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特表2025-503074アルカリ性現像型樹脂組成物、その光硬化性ドライフィルム及びその硬化物並びにそれらを用いて形成してなるプリント配線板
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  • 特表-アルカリ性現像型樹脂組成物、その光硬化性ドライフィルム及びその硬化物並びにそれらを用いて形成してなるプリント配線板 図1
  • 特表-アルカリ性現像型樹脂組成物、その光硬化性ドライフィルム及びその硬化物並びにそれらを用いて形成してなるプリント配線板 図2
  • 特表-アルカリ性現像型樹脂組成物、その光硬化性ドライフィルム及びその硬化物並びにそれらを用いて形成してなるプリント配線板 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】アルカリ性現像型樹脂組成物、その光硬化性ドライフィルム及びその硬化物並びにそれらを用いて形成してなるプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20250123BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20250123BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20250123BHJP
   C08G 59/16 20060101ALI20250123BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20250123BHJP
   C08F 290/14 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/027 515
G03F7/004 512
G03F7/027
H05K1/03 610H
H05K1/03 630H
C08G59/16
C08G59/40
C08F290/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543265
(86)(22)【出願日】2023-12-27
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 CN2023142357
(87)【国際公開番号】W WO2024140805
(87)【国際公開日】2024-07-04
(31)【優先権主張番号】202211699738.2
(32)【優先日】2022-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507149350
【氏名又は名称】太陽油墨(蘇州)有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAIYO INK(SUZHOU)CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.26TaishanRoad,Suzhou New District,Suzhou City,Jiangsu 215129China
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100169236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 貴史
(72)【発明者】
【氏名】ワン ユービン
(72)【発明者】
【氏名】イャォ グゥォロン
(72)【発明者】
【氏名】ドン スーユェン
(72)【発明者】
【氏名】加藤 賢治
(72)【発明者】
【氏名】ワン ピンチン
(72)【発明者】
【氏名】ルゥォ ジンイー
【テーマコード(参考)】
2H225
4J036
4J127
【Fターム(参考)】
2H225AC31
2H225AC54
2H225AD02
2H225AE14P
2H225AN39P
2H225AN79P
2H225AN94P
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2H225BA22P
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(57)【要約】
本発明は、優れた付着力及び冷熱衝撃耐性を有するソルダーレジスト層を形成することができるアルカリ性現像型樹脂組成物、その光硬化性ドライフィルム及びその硬化物並びにそれらを用いて形成してなるプリント配線板を提供する。前記アルカリ性現像型樹脂組成物は、(A)ビニルエステル樹脂、(B)光重合開始剤、(C)ガラス粉、(D)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物及び(E)無機フィラーを含有し、前記(E)無機フィラーは、タルクを含み、前記(C)ガラス粉は、重量%で、SiO:60~65%、Fe:0.01~0.02%、Al:14~20%、CaO:6~9%、MgO:1~2%、B:8~12%を含み、前記(C)ガラス粉のモース硬度が6.5未満であることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ビニルエステル樹脂、(B)光重合開始剤、(C)ガラス粉、(D)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物及び(E)無機フィラーを含有し、前記(E)無機フィラーは、タルクを含み、
前記(C)ガラス粉は、重量%で、SiO:60~65%、Fe:0.01~0.02%、Al:14~20%、CaO:6~9%、MgO:1~2%、B:8~12%を含み、前記(C)ガラス粉のモース硬度が6.5未満であることを特徴とするアルカリ性現像型樹脂組成物。
【請求項2】
(B)光重合開始剤及び(C)ガラス粉以外の(F)ほかの添加剤をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物。
【請求項3】
(G)エポキシ樹脂をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物。
【請求項4】
(H)有機溶媒をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物。
【請求項5】
(H)有機溶媒をさらに含有することを特徴とする請求項3に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布し、乾燥させて得られたことを特徴とする光硬化性ドライフィルム。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物を銅に塗布し、乾燥させて得られた塗膜、又は当該アルカリ性現像型樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布し、乾燥させ、得られた光硬化性ドライフィルムを銅に積層して得られた塗膜を光硬化して得られたことを特徴とする硬化物。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物を、銅回路を有する基材に塗布し、乾燥させて得られた塗膜、又は当該アルカリ性現像型樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布し、乾燥させ、得られた光硬化性ドライフィルムを、銅回路を有する基材に積層して得られた塗膜を光硬化した後に、熱硬化して得られた硬化物を有することを特徴とするプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板のソルダーレジスト層等の形成に好適なアルカリ性現像型樹脂組成物、その光硬化性ドライフィルム及びその硬化物に関し、特に、優れた付着性及び冷熱衝撃耐性を有するソルダーレジスト層を形成することができるアルカリ性現像型樹脂組成物、その光硬化性ドライフィルム及びその硬化物、並びにプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一部の民生用プリント配線板及びほとんどの産業用プリント配線板のソルダーレジスト層(ソルダーレジスト)の形成には、紫外線により露光した後に、現像してパターンを形成し、且つ熱及び/又は光照射により完全に硬化(主硬化)するアルカリ性現像型ソルダーレジスト剤が用いられている。また、自動車、列車、船舶及び航空機等の乗り物に用いられる半導体装置では、プリント配線板ソルダーレジスト剤として、高信頼性電子材料向けソルダーレジスト剤が用いられる傾向にある。
しかし、一般的なアルカリ性現像型ソルダーレジストは熱膨張などの理由で、通常、冷熱サイクル時のクラック耐性が悪く、環境温度の変化に対する信頼性が悪い。また、銅回路の保護及び美観等の点から、ソルダーレジスト層は優れた付着力を有することが要求される。タルクをフィラーとして選択することでクラックを改善できるが、付着力が悪い。また、タルク及びシリカをフィラーとして用いる場合、車載用ソルダーレジストの冷熱衝撃耐性への要求を満たす可能性はあるが、付着力は依然として不足している。
【0003】
例えば特許文献1の光硬化型ソルダーレジストはフィラーとして、シリカ、硫酸バリウム及びタルクを用いた。特許文献2のソルダーレジスト層用硬化性樹脂組成物は、カルボキシル基含有樹脂、熱硬化成分、難燃剤及びイオン捕捉剤を含有し、前記イオン捕捉剤は、ハイドロタルサイト系イオン捕捉剤とハイドロタルサイト系以外のイオン捕捉剤との混合物であり、無機フィラーとして水酸化アルミニウムを用いた。特許文献3の硬化性樹脂組成物はプリント配線板の永久マスクとして用いられ、分子内にエチレン性不飽和基とカルボキシル基を含む樹脂と、光重合開始剤と、光重合性モノマーと、アルミナで表面処理された酸化チタンと、硫酸バリウム及び/又はタルクと、有機溶媒とを含む。特許文献4には、紫外線光硬化液状感光性ソルダーレジストフレキインクでは、フィラーが硫酸バリウム、タルク又はシリカであると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:CN114716868A
特許文献2:CN108137791A
特許文献3:CN101798432A
特許文献4:CN106380929A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、優れた付着力及び冷熱衝撃耐性を有するソルダーレジスト層を形成することができるアルカリ性現像型樹脂組成物、その光硬化性ドライフィルム及びその硬化物、並びにプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フィラーの種類が冷熱衝撃耐性に大きな影響を与えることを見出した。(A)ビニルエステル樹脂、(B)光重合開始剤、(C)ガラス粉、(D)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物及び(E)無機フィラーを含有し、前記(E)無機フィラーは、タルクを含み、前記(C)ガラス粉は、重量%で、SiO:60~65%、Fe:0.01~0.02%、Al:14~20%、CaO:6~9%、MgO:1~2%、B:8~12%を含み、前記(C)ガラス粉のモース硬度が6.5未満であることを特徴とするアルカリ性現像型樹脂組成物は上記の課題を解決することができ、本発明を完成することに至った。
【0007】
即ち、本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物は、(A)ビニルエステル樹脂、(B)光重合開始剤、(C)ガラス粉、(D)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物及び(E)無機フィラーを含有し、前記(E)無機フィラーは、タルクを含み、前記(C)ガラス粉は、重量%で、SiO:60~65%、Fe:0.01~0.02%、Al:14~20%、CaO:6~9%、MgO:1~2%、B:8~12%を含み、前記(C)ガラス粉のモース硬度が6.5未満であることを特徴とする。
【0008】
また、(B)光重合開始剤及び(C)ガラス粉以外の(F)ほかの添加剤を含有することが好ましい。
【0009】
また、(G)エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
【0010】
また、(H)有機溶媒を含有することが好ましい。
【0011】
また、本発明の光硬化性ドライフィルムは、キャリアフィルムに前記アルカリ性現像型樹脂組成物を塗布し、乾燥させて得られたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の硬化物は、前記アルカリ性現像型樹脂組成物を銅に塗布し、乾燥させて得られた塗膜、又は当該アルカリ性現像型樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布し、乾燥させ、得られた光硬化性ドライフィルムを銅に積層して得られた塗膜を光硬化して得られたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明のプリント配線板は、前記アルカリ性現像型樹脂組成物を、銅回路を有する基材に塗布し、乾燥させて得られた塗膜、又は当該アルカリ性現像型樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布し、乾燥させ、得られた光硬化性ドライフィルムを、銅回路を有する基材に積層して得られた塗膜を光硬化した後に、熱硬化して得られたことを特徴とする。
【0014】
本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物は、(A)ビニルエステル樹脂、(B)光重合開始剤、(C)ガラス粉、(D)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物及び(E)無機フィラーを含有し、前記(E)無機フィラーは、タルクを含み、前記(C)ガラス粉は、重量%で、SiO:60~65%、Fe:0.01~0.02%、Al:14~20%、CaO:6~9%、MgO:1~2%、B:8~12%を含み、前記(C)ガラス粉のモース硬度が6.5未満であることを最も大きな特徴とする。
【0015】
本発明の特徴的な構成に基づき、軟性複合ガラス粉とタルクを併用し、且つ両者の配合比を調整することで、優れた冷熱衝撃耐性を維持する上で、付着力を向上させることができる。
【0016】
これに対して、従来の技術では、フィラーとして、タルクと硫酸バリウムを併用することで、ソルダーレジストの冷熱衝撃耐性への要求を満たすことはできるが、付着力が悪くなる(例えば特許文献1等)。
【0017】
上記したように、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、タルクがフィラーとして、柔軟性がよく、冷熱衝撃サイクル試験(Temperature Cycle Test、以下、「TCT試験」と略称することがある)では、クラック耐性に優れたが、使用量が多くなることにつれて付着力が悪くなることを見出した。ガラス粉、特に軟質複合ガラス粉はフィラーとして、優れた付着力を提供できるものの、冷熱衝撃耐性は不十分である。フィラーとしてタルクとガラス粉を併用することで、優れた冷熱衝撃耐性と付着力を同時に維持することができ、上記本発明の目的を達成した。
【発明の効果】
【0018】
上記したように、本発明によれば、優れた付着力及び冷熱衝撃耐性を有するソルダーレジスト層を形成することができるアルカリ性現像型樹脂組成物、その光硬化性ドライフィルム及びその硬化物、並びにプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例で冷熱衝撃耐性を評価するためのソルダーレジスト膜にクラックが生じたことを示す写真である。
図2図2は実施例で冷熱衝撃耐性を評価するためのソルダーレジスト膜にクラックが生じていないことを示す写真である。
図3】は実施例で付着力を評価するために用いられるドリーのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物の各構成成分について説明する。
【0021】
本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物は、(C)ガラス粉及び(E)無機フィラーを含有し、前記(E)無機フィラーは、タルクを必須成分として含むことを特徴とするため、まず、(C)ガラス粉及び(E)無機フィラーについて説明する。
【0022】
(C)ガラス粉
本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物に用いられる(C)ガラス粉としてとは、粉末状のガラス状態の非晶質無機物であり、シリカを主成分とする。典型的には、無機鉱物を主な原料として用いて高温焼結することで形成される。
【0023】
本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物に用いられる(C)ガラス粉として、本発明の目的の実現に一層有利な点から、軟質複合ガラス粉が好ましい。(C)ガラス粉は表面処理されていないガラス粉であってもよく、表面処理されたガラス粉であってもよい。
【0024】
前記軟質複合ガラス粉の成分組成として、典型的には、SiO:60~65%、Fe:0.01~0.02%、Al:14~20%、CaO:6~9%、MgO:1~2%、B:8~12%であり、好ましくはSiO:61~64%、Fe:0.012~0.019%、Al:15~19%、CaO:6.5~8.5%、MgO:1.1~1.8%、B:9~11%であり、より好ましくはSiO:62~63%、Fe:0.014~0.018%、Al:16~18%、CaO:7~8%、MgO:1.2~1.6%、B:9.5~10.5%である。
【0025】
前記軟質複合ガラス粉は、モース硬度が6.5未満であり、好ましくは4.8~6.2の範囲であり、より好ましくは5~6の範囲である。
【0026】
本発明者らは、ソルダーレジスト層の冷熱衝撃耐性と付着力を両立させる点から、フィラーとしてタルクを使用するとともに、(C)ガラス粉を配合することで、優れた冷熱衝撃耐性を維持しながら付着力を著しく向上させることができることを見出した。この場合、両者の配合割合は重量比で、即ちタルク:ガラス粉が90:10~10:90であることが適切であり、好ましくは80:20~20:80であり、より好ましくは75:25~25:75であり、さらに好ましくは70:30~30:70である。このようにして、冷熱衝撃耐性及び付着力のいずれにおいても優れたソルダーレジスト層を実現できるアルカリ性現像型樹脂組成物を得ることができる。
【0027】
(C)ガラス粉の配合割合は、前記(A)ビニルエステル樹脂100重量部(固形分換算)に対して10~90重量部であることが適切であり、好ましくは20~80重量部であり、より好ましくは30~70重量部であり、さらに好ましくは40~60重量部である。(C)ガラス粉の使用量が上記の範囲内であれば、優れた冷熱衝撃耐性を得るとともに付着力を改善することを確保することができる。上記の範囲を超えた場合、ソルダーレジスト剤としての特性が低下するので好ましくない。
【0028】
軟質複合ガラス粉の市販品として、K10(蘇州錦芸新材料有限公司製)、G2C(上海シベルコ鉱業有限公司製)等が挙げられる。
【0029】
(E)無機フィラー
本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物では、(E)無機フィラーとして用いられるタルクは、冷熱衝撃耐性を向上させるために用いられるものである。ここで、(E)無機フィラーは、上記(C)ガラス粉、特に軟質複合ガラス粉を含まない。
【0030】
タルクとして、母岩が炭酸マグネシウム、蛇紋石、シリカ/シリカ-アルミナ、マグネシウム堆積物のいずれか1種であればよく、いわゆるケイ酸塩鉱物の1種であればよく、形状が塊状であっても微粉状であってもよい。表面処理は行っても行わなくてもよい。タルクの平均粒子径は、1.0~20.0μmであることが適切であり、より好ましくは2.0~10μmであり、さらに好ましくは3.0~8.0μmである。市販品として、山東省平度市滑石鉱業有限公司製HD25、富士タルク工業株式会社製LMP-100等が挙げられる。
【0031】
(A)ビニルエステル樹脂(固形分換算)100重量部に対して、タルクの量が10~90重量部であることが適切であり、好ましくは20~80重量部であり、より好ましくは30~70重量部である。上記の範囲内であれば、優れた冷熱衝撃耐性能を確保しつつ付着性を向上させることができる。
【0032】
本発明の目的を損なわない範囲で、タルク及び上記(C)ガラス粉以外のほかのフィラー、例えばシリカを配合してもよい。当該シリカとして、アモルファス、結晶のいずれか1つであってもよく、それらの混合物であってもよい。特に好ましくは非晶質(溶融)シリカである。表面処理は行っても行わなくてもよい。当該シリカは、典型的にはモース硬度が6.5以上である。当該シリカの平均粒子径は、0.1~10.0μmであることが適切であり、より好ましくは1.0~8.0μmであり、さらに好ましくは2.0~6.0μmである。当該シリカの市販品として、江蘇NOVORAY新材料股フン有限公司製CS1002及びCS1002A、シベルコSibelco有限公司製A-8、Tokuyama Co., Ltd.製SE-40、株式会社龍森製MSV25G、株式会社龍森製MLV-2114、ADMATECHS製SO-E5、ADMATECHS製SO-E2等が挙げられる。
【0033】
(A)ビニルエステル樹脂
【0034】
本発明の光硬化性熱硬化樹脂組成物における(A)ビニルエステル樹脂として、光硬化性、耐現像性の点から、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有する公知の樹脂を用いることができる。また、アルカリ現像性を付与するために、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有樹脂が特に好ましい。また、当該不飽和二重結合は、アクリル酸又はメタクリル酸又はそれらの誘導体に由来することがより好ましい。(A)ビニルエステル樹脂として、エポキシ樹脂を出発原料とする樹脂、ウレタン骨格を有するポリウレタン樹脂、不飽和カルボン酸の共重合構造を有する共重合樹脂、フェノール化合物を出発原料とする樹脂が好ましい。以下、(A)ビニルエステル樹脂の具体例を示す。
【0035】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する1種以上の化合物を共重合させて得られるビニルエステル樹脂、
(2)グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基及び不飽和二重結合を有する化合物や(メタ)アクリル酸クロライド等を用い、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する1種以上の化合物とのコポリマーにエチレン性不飽和基を側基として付加させて得られる感光性ビニルエステル樹脂、
(3)グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基及び不飽和二重結合を有する化合物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物とのコポリマーに、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸を反応させ、生成された2級水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られる感光性ビニルエステル樹脂、
(4)無水マレイン酸等の不飽和二重結合を有する酸無水物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物とのコポリマーに、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル等の水酸基及び不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる感光性ビニルエステル樹脂、
(5)多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成された水酸基に飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるビニルエステル樹脂、
(6)ポリビニルアルコール誘導体等の水酸基含有ポリマーに、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物を反応させた後、生成されたカルボン酸に1分子中にエポキシ基及び不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる、水酸基及びカルボキシル基を含有するビニルエステル樹脂、
(7)多官能エポキシ化合物と、不飽和モノカルボン酸と、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と、エポキシ基と反応するアルコール性水酸基以外の1個の反応性基を有する化合物との反応生成物に、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるビニルエステル樹脂、
(8)1分子中に少なくとも2個のオキセタン環を有する多官能オキセタン化合物に不飽和モノカルボン酸を反応させ、得られた変性オキセタン樹脂中の1級水酸基に飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるビニルエステル樹脂、及び
(9)多官能エポキシ樹脂に不飽和モノカルボン酸を反応させた後、多塩基酸無水物と反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂に、さらに、分子中に1個のオキシラン環と1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させて得られるビニルエステル樹脂、
(10)不飽和モノカルボン酸に二官能エポキシ化合物を反応させ、生成された水酸基に飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるビニルエステル樹脂。
【0036】
これら例示されたもののうち、特に好ましいものは、前記(2)、(5)、(7)、(9)のビニルエステル樹脂である。
【0037】
なお、本明細書では、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語であり、以下、ほかの類似表現についても同様である。
【0038】
上記した(A)ビニルエステル樹脂は、主鎖ポリマーの側鎖に遊離カルボキシル基を複数有するため、希アルカリ水溶液を用いて現像することができる。
【0039】
また、上記(A)ビニルエステル樹脂の酸価は、好ましくは40~200mgKOH/gの範囲であり、より好ましくは45~120mgKOH/gの範囲である。(A)ビニルエステル樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であるとアルカリ現像が困難となり、一方、200mgKOH/gを超えると現像液による露光部の溶解が進むために、ラインは必要以上に痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部は区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となるので好ましくない。
【0040】
また、上記(A)ビニルエステル樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000~150,000、さらには5,000~100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、基板への塗布、乾燥後のタックフリー性能が劣ることがあり、また、露光後の塗膜の耐湿性が悪く、現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく劣り、保存安定性が悪くなることがある。
【0041】
(A)ビニルエステル樹脂の配合量は、固形分換算で、全組成物の20~60質量%の範囲であることが望ましく、好ましくは25~50質量%である。(A)ビニルエステル樹脂の配合量が上記の範囲より少ない場合、塗膜の強度が低下するので好ましくない。一方、上記の範囲より多い場合、組成物の粘性が高くなるか、塗布性などが低下するので好ましくない。
【0042】
(B)光重合開始剤
本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物に用いられる光重合開始剤は、一般的にアルカリ性現像型樹脂組成物に用いられる光重合開始剤であれば、特に制限されることがない。
【0043】
光重合開始剤として、公知のものを使用することができ、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2-メチルアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等のアントラキノン類;イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラキス(t-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;及びオキソアントラセン等が挙げられる。
【0044】
また、光重合開始剤として、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、アルキルフェノン系光重合開始剤、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、リン酸エステル系光重合開始剤等を使用することもできる。
【0045】
オキシムエステル系光重合開始剤の市販品として、BASF Japan社製のIrgacure OXE01、Irgacure OXE02、ADEKA CORPORATION製のN-1919、NCI-831等が挙げられる。分子内に2個のオキシムエステル基を有する光重合開始剤を好適に用いることができ、具体的には、カルバゾール構造を有するオキシムエステル化合物が挙げられる。
【0046】
アルキルフェノン系光重合開始剤の市販品として、IGM Resins B.V.社製のOmnirad 184、Omnirad 1173、Omnirad 2959、Omnirad 127等のα-ヒドロキシアルキルフェノン系が挙げられる。
【0047】
α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤として、具体的には、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等が挙げられる。市販品として、IGM Resins B.V.社製のOmnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 379等を使用することができる。
【0048】
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤として、具体的には、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、3官能以上のアシルホスフィン系光重合開始剤等が挙げられる。この3官能以上のアシルホスフィン系光重合開始剤は、1分子中に3個以上のアシルホスフィンオキサイド骨格を有する光重合開始剤であってもよく、下式(I)で表されることができる。
式中、
Aは互いに独立して、単結合、O、S又はNRを表し、
Gは多官能化合物(コア)G-(A-H)m+nの残基(ここで、A-Hはそれぞれ、アルコール基又はアミノ基又はチオール基を表す)であり、
m及びnはいずれも整数であり、且つm+nは3~10の間の整数であり、
mは3~8の間の整数であり、
及びRは互いに独立して、各々中断されず、又は1個以上の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換若しくは非置換イミノ基で切断されたC-C18のアルキル基、C-C12のアリール基及びC-C12のシクロアルキル基であり、或いはR及びRは互いに独立して、それぞれアリール基、アルキル基、アリールオキシ基、アルコキシ基、ヘテロ原子及び/又は複素環基で置換されていてもよい、酸素及び/又は窒素及び/又は硫黄原子を含有する5~6員複素環基であり、
はR-(C=O)-であってもよく、
YはO又はSであり、
は水素又はC~Cのアルキル基である。
【0049】
ここで、式(I)で表される光重合開始剤は光硬化性エチレン性不飽和基を含まない。
【0050】
好ましくは、式(I)において、m+nは3~8の間の整数であり、より好ましくは3~6の間の整数である。例えば、式Iにおいて、mは3~6の間の整数であり、より好ましくは3~5の間の整数である。
【0051】
式(I)において、Aが酸素である場合、G-(A-H)m+nは多価水酸基(ポリヒドロキシ)化合物であって、単量体ポリオール、オリゴマーポリオール及び高分子ポリオール並びにそれらの混合物からなる群から選択される。Aが硫黄である場合、G-(A-H)m+nはポリチオール化合物である。式(I)において、Aが窒素である場合、G-(A-H)m+nは線状又は分岐状ポリアミンである。Aが酸素及び/又は窒素及び/又は硫黄の混合物である場合、G-(A-H)m+nは異なる官能基を含む化合物、例えばアミノ基及びヒドロキシ基を含む化合物である。本発明の実施に適する残基G-は光硬化性エチレン性不飽和基を含まない。Aが単結合である場合、G-は上記例示されているG-(A-H)m+nからヒドロキシ基及び/又はアミノ基及び/又はメルカプト基を除去した残基である。
【0052】
好ましくは、G-(A-H)m+nは数平均分子量が1,500以下であり、より好ましくは800以下であり、さらに好ましくは500以下である。
【0053】
nが0でない場合、式(I)で表される化合物は、アルコール性遊離基及び/又はアミノ基及び/又はメルカプト基を有する。
【0054】
式(I)に含まれる代表的な3官能以上のアシルホスフィン系光重合開始剤を表1に示す。中でも、PI-3、PI-4、PI-10、PI-11、PI-12、PI-14、PI-17が特に好ましい。このような3官能以上のアシルホスフィン系光重合開始剤を含むことにより、アウトガスが抑制され、絶縁信頼性により優れた硬化物を得ることができる。
【0055】
【表1】
【0056】
このような3官能以上のアシルホスフィン系光重合開始剤は、例えば日本特許第6599446号に記載されている方法により製造されることができる。
【0057】
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品として、IGM Resins社製のOmnirad TPO、IGM Resins B.V.社製のOmnirad 819、Omnipol TP等を使用することができる。
【0058】
前記チタノセン系光重合開始剤として、具体的には、ビス(シクロペンタジエニル)(ジフェニル)チタン(IV)、ビス(シクロペンタジエニル)チタン(IV)ジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス(2,3,4,5,6ペンタフルオロフェニル)チタン(IV)、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタン(IV)等が挙げられる。市販品として、IGM Resins B.V.社製のOmnirad 784等が挙げられる。
【0059】
これら光重合開始剤(B)の配合割合は、前記(A)ビニルエステル樹脂100重量部(固形分換算)に対して0.01~30重量部であることが適切であり、好ましくは5~25重量部であり、より好ましくは10~20重量部である。光重合開始剤の使用量が前記範囲より少ない場合、組成物の光硬化性が悪くなる一方、多すぎる場合、ソルダーレジスト剤としての特性が低下するので好ましくない。
【0060】
なお、本明細書では、ポリマーとは、ホモポリマー、コポリマー及びそれらの混合物を総称する用語であり、ほかの類似表現についても同様である。
【0061】
(D)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物
本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物に用いられる(D)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物は、活性エネルギー線の照射により光硬化して、前記(A)ビニルエステル樹脂をアルカリ水溶液に不溶化し、又は前記ビニルエステル樹脂をアルカリ水溶液に不溶化することを助けることができる化合物である。このような化合物の具体例として、
アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキルアクリレート類、
エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコールのモノアクリレート又はジアクリレート類、
N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド類、
N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート類、
ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、イソシアヌル酸トリス(2-ヒドロキシエチル)等のポリオール又はこれらのエチレンオキサイド付加体若しくはプロピレンオキサイド付加体等の多価アクリレート類、
フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加体若しくはプロピレンオキサイド付加体等のアクリレート類、
グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルのアクリレート類、
及びメラミンアクリレート、並びに上記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくともいずれか1種等が挙げられる。
【0062】
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂にアクリル酸を反応させて得られるエポキシアクリレート樹脂や、さらに、このエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートのハーフウレタン(half urethane)化合物を反応させて得られるエポキシウレタンアクリレート化合物等が挙げられる。
【0063】
前記(A)ビニルエステル樹脂100重量部(固形分換算)に対して、このような1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(D)の配合量は、好ましくは5~100重量部であり、より好ましくは10~70重量部である。前記(A)ビニルエステル樹脂100重量部に対して、前記配合量が5重量部未満であると、得られたアルカリ性現像型樹脂組成物の光硬化性が低下し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像によりパターンを形成することが困難であるので好ましくない。一方、100重量部を超えると、アルカリ水溶液への溶解性が低下し、硬化塗膜が脆くなるので好ましくない。
【0064】
(F)ほかの添加剤
上記したように、本発明におけるほかの添加剤とは、(B)光重合開始剤及び(C)ガラス粉以外の添加剤を指す。
【0065】
このような添加剤として、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、よう素グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、アシッドブラック等公知慣用の着色剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert-ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等公知慣用の熱重合禁止剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイト等公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤及びレベリング剤の少なくともいずれか1種、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等の密着性付与剤、シランカップリング剤、フェノール系、リン系、硫黄系等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、分散剤等のような公知慣用の添加剤類が挙げられる。
【0066】
このような(F)ほかの添加剤の配合割合は、アルカリ性現像型樹脂組成物全量の0.01重量%以上20重量%以下であることが適切である。0.01重量%未満であると、かかる効果が十分に得られない一方、20重量%を超えると、アルカリ性現像型樹脂組成物の印刷性、硬度が悪くなるので好ましくない。
【0067】
(G)エポキシ樹脂
耐熱性を付与するために、本発明に用いられるアルカリ性現像型樹脂組成物に、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、即ち多官能エポキシ樹脂(G)を配合することが好ましい。
【0068】
市販品として、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC株式会社製のEPICLON 840、850、850S、1050、2055、NIPPON STEEL Chemical & Material Co., Ltd.製のEPOTOTE YD-011、YD-013、YD-127、YD-128、Dow Chemical Company製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業株式会社製のSumi-Epoxy ESA-011、ESA-014、ELA-115、ELA-128等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjERYL903、DIC社製のEPICLON 152、EPICLON 165、NIPPON STEEL Chemical & Material Co., Ltd.製のEPOTOTE YDB-400、YDB-500、Dow Chemical Company製のD.E.R.542、住友化学工業株式会社製のSumi-Epoxy ESB-400、ESB-700等(何れも商品名)の臭素化エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjER152、jER154、Dow Chemical Company製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のEPICLON N-730、EPICLON N-770、EPICLON N-865、NIPPON STEEL Chemical & Material Co., Ltd.製のEPOTOTE YDCN-701、YDCN-704、日本化薬株式会社製のEPPN-201、EOCN-1025、EOCN-1020、EOCN-104S、RE-306、NC-3000、住友化学工業株式会社製のSumi-Epoxy ESCN-195X、ESCN-220、NIPPON STEEL Chemical & Material Co., Ltd.製のYDCN-700-2、YDCN-700-3、YDCN-700-5、YDCN-700-7、YDCN-700-10、YDCN-704、YDCN-704A、DIC株式会社製のEPICLON N-680、N-690、N-695等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のEPICLON 830、三菱ケミカル株式会社製のjER807、NIPPON STEEL Chemical & Material Co., Ltd.製のEPOTOTE YDF-170、YDF-175、YDF-2004等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;NIPPON STEEL Chemical & Material Co., Ltd.製のEPOTOTE ST-2004、ST-2007、ST-3000(商品名)、三菱ケミカル株式会社製のYX8034等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjER604、NIPPON STEEL Chemical & Material Co., Ltd.製のEPOTOTE YH-434、住友化学工業株式会社製のSumi-Epoxy ELM-120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;Daicel Corporation製のCELLOXIDE 2021P等(商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のYL-933、日本化薬株式会社製のEPPN-501、EPPN-502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のYL-6056、YX-4000、YL-6121(何れも商品名)等のビキシレノール型若しくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬株式会社製EBPS-200、ADEKA CORPORATION製EPX-30、DIC社製のEXA-1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjERYL-931等(商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業株式会社製のTEPIC等(商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日油株式会社製のBRENMAR DGT等のジグリシジルフタレート樹脂;NIPPON STEEL Chemical & Material Co., Ltd.製のZX-1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;NIPPON STEEL Chemical & Material Co., Ltd.製のESN-190、ESN-360、DIC社製のHP-4032、EXA-4750、EXA-4700等のナフタレン骨格含有エポキシ樹脂;日油株式会社製のCP-50S、CP-50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロへキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;CTBN変性エポキシ樹脂(例えばNIPPON STEEL Chemical & Material Co., Ltd.製のYR-102、YR-450等)等は挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
(G)エポキシ樹脂の含有量は好ましくは、(A)ビニルエステル樹脂100重量部(固形分換算)に対して10~100重量部であり、より好ましくは20~90重量部であり、さらにより好ましくは30~80重量部である。
【0070】
(H)有機溶媒
本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物に用いられる有機溶媒(H)について、前記ビニルエステル樹脂(A)の合成、組成物の調製、又は基板やキャリアフィルムに塗布する際の粘度調整などの目的から、有機溶媒を使用することができる。
【0071】
このような有機溶媒として、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶媒等が挙げられる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート等のエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶媒等である。上記有機溶媒は、単独で又は2種以上の混合物として使用されることができる。
【0072】
プリント配線板のソルダーレジスト層を形成する際に本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物を用いた場合、必要に応じて塗布方法に適した粘度に調整した後、スクリーン印刷法、カーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の方法により、それを例えば予め回路が形成されたプリント配線板に塗布し、必要に応じて、例えば約60~100℃の温度で乾燥することで、タックフリーの塗膜を形成することができる。次に、所定の露光パターンが形成されたフォトマスクを介して選択的に活性光線により露光し、未露光部をアルカリ性水溶液で現像し、レジストパターンを形成することができる。さらに、例えば約140~180℃の温度まで加熱して熱硬化させることにより、(G)エポキシ樹脂の硬化反応及び(A)ビニルエステル樹脂の重合を促進し、得られるレジスト被膜の付着性、冷熱衝撃耐性、耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、耐吸湿性、PCT耐性、密着性、電気特性等の諸特性を向上させることができる。
【0073】
上記現像時に用いられるアルカリ水溶液として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液を使用することができる。また、光硬化に用いられる照射光源として、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、半導体レーザー、固体レーザー、キセノンランプ又はメタルハライドランプ等が適切である。
本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物は、液状で直接銅回路を有する基材に塗布する方法以外にも、予めキャリアフィルムにアルカリ性現像型樹脂組成物を塗布、乾燥させて得られた光硬化性ドライフィルムの形態で使用することもできる。本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物を光硬化性ドライフィルムとして使用する場合を以下に示す。
光硬化性ドライフィルムは、キャリアフィルムと、樹脂層と、必要に応じて用いられる剥離可能なカバーフィルムとが、この順序に積層された構造を有するものである。樹脂層は、本発明のアルカリ性現像型樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布、乾燥して得られる層である。キャリアフィルムに樹脂層を形成した後に、カバーフィルムをその樹脂層の上に積層することにより光硬化性ドライフィルムが得られる。
キャリアフィルムとしては、2~150μmの厚みのポリエステルフィルム等の熱可塑性フィルムが用いられる。樹脂層は、アルカリ性現像型樹脂組成物をブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等でキャリアフィルムに10~150μmの厚さで均一に塗布し乾燥して形成される。カバーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を使用することができるが、樹脂層との接着力が、キャリアフィルムよりも小さいものが良い。
本発明の硬化物は、アルカリ性現像型樹脂組成物を銅に塗布し、乾燥させて得られた塗膜、又は当該アルカリ性現像型樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布し、乾燥させ、得られた光硬化性ドライフィルムを銅に積層して得られた塗膜を光硬化して得られたものである。
光硬化性ドライフィルムを用いて、銅回路を有する基材に硬化物を作製するには、カバーフィルムを剥がし、樹脂層と銅回路を有する基材を重ね、ラミネーター等を用いて張り合わせ、銅回路を有する基材上に樹脂層を形成する。形成された樹脂層に対し、前記と同様に露光、現像、加熱硬化すれば、硬化物を形成することができる。キャリアフィルムは、露光前又は露光後のいずれかに剥離すればよい。
アルカリ性現像型樹脂組成物は、プリント配線板上に硬化被膜を形成するために好適に用いられる。硬化被膜としては、永久絶縁被膜であることが好ましく、ソルダーレジストであることが特に好ましい。
【0074】
実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の権利範囲及びその実施形態はこれらに限定されるものではない。実施例及び比較例における「部」又は「%」は、特に断りのない限り、重量基準である。後述する方法により、本実施例の組成物の性状値の試験を実施する。
【0075】
合成例
攪拌機及び還流冷却器を備えた4つ口フラスコにクレゾールノボラック型エポキシ樹脂EPICLON N-695(DIC製、エポキシ当量=214)214部を投入し、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート103部、石油系炭化水素溶媒(Japan Energy Corporation製、商品名:Cactus Fines SF-01)103部を添加して加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部及び反応触媒としてトリフェニルホスフィン2.0部を添加した。この混合物を95~105℃に加熱し、アクリル酸72部をゆっくりと滴下し、16時間反応させた。得られた反応生成物を80~90℃に冷却し、テトラヒドロ無水フタル酸91.2部を添加して8時間反応させ、冷却した後に取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有ビニルエステル樹脂は不揮発分が65%であり、固形分の酸価が87.5mgKOH/gであった。
【0076】
上記合成例のビニルエステル樹脂溶液(ワニス)を用い、表1に示す各成分及び割合(重量部)で配合し、攪拌機で予備混合した後、3本ロールミルで混練し、アルカリ性現像型樹脂組成物を調製した。さらに、付着力及び冷熱衝撃耐性を以下の方法により評価した。
【0077】
【表1】
【0078】
A 合成例のカルボキシル基含有ビニルエステル樹脂、固形分65%、(5)のカルボキシル基含有ビニルエステル樹脂に相当
F 顔料:フタロシアニングリーン、大日本インキ化学工業株式会社製Pigment A
F 消泡剤:KS-66、信越化学工業株式会社製
F 分散剤:BYK-110、重合リン酸エステル、ビックケミー社製
B 光重合開始剤:Omnirad 369 E(化学品名:2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン)、IGM社制
C 軟質複合ガラス粉:K10、蘇州錦芸新材料有限公司製(SiO:62.3~62.8%、Fe:0.0149~0.017%、Al:16.9~17.6%、CaO:7.35~7.66%、MgO:1.4~1.54%、B:9.6~10.3%)モース硬度:5~6
E タルク:LMP-100、FUJI TALC INDUSTRIAL製
シリカ:A-8 シベルコSibelco社製
H 溶媒:PGMEA、プロピレングリコールモノメチルエーテル110アセテート
G エポキシ樹脂:N-770-75EA、DIC社製、ノボラック型多官能エポキシ樹脂、固形分75%
D 1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物: MT-3501G、張家港東亜迪愛生化学有限公司製
【0079】
性能評価
(1)付着力(Pull off test)
実施例及び比較例のアルカリ性現像型樹脂組成物を、厚みが40μmとなるように、スクリーン印刷で2mmの銅線パターンが形成された基板上に全面塗布し、熱風循環式乾燥炉で80℃で30分間乾燥させた。室温に冷却した後、高圧水銀ランプを搭載した露光装置を用いて300mJ/cmでパターン露光を行い、次に、1wt%炭酸ナトリウム水溶液で、0.2MPaの圧力、液温30℃で60秒間現像した後、熱風循環式乾燥炉で150℃で、60分間硬化した。このようにして硬化膜を有する銅回路基板を作製した。
また、米DeFelsko社PosiTest ATデジタルディスプレイプルオフ式付着性試験機(金属、コンクリート及びほかの材質のコーティングの付着力を測定可能)を用意した。米エマーソン&カミング社製接着剤(LOCTITE ABLESTIK 2332-17高強度構造用接着剤)を用いてドリー(寸法:底部直径1cm)を(例えば図3のイメージ図に示すように)上記硬化膜の表面に接着・固定(120℃で1時間加熱)し、単位面積あたりの硬化膜を銅基板から分離するために必要な引張力を測定し、MPaで表し、ATSM D4541に従って測定した。
○:引張力が6.0MPa以上。
×:引張力が6.0MPa未満。
【0080】
(2)冷熱衝撃耐性
実施例及び比較例のアルカリ性現像型樹脂組成物を、厚みが40μmとなるように、スクリーン印刷で2mmの銅線パターンが形成された基板上に全面塗布し、熱風循環式乾燥炉で80℃で30分間乾燥させた。室温に冷却した後、高圧水銀ランプを搭載した露光装置を用いて400mJ/cmでパターン露光を行い、次に、1wt%炭酸ナトリウム水溶液で、0.2MPaの圧力、液温30℃で60秒間現像した後、熱風循環式乾燥炉で150℃で、60分間硬化した。UV搬送炉で積算露光量2000mJ/cmの条件下で紫外線を照射することにより、直角形状のレジストパターンを有する冷熱サイクル時のクラック耐性評価基板を17個作製した。以上のようにして作製した評価基板を-40℃~160℃で冷熱サイクルを行う温度サイクル機に複数入れ、異なるサイクル回数を設定し、冷熱衝撃サイクル試験(TCT試験)を実施した。次に、各回数のサイクルにおける外観を観察し、クラックが生じない最大サイクル回数を記録し(クラックの有無について、図1及び図2を参照)、その評価基準を以下に示す。
○:1000回以上のサイクルを経過してもクラックが生じていない。
△:700回以上1000回未満のサイクルでクラックが生じていない。
×:700のサイクル未満でクラックが生じた。
【0081】
以上から分かるように、実施例1~3の組成に調整することにより、冷熱衝撃耐性及び付着力のいずれにおいても優れたソルダーレジスト層を得ることができるアルカリ性現像型樹脂組成物が得られる。これに対して、比較例1、2では、フィラーとしてタルク及びシリカのみ用いたため、付着力が低く、タルクの使用量が一層少ない比較例2では、冷熱衝撃耐性も低下した。比較例3では、軟質複合ガラス粉のみ用い、付着力は向上したが、冷熱衝撃耐性は低かった。比較例4では、シリカのみ用い、同様に付着力は向上したが、冷熱衝撃耐性は低かった。比較例5では、軟質複合ガラス粉とシリカを併用し、同様に付着力は向上したが、冷熱衝撃耐性は低かった。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ビニルエステル樹脂、(B)光重合開始剤、(C)ガラス粉、(D)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物及び(E)無機フィラーを含有し、前記(E)無機フィラーは、タルクを含み、
前記(C)ガラス粉は、重量%で、SiO:60~65%、Fe:0.01~0.02%、Al:14~20%、CaO:6~9%、MgO:1~2%、B:8~12%を含み、前記(C)ガラス粉のモース硬度が6.5未満であることを特徴とするアルカリ性現像型樹脂組成物。
【請求項2】
前記(B)光重合開始剤及び前記(C)ガラス粉以外の(F)ほかの添加剤をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物。
【請求項3】
(G)エポキシ樹脂をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物。
【請求項4】
(H)有機溶媒をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物。
【請求項5】
(H)有機溶媒をさらに含有することを特徴とする請求項3に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布し、乾燥させて得られたことを特徴とする光硬化性ドライフィルム。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物を銅に塗布し、乾燥させて得られた塗膜、又は当該アルカリ性現像型樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布し、乾燥させ、得られた光硬化性ドライフィルムを銅に積層して得られた塗膜を光硬化して得られたことを特徴とする硬化物。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のアルカリ性現像型樹脂組成物を、銅回路を有する基材に塗布し、乾燥させて得られた塗膜、又は当該アルカリ性現像型樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布し、乾燥させ、得られた光硬化性ドライフィルムを、銅回路を有する基材に積層して得られた塗膜を光硬化した後に、熱硬化して得られた硬化物を有することを特徴とするプリント配線板。
【国際調査報告】