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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】タイマーベースの障害保護回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 9/00 20060101AFI20250123BHJP
   H02H 9/04 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
H02H9/00 B
H02H9/04 A
H02H9/04 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543529
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2024-08-26
(86)【国際出願番号】 US2022013537
(87)【国際公開番号】W WO2023140868
(87)【国際公開日】2023-07-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バンディワデカール, アシシュ シュリカント
【テーマコード(参考)】
5G013
【Fターム(参考)】
5G013CB03
5G013DA06
5G013DA10
5G013DA11
(57)【要約】
タイマーベース障害保護回路(100)、タイマーベース障害保護回路(100)が提供される。タイマーベースの障害保護回路(100)は、本質安全荷重(ISL)の第1端子に電気的に結合するように構成された高電圧ライン(102)、本質安全荷重(ISL)の第2端子に電気的に結合するように構成された低電圧ライン(104)、前記本質安全負荷(ISL)に対して電気的に並列に、高電圧ライン(102)及び低電圧ライン(104)に結合された、電圧リミッタ(110)及び遅延/LIPイネーブル回路(120)、並びに本質安全荷重(ISL)に対してシャント構成で高電圧ライン(102)及び低電圧ライン(104)に電気的に結合されたスイッチ可能な低インピーダンスパス(130)を備える。電圧リミッタ(110)は、遅延/LIPイネーブル回路(120)に通信可能に結合され、遅延/LIPイネーブル回路(120)に信号を供給するように構成され、遅延/LIPイネーブル回路(120)は、スイッチ可能な低インピーダンスパス(130)に通信可能に結合され、スイッチ可能な低インピーダンスパス(130)に信号を供給するように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイマーベースの障害保護回路(100、300)であって、
本質安全負荷(ISL)の第1端子に電気的に結合するように構成された高電圧ライン(102、302)、
前記本質安全負荷(ISL)の第2端子に電気的に結合するように構成された低電圧ライン(104、304)、
前記本質安全負荷(ISL)に対して電気的に並列に、前記高電圧ライン(102、302)及び前記低電圧ライン(104、304)に結合された、電圧リミッタ(110、310)及び遅延/LIPイネーブル回路(120、320)
並びに
前記本質安全負荷(ISL)に対してシャント構成で、前記高電圧ライン(102、302)及び前記低電圧ライン(104、304)に電気的に結合されたスイッチ可能な低インピーダンスパス(130、330)
を備え、
前記電圧リミッタ(110、310)が、前記遅延/LIPイネーブル回路(120、320)に通信可能に結合され、前記遅延/LIPイネーブル回路(120、320)に信号を供給するように構成され、
前記遅延/LIPイネーブル回路(120、320)が、前記スイッチ可能な低インピーダンスパス(130.330)に通信可能に結合され、前記スイッチ可能な低インピーダンスパス(130、330)に信号を供給するように構成される、タイマーベースの障害保護回路(100、300)。
【請求項2】
前記高電圧ライン(102、302)に電気的に結合された第1端子と前記低電圧ライン(104、304)に電気的に結合された第2端子とを有する過渡電圧抑制ダイオード(140、340)をさらに備え、
前記過渡電圧抑制ダイオード(140、340)が、前記高電圧ライン(102、302)の電圧が前記過渡電圧抑制ダイオード(140、340)のブレークダウン電圧よりも大きいときに、前記高電圧ライン(102、302)と前記低電圧ライン(104、304)との間で電流を流すように構成される、請求項1に記載のタイマーベースの障害保護回路(100、300)。
【請求項3】
前記遅延/LIPイネーブル回路(120、320)から前記信号を受信すると、前記スイッチ可能な低インピーダンスパス(130、330)が、前記過渡電圧抑制ダイオード(140、340)のブレークダウン電圧未満の電圧で、前記高電圧ライン(102、302)と前記低電圧ライン(104、304)との間に順方向伝導電流を流すように構成される、請求項2に記載のタイマーベースの障害保護回路(100、300)。
【請求項4】
前記電圧リミッタ(110、310)が、
前記低電圧ライン(104、304)の電圧に対する前記高電圧ライン(102、302)の電圧を検知し、
前記低電圧ライン(104、304)の電圧に対する前記高電圧ライン(102、302)の電圧が過電圧閾値より大きいときに、前記遅延/LIPイネーブル回路(120、320)に前記信号を供給する、請求項1に記載のタイマーベースの障害保護回路(100、300)。
【請求項5】
前記電圧リミッタ(110、310)が、
前記高電圧ライン(102、302)に電気的に結合された第1端子と、前記低電圧ライン(104、304)に電気的に結合された第2端子とを有し、前記低電圧ライン(104、304)の電圧に対する前記高電圧ライン(102、302)の電圧に基づいて基準電圧(V1)を提供するように構成された電圧デバイダ(112、312)
及び
前記高電圧ライン(102、302)に電気的に結合された第1端子と、前記低電圧ライン(104、304)に電気的に結合された第2端子と、前記基準電圧(V1)を受信するように構成された電圧基準端子(VREF)とを有する第1の電圧調整可能シャントレギュレータ(114、314)
を備え、
前記第1の電圧調整可能シャントレギュレータ(114、314)が、前記基準電圧(V1)に基づいて電流を流すように構成されている、請求項4に記載のタイマーベースの障害保護回路(100、300)。
【請求項6】
前記遅延/LIPイネーブル回路(120、320)が、
前記電圧リミッタ(110、310)から前記信号を受信し、
前記電圧リミッタ(110、310)から前記信号を受信したときに前記遅延/LIPイネーブル回路(120、320)のタイマー機能を開始し、
前記タイマー機能が遅延閾値に達したときに前記信号を前記スイッチ可能な低インピーダンスパス(130、330)に供給する
ように構成される、請求項1に記載のタイマーベースの障害保護回路(100)。
【請求項7】
前記遅延/LIPイネーブル回路(120、320)が、
前記電圧リミッタ(110、310)からの前記信号を受信し、前記電圧リミッタ(110、310)からの前記信号を使用して、RCネットワーク(123、323)内の1つ以上のキャパシタを電圧まで充電するように構成されたRCネットワーク(123、323)、
前記RCネットワーク(123、323)に電気的に結合され、前記RCネットワーク(123、323)内の一つ以上のキャパシタの前記電圧を受信し、前記RCネットワーク(123、323)の前記一つ以上のキャパシタの前記電圧に基づいて電流を流すように構成された第2の電圧調整可能シャントレギュレータ(124、324)、
及び
前記第2の電圧調整可能シャントレギュレータ(124、324)に電気的に結合されたSCRイネーブルスイッチ(126、323)であって、前記第2の電圧調整可能シャントレギュレータ(124、324)が前記電流を流すときに、前記スイッチ可能な低インピーダンスパス(130、330)に前記信号を提供するように構成された、SCRイネーブルスイッチ(126、326)
を備える、請求項6に記載のタイマーベースの障害保護回路(100、300)。
【請求項8】
前記第2の電圧調整可能シャントレギュレータ(124、324)が、
前記高電圧ライン(102、302)および前記SCRイネーブルスイッチ(126、326)のベース端子に電気的に結合された第1端子と、
前記低電圧ライン(104、304)に電気的に結合された第2端子と、
前記RCネットワーク(123、323)の前記一つ以上のキャパシタの前記電圧を受信するように構成された基準電圧端子(VREF)と
を備え、
前記第2の電圧調整可能シャントレギュレータ(124、324)が、前記RCネットワーク(123、323)の一つ以上のキャパシタの前記電圧に比例して、前記高電圧ライン(102、302)から前記低電圧ライン(104、304)へ前記電流を流すように構成される、請求項7に記載のタイマーベースの障害保護回路(100、300)。
【請求項9】
前記スイッチ可能な低インピーダンスパス(130、330)が、
前記高電圧ライン(102、302)に電気的に結合された第1端子と、前記低電圧ライン(104、304)に電気的に結合された第2端子と、前記遅延/LIPイネーブル回路(120、320)からの前記信号を受信するように前記SCRイネーブルスイッチ(126、326)に電気的に結合されたゲートと、を有するSCR(130D、330D)を備え、
前記SCR(130D、330D)が、前記遅延/LIPイネーブル回路(120、320)からの前記信号がゲート閾値を超えるときに、前記高電圧ライン(102、302)と前記低電圧ライン(104、304)との間で順方向伝導電流を流すように構成される、請求項1に記載のタイマーベースの障害保護回路(100、300)。
【請求項10】
前記遅延/LIPイネーブル回路(120、320)から受信される前記信号が、前記ゲート閾値を超える前記高電圧ライン(102、302)の電圧値を含む、請求項9に記載のタイマーベースの障害保護回路(100、300)。
【請求項11】
前記SCR (130D、330D)が、前記順方向伝導電流が前記SCR (130D、330D)の保持電流より大きい間、前記順方向伝導電流を流すように構成される、請求項9に記載のタイマーベースの障害保護回路(100、300)。
【請求項12】
タイマーベースの障害保護回路を形成する方法であって
高電圧ラインを本質安全負荷の第1端子に電気的に結合するように構成するステップ、
低電圧ラインを本質安全負荷の第2端子に電気的に結合するように構成するステップ、
前記本質安全負荷に対して電気的に並列に、電圧リミッタおよび遅延/LIPイネーブル回路を前記高電圧ラインおよび前記低電圧ラインに結合するステップ、
前記本質安全負荷に対してシャント構成で、スイッチ可能な低インピーダンスパスを前記高電圧ライン及び前記低電圧ラインに電気的に結合するステップ、
前記電圧リミッタを前記遅延/LIPイネーブル回路に通信可能に結合し、信号を前記遅延/LIPイネーブル回路に提供するように構成するステップ、
前記遅延/LIPイネーブル回路を前記スイッチ可能な低インピーダンスパスに通信可能に結合するステップ
及び
前記遅延/LIPイネーブル回路を前記スイッチ可能な低インピーダンスパスに信号を供給するように構成するステップ
を含む、タイマーベースの障害保護回路を形成する方法。
【請求項13】
過渡電圧抑制ダイオードの第1端子を前記高電圧ラインに、第2端子を前記低電圧ラインに電気的に結合するステップをさらに備え、
前記過渡電圧抑制ダイオードが、前記高電圧ラインの電圧が前記過渡電圧抑制ダイオードのブレークダウン電圧よりも大きいときに、前記高電圧ラインと前記低電圧ラインとの間に電流を流すように構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記遅延/LIPイネーブル回路から前記信号を受信すると、前記過渡電圧抑制ダイオードのブレークダウン電圧未満の電圧で前記高電圧ラインと前記低電圧ラインとの間に順方向伝導電流を流すように、前記スイッチ可能な低インピーダンスパスを構成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電圧リミッタを、
前記低電圧ラインの電圧に対する前記高電圧ラインの電圧を検知し、
前記低電圧ラインの電圧に対する前記高電圧ラインの電圧が過電圧閾値より大きいときに、前記遅延/LIPイネーブル回路に前記信号を供給する
ように構成するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記電圧リミッタを前記高電圧ライン及び前記低電圧ラインに電気的に結合するステップが、
電圧デバイダの第1端子を前記高電圧ラインに、前記電圧デバイダの第2端子を前記低電圧ラインに電気的に結合し、前記電圧デバイダを、前記低電圧ラインの電圧に対する前記高電圧ラインの電圧に基づいて基準電圧を供給するように構成することと、
第1の電圧調整可能シャントレギュレータの第1端子を前記高電圧ラインに、前記第1の電圧調整可能シャントレギュレータの第2端子を前記低電圧ラインに電気的に結合し、前記第1の電圧調整可能シャントレギュレータの電圧基準端子で前記基準電圧を受信し、前記第1の電圧調整可能シャントレギュレータが前記基準電圧に基づいて電流を流すように構成することと
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記遅延/LIPイネーブル回路を、
前記電圧リミッタから前記信号を受信し、
前記電圧リミッタから前記信号を受信したときに前記遅延/LIPイネーブル回路のタイマー機能を開始し、
前記タイマー機能が遅延閾値に達したときに前記信号を前記スイッチ可能な低インピーダンスパスに供給する
ように構成するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記遅延/LIPイネーブル回路が、
前記電圧リミッタからの前記信号を受信し、前記電圧リミッタからの前記信号を使用して、RCネットワーク内の一つ以上のキャパシタを電圧まで充電するように構成されたRCネットワーク、
前記RCネットワークに電気的に結合され、前記RCネットワーク内の一つ以上のキャパシタの前記電圧を受信し、前記RCネットワークの前記一つ以上のキャパシタの前記電圧に基づいて電流を流すように構成された第2の電圧調整可能シャントレギュレータ(124、324)、
及び
前記第2の電圧調整可能シャントレギュレータに電気的に結合されたSCRイネーブルスイッチであって、前記第2の電圧調整可能シャントレギュレータが前記電流を流すときに、前記スイッチ可能な低インピーダンスパスに前記信号を提供するように構成される、SCRイネーブルスイッチ
を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の電圧調整可能シャントレギュレータが、
前記高電圧ラインおよび前記SCRイネーブルスイッチのベース端子に電気的に結合された第1端子、
前記低電圧ラインに電気的に結合された第2端子
及び
前記RCネットワークの前記一つ以上のキャパシタの前記電圧を受信するように構成された基準電圧端子(VREF
を備え、
前記第2の電圧調整可能シャントレギュレータが、前記RCネットワークの一つ以上のキャパシタの前記電圧に比例して、前記高電圧ラインから前記低電圧ラインへ前記電流を流すように構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記スイッチ可能な低インピーダンスパスが、
前記高電圧ラインに電気的に結合された第1端子と、前記低電圧ラインに電気的に結合された第2端子と、前記遅延/LIPイネーブル回路からの信号を受信するように前記SCRイネーブルスイッチに電気的に結合されたゲートと、を有するSCRを備え、
前記SCRが、前記遅延/LIPイネーブル回路からの前記信号がゲート閾値を超えるときに、前記高電圧ラインと前記低電圧ラインとの間で順方向伝導電流を流すように構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記遅延/LIPイネーブル回路から受信される前記信号が、前記ゲート閾値を超える前記高電圧ラインの電圧値を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記SCRが、前記順方向伝導電流が前記SCRの保持電流より大きい間、前記順方向伝導電流を流すように構成される、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明する実施形態は、障害保護回路に関し、より詳細には、タイマーベースの障害保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の処理システムは、本質安全(IS)ゾーンで意図された機能を実行するために、より多くの電力を必要とする。この高電力要求は、例えば、FPGAを内蔵した高速マルチコアプロセッサが原因となる場合がある。高電力要求は、場合によっては、高電流を供給することによってのみ満たすことができる場合がある。しかし、バリアの動作は故障状態でのみ考慮されるため、ISバリアの設計時には、最悪の故障状態を考慮する必要がある。
【0003】
通常の動作条件では、これらのバリアはオープン回路である必要があり、通常の回路動作の一部ではない場合がある。従来のツェナーバリアは、障害状態での高消費電力のために、このような高電流/高電力用途には適していない場合がある。高消費電力状態での障害の下では、ツェナーリードとそのケースの温度は容易に最大閾値レベルを超え、バリアが損傷する可能性がある。ISバリアが損傷を受けると、IS負荷が障害状態にさらされる可能性がある。
【0004】
従来のツェナーダイオードバリアが採用されてきたが、高電流用途において効果を発揮するために、望ましくないほど大きなフォームファクタ(例えば、ボードスペース、オーバヘッドスペース、放熱ハードウェアなど)を必要とする場合がある。さらに、ツェナーダイオードは、望ましくないほど高い消費電力を必要とし、したがって、かなりの放熱要件を必要とする場合がある。ツェナーダイオードの時間が制限されていれば、このような望ましくないほど高い消費電力要求がなく、より小さいフォームファクタを使用することができる。従って、タイマーベースの障害保護回路が必要である。
【発明の概要】
【0005】
タイマーベースの障害保護回路が提供される。一実施形態に係るタイマーベースの障害保護回路は、本質安全負荷の第1端子に電気的に結合するように構成された高電圧ライン、本質安全負荷の第2端子に電気的に結合するように構成された低電圧ライン、本質安全負荷に対して電気的に並列に高電圧ライン及び低電圧ラインに結合された電圧リミッタ及び遅延/LIPイネーブル回路、並びに本質安全負荷に対してシャント構成で高電圧ライン及び低電圧ラインに電気的に結合されたスイッチ可能な低インピーダンスパス、を備える。電圧リミッタは、遅延/LIPイネーブル回路に通信可能に結合され、遅延/LIPイネーブル回路に信号を供給するように構成され、遅延/LIPイネーブル回路は、スイッチ可能な低インピーダンスパスに通信可能に結合され、スイッチ可能な低インピーダンスパスに信号を供給するように構成される。
【0006】
タイマーベースの障害保護回路を形成する方法が提供される。一実施形態によれば、この方法は、高電圧ラインを本質安全負荷の第1端子に電気的に結合するように構成するステップ、低電圧ラインを本質安全負荷の第2端子に電気的に結合するように構成するステップ、本質安全負荷に対して電気的に並列に電圧リミッタ及び遅延/LIPイネーブル回路を高電圧ライン及び低電圧ラインに結合するステップ、本質安全負荷に対してシャント構成でスイッチ可能な低インピーダンスパスを高電圧ライン及び低電圧ラインに電気的に結合するステップ、電圧リミッタを遅延/LIPイネーブル回路に通信可能に結合し、信号を遅延/LIPイネーブル回路に提供するように構成するステップ、遅延/LIPイネーブル回路をスイッチ可能な低インピーダンスパスに通信可能に結合するステップ、並びに遅延/LIPイネーブル回路をスイッチ可能な低インピーダンスパスに信号を供給するように構成するステップ、を含む。
【0007】
[態様]
一態様によれば、タイマーベースの障害保護回路は、本質安全負荷の第1端子に電気的に結合するように構成された高電圧ライン、本質安全負荷の第2端子に電気的に結合するように構成された低電圧ライン、本質安全負荷に対して電気的に並列に高電圧ライン及び低電圧ラインに結合された電圧リミッタ及び遅延/LIPイネーブル回路、並びに本質安全負荷に対してシャント構成で高電圧ライン及び低電圧ラインに電気的に結合されたスイッチ可能な低インピーダンスパスを備える。電圧リミッタは、遅延/LIPイネーブル回路に通信可能に結合され、遅延/LIPイネーブル回路に信号を供給するように構成され、遅延/LIPイネーブル回路は、スイッチ可能な低インピーダンスパスに通信可能に結合され、スイッチ可能な低インピーダンスパスに信号を供給するように構成される。
【0008】
好ましくは、前記タイマーベースの障害保護回路は、高電圧ラインに電気的に結合された第1端子と、低電圧ラインに電気的に結合された第2端子とを有する過渡電圧抑制ダイオードをさらに備え、前記過渡電圧抑制ダイオードは、前記高電圧ラインの電圧が前記過渡電圧抑制ダイオードのブレークダウン電圧よりも大きいときに、前記高電圧ラインと前記低電圧ラインとの間に電流を流すように構成される。
【0009】
好ましくは、遅延/LIPイネーブル回路から信号を受信すると、スイッチ可能な低インピーダンスパスは、過渡電圧抑制ダイオードのブレークダウン電圧未満の電圧で、高電圧ラインと低電圧ラインとの間に順方向伝導電流を流すように構成される。
【0010】
好ましくは、電圧リミッタは、低電圧ラインの電圧に対する高電圧ラインの電圧を検知し、低電圧ラインの電圧に対する高電圧ラインの電圧が過電圧閾値より大きいときに、遅延/LIPイネーブル回路に信号を供給するように構成される。
【0011】
好ましくは、前記電圧リミッタは、前記高電圧ラインに電気的に結合された第1端子と、前記低電圧ラインに電気的に結合された第2端子とを有し、前記低電圧ラインの電圧に対する前記高電圧ラインの電圧に基づいて基準電圧を供給するように構成された電圧デバイダ、及び前記高電圧ラインに電気的に結合された第1端子と、前記低電圧ラインに電気的に結合された第2端子と、前記基準電圧を受信するように構成された電圧基準端子とを有する第1の電圧調整可能シャントレギュレータを備え、前記第1の電圧調整可能シャントレギュレータは、前記基準電圧に基づいて電流を流すように構成されている。
【0012】
好ましくは、遅延/LIPイネーブル回路は、電圧リミッタから信号を受信し、電圧リミッタから信号を受信したときに遅延/LIPイネーブル回路のタイマー機能を開始し、タイマー機能が遅延閾値に達したときに信号をスイッチ可能な低インピーダンスパスに供給するように構成されている。
【0013】
好ましくは、遅延/LIPイネーブル回路は、電圧リミッタからの信号を受信し、電圧リミッタからの信号を使用してRCネットワーク内の一つ以上のキャパシタを電圧まで充電するように構成されたRCネットワーク、前記RCネットワークに電気的に結合され、RCネットワーク内の一つ以上のキャパシタの電圧を受信し、RCネットワークの一つ以上のキャパシタの電圧に基づいて電流を流すように構成された第2の電圧調整可能シャントレギュレータ、及び第2の電圧調整可能シャントレギュレータに電気的に結合されたSCRイネーブルスイッチであって、第2の電圧調整可能シャントレギュレータが電流を流すときにスイッチ可能な低インピーダンスパスに信号を提供するように構成されるSCRイネーブルスイッチを備える。
【0014】
好ましくは、第2の電圧調整可能シャントレギュレータは、高電圧ライン及びSCRイネーブルスイッチのベース端子に電気的に結合された第1端子と、低電圧ラインに電気的に結合された第2端子と、RCネットワークの一つ以上のキャパシタの電圧を受信するように構成された基準電圧端子とを備える。第2の電圧調整可能シャントレギュレータは、RCネットワークの一つ以上のキャパシタの電圧に比例して、高電圧ラインから低電圧ラインへ電流を流すように構成されている。
【0015】
好ましくは、スイッチ可能な低インピーダンスパスは、高電圧ラインに電気的に結合された第1端子と、低電圧ラインに電気的に結合された第2端子と、遅延/LIPイネーブル回路から信号を受信するようにSCRイネーブルスイッチに電気的に結合されたゲートとを有するSCRを備える。SCRは、遅延/LIPイネーブル回路からの信号がゲート閾値を超えるときに、高電圧ラインと低電圧ラインとの間で順方向伝導電流を流すように構成されている。
【0016】
好ましくは、遅延/LIPイネーブル回路から受信される信号は、ゲート閾値を超える高電圧ラインの電圧値を含む。
【0017】
好ましくは、SCRは、順方向伝導電流がSCRの保持電流より大きい間、順方向伝導電流を流すように構成される。
【0018】
一態様によれば、タイマーベースの障害保護回路を形成する方法は、高電圧ラインを本質安全負荷の第1端子に電気的に結合するように構成するステップ、低電圧ラインを本質安全負荷の第2端子に電気的に結合するように構成するステップ、本質安全負荷に対して電気的に並列に、電圧リミッタ及び遅延/LIPイネーブル回路を高電圧ライン及び低電圧ラインに結合するステップ、本質安全負荷に対してシャント構成でスイッチ可能な低インピーダンスパスを高電圧ライン及び低電圧ラインに電気的に結合するステップ、電圧リミッタを遅延/LIPイネーブル回路に通信可能に結合し、信号を遅延/LIPイネーブル回路に提供するように構成するステップ、遅延/LIPイネーブル回路をスイッチ可能な低インピーダンスパスに通信可能に結合するステップ、及び遅延/LIPイネーブル回路をスイッチ可能な低インピーダンスパスに信号を供給するように構成するステップ、を含む。
【0019】
好ましくは、前記方法が、過渡電圧抑制ダイオードの第1端子を前記高電圧ラインに、第2端子を前記低電圧ラインに電気的に結合するステップをさらに含み、前記過渡電圧抑制ダイオードは、前記高電圧ラインの電圧が前記過渡電圧抑制ダイオードのブレークダウン電圧よりも大きい場合に、前記高電圧ラインと前記低電圧ラインとの間に電流を流すように構成されている。
【0020】
好ましくは、遅延/LIPイネーブル回路から信号を受信すると、過渡電圧抑制ダイオードのブレークダウン電圧未満の電圧で高電圧ラインと低電圧ラインとの間に順方向伝導電流を流すように、スイッチ可能な低インピーダンスパスを構成する。
【0021】
好ましくは、前記方法が、前記低電圧ラインの電圧に対する前記高電圧ラインの電圧を検知し、前記低電圧ラインの電圧に対する前記高電圧ラインの電圧が過電圧閾値よりも大きいときに、前記遅延/LIPイネーブル回路に前記信号を供給するように前記電圧リミッタを構成するステップをさらに含む。
【0022】
好ましくは、電圧リミッタを高電圧ライン及び低電圧ラインに電気的に結合するステップは、電圧デバイダの第1端子を高電圧ラインに、電圧デバイダの第2端子を低電圧ラインに電気的に結合し、電圧デバイダを、低電圧ラインの電圧に対する高電圧ラインの電圧に基づいて基準電圧を供給するように構成することと、第1の電圧調整可能シャントレギュレータの第1端子を高電圧ラインに、第1の電圧調整可能シャントレギュレータの第2端子を低電圧ラインに電気的に結合し、第1の電圧調整可能シャントレギュレータの電圧基準端子で基準電圧を受信し、第1の電圧調整可能シャントレギュレータが基準電圧に基づいて電流を流すように構成することと、を含む。
【0023】
好ましくは、前記方法は、遅延/LIPイネーブル回路を、電圧リミッタから信号を受信し、前記電圧リミッタから信号を受信したときに遅延/LIPイネーブル回路のタイマー機能を開始し、タイマー機能が遅延閾値に達したときに信号をスイッチ可能な低インピーダンスパスに供給するように構成するステップをさらに含む。
【0024】
好ましくは、遅延/LIPイネーブル回路は、電圧リミッタからの信号を受信し、電圧リミッタからの信号を使用してRCネットワーク内の一つ以上のキャパシタを電圧まで充電するように構成されたRCネットワーク、前記RCネットワークに電気的に結合され、RCネットワーク内の一つ以上のキャパシタの電圧を受信し、RCネットワークの一つ以上のキャパシタの電圧に基づいて電流を流すように構成された第2の電圧調整可能シャントレギュレータ、及び第2の電圧調整可能シャントレギュレータに電気的に結合されたSCRイネーブルスイッチであって、第2の電圧調整可能シャントレギュレータが電流を流すときに、スイッチ可能な低インピーダンスパスに信号を提供するように構成されるSCRイネーブルスイッチを備える。
【0025】
好ましくは、第2の電圧調整可能シャントレギュレータは、高電圧ライン及びSCRイネーブルスイッチのベース端子に電気的に結合された第1端子と、低電圧ラインに電気的に結合された第2端子と、RCネットワークの一つ以上のキャパシタの電圧を受けるように構成された基準電圧端子と、を含む。第2の電圧調整可能シャントレギュレータは、RCネットワークの一つ以上のキャパシタの電圧に比例して、高電圧ラインから低電圧ラインへ電流を流すように構成される。
【0026】
好ましくは、スイッチ可能な低インピーダンスパスは、高電圧ラインに電気的に結合された第1端子と、低電圧ラインに電気的に結合された第2端子と、遅延/LIPイネーブル回路から信号を受信するようにSCRイネーブルスイッチに電気的に結合されたゲートとを有するSCRを備える。SCRは、遅延/LIPイネーブル回路からの信号がゲート閾値を超えるときに、高電圧ラインと低電圧ラインとの間に順方向伝導電流を流すように構成される。
【0027】
好ましくは、遅延/LIPイネーブル回路から受信される信号は、ゲート閾値を超える高電圧ラインの電圧値を含む。
【0028】
好ましくは、SCRは、順方向伝導電流がSCRの保持電流より大きい間、順方向伝導電流を流すように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
すべての図面において、同じ参照番号は同じ要素を表す。図面は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。
図1図1は、タイマーベースの障害保護回路100を示す。
図2図2は、図1を参照して説明したタイマーベースの障害保護回路100のより詳細な図を示す。
図3図3は、他のタイマーベースの障害保護回路300を示す。
図4図4は、図1-3を参照して先に説明したタイマーベースの障害保護回路100、300などの、タイマーベースの障害保護回路のタイミングを示すタイミング図400を示す。
図5図5は、タイマーベースの障害保護回路を形成する方法500を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1-5および以下の説明は、タイマーベースの障害保護回路の実施形態の最良のモードをどのようにして作製し、使用するかを当業者に教示するための特定の例を示す。本発明の原理を教示する目的で、一部の従来の態様が単純化又は省略されている。当業者は、本明細書の範囲内に入るこれらの実施例からの変形を理解するであろう。当業者であれば、以下に説明する特徴を様々な方法で組み合わせて、タイマーベースの障害保護回路の複数の変形を形成することができることを理解するであろう。その結果、以下に説明する実施形態は、以下に説明する具体例に限定されるものではなく、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定される。
【0031】
図1は、タイマーベースの障害保護回路100を示す。図1に示すように、タイマーベースの障害保護回路100は、高電圧ライン102及び低電圧ライン104に通信可能に結合された入力100iを含む。高電圧ライン102及び低電圧ライン104は、本質安全負荷ISLに電気的に結合されている。より具体的には、高電圧ライン102は、本質安全負荷ISLの第1端子に電気的に結合され、低電圧ライン104は、本質安全負荷ISLの第2端子に電気的に結合されている。高電圧ライン102、低電圧ライン104、及び本質安全負荷ISLは、電流ループCLを形成し、これは、電流ループCL内の電流の方向を示す矢印を一端に有する破線によって示されている。図1に示すように、高電圧ライン102及び低電圧ライン104は、導体のみから構成されているため、高電圧端子と呼ぶことができる。代替の高電圧ラインは、集中定数素子などの素子を含んでいてもよい。例えば、代替の高電圧ラインおよび/または低電圧ラインは、抵抗素子、容量素子、および/または誘導素子を含んでもいてよい。
【0032】
また、図1には、入力端子に並列に高電圧ライン102及び低電圧ライン104に電気的に結合された電圧リミッタ110が示されている。図1に示すように、電圧リミッタ110は、高電圧ライン102に電気的に結合された第1端子と、低電圧ライン104に電気的に結合された第2端子とを含む。遅延/低インピーダンスパス(「LIP」)イネーブル回路120もまた、入力端子と並列に、高電圧ライン102及び低電圧ライン104に電気的に結合されている。例えば、図1に示すように、遅延及びLIPイネーブル回路120は、高電圧ライン102に電気的に結合された第1端子、及び低電圧ライン104に電気的に結合された第2端子を含む。図1に示されるように、電圧リミッタ110は、遅延/LIPイネーブル回路120に電気的に結合されるものとして示されている。例えば、図1に示すように、電圧リミッタ110は、矢印で示される方向で、遅延/LIPイネーブル回路120に通信可能に結合されている。
【0033】
図1には、高電圧ライン102及び低電圧ライン104に電気的に結合されたスイッチ可能な低インピーダンスパス130も示されている。スイッチ可能な低インピーダンスパス130は、高電圧ライン102に電気的に結合された第1端子と、低電圧ライン104に電気的に結合された第2端子とを含むものとして示されている。スイッチ可能な低インピーダンスパス130は、SCR130Dおよび直列抵抗器130Rを含む。本明細書では、「SCR」との頭文字は、シリコン制御整流器を指す場合があるが、シリコン制御整流器と呼ばれていなくても、代替的な装置が採用されてもよい。例えば、スイッチ可能な低インピーダンスパス130においてサイリスタを採用することができる。
【0034】
SCR130Dと直列抵抗器130Rとは、電気的に直列に結合されている。より詳細には、SCR130Dの第1端子は高電圧ライン102に電気的に結合され、SCR130Dの第2端子は直列抵抗器130Rの第1端子に電気的に結合されている。直列抵抗器130Rの第2端子は、低電圧ライン104に電気的に結合されている。従って、SCR130Dの第2端子は直列抵抗器130Rを介して低電圧ライン104に電気的に結合されているが、SCR130Dは低電圧ライン104に直接電気的に結合されていてもよい。SCR130Dおよび/または直列抵抗器130Rは、望ましい低消費電力レベルが達成されることを確実にするように選択することができるが、任意の適切な基準が採用されてもよい。
【0035】
図1は、入力端子と並列に高電圧ライン102および低電圧ライン104に電気的に結合される、過渡電圧シャント(「TVS」)ダイオード140も示す。より詳細には、TVSダイオード140の第1端子は高電圧ライン102に電気的に結合され、TVSダイオード140の第2端子は低電圧ライン104に電気的に結合されている。TVSダイオード140は、ダイオードのブレークダウン電圧などの閾値電圧を超えたときに導通するように逆バイアスされうる任意の一つ以上のダイオードでありうる。
【0036】
入力100iが通常電圧状態にあると、TVSダイオード140、電圧リミッタ110、およびスイッチ可能な低インピーダンスパス130を通る電流は流れない。すなわち、電流は、正端子から高電圧ライン102を通り、本質安全負荷ISLを通り、低電圧ライン104を経由して負端子にのみ流れる。この電流の流れが、電流ループCLとして図1に示されている。
【0037】
入力100iが、例えば過渡過電圧状態のような過電圧状態にさらされると、TVSダイオード140は、高電圧ライン102と低電圧ライン104の間の電圧差を、電圧クランプ値Vclampにクランプするように構成されている。実質的に同時に、電圧リミッタ110もまた、入力100iの過電圧状態を検出し、タイマー機能を開始するために遅延/LIPイネーブル回路120に信号を供給するように構成されている。
【0038】
例えば、電圧リミッタ110は、遅延/LIPイネーブル回路120に電圧を印加することができ、この例については、図2を参照しながら以下でより詳細に説明する。この電圧条件が印加されている間、遅延/LIPイネーブル回路120は、所定の遅延時間でありうる一定期間に渡って、電圧が印加されたか否かを判定するタイマー機能を実行することができる。遅延/LIPイネーブル回路120がこの一定期間にわたって電圧が印加された後、遅延/LIPイネーブル回路120は、スイッチ可能な低インピーダンスパス130を有効にして、高電圧ライン102と低電圧ライン104との間で電流を導通させる。
【0039】
遅延/LIPイネーブル回路120は、入力100iの過電圧状態による電圧を受ける可能性がある。より具体的には、電圧リミッタ110は、入力100iの過電圧状態が存在する間、遅延/LIPイネーブル回路120に電圧を与えるように構成することができる。電圧リミッタ110によって供給される電圧は、高電圧ライン102に印加される過電圧状態の電圧に比例することができる。より具体的には、遅延/LIPイネーブル回路120に印加される電圧は、以下でより詳細に説明するように、例えば、キャパシタまたは複数のキャパシタを充電するために使用することができるが、遅延/LIPイネーブル回路のタイマー機能を開始し電力を供給するために、任意の適切な信号を使用することができる。
【0040】
理解されるように、タイマーベースの障害保護回路100のスケーリングが可能である。すなわち、代替の構成要素の値、トポロジーなどを、より高いまたはより低い電圧の用途に使用することができる。従って、タイマーベースの障害保護回路100に関連する原理及び手順を使用して、この回路をスケーリングして高電力要求をサポートすることができる。例として、タイマーベースの障害保護回路100のスケーリングは、例えば、より高電力のSCR130Dおよび直列抵抗器130Rを使用することによって実現することができる。タイマーベースの障害保護回路100、並びに他のタイマーベースの障害保護回路の例示的な原理及び手順について、以下でより詳細に説明する。
【0041】
タイマーベースの障害保護回路の詳細な例
図2は、図1を参照して説明したタイマーベースの障害保護回路100のより詳細な図を示す。図2に示されるように、タイマーベース障害保護回路100は、入力100i、高電圧ライン102、本質安全負荷ISL、及び低電圧ライン104を含む。また図2に示すように、タイマーベースの障害保護回路100は、図1を参照して説明した、電圧リミッタ110と、遅延/LIPイネーブル回路120と、スイッチ可能な低インピーダンスパス130と、TVSダイオード140とを含む。
【0042】
図2に示すように、電圧リミッタ110は、電圧デバイダ112と、第1の電圧調整可能シャントレギュレータ114と、遅延回路スイッチ116とを含む。また、図2に示されるように、遅延/LIPイネーブル回路120は、抵抗-キャパシタ(RC)ネットワーク123、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124、及びSCRイネーブルスイッチ126を備える。スイッチ可能な低インピーダンスパス130は、図1を参照して説明されたSCR130Dおよび直列抵抗器130Rを含むものとして示されている。図1を参照して説明されたTVSダイオード140は、図2では四つのTVSダイオードを含むものとして示されているが、より多いまたはより少ないダイオードおよび/または他の要素が使用されてもよい。
【0043】
電圧デバイダ112は、電気的に直列接続された第1抵抗器R1及び第2抵抗器R2を備える。第1抵抗器R1の第1端子は高電圧ライン102に電気的に結合され、第1抵抗器R1の第2端子は第2抵抗器R2の第1端子に電気的に結合されている。第2抵抗器R2の第2端子は、低電圧ライン104に電気的に結合されている。第1電圧基準V1は、電圧デバイダ112の第1および第2抵抗器R1、R2の間にある。
【0044】
第1の電圧調整可能シャントレギュレータ114は、第3抵抗器R3を介して高電圧ライン102に、および低電圧ライン104に電気的に結合されるものとして示されている。すなわち、第1の電圧調整可能シャントレギュレータ114は、入力100iの端子に対して電気的に並列されている。第1の電圧調整可能シャントレギュレータ114はまた、電圧デバイダ112の第1および第2抵抗器R1、R2の間の第1電圧基準V1に電気的に結合される、電圧基準VREF端子を有しているとして示されている。
【0045】
遅延回路スイッチ116は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)として示されている。特に、図に示されるように、遅延回路スイッチ116は、様々なメーカから入手可能なモデルBCX52であり、より具体的にはモデルBCX52-16、115でありうるが、任意の適切なスイッチを使用することができる。遅延回路スイッチ116は、高電圧ライン102に電気的に結合されたエミッタと、第3抵抗器R3及び第4抵抗器R4に電気的に結合されたベースと、電圧降下抵抗器122の第1端子に電気的に結合されたコレクタとを含む。図2に示されるように、第3抵抗器R3の第2端子および第4抵抗器R4の第1端子は、遅延回路スイッチ116のベースに電気的に結合され、第4抵抗器R4の第2端子は、第1の電圧調整可能シャントレギュレータ114の第1端子に電気的に結合されている。第1の電圧調整可能シャントレギュレータ114の第2端子は、低電圧ライン104に電気的に結合されている。
【0046】
図2に示すように、電圧降下抵抗器122は、遅延回路スイッチ116のコレクタに電気的に結合された第1端子を含む。より具体的には、遅延回路スイッチ116のコレクタは、第5抵抗器R5の第1端子に電気的に結合される。図2に示されるように、電圧降下抵抗器122は、第5抵抗器R5からなるものとして示されているが、代替的な電圧降下抵抗器は、複数の抵抗器を含んでいてもよい。
【0047】
RCネットワーク123の第1端子は、電圧降下抵抗器122の第2端子に電気的に結合されている。RCネットワーク123の第2端子は、低電圧ライン104に電気的に結合されている。RCネットワーク123は、互いに並列な第6抵抗器R6およびキャパシタCを備えるとして図2に示されている。より具体的には、第6抵抗器R6の第1端子と、キャパシタCの第1端子とは、互いに電気的に結合されている。さらに、第6抵抗器R6の第2端子と、キャパシタCの第2端子とは、低電圧ライン104に電気的に結合されている。
【0048】
また、RCネットワーク123の第1端子は、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124の電圧基準端子VREFに電気的に結合されている。第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124は、第7抵抗器R7の第2端子に電気的に結合されている第1端子を含む。第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124の第2端子は、低電圧ライン104に電気的に結合されている。図2に示されるように、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124の第2端子は、低電圧ライン104に直接結合されているが、低抵抗パスなどの間接的な電気的結合を採用してもよい。
【0049】
第8抵抗器R8の第1端子は、高電圧ライン102に電気的に結合されている。第8抵抗器R8の第2端子は、SCRイネーブルスイッチ126のエミッタに電気的に結合されている。第7抵抗器R7の第1端子は、SCRイネーブルスイッチ126のベースに電気的に結合されている。SCRイネーブルスイッチ126は、第8抵抗器R8を介して高電圧ライン102に電気的に結合されたエミッタと、スイッチ可能な低インピーダンスパス130に電気的に結合されたコレクタとを含む。SCRイネーブルスイッチ126は、BJTとして示されているが、任意の適切なスイッチが採用されてもよい。SCRイネーブルスイッチ126は、様々なメーカから入手可能なBCX52トランジスタとして、図2に示されている。例えば、SCRイネーブルスイッチ126は、BCX52-16、115トランジスタであってもよい。
【0050】
第9抵抗器R9の第1端子は、高電圧ライン102に電気的に結合される。第9抵抗器R9の第2端子は、第7抵抗器R7の第1端子に電気的に結合されている。第7抵抗器R7および第9抵抗器R9は、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124を高電圧ライン102に電気的に結合させている。第9抵抗器R9の第2端子はまた、SCRイネーブルスイッチ126のベースに電気的に結合されている。理解できるように、第9抵抗器R9は、SCRイネーブルスイッチ126のベースに電圧を供給する。また理解されるように、この電圧は、以下により詳細に説明されるように、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124が電流を伝導するときに低減されうる。
【0051】
図2に示すように、スイッチ可能な低インピーダンスパス130は、図1を参照して説明したSCR130D及び直列抵抗器130Rを含む。SCR130Dの第1端子及び第2端子はそれぞれ、高電圧ライン102及び低電圧ライン104に電気的に結合されている。図3に示されるように、SCR130Dの第2端子は、直列抵抗器130Rを介して低電圧ライン104に電気的に結合されているが、SCR130Dは、低電圧ライン104に直接電気的に結合されていてもよい。なお、直列抵抗器130Rは、第10抵抗器とも称される。SCR130D及び直列抵抗器130Rは、図2に示すように直列に配置されている。SCR130Dは、例えば、Littelfuse社製のSJ6008D1RPなどのSJ6008Dとして示されているが、任意の適切なシリコン制御整流器、サイリスタなどを採用してもよい。SCR130Dは、SCRイネーブルスイッチ126のコレクタに電気的に結合されたゲートを含む。
【0052】
上述され、図2に示されたように、TVSダイオード140は、電気的に並列構成に配置された2つの過渡電圧抑制ダイオードで構成される。特に、TVSダイオード140は、Littelfuse社製の二つの5.0SMDJダイオードで構成されているように示されているが、任意の適切なTVSダイオードを使用してもよい。TVSダイオード140は、図1を参照して説明したように配置される。より具体的には、TVSダイオード140の第1端子は高電圧ライン102に電気的に結合され、TVSダイオード140の第2端子は低電圧ライン104に電気的に結合されている。TVSダイオード140は、本質安全負荷ISLと電気的に並列である。
【0053】
第1および第2の電圧調整可能シャントレギュレータ114、124は、様々なメーカによって製造されるTL431シャントレギュレータでありうるが、任意の適切な調整可能シャントレギュレータを採用してもよい。図2に示されるように、第1および第2の電圧調整可能シャントレギュレータ114、124は、電圧基準端子VREFを含む。第1および第2の電圧調整可能シャントレギュレータ114、124は、電圧基準端子VREFの電圧が、第1および第2の電圧調整可能シャントレギュレータ114、124の内部の電圧基準値より大きい場合に、電流を流すことができる。電圧基準端子VREFの電圧が、第1および第2の電圧調整可能シャントレギュレータ114、124の内部の電圧基準値より小さい場合、第1および第2の電圧調整可能シャントレギュレータ114、124は、導通しないようにすることができる。
【0054】
例えば、図2に示される電圧リミッタ110において、高電圧ライン102の電圧が電圧閾値よりも大きく、第1電圧基準V1値が第1の電圧調整可能シャントレギュレータ114の電圧基準値よりも大きいとき、第1の電圧調整可能シャントレギュレータ114は導通することができる。理解されるように、第1電圧基準V1は、電圧リミッタ110の第1および第2抵抗器R1、R2の抵抗値から決定することができる。遅延/LIPイネーブル回路120では、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124は、RCネットワーク123の第1端子の電圧が第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124の電圧基準値よりも大きいときに、導通することができる。
【0055】
理解されるように、第1の電圧調整可能シャントレギュレータ114が電流を伝導するとき、遅延回路スイッチ116のベースにおける電圧は、比較的低い状態または値まで降下し、これにより、遅延回路スイッチ116のベースとエミッタとの間の電圧差を増加させる。遅延回路スイッチ116のベースとエミッタとの間の電圧差の増加により、遅延回路スイッチ116は、遅延回路スイッチ116のエミッタとコレクタとの間に電流を流すことができる。この結果、RCネットワーク123の第1端子に電圧が印加され、したがって、RCネットワーク123のキャパシタCが充電され始め、遅延/LIPイネーブル回路120のタイマー機能を開始することができる。
【0056】
同様に、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124が電流を流すと、SCRイネーブルスイッチ126のベースの電圧は、低電圧状態または値(例えば、ゼロボルトまたは約ゼロボルト)に降下し、これにより、SCRイネーブルスイッチ126のベースとエミッタとの間の電圧差が増大する。SCRイネーブルスイッチ126のベースとエミッタとの間の電圧差の増加により、SCRイネーブルスイッチ126は、SCRイネーブルスイッチ126のエミッタとコレクタとの間に電流を流すことができる。これにより、SCR130Dのゲートに、ゲート電圧および電流を印加することができる。
【0057】
SCR130Dのゲートにゲート電圧および電流が印加されると、SCR130Dは、その第1と第2端子との間に順方向伝導電流を流すことができる。SCR130Dは、SCR130Dのゲートのゲート電圧およびゲート電流がゼロに戻った場合でも、第1および第2端子の間で順方向伝導電流を流し続けることができる。従って、SCR130Dのゲートでのパルスのようなゲート電圧および電流の一時的な増加のみが、SCR130Dを導通させるために必要となりうる。ただし、SCR130Dは、SCR130Dのゲートのゲート電圧が例えばゼロに戻り、第1端子と第2端子との間の電流がSCR130Dのホールド電流よりも小さくなると、第1端子と第2端子との間の順方向伝導電流の導通を停止することができる。例えば、SCR130Dの保持電流が非常に低い場合、SCR130Dは、高電圧ライン102の電圧がゼロボルトまたは約ゼロボルトになる(例えば、「グランドまで引き下げられる」)まで順方向伝導電流を流し続けることができる。
【0058】
理解できるように、動作状態または非過電圧状態での高電圧ライン102上の電圧に対する直列抵抗器130Rの計算された電流値は、ゼロまたはSCR130Dのラッチ電流よりも小さくすることができる。これに対して、高電圧ライン102が過電圧状態にある場合には、直列抵抗器130Rを通る電流は、SCR130Dのラッチ値より大きくすることができる。したがって、SCR130Dがゲート電圧および電流によって有効にされ順方向伝導電流を流す場合、例えば、高電圧ライン102が過電圧条件にさらされた場合、SCR130Dは、順方向伝導電流を流すことができる。
【0059】
通常動作では、入力100iが過電圧状態にならないと定義できるが、遅延回路スイッチ116およびSCRイネーブルスイッチ126は電流を流していない。より具体的には、遅延回路スイッチ116およびSCRイネーブルスイッチ126のベースは、遅延回路スイッチ116およびSCRイネーブルスイッチ126のそれぞれのエミッタおよびコレクタ間に電流を導通させるのに十分な電圧を有していない。したがって、入力100iが過電圧状態にならない限り、ゲート電圧および電流はSCR130Dのゲートに印加されない。
【0060】
遅延回路スイッチ116を参照すると、高電圧ライン102が過電圧状態にならない場合、遅延回路スイッチ116のエミッタとコレクタとの間に電流が流れないため、RCネットワーク123の第1端子に電圧が印加されない。その結果、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124の基準電圧端子は、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124の基準電圧より低い電圧を有しうる。したがって、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124の第1端子の電圧は、SCRイネーブルスイッチ126がそれよりも小さいと電流を流す電圧よりも、大きくなりうる。その結果、高電圧ライン102が過電圧状態にならないとき、スイッチ可能な低インピーダンスパス130はオープンのままであり、これにより、電流がスイッチ可能な低インピーダンスパス130を通って流れるのを防止することができる。より具体的には、SCR130Dは、順方向伝導電流を流さないようにすることができる。
【0061】
入力100iが過電圧状態にある場合、高電圧ライン102の電圧により、第1電圧基準V1値が第1の電圧調整可能シャントレギュレータ114の内部の電圧基準値よりも大きくなりうる。その結果、遅延回路スイッチ116のベースの電圧は、遅延回路スイッチ116が遅延回路スイッチ116のコレクタとエミッタとの間の電流を流すのに十分な程度に低く(例えば、低電圧状態または値)なりうる。これにより、RCネットワーク123の第1端子に電圧が印加されうる。
【0062】
したがって、RCネットワーク123の第1端子の電圧は、時間の経過とともに増加しうる。すなわち、RCネットワーク123のキャパシタCは、高電圧ライン102が過電圧状態にあるときに充電することができる。RCネットワーク123の第1端子の電圧が、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124の電圧基準値よりも大きい場合、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124は導通することができ、これにより、SCRイネーブルスイッチ126は、SCRイネーブルスイッチ126のエミッタとコレクタとの間で電流を導通させうる。
【0063】
結果として、高電圧ライン102の過電圧状態により、スイッチ可能な低インピーダンスパス130はクローズし、これにより、比較的高い順方向伝導電流が、スイッチ可能な低インピーダンスパス130を通って流れることが可能となる。より具体的には、SCR130Dが導通し、これにより、順方向伝導電流が、SCR130Dおよび直列抵抗器130Rを介して高電圧ライン102から低電圧ライン104へ流れることができる。
【0064】
スイッチ可能な低インピーダンスパス130を通る高い順方向伝導電流により、高電圧ライン102の電圧値は減少または低下する可能性がある。例えば、高電圧ライン102の過電圧状態が、高電圧ライン102に印加されている過渡電圧によるものである場合、高電圧ライン102の電圧値は、スイッチ可能な低インピーダンスパス130を通る順方向伝導電流によって減少しうる。また、理解されるように、高電圧ライン102の電圧値の減少によって、遅延回路スイッチ116がオープン状態になり、これにより、RCネットワーク123に電流が流れないようにすることができる。
【0065】
その結果、キャパシタCは、第6抵抗器R6を介して、例えばグランドである低電圧ライン104に、放電することができる。これにより、RCネットワーク123の第1端子の電圧値が時間とともに減少しうる。RCネットワーク123の第1端子の電圧が、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ124の電圧基準値VREFよりも小さい電圧値まで低下すると、SCRイネーブルスイッチ126がオープンとなり、これにより、SCR130Dのゲートからゲート電圧および電流をなくすことができる。ただし、SCR130Dは、上で説明したように、高電圧ライン102がゼロボルトになる(例えば、グラウンドに引き下げられる)まで順方向伝導電流を流し続けることができる。
【0066】
理解できるように、タイマーベースの障害保護回路を実装する様々な可能な方法が存在する。上述のタイマーベースの障害保護回路100は、比較的少ない部品を使用するため有利である場合がある。ただし、以下の例が示すように、異なる構成要素および/またはトポロジーを使用する、他のタイマーベースの障害保護回路を使用することができる。
【0067】
タイマーベースの障害保護回路の他の詳細な例
図3は、他のタイマーベースの障害保護回路300を示す。図3に示されるように、タイマーベースの障害保護回路300は、入力300i、高電圧ライン302、本質安全負荷ISL、及び低電圧ライン304を含み、これらはそれぞれ、図2を参照して上述した入力100i、高電圧ライン102、本質安全負荷ISL、及び低電圧ライン104に対応している。また、図3に示されるように、タイマーベースの障害保護回路300は、電圧リミッタ310、遅延/LIPイネーブル回路320、スイッチ可能な低インピーダンスパス330及びTVSダイオード340を含み、これらはそれぞれ、図2を参照して説明した電圧リミッタ110、遅延/LIPイネーブル回路120、スイッチ可能な低インピーダンスパス130及びTVSダイオード140に対応している。図2に示されるタイマーベースの障害保護回路100とは対照的に、図3のTVSダイオード340は、本質安全負荷ISLの近くに示されている。
【0068】
図3に示されるように、電圧リミッタ310は、電圧デバイダ312、第1の電圧調整可能シャントレギュレータ314、及び遅延回路スイッチ316を含む。また、図3に示されるように、遅延/LIPイネーブル回路320は、抵抗器-キャパシタ(RC)ネットワーク323、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324、及びSCRイネーブルスイッチ326を備える。スイッチ可能な低インピーダンスパス330は、図1を参照して説明したSCR330Dおよび直列抵抗器330Rを含むものとして、示されている。図1を参照して説明したTVSダイオード140は、四つのTVSダイオードを含むものとして図3に示されているが、より多いまたはより少ないダイオードおよび/または他の要素を採用してもよい。
【0069】
電圧デバイダ312は、電気的に直列接続された第1抵抗器R1及び第2抵抗器R2を備える。第1抵抗器R1の第1端子は高電圧ライン302に電気的に結合され、第1抵抗器R1の第2端子は第2抵抗器R2の第1端子に電気的に結合される。第2抵抗器R2の第2端子は、低電圧ライン304に電気的に結合される。第1電圧基準V1は、電圧デバイダ312の第1および第2抵抗器R1、R2の間にある。
【0070】
第1の電圧調整可能シャントレギュレータ314は、第3抵抗器R3を介して高電圧ライン302と、低電圧ライン304とに電気的に結合されるものとして示されている。したがって、第1の電圧調整可能シャントレギュレータ314は、入力300iの端子に対して電気的に並列である。第1の電圧調整可能シャントレギュレータ314はまた、電圧デバイダ312の第1と第2抵抗器R1、R2の間の第1電圧基準V1に電気的に結合された、電圧基準VREF端子を有しているとして示されている。
【0071】
遅延回路スイッチ316は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、特に、様々なメーカから入手可能なモデルBC857として示されているが、任意の適切なスイッチを採用してもよい。遅延回路スイッチ316は、高電圧ライン302に電気的に結合されたエミッタと、第4抵抗器R4に電気的に結合されたベースと、電圧降下抵抗器322の第1端子に電気的に結合されたコレクタとを含む。図3に示されるように、第4抵抗器R4の第1端子は遅延回路スイッチ316のベースに電気的に結合され、第4抵抗器R4の第2端子は第3抵抗器R3の第2端子に電気的に結合されている。
【0072】
図3に示されるように、電圧降下抵抗器322は、遅延回路スイッチ316のコレクタに電気的に結合された第1端子を含む。より具体的には、遅延回路スイッチ316のコレクタは、第5抵抗器R5の第1端子に電気的に結合されている。第5抵抗器R5、第6抵抗器R6、及び第7抵抗器R7は、互いに電気的に直列に結合されている。
【0073】
遅延回路スイッチ316のコレクタはまた、第9抵抗器R9に電気的に結合されている。より具体的には、第9抵抗器R9は、遅延回路スイッチ316のコレクタに電気的に結合された第1端子と、低電圧ライン304に電気的に結合された第2端子とを有する。したがって、電圧降下抵抗器322も、第9抵抗器R9と並列に電気的に結合されている。
【0074】
RCネットワーク323の第1端子は、電圧降下抵抗器322の第2端子に電気的に結合されている。RCネットワーク323の第2端子は、低電圧ライン304に電気的に結合されている。RCネットワーク323は、互いに電気的に並列な第8抵抗器R8、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2を備えるように、図3に示されている。より具体的には、第8抵抗器R8、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の第1端子は、電気的に結合されている。さらに、第8抵抗器R8、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の第2端子は、低電圧ライン304に電気的に結合されている。
【0075】
また、RCネットワーク323の第1端子は、基準端子抵抗器RREFを介して、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324の電圧基準端子VREFに電気的に結合されている。第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324は、第10および第11抵抗器R10、R11の第2端子に電気的に結合される第1端子を含む。第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324の第2端子は、低電圧ライン304に電気的に結合されている。図3に示されるように、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324の第2端子は、低電圧ライン304に直接結合されるが、低抵抗パスなどの間接的な電気的結合を採用してもよい。
【0076】
第10抵抗器R10の第1端子は、高電圧ライン302に電気的に結合されている。第11抵抗器R11の第1端子は、SCRイネーブルスイッチ326のベースに電気的に結合されている。SCRイネーブルスイッチ326は、高電圧ライン302に電気的に結合されたエミッタと、第12抵抗器R12の第1端子に電気的に結合されたコレクタとを含む。第12抵抗器R12の第2端子は、スイッチ可能な低インピーダンスパス330に電気的に結合されている。
【0077】
図3に示されるように、スイッチ可能な低インピーダンスパス330は、図1を参照して説明したSCR130D及び直列抵抗器130Rにそれぞれ対応するSCR330D及び直列抵抗器330Rを含む。SCR330Dの第1端子及び第2端子はそれぞれ、高電圧ライン302及び低電圧ライン304に電気的に結合されている。SCR330Dは低電圧ライン304に直接電気的に結合することができるが、図3に示すように、SCR330の第2端子は直列抵抗器330Rを介して低電圧ライン304に電気的に結合されている。なお、直列抵抗器330Rは、第13抵抗器とも称される。SCR330Dと直列抵抗器330Rとは、図1に示すように直列に配置されている。SCR330Dは、例えば、STMicroelectronics社製のTS420-600B-TR SCRなどのTS420 SCRであるとして示されているが、任意の適切なシリコン制御整流器またはサイリスタを使用してもよい。SCR330Dは、第12抵抗器R12の第2端子に電気的に結合されたゲートを含む。第12抵抗器R12の第1端子は、SCRイネーブルスイッチ326のコレクタに、電気的に結合されている。
【0078】
上述され、図3に示されるように、TVSダイオード340は、四つの過渡電圧シャントダイオードを備えている。特に、TVSダイオード340は、Littelfuse社製の四つの5KP6TVSダイオードで構成されているものとして示されている。四つの5KP6TVSダイオードは直列であるが、任意の適切な回路を使用することもできる。TVSダイオード340は、図1を参照して説明したTVSダイオード140と同様に配置されている。より具体的には、TVSダイオード340の第1端子は、高電圧ライン302に電気的に結合され、TVSダイオード340の第2端子は、低電圧ライン304に電気的に結合されている。TVSダイオード340は、本質安全負荷ISLと電気的に並列である。
【0079】
第1および第2の電圧調整可能シャントレギュレータ314、324は、Texas Instruments社製のTLV431シャントレギュレータとすることができるが、任意の適切な調整可能シャントレギュレータが使用できる。図3に示されるように、第1および第2の電圧調整可能シャントレギュレータ314、324は、第1および第2の電圧調整可能シャントレギュレータ314、324の電圧基準端子VREFを含む。第1および第2の電圧調整可能シャントレギュレータ314、324は、電圧基準端子VREFの電圧が、第1および第2の電圧調整可能シャントレギュレータ314、324の内部の電圧基準値より大きい場合、電流を導通することができる。電圧基準端子VREFの電圧が、第1および第2の電圧調整可能シャントレギュレータ314、324の内部の電圧基準値より小さい場合、第1および第2の電圧調整可能シャントレギュレータ314、324は、導通しないようにすることができる。
【0080】
例えば、図3に示される電圧リミッタ310において、高電圧ライン302の電圧が電圧閾値よりも大きく、第1電圧基準V1値が第1の電圧調整可能シャントレギュレータ314の電圧基準値よりも大きいとき、第1の電圧調整可能シャントレギュレータ314は導通することができる。理解されるように、第1電圧基準V1値は、電圧リミッタ310の第1および第2抵抗器R1、R2の抵抗値から決定されうる。遅延/LIPイネーブル回路320では、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324は、RCネットワーク323の第1端子の電圧が第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324の電圧基準値よりも大きいときに、導通することができる。
【0081】
理解されるように、第1の電圧調整可能シャントレギュレータ314が電流を導通すると、遅延回路スイッチ316のベースの電圧は、低い状態または値(例えば、ゼロボルトまたは約ゼロボルト)まで低下し、これにより、遅延回路スイッチ316のベースとエミッタとの間の電圧差が増大する。遅延回路スイッチ316のベースとエミッタとの間の電圧差が増大すると、遅延回路スイッチ316は、遅延回路スイッチ316のエミッタとコレクタとの間の電流を導通させることができる。これにより、RCネットワークの第1端子に電圧が印加され、RCネットワーク323の第1および第2キャパシタC1、C2が充電され始め、遅延/LIPイネーブル回路320のタイマー機能を開始させることができる。
【0082】
同様に、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324が電流を導通すると、SCRイネーブルスイッチ326のベースの電圧は、低電圧状態または値(例えば、ゼロボルトまたは約ゼロボルト)まで低下し、これにより、SCRイネーブルスイッチ326のベースとエミッタとの間の電圧差が増大する。SCRイネーブルスイッチ326のベースとエミッタとの間の電圧差が増大すると、SCRイネーブルスイッチ326は、SCRイネーブルスイッチ326のエミッタとコレクタとの間の電流を導通させることができる。これにより、SCR130Dのゲートにゲート電圧および電流を印加することができる。
【0083】
SCR330Dのゲートにゲート電圧および電流が印加されると、SCR330Dは、その第1と第2端子との間に順方向伝導電流を流すことができる。SCR330Dは、ゲートでのゲート電圧およびゲート電流がゼロに戻った場合でも、第1および第2端子の間で順方向伝導電流を流し続けることができる。従って、ゲートでのパルスのようなゲート電圧および電流の一時的な増加のみが、SCR330Dを導通させるために必要となりうる。ただし、SCR330Dは、ゲートのゲート電圧および電流が例えばゼロに戻り、第1端子と第2端子との間の順方向伝導電流がSCR330Dのホールド電流より小さくなると、第1端子と第2端子との間の順方向伝導電流の導通を停止することができる。
【0084】
理解されるように、動作条件または非過電圧状態における高電圧ライン302の電圧に対する直列抵抗器330Rの計算された電流値は、ゼロまたはSCR330Dのラッチ値よりも小さくなりうる。対照的に、高電圧ライン302が過電圧状態にある場合、直列抵抗器330Rを通る電流は、SCR330Dのラッチ値より大きくなりうる。したがって、SCR330Dが順方向伝導電流を伝導する電圧になって有効になる場合、例えば、高電圧ライン302が過電圧状態となっている場合、SCR330Dは、順方向伝導電流を流すことができる。
【0085】
通常動作では、入力300iが過電圧状態にならないと定義できるが、遅延回路スイッチ316およびSCRイネーブルスイッチ326は、電流を導通していない。より具体的には、遅延回路スイッチ316およびSCRイネーブルスイッチ326のベースは、遅延回路スイッチ316およびSCRイネーブルスイッチ326のそれぞれのエミッタおよびコレクタ間に電流を導通させるのに十分な電圧を有していない。
【0086】
遅延回路スイッチ316を参照すると、高電圧ライン302が過電圧状態にならないとき、遅延回路スイッチ316のエミッタとコレクタとの間に電流が流れないため、RCネットワーク323の第1端子に電圧が印加されない。その結果、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324の基準電圧端子は、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324の基準電圧より低い電圧を有しうる。したがって、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324の第1端子の電圧は、SCRイネーブルスイッチ326がそれよりも小さいと電流を流す電圧よりも、大きくなりうる。その結果、高電圧ライン302が過電圧状態にならないとき、スイッチ可能な低インピーダンスパス330はオープンのままであり、これにより、電流がスイッチ可能な低インピーダンスパス330を通って流れるのを防止することができる。より具体的には、SCR330Dは、順方向伝導電流を流さないようにすることができる。
【0087】
入力300iが過電圧状態にある場合、高電圧ライン302の電圧により、第1電圧基準V1値は第1の電圧調整可能シャントレギュレータ314に内部の電圧基準値よりも大きくなりうる。その結果、遅延回路スイッチ316のベースの電圧は、遅延回路スイッチ316が遅延回路スイッチ316のコレクタとエミッタとの間の電流を流すのに十分な程度に低く(例えば、低電圧状態または値)なりうる。これにより、RCネットワーク323の第1端子に電圧が印加されうる。
【0088】
したがって、RCネットワーク323の第1端子の電圧は、時間の経過とともに増加しうる。すなわち、RCネットワーク323の第1および第2キャパシタC1、C2は、高電圧ライン302が過電圧状態にあるときに充電することができる。RCネットワーク323の第1端子の電圧が、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324の電圧基準値よりも大きい場合、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324は導通することができ、これにより、SCRイネーブルスイッチ326は、SCRイネーブルスイッチ326のエミッタとコレクタとの間で電流を導通させうる。
【0089】
結果として、高電圧ライン302の過電圧状態により、スイッチ可能な低インピーダンスパス330はクローズし、これにより、順方向伝導電流が、スイッチ可能な低インピーダンスパス330を通って流れることが可能となる。より具体的には、SCR330Dが導通し、これにより、順方向伝導電流が、SCR330Dおよび直列抵抗器330Rを介して、高電圧ライン302から低電圧ライン304へ流れることができる。
【0090】
スイッチ可能な低インピーダンスパス330を通る高い順方向伝導電流により、高電圧ライン302の電圧値は減少または低下する可能性がある。例えば、高電圧ライン302の過電圧状態が、高電圧ライン302に印加されている過渡電圧によるものである場合、高電圧ライン302の電圧値は、スイッチ可能な低インピーダンスパス330を通る順方向伝導電流によって減少しうる。また、理解されるように、高電圧ライン302の電圧値の減少によって、遅延回路スイッチ316がオープン状態になり、これにより、RCネットワーク323に電流が流れないようにすることができる。
【0091】
その結果、第1及び第2キャパシタC1、C2は、第8抵抗器R8を介して、例えばグラウンドである低電圧ライン304に、放電することができる。これにより、RCネットワーク323の第1端子の電圧値が時間とともに減少しうる。第1端子の電圧が、第2の電圧調整可能シャントレギュレータ324の電圧基準値VREFよりも小さい電圧値まで減少すると、SCRイネーブルスイッチ326がオープンとなり、これにより、SCR330Dのゲートからゲート電圧および電流をなくすことができる。ただし、SCR330Dは、上で説明したように、高電圧ライン102がゼロボルトになる(例えば、グラウンドに引き下げられる)まで順方向伝導電流を流し続けることができる。
【0092】
タイマーベースの保護回路の動作
理解されるように、電圧リミッタ110、310、遅延/LIPイネーブル回路120、320、及びスイッチ可能な低インピーダンスパス130、330は、電流がTVSダイオード140、340を所定の期間にわたって流れることができるように、共同で動作することができる。この所定の期間は、TVSダイオード140、340が壊滅的な故障を起こさないことを確実にするように、選択することができる。例えば、一連のイベントは、以下の通りとすることができる。入力100i、300iに過電圧状態が印加されると、電圧リミッタ110、310が遅延/LIPイネーブル回路120、320のタイマー機能を有効にすることを可能にする。
【0093】
したがって、電圧リミッタ110、310および遅延/LIPイネーブル回路120、320は、スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330をトリガする前に遅延を要求し、これによりスイッチ可能な低インピーダンスパス130、330の誤ったトリガを防止することができる。RCネットワーク123、323の一つまたは複数のキャパシタの充電時間またはその近辺である所定の期間の経過後、遅延/LIPイネーブル回路120、320は、スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330に信号を提供することができる。この信号により、スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330は、高電圧ライン102、302と低電圧ライン104、304との間に順方向伝導電流を流すことができる。その結果、高電圧ライン102、302の電圧値は、電圧リミッタ110、310が遅延/LIPイネーブル回路120、320に電圧を印加しなくなる値まで、減少または降下することができる。その結果、遅延/LIPイネーブル回路120、320は、スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330に信号を印加しなくなりうる。
【0094】
ただし、スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330が信号を受信しなくなった場合においても、高電圧ライン102、302と低電圧ライン104、304との間の電流が、スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330の保持電流よりも大きい限り、スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330は、依然として順方向伝導電流を流すことができる。スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330を通る順方向伝導電流は、低インピーダンスパス130、330の保持電流に応じて、入力100i、300iが過電圧状態である、または何らかの電圧を受けている限り、保持電流よりも大きくなる可能性がある。
【0095】
また理解されるように、スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330が導通している間に、TVSダイオード140、340を介して電流が流れていない可能性がある。すなわち、スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330が電流を流す電圧値は、TVSダイオード140、340に電流を流すのに必要な電圧値(例えば、ブレークダウン電圧)より小さい可能性がある。上記のタイミングについては、図4を参照して以下でより詳細に説明される。
【0096】
例示的なタイミング図
図4は、図1から図3を参照して上で説明したタイマーベースの障害保護回路100、300などの、タイマーベースの障害保護回路のタイミングを示すタイミング図400を示す。図3に示されるように、タイミング図400は、ミリ秒(ms)単位の時間軸410と、ボルト(V)単位の電圧軸420とを含む。時間軸410のスケールは、主ラインの区切り毎に100msである。時間軸410は、10個の主ラインの区切りを有する。したがって、時間軸410の範囲は、1000msまたは1秒である。電圧軸のスケールは、チャンネルに依存しており、各チャンネルは、タイミング図400の左側のチャンネル番号付き矢印によって、タイミング図上に示されている。電圧スケールは、チャンネル1Ch1が2.00V、チャンネル2 Ch2が5.00V、チャンネル3 Ch3が10.0Vである。
【0097】
タイミング図400は、タイマーキャパシタ電圧プロット432と、SCR直列抵抗器電圧プロット434と、供給ライン電圧プロット436とを含む、電圧プロット430も含む。タイマーキャパシタ電圧プロット432は、チャンネル1 Ch1に関連付けられ、SCR直列抵抗器電圧プロット434は、チャンネル2 Ch2に関連付けられ、供給ライン電圧プロット436は、チャンネル3 Ch3に関連付けられている。0msから約300msまで、タイマーキャパシタ電圧プロット432は、ほぼゼロボルトである。約300msから約600msまで、タイマーキャパシタ電圧プロット432は、ゼロから約1.88Vまで増加する。約300msから約600msまでの期間は、以下でより詳細に説明するように、上述したタイマーベースの障害保護回路100、300の機能を示している。
【0098】
時刻T1から時刻T2まで、22Vの通常動作電圧が、タイマーベースの障害保護回路100、300の入力100i、300iに印加される。従って、供給ライン電圧プロット436は22Vのままである。同様に、タイマーキャパシタ電圧プロット432はゼロのままであり、電圧リミッタ110、310がRCネットワーク123、323の第1端子に電圧をまだ印加し始めていないことを示している。これは、基準電圧V1が、第1の電圧調整可能シャントレギュレータ114、314の内部の電圧基準値をまだ超えていないためである。
【0099】
時刻T2からT3まで、入力100i、300iに印加されている32Vの故障電圧のために、供給ライン電圧プロット336は、22Vから約29Vまで増加する。すなわち、TVSダイオード140、340は、高電圧ライン102、302の電圧がTVSダイオード140、340のブレークダウン電圧などの閾値電圧を超えることを防止している。ただし、TVSダイオード140、340は、そのために大量の電流を流す必要がある場合がある。TVSダイオード140、340は、過渡的または非常に短い持続時間の高電圧イベントを防止するのには適しているが、過渡的イベント期間よりも長い過電圧状態の間電流を流すには、例えばSCR、サイリスタ等ほどには、適していない場合がある。例えば、TVSダイオード140、340は、電流を数秒間以上流すと、故障する傾向がある。したがって、これが発生するのを防止するために、以下に説明されるタイミングが使用されうるが、任意の適切なタイミングおよびタイマーベースの障害保護回路を使用することができる。
【0100】
時刻T2において32Vの故障電圧が印加された直後に、タイマーキャパシタ電圧プロット432は、ゼロボルトから増加し始める。これは、電圧リミッタ110、310が遅延回路スイッチ116、316に電圧を印加し、これによりRCネットワーク123、323の第1端子に充電電流が流れることに起因する。時刻T3では、供給ライン電圧プロット436は、TVSダイオード140、340がブレークダウン電圧で導通するため、約29Vのレベルを示す。
【0101】
時刻T3からT4まで、供給ライン電圧プロット436は約29Vのままで、タイマーキャパシタ電圧プロット432は増加し続ける。これは、遅延回路スイッチ116が、RCネットワーク123、323の第1端子に電圧を印加し続けることによる。SCR直列抵抗器電圧プロット434は、SCRイネーブルスイッチ126、326がSCR130D、330Dを有効にしていないので、ゼロボルトのままである。
【0102】
時刻T4において、RCネットワーク123、323の第1端子の電圧は、第2の電圧調整可能なシャントレギュレータ124、324をクローズさせ、これにより、SCRイネーブルスイッチ126、326が、スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330をクローズさせることができる。これにより、スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330を通して電流が流れる。より具体的には、SCRイネーブルスイッチ126、326は、SCR130D、330Dのゲートに非ゼロのゲート電圧および十分なゲート電流を印加し、これによりSCR130D、330Dを導通させる。
【0103】
その結果、時刻T4において、供給ライン電圧プロット436は、29Vから約7Vに低下する。実質的に同時に、SCR直列抵抗器電圧プロット434は、ゼロボルトから約7ボルトまで増加する。これは、SCR130D、330Dが直列抵抗器130R、330Rを介して電流を流しているためである。したがって、以下の方法500は、タイマーベースの障害保護回路100、300、または別の同様のタイマーベースの障害保護回路を使用して実行することができる。
【0104】
図5は、タイマーベースの障害保護回路を形成する方法500を示す。図5に示されるように、方法500は、ステップ510で電圧リミッタ及び遅延/LIPイネーブル回路を、本質安全負荷に電気的に並列に、高電圧ライン及び低電圧ラインに電気的に結合することによって開始する。ステップ520において、方法500は、スイッチ可能な低インピーダンスパスを、本質安全負荷に対してシャント構成で、高電圧ライン及び低電圧ラインに電気的に結合する。ステップ530において、方法500は、電圧リミッタを遅延/LIPイネーブル回路に通信可能に結合し、電圧リミッタが遅延/LIPイネーブル回路に信号を供給するように構成する。ステップ540において、方法500は、遅延/LIPイネーブル回路をスイッチ可能な低インピーダンスパスに通信可能に結合し、遅延/LIPイネーブル回路がスイッチ可能な低インピーダンスパスに信号を供給するように構成する。ステップ550において、方法500は、遅延/LIPイネーブル回路がスイッチ可能な低インピーダンスパスに信号を供給するように構成することができる。
【0105】
方法500は、本質安全負荷の第1端子に電気的に結合するように高電圧ラインを構成し、及び/又は本質安全負荷の第2端子に電気的に結合するように低電圧ラインを構成することもできる。例えば、方法500は、端子、リード線、コネクタ、別の線などを高電圧ラインおよび/または低電圧ラインの端部に取り付けることができる。さらに、方法500は、過渡電圧抑制ダイオードの第1端子を高電圧ラインに、第2端子を低電圧ラインに電気的に結合することをさらに含むことができる。過渡電圧抑制ダイオードは、高電圧ラインの電圧が過渡電圧抑制ダイオードのブレークダウン電圧よりも大きい場合に、前記高電圧ラインと前記低電圧ラインとの間に電流を流すように構成することができる。方法500の過渡電圧抑制ダイオードは、上述のTVSダイオード140、340であってもよいが、任意の適切な過渡電圧ダイオードを採用してもよい。
【0106】
方法500はまた、遅延/LIPイネーブル回路から信号を受信したときに、過渡電圧抑制ダイオードのブレークダウン電圧よりも低い電圧で、高電圧ラインと低電圧ラインとの間に電流を流すように、スイッチ可能な低インピーダンスパスを構成するステップを含むことができる。方法500は、低電圧ラインの電圧に対する高電圧ラインの電圧を検知し、低電圧ラインの電圧に対する高電圧ラインの電圧が過電圧閾値より大きい場合に、遅延/LIPイネーブル回路に信号を供給するように電圧リミッタを構成することもできる。方法500は、電圧リミッタから信号を受信し、その信号を電圧リミッタから受信したときに遅延/LIPイネーブル回路のタイマー機能を開始し、タイマー機能が遅延閾値に達したときに、信号をスイッチ可能な低インピーダンスパスに供給するように、遅延/LIPイネーブル回路を構成することもできる。
【0107】
方法500は、ステップ510において、任意の適切な電圧リミッタを高電圧ライン及び低電圧ラインに結合することができる。例えば、方法500の電圧リミッタは、上述の電圧リミッタ110、310であってもよい。従って、方法500の電圧リミッタは、高電圧ラインに電気的に結合された第1端子と低電圧ラインに電気的に結合された第2端子とを有する電圧デバイダを含むことができる。電圧デバイダは、低電圧ラインの電圧に対する高電圧ラインの電圧に基づいて、基準電圧を供給するように構成することができる。方法500の電圧リミッタは、高電圧ラインに電気的に結合された第1端子と、低電圧ラインに電気的に結合された第2端子と、基準電圧を受信するように構成された電圧基準端子とを備える、第1の電圧調整可能シャントレギュレータを備えることができる。第1の電圧調整可能シャントレギュレータは、基準電圧に基づいて電流を導通させるように構成することができる。
【0108】
方法500は、ステップ510において、任意の適切な遅延/LIPイネーブル回路を高電圧ライン及び低電圧ラインに結合することもできる。例えば、方法500の遅延/LIPイネーブル回路は、上述した遅延/LIPイネーブル回路120、320のうちの一つを含むことができる。したがって、方法500の遅延/LIPイネーブル回路は、電圧リミッタから信号を受信し、電圧リミッタからの信号を使用してRCネットワーク内の一つ以上のキャパシタを電圧まで充電するように構成されたRCネットワークと、RCネットワークに電気的に結合され、RCネットワーク内の一つ以上のキャパシタの前記電圧を受信し、RCネットワークの一つ以上のキャパシタの前記電圧に基づいて電流を導通するように構成された第2の電圧調整可能シャントレギュレータと、第2の電圧調整可能シャントレギュレータに電気的に結合されたSCRイネーブルスイッチとを備えることができる。SCRイネーブルスイッチは、第2の電圧調整可能シャントレギュレータが電流を流すときに、スイッチ可能な低インピーダンスパスに信号を供給するように構成される。
【0109】
第2の電圧調整可能シャントレギュレータは、高電圧ライン及びSCRイネーブルスイッチのベース端子に電気的に結合された第1端子と、低電圧ラインに電気的に結合された第2端子と、RCネットワークの一つ以上のキャパシタの電圧を受けるように構成された基準電圧端子と、を備えることができる。第2の電圧調整可能シャントレギュレータは、RCネットワークの一つ以上のキャパシタの電圧に比例して、高電圧ラインから低電圧ラインへ電流を流すように構成される。
【0110】
ステップ520のスイッチ可能な低インピーダンスパスは、高電圧ラインに電気的に結合された第1端子と、低電圧ラインに電気的に結合された第2端子と、遅延/LIPイネーブル回路から信号を受信するようにSCRイネーブルスイッチに電気的に結合されたゲートと、を有するSCRを備えることができる。SCRは、遅延/LIPイネーブル回路からの信号がゲート閾値を超えたとき、高電圧ラインと低電圧ラインとの間で順方向伝導電流を流すように構成することができる。遅延/LIPイネーブル回路から受信される信号は、SCRを安全かつ十分にトリガすることができるゲート閾値を超えるゲート電圧および電流を含むことができる。
【0111】
上述のタイマーベースの障害保護回路100、300及び方法500は、一定期間又は遅延後に、スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330が、高電圧ライン102、302と低電圧ライン104、304との間で順方向伝導電流を流すことを可能にすることができる。一定期間は、過電圧状態が高電圧ラインに印加された時点からとすることができる。一定期間または遅延は、例えば、上述のRCネットワーク123、323のキャパシタンス値を選択することによって、構成可能とすることができる。スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330は、高電圧ライン102、302および低電圧ラインに電気的に結合されたTVSダイオード140、340のブレークダウン電圧未満の電圧値で、順方向伝導電流を流すことができる。
【0112】
その結果、TVSダイオード140、340は、一定期間または遅延より長い間、電流にさらされることはない。一定期間または遅延は、過電圧状態が、例えば、過電圧状態の電圧に対するTVSダイオード140、340の定格期間よりも長い間、TVSダイオード140、340を通る電流を発生させないことを確実にするように、選択することができる。さらに、タイマーベースの障害保護回路100、300は、過電圧状態が終了した後、スイッチ可能な低インピーダンスパス130、330が電流を導通しない通常動作状態に自動的に戻る。これにより、高電圧ラインから低電圧ラインへの唯一のリターンパスが、本質安全負荷ISLを経由したものであることを保証することができる。
【0113】
従って、タイマーベースの障害保護回路100、300及び方法500は、様々な過電圧状態に対する適切な保護を保証すると同時に、このような保護を提供する場合に必要な干渉の量及び抵抗損失を最小限に抑えることができる。また、タイマーベースの障害保護回路100、300、および方法500は、過電圧状態が存在する間に必要とされる消費電力を最小限に抑えることもできる。したがって、必要とされるフォームファクタのサイズ及びコストは、例えば、高ワットのツェナーダイオードのみの回路の場合よりも小さくすることができる。
【0114】
上記の実施形態の詳細な説明は、本明細書の範囲内にあると本発明者らによって考えられるすべての実施形態の網羅的な説明ではない。実際、当業者は、上記の実施形態の特定の要素を様々に組み合わせたり削除したりして、さらなる実施形態を作成できること、及びそのようなさらなる実施形態は、本明細書の範囲および教示の範囲内に入ることを認識するであろう。また、当業者には、上記の実施形態を全体的または部分的に組み合わせて、本明細書の範囲および教示内で追加の実施形態を作成できることも、明らかであろう。
【0115】
したがって、特定の実施形態は、例示の目的のために本明細書に記載されているが、当業者であれば認識するように、本明細書の範囲内で様々な同等の変更が可能である。本明細書で提供される教示は、上述され、添付の図面に示される実施形態だけでなく、タイマーベースの障害保護回路に適用することができる。したがって、上述の実施形態の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】