴヌクレオチドを細胞に送達する方法が提供される。
【0212】
本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドの有効量は、補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患又は障害、例えば本明細書に記載の疾患又は障害の1つの症状の軽減をもたらすオリゴヌクレオチドの量として決定され得る。補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患又は障害の症状の軽減は、例えば、当業者に公知の臨床評価を用いて決定される通り、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は100%の軽減であり得る。補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患又は障害の症状の軽減の量を用いて、対象が本明細書に記載のRNAiオリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞で再び治療する必要があるか否かを決定することができる。補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患又は障害の軽減を決定するためのアッセイの例には、循環CFBタンパク質の測定及び/又は定量、機能アッセイ(例えば、WEISLABアッセイ及び溶血アッセイ)が含まれるが、これらに限定されない。CFB沈着の定量は、IHC若しくは免疫蛍光を介して又は特定の疾患バイオマーカーを介して行うことができる。
【0213】
さらに、センス鎖及びアンチセンス鎖の両方を二重らせんオリゴヌクレオチドとして含む本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、任意の適切な核酸送達を用いて対象の細胞に導入することができる。二重らせんオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを含有する溶液の注入、オリゴヌクレオチドで被覆された粒子によるボンバードメント、オリゴヌクレオチドを含む溶液への細胞若しくは生物の曝露又はオリゴヌクレオチドの存在下での細胞膜のエレクトロポレーションによって細胞に送達され得る。二重らせんオリゴヌクレオチドは、脂質媒介担体輸送、化学物質媒介輸送、リン酸カルシウムなどのカチオン性リポソームトランスフェクション及び一本鎖オリゴヌクレオチドの核酸をコードするベクターを用いても細胞に送達され得る。二重らせんオリゴヌクレオチドの送達に使用されるベクターは、ウイルスベクター、例えばレトロウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)、アデノウイルスベクター(例えば、Ad5、Ad26、Ad34、Ad35及びAd48)並びにアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8及びAAV9)であり得る。
【0214】
治療方法
本明細書に記載の組成物(例えば、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドをコードするベクター、ベクターを含む細胞、医薬組成物)の投与による、対象における、例えば本明細書に開示される補体経路活性化又は調節不全に関連する疾患の1つ以上を含む補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患の治療の方法も本明細書に開示される。この方法は、本明細書に記載のRNAiオリゴヌクレオチドの薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウム塩)の投与による、対象における補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患の治療を含み得る。本明細書に記載される方法は、典型的には、オリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩の有効量、即ち望ましい治療結果(例えば、CFB発現のノックダウン)を生じ得る量である。治療上許容される量は、補体経路活性化又は調節不全(例えば、CFBの活性化又は調節不全)によって媒介される疾患又は障害を治療することができる量であり得る。任意の1対象に対する適切な投与量は、対象のサイズ、身体表面積、年齢、投与される具体的な組成物、組成物中の有効成分、投与の時間及び経路、健康状態全般並びに同時に投与される他の薬剤を含め、特定の要因に左右され得る。こうした治療薬を用いて、例えば補体経路活性化又は調節不全によって媒介される任意のタイプの疾患又は障害を緩徐にするか、停止するか又は予防することができ、これらは、予防的又は治療的に投与され得る。予防薬の投与は、疾患又は障害を予防するか又はその進行を遅らせるように、補体経路の活性化又は調節不全によって媒介される疾患又は障害に特徴的な症状の検出又は発現前に実施され得る。補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患又は障害のリスクがある対象は、例えば、当技術分野で公知の診断又は予後アッセイの1つ又は組合せによって識別することができる。
【0215】
本明細書で開示される組成物は、任意の標準的な方法を用いて対象に投与され得る。例えば、本明細書で開示される組成物のいずれか1つは、経腸的に(例えば、経口的に、胃栄養チューブにより、十二指腸栄養チューブにより、胃瘻を介して若しくは直腸内に)、非経口的に(例えば、皮下注射、静脈内注射若しくは注入、動脈内注射若しくは注入、骨内注入、筋肉内注射、脳内注射、脳室内注射、髄腔内)、局所的に(例えば、経皮的、吸入、点眼剤により若しくは粘膜を介して)又は標的器官(例えば、対象の肝臓)への直接注射により投与され得る。典型的には、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチドは、静脈内又は皮下に投与される。任意の所与の場合における投与に最も適した経路は、投与される特定の組成物、対象、治療しようとする補体経路活性化又は調節不全によって媒介される特定の疾患又は障害、医薬製剤化方法、投与方法(例えば、投与時間及び投与経路)、対象の年齢、体重、性別、治療しようとする疾患の重症度、対象の食事及び対象の排泄速度に左右され得る。
【0216】
補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患又は障害に罹患している対象に、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドを例えば毎年(例えば、12ヶ月に1回)、半年毎(例えば、6ヶ月に1回)、四半期毎(例えば、3ヶ月に1回)、隔月(例えば、2ヶ月に1回)、毎月又は毎週投与することができる。他の例では、オリゴヌクレオチドは、1週間、2週間又は3週間毎に1回以上、毎月1回以上、隔月毎、3ヵ月毎に1回以上、四半期毎に1回以上、6ヵ月毎に1回以上又は毎年1回以上投与することができる。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、毎日投与され得る。
【0217】
補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患又は障害の治療対象となる対象は、ヒト若しくは非ヒト霊長類又は別の哺乳動物対象であり得る。本明細書に記載のオリゴヌクレオチドで治療され得る他の例示的な対象としては、イヌ及びネコなどの飼いならされた動物;ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ及びニワトリなどの家畜;並びにマウス、ラット、モルモット及びハムスターなどの動物が挙げられる。
【0218】
投与量
本開示の組成物(例えば、本明細書に記載されるようなRNAiオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩を含む組成物)の投与量は、化合物の薬力学的特性、投与様式、レシピエントの年齢、健康状態及び体重、症状の性質及び程度、治療の頻度及び/又は同時治療の種類(ある場合)並びに治療対象の化合物のクリアランス速度などの多くの要因に応じて変動し得る。当業者は、上記の要因に基づいて適切な投与量を決定することができる。
【0219】
本開示のオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩は、(a)対象の細胞におけるCFBタンパク質の発現の低減、(b)対象の細胞におけるCFBの転写の低減、(c)対象の細胞におけるCFBタンパク質のレベルの低下、(d)対象の細胞におけるCFBタンパク質の活性の低下;及び/又は(e)補体経路の活性化又は調節不全によって媒介される疾患又は障害の1つ以上の症状の軽減の1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上)をもたらすのに有効な量及び時間で投与され得る。
【0220】
従って、本開示は、補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患又は障害の治療を、それを必要とする対象において行う方法に関し、この方法は、CFB mRNAに特異的に結合して、対象におけるCFBタンパク質の発現を阻害する、有効量の、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドを投与することを含む。例えば、本開示は、代替補体経路調節不全によって媒介される疾患又は障害の治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、これは、治療有効量の本明細書に開示のオリゴヌクレオチド、医薬組成物、ベクター又は細胞を対象に投与することを含む。
【0221】
開示された方法及び組成物を使用して治療しようとする補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患又は障害は、例えば、皮膚障害、神経学的障害、腎臓学的障害、アキュートケア、リウマチ性障害、肺障害、皮膚科学的障害、血液学的障害及び眼科障害であり得る。
【0222】
補体経路活性化又は調節不全によって媒介される疾患の治療は、本明細書に記載されるようなCFB mRNA(例えば、CFBタンパク質の発現)の発現及び/又は翻訳を阻害するオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩の投与によって達成され得る。
【0223】
開示された組成物は、当業者によって適切であると決定された量で投与することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩は、臨床反応に応じて、必要であれば調節することができる適切な投与量で最初に投与され得る。
【0224】
いくつかの事例では、オリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩は、対象の体重の0.01~100mg/kg(例えば、0.01~1mg/kg、1~5mg/kg、5~20mg/kg、20~50mg/kg、50~100mg/kg)の用量で投与される。特定の例では、オリゴヌクレオチドは、対象の体重kg当たり0.01mg~50mg(例えば、0.01~1mg/kg、1~5mg/kg、5~10mg/kg、10~20mg/kg、20~30mg/kg、30~40mg/kg、40~50mg/kg)の濃度で投与される。他の例では、オリゴヌクレオチドは、対象の体重kg当たり0.01mg~20mg(例えば、0.01~1mg/kg、1~5mg/kg、5~10mg/kg、10~15mg/kg、15~20mg/kg)の濃度で投与される。他の例では、オリゴヌクレオチドは、対象の体重kg当たり0.01mg~15mg(例えば、0.01~1mg/kg、1~2mg/kg、2~5mg/kg、5~8mg/kg、8~10mg/kg、10~12mg/kg、12~15mg/kg)の濃度で投与される。他の例では、オリゴヌクレオチドは、対象の体重kg当たり0.01mg~10mg(例えば、0.01~1mf/kg、1~2mg/kg、2~5mg/kg、5~8mg/kg、8~10mg/kg)の濃度で投与される。他の例では、オリゴヌクレオチドは、対象の体重kg当たり0.01mg~5mg(例えば、0.01~1mg/kg、1~2mg/kg、2~3mg/kg、3~4mg/kg、4~5mg/kg)の濃度で投与される。他の例では、オリゴヌクレオチドは、対象の体重kg当たり0.1mg~20mg(0.1~1mg/kg、1~5mg/kg、5~10mg/kg、10~15m/kg及び15~20m/kg)の濃度で投与される。他の例では、オリゴヌクレオチドは、対象の体重kg当たり0.1mg~10mg(例えば、0.1~1mg/kg、1~2mg/kg、2~5mg/kg、5~7mg/kg及び7~10mg/kg)の濃度で投与される。他の例では、オリゴヌクレオチドは、対象の体重kg当たり0.1mg~5mg(例えば、0.1~1mg/kg、2~3mg/kg、3~4mg/kg及び4~5mg/kg)の濃度で投与される。他の事例では、オリゴヌクレオチドは、対象の体重kg当たり1mg~50mg(例えば、1~10mg/kg、10~20mg/kg、20~30mg/kg、30~40mg/kg及び40~50mg/kg)の濃度で投与される。他の例では、オリゴヌクレオチドは、対象の体重kg当たり1mg~20mg(例えば、1~5mg/kg、5~10mg/kg、10~15mg/kg及び15~20mg/kg)の濃度で投与される。他の例では、オリゴヌクレオチドは、対象の体重kg当たり1mg~10mg(例えば、1~2mg/kg、2~5mg/kg、5~7mg/kg及び7~10mg/kg)の濃度で投与される。他の例では、オリゴヌクレオチドは、対象の体重kg当たり1mg~5mg(例えば、1~2mg/kg、2~3mg/kg、3~4mg/kg及び4~5mg/kg)の濃度で投与される。他の例では、オリゴヌクレオチドは、30mg/kg~300mg/kg(例えば、30~200mg/kg、30~100mg/kg、30~50mg/kg、50~300mg/kg、100~300mg/kg、200~300mg/kg及び250~300mg/kg)の濃度で投与される。
【0225】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩は、対象の体重kg当たり10mg未満(例えば、9mg/kg以下、8mg/kg以下、7mg/kg以下、6mg/kg以下、5mg/kg以下、4mg/kg以下、3mg/kg以下、2mg/kg以下、1mg/kg以下)の用量で投与される。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、約10mg/kg以下の用量で投与される。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、約9mg/kg以下(例えば、8.9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、5mg/kg、3mg/kg及び1mg/kg以下)の用量で投与される。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、約8mg/kg以下(例えば、7.9mg/kg、7mg/kg、5mg/kg、3mg/kg及び1mg/kg以下)の用量で投与される。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、約7mg/kg以下(例えば、6.9mg/kg、6mg/kg、4mg/kg、2mg/kg及び1mg/kg以下)の用量で投与される。別の実施形態では、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)は、約6mg/kg以下(例えば、5.9mg/kg、5mg/kg、3mg/kg及び1mg/kg以下)の用量で投与される。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、約5mg/kg以下(例えば、4.9mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg及び1mg/kg以下)の用量で投与される。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、約4mg/kg以下(例えば、3.9mg/kg、3mg/kg(例えば、2.9mg/kg、2.5mg/kg、2mg/kg、1mg/kg以下)の用量で投与される。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、約2mg/kg以下(例えば、1.9mg/kg、1.5mg/kg、1mg/kg及び0.5mg/kg以下)の用量で投与される。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、約1mg/kg以下(例えば、0.9mg/kg、0.8mg/kg、0.7mg/kg、0.6mg/kg、0.5mg/kg、0.4mg/kg、0.3mg/kg、0.2mg/kg及び0.1mg/kg以下)の用量で投与される。
【0226】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩は、対象の体重の約0.1~10mg/kg、約0.2~10mg/kg、約0.3~10mg/kg、約0.4~10mg/kg、約0.5~10mg/kg、約1~10mg/kg、約2~10mg/kg、約3~10mg/kg、約4~10mg/kg、約5~10mg/kg、約6~10mg/kg、約7~10mg/kg、約8~10mg/kg又は約9mg/kgの用量で投与される。
【0227】
他の事例では、組成物(例えば、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドを含む組成物)の投与量は、予防又は治療に有効な量である。いくつかのケースでは、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドを含むウイルスベクター(例えば、rAAVベクター)は、対象当たり10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014又は1015ゲノムコピー(GC)の用量で投与される。一部の実施形態では、ウイルスベクター(例えば、rAAVベクター)は、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013又は1014GC/kg(対象の総重量)の用量で投与される。他の例では、オリゴヌクレオチドは、0.1mg/kg~約150mg/kg(例えば、0.5mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、50mg/kg、75mg/kg、100mg/kg、150mg/kg)の用量で投与される。
【0228】
任意選択で、開示されたオリゴヌクレオチドは、本明細書に記載されるように、対象への送達に好適な薬学的に許容される組成物の一部として投与され得る。開示される薬剤は、当業者によって容易に決定され得るように、所望の投薬量をもたらし、且つ/又は治療に有益な効果を引き出すのに十分な量で上記組成物中に含まれる。
【0229】
本明細書に記載される開示組成物は、対象を治療する上で又は前述したアウトカムの1つ(例えば、対象の疾患の1つ以上の症状の軽減)をもたらすのに十分な量(例えば有効量)で、且つ十分な時間にわたって投与され得る。開示される組成物は、1回又は2回以上投与され得る。開示される組成物は、1日1回、1日2回、1日3回、2日に1回、週1回、週2回、週3回、2週間に1回、月1回、2ヶ月に1回、年2回又は年1回投与することができる。治療は、離散的(例えば、注射)又は連続的(例えば、インプラント若しくは注入ポンプを介した処置)であり得る。対象は、治療のために用いられる組成物及び投与経路に応じて、開示の組成物の投与後1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月又はそれを超える治療有効性について評価され得る。対象は、離散的な期間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12ヶ月)又は疾患若しくは状態が緩和されるまで治療を受け得るか、又は治療される疾患若しくは状態の重症度及び性質に応じて、治療は、長期にわたり(例えば、対象の生涯にわたって)継続し得る。例えば、治療の初期ラウンド若しくはその後のラウンドがPNHに関連する症状、例えば倦怠感、虚弱性、息切れ、あざ若しくは出血しやすさ、再発性感染症、重度の頭痛、血栓及び出血の制御の困難などのいずれか1つの軽減又は対象の細胞若しくは血清中のCFB RNAのレベル若しくはCFBタンパク質レベルの低下を含む治療利益を引き出さない場合、PNHと診断され、本明細書に開示される組成物で治療される対象に1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の追加の治療薬を投与し得る。
【0230】
キット
本開示は、(a)本明細書に記載の細胞又は対象におけるCFBのレベル及び/若しくは活性を低下させるオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)剤又はその薬学的に許容される塩並びに任意選択で薬学的に許容される担体、賦形剤若しくは希釈剤を含む医薬組成物を含むキットも特徴とする。キットは、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)をコードするベクター又は本明細書に記載のオリゴヌクレオチド(例えばRNAiオリゴヌクレオチド)をコードするベクターを含む細胞を含有し得る。キットは、本明細書に記載の方法のいずれかを実施するための説明を含む添付文書も含み得る。一部の実施形態では、キットは、(a)本明細書に記載される細胞又は対象におけるCFBのレベル及び/若しくは活性を低下させるオリゴヌクレオチド(例えば、RNAiオリゴヌクレオチド)剤を含む医薬組成物、(b)追加の治療薬、及び(c)本明細書に記載の方法のいずれかを実施するための説明を含む添付文書を含む。
【実施例
【0231】
以下の実施例は、あくまで例示を目的としており、本開示を何ら限定することは意図されない。
【0232】
実施例1:RNAiオリゴヌクレオチドの調製
オリゴヌクレオチドの合成及び精製
本実施例及び以下の実施例に記載のRNAiオリゴヌクレオチドを、本明細書に記載の方法を用いて化学的に合成した。概して、RNAiオリゴヌクレオチドは、公知のホスホロアミダイト合成(例えば、以下を参照されたい:Hughes and Ellington(2017)COLD SPRING HARB PERSPECT BIOL.9(1):a023812;Beaucage S.L.,Caruthers M.H.Studies on Nucleotide Chemistry V:Deoxy nucleoside Phosphoramidites-A New Class of Key Intermediates for Deoxypolynucleotide Synthesis.Tetrahedron Lett.22:1859-1862,1981;doi:10.1016/S0040-4039(01)90461-7)に加えて、19-23mer siRNAについて記載されているような固相オリゴヌクレオチド合成法(例えば、以下を参照されたい:Scaringe et al.(1990)Nucleic Acids Res.18:5433-5441及びUsman et al.(1987)J.Am.Chem.Soc.109:7845-7845;米国特許第5,804,683号明細書;同第5,831,071号明細書;同第5,998,203号明細書;同第6,008,400号明細書;同第6,111,086号明細書;同第6,117,657号明細書;同第6,353,098号明細書;同第6,362,323号明細書;同第6,437,117号明細書及び同第6,469,158号明細書)を用いて合成した。
【0233】
19merコア配列を有するRNAiオリゴヌクレオチドは、RNAi機構によるプロセシングを可能にするために、25merセンス鎖及び27merアンチセンス鎖を有する構築物にフォーマットされた。19merコア配列は、CFB mRNAの領域に相補的であった。
【0234】
個々のRNA鎖を合成し、標準的な方法に従ってHPLC精製した(Integrated DNA Technologies;Coralville,IA)。例えば、RNAオリゴヌクレオチドは、固相ホスホロアミダイト化学を用いて合成し、脱保護した後、標準的な技術(Damha & Olgivie(1993)METHODS MOL.BIOL.20:81-114;Wincott et al.(1995)NUCLEIC ACID RES.23:2677-2684)を用いて、NAP-5カラム(Amersham Pharmacia Biotech;Piscataway,NJ)で脱塩した。15分のステップ線形勾配を用いるAmersham Source 15Qカラム(1.0cm×25cm;Amersham Pharmacia Biotech)でのイオン交換高速液体クロマトグラフィー(IE-HPC)を用いて、オリゴマーを精製した。勾配は、90:10バッファーA:Bから52:48バッファーA:Bまで変動し、バッファーAは、100mMトリスpH8.5であり、バッファーBは、100mMトリスpH8.5、1M NaClであった。サンプルを260nmでモニターし、完全長オリゴヌクレオチド種に対応するピークを回収し、プールし、NAP-5カラム上で脱塩した後、凍結乾燥した。
【0235】
各オリゴマーの純度は、Beckman PACE 5000(Beckman Coulter,Inc.;Fullerton,CA)でのキャピラリー電気泳動装置により決定した。CEキャピラリーは、内径が100μmで、ssDNA 100RGel(Beckman-Coulter)を含有する。通常、約0.6nmモルのオリゴヌクレオチドをキャピラリーに注入し、444V/cmの電界で泳動させ、260nmのUV吸光度により検出した。変性トリス-ホウ酸-7M-尿素ランニングバッファーは、Beckman-Coulterから購入した。以下に記載される実験で使用するために、CEによって評価して、少なくとも90%純粋であったオリゴリボヌクレオチドが得られた。化合物の同一性は、製造者の推奨するプロトコルに従い、VOYAGER DE(商標)Biospectrometry Work Station(Applied Biosystems;Foster City,CA)でのマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析によって検証された。全てのオリゴマーの相対分子量が得られ、多くの場合、予想される分子量の0.2%以内であった。
【0236】
二重らせんの調製
100mM酢酸カリウム、30mM HEPES、pH7.5からなる二重らせんバッファー中に一本鎖RNAオリゴマーを再懸濁した(例えば、濃度100μMで)。相補的なセンス鎖及びアンチセンス鎖を等モル量で混合して、例えば50μM二重らせんの最終溶液を得た。サンプルを100℃に加熱して5’RNAバッファー(IDT)中、使用前に室温まで冷却させた。RNAiオリゴヌクレオチドは、-20℃で保存した。一本鎖RNAオリゴマーは、凍結乾燥又はヌクレアーゼフリー水中、-80℃で保存した。
【0237】
実施例2:CFB標的RNAiオリゴヌクレオチドの作製
CFB mRNA標的配列の同定
補体因子B(CFB)は、補体の代替経路に関与するタンパク質である。CFB発現のRNAiオリゴヌクレオチド阻害剤を生成するために、コンピュータベースのアルゴリズムを使用して、RNAi経路によるCFB発現の阻害をアッセイするのに適したCFB mRNA標的配列を計算的に同定した。各々がヒトCFB mRNAの適切なCFB標的配列に対して相補性の領域を有する300を超えるRNAiオリゴヌクレオチドガイド(アンチセンス)鎖配列(表3を参照されたい)を調製し、CFB発現阻害についてインビトロでアッセイした。これらのRNAiオリゴヌクレオチドから、9つのサブセット(表4を参照されたい)をさらなる研究のために選択した。アルゴリズムによって同定された9つのガイド配列のサブセットは、サルCFB mRNAの対応するCFB標的配列にも相補的であった(配列番号51;表3)。ヌクレオチド配列類似性を有する相同性CFB mRNA標的配列に対して相補性の領域を含むCFB RNAiオリゴヌクレオチドは、相同性CFB mRNAをターゲティングする能力を有すると予測される。
【0238】
【表3】
【0239】
実施例3:インビボでCFB発現を阻害するRNAiオリゴヌクレオチドの同定
CFB発現を阻害するように設計されたRNAiオリゴヌクレオチド(DsiRNAオリゴヌクレオチドとしてフォーマット化)を、細胞ベースアッセイを用いてインビトロで個別に評価した。オリゴヌクレオチドを調製するために用いた方法は、実施例1に記載されている。CFB mRNA標的配列を設計及び作成するために用いた方法は、実施例2に記載されている。
【0240】
インビトロ細胞ベースアッセイ
CFB mRNAを減少させるように作製された各RNAiオリゴヌクレオチドの能力を、インビトロ細胞ベースアッセイを用いて測定した。手短には、内因性ヒトCFB遺伝子を発現するヒト肝細胞(Huh7)細胞を、マルチウェル細胞培養プレートの個別のウェルに各々1nMのRNAiオリゴヌクレオチドでトランスフェクトした(化合物A~I)。修飾RNAiオリゴヌクレオチドによるトランスフェクション後、細胞を24時間維持した後、TAQMAN(登録商標)ベースのqPCRアッセイを用いてトランスフェクト細胞からの残留CFB mRNA量を測定した。3’アッセイ及び5’アッセイの2つのqPCRアッセイを使用して、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)を結合させたPCRプローブを用いて測定したCFB mRNAレベルを決定し、HPRTハウスキーピング遺伝子に対して正規化した。図3Aに示すように、各プライマー対を残留CFB mRNA(%)について検定した。模擬トランスフェクト細胞と比較して、RNAiオリゴヌクレオチドトランスフェクト細胞中に残留する8%以下のCFB mRNAをもたらすRNAiオリゴヌクレオチドを、RNAiオリゴヌクレオチド「ヒット」とみなした。
【0241】
マルチウェル細胞培養プレートの個別のウェルにおいて、内因性CFBを発現するHuH-7ヒト肝細胞を、表示される3つの異なる濃度(0.03nM、0.1nM、1nM;図3B参照)のRNAiオリゴヌクレオチドでトランスフェクトすることにより、用量反応試験を行った。トランスフェクション後24時間細胞を維持し、TAQMAN(登録商標)ベースのqPCRアッセイを用いてトランスフェクト細胞から残留するCFB mRNAのレベルを測定した。2つのqPCRアッセイ(3’アッセイ及び5’アッセイ)を使用して、それぞれHEX及びFAMプローブによって測定されるmRNAレベルを決した。9つのRNAiオリゴヌクレオチド(化合物A~I)を、インビボスクリーニングアッセイでさらに試験した。
【0242】
これらの結果を総合すると、ヒトCFB mRNAをターゲティングするように設計されたRNAiオリゴヌクレオチドは、対象細胞に対するRNAiオリゴヌクレオチドトランスフェクト細胞におけるCFB mRNAの量の減少によって決定されるように、細胞におけるCFBの発現を阻害することが示された。これらの結果は、RNAiオリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド配列が、CFB発現を阻害するRNAiオリゴヌクレオチドの生成に有用であることを示している。さらに、これらの結果は、複数のCFB mRNA標的配列がCFB発現のRNAi媒介阻害に適していることを示している(表4)。
【0243】
【表4】
【0244】
実施例4:ヒトCFB cDNAを発現するマウス(HDIマウス)におけるRNAiオリゴヌクレオチドのスクリーニング
実施例3のインビトロスクリーニングアッセイにより、CFBターゲティングオリゴヌクレオチドが標的mRNAをノックダウンする能力を検証した。CFBをインビボでノックダウンするRNAiオリゴヌクレオチドの能力を確認するために、HDIマウスモデルを使用した。
【0245】
表4に示すオリゴヌクレオチドは、マウス肝臓の肝細胞でヒトCFB mRNAを一過性発現するように操作したマウスで評価した。手短には、6~8週齢の雌CD-1マウス(n=4~5)に、PBS中に製剤化した0.25mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg又は3mg/kgの用量で表示RNAiオリゴヌクレオチドを皮下投与した。対照群のマウス(n=5)にはPBSのみを投与した。3日後(72時間後)、ユビキタスサイトメガロウイルス(cytomegalovirus)(CMV)プロモーター配列の制御下で全ヒトCFB遺伝子(配列番12)をコードするDNAプラスミド(25μg)をマウスにハイドロダイナミック法により注入(HDI)した。DNAプラスミド導入の1日後、HDIマウスから肝臓サンプルを採取した。これらのHDIマウス由来の全RNAをqRT-PCR分析に供し、実施例3に記載したようにCFB mRNAレベルを測定した。mRNAレベルをヒトmRNAについて測定した。DNAプラスミドに含まれるNeoR遺伝子を用いて、トランスフェクション効率について値を正規化した。
【0246】
図4A~4Cの結果は、RNAiオリゴヌクレオチドで処置したHDIマウスの肝臓サンプルにおけるヒトCFB mRNA発現量の減少により決定すると、PBSのみで処置した対照HDIマウスと比較して、ヒトCFB mRNAをターゲティングするように設計されたRNAiオリゴヌクレオチドがHDIマウスにおけるヒトCFB mRNA発現を阻害したことを実証している。試験した全てのRNAiオリゴヌクレオチドは、CFB発現を低減することができた。全体として、HDI研究は、肝臓におけるCFB発現を阻害するための多数の潜在的RNAiオリゴヌクレオチドを同定した。
【0247】
実施例5:カニクイザル(Cynomolgus Macaque)におけるRNAiオリゴヌクレオチドのスクリーニング
実施例4に記載されるように、マウススクリーニング中に予め選択された全ての化合物A~Iを、4mg/kgの単回皮下用量で投与した後のCFB mRNAサイレンシングの持続時間についてカニクイザル(cynomolgus macaque)(NHP)で試験した。試験した全ての動物の肝生検(n=5/化合物)は、投与前と、注射後28日目及び56日目に収集した。図5に示されるように、RT-qPCRによって決定された正規化ベースラインレベル及び同時刻PBS対照と比較して、試験されたほとんどの化合物で肝臓CFB mRNAレベルが少なくとも50%減少した。2つのリード化合物(化合物A及びB)は、複数回用量試験での試験のために、単回投与後のカニクイザル(cynomolgus macaque)の肝臓中のCFB mRNAのノックダウンレベルに基づいて選択した。
【0248】
複数回用量NHP試験でさらに評価するために、単回用量試験から化合物A及びBを選択した。カニクイザル(cynomolgus macaque)に、0日目、28日目、56日目及び84日目に1mg/kg又は2mg/kgで計4回用量を皮下投与した。RT-qPCRによる肝臓CFB mRNAレベルの評価のために、投与前と、初回処置後28、56及び112日目に肝生検を収集した(図6A)。イムノブロットキットによるCFBタンパク質レベルの評価(図6B)、WIESLAB(登録商標)APアッセイによる補体活性(図8)及びウサギ赤血球の溶血(図9;化合物Bのみを溶血アッセイで試験した)のために、投与前、初回投与後1、14、28、42、56、70、84、98及び112日目に血清サンプルを収集した。CFB肝臓mRNA、CFB血清タンパク質及び機能アッセイからの対照として、PBS処置動物を使用した。化合物A又はBによるカニクイザル(cynomolgus macaque)の複数回処置は、それぞれ図6A、6B、8及び9に示される通り、肝臓におけるCFB mRNAサイレンシングの持続的維持、血清中の循環CFBの有意な減少、代替経路補体活性の>95%の減少並びに化合物A及びBの複数回投与後の溶血アッセイにおけるウサギ赤血球の溶解の完全な阻害をもたらした。
【0249】
化合物A及びBの効力は、単回及び複数回投与の両方のNHP試験について28日目の結果を組み合わせることによって計算した。化合物A(0.65mg/kg)と化合物B(0.65mg/kg)のおよそのED50は、両方の化合物について作成された用量反応曲線から算出した(図7)。
【0250】
実施例6:CD-1マウスにおけるCFB発現に関する化合物Jの薬物動態及び薬力学的試験
CD-1マウスに化合物Jを投与し、マウスの肝臓におけるCFB mRNAのノックダウンのパーセントと、化合物J投与によるマウスの血清中のCFBタンパク質の量を評価した。化合物Jは、マウスCFB発現をターゲティングするRNAiオリゴヌクレオチドであり、化合物A及び化合物BのようなヒトCFB発現をターゲティングするRNAiオリゴヌクレオチドの代替物として機能する。肝臓CFB mRNAのノックダウンパーセントを、化合物J投与の結果として、RT-qPCRを用いて測定した。血清中のCFBの量は、代わりに、イムノブロットによって測定した。マウスは、化合物Jを0.25mg/kg、0.5mg/kg又は3mg/kgの単回皮下用量で受けた。
【0251】
化合物Jの単回投与は、肝臓CFB mRNAの用量依存的なノックダウンパーセンテージを示し、3mg/kg用量(n=5マウス/時点)を受けた動物からの肝臓では90%超のCFB mRNAの減少を示した。mRNAノックダウンの最下点は、図10Aに示すように、3mg/Kg用量から3~21日であった。CD-1マウスの血清中のCFBタンパク質のパーセンテージを試験期間にわたって測定したところ、それも相応に抑制された(図10B)。
【0252】
3mg/kgの単回皮下用量の化合物Jを投与したCD-1マウスの血漿、脾臓、肝臓及び腎臓組織中の化合物Jの量を、上記用量を受けた後672時間にわたってステムループqPCRを用いて測定した(図11)。薬物動態分析では、化合物Jの曝露が最も高いのは肝臓であり、続いて脾臓、腎臓、血漿であることが示された(図11)。
【0253】
肝臓CFBのパーセンテージは、RT-qPCRを用いても測定し、血清中のCFBタンパク質の量は、70日の期間にわたるイムノブロットによって定量的に評価し、CD-1マウスは、図12A及び12Bにそれぞれ示すように、0、14、28及び42日目に0.5mg/kg又は3mg/kgのいずれかで4用量の化合物Jを受けた。高用量(3mg/kg)の化合物Jを投与した動物の場合、初回投与後3、14、17、28、31、42、45、56及び70日目に低用量(0.5mg/kg)の化合物Jを投与した動物では同じ時点(但し、70日目ではなく63日目に収集)に、肝生検と血清採取を行った。図13A及び13Bにそれぞれ示すように、0.5mg/kgの4用量後の化合物Jの肝臓及び血漿濃度を、ステムループqPCR(SL-qPCR)を用いて肝生検及び血漿サンプルから分析した。PBS処置CD-1マウスを、CFB肝臓mRNA及びCFB血清タンパク質レベルの両方の対照として使用した。
【0254】
この複数回用量試験では、化合物J(マウス代用物)が肝臓CFB mRNAの用量依存的なノックダウンを示し、これは70日の期間にわたって持続されたことが明らかにされた。循環CFBタンパク質レベルの低下は、肝臓中に観察されたCFB mRNAの減少に対応していた。さらに、投与動物からの化合物Jの血漿及び肝臓濃度は、隔週投与(0.5mg/kg)の場合、化合物Jの蓄積を示さなかった(それぞれ図13A及び13Bを参照されたい)。
【0255】
さらに、雄CD-1マウスを用いた単回投与吸収、分布、代謝及び排泄(ADME)試験を実施し、3、10若しくは100mg/kgの単回皮下投与又は3mg/kgの単回静脈内投与後の化合物Bの薬物動態を特性決定した。単回皮下投与の血漿中化合物B濃度は、3回皮下用量群の全てについて1時間でTmaxに達し、その後、主に肝臓への急速な分布段階が続いた。3mg/kgの皮下用量及び静脈用量後、ゼロから最終測定可能濃度までの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUClast)の比較に基づき、バイオアベイラビリティは、約22%であった。3mg/kg用量群と比較した血漿曝露は、10mg/kg群ではほぼ用量比例的に増加し、100mg/kg群では用量比例よりも大きく増加した。肝臓及び腎臓曝露は、投与後に観察された最大濃度(Cmax)及びAUClastに基づき、3mg/kg用量群と比較して、10mg/kg投与群でほぼ用量比例的に増加し、100mg/kg用量群では用量比例よりも低く増加した。肝臓における排泄半減期は、3.94~4.98日であった。
【0256】
実施例7:CAIA誘発関節炎マウスモデルにおけるCFB発現への化合物Jの効果
関節炎に関連する症状の治療に対する化合物Jの効果を、関節リウマチの単純モデルであるコラーゲン抗体惹起関節炎(CAIA)誘発関節炎マウスモデルを用いて検証した。CAIA誘発関節炎マウスモデルは、0日目にコラーゲン抗体をマウスに投与し、続いて3日目にLPSブースターを投与することによって作製した。化合物Jは、予防研究及び治療研究の両方で試験された。動物には、予防研究のために-7日目に1.5若しくは3mg/kgの化合物Jを投与し(図14A)、且つ治療研究のために5日目の疾患発症後に投与した(図14B)。後肢の炎症を10日目に視覚的に分析し、予防及び治療研究の両方の結果をそれぞれ図15A及び15Bに示す。化合物Jによる予防的処置は、このモデル特有の特徴である後肢の腫脹を予防した(図15A)。化合物Jによる治療的処置は、PBS処置対照動物と比較すると、単回投与後の臨床疾患発現を完全に逆転させた(図15B)。
【0257】
後肢及び膝の生検にヘマトキシリン及びエオジン(H&E)染色を実施し、予防的に化合物Jの3mg/kgの3用量(図16及び18)で処置したマウスにおける局所単核細胞浸潤の減少を示した。さらに、6mg/kgの単回用量の化合物Jによる治療的処置の結果としての局所炎症の減少を証明するために、リンパ球(CD45陽性細胞)、白血球(CD11b陽性細胞)及びマクロファージ(F4/80陽性細胞)マーカー染色を、図19、20及び21にそれぞれ示すように生検サンプルに対して実施した。生検サンプルもサフラニンOで染色して、CAIA誘発関節炎マウスモデルの膝の軟骨を視覚化した。3mg/kgの化合物Jで処置した動物は、予防的(図17及び図18)に処置した場合、PBS処置マウスと比較して、軟骨びらんの顕著な減少を示した。3mg/kgの化合物Jによる処置を受けた又は受けていないCAIA誘発関節炎マウスの局所炎症部位での補体発現を評価するために、CFB及びCD45 mRNAへのインサイチュハイブリダイゼーションを用いた実験を生検サンプルで実施した(これは、図22に示す)。化合物JによるCFBの肝ノックダウンは、対照群としてのPBS処置動物と比較して、化合物Jによる治療的処置の場合、リンパ球(CD45陽性細胞)の浸潤及び局所CFB mRNA発現を低減した。
【0258】
実施例8:多発性硬化症マウスモデルにおけるCFB発現への化合物Jの効果。
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)誘発実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)マウスモデルを使用して、神経炎症及び脱髄の免疫介在性メカニズムを調べることができる。MOG誘発EAEマウスを3mg/kg用量の化合物J(n=2実験)で予防的に処置した。化合物Jによる処置後の肝臓CFB mRNAレベル並びに血清中のCFBタンパク質を、図25A及び25Bに示すようにそれぞれRT-qPCR及びイムノブロットを用いて評価した。同様に、化合物Jによる処置後に残っているCFB mRNAのパーセンテージ並びに3mg/kgの用量の化合物Jで処置した後のMOG誘発EAEマウスの血清中のCFBの量を、PBSで処置した動物と比較して評価した。化合物JによるCFBの肝臓ノックダウンは、疾患の重症度を低下させた(図23)。
【0259】
腰椎脊髄サンプルも、化合物Jで処置したMOG誘発EAEマウスから得た。図24に示すように、髄鞘形成並びに単核細胞浸潤を視覚化するために、H&E染色と共にルクソールファストブルー染色を脊髄サンプルに実施した。図24に示すように、ルクソールファストブルー脊髄サンプルを、3mg/kgの化合物J、PBSで処置した疾患動物間で比較した。化合物Jで処置したMOG誘発動物は、脱髄の中程度の減少及び免疫細胞浸潤の予防を示した。
【0260】
実施例9:ヒトにおける化合物Bによる多発性硬化症の治療
多発性硬化症に罹患している対象は、化合物Bを含有する(例えば、約3mg/kgの用量で)医薬組成物で処置され得る。対象は、週に1回の頻度で例えば筋肉内注射によって約12ヶ月以上の期間(例えば、症状が解消又は安定するまで)組成物を投与され得る。月に約1回、対象の症状及び血清CFBレベルを臨床医が評価して、化合物Bの有効性を評価することができる。対象の血清CFBは、血清サンプルを用いて定量され得、化合物Bを投与される前の対象の血清中に見出されるCFBタンパク質の量若しくは対照量のCFBタンパク質又は正常な対象(例えば、無病の対象)からの血清サンプル中に存在するCFBタンパク質の量と比較され得る。化合物Bによる処置は、化合物Bによる処置前の血清中のCFBタンパク質の量と比較して、血清中のCFBタンパク質の量が少なくとも10%減少した場合に有効であると判定され得る。加えて、多発性硬化症に関連する対象の症状、例えばかすみ目、不明瞭な発話、眩暈、打診痛、協調の欠如及び不安定歩行などを臨床医が評価して、化合物Bを投与される前に対象が経験していた症状と比較して、対象が経験している症状のいずれか又は全てに軽減があるか否かを評価することができる。
【0261】
実施例10:ヒトにおける化合物Bによる関節炎の処置
関節炎と診断された対象は、化合物Bを含有する医薬組成物で処置され得る(例えば、約1.5mg/kgの用量で)。対象は、月に約1回の頻度で例えば筋肉内注射によって約6ヶ月以上の期間にわたって(例えば、症状が解消するか又は安定するまで)組成物を投与され得る。例えば、1ヶ月又は2ヶ月毎に化合物Bの有効性を評価するために、対象は、臨床医によって(例えば、対象の症状及び/又は血清CFBレベルを評価することにより)評価され得る。対象の血清CFBは、血清サンプルを用いて定量され得、化合物Bが投与される前の対象の血清中に見出されるCFBタンパク質の量若しくは対照量のCFBタンパク質若しくは正常な対象(例えば、無病対象)からの血清サンプル中に存在するCFBタンパク質の量と比較され得る。化合物Bによる処置は、化合物Bによる処置前の血清中のCFBタンパク質の量と比較して、血清中のCFBタンパク質の量が減少した場合、即ち少なくとも10%減少した場合に有効であると判定され得る。加えて、関節炎に関連する対象の症状、例えば疼痛、こわばり、腫脹、発赤及び可動域の減少などを臨床医が評価することにより、化合物Bを投与される前に対象が経験していた症状と比較して、対象が経験している症状のいずれか又は全てに軽減があるか否かを評価することができる。
【0262】
実施例11:カニクイザル(Cynomolgus Monkey)及びマウスにおける毒性の評価
皮下投与した化合物Bの安全性及び忍容性をカニクイザル及びマウスで評価した。
【0263】
安全性薬理試験では、0.9%塩化ナトリウムを皮下投与した後、化合物Bの用量を増加しながら(30、100、300mg/kg)、同じカニクイザルに7日毎に1回投与した。どの用量レベルでも、心血管系及び神経系への影響は観察されなかった。300mg/kgでは、呼吸器系評価の際、最小限の分時換気量(minute volume)低下及び最小限の1回換気量(tidal volume)低下が認められた。これらの呼吸器系の所見は重篤度が最小限であり、試験期間を通して全ての動物が良好な健康状態を維持したことから、無毒性とみなされた。従って、本試験における無毒性レベル(NOAEL)は、300mg/kgであると決定された。
【0264】
遺伝毒性評価(インビトロ小核アッセイ及びインビトロ細菌復帰転突然変異アッセイを含む)では、小核の誘発及変異原活性化についてそれぞれ陰性であった。
【0265】
6ヵ月間のマウス試験では、化合物Bの反復皮下投与(0、30、100、300mg/kgを4週間毎に計7用量)による潜在的毒性並びに8週間の回復期間後の何らかの作用の可逆性、持続性又は発生遅延を評価した。本試験における用量レベルの範囲は、意図される最高臨床用量での予想曝露の少なくとも10倍の曝露倍数を達成するように選択した。化合物Bの毒物動態学的特性も決定した。無毒性臨床病理学的所見には、好中球数(それぞれ2.08倍及び1.39倍)、単球数(それぞれ2.90倍及び2.38倍)並びにリンパ球数(それぞれ1.92倍及び1.35倍)が増加し、それにより、171日目に300mg/kg/日群の雄及び雌で総白血球数(それぞれ1.94倍及び1.38倍)が増加し、171日目に300mg/kg/日群の雄でコレステロール濃度(62.9倍)が減少したことが含まれた。全ての臨床病理所見の完全な可逆性は、回復期間終了時に明らかであった。無毒性顕微鏡的所見には、以下が含まれた:肝細胞カリオサイト肥大、それに伴う肝臓/胆嚢重量の増加、肝臓の混合細胞炎症、腎臓の細胞質内好塩基性顆粒及び組織球の皮下浸潤、真皮の混合細胞炎症並びに肝細胞カリオサイト肥大による終末安楽死時の注射部位における筋層カルノサスの変性、壊死及び/又は再生、肝臓の混合細胞炎症、組織球の皮下浸潤並びにリカバリー安楽死の際に依然として存在した注射部位の筋層カルノサスの変性、壊死及び/又は再生。
【0266】
これらの動物の肝臓所見には、微小胞脂肪の変化、単細胞壊死、カリオサイト肥大が含まれた。肝臓は、終末安楽死時の標的組織と考えられたため、これらの死亡マウスに見られた肝臓の変化は、化合物Bに関連する可能性があると考えられた。2つの主要試験の死亡例に加え、毒物動態学群で化合物Bとの関連性が不明な早期死亡例が2匹あった。これらの動物は、死亡が確認されたか(14日目の300mg/kg群の雌)又は瀕死のために安楽死させた(99日目の30mg/kg群の雄)ものであった。これらの動物からの肉眼による所見で関連の可能性があるものは、30mg/kg群の雄で淡色に変色した肝臓であった。主要試験の100mg/kg及び300mg/kg群の雌で観察された死亡率に基づいて、NOAELは、雌の場合30mg/kg、雄については300mg/kgと考えられた。これらの用量は、169日目の30mg/kg/日群の雌及び300mg/kg群の雄についてそれぞれ17,400及び609,000hr*ng/mLの血漿中平均AUClast値並びに6490及び140,000ng/mLの平均Cmax値に相当した。
【0267】
9ヵ月間のサル試験では、反復皮下投与(4週間毎に0、30、100、300mg/kgの化合物Bを計10回用量)による潜在的毒性及び8週間の回復期間後の何らかの作用の可逆性、持続性又は発生遅延が評価された。本試験における用量レベルの範囲は、意図される最高臨床用量での予想曝露の少なくとも10倍の曝露倍数を達成するように選択した。化合物Bの毒物動態学的特性及び薬力学的作用を評価した。≧30mg/kgでの本試験の投与段階終了時に、肝臓の好酸球性肝細胞球並びに複数の組織(消化器系、泌尿生殖器系、リンパ系、脳(脈絡叢)、眼(脈絡膜又は毛様体)、心臓、副腎、甲状腺、皮膚、骨格筋、大腿脛骨関節及び/又は皮下投与部位)における空胞化/顆粒状マクロファージという最小から中程度の無毒性顕微鏡的所見が認められた。これらの所見は、回復段階終了後も低い発生率及び/又は重症度で持続しており、これは、依然として不完全な回復が進行であることを示している。28日目までに血清CFBタンパク質濃度の>95%の低下及び補体代替経路の補体機能活性の>95%の低減並びに安楽死後の肝CFB mRNA発現の>89%の低減により示されるように、全ての用量レベルでの曝露が予想され、且つ相互に関連する薬力学的効果をもたらした。投与期間後に毒性所見が認められなかったことから、NOAELは、300mg/kgであると決定され、関連するAUClastは、1360000hr*ng/mL、Cmaxは、66200ng/mLであった(雄及び雌合わせて、253日目)。
【0268】
実施例12.CFB評価アッセイ
血漿又は組織中の化合物Bの評価、WIESLAB(登録商標)補体機能活性アッセイ、循環CFBの評価、CFB mRNA発現レベル及び薬物動態アッセイを含む様々なアッセイを本明細書に記載のように使用して、CFBレベルに対する化合物Bの効果を特徴付けることができる。
【0269】
血漿中の化合物B
マウス及びサルの化合物Bの血漿中濃度は、高速液体クロマトグラフィー-蛍光検出(HPLC-FD)分析法により測定した。30μLの血漿サンプル中の分析物(化合物B)をプロテイナーゼKで酵素処理し、化合物Bのアンチセンス鎖と配列相補性を有する蛍光プローブ(ペプチド核酸;22-merペプチド核酸PNAプローブ)とハイブリダイズさせ、蛍光検出器を備える高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に注入した。クロマトグラフィー分離は、DNAPAC(商標)PA200分析カラムを用いたShimadzu Prominenceシステム上の勾配システムを用いて実施した。移動相は、移動相Aが30%アセトニトリル(25mM Tris HCl、1mM EDTA、2M尿素)であり、移動相Bが移動相A中の1M NaClOであった。FL検出器により、436nm(Ex)~484nm(Em)のシグナルをモニターした。化合物Bの濃度は、2.00ng/mL~2000ng/mLの定量範囲にわたり、これらの範囲の下限及び上限をそれぞれ定量下限(LLOQ)及び定量上限(ULOQ)と定義して、最小二乗法(1/c2重み付け)を用い、線形回帰を含むLabSolutions 6.70を使用して算出した。このアッセイは、例えば、上述の実施例5及び6で使用した。
【0270】
組織中の化合物B
サル及びマウス両者の肝臓及び腎臓中の化合物B濃度をHPLC-FD分析法により測定した。50μLのアリコート量(組織ホモジネート)中の2.5mgの組織サンプルを用いて、組織サンプル中の化合物BをプロテイナーゼKで酵素処理した後、化合物Bのアンチセンス鎖と相補的な配列を有する22merのPNAプローブとのハイブリダイゼーションを行った。処理したサンプルを、蛍光検出器を備えるHPLCに注入した。クロマトグラフィー分離は、DNAPAC(商標)PA200分析カラムを用いたShimadzu Prominenceシステム上の勾配システムを用いて行った。移動相は、移動相Aが30%アセトニトリル(25mM Tris HCl、1mM EDTA、2M尿素)であり、移動相Bが移動相A中の1M NaClOである。化合物Bの濃度は、30.0ng/mL~20,000ng/mLの定量範囲にわたり、これらの範囲の下限及び上限をそれぞれLLOQ及びULOQと定義して、最小二乗法(1/c2重み付けを含む)を用い、線形回帰を含むLabSolutions 6.89を使用して算出した。このアッセイは、例えば、上述の実施例5及び6で使用した。
【0271】
WIESLAB(登録商標)補体機能活性アッセイ(CCP、CAP、CLP)
補体活性化の結果として生じるヒト終末補体複合体(C5b 9)複合体を検出するために、ネオアンチゲンに特異的な標識抗体を用いて、WIESLAB(登録商標)補体系スクリーニングアッセイを用いて、補体古典経路(CCP)、CAP及び補体レクチン経路活性を評価した。これらのアッセイは、カニクイザル(cynomolgus monkey)C5b-9を検出することもできる。生成されたネオアンチゲンの量は、個別の経路の機能的活性のレベルに比例した。アッセイのマイクロタイターストリップのウェルを、古典的若しくは代替的又はレクチン経路の特異的活性化剤でコーティングした。サル血清サンプルは、それぞれの経路のみが活性化されたことを確実にする遮断薬を含む希釈液で希釈した。ウェルを洗浄し、発現したネオアンチゲンに対する特異的アルカリホスファターゼ標識抗体を用いて、C5b-9を検出した。補体活性化の量は、405nmの吸光度により測定した発色強度と相関した。試験キットで提供された陽性対照の値は、100%補体活性化として定義された。全ての測定値は、補体活性のパーセント(%)として表され、以下のように決定された:
[(サンプル-陰性対照)/(陽性対照-陰性対照)]*100
このアッセイは、例えば、上記の実施例5に使用された。
【0272】
タンパク質レベル
カニクイザル循環血液中のB因子タンパク質レベルの量は、サルサンプル中のトランスフェリン(TF)レベルに対して正規化した相対CFB血清タンパク質濃度の測定値を用いて、ウェスタンブロット法により評価した。サンプルバッファー中に混合させた希釈血清サンプルを蛍光マスターミックスと合わせた。サンプルを95℃で5分間沸騰させ、ボルテックスし、スピンダウンした。サンプルを氷上に置き、ウェスタンブロットで泳動させた。定量は、ProteinSimpleソフトウェアを用い、製造者の指示に従って実施した。治療群におけるCFBタンパク質の減少の程度は、PBS処置対照群のサルCFBレベルを100%として、同じ試験日のPBS処置対照群の平均レベルに対する発現のパーセントとして計算した。平均値±標準偏差のグラフを作成し、GraphPad Prism(GraphPad Software,La Jolla,CA)を用いてデータを解析した。対応のないt検定を実施して、化合物B治療群のサルCFBタンパク質レベルを、同じ試験日のPBS処置対照群と比較した。
【0273】
循環因子Bタンパク質レベルの評価は、ヒトにおける補体因子B濃度の定量測定のために設計された因子B酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キットを用いても評価した。補体因子B特異的抗体を96ウェルプレート上にプレコートし、遮断した。標準物質又は試験サンプルをウェルに添加した後、補体因子B特異的ビオチン化検出抗体を添加し、その後、続いて洗浄バッファーで洗浄した。ストレプトアビジン-ペルオキシダーゼコンジュゲートを添加し、未結合コンジュゲートを洗浄バッファーで洗い流した。その後、テトラメチルベンジジン(TMB)を使用して、ストレプトアビジン-ペルオキシダーゼ酵素反応を視覚化した。TMBをストレプトアビジン-ペルオキシダーゼで触媒し、酸性停止液を添加した後に黄色に変化する青色の生成物を生成した。黄色の着色の密度は、プレートにおける補体因子B捕捉量に正比例した。サンプルの逆算濃度は、較正標準によって生成された曲線当てはめ回帰プログラムによって決定した。このアッセイは、例えば、上記の実施例5に使用された。
【0274】
CFB mRNA発現レベル
カニクイザル肝臓中のB因子の量は、逆転写後のデュープレックスリアルタイム定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)アッセイを用いて、カニクイザル肝臓から単離したRNA中のペプチジル-プロリル-シス-トランスイソメラーゼB(PPIB)mRNA発現に対するB因子mRNA発現を測定することにより決定した。初めに、凍結肝臓組織からmRNAを単離し、定量した。続いて、mRNAを相補的DNA(cDNA)に転写した。次に、このcDNAをqPCR反応の鋳型として用いて、PPIBに対する正規化によりB因子mRNAレベルを測定した。治療群におけるB因子mRNAの発現量は、未治療群又は投与前群に対する発現(PPIB mRNAレベルに対して正規化)のパーセントとして算出し、対照群におけるB因子mRNA発現を100%と設定した。このアッセイは、例えば、上述の実施例5及び11で使用した。
【0275】
薬物動態アッセイ
ヒト血漿中の化合物Bの濃度は、HPLC-FD分析法により測定する。30μLの血漿サンプル中の分析物(化合物B)をプロテイナーゼKで酵素処理した後、化合物Bのアンチセンス鎖と配列相補性を有する蛍光プローブ(ペプチド核酸;22-mer PNAプローブ)とハイブリダイズさせ、蛍光検出器を備えたHPLCに注入する。クロマトグラフィー分離は、DNAPAC(商標)PA200分析カラムを用いたShimadzu Prominenceシステム上の勾配システムを用いて実施する。移動相は、移動相Aが30%アセトニトリル(25mM Tris HCl、1mM EDTA、2M尿素)であり、移動相Bが移動相A中の1M NaClOであった。FL検出器により、436nm(Ex)~484nm(Em)のシグナルをモニターした。化合物Bの濃度は、2.00ng/mL~2000ng/mLの定量範囲にわたり、これらの範囲の下限及び上限をそれぞれLLOQ及びULOQと定義して、最小二乗法(1/c2重み付け)を用い、線形回帰を含むLabSolutions 6.70を使用して算出した。
【0276】
抗薬物抗体アッセイ
化合物Bに対する抗薬物抗体(ADA)アッセイは、ヒト血清及び電気化学発光(ECL)ブリッジングアッセイを使用して実施され得る。陽性対照(PC)は、キーホールリンペット(keyhole limpet)ヘモシアニン(KLH)共役化合物Bと、修飾化合物B配列に対応する様々な長さのKLH共役オリゴヌクレオチドとからなる免疫原性カクテルに対して免疫されたウサギから作製される。PC、陰性対照(NC)及び試験サンプルは、周囲室温で酸解離ステップに付され、次いでTRIS、ビオチン-化合物B及びルテニウム標識化合物Bを含むプレートに添加されて、サンプル中に存在する標識化合物Bと化合物B抗体との間に架橋複合体の形成を可能にし得る。インキュベーション後、NC、PC及び試験サンプルをストレプトアビジン被覆プレートに移し、暗所で1時間インキュベートし、その間に薬物がプレートに結合して、ADA架橋複合体を捕捉する。次に、プレートを洗浄し、メソスケールディスカバリー(Meso Scale Discovery)(登録商標)(MSD(登録商標))リードバッファーを追加して、サンプル中に存在するADAの量に正比例するECL信号を生成し得る。
【0277】
実施例13:膜性腎症ラットモデルにおける化合物Jの効果
膜性腎症に関連する症状に対する化合物Jの効果を、膜性腎症の単純なモデルである受動的ヘイマン腎炎(PHN)ラットモデルを用いて試験した。PHNラットモデルは、0日目に単回用量のヒツジ抗ラットFX1a抗体をラットに投与することにより作製した。
【0278】
化合物Jを予防試験で試験した。この試験では、-14、-7及び0日目に12mg/kgの化合物Jを動物に投与した(図26)。腎機能は、図26に示すように、動物から毎日採取した尿サンプルから測定したタンパク質:クレアチニンレベルの比として評価した。化合物Jによる予防的処置は、PBS処置したPHN対照動物と比較して、このモデルの特徴であるタンパク尿の発生を阻止した(図26)。
【0279】
ウサギ赤血球の溶血により補体活性を評価するために、疾患誘発前-1日目及び発症後6日目に血清サンプルを採取した(図27)。健康及びPBS処置PHN動物を、CFB機能アッセイ用の対照として用いた。化合物Jを2用量(1日目の血清)又は3用量(6日目)投与した後のPHNラットは、溶血アッセイにおけるウサギ赤血球の溶血によって測定すると、代替経路補体活性が、健康又はPBS処置PHN対照動物の両方から観察された溶血レベルと比較して>95%減少を示した(図27)。PBSを同じ複数回用量レジメンで投与して、疾患対照群を構成し、模擬(sham)動物を健康な対照として使用した。
【0280】
他の実施形態
本明細書で言及された全ての刊行物、特許及び特許出願は、各々の独立した刊行物又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的且つ個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態が本明細書に記載されているが、当業者は、本明細書に記載される原則に概ね従う変形形態、使用又は改変形態を含め、且つ当技術分野で周知の実施又は慣例的実施の範囲内にある、本開示からのそのような逸脱を含め、さらなる修正形態及び実施形態が包含されると共に、記載される以上の本質的な特徴に適用され得、且つ以下の特許請求の範囲に記載されることを理解するであろう。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E-1】
図2E-2】
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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図20
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図22
図23
図24
図25
図26
図27
【配列表】
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【国際調査報告】