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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】外部光注入同期レーザ
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/14 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
H01S5/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543318
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 CN2022126129
(87)【国際公開番号】W WO2023173738
(87)【国際公開日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】202210260097.4
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515206126
【氏名又は名称】中国科学院蘇州納米技術与納米倣生研究所
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU INSTITUTE OF NANO-TECH AND NANO-BIONICS(SINANO),CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No 398, Ruoshui Road, SEID, SIP Suzhou, Jiangsu 215125 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】張 瑞英
(72)【発明者】
【氏名】張 犇
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AB33
5F173AB49
5F173AH02
5F173AH14
5F173AR94
(57)【要約】
同一基板(9)の上に形成されるマスタレーザ(1)、入出力導波路(3)、及びスレーブレーザ(2)を備える外部光注入同期レーザであって、マスタレーザ(1)は、レーザ光を入出力導波路(3)に発するように構成され、入出力導波路(3)は、マスタレーザ(1)から発せられたレーザ光を方向性結合の方式でスレーブレーザ(2)に注入し、マスタレーザ(1)及びスレーブレーザ(2)から発せられたレーザ光を出力するように構成され、スレーブレーザ(2)は、導波路共振空胴を備え、スレーブレーザ(2)は、自身が発生したレーザ光を、マスタレーザ(1)から注入されたレーザ光とコヒーレントにさせた後にレーザ光を発するように構成され、且つスレーブレーザ(2)から発せられたレーザ光は、マスタレーザ(1)により同期される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の基板の上に形成されるマスタレーザ、入出力導波路、及びスレーブレーザを備え、
前記マスタレーザは、レーザ光を前記入出力導波路に発するように構成され、
前記入出力導波路は、前記マスタレーザから発せられたレーザ光を前記入出力導波路により前記スレーブレーザに注入するように構成され、
前記スレーブレーザは、導波路共振空胴を備え、前記マスタレーザから発せられたレーザ光が注入された場合に、前記マスタレーザにより同期されるレーザ光を発するように構成される、
外部光注入同期レーザ。
【請求項2】
前記導波路共振空胴は、複数の第1全反射ミラー及び複数の第1直線導波路を備える多角形閉構造を呈し、前記第1全反射ミラーは、隣り合う2つの第1直線導波路の間に位置する、
請求項1に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項3】
前記導波路共振空胴は、円環構造又はレーストラック型の構造を呈する、
請求項1に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項4】
前記導波路共振空胴は、三角形、四角形、又は六角形を呈する、
請求項2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項5】
前記入出力導波路は、第1導波路部及び第2導波路部を備え、
前記基板に垂直な投影にあって、前記入出力導波路の延伸方向に垂直な方向において、前記第1導波路部は、前記第1直線導波路と重なり合い、前記第2導波路部は、前記第1全反射ミラーと重なり合い、
前記基板に垂直な投影にあって、前記入出力導波路の延伸方向に垂直な方向において、前記第1導波路部と前記導波路共振空胴との間の距離は、前記第2導波路部と前記導波路共振空胴との間の距離よりも小さい、
請求項2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項6】
前記導波路共振空胴及び前記入出力導波路は、同じ層に設けられ、又は、前記基板に垂直な方向において、前記入出力導波路は、前記基板と前記導波路共振空胴との間に位置する、
請求項1又は2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項7】
前記入出力導波路との距離が最も近い第1直線導波路は、結合直線導波路であり、前記結合直線導波路と前記入出力導波路とは、同じ材料及び構造を採用する、
請求項1又は2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項8】
前記スレーブレーザの数は、少なくとも2つであり、少なくとも2つのスレーブレーザは、第1スレーブレーザ及び第2スレーブレーザを含み、
前記基板に垂直な投影において、前記第1スレーブレーザと前記第2スレーブレーザとは、前記入出力導波路の両側に位置する、
請求項1又は2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項9】
前記スレーブレーザの数は、少なくとも2つであり、少なくとも2つのスレーブレーザは、第1スレーブレーザ及び第2スレーブレーザを含み、
前記基板に垂直な投影において、前記第1スレーブレーザ及び前記第2スレーブレーザは、前記入出力導波路の同一側に位置する、
請求項1又は2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項10】
前記スレーブレーザは、数が少なくとも2つの前記スレーブレーザを備え、少なくとも2つの前記スレーブレーザは、第1スレーブレーザ、第2スレーブレーザ、及び第3スレーブレーザを含み、
前記基板に垂直な投影において、前記第1スレーブレーザ及び前記第2スレーブレーザは、前記入出力導波路の同一側に位置し、前記第1スレーブレーザと前記第3スレーブレーザとは、前記入出力導波路の両側に位置する、
請求項1又は2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項11】
前記入出力導波路の伝送経路に位置し、且つ前記マスタレーザと前記スレーブレーザとの間に位置する光アイソレータをさらに備える、
請求項1又は2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項12】
前記入出力導波路は、複数の第2全反射ミラー及び複数の第2直線導波路を備え、前記第2全反射ミラーは、隣り合う2つの第2直線導波路の間に位置する、
請求項2に記載の外部光注入同期レーザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2022年03月16日に中国専利局に出願された、出願番号が202210260097.4である中国特許出願に基づいて優先権を主張し、該出願の全ての内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、半導体の光電子技術に関し、例えば外部光注入同期レーザに関する。
【背景技術】
【0003】
光注入同期(Optical Injection Locked、OIL)の技術は、レーザの線幅を狭め、変調帯域幅を広げ、チャープを低減させ、信号の選択及び増幅をすることができ、コヒーレント検波、レーザレーダ、レーザ測距、高速直接変調レーザ、光増幅器、位相感応増幅器、高密度波長分割多重技術、無線周波数の波形の生成、光波形の合成等に使用可能であり、現代の光電子デバイスの性能を向上させる主な手段の1つであり、国防及び国民経済建設で重要な役割を果たしており、外部光注入同期は、上記の性能を実現する主な手段の1つである。外部光注入には一方向の注入が必要となるため、光アイソレータは、システムに必須のデバイスであり、外部光注入同期を実現する方法には、主に、(1)個別光ファイバシステムの注入同期分布式帰還(Distributed Feedback Laser、DFB)レーザと、(2)個別光ファイバシステムの注入同期リング空胴レーザと、の2種の態様があり、上記態様は、いずれも個別部品に基づいて注入同期の機能を実現し、いずれも光ファイバに基づいて個別部品を接続し、エルビウム添加光ファイバ増幅器、偏波コントローラ、一体式光アイソレータ等の体積が大きいデバイスを使用して関連性能の実現を確保しているため、外部光注入同期システム全体の構造がばらつき、体積が大きく、エネルギー消費が高く、且つ量産できず、高性能の光電子デバイスの応用分野における小さい体積、低い消費電力及び低いコスト、大規模市場の応用に対するニーズを満たすことが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、構造がコンパクトで、体積が小さく、デバイスが安定して信頼性が良く、過酷な環境に耐える能力が強く、デバイスの一致性が良好でコストが低いことを実現するためのチップスケール外部光注入同期レーザを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、
同一基板の上に形成されるマスタレーザ、入出力導波路及びスレーブレーザを備え、
前記マスタレーザは、レーザ光を前記入出力導波路に発するように構成され、
前記入出力導波路は、前記マスタレーザから発せられたレーザ光を前記スレーブレーザに注入するように構成され、
前記スレーブレーザは、導波路共振空胴を備え、前記マスタレーザから発せられたレーザ光が注入された場合に、前記マスタレーザにより同期されるレーザ光を発するように構成される、
外部光注入同期レーザを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本願の実施例に係る外部光注入同期レーザの平面図
図2】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図3】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図4】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図5図4におけるAA’に沿った断面構造の模式図
図6】本願の実施例に係る外部光注入同期レーザの断面図
図7】本願の実施例に係る第1全反射ミラーの構造模式図
図8】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図9】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図10】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図11】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図12】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図13】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図14】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図15】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図16】本願の実施例に係る矩形空胴レーザの共振空胴の長さ及び全反射ミラーの鏡面反射率に伴う内部損失の変化関係図
図17】本願の実施例に係るリングレーザの共振空胴の長さ及び内部損失に伴う変調帯域幅の変化関係図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面及び実施例を参照しながら本願を説明する。ここで説明される具体的な実施例は、本願を解釈するためのものに過ぎない。説明を容易にするために、図面には、本願に関連する部分のみが示されている。
【0008】
図1は、本願の実施例に係る外部光注入同期レーザの平面図であり、図1を参照し、外部光注入同期レーザは、同一基板(図1に図示せず)の上に形成されるマスタレーザ1、入出力導波路3及びスレーブレーザ2を備える。マスタレーザ1は、レーザ光を入出力導波路3に発するように構成され、入出力導波路3は、マスタレーザ1から発せられたレーザ光をスレーブレーザ2に注入するように構成され、スレーブレーザ2は、導波路共振空胴を備え、スレーブレーザ2は、マスタレーザ1から発せられたレーザ光が注入された場合に、マスタレーザ1により同期されるレーザ光を発するように構成される。例えば、入出力導波路3は、マスタレーザ1から発せられたレーザ光を方向性結合の方式でスレーブレーザ2に注入し、マスタレーザ1及びスレーブレーザ2から発せられたレーザ光を出力するように構成され、スレーブレーザ2は、自身が発生したレーザ光を、マスタレーザ1から注入されたレーザ光とコヒーレントにさせた後にレーザ光を発するように構成され、且つスレーブレーザ2から発せられたレーザ光は、マスタレーザ1により同期される。マスタレーザ1から発せられたレーザ光が入出力導波路3によりスレーブレーザ2に注入され、これにより、スレーブレーザ2から発せられたレーザ光がマスタレーザ1により同期され、スレーブレーザ2及びマスタレーザ1のレーザ発振波長を一致させ、スレーブレーザ2から出力されたレーザ光とマスタレーザ1から発せられたレーザ光とは、入出力導波路3により結合された後に出力される。
【0009】
一実施例において、スレーブレーザ2は、多角形閉構造の導波路共振空胴を備え、導波路共振空胴は、複数の第1全反射ミラー4及び複数の第1直線導波路5を備え、第1全反射ミラー4は、隣り合う2つの第1直線導波路5の間に位置する。複数の第1全反射ミラー4と複数の第1直線導波路5とからなる導波路共振空胴が多角形閉構造であるため、第1直線導波路5は、隣り合う2つの第1全反射ミラー4の間に位置する。第1全反射ミラー4は、1つの第1直線導波路5で伝送されるレーザ光を他の1つの第1直線導波路5に反射するように構成される。
【0010】
一実施例において、導波路共振空胴は、円環構造又はレーストラック型の構造を呈してもよい。
【0011】
本願の実施例は、マスタレーザ1、入出力導波路3、及びスレーブレーザ2が同一の基板に設けられた外部光注入同期レーザを提供し、個別外部光注入同期レーザシステムと比べ、該チップスケールレーザは、(1)構造がコンパクトで、体積が小さく、(2)同じ種類の材質で、熱学的及び機械的性能が一致しているため、デバイスが安定して信頼性が良好で、過酷な環境に耐える能力が強く、(3)統一的に設計されて製造され、デバイスの一致性が良好で、コストが低いという利点を有する。また、多角形共振空胴のスレーブレーザ2について、第1直線導波路5の損失は、サイズと関係がなく、第1全反射ミラー4の損失は、周長に反比例し、これにより、スレーブレーザ2の導波路共振空胴の損失を大幅に減少させて、導波路共振空胴のサイズに対する損失の依存性を大幅に低減させ、それと同時に、該多角形導波路共振空胴は、リング空胴の進行波の伝送特性を有し、光アイソレータが必要とされず、一方向の注入同期を可能にし、これにより、チップスケール外部光注入同期レーザの実現が可能となり、それが確実に高速直接変調レーザ、狭線幅レーザ、信号選択及び増幅等の分野に応用されるための基礎を築き上げた。
【0012】
マスタレーザ1は、単一縦モード半導体レーザであり、マスタレーザ1は、スレーブレーザ2における反時計回り(Counter Clock Wise、CCW)光モードを一方向に注入同期する。マスタレーザ1は、DFBレーザ又は分布ブラッグ反射(Distributed Bragg Reflector、DBR)レーザであってもよく、又は受動的にループ結合されたレーザであってもよく、そのレーザ発振モードが単一縦モード、基本横モードのレーザであればよい。
【0013】
図1を参照し、導波路共振空胴は、四角形を呈し、マスタレーザ1から発射されたレーザ光は、入出力導波路3に投射され、入出力導波路3により結合されてスレーブレーザ2に入り、図1に示す矢印方向に沿って、反時計回りに導波路共振空胴の4本の第1直線導波路5を順次通過し、入出力導波路3に結合され、入出力導波路3に沿って伝播し続ける。
【0014】
他の実施形態において、導波路共振空胴は、他の形状の多角形であってもよく、以下、三角形及び六角形を例にとっているが、これらに限られない。導波路共振空胴が呈する多角形の辺数は、実際のニーズに応じて決まってもよい。
【0015】
図2は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図2を参照し、導波路共振空胴は、三角形を呈する。マスタレーザ1から発射されたレーザ光は、入出力導波路3に投射され、入出力導波路3により結合されてスレーブレーザ2に入り、図2に示す矢印方向に沿って、反時計回りに導波路共振空胴の3本の第1直線導波路5を順次通過し、入出力導波路3に結合され、入出力導波路3に沿って伝播し続ける。
【0016】
図3は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図3を参照し、導波路共振空胴は、六角形を呈する。マスタレーザ1から発射されたレーザ光は、入出力導波路3に投射され、入出力導波路3により結合されてスレーブレーザ2に入り、図3に示す矢印方向に沿って、反時計回りに導波路共振空胴の6本の第1直線導波路5を順次通過し、入出力導波路3に結合され、入出力導波路3に沿って伝播し続ける。
【0017】
例示的には、図1図3を参照し、スレーブレーザ2の1本の第1直線導波路5は、入出力導波路3と結合する。
【0018】
一実施形態において、スレーブレーザ2の複数本の第1直線導波路5は、入出力導波路3と結合する。
【0019】
図4は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図5は、図4におけるAA’に沿った断面構造の模式図であり、入出力導波路3は、第1導波路部311及び第2導波路部312を備える。入出力導波路3は、X方向に沿って延伸する。基板に垂直な(即ちZ方向に沿う)投影にあって、入出力導波路3の延伸方向に垂直な方向において(即ち、Y方向に沿って)、第1導波路部311は、第1直線導波路5と重なり合い、第2導波路部312は、第1全反射ミラー4と重なり合う。つまり、基板に垂直な投影において、第1導波路部311は、第1直線導波路5に対応し、第2導波路部312は、第1全反射ミラー4に対応する。基板に垂直な投影にあって、入出力導波路3の延伸方向に垂直な方向において、第1導波路部311と導波路共振空胴との間の距離は、第2導波路部312と導波路共振空胴との間の距離よりも小さい。本願の実施例において、スレーブレーザ2の1本の第1直線導波路5の部分は、入出力導波路3と結合する。入出力導波路3は、湾曲導波路であり、スレーブレーザ2に近い位置では、スレーブレーザ2に向かう凸起が形成される。これにより、第1導波路部311と、それに対応する第1直線導波路5との距離は近く、第2導波路部312と、それに対応する第1全反射ミラー4との距離は遠く、第1全反射ミラー4のディープエッチング面を迂回するように、湾曲した入出力導波路3を採用し、より大きい結合係数を実現すると同時に、第1全反射ミラー4が高い反射率を得ることを保証する。
【0020】
垂直結合構造において、第1導波路部311(及び第2導波路部312)と第1直線導波路5とは、異なる膜層に位置し、且つ第1全反射ミラー4は、基板に垂直な平面である。第1導波路部311と第1直線導波路5とは、基板に垂直な方向(即ちZ方向)において重なり合う。並行結合構造において、第1導波路部311と第1直線導波路5とは、基板に垂直な方向において重なり合わない。図4に示すような第1導波路部311と第1直線導波路5との重なり合いは、Y方向に沿った重なり合いであり、第2導波路部312と第1全反射ミラー4との重なり合いも、Y方向に沿った重なり合いである。第1導波路部311と第1直線導波路5との対応関係は、両者のX-Y平面内においてY方向に沿った対応関係を指し、第2導波路部312と第1全反射ミラー4との対応関係も、両者のX-Y平面内においてY方向に沿った対応関係を指す。
【0021】
一実施形態において、導波路共振空胴の幾何学的中心を距離の計算の起点としてもよい。別の実施形態において、導波路共振空胴における入出力導波路3との距離が最も近い第1直線導波路5を距離の計算の起点としてもよい。
【0022】
一実施例において、第1導波路部311及び第2導波路部312は、いずれも隣り合う2つの第1全反射ミラー4の間の第1直線導波路5の長さ範囲内に位置する。
【0023】
図4及び図5を参照し、外部光注入同期レーザは、順次積層して設けられる基板9、バッファ層10、非活性導波路層11(又は活性導波路層13)、被覆層14、及び接触層15を備える。導波路共振空胴の活性導波路層13及び入出力導波路3の非活性導波路層11は、同じ層に設けられる。第1直線導波路5は、バッファ層10、活性導波路層13及び被覆層14を備え、入出力導波路3は、バッファ層10、非活性導波路層11及び被覆層14を備え、非活性導波路層11及び活性導波路層13は、同じ層に設けられ、第1直線導波路5及び入出力導波路3は、同じ層に設けられ、スレーブレーザ2と入出力導波路3とは、並行に結合する。
【0024】
図6は、本願の実施例に係る外部光注入同期レーザの断面図であり、図6を参照し、外部光注入同期レーザは、順次積層して設けられる基板9、バッファ層10、非活性導波路層11、隔離層12、活性導波路層13、被覆層14、及び接触層15を備える。基板に垂直な方向において、入出力導波路3は、基板9と第1直線導波路5との間に位置する。第1直線導波路5は、一部の隔離層12、活性導波路層13、及び被覆層14を備え、入出力導波路3は、バッファ層10、非活性導波路層11、及び一部の隔離層12を備え、非活性導波路層11及び活性導波路層13は、積層して設けられ、第1直線導波路5及び入出力導波路3は、積層して設けられ、Z方向に沿って、第1直線導波路5と入出力導波路3とは重なり合い、スレーブレーザ2の1つの第1直線導波路5と入出力導波路3とは垂直結合する。
【0025】
導波路共振空胴は、多角形閉構造を呈し、複数本の第1直線導波路5を備える。全ての第1直線導波路5は、同様の膜層構造を備える。一実施形態において、図4に示すように、全ての第1直線導波路5は、いずれも一部の隔離層12、活性導波路層13、及び被覆層14を備え、全ての第1直線導波路5は、同じ材料を採用する。
【0026】
例示的には、図5及び図6を参照し、基板9は、シリコン(Silicon、Si)、リン化インジウム(Indium Phosphide、InP)、ヒ化ガリウム(Gallium Arsenide、GaAs)、又は窒化ガリウム(Gallium Nitride、GaN)を含む。InP、GaAs、及びGaNを基板とするレーザは、通常、モノリシック集積型外部光注入同期レーザである。集積技術によれば、Siを基板とするレーザは、通常、ヘテロ集積型又はバット結合型等のハイブリッドに集積された外部光注入同期レーザである。
【0027】
例示的には、図5及び図6を参照し、活性導波路層13は、量子井戸構造、量子ドット構造、n型変調ドープ量子井戸構造、n型変調ドープ量子ドット構造、p型変調ドープ量子井戸構造、又はp型変調ドープ量子ドット構造である。
【0028】
例示的には、本願の実施例に係るマスタレーザ及びスレーブレーザの材料及び構造は、レーザの用途に応じて波長を決定し、必要な波長に応じて基板及び材料、構造を決定し、例えば、光ファイバ通信用高速直接変調レーザを実現するために、InP基板を採用し、モノリシック集積の外部光注入レーザを実現してもよく、且つその活性導波路層は、InGaAsP/InGaAsP、InGaAlAs/InGaAlAs、InGaAsP又はInGaAlAsの量子井戸構造を採用しており、相応する量子ドット構造、又はp型変調ドープ量子井戸(量子ドット)構造、n型変調ドープ量子井戸(量子ドット)構造であってもよく、量子井戸及び量子ドットがドープされていないものであってもよく、本願は、これについて要求しないし、特に限定しない。
【0029】
図7は、本願の実施例に係る第1全反射ミラーの構造模式図であり、図7を参照し、第1全反射ミラー4は、形成されたエッチング切断面であり、そのエッチング切断面は第1直線導波路5の延伸方向と鋭角(例えば45°角)を呈する。基板に垂直な方向において、非活性導波路層11における第1全反射ミラー4と重なり合う位置にディープエッチングを行い、凹溝を形成する。
【0030】
図8は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図8を参照し、入出力導波路3との距離が最も近い第1直線導波路5は、結合直線導波路51であり、結合直線導波路51及び入出力導波路3は同じ材料及び構造を採用する。本願の実施例において、導波路共振空胴の第1直線導波路5のうち、結合直線導波路51は、非活性導波路構造を採用して製作され、残りの第1直線導波路5は、活性導波路構造を採用して製作され、結合直線導波路51及び入出力導波路3が同じ材料及び構造を採用しているため、結合直線導波路51及び入出力導波路3は高結合効率を実現し、製作しやすく且つ大きな吸収損失が生じない。
【0031】
一実施形態において、図8に示すように、外部光注入同期レーザは、1つのスレーブレーザ2を備える。他の実施例の形態において、外部光注入同期レーザは、複数のスレーブレーザ2を備えてもよく、これにより、その全体的なデバイス性能を向上させる。そのうち、変調特性を改善する面では、低周波数ロールオフ効果を有効に弱め、変調帯域幅を大幅に広げることができる。
【0032】
図9は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図9を参照し、外部光注入同期レーザは、少なくとも2つのスレーブレーザ2を備え、少なくとも2つのスレーブレーザ2は、第1スレーブレーザ6及び第2スレーブレーザ7を含む。基板に垂直な投影において、第1スレーブレーザ6と第2スレーブレーザ7とは、入出力導波路3の両側に位置する。本願の実施例において、第1スレーブレーザ6及び第2スレーブレーザ7は、並列構造を形成する。
【0033】
例示的には、図9を参照し、入出力導波路3は、第1サブ導波路321及び第2サブ導波路322を備え、基板に垂直な投影において、第1スレーブレーザ6と第2スレーブレーザ7とは、第1サブ導波路321の両側に位置する。第2サブ導波路322は、第2スレーブレーザ7の、第1サブ導波路321から遠い一側に位置する。マスタレーザ1から発射されたレーザ光は、第1サブ導波路321に投射され、第1サブ導波路321により結合されて第1スレーブレーザ6に入り、第1スレーブレーザ6により再び結合されて第1サブ導波路321に入る。第1サブ導波路321により結合されて第2スレーブレーザ7に入り、第2スレーブレーザ7により結合されて第2サブ導波路322に入り、第2サブ導波路322で伝播し続ける。
【0034】
図10は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図10を参照し、入出力導波路3は、第1サブ導波路321及び第2サブ導波路322を備え、基板に垂直な投影において、第1スレーブレーザ6は、第1サブ導波路321に対応する。第2サブ導波路322は、第2スレーブレーザ7に対応する。マスタレーザ1から発射されたレーザ光は、第1サブ導波路321に投射され、第1サブ導波路321により結合されて第1スレーブレーザ6に入り、第1スレーブレーザ6により再び結合されて第1サブ導波路321に入る。第1サブ導波路321により第2サブ導波路322に伝送されてから、結合されて第2スレーブレーザ7に入り、第2スレーブレーザ7により結合されて第2サブ導波路322に入り、第2サブ導波路322で伝播し続ける。
【0035】
図11は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図11を参照し、外部光注入同期レーザは、少なくとも2つのスレーブレーザ2を備え、少なくとも2つのスレーブレーザ2は、第1スレーブレーザ6及び第2スレーブレーザ7を含む。基板に垂直な投影において、第1スレーブレーザ6及び第2スレーブレーザ7は、入出力導波路3の同一側に位置する。本願の実施例において、第1スレーブレーザ6及び第2スレーブレーザ7は、直列構造を形成する。
【0036】
図12は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図12を参照し、外部光注入同期レーザは、少なくとも2つのスレーブレーザ2を備え、少なくとも2つのスレーブレーザ2は、第1スレーブレーザ6、第2スレーブレーザ7、及び第3スレーブレーザ17を含む。基板に垂直な投影において、第1スレーブレーザ6及び第2スレーブレーザ7は、入出力導波路3の同一側に位置し、第1スレーブレーザ6と第3スレーブレーザ17とは、入出力導波路3の両側に位置し、第2スレーブレーザ7と第3スレーブレーザ17とは、入出力導波路3の両側に位置する。本願の実施例において、第1スレーブレーザ6、第2スレーブレーザ7、及び第3スレーブレーザ17は、直並列構造を形成する。
【0037】
図13は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図13を参照し、外部光注入同期レーザは、光アイソレータ8をさらに備え、光アイソレータ8は、入出力導波路3の伝送経路に位置し、且つ光アイソレータ8は、マスタレーザ1とスレーブレーザ2との間に位置する。本願の実施例において、光アイソレータ8を設けることにより、外部光注入同期レーザの裏面反射(散乱)光の干渉を回避し、外部光注入同期レーザの性能を向上させる。
【0038】
図14は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図14を参照し、入出力導波路3は、複数の第2全反射ミラー16及び複数の第2直線導波路33を備え、第2全反射ミラー16は、隣り合う2つの第2直線導波路33の間に位置し、第2全反射ミラー16は、1つの第2直線導波路33におけるレーザ光を他の1つの第2直線導波路33に反射するように構成される。
【0039】
例示的には、図14を参照し、複数の第2直線導波路33は、第1入出力サブ導波路331、第2入出力サブ導波路332、及び第3入出力サブ導波路333を備える。第1入出力サブ導波路331及び第3入出力サブ導波路333は、X方向に沿って延伸し、平行に配列される。第2入出力サブ導波路332は、Y方向に沿って延伸し、第2入出力サブ導波路332の一端は、第1入出力サブ導波路331に接続され、第2入出力サブ導波路332の他端は、第3入出力サブ導波路333に接続される。第3入出力サブ導波路333に投射されたレーザ光は、第2全反射ミラー16で反射された後、第2入出力サブ導波路332に入り、再び第2全反射ミラー16で反射された後、第1入出力サブ導波路331に入り、第1入出力サブ導波路331によりスレーブレーザ2の第1直線導波路5に結合され、そして、スレーブレーザ2の第1直線導波路5により再び第1入出力サブ導波路331に結合され、第1入出力サブ導波路331の末端において再び第2全反射ミラー16で反射されて第2入出力サブ導波路332に入り、且つ該第2入出力サブ導波路332で伝送された後、再び第2全反射ミラー16で第3入出力サブ導波路333に反射されて伝播し続ける。且つ全反射ミラーの製作品質を向上させて全反射ミラーの損失を低減させるために、第2全反射ミラー16と第1全反射ミラー4とは、位置がずれるように設計されて製造される。
【0040】
図15は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図15を参照し、複数の第2直線導波路33は、第1入出力サブ導波路331及び第2入出力サブ導波路332を備え、第1入出力サブ導波路331と第2入出力サブ導波路332とは接続される。第1入出力サブ導波路331は、X方向に沿って延伸し、第2入出力サブ導波路332は、Y方向に沿って延伸する。本願の実施例において、マスタレーザ1から発射されたレーザ光は、直接、第2入出力サブ導波路332に投射され、第2全反射ミラー16で反射された後、第1入出力サブ導波路331に入り、第1入出力サブ導波路331によりスレーブレーザ2の第1直線導波路5に結合されてから、スレーブレーザ2の第1直線導波路5により再び第1入出力サブ導波路331に結合され、第1入出力サブ導波路331の末端において第2全反射ミラー16で第2入出力サブ導波路332に反射されて伝播し続ける。本願の実施例において数少ない第2全反射ミラー16及び第2直線導波路33が設けられているため、全反射ミラーによる損失が減少される。
【0041】
モノリシック集積の外部光注入同期高速直接変調半導体レーザのシミュレーション性能を例にして、本願に係る技術態様の応用価値を証明する。図16から分かるように、矩形空胴レーザについては、電力反射率が89.3%以上である第1全反射ミラー4が製造されれば、その内部損失が38.2cm-よりも低くなり、円環状レーザよりも遥かに小さい。図17から分かるように、リングレーザの内部損失の増大及びその共振空胴の伸長に伴い、レーザの変調帯域幅は徐々に減少するが、内部損失を38.2cm-よりも小さく制御すれば、最低の変調帯域幅は、依然として25GHzを超える。レーザの現行の高速変調及びデータ通信の使用を完全に満たすことができ、光通信分野の望ましい光源である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の基板の上に形成されるマスタレーザ、入出力導波路、及びスレーブレーザを備え、
前記マスタレーザは、レーザ光を前記入出力導波路に発するように構成され、
前記入出力導波路は、前記マスタレーザから発せられたレーザ光を前記入出力導波路により前記スレーブレーザに注入するように構成され、
前記スレーブレーザは、導波路共振空胴を備え、前記マスタレーザから発せられたレーザ光が注入された場合に、前記マスタレーザにより同期されるレーザ光を発するように構成される、
外部光注入同期レーザ。
【請求項2】
前記導波路共振空胴は、複数の第1全反射ミラー及び複数の第1直線導波路を備える多角形閉構造を呈し、前記第1全反射ミラーは、隣り合う2つの第1直線導波路の間に位置する、
請求項1に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項3】
前記導波路共振空胴は、円環構造又はレーストラック型の構造を呈する、
請求項1に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項4】
前記導波路共振空胴は、三角形、四角形、又は六角形を呈する、
請求項2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項5】
前記入出力導波路は、第1導波路部及び第2導波路部を備え、
前記基板が所在する平面の投影にあって、前記入出力導波路の延伸方向に垂直な方向において、前記第1導波路部は、前記第1直線導波路と重なり合い、前記第2導波路部は、前記第1全反射ミラーと重なり合い、
前記基板が所在する平面の投影にあって、前記入出力導波路の延伸方向に垂直な方向において、前記第1導波路部と前記導波路共振空胴との間の距離は、前記第2導波路部と前記導波路共振空胴との間の距離よりも小さい、
請求項2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項6】
前記導波路共振空胴及び前記入出力導波路は、同じ層に設けられ、又は、前記基板に垂直な方向において、前記入出力導波路は、前記基板と前記導波路共振空胴との間に位置する、
請求項1又は2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項7】
前記入出力導波路との距離が最も近い第1直線導波路は、結合直線導波路であり、前記結合直線導波路と前記入出力導波路とは、同じ材料及び構造を採用する、
請求項1又は2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項8】
前記スレーブレーザの数は、少なくとも2つであり、少なくとも2つの前記スレーブレーザは、第1スレーブレーザ及び第2スレーブレーザを含み、
前記基板が所在する平面の投影において、前記第1スレーブレーザと前記第2スレーブレーザとは、前記入出力導波路の両側に位置する、
請求項1又は2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項9】
前記スレーブレーザの数は、少なくとも2つであり、少なくとも2つの前記スレーブレーザは、第1スレーブレーザ及び第2スレーブレーザを含み、
前記基板が所在する平面の投影において、前記第1スレーブレーザ及び前記第2スレーブレーザは、前記入出力導波路の同一側に位置する、
請求項1又は2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項10】
前記スレーブレーザは、数が少なくとも2つの前記スレーブレーザを備え、少なくとも2つの前記スレーブレーザは、第1スレーブレーザ、第2スレーブレーザ、及び第3スレーブレーザを含み、
前記基板が所在する平面の投影において、前記第1スレーブレーザ及び前記第2スレーブレーザは、前記入出力導波路の同一側に位置し、前記第1スレーブレーザと前記第3スレーブレーザとは、前記入出力導波路の両側に位置する、
請求項1又は2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項11】
前記入出力導波路の伝送経路に位置し、且つ前記マスタレーザと前記スレーブレーザとの間に位置する光アイソレータをさらに備える、
請求項1又は2に記載の外部光注入同期レーザ。
【請求項12】
前記入出力導波路は、複数の第2全反射ミラー及び複数の第2直線導波路を備え、前記第2全反射ミラーは、隣り合う2つの第2直線導波路の間に位置する、
請求項2に記載の外部光注入同期レーザ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2022年03月16日に中国専利局に出願された、出願番号が202210260097.4である中国特許出願に基づいて優先権を主張し、該出願の全ての内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、半導体の光電子技術に関し、例えば外部光注入同期レーザに関する。
【背景技術】
【0003】
光注入同期(Optical Injection Locking、OIL)の技術は、レーザの線幅を狭め、変調帯域幅を広げ、チャープを低減させ、信号の選択及び増幅をすることができ、コヒーレント検波、レーザレーダ、レーザ測距、高速直接変調レーザ、光増幅器、位相感応増幅器、高密度波長分割多重技術、無線周波数の波形の生成、光波形の合成等に使用可能であり、現代の光電子デバイスの性能を向上させる主な手段の1つであり、国防及び国民経済建設で重要な役割を果たしており、外部光注入同期は、上記の性能を実現する主な手段の1つである。外部光注入には一方向の注入が必要となるため、光アイソレータは、システムに必須のデバイスであり、外部光注入同期を実現する方法には、主に、(1)個別光ファイバシステムの注入同期分布式帰還(Distributed Feedback Laser、DFB)レーザと、(2)個別光ファイバシステムの注入同期リング空胴レーザと、の2種の態様があり、上記態様は、いずれも個別部品に基づいて注入同期の機能を実現し、いずれも光ファイバに基づいて個別部品を接続し、エルビウム添加光ファイバ増幅器、偏波コントローラ、一体式光アイソレータ等の体積が大きいデバイスを使用して関連性能の実現を確保しているため、外部光注入同期システム全体の構造がばらつき、体積が大きく、エネルギー消費が高く、且つ量産できず、高性能の光電子デバイスの応用分野における小さい体積、低い消費電力及び低いコスト、大規模市場の応用に対するニーズを満たすことが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、構造がコンパクトで、体積が小さく、デバイスが安定して信頼性が良く、過酷な環境に耐える能力が強く、デバイスの一致性が良好でコストが低いことを実現するためのチップスケール外部光注入同期レーザを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、
同一基板の上に形成されるマスタレーザ、入出力導波路及びスレーブレーザを備え、
前記マスタレーザは、レーザ光を前記入出力導波路に発するように構成され、
前記入出力導波路は、前記マスタレーザから発せられたレーザ光を前記スレーブレーザに注入するように構成され、
前記スレーブレーザは、導波路共振空胴を備え、前記マスタレーザから発せられたレーザ光が注入された場合に、前記マスタレーザにより同期されるレーザ光を発するように構成される、
外部光注入同期レーザを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本願の実施例に係る外部光注入同期レーザの平面図
図2】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図3】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図4】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図5図4におけるAA’に沿った断面構造の模式図
図6】本願の実施例に係る外部光注入同期レーザの断面図
図7】本願の実施例に係る第1全反射ミラーの構造模式図
図8】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図9】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図10】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図11】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図12】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図13】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図14】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図15】本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図
図16】本願の実施例に係る矩形空胴レーザの共振空胴の長さ及び全反射ミラーの鏡面反射率に伴う内部損失の変化関係図
図17】本願の実施例に係るリングレーザの共振空胴の長さ及び内部損失に伴う変調帯域幅の変化関係図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面及び実施例を参照しながら本願を説明する。ここで説明される具体的な実施例は、本願を解釈するためのものに過ぎない。説明を容易にするために、図面には、本願に関連する部分のみが示されている。
【0008】
図1は、本願の実施例に係る外部光注入同期レーザの平面図であり、図1を参照し、外部光注入同期レーザは、同一基板(図1に図示せず)の上に形成されるマスタレーザ1、入出力導波路3及びスレーブレーザ2を備える。マスタレーザ1は、レーザ光を入出力導波路3に発するように構成され、入出力導波路3は、マスタレーザ1から発せられたレーザ光をスレーブレーザ2に注入するように構成され、スレーブレーザ2は、導波路共振空胴を備え、スレーブレーザ2は、マスタレーザ1から発せられたレーザ光が注入された場合に、マスタレーザ1により同期されるレーザ光を発するように構成される。例えば、入出力導波路3は、マスタレーザ1から発せられたレーザ光を方向性結合の方式でスレーブレーザ2に注入し、マスタレーザ1及びスレーブレーザ2から発せられたレーザ光を出力するように構成され、スレーブレーザ2は、自身が発生したレーザ光を、マスタレーザ1から注入されたレーザ光とコヒーレントにさせた後にレーザ光を発するように構成され、且つスレーブレーザ2から発せられたレーザ光は、マスタレーザ1により同期される。マスタレーザ1から発せられたレーザ光が入出力導波路3によりスレーブレーザ2に注入され、これにより、スレーブレーザ2から発せられたレーザ光がマスタレーザ1により同期され、スレーブレーザ2及びマスタレーザ1のレーザ発振波長を一致させ、スレーブレーザ2から出力されたレーザ光とマスタレーザ1から発せられたレーザ光とは、入出力導波路3により結合された後に出力される。
【0009】
一実施例において、スレーブレーザ2は、多角形閉構造の導波路共振空胴を備え、導波路共振空胴は、複数の第1全反射ミラー4及び複数の第1直線導波路5を備え、第1全反射ミラー4は、隣り合う2つの第1直線導波路5の間に位置する。複数の第1全反射ミラー4と複数の第1直線導波路5とからなる導波路共振空胴が多角形閉構造であるため、第1直線導波路5は、隣り合う2つの第1全反射ミラー4の間に位置する。第1全反射ミラー4は、1つの第1直線導波路5で伝送されるレーザ光を他の1つの第1直線導波路5に反射するように構成される。
【0010】
一実施例において、導波路共振空胴は、円環構造又はレーストラック型の構造を呈してもよい。
【0011】
本願の実施例は、マスタレーザ1、入出力導波路3、及びスレーブレーザ2が同一の基板に設けられた外部光注入同期レーザを提供し、個別外部光注入同期レーザシステムと比べ、該チップスケールレーザは、(1)構造がコンパクトで、体積が小さく、(2)同じ種類の材質で、熱学的及び機械的性能が一致しているため、デバイスが安定して信頼性が良好で、過酷な環境に耐える能力が強く、(3)統一的に設計されて製造され、デバイスの一致性が良好で、コストが低いという利点を有する。また、多角形共振空胴のスレーブレーザ2について、第1直線導波路5の損失は、サイズと関係がなく、第1全反射ミラー4の損失は、周長に反比例し、これにより、スレーブレーザ2の導波路共振空胴の損失を大幅に減少させて、導波路共振空胴のサイズに対する損失の依存性を大幅に低減させ、それと同時に、該多角形導波路共振空胴は、リング空胴の進行波の伝送特性を有し、光アイソレータが必要とされず、一方向の注入同期を可能にし、これにより、チップスケール外部光注入同期レーザの実現が可能となり、それが確実に高速直接変調レーザ、狭線幅レーザ、信号選択及び増幅等の分野に応用されるための基礎を築き上げた。
【0012】
マスタレーザ1は、単一縦モード半導体レーザであり、マスタレーザ1は、スレーブレーザ2における反時計回り(Counter Clock Wise、CCW)光モードを一方向に注入同期する。マスタレーザ1は、DFBレーザ又は分布ブラッグ反射(Distributed Bragg Reflector、DBR)レーザであってもよく、又は受動的にループ結合されたレーザであってもよく、そのレーザ発振モードが単一縦モード、基本横モードのレーザであればよい。
【0013】
図1を参照し、導波路共振空胴は、四角形を呈し、マスタレーザ1から発射されたレーザ光は、入出力導波路3に投射され、入出力導波路3により結合されてスレーブレーザ2に入り、図1に示す矢印方向に沿って、反時計回りに導波路共振空胴の4本の第1直線導波路5を順次通過し、入出力導波路3に結合され、入出力導波路3に沿って伝播し続ける。
【0014】
他の実施形態において、導波路共振空胴は、他の形状の多角形であってもよく、以下、三角形及び六角形を例にとっているが、これらに限られない。導波路共振空胴が呈する多角形の辺数は、実際のニーズに応じて決まってもよい。
【0015】
図2は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図2を参照し、導波路共振空胴は、三角形を呈する。マスタレーザ1から発射されたレーザ光は、入出力導波路3に投射され、入出力導波路3により結合されてスレーブレーザ2に入り、図2に示す矢印方向に沿って、反時計回りに導波路共振空胴の3本の第1直線導波路5を順次通過し、入出力導波路3に結合され、入出力導波路3に沿って伝播し続ける。
【0016】
図3は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図3を参照し、導波路共振空胴は、六角形を呈する。マスタレーザ1から発射されたレーザ光は、入出力導波路3に投射され、入出力導波路3により結合されてスレーブレーザ2に入り、図3に示す矢印方向に沿って、反時計回りに導波路共振空胴の6本の第1直線導波路5を順次通過し、入出力導波路3に結合され、入出力導波路3に沿って伝播し続ける。
【0017】
例示的には、図1図3を参照し、スレーブレーザ2の1本の第1直線導波路5は、入出力導波路3と結合する。
【0018】
一実施形態において、スレーブレーザ2の複数本の第1直線導波路5は、入出力導波路3と結合する。
【0019】
図4は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図5は、図4におけるAA’に沿った断面構造の模式図であり、入出力導波路3は、第1導波路部311及び第2導波路部312を備える。入出力導波路3は、X方向に沿って延伸する。基板に垂直な(即ちZ方向に沿う)投影にあって、入出力導波路3の延伸方向に垂直な方向において(即ち、Y方向に沿って)、第1導波路部311は、第1直線導波路5と重なり合い、第2導波路部312は、第1全反射ミラー4と重なり合う。つまり、基板に垂直な投影において、第1導波路部311は、第1直線導波路5に対応し、第2導波路部312は、第1全反射ミラー4に対応する。基板に垂直な投影にあって、入出力導波路3の延伸方向に垂直な方向において、第1導波路部311と導波路共振空胴との間の距離は、第2導波路部312と導波路共振空胴との間の距離よりも小さい。本願の実施例において、スレーブレーザ2の1本の第1直線導波路5の部分は、入出力導波路3と結合する。入出力導波路3は、湾曲導波路であり、スレーブレーザ2に近い位置では、スレーブレーザ2に向かう凸起が形成される。これにより、第1導波路部311と、それに対応する第1直線導波路5との距離は近く、第2導波路部312と、それに対応する第1全反射ミラー4との距離は遠く、第1全反射ミラー4のディープエッチング面を迂回するように、湾曲した入出力導波路3を採用し、より大きい結合係数を実現すると同時に、第1全反射ミラー4が高い反射率を得ることを保証する。
【0020】
垂直結合構造において、第1導波路部311(及び第2導波路部312)と第1直線導波路5とは、異なる膜層に位置し、且つ第1全反射ミラー4は、基板に垂直な平面である。第1導波路部311と第1直線導波路5とは、基板に垂直な方向(即ちZ方向)において重なり合う。並行結合構造において、第1導波路部311と第1直線導波路5とは、基板に垂直な方向において重なり合わない。図4に示すような第1導波路部311と第1直線導波路5との重なり合いは、Y方向に沿った重なり合いであり、第2導波路部312と第1全反射ミラー4との重なり合いも、Y方向に沿った重なり合いである。第1導波路部311と第1直線導波路5との対応関係は、両者のX-Y平面内においてY方向に沿った対応関係を指し、第2導波路部312と第1全反射ミラー4との対応関係も、両者のX-Y平面内においてY方向に沿った対応関係を指す。
【0021】
一実施形態において、導波路共振空胴の幾何学的中心を距離の計算の起点としてもよい。別の実施形態において、導波路共振空胴における入出力導波路3との距離が最も近い第1直線導波路5を距離の計算の起点としてもよい。
【0022】
一実施例において、第1導波路部311及び第2導波路部312の長さの和、隣り合う2つの第1全反射ミラー4の間の第1直線導波路5の長さよりも小さい
【0023】
図4及び図5を参照し、外部光注入同期レーザは、順次積層して設けられる基板9、バッファ層10、非活性導波路層11(又は活性導波路層13)、被覆層14、及び接触層15を備える。導波路共振空胴の活性導波路層13及び入出力導波路3の非活性導波路層11は、同じ層に設けられる。第1直線導波路5は、バッファ層10、活性導波路層13及び被覆層14を備え、入出力導波路3は、バッファ層10、非活性導波路層11及び被覆層14を備え、非活性導波路層11及び活性導波路層13は、同じ層に設けられ、第1直線導波路5及び入出力導波路3は、同じ層に設けられ、スレーブレーザ2と入出力導波路3とは、並行に結合する。
【0024】
図6は、本願の実施例に係る外部光注入同期レーザの断面図であり、図6を参照し、外部光注入同期レーザは、順次積層して設けられる基板9、バッファ層10、非活性導波路層11、隔離層12、活性導波路層13、被覆層14、及び接触層15を備える。基板に垂直な方向において、入出力導波路3は、基板9と第1直線導波路5との間に位置する。第1直線導波路5は、一部の隔離層12、活性導波路層13、及び被覆層14を備え、入出力導波路3は、バッファ層10、非活性導波路層11、及び一部の隔離層12を備え、非活性導波路層11及び活性導波路層13は、積層して設けられ、第1直線導波路5及び入出力導波路3は、積層して設けられ、Z方向に沿って、第1直線導波路5と入出力導波路3とは重なり合い、スレーブレーザ2の1つの第1直線導波路5と入出力導波路3とは垂直結合する。
【0025】
導波路共振空胴は、多角形閉構造を呈し、複数本の第1直線導波路5を備える。全ての第1直線導波路5は、同様の膜層構造を備える。一実施形態において、全ての第1直線導波路5は、いずれも一部の隔離層12、活性導波路層13、及び被覆層14を備え、全ての第1直線導波路5は、同じ材料を採用する。
【0026】
例示的には、図5及び図6を参照し、基板9は、シリコン(Silicon、Si)、リン化インジウム(Indium Phosphide、InP)、ヒ化ガリウム(Gallium Arsenide、GaAs)、又は窒化ガリウム(Gallium Nitride、GaN)を含む。InP、GaAs、及びGaNを基板とするレーザは、通常、モノリシック集積型外部光注入同期レーザである。集積技術によれば、Siを基板とするレーザは、通常、ヘテロ集積型又はバット結合型等のハイブリッドに集積された外部光注入同期レーザである。
【0027】
例示的には、図5及び図6を参照し、活性導波路層13は、量子井戸構造、量子ドット構造、n型変調ドープ量子井戸構造、n型変調ドープ量子ドット構造、p型変調ドープ量子井戸構造、又はp型変調ドープ量子ドット構造である。
【0028】
例示的には、本願の実施例に係るマスタレーザ及びスレーブレーザの材料及び構造は、レーザの用途に応じて決され、必要な波長に応じて基板及び材料、構造を決定し、例えば、光ファイバ通信用高速直接変調レーザを実現するために、InP基板を採用し、モノリシック集積の外部光注入レーザを実現してもよく、且つその活性導波路層は、InGaAsP/InGaAsP、InGaAlAs/InGaAlAs、InGaAsP又はInGaAlAsの量子井戸構造を採用しており、相応する量子ドット構造、又はp型変調ドープ量子井戸(量子ドット)構造、n型変調ドープ量子井戸(量子ドット)構造であってもよく、量子井戸及び量子ドットがドープされていないものであってもよく、本願は、これについて要求しないし、特に限定しない。
【0029】
図7は、本願の実施例に係る第1全反射ミラーの構造模式図であり、図7を参照し、第1全反射ミラー4は、形成されたエッチング切断面であり、そのエッチング切断面は第1直線導波路5の延伸方向と鋭角(例えば45°角)を呈する。基板に垂直な方向において、非活性導波路層11における第1全反射ミラー4と重なり合う位置にディープエッチングを行い、凹溝を形成する。
【0030】
図8は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図8を参照し、入出力導波路3との距離が最も近い第1直線導波路5は、結合直線導波路51であり、結合直線導波路51及び入出力導波路3は同じ材料及び構造を採用する。本願の実施例において、導波路共振空胴の第1直線導波路5のうち、結合直線導波路51は、非活性導波路構造を採用して製作され、残りの第1直線導波路5は、活性導波路構造を採用して製作され、結合直線導波路51及び入出力導波路3が同じ材料及び構造を採用しているため、結合直線導波路51及び入出力導波路3は高結合効率を実現し、製作しやすく且つ大きな吸収損失が生じない。
【0031】
一実施形態において、図8に示すように、外部光注入同期レーザは、1つのスレーブレーザ2を備える。他の実施例の形態において、外部光注入同期レーザは、複数のスレーブレーザ2を備えてもよく、これにより、その全体的なデバイス性能を向上させる。そのうち、変調特性を改善する面では、低周波数ロールオフ効果を有効に弱め、変調帯域幅を大幅に広げることができる。
【0032】
図9は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図9を参照し、外部光注入同期レーザは、少なくとも2つのスレーブレーザ2を備え、少なくとも2つのスレーブレーザ2は、第1スレーブレーザ6及び第2スレーブレーザ7を含む。基板に垂直な投影において、第1スレーブレーザ6と第2スレーブレーザ7とは、入出力導波路3の両側に位置する。本願の実施例において、第1スレーブレーザ6及び第2スレーブレーザ7は、並列構造を形成する。
【0033】
例示的には、図9を参照し、入出力導波路3は、第1サブ導波路321及び第2サブ導波路322を備え、基板に垂直な投影において、第1スレーブレーザ6と第2スレーブレーザ7とは、第1サブ導波路321の両側に位置する。第2サブ導波路322は、第2スレーブレーザ7の、第1サブ導波路321から遠い一側に位置する。マスタレーザ1から発射されたレーザ光は、第1サブ導波路321に投射され、第1サブ導波路321により結合されて第1スレーブレーザ6に入り、第1スレーブレーザ6により再び結合されて第1サブ導波路321に入る。第1サブ導波路321により結合されて第2スレーブレーザ7に入り、第2スレーブレーザ7により結合されて第2サブ導波路322に入り、第2サブ導波路322で伝播し続ける。
【0034】
図10は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図10を参照し、入出力導波路3は、第1サブ導波路321及び第2サブ導波路322を備え、基板に垂直な投影において、第1スレーブレーザ6は、第1サブ導波路321に対応する。第2サブ導波路322は、第2スレーブレーザ7に対応する。マスタレーザ1から発射されたレーザ光は、第1サブ導波路321に投射され、第1サブ導波路321により結合されて第1スレーブレーザ6に入り、第1スレーブレーザ6により再び結合されて第1サブ導波路321に入る。第1サブ導波路321により第2サブ導波路322に伝送されてから、結合されて第2スレーブレーザ7に入り、第2スレーブレーザ7により結合されて第2サブ導波路322に入り、第2サブ導波路322で伝播し続ける。
【0035】
図11は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図11を参照し、外部光注入同期レーザは、少なくとも2つのスレーブレーザ2を備え、少なくとも2つのスレーブレーザ2は、第1スレーブレーザ6及び第2スレーブレーザ7を含む。基板に垂直な投影において、第1スレーブレーザ6及び第2スレーブレーザ7は、入出力導波路3の同一側に位置する。本願の実施例において、第1スレーブレーザ6及び第2スレーブレーザ7は、直列構造を形成する。
【0036】
図12は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図12を参照し、外部光注入同期レーザは、少なくとも2つのスレーブレーザ2を備え、少なくとも2つのスレーブレーザ2は、第1スレーブレーザ6、第2スレーブレーザ7、及び第3スレーブレーザ17を含む。基板に垂直な投影において、第1スレーブレーザ6及び第2スレーブレーザ7は、入出力導波路3の同一側に位置し、第1スレーブレーザ6と第3スレーブレーザ17とは、入出力導波路3の両側に位置し、第2スレーブレーザ7と第3スレーブレーザ17とは、入出力導波路3の両側に位置する。本願の実施例において、第1スレーブレーザ6、第2スレーブレーザ7、及び第3スレーブレーザ17は、直並列構造を形成する。
【0037】
図13は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図13を参照し、外部光注入同期レーザは、光アイソレータ8をさらに備え、光アイソレータ8は、入出力導波路3の伝送経路に位置し、且つ光アイソレータ8は、マスタレーザ1とスレーブレーザ2との間に位置する。本願の実施例において、光アイソレータ8を設けることにより、外部光注入同期レーザの裏面反射(散乱)光の干渉を回避し、外部光注入同期レーザの性能を向上させる。
【0038】
図14は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図14を参照し、入出力導波路3は、複数の第2全反射ミラー16及び複数の第2直線導波路33を備え、第2全反射ミラー16は、隣り合う2つの第2直線導波路33の間に位置し、第2全反射ミラー16は、1つの第2直線導波路33におけるレーザ光を他の1つの第2直線導波路33に反射するように構成される。
【0039】
例示的には、図14を参照し、複数の第2直線導波路33は、第1入出力サブ導波路331、第2入出力サブ導波路332、及び第3入出力サブ導波路333を備える。第1入出力サブ導波路331及び第3入出力サブ導波路333は、X方向に沿って延伸し、平行に配列される。第2入出力サブ導波路332は、Y方向に沿って延伸し、第2入出力サブ導波路332の一端は、第1入出力サブ導波路331に接続され、第2入出力サブ導波路332の他端は、第3入出力サブ導波路333に接続される。第3入出力サブ導波路333に投射されたレーザ光は、第2全反射ミラー16で反射された後、第2入出力サブ導波路332に入り、再び第2全反射ミラー16で反射された後、第1入出力サブ導波路331に入り、第1入出力サブ導波路331によりスレーブレーザ2の第1直線導波路5に結合され、そして、スレーブレーザ2の第1直線導波路5により再び第1入出力サブ導波路331に結合され、第1入出力サブ導波路331の末端において再び第2全反射ミラー16で反射されて第2入出力サブ導波路332に入り、且つ該第2入出力サブ導波路332で伝送された後、再び第2全反射ミラー16で第3入出力サブ導波路333に反射されて伝播し続ける。且つ全反射ミラーの製作品質を向上させて全反射ミラーの損失を低減させるために、第2全反射ミラー16と第1全反射ミラー4とは、位置がずれるように設計されて製造される。
【0040】
図15は、本願の実施例に係る別の外部光注入同期レーザの平面図であり、図15を参照し、複数の第2直線導波路33は、第1入出力サブ導波路331及び第2入出力サブ導波路332を備え、第1入出力サブ導波路331と第2入出力サブ導波路332とは接続される。第1入出力サブ導波路331は、X方向に沿って延伸し、第2入出力サブ導波路332は、Y方向に沿って延伸する。本願の実施例において、マスタレーザ1から発射されたレーザ光は、直接、第2入出力サブ導波路332に投射され、第2全反射ミラー16で反射された後、第1入出力サブ導波路331に入り、第1入出力サブ導波路331によりスレーブレーザ2の第1直線導波路5に結合されてから、スレーブレーザ2の第1直線導波路5により再び第1入出力サブ導波路331に結合され、第1入出力サブ導波路331の末端において第2全反射ミラー16で第2入出力サブ導波路332に反射されて伝播し続ける。本願の実施例において数少ない第2全反射ミラー16及び第2直線導波路33が設けられているため、全反射ミラーによる損失が減少される。
【0041】
モノリシック集積の外部光注入同期高速直接変調半導体レーザのシミュレーション性能を例にして、本願に係る技術態様の応用価値を証明する。図16から分かるように、矩形空胴レーザについては、電力反射率が89.3%以上である第1全反射ミラー4が製造されれば、その内部損失が38.2cm-1よりも低くなり、円環状レーザよりも遥かに小さい。図17から分かるように、リングレーザの内部損失の増大及びその共振空胴の伸長に伴い、レーザの変調帯域幅は徐々に減少するが、内部損失を38.2cm-1よりも小さく制御すれば、最低の変調帯域幅は、依然として25GHzを超える。レーザの現行の高速変調及びデータ通信の使用を完全に満たすことができ、光通信分野の望ましい光源である。
【国際調査報告】