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特表2025-503138照射システムを較正する方法及びデバイス、三次元ワークピースを生産するコンピュータプログラム製品及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】照射システムを較正する方法及びデバイス、三次元ワークピースを生産するコンピュータプログラム製品及び装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/04 20140101AFI20250123BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20250123BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20250123BHJP
【FI】
B23K26/04
B23K26/34
B23K26/21 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543874
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2023051307
(87)【国際公開番号】W WO2023144020
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】102022101771.0
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523394734
【氏名又は名称】ニコン エスエルエム ソルーションズ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ローゼ
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA35
4E168BA81
4E168BA90
4E168CA06
4E168CB04
4E168CB15
4E168CB18
4E168CB24
4E168DA13
4E168DA28
4E168EA15
4E168FB03
(57)【要約】
三次元ワークピースを生産する装置(100)において使用するための、照射システム(10)を較正する方法が記載される。本方法は、較正平面(30)と、照射システム(10)の光学ユニット(16)の間の、較正平面(30)に垂直なz方向における距離を、第1の距離(z)に設定するステップ(i)を含む。ステップ(ii)では、較正平面(30)と光学ユニット(16)の間の距離を第1の距離(z)に維持しつつ、第1の基本角度位置に配置されている光学ユニット(16)のスキャナミラー(22)を用いて、第1の較正パターン(p1,1)が、較正平面(30)内の第1のxy領域(a)に照射される。第2の基本角度位置に配置されている光学ユニット(16)のスキャナミラー(22)を用いて、第2の較正パターン(p2,1)が、較正平面(30)内の第2のxy領域(a)に照射される。ここで、第2の基本角度位置では、スキャナミラー(22)は、第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられている。ステップ(iii)では、較正平面(30)と光学ユニット(16)の間の、z方向における距離が、第1の距離(z)とは異なる第2の距離(z)に設定される。ステップ(iv)では、較正平面(30)と光学ユニット(16)の間の距離を第2の距離(z)に維持しつつ、第1の基本角度位置に配置されている光学ユニット(16)のスキャナミラー(22)を用いて、第3の較正パターン(p1,2)が、第1のxy領域(a)に照射され、かつ、第2の基本角度位置に配置されている光学ユニット(16)のスキャナミラー(22)を用いて、第4の較正パターン(p2,2)が、第2のxy領域(a)に照射される。ステップ(v)では、第1の較正パターン(p1,1)、第2の較正パターン(p2,1)、第3の較正パターン(p1,2)、及び第4の較正パターン(p2,2)が評価され、較正平面(30)内のxy座標に応じた、z方向における放射ビーム(14)の焦点位置が決定される。ステップ(vi)では、決定された放射ビーム(14)の焦点位置に基づいて、照射システム(10)が較正される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射システム(10)によって発せられた放射ビーム(14)を原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置(100)において使用するための、前記照射システム(10)を較正する方法であって、前記方法は、
(i)較正平面(30)と、前記照射システム(10)の光学ユニット(16)の間の、前記較正平面(30)に垂直なz方向における距離を、第1の距離(z)に設定するステップと、
(ii)前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離を前記第1の距離(z)に維持しつつ、第1の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)のスキャナミラー(22)を用いて、第1の較正パターン(p1,1)を、前記較正平面(30)内の第1のxy領域(a)に照射し、かつ、第2の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第2の較正パターン(p2,1)を、前記較正平面(30)内の第2のxy領域(a)に照射し、前記第2の基本角度位置では、前記スキャナミラー(22)は、前記第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられている、ステップと、
(iii)前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記距離を、前記第1の距離(z)とは異なる第2の距離(z)に設定するステップと、
(iv)前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離を前記第2の距離(z)に維持しつつ、前記第1の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第3の較正パターン(p1,2)を、前記較正平面(30)内の前記第1のxy領域(a)に照射し、かつ、前記スキャナミラー(22)が前記第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられている前記第2の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第4の較正パターン(p2,2)を、前記較正平面(30)内の前記第2のxy領域(a)に照射する、ステップと、
(v)前記第1の較正パターン(p1,1)、前記第2の較正パターン(p2,1)、前記第3の較正パターン(p1,2)、及び前記第4の較正パターン(p2,2)を評価し、前記較正平面(30)内のxy座標に応じて、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記放射ビーム(14)の焦点位置を決定する、ステップと、
(vi)決定された前記放射ビーム(14)の前記焦点位置に基づいて、前記照射システム(10)を較正するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
-ステップ(ii)及び(iv)~(vi)は、複数の放射ビーム(14)について実施され、かつ/又は、
-ステップ(ii)及び(iv)~(vi)は、複数の異なる温度(Tm)を有する前記照射システム(10)を用いて実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記照射システム(10)の前記温度を変化させるために、前記照射システム(10)は、ステップ(ii)及び(iv)~(vi)の実施に先立って、少なくとも1つの加熱領域(h)に加熱パターン(phm)を照射することによって加熱される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記照射システム(10)は、複数の加熱パターン(phm)を、前記照射システム(10)によって発せられた前記放射ビーム(14)の複数の異なる出力電力で、かつ/又は複数の異なる照射時間で、照射することによって、複数の異なる温度(Tm)に設定される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
-ステップ(iii)は、前記較正平面(30)を、前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)から複数のさらなる距離(z)だけ離れるように配置するために繰り返し実施され、前記さらなる距離(z)は、各々、前記第1の距離(z)及び前記第2の距離(z)とは異なっており、かつ、
-複数のさらなる較正パターン(p1,j、p2,j)が、ステップ(iv)に従って前記第1のxy領域(a)及び前記第2のxy領域(a)に照射され、前記第1のxy領域(a)及び前記第2のxy領域(a)に各々照射される前記さらなる較正パターン(p1,j、p2,j)の数は、特に、前記較正平面(30)が前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)から離れて配置されている前記さらなる距離(z)の数に対応している、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の前記距離が、前記第1の距離(z)、前記第2の距離(z)、及び複数の前記さらなる距離(z)のうち少なくとも1つに維持されている間に、少なくとも1つのさらなる較正パターン(pi,j)が、前記第1のxy領域(a)及び前記第2のxy領域(a)とは異なる、前記較正平面(30)内の追加的なxy領域(a)に照射される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
-前記第2の基本角度位置にある前記スキャナミラー(22)は、少なくとも±2度だけ、特に少なくとも±5度だけ、好ましくは少なくとも±10度だけ、かつさらに好ましくは少なくとも±15度だけ、前記第1の基本角度位置に対して枢動させられ、かつ/又は、
-前記較正平面内の前記第1のxy領域(a)の中心と前記第2のxy領域(a)の中心の間の距離は、集束された前記放射ビーム(14)の径の、少なくとも15倍に、特に少なくとも100倍に、好ましくは少なくとも500倍に、かつさらに好ましくは少なくとも1000倍に、対応する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記較正平面(30)は、
-キャリア(102)上に塗布された原材料粉末層の表面又は平面、
-キャリア(102)上に塗布されたバーンオフフィルムの表面、及び、
-較正プレート(28)の表面、
のうち少なくとも1つによって画定され、かつ/又は、
前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)は、
-前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)が前記較正平面(30)上に照射されている間に、かつ/又は前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の前記較正平面上への前記照射が完了した後で、前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の前記照射をその場で記録する、光学検出デバイス(24)、
-前記較正平面(30)上か又はその下に配置された、感光センサ構成体、
のうち少なくとも1つによって検出される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)は、少なくとも1つの直線を含んでおり、かつ、前記放射ビーム(14)の、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記焦点位置は、ステップ(v)において、前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の前記直線の幅の評価に基づいて決定される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記較正パターン(pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)のうち少なくとも1つは、第1の複数の実質的に平行な直線によって定められる第1のブロック(pi,j o,││、pi,j Tm,││)と、第2の複数の実質的に平行な直線によって定められる第2のブロック(pi,j o,⊥、pi,j Tm,⊥)と、を含んでおり、前記第2のブロック(pi,j o,⊥、pi,j Tm,⊥)の前記第2の複数の実質的に平行な直線は、前記第1のブロック(pi,j o,││、pi,j Tm,││)の前記第1の複数の実質的に平行な直線に対して実質的に垂直に配置されており、前記第1のブロック(pi,j o,││、pi,j Tm,││)の前記第1の複数の実質的に平行な直線は、特に前記照射システム(10)の光学中心に対して径方向に延びている、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
個別の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)又は複数の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)は、特に、前記較正平面(30)内の共通のxy領域(a、a、a)に照射される複数の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)は、前記個別の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)又は前記複数の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)の前記較正平面(30)内における位置を表示する、識別マーカー(32)を備えている、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記xy領域(a、a、a)内の共通のxy領域(a、a、a)に照射された複数の較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の照射位置は、前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の、前記z方向における前記距離の変化によって引き起こされる、前記放射ビーム(14)の前記較正平面(30)上への入射点のxyずれに基づいて決定される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
照射システム(10)によって発せられた放射ビーム(14)を原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置(100)において使用するための、前記照射システム(10)を較正するデバイスであって、前記デバイスは制御ユニット(26)を備えており、前記制御ユニット(26)は、
(i)較正平面(30)と前記照射システム(10)の光学ユニット(16)の間の、前記較正平面(30)に垂直なz方向における距離を、第1の距離(z)に設定し、
(ii)前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離を前記第1の距離(z)に維持しつつ、第1の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)のスキャナミラー(22)を用いて、第1の較正パターン(p1,1)を、前記較正平面(30)内の第1のxy領域(a)に照射し、かつ、第2の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第2の較正パターン(p2,1)を、前記較正平面(30)内の第2のxy領域(a)に照射するように、前記照射システム(10)を制御し、前記第2の基本角度位置では、前記スキャナミラー(22)は、前記第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられており、
(iii)前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記距離を、前記第1の距離(z)とは異なる第2の距離(z)に設定し、
(iv)前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離を前記第2の距離(z)に維持しつつ、前記第1の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第3の較正パターン(p1,2)を、前記較正平面(30)内の前記第1のxy領域(a)に照射し、かつ、前記スキャナミラー(22)が前記第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられている前記第2の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第4の較正パターン(p2,2)を、前記較正平面(30)内の前記第2のxy領域(a)に照射するように、前記照射システム(10)を制御し、
(v)前記第1の較正パターン(p1,1)、前記第2の較正パターン(p2,1)、前記第3の較正パターン(p1,2)、及び前記第4の較正パターン(p2,2)を評価し、前記較正平面(30)内のxy座標に応じた、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記放射ビーム(14)の焦点位置を決定し、かつ、
(vi)決定された前記放射ビーム(14)の前記焦点位置に基づいて、前記照射システム(10)を較正する、ように構成されている、デバイス。
【請求項14】
-前記制御ユニット(26)は、複数の放射ビーム(14)についてステップ(ii)及び(iv)~(vi)を実施するように構成され、かつ/又は、
-前記制御ユニット(26)は、複数の異なる温度(Tm)を有する前記照射システム(10)を用いてステップ(ii)及び(iv)~(vi)を実施するように構成されている、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記照射システム(10)の前記温度を変化させるために、前記制御ユニット(26)は、ステップ(ii)及び(iv)~(vi)の実施に先立って、少なくとも1つの加熱領域(h)に加熱パターン(phm)を照射することによって前記照射システム(10)を加熱するように、構成されている、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記制御ユニット(26)は、複数の加熱パターン(phm)を、前記照射システム(10)によって発せられた前記放射ビーム(14)の複数の異なる出力電力で、かつ/又は複数の異なる照射時間で、照射することによって、前記照射システム(10)を複数の異なる温度(Tm)に設定するように、構成される、請求項13又は14に記載のデバイス。
【請求項17】
前記制御ユニット(26)は、
-前記較正平面(30)を、前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)から複数のさらなる距離(z)だけ離れるように配置するために、ステップ(iii)を繰り返し実施するように構成されており、前記さらなる距離(z)は、各々、前記第1の距離(z)及び前記第2の距離(z)とは異なっており、かつ、
-複数のさらなる較正パターン(p1,j、p2,j)を、ステップ(iv)に従って前記第1のxy領域(a)及び前記第2のxy領域(a)に照射するように、前記照射システム(10)を制御するように構成されており、前記第1のxy領域(a)及び前記第2のxy領域(a)に各々照射される前記さらなる較正パターン(p1,j、p2,j)の数は、特に、前記較正平面(30)が前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)から離れて配置されている前記さらなる距離(z)の数に対応している、請求項13から16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記制御ユニット(26)は、前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離が、前記第1の距離(z)、前記第2の距離(z)、及び複数の前記さらなる距離(z)のうち少なくとも1つに維持されている間に、少なくとも1つの追加的な較正パターン(pi,j)を前記第1のxy領域(a)及び前記第2のxy領域(a)とは異なる、前記較正平面(30)内の追加的なxy領域(a)に照射するように、前記照射システム(10)を制御するように構成されている、請求項13から17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記制御ユニット(26)は、
-前記第2の基本角度位置にある前記スキャナミラー(22)が、少なくとも±2度だけ、特に少なくとも±5度だけ、好ましくは少なくとも±10度だけ、かつさらに好ましくは少なくとも±15度だけ、前記第1の基本角度位置に対して枢動させられるように、かつ/又は、
-前記較正平面内の前記第1のxy領域(a)の中心と前記第2のxy領域(a)の中心の間の距離が、集束された前記放射ビーム(14)の径の、少なくとも15倍に、特に少なくとも100倍に、好ましくは少なくとも500倍に、かつさらに好ましくは少なくとも1000倍に、対応するように、
前記照射システム(10)を制御するように構成されている、請求項13から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記較正平面(30)は、
-キャリア(102)上に塗布された原材料粉末層の表面又は平面、
-キャリア(102)上に塗布されたバーンオフフィルムの表面、及び、
-較正プレート(28)の表面、のうち1つによって画定され、かつ/又は、
前記デバイスは、前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)を検出するために、
-前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)が前記較正平面(30)上に照射されている間に、かつ/又は前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の前記較正平面(30)上への前記照射が完了した後で、前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の前記照射をその場所で記録するように構成されている、光学検出デバイス(24)、
-前記較正平面(30)上か又はその下に配置された、感光センサ構成体、
のうち少なくとも1つの検出システムを備えている、請求項13から19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)は、少なくとも1つの直線、曲線、点又は円を含んでおり、かつ、前記制御ユニット(26)は、前記放射ビーム(14)の、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記焦点位置を、ステップ(v)において、前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の前記直線、前記点、又は前記円の幅の評価に基づいて決定するように構成されている、請求項13から20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
前記較正パターン(pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)のうち少なくとも1つは、第1の複数の実質的に平行な直線によって定められる第1のブロック(pi,j o,││、pi,j Tm,││)と、第2の複数の実質的に平行な直線によって定められる第2のブロック(pi,j o,⊥、pi,j Tm,⊥)と、を含んでおり、前記第2のブロック(pi,j o,⊥、pi,j Tm,⊥)の前記第2の複数の実質的に平行な直線は、前記第1のブロック(pi,j o,││、pi,j Tm,││)の前記第1の複数の実質的に平行な直線に対して実質的に垂直に配置されており、前記第1のブロック(pi,j o,││、pi,j Tm,││)の前記第1の複数の実質的に平行な直線は、特に前記照射システム(10)の光学中心に対して径方向に延びている、請求項13から21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記制御ユニット(26)は、個別の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)又は複数の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)が、特に、前記較正平面(30)内の共通のxy領域(a、a、a)に照射される複数の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)が、前記個別の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)又は前記複数の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)の前記較正平面(30)内における位置を表示する識別マーカー(32)を備えるように、前記照射システム(10)を制御するように構成されている、請求項13から22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記制御ユニット(26)は、前記xy領域(a、a、a)内の共通のxy領域(a、a、a)に照射された複数の較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の照射位置を、前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の、前記z方向における前記距離の変化によって引き起こされる、前記放射ビーム(14)の前記較正平面(30)上への入射点のxyずれに基づいて決定するように、構成されている、請求項13から23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品が1つ以上のコンピューティングデバイス上で実行されるときに請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実施するプログラム部分を備えている、コンピュータプログラム製品。
【請求項26】
放射ビーム(14)を原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置(100)であって、前記装置(100)は、照射システム(10)と、請求項13から24のいずれか一項に記載のデバイス及び/又は請求項25に記載のコンピュータプログラム製品が格納されるコンピュータ可読記録媒体と、を備えている、装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射ビームを原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置において使用するための、照射システムを較正する方法及びデバイスに関する。さらに、本発明は、コンピュータプログラム製品に向けられており、このコンピュータプログラム製品は、該コンピュータプログラムが1つ以上のコンピュータデバイス上で実行される際に照射システムを較正する方法を実施するプログラム部分を含んでいる。最後に、本発明は、放射ビームを原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置に向けられている。
【0002】
粉末床溶融結合法(powder bed fusion)は、粉末状の、特に金属又はセラミックの原材料を、複雑な形状の三次元ワークピースへと加工することができる、積層造形(additive layering)プロセスである。この目的のために、原材料粉末層は、キャリア上に塗布され、生産されるべきワークピースの所望の幾何学形状に応じた部位選択的なやり方で、電磁気放射又は粒子放射を受ける。粉末層に浸透する放射によって、原材料粉末粒子の加熱が、結果的には溶融又は焼結が引き起こされる。ワークピースが所望の形状及びサイズを得るまで、さらなる原材料粉末層が、既にレーザ処理を受けたキャリア上の層に続けて塗布される。粉末床溶融結合法は、プロトタイプ、工具、交換部品、又は、歯科用人工器官又は整形外科用人工器官等の医療用人工器官を、CADデータに基づいて生産するために、特に用いられ得る。
【0003】
粉末状の原材料に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置において採用され得る照射システムは、例えば、欧州特許第2335848号明細書(特許文献1)に記載されている。当該照射システムは、特にレーザ源である放射光源と、光学ユニットとを備えている。放射光源によって発せられた放射ビームを供給されるこの光学ユニットは、ビームエキスパンダーと、スキャナユニットと、f-θレンズの形態で設計されている対物レンズと、を備えている。
【0004】
上記スキャナユニットは、典型的には、照射システムの放射光源によって発せられた放射ビームを原材料粉末層の所望の照射スポットに偏向させるための、ピボット軸を中心として枢動可能なスキャナミラーを備えている。枢動可能なスキャナミラーの使用により、偏向させられた放射ビームの焦点面は湾曲させられ、一方、例えば、照射されるべき原材料粉末層の平面又は表面によって画定され得る照射平面は、典型的には平坦である。従って、照射平面に垂直な方向(z方向)の焦点ずれが、スキャナミラーの枢動角度に応じて、従って、照射平面内の照射位置即ち放射ビームが照射平面上に衝突するそのxy座標に依存して存在する。焦点ずれは、平坦フィールド光学系(flat field optics)の補助を用いるか、又は適した調節可能な光学要素を用いたフォーカストラッキングによってかのいずれかによって、補償され得る。
【0005】
しかしながら、公知のずれ補償手段によって達成される焦点ずれ補償は、例えば補償の不正確性又は不十分性により、又は、当該焦点ずれ補償において考慮されていない焦点ずれに影響する光学要素の存在により、不十分である場合がある。さらに、この焦点ずれ補償が、スキャナ光学素子による焦点位置の調節を含む焦点位置測定に基づいている場合、この調節自体が、焦点ずれ補償の正確性を悪化させる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2335848号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明は、原材料粉末層に放射ビームを照射することによって三次元ワークピースを生産する装置において使用される照射システムを正確に較正するための、方法、デバイス、及びコンピュータプログラム製品を提供するという目的に向けられている。さらに、本発明は、正確に較正され得る照射システムによって発せられた放射ビームを原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置を提供するという目的に向けられている。
【0008】
本発明は、独立請求項に記載されている。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項において概説されている。
【0009】
本開示は、照射システムによって発せられた放射ビームを原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置において使用される照射システムを較正する方法に関する。照射システムによって発せられた放射ビームは、電磁気放射ビーム又は粒子放射ビームであり得る。さらに、本明細書に記載の方法を用いて較正される照射システムは、複数の放射ビームを発するように構成された複数ビーム照射システムであり得る。
【0010】
照射システムは、放射光源を、特にレーザ源を、例えばダイオード励起イッテルビウムファイバーレーザを備えている場合がある。照射システムは、単一の放射光源のみを備えている場合もある。特に、照射システムが複数レーザ照射システムの形態で設計されている場合には、照射システムが複数の放射光源を備えていることもまた考えられる。さらに、照射システムは光学ユニットを備えている。この光学ユニットは、放射ビームの焦点位置を、ビーム経路の方向とビーム経路に垂直な平面内の両方において変化及び適合させつつ、照射されるべき原材料粉末層を横切るように放射ビームを走査するように適合された、枢動可能なスキャナミラーを有するスキャナを備えている。このスキャナに加えて、照射システムは、特に光学ユニットは、放射光源から発せられた放射ビームを拡大するビームエキスパンダーと、特にf-θ対物レンズである対物レンズと、を備え得る。代替的には、照射システムは、集束用光学素子を含むビームエキスパンダーを備え得る。
【0011】
照射システムを較正する方法は、較正平面と照射システムの光学ユニットの間の、較正平面に垂直なz方向における距離を、第1の距離に設定するステップ(i)を含んでいる。較正平面の表面積及び/又は輪郭は、装置の通常動作間に放射ビームを照射された照射平面の表面積及び/又は輪郭に対応し得る。しかしながら、較正平面は、z方向において、照射平面に対してずれている場合がある。較正平面と光学ユニットの間の距離は、較正平面と光学ユニットのハウジングの間で測定され得る。
【0012】
ステップ(ii)においては、較正平面と光学ユニットの間の距離を第1の距離に維持しつつ、第1の較正パターンが、第1の基本角度位置に配置されている光学ユニットのスキャナミラーを用いて、較正平面内の第1のxy領域に照射される。さらに、第2の較正パターンが、第2の基本角度位置に配置されている光学ユニットのスキャナミラーを用いて、較正平面内の第2のxy領域に照射される。ここで、第2の基本角度位置では、スキャナミラーは、第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられている。
【0013】
その後、ステップ(iii)では、較正平面と照射システムの光学ユニットの間の、較正平面に垂直なz方向における距離は、第1の距離とは異なる第2の距離に設定される。ステップ(iv)では、較正平面と光学ユニットの間の距離を第2の距離に維持しつつ、第3の較正パターンが、第1の基本角度位置に配置された光学ユニットのスキャナミラーを用いて、較正平面内の第1のxy領域に照射される。さらに、第4の較正パターンが、スキャナミラーが第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられている第2の基本角度位置に配置されている光学ユニットのスキャナミラーを用いて、較正平面内の第2のxy領域に照射される。
【0014】
ステップ(i)及び(iii)において較正平面と照射システムの光学ユニットの間の距離を設定するために、光学ユニットは、較正平面に対して、較正平面に対して垂直なz方向に移動させられ得る。このことは、照射システム全体又は光学ユニットのみを較正平面に対して移動させることによって、例えば、照射システム又は光学ユニットのキャリア構造部を変位させることによって、達成され得る。もっとも、好ましくは、較正平面と照射システムの光学ユニットの間の距離は、較正平面を、照射システムの光学ユニットに垂直なz方向に移動させることによって、設定される。
【0015】
本出願の文脈では、「xy領域」という表現は、較正平面全体に対して小さい、較正平面の一領域を定義している。特に、較正平面内に定義された各xy領域は、較正平面全体の表面積の5%未満の、好ましくは1%未満の、さらに好ましくは0.5%未満の、特に0.2%未満の、表面積を有している。さらに、各xy領域の表面積全体は、スキャナミラーを、放射ビームの入射点を当該xy領域の中心に定める初期角度位置を中心として、±0.75度未満の大きさだけ、好ましくは±0.6度未満の大きさだけ、さらに好ましくは±0.5度未満の大きさだけ、特に±0.3度未満の大きさだけ枢動させることによって、照射され得る。
【0016】
本出願の文脈では、「基本角度位置」という表現は、スキャナミラーが上記xy領域のうち1つに照射するためにとる、小範囲の角度的位置を定義している。各「基本角度位置」は、放射ビームの入射点をxy領域の中心に定める初期角度位置を中心として、±0.75度未満の角度範囲で、好ましくは±0.6度未満の角度範囲で、さらに好ましくは±0.5度未満の角度範囲で、特に±0.3度未満の角度範囲で、変化し得る。このように、典型的には、xy領域への照射に際するスキャナミラーの「基本角度位置」の変化分は、「第1の基本角度位置」と「第2の基本角度位置」の間の角度差よりも小さい。即ち、xy領域の、x方向及びy方向における寸法は、典型的には、異なるxy領域の中心同士の間の距離よりも小さい。さらに、xy領域は、重なり合わない。
【0017】
ステップ(v)では、第1、第2、第3、及び第4の較正パターンが評価され、較正平面内のxy座標に応じた、較正平面に垂直なz方向における放射ビームの焦点位置が、決定される。最後に、ステップ(vi)では、照射システムは、決定された放射ビームの焦点位置に基づいて較正される。好ましくは、この較正することは、三次元ワークピースを生産する装置の通常動作の間に、放射ビームが入射する照射平面への放射ビームの集束を最適化するように、実施される。例えば、放射ビームの焦点位置は、較正するステップ(vi)において、三次元ワークピースを生産する装置の通常動作の間に、選択的に照射される原材料粉末層の表面によって画定される照射平面について、最適化され得る。
【0018】
このように、本明細書に記載の方法は、較正平面に垂直なz方向における焦点位置を決定することを可能にするだけではなく、z方向において異なる焦点位置を較正平面内の異なるxy座標に関連付けることも可能にする。例えば、較正パターンの評価は、第1のxy領域においては焦点位置が第2の領域においてよりもスキャナミラーに対してより近い位置に配置されていることを、又はその逆を、示し得る。その後、z方向及びxy平面内の両方における焦点位置の変化を考慮しつつ、対応する補正が計算されることができ、そして照射システムが較正されることができる。
【0019】
本明細書に記載の方法に従った照射システムの較正は、枢動可能なスキャナミラーによって偏向させられた放射ビームの湾曲焦点面による、z方向における焦点ずれを補正するために、例えば平坦フィールド光学系の補助を用いるか又はフォーカストラッキングによって従来の焦点ずれ補償を実施しつつ、実行され得る。その際、ステップ(vi)において実施される較正することは、三次元ワークピースを生産する装置の通常動作の間の、照射平面への放射ビームの入射点のxy座標に応じた、放射ビームの焦点位置のz方向における一種の微調節として役立つ。
【0020】
もっとも、いかなる種類の焦点ずれ補償も実施されない状態又はその場にない状態で、上記の方法を実行することもまた考えられる。その際、ステップ(vi)において実施される較正することは、枢動可能なスキャナミラーによって偏向させられた放射ビームの湾曲焦点面によって引き起こされる、z方向における焦点ずれの補正を含んでいる、
【0021】
基本的には、ステップ(i)又は(iii)のうち一方において配置される較正平面は、三次元ワークピースを生産する装置の通常動作の間に放射ビームが衝突する照射平面と一致し得る。もっとも、好ましくは、ステップ(vi)における較正することは、較正平面と照射平面の間のz方向におけるずれを考慮に入れつつ、照射平面における放射ビームの集束を最適化するように実施される。
【0022】
ステップ(ii)及び(iv)~(vi)は、複数の放射ビームについて実施され得る。従って、照射システムが複数ビーム照射システムの形態で設計されている場合には、対応する複数の較正パターンが、複数の放射ビームによって、較正平面内の各xy領域に照射され得る。この目的のために、各xy領域はサブ領域に細分化され得るのであって、それらサブ領域は、各々、複数の放射ビームのうち1つに関連付けられている。較正パターンは、複数の放射ビームを同時に用いるか又は次々に用いるかのいずれかによって、生成され得る。
【0023】
光ファイバー、レンズ、又は照射ユニットの他の光学要素の、屈折率又は幾何形状であって、特に照射ユニットの光学要素を形成するレンズの曲率半径等の、光学的性質は、照射ユニットの動作温度に応じて変化し得る。典型的には、これらの、温度に誘導された、照射ユニットの光学要素を製造するために使用される光学材料の屈折率の変化、及び、温度に誘導された、照射ユニットの光学要素の幾何形状の変化であって例えば曲率半径等の変化は、照射ユニットによって発せられる放射ビームの焦点位置のシフトにつながる。具体的には、照射ユニットの動作温度が上昇するにつれ、放射ビームの焦点位置は、放射ビームのビーム経路に沿って、従って較正平面に垂直なz方向において、次第にシフトさせられ得る。
【0024】
従って、ステップ(ii)及び(iv)~(vi)は、複数の異なる温度を有する照射システムを用いて実施され得る。従って、熱による焦点シフトが、ステップ(v)及び(vi)において決定及び考慮され得る。温度依存性の熱による焦点シフトを決定するために、各xy領域がサブ領域に細分化され得るのであって、それらサブ領域は、各々、複数の異なる温度のうち1つに関連付けられている。基本的には、ステップ(ii)及び(iv)~(vi)は、2つのみの異なる温度を有する照射システムを用いて実施され得る。しかしながら、温度依存性の熱による焦点シフトをより正確に決定するためには、2つより多くの、例えば6つの異なる温度の照射システムを用いて、ステップ(ii)及び(iv)~(vi)を実施することが好ましい。
【0025】
照射システムの温度を変化させるために、照射システムは、ステップ(ii)及び(iv)~(vi)の実施に先立って、加熱パターンを少なくとも1つの加熱領域に照射することによって、加熱され得る。加熱パターンは、サイクル中に、例えば100サイクル中に照射され得る100μmのベクトルを含み得る。さらに、加熱パターンは、約1mm/秒の照射速度で照射され得る。約1mm/秒の照射速度で100サイクル中に100μmのベクトルを照射することは、1つの加熱パターンの約10秒の照射時間に帰結し得る。加熱パターンは、点形状である場合もあり、それにより、点形状の加熱パターンの照射は、放射ビームが静的な偏向状態にある状態で実行される。
【0026】
好ましくは、照射システムを所望の温度まで加熱するために照射される1つの加熱領域が、各較正パターンに関連付けられている。即ち、第1の加熱領域は第1の較正パターンに関連付けられ、第2の加熱領域は第2の加熱パターンに関連付けられ、第3の加熱領域は第3の加熱パターンに関連付けられ得る、等である。一方においては、各加熱領域は、較正パターンがこの加熱プロセスによる影響を受けないほどに、その関連付けられた較正パターンから十分に離れるように配置されるべきである。例えば、加熱領域は、その関連付けられた較正パターンに対して、その較正パターンが、加熱パターンを照射した際に生じる煙又は他の粒子性不純物によって汚染されないように、配置されるべきである。しかしながら、もう一方においては、各加熱領域は、温度及びxy座標に依存した熱による焦点シフトの決定の正確性を高めるために、そして結果的にはその補償の正確性を高めるために、その関連付けられた較正パターンに対して可能な限り近くに配置されるべきである。
【0027】
例えば、加熱領域は、その関連付けられた較正パターンに対して、x方向又はy方向のうち一方に約2mmの距離を有するように配置され得る。代替的又は追加的には、加熱領域からx方向又はy方向の他方に延びる較正平面の領域は、関連付けられた較正パターンによって覆われるべきではない。即ち、加熱パターンを照射した際に生じる煙又は他の粒子性不純物を除去するための一種の「トレイル」又は「コリダー」を作り出すために、照射されないままにされておくべきである。
【0028】
照射システムは、照射システムによって発せられる放射ビームの複数の異なる出力電力で、複数の加熱パターンを照射することによって、複数の異なる温度に設定され得る。照射ユニットの動作温度は、照射ユニットによって発せられる放射ビームの出力電力に強く依存する。従って、照射システムによって発せられる放射ビームの出力電力を変化させることは、照射システムの温度を変化させるための信頼できる手段である。例えば、複数の加熱パターンが、100W、200W、300W、400W、500W、及び600Wという放射ビームの異なる出力電力で照射され得る。加熱パターンが異なる照射電力で照射されている場合、照射時間は、好ましくは一定に維持されており、例えば10秒に設定されている。
【0029】
照射システムはまた、複数の加熱パターンを複数の異なる照射時間だけ照射することにより、複数の異なる温度に設定される場合もある。例えば、複数の加熱パターンが、10秒、12秒、14秒、16秒、18秒、及び20秒という異なる照射時間だけ照射され得る。加熱パターンが異なる照射時間だけ照射される場合には、照射ユニットによって発せられる放射ビームの出力電力は、好ましくは一定に維持されており、例えば500Wに設定されている。
【0030】
しかしながら、放射システムによって発せられる放射ビームの複数の異なる出力電力で、かつ異なる照射時間で、複数の加熱パターンを照射することにより、照射システムを複数の異なる温度に設定することもまた考えられる。例えば、照射システムの温度を上昇させるために、照射システムによって発せられた放射ビームの出力電力を、同時に照射時間を、上昇させ、照射システムによって発せられる放射ビームの出力電力の上昇に誘導される照射システムの加熱を促進することができる。
【0031】
ステップ(iii)は、較正平面を、照射システムの光学ユニットから複数のさらなる距離だけ離れるように配置するために、繰り返し実施され得る。複数のさらなる距離は、各々、第1及び第2の距離とは異なっている。複数のさらなる較正パターンが、ステップ(iv)に従って、第1及び第2のxy領域に照射され得る。第1及び第2のxy領域の各々に照射されるさらなる較正パターンの数は、好ましくは、較正平面が照射システムの光学ユニットから離れて配置されている、複数のさらなる距離の数に対応する。
【0032】
較正平面と照射システムの光学ユニットの間の距離が、第1の距離、第2の距離、複数のさらなる距離のうち少なくとも1つに維持されている一方、少なくとも1つの追加的な較正パターンが、第1のxy領域及び第2のxy領域とは異なる、較正平面内の追加的なxy領域に照射され得る。好ましくは、複数の追加的なxy領域が、少なくとも1つの追加的な較正パターンを、その追加的なxy領域の各々において生成するために、較正平面内で画定され、そして照射され得る。第1のxy領域、第2のxy領域、及び少なくとも1つの追加的なxy領域は、較正平面にわたって分布させられ、較正平面内の異なる間隔だけ隔てられた領域内に放射ビームの焦点位置を決定することができる。
【0033】
好ましくは、較正平面が照射システムの光学ユニットから離れて配置されるその距離の各々について、追加的な較正パターンが、較正平面内の少なくとも1つの追加的なxy領域に照射される。例えば、本方法は、照射システムの光学ユニットから16個の異なる距離だけ離れている、較正平面の配置を含み得る。その際、第1及び第3の較正パターンに加えて14個のさらなる較正パターンが、第1のxy領域に照射され得る。同様にして、第2及び第4の較正パターンに加えて14個のさらなる較正パターンが、第2のxy領域に照射され得る。上記少なくとも1つの追加的なxy領域は、好ましくは、16個の追加的な較正パターンを生成するように照射され、その際、それら16個の追加的な較正パターンのうち各々が、較正平面が照射システムの光学ユニットから離れて配置されているその距離のうち1つと、関連付けられている。
【0034】
較正平面と光学ユニットの間の典型的な距離は、250mm~1000mmの間であるが、特別な例においては、それより小さい場合もあれば大きい場合もある。
【0035】
第2の基本角度位置にあるスキャナミラーは、少なくとも±2度だけ、特に少なくとも±5度だけ、好ましくは少なくとも±10度だけ、さらに好ましくは少なくとも±15度だけ、第1の基本角度位置に対して枢動させられ得る。「第1の基本角度位置」と「第2の基本角度位置」の間の角度差を増大させることによって、異なるxy領域間の中心の間の距離が、結果的には、本較正法で考慮される較正平面の表面積が、増大させられ得る。
【0036】
具体的には、較正平面内における第1のxy領域の中心と第2のxy領域の中心の間の距離は、集束された放射ビームの径の、少なくとも15倍に、特に少なくとも100倍に、好ましくは少なくとも500倍に、さらに好ましくは少なくとも1000倍に、対応し得る。
【0037】
1つのxy領域は、好ましくは、少なくとも2mm×2mmであり、特に少なくとも4mm×4mmであり、かつ、40mm×40mm未満であり、特に25mm×25mm未満であり、好ましくは12mm×12mm未満である、サイズを有し得る。このことは、高い照射速度と、共通の光学評価方法を用いた良好な可読性とを達成する。
【0038】
上記較正平面は、キャリア上に塗布された原材料粉末層の表面又は平面によって画定され得る。もっとも、較正平面が、キャリア上に塗布されたバーンオフフィルム(burn-off film)の表面によって画定されることもまた、考えられる。原材料粉末層又はバーンオフフィルムを収容するキャリアは、照射システムの較正の間に放射ビームのビーム経路に配置されるが、較正プロセスが完了した後で除去される、特定の較正プレートであり得る。原材料粉末層又はバーンオフフィルムを収容する較正プレートは、例えば、ガラスプレート又はアルミニウムロッドであり得る。金属フレームが、ガラスプレート上に配置され得る。もっとも、原材料粉末層又はバーンオフフィルムが、以下のようなキャリア上に塗布される場合もある、即ち、三次元ワークピースを生産する装置の通常動作中に、照射システムによって発せられる放射ビームによって選択的に照射される原材料粉末層を収容している、キャリア上に塗布される場合もある。さらなる代替例として、照射システムの較正の間には放射ビームのビーム経路に配置されているが較正プロセスの完了後には除去される較正プレートの表面によって、較正平面が画定される場合もある。
【0039】
照射システムを較正する方法が、上記のような少なくとも1つの加熱領域において加熱パターンを照射することによって照射システムを加熱することを含んでいる場合には、バーンオフフィルム及び/又は較正プレートは、好ましくは、所望ではない加熱及び特に熱に誘導される損傷から保護されるべきである。従って、バーンオフフィルム及び/又は較正プレートは、少なくとも1つの加熱領域のエリアに、照射システムの加熱のために照射システムによって発せられた放射ビームを通過させることができるような、貫通ホールを備え得る。放射ビームは、放射トラップによって捕獲され得る。例えば、較正プレート上に配置された金属フレームが、放射トラップとしてはたらき得る。このフレームは、冷却される場合が、例えば水冷される場合があり、又は、フレームの過熱を防止するために大きな熱容量を有する場合もある。
【0040】
例えば、原材料粉末層、バーンオフフィルム、又は較正プレートに照射することによって較正平面に生成された較正パターンは、光学検出デバイスを用いて、特にカメラを用いて検出され得る。光学検出デバイスは、較正パターンが較正平面上に照射されている間、その場で既にパターンの照射を記録している、従って検出している、場合がある。しかしながら、代替的又は追加的には、較正パターンの照射平面上への照射が完了した後で、光学検出デバイスを使用して、生成された較正パターンを記録することも可能である。
【0041】
較正パターンを記録するために使用される光学検出デバイスは、三次元ワークピースを生産する装置の中に、例えば加工を監視する目的のために既に存在している光学検出デバイスであってよい。もっとも、特に、光学検出デバイスが、完了した較正パターンの記録のために使用される場合には、その光学検出デバイスは、例えばハンドヘルド型顕微鏡に採用される従来のカメラであってよいし、又は携帯電話のカメラに採用される従来のカメラであることさえも可能である。
【0042】
さらに、較正平面の上又は下に配置されている感光センサ構成体が、較正パターンの検出のために使用される場合もある。再び、感光センサ構成体は、その場で既にパターンの照射を検出している場合もあれば、かつ/又は、較正パターンの較正平面への照射が完了した後でパターンの照射を検出する場合もある。
【0043】
上記較正パターンは、少なくとも1つの直線を含み得る。較正パターンに含まれる直線の線幅が評価されることができ、かつ、較正平面に垂直なz方向における放射ビームの焦点位置が、較正パターンの線幅の評価に基づいて決定され得る。例えば、較正平面の選択されたxy領域内に生成された異なる較正パターンの直線の線幅が比較され、そして、最も細い直線を有する較正パターンが、放射ビームが集束されている状態の、選択されたxy領域に照射された較正パターンとして、決定され得る。もっとも、較正パターンは、グレースケール分析又は放射ビームのz方向における焦点位置を決定するための他の適当な画像分析を使用して評価される場合もある。
【0044】
照射システムを較正する本方法の好ましい実施形態では、較正パターンのうち少なくとも1つは、複数の好ましくは実質的に平行な直線を含んでいる。その際、線幅分析又は他の適切な画像分析が、直線の各々について実施され、そして個々の分析値から平均値が計算され、さらなる評価手順のために用いられ得る。複数の直線が、照射システムの光学中心に対して径方向に延びている場合もある。
【0045】
較正パターンのうち少なくとも1つは、第1の複数の実質的に平行な直線によって画定される第1のブロックと、第2の複数の実質的に平行な直線によって画定される第2のブロックと、を含み得る。第2のブロックの第2の複数の実質的に平行な直線は、第1のブロックの第1の複数の実質的に平行な直線に対して実質的に垂直に配置されるとよい。互いに対して実質的に垂直に延びる直線のブロックを評価することによって、xy平面内における、即ちx方向又はy方向における光学的非点収差が、照射システムの較正に際して検出及び考慮可能であり得るのである。
【0046】
第1のブロックの第1の複数の実質的に平行な直線は、照射システムの光学中心に対して径方向に延びている場合がある。その際、第2のブロックの第2の複数の実質的に平行な直線は、照射システムの光学中心に対して径方向に対して垂直に延び得る。照射システムの光学中心に対して径方向に延びており、かつ焦点位置が較正平面にわたって最適化されている放射ビームを照射された、較正パターンの直線は、楕円状の歪みが回避されているので、較正平面にわたって一定の厚さを有している。このように、照射システムの光学中心に対して径方向に延びる直線を含む較正パターンにより、さらに、較正平面内のxy座標に依存したビーム径を決定することができる。
【0047】
個別の較正パターン又は複数の較正パターンは、個別の較正パターン又は複数の較正パターンの較正平面内における位置を表示する、識別マーカーを含み得る。例えば、較正平面内の共通のxy領域に照射された複数の較正パターンは、共通の識別マーカーを備え得る。識別マーカーは、例えば、バーコードであってもよいし、又は較正平面内における較正パターンの座標を特定することを可能にする他の適切なマーカーであってもよい。識別マーカーは、1つ以上のシンボル、特殊文字、又は、自動画像処理アルゴリズムによって容易に認識され得る識別容易マーク、を含み得る。識別マーカーは、データセルの、特にバイナリデータセルの情報を含むコードを含む場合もある。データセルは、明るいマーク及び暗いマークとして形成される場合もあれば、マークの欠如及び存在として形成される場合もあれば、異なる色及び/又は形状のマークとして形成される場合もある。好ましい実施形態においては、データセルは、異なる長さを有する直線のマークとして形成されるのであって、例えば短い直線が「0」の値を示し、かつ長い直線が「1」の値を示す。データセルは、特に直線は、一定の間隔でマーキングされ得る。長さが異なり距離が等しい直線のコードは、認識に加えて生産においてもロバスト性があることが証明されている。識別マーカーの存在により、識別マーカーの補助を用いて較正平面内における部分領域の特定を可能にしつつ、較正平面の部分領域を高い正確性で記録及び分析することが可能になった。
【0048】
さらに、個別の較正パターン又は複数の較正パターンが、線によって、又は破線又は点線等の他の適切な幾何学的構造によって、取り囲まれる場合もある。この線は、直線である場合もあれば曲線である場合もある。この線は、個別の較正パターン又は複数の較正パターンを収容する「箱」を画定し得る。この線は、評価アルゴリズムの実行に際して使用され得るので、従って、較正パターンの自動的な評価を単純化し得る。
【0049】
xy領域内の共通のxy領域に照射された複数の較正パターンの照射位置は、較正平面と照射システムの光学ユニットの間の、z方向における距離の変化によって引き起こされる、放射ビームの較正平面上への入射点のxyずれに基づいて決定され得る。例えば、このxyずれが、較正パターンの照射位置の計算に際して補償され、xy平面内に整列させられた較正パターンを、較正プロセスの間の較正平面と光学ユニットの間のz方向における距離の変化からは独立して得ることができる。このようなアプローチは、較正パターンをその場で検出することが想定されている場合に有用であり得る。しかしながら、xyずれを補償することを控え、代わりに、互いに対して所望の距離だけ離れつつ隣り合って配置された較正パターンを生成するためにxyずれを用いることも、考えられる。このようなアプローチは、すべての較正パターンの照射平面への照射が完了した後にはじめて較正パターンが記録される例において、有利であり得る。
【0050】
本開示は、照射システムによって発せられた放射ビームを原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置において使用するための、照射システムを較正するデバイスにも関する。上記デバイスは制御ユニットを備えており、該制御ユニットは、
(i)較正平面と照射システムの光学ユニットの間の、較正平面に垂直なz方向における距離を、第1の距離に設定し、
(ii)較正平面と光学ユニットの間の距離を第1の距離に維持しつつ、第1の基本角度位置に配置されている光学ユニットのスキャナミラーを用いて、第1の較正パターンを、較正平面内の第1のxy領域に照射し、かつ、第2の基本角度位置に配置されている光学ユニットのスキャナミラーを用いて、第2の較正パターンを、較正平面内の第2のxy領域に照射するように、照射システムを制御し、第2の基本角度位置では、スキャナミラーは、第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられており、
(iii)較正平面と照射システムの光学ユニットの間の、較正平面に垂直なz方向における距離を、第1の距離とは異なる第2の距離に設定し、
(iv)較正平面と光学ユニットの間の距離を第2の距離に維持しつつ、第1の基本角度位置に配置されている光学ユニットのスキャナミラーを用いて、第3の較正パターンを、較正平面内の第1のxy領域に照射し、かつ、スキャナミラーが第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられている第2の基本角度位置に配置されている光学ユニットのスキャナミラーを用いて、第4の較正パターンを、較正平面内の第2のxy領域に照射するように、照射システムを制御し、
(v)第1の較正パターン、第2の較正パターン、第3の較正パターン、及び第4の較正パターンを評価し、較正平面内のxy座標に応じた、較正平面に垂直なz方向における放射ビームの焦点位置を決定し、かつ、
(vi)決定された放射ビームの焦点位置に基づいて、照射システムを較正する、ように構成されている。
【0051】
制御ユニットは、複数の放射ビームについてステップ(ii)及び(iv)~(vi)を実施するように、さらに構成され得る。制御ユニットは、複数の異なる温度を有する照射システムを用いてステップ(ii)及び(iv)~(vi)を実施するように構成され得る。
【0052】
照射システムの温度を変化させるために、制御ユニットは、ステップ(ii)及び(iv)~(vi)の実施に先立って、少なくとも1つの加熱領域に加熱パターンを照射することによって照射システムを加熱するように、構成され得る。
【0053】
制御ユニットは、複数の加熱パターンを、複数の異なる照射電力で、かつ/又は複数の異なる照射時間で、照射することによって、照射システムを複数の異なる温度に設定するように、構成され得る。
【0054】
制御ユニットは、好ましくは、較正平面を、照射システムの光学ユニットから複数のさらなる距離だけ離れるように配置するために、ステップ(iii)を繰り返し実施するように構成されており、それらさらなる距離は、各々、第1の距離及び第2の距離とは異なっている。さらに、制御ユニットは、複数のさらなる較正パターンを、ステップ(iv)に従って第1のxy領域及び第2のxy領域に照射するように、照射システムを制御するように構成され得る。第1のxy領域及び第2のxy領域に各々照射されるさらなる較正パターンの数は、特に、較正平面が照射システムの光学ユニットから離れて配置されているそのさらなる距離の数に対応し得る。
【0055】
制御ユニットは、較正平面と光学ユニットの間の距離が、第1の距離、第2の距離、及び複数のさらなる距離のうち少なくとも1つに固定されて維持されている間に、少なくとも1つの追加的な較正パターンを、第1のxy領域及び第2のxy領域とは異なる、較正平面内の追加的なxy領域に照射するように、照射システムを制御するように構成され得る。
【0056】
制御ユニットは、第2の基本角度位置にあるスキャナミラーが、少なくとも±2度だけ、特に少なくとも±5度だけ、好ましくは少なくとも±10度だけ、さらに好ましくは少なくとも±15度だけ、第1の基本角度位置に対して枢動させられるように、照射システムを制御するように構成され得る。代替的又は追加的には、制御ユニットは、較正平面内の第1のxy領域の中心と第2のxy領域の中心の間の距離が、集束された放射ビームの径の、少なくとも15倍に、特に少なくとも100倍に、好ましくは少なくとも500倍に、かつさらに好ましくは少なくとも1000倍に、対応するように、照射システムを制御するように構成され得る。
【0057】
較正平面は、キャリア上に塗布された原材料粉末層の表面又は平面によって、キャリア上に塗布されたバーンオフフィルムの表面によって、かつ/又は、較正プレートの表面によって、画定され得る。バーンオフフィルム及び/又は較正プレートは、少なくとも1つの加熱領域のエリア内に、照射システムを加熱するために照射システムによって発せられた放射ビームを通過させることを可能にする、貫通ホールを備え得る。上記デバイスはまた、放射ビームのビーム経路内で、貫通ホールの下流に配置可能な、放射トラップも備え得る。
【0058】
上記デバイスは、較正パターンを検出するための1つ以上の検出システムを備え得る。具体的には、上記デバイスは、較正パターンが較正平面上に照射されている間に、かつ/又は較正パターンの照射平面上への照射が完了した後で、較正パターンの照射をその場所で記録するように構成された、光学検出デバイスを備え得る。代替的又は追加的には、上記デバイスは、較正平面の上か又はその下に配置された、感光センサ構成体を備え得る。
【0059】
較正パターンは、少なくとも1つの直線、曲線、点又は円を含み得る。制御ユニットは、ステップ(v)において、較正平面に垂直なz方向における放射ビームの焦点位置を、較正パターンの直線、点、又は円の幅の評価に基づいて決定するように、構成され得る。
【0060】
較正パターンのうち少なくとも1つは、第1の複数の実質的に平行な直線によって定められる第1のブロックと、第2の複数の実質的に平行な直線によって定められる第2のブロックと、を含み得る。第2のブロックの第2の複数の実質的に平行な直線は、第1のブロックの第1の複数の実質的に平行な直線に対して実質的に垂直に配置され得る。第1のブロックの第1の複数の実質的に平行な直線は、照射システムの光学中心に対して径方向に延び得る。
【0061】
上記制御ユニットは、個別の較正パターン又は複数の較正パターンが、特に、較正平面内の共通のxy領域に照射される複数の較正パターンが、個別の較正パターン又は複数の較正パターンの較正平面内における位置を表示する識別マーカーを備えるように、照射システムを制御するように構成され得る。
【0062】
上記制御ユニットは、xy領域内の共通のxy領域に照射された複数の較正パターンの照射位置を、較正平面と照射システムの光学ユニットの間の、z方向における距離の変化によって引き起こされる、放射ビームの較正平面上への入射点のxyずれに基づいて決定するように、構成され得る。
【0063】
コンピュータプログラム製品が、当該コンピュータプログラム製品が1つ以上のコンピューティングデバイス上で実行されるときに、本開示を通じて記述された例示的な実装のうち1つ以上に従って概説されたような方法を実施する、プログラム部分を備えている。
【0064】
放射ビームを原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置が、照射システムと、その照射システムを較正する上記のデバイス及び/又は上記コンピュータプログラム製品が格納されるコンピュータ可読記録媒体と、を備えている。
【0065】
本発明の好ましい実施形態は、添付の概略的な図面を参照しつつ、より詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1図1は、原材料粉末層に放射ビームを照射することによって三次元ワークピースを生産する装置を示している。
図2図2は、図1に描かれた装置において採用される光学ユニットのスキャナミラーによって偏向させられた放射ビームの湾曲焦点面を示している。
図3図3は、xy平面に垂直なz方向において光学ユニットから異なる距離に配置されている平面上への、放射ビームの入射点の、xyずれを示している。
図4図4は、図1に描かれた装置の照射システムを較正するために評価されることが好適である較正パターンの例示的な配置を示している。
図5図5は、図4の較正パターンを示しているが、本図では、図3において示唆されたxyずれの補償が行われていない。
図6図6は、図4に描かれた較正パターンの線幅を評価するためのダイアグラムを示している。
図7図7は、コースティクスフィッティング(caustic fit)を用いてz方向における焦点位置を決定するためのダイアグラムを示している。
図8図8は、2つの放射ビームを発する照射システムを較正するために評価されることが好適である代替的な較正パターンが配置された部分領域を示している。
図9図9は、較正平面内のx座標に応じた、較正平面に垂直なz方向における2つの放射ビームの焦点位置を示唆するダイアグラムを示している。
図10図10は、熱による焦点シフトを決定するために評価されることに好適であるさらなる代替的な較正パターンが配置された部分領域を示している。
図11図11は、図10に示された較正パターンを分析するために使用され得るバーンオフフィルムのスマートフォン画像を示している。
図12図12は、加熱パターンを照射する際の放射ビームの出力電力に応じた、較正平面に垂直なz方向における放射ビームの焦点位置を示唆するダイアグラムを示している。
図13図13は、時間依存性の熱による焦点シフトを決定するために評価されることに適したさらなる代替的な較正パターンが配置された部分領域を示している。
図14図14は、図13に示されている較正パターンを分析するために使用され得るバーンオフフィルムのスマートフォン画像を示している。
図15図15は、加熱時間に応じた、較正平面に垂直なz方向における放射ビームの焦点位置を示唆するダイアグラムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は、AM(additive manufacturing)プロセスによって三次元ワークピースを生産する装置100を示している。装置100は、キャリア102と、原材料粉末をキャリア102上に塗布する粉末塗布デバイス104と、を備えている。原材料粉末は、金属粉末である場合があるが、セラミック粉末又はプラスチック材料粉末又は異なる材料を含有する粉末であってもよい。粉末は、任意の適切な粒子サイズ又は粒子サイズ分布を有してよい。もっとも、粉末は100μm未満の粒子サイズに加工されていることが好ましい。キャリア102及び粉末塗布デバイス104は、周囲の大気に対してシール可能である処理チャンバ106内に収容されている。キャリア102は、ワークピース110がキャリア102上で層を成すように原材料粉末から構築されていく際に、ワークピース110の構造高さの増加に伴ってキャリア102を下方に移動させることができるように、構築済シリンダ108内で垂直方向に変位可能である。キャリア102は、ヒータ又はクーラを備えている場合もある。
【0068】
装置100は、キャリア102上に塗布された原材料粉末層にレーザ放射を選択的に照射する照射システム10をさらに備えている。図1に示された装置100の実施形態では、照射システム10は、放射ビーム14を発するように構成された放射ビーム源12を備えている。放射ビーム源12は、レーザビームを発するように構成されたレーザビーム源であり得る。放射ビーム源12によって発せられた放射ビーム14をガイド及び処理するための光学ユニット16が、放射ビーム源12に関連付けられている。しかしながら、照射システム10が2つ以上の放射ビームを発するように構成されていることもまた考えられる。
【0069】
光学ユニット16は、2つのレンズ18及び20を備えており、それら2つのレンズ18及び20は、図1に示されている実施形態において、両方とも正の屈折力を有する。レンズ18は、放射ビーム源12によって発せられたレーザ光をコリメートし、コリメートされたか又は実質的にコリメートされた放射ビームを生成するように、適合されている。レンズ20は、コリメートされた(又は実質的にコリメートされた)放射ビーム14を所望のz方向上の位置に集束させるように構成されている。光学ユニット16は、枢動可能なスキャナミラー22をさらに備えており、このスキャナミラー22は、放射ビーム14を偏向させ、放射ビーム14を照射平面Iを横切るようにx方向及びy方向に走査するようにはたらく。ここで、照射平面Iは、典型的には、装置100の動作の間に選択的に照射されるようにキャリア102上に塗布された原材料粉末層の表面によって、画定される。
【0070】
図1に示された実施形態においてはカメラの形態で設計されている光学検出デバイス24は、放射ビーム14を観察するために、かつ/又は放射ビーム14の照射後の照射領域を観察するように、処理チャンバ16内に配置されている。光学検出デバイス24は、メルトプール観察デバイスの一部であり得るが、別個のデバイスであってもよい。
【0071】
制御ユニット26は、照射システム10の動作のみを制御するように設けられている場合もあれば、又は粉末塗布デバイス104等の装置100のさらなる構成要素をも制御するように設けられている場合もあり、それらのうちいずれかである。制御ユニット26は、プログラムコード部分を含むコンピュータプログラム製品に格納される、コンピュータ可読記録媒体を備えている。
【0072】
処理ガス入口112を介して処理チャンバ106内に保護ガスを供給することにより、制御されたガス雰囲気が、好ましくは不活性ガス雰囲気が、処理チャンバ106内に確立される。処理チャンバ106を通過するように、かつキャリア102上に塗布された原材料粉末層を横切るように方向づけられた後で、ガスは、処理ガス出口114を介して処理チャンバ106から捨てられる。処理ガスは処理ガス出口114から処理ガス入口112へと再循環させられ得るのであって、それに際して冷却又は加熱させられ得る。
【0073】
三次元ワークピースを生産する装置100の動作中、粉末塗布デバイス104によって、原材料粉末層がキャリア102上に塗布される。原材料粉末層を塗布するために、粉末塗布デバイス104は、例えば制御ユニット26の制御下で、キャリア102を横切るように運動させられる。その後、再び制御ユニット26の制御下で、原材料粉末層は、生産されるべきワークピース110の対応する層の幾何形状に従って、照射デバイス10によって選択的に照射される。原材料粉末層をキャリア102上に塗布し、かつ生産されるべきワークピース110の対応する層の幾何形状に従って、原材料粉末層に選択的に照射するこのステップは、ワークピース110が所望の形状及びサイズに達するまで繰り返される。
【0074】
放射ビーム14は、制御ユニット26によって定義される走査パターンに従って原材料粉末層を横切って走査させられる。図2に示されているように、枢動可能なスキャナミラー22が、放射ビーム14が照射平面Iに対して垂直な角度で照射平面Iに入射させられるような角度位置に配置された際には、即ち放射ビーム14のビーム軸がz方向に平行である際には、レンズ20は放射ビーム14を照射平面I上に集束させることができる。
【0075】
しかしながら、スキャナミラー22が、放射ビーム14のビーム軸がもはや照射平面Iに垂直に延びていることがないように、放射ビーム14を偏向させるように枢動させられる際、ビーム経路の長さは増加させられ、従って図2で破線で示された放射ビーム14の焦点位置は、もはや照射平面I内に配置されてはおらず、z方向にずれて照射平面Iの上方の位置へと至っている。具体的には、照射平面Iは典型的には平坦である一方で、枢動可能なスキャナミラー22によって偏向させられた放射ビーム14の焦点位置は、湾曲焦点面Fを画定する。このように、z方向における焦点ずれは、スキャナミラー22の枢動角度及び従って照射平面I内の照射位置に依存したものであり、即ち、放射ビーム14が照射平面Iに衝突するxy座標に依存したものである。
【0076】
従って、装置100においては、放射ビーム14のz方向における焦点ずれは、例えば、平坦フィールド光学系の補助によって、又は適当に調節可能な光学要素(図中には示されていない)を用いたフォーカストラッキングによって、図1及び2において点線で示されているように補正される。しかしながら、これらの従来の補償手段によって達成される焦点ずれ補償は、枢動可能なスキャナミラー22による放射ビーム14の偏向によるビーム経路長さの増加に関連しない焦点位置のxy座標依存性を、全く考慮していない。従って、放射ビーム14の焦点位置のより正確な補正を可能にするために、装置100内では、照射システム10は、以下で論じられるように較正される。
【0077】
装置100の照射システム10を較正するために、図3に概略的に示されているように、放射ビーム14が装置100の通常動作中に衝突する照射平面Iに対して平行に、較正プレート28の表面が延びるように、較正プレート28が放射ビーム14のビーム経路に導入される。特に、較正プレート28は、装置100の通常動作中に原材料粉末及びワークピース110を収容するキャリア102の表面上に、配置される。較正プレート28の表面は、以下でさらに記述されるような、較正パターンが照射される較正平面30を画定する。
【0078】
較正プレート28の使用に対する代替として、較正平面上に照射される較正パターンを検出及び記録するために、バーンオフフィルムが較正プレート又はキャリア102のいずれかに対して塗布される場合があり、その際、較正平面は、バーンオフフィルムの表面によって画定される。さらなる代替例としては、原材料粉末層がキャリア102上に塗布され、原材料粉末層の表面又は平面が、較正パターンが照射される較正平面を画定する、という場合もある。
【0079】
装置100内では、光学検出デバイス24は、較正パターンが較正プレート28の表面によって画定される較正平面30上に照射されている間に、較正パターンの照射を記録するためにその位置で使用される。しかしながら、較正パターンの較正平面上への照射の完了後にはじめて較正パターンを記録及び検出するために光学検出デバイス24を使用することもまた、考えられる。例えば、光学検出デバイス24は、バーンオフフィルムの表面上に照射させられた較正パターンを検出するために、照射後に、バーンオフフィルムの写真を撮影することができる。
【0080】
さらに、較正プレート28は、感光センサ構成体を備え得る。この感光センサ構成体は、較正プレート28内に埋め込まれ得るのであって、従って較正平面30の下に配置される場合もあれば、かつ/又は較正平面30の上に配置される場合もある。感光センサ構成体は、較正平面30に照射された較正パターンを、その場で、かつ/又は較正パターンの照射が完了した後で、検出及び記録することが可能であり得る。
【0081】
照射システム10を較正する方法のステップ(i)において、較正平面30と照射システム10の光学ユニット16の間の、較正平面30に垂直なz方向における距離は、図3に示されているように第1の距離zに設定される。例えば、第1の距離zは較正平面30と光学ユニット16のハウジング17の間で測定され得る。このことは、キャリア102を、その上に位置する較正プレート28と共に、較正平面30を画定する較正プレート28の表面が光学ユニット16から第1の距離zだけ離れて配置されるに至るまで、z方向に適切に移動させることによって、達成される。
【0082】
その後、ステップ(ii)では、較正平面30と光学ユニット16の間の距離が第1の距離zに維持されている一方、第1の較正パターンp1,1は、較正平面30内の第1のxy領域に照射される。以下では、参照符号「a」は、較正パターン「pi,j」を生成するために照射される、較正平面30内のxy領域を指定するために、使用される。第1の較正パターンp1,1を照射する際、スキャナミラー22は、第1の基本角度位置に配置される。第1の較正パターンp1,1の照射が完了された後で、スキャナミラー22は、第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ、特に少なくとも±2度だけ、具体的には少なくとも±5度だけ、好ましくは少なくとも±10度だけ、そしてさらに好ましくは少なくとも±15度だけ枢動させられ、第2の基本角度位置に至る。その後、スキャナミラー22は第2の基本角度位置に留まりつつ、第2の較正パターンp2,1が較正平面30内の第2のxy領域aに照射される。
【0083】
スキャナ22の、少なくとも±1度の枢動運動は、第1及び第2のxy領域a、aが、較正平面30内で互いに十分に離隔されていることを保証する。特に、較正平面30内の第1のxy領域aの中心と第2のxy領域aの中心の間の距離は、集束させられた放射ビーム14の径の、少なくとも15倍に、特に少なくとも100倍に、好ましくは少なくとも500倍に、さらに好ましくは少なくとも1000倍に、対応する。第1のxy領域aの中心と第2のxy領域aの中心の間の距離をそのように選択することは、例えば、集束させられた放射ビーム14の径が約300μmよりも小さい場合に、好適である。
【0084】
その後、ステップ(iii)では、較正平面30と照射システム10の光学ユニット16の間の、較正平面に垂直なz方向における距離は、第1の距離zとは異なる距離zに設定されている。例えば、図3に示されているように、較正プレート28は、キャリア102を鉛直方向下向きに運動させることによって、較正平面30と光学ユニット16の間の距離を第1の距離zから第2の距離zまで増加させるように、z方向に変位させられ得る。
【0085】
ステップ(iv)では、較正平面30と光学ユニット16の間の距離を第2の距離zに維持しつつ、第3の較正パターンp1,2が、再び第1の基本角度位置に配置されたスキャナミラー22を用いて、較正平面30内の第1のxy領域aに照射される。第3の較正パターンp1,2の照射の完了後、スキャナミラー22は、再び第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ、特に少なくとも±2度だけ、具体的には少なくとも±5度だけ、好ましくは少なくとも±10度だけ、そしてさらに好ましくは少なくとも±15度だけ枢動させられ、第2の基本角度位置に至る。そして、第4の較正パターンp2,2が、第2の基本角度位置に配置されたスキャナミラー22を用いて、較正平面30内の第2のxy領域aに照射される。
【0086】
ステップ(iii)は、較正平面30を照射システム10の光学ユニット16から複数のさらなる距離zだけ離れるように配置するために、繰り返し実施される。ここで、さらなる距離zは、各々、第1及び第2の距離z、zとは異なっている。複数のさらなる較正パターンp1,j、p2,jが、ステップ(iv)に従って、第1及び第2のxy領域a、aに照射される。ここで、第1及び第2のxy領域a、aに照射されるさらなる較正パターンp1,j、p2,jの数は、較正平面30が照射システム10の光学ユニット16から離れて配置されるそのさらなる距離zの数に対応している。例えば、図4に示されている較正パターンの例示的な配置を生成するためには、較正平面30は、光学ユニット16から16の異なる距離だけ離れて配置され、合計16の較正パターンが、第1及び第2のxy領域a、aの各々に照射される。
【0087】
さらに、較正平面30と光学ユニット16の間の距離が、第1及び第2の距離ならびに複数の追加的な距離z、z、zに維持される一方、追加的な較正パターンpi,jが、第1及び第2のxy領域a、aとは異なる較正平面30内の追加的なxy領域aに照射される。図4、6に示された較正パターンの例示的な配置においては、追加的なxy領域aが較正平面30内で画定され、それら追加的なxy領域aの各々には、較正平面30が光学ユニット16から離れて配置されているその異なる距離の各々について、追加的な較正パターンpi,jが照射される。
【0088】
隣り合うすべての追加的なxy領域aに照射するために、スキャナミラー22を少なくとも±1度枢動させることは、必ずしも必要ではない。代わりに、本方法は、以下のような状態で実施され得る、即ち、第1及び第2のxy領域a、aのみは、少なくとも±1度のスキャナミラー22の枢動運動が第1及び第2のxy領域a、aに照射するために必要であるように、互いに離隔されているが、一方で、追加的なxy領域aは、互いに対してかつ/又は第1及び第2のxy領域a、aに対して、より近くに配置され得るという状態で、実施され得る。もっとも、較正平面30内で画定されるxy領域a、a、aは、重なり合わないべきである。さらに、xy領域a、a、aは、好ましくは、例えば図4に示されているように、較正平面30を横切るように分布させられる。
【0089】
スキャナミラー22は、第1の、第2の、及び任意のさらなる基本角度位置に配置されつつ、所望の較正パターンp1,1、p1,2、pi,jを照射するために、わずかに枢動する。しかしながら、xy領域a、a、aに照射する際、放射ビーム14の入射点を、照射されるxy領域a、a、aの中心に定める初期角度位置を中心としたスキャナミラー22の枢動運動は、±0.75度未満に、好ましくは±0.6度未満に、さらに好ましくは±0.5度未満に、特に±0.3度未満に、制限される。このようにすると、xy領域a、a、aは、各々、較正平面30全体と比較すると小さく、較正平面30の表面積全体の5%未満の、好ましくは1%未満の、さらに好ましくは0.5%未満の、特に0.2%未満の表面積を有する。
【0090】
図4に従う例示的な較正パターン配置においては、各較正パターンp1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,jは、照射システム10の光学中心に対して径方向に延びる3つの平行な直線を含んでいる。複数の直線を評価することにより、照射に際して生じる誤差又は不純物の存在が補償され得るので、本較正方法の信頼性が高められ、測定誤差のリスクが低減される。さらに、共通のxy領域a、a、aに照射される較正パターンp1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,jの照射配置が、図3に示されているような、z方向における較正平面30の変位によって引き起こされる較正平面30への放射ビーム14の入射点のxyずれに基づいて、決定される。このように、較正平面30内では、較正パターンp1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,jは、互いに対して隣り合うように配置されているが、一方で、照射平面I内では、z方向に動かされてはいない較正パターンp1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,jは、図5に示されているように歪んで現れる。しかしながら、制御ユニット26は、照射平面I内の較正パターンp1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,jの外見が較正平面30内の較正パターンp1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,jの外見に変換され得るように、xyずれを補正するための変換計算を実行することができ、その逆も可能である。
【0091】
ステップ(v)では、第1、第2、第3、第4、及びさらなる較正パターンp1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,jが制御ユニット26によって評価され、較正平面30に垂直なz方向における放射ビーム14の焦点位置が、較正平面30内のxy座標に応じて決定される。特に、制御ユニット26は、較正パターンp1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,jの線幅の評価に基づいて、z方向における放射ビーム14の焦点位置を決定する。図6に示されているように、直線の幅の分析は、選択された較正パターンp1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,jの線の各々について実施され、個々の分析値から平均値が計算されてさらなる評価手順のために用いられる。
【0092】
図7に示されているように、選択されたxy領域a、a、a内に生成された較正パターンp1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,jの線幅の値が、z座標即ちz方向に沿った較正平面30の位置に対してプロットされる。そして、最も細い直線を有する較正パターンp1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,jが、放射ビーム14が集束されている状態で、選択されたxy領域a、a、aに照射された較正パターンp1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,jとして、決定される。しかしながら、ガウシアンビームプロファイルに対応する関数のフィッティングを用いて焦点位置を決定することもまた考えられる。図7に示されている分析は、較正平面30上に画定されるすべてのxy領域a、a、aについて繰り返される。結果として、較正平面30内のxy座標に依存した、z方向における放射ビーム14の焦点位置が得られる。
【0093】
最後に、ステップ(vi)では、照射システム10が、決定された放射ビーム14の焦点位置に基づいて較正される。特に、この較正は、三次元ワークピース110を生産する装置100の通常動作中に放射ビーム14が入射させられる照射平面I内の放射ビーム14の集束を最適化するように、実施される。
【0094】
上記のステップ(ii)及び(iv)~(vi)はまた、複数の放射ビーム14についても実施され得る。例えば、較正パターンpi,j o,││、pi,j o,⊥が、複数の放射ビーム14の各々によって、選択されたxy領域a内に生成され得る。ここで、「o」は、放射ビーム14のうち選択された1つを発する光学ユニットを指定しており、かつ、記号「││」及び「⊥」は、較正パターンpi,j o,││、pi,j o,⊥を定める直線の方向を指定している。図8は、例示的なxy領域aを示しており、較正パターンpi,j 1,││、pi,j 1,⊥、pi,j 2,││、pi,j 2,⊥は2つの放射ビーム14によって生成されている。特に、図8に示されているxy領域aは、2つのサブ領域に細分化され、そのサブ領域は、各々、2つの放射ビームのうち一方と関連付けられている。xy領域aの左部分(左側の点線矩形によって閉囲された第1のサブ領域)にある較正パターンpi,j 1,││、pi,j 1,⊥は、第1の光学ユニット16の補助を伴って、第1の放射ビーム14によって生成されている。一方で、xy領域aの右部分(右側の点線矩形によって閉囲された第2のサブ領域)にある較正パターンpi,j 2,││、pi,j 2,⊥は、第2の光学ユニット16の補助を伴って、第2の放射ビーム14によって生成されている。
【0095】
較正パターンpi,j o,││、pi,j o,⊥は、各々、例えば3つの実質的に平行な直線によって定められる少なくとも1つの第1のブロックpi,j o,││と、例えば3つの実質的に平行な直線によって定められれる少なくとも1つの第2のブロックpi,j o,⊥と、を備えている。ここで、第2のブロックpi,j o,⊥の直線は、第1のブロックpi,j o,││の直線に対して実質的に垂直に配置されている。具体的には、較正パターンpi,j o,││、pi,j o,⊥の各々は、複数の、ここでは16個の、各々3つの実質的に平行な直線によって定められる第1のブロックpi,j o,││と、複数の、ここでは16個の、各々3つの実質的に平行な直線によって定められる第2のブロックpi,j o,⊥と、を含んでいる。ここで、第2のブロックpi,j o,⊥の直線は、第1のブロックpi,j o,││の直線に対して実質的に垂直に配置されている。図8において、複数の第1のブロックpi,j o,││は、xy領域aの上部分に配置されており、上側の破線矩形によって閉囲されている。一方で、複数の第2のブロックpi,j o,⊥は、xy領域aの下部分に配置されており、下側の破線矩形によって閉囲されている。
【0096】
共通のxy領域aに照射される較正パターンpi,j o,││、pi,j o,⊥は、較正平面30内の較正パターンpi,j o,││、pi,j o,⊥の位置を示す識別マーカー32を備えている。識別マーカー32は、例えば、較正平面30内の較正パターンpi,j o,││、pi,j o,⊥の座標の特定を可能にし、従って較正平面30の部分領域の記録及び分析を高い正確性で行うことを可能にする、バーコードであり得る。
【0097】
本明細書においては、識別マーカー32を設けることが、複数の放射ビーム14によって生成される較正パターンを示す図8を参照しつつ記述されているが、識別マーカー32は、単一の放射ビーム14によって生成される較正パターンpi,jをマーキングするように使用されてもよい。例えば、図4に示されている較正パターンpi,jのうち1つ以上が識別マーカーによってマーキングされていてもよい。
【0098】
図9は、例示的なxy領域aについて図8に示されている較正パターンpi,j o,││、pi,j o,⊥を生成するために使用される放射ビーム14のz方向における焦点位置が、x方向に対してプロットされた、ダイアグラムを示している。対応するダイアグラムが、y方向についてもプロットされ得る。さらに、もちろんのことであるが、焦点位置をxy平面に対してプロットすることもまた可能である。
【0099】
図9のダイアグラムに示されている曲線は、互いに対して垂直に延びる第1又は第2の直線のブロックのいずれかを評価することによって得られる。光学ユニット16及び運動中のスキャナミラー22内のレンズの位置を考慮すると、非点収差軸がxy平面を横切るように定在する。しかしながら、直線のパターンは、径方向に延びた直線が照射用光学ユニットに向かうよう方向づけられるように、回転する。結果的に、xy平面を横切っての測定の結果は、非点収差を有する焦点位置のxy座標の関数としての振動波パターンである。異なる直線のブロックについて決定される焦点位置同士の間の大きな不一致は、放射ビーム14を生成するために使用される光学素子の非点収差を示唆する。実際の非点収差は、即ち、両方のビーム軸の焦点位置同士の間の距離は、振動の最大値で測定され得る。該ダイアグラム内の点は、第1及び第2の直線のブロックについて得られた値を平均化することによって決定された、平均的な焦点位置の値を示している。該ダイアグラム内の点の配置は、較正平面30の縁にある焦点位置が、光学ユニット16からより小さい距離だけ離れるようにシフトさせられることを示している。この焦点位置のシフトは、照射平面Iにわたって均等な焦点位置の分布を得るために、ステップ(vi)において実施される較正によって補正され得る。
【0100】
上記のステップ(ii)及び(iv)~(vi)はまた、照射システム10が複数の異なる温度Tmを有している状態で実施され得る。そして、熱による焦点シフトは、ステップ(v)及び(vi)において決定及び考慮され得る。図10は、例示的なxy領域を示しており、較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥は、6つの異なる温度Tm=T1,…,T6に設定された照射システムを用いて生成される。特に、図10のxy領域aは、6つのサブ領域に細分化されており、そのサブ領域は、各々、複数の(6つの)異なる温度Tmに関連付けられている。図10においては、各サブ領域が、破線矩形によって閉囲されている。
【0101】
図8に示されている配置と同様に、図10によるxy領域a内の較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥は、各々、例えば3つの実質的に平行な直線によって定められる少なくとも1つの第1のブロックpi,j Tm,││と、例えば3つの実質的に平行な直線によって定められる少なくとも1つの第2のブロックpi,j Tm,⊥と、を備えている。ここで、第2のブロックpi,j Tm,⊥の直線は、第1のブロックpi,j Tm,││の直線に対して実質的に垂直に配置されている。具体的には、較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥の各々は、複数の、ここでは16個の、各々3つの実質的に平行な直線によって定められる第1のブロックpi,j Tm,││と、複数の、ここでは16個の、各々3つの実質的に平行な直線によって定められる第2のブロックpi,j Tm,⊥と、を含んでいる。ここで、第2のブロックpi,j Tm,⊥の直線は、第1のブロックpi,j Tm,││の直線に対して実質的に垂直に配置されている。また、図8に示された配置と同様にして、較正平面30内の較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥の位置を示す識別マーカー32が設けられている。
【0102】
照射システム10の温度を変化させるために、ステップ(ii)及び(iv)~(vi)の実施に先立って、照射システム10は、加熱パターンphmを少なくとも1つの加熱領域hに照射することによって、加熱される。図10の例示的な配置では、較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥の各々に1つの加熱領域hが関連付けられている。各加熱領域hは、その関連付けられた較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥から、即ち較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥のそれぞれの第1のブロックpi,j Tm,││及び第2のブロックpi,j Tm,⊥の各々から、十分に離れるように配置される、即ち、較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥が加熱プロセスによる影響を受けないほど、十分に離れるように配置される。具体的には、各加熱領域hは、較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥のそれぞれの第1のブロックpi,j Tm,││及び第2のブロックpi,j Tm,⊥の各々から、x方向に約2mm離れた距離に配置される。加えて、加熱領域hからy方向に延びる較正平面30の領域が、関連付けられた較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥によって覆われている、即ち、照射されないまま残っている。これは、加熱パターンphmを照射した際に生成される煙又は他の粒子性不純物を除去するための一種の「トレイル」又は「コリダー」を作り出すためである。同時に、加熱領域hは、各々、その関連付けられた較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥に対して、温度依存性の熱による焦点シフトが所望の正確性で決定され得るほどに、十分に近接して配置されている。
【0103】
加熱パターンphmは、約1mm/秒の照射速度で100サイクルの間照射される、100μmのベクトルを含む。バーンオフフィルム及び/又は較正平面30を画定するための較正プレートを、所望ではない加熱から保護するために、特に熱に誘導された損傷から保護するために、バーンオフフィルム及び/又は較正プレートは、加熱領域h内に、照射システム10を加熱するために照射システム10によって発せられた放射ビーム14を通過させることを可能にする、貫通ホールを備えている。放射ビーム14は、放射トラップによって捕獲され得る。
【0104】
照射ユニット10の動作温度は、照射ユニット10によって発せられた放射ビーム14の出力電力に強く依存する。図10の配置においては、照射システム10は、複数の加熱パターンphmを、照射システム10によって発せられた放射ビーム14の複数の異なる出力電力で照射することにより、複数の異なる温度Tmに設定される。特に、複数の加熱パターンph1~ph6が、照射システム10を6つの異なる温度T1~T6まで加熱するために100W、200W、300W、400W、500W、及び600Wである、放射ビーム14の異なる出力電力で照射される。照射時間tmは、一定に維持され、10秒に設定される。
【0105】
図10の較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥を評価するために使用され得るバーンオフフィルムのスマートフォン画像は、図11に示されている。図11の画像においては、較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥に含まれる直線の線幅が評価されることができ、かつ、較正平面30に垂直なz方向における放射ビーム14の焦点位置が、較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥の線幅の評価に基づいて決定され得る。特に、各加熱領域hについて、関連付けられた較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥の直線の線幅同士が比較され得る。そして、最も細い直線を有する較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥が、放射ビームが集束されている状態で、放射ビーム14を照射された較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥として、決定され得る。図11の画像はまた、バーンオフフィルム内で、加熱領域h内に設けられた貫通ホール34が、バーンオフフィルムの照射中に拡大させられていることも示している。ここで、貫通ホール32の拡大は、放射ビーム14の出力電力の増加を伴って進行する。
【0106】
図12のダイアグラムは、図11に示された画像の評価から得られるものであり、加熱パターンphmを照射する際の放射ビーム14の出力電力に応じた、較正平面30に垂直なz方向における放射ビーム14の焦点位置を示している。換言すれば、図12のダイアグラムは、照射システム10の温度Tmに応じた熱による焦点シフトを示している。この焦点位置の熱に誘導されたシフトは、照射平面Iにわたって均等な焦点位置分布を得るために、ステップ(vi)において実施される較正によって補正され得る。
【0107】
図12のダイアグラムにおいて示されている下側の曲線は、従来のコースティクス測定によって得られたものであり、一方、図12のダイアグラムにおける上側の曲線は、図11の画像において較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥の線幅を評価することによって得られている。図12は、較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥の線幅の評価によって、熱による焦点シフトを信頼できる正確性で決定することができることを示唆している。これは、較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥の線幅の評価は、特定用途向け測定デバイス、訓練された個人、及び機械のダウンタイムを必要とするコースティクス測定と比較して、より安価であり、より迅速であり、かつ自動化されているにもかかわらず、である。
【0108】
さらに、第1のブロックpi,j Tm,││を評価することによって得られる焦点位置及び第2のブロックpi,j Tm,⊥を評価することによって得られる焦点位置を、図9を参照しつつ上記されたように比較し、放射ビーム14を生成するために使用される光学素子の非点収差を決定することができる。再び、この焦点位置シフトが、照射平面Iにわたって均等な焦点位置分布を得るために、ステップ(vi)において実施される較正によって補正され得る。
【0109】
図13の配置は、照射システムが、複数の加熱パターンphmを複数の異なる照射時間即ち加熱時間tmで照射することによって、6つの異なる温度Tm=T1,…,T6まで加熱されるという点において、図10の配置とは異なっている。特に、複数の加熱パターンph1~ph6は、異なる照射時間で、即ち0秒、0.5秒、1秒、3秒、8秒、及び20秒である加熱時間で、照射される。一方で、照射ユニット10によって発せられる放射ビーム14の出力電力は、一定に維持され、500Wに設定される。加熱パターンphmは、約1mm/秒の照射速度で100サイクルの間照射される、100μmのベクトルを再び備える。あるいは、図13の配置は、図10の配置に対応している。
【0110】
図14は、図13の較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥を評価するために使用され得る、バーンオフフィルムのスマートフォン画像を示している。図10及び11を参照しつつ上記されたように、図14の画像においては、較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥に含まれる直線の線幅が評価されることができ、かつ、較正平面30に垂直なz方向における放射ビーム14の焦点位置が、較正パターンpi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥の線幅の評価に基づいて決定され得る。図14の画像はまた、バーンオフフィルム内で、加熱領域h内に設けられた貫通ホール34が、バーンオフフィルムへの照射中に拡大していくことを示している。この際、貫通ホール32の拡大は、加熱時間の増加を伴って進行する。加熱領域hにおいてはいかなる貫通ホールも設けられていないが、これは、加熱領域h内では加熱時間が0秒だからである。
【0111】
図15は、図14に示されていた画像の評価から得られ、照射/加熱時間tmに応じた、較正平面30に垂直なz方向における放射ビーム14の焦点位置を示している、ダイアグラムを示している。再び、焦点位置のこの熱に誘導されるシフトは、照射平面Iにわたって均等な焦点位置分布を得るために、ステップ(iv)において実行される較正によって補正され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0111
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0111】
図15は、図14に示されていた画像の評価から得られ、照射/加熱時間tmに応じた、較正平面30に垂直なz方向における放射ビーム14の焦点位置を示している、ダイアグラムを示している。再び、焦点位置のこの熱に誘導されるシフトは、照射平面Iにわたって均等な焦点位置分布を得るために、ステップ(iv)において実行される較正によって補正され得る。
また、本開示は、以下の態様を含む。
〔態様1〕
照射システム(10)によって発せられた放射ビーム(14)を原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置(100)において使用するための、前記照射システム(10)を較正する方法であって、前記方法は、
(i)較正平面(30)と、前記照射システム(10)の光学ユニット(16)の間の、前記較正平面(30)に垂直なz方向における距離を、第1の距離(z )に設定するステップと、
(ii)前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離を前記第1の距離(z )に維持しつつ、第1の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)のスキャナミラー(22)を用いて、第1の較正パターン(p 1,1 )を、前記較正平面(30)内の第1のxy領域(a )に照射し、かつ、第2の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第2の較正パターン(p 2,1 )を、前記較正平面(30)内の第2のxy領域(a )に照射し、前記第2の基本角度位置では、前記スキャナミラー(22)は、前記第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられている、ステップと、
(iii)前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記距離を、前記第1の距離(z )とは異なる第2の距離(z )に設定するステップと、
(iv)前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離を前記第2の距離(z )に維持しつつ、前記第1の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第3の較正パターン(p 1,2 )を、前記較正平面(30)内の前記第1のxy領域(a )に照射し、かつ、前記スキャナミラー(22)が前記第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられている前記第2の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第4の較正パターン(p 2,2 )を、前記較正平面(30)内の前記第2のxy領域(a )に照射する、ステップと、
(v)前記第1の較正パターン(p 1,1 )、前記第2の較正パターン(p 2,1 )、前記第3の較正パターン(p 1,2 )、及び前記第4の較正パターン(p 2,2 )を評価し、前記較正平面(30)内のxy座標に応じて、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記放射ビーム(14)の焦点位置を決定する、ステップと、
(vi)決定された前記放射ビーム(14)の前記焦点位置に基づいて、前記照射システム(10)を較正するステップと、を含む、方法。
〔態様2〕
-ステップ(ii)及び(iv)~(vi)は、複数の放射ビーム(14)について実施され、かつ/又は、
-ステップ(ii)及び(iv)~(vi)は、複数の異なる温度(Tm)を有する前記照射システム(10)を用いて実施される、態様1に記載の方法。
〔態様3〕
前記照射システム(10)の前記温度を変化させるために、前記照射システム(10)は、ステップ(ii)及び(iv)~(vi)の実施に先立って、少なくとも1つの加熱領域(h )に加熱パターン(p hm )を照射することによって加熱される、態様2に記載の方法。
〔態様4〕
前記照射システム(10)は、複数の加熱パターン(p hm )を、前記照射システム(10)によって発せられた前記放射ビーム(14)の複数の異なる出力電力で、かつ/又は複数の異なる照射時間で、照射することによって、複数の異なる温度(Tm)に設定される、態様2又は3に記載の方法。
〔態様5〕
-ステップ(iii)は、前記較正平面(30)を、前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)から複数のさらなる距離(z )だけ離れるように配置するために繰り返し実施され、前記さらなる距離(z )は、各々、前記第1の距離(z )及び前記第2の距離(z )とは異なっており、かつ、
-複数のさらなる較正パターン(p 1,j 、p 2,j )が、ステップ(iv)に従って前記第1のxy領域(a )及び前記第2のxy領域(a )に照射され、前記第1のxy領域(a )及び前記第2のxy領域(a )に各々照射される前記さらなる較正パターン(p 1,j 、p 2,j )の数は、特に、前記較正平面(30)が前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)から離れて配置されている前記さらなる距離(z )の数に対応している、態様1から4のいずれか一つに記載の方法。
〔態様6〕
前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の前記距離が、前記第1の距離(z )、前記第2の距離(z )、及び複数の前記さらなる距離(z )のうち少なくとも1つに維持されている間に、少なくとも1つのさらなる較正パターン(p i,j )が、前記第1のxy領域(a )及び前記第2のxy領域(a )とは異なる、前記較正平面(30)内の追加的なxy領域(a )に照射される、態様1から5のいずれか一つに記載の方法。
〔態様7〕
-前記第2の基本角度位置にある前記スキャナミラー(22)は、少なくとも±2度だけ、特に少なくとも±5度だけ、好ましくは少なくとも±10度だけ、かつさらに好ましくは少なくとも±15度だけ、前記第1の基本角度位置に対して枢動させられ、かつ/又は、
-前記較正平面内の前記第1のxy領域(a )の中心と前記第2のxy領域(a )の中心の間の距離は、集束された前記放射ビーム(14)の径の、少なくとも15倍に、特に少なくとも100倍に、好ましくは少なくとも500倍に、かつさらに好ましくは少なくとも1000倍に、対応する、態様1から6のいずれか一つに記載の方法。
〔態様8〕
前記較正平面(30)は、
-キャリア(102)上に塗布された原材料粉末層の表面又は平面、
-キャリア(102)上に塗布されたバーンオフフィルムの表面、及び、
-較正プレート(28)の表面、
のうち少なくとも1つによって画定され、かつ/又は、
前記較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )は、
-前記較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )が前記較正平面(30)上に照射されている間に、かつ/又は前記較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )の前記較正平面上への前記照射が完了した後で、前記較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )の前記照射をその場で記録する、光学検出デバイス(24)、
-前記較正平面(30)上か又はその下に配置された、感光センサ構成体、
のうち少なくとも1つによって検出される、態様1から7のいずれか一つに記載の方法。
〔態様9〕
前記較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )は、少なくとも1つの直線を含んでおり、かつ、前記放射ビーム(14)の、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記焦点位置は、ステップ(v)において、前記較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )の前記直線の幅の評価に基づいて決定される、態様1から8のいずれか一つに記載の方法。
〔態様10〕
前記較正パターン(p i,j o,││ 、p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,││ 、p i,j Tm,⊥ )のうち少なくとも1つは、第1の複数の実質的に平行な直線によって定められる第1のブロック(p i,j o,││ 、p i,j Tm,││ )と、第2の複数の実質的に平行な直線によって定められる第2のブロック(p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,⊥ )と、を含んでおり、前記第2のブロック(p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,⊥ )の前記第2の複数の実質的に平行な直線は、前記第1のブロック(p i,j o,││ 、p i,j Tm,││ )の前記第1の複数の実質的に平行な直線に対して実質的に垂直に配置されており、前記第1のブロック(p i,j o,││ 、p i,j Tm,││ )の前記第1の複数の実質的に平行な直線は、特に前記照射システム(10)の光学中心に対して径方向に延びている、態様1から9のいずれか一つに記載の方法。
〔態様11〕
個別の較正パターン(p i,j 、p i,j o,││ 、p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,││ 、p i,j Tm,⊥ )又は複数の較正パターン(p i,j 、p i,j o,││ 、p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,││ 、p i,j Tm,⊥ )は、特に、前記較正平面(30)内の共通のxy領域(a 、a 、a )に照射される複数の較正パターン(p i,j 、p i,j o,││ 、p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,││ 、p i,j Tm,⊥ )は、前記個別の較正パターン(p i,j 、p i,j o,││ 、p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,││ 、p i,j Tm,⊥ )又は前記複数の較正パターン(p i,j 、p i,j o,││ 、p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,││ 、p i,j Tm,⊥ )の前記較正平面(30)内における位置を表示する、識別マーカー(32)を備えている、態様1から10のいずれか一つに記載の方法。
〔態様12〕
前記xy領域(a 、a 、a )内の共通のxy領域(a 、a 、a )に照射された複数の較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )の照射位置は、前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の、前記z方向における前記距離の変化によって引き起こされる、前記放射ビーム(14)の前記較正平面(30)上への入射点のxyずれに基づいて決定される、態様1から10のいずれか一つに記載の方法。
〔態様13〕
照射システム(10)によって発せられた放射ビーム(14)を原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置(100)において使用するための、前記照射システム(10)を較正するデバイスであって、前記デバイスは制御ユニット(26)を備えており、前記制御ユニット(26)は、
(i)較正平面(30)と前記照射システム(10)の光学ユニット(16)の間の、前記較正平面(30)に垂直なz方向における距離を、第1の距離(z )に設定し、
(ii)前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離を前記第1の距離(z )に維持しつつ、第1の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)のスキャナミラー(22)を用いて、第1の較正パターン(p 1,1 )を、前記較正平面(30)内の第1のxy領域(a )に照射し、かつ、第2の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第2の較正パターン(p 2,1 )を、前記較正平面(30)内の第2のxy領域(a )に照射するように、前記照射システム(10)を制御し、前記第2の基本角度位置では、前記スキャナミラー(22)は、前記第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられており、
(iii)前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記距離を、前記第1の距離(z )とは異なる第2の距離(z )に設定し、
(iv)前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離を前記第2の距離(z )に維持しつつ、前記第1の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第3の較正パターン(p 1,2 )を、前記較正平面(30)内の前記第1のxy領域(a )に照射し、かつ、前記スキャナミラー(22)が前記第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられている前記第2の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第4の較正パターン(p 2,2 )を、前記較正平面(30)内の前記第2のxy領域(a )に照射するように、前記照射システム(10)を制御し、
(v)前記第1の較正パターン(p 1,1 )、前記第2の較正パターン(p 2,1 )、前記第3の較正パターン(p 1,2 )、及び前記第4の較正パターン(p 2,2 )を評価し、前記較正平面(30)内のxy座標に応じた、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記放射ビーム(14)の焦点位置を決定し、かつ、
(vi)決定された前記放射ビーム(14)の前記焦点位置に基づいて、前記照射システム(10)を較正する、ように構成されている、デバイス。
〔態様14〕
-前記制御ユニット(26)は、複数の放射ビーム(14)についてステップ(ii)及び(iv)~(vi)を実施するように構成され、かつ/又は、
-前記制御ユニット(26)は、複数の異なる温度(Tm)を有する前記照射システム(10)を用いてステップ(ii)及び(iv)~(vi)を実施するように構成されている、態様13に記載のデバイス。
〔態様15〕
前記照射システム(10)の前記温度を変化させるために、前記制御ユニット(26)は、ステップ(ii)及び(iv)~(vi)の実施に先立って、少なくとも1つの加熱領域(h )に加熱パターン(p hm )を照射することによって前記照射システム(10)を加熱するように、構成されている、態様14に記載のデバイス。
〔態様16〕
前記制御ユニット(26)は、複数の加熱パターン(p hm )を、前記照射システム(10)によって発せられた前記放射ビーム(14)の複数の異なる出力電力で、かつ/又は複数の異なる照射時間で、照射することによって、前記照射システム(10)を複数の異なる温度(Tm)に設定するように、構成される、態様13又は14に記載のデバイス。
〔態様17〕
前記制御ユニット(26)は、
-前記較正平面(30)を、前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)から複数のさらなる距離(z )だけ離れるように配置するために、ステップ(iii)を繰り返し実施するように構成されており、前記さらなる距離(z )は、各々、前記第1の距離(z )及び前記第2の距離(z )とは異なっており、かつ、
-複数のさらなる較正パターン(p 1,j 、p 2,j )を、ステップ(iv)に従って前記第1のxy領域(a )及び前記第2のxy領域(a )に照射するように、前記照射システム(10)を制御するように構成されており、前記第1のxy領域(a )及び前記第2のxy領域(a )に各々照射される前記さらなる較正パターン(p 1,j 、p 2,j )の数は、特に、前記較正平面(30)が前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)から離れて配置されている前記さらなる距離(z )の数に対応している、態様13から16のいずれか一つに記載のデバイス。
〔態様18〕
前記制御ユニット(26)は、前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離が、前記第1の距離(z )、前記第2の距離(z )、及び複数の前記さらなる距離(z )のうち少なくとも1つに維持されている間に、少なくとも1つの追加的な較正パターン(p i,j )を前記第1のxy領域(a )及び前記第2のxy領域(a )とは異なる、前記較正平面(30)内の追加的なxy領域(a )に照射するように、前記照射システム(10)を制御するように構成されている、態様13から17のいずれか一つに記載のデバイス。
〔態様19〕
前記制御ユニット(26)は、
-前記第2の基本角度位置にある前記スキャナミラー(22)が、少なくとも±2度だけ、特に少なくとも±5度だけ、好ましくは少なくとも±10度だけ、かつさらに好ましくは少なくとも±15度だけ、前記第1の基本角度位置に対して枢動させられるように、かつ/又は、
-前記較正平面内の前記第1のxy領域(a )の中心と前記第2のxy領域(a )の中心の間の距離が、集束された前記放射ビーム(14)の径の、少なくとも15倍に、特に少なくとも100倍に、好ましくは少なくとも500倍に、かつさらに好ましくは少なくとも1000倍に、対応するように、
前記照射システム(10)を制御するように構成されている、態様13から18のいずれか一つに記載のデバイス。
〔態様20〕
前記較正平面(30)は、
-キャリア(102)上に塗布された原材料粉末層の表面又は平面、
-キャリア(102)上に塗布されたバーンオフフィルムの表面、及び、
-較正プレート(28)の表面、のうち1つによって画定され、かつ/又は、
前記デバイスは、前記較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )を検出するために、
-前記較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )が前記較正平面(30)上に照射されている間に、かつ/又は前記較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )の前記較正平面(30)上への前記照射が完了した後で、前記較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )の前記照射をその場所で記録するように構成されている、光学検出デバイス(24)、
-前記較正平面(30)上か又はその下に配置された、感光センサ構成体、
のうち少なくとも1つの検出システムを備えている、態様13から19のいずれか一つに記載のデバイス。
〔態様21〕
前記較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )は、少なくとも1つの直線、曲線、点又は円を含んでおり、かつ、前記制御ユニット(26)は、前記放射ビーム(14)の、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記焦点位置を、ステップ(v)において、前記較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )の前記直線、前記点、又は前記円の幅の評価に基づいて決定するように構成されている、態様13から20のいずれか一つに記載のデバイス。
〔態様22〕
前記較正パターン(p i,j o,││ 、p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,││ 、p i,j Tm,⊥ )のうち少なくとも1つは、第1の複数の実質的に平行な直線によって定められる第1のブロック(p i,j o,││ 、p i,j Tm,││ )と、第2の複数の実質的に平行な直線によって定められる第2のブロック(p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,⊥ )と、を含んでおり、前記第2のブロック(p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,⊥ )の前記第2の複数の実質的に平行な直線は、前記第1のブロック(p i,j o,││ 、p i,j Tm,││ )の前記第1の複数の実質的に平行な直線に対して実質的に垂直に配置されており、前記第1のブロック(p i,j o,││ 、p i,j Tm,││ )の前記第1の複数の実質的に平行な直線は、特に前記照射システム(10)の光学中心に対して径方向に延びている、態様13から21のいずれか一つに記載のデバイス。
〔態様23〕
前記制御ユニット(26)は、個別の較正パターン(p i,j 、p i,j o,││ 、p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,││ 、p i,j Tm,⊥ )又は複数の較正パターン(p i,j 、p i,j o,││ 、p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,││ 、p i,j Tm,⊥ )が、特に、前記較正平面(30)内の共通のxy領域(a 、a 、a )に照射される複数の較正パターン(p i,j 、p i,j o,││ 、p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,││ 、p i,j Tm,⊥ )が、前記個別の較正パターン(p i,j 、p i,j o,││ 、p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,││ 、p i,j Tm,⊥ )又は前記複数の較正パターン(p i,j 、p i,j o,││ 、p i,j o,⊥ 、p i,j Tm,││ 、p i,j Tm,⊥ )の前記較正平面(30)内における位置を表示する識別マーカー(32)を備えるように、前記照射システム(10)を制御するように構成されている、態様13から22のいずれか一つに記載のデバイス。
〔態様24〕
前記制御ユニット(26)は、前記xy領域(a 、a 、a )内の共通のxy領域(a 、a 、a )に照射された複数の較正パターン(p 1,1 、p 2,1 、p 1,2 、p 2,2 、p 1,j 、p 2,j 、p i,j )の照射位置を、前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の、前記z方向における前記距離の変化によって引き起こされる、前記放射ビーム(14)の前記較正平面(30)上への入射点のxyずれに基づいて決定するように、構成されている、態様13から23のいずれか一つに記載のデバイス。
〔態様25〕
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品が1つ以上のコンピューティングデバイス上で実行されるときに態様1から12のいずれか一つに記載の方法を実施するプログラム部分を備えている、コンピュータプログラム製品。
〔態様26〕
放射ビーム(14)を原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置(100)であって、前記装置(100)は、照射システム(10)と、態様13から24のいずれか一つに記載のデバイス及び/又は態様25に記載のコンピュータプログラム製品が格納されるコンピュータ可読記録媒体と、を備えている、装置(100)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射システム(10)によって発せられた放射ビーム(14)を原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置(100)において使用するための、前記照射システム(10)を較正する方法であって、前記方法は、
(i)較正平面(30)と、前記照射システム(10)の光学ユニット(16)の間の、前記較正平面(30)に垂直なz方向における距離を、第1の距離(z)に設定するステップと、
(ii)前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離を前記第1の距離(z)に維持しつつ、第1の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)のスキャナミラー(22)を用いて、第1の較正パターン(p1,1)を、前記較正平面(30)内の第1のxy領域(a)に照射し、かつ、第2の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第2の較正パターン(p2,1)を、前記較正平面(30)内の第2のxy領域(a)に照射し、前記第2の基本角度位置では、前記スキャナミラー(22)は、前記第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられている、ステップと、
(iii)前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記距離を、前記第1の距離(z)とは異なる第2の距離(z)に設定するステップと、
(iv)前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離を前記第2の距離(z)に維持しつつ、前記第1の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第3の較正パターン(p1,2)を、前記較正平面(30)内の前記第1のxy領域(a)に照射し、かつ、前記スキャナミラー(22)が前記第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられている前記第2の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第4の較正パターン(p2,2)を、前記較正平面(30)内の前記第2のxy領域(a)に照射する、ステップと、
(v)前記第1の較正パターン(p1,1)、前記第2の較正パターン(p2,1)、前記第3の較正パターン(p1,2)、及び前記第4の較正パターン(p2,2)を評価し、前記較正平面(30)内のxy座標に応じて、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記放射ビーム(14)の焦点位置を決定する、ステップと、
(vi)決定された前記放射ビーム(14)の前記焦点位置に基づいて、前記照射システム(10)を較正するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
-ステップ(ii)及び(iv)~(vi)は、複数の放射ビーム(14)について実施され、かつ/又は、
-ステップ(ii)及び(iv)~(vi)は、複数の異なる温度(Tm)を有する前記照射システム(10)を用いて実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記照射システム(10)の前記温度を変化させるために、前記照射システム(10)は、ステップ(ii)及び(iv)~(vi)の実施に先立って、少なくとも1つの加熱領域(h)に加熱パターン(phm)を照射することによって加熱される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記照射システム(10)は、複数の加熱パターン(phm)を、前記照射システム(10)によって発せられた前記放射ビーム(14)の複数の異なる出力電力で、かつ/又は複数の異なる照射時間で、照射することによって、複数の異なる温度(Tm)に設定される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
-ステップ(iii)は、前記較正平面(30)を、前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)から複数のさらなる距離(z)だけ離れるように配置するために繰り返し実施され、前記さらなる距離(z)は、各々、前記第1の距離(z)及び前記第2の距離(z)とは異なっており、かつ、
-複数のさらなる較正パターン(p1,j、p2,j)が、ステップ(iv)に従って前記第1のxy領域(a)及び前記第2のxy領域(a)に照射され、前記第1のxy領域(a)及び前記第2のxy領域(a)に各々照射される前記さらなる較正パターン(p1,j、p2,j)の数は、特に、前記較正平面(30)が前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)から離れて配置されている前記さらなる距離(z)の数に対応している、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の前記距離が、前記第1の距離(z)、前記第2の距離(z)、及び複数の前記さらなる距離(z)のうち少なくとも1つに維持されている間に、少なくとも1つのさらなる較正パターン(pi,j)が、前記第1のxy領域(a)及び前記第2のxy領域(a)とは異なる、前記較正平面(30)内の追加的なxy領域(a)に照射される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
-前記第2の基本角度位置にある前記スキャナミラー(22)は、少なくとも±2度だけ、特に少なくとも±5度だけ、好ましくは少なくとも±10度だけ、かつさらに好ましくは少なくとも±15度だけ、前記第1の基本角度位置に対して枢動させられ、かつ/又は、
-前記較正平面内の前記第1のxy領域(a)の中心と前記第2のxy領域(a)の中心の間の距離は、集束された前記放射ビーム(14)の径の、少なくとも15倍に、特に少なくとも100倍に、好ましくは少なくとも500倍に、かつさらに好ましくは少なくとも1000倍に、対応する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記較正平面(30)は、
-キャリア(102)上に塗布された原材料粉末層の表面又は平面、
-キャリア(102)上に塗布されたバーンオフフィルムの表面、及び、
-較正プレート(28)の表面、
のうち少なくとも1つによって画定され、かつ/又は、
前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)は、
-前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)が前記較正平面(30)上に照射されている間に、かつ/又は前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の前記較正平面上への前記照射が完了した後で、前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の前記照射をその場で記録する、光学検出デバイス(24)、
-前記較正平面(30)上か又はその下に配置された、感光センサ構成体、
のうち少なくとも1つによって検出される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)は、少なくとも1つの直線を含んでおり、かつ、前記放射ビーム(14)の、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記焦点位置は、ステップ(v)において、前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の前記直線の幅の評価に基づいて決定される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記較正パターン(pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)のうち少なくとも1つは、第1の複数の実質的に平行な直線によって定められる第1のブロック(pi,j o,││、pi,j Tm,││)と、第2の複数の実質的に平行な直線によって定められる第2のブロック(pi,j o,⊥、pi,j Tm,⊥)と、を含んでおり、前記第2のブロック(pi,j o,⊥、pi,j Tm,⊥)の前記第2の複数の実質的に平行な直線は、前記第1のブロック(pi,j o,││、pi,j Tm,││)の前記第1の複数の実質的に平行な直線に対して実質的に垂直に配置されており、前記第1のブロック(pi,j o,││、pi,j Tm,││)の前記第1の複数の実質的に平行な直線は、特に前記照射システム(10)の光学中心に対して径方向に延びている、請求項に記載の方法。
【請求項11】
個別の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)又は複数の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)は、特に、前記較正平面(30)内の共通のxy領域(a、a、a)に照射される複数の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)は、前記個別の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)又は前記複数の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)の前記較正平面(30)内における位置を表示する、識別マーカー(32)を備えている、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記xy領域(a、a、a)内の共通のxy領域(a、a、a)に照射された複数の較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の照射位置は、前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の、前記z方向における前記距離の変化によって引き起こされる、前記放射ビーム(14)の前記較正平面(30)上への入射点のxyずれに基づいて決定される、請求項に記載の方法。
【請求項13】
照射システム(10)によって発せられた放射ビーム(14)を原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置(100)において使用するための、前記照射システム(10)を較正するデバイスであって、前記デバイスは制御ユニット(26)を備えており、前記制御ユニット(26)は、
(i)較正平面(30)と前記照射システム(10)の光学ユニット(16)の間の、前記較正平面(30)に垂直なz方向における距離を、第1の距離(z)に設定し、
(ii)前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離を前記第1の距離(z)に維持しつつ、第1の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)のスキャナミラー(22)を用いて、第1の較正パターン(p1,1)を、前記較正平面(30)内の第1のxy領域(a)に照射し、かつ、第2の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第2の較正パターン(p2,1)を、前記較正平面(30)内の第2のxy領域(a)に照射するように、前記照射システム(10)を制御し、前記第2の基本角度位置では、前記スキャナミラー(22)は、前記第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられており、
(iii)前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記距離を、前記第1の距離(z)とは異なる第2の距離(z)に設定し、
(iv)前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離を前記第2の距離(z)に維持しつつ、前記第1の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第3の較正パターン(p1,2)を、前記較正平面(30)内の前記第1のxy領域(a)に照射し、かつ、前記スキャナミラー(22)が前記第1の基本角度位置に対して少なくとも±1度だけ枢動させられている前記第2の基本角度位置に配置されている前記光学ユニット(16)の前記スキャナミラー(22)を用いて、第4の較正パターン(p2,2)を、前記較正平面(30)内の前記第2のxy領域(a)に照射するように、前記照射システム(10)を制御し、
(v)前記第1の較正パターン(p1,1)、前記第2の較正パターン(p2,1)、前記第3の較正パターン(p1,2)、及び前記第4の較正パターン(p2,2)を評価し、前記較正平面(30)内のxy座標に応じた、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記放射ビーム(14)の焦点位置を決定し、かつ、
(vi)決定された前記放射ビーム(14)の前記焦点位置に基づいて、前記照射システム(10)を較正する、ように構成されている、デバイス。
【請求項14】
-前記制御ユニット(26)は、複数の放射ビーム(14)についてステップ(ii)及び(iv)~(vi)を実施するように構成され、かつ/又は、
-前記制御ユニット(26)は、複数の異なる温度(Tm)を有する前記照射システム(10)を用いてステップ(ii)及び(iv)~(vi)を実施するように構成されている、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記照射システム(10)の前記温度を変化させるために、前記制御ユニット(26)は、ステップ(ii)及び(iv)~(vi)の実施に先立って、少なくとも1つの加熱領域(h)に加熱パターン(phm)を照射することによって前記照射システム(10)を加熱するように、構成されている、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記制御ユニット(26)は、複数の加熱パターン(phm)を、前記照射システム(10)によって発せられた前記放射ビーム(14)の複数の異なる出力電力で、かつ/又は複数の異なる照射時間で、照射することによって、前記照射システム(10)を複数の異なる温度(Tm)に設定するように、構成される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項17】
前記制御ユニット(26)は、
-前記較正平面(30)を、前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)から複数のさらなる距離(z)だけ離れるように配置するために、ステップ(iii)を繰り返し実施するように構成されており、前記さらなる距離(z)は、各々、前記第1の距離(z)及び前記第2の距離(z)とは異なっており、かつ、
-複数のさらなる較正パターン(p1,j、p2,j)を、ステップ(iv)に従って前記第1のxy領域(a)及び前記第2のxy領域(a)に照射するように、前記照射システム(10)を制御するように構成されており、前記第1のxy領域(a)及び前記第2のxy領域(a)に各々照射される前記さらなる較正パターン(p1,j、p2,j)の数は、特に、前記較正平面(30)が前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)から離れて配置されている前記さらなる距離(z)の数に対応している、請求項13に記載のデバイス。
【請求項18】
前記制御ユニット(26)は、前記較正平面(30)と前記光学ユニット(16)の間の前記距離が、前記第1の距離(z)、前記第2の距離(z)、及び複数の前記さらなる距離(z)のうち少なくとも1つに維持されている間に、少なくとも1つの追加的な較正パターン(pi,j)を前記第1のxy領域(a)及び前記第2のxy領域(a)とは異なる、前記較正平面(30)内の追加的なxy領域(a)に照射するように、前記照射システム(10)を制御するように構成されている、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記制御ユニット(26)は、
-前記第2の基本角度位置にある前記スキャナミラー(22)が、少なくとも±2度だけ、特に少なくとも±5度だけ、好ましくは少なくとも±10度だけ、かつさらに好ましくは少なくとも±15度だけ、前記第1の基本角度位置に対して枢動させられるように、かつ/又は、
-前記較正平面内の前記第1のxy領域(a)の中心と前記第2のxy領域(a)の中心の間の距離が、集束された前記放射ビーム(14)の径の、少なくとも15倍に、特に少なくとも100倍に、好ましくは少なくとも500倍に、かつさらに好ましくは少なくとも1000倍に、対応するように、
前記照射システム(10)を制御するように構成されている、請求項13に記載のデバイス。
【請求項20】
前記較正平面(30)は、
-キャリア(102)上に塗布された原材料粉末層の表面又は平面、
-キャリア(102)上に塗布されたバーンオフフィルムの表面、及び、
-較正プレート(28)の表面、のうち1つによって画定され、かつ/又は、
前記デバイスは、前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)を検出するために、
-前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)が前記較正平面(30)上に照射されている間に、かつ/又は前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の前記較正平面(30)上への前記照射が完了した後で、前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の前記照射をその場所で記録するように構成されている、光学検出デバイス(24)、
-前記較正平面(30)上か又はその下に配置された、感光センサ構成体、
のうち少なくとも1つの検出システムを備えている、請求項13に記載のデバイス。
【請求項21】
前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)は、少なくとも1つの直線、曲線、点又は円を含んでおり、かつ、前記制御ユニット(26)は、前記放射ビーム(14)の、前記較正平面(30)に垂直な前記z方向における前記焦点位置を、ステップ(v)において、前記較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の前記直線、前記点、又は前記円の幅の評価に基づいて決定するように構成されている、請求項13に記載のデバイス。
【請求項22】
前記較正パターン(pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)のうち少なくとも1つは、第1の複数の実質的に平行な直線によって定められる第1のブロック(pi,j o,││、pi,j Tm,││)と、第2の複数の実質的に平行な直線によって定められる第2のブロック(pi,j o,⊥、pi,j Tm,⊥)と、を含んでおり、前記第2のブロック(pi,j o,⊥、pi,j Tm,⊥)の前記第2の複数の実質的に平行な直線は、前記第1のブロック(pi,j o,││、pi,j Tm,││)の前記第1の複数の実質的に平行な直線に対して実質的に垂直に配置されており、前記第1のブロック(pi,j o,││、pi,j Tm,││)の前記第1の複数の実質的に平行な直線は、特に前記照射システム(10)の光学中心に対して径方向に延びている、請求項13に記載のデバイス。
【請求項23】
前記制御ユニット(26)は、個別の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)又は複数の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)が、特に、前記較正平面(30)内の共通のxy領域(a、a、a)に照射される複数の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)が、前記個別の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)又は前記複数の較正パターン(pi,j、pi,j o,││、pi,j o,⊥、pi,j Tm,││、pi,j Tm,⊥)の前記較正平面(30)内における位置を表示する識別マーカー(32)を備えるように、前記照射システム(10)を制御するように構成されている、請求項13に記載のデバイス。
【請求項24】
前記制御ユニット(26)は、前記xy領域(a、a、a)内の共通のxy領域(a、a、a)に照射された複数の較正パターン(p1,1、p2,1、p1,2、p2,2、p1,j、p2,j、pi,j)の照射位置を、前記較正平面(30)と前記照射システム(10)の前記光学ユニット(16)の間の、前記z方向における前記距離の変化によって引き起こされる、前記放射ビーム(14)の前記較正平面(30)上への入射点のxyずれに基づいて決定するように、構成されている、請求項13に記載のデバイス。
【請求項25】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品が1つ以上のコンピューティングデバイス上で実行されるときに請求項に記載の方法を実施するプログラム部分を備えている、コンピュータプログラム製品。
【請求項26】
放射ビーム(14)を原材料粉末層に照射することによって三次元ワークピースを生産する装置(100)であって、前記装置(100)は、照射システム(10)と、請求項13に記載のデバイス及び/又は請求項25に記載のコンピュータプログラム製品が格納されるコンピュータ可読記録媒体と、を備えている、装置(100)。
【国際調査報告】