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特表2025-503103反射偏光子及びファラデー回転子を利用する高倍率の写真撮影のための方法及びシステム
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  • 特表-反射偏光子及びファラデー回転子を利用する高倍率の写真撮影のための方法及びシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】反射偏光子及びファラデー回転子を利用する高倍率の写真撮影のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/28 20060101AFI20250123BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20250123BHJP
   G02B 23/00 20060101ALI20250123BHJP
   G02B 13/00 20060101ALI20250123BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20250123BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20250123BHJP
   G03B 17/12 20210101ALI20250123BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20250123BHJP
【FI】
G02B27/28 Z
G02B5/30
G02B23/00
G02B13/00
G03B30/00
G03B11/00
G03B17/12 Z
H04N23/55
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543420
(86)(22)【出願日】2023-01-24
(85)【翻訳文提出日】2024-09-02
(86)【国際出願番号】 US2023011469
(87)【国際公開番号】W WO2023141363
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】63/267,100
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524274314
【氏名又は名称】ルメヌイティ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワックス、エド
(72)【発明者】
【氏名】シャピーロ、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】バーシック、デイビッド
【テーマコード(参考)】
2H039
2H083
2H087
2H101
2H149
2H199
5C122
【Fターム(参考)】
2H039AA01
2H039AA04
2H039AB02
2H083AA06
2H087KA01
2H087LA01
2H087RA00
2H087RA41
2H087RA44
2H101FF08
2H149AA00
2H149BA04
2H149DA06
2H149EA02
2H149EA10
2H149FC07
2H149FC10
2H199AB01
2H199AB41
2H199AB42
5C122DA09
5C122FB02
5C122FB03
5C122FB11
5C122FB15
5C122FB17
(57)【要約】
小型の高倍率カメラ又は撮像システムが低照度{例えば夜間}条件において動作することを可能にするためのシステム及び方法が本明細書に記載される。これらのシステムは、より長い光路を可能にし、光がセンサに到達して画像を形成することを可能にするための反射偏光子及び非相反性要素{ファラデー回転子}の使用を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を取り込むための撮像システムであって、
焦点距離を有する基板と、
前記基板に隣接する第1の反射偏光子と、
前記基板に対して下流の第2の反射偏光子と、
前記第1の反射偏光子と前記第2の反射偏光子との間の非相反性光学要素と、
前記画像を形成するためのセンサと、を備え、前記基板、前記第1の反射偏光子、前記非相反性要素、前記第2の反射偏光子及び前記センサが、光路に沿って配列され、
これにより、前記撮像システムの前記基板に進入する光は、前記第1の反射偏光子によって偏光され、前記非相反性要素を透過してその偏光が回転され、前記第2の反射偏光子から反射され、前記非相反性要素を通って戻ってその偏光がさらに回転され、前記第1の反射偏光子から反射され、前記非相反性要素を三度透過してその偏光が回転され、前記第2の反射偏光子を透過して、前記センサ上に画像を形成する、画像を取り込むための撮像システム。
【請求項2】
前記非相反性光学要素は、ファラデー回転子である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ファラデー回転子は、45°の偏光回転を提供するように配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
光路に沿って通過中に光の前記偏光を変化させるように配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記基板はレンズである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
第2のレンズをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
焦点距離を有する1つ又は複数の追加のレンズ或いは基板をさらに備え、前記1つ又は複数の追加のレンズ或いは基板は、球面又は非球面状の湾曲面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
コーナリング・プリズム又は方向転換用の反射器をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記非相反性要素は、2つ以上の要素を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ファラデー回転子は、2つ以上の要素を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムの前記焦点距離は、前記光路の往復距離に一致する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記基板、前記反射偏光子、前記非相反性光学要素の1つ又は複数は、前記撮像システムの全体の焦点距離を変更するために機械的に移動される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
請求項1の前記システムを有するスマート機器。
【請求項14】
スマートフォン、携帯電話、タブレット、ラップトップ、ドローン又はモバイル機器である、請求項13に記載のスマート機器。
【請求項15】
請求項1の前記システムを有するカメラ。
【請求項16】
画像を取り込むための光学システムであって、
焦点距離を有し曲率を有するレンズと、
前記レンズに隣接する第1の反射偏光子であって、第1の偏光状態を有する光を実質的に透過し、直交する第2の偏光状態を有する光を実質的に反射する第1の反射偏光子と、
第2の反射偏光子と、
前記第1の反射偏光子と前記第2の反射偏光子との間のファラデー回転子と、
前記画像を形成するためのセンサと、を備え、前記基板、前記第1の反射偏光子、前記ファラデー回転子、前記第2の反射偏光子及び前記センサは、光路に沿って配列され、
これにより、前記光学システムに進入する光は、前記第1の反射偏光子によって偏光され、前記非相反性要素を透過してその偏光が回転され、前記第2の偏光子から反射され、前記非相反性要素を通って戻ってその偏光がさらに回転され、前記第1の反射偏光子から反射され、前記非相反性要素を三度透過してその偏光が回転され、前記第2の反射偏光子を透過して、前記センサ上に画像を形成する、画像を取り込むための光学システム。
【請求項17】
請求項16の前記システムを有するカメラ。
【請求項18】
請求項17の前記システムを備える機器。
【請求項19】
望遠鏡、単眼式望遠鏡、双眼鏡及びカメラのうちのいずれか1つを備える、請求項18に記載の機器。
【請求項20】
前記レンズ、前記第1の反射偏光子、前記第2の反射偏光子及び前記ファラデー回転子は、実質的に前記光路に沿っており、且つ平行である、請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
a.焦点距離を有する基板に進入する光を受け入れるステップと、
b.前記光を偏光するステップと、
c.前記光を一方向に回転させるステップと、
d.回転した偏光を有する前記光を反射するステップと、
e.前記第1の回転に対して反対方向に前記光を回転させるステップと、
f.前記回転した偏光を有する前記光を反射するステップと、
g.ステップcと同じ方向に前記光を回転させるステップと、
h.センサ内に前記光を透過して画像を取り込むステップと、を含む、高倍率撮像のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年1月24日に提出された米国仮特許出願第63/267,100号の利益を主張しており、この特許はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は概して、高倍率の写真撮像及び撮像技術の分野に関する。より具体的には、本発明は、高倍率カメラ又は撮像デバイスにおいて使用するために、偏光子と、1つの非相反性要素又は複数の非相反性要素(例えば、ファラデー回転子)と、を利用するシステム及び方法に関する。本出願はまた、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、ドローン又は任意の他のモバイル機器に内蔵された撮像デバイス又はカメラにも関する。
【背景技術】
【0003】
デジタル・カメラは、例えばスマートフォンなどのモバイル機器において広く使用されている。カメラの性能は、顧客にとって大きな差別化の要因であり、市場占有率に対して大きな影響力を持つものである。これによりモバイル機器メーカー及び部品供給元は、カメラの性能を改善するために懸命に努力する。
【0004】
モバイル機器のカメラ性能の1つの鍵となる態様は、高倍率(又は高ズーム)写真撮影である。典型的には、高倍率の写真撮像を達成するカメラ又は撮像デバイスは、長く大きなレンズ組立体(例えば、DSLRカメラにおけるズーム・レンズ)を有する。しかしながらモバイル機器は、薄くてコンパクトであり、長いレンズ組立体を収容することはできない。このことは、従来よりその倍率及びズーム能力を制限してきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、高倍率で小容積の(例えば、薄型)カメラ又は撮像システムの性能を改善するためのシステム及び方法を開示する。具体的な実施の形態は、レンズ、反射偏光子、及びファラデー回転子などの少なくとも1つの透過型非相反性光学要素の使用を含む。そうすることで、カメラ内での光の経路を拡大することができ、このことは、より長い焦点距離を可能にし、それ故より高い倍率を可能にする。一部の例では、大きな光の損失なしに、そのようにすることができる。これは、例えば、低照度条件(例えば夜間)での高倍率で小容積カメラの写真撮影/ビデオ撮影を可能にする。それはまた、長距離のスマートフォン写真撮影/ビデオ撮影の両方にとっても、また近「マクロ」写真撮影/ビデオ撮影(葉の上のアリなど、小さいが、すぐ近くの対象物の高倍率の写真又はビデオを撮ることを意味する)にとっても有益である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様は、高倍率の小容積(例えば、薄型)カメラ又は撮像システムの性能を改善するための方法及びシステムを含み、これは、その動作の一部として内部反射及び偏光を含む。そのような小型であるが、非常に高倍率のカメラは、スマートフォン、タブレット、ドローン及び他のモバイル機器にとって有利である、又は自動運転車両の車内の目立たない場所など、小さく限られた空間での使用に有利である。小型カメラ又は撮像システムの内部に内部反射を有することは、より長い光の経路を可能にし、それ故、より長い焦点距離の使用を許容し、このことは、結果としてより高倍率を可能にする。詳細には、本出願は、低照度条件での動作を可能にすることを含め、性能を改善するために偏光子、反射器及び非相反性要素(ファラデー回転子)の使用を開示する。
【0007】
別の態様は、焦点距離を有する基板と、基板に隣接する第1の反射偏光子と、基板に対して下流の第2の反射偏光子と、第1の反射偏光子と第2の反射偏光子との間の非相反性光学要素と、画像を形成するためのセンサと、を有し、基板、第1の反射偏光子、非相反性要素、第2の反射偏光子及びセンサが光路に沿って配列される、画像を取り込むための撮像システムを含む。撮像システムの基板に進入する光は、第1の反射偏光子によって偏光され、非相反性要素を透過してその偏光が回転され、第2の反射偏光子から反射され、非相反性要素を通って戻ってその偏光がさらに回転され、第1の反射偏光子から反射され、非相反性要素を三度透過してその偏光が回転され、第2の反射偏光子を透過して、センサ上に画像を形成する。
【0008】
別の態様は、ファラデー回転子である非相反性光学要素を含む。
【0009】
別の態様は、45°の偏光回転を提供するように配置されたファラデー回転子を含む。
【0010】
別の態様は、光路に沿って通過中に光の偏光を変化させるように配置されたシステムを含む。
【0011】
別の態様は、基板がレンズであることを含む。
【0012】
別の態様は、第2のレンズを含む。
【0013】
別の態様は、焦点距離を有する1つ又は複数の追加のレンズ或いは基板を含み、1つ又は複数の追加のレンズ或いは基板は、球面又は非球面状の湾曲面を有する。
【0014】
別の態様は、コーナリング・プリズム又は方向転換用の反射器を含む。
【0015】
別の態様は、非相反性要素が2つ以上の要素を有することを含む。
【0016】
別の態様は、ファラデー回転子が2つ以上の要素を有することを含む。
【0017】
別の態様は、光路の往復距離に一致したシステムの焦点距離を含む。
【0018】
別の態様は、基板、反射偏光子、非相反性光学要素の1つ又は複数が、撮像システムの全体の焦点距離を変更するために機械的に移動されることを含む。
【0019】
別の態様は、システムを有するスマート機器を含む。
【0020】
別の態様は、スマートフォン、携帯電話、タブレット、ラップトップ、ドローン又はモバイル機器であるスマート機器を含む。
【0021】
別の態様は、焦点距離を有し曲率を有するレンズと、レンズに隣接する第1の反射偏光子であって、第1の偏光状態を有する光を実質的に反射し、直交する第2の偏光状態を有する光を実質的に透過する第1の反射偏光子と、第2の反射偏光子と、第1の反射偏光子と第2の反射偏光子との間のファラデー回転子と、画像を形成するためのセンサと、を有する、画像を取り込むための光学システムを含む。基板、第1の反射偏光子、ファラデー回転子、第2の反射偏光子及びセンサは、光路に沿って配列される。光学システムに進入する光は、第1の反射偏光子によって偏光され、非相反性要素を透過し、その偏光が回転され、第2の偏光子から反射され、非相反性要素を通って戻り、その偏光がさらに回転され、第1の反射偏光子から反射され、非相反性要素を三度透過し、その偏光が回転され、第2の反射偏光子を透過してセンサ上に画像を形成する。
【0022】
別の態様は、このシステムを有するカメラと、あるシステムを有する、又は本明細書に開示される方法を利用する望遠鏡、単眼式望遠鏡、双眼鏡、カメラ等の機器と、を含む。
【0023】
別の態様は、高倍率撮像のための方法であって、焦点距離を有する基板に進入する光を受け入れるステップと、光を偏光するステップと、光を一方向に回転させるステップと、回転した偏光を有する光を反射するステップと、第1の回転に対して反対方向に光を回転させるステップと、回転した偏光を有する光を反射するステップと、先のステップの1つと同じ方向に光を回転させるステップと、センサ内に光を透過して画像を取り込むステップと、を含む方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】レンズ又は集束基板(201)と、2つの偏光子(202、204)と、それらの間のファラデー回転子(203)と、センサ(401)と、を有し、カメラ又は撮像システムにおいて高倍率及び低照度の写真撮影を可能にし得る、一例の実施の形態を示す図である。
図2】一例のスマートフォンに統合された図1の実施の形態を示す図である。
図3】方向転換用の鏡又はコーナリング・プリズム(200)も有する、一例のスマートフォンに統合された、図1の代替の実施の形態を示す図である。
図4】開示される実施の形態に関して、光学要素の移動が焦点調節の変更に関係するときのその利点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本出願は、発明の好ましい実施の形態が示される添付の図面を参照してより十分に次に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書に記載される実施の形態に限定されるように解釈されるべきではない。
【0026】
本出願は、偏光反射器及び少なくとも1つの非相反性要素(ファラデー回転子など)を使用するコンパクトな小容積のカメラ又は撮像システムを開示する。それらは、高倍率及び低照度の両方の動作を可能にする。本明細書の鍵となる態様は、偏光子の特有で革新的な配列と、それらの間のファラデー回転子などの非相反性要素の特性の選択である。具体的にはファラデー回転子の特性は、厳密に必要に応じて、各反射偏光子が、伝送器又は反射器のいずれかとして機能するような方法で、光がファラデー回転子を通って往復する度に光の偏光が調節されるように選択される。具体的には、ファラデー回転子は、光路に沿った各段階で偏光子の所望の透過挙動又は反射挙動を選ぶように偏光を正確に調節する。それ故、光は、偏光子の間の空間に進入することが可能であり、ファラデー回転子の作用により、偏光子は、次いで、光を往復するように反射し、再びファラデー回転子の作用により、光はその後、そこを出て撮像センサに到達し画像を形成する。
【0027】
このプロセスの終わりに、センサに到達する光の量は大きい。偏光された光の実質的にほとんどが、第1の偏光子への入口から往復方向の反射を通り、第2の偏光子から出て行くまでずっと進行し、そして撮像センサに到達する。往復方向の光の反射は、小型カメラにおける長い光路長を可能にし、このことは、長い焦点距離を容認し、それ故高倍率を可能にする。光のかなりの部分が、センサに到達して画像を形成することができるため、それは、例えば夜間などの低照度での動作を可能にすることができる。それ故、結果として生じる実施の形態は、高倍率及び低照度の両方の動作を達成することができる小型カメラ又は撮像システムを可能にすることができる。そのようなカメラは、スマートフォン、タブレット、ドローン又は他のモバイル機器での使用に適切であり得る。
【0028】
現在のスマートフォン・カメラ・モジュールでは、典型的には、高倍率写真撮影/ビデオ撮影を担う1つのカメラ(望遠カメラ)と、夜間の動作などの低照度での動作を担う別のカメラ(例えばノーマル・カメラ又はワイドアングル・カメラ)と、が存在している。目下開示される方法及びシステムでは、単一のカメラが高倍率と低照度の両方の写真撮影/ビデオ撮影を受け持つことができる。これは、スマートフォン及び他のモバイル機器の使用にとって望ましく、その理由は、カメラ・モジュールのサイズ及びコストを削減することが可能であり、その一方で、同等の、又はより高い性能を許容することができるためである。
【0029】
図1は、レンズ又は集束基板(201)と、第1の反射偏光子(202)と、ファラデー回転子(203)と、その配向が第1の反射偏光子によって透過された光の方向に対して+45度の方向に沿って偏光される光を反射するように選択される第2の反射偏光子(204)と、撮像センサ(401)と、を有する一例の実施の形態を示す。ファラデー回転子は、そこを通過する(1回の通過に対して、すなわち102から103)光の線形偏光を実質的に+45度だけ回転させるように構成される。それは、左から右に移動する光(図1における右方向の矢印と、203の上の「CCW、+45度」のラベル)に対して、線形に偏光された光の偏光を+45度だけ(すなわち反時計周りに)回転させ、そして、右から左に移動する光(図1における左方向の矢印と、203の下の「CW、-45度」のラベル)に対して、線形に偏光された光の偏光を-45度だけ(すなわち時計周りに)回転させる。
【0030】
図1の一例のシステムを通る光の伝播を次により詳細に説明する。外側の物体又は供給源又はシーンからの光(101)は、入口レンズ(201)を通ってシステムに進入する。そのような到来する光は、典型的には偏光されない(及びそのため、図中では偏光されない光として「U」でラベル付けされる)。この光は次いで、第1の線形反射偏光子(202)に進入する。線形反射偏光子は、一方の配向の線形偏光がそこを通って透過することを許容し、その一方で他方の偏光は反射する。第1の反射偏光子を通って透過する線形偏光の方向は、水平方向として(102で短縮して「H」のラベル)ラベル付けされる。第1の偏光子から離れるように反射する方向は、垂直方向(短縮して「V」)でラベル付けされる。典型的な撮像用途では、入力光は、好ましい偏光方向を持たないため、第1の偏光子の配向は、自由裁量で選択することができる。しかしながら一部のケースでは、入力光は、好ましい偏光方向を有する。そのようなケースでは、反射偏光子の配向は、システムの所望の性能(例えば、最適な画像品質、コントラストなど)を最適化するように選択することができることが開示される。
【0031】
光(102)はその後、ファラデー回転子(203)に進入し、これは、ファラデー効果を呈する材料で構成することができる。ファラデー効果は、長手方向の静磁場が存在するとき材料を通る光の透過を伴う光磁気効果である。ファラデー効果では、光の偏光は、光線の伝播ベクトルを中心に回転する。回転の方向は、光が材料を通って伝播する方向に依存する。例えば、光が左から右に伝播する場合、偏光は、伝播ベクトルを中心に反時計周りに回転することができる。光が右から左に伝播する場合、この例では、それは時計周りに回転するであろう。一方向対他方向の光の伝播に起因する挙動のこのような違いは、ファラデー効果の非相反特性の現れである。ファラデー効果は、時間反転対称性の破れを呈し、これは、光の挙動が、どの方向に光が材料を通過するかに依存し得ることを意味する。
【0032】
図1では、光の線形偏光は、光が左から右に移動するとき反時計周りに回転し、光が右から左に移動するとき時計周りに回転する。しかしながら、これは、単なる一例のケースであり、光は、ファラデー材料の選択された特性に応じて、並びに加えられた外部の磁場の方向又は内部磁化の方向に基づいて、逆回転を受ける場合もあることを理解されたい。我々の一例のケースでは、ファラデー回転子の特性は、左から右に伝播する光に対して実質的に+45度線形偏光を回転させるように選択される。よって、光(103)がファラデー回転子を出て行くとき、それは、実質的に+45度に配向された線形偏光を有する(それ故103は、+45度でラベル付けされる)。
【0033】
図1は、第2の反射偏光子(204)をさらに示す。+45度で線形偏光された光103は、反射し、そして光104として戻ることになる。第2の偏光子(204)から反射すると、光の伝播ベクトルの方向は逆になるが、偏光電場の方向は同じ方向のままである。これは、線形偏光ベクトルがほとんど垂直(V)方向の反射を受ける結果になる。それ故、偏光は、反射偏光子(204)からの反射後、+45度の線形偏光(103に関する)から、+135度の線形偏光(104に関する)へと反転する。
【0034】
その+135度の線形偏光を伴うこの(104)光は、次にファラデー回転子(203)に再び進入する。ファラデー効果の非相反性の性質のために、ファラデー回転子はこのとき、光を時計周りの方向に45度(すなわち-45度)回転させ、このことは、+135から+90度まで偏光を回転させる。それ故、光105に関して、線形偏光ベクトルは今度は(水平「H」偏光に対して)+90度に配向され、それはしたがって、垂直方向に配向された線形偏光である(105では短縮して「V」)。
【0035】
第1の偏光子は、それが、垂直方向に偏光された光を実質的に反射するように配向されるように選択されたため、光(105)は、第1の反射偏光子から実質的に反射されることになる。この反射された106光に関して、線形偏光は、ほとんど垂直方向の反射を再び受けることになる。しかしながら偏光方向は、反射軸と同じ方向に沿って既に位置しているため、それは変化を全く受けない。それ故106もまた、垂直方向に偏光される(106での「V」ラベル)。
【0036】
この光(106)はその後、ファラデー回転子(203)に再び進入する。ファラデー回転子を通る光のこの三度の通過では、ファラデー回転子は、線形に偏光された光を反時計周りに再び回転させる。よって、光(107)がファラデー回転子(203)を出て行くとき、それは今度は、実質的に+90+45=+135度に配向された線形偏光を有する。
【0037】
先に指摘したように、第2の反射偏光子は、それが+45度の偏光された光を実質的に反射するように配向される。+45度の線形偏光を反射する反射偏光子は、直交する+135度の線形偏光を実質的に透過することになる。それ故第2の反射偏光子(204)は、その+135度の線形偏光配向を有する光107を透過することになる。よって、光107が第2の偏光子(204)にぶつかるとき、それは、実質的に透過し(108)、撮像センサ(401)に到達して画像を形成することになる。
【0038】
よって、選択されたファラデー回転子(203)は、光路(102、103、104、105)が2つの偏光子の間を1往復して反射されるが、その後、その第3の区間(106、107、108)上ではセンサ(401)へと出て行くことになるように、線形偏光に対するそれらの回転を正確に適用した。このような構成は、小型カメラにおいてより長い光路を許容することができ、このことは、より長い焦点距離及びしたがってより高い倍率をサポートする。
【0039】
さらに、2つの偏光子から可能になった透過及び反射は効率的であり得る。ファラデー回転子によって適用された偏光回転により、透過が必要なとき(107から108)、偏光子(204)は、その光の大部分を透過することになり、反射が必要なとき(103から104及び105から106)、第1の偏光子又は第2の偏光子(202、204)はそれぞれ、その光の大部分を反射することになる。それ故カメラの中に入ってくる(水平方向に偏光された)光(101)のかなりの量が、光路(102、103、104、105、106、107、108)に沿って進行し、そして撮像センサ(401)に到達することができる。到来する光のかなりの量がセンサに到達するため、これは、低照度での(例えば夜間における)動作を可能にすることができる。
【0040】
システムは、回転の符号又は方向が反転した場合でも均等に動作することができる。ファラデー回転子(203)が光の線形偏光を実質的に-45度回転させる(すなわち、ここでは、それは反時計周りの代わりに時計周りにそれを回転させる)場合でも、また、第2の偏光子(204)が、第1の偏光子に対して(前述のように+45度の代わりに)実質的に-45度の角度に配向される反射偏光方向を有する場合でも、実施の形態は、動作可能なままである。また、組立体全体を任意の自由裁量の角度だけ回転させることができ、これは、水平偏光としてラベル付けされるものの配向を選択することに同等に対応する。
【0041】
別の実施の形態では、システムは、ファラデー回転のサイズが45度より小さい場合に動作することができる。ファラデー回転子が角度ベータだけ線形偏光を回転させると仮定すると、この場合、例えばベータは、実質的に40度、35度、30度など、又は45度未満の何らかの他の角度である。このケースでは、第1の反射偏光子の透過偏光配向と、第2の反射偏光子の反射偏光配向との間の角度がベータになるように選択する。システムは同じ方法で動作するが、センサに到達する光の総量は減少する(すなわち、撮像システムの効率は低下する)。
【0042】
ファラデー回転子要素(203)は、円形偏光複屈折を呈する材料で構成されることができる。それは、これに限定するものではないが、ドープ・ガラス、薄膜又は高いベルデ定数を有する他の材料で構成されてよい(ベルデ定数は、その材料におけるファラデー効果の強度を記述する、材料の光学的特性である)。ファラデー効果は、長手方向の静磁場が存在するとき材料を通る光の透過を伴う光磁気効果である。よって、ファラデー回転子は、周辺の磁石、磁性材料、電気配線又は適切な磁場を適用する他の構成要素を含むことで、ファラデー回転子の幅を通る偏光回転を可能にしてよい。
【0043】
磁石のないファラデー回転子もまた可能である。そのようなファラデー回転子の場合、外部磁石又は外部磁性材料は必要ではない。代わりに、磁場がファラデー材料自体の内部に存在する。これは、材料を磁性の不純物で、又は材料内に埋め込まれた磁化要素(例えば、磁化マイクロ粒子若しくはナノ粒子、ワイヤ、又は他の機構)でドーピングすることによって達成されることができる。或いは、材料は、磁化ラッチングを呈し、事前に磁化されている場合もある。ファラデー材料の一部の例は、ファラデー回転材料として作用するように開発されている薄膜結晶の有機及び無機材料を含む。ファラデー材料として作用することができる磁性添加物を有する有機又はポリマー膜が存在する。またファラデー回転を生み出すために当分野で知られた他の方法がある。ファラデー回転子が、外部の磁石又は磁性材料と共に、又はそれらがない状態のいずれかで、上記の方法のいずれかから構築され得ることを本明細書に開示する。
【0044】
他の実施の形態では、図1における要素の1つ、いくつか、又は全ては、1つの機能を実行するために一緒に作用する複数の要素として実装される場合もある。例えば、任意の単一のレンズ又は集束基板をレンズ又は基板のグループによって置き換えることができる。さらにファラデー回転子(203)は、例えば、その各々が、所望の回転の一部を達成する複数の回転子又は複数の層で構成される場合もある。それは、ファラデー回転を可能にする他の要素、例えば、ファラデー回転を可能にする磁性要素、特定の材料又は膜を含んでもよいし、含まなくてもよい。また、それは、ファラデー回転の量の調整を可能にする調整要素(例えば、電圧、磁場又は温度による調整など)を含んでもよい。
【0045】
図2は、スマートフォン、タブレット、ラップトップ又は他のモバイル機器の内部で使用することができるカメラ又は撮像システムの一例のタイプを示す。これは、図1の一例のシステムであるが、ここでは、その要素がスマートフォンの内部に配向された場合がより詳細に示される。それは、レンズ又は集束基板(201)と、それに隣接する第1の反射偏光子(202)であって、その配向が、水平方向に偏光された光を透過し、それ故、垂直方向に偏光された光を反射するように選択される第1の反射偏光子(202)と、それに隣接する上記に記載したファラデー回転子(203)と、それに隣接する第2の反射偏光子(204)であって、その配向が第1の反射偏光子に対して-45度に配置され、それ故、それは+45度の偏光された光を反射するように選択され、それ故、+135度の線形偏光された光を透過することになる第2の反射偏光子(204)と、それに隣接する撮像センサ(401)と、で構成される。これらの要素は、カメラの光路に実質的に沿って(到来する光線101、すなわち図2における-Z軸に連続して沿って)配列され、その配向は、この軸又は光路に対して実質的に垂直である(それらは図2におけるXY平面に沿って配向されることを意味する)。
【0046】
図2に見ることができるように、一例のシステムは、カメラの光学軸を(101に沿って)スマートフォンの厚さを通して配向するようにスマートフォンにおいて使用されることができる。この構成は、スマートフォンの厚みにわたって利用可能な光路長(及びそれ故焦点距離)を最高で倍増することを可能にすることができる。図2は、(到来する光路101に沿った)カメラの光学軸を(図2における-Z軸に沿って)スマートフォンの最も薄い部分に沿って位置合わせすることができるケースを示す。結果として生じるカメラを通る光路及び光の偏光は、図1に関して先に記載したものと同じままである。
【0047】
発明が利用され得る第2の方法は、ペリスコープ幾何学形状との組み合わせにおいてである。図1に例示される発明は、コーナリング・ミラー(200)がレンズ201の前にあるケースについて図3に例示されるように、レンズ201の前又は後ろにコーナリング・ミラー又はプリズムをさらに含んでもよい。この実施の形態では、所望であれば、アパーチャ701を1つのレンズ又は複数のレンズによって置き換えることもできる。図1の実施の形態が「ペリスコープ」構成において使用されるそのような設計は、既存のスマートフォン・ペリスコープ・カメラ設計に対して利点を有する。既存のペリスコープ設計では、光にとって利用可能な焦点調節経路長は、カメラの長軸(図3ではY軸に沿った)の長さを超えることはない。このことは、従来のスマートフォン・ペリスコープ・カメラの利用可能な焦点距離を固定し、それ故、その最大倍率も固定する。図3に示される実施の形態では、偏光反射器(202及び204)並びにファラデー回転子(203)のために、カメラの長軸の長さのほぼ2倍までが光の進行にとって利用可能であり、それ故焦点調節及び倍率にも利用可能である。
【0048】
図3の現行の一例の実施の形態では、光はアパーチャ701(これはまた、1つのレンズ又はレンズ・グループ或いは1つの集束基板又は複数の集束基板であり得る)を通って-Z軸に沿ってスマートフォンに進入し(光線100)、方向転換用の鏡(200)又は等価なコーナリング・プリズムによって実質的に90度向きが変えられる。レンズ(201)は、方向転換用の鏡又はコーナリング・プリズム(図3に示されるように)の後ろのままであり得る、又はそれは、方向転換用の鏡又はコーナリング・プリズムの前に、アパーチャ701内又はその近くに配置される場合もある。光はその後、図1に関して示され考察されたものと同じ方法でこの実施の形態を通して進行する(図1における光路101から108を参照)。
【0049】
例えば、性能をさらに改善するために他の光学要素を実施の形態に加えることができる。例えば、撮像収差を低下させるために、1つ若しくは複数のレンズ又は集束基板を偏光子及びファラデー回転子の前、その間、又はその後に球面又は非球面で加えてもよい。
【0050】
例えば、第1のレンズ又は集束基板の直前又は直後に、コーナリング・ミラー又はコーナリング・プリズムを加えることも可能であり、その結果、光路は実質的に90度だけ曲げられることになる。このことは、撮像システムがモバイル機器の長さ(その幅ではなく)に沿って動作することを可能にすることができ、これにより、光路の利用可能な長さをさらに増大させることができる。
【0051】
上記の実施の形態の全てにおいて、単一のレンズ又は集束基板をレンズ・グループ又は集束基板のグループによって置き換えることができる、或いは追加のレンズを他の要素の前に、又はそれらの間に加えることができる。図3におけるアパーチャ701などのアパーチャもまた、1つのレンズ又は複数のレンズによって置き換えられてもよい。或いは、その逆も同様であり、第1のレンズ、例えば図中のレンズ201は、アパーチャによって置き換えることができ、必要なレンズは、アパーチャの後に配置されることができる。
【0052】
要素及びその表面は、平坦である代わりに湾曲されてもよいことが開示される。或いは、湾曲した光学表面が、開示される要素の前又は後に配置されてもよい。具体的には、鏡又は鏡面は、球面又は非球面状のいずれかで湾曲されてもよい。そのような構成要素が利用可能である場合、偏光子の1つ、いくつか又は全て或いはファラデー回転子が、平坦のままである代わりに湾曲される、又は成形されてもよい。総合的に言えば、1つ、いくつか又は多くの要素を湾曲することができる、或いは湾曲面を有することができる、或いはそれらの前又は後に湾曲した光学要素を有することができる。
【0053】
実施の形態における光学要素のいくつかは、例えば並進される、又は傾斜されるなど、経時的に移動されてもよいこと、或いはいくつかの要素のタイプに関して、それらの形状は経時的に適合されてもよいことが開示される。そのような移動又は形状の変化は、カメラ及び撮像システムにおける焦点を変更するために、及び/又はビデオ・ジッターを修正するのに一般に使用され、同じものを本明細書に開示されるシステムにおいて使用することができることが開示される。そのような移動に影響を与えるための多くの方法が存在しており、圧電、静電気、磁気、モータ作動ラックアンドピニオン式、MEMS(微小電気機械システム)アクチュエータ又は他のタイプの作動が含まれる。そのような運動を含めることが、我々の実施の形態に関して開示される。
【0054】
図4は、改善された性能のための別の実施の形態の態様を示す。偏光子204が分量ΔXだけ右に移動された場合、光路長の変化は、その量の2倍であり、すなわち2ΔXである。これは図4に例示されている。偏光子の移動ΔX(ラベル4)に関して、レンズ(201)からセンサ(401)までの光は、鏡が変位された距離を2回以上横切る。光は順方向にそれを横切り(追加された光路113)、そして戻る方向に再びそれを横切る(追加された光路114)。
【0055】
示されるように、ΔXの3回目の拡大は存在しない。光の3回目の通過に関して、すなわち107、108に関して、204から214まで右に加えられた距離+ΔXは、214から401までの短縮された距離-ΔXによって相殺される。これにより202から401まで106、107、108に沿った距離は、たとえ204が移動されたとしても同じ状態のままである。しかしながら、偏光子(204)及びセンサ(410)が1つのユニットとしてΔXだけ一緒に移動された場合、202から401までの距離もまた、+ΔXだけ増大することが開示される。それ故、ここでは、ユニットのΔX移動に関して3ΔXのメリットが存在する。図4に示される2ΔXのメリット、及び204からa 401まで加えられた+ΔX距離。
【0056】
上記の二重移動又は三重移動のメリットは、スマートフォン又は他のモバイル機器におけるカメラを含め、小型カメラ用途に有利である。そのようなカメラでは、要素の移動に利用可能な空間の量は制限される。よって、同じ分量の要素の移動から、より大きな光路の変更、及びそれ故より大きな焦点調節の変更を引き出すことが大きく望まれる。上記の利点は、図1の実施の形態の文脈において提示されたが、本明細書の他の実施の形態についても同じことが言える。
【0057】
図1から図4において、構成要素の間に示される自由空間が存在する。しかしながらこれは、例示を明確にする目的で主に行われており、そのため、読み手は、発明の全ての構成要素を容易に見ることができる。この自由空間が維持されることができる、又は、構成要素が、所望されるのと同じくらい近くに、或いは製造又は他の要件によって許容されるのと同じくらい近くに、互いに近づけられてもよく、そうすることは予想され開示されることを指摘する。
【0058】
開示される実施の形態は、高倍率に加えて低照度での動作を可能にするために選択されている。低照度は、例えば、1つのタイプの偏光のほぼ全ての光など光のかなりの部分をセンサまで送達する設計を発明的に選択することによって達成されている。光のかなりの量をセンサまで送達することは、信号対ノイズ比をより良くすることを可能にすることを指摘する。より多くの光がセンサに到達する場合、対象物又はシーンからの信号は、撮像センサのダークノイズレベルと比べてより高くなる(ダークノイズは、センサに全く光が到達しない場合のセンサのノイズの量である)。センサに到達する光の量を高いレベルで維持することによって、信号対ノイズ比が増大され、これは結果として、カメラが、より少ない光でも、すなわちより低い光レベルでも順調に動作することを可能にする。
【0059】
実施の形態の全てに関して、使用することができる構成要素、並びに本開示がそのような使用を予測し含む構成要素に関して異なる名称及び/又は異なるバージョンが存在することを開示する。具体的には、偏光素子は、これに限定するものではないが、薄膜偏光子、微小ワイヤー・グリッド偏光子、波形プレート、液晶回転子、フレネルの斜方体及び同様のデバイスを含んでもよい。偏光子の1つ又は複数は、電圧を印加することによってその偏光配向が変更されてよい液晶偏光子など調節可能な偏光子であり得る。
【0060】
撮像センサは、時間積分センサ、CCD(電荷結合素子)センサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサ、アバランシェ・フォトダイオード・アレイ、電子倍増管アレイ、ナノ粒子又はナノ材料ベースのセンサ、グレースケール又はカラー・センサ、スマートフォン又はモバイル機器カメラにおいて使用される任意のタイプのセンサ或いは任意の他のタイプのセンサであり得る。
【0061】
様々な明言される数は、正確な値ではなく、変動量を有する場合があることが理解される。例えば、プラス又はマイナス45度の偏光回転は、変動量を有する場合がある。具体的には、回転の量は、光の光学的特性(異なる入射角における光又は光の異なる波長が異なる相シフトを受けることになる)の理由と、これもまた、回転の量に変化をもたらすことになるエンジニアリング又は製造の理由(ファラデー回転子の厚さ、材料の変動、及び他の製造上の変動)の両方のために、きっかり45度である必要はない。現行の開示は、避けられない理由(上記のような)のため、又はシステムの設計者がシステムの制約条件に適応するために相を変化させることを望む場合に意図される理由の両方のために、「理想的な」45度の偏光回転から離れるそのような変動も網羅している。他の同様のケースもまた同じように網羅されており、例である、又は概数であると理解される。
【0062】
任意の数はまた、その論理的に反対の符号のもう一方の符号も含めることが理解される。例えば、当業者は、偏光とファラデー回転との間の実施の形態の相関関係に自己矛盾がない状態が維持される限り、本明細書に開示されるシステムは、+45度が-45度によって置き換えられるとしても十分に等しく機能することを認識するであろう。同様に、一般に偏光に関して、符号の変更がある、又は全体的な正若しくは負の相の追加を介して変更があるとしても、システムの動作を変化させることはない。そのような置き換えは、予想されるべきと理解され、本開示によって網羅されている。
【0063】
例えば、図1図4に関連して、実施の形態は、偏光子及び他の構成要素が、各水平偏光(図中では「H」のラベル)が、垂直偏光(「V」)によって置き換えられるように選択された場合、十分に等しく動作することが可能であり、その逆もまた同様である。例えば、図1では、偏光子202は、102が垂直方向に線形偏光される(「H」の代わりに「V」)ように配向されることができ、その後、戻り経路105は、水平方向(「H」)に偏光される。偏光子(202)を出て行く光及び偏光子(202)に戻る光はなおも90度だけ異なっており、それ故、光及びシステム動作の全体の経路が(全ての「H」が「V」によって置き換えられること、またその逆もまた同様であること、並びに+45度及び+135度が適切に調節されることを除いて)図1に示されるようなままであることもやはりこのケースである。この意味において、偏光子(202)の配向を90度変更することは、システムを動作可能な状態のままにすることになり、予測され、開示されている。
【0064】
第1の反射偏光子(202)の配向を90度以外の任意の他の角度だけ変えることは、第2の反射偏光子(204)の配向が同様に調節される限り、同じようにシステムを動作可能な状態のままにするであろう。そのような変更は、全体の配向角度の追加であると理解され、所望通りに(例えば、システムの設計にとって都合がよい1つの軸とセンサにおける偏光を位置合わせするため、又は、到来する光の偏光に関してシステムの性能を最適化するために到来する光が偏光される場合に)選択されることができる。システムに対するそのような変更は、図1の実施の形態に関して、並びに本発明に開示される全ての他の実施の形態に関して理解され開示される。
【0065】
線形偏光状態の位相が変位した組み合わせは、円形偏光状態を呼ばれるものを生み出すことになる。円形偏光は、左回り(ビームが伝播する際、反時計周りに回転する)又は右回り(時計周りに回転する)であり得る。左回りの偏光状態と右回りの偏光状態は直交し、したがって開示される発明では、水平及び垂直線形偏光が使用されるやり方と同じように、これもまた偏光状態として使用されることができることが開示される。完全な線形でも完全な円形でもなく、組み合わせである楕円形の偏光状態も存在する。楕円偏光状態もまた、現行の発明において企図されており、これもまた使用されてよい。ポアンカレ球を使用して偏光状態を表すことができ、任意の偏光(線形、円形又は楕円形)をこの球体上に表すことができることが知られている。線形偏光及び円形偏光は、まさに特定の特別なケースであること、またより一般的には本明細書に開示される発明は、ポアンカレ球上のどこかにあり、及び例えば、互いに対して実質的に直交する、又はポアンカレ球上の直接隣接しない点を占める偏光を使用することができることを開示する。
【0066】
開示される実施の形態における構成要素として列挙される要素の一部を実際に遂行するための多くの既知の方法が存在することがさらに開示される。例えば、レンズ又は集束基板は、ガラス又はプラスチック又は他の材料から作成されることができる。それらは、従来の研削及び研磨、単一のポイントダイヤモンド旋削加工、鋳造、3Dプリント又はリソグラフィ式に規定されたものを利用して作成されることができる。加えて、レンズ又は集束基板はまた、ホログラフィ、回折光学要素、摩砕、二次元及び三次元フォトニック結晶、微細構造化された金属及び誘電体並びに屈折率分布型材料を使用するメタレンズの使用を通して作成されることもできる。偏光子は、ポラロイド(登録商標)偏光子のような配向ポリマー鎖を有するポリマー材料、液晶材料、ガラス、結晶又はポリマーに埋め込まれた配向延伸金属ナノ粒子、誘電体表面からのフレネル反射、複屈折結晶材料、薄膜及びマイクロスケールのワイヤー・グリッド材料又は他の材料などの多様な材料から作成されることができる。
【0067】
発明の実施の形態の上述の記載は、例示及び説明の目的で提示されている。網羅的である、又は発明を開示される正確な形態に限定することは意図されておらず、修正形態及び変形形態が上記の教示に照らして可能である、又は発明の実施から取得されてもよい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】