(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】データセンタにおける冷却冗長性のためのデッキ構造
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20250123BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20250123BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
G06F1/20 D
G06F1/20 A
G06F1/20 B
G06F1/20 C
G06F1/16 312
H05K7/20 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543400
(86)(22)【出願日】2023-01-26
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 US2023061406
(87)【国際公開番号】W WO2023147441
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523411134
【氏名又は名称】インテグラ ミッション クリティカル,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Integra Mission Critical, LLC
【住所又は居所原語表記】17000 Dallas Pkwy, Ste 200, Dallas, Texas 75248, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ムシッリ、ジョン エー.ジュニア
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AB10
5E322BA05
5E322BB03
5E322BB05
5E322DA01
5E322DA02
5E322DA04
5E322EA05
5E322EA11
5E322FA01
(57)【要約】
システムは、データホール(110)に直列に配置された複数のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)(114a~114c)であって、各MHACUは前記データホールの複数のサーバ(112)を冷却するように構成され、前記サーバは前記データホールの複数の格納モジュール(802a~802d)に配置され、各格納モジュールはホットアイル(803)を含む、複数のMHACUを含む。システムは、また、複数のデッキ(804a~804b)であって、各々は複数の前記格納モジュールのうちの少なくとも2つの前記ホットアイルに接続され、加熱空気が前記ホットアイルの間を流れることを可能にするように構成された、複数のデッキを含む。システムは、また、複数の前記MHACUに冷却流体を供給するように構成されたポンプパッケージ(120)を含む。システムは、また、複数の前記MHACUの各々において、空気スループット、放出空気温度、及び放出流体温度のうちの少なくとも1つを制御して、複数の前記格納モジュールのうちの異なる格納モジュールの冷却レベルをカスタマイズするように構成された、少なくとも1つのコンピューティングデバイス(140)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データホール(110)に直列に配置された複数のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)(114a~114c)であって、各MHACUは前記データホールの複数のサーバ(112)を冷却するように構成され、前記サーバは前記データホールの複数の格納モジュール(802a~802d)に配置され、各格納モジュールはホットアイル(803)を含む、複数のMHACUと、
複数のデッキ(804a~804b)であって、各々は複数の前記格納モジュールのうちの少なくとも2つの前記ホットアイルに接続され、加熱空気が前記ホットアイルの間を流れることを可能にするように構成された、複数のデッキと、
複数の前記MHACUに冷却流体を供給するように構成されたポンプパッケージ(120)と、
複数の前記MHACUの各々において、空気スループット、放出空気温度、及び放出流体温度のうちの少なくとも1つを制御して、複数の前記格納モジュールのうちの異なる格納モジュールの冷却レベルをカスタマイズするように構成された、少なくとも1つのコンピューティングデバイス(140)と、
を含む、
システム(100)。
【請求項2】
複数の前記デッキの各々は複数のメッシュ壁を含み、
各メッシュ壁は前記デッキと少なくとも2つの前記格納モジュールのうちの1つ以上との間に配置され、
各メッシュ壁は前記加熱空気が前記メッシュ壁を通って流れることを可能にする一方で、前記メッシュ壁により人員の移動を制限するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のデッキの各々は、少なくとも1つの中実壁と、少なくとも1つのドアとをさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
複数の前記MHACUのうちの第1MHACUの前記冷却流体の温度を測定するように構成された第1温度センサ(311a)と、
複数の前記MHACUのうちの第2MHACUの前記冷却流体の温度を測定するように構成された第2温度センサ(311b)と、
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1MHACUに配置された少なくとも1つのコイル(206)であって、前記冷却流体が少なくとも1つの前記コイルを通って運ばれ、前記加熱空気が少なくとも1つの前記コイルを通過する間に、少なくとも1つの前記コイルは、前記加熱空気から前記冷却流体に熱エネルギを伝達するように構成されている、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記加熱空気は、複数の前記サーバによって加熱され、複数の前記サーバから前記第1MHACUに流れる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
複数の前記MHACUの各々は、複数の前記サーバの上方、後方、または前方に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
複数の前記サーバのうちの少なくとも1つに近接して、またはその内部に配置され、少なくとも1つの前記コンピューティングデバイスに通信可能に接続された1つまたは複数の機器センサ(214)をさらに含み、
1つまたは複数の前記機器センサは、複数の前記サーバの1つまたは複数の特性を測定するように構成され、
1つまたは複数の前記機器センサは、電力センサ、熱センサ、ファン速度センサ、及びCPUセンサのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの前記コンピューティングデバイスは、
複数の前記MHACUのうちの第1MHACU(114a)の前記冷却流体の温度が、所定の最高温度未満である第1温度まで上昇したことを判定し、
前記第1MHACUの前記冷却流体の前記温度が前記第1温度まで上昇したという判定に応答して、複数の前記MHACUのうちの第2MHACU(114b)に前記冷却流体の少なくとも一部分を供給するように前記システムを制御し、
前記第2MHACUの前記冷却流体の温度が、少なくとも前記所定の最高温度である第2温度まで上昇したことを判定し、
前記第2MHACUの前記冷却流体の前記温度が前記第2温度まで上昇したという判定に応答して、前記ポンプパッケージに戻すために、前記冷却流体を流体戻りライン(304)に提供するように前記システムを制御する、
ようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも1つの前記コンピューティングデバイスは、
複数の前記サーバの電力需要に基づいて熱負荷を計算し、
計算された前記熱負荷を使用して、前記データホールの異なる部分におけるカスタマイズされた前記冷却レベルを決定する、
ようにさらに構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記戻り流体ラインは、複数の前記MHACUと前記ポンプパッケージとの間に流体的に結合された少なくとも1つの浸漬タンク(145)を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記ポンプパッケージを介して複数の前記MHACUから加熱流体を受け取り、
前記加熱流体を冷却して冷却流体を形成し、
前記冷却流体を前記ポンプパッケージに出すように構成された、
流体冷却器(130)をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
流体供給ライン(302)を介して、データホール(110)に直列に配列された複数のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)(114a~114c)の内の第1MHACU(114a)に、ポンプパッケージ(120)から、冷却流体を提供し(730)、
各MHACUが前記データホールの複数のサーバ(112)を冷却するように構成され、
前記サーバが前記データホールの複数の格納モジュール(802a~802d)に配置され、
各格納モジュールがホットアイル(803)を含み、
前記ホットアイルの少なくともいくつかが、前記ホットアイルの少なくともいくつかの間を加熱空気が流れるように、複数のデッキ(804a~804b)を介して接続され、
前記第1MHACUの前記冷却流体の温度が、所定の最高温度未満である第1温度まで上昇したことを判定し(705)、
前記第1MHACUの前記冷却流体の前記温度が前記第1温度まで上昇したとの判定に応答して、複数の前記MHACUのうちの第2MHACUに前記冷却流体の少なくとも一部分を提供し(707)、
前記第2MHACUの前記冷却流体の前記温度が少なくとも前記所定の最高温度である第2温度まで上昇したことを判定し(709)、
前記第2MHACUの前記冷却流体の前記温度が前記第2温度まで上昇したとの判定に応答して、前記ポンプパッケージに戻すために、前記冷却流体を流体戻りライン(304)に提供する(711)、
ことを含む、方法。
【請求項14】
複数の前記デッキの各々は複数のメッシュ壁を含み、
各メッシュ壁は前記デッキと少なくともいくつかの前記ホットアイルのうちの1つまたは複数との間に配置され、
各メッシュ壁は、前記加熱空気が前記メッシュ壁を通って流れることを可能にする一方で、前記メッシュ壁を通る人員の移動を制限するように構成されている、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数の前記デッキの各々が、少なくとも1つの中実壁および少なくとも1つのドアをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は冷却システムに関し、特に、データセンタにおける冷却冗長性のためのデッキ(vestibule)構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コロケーションデータセンタは通常、多様な顧客要求に対応するために、空間利用における柔軟性を必要とする。たとえば、一部のコロケーションデータセンタでは、ASHRAE(American Society of Heating、Refrigerating、and Air-Conditioning Engineers)の許容顧客とASHRAE推奨顧客の両方に空間を提供するための設備が必要である。多くのデータセンタプロバイダは、冷却のためにデータホールに直接の外気または液体が供給されない閉鎖システムを好む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、データセンタにおける冷却冗長性のためのデッキ(vestibule)構造を提供する。
【0004】
第1態様では、システムは、データホールに直列に配置された複数のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)であって、各MHACUは前記データホールの複数のサーバを冷却するように構成され、前記サーバは前記データホールの複数の格納モジュールに配置され、各格納モジュールはホットアイル(803)を含む、複数のMHACUを含む。システムは、また、複数のデッキであって、各々は複数の前記格納モジュールのうちの少なくとも2つの前記ホットアイルに接続され、加熱空気が前記ホットアイルの間を流れることを可能にするように構成された、複数のデッキを含む。システムは、また、複数の前記MHACUに冷却流体を供給するように構成されたポンプパッケージを含む。システムは、また、複数の前記MHACUの各々において、空気スループット、放出空気温度、及び放出流体温度のうちの少なくとも1つを制御して、複数の前記格納モジュールのうちの異なる格納モジュールの冷却レベルをカスタマイズするように構成された、少なくとも1つのコンピューティングデバイスを含む。
【0005】
第2の実施形態では、方法は、流体供給ラインを介して、データホールに直列に配列された複数のMHACUの内の第1モジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)に、ポンプパッケージから、冷却流体を提供し、各MHACUが前記データホールの複数のサーバを冷却するように構成され、前記サーバが前記データホールの複数の格納モジュールに配置され、各格納モジュールがホットアイルを含み、前記ホットアイルの少なくともいくつかが、前記ホットアイルの少なくともいくつかの間を加熱空気が流れるように、複数のデッキを介して接続されている。方法は、また、前記第1MHACUの前記冷却流体の温度が、所定の最高温度未満である第1温度まで上昇したことを判定する。方法は、また、前記第1MHACUの前記冷却流体の前記温度が前記第1温度まで上昇したとの判定に応答して、複数の前記MHACUのうちの第2MHACUに前記冷却流体の少なくとも一部分を提供する。方法は、また、前記第2MHACUの前記冷却流体の前記温度が少なくとも前記所定の最高温度である第2温度まで上昇したことを判定する。方法は、また、前記第2MHACUの前記冷却流体の前記温度が前記第2温度まで上昇したとの判定に応答して、前記ポンプパッケージに戻すために、前記冷却流体を流体戻りライン(304)に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本開示によるデータセンタを冷却するための例示的な冷却システムを示す。
【
図2】
図2は、本開示によるモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)の一例のさらなる詳細を示す。
【
図3A】
図3Aは、本開示による、流体の増加した熱含有量を通じた排熱の効率を改善するための詳細を図示する。
【
図3B】
図3Bは、本開示による、
図3Aの効率改善技術が使用されるデータホールの平面図を図示する。
【
図4A】
図4Aは、本開示による、異なるレベルの冷却密度を有する例示的なデータホールを図示する。
【
図4B】
図4Bは、本開示による、異なるレベルの冷却密度を有する例示的なデータホールを図示する。
【
図4C】
図4Cは、本開示による、異なるレベルの冷却密度を有する例示的なデータホールを図示する。
【
図5A】
図5Aは、本開示による、1つまたは複数のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)として使用され得る冷却コイルの例示的な設置を図示する。
【
図5B】
図5Bは、本開示による、1つまたは複数のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)として使用され得る冷却コイルの例示的な設置を図示する。
【
図5C】
図5Cは、本開示による、1つまたは複数のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)として使用され得る冷却コイルの例示的な設置を図示する。
【
図5D】
図5Dは、本開示による、1つまたは複数のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)として使用され得る冷却コイルの例示的な設置を図示する。
【
図5E】
図5Eは、本開示による、1つまたは複数のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)として使用され得る冷却コイルの例示的な設置を図示する。
【
図6】
図6は、本発明による冷却システムに使用するためのコンピューティングデバイスの例示図である。
【
図7】
図7は、本開示による
図1の冷却システムを使用する冷却プロセスの一例を示すフローチャートである。
【
図8A】
図8Aは、本開示による、1つまたは複数のデッキを含む例示的なデータホールの異なる図を図示する。
【
図8B】
図8Bは、本開示による、1つまたは複数のデッキを含む例示的なデータホールの異なる図を図示する。
【
図8C】
図8Cは、本開示による、1つまたは複数のデッキを含む例示的なデータホールの異なる図を図示する。
【
図9A】
図9Aは、本開示による、異なる構成の1つまたは複数のデッキを含む別の例示的なデータホールの異なる図を図示する。
【
図9B】
図9Bは、本開示による、異なる構成の1つまたは複数のデッキを含む別の例示的なデータホールの異なる図を図示する。
【
図9C】
図9Cは、本開示による、異なる構成の1つまたは複数のデッキを含む別の例示的なデータホールの異なる図を図示する。
【
図10】
図10は、本開示によるグリッド構成の複数のデッキを含む別の例示的なデータホールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
他の技術的特徴は、以下の図面、説明、および特許請求の範囲から当業者には容易に明らかであり得る。
【0008】
以下に説明する
図1~
図10、および本発明の原理を説明するために使用される様々な実施形態は単に例示のためのものであり、本発明の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。当業者は、本開示の原理が任意の適切に配置されたシステムまたはデバイスにおいて実装され得ることを理解するのであろう。
【0009】
簡単かつ明確にするために、いくつかの特徴および構成要素は、他の図に関連して示されるものを含む、すべての図に明示的に示されていない。図面に示された全ての特徴は、記載された実施形態のいずれかにおいて使用されてもよいことが理解されるのであろう。特定の図からの特徴または構成要素の省略は簡略化および明瞭化の目的のためであり、特徴または構成要素が、その図に関連して説明される実施形態において使用され得ないことを暗示することを意味しない。本開示の実施形態は、本明細書に記載される特徴のうちの任意の1つ、2つ以上、またはすべてを含み得ることが理解されよう。また、本開示の実施形態は、追加または代替として、本明細書に列挙されていない他の特徴を含み得る。
【0010】
上述のように、コロケーションデータセンタは通常、多様な顧客要求に対応するために、空間利用における柔軟性を必要とする。例えば、ASHRAE許容顧客とASHRAE推奨顧客の両方に空間を提供するために、一部のコロケーションデータセンタを装備する必要がある。多くのデータセンタプロバイダは、冷却のためにデータホールに直接の外気または液体が供給されない閉鎖システムを好む。
【0011】
これらおよび他の問題に対処するために、本開示の実施形態は、コロケーションデータセンタと共に使用するための屋内冷却システムを提供する。開示された室内冷却システムは、広範囲の流体温度で動作するように設計されている。開示された実施形態はコンピューティングデバイスラック、コンピューティングデバイス列、コンピューティングデバイス室、又はコンピューティングデバイスシステムの一部又は全体のために、液冷のための流入液温(EFT)、空冷のための所定の給気温度(SAT)の電力及び熱密度に適合するように様々な形状及び高さに構成された冷却コイル及び浸漬装置を含む。このシステム効率は、従来のコロケーションデータセンタ設備で必要とされる長い空気流路を、計算装置から空気処理装置へ、または浸漬中の冷却流体との直接接触を除去することによって、熱負荷付近の熱収集を通して導出することができる。システム効率はまた、冷却コイルのカスタム構成、場所、サイズ、形状、および隆起を介して、空気から流体への伝達、および/または流体から流体への伝達によって収集される熱の量で表すことができる。追加の効率は、液浸冷却システム内で実行される流体から流体への熱伝達によって使用可能なコイルの高い放出流体温度(LFT)、および遠隔熱回収ユーザまたはデータホールの外部の遠隔熱排除プラントに利用可能なより高品質の加熱流体によるさらなる効率に見出すことができる。
【0012】
図1は、本開示によるデータセンタを冷却するための例示的な冷却システム100を示す。
図1に示される冷却システム100の実施形態は、単に例示のためのものである。本開示の範囲から逸脱することなく、冷却システム100の他の実施形態を使用することができる。
【0013】
図1に示すように、冷却システム100は、データホール110と、ポンプパッケージ120と、流体冷却器130と、コンピューティングデバイス140とを備える。
【0014】
データホール110はコロケーションデータセンタの少なくとも一部を表し、サーバラックに配置された複数のサーバ112を収容する密閉空間である。当技術分野で知られているように、サーバ112はデータホール110内の空間を加熱する傾向がある相当量の熱エネルギを生成し、それによって、サーバ112の適切な動作のために、およびデータホール110内の任意の人員の快適さのために、データホール110の温度を適切なレベルに維持するための冷却を必要とする。
【0015】
データホール110は、1つまたは複数のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)114を備える室内冷却システムを含む。MHACU114は、サーバ112の上方、後方、および/または前方に配置され、サーバ112を冷却するように動作可能である。特に、各MHACU114は、データホール110内のサーバラックの上方、後方、および/または前方に取り付けることができる。MHACU114は、異なる形状および大きさに構成され、異なる高さで、異なる配置および組合せで設置され、コンピューティングデバイスのラック、コンピューティングデバイスの列、ルーム、またはコンピューティングデバイス設備のための所定の給気温の電力および熱密度に部分的にまたは全体的に適合することができる。
【0016】
MHACU114はサーバ112から上昇する加熱空気(例えば、ASHRAEが許容される場合は約130°F~140°F、またはASHRAEが推奨される場合は約100°F)を受け取り、加熱空気を冷却空気に冷却し(例えば、ASHRAEが許容される場合は約95°F、またはASHRAEが推奨される場合は約80°F)、冷却空気を出力してサーバ112を冷却することによってサーバ112を冷却する。いくつかの実施形態では、MHACU114によってデータホール110に送達される風量の量がデータホール110に送達される電力の量に依存する。たとえば、MHACU114はデータホール110に送達される1キロワット(1kW)の電力ごとに、80°Fの温度で少なくとも80立方フィート/分(CFM)の空気(または95°Fの温度で少なくとも108CFMの空気)を送達し得る。
【0017】
各MHACU114はモジュール式であり、サーバ112の1つ以上のラックの上方、後方、および/または前方に位置する。
図1は3つのMHACU114を示すが、実施形態に応じて、より多いまたはより少ないものがあってもよい。MHACU114の数は、応用のために容易にスケーリングされ、サーバ112の負荷密度、各MHACU114の冷却能力などに依存する。いくつかの実施形態では各MHACU114が約150kW~700kWの冷却能力を提供することができるが、他の実施形態では他の冷却能力を提供することができる。
【0018】
MHACU114は、熱負荷の近くで熱収集を取り扱うことによって、従来の技法よりもシステム効率を改善する。すなわち、MHACU114は、従来のコロケーションデータセンタ施設で必要とされる長い空気流路をコンピューティングデバイスから空気処理装置へと除去する。また、全体的なシステム効率は、冷却コイルのカスタム構成、場所、サイズ、形状、および隆起を通る空気-流体移送によって収集される熱の量においても対処することができる。さらなる効率は、データホール110の外部の遠隔熱除去プラントへのコイルの高い放出流体温度(LFT)に見ることができる。
【0019】
MHACU114は、広範囲の流体温度で動作するように設計されている。各MHACU114はデータホール110の異なる部分においてリアルタイムで冷却レベルをカスタマイズするために、個別に制御され得る(空気スループット、放出空気温度、放出流体温度などを含む)。例えば、サーバ112のいくつかが、より大きな負荷を生成し、追加の冷却を必要とする場合、それらのサーバ112の近傍の1つまたは複数のMHACU114を制御して、冷却容量を増加させることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、MHACU114が直列に接続され、ポンプパッケージ120に流体的に結合される。これは「シリアルトポロジ」と呼ぶことができ、他の実施形態ではMHACU114が並列に接続することができる。MHACU114への接続点は意図された結果を生み出すために、例えば、空気-流体移動を通して最大量の熱を収集するために、個々に、または並列もしくは直列に、互いに任意の組み合わせで、または特定のグループとして形成され得る。ポンプパッケージ120から受け取った冷却流体(例えば、ASHRAE許容値については約90°F、またはASHRAE推奨値については約75°F)は各MHACU114に流入し、サーバ112からの加熱空気を冷却するために使用される。流体がデータホール110内の熱空気を冷却すると、加熱された流体はポンプパッケージ120に戻る。いくつかの実施形態では、加熱された流体の少なくとも一部が以下でより詳細に説明するように、1つまたは複数の浸漬タンク145に送ることができる。いくつかの実施形態では流体は水であるが、他の適切な流体が使用されてもよく、本開示の範囲内である。
【0021】
いくつかの実施形態では、システム100はまた、1または複数の熱回収ユーザのニーズをサポートするために、下流熱回収で使用するための熱回収熱交換器150を含む。いくつかの実施形態では、浸漬タンク145はまた、下流の熱回収に適したより高品質の熱を生成することができる。この高品質の熱は熱回収熱交換器150に利用可能であり、熱回収ユーザのニーズをサポートする。
【0022】
図2は、本開示によるMHACU114の一例のさらなる詳細を示す。
図2に示すように、MHACU114は、1つ以上の可変速ファン202と、1つ以上の流体バルブ204と、加熱された空気から冷却された流体に熱エネルギを伝達するための少なくとも1つのコイル206とを含む。MHACU114はまた、ファン202の動作および速度、ならびにバルブ204の位置を制御するための少なくとも1つの制御システム208を含む。少なくとも1つの制御システム208は、1つまたは複数の圧力センサ210、温度計または他の温度センサ212、機器センサ214、流体流量センサ(図示せず)などを含む1つまたは複数のセンサに通信可能に結合される。いくつかの実施形態では、温度センサ212が例えば、供給および戻り通路内の空気温度、流入および戻り空気流内の空気温度、供給および戻りライン内の流体温度、コイル206内外の流体温度などを測定することができる。流体流量センサは、直接流体接触センサ、パイプ表面接触センサ、赤外線センサなどを含むことができる。センサのタイプおよび数は、特定の流体の流れ、空気の流れ、流体の圧力、空気の圧力、所定の流体の熱量、所定の空気量の熱量、相対湿度などを方向付けるようにカスタマイズすることができる。圧力センサ210は、供給空気通路と戻り空気通路との間の圧力差、コイル206への入出力における流体圧力などを測定することができる。他のセンサは、気流内の気流速度を測定するための1つ以上の風速計、または1つ以上の超音波流体流センサを含むことができる。
【0023】
バルブ204は、MHACU114内およびその周囲の流体の流れを制御するための任意の適切な組合せの任意の適切なバルブを含むことができる。バルブ204の例は、2方向制御バルブ、3方向制御バルブ、4方向制御バルブ、6方向制御バルブ、バランスバルブ、アクチュエータ制御バルブ、熱制御バルブ、流量制御バルブ、圧力制御バルブ、及び補償バルブを含むことができる(がこれらに限定されない)。
【0024】
いくつかの実施形態では、それぞれの送風機202が個別に、またはコンピューティングデバイスを支持する1つ以上の属性と組み合わされて、高温戻り空気通路と冷熱供給空気通路との間の適切な空気供給量、空気温、または静圧差を維持するために、特定の固定値に動的に制御または設定され得る。一般に、センサから制御システム208に送信されるデータは個々に、または任意の組み合わせで、データセンタの電力効率、冷却効率を改善するために、または個々のラック、列、ルーム、または現場の冷却負荷需要に対するリアルタイム応答を通して総水消費量を低減するために使用することができる。例えば、コンピューティングデバイス電力は、コンピューティングデバイスの電力需要から計算される実際の熱負荷に基づいて提供されるクーリング供給と一致させることができる。コンピューティングデバイスの発熱量のみを冷却することで、冷却効率を向上させることができる。総水消費量は、冷却塔または断熱冷却スプレー冷却溶液を介して過圧送せず、ドリフトおよび表面蒸発からの水損失を維持することによって低減することができる。コンピューティングデバイス流入気温(EAT)の効果的な制御とコイル放出流体温度(LFT)の制御は直近のラック、列、ルーム、または現場の正確な冷却要求に適合するように、センサインプットおよびプログラムされた演算によって構成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、機器センサ214がコンピューティング機器の特性またはパラメータを検出または測定するために、データホール110内のコンピューティング機器(例えば、サーバ112)において、またはその周囲で使用される遠隔センサである。例えば、機器センサ214はコンピュータ機器によって使用される電力を測定するために、コンピューティングデバイス、サーバ、またはネットワーク機器に埋め込まれたオンボード電力センサを含むことができる。別の実施形態として、機器センサ214はコンピューティングデバイス、サーバ、またはネットワーク機器に埋め込まれたオンボード熱センサまたはファン速度センサを含むことができ、コンピュータ機器によって生成された熱または機器の現在のファン速度を測定する。さらに別の例として、機器センサ214は、サーバ112のCPUまたはハッシュレート利用率を測定するためのオンボードセンサを含むことができる。これらの測定値は、冷却を制御するために制御システム208に提供することができる。いくつかの実施形態では、ルームレベルの熱センサを使用して、ローカルコイル制御を無効にして、グローバル(全体的なデータセンタ空間)の熱要件を満たすことができる。いくつかの実施形態では、室内レベルの静圧センサを使用して、局所コイル制御を無効にして、供給空気通路の全体的な正圧要件を満たすことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、機器センサ214によって収集された測定値を熱負荷プロキシとして使用することができる。以下で説明するように、電力出力および既知の場所のリアルタイム監視および収集を通じて、熱負荷値は、装置、ラック、列、ルーム、建物、またはサイトなどの個別の領域について計算することができる。
【0027】
以下は、熱負荷の代わりとして使用することができる電力測定の例である。
●デバイスレベル:POC(point of connection)センシング出力を持つ電源タップ。
●ラックレベル:単一ラック内のデバイスをサポートするローカル電源タップの電源センサ。
●ラックレベル:特定のラックを直接支持する、個別の電力計量されたまたは監視されたバスウェイ電気タップまたはサーキットブレーカ。
●列レベル:バスウェイ入力電力検知メータ、または列レベル電力分配をサポートする電気分岐回路の個々の計測。
●室内レベル:データセンタの配電盤、サーキットブレーカ、メータリングセンサ、またはパネルのサーキットボードメータリングからの電源センサ入力。
●建物レベル:データセンタ装置の重大な負荷をサポートするデータセンタ配電基板および/または配電回路遮断器からの電力センサ入力。
●現場レベル:コンピューティングデバイスがサポートされている個々のビルへの現場レベルのサブステーションアウトプットブレーカの電力センサ監視。
【0028】
いくつかの実施形態では、制御をデータセンタインフラストラクチャ管理(DCIM)技法を使用して容易にすることができる。当技術分野で知られているように、DCIMは、コンピューティングデバイスまたはデータセンタインフラストラクチャの電力および冷却のマイクロコントローラおよびマクロ管理のための処理、プロシージャ、制御入力、および制御アウトプットを記述するために使用することができる。DCIM技法は、コンピューティングデバイスからの個々のまたは集合的なインプット、電力および/または冷却需要の計算機器ラックレベルの集約、列レベルで集約されたコンピューティングデバイス電力または冷却需要、ルームレベルでのデバイス電力または冷却需要の集約、デバイス電力または冷却需要のビルレベルの集約、デバイス電力および冷却の現場レベルの需要などを考慮に入れることができる。
【0029】
熱エネルギが空気から冷却された流体に伝達され、それによって流体が加熱されると、加熱された流体(例えば、ASHRAEが許容される場合は約120°F、ASHRAEが推奨される場合は約90.3°F)が、各MHACU114からポンプパッケージ120に戻って出力され、流体に蓄えられた熱を排除するために流体冷却器130に送達される。コイル206からの放出流体温度(LFT)は、バルブ204の位置、および/またはファン202の速度およびコイル206からの退出空気温度によって生じる空気量によって制御することができる。いくつかの実施形態では制御系208(コンピューティングデバイス140の一部であるか、またはそれを含むことができる)はファン空気容積および冷却流体流量の両方を変化させることによって、冷却空気の温度(MHACU114を出てコールドアイルに入る)および加熱流体の温度(MHACU114を出る)を同時に制御する。
【0030】
図3Aは、本開示による、流体の熱含有量の増加を通じた排熱の効率を改善するための詳細を図示する。従来の産業の実践はデータセンタ内の計算作業負荷の矛盾した熱排除、冷却された供給流体の熱コンテンツの熱排除システムへの(例えば、異なる温度の流体の流れの組み合わせからの)熱希釈、および/またはエンドユーザまたはコンピューティング機器製造業者によって規定された混合供給空気温度に起因する低供給流体温度のために、比較的高い流体温度を熱排除システムで増加および/または、熱排除システムに戻すのに非効率的である。一般に、低い供給流体開始温度は、比較的低い戻り流体温度をもたらす。例えば、いくつかの従来のシステムは、約60°F~75°Fの温度で加熱された戻り流体を示す。システム設計が受け入れることができる最高流体温度(例えば、いくつかの空冷システムでは約120°F)で、排熱システムを出る加熱流体を戻すことができるとき、著しい熱伝達および電力効率の向上を実現することができる。すなわち、冷却された供給流体と加熱された戻り流体との間の温度差(デルタT)が大きいほど、排熱プラントおよび装置の効率は高くなる。
図3Aに示される詳細は、これらの問題に対する少なくとも1つの解決策を提供する。
【0031】
図3Aに示すように、複数のMHACU114(ここでは114a~114cで識別される)は、データホール110内で互いに流体結合される。
図3Aは3つのMHACU114a~114cを示しているが、実施形態に応じて、より多いまたはより少ないものがあってもよい。MHACU114a~114cに供給される流体は、流体供給ライン302を介してポンプパッケージ120から受け取られる。ポンプパッケージ120に戻されるべき加熱された流体は、流体戻りライン304を介して運ばれる。各MHACU114a~114cは、温度センサ311a~311cおよび流体制御バルブ321a~321cに関連付けられる。
【0032】
最初に、ポンプパッケージ120からの冷却された供給流体の一部または全部が、第1のMHACU114aに入力される。流体はMHACU114a内の1つまたは複数のコイル206を通って移動し、データホール110の空気から熱エネルギを吸収する。これは、(温度センサ311aによって測定される)流体の温度上昇を引き起こす。流体温度が所定の最大値(例えば、120°F)まで上昇するほど多くの熱エネルギがMHACU114aによって吸収される場合、制御バルブ321aは、全ての流体を流体戻りライン304に戻すように制御される。代替的に、より少ない熱エネルギ伝達があり、流体温度が最大値よりも低い温度(例えば、75°F)まで上昇する場合、制御バルブ321aは、流体の少なくとも一部を第2のMHACU114bに供給するように制御される。
【0033】
第2のMHACU114bでは、流体が1つまたは複数のコイル206を通って移動し、データホール110の空気から熱エネルギを吸収する。これは、(温度センサ311bによって測定される)流体の温度上昇を引き起こす。MHACU114bが流体温度を最大に上昇させるのに十分な熱エネルギを吸収する場合、制御バルブ321bは、すべての流体を流体戻りライン304に戻すように制御される。あるいはより少ない熱エネルギ伝達があり、流体温度がより低い温度(例えば、90°F)まで上昇する場合、制御バルブ321bは流体の少なくとも一部を第3のMHACU114cに提供するように制御される。このシリアルフロープロセスは、最大流体温度に達するまで、またはシリーズ内にそれ以上MHACUがなくなるまで継続する。いくつかの実施形態では流体が流体戻りライン304を通って戻り、制御バルブ321dの位置に従って、1つまたは複数の浸漬タンク352に入るか、または迂回し、これは浸漬タンク352を通して流体の一部または全部をルーティングするか、またはポンプパッケージ120への途中で浸漬タンク352を迂回することができる。浸漬タンク352は、
図1の浸漬タンク145を表す(または表す)ことができる。
【0034】
図3Aに示されるような冷却流体の連続加熱は、上述の任意のまたはすべてのセンサの入力測定値を使用して可能にすることができる。センサ入力は以下を含む様々な構成要素を制御するために、所定の計算、アルゴリズム、および設計プロトコルとともに使用することができる。
●個々のコイル、列、ルーム、および/または部位における流体流量。
●個々のコイル、列、ルーム、および/または部位における流体熱放出制御点率。
●個々のコイル、列、および/またはルームでのファン速度。
●個々のコイル、列、および/またはルームのためのシステムまたは個々の流体圧力。
●列および/またはルームレベルでのシステムまたは個々の空気圧設定。
●列、ルーム、および/または現場レベルでのポンプ速度。
●コイル、列、および/またはルームレベルでの流体混合比。
【0035】
いくつかの実施形態では、
図3Aに示されるような冷却流体の連続加熱が例えば、浸漬タンク352を使用するデータセンタ浸漬冷却、データセンタ直接ラック液体冷却、地域加熱、熱回収熱交換器150を使用する1または複数の熱回収ユーザへの熱回収などのために、流入流体温度(EFT)を直接支持することができる。
【0036】
図3Bは、本開示による、
図3Aの効率改善技法が使用されるデータホール350の平面図を図示する。データホール350は、
図1のデータホール110を表すことができる。
図3Bに示されるように、データホール350を横切って、流体に直列の熱利得がある(すなわち、流体の温度がより低温からより高温に上昇する)。これは、異なる冷却要件を有し得るデータホール350内の可能なゾーンに対応する。いくつかの実施形態では、データホール350が浸漬タンク352のうちの1つまたは複数を含む。浸漬タンク352は120°Fを超える高い流入流体温度(EFT)を受け入れ、150°Fを超える流出流体温度(LFT)を生成することができ、流体戻りライン304の構成要素の全体または一部であってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、MHACU114のうちの1つまたは複数がいかなるエアフィルタも含まない。代わりに、MHACU114は空気を清浄にするために、専用の屋外空気システム(DOAS)加圧ユニットに依存することができる。
【0038】
データホール110におけるMHACU114の使用は、既存のソリューションよりも多くの有利な利点を提供する。MHACUは、サーバラックの上方および/または後方または前方に取り付けられるので、床面積はほとんどまたは全く必要とされない。また、床にダクト工事を必要とせず、床上げの必要性が軽減される。これにより、インフラストラクチャのコストが削減される。MHACU114は、ダクト仕事損失がなく、床下分配損失がなく、フィルタ圧力損失がないため、既存の解決策よりも少ないエネルギを使用する。MHACU114は、ラックと負荷密度の柔軟性を提供するモジュラデザインを提供する。各MHACU114の局所制御は、サーバラック空気入口に対して均一な温度で冷却された空気を確実にするのに役立つ。
【0039】
流体冷却器130は、ポンプパッケージ120を介してデータホール110内のMHACU114から加熱された流体を受け取る。流体冷却器130はマルチコイル熱交換器システムを使用して加熱された流体を冷却し、冷却された流体をポンプパッケージ120に出力して、データホール110内のMHACU114に送達する。流体冷却器130は限定されるものではないが、熱交換器を通ってルーティングされた開ループ蒸発冷却塔または表面水などの任意の適切な熱除去装置または特徴を含み、データホール冷却システムを外部汚染物、閉回路冷却塔、閉ループ断熱冷却、空冷式冷却装置、従来の冷却装置システムなどから隔離することができる。
図1は1つの流体冷却器130を有する冷却システム100を示しているが、これは一例に過ぎない。他の実施形態では、冷却システム100が各々が隔離された流れを有する複数の流体冷却器130を含むことができる。さらなる実施形態では、冷却システム100が冗長性のために組み合わされた流れを有する複数の流体冷却器130を含むことができる。さらに他の実施形態では、冷却システム100が複数のデータホール110を冷却するための組み合わせ流を有する複数の流体冷却器130を含むことができ、したがって、より低いコストで冗長性を高めることができる。
【0040】
上述のように、冷却システム100は、冷却システム100の動作を制御するための1つ以上のコンピューティングデバイス140を含む。いくつかの実施形態では、それぞれのコンピューティングデバイス140が人物または企業などの第三者によって運営されるサービスであってもよい。それぞれのコンピューティングデバイス140は、冷却システム100の残りの部分が位置する場所とは別の場所に収容され、操作されてもよい。すなわち、それぞれのコンピューティングデバイス140は、特定の位置にバインドされない。
【0041】
図4A~
図4Cは、本開示による、異なるレベルの冷却密度を有する例示的なデータホール110を示す。特に、
図4Aは低密度冷却(例えば、ラック当たり約3kW~9kW)を有するデータホール110を示し、
図4Bは中密度冷却(例えば、ラック当たり約15kW~20kW)を有するデータホール110を示し、
図4Cは高密度冷却(例えば、ラック当たり約30kW~50kW)を有するデータホール110を示す。
図4A~
図4Cに示すように、各データホールの上方に配置されるMHACU114の数を増やすことで、冷却密度を高めることができる。
図4A~
図4Cでは、MHACU114が上下逆「V」に類似する形状を有するものとして示されている。しかしながら、これは一例に過ぎず、他の実施形態では、MHACU114が任意の他の適切な形状を有することができる。たとえば、MHACU114のうちの1つまたは複数は、右側が上向きの「V」形状、「U」または「W」形状(右側が上向きまたは上下が上向きのいずれか)、コーン形状(グレードに対して凹状または凸状のいずれか)、またはグレードに対して平行な平らなコイル面、またはグレードに対して垂直な平らなコイルを有し得る。平坦なコイル形状を有する実施形態では、コイルがグレードに対して垂直な位置にあり、データセンタ機器ラックのすぐ後ろまたは前にあり、空気から流体への転送を通してかなりの熱を収集する効率的かつ効果的な方法である。そのようなコイルは、独立して、またはオーバーヘッドコイルと組み合わせて使用することができる。
【0042】
上述のように、MHACU114は、異なる形状および大きさに構成され、異なる高さで、異なる配置および組合せで設置され、コンピューティングデバイスのラック、コンピューティングデバイス列、ルーム、またはコンピューティングデバイス設備のための所定の給気温の電力および熱密度に部分的にまたは全体的に適合することができる。例えば、MHACU114はホットアイルの中心を下る単一のファイル構成でラックの背面に平行に、ラックの背面に平行な二重経路で、ラックの背面に垂直に、通路の各側面上のラックのフットプリントの上部に侵入するように、またはこれらの任意の組み合わせで、頭上に設置することができる。いくつかの実施形態では、MHACU114がローリングまたは可動パネル構成として、ラックの背面に隣接する表面に取り付けられてもよい。加えて、MHACU114を取り付けるための取付フレームは、以下の特徴のうちの任意の1つまたは複数を含むことができる:高さ調整可能フレーム、フロアによって支持される支持フレーム、支持フレームヒンジ、支持フレームローラ、上から任意の適切な構造に吊り下げられた支持フレーム、取り付けツールバーを有するフレーム、プラグアンドプレイ照明を有するフレーム、プラグアンドプレイ制御およびセンサを有するフレーム、冷却剤および電力分配フレームマウント、冷却剤および電力分配プラグアンドプレイ接続、ならびに0.33インチ水柱(wc)で例えば2%以下の空気バイパスで密閉されたフレームおよび筐体。
【0043】
図5A~
図5Eは、本開示によるMHACU114として使用することができる冷却コイル500の例示的な設置を示す。特に、
図5A~
図5Eに示される実施形態では、コイル500が頭上ではなく、機器ラックの後ろまたは前に配置される。
図5Dに示されるように、コイル500が機器ラックの後ろにあるとき、入ってくる空気は、冷却されている機器から直接来る。コイル500が機器ラックの前にあるとき、入ってくる空気は、調整されず、ルームもしくは空間の内側のどこからでも、またはルームもしくは建物の外側の周囲空気から来ることができる。コイル500はバイパス配置(例えば、
図5C参照)、ヒンジ、または外向きに揺動(例えば、
図5A参照)、または機器ラックの背後で折り畳み(例えば、大折りまたはアコーディオンスタイル)(例えば、
図5B参照)することができる。いくつかの実施形態では、コイル500がMHACU114と同じ供給流体制御および戻り流体特徴を使用することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、コイル500が幅において1つのデータセンタ機器ラックより大きい。いくつかの実施形態ではコイル500が任意のデータセンタ機器ラッキングの支持を必要としないが、設計またはユーザによって規定される場合、機器ラッキングに接触し得る。いくつかの実施形態では、コイル500が床または床システムと接触するトラックおよび/またはローラ上に支持され得る。いくつかの実施形態では、コイル500が頭上から建物構造物に吊るすことができる。いくつかの実施形態では、コイル500がオーバヘッドまたはグレード(例えば、
図5Eを参照)から支持されるカスタム取り付けフレームまたはブラケットによって支持され得る。これは、床面積があまりない領域において有用であり得る。
【0045】
機器ラックへのアクセスのために、コイル500は、機器ラックに対して平行に移動または摺動するか、ヒンジに取り付けられたときにドアと同様に揺動するか、または頭上天井もしくは頭上空間内に上昇することができる。いくつかの実施形態では、コイル500が空気に曝される表面積が大きくなるようにジグザグまたは重なり合うように構成することができる。
【0046】
可動コイル500を収容するために、コイル流体ラインは、可撓性または剛性であってもよく、または剛性パイプフレックスジョイントを有する複合フレックスパイプを含んでもよい。いくつかの実施形態では、冷却コイルアセンブリがコイル500に接続されたファンおよびセンサを有することができ、これらはまた、コイル500を所定の範囲内で移動させて、デザイン要件またはユーザの必要性を満たすことを可能にする可撓性の連結部および導体を有することになる。いくつかの実施形態では流体ライン、電気経路、およびセンサのうちの1つまたは複数はデータセンタ機器へのアクセスを得るためにコイル500の移動を可能にするように設計され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、コイル500が能動外部送風機システムを有さず、コンピューティングデバイスによって生成されるすべての気流を有する受動コイルとして設計することができる。いくつかの実施形態では、コイル500がコイル500に直接的に取り付けられるか、またはコイル500の近傍の任意の位置でコンピューティングデバイスの外部にファン202を備え、ダクトまたは他のエンクロージャを介して連通するか、または空気を送るように設計された迂回システムを有する能動システムとして設計され得る。外部ファンシステムの空気流は、制御された可変速度および可変圧力において一定であり得る。
【0048】
図1~
図5Eは冷却システム100の例および関連する詳細を示すが、
図1~
図5Eに様々な変更を加えることができる。例えば、冷却システム100内の様々な構成要素は、組み合わされ、さらに細分化され、複製され、再配置され、または省略され得、追加の構成要素が特定の必要性に従って追加され得る。特定の例として、より大きなデータホール110を有するデータセンタでは、冷却システム100がデータホール110内のすべての構成要素の共通の流体接続のために並列に接続された複数の流体冷却器130、複数のMHACU114、および複数のポンプパッケージ120を含むことができる。別の例として、いくつかのデータホールでは、MHACU114のうちの1つまたは複数に加えて、またはその代わりに、1つまたは複数のコンピュータルームエアハンドラ(CRAH)ユニットが実装され得る。さらに、
図1~
図5Eはデータセンタと共に使用するための例示的な冷却システムを示しているが、説明される機能は任意の他の適切なデバイスまたはシステムにおいて使用され得る。
【0049】
図6は、本発明による冷却システムで使用するためのコンピューティングデバイス600を例示する。コンピューティングデバイス600は、
図1で上述したコンピューティングデバイス140であってもよい。コンピューティングデバイス600は、装置100内の様々な構成要素における動作を制御するように構成することができる。例えば、コンピューティングデバイス600は、MHACU114、ポンプパッケージ120、または流体クーラ130に関連する動作を制御または監視することができる。
【0050】
図6に示すように、コンピューティングデバイス600は、プロセッサ610と、記憶デバイス615と、通信インターフェース620と、入出力(I/O)ユニット625との間の通信をサポートするバスシステム605を含む。プロセッサ610は、メモリ630にロードされ得る命令を実行する。プロセッサ610は、任意の適切な数およびタイプのプロセッサまたは任意の適切な構成の他のデバイスを含むことができる。プロセッサ610の例示的なタイプは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路、およびディスクリート回路を含む。
【0051】
メモリ630および永続ストレージ635は情報(データ、プログラムコード、および/または一時的または永続的な他の適切な情報など)を記憶し、検索を容易にすることができる任意の構造を表す記憶デバイス615の例である。メモリ630は、ランダムアクセスメモリ、または任意の他の適切な揮発性もしくは不揮発性記憶装置を表し得る。永続ストレージ635は、読み取り専用メモリ、ハードドライブ、フラッシュメモリ、または光ディスクなどの、データの長期記憶をサポートする1つまたは複数の構成要素またはデバイスを含み得る。例えば、永続ストレージ635は、データ、標準データ、結果、データ、クライアントアプリケーションなどの1つまたは複数のデータベースを記憶することができる。
【0052】
通信インターフェース620は、他のシステムとの通信をサポートする。例えば、通信インターフェース620は、システム100を介した通信を容易にするネットワークトランシーバーまたはワイヤレストランシーバーを含むことができる。通信インターフェース620は、任意の好適な物理通信回線またはワイヤレス通信回線を介した通信を支援し得る。I/O部625は、データの入出力を行う。例えば、I/Oユニット625は、キーボード、マウス、キーパッド、タッチスクリーン、又は他の適切な入力デバイスを介してユーザ入力のための接続を提供することができる。I/Oユニット625はまた、ディスプレイ、プリンタ、または他の適切な出力デバイスに出力を送ることができる。
【0053】
図6はコンピューティングデバイス600の一実施形態を示しているが、
図6には様々な変更を加えることができる。例えば、
図6の様々な構成要素は組み合わされ、さらに細分され、または省略され得、追加の構成要素は特定の必要性に従って追加され得る。特定の実例として、1つのシステムとして示されているが、コンピューティングデバイス600は遠隔に配置され得る多数のコンピュータシステムを含み得る。別の例では、異なるコンピューティングシステムが本開示による処理、記憶、および/または通信リソースの一部または全部を提供することができる。
【0054】
図7は、本開示の様々な実施形態による、
図1の冷却システム100を使用する冷却プロセス700の一例を示すフローチャートである。
図7に示される冷却プロセス700の実施形態は、単に例示のためのものである。本開示の範囲から逸脱することなく、冷却プロセス700の他の実施形態を使用することができる。
【0055】
図7を参照すると、動作701において、ポンプパッケージ120からの冷却された供給流体が、流体供給ライン302を介してMHACU114a~114cに供給される。動作703において、ポンプパッケージ120からの冷却された供給流体の一部または全部が、直列の最初のMHACUであるMHACU114aに入れられる。流体はMHACU114a内の1つまたは複数のコイル206を通って移動し、データホール110の空気から熱エネルギを吸収する。動作705において、温度センサ311aは、MHACU114a内の流体温度が所定の最大値未満の温度まで上昇することを測定する。動作707において、測定された温度に応答して、制御バルブ321aは、流体の少なくとも一部を第2のMHACU114bに供給するように制御される。流体はMHACU114b内の1つまたは複数のコイル206を通って移動し、データホール110の空気から熱エネルギを吸収する。動作709において、温度センサ311bは、MHACU114b内の流体温度が少なくとも所定の最大値である温度まで上昇することを測定する。動作711において、測定された温度に応答して、制御バルブ321bは、流体を流体戻りライン304に提供するように制御される。動作713において、加熱された流体は、流体戻りライン304を介してポンプパッケージ120に戻される。
【0056】
上述のプロセス700は本開示の原理に従って実施することができる例示的な動作を示しており、プロセス700に様々な変更を加えることができる。例えば、一連のステップとして示されているが、プロセス700における様々なステップは重複するか、並行して起こるか、異なる順序で起こるか、または複数回起こることができる。別の例では、ステップが省略されてもよく、または他のステップによって置き換えられてもよい。
【0057】
それらの重要性のために、データセンタは、非常に高い信頼性および稼働時間で動作するように設計される。信頼性および稼働時間の要件は、データセンタ設計および設計システムの主要な要素である。
【0058】
上述のように、データセンタが設計した冷却ソリューションは単純なトポロジから、日常的な保守を必要とし、警告なしに壊滅的な故障を有する可能性がある基本的な機械的および電気的構成要素から構成される複雑なトポロジにまで及ぶ。したがって、データセンタ冷却設計では、あるレベルの冗長性を提供する解決策を提供することが一般的である。この冗長性は予定されたメンテナンスウィンドウまたは予定外の停止中に、ラック、列、モジュール、空間、ルーム、コンテナまたは建物の完全な冷却要件を提供するために必要とされる。
【0059】
設計されたシステムの信頼性を達成するために、データセンタ設計者およびエンジニアはシステムの信頼性および稼働時間要件を満たすために、冗長な重要な個々の構成要素を提供することができる。いくつかの実施形態では、データセンタ設計者および技術者が信頼性および稼働時間の要求を提供するための代替手段および方法を提供することができる。
【0060】
最も単純な設計では最も低い信頼性で、機械システムは重要な構成要素の各々を1つずつ有する。クリティカル構成要素の容量は、ワークロードの需要に等しくなる。最も一般的な冗長シナリオであるNormal Plus One(「N+1」)では、システムが重要な機器の1つの追加部分または容量の増分を含む。ほとんどのクラウドデータセンタ設計は、設計の一部として冗長技術および構成要素を含む。冗長性は、コンピュータ装置の稼働時間の点で施設の信頼性を改善する。多くのシステムでは、稼働時間の期待値が重要な計算負荷の稼働時間の99.999%である。これは、しばしば「ファイブ・ナインズ・アップタイム」と呼ばれる
【0061】
データセンタにおける最も効率的な設計は最良の結果を達成するために、空気分離(封じ込めとしても知られる)およびMHACUを使用する。この空気分離は、供給空気流および戻り空気流が浸入または混合を防止する物理的障壁の使用によって互いに隔離されることを必要とする。この分離は、MHACUによって提供される工学的冷却経路を通して空気を強制する。一般に、最も費用効果が高く、エネルギ効率の良い設計および断熱を達成するためには、必要とされる冗長構成要素がより少なくなるように、より長く、より少ない封じ込め経路が使用されるべきである。
【0062】
データセンタ産業内では、ハイパースケーラおよびコロケーションサービスプロバイダがコンピューティング機器の数個のデータセンタラックからコンピューティング機器の数百個のラックに及ぶ顧客物理的空間要件を有する。一般的な要件は、20~100ラックである。ラックは、多くの場合、上述の高温及び低温通路構成に配置される。ハイパースケーラおよび他のインターネットサービスクライアントのために構築されるデータセンタは一般に、あるクライアントのラックを別のクライアントのラックから物理的に隔離するセキュリティ要件を有する。ほとんどのデザインでは、これはクライアントを隔離するケージ型の壁を有する大きなルームと同じくらい単純である。
【0063】
空気分離モジュールは典型的にはホットアイルを収容し、人が別の隔離された機器に接触またはアクセスすることを防止する中実状エンドキャップ壁を含む。このセキュリティ要件により、データセンタ設計者は小型コンピューティング機器ラック列(例えば、10個未満のラックを含む)および小型展開を含む格納モジュールを使用し、MHACUは冷却ソリューションを提供する。スタンドアロン空間としての各小型格納モジュールは冷却のために、数百のラックを有するはるかに大きいモジュールと同じ冗長要件を有する。例えば、小型格納モジュールは「N+1」の最小冷却冗長設計を満たすために必要な数よりも1つのMHACUユニットを追加で使用するが、多くの短い格納モジュールを有するデータセンタではこれは不必要に大量の冗長MHACUユニットを表す。
【0064】
これらおよび他の問題に対処するために、本開示の様々な実施形態は冷却冗長性の目的のために2つ以上の小型格納モジュールを連結し、一方、各短型格納モジュールのセキュリティを維持する、1つ以上のデッキを含むことができる。
【0065】
図8A~
図8Cは、本開示による1つまたは複数のデッキを含む例示的なデータホール110の異なる図を示す。特に、
図8Aはデータホール110の斜視図を示し、
図8Bはデータホール110の上面図を示し、
図8Cは明瞭さおよび理解を促進するために、特定の構成要素が除去されたデータホール110の斜視図を示す。
図8A~
図8Cに示されるデータホール110の実施形態は、単に例示のためのものである。本開示の範囲から逸脱することなく、データホール110の他の実施形態を使用することができる。
【0066】
図8A~
図8Cに示されるように、データホール110は小さな格納モジュール802a~802dにグループ化されるデータ機器(例えば、サーバ112)の複数のラック801を含む。いくつかの実施形態では、各格納モジュール802a~802dが1のデータセンタ顧客のためのデータ機器を表す。格納モジュール802a~802dは数十または数百のラックを含むことができる「大型」格納モジュールと比較して、各格納モジュール802a~802dが数個のラック801(例えば、10または20未満のラック801)を含む点で「小型」である。各格納モジュール802a~802dはホットアイル803を含み、各格納モジュール802のラック801は、ホットアイル803の両側に配置される。1つまたは複数のMHACU114は上述のように、各格納モジュール802a~802d内のコンピューティング機器のための冷却を提供するために、各格納モジュール802a~802dのホットアイル803の上に配置される。
【0067】
従来のデータホールでは、各格納モジュールが一般に、空気の移動に関して分離される。すなわち、各格納モジュールのホットアイルは、格納モジュール間の空気の移動を制限する中実壁または中実ドアによって、他の格納モジュールのホットアイルから分離される。対照的に、データホール110は、2つ以上の格納モジュール802a~802dの間の空気の移動を可能にする複数のデッキ804a~804bを含む。すなわち、各デッキ804a~804bは、2つ以上の格納モジュール802a~802dの間の高温空気流のための接続された戻り空気共通プレナム経路を提供する。例えば、
図8Bではデッキ804aが空気流のために格納モジュール802aおよび802bのホットアイル803を接続し、デッキ804bは空気流のために格納モジュール802cおよび802dのホットアイル803を接続する。各デッキ804a~804bは2つ以上の個々のホットアイル803と連通する共通の無指向性空気経路を提供するために、任意のサイズまたは形状に形成され得る。以下でより詳細に説明されるように、各デッキ804a~804bはまた、データ機器を固定するために、特定の場所でケージ型または開放気流型ドアを使用して、必要とされるまたは所望の物理的セキュリティを提供するが、各ホットアイル803内の高温空気流が、デッキ接続システム全体にわたって任意の方向に移動することを可能にする。
【0068】
複数の格納モジュール802a~802dの間の接続された空気経路はデッキ804a~804bによって提供されるように、「N+1」冗長性の要件を依然として満たしながら、データホール110内の冗長MHACU114の数の低減を可能にする。例えば、デッキ804aは、空気流のために格納モジュール802aおよび802bのホットアイル803を接続するので、格納モジュール802aおよび802bの各々がそれ自体の冗長なMHACU114を有する必要はない。代わりに、1つの冗長MHACU114は、格納モジュール802aおよび802bの両方に十分な冗長性を提供することができる。同様に、格納モジュール802cおよび802dの各々がそれ自体の冗長MHACU114を有するのではなく、代わりに、1つの冗長MHACU114が、格納モジュール802cおよび802dの両方に適切な冗長性を提供することができる。
【0069】
各デッキ804a~804bは、空気の流れを実質的にまたは完全に通さない堅固な壁と、壁を通る空気の流れを容易に許容するメッシュ壁の両方を含むことができる。各デッキ804a~804bのメッシュ壁はデッキ804a~804bと隣接する格納モジュール802a~802dとの間に物理的障壁を形成し、一方、メッシュ壁を通る双方向空気流を可能にする。例えば、熱風は格納モジュール802aのホットアイル803から、ホットアイル803とデッキ804aとの間のメッシュ壁を通り、デッキ804aを通り、格納モジュール802bのホットアイル803の間の第2のメッシュ壁を通り、格納モジュール802bのホットアイル803に移動することができる。高温空気はまた、格納モジュール802bから、デッキ804aを通って(およびそのメッシュ壁を通って)、格納モジュール802a内に、反対方向に移動することができる。各メッシュ壁は、スチールメッシュ、遮蔽材など、人の動きを制限しながらメッシュ壁を通る空気の動きを容易にする任意の適切な材料で形成することができる。
【0070】
ラック801の列に平行な天井、床、および壁を含むことができる各デッキ804a~804bの他の壁は、中実壁として形成することができる。中実壁は、剛性材料、柔らかい織物タイプの材料、ロール状のシート材料、材料の個々のストリップなどを含む、様々な空気不透過性材料から構築され得る。そのような材料は、透明、半透明、不透明、またはこれらの組み合わせであってもよい。各デッキ804a~804bの天井は、データホール110の天井材料と同じ材料で形成されてもよく、これには、しっくい、乾式壁、下がり天井パネルおよびフレーム、構造フレーム、建物または空間の床または屋根要素、鋼製コンテナまたはモジュールなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
各デッキ804a~804bの中実壁およびメッシュ壁を形成する材料は、任意の床構造(グレード上または上昇)、任意の頭上構造(天井グリッド構造、梁および桁、上記の床または屋根構造を含む)、格納システムの一部として設計されたデータセンタサブ構造、データセンタ機器ラッキング、1つまたは複数のケーブル(例えば、スチール、ワイヤ、ロープなど)、フレームシステム(金属、プラスチック、複合材などから形成)、1つまたは複数の垂直または水平グリッドまたはグリルなどであってよい。
【0072】
各デッキ804a~804bの内部は、1つまたは複数のポータルまたは通路からアクセスされ得る。例えば、各デッキ804a~804bは、供給空気通路上の1つ以上の中実状ドア805を通してアクセスされ得る。各中実状ドア805はホットアイル803を供給空気通路から隔離するために、空気流に対して不透過性である。各中実状ドア805は、透明、半透明、または不透明であってもよく、必要に応じて密閉されてもよい。各デッキ804a~804bはまた、メッシュまたは中実壁内に配置された中実またはメッシュケージ型ドア805を通して、ホットアイル803からアクセスされ得る。ドア805のいずれかは、緊急脱出のためのアラームドアであってもよい。ドア805のいずれかは、不正アクセスを防止するためのロック装置を有することができる。ドア805のいずれかは、建物または火災コードまたは好みによって必要とされる場合、パニックハードウェアを有することができる。
【0073】
具体的にはデッキ804a~804bの一部ではないが、1つまたは複数のセキュリティドア806は格納モジュール802a~802d内の特定の顧客機器を隔離するために、1つまたは複数の格納モジュール802a~802dのホットアイル803内に配置され得る。
【0074】
図8A~
図8Cに示すように、デッキ804a~804bは、互いに直線的に整列された格納モジュール802a~802dを流体接続するように配置される。しかしながら、デッキは線形配置にない格納モジュールを接続するように、他の配置に構成することができる。
【0075】
図9A~
図9Cは、本開示による、異なる構成の1つまたは複数のデッキを含む別の例示的なデータホール110の異なる図を示す。具体的には、
図9Aはデータホール110の斜視図、
図9Bはデータホール110の上面図、
図9Cはデータホール110のヒートマップである。
図9A~
図9Cに示されるデータホール110の実施形態は、単に例示のためのものである。本開示の範囲から逸脱することなく、データホール110の他の実施形態を使用することができる。
【0076】
図9A~
図9Cに示すように、データホール110は、各々がデータ機器の複数のラックに隣接するホットアイルを含む複数の小型格納モジュール902a~902dを含む。データホール110はまた、4つ全ての格納モジュール902a~902dのホットアイルを接続するデッキ904を含む。デッキ804a~804bと同様に、デッキ904は、各格納モジュール902a~902dのホットアイルと整列するメッシュ壁および/またはドアを含むことができる。デッキ904の他の壁および/またはドアは、データホール110の供給空気通路とデッキ904との間の空気の移動を防止するために中実であり得る。
図9Bの小さな矢印によって示されるように、格納モジュール902a~902dのうちの1つからの熱風は、デッキ904を通って格納モジュール902a~902dのうちの任意の他のものに流れることができる。これは
図9Cのヒートマップにも示されており、ここで、H字形領域906は4つ全ての格納モジュール902a~902dを通って分岐する単一の連続する「ホットアイル」を表す。したがって、デッキ904は、直線的にかつ平行にも配置された格納モジュール902a~902dを接続する。
【0077】
図10は、本開示によるグリッド構成の複数のデッキを含む別の例示的なデータホール110を示す。
図10に示すデータホール110の実施形態は、単に例示のためのものである。本開示の範囲から逸脱することなく、データホール110の他の実施形態を使用することができる。
【0078】
図10に示されるように、データホール110は、各々がデータ機器の複数のラックに隣接するホットアイルを含む、複数の小型格納モジュール1002を含む。データホール110はまた、隣接する格納モジュール1002の間の点に配置された複数のデッキ1004を含む。また、デッキ1004は、全ての格納モジュール1002のホットアイルを単一の連続した「ホットアイル」グリッドに接続する。データホール110はまた、
図10に示すように、格納モジュール1002の列の端部に配置された複数の拡張デッキ1005を含む。データホール110を拡張するために、追加の格納モジュール1002が、拡張デッキ1005のうちの1つまたは複数の「開いた」端部上に設置され得る。追加の格納モジュール1002は、その後、冷却冗長性のために「ホットアイル」グリッドに接続される。データホール110はまた、格納モジュール1002の列の他端に配置された終端点1006を含む。終端点1006は、人員が格納モジュール1002にアクセスできるようにするための中実ドアを含むことができる。
【0079】
図10は「ホットアイル」グリッドを形成するデッキ1004を備えて構成されたデータホール110を示すが、他の実施形態は格納モジュールを接続して円形またはリング構成、ハブおよびスポーク構成、または任意の他の適切な構成を形成するデッキを含むことができる。
【0080】
本特許文書全体を通して使用される特定の語句の定義を記載することが有利であり得る。用語「結合する」およびその派生語は、それらの要素が互いに物理的に接触しているかどうかにかかわらず、2つ以上の要素間の任意の直接的または間接的な通信を指す。用語「送信」、「受信」、および「通信」、ならびにそれらの派生語は、直接通信と間接通信の両方を包含する。用語「含む(includeおよびcomprise)」、ならびにそれらの派生語は、限定されない包含を意味する。「または」という用語は包括的であり、および/またはを意味する。「関連する」という語句、ならびにその派生語句は内部に含まれる、含有される、接続される、通信可能で協働する、インターリーブする、並置する、近接する、結合される、有する、関連性を有する、等の特性を有する、ことを意味する。用語の中で使用される場合、語句「など」は、後に列挙される用語が先に列挙される用語の例示であり、限定ではないことを意味する。語句「のうちの少なくとも1つ」はアイテムのリストとともに使用されるとき、リストされたアイテムのうちの1つまたは複数の様々な組合せが使用され得、リスト中の1つのアイテムのみが必要とされ得ることを意味する。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、C、AおよびB、AおよびC、BおよびC、ならびにAおよびBおよびCのうちのいずれかを含む。
【0081】
さらに、本明細書で説明される様々な機能は1つまたは複数のコンピュータプログラムによって実装またはサポートされ得、その各々はコンピュータ可読プログラムコードから形成され、コンピュータ可読媒体中で実施される。「アプリケーション」および「プログラム」という用語は、1つまたは複数のコンピュータプログラム、ソフトウェア構成要素、命令のセット、プロシージャ、関数、オブジェクト、クラス、インスタンス、関連データ、または適切なコンピュータ可読プログラムコードにおける実装のために適合されたその一部分を指す。語句「コンピュータ可読プログラムコード」は、ソースコード、オブジェクトコード、および実行可能コードを含む、任意のタイプのコンピュータコードを含む。「コンピュータ可読媒体」という語句は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、または任意の他のタイプのメモリなど、コンピュータによってアクセスされることが可能な任意のタイプの媒体を含む。「非一時的である」コンピュータ可読媒体は、一時的な電気信号または他の信号を伝送する有線、無線、光、または他の通信リンクを除外する。非一時的なコンピュータ可読媒体はデータが永続的に記憶され得る媒体と、データが記憶され、後で上書きされ得る媒体、例えば、書き換え可能な光ディスクまたは消去可能なメモリデバイスとを含む。
【0082】
他の特定の語句の定義は、本特許文書全体を通して提供される。当業者は、ほとんどではないが多くの場合、そのような定義がそのような定義された単語および語句の先行および将来の使用に適用されることを理解すべきである。本開示は例示的な実施形態を用いて説明されたが、様々な変更および修正が当業者に示唆され得る。本開示は、添付の特許請求の範囲内に入るような変更および修正を包含することが意図される。本出願における説明のいずれも、任意の特定の要素、ステップ、または機能が、特許請求の範囲に含まれなければならない必須の要素であることを暗示するものとして読まれるべきではない。特許対象の範囲は、特許請求の範囲によって定義される。
【国際調査報告】