(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】肥大型心筋症推定のためのマルチセンサMEMSシステム及び機械学習した分析方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20250123BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A61B5/11 100
A61B5/02 350
A61B5/02 310A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543559
(86)(22)【出願日】2023-01-23
(85)【翻訳文提出日】2024-09-20
(86)【国際出願番号】 IB2023050550
(87)【国際公開番号】W WO2023139554
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517099409
【氏名又は名称】アナリティクス フォー ライフ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブリッジス チャールズ アール
(72)【発明者】
【氏名】ファティエ ファハド
(72)【発明者】
【氏名】ラムチャンダニ シャムラル
(72)【発明者】
【氏名】ウッドワード ジョナサン ジェームズ
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA04
4C017AC20
4C017AC28
4C017AC35
4C017BC16
4C017BC21
4C017BD06
4C038VA04
4C038VB32
4C038VC20
(57)【要約】
対象の少なくとも胸部領域から、心電図信号、振動図信号、フォトプレチスモグラフィック信号、及び/又は心音図信号(本明細書では、生物物理学的信号と総称される)を非侵襲的かつ同時に取得するように構成された生物物理学的センサシステムを使用して、肥大型心筋症(HCM)の診断において使用することができる例示的な方法が開示される。取得された生物物理学的信号は、肥大型心筋症の1つ以上のコンディション又はインジケータについて、及び他の心疾患、状態、又はそのいずれかのインジケータと同時に査定され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物対象における肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度を非侵襲的に推定する方法であって、
1つ以上のプロセッサによって、1つ以上のセンサから患者の1つ以上の生物物理学的信号を得ることと、
前記1つ以上の信号の少なくとも一部分を利用する前記1つ以上のプロセッサによって、1つ以上の特徴及び/又は機械学習ベースの分析に関連付けられた1つ以上の値を判定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記1つ以上の特徴又は機械学習ベースの分析に関連付けられた前記1つ以上の値を使用して、肥大型心筋症の前記存在、非存在、及び/又は重症度の推定値を判定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、肥大型心筋症の前記存在、非存在、及び/又は重症度の前記推定値を出力することであって、肥大型心筋症の前記存在、非存在、及び/又は重症度の前記推定値が、肥大型心筋症の診断における使用のために、及び/又は前記肥大型心筋症の直接治療に対して出力される、出力することと、を含む、方法。
【請求項2】
哺乳動物対象における肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度を非侵襲的に推定する方法であって、
1つ以上のプロセッサによって、患者に配置又は着用されたマルチセンサデバイスから1つ以上の心振動図信号(SCG信号)及び/又は心音図信号(PCG信号)を得ることと、
前記1つ以上の心振動図信号及び/又は心音図信号の少なくとも一部分を利用する前記1つ以上のプロセッサによって、複数の特徴又は機械学習ベースの分析に関連付けられた複数の値を判定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析に関連付けられた前記複数の値を使用して、肥大型心筋症の前記存在、非存在、及び/又は重症度の推定値を判定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、肥大型心筋症の前記存在、非存在、及び/又は重症度の前記推定値を出力することであって、肥大型心筋症の前記存在、非存在、及び/又は重症度の前記推定値が、肥大型心筋症の診断における使用のために、及び/又は前記肥大型心筋症の直接治療に対して出力される、出力することと、を含む、方法。
【請求項3】
哺乳動物対象における肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度を非侵襲的に推定する方法であって、
1つ以上のプロセッサによって、第1のフォトプレチスモグラフィック信号及び第2のフォトプレチスモグラフィック信号に関連付けられた第1の生物物理学的信号データセットを得ることであって、前記第1の生物物理学的データセットが、前記対象の複数の心周期にわたって取得されている、得ることと、
前記1つ以上のプロセッサによって、心臓信号に関連付けられた第2の生物物理学的信号データセットを得ることであって、前記第2の生物物理学的データセットが、前記複数の心周期にわたって前記第1の生物物理学的信号データセットと同時に取得されている、得ることと、
前記第1の生物物理学的信号及び第2の生物物理学的信号の少なくとも一部分を利用する前記1つ以上のプロセッサによって、複数の特徴又は機械学習ベースの分析に関連付けられた複数の値を判定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析に関連付けられた前記複数の値を使用して、肥大型心筋症の前記存在、非存在、及び/又は重症度の推定値を判定することと、を含み、
肥大型心筋症の前記存在、非存在、及び/又は重症度の前記推定値が、肥大型心筋症の診断における使用のため、及び/又は前記肥大型心筋症の直接治療に対して出力される、方法。
【請求項4】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、3次元モデル化されたVD波の軌道からのVD波軌道の偏差を定量化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、心臓信号の拍動間変動を定量化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、ポインカレ分析及びヒストグラム分析を介して、心臓、PPG、SCG、及び/又はPCG信号における登録された目印における変動性を定量化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、心臓、PPG、SCG、及び/又はPCG信号の動的特性を定量化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、(i)心臓、PPG、及び/又はSCG信号の性質を定量化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、ウェーブレット分析を使用して、心臓、PPG、SCG、及び/又はPCG信号の主周波数成分を定量化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、パワースペクトル及びコヒーレンス分析を使用して、前記心臓、PPG、SCG、及び/又はPCG信号のパワースペクトル及び周波数成分を定量化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、3D位相空間におけるループ領域、その投影、及びループベクトルにわたる前記心臓、PPG、SCG、及び/又はPCG信号の性質を定量化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、(i)PPG及び心臓信号、又は(ii)SCG及び/若しくはPCG信号、のいずれかを使用して、呼吸波形を近似して、(1)心拍数変動、(2)呼吸率、(3)呼吸と変調信号との間の距離を表す相違特徴、及び(4)変調と呼吸率信号との間の相関を表す二乗コヒーレンス、のうちの1つを査定するように構成されており、近似させた前記呼吸波形が、前記分析のために用いられる前記SCG信号及び/又はPCG信号の描写された吸気及び呼気部分を生成するために使用されることによって、HCM査定のために用いられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、前記心臓、SCG、及び/又はPCG信号の生理学的側面を定量化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、HCMを有する患者を識別するためのバルサルバ手技に対して、吸気対呼気に関連付けられた心臓、SCG、及び/又はPCG信号の特徴的な変動を定量化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、閉塞性HCM(OHCM)を有するHCMを有する患者のサブセットを識別するためのバルサルバ手技に対して、吸気対呼気に関連付けられた心臓、SCG、及び/又はPCG信号の特徴的な変動を定量化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、前記1つ以上のSCG及び/又はPCG信号を使用して、左心室駆出時間を近似するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、3次元空間における心室脱分極(VD)波及び/又は心室再分極(VR)波の伝播特性を定量化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、(i)前記1つ以上の心振動図信号及び/若しくは心音図信号の吸気領域において、並びに/又は(ii)前記1つ以上の心振動図信号及び/若しくは心音図信号の呼気領域において評価される、請求項1~2及び4~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
装置であって、
対象の心臓の信号を含む、前記対象の胸部領域からの生物物理学的信号を取得するために、前記対象の前記胸部領域に外部から着用又は配置されるように構成されたセンサ本体と、
第1のMEMSベースのセンサ及び第2のMEMSベースのセンサを含む2つ以上のMEMSベースの生体物理学的センサと、を備え、前記2つ以上のMEMSベースのセンサが、前記センサ本体内に位置し、対象上に配置されるように構成された電極に接続され、
前記第1のMEMSベースのセンサ及び前記第2のMEMSベースのセンサが、動作中に、複数の特徴又は機械学習ベースの分析を評価して、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度の推定値を生成するように構成された分析システムに提供される第1の生物物理信号及び第2の生物物理信号を生成する、装置。
【請求項20】
装置であって、
対象の心臓の信号を含む、前記対象の胸部領域からの生物物理学的信号を取得するために、前記対象の前記胸部領域に外部から着用又は配置されるように構成されたセンサ本体と、
第1のMEMSベースのセンサ及び第2のMEMSベースのセンサを含む2つ以上のMEMSベースのセンサと、を備え、前記2つ以上のMEMSベースのセンサが、前記センサ本体内に位置し、対象上に配置されるように構成された電極に接続され、
前記第1のMEMSベースのセンサ及び前記第2のMEMSベースのセンサが、動作中に、複数の特徴又は機械学習ベースの分析を評価して、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度の推定値を生成するように構成された分析システムに提供される第1の振動図信号及び/若しくは第1の音響信号並びに/又は第2の振動図信号及び/若しくは第2の音響信号を生成する、装置。
【請求項21】
対象の胸部領域の表面上に配置されて、前記対象の心臓の複数の心臓信号を提供するように構成されている複数の表面電極を更に備え、
前記複数の心臓信号が、前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析を評価して、肥大型心筋症の前記存在、非存在、及び/又は重症度の前記推定値を生成するための前記分析システムに提供される、請求項19又は20に記載の装置。
【請求項22】
前記対象上に配置されて、1つ以上のフォトプレチスモグラフィック信号を提供するように構成された複数のフォトプレチスモグラフィックセンサを更に備え、
前記1つ以上のフォトプレチスモグラフィック信号が、前記複数の特徴又は機械学習ベースの分析を評価して、肥大型心筋症の前記存在、非存在、及び/又は重症度の前記推定値を生成するための前記分析システムに提供される、請求項19~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
加速度計又は音響センサとしての前記第1のMEMSベースのセンサが、前記対象の心臓の心尖部領域に近位の前記対象の前記胸部上に非侵襲的に配置されるように構成されている、請求項19~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
加速度計又は音響センサとしての前記第2のMEMSベースのセンサが、前記対象の心臓の基部領域に近位の前記対象の前記胸部上に非侵襲的に配置されるように構成されている、請求項19~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
システムであって、
請求項19~23に記載の装置と、
前記分析システムと、を備え、前記分析システムが、クラウドベースの処理及びネットワーキングインフラストラクチャにおいて実装されている、システム。
【請求項26】
システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
それぞれ記憶された命令を有する1つ以上のメモリと、を備え、前記1つ以上のプロセッサによる前記命令の実行が、前記1つ以上のプロセッサに、請求項1~25に記載の方法のステップのうちのいずれか1つを実行させる、システム。
【請求項27】
記憶された命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、1つ以上のプロセッサによる前記命令の実行が、前記1つ以上のプロセッサに、請求項1~25に記載の方法のステップのうちのいずれか1つを実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本PCT国際特許出願は、2022年1月23日に出願された「MEMS-SENSOR SYSTEM AND MACHINE-LEARNED ANALYSIS METHOD FOR HYPERTROPHIC CARDIOMYOPATHY ESTIMATION」と題する米国仮特許出願第63/302,109号の優先権及び利益を主張し、この米国仮特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
肥大型心筋症(HCM)は、典型的には、常染色体優性遺伝を起源とする疾患であり、心臓壁(心筋細胞)における筋細胞のサイズを増加させ、心臓壁の1つ以上の領域を異常に肥厚させる(肥大化させる)ことを引き起こす。それは、心不全又は心臓弁膜症の臨床兆候を伴う拡張期及び/又は収縮期機能障害をもたらすことがある。米国では約10万人がHCMと診断されているが、米国では50万人以上がこのコンディションを有し得ると予想されている[16]。HCMは、影響を受けた人口の年間約1%で突然の心臓死を引き起こす可能性がある。その症状には、例えば、胸痛、失神性めまい(失神)、心臓の動悸の感覚、及び息切れが挙げられる。HCMの現在の診断レジメンには、遺伝子検査、心エコー、心電図(ECG/EKG)、及び心臓磁気共鳴画像法(MRI)を含む。これらの試験のいくつかは、コストが高く、多くの場合、病院又は臨床センターの専用室での専用機器と、それらを実行するための経験豊富な技術者を必要とする。これらは、多くの場合、医療提供者との最初の訪問の数日又は数週間後に実行されるように別個にスケジュールされる。
【0003】
HCMの早期診断及び治療には、例えば、心筋細胞が更に肥大化した状態に拡大することを低減又は防止することに関心がある。そのような早期診断及び/又は治療は、このコンディションを有する患者の健康及び全体的な転帰の改善をもたらすことができる。HCMの早期診断及び治療は、よりコストが高い介入及び治療を回避又は緩和できるため、人命を救い、医療費を節約することができる。
【0004】
放射線、薬物、及び/又はストレスを使用せずに非侵襲的技術を使用して、疾患のどのステージにもかかわらず、HCMの存在、非存在、及び/又は重症度を体系的にスクリーニング又は評価することができ、本方法が可能にするよりも迅速かつ費用対効果が高く、哺乳類又は非哺乳類生物における様々な疾患、病態又はコンディションの存在、非存在、重症度、及び(場合によっては)局在化を評価(例えば、予測及び/又は検出)することが、現在の方法及びシステムが提供するよりも安全に、低コストで、及び/又は短い時間で達成することができるようにするという利点も存在する。
【0005】
本明細書に記載される方法及びシステムは、このニーズに対処し、病院から救急室、実験室、戦場、遠隔地、患者のプライマリケア医師又は他の介護者とのポイントオブケア、更には家庭に至るまでの多種多様なセッティングにおいて多種多様な臨床、更には研究ニーズに使用されてもよい。
【発明の概要】
【0006】
非侵襲的かつ同時的に、とりわけ心電図信号、振動図信号、フォトプレチスモグラフィック信号、及び/又は心音図信号(本明細書では、生物物理学的信号と総称される)を対象から取得するように構成された生物物理学的センサシステム(例えば、マルチセンサシステム)を使用して、肥大型心筋症(HCM)の診断に使用することができる例示的な方法が開示される。これらの信号のうちの1つ以上は、患者の胸部領域から収集されてもよい。取得された生物物理学的信号は、肥大型心筋症の1つ以上のコンディション又はインジケータについて、及び他の疾患、コンディション、又はそれらのいずれかのインジケータと同時に査定されてもよい。生物物理学的センサシステムは、MEMSベースの加速度計、トランスデューサ、又は心振動グラフィック信号及び/又は心音グラフィック信号並びにバリストカルジオグラフィック信号などの他の関連信号を取得するためのセンサを含んでもよい。生物物理学的センサシステムは、心電図信号又は心臓信号を直接取得するための表面電極ベースの取得回路構成又はモジュールを含んでもよい。生物物理学的センサシステムは、フォトプレチスモグラフィック信号又は他の血行動態信号を直接取得するためのフォトプレチスモグラフィックセンサ又はモジュールを含んでもよい。生物物理学的センサシステムは、有線又は無線通信を用いてもよいし、又は独立若しくは統合されたセンサであってもよい。生物物理学的センサシステムは、機械学習ベースの分析を実行して、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/若しくは重症度又は他の方法では同程度には検出可能ではないか、若しくは理解可能ではない可能性があるコンディションに関連付けられた1つ以上の推定メトリックを提供するように構成された分析エンジンを備える分析システムを含む臨床評価システムに動作可能に接続し、そのシステムの一部として動作してもよい。臨床評価システムは、いくつかの実施形態では、(i)心不全(例えば、左側又は右側の心不全、駆出率の保たれた心不全(HFpEF)、駆出率の低下した心不全(HFrEF))、(ii)冠動脈疾患(CAD)、(iii)肺動脈高血圧(PAH)を含むがこれらに限定されない肺高血圧(PH)の様々な形態、(iv)左心室駆出(LVEF)の異常、及び様々な他の疾患又はコンディションなどの疾患及びコンディションを含む、他の疾患、医学的コンディション、又はそれらのいずれかの兆候の存在又は非存在を含む、患者の他の生理的コンディションについて査定するための追加の機械学習ベースの分析を実行するように構成された追加の分析エンジンを含んでもよい。評価され得る特定の形態の疾患のインジケータの例としては、心不全の兆候としての左心室拡張末期圧(LVEDP)の上昇若しくは異常、又は肺高血圧の兆候としての平均肺動脈圧(mPAP)の上昇若しくは異常が挙げられる。
【0007】
一態様において、哺乳動物対象における肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度を非侵襲的に推定する方法であって、1つ以上のプロセッサによって、1つ以上のセンサから患者の1つ以上の生物物理学的信号を得ることと、1つ以上の信号の少なくとも一部分を利用する1つ以上のプロセッサによって、1つ以上の特徴及び/又は機械学習ベースの分析に関連付けられた1つ以上の値を判定することと、1つ以上のプロセッサによって、複数の特徴又は機械学習ベースの分析に関連付けられた複数の値を使用して、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度の推定値を判定することと、を含み、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度の推定値(例えば、HCMスコア)が、肥大型心筋症の診断における使用のために、及び/又は肥大型心筋症の直接治療に対して出力される、方法が開示される。
【0008】
別の態様において、哺乳動物対象における肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度を非侵襲的に推定する方法であって、1つ以上のプロセッサによって、患者に配置又は着用されたマルチセンサデバイスから1つ以上の心振動図信号(SCG信号)及び/又は心音図信号(PCG信号)を得ることと、1つ以上の心振動図信号及び/又は心音図信号の少なくとも一部分を利用する1つ以上のプロセッサによって、複数の特徴又は機械学習ベースの分析に関連付けられた複数の値を判定することと、1つ以上のプロセッサによって、複数の特徴又は機械学習ベースの分析に関連付けられた複数の値を使用して、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度の推定値を判定することと、を含み、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度の推定値(例えば、HCMスコア)が、肥大型心筋症の診断における使用のために、又は肥大型心筋症の直接治療に対して出力される、出力することと、を含む、方法が開示される。
【0009】
別の態様において、哺乳動物対象における肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度を非侵襲的に推定する方法であって、1つ以上のプロセッサによって、第1のフォトプレチスモグラフィック信号及び第2のフォトプレチスモグラフィック信号に関連付けられた第1の生物物理学的信号データセット(PPG信号)を得ることであって、第1の生物物理学的データセットが、対象の複数の心周期にわたって取得されている、得ることと、1つ以上のプロセッサによって、心臓信号に関連付けられた第2の生物物理学的信号データセット(心臓信号)を得ることであって、第2の生物物理学的データセットが、複数の心周期にわたって第1の生物物理学的信号データセットと同時に取得されている、得ることと、第1の生物物理学的信号及び第2の生物物理学的信号の少なくとも一部分を利用する1つ以上のプロセッサによって、複数の特徴又は機械学習ベースの分析に関連付けられた複数の値を判定することと、1つ以上のプロセッサによって、複数の特徴又は機械学習ベースの分析に関連付けられた複数の値を使用して、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度の推定値を判定することと、を含み、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度の推定値(例えば、HCMスコア)が、肥大型心筋症の診断における使用のため、及び/又は肥大型心筋症の直接治療に対して出力される、方法が開示される。
【0010】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、3次元モデル化されたVD波の軌道からのVD波軌道の偏差を定量化するように(例えば、VD軌道における高周波及び低振幅パターンを評価するために)構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、心臓信号の拍動間変動を定量化するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、ポインカレ分析及びヒストグラム分析を介して、心臓、PPG、及び/又はSCG信号における登録された目印における変動性を定量化するように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、心臓、PPG、及び/又はSCG信号の動的特性(例えば、リヤプノフ指数、相関次元、エントロピー、相互情報、相関、及び/又は非線形フィルタリング)を定量化するように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、心臓、PPG、及び/又はSCG信号のプロパティ(例えば、波形振幅、持続時間、心拍数、形態、PPG、VPG、APG信号の性質、例えば、ピーク振幅、ピーク間距離、点間角度、及び様々な比率)を定量化するように構成されている。
【0015】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、ウェーブレット分析を使用して、心臓、PPG、及び/又はSCG信号の主周波数成分を定量化するように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、パワースペクトル及びコヒーレンス分析(クロススペクトル分析)を使用して、心臓、PPG、及び/又はSCG信号のパワースペクトル及び周波数内容を定量化するように構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析は、3D位相空間、その投影、及びループベクトルにおけるループ領域にわたる心臓、PPG、及び/又はSCG信号の性質(例えば、心房脱分極、心室脱分極、及び心室再分極)を定量化するように構成されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、(i)PPG及び心臓信号、又は(ii)SCG信号、のいずれかを使用して、呼吸波形を近似して、(1)心拍数変動性、(2)呼吸率、(3)呼吸と変調信号との間の距離を表す相違特徴、及び(4)変調と呼吸率信号との間の相関を表す二乗コヒーレンスを査定するように構成されており、近似させた呼吸波形が、分析のために用いられるSCG信号の描写された吸気及び呼気部分を生成するために使用されることによって、HCM査定のために用いられる。
【0019】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析は、心臓及び/又はSCG信号の生理学的側面を定量化するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、HCMを有する患者を識別するためのバルサルバ手技に対して、吸気対呼気に関連付けられた心臓、SCG、及び/又はPCG信号の特徴的な変動を定量化するように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、閉塞性HCM(HOCM)を有するHCMを有する患者のサブセットを識別するためのバルサルバ手技に対して、吸気対呼気に関連付けられた心臓、SCG、及び/又はPCG信号の特徴的な変動を定量化するように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、1つ以上のSCG及び/又はPCG信号を使用して、左心室駆出時間(LVET)を近似するように構成されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析は、3次元空間における心室脱分極(VD)波及び/又は心室再分極(VR)波の伝播特性(例えば、波の速度、軌道、軌道周波数、平面度)を定量化するように構成されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、複数の特徴又は機械学習ベースの分析が、(i)1つ以上の心振動図信号及び/若しくは心音図信号の吸気領域において、並びに/又は(ii)1つ以上の心振動図信号及び/若しくは心音図信号の呼気領域において評価される。
【0025】
別の態様において、装置(例えば、SCG/PCG測定デバイス)であって、心臓の信号を含む、胸部領域からの生物物理学的信号を取得するために、対象の胸部領域に外部から着用又は配置されるように構成されたセンサ本体と、第1のMEMSベースのセンサ及び第2のMEMSベースのセンサを含む2つ以上のMEMSベースの生体物理学的センサ(例えば、加速度計:単軸若しくは多軸)と、を備え、2つ以上のMEMSベースのセンサが、センサ本体内に位置し、対象上に配置されるように構成された電極に接続され、第1のMEMSベースのセンサ及び第2のMEMSベースのセンサが、動作中に、複数の特徴又は機械学習ベースの分析を評価して、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度の推定値(例えば、HCMスコア)を生成するように構成された分析システムに提供される第1の生物物理信号及び第2の生物物理信号を生成する(例えば、肥大型心筋症の診断における使用のため、肥大型心筋症の直接治療に対して)、装置が開示される。
【0026】
別の態様において、装置(例えば、SCG/PCG測定デバイス)であって、心臓の信号を含む、胸部領域からの生物物理学的信号を取得するために、対象の胸部領域に外部から着用又は配置されるように構成されたセンサ本体と、第1のMEMSベースの加速度計及び第2のMEMSベースの加速度計を含む2つ以上のMEMSベースの加速度計(単軸又は多軸)と、を備え、2つ以上のMEMSベースの加速度計が、センサ本体内に位置し、対象上に配置されるように構成された電極に接続され、第1のMEMSベースの加速度計及び第2のMEMSベースの加速度計が、動作中に、複数の特徴又は機械学習ベースの分析を評価して、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度の推定値(例えば、HCMスコア)を生成するように構成された分析システムに提供される第1の振動図信号及び第2の振動図信号を生成する(例えば、肥大型心筋症の診断における使用のため、肥大型心筋症の直接治療に対して)、装置が開示される。
【0027】
いくつかの実施形態では、装置は、対象の胸部領域の表面上に配置されて、対象の心臓の複数の心臓信号を提供するように構成されている複数の表面電極を更に含み、複数の心臓信号が、複数の特徴又は機械学習ベースの分析を評価して、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度の推定値を生成するための分析システムに提供される。
【0028】
いくつかの実施形態では、装置は、対象上に配置されて、1つ以上のフォトプレチスモグラフィック信号を提供するように構成された複数のフォトプレチスモグラフィックセンサを更に含み、1つ以上のフォトプレチスモグラフィック信号が、複数の特徴又は機械学習ベースの分析を評価して、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度の推定値を生成するための分析システムに提供される。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1のMEMSベースの加速度計は、心臓の心尖部領域に隣接して配置されるように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、第2のMEMSベースの加速度計は、心臓の基部領域に隣接して配置されるように構成されている。
【0031】
別の態様において、システムであって、上で考察された装置及び分析システムのいずれかを備え、分析システムが、クラウドベースの処理及びネットワーキングインフラストラクチャにおいて実装されている、システムが開示される。
【0032】
別の態様において、1つ以上のプロセッサと、命令をそれぞれ記憶した1つ以上のメモリとを備えるシステム(例えば、クラウドプラットフォーム又はローカルコンピューティングプラットフォーム)が開示され、1つ以上のプロセッサによる命令の実行は、1つ以上のプロセッサに上で考察された方法のうちのいずれか1つを実行させる。
【0033】
別の態様において、その上に記憶された命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体が開示され、1つ以上のプロセッサによる命令の実行は、1つ以上のプロセッサに、上で考察された方法のうちのいずれか1つを実行させる。
【0034】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、実施形態を例解し、本明細書と一緒に、方法及びシステムの原理を説明する役割を果たす。
【0035】
本発明の実施形態は、添付の図面と併せて読むと、以下の詳細な説明からよりよく理解され得る。例示のみを目的とするかかる実施形態は、本発明の新規かつ非自明の態様を示す。図面は、以下の図を含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】心電図信号、振動図信号、フォトプレチスモグラフィック信号、及び/又は心音図信号を非侵襲的かつ同時的に取得し、取得された生物物理学的信号を機械学習ベースの分析において評価して、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度に関連付けられた1つ以上の推定メトリックを生成するように構成された臨床評価システムの概略図である。
【
図2】例示的なHCM生理学的効果及び例示的な機械学習ベースの分析の図を示す。
【
図3】例解的な実施形態による、肥大型心筋症の評価のために取得された例示的な生物物理学的信号の図を示す。
【
図4A】例解的な実施形態による、例示的なSCG/PCG測定デバイスの図を示す。
【
図4B】例解的な実施形態による、別の例示的なSCG/PCG測定デバイスの図を示す。
【
図4C】例解的な実施形態による、更に別の例示的なSCG/PCG測定デバイスの図を示す。
【
図4D】例解的な実施形態による、ウェアラブルMEMSセンサデバイスとして構成された例示的な測定システムの図である。
【
図4E】例解的な実施形態による、ウェアラブル胸部センサデバイスとして構成された、
図4Dの例示的な加工されたウェアラブルMEMSセンサデバイスの画像を示す。
【
図5A】例解的な実施形態による、(他の分析の中でも)機械学習ベースの分析を使用して、例えば、HCMの存在、非存在、及び/若しくは重症度、別のコンディション、又は兆候及び/若しくはそれらのいずれかの重症度を含む、患者の生理学的状態に関連付けられた1つ以上のメトリックを生成するように構成された例示的な臨床評価システムの概略図を示す。
【
図5B】例解的な実施形態による、
図5Aの例示的な臨床評価システムの動作の概略図を示す。
【
図6A】例解的な実施形態による、HCM生理学的効果を判定するための様々な開発されたML特徴の実験結果を示す。
【
図6B】例解的な実施形態による、HCM生理学的効果を判定するための様々な開発されたML特徴の実験結果を示す。
【
図6C】例解的な実施形態による、HCM生理学的効果を判定するための様々な開発されたML特徴の実験結果を示す。
【
図6D】例解的な実施形態による、HCM生理学的効果を判定するための様々な開発されたML特徴の実験結果を示す。
【
図6E】例解的な実施形態による、HCM生理学的効果を判定するための様々な開発されたML特徴の実験結果を示す。
【
図6F】例解的な実施形態による、HCM生理学的効果を判定するための様々な開発されたML特徴の実験結果を示す。
【
図6G】例解的な実施形態による、HCM生理学的効果を判定するための様々な開発されたML特徴の実験結果を示す。
【
図6H】例解的な実施形態による、HCM生理学的効果を判定するための様々な開発されたML特徴の実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書に記載のありとあらゆる特徴、並びにそのような特徴のうちの2つ以上のありとあらゆる組み合わせは、そのような組み合わせに含まれる特徴が相互に矛盾しないことを条件として、本発明の範囲内に含まれる。
【0038】
定義
本明細書で使用される「対象」及び「患者」という用語は、一般的に、例示的なシステム及び方法によって実施された分析を受けた人々を指すために互換的に使用される。
【0039】
本明細書で使用される「生物物理学的信号」という用語は、これらに限定されないが、1つ以上の心臓信号、神経信号、心振動図信号、バリストカルジオグラフィック信号、及び/又はフォトプレチスモグラフィック信号、心音図信号、及び/又は心振動図信号を含むが、それはまた、情報が得られ得る任意の生理学的信号をより広く包含する。例によって限定されることを意図しないが、生物物理学的信号を、例えば、電気(例えば、時間及び/又は周波数などの様々なドメインにおける電圧/電位(例えば、生体電位)、インピーダンス、抵抗率、伝導性、電流などの測定などの技術によって観察、識別、及び/又は定量化され得る、ある特定の心臓及び神経系関連信号)、磁気、電磁気、光学(例えば、反射率、干渉法、分光法、吸光度、透過率、視覚的観察、フォトプレチスモグラフィ、及び同等物などの技術によって観察、識別、及び/又は定量化され得る信号)、音響、化学、機械(例えば、流体流動、圧力、運動、振動、変位、歪みに関連する信号)、熱、及び電気化学(例えば、グルコースなどのある特定の分析物の存在に相関され得る信号)を含むことができる、タイプ又はカテゴリに分類してもよい。場合によっては、生物物理学的信号は、生理学的系(例えば、呼吸器系、循環器系(循環器系、肺系)、神経系、リンパ系、内分泌系、消化器系、排泄物、筋肉系、骨格系、腎臓系/尿路系/排泄物系、免疫系、外皮系/外分泌系、及び生殖系)、1つ以上の臓器系(例えば、心臓及び肺が一緒に働くときに固有のものであり得る信号)の文脈において、又は組織(例えば、筋肉、脂肪、神経、結合組織、骨)、細胞、器官、分子(例えば、水、タンパク質、脂肪、炭水化物、ガス、遊離ラジカル、有機イオン、鉱物、酸、及び他の化合物)、元素、並びにそれらの亜原子成分の文脈において記載され得る。特に明記しない限り、「生物物理学的信号取得」という用語は、一般に、哺乳類又は非哺乳類生物などの生理学的系から生物物理学的信号を取得する任意の受動的又は能動的手段を指す。受動的及び能動的生物物理学的信号取得は、一般に、身体組織の自然又は誘導電気、磁気、光学、及び/又は音響放射線の観察を指す。受動的及び能動的生物物理学的信号取得手段の非限定的な例としては、例えば、体組織の自然放射線を観察する電圧/電位、電流、磁気、光学、音響、及び他の非能動的な方式が挙げられ、いくつかの例では、そのような放射線を誘導する。受動的及び能動的生物物理学的信号取得手段の非限定的な例としては、例えば、超音波、電波、マイクロ波、赤外線及び/又は可視光(例えば、パルスオキシメトリー又はフォトプレチスモグラフィでの使用のための)、可視光、紫外線、及び電離エネルギー又は放射線(例えば、X線)を含まない身体組織を能動的に調べる他の方式が挙げられる。能動的生物物理学的信号取得は、励起放出分光法(例えば、励起放出蛍光を含む)を含み得る。能動的生物物理学的信号取得はまた、イオン化エネルギー又は放射線(例えば、X線)(「イオン化生物物理学的信号」とも称される)を体組織に伝達することを含み得る。受動的及び能動的生物物理学的信号取得手段は、侵襲的手順(例えば、手術又は侵襲的放射線介入プロトコルを介して)又は非侵襲的(例えば、撮像、アブレーション、心臓収縮調節(例えば、ペースメーカーを介して)、カテーテル留置などを介して)と併せて実行され得る。
【0040】
本明細書で使用される「心臓信号」という用語は、例えば、心筋の収縮を引き起こす、その信号の電気/電気化学的伝導の態様を含む、心血管系の構造、機能、及び/又は活動に直接的若しくは間接的に関連付けられた1つ以上の信号を指す。心臓信号は、いくつかの実施形態では、生体電位信号若しくは心電図信号、例えば、心電図(ECG)、心臓波形及びフォトプレチスモグラフィック波形、又は本明細書で後に説明される信号キャプチャ器具若しくは記録器具、又は他のモダリティを介して取得されるものを含み得る。いくつかの実施形態では、心臓信号は、直交電圧勾配(OVG)信号として取得される。
【0041】
本明細書で使用される「フォトプレチスモグラフィック信号」という用語は、赤色及び赤外線スペクトル内の波長を有する光などの酸素化及び脱酸素化ヘモグロビンによる光吸収の測定された変化に対応する、光学センサから取得された1つ以上の信号又は波形を指す。フォトプレチスモグラフィック信号(複数可)は、いくつかの実施形態において、パルスオキシメータ又はフォトプレスモグラム(PPG)を介して取得された生の信号(複数可)を含む。いくつかの実施形態において、フォトプレチスモグラフィック信号(複数可)は、健康を監視すること、及び/又は疾患若しくは異常コンディションを診断することを目的として、そのような信号波形を取得するように構成される、市販の、カスタムの、及び/又は専用の機器若しくは回路から取得される。フォトプレチスモグラフィック信号(複数可)は、典型的には、赤色のフォトプレチスモグラフィック信号(例えば、最も優勢に約625~740ナノメートルの波長を有する可視光スペクトル内の電磁信号)及び赤外線のフォトプレチスモグラフィック信号(例えば、可視スペクトルの公称赤縁から最大約1mmまで延在する電磁信号)を含むが、近赤外線、青、及び緑などの他のスペクトルは、用いられているPPGのタイプ及び/又はモードに応じて、異なる組み合わせで使用されてもよい。
【0042】
本明細書で使用される場合、「バリストカルジオグラフィック信号」という用語は、例えば、電気機械システムベース(MEMS)加速度計などの加速度計又はトランスデューサを使用して、振動、音響、移動、又は向きを通して観察され得る全身を通る血流を概して反映する信号又は信号の群を指す。他の実施形態では、バリストカルジオグラフィック信号は、血液が頭部と足との間の長手方向に前後に移動するときの体重の変化などの現象を測定する外部機器、例えば、ベッド又は表面ベースの機器によって取得され得る。そのような実施形態において、各場所における血液量は、動力学的に変化し得、ベッド上の各場所で測定された重量並びにその重量の変化速度に反映され得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、「心振動図(seismocardiogram)信号」という用語は、心臓の近くにマウント又は位置決めされたセンサ、例えば、MEMS加速度計などのMEMSセンサによって記録されるような記録された身体の振動、音、又は向きを概して反映する信号又は信号の群を指す。「心振動図信号」という用語は、「心振動図(seismocardiographic)信号」と互換的に使用される。
【0044】
本明細書で使用される場合、「心音図信号」という用語は、例えば、対象の心臓の近く、又は対象の胸部領域の周りにマウント又は位置決めされたマイクロフォン又は加速度計センサによって記録されるような記録された身体の音、振動、及び音響放射を概して反映する信号又は信号の群を指す。「心音図信号」は、「心音図(phonocardiographic)信号」と互換的に使用される。
【0045】
例示的なシステム
図1は、心電図(心臓)信号、1つ以上心振動図(SCG)信号、フォトプレチスモグラフィック(PPG)信号、及び/又は心音図(PCG)信号を非侵襲的かつ同時的に取得し、取得された生物物理学的信号を機械学習ベースの分析において評価して、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度に関連付けられた1つ以上の推定メトリックを生成するように構成された臨床評価システム100の概略図である。システム100は、ネットワーク106を介した測定システム102及び分析システム104を含む。
図1に示される例において、分析システム104は、クラウドベースのインフラストラクチャにおいて実装されている。分析システム104は、(i)測定システム102によって実行された測定値に関連付けられた1つ以上のデータファイル114を受信するためのデータストア108と、(ii)分析特徴分析モジュール110(「特徴」110として示される)、及び機械学習ベースの分析における1つ以上のデータファイル114を評価するための機械学習した分類器モジュール112を含む分析エンジンと、を含む。分析システム104の出力116は、例えばヘルスケアポータルを介して、患者の報告として、若しくはウェアラブルデバイスへの出力としてか、又は疾患、コンディション、又はそれらのいずれかの兆候の治療のための医療機器への出力として提供され得る。ヘルスケア提供者、例えば医師は、報告をレビューし、それを解釈して、疾患の診断を提供するか、又は治療計画を生成することができる。
【0046】
機械学習ベースの分析は、機械学習又は人工知能分析を含むか、又はそれに由来する分析又は特徴を指す。機械学習ベースの分析は、いくつかの実施形態では、例えば、ElasticNet機械学習した分類器モデル[9]、RandomForestClassifier機械学習した分類器モデル[10]、及びエクストリーム勾配ブースト(XGB)分類器モデル[11]を介して、臨床データをダウン選択又は訓練するための特徴のライブラリから、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度に関連付けられたメトリックの推定において統計的に有意な特徴までの特徴の評価を含む。分析システムを構成するための(例えば、LVEDP推定の上昇のための)訓練システムの例は、「METHOD AND SYSTEM TO ASSESS HEART FAILURE」と題する、2021年8月23日に出願された米国仮特許出願第63/235,960号に記載されており、この米国仮特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。分析エンジンを構成するために使用され得る訓練システムの別の例は、[19]に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
HCM生理学的効果とインジケータ
図2は、例示的なHCM生理学的効果及び例示的な機械学習ベースの分析の図を示す。肥大型心筋症(HCM)は、2次的原因によって説明されない左心室肥大と、典型的には駆出率が保たれたか、又は上昇した非拡張左心室を特徴とする遺伝的障害である。それは一般的に非対称であり、最も重篤な肥大は基底心室中隔を伴う。左心室流出路閉塞は、患者の約3分の1で安静時に存在し、別の3分の1で誘発される可能性がある[21]。この疾患の病理学的特徴には、心筋細胞肥大及び混乱、間質性及び置換線維症、小血管異常、並びに心室不整脈の基質を形成し得る心筋細胞の電気的リモデリングが挙げられる。肥大はまた、しばしば左心室拡張機能障害に関連付けられる[22]。加えて、電気生理学的異常を有するHCM患者では、洞結節機能異常(66%)及びHis-Purkinje(HV)伝導(30%)の高い有病率が観察された[23]。最も一般的に誘発される上室不整脈は、心房リエントリー頻拍及び心房細動であり得る(それぞれ、患者の10%及び11%)。
【0048】
HCM患者において、心臓壁(複数可)(例えば、202a、202b)は、心筋細胞が大きくなっている(肥大)に起因して大きくなり(肥大)、心臓壁のサイズ、質量、及び剛性(又はコンプライアンスの喪失)の増加をもたらす。HCMハートは、異なるトポロジーを呈することができる。いくつかの事例では、肥厚することは、例えば、左心室と右心室との間の隔壁(202a)のみを伴う非対称であり得るか、又は左心室壁(202b)の周囲の厚さが同心円状に増加し得る。
【0049】
拡大効果(202’)。中隔壁(204)(心室中隔204として示される)が、それが左心室流出路を侵害するように拡大されると(206を参照)、それは、大動脈(201)への左心室(208)からの血流を遮断する大動脈弁遮断に類似した生理学的シナリオを作成する可能性がある。この流れ(203’)の遮断又は妨害は、狭くなった左心室流出路(LVOT)を通る乱流として観察され、「雑音」(閉塞雑音)又は大動脈弁狭窄の全ての生理学的効果(心臓の左心室の出口を狭くする)と同様の音及び振動を引き起こす。
【0050】
この流れ又は妨害遮断(203’)に加えて、中隔壁(204)による左心室チャンバ(208)への侵害もまた、僧帽弁(210)の機能に影響を与える可能性があり、これは、僧帽弁逆流(205’)を引き起こす可能性がある(2つのカスプ又はフラップを備え、心臓の左心房(212)と左心室(208)との間に位置する僧帽弁がしっかりと閉じず、血液が左心房(212)内で逆流することを可能にするコンディション)。僧帽弁(210)のこの収縮期前方運動(SAM)の結果として、僧帽弁前尖は、隔壁(214)に向かって引っ張られ得、僧帽弁(210a)を無能にする。僧帽弁(例えば、210a)を横切る漏れ(205’)は、大動脈狭窄と同様に、心臓の拡大及び心不全の臨床兆候を引き起こす可能性がある。僧帽弁を横切る関連する漏れを伴う僧帽弁逆流(205’)は、乱流、心臓雑音(「僧帽弁逆流雑音」)、及び振動を引き起こすことが多い。
【0051】
変化した組織剛性(207’)。心室筋(202b)は肥厚し、また、硬く、分注性が低いため、心臓が良好に完全に収縮することができるが、適切にリラックスすることができない駆出率(HFpEF)が保持された心不全と同様の生理学を有することがある。HfpEFは、拡張中に左心室壁(202b)の剛性の増加が左心室弛緩の減少を引き起こし、圧力の増加及び/又は充満の障害をもたらす、拡張機能の異常によって特徴付けられる。他の場合には、HCMを有する患者は、拡張期機能の障害及び収縮期機能の低下の両方を有する。これらの影響の全て(心臓組織のコンプライアンスの喪失(207’)、遮断/流れの障害(203’)、弁漏れ(205’))は、収縮期及び/又は拡張期機能に障害を与え、肺鬱血を引き起こし、他の症状の中でも、息切れ及び失神(通常、脳への不十分な血流に関連する一時的な意識の喪失)を引き起こす可能性がある。
【0052】
拡張期中の左心室弛緩の低下は、本質的に、左心室(208)の充満困難(209’)であり(心室収縮の困難ではない)。これは、血液が流入することを可能にするために十分に弛緩する能力が妨げられ、したがって、左房圧(肺静脈圧を表す)の上昇、左心室圧(LVP)(左心室内の圧力)の上昇、及び拡張期圧(心臓が拍動の間に弛緩するときに血液が動脈壁に及ぼす圧力)の上昇をもたらす筋肉に拘束された心臓としてモデル化又は考えられ得る。適切な充満を得るために、心臓は肺静脈圧を増加させる可能性があり(211’)、これは、他の効果の中でも、鬱血(肺内の液体の蓄積)及び息切れを引き起こす可能性がある。適切に絞ることができるが、次の心拍について充満させるために適切に弛緩することができない心臓の筋肉の効果もまた、動脈血圧及び静脈血圧を増加させることによって身体補償をもたらす可能性があり、これはまた、息切れ及び他のコンディションを引き起こす可能性がある。
【0053】
これらの影響(コンプライアンス心臓組織の喪失、遮断/流れの障害、弁漏れ、心臓組織のコンプライアンスの喪失)の全ては、正常な心臓と比較して、心臓の電圧分布及びパターンに影響を与える可能性がある。心臓の幾何学的形状(非対称又は対称)の変化により、心臓の動作は時間的に変わり、左心室駆出時間(LVET)(213’)の変化によって示され得る。LVETは、大動脈弁を通る血流の期間を測定し、0.35±0.08秒の正常値を有する。
【0054】
加えて、これらの影響(心臓組織のコンプライアンスの喪失、遮断/流れの障害、弁漏れ)の全ては、心臓の周波数の観察可能な成分に影響を与える可能性がある。例えば、心臓の周波数成分(例えば、とりわけ、パワースペクトル密度又はウェーブレット周波数成分を通して観察されるように)は、呼吸周波数とともに変動し得る。吸気中は、吸気中の経胸壁圧が心室充満圧を増大させる可能性があるため、呼気と比較して心臓の充満が多くなる。経胸壁圧は、吸気からの負の胸腔内圧と組み合わせた血行動態圧として見ることができる。
【0055】
加えて、心臓組織のコンプライアンスの喪失、遮断/流れの障害、及び弁漏れにより、音内に観察可能な相性要素が存在することがある。深い吸気では、心臓はより多く充満し、左心室流出の閉塞を少なくすることができるが、呼気では、充満が少なくなり、流出路の閉塞が多くなる可能性がある[17]。心雑音は、吸気中に振幅が減少し、呼気とともに振幅が増加して聞こえる可能性があり得る。同様に、心振動図及び/又は心音図信号として検出された振動は、吸気中に振幅が減少し、呼気とともに振幅が増加することがある。同様に、心振動図及び/又は心音図信号として検出された振動は、バルサルバ手技として知られる生理学的手技によって振幅が増加することがある。バルサルバ手技は、閉鎖された気道に対して強力な呼気の試みによって実行され得る呼吸プロトコルであり、通常は風船を膨らますように空気を吐きながら、口を閉じて鼻を挟むことによって行われる。
【0056】
実際、上述のように、上で考察された身体生理学的及びHCM生理学的効果は、HCM及びその発生コンディションを示すか又はそれらに独自の振動、電気パターン、及び周波数成分を生成することができる。これらの物理学的兆候は、本明細書に記載される特徴又は機械学習ベースの分析によって評価されて、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度に関連付けられたメトリックを推定することができる。
【0057】
加えて、心室頻脈性不整脈の存在は、肥大型心筋症の存在の兆候であり得る。心室頻拍(V-tach又はVT)は、心臓の下部チャンバから生じる速い心拍数として特徴付けられてもよい。プログラムされた心室刺激(PVS)は、患者の14%で非持続性心室頻拍(VT)を誘発し、患者の43%で持続性心室不整脈を誘発した。持続性心室不整脈は、患者の73%で多形性VT、患者の24%で単形性VT、及び2人の患者(3%)で心室細動であった。
【0058】
機械学習した分析モジュール
図1において、分析システム104は、分析特徴分析モジュール110を備える分析エンジンを含み、このモジュールは、特徴又はパラメータを計算して、分類器(例えば、機械学習した分類器)を介して、肥大型心筋症の存在、不在、及び/又は重症度に関連付けられた1つ以上の推定されるメトリックを生成するように構成されている。分析システム104は、(i)心不全(例えば、左側又は右側の心不全、駆出率の保たれた心不全(HfpEF)、駆出率の低下した心不全(HfrEF))、(ii)冠動脈疾患(CAD)、(iii)肺動脈高血圧(PAH)を含むがこれらに限定されない肺高血圧(PH)の様々な形態、(iv)左心室駆出率(LVEF)の異常など、他の疾患、医学的コンディション、又はそれらのいずれかの兆候の存在、非存及び/又は重症度を含む、患者の他の生理学的状態について査定するための追加の機械学習ベースの分析を実行するように構成された追加の分析エンジンを含んでもよい。評価され得る特定の形態の疾患のインジケータの例としては、心不全の兆候としての左心室拡張末期圧(LVEDP)の上昇若しくは異常の存在若しくは非存在、又は肺高血圧の兆候としての平均肺動脈圧(mPAP)の上昇若しくは異常が挙げられる。
【0059】
表1は、肥大型心筋症の存在、非存在、及び/又は重症度に関連付けられた推定されるメトリックの計算のために用いられ得る特徴のクラスのリスト及び対応する説明を示す。以下にリストされる特徴は、
図2にも示されている。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0060】
SCG信号に適用され得る、及びHCMの存在、非存在、及び/又は重症度の判定のための、表1の分析のいくつかの詳細な説明は、とりわけ、[1]~[13]及び[20]~[56]に見出すことができ、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
用いられ得る他の特徴モジュールは、米国特許第9,289,150号、米国特許第9,655,536号、米国特許第9,968,275号、米国特許第8,923,958号、米国特許第9,408,543号、米国特許第9,955,883号、米国特許第9,737,229号、米国特許第10,039,468号、米国特許第9,597,021号、米国特許第9,968,265号、米国特許第9,910,964号、米国特許第10,672,518号、米国特許第10,566,091号、米国特許第10,566,092号、米国特許第10,542,897号、米国特許第10,362,950号、米国特許第10,292,596号、米国特許第10,806,349号、米国特許出願公開第2020/0335217号、米国特許出願公開第2020/0229724号、米国特許出願公開第2019/0214137号、米国特許出願公開第2018/0249960号、米国特許出願公開第2019/0200893号、米国特許出願公開第2019/0384757号、米国特許出願公開第2020/0211713号、米国特許出願公開第2019/0365265号、米国特許出願公開第2020/0205739号、米国特許出願公開第2020/0205745号、米国特許出願公開第2019/0026430号、米国特許出願公開第2019/0026431号、国際公開第2017/033164号、国際公開第2017/221221号、国際公開第2019/130272号、国際公開第2018/158749号、国際公開第2019/077414号、国際公開第2019/130273号、国際公開第2019/244043号、国際公開第2020/136569号、国際公開第2019/234587号、国際公開第2020/136570号、国際公開第2020/136571号、米国特許出願第16/831,264号、米国特許出願第16/831,380号、米国特許出願第17/132869号、国際出願第PCT/IB2020/052889号、国際出願第PCT/IB2020/052890号に記載されており、それらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
分析及び関連するモジュール(例えば、110)は、PPG及び心臓信号に加えて、SCG又は心音図信号に関連して提供される特徴を評価してもよく、また、様々な分析(上述のような周波数、ダイナミクス、サイクル変動性など)を拡張して、信号の吸気と呼気部分との間の特徴の値の変化について査定してもよい。
【0063】
モジュール(例えば、110)は、LVETの推定のための分析、又は上昇したLVETに相関するパラメータを含んでもよい。
【0064】
MEMS加速度計システム
図1に示される例において、測定システム102は、少なくとも2つ以上のSCG/PCG測定値を心臓の心尖部領域及び基部領域において提供するように2つ以上のMEMS加速度計、トランスデューサ、又はセンサを用いて構成される、胸部着用又はマウントされたSCG/PCG測定デバイス118を含む。SCG/PCGデバイス118は、表面電極122(122a~122fとして示される)のセットを介して心臓信号を測定し、PPGセンサデバイス124を介してフォトプレチスモグラフィック信号を測定するように構成された生物物理学的信号キャプチャシステム120に接続されてもよい。例示的な無線通信動作及び回路構成は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる[14]に記載されている。
【0065】
SCG/PCG測定デバイス118は、第1のMEMS加速度計、トランスデューサ、又はセンサ126と、第2のMEMS加速度計、トランスデューサ、又はセンサ128と、を含む。2つ以上のMEMS加速度計、トランスデューサ、又はセンサは、心振動図信号を分析システムに提供することができ、信号の位相差及び微分評価が分析エンジンによって実行され得る。例えば、第1のMEMS加速度計、トランスデューサ、又はセンサ126は、心尖部130の近位に位置決めされるように構成され得、第2のMEMS加速度計、トランスデューサ、又はセンサ128は、左心室の基部領域132の近くに、又はそこに位置決めされるように構成されている。
図1に示される例において、デバイス118及び関連するセンサ126及び128は、例解的に示される領域において対象の皮膚上に非侵襲的に配置される。心臓の断面は、単に特定の実施形態における特定の心臓構造に対するセンサの例解的な配置を提供するために、
図1に示される。
【0066】
肥大型心筋症査定のための例示的な生物物理学的信号
図3は、例解的な実施形態による、肥大型心筋症の評価のために取得された例示的な生物物理学的信号の図を示す。
図3に示される例において、例示的な心振動図信号、心音図信号、心臓信号(「心電図」として示される)、及びフォトプレチスモグラフィック信号は、1つの心周期にわたって同時に取得されるものとして示される。この図は、同じ心周期における大動脈圧、心房圧、心室容積、及び心室圧の例を更に例解している。登録/目印点は、単一の信号(例えば、心臓波形、心振動図、及び/又は心音図信号のピーク)、又は、他の取得された生物物理学的信号に関連して同期性及び位相が評価され得る信号(例えば、2つのフォトプレチスモグラフィック波形、2つの心振動図波形間の交差点など)の中で判定されてもよい。例えば、「Method and System to Assess Disease Using Dynamical Analysis of Cardiac and Photoplethysmographic Signals」と題された米国出願公開第2020/0397324号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
例示的なSCG/PCG測定システム#1
図4Aは、例解的な実施形態による、例示的なSCG/PCG測定デバイス118の図を示す。
図4Aに示される例において、SCG/PCG測定デバイス118は、2つ以上のMEMS加速度計、トランスデューサ、又はセンサ126、128(126a、128aとして示される)を含む。この例において、MEMS加速度計、トランスデューサ、又はセンサ126a、128aは、3軸加速度計302(302a、302bとして示される)、例えば、小型の4mm×4mm×1.45mmパッケージICに統合されたWilmington MAのアナログデバイスによって製造された小型の低消費電力ADXL335 3軸加速度計を含む。3軸加速度計302a、302bは、測定システム102に接続するケーブル306に振動図信号304を提供するために結合された増幅器及びフィルタ303である。この例において、心臓信号308は、6つの表面電極312の各々で取得され、測定システム102へのケーブル306を介して6つの導体を介して搬送される。参照電極も用いられる。この例において、フォトプレチスモグラフィック信号310は、フォトプレスモグラムセンサが3つの導体(2つの信号及びGND)を介してケーブル306を通って測定システム102に搬送されるときに、PPGリードスナップ314で生成される。測定システム102は、取得された生物物理学的信号を変換及びデジタル化するための変換回路構成を含む。いくつかの実施形態では、表面電極312及び/又はPPGリードスナップ314は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる[14](A4L BCG出願)に記載されているように、加速度計を含んでもよい。
【0068】
【0069】
いくつかの実施形態では、MEMSセンサは、音響センサ又は変換器、例えば、音響呼吸センサ(例えば、Masimo,Corp.,Irvine,CAによって製造されたmodel.RAS-45)を含む。音響ベースのセンサの別の例は、ECG+デジタル聴診器(例えば、Eko Devices,Inc.,Oakland,CAによって製造されたDUO ECG+デジタル聴診器)などのデジタル聴診器システムで用いられるセンサである。
【0070】
いくつかの実施形態では、MEMSセンサは、加速度計ベースのセンサ、例えば、加速度計、ジャイロスコープ、磁気、及び圧力センサ(例えば、Shimmer,Cambridge,MAによって製造されたShimmer3 IMU)を含む9DoF慣性センシングを含む。加速度ベースのセンサの別の例は、加速度、ジャイロ、及び磁力計を含む9軸運動センサを備えるIMUセンサ(Movesense,Vantaa Finlandによって製造されたMovesense IMU)である。加速度計ベースのセンサの一例は、加速度、ジャイロ、及び磁力計を含む9軸運動センサを備えるIMU追跡センサ(TDK,InvenSense,San Jose,CAによって製造されたICM-20948)である。加速度計ベースのセンサの一例は、IMUトラッキングセンサ(Bosch Connected Devices and Solutions GmbH(ドイツ)によって製造されたSense Connect Detect model no.SCD110)である。
【0071】
これらのMEMSセンサ(音響、加速度計、IMU)は、単独で、又は本明細書に記載される2つの電流センサタイプ若しくは他のセンサタイプを含むがこれらに限定されない1つ以上の他のセンサと任意の組み合わせで使用され得、それらの様々な形態でHCM、HF、PH、CAD、若しくはそれらの組み合わせ又は関連するコンディション若しくは兆候についての任意の兆候について診断ツールを生成するための情報を集める。加えて、これらのMEMSセンサは、それらの様々な形態でHCM、HF、PH、及びCADではない本明細書に記載される任意の兆候のための診断ツールを生成するために使用されてもよい。
【0072】
図4Bは、無線トランシーバモジュール402を含む無線測定モジュールとして構成された
図4Aの例示的なSCG/PCG測定デバイス118(118aとして示される)を示す。無線トランシーバモジュール402は、フロントエンド変換回路構成403、マイクロコントローラ404、及び無線トランシーバ回路406を含む。無線トランシーバ回路406は、インターフェースデバイスへの無線接続を介してインターフェースすることができる。
【0073】
心臓信号308及びフォトプレチスモグラフィック信号310は、「Method and Apparatus for Wide-Band Phase Gradient Signal Acquisition」と題された米国特許第10,542,898号、又は「Method and Apparatus for Wide-Band Phase Gradient Signal Acquisition」と題された米国特許出願公開第2018/0249960号に記載された生物物理学的信号キャプチャシステムにおいて、回路構成及びコンピューティングハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアなどを使用して取得されてもよく、それらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
本明細書で考察されるように、他の構成及びトポロジー、例えば、とりわけ、MEMSマイクロフォン又は音響トランスデューサが使用されてもよい。
【0075】
例示的なSCG/PCG測定システム#2
図4Cは、例解的な実施形態による、別の例示的なSCG/PCG測定デバイス118(118bとして示される)の図を示す。
図4Cに示される例において、SCG/PCG測定デバイス118bは、(
図4Dにおいて403として示される)無線モジュール内の心音図デバイス408(音響トランスデューサを含む)及びMEMS加速度計を含む。
【0076】
心音図デバイス408は、1つ以上のマイクロフォン410及びマイクロフォンフロントエンド回路構成412を備える。マイクロフォンフロントエンド回路構成412は、取得された生物物理学的信号を変換及びデジタル化するための変換部、フィルタ、及び増幅器回路構成を含む。マイクロフォン410及びマイクロフォンのフロントエンド412は、心臓及び近くの構造及び雑音のシグナチャをキャプチャするように構成されている。いくつかの実施形態では、心音図デバイス408は、12ビットの解像度で少なくとも8kHzのレートを有する音響信号を取得するように構成されている。他のサンプリングレート及び解像度が用いられ得る。心音図デバイス408の他の例は、音響呼吸センサMasimo,Corp.,Irvine,CAによって製造されたmodel.RAS-45)又はECG+デジタル聴診器などのデジタル聴診器システム(例えば、Eko Devices,Inc.,Oakland,CAによって製造されたDUO ECG+デジタル聴診器)を含む。
【0077】
図4Cに示される例において、SCG/PCG測定デバイス118bは、コントローラ414、無線トランシーバ416、及びエネルギーストレージ418を含む。SCG/PCG測定デバイス118bは、無線トランシーバ406を含む基地局402(402aとして示される)と通信する無線トランシーバモジュール416を備える無線測定モジュールとして、例えば、本明細書に記載されるウェアラブルデバイスとして構成されている。この構成において、基地局402aは、(心臓信号308及びPPG信号310の取得のための)フロントエンド変換回路構成403、マイクロコントローラ404、及び無線トランシーバ回路406を含む。
【0078】
【0079】
これらのMEMSセンサ(音響、加速度計、IMU)は、単独で、又は本明細書に記載される他のセンサタイプを含むがこれらに限定されない1つ以上の他のセンサと任意の組み合わせで使用され得、それらの様々な形態でHCM、HF、PH、CAD、若しくはそれらの組み合わせ又は関連するコンディション若しくは兆候についての任意の兆候について診断ツールを生成するための情報を集める。加えて、これらのMEMSセンサは、それらの様々な形態でHCM、HF、PH、及びCADではない本明細書に記載される任意の兆候のための診断ツールを生成するために使用されてもよい。
【0080】
心臓信号308及びフォトプレチスモグラフィック信号310は、「Method and Apparatus for Wide-Band Phase Gradient Signal Acquisition」と題された米国特許第10,542,898号、又は「Method and Apparatus for Wide-Band Phase Gradient Signal Acquisition」と題された米国特許出願公開第2018/0249960号に記載された生物物理学的信号キャプチャシステムにおいて、回路構成及びコンピューティングハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアなどを使用して取得されてもよく、それらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
信号取得中に、患者は、2つの取得システム402と118bとの間の測定値を同期させるために使用され得る測定値のスパイクを提供するために、パッティングされてもよい(例えば、しっかりとタップされてもよい)。
【0082】
例示的なウェアラブルMEMセンサ
図4Dは、ウェアラブルMEMSセンサデバイス403として構成された例示的な測定システム102(403として示される)の図である。ウェアラブルMEMSセンサデバイス403は、例えば、
図4Cに関して記載されるように、MEMS加速度計302(「加速度計」302として示される)、心音図デバイス408(「音響センサ」408として示される)、コントローラ414、無線トランシーバ416(414と統合される)、及びエネルギーストレージ418を備える1つ以上の電子ボード422を収容するように構成されたハウジング420を含む。
【0083】
図4Dに示される例において、ハウジング420は、外壁424及び内壁426を有する。内壁426は、ハウジング420の入口領域428における音(
図431を参照)を心音図デバイス408に画定し、集束させるテーパー領域427を有する。心音図デバイス408は、入口領域428に面する電子ボード422の部分上に位置する。入口領域428は、ハウジング表面及び本体によって画定される容積を形成して、当該容積内に音響エネルギーを指向及び維持することができる。ハウジング420は、ガスケットタイプのインターフェースとして機能して、本体(432として示される)との接触(434)を接着及び維持することができるエラストマー部材430を更に含む。
図436(
図4Eも参照)は、例示的な加工されたウェアラブルMEMSセンサデバイス403の画像である。
【0084】
図4Eは、ウェアラブル胸部センサデバイスとして構成された、例示的な
図4Dの加工されたウェアラブルMEMセンサデバイス403の画像を示す。
図4Eにおいて、
図438は、入口領域428上に配置されたフロントプレート440を有する例示的な加工されたウェアラブルMEMSセンサデバイス403の別の例を示す。
図438は、ウェアラブルMEMSセンサデバイス403の人への例示的な配置を示す。
図438に示されるように、ウェアラブルMEMSセンサデバイス403は、人に指向された入口領域428とともに配置され、心臓の上に(示されるように)及び本明細書に記載されるように身体の様々な場所に配置され得る。
図438はまた、表面電極312も示す。電極312は各々、クリップコネクタ444に結合されたECGパッド442である。
【0085】
図440は、無線充電式ステーション上に配置されたウェアラブルMEMSセンサデバイス403を示す。配置の例は、米国特許第10,542,898号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
例示的なHCM治療
肥大型心筋症の存在又は非存在に関連付けられたメトリックの推定の生成に続いて、生成された推定は、例えば、ヘルスケアポータルにおいて、又はウェアラブルデバイスへの出力として、若しくは疾患、コンディション、若しくはそれらのいずれかの兆候の治療のための医療機器への出力として、患者の報告に提供されて使用され得る。
【0087】
HCMの治療は、薬物療法又は手術を含むことができる。薬理学的治療は、とりわけ、ベータ遮断薬(例えば、メトプロロール、プロプラノロール、又はアテノロール)、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ベラパミル又はジルチアゼム)、心臓調律薬(例えば、アミオダロン又はジソピラミド)、マバカメンの投与を含むことができる。外科的介入には、肥厚した過剰に成長した中隔壁の一部を除去するための中隔心筋切除術、心臓の先端の近くから肥厚した心筋を除去するための心尖部筋切除術、肥厚した心筋の一部を破壊するための中隔アブレーション、又は心拍を継続的に監視するための植込み型除細動器(ICD)を含むことができる。
【0088】
本開示は、心臓関連病態及びコンディションの診断及び治療における生物物理学的信号、例えば、生又は事前処理されたフォトプレチスモグラフィック信号、生体電位/心臓信号、心振動図信号、心音図信号などの実用的な査定を対象としているが、このような査定は、生物物理学的信号が生体の任意の関連システムに関わる任意の病態又はコンディションの診断、治療、及び追跡/監視(外科的、最小侵襲的、生活方式、栄養学的、及び/又は薬理学的治療などを含むがこれらに限定されない)に適用され得る。査定は、医療機器若しくはウェアラブルデバイスの制御において、又は監視用途において使用されてもよい。
【0089】
例示的な生物物理学的センサシステムは、モジュール式医療評価システム[18]として実装されてもよく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
例示的な臨床評価システム
図5Aは、一実施形態による、例示的な臨床評価システム500(臨床及び診断システムとも称される)を示し、この臨床評価システムは、
図1のモジュールを実装して機械学習ベースの分析を非侵襲的に実行して、分類器(例えば、機械学習した分類器)を介して、患者又は対象のHCM関連状態に関連付けられた1つ以上のメトリックを生成する。実際に、(例えば、
図1、
図5~
図14の)特徴モジュールは、一般に、システム(例えば、臨床評価システム500)の一部とみなすことができ、システムでは、任意の数及び/又はタイプの特徴が、例えば、異なる構成の特徴モジュールを有する異なる実施形態を用いて、関心のある疾患状態、医学的コンディション、いずれかの兆候、又はそれらの組み合わせに対して利用され得る。これは
図5Aに追加的に例解されており、臨床評価システム500は、(例えば、HCM、上昇したLVEDP又はmPAP、CAD、PH/PAH、異常なLVEF、hFpEF、及び本明細書に記載される他のものを査定するための)疾患特有のアドオンモジュール502が、単独で、又は複数の事例では、単一のプラットフォーム(すなわち、ベースシステム504)と統合され、システム500の完全動作を実現することが可能である、モジュール式設計のものである。モジュール性は、臨床評価システム500が、同じ同期的に取得された生物物理学的信号及びデータセット、並びにベースプラットフォームを活用して、疾患特有のアルゴリズムが開発されるなど、複数の異なる疾患の存在について査定するように設計されることを可能にし、それによって、試験及び認証の時間及びコストを低減する。
【0091】
様々な実施形態では、臨床評価システム500の異なるバージョンは、所与の疾患状態(複数可)、医学的コンディション(複数可)、又は関心のあるコンディション(複数可)を示すように構成され得る異なる特徴計算モジュールを含めたことによって、査定システム103(
図1)を実装してもよい。別の実施形態では、臨床評価システム500は、2つ以上の査定システム103を含んでもよく、そのエンジン103の分類器112に固有の異なるスコアを生成するために選択的に利用されてもよい。このようにして、より一般的な意味での
図1及び
図5のモジュールは、異なる及び/又は複数の対応する分類器112を有する異なる及び/又は複数のエンジン103が所望のモジュールの構成に応じて使用され得る、モジュール式システムの1つの構成とみなされてもよい。したがって、
図1のモジュールの任意の数の実施形態が存在してもよい。
【0092】
図5Aにおいて、システム500は、機械学習した疾患特有のアルゴリズムを使用して1つ以上の生物物理学的信号データセット(例えば、110)を分析して、一例として、病理学又は異常状態のLVEDPの上昇の可能性について査定することができる。システム500は、アルゴリズムを使用して推定スコアの分析及び提示を容易にし、医師がそのスコアを使用して、例えば、疾患状態、医学的コンディション、又はそれらのいずれかの兆候の存在、非存在、及び/又は重症度について査定することを可能にするように、組み合わせて協働するように設計されるハードウェア及びソフトウェア構成要素を含む。
【0093】
ベースシステム504は、各アドオンモジュール502(疾患特有のアルゴリズムを含む)が、次いで、病態又は兆候コンディションを査定するためにインターフェースをとる、機能及び命令の基盤を提供することができる。ベースシステム504は、
図5Aの例に示されるように、ベース分析エンジン又は分析器506、ウェブサービスデータ転送API508(「DTAPI」508として示される)、報告データベース510、ウェブポータルサービスモジュール513、及びデータリポジトリ111(111aとして示される)を含む。
【0094】
クラウドベースであり得るデータリポジトリ111aは、信号キャプチャシステム102(102bとして示される)からのデータを記憶する。生物物理学的信号キャプチャシステム102bは、いくつかの実施形態では、7チャネルリードセット及びフォトプレスモグラム(PPG)センサが確実に取り付けられた(すなわち、取り外し不可能な)単一のユニットとして設計された再利用可能なデバイスである。信号キャプチャシステム102bは、そのハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアと一緒に、ユーザインターフェースを提供し、その中に入力された患者特有のメタデータ(例えば、名前、性別、生年月日、医療記録番号、身長、及び体重など)を収集し、患者の電気及び血行動態信号を同期して取得する。信号キャプチャシステム102bは、メタデータ及び信号データを単一のデータパッケージとしてクラウドベースのデータリポジトリに直接安全に伝送してもよい。データリポジトリ111aは、いくつかの実施形態では、患者特有のデータパッケージを受け入れ、記憶し、分析エンジン506又は分析器514によるその取り出しを可能にするように構成された、セキュアなクラウドベースのデータベースである。
【0095】
ベース分析エンジン又は分析器506は、取得された信号の品質査定を実行し得る(「SQA」モジュール516を介して実行される)安全なクラウドベースの処理ツールであり、その結果は、ポイントオブケアで医師又は患者に通信され得る。ベース分析エンジン又は分析器506はまた、取得された生物物理学的信号(例えば、110(
図1参照))の前処理(前処理モジュール518を介して示される)を実施してもよい。ウェブポータル513は、ヘルスケア提供者に患者の報告へのアクセスを提供するように構成された安全なウェブベースのポータルである。ウェブポータル513の例示的な出力は、視覚化536によって示されている。報告データベース(RD)512は、セキュアなデータベースであり、出力されたスコア(複数可)(例えば、118)及び関連する情報が患者の一般的な健康記録に統合され、保存されるように、病院内の又は医師がホストする、遠隔でホストする、又は遠隔の電子健康記録システム(例えば、Epic、Cerner、Allscrips、CureMD、Kareoなど)などの他のシステムとセキュアにインターフェースし、通信してもよい。いくつかの実施形態では、ウェブポータル513は、電話を介して出力臨床情報を提供するためにコールセンターによってアクセスされる。データベース512は、郵便、宅配便、ファクシミリ、手交などを介して配達される報告を生成することができる他のシステムによってアクセスされてもよい。
【0096】
アドオンモジュール502は、ベース分析エンジン(AE)又は分析器506とともに動作する第2の部分514(本明細書では分析エンジン(AE)又は分析器514とも称され、「AEアドオンモジュール」514として示される)を含む。分析エンジン(AE)又は分析器514は、所与の疾患特有のアルゴリズムの主機能ループ、例えば、特徴計算モジュール520、分類器モデル524(「アンサンブル」モジュール524として示される)、並びに外れ値査定及び拒否モジュール524(「外れ値検出」524として示される)を含むことができる。特定のモジュール構成において、分析エンジン又は分析器(例えば、506及び514)は、単一の分析エンジンモジュール内に実装されてもよい。
【0097】
主機能ループは、(i)全ての必要な環境変数値が存在することを確実にするために実行環境を検証し、(ii)取得された生物物理学的信号を含む新しい信号キャプチャデータファイルを分析する分析パイプラインを実行して、疾患特有のアルゴリズムを使用して患者のスコアを計算するための命令を含み得る。分析パイプラインを実行するために、AEアドオンモジュール514は、患者の生理学的状態に関連付けられるメトリックの出力スコア(例えば、116)を判定するように、
図1に関連して記載されるように様々な特徴モジュール110及び分類器モジュール112のための命令を含み、実行することができる。AEアドオンモジュール514内の分析パイプラインは、特徴又はパラメータ(「特徴計算」520として示される)を計算することができ、特徴に基づいて、外れ値対非外れ値の信号レベル応答について外れ値検出リターンを提供することによって、計算された特徴が外れ値であるかどうかを識別する(「外れ値検出」522として示される)。外れ値は、(モジュール112の)分類器を確立するために使用される訓練データセットに関して査定されてもよい。AEアドオンモジュール514は、特徴及び分類器モデルの計算された値を使用して、(例えば、分類器モジュール524を介して)患者の出力スコア(例えば、116)を生成してもよい。HCMの推定のための評価アルゴリズムの例において、出力スコア(例えば、116)は、HCMスコアである。
【0098】
臨床評価システム500は、ウェブサービスDTAPI508(いくつかの実施形態ではHCPPウェブサービスとも称されることがある)を使用して、構成要素内及び構成要素にわたってデータを管理することができる。DTAPI508は、取得された生物物理学的データセットをデータリポジトリ111aから取り出し、信号品質分析結果をデータリポジトリ111aに記憶するために使用されてもよい。DTAPI508はまた、記憶された生物物理学的データファイルを取り出して分析エンジン又は分析器(例えば、506、514)に提供するために呼び出されてもよく、患者信号の分析エンジンの分析の結果は、DTAPI508を使用して報告データベース510に転送されてもよい。DTAPI508はまた、ヘルスケア専門家による要求があると、ウェブポータルモジュール513に所与の患者データセットを取り出すために使用されてもよく、このウェブポータルモジュールは、セキュアなウェブアクセス可能インターフェースにおける精査及び解釈のために、報告をヘルスケア施術者に提示してもよい。
【0099】
臨床評価システム500は、機械学習ベースの分析を、例えば特徴として記憶する1つ以上の特徴ライブラリ526を含む。特徴ライブラリ526は、アドオンモジュール502(
図5Aに示される)又はベースシステム504(図示せず)の一部であってもよく、いくつかの実施形態では、AEアドオンモジュール514によってアクセスされる。
【0100】
モジュール式臨床評価システムの例示的な動作
図5Bは、例解的な実施形態による、
図5Aの臨床評価システム500の分析エンジン又は分析器(例えば、506及び514)の動作及びワークフローの概略図を示す。
【0101】
信号品質査定/拒否(530)。
図5Bを参照すると、ベース分析エンジン又は分析器506は、SQAモジュール516を介して、分析パイプラインが実行されている間に取得された生物物理学的信号データセットの品質を査定する(530)。査定の結果(例えば、合格/不合格)は、ユーザによる読み取りのために信号キャプチャシステムのユーザインターフェースに直ちに返される。信号品質要件を満たす取得された信号データは、許容可能(すなわち、「合格」)とみなされ、AEアドオンモジュール514によって、更に処理され、病態又はコンディション(例えば、HCM、上昇したLVEDP若しくはmPAP、CAD、PH/PAH、異常LVEF、及び/又はhFpEF)に関連付けられたメトリックの存在についての分析を受けてもよい。許容できないとみなされた取得された信号は拒否され(例えば、「不合格」)、患者から追加の信号を直ちに得るようにユーザに通知するために、通知が直ちにユーザに送信される(
図2を参照)。
【0102】
ベース分析エンジン又は分析器506は、信号品質のための2つのセットの査定、すなわち、電気信号のためのものと、血行動態信号のためのものとを実行する。電気信号査定(530)は、電気信号が十分な長さであること、高周波ノイズ(例えば、170Hzを超える)の欠如があること、及び環境からの電力線ノイズがないことを確認する。血行動態信号査定(530)は、血行動態データセットにおける外れ値のパーセンテージが事前定義された閾値未満であること、及び血行動態データセットの信号がレール又は飽和しているパーセンテージ及び最大持続時間が事前定義された閾値未満であることを確認する。
【0103】
特徴値計算(532)。AEアドオンモジュール514は、特徴抽出及び計算を実行して、特徴出力値を計算する。LVEDPアルゴリズムの例において、AEアドオンモジュール514は、いくつかの実施形態では、(例えば、モジュール110において生成される)異なる特徴ファミリに属する特徴出力を判定する。
【0104】
HCMアルゴリズム及び関連する機械学習分析がベースとされ得る様々な特徴の追加の説明が、[1]、[2]、[3]、[4]、[5]、[6]、[7]、[8]、[12]、[13]、[19]に提供され、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
分類器出力計算(534)。AEアドオンモジュール514は、次いで、分類器モデル(例えば、機械学習した分類器モデル)において計算された特徴出力を使用して、モデルスコアのセットを生成する。AEアドオンモジュール514は、例えば、いくつかの実施形態では、分類器モデルの出力を平均化する構成モデルのアンサンブルにおいて、モデルスコアのセットを結合してもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、分類器モデルは、「Discovering Novel Features to Use in Machine Learning Techniques,such as Machine Learning Techniques for Diagnosing Medical Conditions」と題された米国特許出願公開第20190026430号、又は「Discovering Genomes to Use in Machine Learning Techniques」と題された米国特許出願公開第20190026431号に記載されているML技術に基づいて開発されたモデルを含むことができ、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。分析エンジンを構成するために使用され得る訓練システムの別の例は、[19]に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
例では、機械学習した分類器モデルは、本明細書に記載されるものを含む、とりわけ、ElasticNet機械学習した分類器モデル、RandomForest機械学習した分類器モデル、及び極端な勾配ブースティング(XGB)分類器モデルを用いてもよい。いくつかの実施形態では、年齢、性別、及びBMI値などの患者のメタデータ情報が、使用されてもよい。アンサンブル推定の出力は、連続スコアであってもよい。
【0108】
医師ポータル視覚化(536)。患者の報告は、取得された患者データ及び信号の視覚化536と、疾患分析の結果と、を含んでもよい。分析は、いくつかの実施形態では、報告内の複数のビューにおいて提示される。ヘルスケア提供者、例えば医師は、報告をレビューし、それを解釈して、疾患の診断を提供するか、又は治療計画を生成することができる。
【0109】
ヘルスケアポータルは、所与の患者の取得された信号データセットが信号品質基準を満たす場合、患者についての報告をリスト化することができる。報告は、信号分析を実行することができた場合に利用可能な疾患特有の結果(例えば、HCM)を示してもよい。疾患特有の分析のための患者の推定されたスコアは、確立された閾値に対して解釈されてもよい。
【0110】
報告は、例えば、医師又はヘルスケア提供者がHCMの兆候について診断する際に使用するために、ヘルスケアポータルにおいて提示されてもよい。兆候は、いくつかの実施形態では、疾患、医学的コンディション、又はそれらのいずれかの兆候の存在についての可能性又は重症度スコアを含んでもよい。
【0111】
外れ値査定及び拒否検出(538)。(プロセス532において)AEアドオンモジュール514が特徴値出力を計算することに続いて、かつ(プロセス534において)それらを分類器モデルに適用する前に、AEアドオンモジュール514は、いくつかの実施形態では、(プロセス538に示される)特徴値出力の外れ値分析を実行するように構成されている。外れ値分析評価プロセス538は、いくつかの実施形態では、機械学習した外れ値検出モジュール(ODM)を実行して、検証及び訓練データから生成された特徴値を参照して異常な特徴出力値を識別及び除外することによって、異常に取得された生物物理学的信号を識別及び除外する。外れ値検出モジュールは、観察の残りからの分布外である隔離された領域における疎なクラスタ内に存在する外れ値について査定する。プロセス538は、外れ値信号が分類器モデルに不適切に適用され、別様で患者又はヘルスケア提供者によって見られる不正確な評価を生成するリスクを低減することができる。外れ値モジュールの精度は、ODMが許容可能な外れ値検出率(ODR)一般化を用いてテストセット内の全てのラベル付けされた外れ値を識別することができるホールドアウト検証セットを使用して検証されている。
【0112】
実験結果及び例
心音図の評価のためのML特徴を評価するための研究を実施し、例えば、HCMの存在又は非存在を判定した。
図6A~
図6Gは、様々な開発されたML特徴の実験結果を示す。
【0113】
図6Aでは、Physionetが提供するDigiScope Phonocardiogram Datasetから生成された高強度収縮期雑音について、心音図(PCG)連続ウェーブレット変換(CWT)スカログラム602が示されている。同様の信号は、例えば、
図1及び
図4A~
図4Eのシステムを使用して取得されるように、音響信号604として取得され得る。
図6Aから、スカログラム602に示される全収縮期雑音は高ピッチであり、すなわち、高周波でより多くのエネルギーが集中していることが観察され得る。
【0114】
図6Bは、入力信号604(604aとして示される)に適用されたウェーブレット変換606(606a、606bとして示される)を伴うスカログラム602(602a、602bとして示される)を示す。
図6Bでは、モーレットウェーブレット変換を適用した。変換606aは、時間ドメイン内のより良い解像度のためにより低いω
oを適用し、変換606bは、周波数ドメイン内のより良い解像度のためにより高いω
oを適用する。ウェーブレットは、形状によって、並びにマザーウェーブレット及び変換タイプによって構成されてもよい。
【0115】
図6Cは、時間及びCWTスカログラムの両方について入力信号602をアンサンブル平均する例示的な動作の結果を示す。動作において、エネルギースカログラムは、最初に生のPCGから計算される。次いで、動作は、最大エネルギースケール(例えば、約100Hz)を判定して、ターニングポイント及び期待されるパルスレートを使用して「S1」音を識別する。「S1」基準(例えば、
図6D~
図6Eを参照)は、次いで、アンサンブル平均導関数のトリガー点として使用される。
図6Cに示される結果では、ω
o=5.5でモーレット変換を実行した。
【0116】
いくつかの実施形態では、上記に示されるように、1-D連続ウェーブレット変換、例えばマザーウェーブレットとしてのモーレット(ガボールとも称される)ウェーブレットなどが適用される。例えば、時間及び周波数において等しい分散を有する他のウェーブレット、例えば、ガウス、メキシカンハット、スプライン、及びメイヤーウェーブレットなどが使用されてもよい。ウェーブレットは、例えば、オクターブ当たり48の音声の解像度を有してもよい。モーレットウェーブレットは、式1に示されるように、複素指数(キャリア)にガウスウィンドウ(エンベロープ)を掛けて構成されたウェーブレットである。
ψ(t)=exp(iωt)exp(-t2/2σ2) (式1)
【0117】
式1において、ωは、ウェーブレット中心周波数であり、σ=n/2πfは、時間周波数分解能トレードオフを制御するn(サイクル数)を有するガウスウィンドウの幅である。
【0118】
コヒーレンス波形は、心音図信号データセットの2つの観察間、又は心音図信号と心臓及び/又はフォトプレチスモグラフィック信号データセット(複数可)との間など、時系列信号間の相関の尺度として判定されてもよい。ウェーブレットコヒーレンスは、例えば、式2によって判定されてもよい。
【数1】
【0119】
式2において、クロススペクトルC
xyは、式3によって与えられる時間周波数ドメインにおける2つの信号x及びyのパワーの分布の尺度である。
【数2】
【0120】
式3において、上付き文字*は、複素共役を示し、Sは、時間及びスケールにおいて平滑化演算子である。いくつかの実施形態では、コヒーレンススペクトル演算子が、例えば、オクターブ当たり32音声で実行されて、(例えば、チャネルXとY、チャネルxとX、及びチャネルYとZの間の)ペアチャネルのコヒーレンススペクトルを見つける。コヒーレンススペクトルは、(i)心音図信号と(ii)心臓信号及び/又はフォトプレチスモグラフィック信号との間で生成されてもよい。
【0121】
高パワースペクトル画像又はデータは、例えば、関心のある波形信号の高パワースペクトル内容、例えば、雑音のスペクトル内容のスペクトル画像又はスペクトルデータの二値化されたスペクトル画像を生成することによって、スカログラムから生成されてもよい。
図6Gは、スペクトル画像又はスペクトルデータの二値化されたスペクトル画像614を生成する例示的な方法を示す。方法は、ウェーブレット変換を実行して、閾値演算子が適用される関心のある所与の波形領域のスペクトル画像又はスペクトルデータを生成して、波形領域の高スペクトルパワー特性に対応する二値化されたスペクトル画像又はデータを生成することを含んでもよい。計算は、複数の心周期にわたって実行されて、ウェーブレットベースの特徴又はパラメータとして、波形領域の高スペクトルエネルギー特性の時間範囲、周波数範囲、時間重心、表面積、偏心、円形度、範囲、向き、及び/又はパワー重心の統計的特性を抽出してもよい。
図6Gは、入力信号のスカログラムから関心のある波形信号の高パワースペクトル内容のスペクトル画像又はスペクトルデータから生成された二値化されたスペクトル画像614の一例を示す。
【0122】
そのような二値化されたスペクトル画像を生成する方法の例は、「METHOD AND SYSTEM TO ASSESS DISEASE USING WAVELET ANALYSIS OF CARDIAC AND PHOTOPLETHYSMOGRAPHIC SIGNALS」と題され、2022年8月18日に出願された米国特許出願第17/891,259号に提供されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0123】
表2は、生成された二値化されたスペクトル画像又はデータからの関心のある波形領域の抽出可能な高スペクトルエネルギー特性の例示的なセットを示す。
【表2】
【0124】
図6D及び
図6Eにおいて、
図6Cに関して記載されるアンサンブル平均出力は、クリーンでよい挙動の信号における顕著な雑音(II-IV)の識別を容易に可能にすることができることが観察され得る。
図6Dは、雑音のない音響信号のアンサンブル平均出力を示す。
図6Eは、様々な段階の全収縮期を有する音響信号のセットのアンサンブル平均出力を示す(「I/VI早期収縮期」608、「II/VI全収縮期」610、及び「III/VI全収縮期」612として示される)。「ピッチ」は、周波数内容と同じくらい振幅と相関しているように見えることが分かる。グレード「I」の雑音のはるかに高い割合が、全収縮期ではなく早期収縮期であるように思われることも観察され得る。
【0125】
図6Fは、例えば、表1及び/又は表2に記載される特徴ごとの、
図6D及び
図6Eのアンサンブル平均出力分析の分析の例示的なパラメータ化を示す。パラメータ化の特徴は、本明細書に記載される他の疾患及びコンディションの中でも、HCMの存在、非存在、及び/又は重症度の分類出力に用いられてもよい。
【0126】
いくつかの実施形態では、分析は、患者の呼吸状態を考慮して実行され得る。呼吸推定の例は、「METHOD AND SYSTEM TO ASSESS DISEASE USING ESTIMATED RESPIRATION PARAMETERS FROM CARDIAC AND PHOTOPLETHYS-MOGRAPHIC SIGNALS」と題する米国特許出願第17/891,224号に見出され得る。
【0127】
図6Hは、検出された雑音を内部に有する例示的なスカログラムを示す。スカログラムは、本明細書に記載されるウェーブレット特徴分析を使用して雑音について評価され得る。
【0128】
結論。方法及びシステムは、ある特定の実施形態及び特定の例に関連して記載されてきたが、本明細書の実施形態は、制限的ではなく例解的であることが全ての態様で意図されるため、範囲は、示される実施形態に限定されることは意図されない。本明細書で考察される臨床評価システム及び方法は、類似又は他の開発アプローチを使用して、本明細書に記載される他の疾患及び/又はコンディション、例えば、冠動脈疾患(CAD)、肺高血圧及び他の病態の存在若しくは及び/又は重症度の非侵襲的診断又は判定を行うか、又は医師又は他のヘルスケア提供者が行うのを支援するために用いられてもよい。更に、例示的な臨床評価システム及び方法は、他の心臓関連病態及びコンディション、並びに神経学的関連病態及びコンディションの診断及び治療に使用され得、このような査定は、生体の任意の関連システムに生物物理学的信号が関わる任意の病態又はコンディションの診断及び治療(外科的、最小侵襲的、及び/又は薬理学的治療を含む)に適用され得る。心臓の文脈における一例は、本明細書に開示されるCAD及び他の疾患及びコンディションの診断、並びに冠動脈におけるステントの配置、アテローム切除術の実行、血管形成術、薬物療法の処方、及び/又は運動、栄養及び他のライフスタイルの変化の処方などの任意の数の療法の単独又はその組み合わせによるその治療である。診断され得る他の心臓関連病態又はコンディションとしては、例えば、不整脈、鬱血性心不全、弁不全、肺高血圧(例えば、肺動脈高血圧、左心臓疾患に起因する肺高血圧、肺疾患に起因する肺高血圧、慢性血栓に起因する肺高血圧、及び血液若しくは他の障害などの他の疾患に起因する肺高血圧)、並びに他の心臓関連病態、コンディション及び/又は疾患が挙げられる。診断され得る神経関連疾患、病態、又はコンディションの非限定的な例としては、例えば、てんかん、統合失調症、パーキンソン病、アルツハイマー病(及び他の全ての形態の認知症)、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群を含む)、注意欠陥多動性障害、ハンチントン病、筋ジストロフィー、うつ病、双極性障害、脳/脊髄腫瘍(悪性及び良性)、移動障害、認知機能障害、発話障害、様々な精神病、脳/脊髄/神経損傷、慢性外傷性脳症、クラスタ頭痛、偏頭痛、神経障害(その様々な形態には、末梢神経性疾患を含む)、幻肢痛、慢性疲労症候群、急性疼痛及び/又は慢性疼痛(背痛、脊椎手術後痛症候群などを含む)、ジスキネジア、不安症、感染症又は外来因子によって引き起こされるコンディション(例えば、ライム病、脳炎、狂犬病)、ナルコレプシー及び他の睡眠障害、外傷後ストレス障害、脳卒中に関連する神経学的コンディション/影響、動脈瘤、出血性損傷など、耳鳴及び他の聴覚関連の疾患/コンディション、並びに視覚関連の疾患/コンディションなどが挙げられる。
【0129】
加えて、本明細書に記載の臨床評価システムは、とりわけ、心電図(ECG)、脳電位図(EEG)、信号におけるガンマ同期性、呼吸機能信号、フォトプレチスモグラフィック、心音図、パルスオキシメトリー信号、灌流データ信号、準周期的生物学的信号、胎児ECG信号、血圧信号、心臓磁場信号、心拍数信号などの生物物理学的信号を分析するように構成されてもよい。本明細書に記載されるように、臨床評価システムは、HCM推定のために単一のタイプの生物物理学的信号を使用してもよく、又はHCM推定のために複数のタイプの信号を用いてもよい。加えて、企図されるが、第3のセンサがMEMSベースであり、(a)第3のセンサが非MEMSベースであり得、(b)単一のタイプのセンサ(PPG、ECG、MEMSなど)であり得、(c)(2つのタイプのセンサのうちの3つ以上を使用する)デュアルセンサシステムであり得、(d)3つよりも多いセンサを伴うことができる、3センサシステムが用いられ得る。既知のセンサタイプ、接触又は非接触(例えば、非接触温度計)センサの任意の組み合わせが使用され得る。
【0130】
本明細書に開示される例示的な方法及びシステムで使用され得る処理の更なる例は、米国特許第9,289,150号、米国特許第9,655,536号、米国特許第9,968,275号、米国特許第8,923,958号、米国特許第9,408,543号、米国特許第9,955,883号、米国特許第9,737,229号、米国特許第10,039,468号、米国特許第9,597,021号、米国特許第9,968,265号、米国特許第9,910,964号、米国特許第10,672,518号、米国特許第10,566,091号、米国特許第10,566,092号、米国特許第10,542,897号、米国特許第10,362,950号、米国特許第10,292,596号、米国特許第10,806,349号、米国特許第11,133,109号、米国特許第11,141,114号、米国特許第11,160,509号、米国特許第11,147,516号、米国特許出願公開第2020/0335217号、米国特許出願公開第2020/0229724号、米国特許出願公開第2019/0214137号、米国特許出願公開第2018/0249960号、米国特許出願公開第2019/0200893号、米国特許出願公開第2019/0384757号、米国特許出願公開第2020/0211713号、米国特許出願公開第2019/0365265号、米国特許出願公開第2020/0205739号、米国特許出願公開第2020/0205745号、米国特許出願公開第2019/0026430号、米国特許出願公開第2019/0026431、国際公開第2017/033164号、国際公開第2017/221221号、国際公開第2019/130272号、国際公開第2018/158749号、国際公開第2019/077414号、国際公開第2019/130273号、国際公開第2019/244043号、国際公開第2020/136569号、国際公開第2019/234587号、国際公開第2020/136570号、国際公開第2020/136571、米国意匠特許第D810947号、米国意匠特許第D855064号、米国意匠特許第D895661号、米国意匠特許第D843382号、米国意匠特許第D880501号、米国意匠特許第D858532号、米国特許出願第16/232586号、米国特許出願第16/831,264号、米国特許出願第16/429593号、米国特許出願第16/725402号、米国特許出願第16/831,380号、米国特許出願第16/725430号、米国特許出願第16/725416号、米国特許出願第17/132869号、国際出願第PCT/IB2020/052889号、国際出願第PCT/IB2020/052890号に記載されており、それらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0131】
以下にリストされ、本明細書全体にわたる以下の特許、出願、及び刊行物の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
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[47]U.S.Patent Application No.17/891,229,entitled “METHOD AND SYSTEM TO ASSESS DISEASE USING POWER SPECTRAL ANALYSIS OF CARDIAC AND PHOTOPLETHYSMOGRAPHIC SIGNALS.”
[48]U.S.Patent Application No.17/891,380,entitled “METHOD AND SYSTEM TO ASSESS DISEASE USING DEPLORIZATION WAVE PROPAGATION DEVIATIONS.”
[49]U.S.Patent Application No.17/558,702,entitled “METHOD AND SYSTEM TO ASSESS DISEASE USING CYCLE VARIABILITY ANALYSIS OF BIOPHYSICAL SIGNALS.”
[50]U.S.Patent Application No.11,291,379.
[51]U.S.Publication No.2020/0397322.
[52]U.S.Patent Application No.17/891,278,entitled “METHOD AND SYSTEM TO ASSESS DISEASE USING ANALYSIS OF PHOTOPLETHYSMOGRAPHIC SIGNALS.”
[53]U.S.Patent Application No.17/891,259,entitled “METHOD AND SYSTEM TO ASSESS DISEASE USING WAVELET ANALYSIS OF CARDIAC AND PHOTOPLETHYSMOGRAPHIC SIGNALS.”
[54]U.S.Patent Application No.17/891,526,entitled “METHOD AND SYSTEM TO ASSESS DISEASE USING VISUAL FEATURES OF CARDIAC AND PHOTOPLETHYSMOGRAPHIC SIGNALS.”
[55]U.S.Patent Application No.17/891,224,entitled “METHOD AND SYSTEM TO ASSESS DISEASE USING ESTIMATED RESPIRATION PARAMETERS FROM CARDIAC AND PHOTOPLETHYSMOGRAPHIC SIGNALS.”
[56]U.S.Patent Application No.17/891,533,entitled “METHOD AND SYSTEM TO ASSESS DISEASE USING MORPHOLOGICAL ANALYSIS OF CARDIAC SIGNALS.”
【国際調査報告】