(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】負極シート及び負極シートを含む装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20250123BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20250123BHJP
H01M 4/133 20100101ALI20250123BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20250123BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20250123BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20250123BHJP
H01M 4/131 20100101ALI20250123BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20250123BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/587
H01M4/133
H01M4/38 Z
H01M4/134
H01M4/485
H01M4/131
H01M4/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543096
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 CN2022105664
(87)【国際公開番号】W WO2024011488
(87)【国際公開日】2024-01-18
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】游▲興▼▲艷▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼益▲揚▼
(72)【発明者】
【氏名】白文▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】武宝珍
(72)【発明者】
【氏名】王育文
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA02
5H050AA07
5H050BA15
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA29
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB29
5H050DA03
5H050FA18
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA08
(57)【要約】
本願は、負極シート及び負極シートを含む装置を提供する。前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも一方の表面に設けられた負極膜層と、強誘電体層とを含み、負極膜層は、負極活性材料を含み、強誘電体層は、前記負極膜層の前記負極集電体から離れた表面に設けられ、前記強誘電体層は、強誘電体粒子を含み、ここで、前記負極膜層の圧縮密度は、Pg/cm
3であり、前記負極膜層の塗布重量は、CWg/1540.25mm
2であり、前記強誘電体層の厚さは、Hμmであり、前記強誘電体粒子の体積平均粒径Dv50は、Dμmであり、前記負極シートは、
という式を満たし、本願の負極シートは、二次電池に適用された場合、二次電池の急速充電性能及びサイクル性能を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体と、
前記負極集電体の少なくとも一方の表面に設けられ、負極活性材料を含む負極膜層と、
前記負極膜層の前記負極集電体から離れた表面に設けられ、強誘電体粒子を含む強誘電体層と、を備える負極シートであって、
ここで、
前記負極膜層の圧縮密度は、Pg/cm
3であり、
前記負極膜層の塗布重量は、CWg/1540.25mm
2であり、
前記強誘電体層の厚さは、Hμmであり、
前記強誘電体粒子の体積平均粒径Dv50は、Dμmであり、
前記負極シートは、
を満たし、好ましくは、
を満たす負極シート。
【請求項2】
前記強誘電体層の厚さHμmは、2≦H≦10、好ましくは、4≦H≦6を満たす請求項1に記載の負極シート。
【請求項3】
前記強誘電体粒子の体積平均粒径Dv50は、0.08≦D≦1、好ましくは、0.1≦D≦0.8を満たす請求項1又は2に記載の負極シート。
【請求項4】
前記強誘電体粒子の質量含有量aは、前記強誘電体層の全質量に対して、90%≦a≦98%、好ましくは95%≦a≦98%を満たす請求項1~3のいずれか1項に記載の負極シート。
【請求項5】
前記強誘電体粒子は、ペロブスカイト構造酸化物、タングステンブロンズ型化合物及びビスマス酸化物型層状構造化合物から選ばれる1種類又は複数種類を含み、
好ましくは、前記ペロブスカイト構造酸化物は、チタン酸バリウムBTO、チタンジルコン酸鉛PZT、メタニオブ酸鉛、ニオブ酸鉛バリウムリチウムPBLN及びチタン酸鉛PTのうちの1種類又は複数種類を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の負極シート。
【請求項6】
前記強誘電体粒子の誘電率は、100≦ε≦100000、好ましくは1000≦ε≦10000を満たす請求項1~5のいずれか1項に記載の負極シート。
【請求項7】
前記負極膜層の圧縮密度Pg/cm
3と、前記負極膜層の塗布重量CWg/1540.25mm
2との間は、
を満たす請求項1~6のいずれか1項に記載の負極シート。
【請求項8】
前記負極膜層の圧縮密度Pg/cm
3は、1.10≦P≦1.85、好ましくは1.30≦P≦1.80であることを満たす請求項1~7のいずれか1項に記載の負極シート。
【請求項9】
前記負極膜層の塗布重量CWg/1540.25mm
2は、0.10≦CW≦0.30、好ましくは、0.14≦CW≦0.20を満たす請求項1~8のいずれか1項に記載の負極シート。
【請求項10】
前記負極膜層の厚さLμmは、30μm≦L≦200μm、好ましくは、35μm≦L≦190μmを満たす請求項1~9のいずれか1項に記載の負極シート。
【請求項11】
前記負極活性材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、シリコン系材料、スズ系材料及びチタン酸リチウムのうちの1種類または複数種類を含む請求項1~10のいずれか1項に記載の負極シート。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の負極シートを含む二次電池。
【請求項13】
請求項12に記載の二次電池を備える電池モジュール。
【請求項14】
請求項13に記載の電池モジュールを備える電池パック。
【請求項15】
請求項12に記載の二次電池、請求項13に記載の電池モジュール、又は請求項14に記載の電池パックを備える電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池分野に関し、特に、負極シート及び負極シートを含む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、容量が高く、寿命が長いなどの特性を有するため、電子機器、例えば、携帯電話、ノートパソコン、電動スクータ、電気自動車、電動飛行機、電気船舶、電動玩具自動車、電動玩具船舶、電動玩具飛行機、電動工具などに広く応用されている。電池の応用範囲がますます広くなるにつれて、二次電池の性能への要求もますます厳しくなっており、例えば、急速充電能力が要求される。
【0003】
しかしながら、二次電池の急速充電能力を改善するとともに、リチウムの析出等のリスクを伴って、二次電池のサイクル性能を低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本願は、上記課題に鑑みてなされたものであり、負極シート及び負極シートを含む装置を提供することを目的とする。
【0005】
本願の第1の態様は、二次電池用の負極シートを提供し、前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも一方の表面に設けられ、負極活性材料を含む負極膜層と、前記負極膜層の前記負極集電体から離れた表面に設けられ、強誘電体粒子を含む強誘電体層と、を備え、前記負極膜層の圧縮密度は、Pg/cm
3であり、前記負極膜層の塗布重量は、CWg/1540.25mm
2であり、前記強誘電体層の厚さは、Hμmであり、前記強誘電体粒子の体積平均粒径Dv50は、Dμmであり、前記負極シートは、
を満たし、好ましくは、
を満たす。
【0006】
これにより、本願では、負極膜層の圧縮密度P、負極膜層の塗布重量、強誘電体層の厚さH、強誘電体粒子の体積平均粒径Dv50が上記範囲を満たすように制御されると、負極シートが二次電池に適用され、二次電池が充電される際に、強誘電体層中の強誘電体粒子が強誘電体効果を十分に発揮することを保証し、負極活性材料と電解質界面との間の金属イオンを均一化して分布させ、負極シートのリチウム挿入能力を確保し、負極シートに適用される二次電池のサイクル性能を改善することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記強誘電体層の厚さHμmは、2≦H≦10、好ましくは、4≦H≦6であることを満たす。
【0008】
強誘電体層の厚さHが上記範囲を満たす場合、二次電池の充電過程において、強誘電体層が強誘電体効果を十分に発揮し、金属イオンの分布をより均衡化させ、金属イオンの分布がより均一になる。且つ、強誘電体層が二次電池に容量を提供できない可能性があるため、上記厚さ範囲の強誘電体層の占有体積が大きすぎず、二次電池内の空間を過度に侵食せず、負極活性材料の占有スペースを確保することができ、これにより、二次電池のエネルギー密度及び容量を確保することができ、二次電池が、長い航続距離を有することができる。また、強誘電体層の厚さは、適切であると、金属イオンの垂直成長を効果的に抑制することができ、二次電池が大倍率充電を行う時に、二次電池の内部で短絡するリスクを効果的に低減させることができ、これにより、二次電池の大倍率充電性能を確保することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記強誘電体粒子の体積平均粒径Dv50は、0.08≦D≦1、好ましくは、0.1≦D≦0.8であることを満たす。強誘電体粒子の体積平均粒径Dv50が上記範囲を満たすと、強誘電体層に均一に分布することに有利である。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記強誘電体粒子の質量含有量aは、前記強誘電体層の全質量に対して、90%≦a≦98%、好ましくは95%≦a≦98%であることを満たす。強誘電体粒子の質量含有量aが上記範囲を満たす場合、強誘電体粒子が負極膜層の表面により均一に分布し、発生する逆方向電界がより均一になる。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記強誘電体粒子は、ペロブスカイト構造酸化物、タングステンブロンズ型化合物及びビスマス酸化物型層状構造化合物から選ばれる1種類又は複数種類を含む。前記ペロブスカイト構造酸化物は、チタン酸バリウムBTO、チタンジルコン酸鉛PZT、メタニオブ酸鉛、ニオブ酸鉛バリウムリチウムPBLN及びチタン酸鉛PTのうちの1種類又は複数種類を含む。上記種類の強誘電体粒子は、強誘電体効果を効果的に発揮し、金属イオンの均一に分布する度合いを高めることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記強誘電体粒子の誘電率は、100≦ε≦100000、好ましくは1000≦ε≦10000であることを満たす。強誘電体粒子の誘電率が上記範囲であると、金属イオンを急速に移動させる作用を奏し、金属イオンの移動速度を保証することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記負極膜層の20000Nの作用力における圧縮密度Pg/cm
3と前記負極膜層の塗布重量CWg/1540.25mm
2との間は、下記のことを満たす。
【0014】
負極膜層の圧縮密度P及び塗布重量CWが上記範囲を満たす場合、負極膜層が適切な厚さの範囲内にあることを保証することができ、これにより、二次電池のエネルギー密度を確保することができる。二次電池の充電過程においてZが上記範囲にある場合、強誘電体層は、極片下層の構造を含んだ極片全体構造に対し影響を与えている。また、極片が適切な空隙を有し、電解液が極片に十分に浸潤され、リチウムイオンの移動に有利である。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記負極膜層の圧縮密度Pg/cm3は、1.10≦P≦1.85、好ましくは1.30≦P≦1.80であることを満たす。負極膜層の圧縮密度を適切な範囲内に調整することで、二次電池のエネルギー密度を高くすることができる。また、圧縮密度を適切な範囲内に調整することで、負極膜層がサイクル過程において強いチャネル構造を維持する能力を備え、これにより、負極シートの電解液の濡れ性がより良くなり、二次電池のサイクル性能をより良く向上させることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記負極膜層の塗布重量CWg/1540.25mm2は、0.10≦CW≦0.30、好ましくは、0.14≦CW≦0.20であることを満たす。負極膜層の塗布重量CWを適切な範囲内に調整することで、電気コアのエネルギー密度及び強誘電体層の負極膜層に対する効果を確保することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記負極膜層の厚さLμmは、30μm≦L≦200μm、好ましくは、35μm≦L≦190μmであることを満たす。負極膜層の厚さLを適切な範囲内に調整することで、負極活性材料の品質を確保し、二次電池のエネルギー密度を確保することができる一方、強誘電体層と協働して、強誘電体層が強誘電体効果を十分に発揮でき、負極膜層における金属イオンの均一化分布を促進することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記負極活性材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、シリコン系材料、スズ系材料及びチタン酸リチウムのうちの1種類または複数種類を含む。
【0019】
本願の第2の態様は、本願の第1の態様のいずれかの実施形態に係る負極シートを含む二次電池をさらに提供する。
【0020】
本願の第3の態様は、本願の第2の態様の実施形態に係る二次電池を含む電池モジュールをさらに提供する。
【0021】
本願の第4の態様は、本願の第3の態様の実施形態に係る電池モジュールを含む電池パックをさらに提供する。
【0022】
本願の第5の態様は、本願の第2の態様の実施形態の二次電池、本願の第3の態様の実施形態の電池モジュール、または本願の第4の態様の実施形態の電池パックを含む電力消費装置をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、本願の実施例において必要とされる図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明する図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を払わずに、図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【0024】
【
図1】本願の一つの実施形態に係る負極シートの模式図である。
【
図2】
図1に示す負極シートのA-A線に沿う断面模式図である。
【
図3】本願の一つの実施形態に係る電極アセンブリの模式図である。
【
図4】本願の一つの実施形態に係る二次電池の模式図である。
【
図5】
図4に示す本願の一つの実施形態に係る二次電池の分解図である。
【
図6】本願の一つの実施形態に係る電池モジュールの模式図である。
【
図7】本願の一つの実施形態に係る電池パックの模式図である。
【
図8】
図7に示す本願の一つの実施形態に係る電池パックの分解図である。
【
図9】本願の一つの実施形態に係る電力消費装置の模式図である。 図面は必ずしも実際の比率で描かれていない。
【0025】
符号の説明は以下のとおりである。
1 電池パック
2 上部筐体
3 下部筐体
4 電池モジュール
5 二次電池
51 ケース
52 電極アセンブリ
521 負極シート
522 正極シート
523 セパレータ
5211 負極集電体
5212 負極膜層
5213 強誘電体層
53 カバープレート
6 電力消費装置
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本願の負極シート及び負極シートを含む装置を具体的に開示した実施形態について、詳細に説明する。ただし、不要な詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細な説明や、実質的に同一の構成の重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためのものである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本願を十分に理解するために提供されるものであり、特許請求の範囲に記載された主題を限定することを意図するものではない。
【0027】
本願に開示された「範囲」は、下限及び上限の形式で限定され、所定の範囲は一つの下限及び一つの上限を選択することにより限定され、選択された下限及び上限は、特に範囲の境界を限定する。このような方式で限定する範囲は、端点を含み又は端点を含まず、かつ任意に組み合わせることができ、即ち任意の下限は任意の上限と組み合わせて一つの範囲を形成することができる。例えば、特定のパラメータに対し60~120及び80~110の範囲を列挙すれば、60~110及び80~120の範囲も予想されると理解される。また、最小範囲値1及び2、及び最大範囲値3、4及び5を列挙すると、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4及び2~5という範囲は全て予想される。本願において、他の説明がない限り、数値範囲「a~b」は、a~bの間の任意の実数組合せの縮約表現を示し、ここでa及びbは、いずれも実数である。例えば、数値範囲「0~5」は本明細書において全て「0~5」の間の全ての実数が列挙されることを示し、「0~5」はこれらの数値の組み合わせの縮約表現である。また、あるパラメータが≧2の整数であると表現する場合、該パラメータが例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12等の整数であることが開示されていることに相当する。
【0028】
特に説明しない場合、本願の全ての実施形態及び選択可能な実施形態は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成可能である。特に説明しない場合、本願の全ての技術的特徴及び選択可能な技術的特徴は、互いに組み合わせて新たな技術案を形成可能である。
【0029】
特に説明しない場合、本願の全てのステップを順に行うことができ、ランダムに行うこともでき、好ましく順に行う。例えば、方法がステップ(a)及び(b)を含むとは、方法が順に行うステップ(a)及び(b)を含むことができ、順に行うステップ(b)及び(a)を含むこともできることを示す。例えば、前記方法が更にステップ(c)を含むことができるとは、ステップ(c)が任意の順序で方法に加えることができ、例えば、方法がステップ(a)、(b)及び(c)を含むことができ、ステップ(a)、(c)及び(b)を含むこともでき、更にステップ(c)、(a)及び(b)などを含むことができることを示す。
【0030】
特に説明しない場合、本願に言及された「備える」及び「含む」は開放式であり、密閉式であってもよい。例えば、「備える」及び「含む」は、更に列挙されない他の成分を備えるか又は含むことができ、列挙された成分のみを備えるか又は含むこともできることを示す。
【0031】
特に説明しない場合、本願において、「又は」との用語は包括的である。例えば、「A又はB」とのフレーズは「A、B、又はA及びBの両方」を表す。より具体的には、以下のいずれかの条件はいずれも「A又はB」との条件を満たす。Aは真(又は存在)でありかつBは偽(又は存在しない)であり、Aは偽(又は存在しない)であり、Bは真(又は存在)であり、或いはAとBはいずれも真(又は存在)である。
【0032】
本願において、「複数」、「複数種類」という用語は、2つ又は2種類以上を指す。
【0033】
本願において、二次電池は、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池等を含んでもよいが、本願の実施例はこれらに限定されない。
【0034】
二次電池は、電極アセンブリと電解液とを含み、電極アセンブリは正極シート、負極シート及びセパレータからなる。二次電池は主に正極シートと負極シートとの間における金属イオンの移動により作動し、正極シートは正極活性材料を含み、負極シートは負極活性材料を含む。ここで、金属イオンはリチウムイオン、ナトリウムイオンなどであり、次に金属イオンをリチウムイオンとしてその充電過程を説明する。
【0035】
二次電池の充電過程において、電極動力学過程は、通常、以下のいくつかのステップを含む。
【0036】
(1)リチウムイオン脱離ステップ:リチウムイオンが正極活性材料から脱離し、電解質相に移動する。(2)電解質相中の液相物質移動ステップ:電解液における溶媒化リチウムイオンが負極活性材料の表面へ拡散して伝達される。(3)表面変換ステップ:初回充電時に溶媒化リチウムイオンが負極活性材料表面に吸着して反応して固体電解質界面(SEI)膜を形成し、後続の充電過程において溶媒化リチウムイオンがSEI膜表面に吸着し、脱溶媒化過程を経てリチウムイオンが負極活性材料表面に達する。(4)電荷交換ステップ:リチウムイオンが負極活性材料表面から電子を得て、リチウム挿入生成物を形成する。(5)リチウム挿入生成物固相物質移動ステップ:リチウム挿入生成物が負極活性材料表面から内部に固相拡散し、充電過程を完成する。
【0037】
充電倍率の向上に伴い、リチウムイオンが急速に正極活性材料から脱離し、且つ電流密度及び電解質相中のリチウムイオン濃度分布に不均一な現象が存在する可能性があり、これにより、電解質相中のリチウムイオンが局所的な負極活性材料表面に濃縮しやすく、正極活性材料から脱離したリチウムイオンが負極活性材料に等量で挿入されず、負極活性材料に挿入されないリチウムイオンが負極活性材料表面に電子を得て、銀白色の金属リチウム単体、即ち「リチウムデンドライト」を形成する。リチウムデンドライトの形成は、二次電池の性能を低下させ、例えばサイクル寿命が短くなるだけでなく、深刻な場合に鋭利な形態を形成しセパレータを突き刺して二次電池内を短絡させ、燃焼、爆発等の壊滅的な結果を引き起こす可能性がある。同時に絶えず堆積している金属リチウム単体が負極活性材料表面から脱落することにより、反応に関与できなくなった「デッドリチウム」が形成され、二次電池のエネルギー密度が低下してしまう。
【0038】
そこで、発明者らは、負極シートを改良し、金属イオン、例えばリチウムイオンを負極活性材料に均一に挿入させることにより、「リチウムデンドライト」及び「デッドリチウム」の問題を改善し、負極シートを含む二次電池のサイクル性能を向上させ、且つ負極シートの急速充電性能を向上させることができる強誘電体層を含む負極シートを提案する。
【0039】
負極シート
【0040】
第1の態様によれば、本願は、負極シートを提供する。
【0041】
図1及び
図2に示すように、前記負極シート521は、負極集電体5211と、前記負極集電体5211の少なくとも一方の表面に設けられた負極膜層5212と、強誘電体層5213とを含み、負極膜層5212は、負極活性材料を含み、強誘電体層5213は、前記負極膜層5212の前記負極集電体5211から離れた表面に設けられ、前記強誘電体層5213は、強誘電体粒子を含み、ここで、前記負極膜層5212の圧縮密度は、Pg/cm
3であり、前記負極膜層5212の塗布重量は、CWg/1540.25mm
2であり、前記強誘電体層5213の厚さは、Hμmであり、前記強誘電体粒子の体積平均粒径Dv50は、Dμmであり、二次電池は、
を満たし、好ましくは、
を満たす。
【0042】
【0043】
負極集電体5211は、その自体厚み方向において対向する両面を有し、負極膜層5212は、負極集電体5211の2つの対向面のいずれか一方または両方に設けられていてもよい。負極集電体5211は銅箔又は複合集電体であってもよいが、本願ではこれを限定しない。
【0044】
強誘電体層5213は、強誘電体粒子を含み、もちろん他の助剤、例えば接着剤などを更に含んでもよい。強誘電体層5213が強誘電体粒子を含む場合、強誘電体粒子を負極膜層5212の表面に直接設けることができる。強誘電体層5213が他の助剤をさらに含む場合、接着剤などによって強誘電体粒子を負極膜層5212の表面に設けることができる。
【0045】
メカニズムは明らかではないが、発明者らは、本願の負極シート521は、良好な動力学的性能を有し、金属析出現象を効果的に緩和でき、且つ二次電池の急速充電能力を向上させることができることを発見した。
【0046】
発明者らは、メカニズムを以下のように推測している。強誘電体粒子は、外部電界において強誘電体材料の自発分極方向及び強度並びに対応する単位格子パラメータが変化することにより、強誘電体粒子が強誘電体効果を有する。言い換えれば、強誘電体効果とは、強誘電体粒子が外部電界の作用を受けると、その表面に電荷が発生することを指す。本願において、二次電池の充電過程において、正極シートと負極シート521との間に内部電界を有し、内部電界により、強誘電体粒子が励起されて強誘電体効果が発生し、強誘電体粒子内部の正負電荷の中心がずれ、内部電界と逆の逆方向電界が発生し、逆方向電界が負極活性材料表面の電子密度を均衡させることで、負極活性材料と電解質界面との金属イオン分布が均一になり、即ち、負極活性材料と電解質界面との金属イオンの濃度分布を均一化し、これにより、金属イオンが負極活性材料に均一に挿入され、局所的に金属イオンが濃縮されることによる金属析出のリスクを低減させ、金属イオンの損失を低減させ、二次電池のサイクル性能を確保することができる。本願では、金属イオンが局所的に析出するリスクを低減させ、金属イオンがリチウムイオンであることを例に挙げて説明すると、リチウムイオンが析出するリスクを低減させ、リチウムデンドライトの発生するリスクを低減させ、リチウムデンドライトがセパレータを突き破って二次電池の内部短絡を引き起こすリスクを低減させ、二次電池の安全性能を向上させることができる。また、強誘電体粒子を介して金属イオンが負極活性材料の内部に移動する際のエネルギー障壁が比較的低く、移動速度が比較的速いため、負極シート521の急速充電充電性能を確保することができる。
【0047】
また、強誘電体粒子は、更に、負極フィルム5212の体積膨張を緩和し、負極フィルム5212の構造を保護し、負極フィルム5212のサイクル安定性を確保することで、二次電池のサイクル安定性を確保することができる。
【0048】
本願では、負極膜層5212の圧縮密度P、負極膜層5212の塗布重量、強誘電体層5213の厚さH、強誘電体粒子の体積平均粒径Dv50が上記範囲を満たし、負極シート521が二次電池に適用される場合、二次電池が充電される際に、強誘電体層5213中の強誘電体粒子が強誘電体効果を十分に発揮することを保証し、負極活性材料と電解質界面間の金属イオンを均一に分布させ、負極シート521のリチウム挿入能力を確保し、負極シート521が適用される二次電池のサイクル性能を改善することができる。
【0049】
いくつかの実施例において、強誘電体層5213の厚さHμmは、2≦H≦10を満たす。
【0050】
強誘電体層5213の厚さHが上記範囲を満たす場合、二次電池の充電過程において、強誘電体層5213が強誘電体効果を十分に発揮し、金属イオンの分布をより均衡化させ、金属イオンの分布がより均一になる。且つ、強誘電体層5213が二次電池に容量を提供できない可能性があるため、上記厚さ範囲の強誘電体層5213の占有体積が大きすぎず、二次電池内の空間を過度に侵食せず、負極活性材料の占有スペースを確保することができ、これにより、二次電池のエネルギー密度及び容量を確保することができ、二次電池が、長い航続距離を有することができる。また、強誘電体層5213の厚さは、適切であると、金属イオンの垂直成長を抑制する効果を効果的に確保することができ、二次電池が大倍率充電を行う時に、二次電池の内部で短絡するリスクを効果的に低減させることができ、これにより、二次電池の大倍率充電性能を確保することができる。好ましくは、強誘電体層5213の厚さは、4≦H≦6を満たす。例示的に、強誘電体層5213の厚さは、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm又は10μm、又は上記の任意の2つの数値からなる範囲であってもよい。
【0051】
強誘電体層5213の厚さHは、本分野で公知の意味であり、本分野において公知のテスト装置及びテスト方法を用いて測定することができる。例えば、負極シート521(強誘電体層5213を含まない)の厚さ方向に沿って少なくとも12個の異なる位置の負極シート521の厚さをマイクロメータで測定し、平均値を負極シート521の厚さh1とすることができる。次に、負極シート521(強誘電体層5213を含む)の厚さ方向に沿って少なくとも12個の異なる位置の負極シート521の厚さをマイクロメータで測定し、平均値を負極シート521の厚さh2とし、強誘電体層5213の厚さH=h2-h1である。
【0052】
強誘電体層5213の厚さは、断層走査により、強誘電体層5213の厚さを直接測定することもでき、具体的には、1.試料の作成:a.セラミックはさみで極片を6mm×6mmの大きさに切断し、パラフィンを塗布した試料台に貼り付け、試料を僅かに(<1mm)試料台のエッジから突出させればよい。b.研磨電圧と時間研磨(厚さ150umの負極シート7.5KVの下で100min)を設ける。2.形態分析:走査電子顕微鏡を用いて鮮明になるまで、50倍程度で試料位置を移動させ、それぞれ12個の位置マーク5213の厚さを取り、終了して平均値を取ると、5213の厚さが得られる。
【0053】
いくつかの実施例において、前記強誘電体粒子の体積平均粒径Dv50は、Dμmであり、0.08≦D≦1である。
【0054】
強誘電体粒子の体積平均粒径Dv50が上記範囲を満たすことは、強誘電体層5213に均一に分布することに有利である。二次電池の充電過程において、各強誘電体粒子が強誘電体効果を励起して逆方向電界を発生させ、適切な粒径によって強誘電体粒子間の逆方向電界が互いに干渉せず、各強誘電体粒子の電界の強さを保証することで、強誘電体粒子が金属イオンを均一化する作用を保証することができる。また、上記体積平均粒径の強誘電体粒子は、作製成形が容易であり、プロセスが簡単で、粒径が小さすぎると、生産プロセスが複雑であり、コストが比較的高い。好ましくは、0.1≦D≦0.8μmであり、例示的に、Dμmは、0.08μm、0.09μm、0.10μm、0.15μm、0.20μm、0.25μm、0.30μm、0.35μm、0.40μm、0.50μm、0.60μm、0.70μm、0.80μm又は0.90μm、又は上記の任意の2つの数値からなる範囲であってもよい。
【0055】
本願において、材料の体積平均粒径Dv50は、本分野において公知の意味であり、材料累積体積分布百分率が50%に達した時に対応する粒径を示し、本分野で公知の機器及び方法でテストすることができる。例えば、GB/T19077~2016粒度分布レーザー回折法を参照し、レーザー粒度分析装置、例えば、英国マルバーン社のMastersizer2000E型レーザー粒度分析装置を用いて、容易にテストすることができる。
【0056】
いくつかの実施例において、前記強誘電体粒子の質量含有量aは、前記強誘電体層5213の全質量に対して、90%≦a≦98%、好ましくは95%≦a≦98%を満たす。
【0057】
強誘電体粒子の質量含有量aが上記範囲を満たす場合、強誘電体粒子がより均一に負極膜層5212の表面に分布し、発生する逆方向電界がより均一になり、且つ強誘電体粒子を含む強誘電体層5213と負極シートとの接着性が良好であり、強誘電体層の安定性が向上する。
【0058】
強誘電体層5213を作製する際に、強誘電体粒子を含む強誘電体スラリーを用い、強誘電体スラリーを負極膜層5212の表面に設置し、且つ固化して強誘電体層5213を形成することで、強誘電体スラリー中の強誘電体粒子の固形分含有量を調整することにより、強誘電体層5213中の強誘電体粒子の質量含有量aを調整することができる。
【0059】
いくつかの実施例において、強誘電体粒子は、ペロブスカイト構造酸化物、タングステンブロンズ型化合物、ビスマス酸化物型層状構造化合物から選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含む。より好ましくは、強誘電体粒子103は、ペロブスカイト構造酸化物から選ばれる。
【0060】
好ましくは、ペロブスカイト構造酸化物は、分子式Ba1-xAxTi1-yByO3を有する。Aは、Pb、Sr、Ca、K、Na及びCdから選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含み、Bは、Sn、Hf、Zr、Ce、Nb及びThから選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含み、0≦x≦1、0≦y≦1である。例えば、ペロブスカイト構造酸化物は、BaTiO3、Ba1-x1Srx1TiO3(0≦x1≦1)、SrTiO3、PbTiO3、PbZry1Ti1-y1O3(0≦y1≦1)、BaZry2Ti1-y2O3(0<y2<1)、KNbO3、NaNbO3から選ばれる1種類または複数種類の組み合わせを含んでいてもよい。さらに、強誘電体粒子は、チタン酸バリウムBTO、チタンジルコン酸鉛PZT、メタニオブ酸鉛、ニオブ酸鉛バリウムリチウムPBLN及びチタン酸鉛PTのうちの1つ又は複数を含む。上記種類の強誘電体粒子は、強誘電体効果を効果的に発揮し、金属イオンの均一に分布する度合いを高めることができる。
【0061】
好ましくは、タングステンブロンズ型化合物は、分子式MzWO3を有していてもよい。Mは、Na、K、Rb及びCsから選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含み、0<z<1である。例えば、タングステンブロンズ型化合物は、Naz1WO3(0<z1<1)、Kz2WO3(0<z2<1)から選ばれる1種類または複数種類の組み合わせを含んでいてもよい。
【0062】
好ましくは、ビスマス酸化物型層状構造化合物は、分子式(Bi2O2)(Cn-1DnO3n+1)を有する。Cは、Na、K、Ba、Sr、Pb、Ca、Ln及びBiから選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含み、Dは、Zr、Cr、Nb、Ta、Mo、W、Fe、Ti及びVから選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含み、2≦n≦5である。例えば、ビスマス酸化物型層状構造化合物は、SrBi2Nb2O9、SrBi2Ta2O9、SrBi2Nb2O9、Bi4Ti3O12のうちの1種類又は複数種類の組み合わせであってもよい。
【0063】
いくつかの実施例において、前記強誘電体粒子の誘電率は、100≦ε≦100000を満たす。
【0064】
強誘電体粒子の誘電率が上記範囲であると、金属イオンを急速に移動させる作用を奏し、金属イオンの移動速度を保証することができる。好ましくは、1000≦ε≦10000であり、例示的に、強誘電体粒子の誘電率は、100~50000、100~25000、100~10000、100~5000、100~4000、100~3000、100~2000、100~1000、100~500、150~50000、150~25000、150~10000、150~5000、150~4000、150~3000、150~2000、150~1000、150~500、200~50000、200~25000、200~10000、200~5000、200~4000、200~3000、200~2000又は200~1000であってもよい。
【0065】
本願において、強誘電体粒子の誘電率とは、室温(25±5℃)における誘電率を指し、本分野において公知の意味を有し、本分野において既知の機器及び方法でテストすることができる。例えば、強誘電体粒子を円形試料に作製した後、LCRメータを用いて電気容量Cをテストし、誘電率ε=(C×d)/(ε0×A)という式により算出することができる。Cは、電気容量を示し、単位がファラッド(F)であり、dは試料の厚さを示し、単位がcmであり、Aは試料面積を示し、単位がcm2であり、ε0は真空誘電率を示し、ε0=8.854×10-14F/cmを示す。本願において、テスト条件は、1KHz、1.0V、25±5℃であってもよい。テスト基準はGB/T11297.11-2015に準拠することができる。試料の作製時、中国特許出願CN114217139Aを参照することができる。
【0066】
いくつかの実施例において、強誘電体層5213は、接着剤をさらに含み、接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体および含フッ素アクリレート系樹脂のうちの1種類又は複数種類を含むことができる。
【0067】
いくつかの実施例において、強誘電体層5213は、分散剤をさらに含み、分散剤はカルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、HypermerKD-1のうちの1種類又は複数種類を含んでもよい。
【0068】
いくつかの実施例において、強誘電体層5213は、さらに他の助剤、例えば導電剤を含み、これにより、強誘電体層5213における金属イオンの移動速度を向上させ、二次電池の急速充電能力を確保することができる。例示的に、導電剤は、超伝導炭素、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの1種類又は複数種類を含んでもよい。
【0069】
いくつかの実施例において、負極膜層5212の圧縮密度Pg/cm
3と、前記負極膜層5212の塗布重量CWg/1540.25mm
2との間は、下記の関係を満たす。
【0070】
【0071】
負極膜層の圧縮密度P及び塗布重量CWが上記範囲を満たす場合、負極膜層が適切な厚さの範囲内にあることを保証することができ、これにより、二次電池のエネルギー密度を確保することができる。二次電池の充電過程においてZが上記範囲にある場合、強誘電体層は、極片下層の構造を含んだ極片全体構造に対し影響を与えている。また、極片が適切な空隙を有し、電解液が極片に十分に浸潤され、リチウムイオンの移動に有利である。好ましくは、Zは5~27であってもよく、例示的に、5、10、15、20、25、又は27、或いは上記の任意の2つの数値からなる範囲であってもよい。
【0072】
いくつかの実施例において、前記負極膜層5212の圧縮密度Pg/cm3は、1.10≦P≦1.85を満たす。
【0073】
負極膜層5212の圧縮密度を適切な範囲内に調整することで、二次電池のエネルギー密度を高くすることができる。また、圧縮密度を適切な範囲内に調整することで、負極膜層5212がサイクル過程において強いチャネル構造を維持する能力を備え、これにより、負極シート521の電解液の濡れ性がより良くなり、二次電池のサイクル性能をより良く向上させることができる。好ましくは、1.30≦P≦1.80である。例示的に、Pg/cm3は、1.1g/cm3、1.2g/cm3、1.3g/cm3、1.4g/cm3、1.5g/cm3、1.6g/cm3、1.7g/cm3又は1.8g/cm3であってもよく、又はPの数値は、上記のいずれか2つの数値範囲内である。
【0074】
本願において、材料の圧縮密度は、本分野において公知の意味であり、本分野において知られている機器及び方法でテストすることができる。例えば、標準GB/T24533-2009を参照して、電子圧力テスト機(例えばUTM7305型)によりテストすることができる。例示的なテスト方法は、以下のとおりである。材料を1g秤量し、底面積が1.327cm2の金型に入れ、2000kg(20000Nに相当)に加圧し、30秒間保圧した後、圧力を解除し、10s保持して、次に材料の20000Nの作用力での圧縮密度を記録して計算した。
【0075】
いくつかの実施例において、前記負極膜層5212の塗布重量CWg/1540.25mm2は、0.1≦CW≦0.3を満たす。
【0076】
負極膜層5212の塗布重量CWを適切な範囲内に調整することで、電気コアのエネルギー密度及び強誘電体層5213の負極膜層に対する効果を確保することができる。好ましくは、0.14≦CW≦0.2である。例示的に、CWg/1540.25mm2は、0.1g/1540.25mm2、0.12g/1540.25mm2、0.14g/1540.25mm2、0.16g/1540.25mm2、0.18g/1540.25mm2又は0.2g/1540.25mm2であってもよい。
【0077】
塗布重量CWの測定方法:
【0078】
基材打ち抜き面積が1540.25mm2であり、天秤で秤量する。小さな円片(面積:1540.25mm2)を打ち抜き、秤量し、基材の重量を差し引くと、活性材料の塗布重量を得ることができる。
【0079】
いくつかの実施例において、負極膜層5212の厚さLμmは、30μm≦L≦200μmを満たす。
【0080】
負極膜層5212の厚さLを適切な範囲内に調整することで、負極活性材料の品質を確保し、二次電池のエネルギー密度を確保することができる一方、強誘電体層5213と協働して、強誘電体層5213が強誘電体効果を十分に発揮でき、負極膜層5212における金属イオンの均一化分布を促進することができる。好ましくは、35μm≦L≦190μmである。例示的に、Lは、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、150、160、180、190又は200、或いは上記の任意の2つの数値からなる範囲であってもよい。
【0081】
本願において、負極膜層5212の厚さは、本分野において公知の意味であり、本分野において既知の機器及び方法を用いて測定することができる。例えば、負極シート521(強誘電体層5213を含まない)の厚さ方向に沿って少なくとも12個の異なる位置の負極シート521の厚さをマイクロメータで測定し、平均値を負極シート521の厚さh1とし、次に負極集電体5211の厚さを減算して負極膜層5212の厚さとすることができる。
【0082】
負極膜層5212の厚さは、断層走査により、負極膜層5212の厚さを直接測定することもでき、具体的には、イオン研磨走査により塗布重量を測定することができる。1.試料の作成:a.セラミックはさみで極片を6mm×6mmの大きさに切断し、パラフィンを塗布した試料台に貼り付け、試料を僅かに(<1mm)試料台のエッジから突出させればよい。b.研磨電圧と時間研磨(厚さ150umの負極シート7.5KVの下で100min)を設ける。2.形態分析:走査電子顕微鏡を用いて鮮明になるまで、50倍程度で試料位置を移動させ、それぞれ12個の位置マーク5212の厚さを取り、終了して平均値を取ると、5212の厚さが得られる。
【0083】
いくつかの実施例において、負極膜層5212は、本分野で公知の二次電池用の負極活性材料を含んでもよい。一例として、負極活性材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、シリコン系材料、スズ系材料及びチタン酸リチウムから選ばれる1種類または複数種類の組み合わせを含む。シリコン系材料は、単体シリコン、シリコン酸化物、シリコン炭素複合物、シリコン窒素複合物及びシリコン合金材料から選ばれる1種類または複数種類の組み合わせを含むことができる。スズ系材料は、単体スズ、スズ酸化物及びスズ合金材料から選ばれる1種類または2種以上の組み合わせを含むことができる。さらに好ましくは、負極活性材料はシリコン炭素複合物を含み、二次電池の充電過程において、シリコン炭素複合物中のシリコンが体積膨張し、膨張したシリコンが強誘電体粒子に対し一定の圧縮応力を与え、それにより強誘電体粒子の圧電効果をさらに励起し、金属イオンの濃度を均一化する能力を高めることができる。
【0084】
いくつかの実施例において、負極膜層5212は、さらに、必要に応じて負極導電剤を含んでもよい。本願において、負極導電剤の種類は特に限定されず、一例として、負極導電剤は、超伝導炭素、導電性黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種類または複数種類の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施例において、負極膜層5212の全質量に対して、負極導電剤の質量百分率は5%以下である。
【0085】
いくつかの実施例において、負極膜層5212は、さらに、必要に応じて負極接着剤を含んでもよい。本願において、負極接着剤の種類は、特に限定されないが、一例として、負極接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水溶性不飽和樹脂SR-1B、水性アクリル樹脂(例えば、ポリアクリル酸PAA、ポリメタクリル酸PMAA、ポリアクリル酸ナトリウムPAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、カルボキシメチルキトサン(CMCS)から選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施例において、負極膜層5212の全質量に対して、負極接着剤の質量百分率含有量は5%以下である。
【0086】
いくつかの実施例において、負極膜層5212は、さらに必要に応じて他の助剤を含んでもよい。一例として、他の助剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、PTCサーミスタ材料等の増粘剤を含むことができる。いくつかの実施例において、負極膜層5212の全質量に対して、他の助剤の質量百分率含有量は2%以下である。
【0087】
いくつかの実施例において、負極集電体5211は、金属箔片又は複合集電体を採用することができる。金属箔片の例としては、銅箔や銅合金箔を用いることができる。複合集電体は、高分子材料基層と、高分子材料基層の少なくとも一方の表面に形成された金属材料層とを含んでもよく、一例として、金属材料は、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金から選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含んでもよく、高分子材料基層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)及びポリエチレン(PE)から選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含んでもよい。
【0088】
負極膜層5212は、通常、負極スラリーを負極集電体5211に塗布し、乾燥、冷間プレスしてなる。負極スラリーは、通常、負極活性材料、選択可能な導電剤、選択可能な接着剤、その他の選択可能な助剤を溶媒に分散させ、均一に撹拌することにより形成される。溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)または脱イオン水であってもよいが、これに限定されない。
【0089】
負極シート521は、負極膜層5212を除く他の付加機能層を排除しない。例えば、いくつかの実施例において、本願の負極シート521は、負極集電体5211と負極膜層5212との間に挟まれ、負極集電体5211の表面に設けられた導電プライマ層(例えば、導電剤と接着剤とからなる)をさらに含む。他のいくつかの実施例において、本願の負極シート521は、負極膜層5212の表面を覆う保護層をさらに含む。
【0090】
なお、上記負極シート521に対する各種パラメータのテストは、負極活性材料をテスト試料とすることを例として説明したが、負極スラリーの塗布前にサンプリングしてテストを行ってもよいし、冷間プレス後の負極膜層5212からサンプリングしてテストを行ってもよい。負極シート521のテスト試料が、冷間プレスされた後の負極膜層5212からサンプリングされた場合、一例として、以下のステップにより、サンプリングすることができる。冷間プレスされた負極膜層5212を任意に選択し、負極活性材料をサンプリングする(例えば、ブレードを用いて粉末を削り取ってサンプリングしてもよい)。上記収集された負極活性材料粉末を脱イオン水に入れて、吸引濾過、乾燥を行い、乾燥後の負極活性材料を一定の温度及び時間で焼結(例えば、400℃、2h)し、接着剤及び導電剤を除去し、負極活性材料のテスト試料を得る。強誘電体粒子をテスト試料とした場合、同様に、強誘電体スラリーの硬化前にサンプリングしてテストを行ってもよいし、強誘電体スラリーの硬化後にサンプリングしてテストを行ってもよい。
【0091】
負極シートの作製方法
【0092】
第2の態様によれば、本願は、負極シートを作製するための方法をさらに提供し、当該方法は、本願の第1の態様のいずれかの実施例に係る負極シートを作製するために用いられてもよい。
【0093】
前記方法は、以下のステップを含む。
【0094】
S100には、負極集電体を提供する。
【0095】
S200には、負極活性材料を含む負極スラリーを前記負極集電体に供給し、前記負極集電体の少なくとも一方の表面に負極膜層を硬化させて形成する。
【0096】
S300には、強誘電体粒子を含む強誘電体スラリーを前記負極膜層に供給し、前記負極膜層の前記負極集電体から離れた表面に強誘電体層を硬化させて形成し、負極シートを得る。
【0097】
ここで、前記負極膜層の圧縮密度は、Pg/cm3である。
【0098】
前記負極膜層の塗布重量は、CWg/1540.25mm2である。
【0099】
前記強誘電体層の厚さは、Hμmである。
【0100】
前記強誘電体粒子の体積平均粒径Dv50は、Dμmである。
【0101】
【0102】
本願の実施例の方法は、作製プロセスが簡単であり、元の生産プロセス経路を変更することを必要とせず、負極膜層に強誘電体層を形成し続けるだけでよく、操作が便利であり、且つ形成された負極シートが良好な動力学的性能を有する。
【0103】
いくつかの実施例において、ステップS200において、前記強誘電体粒子の質量含有量aは、前記強誘電体層の全質量に対して、90%≦a≦98%、好ましくは95%≦a≦98%を満たす。
【0104】
強誘電体スラリーを、複数のプロセス、例えば、グラビアプロセス、コーティングプロセスなどを用いて負極膜層に設けてもよい。具体的には、グラビアプロセスを採用する場合、強誘電体スラリーをグラビアディスクに置き、グラビアロールがロールギャップを介して強誘電体スラリーを担持し、負極膜層に転覆し、ロールギャップの寸法を調整することにより強誘電体層の厚さを制御することができる。
【0105】
強誘電体スラリーの質量が少ないと、強誘電体スラリーが負極膜層を部分的に被覆する可能性があり、その硬化して形成された強誘電体層が連続状態を呈してもよく、不連続状態を呈してもよい。強誘電体スラリーの質量が増加するにつれて、強誘電体スラリーは全て負極膜層を被覆する可能性があり、それの硬化して形成された強誘電体層は連続した全体層構造を呈し、全体層が負極膜層に被覆される。
【0106】
強誘電体粒子の質量含有量aを調整することにより、強誘電体粒子の質量を調整することができる。強誘電体粒子の質量含有量aが上記範囲であると、強誘電体層と負極膜層との結合強度が高く、強誘電体層が剥がれにくく、強誘電体層が強誘電体効果を発揮しやすくなり、金属イオンの分布を均一化することが容易となる。
【0107】
二次電池
【0108】
第3の態様によれば、本願は、本願の第2の態様の負極シートを含む二次電池を提供する。
【0109】
二次電池は、充電電池又は蓄電池とも呼ばれ、電池の放電後に充電により活性材料を活性化させて使用を継続することができる電池である。二次電池は、電極アセンブリ及び電解液を含む。
【0110】
図3に示すように、電極アセンブリ52は、通常、正極シート522、負極シート521及びセパレータ523を含む。セパレータ523は、正極シート522と負極シート521との間に設けられ、主に正極と負極との短絡を防止する役割を果たし、同時に金属イオンを通過させることができる。電解液は、正極シート522と負極シート521との間で金属イオンを伝導する役割を果たす。本願の二次電池は、リチウム二次電池、ナトリウムイオン電池等であってもよく、特にリチウムイオン二次電池であってもよい。
【0111】
[負極シート]
【0112】
本願の二次電池に用いられる負極シートは、本願の第2の態様のいずれかの実施例の負極シートである。
【0113】
[正極シート]
【0114】
いくつかの実施例において、正極シートは、正極集電体と正極集電体の少なくとも一つの表面に設置された正極膜層とを含む。例えば、正極集電体は、自体の厚さ方向において対向する二つの表面を有し、正極膜層は、正極集電体の二つの対向する表面のうちのいずれか一つ又は両方に設けられている。
【0115】
正極膜層は、正極活性材料を含み、正極活性材料は、本分野で公知の二次電池用正極活性材料を採用し得る。例えば、正極活性材料は、リチウム遷移金属酸化物、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩及びそのそれぞれの変性化合物から選ばれる1種類または複数種類の組み合わせを含んでいてもよい。リチウム遷移金属酸化物としては、例えば、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物及びそのそれぞれの変性化合物から選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含むことができる。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩としては、例えば、リン酸鉄リチウム、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料、及びこれらの変性化合物から選ばれる1種類または2種類以上の組み合わせを含むことができる。
【0116】
いくつかの実施例において、二次電池のエネルギー密度をさらに高めるために、正極活性材料は、式1に示すリチウム遷移金属酸化物及びその変性化合物のうちの1種類又は複数種類の組み合わせを含んでもよい。
【0117】
LiaNibCocMdOeAf 式1
【0118】
式1において、0.8≦a≦1.2、0.5≦b<1、0<c<1、0<d<1、1≦e≦2、0≦f≦1であり、Mは、Mn、Al、Zr、Zn、Cu、Cr、Mg、Fe、V、Ti及びBから選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含み、Aは、N、F、S及びClから選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含む。
【0119】
本願において、前記各正極活性材料の変性化合物は、正極活性材料に対しドープ改質又は/又は表面被覆改質を行ってもよい。
【0120】
いくつかの実施例において、正極膜層は、必要に応じて正極導電剤を含んでもよい。本願において、正極導電剤の種類は特に限定されないが、一例として、正極導電剤は、超伝導性カーボン、導電性黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施例において、正極膜層の全質量に対して、正極導電剤の質量百分率含有量は5%以下である。
【0121】
いくつかの実施例において、正極膜層は、必要に応じて正極接着剤を含んでもよい。本願において、正極接着剤の種類は特に限定されないが、一例として、正極接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体および含フッ素アクリレート系樹脂から選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施例において、正極膜層の全質量に対して、正極接着剤の質量百分率含有量は5%以下である。
【0122】
いくつかの実施例において、正極集電体は、金属箔片又は複合集電体を採用することができる。金属箔片の例としては、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を採用することができる。複合集電体は、高分子材料基層と、高分子材料基層の少なくとも一方の表面に形成された金属材料層とを含んでもよく、一例として、金属材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀及び銀合金から選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含んでもよく、高分子材料基層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)及びポリエチレン(PE)から選ばれる1種類又は複数種類の組み合わせを含んでもよい。
【0123】
正極膜層は、通常、正極スラリーを正極集電体に塗布し、乾燥、冷間プレスしてなる。正極スラリーは、通常、正極活性材料、選択可能な導電剤、選択可能な接着剤及び任意の他の成分等を溶媒に分散させ、均一に撹拌することにより形成される。溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)であってもよいが、これに限定されない。
【0124】
[電解液]
【0125】
本願の電解液は、本分野で公知の二次電池用電解液を採用することができる。電解液は、リチウム塩及び有機溶媒を含む。
【0126】
一例として、リチウム塩は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、リチウムビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiFSI)、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム(LiTFSI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTFS)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiDFOB)、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)、リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェート(LiDFOP)及びリチウムテトラフルオロオキサレートホスフェート(LiTFOP)から選ばれる1種類または複数種類の組み合わせを含むことができる。
【0127】
一例として、有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ブチレンカーボネート(BC)、ギ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル(EP)、プロピオン酸プロピル(PP)、酪酸メチル(MB)、酪酸エチル(EB)、1、4-ブチロラクトン(GBL)、スルホラン(SF)、ジメチルスルホン(MSM)、メチルエチルスルホン(EMS)及びジエチルスルホン(ESE)のうちの少なくとも1種類又は複数種類の組み合わせを含むことができる。
【0128】
[セパレータ]
【0129】
本願においてセパレータの種類は特に限定されず、良好な化学的安定性及び機械的安定性を有する任意の公知の多孔質構造セパレータを選択することができる。
【0130】
いくつかの実施例において、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフッ化ビニリデンから選ばれる少なくとも1種類又は複数種類の組み合わせを含むことができる。セパレータは、単層フィルムであってもよく、多層複合フィルムであってもよい。セパレータが多層複合フィルムである場合、各層の材料は同じであってもよく異なってもよい。
【0131】
いくつかの実施例において、正極シート、セパレータ及び負極シートは、巻回プロセス又は積層プロセスにより電極アセンブリを作製することができる。
【0132】
いくつかの実施例において、二次電池は、外装を含むことができる。この外装は、上記電極アセンブリ及び電解液を封止するために用いることができる。
【0133】
いくつかの実施例において、二次電池の外装は、ハードケースであってもよく、例えば硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、鋼ケースなどである。二次電池の外装はソフトパッケージであってもよく、例えばバグ式ソフトパッケージである。ソフトパッケージの材質は、例えば、プラスチック、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリブチレンサクシネート(PBS)のうちの1種類又は複数種類の組み合わせであってもよい。
【0134】
本願において、二次電池の形状は特に限定されず、円柱形、角形又は他の任意の形状であってもよい。例えば、
図4は、一例としての角形構造の二次電池5である。
【0135】
いくつかの実施例において、
図5に示すように、外装は、ケース51及びカバープレート53を含むことができる。ケース51は、底板と、底板に接続された側板とを含み、底板と側板とが囲まれて収容室が形成される。ケース51は、収容室と連通する開口部を有し、カバープレート53は、収容室を閉鎖するように開口部を覆う。正極シート、負極シート及びセパレータは、巻回工程又は積層プロセスにより電極アセンブリ52を形成することができる。電極アセンブリ52は、収容室に封入される。電解液には、電極アセンブリ52が浸潤される。二次電池5に含まれる電極アセンブリ52の数は、1つ又は複数であってもよく、ニーズに応じて調節されてもよい。
【0136】
本願の二次電池の作製方法は公知である。いくつかの実施例において、正極シート、セパレータ、負極シート及び電解液を組み立てて二次電池を形成することができる。例として、正極シート、セパレータ、負極シートを巻回工程又は積層プロセスにより電極アセンブリを形成し、電極アセンブリを外装に置き、乾燥した後に電解液を注入し、真空封入、静置、化成、整形などの工程を経て、二次電池を得ることができる。
【0137】
本願のいくつかの実施例において、本願に係る二次電池は、電池モジュールとして組み立てられてもよく、電池モジュールに含まれる二次電池の数は、複数であってもよく、具体的な数は、電池モジュールの応用及び容量に応じて調節されてもよい。
【0138】
図6は、一例としての電池モジュール4の模式図である。
図6に示すように、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順に並んで設けられていてもよい。もちろん、他の任意の方式で配列されてもよい。さらに、この複数の二次電池5を締め具により固定してもよい。
【0139】
好ましくは、電池モジュール4は、収容空間を有するハウジングをさらに含み、複数の二次電池5は、当該収容空間に収容されている。
【0140】
いくつかの実施例において、上記電池モジュールは、電池パックとして組み立てられてもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、電池パックの応用及び容量に応じて調節されてもよい。
【0141】
図7及び
図8は、一例としての電池パック1の模式図である。
図7及び
図8に示すように、電池パック1に、電池ボックスと、電池ボックスに設けられた複数の電池モジュール4とが含まれていてもよい。電池ボックスは、上部筐体2と下部筐体3とを含み、上部筐体2は、下部筐体3に覆われており、電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成している。複数の電池モジュール4は、任意の方式で電池ボックスに配列されてもよい。
【0142】
電力消費装置
【0143】
第4の形態において、本願は、本願の二次電池、電池モジュール、及び電池パックのうちの少なくとも1種類を含む電力消費装置を提供する。二次電池、電池モジュール及び電池パックは、電力消費装置の電源として用いられてもよく、電力消費装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。電力消費装置は、移動機器(例えば携帯電話、ノートパソコン等)、電動車両(例えば純粋な電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクータ、電動ゴルフカート、電気トラック等)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システム等であってもよいが、これらに限定されない。
【0144】
電力消費装置は、その使用需要に応じて二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択することができる。
【0145】
図9は、一例としての電力消費装置の模式図である。当該電力消費装置6は、純粋な電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。当該電力消費装置の高電力及び高エネルギー密度への需要を満たすために、電池パック1又は電池モジュールを採用することができる。
【0146】
他の例としての電力消費装置は、携帯電話、シートレットコンピュータ、ノートパソコン等であってもよい。当該電力消費装置は、通常薄型化が求められ、二次電池を電源として採用することができる。
【0147】
実施例
【0148】
以下、本願の実施例について説明する。以下に説明する実施例は例示的なものであり、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願に対する限定として理解できない。実施例に具体的な技術又は条件を明記しない限り、本分野における文献に記載された技術又は条件又は製品説明書に従って行われる。使用した試薬や器具にメーカーが明記されていないものは、市販で入手可能な通常の製品である。
【0149】
実施例1
【0150】
1.正極シートの作製
【0151】
正極集電体としては、厚さ13μmのアルミニウム箔を用いた。
【0152】
正極活性材料であるLiNi0.8Co0.1Mn0.1O2、導電性カーボンブラック、接着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、適量のN-メチルピロリドン(NMP)溶媒中に、98:1:1の重量比で十分に撹拌混合し、均一な正極スラリーとし、正極スラリーを正極集電体の表面に塗布し、乾燥等の工程を経た後、正極シートを得た。
【0153】
2. 負極シートの作製
【0154】
2.1 負極活性材料の作製
【0155】
コークス原料を前処理して不純物を除去し、熱分解造粒してDv50が10μmの二次粒子を得る。次に3000℃で24時間の黒鉛化処理を行った後、アスファルトを被覆し、1000℃で高温炭化処理を15h行い、人造黒鉛を得た。
【0156】
2.2 負極膜層の作製
【0157】
負極集電体として、厚さ8μmの銅箔を用いた。
【0158】
負極活性材料である人造黒鉛、導電性カーボンブラック、増粘剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、接着剤であるスチレンブタジエンゴムエマルジョン(SBR)を96.8:0.8:1.2:1.2の重量比で適量の脱イオン水に十分に撹拌混合し、均一な負極スラリーとし、負極スラリーを負極集電体に塗布し、乾燥等の工程を経た後、負極膜層を得た。
【0159】
2.3 強誘電体層の作製
【0160】
40wt%のチタン酸バリウム、接着剤であるスチレンブタジエンゴム(SR-1B)、分散剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、アクリル酸エステルエマルジョンを脱イオン水に溶解し、真空撹拌機の作用で体系が均一になるまで撹拌し、固形分含有量が40%のチタン酸バリウムスラリーを得た。
【0161】
チタン酸バリウムスラリーを負極膜層の負極集電体から離れた表面に塗布し、110℃の条件で乾燥させた後、チタン酸バリウムスラリーを負極膜層において強誘電体層として硬化成形した後、タブ成形、スリット等の工程を経て負極シートを得た。
【0162】
3. 電解液の作製
【0163】
含水量が10ppm未満の環境下で、非水有機溶媒であるエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを体積比1:1:1で混合して電解液溶媒を得た後、混合した溶媒にリチウム塩LiPF6を溶解し、リチウム塩濃度が1mol/Lの電解液とした。
【0164】
4. セパレータの作製
【0165】
セパレータとしてポリエチレンフィルムを選択し、正極シート及び負極シートの寸法に応じてスリットを経て適切な寸法を得た。
【0166】
5. リチウムイオン電池の作製
【0167】
上記正極シート、セパレータ、負極シートを順に積層し、セパレータを正極シートと負極シートとの間に介在させて隔離の役割を果たした後、巻回して電極アセンブリを得る。電極アセンブリを外装ケースに置き、乾燥した後に電解液を注入し、真空封入、静置、化成、整形などの工程を経て、リチウムイオン電池を得る。
【0168】
実施例2
【0169】
実施例2-1乃至実施例2-7
【0170】
実施例1と異なり、実施例2-1乃至実施例2-5では、「強誘電体層の厚さH」を調整した。
【0171】
比較例
【0172】
比較例1
【0173】
実施例1と異なり、比較例1では強誘電体層を採用せず、S=0である。
【0174】
比較例2
【0175】
実施例1と異なり、比較例2では「強誘電体層の厚さH」を調整した。
【0176】
比較例3
【0177】
実施例1と異なり、比較例3の負極スラリーにおいて、負極活性材料と強誘電体粒子とを混合し、具体的には、負極活性材料、強誘電体粒子BaTiO3、接着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、導電剤であるカーボンブラックは、質量比97:1:1:1で適量の溶媒脱イオン水中に十分に撹拌混合し、均一な負極スラリーを形成し、負極スラリーを負極集電体銅箔の表面に均一に塗布し、乾燥、冷間プレスした後、負極シートを得た。
【0178】
実施例1、実施例2、比較例1乃至比較例3のパラメータを表1に示す。
【0179】
【0180】
【0181】
実施例3
【0182】
実施例3-1乃至実施例3-4
【0183】
実施例1と異なり、実施例3-1乃至実施例3-4では強誘電体粒子の粒径Dを調整した。
【0184】
実施例1、実施例3-1乃至実施例3-4のパラメータを表2に示す。
【0185】
【0186】
実施例4
【0187】
実施例4-1乃至実施例4-4
【0188】
実施例1と異なり、実施例4-1乃至実施例4-4では強誘電体粒子の質量含有量a%を調整した。
【0189】
実施例1、実施例4-1乃至実施例4-4のパラメータを表3に示す。
【0190】
【0191】
実施例5
【0192】
実施例5-1乃至実施例5-5
【0193】
実施例1と異なり、実施例5-1乃至実施例5-5では、負極膜層の圧縮密度Pと塗布重量を調整した。
【0194】
実施例1、実施例5-1乃至実施例5-5のパラメータを表4に示す。
【0195】
【0196】
実施例6
【0197】
実施例6-1乃至実施例6-2
【0198】
実施例1と異なり、実施例6-1乃至実施例6-2では強誘電体粒子の種類を調整した。
【0199】
比較例4
【0200】
実施例1と異なり、比較例4では強誘電体粒子をアルミナ粒子に置き換えた。
【0201】
実施例1、実施例6-1乃至実施例6-2及び比較例4のパラメータを表5に示す。
【0202】
【0203】
テスト部分
【0204】
1. 負極シートのテスト部分
【0205】
1.1 負極膜層の塗布重量CW
【0206】
1540.25mm2の基材を取り、天秤によりW1秤量し、冷間プレスした後の極片を打ち抜き、打ち抜き面積が1540.25mm2であり、天秤により秤量し、負極膜層の塗布重量CW=W2-W1である。
【0207】
1.2 負極膜層の厚みL
【0208】
マイクロメータで負極シート(強誘電体層を含まない)の厚さ方向に沿って少なくとも12個の異なる位置の負極シートの厚さを測定し、平均値を負極シートの厚さH1とし、その後、負極集電体の厚さを減算して負極膜層の厚さとする。
【0209】
1.3 負極膜層の圧縮密度P
【0210】
負極膜層の圧縮密度は、膜層の塗布重量CWと負極膜層の厚さLとにより得られ、計算式は、P=CW/L/1540.25である。
【0211】
1.4 強誘電体層の厚さH
【0212】
マイクロメータで負極シート(強誘電体層を含まない)の厚さ方向に沿って少なくとも12個の異なる位置の負極シートの厚さを測定し、平均値を負極シートの厚さH1とする。次に、マイクロメータで負極シート(強誘電体層を含む)の厚さ方向に沿って少なくとも12個の異なる位置の負極シートの厚さを測定し、平均値を負極シートの厚さh2とし、強誘電体層の厚さH=h2-h1とする。
【0213】
1.5 強誘電体粒子の粒径のテスト方法
【0214】
材料のDv90、Dv50、Dv10は、本分野で公知の意味であり、本分野で公知の機器及び方法で測定することができる。例えば、GB/T19077-2016粒度分布レーザー回折法を参照し、レーザー粒度分析装置、例えば、英国マルバーン社のMastersizer2000E型レーザー粒度分析装置を用いて、容易にテストすることができる。Dv90は材料累積体積分布百分率が90%に達する時に対応する粒径であり、Dv50は材料累積体積分布百分率が50%に達する時に対応する粒径であり、Dv10は材料累積体積分布百分率が10%に達する時に対応する粒径である。
【0215】
2. 二次電池のテスト部分
【0216】
2.1 二次電池の急速充電性能テスト
【0217】
25℃において、実施例及び比較例で作製されたリチウムイオン電池をnCで満充電(例えば、n=0.1、0.2、0.3、0.4、0.5)し、1Cで満放電し、このようにして10回サイクルし、リチウムイオン電池を1Cで満充電した後、負極シートを解体して負極シート表面のリチウム析出状況を観察し、リチウムが析出していなければ(n+0.1)Cで満充電し、再度テストを行い、このようにして負極表面にリチウムを析出するまで増加し、この時の倍率から0.1Cを減算してリチウムイオン電池の最大の充電能力である。
【0218】
2.2 エネルギー密度のテスト
【0219】
25℃において、実施例及び比較例で作製されたリチウムイオン電池を0.33Cの倍率で満充電し、0.33Cの倍率で満放電し、3回サイクルして、最後の1回の放電エネルギー(E)を取得し、電子天秤を用いてリチウムイオン電池の質量(m)を秤量し、W=E/mである。
【0220】
2.3 貯蔵寿命のテスト
【0221】
実施例及び比較例で作製されたリチウムイオン電池を97%の充電状態(SOC)まで満充電し、60℃で、容量が80%まで減衰するまで貯蔵し、この時の貯蔵時間を記録し、ここで、目標貯蔵時間は280日であり、実施例と比較例でそれぞれ目標貯蔵時間に対する比を計算し、貯蔵寿命とした。目標貯蔵寿命は100%である。
【0222】
2.4 サイクル性能のテスト
【0223】
実施例及び比較例で作製されたリチウムイオン電池を25℃で3C倍率で充電し、1C倍率で放電し、リチウムイオン電池の容量が初期容量の80%未満になるまで、3%~97%のSOCサイクルテストを行い、サイクル回数を記録した。
【0224】
テスト結果
【0225】
本願の負極シートの二次電池の性能を改善する作用は表6から表10に示される。
【表6】
【0226】
表6における実施例2-1乃至2-5のテスト結果から分かるように、強誘電体層の厚さが増加し、リチウムデンドライトの抑制効果を向上させ、二次電池の充電能力を向上させることができ、また、リチウムデンドライトの成長が抑制された後、電気コアのサイクル性能を明らかに改善し、サイクルホッピングを減少させることができる。比較例1から分かるように、強誘電体層を備えない二次電池では、負極シートのリチウムデンドライトは、サイクル過程において徐々に成長し、サイクル性能を悪化させる。比較例2から分かるように、強誘電体層が厚すぎると、充電能力の向上に限界があり、逆にリチウムイオンのシャトルを阻害し、エネルギー密度も大幅に悪化する。比較例3から分かるように、負極活性材料と強誘電体とを物理的に混合しても、物理的に混合した強誘電体によって生じる逆方向の電界方向が統一されず、互いに干渉するため、充電能力を向上させる効果が、コーティング層よりも悪い。
【0227】
【0228】
表7の実施例3-1乃至3-4のテスト結果から分かるように、強誘電体の粒径が小さくなるほど、コーティング層に分布する均一性が高く、リチウムデンドライトの成長が均衡し、濃度分極が小さくなるが、粒径が小さくなるほど、作製プロセスが複雑であり、コストが高くなる。粒径が大きくなった後、コストが低減されるが、各粒径の間に干渉電界が発生し、リチウムの析出を抑制する効果に影響を与えている。
【0229】
【0230】
表8の実施例4-1乃至4-4のテスト結果から分かるように、強誘電体の含有量が多くなるほど、発生する逆方向の電界強度が強くなり、リチウムデンドライトの垂直生産速度が遅くなり、リチウムの大部分が可逆的に堆積し、充電能力が向上し、サイクル性能が向上するが、強誘電体の含有量が高すぎると、粘着力と分散剤との含有量が減少し、強誘電体の負極膜層への粘着力が低下し、極めて脱落しやすく、自身の効果が発揮されない。
【0231】
【0232】
表9における実施例5-1乃至5-4のテスト結果から分かるように、二次電池の充電過程においてZが上記範囲にある場合、強誘電体層は、極片下層の構造を含んだ極片全体構造に対し影響を与えている。また、極片が適切な空隙を有し、電解液が極片に十分に浸潤され、リチウムイオンの移動に有利である。したがって、P/CWが適切な範囲内にあると、電気コアの充電能力、エネルギー密度を最適にすることができる。
【0233】
【0234】
表10の実施例1、実施例6-1乃至実施例6-2及び比較例4のテスト結果から分かるように、二次電池の充電過程において、強誘電体材料は一般的な酸化物材料に比べて電池の性能を著しく改善できる。
【0235】
以上、好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、種々の改良が可能であり、そのうちの一部の構成要素を等価物で置き換えてもよい。特に、構造的な矛盾がない限り、各実施例に言及された各技術的特徴は任意に組み合わせることができる。本願は、以上に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に含まれる全ての態様を含む。
【国際調査報告】