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特表2025-503086エチレン系コポリマーを含む多層フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】エチレン系コポリマーを含む多層フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B32B27/32 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543331
(86)(22)【出願日】2023-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 US2023061208
(87)【国際公開番号】W WO2023147324
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】22382071.3
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】パーキンソン、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】エル マラッセ サリオウイ、サルマ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツォ ロレト、アルナルド ティ.
(72)【発明者】
【氏名】ニエト パロモ、ヘスス
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK04D
4F100AK04E
4F100AK05A
4F100AK05B
4F100AK05D
4F100AK05E
4F100AK06A
4F100AK06B
4F100AK06D
4F100AK06E
4F100AK62A
4F100AK62B
4F100AK62D
4F100AK62E
4F100AK68C
4F100AK71C
4F100BA03
4F100BA05
4F100CA13B
4F100CA13D
4F100EH20
4F100GB15
4F100JA06A
4F100JA06B
4F100JA06C
4F100JA06D
4F100JA06E
4F100JA13A
4F100JA13E
4F100JK03
4F100JK10
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
4F100YY00E
(57)【要約】
エチレン系コポリマーを含む多層フィルムが提供される。多層フィルムは、ポリエチレンリサイクル流と完全に適合し得る。多層フィルムは、第1の外層と、第2の外層と、コアとを含み、コアは、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、及びエチレン/ビニルアセテートコポリマーからなる群から選択されるエチレン系コポリマーを含む第1のコア層を含む。本明細書に開示される実施形態による第1のコア層は、多層フィルムの全厚の20%未満である。本発明の多層フィルムは、既存の多層フィルム構造体と比較して、改善された又は望ましい特性、例えば高い引裂抵抗を示すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層フィルムであって、
第1の外層と、第2の外層と、1つ以上のコア層を含むコアと、を含み、前記コアが、前記第1の外層と前記第2の外層との間に配置され、前記コアが、前記コアの総ポリマー重量に基づいて90重量%超のエチレン系ポリマーを含み、第1のコア層が、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、及びエチレン/ビニルアセテートコポリマーからなる群から選択されるエチレン系コポリマーを含み、
前記第1のコア層が、前記多層フィルムの全厚の5~15%であり、
前記多層フィルムが、少なくとも25.0g/μmの横方向引裂抵抗を有する、多層フィルム。
【請求項2】
前記エチレン系コポリマーが、前記第1のコア層の総重量に基づいて、第1のコア層の80~100重量%を含む、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
前記エチレン系ポリマーが、5g/10分未満のメルトインデックス(I2)を有する、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
【請求項4】
前記エチレン系コポリマーが、前記エチレン/ビニルアセテートコポリマーの総重量に基づいて9~28重量%のビニルアセテートコモノマーを含む、エチレン/ビニルアセテートコポリマーである、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項5】
前記エチレン系コポリマーが、前記エチレン系コポリマーの総重量に基づいて15~30重量%のアクリレートコモノマーを含む、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、又はエチレン/メチルアクリレートコポリマーである、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項6】
前記第1の外層及び前記第2の外層がそれぞれ、0.930g/cc未満の密度及び7g/10分未満のメルトインデックス(I2)を有するポリエチレンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項7】
前記コアが、100重量%のエチレン系ポリマーを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項8】
前記多層フィルムが、前記第1の外層と、前記第2の外層と、前記第1のコア層と、第2のコア層と、第3のコア層と、を含む少なくとも5つの層を含み、前記第1コア層が前記第2のコア層と前記第3のコア層との間に配置され、前記第2のコア層及び前記第3のコア層が、別個に、0.930g/cc未満の密度及び7g/10分未満のメルトインデックス(I2)を有するポリエチレンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項9】
前記多層フィルムが、前記多層フィルムの総重量を基準として95重量%超のエチレン系ポリマーを含む、多層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、多層フィルムに関し、具体的には、エチレン系コポリマーを含む、多層フィルムに関する。
【0002】
序論
ポリプロピレン、ポリアミド、及びポリエチレンテレフタレートを含む様々な材料を組み込む多層フィルムは、工業製品及び消費者製品において広く使用されている。工業製品及び消費者製品に使用されるそのようなフィルムは、例えば、パレット上でのフィルム包装プロセス中にフィルムが破損するのを回避するために、十分な引裂抵抗などの、所望の特性を必要とすることが多い。層及び材料の組み合わせは、フィルムの良好な性能を可能にできるが、そのような多層フィルムは、互いにリサイクル適合しない異なる種類の材料に起因して、一緒にリサイクルすることが、不可能ではないとしても困難であり得る。持続可能かつリサイクル可能な材料の需要が上昇し続けているため、より容易にリサイクルされ、望ましい引裂抵抗を示し、かつ他の特性が維持されているか改善されている多層フィルムに対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態は、望ましい引裂抵抗を示し、リサイクル適合性エチレン系ポリマーを含む多層フィルムを提供することによって、前述の必要性の1つ以上を満たすものである。多層フィルムは、ポリエチレンリサイクル流において完全にリサイクル適合性であることができ、本発明の多層フィルムの引裂抵抗性能は、他の多層フィルムよりも良好であり得る。本明細書に開示される実施形態による多層フィルムは、少なくとも第1の外層、第2の外層、及び第1のコア層を含み、第1のコア層は、エチレン系コポリマーを含み、多層フィルムの全厚の20%未満である。理論に束縛されるものではないが、他の特徴の中でも、薄い第1のコア層(フィルムの全厚の20%未満)及び特定のエチレン系コポリマーを有するフィルムの構造は、既存のフィルム構造と比較して、驚くほど望ましい引裂抵抗及び維持又は改善されたダート衝撃をもたらす。
【0004】
本明細書において開示されるのは、多層フィルムである。一態様では、多層フィルムは、第1の外層、第2の外層、及びコアを含み、コアは、1つ以上のコア層を含み、上記のコアが、第1の外層と第2の外層との間に配置され、上記コアが、上記コアの総ポリマー重量に基づいて90重量%超のエチレン系ポリマーを含み、第1のコア層が、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、及びエチレン/ビニルアセテートコポリマーからなる群から選択されるエチレン系コポリマーを含み、上記第1のコア層が、上記多層フィルムの全厚の20%未満であり、上記多層フィルムが、少なくとも25g/μmの横方向引裂抵抗を有する。
【0005】
これら及び他の実施形態は、「発明を実施するための形態」において、より詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
開示された多層フィルムの態様が、以下でより詳細に説明される。多層フィルムは、多種多様な用途を有することができ、例えば、キャストストレッチフィルム、インフレーションフィルム、配向フィルム、ストレッチフードフィルムなどが挙げられる。多層フィルムはまた、ゴミ袋又はゴミ袋ライナー、頑丈な輸送袋、マットレスフィルム、食品貯蔵、冷凍食品貯蔵、肥料貯蔵、サイレージ及び穀物貯蔵用途での使用に適している。しかしながら、本開示は、本明細書に記載の実施形態の例示的な実装形態であるため、本開示が、以下に記載の実施形態を限定するものと解釈されるべきではない。
【0007】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類又は異なる種類にかかわらず、モノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を意味する。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマー(1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)という用語、及びコポリマーという用語を包含する。微量の不純物(例えば、触媒残渣)が、ポリマー中に取り込まれてもよく、かつ/又はポリマー内に存在してもよい。ポリマーは、単一のポリマー、ポリマーブレンド、又は重合中にその場で形成されるポリマーの混合物を含むポリマー混合物であり得る。
【0008】
本明細書で使用される場合、「コポリマー」という用語は、少なくとも2つの構造的に異なるモノマーの重合反応によって形成されたポリマーを意味する。「コポリマー」という用語は、ターポリマーを含む。例えば、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、及びエチレン/ビニルアセテートコポリマーなどのエチレン系コポリマーは、少なくとも2つの構造的に異なるモノマーを含み(例えば、エチレン/ブチルアクリレートコポリマーは、少なくとも50重量%のエチレンモノマー及びブチルアクリレートコモノマーの共重合単位を含む)、任意選択的に、例えば酸、アクリレート、又は無水物官能基などの、追加のモノマー又は官能性材料若しくは変性剤を含むことができる。別の言い方をすれば、本明細書に記載のコポリマーは、少なくとも2つの構造的に異なるモノマーを含み、コポリマーは2つの構造的に異なるモノマーのみからなり得るが、それらは必ずしも2つの構造的に異なるモノマーのみからなるわけではなく、追加のモノマー又は官能性材料若しくは変性剤を含み得る。
【0009】
本明細書で使用するとき、用語「エチレン系コポリマー」は、過半の量(50重量%超)のエチレンモノマーから誘導される単位及び少なくとも1種の異なるコモノマーの単位を含むコポリマーを意味するものとする。エチレン系コポリマーは、その用語が以下に定義されるようなエチレン系ポリマーである。エチレン系コポリマーの例としては、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー(ブチルアクリレートコモノマーの単位と共重合したエチレンモノマーの単位)、エチレン/エチルアクリレートコポリマー(エチルアクリレートコモノマーの単位と共重合したエチレンモノマーの単位)、エチレン/メチルアクリレートコポリマー(メチルアクリレートコモノマーの単位と共重合したエチレンモノマーの単位)、及びエチレン/ビニルアセテートコポリマー(ビニルアセテートコモノマーの単位と共重合したエチレンモノマーの単位)が挙げられる。
【0010】
本明細書で使用する場合、「ポリエチレン」又は「エチレン系ポリマー」という用語は、過半量(50重量%超)の、エチレンモノマーに由来する単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマー及びエチレン系コポリマーを含む。特に明記しない限り、本明細書に開示されるエチレン系コポリマー(例えば、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、及びエチレン/ビニルアセテートコポリマー)は、エチレン系ポリマーである。
【0011】
当該技術分野において周知のポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene、LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene、LLDPE)、極低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene、ULDPE)、超低密度ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene、VLDPE)、直鎖状低密度樹脂及び実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含む、シングルサイト触媒による直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、エチレン系プラストマー(POP)及びエチレン系エラストマー(POE)、中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene、MDPE)、並びに高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、HDPE)が挙げられる。これらのポリエチレン材料は、一般に、当該技術分野において周知である。しかしながら、以下の記載は、これらの異なるポリエチレン樹脂のうちのいくつかの間の差異を理解するのに役立つ場合がある。
【0012】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、又は「高分岐ポリエチレン」とも称されてもよいが、ポリマーが、過酸化物などの、フリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を上回る圧力で、オートクレーブ又は管状反応器中で、部分的に又は完全に、ホモ重合又は共重合されることを意味するように定義される(例えば、参照として本明細書に組み込まれる、米国特許第4,599,392号を参照のこと)。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/cmの範囲内の密度を有する。
【0013】
「LLDPE」という用語は、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系及びクロム系触媒、並びにモノ-又はビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、幾何拘束触媒、ホスフィンイミン触媒及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製される両方の樹脂を含み、かつ直鎖状、実質的に直鎖状、又は不均質なポリエチレンコポリマー又はホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含み、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、及び米国特許第5,733,155号に更に定義されている実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号のものなどの、均質に分岐した直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されているプロセスに従って調製されるものなどの不均質分岐エチレンポリマー、及び/又はこれらのブレンド(米国特許第3,914,342号又は同第5,854,045号に開示されているものなど)が挙げられる。LLDPEは、当該技術分野で既知の任意の種類の反応器又は反応器構成を使用して、気相、溶液相、若しくはスラリー重合、又はそれらの任意の組み合わせを介して作製され得る。
【0014】
「MDPE」という用語は、0.926~0.935g/cmの密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、典型的には、クロム又はチーグラー・ナッタ触媒を使用して、又は置換モノ-又はビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、幾何拘束触媒、ホスフィンイミン触媒、及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して製造され、典型的には、2.5超の分子量分布(「MWD」)を有する。
【0015】
「HDPE」という用語は、一般にチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又は置換モノ-若しくはビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、幾何拘束触媒、ホスフィンイミン触媒、及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、約0.935g/cm超~最大約0.980g/cmの密度を有するポリエチレンを指す。
【0016】
「ULDPE」という用語は、一般にチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又は置換モノ-若しくはビス-シクロペンタジエニル触媒(典型的にはメタロセンと称される)、幾何拘束触媒、ホスフィンイミン触媒、及び多価アリールオキシエーテル触媒(典型的にはビスフェニルフェノキシと称される)を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、0.855~0.912g/cmの密度を有するポリエチレンを指す。ULDPEとしては、ポリエチレン(エチレン系)プラストマー及びポリエチレン(エチレン系)エラストマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「コア層」は、多層フィルムの非スキン層又は非外層を指す。コア層は、多層フィルムの内層、すなわち、2つの外層どうしの間に位置付けられる層である。一実施形態では、コア層は、第1の外層及び第2の外層を含む3層フィルムの非外層である。本発明の多層フィルムのコア層の全体、すなわち、1つ又は複数が、フィルムの「コア」を構成する。
【0018】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの派生語は、任意の追加の構成成分、工程、又は手順の存在を、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、除外することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる以降の記述の範囲から任意の他の構成成分、工程、又は手順を排除する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に描写又は列記されていないあらゆる構成成分、工程、又は手順を排除する。
【0019】
本明細書において開示されるのは、多層フィルムである。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、機械方向及び/又は横方向に配向されている配向フィルムであることができる。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、インフレーションフィルムである。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、キャストフィルムである。いくつかの実施形態では、多層フィルムはストレッチフードフィルムである。
【0020】
本明細書に開示される実施形態による多層フィルムは、第1の外層、第2の外層、及びコアを含み、コアは、1つ以上のコア層を含む。コアは、第1の外層と第2の外層との間に配置される。コアは、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、及びエチレン/ビニルアセテートコポリマーからなる群から選択されるエチレン系コポリマーを含む第1のコア層を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、第1の外層、第2の外層、及びコアを含み、コアは、1つ以上のコア層を含み、上記のコア層が、第1の外層と第2の外層との間に配置され、上記コアが、上記コアの総ポリマー重量に基づいて90重量%超のエチレン系ポリマーを含み、第1のコア層が、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、及びエチレン/ビニルアセテートコポリマーからなる群から選択されるエチレン系コポリマーを含み、上記第1のコア層が、上記多層フィルムの全厚の20%未満であり、上記多層フィルムが、少なくとも25g/μmの横方向引裂抵抗を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、エチレン系コポリマーは、第1のコア層の総重量に基づいて、第1のコア層の80~100重量%を含む。いくつかの実施形態では、エチレン系コポリマーは、5g/10分未満のメルトインデックス(I2)を有する。いくつかの実施形態では、エチレン系コポリマーは、エチレン/ビニルアセテートコポリマーの総重量に基づいて9~28重量%のビニルアセテートコモノマーを含む、エチレン/ビニルアセテートコポリマーである。他の実施形態では、エチレン系コポリマーは、エチレン系コポリマーの総重量に基づいて15~30重量%のアクリレートコモノマーを含む、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、又はエチレン/メチルアクリレートコポリマーである。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の外層及び第2の外層は、0.930g/cc未満の密度及び7g/10分未満のメルトインデックス(I2)を有するポリエチレンを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、コアは、100重量%のエチレン系ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、90重量%超のエチレン系ポリマー、95重量%超のエチレン系ポリマー、又は99重量%超のエチレン系ポリマーを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のコア層は、多層フィルムの全厚の5~15%である。
【0026】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、第1の外層と、第2の外層と、第1のコア層と、第2のコア層と、及び第3のコア層と、を含む少なくとも5つの層を含み、第1のコア層は第2のコア層と第3のコア層との間に配置され、第2のコア層及び第3のコア層は、別個に、0.930g/cc未満の密度及び7g/10分未満のメルトインデックス(I2)を有するポリエチレンを含む。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、5~11層を含む。
【0027】
本発明の多層フィルムは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0028】
多層フィルムの第1の外層及び第2の外層
多層フィルムの第1外層及び第2外層は、特に限定されない。第1の外層及び第2の外層は、同じポリマー組成又は異なるポリマー組成を有することができる。複数の実施形態では、第1の外層及び第2の外層は、多層フィルムの全厚の80~90%である厚さを有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1の外層及び第2の外層はそれぞれ、0.930g/cc未満の密度及び7g/10分未満のメルトインデックス(I2)を有するポリエチレンを含む。0.930g/cm以下の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示され、例えば、ポリエチレンの密度は、下限としての0.870g/cm~上限としての0.928、0.925、0.920、又は0.915g/cmであり得る。0.870~0.930g/cmの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。7g/10分未満のメルトインデックス(I2)の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、ポリエチレンのメルトインデックス(I2)は、6g/10分未満、5g/10分未満、4g/10分未満、3g/10分未満、2g/10分未満、又は1g/10分未満であり得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1の外層及び/又は第2の外層は、例えばULDPE、LLDPE、LDPE、MDPE、又はHDPE等のエチレン系ポリマーを含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1の外層及び/又は第2の外層は、ULDPE、LLDPE、LDPE、又はそれらのブレンドを含む。
【0031】
第1の外層及び/又は第2の外層がLLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.930g/cm以下の密度を有することができる。0.930g/cm以下の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示され、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、下限としての0.870g/cm~上限としての0.928、0.925、0.920、又は0.915g/cmであり得る。0.870~0.930g/cmの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態の第1の外層及び/又は第2の外層での使用に適しているポリエチレンには、極低密度ポリエチレン(ULDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンプラストマー/エラストマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、0.930g/cmの密度を有する他のエチレン系ポリマー(例えば、強化ポリエチレン)、オレフィンブロックコポリマー、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの実施形態では、ポリオレフィンとして使用するために、様々な市販のポリエチレンが企図されている。本発明の実施形態で使用され得る市販のポリエチレンプラストマー/エラストマーの例としては、AFFINITY(商標)PL 1880Gなどの、AFFINITY(商標)及びENGAGE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから入手可能なものが挙げられる。本発明の実施形態に使用され得る市販のLDPEの例としては、DOW LDPE(商標)及びAGILITY(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから入手可能なものが挙げられる。本発明の実施形態に使用され得る市販のULDPEの例としては、The Dow Chemical Companyから市販されているATTANE(商標)極低密度ポリエチレンが挙げられる。本発明の実施形態に使用され得る市販のLLDPEの例としては、The Dow Chemical Companyから市販されているDOWLEX(商標)直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。本発明の実施形態で使用され得る市販のオレフィンブロックコポリマーの例としては、INFUSE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。いくつかの実施形態で使用され得る、他の市販のエチレン系ポリマーの例としては、ELITE(商標)、ELITE(商標)AT、及びINNATE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから入手可能なものが挙げられる。
【0033】
多層フィルムのコア
多層フィルムは、コアを含む。コアは、1つ以上のコア層を含み、エチレン系コポリマー(以下に記載)を含む90重量%超のエチレン系ポリマーを含む。コアは、第1の外層と第2の外層との間に配置される。コアは第1のコア層を含む。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、第1の外層、第2の外層、及びコアを含む3層フィルムであり、コアは第1のコア層を含む。他の実施形態では、コアは、第1のコア層、第2のコア層、及び第3のコア層を備え、第1のコア層は、第2のコア層と第3のコア層との間に配置され、第2のコア層は、第1の外層と第1のコア層との間に配置され、第3のコア層は、第1のコア層と第2の外層との間に配置される。コアが第1のコア層、第2のコア層、及び第3のコア層を含む実施形態では、多層フィルムは少なくとも5つの層(例えば、第1の外層/第2のコア層/第1のコア層/第3のコア層/第2の外層の構造を有する多層フィルム)を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、第1の外層と、第2の外層と、第1のコア層と、第2のコア層と、及び第3のコア層と、を含む少なくとも5つの層を含み、第1のコア層は、第2のコア層と第3のコア層との間に配置され、第2のコア層及び第3のコア層は、別個に、0.930g/cc未満の密度及び7g/10分未満のメルトインデックス(I2)を有するポリエチレンを含む。
【0035】
コアは第1のコア層を含む。いくつかの実施形態では、第1のコア層は、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、及びエチレン/ビニルアセテートコポリマーからなる群から選択されるエチレン系コポリマーを含む。いくつかの実施形態では、エチレン系コポリマーは、第1のコア層の総重量に基づいて、第1のコア層の80~100重量%を含む。80~100重量%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、エチレン系コポリマーは、第1のコア層の総重量に基づいて、第1のコア層の85~100重量%、90~100重量%、95~100重量%、又は99~100重量%を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1のコア層のエチレン系コポリマーは、0.900g/cc~0.950g/ccの密度を有する。0.900~0.950g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第1のコア層のエチレン系コポリマーは、0.900g/cc~0.945g/cc、0.905g/cc~0.945g/cc、0.910g/cc~0.945g/cc、又は0.920g/cc~0.945g/ccの密度を有し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では第1のコア層のエチレン系コポリマーは、5g/10分未満のメルトインデックス(I2)を有する。5g/10分未満の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン系コポリマーは、5g/10分未満、4g/10分未満、3g/10分未満、2g/10分未満、又は1g/10分未満のメルトインデックス(I2)を有することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、エチレン系コポリマーは、エチレン/ビニルアセテートコポリマーの総重量に基づいて9~28重量%のビニルアセテートコモノマーを含む、エチレン/ビニルアセテートコポリマーである。9~28重量%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン/ビニルアセテートコポリマーは、エチレン/ビニルアセテートコポリマーの総重量に基づいて、10~25重量%、12~23重量%、又は15~20重量%のビニルアセテートコモノマーを含むことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、エチレン系コポリマーは、エチレン系コポリマーの総重量に基づいて、15~30重量%のアクリレートコモノマーを含む、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、又はエチレン/メチルアクリレートコポリマーである。15~30重量%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、又はエチレン/メチルアクリレートコポリマーは、15~28重量%又は15~26重量%のアクリレートコモノマーを含有することができる。
【0040】
本発明の実施形態で使用することができる、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、及びエチレン/ビニルアセテートコポリマーからなる群から選択される市販のエチレン系コポリマーの例としては、The Dow Chemical Companyから市販されているELVALOY(商標)及びELVAX(商標)の名称のポリマーが挙げられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、エチレン系コポリマーに加えて、第1のコア層は、例えば、ULDPE、LLDPE、LDPE、MDPE、HDPE、又はそれらの組み合わせなどのエチレン系ポリマーを含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、多層フィルムのコアは、第1のコア層に加えて、第2のコア層及び第3のコア層を更に含み、第2のコア層は、第1の外層と第1のコア層との間に配置され、第3のコア層は、第2の外層と第1のコア層との間に配置される。
【0043】
多層フィルムが第1のコア層、第2のコア層、第3のコア層を含む実施形態では、第2のコア層及び第3のコア層のそれぞれは、ULDPE、LLDPE、LDPE、MDPE、HDPE、又はこれらの組み合わせなどのエチレン系ポリマーを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2のコア層及び第3のコア層のそれぞれは、別個に、LLDPE、LDPE、又はそれらのブレンドを含む。第2のコア層及び第3のコア層のそれぞれが、別個に、LLDPEを含む実施形態では、LLDPEは、0.930g/cm以下の密度を有することができる。0.930g/cm以下の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、かつ本明細書に開示され、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、下限としての0.870g/cm~上限としての0.928、0.925、0.920、又は0.915g/cmであり得る。0.870~0.930g/cmの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。
【0044】
添加剤
前述の層のいずれかは、当業者に既知の1つ以上の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、スリップ剤、粘着防止剤、帯電防止剤、顔料又は着色剤、加工助剤、架橋触媒、難燃剤、充填剤及び発泡剤などを更に含むことができると理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、第1の外層及び第2の外層はそれぞれ、粘着防止剤を含む。
【0045】
多層フィルム
本明細書に開示の多層フィルムは、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知の技術を使用して製造することができる。例えば、多層フィルムは、共押出しによって生産することができる。共押出し多層フィルムの形成は当技術分野で知られており、本開示に適用可能である。多層フィルムを作製するための共押出しシステムは、共通のダイアセンブリに供給する少なくとも2つの押出機を使用する。押出機の数は、共押出フィルムを構成する異なる材料又はポリマーの数に依存する。例えば、5層の共押出には、最大で5つの押出機が必要になる場合があるが、2つ以上の層が同じ材料又はポリマーで作製されている場合は、使用する押出機は少なくなり得る。
【0046】
本発明の多層フィルムは、様々な実施形態では、いくつかの望ましい特性を有することができる。いかなる理論にも束縛されるものではないが、特定のエチレン系コポリマーを含む薄いコア層を含む、多層フィルムの特定の構造は、結果として、高い引裂抵抗特性を有する多層フィルムをもたらすことができる。いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、少なくとも2000g(又は少なくとも2200g、又は少なくとも2400g、又は少なくとも2600g、又は少なくとも2800g、又は少なくとも3000g)、又は2000g~4000g、2400g~3900g、2800g~3800g、又は3000g~3700gの範囲内の機械方向引裂抵抗を有する。機械方向引裂抵抗はまた、多層フィルムの厚さ(μm)あたりのグラム数単位で表現することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、少なくとも20.0g/μm(又は少なくとも22.0g/μm、又は少なくとも24.0g/μm、又は少なくとも26.0g/μm、又は少なくとも28.0g/μm、又は少なくとも30.0g/μm)、又は20.0~40.0g/μm、24.0~39.0g/μm、28.0~38.0g/μm、又は30.0~37.0g/μmの範囲内の機械方向引裂抵抗を有する。機械方向引裂抵抗は、ASTMのD1922-09に従って測定することができる。
【0047】
同様に、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、少なくとも2500g(又は少なくとも2600g、又は少なくとも2800g、又は少なくとも3000g、又は少なくとも3200g、又は少なくとも3300g、又は少なくとも3400g)、又は2500g~4000g、2800g~4000g、3000g~4000g、又は3200g~4000gの範囲内の横方向引裂抵抗を有する。横方向引裂抵抗は、多層フィルムの厚さ(μm)あたりのグラム数単位で表現することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、25.0g/μm(又は少なくとも27.0g/μm、又は少なくとも29.0g/μm、又は少なくとも31.0g/μm、又は少なくとも32.0g/μm、又は少なくとも33.0g/μm、又は少なくとも34.0g/μm)、又は25.0~40.0g/μm、28.0~40.0g/μm、30.0~40.0g/μm、又は32.0~40.0g/μmの範囲内の横方向引裂抵抗を有する。横方向引裂抵抗は、ASTMのD1922-09に従って測定することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、700グラム超又は725グラム超のダート衝撃を有し、ダート衝撃は、ASTMのD1709-16aに従って測定される。
【0049】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、50~150ミクロン、あるいは75~125ミクロン、あるいは90~110ミクロンの厚さを有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、多層フィルムの全重量に基づいて95重量%超のエチレン系ポリマー、又は99重量%超のエチレン系ポリマー、又は99.5重量%超のエチレン系ポリマー、又は99.9重量%超のエチレン系ポリマーを含む。いくつかの実施形態における多層フィルムは、90重量%超のエチレン系ポリマーを含むため、それらは、ポリエチレンリサイクル流と適合し得る。
【0051】
物品
本発明の実施形態は、本明細書に記載の本発明の多層フィルムのいずれかを含む物品も提供する。そのような物品の例としては、ラップ、包装、可撓性包装、パウチ、及びサシェが挙げられ得る。例えば、一実施形態では、本発明の多層フィルムは、頑丈な輸送袋である。本発明の物品は、本明細書の教示を考慮して当業者に既知の技法を使用して、本明細書に開示される多層フィルムから形成することができる。
【0052】
試験方法
密度
密度は、ASTMのD792にしたがって測定し、グラム/cm(g/cm又はg/cc)で表す。
【0053】
メルトインデックス(I及びI10
メルトインデックス(I)を2.16kg、190℃で、ASTMのD-1238に従って測定する。値を10分当たりに溶出されたグラム数に対応するg/10分を単位として報告する。
【0054】
横方向(CD)及び機械方向(MD)の引裂抵抗
実施例の多層フィルムの引裂抵抗が、ASTMのD1922-09にしたがって、機械方向(MD)及び横方向(CD)の両方で測定される。ASTMのD1922-09規格は、引裂きが開始された後、指定された長さのプラスチックフィルムを通した機械方向及び横方向での引裂きを伝播させる平均力を判定する。
【0055】
ダート衝撃
ダート衝撃は、ISO7765-1、自由落下ダート試験方法によるプラスチックフィルムの耐衝撃性の決定のための標準試験方法の方法Aにしたがって測定する。方法Aは、0.66m±0.01mの高さから落下させた、38mm±1mm直径の半球ヘッドのダートを使用する。この試験方法は、そのフィルムを破壊するために約0.05kg~約2kgの質量を必要とする耐衝撃性を有するフィルムに使用できる。結果はグラム(g)で表される。
【実施例
【0056】
以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0057】
表1に示される原材料は、以下に論じられる本発明のフィルム及び比較例のフィルムを調製するために使用される。別段記載がある場合を除き、各樹脂は、The Dow Chemical Companyから市販されている。
【0058】
【表1】

LyondellBasell社から市販
【0059】
3層の多層フィルム及び9層の多層フィルムは、上記の材料を用いて形成される。3層の多層フィルムは、Collin共押出しインフレーションフィルムライン上で、3.5のブローアップ比(Blow-up Ratio、BUR)、及び100μmの全厚で生産される。Collin共押出しインフレーションフィルムラインは、Collin Lab&Pilot Solutions GmbHによって生産される。Collin共押出インフレーションフィルムラインは、表4に記載の多層フィルムを調製するために、以下の表2に示すように構成されている。
【0060】
表5の9層多層フィルムは、9層Windmoller & Holscher VAREX IIインフレーションフィルムラインで、200kg/時間の生産速度で、2.1のBURで製造される。表5の多層フィルムは100μmで製造された。表5に提供されているすべてのパーセント(%)値は、各層の総重量に基づく重量パーセントである。Windmoller&Holscher VAREX IIインフレーションフィルムラインは、Windmoller&Holscher Corporationによって製造されている。それは、9つの別個の押出機(A~I)からなり、以下の表3に示されるように構成される。
【0061】
表4は、共押出しされた3層の多層フィルム(A/B/A)の構造を報告する。3層フィルムは、第1の外層(45ミクロン)、コア層(10ミクロン)、及び第2の外層(45ミクロン)を有する、100ミクロンフィルム(45/10/45)である。表5は、共押出された9層の多層フィルム(A/B/C/D/E/F/G/H/I)の構造を報告する。9層のフィルムは、100ミクロンフィルム(27/10/5.5/5.5/4/5.5/5.5/10/27)である。
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
【表5】
【0066】
機械方向(MD)の引裂抵抗、横方向(CD)の引裂抵抗と、ダート衝撃とを、比較例及び本発明のフィルムのそれぞれについて測定する。結果を、以下の表6に報告する。結果から分かるように、本発明のフィルムは、比較例のフィルムよりも、驚くほど改善されたCD引裂抵抗及びMD抵抗を示す。本発明のフィルムのダート衝撃もまた、比較例のフィルムと比較して、改善又は維持されており、望ましい。本発明のフィルムは全て、ポリエチレンリサイクル流に望ましいエチレン系ポリマーを含む。本発明のフィルムは、エチレン/ブチルアクリレートコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/メチルアクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマーからなる群から選択されるエチレン系コポリマーの薄いコア層を含む。薄いコア層(例えば、本発明の3層フィルム用のフィルムの10%)を有するこのフィルム構造は、フィルム中のエチレン系コポリマーの薄層の押出成形によって得ることができる優れた引裂抵抗特性の驚くべき結果を示す。
【0067】
【表6】
【0068】
存在する場合、あらゆる相互参照されるか又は関連する特許又は出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張するあらゆる特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文献は、明示的に除外されるか、又は別段限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。あらゆる文献の引用は、それが本明細書に開示若しくは特許請求されたあらゆる発明に関する先行技術であること、又はそれ単独で、若しくはあらゆる他の参考文献とのあらゆる組み合わせで、そのような発明を教示、示唆、若しくは開示することを認めるものではない。更に、本文書における任意の用語の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書における同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合は、本文書においてその用語に割り当てられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0069】
本発明の特定の実施形態を例示し、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行い得ることは当業者には明らかであろう。そのため、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にあるそのような変更及び修正を全て網羅することが意図されている。
【国際調査報告】