(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】防振ブラケット用ブッシュ、防振ブラケット、および防振ブラケットの製造方法
(51)【国際特許分類】
F16F 1/36 20060101AFI20250123BHJP
F16F 1/38 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
F16F1/36 C
F16F1/38 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543293
(86)(22)【出願日】2023-01-01
(85)【翻訳文提出日】2024-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2023050002
(87)【国際公開番号】W WO2023138908
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516171768
【氏名又は名称】ビブラコースティック エスイー
【住所又は居所原語表記】Europaplatz 4,64293 Darmstadt,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ルドヴィック ショーベ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント ココロー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント ル コー
【テーマコード(参考)】
3J059
【Fターム(参考)】
3J059AA09
3J059AA10
3J059AD05
3J059BA42
3J059BC05
3J059BD09
3J059CA02
3J059CA09
3J059CA14
3J059CB02
3J059EA03
3J059EA14
3J059GA09
(57)【要約】
防振ブラケット用のブッシュ(6)であって、ブッシュ(6)が、外側構造体(20,24)と内側スリーブ(16)とを備え、外側構造体(20,24)が、内側スリーブ(16)に接続された接続構造体(21)を備え、外側構造体(20、24)が、防振ブラケットの開口部に接続するように設計され、内側スリーブ(16)が、少なくとも部分的に管状部材(18)に接続するように適合された貫通孔(30)を備え、接続構造体(20)が、熱可塑性エラストマー(TPE)から作られているブッシュ。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防振ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)用のブッシュであって、該ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)が、外側構造体(20,24)と内側スリーブ(16)とを備え、前記外側構造体(20,24)が、前記内側スリーブ(16)に接続された接続構造体(21)を備え、前記外側構造体(22)が、前記防振ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)の開口部(8)に接続するように設計され、前記内側スリーブ(16)が、少なくとも部分的に管状部材(18)に接続するように適合された貫通孔(30)を備え、前記接続構造体(20;20,32)が、熱可塑性エラストマー(TPE)から作られているブッシュ。
【請求項2】
前記外側構造体(22)が、外側スリーブ(24)を備え、前記接続構造体(21)が前記外側スリーブ(24)に接続されている、請求項1に記載のブッシュ。
【請求項3】
前記内側スリーブ(16)および/または前記外側スリーブ(24)が第2のプラスチック材料から作られている、請求項2に記載のブッシュ。
【請求項4】
前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)が全体的にTPE製であるか、または前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)のばね部材(9)がTPE製である、請求項1または請求項2に記載のブッシュ。
【請求項5】
前記接続構造体(21)が、前記外側構造体(20,24)と前記内側スリーブ(16)とを連結する少なくとも2つのブレード(20)を備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のブッシュ。
【請求項6】
前記少なくとも2つのブレード(20)が、前記貫通孔(30)の軸線(x)に対して螺旋状に延びる構造(20,24)を有し、前記ブレード(20)が前記内側スリーブ(16)の周方向に均等に分布している、請求項5に記載のブッシュ。
【請求項7】
前記少なくとも2つのブレード(20)が、その延在経路の少なくとも50%において、本質的に平行な側壁(20.A,20.B)を有する湾曲した横断面形状を有する、請求項5または請求項6に記載のブッシュ。
【請求項8】
前記少なくとも2つのブレード(20)が、30mmから300mmの範囲内のピッチ(P)を有し、かつ/または0°から80°、特に1°から80°、特に10°から50°の傾斜角度(B)をカバーし、かつ/または、前記内側スリーブ(16)と前記外側スリーブ(24)との間、または前記内側スリーブと前記防振ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)の開口部との間の距離(G)の少なくとも1.1倍の経路長(S)を有する、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のブッシュ。
【請求項9】
前記ブレード(20)の数が2から12の間である、請求項5から請求項8のいずれか1項に記載のブッシュ。
【請求項10】
前記少なくとも2つのブレード(20)が、前記内側スリーブ(16)の周方向に均等に分布しているか、または前記ブレード(20)が、前記内側スリーブ(16)の周方向に不均等に分布している、請求項5から請求項9のいずれか1項に記載のブッシュ。
【請求項11】
前記少なくとも2つのブレード(20)が、前記外側スリーブ(24)および/または前記内側スリーブ(16)への滑らかな移行部(20.1,20.2)を有する、請求項5から請求項10のいずれか1項に記載のブッシュ。
【請求項12】
ブラケット本体(4)を備えた防振ブラケットであって、前記ブラケット本体(4)が、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)のための開口部(8)を備え、前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)が、前記外側構造体(22)を介して前記開口部(8)に接続されている、防振ブラケット。
【請求項13】
前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)が、前記ブラケット本体(4)をオーバーモールドすることにより製造される、請求項12に記載の防振ブラケット。
【請求項14】
前記ブラケット本体(4)が、前記ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)を対象物に取り付けるための取付構造(10)を備える、請求項12または請求項13に記載の防振ブラケット。
【請求項15】
請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の防振ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)の製造方法であって、前記ブラケット本体(4)を射出成形金型内に配置するステップと、前記ブラケット本体(4)を熱可塑性エラストマー(TPE)でオーバーモールドして前記ブッシュ(6;6’;6’’)または前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)のばね部材(9)を形成するステップと、熱可塑性材料が十分に硬化した後に前記ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)を離型するステップと、を含む方法。
【請求項16】
請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の防振ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)の製造方法であって、2成分射出成形型を提供することと、第1のプラスチック材料を射出して前記ブラケット本体(4)を形成することと、前記第1のプラスチック材料を十分に硬化させることと、前記ブラケット本体(4)を熱可塑性エラストマー(TPE)でオーバーモールドして前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)または該ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)のばね部材(9)を形成することと、前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)または該ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)のばね部材(9)を形成する熱可塑性材料が十分に硬化した後に、前記ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)を離型することと、を含む方法。
【請求項17】
前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)の前記ブレード(20)を形成する内型が、ばねおよび内型を案内する螺旋状の案内溝を用いて変形される、請求項15または請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振ブラケット用ブッシュ、防振ブラケット、および防振ブラケットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防振ブラケット用ブッシュ、防振ブラケットおよび防振ブラケットの製造方法は、先行技術において一般に知られている。
【0003】
防振ブラケットは、自動車用途、例えばエンジンマウントとして常用されている。近年、電気自動車の開発が大きく進展し、より多くの電気自動車が路上で走行するようになった。電気自動車の動力源である電気モータは、一般的な内燃機関とは異なる振動範囲を示す。そのため、内燃機関を支持するための手段は、振動の減衰または吸収に関して同様の特性を示しながら、電気モータを支持するために採用することはできない。特に、電気モータにより発生する振動の減衰または吸収は、内燃機関用のアブソーバー/ダンパーでは確実に達成することができない。その結果、電気モータ用の新しい支持手段が開発されてきた。
【0004】
国際公開第2021/037919号明細書は、車両のシャーシ上で電気モータを支持するためのブラケットを開示しており、このブラケットは、第1の半部分空間を画定する第1のハーフシェルと、第2の半部分空間を画定する第2のハーフシェルとを備え、第1のハーフシェルおよび第2のハーフシェルは、プラスチック材料、特にポリマー材料から作られており、第1のハーフシェルおよび第2のハーフシェルは、第1の半部分空間および第2の半部分空間を含むブラケット内の空洞を画定するように、好ましくは溶接によって互いに固定されている。ブラケットは、ゴム材料から作られたブッシュを有する。
【0005】
自動車メーカとサプライヤは、より良く、より軽く、よりコスト効率の良い解決策を開発しようと常に努力している。従来の防振ブラケットは重く、製造が複雑である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、より軽量で製造が容易な防振ブラケット用ブッシュおよび防振ブラケット、並びに防振ブラケットの容易な製造方法を提供することにある。
【0007】
この目的は、請求項1に係る防振ブラケット用ブッシュ、独立請求項12に係る防振ブラケット、独立請求項15に係る防振ブラケットの製造方法、および独立請求項16に係る防振ブラケットの製造方法によって解決される。さらなる実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
以下に記載されるのは、防振ブラケット用のブッシュであって、該ブッシュが、外側構造体と内側スリーブとを備え、外側構造体が、内側スリーブに接続された接続構造体を備え、外側構造体が、防振ブラケットの開口部に接続するように設計され、内側スリーブが、少なくとも部分的に管状部材に接続するように適合された貫通孔を備え、接続構造体は、熱可塑性エラストマー(TPE)から作られる。
【0009】
ブッシュは、複数の材料、特にTPEに加えてプラスチックまたはゴムのような1つ以上のポリマー材料で作ることができる。使用されるそれぞれの材料は、エラストマーであってもよい。エラストマー材料は、ブッシュの構造部品の可逆的な変位と可逆的な伸張とを可能にする。構造部品が変位すると、その変位の反対方向に減衰力が発生し、それによってブッシュに保持された振動発生部品によって引き起こされる振動エネルギを効果的に吸収することができる。
【0010】
熱可塑性ゴムと呼ばれることもある熱可塑性エラストマーは、熱可塑性とエラストマー特性の両方の性質を持つ材料からなる共重合体、または特定のポリマーの物理的混合物の一種である。それぞれのブッシュに一般的に使用されるほとんどのエラストマーが熱硬化性であるのに対し、熱可塑性プラスチックは、例えば射出成形や3D印刷のような付加製造工程による製造において比較的容易に使用することができる。熱可塑性エラストマーを使用する他の利点は、適度な伸びまで伸長し、ほぼ元の形状に戻る能力があるため、他の材料よりも寿命が長く、物理的範囲が広いことである。
【0011】
適切なTPE材料には、PP-EPDM(TPEおよびTPE-V)、PP-SEBS、TPE-Uがある。
TPEの使用には、ゴムのような既知の材料の使用と比較して複数の利点がある。TPEには、製造工程において大きな利点がある。第1に、TPEはゴムよりも安価であることが多いため、商品原価が下がり、その結果、部品が安くなる。第2に、TPEは加硫コアを使用する必要がないため、製造コストが安くなる。第3に、TPEは、防振ブラケット本体またはスリーブのような別の部品との材料接続を形成するための接着剤を必要としない。第4に、TPEを使用することで、2K成形のような異なる、より効果的な製造方法が可能になる。また、硬化時間を短縮でき、汚染も少ない。
【0012】
さらに、TPEには特定の使用例における利点がある。TPEは、ゴムのような一般的に使用される減衰エラストマー材料よりも比重が軽いため、一般的な材料で作られたブッシュに比べて軽いブッシュを製造することができる。TPEの比重が低いため、固有モードは一般的に、低い周波数よりも問題の少ない高い周波数にある。また、固有モードでの減衰が大きいため、振幅が大幅に減少するように固有モードを設計することができる。
【0013】
内側スリーブは、ロッドやバーのような取付構造体に直接または間接的に接続することができ、この取付構造体自体は、モータ、特に電動モータ、ギアボックスなどに接続することができ、接続構造体は、それ自体、車両のボディ部品またはシャーシ部品に取り付けることができる防振ブラケットに接続することができ、またはその逆も可能である。取付構造体への間接的な接続は、スリーブによって達成することができ、スリーブ自体は、ブッシュに対する取付構造体の回転を可能にするために、プラスチック製または金属製とすることができる。一般的に、電気モータのように、防振ブラケットによって保持されるそれぞれの振動発生部品は、複数の防振ブラケットによって保持されるため、単一の振動発生部品を支持するために複数の各ブッシュが使用される場合がある。
【0014】
このようなブッシュの具体的な使用例としては、例えば、完全電気自動車やハイブリッド自動車などの車両の電気モータの支持が挙げられる。このような電気モータは、電気エネルギを回転運動に変換し、それによって車両の1つ以上の車輪を駆動することができる電気モータであれば、どのようなものでもよい。車両駆動装置に一般的に使用される電気モータは、1から2000Hzの周波数範囲の振動を発生する可能性がある。このようなブッシュを利用した防振ブラケットは、全周波数範囲の振動を減衰および吸収できるように設計することができ、それにより、電気モータが示す予想周波数範囲の全てを効果的に減衰させることができる。防振ブラケットの様々な構成部品は、異なる減衰特性を有する可能性があり、ブッシュは、通常、より低い周波数範囲を減衰させ、ブラケット本体は、いくつかの実施形態では、ブラケット本体に含まれる他のダンパーと組み合わせて、振動発生部品によって示されるより高い周波数範囲を減衰させる。
【0015】
より軽量なブッシュで規定された材料剛性を達成するもう1つの態様は、ブッシュの固有モードが通常、より重いブッシュよりも高くなることであり、1つ以上の共振周波数をブッシュに直接的または間接的に接続された部品の共振周波数からさらにシフトさせることができ、NVH特性を改善することができることを意味する。
【0016】
また、ブッシュの各固有モードのピーク振幅は、一般的に知られているブッシュに対して大幅に下げることができ、減衰特性は、固有モードにおいてもまだ十分である。
ブッシュは一体部品とすることができ、すなわち、ブッシュは単一片を構成することができる。
【0017】
第1の他の実施形態によれば、外側構造体は外側スリーブを備え、接続構造体は外側スリーブに接続される。接続構造体および外側スリーブは、一体的に形成されてもよく、すなわち、単一片の材料から作られてもよい。
【0018】
これにより、ブッシュは、内側スリーブ、外側スリーブ、および内側スリーブと外側スリーブとをそれぞれ接続する少なくとも2つの螺旋ブレードを備え、単一の構造ユニットとして一体的に構成される。これにより、一体型のブッシュ構成が得られる。このようなブッシュ構成は、破損に至る前に高荷重に耐えることができるため、よりコンパクトなブッシュ設計を可能にする。
【0019】
他のさらなる実施形態によれば、内側スリーブおよび/または外側スリーブは、第2のプラスチック材料から作られている。
これにより、それぞれの要件に適した材料を選択することができ、例えば、別体の接続スリーブの必要性を回避するために使用することができる非エラストマーの内側スリーブを選択することができる。
【0020】
他のさらなる実施形態によれば、ブッシュは全体がTPE製であるか、またはブッシュのばね部材がTPE製であり、好ましくは全体がTPE製である。
ブッシュまたはばね部材に単一の材料を使用することにより、簡単で効率的な製造工程、例えばブッシュを作成するための単一工程の成形工程が可能になる。この単一工程の成形工程は、防振ブラケットの多工程の製造工程の一部とすることができる。
【0021】
ばね部材は、内側スリーブおよび/または外側構造体を備えることができる。ばね部材は、ブッシュの主たるばね部材とすることができ、かつ/または、外側スリーブを内側スリーブに直接接続することができる。
【0022】
他のさらなる実施形態によれば、接続構造体は、外側構造体と内側スリーブとを連結する少なくとも2つのブレードを備える。
ブレードは、3つの寸法のうち2つの寸法が第3の寸法よりも著しく大きくなるように設計されており、例えば、螺旋ブレードの長さおよび半径方向のブレード幅は、ブレードの厚さよりも著しく大きい。ブレードの表面は湾曲させることができ、長さ、幅、および厚さは、ブレード全体にわたって変化させることができ、ブレードは、ある領域では別の領域よりも厚くすることができる。
【0023】
他のさらなる実施形態によれば、接続構造体は、ブレードまたは少なくとも1つのブレード組からなる。
これにより、ブレードまたはブレード組をそのような工程に適するように設計することができるため、射出成形および3D印刷などの付加製造工程を含む、様々な使用可能な製造方法を可能にする。
【0024】
他のさらなる実施形態によれば、少なくとも2つのブレードは、貫通孔の軸に対して螺旋状に延びる構造を有する。
螺旋状に延びる構造により、他の公知の接続構造体を使用する場合よりも少ない材料を使用して、規定された材料剛性を達成することができるので、それぞれのブッシュは、同様の材料特性を有する公知のブッシュよりも軽量である。この効果は、所定の剛性に対して、それぞれのブッシュが公知のブッシュよりも小さく設計される可能性があり、さらに軽量化されるという事実によって増大させることができる。また、ブレードの螺旋状の構造により、設計の自由度という別の次元が導入され、それぞれの使用例に対してブッシュの減衰特性をより良く調整することができる。
【0025】
さらに、螺旋ブレードを使用することにより、異なる方向、例えば、軸方向、半径方向において異なる剛性および減衰特性を微調整することができ、ねじり特性は、螺旋ブレードの設計に依存する。ねじり特性は、ブッシュに導入されるねじりモーメントの方向にも依存する可能性がある。
【0026】
さらに、意外なことに、一方の螺旋状に延びる構造と他方のTPEとの組み合わせは、かなり有益な効果を生み出す。すなわち、TPEを使用することで、螺旋状に延びる構造が可能になり、あるいは改善されるため、上述した利点がさらに強化される。特に、一方ではTPEによって細長い構造を製造することができ、他方では機能的な損失はない。
【0027】
他のさらなる実施形態によれば、少なくとも2つのブレードは、その延長経路の少なくとも50%において、本質的に平行な側壁を有する湾曲した横断面形状を有する。
それぞれの設計は、複数の湾曲部を有し、例えば、S字形状とすることができる。湾曲した断面は、ブッシュに導入されるモーメントの相対的な方向、例えば、時計回りと反時計回りによって異なる減衰特性を可能にする可能性がある。
【0028】
湾曲したブレードは、湾曲したブレードの圧縮方向において、構造の制御されない座屈が回避されるように設計することができる。これに代えて、ブレード構造の制御された折れ曲がりが圧縮方向に発生する。
【0029】
また、最大振幅は、湾曲した、特にS字形状のブレードによって増大させることができ、所定の寸法のブッシュにおいて、特に、圧縮方向とは反対の伸長方向において、より高い振幅を得るか、または所定の最大振幅仕様に対してより小さい寸法のブッシュを得ることができる。
【0030】
他のさらなる実施形態によれば、少なくとも2つのブレードは、30mmから300mmの範囲内のピッチを有し、かつ/または、0°から80°、特に1°から80°、特に10°から50°の間の傾斜角度をカバーし、かつ/または、内側スリーブと外側スリーブとの間または内側スリーブと防振ブラケットの開口部との間の距離の少なくとも1.1倍の経路長を有する。
【0031】
上記のピッチ範囲は、射出成形や3D印刷などの付加製造工程のような様々な製造方法を可能にしながら、必要な減衰仕様を提供することができる。通常、ピッチが大きいほど、ブッシュは半径方向および軸方向に剛性が高くなる。
それぞれの傾斜角度構成により、高速製造ラインにおける金型の内型構造の螺旋運動を通じて、それぞれのブッシュを特定の離型角度で離型することができる。
【0032】
ブレードの傾斜角度は、半径方向の剛性と軸方向の剛性との比率を調整するために使用することができる。傾斜角度が小さいほど、軸方向剛性に対する半径方向剛性の比率は低くなる。傾斜角度は、一方では貫通孔の軸線と、他方では螺旋構造またはそれぞれのブレードのコースとの間にまたがることができる。0°の傾斜角度は、数学的な意味でゼロ角度とみなすことができる。このようなゼロ角度では、ブレードは周方向に傾くことなく半径方向に延びることができ、あるいはブレードは貫通孔の軸線に平行に延びることができる。傾斜角度は、特に、ブレードが貫通孔の軸線に対して傾斜する尺度に関する。これにより、ブレードは軸線の周りに巻き付く。
【0033】
防振ブラケットの内側スリーブと外側スリーブまたは開口部との間の距離よりも長い経路長は、半径方向外側に延在していないブレードを可能にするだけでなく、例えば半径方向に対して角度を有し、より多くの移動量およびより高い振動振幅を可能にすることを含む、ブッシュ特性のさらなる微調整を可能にする。
【0034】
他のさらなる実施形態によれば、少なくとも2つのブレードは、0°から90°、特に1°から85°、特に70°から80°の間の半径方向角度をカバーする。
ブレードの半径方向角度は、当該ブレードをより容易に離型するために使用することができる。この利点は、射出成形による製造において特に顕著である。半径方向角度は、一方では貫通孔の軸線と、他方では縦断面における螺旋構造またはそれぞれのブレードの平均コースとの間にまたがることができる。半径方向角度は、ブッシュを通る縦断面内にあることもできる。軸は、縦断面内にあることもできる。0°の半径方向角度は、数学的な意味でゼロ角度とみなすことができる。このようなゼロ角度では、ブレードは周方向に傾くことなく半径方向に延びることができ、あるいはブレードは貫通孔の軸に平行に延びることができる。
【0035】
他の実施形態によれば、ブレードの各々は、0°から360°の倍数、好ましくは0°から270°、より好ましくは0°から180°の周方向角度範囲にわたって延びることができる。
周方向角度は、横断面内に位置することができる。その結果、ブレードは貫通孔の軸回りに螺旋状に巻かれる。この範囲では、上述した有益な効果(材料剛性、より少ない材料の使用、ブッシュの軽量化、同様の材料特性)と製造性との間で最適が達成される。例えば、製造後にブレードを離型する必要がある場合、成形部品を簡単に取り外すことができる。さらに、この特徴により、1つ以上の空間方向において剛性比を調整する柔軟性が高まる。
【0036】
ブレードが射出成形によって製造される場合、0°から360°、好ましくは0°から270°、より好ましくは0°から180°の範囲の周方向角度は、容易な離型のために有利である。ブレードが3D印刷のような付加製造工程を用いて製造される場合、離型性の側面はそこでは無関係であるため、より大きな周方向角度を選択することもできる。
【0037】
他のさらなる実施形態によれば、ブレードの数は2から12の間である。
ブレードの数は、ブッシュの剛性と同様に、許容可能な最大荷重を決定することができる。所定の荷重はブレードに分散され、ブレードあたりの荷重はブッシュのブレード数が多いほど小さくなる。
【0038】
他のさらなる実施形態によれば、少なくとも2つのブレードが、内側スリーブの周方向に均等に分布しているか、または内側スリーブの周方向にブレードが不均等に分布している。
均等に分布するブレードは、軸方向に対して等方的な減衰特性だけでなく、組立時のより高い柔軟性を提供する回転対称性を備えることができる。
【0039】
ブレードを不均等に配置することで、2つ以上のブレードが他のブレードよりも互いに近い距離に配置されるようにグループ化された配置が可能になる。このようなブレードの配置は、内側スリーブの周方向に均等に配置することができる。そのようにして、グループ化されていないブレードと比較して、異なる半径方向の剛性を達成することができる。
さらに、不均等に分布するブレードのそれぞれの配置に応じて、異なる方向の径方向の剛性を異なるように調整し、静荷重を補償することができる。
【0040】
他のさらなる実施形態によれば、少なくとも2つのブレードは、外側スリーブおよび/または内側スリーブへの滑らかな移行部を有する。
滑らかな移行部は、せん断力を低減し、材料張力の高いピークを回避することができるため、高過負荷場面における破断によるブッシュの欠損リスクを大幅に低減することができる。滑らかな移行部は、丸み出し部とすることができる。
【0041】
他のさらなる実施形態によれば、ブッシュはコア部材を含んでいてもよい。コア部材は貫通孔内に配置されていてもよい。コア部材は、特にばね部材とは独立した部品または別個の部品とすることができる。コア部材は中空円筒形状とすることができ、他の部材、例えばチューブ形状の部材を接続する役割を果たす。内側スリーブはコア部材の外周側に対して静止することができ、好ましくはコア部材にしっかりと接続される。コア部材は、さらに他の部材との安定した接続に役立つ。
【0042】
ブッシュが2つの部品、すなわち、ばね部材とコア部材のみから形成されることも考えられる。ばね部材は、内側スリーブと外側構造体とを備えることができる。コア部材は、ばね部材の製造中または成形中に、単一のステップでばね部材に取り付けることができる。その結果、それ自体既知のコア部材を使用する場合でも、本発明の利点を実現することができる。
【0043】
外側構造体および/またはコア部材が、ブラケットの貫通孔の軸線に沿って延びる縦リブを周方向に有することも考えられる。また、ブラケットの貫通孔および/またはブッシュの貫通孔に、それぞれの縦リブ用の縦溝が形成されていることも考えられる。しかし、リブと溝とがそれぞれの他の部材上で逆になることも考えられる。このようなリブ接続は、特にブラケットの貫通孔の軸回りの回転荷重の下で、各部材の締まり嵌めを改善する。
【0044】
第1の独立した態様は、ブラケット本体を備えた防振ブラケットに関し、ブラケット本体は、先の説明によるブッシュのための開口部を備え、ブッシュは、外側構造体を介して開口部に接続される。
【0045】
ブラケット本体は、ブッシュとは異なる1つ以上の材料から作ることができる。ブラケット本体は、特に、ブッシュ自体のようなエラストマー特性を有しないPAから作ることができる。ブラケット構造は、前述のように少なくとも1つのブッシュと共に、少なくとも1つの振動発生部品によって導入される広い周波数スペクトルにわたって振動の効果的な減衰を提供する、規定された静的および動的特性を示すように設計される。
【0046】
ブラケット本体は、例えば、一方向または複数の方向に延びる補強壁などの補強構造の使用により、軽量かつ高剛性に設計することができる。補強構造は、多次元の構造的剛性を提供するために互いに交差することができる。
【0047】
ブラケット本体と少なくとも1つのブッシュは、振動の幅広い周波数減衰を提供する異なる減衰特性を有するように設計することができる。周波数スペクトルのある部分はブッシュによって吸収され、別の部分はブラケット本体によって吸収される。
【0048】
第1のさらなる実施形態によれば、ブッシュはブラケット本体をオーバーモールドして作られる。
このようにして、ブッシュは、1回の2K成形製造工程において、接着剤を使用することなくブラケット本体に接合することができる。
【0049】
他のさらなる実施形態によれば、ブラケット本体は、ブラケットを対象物に取り付けるための取付構造を備える。
ブラケット本体は、振動発生部品、例えば、少なくとも1つのブッシュを介して防振ブラケットに保持された電動モータに取り付けることができ、一方、ブラケット本体は、車体部品、フレーム、シャーシなどに取り付けることができる。後者の取り付けは、防振ブラケットのNVH特性を改善するために、ゴムまたはTPEスリーブなどの減衰材を介して達成することができる。
【0050】
さらなる独立した態様は、先の説明による防振ブラケットの製造方法に関し、この方法は、射出成形金型内にブラケット本体を配置するステップと、熱可塑性エラストマー(TPE)でブラケット本体をオーバーモールドして、ブッシュまたはブッシュのばね部材を形成するステップと、熱可塑性材料が十分に硬化した後にブラケットを離型するステップとを含む。
【0051】
ブッシュまたはばね部材がブラケット本体に直接オーバーモールドされる場合、ブッシュをブラケット本体に取り付けるための接着剤の使用を回避することができ、使用される材料だけでなく、製造工程の数も減らすことができる。また、ブラケット本体へのブッシュの不適切な接着の問題を低減することもできる。さらに、ブッシュに設けられる取付構造は、従来の防振ブラケットと比較して、異なる寸法にすることができ、スペースおよび重量を節約することができる。
【0052】
さらなる独立した態様は、先の説明による防振ブラケットの製造方法に関し、この方法は、2成分射出成形型を提供することと、第1のプラスチック材料を射出してブラケット本体を形成することと、第1のプラスチック材料を十分に硬化させることと、ブラケット本体を熱可塑性エラストマー(TPE)でオーバーモールドして、ブッシュまたはブッシュのばね部材を形成することと、ブッシュまたはブッシュのばね部材を形成する熱可塑性材料が十分に硬化した後に、ブラケットを離型することとを含む。
【0053】
この態様によれば、1回の2K成形工程で防振ブラケットを提供することができる。2K成形工程の第1のステップにおいて、複数の金型部品からなる金型を提供し、2K成形工程のさらなるステップで形成される構造用の1つ以上の貫通孔を含むことができるブラケット本体構造を成形することができる。金型によって形成されたキャビティに第1の材料を注入し、形状が安定するように硬化させることができる。
【0054】
その後、金型部品の一部を取り外し、異なる金型部品または金型部品のセットをブラケット本体に対して配置し、金型とブラケット本体とによって形成された1つ以上の空洞にTPEを射出することができる。TPEはブラケット本体に直接接着することができ、2つの材料間に強固な接続を形成する。ブラケット本体の材料は、TPEとの接着能力に応じて選択することができる。適切な材料としては、ポリアミド、ポリエステルまたはポリプロピレンのような成形温度が120℃以下の短いガラス繊維強化ポリマーを含む。
【0055】
ブッシュの上に、さらなる部品またはライニングへの取付構造のようなさらなる構成部品も、このそれぞれのステップにおいて形成することができる。
上述した方法のさらなる実施形態によれば、ブッシュのブレードを形成する内型は、ばねと内型を案内する螺旋状の案内溝とを用いて変形される。
そのようにして、内型の離型経路が正確に画定され、離型工程により欠陥が少なくなる。
【0056】
さらなる発明の態様によれば、成形の代わりに付加製造工程、例えば3D印刷を製造工程として使用することも考えられる。さらに、成形の文脈で開示された特徴は、技術的に可能である限り、付加製造工程にも同様に適用される。
値の範囲が第1の値から第2の値まで広がっている場合、2つの限界値も当該範囲に含まれる。
【0057】
さらなる特徴および詳細は、図面を参照して適用可能である場合、少なくとも1つの例示的な実施形態が詳細に説明される以下の説明において示される。記載された、かつ/または図示された特徴は、それ自体で、または任意の可能かつ意味のある組み合わせで主題を構成し、最終的には特許請求の範囲からも独立する。特に、これらは、1つ以上の別個の適用例の主題であり得る。図を概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】本発明の防振ブラケットの第1の実施形態を3次元的に示す斜視図である。
【
図3】
図1の防振ブラケットのブッシュを3次元的に示す斜視図である。
【
図6】本発明に係る防振ブラケットの第2実施形態を3次元的に示す斜視図である。
【
図8】
図6の防振ブラケットのブッシュを3次元的に示す斜視図である。
【
図11】本発明に係る防振ブラケットの第3実施形態を3次元的に示す斜視図である。
【
図13】
図11の防振ブラケットのブッシュを3次元的に示す斜視図である。
【
図16】本発明に係る防振ブラケットの第4実施形態を3次元的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
可読性および明瞭性を向上させるために、異なる実施形態における同一または類似の特徴、あるいは同一または類似の特性または機能を有する特徴には、同一の参照番号が付されている場合がある。
【0060】
図1は、防振ブラケット2を示す斜視図である。
防振ブラケット2は、ブラケット本体4とブッシュ6とを備える。ブッシュ6は一体構造ユニットである。ブッシュ6は、ブラケット本体4の概ね一側に配置された貫通孔8内に配置されている。ブラケット本体4の反対側には、3つの取付孔10が配置されている。ブッシュ6は、電気自動車の電動モータのような振動発生部品に取り付けるように設計されている。取付孔10は、ねじ付きボルトを用いて車両のフレームのような車両の構造部品に取り付けられるように配置されている。
【0061】
この実施形態による取付孔10は、車両のサスペンションを介して車両に導入される、道路の凹凸のような異なる振動源によって引き起こされるガタのような低周波騒音を回避するエラストマーライニング12を備える。他の実施形態は、状況に応じて追加のライニングを必要としない場合もある。
【0062】
ブラケット本体4は、車両と振動発生部品、例えば、電動モータとのそれぞれの取付形状に適合するように設計された3次元形状を備える。ブラケット本体4は、軽量であるとともに、車両の典型的な使用場面中に示される静的および動的な力に耐えるのに十分な強度を有するように設計されている。ブラケット本体4は一体構造とすることができる。貫通孔8および取付孔10は、振動発生部品を介して導入される力を吸収するのに十分なブラケット本体構造によって囲まれている。
【0063】
重量を軽減するために、ブラケット本体4は、中実の材料ブロックから作られる代わりに、一連の補強リブ14を備える。補強リブ14は、異なる方向に延びており、そのうちの幾つかは、概ねブッシュ6の軸線xに対して垂直に配置され、他のものは、半径方向および/または軸線xに対して平行に延びている。補強リブ14は、ブラケット本体4の様々な構造部品を補強することができる。
【0064】
次に、
図1および
図2を参照すると、ブッシュ6は、別体のスリーブ18を保持する内側スリーブ16を形成している。別体のスリーブ18は、振動発生部品、例えば、それぞれの電動モータに形成されたそれぞれのロッドに取り付けられた取付構造体を受け入れるように設計されている。スリーブ18は、静的および動的な力を吸収するために、ブッシュ6よりも硬い材料で作られている。別体のスリーブ18は、振動発生部品の取付構造体を受け入れるために必要ではない。別体のスリーブ18は、ブッシュ6,6’,6’’,6’’’の一部を形成する必要はない。
【0065】
半径方向外側に移動すると、内側スリーブ16は、内側スリーブ16を外側構造体22に接続する接続構造体21の一部である多数のブレード20に移行する。外側構造体22は、ブッシュ6をブラケット本体4に連結する。ここで説明されている実施形態における外側構造体22の一部は、外側スリーブ24である。外側スリーブ24は、後述するようにブラケット本体4に接着される。ばね部材9は、内側スリーブ16と外側構造体22とを備える。
【0066】
他の実施形態では、外側スリーブ24が設けられず、ブレード20がブラケット本体4の貫通孔8に直接接続される場合があり、この場合、接続構造体と外側構造体とは同一である。
【0067】
ブラケット本体4およびスリーブ18は、ポリアミド(PA)のようなポリマー材料または繊維強化ポリマー材料、特に短繊維強化ポリマー材料、ここではポリアミドから作ることができ、一方、ライニング12およびブッシュ6はTPEから作られる。防振ブラケット2は、2K成形工程を用いて製造され、その第1ステップでは、ブラケット本体4がPAから形成され、第2ステップでは、ブッシュ6およびライニング12が、ブラケット本体4をTPEでオーバーモールドすることによって製造される。
【0068】
図2に見られるように、ブラケット本体4は、貫通孔8に取付面26を有し、この取付面26は、追加の接着剤を使用することなく、TPEの硬化中にブッシュ6の外側スリーブ24の取付面28をブラケット本体4に接着するために使用される。
【0069】
スリーブ18は、ブッシュ6の内側スリーブ16によって形成された貫通孔30内に保持されている。いくつかの実施形態では、スリーブ18はブッシュ6に接着することができ、他の実施形態では、スリーブ18は取り外し可能で摩擦嵌合によって保持することができる。スリーブ18は、取り付けられる振動発生部品の取付構造体を受け入れるための孔32を備えている。
【0070】
図3は、ブッシュ6の拡大斜視図である。
ブッシュ6は、連続する各ブレード20間の距離が同一となるように、内側スリーブ16の周方向に均等に配置された3つのブレード20を備えている。
【0071】
図3から
図5に見られるように、ブレード20は、内側スリーブ16から外側スリーブ24に向かってS字状に延びている。ブレード20の形状は、最大振幅の増大と、荷重下でのブレード20の不定形の座屈の代わりに規定された折れ曲がりを可能にする。点線はブレード20のコースEを示している。これは、図示された縦断面においてもそれぞれのコースEをたどることができることを意味する。
【0072】
内側スリーブ16と外側スリーブ24との間の距離Gは、内側スリーブ16のそれぞれの外径dと外側スリーブ24の内径Dとにより規定される。内側スリーブ16と外側スリーブ24とのそれぞれの接続点間のブレード20の経路長Sは、所定の実施形態では距離Gよりも約1.2倍長い。
【0073】
内側スリーブ16への接続部20.1および外側スリーブ24への接続部20.2は、過負荷によるブッシュ構造の破断を避けるために、それぞれ内側スリーブ16および外側スリーブ24への滑らかな移行部を形成するように丸みを帯びている。
【0074】
接続部20.1,20.2間の中間部20.3は、ほぼ平行な側壁20.A,20.Bを有し、したがって、離型工程を容易にするためにほぼ一定の材料厚さを有する。
【0075】
ブレード20はブッシュ6の軸線xに沿って螺旋状に延びている。軸方向に配置されたブレードと比較してブレード20を螺旋状に配置すると、一般に剛性が低くなるため、ゴム材料と比較して一般に剛性の高いエラストマー特性を有する材料を使用することができる。ブレード20の数およびブレード20の幾何学的特性は、異なる要件に合わせて調整するために使用することができる。
【0076】
ブレード20の各々は、図示された実施形態においては、180°の周方向角度Uにわたって延びている。
第1の実施形態におけるブレード20のピッチPは、ブッシュ6の全軸方向長さLよりも大きい。これにより、それぞれの金型の変形工程を容易にすることができる。
【0077】
軸線xに対するブレード20の傾斜角度Bは、軸方向の剛性に対する半径方向の剛性の比を決定するように設計することができる。傾斜角度Bは、特に、ブレード20が軸線xに対して傾斜する尺度に関するものである。これにより、ブレード20は軸線xの周りに巻き付く。傾斜角度Bは、軸線xとブレード20のコースEとの間にある。描かれている実施形態では、傾斜角度Bは67°である。
【0078】
各ブレード20は、半径方向角度Cを有する。半径方向角度Cは、一方では貫通孔8の軸線xと、他方では縦断面における螺旋構造または各ブレード20の平均のコースとの間にまたがる。図示の実施形態では、半径方向角度Cは72°である。
【0079】
内側スリーブ16は、軸線x方向において取付面28よりも長く延びているため、外側スリーブ24の軸方向長さlは、全体の軸方向長さLよりも小さくなっている。したがって、ブレード20は、内側スリーブ16から外側スリーブ24へと円錐状に移行する。
【0080】
図6から
図10は、防振ブラケット2’の第2の実施形態を示している。
図6に示す防振ブラケット2’は、ブラケット本体4とブッシュ6’とを備えている。ブッシュ6’は一体構造ユニットである。ブッシュ6’は、ブラケット本体4の概ね一側に配置された貫通孔8内に配置されている。ブラケット本体4の反対側には、3つの取付孔10が配置されている。ブッシュ6’は、電気自動車の電動モータのような振動発生部品に取り付けるように設計されている。
【0081】
本実施形態における取付孔10は、ねじ付きボルトを用いて車両のフレーム等の車両の構造部材に取り付けられるように配置されている。取付孔10は、車両のサスペンションを介して車両に導入される、道路の凹凸のような異なる振動源によって引き起こされるガタのような低周波騒音を回避するエラストマーライニング12を備える。他の実施形態では、状況に応じて追加のライニングを必要としない場合もある。
【0082】
ブラケット本体4は、車両と振動発生部品、例えば、電動モータとのそれぞれの取付形状に適合するように設計された3次元形状を備える。ブラケット本体4は、軽量であるとともに、車両の典型的な使用場面中に示される静的および動的な力に耐えるのに十分な強度を有するように設計されている。ブラケット本体4は一体構造とすることができる。貫通孔8および取付孔10は、振動発生部材を介して導入される力を吸収するのに十分なブラケット本体構造によって囲まれている。
【0083】
重量を軽減するために、ブラケット本体4は、中実の材料ブロックから作られる代わりに、一連の補強リブ14を備える。補強リブ14は、異なる方向に延びており、そのうちの幾つかは、概ねブッシュ6の軸線xに対してほぼ垂直に配置され、他のものは、半径方向および/または軸線xに対して平行に延びている。補強リブ14は、ブラケット本体4の様々な構造部品を補強することができる。
【0084】
次に
図6および
図7を参照すると、ブッシュ6’は、別体のスリーブ18を保持する内側スリーブ16を形成している。別体のスリーブ18は、振動発生部品、例えば、それぞれの電動モータに形成されたそれぞれのロッドに取り付けられた取付構造体を受け入れるように設計されている。スリーブ18は、静的および動的な力を吸収するために、ブッシュ6よりも硬い材料で作られている。
【0085】
半径方向外側に移動すると、内側スリーブ16は、内側スリーブ16を外側構造体22に接続する接続構造体21の一部である多数のブレード20に移行する。外側構造体22は、ブッシュ6’をブラケット本体4に接続する。ここで説明されている実施形態における外側構造体22の一部は、外側スリーブ24である。外側スリーブ24は、後述するようにブラケット本体4に接着されている。ばね部材9は、内側スリーブ16と外側構造体22とを備える。
【0086】
他の実施形態では、外側スリーブ24が設けられず、ブレード20がブラケット本体4の貫通孔8に直接接続される場合があり、この場合、接続構造体と外側構造体とは同一である。
【0087】
ブラケット本体4およびスリーブ18は、ポリアミド(PA)のようなポリマー材料または繊維、特に短繊維強化ポリマー材料、ここではポリアミドから作ることができ、一方、ライニング12およびブッシュ6はTPEから作られる。防振ブラケット2は、2K成形工程を用いて製造され、その第1ステップでは、ブラケット本体4がPAから形成され、第2ステップでは、ブッシュ6およびライニング12が、ブラケット本体4をTPEでオーバーモールドすることによって製造される。
【0088】
図7に見られるように、ブラケット本体4は、貫通孔8に取付面26を有し、この取付面26は、追加の接着剤を使用することなく、TPEの硬化中にブッシュ6’の外側スリーブ24の取付面28をブラケット本体4に接着するために使用される。
【0089】
スリーブ18は、ブッシュ6’の内側スリーブ16によって形成された貫通孔30内に保持される。いくつかの実施形態では、スリーブ18はブッシュ6’に接着することができ、他の実施形態では、スリーブ18は取り外し可能であり、摩擦嵌合によって保持することができる。スリーブ18は、取り付けられるべき振動発生部品の取付構造体を受け入れるための孔32を備える。
【0090】
図8は、ブッシュ6’の拡大斜視図である。
ブッシュ6’は、2対のブレード組32を備える。各ブレード組32は、互いに隣接して配置された2つのブレード20から構成されている。ブレード組32自体は、内側スリーブ16の周方向に均等に配置されている。個々のブレードの代わりにブレード組32を使用することで、個々のブレードと比較して異なる半径方向剛性を達成することができる。
【0091】
図8から
図10に見られるように、ブレード20は内側スリーブ16から外側スリーブ24に向かってS字状に延びている。ブレード20の形状は、最大振幅の増大と、荷重下でのブレード20の不定形な座屈の代わりに規定された折れ曲がりを可能にする。
【0092】
内側スリーブ16と外側スリーブ24との間の距離Gは、内側スリーブ16の外径dと外側スリーブ24の内径Dとによって規定される。内側スリーブ16と外側スリーブ24とのそれぞれの接続点間のブレード20の経路長Sは、所定の実施形態では距離Gよりも約1.2倍長い。
【0093】
内側スリーブ16への接続部20.1および外側スリーブ24への接続部20.2は、過負荷によるブッシュ構造の破断を避けるため、それぞれ内側スリーブ16および外側スリーブ24への滑らかな移行部を形成するように丸みを帯びている。接続部20.1,20.2間の中間部20.3は、ほぼ平行な側壁20.A,20.Bを有し、したがって、離型工程を容易にするために、ほぼ一定の材料厚さを有する。
【0094】
ブレード20は、ブッシュ6’の軸線xに沿って螺旋状に延びている。軸方向に配置されたブレードと比較してブレード20を螺旋状に配置すると、一般に剛性が低くなるため、ゴム材料と比較して一般に剛性の高いエラストマー特性を有する材料を使用することができる。ブレード20の数およびブレード20の幾何学的特性は、異なる要件に合わせて調整するために使用することができる。
【0095】
ブレード20の各々は、図示された実施形態では120°の周方向角度Uにわたって延びている。
第1の実施形態によるブレード20のピッチPは、ブッシュ6’の全軸方向長さLよりも大きい。これにより、それぞれの金型の変形工程を容易にすることができる。
【0096】
軸線xに対するブレード20の傾斜角度Bは、軸方向の剛性に対する半径方向の剛性の比を決定するように設計することができる。傾斜角度Bは、特に、ブレード20が軸線xに対して傾斜する尺度に関するものである。これにより、ブレード20は軸線x周りに巻き付く。傾斜角度Bは、軸線xとブレード20のコースEとの間にある。図示の実施形態では、傾斜角度Bは28°である。
【0097】
各ブレード20は、半径方向角度Cを有する。半径方向角度Cは、一方では貫通孔8の軸線xと、他方では縦断面における螺旋構造またはそれぞれのブレード20の平均的なコースとの間にまたがる。図示の実施形態では、半径方向角度Cは35°である。
【0098】
内側スリーブ16は、軸線x方向において取付面28よりも長く延びているため、外側スリーブ24の軸方向長さlは、全体の軸方向長さLよりも小さくなっている。したがって、ブレード20は、内側スリーブ16から外側スリーブ24へと円錐状に移行する。
【0099】
図11から
図15は、防振ブラケット2’’の第3の実施形態を示している。
図11に示す防振ブラケット2’’は、ブラケット本体4とブッシュ6’’とを備える。ブッシュ6’’は一体構造ユニットである。ブッシュ6’’は、ブラケット本体4の概ね片側に配置された貫通孔8内に配置されている。ブラケット本体4の反対側には、3つの取付孔10が配置されている。ブッシュ6’’は、電気自動車の電動モータのような振動発生部品に取り付けるためのものである。取付孔10は、ねじ付きボルトを用いて車両のフレームなどの車両の構造部品に取り付けられるように配置されている。
【0100】
本実施形態による取付孔10は、車両のサスペンションを介して車両に導入される、道路の凹凸のような異なる振動源によって引き起こされるガタのような低周波騒音を回避するエラストマーライニング12を備える。他の実施形態では、状況に応じて追加のライニングを必要としない場合もある。
【0101】
ブラケット本体4は、車両と振動発生部品、例えば、電動モータとのそれぞれの取付形状に適合するように設計された3次元形状を備える。ブラケット本体4は、軽量であるとともに、車両の典型的な使用場面中に示される静的および動的な力に耐えるのに十分な強度を有するように設計されている。ブラケット本体4は一体構造とすることができる。貫通孔8および取付孔10は、振動発生部材を介して導入される力を吸収するのに十分なブラケット本体構造によって囲まれている。
【0102】
重量を軽減するために、ブラケット本体4は、中実の材料ブロックから作られる代わりに、一連の補強リブ14を備える。補強リブ14は、異なる方向に延びており、そのうちの幾つかは、概ねブッシュ6の軸線xに対して垂直に配置され、他のものは、半径方向および/または軸線xに対して平行に延びている。補強リブ14は、ブラケット本体4の様々な構造部品を補強することができる。
【0103】
次に
図11および
図12を参照すると、ブッシュ6’’は、別体のスリーブ18を保持する内側スリーブ16を形成している。別体のスリーブ18は、振動発生部品、例えば、それぞれの電動モータに形成されたそれぞれのロッドに取り付けられた取付構造体を受け入れるように設計されている。スリーブ18は、静的および動的な力を吸収するために、ブッシュ6よりも硬い材料で作られている。
【0104】
半径方向外側に移動すると、内側スリーブ16は、内側スリーブ16を外側構造体22に接続する接続構造体21の一部である多数のブレード20に移行する。外側構造体22は、ブッシュ6’’をブラケット本体4に連結する。ここで説明されている実施形態における連結外側構造体22のさらなる部分は、外側スリーブ24である。外側スリーブ24は、後述するようにブラケット本体4に接着されている。ばね部材9は、内側スリーブ16と外側構造体22とを備える。
【0105】
他の実施形態では、外側スリーブ24が設けられず、ブレード20がブラケット本体4の貫通孔8に直接接続される場合があり、この場合、接続構造体と外側構造体とは同一である。
【0106】
ブラケット本体4およびスリーブ18は、ポリアミド(PA)のようなポリマー材料または繊維、特に短繊維強化ポリマー材料、ここではポリアミドから作ることができ、一方、ライニング12およびブッシュ6はTPEから作られる。防振ブラケット2’’は、2K成形工程を用いて製造され、その第1ステップでは、ブラケット本体4がPAから形成され、第2ステップでは、ブッシュ6およびライニング12が、ブラケット本体4をTPEでオーバーモールドすることによって製造される。
【0107】
図12に見られるように、ブラケット本体4は、貫通孔8に取付面26を有し、この取付面26は、追加の接着剤を使用することなく、TPEの硬化中にブッシュ6’’の外側スリーブ24の取付面28をブラケット本体4に接着するために使用される。
【0108】
スリーブ18は、ブッシュ6’’の内側スリーブ16によって形成された貫通孔30に保持されている。いくつかの実施形態では、スリーブ18はブッシュ6’’に接着することができ、他の実施形態では、スリーブ18は取り外し可能であり、摩擦嵌合によって保持することができる。スリーブ18は、取り付けられるべき振動発生部品の取付構造体を受け入れるための孔32を備える。
【0109】
図13は、ブッシュ6’’の拡大斜視図である。
ブッシュ6’’は10枚のブレード20を備える。ブレード20は、内側スリーブ16の周方向に均等に配置され、半径方向外側に延びている。ブレード20の数が比較的多いため、ブッシュ6’’が吸収できる最大許容力が増加する。
【0110】
図13から
図15に見られるように、ブレード20は内側スリーブ16から外側スリーブ24に向かってS字状に延びている。ブレード20の形状は、最大振幅の増大と、荷重下でのブレード20の不定形の座屈の代わりに規定された折れ曲がりを可能にする。
【0111】
内側スリーブ16と外側スリーブ24の間の距離Gは、内側スリーブ16の外径dと外側スリーブ24の内径Dとによって規定される。内側スリーブ16と外側スリーブ24とのそれぞれの接続点間のブレード20の経路長Sは、所定の実施形態では距離Gよりも約1.2倍長い。
【0112】
内側スリーブ16への接続部20.1および外側スリーブ24への接続部20.2は、過負荷によるブッシュ構造の破断を避けるため、それぞれ内側スリーブ16および外側スリーブ24への滑らかな移行部を形成するように丸みを帯びている。接続部20.1,20.2間の中間部20.3は、ほぼ平行な側壁20.A,20.Bを有し、したがって、離型工程を容易にするために、ほぼ一定の材料厚さを有する。
【0113】
内側スリーブ16は、取付面28よりも軸線x方向に長く延びるため、外側スリーブ24の軸方向長さlは、全体の軸方向長さLよりも小さくなる。したがって、ブレード20は、内側スリーブ16から外側スリーブ24へと円錐状に移行する。
【0114】
図13から
図15の概要から分かるように、ブレード20はコースEを有し、コースEまたは対応する線は軸線xに平行に延びている。軸線xとコースEとの間にはいわゆるゼロ角が位置する。
【0115】
【0116】
ブッシュ6’’’は、貫通孔30内に配置され、軸線xの方向に延びるコア部材7を備える。コア部材7は、ばね部材9とは別個の構成部品であり、中空円筒状の形状および機能を有する。スリーブ18は、ブッシュ6’’’のコア部材7に形成された貫通孔34内に保持されている。いくつかの実施形態では、スリーブ18はコア部材7に接着することができ、他の実施形態では、スリーブ18は取り外し可能であり、摩擦嵌合によって保持することができる。内側スリーブ16は、コア部材7の外周側面に対して静止することができ、好ましくはそれにしっかりと連結される。
【0117】
見て分かるように、外側構造体22は、軸線xに沿って延びる縦リブ36を外周に有しており、これに対応して、ブラケット本体4の貫通孔8は、それぞれの縦リブ36のための縦溝38を有している。さらに、コア部材7は、軸線xに沿って延びる外周に縦リブ40を有し、これに対応して、貫通孔30は、それぞれの縦リブ40のための縦溝42を有する。
【0118】
前述の概要および詳細な説明ならびに特許請求の範囲において、少なくとも1つの例示的な実施形態を示したが、膨大な数の変形例が存在することを理解されたい。また、1以上の例示的な実施形態は例示に過ぎず、範囲、適用性、または構成を何ら限定することを意図していないことも理解されるべきである。むしろ、前述の要約および詳細な説明は、少なくとも1つの例示的な実施形態を実施するための便利なロードマップを当業者に提供するものであり、例示的な実施形態に記載された要素の機能および配置において、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的等価物に規定された範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得ることが理解される。
【0119】
構造的な詳細、相対的な位置決め、または方法のステップを含む、特許請求の範囲、明細書、および図面に開示された任意の特徴は、単独で、または任意の他の特徴(複数可)との任意の意味のある組み合わせで、本発明に関連し得る。
【0120】
繰り返しを避けるため、ブッシュ/ブラケットに従って開示された特徴は、方法に従って開示されたものとみなされ、請求可能であるものとする。同様に、方法に従って開示された特徴も、ブッシュ/ブラケットに従って開示されたものとみなされ、請求可能であるべきである。開示された方法によって、開示されたブッシュおよび/または開示されたブラケットを製造することができる。
【符号の説明】
【0121】
2,2’,2’’,2’’’ 防振ブラケット
4 ブラケット本体
6、6’、6’’、6’’’ ブッシュ
7 コア部材
8 貫通孔
9 ばね部材
10 取付孔
12 ライニング
14 補強リブ
16 内側スリーブ
18 スリーブ
20 ブレード
20.1,20.2 接続部
20.3 中間部
20.A,20.B 側壁
21 接続構造体
22 外側構造体
24 外側スリーブ
26 取付面
28 取付面
30 貫通孔
32 ブレード組
34 貫通孔
36 縦リブ
38 縦溝
40 縦リブ
42 縦溝
B 傾斜角度
C 半径方向角度
d 内側スリーブの外径
D 外側スリーブの内径
E コース
G 内側スリーブと外側スリーブとの距離
l 取付面の軸方向長さ
L ブッシュの軸方向全長
P ピッチ
S 経路長
U 周方向角度
x 軸線
【手続補正書】
【提出日】2024-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防振ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)用のブッシュであって、該ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)が、外側構造体(20,24)と内側スリーブ(16)とを備え、前記外側構造体(20,24)が、前記内側スリーブ(16)に接続された接続構造体(21)を備え、前記外側構造体(22)が、前記防振ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)の開口部(8)に接続するように設計され、前記内側スリーブ(16)が、少なくとも部分的に管状部材(18)に接続するように適合された貫通孔(30)を備え、前記接続構造体(20;20,32)が、熱可塑性エラストマー(TPE)から作られているブッシュ。
【請求項2】
前記外側構造体(22)が、外側スリーブ(24)を備え、前記接続構造体(21)が前記外側スリーブ(24)に接続されている、請求項1に記載のブッシュ。
【請求項3】
前記内側スリーブ(16)および/または前記外側スリーブ(24)が第2のプラスチック材料から作られている、請求項2に記載のブッシュ。
【請求項4】
前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)が全体的にTPE製であるか、または前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)のばね部材(9)がTPE製である、請求項
1に記載のブッシュ。
【請求項5】
前記接続構造体(21)が、前記外側構造体(20,24)と前記内側スリーブ(16)とを連結する少なくとも2つのブレード(20)を備える、請求項
1に記載のブッシュ。
【請求項6】
前記少なくとも2つのブレード(20)が、前記貫通孔(30)の軸線(x)に対して螺旋状に延びる構造(20,24)を有し、前記ブレード(20)が前記内側スリーブ(16)の周方向に均等に分布している、請求項5に記載のブッシュ。
【請求項7】
前記少なくとも2つのブレード(20)が、その延在経路の少なくとも50%において、本質的に平行な側壁(20.A,20.B)を有する湾曲した横断面形状を有する、請求項
5に記載のブッシュ。
【請求項8】
前記外側構造体(22)が、外側スリーブ(24)を備え、前記接続構造体(21)が前記外側スリーブ(24)に接続され、
前記少なくとも2つのブレード(20)が、30mmから300mmの範囲内のピッチ(P)を有し、かつ/または0°から80°、特に1°から80°、特に10°から50°の傾斜角度(B)をカバーし、かつ/または、前記内側スリーブ(16)と前記外側スリーブ(24)との間、または前記内側スリーブと前記防振ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)の開口部との間の距離(G)の少なくとも1.1倍の経路長(S)を有する、請求項
5に記載のブッシュ。
【請求項9】
前記ブレード(20)の数が2から12の間である、請求項
5に記載のブッシュ。
【請求項10】
前記少なくとも2つのブレード(20)が、前記内側スリーブ(16)の周方向に均等に分布しているか、または前記ブレード(20)が、前記内側スリーブ(16)の周方向に不均等に分布している、請求項
5に記載のブッシュ。
【請求項11】
前記外側構造体(22)が、外側スリーブ(24)を備え、前記接続構造体(21)が前記外側スリーブ(24)に接続され、
前記少なくとも2つのブレード(20)が、前記外側スリーブ(24)および/または前記内側スリーブ(16)への滑らかな移行部(20.1,20.2)を有する、請求項
5に記載のブッシュ。
【請求項12】
ブラケット本体(4)を備えた防振ブラケットであって、前記ブラケット本体(4)が、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)のための開口部(8)を備え、前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)が、前記外側構造体(22)を介して前記開口部(8)に接続されている、防振ブラケット。
【請求項13】
前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)が、前記ブラケット本体(4)をオーバーモールドすることにより製造される、請求項12に記載の防振ブラケット。
【請求項14】
前記ブラケット本体(4)が、前記
防振ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)を対象物に取り付けるための取付構造(10)を備える、請求項1
2に記載の防振ブラケット。
【請求項15】
請求項1
2に記載の防振ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)の製造方法であって、前記ブラケット本体(4)を射出成形金型内に配置するステップと、前記ブラケット本体(4)を熱可塑性エラストマー(TPE)でオーバーモールドして前記ブッシュ(6;6’;6’’)または前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)のばね部材(9)を形成するステップと、熱可塑性材料が十分に硬化した後に前記
防振ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)を離型するステップと、を含む方法。
【請求項16】
請求項1
2に記載の防振ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)の製造方法であって、2成分射出成形型を提供することと、第1のプラスチック材料を射出して前記ブラケット本体(4)を形成することと、前記第1のプラスチック材料を十分に硬化させることと、前記ブラケット本体(4)を熱可塑性エラストマー(TPE)でオーバーモールドして前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)または該ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)のばね部材(9)を形成することと、前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)または該ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)のばね部材(9)を形成する熱可塑性材料が十分に硬化した後に、前記
防振ブラケット(2;2’;2’’;2’’’)を離型することと、を含む方法。
【請求項17】
前記ブッシュ(6;6’;6’’;6’’’)
のブレード(20)を形成する内型が、ばねおよび内型を案内する螺旋状の案内溝を用いて変形される、請求項1
5に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
他のさらなる実施形態によれば、ブラケット本体は、防振ブラケットを対象物に取り付けるための取付構造を備える。
ブラケット本体は、振動発生部品、例えば、少なくとも1つのブッシュを介して防振ブラケットに保持された電動モータに取り付けることができ、一方、ブラケット本体は、車体部品、フレーム、シャーシなどに取り付けることができる。後者の取り付けは、防振ブラケットのNVH特性を改善するために、ゴムまたはTPEスリーブなどの減衰材を介して達成することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
さらなる独立した態様は、先の説明による防振ブラケットの製造方法に関し、この方法は、射出成形金型内にブラケット本体を配置するステップと、熱可塑性エラストマー(TPE)でブラケット本体をオーバーモールドして、ブッシュまたはブッシュのばね部材を形成するステップと、熱可塑性材料が十分に硬化した後に防振ブラケットを離型するステップとを含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
さらなる独立した態様は、先の説明による防振ブラケットの製造方法に関し、この方法は、2成分射出成形型を提供することと、第1のプラスチック材料を射出してブラケット本体を形成することと、第1のプラスチック材料を十分に硬化させることと、ブラケット本体を熱可塑性エラストマー(TPE)でオーバーモールドして、ブッシュまたはブッシュのばね部材を形成することと、ブッシュまたはブッシュのばね部材を形成する熱可塑性材料が十分に硬化した後に、防振ブラケットを離型することとを含む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
ブレード20の各々は、図示された実施形態では120°の周方向角度Uにわたって延びている。
第2の実施形態によるブレード20のピッチPは、ブッシュ6’の全軸方向長さLよりも大きい。これにより、それぞれの金型の変形工程を容易にすることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0121】
2,2’,2’’,2’’’ 防振ブラケット
4 ブラケット本体
6、6’、6’’、6’’’ ブッシュ
7 コア部材
8 貫通孔(開口部)
9 ばね部材
10 取付孔(取付構造)
12 ライニング
14 補強リブ
16 内側スリーブ
18 スリーブ(管状部材)
20 ブレード
20.1,20.2 接続部(移行部)
20.3 中間部
20.A,20.B 側壁
21 接続構造体
22 外側構造体
24 外側スリーブ
26 取付面
28 取付面
30 貫通孔
32 ブレード組
34 貫通孔
36 縦リブ
38 縦溝
40 縦リブ
42 縦溝
B 傾斜角度
C 半径方向角度
d 内側スリーブの外径
D 外側スリーブの内径
E コース
G 内側スリーブと外側スリーブとの距離
l 取付面の軸方向長さ
L ブッシュの軸方向全長
P ピッチ
S 経路長
U 周方向角度
x 軸線
【国際調査報告】